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1966-04-12 第51回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十二日(火曜日)    午前十時三十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         山崎  斉君     理 事                 野知 浩之君                 和田 鶴一君                 渡辺 勘吉君     委 員                 青田源太郎君                 梶原 茂嘉君                 小林 篤一君                 櫻井 志郎君                 園田 清充君                 田村 賢作君                 仲原 善一君                 温水 三郎君                 森部 隆輔君                 八木 一郎君                 鶴園 哲夫君                 中村 波男君                 森中 守義君                 矢山 有作君                 北條 雋八君    国務大臣        農 林 大 臣  坂田 英一君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君        農林大臣官房長  大口 駿一君        農林省農林経済        局長       森本  修君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○農業信用基金協会法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 山崎斉

    委員長山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案農業信用基金協会法の一部を改正する法律案を議題とし、その提案理由説明補足説明提出資料説明を聴取することにいたします。坂田農林大臣
  3. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  近年、国民所得向上国民食生活高度化に伴い、食肉需給規模は著しく拡大し、牛肉につきましても、需要の着実な伸長が見られておりますが、肉用牛飼養頭数が、農業機械化の進展による役畜需要の減退、肉用牛飼養基盤脆弱性等事情から急速に減少してきたため、牛肉供給不足が漸次顕在化するに至り、最近牛肉価格高騰をもたらしているのであります。  このような牛肉需給逼迫価格高騰は、国民食生活に重要な影響を与えているところでありますが、国民所得向上食生活高度化に伴い、今後とも、食肉需要は、全体として増加基調をたどることは確実であり、この中にあって、牛肉自体もわが国民の嗜好に適した食品として強い潜在需要を有することは見のがし得ないところであります。  以上のような事態に対処して牛肉需給の安定をはかるためには、肉用牛資源維持増大肉用牛飼養経営改善を通じて、国内供給力の増強をはかることを基本とすべきことは言うまでもないのでありまして、このことは、同時に、農山村における農業振興にも寄与するゆえんでもあります。  また、牛肉需給は、国際的にも逼迫基調で推移するものとみなされますので、恒久的に牛肉供給一源を安易に海外に求めることには問題があり、諸外国の例から見ても、可能な限り、国内自給の確保をはかることが必要であると考えられるのであります。  このため、政府におきましては、生産流通等全般にわたる肉用牛対策を積極的に推進してまいることとし、昭和四十一年度におきましては、肉用牛繁殖育成センターの設置、肉用繁殖雌牛導入に対する助成等につきまして、別途所要の予算を計上してあります。  しかしながら、事の性質上これらの対策によって即効を期待することは困難がありますので、当面は、増大する需要をまかなうためには、輸入増加に待たざるを得ないものと考えられるのであります。  以上のような事情を考慮いたしますと、国際市場動向に即応した牛肉輸入計画的実施をはかるとともに、牛肉輸入増加国内生産維持拡大悪影響を及ぼさないよう、国内需給動向に十分配慮しつつ、輸入牛肉国内放出を行なうことが必要となってまいりますが、この一連の業務畜産振興事業団に行なわせることが適当であると考え、ここに畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を提出した次第であります。  以下、この法律案内容につきまして御説明申し上げます。  その第一は、畜産振興事業団輸入牛肉買い入れ及び売り渡し業務を行なわせることであります。  さきに申し上げましたとおり、牛肉国際市場動向にかんがみ、牛肉輸入計画的実施をはかるとともに、牛肉輸入増大国内生産維持拡大を阻害しないよう、国内需給動向に即して、輸入牛肉適時適量国内放出を行ない、牛肉需給調整をはかる必要があるので、畜産振興事業団輸入牛肉買い入れ及び完り渡しの業務を行なわせることとするものであります。  第二は、畜産振興事業団輸入牛肉買い入れ及び売り渡し業務にかかる財務及び会計に関する規定整備であります。  畜産振興事業団は、輸入牛肉買い入れ及び売り渡し業務に関する経理につきましては、特別の勘定を設けて他の業務に関する経理と区分して行なわなければならないものとし、あわせて、この特別の勘定において利益金を生じた場合には、その一部を肉用牛生産合理化のための事業その他畜産振興に資するための事業に対する助成に要する経費財源に充てるものとしております。  第三に、以上の措置に関連して必要な諸規定整備を行なうことであります。  以上が、この法律案提案する理由及びその主たる内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。     —————————————  次に、農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農業近代化資金は、昭和三十六年に制定された農業近代化資金助成法に基づき、農業者等に対する長期低利施設資金として融資されてきておりますが、現在、その融資残高はおよそ千五百億円にのぼり、農業者等資本装備高度化及び経営近代化の推進に寄与してきたところであります。また、農業近代化資金制度は、農業協同組合系統金融機関資金農業部門への活用という側面においても、系統金融機関特に農業協同組合段階における長期貸し付け金の比重を高める等相当の貢献をしてきたところであります。  この制度につきましては、制度創設以来、逐年、融資ワク拡大及び制度内容改善をはかり、農業者等資金需要にこたえてきたところでありますが、今回、最近における農業者等資金需要動向に即応して、その資本装備高度化経営近代化を一そう推進し、あわせて最近の組合系統金融の情勢のもとにおいて系統金融機関資金の一そうの活用に資するため、資金種類範囲拡大償還期限及び据え置き期間延長農林中央金庫貸し付けに対する政府の直接利子補給の道を開く等の諸措置を講ずることといたしたのであります。  次に主要な改正点については御説明いたします。  改正の第一点は、資金種類範囲拡大であります。すなわち、畜産経営農家及び果樹等栽培農家経営安定的発展をはかるため、今回新たに、農業者等資金需要に即して、果樹その他の永年性植物及び乳牛その他の家畜の育成に必要な資金であって政令で定めるものを農業近代化資金に加えることといたしております。  改正の第二点は、償還期限及び据え置き期間延長であります。現在、償還期限については十五年、据え置き期間については三年の範囲内においてそれぞれ政令で定めるとされているところでありますが、今回、これらの現行規定を改め、償還期限については二十年、据え置き期間については七年の範囲内でそれぞれ政令で定めるものとすることといたしております。  改正の第三点は、農林中央金庫貸し付けについて政府が直接利子補給を行なう制度の新設であります。これにより、政府は、農林中央金庫がその所属団体等に対し、農業近代化資金貸し付けるときは、当該貸し付けにつき利子補給金を支給する旨の契約農林中央金庫と結ぶことができることといたしております。  改正の第四点は、貸し付け相手方範囲拡大であります。すなわち、農業近代化資金貸し付け相手方として、新たに、一定の要件を備えている団体法人格を有しないものを加えることであります。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。  次に、農業信用基金協会法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  農業信用基金協会は、農業近代化資金制度の一環として、昭和三十六年に制定された農業信用基金協会法に基づき、農業近代化資金を借り入れる農業者等債務につき保証を行なうことを目的として各都道府県に設立されたものであります。  政府は、この制度創設以来、都道府県が行なう同基金協会に対する出資に対し補助を行なうことにより、同基金協会助成につとめてきたところでありまして、現在、同基金協会の保有する債務保証のための基金は、およそ九十五億円、保証残高はおよそ八百億円にのぼっており、同制度農業近代化資金融資円滑化相当役割りを果たしてきたところであります。  しかしながら、最近の農業金融におきましては、農業者等に対する資金供給円滑化をはかるという観点から、債務保証等による信用補完制度の果たすべき役割りはますます大きくなってきております。最近における農業者等資金需要は、年々長期かつ大口化しつつありますが、農業近代化資金の主たる融資機関である農業協同組合は、その規模が零細なものが少なくない等の事情に制約されて、このような資金需要を円滑に充足しがたい面があるとともに、農業者受信力の面についてもその担保力には限界があるのであります。  したがいまして、農業者等資本装備高度化及び経営近代化を一そう推進するためには、農業者等受信力補完融資機関の貸し出しに伴うリスクの軽減をはかり、農業近代化資金がこれを必要とする農業者等に円滑に供給されるよう措置する必要があるのであります。  このような観点から、今回新たに農業信用基金協会が行なう債務保証につき保険を行なう制度を設ける等の措置を講じまして、現行債務保証制度の一そうの整備強化をはかることといたしたのであります。  次に、主要な改正点について御説明いたします。  改正の第一点は、都道府県農業信用基金協会及び農林中央金庫による自主的な機関として、これらの者の発意により設立される農業信用保険協会に関する規定を設けることであります。  農業信用基金協会は、全国を区域とする法人とし、その会員たる資格を有する者は、農業信用基金協会及び農林中央金庫としております。  同保険協会業務は、第一に、農業信用基金協会が行なう農業近代化資金にかかる債務保証及び農林中央金庫が行なう同資金貸し付けにつき保険を行なうこと並びに第二、農業信用基金協会に対し、その農業近代化資金にかかる保証債務の額を増大するために必要な原資となるべき資金及びその履行を円滑にするために必要な資金貸し付けを行なうことであります。  また、その他同保険協会業務に関する行政庁監督等所要規定を設けることとしております。  改正の第二点は、保険協会農業信用基金協会相手方として行なう保証保険及び農林中央金庫相手方として行なう融資保険について、それぞれ、保険契約の締結、保険関係内容等につき所要規定を設けることであります。  なお、保険協会は各農業信用基金協会に対し、その保証業務に必要な資金貸し付けを行なうこととしておりますが、農業信用基金協会がその貸し付けを受けた資金保証債務の弁済に充てるための資金として管理する等その管理方法等につき所要規定を設けることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容であります。何とぞ、慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。
  4. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめて。   〔速記中止
  5. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。  桧垣畜産局長
  6. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由を補足して御説明を申し上げたいと存じます。  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきましての提案理由につきましては、すでに大臣から説明を申し述べましたので、ここでは省略することといたしまして、以下、この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。  第一に、畜産振興事業団輸入牛肉買い入れ売り渡し業務を行なわせることといたしたことであります。  現行畜産物価格安定等に関する法律におきましては、指定食肉について、安定価格を定め、価格がこの安定価格帯の中で安定するよう、畜産振興事業団指定食肉買い入れ売り渡しを行なう価格安定制度を設けており、従来豚肉指定食肉としてこの制度を運用してきたのでありますが、牛肉につきましては、従来はその価格漸騰傾向にありながらも、比較的安定的に推移してきており、豚肉のように周期的な価格変動を示す事態がなかったこと、また、流通機構が未整備なため、価格形成が必ずしも需給の実勢によって的確に誘導される実態になく、しかも整形方法の不統一、品質のばらつき等から規格ごとに具体的な価格を定めることが不可能であったこと等により、指定食肉として指定していないのでありまして、この事情は今日といえども変わっておらないのであります。  しかしながら、さきに申し上げましたような事情から、牛肉輸入増加せざるを得ないこととなりまして、輸入牛肉買い入れ売り渡しを弾力的機動的に行なう必要を生じましたため、牛肉については、指定食肉価格安定制度とは別個に、畜産振興事業団輸入牛肉買い入れ売り渡しを行ない、牛肉需給調整をはかる制度を設けることとするものであります。  すなわち、畜産振興事業団は、牛肉輸入計画的実施のため、農林大臣の承認を受けて、輸入にかかる牛肉買い入れることができるものとする一方、その保管する輸入にかかる牛肉を、原則として中央卸売り市場において売り渡すものとしております。  この売り渡しにつきましては、国内生産維持拡大悪影響を及ぼすことを防止する観点から、肉用牛及び牛肉生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用牛生産牛肉消費の安定をはかることを旨として農林大臣方針を指示することといたし、同事業団は、この方針に従いましてその保管する輸入牛肉売り渡しを行なわなければならないものといたしております。  なお、牛肉について、指定食肉価格安定制度とは、別個の制度を設けることとしたことに伴いまして、牛肉指定食肉対象範囲から分離することとしたしております。  第二に、畜産振興事業団輸入にかかる牛肉買い入れ売り渡し業務を行なわせることに伴い、同事業団財務及び会計に関する規定整備することといたしたことであります。  まず、畜産振興事業団の行なう輸入牛肉買い入れ売り渡し業務にかかる経理については、新たに特別の勘定を設け、現行業務についての経理と区分して整理することといたしております。  次に、この特別の勘定において利益を生じました場合におきましては、その利益のうち一部を積み立て金として一定額まで積み立てることとし、残余を助成業務にかかる特別の勘定に繰り入れ、肉用牛生産振興等事業に対する助成業務に要する経費として使用させることといたしております。  また、畜産振興事業団輸入牛肉買い入れ売り渡し業務にかかる特別の勘定において、万一損失が累積するような事態が生ずる場合に備えて、この繰り越し欠損金を補てんするため、政府は、現行助成業務に必要な経費財源に充てるための交付金のほかに、同事業団に対し、交付金を交付することができることといたしております。  第三に、以上の措置に関連いたしまして、この際、畜産振興事業団の監事の権限を強化し、役員の欠格条項を手直しする等所要規定整備をすることといたしておりますほか、附則におきまして、この法律案施行期日を公布の日といたしておりますとともに、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法における畜産物価格安定等に関する法律の適用についての特例に関する規定につきまして、所要の整理をいたしております。  以上をもちまして、畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案提案理由補足説明といたします。  引き続きまして、お配りをいたしております参考資料について簡単に御説明をいたしたいと存じます。  資料の第一ページは、農業の総算出額耕種、養蚕、畜産の別に分かちまして、昭和三十年以降三十九年の概算に至ります算出額を掲げたものでごごいます。畜産が上段の右半分のところに畜産計とありますように、三十年千六百七十億円から三十九年には四千九百九十五億、約五千億円に増大をしておるということを示しておるのでございます。一ページの下段のワク内は、それぞれ当該年度における算出額を前年度と対比してその増減指数をもってあらわしたものでございます。  次に、二ページでございますが、二ページは、ただいま申し上げました一ページの農業算出額というものが、耕種その他が種目別にどういう比率を占めておるかということを示すものでございまして、三十年には米が五三%、畜産を引き出して申せば、畜産が一〇・五%というウェートでございましたものが、三十九年には米が四五・六%、畜産が一八・六%という、数字構成が変わってきておるということを示すものであります。なお、過去の中でもって最もウェートの多かったものは、三十八年の一九・五%でございますが、三十九年のウェート畜産についての下がりは、卵価の低落が響いたものと推測をされます。  それから三ページは、牛の飼養頭数でございまして、肉用牛乳用牛の別に書かれてあります。この表でもごらんのように、肉用牛につきましては、昭和三十一年が戦後最高飼養頭数でございまして、二百七十一万頭ということでございますが、四十年にはだんだん飼養頭数が減少いたしまして、百八十八万頭というふうに減っておる。一方、乳用牛については、三十年四十二万頭、四十年百二十八万八千頭にふえておるということを示しておるのであります。  右のワクは、牛の飼養農家戸数及び一戸当たり平均飼養頭数を示しておるのでございまして、肉用牛につきましては、三十一年の二百三十二万戸というものが最高ピークでございまして、徐徐に戸数も減少いたしまして、四十年は百四十三万四千戸。一方、乳用牛のほうは、三十年の二十五万三千戸から三十八年四十一万七千戸にピークに達しまして、その後微減をいたしまして、四十年戸数三十八万戸ということを示しておるのでございます。一戸当たり飼養頭数では肉用牛につきましては、ごらんのとおり、ほとんど増減がないのでございますが、乳用牛については、三十年当時の一・七頭から四十年の三・四頭というふうに、ちょうど倍にふえているということを示しております。  次に、四ページは、これは肉用牛地域別飼養状況を示しておるのでございまして、農家戸数並びに農家飼養頭数で示したものでございます。ここで注目をすべきといいますか、一つの傾向を示しておりますのは、東北九州飼養農家数においてもウェートが高まってまいりまして、最も和牛中心的生産育成地帯とされております中国が漸次そのウェートを下げつつあるということでございますが、なお相当ウェートを持っておるということを示しておる表でございます。  次に、五ページでございます。これはただいま地域別飼養戸数並びに飼養頭数を時期別に増減の率を示したものでございまして、全体としてのウェート変動というものが、ここでも東北南九州のところで顕著にはっきりと出ておるということを示しておるのでございます。  それから次に、肉用牛飼養地域別普及率平均飼養頭数飼養農家指数、そういうものを示しておるのでありますが、これもただいま申し上げましたような事情を、いま申した面から分析をしてみたものでございまして、示します指標は同様の意味を持っております。  それから七ページは、経済地帯別肉用牛飼養状況を示しておるのでございまして、まず、左の欄は飼養農家構成でございますが、ごらんのとおり、農山村、山村飼養農家戸数の総農家戸数に対する割合も非常に高い、また、飼養戸数比率も高い、飼養戸数全体の構成比も高いということを示しておりますが、平地農村がなお相当ウェートを持っておりますことは、これは肥育地帯としての意味を持っているというふうに理解されるわけでございます。  それから、右の欄は肉用牛地域別飼養主目的別飼養農家割合でございますが、ここでは過去の数に比べますと、国用飼養主目的が漸次ふえてきておる。ただ、あとでも出ておりますが、使役目的のものが相当残っておりますけれども、耕うん機普及等から考えますと、一部使役及び肉目的という性格のものがやはりこの使役の中にあがっておるのではないかと思われるのでございます。  八ページは、ただいまの表を経済地帯別、それから飼養主目的別戸数割合で示したものでございまして、肉用牛役用牛子取り用というふうに分けておりますが、肉用は、ごらんのように、都市近郊なり、平地域において相当ウエートを持っているということでありまして、農山村、山村には役用がなお残っている色彩が高い。子取り用農山村、山村においてほとんど七四%という大きなウエートを持っているということを示しているわけでございます。  九ページは、今日まで日本の肉牛の飼養というものが非常な変革を来たしてきた原因と思われます農業用トラクター動力耕うん機使用台数年次別に掲げているのでございまして、農業用トラクター動力耕うん機を含めまして、昭和三十五年から急速に台数がふえ、三十七年以降の伸びが顕著であるということでございまして、この時期に漸次役用和牛の飼育が衰退に入ったといううらはらの数字を示しているものと思います。右の欄は農業用トラクター動力耕うん機普及状況でございまして、先ほど申しました役用が若干残っていると思われます農山地帯普及率が低いということを示しているものであります。  それから一〇ページは、食肉需給の推移でございまして、昭和三十年から三十二年は、一時牛肉輸入自由化を行なったときでございまして、三十二年に二万二千トンということで、戦後最高輸入量が見られるのでございます。三十三年以降は再び外割り制度に戻りまして、大体四十年の一万トンに至ります間には五、六千トンの輸入が行なわれてきたということと、昭和三十三年ごろまでは大体十三、四万トン一程度消費量でありましたが、その後漸増をいたしまして、三十四年から三十七年ごろまでは大体十四、五万トン程度、つまり一万トン程度消費量増大ということが続いたのでございますが、三十八年に入りまして急激に増加いたしまして、消費量として十九万トン、三十九年には二十三万トンというふうに急増してまいったということを示しているのでございます。豚肉等につきましては着実に肉の消費量がふえており、また輸入は、よほど高価格のときに調整用に輸入した場合があるほかほとんど入っていないということを示しております。馬肉につきましては、ごらんのように、だんだん輸入が漸増をしてまいりまして、三十九年度には二万七千トンにまで達した。四十年度には、輸出国の事情等でこれまた減少している。同様の事情が綿羊肉にもございまして、三十九年に六万トンまで輸入が達したものが四十年には五万トン程度まで下がっているということで、食肉の最近の需給事情というものがこういう点でもやや窮屈になりつつあるということを示しているものである。  それから一一ページは、肉用牛並びに乳用牛の屠殺頭数の推移でございまして、屠殺頭数は肉用牛乳用牛ともに漸次屠殺頭数はふえてきているということを示しておりますが、四十年に入りまして肉用牛の屠殺頭数は前年度よりも減ってきているということを示しております。それから、下の欄は、食肉消費水準でございます。日本は肉の消費量は、三十九年で年間一人六・六キロを食っているということを示しております。  それから一二ページは、世界の主要国の年間一人当りの食肉消費量を、主要の国について参考にあげているのでございますが、ごらんのように、日本は家禽肉を除きますと三十九年は五・二キログラム程度、それに対しまして、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、アルゼンチンというふうな主要な肉牛の生産国の消費量は非常に大きい。日本の十五倍あるいは二十倍というような消費量を持っているということを示しておるのでございます。  それから次の一三ページは、牛肉の年間の消費量でございまして、日本は三十九年が一人当たり一・八キロ、そに対してアメリカ四十四・九キロ、ニュージーランド五十キロ、オーストラリア四十五キロ、アルゼンチン七十七キロというふうに、主要な牛肉生産国は非常に高い消費量を持っているということを示しております。  それから一四ページは、豚肉の年間の一人当たり消費量でございます。  それから右の欄はひつじの肉の年間消費量でございます。  それから一五ページは、家禽肉、鳥の肉の年間の一人当たり消費量でございます。これもわが国の消費量は、これは一九六三年でございますから、昭和三十八年のものでちょっと古いわけでございますが、一・二キロということで、カナダでありますとか、アメリカでありますとかいうような消費国に比べますと、非常に低い水準にあるということを示しております。  それから二八ページは、肉類消費の構造の推移でございまして、三十年度には牛肉というのは約四六%、半分に近いウエートを持っておりましたが、三十九年にいきますと、牛肉は二七%ということで、四分の一程度ウエートになっておる。それにかわりまして、豚が三三%から三九%というふうにふえ、鳥肉が一三%から二一%というふうに急激にふえているということを示しておりまして、牛肉食肉構成におけるウエートが漸減をしつつある姿を示しているのでございます。  それから一七ページは、肉用牛価格の推移でございまして、これは農林省の統計調査部の「農村物価賃金調査」にあらわれたもので、成牛については農家の購入価格、子牛価格は農家の販売価格で示しております。三十九年までの数字がないものですから、最近の傾向は必ずしも明確に出ておりませんわけですが、多少、大ざっぱな言い方をいたしますれば、四十年度には成牛の平均価格は、三十九年六万五千円とありますが、大体十二、三万円程度、それから子牛は平均が、三十九年三万三千円となっておりますが、おそらく四十年度は平均して六万円をこしているだろうというふうに思います。  それから一八ページは、牛肉価格の推移でございまして、これはどうも対比すべき数字がないのでございますが、産地の生体肉の牛の平均価格というのは、これは農林省の物賃調査によるもの、卸売りは日本銀行の卸売り物価、小売りは総理府の小売り物価をあげているのでございます。これはいずれも個々の調査でございますために、対比が必ずしも適切ではないということも言えますことと、それから、いずれ御説明をいたしたいと思っておりますが、産地価格は、これは生きた牛全部の重量から割り出したキロ当たり価格でございまして、卸売り価格も、枝肉というのは、これは生体から内臓、皮をとったもののキロ当たり価格でございますから、対比する場合にはそういうことを考えなければいけない。それから、小売り価格は、枝肉から骨それから筋等をとりました生肉のキログラム当たり価格でございますので、これを段階別に並べます場合には、その点を御考慮に入れてごらんいただきたいと思います。  それから右の欄は、牛肉の輸出入の推移でございます。これは先ほど申し上げた数字をあらためて掲示をいたしたものを、特に金額をつけてお示しをいたしておるわけでございます。  それから一九ページは、牛肉の世界貿易の関係でございまして、第一番に、世界の主要国の牛の飼養頭数でございますが、これは最も大きいところはアメリカでございまして、そのほかフランス、オーストラリア、イギリス、西ドイツ等が大きな生産国ということに相なります。したがって、肉の生産量も、右の欄にありますように、ただいま申し上げたような国が生産量としては大きいわけでございます。ところが、次のページをごらんいただきますと、牛肉生産量として生産量の多いアメリカは、同時に、右下のほうの円で比率を示しておりますように、第一の輸入国でもある。イギリスも相当生産がございますわけでありますが、これが第二の輸入国、イタリアが第三番目の輸入国ということになるわけでございます。一方、輸出のほうは、アルゼンチンが最も大きな輸出国でございまして、次がオーストラリア、ニュージーランドというふうになるわけでございます。で、その輸出入関係を、どういう国がどこから輸入しておるかということを、右の欄の牛肉の輸出入量という形で、輸出のサイドと輸入のサイドとから掲げておるのでございます。われわれが、日本が輸入し得る現在の国としてはオーストラリア、ニュージーランドでございますが、それらの国のものが主として長く取引のありますイギリス、西ドイツ、アメリカ、イタリアというような国に売っておるということを示しておるのでございまして、日本の国際的な牛肉輸出入貿易の中におけるウエートは非常に小さい位置にあるということを示しております。  二一ページは、ただいま申し上げました主要な輸入国がどういう国から入れておるかということを一表に示したものでございます。  簡単でございますが、あわせて資料の御説明をいたしました。
  7. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 森本農林経済局長
  8. 森本修

