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1965-12-27 第51回国会 参議院 内閣委員会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十七日(月曜日)    午後一時九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         柴田  栄君     理 事                 石原幹市郎君                 三木與吉郎君                 伊藤 顕道君                 北村  暢君     委 員                 源田  実君                 八田 一朗君                 林田 正治君                 船田  譲君                 増原 恵吉君                 森 八三一君                 山本茂一郎君                 中村 英男君                 山本伊三郎君                 鬼木 勝利君                 多田 省吾君                 中沢伊登子君    国務大臣        国 務 大 臣  松野 頼三君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        人事院事務総局        給与局長     瀧本 忠男君        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君        総理府人事局長  増子 正宏君        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        防衛庁人事局長  堀田 政孝君        自治省行政局長  佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  清君     —————————————   本日の会議に付した案件 〇一般職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付) ○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。  一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上、三案を一括議題といたします。  三案につきましては、去る二十五日提案理由説明を聴取いたしました。それでは三案の一括質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  なお、関係当局の御出席は、佐藤人事院総裁瀧本人事院事務総局給与局長増子総理府人事局長大塚人事院職員局長堀田防衛庁人事局長でございます。  それでは御発言を願います。伊藤君。
  3. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、この法案に関連して、まず人事院総裁に二、三お伺いをいたしたいと思います。時間があまりございませんので、問題を要約してお伺いしたいと思いますので、答弁もひとつ要点をお聞かせいただきたいと思います。  本年の人事院勧告にあたって毎勤統計による民間給与動向を見ますると、公務員に最も近いと言われておる製造業、この関係の面における管理とか事務労働者においても、八・九%の上野を示しておるわけです。一方、消費者物価は、御承知のように、約全国都市で九・九%、生計費全国で七・七%というふうな上昇を示しておるわけです。こういう状況であるにもかかわらず、人事院が行なった官民給与較差は、本年四月においてわずか五・六%というまことに少ない数字が出ておるわけです。これは一体どういうところからこういう数字が出たのか。このことは人事院調査方法自体にも問題があろうかと思うわけです。たとえば人事院の行なう民間給与調査方法について、たとえば対象事業所の規模とか、あるいは官民対応等級の比較、こういうような問題を取り上げてみても、種々改善すべき問題が多々あろうかと思うのです。このことについては、総裁は、この数字に対して予想外数字であるという意味の御発言をなさっておるわけでありますから、まさしくこれは検討を要する問題であったと思うわけです。そこで、このことについてひとつ納得のいくような御説明をまずいただきたい。
  4. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 毎勤の調査と私ども調査と必ずしも結果が一致しないことは、たびたび申し上げて、ここでいまさら繰り返す必要はないと思いますが、いずれにいたしましても、今年の四月調査において五・六%という数字が出た。これは私率直にこの委員会で最初に申し上げたのでありますが、われながら意外であったということを申し上げたわけです。それはなぜ意外であったかというと、いま御指摘調査方法とか、それから官民等級対応というような点については、別にことし格段の差別をしたつもりはございませんものですから、それにもかかわらず、なぜこれが出たかという意味で実は驚いた、これが率直なところであります。ただ、その原因につきましては、これはわれわれがことしの特別の例外として一・六という春闘の積み残しをプラスいたしました。そこから逆に御推察いただけますように、ことしはどうも春闘のおくれが非常に顕著であったということを裏からこの五・六が示しておる。したがって、一・六をプラスするという異例措置をとったということに私は尽きると思います。
  5. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお、本年の勧告では、いわゆる積み残し分ということを加味しておるわけです。このことは何といっても一つの前進であろうと思います。その点については了解するわけですけれども、ただ、問題は、今年の場合は一・六%を加味しておるにすぎないわけですね。ところが、民間のそれはたしか三二%であったと思うのです。それに比較して過小であるという現実考えられるわけです。このことについて、これは積み残しは本年の顕著な一つの特徴であるというふうに総裁も言われておるわけですが、このような傾向が続く場合には調査時期そのものをずらす必要があるのじゃないかということも言われておりますし、また、本年の積み残しの調査については必ずしも十分でなかった、正確を期しがたかったということも言われておるわけです。こういうことを総合して、やはり調査をやる以上は万全を期して、正確な数字でなければならぬと思うのです。こういう点について、今後どのようにこの問題を扱っていかれるお考えなのか、そのことについてお伺いしておきたいと思います。
  6. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私ども立場からお願いをさしていただければ、春闘はあまりおくれぬようにやっていただきたい、これに尽きますけれども、しかし、そういうことばかりも言っておれませんので、ことしのような異例措置をとりましたが、これがお話のように、毎年の例として定例としてこれがおくれるようになりますと、私どもとしては、調査時期が悪かったということの、こっちの問題になってまいりますから、これは検討しなければいかぬ、しかし、毎年の春闘がおくれるときまったものでもありませんでしょうし、私どもはあるいは今日もう六月調査に踏み切りますという考えは持っておりません。ただし春闘のおくれ等とも見合いながら、そのほうも考えていかなければなるまいという気持ちを持っているというわけであります。
  7. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 総裁の言をかりますと、今回の給与勧告では、中位等級以下の職員改善重点を置いたと、こういう御説明であるわけです。こういうことを総裁は強調されておるわけですけれども、ただ最近の物価とか、あるいは生計費、こういう異常な高騰を示しておるこの状況の中で、最も影響を多く受けるのは、こういう中位等級以下の職員であろうと思うのです。そういうことをあわせ考えると、必ずしも中位等級以下の職員給与改善重点が置かれたとはおっしゃいますけれども、実質にあまり潤っていないということが言えると思う。まあ一部を見ますると、若干の等級間の差額を是正したり、あるいは一部在職者次期昇給期間の三短措置を講じているとか、これはまあ一つの具体的な例ですが、こういう言うなればまことに本格的な改善ではなくして、姑息とも言えるこういう改善でしかない、そういうふうに受け取られるわけですが、やはり従来から給与改善については、いわゆる中だるみ是正とかという表現で、中位には重点が置かれてきたわけですけれども現実の問題として中堅職員改善のためには、、まだまだ前向きの積極的な改善対策が必要ではなかろうかと痛感するわけです。この点についての総裁のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
