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1966-04-27 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午前十時四十八分開会     —————————————    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      森中 守義君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 野知 浩之君                 和田 鶴一君                 渡辺 勘吉君                 宮崎 正義君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 高橋雄之助君                 任田 新治君                 仲原 善一君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 大河原一次君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 北條 雋八君    衆議院議員        農林水産委員長        代理理事     本名  武君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省農政局長  和田 正明君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        農林省畜産局参        事官       太田 康二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案  (衆議院提出) ○農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律  案(衆議院提出) ○農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農業信用基金協会法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案一括議題とし、まず、提案理由説明を聴取することといたします。衆議院農林水産委員長代理理事本名武君。
  3. 本名武

    衆議院議員本名武君) ただいま議題となりました農林水産委員長提出の二法案について、提案趣旨を申し上げます。  まず、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  乳業施設資金融通制度が、昭和三十六年創設されて以来、酪農振興法に基づいて設定されました集約酪農地域または酪農経営改善計画を作成しました市町村区域内において、牛乳処理または乳製品製造に必要な施設について、その改良、造成または取得のための低利かつ長期農林漁業金融公庫資金一般乳業者に対して、昭和四十年までの五カ年間に五十億円余融通され、酪農業発展をはかる上に大きな役割を果たしてまいったのであります。  現行制度は、昭和三十六年から五カ年間を限る時限立法による制度であります。酪農業現状は、発展過程の段階にありまして昭和四十年酪農振興法の一部改正が行なわれ乳業施設の整備を含む酪農近代化計画制度が創設されたのであります。しかして、この近代化計画制度を着実に実施することにより集約酪農地域の再編成を行ない、乳業経営改善合理化をはかる必要があるのであります。このような状況の下に、乳業者側における乳業施設資金、特に、公庫乳業施設資金に対する需要増加しつつあるのであります。したがいまして、以上の要請にこたえ、農林漁業金融公庫が行なっておりました乳業者に対する本融資制度を従来と同様の条件により実施するとともに貸し付け施設対象については、酪農近代化計画に即した取り扱いをすることとし、その経過規定をも加えることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及びその内容であります。     —————————————  次に、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について申し上げます。  昭和三十六年に「農業協同組合合併助成法」が制定され、自来、同法によって農業協同組合合併に対する援助、助成措置がとられてまいりましたことはすでに御承知のとおりであります。  ところで、同法に基づく合併経営計画提出期限は昨年の十二月三十一日までと相なっておりますが、現在までの実績をみますると、当初計画のほぼ九割に相当する合併が行なわれる見込みとなっておりまして、おおむね所期の目的は達成されたのであります。しかし、諸般事情によって合併経営計画提出のおくれた農業協同組合で今後、合併によってその体制を強化しようとするものがなお相当数見込まれるのであります。さらに適正かつ能率的な事業経営を行なうことができる農業協同組合を広般に育成して農民の協同組織の健全な発展に資するため農業協同組合合併促進する必要性はなお存続しているのであります。  このような状況にかんがみ、今後とも農業協同組合合併促進するため農業協同組合合併助成法規定に準じ、昭和四十四年三月三十一日までに合併経営計画都道府県知事提出し、その計画が適当である旨の認定を受けることができることとするとともに、その認定を受けた農業協同組合については従前の例により法人税及び登録税特例措置を実施することとしてここに、本案を提出した次第であります。  以上がこの法律案提案理由及びその内容であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。     —————————————
  4. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 続いて、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
  5. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 現行乳業資金制度は、去る三十六年に公庫法附則規定が追加されて、五カ年を限度として今日まで運用されてきたものでありますけれども、この制度が置かれた当初の趣旨は一体どういうところにあったのか。その点からまずお伺いをいたしたいわけです。
  6. 本名武

    衆議院議員本名武君) 先ほど提案理由で御説明申し上げましたが、わが国の農業発展過程におきまして酪農のになう使命はまことに重大であり、さらに一そうこの振興を期さなければならないために、酪農振興法制定等政府諸般施策を行なってまいったわけでありますが、たまたまこの法律の上に乳業発展酪農業に及ぼす影響がまことに重大であるということは御高唱のとおりでありまして、これらの施設を円滑に、しかも所期の所要の設備がなされることによって、ひいては酪農業振興をはかる必要があるということでありまして、特別政府機関資金をもって設備を充足させるということで出発したと考えておりますが、なお、法律上の詳細については、政府のほうから説明を伺っていただきたいと思います。
  7. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 政府のほうからの法律上の点はまあけっこうです。で、データを持っておると思いますから、政府から伺いたい点は、しからば一体この制度によって、現在までの施設資金融資実態というものは一体どうなっているのか。あわせて融資ワクが毎年五カ年間設定されたわけですが、それに対する消化は一体どうなっているのか。それから今回法律を一部改正して五カ年を延長せんとするのでありますが、今後のまた資金需要見通しというものをどうふまえてこの改正案として提案をしたか、その背景になる実績及び今後の見通し等について、計数をもってお示しを願いたい。
  8. 太田康二

    説明員太田康二君) 渡辺先生お尋ねの、農林漁業金融公庫乳業施設に対する融資の問題でございますが、この制度は、先ほど本名先生の御説明にもございましたとおり、三十六年度に始まったわけでございまして、その際、これも議員立法農林漁業金融公庫法の一部を改正して制度が始まりましたので、三十六年度は、実は公庫予算額には、いわゆる乳業施設に対する融資ワクというものはなかったわけでございますが、三十六年度の貸し付け実績を申し上げますと、七億三千万でございます。貸し付け会社数で申し上げますと、十一社。それから大手中小に分けますと、融資実額比率でございますが、大手に対する割合が四七%、中小が五三%ということに相なっております。三十七年度に入りますと、予算額がはっきり計上されまして、十一億という予算額でございましたが、実際に融資が行なわれましたのは十億二百万、端数は切り捨てますが、十億二百万。これが貸し付け会社数は十四社。大手中小割合大手が六八%、中小が三二%ということに相なっております。それから三十八年度の融資ワクは、予算額は十一億ということでございましたが、実行は若干落ちまして七億五千三百万。貸し付け会社数が十六社。大手中小割合は五十六対四十四というようなことに相なっております。三十九年度はやはり予算額は十一億でございますが、貸し付け実行額は十一億一千六百万、そして貸し付け会社数が十六社。大手中小比率は七十三対二十七ということに相なっております。四十年度はまだ最終的な集計が出ておりませんので、ちょっと実績を申し上げることはできないのでございますが、予算額はたしか十一億だと心得ております。  それから今後の見通しの問題でございますが、御承知のとおり、政府は昨年の十月十二日に酪農近代化基本方針というものを発表いたしまして、集乳及び乳業合理化に関する事項というものを定めて公表をいたしたような次第でございまして、今後生乳生産の伸びに伴いまして、毎年施設の投資というものをやってまいらなければならぬというふうに考えておりまして、一応われわれ長期にわたっての資金事情というものは十分把握はいたしておらないわけでございますが、少なくとも四十一年度にはわれわれは約十四億程度の予算額が要るであろうというふうに考えておる次第でございます。
  9. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 従来の実績は必ずしも融資ワク完全消化はしていない、しかし、今後の牛乳なり、あるいは乳製品生産増加ということは、これは必至な傾向に置かれておる。したがって乳業施設もこれを増設改良するという要請はかなり今後大きいものが予想されるわけであります。乳業施設実情と今後の乳業施設合理化方向、いわゆる大メーカー中小メーカーに対する適切なる政府施策のよろしきを得なければ、この制度金融の果たす役割りというものもかなり混乱を予想されることを憂慮するわけでありますが、この点に関する政府見解はどうですか。
  10. 太田康二

    説明員太田康二君) 乳業施設現状でございますが、われわれの調査によりますと、昭和三十九年の一月現在におきまして、二千五百三十三工場ございます。このうち、生乳処理加工に直接関連を有しておる工場数は二千三百八十八工場でありまして、昭和三十五年の三千五百二十工場というものに比べますと、六七%にあたっておりまして、特に最近三カ年間におきましてはやや減少傾向が見られるというような実情でございます。  そこで、施設規模の問題でございますが、主として飲用牛乳生産している工場数は二千百九十七工場でございまして、昭和三十五年に比べますと、約千百工場減少しております。特に月間処理量六十二トン未満工場減少が著しく、こういった工場におきましては約千二百工場減少しておるわけでございます。一方、月間処理量六十二トン以上の工場増加いたしまして、中でも三百十トン以上の処理規模工場は著しい増加傾向が見られておるわけでございます。  次に、主として乳製品生産している工場数でございますが、これも飲用乳工場と同様に大型化傾向が見られまして、月間生産量六百二十トン未満工場昭和三十五年に比べまして、六十三工場減少し、六百二十トン以上の工場、特に千二百四十トン以上の工場数というものが著しく増加する傾向が見られております。そして処理加工能力でございますが、昭和三十九年四月現在におきます工場について生産能力が一時間一キロリットル以下の工場というものは全体の八五%を占めておりまして、四キロリットル以上の工場は約六%に過ぎないというような実情でございます。  それから、事業主体で見てまいりますと、いま申し上げました一キロリットル以下というような工場は大部分個人経営でございまして、四キロリットル以上の工場の大部分は、これまた逆に会社経営となっているということで、農協経営工場があるわけでございますが、やはり一般規模が小さいものが多いというような実情でございます。  それから、個人が経営する工場では、その九八%というものが飲用牛乳生産を行なっておりまして、大部分は局地的な需要に対応する小規模工場というものによって占められておるというような実情でございます。  それから、処理加工設施内容でございますが、昭和三十九年四月現在におきましても飲用牛乳のみの生産設備を有するものは二千二十九工場乳業施設の大部分をこれが占めておるわけでございますが、飲用牛乳乳製品生産設備を併用する工場は百五十五工場乳製品のみを製造する工場は七十七工場というふうに相なっております。  それから、乳製品製造工場のうち一品目のみを生産しておるものは、チーズ工場を除いてはきわめて少なくございまして、一般生乳処理量の多い乳製品ほど多品目生産を行なうというような傾向が見られております。  それから、乳製品工場における生産品目間の関連度を見ますと、バター粉乳が九二%で最も高うございまして、バター練乳粉乳練乳生産関連は二〇%前後に過ぎないというような実情でございます。  それから、今後におきます生乳合理化ないし近代化の問題でございますが、いま申し上げたように、やはり非常に規模の小さいものが現状におきましては多いわけでございますので、大規模化を進めまして、できる限り処理加工経費合理化をはかるということが乳業施設近代化基本でございまして、そういった意味の近代化合理化の指標というものを先年の十月十二日に乳業施設近代化合理化方向として公表をいたしたような次第でございます。その線に沿って業界を指導してまいりまして、できる限り乳業の大規模化合理化をはかってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  11. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 去年、酪振法が改正されて新しい酪農近代化計画による振興措置がとられつつあるわけでありますが、この近代化計画と本公庫融資との関連を運用上、政府は一体どう考えて行政指導をしようとしておるのか、この点。
  12. 太田康二

    説明員太田康二君) 御承知のとおり、この法律改正によりまして、先ほど本名先生からの提案理由の御説明にもございましたが、従来の公庫融資は御承知のとおり、集約酪農地域あるいは市町村酪農近代化計画が作成された市町村区域内にある乳業施設ということになっておったわけであります。ただし、市町村酪農近代化計画につきましては、作成されるまでに約二カ年の期間を要しますので、その経過措置といたしまして昭和四十三年九月三十日までに限りまして、もとの酪農振興法に基づきます酪農経営改善計画を作成した市町村区域というものに存在する乳業施設につきましても融資対象にする、こういうことに相なっておったわけでございますが、今回の改正におきましては、これ以外の区域にわたる施設でありましても、次のような二つの要件を満たすものは貸し付け対象にする。そこにもございますように、その施設所在都道府県酪農振興法第二条の三第一項の規定による酪農近代化計画に即しておること、かつその施設処理または加工される生乳相当部分がその施設所在地都道府県内の、酪農振興法第三条の規定による集約酪農地域、または同法第二条の四第一項の規定による認定にかかる市町村酪農近代化計画が作成された市町村区域内で生産される生乳である見込みが確実であることというようなことで、従来よりも貸し付けの範囲を拡大いたしておるわけでございまして、その際に、先生お尋ね都道府県酪農近代化計画に即しているということを一つ条件にいたしておるわけでございまして、都道府県酪農近代化計画は、酪農振興法第二条の三の第2項に明示されているように、やはり集乳及び乳業合理化に関する事項というものを都道府県が定めることになっております。そこで定められた都道府県酪農近代化計画に即しているということが融資一つ条件にもなっているわけでございまして、われわれが国で示しました酪農近代化基本方針に即して県を指導してまいりまして、本年の七月までには県で酪農近代化計画をおいていただき、九月までにはその認定を終わってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、その際に十分、各県におきます酪農乳業合理化に関する事項というものにつきましても指導をしてまいりたいというふうに考えておりまして、この酪農近代化計画に即した施設であるということが融資条件にもなっているということでございます。
  13. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 もう少し具体的に伺いますが、従来この乳業施設に対する金融は、この附則二十三項によって、公庫融資を中心としてまあ消化されてきたことはもとよりでありますけれども、これとの関連融資協調融資等々で農林中央金庫、あるいは県の信用農協連一般商業銀行等々との関連が一体どういう関係実績はなっておったのか。また、これらの公庫以外の金融機関プロパー融資をした実態等があれば、そういう具体的な点をひとつこの機会に明らかにしてほしいと思います。
  14. 太田康二

    説明員太田康二君) 乳業施設に対する政府関係金融機関融資実績等につきましては、手元数字を持っておりますので御説明申し上げたいと思いますが、まず日本開発銀行貸し付けがございます。これは三十六年度は一億一千五百万、三十七年度が二億一千七百万、それから三十八年が四千万、三十九年が同じく四千万、それから北海道東北開発公庫が、御承知のとおり北海道開発地域に設置されます乳業施設に対する融資をいたしておりますが、三十六年度が九千五百万、三十七年度が二千五百万、三十八年度が一億七千二百万、三十九年度が五千八百万、それから農林中央金庫中金法の十五条の二の関連事業貸し付けで、農林大臣大蔵大臣の認可を受けて貸し付けております実績が、ちょっと私の手元にあります数字が三十七年度からになっておりますが、これは大体公庫との協調融資先生お尋ね協調融資だと思いますが、三十七年度が四億二千七百万、三十八年が十億九千万、三十九年が九億九千四百万ということでございます。それから中小企業金融公庫資金でございますが、乳製品関係といたしまして三十六年が五億五百万、三十七年が五億四千五百万、三十八年が六億六千五百万、三十九年が八億六千百万、それから商工組合中央金庫の資金貸し付けでございますが、三十七年が一億九千九百万、三十八年が四億五千六百万、三十九年が三億一千七百万、こういうことに相なっております。
  15. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 提案者委員長に伺いますが、乳業政策の今後の方向というのは、これは当然市乳化促進という大前提で進められておる。こういう基本的な乳業政策というものを踏まえまして、この本件の融資対象施設においては処理または加工されるなま乳の相当部分集約酪農地域あるいは市町村酪農近代化計画のつくられた市町村においてつくられたなま乳であるという見込みが確実である限りにおいては、これは都道府県区域にかかわらずそれらの施設に対して融資をすべきである。従来の実績等からみましても農業共同組合組織であるところの全酪連、私のところの岩手等にその基地をもっておって東京都にこれを飲用乳として搬出をする加工原料等にも及ぶという場合がある。あるいは南のほうの例をとれば九州乳業、あるいは都城に本社がある南日本酪農共同株式会社、あるいは日本酪農共同会社等中小メーカーによってこれらの県をこえて受け入れる事態において、その施設に対してやはりこの際公庫融資対象にするという、そういう融資対象施設というものを生産地帯都道府県区域内にしばるということは、基本的な乳牛政策、今後の方向からいって大きなこれはブレーキになりこそすれ日本的な立場からいって好ましいことではない。しかも特にそれらの受け入れ対象は、従来かなりの部分が大メーカーによって占められている傾向からいっても、本法の基本的な政策課題である零細な中小メーカーに対してもいま申しましたような立場からいって、都道府県区域をこえるこえないにかかわらず。この法附則第二十三項の融資対象にするということが、今回は遺憾ながら委員長提案の中には見受けられなかったけれど、近い将来において私は当然そういう措置を立法府としてもとるべきものであるという観点からお尋ねをいたすのでありますが、提案者見解はいかがですか。
  16. 本名武