    政府委員(森本修君) 農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。  まず第一点は、果樹その他の永年性植物及び乳牛その他の家畜の育成に必要な資金政令で定めるものを農業近代化資金に加えるための第二条第三項の改正でございます。  農業近代化資金は、農業者等資本装備高度化経営近代化に資するという観点から、現在、農舎、農機具等の農業生産に関連する施設資金の融通を行なうこととなっておりまして、家畜飼養農家及び果樹等栽培農家につきましても、畜舎、畜産用機具、病害虫防除用機具等の施設にかかる資金のほか、家畜の購入または果樹等の植栽に必要な資金のみの貸し付けを行なっているところであります。  しかしながら、家畜飼養農家果樹等栽培農家におきましては、施設整備に多額の資金を必要とするばかりでなく、生産手段たる家畜及び果樹育成過程において飼料費、肥料費等に多額の現金支出を必要とし、しかもこれらの育成経費に充てるための資金は、中期にわたる育成期間を経過して初めて回収し得るという性格を有するものであるため、この間の農家の償還負担を可及的に軽減する必要があるのであります。また、このような育成資金は、生産家畜や果樹等の固定資本の形成と密着して必要となるものであり、資本装備高度化をはかるという農業近代化資金制度目的を達成するためには、家畜の購入資金または果樹等の植栽資金にあわせて、これらの育成資金を円滑に供給することが必要であると考えられるのであります。  このような観点から、今回、家畜飼養農家及び果樹等栽培農家資本装備高度化という要請にこたえるため、資金需要に即して、搾乳牛等の生産家畜の育成に必要な資金及び果樹その他の永年性植物育成に必要な資金農業近代化資金に加えることといたした次第であります。  これら資金貸し付け条件といたしましては、金利は、年六分以内、償還期限及び据え置き期間は、生産家畜の育成資金の場合には、家畜の購入資金に準じ償還期限五年以内、うち据え置き期間二年以内、果樹等の育成資金の場合には、果樹等の植栽資金に準じ償還期限十五年以内、うち据え置き期間七年以内といたしております。  なお、貸し付け限度額につきましては、現行貸し付け限度額の規定を適用し、施設資金とあわせて、協業経営の場合一千万円、個別経営の場合は二百万円、知事の特別の承認のあった場合五百万円といたす所存であります。  第二点は、償還期限及び据え置き期間延長を行なうための第二条第三項第二号及び第三号の改正でございます。  現行制度におきましては、償還期限及び据え置き期間は、それぞれ十五年及び三年の範囲内で資金の種類ごとに政令で定められているところであります。  しかしながら、昭和四十一年度から、農村及び農業者の環境の整備を推進するため、政令改正によりまして、農協病院、農業放送、簡易水導等の農村環境整備のための共同利用施設資金融資対象に加えることとしておりますが、これら資金のうちには、その施設の種類によっては、現行償還期限では必ずしも実情に即さないものがあると考えられますし、また、果樹等の植栽資金及び育成資金につきましても、その育成期間に比較的長期を要するため、現行据え置き期間では必ずしも十分でない面があるのであります。  このため、今回、この償還期限の限度を十五年から二十年に延長するとともに据え置き期間につきましても、三年から七年に延長することといたした次第であります。  第三点は、農林中央金庫が行なう農業近代化資金貸し付けについて政府が直接利子補給を行なう制度を設ける等のための第三条の二及び第三条の三の規定の新設でございます。  農業近代化資金利子補給は、従来すべて都道府県がこれを行ない、これに対して政府が補助するという方式をとっていたところであります。しかしながら、最近において農業資金需要は年々大口化しつつあり、とくに企業的大規模経営業務区域が二府県以上にまたがる農業を営む法人等の施設または全国段階における連合会の共同利用施設等にかかる大口の資金需要につきましては、農業協同組合または信用農業協同組合連合会の貸し付け及び都道府県による利子補給という従来の方法よりがたい面がありますので、かような場合には、全国的機関たる農林中央金庫がこれらの機関の貸し出し能力を補完して積極的にその貸し出しを推進するとともに、政府がその貸し付けにつき直接利子補給措置を講ずることが適当であると考えられるのであります。このような観点から、政府農林中央金庫が行なうこのような農業を営む法人所属団体等に対する貸し付けにつき直接利子補給金を支給する旨の契約を同金庫と結ぶことができることとし、この利子補給金の支給年限、利子補給金額の限度等につき所要規定を設けることといたした次第であります。  なお、あわせて、農林中央金庫が行なう農業近代化資金貸し付けにつきましては、現行農林中央金庫法第十五条の二の規定による「主務大臣の認可を受けて十箇年以内の貸付け」という制度を緩和することといたしております。  第四点は、貸し付け相手方法人格を有しない団体を加えるための第二条第一項第四号の改正でございます。  先ほど申し上げましたように、昭和四十一年度から、農村環境整備のための資金融資対象に加えることとしているところでありますが、このような環境整備資金の実情に即した融資を推進するため、今回新たに、法人格を有しない団体で一定の要件を備えているものを共同利用施設資金貸し付け相手方に加えることといたした次第であります。  以上、法律上の改善措置について御説明申し上げましたが、来年度におきましては、これらの措置にあわせて、融資ワクを八百億円に拡大するとともに、貸し付け金利につきましても、一般施設資金及び共同利用施設資金の金利を五厘ずつ引き下げることとし、借受者の負担の軽減をはかり、農業近代化資金の一層の伸長を期しているところでございます。  以上、簡単でございますが、本法律案及びこれに関連する主要な問題についての補足説明を終わります。  次に、農業信用基金協会法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。  まず、農業信用保険協会の組織に関する第三章第一節の規定の新設について御説明申し上げます。  第一に、農業信用保険協会の設立及び会員についてでございます。  同保険協会は、会員たる資格を有する者十五人以上が発起人となり、創立総会を開く等協会設立のための事務を行い、主務大臣による設立の認可、設立の登記等所定の手続を経て成立することといたしております。その設立手続等につきましては、農業信用基金協会の設立に関する規定を準用いたしております。  保険協会の会員たる資格を有する者は、農業信用基金協会及び農林中央金庫とし、その加入及び脱退は任意といたしております。また、会員の有する議決権は、第七十一条の規定により各一個としておりますが、同条ただし書きの規定により、出資の額が政令で定める額以上である会員に対しては、その出資金の額に応じて政令で定める基準に従い、定款で定めるところにより、二個以上の議決権を与えることができることといたしております。これは、農業信用基金協会の場合と同様に会員一人当たり各一個及び出資一口当たり一個の議決権を与えることといたしますと、農林中央金庫のように他の基金協会に比べて相対的に多額の出資を行なう会員の発言権だけが特別に強大になるということを避けるためのものでございます。なお、会員の出資、持分の譲渡、加入及び脱退等につきましては、おおむね基金協会規定を準用いたしております。  第二に、保険協会業務についてでございます。  保険協会は、農業近代化資金の融通を円滑にすることを目的として、(一)保証保険及び融資保険並びに(二)農業信用基金協会に対する貸し付け業務を行なうことといたしております。  保証保険と申しますのは、農業信用基金協会が行なう農業近代化資金にかかる債務保証についての保険でありまして、今回の制度改正の主眼目をなすものであります。また融資保険とは、農林中央金庫が行なう農業近代化資金貸し付けについての保険でございます。  なお、農業信用基金協会に対する貸し付け業務は、各基金協会農業近代化資金にかかる保証債務の額を増大するために必要な原資となるべき資金及びその履行を円滑にするために必要な資金を低利で融資するものでありまして、この貸し付けにより、各基金協会保証機能の拡充とその経営基盤の強化に資することを期しているところであります。  第三に、保険協会財務及び会計に関する事項でございます。  保険協会農業信用基金協会及び農林中央金庫が会員となり、その出資によって設立される自主的な機関ではありますが、その行なう事業の公共性に着目いたしまして、特に政府が同保険協会に対し、保険金の支払い及び貸し付け財源に充てるため、交付金を交付することといたしております。四十一年度における政府交付金といたしましては、保険事業における保険金支払いの財源に充てるべきもの四億円、貸し付け事業における貸し付け財源に充てるべきもの四十億円を予算に計上いたしているところでございます。  なお、保険協会は、保険事業に関して保険準備資金を、融資事業に関して融資資金を設けるものとし、保険準備資金にあっては、会員からの出資金及び保険金支払いの財源に充てるべきものとして政府から交付された交付金の額をもってこれに充て、融資資金にあっては貸し付け財源に充てるべきものとして政府から交付された交付金の額をもってこれに充てることといたしております。なお、これらの資金は、いずれも保険協会の損益計算上の損失を埋める場合を除いては、取りくずしてはならないものといたしてございます。  その他、利益及び損失の処理、責任準備金の計算とその積み立て等についても、所要規定を設けております。  第四に、保険協会の管理に関する事項でございます。  まず、定款の変更、業務方法書の変更、事業計画の設定及び変更等につきましては、総会の議決事項とし、主務大臣の認可または承認を受けなければならないことといたしております。また収支予算の設定及び変更についても、同様に主務大臣の承認を受けなければならないこととしております。  保険協会の役員は、定款で定めるところにより、総会において選任することといたしますが、その選任にあたっては、主務大臣の認可を要することとなっております。その他、定款の記載事項、規約、役員の定数、総会の招集等保険協会の管理に関する事項につきましては、おおむね現行農業信用基金協会に関する規定を準用することといたしております。  その他、保険協会の解散及び清算並びに行政庁による監督につきましても、所要規定を設けております。  次に、農業信用保険協会が行なう保証保険及び融資保険について、保険契約の締結、保険関係内容等に関して定めております第三章第二節及び第三節の規定について御説明申し上げます。  まず、保険契約の締結に関する第七十八条の規定についてでございます。保険協会は、毎事業年度、基金協会相手方として、基金協会政令で定める額以上の額の農業近代化資金貸し付けにつき保証をした場合には、当該保証をしたことにより、また、当該政令で定める額未満の貸し付けにつき保証をした場合には当該保証をしたことを保険協会に通知することにより、その保証につき、保険協会とその基金協会との間に保険関係が成立する旨の契約を締結することができることといたしております。これは、基金協会のリスクの軽減に資するため、政令で定める額以上の比較的大口の貸し付けにかかる保証については、基金協会保証をすれば当然に保険関係が成立する包括保険とし、当該政令で定める額未満の小口の貸し付けにかかる保証については、基金協会の選択により保険関係が成立する選択保険とする趣旨のものでございます。なお、保証保険保険関係においては、基金協会が借り入れ金につき保証をした金額を保険価額とし、基金協会が借り受け者にかわって行なう借入金の全部または一部の弁済を保険事故とし、保険価額に百分の七十を乗じて得た額を保険金額としております。  次に、基金協会が支払うべき保険料の額は、保険金額に政令で定める率を乗じて得た額とし、具体的には、貸し付け利息の徴収方法と同様に、年年の保証残高に応じ、年〇・三%程度保険料を徴収する考えでおります。  基金協会が代位弁済をした場合には、保険協会から保険金の支払いがなされることとなりますが、その保険金の額は、基金協会が代位弁済をした借り入れ金の額から基金協会保険金の支払いの請求をするときまでに借り受け者に対する求償権を行使して回収した金額を控除した残額に、百分の七十を乗じて得た額としております。  また、保険金の支払いを受けた基金協会は、その後も代位弁済に基づき借り受け者に対する求償権を有しておりますので、保険金の支払いの請求をした後にその求償権を行使して債権を回収した場合には、その回収金の額に百分の七十を乗じて得た金額を保険協会に対し納付しなければならないことといたしております。  なお、農林中央金庫貸し付けについて行なう融資保険につきましても、おおむね同様の規定を設けております。  改正の第三点は、保険協会基金協会に対する貸し付けを行なう制度を設けることに伴い、基金協会の当該借り入れ金についての管理方法等を定める第九条の二の規定の新設でございます。  従来、基金協会は、会員からの出資金、準備金の繰り入れ金等を代位弁済に充てるための基金として、預金、金銭信託等流動性のある形態で管理していたところでありますが、今回、先ほど申し上げましたように、基金協会保証機能をさらに拡充強化するため、保険協会から基金協会に対し、資金貸し付けを行なうこととし、基金協会は、自己資本たる基金のほか、この借り入れ金についても、代位弁済に充てるための財源として、従来の基金と同様に流動性のある形態で保有しておかなければならないことといたした次第であります。  なお、この保険協会からの借り入れ金をもって管理する資金は、このような特別の役割りをになうものでありますので、その使用については、代位弁済及び保険協会への借り入れ金の償還に充てる場合のほかは、特に主務省令で定める場合に限り使用することができることとしております。以上が、この法律案による改正の重点でございますが、このような改正による新たな制度内容に即し、法律の題名を農業信用保証保険法と改めるとともに、関係規定につきまして、所要整備を行なうこととしております。また、附則におきましても、農業近代化資金助成法等関係法律規定所要整備を行ない、また、保険協会農林中央金庫の所属団体たる資格を与えるほか、登録税、印紙税、地方税、所得税及び法人税につきまして、税制上の優遇措置を講ずる等所要規定を設けることといたしております。  なお、以上の改善措置のほか、法律改正事項ではございませんが、債務保証制度改善措置の一環といたしまして、基金協会債務保証の限度率の引き上げの措置を講ずることといたしております。従来、基金協会が行なう債務保証の限度は、貸し付け額の八〇%以内としているところでありますが、今回、これを原則として一〇〇%、例外の場合には九〇%に引き上げることとし、さらに一そう借り受け者の受信力補完融資機関のリスクの軽減をはかり、農業近代化資金の円滑な融通を期したいと考えている次第であります。  簡単でございますが、以上をもちまして本法律案及びこれに関連する主要な問題についての補足説明を終わります。   〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕  次に、お手元にお配りしております「農業近代化資金助成法の一部を改正する法律案関係資料」。  一ページは、農業近代化資金制度現行制度による仕組みを図説によって書いておるわけでございます。まん中にあります融資機関、これは御案内のように、主として系統農協が指定をされておりまして、そのほかに、銀行あるいは信用金庫も融資機関にすることができるということになっております。これに対しまして、国及び都道府県から利子補給がなされております。都道府県と国が折半をして融資機関に対して利子補給をしておるわけであります。  それからもう一方は、農業信用基金協会が借り受け者に対して債務保証をしております。その出資の額は、国及び県がそれぞれ折半をして、この農業信用基金協会の出資に要する額の半額を出しておる、こういうふうな形になります。実際の出資額等は後ほど出てまいりますから、そのときに御説明申し上げます。  それから二ページに参りまして、二ページは、農業近代化資金資金種類別の貸し付け条件、融資条件を書いたものでございます。で、償還期限は、それぞれの資金種類によりまして、耐用年数等を考慮して、五年から十五年の間になっております。  それから据え置き期間は、主として二年ないし三年ということになっております。  それから利率は、個人農業者に対するものは、現行六分五厘、それから共同利用施設ということで農協等に貸し付けますものは、七分五厘ということになってございます。  それから右の欄は貸し付け限度額でございますが、ここにありますように、個人に対しましては原則として二百万円、知事が特認をいたしました場合には五百万円まで貸せられるということでございます。なお農事組合法人その他協業に対しましては一千万円が貸し付け限度額。それから農協等の共同利用施設は五千万円、農林大臣が特別に承認をいたしますれば、五千万円以上必要額が貸せられる、こういうことになっております。  それから三ページへ参りまして、三ページのほうは、資金種類別の融資額を書いてございます。三十六年から三十九年まで、年次別にその状況が出ております。一番下から二番目の欄が融資ワクということで、これは毎年度予算上設定をされます融資予定額でございます。三十六年が三百億、ずっと増加しまして三十九年度が六百億ということで、なお四十一年度は八百億ということに予算上のワクはなってございます。その上が各資金種類別の融資実績でございまして、三十九年度は約五百三億ということでございます。一番下の欄が予算上の融資ワクに対する貸し付け実績の比率ということで、俗に消化率といわれておる比率でございます。若干三十八年度、三十九年度は、この比率が低下してきております。それから、それより上のほうは、資金種類別の貸し付けの実績でございますが、一番割合として多いのは、個人施設の第一号資金ということで、いわゆる建構築物——農舎、畜舎等の建物に対する融資、それから農機具はほぼこれに匹敵する融資実績を示しておるというふうな状況でございます。  それから四ページへ参りますと、三ページで実数をもって書きましたのを、四ページは構成比でもって書いておるわけであります。構成比で見てまいりましても、先ほどの実数と同様の傾向でございますが、個人施設と共同利用施設の割合と見ますと、個人施設が八五%ということで、個人施設の中でも建構築物、それから農機具等はいずれも三九及び三六%ということで、この両者を合わせますと大体七五%ぐらいになるということで、あと共同利用施設の建構築物、倉庫でありますとか選果場でありますとか、そういうものが一一%程度を占めておるというのが、資金種類別の構成比の現状でございます。  それから五ページへ参りますと、農業近代化資金の三十九年度末の融資残高でございます。それぞれ各年次別貸し付けをいたしましたものの三十九年度末の融資残高を表にしておるわけであります。全体としまして、三十九年度末では千三百八十二億の融資残高でございます。それぞれ年次別貸し付けましたものの内訳がここに出ております。  それから六ページへ参りまして、地域別融資の承認状況、それぞれブロック別に三十七年から三十八年、三十八年から三十九年に至る融資の伸び率を示しております。それから一番右がそれぞれ各地域別融資割合といいますか、シェアを書いてございます。この表をごらんいただきましてもおわかりになりますように、東北及び九州がいずれも両年度とも対前年比一〇%以上の伸び率を示してございます。ただ、まん中辺の東海辺は、両年度とも前年に対しまして伸び率がそれほど多くはない、九〇%あるいは九五%といったような、状況であります。三十九年度の全国を一〇〇とした構成比は、関東が二〇%ということで一番高いわけでございまして、順次九州が約一九%、東北が約一八%といったような構成比を示してございます。  それから七ページへ参りまして、七ページのほうは、近代化資金貸し付けの原資の調達状況友書いてございます。これも全体を一〇〇とした構成割合でございます。で、右から二番目が三十九年度の合計、それから一番右が三十八年度というつくり方でございます。全体を一〇〇といたしまして、農協が窓口になって貸し出しましたものが、三十九年度では約八五%ぐらい、それから信連一四%、あと共済連、中金、銀行等がございますが、それぞれ零点幾つといったような数字でございます。単協が貸し出したうち、自己資金によりますものが、全体を一〇〇といたしますと、三十九年度で約五三%ということで、あと転貸資金として信連から借りましたものが三〇%、それぞれ共済連、中金から借りております。三十八年から三十九年への推移を見ますと、単協の自己資金の貸し出しの比率が四九%から五三%というふうに増加していることが一つの傾向でございます。  それから八ページへ参りまして、七ページへ比率として書きましたものの実数を記載してございます。三十九年度全体で貸し出しましたのが五百三億ということで、そのうち単協が貸し出したのが四百二十五億ということ、それから信連が約七十億程度というふうな貸し出しの割合になっております。単協の自己資金が二百六十八億というふうなかっこうでございます。     —————————————  次に、農業信用基金協会法資料のほうを御説明申し上げますと、第一ページはやはり仕組みを書いてございまして、大体先ほど御説明したことと同じでありますが、右のほうが債務保証制度の仕組みでございまして、まん中辺に農業信用基金協会というワクがございます。会員としましては、都道府県、農協、農協連合会、農業者ということになっております。それからこれに対する出資者は、上のほうから参りまして政府が四分の一、県が四分の一、合わせて二分の一出資がなされていると、こういうことでございます。  それから二ページへ参りますと、債務保証の残高が出ております。近代化資金と、従来から引き継ぎました一般の資金との区分けで出ておりまして、三十九年度末では、合計をいたしますと七百七十億ぐらいになります。近代化資金がそのうち六百八十億、一般資金が九十一億、こういう形になっております。それからその下は近代化資金貸し付けましたもののうち、債務保証にかかっているものの比率を書いているわけで、いわゆる保証依存率ということでございます。で、一番下が個人、共同合わせて計がございますが、三十六年が五二%、それが漸次高まってまいりまして、三十九年度は六〇・九%ということになっております。個人、共同利用施設の比較を見ますと、個人施設のほうが保証に依存する割合が高い、こういうふうなことになっております。  それから三ページは、信用基金協会の出資先別の構成でございます。左のほうが近代化資金分のみを取り出したもの、右のほうは一般資金も加えたものということになっております。全体を一〇〇といたしますと、都道府県が約四九%、もちろんこのうちの半額を国が出しておる、そういうことであります。あとの割合を見ますと、単協が次ぎまして約二〇%、それから信連が一四%、以下市町村、その他といったような構成になっております。右のほうの一般資金分もほぼ傾向としては同じ状況であります。  それから四ページへまいりますと、農業信用基金協会の出資状況ということで、三ページへ図で出てまいりましたものの実数が出ております。近代化資金分としては、上から三行目にございますが、三十九年度が八十六億、それから一般資金を含めますと、一番上の右で百七億ということであります。それぞれ、都道府県、民間、民間の中の各団体割合が各年度別に出ております。  五ページへ行きますと、農業近代化資金保証金額別の構成比が出ております。十万円以下、十万円から二十万円ということで、漸次金額刻みで、全体を一〇〇とした保証割合が出ております。傾向を見ますと、十万円以下それから十万円から二十万円という保証の金額が、三十八年から三十九年度にかけまして割合としては減ってきておる。二十万円以上から五十万円、それから五十万円以上、いずれも全体を一〇〇とした割合増加をいたしておるということであります。三十九年度の保証構成比の一番高いもの、それが十万円から二十万円、次ぎますものが二十万円から五十万円といったようなことで、ここいらが保証の金額としては一番多いということになろうかと思います。なお注に書いておりますように、これは保証金額別でございまして、融資規模からいたしますと、これよりも二割方高い金額に換算をする必要があろうかと思います。  以上でございます。
  9. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 渡辺君から資料の要求の発言を求められておりますので、これを許します。
  10. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に関連して、資料の提出を求めます。順序不同でありますが、いわゆる畜安法で、四月一日に指定食肉にかかる豚の枝肉の安定上位価格、安定下位価格が告示されたわけでありますが、これが積算の基礎を明らかにした資料をまずお願いします。  それからまた、先月の二十五日、この委員会で大臣に私がお尋ねをして、大臣の答弁には断じて納得ができないままで打ち切りになっておりました、原料乳価格の同じく安定上位価格、安定指標価格ですか、それと保証価格、取引基準価格、それぞれが四月一日に告示されたわけでありますが、この告示をした価格の積算内容を詳細に内訳をつけて出していただきます。  次は、三十七年の五月に、農産物の需要生産長期見通しが出ておるわけでありますが、この中で、これから審議をせんとする食肉に関する部分を抜粋したものをまず提出を願います。  それから、三十九年六月に、肉用牛飼養の現状と対策の方向に関する調査報告があるわけでありまして、これの資料。  四十年の八月に、肉牛対策が肉畜出荷調整会議で発表されたその資料。  それから、ことしの二月に、肉牛生産の現状と対策の概要が出ております。これを出してもらいたい。  それから、先ほどの参考資料説明では、この肉牛の生産消費の統計については、四十年度の推定しか出ておりませんでしたが、これは注釈にもあるように、確定すれば訂正をするということですから、すでに年度を越えたわけですから、確定したものであればその確定と、四十一年度が問題なわけでありますから四十一年度の需給見通し、当然その中には輸入数量等があるわけですから、これの明細を提出を願います。いわゆる日食協なるものが従来取り扱い団体になっておるようであります。これが全然どうも内容が不分明でありますので、この日本食肉協議会、たしか三十八年ごろにはもう衣がえをしてスタートをしておるはずでありますから、三十八年、三十九年、四十年度の三ヵ年にわたってこの日本食肉協議会の事業が業体別にどれだけの計画があって実績がどうであるかという、計画と実績の対比を明らかにした、どんぶり勘定じゃなしに、それぞれの業体別の内訳を明らかにした三ヵ年の実績を、当初立てたであろう計画と対比したものがほしいわけであります。それから、その日本食肉協議会が買い入れた扱い商社、それがこの三年間にどれだけのものを食肉協議会に提供したか。これは業種別の内訳、過去三年、それからこの協議会というものがどういう事業をやることになっているか。その部分だけでけっこうですから、事業範囲を明らかにした定款の抜粋等あるでしょうからその部分だけでけっこうですから、この日食協の業務内容を明らかに知り得る資料を必要といたしますので、お願いいたします。  それから、この役員の名前と簡単な略歴と、常勤、非常勤で、待遇等を受けておればその待遇等をつけて明らかにしたものがほしいわけであります。  それから、この改正法案によって、今後は畜産振興事業団に一部を扱わせる政府原案でありますので、この畜産振興事業団について、これはまあ三十八条で業務範囲が明示されておりまして、その範囲で四十八条で経理区分が明らかに義務づけられておりますので、同じように三十八年、三十九年、四十年度はまだ決算にはなっていないと思うのですが、ほぼ四十年度の決算のおおよその数字でけっこうでありますから、その経理区分をした業態別の実績というものを明らかにしたものがほしい。  それから、五十八条及び五十九条では、監督をうたっております。農林大臣が五十八条に基づいて命令を発したことがあれば、その内容、また、会計検査院の検査があったとすれば、その報告、監事の報告、これは当然あるわけですから、日食協も、これは見なければわかりませんが、当然監事があると思いますから、これもさかのぼりますが、監事の監査報告、これを出していただきたい。  それから、輸入食肉の流通経路が一目でわかるような、これを図解をしたようなものでひとつお示しを願いたい。  まだ資料として、いま説明されたもの以外に必要なものがあるかと思いますが、いずれ審議の経過でまた追加をして提出をお願いすることになるかと思いますが、とりあえずこの程度資料を早急に御提出をお願いいたしたいと思います。  これらの資料はまだ出ておりませんけれども、社会党としては法案審議に協力する意味で、午後から同僚中村君を質問に立てますけれども、したがって、その資料の提出があれば当然その資料に関連してお伺いをいたしますが、資料の提出がおくれれば、またそれによって審議が渋滞することもあり得るわけでありますから、いま申し上げた資料は少なくともすみやかに提出をしてもらいたい。各項目全部出してもらえるものかどうか、それを委員長に確認をしていただきたいと思います。
  11. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) ちょっと待ってください。森部君から資料要求の発言を求められておりますので、続いてこれを許します。
  12. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 私も資料を要求したいと思いますが、府県の信連のなるべく最近の貯金の額——各府県別、なるべく最近のやつ。  それから貸し付け金、それから信連の固有資金、いわゆるプロパーの固有資金の貯貸率——貯金に対する貸し付けの率、これも各府県別に出してもらいたい。  それから同じく、最近、単協がだんだん合併して貯金の量もずいぶんふえてまいりましたので、単協の貯金の金額による区分、たとえば五億円以上十億円まで、あるいは十億円以上二十億、こういうふうに、まあ下のほうは五億円くらいで切っていいと思います。五億円ないし十億円、十億からあるいは二十億、二十億以上三十億、四十億以上の単協もあると思いますが、単協の貯金高の金額による区分ですね、これを出していただきたい。  それから単協の場合におけるやはりプロパーの貯貸率——貯金に対する貸し付け率、それもわかるだけひとつ詳細なものをもらいたいと思います。  それから、こういう数字政府のほうで調べたものがあるかどうかと思いますが、正会員に対する貸し付けと準会員、正会員以外に対する貸し付け、その割合が信連の場合、単協の場合、そういうものがあるかどうか。中金にはもちろんありますが、信連及び単協にそういうものを調査したものがあるかどうか。ありますか。まあわかるだけそういうものをひとつ……。  それから信連の焦げつき債権ですね、少なくとも返済期限が到来して、元金の償還が一年以上経過してなお元金の全額もしくはどれだけの部分というものがいわゆる焦げつきになっている、いわゆる焦げつき債権ですね、信連の場合。それから単協が合併のときによく問題になりますが、焦げつき債権の内容がわかれば、調べたものがあれば、これもひとつ出してもらいたいと思います。まだほかにあるかと思いますが、一応そういう数字をなるべく早い機会に提出していただきたいと思います。
  13. 園田清充

