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1966-06-25 第51回国会 参議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十五日(土曜日)    午後一時十七分開会     —————————————    委員異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      松本治一郎君     鶴園 哲夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 鶴園 哲夫君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        郵 政 大 臣  郡  祐一君        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君        総理府総務副長        官        細田 吉藏君        総理府人事局長  増子 正宏君        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部会計課長    大浜 用正君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        大蔵省主計局次        長        武藤謙二郎君        電気通信監理官  畠山 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君    説明員        大蔵省主局給        与課長      辻  敬一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調  査(国家公務員制度に関する件) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十年度における旧令による共済組合等か  らの年金受給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合が支給する年金の額の  改定に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。本日、松本治一郎君が辞任され、その補欠として鶴園哲夫君が選任されました。     —————————————
  3. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査を議題といたします。  国家公務員制度に関する件につきましては質疑通告がございますので、これを許します。なお、関係当局の御出席は、佐藤人事院総裁大塚職員局長、以上の方々であります。  それでは御質疑の御通告のある方は御発言を願います。
  4. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の制約もございますので、以下人事院総裁に対しましてILO八十七号条約関係を持つ面で、二、三お伺いしたいと思います。  昨年国家公務員法などのILO関係国内法の取り扱いについて、関連四法案中の問題点に関する条項については公務員制度審議会答申を得るまでその施行を延期する、そして審議会答申が出ればこれを尊重して所要の改正を行なう、こういう船田議長あっせん案に基づいて国公法改正案が成立したわけです。で、相次いで公務員制度審議会も設置されたのでありますけれども、これらの重要な問題点について、この公務員制度審議会が全く政府意向どおり原案施行答申したことはまことに遺憾のきわみと言わざるを得ないわけです。これらの問題点のうち、時間がございませんので管理職範囲、この一点に問題をしぼって以下総裁にお伺いしたいと思います。  管理職範囲については、言うまでもなく人事院規則で定められることになっておりまして、もうすでに人事院でも事務的に業務を進められておるやに仄聞するわけですが、私は、人事院性格から見て、権威ある人事院独自の規則制定されることを心から期待しておるわけです。前の公務員制度審議会は全く政府御用審議会でありたわけでありますので、そういう例もあるので、そういうことが憂慮されるので、よもや人事院に限ってはそのようなことはないと確信いたしますけれども、念のため総裁のひとつ基本的な心がまえについてまず順序としてお伺いしたいと思います。
  5. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いささかさびしいお尋ねと存じますが、私ども中立機関としての立場をずっと今日まで貫いてまいっておるという実績はおそらくお認めいただけるのじゃないかと思いますので、そういうことを申し上げるわけでございますが、申すまでもなく、ただいま申しましたような中立機関としての使命という立場に徹しまして、公正な規則をつくり上げたい、こう念願しております。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 職員団体を結成するにあたっては、従来は、職員であれば管理職員であろうと一般職員であろうと、その区別なく団体を結成することはできたわけです。今回の改正、いな改正というよりも改悪によって、職員団体の結成にあたっては一般職員団体とこの管理職団体とは区別して結成することになったわけです。これは職員団体弱体化をねらったものであって、これはこの点だけでもILO条約の精神に違反するものであると断定せざるを得ないわけです。職員利益保護を任務としておる人事院としては、やはりこの管理職等範囲をきめる規則制定にあたっては、一体、基本的には、いま心がまえについて伺ったわけですが、基本的には、いかなる態度でこの規則制定をなさろうとするのか、この点からお伺いしたいと思います。
  7. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 一般職員を対象といたします。この組合員範囲をいかにきめるかということが、当然それらの職員団結権の基盤に影響がある事柄である、もしこれを不当に侵害するような結果になりますると、これはたいへんなことだという意識を十分持ちながら、公正妥当な線をどこに求めるかということで、目下いろいろな材料を集めましてその検討を、率直に申し上げてまだ事務的検討段階ではありますけれども、それをやっておるということであります。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 公務員制度審議会は、政府の諮問に対して、管理職範囲等についてはもうほとんど審議らしい審議もしていなかったわけです。その答申も未施行規定の一部を除いて六月十四日に施行するのもやむをな得い、こういったようなものであって、管理職等範囲についても、具体的にどのようなものをその範囲とするか、何ら答申も行なっていないわけです。人事院は、当然審議会で具体的な答申が出るであろうと予測しておっただろうと思うのですが、結論としては、ほとんど具体的な答申は出ていない、こういうことに対して人事院としてはどのようにお考えになっているか、その点をお伺いしたい。
  9. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これも率直に申し上げますと、具体的な答申が出るのではないか、具体的の答申を出していただければわれわれも相当身が軽くなるがという感覚を正直持っておりましたけれども、しかし、ともあれ、実際の結果においてはただいまおっしゃるような形になってまいりましたから、もうわれわれが全部この荷物をしょって誠心誠意解決に当たっていかなければならぬと、こういう決意を固めておる次第であります。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 審議会答申の中を見ますると、管理職員等範囲決定については、管理職員等に関する規定職員団体自主性の確保に直接関連する制度であることに照らし職務の実態を十分把握し慎重にこれを行なうべきであるという意見が述べられているわけです。そこでお伺いするわけですが、人事院はこの実態把握のためにどのような措置をとってきておられるのかということが一点、また現在とろうとしておるのか、こういうことが一点と、また、実態を十分に把握して決定に遺憾なきを期するためには相当の期間をかけて慎重に行なう必要があろうかと思うわけであります。そこでお伺いするわけですが、人院事としては、いつまでにこの規則制定しようとするお考えなのか、こういうことをあわせてお答えいただきたい。
  11. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 審議会報告の中の文言を見るまでもありませんことで、法制だけで見ましてもなかなか正確な判断のできない業種がたくさんございます。したがって、当然それらについてはその実態の究明をせざるを得ないということで、かたがたこれは職種の数だけでもたいへんな数になるわけでありますから、精密、克明にやればやるほどなかなかひまがかかり、手間のかかることでございまして、政令で実施期日をきめられましてもう十日にはなったわけですけれども、しかし、なかなかこの間に結論を出すなんということはとうてい不可能であるということは事柄の性質上御理解いただけると思うわけであります。いわんや先ほど申し上げましたような重大な問題に触れることでございますので、したがって、いやが上にも慎重にならざるを得ないという態度で臨んでおります。したがって、事務的の検討段階が相当長く続きまして、これからわれわれ人事官会議検討を始めようということでございますからして、あしたとか、あさってとかいうようなまだ、めどはここで申し上げられる段階に実はなっておりません。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 慎重審議することには変わりないけれども、まだ日程をここでお答えする時点まで立ち至っていないということでございますから、それも無理からぬこととは存じますけれども、こういう趣旨から言って、十二分に期間をかけて慎重に審議し、公務員利益に反することのないように重ねて強く要望申し上げたいと思うわけであります。なお、昨年八月に公表されましたILOの結社の自由に関する実情調査調停委員会、いわゆるいうところのドライヤー委員会報告によりますと、これは私が言うまでもないことですが、管理職員等範囲についてはこういうことが明確になっておるわけです。「管理職員範囲を、職員団体から現在の又は潜在的な構成員相当部分を奪うことによって当該団体弱体化する程に広く定めないこと、」が重要である、こういう趣旨勧告をしておるわけです。この規則制定にあたって人事院総裁としては、この勧告をどのように解釈されておるか。これは重要な要素になると思うので、このことをお伺いしておきたいと思うのです。
  13. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほども申し上げましたように、私ども基本的態度といたしましては、この問題は職員団結権の基礎にかかわる重大な問題であるという認識のもとに立って公正な線を発見すべくつとめておるということでございますから、いま御引用になりましたそれらの文言とも基本においては共通しておることだと思っております。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 人事院は、管理職等範囲決定にあたって、管理あるいは監督地位にある職員とは一体いかなる性格を持ったものであると解しておられるのか、その点を明らかにしていただきたい。
  15. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) この点は、かねてこの委員会でありましたか、国会においても私簡単に申し上げたことがございますが、要するに、国家公務員法以外に既成の法制といたしましては労組法がございますし、それから公労法関係でもその労組法に関連して管理職範囲をきめる根拠規定がございます。そしてまた、公労委告示も出ておるというような、客観的な参考資料はすでにあるわけでありますから、それらにとらわれることはいたしませんけれども、それらをにらみ合わせながら、そしてわれわれの作業を進めてまいりたい、こういう気持ちでおるわけでございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この管理もしくは監督地位にある職員というものは、具体的にいうと、管理職手当の支給を受けている職員と一致するのか一致しないのか、こういうことについての御見解を伺いたい。
  17. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 管理職手当一般に呼ばれておりますけれども、正式の名前は御承知のとおり、別の名前になっておりまして、便宜管理職手当と申しておるわけでございますが、確かに、押えようとするあるポイントにおいては共通するものもあろうかと存じますけれども管理職手当のほうは、申すまでもなく給与上の問題のみからこれを見ておりまして、卑近なことばで申しますと、まあ超過勤務手当のようになじまない官職に対する手当というような言い方もできる。そういう角度からとらえておりますために、今度のとらえ方とは共通する部面もありましょうけれども、合わない部面もある、これは当然のことだろうと思います。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、機密の事務を取り扱う職員について、以前の公務員制度調査室方針によりますと、人事とかあるいは労務あるいは庁舎警備、こういう関係職員と、それから文書、経理の係長以上またはこれに相当する職員、こういうふうに非常に広範囲にわたっておったわけです。そこでお伺いするわけですが、人事院としては、このたびこの規則制定にあたって、この公務員制度調査室方針に対してどういうふうにお考えなのか。これと全然別個の立場であるのか、これを参考にしておられるのか。いや考参になどしてない、人事院独自のお考えできめられるのか、そういうことをひとつ明らかにしていただきたい。
  19. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私自身は、いまちょっと御指摘の意識をしておりませんで、局長から見せられてははあというようなことであるわけでございますが、したがいまして、先ほど来申しましたような趣旨で、私ども立場立場としてこれを潔癖に貫いていきたいという気持ちは持っておりますけれども、いまのようなことも、それはもちろん先ほど公労委告示のことも申し上げましたが、周辺の事情としてこれは一応参考にすることはちっとも反対はないであろうというふうに考えております。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この管理職員等範囲を不当に拡大して、一般職員との間にいわゆる組織的な分断がもし行なわれることになれば、これはもう明らかに八十七号条約趣旨はかえってそこなわれる。そういう憂うべき結果になるということばきわめて明確であるわけです。私どもはかように確信を持って考えておるわけです。そこで人事院総裁にお伺いするわけですが、人事院総裁としては、このことをどういうふうにお考えになっておるかお伺いしたい。
  21. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど申しましたところによって御了承いただけると思いますが、いまのことばにありましたこれを不当に拡大するなんということは、これはとんでもないという意識のもとに臨んでおるわけでございます。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それではお約束の時間が参りましたので、最後に一点だけお伺いして、私のこのことに関する質問を終わりたいと思いますが、これは諸外国において一般職員とそれに接着するあらゆる管理職等同一団体を結成することをすべて禁止している例はないと私は見ておるわけですが、この点は一体どうなのか。外国にこんな同一団体を結成することを禁止しておるような例があるのかないのかということ、もしあるとすればどこか、こういうことを最後にお伺いしておきます。
  23. 大塚基弘

    政府委員大塚基弘君) 諸外国の場合は、組合設立のしかた、運営のしかたが各国相当に違いますし、長い歴史の中である程度階層別なり職種別なりのいわゆるクラフトユニオンというようなものが中心になって、それが産業別等に発展した過程がございます。したがいまして、その過程で実際問題として組合組織階層別なりあるいは業種別なりという形をとってきた。御質問の点の、法令でもって禁止しておるかどうかということでございますが、これは私どもの知っております限りでは、そう多数はございません。しかし、一例としまして、根拠といたしまして、ILO条約勧告適用専門家委員会があり、これが八十七号と九十八号条約に関しますいわゆるゼネラル・リマークスというのをまとめたわけでございますが、その十五項によりますと、管理職を除外しながらも、管理職だけの組合設立を認めておる場合には、条約に直接抵触するとはしておらない。ここに例示してございますのは、カナダ及びフィリピンとなっております。なお、その他にも二、三の国があったということだと思います。
  24. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いまの伊藤委員質問に関連いたしまして、短い時間でございますが、若干お伺いをし、また要望いたしたいと思います。  いま伊藤委員伺いましたように、人事院がいま作業をしておられる管理職範囲あるいはそれによる人事院規則、今後の団結権なりあるいは労使関係の健全な発達のためにきわめて重大な問題だと思っております。しかるにどうも人事院のこの管理職範囲のきめ方ですね、私は人事院は、この委員会でいつも人事院が問題になるときには、給与の問題がなるわけですが、給与については非常な調査をされて、たいへんな苦労をなさって検討も非常に加えられてやられるわけなんですけれども、しかし、今回の問題につきましては、人事院行政運営上あるいは今日の労使関係の確立の上についていろいろ調査をなさったと、給与と同じようにですね、いろいろ調査をなさったというようなふうに見受けられないわけなんです。これは前々から問題になっておるわけなんであって、人事院規則できめるということになっておるわけなんですから、当然いろいろの点について慎重な調査があってしかるべきじゃないかと思うんですけれども、そういう点について非常に欠ける点があるんじゃないかと私は懸念をしておるわけなんです。それが一つです。  もう一つは、これは行政組織各省庁というのはそれぞれの特色を持っております。決して画一的なものではない。御承知のとおりです。行政管理庁も見えておるようですけれども、これはまだそういう面についての私は政府としての努力はきわめて足りないと思うんですが、そういう行政組織、各官庁というものはそれぞれの特色を持った運営をされているわけなんですね。そういうものを何か画一的に取り扱われるのではないかという懸念をしておるわけなんです。  もう一つは、各官庁にそれぞれ組合ができまして二十年たっているわけなんです。したがって、それぞれ組合は二十年という長い間に、労使の間において非組合員組合員との関係というものは、それぞれ良識をもって解決をされ、今日にきておるわけなんです。ところが、公務員組合の場合には、御承知のように、組織のないところもある。全くないところもある。組織はされているけれども、たとえばある官庁でいえば半分も組織化されていない。五分の一しか組織化されていない。ところによれば、りっぱに組織されている。こういう労働組合側からいえばそういう歴史を持っている。その中における、いまのことばでいえば管理職範囲組合員と非組合員との関係というものは、それぞれ二十年の長い間の経緯で、労使の間で賢明に処理されてきている。そういうものが私は画一的な方針によってこれは無視されるんじゃないかという懸念をしておるわけです。で、調査が非常に不十分だという点もあると思うんです。確かに。もっと具体的に申し上げるといいんですが、時間がございませんですから、そういう点についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、お伺いをしたいわけです。
  25. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 調査が粗漏であってはならぬ、これはもうおっしゃるとおりでございまして、私ども実態把握を極力的確にいたしまして、そして適正な範囲をきめてまいりたい。各省別によっていろいろまた違うということもよくわかりますが、まあ名前が共通だから同じ名前でみんな一緒にやっちまえというような、これはまあ極端なことでありますけれども、そういうことであってはならないわけでありまして、いまお示しのような趣旨に従って慎重にかつ周到にやってまいりたいということで作業を続けておるわけでございます。
  26. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま総裁のおっしゃるように、それぞれの官庁というものは特色を持っておりますし、特に労使関係において重大な——何も組合がなかったわけじゃないですから、いままで二十年の歴史を持っておるわけですし、また、組合はそれぞれ違ったみんな組織形態になっているわけなんですね。それをだから画一的にやられるというようなことになりますと、これは私はいままでの労使関係に大きな混乱を生ずるという点も心配しておるわけなんです。ですから総裁おっしゃるように、ぜひそういうような点を十分慎重に検討されて処理されるように、重ねて要望いたしておきます。  それからもう一つお尋ねいたしたいのは、人事院では給与関係から見た職とかいうものですね、そういうものについては相当正確な資料を持っておられると思うんですがね、ですが、この労使関係の、あるいは行政運営上組織あるいは職、こういう問題については、これははなはだしく私は不足しているのじゃないかというふうに思っているのですけれども、その点はいかがでしょう。
  27. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おっしゃるとおりでございまして、私どものほうにも、従来の作業に必要な資料というものは、これはもう自慢申し上げていいくらいに十分に整えておりますけれども、今度のような観点からということになりますと、やっぱりこれはいささか不足であるということで、これはまあ各省にお願いしましてデータを十分に集めていただいて、集めておるわけでございます。そこで慎重にこれを検討していこうと、こういうわけでございます。
  28. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 各省のその調査というのもですね、これは実はないにひとしいのだと私は見ているのです。各省調査というのは。まあ出せということになりますと、それはそれぞれ理屈はついて出てくると思いますけれども、それは私は各省といえどもそういうようなデータというものは持っていないというふうに見ておるわけです。行政管理庁もですね、私はそういう資料を持っていないと、こう見ておりますが、そういう意味でですね、そういう非常に資料不足の中でいろいろ検討されるわけですから、たいへん御苦労だと思うのです。で、しかし心配をすることは、しからばこれはもうしゃくし定木でいったほうがいいと、これは一番無難だというような点におちいりやせぬかという点も心配しておりますので、そういうことのないように、総裁にひとつ要望いたしておきます。  それからもう一つですね、これはまた同じ国家公務員である五現業、これは同じ国家公務員ですが、この五現業管理職範囲というもの、これは昭和二十八年に五現業が発足をいたしまして十余年の歴史を持っておるわけなんです。その十余年の歴史の中で、労使の間でそれぞれの機会なりあるいはその話し合いの中で管理職範囲というのがきまってきているわけですね。それにしても、これは五現業それぞれまた違いがあります。それぞれ違いがあるのです。同じ公務員であるということで、非現業国家公務員でも現業国家公務員でも同じ公務員だということで、五現業の、十余年の歴史のある五現業労使関係というもの、あるいは管理職範囲というものを、まあひとつ大きなよりどころにしようかというようなですね、安易な考え方でもこれは困ると私は思っておるわけなんです。で、かりにいま人事院管理職範囲をきめたというふうにいたしましてもですね、これは今後の労使関係の中で、それぞれ懸命にふえていく場合もありましょうし、どうこうといういろいろな経緯をたどっていくと思うのですね。五現業がいままでたどってきたと同じだと思うのです。しかし、十余年の歴史を持っている五現業管理職範囲というものが、非常に大きなよりどころになるということでもこれは困る。非現業国家公務員は五現業組合と違って団体交渉権がない。五現業が持っている団体交渉権というものはない。非常に大きなこれは差です。団結権はあるといっても、五現業のいう団体交渉権というものはないのです。が、しかし、同じ公務員だというところからですね、何かこうそこを大きなよりどころにされるのではないかという懸念があるわけなんです。というのは、先ほどから私が申し上げておるように、調査がきわめて不十分だから、いままでにないから、だからどこかそういうものに何かたよろうという気があるのではないかという懸念がするのですけれども、いかがでございましょうか。
  29. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 先ほど述べましたように、そういうものももちろん参考にし、ながめはいたします。いたしますけれども、それにとらわれることはいたしません。趣旨趣旨として、われわれのおあずかりしております一般職の国家公務員ということから出発してやはり事を考えていかなければならない、そういう心がまえでおるわけです。
  30. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 いま人事院規則制定されました場合に、これらは今後生々発展していくだろうと思うのですが、そのままとまるというわけはないだろうと思います。そういう場合はどうなるのですか。やはり人事院規則でおきめになるわけですか。固定しておるわけですか。
  31. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはもう御指摘のとおりに、各省部内のそれぞれの都合によってどんどんどんどん内部規定も変わっていくだろうと思います。また、新しい職務、官職もふえると思います。これらは一々こちらに通知していただいて、そのつどこれを検討していかざるを得ないという気持ちは持っております。
  32. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 だいぶ時間をとりまして恐縮でございますが、総裁も御承知のように、いま行政の中における職というもの、これは給与法によって決定的に縛られているというふうに私は見ておるわけなんです。職というものは。行政上の職とは非常に違っておる点があると思うのです。御承知のように、あの等級制の俸給表によりまして非常に矛盾がございまして、年々、御承知のように、給与上職をふやしていくという努力を各省とも一生懸命やってきた。あるいはまた、人事院としてもそれなりの努力をしてこられたわけですね。ですから、給与上の職というのは支配的になってきておるわけですね。ですから、これは誤りなく見てもらわないと困ると思う。この五、六年の給与歴史の一番大きな柱は、そういう給与を上げるための職をつくっている、そのために非常な努力を傾けたわけですから、そういう点は十分配慮していかないといけないと私は思っておりますが、その点について総裁考えを承りたい。
  33. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おっしゃるとおりでございまして、従来は給与のほうに集中してものごとを考えておったということはまさにそのとおりであります。しかしながら、人事院には給与局ばかりでは実はないわけで、ここに職員局長もおりますけれども、そのほうの責任者もりっぱなのがおります。やはり視野を広く考えておる面ではいままで恥ずかしいことなかったと思いますけれども、しかし、今度は問題が問題ですから、いまおっしゃるようなおことばをさらに体しまして誤りなきを期していかなければならぬ、こういうつもりでおります。
  34. 鶴園哲夫

