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1966-06-21 第51回国会 参議院 内閣委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十一日(火曜日)    午前十一時二十分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         熊谷太三郎君     理 事                 柴田  栄君                 八田 一朗君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 石原幹市郎君                 源田  実君                 船田  譲君                 三木與吉郎君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  福田 篤泰君        国 務 大 臣  松野 頼三君    政府委員        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        行政管理庁行政        監察局長     稲木  進君        防衛庁参事官   鈴木  昇君        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁総務        部会計課長    大浜 用正君        防衛施設庁施設        部長       財満  功君        電気通信監理官  畠山 一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○審議会等整理に関する法律案内閣送付、予  備審査) ○恩給法等の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十年度における旧令による共済組合等か  らの年金受給者のための特別措置法等規定に  よる年金の額の改定に関する法律等の一部を改  正する法律案内閣提出衆議院送付) ○昭和四十年度における公共企業体職員等共済組  合法に規定する共済組合が支給する年金の額の  改定に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○防衛施設周辺整備等に関する法律案内閣提  出、衆議院送付)     —————————————
  2. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  審議会等整理に関する法律案議題といたします。  本案は、去る五月三十一日予備審査のため本院に送付され、本委員会に付託されました。それではまず提案理由説明を聴取いたします。福田行政管理庁長官
  3. 福田篤泰