    ○園田清充君 畜産局長さん、私も資料ですけれども、簡単な資料だと思います。いまの畜産物価格の問題に関連をしますけれども、国立の試験場その他に、あるいは民間に委託された問題もあると思いますけれども、たとえば乳肉兼用のジャージー、あるいは肉専用のアンガス、あるいはヘレフォード、こういうものを何年ごろから何頭お入れになって、そうしてその試験の結果がどうなっているか、できましたら次回の委員会までにひとつ資料を提出していただきたいと思います。
  14. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) ただいまの渡辺君並びに森部君、園田君の資料要求に対して政府委員は御発言願います。
  15. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 三先生の御要求の資料につきましては、大体御要求の資料の提出はできると存じます。ただ多少お断わりはいたしたいと思います点が一、二ございまして、肉用牛生産対策の概要と申しますのは、それを使用いたします場合によりまして多少精粗の別だけで扱った同一のものじゃないかと思われますので、なお御指摘の点、帰って調べてみますが、御要求の趣旨に沿った資料を出したいと存じます。  それから、十番目の資料であったと思いますが、日本食肉協議会の扱った輸入食肉の取り扱い商社の取り扱い実績を出せということでございますが、協議会は肉の売買にはかかわっておりませんので、過去において輸入商社としてどういう商社がどれだけのものを扱ったかということをわかる範囲で提出するということでお許しを願いたいと存じます。  それから、最後に御要求のございましたジャージー、アンガス、ヘレフォード等の輸入の実績、それからその成績等、わかる範囲内では御提出いたしたいと思います。
  16. 森本修