    鶴園哲夫君 総裁、ぜひひとつ、いま私が申し上げたような点について慎重に配慮をいただくように要望いたしておきまして終わります。
  35. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  36. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  先ほどの件につきましては、本日はこの程度といたします。     —————————————
  37. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 次に、恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。  それでは前日に引き続いて三案を一括して質疑を行ないます。  なお、関係当局の御出席は、細田総務副長官、矢倉恩給局長、大屋敷恩給問題審議室長、武藤大蔵省主計局次長、辻同給与課長、畠山郵政省電気通信監理官、園部日本専売公社職員部長、中西日本国有鉄道厚生局長、飯森日本電信電話公社厚生局長、以上の方々でございます。  安井総務長官、福田大蔵大臣、郡郵政大臣は後刻出席いたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。  速記をとめて。   〔午後一時五十七分速記中止〕      —————・—————   〔午後二時十四分速記開始〕
  38. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  それでは、恩給法等の一部を改正する法律案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  39. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにして御発言を願います。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法律案について賛成をいたすものでありますが、次の附帯決議を付することにいたしたいと存じます。なお、この附帯決議案は、自民、社会、公明、民社各党の共同提案にかかるものでありますが、便宜私からその趣旨を御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    恩給法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、次の事項についてすみやかに検討のうえ善処することを要望する。  一、今回設けられた調整規定の運用については、その実効ある措置が講ぜられるよう適切な配慮をすること。  二、現職公務員給与がいわゆる三万九千円ベースとなっている経済事情の下において、恩給がなお、いわゆる二万四千円ベースの段階に残されていることは、当を得たものとは認められないので、すみやかに適当なベースまで引き上げること。  三、外国政府職員外国特殊法人職員の恩給最短年限をこえる在職年および抑留、留用期間の通算についてその早期実現を図ること。  四、現行法上のその他の不均衡についても、早期に根本的解決を図ること。   右決議する。  この附帯決議案の内容につきましては、本法律案の審査を通じて明らかとなっておりますので、説明を省略したいと存じますが、調整規定の運用に関する事項以外は、いずれも従来から当委員会の附帯決議等においてその実現を要望してまいったところのものであります。しかるに、今日なお未解決でありますので、この際重ねて政府に善処方を強く要望したいと存じます。  以上附帯決議案の趣旨を申し上げまして、私の討論を終わります。
  41. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。  恩給法等の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  42. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 全員挙手と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました伊藤君提出の附帯決議案を議題といたします。  伊藤君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  43. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 全員挙手と認めます。よって、伊藤君提出の決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対して発言を求められておりますのでこの際これを許します。安井総務長官。
  44. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ただいま全会一致で御決定になりました附帯決議案につきましては、政府としましてその趣旨の点について十分検討を重ね、善処をいたしたいと思います。
  45. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  速記とめて。   〔速記中止〕
  47. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記起こして。     —————————————
  48. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは恩給法改正案を除く共済関係二案について、御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  49. 北村暢

    ○北村暢君 私は、前回に引き続きまして、共済組合制度運営の民主化の問題についてお尋ねいたしますが、きょうは実は今井共済組合連合会の理事長に出席要求しておりましたが、御都合で見えないようでございまするので、若干質問がしにくいのでありますけれども政府当局にこの問題について法律の解釈、その他をめぐって若干質問いたしたいと思います。  まず、共済組合運営についての民主化の問題についてでありますが、現行の共済組合制度は給付に要する費用を労使で折半負担をしている保険制度をとっているのでありますから、組合員の相互扶助的な面からいって組合員の生活の安定をはかる、こういう趣旨でできておるだろうと思うんです。したがって、この運営は私はかつての恩給制度のように、国家管掌の制度として国がこれを一方的に管理運営するというものとは基本的に違っていることは、これはもう言うまでもございません。しかしながら、最近までの共済組合制度運営にあたってはいまだに恩給制度のときのような国家管掌的なやり方というものが完全に払拭されておらない、どうも役人的な上からの押しつけ的なやり方で運営されているきらいがある、このように思うのであります。したがって、どのような考え方で運営されておるのか、まずこの基本的な考え方についてお伺いしたいのであります。これは、まあほんとうは基本的な問題ですから大臣に答弁していただくのが至当でありますが、大臣見えませんので、まず事務当局からひとつ見解をお伺いいたしたい。
  50. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) お話のように、共済組合は恩給と違いまして組合員が掛け金をかけている、そこで制度のねらいからいっても、また、そういう点から考えても組合員の意向を十分尊重せなければならない。そういう制度であると思っております。で、運営審議会というようなところへ組合員の代表が入ってどういうふうに運営するかということを審議しているわけでございますが、それもそういう考え方のあらわれだと思います。
  51. 北村暢

    ○北村暢君 そこで、過日共済組合運営審議会委員の構成等について資料を提出願ったんでありますが、その資料によりますというと、いわゆる官側の代表と組合員の代表と五分五分に出ているという組合が十五組合、官側が五、組合員代表が四というのが七組合、官側代表が四、組合員代表が五の場合が一組合、官側が四、組合員が四の場合が二組合、このような資料をいただいたんでありますが、明らかにこの七組合が、官側五、組合員代表四というふうに対等に出てない組合が七つあることは資料に基づいてもはっきりいたしておるわけであります。こういう問題について一体大蔵省としては、運営審議会委員はその組合の所属の長が任命することになっておりますから、大蔵省は直接関係はしてないかもしれませんけれども運営上の指導としてですね、一々この組合の当局者を呼ぶわけにいきませんので、見解だけをお伺いしておきたいと思うんでありますが、妥当とは思われませんので、この七組合については改めるようなほうがよろしいと判断されておると思うんでありますけれども、この見解をお伺いすると同時に、指導面についてどのように考えておられるか、この点についてお伺いいたしたい。
  52. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) ただいま御指摘になりました運営審議会の構成につきましては、法律では、委員十人以内で組織する、委員各省各庁の長がその組合員のうちから命ずるということになっております。そうして各省各庁の長が委員を命ずる場合には「組合の業務その他組合員の福祉に関する事項について広い知識を有する者のうちから命ずるものとし、一部の者の利益に偏することのないように、相当の注意を払わなければならない。」という規定がございます。そこで私どもといたしましては、この規定趣旨に従いまして、各省がお選びになる限りにおきましては各省が自主的におやりになることにおまかせしておるわけでございます。  なお、具体的に何名で選任するかというようなことは、そういう規定趣旨に基づきまして各組合ごとに定款できめていることになっているわけでございます。いろいろと各組合の沿革なりそれぞれの事情がございますので、現在のところは先ほどお示しになりました構成で一応円滑な運営が行なわれているのではなかろうかと、そのように考えているわけでございます。
  53. 北村暢

    ○北村暢君 円滑な運営がなされているんじゃないかと判断しておられるという給与課長の御説明ですが、これは大部分のものは円滑に運営されているんだろうと私も思います。しかしながら、対立してきた問題についてちょいちょい問題が起こってくる場合ができるわけですね。そういう点についてそういう対立点が出たときにこの構成が問題になるわけなんですね。たとえばいまおっしゃられた法律で十人以内ということになっておりますけれど、この各単位組合の会長ですね、共済組合の会長がこの運営審議会運営する場合に、同数出ている場合であっても、可否同数の場合は会長が決するということになって、会長は運営の上において何といいますか、採決する権限を持っておりまするので、十名以内と、こう言っておりますけれども、会長が一名おりますと、十一名になるようなこと、それで運営されるということになっているようであり、定款等においでそうなっているんじゃないか、ここら辺の事情はちょっと御説明願いたいと思うのですが、私の言っていることが間違いであるかどうか、私はそう思っている。したがって、この法律の精神の十名以内、十名以内であれば差があっていいということではないので、なるべく民主的に運営されるような方法が考えられていいと思うのですが、したがって、いま私が申し上げたように、官側、組合員側五対五の対等で出ている場合であっても、いま印したような運営でもって官側の意思に基づいてできるような仕組みになっている、これが一つ。  それから資料で出されました十五組合のうち、官側の五、組合員側五という対等に出ておるところでも、私の調べた範囲においては、大部分のものは五、五で組合員代表というようなことで出ているというようなことでありますが、当局の調べでは対等に出ておるようですが、実際にはそうでないものがだいぶんあるようであります。これは見解の相違になるかもしれませんけれども組合員を代表するという人がそういう名目では確かに出ておるのでありますけれども、しかし、それが明らかに官側を代表すると思われるような人が組合員を代表するという名前において出ておる、こういう結果になっておるのが幾つかあるようです。たとえば、外務省の共済組合、これは五、五で出ておるというのですが、組合員を代表する五人というのは、どういう人が具体的に出ているのか、私の調べた範囲ではどうも組合員ではもちろんあるのでありますけれども、ここには労働組合らしいものはないようでありますから、組合員を代表するというものをどういうふうにしてきめていくか、ここに問題があるのです。労働組合関係のないところは、これは、選びようがないという点もありますし、各省は労働組合の代表的な人を何人かずつは入れているわけです。しかし、それは労働組合の代表ということで入れているのではもちろんない。組合員の代表という形で入れている。しかし、その組合員の代表を選ぶ方法、手段として、労働組合から推薦した人を入れている。これは個々の組合の所属長がその推薦を認めて任命している、こういう形をとっているのだろうと思うのです。そういうようなことで私の調べた範囲ではだいぶんあるようであります。たとえて言えば、林野庁の共済組合、これは明らかに労働組合の代表と労働組合が推薦した者が二名、それからもう一つの労働組合から推薦されたる者が一名、それから特別会計関係の班長クラスで、厳密に言えば管理者ではないのでありますけれども、まあ班長でありまするので、全く官側的な人が一人、それから一般会計のほうからも班長が出ている。班長というのはまあ官側、労働組合員ではもちろんないわけですね、そういう組合員ではない班長が出ている、こういうようなことで、組合員を代表したという者の内容の選び方、これに私はだいぶ問題があるんではないか。先ほど課長が言われましたように、一部を代表したような者であってはいけないと、こういう御趣旨のようでありますが、組合員数全体から言えば、一般会計の職員というのは百何十名、大多数の者は、はっきり知りませんけれども、まあ四、五万、その大部分の所属している労働組合は全林野という組合ですね、そこから二名で、百何十名ぐらいしかいない一般会計あるいは特別会計の本庁関係のところから、これは労働組合に入っていない人ですから、これもごくわずかな人だろうと思うのですが、そうするとまあ何十人でしょう、百何十人もいない何十人かの代表で一人出ている、こういう出し方自体に、確かに組合員であることは間違いないが、そういう選び力に非常に問題があるんじゃないかというふうに思われるのです。したがって私は、大蔵省の調査による官側五、組合員五ということで、形式的にこういうふうに対等に出ているというふうに言われておりますけれども、必ずしも、対等に出ている内容を聞きますというと、対等には出ていない。それで運営が一方的に偏しておる、こういうことが言い得ると思うんです。こういう点についてまで、大蔵省の調べでは表面の調べしか私はなされていないと、こういうふうに思っているのですが、いかがでしょうか、これでも公平な、公正な運営がなされている、こういうふうに理解されておるんでしょうか。
  54. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 運営審議会のメンバーをどうするかということはなかなかむずかしい問題でございます。その前に、運営審議会には、先ほども先生おっしゃいましたけれども、私も前に出ておったことがございますけれども、これは実際問題としてはあるワクがございまして、その中でどういうふうにやるか、どうしたら一番職員の一部に偏しないようにみんなにバランスのとれた満足が得られるかということを議論しますものですから、管理者側のほうと組合員のほうとが、必ずしも対立するということよりも、どちらのほうをどういう部分を重視するかということで意見が分かれるということで、向こうとこちらと必ずしも対立するということでなくて、私が出ておりました間は非常に円滑に会議が行なわれておりました。そこで今度組合員の選び方でございますけれども、これはなかなかむずかしいと思います。職員組合の代表が出ている方が多いのですけれども、共済の問題は御承知のように、専門的なものですから、相当わかった方が出ておられないとわからない。それから今度は組合に入っていない人が全然代表がいないというのもどうかということで、そういう代表が出ている。そうしますと、数字の面で言うと比例していないんじゃないかという問題も起こると思います。しかし、問題はそれを比例して選ぶということになりますと、たとえば出先の小さいところの意向が反映しなくなったり、いろいろなことが起こりますので、必ずしも比例するというわけにはいかぬだろうと思いますが、そこで各省いろいろとそういう点苦心をされて、それで現状のような構成になっておるのだと思いますので、私どもとしては、それに対しておまえのところはこうすべきだということをこちらから干渉するのもどうかということで今日まで至っております。
  55. 北村暢