    国務大臣福田篤泰君) ただいま議題となりました審議会等整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。  先般政府は、行政簡素化能率化を推進し、あわせて行政責任明確化に資するため、各行政機関に置かれている審議会等について、その整理を行なうことを決定し、これによりましてここことの法律案提出した次第であります。  法律案内容について御説明申し上げますと、第一に、審議会等の任務が終了するもの等につきましては、これを廃止することとし、第二に、設置目的が類似しているか、または、審議事項が重複していると思われるものについては、これを統合することとし、第三に、国家試験の執行につきましては、従来の試験審査会等常設制廃止して、試験委員を委嘱し、その試験委員が問題の作成及び採点等を行なうことといたしました。これによりまして、各行政機関を通じまして廃止されるもの十、統合の結果整理されるもの十九、試験委員制に改めることによりまして廃止されるもの五、計三十四を整理いたすことといたしました。  なお、これらの廃止または統合等は、原則として昭和四十一年七月一日から行なうことといたしておりますが、審議等の都合によりまして、七月一日に廃止または統合ができないものにつきましては、昭和四十二年三月三十一日までの間において政令で定める日に行なうことができることといたしております。  以上が、この法律案提案理由及び概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
  4. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 以上で説明は終わりました。本案につきましては、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  5. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 恩給法等の一部を改正する法律案昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案昭和四十年度における公共企業体職員等共済組合法規定する共済組合が支給する年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。前回に引き続き三案の質疑を行ないます。なお、関係当局の御出席は、矢倉恩給局長であります。質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。
  6. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に続いて若干お伺いしたいと思いますが、総務長官はやむを得ぬ事情文教委員会のほうへ御出席でお見えでありませんので、総務長官に対する質問は後日に保留しておきたいと思います。  まず、お伺いする前に資料提出をお願いしておきたいと思いますが、恩給局は、このたびの恩給法改正案作成過程において従来からの恩給法上の懸案問題として関係方面から提出されている課題は四十項目にのぼっておる、こういう旨の御説明があったわけです。そこでこの四十項目懸案事項をひとつ資料として当委員会に御提出いただきたい。このことをまずもってお願いして質問入りたいと思います。  恩給通算規定しております昭和二十八年法律第百五十五号附則第四十二条を見ますると、「外国政府職員となるため公務員退職し、外国政府職員として引き続き昭和二十年八月八日まで在職し、再び公務員となった者」こういうふうにあるわけです。これは「外国政府職員となるため」という条件は確かにあるわけですが、官の命令または勧奨によって公務員退職という条件はないわけです。これには、明確に。したがって、自由意思によって退職したものである。ところが、前々から総務長官もまた恩給局長も、公務員として一生を終始する目的で官の命令または勧奨によってということは必須条件であるということを繰り返し答弁されてきたわけです。官の命令または勧奨必要条件であるということを繰り返し答弁されてきておるわけです。ただこのことをここではっきりさしておかなければならぬと思うわけです。官の命令によってということは自由な意思に反して、自分意思ではないけれども官の命令によって国家のため公務員経歴を中断せられたということであるならば、その中断期間に対して補償してやる責任が出てくるわけです。これは筋の通った話だと思う。しかし、この場合は自由意思によって退職したものであるから補償問題は起こらないはずなんです。満鉄とかあるいは満州国において経歴がスタートして、あとから公務員になった者と処遇上何ら区別をつけるべき根拠は何もないわけですね。官の命令によって、自分意思に反してということが必要条件であるかのごとく総務長官恩給局長も従来言い続けてきたわけですけれども、ここで私が指摘申し上げたいのは、決してその意に反して、官の命令または勧奨によって移っておるのではないということをここではっきりさしておきたいと思うわけです。この点についての恩給局長のお考えはどうですか。
  7. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) これまで私たちが御説明申し上げましたのは、御承知のように、人事交流の必要というふうなことがたとえば先生も御指摘のように、満鉄の職員維持のためにそういう要請があったことも事実でございましょうから、したがって、さような関係でお入りになったということについて、恩給的にいわゆるもともと満鉄あるいは満州国というふうなそういう関係政府あるいは外国特殊法人というものが設立された経緯の御説明がございましたように、さような趣旨がこの制度の中に一つの特別ないわゆるケースとして恩給対象に適用していくような措置をとるときの経緯の問題としては、必然的にいま申し上げましたようなそういう人たちの確保の必要があったというふうなことを前提にしてこれまで御説明をいたしてまいったわけでございます。
  8. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、恩給局長は、四月二十六日の衆議院内閣委員会山内委員質問に答えて、このように答弁されているわけです。満・日ケースを完全に通算したい理由について、いま私が指摘申し上げたようなことを言われているわけです。要点を申し上げると、「御承知のように、日満あるいは日満日という場合の改善措置を旧来とってきておりますのは、結局当時の実態からいたしまして、いわゆる日本政府公務員であった人たちが、そういう満鉄あるいは満州国政府等の設立の経緯からいきまして、満鉄なり満州国政府にある程度本人意思にかかわらず赴任せざるを得なかったような事態もございます。そこでそういう人たちと、最初から満州国政府あるいは満鉄にみずから入られた場合の一応の差というものを考慮いたしまして、これは御承知のように一つ特例措置でございますので、いわゆる満州国政府あるいは満鉄が日本国政府そのものであったという考え方には立ち得ません。そこで当初から満州国政府あるいは満鉄にお入りになった方々については、そこにいわゆる日本政府からそういう要請に基づいて行くのが常態であった人たちとの区分をいたしてまいったわけでございます。」こういう意味の御答弁をされているわけです。そこでこれを指摘申し上げると、局長は、区別根拠は、本人意思で満鉄、満州国に入ったか、政府要請で行ったかにあると答弁されておられるわけです。日・満・日あるいは日・満の者は政府要請勧奨によって行った者だと言っておられるわけです。  そこで、局長のこの事実誤認があるのではないかということをここで御指摘申し上げたいのです。一つの例を申し上げますが、運輸省から満鉄に転出した者は約八千名あったわけです。そのうち政府要請あるいは勧奨によって転出した者は、電気関係者機関士等に限定されておったわけです。で、内地においてももう余裕はなく、希望者必要数に満たなかった一部の職務の者のみであったわけです。たとえば電気関係者機関士等部分ですね。これに反して大部分方々は、本人自由意思によって、本俸は内地よりは一、二号引き上げられる、給与はふえる、地位は上がる、こういうことで希望して渡満した者が大部分であるというふうに厳然たる事実があるわけです。当時、運輸省と満鉄との間に転出者の数の協定は別になかったわけですが、その数の中で本人の意見を尊重し、希望者の中から選考したのが実情であったわけです。その間に政府要請勧奨、すなわち、本人自由意思に対する束縛は加わっていないわけです。したがって、この事実誤認に基づく結論は根本的に誤りではないか、そういうふうに指摘をせざるを得ないわけです。大体総務長官恩給局長も、事実誤認から出発した根拠をもって日・満と満・日の間に区別をしておる一つ理由にしておられるわけです。これは率直に認めていただかないと、厳然たる事実なんです。この点はどういうふうにお考えになりますか。
  9. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 実は衆議院でも御説明申し上げましたことでありますが、日・満・日あるいは満・日というこの扱い格差の問題がこれまでもいろいろな論議になっておりますので、そこで、日・満の関係に立つ人たちというものの実態を私たちなりに理解をいたしますときに、やはり先生もいろいろな事例をあげて御指摘のございましたように、当時の満鉄というものを考え、あるいは満州国成立過程考えるときに、やはり日本内地からそれらの機関あるいは政府に人を送り込む必要があったという実態的な理由があるであろうと思うのであります。したがって、それが全部の根拠ではないにいたしましても、やはりそこにおのずからなる格差というものが考えられるのではないかという点で、さような点についての御説明を申し上げたわけでございます。
  10. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはむしろ日・満の場合、いわゆる本人意思に反して、命令または勧奨でというのはごく一部の特例にすぎないわけです。先ほども申し上げたように、要請あるいは勧奨のあったのは実例で申し上げると、電気関係者とか機関士、これはもう日本内地でも非常に希望者募集者に及ばない、内地でもいわゆる人手不足で苦慮しておったわけです。そういう人をあちらにやろうとするのと——それはほんの一部の職種に限られておるわけですね。むしろ、言うなれば特例であったわけです。大部分は一言にして言えば、先ほど申し上げたような満州に渡ったほうが待遇がいいから、その内容先ほども申し上げましたから一々申し上げません。そこで、希望者は殺到したわけですが、結局その中から選んで渡満さしたと、これが実態なんです。これはもうあらゆる資料をひとつ御検討いただいて、そのことの認識不足をひとつ是正していただかないと、論議が進まないと思うわけですね。ほんの一部の特例だけを引き出して、こういうたてまえになっておったからでは、納得できないと思うのです。これはもう特例中の特例を引き出されたのでは問題にならぬわけです。繰り返し申し上げるように、恩給局長は、区別根拠はいま言った本人意思で満鉄、満州国に入ったか、政府要請で行ったかということにあるわけですけれども、これは日・満・日と日・満の者は政府要請勧奨によって行った者だということをまあ繰り返し言っておるわけですが、このことはひとついま繰り返し申し上げたように、事実誤認に基づくということをここで確認していただいて、また満・日のケースの者といえども、戦後満州から引き揚げて公務員となった者は公務員として適格者であり、日・満日とか日・満と何ら選ぶところはないわけですね。公務員としての適格性、あるいは職務国家的性格等、全く同一であったわけですから、ここに差異を設けるべき根拠は何もないわけです。この問題についてはここで要約して申し上げると、ここ数年にわたって本委員会論議してきたところであるわけです。政府は、恩給支給公務員でない期間公務員に準じて扱うかいなかの基準は、いままでのことをまとめて申し上げると、その機関国家機関に準じたものであるかどうかということ、それと政府人事交流があったかどうかにあるということ、こういうことを再三議論してきた結果、その結果満鉄の本質は政府機関であることは政府も確認してきたわけです。従来。また、日本政府は国策として必要な際には命令によって大量に朝鮮総督官吏——朝鮮総督官吏はこれは言うなれば日本官吏であるわけですから、それと人事交流を行なってきたのであるから、この点も解決済みであろうと思うわけです。このことについては前から具体的に幾つかの例で申し上げてきたところです。また政府は、擬制だから厳格に取り扱わねばならない、こういうことも言ってきたわけですね。満・日、日・満・日、日・満も擬制であることは全く同一であったわけです。その両者の間には最後論点であった、満州転出政府要請に基づくか自由意思で行ったか、いま御指摘申し上げた点ですが、こういう点が最終的な論点になってきたわけです。しかし、このことはいま私は強く御指摘申し上げておるように、事実誤認に基づく判断であって、判断の誤った結論であることを御指摘申し上げてきたわけです。このことは御了解いただいたものと思うわけです。そうだとすると、現行法規内においてこの均衡、不均衡を是正するのは理の当然であって、日・満あるいは日・満・日と満・日との区別をこのまま続けるべき根拠は何もないわけです。そこでこの前もお伺いしたわけですが、よくわかったと、わかって不合理であると、しかし、予算関係もあっていますぐここで御答弁するわけにはいかぬが、前向きの姿勢で緊急にこの問題と取り組んでひとつ解決のめどをつけたいとか、そういう前向きの御答弁があるとこちらも理解ができるわけです。言ってみれば、やっぱり予算を伴いますからたいした予算ではないにしても、予算を伴うという事実については変わりないわけです。そこで恩給局長から、それならここでそういうふうにいたしますという御答弁を期待しておるわけではないのです。いろいろ事情もあるからひとつ前向きの姿勢で早急にその線に沿うて解決すべく最大限の努力をしたい、そういう意味の御答弁があってしかるべきだと思うのですね、この時点では。この点についてさらにお伺いしておきたいと思うのです。
  11. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生指摘のように、満・日の場合におきましても、日本公務員になられた方々公務員としての適性を持っておられたであろうということはこれはもう異論のないことでございます。ただ先生の御指摘になりました件についてわれわれはこれまで日・満・日、満・日それなりのやはり一つの差の存するところやむを得ずというふうな考え方をもって処置をしてまいったわけでありますし、さらに先生の非常に御熱心なる御主張というものをわれわれも十分考えまして、本年度のこの改善考えるときに、この問題をいかに扱うのが最も至当であろうかということで十分研究さしていただいたわけでありますが、これまでも申し上げましたように、今回の措置の中ではこれを改善するところまで踏み切れなかったわけでございます。したがって、それらの踏み切れなかった諸般の理由というものはいろいろこれまで申し上げまして、やはり満州国政府あるいは満鉄というふうな関係の問題は、やはり恩給法的にながめました場合に一つ特例的措置でございますので、その特例中のさらに特例となるものとの関連という問題をこれまでそれなり一つ検討対象になってきたわけでございます。その中にいま御指摘問題点であるところのいわゆる本人意思もこれがそういった当時の政府なりあるいは満鉄というものの生成過程という問題の中でいかに考えるべきであろうかというふうな点は、総合される一つ理由として考えられてきたわけでございまして、したがって、こういう点について先生の御指摘のような点もあったであろうと思われますし、そういう点については私たちは全体的にながめたときに、やはりそういう成立過程の中ではさような事態もあり得ることであるし、先ほど先生の特殊な職種についての御指摘がございましたように、そういう場合には、かりにこちらで必要とする人間というのをあえて派遣せざるを得なかったという事態もあろうかというふうな、生成事態条件というものを恩給法の中でどう理解していくか、かような点についてはこれまでの検討の私たちの素材であったわけでございます。しかし、総務長官もお答え申し上げましたように、恩給審議会成立したことでございますので、十分この点についての関係委員の方の御審議をわずらわしたい、かように考えておるわけでございます。
  12. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回総務長官もお答えになっておりましたけれども、政府は他に及ぼす影響を相当心配しておられると思うんです。この前は総務長官からはっきりそういう意図がうかがえたわけですが、同一条件で同様に取り扱うことが正しいものは同様に扱うのがまた至当だと思うんですね。しかしながら、満鉄等九つ特殊法人が含まれておるわけですが、それと満州国同一に取り扱うべきものは他には考えられないわけです。この点は繰り返し例をあげて御指摘申し上げてきたところで、ここで繰り返すことは避けたいと思いますが、これらの機関全体としても関係者の数はきわめて少数なんです。問題はしたがって、関係者が少ないということは経費も僅少で済むということに通ずるわけです。現在すでに退職した人であって、この前も申し上げたと思いますが、国家公務員については満州国九つ特殊法人合わせて約千名にすぎないわけです。この増加経費、年額にしても二百万円にすぎない。こういう、国全体から見ればごくわずかな問題です。しかし、ほんのわずかな人だからほっといていいじゃないかということは成り立たぬと思うんですね、明確に不均衡であるわけです。現行法は。そうだとすれば、たとえ相当巨額を要することでも解決しなければならないわけです。不均衡を是正するという立場からいえばですね。そういう事情の中で、この場合はごく僅少で済むと申し上げたわけで、僅少だからやるべきだとか、やってはいかぬとか、そういう根拠にはならぬと思う。金額はただ参考に申し上げたわけです。  なお、この際いかに不均衡であるかということを、一つ国鉄で終始した人、一つは満・日という経緯をとった人、これは同一学歴同一勤年という標準でここに数字を拾ってみると、いかにこれが不均衡であるかということがはっきりするわけです。国鉄で終始した人は旧制高等小学校卒業、それから満・日の場合は旧制中学卒です。したがって、満・日の人のほうが学歴は少し上で、この場合年齢とか勤続年数、そういうものは一切国鉄で終始したよりも好条件の人をとっておるわけです。年齢勤続年数も長い。そういう場合を比較してもなおかっこういう、以下申し上げるような差が出てくるわけです。退職金について概数を言ってみると、国鉄で終始した人は四百万以上です。で、満・日の場合は百二十万ばかりです。ごく概数を申し上げると。年金についても国鉄の人は約六十万に近いわけで、満・日の場合は約十八万ばかりです。現在の給与についても国鉄の人は六万七千、満・日の人は四万四千、これは年齢学歴ともに、そういう条件国鉄で終始した人よりも、いま申し上げたようにむしろ上の人で、なおかつこういう不均衡があるわけです。これはほかの詳しいものがございますけれども、時間の関係数字を一々申し上げかねますが、ちょっと拾ってみても格段の不均衡がこういうところに見られるわけです。したがって、いま局長から御指摘がございましたが、ひとつ前向きの姿勢で早急にこの問題を解決するよう真剣に取り組んでいただきたいと思うのです。いまお考えがあったから、繰り返しお尋ねいたしませんが……。  そこで最後にお伺いしたいのは、やはり恩給関係で、抑留者通算についてさらにお伺いしておきたいと思います。シベリア抑留者処置について、官吏であるとか軍人軍属、こういう方々は、内地上陸まで身分は保留されておったのです。それと、従来の給与退職手当恩給は支給されておるわけです。また、軍人軍属は二倍の恩給加算がついておると、こういう事実は現在、現行法として行なわれておる、と。それで、政府は、満州国、満鉄等終戦によって解消し、その職員身分を失ったから通算対象にはならないと言っておられるのですけれども、官吏分限令四条には、官吏廃官廃庁の場合においては当然に退職者となると規定されておることは御承知のとおりです。在外官庁とか在外の軍隊は、終戦によって事実上解消したので、この職員は当然退職者となったはずであるわけです。しかるに、いま申し上げたように優遇措置が講ぜられたのは、当時の特殊事情から見て妥当な措置というべきでありますけれども、この措置がどうして役人とか軍人のみに限定されて、外国政府職員とかあるいは政府職員に準ずる特殊法人職員に行なわれないのか。これも片手落ちのそしりが免れないと思うのですが、こういう区別をどうしてつけたのか、理解に苦しむわけです。その点をお答えいただきたいと思う。
  13. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生の御指摘の抑留された方々抑留期間通算の問題でございますが、一般の当時の官吏は御承知のように、いわゆる官吏としての身分はまだ持っておりまして、一般公務員としての扱いを受けておるわけでありますが、本件、御指摘外国政府職員または外国特殊法人職員方々は、やはりこういう職員方々について通算をいたしております関係は、一つ恩給的な特例措置という形で扱ってきておりますので、そういった特別措置をこういった職員として業務に従事されていなかった抑留期間にまで拡大するということは、結局他の一般抑留者抑留期間というものも当然一つのはね返りとして出てまいりますし、さような点からこういう恩給的に特例措置として通算を認めた方々ではございますが、抑留期間にまで拡張するということが困難であるという判断のもとに通算考えておらなかったわけでございます。
  14. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 在外官庁とか軍隊については、いま申し上げたように、終戦によって事実上解消されてしまったのですね。この職員は当然退職者となったはずであるわけです。これは官吏分限令四条にそれは明確に出ておるわけですね。ところが、外国政府職員とか、従来から繰り返し申し上げてきた特殊法人職員にはこれが行なわれていない。満鉄はなくなってしまったからということですが、終戦と同時に、在外官庁も、軍隊ももう解消してしまったわけです。その点にはかわりないわけです。ただ、いま恩給局長一般抑留者の例を出されましたけれども、一般の者が恩給通算にならぬということは、もう理の当然であって、満州国とか、満鉄等の特殊性格については、繰り返し申し上げてきたから、一般との区別は明確に立っておるわけですね。したがって、恩給局長の言われるように、一般抑留者との区別がつけがたいとか、一般抑留者はそうなるとどうなるかというような理論は成り立たぬと思う。一般とは明らかにもう区別されておる。したがって、在外官庁とか、軍隊についてそういう扱いをしたならば、外国政府職員とか、いわゆる満州国職員、満鉄等職員については、当然適用があってしかるべきだ。これは理の当然だと思うのですがね。一般抑留者を引き出されて、それとどうするかという関係も出てくる、そういう理論は成り立たぬと思う。その点はいかがです。
  15. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに外国政府あるいは外国特殊法人職員に、いわゆる日・満、日・満・日あるいは満・日のような関係で、通算を認めておるということを一つ理由といたします場合に、こういった点について考え考え方を、抑留期間にまで延ばせばという御主張がわからないわけではございませんが、先ほど来も申しておりますように、やはり外国政府外国特殊法人職員という、その職員期間は、それなり特例措置という考え方が、やはり恩給制度の中で明確になっておりますので、そこでそういった特例措置という考え方が、かような抑留期間にまで実は拡張していくということが困難であるという考え方をとってきたわけでございまして、御指摘在外官庁職員とかあるいは旧軍人とかいうのは、先ほども申しましたとおりに、内地に帰るまでは、その身分を保有しているという取り扱いにもなっておりました関係上、そこにおのずから差を考えるというふうなことでこれまで措置してきたわけでございます。
  16. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、こういう事実があるわけです。朝鮮総督府等の在外官庁あるいは軍隊は、終戦によって実質的には鮮消したけれども、日本の法制上は、当時まだ残存していたのであるから、廃官廃庁とは言わないと、そういう理論も一応成り立つわけです。しかしながら、満鉄もまた同様の事情にあったことも事実です。終戦によってソ連に接収されましたけれども、日本の法制上は閉鎖機関令によって閉鎖機関に指定されて、その活動を停止したわけです。その後政府は、勅令によって設立された特殊法人の清算を行なっていないわけです。そのまま現在に及んでおるということをあわせ考えるならば、全く事情同一といわなければならないわけです。何ら差別はないわけです。したがって、役人とか、軍人に対してのみこういう優遇措置を講じて、全く同一条件の役人以外の者には、あるいは軍人以外の者にはそういう措置を講じないという、あえて差別的冷遇をするというのは、あまりにも身がってではないか、そういう理論が成り立ってくると思う。これはまさしく誤りをおかしておると思うのです。この点はいかがですか。
  17. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに御主張の点は私のほうでもそれなり通算考えているということからすれば、それなり問題点があるじゃないかという御指摘は私のほうでもわからないわけではございませんが、ただこの通算そのものが本来的な通算考えるよりは特例措置として考えておりますために、いま申し上げましたような抑留期間にまで拡大することは、私たちといたしましては困難ではなかろうかと考えておるわけでございますが、まあこれらの問題についても今後のわれわれの検討の材料にはしてまいりたいと、かように考えておるわけでございます。
  18. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま私が申し上げておる満州国とか満鉄等抑留者は、一般民間の抑留者とはその性格が全く違っておるわけです。その命ぜられた職務が全く軍人軍属職務であって軍務の一部を分担しておったことは間違いないわけです。したがって、抑留した側のソ連側としてはこういう者も当然軍属と見て抑留しておるわけです。したがって、少なくとも軍属同一扱いをしてしかるべきだと思うんですね。これは私ども当時満州におったからその事情はよくわかっておるわけです。当時国境の第一線にあってその当時の邦人を、日本人をよく身の危険をおかして守ったというのは満州国官吏とか満鉄等特殊法人であったわけです。当時の軍人事情詳しいもので、もうそういう在留邦人をほっといてまっ先に身の安全のために退却したという実情があるわけです。いまそういうことを指摘する時間がございませんからこれは別として、少なくもそういう身の危険を顧みず第一線にあって、当時の国境を守ったのは満鉄の社員であり、あるいは満州国職員であったわけです。われわれも身の危険をおかしてそういうことをこの目で確認しておるわけです。したがって、そういう方々が少なくも軍属扱いを受けるのは理の当然と言わなければならないわけです。そこでこれも前の満・日の通算問題と同様、ここで恩給局長に幾ら御質問を申し上げても、ここでそれではさよういたしましょうという御答弁はなかなか出にくいと思うのです。恩給局長だけのお考えでは済まされないわけですが、この問題についても総務長官と十分前向きの姿勢でひとつ御検討いただいて、近い将来にこれをあわせて解決せにゃいかぬ、不均衡を是正せにゃいかぬという、そういう心組みを持ってひとつ十二分な研究を進めていただきたい。そうして長年の懸案をひとつここで解決していただきたいと思うのです。そういう意味での恩給局長の決意のほどをひとつここで伺っておきたいと思うのです。
  19. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 本件につきましても、先生の御熱心なる御主張、また当委員会で毎回取り上げられておりますだけに私たちもこの問題に決して無関心ではございませんで、ただ、いままでの段階で私たち検討いたした点からいたしますとなかなかに困難な問題ではなかろうかという考えを持っておったわけでございますが、さらにこの問題についても満・日の場合と同様十分な研究をさしていただきたいと、かように考えます。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 さらにそのことについて政府に要望とお伺いをするわけですが、きわめて困難な問題もあるけれどと、そういう意味は、おそらく満・日の通算の場合と同様、これは一般抑留者にも及ぼす影響ということを相当考えておられると思うのです。これは先ほど申し上げたように全く満州国なり満鉄等一般と格別違った特異性のあるものであるということを御認識いただくならば、そうしてまた、抑留当時軍属と選ぶところのない、第一線にあって軍属もしくは軍属以上の勤務を果たしておったと、そういう現実の事実を確認せられることによってこの問題は早期に解決すると、何ら一般に及ぼす影響はないわけですから、こういう点を十分考慮に入れていただいて、何もこれを解決するのに大きな難関はないわけです。ただ問題は、総務長官なり恩給局長がこの事実を確認せられることによってこの問題は早期解決ができるし、誤認の事実に基づいておったのではいつまでも解決しない、そういうことは先ほど指摘申し上げたわけですから、ひとつ現実の姿をよく見詰めていただいて早急に、何も困難な問題ないわけですから、ひとつ早急に解決する方向で一段と努力していただきたいことをひとつ重ねて御要望申し上げておきたいと思います。
  21. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  22. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  それでは午前はこの程度とし、午後は一時十分に再開いたします。  暫時休憩いたします。    午後零時八分休憩      —————・—————    午後一時二十五分開会
  23. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 委員会を再開いたします。  防衛施設周辺整備等に関する法律案議題といたします。  前回に引き続き、本案質疑を行ないます。  なお、関係当局の御出席は、松野防衛庁長官、鈴木防衛庁参事官、小幡防衛施設庁長官、沼尻施設庁次長、大浜会計課長、財満施設部長。以上の方々でございます。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 前回に続いて二、三お伺いいたしますが、まず各条についてお伺いしたいと思います。  第三条について、ここに「地方公共団体その他の者」とあるわけですが、ここで言う「その他の者」とはどういう者を考えておられるのか。この点をまずお伺いしたい。
  25. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第三条で「その他の者」と申しておりますのは、自然人、法人それから権利能力なき社団等、すべてを含んでおりまして、また、日本人であると外国人であるとの別は問いません。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 「その他政令で定める行為」とあるわけですが、その「政令」については、政令(案)第一条では、一、二、三と、こう三つの行為が掲げてありますが、法文上、この政令は別に制限的には書かれていないので、将来は障害の実態を見て柔軟的に追加されていくものと解されるけれども、そういう受けとめ方でよろしいかどうか。
  27. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) そのお受けとめ方でけっこうでございます。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、「必要な工事を行なうときは、」とあるわけですが、この「必要な工事」とは一体何をさすのか。前に掲げられた「障害を防止し、又は軽減するため、」というところのいわゆる相関関係を厳格に解釈して、補修、改修新設等のみに限るのかどうか。それとも間接的にでも結びついておればよいと解するのかどうかという点、また、この工事を地方公共団体その他の者がみずから行なうときにのみ限定されるのかどうか、間接補助も認めるのかどうか、こういう幾つかの問題についてあわせてお答えいただきたい。
  29. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 「必要な工事」と申しますのは、単に物理的な原状回復という工事だけに限定いたしませずに、機能を回復するために若干改良させるという工事も含んでおります。その意味におきまして、新設、補修、そういったものは工事の中に入ってまいります。それからこれらの工事が「障害を防止し、又は軽減するため、」という目的とどういう関係にあるのか、非常に厳格なものであるか、あるいは直接、間接に関係があればみな入るのかという御質問がございましたが、われわれとしましては、いわゆる相当、因果関係というものが確認されればその範囲に入るものと考えております。  なお最後に、この補助は工事を行なう者に対しまして、直接に行なうのか、間接に行なうのかという御質問でございましたが、本条では直接に工事を行なう者に補助するたてまえになっております。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政令案の第二条の「ただし、障害の発生につき、その原因が、」「自衛隊等の行為のみに帰することができないとき又は当該工事の施行により、当該地方公共団体その他の者を著しく利することとなるときは、防衛施設庁長官の定めるところにより、補助する割合を減ずるものとする。」と、こういうふうにあるわけですが、そこでお伺いしますが、どんな場合がこれに該当することになるのか、ひとつ具体的に御説明いただきたい。
  31. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) たとえば自衛隊の車両も通りますし、また、ほかの交通機関も通るというふうな道路がございまして、そういう道路が障害を受けるというふうな場合が一つこれに該当しようかと思いますが、本条で考えておりますのは、そういう場合に、場合によっては自衛隊があまり影響を、それほど七割も八割もその障害の原因になってないという場合もあろうかと思います。そういう場合に自衛隊の、かりに二割、三割しか原因になっておりませんが、あとは七割、八割は一般の交通機関が原因で道路が障害を受けておるというふうな場合に、さればといってほっとけませんので、自衛隊のほうで率先してそれを直そうというふうな意図で工事に地元と相談してかかりますが、そういう場合には自衛隊の被害というものはその中で比較的少ないものですから、相当部分はやはり地元の一般の交通との見合いの分はある程度持ってもらわなければならぬだろう、ごく自衛隊のものが大部分でございまして、あとはほとんどその地方の交通機関の障害というものが非常に少ない場合はまた弾力的に措置する場合があろうかと思いますが、その逆の場合は、なかなか国家財政上も自衛隊の当の行為が及ぼす範囲が狭い範囲であるという場合には、ひとつよく相談をして持ち分をきめて工事を行なうということになろうかと、こういう規定でございます。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政令案の第三条で、法第三条第一項第五号の施設は鉄道だけとなっているわけですが、現在これ以上考えるべきものはないのかどうか、たとえば有線放送施設はどうしてここから除かれておるのか、法第四条の民生安定施設のほうに回されておるようですが、これはどういうわけか。それから現在の基地の実情から考えて有線放送施設が考えられるとすれば、当然第三条で考えるべき対象ではなかろうかと思うんですが、この点はどうですか。
  33. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 有線放送施設につきましては、いろいろわれわれも検討いたしたんでございますが、大体まあ演習場の周辺で有線放送施設をつくります目的となりますのは、たとえば採草または農耕等に従事しておいでになる農民諸君に対しまして、演習の実施を通報したり、あるいは危険を未然に防止するとともに、まあ演習が終わりましたというようなことを御連絡申し上げて本来の事業経営に支障のないようにするというのが眼目でございまして、そのことが終われば、あとはその有線放送施設を一般の農民の方が自分たちのデイリー・ワークにお使いになってもこれはわれわれとしては何も言わぬという立場でございます。したがいまして、やはり三条へもってくるには全面的に因果関係がすべてカバーをするという性質のものとはちょっとなりかねまして、やはり四条の事業経営というものを妨げないというふうな観点から広くこういう点を考えていくといったほうが正しいという判断に立ちまして、当初は三条に入れるという議論も若干ございましたが、いろいろ考えまして、そういう演習上の顧慮から使用する場合においては、一般の本来の業務に使用してもらってもいいという部面を重要視しまして、第四条に考えるというふうにいたした次第でございます。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政令案の第五条を見ますると、音響の強度、頻度について防衛施設庁長官がこの限度を定めるようになっておるわけです。その限度——基準ですね——をどういうふうに規定しようと考えておられるのかということと、それは現行の行政措置でやっておる基準よりどの程度よくなるのか、それぞれの施設ごとにひとつ御説明願いたい。この二点についてお伺いします。
  35. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 現在やっておりますのは、学校の場合で申し上げますと、木造校舎を鉄筋コンクリートづくりに改築して防音工事を行ないますのは、強度九十五ホン以上ありまして頻度が十回以上の場合、または強度百ホン以上で頻度五回以上の場合でございますが、これをこのたびは強度九十ホン以上または八十五ホン以上の場合にも行なえますように、現在出しておりますところの音響の強度及び頻度に対する工事施設基準というものを改正したいという意向でおります。したがって、相当数の学校がこれの適用を受けまして、木造建築から鉄筋になるという分量がふえてくるだろうというふうに考えます。  なお、施設別にというお話でございますが、病院等につきましても学校に準じまして検討して改善していきたいと考えております。
  36. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この「必要な工事」とあるわけですが、この点についても第一項の際、先ほどお伺いしたわけですが、それと同じように相関関係について説明願いたいと思います。
  37. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これも先ほど申しましたような同じ考えでございまして、ここでは必要な工事は音響の防除または軽減ということと相当因果関係にある範囲というふうに限定して考えてみたいと考えております。
  38. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 法第三条第二項の三についてこのことは「前二号の施設に類する施設に施設で政令で定めるもの」とあるわけですが、その「施設に類する」という限定を何ゆえにしたのか、こういう限定はなくして「その他政令で定める施設」としてもいいと思うのですが、これはどういうわけかということと、「前二号の施設に類する」とはどういう意味を持つものかということ、それと、説明のように静ひつを必要とする施設といえば、まあお寺とか教会等も含めるべきではないかと思うのですが、医療法上の病院、それから一部の診療所、こういうふうに限定して、ベッド数の少ない診療所とか、個人の医院は除かれておるわけですが、これはどういうわけか。これらの四つの問題についてひとつお答えいただきたい。
  39. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第三条の二項につきまして、これはごらんくださいましておわかりになりますように、一号、二号は学校と病院と、こういうことでございます。趣旨が。なぜこういうものを取り上げて、しかも前二号に類するというふうに規定をしたかと申しますと、何といいましても国民生活の基本である教育のための施設、あるいは病弱者の健康回復のための施設というものは、やはりこれは国民の生活といいますか、福祉という中では最優先的に取り上げるべきものでありまして、したがって、その中の静穏ということは特にこれは何よりも増して最初にやるべきものじゃないかというふうに考えました結果、第一号で学校、第二号で病院、第三号で「前二号の施設に類する施設で政令で定めるもの」というふうに規定したわけでございます。  なお、それでは宗教上の施設はどうかという御質問がございました。私たちも宗教上の施設が静穏を要することは異存ございませんけれども、まあ宗教のほうは必ずしも国民すべての福祉に一つの宗教がつながっているというところまで宗教というものは簡単ではございませんので、いろいろふえん的な関係があるかないかというふうな点に問題がございますので、とりあえず教育それから病院というものに重点を置いた次第でございます。  なお、診療所につきまして、現在ベッド数六以上のものしか認めないのはどういうわけかというお話でございますが、これはわれわれのほうで調べまして、全国平均の数字が大体ベッド数六程度でございますので、とりあえずベッド数の多いところはそれだけ強度、それが強いだろうという判断で、さしむき六ということを基準といたしまして、もちろんこの六以上のものが片づけばさらにそれからは今後の問題として検討したいというふうに考える次第でございます。
  40. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 各項目について御説明があったわけですが、どうも納得しがたいのは、この医療法上の病院、それから防衛施設庁長官の定める診療所、なお、診療所でも防衛施設庁長官が定めるという診療所はほんの一部になろうかと思うのですね。要は、ベッド数の少ない診療所、個人の病院は除かれておるわけですね。個人の病院といえども、ベッド数の少ない診療所といえども、その病院の事情で非常に静ひつを必要とする重症患者がいないということは言えない。個人の病院についても全く同じことが言えるわけですね。非常に静ひつを必要とする個人の病院、ベッド数の少ない診療所、これは病院である以上病院は病人が入室しておることはもう当然考えられるわけですね。そうだとすると、その患者の中にはきわめて静ひつを必要とする重症患者が当然おると考えられなければならぬ。いなければ幸いですが、常識としても一つの病院には相当重症患者もおるものだというのが常識になっておる。ところが、ベッド数が少ないから、個人の病院だからという、そういう理由対象から除かれておる。これはどうも不合理だと思う。病院に二通りはないと思うのですが、人道上の立場から言うと、病院にはベッド数が多かろうと少なかろうと、診療所であろうと個人の病院であろうと差別はないと思うのです。それを特に差別をここではしておるわけです。これは現行法では現実にそうなっておるわけですが、さてこういう点を今後一体どういうふうに考えておるのか。これは当面こうしたということで、将来前向きに改正しようとするのか、こういうことについて、ひとつ防衛庁長官のお考えをお聞きしたい。
  41. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 今回は医療法の規定によります病院というものを一応ベッド数によって規定をいたしました。これは元来医療法における病院の規格というものは、御承知のごとく、診療所というもののベッド数は非常に少数である。ある規定以下はこれは診療所、ある規定以上のものは病院という規格の制限がございます。したがって、診療所というものは長期的に入院患者を置くという方針にあらずして、長期的なものは病院、医療法における病院が長期患者の療養であるというふうな方針から、病院というものと診療所というものの規格が今日規定が変わっておるわけであります。したがって、長期的な患者を多数置くということを主眼目にいたしますと、今回の病院というものを主体としたものを第一義的に考え、それで、全国の平均を見ますと六・幾つという、ベッド数がそうですから、一応その基準を置く。したがって、今回は長期的病人を治療するというものが医療法における病院である。したがって、その病院のほうを今回取り上げた。したがって、短期的であってももちろん患者によっては静ひつを要するものがあります。しかし、それは趣旨から言うならば第二義的なものだ。長期療養というのは、病院というのは今日の規格がありますので、病院を取り上げたのだ。それを言うならば、ベッド数の六つ以上のもの、病院は実はもっとベッド数が多いわけでありますけれども、一応全国の病院ベッド数六といたしまして、これを採用した。こういうわけです。もちろん二つでも三つでもふやせば、ベッドがありますればそこには入院患者がいるじゃないか、それは短期的にはおります。しかし、長期的なものは個人の診療所にはいま私はないと、ないと言って動かすことのできない患者は別ですが、趣旨としては今日の厚生行政としての病院であるという見地から病院というものを取り上げたのであります。したがって、例外的に必要でないとは私は言いません。いわゆる今日の医療法の趣旨から言うと、長期的に多数の患者を収容するもの、この病院を対象にこの騒音及び諸般の障害防除を取り上げたという趣旨であります。まあ、もちろんこれで万全とは言えませんけれども、一応大約的には私は今回はこれでいいのじゃないか。例外的なものは防衛庁長官が特にこの病院は無医村である。したがって、診療所が病院の役割りをするというような場合には、防衛庁長官が特にその施設を病院でなくとも指定をしなければならない、また、指定する必要があるという場合が私はあると思うのです。したがって、この例外における政令というものは、そこで運用すべきであります。法文で書いたときにはこの方向で今回は救えるのじゃなかろうかとこう考えます。
  42. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 医療法上のほうの規定の上から一応病院を対象にしたということで、ベッド数の少ない診療所等については対象から除外した。それは法規上からそういう解釈ができるわけですけれども、こちらの伺っておるのは、人道上の立場からお伺いしておるわけです。したがって、いわゆる医療法上の病院については云々ということではなくして、たとえ医療法上に該当しない病院についても、やはり実害を受ける場合も相当多いわけでありますから、そういう点のやはり人道上の立場から善処してしかるべきだと思うのであります。そういう点からお伺いしたわけであります。  なお、政令案の第六条によりますと、補助率については「第二条の規定を準用する。」というふうにあるわけですが、「準用する。」とあるのはどういう意味なのか。十分の十と解してよいのかどうかということ。その点を明確にしていただきたい。それと同時に、現行の行政措置と比べてどれほど改善されることになるのか、この点をあわせてお答えいただきたい。
  43. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 準用しますということばの意味は、三条第一項の障害防止工事の補助率と実質的には全く同様でございまして、原則としてこの全額補助をやることになっております。このことは現行の行政措置と大体同じでございます。
  44. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 いま一つの第二項の御答弁がまだないわけですが、そのことは現行の行政措置と比べてどれだけ改善されたかどうかという点……。
  45. 財満功