    政府委員(森本修君) 森部先生の御要求の資料でございますが、大部分のものはあると思いますが、ただ、単協段階のこまかい資料がどの程度整いますか、できるだけ整えて出したいと思います。  なお、焦げつき債権につきましても、いまちょっとどの程度あるかわかりませんが、帰りましてよく調べてわかるものは出したいと思います。
  17. 森部隆輔

    ○森部隆輔君 焦げつきは農林漁業金融公庫の分もわかればひとつ示していただきたいと思います。  畜産関係で、最近乳用牛の牝犢牛をハム・ソーセージなんかの原料にしないで、肉用にだいぶする傾向がだんだんたかまってきたわけですが、そういう数字が、最近のことですから、あるいはまとまってないかもしれませんが、どの程度——大体三十万頭前後少なくとも牝犢が年間生まれると思いますが、そのうちのどの程度が加工用に回され、ハム・ソーセージ等に回され、肉用としてどの程度利用されているか、そういうものの数字調べたものがありますかどうか、あればひとつ示していただきたいと思います。
  18. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 乳用牛牝犢の肉資源としての活用のための育成というのは、ごく最近に始まった程度でございまして、農林省の統計調査でもそういう調査はしておりませんし、ただいま実は私どものほうも統計調査にたよっては数字が出てまいりませんので、都道府県に各県の動向についての調査を依頼しておるところでございまして、現段階では残念ながら数字として提出することはいたしかねるのでございます。何かそういう傾向的なものを、私どものほうで資料としてまとまりますようでしたら、御提出したいと思います。
  19. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 先ほど食肉用との関連で伺ったことですが、それはいまの局長の答弁で了解しました。  私ちょっと資料で落としましたのは、畜産振興事業団が四十年までの過去三年に乳製品の落札をさせておりますが、この入札をした業者とその数量を、三年にわたって明らかにしたものが追加の第一点。  それから、特に牛肉が問題でありますから、牛肉にしぼって、実際加工に回ったものがどれだけか、そういう仕向け、非仕向けの実態、これは調査資料があると思います。それを食肉としてではなしに、牛肉についての内訳があれば、その加工向けの仕向け、非仕向けの相関関係を明らかにした資料が必要だと思います。その二点を追加してお願いします。
  20. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 事業団の乳製品の放出にあたっての落札結果につきましては、これは提出できると思います。できると思いますが、帰りまして直ちに調査をいたします。  それから輸入牛肉でございますが、輸入牛肉の加工向け、それから生食用の用途別は、厳密には実はつかまえきれないわけでございますが、加工用は、加工業者の需要者割り当てということで割り当てておりますので、そういう結果を提出したいと思います。
  21. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  22. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) 速記を始めて。  暫時休憩いたします。    午後零時十五分休憩     —————————————    午後一時十七分開会   〔理事野知浩之君委員長席に着く〕
  23. 野知浩之

    ○理事(野知浩之君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。  畜産物価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑に入ります。中村君。
  24. 中村波男

    ○中村波男君 最初に、肉牛対策についてお伺いをしたいと思うのでありますが、昭和三十一年に二百七十万トンをピークにいたしまして、その後減る一方で、現在では二百万トンを大きく割りまして百八十八万トンぐらいでないかと思うのでありますが、平均十万トンずつ減ってきた。この結果の反対に、消費量は年々と伸びまして、三十八年には二十万四千トンでありましたのが、三十九年には二十三万トンになり、昨年はやや伸び悩みをしておるようでありまするけれども、それでも二十一万トンになっておるのじゃないかというふうに考えられるのであります。したがって、牛肉価格が上がりっぱなしで、東京の卸価格は三十四年の枝肉平均でまあ二百四十円であったものが、三十九年には三百六十円、四十年は急騰いたしまして、きょうの新聞による昨日の芝浦の枝肉相場を見てまいりますと、去勢牛に例をとりますと五百三十七円、上物は六百五十円、やや停滞をしているようでありまするけれども、高騰には目をみはるものがあると思うのであります。  そこでお尋ねをいたしたいのは、今日の肉牛資源の不足を招いた原因でありますが、これは何と言っても牛肉消費需要増大に対する予測を誤ったのじゃないか、その予測を誤りましたから、楽観をしておりましたから肉牛生産施策がおのずから貧困であった、何ら手が打たれておらなかった、こういうように私は断ぜざるを得ないのでありますが、これに対する大臣の見解なり、また、過去の経験から今度どうするのかという、さらに具体的な施策なり方針を承って、順番に質問に入ってまいりたい、こう思うわけであります。
  25. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 肉牛の問題については、確かにいまお話しのとおりに、今年二百万トンを割って百八十八万トンというところへ減っておるわけでございます。これらの点につきましては、この肉牛のやはり増産を考えなければなりませんので、それらについては農林省においても施策は講じておったわけであります。それにもかかわらず、いま申しましたように非常な減り方を示しておるわけでございまして、私も就任早々とにかくこれは肉牛の増産をはかる必要があるというので、いままでももちろん施策を講じておるけれども、もっと徹底してこれを行なっていく必要があるというので、今回肉牛のやはり増殖の問題を従来よりもさらに格段これを拡大していくようにいたしたわけでございます。なお、御存じのとおり牛の繁殖は非常におそいという関係がありまするので、その増殖を急激にこれはばかっていくということにいたしますにいたしましても、一面、乳牛の問題も非常に考えなければならぬという関係もございまするし、国内の増殖だけではとうていこれは追いつかないという実情もございまするで、この際必要な分量の輸入というもので肉牛のいわゆる屠殺をでき得る限りこれを防ぎながら一面増殖のほうへ力を入れよう、両々相まってこの問題を解決していこうと、こういう考え方の上に立っておるわけでございます。
  26. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 ちょっと関連。いま大臣は、従来もやったが、四十一年度からさらに積極的な施策を講ずるという答弁の一節がありましたが、従来は一体どういうことをやってきたのですか。それから、この農林水産委員のメンバーで、過般芝浦屠場を見学したのですが、私なりに感じたことは、あの屠場に出ておる大家畜のうちではらみの乳牛がおった。それからスモールと称する犢のうちで牝犢が出ている。これは一体何を物語るかといえば、酪農で希望を失った農家が乳牛を肉高によってこれを屠場に送るという一つの因果関係をなしておる。いろいろやったかもしれませんが、ほとんど見るべきものがなかったという反省の上に立って、ここで百年の大計を立てるということならわかりますけれども、一体どれだけのことをやってこんな傾斜的な減退の方向にきているか。いま中村委員は、長期予測を見誤ったのじゃないか、非常に楽観ムードでこれは拱手傍観しておったのじゃないか、一体その予測はどうなのか。これは資料を、私が要求したものを目で見てからまた私もお尋ねをするつもりでありますが、たとえばわれわれ農林水産委員で昨年鳥取と兵庫の和牛の実態に触れて調査をしたのですが、どうも政府としてはこの肉用牛という独立した部門としての扱いが従来なかった。県段階ではかなり苦慮して、産地であるだけにそれぞれの施策をやっておるけれども、基本的な国の和牛についての、肉牛についての施策が見るべきものがなかったという不満は、これは末端で偽らざる声として出ておる。だから、従来もやったがという認識のしかたでは、私は四十一年度からの施策もこれはほんのごまかしにすぎない内容になるのじゃないかと思う。これはいずれ中村君から詳細にお尋ねをすることだと思いますが、従来やったというのはどういうことなのか、そうして、なおかつ、こういうふうにかつて二百七十万トンもあったものがもう百七十万トンくらいでしょう、いまおそらく。百八十八万トンなんというのはもうかなり古い統計で、この情勢では百七十万トン台に落ちていると思うのです。こんな状態をやはり反省しなければ、私はこれは日本の肉給源の施策としては何らこれは見るべきものがないじゃないかというふうに感ずるので、いままでどういうことをやってきたか。
  27. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私から事務的にお答えをいたします。  従来も、和牛といいますか肉牛対策について、お話しのように十分なものではございませんが、当面必要とされるという事業はやっておったつもりでございます。従来やっておりましたのが、素牛生産の主産地におきましては、優良な基礎牛の生産の刺激をいたしますために改良基地制度肉用牛改良基地制度というものを設けてまいりましたし、それからその改良基地から繁殖慣行のある地域に繁殖基地を設けて、そこで和牛の繁殖をやらせるというようなことを進めてまいったのが一つでございます。それから草地改良は今日から考えますと、肉牛生産には十分なといいますか配慮の……。
  28. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 もう少し数字的に具体的に言ってくださいませんか。抽象的じゃわからぬ。柱だけはあったって内容がどの程度数字説明してもらわぬとわからない。大臣答弁みたいなことじゃなくて、もっと事務的に答弁してください。
  29. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 従来、ただいま申し上げました改良基地としましては、昭和三十八年から黒毛和種につきまして中国五県と京都、兵庫におきまして二十ヵ所の改良基地を設け、赤毛和種について熊本に二ヵ所の基地を設けたのでございます。増殖基地については同じく三十八年から繁殖慣行を助長いたします目的で、黒毛和種につきまして四十五ヵ所、赤毛和種について十ヵ所の基地を設けてまいったのでございます。  で、なお一般的な問題になりますが、草地改良事業等も和牛生産育成、肥育の点を考慮いたしまして、草地改良の意欲のあるところには進めてまいる。それから寒冷地等特殊地帯につきましては、毎年約五千頭の肉用素牛の県有貸付制度を進めてまいったのでございます。さらに、一般的に肉用素牛を農協が農家に貸し付けをいたします場合に、これに対する利子補給意味で年二分の利子の補給をするというたてまえの事業を続けてまいっております。これは昨年度まで毎年一万頭の素牛について行なってまいったのであります。四十一年度からは、お話しのように、いままでやってまいりましたことについては、若干従来の日本の和牛生産育成、肥育という、そういう生産構造が固定的であるというような考え方をもとにした施策であった点は、これは反省を要するといいますか、再検討を要するというふうに考えられます。また、日本の和牛、肉牛の生産の実態が急速に変わっておるということから、公的な立場で繁殖用の素牛を生産し、それを農家に配付をするという事業を推進する必要があるということで、肉用牛の繁殖センターを今後三ヵ年間に全国に百ヵ所程度は設置いたしたいということで、四十一年度には初年度でございますので二十ヵ所の設置を行ないたいという考え方で、予算額では約一億円余りのものを計上をいたしております。これは繁殖用の牧場を整備をいたしますための施設の助成、さらにそこで係養をいたします繁殖雌牛につきましては県有の形で貸し付けをいたしますということにいたしまして、牛の購入費の二分の一を助成するという考え方をとっておるのであります。なお、草地の造成改良については、一般の草地改良事業助成を進めるということにいたしております。この金額はただいま申し上げました一億円余りというものの中には入っておりません。それから、さらにお話も出ましたように、繁殖用の雌牛まで肉用に売られていく、あるいは肥育用に売られていくということでございますので、繁殖用の雌子牛を農協が買い取りまして、子牛生産農家に貸し付けをするという場合に、それに対して年四分の金利補給相当助成を府県と共同して行なうということで、その二分の一を国が助成をするというたてまえで五年間の利子の前払い相当額を補助をするという仕事を始めることにいたしたのでございます。この頭数は一万頭でございます。そのほか生産の基盤になります草地の改良事業につきましては、肉用牛はいわゆる高度集約牧野の優良粗飼料だけを給与する必要はないわけでございますので、野草地の利用を進めるということで、野草地の利用について新たに助成の道を開き、さらに既耕地におきます飼料作物の作付の奨励は、従来酪農を対象に行なっておったものでございますが、四十一年度からは約六千町歩程度を予定をいたしまして、肉牛の肥育地帯についても飼料作物の生産のために必要な機械施設等の助成をするということを始めることにいたしたのでございます。  御質問について全部を尽くしていないかと思いますが、大略を申し上げました。
  30. 中村波男

