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1966-05-26 第51回国会 参議院 逓信委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月二十六日(木曜日)    午前十時三十八分開会     —————————————    委員異動  五月十三日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     久保  等君  五月二十五日     辞任         補欠選任      鈴木  強君     竹田 現照君  五月二十六日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     森中 守義君     —————————————  出席者は左のとおり。     委員長         野上  元君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 松平 勇雄君                 久保  等君                 竹田 現照君                 永岡 光治君                 森中 守義君                 横川 正市君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵政大臣     郡  祐一君        国務大臣     藤山愛一郎君    政府委員        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省貯金局長  稲増 久義君        郵政省簡易保険        局長       武田  功君        郵政省経理局長  淺野 賢澄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        経済企画庁国民        生活局参事官   矢野 智雄君        郵政省人事局審        議官       土生 滋久君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○派遣委員報告郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————
  2. 野上元

    委員長野上元君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  初めに、理事会打ち合わせ事項について御報告いたします。  本日の委員会は、派遣委員報告を聞いた後、郵便法の一部を改正する法律案質疑を行なうことになりましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 野上元

    委員長野上元君) この際、委員異動についてお知らせいたします。昨日、鈴木強君が委員辞任され、その補欠として竹田現照君が選任されました。     —————————————
  4. 野上元

    委員長野上元君) 派遣委員報告に関する件を議題といたします。  先般当委員会が行ないました郵便法の一部を改正する法律案審査に資するための委員派遣について、派遣委員から報告をお願いいたします。
  5. 光村甚助

    光村甚助君 私は、新谷委員松平委員永岡委員及び石本委員とともに、去る五月十二、十三の二日間、郵便法の一部を改正する法律案審査に資するため、名古屋市において学識経験者等六名から、それぞれ本案に対する意見を聴取してまいりましたが、その記録が整いましたので、これを委員長のお手元に提出いたしますから、それによって報告にかえたいと存じます。  右、簡単でありますが御報告申し上げます。
  6. 野上元

    委員長野上元君) ただいまの報告にありましたとおり、別途文書による派遣報告が提出されておりますが、これを本日の会議録の末尾に掲載することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 野上元

    委員長野上元君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     —————————————
  8. 野上元

    委員長野上元君) 郵便法の一部を改正する法律案質疑を行ないます。  質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 竹田現照

    竹田現照君 前回委員会で私の質問に保留になっている点がありますから、その点から先にお答え願います。
  10. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 前回の御質問で、新しい第一種——現在の一種と五種を統合した新しい第一種について原価計算をやるとどうなるかという御質問でございまして、それにつきましてのお答えを調査の上ということを申し上げたわけでございます。新しい一種は、四十一年度収入支出原価の予想をいたしますと、差し引き九十八億円ばかり損益計算上一応利益になる、そういう見込みでございます。
  11. 竹田現照

    竹田現照君 各種別の……。
  12. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 二種が十一億余りの損、三種が低料その他合わせまして七十二億ばかりの損、四種が、これは金額は少のうございますが、通信教育盲人用点字、農産種苗合わせまして四億五千万円ばかりの赤でございます。書留と速達が合わせまして二十三億ばかりの黒、小包が二十八億ばかりの欠損、差し引きいたしまして四億一千三百万円の黒ということになります。これは内国郵便だけにつきまして推定いたしたものでございます。
  13. 竹田現照

    竹田現照君 いまのお答えで、特に三種料金改定をしてなおかつ、前回説明をいただいた三十九年度に比べて八億円ばかり赤字がふえることになるわけですが、料金改定をしてなおかつ赤字がふえる。片方、一種は現行の五種と合わせて約三十七億ですかの黒でしたが、九十八億というと約五十億、黒であるものを倍近い黒にしておいて、赤である三種はさらに改定後なおかつ八億円からの赤字が積み重なっていくという、こういう形の料金改定というものはちょっと理解ができないわけですが、審議会答申をそのまま尊重していない点もあわせまして、この点について大臣から、いかなる理由か、お答えいただきたいと思います。
  14. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに、第三種について直接経費をまかない得ますような状態まで改めてまいるということは、私は目標として持っていなきゃいかぬと思います。ただ、現に低料扱いにつきましても五割を上げておるという程度、これ以上この際上げるということは無理があるであろうという考えで、この際はその程度にとどめました。したがいまして、文化的な意義あるいは経済的な意義、いろいろなことを込めまして、三種についての赤字というのは、御指摘のとおりこれは現に出ております。この点については、私は少し長い目でものを解決していかなきゃならぬと思っております。
  15. 竹田現照

