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1966-06-02 第51回国会 参議院 逓信委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二日(木曜日)    午後二時十九分開会     —————————————    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      平井 太郎君     安井  謙君  六月二日     辞任         補欠選任      安井  謙君     内田 芳郎君      小沢久太郎君     田村 賢作君      古池 信三君     船田  譲君     —————————————   出席は左のとおり。     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 内田 芳郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 田村 賢作君                 寺尾  豊君                 船田  譲君                 松平 勇雄君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 横川 正市君                 田代富士男君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        内閣総理大臣   佐藤 榮作君        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        人事院総裁    佐藤 達夫君        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省監察局長  山本  博君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省貯金局長  稲増 久義君        郵政省簡易保険        局長       武田  功君        郵政省人事局長  曽山 克巳君        郵政省経理局長  淺野 賢澄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付
  2. 野上元

    委員長野上元君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  この際、委員異動についてお知らせいたします。  昨一日、平井太郎君が委員辞任され、その補欠として安井謙君が選任せられました。   —————————————
  3. 野上元

    委員長野上元君) 郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対し質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 横川正市

    横川正市君 まず、今日までいろいろ衆参を通じて料金改定の問題をめぐって論議をいたしてきたわけですが、その論議を通じて明らかになった点については、重複を避けながら質問をいたしたいと思うわけです。その質問の前提として、同僚議員からは大体料金改定趣旨について質問があったわけですけれども、私は、料金改定趣旨ということよりか、一体郵便事業の置かれている現状というのを郵政当局というのはどういうふうに把握しておるのか、この点についてお聞きをいたしていきたいと思うのです。  たまたま郵便関係の世論といいますか、あるいは、これについてのいろいろな資料というのは、部内者の書かれたものは相当ありますけれども、第三者が郵便について考え方を表明するというようなことはあまり私ども、多くのものを読みながら見かけないわけです。この見かけないということはいいことか悪いことかという点については、人それぞれの判断というものがあると思います。いい面で言うならば、私はこれは問題がないということでいい面をとらえると思うのですが、ひとつ引っくり返してみますと、ある人の書いた文書の中に、配られた郵便物が、あて先の者が目を通す前に、あて先に配られた郵便物は、実はその内容というものを検討する前にくずかごに直行する、こういう評価を実はしているわけです。これは郵便について私は悪い面の評価だと思うわけですが、こういうふうにくずかごに直行する郵便物というものを実は私はいろいろな点から考えてみる必要があるのじゃないかというふうに思っております。今日の郵便事業の置かれております現状というのは、実はこの問題を解決いたさないと、本質的な問題を私は論議することができないのじゃないか、こう思っているわけですが、現状郵便の置かれている状態というものを関係当局者がどういうふうに把握されているのか、事業経営者として。私は、今度出されております提案の中にもありますが、たとえば室内作業についての機械化具体策、あるいは輸送についての航空郵便利用。こういったいろいろな具体策は立てられておりますけれども郵便そのものについての突っ込んだものの見方というものはなかったというふうに思うわけなんです。  そこで、まず第一に、一体企業者として郵便の現況というものをどういうふうに把握されているのか。総括的に郵便内容について、一種、二種、三種などというような簡単な分け方ではなしに、もっと突っ込んだ見方というものがあってしかるべきだと思いますので、この点をまず最初にお伺いをいたしたいと思います。
  5. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃるとおり、郵便法にもございまするように、また、世界のどこの国もそうでありますように、国営ということと、独占ということと、それから利用の公平ということ、これが幸いにして私は、信書秘密等が守られておりまするのも、こうした国営独占利用の公平、これが完全に行なわれているからだと思います。しかしながら、同時に、お話の中にもございました、印刷信書のようなもの、これらについては、吟味してみればそれは信書でありまするけれども信書というような感じが薄くなってきておる。こういう場合に、私は、国営事業であるという意味はかなりによく徹底しておることでありまするけれども信書送達独占しておるという郵便事業者郵政部内全体の者の決心と、そしてまた、利用の公平を郵便法でも掲げておりまするが、利用者に対する御指摘のように郵便そのものの、まあ、私は愛される郵便ということばを言っておるのでございますが、愛される郵便でありますための私どもの訴え方と、それから利用者に対してもっと親切に、ことに七月一日からの改正にあたっては、趣旨をもっとよく徹底させるという仕事は、特に当面差し迫って大事なことだと考えております。
  6. 横川正市

    横川正市君 大臣は、私の聞こうとする趣旨についてまだ明確にとらえておらないんじゃないか。私は、言ってみれば独占であるとか、それから信書であるとかという、いわば通り一ぺんな文章で表現できないほどに、今日の郵便事業というものは、経営その他について非常に大切な点が忘れられたような経営状態になっているのじゃないだろうか。この点をお聞きをいたしたいと思っているわけなんです。それの原因は、たとえば、いま一つ例等をあげましたように、配達されて目を通さないうちにくずかごに持っていかれるというような、そういう郵便物というものについての評価をどうされているのか。きょう私は持ってこようと思ったのですが、言ってわかりますから口で言いますが、大体郵政大臣のところへも毎日何十通かの郵便物が配られるはずなんです。その中で、あなたがいわゆる個人個人の間の必要な文書として、あるいは書簡として見られる郵便物が何通あって、そして全く見ないで事の済まされるような郵便物が何通あるかについて、これはたまたま郵政大臣になられて、まあ、しろうと大臣とはいいながら、自分の最も大切な郵便のその毎日の実態なんですから、ごらんになっていると思うのですよ。私どものところへでさえ、一日に少なくとも十通から十五通くらいなものは配達されます。ところが、その中で見なければならないもののというは、まあ二、三通ですね。そういう状態で、あとは全く、非常な苦労とそれから労力と金をかけて配達されてきたものが、見ないでくずかごにいってしまうという、こういう状態が、私どもは今日の郵便事業一つ実態だと把握をいたしておるわけなんです。そういう把握のしかたを、私は逆に改善するのにはどうしたらいいかと言いますと、ある程度の規制があって——これは金銭的な規制であるか、あるいは取り扱い上の規制であるか、ある程度の規制があって、郵便物そのものについて、郵便物固有の、いわゆる独占とか、あるいは、信書秘密とかというものに該当するような郵便物取り扱いをするような状態が出てこなければ、実際上、郵便物取り扱いに対しての認識、いわゆる重要だという認識というものは、これは一般から阻却されて、なくなってしまうのじゃないか。その証拠に、今日郵便事業の、送達されているあるいはその物の内容等を見てみまして、大体郵便が大切なものとして取り扱われているのか、そうでないのかという、一般的な一般論から言えば、そういう判断でものを見た場合に、非常にこれは大切ではないというようなものの見られ方をするのではないか。具体的に言えば、新聞に入ってくる毎日の広告ですね、あれを封筒に入れて切手が張られている場合と、新聞に折りたたみで来た広告との間に、どれだけの違いがあるというふうに考えられるのでしょうか。切手が張ってあるから郵便物として取り扱い切手が張ってないから単なる広告として取り扱うという、これは取り扱い上の、私は形式は違うと思いますけれども、手にしたものを郵便として見るか見ないかという、その価値判断といいますか、という点になりますと、私は相当これは、今日私ども郵便というものを念頭に置いていることとはほど遠いものの見方というものをするのじゃないか、こういう点を一体郵政当局者は、単に種別的な判断だけでこれを見ているのか。もっと内容的に、これを具体的ないろいろな区分に分けて見ているのか、その点をお聞きをいたしておるわけなんです。これがはっきりいたさないと、私は、今日郵便企業をやっているものは、単に送達事務だけを敏速にするという考え方で、郵便物を大切にするという考え方というものは生まれてこないような気がするわけなんですがね。この点の、まあ言ってみれば判断を、企業経営をされている立場に立ってどう見ているか、この点をお聞きをいたしておるわけなんです。
  7. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃる気持ちもよくわかるのであります。ただ、郵便物というものがその中身によって、内容によって判断するということは、私は、ある意味ではその国の国民生活水準なり文化の水準関係してくることと思います。むしろこれは、形で見ていくよりしかたのないものじゃないか。したがって、今度の第一種、第五種を統合いたしまして定形化をいたそうとするのも、単に機械にかけるというようなこと以外にそういう意味を持っていると思うのであります。私は、郵便物というものを、いまおっしゃるように、なるほど、読むいとまもなく、あるいは読むほどの興味もなく捨てるものもございましょう。ただ、同じように来ます——君のところにも郵便はたくさん来るのではないかというお尋ねですが、私も同じような感情を持ちながら言うのでありますが、たとえば図書だとか、学燈だとか、岩波とか丸善とかから出しております薄っぺらのものであります。しかし、これは古くから読んでいるものでございますから、非常に自分で大事に振り分けながらとっておくというようなこと、したがって、なかなか形、中身、これをあわせて考えると、非常に郵便というものはむずかしい。私は郵便というものの負っている一つの宿命のように考えております。したがいまして、中身についての判断というものは容易に下せないものである以上、形において、種類体系を整備していくということはその第一歩であろうと考えております。おっしゃるような意味合いで、したがって、郵便中身というものが、形とともに、もっと信書として非常に大事にしながら扱うのに値するものであることを郵便従業者も期待する、これは私もそのとおりだと思います。そのような考え方両方次第に進んでいくことは希望するところでございますが、いまのところでは、やはりこのたびの郵便法改正も、そうした考え方を一歩進めたものであるというふうに考えたいと思います。
  8. 横川正市

    横川正市君 これは大臣のいまの答弁ですが、私は、これはいろいろな意味根本になることですから、もう一度しつこくお聞きいたしますが、現在、郵便事業というのは、たとえば誤配、誤区分、遅配、それから送達その他についての日数の非常な過重な状態、言ってみると、料金改定が出された根本の理由というものは、単に収支のバランスというものがとれなくなったからということですけれども、答申の中に明確にあるように、是正しなければならない。これは高度成長政策——いわゆる他産業と比べてみての立ちおくれということが指摘されているのだと思うのです。それの一つ改善策として料金改定というものを考えたと思うのです。そういう立ちおくれがどういう経過的な状況で起こってきたのか、なぜこれに対して事前にこの対策が立てられなかったのか、いわゆる経営者として郵便物を、あなたが言うように見ておったのならば、きわめて、送達個々の問題については、内容に触れることなしに、完全配送、完全な状態で配送されておったというならば、私は、今日あなたがここに郵便料金改定をするなどというような、そんなことではなしに、もっと事前対策というものがあってしかるべきであると思う。私は、料金改定があるいは部分的な一つの問題を解決する手段ではあるかもわかりませんけれども根本的には、企業の中の幾つかの改定しなければならない問題というものを、私どもはこれをぜひきょうは論議したいと思っているわけですが、根本問題として今日のような状態に落ち込んできたのは一体何なのか、たとえば労働者を大切にしない、あるいは施設とか設備とかというものは不完全である、一体郵便が大切なら、この労働者を大切にし、施設設備というものが完備されていかなければいけないのに、一向にそれらのことが伴ってこなかったというのは、経営者自体が、郵便が大切でないという判断企業経営者はおったんではないか、こういう点を私は今日の企業経営の中から読み取るわけなんですよ。あなたの言っているような、そういう論議ならば、私は、今日あなたがこういうかっこうで提案をしないで事済まされたような、そういう事前の策というものがあったのではないかというふうな私の判断からお聞きをいたしているわけなんであります。いま言ったように、今日置かれている郵便事業実態というものを一体どういうふうに把握されて、これが郵便事業が大切だと考え郵便事業者がそれに尽力をしてきた、こういうふうにお考えですか、それとも、その点はどうもやはりおざなりに、たとえば、いままで物の増収にたよって収支とんとん、もうこれでどうにもならなくなったから改定をいたします。改定で本質的な問題は一体解決しますか。個々の問題に具体的に入っていきますと、私は、これはもうマンネリズム化していって解決にならないのじゃないかという気がするわけですがね。この点をひとつ大臣としてはどうお考えかをお聞きいたしたいと思います。
  9. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに、終戦後の社会的混乱が、いい伝統を持った郵便についても一とんざを来たしたものであるということ、それから、それを取り返してまいりますために長い期間をかけてまいったという状態だと思います。したがいまして、業務の点でも、労務の面でも、両方とも考えなければいかぬ点はいろいろあろうと思います。ただ、私も機会あるごとに、短い期間でも局の現場を見るようにいたしております。最近も一週間ばかり前に神田の局に行って見ました。これはやや偶然でしたが、見てまいりました。区分などが、非常にいいことではありますが、町名の表示変更東京でやっておりまするために、かなりなれた人でも苦労をいたしておる模様も拝見もし、聞きもいたしました。しかしながら、それらの間に、郵便事業というものへの情熱を持って一生懸命に取り組んでいっております。そうして同時に、もっと仕事のしやすい環境を持たせるということも必要だと思います。そうした働いてくれる人たちがいかに熱心にやっておるかという状況は、私は十分くみ取ることができると思います。その土台の上に——しかしながら、いまのままで満足すべきことじゃございませんから、その土台の上に、これからの発展をはかってまいるということは当然なことだと思います。     —————————————
  10. 野上元

    委員長野上元君) 委員異動について報告いたします。  本日、安井謙君及び小沢久太郎君が委員辞任され、その補欠として内田芳郎君及び田村賢作君が選任されました。     —————————————
  11. 横川正市

    横川正市君 郵政大臣という肩書きをつけて職場を訪問されたときに、どういう粉飾がされているのかということが、あなたのいまの答弁で、私は十分にわかるわけなんです。ところが、私どものところに入ってくるのは、総括ですから、あとでこまかい点はずっと聞きますけれども、たとえば労働組合運動の熱心な青年に対して、その労働組合運動をやらせないためにどういうことを中間監督者がやっているかということは、あなたはお聞きになったことがありますか。私が現場を回ってみますと、中間監督者競輪競馬パチンコを教えて、労働組合運動を熱心にやることを妨げている。こういう事実があるとすれば、あなたの見た職場とどういうふうに違いますか。まじめに働いて、不満を持って何とかひとつ労働運動でものを解決しようと言って少し先鋭化したら、それを競馬競輪パチンコに引っ張っていって、そして、そっちのほうに興味をそそらせて、その日その日の仕事だけやってもらうということを中間監督者が職員に対してやっているとすれば、これは一体どういうことになりますか。あなたの見た職場は、これは非常にまじめに、しかも熱意と情熱を持ってやっている職場だと見ているのだけれども、私ども現場に入って見ると、そういうようなことが組合に訴えられている。こういうことになりますと、その内容というものがあまりにも違い過ぎませんか。私は、今日、郵便事業の置かれている実態というものをもう少しえぐり出して、これにどうして対処するかということを真剣に話し合っていかないというと、かりに料金問題が解決したとしても、本質的な問題の解決にはならないし、あなたたち提案のときに言っております、いわゆるサービスの向上と、しかも、確実で安全な早い郵便物を期待するということは、これは望めないのじゃないかというふうに思っておるわけなんです。それほどに、今日の郵便事業実態というものは深刻な問題をかかえていると思う。この点を最初の第一問で申し上げましたように、物を大切だ大切でないと、どういうふうに判断をして企業経営者はこれに当たってきましたか。郵便事業現状というものをどういうふうに把握をしておりますか。これは私は当然責任ある皆さんにお聞きをいたさなければならぬ問題だと思うのです。これを解明せずには、実はこの料金改定がいいとか悪いとかという論議は私はできないと思うのです。こういう問題を解決して、初めて、料金改定がどうしても必要ならば、これはわれわれもやむを得ぬという態度をとらざるを得ない。しかし、これをやってみても、本質的な問題の解決にはならないのじゃないかという疑いを持っているときには、私どもは他に方法というものを見つけ出そうとして努力する以外にないと思うのです。  衆参を通じて、私ども現場を見てこれほどに深刻な問題だという論議は、おそらくこれが大臣初めてでしょう、実際にお聞きになったのは。東京都内における郵便労働者実態というものは、大体三つの方向で動いております。一つはデカダンス、一つは向学心、一つ組合運動。そうして、それらをやらせるような環境というものは一つとして改善されておらない。一体、今度の郵便料金改定は、機械化をするとか、航空機に載せるとかと言うけれども人間でやらなければならない仕事についてどうやりますというような提案が幾らかありましたか。私は、その点は、非常に欠陥として出ていると思うのです。郵便局施設を見てみますと、論議の中では、この次から建てられる郵便局はそれほどのスペースは困難ではないと言いますけれども、どこの郵便局に行って、外勤者が三時間なり四時間なりの重労働をしたあとで休むいすがあるところがありましたか。真夏のさなか四十度もあるような炎熱のところで働いてシャワー一つかけられないというようなところを改善するという提案がありましたか。いろいろな問題点があるので、今日の郵便事業実態というものをもう少し深刻にとらまえないと、本質的な問題の解決にはならないぞと私どもは思っているわけなんですが、そういう点について大臣心がまえを、まずお聞きしたいと思う。郵便物が大切だ、大切だと言っているなら、これに対して機械化もあるだろうし、人間に対するあれもあるだろうし、施設もあるだろうし、それらの点が改善されてこそ、初めて私は、物が大切ですという企業経営者としての責任というものが果たされるのだと思うのです。この点についてもう一度お伺いいたしたいと思います。
  12. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに、職場環境というものをもっとよく、ことに従業員が比較的若い層が多いのでありますから、それらの人に激しい労働あとに休養を与え、また、ごく正常な気持ちで働いてもらえるだけの用意等をせなければいけないことだと思います。休憩室の不十分であることは私もところどころで聞きます。かつてはもう少し広くできていたが、その後だんだん狭められてこういう現状に至っていると、管理者自身が非常に嘆いており、両方で相ともに困っておるというようなことをよく見ます。それからまた、新しくこしらえる局で、これはいろいろな関係がございましょう。営繕の関係なり、予算の関係なりでございましょうが、初めから少しのことをちびっておるというのも、私、感じもし、指摘もした例がございます。それで、根本は、お話の中に出ておりましたが、まじめにやる者、真剣にやる者、これらの者を変な方向にデボートさせるというようなことがあってはならないということは、私ももちろんだと思います。
  13. 横川正市

    横川正市君 私は非常に皮相なものの見方だけをするのではなしに、少なくとも大臣、まあ神田なら神田に行かれて——この郵便という現場労働者が働いている場所ですね。そうして私は、たとえば電電公社の建物に行って、ちり一つ落ちていないという清掃状態を見て、そして、建てても一年しないうちに郵便現場がもうがたがたになってしまうという現状等を見て、これは単に行のうがきたないとか、あるいは、いろいろな人たちが出入りするとか、そういったことじゃないと思うのですよ。だから、清掃費一体どうなっているのだと聞いたら、清掃費なんというものはもうこれはないにひとしいような状態ですよ。そういうことで、一つ状態をとってみても、この郵便事業経営根本である、郵便が大切だという根本一体どこか欠けているのじゃないかと、こういう気が私はいたしたものですから、一体郵便取り扱い者としての郵便取り扱い心がまえというものはどうなんですかという点をお聞きをいたしたわけなんです。ことに、いままでは——まあ、これからはどういうふうに変わるかは、これは別として、たとえば事実上郵便は値上げをしているじゃないかという意見があるのですよ。これはもう、それほどまでに郵便に信頼がないということになるわけですね。たとえば、普通郵便であっても、東京都内なら翌日配達とか、あるいは全国三日以内に配達できるということが、全く汽車の時間表のように明確なら、私はこういう意見は出てこないと思う。ところが、いつになったら届くかわからないから、四十円張って速達にする。そうすると、事実上は郵便は値上げをしているではないかという、こういう世論というものが出てくるわけですよ。いままで私どもは安い安いと言いながら、実は郵便のおそらく収入の中に、もっと料金の急激な上昇というものがあったと思うのです。そういう点が、私は、いままで何となく安易に収支とんとん状態というものをずうっと続けてきて、本質的な解決への熱意というものを示さなかった原因でもあろうと思う。こういう点もあるわけですから、私どもは、こういう点に審議を通してどうこたえるか、これをひとつきょうはじっくりとお聞きをいたしていきたいと思います。  まずその最初に、今度のこのはかられる中で、航空機搭載とか、あるいは局内での機械化、そういった点については何回か聞きましたから、この点は省きますが、一体送達の実際上の手続上から言って、郵便局から個人までの送達について、どれだけの改善策をおとりになったか、その点をお聞きしたいと思います。
  14. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 郵便の差し出しから配達されるまでの間にどういう改善をいままでしたかというお話でございます。まあ今後の問題は別といたしまして、従前、省としてとりましたのは、御承知のように、差し出しポスト、東京から現在始めておりますけれども郵便のポストの差し入れ口を二つにいたしまして、都内と地方とに分ける。これによりまして区分の第一段階を省略できることになるわけでございますが、これは今後とも相当推し進めてまいるつもりでございます。  それから、取り集めにつきましても、夕刻郵便物数が相当ふえてくる時期につきまして、臨時便を増設いたし、近くこれを取り集めの本便化する予定でございます。これは数年来実施しているところでございます。事実上、東京等におきまして取り集め回数が一回ふえるということになってまいるわけでございます。  局内作業等につきましては、これは外勤も同じでございますが、ともすれば郵便物数の増加に比べておくれがちでありました要員の充実、これにつきましても、内勤につきましても鋭意努力しておりますが、外勤につきましては、先般も御質問のございましたように、給与その他の改善等も行ないまして、一昨年ありましたような大ぜいの欠員というような状態はなくなりまして、大都市周辺部のごく一部の局等におきまして間々おくれがちなことはございますが、総体としますと、要員不足ということで郵便がおくれるということはあまりなくなってきております。ただ、配達等の面につきましては、まだ勤続日の浅い職員の比率が高いために東京都内等におきまして、三十数%が一年あるいは二年以内の勤続というような状況がなおございますために、急に病気等で休みますと、あと補充等が十分できない、通区能力の関係で十分にできないという事情はまだ完全に解消しているとは申せないわけでございます。  途中の運送につきましては、これはいままでのところは、過去の計画を完全に実施、そのとおりにできるだけやるというようなことに当面力を注いでいるわけでございますが、これらにつきましては、今後の計画としては、御承知のように、航空搭載、自動車便の増設等に相当意を用いる所存でございます。  なお、訓練等について意を用いておりますことは、先ほど、勤続年数の短い者に対する省の対策等もちょっと申し上げましたのですが、研修所での訓練、職場での訓練、そういうような面につきまして、関係の方面におきまして、関係方面とも連携しまして、特にその面に力を注いでいるわけでございますが、まあ、そういうようなことばかりとは申せませんが、郵便の運行状況も逐次良好になってきているのではないかというような感じもする次第でございます。
  15. 横川正市

