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鶴園哲夫君
先ほど私が申しましたように、種目別に言いますと、家畜というのは三十六年は一六・四%を占めておる、それが三十九年には年々低下している、非常な勢いで低下してきておる、五・一%——三分の一以下に落ちてしまった。いま
局長は、部門別におっしゃった、部門別に言いますと、畜産部門と果樹部門と
一般農業部門とに分かれるわけですが、畜産部門は三十六年の発足当時四三%、それが三十九年には二五%という形になり半分に落ちてしまった。それに対して果樹部門はほとんど一定しておる、六・一%から七・一%とほとんど停滞をして動かない。
一般農業部門は、言うまでもなく逆にぐんぐん成長していく、伸びる、こういう形なんです。それが
農業基本法の目的とする選択的拡大とかいう
立場から言った場合に、これは私考えなければならぬのじゃないかと思うのです。いま
局長がおっしゃった
近代化資金の
法律の目的という点については、あとほどもう少しお伺いしようと思います、今度の
改正とからんでお伺いしようと思うのですが、いずれにいたしましても、私はこの
基本農政が、
農業基本法の農政というものが、
農業構造改善事業と
制度融資によって行なわれたというふうに言われている、その場合の
制度金融というものがどういう
役割りを果たしつつあるかということが、私はこれではっきりするのじゃないかと思うのです。
局長、ふえればいいですよ、減っていくのですから、三分の一以下に減ってしまった。これは決して
金融農政の責任だとは言わないです。もちろん農政なり、あるいは今日の非常な激動する
農業の
実情の反映だと思うのですけれども、
金融農政が果たし得る限界というものは、これは何と言ってもはっきりしてきていると言わなければならぬのじゃないかと思うのですね。
続いて、これに
関連して申し上げたいのですが、この
農業漁業
金融公庫ですね、この
公庫の
資金も御
承知のように、
基本法が成立をいたしましてから、
内容的に大きな変貌を遂げるわけですが、つまり
農業基盤整備というものが圧倒的主流を占めておったものが、それにかわりまして、
農業構造改善、経営改善の
資金、つまり個々の農家に貸す
資金というものが、これが急速に伸びてきて、いまやこの基盤整備というものを追い越している、首位に立つ。ですから、
農業漁業
金融公庫というものは基盤整備と
農業経営改善、この二つによって占められておるというふうに言っていいわけなんです。特にこの
基本法農政以来の
農業経営改善に対する
融資というのはたいへんな勢いで激増する。しかし、その
内容はまことにかんばしくない。これも部門別に見まして、
計画に対する
実績ですね、これを見ますというと、畜産の拡大経営という面についてはわずかに二二%しか伸びない。
計画に対して二二%。まことにお粗末ですね。果樹園の経営改善については六八%。農地の取得
資金というのがたいへんな伸びで一一七という伸び方ですね、
ワクに対しまして。それから未墾地の取得
資金、これが実に二四七というたいへんな大きな
ワクに対する
実績を持っておるわけですね。ですから、少なくともこの選択的拡大と言われ、あるいは
基本法農政という
立場から見た場合には、これははなはだしく懸念すべき
状況だと言わなければならぬのじゃないかと思うのです。で、未墾地の取得
資金が二四七、
ワクに対しまして二倍半という
貸し付けをしている。あるいは農地の取得
資金というものが一一七という、これによって
農業経営改善
資金というものは九三%という
消化率を持つわけです。しかし、この農地の取得
資金なり、あるいは未墾地の取得
資金というのは決して
政府が予想しているような形になっていないということは御
承知のとおりであります。農地の流動化というものが自立経営につながっていないということは
農業白書も明らかにしているとおりですし、また、幾つかの事例調査でもこのことを明らかにしている。これは地主的土地取得、財産保持的な土地取得というふうに言って過言ではない。そういたしますと、
金融公庫、
公庫融資というものが
農業基本法と同時に大きくその性格を変えてきた一体その成果というものはどこにあったのかということになりますと、これはまことに予期に反する、全く予期に反する、そういう形になっておるのじゃないかと私は思うのです。ですから、その点についての
局長のひとつ
考え方をお伺いいたしたい。