運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-05-13 第51回国会 参議院 逓信委員会公聴会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十三日(金曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     久保  等君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 西村 尚治君     委 員                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 横川 正市君                 田代富士男君                 鈴木 市藏君    政府委員        郵政省郵務局長  長田 裕二君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    公述人        武蔵大学教授   藏園  進君        上智大学教授   高宮  晋君        名古屋大学教授  水田  洋君        国際倉庫株式会        社会長      浦島喜久衛君        主婦連合会常任        委員       兵頭美代子君        六合機械製作所        社長       田中 友一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 野上元

    委員長野上元君) ただいまから逓信委員会公聴会を開会いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本日、竹田現照君が委員を辞任され、その補欠として久保等君が選任されました。     —————————————
  3. 野上元

    委員長野上元君) 本日は、郵便法の一部を改正する法律案について、六名の公述人方々から御意見を伺います。  この際、公述人方々に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  本法律案は、国民生活に密接な関係を有する重要法案でございますので、本委員会においても慎重な審査を進めている次第でございますが、本日は、本問題に関心を有しておられる方々並びに学識経験者方々の御出席をわずらわし、それぞれの立場から率直な御意見を賜わりたいと存じます。  公述人方々には、公私ともに御多忙中にもかかわらず、本公聴会に御出席をくださいまして、衷心より厚く感謝申し上げる次第でございます。どうぞ忌憚のない御意見を賜わりたいと存じます。  また、本日は、同時に名古屋におきましても地方公聴会を開いておりますので、委員若干名がそのほうにも出席をいたしておりますので、あらかじめ御了承を願いたいと存じます。  では、公述人方々を、発言の順序に従いまして、御紹介申し上げます。  武藏大学教授藏園進君。  上智大学教授高宮晋君。  名古屋大学教授水田洋君。  国際倉庫株式会社会長浦島喜久衛君。  主婦連合会常任委員兵頭美代子君。  六合機械製作所社長田中友一君。  次に、議事の進め方等について一言申し上げます。  時間の関係もございますので、お一人大体二十分以内で御意見をお述べ願い、公述人方々意見開陳全部が終了いたしました後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じますので、この点御了承願います。  なお、御発言の際は、委員長の許可を得て御発言くださるように、特にお願いをいたしておきます。  それでは、まず藏園公述人お願いをいたします。
  4. 藏園進

    公述人藏園進君) それでは私、御意見申し上げさせていただきます。  私は、この法案につきまして賛成いたしかねるという意見でまず述べさせていただきます。  まず、その理由を幾つかあげますが、まず第一は、現在の物価政策観点から、必ずしも正しい方向ではないのではないかということであります。なるほど、郵便料金がわれわれ家計費の中に占める割合というのは、ごくわずかのものではございますけれども、一般的な公共料金値上げ、私鉄、国鉄、あるいは電信電話というようなさまざまな公共料金値上げがこう積み重なりますと、それがかなり大きなウエートを占めるであろうというふうに想像いたすわけであります。そういう点からいたしまして、現在の低物価政策というものを、物価抑制という観点からいたしますならば、むしろ、そういうことをやらなくてもいいのではないかというように考える次第であります。  それから第二点は、今回の答申値上げの状態が、料金体系でありますけれども、その料金体系が、非常に、はがきだとか手紙だとか、そういったものに特に偏し過ぎやしないか。まあ郵政省でおつくりになっておられます資料を見ましても、第三種郵便赤字というのが一番大きなようにうかがうわけであります。そういうこともございまして、この法案の前提になっておりました審議会答申原案でも、第三種郵便につきまして、かなり思い切った措置がなされておったように見えるわけであります。しかるに、政府の今回出されましております原案に従いますと、そのような答申原案よりも、さらに第三種郵便を優待して扱う、特別扱いをするというような処置をやっているわけであります。もちろん、答申の場合に、これは少しまあむずかしいことになるかとも思いますけれども、限界費用というような考え方をとりまして、そして説明の中では、限界費用に近いような額で政策料金として、まあその程度値上げもやむを得ないであろうというようなことを言っているわけでありますが、しかし、その限界費用なるものが、これが十分にはっきりとしているものではないということを政府原案というのは示しているのではないかと思うわけであります。つまり、費用というものを、限界費用の場合に特に重要であるわけでありましょうが、人件費というものが大部分を占めているということは、これはもう当然のことでありますけれども、そういう人件費がはたして限界費用というような考え方の中で盛り込めるかどうかという点につきましては、私、多少疑問を持っているわけであります。いろんな多くの品物を取り扱い、そして、その取り扱うことによって郵政全体が成り立っていく、そういう点で、料金体系の中で、特に手紙につきましては、第一種につきましては、黒字だというような報告すら見られるわけでありますが、そういうものを思い切って上げて、そして、こういう第三種について特別な優遇措置をとるということは、これは明らかに政策料金であるというふうに考えざるを得ない。で、そのような政策というものは決して正しい政策であるかどうか。もしそれが正しい政策であるとするならば、やはり限界費用なり、あるいは原価計算に基づいた費用というのを政府は認めるべきであるし、しかも、その原価を割ったサービスを提供する場合、あるいは提供せざるを得ないということを国会が認めるとするならば、国会はそれだけの責任を、予算上の責任を負うべきであろうというふうに思うわけであります。  それから第三点は、これは受託業務についての問題であります。これはまあ四十年度の予算——四十一年度の予算を私手元に持っておりませんので残念でございますけれども、四十年度の予算で見ますと、歳入の内容を見ますと、業務収入——郵便や、そういうものによって占められる業務収入というものが千二百億ばかりでございまして、そうして受託業務収入、これは他の会計から繰り入れられるというわけですが、年金だとか、それから貯金だとか、そういったものがこの中に入ると思いますが、それが千三百五十億というような数字を示しているわけであります。つまり、業務収入と、それから受託業務収入というものとの比率の中で、受託業務収入がかなり大きなウエートを占めている。で、この受託業務収入というものがそもそもどういうような基準に基づいてこのようなことがなされているのであろうかという点について、私は非常に疑問を持っているわけであります。郵便局の窓口で年金を扱い、貯金も扱い、その他郵便も扱うというようなことをやっているわけでございますが、そういうものについて、どれだけをどの事業に配分するか、そういう受託業務については、どれだけの経費を配分するのかというような点について、はっきりした根拠というものがなければならないであろうと思うわけでありますが、そういうものを示されずに、このような料金値上げということは、いささか、ふに落ちないと思うわけであります。たとえば郵便貯金特別会計というのを見てみますと、同じく四十年度で、歳入が千六百億である、歳出は千四百六十億だ、そうすると、そこに黒字が二百億も出ているというようなことが特別会計予算で示されているわけであります。そういうようなことをやりながら、郵便料金値上げということをやるのには、いささか、ふに落ちない点があるわけであります。  それから第四点は、これは特定局の問題でございます。で、私が聞いた範囲内では、特定局が一万五千ぐらいあるということであります。現在はそうでもないと思いますけれども、局長というのが世襲制度になっておりまして、そして自分のところの女中さんまで局員にしてしまうというような、そういう変な、非常に非近代的なやり方をやっているということ。もう、現在そういうことがあるとは私思いませんけれども、かつてそういうことが言われておった。したがって、家族をやるということもあるでしょう。それから、その特定郵便局の近所の人のうわさなどというのを聞いてみますと、局長さんというのはほとんど何もしていない、そういうようなことを言っている。しかも、待遇のほうは、これは特例法というようなものに従いまして、一般の人よりもむしろいいような待遇をしている。それだけではなくして、局舎につきましては、借り上げ料だとか、それから補修費というようなものを払って、しかも、十分に払っているようであります。そういうような経営やり方他方では、これを請負業者に、郵便業務の一部を請負業者にやらせる、そうすると、平均賃金がかなり、少しは安いというようなこともあるでありましょう。しかし、片方では、平均賃金が非常に、かなり高いような制度をとっておりながら、他方賃金が安いような制度をとったところで、これは近代化というようなことばで呼べる筋合いのものではないだろうと思うわけであります。  要するに、結論を申し上げますならば、非常に、今度の値上げによりまして近代化するということを言っているわけであります。たとえば航空機によって輸送を行なう、サービス近代化ということを言っているようでありますが、そういう飛行機でサービスをし、近代化をしていくこともけっこうなことだと思いますが、しかし、経営やり方全体が非常に非近代的な、言うならば、合理性の乏しいような経営やり方をやっているのではないか。それで、独立採算ということがよく言われております。また、この郵便事業の場合でも、独立採算ということが顔を出してくるようでありますけれども、しかしながら、その独立採算の基礎というものがそれほどはっきりとしていないような、そういうような会計仕組みではなかろうか。で、そういう会計仕組みの中で原価計算をどのようにやっているかというようなことにつきましても、これはかなり疑わしい点がたくさんあるだろうと想像するわけでありますが、そういう採算ということだけでやっている事業ではもともとなかったわけでありまするし、それであるからこそ、現代までこういうように国家的な事業としてやってきたことだと思うわけであります。これは郵便事業がつくり出された当初の、前島密さんが言っていることから、皆さんはすでに御承知のとおりだと思うわけでありますが、国家的な事業としてこれを独占事業としてやってきた。それはやはり公共サービスということをやるという一つ中心的な精神があった。そのような精神で、郵便事業というものを、そういう郵便事業がそもそも発足したその当時の精神に立ち返って郵便事業を育てていただきたい。で、そういうようなことから、独立採算制というものも、非常に国鉄などとは違いました独立採算やり方、あるいは、それは独立採算とは言えないようなやり方が、現在郵便事業についてはとられているわけでありますが、そういうことも全部そのような公共サービスということを中心としてやってきた思想あらわれであろうと思うわけであります。したがって、そのような思想を、このように物価が非常に上がっているような、そういう段階では、やはりそのような思想を生かしていただきたい。これが私の述べておきたいことであります。  終わります。
  5. 野上元