    衆議院議員本名武君) 御指摘のとおり、われわれも当初におきましては、今後の酪農生産乳流れというものは、やはり市乳化促進拡大するという方向でありたいという考え方でまいりまして、この案を当初手がけたのでありますが、先ほど事官から説明のありましたとおりに、実際に貸し出すまでには、経営改善計画を基礎にいたしまして、相当期間を要する。したがって、附則において経過規定を設けましたような事情もあり、また、その後における、いわゆる市町村並びに都道府県近代化計画の上に立って、集乳加工等合理化をはかっていくという考え方からいたしまして、いろいろ検討いたしてみましたところが、実情におきましては、先ほども詳しく乳業実態政府から御説明いたしましたが、中小メーカーのいわゆる市乳化における現況というのは、おおむね都道府県内にそのウエートが置かれているという実態もありますことと、この法律をとりあえず提案するにあたっての、いろいろ政府間の折衝等もいたしましたが、一応、この経過規定並びに五年間の実績の上に立って、将来市乳化が、中小メーカー県外中小メーカーにも、生産県の生乳が、市乳化のために相当量移動されるような実績があらわれてきたときには、さらにあらためて処置をいたしたい。当面はこの方針で一応差しつかえないのではないかということで、こういう案にいたしたわけであります。  前に申し上げましたとおり、やはり市乳化促進するというたてまえは、あくまでもわれわれは今後においても堅持しなければならない。と同時に、その促進策は、金融並びにその他の措置でやっていかなければならないことは当然でありますけれども、現況における、主として中小メーカーに対する政府資金融通の、その趣旨を徹底させ、また、高度に政府資金を利用するという中小企業対策からいたしますと、市乳化がされる原料乳流れというものは、都道府県近代化計画にのせていって、一応五年間あれば処置できるのではないかというふうに考えて、こういう案にいたしたわけであります。
  17. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私から言わせると、これは議員立法だから、あまり意見も言うのもどうかと思うのだけれども、いまのような委員長代理説明によると、どうも釈然としない。たとえば、今後五年間はまあこれでいく。その後また考えるということでは、私は市乳化促進は、実は中小メーカーにとっては、絵にかいたもちになりはしないかという懸念を持つ。というのは、県をこえて集乳する場合の施設が、こういう大所高所からの融資対象にならないとなれば、中小メーカーはいきおい、生産県内における原料乳生産というものに重点を置かざるを得ない。従来の経過もそういう事態に置かれておる。どうしても市乳化促進するとなれば、従来の経過が、かりに、きわめてレア・ケースであるかどうかは別としましても、ことに門戸を大きく開放して、中小メーカーにもひとしく県をこえて、濃縮乳その他において、これを大都会で受け入れるという道を開くことが、大メーカーと大いに、相勉強し合って、政府施策をこれは促進する、大きな私は政策課題であると思うのであります。極言をしますと、こういう制度金融のようなものは、資本金十億以上の大メーカーには融資しない。むしろ、融資は、それ以下の中小メーカーに重点を置くのだということくらいのきびしい姿勢で、これははじめてその金融効果というものが出てくるわけであります。  従来ここに至った経過も、私は十分承知の上で聞いているわけで、一たんこういうことで出した限りは、今後五カ年間は、県をこえた場合には適用しないということじゃなしに、少なくとも、こういう市乳化促進という大きな方向の中で、非常に競争力の弱い中小メーカーに対して、県をこえてこれを受け入れる。当然、受け入れ側の酪農近代化計画にも、これは関連してくるでしょうから、なかなか容易なことでは私はないと思うけれども、少なくともそういう方向を、この法律改正の際に、できるだけ近い機会に、そういう方向というものをやはりこの融資対象の中に入れるのだというぐらいな、委員長代理の答弁がないと、私は納得しかねるのですが、再度、この点について御答弁を求めます。
  18. 本名武

    衆議院議員本名武君) 先ほども申し上げましたように、御指摘、御趣旨は、全くわれわれも同感であります。したがいまして、先ほど申し上げました、この法律の期限が過ぎる五カ年後において考えるという表現をいたしましたことは、まことに不適当であったかもしれませんが、実は、まず第一にわれわれは考えてみたいと思ってこういう案にいたしましたのは、必ずしも県外に出して市乳化促進するということだけが、その県内における酪農振興の唯一無二の市乳化促進の道ではない。むしろ、でき得るならば、現況生産県における原料乳を、加工ではなく、生乳として、市乳としてかつ販路を拡大するという方向をまずとることも、酪農振興の上に、特に生産県対策としては必要ではないかということのために、第一段としては、やはり市町村——従来の集約酪農地域を、さらに拡大された生産体制における市町村近代化計画にのせて、その県内における市乳化促進をはからなければならん。ここに、いわゆる集乳及び加工に対する近代化をはかっていく必要があるという観点から、一応、この法律に伴う近代化都道府県近代化にまずのせていこうというのが第一点であります。  これは御指摘のとおり、実情からいきまして、現行におきましても、他の県から消費地域に原料を持ってまいりまして、それぞれ市乳として販売されている実情はございますが、先ほども申し上げましたように、この改正を契機といたしまして、つとめて中小メーカーに市乳を中心とした乳業発展を期し、しかも、県内における流通の改善と申しますか、消費の改善をはかっていくという観点から、一応、五年間はこの制度でやろうということできめたわけであります。したがいまして、われわれも、御指摘のとおり、生産県における生産量というものが、必ずしもその地域の住民を充足してなお余りある生産をあげなければならないという、酪農実態からいたしまして、将来はぜひとも県外に出る原料乳も、市乳として乳業に提供し、乳業はその道をとることをぜひやりたいという念願でございますが、先ほど申しましたような実情もあわせて、今回は一応こういう案にいたしたわけであります。
  19. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 生産県の中でまず市乳化促進をはかることは、もとより私が意見をまじえて質問した基本的な姿勢であるわけで、そういう基本的な姿勢の中に、現実に、これを消費県に搬送するという事態があるわけです、原料乳生産地帯は。だから、そういう点を、私は近い将来、ごく近い将来に、そういう点も、これは議員提案であるから、やはりはっきりとした方向をこの際打ち出すということを強く問題として提起をしておきたい。これ以上この問題には触れません。  それで、あと一、二点だけにとどめますが、この設備資金の運用にあたって、特に私は中小乳業者近代化育成ということがこの資金の大きな役割りだと思っておる。そういう点からいえば、この業務方法書等にも出ていない問題で融資率というものが、現実にはこれは大蔵省と農林省の課長間で何か約束ごとをしているそうだが、そういう一つワクでこれを縛って、中小メーカーが必要とする乳業施設の五割以内とか、そういうことで縛るということは、私は、五年前に議員立法をした当時の趣旨からいっても、きわめて不当なこれは行政の干渉だと思う。したがって、そういう点については、全体の融資希望額の額については五割に縛るなんというような、そういうとぼけたことはこの際撤回して、やはりその中小メーカー近代化育成のためには、これだけの融資ワクをする必要がある。もとより、金融は、制度金融といえどもこれはケース・バイ・ケースで、金融ベースでこれは決定すべきものでありますから、私は、それを八割に上げろとか七割にせよとかいうことは言いませんけれども、少なくとも他の一般金融にたよったんではみずからの体質改善ができないような、ひよわなこういう中小メーカーに対しては、やはり相当部分をこれは融資ワクとして出すぐらいの私はかまえがなければ、この資金の意図というものが非常に削減されておる。従来の実績も、そういう点もかなり内在しているように私は理解をするのでありますが、この点もまた、政府当局に聞けば、何やかやいろいろな苦しい答弁を聞くだけで、こっちも容易じゃないから、提案者はどうですか、その点は。
  20. 本名武

    衆議院議員本名武君) 全く同感でございます。同時に、申し上げるまでもなく、融資率は、これは法律でもございませんし、また法律に準拠した諸規定にもないと思います。同時に、大蔵省と公庫間に取りかわされた指導と申しますか、あるいは取りきめと申しますか、そういう範疇において、五割を限度として融資をしているというふうに私は承知しているのでありますが、この法案を立案するにあたりましても、重要な問題点の一つでございましたので、その後におきましても、農林省はもとより、大蔵省あるいは公庫に対しまして、つとめて、ただいま御意見のありましたような方向融資率を引き上げることを引き続き折衝いたしております。そうして御指摘のような、この資金趣旨が完全に目的を果たし得るように努力することは、われわれ提案者としてももちろんであります。また立法の本質からいきましても、ぜひ実現しなければならないことであると考えるのでありまして、今後も引き続き、われわれとしても、強力に政府に実現方を要請して、この目的を達するつもりでおります。
  21. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 他に御発言もなければ、これにて本法律案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないものと認めます。よって、本法律案についての質疑は、これをもって終局いたしました。     —————————————
  23. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案農業信用基金協会法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を行なうことといたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま議題になっております二つにつきまして、いろいろお伺いをいたしたいのですが、少しばかり声をつぶしておりまして、お聞き苦しい点もあろうかと思いますけれども御容赦いただきたいと思います。  私は、今回またも近代化資金の大幅な改正を行なうのですが、昨年も改正が行なわれまして、本年また大きな改正を行なうわけですが、こういう制度金融——よく融資農政とか金融農政とかよく言われるわけですが、これにつきまして非常に大きな疑問を持っておるわけなんです。今回、このような改正をされるのは、一体どういう考えのもとにやられるのか、そういう点について非常に疑問を感じておるのです。したがいまして、若干そういう点からお尋ねをいたしたいわけです。  この制度金融が非常な勢いで激増してまいりまして、三十六、七年ごろに補助金農政が融資農政に変わったのだというようなことが言われる。確かに補助金農政というものは漸増はいたしますけれども、非常な勢いで激増する農政の需要に対しまして、制度金融を拡大をしていくことによって農政の需要にこたえよう、こういう政策がとられたことは御承知のとおりであります。三十六年に近代化資金が発足いたしまして、三百億円で始まるわけですが、今日これが三倍近い八百億円という融資ワクになっている。公庫資金もこれは六百億ですか、三十六年に六百億の貸し付けワクですが、これが千四百二十億と今日なってきている。制度金融全体を合わせますと、——本年はもう一つ農地管理事業団の約四十億、これはますます大きなものになるだろうと思いますが、いずれにいたしましても、四十一年で二千四百億円という融資政策になるわけです。これは農林省の四千五百八十五億円という一般会計と比べてみた場合に、非常に大きな地位を占めている。補助金農政、補助金農政と言われるけれども、、補助金農政の約二倍ぐらいな大きな問題になっておるわけです。非常な地位を占めておる。そういう意味で、私はいま形式的には、この金融農政というやつはきわめていまや花ざかりだと、こういうふうに言っていいと思うのですが、ところがこういう金融農政というのは、一体目的を達しているのかどうかという点について疑問があるわけです。補償金というのは、これは御承知のように、なかなか効果がわからない。融資というのは貸すわけですから、払わぬと言うかもしれない。どんな形で向こうは借りるかわからない。いずれにしてもワクをきめて貸すのですから、どういうふうに借りるのだろうか。ですから政策目的に対して、農家は農家としての反応を示す。借りたものは返さなければならぬのですから、そうしますと、この場でいろいろな反応のしかたが出てくる。そういう意味で、私は制度金融というのか、融資農政、金融農政というのは農政をまことによく反映をするという面が非常に大きいのではないか、こう思っております。そういう意味で、これから若干お尋ねをしたいわけなんですが、この近代化資金の発足以来、種目別、部門別の貸し付け状況、これを見ますと全く奇異な感じを与えるのですね。それは私はあたりまえだと思うのですけれども、しかし、法律趣旨から言いますと、あるいは近代化資金が発足した当時の豊かな目標と言いますか、理想と言いますか、そういうものから言えば、五年たった今日、この近代化資金というのははっきり言って反省をしなきゃならぬ段階にきているのではないかというふうに思うのです。種目別あるいは部門別に見ますというと、この近代化資金というのは、これはもう局長も御承知のとおり、建構築物というのですか、これと農機具ですね、これはもう圧倒的ですね。二つで八〇%近く、あと畜産とか果樹というものはまことに少ないですね。しかも少ないだけじゃなくて、発足当時から比べると、家畜のようなものは非常に減少して、発足当時の三十六年一六%を占めておったのが五・一%、三分の一以下に下がってしまった。これは畜産に対すると言いますか、やはり畜産の現状と言いますか、あるいは畜産政策に対する農民の反応だと思うのですけれども、三分の一に減ってしまう、果樹のごときはわずかに一%、これは五年間動かない。ふえてきたのは圧倒的部門の八〇%近いものを占めておるのは建構築物と農機具であるとか、あるいは農舎であるとか、そういうような建物あるいは十馬力とか五馬力とかいう動力耕うん機、これに集中的になっているのですね。部門別に見ても同じなんです。畜産部門というのは低い地位を占め、しかもそれが年々大幅に減少する。私は近代化資金というのがその発足当時の目標なり、あるいは目的なりというものを象徴している、局長もそれは御承知だと思うのです。一体この数字というのは政府なり農林省のお気に召す数字じゃないと思うのです。どういうふうに考えられておるのか、これをまずひとつお尋ねをいたします。
  25. 森本修

    政府委員(森本修君) 近代化資金実績等関連をいたしまして、この資金についてどういうふうに考えておるかというお尋ねでございますが、しばしば御説明を申し上げましたように、農業近代化のために役立つということで資金が創設をされ、今日まできておりますけれども、主として近代化資金が担当しております分野といいますのは、法律の目的にもございますように、農業近代化のために必要な資本装備の向上、増大、そういう目的のために必要な資金融通するということになっておるわけです。そういう観点からいきますと、主として固定資本投資に必要な農家なり、あるいは共同して利用する固定資本投資に必要な資金を本制度でもって融通をしていくということになっておるわけであります。全体の農家の固定資本投資も年々増加をしてきております。それは数字的にもそういうことになっております。そういった固定資本投資に対してこの資金が供給してまいりました割合も年々増加をしてきておる。そういう観点から実績等を見てまいりますと、全体としては、資金が創設当時ねらっておりました方向に沿って運用され、その効果が発揮されておるというふうに見ていいのではないか、こういうふうに思っております。  ただ、御指摘がございました部門別の貸し付け実績でございますが、畜産等に対しては、全体のウエートが低いではないかといったような御指摘もございました。資金の項別の種類からまいりますと、家畜というのは、家畜の導入に要する資金のみを整理して計上いたしております。畜産の部門といいましても、御案内のように、家畜を導入する関係もございます。あるいは畜産用の施設を設置するということもございます。また畜産用の機械もこの資金によって利用しておるといったような関係もございまして、全体の割合からいきますと、そういったいわゆる畜産に対して必要な資金として全体の三割程度融資をされておるというのが、部門別に見た実績でございます。もちろん、その伸び率、あるいは年次別の変化等につきましては、必ずしも年次別に増加をしているということは言い切れない、年によってはふえる、年によっては若干融資実績が下がるといったような年次別変動はございますけれども、そういった点から見ましても、ある程度選択的拡大部門、それに要する投資、必要な資金融通というふうなことを考えますと、かなりなウエートを占めておるということはひとつ御了承をいただきたいと思います。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど私が申しましたように、種目別に言いますと、家畜というのは三十六年は一六・四%を占めておる、それが三十九年には年々低下している、非常な勢いで低下してきておる、五・一%——三分の一以下に落ちてしまった。いま局長は、部門別におっしゃった、部門別に言いますと、畜産部門と果樹部門と一般農業部門とに分かれるわけですが、畜産部門は三十六年の発足当時四三%、それが三十九年には二五%という形になり半分に落ちてしまった。それに対して果樹部門はほとんど一定しておる、六・一%から七・一%とほとんど停滞をして動かない。一般農業部門は、言うまでもなく逆にぐんぐん成長していく、伸びる、こういう形なんです。それが農業基本法の目的とする選択的拡大とかいう立場から言った場合に、これは私考えなければならぬのじゃないかと思うのです。いま局長がおっしゃった近代化資金法律の目的という点については、あとほどもう少しお伺いしようと思います、今度の改正とからんでお伺いしようと思うのですが、いずれにいたしましても、私はこの基本農政が、農業基本法の農政というものが、農業構造改善事業と制度融資によって行なわれたというふうに言われている、その場合の制度金融というものがどういう役割りを果たしつつあるかということが、私はこれではっきりするのじゃないかと思うのです。局長、ふえればいいですよ、減っていくのですから、三分の一以下に減ってしまった。これは決して金融農政の責任だとは言わないです。もちろん農政なり、あるいは今日の非常な激動する農業実情の反映だと思うのですけれども、金融農政が果たし得る限界というものは、これは何と言ってもはっきりしてきていると言わなければならぬのじゃないかと思うのですね。  続いて、これに関連して申し上げたいのですが、この農業漁業金融公庫ですね、この公庫資金も御承知のように、基本法が成立をいたしましてから、内容的に大きな変貌を遂げるわけですが、つまり農業基盤整備というものが圧倒的主流を占めておったものが、それにかわりまして、農業構造改善、経営改善の資金、つまり個々の農家に貸す資金というものが、これが急速に伸びてきて、いまやこの基盤整備というものを追い越している、首位に立つ。ですから、農業漁業金融公庫というものは基盤整備と農業経営改善、この二つによって占められておるというふうに言っていいわけなんです。特にこの基本法農政以来の農業経営改善に対する融資というのはたいへんな勢いで激増する。しかし、その内容はまことにかんばしくない。これも部門別に見まして、計画に対する実績ですね、これを見ますというと、畜産の拡大経営という面についてはわずかに二二%しか伸びない。計画に対して二二%。まことにお粗末ですね。果樹園の経営改善については六八%。農地の取得資金というのがたいへんな伸びで一一七という伸び方ですね、ワクに対しまして。それから未墾地の取得資金、これが実に二四七というたいへんな大きなワクに対する実績を持っておるわけですね。ですから、少なくともこの選択的拡大と言われ、あるいは基本法農政という立場から見た場合には、これははなはだしく懸念すべき状況だと言わなければならぬのじゃないかと思うのです。で、未墾地の取得資金が二四七、ワクに対しまして二倍半という貸し付けをしている。あるいは農地の取得資金というものが一一七という、これによって農業経営改善資金というものは九三%という消化率を持つわけです。しかし、この農地の取得資金なり、あるいは未墾地の取得資金というのは決して政府が予想しているような形になっていないということは御承知のとおりであります。農地の流動化というものが自立経営につながっていないということは農業白書も明らかにしているとおりですし、また、幾つかの事例調査でもこのことを明らかにしている。これは地主的土地取得、財産保持的な土地取得というふうに言って過言ではない。そういたしますと、金融公庫公庫融資というものが農業基本法と同時に大きくその性格を変えてきた一体その成果というものはどこにあったのかということになりますと、これはまことに予期に反する、全く予期に反する、そういう形になっておるのじゃないかと私は思うのです。ですから、その点についての局長のひとつ考え方をお伺いいたしたい。
  27. 森本修