  8. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 客観的な経済情勢の変化によりまして、実質的に給与が非常な圧迫を受けているということは事実でございます。私ども何とかしてその辺のところをできるだけの処置をとれないものかと苦慮して今回の勧告をいたしたわけでございますが、なにぶん従来からの原則としております官民較差というもののワクの中での配分ということになりますものですから、そこに限界がございまして、存分のことはいたしかねる、しかしながら、昨年はたしか官民較差が八・五でございましたけれども、今年七・二の範囲内でどういうやりくりをしたかと申しますというと、いま御指摘にありました行(二)その他ごく下級関係する方々では一〇%というようなところまで非常に力を入れた改善をしておりますわけでございます。まあせいぜいその辺のところで、われわれの努力をお認めいただきたい、こういうことになると思います。
  9. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 今回の勧告によりますると、全職種のいわゆる総合較差が五・六%ということになっておるわけです。民間より公務員のほうが上回っている俸給表海事職をはじめとして五つほどあると思うのです。したがって、官民給与較差は表面上是正されても、民間より低い職種公務員給与は、民間給与よりいつも低目に押えられておる、こういう結果になろうと思います。これはまことに不合理であり、不合理だとすると公平の原則にも反すると思うのです。この点はどのように考えておるのか。
  10. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) いまさらここで原則論を申し上げてもなんでございますけれども、大体給与決定について民間とにらみ合わせてまいりますのは、大体の較差の面において、これを全体としてにらみ合わしてまいりました。一方の柱として今度は公務員内部のいろいろなバランスというものを考えなければならないわけであります。これは最近イギリスあたりでもそういうことを非常に強調しておる。これは各国通じての給与の根本の問題であろうと思います。そういうたてまえから官民較差の大きなワクをきめまして、今度はその中での配分の問題になりますと、御指摘のとおりにいいものも出てくる。たとえばいま御指摘海運関係あるいは看護婦さんとかいうようなところは、また学校の先生などは多少よくなっておる。同時に今度はお医者さんのほうはずうっと低くなって、まことに申しわけないというような場面も出てまいります。これはまたこれとして、われわれ内部の秩序の問題として勘案した結果さようなことになりますので、そのワク内でできるだけ合理的な配分をいたしたい、これに尽きるわけでございます。
  11. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、特に東京などの大都市ですね。大都市における生計費は、本年の場合は一二・五ですか、全国の場合は七・七であったと思うのですが、そういうふうに一般較差が大きいわけですね。そういうふうな全国の平均をはるかに上回っておる。非常に高い。やはり人事院としては、給与法の第二条ですかにある、第二条を見ますると、地域差対応する給与に関するいわゆる適当と認める措置勧告すべきである。勧告する権限を持っておるわけですね、人事院は。また、全国各地における生計費等調査研究を行なうことにもなっておるわけです。こういうことをあわせ考えて、人事院は従来どのような調査研究を行なってきておるのかということと、この地域差に対する給与についてはどのようなお考えを持っておるのかということ、それからさらには暫定手当整理という問題とこの地域差をどういうふうに扱っていこうとするのか、これらの問題について一括ひとつお答えいただきたい。
  12. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) たまたま標準生計費は、これは東京をとっておりますから、いいところで基準を求めておるという言い方はできますけれども、しかし、これは全体の問題としてはいまおっしゃるとおりでございまして、物価等において地域にたいへんなアンバランスがある。そのために実は暫定手当制度というものがありました。ありましたと申しますよりも、ありますけれども、凍結されておるわけで、これは段階的にはだんだんと本俸に繰り入れられてまいりましたけれども、残っておりますものにつきましては、これは単純な繰り入れなどですませることではございません。したがって、いま御指摘のように、一種の地域格差をとらえての地域的な給与あるいは手当というものが新しい角度から当然検討されなければならないと私ども考えまして、目下鋭意その面を検討して、何か手当のいい制度はないかということで考えておるわけであります。
  13. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、ことし通勤手当について若干増額は見られたようです。そこで総裁のおことばをかりますと、職員通勤圏の実態から見て、交通機関を利用するものの大部分はカバーされるであろう、こういうことが言われておるわけです。ところが、来年一月からは私鉄が、来年二月からは国鉄運賃値上げされるであろうということが予想されるわけです。もう内定しておるわけです。ところが、いま総裁の言われたことばをそのまま了承しても、その後来年一月の私鉄、二月の国鉄運賃値上げになったら一体大部分をカバーすることになるのかどうか。せっかく現時点に立ってはあるいはカバーになるやもしれませんけれども、そういうふうに、私鉄国鉄運賃等がどんどんはね上がっていけば、たちまちこの考え方はくずれてしまうことになろうと思いますが、この点はいかがですか。
  14. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) ことしの通勤手当改革は、実は私どもとしては相当思い切った自慢の作であったわけでありますが、いかんながらまた向こうのほうがどうも上がりそうなことになって困ったものだと実は考えておるわけであります。しかしながら、従来の九百円でぽきっと頭を打っておった時代の制度に比べますと、今度はその辺だいぶ緩和された形で、交通費の値上がりが極端なショックの形で及ばないという体制にはこれはなっております。なってはおりますけれども、しかしいずれにせよ、現段階とはだいぶ事情が変わってくる可能性もございますので、その点もよく注視いたしまして、また来年の調査際等にもよく頭に入れて検討したいと考えております。
  15. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこでいま申し上げた現時点に立てば、確かに改革になるわけですけれども、繰り返し申し上げるように、もう明年早々私鉄国鉄運賃値上げになるというところにあるわけです。したがって、やはりその暁には、人事院はさらにそういうことを考慮して、この通勤手当についてもそれに見合うところのいわゆる実情にあった勧告考えなければ相ならぬと思うのですが、やはりいまからそれを心がけて、もうほとんど私鉄国鉄等運賃値上げは必至であろうと思う、そういう前提に立って、いまから検討を重ねていっていただいて、そうして即時、即妙の勧告をされることが、きわめて公務員の利益を守る立場にある人事院立場としてはふさわしいと思うが、この点はいかがですか。
  16. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私どもはそのように念願いたしますけれども、一方においてやはり民間においてどういう措置をとられるか。民間に対する関係をもやはり考慮しながら、公務員だけが抜けがけというわけにもこれは世間の感覚から申しましてもいかがかという面がございますものですから、やはり民間の動きをも十分注視いたしまして、それと勘案して最も適切な方途を考えたいというふうに考えております。
  17. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、住宅手当についてお伺いいたしますが、昨年の勧告の際は、公務員住宅政策の少なくとも推進について触れられておったと思う。ところが、本年の勧告ではこれが立ち消えとなっておる。この住宅手当についてもこれは微妙な一つの課題であろうと思うので、よく検討されておることとは思いますけれども、一体今後人事院としては住宅手当についてどのような方向で取り組んでおられるのか、それをお考えをひとつお聞かせいただきたい。
  18. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) それはたびたびこの席でも御追及を受けておりますように、また、私どもといたしましても一番これは重要でありかつむずかしい問題だという認識で今日まできておるわけでございますけれども、したがいまして、また一方においては、民間における住宅手当調査どもここ数年来毎年続けてやってきて、民間動向を注視しておるわけであります。ただし、今日の段階においては、まだ住宅手当支給しております企業の数はとうてい過半数というところまでいきませんものですから、その辺のひとつ条件が整っておりませんことと、もう一つは先ほど申しましたような大きな較差の中の配分の問題でございますために、非常に較差が大きく出ましてこれはどうしようかという、もて余すような時期があればこれまたうれしいことでございますけれども、そういうわけにもまいりません。乏しい較差配分の問題として、住宅手当らしいものを出そうとすれば、本俸の上でたいへんな犠牲を受けていただくことになるというような関係もございまして、私どもとしては、住宅対策そのものの、せめて公務員住宅の建設のほうを大いにやっていただきたいという方向とあわせてこの問題に臨んでおるわけであります。