    横川正市君 そこで具体的にお聞きをいたしますが、これはまあ最初企業経営のあり方の中で、たとえば電電公社が郵政省と同居して、逓信省で、逓信省の局の一環として経営をされておった当時の電電公社というものを想起しながら、これが二省分離、あるいは公社への移管等の手続がなされて、まだそう日が私はたっているとは思わないけれども郵便事業の歴史から言いますと、八分の一ぐらいしか実はたっておらないわけですが、そういう電電公社のできてから今日までのわずかな期間に、非常な改革が行なわれ、国民に対するサービスが非常に高まったと、こういう点をどういうふうにお考えになっているか、何と何とが原因であったかと、この点をひとつお聞きをいたしたい。
  16. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 一つは、やはり作業の方法の違い、技術の導入しやすいかどうかという問題もあったかと思います。同時に、公社になったということからしまして、そういう公社の首脳部自体におかれまして、また、職員全体におきまして、事業に取り組む気持ちというものも、公社になったからそうし得るのだということよりも、それを機会として企業経営に目ざめる、そういうようなことも大きな原因であったのではないかというふうに考える次第でございます。
  17. 野上元

    委員長野上元君) ちょっと速記とめてください。   〔速記中止〕
  18. 野上元

    委員長野上元君) 速記起こしてください。
  19. 光村甚助

    ○光村甚助君 総理に対しては、ほかの委員からもたくさん御希望があると思いますので、大まかな問題をまず私から質問したいと思います。  郵便法が参議院に回ってきましてから今日で四十三日になっておりますが、この審議がこんなにおくれたという理由は一体どこにあるのかということを総理はお考えになったことがあるかどうか。けさの新聞を見ますと、社会党が非協力だから法案がおくれているというようなことが新聞に出ておりますけれども、もちろん、私どもは、郵便料金というのは公共料金ですから、これは非協力で廃案にしたいという考えは持っております。しかし、それとは別に、郵政省の特別の事情でこの法案の審議がこんなにおくれているという事情をお聞きになっておりませんか。それとも、いやそれは聞いていない、君たちのほうが非協力だからおくれているのだという高姿勢なら、私のほうもまた考え直して、高姿勢で攻め立てなくちゃならないわけです。何か聞いておられませんか。まずそれをお聞きいたしたい。
  20. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 法案の審議、一々私はどの委員会でどういうような審議をしておるか、こういうことは実は伺っておりません。したがいまして、ただいまのように、非協力だから郵便法改正が非常におくれている、かようなことはまだ郵政大臣からも報告がございませんから、そういうことはない。むしろ、本日もたいへん熱心に御審議いただいておる、かように思っております。
  21. 光村甚助

    ○光村甚助君 いや、私が聞いているのは、そういう点じゃなくして、こんなにえんえんとしておくれる原因が一つあるわけなんです。それは、郵政省が労働組合に対する対策ということなんですね、こういうところで、ことばが適当でないかもしれませんが、あなたのほうにも相当圧力団体があるわけですね、私のほうにもこれはあるわけなんです、ある程度の、これはことばは悪いかもしれませんが。郵政省というところは、総理大臣、あなたも郵政大臣やっておられたように、企業官庁なんです。これは一つ事業をやって、収益をあげて国民にサービスするというところなんですね。ところが、郵政官僚というのはそうでないのですよ。一つ事業をやっている部門と、人事を扱っている部門があって、人事管理の面に興味を持って、それが突っ走るのですね。そうすると、こういう大きな法案を一つ通そうとする場合に、事業当局は一生懸命になるのだけれども、人事管理の面の当局は、そういうことはすっぽかしで、何とかしてこの労働組合を弾圧してやればいいじゃないかというような考え方があるのですね。そういうことでは私は事業経営は成り立たないと思うのです。そういう点で、どうお考えになっておられますか。
  22. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、この郵便法改正がたいへん時間をとっておるということは、ただいまお話のうちにもありましたが、物価に関係を持つ、あるいは国民生活関係を持つ、こういう意味で、経済的な非常な重大な意義を持っておる、こういう観点から、各党とも非常な熱意を持って審議しておられる、かように思います。ただいま、これはそういうこともあるだろうが、やはり郵政省の特殊事情だ、その点はどう思うかというお尋ねでありますが、私もしばらく郵政省でごやっかいになったことがありますし、光村君もその点ではたいへん長い間協力された先輩だ、かように思うので、実情はよく御承知のとおりだと思う。私は必ずしも郵政省だけがこの人事管理権、それから実施面等において問題がある、かようには思っておりません。私は、いずれもこの人事管理においても、また事業遂行担当の衝にある者も、ほんとうに一体になって、難専業、国家の大事業といいますか、公共性の非常に高いこの事業を国民の期待に沿うように運営しておる、かように私はかたく信じております。しかし、なお、大きな場所ですから、個々の具体的なものにつきまして批判がある、こういうこともあろうかと思いますが、そういう点は今後とも十分注意して、批判を受けることのないようにいたしたいものだと、かように思っております。
  23. 光村甚助

    ○光村甚助君 しつこくなりますが、簡単に申し上げますと、現にそういうことが起こっているわけなんですね。何べんも言いますように、郵政省は企業が大事でなければならない。法務省だとか、あるいは通産省というような行政官庁じゃないはずなんです。事業をまずもり立てていくということを大事にしなければならないわけなんですね。この前の公聴会の席上、自民党さんで選ばれた公述人でさえも、人間関係が大事だということを盛んに言っているのです。郵政大臣、速記をお読みになったか——自動車や飛行機で各県に配っていくものじゃない、これは人間が一軒一軒配っていくわけなんですね。それだのに人間というものを大事にしなくて、何とか自分たちの権力でもって労働組合を弾圧して、自分たちの思うようにやろうとするところに問題があると私は言いたいのです。自民党さんの人でさえ、人を動かすということは金だけじゃないということを言っておられます。最後の人間の労力に対して十分なる手当てをしてやる、人間関係を徐々につくり上げていくことですと言っておられます。「金だけで済まない問題、人間関係、それはどういうようにしていくかというと、やはり人間はうわべだけでなく、とけ込んで、どうしたい、手をたたき、手を持ち、肩をたたき、そしてその一人々々に憂いのあるときは、やはり知恵を授けてやり、喜びはともに喜んでやるという深みのある仕事をしなくちゃならない、」、人間関係ということは一つのその職場々々の指導者の力によると思います——自民党の公述人でさえも、こう言っておられる。ところが、郵政省の人たちはそうでないのです。ことごとく問題を起こしているということをわれわれは聞いているのです。こういうことで私は事業経営というものは成り立たないと思うのです。そこで、私はこういうことを考えているのです。郵政省というようなところに、大臣や政務次官を置いて、それは一年交代にさせたのでは、なに、あの大臣や政務次官はもう六月末か七月になればかわるのだから、大臣や政務次官の言うことを聞かぬでもいいということは言わぬでしょうけれども、われわれの耳にそういうことが入ってくる。いまの郵政大臣は私は小ものだとは言いませんが、総理大臣だとか三木さんのような実力者の大臣がおれば、郵政官僚も言うことを聞くでしょうけれど、一年でぼつぼつかえられたら、官僚なんというのはなまいきで言うことを聞かない。だから、郵政省のようなところは大臣を置いてもいいが、そのような郵政長官というものを置いて、五年とか六年とか、しっかりそういう人にやらしたら功績があがるのじゃないか、そういう改革意見を持っていますが、どうですか、あまりとっぴですか、総理大臣
  24. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) この管理部門あるいは事業担当部門、こう分けますが、これはもうそれが一体となって初めて郵政省の成績があがる、かように思います。私は、むしろ、この郵政省としては、事業担当部門のほうが非常な力があるのじゃないか、当委員会を見ましても、ずらりとお見受けするところ、担当部門の御出身者が非常に多いようです。どうも管理部門あるいは人事担当部門のほうは非常に少ないようにお見受けいたします。私は、いま言われるような具体的な方法、あるいは郵政省の機構について改革できないか、これは絶えず行政部門として改革についても真剣に検討しなければならぬと思います。しかし、ただいままでのところ、郵政事業郵便事業そのものは、どうも国が直接やっておる、どうもそういうように見受けますので、これを鉄道あたりのような公社形態にすることはいかがかと思います。また、大臣そのものがしばしばかわると、これはたいへん残念なことでありまして、いまのわが国の政党政治のもとにおいて、あらゆるわれわれがくふうしなければならない点だと、もっと親しみを持たなければならないと思います。かような点だと思います。光村君いまも言うように、これは事業は人だ、そういう意味において、人のつながりがもっとうまくいかなければだめだ、お説のとおりであります。私はそれについて何の異存もございません。全然同意見であります。そういう意味から、管理部門あるいは事業担当部門、これがもっと緊密であって問題を起こさないようにしたいものだと思いますし、また、大臣そのものも十分組合を通じ、また組織を通じ、従業員一体となる、こういうことが望ましいことだと、かように思います。
  25. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連いたしまして、総理にお尋ねしておきたいと思うのですが、先ほど同僚の光村君から、労務行政のほうが少し先ばしりをしているのじゃないか、勇み足をしているのじゃないかというような趣旨質問をしておりました。この点はやはり、総理もかつて郵政大臣を体験された方でありますから、十分事業内容もおわかりだと思うので、この際、やっぱり総理としても、町の内閣の首班としてぜひお尋ねしておきたいと思うのでありますが、今日こうして郵便法改正案が出ております。料金の改定でありますが、なるほど、五円が七円になる、十円が十五円になるということでありますから、国鉄のように何百円、何千円という金額でないかもしれません。けれども、何しろ四割から五割上がるというこれだけの値幅の引き上げというものは、相当これは国民は重大な関心を私は持っておると思う。ところで、一体いまの事業内容を見たらどうかということになると、郵便事業は御案内のとおりです。言うならば乱れております。おそらく国民は、相当サービスは向上されるであろうということを私は期待していると思うのですね。ところが、なるほど、お話によれば、機械化も進むでありましょう。局舎の整備もされるでありましょう。しかし、私ども考えますには、事業というものを一体政府はどう考えるか、このことを考えてまいりますと、やはり事業というものは第一線に立って運営をされませんと、この国民の期待を裏切ることになるだろう、そのことを私は非常に心配するわけであります。この事業を立て直すには、機械化も必要でありましょう。局舎の整備も必要でありましょうが、いま同僚の横川君のほうからも郵政大臣質問がありましたけれども、働く労働者を大切にする、言うならば処遇を改善する、それから職場環境の改善整備になるわけでありますが、そういう問題についても相当の力を入れなければ、この事業のサービスというものを向上することはおそらく私は困難でないだろうかという気がするわけです。そこで、いま光村君のほうから話がありましたように、もうこの事業事業官庁というのであれば、政府事業という、政府——各省ですね、郵政省という経営ではなくて、たとえば公社と申しますか、公団と申しますか、そういうような民営に近いような方向でやったほうが効率があがるのではないかという意味質問をしたはずであります。私はこれと関連をいたしまして、現業官庁でありますから、何としても事業主体ということを考えなければならぬ。郵便なり貯金なり保険というものがほんとうに国民の要望するように、その期待にこたえる事業の運営というものに何をおいても最重点を置いて管理者当局は当たらなければならぬと考えているわけであります。ところが、その事業運営というものがあまり先行するのではなくて、人事行政、労働行政という、むしろ、それらの事業のサービス機関としてあとに立ってそれをバックアップする体制というものが一番望ましい姿だと考えているわけであります。ところが、最近所々方々に起こっている職場の混乱を見ておりますと、どうもそうではない。親の心子知らずと申しますか、というような状態があらわれておるようであります。非常にこれは残念であります。したがって、事業本位に考えて、優秀な人材はまずこの事業運営に当てる方向に持っていく、そういう方向に尽力されることが一番望ましいと思うのであります。  そこで、いま光村君のほうから大臣質問をしておりましたが、この郵便法が今日これまでえんえんとして審議が続いているのは一体どこに原因があるのか大臣は承知かということを質問されたですね。その真意は明確には出なかったけれども、それはやっぱり職場における組合間の混乱ですね。特に、何と申しますか、弾圧ということばは適当でないにしても、何かそれらしいものがあってこういう混乱が起こっているというところにも原因があるのだ、そういうところが強く響いているんだから、これはやっぱり変えなければならぬじゃないかということを言いたかったのだろうと私は思うのです。だから、私が総理の所見をただしたいのは、いやしくも事業官庁でありますから、事業本位に考える労務行政でなくてはならぬじゃないか、この点について大臣もおそらく私は賛成されると思いますが、歯切れのいい答弁をひとつしていただきたい、このように思います。
  26. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は、ただいまのお話が意外な方向へ発展しているのでちょっとびっくりしているのですが、永岡君のお話によると、ただいま郵便法、料金改正の審議をしておるが、このもとはどうも組合関係、そうして、それに対する労務行政がよくないからいろんな審議がおくれておる、こういうようなお話ですが、もちろん、事業遂行にあたりましては、事業運営本位にものごとを考えなければならないことは、どの点についても言えることだと思います。私はむしろ、この事業遂行の面からいいまして、この郵政事業は大体八〇%これは人件費だ、こういうふうな意味もあるし、先ほど来言われるように、やはり事業をやることは人の問題だ、人のつながりがよくなければならない、こういうことを言われておりますから、そういう意味で、労務行政といわず、人事管理全般にわたって事業運営に役立つように、そういう方向で一本の基準があってそれは進められておるものだと、かように私は思って、そのほうには実はあまり触れなかったのであります。むしろ、この郵便法改正の持つ経済的意義あるいは社会的意義、そういうことに重点が置かれて審議がされておると、かように私は思うのであります。しかし、ただいま永岡君の御指摘もありますが、十分——先ほど光村君にもお答えいたしましたように、あるいは不十分かもわかりませんが、私は、事業官庁として最も大事なことは人の関係だ、人の問題だと。したがって、その人が完全に協力体制のできる、それが最も望ましいことで、そういう方向で運営また管理されなければならぬ、かように私は思っております。これが具体的な問題で、あるいは組合員に対する弾圧だとか、あるいは特殊な組合ができるとか分裂だとか、こういうようなことを郵政省自身あるいは管理者自身が企てるべき筋じゃない。これは私もちゃんと総理としてさように思っております。この労働運動についての理解は、皆さんと幾ぶんか違うかもわかりません。私は組合自身は本来、ただいま申し上げるように、協力して事業遂行の完ぺきを期するという方向であってほしいと思います。ただ、組合の勢力争いや何かに巻き込まれるようなことがあっては、大事な事業の遂行がおろそかになる、かように思っております。
  27. 永岡光治

    ○永岡光治君 それでは大臣の大体の所見は私もわかりましたが、したがって、ここで確認しておきたいと思うのですが、もちろん、郵政当局もそういうことは考えておらぬと思いますけれども、いやしくも不当労働行為等あっては、これはたいへんな問題でありますから、そういう問題については厳重にひとつ措置していかなければならぬと思いますので、将来といえども、その点については、郵政大臣はもとより、それぞれの部局長におきましても、この点について総理の意思を体して、そういう方向に改善をしていかなければならぬと思うのでありますが、そういう問題について一体総理はどう考えておるか、この点も明確にしていただきたいと思うのです。
  28. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま永岡君から不当労働行為、こういうお話が出ました。もちろん、不当労働行為というようなものについては、管理者はもう厳正な立場でこれに臨まなければならないと思います。私は、いま不当労働行為、これはむしろ、管理者側の問題としてそういう意味のことが言われておると思いますが、この郵政省のような事業官庁で多数の職員を擁しておる、そこでやっぱり大事なことは、双方で話し合いがつき、了解の得られたいわゆる秩序維持の方法、その原則に立ってものごとが処理されるということが望ましいので、これは前提として、そのことだけはひとつ御協力いただきたい。その意味のことは十分労使双方で話し合ってただいまつくりつつある、かように思いますが、それは厳重に守らるべきである、かように私は思います。
  29. 永岡光治

    ○永岡光治君 これで総理に対する質問あとに譲りますが、郵政当局の上層幹部は必ずしもそうではないと思うのであります。主として中間管理者層と申しますか、そういうものが事業運営というものをどう考えるかということをやっぱり考えていかなければならないと思うのです。これは真剣に事業に取り組んでいくということになれば、おそらくいま問題を起こしたようなことは私は起きてこないだろうと実は思うわけでありまして、そういうものに対する取り締まりと申しますか、指導と申しますか、そういう点についても、ひとつ十分考慮していただかなければならぬと思うわけであります。
  30. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま御指摘ございましたが、今後とも厳正に指導してまいりますし、また、さような問題が起こらないように一そう注意してまいるつもりです。
  31. 光村甚助

    ○光村甚助君 労務問題はその程度にしまして、事業内容に対する質問を大ざっぱな点を質問いたしますが、去る四月の私の本会議における質問に対して、総理大臣も言いっ放し、私も言いっ放しで論議ができなかったわけですが、その席で、私は、赤字を一般会計からある程度補てんしたらいいじゃないかと言いましたところが、これは利用者負担にすべきが当然だと言って頭からやられたわけです。私も郵便料金の赤字を全部税金で負担しろなんということは決して申しません。しかし、郵政省自体で政策料金というのをとっておられるのですね。独立採算制というなら、各部門に独立採算制にすれば私は納得できるのです。現に一種、二種は黒字なんですね。三種は赤字なんです。その赤字の三種が社会文化の向上、国家目的のための政策料金なんですね。そういうものが一種、二種の郵便料金にしわ寄せされるということが私は不満なんです。現に新聞社の人もおられますが、新聞の発送が、送り賃が十一円だとか言っている。さっきの物価との連合委員会で高山委員からは、イギリスあたりでは新聞の送り賃二十何円取っていると言われた。日本では十二円かかるのがいま二円なんです。それを三円にしようと。また、赤字の負担を一種、二種で、もうかっているのを値上げされる、これが私は納得がいかないのです。一般の国民が納めた税金で郵便料金の赤字を補てんしろとは決して申しておりません。政府で政策料金として、安くしておられるのを、ほかの一種、二種にしわ寄せされるという事態が私は納得いかないのです。文化的向上、国家的目的のために政策的料金をおとりになるのでしたら、この分だけでも一般会計から補てんされる意思はないかということを言いたいのです。
  32. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの光村君のお話、ある程度首肯できますが、いまのこういうような鉄道の運賃だとか、あるいは郵便料金だとか、大体全体としていわゆる独立採算制をとっておる。その種別によりまして、第一種、第二種、第三種それぞれ分けまして、区分けして、そうして採算制をとるわけじゃないのです。そこにひとつ——これはもうたいへんな経験者だから御承知のとおりだと思います。したがって、郵便そのものが非常な公共性の強いものですから、そのうちでも特殊な料金については、これは安くする、ただにする、こういうような処置をとっておるわけなんです。それが、国からこれを補てんする、そうすると、やはり税金でまかなうのだ、こういうことになるわけなんです。それよりも、郵政全般の事業としてこれはやはり見ていく。これがいまのところではやむを得ない処置だ、かように思っておるわけです。この点はひとり郵便ばかりじゃございません。鉄道のほうにおきましても同じような処置をとっております。公益性の強いものでありますから、政策料金、政策運賃、そういうものが要求される。しかし、それを他の部門でやはり補っていっている。そのために他の部門を非常に上げるというようなことでも、それまた困りますから、ただいまの政策料金のあり方にしても、これがまかなえるというか、納得のいくような範囲でおさまるように大体料金をきめていく、こういうことであります。したがいまして、私は理論的に全然考慮の余地なし、かように申しておるわけではありませんが、政策料金として特殊に負担を軽くしている、そういうものが他の郵便料金でまかなえるというようなことが望ましい、その範囲内の政策料金が大体いま考えられておる、かように御了承をいただきたいと思います。
  33. 光村甚助