    政府委員財満功君) 原則的には同じでございますが、新しく対象施設として取り上げますものにつきましては、地元負担もなるべく少なくした形の高率補助にいたしたいというたてまえで関係省庁と打ち合わせをいたしておるところであります。おおむね、そういう線で話がつくのじゃなかろうかというふうに考えております。したがいまして、全般を通じましていわゆる一般補助率よりも高い補助率になるということはいえると思います。
  46. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に法第四条についてお伺いいたしますが、六月九日の当委員会で、この四条の助成金と基地交付金との関係について伺ったわけです。昭和三十八年度から防衛施設庁計上の基地所在地方公共団体事務委託費と、それから本助成金との関連はどうなるのか。この点を御説明いただきたい。
  47. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 事務委託費のほうは、これはもういろいろ地元のほうに、現場をよく知っておる地元の方々に基地につきましていろいろな事務をお願いしておるということに対します委託の金でございまして、まあ金額にしましても全国でわずか数千万円のものでございます。ところが、この基地のほうの助成金のほうは、それと違いまして、防衛施設の運用によりまして周辺の地元にいろいろと障害を及ぼしておるであろう障害に対しまして、その緩和に資するといいますか、その障害感をやわらげるという意味で地元の市町村からいろいろ公共的な施設等につまして提案があります場合、それが採択可能な事案でありますればわれわれのほうで採択いたしまして、適切な補助をしようというのが第四条の助成補助の精神でございます。
  48. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 本年度はこの助成金を五億計上しておるようでありまするが、将来はどの程度になるわけですか。そういう見通しがあったら……。
  49. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ことしはお話しのように、いわゆるこの助成、補助の金額といたしましては五億新しく認められたのでありますが、来年度以降につきましては、まだ現在詳しいそろばんをはじいておりませんが、やはりこの問題は本法のかなめでございますので、まあいろいろ地方からの御要求もございましょうし、基地の使用の態様等の変化も十分考えまして、もし増額する必要があるならば、努力してこの施策の充実をはかっていきたいというふうに考えております。
  50. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 第四条の政令ではどのようなものが考えられておるのかお伺いしたいわけですが、政府側の御説明では、一応障害の基準と補助率を考えているとのことのようでありますけれども、政令案の第八条では、法第四条の規定による生活環境施設または事業経営の安定に寄与する施設の区分と、その補助率を規定しておりますけれども、法第四条の政令は、この政令案第八条の規定のみであるのかどうか。ほかにはないのかどうか。こういう点を御説明いただきたい。
  51. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) ちょっといまの御質問の趣旨をもう一度、恐縮でございますけれども、最後のところをもう一度お伺いさしていただきたいと思いますが。
  52. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 法第四条の規定による生活環境施設ですね、または事業経営の安定に寄与する施設の区分とその補助率を規定しておるわけですね、この法第四条の規定は。そこでお伺いするわけですが、法第四条の政令は、この政令案第八条の規定のみであるかどうかという点をお伺いしておるわけです。ほかにはないのかどうか、政令案としては。
  53. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 政令案といたしましては、ほかにございません。
  54. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 第四条の防衛施設は、本法の第二条の定義による防衛施設全部をさすものと思われるわけですが、どうも、伺うところによると、政府側内部では、これをある特定の防衛施設、たとえば特定の飛行場、射撃場というふうに限定しようとする動きがあるやに聞くわけですが、実際はどうなのかという点ですね。政令でこれを限定するのか、条文の書き方から見て、防衛施設を限定する政令は可能なのかどうか、こういう点をあわせてお答えいただきたい。
  55. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第四条でいいます「防衛施設」ということばが、第一条あるいは第二条でございますか、等に使っております「防衛施設」と同じことばであることはそのとおりでございますが、これを第四条において限定することが可能かどうかと、また、そういう意思があるかどうか、こういう御質問でございましたが、私も文理解釈上はあるいは可能かと思いますけれども、実際問題としまして、この防衛施設を特定しまして、それ以外の防衛施設に全然障害がないかどうかというと、将来そういうことは保証できないという現実問題がございますので、私のほうとしましては、どこまでもこれは運用によって、障害があればその障害を救済するという原則にいたしまして、防衛施設は政令面では特定しないという方針でおります。
  56. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 法第四条では、「防衛施設の周辺地域を管轄する市町村」というふうに、市町村に限って、都道府県をここでははずしておるわけですね。この点については衆議院でも論議があったと思うのですが、衆議院の段階ではその点が指摘されて、附帯決議もされたようでありますが、やはり法第三条では「地方公共団体」となっているのに、法第四条ではわざわざ「市町村」に限っているのは、法の体裁上からもどうもちょっとおかしいと思うのです。第四条を修正して、管轄する地方公共団体とするのが筋ではなかろうかと私も思うわけです。しかしながら、ここで特に「市町村」に限定したのは何か理由があったのかどうか。その理由について承りたい。
  57. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これにつきましては、まあ一つの例で申しますと、たとえば地方交付金、自治省がやっておりますね。地方交付金制度をごらんくださいましても、まあ市町村が対象になっておるわけでございます。この周辺整備の法につきましても、三条は別としまして、これは相当因果関係ありますから別といたしまして、四条のほうは、やはり第一次的には市町村が障害をこうむるまあこの直接の当事者ではなかろうかというふうに考えて、法律面では市町村にしたのでございますが、お話のように、衆議院の附帯決議等もございますし、まあ先生のおことばにもありましたように、府県につきましても相当考慮を払う余地はあるのではなかろうかということでございますので、この点につきましては、われわれは、まあ都道府県は広域行政もあり、財政力もございますので、法律からは落としておりますけれども、いろいろな御質問を聞いておりまして、もっともな事案がございますれば、これはまあ大蔵省と話し合って、しかるべき処置を、行政措置でやるというふうに、大蔵省の御了解も得ておるのでございます。この点はその線で将来とも慎重に検討していきたいと考えております。
  58. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 たとえば県道ですね。県道、保健所、この点について従来からの要望から考えて、当然都道府県に対する助成としなければできない面が予想されるわけですね。にもかかわらず、この都道府県をはずしたというのは、予算面からの配慮があるのではないですか。この点からあえて都道府県をはずしたのではないか、こう考えられるのですが、その点を。
  59. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたように、県は相当広域行政を担当しておりますし、財政的にも市町村に比べまして余力を持っております。また、県道というものは大体におきまして三条で相当因果関係を受ければ直す。こういう大きいところで大体解決するのではないかというふうに考えておりますので、四条ではやはり市町村を第一にいたしまして、それに対しましても県のほうでどうしても何とかしてほしいということがございまして、もっともだというふうにわれわれが考えるものがございますれば、これは先ほど申しましたように、事案として採択いたしまして、大蔵省と相談をいたしまして、行政措置で実施していきたい。その辺のところが法体系から見て妥当ではないかというふうに判断したわけでございます。
  60. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この第四条に「必要な措置」とあるんですが、この用語がどうもあいまいもことしているように思うんですが、第三条の「必要な工事」についてもただしたわけですが、「必要な措置」のほうがむしろ意味が広いと思うんですが、生活環境施設とか事業経営安定に寄与する施設を整備するため、この相関関係はこれは一体どうなのか。それと必要な措置を市町村がみずからやるときに限るのかどうか、あるいは間接補助を含めるのかどうか、こういう点についてあわせてひとつ御説明いただきたい。
  61. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第四条の趣旨は、防衛施設の運用によりまして周辺住民にいろいろの障害を与えております場合にこれを放置しておきますことは、国防上の必要から生じた障害を特定の地元の方だけに負担させるという点で公平を欠くという基本的な精神から発しております。これに対しまして市町村が生活環境の施設とかあるいは事業経営の安定に寄与するような施設の整備によって、たとえ三条のように相当困果関係がないにしても、何らかの障害の緩和をはかろうとする施策をなさる場合に、国はその一部の費用を負担しようという精神が第四条でございます。第三条には「必要な工事」とあるのに、ここでは「必要な措置」といたしましたのは、御質問もございましたが、障害の緩和に資するため広くいろいろな施策がとれるように書いてあります。ことに、御質問がございました市町村みずからが工事をやる場合におきましても、市町村以外の者が行なう事業について市町村が補助する、そういった場合にも市町村に対して応援ができる、こういう意味も含めまして「必要な工事」と書かずに「必要な措置」と書いてあるわけでございますので、その辺のところ御了承願いたいと思います。
  62. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、お伺いいたしますが、従来も防衛庁が新島試射場設置の場合を例にとるとよくわかるように、そういう場合には島民に見返り工事として島の開発工事をやってきているわけです。今後はこういう見返り工事は法第四条との関係でどう解してよろしいのか、その点についてお伺いしておきます。
  63. 財満功