    委員長野上元君) どうもありがとうございました。     —————————————
  6. 野上元

    委員長野上元君) それでは次に、高宮公述人お願いいたします。
  7. 高宮晋

    公述人高宮晋君) 料金値上げ問題は、関係するところが非常に多方面にわたりまして、複雑な問題であろうと思うのであります。したがいまして、いろいろの角度からこれを論ずることができますけれども、しかし、われわれがいまここで根本的な問題として考える立場に立ちますならば、できるだけ客観的に、かつ大局的な観点から問題を判断する必要があろうと思います。私はそういう立場に立ちまして考えた場合に、今回の郵政省の提案された程度値上げ案であるならばやむを得ないというように考えるものであります。以下その理由を御説明申し上げたいと存じます。  今回の値上げを必要とする理由を拝見いたしますと、人件費上昇他方におきまして、郵便需要鈍化傾向、それからまた、最近における設備近代化にいろいろと経費がかかってくる、こういう点をあげられているのであります。収入が、需要上昇鈍化したために減ってくるとか、あるいはまた、人件費その他の経費の増大によって支出がふえてくる、こういう問題を経営の内部で解決できますならば、これは最も理想的な結果になるわけでありまして、その生じました赤字が、料金値上げという形で一般国民の大衆に負担がかからないという、その経営合理化によりまして、これを波及をとめる、こういうことをまずわれわれは考える必要があると思うのであります。  私は経営学をやっておりますけれども、テーラー科学的管理法という経営学の最初の出発点は、アメリカにおける鉄道運賃値上げ問題に端を発しまして、合理化によってこの値上げ問題というのは解決できないかというところから、テーラー科学的管理法というのが広く国民関心の的になったことがございます。  私は、郵政省におきまして、できるだけ経営合理化に努力を重ねて、この赤字を解消することを一そう深くお願いする次第でございますけれども、実は、先ほどあげましたような、今回の値上げ問題を必要とする原因を深く見ますというと、それは根本的に申しますならば、日本産業構造高度化に対応して生じてまいった問題でありまして、最近はよく構造的政策とか構造的改革ということが問題になりますけれども、いま郵政省郵便事業というのは、大きくこの構造的改革の問題に迫られている、すべてそういった問題がこの料金問題というところに集約化されてきているということを感ぜざるを得ないのであります。  すなわち、人件費上昇、あるいは労力不足、これは日本産業構造高度化したあらわれであります。また、需要鈍化、これはやはり日本経済社会が進歩してまいりまして、たとえば電話が非常に進歩してくる、そうなってくると、そういう点から郵便に対する需要というものに変化が生じてくる、経済社会の進歩した結果によって生じてくるいろいろなやはりはね返りというものを受けているという問題があると思います。  あるいはまた、経営合理化と申しましたけれども、郵便事業が人力を中心とする、いわゆる広い意味サービス業であるというところから来る、サービス業が、産業構造高度化によって生じてくるところの構造的な問題というものをやはり持っているわけでありまして、こういう問題に対しましては、やはりできるだけ設備近代化要素を入れてはいきますけれども、そこになおサービス業としての性格から来る問題がある。これはひとり郵便事業に限らず、一般サービス業の今日持っている問題であります。したがって、そういうことを考えますならば、問題の解決は、一時的な、糊塗的な手段によって、この問題を一時的に、あるいは妥協的に解決するということは、これははなはだまずいことではないかと思うのであります。  たとえば一般会計から一部を捻出いたしまして、あるいはまた、他の郵便貯金、あるいは簡易保険特別会計剰余金からこれを融通して一時糊塗するというようなことによっては根本的に解決できない問題でありまして、したがって、やはりこの点におきましては、今後の郵便事業がこうした非常に困難な問題を、しかしながら、それは産業構造の再度化に対応しまして前向きに解決する問題でありますが、これを経営の力、あるいはまた、そこに働いておる従業員の力によって解決できる体制というものをますます確立していくということが、やはりこの料金問題との関係におきまして、われわれが根本的に考えなければならない問題である、こう思うのであります。  これは一口に申しますならば、郵便事業経営力をふるい得るような、そうして責任を持ってこの難関を突破し得るような体制というものを確立することが根本的に必要である。したがいまして、そういう意味における独立採算制というものが、ますますこの際、問題を解決しながら、同時に、その方向というものは、経営責任制の確立という意味における独立採算制というものを確立する必要があると思うのでありまして、したがって、この料金の問題の解決方向ということを、そういう角度から見ていくことが根本的に重要である、こう思うのであります。したがいまして、そういう点から申しますならば、やはり特別会計という制度は、これはそういうその経営自主性というものを、経営責任制というものを確立し、これによって今後の郵便事業構造的改革を可能ならしめる方向において問題を解決するという意味におきまして、私はこの赤字負担特別会計独立採算方向において解決するということが必要であると、こういうふうに存じます。  したがいまして、私はやはりことに郵便事業というものが一つの経済的な事業でございますから、その面のコスト負担というものは、その利用者負担をし、そうしてまた、経済事業として、しかしながら、それは国営でありますから、また、郵便事業の性質からいたしまして、種々の公共的な政策を実行していかなければならないわけでありますが、それは一つ経済事業の中においてその公共政策を実施するという行き方が重要であろうと思うのであります。  したがいまして、その総括原価利用者負担をし、しかしながら、その個別の原価の面におきましては、そこに公共政策が遂行されるこの郵便事業は、非常に固定的な要素が多い業種であります。そして、固定費割合の非常に多い業種では、個別の原価計算というものは、その共通費を、固定費をどう個別の種別商品に割り掛けるかという非常に困難な問題があるのでありまして、それが多く、その場合におきまして政策的な措置が講ぜられるわけであります。一般の私企業について言えば、それはやはり最大の利潤を獲得するという観点から、固定費を個別の商品原価に配付をするわけであります、実際問題としまして。そして額をきめる。ところが、国営企業でありますから、そしてまた、郵便事業に課せられておりまする公共的な性格からいたしまして、この固定費を個別の種別原価に割り当てる場合に、そこに公共的な政策というものが加味されてくる。したがって、それはたとえば三種の問題あるいは四種の問題、そういうものがそういう観点から考えられてくる必要があると思うのであります。  三種の問題につきましては、いろいろ議論があるようでありますけれども、この三種の問題、三種という種別が設けられた趣旨を調べてみますと、それは定期刊行物等々の文化政策上必要な観点からでありまして、しかも、それが広く頒布されているものについて、文化政策的な政策的料金を考えるということでありまして、しかも、それは、その料金負担というものはやはり利用者負担するわけでありますから、その送るほうの事業体負担するのでなくて、利用者のほうがやはり負担するということでありまして、文化政策上の観点から、やはり私は必要な措置であろうと思います。  ただ、その場合に、それがその法律趣旨とするところの文化政策的に必要なものということを厳格に認定していく必要があると思うのであります。限界原価ということばが例の審議会答申に出ておりますけれども、どうも限界原価ということばは実は不正確でありまして、むしろ、直接原価、つまり間接固定費に当たらない、直接それにかかった費用の分だけはやはり利用者負担してもらおうというのが審議会の案であったと思いますが、やはりこの場合には公共性と、その負担能力と、こういう点をかみ合わせまして考える必要があると思うのでありまして、四種になりますと、もっと社会政策的な観点が入りまして、無料にするというような必要も出てくるわけでありましょうが、三種におきましては、やはり直接原価に相当するものは消費者負担してもらうということは、私はやはり筋が通ると思うのであります。したがいまして、今後の問題としまして、やはり今後の料金の問題を検討いたします場合に、そういう問題につきまして一そうの御検討をお願いいたしたい、こう存じます。  それから、なお、そういうことで利用者負担ということになりますならば、今度は、その利用者生活の面に及ぼす影響、あるいは物価政策に及ぼす影響というものを同時に考えていかなければならないわけでありますが、生活の面におきましては、生計費の〇・一四%に当たっておるにすぎないという問題。さらに、今日の郵便利用者個人が約二割であり、法人が約八割であるという関係になっておるのでありまして、したがって、個人生活に及ぼす影響というものは、この程度のものであればたいしたことはないように思うのであります。  それから物価に及ぼす影響につきましては、これは直接的には生産物コストの中にどのくらいの割合を占めておるかということから出てくる問題だと思いますが、これも調べてみますならば、たとえば新聞におきましても、わずかにコストの〇・二%程度でありまして、やはり〇・以下、〇・の一、二%、あるいはもっと〇・〇何%というようなことでありまして、物価に及ぼす影響というものもさしてないのではないか。ただ、心理的影響という問題がございますけれども、これはその意味におきましては、やはりできるだけその物価に及ぼす効果を、波及効果を防止するという意味におきましては、これはできるだけやはり料金値上げを押える、あるいは料金値上げをする場合におきましても、それが物価値上げに先べんをつけるということでなくて、やむを得ずやる、こういう一つ体制の中でこの問題を解決する必要があるわけでありますが、そういう点におきましては、今回の措置はやはりそういう方向に進んでいると思うのでありまして、物価に及ぼす影響というものが、特にこの郵便料金値上げによって生じてくるということは言えないと思うのであります。  さらに、この料金値上げと関連いたしまして、郵政省におきましては、サービス改善ということを約束されているわけでありますから、このサービス改善につきましても、この約束をひとつ実行していただきまして、多少の料金負担はふえたけれども、しかし、われわれはより一そうの郵便に関するサービスを受けるという形で、われわれ自身の生活が、同時に仕事が進歩していく、こういうふうな形になることを期待してやまない次第であります。  これで終わります。
  8. 野上元

    委員長野上元君) たいへんありがとうございました。     —————————————
  9. 野上元

    委員長野上元君) それでは次に、水田公述人お願いいたします。
  10. 水田洋

    公述人水田洋君) 私がこれから申し上げますことは、前に藏園公述人がお話しになりましたことと若干重複すると思いますので、その点御了承願いたいと思います。と申しますのは、反対意見においては全く同じであるからであります。  私はまず第一に、郵便事業が公益事業であるという点をあらためて強調しなければならないと思います。あらためて強調しなければならないということがたいへん不幸な事態であると思うのでありますが、公共事業といいますのは、必ずしも、先ほどのお話の中に出ておりますように、第三種に該当するような大きないわゆる文化的な、そういう郵便物だけではないのでありまして、民主主義社会では、民主主義社会の一番基礎になりますのは個人個人との交流、コミュニケーションということであります。それが何よりも郵便制度というものによって保障されているということ、これは民主主義社会の基礎でありまして、その民主主義社会の基礎を危うくするようなことが、この民主主義の殿堂においてこういう形で議論されなければならないということは、私は一つの不幸であると思うのであります。しかも、佐藤内閣は公共料金値上げの抑制ということをたびたび公言されながら、それを続々と破ってこられたのであります。この後もそういうことが起こらないという保証はどこにもないと思うのであります。その公共事業については、自由主義の経済学のそもそもの始まりから、つまり、アダム・スミスの時代からこれは営利事業にまかせてはいけないということがむしろ自明のこととなっておりました。現在、日本の経済が高度化して、そのために、こういう郵便料金値上げが起こってくるというような事実もございましたけれども、日本産業の高度化というのは、決して国民生活の実質的な向上を意味しないのでありまして、その上に、この郵便事業に、今度の郵便料金値上げにおいては、依然として大資本に有利な体系が組まれているということは、ますますもって遺憾とせざるを得ないのでございます。  その大資本にとって有利な料金体系というのはどういうところにあらわれておるかと申しますと、第一は第三種であります。これは文化政策上必要だということが表向きの看板になっておるようでありますけれども、必ずしも文化政策上必要なものばかりがそれに入っているわけではありませんし、それからまた、少なくともこれは営業として成り立っているものについてであります。それに対して第一種の個人の通信というのは、これは全くそういう営業の採算外のものでありまして、それでありますから、民主主義社会の基礎であると申し上げたわけであります。ですから、もしこの中で、第三種の中で特別に考慮するとすれば、そういう営業として成り立っている企業体のものではなくて、政治団体の、つまり、一定の政治目的を遂行するために各人が自発的に参加しておる団体のそういう政党の機関紙、そういうものについては例外を設けてもよいかと思うのでありますけれども、それ以外の営業として成り立っておるものについて、赤字をそのままにしておいて、多少改善されるということではありますけれども、それを全国民負担において処理するということは納得がいかないことであります。  それから今度の改正の原則になっておりますいわゆる総括原価主義ということでありますけれども、この総括原価主義には、実は二つの点で矛盾がありまして、一つは、総括原価と言いながら、黒字になる部分は適当に切り離しておるということであります。それは前にもお話がありましたように、たとえば郵便貯金の問題あるいはまた、もとの逓信事業の中から切り離されたいろいろな事業、そういうものを黒字のものは切り離しておいて、赤字のものだけで総括原価ということが、まず第一に理論的に矛盾しておると思いますし、それから、この総括原価そのものが、この中で言いますと、さっきお話ししましたように、第三種赤字であるにもかかわらず、ほとんど値上げの率がきわめて低いというような状態になっております。ですから、郵政事業独立採算制ということ、あるいは総括原価主義ということを徹底するならば、そういう根本にさかのぼって考える必要がありますし、そうでなければ、個別的に料金決定を考えていただきたいと思うわけであります。  それから、その中で、先ほどちょっと申し忘れましたけれども、特に大資本に有利だというのはダイレクトメールがございます。ダイレクトメールは今度は第一種に入りまして、一見、値上げの対象になって問題は解決されたようでありますけれども、実はここには割引制度がちゃんと規定されておりまして、三千部出せば——いま三千部以上出せるような個人的な通信者というのはまずないのでありまして、これは明らかにダイレクトメール優遇策の継続であると考えざるを得ないのであります。そうして、それがもうすでに一般に認められておりますように、郵便配達の停滞の最大の原因であるというわけですから、これは依然としてガンとして残るのであります。  それからその次に、私は研究者として一言申し上げておきたいことがございます。それは学術雑誌の取り扱い、最後に、学術雑誌はこの前よりも多少よくなっておるというようなことになっておりますけれども、しかしながら、これは学術雑誌のあり方、あるいは学界のあり方というものを全く無視したやり方でありまして、学術雑誌というのは、発行人だけが郵送するものではなくて、執筆した者、それが相互に意見を交換するために、つまり、学問の世界での、さっき申し上げましたコミュニケーションを遂行するために、相互に送り合うといったようなものも全部含まれておるわけであります。むしろ、そのほうが緊密な討論によって学術の進歩に貢献するという面が多いわけでありますし、抜き刷りの発送というものもそういうものに含まれておりますし、それから、その前に学術論文の郵送というようなもの、これも、今度の制度によりますと、全部小包か、あるいは第一種に入ってしまうわけであります。そういう形で若干の改正という外見を呈しながら、実際には、学術研究は新しい郵便料金体系によって極度に圧迫されるということにならざるを得ない。これは世界で一番待遇の悪い境遇に満足して——満足はしておりませんけれども、研究にいそしんでおりますわれわれとしては、今度の郵便料金に対する最大の不満であります。文化国家の日本という看板を掲げながら、一体この点をどうお考えになるか、私は根本的に疑問を持ちます。  そういうようないろいろな点から、結論は言うまでもなく、値上げ反対なんでありますけれども、値上げしたあとの近代化ということ、これについても依然として疑問を持たざるを得ないわけです。たとえば速達の配達を早くするために航空機を使うというようなことがうたわれておりますけれども、実際に現在郵便物がおくれておりますのは、私はしばしば調べておりますけれども、局にたまっているのでありまして、汽車がおくれているわけではないのであります。航空機というような、むしろ、むだなものを使うために料金値上げするなら、これはきっぱりやめていただきたいと思うわけであります。いままでの郵便のおくれのたびに、ひどいところでは、郵便物は局と局にたまっていて、そうして、その局での増員ということが一向に行なわれていない。そういうことが問題なんでありまして、近代化というのは、機械化がある程度できる、そのための研究ということももちろん必要であるとは思いますけれども、それだけで問題は解決されない。むしろ、特にサービス業においては、優秀な、そうしてまた熟練した人員をそろえること、そっちのほうが先なんではないかと思うのでありますが、どうもその点がむしろ逆になっているように感じる。そういう意味で、近代化ということばそのもの、それから近代化意味するところに疑問を持つということをつけ足して、私の公述を終わりたいと思います。
  11. 野上元