    ○光村甚助君 私ももっと議論したいのですけれども、ほかの委員の人が待っておられますから簡単にしますが、しかし、そういう議論になりますとね、第一種の手紙がいま十円、これでも黒字なんですね。これを十五円にするという。これもまた、この間も公述人から文句が出ています。もうかっている手紙をどうして十五円にしなくちゃいけないか。地方で新聞をとっている人の負担だと言ったら、おこってしまいますよ、名古屋あたりでは、そんなばかなことがあるかと言って。だから、手紙だけ出して新聞をとらない人からいえば、手紙を出す人の料金で新聞をとっている人に負担するわけなんですね。これは総理大臣も理屈があるかしらぬけれども、私も言い分があるので、これを議論していたんじゃ結末がつきませんから、あとの人に譲ります。  二問目は、特別会計内の繰り入れの問題なんです。御承知のように、郵便、貯金、保険と、それぞれ別にありますね。ところが、郵政省——まあ貯金を郵便局の人が営々として集めている。これ全部大蔵省へ持っていって、郵政省は六分五厘でもらっている。そういうことでなしに、ある程度郵政省に運用させたらいいじゃないか。そうして、運用さしてその利益があがれば、郵政省内で、ある程度自由に移用流用ができるような道はできないのかということが、第二問なんです。全然それもできずに、大蔵省の官僚が、郵政省というところは貯金さえ集めたらいいのだ、運用はおれのほうがやるからということでは、郵政省としては魅力がないわけですね。それならいっそ郵便貯金というものは全部大蔵省へやってしまえばいいんです。全部大蔵省で、大蔵省の貯金局というようなものを各地方へつくって、そこでやればいい。そうすれば、郵政省の人も文句を言わない。営々として集めさして、何兆円という金を大蔵省で運用する。おまえのほうには六分五厘でやるからそれでやれというのでは、全然妙味がないのです。これも前に質問したことがあるのですが、その点についてはもっと前向きの何かお考えございませんか。
  34. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私も郵政大臣をやった際に、これ運用ができないか、大蔵省にいろいろ要求をした。その後、大蔵大臣をしたときに、郵政省あまりそういう要求を出すな、こういう話もした。実は両方私は経験者なんですが、ただいま光村君の言われるように、運用をやらないのなら大蔵省でやれと、これだとちょっと言い過ぎで、郵政省の方も必ずしもそれに賛成なさらないように思う。だから、そう簡単に結論を出さないで、そこらはやはりひとつ運用の妙を発揮するようにしていただきたい。  そこで、保険のほうはいま還元融資というものをやられておる。この率がいまのままでよいか悪いか、そういう議論はあると思いますし、また、郵便貯金等についてやはり何らか考えろという、そういう点もあるだろうと思いますが、最近の経済情勢からいえば、やはり一カ所で運用することが最も望ましい情勢でもある。これらの経済情勢も勘案して、これは未来永劫不変、こういうわけのものでもないのですから、そこらどうすれば一番成果をあげるか、目的を達するか、これをもう少し弾力的な立場で考えるべきことじゃないか、いまさように私考えておりますから、どうも、一切運用を許してくれないのなら大蔵省でやれと、この議論だけはひとつお取り下げをいただきたいと思います。
  35. 永岡光治

    ○永岡光治君 関連。いま貯金の問題について触れて大臣から答弁がありました。保険のほうは運用はまかせられておるわけです。ただし、運用の方面は制約があります。ところで、事業団という一つの団体をつくりまして、これは国民の零細な保険料から成り立っている事業だということから、サービスの意味もありまして、事業団というのがつくられているわけですが、貯金のほうには相当額の、大蔵省、約二兆七千億ですか、これは資金運用部のほうにいっておるわけであります。表現は適当じゃないかもしれませんが、いわゆる黒字と称せられるものが貯金のほうには約三百五、六十億ことしあるわけです。没入金も八億から、九億あるわけです。そういう問題について事業に携っている職員の慰労もありましょうし、あるいは貯金をしていただいている預入者の方々にするサービスもありましょうし、そういう意味で何かここで報いると申しますか、そういうものを私は考えていいのではないか、こう思うわけです。そこで先般の衆議院の逓信委員会だと私は記憶しておりますが確かに森本君からの質問だと思っておりますが、大臣に対してそういう意味の金融なり、貸し付けなりあるいはその他の方法について、たとえばその保険事業団がやっているようなことも合わせたものを考える必要があるんじゃないかという質問に対しまして、大臣はその点は十分わかりますので要望に沿うような——表現は別でありますが、やりましょうという意味答弁があったわけでありますが、わが参議院におきましても、衆議院だけで言って参議院は何もないというのでは、これも問題でありますが、衆参両院の意向として総理大臣はどう考えているかということを私はこの際明確にしておきたい。
  36. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私は何も、どうもいまのことばじりをとらえるわけではありませんよ。とにかく係の方が貯金を奨励したからといって、やはりそれは何か考えなければならぬというものではないと思います。これはむしろ公務員の給与そのもので考えるべきだと思います。しかしどうも郵便貯金なりあるいはこれらが民間の協力を得て、この協力はどうしても見逃すことはできませんし、ことに市町村あたりの協力がありまして、非常に郵便貯金も職員の集める努力と相まって効果をあげていると、かように私は思うのでございます。そういう意味で、地方から吸い上げて全部中央に持っていって使われると、こういう批判は過去においてもあったであろう、現在もあると思います。またそれが永岡君の言われるように、従業員の努力と相まっているんだ、こういうことを考えると、何か管理者に対しても、従業員に対しても、また中央に対しても、その行為に報いるものがあってもいいんじゃないか、こういう御議論は、私はしごくもっともだと思います。だから、そういう意味で、郵政大臣もいろいろくふうしているようです。まだ結論は出ておりませんけれども、私はいまの事業団その他においても考え方なりまたその使い方等について、これは郵政省的な考え方を持つ、これはあたりまえのことであります。しかしそれを全部こうしろと、こうは言われないだろうから、それらのものはもう少し掘り下げてみる必要があるんじゃないか、私はしかし、いまのところは先ほど光村君にお答えいたしましたように、いまの経済情勢は一カ所で運用することを希望している。そういう経済情勢でもあるから、それにこたえなければならない、しかしこれは弾力的の考え方で進んでおりますよということを申し上げておりますので、これはなお結論は今後の検討にまかしていただきたい、かように私は思います。
  37. 光村甚助

    ○光村甚助君 さっきの貯金の話ですが、大蔵省にやってしまったらどうだ、これは私が質疑応答をしたら、郵政省からそういうことを言ってくれるな、郵政省の人も反対である。実は私も反対なんだけれども、あんまり大蔵省のやり方が独善的で郵政省に妙味がないので、逆論を申し上げたんですが、やはりそういう面で過去に郵政大臣をやられた総理大臣ですから、もう少しあたたかい目で見てやっていただきたいというのが、私の本心なんです。誤解のないようにひとつしてもらいたい。  最後に郵政省に対する態度が冷淡だということでついでですが、郵便局舎をつくるのにほとんど郵便料金の値上げで建っているわけです。だから財政投融資の面で国鉄は四十一年度で千八百五十億円の財政投融資があるわけです。電電公社が二百八十億であります。ところが、郵政省に対してはわずか三十億なんですね。こういう点もあるので、やはり郵便料金の値上げというものも出ますから、郵便局舎というのはやはり国有財産ですから、こういう面に対してもっと財政投融資をやっていただきたい、こういう面でやはり総理大臣からも閣議でそういうことをもう少し推進していただきたい、こう思うわけでございます。
  38. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) これはもっともな御要望だと思います。私も過去におきましても、及ばずながらっとめてきたつもりでございますが、今後も力を入れるようにいたしたいと思います。ただいまの運用の問題等も、こういう事柄にもっと金額も多く使われるようだと、よほど考え方も皆さんのほうにきつく与えないだろうと思います。いかにも郵政省、金を集めたその結果の財投からわずかしかもらえない、これは残念だ、かように考えれるのはもっともだ、かように思います。
  39. 横川正市

    横川正市君 総理大臣答弁の前に人事院総裁にちょっとお聞きをいたしますが、公務員法の第五条の末尾に人事官の任命についての項が規定されているわけですが、これは単に人事官が、こういう規定を設けてこの任命について偏在をしないようにというふうに規定をされたことについて、どう御理解になっているか。  それから、各省からの人事の任命について当然それぞれ諮問を受けるわけですが、そのときの範囲について、一体この項目は幾らかでも生かされて、各省人事のそれぞれの配慮が行なわれているのか、その点をひとつお聞きいたします。
  40. 佐藤達夫

    政府委員佐藤達夫君) おっしゃいますとおり、第五条には人事官のいろいろな任命条件がございまして、学閥あるいは政党的な片寄りを排除するようにという法律ができておりまして、これは人事行政の中核に当たりまして、その全体を統括すべき立場にいる責任ある人事官についてのことでございますので、そういう面をも非常に大きな条件として法律で規定されたのだと思います。ところが、いまお示しの、一方普通の公務員、一般の職員につきましては、公務員法上は、むしろ能力主義のほうを非常にはっきりと打ち出しておりまして、これは三十三条でございますが、能力主義の実証によってすべて任命等は行なえというたてまえに立っているわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、そういったいろいろな試験実施、あるいは選考の運営といいます部面につきましては、本人の能力を第一に見る、したがいまして、試験の成績が優秀であれば、東大卒業生が二、三人固まっても、これは多過ぎるからおまえ引っ込んでくれというわけにはまいりませんので、公務員法の一方のたてまえから申しますというと、能力のはっきり実証したものはそのままこれを採用していこう、こういうたてまえになっております。したがいまして、ほんとうに同じような能力の条件がほんとうに比べてみてどっちつかずだという場合、その場合に選択をする一つの基準としては、これは公正に任命権者のほうで考えていただくという部面は、あるいはあるかもしれません。法のたてまえとしては能力主義であるということに尽きるわけでございます。
  41. 横川正市

    横川正市君 そこで総理大臣にお聞きしたいんですが、これは各官庁の人事上の配置について、いまのような能力主義一本でいいかどうか。これは法律改正の問題にも関連するわけですが、ことに企業官庁の場合、一体社会通念上からいきますと、小学校を出た者にも東大卒業者が使われるという例はあるわけです。ところが官庁に限っては、いわゆる高級公務員試験に通ったということは最終バスに全部乗れるということで、いわゆる能力主義で全部の決定が行なわれるわけです。一つ郵政省の実態を調べてみましても、本省の局長、それから各郵政局の局長、あるいは全部大別なら五高−東大とか、一高−東大とか、そういうコースを通った者が人事配置として行なわれております。それが一体企業経営の立場からいって、人事配置としても妥当な配置かどうか。この点については、私はもっと違う意味経営能力とかなんとかいうのは、配慮する必要があると思うんです。そういう点から、一般官庁はもちろんでありますけれども企業官庁の場合には、いわばいま言ったような人事院の実力主義の人事採用ということではなしに、もっとバラエティに富んだ人事配置が必要なんじゃないか、こういうふうに思うのでありますけれども、これは非常に基本的な問題なので、ぜひひとつ実効ある答弁をいただきたい。
  42. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま人事院総裁がお答えし、また横川君御自身がお尋ねになっておりますが、この間に私はあまり食い違いはないように思っております。いかにも能力主義と、かように申しますと、冷たい何かそろばんでもはじいてきちんと出るような能力が出てくるようなこういうような感じを持たれるかもわかりませんが、しかし必ずしもそうでもない。そこでいろいろな点から、この適材適所の人材を見つけるためにあんばいしていくわけであります。したがって官学の者もあるだろうし、あるいは私学のよさも取り入れるだろうし、また全然学歴がなくても、経験を主体にしてのそういうポストもあるでしょう。そこでいわゆるバラエティーのある人事ができるわけです。かように私は思っております。私がかつて鉄道におりました際においても、鉄道でもいわゆる官学の人ばかりではない。ただいま私が申すような局長さんも現に出ていたわけであります。それから非常に変わってもう二十年、三十年たっておる今日においては、もっと民主化されている、私はかように信じております。ことに組合の諸君もこういう点については非常に敏感ですから、なかなか人事管理の立場にある人だけの考え方でもなかなかいきかねているというのが、実情じゃないか、かように私は思いますので、横川君のせっかくのお尋ねですが、適材適所主義、これが貫かれている、かように理解していいのじゃないか、かように私は思っております。
  43. 横川正市

    横川正市君 これは私は相当大きな弊害を生みつつあると思っているのですよ。言ってみれば、総理大臣は非常に抽象的な一般論ですね、それは。ところが実際の状態から言えば、たとえば学閥は学閥を生み、そして実際上のその普遍的な物の見方ができなくなって、病根がだんだ高じてきて、自分だけが何か特別なエリートを持つ者だ、選ばれた者だというような考え方になってきて、ことに現業官庁なんかの場合には、そういうエリートがじゃまになって、斬新的な企業経営というものができなくなってきている。これは官庁の一番弊害じゃないですか。たとえば私もいま質問の途中でありましたけれども電電公社の総裁が技術畑から出ていっても、これは何もふしぎはない。いまはその経営についての手腕、力量が買われているわけです。ところが郵政省では技術畑の次官ができるかといったら、これは絶対できません。そのできないということは、それではいいことと結びつくか悪いことと結びつくかといえば、いま総理大臣の言うように、一般論から言えば、それは能力があったからということになるでしょう。実は私はそういう一般論でそれが律しられぬような、能力が埋没しているというような気がするのです。実際には埋没させるような糸を引いたような人事というものが長年の間、累積、蓄積されて弊害を生んでいる、こういうふうに思うので、なるほど試験を受けたときの実力は、これは実力として評価に値いしたものがあったかもしれません。しかし、長い人生の間に実力以下になるということはずいぶんあるわけです。ところが実力以下の者も、その試験をパスしておけば、あとはとんとん拍子というようないまのシステムというものは、これは私は是正するのが当然だと思うわけなのです。私どもの知っている中でも、位人臣をきわめて次官までやったあとやめて国会議員になったら、今度は自分のところでこそこそと郵政省に物品納入業を始めたなんという、そういうのもあるわけですから、実際に。だから私はいま計ったような弊害というものをどういうように是正するかについては、一般論ではなしに、ある程度人為的な是正措置を講じておく必要がある。それはいまの人事院のいわゆるマル・バツ式で通ってきた高級公務員の実力主義でものごとを判断しないで、もう少し普遍的に人事というものを、これを行なえるような形をとるのが、私は国益だと思うのですがね、実際には。この点ひとつもう一度お答え願いたいと思います。
  44. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま横川君の言われるとおり、現実の問題としてなかなか意に満たないものがある。そこでただいまのような批判が起こるのです。これはしかし、やはり地位のある人、いわゆる人の評価、それ自身が間違っておると、これを批判を受けてもこれはしかたがないと思います。しかし、制度上からこれが進んでいくというものではないのです。たとえば学閥があって、その学閥以外の者は一切出世できない、こういうものではない。しかし、甲の人を登用したそのときの評価は、自分ではこういう見方をしたのだ、しかしそれが普遍性、妥当性がなくて他から批判されること、これは間々あろうかと思います。しかして最近は、一つの派閥、これはもうできるだけないようにするという考え方だと思います。私はこの間、これはちょっと余談のようですが、いまに非常に教育が普及して、もうしばらくしたら全部が大学卒業生になるだろう、こういう話をしたら、総理はいまなお学閥を考えているのか、だから大学出でなければだめだ、こういうようなことを考えているのじゃないかと、こういって批判をされましたが、教育の普及は必ず行なわれる、それと同時にりっぱな力を持っている人は、学校を出なくてもそれが重用される、そういう世の中をつくらなければならぬ。これは政治の問題であり、私どものこれは進むべき筋のものだ、かように私は思っております。しかし、なかなか実力のある者、すべての者があの人はりっぱだとこう言っておりましても、それが不遇でなかなか認められない、こういうのが過去においてもあった。今度はそういうもののないようにするというのが私ども仕事だと、かように私は思っております。
  45. 横川正市

    横川正市君 まあ総理大臣のいまのおことばは、非常に期待をかけて私はおりますけれども、しかしそういうなまやさしいことで、あなたの期待が現実になるということには、どうも私はならないような気がいたしますが、これはひとつ少し時間をおいて見ることにいたしましょう。  もう一つはこの前のたしか人事院の勧告のときにも、人事院側から一つの条件として出されたわけですが、民間と公務員との賃金の差が、優秀な人材が民間に流れて、そうして公務員としての人材が二流、三流に落ちているという、こういう実態は見のがせない実態なので、これに対してどう対処するかという公務員としての人材の発掘のためにはきわめて重要な意見が出されておりました。もちろん、これは総理大臣は完全実施をされて人事院の勧告を、これを行なったということは、そのことを認めたということになろうと思いますけれども、たとえば郵政なんかの場合は、一般の関連企業で十年ぐらい違う。勤続いたした者は同じ十年の者との間には、少なくともさらに十年ぐらいの賃金の差が出てくるという実態が出ております。これはまあ、たとえば保険企業とかあるいは貯金企業とかいうそういう内容ですね。そういたしますと、いま賃金が安いために人材が得られないということは、これはもう一般化しているわけなんです。そういう問題に対して、これは人事院の勧告を受ければ完全実施しますよではなくて、政府自体として、一体これはどういうふうに対処されるのか、これはひとつ聞いておきたい問題だと思うのです。
  46. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまの民間とそれから公務員との間の格差の問題ですが、採用時においては、比較的将来の希望を持つから、その点はあまり心配しなくてもいいかと思います。しかしながら十年たったところ、御指摘のようにここにたいへんな問題が起きております。ことに事務方面よりも技術方面にそれが非常に露骨にあらわれてきている。で、これはいまいる公務員の優秀な者が、民間に引き抜かれていくということであります。ちょうど役所においても、これから働いてもらおうと、そういう場合に、もうすでにその人の能力等もわかって、そういう場合ですから、会社で引き抜くことが非常に容易です。そういうのは地位も高いところで、また給与も増して引き抜いていく。これには各省ともみんな困っております。こういう点が特別に考えられて、公務員の場合でも特殊な給与体系それを考えられないかと、こういうことでしばしば人事院のほうにもお願いをし、検討を願っておる、こういうこともございます。いま公務員の給与は、人事院でそれぞれ調査検討をして、そうして民間と大きな差ができないように調査はしてもらいまして、またこれを完全実施いたしましても、いま申し上げるような、十年たった、あるいは十二、三年そういうところをねらい撃ちにしてみると、ずいぶん実情に合わないものがあるんじゃないか。こういう点が今後の一つの問題だと思います。人事院でせっかく給与を上げてくださいましても、それを今度実施に移す、またしばしば論議されるのは、子供が何人いる、学校へちょうど行く、そういう段階だ。だからその中だるみを是正しろとか、あるいは初任給を上げろ、まあ組合側からもいろんな希望が出ておりますが、ただいま申し上げる公務員そのものの制度から見て、十年ぐらいたった際にもっと賃金も考えてもらわないと、民間との間に格差ができ、優秀な者が引き抜かれる。それが国のためにならない、全体として困ると、こういうこともあるように思います。こういうことを一体どうしていくかというのが、私ども役所を担当する者として一番頭を悩ましております。将来に対する希望をつなぐような説明をしたり、またいろいろのことも申しておりますけれども、まあかつての官に対する考え方、以前はよほど官尊であった。官尊民卑とでも申しますか、そういう状態があったと思いますが、ただいまは公務員としての特殊なる待遇はないのでありますから、そういう意味でほんとに困ったことだ、何か方法はないだろうか。こういうことを私どももしばしば考えると、こういう実情で、ただいままだいい結論は出ておらない、かように思います。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 午前中はこの会場で、逓信と物価の合同委員会がありまして、大所高所から今回の郵便料金に対して検討が加えられました。この郵便料金の問題につきまして、ただ逓信委員会解決すればすべてが解決するという問題じゃないんじゃないかと思うのです。やはり公共料金の問題すべては、すべての機構構造をあげて対処していかなかったならば、解決できないんじゃないかと思うのですが、そこで、今回の料金値上げ、あるいは現在の不況ということを考えてみますれば、前池田内閣の経済政策の失敗、物価政策の失敗であるということは、現在総理になっていらっしゃる佐藤総理もそのような批判的な一人として申していらっしゃいました。ところが、総理におつきになられたときに、いままでの所得倍増政策も誤りではなかったと、このように君子豹変したような態度を、われわれは受け取られるわけなんです。そこで、この不況の原因、特に昨年度は金融の引き締めで六千件もの中小企業が倒産いたしました。そのために国の租税収入は二千五百九十億もの減収になっております。そういうところから国債の発行というものも考えられまして、今回は七千三百億もの赤字公債が発行されると、そういうような今日になっておりますし、これ以外に電電公社あるいは道路公団などの政府保証債なども四千億と予想されております。これを見ますと、一兆一千億以上の金額になります。そうなりますとインフレになってきて、われわれの国民生活というものは困窮してくるんじゃなかろうか。インフレにならないということを政府当局が述べていらっしゃいますけれども、もしこれがそのような現実の姿としてなってきた場合の責任をどうとるか。責任をとると言っても、国民生活が逼迫しているのではおそ過ぎるのではないか。それに対する対策があるのか、またいろいろ努力をしていないということは申しませんが、いろいろ努力されておりますが、政府のいまとっていらっしゃる態度を見ますれば、通産省におきましては、これまで不況対策といたしましてカルテルや、あるいは操短の指導に力を入れております。ところが今度は農林省におきましては、価格維持政策の拡張に熱心である。このことは考えてみれば、どうしてこのような違いがあるだろうか。厚生省におきましては、クリーニングなどの料金を下げさせようじゃないか、そのような行政に力を入れる。このように一つ一つの各省のあれは時間がありませんので省きますが、国民生活関係の深い三つの省をとりましても、このような政府の体制そのものにも、今日の郵便料金を含みますところの公共料金の値上げの原因があるのではないかと思いますが、その点総理いかにお考えであるかお聞かせ願いたいと思います。
  48. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまお尋ねになりました点、また藤山君からもお答えしただろうと思います。ただいま私どもがことしの政治課題として真剣に取り組んでおるのは、不況の克復、同時に物価の安定、こういうことであります。その二つに取り組んでいて、不況の克復については、大体の見通しがついた、これは油断はしません。しかし、だんだん景気が回復しつつある、かように思っております。同時にまた、物価の安定、こういうほうにつきましては、ことに公共料金が次々に上げられた、こういうところでたいへんな批判を受けておる。しかし私はこの物価全般を見ると、これも藤山君がお答えしただろうと思いますが、ただいまの数字的なデーター的な傾向は、これはまずまず私ども考え方向に向かっている、かように私は確信しております。しかしながら、何といっても公共料金が次々に上げられることは、国民生活に重大なる影響を与えておる、かように思っております。しかし、これをなぜこういうように国民生活を圧迫し影響のあるものを上げるのかという問題でありますが、もしもこれを上げないで、そうして特別な処置をとる、これが税収入でまかなう、それができないことははっきりしている。そうすると、事業の縮少あるいは給与を上げないとか、こういうようなことになると、これはたいへんな問題だと思います。やっぱり公共料金におきましても、公共企業遂行については、経済の原則だけはやっぱり守っていかなければならない。そこでやむを得ない仕儀として収支バランスをとる、そういう意味で上げざるを得ない。上げなければならないといたしましても、その上げる時期なり上げ幅なりをもしも誤るならば、これはたいへんな国民生活に圧迫を与えることになる。したがって、それらの点を十分勘案していこうじゃないかということであります。ただいま郵便料金、その前に鉄道運賃を上げた、これあたりもわざわざそんな時期を別にしなくてもいいじゃないか、かように言われるだろうと思います。それでは国民生活に一ぺんに圧迫を加えることになりますので、これは重大な問題だと思います。やはり時期を区別しよう、同時にまたその上げ幅等もそういう意味考えようと申して、ただいま取り組んだのであります。いまの傾向の行き方から見まして、ただいま御指摘になりましたようにインフレになるのではないか、景気を回復する、そのために相当公債を発行したり、そうして過大の予算を組んでいる、こういう意味でインフレになるのではないか、こういう御懸念のようでありますが、ただいままで私どもが最も注意をして予算も編成し、また施策の実施にも当たっておりますので、インフレにはなっておりません。またインフレには絶対にならない、かように私は確信をいたしておりますから、ただいま万一インフレになったらどうするのだ、こういうことをお尋ねでありますけれども、私はインフレに絶対ならない、かように確信しておりますから、この点を御了承いただきたいと思います。ただいままでの経過等から見ましても、そういう懸念は全然あらわれておらない、かように御了承いただきたいと思います。
  49. 田代富士男