    ○北村暢君 これは組合員の代表として代表五人ということで出るわけですから、その組合員の意思がどういうふうに反映するかということは一番大事なんですね。したがって、組合員の中から推薦委員会でも何でも出して、労働組合が第一組合、第二組合ある、あるいは組合に入ってない者もある、また、一般会計、特別会計の関係職員団体に入らないものも、ほかのものもある。こういうようないろいろな階層があって、それから代表みたいなのが出て協議をして、そして比例代表的に出て、まあ一回は出るがこの次は遠慮するとかなんとかでやらないと、やる方法等についていろいろやる方法があると思うのです。ところが、いまのやり方が、そういうような組合員の意思を、任命制になっておるものですから、そういうような民主的な手段を経ればいいんですけれども、もう官側が任命権者が一方的に、ここは二人がよかろう、こっちは一人がよかろう、全然出ないのは困るから幾ら少なくても一人ずつ出してしまう、こういうような非常に便宜主義でもってやっておる。そして職員の九〇%以上いるところから二人しか出ていない、組合員の九〇%を占めるグループからは二人くらいしか出ていない、あとの一〇%くらいのところから三人出ておる、こういう結果になっているのですよね。それは私は民主的な反映のしかたじゃないんじゃないかと思うのですね。したがって、そういうものを現実に私は知っているし、そういうふうになっている。これはやはり選出の方法なりなんなりというものは、任命権者は十分意思を尊重して任命すべきである、こういうことなんです。ですから、私は何もかにも一方的にやれと言っているのではなくて、一方だけの意見をとれということを言っているのではなくて、そういう趣旨の配慮があってしかるべきだと、こう思っているのですがね。その点については、これは何人といえども否定できないと思う。ところが、実際にはそうなっていない、これは大蔵省が総体的な国家公務員共済組合については担当の官庁でもありますし、指導面において、これは大蔵省から各省にこうやれといって命令するわけにもいきませんし、いかないですけれども、しかし、各省の協議なりなんなりというものは、次官会議なりなんなりで連絡というものはあるわけでありますから、そういう面でひとつこういう要望があったということで、ひとつ議題に供して、各省ともその配慮というものがなされてしかるべきだと、こういうことを申し上げているのですけれども、いかがでしょうか。
  56. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 結論のほうから先に申し上げますと、御趣旨まことにごもっともだと思います。実情を申しますと、かなりこれはむずかしい問題と思うのですが、たとえば一つの役所で出先の系統が三つか四つある。それでおのおの大きさは職員の数でいうと非常に大きいところと、小さいところとある、一けたぐらい違うところがある。そういうときでも、やはり五人と、これはあまりたくさんになりますとうまく運営できません、懇談形式でやっておりますから。やはり系統が三つある場合には、おのおのから一人ということになっている場合が多いと思います。しかし、実際運営のところでは、おのずから非常に大きなところの代表というものの発言は、背後にたくさんの組合員の声を代表しておるわけでございますから、それは非常に大事にされている、そういう形で動いておると思います。先ほど先生がおっしゃった点、何よりもこの審議会というものは非常に円満な雰囲気でみんなが、いろいろ議論はございますけれども最後のところでは、まあこの辺がバランスのとれた配分だろうというところに落ちつくということが大事なことでございますので、不満が出るということのないように、十分これからも各省にも話をしていきたいと思っております。
  57. 北村暢

    ○北村暢君 この点は各省の権限のことですから、大蔵省どうこうというわけにもいかない問題であることは十分承知しておりますが、しかし、実態は問題ないとは言えない、各省問題があるということだけは私事実だと思っております。なるべく紛争の起こらないように、ひとつ指導していただきたいという点を要望しておきたいと思います。  次に、連合会の運営の問題でございますが、連合会の運営については、これは評議員会が議決機関のような形をとっているわけです。その評議員の中から役員を選出する、こういう形になっておるようですが、ただし、理事長なり、理事の何名か、監事の一名ですか、これは大蔵大臣の任命になっているようですが、その他の理事は評議員の中から大臣が任命する、こういうことになっているように理解しているのでありますが、この評議員が実はすべてこれ官側の人になっている、元来なっておるわけなんです。この点について、いろいろ衆議院段階でも論議のあったことは会議録で承知しておりますが、あまり時間ございませんので、簡単に質問したいと思いますが、「評議員会は、連合会加入組合を代表する組合員である評議員各一人をもって組織する。」ということになっておって、連合会加入の組合を代表する人である、それが評議員——これは二十組合あるようですけれども、その代表するものがすべて官側の人になっているわけですね。そのために、連合会の運営というものがどうも一方に偏しているんじゃないかといろんな批判があるようです。加盟組合から、連合会加入の関係の労働組合から相当に強い意見が出ておることは御存じのとおりです。これについて、法律の規定からいって、評議員には、加盟組合の所属の長が評議員として出すように運営審議会委員の中から任命するようになっているようですが、必ずしも官側ばかりでなくてもいいんじゃないか、申し合わせによって、二十名の評議員のうち二名でも三名でも持ち回りくらいにして、いわゆる官側の代表という人でない人を入れていいんじゃないかと思うんです。これは評議員の中から役員に出るようになって、加盟組合事務を行なう組合員ということになっておりますから、これは共済組合のほんとうの専門家がなるようになっていますね。二十人ですからそれ以外の人も若干おっていいんではないか、こういうふうに思うんですが、法律解釈上は官側でなければならないと限定はされていないと思うんですが、いかがですか。
  58. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) お話のように、法律解釈上は、官側でなければならないというふうには書いてないと思っております。ただ、実際問題になりますと、官側で共済組合事務を担当している課長というのは、ずっとその関係をやっておりますし、運営審議会も、これは監事役をやっておりますし、運営審議会の模様などを全部フォローしておりますから、その単位の組合のいろんな状況を代表して意見を言うのには、その人が一番適しているということだと思いますし、また、形の上でも単位組合の連合会なものですから、単位組合の代表としてそういう事務に従事している者が出るということがすなおな形だろうと、そういうふうに思っておりますが、法律上はそうでなければならないというふうにはなっておりません。
  59. 北村暢

    ○北村暢君 主計局次長、あなたはそうおっしゃるけれども各省の厚生課長に類するような人が大体なってるんですよ。この厚生課長というのは、共済組合の問題について詳しいとか専門家であるという人が、必ずしもなっておらない場合だってあるんですよ。それは担当課長ですから、事情はよく知っているかもしれません。各省の厚生課長というのは一年−二年でどんどん人事転換するでしょう。したがって、あなたのおっしゃるように、共済組合の全くの専門家みたいな人が、その省のことをよく知って出てくる、そういうおうには私は理解しないです。厚生課長になって一カ月くらいで評議員にすぐなっちゃうんですよ。共済組合のことは全然やってなかった人が、厚生課長になったらとたんに運営評議員になっちゃうでしょう。それだから、あなたのおっしゃる専門的なことで運営がうまくいくのだというおうには私は考えないですがね。だから、厚生課長であっていいんですよ、大部分の人がそれであってもいいんですよ。だからといって、そういう理屈には私はならないと思う。それは、課長という任務において、共済組合のことを責任をもってやっておられることは、それは認めるわけです。しかし、その人が、ほんとうに共済組合に精通をした神様、優秀な生き字引きみたいな人にみながなっておると、そういうふうにはなっていません。全然関係ないことをやっていた人が厚生課長になる場合がたくさんあるんですから、各省の厚生課長——しかも、厚生課長というのは、たいてい特権事務官でしょう、特権事務官が多いですよ。特権事務官というのは、厚生課長なんて本職じゃない、ほかの事務からいうと。そういうことからいうと、あまり詳しくない人だっているわけですよ。それよりも、労働組合でも、共済組合問題を五年も六年もずっとやってきている人が幾らでもいますよ、運営審議委員の中にね。りっぱな人がおりますよ。そういう人が出ていったって何も……。労働組合出身でやっている人は幾らでもおるのです。そういう点からいって、実際に民主的に運営するということになれば、評議員の中に対等に、二十人のうち十人出せとは私言いませんよ。何人か入ってないというと、この前の汚職事件のようなものが役員の中に出るという点も、十分配慮していいのじゃないか。まあ、この汚職事件が出たから私はそういう人を入れろということを極端に言っているわけじゃないですけれどもね、そういうことを配慮していいんじゃないでしょうか。これは各省と違いまして、連合会はあなた方直接監督する立場にあるわけですね。まあ理事長非常にりっぱな方ですから、間違った運営をしておるとは私は思いません。思いませんがね、しかし、民主的な運営をするということになれば、評議員の中にやはり入れるべきである。官側代表だけで固めているというのは、誤解を招くおそれがある、こういうふうに思います。そういう点からいって、私の言っていることが無理だかどうかということですね、ひとつ見解をお聞きしておきたいと思うのですがね。
  60. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) まず初めに、厚生課長も従来、共済のことを知らない人が多いので、特に、新任のときはわからないというお話がございました。厚生課長とか厚生管理官というものは、御承知のとおり、わりに新しく設けられたポストでございます。これからあのポストが、年月を経るに従って、厚生課長あるいは厚生管理官、こういう人の共済に対する経験というものはだんだん深くなっていくと思っております。それから、実情は、どういうふうなことばを使ったらいいかわかりませんが、厚生課長のほうは、若い人よりも多年、役所の経験の長い人が多いというのが、全体を通じてみると実情のように考えております。  さてそこで、制度論としては、私はやはり、いまのように共済組合運営審議会へ出て、監事役をつとめていろんな意見を聞いている人が出るというやり方がほかにも連絡会議があることですし、それがいいのではないかと思っておりますが、しかし、先ほど来お話がございましたように、端的に申しますと、おそらく組合員の意向を直接それでは聞けないじゃないか、厚生課長や厚生管理官が勉強をしても、何といっても第二次的に聞くことになる。そこのところがまずいのじゃないかということがあると思います。そこで今井理事長もいろいろ苦心をされまして、評議員会とは別に新しい会合を持ちまして、そしてちょうど運審と同じような両方同数というような形でもって、重要な予算とか事業計画とかいうことを相談いたしてきております。これから御質問が出るのを先ばしって御答弁するのもどうかと思いますけれどもことばのついでですから申し上げますと、そこでいままでは試験段階、事実上の機関ということでやっておりましたが、これは今井理事長も国会でおっしゃられたことですが、これをなるべくうまく運営していって、そうしてなるべく早くこれを定款上の機関ということにしていって、それで先ほど先生がおっしゃいましたような問題の出ないように配慮したいということを言っておられますが、私どももせっかく理事長がそういうことで苦心して、いままで事実上の会合を持っておりまして、それを定款上の機関にしたい、そういうことで御心配なところを、直接、連合会が組合員の代表の声を聞く、こういうことでやってみたい、それがいまの措置としてはいいのだ、そういうふうに考えております。
  61. 北村暢

    ○北村暢君 運営協議会のことが出ましたが、その前に——私は運営協議会というのはあまり賛成しておりませんし、これは法律上の機構でもないし、定款にある機構でもないし、いわば理事長の運営上の私設的な補助手段なんだ。いろいろなそういう補助手段を使おうと運営の権限があるのですからいいでしょうけれども、しかし、それは別として、この連合会に入っていない各共済組合というのは、運営審議会で大体これは労使対等というか、組合側と官側と対等に出ているような運営審議会で、事業計画なりあるいは責任準備金の運用なりこれは全部そこでやっているわけですよね、連合会に入っていないものは。ところが、連合会になるというとその運用は評議員会でやる。その評議員会には組合代表的な者は一人も入っていない。官側代表ばかりだ。ここに私は非常に問題があると思うのですね。ですからなぜ二十人全部官側だけでなければならないのか。それは主計局次長のおっしゃるように、各組合側からいえば、その共済組合の実際の実務を担当している厚生課長が適当であろう。私はその二十人のうち十を組合員代表にしろということは言っていない。何人かでいいと思うのです。やはり回り持ちにして入れたほうが誤解がなくていいのじゃないですか、そのように私は言っておるのであって、これは決して無理なことでないし、連合会に入っていない各組合運営の最終的なものの処理のしかたからいって無理ない運営をやっているわけですから、それで組合代表と官側代表と対等かもしくは若干違うかもしれないけれども、それでやっておる。最終処理やっているわけでしょう、それで何でもない。ところが、連合会に至っては組合員代表というのは一人も入っていないことは事実なんです。これはやはり誤解を招くものであり、連合会といえども、やはりこれは組合員の負担金によって平等に積み立てたものであるから、運営そのものを民主的にやるという法の精神からいえば、当然組合員を代表するものを連合会の評議員会の中に何人か入れる、連合会の役員にはちょっと組合員を代表する人はなれないようになっていますが、そういう点からいって私は無理のないやり方でないかと思っておるんです。これはひとつ最終的に附帯決議をつける関係もあるので、変な答弁されるというと私は何ぼでもやらざるを得なくなってくるので、ひとつそこら辺大臣と相談して答弁してください。
  62. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) この問題は、実はこれまでもいろいろなところで出ている問題でございます。繰り返すようでございますが、これは先ほどお話がありましたように、単位組合では運営審議会労使、使というとほんとうはぐあい悪いのでございますが、共済組合員の代表と管理者側の代表と大体同数でできております。そこで運営審議会運営されているのでございます。  その次に、連合会ということになりますと、今度はこれは単位組合の連合会でございますから、法律にありますように単位組合から代表が出る。そこで先生のおっしゃられますのは、その単位組合の代表が厚生課長や厚生管理官でなくて、組合員の代表を輪番くらいで少数そこへ入れたらどうか、それが先ほど来の御趣旨でございます。  私どもやはり制度としては、法律上はそうでなくてはいかぬとはなっておりませんけれども組合事務を担当している責任者が単位組合を代表して連合会に出ていくんだ、これはほかにも例のあることでございますし、これはおかしくないんじゃないか。ただ、それでは直接連合会に共済組合組合員の意向が反映しないじゃないかということでございますので、先ほど申し上げましたけれども、いま今井理事長もいろいろ苦心をされまして、それで仮称で運営協議会といっておりますが、そういう会合を別途持ちまして、そこで組合員の代表とそれから管理者側の代表と同数集まりまして、そうして連合会の重要な仕事でございます予算とか事業計画とかそういうことを相談しております。  そこでいままではこれは事実上の機関でございますけれども、理事長考えておりますのは、何とかこれを円滑に運営させるようにして、なるべく早く定款上の正式の機関にいたしたい、そう考えておりますし、私どももその行き方がいいんじゃないか、そう思っております。
  63. 北村暢

    ○北村暢君 運営協議会というのは法律に基づくものじゃない、したがって、何か衆議院のほうの速記録を読みますと、今井理事長は協議会というのは判こ押すだけで、あとのは運営審議会のほうで事業計画なり運営というものは大体きまるのだ、協議会というのは判こ押すだけなんだ、こんな説明をされているようですけれども、これは誤りでしてね、あくまでも協議会というのは定款に設けようと何しようと、これは理事長の業務運営上の意見を聞く程度の、いままでであるならば事業計画その他についての説明会式のものなんです。意思決定機関ではないのですよ。したがって、意思決定機関には、単位組合の代表という形で評議員会というものが意思決定機関であるのだから、その代表というのは選び方を各省で話し合いをして、二十組合あるのだから、その二十の各省庁の組合が協議をして三つや四つ職員の代表を二年なら二年持ち回りとかなんとかでもって話し合いをすれば、その人を代表として出して何にも差しつかえないですよ。代表であるから職員の出であるから職員の主張だけしかできない、単位組合運営審議会なりなんなりできまったことをやるのであって、代表であるから単位組合決定した以外のことは職員側の出身だから職員側のことだけ主張するということにはならないですよ、代表ということで出るのですから。したがって、何ら心配する必要はない。そういうことが官側だけの出身者で運営するというところに、意思決定機関を設けているというところに誤解を招く。したがって、今日こういう事務局長自身が汚職をやったり何なりするような事態が出てくる。そういうことも官側だけでやって、まあまあ主義でやっているからそんなことになる。明らかに運営上百点満点でよかったらいいけれども、やはり世間から批判を受けるようになっているのですから。しかもそれは連合会の責任準備金にしろこれは明らかに組合員労使の折半によるものでしょう、掛け金によるものなんです。それで運営されている、当然じゃないですか。運営協議会なんというのは私どもは認めませんよ。そんなもの認めないけれども、理事長がやることは御随意ですよ、定款に認めよう、しかし、これは法律のたてまえからいって、何としてもこれは議決機関じゃないでしょう。議決機関の中へは私はやはり入れるべきだと主張している。ほかに理事長の任意でやるものができるからそれでいいんだということにはならないんですよ、どうですか。
  64. 武藤謙二郎

    政府委員武藤謙二郎君) 先ほどお話がございましたように、この単位の組合の代表で、いまは厚生課長や厚生管理官が出ておりますけれども、その人の仕事というのは、単位組合の全体の考え方、特に運営審議会でいろいろ出ている考え方、それをよく伝えるということが仕事だと思います。そこで単位組合の代表で出ている者が、厚生課長、厚生管理官だから、そこで組合員の代表として、いろいろ出ている意向を伝えないということですと、これはその人が十分職責を果たしていないということだと思います。で、そういう形で相当実際問題としても私のほうの組合ではこういう意見が強いんだということはいろいろと申しておりますけれども、しかし、さらに直接そういう意見が出る機会があったほうがいいだろう、そこで評議員会とは別に運営協議会というもので直接そういう意向を聞くということ、それがいま私ども考えておることでございまして、これで何とか連合会の仕事をうまく運営できるだろうと、そう期待しております。  それから、汚職のことはまことに申しわけないのでございますけれども、これはまた中身になりますと業務の執行の面でございまして、なかなかこれは評議員会あるいは運営協議会が、そこの防止までということはむずかしいと思いますけれども、先生おっしゃられておられるのは、そういうところでいろいろと不満があるから、そこで何か事があったときにうまくいかないんじゃないかという御趣旨じゃないかと思いますけれども、これからも運営協議会をもう少し格上げしまして、定款上の機関ということで、よく組合員の意見も聞くということでやっていって、今後はなるべくそういう不満がなくなるように努力していくべきだと、そう考えております。
  65. 北村暢