    委員長野上元君) ありがとうございました。     —————————————
  12. 野上元

    委員長野上元君) 次に、浦島公述人お願いいたします。
  13. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) ただいま御指名いただきました浦島でございます。  私の意見を申し上げます前に、私の立場をちょっと御弁解申し上げたいと思います。  私は以前郵政省におりまして、郵便の仕事に携わっておりましたが、もうすでにやめまして十数年たっております。したがいまして、私の郵便に対する知識は非常に古くて役に立たないと思いますが、幸いにしまして、郵政審議会委員の末席を汚しておりまして、一昨年郵政大臣から郵便近代化ということに対する御諮問があり、また、昨年、郵便事業の財政の改善策につきまして大臣から御諮問がありましたので、私、委員の末席におりまして、勉強する機会を得たのですが、そういう観点から、私個人としての意見を申し述べさしていただきたいと思います。もちろん、審議会を代表するとか、あるいは、いま私がやっております会社の、いわゆる業界を代表する、そういう意味でなくして、最近私が勉強いたしましたその結果による私の意見を述べさせていただきたいと思います。  結論を申しますと、私は、目下審議中の郵便料金値上げに関する郵便法の改正については賛成でございます。  その理由としまして、二、三申し上げたいと思いますが、まず第一は、郵便事業の財政の観点から申し上げますと、これは省側の資料、または御説明によりますと、昭和二十六年に一種、二種、その他大きな改正が行なわれまして、三十六年に一部の改正が行なわれたのでありますが、ほとんど十五年間料金は改正されておりません。しかるに、昨年までは大体現行料金で収支がまかなえておった。ところが、四十年度の予算におきまして、すでに当初予算において五十数億の赤字を計上しておるような状態でございますが、これが二十六年の料金値上げ以後、郵便の伸びが大体七%から一〇%の伸びになっておるのでありまするが、最近は非常にこの伸びが少なくなっている。したがいまして、現行の料金による事業の必要な運営に要する経費がまかなえないという状態になっておるわけであります。しからば、今後四十一年度以降どういう見通しになるかということでございますが、これも資料で拝見してみますると、四十一年から三年までの三カ年において約千百億、四十一年から四十五年度までの五ヵ年において約二千億円程度赤字になるという見込みであります。これはやはりこの郵便事業は公益性があり、また、国営事業でありましてもやはり事業である以上は、独立採算——特別会計のたてまえから独立採算を堅持していくということは、これは当然のことであると私は考えます。したがいまして、今後予想されるこれこれの赤字をどうして解決していくかということが重要な問題であるわけでありますが、これについては、やはりまず第一義的には、郵便を利用される、サービスの提供を受ける利用者がまずこれを負担していくということが、これが経済の原則——私は学者でありませんが、経済の原則から言って当然なことであると思います。もちろん、経営者においては経費の節約その他事業合理化をはかられることは必要でありますが、しかし、かくのごとく一千億円ないしは二千億円の赤字を単に経営合理化、節約等ではなかなかまかない得ないと思うのであります。したがいまして、私は、郵便事業事業会計の現状及び今後の見通しからいたしまして、やはり第一義的には、これは利用者負担していただく。したがって、それをまかなうだけの料金値上げはやむを得ないのではないか、かように感じておる次第でございます。  第二の点は、これは最も私は重要な点であると思うのでありますが、ただ単に財政の基礎を確立するばかりでは、これは事業の発展というものはあり得ないと思います。やはり事業の時勢に応じた近代化をはかられ、また、サービス改善をしていかれるということが最も大切なわけでありまして、この点につきましても、一昨年郵政大臣が郵政審議会に諮問せられまして、郵政審議会から、るるその近代化の方策が答申せられておるわけでありまするが、私、見ますところ、この現在の郵便事業は、約九十年前に前島密翁が創業された郵便事業のたてまえと少しも変わってない、一歩も前進してない。要するに、郵便がポストに入れられて、それを区分して送達して配達する。それには、すべてが人力によって行なわれているのが原則であります。しかし、近代の経済界においては、いわゆる作業の機械化というものが非常に進歩をいたしてきておるわけでありますので、この郵便事業の作業においても、やはり機械を有効に使って作業を機械化していく、そして、できるだけ人員の節約をはかっていく、そして経費の高騰を押える、こういうことが必要であるわけでありますので、そういう意味におきまして、この作業の機械化を進めていかれる。これにはどういうことかというと、一番郵便の作業で問題になるのは、郵便の区分であります。要するに、あて先ごとに区分を正確にするということでありますが、これが今日ほとんど人力で行なわれている、これを機械化すれば、郵便事業の大半がもっと近代化される、事業の正確、迅速が期せられると思うのであります。この点につきましては、すでに郵政省におかれましても、着々と区分機械の機械化の研究をされ、これらがだんだんと実用化に向かわんとしているわけであります。この作業の機械化ということであります。  もう一つは、郵便の送達の迅速をはかるということであります。これはもちろん、現在、直接郵政省の手で行なわれておりませんが、あらゆる輸送機関を使って郵便の送達を行なっておるわけでありますが、この輸送機関で最もスピードアップするものは、航空機であるわけであります。あらゆる輸送機関において最も早いものは、航空機であります。これは現在特別な料金を払って、いわゆる速達だけを輸送しておられるのでありますが、しかし郵便の本来の性質からいたしますと、その時点においてできるだけ早い、最も迅速な輸送機関を使うということが、本来の私は事業のたてまえであると思います。したがいまして、今回これは郵政、審議会でも答申せられたのでありますが、郵政省当局におかれましても、いわゆる特別料金を取らずに、第一種、二種、いわゆる高等通信を、少なくとも現在の航空機の飛んでおる可能な範囲において、この航空機を利用していこうという考えであります。これは非常に私は最も近代化した行き方であると思うのであります。  それからもう一つは、一番問題でありますのは、郵便が一体どうしたらいつ着くのだろうか、あるいは遅配欠配等が多くて、結局国民の信頼を得ていない状態であるわけであります。でありますから、やはり郵便というものは差し出し人の期待に沿うように、いわゆる送達所要日数というものを確実に、しかも定期的にやるということが、最も必要であるわけであります。この点につきましては、すでに省側におきましても、要するに東京、大阪から全国主要都市にわたって翌日配達を確実にやるという一つの目標を立てられまして、そういう方法を実施していこう、こういうふうに考えておられるのであります。  もう一つは、現在の郵便種類の種別体系でございますが、これは郵便事業創業以来、一部改正せられた点はあるのでございますが、やはり創業以来の大体の原則を守っておる。要するに公衆から差し出されたものを受け取って、その内容いかんによって種類をきめて、これを送達していく、こういうたてまえになっておるわけでありますが、今回は種類体系を根本的に改正せられて、いわゆる外形によって種別をまず原則的にきめていく。ことに高等通信である一種、二種につきましては、定形と不定形を区別し、しかもその定形については規格をきめていく、そういう体系になります。これは要するに作業の能率を最も進歩改善するたてまえであるわけでありまして、したがって、これは私は創業以来の郵便種別の大改革であると、私は信じておる次第でございます。こういう観点から、この郵便近代化を推進する、こういう意味におきまして、非常に私は今回の郵便法の改正は、意義あるものと思うのであります。ただ単に事業の財政が赤字であるから、それをただ埋めるということでなくして、もっと積極的に事業改善サービス改善、また郵便事業の根本的な改善をはかって、時勢におくれないように進んでいこう、こういうところに私はねらいがあると思うのでありますので、この今回の改正には賛成する次第であります。ただ懸念せられますのは、先ほども御意見がございましたが、いわゆる公共料金であり、これが値上げすると物価影響し、また国民生活に大きな影響を及ぼすのではないか、こういう点でございますが、この点につきましては、統計等から拝見しますと、家計費に占めるところの郵便のパーセンテージは〇・一四であります。年額にいたしまして一世帯当たり六十四円であり、わずかな金であると私は思うのであります。しかるに一方においては、ただいま申し上げましたように、郵便事業近代化をはかり、そうして郵便事業の財政の基礎を確立して、そうして近代化をはかっていく大きな一歩前進の体制でございますので、私はこれが確立せられますると、より以上に郵便というものが正確に、しかも迅速に早く着くことになれば、わずか年間六十円の負担というものは消えてなくなるものと信ずる次第であります。こういう点からいたしましても、たいした問題ではないわけでございまするので、私はそういう理由からいたしまして本案には賛成する次第であります。
  14. 野上元

    委員長野上元君) ありがとうございました。     —————————————
  15. 野上元

    委員長野上元君) それでは、次に兵頭公述人お願いいたします。
  16. 兵頭美代子

    公述人兵頭美代子君) いま御紹介にあずかりました主婦連の兵頭でございます。  本日は、郵便料の改定に伴う値上げについて反対の意見を述べさしていただきます。  政府物価の安定策をはかるために物価懇談会をお開きになったり、また衆参両院におかれましても、物価問題特別委員会をおつくりになりましたり、私どもはこのことについて、たいへんに頼もしく思っておりました。  ところが、ここ数ヵ月の間に米価が上がり、国鉄が上がり、また学校の授業料が上がるというような、たいへん追い討ち的な値上げ、特にそれが公共料金なんでございますね。それがつい私たち家庭の主婦は、家計を引き締めるのにますます困難を感じまして、どのようにしてこの物価の暴騰を乗り越えていったらいいか、たいへんに困っております。物価安定を第一としていらっしゃる政府が、その政府から、これ以上に値上げ要素をおつくりになるということが、たいへん私たちには、政府のお考えになっておることと違うのじゃないかと思いますので、その要素をぜひおつくりにならないようにしていただきたいと思っております。  いままでにお話がございましたように、郵便料の値上げが家計に占める割合は〇・一四%であるというお話でございますが、郵便料金のパーセンテージは、たいへんにこれは少ないわけなんでございますが、国鉄が何%、米価が何%、また郵便料が何%と、一つ一つの数字は小さいのですが、この値上げが諸物価に響いてくる値上げのムードと申しましょうか、そういうものがたいへんこわいわけなんです。わずかな数字で言いあらわされている値上げ率が、ほかのものを誘発いたしまして、いろいろなものが上がってくる、そうすると私ども家計には、それが二〇%にも三〇%にもなってくるわけです。そういうようなことが物価政策にも、いま佐藤内閣では、物価安定を第一として公約をなさっておる。そしてこの辺で公共料金をお下げになることはあたりまえであって、上がるということは、たいへんうなずけないことであると思います。ぜひこのムードを押えていただきたいと思います。  第二には、封書、はがきでございますが、一枚のはがき、一枚の手紙が、たいへんこのごろの社会には殺伐といたしております人の心のなごみと申しますか、交流をはかる一つのたいへん大事な道具ではないかと思います。その郵便特に封書、はがきというものが五〇%、四〇%と黒字でありながら、値上げをされるということは、ただいまの社会から申しますと、出かせぎ人あるいは都会に集団就職だとか都会への勉学だとか、故郷と都会との結びつきは、この一本につながっておると思います。大きく考えますときに、青少年の不良化とか、社会悪がいろいろ問題になっておりますが、それはまた一枚のはがき、母の心の通い合いによって、そういうようなものがあるいは解決されるのじゃないかと思います。そういうことを考えますときに、郵便料の値上げというものは、ただ赤字を埋めるということだけでなくて、やはりそのあとにある大きな社会問題につながるのじゃないかと思うのです。電話、電報で話せばいいじゃないかとおっしゃるかもしれませんが、やはり電話とか電報というものは、私たち庶民生活から考えますと割高になって、ほんとうに心の通い合うものではないと思います。そういうような社会情勢が農村から都会へ、地方から都会へというふうな現在でございますと、郵便料の伸びというものは、当然たいへんなものだと思います一特に文化が進むにつれて郵便料が伸びていくことはあたりまえであって、ここ数年間に大体一年間に五億通程度の伸びを示していらっしゃると伺います。それがこのたびの改正案につきましては、大体二億という半分に満たない伸び率を計算して赤字解消を考えていらっしゃる。そういうところにも、やはり何かもっと適正な合理的な改正案をお出しになるべきじゃないかと思う次第であります。  また第三点には、はがきの大きさもたいへん大きくなるように伺いましたが、これは国際規格で大きくなるのではないかと思います。大きくなることは、けっこうなんでございますが、私たちははがきが大きくなることを要望したわけじゃなくて、大きくなることが値上げ理由になっては、たいへんだと思います。ただいままでのはがきであっても、十分に用が足せるわけでございます。  第四点に、遅配、誤配についてでございますが、私どもは毎日手紙を出すときに、これはほんとうにいつごろに着くかしらと、あるいはほんとうに確実に着くかしらと危惧いたしますのでございますが、ほんとうは遅配、誤配は本来あってはならないことではないかと思います。これからなくすということは、ほんとうにとんでもない考え違いじゃないかと思います。現在までにそういうものが解決されていなければならない。国家事業であるのに、これから遅配、誤配をなくすということは納得できないと思います。先日来、小包の値上げは二七%閣議決定できまりましたが、私どもが知らないうちにこのようにいろいろな値上げがされているわけでございます。そういうことも考えますと、やはり一つ一つの値上がりはわずかであっても、たいへんに重なり合って、私ども家計簿に押し寄せてくる波というものは、大きな波になってくることを考えていただきたいと思います。  第四種通信教育とか盲人の点字あるいは農村に送る種子や何かのそういうものは、都会中心の文化でございますのを、当然地方に文化を伝えるために必要なものでございますから、それを上げていいということは考えられません。やはりそれは公共性のあるもの、文教的な政策であるならば、やはりこれは赤字であるならば、一般会計なり何なりで埋め合わせるのが本筋じゃないかと思います。  三種の問題でございますが、私ども婦人団体といたしますと、財源がたいへん貧弱な中に機関紙を出しております。それは決して営利的でないわけです。非営利的な団体通信に対しては、たいへんに大きな負担になるわけでございます。その辺をよく分類して値上げをお考え願いたいと思います。  たいへん近代化し、合理化するというようなお話でございますが、近代化合理化ということは、結局私ども通念から考えますとコストダウンでなければならない。決して値上げ要素になるものではないと思います。そして、私ども毎日配達されてまいります郵便物でございますが、それがこんなに厚くぽんとほうっていかれるのでございます。その中でほんとうに必要で通信されてくるものは二、三通にすぎなくて、あとはきらびやかなきれいに光って印刷されているダイレクトメールのようなものから、ほんとうに用もなさないようなものまでが、たいへん私ども家庭に配達されるわけです。そういうようなものが結局は郵便事業の複雑、労働過重になられたり、いろいろ郵便事業を阻害なさる一つの根拠ではないかと思います。ただそういうようなことから、どのぐらいにそういうようなものが伸びているのか私どもははっきりした数字はわからないのでございますが、そのしわ寄せが一般に利用する私たち、一種、二種を利用する私たちがそれをかぶらなければならないということは、たいへん納得いかないことでございます。  さきにもいろいろ先生方が反対について申し上げていらっしゃいましたことは、全部私ども賛成でございますが、以上申し上げたとおりの理由で反対をいたします。
  17. 野上元