    政府委員財満功君) お尋ねがございました見返り工事と申しますか、条件工事と申しますか、そのようなものにつきましては、従来われわれの経験によりますと、非常に数多く御要求が出されておるわけでございます。それの中には本法で考えておりますような、三条に該当するもの、あるいは四条に該当するもの等があろうかと存じます。その三条ないし四条に該当すると思われます条件工事についてはこれをいたすことは当然でございます。その三条、四条に該当しないものにつきましては、個々に検討いたしまして、それがぜひ必要なものであるということになりますれば、本法外で別途措置を要するものとなるであろうと存じます。
  64. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政令案の第八条を見てもわかるように、第四条の施設として道路とかあるいは水道施設、清掃施設あるいは消防施設、いろいろ掲げられておるわけですが、それに補助率が出ておるわけです。ここに掲げられておる補助率の程度では非常に低くて、市町村がこの残りを負担しなければならないことになろうかと思います。そういうことではいうところの目的は達せられないではないかと、こういう問題が出てくるわけですね。この点はどうですか。
  65. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第四条は第三条と異なりまして、因果関係が直接的といいますか、相当因果関係がなくても出そうという広い意味の助成でございますので、第三条よりは若干補助率が下回ることはいたしかたないと思います。しかしながら、低いというお話がございましたけれども、これでも同種施設に対する国一般の補助率よりはかなり高率と思っております。なお、われわれは、いまおっしゃいましたように、この高率な補助でも地元には、貧乏な市町村には相当迷惑をかけるだろうということはよくわかります。これにつきまして本法制定の話が出ますと、非常に熱心な県は地元負担の半分は県で出してやろうというようなこともいろいろおっしゃいまして、われわれを激励してくださっておるような事例もございますので、運用によりまして、どうしても何とかしなければならないということで、国もこれだけ補助するが、県も補助するというようなかっこうで、相当数地元負担の軽減の余地が出てくるのではないかというふうに期待もし、われわれ運用にあたりまして県にもそういう相談をして、何とか地元の負担を本法以外の協議によって進めたいというふうに考えておるわけでございます。御趣旨は十分われわれも了といたしまして、そういう努力をいたしたいと思っております。
  66. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 熱心な県があって、足りぬなら半分はひとつ県から出しましょうと、そういう熱心で、しかも余裕のある県は問題ないと思うんですが、あまり熱心でない県もあろうと思うんです。あまり熱心でなく、あまり富裕でもない県もあり得るわけですね。やはり市町村の負担過重にならないよう、ひいては都道府県の負担過重にならないよう、こういう点を国が当然持ってしかるべきだと思うんですね、筋からいって。こういう点はやはり今後の課題として十分前向きの姿勢で取り組んでしかるべきだと思うんです。事の性質上から当然そういうことは言えると思うんですね。  なお、お伺いしますが、この補助の実施にあたっては、各省のそれぞれの補助との関係で、予算上の措置はどうなりますか。この点を御説明いただきたい。
  67. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 四条に関します予算は防衛施設庁で一括計上いたしますが、執行にあたりまして、たとえば建設省である限度以上の道路は建設省の所管であるというものがございます。そういうものにつきましては当該省庁に移管をしてやるように調整を済ませております。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この法第四条の「障害の緩和に資するため」、という用語を厳格に解するか、ゆるやかに解するかで四条の意味もだいぶ違ってくると思うんですね。従来地元民から基地問題に反感を買っていた点は、防衛施設庁の施策が基地の利害との因果関係のみを重視してきたことによるものだと、防衛施設庁自身も反省していることと聞いておりますが、この因果関係はゆるやかに解すべきであると思うわけです。私どもの立場としては。そこのところは一体どう受けとめたらよろしいのか、この点を御説明いただきたい。
  69. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) いまのお話は、そのとおり同感でございまして、特に、本条中において、「その障害の緩和に資するため」、「資する」ということばを入れましたのは、三条と違いまして、相当因果関係を厳密に解釈しないという精神にいずるものでありまして、直接に障害の防止または現に役立つものに限らず、障害をやわらげるものに役立つものであれば、われわれはすべて含めたいという考えであります。したがって、本法でもこまかな列挙方式はとらずに、「生活環境施設又は事業経営の安定に寄与する施設」というふうに広範囲に掲げましておりますのも、そういう意味であることを申し上げておきます。
  70. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政令案の第八条に「共同利用公共施設」とあるわけですが、これは一体何をさすのか。「その他防衛施設庁長官が必要と認める施設」等もあるわけですね。これはどんなものが予想されておるのか、こういう点を御説明いただきたい。
  71. 財満功