    ○中村波男君 渡辺先輩からも追及があったわけでありますが、決して農林省としては拱手傍観しておったわけじゃないんだ、打つべきものは打ったんだという弁解でありますが、私は、今日の事態をほんとうに手が打たれておるんならば回避することができたのではないかというふうに思うわけであります。その裏づけとして二つあげることができると思うのでありますが、三十七年度公表の農産物需要生産長期見通しをまとめて見れば一目瞭然でありまして、三十一年以降飼養頭数は減少傾向をたどるけれども、飼養形態の転換が進むにつれて、減少から再び増加が始まって、昭和四十六年には二百二十二万頭にふえる、こういうことを見通しでは述べておるのであります。さらにこれを裏書きするものとして、畜産局が出しました調査報告書が物語っておるのでありますが、国際比価からして不足する部分は輸入に依存すればいいとして、近い将来需給調整輸入から恒常的輸入に切りかえ、かつ輸入量を漸次増加させることを検討するということを述べている。この考え方、この方針に基づいて進めてまいったのでありますが、まことに重大な事態を迎えまして、あわてふためいて和牛の増産対策と、肉牛のいわゆる肉の輸入ということから畜安法の一部改正、こういう措置を考えてきたと思うのであります。まあ、死んだ子の年をかぞえてみてもせんないことでありますが、この過去の日本に、和牛に農政なしという実態から、和牛に農政のあるという政策を今回こそ打ち出してもらわなければならないという立場で発言をし、これから質問を続けてまいりたいと思うわけです。  そこで、いま局長から四十一年度の施策のあらましについて御説明がありましたから、内容については、また具体的に一つ一つお尋ねいたしたいと思うのでありますが、十年後にはたして私は、いまの施策、いまの熱意、いまの予算の裏づけで二百五十万頭にふえるかどうかということについては、全く大きな疑問を持つものであります。その疑問を持つ理由としては幾つかありますが、大きくまず分けまして二つあると思うのであります。この二つを指摘いたしまして、具体的にお聞きしたいと思うのでありますが、とにかく国内の和牛が減ってきたという大きな理由としては、耕うん機その他のいわゆる農業の機械化による役牛としての使用価値が減退して、そういう面から減ってきたということを大きくあげておるのであります。私どもそのとおりだと思います。そこで、農業白書を見ますと、三十九年末でまだ四十八万戸にのぼる、パーセンテージでいうならば三三%のいわゆる使役目的飼養農家というものがあるというのであります。その後の統計はまだ存じておりませんけれども、まだまだ政府方針からいっても、農政の実態からいいましても、農業の機械化を進めなければなりませんし、また、いまの農業形態からいいまして、使役用のいわゆる和牛飼育というのが減ることは明らかであります。こういうことをまず計算に入れて、その失う部分を今度は増殖で補うということは、これは容易ならざるものがあるのではないかというふうに思われるのであります。  二つ目は、肉牛肥育が他の作物よりも所得率、利益性が著しく低いということであります。これが一番大きな問題であると思うのであります。農業白書でも指摘をいたしておりますように、三十九年度の「畜産物生産費調査」の事例によりますと、肥育牛一頭当たり純益は五百二十七円である。そこへ家族労賃九千八百七十円を加えましても、牛一頭当たりの収益は一万三百九十七円となっているのであります。また、子牛生産の点を白書で見てみましても、母牛一頭当たり三万円の赤字になっている、さらに加えて、家族労働報酬が一万四千三百八十五円の赤字になっている、こういう状況の中で、多少の補助金を出すから、牛は国内のいわゆる食肉需要の上から必要だから飼えと言いましても、はたして農民がついてくるかどうか、そのいい例が鶏であり、いわゆる酪農であり、豚であろうかというふうに思うのであります。これをどうして農民に納得させて飼わせるかということは、容易なことではないのでありまして、したがって、これらの点についてどう考えておいでになるか、したがって、もうかる和牛肥育というものは、どこに基準が置かれておるかどうか、具体的にまた聞いてまいりますが、一応お答えをいただきたいと思うわけであります。
  31. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 現在までの和牛のといいますか、肉用牛の肥育頭数が減少したという事実、それからその減少の背後には、農業機械の導入というものの一般化、農村における労働力の減少、それから、畜産物の中でも、相対的に肉牛生産というものが、あるいは肉牛の肥育というものが、収益性に劣っておったということが今日の状態を招いたという御指摘については、私どもも全く同感でございます。今後は、私どもとしては、役肉兼用の和牛生産なり肥育ということを考える段階ではもはやない、したがって、肉専用の和牛、あるいは肉専用の肉用牛というものの生産育成、肥育ということを推進をしていかねばならない、その場合の収益性の問題でございますが、従来の役肉兼用の場合には、これは牛の飼養ということを通じての収益性の問題を度外視した飼育が行なわれておった。つまり労働手段としての位置がございますので、そういうことであった、ところが、今後はそういうわけにはまいらない、したがって、経済性のある肉用牛生産育成、肥育ということを考えてまいり、また、それを推奨をしなければならぬ。いままでのところは、価格の関係におきましても非常に不利な条件があったのでございますが、最近の牛肉の値上がり、これはやや異常な現象ともいえるわけでございますが、牛肉の値上がりというものが、最近になりまして肥育牛の価格に反映するようになった、さらに、肥育牛の価格の値上がりが、子牛の価格の値上がりに結びつくようになった、つまり、それは従来の役肉兼用の子牛需要というものが、肉用肥育の需要に性質が変わってきたということだと私どもは理解をいたしておるわけでございます。でございますので、確かに消費者の一面から見ますれば、現在の肉の高騰ということは、非常に問題でございますが、一面、肉用牛生産を推進するという意味では、経済的な基盤としては従来のような状態とは変わってきたということは言えると思うのでございます。で、今後、一体どういうような経営であればそういう採算がとれるかというような点でございますが、私ども現在の肉の市場価格というようなものがやや弱まった程度の水準でものを考えてまいりましても、肥育経営については、たとえば最近ぼつぼつ出始めております多頭飼育の肥育経営というものでは、これは十分に採算がとれるはずであるというふうに考えられますし、また、子牛生産につきましても、現在の価格増高の中では、従来のように一頭飼いの子牛生産ということでは、これはむしろ農用残滓物等の利用という点に重点が置かれたと思われる節があるわけでございまして、採算のとれる子牛の生産ということになれば、少なくとも四、五頭の規模を持った生産経営というものを考えていくということにいたしますれば、私ども採算性の面、収益性の面においても、日本の和牛の将来が全く考えられないというような条件ではないというふうに理解をいたしておるのでございます。
  32. 中村波男

    ○中村波男君 いまいろいろ御説明があったのでございますが、まだ私をして十分納得せしめるような御答弁じゃありませんので、具体的に聞いていきますが、一番目にあげましたいわゆる役肉兼用の和牛というものが減っていくということを前提にして、十年後に現在から七、八十万頭ふやすということでありますが、その具体的な計画というものがあろうと思うのでありますが、それをひとつ、まずあげていただきたいと、こう思うわけです。
  33. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 先ほどからも御指摘にございますように、現段階では、百八十八万頭という昭和四十年二月一日の和牛飼養頭数が、さらに減少しておることは確実であると思います。まだ公表されておりません、統計の集計が終わってないようでございますが、おそらく百六十万頭を割っておるというような数字に相なっておるかと思います。現在の減少傾向というのは、いま直ちにはとまらない、後刻、四十一年の肉の需給見通しも、この御審議の参考に出すことにいたしておりますが、その際にも御説明を申し上げることに相なると思いますが、ここ二、三年はまだ減少が続かざるを得ないというふうに考えておるのでございますが、四十六年のころには、大体、飼育頭数を二百万頭ぐらいに戻したい、で、五十年——今後十年後に二百五十万頭程度飼養頭数に戻していきたい、これは大臣のお答えにもございましたように、和牛の増殖の生理的な限界があるわけでございまして、その生理的な限界の中で効率的に増殖をはかっていくという努力をいたしまして、そういう数字がわれわれの目標として立て得る一つの限度であるというふうに考えられるのでございます。もっとも、正直に申し上げまして、十年後に二百五十万頭になることは容易であるかというお話であれば、私は、相当の努力をしなければ、その水準へ飼養頭数増加していくということはできない、これは政府としましても、生産農家とともに考えられる有効な施策を着実に進めていく、精力的に進めていくということでなければ、この目的は容易には達成できるものではないというふうに考えております。
  34. 中村波男

    ○中村波男君 その二百五十万頭に十年後にふやすための具体的な政策の裏づけが四十一年度に出てきたと思うのでありますが、これはまた、あとに一つ一つお聞きすることにいたしまして、その前にまずお聞きしておきたいと思いますのは、現在わが国の牛肉消費量国民一人当たり六・六キロ、アメリカでは九十七キロになっておる。イギリスでは七十七キロ、フランス、ドイツでは六十キロに比べますと、比較にならない低いものでありますが、しかし、日本は米食中心でありますから、外国のようには伸びないといたしましても、今後相当伸びることは明らかであろうというふうに考えるのであります。したがって、まず需給の調整をはかりますためには、需要をどう見るかということが重大な指標になると思うのでありますが、したがって、畜産局として、十年後の家畜別の需給計画というものをどういうふうに立てておられるか、見通しをどう持っておられるか、これをまず承りたいと思うわけであります。
  35. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 日本人の摂取いたしております食肉の量が欧米先進諸国に比べて非常に低い水準にあるということは、御指摘のとおり、また資料として御提出を申し上げておるとおりでございます。日本の特殊な事情は、食肉のほかにたん白資源として水産物を世界で最も高い水準でとっておるということが一つ特殊条件としてあるわけでございます。今後の食肉需要予測をするということになりました場合にも、一体これから先、日本の経済成長度合いがどうなるだろうか、また、実質消費支出というものはどう伸びるだろうか、人口だけは大体推定がつくわけでございますが……。それから、いま言いました水産物の漁獲の動向がどういうことになるであろうかというようなことが全部予測要因として確定しませんと、はっきりしたことはわからないわけでございます。でございますので、農林省全体としましても、農産物の需給見通しというものについて中間的な検討を進めておる段階でございまして、したがって、私どもに与えられる統一的なデータじゃないわけでございます。でございますが、私どもとしても、一応畜産局としては、一定の前提を置いてどのくらいのことになるだろうかという予測をする必要がございますので、かりの試算をいたしておるのでございます。その試算は、一応現在の発表されております三十七年基準の農産物の需要生産長期見通しという路線を一応たよりにいたしまして、推定をするということをいたしますと、昭和四十六年の需要量は、長期見通しの中で食肉全体として百十三万八千トンないし百四十五万一千トンという数字に相なっておるのでございまして、その後の過程を加味いたしますと、昭和四十六年には長期見通しの百四十五万一千トンをやや上回る水準になるのではなかろうかという数字が出るわけでございます。大ざっぱに言いまして、食肉全体で百五十万トン程度というものが需要として見込まれるのではなかろうか、さらに十年後の昭和五十年につきましては、ただいまのような路線に立っての推定をいたしますと、現在の二倍強の消費量、約二百万トン前後の食肉の総需要量になるのではなかろうかという推測がされるわけでございます。  その食肉の内訳でございますが、これはこの分でも非常にむずかしくなかなかできないのでございます。これは生産関係、供給関係とからむ問題でございます。また、価格関係で大体が行なわれるものでございますから、その内訳を推測する、測定することは、これはむずかしい。私ども食肉一本でやっているのでございますが、ただ、御参考までに私どもの現在の考え方を申し上げますと、供給の側から見まして、鶏肉については今後卵用鶏の廃鶏肉はそう多くはふえないけれども、ブロイラーの消費増大に伴って供給も飛躍的に伸びるだろうということで、昭和五十年ごろには鶏肉の供給量は五十万トンをこすだろう。それから豚についても、生産は多少の波動を描きながらも順調に伸びているのでございます。昭和五十年のころには約八十万トン程度供給力を持つことは、それほど困難ではなかろう。牛肉につきましては、先ほど申し上げました約二百五十万頭の肉用牛飼養と、それから二百九十万頭前後の乳牛の飼養というようなものを前提にいたしますと、肉の供給力は三十万トンをやや上回る程度供給量になるだろう。そのほかヤギ、綿羊等の肉の供給量はほとんど現状と変わらない程度、合わせて一万トン以内だろうというふうに見ているのでございまして、そういう供給について一種の自然といいますか、一種の単純な予測的なものに立って考えると、やはり十年後に二百万トンの肉が必要であるということになると、若干の肉の不足状態がくるというふうに考えているのでございます。
  36. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 大臣にお尋ねしたいんですがね。いま局長は、十年後の肉牛の飼養頭数予測二百五十万頭と見たということですが、聞き違いならばこれは訂正をするんですが、それが生理的限界というふうなことを聞いたんですが、どういうことなんでしょうか。その二百五十万頭が十年後の見通しでマキシマムだということは、あらゆる点から見てもう最大限のものか。私は過去の統計から見ましても、三十一年は、何回も繰り返すように、二百七十万頭をこした肉牛の飼養頭数であるということから、十年後の需給見通し、肉のうちの牛肉だけについてみても、まだ需給のアンバランスだということは、いろいろな規制があるでしょうけれども、日本のように、こういう天然資源に恵まれた国土を持ちながら、こういう特にブリスケットを中心として、牛肉については特に外貨を獲得するこれはホープであるというべきだと思う。これは一つの私見ですけれども、むしろ需給バランスをとるというだけではなしに、いま現実にニュージーランドあるいはオーストラリアから多量の輸入を仰がなければこの高騰が押さえられないというきわめていびつな実態にあるんですけれども、いろいろな隘路があるわけであります。特に荒廃した雑木林とか、そういう山林原野を草地に造成するということを過般閣議で決定したような、ああいう長期十ヵ年計画の中に、私から見ればきわめて遠慮をした草地造成の十ヵ年計画だと思うんですが、こういうふうにもつと積極的な施策を集中して、十年後の展望としては、これをブリスケットにして輸出するというところまで一局める大きなこれは期待すべき日本農業のホープの一つでなければならないというふうに思うのですが、どうなんですか、これは。十年後までずっと今後も大臣をやるのではないでしょうけれども、少なくともあなたの在任中にそういう明るい展望を持った十ヵ年の構想等でもお示し願えれば非常に国民としてもこれは明るい取っ組み方ができるわけです。そういう方向というものは出ないのですか。
  37. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 渡辺委員の申されることについての問題でありますが、私もできることならそれくらいの伸ばし方をやりたいのでありますけれども、何と申しましても現在の情勢からいきまして、そしてまた中の生殖の、いわゆる豚のようにいかない、一年一頭程度の増殖の程度の能力でありまするので、私はやはり十年後に二百五十万頭というところまでもっていきまするならば、その後における増殖はまた相当進むものであると考えられますが、十年後に二百五十万頭という問題、そのことがなかなか、先ほど畜産局長も言ったように、これはよほどの努力を要する、私もさように考えておるわけでございます。もちろん先ほどお話しのとおり草地の造成、それからまた、先ほど畜産局長から言ったように、野草の問題、それらの点について一段の努力もしてまいりたい。なおまた、これはいま確定したわけではございません、検討中でありまするが、原野の問題にしても、植林をしながら和牛を養殖するといったような問題、これはもちろんいまここで申し上げるほどの検討はいたしておりませんが、現実の問題としては十数ヵ所、すでにその実行に移しておるので、これらの検討もいたしておるわけでございます。いま直ちにこの問題を申し上げるというところまではもちろん行っておりませんのでございまするが、さような問題、現在すでに政策として伸びておる点、それらの点以外に、いま申しましたいろいろの点を考慮いたしまして、でき得る限り十年後に二百五十万頭というところへもっていけることに努力をいたしたい、そこまでいけばまたこれは非常に伸びる機会を、非常によく伸ばし得るのではないかとも思われるぐらいでございます。まずそういう方向にいきたい。ところが、いま御了承のとおりに、非常に食肉として需要がありますることは御存じのとおりであります。したがって、どうしても一方、輸入というものでつっかえ棒をつけていきませんというと、そこまで伸ばすことが非常に困難であるという関係がありまするので、いま輸入というつつかえ棒をつけながらこれらの問題に専心努力を払ってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  38. 中村波男

