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伊藤顕道君
長官の御
答弁を聞いておりますと、いろいろほかにも影響は大きいからということにこだわっておるようですが、たとえば満鉄だけで
恩給年限の達したものは一体どうするのだ、そういう場合を例にあげていま
お答えになったわけでありますけれ
ども、それでは逆にお伺いいたしますが、満鉄でたとえば三十年つとめたという場合、日・満・日の場合は、その三十年はまるまると通算されるわけですね。それから日・満の場合もそうです。まるまる三十年満鉄におった場合に、その三十年は完全に通算されるわけです。日・満の場合もしくは日・満・日の場合、これはたとえ三十年、三十五年であろうと、まるまると通算されておる。にもかかわらず、その三十年なり三十五年をまるまる通算したというのは、私が繰り返し申し上げておるように、単なる民間
会社ではなくして、従来から私が申し述べておるような事情と根拠があるからこそ、日・満あるいは日・満・日の場合、何年でもまるまると通算しておるわけですね。そうだとすれば、日・満あるいは日・満・日の場合と満・日の場合を比較してみて、両者の満鉄の勤務
年数を、同じ
条件で同じ職場に同じ努力で働いてきた人を、
スタートが違うからという
理由で、初めは
公務員であった者、いわゆる日・満あるいは日・満・日、初めは
公務員であったんだから、これは違うんだと。そうしてまるまる通算する。満・日の場合の満鉄のいわゆる勤務
年数は、これはもう何ら変わらぬわけですね。
同一条件の
同一勤務なんです。そこをお伺いしておるわけです。日・満と日・満・日の場合の満鉄の勤務
条件ですね、満・日の場合の満鉄の勤務
条件、何ら選ぶところはない。全く同じだ。ただ、
長官のおことばを借りるというと、
スタートが違う。そういうことになると、最初
公務員でなかった者はもう人間でないような扱いを受けるわけですね。初め
公務員であった人が満鉄に入り、また
日本に帰ってくる、または帰ってこないでも、終戦でそのまま向こうでやめても、まるまる通算される。何でも初め
公務員でなければだめだということになると思う。それから
長官の言われるように、満鉄だけで
恩給年限に達したら、そういうものをどうするのか。いまこの
時点でこういう問題をやっておるわけじゃない。通算問題をやっておるわけです。しかも、これはおのずから
恩給とは別個の問題です。満鉄だけで勤務
年数が何年になったという問題は、これはもう他の権益も一切放棄されておるわけですから、遺産、貯金から身元保証金一切がっさいあげて、満鉄は、本社が外国にあったという
理由で何ら恩典に浴してないわけですね。その問題も
解決しておるわけです。先ほど来私も御
指摘申し上げておるのですが、どうも満・日の場合と日・満あるいは日・満・日と切り離して特別に違った扱いをするのは不公平、不合理であると、もう
長官はすでにお考えになっていると思うのですよ。ただ、他に影響することが大きいからということにウエートがあるように印象づけられるわけです。これはおのずから別問題で、この問題は
恩給の通算問題ということでお伺いしておるわけです。満鉄だけでなった者はどうするか、
恩給年限に達した者はどうなるかという問題はおのずから異質の問題です。しかも、いま御
指摘申し上げたように、重大な不公平だという
理由は、日・満も日・満・日も満鉄勤務はまるまる認めておるわけですね。これはもう確認される。そうだとすると、満・日の場合に、
スタートは内地が先か外地が先かということだけでそういういわゆる不公平な取り扱いをするのは不合理ではないかという観点からお伺いしておるわけですね。だからこの問題
解決すれば、一応通算問題はこの日・満とか満・日とかという
ケースに関しては
解決するわけです。満鉄だけの勤務
年数というのをどうするかということはおのずから異質の問題で、
恩給問題じゃない、こういう観点からひとつ事情は十分おわかりだと思うので、ひとつこの辺で断を下すべき
段階に来ているんだと思うのです。日・満とか日・満・日の場合も、まるまる通算するかということについてはもうすでに断を下されて
解決しておるわけですからね、これと比較をいま申し上げておるわけです。これは片手落ちではないか、不公平ではないか、不合理ではないかと、そういうことに問題をしぼってお伺いしておるわけです。なお、事実を裏づけるために申し上げますが、
昭和八年の北鮮鉄道の満鉄委託経営の際にも、北鮮に在職していた朝鮮総督府官吏約二千名は、国策として同様の取り扱いで満
鉄社員となった事実もあるわけです。それから
満州国成立に伴って満鉄の地方行政の委譲の際には満
鉄社員三千五百名が
満州国官吏となっておるわけです。同時に、
満州国有鉄道、港湾等のいわゆる満鉄委託経営に伴って、
満州国官吏約七万人、この七万人というのは、これは満人、ロシア人、朝鮮人、一部の
日本人、これが含まれて七万人という数字でありますけれ
ども、とにかく命令によって満
鉄社員に身分を切りかえておる。勤続
年数はそのまま通算されておるという事実があるわけです。したがって、これらの事実は、
日本政府の国策として行なわれたものであって、これは本人の意思のいかんに何ら
関係ないわけです。国策として至上命令でこういう職務がえが行なわれたわけです。
日本政府は、いわゆる満鉄
職員を朝鮮総督府官吏あるいは
満州国官吏と全く