    政府委員(森本修君) たいへん手きびしい御批判をいただきましたけれども、三十八年から御指摘がございましたように、公庫資金の種類としましても、従来は土地改良でありますとか、あるいは林道、漁港といったような、いわゆる基盤整備に重点を置いて、ほとんど大部分そういう関係融資をしてまいりました。三十八年からあるいは構造改善事業に対する融資でありますとか、畜産の経営拡大資金、果樹園の改善資金といったような個別の経営に対する融資の種目を創設をしてきたという関係になっております。そういう関係からいきまして、三十八年に創設をいたしました新しい資金、種目についての貸し出しが、必ずしも融資ワクに対して消化率といいますか、その比率が大きくないではないか、こういうことから言われておるのだと思います。私どもとしましては、ある程度こういった資金ワクを創設する、ワクをつくるというふうな際には、なるべくそういった資金ワクが少ないということで融資に対して不便をおかけしてはいけないということで、できるだけゆとりのあるワクを設定していくというふうなことでやってまいりましたことが一つであります。そういう点からいきますと、確かにワクに対する消化率という見方をしてまいりますと、かなりその比率が低い。したがって、当初の目的は達していないのではないか、こういうふうにも一見見えるわけでございますが、何ぶん創設いたしました当初、あるいはそれのしばらくの間は、なかなかこういう資金に対する貸し出しの、借りられるほうも十分PRが行き届いていないといったようなこともございますし、貸すほうでもまたいろいろな関係から、あるいは手続が繁雑である、またその融資にあたって一々認定をしなければならないといったような、いわば一口にいいますとぎくしゃくしたような関係が出てまいります。われわれとしましても、できるだけそういった融資の手続その他の関係では、資金が円滑に流れるということを拘束しないように、漸次改善につとめながら今日まできておるわけであります。そういう意味からいきますと、実績の推移を見ますと、あるいは不十分という御指摘があるかもしれませんが、実績としては漸次ここ二、三年来伸びてきておるような状況でございます。ワクに対しましては、先ほど言ったようなことで消化率はかなり低いということはこれは事実としてそういう関係になっておりますが、しかし、実績としては漸次増加してきておる。そういう関係からいきまして、ある程度こういう資金が農家のほうにも十分認識をされ、また、資金融資する担当機関も漸次そういうことに習熟をしてくるということになりますと、資金状況としても非常にふえてくるのではないかというふうに私どもは見ておるわけであります。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私は、近代化資金にいたしましても、それから公庫資金にいたしましても、これは単に金を貸す、農民がほしいときにそれを貸すのだということであれば取り立てて言うことはない。ですが、それぞれ融資ワクがきまって、それが結局政策目標にもなっておるわけですね。それに対して著しくそのワク消化が二〇%なんというのはこれはあってなきがごときものになりますし、未墾地取得資金のような二倍半にもふくれ上がるなんということは、これは一体いまの農業というものがどういう方向に動いているかということを有力に示しているものだと思うのですよ。ですから私は、この近代化資金にいたしましても、公庫資金にいたしましても、一つのやはり目標をもって動いているいわゆる金融農政というか、あるいは融資農政というものに対して一体どうなんだ。あるいは基本法農政に対してこれが即応して、先ほども申し上げたように、融資というものと構造改善事業というものによって遂行されてきた基本法農政というものが、一体結論がどうなっているのかという点をまあ言いたいわけなんですけれども、それはあとほどにまた引き続いてお伺いすることにいたしまして、大臣が一時から出席するということでありますから、一応これで終わりまして、一時からお伺いいたします。
  29. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  暫時休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      —————・—————    午後一時二十八分開会
  31. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。  まず、委員の異動について報告いたします。本日、森中守義君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  32. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案農業信用基金協会法の一部を改正する法律案一括議題とし、質疑を行なうことといたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  33. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど近代化資金について、三十六年以来の経緯からいいまして、目標なりあるいは目的からいえば非常に大きく違ったものになっているということを申したわけですが、同じようなことは、この公庫資金農林漁業金融公庫融資についても同じようなことが言えるという趣旨の質問をいたしたわけです。この公庫の金の場合におきましても、私は三十九年を例にして申し上げたのですが、三十八年、三十九年、いま四十年の十二月までわかっておりますが、四十年の十二月まで過去三年間全く同じような傾向をたどっておるわけです。そこで、続いてお伺いをいたしたいのは、それは先般、渡辺理事も指摘をいたしたわけですが、融資ワク消化率が低下してきているという点でありますが、これは先ほど私が申した近代化資金の経緯、公庫資金の経緯からいって当然なことでありますけれども、数字的にいって融資ワク消化が低下をしてきている。特に三十九年度は八三%という消化率になっておりまして、約百億円近い残が、消化できないものが出たわけですが、近代化資金は三十九年に大きく改正をしたわけですけれども、しかし四十年は、いま十二月までわかっておりますが、大きく改正をしたにもかかわらず、四十年の消化率もほぼ三十九年度と同じくらい、むしろそれより下がるのじゃないかというふうに見られ、百億以上の未消化が出るというふうに言って差しつかえないと思っております。四十年の十二月末の消化率が六二・五%、三十九年同月の消化率が六一・三%、こうなっておりますから、ほぼ三十九年度の八三%、同じくあるいはそれより下回ると言ってもいい。そうすると、二、三百億の未消化分が出るということになるわけですが、私はこの公庫なり、あるいは近代化資金内容の大きな変貌、さらにこの消化が低下をしてきている点から、この融資ワクを拡大するという政策、これを一体どういうふうに考えておられるのか。今回も、四十一年度も今度の法案に出ておりますように、近代化資金の利率の問題にいたしましても、あるいは貸し付け対象にしても、あるいは期間等にいたしましても、まあ全国段階に信用保険協会というものをつくるというような形で努力をするということなんですが、しかし、問題はそういうところにあるのかどうか、これはもう過去に何回かの大幅な改正によってはっきりしているのじゃないか。今回また大きく改正をしてみて、一体その融資ワク消化できるというようなことになるのかどうかという点をお伺いしたいわけなんです。事務的な問題ですが、局長ひとつ答弁をいただきたいと思います。
  34. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほども実はお答えを申し上げたわけでありますが、融資ワク融資実績の対比ということになりますと、近代化資金は特にそうでありますが、いわゆる消化率が低下をいたしてきている。ただ実績関係を見てまいりますと、先ほど御指摘がございましたが、ここ二、三年来増加し、また四十年度においても、われわれの推定では、おそらく六百億ちょっと上回るくらいになるんではないか、そういうふうな推定をいたしておるわけですが、融資ワクに対する実績比率のみに限って議論をいたしますと、お説のような事実が出ておりますけれども、実績そのものはやはり相当増加をしてきているということは事実でございます。それで、将来とも融資ワクを拡大していくつもりであるか、その点についてどう考えるのかという御質問でありますが、私どもとしましては、できるだけ農家の資金需要に対して制度金融がこたえていく。そういう観点からいたしますと、予算上種々折衝いたしまして設定をされますところの予算上の融資ワクというのは、かなりたっぷりといいますか、どういうような資金需要があっても、ある程度それに対してこたえていけるというようなことで設定をするのが適当ではないかというふうに思っておるわけです。もちろんそれぞれの年度におきますところの資金需要見込みというものも変わっていくわけでありますけれども、それぞれの融資資金需要というのは、時期によりまた条件によって変化をいたします。多少そういった条件が変化しても、予算上の融資ワクが足りないようなことにならないように、ある程度何といいますか、ワクの設定についてはかなりたっぷりしたワクをつくっていくというふうな方針でいったらどうか。そういうふうに思っておるわけであります。
  35. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 融資ワク消化率というのが、設立いたしました翌年、三十七年が九五%、三十八年が九三・四、三十九年が八三・八ということで、三十九年は約百億近い残が出るわけですが、しかも、先ほど私が申したように、大きな改正を加えながらなおこういうふうに不消化が残る。さらに本年大きな改正をするわけです。その場合に、そういう改正で片づく、消化が前進するのだ、うまく消化してくれるのだということになるのかどうかということを伺っているのです。私はそうならない、過去の実質からみて。そう思うのですけれども、今後ふやしていく方針のようですけれども、たたワクはふやしたが、借り手がないというのじゃ、これは話にならぬ。百億以上借り手がないというのじゃ困るわけですから、そこら辺のことについてどう考えているか。
  36. 森本修

    政府委員(森本修君) 融資ワクに対しまして実績が一〇〇%いくかどうかというふうなことになりますと、先ほども申し上げましたようなことで、結果的にみれば、あるいは融資ワクが若干余るといったようなことはあり得るかと思います。しかし、先ほど来言っておりますように、融資ワク増加してまいりました経緯、それにつれて実績もふえてはおるわけです。もちろん融資ワク増加額だけ実績がふえているかというと、必ずしもそうでない点はございます。しかし、近代化資金融資ワクを考えますと、やはり予算上利子補給のワクの限度になる、一応。そういった関係もございますから、できるだけその限度の額が、実際の融資に対して制約に必ずしもならないといったような配慮も、予算を折衝する際には必要であろう、そういう観点に立ちますならば、融資ワクの設定についてはある程度ゆとりをもってつくっていくということは、これはわれわれとしても必要なことではないか、こういうふうに思っているわけであります。今回の制度改正ではたして融資がふえるかどうか。こういうお尋ねでございますが、融資ワクに対して実績が伸びないというふうな要因をずっと検討いたしまして、そういった要因を、それぞれ現在の時点においてできるだけ解決をしていきたいという観点から今回の改正の項目を選んでやっておるわけでありますから、今回の改正によって融資消化に対しても相当な好影響があるのではないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  37. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私の伺っていることと少し食い違っておるわけなんですがね。それは局長考え方金融として考えておられるわけですよ。単なる金融として金を貸す、こういう考え方だと思うんです。これは経済局長としてはそういう点もあながちおかしなことではないと思うのですけれども、私の聞いているのは、農政を含めた金融金融農政という立場に立った場合を聞いているわけです。金を貸すだけの話を聞いているのじゃないのです。ですから、こういう消化率が低下してきて二割近く残る。よけいあったほうがいいですよ、それを否定しているのじゃないのです。あったほうがいい、あったほうがいいんだが、しかし、どうも消化率が非常に低下してきている。しかも三十九年度も大きな改正をやった。だが、期待に反して低下するということなんだが、今回再び改正をして融資を伸ばそう、要するに実績を加えていこうというお考えだと思うんです。しかし、私はこの融資というのが限界にきているんじゃないかという考え方を持っておるわけですよ。それを私は考えていますがね。ですが、そいつは一応別にしまして、次に伺いたいんですが、それは今度の改正で畜産、果樹等の運転資金、これに活路をひとつ見出そうということだと思うんです。ここへ持ち込む、これは政策的にも確かに一つ理由はあると思うんですが、ただ畜産、果樹等の運転資金にこれを拡大したということは、近代化資金の性格から言って私は少しずれているんじゃないか。近代化資金が従来から中期、長期農業施設資金として強い性格を持っておったと思うんです。それが今回こういう畜産、果樹等の運転資金というふうに拡大をするということになれば、これは一般的な農業金融という形に性格が変わってくるのじゃないかというふうに考えるのですけれども、その点はいかがですか。近代化資金の性格を変えてきたのかどうかという点ですね。
  38. 森本修

    政府委員(森本修君) これも前にちょっと御説明申し上げたわけなんですが、近代化資金のねらっておりますのは、いわゆる農業における資本装備の高度化ということ、特に固定資本の増加に対する需要を満たしていくということが近代化資金の大きな性格でございます。今回対象に加えましたのは、固定資本投資をしていきます際に、従来でありますと、畜舎でありますとか、あるいは家畜でありますとか、農機具であるとかいったような固定資本の取得に必要な資金、それだけの融資対象としておったわけです。ところが、実情を見てまいりますと、家畜を導入いたしましても、それが一定の年齢に達するまで育成をして初めて固定資本としての機能を発揮していく、あるいは果樹にいたしましても、果樹園を造成してから数年を経過して、その間育成の費用を投下して初めて果樹園としての完全な機能を発揮していく、こういうふうな関係になっておるわけです。したがいまして、近代化資金がねらっておりますところの固定資本投資を促進していくという観点からいきますれば、実情に徴しましても、従来の施設を取得する資金だけ貸しておるということだけでは、必ずしも十全ではない、また、そういった育成資金等についても、融資対象に加えるのが適当である、加えてもらいたいといったような要望もかなり熾烈でございます。そういった実情からきますところの要望、それから近代化資金が考えておりますところの資本装備を向上していくという点からいっても、育成に必要な資金を加えることがこの十全を期する道であるということで、今回これに加えることにしたのであります。そういう観点からいきますれば、制度の性格を変えることじゃなしに、制度の充実をはかるということである、そういうふうに御理解をいただきたい。
  39. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど局長がお話になりましたように、近代化資金制度というのが農業設備資金という非常に強い性格を持っておるのだが、今回それを補完するという意味で運転資金というものに拡大をする、そのことは一般的な農業生産資金という形に、性格が非常にあいまいになると私は思っておるのです。しかし、そういう資金が要ることはわかります。私はこれは今回改正をしていくということになれば、そういう一般的な農業生産資金という形に大きく変わってくるだろうと思いますが、もう一つ、今回の改正で環境整備に貸し付けるということなんですが、農協の病院であるとか、あるいは有線放送であるとか、あるいは簡易水道であるとか、あるいは部落等の公民館といいますか、そういった環境施設に対して融資をするという、拡大をはかるわけなんですが、これは一体、近代化資金法の一条にいう目的に沿っておるのかどうか。で、金融という立場から考えますと、確かに消化していかなければならぬ、拡大をしていかなければならぬということになれば、いま言ったような運転資金も出していくのだろうし、あるいはこういった面にも、環境整備の問題にも融資をしていくということになってくるだろうと思うのですが、しかし、どうも私は近代化資金が転換をはかりつつあるのじゃないかという感じを強く受けるのですけれども、冒頭に、私は午前中に申し上げましたが、発足以来、五年間の経緯の中から、どうやら近代化資金というのは大きく転換せざるを得ないということになったのじゃないか。それはそれでいいです。そういうふうに思うのですが、その点はいかがですか。
  40. 森本修

    政府委員(森本修君) 新しい資金対象を加えますから、従来の資金種目に対しては若干変わったケースが出てくるということは、これは事実であろうと思います。ただ、そういう新しく加えられました、加えられようとしておりますところの資金種目が、はたして近代化資金の性格を変更するといったようなものであるかどうかという点については、先ほど来申し上げておりますように、近代化資金の目的としておりますところの農業近代化、あるいは資本装備の高度化といったような観点からいきますと、大体そういうふうな線に沿ったものであるというふうに私どもは理解をいたしております。したがいまして、近代化資金の性格を変更するというふうなことには、必ずしもならないのではないかというふうに思っておるわけです。
  41. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私はいまのような融資について、それを否定をしているわけではなくて、これは近代化資金改正して、というのは融資対象改正するということなんですが、近代化資金法の第一条には、資本装備と農業近代化というふうに限定されておりますね。そうしますと、環境整備というようなものが、近代化——いま言ったような資本装備並びに農業近代化なのか。金融というのは、ひとたび動きますと自己回転をします。金を動かすわけですから、金をどういうふうにうまく回転させるか、どういうふうにうまく伸ばすかということになってくると思うのですが、そうしますと、どうもそういう方向に引きずられてしまって、本来の農業近代化考え方というのは、午前中に申し上げたとおり、それを徹底していくということではなくて、こういう方向近代化が変わってしまっているというか、逃げるというのですか、目的を逸脱してきているというふうに思うのですよ。環境整備をまさか農業近代化というふうにはお考えにならないと思うのですね。資本装備の高度化なんてあるわけでしょう。これは市町村でやればよろしい。その点はどうなんでしょう。なお、もう一つつけ加えて伺っておきますが、農林中金、これは三十九年から、長期融資に積極的に努力をするということで低利融資を始めたでしょう。その低利融資が、いま問題になっている環境整備ですね、これに非常に大きな金をつぎ込み始めた。八%か七%程度の利子で。四十年から新しく畜産、果樹の——いま農林省が言った畜産、果樹の運転資金に強力に乗り出したということになっておるのですが、そういう、中金がせっかく自分の力で長期農業金融に活路を開こうというわけで懸命に三十九年から努力をしている。そして、それが着々と成果をおさめている。三十九年度は四百億円のワク、四十年度も四百億円のワクで、いま言ったような畜産、果樹の運転資金並びに環境整備——ちょうど、まったく同じですよ。農協病院とか、簡易水道とか、有線放送とか、そういうものを自主的にやっているときに、近代化資金を、目的から逸脱するような疑いを持たせるようなものをつけ加えてやらなければならない理由がわからない。むしろ、農協のそういうやり方を助長していくべきだ、中金がやるというやつを。これは競合しちゃうのですね。競合するどころじゃない。近代化資金のことばかりしか考えていない。運転のことばかりしか考えていないのじゃないかという感じがするのですが、その点をひとつお伺いします。さっきのやっとあわせまして。
  42. 森本修