    竹田現照君 いまのお答えの、長い目で考えていくというのですが、最近の三種赤字は年々ふえていく一方である。それにもかかわらず、文化的政策云々ということは審議会でもいろいろと言われておりまして検討されたようでありますが、この点が審議会答申をそのままでなく、むしろ、上げ幅が少ないわけですね。郵便料金の問題でこの三種が一番問題点になっているわけですが、その長い目で解決するというのは、どういう具体的な方策があるのですか。
  16. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 三種経費が相当増しておりますので、結果といたしまして、値上げをしてもなおかつ赤字が若干ふえるというようなことになっておりますが、値上げの率について見ますと、三種は低料とそれ以外のものを合わせまして、三十九年度収入が三十三億ございます。四十一年度収入は、これは四月から六月まではまだ値上げしておらないわけですが、四十二億ございます。平年度に換算いたしますと四十四億ぐらいになる。三十九年度の三十三億から四十一年度を平年度に直しますと四十四億、十一億ふえまして、増加率は三割三分ということになっております。経費のほうは二割一分強の増加でございまして、確かに、コストがだんだん増していくというような現況でございますので、金額の絶対額は差し引き赤字が少しふえるということになっておりますが、傾向としましては、逐次是正されているというふうに考えられます。
  17. 竹田現照

    竹田現照君 そういう御説明ですけれども、長い目というのは、今後何年かの計画でこの赤字がふえていくことを減らしていこうという考え方なわけですから、具体的などういう方針をとられるのか。
  18. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 三種一種等料金の比較を見ますと、二十六年の料金改正の際には一種が十円、低料三種は一円でございました。それが今回の改正によりまして、十五円と三円ということになります。はがきにつきましても、五円と一円との比率が七円と三円という比率になっております。まあ郵政審議会答申等もございます。いままでのいきさつとか、現在なお大部分は辺地の講読者負担しておるということなどもあわせまして、ただいま申し上げたような二十六年以来の経過をたどっておるわけでございますし、今後もそういうような趨勢ないし傾向というものが根本的にひっくり返る、あるいはひっくり返さなければならないというふうに私ども関係考えておりませんし、ただいまのような傾向が今後もいろいろな機会にそのまま続くことになるのではないかというふうに考える次第でございます。
  19. 竹田現照

    竹田現照君 このまま続くということは、それじゃ、いま大臣の言った長い目で何とかということと、どういう関連があるんですか。大体一種三種は先ほど十円と一円と言われましたけれどもたたき台が大体不均衡なんですね、料金の一円というのが。このたたき台がもともとバランスがとれていないものをもとにして、今度十五円と三円になったから、こういうことを言われても、これはちょっと筋が通らない。いま言ったように、大臣が長い目で解決をするというのと、いまの郵務局長答弁とは、ちょっと食い違いがあるんじゃないかと、そう考えますが……。
  20. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 料金改定等機会が今後いつまいるか、にわかに予測できませんが、機会があります際には、絶えず三種一種、二種との関係、あるいは原価計算の結果、一昨年いただきました郵政審議会答申の精神、そういうものは絶えず十分尊重し、念頭に置きながら対処してまいる、こういうことになろうかと思います。大臣がただいまお答え申し上げましたような趣旨が今後いろいろな機会に生きてまいるというふうに私ども考えております。
  21. 竹田現照

    竹田現照君 この定期刊行物購読者負担軽減をはかるということは、これは文化的政策意義を十分に考慮してと、こういうようなことであります。この文化的政策意義というのは、大体どういうふうに定義づけられるんですか。郵便料金考える場合の文化的政策意義というのはどういうことですか。
  22. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 日刊新聞等を主力にいたしまして、現在第三種郵便物として扱われておりますものが、日本の現在の社会におきまして、文化水準を維持し、あるいはそれを向上させていくということについて、相当まだ私は社会的意義を持っている、そういうような答申趣旨であるというふうに解釈しております。
  23. 竹田現照