  19. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういうお考え、よくわかりましたけれども、やはり民間実情も十分御検討になって、住宅問題で困窮しておる特に下級公務員の方に対して、ひとつ大幅な住宅手当支給を前向きの姿勢で御検討いただきたいと思います。これは民間でみんなやっていることで、特に下級公務員にそういう措置が望ましいと思うのです。この点に対するお考えはどうですか。
  20. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 従来もさようでございましたけれども、今後も住宅手当の問題を中心とする、この関係の諸問題の重要性は十分認識しておりますから、いまお示しのようなおことばをも参考にしながら、さらに熱心に検討を続けてまいりたいと思っております。
  21. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、扶養手当についてお伺いいたします。  今回扶養手当支給方法を改めておるようですが、そのような改正を行なう理由は一体那辺にあるのか。そういうことをまずお伺いして、それと現行六百円と四百円であろうと思いますが、この扶養手当は六百円、四百円というような昭和二十三年以来ほとんど改正がなかったと思うのです。ただ人事院は、扶養手当を一人千二百五十円に改める勧告をかつてしたことがあったわけです。その後さっぱり勧告はないわけですけれども、これは二十三年のそのまま据え置くということは、あまりにも実情に沿わないと思うのです。で、そのことについては十分考え必要性のある問題であろうかと思うので、十分御検討いただきたいと思いますけれども、この点はいかがですか。
  22. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは住宅手当の問題と似た面を持っておる問題でございます。いわゆる生活補給の面から言いますと、共通の問題でございますので、それらともあわせて実はことしの四月の勧告に臨みましても、相当検討はいたしましたのですが、何ぶんたてまえと申しますと、やっぱり本俸のほうを増してあげるのがたてまえということもございますので、かたがたそのかね合いの問題として、ついに今回まで住宅手当扶養手当のほうは据え置きになっておりますが、やはりできるならば本俸のほうのアップでまかなうべきだという気持ちを持ちつつおるわけでございます。その辺のところも今後の較差の問題にもまた関連いたしますので、なお十分検討したいと思います。
  23. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そこで、この際民間における扶養手当実情ですね。そういうことと関連があるので、承っておきたいと思うのですが、詳細なことは要りません。その大綱を——こういうことになっているという大綱でけっこうです。
  24. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) ただいま御指摘の点は、妻等につきまして、配偶者等につきましては、千円とか千五百円とかあるじゃないかということでございまして、われわれ公務員一人当たりの扶養手当支給額という面で見ますると、九百円前後、民間従業者が受けまする扶養手当と大体見合っておると思います。
  25. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 で、この際関連があるので承っておきたいと思うのですが、公務員旅費規程などを見てもずいぶん古い規程そのままになっておって、出張すれば足が出るというのが実情であろうと思う。現に公務員の方が旅費についていろいろとこういう要請も出しておろうかと思うのですが、やはりこの問題も十分早急に検討して、その実情に見合う旅費にすることがきわめて必要であろう。これはもうあらゆる方面でそういうことを承るのです。この際、総裁としての旅費に対する取り組み方について伺っておきたいと思います。
  26. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは残念ながら人事院所管でありませんで、大蔵省所管になっております。したがって、私どものほうも被害者側として、私どもが出張した場合には決して足が出ないということは絶対にないというようなことになっておりますので、その辺も何とか合理化していただきたい。これはまあその意思は機会ごとに通じておりますけれども、なお大蔵省方面にもひとつそちらからもお口添えをお願いしたいと思います。
  27. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは大蔵省所管であるということを承知の上で伺ったんですが、ただこの給与に関する問題は、一応人事院所管になっておるので、勧告が。その人事院旅費に対して現在のままでいいんだというお考えなのか。やはり検討の要ありという考えなのかということが一つ方向をきめるめどにもなろうかと思ってお伺いしたわけです。これはなお私のほうは、大蔵省所管でいろいろ追求するわけですけれども、逆に私のほうからお願いしたいのは、人事院総裁のほうからも、大蔵省のほうにひとつ十分旅費規程については改善の要があるという見方を、取り組み方についてひとつそういう伝言をいただきたい、そういう意味でお伺いしたわけです。
  28. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 十分承りました。
  29. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それから総務長官がお見えになったので、人事院のほうはお伺いしたい点がありますが、最後に一点だけ人事院総裁にお伺いしますが、期末手当勤勉手当についてその支給方法を改めているわけですが、その基準日支給日を分離したのですが、従来ではどのような点に支障があったのか、何か支障があったから改めたのではないか。どういう理由で改めたのか、こういうことをお聞きしておきたいと思います。
  30. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはねらいは二つございまして、先ほどの手当関係とも同じでございますが、計算上の便宜と申しましょうか、事務簡素化ということが一つと、それから期末関係では、やっぱり早目にもらうようにしたいという二つのねらいからこういうふうになっております。
  31. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 なお関連があるので、この場でお答えいただかぬでもいいわけですが、要望申し上げておきたいと思うのですが、前にもお伺いしたことがあるのですけれども期末手当勤勉手当、六月、十二月二本になっている。ところが、この実情は、勤勉手当期末手当もやはり期間率基準にやっている。勤勉手当成績率は、ほとんど問題にしていない。実際官庁では期間率に従って支給しておる。そういう点を考えても、また給与簡素化整理ということを公務員制度調査会でしたか、かつて答申したことがあるわけです。この給与簡素化合理化、こういう観点からも期末手当勤勉手当をわざわざ区分する必要はいま現時点ではなかろうと思う。そこでイエスかノーかということをここでお答えいただかなくともよろしいので、そのことについて検討される誠意があるかないかということを、検討してもらいたいということをいま言っているのですが、そのことについて総裁のお考えをお聞きしておきたいと思います。
  32. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは御指摘のように、もう二本立てをやめて一本にしてしまったらどうかという意見もたびたび承ります。しかし、その場合に、勤勉手当を廃止して期末手当に合併するという問題は、私ども立場からいうと、やっぱりこれは相当むずかしい問題だと思います。いま御指摘のように、実際現在の扱いは、勤勉率なんというものは全部無視されているじゃないかとおっしゃられれば、これは期末のほうに統一してしまったらいいという結論になりますが、私ども立場としては、やはり勤勉手当期間率だけでいくということは、私自身としては少なくも、ちょっといかがであろうか。やはり勤勉度を入れたものがなければならぬのじゃないかという気持ちがいたします。その辺のところを中心にしながら、今後いま御指摘のおことばをも加えて十分検討してまいりたいと思います。