    政府委員(森本修君) 農林中金のほうで、御指摘のように、系統資金農業内部あるいは農村への活用、貸し出しの促進をするという意味で低利融資制度を設けられております。もちろん、系統におきまして、そういったことに努力をされるという点については私どもも否定するわけではございません。むしろ、そういう方向に進んでもらうことを積極的に指導し、また協力をしていきたいという点は変わりはないわけでございます。ただ、現在の系統金融状況を見てまいりますと、理想といたしましては、自主的な系統の努力によりまして、系統の中に集まってきております資金が、農村の内部に活用されるということは理想ではございますけれども、必ずしも現状としてはその理想どおりに、全体の資金が農村の内部に還元されているというふうな実態ではございません。近代化資金ができましたのも、やはりそういった現実を押えまして系統資金農業の内部に活用する。それに対して、政府が利子あるいは保証制度等に援助をしていくというふうなことで発足をしているわけでございます。今回、こういうふうな制度を新しく設けましたというか、資金の種目を加えるという点につきましても、系統内部の努力を否定するわけではございませんけれども、現実の事実に即しまして、制度金融の中にそういうものを入れてもらったほうが、農業者として、あるいは協同団体としても希望するところであるというふうな関係もございまして、現実の要請に応じて今回の制度改正をしていこうということになっているわけであります。御指摘の低利融資制度の中に、いろいろな資金の使途がございまして、環境整備資金といったようなものもございますけれども、その中で相当大きなウエートを占めておりますのは、農協の事務所など、今回近代化資金対象に加えていない資金融資等がかなり大きなウエートを占めているわけであります。それから、中期運転資金についても、やはりそういうふうな関係がございます。大きくくくって言いますと、いかにも共通しているように見えますけれども、今回の融資対象に加えました以外の分野について、なお低利資金貸し出しの固有の分野が相当大きく残っているというふうな関係に実はなっているわけであります。そういう点から言いますと、近代化資金、それから農中の低利融資制度、そういったものをあわせまして、農家に対して十分資金需要にこたえていきたい、こういうふうな考え方で今回の改正をいたしたわけであります。  それから環境整備資金について、近代化資金の目的との関連もございますが、環境整備資金の中にも、有線放送等、農業生産活動に対して直接的な働きをするものもございますし、それからそのほか研修施設等々につきましても、農業生産力の維持増進といったような観点からいきますと、広く農業近代化に対して非常に大きな役割を果たす施設であるというふうな点を考えますと、近代化資金の大きな目的からいいますと、その範囲内に入るのではないかというふうな考え方をいたしているわけであります。
  43. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大きな意味から入っているというふうなお話ですが、どの程度の大きさかわからぬですけれども、そう大きくならぬでしょう。とにかく有線放送まで農業近代化だというわけですからね、どうもおかしな話ですね。だから、金利の面ばかり考えているのじゃないか、金融ということしか考えていないのじゃないかと思うのです。もう少し近代化資金の本来の趣旨を徹底させてみたらどうですか。指導もし、あるいは鞭撻もしてみたらどうかと思う、こういう方向に逃げないで。
  44. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 先ほどからの鶴園委員のお話の根底には、もっと近代化のやつを徹底したらどうかという御意見が基礎のように思うのでございますが、もちろん、そういう面についても努力を払わなければならぬと思っているのでありますが、その点について、先ほどの環境整備云々の問題でございますが、これにいたしましても、これは話が長くなって恐縮でございますが、つまり簡易水道のないようなときには、女が圃場から帰ってきまして、水汲みだけに一時間もかかるような部落がございます。これは非常な労力を何しておるものでございます。そういうのに対して、やはりこれは一種の近代化であり、環境整備であります。で、そういう生活をよくすると同時に、非常な労働力の節減になるという問題がございます。それから、先ほどの例に出ましたところの、何か有線放送ですね、これにしましても、部落全体に改良のいろいろな問題、それらを伝えるという意味において非常に大きな改善になると思うのですが、ある意味においては、私はやはり農業一つの部落なり村というものを一つの経営と考えれば考えられるけれども、私は農業はやはり部落として、その村として大きな一つ関連したものである、こういうふうにも考える必要があるんじゃないかということを、特に最近さように考えるものでございまして、そういう意味から言うと、この点がむしろ抜けておった一つの点であって、これらも加えまして、そうしてさらに近代化方向に総合的に進めていくほうがいいんじゃないか、こう考えておるわけでございます。
  45. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣のおことばですが、いまそんなのんきなことを言っておれないのじゃないかという気が私はしておるのですが、局長の答弁ですと、中金の低利融資との関係については価値ある面もあるというお話ですが、私は三十八年から、こういう非常な勢いで低利の融資を積極的に進めつつある。そういう中に近代化資金で競合するようなことをやる必要はないじゃないか。これはどうしてもそう思うのですが、局長の答弁では了解しがたいですね。せっかくやっているんだから積極的に援助したらよろしい。今後とも経済局長としては何ですか、農協が自主的に相互金融を果たしていくということはあまり考慮しないのですか。いつまでも農林省としてはこういうような利子補給をやって農協の金を使おうという考えですか。ですから、農協の自主的な金融というものを積極的に援助していくんだという考え方なのかどうか、そこら辺も聞いてみたくなるわけです。
  46. 森本修

    政府委員(森本修君) 農協系統の努力によって自主的に農家に対して積極的に金融していくという点については、われわれとしてももちろんそういうふうにやってもらいたい。また、そういうふうな方向に向かっていくのが当然であるというふうに思っておることは先生の御主張と変わりはないわけであります。ただ、近代化資金ができました経緯というのは、やはり系統金融実態といったようなものを踏まえて、こういう制度ができたことも御案内のとおりである。そういう意味におきましては、広い意味では経過的な措置であるということはいえると思うのであります。農家のそういった旺盛な資金需要といったものに対して、系統と国がどういうふうな分担によって資金需要にこたえていくかということは、従来からもいわゆる交通整理の問題、よくいえばそういう問題として、金融政策の大きな課題になっておるわけであります。われわれとしても、系統が自主的に努力をしておるものを阻害するといったような意図はもちろんないわけであります。できるだけ両々相まって適正な分野を確保しながら農家の資金需要にこたえていくという点は方針としては変わりはございません。
  47. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次にお伺いいたしたいのは、近代化資金が利子補給によって数十倍の金を使えるというところに骨子があるわけですが、利子補給をやってその数十倍の金を農政上使えるというところに私はうまみがあるだろうと思うのです。その積み立て金が三十六年から三十九年まで二百七十七億になっておりますですね。昨年、財政が困難だ、あるいは財源難というところから四十年は見合わされた。四十一年は引き続いてさらに一そうの財源難のために見合わせたばかりではなくて、十億を残してあと全部を取りくずすということになったんですが、このことはどうも私は近代化資金の将来に対して非常に不安感を持たせるんじゃないか。つまり利子補給の安定した財源がある、こういう感じを持っておったわけですが、いままでの積み立て金が十億を残して全部取りくずされるということは、近代化資金の将来に対して非常に不安感を与えるんじゃないかという気がするわけです。そういうふうに思うのです。そのことと、今度のこの全国段階の信用保険協会をつくり、そうして県段階にある信用基金協会を初め保証制度というものを強化するという方針が出てきたのかどうか、それとの関連があるのかどうか、そういう点についてお伺いしたい。
  48. 森本修

    政府委員(森本修君) 結論的にお答えをいたしますと、関連は直接ございません。で、御指摘がございました農業近代化助成資金、これは御案内のように、一般会計においてそういう資金を年々造成をいたしておりまして、それの運用益を一般会計に繰り入れをして、近代化資金助成に必要な利子補給の予算措置の裏づけに——裏づけといいますか、財源にしておると、こういうようなことで従来運営をしてきた。そういう観点からいきますと、御指摘のように、われわれとしても端的にいいますれば、こういうふうな助成資金が従来のように積み立てをされまして、近代化資金の運営に対して安定感を持っておるということは、財政上これを許せば好ましいことであるということは農林省も考えておったわけでありますが、御案内のような昨今の財政事情でございますので、これを一部残して取りくずすということになりましたのであります。しかし、そういう折衝の経過、過程におきまして、財政当局からも近代化資金の将来の運営について財政措置で事を欠くようなことはしないというような確約もございましたので、昨今の財政状況にかんがみて、やむを得ず了承したと、こういう経緯になっておるわけでございます。なお、将来再び財政需要が許すような事態になりますれば、従来のような形で助成資金に対して積み増しをしていくというふうなことにもなってまいるわけで、経緯は以上のとおりでございます。繰り返しますが、そういうふうなことと、今回の保険制度に対する財政措置というようなことは直接的な関連がございませんので、御了承を願いたいと思います。
  49. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 これは局長の答弁を聞いておりますと、ごもっともなようにも受け取れるわけですが、しかし局長も答弁になっておりますように、この近代化資金創設以来、毎年、三十六年が三十三億、三十七年が六十八億というようなことで、二百七十七億という積み立てがあって、そうしてこれが近代化資金の安定感をささえてくれたのだ。それが四十年から見合わされた。四十一年からは、見合わされただけではなくて、この安定感をささえておったそのものが、十億を残して二百六十七億というものは取りくずされたということは、これは何といいましてもやはり近代化資金の安定感を失うというような懸念をするわけなんですが、もう少し突っ込んで言いますと、局長はこの保証制度の拡充と関係はないとおっしゃるけれども、しかし四十億のプラス四億、四十四億の金をこの保証協会に持っていけるということは、やはり関連とともに考えなければ一方的だと思うのですがね、金はしるしはないのですから。ですから、私はこの近代化資金というのが、その発足当時、利子補給という、少ない利子で数十倍の金が動かせる、それが一つの農政の目標に対して動かせるというところに魅力があったのだけれども、しかし、どうやらこの財政難で、非常な財政難の中で、そのことに一つの問題が起きてきたのじゃないかという考えを持つわけなんですがね。たえられなくなったというとちょっと大げさなんですが、金融制度そのものにやっぱり問題が出てきた。利子補給で、何倍かの、何十倍かの金を使うというやり方自身に問題が出てきたのじゃないか。今後そういう情勢が深刻化するということは考えられても、これがもとのような形に返るというぐあいにはなかなか考えられないわけなんですが、その点は局長どうです。
  50. 森本修

    政府委員(森本修君) 助成資金の経緯につきましては先ほど申し上げたとおりでございますが、要は、近代化資金の運営が適切にいくというための財政的な措置としましては、それに必要な利子補給の一般会計予算も確保するという点にあると思うわけでございますから、そういう直接的な財政措置という観点からいたしますれば、先ほども申し上げましたように、将来、運用条件を欠くようなことはしないというふうなことになっておりますから、決して不安感を持たれるというふうなことにはならない。私どもとしても、近代化資金に必要な金は十分その年々の予算折衝を通じて確保していくという点は変わりはないわけでございます。その点だけひとつ御了承願います。
  51. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それでは次にお伺いをしたいのは農林漁業金融公庫、これは御承知のように無利子の出資が非常な勢いで減少をしてきたわけですが、昨年の減少、三十九年から四十年の減少が、いまここに資料があったんですが、出資金、これが三十九年の三百五億から四十年は大幅に減少をするわけですね。そして、そのかわりにこの資金部運用資金というのですか、資金運用資金というのですか、これが逆に大きくふえてくるわけです。四十一年は財投からの無利子の出資はゼロ、そして一方においては借り入れ金が、六分五厘の借り入れ金が全部を占める、まあ自己資金もありますけれども、これだけになってしまうということになるわけですが、そうしますと、これも財政の事情からだと思うのです。四十年の非常に財政が困難になってきた、財源が苦しくなってきたというところから、この出資金が大幅に削られる。三十九年の三百五億から半分ぐらいに削られるということになるわけですが、そしてさらにその四十一年は財政難からゼロになる。そしてこの六分五厘の借り入れ金が非常な勢いでふえてきて、これがいまや全部となった。そうなりますと、どうしても公庫に対して利子補給をしなければならないことになるわけですが、そこで、四十年から利子補給が行なわれる。本年はまたそれの三倍以上の利子補給が行なわれて、三十三億という利子補給が行なわれるということになったのですが、今後、局長がおっしゃるように、融資ワクの拡大、積極的な拡大というものは、近代化についても、公庫についても行なわれていくということになりますれば、この利子補給というのはおそらく三年、四年の間に二百億、三百億という形になっていくというようなことになりますというと、この公庫資金一つの転換、まあ現状からいえば局長はいま三十三億なんだからということなんですが、もうすぐそういう事態にこざるを得ない。私は先ほど近代化資金というのは、そういう意味で二百七十七億あったものが、昨年ゼロになり、本年もゼロになっただけでなくて、十億を残して全部が取りくずされるという状況になったのは、近代化資金が、これは根本的に考えなければならぬ段階にきているのではないかという質問をいたしたのですが、そうまあ気になさらないという話。同じようなことは、公庫資金についても四十年から大きく変わってきている。四十一年はまたこういうふうな変わり方をしてきておるわけなんですが、財政資金として今後も公庫資金に対して二百億、三百億の利子補給ができるとはとても考えられない。そうしますと、この近代化資金にしても、公庫資金にしても、これはやはり重要な時期にきているのではないか。加うるに、この公庫資金が、いま申し上げました借り入れ金、資金運用部からの借り入れ金になってしまう。この資金運用部は、御承知のとおりに財政困難なところから、異常な困難なところから、これが大きく財政の方向に停止せざるを得ないということになってきているわけです。つまり国債をこれは買う、国債を大きく買って国の財政に寄与しなければならぬというところにきておるわけですが、その状況は決して四十一年で終わるわけではなくて、今後も相当長年にわたってこれは行なわれていくというふうに見なければならぬとしますれば、公庫の原資そのものがあぶなくなっていく、利子から圧迫をこうむるというようなことになってきておるのではないかと思うのです。そういう点について局長なり、大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  52. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) これは公庫のことではもちろんありますが、先ほどこの農業近代化資金についての問題についての経済局長からの話がありましたのですが、現在の、これは繰り返して申すようでありますが、現在の財政事情から、農業関係ばかりでなしに、これは鶴園委員も御存じのとおり、全部一応この問題を切りくずしておるわけでございます。しかし、この近代化資金につきましては非常に重要な問題でありまするので、特別にこの問題については十億を残しており、将来これらの問題を復活し得るときには十分これを考えてまいらなければならぬというようなふうで、予算折衝の当時においても、実は私と大蔵大臣との間にこれは真剣に話をし、また一応心配をしなくてもいい点についての十分な取りかわしをいたしておるようなわけでございます。そういう意味から十億を残しておき——これは金額についてはわずかでありますが、特別にそういう点も残しておいて、将来の心配等のないようにしていこうというようなことで、特別の考慮を払ったつもりでありまするし、その点はこれは御了承を願いたいと思うのでございます。それから、この公庫の問題につきましても同様でございまして、これらについても十分利子補給その他によって、現在の資金の利子の問題については既定の目的を阻害するようなことは絶対やらないということで、強くこれらについても話し合いをいたしておるところでございます。その点は十分ひとつ御了承を願いたいと思います。
  53. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 まあ農林大臣近代化資金について、それからいまの公庫資金について私は心配を申し上げたわけですけれども、何せたいへんですよ、これから。公庫資金についてはおそらく四、五年のうちに二百億くらいの利子補給をしなければならぬでしょうし、原資そのものがあぶなくなりまして、資金運用部資金というのは国債に大きく傾いてしまっていますから。それで局長も御承知のように、農地管理事業団というものが四十億の貸し付けをやるわけですから、これから最盛期は五万町歩というのですか、そのころになりますと、四十億という貸し付け、これはまたたいへんなものになるでしょう。四百億、五百億ということになってくるでしょうが、その金がまた資金運用部資金に頼っておる、原資はそこから出ているのです。私はいつも思うのですけれども、農林省は大蔵省に対して非常に甘い。あの農業基本法ができたときに、周東農林大臣が答えておったことと今日の状況と経緯を考えてみるというと、どうも農林省というのは楽天家ですね。どうなんでしょうね。そんなのんきなことでいいのですかね、大臣。それ以外のことはしようがないといえばしようがない。ですからやっぱり、これは心配なら心配と言ってもらわないと、いや心配ないんだ、郵便貯金というのは幾らでもふえるのだ、心配は要らないという。国だって金融公庫に対していままでは全然援助しなかったわけだな、利子補給を。去年は九億ぐらいですか、今年は三倍半ぐらいになって三十三億の利子補給をした。これは急速に広がっていく。そういう面から大きな圧迫を受けない、財政面から大きな圧迫を受けないという考え方は私わからないですね。どうも農林省というのは底抜けに人がいいという気がするのですがね、大臣、どうですかね。考えてもらわなければ困るですよ、これ。
  54. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) ただいまの問題、私、申し上げたとおりでありまして、これは農林省の問題だけでなしに全般の問題でございます。しかし農林省——いまこの近代化資金なり、あるいはこの公庫資金の問題については、私ども絶対心配はいたしておらぬのでございまするが、なお、こういう問題は非常に重要なことでございまするから、より一そう努力は、もちろん、ゆだんはせずに努力を進めてまいることは言うまでもございません。計数の問題については経済局長から申し上げます。
  55. 森本修

    政府委員(森本修君) 預金部資金農林漁業金融公庫の原資との関係について、私から計数を申し上げます。預金部資金のほうは御案内のとおりでございますが、郵便貯金でありますとか、厚生関係の保険、国民年金といったようなところから資金を調達をいたしておるわけですが、で、四十年度は総体の調達資金としましては約一兆六百億ということになっております。四十一年度は約一兆二千四百億ということで、大きく言いますと、ラウンドで言いますと約二千億ぐらい増加をいたしておるわけなんであります。そういう関係からいきますと、預金部資金のほうも相当調達資金増加するであろうということは想像にかたくないのでございます。で、公債等を持つではないかというお話でございますが、四十一年度の預金部資金と公債の関係を聞きますと、預金部資金で引き受ける予定は約三百億、全体の公債発行に対して。そういう関係になっておるようであります。もちろん公債の発行額も、年次を追って増加することも予想はされますけれども、四十一年度三百億という程度のワクでございますので、そういった、公債の発行によって預金部資金の他に回る資金量としてそう大きく制約を受けるというふうなことは、まずここ当分はないのではないかといったような推定はいたしております。もちろん先ほど言われましたように、農地管理事業団、あるいは政府関係機関等について、預金部資金からの運用を必要とするものもふえてくると思います。そういう関係農林漁業金融公庫との原資の調整というふうなことは、予算折衝の過程において当然問題になるということは御指摘のとおりだと思います。まあ私どもここ一、二年来やってまいりました感じでは、そういう、他の関係でそれほど農林漁業金融公庫の原資そのものに心配があるというふうなことではございません。ただ将来のことにつきましては、御指摘のようにできるだけ予算折衝等を通じて努力はしていきたい、そういうふうに思っております。
  56. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長の答弁と大臣の答弁があったんですけれども、農地管理事業団が四十億で、いま預金部資金からの金で出るわけですが、それが年間五万町歩というようなことになるそうですが、そうしますと、これは五百億というようなことになるのですね。そう遠くない将来に。三年か四年ぐらいでそうなってくるというふうに見なければならぬと思うのですよ。さらに公庫資金についてもしかりです。全部原資はもう預金部資金に仰がざるを得ないということになってくるわけですが、ただ局長の答弁の中になかったのは、公庫資金が今後こういう形でいきますと、やりくり非常に苦労するわけですね、利子補給が、この四、五年の間に少なくとも二百億、三百億になってくるという点についてはどうですか、その点からの制約は。財政的に言って、それだけの補給ができるかどうか、余るのですか。
  57. 森本修