    竹田現照君 この三種定期刊行新聞日刊新聞で言いましても、これはみそもくそも一体になりまして千差万別、文化的意義と言いましても、きょうここに持ってきておりませんけれども、あちらこちらにはんらんする何とか観光新聞とか、いわゆるエログロ新聞に類するようなものも、これは全部三種認可になって定期刊行物ですよ、これは文教にも関係をするかもしれませんけれども、そういうことを十分に分析をして、なおかつ低料扱いということに慎重に考えていただかなければ、後ほど質問する問題と関連をいたしますが、戦後雨後のタケノコのように次から次へと出てきたこの新聞、何でも三種認可をとっておけば文化的政策意義があるというこの一点に集約をされていろいろと検討料金低減その他というものを考えなければならぬかということについては、これは問題があると思うのです、問題がある。だから定期に発行され、有料で頒布され三種認可基準に合致していれば、それで三種認可をする、したがって、郵便料金もそれを適用せざるを得ないのだというように、常識的にはお答えになるかもしれませんけれども、この文化的政策意義というものをもう少し厳密に考えた上で、この郵便料金改定問題についても考えていただかなければ、一種のように、かれこれ四十億からの黒字になるものが、いまの御説明でも、約百億近い今度の黒字になっている、倍以上です。ところが、いまお話ししたような三種のような問題は、依然として赤字が累積されていくと、こういうことでは、前回委員会で私が指摘をしたように、一般の国民皆さんは何で黒字のものが今度さらに倍以上も黒字にして、赤のものはさらにその赤字をふやしていくのだというようなことでは、私は、国会でどんな答弁をされても、国民は素直には理解をしないと思います。ですから、そういうようなことをもう少し国民皆さんにわかるようにこの点は御説明をしていただかなければいけないのではないかと、そういうふうに思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えなんですか。
  24. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 詳しくは政府委員からお答えいたしますが、私はこう考えております。当委員会でも申し上げておりますように、郵便物増加、これも厳密に言えば、必ずしも物が増加するということは、すぐ黒にはならぬので、赤字のふえる要因にかえって逆になると思います。しかし、全体として見れば、やはり郵便物増加ということは、これは国民生活の安定なり国民全般の向上と私は比例していくと思います。そういうこれからの趨勢というものは一体どういうのが堅実な趨勢であるかということは、これはまたいろいろと考えなければいけません。しかし、とにかく一つ趨勢は起こってまいります。そうすると、一体郵便物全体の中で三種というものはどんな地位を占めていくであろうか、これは私は、この郵便料金改定をお願いする機会一つの大きい宿題を私どもはかかえているのだと思っております。その場合に、今度は御指摘文化的、これは確かに第三種郵便物の認可基準というようなものもよほどこれは考えなければならない。しかし、基準だけではどうにもならぬ点があると思います。ただ、しかし、大量的な観察でございますけれども日本の現在国民文化水準から言うて、やはり新聞というものを郵便によって届けられ、そうして読むということ、これは何か一つ土台の、国民の、非常に大きく申せば民主的な生活の——なるほどテレビ、ラジオ等発達はいたしましたけれども郵便によって日刊紙が届くというようなところについては、かなり国民生活水準と申しますか、文化水準と申しますか、それにつながる大きい要素があるのじゃないだろうか。ただ、今度、それじゃ、いわゆる第三種郵便物のほうは、おっしゃるとおりの点がございます。これは数の上から言えば、大量観察で言えば、ごく一部かもしれませんけれども、この問題というものは、私は確かに考えていかなければならぬ問題だと思います。一口に言う、第三種郵便物というものを、私ども、ややいままでの固定化された考え方で扱っている点、これは考え直さなければいけないと思っております。そうした第三種郵便物の認可基準等について、またいろいろと郵務局でも考えております。そういう点はひとつ政府委員からお聞き取りを願いたいと思います。
  25. 竹田現照