    政府委員財満功君) 共同利用施設と申しますのは、従前より基地周辺の地元から御要望がございました共同学習所あるいは共同集会所、あるいは老人福祉施設等の、社会教育ないし社会福祉的な、いわゆる多目的な施設を私どもは考えたらどうであろうかという意味で、このようなことばを一応使ってみたいというふうに思っておるところでございます。なお、「その他防衛施設庁長官が必要と認める施設」、これは現在のところ、はっきりと何と何というふうにきまっておるわけではございません。しかし、たとえば防火帯をつくってほしいとか、あるいは図書館の防音工事をやってもらいたい、そういうふうな地元の御希望が散見されたことがございます。その種のものが出ます場合に、「その他防衛施設庁長官が必要と認める施設」というふうな範疇に入れて扱いたいということで掲げておるものでございます。
  72. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、第五条についてお伺いしますが、これは特定飛行場周辺の移転補償についてでありますが、この飛行場はジェット機の飛行場のみを考えているのかどうかという点と、周辺の一定区域とは一体どういう区域なのか、この点について御説明いただきたい。
  73. 財満功

    政府委員財満功君) 特定飛行場として考えておりますのは、先生おっしゃいますとおり、ジェットエンジンを主動力といたします航空機の配置されております飛行場でございます。それから、一定の区域と申しますのは、航空法で申します転移表面、進入表面の中で、その飛行場の周辺の住宅の状況、あるいは土地の利用の状況、あるいは地理地勢等を考えてきめてまいりたいというふうに考えておりまして、各飛行場について画一的に幾らというふうな範囲を考えておるわけではございません。ただ、従前やっておりましたところでは、横田の飛行場につきまして、千メートル、着陸帯の先端より千メートルの範囲内というふうなものを以前考えたことはございました。
  74. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 横田の場合は千メートルの範囲、あとは別に考えていないということですが、問題があった場合、これが該当するものか該当外か、いろいろうるさい問題が、やかましい問題が出てくると思うんですね、あいまいでは。これはやはり適当な範囲を今後十分慎重に検討して、範囲をあらかじめきめておくことのほうが混乱を防ぐことになりはしないかと、そういうことが当然に考えられると思うのです。将来の課題としてやはり検討すべきだと思うのです。この第五条三項では土地の買い入れについて規定しておるわけですが、ここではやはり税法上の優遇措置も同時に考えてしかるべきだと思うのですが、この点については何も考えていないわけですか。この点を……。
  75. 財満功

    政府委員財満功君) 税法上の優遇措置の問題についてでございます。これは防衛施設として周辺の土地を買い入れるというものではございません。したがいまして、これが取り扱いにつきまして関係各省において現在協議中でございますが、なかなか困難な問題を含んでおり、交渉はなかなか難航いたしておりますが、何分の結論に達したいというふうにただいま努力いたしておるところでございます。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 問題は法第五条第一項の周辺区域の指定であろうと思うのです。いまお伺いしたところですが、この問題は、政令案の第十条によると、防衛施設庁の告示でやれるようになっておるわけですね。これは告示でやれるのでしょう。そうだとすると、ちょっと了解しがたいと思うのですね。進入表面とか、転移表面のそれぞれの投影面と一致する区域とあるのです。これはけっこうだと思うのですが、その場合、滑走路から千メートルとかあるいは千五百メートルとか、先ほどもお伺いしたように、政令で規定できると思うのですね。前の閣議で決定したのでは、一応現在は千メートルの区域を考えているようでありますけれども、これはもう少し拡大することが必要ではないかと考えられるわけです。この点については、先ほどもちょっとお伺いしたわけですけれども、今後はひとつ基本的にこの点を明確にしてしかるべきだと。この法第五条第一項の区域の指定ということに関連して前の問題をさらにお伺いしたわけですが、この点はいかがですか。
  77. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 現在、昨年の閣議で決定いたしております基準は、お話のように、滑走路から千メートル、これは家の集団移転の範囲でございます。それから五百メートルが農地でございますね、これが買い入れの範囲でございます。こういうふうに全国画一にいけるものでございますと、政令できめ得るのでございますけれども、今度は、先ほど財満君からもお答えいたしましたように、飛行場ごとに、その土地の人口の集落状況とか、あるいは地形とかによりまして、非常に滑走路延長上の障害とか危険感が違っておるということが実態的に判明しておりますので、個別的に実情に応じた措置を確立していきたいというのが、政令とせずに告示にした理由でございまして、伊藤先生のおっしゃった主張も十分御了解申し上げてわれわれは善処したいというふうに考えております。
  78. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、この法第六条資金の融通について、この附則を見ますると、第六条以下の業務が防衛施設庁の所掌とするとは明確にされていないわけですが、一般にわかるようにその所掌を明記したほうがよろしいのではないかと、こういう問題が出てくると思うのですが、この点はいかがですか。
  79. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 法第六条以下の業務は、たとえば資金の融資等は大蔵省でございます。あるいは自治省の所管でございます。また、普通財産の譲渡、貸付、これは大蔵省の所管でございまして、それぞれ防衛庁あるいは防衛施設庁の所管業務でないものでございますから、防衛施設庁といたしましては、事実上強力にその中を取りもってあっせん申し上げるという意味で、施設庁がいたすというふうには書かなかったのであります。実際といたしましては、あっせん等は相当実務的にいたしたいと考えております。
  80. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 その資金の融通あっせんその他の援助ということをひとつ具体的に説明願いたい。
  81. 財満功

    政府委員財満功君) 資金の融通等につきまして、三条の工事を行なう者または四条の措置をとる市町村に対して行なうわけでございますが、地方公共団体についてまず申し上げます。資金運用部資金の貸し付け、それから地方債の起債許可及びその引き受けについては、大蔵省あるいは自治省の協力を得るように防衛施設庁で援助をいたしたいというふうに考えております。  それから個人につきましては、農林漁業金融公庫等の政府関係金融機関をはじめといたしまして、民間の各種金融機関からの融資をあっせんいたしたいというふうに考えております。  なお、従来から防音工事の地元負担金につきましては、自治省その他に御連絡を申し上げまして、起債等の資金の融通を得てきたところでございます。
  82. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 この規定を見ますると、「努めるものとする。」たいがい最後のところは何々に「努めるものとする。」こういうふうになっておるわけですね。これはこういう点から見て精神規定であり、訓示規定であるとしか考えられないのですが、もっと強く義務規定にはできないものなのか、その点ですね。
  83. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これは先ほど申し上げましたように、内容がそれぞれ他省の所管でございますので、防衛庁、防衛施設庁といたしましては努力しますということは書けますが、現実にこれは……。
  84. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これはきめるほうは非常に楽な立場になるわけですね。義務じゃないから、「努めるもの」としておけば、つとめてもできなかったということになれば、それで問題解決ですね。どうもこれは義務規定にしなければあまり意味がないと、私どもとしては考えられるわけです。精神規定というのは、そこから私どもは認定しておるわけです。やはりこれも将来の課題として、将来はやはり義務規定として責任のほどを明確にしてしかるべきだと思うのです。  次に第八条、関係行政機関の協力について規定しておるわけですが、この規定もどうも精神規定としか解されないわけです。これはこの規定内容を見ますと、当然のことが書かれているだけであって、この程度の規定ではどうもあまり必要性がないとしか考えられないわけですが、これは何とかもう少し必要な点を規定するようにできないものなのか。次にテレビ、ラジオの受信料減免措置が、現在とられているようですが、この措置は八条の規定によると、協力と解釈するのかどうか、こういう点もあわせて御説明いただきたい。
  85. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 第一の御質問関係行政機関との協力につきましては、ただ条文をつくります際にも、いろいろ折衝いたしましたが、たとえば「当該関係行政機関の長に対し、意見を述べる」というのは、やはりやわらかいようですが、関係省にとりましては、相当きつい規定であるということで、相当各行の間では問題になったのを、押し切ったような経緯がありまして、これはやはりわれわれとしましては、この規定を単に精神規定に終わらせずに、基地問題そのものがもう各省に本質的に関係であるものでございますので、これはいや応なしに各省の協力を得なければいかぬものでございますので、協力させるという立場にあるというふうに考えますので、十分に生かしたいと思っております。  第二のラジオ、テレビにつきましては、これは従来も先生承知のように、十四基地でございましたか、減免をやっておりますが、本法で取り上げるということにつきましては、議論がございまして、特別幹事会でいろいろ検討いたしました結果、これは放送法の関係で別の法律体系の中で日本放送協会が定めた免除基準に基づいてやるということになっておりますので、そのほうでひとつやっていこうというふうに仕分けをいたしまして、本法には関係なく処置いたしたような次第でございます。
  86. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に第九条についてお伺いしますが、政令第十三条にきめられておる内容を見ますると、船舶運航事業、内航運送業の関係は、特損法の場合と同じか違うのか、こういう問題をまずお伺いしたいんです。それと総トン数が四十トン未満という制限は、どうもきびし過ぎるのではないかという考えが持たれるわけですが、この点はどうなのか。一体それとこの政令も特損法の政令と同じなのか違うのか、こういう三つの問題について御説明いただきたい。
  87. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この政令は、特損法と四十トンというのは同じでございます。ただ四十トンでいいか悪いかという問題につきましては、現在運輸省のほうでも四十トンでは少し低いのではないかという意見がございますので、運輸省に照会いたしまして、現在運輸省資料整理を待っておる段階でございまして、まだ政令が出ますまで若干期間がございますので、それまでにもし四十トンを五十トン、六十トンあるいは七十トンというふうに訂正の必要がありという判断が主管省で出ましたならば、そういうふうに書きかえたいというふうに考えております。
  88. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、政令案の第十四条第一項のただし書きについてお伺いしておきたいと思うのです。このただし書きを見ますると、「ただし、当該農業又は漁業が飛行場又は演習場の周辺で防衛施設庁長官の定める区域内において行なわれる場合に限る。」というふうに、この制限が何ゆえ必要であるかということ、それと損失の補償である以上、損失をこうむっている実体があれば、当然補償すべきではないか。こういう問題が起きてくると思うのですね。この問題を一体どう解釈するのか。次にやはりこういう観点から、この制限はなくすべきではないかと結論的に言えると思うのです。なお、この長官の定める区域とはいかなるものを考えているのかということ。そこらの問題についてあわせてお答えいただきたいと思います。
  89. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 十四条の一項は、航空機の離陸とか着陸等のひんぱんな実施に伴って起こる問題でございまして、これは範囲というものが限定され得る性質のものでございます。われわれのほうとしましては、元来この九条は適法行為について補償するというたてまえでございますので、無制限にやるということは、こういう性質の航空機の離陸とか着陸ということにつきましては、無制限ということはできないという判断に立ちまして、大体私どもの考えでは、たとえば高度三十メートルを飛んでいる間はその区間とか、ホンにしまして百ホン以上、騒音と高度と両方から見まして、ある限度以上といいますか、社会的な許容限度をこえると思われる範囲に限定して、騒音とか危険とかいう感じからくるものに限りまして、そういう範囲の限定が必要である。これは無制限にはなし得ないのであります。また、限定が必要なのである。先ほどおっしゃった個々の指定につきましては、これは二、三につきましては、こういうものにつきましては個々の問題につきまして処理しますが、騒音とか危険につきましては、やはり範囲を限定するのが妥当であるというふうに考えたわけであります。
  90. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 政令案の第十四、十五、十六、この全部を通じて特損法と政令との間にそごが出ておると思うのです。この点はそごを生じておると認めておられるのか、いや、そういうことはないと考えておるのか、この点を明らかにしていただきたいと思います。
  91. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 実質論からいいますと、在来の特損法と第九条とはほとんど変わりありません。しかしながら、形式論から見ますと、特損法におきましては、事の結果のほうが法律のほうに出ておりまして、今度の九条ではむしろ原因となります自衛隊等の特別の行為というほうが表に出ております。それだけの差異がございます。これを一本にしたらという意見もあったのでございますが、そういう法律技術的な観点からして、すでにもう歴史的な存在になっておりまして、形は少し今日から見ますと悪うございますが、前の特損法はそれなりに国民が期待しておりますような条文になっておりますので、それを否定して新しく第九条に規定をするということは妥当を欠くというような判断から、実質的には変わりございませんが、今日あのような法律をつくればこういう法律が妥当だというような法文を自衛隊のほうには書いたということでございまして、法律を政令と両方、総合的に読んでいただければ変わりがないというふうに考えております。
  92. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、第十一条以下の問題について一括お伺いします。  第三章の損失補償は行政不服審査法の適用外としておるわけですね。そして本条以下の救済制度を設けたのはどういうわけなのか。やはり行政不服審査法の適用外としておるわけですね。そうして以下救済規定を設けている。これはどういうわけですか。
  93. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) この争訟は金銭給付の問題でございます。行政不服審査法によりまして行政庁の処分を取り消すというだけでは、訴訟経済上適当ではございません。したがいまして、国を被告として増額要求のできるように当事者訴訟として取り扱うという方針で適用除外にしたのでございます。
  94. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、あと一点だけお伺いして、本日のところは私の質問は終えておきたいと思いますが、現在も政府部内で折衝中というふうに聞いておりますが、いままでお伺いしてきた政令案が確定して施行されるのは、もちろん言うまでもなく、本法案が成立しなければ意味のないことであって、当然に成立するという前提が必要なわけです。この法案が成立したとしても、今度は政令がきまらなければ動き出さないという関係にあるわけですね。そこで、この前非公式にお伺いしたところでは、大体、大蔵省との折衝も九〇%くらい進んでおるということですが、その後だいぶたっていますから、その間にもう一〇〇%いま進んでおるのかどうか、そういう経緯についてこの際お伺いしておきたいと思うのです。
  95. 財満功