    政府委員(森本修君) 公庫に対する利子補給の関係でございますが、四十一年度は三十三億ということになっております。四十一年度のような方式をとって将来まいりますと、御指摘のように、かなり要利子補給額というものはふえてくるという関係になってまいります。これは将来におけるそれぞれの年における予算折衝の問題ということになるわけでありますが、全体の予算の運用といったような観点からいきますと、従来のように出資をもってやるよりは、補給金をもってやるほうが財政当局としては資金効率がいいと言いますか、そういうこともございまするので、われわれとしてもそういう点からいきますれば、将来、相当増加してくることには間違いがございませんけれども、予算折衝の過程において大いに努力をして、公庫の将来の業務に支障を来たすようなことにならぬように補給金の確保について努力をしていくつもりでございます。
  58. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農林省なかなか底ぬけに明るいところですがね。そこで、また最初に戻りまして、金融政策と言いますか、金融農政と言いますか、それの限界はどういうふうに考えておられますか。
  59. 森本修

    政府委員(森本修君) 限界はどうかというお話でございますが、もちろんそれぞれ施策の目標を達成いたしまするにはいろんな手段、方法を総合いたしましてやっていくことになるわけであります。あるいは助成といったような手段もありましょうし、あるいはいわゆる行政指導、技術指導といったようなこともございましょうし、あるいはまた金融的な方法手段といったようなこともあるわけであります。それぞれの手段の間には、その手段、固有の論理と言いますか、そういうものがございまして、特色があるわけでございます。助成などに比べますというと、何と言っても金融はある程度農家の自主的な金融に対する要望がなければ金が貸し出されないといったような関係でございます。助成等でありますと、何と言いますか、誘導的な手段方法としてはかなり金融よりは積極性を帯びるというふうな、比較をいたしますと、そういう関係があろうかと思います。また金融でありますから、農家側から見ますと、借りました金はいずれは返済をしなければならない、こういうふうなことも当然つきまとってくるわけであります。そういった金融の手段、固有の特質というものがあることは御了承いただいてけっこうと思うのであります。金融的手段の特性というようなことになりますと、非常に問題があるのではないかと思います。
  60. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私その問題について、金融による——農業基本法ができて、そして金融政策が非常な勢いで激増をしてきておるわけですが、それが一体政策目的としてその実績をおさめてきたのかどうかという点については、私はきわめて否定的なわけなんですよ。その理由は、冒頭に申し上げた、そういった反省がないというのは、どうも私解せないのですけれども、もっと大きな声を出して言わなければいけませんかな、どうも解せない。結局金貸しになっている。農家がほしいという金は貸してやろう、何でもいいから農家がほしいという金は貸してやろうという金融だけの動きになったのじゃないですか。近代化資金法の成立当時の目的、あるいは農林金融公庫基本法後の大きな政策の転換、そういったものからこれは大きくずれておる、そこら辺が、ただ単に金を貸すというような考え方になっているんじゃないかと思うのですがね。金貸しを始めるとそうなるんでしょうか、どうなんですか、それは。
  61. 森本修

    政府委員(森本修君) 金融的手段でございますから、結論的には農家がその資金を利用していただくということが必要でございますが、単に金融だから金貸しに堕しておるのではないか、こういう御指摘でありましょうが、金を貸す際におきましても、その資金の種類、あるいは条件等については、やはり農政の目標に沿ったような形で、金融のいろんな手段方法を整備していくということが、金融政策の目的であろう、こういうふうに思うわけであります。そういう観点からいきますと、もちろん不十分だという御指摘はあろうと思いますけれども、ここ二、三年、あるいは四、五年の間におきまして、農林漁業金融公庫においても、先ほど来御指摘があったような、農政の変化に対応して資金の種類を増加し、改善していくというふうな努力もいたしてきておるわけであります。また条件、手続等についても、できるだけ農家が利用していただくように便利なように努力はしていっておるわけでありまして、決して私どものほうも、ただある金を貸せばいいということで仕事をしておるつもりではないのであります。やはりそういった農政の目標に合うように金融の手段方法を改善していく、そういうことで数年来努力をしてきたつもりでございます。
  62. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農政の目的に合うように努力をしてこられたようですが、農政の目的に合ってないのじゃないかというのが、私冒頭にこまかく数字を申し上げて言ったところなんです。合ってない、合ってないが、しかし農家のほうからはこういう資金の要求もある、こういう資金の要求もあるということで、だんだんワクを広げて農業生産資金みたいなものになっちゃった、近代化資金が。というふうに思うのですがね。  続いて保証制度について伺いたいのですが、いまの保証制度というのはほとんど機能していないというふうに言って差しつかえないと思いますが、私どものほうのあります資料で、これは農林省が出した資料だと思うのですが、見ますというと、発足以来、三十九年度末、基金協会が代位弁済をしたのは全国で六十九件、六百十九万という数字になっております。同期間中の債務保証額は七十三億円ですが、〇・〇八%、事故率としては異常に少ないわけですね。代位弁済を行なったのが六百十九億という、その間の弁済額は大体六億から七億というふうに推定されていますが、わずかに〇・一%ということになるんですが、そういう意味では保証制度というのは発足以来四年も五年もたっているけれども異常な状態だ。いいほうに異常なわけじゃなく、事故率といいますか、あるいは代位弁済の低さといいますか、そういうものはきわめて異常な状態だと思うんですが、これはいかなる理由に基づくものか、これをまず伺いたい。
  63. 森本修

    政府委員(森本修君) 代位弁済は数字の御指摘がございましたが、私どものほうで調べておりますところでは、昭和三十八年が約三百三十億、それから三十九年が千百万円、こういう数字になっております。ただ、この数字を見ましても、御指摘の点が実は変わらないわけであります。代位弁済額としては思ったよりも少ないという実感は私どもも持っております。ただ、御案内のように近代化資金が発足いたしましてからまだそれほど間がない。資金貸し付け条件を見ましても一定の据え置き期間があるということを考えますと、本格的な償還期に入るというのはむしろこれからであろう、こういう感じがするわけであります。そそういことも一つの点になっているのでありますが、さらに、あるいは農協等におきまして償還期限までに農家のほうから償還がないというふうなことがありましても、直ちには基金協会に代位弁済を要求しないというふうな事情もあるやに実は聞いておるわけであります。御案内のように農協と組合員の間には必ずしも経済的な関係のみでなしに、あるいは社会的なり、人的な関係があるわけでありますから、貸し金が償還期に返らないといったようなことをもって、直ちに代位弁済を請求しがたい、いろいろな事情が農協にあるというようにも見ております。そういった点からいきまして、延滞額と代位弁済の間に、ある程度のズレが出てくるというようなことになっておるのではないか。実は正確にそういう点を調べたものがございませんけれども、地方の方々のいろいろなお話を伺いますと、そういう事情もいろいろ伏在しておるというふうに聞いておりますので、そういうこともあろうかというふうに私どもは思っておるわけであります。
  64. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長、発足以来、三十六年以来すでに五年になろうとするわけですが、その場合に、今回保証制度の全面的な確立をしようというわけですね。しかし、保証制度そのものは少なくとも特に五年という間があったわけですね。それで、一昨年から償還期に入ってきておるんですが、そういう場合に保証制度をさらに一そう確立をしようという場合に、とにかく予想外というよりも異常な事故率ですね。非常に少ない全くこれはないと同じくらいのものですよ。さっき局長は三十九年で一千万という代位弁済をしておるといいますが、それにしましても〇・何%という形になるわけですね。ですから非常に低い。一体それがどういう理由に基づいているのかという答弁にしては私はきわめてお粗末だ。少なくともいまこれを全面的に確立をしようとしておられるわけですから、しかも四十四億という金を出して、しかも三厘の保険料を取って確立をしようという段階に当たって、この事故率の異常なる低さというもの、それについての調査がない、あるいはその説明が何かはっきりしないというのでは、これははなはだ遺憾だと思うのですけれども、いかがですか。
  65. 森本修

    政府委員(森本修君) 代位弁済が少ない理由について先ほど申し上げましたけれども、実は農協側の事情だけを申し上げまして、基金協会のほうの事情についてちょっと御説明をするのを忘れたものですから、そういう御疑問が出てきたのであろう、こういうふうに思うわけでありますが、基金協会側としましては、御案内のように、一定の資金を造成いたしまして、その基金が代位弁済の財源になる、こういうふうな形になっておるわけであります。その基金は、半分は民間の信連なり、あるいは農協なり、市町村なりといったような民間の団体が出しておる、こういうまあ現実でございます。したがいまして、そういう実態からいたしますと、基金協会としては、なるべくその基金の減耗を防ぎたいというふうな心理になるということはまあやむを得ない事情であろうかと思います。代位弁済をいたしますと、基金が減ってまいります。従来どおり、保証を継続していく、あるいは増大していくということになりますれば、再び資金を積み増しをしなければならない、こういうふうな関係になっております。また、もう一つは、基金協会のほうの事務なり、人件費なりをまかなうのもまたその基金の運用益に依存しておる、こういうことであります。そういう面から見ますと、人間の人情といたしまして、運営に当たられた方々が基金の減耗を防ぎたいといったような心理に支配されるということはあり得ることではなかろうかと思っておるわけであります。そういうこともあるいは代位弁済を積極的に行なうに至らない事情になっておるというふうに私どもは見ておるわけであります。今回の保険の制度、あるいは融資制度を設けましたのは、そういった制度的な不備、欠陥をこの際補なっていきたいということであります。代位弁済を基金協会がするという際には、保険に掛けられておりますれば、そういった代位弁済の財源の七〇%は保険の仕組みによって中央の段階から支給を受けられる。また、自己負担の部分についても、融資制度によって中央の保険協会から必要な融資を受けられる、こういうふうな仕組みにするわけであります。そういう点からいきますれば、現在の制度の不備からくる基金協会の活動の不活発ということが相当制度的に改善されるのではないか、こういうふうに思っておるわけであります。今回の保証制度の改善は、そういった実態を押さえて、制度をできるだけ前向きに活動させるために考えておる、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  66. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長の答弁を聞いておりますと、いまお話のようなおかしなといいますか、基金協会というのをつくったこと、そのことにも問題があるように思うのですね。ですが、今回それを全面的に改めようというわけなんですが、しかし、この近代化資金が農協の原資を使ってという融資になるわけですが、その意味では相互金融という面を強く持っておるというように思うのですよ。まあすぐれて相互金融だといってもいいのじゃないかと思いますが、そういうものに対しまして、こういう保証制度というものを持っていく必要があるのかどうかという点について伺いたいわけなんです。私は先ほど局長が二つに分けて、基金協会の側のきわめて不活発な理由をお話しになっている。一方、借る側、あるいは貸す側の農協なり、あるいは農民側の考え方と両方分けて説明されたわけですが、それは一つ機関をつくれば、おのずから機関は自己回転を始めるわけです。しかし、本来、すぐれてこういう相互金融の性格を持っている近代化資金に対して、つくる必要があったのかどうか。つくってはみたけれども、どうも相互金融立場から、異常な低い利用率だという点から言いますと、つくる必要があるのかどうかという点についてお尋ねをしておきたい。
  67. 森本修

    政府委員(森本修君) 御指摘のように、系統金融機関は相互金融といったような性格でありますことは言うまでもございません。しかし、最近の農村の実態を見てまいりますと、やはり階層なり地域の分化ということが激しいわけでありまして、金融の事業というゝとだけを見てまいりましても、一方には預金をするような人、それから一方には資金の供給を受けたいような人といったような形で、ある程度農家の性格なり、階層の分化といいますか、そういうことは行なわれておるわけであります。そういう点からいきますと、単に相互金融であるという面だけに頼りまして、系統金融機関資金が円滑に資金を利用しておるような農民に供給されるかということになりますと、ある一定の最近のそういう性格の変化がございますと、必ずしもそういう性格にのみ頼っておられない面が、率直に言いましてあるのではないか、こういう感じがございます。また、農民の側から見ましても、従来のように、ある程度小口でといいますか、そのときどきの出来秋の代金を担保としてといいますか、そういうものを見返りとして資金を借りるといった形のみではございません。相当前向きに長期大口の資金需要というのが出てきておることも、また御案内のとおりである。そういう点からいきますと、両々考えますと、相互金融であるという性格のみに頼ってやっていって、はたしてそういった調整が資金需要に完全にマッチするのであろうかという点は、やはり実態から言って、私どもは何らかの補強措置が要るのではないか、こういうことになる。そういう点からいきまして、近代化資金制度が発足いたしましたときに、保証制度ができたということの実態を考えますと、一つの意味を持っておる、こういうふうに理解をいたしております。そういった意味のある制度が、運営の経験、実態に徴しまして、やはり必ずしも十分機能しかねるというふうなことを見てまいりますと、政策的にはやはりその不備を補完する、補強していくという必要性は当然考えられるわけであります。今回は、こういう発足当初の制度が、運営の実態を見て、必ずしも十分機能してない、そういうことを考えまして、これを必要なだけ補強していく、そういう趣旨から出ておるわけでございます。
  68. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほども申し上げましたように、わずかに〇・一%程度のものなら、これが特に代位弁済とかいうものでないだろうという気がするわけなんですよ。六億から十億くらいあるんですか、返済金というものは。その中で代位弁済をしたのが一千万円といいますと、まさに〇・一%程度のものになるのですが、これは〇・一%についても代位弁済はこの程度のものだったら普通の事故率というよりも、まだ率はうんと低いのです。だから、そういうものに対して四十四億の金を使って、国から金を出して、さらに今度は個々の農家から三厘の保証料を取ってつくる必要があるのかという私は気がする。そこのところをもう少しはっきりしてもらわないと、何しろたいへんな金をこれは使ってつくるわけですから、農家にとってみても、利子は今度五厘下がったけれども、その中の三厘を持っていかれるわけですから、下がったことにならないのです、三厘持っていかれちゃうのだから。ですからもう少しすっきりした答弁をいただきたい。認められないですよ、これは。
  69. 森本修

    政府委員(森本修君) 延納、延滞の状況でございますが、私どものほうの手元にあります資料では、三十七年度に近代化資金の要償還額が約十二億、それから三十八年度は二十六億と、こういう形になっております。それで、延滞をいたしましたものは、三十八年度の償還額に対応いたします延滞額は、償還期限を過ぎて一年を経過したものは約五千万円、それから三十八年度の償還額に対応するものが、同じような取り方をしますと、約六千万円、こういうふうな形に実はなっております。で、比率にいたしますと、両年度を平均いたしますと約三%、要償還額に対します延滞額の比率が約三%、こういうことに実はなっておるわけでございます。それで、代位弁済の額は、先ほど申し上げましたとおりでありますが、そういうことでありまして、先ほど言いましたように、いろいろな要素から、あるいは代位弁済の不活発ということが起こっておるやに思うのでありますけれども、私どもとしては、その制度が不備である、そういうふうなことによって不活発である点は、できるだけひとつ除いていきたいということで、今回の改正を考えておるわけであります。で、制度の不備な点といいますのは、先ほど申し上げましたような点でございます。したがって、それに対しての手当てということであれば、まずまずこの保険制度融資制度ということによって、ある程度完全に近づくのではないか、そういうふうに思っておるわけであります。なお、相互金融に対してこういった補完措置をする意味ということになりますと、もちろんこれはいろいろな面から考えようが出てくると思うのであります。先ほど来、先生が御指摘になりますように、相互金融ですから、そういった突っかい棒は実は必要でないという見解もあり得ると思います。しかし、実態から言いますれば、先ほど言いましたような農村の実情、また、農民の大口長期資金需要と対応するといったような政策上の要請ということを考えまして、事実としてはやはりこういうものを置かなければ、十分この目的が達しないというふうな考えを持っており、また、近代化資金もそういうたてまえのもとに制度が仕組まれておる、こういう関係になっておるわけで、まあそういう制度の当初の発足、また制度をやってまいりました経緯というものを踏まえますと、今回の改正はそういった意味、目的を持っておるというふうにひとつ御理解をいただきたいと思います。
  70. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長のいまの答弁を聞いていますと、ますます私はこれは不要だと思います。というのは、いまお話しのように、三十七年、三十八年の償還額というものは三十六億ある。その中で代位弁済をしたのは一千万だ、そうしますと、〇・一%——一%はおろか、〇・三%くらいですよ。まことに微々たるものじゃないですか。そのために四十四億という金を使って、それから借りる農民から三厘の保証料をとるというような制度が要るのかどうか。いまあるもの、しかし、それはもうきわめて動いていない。もう不活発という段じゃないですよ、これは。保証額からいっても実にこまかいものですよ、ほんのこまかいもの。保証額はいまのところ七十三億でしょう。貸し付け残高というのは千三百億ぐらいになっているのじゃないですか。もっと大きいでしょう。そうしますと、私は、あるからそれを完備していこうという気持ちはわかりますよ。ある以上、そういう機関があればそれを完備しようということはわかるけれども、しかし、実際やってみて、これはほとんど完全にストップ状態といってもいいわけです。それへ今回利子を五厘下げるということでその中から三厘とる。あるいは国の金を四十四億出してそういうものをつくらなければならないという説明ではきわめて不十分ですね。これは納得しにくいですね。調査も不十分ですよ。そんな四十四億の金を使って、何十億という金を農民からとっていくんですから。そういうものを設立するにしてはきわめていいかげんな理屈を立てていますね。わからないですよ。私もあったほうがいいような気もするんですよ。あったほうがいいように思うけれども、しかし、どうも金が多くかかり過ぎるですね。それと局長、これからますます代位弁済がふえちゃって、滞納金がどんどんふえているいまの状況からいえば、滞納がどんどんふえてきてどうにもならなくなるという見通しなんですかね。だから、この保険協会みたいな膨大な金を使ってそういうものをつくろうという考え方なのか。保険協会の役員の配置は、もう役員のメンバーはわかっていますか、方向は出ているのですか、それは大臣に聞きましょう。大臣に心づもりあたりをひとつ。
  71. 森本修

