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1966-05-31 第51回国会 参議院 逓信委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月三十一日(火曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  五月二十七日     辞任         補欠選任      森中 守義君     鈴木  強君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員         小沢久太郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 松平 勇雄君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 永岡 光治君                 横川 正市君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省監察局長  山本  博君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省人事局長  曾山 克巳君        郵政省経理局長  淺野 賢澄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        郵政審議会委員  小笠原光寿君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付) ○連合審査会に関する件     —————————————
  2. 野上元

    委員長野上元君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  初めに、理事会打ち合わせ事項について御報告いたします。  本日の委員会は、参考人出席要求について御決定願った後、郵便法の一部を改正する法律案審査を行なうことになりましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 野上元

    委員長野上元君) 次に、委員異動についてお知らせいたします。  五月二十七日、森中守義君が委員を辞任され、その補欠として鈴木強君が選任されました。     —————————————
  4. 野上元

    委員長野上元君) 参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  郵便法の一部を改正する法律案審査のため、郵政審議会委員小笠原光寿君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  6. 野上元

    委員長野上元君) 郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 きょうは小笠原さんに、お忙しいところ、おいでいただいたわけですが、郵便法の一部改正法案——きょうは五月三十一日ですね、予定は七月一日から値上げ考えているようですが、いままで郵政審議会のほうからの御意見を承っておりませんので、きょうはおいでいただいたわけであります。  そこで最初に、小笠原さんに御質問する前に、大臣にひとつ、関係がありますので、お尋ねしたいのでございますが、先般の仲裁裁定が提示されまして、政府はこれを受諾する、そして公労法に基づく手続を国会にとったわけですが、ところが、この郵便料金改正がこういう状態でありますから、郵政省としての立場はよくわかります。そこで、一体、郵便事業の分だけの所要経費というのは幾らかかるのか、それをひとつお聞きしたい。
  8. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) このたびの仲裁裁定によりまして百四十二億、そのうち、受託業務を除きまして固有業務が六十六億でございます。したがいまして、この六十六億の所要財源として、すみやかに郵便法の御可決を願って、そして四十一年度予算執行が可能な状態に一刻もすみやかにまいりますことを切望しておる次第でございます。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 この六十六億というのは、今予算で承認をされております定員増がございますね、それを含めて四月一日からやった場合そうなると、そして仲裁裁定を受けてのこの予算の算定にあたって、定期昇給あるいは基本給のベースアップですね、こういったものは六十六億のうちどうなりますか。新規増員に伴うものが何ぼで、それから定期昇給の分と基本給のべースアップの分ですね、これをちょっとお知らせください。
  10. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 定昇分予算に見ておりまするし、そういたしますと、六十六億について、予備金及び節約によってその財源を捻出することが、関連法案が成立いたしますと可能な状態に相なるわけであります。数字につきましては、経理局長からお答えいたします。
  11. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 郵政全部で、大臣から御説明申し上げましたように、郵便関係として負担いたしますのは六十六億でございます。そのうち、貯金から二十三億、それ以外に、郵便以外では受託業務で七十五億、全部で百四十二億であります。郵便の六十六億をもちまして一切のアップができることになっております。定昇分はこれは別でございますから、仲裁裁定完全実施ができるわけでございます。
  12. 鈴木強

    鈴木強君 それから新規増員の分はどうなりますか。
  13. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 入っております。
  14. 鈴木強

    鈴木強君 幾らですか。  ちょっと委員長大臣内閣委員会のほうですか、提案理由説明をすろ予定があるようですから、そのことはちょっと保留しておいていただいて、ただ一つわれわれが心配するのは、もう少しこういう質問をしなければわかりませんが、結論として、もし郵便料金法案が原案どおり通った場合には、いま国会に議決を求めておるものは自然になくなっていくというか、なくなっていくのじゃなしに、政府が撤回するというふうな措置になるのですか。
  15. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お答えいたしましたように、郵便法が成立いたしますれば、現在の予算執行が可能になりまするから、従来のように両院にそのことを御通知申し上げるというような扱いになろうと思います。この扱いにつきましては、内閣官房において取り扱うことにいたします。
  16. 鈴木強

    鈴木強君 そこで小笠原さんのほうにお尋ねいたしたいのですが、大臣から郵政審議会諮問をいたしましたのは四十年、昨年の八月の三十日だと思うのですが、その際、諮問をされた趣旨は、私たちも報告で聞いておるわけですが、非常に抽象的で、郵政大臣諮問第六十号郵便事業財政改善方策について諮問する、こういうことで非常に抽象的ですからお伺いしたいのですが、この際は、この文章、ここに書いてあります説明文以外のことは全然その席上で大臣から触れられなかったでしょうか、何かこれ以外に補足的な説明事務当局か何かからありましたですか。
  17. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) ただいまの御質問は、八月三十日に郵政大臣から郵政審議会に対して御諮問のありましたその当時のことについての御質問でございましょうか。それとも、郵政審議会、あるいは郵政審議会郵便事業経営問題特別委員会というのを編成して具体的には審議いたしたわけでございますが、その全体の期間を通じての御質問でございましょうか。
  18. 鈴木強

    鈴木強君 それも後ほどお尋ねをしたかったのですが、特別委員会を設置しましたですね、これを設置して審議を開始した日がよく私わかりませんから、その点を伺おうと思いましたが、そうでなくて、最初郵政審議会郵政大臣から諮問を受けたときには、ここに参考として載っております私どもいただきました十二月九日郵政省——これは御存じですか、こういう十何行の横書きにしたものしかないものですから——これだけだったでしょうか。それとも、口頭によってその補足的な説明がありましたでしょうか、そういうことを郵務局長か何かからありましたかということです。
  19. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 初めて郵政大臣からこの諮問第六十号につきまして郵政審議会お話がございましたときは、大体におきまして、ここにいま鈴木委員がお示しになりましたこの書類に書いてあるところによって御諮問がございました。特にこれにつけ加えてのお話としては、私はただいま記憶いたしておりません。
  20. 鈴木強

    鈴木強君 それから、この改善に対する特別委員会ですね、これをお持ちになったのはいつでございましょうか。そして、その際に、さらに本委員会のほうに付託されましたものについて補足的な説明は当然あったと思いますが、そういう点ございましたでしょうか。
  21. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 郵政審議会郵政大臣から諮問第六十号の御諮問がございましたのは、ただいまお話しのように、四十年の八月三十日でございます。それで、この日に郵政審議会といたしまして、この御諮問に対して具体的に深く掘り下げて検討いたしますために、郵便事業経営問題特別委員会というのを、八月三十日に第一回を開催いたしました。そして委員長及び委員長代理の互選、常任幹事の指名、審議日程について協議いたした次第でございます。その後ずっと十二月九日までに特別委員会を十三回にわたりまして開催いたしました。最後の十二月九日の第十三回目の郵便事業経営問題特別委員会におきまして、報告書案について審議決定いたしまして、郵政審議会会長報告いたした次第でございます。
  22. 鈴木強

    鈴木強君 郵便事業経営問題特別委員会を設置され、八月三十日に第一回を開かれたように思いますが、それで第二回の九月三日の日ですね、これは特に郵政省説明を聴取されておると思いますが、その際に、郵政省当局からは、どういうふうな御説明がございましたでしょうか、簡単でけっこうですから。
  23. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 何ぶんにも、十数回にわたりまして特別委員会を開催いたしておりますので、各回においてどういうような、どの説明がいつの委員会にあったかということは、ただいま明確に記憶いたしておりませんけれども、第一回の委員会におきまして、郵政省事務当局お方から、大体最近の郵便事業財政状態、そうしてまた、それがどういう原因でそういうようになったと考えられるのか、そういうような点についてまず御説明を承ったと思っております。
  24. 鈴木強

    鈴木強君 それでは、その際には、現在の郵便事業の現況はこうなっている、したがって、これに対して審議会としての再建案というか、克服策ですね、そういうものをひとつ忌憚なくやってもらいたいというので、何らワクははめられなかったのでございましょうか、その点はどうでしょう。
  25. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) もちろん、この審議会審議に関しましては、大体郵政大臣の御諮問趣旨は、ここに書いてございますように、郵便事業財政改善方策、あらゆる観点から問題を検討して十分にひとつ対策と申しますか、今後どういうようにやっていったらいいかを十分に検討してほしい、そういったような御趣旨でございましたので、もちろん、事務当局お方からの御説明につきましても、別段審議会審議について特別な制約と申しますか、条件と申しますか、そういうものは何もございません。
  26. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん立ち入った御質問で恐縮に思うのですが、私は今回の郵政審議会審議の経過から見まして、ちょっと納得できない点がありましたから、これから伺いたいのですが、それは四十年十一月二十七日に——これは二十九日ですか、ちょっとこれは──おたくの記録ですと、十一月の二十九日になっておりますが、この第十回ですね、第十回の審議会の際に、その前々日、政府経済政策会議というものを開きまして、これは自由民主党の幹事長も入っているようですが、そして四月一日から郵便料金を上げたいという考え方、これに対して十一月論が出、四月論が出、いろいろ論争があったようですが、その結果、総理裁断という形において七月一日ということがきまったと聞いておるわけです。しかも、郵政当局から提示された引き上げのパーセンテージですね、おそらく三十数%だと思うのですが、これについては、現下の公共料金等の問題の点からしまして一〇%程度下げたらどうかというような意見も付加されましてきまったと聞いておるわけですよ。決定は、直ちに二十九日の特別委員会のほうに報告をされ、報告されというか、大臣出席してそういう趣旨説明をされていると思うんですね。そして協力してもらいたいということだと思うんですね。ですから私は、当初郵政省考えられた五ヵ年間程度見通した三六・八%ですか、四十一年四月以降ですね、そういった原案というものがあったと思うんですよね。ところが、それがあなた方、あとから聞きますが、三年間一千百億という収支不足になるという勘定をしまして、とりあえず三年間の基礎に立った二八・八%というものを答申になったわけですがね、そういった、審議会政府がみずから諮問をしておきながら、その結論が出ない先に政府態度をきめてこれを、言い方が少し悪いですが、押しつけたようなかっこうになっているわけですがね、この点が私は、設置法第十九条でしたか、十九条によって郵政審議会というものは法的に設置されている審議会ですし、しかも、その使命はちゃんと法律にも明記されているわけですね。ですから、どうも少し今度の郵便料金改正諮問については主客転倒しているのではないかという気が私はするわけですよ。そういう点について、もし審議会が不動の立場をおとりになるならば、政府が何と言おうと、一応審議会独自の立場に立って御検討をいただき、その結果について御答申があってしかるべきだと、こう私は思うわけですが、どうもその辺は審議会のほうも、政府方針がきまっちゃったものですから、どうもそれに合わせざるを得ないような形で二九・五%というものをきめたんじゃないかというふうにわれわれは思うんでございますがね。たいへん僭越なことを申し上げて恐縮ですけれども、われわれが一応常識的に考えてみると、少し審議会をばかにしたやり方政府がしたのじゃないか、それに対してまた審議会も何かそれに乗っかってしまったんじゃないかという気もするわけですから、今後の審議会権威をあらしめるためにも、はっきりする必要があると思いましてね、私はちょうどいい機会ですからお伺いしたかったわけです。この点どうでしょう。
  27. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 郵政審議会郵便事業経営問題特別委員会といたしましては、先ほど申し上げましたように、八月の三十日を第一回といたしまして、ただいま御質問関係のございます十一月二十九日に第十回の特別委員会を開催いたしまして、慎重に問題を検討いたした次第でございます。その間、特別委員会といたしましては、この郵便料金のような公共料金の改定の問題を含んでくる問題でございますから、この料金をどうするかということを考えるにあたりましては、これはもちろん非常に重要な問題でございますし、影響するところも少なくない、ちょいちょい料金を変更するというようなことは適当でないという考え方で、少なくもまず五年くらいもつようなものを考えるのが一応本筋ではないか、そういうような考え方一つあったわけでございます。そういうわけで、私ども審議を進めていきます過程におきましては、一応五年間もたせようとすれば、一体どうなるだろうかということを検討いたしました。と同時に、私ども特別委員としましては、当然これは何といいましても、一般の業者の負担増ということになるわけでございますから、当然料金値上げの幅をできるだけ低く押えなければならない、これは当然そういうことも考えておったわけでございます。そうこうしておりますうちに、国鉄の運賃改正問題等一般に話が出てまいりまして、そういうもの等も、要するに、問題の情勢一つとして考慮に入れたわけでございますが、そういうようなところで五年もつようにするのには、その当時の時点において問題を考えますと、特別委員としましては、ただいまお話のありましたように、三六・八%でしたか、その程度の幅の料金値上げは避けられない。しかし、どうもそれでは、ただいま申し上げたように、もう一つ考え方である、できるだけこの際は値上げの幅を低くしたい——これは特別委員皆さんがそういうふうに考えておりました。そういう点から考えると、どうも五年もたせるというのもちょっと無理だ、まず三年程度考えてみようということになりまして、特別委員会としては、最終的に二九・五%でしたか、そういう料金改正の案を郵政審議会答申し、郵政審議会はこれを承認されたわけでございます。と同時に、実施期日につきましては、これは、今回の改正はもちろん料金改正でございますけれども、同時に、非常に重要な郵便物の種類の改正というものを含んでおるわけでございます。これは郵便事業近代化を目的にいたしました一つ重要施策考えておりまして、これまでの郵便種別とだいぶ変わった種別になって、また、郵便物規格につきましても、新しく郵政審議会が従来から大臣に、もちろん答申としても提出してございましたが、郵便事業近代化に関する答申の中に含まれておりますように、郵便物規格を変更すると、そういうことも考慮に入れてございました。そういったようなことを一般利用者に周知するのには、これは相当のやはり期間を要する、少なくとも二、三カ月は——二、三カ月でも十分とは言われませんが、少なくとも二、三カ月は十分、国民の、利用者一般の方に了解していただいて、その新しい体制で利用していただくということには、どうしても二、三カ月は最小限度必要であろうというふうな考えを持っておりました。それで、たまたま、いまお話しのように、十一月二十七日に、政府のほうでは七月一日から実施するということを経済政策会議でもって御決定になったと承りましたが、大体私ども考え方と結果において一致したといったような状況になっておったわけでございます。値上げの幅につきましては、ただいま申し上げましたように、大体できるだけ低く押えていきたいということは、当然私ども特別委員といたしまして考えておったわけでございます。
  28. 鈴木強

    鈴木強君 結果において一致した、こういうお話なんですが、それはまあ、あなたがそういうふうに言わざるを得ないから言っているのだと思いますが、やはり審議会の私は権威というものもあるでしょうから、ですから、せっかくおやりになっている段階においては、やはり審議会にすべてをまかしてあるとすれば、その審議会が自主的に御検討なさった答申を待つということが、これは普通の場合筋でしょう。ただ、おそらく一方、政府としても、公共料金のいろいろな問題もある、あるわけですから、この答申をしておいて、まずいなと思ってやったのだということだと思いまして、率直に小笠原さんに伺いたいのです。やはりそういうことはいいでしょうか。答申のさなかに、政府がある結論を下して、それを持ってくるということになりますと、どうなるか、政府がそういう方針をきめた以上は、審議会もそれに右へならえということにならざるを得ないことになるのじゃないですか。内容についてはこれから伺いますが、私は、委員会の性格にかんがみて、そういうやり方は、過去御苦労いただいてきている審議会委員さんにとっても、非常に不本意ではなかったか。願わくは、相当の期間を置いて、相当審議を尽くせるような形で審議をし、審議会結論によって政府がそれを御判断することは、政府の御方針でしょうから、それはそれとしても、審議会としてそういう委員会の持ち方に対しての不満というものはないですか。
  29. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 審議会といたしましては、もちろん、ただいまお話しの御趣旨のように、できるだけ自主的な立場でもって今後もすべての問題をそのつど審議できることがまことにけっこうなことだと思っております。先ほどちょっとうっかりして申し上げるのを落としましたけれども、実は、ただいまの経済政策会議の行なわれます以前に、特別委員会委員長から、それまでの特別委員会における審議会状況模様等について、郵政大臣口頭で中間的な御報告をしたはずでございます。おそらくそういうことも考慮されたのじゃないかと思いますけれども、それは私は存じません。
  30. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、本論に入るのですが、答申を拝見しまして、主文を流れている考え方は、すでに小笠原さんから御説明がありましたように、もちろん、これはそう長い、十年も二十年も先を見通すことはとてもこれは不可能でしょうが、できるだけ今後の見通しのつく限りにおけるところを判断してやろうと、こういう思想が流れていると思います。ですから、わざわざ三年、五年というのが何カ所も出てくるわけです。そこで、当初五ヵ年を考えたが、いまのような、政府が先に態度をきめたというのはけしからぬということもあって、それに右へならえしなければならなかったということだと思いますが、一方、予算案審議を通じて、郵政大臣意見も伺っておりますが、大体郵政大臣は、この改正は五年ぐらいは料金改正しなくて済むだろうという意見の表明が公式にあったわけです。そうしますと、郵政審議会は三年、二九・五%ということ、政府は、二八・八%というものをおきめになって提案されて、しかも、これは五年間は料金改正はだいじょうぶだという発表ですね。ここに審議会見通しと明らかに食い違いがあるのですね、これについてはどういうふうにお考えになっておりますか。
  31. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) ただいま御質問にございましたように、確かに、郵便事業経営問題特別委員会といたしましても、また、その報告を受けた郵政審議会といたしましても、まあ三年もつことをめどにいたしまして、改正料金の案を答申いたしたわけでございますが、その三年間もつかもたないかということをその当時の審議におきまして判断いたしましたのは、その当時におけるもちろんその情勢と申しますか、客観事情、そういうものを考慮に入れて答申いたしました。その当時の時点における判断といたしましては、まず三年程度ということで二九・五%の料金値上げ幅の案を答申いたしたわけでございます。ただし、ただいまの御質問は、その後の政府国会における御答弁のお話に及んでおりますが、それはもう私は郵政審議会あるいは特別委員会審議当時と現在とでは情勢が変わっております。御承知のとおり、中期経済計画も現在は廃止されて新しい経済政策公債発行を中心とする新しい財政政策が展開されております。そういうことに変わってきたのじゃないかとそんたくいたしますが、少なくとも郵政審議会特別委員会審議の途中におきましては、時点におきましては、中期経済計画その他客観事情考慮に入れて判断いたしたわけでございます。
  32. 鈴木強