    竹田現照君 それでは、時間があまりありませんから、深追いはいたしませんけれども三種郵便の、とりわけ、この新聞の問題ですね、これは新聞公共性というか、公益性というか、文化性というか、いろいろと理屈はつけられますけれども、これは公取なんかにも関係あると思いますけれども、読者の負担になっているから、それは新聞の値段とは関係ないかもしれませんけれども、これはやはりいまの新聞業界のあり方、なべかまからやってただで新聞を読ませる、いわゆる各紙がああいうことをやっているということは、これは新聞経営がある程度潤沢だから、料金が少し高いからああいうことができると思うのですが、そういう全般の問題を含めて、これは一郵政省ばかりでなくて、政府全般——新聞は社告一枚で上げるというのですね、自分のことだからあまり値上げ反対は載らない、委員会でこういうことを質問しても、おそらく新聞には絶対載らない。国民は困ったことだと思っているけれども新聞値上げには困ったことだと思っているけれども、世論を無視して一方的に次々上げていく。そういうことで新聞の暴力というか、新聞のおそろしさというか、そういうことはそれは確かにあると思いますけれども、これは政治家から何から全部ひっくるめて、こういう問題についてやっぱり政府としては考えてみる必要があると思う。  それとあわせて、そういう事態であるにかかわらず、この文化的政策意義をということで、とりわけ、郵政省だけが膨大な赤字をしょって、これにまあ一生懸命財政援助をしているようなものですね。そういうことを続けていくということは、私は政府政策としても考えるべきだと思うのです。  そういう問題を含めて、先ほど郵務局長からお話があった一種、二種、国民皆さん大多数が出される郵便とのバランス考えて、将来郵便料金改定のときには、いまのたたき台土台にしないで、三種郵便物はどうあるべきかということを、もう少し具体的に政府全般としてとらまえて、検討を加えた上で、郵便料金の問題を一郵政省にまかせないで検討を加えられてしかるべきだと思うのですが、この点について大臣のほうからお答えをいただきたいと思います。
  26. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) このたび種類体系変更をいたしましたことは大きい改革だと思います。しかし、私は、それで郵便についての体系が終わっているものじゃないと思っております。ただ、何ぶんにも国民全部と関係のあるものでありまするから、安定性合理性と申しますか、安定性と進歩と申しますか、こういうことの調和ということは非常に大事だと思っております。したがって、御指摘になっております点は私も伺いながら、また郵便業務の上から第三種郵便物というのはなかなか従業員の手数の上でもかなりやっかいなものであることを、乏しい私の経験でも、しばしば聞かされておるような点もございます。そうした点で、一つは、竹田さんが御指摘になった新聞料金というような問題も一方ではございましょう。しかし、郵政部内におきましても十分考える問題を持っておりますことを私もよくわきまえておる次第でございます。したがって、そういう点についてひとつもっと吟味を重ねさせますように、私自身この郵便法の御改正を願いましたあとに、現に法律改正をお願いしている有線放送電話についてまた郵政審議会に御審議を願う問題があるのですが、それよりもっと広いやはり郵便事業自体についての郵政審議会の御審議をお願いする問題があるように私は心得ております。十分御主張の点は私も相当共鳴する部分がありまするので、研究さしていただきたいと思います。
  27. 竹田現照

    竹田現照君 それではその点は終わりまして、仲裁裁定が出されましたけれども、これに対する政府の態度はまだきまっておらないのですが、新聞で承知するところによりますと、この郵政事業は、郵便料金改定の問題とからんで、国会の議決を郵政だけは求めなければならぬだろうというようなことが報ぜられておりますけれども、この裁定料金改定に及ぼす影響というものは、四十一年度ではどういう結果を招くのですか。それと、明年度以降二、三年後の推定は出ておると思うのですが、この料金改定と今回の仲裁裁定の及ぼす影響、これはいかがですか。
  28. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これは御承知のように、四月一日以降基準内賃金を六・五%引き上げを主たる内容といたしております。したがいまして、郵政事業特別会計における本年度所要財源は約百四十二億に相なります。そのうち、郵便固有業務に属しますものが六十六億ございます。そういたしますと、他の委託業務は、貯金保険電電、それぞれの財源の調達は可能でございまするけれども国有業務について、もちろん特別会計の中に予備金もございまするから、それらを使うことといたしましても、なお節約等をいたさなければ相ならぬ。これがただいまの予算中身である郵便法改正との関連が生じてくるというわけです。
  29. 竹田現照