    ○北村暢君 いまの主計局次長の答弁は私は納得しません。国会の意思で連合会の運営にやはり官側ばかりでは民主的な運営はできない、こういうのが大多数の意見、またそういう要望が組合員の中にもある。これを無視するということはできませんよ。あなた方のその一方的な意見ではいけないんですよ。しかも法律のたてまえからいって厚生課長でなければならないということにもなっておらない。法律の解釈からいったって何にも無理のないことだ、できることだ。あなた、法律の解釈上そういうことを禁止はしていないということをはっきり言っているんですよ。できることなんですよ。ですから私はいまの主計局次長の答弁では全然納得しません。これ何ぼやってもしようがないから私の質疑は一応これでとどめておきますが、納得しないんですよ。この処理は後ほど理事会なりなんなりで協議することにさしてもらって、時間の関係もあるから私の質疑は一応打ち切ります。
  66. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  67. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  68. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣、各大臣に、時間の関係があるようで三十分というようなことですが、できるだけそれを守って、特に大臣に必要な問題を質問したいと思います。  大蔵大臣御存じのように、日本の各年金制度にはひとしくスライド制の条文が取り上げられたわけです。この四十年度の共済組合関係の法律の第七条の改正で、国家公務員共済組合法の改正が載っております。附則で。国家公務員の、第一条の二として「この法律による年金たる給付の額については、国民の生活水準、国家公務員給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定措置を講ずるものとする。」まことにけっこうな法律の条文を実は入れてもらったわけであります。この前、一昨日の本委員会でもこの問題で主計局次長と相当論争したのですが、当日大臣が出られないので、きょうぜひひとつこの点の大臣の見解を聞きたいと思って待っておったわけです。きわめて、第一条第二、これは単に国家公務員共済組合だけではありません。日本の年金制度、恩給法にもこれが入ったわけです。その趣旨とするところは、いわゆる物価が著しく変動した場合には、やるというのですが、このものさしは一体どういうところに持っておられるのですか。きわめて抽象的な文言ですがね。政府としてはこの条文を入れるときにどういう考え方でこの条文を入れられたかという、この点をひとつ政府を代表してお聞きしたいと思うのです。   〔委員長退席、理事八田一朗君着席〕
  69. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ今日は消費者物価が動いておると、こういう事実がありますが、そういう状況では極力改善していきたいというふうに考えておりますが、この法で今度入れることになりましたのは、組合の給付がその実質的な価値を維持すると、こういうふうにいたしていきたいと、こういう原則を示したものであります。
  70. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この原則はまあわれわれとしてこれでわかるんです。わかるというよりも、それが具体的にたとえば物価が何%上がったらどうこうという一つのものさしがなければ、著しき変動その他、こういう諸事情というものを勘案して、と言われるけれども、この組合員なりまた被保険者から見ると、そのものさしがなければ一体これはだれがきめるかということになると、これは政府がやはりきめていくことだと思うのですが、その場合われわれとしては説明ができないんですね。私は政府の裏は知っておりますけれども、やはりフランスその他西独もそうだと思いますけれども年金のスライド制がすでに実現しておるのですね。これは明らかに賃金の、いわゆる総合的賃金のベースが変更したときには変えるということで、これはもう一つのものさしを示しておるのですね。わが国のやつはそれがないからこういう抽象的な、著しき変動とか総合勘案して——その総合勘案するものさしがなければ、政府がやるまいと思えばやれない、こういうことに実はなるのですね。それをわれわれは知りたいんですよ。
  71. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) そこがまだきまっていないのであります。これからきめようと、こういうことなんでございますが、きめるやり方は、それは国家公務員につきましては国家公務員共済組合審議会があります。それから、恩給につきましては恩給審議会がある、と。その審議会にどういうふうにこれをものさしをきめたら、という諮問をいたそうかと、こういうふうにまあ考えておるわけです。広く皆さんが御納得がいけるようなものさしをつくっていきたいと、こういうふうに考えておるわけです。まだ今日どういうふうなものさしということを予断していないのであります。
  72. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 審議会とかなんとかというのが政府の隠れみのですね、すぐそこに逃げ込まれると思いますがね。私は審議会がいつごろ実は結論を出すか知りません。これはなかなか、結論を出すのに、まず財政の問題、年金の財政の問題等々がこれは基本になると思う。それで恩給については、もうすでにこれが本委員会、採決されたように聞いておりますが、恩給の場合は、国が一方的に財源措置をするのですが、これはまた私はやり方があると思うのですが、共済組合とか、厚生年金、船員年金、国民年金等々、いわゆる被保険者または使用者、これらの負担によって実は成り立っておるのですね、社会保険という形で。したがって、このものが解決しなければ、なかなかこれは実現しないと思うのですね。この点について、大蔵大臣は、こういうスライドをしたときの財源の措置はどうすべきであるか、政府が持つべきであるか、——私はそういう主張をしておるのですが、その点の考え方はまだ何もありませんか。
  73. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) スライドをしたときの所要資金の財源ですね、これは共済制度趣旨から出発しなければならぬ、こういうふうに思うのです。相互扶助機関であり、その相互扶助の運営を援助しているのが政府である。こういうふうなたてまえになっておるわけであります。したがいまして、所要資金は、国の財政力、また組合員の負担力、こういうものを彼此勘案してきめなければならぬ問題である、そういうふうに考えております。国が出さぬというのじゃないけれども、国にこれを全部負担せしめるべきものである、こういう考え方はいたしておりません。
  74. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 あなたまあすでに御存じだと思いますが、現在の共済組合あるいは厚生年金もそうですか、これは被用者年金、まあ国民年金は別こしましょう。   〔理事八田一朗君退席、委員長着席〕 被用者年金においては、平準保険料方式、積み立て金方式をとられておりますね。これはその当時のいわゆるよく政府がいう国民の総生産の量に応じたこれだけの価値のある掛け金をもって積み立てて、そうして何年たってやめて、そうしてそれが死んだ場合、遺族までも給付をして、そうしてそれを償うに足るものだという約束で掛け金をかけておるのですね。物価の変動によって食うということは、これはそのとき何も組合員にはそういう契約で保険料きめておらない。それを年金を受給してから、物価が変動したから、現在その人はもうすでにやめておるが、新たな現在の組合員にそれを転嫁して出しなさいということは、少なくとも国家公務員なり、その他のいわゆる年金規定しておる平準保険料方式による私は掛け金ということとは矛盾する、と。大臣がそう言われるならば、賦課方式でとっていって、その後の社会的あるいは経済的な変動によるやつは、おのおのまたそのときの組合員に持たすというくらいであればわかる。そこに矛盾がある。現在すでに国家公務員共済組合は、これは三十九年末、四十年末上がっておりますけれども、二千百四十八億という金額、実は積み立てられておる。これはそういう準備金として積み立てておるので、それは本人がやめたときには、そのときにやめたときの価値のある金額として与えられる。したがって、掛け金かけるときはそれらを保障した契約で掛け金かけているんですね。その後の変動のものまでも負担をさせるということについてはいまの平準保険料方式ではわれわれ納得できない。矛盾がある。厚生年金もそういう形で実はやられました、今度は。一万円年金ということで上げられました。しかし、そのときは段階的保険料方式ということで五年ごとに一応変えていこうじゃないかということで国会でもいろいろ論争ありましたけれども、まあちょっと低く押えられたわけですね。そういうところから見ると、国家公務員その他の共済組合においてはこれはもう平準保険料方式ということをとっている以上スライド制によるところの実は財源措置までも組合員あるいは使用者にこれを負担させるということは私は無理だと思う、その論理からいくと。この点どうですか。
  75. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まあ価格変動があるといろいろむずかしい問題起こりますが、共済による退職一時金を払うと、こういうような際に掛け金をした場合には価値の高い掛け金であったと、それであるがゆえに調整規定を発動してかけた価値を償う一時金の支給と、こういうことになるわけであります。しかし、その水準がまだ将来続いていることになりますね、でありまするから、その段階において組合員がその負担に応ずるということは、私はまあ筋の通らない話じゃない、こういうふうに思うわけであります。
  76. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 まあ、時間がないから——まあ、あなた知りませんよ。だからあまりこういうことを言ったって理屈にならぬと思いますがね。もう少し十分検討してもらいたいと思う。それはそういうことの時間がないから——ずうっと初めから二時間ほどあなたといろいろ論争して結論出して、私は結論の分だけ言っとるんだから——あなた理解されておらない。あなたの言われるような方式であれば、これは賦課方式でやらなければ成り立たない。先ほど言ったように、相当現在必要のものを将来まで見積もって掛け金計算しておるんですよ、これ。計算しておる。だからそういうものを初め掛け金を出すときに将来自分がもらって、死んで遺族がもらってそれが終わるまで、いわゆる受給者の消滅するまでのものを計算をして掛け金を出しておるんですよ。したがって、本人は言われたとおりに将来もうこれだけ掛け金したらえらく生活を保障される。これは生命保険なんかと違う。額面の契約でやっているんじゃない。百万円なら百万円と生命保険ではもらったらいいんですけれども、社会保険はそういうことはないんですよ。その人の生活をこの程度あったら償えるということでいま出発している。それに相当する掛け金を初めから出しているんですよ。それを物価が社会的変動によって変動したからといってそれを組合員なり被保険者にかけるということは間違いだと、まあしかし、数字を示してやると、あなたに今晩少なくとも十二時までおってもらわなければなりませんから、そういうことはできませんからもう少し——あなたきわめて頭のいい方ですから、もう少しこれ検討してください。ぼくは真剣に言っているんですよ。いわゆるスライド制の問題についてはその程度にしておきますがね。  次に、これはまあ大蔵大臣から特に私はここで一ぺん聞いておきたい。これはなかなか理解が——あなたはされていると思います。実は先ほど申しました保険料の計算のいま申しました基礎の予定利率は五分五厘ということでいま計算されでおる。これは日本の年金のすべてが予定利率九分五厘になっておる。これが五厘変わりますと、今度六分ということで計算をしますと、いまの財源率、掛け金率が一〇%程度実は低くなる計算ですね、これは。あなたなかなかそういうことは頭鋭いですから御存じでしょう。ところが、実は五分五厘でやっているということになると、結局その五厘だけ、一〇%の財源率をよけい実はかけておるということになるんですね。五分五厘ということで政府はこれを規定したという根拠はどこにあるんです。
  77. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 政府委員から……。
  78. 辻敬一

    説明員(辻敬一君) 予定利率のきめ方につきましてはいろいろと御議論のあるところでございますけれども組合員加入時からその者の遺族が消滅いたしますまでの長い期間にわたりまして将来の平均的な運用利率ということできめておるわけでございます。したがいまして、長期的な観点に立ってきめるべきものでございますので、単に当面の金利水準によるべきものでは必ずしもなかろうと、そのように考えております。  それからこれは共済年金ばかりじゃございませんで、厚生年金等含めまして各種の公的年金、すべて五分五厘ということでやっております。将来の金利水準の低下傾向なり今後の経済金融情勢の見通し等に立ちまして五分五厘ということでやっておるわけでございます。
  79. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣はそのとおり言われたと思っておりますからね。将来、平準保険料方式でいくんですからね。将来、五年ごとにこれは変えないというなら私は納得するんですよ。この間も言ったように、五年ごとの情勢によって変えるというんですね。保険料変更するというんです。たとえば死亡率が非常に減じて平均余命が長くなったからということでこの間変えたんです。これは三公社も変えたんです。五年ごとに変えるならば過去五年ぐらい、また将来五年ぐらいの日本の金利状態というものは大蔵省つかんでいると思うんですね。それだのに将来を見てということについては私は異議があるんですよ。将来においてこれを変えないんだ、保険料変えないというなら私は納得しますよ。もしこれが五分五厘より低くなって、日本の低金利が実現して五分なり四分五厘ということになってくれば、これは当然私は政府は変えてくると思うんですよ、逆に悪くなれば。いい間だけは将来見積もって五分五厘だ、低目に押えるのだと、こういうことは私は納得できない。政府はすでにこの四十年度から公債発行されたでしょう。これは七年の償還ですか。それがあんた金利は幾らにしました。おそらく七分近くなんでしょう。政府の発行する国債が六分九厘何ぼかと言っていますが、七分近くですね。そういうものを、政府の出す国債がそういう高金利で出しておいてですね、組合員から取る金利は五分五厘ぐらいで押えるんだ、掛け金の基礎となる計算は五分五厘で抑えるんだということはその点に矛盾があるんです。したがって、将来長い展望でこれは何年たっても変えられないんだと——三公社の場合でもそういう規定がない、十年間。今度変えられたんですが、国家公務員、地方公務員は五年ごとに変えると、こう言っておるんですね。それならば保険料正確に出すならば、やはり現在の実情、運用状態から見れば六分なら六分と、私は一厘や二厘ぐらいある程度余裕を見ていいと思いますけれども、五厘違えば一〇%の財源率が違うということは私は取り過ぎだと思うんです。この点は私は大蔵大臣に一言聞いておいたら、もうあんたは帰っていいです。
  80. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま一般の金利情勢は低下の傾向にあるわけです。御承知のとおりです。国債政策をいまとっておりますので、金利情勢が上がるということは考えていないわけですが……。
  81. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 アメリカは上げました。
  82. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) アメリカと日本は違います。アメリカと日本はこれは金利政策は遮断してやっていくと、こういう大方針でいっておるわけでありますが、まあ多少の波はあろうと思うんです。あろうと思いますが、これはもう大体において低下する傾向にある、こういう判断をいたしておるわけでございます。国債もですね、いま、もう今度次に出す公債はどうだというようなわけにいきませんけれども、これも私はだんだんと下げていく傾向に持っていきたい、こういうふうに考えておりますので、いろいろな保険関係において採用いたしている五分五厘、またそれに基づく掛け金というもの、これは変更するということは相当の大問題であり、よほどの慎重な検討が必要な問題であろう、かように考えているわけであります。
  83. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃまだ帰らせません。過去ずっと五年なり、あるいは公社関係は十年やってきた、これは聞いていてくださいよ、実績がまた実は六分以上になっておるんですよ。そのほかの要素はすべて実績に立ってきてやって、この予定金利だけは実績をとらない。私はそれを言っているのですよ。あなたの言われる低金利政策は賛成ですよ、社会党は。日本の金利はいつも高いということを言っておるから、私はそれは賛成です。あなたの言われることは。しかし、実績主義で、ほかの要素は、死亡率は実績で下がったのだ、それからこれは脱退率がこれも実績で上がってきたのだ、こう言って、保険料の上がる要素は全部実績でとってきておるのです。保険料の下がる要素の金利だけは実績をとらないという点、ここに私は矛盾があるということだけを言っている。そういうものがやられるならば、私はすべて将来を見通したら、こんなやつは上げる必要がない、将来どうなるかわからない、現在非常に死亡率が、平均余命が長くなったから、しかし、将来はどうなるかわからない、傾向はわかりますよ、金利の傾向もわかる、そういうことはわかる。実績主義をとるならば、おのおの実績主義でやられたらどうかということが私の最後ことばです。片一方は実績だ、金利だけは将来低金利になるのだから、将来を見通してやる、低金利でやるのだ、矛盾しておるじゃないですか。この点だけです。
  84. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 実績ももとよりこれは見なければいかぬと思います。しかし、同時に、掛け金をなぜ取るかということなんです。これは将来の給付のためなんです。ですから、長い間給付が行なわれる期間を見通して掛け金というものを算定しておく必要がある、こういうことになるのだろうと思います。全然過去の実績を見ないというわけじゃございませんが、将来の見通しを立てる上において過去の実績も見る、こういうことかと考えます。
  85. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大蔵大臣、それは説明せぬでもよくわかっているのですよ。将来ということはわかっているんですよ。したがって、五年ごとにこれを変えるということに法律はなっているんですよ。したがって、過去五年の実績を見て保険料を上げたんですよ。だから、あなたの言われるように、五年、十年将来上げない、改定しないという法律であれば私は言わない。五年ごとにそういう金利が安くなった、変動したら変えるということになっているんですよ。それがために、ほかの条件が全部実績で、過去がこうであったからという実績をとってきて、金利だけは過去の実績をとらないということ、そういうことを私は検討する余地があると言っているんですよ。矛盾が大きいから矛盾というよりも、そんなことは道理も何にもないわけですよ。したがって、保険料は安全率をもってよけいとるのだ、それだけの金が余っているのだ、こう言われるなら別ですよ、計算上。それは大臣わかりますか、それでもなおかつ……。
  86. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  87. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  88. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 けっこうです。
  89. 北村暢

    ○北村暢君 先ほど共済組合連合会の運営の問題についての評議員会の民主化の問題について、職員代表と思われる人も若干入れるべきである、これは長年要望のある点でございますが、ひとつこの点についての論議は、先ほどからいたしましたから、最終的に大臣に若干この点についての所見だけお伺いしておきたいと思います。
  90. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどの北村さんのお話を伺って、お気持ちは、私もよくわかりました。ただ連合会は、各単位共済組合の連合体なんです。あなたのおっしゃるお気持ちが、単位組合段階のお話だと、私ももっとものような感じがするんです。しかし、いまお話しになっている現実の問題は、その連合会の問題だというところにちょっと私も割り切れぬものを感ずるわけであります。なお私も考えてみたいと思いますが、どうもいまこの席ではうまく私の頭に入りかねる、こういう状況でございます。
  91. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  93. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) それでありますから、いま私は割り切った答弁はいたしかねるのでありますが、よく考え、よく検討してみる、こういうふうに御了承願いたいと思います。
  94. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、両案につきましては、質疑は尽きたものと認めます。  それでは、これより二案を一括討論に入ります。御意見のおありになる方は、賛否を明らかにして御発言を願います。
  95. 北村暢