    鈴木強君 私が非常に奇々怪々に思うのは、おそらく郵政審議会もこの三年間に千百億円が収支不足になるということ、あるいは五年間に二千五百億の赤字が出るということについて、皆さん方、全部の委員の方々がいろいろの角度からみずから調査されてはじいたものではないと思う。おそらく郵政当局の案を、いろいろのデータを、そういうものをもとにしてパーセンテージを出したものだと私は思うんです。そこで、あなたのほうは三年間の場合で二九・五%というものをはじき、しかも、それは七月一日、その期日は一応合っているわけですが、ところが、今度二八・八%にいたしまして、それでつじつまが合うということですからね、〇・七%でも私はやはり予算から見るとかなり問題があると思う。そういうことがどうもあまりよくわからないうちに変わってきまして、かなりルーズなものだなというふうな気がしてならないんです。あなたがいま御指摘になった、もしかりに中期経済計画というものがくずれて新経済政策というものが取り入れられるということを真剣に審議会がお考えになったすれば逆ですよ。これはあなたも御承知のとおり、当初政府考え中期経済計画というものは、三十九年から四十三年までを見まして八・一%と見ておったわけです。ところが、これはやはり従来の高度経済成長政策がわれわれから見ると失敗をして、これに対して修正を加えなければならないという時期に来まして、そこでやむを得ず、ことしの予算をごらんになってもおわかりのように、七・五%の成長率と見ております。だから、中期経済計画というものを想定したとすれば、むしろ八・一%という伸びで見るわけですから、その経済政策に伴って伸びていくわけです。したがって、逆に新しい経済政策によってそういうことがファクターになったとすれば、それは逆です。物は少なくなってくるわけです。ますます二九・五%でもむずかしくなるというのが逆におりるということは、理論の矛盾じゃないですか。あなた方が中期経済計画というものを踏んまえてやったとすれば、これは私は、先般浦島委員郵便料金の問題でたまたまおいでいただきまして、郵政審議会委員を兼ねておられますから伺いましたら、そういう経済政策は全然やっておりません。五%とか外国でも伸びておるしするので、その数字の五%をとってはじいたのだということを言われましたから、それはあなた、郵政審議会として怠慢じゃなかったんですかと、少なくとも、これからの経済政策がどういうカーブを切って、どういくかということは、郵政審議会ではっきり見通しはつかないと思うけれども、それを踏まえなければ、これからの取り扱いというものはどうなっていくかということもはじけないでしょうし、それがはじけなければ、一体収入は幾らになるか、支出は幾らになるかということはわからないでしょう。そんなばかなことは——しかし、やってないということですから、質問ですから、私は一応そこでやめておいたんですが、しかし、お伺いすれば、やはり経済政策というものを十分頭に置いてやられたということになれば、私はなお矛盾が出てくるんですね。そういうことを平気でおやりになって、ここに答申が出ましても、なかなかわれわれとしては理解に苦しむものですから、直接伺ったほうがいいと思いまして伺うんですが、どうもそこら辺がつじつまが合わないんじゃないですか、どうでしょう。
  33. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 私ども、この特別委員会でこの郵便事業財政の問題を検討いたしましたときは、もちろん、私どもの力の及ぶ範囲において、できるだけあらゆる角度から問題を検討いたした次第でございます。ただいま何か浦島さんが中期経済計画のことは何も考えなかったと言われたやにいまお話を伺いましたけれども、たとえば今後の、先ほど申し上げましたように、三年なり五ヵ年間の今後の郵便事業の支出、そういうものを考えます場合には、もちろん一番重要な人件費の増加という問題もございますし、また、物件費の若干の値上がりということもございますが、そういうものは、要するに、中期経済計画の計画されているところを取り入れまして、考慮に入れまして、そうして今後五ヵ年間の支出増というものを見込んだわけでございまして、全然中期計画を考慮に入れなかったということはないわけでございます。ただ、いまお話しの、今後郵便物がどういうふうにふえていくかという点につきましては、これももちろん、長い目で見ますれば、当然郵便の物数というのは、経済なり文化なりの進歩発展に伴って郵便物というのはふえていくものと、こう考えて差しつかえないと思うんでございます。したがいまして、そういう意味においては、長期的な観点からすれば、政府が立てて実行されるいろいろの経済政策、そういったようなものの数字というものは当然考慮に入れられるべきものと思いますが、しかし、それにいたしましても、そういう数字と比例して逐年物数が変わっていく、その数字に比例するとは、過去の実績から考えまして、必ずしも言えないわけでして、ことに期間を短くとってみますと、そういう経済の成長率の実績と郵便物数の変動、増減の状態を実際、数字でもって比較してみますと、それは決して正比例はいたしておりません。ですから、短期間で見る場合は相当問題があるわけですが、長い期間で見る場合には、それは確かに重要なファクターになるというふうに考えるわけでございます。そこで、今回の物数の想定につきましても、もちろん、当局側から具体的の資料を出していただきまして、日本におけるこれまでの郵便物数のふえ方、また最近の状態、それからまた、欧米諸国における郵便物の増減の趨勢、そういったようなものも考慮に入れてやったわけでございますが、もとより、私どもと言えば語弊があるかもしれません。しかし、たぶんそうであろうと想像いたします。私自身そうなんでございますが、当然中期経済計画では八・一%という伸び率を計画されていることは、前からすでに解説書で勉強いたしまして承知いたしております。過去における状況から見ますと、おおよそ経済成長の実績の年率成長率に比較しまして、郵便物数の増加の状況は、おおむね大体六、七〇%くらいのような状況で来ております。もちろん、ただいま申し上げたように、これが三年とか、五年とか、短い期間になりますと、必ずしもその数字をそのまま当てはめて考えるわけにはいかない。むしろ、これまでの郵便の物数の増加の趨勢、最近の情勢、そういったようなものは特に重要なファクターになるものと考えております。そういうような観点から、事務当局から提出していただきました資料をもとにして検討し、この答申案をつくったわけであります。
  34. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと小笠原さん誤解されていると思いますが、中期経済計画を私は基礎にしたかどうかということじゃなくて、これは従来の高度成長政策が三十八年まで続きましたね、三十九年から政府がこの成長率でいったらたいへんだというので、これは景気調整しましたが、ですから、当然中期経済計画がくずれているのです。だから、いまあなた方が審議されているときには、これは基礎にはならぬわけですから、したがって、中期経済計画というものが当然出ておらぬ。いまここで国会でもいろいろやるが、われわれが予算委員会を通じて、経済企画庁長官にも早期に提出をするようにお願いしてありますが、おそらく早くてこの秋、そこでやむを得ず、大体四十一年というのは暫定的に七・五%というのを考えて、四十一年度予算は成長率の七・五%と、こう組んであるわけですから、皆さん政府方針によらざるを得なかったとすれば、八・一%じゃなくて、七・五%に——いずれにしても、私の聞きたかったのは、政府のそういう経済政策というものを考えてこの答申案はつくったのですかと聞いたのですが、その点はやらぬというものですから、その点を取り上げて、私はもう一回念を押したわけですね。  そこで、経済政策郵便物がどういうふうに相互の関係を持つかということは、これは過去の統計その他から見なければならぬと思います。皆さん答申しておるのも、たとえば一種、二種などは昭和二十六年十一月に改正して以来、三十六年の改正でも見送り、十年間の間現行料金で十円、五円できたわけでしょう。これをあなた方は比較的長期にわたって料金を安定さしたのは、過去数年間における郵便料ないし収入増加の率がきわめて高かったためである、こういうふうに抽象的に説明をし、いまのお話のように、ここに書いてありますが、大体六%ないし七%これから考えるのだということを言っておられるわけですね。ですから、一種、二種はまだ黒字だと聞いておりますよ、原価計算してみますとね。後ほど伺う第三種その他の問題について、あるいはもっと郵政事業というよりも、公共性と採算性をどういうふうにしていくかということですね、基本的な問題もあると思いますが、ですから、私はあなたの言われたように、経済政策郵便物というのがどういうふうにマッチして増加していくかということは、ただ単に郵便事業だけの視野に立ってはいかぬと思います。扱い数がふえないのは、電話が全国ダイヤルになって、速達で出した郵便物が電話でどんどん用が足りてしまうということによって、郵便物が電話の需要によって一部取られてしまうということもあるでしょう。また、あるところでは郵便物がもたもたしておくれているから、私設の郵便屋さんができて郵便の御用承りをやっているところもあるのです。こういうような事態が新潟県にありまして、私は現地調査をしてもらいまして、監察局長から報告を受けましたけれども、そういうことがあるわけですから、ですから、もっと客観的ないろいろな経済発展に伴う日本の経済構造なり産業構造というものを十分把握していきませんと、従来のデータだけによってパーセンテージを見るということは無理だと思うのですよ。その後、電電公社の即時ダイヤル方式というのが急ピッチで進んでいますから、そういうことの影響が全然ないとは言い切れないでしょう。そういったものを考えた場合、二九・五%で七月からいってほしい、こういう結論を出されたと思うのですね。だから、そういう結論を出すのにあたって、たとえば三カ年間における収入は四千百億になり、支出が五千二百億になる、しかも、口をあけると、郵政事業は人件費で取られている、人件費で取られていると言う、従業員の待遇をよくするから料金上げなければならぬということを口ぐせのように言うわけですね。それは事業の特質上、幾ら合理化、機械化いたしましても限りがあるわけですから、それを急速に人を減らすような、電電公社の電話のように機械が仕事をするということは、これは根本からできない仕事ですから、要するに、人員を確保し、その人たちの待遇をよくしていかなければ人も集まらない、人件費の上がるのは当然でしょうね。ですから、何かそういうところにウエートを置きますと、聞くほうからすると、非常に耳ざわりになる点もあるわけです。したがって、これを私は伺いたいのですが、四千百億の収入ですね、支出五千二百億、三年間に。一体どういう根拠でやられたのか示していただきたい。それから特に支出の五千二百億については、人件費が多い多いというのですから、一体、人件費はどの程度組んであるのか、そうしてまた、この間において皆さんが算定をした年率の物数の伸びによって、郵便事業というものは何人一体人をふやしたらいいのか、そういった基礎資料によってはじかれた数字だと思います。そうしませんと、収入支出がはっきりわれわれにわかりませんと、なかなか二九・五%でいいのか、二八・八%でいいのか、もっと低くていいのか、よくわからないのですよ、それが審議会の大事な使命ではないかと思いますので、まあ、いまその点私は伺いたかったのですけれども、どうでしょうか、収入支出の根拠というのは明確になっていると思いますから、答申の中にありますように。ですから、それはそれとして、とりあえず支出の中で人件費ですね、五年間に何名の人をふやして、ベースアップは一体どうなっていくのか、人件費、人件費と言いますが、この人件費は一体どういうふうにして算定されているか、その点ひとつ教えてもらえませんでしょうか。
  35. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 特別委員会審議の過程におきましては、ただいま鈴木委員お話しになりましたように、かりに、支出の問題につきましても、十分内容的に事務当局の提出されました資料をもとにいたしましていろいろ審議し、加除訂正をいたしまして、それで最終的な結論に到達したわけでございます。実は私、ただいまそういうこまかい御質問があるとは予想しなかったものですから、資料を持っておりませんが、これは事務当局でお持ちの資料というのは、たぶん特別委員会郵政審議会で検討されたものをお持ちになっていると思うのですが、私はちょっといまそういうこまかい資料を持っておりませんので、具体的にはお答えいたしかねますが、しかし、とにかく特別委員会で内容的にそれぞれ検討いたしまして、結論を出したわけでございます。
  36. 鈴木強

    鈴木強君 これはやはり利用者から見ても、幾ら上がるかということは非常に問題なんですね。われわれもかなり勉強さしていただいているのですけれども、さっき言ったように、どうも二九・五%七月から上げなければまかない切れないという同じ郵政省のデータのようですから、そういうものを皆さんはとって答申したと思うのです。ところが、一方では二八・八%でいけるのだ、こういう形で出ているわけですね。ですから、その辺を国民もよくわからないし、われわれもよくわからないのですよ。ですから、ひとつわれわれは郵政審議会というものを信頼しているわけですから、その郵政審議会皆さんが、一体歳入四千百億、歳出五千二百億という、そういう三カ年間における収支の見積もりをお立てになったわけですから、こういうふうにしてわれわれが第三者的に考えて、審議を一生懸命やってみたけれども、この数字は間違いないのだ、狂いないのだというふうなもし御判定に立つならば、そういうことをやはりあなたが言っておるように、できるだけ国民に周知をするということが必要じゃないでしょうか、何か公共料金がどんどん上がって非常に迷惑するのは利用者ですから。しかしまた、一面、独立採算制を堅持するという立場に立てば、また考えなければならぬ大事な経営の基本でございますからね。それもまた当然やはり考えなければならぬことであって、その点を国民がどう受けとめるかということが、これに対する協力体制をどうするかということに通ずると思いますので、私はむしろ、これしかないと思いますね。端的に言えば根拠はここなんですから。その根拠は、小笠原さん、たいへん部内でもお仕事に精通されて御経験お持ちのようですから、まあひとつざっくばらんに、ここは逓信委員会ですから伺いたいと思ったので、当然そういうことはおわかりだと思ったのですがね。それがわからなければ、もうすべてがうまくないものですから。まあ、しかし、これはいま持ってこられないということになると、お聞きしてもなんでしょうから、また後ほどでも機会を見てお尋ねすることにしましょう、この点は。  それから、いまのこの経済政策がまだ不安定でございまして、とりあえず四十一年度七・五%の成長率を見込んで予算を組んでおりますが、新経済政策がこの秋に確定をすると思います。したがって、それが現在の七・五%より上にいくのか下にいくのかということもよくわかりませんが、かりに上向いた場合は、ある程度私は何と言っても、経済活動が活発になれば、それに伴って扱いというものはふえてくると思うのですね。ですから、これには、不況になったから、むしろ宣伝で郵便を使ってやろうという人もおるかもしれませんが、大体常識的に考えると、経済の動向というものに支配されると見なければなりませんので、私が心配するのは、特に、大臣は五年間とおっしゃる。審議会は三年間ということを基礎にしてはじいた数字、しかも、そのはじいた数字よりももっと低いもので五年間よろしいという発言もあるわけですから、今後新経済政策というものが七・五%より下回った場合、景気調整がうまくいかなくて。その場合にも、一般常識的に言って、その扱いというものは多少減るのじゃないかという心配も出てくるわけです。その辺はこれからのことですから、非常にファクターとしてとる場合にはむずかしかったと思いますけれども、そういうふうな今後の見通される情勢というものの判断はなかなかむずかしいと思います。したがって、その変動によっては、やはり三年間と皆さんが算定したものが、考えたものが、あるいは二年九カ月たったらまた赤字になってくるようなことがあるかもしれない。そういうふうな懸念が経済政策の今後の動向によって起きてくるということはあり得るのでしょう。
  37. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) それはもちろん、今後の政府経済政策並びにその運用のいかん、それによる経済の実勢の変化、そういったようなものが郵便物数の想定に影響があるだろうということは、私も同感でございます。ただ、それがどうなるかということは、ただいまちょっと何ともお答えいたしかねるわけでございます。
  38. 鈴木強

    鈴木強君 時間もあまりないようですから、はしょってもう一つお尋ねしておきたいと思いますが、皆さんが御答申になった骨子というのは、現状の郵便事業の実態を分析され、さらに、今後の一応の見通しを立てられて、こうしたら改善できるという判断だと思います。その中に、いまお話にもありましたように、すでに答申の出されております、これは三十九年十一月、郵政審議会から「郵政事業近代化に関する答申」というものが出されておりまして、これを今回の改正では率直に受け入れておる部分もあるわけでありまして、この点はわれわれとしても非常に敬意を表しているところなんでございますが、しかし、扱い方が非常になまぬるいように思うわけです。一面、これは後ほど私は郵政当局にはあらためて伺いますが、そこで、皆さんが、三十九年十一月に答申を出されて、法律改正ないしは規則、規程、こういったものを修正し、改正してやらなければならぬ部門もあるでしょうし、また、予算を伴う部門もあるでしょうし、いろいろあると思いますが、大まかに言って、答申を出されて今日まで、皆さんのこの審議会趣旨に沿って、やることはぴしっぴしっとやってきたというふうに御判断が持たれるのでございましょうか。
  39. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 郵政御当局では、私ども郵政審議会答申に対しまして、十分慎重に御検討くださり、また、その重要な点について、もちろん尊重してくだすっておられるように私は承知いたしております。今回の郵便法改正案におきましても、私どもが一昨年、三十九年の十一月十七日に郵政審議会から郵政大臣答申申し上げました内容の中の、きわめて重要な近代化の具体策としての種類体系の整備、制度の合理化といったような問題、それから送達速度の安定と翌日配達の達成、これはもちろん、法律の表面には出ているわけではないようでございますが、結局、この料金問題に関連して、支出経費、その中にこういうことのために必要な経費が盛り込まれている。また、局内作業の機械化の問題につきまして本、目下鋭意研究をしてくだすっておられるようでございます。それから郵便物規格化、これは今度の法律改正案に明確に出ております。郵便番号制度の採用につきましても、御当局では目下鋭意これを実施に移すように御研究いただいているように承知いたしております。その他のことにつきましても、たいへん郵政御当局では、審議会答申の内容を尊重してくだすって、逐次実行に移してくだすっておられるものと私は承知いたします。
  40. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと前後して恐縮ですが、事業の収支の問題と関連があるものですから、ちょっとここで、さっき申し上げたように、一種、二種は黒字だと聞いておりますが、現在、原価計算した場合ですね。そこで、第三種はかなりの赤字を出していると思うのですね。この点について答申を見ますと、「第三種郵便物については、一般郵便利用者の負担においてこれを特に低料とすることにつき従来から問題があった。」、要するに、これは政策料金といいますか、公共料金であり、特に政府としては政策料金として安くしてきておるわけですね。そこを言ったのだと思いますが。そこで、木審議会は、定期刊行物の購読者の負担の軽減をはかることに文化政策的な意義を十分に認めるものであるが、かかる政策的考慮は、一般会計からの繰り入れなどの方法によるのが適当ではないかと検討した。しかし、従来の経緯等も考慮して、結論として、一般利用者に負担をかけないためにも、限界費用に近い額をもってその料金とすることが適当であると判断した。よって、従来月三回以上発行のものとその他と分けておりましたのを、今度は週三回以上の発行のものと、月三回以上発行のものと、その他と三つに分けまして、それぞれ百グラムごとに五円、六円、十円としなさい、こういうふうに答申をされたけれども、この点については、政府側の議論を拝見しますと、従来のものと同じような区分によって、毎週三回以上発行する新聞紙その他と分けまして六円、三円、こういうふうに安い料金にされたのです。これは小笠原さん、どうでしょうか、私たちもその趣旨はわかりますけれども、やはり限度があると思うのです。ですから、実際にかかった分というのはお出しいただくということはそう無理ではなかろうが、もしそれがそういう利用者にぶっかけることが非常にいけないという、もし特殊なケースであるならば、これはここにも論議されているように、ある一部分ですね、一般会計からそういう分だけはめんどう見てやるとかそういうことになると思うのです、率直に言って。ですから、皆さんがたいへん心配をして減価償却、原価計算等もされて、限界費用に近い額をというようにおそらく言われたと思いますが、そういうせっかくの苦心がここで今度またくずれてしまって、五円、六円、十円が六円と三円ですか、こういうふうになってしまっているのですね。この点はどうもちょっと私は理解しにくいですね。この委員会でも非常に問題になりましたし、先般の参考人のときにもこれは問題になった点ですが、こういう機会に、審議会皆さんから、この公共性と採算性ですね、この点について一体どういうふうにお考えになっておられるのか、そして公共性、採算性をどこに求めていこうとしているのか、これは赤字経営はできませんから、収支ペイするというのが独立採算のたてまえでしょうから、その辺で非常に郵政当局も悩んでいるところだと思いますね。ですから、せめてそういう点を理解されて、事業のマイナス面をカバーするものを、このようにほかの一種、二種は黒字であるというものに対して、相当の値上げをして、そこからまた財源を求めてくるというようなことは、あなたが言っているように、一般利用者の負担をさらに増大していくということになりまして、非常に一種、二種を出そうとしている人たちからすると、不満があるところだと思いますね。三種の赤字を一種、二種のわれわれになぜ転嫁するかという意見も出てくるし、これは独立採算であるから、種別収支をやるというわけにはいきませんから、結局、黒字のところで赤字を見てやるというのも一つの方法ですから、私は根本的に否定はしませんよ、現実ですから。そのある程度の現実をわきまえてもらわないといかぬじゃないかと思うのです。ですから、この点に対しましては、もう少し強く審議会が出してもよかったんじゃないかというくらいに、実は拝見しまして感じているのです。実際に政府のおとりになった措置については、不満足じゃないですかね、小笠原さんから見たら。
  41. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 私の私見といたしましても、また審議会委員といたしましても、実は審議会答申に書いてあります考え方に賛成なんでございます。実は、ただいまの第三極の郵便料金につきましては、どこに書いてございますように、一般利用者に負担をかけないためにも、限界費用に近い額をもってその料金を定めることが適当であると書いてございますが、との限界費用というのは、いわゆる学者の言われます直接費という意味でございます。第三種を扱うために特別によけいに要る分だけの費用というものでございます。その程度のものは少なくとも第三種の郵便物利用者に負担していただくのがいいんじゃないか、それまで他の通信利用者に負担をかけてしまうというのは多少行き過ぎじゃないかというふうに考えておるわけでございます。その点は、三十九年の郵便事業近代化に関する郵政審議会答申におきましても、料金決定の基準の明確化というところでそういう趣旨のことがうたってございます。まあ、そういうわけで、もちろん、お話のように、独立採算で考えておりますから、多少のものは、間接費はこれはまあ一般利用者が負担するとしても、直接費程度は第三種の利用者に負担してもらうというのがまあいいところじゃないかというふうに考えております。
  42. 鈴木強

    鈴木強君 よくわかりました。この点は私たちも全くそう思います。  その次に、ちょっと一つ伺っておきたいのは、小包の料金が前回の改正の際に政令事項になったわけですね。これはいろいろ国会でも、予算委員会の際に政府の所信を伺いました。法律改正によってやられたことですから、われわれもそのことについては言わないですが、ただ、実施の時期が一方は四月、一方は七月ということも、国民の側から見ると納得できないんじゃないかという点も指摘をしたのですが、これは前回の法律改正の際に政令事項になっておりますから、郵政省がおやりになることは、これはわれわれとしても何も言えないわけですけれども、したがって、今度また書留、速達とも、小包と同じように政令事項にしたらどうだろうかという、法律改正の際に善処してもらいたいという趣旨答申がございまして、これは公共料金というものの法定化、あるいは法定からはずすということは、いろいろ問題になると思います。公共料金というのはやはり政府がコントロールできる唯一の料金ですから、特に公共性の強い事業にそういう方法がとられていると思いますので、これをそう簡単にはずされることについては、われわれとしては大いに異議があるわけでありますが、しかし、実際に郵政事業に深い経験を持たれている委員の方々がいろいろな角度から御検討の結果、ここに郵便事業近代化答申どおりに政令でやることにしたらどうだろうかという趣旨の、特に答申の中に掲げておりますので、この点について少しわかりやすく説明をしてもらいたいと思いますが。
  43. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) 郵便の基本的料金につきましては、これはもちろん、一種ですとか二種ですとか、そういうものはいわゆる国の独占事業でありますから、この料金については当然法律でなければいけないことは申すまでもないことであります。ただ、特殊扱い等の料金につきましては、これは強制するものではもちろんないわけでございますから、その点から申しましても、法律でなければいけないとは必ずしも言われませんし、また、実際の社会のいろいろの経済条件の変化、そういうものに応じて弾力的に処理できるほうがむしろ適当ではないかという考え方でございます。もちろん、特殊扱い料金といえども、国民の利用するものでございますから、これが適正な料金でなければいけないことはもちろんでございます。たとえ政令できめる場合にも、いいかげんにきめるといったものではない。それは十分に慎重に国民の利害を考えてきめるものであることは申すまでもございません。そういうような意味で、弾力的にそのときの状況に合わせられるようにというようなことを考えます。財政法におきましても、基本的な料金については必ず法律でなければいけない、そうでないものは必ずしも法律を要しないという趣旨にもなっておりますので、こういうふうに審議会としては考えている次第でございます。
  44. 鈴木強

    鈴木強君 これは考え方はわかりましたが、たとえば国鉄の急行料金ですね、こういったものは法定料金になっている。ですから、あなたの言うように、書留は別に強制するものではない、はがきだって、一種だって二種だって、実際は強制するものではない、本人の自由意思によって出すわけでしょう。郵便事業そのものに公共性があるために、基本料であるはがきだとか一種の手紙なんかも低料金政策をとっている、その考え方と同じじゃないですか。特に、はがきを急いでやりたい、そういう国民のたとえば「母危篤」とか「父危篤」とかいう場合、電報がもしないとすれば、そういうものは非常に公共性の強い場合がいろいろあると思います。これはたとえば試験の合格通知だとか、あるいは入社の試験通知とか、そういうものも日数によっては速達を使わなければならない、あるいは航空郵便を使わなければいけないものもございますから、そういうことから、公共性というのは速達、書留だから違うということはないと思いますから、そうであれば、やはり国鉄事業も、これは公共企業体経営ではありますけれども、実際にはこれはやっておられる。ですから、こういう点、私はまた、そういった総合的に日本の各企業とのバランスを考えなければならぬでしょうし、そういうことを御検討いただいたならまたいいのですけれども、そうして、ある程度、これは運輸審議会もあるわけですから、これは、皆さんとできればこういう話をされる際には連係をとってどうだろうかということもやられて、そうして将来に対してどうだろうかということだとわかりますが、郵政事業だけが飛び出てやるということについても、ちょっと、いま非常に問題になっているときだけに、少しわれわれの受ける印象というのは先ばしったような気がしたものですから伺ったわけですが、あなたにもう一回、感じている点をひとつ……。
  45. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) たいへんただいま貴重な御意見を承らせていただきまして、まことにありがとうございます。私ども、先ほど申し上げましたように、考えといたしましては、こういうように考えておるのでございます。もちろん、他の公共事業においてどういうふうにやっているかといったようなことも十分考えに入れつつ考えているわけでございますが、これは郵政当局でももちろん御検討中のことと思います。私どもも今後なお考えてまいりたいと思います。
  46. 鈴木強