  33. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 それでは次に、給与担当の総務長官にお伺いしますが、時間がありませんので、要点について二、三お伺いしたいと思いますので、御答弁によっては簡単に、さらに簡単に済むわけですが、まずお伺いしたいのは、公務員のいわゆる労働基本権を引き揚げたその代償として人事院制度を設けて給与に関する限り、この公務員の利益機関、利益権の手段としたということ、これ自体は政府自体がつくられたわけです。したがって、そういう経緯から見て、政府は、この人事院勧告に対しては当然完全に尊重しなければならぬ。しかし、政府のどなたに伺っても、人事院勧告は尊重するのかどうかと言えば、必ず異口同音に、尊重する。しかし、三十五年に人事院が実施の時期を明確にした、五月一日と。しかし、しいていえば、五月一日でも不満であって、四月に民間との較差がすでにあったと人事院調査しておるわけですから、四月一日にさかのぼるのが筋の通った論理ではありますけれども、しかし、いまはそのことは一応さておいて、まあ、いま人事院は五月一日ということでございますから、これに従って、当然、完全尊重ということになれば、内容はもとより、その実施時期も内容ですから、内容の実施時期をおくらしてしまったら、これは値引かれることになるわけですね。したがって、一〇〇%のものが切り下げられると八割、七割、六割、五割というふうになってしまうわけですね。したがって、内容も低下してくるわけです。これも少しも尊重しないということになる、結論は。したがって、いままでの三十五年以降昨年まで、五回。本年もそういう方向で、いまこの法案ができておるわけですけれども、こういうことで毎年財政上の理由で、同じ理由でこういうことが実現されていない。きわめて不満のわけです。この点は、一体どういうふうに、人事院勧告に対して政府としては基本的にどういうかまえでおるのか、疑わざるを得ないわけです。なるべくおそくおそくというふうにしか考えられないわけですね。この点をはっきりとひとつ、基本的な態度は那辺にあるのか、伺っておきたいと思います。
  34. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) たびたび、政府は勧告を尊重しないじゃないかというおしかりを受けておりますし、一面、そういうおしかりを受けてもやむを得ないという結論になってまことに申しわけないと思っておりますが、政府自身としては、これはもう人事院勧告に関する限り、でき得る限り、内容、期日ともに、これは完全実施をいたしたいという気持ちは非常に強いものを持っておることは間違いないわけでございます。ただ、いろんな財源上の関係から、なかなか思うようにいかない。昭和三十四年までは、御承知のとおり、期日が大体において明示してなかった。そのためかどうかは別にいたしまして、大体実施時期は一月であるとか、あるいははなはだしいのは翌年四月というようなことでありましたが、あの明記以来大体十月という相場が立っておった。それが昨年度九月に遡及をいたしました。ことしは、また、どうあるべきかということで、われわれ全面尊重するというたてまえで検討はしたのでございまするが、何ぶんいつも申し上げるとおり、年度半ぱのものでございますから、ことに、ことしはこういう財政の非常時といいますか、非常な、ここ終戦後初めてといったような、窮屈な状況である。そこで、いろいろと議論が出ておりましたが、まあ最後は総理の裁決によりまして、去年どおり九月実施ということに踏み切れたわけでありまして、そういう意味の実質的な努力で申しますならば、私は例年並みに言うなら、五月一日に実施したのと同じような努力をさせていただいたと、まあ内心は思っております。しかし、形はそういうふうに出ておらぬのでありますから、それで大いばりするつもりは毛頭ありませんが……。  そこで問題は、結局、なぜそういうことになるかと言いますと、御承知のとおりに、当該年度の途中で、まあ地方、国を合わして千億に近い財源措置をしなければならないという大問題が出てくるわけで、なかなか財政、その他の都合で思うようにいかない。そこで、この尊重の趣旨をどうしても実現するためには、勧告の時期を変えるとか、あるいはあらかじめ予算に見込んでおくとか、いろいろ方法があろうと思うのです。この当委員会におきましても、昨年度に一致の決議をいただいております。そういう趣旨から、人事院あるいは大蔵その他の関係当局とも種々相談をいたして、何かいい方法は見つかるまいかという検討は、今日まで続けてきておるわけであります。ただ、見積もり予算ということになりますと、ものはなかなかやっかいでして、何を基準に見積もるのか、御承知のように四%あまりの定期昇給というものを別に予算には見込んである。そういったようなものと合わせて相当膨大なものを予備費のような形で見積もるということは、これはいまの財政法上なかなか許されないような事情にもある。では何か見込みで、一定の昇給額としても、ある程度固定したものを見込めばいいじゃないか、こういう議論になりますと、この点はまた、そういった給与基準をきめて勧告するのは、第三者的機関であります人事院でありますので、そういうものを政府が一体、法律できめてよろしいかどうかという問題もありまして、なかなかこれが結論に達し得ない状況で、苦慮いたしております。しかし、たびたびの仰せでございますし、決議も国会であるわけであります。それだけにこの際、できるだけひとつ思い切った何かの方法を見つけたいといういま努力を重ね、具体案というようなものにまではなりませんが、そういう方向で鋭意いま検討中でございます。
  35. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 御答弁ではございますけれども、私のほうでお伺いしたいのは、毎年事情が変わって、それで別個の理由で実施ができないということであれば、話はまた別ですけれども、三十五年以降昨年までの五年間に、その間五年間の間には、比較的財源は余裕があった年もあったわけです、確かに。その年でも財源措置ができないから、財政上の理由で完全実施していない、こういう点をあわせ考えると、まことにおかしいのです。確かにこの五カ年間において、財政が比較的余裕のあった年はあったのです。ことしこそ完全実施するであろうと期待したこの期待は、みごとに裏切られてしまったわけです。それからいろいろな方法を検討しておるのだとおっしゃいますけれども、五カ年間も同じことを繰り返し繰り返し反復行なっておるということは、受けるほうから言うと、全く誠意がない。人事院勧告どおり完全実施しようとする一片の誠意もないのじゃないかと疑わざるを得ない。しかも、同じ財政上の理由で同じことが繰り返されておるということであれば、また、本年の場合も、もうことしの財政状況はきわめて困難だということは、ことしになってわかったわけではない。前の展望から、もう当然政府はそういうことはわかっておるであろうから、事前に手を打ってしかるべきだ。補正予算で非常に苦しければ、当初予算に組むことも一つの方法だと思うのです。そういうことを想定して。それで、民間との給与較差が五%以下の場合は、人事院は報告だけで勧告しないわけですから、その金は別途たな上げしてもいいわけです。そのためにマイナスになることはない。また、現在の状況では、政府が抜本的に物価抑制政策を講じない限り、物価安定対策を掲げない限り、消費者物価はどんどんはね上がって、生計費がウナギ上ぼりにはね上がっていく。民間の賃金も上がっていく、こういうのが現状であろうと思うのです。こういう事態に対しては、当初予算で組んでおけば政府は財源に苦しむ必要はないわけです。これが一番いい方法だとは言えませんが、たとえば、そういう方法があるわけです。ただ、ことし初めて財源上の理由で、財源不足でできなかったというなら、話もまた別なんですが、五カ年同じことを繰り返し繰り返しやっておる。そうしてさっぱり前向きの姿勢になっていない。翌年は十月から九月、八月、七月とだんだん毎年々々一歩ずつでも前進すれば話がまたとりようがあるわけですけれども、そのように何ら一歩の前進もない。これは誠意の問題だと思う。公務員が何か公務員法に違反すれば直ちに忘れないですぐ厳罰に処してしまう。政府自体は、たとえばこういう救済制度である人事院勧告を無視している。だから公務員を処罰する前に、そういう処罰する場合に、政府はまずこの人事院勧告を完全実施して、初めて公務員を処罰する資格が出てくると思う。もう政府こそ法規に違反しておるわけです。人事院制度を尊重しないわけです。したがって、これを守らない、しかも五カ年間も、ことしもまたそうしようとしておる、そういう政府こそ、厳罰に処せられてしかるべきだと、そういう意見も出てくるわけです。まあこういうふうに、同じ理由で同じことを繰り返してなかなか一歩の前進もない、こういうことではまことに了解に苦しむわけです。したがって、ひとつ抜本的な方策を講じて、当初予算に組むとか、いろいろ方策はあろうかと思うのですね、同じことを毎年々々繰り返して、しかもそれが解決できないというのはこれは内閣の責任です。もちろん給与担当大臣、当面の責任ですけれども給与担当大臣一人の問題でないと思う。内閣全体の問題です。これは国家、地方合わせて二百五十万の公務員の、いわゆる全体の奉仕者として十分責任を負わされておるわけです。それが働く意欲がなくなってしまうでしょう。まあ一方的に義務づけられておって、物価生計費、これに見合うところの賃金上昇がないということは、これはもう政治の貧困からきておるわけです。根本的な問題であるので、強くこのことを要望申し上げておきたいと思うのです。このことに対する給与担当大臣としてのお考えをお聞きしておきたい。