    ○北村暢君 私は日本社会党を代表して、ただいま議題となっております二法案について賛成するものでありますが、この二法案に対しまして、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかわる次の附帯決議案を提出いたしたいと存じます。  まず附帯決議案を朗読いたします。   昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案及び昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、次の事項につきすみやかに検討の上善処すべきである。  一、今回設けられた調整規定の運用については、その実効ある措置国家公務員共済組合及び公共企業体職員等共済組合を通じて統一的に講ぜられるよう適切な配慮をすること。  二、通算及び加算の措置については、恩給制度共済組合制度との間にある不均衡を是正するよう総合調整を図ること。  三、短期給付については、医療費の増加に伴い組合員の負担が過重にならぬよう国庫負担制度について配慮すること。  四、国家公務員共済組合連合会の運営の適正を図るため、現行評議員会を抜本的に改め、職員団体の代表者を含めた機関とするようすみやかに適切な措置を講ずること。  五、本年十月末日期限の到来する男子の退職一時金と通算年金の選択制については、通算年金制度創設の趣旨を勘案しつつ、その実情を考慮して期限の延長を図ること。   右決議する。  この附帯決議案の趣旨は、当委員会の審査等によりすでに明らかでありますので、説明を省略さしていただきます。  以上でございます。
  96. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより採決に入ります。昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法に規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上二案を一括して問題に供します。両案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  97. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 総員挙手と認めます。よって両案は 全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました二案に対する北村君提出の附帯決議案を議題といたします。北村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  98. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 総員挙手と認めます。よって北村君提出の決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。福田大蔵大臣。
  99. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいまの附帯決議につきましては、政府としては、御趣旨を勘案してよく検討することにいたしたいと思います。
  100. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 郡郵政大臣。
  101. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 附帯決議につきましては、御趣旨を体してよく検討さしていただきます。
  102. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは二案につきまして、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  104. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。     —————————————
  105. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 防衛施設周辺整備等に関する法律案を議題といたします。  前回に引き続き本案の質疑を行ないます。なお、関係当局の御出席は、松野防衛庁長官、鈴木防衛庁参事官、小幡防衛施設庁長官、沼尻防衛施設庁次長、大浜会計課長財満施設部長、以上の方々でございます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  106. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 大臣、衆議院の本会議で時間がないようでありますから、重要な点だけ確認程度の質問をして終わりたいと思います。  この前の本委員会で、相当認識の相違だということで別れたのですが、だいぶ認識を改められたようでありますからして、その点ひとつ確認する程度で……。  第四条のいわゆる市町村ということについて、私はこの法律上なかなか問題があるという見方をしたのです。そこで、この前の論議の中に出ました市町村に準ずるいわゆる一部事務組合、それらはこれに含まれる、何らかの形で含まれるということについて、大臣のひとつ見解を聞きたいと思います。
  107. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 先般の質疑でもちろん明らかになった点と不明確な点があります。一部事務組合というのは、御承知のごとく、地方自治体の一部事務組合ですから、地方自治体と同様であるというので、私は市町村という中に一部事務組合は含まれるという気持ちでおります。
  108. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それから第二点として、一部事務組合ではないが、この前の論議でいろいろ問題になりましたいわゆる地方公共団体として、準ぜられて、認められておるところの、一々列挙的に言いますよ、土地改良区、森林組合、漁業協同組合、これは農業協同組合もそうだと思いますが、それらについてもやはりこの市町村に準じて、この法の精神によって当該事業団体に対して補助をするとわれわれは解していいですね。
  109. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 直接補助対象にあらずして、間接的、市町村に対する補助ですから、その場合は間接的な事業主体としては認められますけれども、直接補助対象にあらずして、それは間接的なものと解していただきたい思います。
  110. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 ちょっと私聞いたニュアンスと違うのですがね、補助金を出すというのは、やはりこの事業主体であって、市町村を通じてやるということではないですか。
  111. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) この法文は、市町村に対して補助金を交付する、したがって、その先に、その事業主体であるそういう団体に金が行くということは当然なことかと思いますが、いきなり農業協同組合に補助するという形は、この第四条の場合にはとりません。市町村に対する補助金であります。したがって、その事業主体がただいまお示しのような事業主体であることはさしつかえありません。補助金の対象は市町村長であります。
  112. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 これは速記に残していただきますが、たとえば列挙をしました土地改良区とかあるいは森林組合、これは一部事務組合に該当しますが、その森林組合等々でございますが、それらが現実にこの第四条に相当する民生安定施設をしたとしますね、そのものに対して市町村を通じてそれに対する政府の補助があると見ておるのですが、それはそういう事業主体に対してではなくして、市町村に出す。そこで市町村が任意にそれを認めて出すなら出す、出さなければ出さない、こういう意味ですか。そうじゃないでしょう。
  113. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 市町村はそこの管轄区域の各種団体から該当するものについての申請を受けます。その申請に応じて私のほうは補助金を出すのですから、市町村にただつかみ金を出すわけじゃありません。市町村から、森林組合、農協というものが、この法律に該当する事業をしたい、それが民生安定、公民館等いろいろありましょう。それを事前に、市町村長を通じて出していただいて、それに対して補助金を差し上げるのですから、それがかってな納付金みたいな、そういうものじゃありません。
  114. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、大体それはわかりましたから、そういうことにいたします。ただそこで、この法文だけでは実は当該事業主体の団体からそういうものを申請したり、そういうことの手続の規定が一切考えられておらないのですが、これはどういうことで、行政措置でやられますか。その点明らかにしてください。
  115. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 一般的行政の順序として、この法文で非常に手続が、あるいは最初のことでおわかりにならなければ、施設庁長官通達を出しましてそういう趣旨は法律に合わせて指導要綱として通達を出します。
  116. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 それじゃ、問題はこれで一応認識が一致したと思います。したがって、これはあとで各党の附帯決議も考えられておるようでありますが、附帯決議が、どうせ私は抽象的なものになると思いますので、いま私の質問と大臣の答弁、これがひとつ将来の運営について重要な問題でありますから、ぜひその点をひとつお願いをしておきたい。  それじゃ、私はこの法律案についての質問は、以上で、時間の関係もあるし、あと質問がありますので、これで終わりたいと思います。  私が言うと、また持ち出したかと言われますが、北富士の問題ですが、これはもう時間がないからしっこく言いませんが、今日までの経過だけちょっと説明を、大臣でなくてもけっこうです。
  117. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 北富士につきましては、どうも山本先生御承知のように、従来から問題でございまして、問題が大別して二つになるかと思います。一つは入り会い問題、もう一つは将来の民生安定をどうするか、この問題でございます。入り会い問題につきましては、江崎、藤枝長官の精神を尊重いたしまして、入り会い慣行を尊重していきたいという観点でやっておりますが、まだ落着しておりませんのは非常に遺憾でございます。  民生安定につきましては、これは非常に力を入れまして、ことにいま御審議中の法案等も考慮いたしまして、山梨県に直接私も首脳部とたびたび接触いたしまして、しかるべき民生安定の重点施策が出てくるようにこちらからもお願いし、またわれわれも協力すべき点は協力したいという腹で現在やっております。
  118. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この北富士の問題は、相当赤城防衛庁長官の当時からいろいろと論争してきまして、藤枝防衛庁長官のときに入り会い慣行として一応認めるということになって今日に来ておる。それをもとにして実損補償というものができておると思いますが、そのときもっとこれを突き詰めておったらよかったのですが、われわれはそもそも入り会い権というものは慣行から来たところのものである。したがって、入り会い慣行というものは一つの権利体としてはなくても、やはりそれに準ずるものが存在しておる、こういうわれわれの見方であったのだが、まだこの問題についてはわれわれと防衛庁の間には意見の一致はしておりませんが、きょうはこの問題は取り上げませんが、そういう点も十分検討して、早急にこの問題の解決にひとつ努力をしてもらいたいと思いますが、大臣の見解をひとつ……。
  119. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 各関係機関、関係者を通じまして、諸般の進展はあると私は思います。すでに東富士の問題も多年の懸案でしたから、各関係者の協力により今日ある程度解決したもの、またしつつあるものもございます。同じように、長い間の紛争問題ではありましたが、私は近いうちにこれを各関係者、関係機関及び施設庁を通じて、私はこの解決は近いものだと、実は見通しは明るく持っております。
  120. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 この問題については論議すればまた長くなりますから、きようは要請ということだけにしますが、ただ私の納得できないのは、入り会い問題が解決しないということから、すでに決定をしている四十年度ですか、三十年度もそうだと思いますが、実損補償のこれを支払っていない。悪くとると、兵糧攻めにして、そうして弱らしておいて政府の言うことを聞かそうじゃないかというような、これは勘ぐっておるとかそういうことではないが、三十九年度も過ぎている、四十年度も過ぎたのだから、それだけのものは支払ってやるべきだと思うが、どうですか。
  121. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これは先生御承知のように、入り会い問題につきましては、昨年からいろいろ問題がございまして、現在なお終局の解決を見ておらないのでございますから……。補償につきましてもわれわれは払いたい。ところがこれは御承知のように、手順といたしましては、補償請求がございましてから払うということになっております。ところが、現在まだ基本的な問題につきまして係争があとを引いておりまして、実際問題といたしまして、現在は補償請求が出ておりません。しかしながら、補償請求が出ていないから払わぬということは、行政官庁としては、積極性を欠くというので、私はすぐに補償請求を出してくださいということを出先の官庁に督励をいたしまして、大体関係方面には連絡をしております。したがって、補償請求が出ますれば実態調査の上すみやかに支払いたいというふうに考えております。
  122. 山本伊三郎