    鈴木強君 それから、来年から万国郵便条約というのが改正になって発効するように聞いておりますが、そうしますと、これによってまた新しいサービス提供を日本でも考えなければならぬと思う。これは外国郵便においても改正があると思いますが、たとえば録音郵便物の取り扱いというふうなこともおそらく出てくると思います。それから航空書簡の特別扱いですね、こういったこともわれわれちょっと情報として持っているんですが、そういうような点は、今回の審議会のほうには郵政省から説明があったでしょうか。
  47. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) ただいまの点につきましては、別段当局から御説明を承りません。外国の——要するに、外国郵便関係の制度の、今後の制度の改正の問題については伺っておりません。
  48. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、この審議会では、日本で扱っております外国郵便ですね、これをどうするかということについては全然触れなかった、国際的なこともありますからだろうと思いますが、そういうことですか。その情勢の判断というのが、その情報程度も外国郵便については全然審議しなかったということでしょうか。
  49. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) もちろん、外国郵便状況と申しますか、そういう御説明は一部ございましたし、たとえば、この原案における、今度の改正法律案におけるはがきの大きさの問題等、これは外国郵便のことも考慮に入れてのことでございまして、ただ、いま御質問にありましたように、今後外国郵便制度がどういうふうに変わるかといったような点までは承らなかったように思います。
  50. 鈴木強

    鈴木強君 まあ、これはわかりました。後ほどまた郵政省にお尋ねいたします。  まあ、たいへんお忙しい中をおいでいただきまして、いろいろ参考になる貴重なお話を承りましてありがとうございました。まあ総じて、われわれはたいへんあつかましい、差し出がましいことを申し上げましたけれども、願いは、郵便事業がほんとうに国民の信頼を得て伸びていただきたい。そのことには、やはり郵政事業の健全な運営ですね、そうして職員の待遇の向上ということが基本になると思いますので、近代化問題等含めて、審議会がたいへん建設的な御答申をいただいたことに感謝いたします。まあひとつ、今後ともぜひ郵政事業発展のためにお力添えいただきたいと思います。  どうもきょうはありがとうございます。  小笠原参考人についての質問は終わります。
  51. 野上元

    委員長野上元君) この際、小笠原参考人に一言お礼を申し上げます。  本日は御多忙のところにもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、貴重な数々の御意見を賜わりまして、まことにありがたく、厚く御礼申し上げる次第であります。ただいまの御意見を十分参考にいたしまして、今後の法案審査を進めてまいりたいと、かように考えておるところでございます。  本日はどうもありがとうございました。
  52. 小笠原光寿

    参考人小笠原光寿君) ただいま委員長並びに鈴木さんからたいへん御丁重なおことばをいただきまして、まことにどうも恐縮に存じます。ありがとうございました。
  53. 野上元

    委員長野上元君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  54. 野上元

    委員長野上元君) 速記を起こしてください。  本案に対する午前中の審議は、この程度にとどめまして、午後一時まで休憩いたします。    午後零時十七分休憩      —————・—————    午後一時三十三分開会
  55. 野上元

    委員長野上元君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  56. 鈴木強

    鈴木強君 午前中私が最初質問しました仲裁裁定予算との関係ですが、大事なところを落としてしまいましたので改めて伺いますが、実施の時期については、仲裁裁定は裁定どおり実施するということでしょうか。そういう場合に六十六億というふうにお話しになったんでしょうが、その点もう一回。
  57. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 仲裁裁定政府は尊重いたします。仲裁裁定どおりに実施いたしまして、先ほど申しましたように、六十六億というのが郵政固有業務についてのベースアップでございます。
  58. 鈴木強

    鈴木強君 それで、電電公社から委託費として入ってまいります中には、この郵便関係の職員の給与については全然関係がないのですか。
  59. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 委託費として電電からいただきますものは、これ以外に約二十五億いただくことになっております。
  60. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりますけれども、その二十五億は郵便事業の従業員には関係があるんでしょうか、ないんでしょうか。
  61. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 電信電話に従事しております交換手とか、こういった人たち並びに若干は総合的な共通面に持ち分だけ入っておるわけでございます。
  62. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、郵便と電電の委託業務を兼務しておるような人がおるわけですね、三、七であるか、あるいは六、四であるかわかりませんが、そういう分については、郵便事業としての六十六億のほかにそういうものが入ってきて、合計ということに理解してよろしゅうございますね。
  63. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) さようでございます。郵便分担のほうは一切郵便のほうでまかなうことになっております。
  64. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それから大臣恐縮ですが、電電公社のほうですれ、いま言った委託業務との関係もありますが、裁定は国会の承認、議決は必要なくて、予備費の流用で完全に四月から実施する、予算的には心配ない、こういうふうに確認しておいてよろしいのでございましょうか。
  65. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 電電公社につきましても十分検討いたしました。そして可能であるという結論に十分達しております。
  66. 鈴木強

    鈴木強君 私はこれから質問をいたしますが、同僚の皆さんがすでに質疑を終わっている点もあると思いますから、もし重複する点はもうそれこそ簡単にあるいは、それはお答えしておりますというぐあいでけっこうですから、もし重複する点はそういうふうに処理をしていただくことにして、若干の質問をしたいと思います。  まず第一番に、これはさっきも審議会委員の方に伺ったんでありますが、郵政大臣の、これから五ヵ年間はだいじょうぶだという御意見があるわけですね。しかし一方では、審議会答申は、三カ年を見通してやっておるわけでございますから、そこに、いまこれからの経済の変動ということも不確定要素として出てくるわけですから、そういうものをあわせて見ますというと、大臣のおっしゃった点について、多少われわれは疑義を持つわけです。その点もう一回念のために、大臣どうなんでしょう、だいじょうぶなんでしょうか。
  67. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 二八・八%の引き上げで五ヵ年間の収支の見込みを立てます一番基本になるのは、やはり物の点だと思います。そして物の点について、確かに手固く見ますという考え方郵政審議会もいろいろ御検討いただきました。しかし、郵政省として、政府といたしましては、いままでの数年のような著しい増加は見得ないとしましても、五%平均で推移してまいるということは、これは相当手固く考えましても可能な事柄である。そのほかに人件費、物件費について歳出の面でもいろいろ考えなければいかぬ点もあろうと思います。で、ある意味では、いよいよ七月から実施いたすとしますと、さらに確かな見通しをつけなければいけないなと思う点はございます。ございますけれども、また、いろいろな点で企業努力をいたしてまいり、物の増加は十分これを確保いたすだけの努力——むしろ、もうちょっと私は物の増加が期待できるんじゃないかと思っております。そうした歳入と歳出の見込みを立てますると、私は五ヵ年間は維持できるし、これはまた、五ヵ年間維持できるという前提で一切の努力をし、また機械化その他の計画も立ててまいる、こういうぐあいに考えています。
  68. 鈴木強

    鈴木強君 これは大臣、ひとつ明らかにしてもらいたいんですけれども答申が、三年間で一千百億の赤字になるということですね、それで、それを充足するためにはどうしても二九・五%が必要である。これは郵政省の資料によって審議会はおやりになったということですから聞くんですよ。そうしますと、七月から実施で二八・八%ということになりますと、〇・七%はダウンしているわけですね。そうなりますと、それでなおかつ一千百億の支出増というものがまかなえるんだということになると、ちょっとおかしいじゃないですか。〇・七というのはどの程度の額になるかわかりませんが、いずれにしても、その点が私には疑問でならないんです。同じ支出であれば、やはり二九・五%でやりませんと、つじつまが合わぬじゃないだろうか、こう思いますが、その点はどうなんでございましょうか。
  69. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 政府案こしらえますときに、結局、郵政審議会でも御無理のないことで、当時郵便の財政も苦しいし、それからまた、その当時の見通しというものはかなり固く固く見ていかなければならぬ、これは無理ないと思います。しかしながら、政府案をこしらえますときに収支の見込みをそれぞれ立てました。したがって、郵政審議会が立てた収支の見込みとは別に非常に違うものではございません。しかし、収入においても、支出においても、それぞれ新たな見込みを立てまして、収支のバランスを考えてみたのでございます。したがって、数字については、いま政府委員からお答えさせますが、各年度の収支の見込みがそれぞれ郵政審議会のと政府案のと違いまするので、したがいまして、ただいまの〇・七%の値上げ幅の減がありながら、なおかつ主たる原因は私は物の増ということを申しておるのでありますが、それ以外に収支のバランスをとりまして、そして五ヵ年間の合計で可能であるという見込みを立てておるわけでございます。これらの数字については、郵務局長からお答えいたさせます。
  70. 鈴木強