  36. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 誠意がないと言われますと申しわけないのですが、誠意の一端は昨年度も一カ月進める、ことしはまあこういうような状況であるにかかわらず、昨年度より後退しないで、まあ勧告の特殊性ではございますけれども、ほんのちょっぴりでも前進した、まあことしのこの経済状況のもとで、ここまでやったということにつきましては、まあわれわれ足りない知恵をしぼりながらも、誠意だけは一生懸命尽くそうとした、努力をしたわけでありますが、しかし、お説のとおり、一〇〇%にならないという点については、もうおしかりを受けてもやむを得なかったと思います。ただ法的な問題なんですが、これはきのうも予算委員会で少し議論されまして御迷惑かけましたが、私はこの間、本会議でも法律的規制がないから政府がどうも一生懸命にならぬのじゃないかというふうに思われてもはなはだ不本意なものですから、そういう法的規制は別にあるわけじゃないが、一〇〇%実現しようという努力と熱意に欠けるものでないという点についての御説明をしたつもりで、今後もいまのお話の線に沿って、ひとつ何とかいい解決の方法を人事院総裁なり、あるいは関係各省とも相談をいたしまして、鋭意進めたいと思っております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 もう時間がございませんから、最後に防衛庁長官に一点だけお伺いしておきたいと思いますが、今回この法案によりますと、防衛庁職員給与法改正によって、昭和二十八年八月一日以降自衛官になった者の退職手当支給について特例を設けておるわけです。特例を設けたのは、一体その理由は那辺にあるかということと、これは言うまでもなく、旧軍人から自衛官になった者のみに特にこういう特例措置が設けられた。そうすると、防衛庁の他の文官とかあるいは一般公務員との均衡を失することになろうかと思う。この他との均衡ということになると、なかなかむずかしい問題になってくると思うのですね。これは一体どういうことなのか、いろいろ詳しいことを聞きたいのですが、何ぶん、時間がありませんので、この一点だけお聞きしておきたい。
  38. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 仰せのとおり、そのことにつきましては政府部内でも議論のあるところであります。ただ、今日まで、これを実施しましたのは、すでにこれは以前にも改正が行なわれましたその当時から今日も続いておりますが、結論的には、自衛官というものの身分と職務内容がある意味においては非常に他と違っておるということがその特色といえば特色であります。  もう一つは、自衛隊の発足が陸海空おのおのばらばらであった、そのために、ある意味においては規模同じようなものが、航空自衛隊の発足が一番おくれましたために、あるいは海上自衛隊の発足が一番おくれましたために、その任期がおのずから違っておった、そのことの調整という意味で今回は出しました。主としてこれは、今回のものは発足当時の調整であります。基本的には伊藤委員御指摘のとおり、交官との問題、これはございます。これはもうすでに、いままでこれを実施し、この前の国会でもこの問題は議論に出たのであります。今回はその基本的のものよりも発足の時間的ズレ、これを調整するというのが今回の修正の趣旨でございます。  なおあわせまして、多数の者がおるわけじゃございません、全部で三千人余りの者がこれに該当するだけであります。全自衛隊の中から見ますと、この経歴を持っておる者は三千人余りであります。しかし、この方たちは、その同じ経歴を持った中では不均衡があるものですから、その不均衡を是正したいというのが今回の趣旨でございます。
  39. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 時間がありませんので詳しくお尋ねするわけにいきませんが、要約してお尋ねしたいと思いますが、まず安井長官にお尋ねしたいと思いますが、ただいま人事院勧告について御質疑がありましたが、それを私はしぼってちょっとお尋ねしたいのですが、例年財政上の理由だということで人事院勧告を無視されたと、それは尊重はされたでしょうけれども乏しい。完全実施をされないということに対して、わが国の官公部門の労使関係を悪化させたこれが一因になっているのじゃないかと、その点について私は長官にお尋ねしたい。完全実施をされないと、尊重されないということが、労使関係の因果関係が非常に悪化した一因がそこにあったのじゃないかと、どうお考えですか。
  40. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) そういう御指摘をされますと、少なくとも職員団体と政府との間の意思の疎通を欠く一つの原因になっておるであろうということは認めざるを得ないと思います。
  41. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それをお認めいただければ私も非常にお尋ねしやすいのですが、そこで、先般橋本官房長官が、将来は完全実施すべきだと自分は思っておるが、現段階では困難であると、もし諸君が半日ストを断行すれば解雇や減俸などの処分を行なうと、こう豪語されたと私は記憶しておる。これは先ほど来伊藤委員もお尋ねになっておりましたが、つまり、公務員の労働基本権を制約しておって、そうして長官のお話で考えますと、法的根拠はない、なるほどそうでしょう。しかし、人事院存在の本質から考えた場合には、当然公務員の生活を擁護するところの私は責任があると思う。そうして一方においては、公務員の労働基本権を奪っておきながら、与えるべきものは与えない、約束は履行しない。もしストをやれば断固処分するぞと、こうした大上段に振りかぶって権力を行使するということに対して、私はますます労使の関係を悪化していくんじゃないか、こういうふうな考えを持っているんですが、長官はどういうふうにお考えになりますか。
  42. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) いまのように、法的な取りきめがあるなしにかかわらず、私どももこいつは全面尊重しなきゃならぬと思っております。ただまあそういうことと、それから公務員が職務あるいは公務員たる身分にふさわしくない過激な行動をしたという場合とは、やはり一応これは別々に考えなきゃならない。でありまするから、同じような公務員の活動にしましても、ベースアップを要求するような合法的なデモ、これはまあ服務規律の上からいえば別でございますが、そうでないような形で合法的なデモが行なわれた場合、これを必ずしも政府は規制しておるわけでもないわけであります。しかし、いずれにしましても、問題は全面実施ができないという点に禍根がある点は御説のとおりだと思います。
  43. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私はこれをもう少し掘り下げて考えてみたいと思うんですが、半日ストをやるやらぬ、それは別といたしまして、こういう威嚇的なことをもって公務員に臨むということは、私はこれはこういう段階で一まだストしていない事前のことですからね、事前にそういう威嚇的なことばを政府の責任者が公務員に、会談の場合におろそかに発言すべきではない、もう少し慎重に言うべきではないかと、かように私は思います。どういうふうに……。
  44. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) あの場合は必ずしもベースアップだけの問題に限りませんで、日韓問題を中心にした政治的な行動というものに移る危険も非常にありましたし、また、給与の問題であったとしても、現に公務員法で明らかに禁ぜられておるストという行動へ移る計画をそういう政治活動を含んで態度をそれぞれ機関決定して公表しておるという状況において、これを政府が黙って見過ごすわけにはまいるまいと思います。そういうような違反行為につきましては、やはりこれは法規に照らして所定の処置をとらざるを得ないから、ぜひまあやめてほしいと、そういう希望を強く打ち出すために官房長官談話としてそういう形のものが出たんだと思います。
  45. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 長官の、あなたのお気持ちはよくわかりますけれども、ぜひそういうことは公務員法に違反であるからやらないでくれと、何とかわれわれも諸君の意思に沿うべく努力をするから、ぜひこの際思いとどまってくれということで、私はあくまで一本で進むべきだと。それが、最後のだんびらを振り上げて威嚇するということは、これは私は今日の政府の責任者としては厳に慎んでもらいたい。まあ、時間がございませんので、またいずれ……。  それから、人事院総裁にちょっとお尋ねいたします。公務員給与の制定についてですが、御承知のとおり、現在の給与体系は民間給与との比較によってできておるものですが、公務員には国家的公務を遂行するという責任がありますので、別の給与体系を考えてもいいんじゃないかと、そうするといつもこういう愚を繰り返さなくてもいいんじゃないかと思うんですがね。公務員独自の給与体系をつくったらどうかというような愚見を私は持っておりますが、人事院総裁はこういうことをお考えになったことがあるか、あるいは全然そういうことは考えていらっしゃらないか、その点……。