    山本伊三郎君 了解しました。  そこでいずれにしても大臣、重ねて要請しておきますが、北富士の演習の歴史というものは相当古いのでございますし、入会権の問題も年々にいろいろ変遷しておりますが、住民の立場からいうと、それはもう非常に執着と申しますか、熱望でありますから、この点は十分考えていただきたいと思います。現在施設庁長官の言われた四十年度、三十九年度のこれはひとつさっそく支払うように、これは別ですから。これを支払ったからこの問題が解決したということではないのですから、その点はひとつ特にお願いしておきたいと思います。大臣がそれを承認していただけばよろしいということだけ言って、私は質問を終わります。
  123. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) よく御趣旨のことはわきまえまして、前進適用をはかりたいと思います。
  124. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  125. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  126. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 この防衛施設周辺整備等に関する法律案ですが、私は本法律案の提案された経緯についてまずひとつ長官にお尋ねしたいと思います。  この基地基本法とでもいわれるようなこういう法案は、かねてからずいぶん各方面から要望があったところです。私も本委員会で、志賀防衛庁長官、それから福田さん、こういう方々にたびたびそういうことを要望したが、そのつど、研究いたしておりますと、早急にそういう法案をつくりたいと、そして皆さんにおはかりしたいと、こういう答弁であった。ところが、非常に私が疑問に思いますのは、去る三十七年の暮れに、いわゆる自民党の赤澤試案と、こういうようなものを検討された結果、基地行政は立法措置をする必要はない、従来どおりの行政措置で、いわゆるケース・バイ・ケースでやっていけばいいじゃないかと、こういう話になっておったと私は記憶しておる。ところが、それがまた再び昨年になって態度を豹変して、立法化の線に踏み切られた。しかも、できたこの法案を拝見しまするというと、まあ私、赤澤試案を賞讃するんじゃありませんけれども、あの赤澤試案よりもずっと後退した中途はんぱな法案だと私は思う。その経緯は、どういうところでそういうことになったのか。われわれは盛んにそういうことを要求した、にもかかわらずやらないときめて、また再び昨年からこういうことになったというその経緯について、まず長官のお答えをいただきたい。
  127. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) この法案は、御承知のごとく、池田内閣の当初から、立法の要望が全国の関係者から希望があり、また、院内におきましても、各党から立法の案あるいは要求が出ておりました。ある党からは、みずから試案的なものも出ておりました。しかし、いずれにしましても、わが党としても赤澤試案というものが出ました。一番むずかしかったのは、この行政が各省にまたがるということです。このために、各省ともおのずから自分の行政範囲というものにこれが関係が深い。そこで、大体主管省はどこにするかというので、各省連合の幹事会というので、立法の前に行政的にやっておりました。しかし、いずれにしましても、基地というものの認識がだんだん深まってまいりましたので、この際一挙に立法に踏み切ろうということで、急転直下、かねての要望——相当いろんなこともありますが、各省の協力をまず一致して立法化するということにきめました。したがって、今回の法案の中に政令事項が非常に多いという特徴が、長所でもあり、短所かもしれません。しかし、その法の内容が、御承知のような経過と内容なものですから、政令ということが多数入ってきたというので、これが出まして、赤澤試案よりもいいか悪いか、いいところもあれば、悪いところもあります。赤澤試案の特徴は、御承知のとおり、審議会をつくって、その審議会において議論するというのが特徴であります。今回は、いきなり政府自身が責任をもってやろうと第一線に出た。これが長短いずれに批評されるか、これは個々に違いますけれども、やはりそれが大きな赤津試案と今回の立法の違いで、いずれにしましても、ここまで踏み切ったことは政府としては相当英断であることは、これは間違いございません。このような法律案は、なかなか、ほかの、いままでの法律案と非常に違っておる。それは、非常に多岐多様で、施設庁の所管すべきものであるかどうかでさえ、私は、この内容の全部からいうならば、施設庁の権限範囲に入るものはかえって少なくて、他の役所に入るもののほうが私は多いように思います。それを各省一致して基地というものの認識を新たにした、したがって、この際立法に踏み切った、これが経過と赤澤試案との対比の特徴であります。
  128. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 たぶんそういう御答弁であろうということは私予想しておりましたが、長官は非常に頭がいいので、私があとで尋ねようと思うことをみんな答えられた。なかなか早いから。まあ、しかし、ゆっくりひとつやってください、落ちついて。  それは各省とも関連性が多いということは、これは当然わかりきったことで、そういうことを勘案されて、すでにかねてから研究をされておったのだろうと私は思いますが、どうもいまあなたの御答弁では、各方面の要望が非常に多いからこういうことに踏み切ったと、急転直下そういうことに踏み切ったと、こうおっしゃるけれども、その点がどうも私ら疑問なんです。当然この法案の提案については、われわれはもうかねてから望んでおったのでありまして、ところが、昭和三十七年に、立法措置をとる必要はないんじゃないかと、ケース・バイ・ケースでいこうじゃないかときめられておる。それがまた急転直下したと、そこに私は、ほかに大きなこれには原因があるんじゃないかと。それはむろん池田さんから佐藤さんにかわったと、だから多少の考え方は変わったかもしれませんけれども関係地方の地方公共団体の強い要望があったからという、その理由は私はわからない。それはずっと以前からそういう要望は強かった。われわれも要望したのです。それが急に、そういう要望があったからということは私はおかしいと思う。そうじゃなくして、もっと政治的理由があるんじゃないかと、こう私らは考えざるを得ない。それは一九七〇年の安保改定期に備える、いわゆる国民に対する鎮静剤的役割りを果たすためにこういうことを急に思い立ったのじゃないか、こういうふうに思われるんだが、率直にひとつ長官その点を答弁してください。あまりにあなた方の態度の豹変が疑問に思うのです。私は。どうですか。
  129. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) どうもなかなか政治的にうがった御質問で、この法案と直接関係があるかどうかしれませんが、基本的にいうならば、おっしゃることもよくわかります。それは、私は、国民の防衛意識というものがある程度国民の中に前進して、安定感を持ったと思います。防衛というのは危険なものだということから、防衛は必要なんだと、いや、ぜひやらにゃいけないんだという、そうだという、だんだん一つ段階を経て防衛意識が前進したと。したがって、それならそれに一番関連の深い基地という問題につきましても、私は国民がある程度の理解を持ってきた、こういうことが、やはり一つの政治的時期からいうならば、そういうものだろうと思います。一九七〇年を目標にしたわけじゃありません。逆に、だんだん国民に防衛、それから基地というものについての理解が深まったと、これが私は、この一つの、言うならば、政治的にこの法案をどうしても——また、国民に十分これを受け入れてもらえるという時期であると思います。したがって、おっしゃることは全然わからないわけじゃございません。お互いすなおに言うならば、そういう考えはあるであろうし、また、あってもふしぎはないと、また、国民もそういうふうな一つの変転が今日あると。私は、それは一つの大きな、政治家として、提案者というよりも、政治家同士の腹を打ち割って言うならば、国民の中にそういう空気がすでに非常に高まってきておるということは、一つの政治的意味から言うならば、私はそれは一つの要素であったと思います。
  130. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 なかなか長官は答弁がうまいから。しかし、あなたのおっしゃることは、これは私もわかりますけれども、これは国民としては、いままでこの法案はつくらなければならない、基地安定法案というものはぜひ必要だということをあなた方が叫び続けられてそのままこられたのならそれは理屈はわかる。だがやる必要はないじゃないかと言っておきながら、突如としてこういうことをやられる。しかもそれは大衆の声があまり大きいからというが、それでは、私はあなた方時代感覚がほとんどないのじゃないかと、私はどうしても疑問に思うのです。やはりこれは政治的に長官を中心に動かれたのだ、これは安保条約改定も差し迫っているのだ、ぜひこうしてもらいたいということで、あなたの大きな意思が動いてやられたのじゃないかと思うのです。あなたは知恵者だからそのぐらいのことはやられると思う、どうでしょう。
  131. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) だんだんのあまり胸を開いた御質問ですから、胸を開いてお答えしますが、今日、自衛隊というものはだんだん国民に親しまれてきた。ただ基地問題だけはどうもいかに自衛隊びいきでもうなづけないという気持ちは、それは関係住民にあります。自衛隊は好きなんだ。しかし、おれのところの橋をこわされちゃ困る。これはおそらく党派のいかんを問わず、保守党の人だろうと、党派のいかんを問わず自衛隊の親しみはふえてまいりました。社会党の方もだんだん党内には自衛隊の認識が深まりつつあると私は思います。いろいろの試案が出つつありますから。これは言うに言えない世論であって、いい悪いの議論じゃないと思いますが、ただ橋をこわされてそのまま置いておかれたのでは困る。これは党派じゃありません。したがって、そのようなものは補償の要求をしたり陳情をしたりして、今日まで橋の修繕を要求をしたり陳情をしたりしました。それではあまりに御迷惑をかける。権利義務はわれわれが負うべきものは負う、こういう一線を画すべき時期だと思って——この法案は御承知のごとく、なかなか各省にまたがっておりますから、喜ぶ省もあれば、必ずしも喜ばないところもある、やりにくい行政です。これが各省認識されたと思います。基本としては。国防と自衛隊に対する国民の認識、それが各閣僚、各役所に反映をして、やはり基地は大事だ、やらなければならないという空気に急転直下なった。文章を読みますと、なかなかこんな文章は役人は書いてくれませんが、私は、ほんとうにすなおに答えるならば、そういうことが大きな進展の原因であった。言うならば、国民の認識がこの法案の立法を促進したかぎであったと私は思います。
  132. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは私も胸を開きますが、あなたのおっしゃるように、自衛隊は好きだけれども基地はいやだ、それはまだあなたの考えが非常に甘いのであって、自衛隊が好きだ好きだというのだったら、あんな客引きみたいなことをして、自衛隊員を募集しなくたって募集人員の三倍も四倍も来るはずだ。ああいうみっともない客引きみたいなことをしたり、ああいう不見識なことをやるのは、国民が自衛隊に親しみを感じていない証拠だ、あんな客引きなんかするのは。その点は私反論しておきます。  それから今回のこの法案は、基地周辺対策に対する地域の指定とか、あるいは周辺対策の計画とか、あるいは先ほどあなたのおっしゃった審議会、これは名前はどうでもいいんですが、審議会の設置というような、そういう義務づけがないのです。今度の法案に全然義務づけがない。全く骨抜きの状態と私は見る。いままで行政措置でやってきたことを単に法文化した。これを無理にとるならば、四条の規定が新たにできた程度のことであって、なぜこのように骨抜きで抽象的な、地域の指定のない対策、計画の決定もない、審議会というようなものもない。こういう中途はんぱな骨抜きの法案をどうしてつくられたか、その点についてひとつ長官お答え願いたい。
  133. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 地域の指定は御承知のごとく、その実態によってこれをきめるという意味であります。法律条文によらずして実態できめる。実態とは何ぞやといえば、騒音の場合、基地から千メートルでよいときめるならこれは簡単です。しかし、騒音は必ずしも千メートルがいいか、五百メートルがいいか、二千メートルがいいか、騒音は騒音の大きさ、位置によって違ってまいります。また、同一市町村である場合もあれば、同一市町村以外の場所も被害を受けるかもしれません。その意味で、法律で基地周辺千メートルの範囲内においてと書くならば法文として書けないこともありません。しかし、騒音の場合を考えると、千メートルというものがはたしていいか悪いか、あるいは飛行機の進入水面、進入地域というものはどの地域がいいか、これは時々刻々変わるべきものだ。したがって、そのたびごとに基準を設けまして、無基準ではございませんで、基準がございまして、政令に基準を設けて、基準によって地域指定をする。それから飛行場ごとに違うかもしれません。飛行場と射爆場では違うかもしれません。また、射爆場と演習場では違うかもしれません。そういうのが個々にありますから、そこが私のいう非常に親切な政令というものを実態に合わせて、被害の実態に合わせてやりますという意味で、全然土俵なしの相撲をとるわけじゃございません。
  134. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  135. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  136. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それじゃ、いま長官の御説明では、実態に即応してやるのだ、これを規定するというと何メートルから何メートルときまってしまうじゃないか——なるほど一応理論的にはうなずけますが、だったらその実態をだれがきめるのだ。一方的に政府できめてしまう。納得がいこうがいくまいが一方的にきめてしまう。こういうことになることをぼくは憂うるのですよね。みんなの地元の方が一番、実態はわかっているのだから。そこに朝晩いらっしゃる。だから地元の方の意見を十分——それはむろん聞くでしょうけれども、結局は一方的にこちらでやってしまう。不満であろうが、賛成できなくても、そういうょうなことが予想される。その点を憂えている。施設庁長官どうです。
  137. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 例を用いて申し上げますと、たとえば騒音につきましてはホン、何ホンということで大体いままで経験数値がございますので、実態に合わせて、先生がおっしゃいますように、はっきりこれは政令できめたい。政令といいますか、基準を……。たとえば大臣が特に申しましたのは、第四条の周辺の助成施設なんかはこれは赤澤試案では、飛行場とか防衛施設を特定したのでありますが、今度の法案は、障害があればということで、少し緩和して実態に応じてやるということになっております。  それからもう一つの五条の、たとえば住宅の集団疎開、こういうものにつきましては、現在、閣議決定では千メートル以内の住宅地と五百メートル以内の農地というふうになっておりますが、本法では、大臣も申し上げましたように、滑走路の延長上、と申しましてもその地形によっても違うし、飛行場で使われる飛行機の機種それから訓練の形態でございますね。これは非常に急上昇するような機種で、音響は大きいが速く上がっていくというふうな場合には、滑走路の延長、そう遠くまで音響はございません。が、相当低空を飛んで長く旋回して上がっていくというような滑走距離の大きい飛行機というふうな場合には、滑走路の延長を相当長くとるというふうな個別的な差異が飛行場ごとにあるものですから、そういうものは飛行場ごとにきめたい。しかしながら、先生のおっしゃいますように、一般的な基準は何によってきめるかと言いますと、飛行場の滑走路の延長でどういうふうな困難を来たしていくかというふうな基準は、大体百ホン以上の音響とか、あるいは高度百メートルの低空の飛行が続くところとかというふうな一般的な基準をつくって、民意に沿うように努力をしているというのが現状でございます。
  138. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これは、あなたは飛行機の騒音のことばかりを言っているけれども、騒音の障害防止法案ではないのですからね。騒音のことばかり言っているけれども、もっともっとたいへんな問題が多いじゃないですか。たくさんある。しかし、まあそんなことを言っていたら日が暮れるから、それは他日、私は、そんな点はお話を聞くことにして、次に、この法案は、昨年の秋以来、関係閣僚協議会とか、特別枠事会とか、いろいろ小委員会とか、るることしまでやってきたと思うが、そういうふうに聞いておるが、その間、この法案に対して都道府県、あるいは市町村の関係住民の方々ですね、それらの意見をどういうふうにこの法案に取りいれられたか。そういう点を、これは関係都道府県なんかからもたびたび陳情があるわけですが、それをどういう点においてその意見を入れられたか。その点をひとつ……。
  139. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その点が、まあ一番重要な点であろうと思っております。われわれもその点を非常に重要視いたしまして、先生も御承知のように、都道府県につきましては、基地を持っておられます渉外都道府県連合会というものがございます。ここで、大体、都道府県の御意見は集大成されまして、われわれのほうにまいっております。また、市町村長とか、あるいは地方の議会の方々の御意見は、一堂に会しまして、北海道から九州までの方々にお集まりを願いまして、いわば公聴会のようなものを開きまして、諸問題を全部お伺いしておる。そういう具体的な問題につきまして、過去十数年と言いますか、二十年近くわれわれが扱ってまいりました基地問題の一つの経験的な類型も十分それらにあてはめてみまして、大体類型的に全国で通じてやっていけるというものは法文化しておりますし、それにあてはまらぬものは政令によりまして、今後の新しいものが発生する余地を残して、弾力的に運用ができるように、措置いたしております。
  140. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それではお伺いしますが、都道府県知事あるいは市町村長とか、関係住民の方が意見を具申されて、たとえばどういう点を取っていれたか。また、この法案に対して、全面的に賛成されたか。法そのものはむろん賛成ですよ。それは賛成だけれども、内容に対して……。
  141. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 一例を申しますと、たとえば障害防止工事の助成という三条のところでは、騒音を例にとりますと、従来は、学校と病院というものを非常に厳格に限定しておりました。これに対しまして、たとえば保育所とか、あるいは療養所のようなものを入れてくれというふうな要求がございました。こういうものは前二号に類する施設で、幼稚園とかというものですね。そういうものは追加していこうというふうなことは各地区から共通した要求でございましたので、これはできる限りこの政令でもっていくというふうに措置いたしております。  それから第四条、これは本法の新しい規定でございますが、これは非常に各市町村から熱烈な要望がありまして、直接相当因果関係がなくても防衛施設があって、その全体の運用から非常な迷惑がかかるという場合には、市町村でいろいろ選んだ施設について、妥当なものがあればひとつ補助をしてくれ、市町村の発意と責任において項目を選んでくるから、それに対して措置してくれというふうな御要求がございまして、そういう点も十分に考慮しまして、第四条はつくっております。
  142. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それは先ほど私が申し上げましたように、今度の法案はほとんど骨抜きの法案であるが、その中でも、ようやく、四条のみがこれが新しくできた規定だというふうにわれわれは解釈する。これは私が先ほど申し上げたとおり。それはあなたから聞かなくともわかっておるが、ところが、この第四条は非常に歓迎を受けておるというようなお話ですが、予算はわずかに五億しかついていない。それで完全にできるとあなた方考えていらっしゃるのですか。わずかの五億で。その点をひとつ。大体、こんな大事な法案が、これが一枚看板だということをあなたはおっしゃって……。
  143. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 五億という予算もことし初めて取ったのでございますが、もちろん、もとより、五億では十分とは思いません。しかしながら、現在、われわれの試算では、大体、第四条の対象になる市町村が約六、七十でございますので、それで割っていただきますと、決して市町村にとっては少ない金でもないという感じがいたします。なお、これは将来、必要に応じて増額をしていきたいと考えておりますが、地方交付金等も発足の当時は四億か五億であったのではないかというふうに考えておりまして、まず発足はこの辺のところから進んでまいりたいと考えております。
  144. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 ところが、どうもそこらが私らが納得ができないところなんです。これは新しくできましたから、予算はことしは新しくついた、去年はついていません、ついていないことはあたりまえなんで、初めていまこの法案をつくるというのに、去年、この法案がないのに予算があるはずがない。そんな子供だましのような答弁では困る。  それから、先ほど長官は、各省との意見の調整が非常にたいへんだということを言われたが、どういう点に各省との意見の調整で難航したか、難航した問題点をひとつ……。
  145. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) その典型的な一例を申しますと、自治省の地方交付金というのがございます。当初は次官レベルで構成しております特別幹事会で、地方交付金もこの法案と一緒の所管にして、第四条と両々相まってやってはどうかという意見も出たのでございますが、これにつきましては、自治省のほうから、地方交付金はおのずから第四条による施設の補助というものとはその趣旨、目的を異にする面が相当あるのでという議論が出まして、特にこの点が一番争論になりまして、現在のような姿で自治省に地方交付金を残しまして、第四条は施設補助一本で進むということになったわけであります。
  146. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこらが、今回、基地交付金が本法案から除外された、抹殺をされた、そういう点が私は骨抜きになったのだと、なぜ内閣の強い政治力で防御できなかったか。そうしてしかも四条はわずかに五億しかついていない。そういう点に私はこの法案が骨抜きになっているということを申し上げているんです。一番あなた方が大事なことを言っているところが弱体になっている。それはどうお考えになりますか。
  147. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先生の御意見はよくわかりますが、両方の制度を比較してみますと、基地交付金のほうは、その施設の中にある国有財産施設というものに関連して自治省が出しておりまして、その施設が非常に飛行機によって障害を与えるとか、あるいは射爆によって障害を与えるというふうなことは抜きにしまして、施設があって国有財産があればその施設を管轄の市町村に一定の金を与えることに重点を置いております。いわば施設の静的な面に着目しております。ところが、第四条のほうは、その施設のそういった静的な面ではなくて、飛行場はどういう障害があるだろう、あるいは射爆場ならどういう障害があるだろうというふうに施設の動態的な面についてこれは配慮を示すという案でございまして、両方相まって自治省とよく協議してやっていくならば、一つでやるほど完全になるようにいかないかもしれないけれども、大体において所期の目的を達し得ることと思いまして、問題を今後に残したような次第でございます。
  148. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんから、それも私は納得できないけれども……。  それからこれは先般からも大事なところで問題になっておるのですが、なおあとで詳しくこれを聞きたいと思うのですが、特損法とこの本法案とが別建てになっている。特損法は現行のまま残しておくが、なぜ残しておくのか、結局特損法を別建てにしておくと、従来から問題になっておった米軍基地と自衛隊基地との取り扱いの差というものが依然として残っていると思う。永久に残っていくと思う。そうすると、あなた方は、それは本法案の第二章に載せております。と言われるかもしれないけれども、私は特損法を別建てに残しておる以上は、自衛隊基地と米軍基地との両方の差というものは依然としてやはり残っていると思う。そういう点はどういうふうにあなた方処理しようと思っていらっしゃいますか。
  149. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この点も先生御指摘のように、当初は一本にする案も確かにございました。しかしながら、いろいろ法案作成の過程におきまして議論をしております中に、従来の特損法というものがやはりそれなりのできた意味がある。非常に法律としてはできがよくありませんことは、占領軍の占領当時につくったので、事こまかく書き過ぎておったり、あるいは現在から見ますと、その内容がほとんど実態のないものがございます。現在あの特損法を新しく書けばこうなるというふうな見地から見ますと、相当法律技術的には問題がございますが、現存しておりましてすでに国民になじんでおるこの法律を、法律技術の見地からだけ簡単に改正することはいかがなものだろうかという意見が出まして、今度は自衛隊だけを第九条に書いたわけでございます。両方とも、法律技術的には今度のほうが進んでおりますが、法律、政令と両方まとめて検討いたしますれば実態的には変わりがないというのが現状でございます。
  150. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 実際変わりがない……、変わりがないと言うのだったら、別建てにしておく必要はないと思うのだ。これは別建てにしておくというのは、何かそこに変わったものがあるから別建てにしておく。それは自衛隊基地と米軍基地だからあなた方そうおっしゃると思う。これだって問題があると思いますが、これはまたあとでお尋ねいたします。大体の経緯はそれで……。  次は、本法の内容についてちょっとお尋ねしたい。これもずいぶん問題になっておる問題でございますが、政令の委任事項が非常に多い。私はこのように政令の委任事項が多い法律はほかに見たことがないのです。不敏にして。単に多いだけでなくて、内容的な事項もすべて政令に譲られておる。これは本法案の成否はすべて政令の内容いかんにかかっておる、こう言っても過言でない。そうなりますと、こういう点から考えましたときに、本法案の審議には当然政令案が添えて提出されるべきであると私は思う。  直ちに私はこの委員会に政令案を添えて提出していただきたいと思う。どういうふうにあなた方お考えになっておるか。
  151. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 政令が多いことは事実でございますが、これにつきましても本法では一応類型化して法律に書けるものはつとめて書いております。たとえば第三条におきましても列挙しておりまして、列挙できかねるものを政令で書いている。そのことはいい面は、将来いろいろ基地問題とかそう簡単に解決できないものが地方別に起こったりいたしますので、そういう弾力性を与える意味から政令に若干の道を残したほうがいいのじゃないかと考えております。政令案につきましては、現在大蔵省と折衝いたしまして、ほとんど九割以上は煮詰まっておりますが、あと少しがもう少し煮詰まらぬところがありまして、まだお手元にお配りしていないのははなはだ残念でございますが、もし必要としますれば手元にいま持っておりますから、ひとつごらんいただきたいと思います。
  152. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 政令案が必要でありますれば、いまここにありますなんというふざけたことを言わないで、現在大蔵省と折衝中だろうが、ほんとうにもう不届き千万ですよ。あなたの言うのは、まだ現在政令案はまとまっていない、まことに申しわけありませんからといって、そうしてこの法案を審議してくれ、しかもこれを採決してくれ、とんでもない、何を言っておるのか。そんなばかげた話はないよ。全部この法案の成否はその政令にかかっておるのでしょう。だから政令案をこれにつけてわれわれに審議願いますと言うのが当然である。ここに持っておるから必要なら差し上げます。当然必要じゃないか。政令によってこの法案は生きてくるのだ。ほんとうにもう何事を言っておるのか、あなた方の言っておるのはわからぬよ。何も空で審議してくれ。だからその要綱だけでもいいから、直ちに委員会に提出してもらいたい。
  153. 財満功