    鈴木強君 ちょっと数字の前に。私が非常にこれを固執しておるのは、あなたが、十一月の二十七日に経済政策会議で首相裁断によってきまりましたね、七月から実施ということがきまりましたね。そのときに、三六・八%という、これは私は五年間見た場合にですよ、政府原案というのは三六・八%増収を確保せぬとつじつまが合わぬというのがぼくは郵政原案だと思うのですよ。そういうものがすでに八月の三十日に審議会諮問されたとするならば、その線で審議会はやるべきなんですよ。ところが、あなたは十一月二十七日に経済政策会議に乗り込んで、四月案、十一月案、経済企画庁との論争の中で総理は七月と裁断をされたわけでしょう。したがって、そのときに、三六・八%は高いからこれを一〇%前後調整しなさいというのは、総理から発言されておるはずですよ。総理から発言されたというか、そういう意見があったと思うのですよ、高過ぎると、案が。三六・八%は高い。これは私は記者の情報ですから……。そういう意見があったそうですよ、だれが言ったかはあれとしても。特に総理からそういう意見があったと私は聞いております。そこで、その率は別としても、七月一日から上げるのだということをきめたというのですよ。このやり方はぼくは無責任だというのですよ。要するに、七月か六月かの論争はけっこうですよ。しかしながら、幾ら上げるかということは、いまの行き詰まっておる郵政事業を立て直すという観点に立てば、パーセンテージをきめて七月から上げるという、率をきめること自体が軽率ですよ。しかも、七月から、審議会にも諮問をして三六・八%の原案が出ておる、そういうことになっているやさきに、十一月二十七日、審議会より先行して決定しておる。そういうきめ方がけしからぬというのですよ。結局は、あなたが十一月二十七日に帝国ホテルで開かれておった審議会に乗り込んでいって、こういうふうに政府経済政策会議できめたからこういうふうにしてください、こういうことをあなたは発言して審議会に協力方を要請した。だから、要するに、やり方が支離滅裂だというのです。そして五ヵ年間という当初の計画が三カ年になってしまって、そして二九・五%上げればできるということになった。〇・七%ダウンすればつじつまが合う、これは郵政省の資料でやったはずなんです。どこで合理化して金は浮きましたから、したがって、二八・八%でけっこうです、こういうのでないと納得できないじゃないか。これを見ると、五千人も要員を切ってしまって、そして、つじつまを合わした場合でも、この収入に対して支出が九千六百億というものが必要であるというふうに、ここに答申が書かれておるわけですからね。そこのところは、筋を言うならば筋で理論的にわれわれが納得するような合理化をここでやりまして、〇・七%分につきましては、どういう節約をいたしました、こういう説明が出てくれば私は納得する。その点は、長田さんにそこで説明してもらったら、われわれもああそうかと、そういう点で節約したかと、こういうことになる。
  71. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 大事な点でありまするし、前にも申し上げましたが、ひとつ御理解を得ておきたいと思います。  一つは、すでに十一月二十七日に経済政策会議を開きますまでに、十三回の経営問題合理化小委員会が継続して開かれ、小委員会から口頭での報告がありました。そして一方、十一月二十七日と言えばお察しがつきまするように、四十一年度の予算見通しをつけなければ相ならぬ。公共料金のうち何は引き上げ何は引き上げないかということをきめますほとんど最終の時期であります。そこで、郵政審議会からは中間報告をいたそうかという御意見もありました。しかし、中間報告をいたすために——あと十日くらいで答申が出る段階に来ておるのに、中間報告をいたす手続のためにまたひまどる、これは避けて口頭説明をしようと、こういうことで小委員長から詳しく御説明を聞きました。それで、十一月二十七日の経済政策会議は、それ以外に物価の問題もございました。そこで私は、郵政審議会の小委員会報告を受けて、そしてできる限り値上げ幅を低位にするということは、何も郵政審議会答申そのものを引き合いに出しませんでも、政府がすでに公共料金についてきめた基本方針でありまするから、したがって、ただいまのところ、郵政審議会の小委員会審議の段階である、段階であるから、これからまず答申が出て最終の審議会の意向はきまるけれども、とにかく値上げをせざるを得ない状態であることは、郵政審議会からもはっきり意見を承っておるし、私もそう思うと。そうすると、この際に政府としては値上げをせざるを得ないということをひとつ方針としてきめたい、そうしないと、すでにもう四十一年度の予算について大体のめどをつける最終の時期だから、したがって、値上げをするということと、それから値上げ幅を可及的低位に押えるということだけをきめましたが、そのときには別に資料等、したがって、三十何%という資料も別にその際は配りませんでした。経済政策会議はおおむね口頭で申し上げまして、配りました資料も回収いたしておりますが、この場合には私のほうは資料も配りませんでした。そういう状態で、方針だけをきめ、したがって、十二月九日の答申をいただいた次第でございます。それで、長田君から申し上げますけれども郵政審議会のほうも十分収支見通しを立ててくださいましたので、私どもとしては、新しい収支見通し政府案として立てまする作業にそれから約一カ月間を、その間予算の編成もございましたが、一カ月間を使って、したがって、どこの部分を手直ししたというよりも、政府案そのものを新しい収支の見込みでいたしましたと。それはもちろん、その資料は、同じことをやるのでございますし、実際事務をやるのは郵政省でございますから、同じような材料を使っておることではございますけれども、全く郵政審議会収支の見辻みを直したというのでなくて、新しくこしらえた、したがって、それについてひとつ申し上げますので、お聞き取りを願いたいと思います。
  72. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 郵政審議会の最終答申におきましては、郵便料金を二九・五%値上げをして、将来三年間の収支不足を補うということでございました。二九・五%値上げによりまして得ます増収見込みが千九十八億でございます。で、他方、政府の案におきましては、ただいま大臣が申し上げましたように、これは正月を越しまして、予算編成時期の直後くらいにたしか固めたと記憶しておりますが、予算の作業によりまして、相当四十一年度につきましては、しっかりした詰め方が行なわれておったのでございますが、以後五年間についての見通し等も立てたわけでございます。試みに、そのうち郵政審議会答申と同じ年次だけについて比較いたしますと、郵政審議会が二九。五%で千九十八億に対しまして、政府案のほうでは二八・八%で千七十四億——二十四億だけ少なくなっております。これにつきましては、先ほども申し上げましたように、郵政審議会は十二月九日の時点の問題でございます。政府案のほうは、予算編成をほぼ終わる、もう予算のほうが固まりますのと前後しての数字でございますから、たとえば四十一年度の増員等におきましても、審議会答申は概算要求の段階のものであり、政府案のは、郵便事業につきまして四千二百二十六人の増員が固まりました数字等でございまして、そのほかの経費等につきましても、若干そういう意味の最後の詰めが行なわれましたことなどからいたしまして、それだけの金額の違いも出てきたわけでございます。あとの四十四年度、四十五年度につきましては、物価の情勢等に対する見方を少しく異にしておりますけれども、大体ただいま申し上げましたようなことででき上がったわけでございます。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、大臣の、予算との関係で十一月二十七日に、上げるか上げないかの方針をきめざるを得なかったということはわかりました。その点は私も了解しますが、ただ、そういうことがやはり審議会のほうにいろんな影響を与えた、このことは事実だと思うんですよ。そこで、私は郵政審議会というものをもう一回考え直す必要があると思うのです。私は五十六億の収支不足になるということは、四十年度の予算審議の際にわかっておったのです。われわれはその点について非常に心配しましたが、幸いというかどうか知らぬが、積み立てた金がある、したがって、それをもって四十年度は充当するからということで了承したわけです。しかし、四十一年以降のやつは非常に心配だということはだれしも考えておった。ところが、そういう対策について非常に後手を打ったのではないでしょうか。少なくとも、八月三十日に大臣諮問六十号をなされるという時期が少しおそかったのではないでしょうか。そういう点が一つある。もし、もっと早目にこの審議会を開いて、ほんとうに郵政審議会の性格に基づく御審議を願うようにして、そして大体政府予算編成がどうなって公共料金はどうするかという基本論争ができるような段階に、答申がほしかったのじゃないでしょうか。それは私は、やればできたと思います。まあ急に赤守になったからということであれば別ですけれども、この郵政事業の非常に前途困難な経営ということについては、お互いにわかっておったのですから、そこら辺の郵政審議会のかけ方がちょっとわれわれから見ておそきに失したのではないだろうか。また、これは八月三十日に開いてほんとうに真剣に取っ組めばできないこともなかったでしょうが、聞くところによると、審議会委員というのは非常勤で、しかも、あまり手当もないですね。で、スタッフも何もなくて、何か名前だけの委員会のような気もするのでして、それじゃやはり私はいかぬと思うんですね。やはり設置法十九条に基づく委員会でございますから、あなたが私的に諮問するというのとは違いますよ。だから、委員会に対する経理の面とか事務局の、面とか、そういう点も十分めんどう見るというか、整備して、そして委員の報酬等についても私はやっぱり世間並みのお手当を出して一生懸命やっぱりやってもらうということにせぬと、会社の社長さんだとか、重役だとか、大学の教授とか、これを見ると、ありますけれども、そういう方々もけっこうですけれども、もう少し経済的な面もあわせて考えて、やはり審議会というものをほんとうに活動できるようにしなければいかぬと思いますがね、これはこれからのあとの問題ですから、大臣の御所見もそういう意味で承っておきたいのです。結論としては、やはり審議会への諮問の時期がどうもそういう点から見ておそきに失したのではなかろうか。そのことがやはりわれわれに非常に誤解を与えることになったのではないかと思いますが、その点は反省できますか。
  74. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は、確かにいま鈴木さんのおっしゃいますとおり、審議会というもの、これは一刻もすみやかにと懇願をいたしておるわけでございますが、郵便法が早く成立し、そうして、これからの見通しを立てます場合、また、どういう形でか郵政審議会のこういう点を心配してくださる方にひとつ相談に乗っていただきたいくらいに考えております。そのような意味合いで、ことに鈴木さん御指摘のとおり、五十六億という赤があいたときから、ほんとうに取り組まなければいかぬことだと思います。率直に申しまして、よけいなおしゃべりをいたしまして差しさわりがございましたら、いつでも撤回いたしますが、私、六月に大臣になりまして、そうして見たこの状態を何とかしなければならぬ、しかし、私自身が、郵政審議会にどうしましょうという決心がなかなかつかない、これにしばらくの時間がかかりました。それから、かりに私がその瞬間に料金を引き上げていこうという決心をするにしても、他の国鉄その他のそれぞれの審議機関等によります審議状況に比べますと、一体これで審議会答申をいただけるだけの余裕があるであろうかどうであろうか。しかし、考え方によれば、郵便料金は他の事業に比べてわりにめどがつけやすいから、それではお願いをしようと思った次第でございますけれども、もうそのときで、すでにおそいくらいで、非常に御無理をお願いして、御指摘のように、審議会の途中で政府方針をきめるというような、率直に申して私は、審議会に対してもっと十分な御審議をお願いし、また、政府としてもこういう決心だということを申して、材料も提供することが必要だ。しかし、私は近ごろこういうことを考えております。郵政省のような長い仕事をやっておりますところの審議会には、むしろ、おっしゃるように、手当のほうがどうできるか存じませんが、ただ審議会自身が自分でこういう材料を集めたいというときには、あるいはそういう材料を集めたりする事務局的なもの、これは郵政部内であっても、郵政省の本省の事務をやっているところ以外に、審議会の意向を受けて、必要な資料は全く審議会の意向に沿うて集めるくらいの余裕と能力を持ったものを置くというようなことが将来どうしても必要であろう。そうして、それをとるとらぬは別として、しかし、重要な、省として考えるものともし違った材料に基づく違った結論が出てくれば、それは非常によい参考になるのではないだろうか。そんな審議会の動かし方をいたしませんと、合理化の答申も出た、保険のなにも出た、貯金も出た、一応これで郵政審議会は用済みだということではない、そういう意味合いで、先般も当委員会で共通事務について一体どう考えるかというようなお話がございましたとき、今度新しい段階における審議会へのお願いのしかた、また、これの活用のしかたというのは、十分ひとつ考えさしていただきたいと思います。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 よくわかりました。私は、もちろん、二面におきましては、大臣の政治的な手腕と相まって、裁断になったということは考えながらも、なおかつこういうことを言っているのです。ですから、審議会そのものが有名無実のような形になってもいけないわけでして、これがただ単なる諮問機関ではないわけですから、私はいまの大臣のお考えに全く賛成です。そういう意味において、独自の立場においてときには活動できるということにいたしませんと、みんな郵政省の資料を使ってやるということでは能がないと思いますから、そういう点の大臣の御所見はわかりましたので、ひとつそういう点をすみやかに確立できるように御配慮いただきたいと思います。  まあ、こういうわけで、いよいよ二八・八%が決定して審議しているわけですが、そこでいろいろと私は伺いたいことがありますが、時間の関係もあるようですから、あと二、三十分で終わりにしますが、一つは、との答申を見ますと、今後の事業の合理化ということについても。かなり積極的に推進をしてもらいたいという論議がございます。その片面、ちょっと私はこの答申の中で気になるのは、「利用度の低い郵便局の設置を差しひかえ、過剰と認められるサービスを再検討すべきことも論ぜられた。」、どういうふうに述べております。ここのところが非常に問題で、たとえば簡易郵便局等は、お尋ねしますが、いま毎年どの程度ふやしておられるのか、そうして、簡易郵便局というのは、言うならば、あまりもうからぬのではないかと思いますが、収支を度外視してやらなければならぬ公共事業としての郵便事業ですから、そういう意味で、毎年かなりの数をふやしていると思います。むしろ最近は、簡易郵便局をどこかやってくれないかという売り込みまでやっているように聞いております。ですから、そういうときに、この利用度の低い郵便局の設置を差し控えるというようなことについては、どうも審議会答申の中に書いてあるわずか一行のことですけれども、われわれとしては、一体公共性というものをどういうふうに審議会考えておるのか、ちょっと疑問があるのですよ。これは小笠原さんにあえて聞きませんでしたけれども郵政省のほうがいいと思って私は聞いたのですが、この点は率直に言って、答申をお読みになってどう感じられておるのですか。
  76. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 郵政審議会料金値上げの問題を審議しております際に、一方では、現在のいろいろ経費の中に節約の余地があるのではないか、支出を相当洗っていくという段階の中に、郵便のサービス、過剰サービスとも言えるような部分があるのではないかという観点から、いろいろ検討をされまして、たとえば、いなかのほうで非常に少ない郵便物数を持って配達に行く場所、そういうところを隔日とか二日おきの配達にしたらどうか、あるいは窓口機関についても、収支状況などが相当逆ざやになっているならば、いままでのような設置方針でなく、もう少し、公共性というものは多分に考えながらも、従来よりひかえ目な設置方針でいくべきではないかというような議論などが相当出まして、ただいま御指摘のような答申になったかと思うのでございます。まあ私どもといたしましても、置局、郵便局の今後の設置につきましては、だんだん要設置個所との関係におきまして充足度が高くなってまいっている。これからは都市周辺の新しい発展地に重点を置いてもよいのではなかろうかというような、まあ気持ちもいたしているわけでございますが、しかし、四十一年度——答申を受けました直後の四十一年度におきましては、まだ当時の状況で要設置個所は約千近くあったかと思っておりますし、相当急いで設置しなければならないというような事情のところがまだございますので、従来どおり三百局の増置ということで予算もきめてもらったわけであります。簡易郵便局につきましても、従来どおり年五百局ということで予算は成立しているわけでございます。今後の問題といたしましては、要設置個所数がだんだん減っていくにつれまして、総体の設置数、設置場所等について検討を加えてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 特定局三百ですね、それから簡易局五百、これは予算のとき私も聞きました。ただし、この言っている利用度の低い郵便局の設置を差し控えるという趣旨はね、これはあまりにも経費節約にとらわれ過ぎてしまって、郵便事業本来の山村僻地におる人たちにも公共の便益を公平に与えていくという大原則があるわけでしょう。それは損するところと得するところとあっていいわけですね。そういうところこそ、もし採算が合わない場合には、何かくふうして一般会計から補充してもらうなりしても、国民はこれは文句言いませんよ。人間生まれたくて山の上に生まれたわけでもないでしょうし、僻村に生まれたわけでもないですよ。ですから、東京に生まれようが、いなかに生まれようが、郵便事業というものを公平にやっぱり便益を供与してもらうということは国民の権利ですよ。それを、やはり相反するような立場に立ってこの答申の中の文句というのは私は耳にさわるということを言ってるわけですから、それに災いされて、皆さんが一千カ所のところを三百カ所にしたということであれば、これはたいへん問題があるとぼくは思うのですよ。そういう意味において私は伺っているのですがね。どうでしょうね。
  78. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 現在一千カ所近くありますところを、四十一年度で三百局済ませるということでございますが、要設置個所の増加の傾向は、いままでの設置していきます状況と比べますと、総体的に非常に低い増加率でございますし、数年にしてほとんど充足し得るという見通しも立っているわけでございますが、ただ、今後の問題といたしまして、御指摘のような郵政諸業務のサービスの窓口機関を今後置いて、国民の利便に供するという問題と、それからまあ、それを比較的経済的にやっていくというような問題等につきまして、省内でもどういうふうに今後やっていったらいいかという問題などは、寄り寄りまあ論議をされているわけでございます。で、私どもは、先ほども申し上げましたように、いますぐにやめてしまうということではなしに、いままでのやり方、少しずつ数を減らしてまいりましても、現在ある需要というものをだんだん充足していきます充足率のほうが相当高くなっていくというような状態がただいまの状況でございます。なお、郵政審議会から先ほどの過剰サービス等について言われました配達等につきましても、私ども料金値上げをする際にサービスを悪くしていくということは実際問題としてできにくいというようなことも、その際に申し上げてあるわけでございます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろ言われておるが、問題は、もうからないからといって、置くべきところに置かぬというようなことはいたしませんと、やはりできるだけ国民にみな便益が供与できるように逐次ふやしていくと、こういうふうに簡単に言ったら受け取っておいていいのですか。
  80. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 仰せのように、公共性というものは事業の性質からしまして十分私ども留意しつつ、なお今後経済的にその目的が達成できる方法等があれば研究してまいりたい、そういうような方針でございます。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 それから、簡易郵便局のことはいまの野上委員長がかなり前の委員会質問をされておりましたから、私も拝聴しておりましたのでよくわかりましたが、ただ、ここでもう一回伺っておきたいのは、さっき申し上げたように、かなりまあ四十一年度に五百局簡易郵便局の設置を考えておるわけですが、その際に、地方自治体ないしは農業協同組合ですか、そういうところに一応管理を委託する、そして農協なり地方自治体が、嘱託というような名前かどうかわかりませんが、事務員か知りませんが、人を雇って、その人を簡易局のほうの仕事に一日五時間ぐらいですか、週三十時間ぐらいの仕事に従事させる、こういう方法をとっていると思いますね。そこで問題になるのは、賃金の決定ですね。それは地域地域によって最低賃金も違うでしょうから、一万五千円のところ、一万八千円のところ、いろいろあると思いますよ。しかし、総じて見て、大体一万五千円くらい最低やらぬとりっぱな仕事ができないと思いますね。そこで、地方自治体とか農協でその人と個人的に契約をするわけですね。労働契約を結ぶわけでしょう。そして一万五千円給料をもらいますね。そうすると、その一万五千円は、郵政局から一万二千円いっても、あるいは一万六千円いっても、一万五千円ということで払っているのか、あるいは一万六千円いったときには多い分をやるようにしているのか、少ないときには、足りない分を市町村が出してやるのか、そういうような点はどうなんでしょうか。どうもその辺が、最近の私は具体的な例、きょうはここで差し控えますけれども、私知っているわけですけれども、その辺が明確でないように思いますから、明らかにしてもらいたい。
  82. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 昨年の三月末の状況で調べますと、簡易郵便局二千四百八局ございますが、そこの事務取り扱い者で簡易郵便局の業務に専念する者が九百六十三人、それから、ほかの業務と兼務になっておりますのが千四百四十五人でございます。で、兼務になっているところにつきましては、市町村なりあるいは農協等の職員が、本来の仕事のかたわら簡易郵便局の仕事をやっているのもございます。正式な吏員とか事務員とかいう者をもちましてやっている場合もございますし、それから協同組合等につきましては、役員が経営しているという場合、嘱託という形でやっている場合等いろいろございます。吏員などの場合には、団体から給与をもらいましてやっているほうがむしろ多くて、その場合こちらで払います手数料は団体の収入になっていくというようなわけでございます。専務でやっており、あるいは事務所が全く独立しているというようなところにつきまして、しかも身分が嘱託等になっている者につきましては、郵政省から支払います手数料が、若干の物件費等は、ある場合は除き、その個人が提供している場合はまるまる込めまして、その嘱託なり事務取り扱い者の収入になっていくと、そういう例になっているかと思うのでございます。ただ、受託団体の内容によりまして、その事務取り扱い者の受託団体内での地位等によりまして、いろいろな態様があるわけでございます。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 いろいろあるでしょうけれども、たとえば、じゃあこういう場合はどうなんでしょうか。その土地では一万五千円くらいでないと人が雇えない、そこで一万五千円で契約しますね、しかし実際に——今度上がったからそういうことはないかもしれませんけれども、実際に一万三千円しかかりに収入がないという場合には、役場のほうで、こっちはそういうときに知りませんよと、そういう契約になっているけれども、一万三千円しかないときにはあんたの負担ですよというようなまた個人と地方自治体との約束をして、それでもよろしいということで事務員になるという場合ですね、こういう場合でも郵政省は、それはやむを得ないんだ、そういう契約が成り立ったらそれでいいんだというふうに考えて許可するんですか。
  84. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) こちらから支払います手数料が一万三千円で、本人とその団体との契約が一万五千円になっているという場合の問題でございますが、その団体と個人との間がどういうふうな関係になり、どういう規定のしかたをしているかによってきまるかと思いますが、ただ、今回の手数料の改正によりまして基本料が大体一万一千円ぐらいになるかと思います。それに業務取り扱いによって、個々の取り扱い量によって増加する分が加わりまして、全局平均一万七千四百四十円でございます。この中には、農協等で自分のところが貯金をやっておるために貯金業務を扱わないところもございますので、貯金業務を扱うところについて見ますと、二万円をかなりこえる金額が平均でございます。それに切手の売りさばき手数料等も入りますので、ただいまお話しのようなところは非常に少ないことになろうかと思います。いまの団体内での取りきめ方によって究極的にはきまるかと思いますが、お説のような、ただいま引用されましたような例は比較的少ないのではないかというふうに考えます。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 これは私は、ただ単に個人契約の問題ではなくして、そのことが郵便業務を扱うサービスの面に影響してくると思うから伺っているのですが、一万五千円ということになっておっても、一万三千円のときには知らぬということになりますと、それは額が平均で一万七千円ですか——一万八千円としてもいいですね、平均ですから一万六千円のところもある。その一万六千円で契約しておっても、一万三千円しか手数料がこないときには、これはあんたの負担でがまんしてくれというようなことでもし契約で成り立っていくとすれば、扱う人が手数料の非常に少ないときにはばからしくなってくる。そうすると、いろんなことが反作用として出てくる。幸い簡易郵便局の不正事件というのは、会計検査院の指摘している限りにおいては見当たりませんが、そういうようなことがいろんな問題に波及してくるのではないかということを憂えますからね。だからその辺は、何とか行政指導といいますか、設置する場合の地方自治体や農協との間において、郵政省はどういう形かにおいてやってやるというのが筋じゃないでしょうか。  それから、もっと実態を調べてもらいたいのは、たとえば私なら私という人間が実際にやりたいんですよ、簡易郵便局を。ところが、これはできないものですから、表面の名義はある地方自治体の名前にしておいて、実際にはおれが管理者だ、経営者だと、そこら辺をうまくやっておいて、その管理者がある人を雇って、その管理者とある人との契約を結んでやろうなんということもたくらんでいるのがいるらしいんですよ。だから私は、簡易郵便局の設置については、いろんなケースが最近出ていますから、もう少しその実態を厳密に、過去のほうまで認可に際してのいろんな調査についてもう少しやってもらいたいと思う。ここは公開の席上ですからはばかりますけれども、そういうようなことがあるんですよ。だから、安易に五百局なら五百局をつくるのだということで、どうですか、どこかやってくれませんかなんという調子でやるものだから、そういうものが反作用として出てくることがありますから、簡易郵便局設置については、もう少し実態の把握をしてもらうと同時に、いま申し上げましたような、あなた方の目に入らないようなことが行なわれて、本来の健全な郵政事業の発展を阻害するような面が出てきていると思いますから、その点は今後とも、ある機会がありましたら、郵政局なりまた現場の統括局になる特定局の場合でも、厳重にその趣旨を伝えておいて、その認可については一そう厳密な審査をする。ただ単に上がってきた書類だけでやるなんということはとんでもないことですよ。だから、もう少し郵政局なり現場のほうが、現地の事情をよく把握して、少なくとも統括集配局なりと十分に連絡をとってやるようにせぬと、そのほうが知らない間にそういう申請が郵政局に来ておるという場合がある。私はそれはいかぬと思いますので、この点はひとつ厳重に注意してもらいたい、こう思います。
  86. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 簡易郵便局の設置あるいは設置されました以後の業務の運営等につきましては、単に当面の仕事がしっかり行なわれるということばかりでなく、将来長く安定した業務の運行がなされますように、そういう環境等につきましてもだんだん留意をしてまいるように、関係部局とも打ち合わせまして、連絡をとりながらそういう方向に持ってまいりたいというふうに考えます。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 それから、先般郵便切手印紙等の売りさばき手数料の引き上げの法律が通りまして、この面においては、売りさばき人の方々は喜んでおられると思うのです。もちろんまだまだやってもらいたいという気持ちはあると思いますが、一応この引き上げができまして喜んでおると思いますが、それとの関連で私はちょっとお尋ねしておきたいのですが、実は従来全国郵便切手売捌き組合連合会というのがございましたね。これはおそらく民法に基づく財団法人じゃなかったと思いますけれどもが、今回財団法人全国郵便切手売捌き協会というものが発足したようでございます。前にありました全国郵便切手売捌き組合連合会が任意団体であったかと思いますが、それを民法上財団法人として、郵政大臣の認可によって全国郵便切手売捌き協会というものができた経過がよくわかりませんので、これを認可した郵政省として、なぜその全国売捌き組合連合会というものをこういうふうに改変したのかということの理由をまず……。
  88. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) ただいまのお話のように、全国の切手売りさばき人の任意組合としまして約半数近くが全国売捌き連合をつくっておったわけでございますが、その全国売捌き連合あるいはまた地方の売りさばき人の小さな団体等から、郵政事業の普及宣伝に協力して利用者に対する便益の増進をはかることも当然でございますけれども、売りさばき人の福利厚生あるいは相互救済のためにもう少ししっかりした活躍をしたい、そういうような趣旨からいたしまして財団法人を設立したいという要望あるいは申請が郵政省に対してなされておりまして、省のほうといたしましてもだんだん検討中でございましたが、その趣旨から申しましても非常にけっこうなことでございますし、昨年五月十七日付で財団法人全国郵便切手売捌き協会の設立を認可いたし、協会は同日付で発足いたした次第でございます。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 これは私よくわかりませんが、定款、こういったものはひとつあとから出していただけませんか。それから役員構成、収支予算、事業目的、私はきょうは時間の関係がありますからそう詳しい質問はできませんが、この協会が新しく発足するに際して全国郵便切手売捌き組合連合会というところから寄付金を三百四十万八千七百八十円受け取っていますね。そして四十年度の収支予算として、六百七十何方という一応予算を組んでいるようですね。これはいまの話ではよくわかりませんが、全国郵便切手売捌き組合連合会というものが解散をして、そして新しくこういう協会をつくったとすれば、解散をしなければならない理由は一体どこにあったのかということですね。そしてこの三百四十万という金を受理するというようなこともちょっとおかしいのじゃないか。解散するならば、その団体がどうも設立の目的に沿ってできないからやめるということであれば、それは清算をすべきであって、そんな金を三百四十万円も引き継ぐということになりますと、これはやはり何か問題があって、われわれ納得できないという気がするのですが、任意団体だから活動ができないので、法人格を認めた協会にしたのかと思われますけれども、その辺はどうなのですか。
  90. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 私も当時の詳しい事情をいま十分把握しておりませんが、たしか売捌き連合のほうがかねて希望しておりました財団法人になる、何というか、ことばはあまり正確じゃありませんが、財団法人が認可され、設立されるというのに伴いまして、いわば発展的解消というようなことからしまして、財産は新しい法人に寄付し、自分は清算手続をとり解散ということになったんではないかというふうにただいま考えておりますが、いまあまり正確なことをよく把握しておりません。なおその点につきましては戻りましてよく調査をしてみたいと思っております。当時、関係者の間で、ただいまちょうど御指摘になりましたような問題についていろいろ疑義があるというようなことから、新しい法人の協会の会長等といろいろ話し合いをし、私どもも若干そのお話も聞いたりしたことがございましたが、結局妥当な形で処理されたという結論になったと記憶いたしております。さらに必要がございましたら戻りまして調査をいたします。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 これを認可したのは郵政大臣でしょう。そうすると、その所管はどこになるのですか。
  92. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 実質的には郵務局も関与いたしましたが、形の上では官房文書課のほうで法人を認可したわけでございます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 それでは官房長がいるから伺いたいのだが、どうもいろいろ理屈を言っておるようだが、会長を見ると成松氏、副会長に後藤、永田、佐藤の各氏、それから常務理事に赤野氏、これはどこかの郵政局長をしておったのじゃないかな。そういうような人たちが名を並べておるわけだな。だから、ていのいいところ、失業救済のような外郭団体的なもののような気がするんです。これは言い過ぎでありますれば訂正いたしますけれども、こういうものはもう少し認可するに際して考えてもらったらどうかという気がするんです。私たちが質問した場合、これこれによって全国郵便切手売捌き組合連合会というものがあっても役に立ちません、だからこれをこういう理由において協会にしました、そう即座に答えられるようなやっぱり態勢でないと、ますますわれわれはおかしく感ずるんだな。だからほんとうは、こんなものは逓信委員会委員くらいに、こういうものがひとつ今度できました、こういう趣旨でございますくらいのことを、事前に認可になったらわれわれに知らしたらいいじゃないですか。郵政省はそういうところをどうも十分な連係をとってくれないから、われわれにこうして委員会で事新しく説明しなければならぬのです。これはどこかでこういうことを聞いておれば、こういう趣旨でこういうことになりましたとわかりますが、これが全然わからないから、いつでも開き直ったような形で質問しなければならぬのですが、こんなみっともない運営をやっておるのはいかぬですよ。もうちょっと逓信委員のわれわれには、こういう趣旨でこうなったくらいの話はすべきですよ。われわれもそこまで一々質問できませんし、気がつかない点もあるわけですから、そういう点の御配意を願わないと、こういう問題が委員会質問として出てくる。だからもう少し、官房長おられるんですから、かくかくの理由においてこれはだめでした、したがってこういうふうにして三百何十万という金を浄財としていただきました、友電礼との関係はありません、この問題はいろいろ言われておるけれどもありませんとはっきり言うなら、私どもも理解する。友電社の関係とか含めてひとつ説明してください。
  94. 鶴岡寛

    政府委員(鶴岡寛君) 私も実は詳細を承知しておりません。ただいま郵務局長から御説明申し上げた程度のことを承知しておるわけでございます。  なお、先ほど鈴木先生から御指摘のありました点は、まことに私どもごもっともと考える次第でございます。今後はお示しのような線に沿って措置をしていきたいと、そのように存じております。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 率直に官房長がそう言われるから、私もひとつ今後実績を見ましてそれからにします。どうもとかく私は委員会で少し感情っぽいようなことを言うんですけれども、連絡の点で非常にまずい点があるものですから、その点ひとっこれを機会にしてよろしく願います。  それから、手数料が上がったんですが、実はこの売りさばき手数料の支払い方法に対して二つ考えられると思います。その買ったときにすぐ規定の手数料を払ってもらう場合と、一応それをあと回しにして最後の日、全部売りさばいたあとの日にやるという方法と、二つあるわけですが、これは郵政省も大郵政省なんですから、あまりみみっちいことをしないで、できれば、売りさばき人の方にも協力してもらっておるわけですから、郵政事業のために、売りさばき人のために一番いい方法をおとりになるというのが至当じゃないかと思いますね。ところが、おたくのほうの公達第七十二号渡切郵便局会計規程というのがございます。この第百三十七条の二に基づいて売りさばき人を持つ局、切手なんかを売る局、何というのか私は知りませんが、主管局というか、その局と売りさばき人との間で一つの協定を結ばれ、その協定の結ばれ方が一番悪い方法で、月末に売ってしまったあとで手数料をあげますよというような方法を半ば画一的に指導したうらみがある、これはどうですか、そういうふうなことを指導したことはないですか。
  96. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) ただいまやっております方法といたしましては、むしろ先生がおっしゃいましたような方法で、売りさばき人の皆さん方に御都合のよいような形にいたしております。たてまえといたしましては、切手を買いに来られましたときに手数料だけ差し引きまして、そして手数料分は先に差し引いた分として切手を買ってもらう、こういうことをたてまえとしております。ただし御希望があったときに、話し合いによって月まとめでもどういう方法でもそれはまとめてお支払いするということでもけっこうです、こういうふうにいたしております。これは郵政事業特別会計規程第三十八条の中にそういうふうに書いております。むしろいま先生のおっしゃいました方法そのままで規則に出ております。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 これは一つの具体的なことを省きますが、こういうのが指導的に流されておるように思うのです。切手類売りさばき手数料の支払いに関する協議書というのを当該局長と売さばき人の間で結んでおるわけですよ。内容を見ると、さっき言ったように、郵便局長を甲とし、売さばき人を乙と称して、事務手続簡素化のために、毎月、月単位に一括して精算して支払うことを了承しここに協定する、本書は二通作成しおのおのこれを保管するというようなことをやっているのですよ。これは毎月、月単位にやるという、一括精算するというととは事務簡易化のためにやるのだと、こうおっしゃっているわけです。それは理屈は一応わかるわけです。——わかるけれども、これをこういうふうにしなさいという指導をすることは間違いであって、それは一括にやるのがいい場合にはこれはいいでしょう。そうでなくてそのつどもらいたいというときには、二回でも三回でもそのつど手数料をさっ引いてやるようにしないといかぬと思う。だから、一度あなたのほうでそういう指導をし始めたんですよ。いろいろ非難を受けて引っ込めたといういきさつがあるんだ。これは事実をもってやってもいいよ、もしいいかげんな答弁するなら。
  98. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 本省におきましては、そういういまおっしゃいましたような指導は全然いたしておりません。おそらくどこかにおきましてそういう事実があったかと思います。これは取り調べまして、そういうことのないようにいたしたいと思います。とにかく特別会計規程の三十八条におきましてその点を明記いたしております。いまおっしゃいましたような事実につきましては、さっそく調べまして善処いたしたいと思います。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 では、これは特に名前だけはばかりますし、売さばき人のほうのあれもありますから、これはあとで経理局長と具体的な問題について話をしますから、ですから過去においてそういういきさつがあったというときには、これはあらためて陳謝をしてくださいね、再びやらぬという、こういうことはそういうようにしてもらいたい。これはもう一回委員会終わったあとでやります、証拠があるから。  それから、これは最後になりますが、行政管理庁から郵政事業の近代化についていろいろと御指摘がありましたね。これは先般の審議会の際にも出ておりますが、それで私はその点で少しお伺いしたいのです。これはたくさん問題点はありますが、久保委長も質問予定されておりますので簡潔にしますが、まず昭和三十九年の十一月に郵政審議会からも答申が出ておりますが、行政管理庁が三十九年六月、この答申の出る前に、やはり郵便業務の合理化に関する監察結果を勧告しております。それに対して郵政君は、六月十六日付新聞に対して、この勧告を受けた郵政省は、「郵便物数の急激な増加に対処し、最近の労働需給事情や技術革新のすう勢に即応して、郵便事業の抜本的体質改善をはかる必要があるが、このため、まず大都市等の局内作業の早急な機械化、外務員の処遇改善によるモラールの向上、集配業務の合理化に役立つ環境整備、一般利用者の協力を得ることに努力すべきであり、」、こういうことについての各項については「積極的に改善する必要がある。」という意思表示をしておるわけです。これは新聞に出ております。  そこで、具体的に一つずつ私は伺いたいんですが、時間の関係から省略しますが、この中に「機械化促進の前提条件の整備について」、 体制を整備するために郵政審議会に技術専門委員を置くと、そうして学界、国立研究機関、関係民間業者、技術関係有識者の具体的な協力を結集するというふうになっておりますが、まずこの郵政審議会に技術専門委員を置いて、その後どういうふうにこれの具体化のためにやってこられたか、このいきさつを伺いたい。
  100. 鶴岡寛