    田代富士男君 いま藤山長官からも答えてもらっているというお話でありましたが、けさ確かに委員会で私お聞きしましたが、不明確であるから、あとでまたお尋ねしますと言っても、もう一点があります。この点につきまして総理からお願いしたいと思いますが、今回の物価値上げに対しましても、政府当局といたしましては三千億の減税をしているじゃないか、だからそのようにして対策考えている、そういう答弁がなされておりますが、私はこの三千億減税というこれは、これこそ国民をばかにした減税はないと思うのです。なぜならば、三千億の減税のうち、特に一般大衆に関係のあります所得減税というものは、一千二百八十九億円です。まあこれだけが一般大衆に関係が深いわけなんです。ところがいま総理がお述べになりましたとおりに、ことしに入りまして、米価の問題国鉄の問題、いろいろ値上げしております。さすれば政府の側から考えまして、国鉄料金が値上げするために、国鉄の増収は一千八百億円と聞いております。また一月から上がりました消費者米価は約八・六%上がっておりますから、約六百億円の増収になる。いま討議されております郵便料金の値上げであります。これはまだどうなるかわかりません。われわれは反対しておりますがもしこれが上がったと仮定した場合の収入は、数字の上では四百億円であります。またこれ以外に電信電話の値上げも近く政府のほうで予定されております。これも数字の上でありますが、六百億円の増収を見込まれる。まあこれ以外にいえば健康保険の問題や、いま総理は数字をメモしていらっしゃいますが、これは言えばきりがありません。まあこのように、政府としての収入あるいは地方におきましては水道料金、そういうものを総計いたしますと、政府の増収は約四千億近くになります。さすれば、われわれの減税は一千二百八十九億円の減税、はき出すほうは、四千億円のはき出しでなくちゃならないし、これで物価安定だとか、われわれの生活を守る、そういうことを言われ、三千億円の減税ということが新聞はじめマスコミにおきましてもPRされておりますが、これこそ私はばかにしたことはないと思います。もしか今度ことしの物価値上がりが、昨年と同様に七%上回ると見られたならば、三千億の減税をやったことは帳消しになってしまいます。こういうことを考えていったならば、焼け石に水と言われてもしかたがないじゃないかと思います。こういうからくりと申しますか、こういう点に対しまして、私は大事なことでありますし、藤山長官にお聞きしましたけれども、不本意でありましたために、あらためて総理からお答え願いた  いと思います。
  50. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 田代君にお答えいたします。私はこの経済が不況、非常な過熱をしたそういうときに一体どうしたらいいのか、これを学者からいろいろ聞いてみますと、学者のほうから申しますると、大体増税すること、これはもう増税することが一番の対策、こういうことをかつて申しておりました。私も確かに増税するということが、これはその効果をあげるものである、いわゆるインフレ防止になるのだ、かように私、思います。これはしかし、その議論をいたしました際に、実は学者ならそう言うだろう、しかしおれは学者じゃないのだ、政治家だ、それでいまのような状態から見て、もし増税したらたいへんなことになる、このなには、国民自身がほんとうに参ってしまうのだ、その国民を参らして経済を建て直す、そんなことは、学者なら考えるかしらないが、政治家は考えるものじゃない、そういう意味でむしろ減税をしてひとつやるのだ、こういうことを実は申しました。そうすると、減税してやるならば収支が償わない、公共投資を非常に要求されておるこの際に、そういう財源はどこに求めるか、まあ幸いにいままで、当局では公債を発行してないから、政府は公債発行に踏み切る、そうして今日の窮境を将来の国民の負担においてまかなっていくというようにするのだ、こういう話を実は内輪でいたしたことがあります。ただいま三千億減税だといいながらこれはけしからぬ減税だ、国民はもっとたくさん、米価、鉄道、郵便さらに厚生関係等から負担を増しておるじゃないか、こう言って御指摘でございます。しかし、私は、今日とりました経済政策そのものは、国民生活に対する圧迫をできるだけ少なくして、しかも効果のある方法だと、これを実は確信を持ってそれをやったと思っております。ただその場合に、いままでしばしば指摘されたのでありますが、また田代君からも御注意がありましたが、これはインフレになったらほんとうに元も子もなくなるのです。したがいまして、インフレにならないようにこれはあらゆる注意もし、努力を払ってまいってきております。幸いにして、ただいままでの経過では、インフレ的兆候は出ておらない、かように先ほども答弁をいたしました。確信をいたしております。したがいまして、私はいわゆる一部の経済学者が言うこういう経済不況、ことにインフレ的なもののある際に、とるべき処置として指摘したことは、逆の方向をとった、これはもっと時期が早ければ増税も可能かもわかりません。しかし、ここまで進行してきたこの不況で増税をやられたら、国民生活はぶちこわされる、かように思っております。ただいまアメリカではたいへん好景気、そういう意味で、もうすでに次の段階を考えてただいまから増税すべきだ、かように実は申しておるようであります。また金利も高くしろ、こういう話も、もうすでにわれわれの耳に入っております。そういうことをも勘案してみますと、現状の政策が私は当を得ているのだ、かように思っておる次第でございます。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 いま理事のほうから、総理の時間もあるから質問を簡単にしてくれと、そういう申し出がありましたが、私はこういう、特に国民生活に密接なこういう問題は、もっと時間をかけて検討すべきじゃないかと思うのです。だから、もちろん総理の御予定はありますけれども、総理御出席ない場合でも、公共料金、特にわれわれ自身が選挙する前に大衆の前で何を言ってきたか、その精神でこの委員会を運営していただけば、国民にこたえることができるのじゃないかと思うのです。そういう面におきまして長くはやりません、簡単に終われとのことでありますから、ルールには従いますけれども、そこで総理にお尋ねしたいのですが、総理は国民が納得のできる程度の料金改正、これもまたやむを得ないと、このように過日の衆議院の委員会においてこのように申していらっしゃいます。今回の料金値上げ第一種が五〇%、第二種が四〇%の値上げに対して、国民大衆の大多数は反対しております。事実けさの委員会が終わりました直後に、その入り口に主婦連の代表の人が絶対反対をしてくださいと、この国会の中までそのように押しかけてきております。そこで、総理が申されました、国民が納得できる料金改正であるなどという声は、どこにもいま国民大衆の中に聞かれないわけなんです。まあこの点総理は、どこをとらえて納得できる料金改正と言われたのか、あるいは大衆の声は天の声ともいわれます。大衆の声をどのように受け取っていらっしゃるか。この点ひとつ御答弁願いたいと思います。
  52. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 私も、過去においてこの郵便料を改正した当の本人でもあります。したがいまして、その当時の批判も、また今回の改正についての批判も身に近く実は聞いております。したがいまして、これ国民全般が、上げること、それを大賛成だとこう言う者はございません。これもそのとおりでございます。ことに、最も批判きびしく、またなるほどだと思いますことは、公共料金をしょっちゅう変えるんじゃないか、この声であります。ことし変えたからってこの次来年になってまた改正するんじゃないか、ほんとうに公共料金をそうしょっちゅう変えてもらっちゃ困る、これは同時に、裏返してみますと、ある程度長期的な間隔を持つなら、これはまあやむを得ない仕儀だと、かようなことばも含んでおるんじゃないかと思っております。私は、そういう意味で藤山君がたぶんお答えしただろうと思いますが、今回の改正にあたっては、しばらくはもう改正しなくてもいいんだと、国民が安心するといいますか、とにかく国民に公約のできるような、そういう改正処置をとらないと、絶えずこういうものをいじるんだ、これでは困りますよということは申してあります。大体、審議会等におきましても、それらの点を加味してそうして今回の料金改正と取り組んだ、かような報告を聞いておりまして、私はこれが当然なことだと、かように思っております。  先ほど申しましたが、もしも料金を改正しないならば、多数の従業員は給与を上げるわけにいかないだろう。せっかく人事院で勧告をいただきましても、私どもは予算組んだ今日どうすることもできない。今日のような経済の情勢から見まして、経済情勢が悪いのは政府の責任だ、かように申しましても、これは政府の責任だという抗議をすることはけっこうですが、それだけで従業員の生活は救われない。やはり現実に給与を上げない限りは救われない。だからそういう点では、これは郵政省だけが冷やめしを食わなければいかぬ。全体のものがやはりそういうことに、それに浴すといいますか、そういう施策に浴すような処置がとられなければならぬ、かように思います。そうして、先ほど申しますとおり、料金を上げること自身は、企業の立場から見まして、今日のような経済変動からはやむを得ない仕儀だ、かように私は思っております。したがいまして、多数の反対意見のあることも承知しておりますが、これを行ないますところに、私ども政府の責任があり、また政府のつらさがあるわけであります。私は、今日この委員会におきましても、これらについてやはり半ばは御同情がいただけるんじゃないか、半ばは冷たい目をもって批判されますが、同時に御同情いただけるんじゃないか、かように思っております。で、この内容そのものが、もし事務当局がこれをつくったと、あるいは大衆から批判を受ける間違った改正だと、こういうことだと私は責任をとりますけれども、ただいま申し上げますように、やむを得ない仕儀であるというふうに私は考えておりますので、そういうような御了承をぜひいただきたい、かように思います。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 これで終わりますから。
  54. 野上元

    委員長野上元君) 田代君、できるだけ簡単にやってください。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 じゃあこの一問でやめます。総理は四月十九日の衆議院の逓信委員会において、郵便事業というものは、総合的に独立採算のたてまえで郵便事業があるべきだと、すなわち一般国民の負担とは別にすべきであると、一般会計よりの繰り入れという、そういうものですね、利用者の負担で処理すべきであると言われたけれども、それであったならば、総括原価主義によって料金を決定するのでなくして、少なくとも差別価格を査定する場合、料金決定原則が決定されることが望ましいと思うのですけれども、そのことに対してどのようにお考えであるか、また一般会計より繰り入れることが、あれも一般会計、これも一般会計より繰り入れるべきであると、そういうことは安易な考えであるというようなお考えも出ておりましたけれども、ここにおいて、まあこのくらいの、逓信のいまの赤字くらいとこう言うならば、ひとつの案として防衛費を圧縮する、あるいは圧力団体に左右されたところのそのような財源を充てるというようなお考えはないのかどうかということとともに、国民生活を豊かにしてこそ、国の充実というものはあるわけです。だから防衛費の圧縮という点について、特に、どういうお考えであるか御答弁願いたいと思います。
  56. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 第一段は、先ほど光村君にお答えしたその点と同様でございます。それでやはり郵便料金のうちには、非常に公益性が強いのですから、そういう立場で無料あるいは非常に安い料金、こういうものがありますと、これはもう明らかにマイナスのところです。しかし、他のもの、一種等における経理が黒字だと、こういうのと赤とが帳消しになる、こういうようなことで料金が考えられる。だからまあ全体としてやっぱり見ていくことが望ましいと思います。ただいま田代君からは、公益性の強いものが国家的要請で特別に安くなって赤字を持つなら、その赤字は一般会計から持ってもいいじゃないかと、こういう御意見だと思いますが、これも先ほどお答えしたような筋合いでございますから、御了承いただきたいと思います。ことにこれは郵便だけではなく、そういうような筋のものが医療費にもありましょうし、また鉄道運賃にもあります。同じように扱かわなければならないことですから、際限のない実は問題じゃないかと思います。ただそのことも、他の外国等の例を見ましても、特殊なものを一般財源でまかなっておる国がございますから、必ずしもそれは不都合だと私、申すわけじゃありませんが、特別会計でまかなえる事柄、その範囲ではひとつ御了承願いたいと、かように私は思います。これが第一であります。  また、予算の面でどの費用がここに余剰があるのだと、だからそれを圧縮しろ、たとえば防衛費はもっと圧縮してもいいんじゃないか、これは公明党の御主張かわかりません。私どもは現在の防衛費をもってこれで満足だと、私は思っておりません。わが国の安全を確保するのにはもっと防衛費も必要だと、かような議論がされております。しかし現実の問題としては、今日の歳入で歳出をまかなっていくその点から見ると、がまんしなければならない安全費だと、安全確保の費用だと、かように私は思っておりますので、これを特にさらに減額するというわけにはまいりません。また、その他の各費目について、それぞれの御批判はあろうかと思いますが、政府はそれぞれの費目についてやむを得ない支出、これを計上したわけでありまして、ただいま余裕があると、かようなものはございませんから、それを削ってこの郵便のほうへ回すという御議論には、私は賛成をいたしません。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 私は、四つほど総理のほうに質問を通告しておきましたが、時間がないそうですから、一つだけお尋ねいたします。  いまのお話で、佐藤内閣がことしの命題とした不況の克服、物価の安定、これについては、かなり見通しを得たという御自信のある御答弁でございました。そこで、景気は確かにある程度総理のおっしゃるような状態かと思いますが、物価の問題については、なかなかそう言っておられません。あなたが、特に二十七日の閣議で御発言になり、具体的な物価抑制のための措置をとられるようでございますが、そういった点もありまして、第一番にお伺いしたいのは、中期経済計画を一応いま御破算にしているわけでありますが、新しい経済計画というものは、いま経済企画庁でせっかくやられておると思いますが、大体見通しとして、ことしの景気あるいは物価の状況からして、それらを勘案しなければきまらないものかどうか、長期の見通しですから。大体いつごろその新政策は発表になるんでしょうか。
  58. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) 藤山君からお答えしただろうと思うのですが、秋口にこの結論を出すつもりです。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、この公共料金が非常に一般物価に悪影響を与えるということは、過去の実績から見て明らかだと思います。ことしは国鉄、私鉄、米価さらに郵便料金と、こういうふうに矢つぎばやに公共料金が値上げになるわけでありまして、これが一般物価にかなり影響を与えることも、また私は予想されると思います。そこで郵便料金の値上げについては家計簿にそう響かぬという郵政省の御説明ですが、しかし国民生活には非常に影響のあることだと思います、公共料金の性格から考えまして、ですから、この決定はきわめて慎重になされたと思いますが、私は経過の中でちょっと納得がいかない点がありますから、お尋ねいたします。  それは、昨年の八月三十日に郵政省から郵政審議会のほうに諮問をして、大体一案二案持っておったかどうかわかりませんが、せっかく審議会で審議の過程において、十一月二十七日、あなたの御出席いたしました経済政策会議において、郡郵政相は四月実施を主張したように新聞は伝えております。それから経済企画庁長官は十一月実施を主張されたように聞いております。その中をとりまして総理が七月一日から実施するのだという御決断をしたわけですね。これは公共料金の値上げと予算との関係でやむを得なかったと思いますが、一方では審議会の審議の最中であるし、そういう段階で方向を打ち出したというのは、いかにもタイミングが合わない、したがって審議会の書き方がおそかったんじゃないか、こういうことを私は郵政大臣にもただしてあるのでございますが、いずれにしましても、七月一日から踏み切ったということは、総理裁断できまったということでございますから、そのときに具体的に何%という、たとえば三六・八%四月以降、そういうふうな案もあるいは総理ごらんになっているかどうかわかりませんが、そういう中で、あんたがこれは少し高過ぎると、もう少し下げたほうがいい、一〇%以下くらいに、そういうことをおっしゃったということを新聞の記事で私は見ておるのですね。そういう裁断による郵便料金の値上げというかってない——一方では審議会がまだ継続審査を続けている、そしてあなたの趣旨を郡郵政大臣は、こう御裁断になりましたからしかるべく御協力、こういうあいさつをして、審議会はその線に沿ってきめたということです。しかも、私が非常に奇々怪々に思うのは、審議会のほうでは、三年で千百億という赤字を予定しておる、それから五年間では二千五百億という収支不足を予定しておるわけですね。したがってあくまでも二九・五%上げなければ、七月一日から郵政事業はペイしない、こういうのを出しておるにかかわらず、郵政大臣は五年間はこれはだいじょうぶだと、こういう御答弁を予算委員会等においてもなさっておられる。そこいらの食い違いは、どういうふうに理解していいのでしょうか。二九・五%でも三年間しかもたない。それを二八・八%にしておいて、五年間だいじょうぶだということは、どういうところからきたんでしょうか。裁断をしたあなたに、ひとつその辺の経過を聞いておきたいと思いまして、総理からお答え願いたいと思います。
  60. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ひとつまず前提として、今年の予算を組む、あるいは物価の動向を見る、そういう場合に、この公共料金をどう扱ったか、こういうことであります。大体国鉄や私鉄や郵便料金、これを上げなければならない、こう一応考えます。しかし、それを幾ら上げるかということまでは、はっきり計量的にはきまっておりませんけれども、大体今度は郵便料金改正しなければならぬ、鉄道運賃も上げなければならぬ、そういうことを前提にして、四十一年度の物価はどうなるか、こういうものをひとつ考えてくださいということは、実は申してあります。したがいまして、しばしば言われますように、四十一年度の物価の見通し、これにはすでにそれは織り込み済みの問題だと、こういうことを言われておりますのはそれでございます。したがいまして、今日この料金を上げて、さらに物価がこれで影響を受けるのだ、こういうことは、実は政府としては当たらない御議論でありまして、政府の立場から見ると、これは織り込んだものでございます。その点は私が説明することで御了解いただきたいと思います。  そこで、あとは審議会、これは一体どうなるのか、これはただいま申し上げましたように、三つの問題を同時にやることは困るのだ、これが先ほど田代君にもお答えした、いわゆる上げなければならないが、それを同時に上げるというのは、国民生活に一度にかぶさってきますから、それは困る。だから、その時期をひとつずらそうじゃないか、こういうことで相談した結果が、ただいまのように七月ということに実はなったわけであります。これはおそらく郵政当局は、鈴木君も聞いておられると思いますが、もっと早い時期にやりたいと、かように言ったと思います。また他のほうから申せば非常におそい時期にやれ、こういうことだったと思います。それで、国会の審議等も勘案いたしますと、やはり七月の実施が適当ではないか、それで大体物価論争も出尽くすだろう、かように私は考えまして、予算編成もそういう意味で立てたわけであります。ただ値上げの幅を幾らにするか、これは私がきめたわけじゃありません。ただ私が注意をいたしまして、できるだけ料金は高くしないように、低くしてくださいよ、これは郵政大臣にも申したわけであります。これは安いのが当然であります。しかし、先ほども御議論をいたしましたように、物価に重大な影響のある公共料金を、しょっちゅう動かすことは避けなければなりませんから、十分三年、あるいは五年の見通しを立ててくださいということで、ただいまのような料金がきまったわけであります。したがって、この五年だとか、三年だとかということで、必ずしも一致しておらないと思います。しかし、おそらく藤山君からも三年あるいは五年程度これは改正しなくてもいい、こういう話をしていると思います。もちろん一般経済の動向も十分考えなければなりませんが、いまのこの料金改正、これによりまして、また省内の合理化の進め方なり、また今後の賃金のあり方等を勘案すれば、私はしばらくこのままで守り得るのだと、改正しなくてもいいのだと、かように考えております。しかし、その前提といたしましては、やはり経済が安定し、物価が落ちつくことが何よりも大事なことである、かように思っております。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 前段の一般物価の引き上げに影響しない、もちろん、七・五%の成長率を実質考えて、五・五%の物価値上げを考えているわけですね。だけれども、それはなかなか総理、むずかしいと思う。あなたはもうおきめになったのだから、それは絶対間違いないのだとおっしゃるが、一月、二月、三月、四月、ずっと指数を聞きましたが、決して楽観は許さないですよ。ですから、そういう点からいって、五・五%ではわれわれは予算委員会で申し上げたように、とても押えきれない、もっと上がりますよと警告しているわけです。この警告が当たるか当たらないかは、あとで歴史が立証するでありましょうが、それはそれでいいのですが、ぜひ安くするようにひとつしてもらいたいと思いますが、ただ問題は、あなたは三年ないし四年とこう言われたのですね。一方では五年という線も出ているわけですよ。いまここで改正したら、大体五年程度はよかろうという見通しがある。それでこれは論議になっているんですよ。答申で見ると、三年間千百億、五年間二千五百億赤字が出るという計算でしているわけですから、それでも二九・五%と審議会は答申をしているんですよ。それを二八・八%にしたわけでしょう。それで、中期経済計画は八・一%から七・五%に今度四十一年度は落ちるという前提で組まれているのですから、景気というものは当初から下回っている。だからむしろ郵便物取り扱い量は少なくなるだろう。したがって、たいへんな見通しについて困難があるということを、われわれはいまから想像するわけですよ。まあ郵政大臣が五年間ということですから、これは非常にけっこうなことで、われわれはもっと安定することを期待するんだが、なかなか内容を見るとその辺がむずかしいという気がしますから、この際総理に、決断されたんだから、総理はその点はだいじょうぶだと、五年間はいいと、こういう答えが出ると思ったら、明らかにこれは食い違いがありますね。どうしてくれますか。
  62. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) いま郵政大臣に聞いてみますと、これはだいじょうぶですと、五年間だいじょうぶだと、かように申しております。私はややゆとりのある、大事を踏んだ答弁をいたしました。しかし私は、これはまあこれから先の五年の問題ですから、いまから当てることはどうかと思いますが、しかし、少なくとも五年間ぐらいは料金いじらないと、こういう気持だけは申し上げて言えるんじゃないかと、かように思いますから、これでまかないがっくというよりも、五年間は上げないとこういうことを申し上げてお答えといたします。
  63. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 時間がないようですから、前後を省略して一つお尋ねしたいと思うんです。  まあ物価安定政策は、おそらくあなたの政策の中の基本的なものの一つだと思うんですが、次から次へと物価が上がっていく。私はずいぶんあなたは国民に憎まれておると思うんです。国鉄の運賃を上げて、今度は郵便料金を上げた。まあふるさとは遠くなったというわけで、ずいぶんあなたは憎まれている。そこでこの物価を安定させるということによっての心理的な影響というものは、非常に大きいと思う。そこで審議も煮詰まってきた段階で、あなたとしてもなかなか決断しにくいだろうと思いますけれども、この郵便料金の値上げを一部手直しする考えはないか。明らかに黒字になっているところの封書、もしくは若干の赤字でしかないはがきをいずれかをこの際据え置くと、衆参両院の審議の模様も聞き、世論も聞いて、この際ひとつ七円の値上げのはがきは五円に据え置くというようなことをあなたが決断するところに、私は幾らかでも物価値上げの心理的な悪影響を食いとめることができるんじゃないかと思いますが、その決断をなさる勇気があるかどうかをまずお聞きしたいと思うのです。
  64. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) どうも勇気があるかないかと言われると、勇気はないのですが、私は、ただいままでお答えいたしましたように、これは国民生活に非常な重大な影響を及ぼすのだから、できるだけ上げないように気をつけなさいよと、こういうことで、事務当局、その専門家に、実は料率の引き上げ、改正について検討さしたのです。同時にまた、ただいまもお答えしておりますように、これでしばらくは上げなくて済むと、こういうものもねらいとしてあるわけです。で、これをただいまのお尋ねは、私がいままでお答えしたところでありますから、どうかその点で御了承いただきたい。ただいま改正すると、そういう考えは持っておりません。
  65. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それで、これは郵便料金の値上げの問題とは直接の関係はありませんけれども、この物価安定政策としてですね、政府が考えているであろうと思われる、一部新聞にも報道されましたが、所得政策を導入する考えがあるかどうか、この点についてのお答えを願いたいと思います。
  66. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいま簡単なお尋ねで、ちょっととりかねるのですが、いまの所得政策を加味してというのは、なにの低いところのものは特別の処置をするかと、こういうお話でしょうか。所得水準の非常に低い者に対しては、何か特別な考慮をするかと、こういうことでしょうか。
  67. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは佐藤さん驚いたです。私はこの所得政策というのは、いますでに一般的な常識になっていて、所得政策ということだけで言えばおわかりだろうと思っておりましたが、すでに西ヨーロッパの国々では、物価政策においてほとんどの国がこの所得政策を導き入れているわけですね。一がいに所得政策といっても、それはいろいろありますけれども、おそらく日本的な条件に応じてこの所得政策というのが論議されていると思っていますが、中心はやっぱり賃金のくぎづけ政策を基本とする所得政策をとっていくというお考えがあるかどうかということをお聞きしているわけです。
  68. 佐藤榮作