    政府委員財満功君) 政令の案につきまして現在大蔵省と詰めておりまして、そこでこの法律の施行令に規定する事項につきましては、つまり政令の要綱とでも申しましょうか、要領とでも申しましょうか、そのようなものはお出ししたいと思います。
  154. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私らはね、あなた方のように詳しくないんだから、何もわからない、右も左もわからないめくら同然なんだから、もう少しわかるようにしていただかないと自分だけがわかっておって、政令案が必要ならここに持っておりますよというようなことを言わないで、十分われわれ審議できるように、そうして、このようにして審議していただきたい。私ら右も左も全然わからぬわけでございますから、よろしくお願い申し上げたいと思う。だからその要綱だけでもいいから直ちに提出してもらいたい。大蔵省と折衝中だというようなことぐらいは、そのくらいのことはわかっている。そうして審議してくれなんて……。
  155. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  156. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記起こして。
  157. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでは時間がないから急がないというと、ぐずぐずしておるのはあなたたちのほうだから、責任はあなたたちにある。こっちは明快にやっておる。  基地周辺対策の予算についてでございますがこれもたびたび論議あれたところでございますが、「予算の範囲内」という制限がつけてあるが、こういうことになりますというと、本法案の成否は、今後の予算措置いかんにかかってくると私は思う。どういう考え方をあなた方は持っていらっしゃるか。先ほど試験的にいって第四条は五億でもつけてと、そうしてこれが一番大事なかなめでございます。そこで本法律を契機として今後積極的に基地周辺対策の強化に乗り出されるのかどうか。いままでの基地関係、地元民の要望をもととして十分これが予算措置考えられておるかどうか、そう考えたときに、将来いかほどくらいにあなた方は予算が要るのだと見積もられておるか、政府のあなた方の推定額を承りたい。
  158. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 本法で「予算の範囲内」としておりますのは、助成処置が主でありますので、そういう表現をとっておりますが、将来の大体の見積もりは、私の試算では、まあ三次防期間と申しますか、将来五年くらいの見通しのもとで申しますと、大体三次防がきまりませんと断定的には申し上げられませんが、現在の腰だめでは、年間施設庁予算としまして二百五十から二百八十億前後のところへいくのではないかというふうに考えております。したがって、五カ年ですと、やはり千四、五百億近くなるんじゃないだろうかというふうに考えております。
  159. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それではあとでもいいのですが、その推定額を防音とそれから防災、それから民生安定措置、安全対策事業、損失の補償関係、こういうのに分類して、私は将来の見通しに対する推定額をいますぐ御答弁ができれば承りたいけれども、おそらくまだあなたは頭をかしげているのでできないと思いますけれども、後刻書面で出していただきたい。それによって私は検討いたします。第三次防なんかとも関係がありますから、あなた方は第三次防のほうに頭を入れてのぼせておるから、こっちのほうにも少しのぼせてもらうことをやってもらいたい。
  160. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 大体二百五十から八十億の六割が先生がおっしゃったものの総計と思いますが、その分類した数字は現在手元にございませんので、整え次第お手元に差し上げたいと思います。
  161. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その次に基地についての将来の見通しということについて私はお尋ねしたい。米軍基地及び自衛隊基地の用途、坪数その他は先日資料をいただきました。それで大体わかりましたが、本法案の立案の前提として米軍基地及び自衛隊基地の様相が将来どうなっていくであろうか、そういう点をあなた方はどのように考えておられるか。昭和三十二年ですかの岸・アイク声明に基づきますというと、大量撤退による基地返還、こういうことになっておりますけれども、その後あまり返還されていない、わずかに小さなものがあったかもしれぬけれども。だから今後返還交渉を続けるとして見通しはどう考えておられるか、その点をひとつ承りたい。
  162. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 岸・アイク声明当時は相当大幅な撤退がありましたので、基地の減少も目立っておりますが、現在では撤退したあとのぎりぎりの米軍が残っておりまして、なかなか急には私は減少しないのではないかと思っております。しかしながら、そうは言いましても、その必要の態様に一つの変化が起こっております。と申しますのは、現在米軍が持っております基地を自衛隊が共同使用するとか、あるいはさらに米軍の基地のうちで、いろいろ占領当時の非常にいい地面を持っている所を、占領後、今日の経済発展から見ますとふつり合いだというようなものは集約して整理して他に移転するとかいうふうな余地は、相当これから増してくるのではなかろうかというふうに考えておりまして、そういう点につきましては撤退とか縮小とかいうことと離れまして努力したい。あとの兵力の削減に伴う縮小というものは、現在のところ、簡単には予見できない現状でございます。
  163. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 米軍基地を自衛隊基地に使用転換をしていこうというような政府方針らしいのですが、やはりそれはそういうお考えを持っておられますか。
  164. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 全部をそうするわけではございませんが、自衛隊が漸増してまいりまして、新しい演習場とか飛行場がほしい場合に、たまさか米軍のほうもその基地がだんだん不用に近くなっておるというふうな一致がございます場合は、新しく事を起こして他に土地を求めるよりは、在来米軍が使用しておった土地を自衛隊が返還を受けまして、米軍に必要があれば逆に一部貸してやるというふうなことにしたいというふうに考えております。
  165. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういう点についても、私は大いに意見があるんですね。自衛隊基地は、これは第三次防計画等で漸次ふやしていくというようなお気持ちということはわかりますが、そういうことを開いておりますが、これは米軍基地と自衛隊の基地は、あなた方御承知のとおり、私は詳しいことは何にもわからぬのだが、米軍基地には民有地が含まれている。そういうことを地元民にも相談しないで、将来は自衛隊の基地にそれを移管していくのだというような一方的な考えであなた方が考えて進められるということは、これは私はもってのほかだと思うんですね。そういうことに対しても、あなた方どういうふうにお考えになっておるか、これはあとでまた私は聞きたいと思うのですけれどもね。
  166. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先生御指摘のとおり、米軍基地につきましては三割ほど公民有の土地があることは事実でございます。これは米軍が条約に基づきまして一定の期間おるということになっておりますので、永久におるというたてまえになっておりませんので、自衛隊の基地にいたします場合には、原則として恒久的でありますので、つとめてこれを購入したいというふうに考えております。当然転換する際には、民有地につきましては買うものは買う、借りるものは借りる、はっきりその地主に相談して承諾を得た上で転換をしたいというふうに考えております。
  167. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこでこれは関連してくるんですけれども、本法案の中のいわゆる防御施設ということについて私はお尋ねしたいんですがね。本法案は、防衛施設という概念で米軍基地も自衛隊基地も、双方一緒にひっくるめて規定している。こういうことに私は問題があると思う。なるほど防衛施設庁がその所掌として米軍基地と自衛隊基地双方の基地行政を担当している、それはそれなりにわかりますけれども、であるがゆえに、本法案のように防衛施設という概念で、一緒に米軍も自衛隊も規定しておる。これは私はうなずけないのです。というのは、米軍基地は地位協定という条約によってその基礎が置かれておる。いわゆる地位協定の実施に伴う土地の使用等に関する特別措置法である、あるいは特損法、あるいは米軍の水面の使用に伴う漁船の操業制限等に関する法律でしょう、そういうことが適用されている、適用を受けている。だから自衛隊基地とはもう法の体系そのものが全然別個になってるんですよ。また実態上においては、米軍基地には先ほどあなたがおっしゃったように民有地が三分の一もある。自衛隊基地には全然民有地はない、こういうことになりますと、この本法案がいかに基地周辺対策を規定したものであったとしてもそれぞれ別の法律体系に属するものを、防衛施設という概念で一緒にまとめてこれをあらわす、表現するということには、私は大いにこれは無理があると思う。どうお考えになりますか、その点。
  168. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先生の御指摘のように、地位協定の実施をあらわす法律でございますと私は別になると思います。たとえば不法行為による損害とかというふうなものは、これは先生御承知のように民特法で別になっております。本法は地位協定の実施規定ではございませずに、地位協定によって提供した基地が周辺に迷惑をしておる。これに対して日本政府がどういう周辺対策をとるかという点が中心でございます。こういう見地から見ますと、米軍の飛行場であっても、自衛隊の飛行場であっても、ジェット飛行場は同じ周辺に障害を出しておる。演習場も同じ種類の障害をしておる。したがって、自衛隊等の施設という中に一緒に防御施設というものを含めまして、概念規定をいたしまして周辺対策としては差別する必要を認めないという見地から一緒にしたわけでございまして、その点御了承願いたいと思っております。
  169. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから米軍基地と、それから自衛隊基地のそれをすべて防衛施設と一様にこれを規定してしまうということは、それは私が先ほど言ったように、将来米軍基地を返還してもらった場合に、それを即そのまま自衛隊の基地にしようというあなた方の下心である、こうしか思われない。米軍基地を将来返還されたときは自衛隊基地としてこれをそのまま使用していこう、だから米軍の防衛施設も、自衛隊の防衛施設もおんなじ防衛施設だということで一律に解釈していこう、で、そういうことになるというと、先ほど私が言いましたように、あなたも言われたように民有地は三分の一もある。そうすると、その土地の所有者の意向も聞かずに、地元民の意向も聞かずに、将来はこれは自衛隊の基地に肩がわりしていくんだというような、一方的にあなたたちがきめているような、そういうことは誤解を招く案になりやしないか、これは誤解を招きます。その点どう考えますか。私はずい分深いところまで考えて、あなた方にお尋ねしているんだ。
  170. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) おっしゃるように、防衛施設ということで一括しておりますので、あるいはそういう誤解を与えることになるかもしれませんが、米軍の施設が自衛隊の施設になる場合には、解除という正式な手続がありまして、自衛隊が自分の施設に使うためには、民有地につきましては新たに民間と正式の契約を結ばないと使えないということは、これは別の法律で当然そういう制度になっておるわけでございます。したがいまして、この法律で自動的に知らぬ間に民意を無視してアメリカの施設が自衛隊の施設になってしまっておったというふうなことは、この法律からは全然出てこないものでございますから、その点はひとつ御理解願いたいと思っております。
  171. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういう誤解を招くんだということはあなた認められたんだが、私もそう思うからあなた方にそれをお尋ねしている。  次に、本法案と特損法についてちょっとお尋ねしたい。これはたびたびこの委員会で論議されましたように、特損法と同趣旨のことが第三章に規定してある、自衛隊の特定の行為について特別損失の補償を認めようとすると。ここに私は問題があると思う。もともと特損法はこれはもう御承知のとおり、東京湾の防潜網の設置による漁業の被害とかあるいは私らの福岡県の芦屋の防風林の伐採による農業の被害とか、そういうことで二十八年に制定されたんだとこう聞いておりますが、そういう特損法に基づく農業、林業、漁業、こういう損害に国家に補償義務を負わせる。これら何ら過失ではないけれども、無過失責任主義をとらせる、こういうこれは私は注目すべき立法だと思うのですね。ところが、これを今度自衛隊の行為に及ぼす。こういう、これは特損法は安保条約に基づく米軍の行為によるものであったと私は思うけれども、想像しますが、わかります。それを今度自衛隊の行為に及ぼす、特損法を。であったら、なぜ他の一般の国家活動には及ぼさないで、自衛隊の行為だけこれを認めるか、そこに私は疑問があるのです。特損法ですよ。私の言うことがわかりますか、質問。わからなければあなたどうかしているよ。この疑問にひとつ答えていただきたい。
  172. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先生のおっしゃるのは、おそらく本法でいう特殊な特損法の扱いと、一般の公害でございますね、一般の他の公害と不均衡ではないかという、こういう御意見と思いますが、これは本法をつくるときから一つの問題としてございました。特別幹事会等でもいろいろ議論したのでございますが、一般公害については非常に関係するところが多うございまして、これは各方面で現在検討されておりますので、その議論が成熟した上での措置を待って考えよう。本法ではそういうものと関係のない、いわゆる戦闘部隊と言いますか、自衛隊らしい、防衛部隊らしい一つの兵器をもって訓練をやると、こういった一つ一般公害にはない特異の行為だけを中心に考えていこうということでこういうふうに全体の法体系になっておりますので、そういう意味で先生のおっしゃる疑問は、今後十分検討課題としてわれわれも検討していきたいと思っております。
  173. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 あなたもいまお話がありましたように、最近非常に一般公害が非常に問題になっておる。だから自衛隊以外の国家活動で当然同程度の損失を与えているものがあるはずである。そういうものについては一体どうなるのだと、こういう疑問が起こってくるんです。厚生大臣が国会で答弁しておるところによりますと、来通常国会には公害基本法を提案したいと。本案では第二章の規定制定されておるところの公害基本法と矛盾するような、そごするような点が出てきやせぬか。第二章に今度制定されておるね、この法案では。そういう点が今度は厚生大臣が出す公害基本法と一致すればいいけれども、そごしたり食い違ったり。だからなぜ公害基本法の制定を待って私はこれをつくらなかったかと、あなた方ね。そういう点の見通しの上に立ってやらなかったのか。厚生大臣が公害基本法を来通常国会に出すと、それをリードするだけのりっぱなものであればけっこうです。その点の自信ありやいなや。
  174. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いま先生のおっしゃった点は、非常に重要な問題だと思っております。われわれとしましては、先ほど言いましたように一般公害と違った、まず自衛隊の特殊性のものだけを先へ進ませておいて、一般公害の基本法等が出ました場合に、先生のおっしゃる矛盾する場面があるかもしれません。たとえば一般公害では、おそらく工場規制なんかはその原因を起こすほうの規制が相当きついんじゃないかと思うんです。そういった点につきましては、自衛隊はまあ訓練というものがございますから、訓練を弱めるような規制をみずからはできないと、まあそういう点はございましょうが、それ以外の点でございましたら、私たちは一般公害の法案が後に出ましたものを十分検討いたしまして、改正を要する点があったらどしどし改正したいと、かように考えております。
  175. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで本法案の第三章の規定といえば、特損法の補償と全く同趣旨のものであると私は思うんですが、従来からこの特損法の補償対象並びに範囲はまあ限られておる。そこに非常に問題が多かったんでしょう。昭和二十八年の特損法が制定されましたときに、国会で審議されて、それでいろいろの将来これに対する検討すべき点が指摘されて、衆参両院の水産委員会なんかで附帯決議がつけられておる。これは御承知と思う。その附帯決議に対する検討をされたかどうか。それでこの機会になぜそれを改善されなかったか。その点を承りたい。
  176. 財満功

    政府委員財満功君) 先般の特損法の審議の際につけられました附帯決議は、一つは手続の簡素化ということでございます。それから次に完全補償をせよということでございます。第三は各省間の緊密な連絡による損失の的確な調査及び補償金の迅速な交付ということでございます。  この三つのうちで手続の簡素化につきましては、私どもといたしましては決議のとおり簡素化しておるつもりでございます。なお、各省間の緊密な連絡による補償金の迅速な支払いにつきましては、協力を得まして、その調査及び迅速な支払いにつとめてまいりました。なお完全補償という問題に関しましては、この特損法によりまして制限を受けたためにその労力が他に転用できる、本来制限されなければその場所において働いておったであろうと思われる労力が、制限を受けたことによって他の仕事に転用できる部分があるというふうに見まして、大体八〇%程度払っております。しかし、いま私が申し上げましたような意味で、実損失に対しては一〇〇%の補償をいたしておるというふうに考えておりまして、特損法の制定の際に付せられました附帯決議についてはそのように実行いたしておると考えております。
  177. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 では、この附帯決議にもあなた方は触れられておるとおっしゃっておるが、通常生ずべき損失についての政府の解釈がですね、平年の収入と対象行為のもとにおける収入との差額八〇%と算定しておるのですね。この算定方法を改善して、なぜ実損失に対しての完全補償をしないのか。その点については、附帯決議は尊重したとおっしゃいますか。
  178. 財満功

    政府委員財満功君) ただいま申し上げましたように、他に転用できると、つまりその場所において制限を受けたために遊休化、その場所においては遊休化した。しかし、他に転用できると思われるものについては八〇%、つまり二〇%のところは他で収入を得ていただくと、こういうふうな意味に解釈いたしております。なお、そのように遊休化しない、他に転用できない労力、これは飛行機の騒音、危険感に悩みます農業経営阻害補償に関しましては、これは計算上一〇〇%補償ということに相なっておりまして、私どもは全体を通じまして完全補償をしておるというふうに考えております。
  179. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 この特損法はね、非常に狭められた面の補償になっておりますね。農業とか林業とか漁業と、そういう経営上の損失というように限定されておる。だから、なぜそれを今回その範囲を広めて、一般の民家とかあるいは商店等にもなぜ及ぼさなかったかと、この点をお尋ねしたい。
  180. 財満功