    ○中村波男君 それでは昭和四十一年度の肉用牛振興対策の関係予算についてお尋ねをしたいと思うのでありますが、最初に肉用牛繁殖育成センターの設置予算でありますが、繁殖育成センターに三分の一国庫補助ということで設置を考えておりますし、さらに県有貸し付け牛、これは二分の一の補助のようでありますが、これを四十一年度は二十ヵ所、一ヵ所八十頭ずつの設置を考えておるのでありまするが、そこで、繁殖育成センターというものをどれぐらいの事業費を総体として見込んで三分の一を補助するのか。したがって、三分の一の補助ではたして生産団体が受けて立てるかどうかということについて、私は大きな疑問を持つものであります。聞くところによると、農林省は二分の一補助を考えておったようでありますが、大蔵省にばっさりやられたというようなことも聞くのでありますが、そういう自信があるのかどうか。また、実際そういう動きが下部で出てきておるかどうかということをまずお聞かせいただきたい。それから一ヵ所八十頭の県有貸し付け牛の二分の一の補助といいますが、このもとになる牛の価格を幾らに見込んで二分の一の補助をしようとするのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。
  39. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 四十一年度の肉牛対策の予算の総額は、草地改良関係の経費、それから飼料作物の導入に関する経費を別にいたしまして、合計で四億二千七百万円ということに相なっております。そのうち繁殖育成センターの設置につきましては、全国に二十ヵ所の繁殖センターを置くことにいたしまして、所要予算として一億八千万円を計上いたしております。これにつきまして当初要求の際に、施設の助成について二分の一の要求をいたしましたことはお話しのとおりでございます。最終的には三分の一補助ということに相なったのでございますが、これは団体——多くは農業協同組合あるいはその連合会が事業主体になる場合が多いわけでございまして、団体の施設の助成についての補助率はおおむね三分の一に統一をせられておるということで、私どもも二分の一の助成をしたがったのでございますが、三分の一ということで了承をいたしたわけでございます。ただ、繁殖素牛につきましては、先ほども御説明いたしましたように、県有の、所有権は県が持っておりまして、センターに貸し付けるという制度をとりますので、素牛の購入に対する助成は二分の一助成ということにいたしておる次第でございます。二十ヵ所の予定をいたしておりますが、そういうことについてセンターを設置しようという意欲がわいているかというお話でございますが、実は私どもも初年度で二十ヵ所、当初要求のとおり二十ヵ所の予算を提出して御可決をいただいたわけでございますが、この肉牛の繁殖についての意欲は現在相当範囲に燃え上がってきつつあるという段階でございまして、二十ヵ所の予算上の数に対してそれを相当上回る採択の希望が出ておりまして、現実にはその調整にやや頭を悩ましておるという事情でございます。でございますので、現在の予算措置によって少なくとも三ヵ年百ヵ所という繁殖育成センターの設置は、これを消化をするという意味では問題はないものというふうに考えております。なお繁殖素牛の導入に対する利子負担の軽減を目的とする補助の一頭当たりの購入費単価は、予算上は五万円ということに相なっております。
  40. 中村波男

    ○中村波男君 ちょっと質問に答えていただかなかったんですが、二十ヵ所つくるということですね、その繁殖センターの経営規模といいますか、総事業費をどれぐらいに見て、具体的にはどういういわゆる経営内容を持つものを考えておるのかどうか。
  41. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そのお答えいただく前に、私伺いたいのは、養豚センターというのは農協が経営主体でかなりやっておるわけですね。これは私の推定でありますけれども、全国を通観しますと、九割に近いものが独立採算で、計算をしまして赤字のはずであります。これは農林省、確認していますか、その実態を。私は大体そういう推定をしているのです。この種豚の増殖センターが九割程度が赤字であるということが事実であるかないか、私はこれが事実だとすれば、初年度として二十ヵ所やるんだ、しかし、これに対しては希望が多過ぎる、これをこなすのにどれを断わるか困るといううれしい悲鳴をあげておられるようでありますけれども、その農協にやらせるにあたって、これからいろいろ具体的な答弁があると思うんだが、五万円の単価ではたして一体これは現実的に手に入るかどうか、かりに五万円とした場合に、センターの独立採算が計数的にどう成立しているのか、農林省で。そしてその施設に対する補助が二分の一というものが三分の一で、それが採算が合うとすれば、これは最初から三分の一でよかったんじゃないですか。よそもそうだからこれもそうだというようなことじゃなしに、新しくやるんですから、やった結果赤字が出るのは、これは農協の責任じゃというわけにはいかんですよ、これは。あらゆる角度から検討して、経営的に見てこの条件でだいじ上うぶだから、希望があるならやれという親切心があるべきものです。大体まあ気のきいた農協の組合長は、いまのこの肉牛の政策の貧困に何とか協力して活路を求めようという、そういう気持ちでこれは申請をしているかと思いますけれども、はたしてそういう農協の責任者が農林省の指導する内容を十分理解して、ムードとしてではなくて、あるべき方向として協力することはこれはけっこうだと思いますが、農協は御承知のように一つの経済団体です。そのしりが、施設の二分の一が三分の一になった部分だけでもこれは赤字になることはあたりまえじゃないですか。それでもなおかつ、これが採算上黒字だという一つの明らかな数字を示して、これは指定をすべき親切心がなきゃいかんと思うのですね。  第一に、私は関連してお尋ねをするのは、種豚のセンターが各地でやっておるものの大部分が赤字である、だとすれば、新しくこれから和牛の肥育センターをやる場合、よほど政府は、それを引き受けてやるところの団体に迷惑のかからぬように、喜んでこれがさらに拡大していく拠点になるような、そういう大きな行政指導があるものと思いますので、それが計数的にどういう内容で採算が合うのかということを明らかにしていただきたい。
  42. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 中村先生の御質問にお答えを落としたところがございますので、まずその点をお答えをします。肉用牛繁殖センターの規模は係養繁殖牛の頭数八十頭を基準にする、その際所要の草地の面積はおおむね四十町歩ということでございます。  それから渡辺先生の御質問のうち、種豚センターについては農協の事業としてやっておるが、ほとんどが赤字だということでございますけれども、実は私ども種豚センターあるいは豚の繁殖センターの事業を始めましたのは、種豚センターが去年、四十年度で初めて助成をいたすことにし、増殖センターのほうは四十一年から初めて助成をするわけでございます。それ以前に、農協が独自にやっておられたものについての事情は、実はたいへん申しわけないことですが、不勉強で承知をいたしておりません。おそらく農協が組合員のための共同事業としてやっておりますものには、採算のとれるものもあり、また多少の赤字を生んでおるものもあるだろうということは推測をされるのでございますが、まあそういうような現状をも考えまして、種豚センター、それから豚の増殖センターの助成を新たに始めるようにいたしたのでございます。これは過去のものにつきまして残念ながらどういう経理状態になっておるか承知をいたしておりません。  それから、お話しに出ました繁殖センターの肉用牛繁殖センターに係養する素牛につきましては、これは相当形質のすぐれたものを導入する必要がございますので、これは予算単価は九万円にいたしております。九万円にいたしておりまして、これは国と県とで折半をして、全額をもって県有で貸し付けるわけでございますので、その点は問題なかろうというふうに思います。それから、施設の助成が二分の一から三分の一になったのはおかしいじゃないか。それで採算がとれるのかということでございますが、二分の一で国費と地元負担ということを考えておったのでございますが、予算の検討の段階におきまして、施設の補助は国が三分の一を補助し、県が三分の一を義務負担し、地元の負担は三分の一というやり方でやろうということで、ただいま申し上げましたようにきまったわけでございます。これの採算性の問題については、私のほうは予算の際に試算をいたしたものでは、三年目までは実はどうしても収入を伴いませんので赤字になるのでございますが、四年目からわずかな黒字になってくる。六年目以降やや黒字の額がふえるというような試算をいたしておるのでございますが、この点は新しい仕事であるし、政府としてはできるだけ親切にめんどうを見てやるべきであるという渡辺先生のお話、私どもも同感でございまして、一般会計での助成は、ただいま申し上げたようなことで、これ以上のことはいたしかねるのでございますが、現在、地方競馬全国協会の畜産振興費の運営について、本年度は、四十一年度は肉牛振興対策に最重点を置いた助成をするようにという趣旨を、私のほうからも伝えてありまして、その中で繁殖センターの運営に関する経費の一部を補助をしたい。いま、私、やや独断のそしりがあるかもわかりませんが、係養頭数一頭について一万円程度経費補助をして、当分の間はそういうことによって農協なり、あるいは市町村なりの負担の軽減というようなことをはかっていきたいものだというふうに現在検討いたしておる段階でございます。
  43. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 いまの前段の、三年間はどうしても赤字だ、四年目から黒字になるというその内訳を聞きたいわけです。それは、数字にわたることですから、手元にあるようですから、それを資料で出していただかぬと、これは数字ですから耳で聞いてもすぐわかりにくいから、それは資料で出してください。いいですね……。
  44. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私ども試算をしたものでございますが、そういう趣旨でお聞きいただきますならば提出をいたします。
  45. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうして、なお、それにはまだ見込んでいない係養頭数一頭について一万円というものをさらに助成措置を考えたいということですね。
  46. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ええ。
  47. 中村波男

    ○中村波男君 それで、いまお話しの中で、いおゆる貸し付けする素牛の単価を九万に見ているから大丈夫だというお話ですが、私は、まあ大丈夫だとは思えませんが、これはひっくるめてあとから指摘をし、質問したいと思うのであります。  二つ目の、肉用繁殖素牛導入事業でありますが、これもいまの御説明で一頭五万円を単価にいたしまして、五分五厘かける五ヵ年の二分の一の補助をやる、こういうことだと思うのでありますが、ここでちょっと理解できませんのは、農協等が農家に五ヵ年貸すということだろうと思いますが、五ヵ年貸すといいましても、実際借りた牛がいろいろな障害があってこどもを生まないというような場合がある、あるいは病気になるというような場合があると思いますし、また、採算が合わなければ途中から投げ出すということもあり得ると思うわけです。そういうことを考えますと、予算という本質からいいましても、五ヵ年間を見込んで一度に補助をするということは、予算を使う面から見て妥当ではないようにも思われますし、実態にも合わないのではないかというふうにも考えるわけですが、この間の考え方はどういうふうになっておりますか。
  48. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 繁殖素牛の導入事業に関する助成の要綱は、現在、政府内部で検討を詰めておる段階でございまして、最終的な結論を申し上げられる段階ではないのでございますが、私どもの考え方といたしましては、年々の利子補給をするということは、これは相当に行政技術的にも煩瑣でございます。これは繁殖素牛を導入いたしまして、それから子出しをする、収入が出てくるという期間における金利負担の軽減ということを実質的な内容とする定額補助にしたいということで、こういう予算措置をとったのでございまして、私は、予算技術としては、適当な方法ではないか。自分でやりましてそう言うのもおかしいのでございますが、適当な方法ではないのかというふうに思っております。  そこで、農協に対しましては、これの助成をいたしますについては、農協が善意で事業を継続し、そうしてその間に危険が生じた場合には、危険負担は自分でいたしますというところでございませんと、補助の対象にはいたしかねるのじゃないかというふうに考えております。で、農協と牛を借ります農家との間におきましては、一種の貸借契約を結んでもらうことに相なるわけでございますが、その中の条件の一つとして、農家が善良な管理者の注意をもって飼育をいたしておりましても、不可避の事故が起きる、あるいは繁殖障害等で経済的な利益が期待できないというような場合には、貸借関係の契約を解除をして返納をする、農協に返納するということができるようにしておきたい、また逆に、農協が、ある農家に貸し付けました場合に、その農家の管理、飼育の方法について、本来の目的を達成することがむずかしそうであるという場合には、返却を求めることができるように契約をさしておきたいというふうに思っておるのでございます。で、その場合に、何らかの危険が出るのでございますが、これは一定の危険率、従来の経験によります危険率だけは、五年目に農家に譲渡をするわけですが、そういうときには、農協としては全頭数に一定の危険率を加味したものを対価の内容として課する。いわば危険負担は導入せられた全農家において分担をするという思想を導入したらどうかというふうに考えております。
  49. 中村波男