    政府委員財満功君) 関係省庁との政令に関する打ち合わせの中で、最後まで残っておりますのは補助率の問題でございます。そこで、その中で特に一つだけきわ立って残りましたのが本法四条の農業施設に関しまする補助率、これを四分の三以下でございますが、四分の三というふうなところにきめたいという考え方と、それから三分の二以下ということにしたいという考え方と、この点につきましてまだ最終的な結論に達しておらないという点がきわ立った点でございまして、あとはおおむね両方の煮詰めは終わりに近づいております。近く結論に達するものと考えております。
  96. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 大体経緯はわかりましたが、いままで政令案として私がこの場でお伺いしてきたその内容には大きな変化はありませんかどうかということ。案だから変わり得るわけですが、私がお伺いした政令案についてはそのとおりでよろしいのかどうか、いまの時点で。その後変化があったかどうか、その辺をこの際あわせてお聞きしておきます。
  97. 財満功

    政府委員財満功君) ほとんど変わりはございません。先ほど私申し上げましたように、補助率のごく一部につきましてなお多少残っておる、もうほんの少し残っておるというだけでございます。
  98. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  99. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。
  100. 北村暢

    ○北村暢君 私も伊藤委員が逐条にわたりまして、しかも政令案等につきましても詳細に質問されましたので、   〔委員長退席、理事柴田栄君着席〕 各条文についてのこまかい点については私はあまり触れないことにいたしますが、ただ第五条の特定飛行場周辺の移転の補償等の問題について、「当該飛行場の周辺の一定の区域を、政令で定めるところにより、指定することができる。」こういうふうに防衛施設庁長官が指定することができるというふうになっていますが、先ほど説明されたことで大体は了解されるのでありますけれども、従来のこの種の行政措置による取り扱いと、この法律施行によりましてどういうふうに変わるのかということなんでありますが、特に航空法の第二条第七項並びに第九項の規定によって、政令というのはこの航空法の規定を適用する、こういうことの考え方があるようでございますが、これと従来の行政処置でやっているものとの関係ですね、これをちょっと説明していただきたい。どっちが有利なのか。
  101. 財満功

    政府委員財満功君) 先生ただいま御指摘いただきましたように、航空法に規定します「進入表面」及び「転移表面」のそれぞれの投影面と一致する区域内の区域、こういうふうにこの法律はうたっているわけでございます。この一致する区域内の区域に関しましては、従来行政措置でやっておりました場合に、建物の移転はいたします。それからそのあと地は買収いたします。というふうになっておりました。ところで農地はどうなるかというふうなことでございました。で、農地に関しましては、さらに一致する区域内の区域、その一部分については農地を買うことができるというふうにいたすようになりました点が従来とやや異なったところであろうかと存じます。ただ先ほど申し上げましたように、横田、厚木につきましては、昨年の七月三十日、基地問題閣僚懇談会の決定がございまして、この二つの飛行場につきましてはそのような農地の買収もできることになっておったわけでございまして、その他の飛行場についてはそれがなされていなかった次第でございます。全体を通じて申しまして、農地の買い入れができるようになったという点が、本法第五条におきまする一つの進歩であろうかと存じます。
  102. 北村暢

    ○北村暢君 それで、従来の防衛施設庁の行政処置でやったものと比較すれば、農地を買い上げるということがこの法律によって前進した、こういうまあ答弁のようですが、この航空法の第二条の第七項なり第九項の規定そのままを適用されて、建物の移転なり土地の買い上げなりというものが行なわれているのと比較をして、自衛隊の施設、防衛施設との比較ですね、これはどちらに差があるということではなしに、取り扱い上はどういうふうになっているのですか。そのお伺いしたいのは、いままでの行政措置では農地を買うことができなかったが、買うようになったということを言われるわけですが、それは一般の航空法による飛行場の損害の賠償なり移転の補償なりというものとの取り扱い上において差があるのか、ないのか、この点どういうふうに運輸省の航空局でやっているのですか、それの差をひとつお伺いしたいと思います。
  103. 財満功

    政府委員財満功君) 私先ほど申し上げました航空法の二条によりますところの一定の区域と申しますのは、具体的に申しますと、飛行場の着陸帯の先端から三千メーターの範囲をうたっておるわけでございます。その三千メーターの中の一定の区域、先ほど申し上げましたように、着陸帯の先端から計算した千メーターの範囲内において政令でもって告示する。その千メーターの中で、やとえて申しますと、五百メーターの範囲内の農地は買い入れるようにいたします。それから建物につきましては、その千メーター以内のものは買い入れることができるようにする、こういう意味で申し上げたわけでございまして、一般の従来の行政措置から申しますと、その農地の買い入れ部分が従来はなかった。ただし厚木、横田につきましては、特に閣議決定をして、行政措置として、この二つの飛行場についてはできるようにした、そういうように申し上げた次第でございます。したがいまして、ある部分につきましては、従来の行政措置より進んだものもあるわけでございますし、厚木、横田に関しましても、従来の行政措置と同じようなものを、この法律の第五条で実施することになるというふうに定めたところが、私の御説明申し上げた趣旨でございます。   〔理事柴田栄君退席、委員長着席〕
  104. 北村暢

    ○北村暢君 その点はあなたの説明はわかるのですよ。わかるのですが、航空法第二条第七項と第九項は、先端から三千メートルの範囲、こういうふうに言われておるのだが、この三千メートルの範囲で、航空法ではどういう処置運輸省では実際にどういうふうにやっているのか。運輸省の航空局でやっている行政措置と、防衛施設庁でやっている措置との差を聞いているわけです。三千メートルの範囲内、それは前後でしょう、末端から前後三千メートルの範囲についての規定があるわけですね。その三千メートルの範囲内で、航空法ではどういう補償なりなんなりをやっているか、こういうことを聞いているわけです。
  105. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 私どもの承知しておりますのは、運輸省のほうは飛行機の安全を主にして考えておって、一定の限度以上の建物を建ててはいかぬとか、高さをという制限はございますけれども、地上の危険感とか、騒音に対しまして法制的にこうでなければいかぬという処置考えておられないというふうに聞いております。
  106. 北村暢

    ○北村暢君 たとえば、新しい東京国際新空港を建設する場合に、飛行場の周辺を幾らか買収しなければならないでしょう。その場合に、三千メートルの範囲内で航空安全のための規制か何かあるのと、その場合に防衛施設庁で言っている、いまの千メートルの範囲の中で指定したものの中で農地を買う場合、あるいは建物を買う場合というのは、この三千メートルの範囲内で千メートル範囲、こういうことでいままでやってきているわけでしょう。それを一般の新空港をつくったりする場合は、防衛施設庁と同じように、ジェット機が飛ぶわけですから、軍用機であろうと民間機であろうと同じわけでしょう。したがって、その均衡を聞いているわけです。自衛隊だから特によけい買収しなければならない理屈はないと思うのです。同じ飛行機が飛ぶ場合に、頻度等において、あれは新空港をつくる場合にもある程度やはり買収しなければならないわけですね、その場所がそういう場所であれば。そういう面との比較はどうなっているかということを聞いているのですが、わからないならわからないでいいのです。
  107. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 完全な答えになるかどうか、私もあれでございますが、運輸省のほうは、いまおっしゃった転移表面とか進入表面とか、飛行機が飛ぶために安全な措置は講じておりますが、下界のことは、下界の住んでおる人本位の施策は、直接飛行のための安全には関係ないものですから、一定の高度制限を守れば、そのための法制的措置は私はないものと見ております。で、防衛庁あるいは自衛隊、米軍だけは、今度こういうふうに下界の措置も、一千メートルあるいは五百メートルというふうに措置いたしましたのは、一般民航との関係は十分論議されまして、そのときにやはり自衛隊の飛行機というものは戦闘機が主でございます。編隊飛行で次から次へ飛び立つ、着陸する。演習のときは相当濃密にやったりするものですから、一般旅客機のように比較的上空でこなしがきいてやる、着陸するというふうなものばかりとは限らぬものですから、軍事的な特殊性にかんがみまして、まあ自衛隊の、米駐留軍の軍事的な飛行場だけは下界についてこういう措置をとろうというところに、特別に運輸省入りまして、納得してもらってこういう措置になったわけでございます。一般の民航のほうはここまでは同一措置はとっていないというふうに考えております。
  108. 北村暢

    ○北村暢君 まあこの点は大臣にお伺いしておきますが、これは空港をつくる場合に、ジェット機である場合は、あるいは戦闘機、編隊で飛ぶとかなんとかということはあるかもしれませんけれども、頻度という場合には民間の空港においても、これは相当な頻度なんですね。そういう比較から見て、結局あれですか、特殊性というものはどこにあるか、まあ射撃でも爆撃の演習でもやるということならわからないこともないが、ただ空港——軍用空港で飛び立つだけの施設であるとすれば、どういうふうに利用されているか、私はあんまりつまびらかじゃないですけれども、あまり民間と変わらないような気がするのですがね。それで特にこの防衛施設周辺なるがゆえに、皆さんの努力によって特別の恩典的に補償なりなんなりが出されておるのかどうなのか、そこら辺が実は聞きたかったわけなんですがね。どうなんでしょう。いま説明のあったように、民間の空港と、民間というか、一般の空港と比較して特別な、やはり補償なりなんなりというものが、特別な理由によってなされていると、こう理解していいわけですね。
  109. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたように、軍用機は編隊であるとか、あるいはスクランブルといいまして急に飛び上がったり、また離着陸ということを訓練だけでやったりするわけでございます。そういった飛行形態が非常に訓練の段階によって一般の民航機と違った動き方をするので、その点運輸省にも御了解願って、まあ一歩先にこの施策が行ったわけでございますが、もとより先生のおっしゃりますように、民航につきましても最近は非常に発着陸が多うございます。この点は、私ども一般公害といたしまして相当の議論が出ておることは知っております。それはいまひとつ次に一般公害として政府全体あるいは日本全体として考えなければならぬ問題だろうというふうに考えておりまして、これは決して軽視するものではございませんが、とりあえず私のほうは背に腹はかえられず先に出したと、こういうことでございます。
  110. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、既設の特定の飛行場周辺等の移転の補償、これも農地等買い上げるということになれば、これはたいへんな予算がやはりつかなければならないと思うのですね。そういう面の折衝はもうできているのですか。
  111. 財満功