    委員長野上元君) どうもありがとうございました。     —————————————
  18. 野上元

    委員長野上元君) それでは最後に田中公述人お願いいたします。
  19. 田中友一

    公述人田中友一君) 御指名がありました田中友一でございます。このたびの郵便料金改定問題につきまして、賛否両論先生方から詳細なお話がございましたので、私はきわめて簡単に申し上げて、結論を述べたいと思います。  私はこの値上げ案に賛成するものであります。諸先生方もすでに御承知のとおり、わが国の産業、経済の高度成長に伴いまして、そのひずみの是正あるいはまた開発、安定経済のために、総合的な立場から種々施策を講ぜられているのでありまするが、おそらく現時点におきまして、郵政事業は他の事業に比べましてまことに非近代化と申しますか、一番おくれているように考えます。年々の赤字を累積いたしまして非近代的な郵政事業を、一日も早く改善して、郵政事業の本質である国民の信頼性と、公正にしてしかも迅速な送達を推進するためには、率直に申し上げましてこの際郵便料金値上げすることが、何よりも一番適当であり、最良の方法であると私は考えます。  私がこのように料金値上げに賛成いたします理由は、要約いたしまして二つございます。その第一は、郵政事業近代化を促進し、事業会計赤字を解消することであります。第二は、郵政事業関係者の人間関係を確立する、そしてお役に立てることであります。  第一の郵政事業近代化を促進し、事業会計赤字解消をはかるという点につきましては、先生方もすでに審議会答申あるいは今日までこの料金値上げ問題を審議する過程において各位の御意見を聞かれまして、十分御承知のことと存じますが、私はこの値上げは、現下の最大の急務であると思うものであります。  申すまでもなく郵政事業は、国鉄や専売公社のその設備と非常に異なりまして、その事業のほとんどが人力に依存するということでありますが、いずれにもしろ現在の価格から見まして、また住民へのサービスという点から考えますれば、この際最大の自動化、機械化、オートメーション化をして能率を向上させ、サービス行政に徹すべきであると思うのであります。私は先年二回にわたりまして、オランダ、西ドイツ、フランス等の郵便関係施設を見学いたしまして、わが国におきます郵便事業のこうした施設のあまりにも立ちおくれていることを非常に痛感いたしました。郵便協力会の役員として郵政事業に強い関心を持ち、微力ながら協力いたしているものであります。まず庁舎改築をはじめといたしまして、はがき、切手等の自動販売、また区分作業の機械化、郵便物の画一性から求めますあて名の機械による読み取り、そして省自体は自力によって逓送の強化をする、即日配達する等々、郵政事業改善すべき点は山積いたしているのであります。これらの改善に関する事項は、今回の郵便料金値上げによって逐次改善していく必要があると思うのであります。  また、郵政事業は国の独占であり、公益性を重んじて郵政事業会計一般財源からも繰り入れるべきであるという御意見をよく承っておりますが、私は特別会計というものは、原則として税源に依存すべきではなく、あくまでも自己資金で採算をとるべきであると、かように存じます。郵政事業に限らず、いずれの事業におきましても、特別会計による独立採算を採用した当時を振り返ってみますと、特別会計一般会計から独立して、一般会計からの資金の繰り入れば行なわないという方針であったように思うのであります。いま公共性ということを強く表面化されまして、経済を重視しないことは、むしろ一億国民を不平等にさせるゆえんではなかろうかと思うのであります。公共性ということはよくわかります。料金値上げもせずに、もしこの郵便事業に対して一般財源から繰り入れたとしますならば、各省庁の方々も、同性質の事業について大蔵省に対してその要求をして、公平に負担している国民の税金が不公平に使われ、やがては増税を招く結果となりはしないかというようにも考えます。最近、地方の公営企業の累積いたしまする赤字の解消につきまして、一般財源から公営企業財源へ繰り入れるべきではないかどうかというような議論を盛んにされておりまするが、革新市政であるといわれる横浜市でさえも、過般、交通料金値上げをしなければどうにもならないということで値上げをしたようであります。  郵便料金値上げは、現時点におきましてやむを得ない処置であると存じます。郵便事業の五円が七円になり、また十円が十五円になったといたしましても、一般家庭において毎日出すわけではなく、それほど家計に影響があるとも思いません。ただ、私は残念に思いますことは、この際文化施策の意義を有するから値上げの幅を少しくするという第三種については、もう少し値上げの幅を広くしてもよかったのではないかというように考えます。  次に第二の点であります郵政事業関係者の人間関係の確立という点でございます。郵政事業会計赤字だと申して、給与をそのままにしておくことは許されません。中労委の裁定によりまして議会で承認されますならば、ベースアップされるわけでございますから、料金値上げを通じて職員に夢と希望を持たせ、国民へのサービスも、また能率の向上も、すべて職場において人間関係を確立し、従業員のおのおのが一丸となって初めて達成されるものではないかと存じます。でき得る限り待遇改善して、職場における人間関係をますます強化することによりまして、能率と奉仕の精神を倍加し、郵政事業の目的を十二分に達成することができるものと、確信いたすものでございます。  以上の点から、私は、この郵便料金値上げを賛成いたすものでございます。どうか諸先生方におかれましても、ぜひともこの改正案を議決され、真に国民のための郵政事業をされますよう希望いたしまして、終わります。
  20. 野上元

    委員長野上元君) どうもありがとうございました。     —————————————
  21. 野上元

    委員長野上元君) 以上で公述人各位の御意見は、全部開陳されたのでございますから、これから公述人に対する質疑に入りたいと存じます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  22. 横川正市

    ○横川正市君 どうも、きょうは御苦労さまでした。まず浦島さんにお尋ねをしたいのですが、現役時代に、郵便業務を担当されておって、その当時の郵便事業というのは、言ってみますと、電信電話会計からの繰り入れ等でまかなわなければ、事実上は、会計上の赤字を来たしておった時代というものがあったと思うのです。それから、独立採算制への転換の動機となりました一番大きな原因というのは、これは一般会計からの予算規模というよりか、問題は、会計の中での黒字を、もう少し事業会計の中に潤沢に使いたいという意向が、当時はあったと思うのです。それから、その当時であっても、臨時軍事費等へ相当の金を搬出しておったというのが、企業の実態であった。こういうふうに私どもは過去の事業の実態というものを認識をいたしております。  そこで、その事業が、最近の論調なんかを見ますと、郵便事業というのはもう収拾のつかないほどに、実際上のサービスの面とか、施設の面とか、それから対人関係とかというものは、いわばおくれ、混乱をし、それから単に料金改定等では解決のつかないような大きな問題が持たれている、こういう点が、累次指摘をされているわけです。こういうような問題点を実はかかえて、私どもは郵便法の改正を論議をいたしているわけなんですが、いま述べられたようないわゆる賛成意見で、当面混乱をしている郵便事業の立ち直りが、決して私は、過去をやったからいまはわからないということではなしに、答申その他の中で、いろいろ言われている点も、十分私近代的に活用できる意見を、浦島さんが吐かれているのを承知をいたしておりますから、そういう面で、これは、いわばこの方法で一体可能なのかどうか。可能だとお考えになっているかどうか。それをひとつお聞きしたいと思います。  それから第二の問題は、私は一体、先ほど水田先生、それから藏園先生も触れられておったのでありますけれども、郵便事業というものの公共性というものを、ただ理論的に利用者負担方式でこれは将来ともに解決していけるのかどうかという問題なんです。利用者負担方式に固定しておったために、今日、対人関係も、施設関係も、サービスも、全く体をなさない状態に落ちたのではないのか。そうすると、この改善の方法というものは、他にあるのではないか。言ってみますと、現行を、われわれはみな、しかたなしに是認をいたしているわけであります。たとえば電電公社は、これは公営企業として公社に切りかえられ、国際電電は、これまた株式会社に切りかえられ、それから貯金会計、保険会計特別会計でこれをまかなわれ、言ってみますと、逓信省の一般会計に依存しておったときの、いわば人件費とか被服費だとか、あるいは施設費だとかというものが他会計に相当依存しておった当時とは全く違った状態に置かれて、裸になってこれから経営をしていくというたてまえに立つわけなんですが、見通しとして一体、裸になった郵便会計が、公共性というものを背負い込んで、そして十分なサービスというものを遂行していくのにこのままでいいと、見込みがあるとお考えになっているかどうか。これはまあ根本的な問題なので、この点のひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
  23. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 御質問は、要するに今後郵便事業近代化を進めていくについて、それが可能かどうかという御質問のようでございますが、私は少なくとも郵政審議会答申されましたあの線は、可能なものと私は信じております。少なくともそれをやらなければ、あの近代化をおはかりにならなければ郵便事業はいつまでも……、そういう意味におきまして可能であると考えております。
  24. 横川正市

    ○横川正市君 具体的なことをちょっと私申し上げて、当時の郵便業務に実際上担当されておったこととあわせて考えていただきたいと思うんですが、実は東京あたりのビルを担当している郵便配達さんは、こういう現実にぶつかっておられます。それは非常な近代化がされ清掃化されて、そして美化されているところにいま郵便配達さんが入っていきますと、まずもってエレベーターに乗せてくれない。どこに乗るかというと、荷物のエレベーターに乗せてくれる。物が非常に多いものですから、その物を配送するのには、行のうで持って行かなければならない。各会社ごとに行のうを一つずつ置いていきまして、あとから回収にいきますと行のうがない。そこで行のうはどこにやったのかと見ると、ごみ箱の中に投げてある。言ってみますと、郵便事業の今日の様相というのは、一体昔の状態とどう変わっているかという点について、この外勤の人たちの日常の悩みというものは、切実なものがあるのです、実際問題として。それから、これは第三者の人がよく町で言うわけですけれども、服装だとか、それから日常使っている物品だとか、いろいろなものがありますけれども、これらについても、現代のいわゆる進歩、発達する様相とは全く置いてけぼりを食ったような状態だということが言われるわけですね。そこで、私はこの料金の問題とは別個に、こういうふうにおくれてきた郵便事業の実態というものは何が一体原因になっておるのか。たとえば近代化の方針としては、航空機を使うとか、あるいは区分機はどうするとか把束はどうするとか、それから局舎の中での自動的な小包の運送がどうだとか言われておりますけれども、実は水田先生がちょっと指摘をされておりましたように、局から個人までの間が全く未改善のままにおくれておっては、本質的ないわゆるサービスという面の改善にはなりがたいのではないか。これをどうするかという点を一つ起点として考えてみても、あの答申というのは、いささか現実の一番問題点ということを置き忘れているのではないか。しかも予算の中で八〇%以上が人件費だ、人件費だと言っている、その人間との関係が一体どうなるのか。人間が郵便の仕事をするのに、どういう立場にあるのか、どういう待遇を受けているのか、そういういろいろなものが全然変わらずに今日置かれているという、そういう状態を私どもは一つ問題として考えているわけですが、これを例として考えてみて、一体いまのようなやり方でいいのかどうか。先ほど田中さんは、一般会計から受けることは、独立採算制のたてまえでとるべき手段ではないというふうに言われておりますが、当然私はそうだと思うのです。それなら、一体郵便の社会性とか公共性とか、そういったものをどういうふうに企業の中でとらまえて考えていくのか。当然赤字を覚悟でやらなければならない仕事もある。それは公共制だ社会性だというふうに言われておって、片面では一般の社会から取り残されていくというような事業の運営があるという点は、これは一体どういうふうに考えたらいいのか、これも全部料金に吸わせてしまって一体いいのか。それほど私は郵便料金というのは天井知らずに上げるわけにはいかぬ問題だと思うのです。そんな点から、これからやらなければならない郵便事業の実は合理化とか近代化とかいうものとあわせてみて、一体現行でこれがやれるか——現行の予算制度ですか、そういったものでやれるかどうかという点を、私は非常に疑問を持っておるわけです。ですから、もしこれをやるとするならば、簡単に言うならば、たとえば社会性とか公共性が非常に強く要請されて、その面で原価を割る分について、一体これはどういうふうな補てん方式があるのかとか、あるいはそれはたとえば保険会計とか貯金会計とかとの、いわゆる施設改善の場合に、局舎とか何かの使う坪数によって金を出しておりますけれども、これらについてある程度の弾力性を持たせる、その方面の改善をはかる資金を余裕金から出すとか、何か会計上の差し繰りというものがなければならぬのじゃないか。まあ貯金、保険会計にも運用問題でもってずいぶん大きな問題がありますけれども、郵便関係にして考えますと、私はそういうようなことが何らかの形で改善されなければ、郵便会計独自で、これから多くの要請を受けた会計の運営というものは困難になるのではなかろうかと思っておるわけなんで、その点を、新旧織りまぜて御意見をお伺いしたいと思います。
  25. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 御質問の第一点は、配達面の近代化というものが可能かどうかというような御質問のように私に聞こえましたが、これは審議会でもいろいろ議論されましたが、郵便事業全体をながめてみますと、引き受けから区分から送達、これは大体機械化が可能だと思います。引き受けにおいては自動販売機を据える。自動販売機をどんどんつくって設置すれば、これは人手を使わないで済む。それから区分も、先ほど申し上げましたような区分機を使う。それから送達は、できるだけ近代化の輸送機関を使うということになりますが、一番問題は末端の配達面の近代化です。これはどうしても郵便事業の性質上、人手でやらなければできない問題だと思うのですが、幾ら機械でも、ずっと各戸持ち回って配るということは、これはなかなか不可能なことだと思いますので、配達面の近代化は、機械化することは、なかなかむずかしいと思います。ただ、途中までたくさんの量を自転車とかまたオートバイで運ぶということはできますが、各戸にそれを運ぶということは、郵便事業の本質からいたしまして人手でやるよりほかにないと、こういうふうに考えるのでありますが、ただ問題は、最近のいわゆる、これは国会で成立になりました法律ですが、新住居表示制というものがあります。これは実施されつつあるのでありますが、これについてもいろいろ議論があるようでございますが、これが非常に完全に実施されれば、相当私は配達面における労務の負担が軽減されるのじゃないか、こういうふうに考えておる次第であります。  それから、いわゆる政策料金と申しますか、公益的な意味から見て、料金を安くしている面の負担を、郵便事業に対して、どういうふうにしてこれをまかなっていくかという問題でございますが、これはいろいろ議論があるところでございますが、郵政審議会でもいろいろ議論をされまして、結局はやはり社会的、文化的な政策によって料金を特に安くするものは、やはりこれは一般会計負担すべきでないかというような御意見もあったようでございますが、審議会としては、結果的には総合原価で、とにかく総合で、全体としてペイするような料金ならよかろうというところで、そういう答申が行なわれたわけでありまして、これはいろいろ議論もあると思います。アメリカ合衆国におきましては、そういう政策的なものは一般会計が補給しているようでございます。
  26. 横川正市