    政府委員(森本修君) ちょっと計数的に申し上げますと、近代化資金の保証の額は三十九年度末で約七百億ぐらいになっておるわけであります。したがいまして、保証率としましては六〇%余ということに、融資額に対して、基金協会が保証いたしておりますのはそういうことになっておるわけであります。それから、先ほど申し上げましたのは三十七年度に償還を要する額が六十七億程度である。これは毎年分割して償還するわけでありますから、そういうようなことになっていくわけであります。そういう点からいきますれば、もちろん保証活動が必ずしも十分でないということは御指摘のとおりでありますけれども、全然機能を果たしていない、ネグリジブルであるということには保証活動そのものは必ずしもなっていない、そういうふうに私どもは考えております。それから、将来、あるいはこれからの問題でありますけれども、さらに先ほど言いましたように、事業家としては、長期に大口の資金を使用するというふうな関係になっておりますから、融資機関としてもそういった信用の補完制度のあったほうが、資金融通が円滑であるということ、また、農家のほうはそういう信用補完制度のあったほうが資金を借りるのに都合がいいということで、保証制度必要性があるだろうと、こういうふうに考えておるわけであります。そういう点から言いますれば、もちろん政府が出しますところの金も四十一年度相当額にはなりますけれども、それをするに値いするような保証制度方向といいますか、それが必要ではないか、こういうように私どもは考えておるわけであります。
  72. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が先ほど七十三億と言ったのは三十九年度の保証額ですね。三十九年度中の保証額七十三億、その中で一千万円の代位弁済があると思っておったのです。ところが、いまの局長の話だと保証額は七百億だ。七百億の中の一千万の代位弁済じゃ、これはますます小さくなってしまう。見えないような小さなものになってしまう。どうも理屈がわからない。ますます私はこういうものをどえらい金を使ってつくらなければならないという説明が納得できなくなってしまう。考えてみたらどうですか。もう一ぺん検討した上で答弁をしてもらいますかな。これではとてもどうにもならない、こんな小さなものでは。
  73. 森本修

    政府委員(森本修君) 七百億に一千万円が実は対応するわけではないわけであります。七百億は、いままで融資をいたしまして、残高が千三百億程度になっておるわけですが、それに対する保証の比率と、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。そうしますと、融資に対する保証の比率が六割強、こういうことになるわけです。それで代位弁済の額に対応する額、元金ということになれば、それぞれ年度において償還を要する額は幾らあるか、それに対して延滞額が幾らあるか、それに対応する代位弁済の額が幾らあるかということで比率をとっていただくことになると思います。ただ御指摘のように、代位弁済の額はそれにしても少ないではないかということは私どももそう思っておるわけであります。その原因が先ほど来申し上げておりますように、基金協会保証制度にも制度的な不備があって、そういうことになっておるのではないか、もう少し前向きにこれを動かしていく必要があるだろうということで、今回の政府の予算も組み、こういうふうなことで制度的に補強をしていこうということを先ほど来御説明を申し上げておるわけであります。
  74. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その七百億に一千万円の代位弁済が対応しないというお話ですが、しかし代位弁済が、あるいは保証制度がどの程度動いておるか動いていないかというのを見る場合に一つのめどになると思う。また局長お話のように、滞納額、延滞額ですか、延滞額に対しまして一千万。三十七億ぐらいですか、毎年あるのじゃないですか。その中の一千万、これは何といっても私は理解できないのです。こんな大きな金を使ってつくるということは理解できない。もっとこまかい説明がないものですかね。
  75. 中村波男

    ○中村波男君 ちょっと関連で聞きますが、いま局長の話を聞きますと、代位弁済は大体一千万だ、これは事故率からいえば普通の商業の関係金融ベースに比べて事故率は低いと思うのです。この事故率の低いのは、口うらの逆を言いますと、いままで厳選主義といいますか、全く返済能力の危険なものに貸さないために、実際には代位弁済が一千万で済んでおる。また、そこで今度信用保険協会をつくって補完制度を拡充することによって、いままで貸せなかったような人たちに貸せるようになるのだ、だから結果的には自己弁済する額がふえるのだ、そういうことも見込んでこの制度をお考えになっておるのかどうか、この点ちょっと含めて御答弁をいただきたいと、こう思うわけです。
  76. 森本修

    政府委員(森本修君) もう一回お答えをします前に計数を申し上げますけれども、三十九年度の約定償還額といいますか、三十九年度において近代化資金を償還しなければならない額が五十七億、それからそれが直ちに代位弁済につながるわけではございませんで、ただいま御指摘がございましたように、償還額のうちで農家が償還といいますか、延滞をしないで償還をするものもあるわけでありますから、三十九年度について期末の延滞金といいますか、それを見ますと六千七百万円、こういうことになるわけであります。延滞をいたしましたのが、代位弁済額が一千万円、こういう関係に実はなっておるわけであります。そういう点を数字を整理して申し上げますと、そういうようなことになるわけであります。保証制度が活発になるかということでございますが、先ほど来申し上げましたような制度的な運営の結果わかりました不備といいますか、そういうことによりまして保証に対しても必ずしも活発に基金協会が活動していないというふうな関係もございますし、それから延滞がありました際の代弁に対しても必ずしも活発に動かない、こういう関係になっておる、そう思っておるわけであります。そういう観点から今回の保証制度改正をしよう、そういう関係になっております。  それから関連してお尋ねがございました点は、ただいま保証制度の改善の方法を申し上げたことによって、ある程度御推察はいただけるというふうに思うわけでありますが、そういう改正によりまして保証の倍率もあるいは従来よりも増加していくであろうというふうなことをわれわれは期待をいたしておりますし、また延滞がありまして代位弁済の要求が基金協会に融資機関からありましたならば、それに対しても即応して代位弁済が活発に行なわれるであろうというような効果も期待をいたしておるわけであります。そういう両面の期待といいますか、目標を持って今回の制度改正を考えておる、そういうことでございます。
  77. 中村波男

    ○中村波男君 局長は実に頭がよくてうまい答弁をされますので、こちらの理解が、ますますわからなくなるのでありますが、端的に聞きますが、三厘というのは資金の性格からいって、また過去の代位弁済の実績等から推して高過ぎると思うのです。五厘下げたといいながら実際三厘取るわけですから、実際資金は二厘しか下げないという結果になると思うのです。したがって、三厘というのをどういう計数によって目安をお立てになっているかどうか、これは決して営利的な目的で協会が設立されるのでもないし、また、そういうことのないために国が大きな資金を出すのでありますから、そういう点、もう少しその三厘をきめられるという基礎を御説明いただかないと、三厘が妥当であるか妥当でないか、他の金融機関その他から見て私は三厘というのは高過ぎる、こういう批判を持ちますがゆえにもう一度お尋ねしたわけです。
  78. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほど申し上げましたように、延滞がありましたならばできるだけ請求に応じて代位弁済をしていく、こういうことを期待をいたしておるわけであります。そこで延滞の償還額に対する率、つまり一般にこういうものの事故率という関係でありますが、それは先ほど言いましたように、三十七年、三十八年の実績によりますと三%程度ということになっておるわけであります。その事故率の三%を保証率にやり直すといいますか、換算をし直しますと、年率といたしまして三厘程度ということに実はなってくるわけであります。今回、保証料を考えますのも、そういった事故率の実態から計算をしておる、そういうことにひとつ御理解を願います。
  79. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いままで各県に保証基金協会ができておるわけですが、これで保証料をとっておるところは三県だったですね。あとは全部保証料をとっていないんですね。今回四十四億の金を国が出して、さらに一律に三厘の保証料をとるといいますが、でっかいものができそうですね。大臣にもさっき伺ったのですが、心づもりはどうですか。こんなものあるのですか、三厘で八百億で幾らになりますかね、いままでとっていないんでしょう。
  80. 森本修

    政府委員(森本修君) 四十一年度保証料の収入見込み額は約六千万円という見込みを立てております。
  81. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それで四十四億出してさらに六千万円となると、これはあまりとらぬでもいいんじゃないですか、保証料は。どうですか一厘くらいで。いままでとっていないんだもの、全然。とっていないんでしょう、いま。とっているのは三県だけですよ。とっているところは何厘とっているんですか、三県だけれども。
  82. 森本修

    政府委員(森本修君) 現在とっておりますところは日歩一厘ということでありますから、年利にいたしますと三厘六毛五糸ということになるわけであります。それから四十四億を出すのであるから、こういうお話でありますが、四十四億を政府が出します。交付金で出すわけでありますが、そのうちの四億は中央の保険協会の保険の準備金、つまり保険の制度でありますから、当初設計をいたしました支払いに対して異常に支払いが多くなるというようなこともあり得るわけでありますが、そういう観点からいきますと、異常な支払いの増加に対して準備をする資金がこういう制度としては要るわけでありますから、そういう関係で四十一年度は四億、こういうことになっておるわけであります。それからあとの四十億は融資資金ということになっておりまして、各県の基金協会が必要な融資のファンドを中央の保険協会が保留をしておる、こういうことで国から交付をする予定になっております。保証料は高いではないか、こういうお話であります。われわれとしても、できるだけ保証料は、農家の負担にもなることでありますから、低率にしたいということは変わりはないわけであります。しかし、先ほど申し上げましたように、現在とっている県の保証料を見ましても大体三厘以上をとっているといったような関係がありまして、おそらく最近における事故率に対応したような率になっておるというようなことであろうと思います。そういう関係から、こういう制度でありますから、やはり当初は設計どおり、このような形でこういうものを算定をしていくということが適当であろうというふうに思っておりますが、運営の過程におきまして、先ほども言いましたような融資資金等が地方の基金協会にまいりまして、それがまた一定の運用益を生むというようなことも想定できるわけでありますから、そういうものがある程度ゆとりが出てくるというような暁になりますれば、できるだけ保証料の低減に向かってその金を使うように指導していきたい、われわれとしては現在そういうふうに考えております。
  83. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ここで十分間休憩いたします。    午後三時二十分休憩     —————————————    午後三時三十八分開会
  84. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  85. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほどに続きまして、保険協会ができて、それから保証基金協会、これが代位弁済するという、代位弁済したときの、今度は一〇〇%かけるわけですから、一〇〇%代位弁済するわけですね。そうしますと、貸す農協としてはそれでいいわけなんですが、農民はどうなるのですか、その場合に。代位弁済でやられた場合の農民はどうなるのか。百億借りますと、どうしても返さなきゃいかぬというところから代位弁済してしまう。そうすると、保険協会が代位弁済するわけですよ。したあとの、百万円借りて返せなかった農民は一体どういうことになるのですか。あとの取り扱い。私はいままでありました基金協会がうまく動かない一つの大きな理由に、そういう代位弁済をやらせると、非常に農家がいままでよりも以上にきつい条件に置かれる、その点が農協としては顔を知っておるというような点もあって、なかなかたえられないという点から、なかなか代位弁済に踏み切れないということをたびたび聞いておるわけです。また、そういうようなものもいろいろ発表されております。ですから代位弁済した場合の農家、これはどのような地位に置かれるのか。
  86. 森本修

    政府委員(森本修君) 基金協会が代位弁済をいたしますと、いわゆる求償権というのが基金協会に移るわけであります。それで、農家との関係はどうかというお話でありますが、農家としましては、債務は基金協会に対して肩がわっていくというようなかっこうになってまいります。したがいまして、引き続き農家としては基金協会に対して債務の弁債をするというたてまえになるわけであります。
  87. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 その場合の利子というものですね。それが非常にきつくなるので、農協としては、なかなか代位弁済に持っていけないということがいわれているわけですね。ですから、いままでは農協は返せ、返せといったわけだけれども、今度は代位弁済ということになると、基金協会が返せ、返せということになるわけですね。かわったものが来て取り立てるということになるから、その条件がだいぶきつくなるのじゃないですか。それが農協としてはいやだというわけですね。農民もいやでしょうけれども、農協がいやだ、こういう考え方があって、代位弁済が非常に少ないというふうに聞いているのですけれども、どうなんですか、利子とか何とかいうものは。
  88. 森本修

    政府委員(森本修君) 御指摘のような事情がいわれておりまして、おそらくそういうことがあろうと思うのですが、基金協会のほうで求償権を持ちますと、まあ最近のあれでは、大体求償権の利息は三銭くらい取っているというふうなことを聞いております。そういう関係から、農協としても代位弁済をあまり好まないというような事情にある。そういうことは私どもも聞いております。そういう関係がございますから、今回の制度改正とともに、できるだけ求償権利息を引き下げていくように私どもとしては指導していきたい、こういうふうに実は思っておるわけです。
  89. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 こういう基金協会が全国的に非常に不活発な活動しかできなかった。あるいはもうほとんど眠っているという状況にあることは、要するに相互金融という立場から、貸している側の農協としては、何かいままでは、おれが返せ、返せと言っていたのだけれども、今度は基金協会になってしまって、利子はうんと上がってしまう。ますます苦しいことになってくるというところから、なかなかそういうところに持ち込まないし、場合によれば自創資金に切りかえるとか、あるいは農協資金プロパー資金に切りかえるというようなこともやっているということなんですね。ですから、なかなか基金協会というのが実際は動いていない。動けない。今後といえどもそういう状況は変わらないと思うのです。ですから、せっかくこういうものができるのですが、その場合の、代位弁済をしたあとの農家の利子です。これをもう少し下げていったほうがいいんじゃないでしょうか。そうじゃないというと、なかなかたいへんなようですよ。いま日歩三銭ですか、日歩三銭ぐらいとりますというと、年利一割ぐらいになりますか、たいへんな大きな利子になってくるわけです。返せない農家がますますいためつけられるということになってくるわけです。ですから、この利子を、現実問題としては、先ほど申し上げたように農協が肩がわりしているということが多いでしょう、おそらく。延滞額に入らぬところまで、そこまでいかぬ前に、農協が貸しかえているということだって相当多いだろうと思うのです。ですから、いずれにしても、代位弁済になった場合に非常に利子が高いというような状況は困ると思うのです。これをもう少し下げる、今度おたくのほうの基金協会がやるわけだから、そこの点は考えてみたらどうですか。
  90. 森本修

    政府委員(森本修君) 先ほどもお答えしたわけでありますが、そういう事情にございますから、私どもとしましても、できるだけ基金協会が取りますところの求償権の利息は引き下げるように努力をしていきたい。なお、基金協会が求償権を取得いたしました後の債権の回収につきましても、現在では農協などに頼みまして、あまり無理のないような形で債権の保全をしているというふうな実情もあるようでございます。したがいまして、求償権の回収についても、あまり実情を無視した、無理のような回収をするようなことがありますれば、ひとつ適切に行なわれるように指導していきたい、こういうふうに考えております。
  91. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 もう一つお伺いをしたいのですが、これは選択的拡大というようなことで、養豚なり養鶏なりというものが非常な勢いで発展したわけですが、しかし、これが価格関係が非常に不安定だ、しかも低水準だといったような点等があって、御承知のようにたいへんな赤字を抱えており、全国的にいま農協にしわ寄せされているわけです。もちろんその中には近代化資金なり、あるいは金融公庫資金なり、そういうものの弁済額というものも農協が立てかえる、プロパーのものに立てかえてしまうというようなものだって非常に多いわけだと思うのです。それに対しまして、中金のほうが、低利融資制度というのを三十九年から始めまして、さらに四十年というふうに、ワクとしては約四百億円というワクで進めているわけです。それで、その説明を見ますというと、これは「農林金融」という、農林中央金庫の月刊機関誌みたいなものの中に出ているのですが、要するに、そういう選択的拡大なり、あるいはそういうものによって、ほとんど全国的に農協にしわが寄っている。そういうものに対して、農協は総力をあげて金融のベースで解決しようということを盛んに鼓吹しているわけですよ、この中で。ところが、何せ中金の低利融資でも、八分から七分という利子です。そうは言ってみてもなかなかたいへんだろうと思うのです。中身を見てみますというと、負債整理という条項が一つ入っているのです。ですから、中金としては、負債整理のほうに相当強力に乗り出しているということになるわけです。それで、貸し付け状況を見ますというと、やはり相当割合を占めているのです。低利融資の中の一七、八%、住宅資金に次いでこの負債整理の普通長期貸し付けというのは大きいわけです。その資料はこれに載っているのですよ、詳しくパーセントまで載っているのですよ。ですから、どうですか、農林省、この辺で三十六年以来、農業基本法の功罪いま相半ばするところにきているのですが、負債整理について検討する考えはありませんか。こまかく申し上げてもいいですよ。そういう中で大臣いかがでしょう。
  92. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) いま鶴園委員の申された点について、農家の負債はそういう点もあると思います。しかし、全般から申しますと、農実の負債は一般の非常に高利な負債というものから、農協のいわゆる農協資金といったようなものに変わってきておるのが大多数でありまするし、また、内容から申しますと、ふえてはおるけれども、比較的積極的な意味の借金が相当あるんじゃないかと思います。それから一人当たりにしますると、ちょっと数字は正確な点はあとから補充していただきますが、十万ぐらいのことに借金をしておるものがなっておると思いますが、また一面においては、非常に自分のいわゆる預金というのも相当多くなっておるというような面もございまして、私は通観いたしまするときには、比較的その点はよくなっておるように私は思っておるのです。もっとも地域的には若干、いま鶴園委員の言われたような地帯もないことはありません、全般的に見ると。私はその点から見た点からいいますと、どちらかと申しますと、そういうような状態にありまするので、この点から見ると、むしろいいのではないかと、状態からいいますとそういう自分としては判断をいたしておるわけでございます。しかし、鶴園委員から言われたるとおりの事情も地域によりそれは確かにございます。そういう関係がございまするので、この点もなおそういう点を含めて検討を加えていく必要があろうかと存じておるわけでございます。
  93. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 経済局長、中金が三十九年から積極的に低利融資を始めたわけですが、非常な決意を持って始めているわけですが、その中に負債整理の事項を大きく取り上げておるということを御存じですか。そして、三十九年度の貸し付け状況も、すでにこまかく発表になっているわけです。御存じないですかな。それを見ますというと、三十九年度の新規貸し付け割合が出ておりますが、負債整理というのは住宅資金に次いで大きいですね。純農村では一八%という貸し付けになっている。普通長期資金の中の一八%、都市的農村においては五%という低さですが、ですから非常に大きなウエートを占めてきておる。ですからやはりこの五、六年の基本農政といいますか、高度成長政策下の農政の功罪というものがはっきりしてきておるわけです。ですから農協が農協自身の建て直し、さらに続いてその農家の関係も考慮して、何かえらく、幾らか宣伝も入っておるかもしれませんけれどもね、総力をあげてやるという形になっておるのですがね。いかがですか。
  94. 森本修