    政府委員財満功君) 昭和四十年度におきましては、九億五千万円の予算を、これは先ほど先生お尋ねがございましたように、行政措置でやったときでございます。それから四十一年度におきましては、十四億でございます。なお、これら特定飛行場を定めてまいりまして、集団移転を実施いたしますにつれましてこの予算がさらに増高していくということについては、関係省庁との間に方向についての話は終わっておるわけでございますが、ただ全体的に何百億かかるかというふうな具体的な計算はまだいたしておりません。
  112. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、大体相当程度予算的に確保しなければならないということは事実のようですね。しかもそれはほとんどジェットの飛行場ですから、大体ジェットにかわりつつあるわけですから、大体の飛行場が該当すると、こういうことになると思うのですがね。そこら辺のところは、法律通ってからのこれからの計画でやられるのでしょうが、次にお伺いいたしたいのは、予算関係ですけれども、ひとつ伊藤委員の触れなかった問題でお伺いしておきたいのは、予算書にあります相互防衛援助協定交付金の件でありますが、これは基地交付金と言っているものだろうと思うのですが、大体米軍の基地の、国有財産としての評価からいけば、一体どのくらいあるのか。そしてその相互防衛援助協定交付金の算出の根拠は一体どういうふうにやっておられるのか。これをひとつお伺いいたします。
  113. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 先生のお読みになりました相互防衛援助協定交付金といいますのは、軍事顧問団の費用です。
  114. 北村暢

    ○北村暢君 基地交付金というのがありますね。
  115. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) これは自治省でございます。
  116. 北村暢

    ○北村暢君 自治省なんでしょうけれども、基地の評価、これはどこでやっているのですか。
  117. 財満功

    政府委員財満功君) お尋ねが、米軍が自分の金、いわゆるドルでもって施設区域内に設置いたしました財産はどのくらいあるか、その評価額は幾らかということでございますれば、現在の評価は四百四十億円でございます。
  118. 北村暢

    ○北村暢君 ドル財産というのですかね、四百四十億程度だとこうおっしゃるのですが、これは私のお伺いしたいのは、施設であればいわゆる地元交付金式に交付金が地元に出ているわけです。したがって、米軍の基地というものが相当、資料によっても相当あるわけですね。提出された資料によりましても件数にして百四十七、土地の総面積が六千三十万平方メートルですか、そういう基地として提供さしているわけです。そのことによって、地元は基地があるために地方財政なりなんなりに非常に影響していると思うのですよね。国有財産であれば地元交付金なりなんなりで処理されている。基地の場合は一体どのように処理されているか、この点をお伺いしているのですがね。  もう一つ、この四百四十億のドル財産といいますか、これに対する地元に対する交付金に該当するようなものというのはあるのですか、ないのですか。
  119. 財満功

    政府委員財満功君) 先ほど先生おっしゃいましたように、いわゆる一般の国有財産につきましては自治省の所管に属しまして、四十一年度十五億のいわゆる基地交付金がございます。それからドル資産、つまり米軍の施設区域の中で米軍が自分の金でつくりましたものにつきましては、それに見合います交付金は現在までのところございません。この問題に関しましては、将来におきまして自治省とも相談をいたすととに相なっておりますけれども、これに見合うものもやはり出すべきではないかということで、関係省庁間で協議を進めておるところでございまして、四十二年度以降において実現させたいというふうに考えております。
  120. 北村暢

    ○北村暢君 特に神奈川県等は、横浜、横須賀等の非常に価値の高いところが米軍の基地として使用され、そして町の発展に非常に阻害になっておるという面があるわけですね。それに対して、交付金等についてどういうような形でなされているのか。これは防衛施設庁で、自治省の関係だとこうおっしゃられるのですけれども、そういう面の防衛施設、米軍の基地関係の業務というのは施設庁は関係がないのですか。基地行政としておたくのところでその財産評価なりなんなり、これは直接には大蔵省立ち会わなければならないと思うのですけれども、やられてしかるべきで、そのために地方自治体から言わせれば、交付金なりなんなりで適正に評価されれば当然あがってくるべきものが基地があるがゆえにあがってこない。しかも土地の発展を阻害しておるという面で、自治体から言わせれば非常に遺憾千万な話なんですね。そういうものが多ければ多いだけ非常に迷惑するわけなんです。そういう点について、防衛施設庁では、そういう面の特損法による損害なりなんなりというものはやるわけでありますけれども、そういう目に見えない基地の処理のしかた、自治体に与える影響というものについてほおっておかれるということについて非常に疑問に思うわけです。自治体からすれば非常にたいへんなことなんですね。私はその点について、いま、ドル資産についての問題については御答弁いただきましたから、一応検討中ということで理解をするのでありますけれども、ドル財産以外の基地そのものについての地元市町村に対する、自治体に対する交付金というものは、やはり国有財産と同じような評価がなされてそれと同じような交付金というものが考えられていいんじゃないかと思いますがね。それが米軍の——これは防衛協定によるのでしょうから、無償でやるという場合には、国がやはり自治体に交付金として出すかどうかということですがね。そこら辺のことは防衛協定等の関係からいってどちらが負担するようになるか、これは非常にあいまいになっているのじゃないかというふうに思うのです。そこら辺の説明、私の質問の趣旨、御理解できたらひとつ御答弁いただきたい。
  121. 小幡久男

    政府委員(小幡久男君) 基地の中には、先生御存じのように、国有財産というものとそれから先ほどのドル財産と両方あります。国有財産につきましては、これは従来どおり、国有財産の評価額と見合ってその市町村の財政状況を勘案しまして地方交付金を出すということが法律できまっておりますので、基地内における国有財産につきましてはこれは自治省のほうがはっきりしております。もちろんわわわれもいろいろな協議や相談に応じております。連絡はしておりますが、原則は自治省でございます。それから先ほどのドル財産と申しますか、基地内におけるドル資産について、ちょっとその点がいま空白になっておるわけでございます。これについて現在自治省と相談しながら、あるいは大蔵省と相談しながら検討しておるという段階でございます。金銭を出すのはその二つだと思っております。それ以外に、本法全体がそういう含みを持った法案でありますがゆえに、特に第四条では——第四条の周辺整備というのは、やはりその基地あるがためにいろいろ従来御迷惑をかけているということに対しまして、その障害の緩和に資するために、直接金銭では一般県には入りませんけれども、市町村からいろいろなこういうものをつくりたいという御希望がありましたら、それに対して補助しようというかっこうで施設をもって補助するというのが第四条でありまして、まあ金銭補助は交付金で、施設補助は本法というふうに両輪うまく使い分けて、先生おっしゃった基地周辺の御迷惑を多少でも緩和しようという趣旨で自治省と相談してやっておる次第でございます。
  122. 北村暢

    ○北村暢君 その対策のほうはわかるのですけれどもね。基地の、駐留軍の、民有地があるわけでしょう。これは民有地ですから、民有地に対しては地代を払うことは当然やっているのだろうと思うのですがね。それから国有地がありますわね。これは、国有地は他の国有財産と同様な形に評価されて、地元市町村に交付金として交付がなされているのかどうかということを聞いているわけです。どうなんでしょうか。
  123. 鈴木昇

    政府委員(鈴木昇君) ただいまお尋ねの基地交付金について、所掌は自治省でございますが、知る限りにおいてお答え申し上げます。  基地交付金は、昭和三十二年度だと思いますが、国有提供施設等所在市町村助成交付金に関する法律に基づきまして、基地に関係をいたしております国有地及び国有建物につきまして、三月三十一日現在の国有財産台帳価額の総額に対して当該地域の行政区面内にある国有財産の価格に対比いたしまして、当面の基地交付金の総額を案分いたしまして配分するという制度でございます。先ほど指摘がございましたように、基地の中でも民有地で賃貸借契約等をしておるものは当然除かれるわけでございますけれども、大体趣旨といたしましては、当該市町村がその基地の中に所在しておる国有地の評価額、国有の土地及び建物の評価額、これに案分して配分されるということで、評価主義でございます。ただ基地交付金の法律によりますれば、ただ単にそれが評価だけではなくて、地方財政等を考慮して配分しようということになっておりまして、いわゆる富裕市町村というものにつきましては、若干の足切りと申しますか、調整をする、あるいは旧軍港都市のようなところで返還になってまいりましても、それが必ずしもすぐに民間に利用されないというものにつきましては、同じく急激な交付金の減少にならないような調整をするという制度として今日まで運用されておるわけでございまして、本年度の基地交付金は、先ほど説明がありましたように、十五億ということで予算のワクがついております。この基地交付金はひとり米軍基地のみならず、自衛隊の施設につきましても適用される。これは全部ではないわけでありまして、自衛隊の施設の場合には、飛行場と演習場、弾薬庫、燃料庫、こういうものに対してのみ適用があるわけでございます。米軍基地につきましては、それが飛行場、演習場であろうと、宿舎であろうと、住宅施設であろうと、それを含めました評価額を分母といたしまして配分いたすということであります。  簡単に概略を申し上げますと、そういう配分の仕組みになって配分されております。
  124. 北村暢

    ○北村暢君 いまの説明で概略わかりましたが、そこでお伺いしたいのは、基地交付金が自衛隊の場合にも弾薬庫その他で一部地元に交付される、こういうことのようでございますが、第三条の二項のところで、学校その他の防音施設はするのでありますけれども、その維持管理等について市町村の非常な負担になる。たとえば非常に気温の高い地方等においては、防音施設をして窓をあけたのじゃ、防音にならなくなってしまうので、これは冷房をしなければ暑苦しくて入っていられないという問題が起こってくる場合があり得ると思うのですがね。そういう場合には、冷房のついている基地の小中学校というのは、まだあまりないのだろうと思うのですが、第三条にいう防音施設というのは、どこら辺までを見るのか。防音施設で、鉄筋にして校舎を建てるだけの補助というふうになるのか、また、そういういま言ったような冷暖房の施設というふうなものまで含むものなのかどうかということですね。そういう面について、いま言うそういうところの維持まではとても見れない。しかし、市町村は、非常に貧困な市町村であれば、維持管理がなかなかたいへんだと思うのですね。そういう面を基地交付金というようなもので見るというような方法はできないものでしょうか。そういう点はどのようにいままで行政措置でやられているのか、措置考えられても、全然実施されていなかったのか、基地交付金というようなものでそういうようなものを見るわけにはいかないのかどうか、この点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  125. 財満功

    政府委員財満功君) 私どもが騒音防止対策工事として補助いたしておりますものは、本体工事、それから室内の防音工事でございます。したがいまして、いわゆる冷暖房施設の維持費補助はいたしておりません。  次に、そのようなものに対して防音工事をいたしましたために、これに相牽連いたしまして維持費が増大する。たとえば電気代が高くなる、あるいはその他の問題もございますが、私どもとしましては、原則としてこれは施設の管理者が負担していただきたい。したがいまして、従来これは基地交付金等によってまかなわれた部分も多いかと存じております。ただ、そのようなことのために一般財源が非常に圧迫を受けるというふうなことが起きます際には、自治省としても何らかの手を打たなければならないということで、私どものほうから、そのような事態がだんだん積み重なってまいっておりますので、自治省のほうに御連絡を申し上げ、その財源措置について相協力して検討をするということになっておるのが現状でございます。
  126. 北村暢

    ○北村暢君 その財源措置を自治省に講じてもらいたいというのはどういう方法でやられるのですか。基地交付金というような形でやられるのですかどうですかということをお伺いしておるのです。
  127. 財満功

    政府委員財満功君) 確定的にどのような方法でやるということはまだ自治省から伺っておりませんが、考えられますところ、いわゆる地方交付税の増額要求と申しますか、そういうものが第一次的な方法になるであろうというふうには考えられております。
  128. 北村暢

    ○北村暢君 次に、これも施設運営等の関連の諸費、関連諸費ということで第三条の障害防止工事の助成が行なわれておるわけでありますが、これは予算の編成、並びに予算の流し方ですね、これは従来と変わらないわけですか。
  129. 財満功

    政府委員財満功君) 従来と同じようにやっているつもりであります。
  130. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、たとえば農業用施設なり、林業用施設、漁業用施設、これらの障害防止の工事というものは、その地域における防衛施設の周辺の工事は、助成なり補助なりというものが行なわれますが、それが、たとえば農業排水なり、農業用水なりというものを考えた場合に、施設周辺だけでとまってしまったのでは、その工事の目的というものが達せられない。周辺以外の外の下流まで工事をやらないというと意味がないという場合が私は出てくるのではないかと思うのです。そういう場合に、一体この予算の組み方、編成のしかたというのはどういうふうになるのでしょうか。防衛施設庁で考える区域と、それと続いて農業施設というものが農林省所管でもって行なわれるという場合、こういうことが私は現実には出てくるだろうと思うのです。たとえば、またその工事をやってる者が相当下流のほうでポンプアップをするとか、そういうものが関連して出てくるのだろうと思うのです。そういう場合は、私は防衛施設庁で設計をし、予算を組むというよりは、逆に農林省が一貫して農業施設として設計をし、予算を組んだほうがいい場合も出てくるのではないかというふうに思われるのです。また、道路にしても、建設省関係の道路関係予算と、この周辺をのけて通るといったって、新たにつけるとかなんとかいった場合も出てくるのでしょうし、そういう場合に、予算編成する権限の問題と——よくあの予算編成書を見ると、農林省なり建設省なりの予算を見ると、防衛庁の分と、こういうようなことが出ておりますね、予算書なんか。ですから、私はああいうのを見まして、予算の編成する査定なりなんなりの場合、どっちがやったらいいのかということをたまたま疑問に思うのですが、そういうふうなことについての従来のやり方というのはどういうふうになっているのですか。
  131. 財満功