    ○中村波男君 もうすでに予算が通っておる段階で、まだ貸し付け要綱がきまっておらぬというのは、どうも怠慢だと思いますし、そういうやり方については、納得がいかぬわけでありますが、ぜひひとつ、早くつくっていただいて、それを示していただくならば、予算審議は、予算は通っておりますけれども、われわれの審議する上において重要な資料であろうと思うわけであります。  それはそれといたしまして、次の寒冷地等家畜導入事業でありますが、これは四十一年度は四千頭、これも一頭が五万円と単価を見まして、二分の一補助というふうになっておるわけであります。さらに続いて質問をしておきたいと思うのでありますが、肉用飼育素牛導入事業、これは四十一年度二万六千頭につき購入資金の二%を補助するということになっておりますが、この飼育用の素牛の単価をどういうふうに、どのようなものを飼育用として貸し付けるかということについて、具体的に説明をしていただきたいと思うわけです。
  50. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 家畜導入の場合の単価でございますが、繁殖素牛については、予算上五万円ということで計上をいたしておるのでございますけれども、繁殖用素牛については、これは事実上雌牛のことでございまして、肉用牛よりはやや価格的には強いのが普通でございます。そういう事情もございますし、また、このことは将来の日本の肉牛資源というもの自身の動かす一つの要素にもなるわけでございますので、実はそういうふうな意味で検討の結果、この繁殖素牛の導入の場合については、それぞれの地域で若干子牛価格が違うのでございますが、七万五千円を限度として、地方農政局長の認定する購入単価までは容認をするということにいたしておるのでございます。あとの寒冷地等特殊地帯に対する肉用素牛の導入に関する助成、これは県に対する助成でございますが、これは単価五万円。それから肉用肥育用素牛の導入の単価は四万五千円ということでございまして、これは御指摘のように、現在の子牛価格の水準から申しますと、単価が低いのでございますが、この点は若干何といいますか、肉用に肥育をいたしまして、短期の肥育をいたす場合が多いのでございますので、実は繁殖素牛の導入のように予算単価の弾力性が認められてないのでございます。これは私ども若干気にしておる点でございますけれども、明年度四十二年度以降にあっては、実情に即するような単価ということで折衝いたしたいと思いますが、四十一年度の予算はただいま申し上、げたような実情でございます。
  51. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 関連。ちょっとさかのぼって恐縮ですが、繁殖育成センターで出たこどもは、これは農家へ売るわけですか。
  52. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) ここで出ました牛、生まれました牛は、客観的に申せば半分は雌、半分は雄が出るわけです。で、生まれました雌牛を農家に配付をいたしまして、生産素牛というものをふやしていこうというのがねらいでございますが、その配付の仕方としましては、農協の傘下の農家に配付する、あるいは近隣の農家へ配付するということに相なりますけれども、方法としましては売り払いの方法で配付をする場合と、それからいままで御説明しました繁殖素牛の導入事情の対象として、貸し付け方式をとるという場合も考えられると思います。
  53. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そこで私伺いますが、これを売り渡すという場合ですね、その場合私はやはりその買い入れる農家の購入に対して、これも二分の一の助成があってしかるべきじゃないか、要するに、ほんとうに肉牛の増産をやっていくというたてまえをとるならば、これは予算を伴うからなかなかすなおな返事は出ないと思うが、あるいは少なくとも今後五年くらいはその借り入れ金利は政府で見るとか、そういうところまでこれは政策的に波及したものを考えるべきじゃないかと思うのですが、これはどうなんですか。
  54. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 個々の農家へ政府助成によってできたセンターからの配付牛がいくわけですが、その際直接助成をするというのは、私は現在の国の補助の一般的なルールから非常に困難であるというふうに思うのでございますが、先ほどの、ただいま申し上げましたように、繁殖素牛の導入事業、つまり農協が介在をいたしまして農家へ貸し付ける場合の農協の金利負担を軽減するという措置は、これは結びつけ得られると思いますが、そうでない場合には、本年度から近代化資金の対象とすることになりました育成期間中の経営経費というのは、これは近代化資金の対象になりましたし、また繁殖牛自身の購入費も近代化資金の対象になっておりますので、金融上の問題として片づける以外にはどうも私はむずかしいのではないかという感じを持っております。
  55. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、問題は小さいわけでありますが、繁殖育成センターの素牛と、農協が行なう農家に貸す素牛との予算単価が、九万円と、七万五千円に差をつけておられるということは、農協のやる素牛については適当なことはわかりませんが、いわゆる最古同のものでなくとも二級品でもよろしい、こういう考え方に予算の面からはならざるを得ぬと思うわけです。それからもう一つは、これは予算を獲得される技術ということもあろうと思いますが、五年先の分まで出すということは、これは予算上義務負担的な予算の使い方でありまして、適当ではないのであって、少なくとも来年から予算化される場合には、はっきりと一頭につきどれだけの補助というふうな形をとったほうがわずらわしくもないだろうし、はっきりするのじゃないか、こういうことも考えるわけでありますが、これは予算獲得の技術もあろうと思いますので、問題は、五分五厘の五ヵ年の二分の一の補助さらに単価が七万五千円ということになりますれば、現在の市況等から見まして、実際には五分五厘ではなくなるのではないか、こういうふうに考えるわけであります。そこで、午前中の局長の御説明でも、大体四十年度の子牛の平均単価が六万円くらいだったであろう、こういう御説明があったように私は聞いたのでありますが、そこで、寒冷地等の牛については五万円という単価を見ていらっしゃる、これは全く実態と合わない考え方といいますか、予算の単価が置かれているというふうに思われる。そこで、最近、各地の状況等を聞いてみますと、政府の施策等の影響もありまして、子牛が、どんどんと高くなっておる。私は、岐阜県の高山で三月末に子牛の初ぜりがありまして、その価格を見てその感を特に強くするのでありますが、   〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕 雌の平均が九万一千七百七十余円、去勢牛が十万一千八百八十円、平均で九万八千五百九十九円になっておる。岐阜県ですらそういう価格になっておるのでありますから、少なくとも素牛として導入する子牛が九万円や七万五千円で実際には買えぬのではないか。そうなると事業量を減すのか、実質的には生産団体の負担がふえるのか、県が負担をふやすのか、こういう結果になろうと思うわけです。こういう現実の上に立ってこの予算を提出されたその後の経過から見て、これに対してどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  56. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 繁殖センターに係養いたします素牛と、それから農協の導入いたします繁殖素牛の単価との違いますのは、これはそれぞれ、になっております意味が違う、つまり対象となる雌牛の質差があるのが当然でございますので、予算上の差をつけたわけでございます。  それから、七万五千円では低過ぎるのではないかというお話でございますが、これは私どもの考え方は、平均単価として七万五千円で、多少の弾力は当然あり得ると。先生の地元の高山で非常に高い値段が出ておるというお話でございますが、ちょっとそれは私どもとしては、少し高い地域に属するのではなかろうか。先日も、子牛の生産地帯としては日本で有数の鳥取県の職員を呼んで最近の傾向を聞いてみたんですが、七万五千円の単価、あるいは繁殖育成センターの九万円の単価で制度に乗る程度の牛は入る。ただ、子牛の単価につきましては、一体何ヵ月ものをやるのかということは、これはまた違ってくるわけでございます。でございますので、先生のお話しになりましたのが何ヵ月後であるか、私どもの考え方は大体六ヵ月後、生後六ヵ月の子牛ということで考えておるのでございまして、そういう点からそう不自然な価格と思わないのでございます。ただ、寒冷地等の導入の場合に、単価五万円、それから肥育用素牛の導入の場合の単価四万五千円というのは、これはもう正直申し上げまして、予算措置が子牛の価格高騰に追っつかなかったということでシャッポを脱がざるを得ないと思うのです。実は、昨年度まで寒冷地については単価四万円、それから肥育用については三万八千円というのを、それぞれ五万円、四万五千円という程度に引き上げたということでございますが、これが、ただいま申し上げましたように、現実からはかなり離れた単価になっておるということは私ども釈明のしようがないのでございますが、四十一年度以降の努力ということで御了承をいただきたいと思います。
  57. 中村波男

    ○中村波男君 そこで七万五千円見ておけばだいじょうふだという説明でありますが、さらに今後この政策が具体化されていけば、また牛を飼えという奨励に進めば、私はとてもそれでは飼えないのじゃないかと思いますが、これは経過を見てどちらの判断が、予測が正しかっかたということはわかろうと思いますが、そこで私がお聞きしたいのは、市価とは離れまして、もうかる和牛という観点から子牛の価格をどれくらいが妥当だというふうに見ていらっしゃるかどうか。したがって、まだまだ数が少ないからそういう操作はできませんけれども、繁殖センター等でできる牛を分譲する場合に、市価が非常に高いような場合にはそれを安く売って価格を押えるというような——とてもとても操作になりませんが、そういうことを考えておられるのかどうかということでありますが、問題は、引き合う、いわゆる子牛生産でなければ増殖はできないのじゃないか。それで、どれだけの価格がそういう面から妥当な子牛価格であるかと。それを今度大きく肥育して肉牛として売る場合には、大体どれくらいが今日の時点で再生産をまかなう価格と農林省は見ておるのか。そういう点がはっきりしないと、これは全く無責任な奨励であり、結局多くなれば安くなって、ひどい目にあったのはまた和牛飼養農家であるという結果になりますので、この点はひとつはっきりお聞かせをいただかぬと、この政策がいいのか悪いのかという判断にはならないのじゃないか、こう思うわけであります。
  58. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) たいへんむずかしい御質問でございまして、実はそれを十分に立証するような現実のデータは乏しいのでございます。ただ、私どもも生産地の関係の県職員あるいは団体の人の意見、それからその地帯における同様の意見、また、われわれがある程度抽象的に試算をしましたもの等をにらみ合わせますと、子牛生産農家として生産の継続をし得る価格の水準というのは、私どもの勘では、六万五千円ないし七万円程度の水準が保証をされるといいますか、そういう水準が保持されれば、子牛生産の継続は可能なのではないかというふうに考えられます。また、その程度の水準の子牛価格を基礎にして飼育経営をいたしますならば、先ほど申し上げましたように相当規模の飼育経営は、これは安定的に経営継続ができるんではなかろうかというふうに見ております。
  59. 中村波男

    ○中村波男君 まあ大体六万五千円ぐらいが適当であろうということでありますが、そこで、今度の予算と大きな矛盾がありますのは、さっきかぶとを脱がれたからそれ以上追及することはどうかと思いますが、特に積雪寒冷単作地帯だと思いますが、この寒冷地等の家畜導入事業というのは、山村振興という立場からいいましても、全く現実離れをした五万円というものを基礎にして補助を考えるということでは、これは全く実態とかけ離れた予算の出し方であるというふうに考えるわけです。したがって、これは適当な時期にぜひともひとつ是正をして……。  それからもう一つ、この機会にお聞かせしていただきたいのは、経済的な立場から多頭飼育でなければならぬというお話がありましたが、しからば百万頭十ヵ年にふやすという、その骨になるのは多頭飼育であるのかどうか。私は実際問題、それが理想的な経営形態であろうと思いますが、日本の農家の実態、また、今日までの状況から見て、多頭飼育一本で増殖をはかっていくことができるかどうかということについては、大きな疑問を持つものであります。特に山村振興という立場で二頭、三頭の野草を中心にした飼育というものも相当考えていくべきではないかと、そういう立場に立って、しからばそういう飼養形態を進めるべきであるならば、どういう形のいわゆる飼養形態というものが、採算が合うのかどうかという研究がなされてしかるべきじゃないかと思うわけでありますが、大ざっぱに言って、どのようにして飼養形態の場から二百五十万頭をとらえておられるのかどうか、これをひとつお聞かせいただきたい。
  60. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) これも非常に突っ込んだ御質問でございまして、私ども実はそれを現段階で明確に答えるほど勉強が進んでおらないのでございます。お話しのように、日本の肉牛生産の現状、また、農業経営の現状から見まして、すべての肉牛生産農家が多頭飼養ということになり得るとは私も考えません。そういうことはなかなか実現できないことでもあるし、また、そのことは実際的でないというふうに思うのでございまして、山村振興観点から考えますと、条件の与えられておるところについては、これはやはり多頭飼養を進めるけれども、やはり山村の現金収入の道といいますか、あるいは野草なり、農場残滓の有効利用、価値化という観点から考えますと、やはり一、二頭の零細、副業的な和牛生産農家というものを考えざるを得ない。また、そういうものがあるという前提でものを考えなければなるまいというふうに思うのでございます。ただ、役用というものの必要がなくなってまいりますれば、個々の経営に結びつく関係では一、二頭ぐらいでございまして、たとえば三町なり五町なり——五町歩といったほうが正しいかと思いますが、五町歩程度の草地の用意ができれば、数戸で共同して、少なくとも育成機関の共同化をやるというようなことは今後推奨してまいりたい、そういう観点で、四十一年度から、草地改良の採択基準も、振興山村に指定さるべき村については、採択基準を十町歩から五町歩に引き下げたのでございまして、飼育の形態につきましては、私は多頭飼養が急速に進むのではないかというふうに考えております。ただ、これはよけいなことになりますが、米作地帯において、かつて役用として必要なくなったということで牛を手放しました農家が、また地力保全の見地、あるいは農場残滓の処理の見地というものから、また牛を求めるという傾向が出てきておるのでございまして、日本の農業経営観点から申せば、そのような国用牛使用という形も忘却するわけにはまいらないのではないかというふうに思っております。
  61. 中村波男

    ○中村波男君 お考えはあるようでありますが、具体的にはまだ政策が進んでおらないと思うわけであります。特に米の増産対策坂田農政の大きな柱として打ち出されて、地力の問題が云々されておるのでありますが、それとひとつ畜産と結びつけるような具体的な政策を考えるべきじゃないかと大思うわけです。この点農林臣ひとつ、ことしはそういうのは落とされておりますが、具体的にそういう政策を打ち出して、地力をつけていくということと畜産とを結びつけるような考えがないのかどうか、お聞かせいただきたいと思うわけです。
  62. 坂田英一

    国務大臣坂田英一君) 中村委員のいま御質問のようなことは、非常に大切であると思います。ただ、現在の行政からまいりますと、むしろそれが逆行しておるような実態でありますることは非常に残念でございまするが、これらについても科学的な方向によってその結びつきができればたいへんけっこうなことだと思います。私といたしましては検討中でございます。
  63. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、私は今度の対策なり予算を見て、大きな抜け穴があるということを強く感ずるのであります。さっきから何度も強調しましたように、奨励しなくとも採算が合う、収益性が高いという和牛の形態が生まれてくるならば、ひとりでに牛はふえると思うのです。問題は採算が合わないということであります。また、いままでの政府の政策等から、農民が大きな不信感を持っておる、酪農にしても、鶏にしても、豚にしても、価格変動がはなはだしいと、ふえてくれば下がるんだと、こういうところに問題を大きく含んでおるんではないかというふうに思うわけであります。そこで、もうかる和牛という立場から——これは全般的に言える問題でありますが、食肉全般に言えますが、流通機構の点について、何ら今回は具体的な施策というものが盛り込まれておらないのではないかというふうに感ずるのであります。輸入牛肉についての流通機構についても、私はいろいろ問題があると思いますし、質問を申し上げたいと考えているのでありますが、ここでは最初は和牛についてのみまずお聞きをいたしたいというふうに思うわけであります。生産者の手取り割合の三十五年から四十年の五ヵ年間のもうけを見てまいりますと、三十五年が四八・九%、三十六年からがたっと落ちまして二九・七%、三十七年が二八・二%、三十八年が二七%、三十九年が二五・九%。四十年の予測でありますが、三一%。少し三十九年より四十年度が上がったようでありまするけれども、三十五年以来、いわゆる中間経費というものが増大をしているということであります。このことをどう農林省としてはお考えになっているのか。これにメスを入れることをまず考えなければならないと思いますが、これに対して具体的な対策があるならばお示しいただきたい。
  64. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 御指摘のように、食肉の流通過程においては、それぞれの段階で相当経費がかかり、あるいはマージンが加わりまして、末端の価格ではかなりの高い数字が出ているのでございます。で、いま先生がお話しになりましたこととは別の観点から申し上げますと、大体牛肉につきましては、屠体になりましたものがすべて価値化されたものの総価格というものを一〇〇とするということにいたしますと、農家の庭先から集荷をされて、卸売りの段階までの約一一%というものが加わってまいり、仲買い及び小売りの段階で約二七%というようなものが、この価格構成の中に入ってくるわけでございます。でございますので、この数字から見ますと、農家庭先の価格は約六二%ぐらいになるということでございまして、これをいかに流通過程の経費を節減するかという問題につきましては、第一には、やはりいまの食肉——なかんずく牛肉の流通というものは、農協の共同販売体制というものに入れられているものはきわめて少ないのでございます。で、今後やはり生牛から枝肉までの過程におきましては、農協の共同販売に乗せていくということが、まず第一に大事なことであろうというふうに思っているわけでございます。で、さらに生牛——なま牛を消費地に輸送いたしまして、屠殺場で殺して枝肉にし、それを小売り段階で精肉するというルートにつきましても、産地で枝肉にしまして、枝肉輸送をするということを推進をしてまいりたい、現在までそういうことのために約三十一ヵ所の食肉センターを、肉畜の生産地域助成をして設置をいたしているのでございますが、豚肉については相当その点がうまく進んでいるのでありますが、遺憾ながら牛肉はそういう実績が進んでないのでございます。で、今後も産地における枝肉への処理施設、食肉センターというものの整備を進めてまいりたいというふうに考えている次第でございます。  それから、最もコストがかかります部分、あるいは値段が上がります部分は、小売り段階でございまして、これは実は世間でごらんになっているほどもうけているのではなさそうでございます。これは一つは肉から骨をはずすという特殊の技術、これは非常に手間がかかります、そういう技能のある者がだんだん減って非常に困っているというのが、小売りの段階の問題なのでございます。しかも、牛肉需要が伸びてはおりますが、一店当たりの販売量というものはそんなにふえない。鳥とか豚や卵のようにふえてないわけであります。そういうことから人件費の負荷が非常にかかっておるということでございますので、私どもも二、三年前から——正確に申すべきでごさいますが、たしか三十八年から肉の小売り商が共同で食肉の処理をする、骨をはずし、あるいはスライスをするという作業を共同でやるという施策をモデル的に進めたいということで、助成をしてまいっておるのでございます。さらにもう一つは、従来肉の小売り商人の団体というものが整備されておりませんで、食肉の流通の合理化についての指導の手がかりの組織がなかったわけでございます。本年の三月に初めて、食肉販売業者の全国団体も出てまいりましたので、今後食肉流通についての合理化の問題は、それらの団体の指導を通じて進めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  65. 中村波男