    国務大臣佐藤榮作君) ただいまのようないろいろな御議論が出ると思ったからお尋ねしたのですが、ただいまこの賃金と物価との悪循環、こういうことは私は悪循環にならないように気をつけるべきだと、かように絶えず申しているわけであります。しかし、賃金は上がるべくして上がる。これはもう当然のことですから、それをとめようとか、くぎづけにすると、こういうような考え方は持っておりません。誤解のないように願っておきます。
  69. 野上元

    委員長野上元君) 暫時休憩いたします。    午後四時三十七分休憩      —————・—————    午後五時三十六分開会
  70. 野上元

    委員長野上元君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  委員異動について報告いたします。  本日古池信三君が委員辞任され、その補欠として船田譲君が選任されました。
  71. 野上元

    委員長野上元君) 引き続き質疑を行ないます。
  72. 横川正市

    横川正市君 総理の出席で中断をいたしましたが、先ほど郵務局長から電電公社の業績のあがったその理由等について、答弁があったわけであります。そこで、私はこの際ですから、電電公社の現況といわゆる業務内容についてそれをつまびらかにしようとは思いません。ただその一般論としては、相当内容の充実した問題として最近の論評の中には、国鉄とか電電公社というのは戦後著しくその業績をあげてサービス改善ができているのに、郵政省は一体どうしてこんな立ちおくれをしているのだろうか、こういう一般論評があるわけです。それからまた答申の中にも同じように、今日落ち込んでおります企業実態というものは、相当これは抜本的な対策を立てなければ、おそらく国民の期待にこたえることはできないのじゃないか。そういう意味で、まず答申内容として幾つかの機械化とかその他の問題が出されました。しかし私はこういう状態では、本来的にはまだ改善することは不十分だというふうに判断するわけです。その判断の第一は、これはまあお聞きをいたしたいと思うのでありますが、口を開きますと、郵政事業というのは人件費が八〇%必要とする企業だ、こういうふうに言っているわけなんですが、そういたしますと、今度の料金改定をすることによって一体人件費の割合は何%に下がるのか。それから何%の人件費の占める割合、健全生計の場合のエンゲル係数が主食の占める割合で四 ○とか四五とか、最も文化的な生活をするのにはその程度と言ったり、あるいは生活の状態が六〇%程度まで占めるところを、大体いわば水準以上と判断をする等々、生活の中で占められる割合というのは、そういうことに言われております。しかし、企業の中で人件費の占める割合、一般企業ではなくて、郵政省のように人力にたよらなければならない企業一体人件費の占める割合というのは、何%が妥当だとお考えになっているのか。しかも、これから何年かたつ間にいろいろな変遷を、経済状態もその他するわけでありますけれども、それをどの程度に維持しようとされるのか、この点をひとつお伺いいたしたい。
  73. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 郵政事業の人件費の割合、エンゲル係数をはじき出すようなはじき方は、おそらく困難だと思います。それから、私はまた機動車を増す等によって、幾らか、これは人間の数を減らし得る理屈でございます。しかしながら、これもごくわずかなものしか私は得られないと思います。ですからそういう意味合いではじいてみますと、四十一年度の予算で機動車を増強した関係で、幾人減らし得たというようなことを申しますけれども、これはごく数十人という程度のものしか私ははじけません。したがいまして、おそらく、私つくづく感じますことは、いままですべき改善もできておらない郵政事業の会計でありますから、全体のワクがふえてまいれば、それだけの事業はできてまいりますが、その間におきます人件費、物件費と申しましても、賃金等含んでおるのでございますから、人件費、物件費の割合というものは、絶対額では変わってまいりますけれども、比率において特に変わって、顕著にかわってくるというような種類のものではないと私は考えております。
  74. 横川正市

    横川正市君 大臣答弁でいきますと、企業実態が人件費の占める割合がきわめて高いのでという理由というのは、これは実はあまり存在しない、こういうことになるわけですか。これは非常に大切な問題で、人力による企業ですから、いま大臣の言われるように、他企業に比較した比較によってパーセンテージを出すとか、エンゲル係数で出すとかいうことは、これは全然質が違うと思うのです。違うと思うけれども、それならば郵政企業としては、人件費の占める割合を何%にとどめておくのが企業として、経営上から見ても妥当か、これは一つ線があるのじゃないかと思うのですが、いままで私非常に見過ごされておったと思いますのは、物増が期待よりかある程度上がったというのが相当年月続いたわけでありますね。その物増と、それから本来ならばその物増処理が人件費とか設備費でもってかみ合っておって、私は今日企業がそれほど衰退しないで済んだのだと思うのです。これは物増で必要人件費をまかなってぎりぎりでやったものだから、施設その他に回る余地がなかった。そのために施設もどんどん落ち込んできた、こういうことが言えるのじゃないかと思う。そうすると、これからは今度の料金改定その他の主目標というものはあるわけですから、その主目標というものを、一体私はどうかみ合わせて企業経営をすることが妥当だと考えておるか、この点は非常に大切だと思うのですが、どういうふうにお考えでしょうか。
  75. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私が、人件費が非常に大きいウエートを占める事業だと、もうたびたび申しておりますのは、これは国鉄のような事業の、改良だとかそうした面への大きい支出という割合が占めるそのいかんによって、一体その改良をどうするか、新線をどうするかというようなことを考え事業に比べましては、そういう要素というものが全くない。いまおっしゃるように、確かに物が伸びてまいります。その物の伸びというのは、きょうの午前にも御論議がありましたが、必ずしも景気の動向というよりは、なるほどある時期には、実質の生産費総額に比べて、ある時期にちょっとそれよりもカーブが上向き——昭和二十何年でございましたか、それからそのあとに国民総生産より下回ってまいりましたけれども、とにかく一つの相当ののぼりカーブをとってる。してみると、長い目でみると、景気の動向とはそれほど影響はなく伸びているのだということを考えますが、おっしゃるように、物の伸びぐあいと、そうして人件費とこれとに大きく作用しておるという意味で、私は人件費に何ぶん多い部分を占めておるからということを申したわけでございます。したがいまして、そういう意味合いでは、人間の問題、労務管理の問題、これが非常に重要なことであるということは御指摘のとおりだと思います。
  76. 横川正市

    横川正市君 これは計算で数字だけを知っておればいいということではないのですが、大体が企業がどんぶり勘定過ぎてそういう面での計画実行というものが計数的にはおくれているのだと思うのです。ですから、その計数的におくれた点をこれからどうするかという点が、私は非常に重要な問題だと思います。この点はきょうここで論議はしませんが、ひとつ課題として企業の健全経営のための計数として検討していただきたい。  それから次の問題は、特別会計それ自体の問題なわけなんです。これは先般も、私、一体この郵便特別会計というものは独立採算制でいけるものなのかどうなのか。そのいけるかどうかについては、これはファクターは、たとえば足りなくなれば料金を上げればいいじゃないか、しかし料金を上げるということは、いってみれば負担能力の問題ですから、今日、やはり物価の問題からいけば、負担能力は相当頂点に来たと見て、今日段階の経済の移行ならば、再び料金を改定するということは非常にむずかしいのじゃないか、こういうふうに思うわけです。そうすると、現状における収支状態を維持しながら、将来特別会計としての経営が維持できるのかどうか、こういう点についてこれは目の子勘定ですが、大体危惧をいたしております。その危惧の第一が、郵政企業の中には減価償却のための特別会計というものはないわけですね。あくまでもこれは建てたものの償却、次のまた予算によるところの改築あるいは設備改善、施設その他何といいますか、物件費に対する導入といいますか、そういうことであって、新陳代謝だけなんです。これだけの企業経営するのに、減価償却のためのいわば特別会計みたいなものがあって、いつでも財産とそれから償却費とが均衡を保っているというようなことは現行で望めない。これは一つ問題な点だと思うわけです。  それからもう一つは、限られた収入しか事実上予定できない。ところが支出については、いろいろな変化の状況というものがあるわけです。それに対応するだけの弾力性がない。こういったいろいろな面から、一体郵政特別会計というものは、現状の経済状態の中から考えていきましても、維持することについて非常に無理なんじゃないか、こういうふうに思っているのです。先ほどの答弁の中には、たとえば三年説とか五年説とかいうのがありますけれども、それじゃもう一回三年たち五年たったら、きょうと同じようなかっこうで料金改定ということにするのか。そうではなしに何か別の方法があり得るのか、この点の検討というものがあって私はしかるべきだと思うのですが、大臣の見解はどうでしょうか。
  77. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も郵便事業だけを引き抜いて、そうして独立採算を厳に守っていく。これは非常に窮屈な会計であるということは、御指摘のとおりだと思います。同時にこうした事業を行ないますときに、窮屈ではあっても、利用者負担によって独立採算をとっていくということのほうが、事業としての安定をはかり得る。これは現実の問題として、四十一年度予算を編成しますときに、私もやや当たってみて感じたのであります。一般会計からわずかな財政的な負担を求めますために、かえって事業そのものが非常に窮屈になるおそれがある。これは気をつけなければいけないということを感じたのでありまするが、しかしそのことと、この御指摘にもありました限られた、非常に明瞭な限られた収入しかない特別会計というものが、その収支のバランスを合わせていくためには、かなりなもちろん企業努力ということは大切でありますけれども、それ以外に宿命的な窮屈さがあるということは、御指摘のとおりだと思います。したがいまして、私はただ同時にいまの程度の値上げをしていただいて、これはにわかに当てずっぽうなことは申すべきことじゃございませんけれども、五ヵ年とは申しておりますが、あたうべくんば、もう少し長くても、公共料金のことでございますから、安定した状態を続けていきたいものだと思います。しかし同時にそれに並行いたしまして、いままで当委員会でも収支の見込み等を申しておりますけれども、御指摘のうちにもありましたが、非常に不確実な要素をこめながらの収支の見込みでございます。私は郵政省としても、あるいは新しい見地から郵政審議会にお願いいたしまして、今後の見通しというものをもっと正確に立てなければ相ならぬ事業だと思っております。
  78. 横川正市

    横川正市君 結局そういう状態にあるということがわかっていながら、実はそれに対して対策を立てなかったという、これはまあ非常に残念な現状だと思うのです。それで足りないという点で一体論議のまあいわば起点といいますか、現状は満足していて、しかしこれ以上望まないという足りなさと、もう非常に現状は不満足だけれども、がまんをさせていて、そうしてそれでいてひとつとんとんでやろうという意見とあろうと思うのですが、私は郵政事業というものは、足りないまあ非常に不満足な状態をがまんをさせておいて、そうしてこれでひとつしばらくの間がまんをしろ、持ちこたえていこう、こういう企業じゃないかと判断するのですが、それを一つずつ、その資料でひとつお尋ねをしていきたいと思うのですが、たとえばあなたのほうで出しました経理局の「グラフでみる郵政事業」四十一年度版、利用状況は上昇するか。料金改定についての見解は、郵便収入は、鈍化の結果、収入減となる場合というものを想定をして、今回のような改定を出しているわけであります。この地図の状態を見ますと、たとえば一、東京の場合、それから二、大阪の場合、三、北海道の場合、この三つを大体比較をしてみますと、東京のような政治経済のしかも中心的な地点における一人頭の利用状況、それから商業の中心地であります大阪の利用状況、そういう比較的地理的な条件でどうしても郵便利用しなければならない、あるいは小包を利用しなければいけないというような、そういう意味も含まった北海道の利用状況、こういった点を総合してみますと、大体私はこの伸びとかあるいは利用状況というものは、それほど将来期待ができないのではないかと、こういう気がいたすわけです。形の上でこの利用状況が鈍化しているという判断は、どういうふうなところから立てられたかわかりませんけれども、この資料の一ページに出ております資料から、おおよその判断をしてみて、一体この鈍化というのはどういう状態で出てくるのか、それからそれは将来どの程度のものでしか期待ができないか、その点の判断をひとつまずお聞きをいたしたいと思うのです。
  79. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) まあ郵便物数の伸びが今後どうなっていくかということは、非常にむずかしいところでございますが、私どもヨーロッパの国などと比較いたしますと、英米等それぞれ年増加率二・六%ぐらいでございます。日本では三十六年ごろの七・六%から四十年度の実績ほぼ五・三%というように、最近数年間は落ちてきておりますけれども、これは一方では経済情勢等もございましょうし、他方また、私ども自分自身でも若干自覚しております郵便の運行そのものが円滑に行なわれているかどうかということも、若干関係しているような感じもいたすわけでございまして、ある観点からいたしますと、欧米のように年増加率がこれからだんだん減っていくという見方もできるわけでございますが、また同時にそれにつきましては、たとえば電話の普及度が日本のほうが比較的早く高くなっている、利用される度合いが高くなっているということなどもやはり関係してまいるかと思うのでございますが、他方一人当たりの物数等を見ますとアメリカの三百五十通、英国等の二百通近くというようなのに対しまして、日本では現在四十年度をとりましても、九十五通か六通ぐらいというところでございまして、日本の郵便事業は、私どもがさらに事業の運行につきまして一そう努力をいたし、いろいろ御議論のございますような確実な送達速度、確実にしかも早い送達速度というものを郵便について実現することができますならば、まだ一人当たりの通数からしまして、今後相当の期間は年率五%台という程度は維持し得るのではないかというふうにいま考えております。もちろん年率五%台と申しましても、ほかの成長度の高い産業等と比べて決して高いわけではございませんが、世界的な趨勢からしますと、その程度のことはまだ維持できるのではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
  80. 横川正市

    横川正市君 これはまあ判断の非常に何といいますか、主観の伴った判断で、それと実態とが相伴って伸びていくかどうか非常にむずかしい点だとは思いますけれども、実際には一般的に、たとえば電話の普及率に籍口して郵便利用度は減るのじゃないかとか、それから、そうではなしに、それとは別個に、ある程度の比率でふえていくのじゃないだろうかというような見方とか、物の増減については、非常に的確な判断というものはできないかもわからないと思ますね。しかしできないというような立場に立てば、これは非常に何といいますか、どこに判断をおいて、どういうような収入源があるかについて判断ができないということになるわけです。ですからもう少しいままでの伸び率、それからこれからの想定というものとを、ある程度の確定に近い数字で出していく必要が私はあるのじゃないかと思うのですが、その数字は一体鈍化状態で期待のできる数字となるのか、それともいろいろな要素というのはあるけれども、欧米諸国その他から見ると、まだ伸びる要素というものは、ことにまあ日本の場合にはあると、こういうふうに判断しておるのかが問題だと思うのですよ。その点はどういうふうに判断をされておるのですか。
  81. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) ことばが適切かどうかちょっと問題でございますが、まだ私日本の郵便事業は、その伸び率におきまして現在壮年期にあるのではないか。もちろん関係者の努力もこれに深くかかわってくるわけでございますけれども、相当の努力をいたしますならば、壮年期の成長度を維持できるというような考え方をいたしております。
  82. 横川正市