    政府委員(森本修君) 資料をお持ちのようでございますが、これは私どもが報告を受けております低利融資制度資金項目の中には、負債整理資金というのは入っていないように了解をしておるわけでございます。ただ、おそらくこういった資金種目をもって借りました側におきましては、あるいは結果的には従来の資金の肩がわり資金に利用されておるというふうな実態はあり得るかと思うのであります。そういうものがはたしてどの程度の割合を占めておるかということは、実は私どもの手元にはないのでございます。御指摘の点は、あるいはそういった低利融資制度資金種目をもって借りました農家が、実質上従来の旧債の返済にそういうものを充てておる、そういうものの実態をとらえて解説をしておるのではないかと、こういうふうに思っておるわけであります。
  95. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 それははなはだしく不勉強ですね。いつも負債整理の問題は出るのですから。これは「農林金融」の昨年の十一月号の十八ページです。りっぱに図までかいてある。負債整理資金とあるでしょう。それともう一つ、同じ「農林金融」の昨年の十月号に、低利融資制度にという解説が出ております。それの七ページ。ちゃんと負債整理を出している。
  96. 森本修

    政府委員(森本修君) 御指摘をされておりますことは、一八%といったような計数は、農協の普通貸し出しの中で、負債整理的な資金が貸し出されておるというふうなことではなかろうかと思うのでございます。低利貸し出し制度の中には、先ほど来申し上げましたように、そういった資金種目を設けておるということではございません。構造改善のほうに書かれておりますことは、そういった資金種目をもって借り受けました実態を調べてみると、あるいは従来の資金の借りかえというふうなことに実態上使われておるというふうな分析をしたものであろうと、こういうふうに了解をしたいと思います。
  97. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまのやつは、念のために申しておきますが、昨年の十月号の七ページに、低利融資制度というのが書いてある。その冒頭に書いてありますよ。一項目、二項目、三項目に分かれて、その中に負債整理となって書かれているでしょう。ですから低利融資制度として出しておるのです。
  98. 森本修

    政府委員(森本修君) 私が申し上げておりますのは、先ほど御指摘になりました低利融資制度実態の解説の中に、低利融資制度資金種目として、構造改善のための資金というのが中金に設けられておるわけでありますが、それの借り入れの実態を見れば、従来の借り入れ金に対して借りかえ的なことで利用されておる、こういうふうにこの文章も読み取れるというふうに思うわけであります。それからパーセンテージが載っておりますところは、普通貸し出しについての解説でございますから、農協の普通貸し出しの中にそういったものが相当程度含まれておる、こういうふうな解説であろうと私は思うのであります。
  99. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ちょっと速記を止めて。   〔速記中止〕
  100. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。よって、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案農業信用基金協会法の一部を改正する法律案についての質疑は、これをもって終局いたしました。     —————————————
  102. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 続いて、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
  103. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いい機会でありますので、前々から農協について、さらにまた合併の今度の経緯について、大臣並びに局長にお伺いしたいと思うんです。新聞の切り抜きと、それから時事通信の農林経済版、これをまあ私、毎日見ておるわけなんですが、したがって、これに基づきましていろいろ感ずるところがありますから、農協の合併のいまの議員立法関連をしまして、この機会にお尋ねをしておきたいと思うんです。  第一の問題は、先般の参議院議員選挙で、農業共済連の会長が、たいへんな選挙違反の容疑をもって関係者が多数捜査を受けたり逮捕されたりしたわけです。そして会長は辞任をしたんですが、督監官庁にあります農林大臣に二つお尋ねをしたいのですが、一つはその後の経緯はどうなっているのか。もう一つは、会長はやめたわけなんですが、この問題について大臣はどういうふうに考えておられるのか、その二つをまずお尋ねをしたいわけです。
  104. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 共済のほうの団体の問題について、いわゆる選挙違反に関連いたしまして非常に調査をいたしておりましたのでございます。私のほうといたしましては、ちょうど司直の手に移っておりまする事件でありまするだけに、その結果をよく見守っておりましたようなわけでございます。ただ、その資金そのものについては、何ら共済資金としての直接の関係はないということに私どものほうとしては調査を進めておったのでございまして、つまりその意味においての資金関係は、全く共済関係資金とは関係のないものであるというふうに了解をいたしておったわけでございます。なおしかし、本調査につきましては、その後の状況等については、農政局長からその点はお答え申し上げたいと思います。  それから、会長の問題は、そういう点からみずからこれは辞任されたことでございますので、農林省並びに私とは別に関係がないことでございますので、ただ私といたしまして、かような事件につきましては、非常にいろいろの意味において自分としては恐縮いたしておる次第でございます。
  105. 和田正明

    政府委員和田正明君) 岡村前会長の選挙違反に伴いますその後の経過でございますが、検挙されました者が、中央、地方を含めまして四十四名、うち起訴をされました者が三十名、そのほかに、略式ですでに罰金の確定といたしました者が五十一名でございます。で、いずれも選挙違反に関する事犯でございまして、共済連の系統組織としての公金を使用したとかいうようなことは全くございません。大体そういうようでございます。
  106. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま起訴された者及び略式で罰金を受けた者等々の説明がありましたですが、これは公金を使ったわけじゃないという局長の答弁ですが、根拠はどこですか。それからこの起訴されたというのは、いずれもやはり農業共済連のそれぞれの地位にある人だと思うのですがね。今後のそういう意味の監督官庁としての考え方も、単に遺憾であるというようなことではこれは納得できない点があるし、あらためて決算委員会でというふうにも思いますけれども、しかし、これは関連事項ですから、きょうは簡単にお尋ねしておきますが、証拠はどうですか、局長。いまの公金でないという証拠は。
  107. 和田正明

    政府委員和田正明君) ただいま大臣からお答えがございましたように、検察当局がタッチいたしました事件でございますので、帳簿その他も当局のほうへ持っていかれておったわけでございますが、先ほど申しました員数のそれぞれが、すべてにつきまして背任罪とか、そういう形で起訴されたり、略式裁判を受けたわけではなくて、全部選挙違反事犯として処理をされておるわけでございますが、私どもとしては、やはり公金の横領ということによって刑事事件になったものではないというふうに了解をいたしておる、これが一つでございます。  それから今後帳簿等が返ってまいりました上で、なお農協法による常例検査等は適当にいたさなければならないわけでございますが、役員等を呼びましていろいろな事情を聴取をいたしましたけれども、実際の問題としても役員側からも公金を使用したものではないということを責任をもって言明を受けております。両面から考えまして、私どもとしては共済連の経理自体が乱れておって、公金を使用した背任とか、そういう事情にはないという確信をいたしておる次第でございます。
  108. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 次にお尋ねをしたいのは、これは新聞で二、一二日前に拝見をしたのですが、農協中央会の本年の米価闘争、米価の問題はもうそろそろ迫ってまいっておるわけですが、本年の米価闘争について、これは農協の中央会が方針をきめたということになるのかどうか知らないのですが、従来とは違った米価闘争をやる、それは農協の組合員一人一人に対しまして米価の交渉権と妥結権、それを一人一人農協の組合員から委任状を取る。もちろんその委任状には正式の、一人一人の組合員から、米価に関係する組合員でしょうが、委任状を取って、どこへ集めるかということもはっきりしておるのですが、そういうような一体やり方ですね、農協中央会の任務というのは一体どういうことなんですか、何か米価の妥結なり決定の委任状を全国的に集めているという話なんですが、これは局長でも大臣でもいいですから、どういうことなんですか、またどういうふうに理解しておられますか。
  109. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 私は寡聞にまだそういう問題は聞いておりませんのでございますけれども、この米価は米価審議会にもかけなければなりませんし、その上で農林大臣が決定することに相なっておりまするのでございます。しかし、団体としては委任状とか、その点は私は聞いておりませんが、団体としては、また団体としてのいろいろその面についてのこの要求なり、あるいは意思発表等があることについて、私どもこれを別に、それをいかんともすることはできぬわけでございまして、ただ最後の決定は、もちろんこれはその決定前に米価審議会にかけまして、そして農林大臣が決定をいたすという、これは紋切り型の答弁でございまするが、さようなことであります。
  110. 和田正明

    政府委員和田正明君) 農協法の七十三条の九に、御承知のように中央会の事業と申しますか、事業の範囲が書かれておるわけでございます。私どもとしては、やはり中央会の事業の範囲はこの範囲として行動せられることを期待し、また指導をいたしておるわけでございますが、ただいま先生お尋ねのような事情については、ちょっと大臣からもお答えがございましたように、私、現在まだ寡聞にして承知をいたしておりませんが、この点よく事情を聞きまして、中央会としての法定の事業の範囲を逸脱しないように指導をしてまいりたいと思います。
  111. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 新聞に出たのですよ、ことしは違うと。一人一人の人から委任状を集める、五円の収入印紙をはった委任状を集める、正式ですよ、これは。だから、どうも私は中央会の問題にしても、農業共済連の問題にいたしましても、こういうやり方については非常に理解に苦しむのですがね。まあいずれこの点は、局長もまだ見ておられないようですし、わかっていないようですから、見た上で、しかるべくこれはやはり監督しなければいけないと思うというふうに思います。  それからもう一つ、続いて農協の合併の問題ですが、これはどうも新聞の報道により、あるいは時事通信の報道によって見ていますと、不可解な点があるのです。大臣は二回にわたって改正延長するようなことを言っているんですよ。そしてそのたびに何か取り消しているんです。これの報道によりますと、正しいかどうかわかりませんよ、ですが、私がこれを見ておりますと、石川県選出の坂田代議士として延長するようなことを言ったのじゃないかという報道もしてあるこの中で、どうもこれはゴシップ欄みたいなところですから、いずれにしても大臣が農協の合併の延長についてやるようなことを言ったと思うと、何かまたそれを取り消している、結局やらないという考え方なんでしょうね、大臣としては。それから和田農政局長も新聞の報ずるところによると、やるようなやらぬような、しかし、まあ最終的にはやらぬということでしょうね。そういう報道になっておるわけですよ。やるやると言ったかと思うとやらぬと、よくわからぬのですが、しかし、いずれにしてもどうも不明確ですよ。ですから、一体これは大臣が見ておるわけだから、大臣は去年の秋からことしにかけてどういうふうに考えられておったのか、それを伺いたいわけです。
  112. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) ただいまの点でございまするが、政府としてはやるつもりはなかったわけでございまするが、しかし、院議はこれは尊重いたさなければなりませんし、またちょうどそういうことでございましたので、これらの問題が一致してやることになりました以上は、私といたしましてももちろん賛成をいたすのでございます。
  113. 宮崎正義

    ○宮崎正義君 関連。予算委員会のときに、私はこの合併問題について大臣に伺ってあるのでございますが、いま御答弁がありましたけれども、このときには、もう九〇%以上いったから、これで一応この合併法律はこの程度にしておきたい、こういう考えでおるわけでございます、こういうふうに大臣がおっしゃって、そのあと、また私が、農林大臣の郷里のほうはわりあいに悪いようでございます、そして郷里にお帰りになったとき、これもまた続けてみたいお話も談話なさったそうですが、将来の農協合併に対する考え方を伺っておきたいと思います、こういうふうに問いましたならば、先ほど答えた、いまのところ、お答えどおり、申したとおりでございます、こういうふうに答えられているわけであります。このときにも伺ったわけですが、合併のできない理由一つとして、いろいろな合併のできない条件があると思うのですが、その組合自体の相互間の諸問題だとか、あるいは合併を予定されている組合の県別等でそれぞれが合併のできない理由、そういうできなかった理由というものの中に、おのおのの単協がどういうふうな理由合併できなかったものがあるのか。私の考えでは、不正貸し付け等がお互いにあって、それらが大きな原因をなしているのではなかろうか、こう思うわけなんですが、この際一応この点について、二点、大臣の言ったことと、それからいま申し上げたことを伺っておきたいと思います。
  114. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 前段の点につきましては、先ほど鶴園委員にお答えしたとおりの状態でございます。したがいまして、院議によってこれを行ないまする際には私は賛成をいたしますのでございます。何にも合併そのものに積極的に反対する意味ではないのでございまするので、ただ先ほどお答えを申しましたように、また予算委員会のときにお答えいたしましたように、九〇%程度でいきましたということでありまするので、まずこの程度でいいだろうというようなことから、一応そういうことで腹づもりいたしておりましたときでございますので、さように答えたのでありますが、これは院議によって合併するということになりますれば、私は別にそれに対して何ら反対でも何でもありませんので、むしろ賛成を申し上げていきたい、こう思っておるようなわけでございます。  後段につきましては農政局長からお答え申し上げます。
  115. 和田正明

    政府委員和田正明君) 御承知のように、三十六年に合併助成法の制定をいたしましたときの政府計画に対して、昨年末でこの法律規定によります合併手続が終わることになっておるわけでございますが、七千三十八組合の計画に対して六千三百六十一組合が参加をいたしました。進捗率としては九〇%ということになっておるわけでございます。合併ができません組合の事情でございますが、これはどうも地帯によっていろいろと違うと思うのでございますが、私どもの理解をいたしますところでは、ごく都市近郊のようなところで、あまり農地等もございませんような場所は、先生承知のように、ある程度、信用組合的な性格を強く持っておりますので、そういう地帯では合併必要性というものを組合自身が考えておらないという部面もあろうかと思います。また、さらに合併をしようと考えました場合に、それに参加をしようとする組合の両方の間で一部に欠損がございますとか、そういうことで両者の財務事情がアンバランスであるというようなことが阻害をいたしておる場合もございます。それからさらに率直な言い方で恐縮でございますが、組合の数が合併をすると当然減ることに伴いまして役員の数が減るわけでございます。そういうことに対する感覚的な反対、それからさらに町村合併その他の過程を通しまして、それぞれの地域社会におきますいろいろな従来からの行きがかりというようなものがそれぞれございますので、そういうことが重なり合ってなかなか合併がうまくいっておらないというような、おもな理由としてはいま申し上げましたようなことが、そういうことが重なり合って全体としては九〇%進みながらなお一部に合併が進まないという場所がございます。先生御指摘のように、不正貸し付け等が原因ではないかというお話がございましたが、私どもは不正貸し付けというような事件は残念ながら一部にございますが、それは組合の絶対的な比率から考えますとそれほど高い比率でもございませんので、合併の進みません場合のおもな理由としてそういうことをあげるのはいかがかというふうな考え方をいたしております。
  116. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 大臣が延長するような、そしてしないような——それでいま質問がありましたように、予算委員会ではしないという答弁だった。まあ大臣の考え方はわかりましたが、局長も延長するがごとき、しないがごときことなんですね。まあ、しないというのですね。そういうふらふらした経緯を聞きたいわけなんです、経緯を。なぜふらふらしたのか、それをひとつ大臣に伺うと同時に局長にも聞きたい。
  117. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) 先ほど申しましたように、九〇%いったときでありまするし、まずこの辺でいいじゃないかと、こう思ったわけでございます。しかし、その後において、地方の実情等がそうでもない、まだ九〇%にしたところで一〇%残っております。地方によってはそれがまんべんでありませんので、地方によって相当これが重要になる。また合併せずに残っておる地帯が全国的に一〇%だけれども、まだ相当多い地帯もありまするわけで、それらに対する要望が非常に大きい。しこうして、それを院議で決定していただくということになりますると、本質的に何もこれは反対でも何でもありませんのでございます。そういうことでありますれば、私どもとしても十分それに賛成を申し上げていきたい。こう考えておるわけでございます。局長から御答弁しても同じわけでございまするから、大臣が答弁すればまあよかろうかと思いますので御答弁申し上げます。
  118. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長がふらふらしたのはちょっと違うように思うのですが、聞いておきたい。
  119. 和田正明

    政府委員和田正明君) 鶴園先生も御存じのように、農協合併助成法の規定によります合併の手続きをいたします期限は、昨年の十二月三十一日までというふうに定められておるわけでございます。したがいまして、政府として、もし筋立てた議論を申し上げますれば、この制度をさらに延長をいたしまして、法律という制度を前提にして合併を進めていくという政策方針をとるといたしますれば、本来でございますれば、実は昨年の通常国会に法案を御提案申し上げて、御審議をいただかなければならない筋合いだと思うのでございます。速記録等を調べて私の承知をいたしております限りでは、昨年の通常国会におきまして、当時、農政局長でございました昌谷さんから、たしか衆議院だったと思いますが、どなたかの御質問に対して、一応法律を前提とした合併助成法律規定どおり十二月末で打ち切りをしたいというふうに答をいたしております。私、昨年そういうような事情承知をして農政局長に就任いたしまして、その後、先ほども申しておりますように、進捗率としても当初予定の九〇%を達成をいたしたわけでございますから、政府としての法律技術的な立場から考えますと、実際に計画の達成をいたしました進捗率から考えましても、政府としてさらに法律を延長する改正案を出すという考え方は当初から私は持ってはおりませんでした。ただ、もちろん法律がなくても合併条件が熟し、また合併を必要とするような農協がもしあるといたしますれば、それは農協自身の力と申しますか、経済的な力をより強くすることは当然の目標でございますから、法律の根拠がなくても行政指導として合併が進められるのは当然期待をいたしており、またそういう指導をいたさなければならない立場におります。私自身決してふらふらいたしたことはございませんので、昨年来何らかの機会に私の名前で筆をとりましたようなときには、いまのようなはっきりした考えを書いておるのでございますが、一方、先ほど来大臣がお答えになっておられますように、地方別にはなおおくれておるところもございまして、そういう地方の農業団体側から促進をしてほしいという要望があって、それを衆議院の段階で自由民主党、社会党、民主社会党等でお話し合いになって、政府方針とは別に、衆議院の農林水産委員長の御提案の形でこの改正法案をお出しになったいきさつがあるわけでございます。私どもとしては、政策的には、いま申し上げたような考え方を変えてはおりませんけれども、やはり院議としてこの法案が成立をいたしますれば、行政当局としては、院議の趣旨を尊重して、法律に基づいて今後も行政指導をいたしてまいる、こういう立場であろうかと思います。
  120. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 農協合併の、当然、主体的側である農協、特にその場合の農協中央会、この農協中央会がこの法律の五カ年の間、どうも昨年以来、主体側である農協中央会の態度が私は変わったのじゃないかという感じを受けるわけです。監督官庁として、あるいは行政指導をしてこられた立場から、一体この法律の施行の間、中央会の主体的な態度というものは変わらなかったのか、変化したのか、それを伺いたい。直接の担当者である局長に伺いたい。
  121. 和田正明