    政府委員(鶴岡寛君) まず私より技術専門委員会についてだけ簡単に申し上げます。ただいまお示しのような次第で、三十九年十一月十七日に開催の郵政審議会におきまして、議長より、郵便機械化技術専門委員会を置く旨の発言がありまして、同日付技術専門委員会が発足をいたしました。そのメンバーには、たとえば評論家であるとか、日本原子力発電取締役、あるいは通信機の社長等も含んでおりますが、いわゆる技術系統の教授等三、四名をも含んでおるわけでございます。そういうことで発足を見ておるわけでございます。その後の活動状況につきましては、郵務局長から御説明申し上げます。
  101. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 官房長が申し上げましたように、一昨年十一月十七日につくられまして、以後三回審議をしております。昨年の一月二十九日に、機械化の現状についての検討、郵便物規格化の検討、書状区分機の研究開発についてのいろいろな審議、現在建設中の集中処理局の構想とか設計等についての審議がなされました。第二回が昨年四月二十六日に開かれまして、コード区分機委託研究のさせ方等につきましての審議、区分機の開発方針、石浜小包局、晴海通常局の機械化の基本設計についての審議郵便番号制度の審議がなされ、第三回が昨年七月二十九日でございます。これは郵便番号をつける上についての問題点の審議郵便番号の自動読み取り機開発上の問題点の審議、そういうものがなされておるわけでございます。
  102. 鈴木強

    鈴木強君 これはちょっと経過としては、三十九年の六月にこれが出まして、そうして同じ年の十一月に答申があったわけですね。郵政事業近代化に対する答申郵政審議会からね。その前に行政監察局からの監査結果の勧告がなされたというので、今度は答申を出したこの委員会に、もう一回監察結果について、勧告についてまたもう一回諮問するというようなかっこうをおとりになっているわけですね。ですから、形としてはここにも同じようなことが書いてあるわけです、郵政近代化に対する答申の中にも。かなり重複していますがね、勧告の内容がほとんどここに善いてあるわけだから。こういう意味では、もうすでに行政監察局が指摘をされて、勧告をするときには、郵政省としてもかなりその点については心配をし、特に諮問をしてこういう答申を得ておった。だから、あまりことあらためて、勧告が出たからといって、また審議会でもってイロハのイからやり直すということじゃないんでしょう。その辺は、どういうふうに受けとめて、この専門委員というものを審議会の中に置いたのか、その点は、官房長おらぬから、あんた……。
  103. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 郵政審議会につきましては、三十九年の一月二十七日付で、郵便近代化について諮問いたしまして、十一月に答申をいただいたのでございますが、その間行政管理庁の郵便業務についての特別監察がございまして、その結果の勧告が六月十六日になされ、八月三十一日に省の回答がなされているわけでございまして、仰せのように重複している面も相当ございますが、中に年賀郵便物の取り扱いとか、その他考え方の違っている面も何点かはあるわけでございます。いずれも今回御提案しております郵便法改正等に盛られました近代化一つの大きな基盤をなしているものというふうに考えております。
  104. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。ですから、特に郵政審議会のほうで審議をしなかった部分については、これは積極的にやっていただくんだが、大体あと勉強してみましたけれども、言っているところは同じことがありますから、そういう点は実行にどんどん移していく、そういうふうな取り運びでよかろうと私は思います。それで、ずっとありますが、全部これを聞こうと思ったんですよ、ところが時間がないからそのうち一つだけ聞きますと、郵便外務員の雇用難対策というのは、これは非常に問題だと思います。ああいう夜も昼も、盆も正月もなく、雨の日も風の日も屋外においてやる仕事ですから、ときには犬にかみつかれたり、交通地獄の中を飛び回っているということは、並みたいていではないと思いますね。ですから、率直に言ったら、なり手がないですよ、よほどいい待遇をしなければ。だから特に行政監察のほうでも指摘したんだろうと思いますし、審議会でも指摘したんだと思いますがね。一体具体的に郵便外務員の雇用難対策というものについて郵政省は現在の時点においてどういう対策をしておられるか。外務員を募集した場合に、応募者がそうたくさん来て困るということもないと思いますがね。欠員その他について臨時者を雇うとかいうことになりますと、またこれは配達業務に支障を起こすというようなことで、たいへん困っているのじゃないかと思いますがね。抜本的に、これは政府の相当な協力がないと、郵政省だけではできないと思いますが、そういうふうな態勢はできておるのでございましょうか。
  105. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 仰せのように、大都会の郵便外務員の採用難は相当なものでございまして、一昨年の夏あたり東京都内の外務員で五百人ぐらい欠員が出ました。これが当時の郵便の混乱の一つの大きな理由になっておったと思うのでございます。従来から郵政省としましては、外務員、特に郵便外務員につきましてはいろいろな手も打ってみたわけでございまして、たとえば内勤との間に以前から千四百円ぐらい、現在では千五百円の基本給の格差がございます。外務員のほうが千五百円高くなっております。その上、一昨年からさらに郵便の外務員だけにつきましては五百円の調整額を設けております。これは本俸でございます。さらに、先ほど申し上げましたような採用難の実態からいたしまして、大都市を中心といたしまして、これが初任給の調整額、新規採用される場合に、東京都内等におきましては月額二千八百円、十年間に大体その調整額はなくなっていく、だんだん逓減していく、そういうような制度もつくってまいりました。結局内勤と比較いたしますと、大都会におきましては四千八百円の違いが採用当時は出てくると、同じ程度の学歴で四千八百円多くなってくるということになっております。そのほか、特殊勤務手当等につきましても、道順組み立てあるいは機動車等の手当等もだんだん実施しておるわけでございますが、先般も、ほかの方からの御質問に対しまして、人事局の審議官からお答えいたしましたように、貯金、保険の募集手当等につきましては、全体の金額が多くなるにつれてある程度スライド的に上がっていくと、郵便の特殊勤務手当については固定しているために、郵便の定額をふやさなければならないというようなことから、一時設置した当時はかなりよくなりましても、相対的にだんだん少なくなっていくというようなことなどもございまして、これはまあ省の内部での一つの研究問題になっておるわけでございます。  なお、給与につきましてはただいま申し上げた程度でございますが、そのほか外務員の被服の質をよくするということにつきましても省内の関係の向きが非常に努力しております。大臣の御意向も受けまして、非常に努力しております。制服、帽子等だんだんよくなっておりますし、それからふだん用います機動車等につきましても——機動化は、今般の値上げ実施を前提といたしまして実施いたします五ヵ年計画等におきましても相当の機動化もやっております。これらも若干外務員の士気にも影響する点かとも考えております。  なお、宿舎をつくることが非常に大事なわけでございまして、大都会の内部で通勤できる外務員を確保することが非常にむずかしゅうございますので、数年来全国的に募集をいたしまして、これを、大都会の中あるいは周辺にこちらの宿舎をつくって、そこへ収容するということで、国費並びに共済組合の経費によります宿舎予算は、過去——この三年か四年の間は以前とは全く比べものにならない。あわせまして五十億あるいは六十億というような宿舎関係予算の増額がございまして、したがいまして、新規採用の外務員を収容する施設もかなりふえてきている状況でございます。
  106. 鈴木強

    鈴木強君 まあいろいろ御配慮いただいておるようですが、しかし依然として相当の欠員も出ておるというようなことですから、もう少し魅力のある何か施策をやる必要があるのじゃないかと思いますね。これは、郵便事業の中で全国で何人郵便配達の方々がおられますか、そういう点と、それから内勤者との関係でむずかしいかもしれませんがね。たとえば、成績の優秀な方は——というよりも、できれば私は、まあ四年なり五年、六年なりたったら、第一線の郵便配達をやるような人たちは逐次職種がえをしていって、新しい人は、四年たったら、五年たったら、あるいは六年たったらどっか内勤にいけるのだというような、そういうような人事管理ができないかどうか。これは内部の人との関係ですから、外部との人員構成の定数にそういうものがあるから一がいには言えないと思いますけれども、しかし、全部やらなくても、多少なりともやれるという向きもあるのじゃないかと思います。何かそういう若い人たちは、電報配達でも郵便配達でもいいと、しかしおれは六年たったら局の中の仕事もやれるのだということになりますと、かなりがんばりますよね、若い人のほうがかえって配達するのにいいのだから。まあしかし、郵便の配達は、電報の配達と違って、配達区分の道順組み立て等ありまして、三年、四年じゃせっかく得た知識がやっと覚えた程度で、いよいよとなって転勤されたんじゃ困るというようなこともあるかもしれませんが、何かそれは一つの思いつきのような例だが、そういった若い人たちが飛びつくような仕事じゃないですよね、これは。飛びつくような仕事ではないけれども、将来に向かって何か希望の持てるような施策をやりませんと、いま言ったような、最初は二千八百円の基本給で調整しても、十年たったらもとになるという、そんなばかな話はないですよ。やはり十年たっても二十年たってもそういう人たちは将来に向かって高くなっていくのだ、だからおれはやるのだという気持ちになる人もあるのですから。おとりですよ、うまいことを言って集めておいてあとになっていつの間にかもとへ戻るというのは、そんな人をばかにしたようなことはまずいですよ。正直言って、そんなのは一つもよい策ではないと思いますよ。ほんとうにまじめに郵政事業とともにわが生涯をという、そういう人たちから見れば、これはばかにしたやり方だと私は思うくらいですから、だから何かそういうひとつ、せっかく技術委員会でも開いてやられるのですから、外務の仕事に誇りを持ってやるという、そういう何か基本方針を、もう少し魅力あるものを考えてみてくれませんか。そうでなければ、十年一日のごときことであっては、これはやはり外務員はいつまでたっても集まらぬと思います。そういう意味で、ひとつ十分検討をしてもらいたいと思います。  あといろいろありますが、大体終わります。  さっき小笠原さんにお尋ねしたのですが、新万国郵便条約が来年から発効するわけですね。したがって、外国郵便の規則の改正ということは当然行なわれると思いますが、これは郵政審議会などに諮問するというようなことは全然考えておらぬのでしょうか。どういう構想か、ひとつこれを承りたいと思います。
  107. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 一昨年の万国郵便会議で相当大きないろいろな改正がございましたが、そのうち直接外国郵便の取り扱いに影響しますものは、料金関係はまだ実施しておりませんが——内国郵便との関係もございますのでまだ実施しておりませんが、それ以外につきまして条約が実施されましたのはことしの一月一日からでございますが、ことしの一月一日から改正いたしましたおもな点は、業務用書類が廃止されたのでございます。従来普通の書状と印刷物との間に業務用書類という取り扱いのものがありましたが、これが業務の簡素化という観点から廃止されました。書状か印刷物かの両方にこれが分かれていくことになりました。それから航空書簡が別配達扱いが従来できなかったのでございますが、別扱いができるということで、その料金を、南西諸島あては三十円、その他の外国あては七十円——これは制度の改正でございます。録音郵便物の取り扱い開始、新しく録音郵便物として比較的低料で送ることができるようになりました。それからあとは、通常郵便物の国内転送料を条約の改正によって徴収することになりました。大体そんな改正をこの一月一日から実施いたしております。  なお、新しい条約の施行に伴いまして、特殊取り扱い料金等が全面的に基準料金が引き上げられて、特殊取り扱いの基準料金が引き上げになりました。あるいは印刷物、商品見本、小型包装物等も基準料金が若干引き上げになる。さらに継ぎ越し料、船や鉄道による継ぎ越し料が陸路三二%、海路五七%の引き上げになりました。これらに関連いたしまして、なお内国郵便料金との関係もございまして、近く外国郵便料金について若干の料金改定を行なうことになろうかというふうに考えて、ただいま案を策定中でございます。  なお、郵政審議会等への付議につきましては、条約で大体基本がきまっておりますのと、もう一つは国内料金とのつり合いということでやることになっておりますので、従来とも特に付議、おはかりはいたしておりません。今回も事務的な処理で済ませていきたいというふうに考えております。
  108. 鈴木強

    鈴木強君 小笠原群島は小包郵便、これの再開と、ネパールあての航空郵便の制限の緩和というのがあったでしょう。これはどうなりましたか。
  109. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 万国郵便条約との関係、私ただいま条約との関係のことを主として申し上げましたからあれですが、同時に一月一日から小笠原群島あてに従来小包は送ることができなかったのでございますがこの業務を再開いたしましたこと、ネパールあての小包郵便物が従来最高五キロまででございましたが、これを十キロまでに引き上げることも一月一日から実施いたしました。
  110. 鈴木強

    鈴木強君 それから最後に、特定郵便局長が労働組合をつくったという話を聞いたのですが、この事実はだれか知っていますか。
  111. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 御指摘のように、ILO八十七号条約の批准に伴いまして公労法四条一項ただし書きが削除になりました結果、管理、監督及び機密の事務に携わる者も組合の結成が可能になりました、そのために、特定局長の一部約五十人くらいが労働組合を結成するということを決議いたしました。まだ法人登記その他の手続は進めておらないようでございますが、近くそういう運びになるように聞いております。
  112. 鈴木強

    鈴木強君 全部で一万六千人くらいいるのですか、特定郵便局長というのは。そのうち五十人がそういう動きをしたというのです。それで聞くところによると、ことしの五、六月ごろには新組織結成をやるという話もあるようですけれども、そういった全国大会、要するに結成大会の準備その他いつごろ新組織を発足するか、そういうような情報は入っておりませんでしょうか。
  113. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 先生御指摘のように、所著してそういう組織をするという情報を得ております私正確な月日をつまびらかにしておりませんが、六月というぐあいに聞いておまりす。まだ正確に把握しておりませんので、把握したらお知らせいたしたいと思います。
  114. 鈴木強

    鈴木強君 郵政省としては、その一万六千近い特定局長は、やろうと思えば結成できるわけですね。そういう場合に、五十名程度の人がいまつくろうということでしているのだが、これはあくまでも特定局長個人の考え方によると思いますが、ですからこれをどうこうということはないでしょうけれども郵政省のほうで多少全国組織の結成について好感を持っておるのか、どうもいやらしいことをしてくれるなというように思っているのか。これは人事局長じゃ無理だったら、大臣からでも——大臣どういうように思いますかね。
  115. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 大臣お答えの前に、私どもといたしましては、一万六千の特定局長の中で約五十人くらいがいま言ったそういう動きを示しているということをごらんになってもわかりますように、特にこれが大勢になるとは思っておらないのであります。もちろん、先ほど申し上げましたように、条約の精神にかんがみまして、公労法が改正になりましたあと管理、監督及び機密の事務に携わる者が組合結成ができるということになりました以上は、省といたしましては、これに関与いたし、あるいは奨励しないしはこれを阻止するということはいたしたくないと思います。ただ、管理、監督という地位にありまする者が、それぞれ自己の勤務条件の改善ないし維持のために団結いたしましてこれをなすようなものにつきましては、私どもといたしましては、おのずから一般の職員の結成します組合の場合とは差があろうというような感じを持っている次第でございます。
  116. 野上元

    委員長野上元君) 郡郵政大臣、何か。
  117. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私、組合を結成いたすこと、これはどこまでも自発的にそれらの人間がいたしますることは見守る、またいつも私どもは好意を持ってものは見守っていかにゃいかぬ。心して介入というような形になりませんように気をつけながら、そのそれぞれが健全に育っていくことをじっと好意を持って見守るという態度じゃないかと思っております。
  118. 鈴木強

    鈴木強君 じゃ私は、久保委員だいぶお待ちかねのようでございますから、まだだいぶありますが、私の質問は留保しておきます。
  119. 久保等

    ○久保等君 私少し最初に監察関係の問題について若干お尋ねをしたいと思うのですが、昨年の九月の二十口の新聞紙上に伝えられた問題についてまずお尋ねしたいと思うのですが、昨年の九月の十五日ですか、福岡の中央郵便局から赤自動車でもって南郵便局にあてて発送いたしておりました小切手、それから書留、現金あるいは手形等が紛失をいたしまして、総額にして約二百十七万円、これが輸送途中に消えたということが新聞で報道せられておりましたが、このことについてその後の経過等について最初にお伺いをいたしたいと思います。
  120. 山本博

    政府委員(山本博君) ただいま御指摘のありました福岡中央郵便局から福岡の南郵便局へ差しかけた大郵袋が一個紛失した事件は、その後郵政監察局とそれから地元の警察署とが協同いたしまして、本日まで各方面の不審の事項をしらみつぶしに監察いたしておりますけれども、まことに遺憾でございますけれども、犯人が検挙できる事態まで立ち至っておりません。なお両者協同いたしまして捜査を続行中でございます。この際被害を受けました現金書留につきましては、それぞれ弁償済みでございますし、それからその他小切手、手形等の額面による被害というものも全部解決済みでございまして、一般利用者に御迷惑をかけるということは現在ではございません。また、この捜査の過程におきまして、それ以前にやはり同じように福岡の郵便局において起こりました事件がございまして、それは迷宮入りになっておったのでございますが、その捜査の過程においてその事件が副産物として解決したということがございますが、本事件そのものについてはいまだに解決を見ておらないということは非常に遺憾に存じます。
  121. 久保等

    ○久保等君 全然手がかりがないというような御説明ですが、一体どこでその郵袋が紛失をしたのか、そのこと自体もあるいははっきりしないのかもしれませんが、こういう現金あるいはこれに準ずる小切手だとか、あるいはまた手形だとか、こういったようなものの運搬について、どういう方法で運搬をしておるのですか。ただ赤自動車の中へほうり込んで完全に密閉をして運搬をしておれば、途中で紛失するということはまずまず考えられない。そうすると、はたして積み込んだのかどうか、それからまた、現場へ行って——持っていったことは間違いないんだが、南郵便局で積みおろしをして以後に紛失したのか、それらの場所なり時点というものについてもどの程度捜査の結果わかっておるのか、あるいはそうしたことが一切わからないのか、わからないとすると、まことにどうもわれわれ考えて奇異に感ずるのですが、そこらあたりの経緯はどうなんですか。
  122. 山本博

    政府委員(山本博君) この事件が発覚しましたきっかけになりましたのは、この郵袋の中に在中をしておりました現金書留の利用者から申告がこの郵便を取り扱いました次の日にございました。直ちにその郵便物の経路について調査をいたしたわけでございます。その際、この郵便物が取り扱われましたのは、福岡の局自身でこれを締め切ったわけでございます。その締め切った郵袋を二階の郵便課から、小包課が一階にございまして、これが発着をしておりますので、小包課に渡す、小包課の発着が日本逓送の従業員に渡すという、そういう順序になっております。ところが、これは後に調査の結果判明したことでございますけれども、本来二十個あるべき郵袋が、実は十九側しか書かれていなかった。これは、その最初郵便課で締め切るときに、一個の個数が、本来あるべき数字と実際送致書がつくられた段階においての数字が一個食い違っているということが判明いたしました。したがって、この時点で十分数字の正確さというものが従業員の取り扱い中に粗漏があったのではないかという一つの問題がございます。それから、郵便課から小包課に引き渡すときに、これは十分な授受というものが行なわれておりませんでした。この点にもう一つ問題がございます。それから、小包課の発着関係者から日本逓送の取り扱い者に引き渡すときに、これも正確な授受が行なわれていなかったという、三つのポイントのところで取り扱いが正確でなかったということがございます。この点について、全部可能性を想定いたしまして、こういう場合にはこういう部分が非常に容疑があるんじゃないかという、その三段階について、すべての取り扱い関係者に一応の疑いがあるものとして、いろいろ捜査をいたしましたけれども、今日の段階ではまだはっきり犯人の目星というものがついていないという段階でございます。
  123. 久保等