    横川正市君 そうすると、これは郵便の収入の面ではある程度の幅を持って財源の見あてができると、こういうふうに見ているわけですねそれを大体三年とか五年とかを一つの基準にして、各年ごとにどのくらい程度の財源が見込まれるわけですか。
  83. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 今後五ヵ年についてこれを見ますと、四十一年度予定収入一千五百五十三億、四十二年度、一千七百二十五億、四十三年度一千八百二億、それで四十五年度におきましては千九百九十七億にまで増加するものと考えております。
  84. 横川正市

    横川正市君 まあひとつこれは財源として確認をいたしておきましょう。  そうすると、資料の八ページの郵便事業の採算規模局として資料が出ているのですが、そのうち赤字郵便局、これが三百七十八局(四九%)、それから黒字郵便局三百九十八局(五一%)というふうに数字が載っておりますが、この数字の中で、たとえば二十人局までの幅が、費用と収入との間のバランスが一〇%の差があるわけです。それから、四十四人局までの間が、これは収支均衡がとれておって、七十人局になってはじめて四%程度の黒字、百五十人局以上で八%程度の黒字、こういうふうになっておるわけなんですが、これは公共性と採算制とから見てこのままに放任をするわけですか。それともこの赤字局に対しては、採算規模局への転換をするような、何らかの措置をとられるわけですか、どちらですか。
  85. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) いろいろ経営分析等をやってみますと、こういうような結果が出たわけでございますが、御承知のように、郵便事業は、公共性の非常に高い事業でもございますので、この結果によってたとえば人数の少ないような局については経費を落としていくとか、そういうような政策は格別とっておらないわけでございます。
  86. 横川正市

    横川正市君 これは前回か前々回の郵務局長が、たまたまあるいなかに行って、窓口からのぞいてみたらだれもいないと、そういうので、だれかいないかと思ったら、裏のほうで、水田の中で大きな声をあげて返事をした。来てもらってそしていろいろ聞いたら、そこは家族三人局で、家族全部集めますと、月の給料が当時の金で七万数千円、年末手当、夏季手当全部入れますと月大体十何万円ずつぐらい払っていることになるのだけれども、これじゃ郵便局はもうからんねという報告、私聞いたことがあるのです。これは公共性というものはどこまで見ておけばいいものだと考えておられるのか。この点はどういう考え方で公共性とそれから採算制というものをかみ合わせていくか、これは経経者なんですから、もう少し経営の立場からどう考えているか、ひとつお答えいただきたいと思います。
  87. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) ただいま御指摘いただきました資料の点でございますが、これはたまたま事実を出したものでございます。したがいまして、これで見てみますと、四十四人以下のところは赤になっておりますから、結局全郵便局——普通郵便局のうちの半分がこういった形で分析して見ますと赤になるわけであります。ただ、おっしゃいますように、郵便事業は公共性が非常に強いもんでありますから、東京とかこういったところにおきまして、出しました物もやはりいなかには参るわけであります。したがいまして、たまたまそれが四十四人以下であって赤でありましても、これはやむを得ない。やっぱり全体的に総合的な計算をいたしませんと、場所場所で見ました場合には、日本じゅうの郵便局の半分は赤になってしまう。そういたしますと、いなかで出した手紙を高くしなければならないとかいうことに相なりますので、やはり総合的に計算をしてまいる、単価も全国均一主義をとらざるを得ないという結果に相なってくると、かように考えております。したがいまして、すべて総合的に考えざるを得ない。また同時にたとへ山の中でありましても、最少限度の服務定員はやっぱり置いておかなければならない。これも事業の性質上やむを得ないんではないか、かように考えます。
  88. 西村尚治

    ○西村尚治君 議事進行について発言を求めます。……(「発言中止じゃないか」「何を言うか」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然)
  89. 野上元

    委員長野上元君) 暫時休憩いたします。    午後六時七分休憩      —————・—————    午後八時四十三分開会
  90. 野上元

    委員長野上元君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  質疑を続行いたします。横川君。
  91. 横川正市

    横川正市君 妨害が入って中断したものですから、さきに続いて質問いたしますが、この事業採算局の問題で、総合的な関係から、赤字局については黒字局でそれを埋め、そのバランスをとって経営をされているのだという資料の説明があったわけです。私は、これはバランスのとれた企業で、あえて問題としないという企業ならば、その資料の説明どおりにとっていいわけですけれども、この事業実態というのは、実はどちらに金を使ったら有効かということのほうが重点になりそうな、しかも非常に急いで使わなければならない金をあちこちに必要としているという、そういう状態から推していってみますと、いまのこの小局の経営問題がこのままでいいかどうかという点については疑問が残ると思うのです。ことに先般の逓信委員会でも、私は小局経営の問題で電電公社質問いたしました。二様の答弁があったわけです。前日のは、小局経営については、郵政省に委託費その他で恩を売っているという答弁があって、その実態の報告を聞いた翌日の今度は答弁で、小局の経営電電公社にまかされますと、電電公社経営が、これが破産をしてしまうというような意味での小局経営について、公社側から答弁がありました。ですから小局経営というのは、これは非常に公共性が高くて、言ってみますと、採算的に見ますと、割りの合わない経営だということは、電電公社の合理化された状態からいってみても明らかなところだと思うのです。それゆえに郵政省の小局経営については、私は少なくとも時間的な経過の中では漫然と踏襲する経営ではなしに、漸進的にあるいは前進の形をとって小局経営についてのものの考え方というものが出ていいんではないか、こういうふうに思います。  そこで第一は、特定局における人事配置の問題で、これは相当旧来からの慣例に従いましてどんな小さな局にも局長といういわゆる特別職の人を配置をいたしております。一体これが必要かどうかというような問題なんです。対社会的に局長という名を冠した人がいることが、これが局の信用であり、あるいはそういう人事があることが、たとえば貯金とか、保険とかの奨励事務にプラスになる、こういうものの考え方というものは非常に古いんじゃないか、こういうふうに私は考えるわけです。これはひとつ郵便事業の採算あるいは採算割れの赤字局についてのみでなしに、全体としての小局経営についての一つ考え方というものがあっていいのではないか、こう思います。特定局を見ますと、たとえば、局長代理業務を行なっているものは、これは局長と全く同じだけの権限と仕事の量をもって動いておりますから、三人おりましても十人おりましても、いってみますと、局長と同じような性格の者が、二人配置をされていると言って過言ではない状態であります。そういう点から言って、この採算割れ局の一体局長配置ということが、採算上を度外視しても必要だと、こういう点がどこにあるか、この点をひとつお答えいただきたいと思うわけです。
  92. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 特定局制度についての御所見、これは特定局制度についてすでにだいぶ前に答申を得、採用すべきものを順次採用しておりまするが、私は考え直すべき点もそれぞれあることはあると思います。しかし同時に、郵政事業というものが、地方における民間有識者が事業に参画するという形で、そして郵便事業というものの円滑な運営をはかってまいる、こういうところに歴史的な背景もございまするが、しかし、歴史的な背景になずんで見てはいけないと思います。したがいまして、実績等もよく私は見なければいかぬと思いますけれども、この制度そのものに従いまして自由任用と申しまするよりは、むしろ国家公務員のほうから申しますれば選考任用ということだと思いまするが、こうした特定局長による小局の運用というものは、考え直すべきところは考え直しながら、いい結果を得てまいるというぐあいに、これから進めてまいりたいと思います。
  93. 横川正市

    横川正市君 実は任用制度の問題の印刷物をちょうだいをいたしましたから、これはひとつ質問いたしてみたいと思いますのですが、私ちょっと記憶が非常に古いものですが、文書内容もある程度の記憶を持っておりますので、先ほど人事院の総裁が来たときに、総裁に人事院がこの特定局長の任用についての文書通達を郵政省に出した。たしか年月からいいますと昭和二十六年ごろだったと記憶をいたしております。二十六年ごろの総裁の淺井人事院総裁が、特定局長任用問題についての覚え書きを出したわけであります。それはたしか三項目に分かれておりました。一項目は集配局における特定局長の年齢制限で、たしかこれは三十歳か以上というふうに年齢制限があったわけであります。それから学識経験者あるいは事業経験のある者というふうな項目が第二点、第三点は自由任用についてこれを認める、こういう三項目であったと思うのであります。そこでその自由任用を認めるという理由について、これは時の事務次官の大野勝三さんと人事院総裁と二人の見解が表明されておりました。その見解の人事院側の見解は、郵政省の言によれば、きわめて高い公共性のある郵便局をこれを設置する場合に、部内選考からも、それから他に、求めがたい場合があることを考慮して、その場合に自由任用をもって局長に充てる、こういう解釈がこの人事院総裁から解釈として私どもに言われておりました。それから大野事務次官も同じように、これは組合との団体交渉の中で、人事院が郵政省からの事情というものを説明を受けた結果、それならば三項目残そう、こういうことで残されたのは、いま言ったように山間僻地における公共性の高い局における局長としてのなり手のない場合、部内になり手のない場合に民間からの登用ということもあり得るので、これはぜひひとつ項目として残してほしい、こういうことを頼んでこの項目は残してもらいました。これが当時の局長の自由任用についての人事院と郵政省側との話し合いの内容であったわけであります。私は、この考え方はその後実は人事院でも郵政省でも変わっていなければならないのに、だんだ変わるよりか、自由任用について何かもっと別な意味を持ってきているのではないか。その別な意味というのは、これはいってみますと、地域の名望家であるとか資産家であるとか知名人であるとか、いわゆる郵政事業にプラスになるというきわめて古い局長選考のものの考え方が、だんだん表面に出てきたのではないか。それが今日何か人事院と郵政省で取りかわされた文書を逸脱した任用制度になってきているように、実は私は最近の局長人事について非常に遺憾な点だと考えておるわけなんです。これはぜひひとつ当時の状態を調べていただきたいと思うのでありますけれども、もう一つ最近非常に悪い傾向というのは、これは政治家が任用に介入するということですね。この政治家が任用に介入するという問題で、たとえば群馬県の、ここにおられる方はちょっと失礼ですから省きますけれども、群馬県の著名な人は、この東京郵政局の人事部長を更迭しろという申し入れをしたことがある。更迭しろという申し入れをなぜしたかと調べてみますと、自分の知人が請願局を請願したが、その人事を断わった、あいつはけしからぬというので人事部長を更迭しろという問題が起こったことがありました。それに類似する状態というものがあるのじゃないか。結局これは企業の問題から離れて、何かそこに自分の地盤を醸成するための、まあそういう意味で特定局が利用されているという点があるんじゃないか、そういうことからだんだん公共性はきわめて強いということよりか、まあ不要と思われようなところでも局の設置は、いわゆる請願局として設置されていく。そこには局長職が置かれている。ますますこれは採算がとれないという状態で局の設置がされるというふうに、いろいろに要素はあると思いますけれども、最近の特定局の置局の問題については、私は相当腹のすわった対策を立てていかないといけないんではないかという問題があると思うんですよ。いま言ったように赤字の局が三百七十八局で全体の四九%もありますということで、それが公共性があるからしかたがないんだということで、赤字にならないための対策を放任している事業というのは、おそらく郵政事業以外にないんじゃないかと思うのですね。国鉄が無人駅やあるいは駅長不在駅をつくるというような方法で赤字の克服をはかったという例もありますけれども、あれほど転轍あるいは転換等で人命その他に相当な影響力のあるところでさえ、そういうような処置をとった例もあるわけですが、ところが採算がとれないで全くの赤字経営で、しかも一人件費は一年分を実際上の収入から見ると一カ月で人件費に消費されてしまうというようなことであっても、これを公共性ということで置局をしていくことは、私はこれはどうかと思うんですよ、企業の面から見ますと。その局を廃止しろというのではなしに、少なくともこれは、たとえば局長代理が局長も兼務するという方法もあるでしょうし、その他名称は局長でなくても、局員がそれを代理して業務を遂行するという場合もあるわけですから、そういうことで赤字の郵便局を解消する努力があっていいのではないか。これは幾ら他に金がもうかっていても、こういう点は放任できないはずなのに、赤字で非常に困難な経営をしているというのに、赤字局をふやしていていく。しかも現在の赤字局はそのまま放任するということは、これは私は企業の面からいって全くとってもらいたくない処置だと思うわけなんですよ。そういった点をもう少し解消する、あるいは解決をする方向でこれは検討していただきたい、こう思うわけですが、御答弁をいただきたいと思います。
  94. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私、先ほども申しましたように、特定局長というものが、選考任用によって、部内外を問わず有能な人物を簡抜してまいる、そうすることによって、なるほど業務に若干うといところがあるにいたしましても、むしろ地方における運営上いい結果が出てくるということをねらいにいたして、その妙味が発揮されるものだと思います。したがいまして、これに伴う弊害であります情実というものは、厳に排さなければいけませんし、赤字局の解消のための努力というのも、当然これと関連いたしまして考えてまいるべきことだと思います。
  95. 横川正市

    横川正市君 人事局長、来ているわけですが、いまの大臣答弁で、あなたのほうが、この大臣趣旨を受けて、処置としてはどういう処置があるというようにお考えですか。
  96. 曽山克巳

    政府委員(曽山克巳君) 大臣が御答弁になりましたとおりでありまして、これにつけ加えるものはございませんが、具体的な措置として、人事局長はいかに考えるかというお話でございますので、特に第二点の特定局長の任用にあたりまして政治的な干渉の排除ということにつきまして、私どももあくまで特定局長は、その地方におきまして地域社会におきます信望をつなぎ得る有能な人材を簡抜するという意味において、一切政治性を排除して採任するという方針を徹底してまいりたいと思うのでございます。
  97. 横川正市

    横川正市君 次の問題ですが、先ほど総理との間でそれぞれの委員がやりとりをいたしておりましたから、私は全体に触れることはいたしませんが、まず貯金局長と保険局長にお尋ねをいたしたいのは、余裕金というのは、金のまあ呼び名からいたしますと、これは年度予算を組みまして、それによって事業計画を行なった結果、その計画をオーバーした金が、これがまあ余裕金、そしてその余裕金は資金運用部へ総体的に預け入れて、六分五厘の金利等でまあいわば予算外の支弁ができる、こういう意味での余裕金であり、あるいは予算外金利と、こういうことだろうというのが。貯金局の場合ですね。それから保険の場合には、これはまあ一部運用のワクの中に入ってくる、いわゆる年次予算外の予算、こういうふうに理解をするわけですが、余裕金というのは、一体これはどういう金なんですか。ひとつそれぞれ事業局長から御答弁をいただきたいと思います。
  98. 稲増久義

    政府委員(稲増久義君) 郵貯会計の剰余金は、お説のとおり歳入と歳出との差額でございまして、この余裕金と申しますか、剰余金は郵貯会計の特別法第九条によりまして、積み立て金といたしまして将来の金利の変動あるいは郵便貯金の資金の増加傾向の変化等不測の経済変動に対処し、または事業の近代化その他施設の改善に備えるために保有する性格のものでございます。
  99. 武田功

    政府委員(武田功君) 簡易保険におきまして申しますところの余裕金ということは、これは当該年度間におきます歳入歳出上の出し入れの間に生じましたところの余裕額を申しまして、当該年度決算を締めまして確定しましたところの過剰額は、これを剰余金と申しております。で簡保会計におきましては、その前段に申しました余裕金というのは、当該年度の分でございますから、翌年これは積み立て金に繰り入れられるわけでございます。したがいまして、その間はこれを資金運用部に預託をしておくと、こういう性格のものでございます。だから今度は、決算いたしました後に出ますところの剰余金、これは一応この剰余金はそれぞれ責任準備金その他をとりました残りでございますので、これはさらに積み立て金として運用していく、こういうものでございます。
  100. 横川正市

    横川正市君 これは貯金とそれから保険、それぞれ額で幾らですか。
  101. 稲増久義

    政府委員(稲増久義君) 貯金におきましては、四十年度決算見込みで二百九十一億円でございます。
  102. 武田功

    政府委員(武田功君) 簡保の余裕金はその年度でかなり違いますが、大体四十年度は約一千億と見ていただいていいのではないかと思います。なお、剰余金のほうは、四十一年度の予算におきましては百五十四億を見込んでおる次第でございます。
  103. 横川正市

    横川正市君 大臣、余裕金、剰余金も歳入歳出の出し入れからはみ出した金だというんですが、一体この余裕金というものを出す、そのものが私はいろいろ問題があるのじゃないかと思うんですよ。たとえば、あとで聞きたいと思いますが、設備関係の借り入れ金、たとえば簡保会計から二十三億建設資金として借りるいまの郵便会計のあり方からすれば、金利のつく金を借りるということは、これはあまり好ましくないことなんではないか。なるたけ現状を安定さしていくためには、金利がかさむということは、いわば不安定財政ですから、金利を出さないで施設の増強をはかっていきたい。その場合に、たとえば一つの局を建てる場合、郵便のスペースは幾ら、貯金のスペースは幾ら、保険のスペースは幾ら、共通は幾らというような形で金の支弁をかりにいたしますとして、その場合に貯金会計とか保険会計からある程度の金を支弁をすることによって郵便会計をカバーをするという意味で使われないものかどうか。それから特定局なんかの場合には、たとえば貯金の支弁でもって特定局を建てるというふうな、いわゆる建設資金はそういう意味から出されないものかどうか。これは会計法上そういうことにはなっておらないわけですが、一体郵政省の金の使い方が、郵便会計が特別会計としてきわめて限られたものだという場合、料金改定にたよらないで、いわばそういう他会計の当然の設備投資といいますか、これで補うことができないだろうか。私は最近都市、地方全部歩いてみまして、りっぱな鉄筋コンクリートのすばらしい建物は全部銀行だとか、あるいは信用組合とか相互銀行であるとか、農協であるとか、まあ言ってみれば積み立て金を不動産投資しているわけですね、別に金利払っているのじゃないと思うのですよ。いわゆる不動産としての価値を担保にしているのだと思うのですよ。そういう金の使い方ができないかどうかという問題なんです。できないというのはなぜできないか、こうすればできる、こういう点を明らかにしていただきたいと思う。ごうすれば、できるというのなら、その改正について一体どう考えるかという点ですね、これをひとつお答えいただきたい。
  104. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 貯金における剰余金考えて、なるほど近ごろ三百億近いものが年々出てきております。ところが、横川さん御存じのように、かつては数年前は赤字であった。そういたしますると、私はこの経営というものはそう楽観できないのじゃないだろうか、事実、現在だんだんと剰余金の減ってきている傾向のほうが出てきているのじゃないだろうか、かつそういたしますると、その貯金会計そのものの経済的な不測の事態に備えますることと、ただ考えなければいけないことは、私はやはりもう少し預金者の利益と申しまするか、預金者のために、これはもちろん貯金でありまするから、特利類似のことは全般的に金融としてすべきでないと思います。しかしながら、郵便貯金について許される限度というものは私はあるのじゃないか、そういうほうに使いたいということは考えます。また簡易保険につきましては、これが法律上そのまま積み立て金の運用に関する法律に基づきまして実施運用いたしておりまするが、これらの資金というものが、財投の形で新営その他に使われてはおりまするけれども、私はその建て方というのは、それなりに積み立て金の運用の一環として財投を通じて新営改善のために使われるというただいまのやり方、これは私は郵便なり貯金なり保険なりは、それぞれのあるいは預金者、ことに保険に至りましては特にその点をはっきりさせなければいけないと思いますが、そういうそれぞれの保険をされまする方、貯金をされまする方、その人の利益のために確保していくということは、私は正しいことだと思います。ただ、これについてそれではいまのままが絶対であるかと申せば、私は貯金などについてはさらにくふうをすべきものじゃないだろうか、あるいは立法上の措置も考えるべき問題もあるのじゃないだろうか、このように考えております。
  105. 横川正市