    ○横川正市君 私は田中さんの意見の中に人間関係の問題がありましたが、実は、私はこの郵便事業が人で動いているのですから、人の関係というものは非常に重視をして、各現場なんかを回っていろいろ意見を聞いたりしますと、たとえば東京なんかではこういう現場の状況というものがあるわけなんです。それは青年なんかの郵便の外勤の人たちは、どこかはけ口を求めるというので、勢い、たとえば勉強するとかあるいは娯楽を求めるとか、あるいは組合運動をやるとかというような一つ方向というものをとっているわけなんですが、その中で中間の人たちは、これは極端な例じゃないかと思うのですが、たとえば組合運動なんかに一生懸命やるような青年がいると、その組合運動に関心を持つのを別な方向に向けていこう、どういうほうに向けるかというと、中間の人たちが少しばかり金を用意して競輪に誘っていくというのですね。そうして競輪を覚えさせて、組合運動をやるというそういろ熱意を、いわば別な趣味に持ち込んでいってしまうというようなことで、対人間関係というものを、これは金ではかれないいろいろなものを持っているわけですね。こういう大都会の中で作業している青年の欲望というものについてどう満たしてやるかということについては、金とか何とかいうだけのものではないわけですが、そういうようなことが対人関係で、実は見場の段階で行なわれているというので、非常に私はこれは残念に思っているわけなんです。しかも監督者が何もやれないから、実際上は仕事に熱心にやってくれなんて言ったってなかなかそうはいかず、そうかといって手当を出してやるわけにはいかない、どこへ持っていくかというと、マージャンを教えたり競輪を教えたりする、こういう不都合なことが実際上の現場の中にあるのです。私はこれはどうすれば対人関係について、あなたが非常に重要な項目としてあげられたわけですが、そういうことが行なわれているという職場に対して、どうすればいいと対人関係ではお考えでしょうか。先ほど私浦島さんにビルの配達の人たちが行のうはごみ箱に投げられている、エレベーターには乗せてくれない、人間的には最低の悲哀を感じて配達をしているというようなそういう面も含めて、一体人間関係はどうすればいいのだとお考えになっておりますか、ちょっとその点お伺いいたしたいと思います。
  27. 田中友一

    公述人田中友一君) 非常にむずかしい問題です。これは官庁であろうとまた個人の企業の中にありましても、この人間関係ぐらいむずかしいものはありません。で、おそらくこの郵便行政の中でも、あるいは一番いまむずかしい問題ではないかと思うので、私は単に機械だけをオートメーション化してそれでいいというのではなく、二つの柱の一つは人間だ、こういうふうに強く私は考えているものであります。例年行なわれまする郵政事業の中の優良な人たちの表彰を見ますと、なかなか一年に一つも事故のないという局は少ないのでありまして、ほとんどがささいなことでも何か事故がありまして、省からの表彰を受けることができないようでございます。その中に、私はいま話しますことは、要するに人間関係につながる話でございますが、鉄道郵便局、現在局長は米沢局長がやっておりますが、この鉄道郵便局は毎年表彰を受けておるのであります。そして千数百人の局員が一つの家屋の中にいるのではなく、全国に散らばって動く汽車に全部配分して、日夜活動しているんです。それなのにこの事故がない。どこに原因があるであろうかということで、私は先般局長と懇談いたしました。まあ幾ぶん金もたくさんとっております。大体十三年、平均三十三歳くらいで五万七千円くらい、ある程度やはり金を出さなくちゃだめだということも結論でしょう。もう一つ、金だけで済まない問題、人間関係、それはどういうようにしていくかというと、やはり人間はうわべだけでなく、とけ込んで、どうしたい、手をたたき、手を持ち、肩をたたき、そしてその一人々々に憂いのあるときは、やはり知恵を授けてやり、喜びはともに喜んでやるという深みのある仕事をしなくちゃならない、これはなかなか口で言うと簡単ですけれども実際できない問題ですそれをしないと、人間関係というのは上達しません。私はここで名をあげますとちょっとぐあいが悪いのですが、私の関係しております局は、非常にマル共が多かったのです。徹底的な彼らは活動しておりました。私はその後これらの人たちと全部話し合いをしまして、現在委員長をしております宝樹さんとも懇談しております。そしてまず第一に、日曜配達休止をやるときも、私はまず先べんをつけてやろう、こう言っております。実際にトップバッターとしてやりました。そういった一つ一つの何ものかが、従業員とほんとうに心の中で取り組んでいくという仕事をしないと、ただテレビ買ってやった、手ぬぐいやった、幾らか給料を増してやったくらいのことでは、なかなか事業と人間というものはくっついていかないと思います。口で申しますと非常に簡単ですけれども、人間関係ということは一つのその職場々々のやはり指導者の私は力だと思うのであります。先日も宝樹さんと会って、いまでも昔と同じように郵便配達というように言うけれども、どうです、あれはひとっことばを変えてやったらよくないか、呼び名がよくない。一番東京都で困っているのが清掃局ですか、お嫁さんをもらうときに、どこにおつとめですか——清掃局です——ああごみ屋さんですかと、嫁さんが来なくなる。それと同じではないけれども、どこですか——郵便配達ですというのではよくない。そういうことばのごろから、やはり人間的にもう少しこの郵政事業を立て直すためには、私は職場のそういう人たちともう少し話し合って、大いにそういう人たちの私は力をかり意見をまじえてやらないと、幾らアメリカだってドイツだって、庭先まで飛行機で持っていくのではない、どこの国でも自転車で、あるいは歩いて持っていく、別に日本だけが労力を出しているわけではない。私は世界全国見ましたけれども、どこでも同じです。やはり飛行機で運んでも、汽車で運んでも、最後は人間の手でやるのですから、最後の人間の労力に対して十分なる私は手当てをして、そしてこの人間関係を徐々につくり上げる、非常にむずかしい問題です。これが達成されるならば、どんな貧乏会社でも必ずもうかるようになる。金より人間だというので、私は二つの柱の中に、この人間関係ということを申し上げておいたのです。はなはだ意を尽くさなくて御理解願えなかったかと存じまするが、かように自分は考えております。
  28. 田代富士男

    田代富士男君 いまいろいろの御意見を伺いまして、最初に高宮先生にお尋ねしたいと思いますが、いま高宮先生のお話では、郵政事業全般に対するいろいろな角度からお話をされまして、この問題になっております赤字解決策に対しまして、高宮先生はいろいろ言われている。一般会計より一部捻出したらどうかという意見に対しては、そういうことをやっても一時的な解決にすぎない、それよりも根本的な解決をやらねばならない。そこで考えなくちゃならない問題は、郵政事業というものは経済的事業である。そういうたてまえでいくならば、利用者負担をしていかなくちゃならないし、これが経済の原則からいっても当然じゃないか。そういう意味のいまお話を承ったわけなんですが、そこで、この郵便料金公共的な政策からしても、サービス業、そういう観点から考えても、いろいろ検討していかなくちゃならない。そういう面から考えると、郵便の第一種、第二種、第三種に対しても、種別原価に割り当てる場合に、それを考えると同時に、公共政策も打ち出していかなくちゃならない。そのようにこまかくお話をされた場合に、今回結論として郵政省が出されております第一種、第二種、第三種とずっと数字が示されておりますが、特にその内容を検討してみますと、第一種は御存じのように現在は黒字であります。ところが、問題となっておりますのは、第三種じゃないかと思うわけなんです。そうした場合に、そういう負担をしなくちゃならないというような場合には、やはりある程度はそのように平等でなくちゃならないんじゃなかろうか。また現在、部数にもよるわけなんですが、そうした場合に、公平にそれを勘案していかなくちゃならない場合に、第一種の黒字値上げされて、第三種料金に至っては審議会答申案よりも低い料金値上げになっている。このような不合理なことがあってよいであろうか。もちろん、受ける料金からくる被害というものは、大衆はこうむっていくわけなんです。こういうようなところにちょっと先先のお話と矛盾した面を感づく次第なわけなんです。この点についてもっと詳しくお話を承りたいと思うわけなんです。  それから浦島さんに対してお聞きしたいわけなんですが、浦島さんは、幸いにも審議会のメンバーのお一人であるということも承っております。それで、いまお話がありますとおりに、郵政事業の将来の見通しに対しまして、昭和四十一年から四十五年にかけて一千億か二千億の赤字が出る予定であるけれども、それも、いま高宮先生と同じように、利用者負担すべきである、そのような結論をお述べになっていらっしゃるわけなんですが、そのときに、審議会のメンバーのお一人としてお聞きしたいことは、いま申しましたとおり、第三種答申は五円になっているわけなんです。それに対して三円という一応の数字が出されているわけなんです。これに対しまして、きょう浦島さんからその食い違いにつきましてどういうお考えを持っていらっしゃるものであるやら、その点についてお聞きしたいと思います。  それと第二番目は、今回の料金値上げになりますと、作業の近代化がはかられる。そうしますと、いろいろ人員の問題、あるいは経費の問題等も合理化されていく、こういう意味のお話をされたわけなんです。ところが、人員の合理化経費合理化というものも考えていかなくちゃならない問題でありますが、郵政事業というものは、どのように近代化されましても、やはり人的作業というものは離れるわけにはいかないわけなんです。そういう面におきまして、まあ私たちは、現在のものに対してより以上に合理化していくのならばけっこうじゃないかと思いますが、この点についてひとつ人員の合理化というような面についてどのようなお考えであるか、その点をお聞きしたいと思うわけなんです。  それで、いろいろいまお二人の先生方のお話を聞いておりますと、今回の郵便料金につきまして、当然考えなくちゃならない問題点があると思うわけなんです。その点について水田先生にお聞きしたいわけなんですが、今回の郵便料金値上げ等につきましては二八・八%である。このように新聞でもラジオでもテレビ等でもそのように報道されておるわけなんです。しかし、実際私が手紙を出す場合、あるいは封書を出す場合には、今回からは四割ないし五割も値上げになっているわけなんです。もちろん全体を通じての二八・八%であるということはわかりますけれども、今度はこれプラス速達あるいは書留となりますならば、これまたこれよりも値上げ率が高くなってくるわけなんです。しかし、そのように考えていきますと、全般的には二八・八%、二八・八%と言われますけれども、こういう指数自身のあり方と申しますか、物価指数自身に対する問題点もあると思いますが、指数自身の問題点があるのじゃなかろうかと思うわけなんですが、その点水田先生のお考えをお聞かせ願いたいと思うわけなんです。それと同時に、いま高宮先生、浦島先生にもお聞きいたしましたが、第三種の問題でありますが、第三種郵便料金の問題点につきましていまお話をいたしましたが、第一種もともともに——いまもちろん根本的には値上げ反対でありますが、三十六年の一部値上げ料金が検討されたときにも第一種、第二種は据え置きになっているわけなんです。そうしますと、今回の五十六億の赤字の根本原因は、人件費もありますけれども、根本原因は第三種じゃないかと思うのです。だから三種の三十九年度の原価は九円四十三銭、収入が二円二銭、これは新聞の場合ですが、四十一年は原価が、直接原価が十円四十八銭、それから収入が三円というくらいの、こういうようなべらぼうに赤字の原因ができるようなこのような価格であるならば、第三種を検討すべきである。そして第一種であるとか第二種であるとか、そういう問題点につきましては据え置きをすべきである、そういうような考え方につきまして、もっと詳しい御意見を伺いたいと思いますが、以上の三人の先生にお願いしたいと思います。
  29. 野上元

    委員長野上元君) それでは、最初に高宮公述人お願いいたします。
  30. 高宮晋

    公述人高宮晋君) 根本問題といたしまして、ただいま御説明がございました問題は、郵便事業経済事業であるという点と、しかし経済事業であるけれども一般の私企業と違った公共性を持った経済事業である、こういうふうに考えます。したがいまして、いろいろの経営を行ないます場合のあるいは政府がこの問題を考えます場合のポイントは、やはり経済事業的な経営の原則を入れながら、同時に、それが公共的な性格を果たしていけるような二つのものをさらにひとつ統一するような経営の動き方というものが必要になってくるということが、根本原則だと思うのです。それで料金の問題につきましても、そういう角度から御意見を申し上げた次第でございますが、具体的な問題といたしまして、御質問がございました三種の問題でございますが、実はこの種別原価の算定というものがはなはだむずかしいわけでございまして、一般の私企業についても、いわゆる結合生産物という一つの原料なり一つの労力からいろいろな製品が出る場合に、その製品についての原価を算定するということは、非常にむずかしいわけですね。そこにどうしても政策的な要素が入ってまいります。それは一般の私企業から言いますならば、私企業の目的である利潤を獲得するという観点から、政策的に原価を、固定費を配分いたしまして価格をきめるわけでありますが、そこが郵便事業の場合は、そこに公共性というものが働きまして、その固定費の配分の場合に、公共的な政策料金というものを考えるということが必要になってまいるわけでありまして、そこで、この三種、四種というものは、そういう公共的な観点からこういう種別を設けてやることが適当であるということになりますと、その公共性と、それから利用者負担能力、こういう点のかみ合わせによりまして、より公共的であるか、あるいはまた負担能力というものはより少ないか、社会政策的な要素の入る部分と、それから経済的な原則を生かしながら、しかも、できるだけその公共的な観点も貫くというふうな分野とがあるわけであります。したがって、三種は、私は直接費、つまりその三種に直接要したところの費用と、それから固定費は別に三種に限ったことではない。一種、二種あるいは四種、そういうものに随時使われるところの設備あるいは労力、しかし、特に三種のために必要になってくるところの費用としての直接   それはやはり利用者負担すべきではないか、こういうことが原則的に言えると思うのであります。その場合に、五円か三円かという問題になるわけでありますが、おそらくこういう料金原価計算のこういう考え方がありましても、実際にはじき出すということになりますと、いまの現状からいきましてかなり議論の余地が出てくると思いますので、具体的にはいろいろの条件をかみ合わして一つの妥協——多くの場合に日本の政治は妥協というところで問題が解決せざるを得ない面がたくさんあるわけでありまして、いろいろな角度から考えましてこの辺だ、それは、その場合に、あるいは料金値上げ率が急に多くなるといったような問題とか、いろいろあると思いますが、そういうところでおそらく五円が三円になったのだろうと思いますけれども、私は、やはりこの問題をもう少し根本的に考えまして、将来あるいは近い将来、この問題をもっと筋の通った形で解決する、すなわち、直接費というものをカバーする、負担するというところの文化政策的な公共的な観点からの料金の決定、こういう筋で、今後この問題をもっと突っ込んで考えていただきたいということを申し上げた次第であります。それでよろしゅうございますか。
  31. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 私に対する御質問は二点あると思います。まず第一点は、ただいまのお話の第三種の低料を、郵政審議会では五円という答申をしたのでありますが、なぜ三円になったかというような御質問のように承ったのであります。なるほど郵政審議会では、三種の低料扱いは五円という答申を出しております。これはいろいろ議論があったのでございますが、一応郵政省側の説明の原価計算をいたしますと、三種の低料は原価八円程度になっておるようでありますが、一挙にすべての原価をカバーできるようなうまい薬はないかというような考えもありまして、いわゆる三種だけの直接原価は、大体五円程度だったと思いますが、直接原価程度はひとつ料金を取ったらどうかという審議会意見で五円という答申が行なわれたと私は考えております。五円が三円になりましたのは、これはまあ審議会としては関知しないところでございまして、政府側がまたさらに大局的な観点から御判断なさったと、かように存じております。  それからもう一点は、郵便事業近代化をはかる上において、人員の合理化をどうはかるかというようなお話でございますが、これも近代化を進める、特に機械化をいたしますると、それだけ人手が要らぬわけであります。したがいまして、その面の人員は捨てたくなるわけでありますが、これはまあお役所のほうからも御説明があったと思いますが、審議会に御説明ありました省側のなには、大体機械化のために人員が節減できるのは、五年間で四千人程度と、しかし一面におきましては、年々郵便物数はふえてくるわけでありますが、やはり郵便事業増進において、五年間で一万九千、約二万人程度の増員を必要とする、こういうような御説明でございましたので、現実に人を減らすということはあり得ないというふうに考えられた次第でございます。いずれにしても、やはり作業を合理化すれば、それだけ人手が要らぬわけであります。人員の節減にはなりますが、一方において、事業増進によって増員が必要である、こういう観点であると思います。
  32. 水田洋