    ○久保等君 まことに何か奇怪な、いま言った三段階の段階でどこか一カ所がはっきり点検をしておれば、比較的盗難にかかった時点というものが明確になってくるだろうと思うのですが、いまの段階の三点のうちどの段階でどうだというのがはっきりわからないということのようですが、この問題を考えてみますと、何かきわめて扱い方が、われわれから考えてもきわめて不正確な扱い方をやっておるような印象を受けるのですが、人手が十分でなかったとか何か事情があるのか、特別何ですか、こういう三者が競合したというか、重なり合った形で、しかも結果的には郵袋が消えてしまったということで、非常にケースとしてもまれなケースではないかと思うのですけれども、何かそういった内在する他のそれらの起きた原因でも考えられるのですか、どうですか。
  124. 山本博

    政府委員(山本博君) いま御指摘がありましたように、この事件の場合は、私たちが考えますには、平常の取り扱いならばきわめてまれであろうと思うことが三つ重なったという非常に残念な事件でございます。本来ならばどこかの時点でこういうものは必ずチェックされておってしかるべきものでございました。たまたまこの事件の場合には、取り扱いの特に授受の関係において粗漏があった。この点につきましては、他にいろいろな当然起こるべき要素というものがあったとは思われません。主として取り扱いの不正確ということがこの犯罪の最終の明確にすることを妨げている要素だと思います。  なお、つけ加えさしていただきますならば、こういうような事例が起こらないように、早急に私のほうと郵務局とが連絡をいたしまして、現地においてこの取り扱いの不備不正確ということについては十分是正をいたして、現在このようなことは再び起こらないように手配をいたしております。
  125. 久保等

    ○久保等君 本件については、ただいまお話があったように、ひとつ極力真相の究明をはかっていただくと同時に、こういうことの再度起こらないように、ひとつ十分に対策をお考えを願いたいと思うのですが、次に、やはり同じ昨年の九月二十日の新聞紙上に伝えられたことですが、これは石川県の西浦の郵便局で女子の局員が、昭和三十六年の六月十六日から昭和四十年——昨年の八月の二十六日にかけて四年余りにわたって、回数実に二百三十六回にわたって総額三百七十八万六千二百七十円を横領したと新聞で伝えられた事件がありますが、これはもちろん新聞紙上で伝えられたことですが、監察局としてお調べになった結果の経緯、その後の処理模様等についてお伺いしたいと思います。
  126. 山本博

    政府委員(山本博君) この石川県の西浦の特定局の犯罪は、この特定無集配局の女子の事務官で本間という勤続十七年七カ月の女性が犯した犯罪でございます。この期間は、いま御指摘のように、四年三カ月間にわたりました相当長期の犯罪でございます。  その内容は、主として通常貯金を取り扱いまして、それでこれを金は受け入れますけれども通帳づらではこれを記入しない、やり方としてはきわめて単純なやり方でございますけれども、相当大きな金額が累積をしたわけでございます。なぜこのように長期にわたって女子事務官が犯罪を行なっていくことが可能であったかと申しますと、私のほうの調査をしました結果では、たまたまいなかのほうによくある事例でございますけれども郵便局の窓口の女性の事務官に対する非常な信頼感というものが部落の住民の中に非常に強くございまして、通常貯金の通帳をそのまま預けてしまう、あるいはきょう郵便局でこれだけの金を預けてくれ、あるいはこのくらいおろしてくれというので、通帳ごと預けてしまうということが非常にひんぱんに行なわれていたようでございます。したがって、郵便局のほうにはほとんどそういう実際の手続上というものはきわめて低額の金あるいは全然扱われていない形になっておりまして、通帳の面だけ金額が記載してあるということがたび重なったわけでございます。この当時すでに、こういうような犯罪を防止するために、貯金局のほうから通常貯金につきましては元利金の現在高を通知する制度を実施いたしておりまして、したがってこの利用者にも元利金の通知書が参っておったのでございますけれども、それが不符合である場合は、本人のところへ持っていって、こういうのが来たけれどもどうも合わないというので、それを郵便局の局長あるいは地方貯金局、そういうところに問い合わせるのではなくて、本人のところへ持っていく、本人がこれは郵政省側の計算違いだろうということでなだめて、実際には自分のほうのころがしの金でそれを支払うということで、こういうことが重なったわけでございます。こういうことにつきましても、非常に私たちとしては国民の信頼を傷つけるようなやり方でございますので、特に同一人が窓口に長く貯金の受け払いをしているということについて、これを防止するために同一人を長く同じポストにつけないようにということで非常に強く指導をいたしまして、こういうケースの犯罪というのは漸次減ってくるのではないかというふうに考えております。
  127. 久保等

    ○久保等君 この女子の局員ですが、局長とどういう関係にあったのですか。たとえば親族、あるいは特別懇意な、広い意味での親戚関係の局員であったのか、また、いま申し上げたように、二百三十六回というきわめて回数からいっても驚くべき長い年月の間何回もこういった悪いことをやっておったわけなんですが、それがなかなか発見できなかったということは一体どういうことなのか、直接にはもちろん郵便局長に監督上の責任があると思うのですが、郵便局長なりあるいはまた監察局のそれこそ監査、こういったようなことでなぜ発見できなかったのか、そういったことについて説明を願いたいと思います。
  128. 山本博

    政府委員(山本博君) 局長との関係は、これは全くございません。ただの局長と従業員ということで、姻戚関係は全くございません。ただ同じいなかのほうでございますから顔見知りだということはあろうかと思いますが、その他はございません。  それから、なぜこんなたくさんの犯罪の回数ができたかということは、先ほどちょっと御説明いたしましたけれども、彼女の場合は部落民の信頼が非常に厚かったということがございます。これは少しくこの事務官の個人的な問題にも入って恐縮でありますけれども、御主人がその地方の学校の先生であるということもありまして、非常に地元の信頼が徹底的に厚かったということで、郵便貯金をするときには、これは郵便局まで相当距離がございます。彼女の住宅のある場所と郵便局とは非常に距離がございますので、その部落の人は、郵便局まで出かけていく労を省くという意味もありまして、彼女の自宅まで通帳と印鑑とを持ってきて、これをあした一万円なら一万円おろしてくれ、あるいはあした二万円預けてくれというようなことで、彼女の自宅までそういうものを持っていって依頼をするということが非常にひんぱんに行なわれる。当初のうちは彼女もこれに非常に誠実にこたえていたのでございますけれども、そういうことが長く就いている間に、自分の個人的な金の必要からだんだんこれに手をつけるということになったわけでございます。  したがって、第三の問題でございます、なぜこれが発見できなかったかという点でございますが、一つは、先ほど申し上げましたように、貯金局で実施しております元利金の現在高を通知する制度でこれが本来防止できたと思うのですが、これにつきましては、利用者がこれをまた本人のところへ持っていって不符合というものを本人に確かめたということでありましたので、これが表に出るということが不可能になったわけであります。  なお、監察局の考査の場合でございますけれども、これは貯金通帳の実際の引き揚げというやり方を考査の場合いたしまして、貯金通帳を利用者から引き揚げてそれを実際に対照するという方法をとっておりますけれども、これは彼女が全部通帳を預かっておるということもありましたし、それから数量の点でも、非常に口数は多いのですけれども、数そのものとしては同じものを何回もやっておるということで、考査の場合も引き揚げの数にうまくはまらなかったというようなことがございまして、十分に早期に発見できなかったということも、これは非常に遺憾なことだと思います。
  129. 久保等

    ○久保等君 これに対する措置はどんな措置をとられましたか、局長に対する。
  130. 山本博

    政府委員(山本博君) 局長の監督責任に対しましては、昨年の十一月に、減給二カ月の処分が、発令になっております。
  131. 久保等

    ○久保等君 まあ処分が適当であるかどうかということの意見は差し控えますが、しかしいずれにしても、ただいま御説明があったように、非常にその地元の住民の方々から信頼をされ、われわれの考えられないほどいわば郵便局に対して非常な信愛の気持ちもあったと思うのです。その気持ちを裏切って、しかもたまたまの何か一時のでき心でやったというケースと違って、金額こそ一回の金額は比較的少ないだろうと思いますが、とにかく二百三十六回という驚くべき期間にわたって、また回数にわたってこういう横領事件というような問題を引き起こしたことについて、その上司である局長そのものの処分は、いまお聞きして減給二ヵ月なんというのは、まことに当を失する感じがいたします。それこそちょっとした問題があっても減給二ヵ月くらいの処分はあり得ると思うのですが、非常にこういったことは私は悪質だと思うのです。処分については、きわめてこれは考慮を要する。若干きつくしかりおいたという程度のことであって、ほんとう言えば、これは当然責任をとらすべき私は問題だと思うのですが、そのことについて、ここで責任問題をあまり深く追及はいたしませんが、もう少しやはり厳正な形で処理する必要があるんじゃないかということを、いま御説明を聞いてそういう感じがいたします。  時間がありませんから、さらに次に移りますが、一昨年の四月五日に新聞紙上に伝えられた静岡県の七間郵便局の局長夫人による三千万円をこす横領事件、当時新聞紙上では史上最高だと言われたきわめて多額の横領事件があったようでありますが、この場合には実に十一年九カ月という長期にわたってこの横領事件が発生をしたようでありますが、これについての実態並びに経過の御説明を願いたいと思います。
  132. 山本博

    政府委員(山本博君) この静岡七問局の犯罪は、お話のとおり史上非常に珍しい大きな金額でございました。これは、それ以来郵政省としても、非常にこういう問題については深く反省をいたしまして、再発防止に今日まで努力をいたしております。その後の経緯でございますけれども、この犯人は昨年の三月東京高等裁判所で懲役五年の言い渡しをされまして、この刑の確定をいたしておるわけであります。それから被害金の回収でございますけれども、今日まで合計二百六十五万円余を回収いたしまして、まだ未回収額が千七百万ほどございます。これは現在訴訟をいたしまして請求するように進めております。
  133. 久保等

    ○久保等君 この問題については、特に局長の細君という関係もあって、先ほど申し上げたように、きわめて長い十一年九カ月という期間にわたった犯罪でありまするだけに、当然その局長は公的な立場からいえば管理監督の立場にあり、また家庭的には当然夫であるという立場からいって、日常生活なりあるいはまた仕事の面でいっても直接監督するといったようなきわめて緊密な関係にあるわけですから、こういった問題が全然察知できなかったということ自体は、むしろ非常にふしぎなことであって、当然その間において何らか仕事の上で、あるいはまた私生活の面においてこういった事実の察知ができたであろうと判断されるわけですが、この局長そのものがこの問題に対してどういう一体態度をとっておったか、いわば局長の共犯関係の問題が内在をしておるのではないかと類推されるのですが、こういったことについての経過はどういうことになっていますか。
  134. 山本博

    政府委員(山本博君) 常識から考えますと、局長と局長夫人という関係でありますので、公的な資格であります局長と局員という場面では、当然に局長がこういう事態についていち早く察知すべきであろうということは、私たちもそのとおりだと思います。ただ、私のほうの調査、それから検察におけるいろいろな取り調べ、それから裁判におけるいろいろな取り調べの結果では、共犯の容疑というものを立証することはできませんでした。局長は局務にほとんど精通をいたしておりませんでしたし、また局務にあまり深くタッチをしないで自分の妻にまかせっきりであったということがこの犯罪を起こしたもとになっておりますので、常識で考えますと、そういうことを知っていたはずだという考え方が非常に一般的でありますけれども、厳密な意味でのそういう共犯関係の容疑というものを立証することはできませんでした。
  135. 久保等

    ○久保等君 局長の処分はどういうことになりましたか。
  136. 山本博

    政府委員(山本博君) 局長は当然懲戒免職になりました。
  137. 久保等

    ○久保等君 問題を次に進めていきますが、去る昭和三十九年度の会計検査院の決算報告書によりますると、特定郵便局長の犯罪が六件ばかり指摘をされておるわけなんですが、先ほど資料でも配られたわけなんですが、この六件の案件について概略ひとつ説明を願いたいと思うのです。
  138. 山本博

    政府委員(山本博君) 三十九年度の決算の検査報告書に書いてあります特定郵便局長の犯罪が六件ございます。これは郵政省の年度と会計検査院の場合と年度が少し食い違っておりますので、起こった事件の中には四十年度の分も入っておりますから、あらかじめ御了承をお願いいたします。  第一番目の犯罪は、神奈川県の南田浦の郵便局長の貯金横領でございます。これは犯行期間が約二年十ヵ月でございます。金額にして、小さい数字は省略させていただきますが、百万円ばかりでございます。これは被害金は全額回収をいたしました。犯行の方法というのは、通常貯金の預入金を不正に経理をした、あるいは貯金の払い戻し令の受領書を偽造したということでございます。これは懲戒免職に行政処分としてはなっております。司法処分も、懲役一年執行猶予三年ということになっております。  それから二番目が、静岡県の清水江尻の郵便局長の切手類売りさばき代金の横領でございます。これは期間は三年一カ月、犯罪金額にいたしまして十万二千円ばかりでございます。これも全額回収いたしております。これは、売りさばき人に売り渡した売りさばき代金を不正に経理した、あるいは積み立て貯金の預入金を不正に経理して横領したという方法でございます。これも懲戒免職になりました。司法処分は起訴猶予になっております。  三番目が、京都府の南山城郵便局長の放送受信料の横領でございます。これは犯行期間一カ月、犯罪金額実損はゼロでございます。実際起こりました金額は二十三万円ばかりでございますけれども、全部これは補てん済みでございましたため、実損金額としてはゼロでございます。これは集金してきました放送受信料を不正に経理したのがほとんどでございます。これは発覚前に自分から退職をすでにいたしておりまして、後に発覚をいたしたわけでございますが、司法処分は微役一年執行猶予三年という処分になっております。  それから四番目が、愛媛県の喜木郵便局長の非常勤の賃金の横領、これは犯行期間が七年三カ月で、実損の金額は十一万四千円で、これも金額は全額回収いたしております。これは非常勤の職員を使役していないのを使役したようにしまして、水増ししてこれを横領しているということでございます。これは行政処分は停職六カ月で依願退職、司法処分は理訴猶予ということになっており  ます。  それから五番目が、鹿児島県の鹿児島千石郵便局長の資金等横領で、これは犯行期間が二ヵ月で、実損金額六万七千円でございます。これも全額回収いたしております。大体はとめ置き資金あるいは渡し切り経費を横領したということでございます。これは停職一年、司法処分は起訴猶予ということになっております。  六番目が、岩手県の盛郵便局長の切手類売りさばき代金等の横領でございます。これは四年九カ月の期間にわたりまして五十八万九千円ばかりの被害を生じております。これも全額回収をいたしております。犯行の方法というのは、切手類売りさばき人に売り渡した切手類売りさばき代金というものを不正経理し、あるいはこの切手類売りさばき手数料の不正経理ということでございます。行政処分は懲戒免職、司法処分は徴役一年六カ月執行猶予三年というのがあらましでございます。
  139. 久保等

    ○久保等君 ただいまのこの六件は、発覚をした端緒はどういったところから発見をしたんですか。申告等もあるのではないかと思いますが、その点をひとつ御説明願いたいと思います。
  140. 山本博

    政府委員(山本博君) 発覚の端緒は、一番目のものは、これは貯金局から通報を受けたわけでございます。これは地方貯金局から事故として通報を受けたのがきっかけでございます。二番目は、これは部外からの申告でございます。三番目が、これも申告でございます。四番目は業務考査で発見をいたしました。五番目が、これも業務考査で発見いたしました。六番目は、指定局から通報がありまして、その結果調査をして発見したということでございます。
  141. 久保等

    ○久保等君 三十九年度の決算報告書の中に指摘せられたこれらの問題、考えてみますると、非常に私は残念だと思うんですが、特に郵便局の最高責任者である局長みずからが犯罪を犯す、このことは一般の国民に対してどう言いわけをしていいか、私は非常に同じ犯罪の中でも特別な重大な問題じゃないかと思うんです。もちろん局員その他の事故の問題についてもはなはだ遺憾でありますし、特にその責任はきびしく追及せられなければならぬと思うんですが、特にこれら特定局の郵便局長自体の犯す犯罪、これは一般社会常識からいっても、私はその責任感なり、また局長という一体立場の義務感といいますか、そういったことについて何かこう非常な綱紀の弛緩、そういったようなことが特別指摘できるのではないかと思うんですが、もちろん年々いろいろ監察当局のほうといたしましてはいろいろ努力しておられる点、労を多とするんですが、ただこういった私が先ほど来申し上げます問題を区分けして考えますると、特定郵便局の家族、特にその家内がたいへんな長きにわたって犯罪を犯しておったというような問題、これなんかはそれこそ特定局制度そのものの根本的な問題としても検討しなければならぬ私は問題じゃないかと思いますが、犯罪がどうしても金額の面においても非常な膨大な金額にわたっております。もちろんいま六件ばかり指摘した問題は、これは局長みずからがやっておったという意味において、これまたたいへんな特異なケースだと思うのですが、こういったことについては十分従来からいろいろ努力はしておられると思うのですが、郵政当局として、どういうた部内者の犯罪問題に対して、もちろん撲滅についていろいろ努力しておられると思うのですが、こういったことについて綱紀の弛緩という問題が指摘されても弁解の余地はないと思いますが、どういうふうに考えておられるのか、大臣のほうからひとつ説明を願います。
  142. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 綱紀の振粛ということはまことにものの根本であります。したがいまして、絶えずほとんど第一の眼目として郵政省も行動いたしておりまするし、地方の局長等集めまして、まずもっていつも繰り返し言っているのはその点であります。いまは特定郵便局長についてのお話がございましたが、これは特定郵便局制度調査会が数年前答申をいたしている、それに従ってそれぞれ特定郵便局について改善すべきところは改善いたしております。すべてを通じて、犯罪に対しては、しかし手をゆるめますると、何と申しましても広い範囲において金を扱うことでありますから、これについては絶えずいつも最重点を置き、したがいまして今後も、監察局はもちろんでございますが、郵政省全体が協力して、私よく申すのでありますが、監察は監察という面で、しかしながら、それぞれの業務のほうを見ておりまする場合に、経理のほうを見てまいります場合に、いつでも協力をして、すべてが一つの重点は犯罪の防止、綱紀の振粛にあるのだという考え方でいたしておりまするが、今後さらに徹底させるととにいたしましょう。
  143. 久保等

    ○久保等君 先ほど指摘をしました静岡県七間郵便局長の細君の犯した犯罪、あるいはさかのぼればずっと前に広島のほうでもやはり郵便局長の細君が、あるいはまた東京の南品川の郵便局では局長の姉が、いずれもきわめて金額の点においては何千万円というような膨大な金額を横領しておった事実があるようでありますが、特に特定郵便局の場合には家族ぐるみ局員であるといったような事例もそう珍しくないようでありますが、現在特定郵便局の中で、そういった家族等を局員とし、あるいはまた家族ぐるみ局員になっている、そういったようないわば家族局員とでもいうような局というのは全国でどのくらい現在あるのですか。
  144. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) ただいま御指摘になりました局数といたしましては、特定郵便局の中でも家族従業員の在勤しております郵便局といたしまして、最新の四月一日現在におきます集配無集配合わせまして総局数一万五千百九十四、うち該当局が六千三百十二、その比率は四一・五%でございます。なお、従業員の数で申し上げますと、同じ四十一年四月一日現在におきまして集配無集配合わせましての特定局全従業員が十三万五千六百四十人おりますが、そのうち家族従業員というものが八千四十二人で、パーセンテージは五・九%でございます。なお、参考までに、この従業員数の中には特定郵便局長は含みません。また、家族従業員とは、局長の配偶者、それから三親等内の血族、二親等内の姻族でございまして、局長と同一の特定局に勤務しておる職員を申すのであります。
  145. 久保等

    ○久保等君 全体の四一%、あるいは数にして六千二百局というと、たいへんな家族従業員の局があるということになるんですが、局員の採用等について、こういったことについて郵政当局としてどういう手を打たれておるのですか。特に最近のその数の面から見た傾向、趨勢といったようなものを御説明を願いたいと思います。
  146. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 先ほど監察局長からお答えいたしましたように、私どもといたしましては、家族従業員が職務の運営上必ずしも悪い面だけではないと思いますが、またあわせて、ある局に家族従業員が集中するということにつきましては、注意すべき点があるということを認めまして、特に少人数の局におきまして、全局員が家族従業員であったりすることのないように、また、そういう局におきましては、つとめて通勤可能な局に配置転換する等の措置を講じております。  なお、ただいま数的に示せというお話でございますが、先ほどあげました局数から申しますと、在勤します局数が、四十年四月一日現在におきましてはパーセンテージとして四二・五%でありましたものが四一・五%にことしの四月一日は下がっておりますし、また、局員の数におきましても、昨年の四月一日には六・六%でありましたものが五・九%というぐあいに下がっておることを見ましても、その努力のあらわれが少しずつ結果しておるということが言えると思います。
  147. 久保等