    横川正市君 何年つとめましてもはがき一枚自由にならないという制度が郵便局の制度で、それがいいこととして今日来ているわけなんですよ。ですから私はいわば予算外の金ができて、それが余裕金として、あるいは剰余金としてさらに金利を生んで、その金利でだれに気がねなしに金が使えるのだ、こういうことは非常にかたいやり方だと思うのですよ。ところが、そういう金を生むという土台事業ですね、事業をやるためには、設備も必要ですし、人件費も必要なわけですね。ですから、人件費をどうとるか、設備費をどうとるかということは、これは別に浪費ではないと思う。その設備費をどうとるか、人件費をどうとるかということとあわせて、その使用については、たとえば三十名局の特定局では、事実上これはどこへ行ってみても窓口が全体ですよね、もうほとんど郵便現業室とか外勤室とかいうのは、全体のうちの五分の一も使っていないわけです。そうすると、そういうところは貯金とか保険の費用でもってこれは設備投資できない、いわゆる設備へ金が回せない。それは何も金利を払う必要のない金だから、そういう意味では郵便会計は助かるのじゃないか。そういうふうなシステムがとれないのは、いまのいわゆる預託方式とかあるいは運用方式とか、金利による運営だとかいうことが、事実上そういう方式がとれない。しかしワクはもう少し拡大できないか、そういうことなんですよ。結局事業経営するためには、人件費その他が要るわけですからね。まるまるこれは全然要らないで、金だけ動いているわけじゃないのですから、そのワクをもう少しふやしてとれないか。そのワクを設備投資に回せないか、こういうことなんですがね。ワクをとるのにも、これはたしか率がきまっておるわけですね、人件費はどうだとか設備はどうだとか。たとえば貯金の場合には地方貯金局とか何とかしか金が回せないとか。そういう点を改正できないかということを言っておるのですよ。現行じゃできないことはわかっているんですよ。
  106. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 経理局長から詳しくお答えさせますけれども、予算の折衝の際にも、ワクと申しまするか率をでき得る限りいいようにいたすようにというような、まあしかし、まだまだやってみまして、この程度であったかということを、実はことしも感じたのでありますが、その模様をひとつ経理局長から簡単にお答えさせます。
  107. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) ただいま大臣申されましたように、ことしの予算におきましても、相当ふやすように努力していただいたのであります。それで結局のところ郵便も一緒に豊かになってまいりませんと——窓口が同じでごさいますと、貯金の分担します貯金会計からの繰り入れも、それから保険から繰り入れるにいたしましても、現在の法体系でまいりますと、貯金事業に必要なお金しかとれないわけであります。保険もほとんど同様であります。そういたしますと、現状で、全部よくしてまいりますと、郵便のほうの負担もよくなし得るように郵便自身の収入の力もついてこないと、結局はできなくなる。もしそれを貯金、保険で分担するようになるといたしますと、先ほど大臣も申し上げましたように、やはり現在のたてまえにおきましては、貯金事業においては預金者のために、保険におきましては加入者のために、こういった面と、はずれてくるわけであります。したがいまして将来の検討は別といたしましても、現段階におきましては、やはりそれと同じように、郵便のほうにおきましても、収入がふえてまいりませんと、なかなか困難であります。ただことしの予算におきましては、例年に比べましてだいぶこの点はよくなってまいっております。今後はそういった点につきまして、一そう努力してまいらなければならない、かように考えております。
  108. 横川正市

    横川正市君 具体的に、たとえば特定局十五人局で、集配区三区ないし四区、定員六、七名、集配ですね。電話が三人か四人、それから内勤が四、五人、こういう局で、各事業別に分担する金の割合というのは、どういうふうになるか。たとえば委託費から幾ら、それから郵便会計から幾ら、保険会計から幾ら、貯金会計から幾ら出して、一つの局がつくられますという、そういう金の出し方はどうなんですか。
  109. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 普通の経費につきましては、定員で皆まいっておりますが、局舎を建てます場合におきましてはスペースでまいります。共通部分につきましては、やはり定員の分担率になっております。ですから、一応貯金からはそれにふさわしいお金を入れてもらう、保険からも入れてもらう。こうなりますと、やはり郵便のほうもふえてまいりませんと、同じ建物を建てるだけにやりにくいという点もございます。ただことしは百七十五億ちょうだいいたしましたから、その点は非常によくなるようになっております。
  110. 横川正市

    横川正市君 これは店舗を持てば店舗を持ったものが全体の何割を出す。そしていわば同居のかっこうのものはこれは何ぼを出すというふうに、何も郵便局だから郵便が主だというものの考え方というものはないと思うのですよ、実際には。私はこれは大臣もこの間約束をしたように、大体貯金、保険の問題については、大蔵省に遠慮し過ぎておると思うのだ、実際は、郵政省は遠慮しているから、勢い赤字だらけの郵便会計におぶさって、そして設備でも何でもやらにゃいかぬことになる。もう少し遠慮しないでやれば、その収入源はないわけじゃないと思うのだな、実際には。それはなるほど郵便もある程度潤沢にならなければ、おつき合いできないことはわかりますよ。しかしそのおつき合いのしかたをもう少し貯金とか保険とかまあことに貯金ですよ。貯金なんかまるまる大蔵省に持っていかれて、六分一厘だったですか、六分一厘を六分に減して、そして八百億赤字になって六分五厘にしたわけですね。経緯を言えば。あのときも前から六分五厘でやっていたら、もっとそういう面での設備というものは相当強化されたと思う。しかしその当時何か予算編成のときに、定員をとるのに大蔵省に少しくらい譲歩しなければいかんというので、何ぶん譲歩しましたということで、非常に口分の仕事というものを相手側が恩恵を感ずるほどにこちらが主張しておらない。こういう点があるんじゃないかと思うのです。これは決して正当な形じゃない。私はそういうふうに思うから、だからこの点を声を大にするわけですよ。  いま、まあ局舎の問題を触れていますがね、先ほどもちょっと大臣に総括のときに話しましたように、集配のあれでしょう、休憩室もないでしょう、いすもないでしょう、清掃費もないでしょう。まあもちろんふろなんというのは百五十人か二百人いる局で一日おきとか三日おきですよ、たてるのは。それほどこちらのほうは遠慮しておいて、そうして相手のほうには左うちわで仕事をさしておるというのは、こんなべらぼうな企業というのは、それはないですよ、実際には。なぜ遠慮しないで、もっと人件費とか設備費とかいうのをワクをとらんのですか。これは貯金会計、保険会計からですね、そして郵便会計の乏しいものを補ってやるというかっこうがとれないと、これはこれからの事業経営というものはますますめんどうになるんじゃないか、どうですか。だんだんするという話ですかな、これは。
  111. 淺野賢澄

    政府委員(淺野賢澄君) 実はことしの建設勘定は、昨年に比べまして五二%ふえておるわけであります。能力からいたしましても、計画からいたしましても、いままでの最高でございます。したがいまして御趣旨の線に沿いまして、ことしからは非常により計画は進んでいくんではないかと考えております。もしことしの予算の内容からまいりますと、まあ今後は大体こういった形で御趣旨のような点で逐次改良をしていくべきであると、かように考えております。
  112. 横川正市

    横川正市君 大体改善された局と、非改善の、改善を必要とする局はたしか三分の一と三分の二ぐらいですかね。まだこれから、残っているのは千局以上。そういう状態で、どれだけの予算のワクが必要で、一人あたま人頭割りの坪数が幾らで、そしてそれは現在までのやつについてはこういうふうに変わりますというやつを、これひとつはっきり計画として出して、予算はどうで、貯金会計から幾ら入れてと、こういうやつをはっきりさせて、そして大蔵との折衝をやってくれるように、これはきょうは時間がありませんからこまかに触れませんが、この点をひとつ強く要望いたしておきます。  それから、これは人事局長にお聞きいたしますが、共通関係の人員は実務の人員から割り出して、何人に一人ぐらいな割りで共通関係というのは人の割り当てがあるわけですか。
  113. 曽山克巳

    政府委員(曽山克巳君) ただいま手元の資料を調べておりますのでちょっとお待ちください。後ほど数字を申し上げますが、大体の考えといたしましては、それぞれ事業部門をささえますところの共通部門の割合は、それぞれの事務の量によって決定されるのが当然でございまして、したがって、いま先生のおっしゃいました共通要員の大部分は、庶務会計の要員が大宗になるのでございますが、数字の割合といたしましては、郵便、貯金、保険さらに電気通信の四つの事業の定員のふえますのにかけることの二・四%という率をもって算定することが慣行となっております。たとえて申し上げますと、昭和四十一年度の増員数は郵便、貯金、保険、電気通信あわせまして六千八十七人でございますが、それに二・四%かけまして百四十八人ということになるわけでございます。
  114. 横川正市

    横川正市君 それは共通関係の人をもう少し減らすような、機械化とか合理化というような関係は検討しておきますか。
  115. 曽山克巳

    政府委員(曽山克巳君) 私がお答えするよりは経理局長の領分かと存じますけれども、御案内のように、先ほど申しました庶務会計で申しますと、庶務会計の面におきまして、たとえば、給与事務等におきましては、これをいま各局にやっておるのが大宗であり、また特定局におきましては指定局としてやらしておるわけでございますが、こういうのを集中的に、たとえば郵政局におきまして広い管内を総合的にやらすということになってまいりますと、機械化と相関連しまして思い切った人が減員できるということになります。そういう点につきましては、特に東京を中心にいたしましてモデル的にやってみようという計画も進んでおります。それを受けまして、本省におきましてはいろいろと研究いたしておる次第でございます。
  116. 横川正市

    横川正市君 私は、現場実態というものは、内勤は共通に過員をかかえて、そして外勧に人員不足を来たしている、こういう状態というのが非常に強く出ているのじゃないかと思うのです。これは一つ労働条件へのまあそれぞれの選択がそういう傾向をたどっているということで、やむを得ないしわ寄せだと思うのです。しかし、こういう点を是正をするという、そういう方法というものは少しもとられておらないと思うのですね。たとえば、第一の問題点なんですが、昭和二十八年につくられた行(一)、行(二)等のいわゆる給与表について、これは外勤職から行(二)俸給表ですか、それのたしか不合理については相当強く要請されているはずなんですが、この点はおそらく人事管理か労務管理のことですが、そういうことから行(一)、行(二)の俸給表については、あなたのほうでは固執して譲らないという問題も一つあるでしょう。それからもう一つ、郵務の実態の中でたとえば通区に対する訓練要員、それから、班制度についてのそれぞれのまあいわば職務指定ですか、そういったことも満足にとれないような人員配置でしょう。で、私はこれは実際に外勤経験がありますから、私ども郵便配達をしていたころには、七区くらいは通区を持って、さらに小包区を三区か四区通区を持っていたはずですよ。ところがいまの通区状態というのは、一区か一区半がせいぜいですね。そうして三区もやろうということになれば、三年も五年もかかっているわけですよね。でこれは昔は予備定員というのがあり、班長制度があって、それぞれ通区について相当な長期訓練とか、あるいは教習というのがあったはずであります。それが全然できない状態になってきている。で、昔のような労働オーバーをしていた時期といま違いますから、いわゆるその勤務時間に縛られてどうこうするということは、これはまあ非常にむずかしいことでしょう、運用上は。それにしても三年、五年といったって一区か二区の通区しか能力がないということは、これはもう仕事をさせるという意欲が私はないのだと思うのですよ、実際には。仕事をするための準備もないのじゃないかと思うのですね。これはいわゆる外勤職が定員が非常に辛くて、過員は内勤職にかかえて、そうして今日まあ人事配置がアンバランスになっている点は、これがその大きな原因だと思うのですが、これはどうですか。今度の場合にはどういうふうな具体策をお持ちになっているわけですか。
  117. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 外勤が欠員になりがちだ、あるいは通区の能力が低いというお話は、一般的な傾向としてそのとおりかと思うのでございます。ただ欠員につきましては、一昨年郵便外務員に対する給与の調整額あるいは初任給調整額等の制度もつくられましてから、採用に対する努力と相まちまして、大都会の外勤の欠員は、部分的にはともかく、総体としましてはそう多くございません。特に学校卒業期には見越し採用を、現在欠員になっておらなくとも、今後だんだんやめていくものを見越しまして、相当多数の過員も外勤についてはかかえるという体制を、人事局と連携の上でとっておりますので、大都会の外勤欠員ということはあまりないということが申せるかと思うのでございます。  なお、通区につきましては、お説のとおり昔と比べまして、非常に通区の能力が劣っております。これはいろいろなことが考えられますが、一つは以前は競技会等もございますし、またそれに伴う手当もいろいろあったわけでございますが、現在は道順組み立てについての手当はございますけれども、通区能力というものと必ずしも即応してないということがございます。定員は訓練のための定員というものはまだ持つに至っておりませんけれども、訓練のための若干の超勤等がありますし、見越し採用によって過員になりました部分については、その部分をいたずらにみんなが負担を軽くして使ってしまうということのないように、そういうときには特に通区その他の訓練というものに意を注いでおりますので、基本的に給与体系その他からする刺激というものが乏しいといううらみはございますけれども、全体としましては、逐次通区能力というものも上がっている状態でございます。
  118. 横川正市

    横川正市君 これは、通区能力なんというものは、相当な訓練要員とか、ある程度の予備定員というものが常にその局に配置されてない限りだめですよ。それから言ってみれば、いまの何といいますか、外勤者の経験年数、これは一体どういうふうに変転をしているかという問題もあると思うのですよ。全体として二年とか三年とかで、それで一人前の通区能力を持つなんということは、これは望めないわけなんです。そういう職場であるということをお考えになっているわけでしょう。そういう予備定員の配置だとか、それから定着する対策とかというものは、これは一番大切なことなんじゃないですか。機械、たとえばコントロール何とかのあれですね、機械を一台据えつけるよりか、優秀な一人の外勤者を育てるということのほうが急務なんじゃないですか、実際には。それでいま郵便の信用の一番落ちている最大の原因は何かというと、一体自分のうちに配達されて、三日も四日も始末をしないで、机の上に置いてあったんだから、おれの郵便もどこかのうちへいってこないんじゃないかという、そういう心配がまず信用を落としている原因なんですよ。昔はなかったですね、そういうことは、そういう心配があるなんということは。これは郵便局というものは実に正確に届けるべきものだという、そういう信頼感があったものでしょう。それがいまではそうではなしに、一体おれの郵便物はどこへ迷い込んでおるんだという、これを心配しなければいけないと、そういう状態ですよ。それから私は、これは非常に一回耳にして憤慨したことがあるんですが、いま某郵政局の局長になっている人が、年賀の紛争が起こった時期に、解決をする日にちが一月中であればいいんだ。年賀というのは一月中に届ければいいんだ。だからひとつ組合員さん大いに紛争を起こしてください。私のほうは痛くもかゆくもありませんと、こういう考え方で対処したことがありますね。これは皆さん腹の中にあのころかなというふうに確かあるはずなんですよ。だからいまでも年賀郵便なんというのは、まあことしは郡郵政大臣がきて高い配達率を正月三日間をやったということで、これはもうあたりまえのことが、たいへんいいことをやったということになってしまったのですが、それまでは十日ぐらいまでに配達すればいい、十五日末だから十五日まででいいのだ、こういうことは、配達事務に対する実際の取り扱い者心がまえとしてきわめて遺憾な状態にあったということがあると思うのですね。いってみると、そういう問題を一体どう解決するかという点が、今度の場合には非常に重要になると思うのですよ。具体的に今度はこうなりますというプランが立てられますか、この点で、私はいまの状態で、郵便料金が上がったからといって、仲裁をやれば三分の一くらいすっ飛んでいってしまって、あとは何かこのままの状態でいくとすれば、それほど抜本的な対策はできないのじゃないかという気がしますが、その意味で、私は、他経理からの借り入れやいろいろな問題を、償却の赤字の処理の問題だとか、そういった問題を出して、もっと総合的に金というものを最も重要な郵便事業で使えるという体制をとるべきだと思っているわけですが、この点どうですか。
  119. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 郵便を取り扱う者が、郵便物人間の魂のこもったものとして取り扱うということにつきましては、数年間、定員不足とか、あるいは労使間のトラブルとか、そういうようなことのために、職場において、ともすれば忘れられがちであったのでないかというような感もいたすのでございますが、そういう面につきましても、特に昨年以来は意識的に各職場ごとにそういう月間運動等も起こしまして、職場の創意等も生かしながらその運動を展開しておりますし、今回の料金値上げによる制度改正、あるいはまた、近代化の推進ということも、郵便事業にとっては、まあ金額としてはお話のように非常に巨額というほどではありませんけれども郵便事業にとっては、相当清新の気を吹き込むに足るに十分と言ってもいいようなものでもございますし、私ども郵便関係者、力を合わせまして、お説のような趣旨に向かって邁進するつもりでございます。
  120. 横川正市

    横川正市君 あと一つ、時間がないから具体的な問題だけ提起して、大臣の意見を聞いておきたいと思うのです。  私は、いまの郵政の人事配置の中で、もう無用の長物で、廃止すべきものが一つあると思うのです。それは何かというと、これは人事担当官、労務担当官という制度があるわけですね。この労務担当官というのは今日は必要がないと思うのです。あることによって、かえって不必要なトラブルを起こして、実際上業務阻害行為をやっている。いってみますと、お役人というのは何かの窓口をつくると、そこに予算もつき、人もつくから、なるたけ人をとりたい、予算をとりたいということでいろいろなことを考えるようですが、いってみると、この人事担当官は私は廃止すべきだと思う。これはだいぶ前、手島郵政大臣に、人事担当官をなぜ置いたのかと言ったら、実は私は大臣になったばかりでよくわからぬと、これは不必要じゃないかと言ったら、調べて善処します、という答えで、速記録も残っている。これはもうずいぶん古くなりましたが。これはいって見ますと、これは郵政省からすれば正常業務運行のためにあるいは郵政省なりの解釈からすれば功績があったかもしれません。しかし、いまは私は必要がない。しかも、きわめて悪いケースとして、これはもう人の労務管理、いわゆる、人と人との関係の労務管理、これを最近行なっているというふうに思うのです。この人と人との関係というのはどういうことかというと、本省の何期の者と郵政局の同期の者と、それからこれと一脈通ずる者という関係です。ですから、もうこれは官庁機構から逸脱しております。人事局長が郵政局長に、郵政局長が人事部長にというコースはもうなくなってしまって、そうして私がここで聞いたときも、人事局長は全然知らないことが下部でもってどんどん行なわれているというように、行なわれた責任の一半はだれが負うかというと、本省の労務担当の係官、こんなところが責任を負わされるという形態というものが生まれてきております。そうして、それらが、たとえば、指示、指令なんかの上部からの問題等については、一応文書は正規のルートを通ってゆくわけです、末端の局長まで。ところが、そのルートを通った書類が実際行動に移ると、労務担当主事だとか、労務担当官、郵政の労務担当者、あるいは管理者、本省の人事局の管理者、これが実際のコースになってきて、命令系統というのが、いわゆる局長、それから郵政局長、現業局の局長といくのと二重の指揮系統ができておって、これは労務管理上きわめて混乱を生じているんじゃないかと思うのであります。そういう意味合いから、これは労務担当官制度というのは廃止すべきだ。当然労務についての担当者は必要ですが、その局の局長の権限範囲の中で該当する者を任命すべきだと思う。その仕事内容としては、郵政局長の任命する者と、局長が同じ郵政局長の任命である場合に、これはいかがわしいことですが、私の聞いたのでは、四十年もつとめてようやく局長になっている者に、三十歳そこそこの男がどなりつけて、そして仕事をやらせたなんていうことを私は耳にするわけですが、こんなことはもう不遜もはなはだしい問題だと思うのですよ。そういうことがどこから出てくるかというと、いつでも何か上のほうの者が仲間意識を出したり、骨を拾ってやると言われたりして、そして逸脱行為を行なうという行為が非常に強いと思うのです。だから、いまは一時はあるいは郵政省では一つの功績をあげたと思っているかもわかりませんが、今日は非常に大きな害毒になっている労務担当官というようないわゆる郵便局長任命にかかわる制度というものは、これは廃止すべきだ、こういうふうに思うわけですが、ひとつこれは大臣から御答弁をいただきたいと思います。
  121. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 現在ありますそれぞれの制度というものは、意味のあることと思いまするけれども、それが行政上の士気を乱りましたり、あるいはかえって秩序を害するような動きをいたしますることは、これはよろしくないことであります。よく検討をいたしまして、それで弊害の生じない本来の目的に合うような制度にいたすべきものと考えております。
  122. 横川正市