    公述人水田洋君) 私に対する御質問は二つあったと思います。第一は、二八・八%という数字をどう考えるか、大体統計数字というのは、この二八・八%がどういう算出方法で出されたのか、私は存じませんけれども、機械的な平均だとしますと、質の違うものを機械的に平均するということ自体が、統計の数字魔術の第一の方法であります。つまり、負担者がそれぞれ違う、たとえば、いま御質問の中にもありましたように、平均が二八・八%であるけれども、特に大衆が負担と感ずるところは、それより非常に大きな値上げになってくるというようなこと、それにもかかわらず、機械的に平均してしまえばこうなる、これは国鉄運賞の値上げなんかの場合も同様だと思います。それで、そういう質的な差を加味してウエートをつけるわけでありますけれでも、このウエートのつけ方にまたさまざまな手品がありまして、したがって、われわれ経済学者は、統計数字というのは一つの指標にはなるけれども、それだけに全面的に依存するのはきわめて危険であるというのが、これは一般的なむしろ常識であります。たとえば国民経済の成長がどれだけであるといわれていながら、大衆の生活は窮乏化していくというような事実がよくそれを物語っていると思うのであります。それが第一点。  それから第二点の第三種について恐れ入りますが、ちょっともう一度質問を……。
  33. 田代富士男

    田代富士男君 まあ第三種の問題ですけれども、この問題につきましては、いまお話しいたしましたとおりに、答申案は五円と、そういう料金が打ち出されておるわけなんです。で、第一種の場合は今回十円が十五円になった、このように料金値上げされておるわけなんですが、一種の場合は黒字なんです。それで第三種の場合の赤字というものが、今回の当初赤字予算の五十六億のうちの、もちろん人件費もありますけれども、その赤字の根本原因になっているわけなんです。だから値上げは反対でありますが、もしあえていうならば、このような赤字の多い第三種についてもっと検討をして、黒字であるべき第一種の料金というものに対しては考慮すべきじゃなかろうかと、公共料金であるということのたてまえからいきましても、利用者というものは第一種が主体であります。ところが、いまのお話もありますが、第一種のほうも、利用者個人の場合には二割である、法人が八割であると、このように一応の統計の上からの数字は出ているわけなんですけれども、実際大衆に与える影響というものは、二割といわれましても、実際の数字を私はつかんだわけじゃありませんが、一応統計の上から論ずるわけなんですが、大衆を基盤にしたところの公共料金であるし、今日の政治でなくちゃならないと思うわけなんです。だから、このような料金において、一種の場合は検討すべきである、三種ももっと検討すべきじゃなかろうかと、そういう点につきましてのお考え、それにつきまして、このように公共料金の一貫した値上げがなされておりますが、その場合に、郵便料金というものは各個人に当たりまして一年間に六十四円であるから、そのような影響というものは少ないために値上げしてもいいのじゃなかろうかという意見がありますが、こういう意見こそ私は最も危険なんじゃないかと思うのです。だから、値上げ料金が低いということは、郵便料金自身が低いわけなんです。この郵便料金が高かったならば、家計費に与える影響も大きいと思いますが、金額が少ないから与える影響が少ないという、そのもの自身の姿勢の問題と思いますね。こういう面におきまして考えなくちゃならない点もあるんじゃなかろうかと思いますし、また、このあと先生にもお尋ねしたいと思いましたが、続けて御質問したいと思いますが、こういうところに第三種値上げの幅が少ない、第一種が値上げ幅が大きいということは、根本原因は、総括原価主義であるというところに根本原因があるんじゃなかろうかと思うわけなんです。だから、総括原価主義であります。種別ごとの料金体系というものが確立されておりません。そこで、おいそれとこのような料金計算を検討されるときに、やはり大企業からの圧力がないと言われましても、そういう関係からのいろいろな意見もあるならば、どうしても優遇しなくちゃならないようないろいろな政策あらわれてきております。そういう面では、いま水田先生の申されましたダイレクトメールなんかも一つのよき例じゃないかと思うわけなんです。そういう点について、ちょっと詳しくお尋ねしたいと思ったわけなんです。
  34. 水田洋

    公述人水田洋君) 第三種の問題については、先ほど申し上げましたとおり、第三種とダイレクトメールの料金の今度の改正案は、前回と同じように、大資本の優遇政策であると思います。そしてそれが、その原則となっております総合原価主義というものが、やはり一般大衆の負担を無視した、結局において大資本優遇にならざるを得ないような、そういう原則になっていると思います。その理由については、先ほども申し上げましたので、ここでは繰り返しませんけれども、いまの御説のとおりだと思います。
  35. 西村尚治

    ○西村尚治君 きょうはどうもいろいろ貴重な御意見を拝聴さしていただきまして、ありがとうございました。いろいろお尋ねしたいことはございまするけれども、時間の関係もありまするので、一つだけ藏園先生にお尋ねいたしたいと思うのであります。  先生のお話を要約いたしますると、郵便事業という国営事業には、独立採算制を貫くのは無理ではないかというような御趣旨に承ったのでありますけれども、実はこの郵便事業というものは、ずっと以前は一般会計の中に、御承知と思いますが、あったわけでございます。ところが、一般会計の中でどんぶり勘定でやっておりまするというと、事業を運営するに必要な必要経費というものが、どうしてもなかなか思うように確保できない。大蔵省等の折衝で非常に困難をきわめまして、十分なものの経費がとれない。従業員全体として見まするというと、働いても働いても張り合いがないというようなことで、勤労意欲がわかない。どうしても事業として自前でいくたてまえをとりたいというのが、長い間の懸案であったわけでございます。それがもうたしか昭和九年だったかと思いまするが、ようやく念願がかなって、特別会計制度がとられた。特別会計が生まれた。したがいまして、独立採算制度というものがそこで初めてとられることになったのでございますけれども、郵便事業の施設近代化、こういったようなことは答申にも出ておりましたけれども、確かに現在の時代の進運に立ちおくれておるとは思います。おりまするけれども、しかし、ここまできたということは、やはり私ども特別会計制度あるいは独立採算制をとったたまものというふうに考えるわけでございます。一般会計の中におったんではとてもここまではこられなかったと思うのでございますが、ところが、いま赤字だからこれは一般会計のほうから赤字を補てんさせろ、あるいはこれは水田先生のお話にもあったように思いまするけれども、郵便貯金という特別の別の事業会計のほうに余剰金があるから、これをもって埋めろというような、いろいろ説があるようでございます。これは一時の間に合わせとしては、一時的な間に合わせにはなるかもしれませんけれども、しかし、あくまで一時的なこれは糊塗策である。高宮先生もおっしゃいましたように、一時のびぼう策であると思うのであります。この抜本的な対策にはならぬように考えるのでございます。しかも、一般会計から持ってくるといいまするけれども、これはまあ田中さんのお話にもありましたように、一般国民のふところから吸い上げられた税金収入ということになるわけでありまするから、よほどこれは厳に慎まなければいかぬ点であろうかと思います。また、郵便貯金会計のほうに余剰金があるから、それを持ってくるということも、これはイージーな行き方としては考えられるかもしれませんけれども、郵便貯金の預金者と、郵便事業利用者とは層が違うわけであります。郵便貯金のほうの余剰金は何らかの形で郵便貯金の預金者に還元するのがたてまえであろうかと思うのでありますが、そういったようなこともございまするし、赤字といえばすぐそういうほうから補てんしてもらうのだという姿にしてしまいまするというと、せっかくの特別会計をつくった、あるいは独立採算制をとるに至ったそのたてまえをくずしてしまうことになりはしないか。まあそれだけならいいのですけれども、どうしてもこれは人情としまして、事業経営というものが安易に流れるというようなことになりはせぬか。また、従業員全体としまするというと、企業意欲、勤労意欲が減退するというような結果になりはせぬか。そういうような面をいろいろ勘案しまして、私はあくまで独立採算制はこれは堅持していくべきではないかというふうに考えるものでございますが、この辺につきましての御見解をひとつ承りたいと思います。
  36. 藏園進