    政府委員財満功君) いろいろな問題があるので、それを先生の御質問は含んでおるわけでありますが、いわゆる防衛施設周辺におきまして、自衛隊等の行為あるいは防衛施設の運用によりまして障害を及ぼしております場合、どこまで一般行政との関連を調整していくかということでございますが、例を農林省にとりますならば、予算要求をいたします際、事前に協議してその所管の分界点をきめてまいっておりまして、それから具体的なことまで申し上げますと、予算説明、それから復活の要求等すべて両省庁で一緒にこれを行なったものでございます。そこで一応の基準といたしまして、助成の対象となる工事または措置が、農業、林業あるいは水産業に影響を及ぼすと思われる場合には、私がいま申し上げましたような従前の例にならいまして、両省庁間で協議することに相なっております。一つのものさしといたしましては、高度の技術を要する工事または措置につきましては、農林省で当該助成措置をやっていただく。先ほど先生おっしゃいましたように、ものによっては向こうに設計施工もさしたほうがいいではないかというものも確かにあるわけでございます。したがいまして、その種のものにつきましては、防衛庁は所要の予算を農林省に移しかえて向こうに実施していただく。そのための規定予算総則に移用の規定を設けてあるわけでございますが、その他建設省につきましてもこれに準じてやっておる次第でございます。
  132. 北村暢

    ○北村暢君 そうしますと、予算関係からいくと、設計その他農林省なり建設省に予算を移して実施するという場合を考えますと、防衛施設庁の陣容というものがどういうふうな能力があるのかわかりませんけれども、防衛施設庁の出先その他の権限、それからまた工事能力というものは、工事の主体というものはほとんど防衛施設庁ではやらない、県もしくは——おそらく県か自治体がやる。実際工事の主体はそうなると思うのでありますけれども、そういうことで、それを査定する能力なりなんなりというものは現在の施設庁で、これは農業関係の技術、農業土木関係の技術あるいは建設省関係の道路、河川その他の技術者、こういう能力を防衛施設庁というものは持っているのか持っていないのか、すべて各省と協議をしてやらなければならない、ある程度のものならできる。この従来の状況というのは、どの程度のことが施設庁で処理できるのですか。
  133. 財満功

    政府委員財満功君) 先ほど申し上げましたように、特に高度の技術を要するものについて関係者、例として申し上げましたのは農林省でございますけれども、御相談申し上げるということでございまして、私どもも普通程度以上の技術者はかなり豊富にかかえておりますので、相当程度のことは従来もやってきましたし、また将来もやれると思っております。ただ、農林省の技術の方々との交流と申しますか、そういうものもございますし、また、こういう予算を移しかえて農林省に実施していただくということに関連いたしまして、特に農林省のほうに窓口を設けて、その窓口に属する方々に毎日のようにおたずねいただいておるし、十分に協議してやるという点はほとんど何ら従来も支障もございませんでしたし、今後とも円滑にこのような工事が実施されるものというふうに確信いたしておるものでございます。
  134. 北村暢

    ○北村暢君 大体その点はわかりましたが、補助率の点については、農業施設あるいは障害防止工事の助成等の道路、河川、水道、下水道等、これは補助率については、従来特損法等では相当有利になっているのではないかと思うのですがね。そういうような点で、農林省なり建設省なりとの関連をしていく工事が一貫工事でやったほうがいい、補助率において防衛施設庁の担当のところまでは補助率が有利である、そういうことが起こり得るのではないかと思うのです。補助率の点については均衡はどういうふうになっているのか。従来の農業用施設なりというものの補助率なり、河川、水道、下水道、こういうものについての均衡はどういうふうになっているのですか。
  135. 財満功

    政府委員財満功君) 防衛施設周辺におきまして、先ほど申し上げました自衛隊等の行為あるいは防衛施設の運用によって障害を及ぼす範囲に関する限り、従来、補助率の同じものもございました。たとえて申しますと、道路のごときものにつきまして、私どもが従来行政措置でやってきたものと、今度の政令の中できめようとしているものとはほとんど同じであったと思います。ただその場合に、いわゆる本法によって行ないます道路の工事とそれから一般行政で行ないます道路の工事との間に補助率が少し違ってくるという点は今後とも存在すると思います。その点につきましては、確かに一般行政官庁におきましては、自分のところの補助率が低いので、そういうふうな高い補助率を出されてはちょっと均衡上困るという声もあるやに伺っております。しかし、趣旨といたしまして、周辺に与えました障害の防止、軽減あるいは障害の緩和に資するということを私どもねらいといたしておりますので、その点は一応関係省庁の御理解を得て、私どもとしてはバランスを失するという意味はさらさらないにしても、障害を防止、軽減するという特殊な目的があるのであるから御了解いただくというふうなことで折衝しておりますし、大体、それでおさまっているというふうに考えております。
  136. 北村暢

    ○北村暢君 それでは、大体有利なものもあるということで理解をいたしておきます。  それから次にお伺いいたしたいのは、この法律は、防衛施設周辺の整備ということでできている防衛施設の補償なり障害防止なりをやるわけで、今後、拡大するものについてどうこうということでは、もちろんないわけですね。  そこで、これは、直接、この法案とは関係ないのでありますけれども、若干お伺いいたしておきたいのは、三次防全体の問題については、これはきょうの関係ではございませんから、私、お伺いいたしませんが、ごく具体的な問題で——問題が若干具体的に新聞等で出ているようでございまして、その点についてお伺いいたしたいと思うのです。  その一つは、沿岸防備の艦艇その他の強化が行なわれるということで、掃海艇あるいはこれに類する対潜水艦の装備を強化するということが出ているようでございます。それについて、いただきました資料を見ますと、自衛隊の施設一覧という中に、海上自衛隊の施設というものが載っておらないように思うのですけれども、これは駐留軍提供の施設一覧の中には港湾施設というのがあるようでございますが、これはどういうふうになっているのでしょうか、一体。港湾施設というものについていただいた自衛隊のほうの資料には、港湾施設というのはないように思うのですけれども、落としたのか、それとも米軍と共用みたいになっているのですか、どうなんですか。きょう配付になりました資料ですよ、これは。
  137. 鈴木昇

    政府委員(鈴木昇君) この自衛隊施設一覧の件数、面積の中には、陸・海・空を一括掲上してございます。それを海について申し上げますと、キャンプ五百件のうちの百三十一件、射撃場は三、飛行場は十一、国設宿舎百四十四、合計二百八十九というのが海上自衛隊の施設の数でございます。
  138. 北村暢

    ○北村暢君 それでは、この自衛隊施設一覧の陸・海・空、分けたものを出していただけますか。
  139. 鈴木昇

    政府委員(鈴木昇君) 承知いたしました。
  140. 北村暢

    ○北村暢君 それは後ほど出していただくことにいたしまして、この海上自衛隊の三次防全体のことは抜きにいたしますが、今後、現在の港湾施設というものを拡充する、新たに設けると言いましたね、そういう計画はおありになるのか、どうなんですか。
  141. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 新たに設けるという大きなものの中では、ただいま各地から非常に誘致運動が起こっております。いうなれば、北海道の僻地に陸上自衛隊の駐とん地を置いてくれ、また大阪の港湾においては、大阪に——近畿地方に非常な艦船、船舶の出入が多いにかかわらず、何ら海上自衛隊の施設がない、これも近畿地方からの要望でございます。そういうものが諸所にありますので、特に私のほうから積極的に防衛上必要であると同時に、地元民が誘致運動を行なわれているところには、なるべく両方で合意点に達すれば増設をしたいという趣旨は持っておりますけれども、大きな演習場とか、大きなものはいま考えておりません。
  142. 北村暢

    ○北村暢君 私特にお伺いしたいのは、港湾施設なんです。ということは、北海道の道新に——道新だと思ったのですが、新聞に、余市が掃海艇の基地になるということがちょっと出ておりまして、しかもそれが陸上勤務の者を含めて、七、八十名の者がそこに施設ができる、こういうことでそこは誘致運動を市ではやっておる、町当局ではやっておるようでございますが、そういうようなのが掃海艇の基地としてできるのだというようなことが、それが防衛庁の庁内での内定がされたというようなことが出ておる。それでそのことについて、実際そういうことが内定されたのかどうなのか、この点について、これをお伺いしたいと思います。
  143. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 先般も外国軍艦が小樽につい先年入港いたしました。北海道は御承知のごとく、非常に入港が多いにもかかわらず、海上自衛隊の基地がない、大湊しかありませんということで、北海道にぜひひとつ何らかの施設をしてくれというのが多年の実は要望であります。この中では小樽あるいはその隣の余市、この二つを候補地として、調査いたしたいという事実はございます。その中では港湾としては小樽が適当である、諸施設としては小樽よりも余市のほうが閑散であるために、自衛隊の居住にはよろしい、そういうふうな一長一短がありながら、余市というものが非常に熱心である。陸上施設は余市のほうが、非常に自衛隊としては閑散であるために住宅居住が楽である、港湾の施設が多少悪い、港は小樽のほうがいい。しかし、小樽は御承知のごとく、非常な艦船の出入港が多いために、それをまた障害を起こしても困るというふうなことで余市というものを調査いたしております。しかし、まだ決定するには、まだ三次防自身がきまっておりませんので、三次防がきまったワク内でそういうものが調整される段階であろう、私はこう考えます。
  144. 北村暢

    ○北村暢君 いまの長官のお答えですというと、まあ北海道に基地がないということで、新設をしたいという考え方は、小樽、余市と候補にのぼって検討されておることは事実であるが、また内定したというようなことが出たのですけれども、そういうことではない、まだ内定まではいっていない、検討中である、こういうふうに理解して、しかも将来のことではあるが、その可能性というものは、いまのお話によるというと、だいぶ濃厚であるように受け取れるのですが、そういう理解で差しつかえございませんか。
  145. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 調査地域として内定をいたしました。調査の結果まだ明確に出ておりません。まだ調査の中で多少部隊の存置に一、二のまだ疑問点があります。一つは、港湾です。港湾がいわゆる漁船だまりしかありませんので、漁船だまりをはたして自衛隊で利用するならば、漁船の方がお困りじゃなかろうかというこの辺がまだ調整の問題点、陸上における宿舎の問題は、これは十分可能であります。そういうところがまだきまりませんので、誘致運動が熱心であると同時に、北海道に一つ必要なことは、これは多年のことであります。したがって、ぜひ小樽ないしは余市に働きたいという考えは自衛隊は持っております。これは自衛隊も地元も一致しております。有望である、また、設置の可能性は濃厚である、まだそういう問題点が多少残っております。しかし、大体置き得れば置きたいという私の希望であります。また、地元のほうもぜひ置きたい、大体、この辺は一致しておるのじゃないかと思います。
  146. 北村暢

    ○北村暢君 まあ三次防まだきまっておりませんから、置きたいという希望であるだろうと思うのですが、まあ来年からですか始まるわけでありますから、始まるとすれば、これはわりあい早い機会にそういうことの実現可能性というものはある、このように理解して差しつかえございませんか。
  147. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) 来年から五カ年でありますから、五カ年の間にはこの問題はおそらく具体化するだろう、四十二年か三年か四年かということになると、これはまだ私も見込みはつきません。おそらく五年間の間には設置が濃厚であるというのが正しいお答えじゃなかろうかと思います。
  148. 北村暢

    ○北村暢君 そうすると、その場合の規模ですね、というのは、どういう規模になるかというようなことは全然見当つかないのですか。たとえば、大湊の地方総監部では、私はあまり組織の内容については詳しくありませんけれども、この海上自衛隊の大湊地方総監部の中の一つの掃海隊群というのが第一と第二とあるようですが、そういうものが置かれる、こういう規模になる、こういうふうに見ていいですか。やはり規模というものは大体あるでしょうからね、置くということになると、どういうものを考えておられるか。
  149. 松野頼三

    国務大臣(松野頼三君) お説のように、大湊の分遣隊、派遣隊、哨戒隊というふうなものを考えておりまして、その大きなものは、あの港湾としては不可能じゃないかと思います。したがって、補給とその一部の哨戒艇あるいは掃海艇の一部の所属という程度でありまして、まあ北村委員言われたように、三百名とか四百名とか言われたような数字前後じゃなかろうかというので、大湊総監の所属の一部であります。その総監を、北海道総監を置くまでは、その規模としてはまだ三次防では考えておりません。
  150. 北村暢

    ○北村暢君 大体この程度で……。
  151. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  152. 熊谷太三郎

    委員長熊谷太三郎君) 速記を起こして。  ほかに御発言もないようでございますから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。  これにて本日は散会いたします。    午後三時四十八分散会      —————・—————