    竹田現照君 具体的に数字でどういうことになりますか、裁定完全実施ということで。
  30. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) ただいま大臣申し上げましたように、全部で百四十二億と相なる予定でございます。それで、そのうちで、郵政固有業務が約六十六億円ないし七億円、それから他会計から繰り入れます分がその残りの七十五億円余り。それを、中身を見てみますと、貯金会計から約二十四億円、保険会計から二十六億円余り電電公社から約二十五億円、こういうふうにただいま考えております。郵政固有業務につきましては、いま大臣が申し上げましたように、予備費並び節約、こういうことになると考えております。
  31. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、あれですか、予備費その他の流用で今年度仲裁裁定実施は、この改正法律案が通るという前提ですね、前提考えた場合、それは別の措置をしなくても可能だと、こういうことに判断してよろしいですか。
  32. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 郵便法改正を通していただきませんと、予算執行自体、今年度予算全体にも影響してまいります。これを通していただきますと、ただいまおっしゃいましたように、仲裁実施は可能になる、かように考えております。
  33. 竹田現照

    竹田現照君 そこで大臣は、この間も冒頭お聞きいたしましたように、この料金改定実施に移されると、今後少なくとも五年間ぐらいは法律改正の要はないだろうという見込みだとお答えになっているわけですが、今回のような仲裁裁定は、今度のような仲裁裁定というのは想定をされておらないわけですね、予算編成の中では。まあ来年以降どうなるかわかりませんけれども、今回の仲裁裁定で要する財源、こういうことをはじき出して、大臣お答えになりました今後五ヵ年間の料金改定は必要はないだろうという、その考え方変更はありませんか。
  34. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私ども今後の物価の推移、郵便物趨勢、こうしたものを要素のうちに入れて五ヵ年間の今後の収支の見込みをつくっております。そうして、その場合に、将来またことしと同じような形になるか、それはなかなか予測のしにくいことでございます。私はそういういろいろな、やや不確定な要素ではあるが、しかしまた考え得るいろいろな場合を見てみて、非常に大量観察ではありまするけれども、五ヵ年はもち得る、また、そうしたもたすだけの中身を努力をしてまいるということで五年間もっていけるというぐあいに考えております。
  35. 竹田現照

    竹田現照君 ここはちょっと大事なところですから、将来また人件費増高その他を理由にして、特に郵便事業人件費が大半だ、こういうことがいろいろ理由になっているわけですから、いま大臣の言明は、そうすると、ことしの予算でいわゆるベース改定定期昇給を含めて、ある程度改定は見込まれておったわけですから、今回のような裁定というものとの差はどのくらいありますか、この予算の中では。実際的に予算で見たものと、それから裁定実施に伴う差額は幾らですか。郵便だけでよろしいです。
  36. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 実は今回は予備費を二十億見ておりましたのと、それから例年に比べまして事業の、まあとにかく今回の予算近代化、それから正常化、こういった面の編成を主眼として予算編成をさせていただいたわけでありますが、特に高齢退職等できる限り推進をいたしたい、こういった面から、例年に比べまして退官退職を非常に多く見込んでおった、そういう面もございますので、今回は幸いにして、仲裁が出ましても必要以上に非常に十二分に見込んでおりました退官退職等を持ってまいりまして仲裁実施に充てるように、かように考えた次第であります。したがいまして、数字の面から見てみますと、今回の仲裁に対する分は、当初は予算の中に入っておりません。そういった面から、予備費とともに実施できるように相なっておる、かように考えております。
  37. 竹田現照

    竹田現照君 ちょっとわかりませんが、今年度仲裁実施で六十六、七億かかるわけですね、先ほどの答弁では。これは予備費その他の——予備費の二十億を含めて料金改定が通るとすれば実施は可能だ。そこで、いま経理局長お答えで、退官退職者の、大量にやめていただくことを前提予算を組んだというようなお話があったが、これはちょっと聞き違いかどうかわかりませんが、そういうようなものを圧縮してこの六十何億をまかなう、そういう努力をしてまかなうからことしはできる、そういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  38. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) さようでございます。
  39. 竹田現照