    公述人藏園進君) 郵便事業のあり方の問題だと思います。先ほど私は非常に説明不十分な点もございましたと思いますが、独立採算制ということを実際上郵便事業というものはとっているのか、とっていないのか、そのこと自体すら不明だというようなことをお話ししたわけです。私も、それは徹底的に全部税金でやるというようなことをここであれしようというふうには思っておりません。ただ、現在独立採算ということをいっているのだけれども、それではどういう点で独立採算ということが言えるだろうか。郵便事業というのは、郵便局事業というのは、やっている仕事というのは、いろいろな仕事をたくさんやっている。で、そのそれぞれについてどのようなやり方がやられているのか、あるいは原価なるものがはっきり出てくるのかというと、これは非常にわからない。そういう点で、まあ独立採算ということばで言うように独立採算と言えるものかどうかという点は非常に疑わしいし、もしまあ独立採算ということを前提といたしまして考えますならば、いろいろな仕事をやっているわけですから、それぞれについて総括原価ということばが使われておりますけれども、まあ総括的にいろいろ判断をしていかなければなるまい。たとえて言いますならば、いまも御質問の中にございましたように、近代化していく、これまでもまあ多少はやってきた、しかし、今後ますますやっていかなきゃならぬ、そういう近代化する資金というものを、独立採算の名で料金値上げという形でやるのがいいのか、あるいはせっかく貯金を集めているわけですから、その郵便貯金の金をこういうものに回してやってもいいのではないか。で、近代化のための資金というものも、何も料金に求めなくてもいい、そういうことができるようなたてまえ、これがつまり独立採算のいまの事業、その郵便事業の私は独立採算の本来の、やろうという、徹底させるならば、そこまでいかなければならない問題ではないか。それを中途はんぱにしている。同じく中途はんぱにするなら、独立採算ということばを撤去してもいいんじゃないか。そういう意味合いで私申したわけでございまして、それでは独立採算がいいのか、あるいは独立採算ではなくて、一般会計の従来と同じようなやり方がいいのか、どちらがいいのかということで、料金値上げという問題とは離れまして、制度として考えまするならば、私は、いろいろなものを総合的にやはりやるようなシステムになっておりますから、そのような総合的なシステムをそれ自体として独立採算という形で持っていくということであるならば、独算採算でもこれはやむを得ないのじゃないかというふうに思います。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 私は一つだけお尋ねしておきたいのでございますが、浦島公述人は郵政審議会委員でいらっしゃいますから、特にこの点をぜひよくわかるように教えていただきたい。  一つは、郵政審議会に大臣が諮問をいたしまして、それからそれに対して答申が出たわけでございますね。しかし、答申をするときの基礎になりましたのは、過去の長期経済政策から中期経済政策へと移行して、そういう中においての日本経済の発展というのを考えておったと思います。ところが、現在は長期経済政策が失敗をして、中期経済政策というのがこれは一応御破算になってしまったわけですね。そこで、新しい長期計画をいま政府が策定中なんです。一方におきましては経済予測というものがかなり事情の変更が出ております。そういう中でこの答申は、従来の中期経済政策というものを基礎にした上でやられていると思いますから、その点が非常に今後の問題として心配が残るわけであります。いまも独立採算制の点が西村委員からも述べられましたが、もちろんわれわれは、公共性というものと採算制というものをどういうふうにマッチさせていくか、これが郵政事業の一番問題になるところでありまして、要するに、いかに合理化をし、いかに改善をはかりましても赤字が出る場合があると思います。その場合に、一体この赤字をどう処理するかということが、これは政策的に時の内閣の、また政治としての問題になると思いますが、われわれ社会党は、藏園先生おっしゃるように、一般会計からその赤字を補てんしたらどうだろうか、こういう見解を持っているわけであります。したがって、もし一般会計から補てんされない場合には、独立採算のたてまえから、やはりこれは料金ということになると思います。ですから、そういうことを考える場合に、食糧管理特別会計においてもそういう措置政府はとっておるわけでありますから、公共性という強い性格を押しつけて低料金政策をとっている以上は、その出た赤字というものはある一部政府が見るということは筋として間違っていない。現に欧米におきましてもそういう制度をとっている国があるわけでありますから、これは政策がそういう方向を向けば私はできると思う。ですから、そのことをわれわれは主張するのでありますが、しかし政府は、独立採算完全実施といいますか、そういう面においてやられておる。しかしこれも、たとえば電電公社の独立採算制会計を見ますと、電話のほうではかなりもうけておる。しかし、電信におきましては三百億から四百億の赤字があるわけであります。したがって、その赤字はいま電話黒字によって補てんされている。電話利用者は、それだけの金があるならばもっと電話を早くつけてくれ、もっとどこへでも早くつけるようにしてくれという要求があると思いますね。電話黒字を電信に使われたのではけしからぬという意見も出てくるわけであります。ですから、西村委員の言われたように、採算制のあり方については、これは政府の方針が首尾一貫しない。電電公社の場合と同じように、この場合も簡易保険郵便年金等の黒字も郵政事業全体としての中で考えたらどうか、これは建設的な時宜を得た意見だと思います。電電公社もそういうことをやっておるのですから、黒字のところから赤字のところに持ってきておるのですから。郵政事業貯金黒字郵便赤字を埋めるということは、電電公社の会計から見ればそうならざるを得ないのだけれども、郵便についてはそうはいかぬ、貯金貯金だ。赤字は便法として別に考えて、電話黒字については、電信にやらないで電話のもっとサービスのためにやってもらいたい、こういうことになると思うのです。そういうことが支離滅裂なんです。これは非常に政府特別会計制度というものに対する方針がぐらついておるからでありまして、この点は、皆さんから御指摘になった点は、私は当然だと思うのです。藏園先生のおっしゃる点は、理論的にそういう点からいって正しいと思います。  そこで、いよいよ赤字が幾らあるかということは、これは浦島先生の御意見は非常に問題になることだと思います。あなたが一千億ないし二千億——これから五年間ですが、赤字が予想される。一体この千億ないし二千億の赤字というものは何を根拠にしておるか、私は中期経済政策郵便物の取り扱い数は、一種、二種、三種、四種、そのほかに特殊郵便物、こういったものがどういった推移をたどって増加をし、これだけの赤字が出るかという根拠が明らかになっておりますか、それを私は聞きたい。その場合に、皆さんが基礎にしたものは中期経済政策だと思うから、今後新経済政策に基づいてこれからスタートしていく場合に、はたして中期経済政策でつくったこの基礎でいいかどうか、もっとくずれが出てくるのじゃないか、減るかふえるかどうかは別といたしまして。そういうことは非常に危険な要素が入っておると思います。その辺をどういうふうに判断をされて答申をされておるか。しかも政府は、あなた方が一生懸命で作業を進めておる段階で、引き上げの幅を閣議で先に発表するということもあったと思うのです、いきさつとしては。これも審議会がなめられておって、きわめて私はけしからぬ行為だったと思うのでありますが、そういった点もありますから、私はこの点を伺いたい。  それからもう一つは、小包郵便料金というものは、四月一日から御指摘のように上がっております。これも審議会答申を見ますと、四月から小包については上げるべきだというようなことを述べておったと思うのですが、これは郵便法の三十一条に、小包郵便料金は、政令で定めることになっております。政府が決定権を持っておるわけですが、これはしかし私は、七月からの郵便料金値上げするということを考えておるわけでございますから、四月からなぜ上げたのだということ−を、予算委員会でもかなり政府に伺ってみたのですけれども、国鉄のほうが上げると、国鉄値上げによって郵便物が、料金の安い郵便のほうに小包が流れてくる、そういうことを防ぐということも一つの大きなファクターになっておるという意見もありましたけれども、しかし、それでは過去、鉄道運賃が上がった場合に、実際郵政の郵便物にどういう影響があったかという具体的資料等についても、なかなかそれはお伺いいたしましてもむずかしいですね。これらの審議会答申が、四月一日からということをうたっておりますが、なぜあえて四月一日に郵便料金を上げたか、この問題が一つ。  最後に、こまかいことですが、これは非常に大事なことですから。毎年身体障害者の諸君の立場に立って従来質問してまいりました。第五種郵便物として、身体障害者の諸君の機関雑誌等は五十グラムまでごとに十円、市内の場合は、五十グラムごとに八円という非常に安い料金を課しておったわけです。これは身体障害者の諸君の立場を考えてのことだと思います。それが今度廃止されますと、第一種郵便物になるか、あるいは雑誌小包という新しい制度がつくられましたが、いずれにしても、料金が高くなるわけです。こういう身体障害者の諸君の立場というものに対して、国の政策が確かに欠けております。もっともっとそういう郵便物の取り扱いというようなこそく的なことでなくして、全体としての身体障害者の政策を確立すべきだと思いますが、なかなかそれがうまくいっておらない。そこでこういう問題になるわけでございますけれども、郵政省から見れば、確かに低料金政策でやるということは、採算上からも問題があると思います。しかし、あえていままでこれをやってきたわけですから、今度の改正によって従来よりも悪くなるということをやることは、私はひどいじゃないか、こう思うのですね。なぜそういうものをやられたか。これはどなたか学術雑誌について、えらい不満がありましたけれども、多少これは従来長い間われわれが主張いたしまして、今回非常に不満足でありますけれども、政府も学術雑誌については新しく制度を考えておるわけですから、そういう一面の問題とあわせて、私は身体障害者のこの問題を考えるべきだと思う。そこで聞いてみますと、政府はこう言うのです。身体障害者が出す雑誌かどうかということが非常に判別が困難だというのですからね。それは私はへ理屈であって、そういう身体障害者の組織があるのですから、その組織でもってこういう雑誌を発行するということは、ちゃんと郵政省とそれぞれ連絡をとっておけばたやすくつかめると思うのですよ。盲人用の場合なんか特に無料ですね、これは郵政省サービスしていますが、無料で扱っておるわけですから、そういう精神があるなら、もう少したしか高くなるけれども、それはお年玉はがきでもうけた金から違った形でそっちのほうに回してカバーするというような、そういうことを答弁で言うのですけれども、もっと具体的にそういう点ができないだろうか、あの改正が出ましてから「毎日新聞」だとかほかの新聞にも、かなりこの点は、当該諸君の連中から強い意見が出ておりまして、私が国会で取り上げるのは三回目なんです。三回目なんだが、どうも納得する郵政省の答弁が聞けないものですから、幸い浦島さんは審議会委員でございましたから、どうして利用者の判別がそんなにむずかしいのか、われわれ常識で考えてわからぬもんですから、そういうことが唯一の根拠なんです、これを特別の扱いにできないということ、その点をひとつ伺いたい。これだけです。
  38. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) お尋ねの第一点のこの答申の基礎が政府のつくっておられる中期経済計画、あるいはまた長期経済計画によっているかどうか、よっていたらそれは変わるから答申の内容が違うのではないかというような御質問の内容のように私受け取りましたが、この今後の郵便の伸び方をどう見るかということは、いろいろ問題があると思います。一応委員会における省側の御説明によると、やはり過去の郵便の伸び方及び諸外国の郵便物の伸び方、こういう点も参考にしまして大体平均すると五%ですか、平均五%程度の伸びで計算されたというのです。したがいまして、別にはっきりと政府のつくっておられる長期また中期経済計画に基づいてこれを算定したということでなくて、過去の経験及び諸外国の例から見て、郵便の利用の伸びを見て審議したというふうにお答えしていいと思います。  それから小包料金値上げの問題をなぜ四月からしたかという問題でございますが、これは鉄道料金が四月前に上がりましたが、やはりその鉄道料金の貨物、小荷物料金とも関係をいたしまして、しかももう四十一年度の、新年度から赤字であるということがわかっているわけです。したがいまして、小包料金はその鉄道料金とも関係してできるだけ早いほうがよかろう、こういうことで審議会としても四月から実施を答申した、さような次第でございます。  身体障害者に対する料金優遇政策でございますが、これは現在は盲人用だけが特別扱いをされておるわけであります。従来はその他の盲人用以外のは、たとえば通信文でありますと、書状とか、はがきとかは一種とか二種でございます。その他の印刷物が五種でいま扱われておりますね、これを特別委員会では、この問題は別に論議されませんで、どうしたということは私は申し上げられないと思います。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 浦島先生、審議会委員をなさったわけですから、そういう立場で私は伺っておるのですけれども、最初の経済政策というものは全然考えていないと、私は知らぬ、ただ五%ふえているからそれだけの数字でやったのだということですけれども、これはちょっと私は受け取れないのですね。私は、やはり皆さんが諮問を受けた場合の経済政策というものは、中期経済政策のとおりですよ。ですからそれによって日本の経済がどう動いていくか、そうすると、郵便物というものは経済の動きによってどうふえていくか、減っていくかということが出てくるわけでしょう。ただ単に過去に五%上がったからその五%をとったというのはおかしな話であって、だから、いま皆さんが中期経済計画を基礎にしておつくりになったのだが、新しい政府の経済政策はこの秋か年末にきまるということなんです。ですから、その経済成長政策というものの伸びが一体中期よりも多くなってくるのか、あるいは現状にとどまるのか、そういう点によって日本経済はかなり変動があると思うのです。その場合に郵便物というものは、その変動に基づいて当然変わってくると思うのですよ。その場合に、たとえば千億といま見込んでおるけれども、その千億が千二百億の赤字になってくるのか、二千億が二千五百億になるのか、これわからぬでしょう。そういう点、未知数として残っているんじゃないでしょうか。それで要するに、二千億の赤字だということを基礎にして、その赤字をなくすには幾ら上げたらいいかということでやるわけでしょう。だから三種は三円——プラス一円、あとは五円、五割上げるというようなそういうことで平均二八%をとったわけですから、その赤字が幾ら出るということを測定することはたいへん大事なんです。そこのところが、もし二千五百億になった場合に、現行郵便料金は五年くらい動かさないでいいだろうと言っておりますけれども、はたしてわれわれそうなるかどうかいうことは疑問に思っておるのです。四年になるのか、あるいはもっと六年になるのか、そういう経済政策がはっきりせぬうちにつくられたものですから、非常に審議する場合にしにくいのですよ。ですから、そういう不確定要素はありますよ、われわれ審議するときには。そういうことをあなた方は念頭に持っておられれば、私はそれ以上に、じゃ幾%になるのだからというようなことは言いませんけれども、そういう不確定要素を郵政審議会というものは十分理解してやられたかどうかということを聞きたいのです。それが五%だけ上がっているから物が五%伸びるだろうということでやったのでそれは知らぬというのじゃ非常に無責任な答弁だと思いますから、重ねて伺いたい。
  40. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) ちょっと私のことばが足らなかったと思いますが、審議会では、別に将来の物数の伸びとか収入の増加、中期経済計画に基づいてやったことではないということだけで私申し上げたので、あくまでも審議会では、過去の郵便の伸びと、それから外国の郵便の伸びを参考にして、平均すると五%であるというふうに判断したわけでございまして、そういう意味で私申し上げたわけであります。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 それは郵政審議会というのは諮問機関ですから、郵政省から諮問事項がありましてそれに答える答申ですからわかりますけれども、少なくとも皆さんが郵政審議会として審議される場合に、日本経済というものを全然無視して、ただ過去何%上がったからというようなものが基礎になっておったら、むしろ私は審議会としてはこれはおかしいんじゃないか。政府としての経済政策がどういくのか、そういう点を十分やりませんと、これは需要予測というものをつかめませんよ、そうでしょう。それが委員会として当然、もしなければ論議されてしかるべきじゃなかったでしょうか。そんな郵政省の言うままに、出たものをああそうかと判こを押すような審議会じゃないでしょう。そんな権威のない審議会ですか。だから、なめられて引き上げなんか先に発表されてしまうんじゃないですか。そんな無責仕な審議会じゃないと思うのです。それはやらないならやらないで、質問ですからそれ以上あなたに言ってもしかたがないですから、私は希望として、将来そんな、ただ何%だけと言ってきても受け付けてもらっては困る。それはそれでわかりました。経済政策は全然抜きにして、過去何%上がったからこれを基礎にしてこの料金二八%、赤字は幾らということでやったというのですから、わかりました。それははっきりしましたから、これから大いに政府を追及します。
  42. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私は、いまの同僚議員の質問を数字をもって少し明らかにしていきたいと思っております。私の質問するのは高宮公述人と浦島公述人お願いしたいと思います。  高宮公述人値上げ賛成の理由一つに、客観・的にものごとを見た場合にやむを得ないであろう、その客観的なという一つ理由に、郵便物数の逓減、郵便業務の漸減傾向というものがございました。また、浦島公述人審議会委員として、いまのパーセンテージの問題を一つ理由にあげましたが、私どもこの逓信委員会で審議していく過程の中で、この郵便物数の今後の変化というものは、つまりだれもが確定した数字を持っていない。政府の答弁もしばしば違うのです。速記録に書いたことでももう違っているというくらいにしばしば違う。そこで、今後の郵便物数がどういう推移をとるであろうかということの客観的な科学的な根拠というものがない今日、これを基礎にして今後五年間には何百億、何千億の赤字が出る。したがって、郵便料金はかくかく上げなければだめだというのは、私はもう逆だと思うのですよ。考え方がさかさにひっくり返っているのじゃないか。だから、郵便料金上げるべしということを初めにきめて、上げるべし、したがってどういう数字を当てはめるか、それであとから出てくる数字、パーセンテージ、見込みというものは、全部腰だめでしかないという事実が明らかになった場合でも、皆さんは今回のこの郵便料金値上げに賛成するかどうかという点をお聞きしたい。その皆さんの考え方のさらに参考にしていただきたいために、若干具体的な数字をあげて、これは全部郵政省提出の数字ですから、あげてひとつお願いをしたいと思うのです。それは三十一年度から四十年度までのこの郵便物数の増加の状況と年の伸び率をとってみます。そうすると、三十一年度の年伸び率が八・七%、三十二年度が七%、三十三年度が九・一%、三十四年度が七・四%、三十五年度六・三%、三六年度七・五%、三十七年度七・七%、三十八年度八%、一二十九年度が四・二%で、ここはだいぶ落ち込んでいます。四十年度の見込みは、郵政当局の出した数字によってみますると、約八・七%になるわけです。これを年平均してみますと、年平均十年間伸び率は七・五%を示しております。最近五年間の伸び率は七・二%という数字が出ておるのです。それにもかかわらず、この郵政当局が出した資料に基づいて審議会が行なった答申の中では、今後の物数の伸びが四%から三・五%くらいに低下するであろう、こういうことをいって、したがって、今後五年間には二千百八十億円の赤字が想定される、こういうことで答申も出ておりますし、郵政省値上げをきめたということになっておりまするが、この少なくとも過去十年間ないし最近五年間の物数の伸び率を見てみますと、実際出している数字は、何ら過去の実績に基づかないものだ、およそ私はこれくらいでたらめな話はないと思うのです。客観的な根拠はない。それからまた外国の例をあげるといっておりますけれども、たとえばフランスなんかでは、一人当たりの物数においても日本の約二倍ですよ。百億通をこえる。たとえば郵政省の答弁によると、郵便物数が百億通をこえた場合には漸減傾向をとる、諸外国でもそうだということを一つの例にあげておりますが、百億通をこえておるフランスにおいてさえも、日本の人口に比べてみますと、一人当たり二倍の郵便物を出しておるわけです。ですから、日本のいまの状況からいって、私は、今後五年間に、郵政省が出したような資料並びに審議会が出したような答申のようなそういう推移をとるはずがない、もっとやはり七%前後をたどっていくであろうということが、過去十五年間の推移によっても明らかだし、日本の経済の状況から見ても明らかではないかという気がいたします。そうして、これはちょっと参考でありまするが、三十三年度に物数の年伸び率が九・一%、三十七年度に七・七%というようになっておりますが、このときが日本が不況のときなんです。だから経済が不況だからといって、郵便物が急に物数が減少するということも過去の事実からいってないのです。三十九年度に伸び率が四・二%になったというのは、これは何か特殊な事情に基づく落ち込みであるとしか考えられない。三十九年度には選挙がなかったというような関係もあったかと思いますが、この四・二%であるということは明らかです。しかし、四十年度は八%をこえる伸び率の実績を示しておりまするので、したがって、三十九年度の四・二%という伸び率の落ち込みを基礎にした数字でもって大体算定したのではあるまいかという気がしてならない。だから、値上げのために有力な根拠になっている今後の郵便物数の伸び率の想定においては、私は科学的な根拠を持つ数字ではない、したがって、客観性を持っていないのではないか、この点について、高宮公述人は、先ほど客観的に見て妥当なものであると言われたという客観的な根拠を、もしこれをくつがえすような数字がありましたらお示し願いたいと思います。  また、浦島公述人は幸い審議会委員でありまするから、このような過去十五年間の実績に基づいた数字を——先ほど同僚議員の質問にも、あなたは過去の率を参考にしたとおっしゃいましたが、これは郵政省から出されておる数字でありまするから、これを十分そのように検討された上で過去の実績に基づいてやったのだということの裏づけを、数字によってお示しできるならばお示し願いたいと、こういうふうに思います。
  43. 高宮晋