    ○久保等君 辺敵の地における特定郵便局で局長の家族を局員に採用せざるを得ないという事情は、私もわからないではないんですが、ただ、いま御説明がありましたように、全体の四〇%をこえる局数、あるいはまた、人員にいたしましても八千人あるいは一万人近いという数字からながめますと、この面について一段とまたくふうを要する面があるのではないか。一がいに家族従業員があまりよくないということを私も申し上げるわけではないのですが、しかし、考えてみますると、どうしてもやはり、局長の家族だということになりますと、局員間における感情的な問題、あるいはまた実際の仕事の面から見ましても、やはり他の家族以外の局員から見れば、局長の家族の局員に対して一目あるいは二日置くということは人情だと思う。特にいなかの、どちらかといえば辺陬の地における土地の風俗あるいは習慣等からいっても、そういった関係ができることは、これはまた想像にかたくないと思うのです。そういうことは局務の運営からいっても思わしくありませんし、また、先ほども申し上げましたように、普通の局員であったら、同じ犯罪を犯すにいたしましても、そんなに大規模な、あるいはまた長期にわたって事故が起きないと思われるものが、局長の奥さんであるとか、あるいは局長のねえさんであるとか、そういったような立場におりますと、いわば実質的な局長という形になって、したがって、犯罪が長期にわたって、膨大ないろいろ国損を及ぼすような問題を引き起こすことになろうかと思いますが、そういった点からいって、できるる限り家族従業員は原則としてこれは認めない、しかし、実際問題として要員が確保できないということになってまいりますれば、もちろんそういったことも考慮しなければなりませんが、むしろ原則的には家族局員は採用しないのだというくらいの方針をとってしかるべきじゃないかと思うのですが、もちろん現在従事しておられる方々について直接どうこうということを申し上げておるわけじゃないのですが、ただ将来のあり方としてそういう方向に漸次持っていくべきではないかと思うのですが、その点人事局長の見解を聞きたい。
  148. 曾山克巳

    政府委員(曾山克巳君) 先生御指摘のいろいろ不都合な点も確かに結果するという面が、現状として出てくるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、そういう点も考慮いたしまして、先ほど申し述べましたが、配置転換等によりましてできるだけ家族従業員の一局に集中することを避ける。さらにはまた、このこと自体が普通局と違いましてなかなか転勤できないことによりまして、先ほど鈴木先生からも御指摘がありましたが、士気鼓舞の点から見ましても考える必要があろうかと思いますので、そういう点から申しましてもなるだけ集中しないように努力してまいりたいと思います。
  149. 久保等

    ○久保等君 さらに監察局長のほうにお尋ねしたいと思うのですが、郵政犯罪事故は、何といっても現金あるいはまたこれに類する金品の取り扱いをいたしますだけに、なかなか犯罪の絶滅を期することはむずかしいと思うのですが、部内者による犯罪問題につきましては、これは一そう自戒をしてまいらなければならない点があると思うのですが、部外者による犯罪事故もきわめて多数でありますし、またこのほうは最近の趨勢を見てもあまり減少しておると一がいに言い切れない実態にあるのではないかと思うのですが、この犯罪の最近における趨勢等はどういう状況にありますか御説明を願いたいと思います。
  150. 山本博

    政府委員(山本博君) 犯罪全体といたしましては、最近三年間、逐年減りつつございます。減りつつある原因は、主として郵政部内の犯罪が減っておることでございます。たとえば昭和四十年度の犯罪総計では、三十九年度に比べまして一四%の減少ということになっております。この点では非常に喜ばしい——郵政部内の数年間の努力が少しずつ実りつつあるのではないふというふうに考えております。ただ、ただいま御指摘のありましたように、部外の犯罪というものは必ずしも減少いたしておりません。この点は、郵政事業が国民へのサービスを主眼といたしておりますので、サービスの度合いというものと取り扱いの手続の非常にこまかいところまで厳格に要求するということとの兼ね合いが相当ございます。サービスをよくするために手続を緩和するというところにつけこまれて起こっておる犯罪も最近においては相当ございます。この点はいわば二律背反でございますけれども郵政事業といたしましては、防犯という面で施策を推し進めるとともに、できるだけサービスというものも、あまりやかましくない、国民の利用をできるだけ簡易にしていく必要があるということで、それで調和をとるためにいろいろな面で努力をいたしておるわけでございますが、その郵政事業の職員の犯罪は減っておりますけれども、部外における、特に貯金関係の窓口における詐取というのはむしろふえつつある形でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げた事情もございますので、なお関係の向きとも常々相談をしながら、国民に不愉快な思いをさせないで犯罪を防止する方法というようなことについて、何らかの研究課題として努力をしておる状態でございます。
  151. 久保等

    ○久保等君 それからさらに、郵便事故の申告、これもなかなかわれわれが想像しております以上に膨大な数字に年々のぼるようですが、郵便物、特に現金あるいは先ほど問題になりました小切手とか、そういったようなものの紛失あるいは滅失、不着、そういったようなものについての申告が非常な数にのぼっておるようですが、これまた、最近の動向がどういう状況にありますか、お聞きをしたいと思うのです。
  152. 山本博

    政府委員(山本博君) 国民の側から郵便事故に対する申告という形のものは、御承知ように、一〇一という申告制度がございます。この申告制度の利用という面から見ますと、最近三カ年間ばかりはほとんど増減はございません。大体年間にして八万件くらいを上下している程度でございます。これは見方によりますと、郵便の利用通数というのは年々非常にふえておるという、このふえておる数字のほう、絶対数のふえ方から見ますと、申告数が必ずしもふえないというのはいい現象とも見えますし、逆に絶対数の八万というのが少しも減らないという面からだけ見ますと、もっとわれわれは努力すべき余地があるのではないかと考えております。このうち解決するものは——解決すると申しますか、申告者の思い違いであったものが、約半数ぐらい思い違いと申しますか、その他後になって到着した、あるいは誤配であったというようなことで解決するものが、五割から六割のところが大体解決を見ております。その他の部分がいまだ十分の解決を見ない——これはほとんど全部通常でございますので、最終的に解決を見ないままになっておるものが相当残っております。この点については、郵務局のほうともかねがねお話をいたしまして、各担当者が自分自身で責任を持って郵便物を処理する、誤配があったりあるいは亡失があったというふうなことのないように、十分の指導をお願いしているところでございます。
  153. 久保等

    ○久保等君 解決というのか、いまのお話のように自然解決というか、おくれてついたりあるいはまた利用者の思い違いであったりというようなことが五〇%あるいはそれをこすようなお話ですが、そうすると、解決をしないでずっと持ち越しておる案件が相当の数残ると思うのですが、結局通常郵便物であるといったことから、泣き寝入りというか、そういう形に終わる場合がほとんどじゃないかと思うのですが、特に係争問題になり、いろいろ紛糾しておるような案件があるのですか、ないのですか、あるとすれば、たとえば昭和三十九年度あたりのところでどういう状況になっておりますか、若干具体的にひとつ御説明願いたい。
  154. 山本博

    政府委員(山本博君) 昭和三十九年度について申し上げますと、申告件数が八万八千件ございます。そのうち六二%に当たります五万五千件は書面調査をいたしました。その結果、これは事故がないということがわかりました。いわば解決をしたわけでございます。残りの三万三千件は、一応事故があるというたてまえで、私のほうでいろいろ実査をいたしております。この実査の結果解決したものが約四千件余りございます。で、書面調査の結果と、こういうものと合わせまして申告総数の六七%が解決しておりますが、その残りのものにつきましては、継続して調査をしておるものと、それから、いわば申告をしましてから相当日にちを経過して、利用者との間に話をいたしまして、一応取り下げていただくというような形で解決する問題もあります。約三割のもの、いわば八万件の三割二万四千件ばかりはなお継続して実査をしておるということで、ただいま未解決ということによって裁判あるいはその他の紛争が現在まで長引いておるというものはございません。
  155. 久保等

    ○久保等君 監察でいろいろと多岐にわたった仕事をやっておられるようですが、先ほど申し上げたような犯罪捜査の面であるとか、あるいは業務考査、あるいは業務調査、そういったことをいろいろやっておられると思うのですが、しかし特に犯罪だとか、また事故等のこれは絶滅を期していかなければならぬと思うのですが、おのずからいろいろ能力も限界があると思いますが、ただいま申し上げた三つの部門に分けて、どういったところを中心にして平生監察業務をやっておられるのか、また今後の問題等について、あるいはさらに重点を置いてやっていかなければならぬ問題がどういったところにあるのか、そういった監察業務の問題について総括的に若干御説明を願いたいと思います。
  156. 山本博

    政府委員(山本博君) 監察業務が発足しましてから、当分の間は郵政犯罪が非常に頻発した時期が続きましたので、監察といたしましては、もっぱら犯罪捜査ということに主力を置いてまいりまして、先ほど申し上げましたように、ここ三年ばかり以来犯罪が非常にしあわせなことに減少する傾向がはっきり出てまいりましたので、監察本来の仕事と申しますのは、ただ起こりました犯罪のあとを追いかけてこれを検挙していくということだけではございませんで、本年からは業務考査、いわばあとから追いかけるのではなくて、前のほうに一つの道しるべを立てるという仕事のほうに重点を置こうということにいたしまして、本年からは業務考査を、数年前までは三年ないし四年に一ぺんしか郵便局を考査に回ることができませんでして、これは犯罪に追われておったものですから、はなはだしい場合は五年に一ぺんくらいしか回れないという局もございまして、それをことしから必ず二年に一ぺんは、特定局、普通局、どのような種類の局も含めまして、二年に一ぺんは必ず業務考査をする、その業務考査も、単に非常に技術的な問題だけではなく、業務運行そのものと犯罪というものとがこれは切っても切れないうらはらの関係にございますので、ほんとうに業務運行そのものと、犯罪捜査というものと、両面かけて、将来ほんとうにいい業務運行ができるように、それをよくしていくためにはどういう点に郵便局が力を入れたらいいかというような、広い意味の業務考査を行なうようにいたしたわけでございます。たまたま犯罪が減ってきたということに便乗したわけではございませんけれども、犯罪をあとからではなくて、事前にそういうものが起こらないようにということに重点を置きまして、監察の重点をそういうところにことしから置いて活動していきたいというように考えております。
  157. 久保等

    ○久保等君 業務考査と業務調査、こういう何か形に大別をしてやっておられるようですが、特に業務調査というものは、どういうことを調査せられるのですか。
  158. 山本博

    政府委員(山本博君) 調査と申します概念は非常に広うございまして、各事業局が本来業務運行のために行ないますのも調査でございます。しかし、監察が行なっております調査は、ただいま申し上げました事故の申告があった場合に、その経路を調査するのも、これは調査でございますし、それから各事業局のほうから、こういうことを調査してもらいたいということで依頼を受けましたときに、これを調査するのも調査でございます。また、総合考査のほかに、ある非常に特定の項目についてだけ何か調査をしようと、そのときの問題に応じまして調査をするということもございます。   〔委員長退席、理事光村甚助君着席〕 しだがって、調査というのは、一つの年中を通じて計画を立てて調査をするということではなくて、具体的な問題が起こったときに調査をするというのが監察の調査ということと御了解いただければよろしいと思います。
  159. 久保等

    ○久保等君 それでは監察関係の問題については以上で終わりまして、特に郵便問題等についてお尋ねをこれからしていきたいと思います。  先般国鉄の運賃が値上げになりまして、当然そのことは郵便業務の上にも大きな影響があり、したがって、すでに郵便小包のごときは、これを政令によって値上げをしたというようなことにもなっておると思うのですが、国鉄の運賃値上げに伴って、郵便事業の場合には当然逓送費等の値上げもあると思うのですが、この国鉄運賃を値上げして、金額の面においてどういう影響を持つことになっておりますか、数字で御説明願いたい。
  160. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 集配運送費のうち、国鉄へ支払います金額は、四十年度におきまして三十億一千三百万円でございます。少しさかのぼりまして、三十九年度二十九億八千百万円、三十八年度二十九億千七百万円、三十八年度に改定をいたしましたので、三十七年度は二十七億八千九百万円、三十六年度二十四億八千百万円、そういう推移でございます。
  161. 久保等

    ○久保等君 四十一年度はどういうことになりますか。
  162. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 四十一年度につきましては、国鉄の料金改正に伴いまして、こちら側がどの程度値上げに応ずるかということにつきましては、まだ結論を得ておりません、折衝中という段階でございます。
  163. 久保等

    ○久保等君 先般行ないました小包郵便のあの値上げは、総体からいって何%ぐらいの値上げになりますか。
  164. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 二〇%弱でございます。
  165. 久保等

    ○久保等君 小包郵便の最近の二、三年、わかる範囲内でけっこうですが、物量、それから年間の収入と申しますか、金額を御説明願いたいと思います。
  166. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 小包の物数でございますが、三十六年度から申しますと、これは有料だけでございます、三十六年度九千四百万通、三十七年度一億五百万通、三十八年度で一億一千三百万通、三十九年度一億二千四百万通、四十年度はまだ確定数が出ておりませんが、一億三千万通をある程度こえているというふうに推定されます。なお、小包の収入につきましては、三十六年度で百二十二億円、三十七年度で百四十億円、三十八年度百四十八億、三十九年度百六十四億円で、四十年度は百七十三億円を見込んでおります。
  167. 久保等

    ○久保等君 先ほど、国鉄の運賃値上げに伴う契約の問題については現在折衝中だというお話だったのですが、この契約をされる場合に、どういう形で契約をしておられるんですか。たとえば、一年間をあらかじめ見越して、それに対して、あまりこまかい数字は別として、事前にきめてしまうのか、あるいは結果から精算払い的な形で支払ってまいるのか、そういうことになれば、単金のようなものを事前にきめておいて、あとは物量によって金額を支払ってまいるというようになるかと思うのですが、そういった計算のしかたなり支払いの方法はどういう形になっておりますか、御説明願いたい。
  168. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 国鉄の郵便車を使うか、郵政省の所有の郵便車を使うか、あるいは託送と申しますか、その形をとるか等によって違ってまいりますけれども、単金をきめまして——それぞれについて単金をきめる、キロ・キロ幾らというような形でやってまいります。なお、先ほど申し上げましたように、ごく最近の値上げは三十八年度でありまして、三年ぐらいたったところでやっている例がこのところ多うございます。
  169. 久保等

    ○久保等君 次に、今度の郵便料金値上げに伴って、いろいろ、郵便事業近代化であるとかあるいは機械化の計画等を実施されようといたしておりますが、この計画について若干まず最初にお尋ねをいたしたいと思うのですが、この資料をいただきました中に、郵便物の航空機搭載という方法を考えておられるようですが、これは具体的にはどういう程度のことをお考えになっておるのか、もう少し詳細に具体的に御説明願いたいと思います。
  170. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 十月から実施予定しております一、二種、一種では定形郵便物——名前をどうするかちょっと問題ですが、一種の定形と二種について普通扱いのものを航空機搭載にしようということでございますが、まず一番郵便物数の多い札幌、東京、大阪、福岡線につきましては、郵便輸送専門のチャーター機によりましてこれを運ぶことを考えております。主として郵便送達の関係から深夜運航をいたします。それ以外の地域につきましては、東京、大阪を起点といたしまして、主として日中運航いたします飛行機に託送するという形をとろうとしているわけでございます。
  171. 久保等

    ○久保等君 年度によって、五ヵ年計画を見ますと、本年度とたとえば四十五年度を見ると、経費の面では約倍以上になっておるようですが、これは郵便物の物数の面の増加を考えてこういう形になっておるんじゃなくて、サービスの面でできるだけ大量の郵便物を飛行機でもって運ぼうというような計画に、だんだん五ヵ年の中でも初年度よりも後年度へいけばいくほどそういった面の充実をはかっていこうということのあらわれじゃないかと思うのですが、そういった、たとえば三回東京−大阪の間を飛ばしておったのを、後年度へいけば五回にするとか、あるいは六回にするとかいったようなことになっておるんじゃないかと思うんですが、ただいまチャーター機をおも立った四カ所ばかりの間で飛ばすという計画があるようですが、これは一日何回ぐらいになるんですか、そういった点の説明を若干ひとつ願いたいと思います。
  172. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 札幌−東京間は一往復、それから東京−大阪間は二往復、大阪−福岡間は一往復になるんじゃないかと思っております。予算の際にもそういう計画でおりました。実際には、これから機種をきめたりいたしますので、その搭載量等によってあるいは変更があるかもわかりません。予定ではそういうことになっております。
  173. 久保等

    ○久保等君 ただいまお尋ねした、それからいま言った四十一年度と四十五年を比べた場合に、経費の面で申しますると、四十一年度は四億三千万円余り、それから四十五年度にいきますと九億一千万円余りというふうになっておりますが、それはどういった関係でこういった形になってまいりますか。
  174. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 四十一年度は、十月一日から予定しておりますので、金額が大体半分ということになりますが、これが正確に半分ということでもないような数字になっておりますのは、一つは速達がある程度減ってまいりますと、現在速達キロ・キロ二十八銭で積んでおりますものが、相当経費としては支出減になってくるということ、それらの数字が影響いたしまして、四十一年度と四十二年度は少し変わった数字になる。以後は大体横ばいでございます。
  175. 久保等

    ○久保等君 そうすると、先ほど御説明のあった区間についての通常郵便物は、全部とにかく航空機でもって輸送することと理解してよろしいわけですか。
  176. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 時間帯にもよりますが、大体午後から夕刻にかけて出されますものは、当然航空機搭載になるわけでございます。
  177. 久保等

    ○久保等君 それから次に郵便番号制度、これの内容について若干ひとつ御説明願いたい。
  178. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 郵便番号制度でございますが、これは集配郵便局が全国で五千八百ばかりあります。集配郵便局それぞれに番号を与えまして、付定いたしまして、これを封筒なり、はがきなりの一定の場所に利用者に書き込んでもらい、それによって作業をする。手作業につきましても、現在集配局の集配区画と、市町村の区域とが必ずしも一致しておりませんために、区分が非常にむずかしくなっておりますが、番号をつけることによりまして、全くの初心者、未熟練者でも完全な区分ができるようになるということになりますので、これがねらいの一つでございますが、同時に、非常に世界各国とも悩んでおります通常郵便物の自動区分を、この方法によって実現しようというふうに郵政省としては考えているわけでございまして、自動区分機は、御承知のようにいろいろなやり方があります。符号を郵便物の上に打ち込みまして、その打ち込まれた符号を械機が読み分けて区分するいき方、これは世界各国現在やっているいき方でございますけれども、そういたしますと、まず符号を打つ手数が相当かかります。日本人の区分速度は、外国でそういう打ち込みをする速度とほとんど同じでございます。外国と違いまして、象形文字でわりあいに区分の速度が早うございます。そこで最初にコードを打ち込みます手数が非常に惜しいわけでございますので、まず数字を書き込んでもらって、それを機械が読むようにいたしますと、その点だけ非常に機械の効率をあげ得るというようなことからしまして、私どもは数字の自動読み取り機を有力なメーカー等に研究を委託いたしまして、現在機械、装置と相待って開発中でございます。その機械が完成いたしますと、非常に大型な機械になりますれば、東京中郵とか、大阪中郵のようなところしか配置できませんけれども、かなり小型の機械も開発できそうな見込みもあるというようなことが言われておりますし、そうなりますと、かなり多くの局で、全体の郵便物の相当大きな割合で能率的な自動区分の処理ができるということも見込まれます。現在郵便番号制につきましては、別に機械にかけないでも初心者が十分な区分ができるという長所はございますけれども、自動読み取り機が開発されるという見込みとあわせまして、この実施考えたいと存じます。
  179. 久保等

    ○久保等君 確かに私はいまお話のあったように、利用者の国民から自分でもって、局に番号をつけておいて、その番号を信書の上に書いてもらう。そのことによって、読み取り機でもって自動的にこれをさばいていくということは、非常に私も能率向上の面では、よほど前進するのじゃないかという気がするのですが、ただまあ各利用者の国民の人たちがそういった協力を現実に間違いなく正確にやってらもらうということのためには、よほどこの期間を置き、またよほど周到なPRをやりませんと、なかなかそこまで徹底をしないんじゃないか。かえって数字を間違って書かれたりすると、これはまたとんでもないことになったりするわけで、あて名と局番ですか、その局番というものは全く同一に考えて、必ず正確な局番を書くというふうにまでなるのには、相当根を詰めて郵政当局で努力をしなければならんじゃないかと思うのですが、この計画によりますと、本年度と明年度二年間にわたって経費等も計上して、その実施に移そうとされているようでありますが、本年度はさしあたってどういうことをやろうとされておるのか。それから明年度は一体どういうことをやろうとされておられるのか、この内容について経費の面から御説明願いたい。
  180. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 本年度はそこの経費にもございますように・八千八百万円だけ予算にも計上されておるわけでございますが、これは大口利用者——東京、大阪、名古屋、大口利用者に配ります番号簿と周知費がこの内訳でございます。来年度の七億一千九百万円でございますが、これは全世帯に番号簿をつくって配るための経費でございます。
  181. 久保等

    ○久保等君 先ほど機械の開発等についても鋭意努力をしておられるようですが、見通しはいつごろでき上がる予定ですか。  それからいまの御説明で、本年度はさしあたって大口利用者の、来年は全世帯に対し周知をはかるということなんですが、実際郵政省のほうで機械が動き出して、そういったものが利用できる。また利用していくという実施は、いつごろをめどにしておられるのですか。
  182. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 現在自動読み取り機の開発の研究を委託しておりますが、将来今後五ヵ年の計画で見込んでおりますのは、実用機は四十四年度に五十台、お手元に差し上げました資料にもございますように四十四年度五十台ということでございます。それまでの間は、四十一年度は応用研究、四十二年度は試作研究、四十三年度は実用機の試作研究ということでございまして、それぞれ経費も計上してあるわけでございますが、番号簿を具体的に作成いたしますのは、ことに全世帯に配付いたしまして実施に進みますのは、開発の見通しのついた時期にいたしたいというふうに考えております。実は四十年度におきましても八千八百万円計上しておったわけでございますけれども、これは開発の見通しの点もございますし、四十年度は御承知の料金値上げ前で非常に財政逼迫している実情でもございましたので、節約の対象にいたしました。四十一年度同額を計上したわけでございます。できるだけ開発のほうも急いでまいりまして、見通しをつけ次第、この計画のとおり四十二年度等におきまして、計画どおりに進めたいと、こう考えております。
  183. 久保等

    ○久保等君 この機械化関係等の長期計画というプリントがございますが、まあこの経費を一部建設勘定支弁のものにし、大部分をその他支弁のものという形で予定をしておるようですが、その他支弁のものというのは、おそらく借り入れ金に依存をし、それから建設勘定支弁、これは当然自己資金ということになるんだろうと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  184. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 建設勘定支弁のものは、これは機械の主として運搬機の系統でございます。局舎と不可分の形になっておりますものは、局舎の施設勘定と同じ扱いをいたしまして、建設勘定にしているわけでございます。その他はこれは損益勘定支弁でございます。このその他の機械の部分につきまして借り入れをすることは、ただいまのところ予想しておりません。
  185. 久保等