    竹田現照君 そうすると、大臣、先ほどからお答えになりましたように、今後五ヵ年間影響ないと言いますが、企業の何といいますか、飛行機を使うとか、あるいは、いろいろなことがたくさん出ておりますが、ああいう問題はあれですか、当初の計画どおり行ないつつ、なおかつ人件費のしわ寄せをしないで実施できると、そういうことですか。もしできないとすれば、人件費はまかなえるだろうけれども、いままで衆議院以来の審議の過程でいろいろと当局が——郵政当局がお答えになってまいりました国民皆さん郵便を少しでも早く届けるためのいろいろな措置というものに大きな変更を来たす結果になると思うのですけれども、そういう点は心配無用と理解してよろしいですか。
  40. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいま経理局長が申しましたのは、ことしの仲裁裁定が出たと、これは仲裁裁定は尊重せにゃいかぬ、そうすれば、これは郵政事業には御理解の深い委員会のことでありますから、私どもとしては、何とかしてこれはやっていくというくふうをせにゃいかぬ、そうするとこんなことも考えておりますということを経理局長は申しましたので、事業のこうした近代化なり合理化なり、また、国民にお約束したことは完全に履行しながら、しかし、出てまいった仲裁裁定は尊重してまいりますということを、経理局の現在やっております作業を申し上げましたので、それがそっくりそのようにいたすかどうか、さらに検討いたさなければいかぬことでございます。とにかく、そうして、そういうぐあいにして、一方では仲裁裁定は尊重する、しかし、何と言っても国民皆さん料金値上げの御負担を願うことでありまして、そういたしますると、国民にお約束した大事なことは当然いたさなければならぬことでありまするから、今年度も、もちろんお約束したことは全部いたして、そして、そのほかで何とか繰り延べなり節約なりいたして、事業そのものには影響いたさないでやってまいりますという例を申し上げたわけでありまして、そのような考え方で、来年以降の事業というものついては、収支ともにある程度、不確定要素、これは十分ございます。したがって、収入のほうも、できる限り、さらにふえてまいる収入考え、また、支出のほうでも、増してまいる支出も考えなければいかぬと思います。したがいまして、やや骨格的なものだけを考えて、収支の見込みを立てて、それを五年は維持できるだろう、同時に、こうした将来の仲裁裁定等の問題も、ことしやりますることも、また来年以降どういう形で同じようなことがあるときには、決して事業そのもの、ここで申し上げておりまする近代化、合理化の要点として申し上げまするような点には、何ら影響を及ぼさずに、そして収支の均衡はとってまいる、こういう努力は十分見通しはつき得るということを申し上げ、一例としてことしの例を経理局長申した、こういうふうに御理解願いたいと思います。
  41. 竹田現照