    公述人高宮晋君) 予測の問題は非常にむずかしい問題でございまして、客観的と申しましても、現在のわれわれの条件のもとでなし得るという前提が当然つくわけでございまして、したがって、結局最後の段階のところは、コレクティブ・ジャッジメントによって客観性というものを求めるということにならざるを得ないと思いますけれども、その場合でも、できるだけ確実な要素を入れていくという努力はもちろん必要であるわけでございますが、その場合に、ただいまいろいろ過去の数字、それからまた、将来における日本経済あるいは日本の社会の発展という点をかみ合わせまして、数量化する前に質的に考えていくということがやはり非常に大事じゃないか、それで質的に考える場合に、三一九年度の四・二%——数字はとにかくといたしまして、落ち込んだということの意味でございますが、不況という問題が一つあるでしょう。それからまた、しかし、ちょうど現在の不況というものが単純な不況ではなくて、日本の経済的な構造の変化のあらわれであるという面が御承知のようにあるわけであります。したがって、この現在不況としてあらわれておりますいろいろの問題の中には、従来の考えでは推していけないような新しい構造的な問題があるのでありまして、したがって、その構造的な問題を質的な問題として予測をする場合に考える必要があるんじゃないかということがまず言えると思うのであります。そうしますと、その構造的な問題といたしましては、一つは、やはり労力不足、それから高賃金という問題と、それからもう一つは、需要の面におきまして、やはり通信、社会のコミュニケーションの方法によっていろいろの機関が発達してまいりまして、そうしてコミュニケーションの進歩というものも出てまいりますから、従来郵便事業に課せられていましたコミュニケーションの任務というものが相当分散するんじゃないかというようなことが予測されるわけであります。そうして、それは外国の例ということは、そういう意味でわれわれ外国の例というものを考えるわけでありまして、日本よりもさらに経済社会の進歩している国ではどういう動向をたどってきたかということを参考にいたしまして、同様の構造的な変革に対応する郵政事業の今後のあり方というものを質的にまず規定する必要がある、こういうふうに思うのであります。さて、そういうふうに考えました場合に、それを資料としてどういうふうに考えるかということは、これはなかなか数学をはじくようにはじき出されないものでありまして、これはわれわれの現在の思惟、それからわれわれの能力、関係者、こういうものが衆知を集めてコレクティブ・ジャッジメントをすることが最も現在の段階で考えられる客観性という意味であります。  それからもう一つは、長期計画的にやはり考えなくちゃいけないのだ。この料金問題というものは、長期計画的な観点から考えなければいけないのでありまして、したがって、今後相当の期間にわたってこの料金は一定にしておく、そうして、その間において独立採算経営責任のもとにおいて、この構造的な変革に遭遇しておる郵便事業というものを発展さしていく、こういうような観点から長期的な面で、したがって、その意味では大きな一つのワクと申しますか、かなり一つ一つの、こまかい数字ではなくして、大きなワクで問題を考えていくということが必要だと思うのでありまして、私は、このいまの郵政省のあげました数字あるいは質問者もあげました数字そのものも、まだ深くこまかく追及するだけの時間もありませんし、それから、それだけのまだ資料も手元にございませんけれども、質的な面から考えまして、しかも、長期にわたっての大きなワクを考えた場合に、やはり少なくとも現在の程度のような料金値上げというものはもう必然化する、こういう一つの大局的な観点と申しましたけれども、客観的に、できるだけ客観的にしかも大局的な観点から問題を考えました場合に、賛成意見を申し上げた次第なんです。
  44. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 詳しい資料もこちらに手持ちがございませんので、数学的にはっきりしたことを申し上げられませんが、大体審議会では省側の提出された資料によっていろいろ検討したわけであります。三十六、七年から三十九年あたりまでは、郵便の伸びが前年より非常に伸びております。大体平均七%か、以上伸びております。ところが、ちょうど審議会が開催されました昨年、四十年度の四月から二、三カ月の資料をまた出してもらったのです。それが案外前年度よりも、伸び方が、これは一般の経済界の何といいますか、不況があらわれたと申しますか、伸び率が低かったのであります。したがいまして、できるだけ審議会とすれば資料をかたく見ていくのが——あまり多く見てしまいましてずさんなこともできませんので、かたく見ていくという皆さんの気持ちもあったと思います。したがいまして、大体省側の御説明を了承して、大体三十六年、三十七年の七%以上伸びないだろう、大体平均今後五%程度だろう、こういうところで大体の収入の見積もりを了承されたように私考えております。
  45. 白井勇

    ○白井勇君 時間がないようでありますから、私はごく簡単に浦島さんにお伺いしたいと思います。  これは私は全くこの郵務行政はしろうとであります。一番最初に伺いたいと思いますことは、審議会におきまして、三十九年に十カ月ばかりを要しまして、近代化につきましての答申をせられております。私は、七割、八割というものは人件費であるといわれます郵務行政だけに、それだけにやはり機械化、近代化というものは急がなければならぬ問題である、こう私はいつも思っておる一人であります。まことにあの答申を拝見をいたしまして敬意を表しておるのであります。今回の郵便料金の改正に、一体あの答申がどのくらい採用されておるというふうに浦島さんはお考えになっていらっしゃいますかということであります。もちろん文字の上におきましては、切手の自動販売機をつくるとか、何とかかんとかいうようなことばあらわれておりますけれども、実際の郵便業務自体の機械化、近代化というものが、今回の料金改定によってどのくらい実現をされるかということについては、非常に私は悲観的に考えておるのであります。ああいうりっぱな御答申をされました委員会の方から見ますと、どういうふうにこれをお考えになっていらっしゃいますか、これが第一点であります。  それからもう一点は、あの答申の中にあります「第一に、従来の制度に思い切った検討を加え、本来の通信を優先的に処理しうるよう現在の通常郵便物の種類体系を改正するなど現行制度改善を行ない、」というふうにありますが、この本来の通信を優先的に処理し得るよう種類体系というものを改正すべきであると、こういうお話であるのでありますが、これは具体的にどういうことをいっていらっしゃいますものであるかということであります。私は私なりに想像いたしておりましたことは、郵務行政というもの、郵務というものは、これは信書を送達をする、こういうところからきておるわけでありまして、最近、先ほどもお話が出ましたが、このダイレクトメールというような大部分を占めておりますああいう雑多なものとの間には、おのずとそこに差異をつけて取り扱ってしかるべきじゃないかというお考え方があるんじゃなかろうかと私は読んでおったのであります。先ほども田中さんからお話がありましたが、今回の値上げには、郵便従事者の人間関係というものを確立していくと、こういうおことばがありました。私は不肖にして、そういうふうに全然考えられない。いま申し上げましたような、本来の通信というものを優先的に処理し得るような基本的なたてまえというものをまず確立をしない限りにおきましては、いまのように一体どういう意味を持つものかというような不安を持っておりまする従業員が私は多くあろうと思うのであります。ああいう雑多な、まあ私はいつも言うのでありますが、まあ商店やらデパートの広告を配っておる、しかもそれが公務員である、そういうような職務に対しまして、人間というものは幾らベースアップをやりましたといっても誇りを持って従事できるであろうか、そこらあたりをまず何とか考えなければ、それはまず将来の郵便業務というものは非常に不安定なものだというふうに私は感ずるのであります。そこらあたりの点であります。  それからもう一点は、やはり答申との関係でありまするが、十二月の九日に、いわゆる今回の料金改定に関しましての改善方策に関する御答申があったわけであります。今度これにつきましても、政府の今度とりました措置というものは、私は簡単に申しますと、御答申よりも改悪じゃないかというような感じを持っておるのであります。御答申におきましては、ここにありまするとおりに、「今日の諸情勢の下では、賃金物価その他の経済事情について、正確に予測することは困難であり、業務の正常な運営による信頼や近代化諸施策の成果の反映としての利用増などについても、また同様に考えられるので、このさいは急激な改定を避け、値上げの幅をできるだけ小さくするという見地から、さしむき三年間を目途とすることが、実情に即したものである」という御答申をなさった。これは私は非常に、こういういろいろな経済情勢のもとにおきましては、少なくもこういう基本線に沿ってやらなければならぬという大事な点であろうと私は思うのです。これも政府は、今後五年というようなことにしまして、値上げ幅をきめておるわけであります。こういう点。  また、もう一つ小さいことではありまするけれども、この簡易手紙というものを審議会におきましては、現在の十二円というものにとめ置いた。これもやはり今後の郵便物の規格化というものを助長する一つの誘い水になりはしないか。非常に私はあたたかい気持ちであったと思う。  もう一つは、たとえば速達というものを十円の値上げで四十円にとどめるというような措置につきましても、これはやはり人間が配達をしている仕事でありまして、やはり労務管理が十分にいきません限りにおきましては、いつどういう事態が起こらないとも限らない。現に私たち、去年とことしの郵便配達の一部を見ておりますれば、やはりこれはその職員の協力があるかないかということによってこれほど違うということをはっきり明示をされておるわけでありまして、そういう点から見まするというと、どうも、国民に対しましてできるだけ簡易なものは安く扱う、そしてまた、そのほかの速達の面につきましても、そういう何か不時のことが起こりました場合には、速達でありますならば、これは何とか予定の時間に着くということは、これは確保できるわけでありまするから、そういうものは、できるだけ割安に届くというように、国民のために非常に配慮の深い考え方があったように思うのであります。ところが、政府じゃ、そうじゃない。やはりこれは五十円に値上げをしているというような措置も考えられているのでありまして、どうも全体を通じてみますというと、必ずしも皆さま方のせっかくの御答申趣旨に沿っていないようにも私は思うのです。これにつきましての御感想をひとつお漏らし願えれば幸いだと思います。
  46. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 私、いまの御質問に対しまして、浦島個人として——委員としてお答えするのはどうかと思いますが、個人として、委員の一人としてお答えいたします。  全体として、私は、郵政審議会答申をほとんど——一部政府側で手直しされて提案されておられますが、ほとんどその目的とするところ、その方向につきましては、大体審議会答申は御採用になっているものと、私は存じております。
  47. 白井勇

    ○白井勇君 すみませんが、浦島さん、さっきの答申の中でおっしゃる、本来の通信を優先的に処理し得るよう種類体系を改めるという意見、これはどういう趣旨ですか。
  48. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) これは、要するに高等通信といいますか、一種、二種、要するに通信文でございますね。それがダイレクトメールとか、いろいろな印刷物が戦後非常にふえまして、非常に郵便業務が混乱しまして、とかく通信のほうがおくれがちであったわけです。それではいかぬから、やはり、とにかく郵便事業というものは通信が主体である、要するに、通信の一種、二種ですね、これを主体に、これはもう必ず確実に早く届くようにしなさい、こういう意味でこの答申をされたと思うのです。
  49. 白井勇

    ○白井勇君 ダイレクトメールは、今度一種に入るわけですがね、その場合に、やはりいわゆる従来の通信というもの、信書といいますか、そういうものと、ダイレクトメールというものが一種に入った場合、同じに扱えというお考えですか。
  50. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 今度は定形と非定形に分けてありますので、定形には大体大きさとか、幅とか、規格があるわけです。だから、ダイレクトメールでも、定形でお出しなさるならば、これは早く行くということになると私は思います。
  51. 白井勇

    ○白井勇君 定形は非常に幅のあるものですね。
  52. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 一応規格をきめてあるわけですが。
  53. 白井勇

    ○白井勇君 規格といっても、幅があるわけでしょう。
  54. 浦島喜久衛

    公述人浦島喜久衛君) 幅はありますが、大体あの程度の形は優先的に扱おう、こういうわけであります。
  55. 野上元

    委員長野上元君) 他に御発言もなければ、以上で質疑を終了いたします。  この際、公述人の皆さま方に一言お礼を申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわりませず、本公聴会に御出席を賜わりまして、長時間にわたりまして貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことに感謝にたえない次第でございます。委員会を代表いたしまして、深く感謝申し上げる次第でございます。今後の本案審査におきましては、各位の御意見を十分尊重しながら、慎重に審議を続けてまいりたい所存でございます。本日は、まことにありがとうございました。これをもって本日の公聴会を散会いたします。   午後一時十八分散会