    政府委員和田正明君) 系統団体内部の事情を、私も全部のいきさつを必ずしも承知をいたしておるわけではございませんが、私が昨年夏以来、農政局長として団体と接しました限りでは、率直に申し上げますと、御承知のように、中央団体だけでものごとをきめつけるというようなことではございませんで、民主的な自主団体でございますから、下部機構の意向等も十分くみながら中央会としての方向づけをしてまいったのじゃなかろうか、わりあい早い時期におきましては、いろいろ下部機構の間にも、すでに合併が進んだような地帯もございますし、そうでない県もございまして、いろいろ意見が入り乱れておったように思います、実際は。しかし、それらの意見が組織として調整されて、やはり今後も法律に基づいて合併方向づけをしていきたいというふうな最終決定が昨年末にはあったわけでございます。ただ、その段階では、私どもとしては、前に九〇%達成をいたしております政府としては、法律技術的に考えても期限が一応切れましたものを改正するというような立場でもございません。政府としては、あくまで今後は行政指導でまいりたいという考え方は変えておらなかったわけでございます。
  122. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 私が局長に伺いたかったのは、この実施時期の五年の間にあって、農協中央会の態度が昨年から変わったのじゃないかという印象を強く受けておるわけなんですよ。どういうわけで変わったのか。まあ局長は何か昨年の夏ごろからの農協中央会の動きを説明された。それをぼくは聞いておるのじゃないですよ。五年間における態度ですね、これは主体の側なんです。法律がどうこうというのじゃなくて、合併する主体の側の態度というのが、昨年から変わったのじゃないかという印象を強く受けたわけです。これは私は問題だと思うのですよ。その点を聞いておるのです。
  123. 和田正明

    政府委員和田正明君) 先ほどもお答えを申し上げておりますように、やはり農協の組織が、最末端から全国連の段階まで非常に自主的な組織として膨大な組織でございますので、組織としての意識統一をするのには相当時間がかからざるを得ないと思います。私の理解では、そういう組織としての意識統一を最終的にきめます過程の中で、地帯によって進行状況が違っております関係で、いやもういいのだとか、いやまだやるべきだとか、いろいろ個人的な団体内部での御意見の御開陳もあったかと思うのでございます。最終的な組織としての意識決定としては、昨年の暮れごろに、やはり法律に基づいて合併促進をしていきたいという意思決定があったわけでございます。鶴園先生のおっしゃることは、たぶんそういう組織としての最終的な意思決定の段階に行きます過程において、いろいろな経過を前提としておっしゃっておられるのかと思いますが、私としてはどうも中央会を中心とする農協組織としての意識決定が、一たん甲ときまったのが後に乙になったということではなくて、やはり法律に基づいて合併を進めたいという基本考え方を組織としてきめるのに若干の時間を要したのではないかというふうに私は理解しております。
  124. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 局長のいま答弁、これはぼくはわかっているんです。問題は合併の主体の農協、そのまた指導的な機関である中央会、これが四年の間消極的だったんじゃないかという感じを持っているわけです。それが去年になりまして、去年の夏ごろから積極的になってきた、非常に積極的になってきた、異常に積極的になってきた、こういう印象を受けておるわけなんです。そこにぼくは非常に問題を感じているわけなんです。それはどうですか。
  125. 和田正明

    政府委員和田正明君) どうも必ずしも私も古いころの事情承知はいたしませんのでございますが、最近の県の段階の中央会としては、やはり単協の合併促進をする、そしてそれを指導していくということを各県とも非常に大きな事業の柱にしておるわけでございます。当初から全く不熱心であったというふうには私ども理解をいたしておりません。やはりここ一両年で法律の期限が切れるんだから、最後の馬力をかけようということで、非常に熱を入れたということはあろうと思います。最初のうちは不熱心で、途中から急に勢いづいてやったという方針の変更ではなくして、期限の切れる最後の追い込みの努力をしたというふうに私は理解をしておるわけでございます。
  126. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 妙にわかったような話をされたんじゃかなわぬですよ。いろいろ問題を提示して、大臣なり局長の話を聞こうと思うのですが、これ議員立法、自民党も社会党も民社もという議員立法ですね。しかし、私はどうも冒頭に農協共済連の会長の問題を出したんですが、続いて農協中央会の今回の米価闘争を出してみたんですがね。さらに、今度の合併についての農協中央会の態度というものを出してきたわけですよ。そういう意味では、ぼくもそういう運動面については経験を得ておるんですけれどもね。ですから、非常に不明朗なものを感じているんです。しかし、この点についてこれ以上やってみてもしようがないと思うけれども、ただ私は、これは局長にいたしましても、大臣にしても、私の考えていることはおわかりだと思う。これはしっかりしていただかないと困ると思うんですよ。  続いて、今度は中に入りましてお伺いいたしますが、今度の延長については助成はないわけですね。かつてありました国からの十万円の補助とか、あるいは農協中央会に対する指導費の補助とか、こういうものは今度はないわけですね。ただ税制上の問題は引き続いてあるようですけれども、そういうものがないわけですね。
  127. 和田正明

    政府委員和田正明君) 昨年の十二月三十一日までで手続の期限が切れました制度の段階では、施設の補助金として十万円の国の助成をいたしておったわけでございますが、それは昨年の暮れまでに手続をいたしまして、まだ合併の登記その他が完了いたしておりません組合がございますので、そういう経過的なものにつきましては引き続き補助を計上をいたしておるわけでございますが、今回の御提案の、衆議院の農林水産委員長提案のこの法案では、その施設費の補助の問題はないことになっております。ただ、指導費の関係につきましては、先ほどもほかの問題の御質問のときにお答えを申し上げましたように、私どもとしては法律の根拠がなくても、合併行政指導は続けてまいりたいというふうに考えておりますが、合併関係で約一千万ほどの予算も計上してございますが、そのうち、大部分合併後の組合の指導でございますけれども、約三百万程度は法律に基づかない場合にも行政指導してまいりたいというふうに考えておりましたので、それは今回の法案が御可決になりましたあとでは、当然に合併のための指導費として使用できることになるわけでございます。
  128. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 先ほど局長のほうから、この九〇%実績があって、あと残った問題についての、なぜ合併しないで残ったのかという点についての若干の説明がありましたですね。それで、局長はこの全酪農連会報というのですね。この中に、最近の農協問題というので、農林省農政局長和田正明という名前で書いておられますが、この五年の間に合併しないで残ったものがあるのかという点について書いておりますですね。先ほども若干説明があったのですが、なかなかこれは法律が通ってみても、こういう状況合併が残ったとすれば、これは今後容易じゃないという気がするのですね。しかも、その十万円の施設補助費がない、県もこれに加えるわけですから、二十万円になるのでしょう。というようなことになりますと、これは容易じゃない、たいへんだという感じを受けるわけですよ。だから、そういうわりあい手厚い施設補助のようなものがあって五年の間にできなかった、この理由は非常にたいへんな理由ですね。そうしますと、これで一体税上の恩典というだけでできるのかどうかですね。という点も提案者のほうにお尋ねをしたいと思っておりますが。
  129. 本名武

    衆議院議員本名武君) 御指摘のとおり、いま残っております組合は、先ほど来、大臣並びに局長から御説明のありましたとおり、五カ年間に合併することができなかった。政府はもとより、全中あるいは県段階における中央会も、それぞれの立場指導をいたしましたが、いろいろな事情のために合併ができなかったという事実は率直にわれわれも認めなきゃならぬと思うのでありますが、ただわれわれとしては、政府のいままで伺いました見解にもありますとおり、いきさつはありましたけれども、この段階において、さて法律がなくなって、それじゃその後における経済情勢や、あるいは問題でありました合併後における人事の問題、あるいはそれぞれの単協における財政上の問題等々が、幸いにもかりに解決されて、そして合併の意欲が出てきた。その場合に、これは法律がないから指導だけでいいんだといって、はたしてほうっておいていいのかどうかということもわれわれとしては検討いたしました。なおかつ先ほど御指摘がありましたとおり、中央会における態度が変わったのではないかということは、おそらく五カ年間において中央会のそのお立場においていろいろ合併促進の御指導もなさったと思いますけれども、残ったところは困難なところが残った。さりとて、私どもは法律は五年だから、これでおしまいだということはわれわれの立場としては言い切れないのではないかということ、さらにまたわれわれの一番大事なことは、やはり残った単協の意思、残った協同組合がはたして合併をしようとする——たとえ一割残っているにしてもその意思があるかどうかということ、もしありとするならば、われわれはこれを取り上げて、つとめて従来に劣らない助成はしてやるべきではないかという観点から、いろいろ団体並びにそれぞれの機関を通じて調査をいたしましたところが、どうしても今後において合併をいたしたいという組合があったために、今回、政府のお考えがなかなか政府提案にこぎつけられないという事情、また時期的にも時間的にもちゅうちょするわけにはまいらないということで、今国会に提案をいたしたわけであります。ただ、御指摘のように、一体、前の法律では合併の共同利用施設に対して国が助成をいたしておる、補助金を出しておりますが、それを打ち切ったということは、今後残っております組合の合併は補助金を十万円国からもらうことよりも、むしろ税法上の特例措置をやってもらいたいという強い意思があったことが一つ。御承知のとおり、決定いたしました四十一年度予算におきましては、農協合併による国の補助金の予算は計上いたしておりません。したがって、そこに今後合併する組合において予算措置上の不公正があってはならないというようなことから、一応十万円の国費負担、補助というものを見合わせまして、一応税制上の特例措置をやって、そして合併助成にいたしたいということで出したわけであります。  なお、先ほど局長からお話がありましたように、指導費については、それぞれ行政措置によって予算に計上されたその範囲内において使用することができることは説明のあったとおりであります。そういうようなことで、政府見解はお聞きのとおりでありますが、われわれとしては、この際、この法律の税制上の措置をもってさらに合併促進したいという意図のもとに今回提案をいたしたわけであります。
  130. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま御説明があったのですが、昨年の夏ごろからさらにひとつ合併を進めたい、こういう熱心な意見があったことも承知をいたしておるのですが、それにしても、直接いままで合併促進指導し、あるいは進めてきた政府が、どういうわけで政府提案として出さなかったのですか。間に合わないわけじゃないでしょう。政府提案で出せば十分間に合う。十万の施設補助だってできる。何がゆえに政府提案にしなかったのか。いかにも見のがしのストライクみたいなことをしているのですね。よくないです、こういうことは。見のがしのストライクじゃだめですよ。それはどういうわけですか、局長
  131. 和田正明

    政府委員和田正明君) 予算との関係鶴園委員承知のように、農林省としての事務当局が大蔵省に対して概算要求をいたしますのは昨年の九月ごろにもういたしたわけであります。その段階において、政府としてはこの法律改正法案を提出する考え方は、先ほど申し上げましたように持っておりませんでした。補助金の要求は実はそのときからいたしておらなかったわけでございます。
  132. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 私、先ほどから大臣から、農政局長、それから提案者説明を聞いていて、ふに落ちない点があるので、それを一つだけ詰めてその確認をしておきたいことがあります。というのは、三者ともひとしく、すでにこの時限をもって運用されておった合併法は九割を達しておる。これはひとしく共通した認識に立っておる。これは私は非常に事態を認識する度合いが欠けておるということを指摘せざるを得ない。当初、三十四年現在で、いわゆる総合農協というものは一万二千四百六あった。その一万二千四百の農協に対して、政府合併を必要としないもの、また合併が不可能に近い農協というものを約二千三百に近いものを拾っておる。これはいい。したがって、残りが一万百十二という農協がある。この一万百十二という農協に対して、政府合併対象組合数を七千三十八と合併目標の組合数を設定して、この七千三十八に対して合併参加をしたものが六千三百六十一で、その達成率が九割だと見ておる。ところが、あなた方がこういうかってに測定した七千三十八以上に、残りの約三千をこえる農協もひとしく合併を必要とする農協の対象になっておるのが実態である、地域的にこれはズレがありますけれども。したがって、現実にはまだまだ合併をしなければならぬという農協が全体の四割近くもあるという実態を、政府はこれを故意に見落として、四十一年度の予算にもこれを期限延長するという努力も怠り、とどのつまりは議員提案ということで、ふらつく政府が院議を尊重しなければならないはめになったというのが実態じゃないですか。いかに現実を不勉強であるかということがこれで明らかである。合併することがいいか悪いかという論議の段階じゃないわけですから、その合併の推進については、農林省のいまの目標からいけば一二〇%にもなっておる県がありますよ。逆に六割程度に沈んでいる県もある。したがって、これは政府がやる気がないから議員立法として出したのじゃないか。九割だが、まだ必要だという前提に立つ限りは、何か議員立法が無理をしておるような、そういう印象を与えるが、これは事実はそうじゃない。まだまだ合併をしなければならぬ総合農協は四千近くある。したがって、各県の指導機関である中央会が中心となっていままで進めてきた大型農協との全体の農協の適正規模のあり方からいって、この時限法では救済されない問題をここで解決をして、今後三カ年の間に困難な課題に取り組もうというのが議員から発議したこれは動機である。したがって、これは何も恩を着せられてやる筋合いじゃなくて、当然これは末端における農協の声であるということを銘記してもらいたい。答弁は要りません。
  133. 本名武

    衆議院議員本名武君) 答弁は不要だということでありますが、私、先ほど申し上げましたのは、提案者としてことば足らずだったことで誤解があったかと思いますが、先ほど来、大臣及び局長から合併現況について御説明がありました。したがって、合併目標の七千三十八が六千三百六十一達成せられて、九割達成せられているということに対して、たとえ政府が言うごとく一割が残っているとしてもということでございまして、決して一割を今後合併対象にしているという意味ではございませんので、その点はひとつ御了解いただきたいと思います。
  134. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 他に御発言もなければ、これにて本法律案についての質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  135. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。よって、本法律案についての質疑はこれをもって終局いたします。     —————————————
  136. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  137. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  138. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  渡辺君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺君。
  139. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいま可決されました農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対しまして、附帯決議を提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。   農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、農業近代化資金制度の円滑な運営をはかるため、左記事項の実現に努めるべきである。      記  一、農家の焦付負債が重圧となって、その経営改善意欲を阻害している実情にかんがみ、速かにその実態を調査の上、適切なる措置を講ずること。  二、融資対象施設融資条件については、一般金融情勢と農業経営の現状に即応し、とくに金利を年五分以内に引下げるとともに、今後農民の要望、農業の進展状況に常時対応できるよう弾力的運用をはかること。  三、農林漁業金融公庫資金と本資金との融資分野を調整し、共同利用施設とくに農業団体に対するものであって、本資金において融資することを適当とするものは、すみやかに、これに一元化するよう検討し、措置すること。   右決議する。
  140. 山崎斉

    委員長山崎斉君) おはかりいたします。  渡辺提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  141. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂田農林大臣
  142. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) ただいまの附帯決議の御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処いたしたいと考えております。     —————————————
  143. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 続いて、農業信用基金協会法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  144. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  農業信用基金協会法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  145. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  渡辺君から発言を求められておりますので、これを許します。渡辺君。
  146. 渡辺勘吉

    渡辺勘吉君 ただいま可決されました農業信用基金協会法の一部を改正する法律案に対して、附帯決議を提出いたしたいと思いますので、御賛同を願います。  案文を朗読いたします。   農業信用基金協会法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  政府は、農業近代化資金制度の円滑な運営をはかるため、左記各項の実現に努力すべきである。     記 一、農業信用基金協会の保証機能を一層拡大するため、次の措置を講ずること。  (1)政府都道府県に対する農業信用基金協会出資補助は、基金協会が、それぞれ農民の要望を充たすにたる保証を行なうに必要な額に達するまで継続すること。  (2)農業信用基金協会の経営の安定をはかるとともに、保証業務の積極的運営を行なわしめるため融資資金を大幅に増額すること。 二、農業信用保険協会の保険金の支払は、請求あり次第直ちに支弁するよう措置すること。 三、融資機関の残存債権及び農業信用基金協会の求債権の回収については、各機関の負担が実質的に公平となるようつとめること。 四、基金協会の保証料は今後引き下げるよう検討すること。 五、本制度と比較し、極めて不充分な漁業、林業信用保証制度については、速かにその不均衡を是正し、とくに林業信用基金制度現行入割保証を十割に拡大すると共に、融資対象範囲の拡大、政府出資の増額等その改善につとめること。   右決議する。
  147. 山崎斉

    委員長山崎斉君) おはかりいたします。  渡辺提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  148. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。坂田農林大臣
  149. 坂田英一

    ○国務大臣(坂田英一君) ただいま決議されました附帯決議の御趣旨を十分尊重し、今後検討の上、善処いたしたいと考えております。     —————————————
  150. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  151. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  152. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  153. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 続いて、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  155. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 全会一致と認めます。よって本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本日、可決すべきものと決定いたしました四法律案について、参議院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成については、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  156. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後五時二十一分散会      —————・—————