    竹田現照君 そこが、大事なところですから、郵政はかねがね金がないと言われているのですが、仲裁の、省としては、政府としては予想外のことになっていると思うのですが、料金改定を、法律改正案を提案をされたときに、いまのような事態というのは考えておらなかったと、それで、かなり大幅な金を必要とする、今年度が六十六、七億、来年度は、これも同じだ。そうすると、これは物数の伸びその他というものは、これは不確定要素でありますけれども、いま大臣お答えになったようなことでやっていくと、いままで国会説明がされてきておったことには、かなりゆとりのある隠し財源があるというか、そういうような問題が考えられておったというふうに理解してもいいですか。それでなければ、手品じゃありませんから、こんな仲裁が出て、五年間も依然として改定をしなくてもいいということになると、ちょっとしろうと頭じゃ理解ができないわけです。国会で議決を求めなきゃ仲裁ができない。この郵便料を通すためのゼスチュアかもしれませんけれども郵政省の。だけど、その点がはっきりしないと、私に答弁をするというよりは、これはやはり郵便法の成り行きを見ている国民全般の立場から、その点ちょっとはっきりしてくれないと、人件費がかかり過ぎたんだから、近代化はやむを得ないのだ、全部それをやったから、飛行機一台というのを半分にするわけにいかぬけれども、二台のところを一台にした、札幌から東京まで、このごろぼくのところへ来る手紙でも六日間ぐらいかかっているのですが、これは約束できますか、飛行機を利用することになっているから、一日で着く勘定になるのですから、そういうことが具体的にですよ、心配無用だと、このことはやりますと。それは、大きな経済変動のときを私は言っていませんけれども、現在のような趨勢でいった場合に、依然として大臣言明はそのまま信用しておいてよろしいですか、この点について、もう一度はっきりお答えいただきたい。
  42. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これはもうしろうととおっしゃったけれども、非常にくろうとである竹田さんあたりは、この郵政事業に隠し財源など、含み財源のつきようのない種類の事業でありますこと、よく御存じのとおり。ただ何と申しましても、相当大きい合計であります。したがいまして、いろいろな予見はできないが、同時に事柄は、事柄としてはあり得るというようなことはございまするから、そうしたものについては、これはいまから少しも早く郵便法の御可決を願いましたら、さっそくかかろうと思っておりますることは、何とかしてこの七月以降というものを、体制を、思い切って能率的な、何と申しまするか、むだのない事業にいたしてまいりたいと思っております。その努力を国民へお訴えすることもございまするし、また、内部におきましては、でき得る限り同じものでも効率的に利用するようなことでやってまいらなけりゃいかぬと思っております。これはほんとうの心がまえが大事だと思うております。そのような意味合いでいろいろな努力を、一口に申せば、企業努力でございましょうし、それを郵政事業として最も適当なやり方でいたそうと思いまする。そうしたことをあわせて見込みながら、そうして五ヵ年間あるいは五ヵ年以上の経理というものを確実にしてまいりたいと思っております。
  43. 竹田現照

    竹田現照君 それじゃ、もうだいぶ大臣も苦痛で答弁をされておりまするから、これ以上言わないことにしましょう。しかし、今回のこの審議の過程の中で、いろいろと言われてきたことが、近い将来、また郵便料金改定のときの審議の際に、何だあのときは三百代言だったと、こういうようなことを言われない万全の措置を郵政省はとって対処をしていただくことを特にお願いをしておきます。  それで、今度はひとつ専門的なことを。今度、一種に五種郵便を統合いたしましたけれども、これはこの間もお答えをいただいたように、まあ種類体系の合理化だと、こう言っているわけです。そこで、現に五種郵便を利用しているものが、この措置によって大きな弊害を受ける、こういうような問題、この場合にも、救済措置というものを郵政省考えておられないことを非常に残念に思います。学術雑誌その他については検討をされておられるようでありますが、とりわけ、同人誌、学術誌、これはこの中で学術誌は四種の中で考えておられる。それから同人雑誌あるいは写真、こういうようなものが今度の改定で相当の値上がりになります。これは最高の値上げであります。ところが、これは三十六年改正の際に、これはかなり大幅に値上げをしたものなんですね。それが今度再び追い打ちにかかっていて、これは郵便料金改定に伴ってつぶれてしまうというようなところすらあるわけです。したがって、こういうことについてどうお考えになるのか、この種のものに対して取り扱い上何らかの措置をとられるお考えはないのか、この点をまず最初にお聞きをいたしたいと思います。
  44. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) このたびの郵便法改正の大きな眼目の一つは、一種と五種を統合いたしまして、今後相当まだふえてまいります郵便を能率的に、合理的に処理する体制を固めようということであったわけでございます。その際、やはり一番問題になりましたのは、特に現在の五種の中の大型の郵便——一番代表的なものとしてよくダイレクトメールなどがあげられたわけでございますけれども、これはコストも一種郵便と比べますと相当高い。昔、郵便物が非常に少なかったころ、局舎なり人手なりのあきを利用するというようなこともありまして、安い料金が設定されておりました、五種全般が。現在の段階になりますと、局舎も広く食う、運送についても相当問題が多い。しかも、これが開封で料金を安くしておりますために、開封にしなければならない。大事な郵便がその中にはさまったりする。機械にもかからない。これを何とかしなければならないというのが、この法改正の大きな目的の一つであったわけでございます。総体としまして料金の上におきましても、取り扱いやすい形、従来のものを料金も安くし、送達も少し優先するというようなことから、全体の郵便物をそういう方面にだんだん持ってきて、他方、予算上の措置、機械化その他のあれをはじめといたしまして、この少し行き詰まり的な様相を見せました郵便事業について、新しい生命を吹き込み、新しい局面を開いていこうということであったわけでございます。その際、いわば取り扱いやすい形になれないものの中で、学術雑誌あるいは書籍等につきましては、昭和三十六年の改正以来のいきさつもございまして、当時から非常に強くこれらの料金についての是正が各方面から言われ、郵政審議会等でも取り上げられておりました。そういうものにつきましては、今回の料金改正でそれぞれ安い取り扱いをするということになったのでございますけれども、それ以外のものの中にも、確かに質的に見ますと、あるいは三種に近いようなものとか、あるいは学術雑誌と似たような扱いをしてもいいのではないかと思われるようなものもないとは申せないとも思いますが、郵便の取り扱いの面からしまして、やはりどういうふうにそれを区別していくかどうかということについての名案もまだ、問題が特に最近起こってまいりました関係もございますし、有効な合理的な方法というものが十分まだ私ども考えついておりません現在の体系で、総体として郵便事業を、国民利用者の方々が期待している方向に持っていくということを主眼としてやったわけでございまして、その間、御説のように、同人雑誌等の料金が若干高いというようなことが出てまいったわけでございます。
  45. 竹田現照