    政府委員財満功君) この防衛施設の周辺住民に与えております障害のうちで、どのような障害を損失補償の対象にするかということは非常に困難な問題がございます。先ほど先生がおっしゃいましたように、他の国家活動または企業の事業活動に起因して生じますいわゆる公害、これは私どもの長官からもお答えしたところでございますが、これとも密接な関係がある問題であろうと思います。そこで、障害の特に顕著な農業、漁業、林業等の事業経営上与える損失を第一義的に補償の対象にするというふうに考えた次第でございまして、商工業経営者等の方々につきましては補償の対象としないものでございますけれども、しかし、これらの方々を含めまして周辺の住民の方々のいわゆる生活または事業活動を阻害する障害がある場合におきましては、本法第四条におきまして、その障害の緩和に資するために、事業経営の安定に寄与する施設の整備をいたしたいということで、私どもはこの法律を考えておるわけでございます。
  181. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だからですね、それはいまあなたのおっしゃるように、第四条に「その周辺地域の住民の生活又は事業活動が著しく阻害されていると認められるものが、」と、こう書いてある。だけれども、特損法の法令としては、農業、林業、漁業に限定されておる。こういうところが一方的にあなた方の判断によって、それは出るのであって、何も算定基準もなければ、先ほどからお話のあっておるように、ものさしというものが全然ない。これでは納得がいけないでしょう。その周辺の民家なんかが非常に困った場合に、これはそれに該当しないと言われたら、それでおしまいだ。だから、これは骨抜きの案だと思う。血が通っていない。これはどうですか。
  182. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 損失の補償で農業、林業、漁業というものを優先的にいたしましたのは、こういうものは自然の土地の広がりとか、水面の上で生業を営んでおられまして、そういうところに対する障害というものは、だれしも客観的に判明するものでございます。ところが、商工業というふうになりますと、まあ騒音もございましょうが、はやるか、はやらぬかという問題は、本人の能力にも関係する面があると思います。また、いろいろむずかしい問題がございまして、一般の公害の問題といたしまして、現在、非常に真剣に議論されておりますので、私たちは必ずそういうものの中から将来は一つの概念が生まれまして、こういうものは、やはり救わなければいかぬというものが生まれてくるのじゃないかと思いす。そういう含みは将来十分考えておりまして、第九条でも、農業、林業、漁業その他政令で定める事業という余地を残しておりまして、政令の中に、そういった概念が成熟して、政令に盛ってもいい時代が来ますれば、盛る用意はしていま検討しておるという段階でございますので、ひとつ御了承願いたいと思っております。
  183. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから、私が言っておるのは「漁業その他政令で定める事業を営んでいた者がその事業の経営上損失をこうむったときは、国がその損失を補償する。」こういうのでありますけれども、これは、ほんとうに抽象的であって、いまあなたたちが言われるように、非常に困難だと、非常に複雑なあれがあるから、なかなかむずかしいと、そこでそういうのを査定し、そういうのを指定するのは、どういうふうな方法でやるのかと、そういうのに、この法案に、今度はっきり、そういう点を加味して、そして、改善してもらいたかったんですね。何ら改善していない。二十八年のこの特損法が通った場合に附帯決議がついておるけれども、その附帯決議は考えたというのですが、いわゆる文字通り考えただけで、何も具体的に載せていない。それを考えるのは考えたでしょう。考えたでしょうけれども、その考えた結果が、具体的に何も表現されていない。すこぶる抽象的である。これは、この法案の規定は、あなた方は特損法と同趣旨のものであるとおっしゃるけれども、本法案の第三条の規定は、あるいは特損法の施行令や、あるいは施行規則の、そのものを法律段階にあげたというだけであって、むしろ、いままでより、私はきびしくなっているのだ、よりきびしくなったとしか思われない。そういう点はどう考えたらいいか。
  184. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 特損法との関係は、さらに詳しく申しますと、特損法では結果のほうを法律に書いております。障害の損失の今度の法案は、その原因となります行為のほうを法律に書いておりますという差異はございますが、それぞれ政令で反対のことを書いてありますので、法律と政令とお読みくだされば実体的には変わりないと思います。なお、先ほどのお話の商工業について、何も配慮ないではないかという点を、さらにふえんいたしますと、「その他政令で定める事業」の中に一つではございますけれども、農業や林業や水産業でないところの船舶運航業で回り道をするような輸送事業に対しては、これを政令で認めております。こういったものが将来周辺であらわれてまいりますれば、われわれは農業、林業、水産業にこだわることなく、こういった概念が商工業の中から成熟して、どうしても、これは救ってやれというような類型が一般の公害の中から生まれてくれば、私たちは政令に追加するということは、決してやぶさかではありません。したがいまして、将来の問題として、ここはひとつ検討をしばらくさしていただきたいと思っております。
  185. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、もう少し突っ込んで聞きたいのですけれどもね、時間がだんだん迫ってきたのだから、本法案であなた方の考えられておる障害という意味ですがね、第三章の損失補償、これは別として、他は全部防衛施設の運用によって生ずる障害防止、こういう考え方が中心になっておるようでございますが、障害というのは一体どういうことを意味するのか、また、これと第三章の損失というのはどういう関係にあるのか、重複して考えられる面もあろうかと思うのでございますが、障害と損失と、その適用の関係性ですか、その適用の関係といいますか、こういうところだな、そういうことでひとつお尋ねしておく、どうもよくわからない。
  186. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 非常に重要な御質問と思いますが、一般的に広い意味の障害の中には損失も入ると思います。しかしながら、その適用の限界という点から厳密に申しますと、損失と障害と分けて書いておりますのは、先に損失から申しますと、損失のほうは、どうしてもそれは救済せねばいけない義務を負う、国家が。したがって、その損失を受けた者は、それの補償を請求し得る権利があるという非常に厳格なものが損失であります。障害のほうは、なるほど騒音とかあるいは災害のおそれがあるとか、いろいろな障害は与えておりますが、国家がその予防の義務を負うというところまでには至っていない、助成措置によって何とかこれをひとつ予防して救わにゃいかぬというふうな不公平を是正するという見地の助成を要する障害というのが三条、四条の障害でございます。九条はそれよりもさらに進んで、どうしてもこれは救済せねばいけない、また救済してもらう権利があるという厳格なものが九条であります。
  187. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 どうもおもしろい解釈をしますね。障害というのは単なる障害で、損失というのは、国家のこれに対するところの補償の義務があるのだ。こういうふうに解釈しろと、こういうわけですね。だから、それに二様使っていったと、こういうわけですね。損失と障害と、障害に補償の義務がないと、そういうことは辞書に載っておりますかね。そんなことあなた方の考えじゃないですか、無理に使ったのじゃないか、つまり第三章に規定する損失補障というのが制限されておるから、損失ということばも、これは制限的に使わざるを得ない、解せざるを得ない。そこで障害ということばを、概念を持ってこようと、こうせざるを得なくなったのじゃないですか、結果的に。それはあなたたちだけで、そういうふうにかってにそういうふうに損失と障害ということを分けて考えたということですね。一方的にあなたたちがそういうふうに考えてそうやったのだと、それならばそれでいい、そういうふうにわれわれ解釈します。施設庁長官どうですか。
  188. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ただいま申しましたように、三条、四条の障害と申しますのは、他の地区で、この施設のないところではそういうことはないのが、施設があったりあるいは自衛隊の行為があったりいたしまして、非常な迷惑を与えておる。そういうものに対しまして、このまま放置しておいてはいけないという社会的な許容限度があるわけでございます。そういった見地からひとつ助成をしてそういうところをなくしようというのが第三条、第四条でございますが、第九条は明確に財産なりそういうものに損害を与えて、どうしてもこれを救済しなくちゃいけないし、また、救済を要求すべき権利を国民に与える必要があるというのが第九条でございます。私の説明が少しまずいかもしれませんが、そういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
  189. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんので、それじゃ最後に、本法案に対する条文について少しお尋ねしたいのですが、第二条の「自衛隊の施設」というのは一体何をさすのか、ややこれは明確を欠いておる。防衛庁所管の国設の宿舎とか、あるいはまた、飛行場、あるいは運輸省所管の民間空港、そうして、こういうものを自衛隊が共同使用しておる、こういうような場合でもこれは全部「自衛隊の施設」になるのか、ならないのか、そういう点をひとつお伺いしたい。
  190. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 庁舎とか宿舎等も入ります。また、運輸省所管の、たとえば民間飛行場ですね、共同使用しておるという場合にも、継続的にそういう状態がある場合は入ります。
  191. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それではその次、第三条の「障害防止工事の助成」でありますが、第三条も第四条も同じだと思いますが、これは当然国の責任であると私は思うんです。それを地方公共団体に転嫁するような条文の書き方になっているんですね。これは自衛隊等の行為による障害である以上は、当然私はその防止工事は、たとえ地方公共団体が実施するといたしましても、最終的責任は当然国が負うべきものであると思う。その点がこの第三条の書き方は、どうも国の責任ではないような、地方公共団体に転嫁するような書き方ですがね、どうです。
  192. 財満功

    政府委員財満功君) 先生お尋ねのように、国の責任において生じた障害の防止工事は、本来、国が行なったらいいじゃないかというようなことであろうと存じますが、一般的にある原因によって障害が生じました場合に、現在実定法上は当然には原因者に防止の義務を負わせておらないのでございます。しかし、一般利益のための負担を基地周辺の特定の関係者のみに負わせるということは公平でこざいませんので、利害の調整をはかり、均衡を保つ意味で、国は第三条において「障害防止工事の助成」、第四条において「民生安定施設の助成」ということで、この助成措置規定いたしました。そういうことで、特別に国が行なう施策でございますので、補助金ということにいたした次第でございます。
  193. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういう意味でこの最後の問題でも「その費用の全部又は一部を補助するものとする。」という、この「補助する」というのは逆であって、当然これは国がやるべきである、そういう点を私は申し上げておる。それからこのような規定であると、各都道府県、市町村から第三条、第四条の必要な工事としていろいろな申請があった場合にどう調整するか。審議会も何もない、あなたたちが一方的にこれをきめてしまうか、こういうことですよ。いろいろ参考書類を見なくても、答弁できなくちゃ、おかしいじゃないか。
  194. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) こういうものにつきましては、過去二十年近く経験を積んでおりまして、八、九割までは類型的にわれわれもわかっております。また、予防も十分見ておりますし、またこういう施策をやります場合には、絶えず農林省関係なら農林省、建設省関係なら建設省等に連絡をいたしまして、十分縦横の行政あるいは地方の御要請とそごのないようにいたしまして、万全を期したいと思っていますので、、御心配のようなことは、われわれの独善におちいるようなことは、つとめて避けるように努力しておりますので、そのように御了承を願いたいと思います。
  195. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に第四条。これは基地交付金は本法案に含まれないようになったと、その理由は先ほど聞きました。それはそれでいいが、本年度は、先ほど申しましたように、これは第四条のほうで五億円計上してあるが、将来はどの程度までこれは見込んでおりますか。
  196. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) まだその点正確な数字を予測して申し上げるまでには至っておりませんが、先ほど申しましたように、二百五十億から二百八十億という台に乗せた場合に、現在との比例から見ますと、やはり十五億、二十億という時期もそう遠くないと考えております。
  197. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういう点が私はあなたが先ほど言ったように、本年度は五億円で試験的にやってみるんだと、来年のことも考えていない、再来年のことも考えていないというのは、どうもこの法案であなた方は行き当たりばったりで何ら関連性がない、計画性がないということを言っておるわけです。  第五条のこの飛行場は、ジエット機の飛行場のみを考えておるのか。また「周辺の一定の区域」というのは、どういうところまで意味しているのか、その点ひとつ。
  198. 財満功

    政府委員財満功君) 飛行場に関しましては、いま先生おっしゃいましたようなジエット・エンジンを主動力といたします飛行機の離着しております飛行場というふうに考えております。現在指定する区域、いわゆる特定飛行場の周辺移転等を行ないます範囲と申しますのは、先ほど施設庁長官からお答えいたしましたように、地形整備、飛行機の機種その他の条件を勘案いたしまして、合理的に定めてまいりたいというふうに申し上げたわけでございまして、画一的にどういうふうにきめるというふうなことではない次第でございます。
  199. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 第五条についてはまだ私はお尋ねしたいんだけれども、ちょっと時間がありませんから、それを省きまして、第六条で資金の融通ですが、附則を見ても第六条以下の業務が防衛施設庁の所掌とするとは明確に書いてない、いわれていない。これは一般にわかるように、その所掌を明示すべきではないかと私は思うんですが、その点はどういうふうに考えていますか。また、その資金の融通あっせんですね。その他の援助を具体的に説明していただきたい。
  200. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) まず最初に、所管を防衛施設庁というふうに明確にいたさなかった理由は、第六条はこれは資金の問題でございまして、これは大蔵省あるいは自治省の所管の問題でございます。第七条は、これまた主として大蔵省の問題でございますので、われわれとしましては、事実上のあっせんなり。協力を非常に強く推進するという意味で所管を考慮いたしまして、防衛施設庁と書けばよろしいんでございますが、実際上は所管があるという気持ちで、協力したいと思っております。なお、具体的事例につきましては施設部長から……。
  201. 財満功

    政府委員財満功君) 国が融通できます資金は、資金運用部資金あるいは郵政大臣の所管いたしております簡易生命保険あるいは郵政年金の積み立てというふうなものがあるわけでございます。これらの資金とかあるいは積み立て金というふうなものを地方公共団体に関しましては地方債及び貸し付けに運用されるということになっておりまして、この貸し付け及び地方債の引き受けについて、ただいま長官が申しましたように、具体的に私どものほうから連絡をいたしましていたすことにしたいというふうに考えております。  なお、個人につきましては、農林金融公庫等から資金を貸し出すという場合にわれわれが仲立ちをいたしたい。その実例といたしまして、学校防音工事をいたします際、その一〇%なりあるいは二五%なりの地元の資金の必要がございます際に、私どものほうは自治省に連絡いたしまして、これが起債の割り当てその他について配慮するように従来からそのようにやってきておる次第でございます。
  202. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこでこの条文は「必要な資金の融通又はあっせんその他の援助に努めるものとする。」、つとめなくてもいいということですね、「努めるものとする。」。これは明らかに精神規定であると私は思うのです。具体性がない。義務規定ではない。もう少しこれは強力に私はうたうべきであると、第七条も同じ精神規定としか読めない。この程度の規定ならば私はそういう必要性はないと思われる。その点はどうかということと、最後にテレビとか、ラジオの受信料の減免措置というようなことが現在とられておらないが、こういう措置は第八条の規定による協力、こう解釈していいかどうか、その点をお尋ねして、私質問を打ち切りたいと思うが、その答弁をひとつ……。
  203. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第六条、第八条に「努めるものとする。」と書いておりますが、先ほど財満君が申し上げましたように、実際相当やっておりまして、実績もお示しできると思っております。  なお、ラジオ、テレビにつきましては、これもいろいろ議論がございましたが、これは現在法体系を異にしておりまして、放送法の中で、放送協会が定める基準の中で解決できるという見通しがつきましたので、これは行政的な問題としまして、将来特別幹事会等で十分論議して緊密化をはかりたいと思っております。
  204. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これで私の質問は一応終わりますが、大体いろいろお尋ねしましたが、要するに、精神規定というようなもの多くして、ほとんど内容は骨抜きのような法案であるということを最初に、冒頭に申し上げました。でございますので、この本法の適用にあたっては、十分民生の安定、基地周辺の住民の生活の安定ということに対して、格段の努力をしてもらいたいと、こういうことを最後に要望いたしまして、私の質問を終わります。
  205. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。  それではこれより討論に入ります。御意見のおありになる方は、賛否を明らかにして御発言を願います。——別に御発言もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  防衛施設周辺整備等に関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方は挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  206. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 挙手多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  八田委員から発言を求められておりますので、これを許します。
  207. 八田一朗

    ○八田一朗君 私は、この際、ただいま可決されました防衛施設周辺整備等に関する法律案に対し、自民、社会、公明、民社各党共同提案にかかる次の附帯決議案を提出いたしたいと存じます。  まず案文を朗読いたします。   防衛施設周辺整備等に関する法律案に対する附帯決議(案)  防衛施設周辺の整備に関する基本法として、本法の実効ある運用を期するため、政府は、その施行に当つては次の事項につき善処すべきである。  一、第三条第二項の運用については、防衛施設周辺の騒音被害の実情にかんがみ、対象施設の範囲、補助率等について特に配慮すること。  二、第四条に規定する「防衛施設」については、本条の趣旨にかんがみ、これを限定することなく、弾力的に運用するよう配慮するとともに、「防衛施設の運用」については、防衛施設の維持管理をも含めて運用するよう配慮すること。  三、第四条の規定の運用については、防衛施設周辺地域の住民の生活の実情にかんがみ、対象施設の範囲、補助率等について特に配慮すること。  四、第四条に規定する民生安定施設の助成については、将来その経費の増額について特に積極的に配慮すること。  五、第四条の規定により市町村の行なう間接補助については、事業主体の意思を尊重し、市町村が適切な配慮をするよう指導すること。  六、防衛施設周辺地域を管轄する都道府県についても、第四条の規定に準じ、行政措置を講ずるよう配慮すること。   右決議する。  この附帯決議案の趣旨は、当委員会の審査を通じ、また、案文により明らかでありますので、説明を省略させていただきます。以上でございます。
  208. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 別に御発言もないようでございますから、八田委員提出の附帯決議案の採決をいたします。  八田委員提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  209. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 総員挙手と認めます。  よって八田委員提出の附帯決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、発言を求められておりますので、この際これを許します。松野防衛庁長官。
  210. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) ただいまの附帯決議につきましては、十分尊重するよう努力いたします。
  211. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) それでは、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  212. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後五時四十八分散会      —————・—————