  46. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 私は戦前から内閣の法制局で——実は当時は官吏の俸給は法制局でやっておりまして、同じような仕事をやっておりましたんですが、これはもういまおっしゃるとおり、白紙に図をかくがごとく、公務員給与としてのあるべき姿というものをそのまま数字にあらわしておったと思います。しかし、今日におきましては、客観情勢その他がその当時とはだいぶん変わっている。たとえば公務員法あるいは給与法の条文の表におきましても民間給与その他すべての経済情勢その他の客観情勢に適合したものでなければならぬという要請があるわけです。したがいまして、そこからいまのような方式が発展してきたと思います。ところで立場を変えまして、御承知のように、私どもはもう数年来公務員給与勧告はぜひ完全に実施していただきたいということをお願いしてきているのです。また、その御支持の声も相当あるわけであります。一指も触れずにこのまま完全に実施していただきたいというためには、よほど確固たるデータを備え、確固たる根拠がなければそれは言えることではないわけであります。そのためには、ただいまやっておりますような、四月現在ではありまするが、六千四百という事業所をとらえて、四十七万人の個人々々の従業員をつかまえてそうして集めたデータと、わが公務員関係給与の水準とを突き合わせて、これだけの較差が出ました、ぜひここまで追いつかせていただきたいということが、一番手がたい方法であるわけなんです。その意味において、現在の方式というものは相当私は意味があると思っておりますので、客観情勢、経済情勢等がよほど変わってまいりますれば別でございますけれども、昔のような独自の給与をここで考えるというときは、まだまだ先ではないか。現にイギリスあたりでも民間追随主義が露骨になってまいりまして、人事院のまねを方々でし始めたという感じさえするわけでございます。やはりそれはそれとして、相当の長所を持った制度であるということをわれわれますます自信をつけているような段階に実はあるわけでございます。
  47. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 現在の給与体系に対するあなた方の御努力に対してはよくわかっております。わかっておりますけれども人事院で合法的に緻密な計算をされて、そして出されても、政府のほうでそれを先ほど来もお話があっておりますように、一回もこれを完全実施したことがない。まさにこれは有名無実でありますので、だからこういう点をもう一度考えられたらどうかということを、私は申し上げたのでありますが、時間がありませんので、それでは次に一つお尋ねをしておきます。  給与改正されるたびごとに変わった体系がつくられていることがあるようでございますが、たとえばこの前の改正で、指定職の甲、乙を設けて、新三等級をつくられた。結局その下からのぼってくるのに段階をふやされた。こういう点について、最も民主的であるべき人事院が、あたかも特権官吏の養成の手伝いをしているというような感がないでもないのです。そういう点はどうした根拠か、人事院総裁の御所見を承りたい。
  48. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 特権官僚を育てるような趣旨はもう全然われわれは持っておりませんので、たとえばことしの勧告をごらんになれば、上薄下厚というような、まあキャッチフレーズになりますかどうか知りませんけれども、そういうような態度で臨んでいることからもおわかりいただけると思います。ただこの指定職の俸給表は、これは要するに、給与法の大精神から申しますというと、職務と責任の度合いに応じて俸給を盛りつけるということになっております。ところが、しかし、すべて上から下まで職務と責任に徹底して俸給を盛りつけるということになりますというと、遺憾ながら全体のまだ給与の水準が非常に低いもので、むしろ生活給的な色彩のほうが多いものでございますから、それはできませんけれども、しかし、たとえば事務次官であるとか、そういうような指定職に上がっているような官職をとらえますと、大体職務と責任というものとその官職の名前とがはっきり結びついて、そこに取り上げ得る下地を持っているというようなことから、ここに別の俸給表として、これらの人々の俸給はもうくぎづけにしてしまう、何年その地位におってもそれ以上上がりませんし、その他の手当関係でも、これは管理職手当などはその人々には支給しないというような形のものをとらえたものでございます。特権云々の観念とは全然違うものだと私ども考えております。新三等級のほうも、従来四等級というものは非常にラフな形であったと申しますより、つくったときはそれでよかったのでありますが、近ごろは行政の組織が非常に分化してまいりましたので、いままで四等級にぶち込まれていた者をやはり仕分けをする必要が出てまいりましたので、その意味でいままでの四等級を完全に二つに割ったというだけのことでありまして、要するに特権的な扱いをするというようなつもりは全然ありません。
  49. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それはわかりましたが、四等級と三等級の中に一つ段階がまた新たにふえることになるでしょう。そういう、つまり四等級の中から一部を三等級にする、だから四等級と三等級の中に一つ段階がふえる。結局給与体系の複雑化、簡素化でなくて複雑化ということになるのだと思う。その点はどういうふうにお考えになりますか。
  50. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 複雑にはなりますけれども、私ども合理的になった、こういう見方を独善的かもしれませんけれどもしているわけです。合理性をここに与えた。そのために下のほうの人が上へ上がっていくスピードにちょっと障壁ができやしないかという御心配かと思いますけれども、その点は同じ扱いになっているのでございます。不利益はない、そういうことになりますから、箱が一つふえた。すなわち、新三等級によってもとの四等級が単純に二つに割れたというふうにお考えになれば、ほかに影響はない、こういうことでございます。
  51. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 もう一度そこのところを確かめておきたいと思いますが、そうしますと、下から上がる段階一つふえたということで下のほうにしわ寄せをされるということはないわけですね。
  52. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) そういうことはございません。
  53. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 その理由は。
  54. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) それは四等級以下の俸給につきましてこの金額を減らすというようなことは全然ないものでございます。むしろ四等級、五等級、六等級、これはその辺の改善には十分力を尽くしておるのでございます。そうして現在四等級、すでに去年の話になりますけれども、四等級の責任の幅が非常に広い。当時の三等級、現在の二等級でございますが、これと四等級の間の給与の格差が非常にひどいということに着目いたしまして、四等級の職務の幅が広いものでありますから、その中の責任の高いものを三等級にする、こういうことにいたした次第でございます。
  55. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 これはまたあとで聞きましょう、ゆっくり。  その次に通勤手当ですが、これは先ほど伊藤委員からもお尋ねがあったようでしたが、通勤手当を従来九百円でしたか、それを千百円にして、それをこえる部分の二分の一を国が負担する。ところが、二分の一が五百円を超過した場合には五百円でとめる。それはどういうわけでそんなことをやるのですか。これはえらいこまかいことをやったものだが、これは手数がたいへんだと思うが、一々定期券を調べたり、手数もたいへんだと思うが、非常に複雑化複雑化するように、人事院は複雑化が好きなようだが、その点どういうふうに考えておりますか。
  56. 瀧本忠男

    政府委員瀧本忠男君) 従来は九百円で打ち切りでございます。この九百円で打ち切りの場合には、その全額負担、九百円の範囲内で全額負担されます職員は、通勤手当を受けております職員の三割五分前後でございます。そこで、実は全額負担していただける職員の範囲というのは従来は非常に少なかった、こういうことでございます。そこで今回は、現在、現実に通勤し得る距離というものがどれくらいだろうか、あるいは時間というものはどれくらいであるかということも調べまして、おおむね一時間か一時間半くらい、距離にいたしますと、まあ国鉄私鉄と違ってまいりまするが、ほぼどれくらいの範囲通勤しております者に全体に通勤手当が均てんいたしまするようにいたしたわけでございます。そこで、もし九百円を千百円まで上げるということは従来方式でやったのでございますけれども、その上はやはりまあこれは多少手かげんをいたしまして、全額負担のものは二千円前後でございまするが、その二千円前後になりますところを半分ずつ負担しよう、こういうことでございます。
  57. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 半分ずつ負担しようということはわかっている。だけれども、半分を負担しないで五百円を超過したらあとは払わない、何を言っているのだ、あなた。半分ならわかりますよ。