    ○久保等君 郵便局舎等のいわゆる建設勘定でやられる計画、これも資料を若干ちょうだいしておりますが、よく言われる郵便局舎の建設の問題、これは相当の局数になりますから、なかなか計画としてもたいへんだと思うのですが、大体この五ヵ年間に約一千局程度のものを、改築あるいは新築等をされる予定のようですが、前年度の実績が約七百局前後じゃないかと実は思うんですが、年々こういう形で局舎の建設等をやっておられるのですが、どうもしかし、なかなかテンポとしては必ずしもこう総体の数から見ますると十分ではない、こういうふうに考えられるのですが、この局舎建築の問題については、全体をどの程度期間で終了するつもりでおられるのか。全体的な計画をお持ちになっておるのですか、おらないのですか。
  186. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 年々古くなり、あるいは状況が変わりまして狭くなったりする局も出ますので、完全に局舎関係予算というものが要らなくなるというようなことはないかとも思われますけれども、従来非常に老朽度がひどい、あるいは狭隘度がはなはだしい局舎等につきまして、昭和三十一年度以来、第一回の五ヵ年計画と申しますか、それを実施いたしまして、三十六年度から第二回目の五ヵ年計画を進めてまいったのでございます。四十一年度からさらに五ヵ年の計画を進めまして、   〔理事光村甚助君退席、委員長着席〕  普通局、特定局の現在老朽、狭隘を訴えておりますものは、ほぼこれは私有局舎の私費による改築も含めまして、その他互助会とそういうものを含めまして、ほぼ五ヵ年間で解消し得るものではないかというふうに考えておる次第でございます。
  187. 久保等

    ○久保等君 三十一年度から三十五年度までの局数は何局ぐらいありましたか。それから私がちょっと先ほど申し上げたように、第二次と申しますか、三十六年度から昭和四十年度までの数字も、あわせてひとつお答えを願いたいと思います。さらに第三次というか、本年度からの五ヵ年計画で、いま局長の御説明のように、ほぼ完了するような御説明でしたが、そうすると全体で何局になりますか。
  188. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 三十一年度から一二十五年度までの、ただい左ちょっといま手元に持ち合わせがございませんが、三十六年度から四十年度までにつきましては、全体の計画が当初新築七百十三局、増築百五十四局、土地の買収六百九十三局で四百二十億円程度を目標にして立案いたしました。途中で若干金額の修正等もありまして、四百二十億円になったのでございますが、五ヵ年経過後におきましては、普通局百七十一局、特定局五百十五局、合わせまして六百八十六局、施行面積はほぼ計画どおりでございます。金額におきましては、これは当初の計画と予算執行等で若干のあれがありますから、成立予算は三百五十億円でございました。
  189. 久保等

    ○久保等君 局数は、これはたいへんな局数になるわけですが、いまのお話で第一次もちょっとわかりませんしするから、的確なことは類推もできかねますが、しかし、それにしてもせいぜい四、五百、それからいま御説明があった六百八十六局の第二次五カ年計画、それから第三次合わせてこれじゃ二千局から三千局くらいの間じゃないかと思うのですが、それで一応局舎問題は解決することになるのですか。
  190. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 四十一年度から始めます約一千局にのぼります国費による新増築と私費等によりますものとを合わせまして四十五年度におきましては、現在改善を必要といたします局舎につきましては、大体完了ができる見通しでございます。
  191. 久保等

    ○久保等君 そこで経費の問題になってまいるわけなんですが、やはり資料でちょっとお尋ねをしておきたいと思いますが、郵便局舎等建設計画というこの資料がありますが、この中に郵便事業負担額というものが、ずっと全体の郵便局舎等の総合計画の中における総経費、そのうち郵便事業だけの負担額というものが出ております。四十一年度の場合は九十八億約五千万円が出ておりますが、その内訳として減価償却、これは当然自己資金と言っていい種類のものだと思うのですが、さらにそれと要財源調達額という形でここに計上してあるのですが、昭和四十一年度の場合には、すでにいただいております資料によって五十九億円ばかり剰余金を出して、これは建設勘定のほうに繰り入れるというような計画になっているのですが、その五十九億円というものは、一体要財源調達額の中に入っているのではないかと想像されるのですが、その点はどうなんですか。
  192. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 仰せのとおり、この要財源調達額八十九億八百万の中に入っておりまして、五十九億円が剰余金から繰り入れられ、三十億円が借入金になっているわけです。
  193. 久保等

    ○久保等君 あと明年度からの四カ年については、当然これから調達しなければならない金額は、全部借り入れ金になっているわけだと思いますが、要するに借金でもって郵便局舎等の建設計画をやっていこうという考え方だと思うのです。そうすると約総額のうちの一割程度が減価償却費、したがって自己資金という形でまかなってまいる。九割程度は借金でひとつやっていこうという考え方の上に立っておると思うんですが、私はこれは非常に考え方として理解しにくいんですが、まあ要するに非常な大幅な料金値上げをやり、したがって、それに伴って相当思い切った建設面を進めていこうということを、表裏一体として計画しておられると思うんですが、しかしその実態を洗ってみると、実はその建設面のほとんどすべては借金なんだと、借り入れ金なんだということになりますると、このこと自体は、別に料金値上げとは関係のない計画だというふうに考えられるんですが、その点はいかがですか。
  194. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 先ほど小笠原郵政審議会委員への御質問にもございましたのですが、値上げをするについて建設費をどう見込むかということも、審議会でいろいろ議論されまして、あるいは建設費の半分程度値上げの中に織り込むべきではないかというような議論もございましたが、二九・五%の案のときには結局は織り込まれなかったんですが、四分の一ぐらいは考えておいたほうがいいんじゃないかという議論が非常に強うございました。建設費を値上げの中に織り込むことは、しかし妥当ではないんだということから、建設財源という形で入れることはできなかったわけでございます。政府案の二八・八%につきましても、当初から建設費のために料金値上げをするという考え方はもう入っておりません。ただし、二八・八%、五ヵ年を通じて必要な値上げをするということの結果といたしまして、初年度は剰余金が出てくる。剰余金が出てくるにもかかわらず借り入れ金をしないで、これを繰り越すというようないき方も、現実問題としてあまり適当でもありませんので、それを建設費に回すという結果になっているわけでございます。建設財源は、料金値上げの初めから計画して料金値上げの中に織り込んでいくといういき方は、全般として採油されていないわけでございます。
  195. 久保等

    ○久保等君 先般の委員会で、私ここでまあお聞きしておったんですが、経理局長お話では、四十年度末の借り入れ金の総額は二百六十億円というお話だったんですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  196. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) さようでございます。
  197. 久保等

    ○久保等君 まあ、そうすると四十年度末の二百六十億、それからただいま申し上げた四十一年度から五ヵ年間にわたって行なわれる建設勘定の費目中、いま申し上げた六百三十一億円程度になると思いますが、まあこれを封来にわたって借り入れ金でやっていこうということですが、当然借金をすれば返していかなきゃならぬということになると思うんですが、これの返済計画といったようなものは、どういう考え方でやろうとしておられますか。
  198. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) これは二十五年の期限の三年据え置き、したがいまして二十二年間元利均等償還、こういう形の借り入れになるものと考えております。したがいまして、その線に沿いまして三年据え置き後、年々償還期になってくるわけでございます。先般申し上げましたように、利子がほとんどそれくらいになってくる、こういう結果になるわけでございます。
  199. 久保等

    ○久保等君 それは、これから借金をしようという六百三十一億円についてのお話だろうと思うのですが、すでに借り入れております二百六十億、これはこの五ヵ年の中でどういう返済計画なんですか。全然返さなくてもいいですか。
  200. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) その五ヵ年の中におきましても、償還期限の到来いたしましたものは償還するように全部計画してございます。
  201. 久保等

    ○久保等君 それを数字をあげて、ひとつ、この五年間の金額をちょっと言ってください。
  202. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 本年度四十一年度は三十億円であります、四十二年度が同じく三十億円であります。若干の端数は切り捨てます。四十三年度も三十億六千万円、四十四年度は三十一億三千万円、四十五年度が三十億であります。以上でございます。
  203. 久保等

    ○久保等君 この借金返しをしてまいらなければならないわけですが、非常に郵政の場合には、予算の弾力性がない面からなかなかこういう計画もはたして実行できるかどうか、きわめて疑問に思うわけなんですが、特に仲裁裁定の問題も出まして、まあこれについて当面一体どうしていくか、政府でも一応当面は支払いが不可能だということで国会の承認を求めてまいっておるようですが、この仲裁裁定実施の問題について、郵政大臣にちょっとお尋ねしたいのですが、どういう扱い方をしようと思っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  204. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 仲裁裁定がございました以上、これを尊重することは当然であるのでありまするが、何ぶんにも予算関連法案である郵便法がいまだ成立をいたしておりません。そのために議決を求めたのでありまするが、予算実施できますならば、すなわち郵便法が成立をいたしますならば、百四十二億の所要額のうち、これは午前も申し上げたことでありまするが、郵政固有業務の六十六億というのが支出が可能になりますので、かつ郵便法の成立は信じて疑わないところでございますが、一刻もすみやかに御議決をいただきまして、そうして仲裁裁定の完全な実施が可能な状態を早く持ちたいと思っております。
  205. 久保等

    ○久保等君 すでに手元に出されております本年度から四十五年度にかけての郵便事業収支表というのがございますが、この数字をながめてみて、ただいまの仲裁裁定の問題、まあ金額にして郵便関係だけで約六十七億円程度必要だという説明がすでになされておりますが、そういった点から見ますと、一体この収支表というのは、どういうことになってまいりますか。
  206. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 今後五ヵ年間の収支表の歳出の部分につきましては、けさほどもいろいろ御質問と答えがあったのでございますけれども、人件費につきましては中期経済計画の所得増加に即応いたしまして、一年平均七・六%、基本給七%、付加給等込めまして七・六%の増加を見込んであるわけでございます。四十一年度から四十三年度まで、四十四年度、五年度につきましては、物価安定の成果等もある程度あがるということも考えまして、定期昇給込み五%程度の増加というものを見込んでいるわけでございますが、これは五ヵ年全体を通じてそういうような見込みを立てたわけでございまして、個々の年次につきましては、一通りの区分はしてございますけれども、今回の仲裁裁定定期昇給を込めますとほぼ一〇%になっているということで、その差額という問題は、実は今年度の予算の処理の形としてなされるわけでございます。今後どういうふうにこれが、人件費の増高がどういう趨勢で動いてまいるかということにつきましては、一面その点についてもいろいろまだ問題がございましょうし、さらに企業の努力等によりまして、歳入の裏づけとなる物数をどういうふうにふやしていけるかという問題等もからみまして、いろいろな観点からの論議はなされ得るかと思いますが、物数のほうも相当増し得るということに相なりますれば、この五ヵ年の収支表は、若干の動きがございましても、総体といたしましては、大体それに近い線に持っていき得るのではなかろうかというふうに考える次第でございます。
  207. 久保等

    ○久保等君 こまかい数字は別として、大まか九議論だけをすることになるのですが、たとえば四十一年度で、計画によりますると、先ほどもちょっと申し上げた五十九億の程度の剰余金が出、これを建設勘定のほうに振り向けてまいるという一応構想なんですが、この剰余金は予定どおりそういう形に振り向けてまいれるかどうか。ここにはこまかい人件費その他のそういった数字は出ておりませんが、大まかな議論をいたしますると、支出が四十一年度の場合には一千五百三十一億余ということになっておりますし、収入の面では一千三百四億、これが料金値上げによって二百八十六億円ばかり増収になる、そういう計算になっておるわけなんですが、この大ワクは動かたくてやっていけるという見込みなんですか。
  208. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 千五百二十七億円のワクで大体おっしゃいますようにやっていけるものと考えております。五十九億円の建設繰り入れも予定どおりいけるのではないかと考えます。
  209. 久保等

    ○久保等君 そういうことで当面やっていけるとして、三年度目の昭和四十三年度、ここへまいりますると、マイナス剰余金ということになってまいるわけなんですが、結局この数字の上でどうやら黒字でもってやっていけると思われるのは四十一年、四十二年——四十三年度からは、だんだんとまた赤字が出てまいるということがこの数字の上では指摘できるのじゃないかと思うのですが、そう理解してよろしゅうございますか。
  210. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 五カ年を通じまして、結局収入と支出、損益計算になるとほぼとんとん、初年度に剰余金五十九億円を建設財源に使います関係で四十三年度以降におきましては差し引き若干の赤が立っているということに相なるわけでございますが、各年度とも総体の規模に比べまして、たとえば四十三年度におきましては千八百何十億のうちの二十三億でございます。本年度、第一年度の予算につきまして先ほどもいろいろ御質問もございましたが、計画いたします際、現実に予算が編成されましてしっかり固まる段階におきましては、まあ若干の変動があるのが常でもございますし、さらにこれに郵便物数増加のため等の企業努力を加えますならば、この程度の差額は大体消化してまいれるのではなかろうか、その程度ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
  211. 久保等

    ○久保等君 郵務局長の御説明だと、金額がたいした金額でないからという御説明なんですが、私は説明としては、また国会にこの料金値上げの問題を提案してわれわれが審議をする立場から見るというと七これは計画としてはきわめて私はずさんというよりも、実は端的に言って計画自体がなっていないと、こう言わざるを得ないと思うのです。少なくとも二八・八%といえば、料金値上げの幅から言って、必ずしもそう小さいものではない。三割近いものですから相当な値上げだと思うのです。ところがその値上げ案そのものの実体が、ただいま指摘されますように、わずか五ヵ年間の計、画の中においてさえ収支相償わない。二十億であろうと三十億であろうと、かりに五億であろうと、とにかく赤字収支という形になったものを国会に提出してこられるということは、私は、率直に育って不見識という感じがするのです。かりにこれが、五年間とってみて、五年間の収支相償っているという計画を出してきても、では一体、五年光はどうなのか。当然何らかの形でまた対策を考えなければならぬということだとすると、これまた、わずか五年ばかりで、五年先に料金値上げの問題が出てくるのではないかという感じがする。ましてや、今年度と来年度だけは、どうやらつじつまが合うけれども、明年度からは、もう赤字になってまいりますよという形の提案のしかたは、私ははなはだ実は遺憾に思うわけです。しかもまた、今後予想せられる事態がどういう事態になるか。少なくとも物価が逆に下がってまいるというような趨勢でもあれば、明るい一つの期待を持てると思うのですが、少なくとも現実ただいまの状態では、一般の物価もさらに騰貴をするのではないか、また現に上がりつつあるのでありますが、そういう趨勢の中に、こういう提案をされるということは、きわめて何か確信のない、いわば応急措置的な提案のような感じがするわけです。前々からよくこの委員会でも言われておりますように、根本的に収支を合わせることになかなか苦労のある郵政事業、特にその中でも郵便事業という問題については、一般会計よりの繰り入れ等の問題も提起をされておりますが、何らかの形でもう少し弾力性があり、かつ長期的な安定性のある計画を出すべきではないかと、こういうように考えるわけですが、このことについて、ひとつ郵政大臣のほうから私は御答弁を願いたいと思う。
  212. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃるとおり、公共料金扱いでありますから、でき得る限り長期の展望を持つことが望ましいのであります。政府といたしましても、経済の長期の展望を極力急いではおりまするけれども、これは久保さんも同じようにお考えになるだろうと思いまするが、中期経済計画を一応捨てまして、新しい計画を現在立てておる。これに応じて、今後の長期の経済計画を政府考えてまいる。そうして、やはり政府の使命としては、景気の安定と物価の安定をはかってまいらなければならぬ。それに応じまして、これはこの委員会でも申しましたが、私は、必ずしも景気と郵便物数が比例するものとも考えません。そうしてかつ、今後の物数の動向というのは、もっと綿密に考えなければいけない問題だとは思いますけれども、しかし歳出の面ではかなりに景気の動向、物価の動向というものも考え合わせなければいけません。そういうものに合わせてもっと綿密なものをこしらえなければいけないということは、私も申し上げておるところでありまして、そのような意味合いでの検討はいたさなければいけませんけれども、大体の収支の見込みというものを、五年においておる。しかしながら、御指摘のように五年でまた料金が上がるということは、決して望ましいことではございません。したがいまして、私はこれを平均五%と見てあるが、もう〇・何%かの物というのは増が期待できるのじゃないかというようなことも、当委員会で申し上げております。そのような意味合いで、私はもっと長い展望というものを持ちたいものだと思っております。そうした計算に早急にかかりたいと思っております。
  213. 久保等

    ○久保等君 先ほど来お尋ねをいたしております五ヵ年計画、これは借り入れ金で主としてやられる予定なんですが、こういった長期的な計画等について、私は単に郵政事業のみならず、よく委員会等でも申すのですが、国鉄にしても、電電公社にしても、その他の事業官庁にしても、よく五ヵ年計画あるいは七カ年計画というものをつくるのですが、それぞれの各省の事務当局では、そういった五ヵ年計画というものをつくられるのですが、内閣そのものは実はその五ヵ年計画とか七カ年計画というものに対して正式にはタッチしていない。要するに各年度ごとの予算態度決定していくという実は態度をとっておるわけです。さらに端的に言えば、大蔵省はそんな五ヵ年計画、七カ年計画というのは知らない。ただいまの状態であれば、昭和四十一年度についてはもちろん予算がすでにきまっておることでありますから、もちろんこれは閣議の了承も得、国会で承認されるという姿ではっきりしたことが言えると思うのですが、明年度以降の問題については、また年度ごとのその予算審議の際に検討しようということになっておるわけです。そういうことでは、いわば一貫した長期的な計画を実施するということは、実際問題としてなかなかできない。また、その年度ごとのいろいろ経済情勢によって支配されるということでは、事業を一貫的に運営をしていこう、こういう立場からいけば、非常に実は支障があると思うのです。今回出されております五ヵ年計画というものについて当然、借り入れ金云々ということになってくると、ひとり郵政省限りで措置できる問題ではないと思うのです。できれば、できるだけ利子も安いほうがいいということになってまいると思うのです。そういう点から考えますると、こういった計画については、当然内閣として最終的に決定をすることはできないにしても、ある程度の大まかな計画については、内閣においてこれを承認する、また承認をさせるという方向に努力をしてまいらなければならぬと思うのですが、先ほどから議論していること自体も、単なる案であって、その年その年の年度の少し前になってみないとわからないということでは困ると思うのです。この扱い方について、一体どういう折衝を大蔵省あたりとやられたのか。もちろん私の言うのは、予算折衝という意味ではありませんし、またそういうことはできないのですが、長期的な計画について相談を、省外に対してされたのかどうか、お尋ねしたいと思います。
  214. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これは予算をこしらえているのは大蔵省ですけれども、いまの内閣制度、でいけば、やはり大体の見込みというものは、むしろ経済企画庁で広く総合的な検討をいたすというのが、ものの筋でございます。それは、大蔵省が、一体それじゃ幾らで金は貸しましょう、そのかわり預託利率はどうしましょうということの長い計画というものをもし持てば、それに合わせますけれども、私は、いまの内閣制度では、そのような権限というものを大蔵省に持たすべきものではないという根本の問題になります。しかしながら、大体の計画というのは経済企画庁が、ことに公共料金等関係のあるものはつくります。したがいまして、内閣で、ある意味ではなるほどおっしゃるお考え方はわかるのですが、それで一応承認さしてみるということは、同時に郵政省のほうがまずある程度縛られるという感じになります。それから、現在の全体の予算の立て方を変えるのなら格別でありますけれども、こういう長期の計画を持たなければならぬ事業というのはたくさんあるのです。やはりそれぞれの主務大臣が計画を持つ。しかしながら、外部との折衝の状況というのは、これは御指摘の点はもちろん大蔵大臣も参加をさせております。しかしながら、経済企画庁の長官と主として相談をし、それに対して、大蔵大臣関係にあるものは、大蔵大臣も協議にのせましてそうしていたしております。しかしながら、どこまでもこういう収支の見込みというものは、それぞれの主管大臣が責任を持つものである。ただし、それについて、まあよそのことは申しませんけれども、経済企画庁の長官なり大蔵大臣との間に連絡がございませんときは、やや無意味になる部分がありますから、そういう点は留意しながら折衝は十分いたしております。むしろ、折衝の段階というのは、御指摘のようにやっておるかといえば、十分郵政事業については、念を入れてやっておるという状態であります。しかしながら、私は、いまお目にかけている措置の五ヵ年の計画というものは、もう一度ほんとうに練らなければいけない。これを幸いにして郵便法の成立を早急にお願いできましたならば、私は、さっそくにいたさなければならないことは、一つは、利用者に対しては御不便をかけずに利用願えるような対策をとります。一つは、いまの御指摘の、ほかの委員の方からの御指摘がございましたが、収支の見込みをもう少しそのときどきの新しい材料をとらえながら、経済見通しはもう少し先になりましょうが、新しい材料をとらえながら、もう少しコンクリートにしていくということが必要だと思います。また、その段階その段階において、財政当局並びに総合経済企画の関係と折衝いたすことももちろんそういたす所存でございます。
  215. 久保等

    ○久保等君 まだ私の質問が残っていますが、予定がほかにありますしいたしますので、きょうのところは、この程度で終わっておきます。
  216. 野上元

    委員長野上元君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。     —————————————
  217. 野上元

    委員長野上元君) この際、連合審査に関する件についておはかりいたします。  郵便法の一部を改正する法律案について、物価等対策特別委員会からの連合審査会の開催の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、ただいま御決定願いました連合審査会を、来たる六月二日午前十時に開会いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  219. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  次回は六月二日午前十時より連合審査会を、午後一時より逓信委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十八分散会