    ○中村波男君 何かやっておるとおっしゃいますけれども、実績があがっておらない。したがって、わかっちゃいるけどやらないというような結果になっておると思うわけでありますが、たとえて申し上げますならば、最近豚肉の卸価格がぐんぐんと下がってきた。しかし、実際に小売り価格というのは卸価格が下がったと同じ比率では下がっておらない。こういう点も現実の問題でありまして、これは豚肉の例であって、牛肉でも同じだというふうに考えるわけであります。したがって、奨励するからには必ず引き合う、採算がとれるという保証をしなければならないのでありまして、そういう点では、流通機構にもっともっと政府の強力な施策というものが必要であり、そのために、今後さらに一そう力を入れていただかなければ根本的な解決はほど遠いものがあるのではないかというふうに思うわけであります。そこでお伺いしておきたいと思いますのは、資料で渡辺先輩から要求がありますから、お出しいただけると思うのでありますが、輸入予定をとりあえず四十一年度はどれくらいにおいていらっしゃるかお伺いしておきたいと思います。
  66. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 渡辺先生からの要求のございました資料の上で、どうしてもこれは明らかにせざるを得ないわけでございますが、現在までは輸出国等の事情もございまして、輸入の数量はかんべんしてもらいたいといってまいったのでありますが、この法律が通りまして、事業団が活動を始めるということになりますと、もうそうそうも秘匿をいたしましても意味がないというふうに思われますので、いずれ正式には書類で資料として提出いたしますが、昭和三十九年なり、あるいは四十年の牛肉供給量の程度はやはり供給すべきであるという前提に立ちますと、輸入量は二万トンは少なくとも必要である。あるいは三万トン、二万トンないし三万トンというふうな数字になるのではないかというふうに考えております。
  67. 中村波男

    ○中村波男君 そこで、当分は需給のバランスを保つためには輸入肉にまたなければならないと思うわけでありまして、さらに一万トンが二万トン、二万五千トンというふうに、当分はふえていくことは明らかだと思うわけであります。そこでお尋ねしたいのは、従来日本は豪州、ニュージーランド等から輸入をされてきておるのでありますが、これらの国の外国への輸出量にも限度があると思いますし、世界的に食肉が不足しておる状況の中で、はたしてこの二ヵ国にたよって安定した肉の輸入ができるかどうかということについては、考えておくべき段階にきておるのではないかというふうに思うわけであります。  そこで私がお尋ねしたいのは、お隣の中華人民共和国は、私もかつて視察をしたことがありますが、年々牧畜が発達をいたしまして、今日世界各国で三十万トンから四十万トンの大量の食肉輸入をしておる。価格もほかの輸出国に比べまして格安であるということがはっきりしておるわけであります。したがって、最も近い中国から、安くて、また安定した輸入ができるということでありますならば、この辺で踏み切るべきではないか、こう思うわけであります。しかし、いままで農林省は口蹄疫の関係で特に慎重に、見向きもしてこなかったと思うわけでありますが、聞くところによると、アルゼンチン等もそういう病気が発生した事例があるのでありまして、そういう国の牛肉がどんどんと外国へ出ておることから考え、また口蹄疫というものの立場からいうならば、日本だけでなしに、外国におきましても慎重に考えておるであろうと思うわけであります。口蹄疫というものは、最近の情報ではほとんど、いな完全に中国では絶滅したといわれておるわけでありまして、一挙に輸入しなさいといっても踏み切れぬかもわかりませんが、調査等をするような考えがないのかあるのか。これは、ひとつ農林大臣から、この点についてお考えになったことがあるのかどうか、真剣にひとつこの問題を研究される用意があるのかないのかお伺いしたいと思います。
  68. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) いまの御質問の点につきまして、私から事務的にまずお答えを申し上げたいと思います。  お話しの前提となりました豪州、ニュージーランドからの輸入食肉で将来安定的に入るかどうかという御質問でございますが、資料でもお示しをいたしておりますように、両国あわせての輸出量は、年間四十万トン程度でございます。しかも、それは欧州の西ドイツ、イギリス、イタリア、それからアメリカというような国が従来から長い取引をもってつながなっておるのでございまして、しかも両国とも肉牛の生産増大は非常に努力をしておるようでございますが、これも即効のないものでございますから、急速に輸出量の増大は期待できない状況にございます。でございますので、私は正直に申し上げまして、両国からの輸入で安定的な輸入ができる、あるいは安定的な価格輸入ができるかということは、すこぶる疑問であると思っております。したがって、牛肉輸入ソースについても、日本の国情として許されるところについては、できるだけ輸入ソースを広げておくことがいろいろな面で有利である、また安全であるというふうに考えておるのでございますが、中国につきましては、先ほどお話がございましたように、口蹄疫の発生地域ということで、家畜伝染病予防法のたてまえで輸入禁止地域にいたしておるのでございます。で、中国としては、自分の国は非常な努力をして家畜伝染病の発生状況は非常に少なくなかったと、口蹄疫痢についても数年来発生はないのだということを申し出ておりまして、日本にも食肉輸出をしたいという話が相当期間続いておるのでございます。で、私が赴任前に、衛生の専門家が一度視察をしてまいったのでございますが、その後さらに、昨年農林省の前動物検疫所長とそれから東大の助教授が衛生状態の調査視察に参りまして、大体の状況はつかめたのでございますが、最終的に行政判断をし得るに足る残った問題を視察、調査、討論、ディスカッションをしてくる必要がございましたので、先般、畜産振興事業団の田中副理事長を派遣いたしまして、過日、調査を終えて帰ってきたばかりでございます。その報告書もまだ私の手元へ出ておりませんので、私といたしましては田中副理事長の調査報告を最終的な判断をする資料にいたしたい。それ以上の人物は日本としては派遣をする余地はもうないというふうに考えておりますので、実は大臣にもまだ詳細御報告をいたしておりませんのでございますが、そういうような状態に相なっておるわけでございます。
  69. 中村波男

    ○中村波男君 この機会に、直接関係のないことでありますが、畜産局長に教えていただきたいと思いますのは、昨年の九月、アルゼンチン産の馬肉の抜き打ち検査を厚生省がやったところが、サルモネラ菌が大量に検出された。そのことはいろいろ問題がありますが、そこでサルモネラ菌というのは、牛に限っては全くそういう事例もないし、危険がないというふうに聞いておるのでありますが、牛にもそういう危険がありますか。
  70. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) サルモネラ菌の問題は、実は私はもともと技術専門家でありませんので、わからないのでございますが、経緯と、私の知る範囲でお答え申し上げますと、サルモネラ菌というのはおよそこの地上で最も種類及び数の多い微生物だそうでございます。二千数種類のものがあるということでございますので、実はサルモネラ菌総体を衛生上それほど真剣に、深刻に危険がる必要はないもののように聞いておるわけでございます。過般、アルゼンチン産の馬肉について、厚生省の検査の結果発見されましたサルモネラ菌は二種類ございまして、一方のサルモネラ菌はたしかサルモネラB菌とかいって、チフス菌、パラチフス菌であったわけでございます。これはもう食品衛生上とうてい受け入れることのできない性質のものであります。その他の菌につきましては、サルモネラ菌については非常に濃厚に汚染をしておるということが不衛生を証明するものであるということで、食品衛生上の問題になったわけでございます。で、聞くところによりますと、欧州へ輸出したもので、何か検査の段階で拒否されたものが回ってきたらしいというようなことでございまして、英国あたりでもサルモネラ菌が完全フリーということを衛生上の条件にはしていないようでございます。牛肉に対しましてももちろんしたがってサルモネラ菌の付着することはあり得るのでございますが、まあ国柄のことを一々言うわけにまいりませんけれども、豪州、ニュージーランドの食肉の処理というのは非常に進んだ処理をいたしておりまして、サルモネラ菌等の汚染のおそれは、少なくとも過去において、過去の実績から見れば心配がない。馬肉についてはニュージーランド等からも入っておりますけれども、ニュージーランド等で処理されたものからは、サルモネラ菌の汚染という事例はないのでございます。結局屠殺以後における肉の処理が衛生的であるかどうかということで汚染の問題がきまるようでございます。
  71. 中村波男

    ○中村波男君 そこでお尋ねしたいと思いますのは、いま豪州やニュージーランドから輸入しております輸入牛肉、まあこれは特に衛生管理がいいから局長は危険がないだろうというお話でありましたが、そうだとすると、日食が輸入をしておりますこの輸入牛肉に対して、サルモネラ危険負担金というのをかけておるようでございますが、これは御存じですか。
  72. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) お話しのように、これは業者相互の間で、一種の事実上の共済をやっておるという話は聞いたことがございます。これは私は、豪州、ニュージーランドのものについては、サルモネラ菌についての共済の必要性はあまりないと思うのでございますが、それ以外の地域からの輸入フリーになっておりますマトンでありますとか、あるいは馬肉のようなものが輸入をされておりまして、それについては大体共通の、同一の商社が共通に取り扱っておるわけでございます。でございますので、先般起こりましたようなサルモネラの汚染のケースが出ますと、一社にとってたいへんな経済的な打撃を受けるわけでございますので、それを共済する意味保険をやっておるということのようでございます。で、私は全体としては、あるいはそれも一つの知恵ではあろうかと思いますが、なおよく調査をして、適当な指導をしたいというふうに思います。
  73. 中村波男

    ○中村波男君 これはですね、聞き捨てならぬことだと思うのでありますが、少なくとも輸入は農林省が許可をしてですね、特に需給の安定という立場でまあやっておられる。そこで、まあその業務を日食に任せておやりになっておるわけなんですが、全く牛の肉については危険がないとするならばですね、その危険負担金を取って、今度は馬肉とか、ほかの危険が出たときにそれ負担するということはですね、これは私は監督官庁として、農林省もそういう態度をとられるということについては、まあ納得がいかないわけであります。結局危険負担金を取るということはですね、それだけまた消費者がそれを負うということでありましてですね、これはやはり別途に考えるべきでありまして、全く危険のないものに対して危険負担金を取って、それを農林省はほおかぶりをして見のがしておるということについては、私はどうしても納得がいかないのでありまして、食肉輸入の問題についてまだいろいろお尋ねをしたいことがたくさんありますが、時間等の関係もありますし、いささか私も疲れましたので、この問題についてはよくひとつ調査を願って、この次の委員会に、農林省としてのはっきりした態度を表明いただいて、それに対して是非のひとつわれわれの態度を表明いたしたい、こう思うわけであります。
  74. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 サルモネラ菌は、少なくとも牛肉については今後といえども検査をする必要がないと、厚生省では言明しておるやに聞くのですが、その点はどうですか。
  75. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 私も先ほどから申し上げておりますように、およそ牛肉についてはサルモネラ菌の検査をする必要なしということはあり得ないと思うのであります。ただ、豪州、ニュージーランドの牛肉は、これは世界的にも非常に衛生的な処理をされているから、サルモネラ菌汚染の危険性は非常に少ない、ほとんど過去の実例ではなかったということでありまして、私はやっぱり、保健衛生の立場からどう判断されるかは別にしまして、牛肉であるから検査の必要はないというようなことはあり得ないと思います。
  76. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、焦点をしぼって、ニュージーランドあるいはオーストラリアから輸入する場合については検査の必要がないと農林当局は考える、こういうふうに理解していいですか。
  77. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 食品衛生の問題でございますので、私はどうもこれに責任のあるお答えはいたしかねるのでございますが、少なくとも汚染の危険性の多いような地域からの輸入のような総荷口検査というような必要は私はないのじゃないか、一種の抜き取り検査的なサンプル検査で十分なのではないだろうかという感じがいたします。
  78. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 そうしますと、来年、一体、ニュージーランドとオーストラリアからどれだけの輸入を見込んでいますか。
  79. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 後ほど書類をもって提出をいたしたいと思いますが、牛肉輸入は、少なくとも来年度は、中共の問題を別にいたしまして、豪州、ニュージーランド以外には期待できないのであります。そういう意味で、出ます計画の数字は、大体豪州、ニュージーランドと御理解願ってけっこうだと思いますが、ただいま申し上げましたように、私の計算過程における感覚から申せば、少なくとも二万トンの輸入は必要であろう、あるいは三万トン程度輸入をしなければ需給のつじつまが合わないかもしれないということで、二万トンないし三万トンというふうにお答えをいたしたのでございます。
  80. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 次の機会に、厚生省の担当責任者も呼んで聞かなきゃならぬ問題の一つですが、かりに三万トンといたしますと、現在、日食協で差っ引いているのが一キロ十一円です。そうすると三億三千万というものが、筋の通らないものが保留されておる。これは日食協の、具体的に私が要求した資料の提出によって明らかになるでしょう。とっていなければとっていない、とっておれば、その数字がキロ十一円を確保しておるはず、それの収入はあいまいにすべきものじゃないから、いずれ先ほど要求した資料にもこれは関係しますし、衛生当局の見解も聞きまして、やはりこれは、きょうのわれわれの段階では、要求した資料整備がなければ、これ以上質問ができないと思いますので、私も関連はこの程度にいたします。
  81. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) キロ十一円というのは、ちょっと私もわかりかねるのでございますが、従来私どもの報告を得ておりますのでは、日食協の特別会費として金額の〇・四%というものを徴収しておるということに相なっておりますので、肉の値段のいかんによりましては、先生のおっしゃったような金額になるかとも想像されます。ただ、申し上げておきたいと思いますのは、事業団輸入をいたします分については、そういうものを日食協へ納める必要もないし、また、そういう考えは毛頭持っておりません。
  82. 渡辺勘吉

    ○渡辺勘吉君 たしか私の言う十一円というのは、商社扱いの要素に入っているはずです。一定の手数料三%のほかに、サルモネラ対策としてキロ十一円取っているということになると、これがニュージーランド、オーストラリアから大部分を輸入することですから、キロ十一円となると、これが三万トンでは三億をこすものになる。これは監督官庁として、商社がやっているからあまり知らぬなんというわけにはいかぬ。これも商社の扱いの資料を要求しましたが、確実に商社がサルモネラを理由にして、三%その他いろいろな諸がかりを商社マージンの中に見ているのですが、それに十一円を取得しているかどうかまで確かめて、追加して資料として出してもらいたい。
  83. 桧垣徳太郎

    政府委員桧垣徳太郎君) 調査をいたしまして、その点明確になるようにいたします。
  84. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記をとめてください。   〔速記中止
  85. 山崎斉

    委員長山崎斉君) 速記を起こして。本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。    午後三時二十六分散会      —————・—————