  58. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これは民間の場合をわれわれいつも勘案しているのでございますが、民間を見ますと、たとえば従来の九百円のように完全に頭打ちの制度をとっているところと、それから全額出している、金は全部払っている、こういうこれは二つあります。半々ぐらいになっておりますから、私どもはそれを折衷いたしまして、中間的な形を取って、そこに多少ゆとりのある制度をここに設けた。こういう事務上の手続の面は私ども心配いたしまして、さらに複雑になるのではないかということを心配いたしましたけれども、これはだいじょうぶということで安心いたしまして踏み切ったわけでございます。
  59. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 まだずっと聞きたいのだけれども……。いや、ほんとうにかえって給与の低い人ほど遠いところから高い定期代を払って、しかもラッシュにもまれながら苦労して通勤している。高級官吏になると、多額の給与を取って、あまつさえ役所の自動車を使って通っている。それを半額を国庫負担するといって、しかも五百円以上は打ち切ってしまう、こういう制度は私はよくないと思う。民間においては昼食を出したり、通勤手当全額出しています。そういうところは、少し私は人事院のお考えは妥当じゃないと私は思う。その点、人事院総裁
  60. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) これはおことばではございますけれども、いままで九百円の頭打ちだった、現在の制度ですけれども、それに比べますと、これはたいへんな思い切った改善だということで、先ほども伊藤委員に申し上げましたように、内心は自慢であったわけです。ところが、国鉄も今度上がるといううわさがあって困りました………。
  61. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 わかりました。内心自慢である——いままで自体が九百円で打ち切ったなんというとんでもない間違いをしている。今度初めて幾らか妥当性があるというぐらいのものであって、いままでが間違いですよ。いままでの自分たちが間違っておったのを今度ようやくまあ正しくなりかかっただけのことであって、自慢でもなんでもない、当然。しかもまだ半額国庫が負担すると言っておりながら、その半額が五百円過ぎたらあとは知らぬというような、そういう考え人事院勧告としては妥当性を欠いておる。その点もう一ぺん。
  62. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) お心やすだてに自慢などということばを使いましたことは撤回いたします。しかし、これは民間の趨勢とにらみ合わせながらの結論であるということで、なおしかし、お説のような点については今後も十分善処してまいりたいと思います。
  63. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 看護婦の夜間勤務手当については、これは別途考慮するというような発表があっているようでしたが、その点ひとつ人事院、それでどういうふうになっておりますか。
  64. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) 看護婦の点は、これはまあ看護婦さん方の非常な過酷な勤務状態というものに照らしまして、従来の二五%の上にさらに深夜勤務一回についてさらに百円をプラスしようということで勧告を、その意味勧告を申し上げました。先ほど安井総務長官がお答えになりましたのは、一応、九月までの遡及ということで政府案はできておるけれども看護婦さんのほうは、さらにそれにプラスして八月までさかのぼることにいたしましたというのが、総務長官のおことばでございます。
  65. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 まだ、実はお尋ねしたいんですが、防衛庁長官もお見えになっているんだが、防衛問題もお聞きしたいんですけれども、これはまた、松野大臣にゆっくりとお尋ねいたします。そのときに譲りますから、せっかくおいでいただきましたが、まだありますけれども、これで私の質問は打ち切ります。
  66. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは、三案につきまして、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  67. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより三案を一括、討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  68. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本給与三法案に対して反対の討論をいたしたいと存じます。  大体、公務員からスト権あるいは団交権を剥奪した代償として、公務員の利益を擁護するという、そういう手段として人事院が設けられたわけなんです。その人事院の毎回の勧告の内容を見ましても、なかなかもって、公務員の生活を擁護するのにはほど遠いものであるわけです。このほど遠い、私どもから見てきわめて不満の多いこの人事院勧告をすら、政府は完全実施いたそうとはしていない、本法案にも、そういう前提に立っての法案の内容が盛られておるわけなんです。こういうことで、私どもとしては、断固反対せざるを得ないわけであります。以下二つの点から、本法案の反対の理由を明らかにいたしたいと存じます。  第一の点は丁今回の改定率は、あまりにも低きに失するということであります。昨年四月から本年四月における民間給与動向を見て、これと比較しても明らかであります。民間のそれは、毎月勤労統計——これは、労働省が出しておる。この資料によりましても、約八・七%上昇して、金額においては約三千円の上昇を示しておるわけです。それに対して、人事院勧告によりますと、ようやく五・六%にすぎないわけで、相当の較差があるわけです。なお、人事院がいわゆる積み残し分を加味したことに対しては、これは一つの前進であると私どもも認めておるわけです。しかしながら、その内容においては、人事院は一・六、公務員の場合は三・一というふうにして、この間にも相当の開きがあることを確認せざるを得ないわけです。加うるに消費者物価の高騰あるいは生計費の上昇、こういうことをにらみ合わせ考えた場合、現在のこの法案に盛られておる上昇の率では、とうてい公務員の生活は保障はできない、こういう観点からこれを第一の理由とせざるを得ないわけです。  反対の第二の理由は、実施時期についてであります。人事院は、三十五年以前までは、できるだけ早く、できるだけすみやかに、という表現で勧告をしてきたわけですが、三十五年、ようやくこのことが、われわれの要求がかなって、三十五年以降、実施の時期を五月一日として明確に勧告をするようになったことは、これも一つの大きな前進であったと思うわけです。しかしながら、しさいに見れば、官民較差がすでに四月にかくかくの差があったと人事院自体が調査し確認しておるわけですから、筋を通すならば、四月一日にさかのぼって実施を勧告するのが理の当然と言わなければならないわけです。しかしながら、この問題はしばらくおくとして、この人事院の実施の時期、五月一日にさかのぼって完全に実施する責任が、政府に当然にあるわけです。人事院を、先ほど申し上げたような意味合いから、設けたのは政府自体であるわけです。そういうふうな観点からも、政府は当然、この五月一日完全実施を期さなければならないわけです。そういうことを五回も繰り返してきたので、昨年、衆参内閣委員会においては、これを遺憾として各党共同提案になるいわゆる附帯決議が付されておるわけです。こういう点からも、政府は当然に、人事院が何ゆえに設けられたか、そうして、政府は、この趣旨からいって人事院のいわゆる成立の趣旨を踏まえて考えるならば、人事院勧告どおり完全にこれを実施してしかるべきである。しかるに、今回のこの法案には、三十五年以降、依然として前進が見られない。こういうことできわめて遺憾の意を表さざるを得ないわけです。こういうことでは、消費者物価あるいは生計費の急騰しておる現情勢において、公務員の生活はますます困窮に追い詰められるであろうことを憂慮するわけであります。  そこで、政府に対して五月一日完全実施ということを深く反省を求めて、私の社会党を代表しての反対討論といたします。
  69. 石原幹市郎