同一性格のものとして考えていたことは、こういう幾つかの事実からも明白なんです。したがって、満
鉄社員を実質的に
日本官吏として取り扱っていくのであるということがもう十二分に裏書きされると思うのです。だからこそ、日・満あるいは日・満・日の場合まるまる通算しておると思うのですね。全く一民間
会社にすぎない場合、満
鉄等の勤務
年数をまるまる通算するはずがない。そこのところです。問題は、満鉄の勤務
年数をまるまる日・満あるいは日・満・日の場合は通算しておるわけですね、もうすでに。だから
スタートが前後しただけで、
日本が早かったか満州のほうが早かったかというだけなんです。
同一勤務、
同一条件での勤務には何ら変わりがないわけですね。これは繰り返し申し上げておるわけです。こういう事実を総括すると、満
鉄社員を
日本公務員と同様に取り扱うべき根拠はもう明白であるということは繰り返し申し上げ得るわけです。したがって、その勤務
年数の一部は
恩給に通算するけれ
ども、一部分は通算しない。満・日の場合そうですね。
恩給年限に足りない
年数だけしか通算しないということは、一部は通算するけれ
ども一部は通算しない。これはもう全く根拠のないものと言わざるを得ないわけですね。したがって、満・日の場合も、日・満・日あるいは日・満と全く同様に通算すべきであるということは理の当然だと思うのですね。あまりにも明白なんですよ。だからこの問題に問題を集約して、他に影響するところが大きいということにとらわれるとこの問題も
解決しないわけであります。したがって、こういう詳細にわたる幾つかの事例、まだまだ時間の制約がなければ幾らでも申し上げ得るわけです。ただもう
長官もかつての経験者ですからもうお釈迦さまにお説法というきらいは免れないと思うから御遠慮申し上げて、問題をしぼってお伺いしておるわけなんです。
政府としては、前の
国会でも、
恩給公務員でない者を
恩給公務員として取り扱うのは
一つの擬制であるから例外的に厳格に取り扱わねばならない、こういうふうな御
意見があり、したがって、日・満・日あるいは日・満の場合も満鉄勤務
期間は明らかに
恩給公務員でないわけですね。擬制であるにかかわらず、しかも実際にはまるまる通算しておるわけです。なお申し上げますが、国際電気通信
株式会社、それから
日本電信電話工事
株式会社、これは明らかに純然たる民間
会社であったわけです。特に、
日本電信電話工事
株式会社は全くの民間工事請負業者なんです。工事請負業者であったわけですが、官の勧奨によって合併によって
政府機関となったにすぎないわけですね。ところが、その
日本電信電話工事
株式会社の純然たる民間
会社をまるまる
完全通算しておるわけです。こういう点と比較しても、いかに満・日の
ケースは不公平であるかということを申し上げたいわけです。
日本電信電話工事
株式会社は、満鉄の特殊事情と違って、これは当時の外交政策上、民間
会社にしなければならなかったという
会社じゃないんです。満
鉄等と事情は全く違うわけです。全く工事請負の単なる民間
会社、純然たる一〇〇%民間
会社。当時の外交政策とか、
政府の政策上民間
会社にしておいたという特殊性はなかったわけですね。単なる民間
会社。これをまるまる通算しておるわけです。にもかかわらずですね、満
鉄等、形式的には
政府機関そのものではないけれ
ども、実質的には
政府機関と同様であるという
認識がすでに下されておる。満・日の
ケースのものを
完全通算しないというのは、全く不公平、不合理であると
指摘せざるを得ないわけなんです。全く不合理、不公平であるという断定に立てば、不公平、不合理をなくすのは政治の要諦であろうと思うんですね。不公平、不合理をそのままにしといてはいかぬのです。これは
政府の
責任を、政治の姿勢を正せば、こういう問題を
解決するということが言えるわけです。
現実にこういう民間
会社ですらまるまる通算しておる。日・満とか日・満・日との比較、これはるる申し上げてきたところです。こういう事実と、さらに二つの民間
会社の、一〇〇%民間
会社であったその勤務
期間をまるまる通算しておるという、そういう事例もあるわけですね。したがってですね、あまりにもそれと満鉄の
ケースを比較すると不合理であり、不公平であり、そのままにしといては、全く国の政治の威信にもかかわる問題だと思うんです。だから、こちらは無理なことをお願いしておるのじゃない。不合理であり、不公平だから、その点で不合理、不公平を是正すべきではないかということで、同じことを四年間も要求し続けてきたわけです。先ほ
ども言ったように、時の
総務長官、時の
恩給局長は、先ほ
ども申し上げたように、さっそく次の
国会にはその満・日の場合もひとつ
解決するように
提案したいとまで言われて、それが
長官あるいは
恩給局長の更迭に伴って、また逆戻りして白紙に戻って、また同じことをるる御
質問申し上げておるわけです。なお、この
時点で、四年間も、いわゆる
共同提案で、すみやかに
解決すべきであるという
附帯決議をなされておる。こういうこともあわせお考えいただいて、一方にはこういう
現実の問題と比較対照せられて、この問題を
解決したがために重大な影響があるなどとお考えにならないように、これはもう
恩給問題、通算問題に関する限り、日・満と満・日の不公平がこれでりっぱに是正せられると思うんですひとつ決断を下していただきたいと思います。ぼくは。