    横川正市君 ひとつその点で十分検討して回答を出していただきたいと思う。  それから私は、先般の委員会で、二十七局に対しての人管から流された予算の使用状況というやつを資料でいただきました。実はこれを一つ一つ検討いたしますと、まだ三日あっても足りないわけですが、これだけの中でどれだけの金が使われているかという点を、わずかにこれは五局程度しか出ておりません。しかし、一体、労務管理をするそのものがこんなに金を使っていいのですか。これは人管から流された金を、この資料でこれはトータル出しましょうか。幾らの金を使われたか、こんな金を使われるのだったら、もっと有効に金を使ってもらいたいですよ。これはこまかに触れませんが、いずれこのことについては明らかにしていきたいと思います。  それから二十七局要求いたしましたが、実際には五局しか出てきません。あとは配算しておらない、こういうことのようですが、私はそういうことはないと思う。これはもう必ず配算されているわけです。それから使われているはずです。ですから、そういう点では、もう少し郵政事業の金の使われ方については、だれが見ても正しい金の使い方をしてもらいたい、こういうふうに思いますね。それはまああまりほめた話じゃありませんから資料は提供しませんが、これはひとつ注意を喚起しておきます。  それから次は資材の購入問題ですが、実は具体的に被服の品質の問題ですね、これは私要望をいたしておきますが、外勤の勤務時間数というものは、これは自衛隊とか警察官と変わりません。なぜ自衛隊とか警察官よりか悪い被服で仕事をしなければいけないのか、それがわからない。私は、ですから被服の質の向上については、さらにひとつ検討していただきたいと思います。  それから外ではいているくつですね、これなんかはもう全くお粗末の一語に尽きます。しかもそれが、耐用年数というものは長い。この点もひとつ検討していただきたいと思います。私は、被服の関係の資料をあちこち見ましたし、これは諸外国のやつもあわせて見ました。もう少しこれは検討していただきたいと思います。そして品質の改善をひとつ早急にやってもらいたい。  それから資材の購入についてですが、これは私は特別にどうこうということを名前をあげて言いませんが、私のところにあがっている資料だけでもいかがわしい物の買い方をしておるのがたくさんあります。これも私は述べれば困る人も出てくると思いますから、ここで人身攻撃をするのはいやですからやめますがね。資材の購入についてはもう少し厳正にしてもらいたいと思いますね。その点は十分ひとつ注意をしていたくだように、あわせてこれは部内には官需品その他の関係をやっておる弘済会もあるのでありますから、機関として十分活用すべきだと思います。そういった点をこまかに実はきょうは質問をいたしたいと思いましたし、あわせて当初言いましたように、東京都内における外勤者の勤務条件というものをこれはあわせてひとつ検討していただきたいと思います。たとえば三号宿舎、四号宿舎なんかも六畳間に三人詰め込んで、地方から来た人たちの生活環境というものはきわめて悪いのですね。で、せっかく自分の子供を東京に就職させたいというのに、東京へ来てから三分の一もが全くその目的に合わないような状態だなんということになりますと、責任は郵政省にあると思うのですよ。私はたまたまこれは神奈川の弱電メーカーの寮を調べてみました。三人くらい入っている寮をですね。それはもうりっぱなものですよ。しかも教養設備その他全部整っておって、帰ってきての休養設備も十分あります。ところが、いま郵便局で働いている十代の集配人というのはどうですか、朝出ていくと、起き抜けに郵便局の食堂へ行って飯を食べ、昼間も食堂で飯を食べ、帰りは金がないから八十円のラーメンを食べる、そして五十円、六十円の映画を見にいくと、こういうような状態で、私は完全な労働力をこれを保有するなんということは不可能だと思うのですよ。それからビル配達ですね。これは現場を一回見てもらいたいと思うのです。大理石のぴかぴかのところをいま言ったような服装、靴をはいて、そしてエレベーターにも乗せてくれない、運んでいった行のうはごみ箱に投げてあって、そして一体これで社会的な自覚を持って仕事をしろなんということになりますか。実際にいろいろな点で今日改善しなければならない郵便の問題というのはたくさんあります。これを私は今回の郵便料金改定で、あれもやります、これもやりますと言っていますが、ほとんど手はっけられておらない。私はもっと金を有効に使うための部内の抜本的な解決をすべきだと、こういうことで幾つかの点を指摘したわけなんです。最後にこれはまとめて私のほうから申し上げたわけですが、時間が相当進んでおりますので、ひとつ大臣から答えをいただいて私終わりたいと思います。
  123. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は確かにこのたび料金の改定をお願いするについては、郵政省自身が大きい責任を国民に負うわけでありますから、それには従業員全体の士気が高まり、その満足を得られる方途を講じなければいけないと思います。したがいまして、いま幾つか例をあげて御指摘になりました部内についての改善すべき点は、早急に改善しなければいけないと思います。資材の購入等につきましても、何ぶん数多くの資材を購入するのでありますから、これについては最も厳正にまた最も効果的、経済的な扱い方をいたしまするように、改むべき点があれば十分改めることにいたしたいと思います。他に被服の点にお触れでございましたが、私も郵政職員の被服が見ばえわりにいいといわれておりまするけれども、あの質は一体どんなものだろうかということをやや懸念を持っておる。少し古くなりますると、質の悪さがだいぶ早くこう目立つような、これはもっと質をよくするという問題があるなという点は私も感じておるものであります。そういう点について、改善すべき方途はそれぞれ改善することにいたし、またさせるように私から指揮をいたします。
  124. 永岡光治

    ○永岡光治君 えらいくどいようでございますが、先刻総理大臣の出席を求めた際にも、総理大臣に私は所見をただしたわけでございますけれども、いま横川君も若干触れられておりましたけれども、郵政事業のあり方について事業本位にこれは考えるべきじゃないか、それにおいてはどうも労務対策というものが必ずしも当を得てないものがあるように見受けるわけでありますが、特に地方における中間管理者層においてそういう傾向も非常に強いようでありますが、いやしくも不当労働行為等については厳重にこれは取り締まらなきゃならぬと思うんであります。また総理大臣もそのことを厳正に取り扱うということを言明しておられましたが、この不当労働行為と申しますか、こういうものを含めました労務行政といいますか、労務対策と申しますか、そういう問題についての大臣の所見を最後に、この問題の締めくくり的な意味答弁をいただきたいと思うわけでございます。
  125. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 不当労働行為というようなことは、絶対にあってはならないことでございます。すでに通達を出しておるところでございます。将来にわたりましても、そのようなことのないように十分戒めてまいります。万一不当労働行為がかりにあるような場合、省といたしましても、事実に即してそれぞれ措置をとってまいる所存でございます。
  126. 野上元

    委員長野上元君) 他に御発言もなければ質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  127. 野上元

    委員長野上元君) それではこれより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  128. 横川正市

    横川正市君 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました郵便法の一部改正案に対し、反対の討論を行なうものであります。まず、郵便事業現状を例にとってみますと、旧家に取り残された長男のようなものでありまして、社会的には強く公共性とか、あるいは体面とかいうものが、これが強く要請をされ、他のそれぞれの企業と肩を並べなければならないというような、こういうものがある一面、経費やあるいは収入減の問題、加えて高度成長経済のあおりを受けまして、名はあっても内容の伴わない旧家の運命にあるような気がするわけであります。しかも郵政事業からいいますと、次男、三男といわれるような電電公社であるとか、国際電電ないしは同一企業であります国鉄等におきましてはその業務の内容もサービスの改善も著しい改善が見られ、しかも見るべき業績をあげておるときに、郵便事業に対する一般評価というものはきわめてこれは冷たい、しかも冷厳な批判があるということに思いをいたさねばならぬと思います。こういう意味合いから、旧家の長男としてその原因を突きとめ、その時代の進展に伴いましてこれに対処する気魄が今日なければ、私は今後の郵政事業をして相当長期間にわたって取り返しのつかない状態におちいるものと思うわけであります。しかも郵政事業は、今日でもなお個人個人の間の意思を疎通せしめる単純な業務であります。しかしこれは方法とか、あるいはその内容等について幾ら年月を経たといたしましても、変わるところのないものではありますけれども、しかし、社会におけるきわめて高い次元で複雑さを持ってきております。経済社会や社会の文化の進展に対処して、個人間の意思の疎通はきわめて重大であります。通信業務がこれらの媒介体としてその基礎要因となり、しかも高い公共性が要求されるという、それは当然のことでありまして、これに当然私どもはこたえていかなければならぬと思います。郵便事業の近代の社会における発展や合理化、機械化が進歩いたしましても、これまた人力にたよることなしには運営できない企業ということも、またこれはこの企業の特徴であります。  しかるに今日一般社会の郵便事業に対する評価は、先ほど申し上げましたように、きわめて遺憾な状態にあるわけでありまして、これの解決をきわめて急いで行なわなければならぬと思います。郵政審議会がこれらの問題を取り上げまして検討し、その評価の中にはしなくも指摘をいたしておりますとおりに、事業現状は救済の必要があるとこれを強調いたしております。救済といわれるまでに至っております現状は、並みたいていのことではないと思うのであります。私は日本の郵便事業が慢性的なじり貧状態に落ち込み、今日これを救済する必要があるとまで言われるに至ったことは、単なる郵便料金の問題とかあるいは人に対する待遇改善の部分的な修正等というような糊塗策では、解決のできない問題だと思うのであります。  まずその解決の第一点としては、会計の問題があげられます。郵便会計のあり方では、私は今日かかえておりますこれらの問題を、これを抜本的に解決する要因にはならないではないか、このように懸念をいたします。しかも今日まで物増と記念切手に依存をいたしまして不安定な増収による収支とんとんの会計が、今日のこの事態によって改善されるとは、どうしても考えられないわけであります。しかも、これらが三年とか五年とかそういう限られた期間において実施を考えようというのでありますから、おのずとその内容が乏しいことは、明らかであります。私はこの点を明確にしてひとつ掘り下げていただきまして、そしてこの解決のための施策を早急にとっていただきますようにお願いをするわけであります。  また第二の問題は、今日私どもが同一かまどの中で企業経営いたしておるといいながら、それぞれ独自性を持ち、またその独自性からお互いになすこともなせないというような会計のあり方については、その欠陥があるならばその欠陥、法的な制限があるならばその法的な制限を、これを除去いたしましてこれらに対処すべきだと思います。  さらに人の問題が中心になっておりますこの企業では、人の問題を解決することが企業全体の解決につながることは論を待ちません。この意味ではもちろん他の企業と比べてみて、全く見劣りのする人的な資源に対するところの諸施策、待遇等については、これまた大きな観点から解決することを強く要求いたしたいと思うのであります。  今日、郵便事業の持っております対国民的な信用を挽回するためにも、私はこの法律案がその一点をなすとは思いますけれども、なお万般にわたって行き届かないものがあるということを考え、その点を将来にわたって解決することを強く要求いたしまして、反対討論を終わりたいと思います。
  129. 西村尚治

    ○西村尚治君 私は自由民主党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、賛成の討論を行ないたいと思います。  この法律案は、提案理由の説明にもありますように、郵便事業の円滑な運営と、これに要する財源を確保するために郵便料金改定することが一つ郵便物種類体系を整備して業務の能率化を進め、あわせて利用者に対するサービスの改善をはかることが一つ、この二つをおもな内容とするものでありますが、まず郵便物種類体系の整備につきましては、事業機械化、近代化を推進して、業務を能率よく処理していく上において、きわめて適切な措置であると考えます。  次に議論の中心となりました料金の改定については、今日事業財政が極度に逼迫してきていることが、当局の説明によって明らかになりました。むしろ過去十五年間利用料金について一度も改定をせずに年々膨張する人件費、物件費をまかなってきたことがふしぎであるとすら考えられるのであります。もちろんこの種の料金は、長期間にわたって安定しておるにこしたことはありません。しかし、安定した料金というものは、健全な経営というものを基盤にしていてこそ、初めて意義があるのであります。もし料金の安定ということが、不健全な経営やサービスの犠牲のもとに維持されるとすれば、これは決して歓迎すべきものではないと思います。現行の料金をこのまま据え置いたのでは、当面の緊急課題である事業の近代化が不可能であるのみならず、過日、仲裁委員会から出された裁定すら、実施することが困難な窮状であるようであります。  料金改定を避けるために、一般会計から繰り入れたらどうかというような意見もあるようでありまするが、これは単なる一時的な糊塗策にすぎず、抜本的な解決とはなりません。のみならず、郵便事業特別会計のたてまえ並びに過去においてこれが創始せられた経緯などから見ましても、この会計のたてまえをくずすような安易な措置をとることは、厳に慎むべきであると考えます。やはり独立採算の自前の会計として、責任をもって経営していくためには、この際料金改定によるほかないと思うわけであります。  事業利用者には、ある程度の負担をかけることにはなりますけれども、生活費の中に占める郵便料金の割合などから見ましても、改正案の程度ならば、さほど重大視するにあたらないと考えます。若干の負担はかけましても、それによって郵政事業が大きな活力を取り戻し、従業員の士気も上がり、近代化も促進され、よりよきサービスが約束されますならば、このたびの改正案は真にやむを得ない、むしろ当を得た改正案であると信ずるのであります。  そういう観点から、私は本案に賛意を表するものであります。  以上をもって、討論を終わります。
  130. 田代富士男

    田代富士男君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、私は公明党を代表して断固反対するものであります。  まず第一に、政府は、物価安定対策に対して、事あるごとに努力を傾けていると断言をしていながら、ことしに入っての一連の公共料金の値上げを行なって、少しの努力も認められないのであります。政府の物価対策は、机上の理論を並べ、国民生活を無視した以外の何ものでもありません。この姿は四十年度の消費者物価指数が実に過去十年間の最高の値上がり率、七・六%と上昇したことであります。このことは物価騰勢に拍車をかけ、米価、私鉄、国鉄、さらには保険料等、軒並みに公共料金の値上げとなってあらわれてきております。このようなときに、郵便料金の値上げを強行するならば、必ずや一般物価の高騰を続発させ、国民経済生活を大きく圧迫することは必至であります。  今回の郵便料金値上げに対しても、その家計に占める生活費の割合は〇・一四%にすぎず、また、物価に及ぼす影響は微々たるものであると総理みずから公言しておりますが、実際は、それ以上になると観測されるのであり、全く国民大衆の実生活を顧みないものであり、国民生活をあまりにも無視したもので、断じて許せないのであります。必ずや郵便料金値上げに便乗して、他物価の値上げを刺激し、物価上昇の誘因となると言わざるを得ません。これによって、郵便料金値上げは、国民すべてが反対であり、私は絶対反対を表明いたします。  次に、反対の理由は、改正案の中において第三種の政策料金として、直接原価をはるかに割る低料金を、審議会の答申を無視して設定したことであります。五十六億の郵便事業の赤字の原因は人件費にあるといえども、実に赤字の原因は、第三種の低料政策料金が最大のガンになっていることであります。この第三種政策料金の赤字を一般利用者に負担することは、きわめて不公平であり、許される問題ではありません。郵便事業の健全化を最大の目標とするならば、まず政策料金の再検討を早急に進めることが急務であるとともに、料金全体に対しての原価理論、料金決定基準を明確にすべきであります。これなくして健全化は断じて行なえないと断言しておきます。  政府は郵政事業経営上、発生した赤字を補てんする方法として、郵便料金の値上げのみを考えることが、独立採算制の不動の鉄則かのごとく盲信していることははなはだ非合理的であり、以上の点からして私は政府原案に対して反対するものであります。
  131. 石本茂

    ○石本茂君 私はただいま議題となっております郵便法の一部改正案につきまして反対の意見を表明するものであります。現在の郵政事業、特に郵便業務につきまして、その仕組みを勘案いたしますと、ただいまの料金の改定の問題、あるいは郵便物種類体系の整備すなわち制度の改正方につきましては、一応もっともなこととも思うのでありますが、ただ料金改定の面で、あるいは非常に近視眼的なものの見方であるかもわかりませんけれども、現在収支の面で黒字でありますところの第一種郵便の値上げ率が最も高く、赤字の最も大きな部分を占めておりますところの第三種郵便物の値上げ率が、いかに公共性に富む物件であるとは申しましても、不当に低いことにつきまして、いまだどうしても納得できかねておりますので、原案に賛成する気がしないのであります。  以上の理由をもちまして、私は反対の意思を表明さしていただきます。
  132. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私は日本共産党(日本のこえ)を代表して、この法案に反対をします。  反対理由の一つは、郵便料金の値上げは、佐藤内閣の一連の物価値上げ政策の一環としての性格を強く持っているからであります。現内閣は一月の一日に消費者米価を大幅に値上げし、続いて国鉄運賃、健康保険料等矢つぎばやに値上げしてきたのであります。郵便料金の値上げが、家計に及ぼす影響は微々たるもので、ほとんど国民の生活には心理的影響を与えるにすぎないと強弁してまいっているのでありますが、米価値上げに際しても、国鉄運賃値上げに際しても、政府は同様のことを口にしていたのであります。これを総合してみるならば、関連物価の値上がり、便乗値上げと相まって消費者物価は大幅に値上がりし、国民生活を圧迫しているのであります。国民はまさに政治的公害を受けて、非常な迷惑をこうむっているのであります。郵便事業は料金値上げによってではなく、他の合理的方法によって維持発展させるべき本質的な性格を持っている事業であるというべきであります。  反対理由の第二は、今回の郵便料金値上げ二八・八%の政府案は、便乗値上げの性格を強く持っているということであります。たとえばその値上げの理由の基礎となったといわれる郵便物数の推定伸び率、物数の推定実数は二転三転、伸びたり縮んだり、でたらめきわまるものであります。当初の資料と最終資料では郵便物の推定伸び数が年間約一億通ずつ違っておる、昭和四十五年度には実に六億通の違いが生じているのであります。郵政審議会の答申の出たのは十二月九日、値上げの政府案決定が一月十一日、わずか一カ月の間に六億通もの違いが生じたのであります。しかも答申では三年間で二九・五%、五年間では三六・八%の値上げが必要とされておったにもかかわらず、二八・八%で五年間はもっと政府は説明しているのでありまするが、この数字は何らの科学的根拠のない政略的、意図的な数字だと言わざるを得ません。要するに、料金値上げの方針をまずきめておいて、あとはそのつじつまを合わせるために数字をいじくっているにすぎなかったという事実が明らかであります。便乗値上げ的な性格の一例証がここにあるのであります。最近十年間の郵便物数の平均伸び率は七・五%、過去五年間でも平均七・二%、これが実績であります。政府はこの事実を無視し、郵政審議会には四十一年度四・五%、四十二年度四%、四十三年度以降三・五%と極度に低い数字を示し、政府案でも四十一年度五・三%、四十二年度四%、四十三年度以降四・五%と、やはり不当に低い伸び率を採用しております。その結果推定赤字が非常に大きくなり、郵便料金大幅値上げの根拠にされているのであります。これは不法、不当なやり方であります。  それだけではありません。郵便物数の伸び率をきわめて低く見積もっているために、郵政労働者の定員はそれに見合って押えられ、結局労働者には極端な労働強化、また一般利用者には遅配、欠配の激増、サービスの低下となってはね返ってくることは必定であります。  反対理由の第三は、現在でも大きく黒字を出している封書と速達、書留等の特殊通常の料金を大幅に値上げし、赤字の大もとである第三種の値上げ幅を答申の約半分に押えて、負担を非利用者大衆に転嫁しようとしていることであります。昭和三十九年度現在、封書は二十一億円の利益を上げ、特殊通常は約二十八億の黒字を出しております。はがきの赤字四十六億を穴埋めしてなお余りあるのであります。封書とはがきは最も大衆的なものであります。昭和三十六年の値上げの際に除外されたのも、ゆえなしとしないのであります。しかるに、今回の値上げでどうなるか。政府が当委員会で明らかにしました試算によれば、三十九年度五十八億の赤字を出した第三種低料扱いが四十一年度にも約七十二億円の赤字を出す予定になっているのであります。はがきの十一億を含めて赤字総計百十五億、その約六五%が第三種であり、それを封書の九十八億、速達等特殊通常の二十三億円のそれぞれの黒字でカバーされているのであります。さらにまた、近来速達の利用が急激にふえました。遅配の連続でやむを得ず速達に殺到したからであります。さきにも申し述べましたとおり、今後遅配が激増するおそれがあります。政府はそれを見込んでかいなか、速達料金の値上げ幅を答申よりもさらに大きくし、封書の速達で実に現行の六二・五%、はがきの速達で六三%の値上げを行なおうとしているのであります。そうして大新聞等の圧力に屈し、大資本の利益を擁護するために、大衆課税的収奪を強行しようとすることを、絶対に認めることはできません。  理由の第四は、国の財産となるべき資本財の投資等の建設資金を料金値上げに求めることは根本的な誤りであります。しかるに今回の政府案では、値上げによる増収分から五十九億円を建設勘定に回し、財政投融資からの繰り入れを昨年の半分、三十億に押えているのであります。  最後に指摘しなければならないことは、郵政事業は、法律上のたてまえから言っても、機構上からも、また運営上からも、独立採算制は本来成り立たない事業であります。郵便法第一条では、安い料金であまねく公平に提供するサービスを法律で規定しておりますが、あまねく公平に、しかも安くということと独立採算制が相いれないことは、一目りょう然であります。当局は総括原価主義に基づく独立採算制などというわけのわからない新語を発明してつじつまを合わせようとしておりますが、そんなことでは解決にならないのであります。  そもそも占領下の昭和二十四年、いわゆる公共企業体なるものが占領政策の一つとして押しつけられたときに、今日のこの基本的矛盾が発生し拡大したのであります。たとえば、それまで一本になっていた電信電話が、そのとき郵政から切り離されたのであります。電話事業はもうかる事業であります。通信事業として電信、電話、郵便が一本のものとなっているならば、あるいは独立採算制なるものもわからぬわけではありませんが、現実にはもうかる電話事業は切り離され、サービス部門でもうからない部門だけが残ったのでありますから、機構的にも独算制は成り立たないのであります。いまこそ占領政策の落とし子であるこの通信事業の分割制をやめ、電信、電話、郵便を国有国営にして、通信事業を一本とすることが必要 であります。  また、現在の郵政事業の中には、郵便業務のほか、郵便貯金業務と保険業務がありますが、郵政労働者は、苛酷な割当を消化するために汗水たらして働いているのであります。しかるにその果実はすべて大蔵省の資金運用部あるいは財投に持っていかれ、開銀、輸銀、その他を通じて独占資本に奉仕させられているのであります。運営の権限は一切奪われ、郵便貯金の運用利益金の剰余金にさえ手をつけることができない状態であります。このような運営をしいられておって、郵政事業特別会計の独立採算制が成り立たないのは当然であります。簡保資金や郵便貯金を運用し、その運用利益金を郵政事業特別会計に繰り入れる道を開くならば、郵便料金の値上げをする必要がないばかりか、局舎の増設、サービスの向上、労働条件の改善など、十分にまかなうことができるのであります。そのようなことを一切やらずに、法律上も、機構上も、運営上も、絶対に成り立たない独立採算制をたてにとって無理押しするところから、大衆課税的な値上げにならざるを得ないのであります。国家独占資本主義の収奪のからくりが、そこにはっきりと示されているのであります。私は、国民がその犠牲に供されることを絶対に認めることはできません。  以上の理由で、本法案に反対するものであります。
  133. 野上元

    委員長野上元君) 他に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  134. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認めます。それでは、これより採決に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の諸君の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  135. 野上元

    委員長野上元君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後十時十九分散会