    石原幹市郎君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となっておりまする三案に対して賛成の意を表明するものであります。  この給与関係の三法案は、国家公務員給与について、民間給与と均衡を得るための措置を講じようとするもので、諸物価の高騰にあえぐ公務員諸君のため急を要すべきものであります。  しかるに、先国会においてはついに廃案となり、期末手当等の支給日には間に合わなかったのであります。すみやかにこれらの法律案を成立せしめ、年内にも改定分の追加支給ができるよう配慮すべきであると思うのであります。  次に、質疑の中心となっておりまする人事院勧告の実施時期につきましては、実施時期が勧告よりずれていることは、私も非常に遺憾に存じておるところであります。しかしながら、政府においても、会計年度の中途において必要な財源措置を講じなければならないこと、しかも、租税及び印紙収入の不足を補うため、二千六百億円近い公債を発行しなければならないような極度の財源難のもとにおいて、昨年同様の九月実施に踏み切ったことは、政府として最善の努力を払ったものと思うのであります。しかしながら、今後においては、人事院勧告が実施時期についても尊重されるよう、勧告の時期、財政上の措置等について、引き続いて一段の検討をお願いし、その成果に期待したいと思うのであります。  次に、最近の傾向として、優秀な学卒者が民間の大企業を志望して、公務員になるのを敬遠するようになり、公務員の質が低下しつつあるといわれておりますが、これはゆゆしい問題でありまするので、公務員の処遇改善について、人事院において抜本的な検討を加えるとともに、政府においても、さきの臨時行政調査会の答申について緊急に検討し、行政運営の簡素能率化と人員の適正配置について、すみやかに成果を得られるよう、特に強く要望するものであります。  以上、賛成の理由と要望を申し述べて、私の賛成討論を終わります。
  70. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 私は、公明党を代表いたしまして、ただいま議題となっておりまする一般職職員給与並びに他の二法案に対しまして、反対の討論をいたすものであります。  その理由といたしましては、人事院の存在の意義が、いまや失われんとしておる、まことにこれは遺憾なことでございます。なお、実施時期も全然、人事院の要請に沿っていない。私は今回とられました政府の態度に対して、公明党を代表いたしまして断固としてこれに反対をするものであります。政府は、当然この人事院勧告を尊重して、完全実施すべき責任があると思うものであります。しかも、政府は人事院勧告をいまだ一度も完全に実施したことがない、まことに遺憾でございます。  なお、改定の内容にいたしましても、具体的に申し上げることは省略いたしますが、私ども不満でございます。政府自体の経済政策の失敗によりまして、現下の不況はまことにその極に達しております。こうしたときに、生活に逼迫しておるところの公務員諸君の生活の擁護に最善の努力を尽くすということは、これは政府が当然なすべき責任であります。そういうことを怠って、いたずらに口に尊重するということを言っても、われわれは断じて納得ができません。  以上、簡単ではございまするが、申し述べました理由によりまして、わが党といたしましては、この本法案に対しましては、断固反対の討論をいたすものであります。  以上でございます。
  71. 中沢伊登子

    中沢伊登子君 私は、民主社会党を代表いたしまして、ただいま議題となっております給与関係三法案について反対の意を表明するものでございます。  御承知のように、政府が数年前から一貫してとってまいりましたいわゆる高度経済成長政策なるものの破綻は、すでにその極に達しつつある観を呈しておるのであります。年々の物価上昇、インフレの助長等は、一般給与生活者をして極度に逼迫せしめております。しかも、一般公務員はその基本的な労働権さえも不当に制約を受けておりまして、これを擁護すべき立場にある人事院は、今回も例年のごとくまことにおざなりの勧告しか提出していないのでございます。政府は、この程度の勧告でしたら、いわゆる完全実施するのに何のちゅうちょもあるまいと存じておりましたが、今回の政府提出案を見ますと、この人事院勧告をもさらに値切り倒したまことに誠意の足りない内容なのでございます。これでは私どもといたしましても、とうてい賛成することはできません。各法律案の具体的な内容につきましては、他の委員の方々もすでに指摘されましたように、給与の引き上げ額がはなはだ不十分なものでございますし、実施期日につきましても、当然五月までさかのぼらなければならないと考えられますので、ここに反対の意を表明して、私の討論といたします。
  72. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ほかに御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  それではこれより三案につきまして順次採決を行ないます。  まず、一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  73. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  74. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 多数と認めます。よって、本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。  次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  75. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって可決すべきものと決定いたしました。
  76. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 私は、この際、ただいま可決されました一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、附帯決議を付することの動議を提出いたします。
  77. 柴田栄

    委員長柴田栄君) ただいまの伊藤君の動議を認めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  78. 柴田栄

    委員長柴田栄君) それでは御提出を願います。
  79. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 ただいま議題となりました附帯決議案は、自民、社会、公明、民社各党の共同提案にかかるものでありますが、便宜私から申し上げます。まず、附帯決議案を朗読いたします。    一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  公務員給与に関する人事院勧告制度の趣旨にかんがみ、今後これを完全に実施し得るよう政府は予算措置を講ずることに最善を尽すべきである。  右決議する。  給与改定に関する人事院勧告の実施時期については、勧告の基礎となっている官民給与較差が、四月を基準としているところより、この勧告は五月一日より実施すべきであるとしているのに対し、政府は、今回までこの実施時期を一回も尊重してきておらず、特に、昨年の給与改定に際し、衆参両院の内閣委員会において勧告を完全実施すべき旨の附帯決議を行なったにもかかわらず、本年もまたその実現を見なかったことは、はなはだ遺憾と言わざるを得ません。政府は、人事院勧告制度の趣旨を体し、勧告を完全実施し得るよう予算措置を講じ、再び財政的理由をもって人事院勧告の完全実施は無視されることのないよう強く要望するものであります。  以上が、附帯決議を提出する理由であります。
  80. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 別に御発言もないようですから、採決を行ないます。伊藤君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  81. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 全会一致と認めます。よって伊藤君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安井総務長官から発言を求められております。この際これを許します。安井総務長官
  82. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) ただいまの一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を尊重して善処いたしたいと存じております。
  83. 柴田栄

    委員長柴田栄君) なお、本院規則第七十二条により、これらの三案につきまして、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  84. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。     —————————————
  85. 柴田栄

    委員長柴田栄君) この際、委員派遣要求に関する件についておはかりいたします。  自然休会中、国の地方出先機関、公務員制度及び自衛隊の実情等の調査のため、委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  86. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認めます。  なお、派遣委員、派遣地等並びに委員派遣承認要求書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 柴田栄

    委員長柴田栄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十八分散会