    竹田現照君 ダイレクトメールという最近特に郵便事業に非常に大きな負担をかける、こういうものを対象にいま私が質問しているものと一緒くたにして料金を大幅に上げてしまう。その結果、同人雑誌というものは昔からあったわけですね、こういうものがつぶれてしまうというような事態を配慮をしない、私は同人雑誌を考えなければけしからぬ、こういうことは言いませんけれども、そういうことを十分に配慮するということが文化の先駆だと郵便事業は言っているのだから。昔の逓信訓に書いてあった。いまでもその点は変わりないと思うのですが、ところが、その文化の泉あるいは文学の泉、あるいは地下水、こういうような役割りを果たしているようなものを、現に郵便料金改定によって非常にその運営が危殆に瀕しているというようなことがわかるとすれば、これはやはり、事が郵便事業であるだけに、私は考える必要がある、早急に。これは五種の郵便は、ダイレクトメールは、十ぱ一からげでありますが、あれでしょう、昭和二十年から見ますと、十銭、三十銭、一円二十銭、昭和二十六年に八円、三十六年に二円上がって十円になり、二円の値上げだと思ったら、ここで目方が半分になってしまったわけだから、これはその当時八円ないし十六円であったものが、一挙に三十円も払わなければ雑誌一冊送れない、そういうことになった。それが今度はさらに単価で十五円の値上げ、十五割の値上げです。こうなりますと、私もきょうたくさんいろいろ持って来ているのです、陳情たくさんあるから。これは郵政関係ある「逓信同窓会」、これは七十グラムありますが、これ三十五円かかる。これは「新次元」、こういう本、これは現行三十円のが五十五円かかる。ここにたくさんありますけれども、たとえば、こんなもの、せいぜい同人雑誌というのは五百部か千部出ているのが精一ぱい。これは一冊原価二百二十円かかるそうです。ところが、こういうのは毎月五十円か百円の会費を取って、あるいは旬刊であり、あるいは季刊であり、そういうようなかっこうで発行しているのが実際なんです。そこで、あれですね、日本の文学の発展、あるいは既成文学の退廃、こういったものをいささかでも何とか正そう、あるいは日本文学の中に少しでも寄与しよう、そういうようなかっこうの性格のもの等を含めて、非常にささやかにやっているわけですね、こういうものは。ところが、いま私が質問しているようなべらぼうな倍近くも上がる。これは三十円が五十五円に上がるとすれば、まあ倍になるわけですから、これは私が最初質問した三種文化的意義云々ということをあえて聞いたのはここのところなんです。こういうことと関連をして、私は結果的に、新聞社というような強いものには郵政省も弱いけれども、こういう巨大な組織を持っていない、ささやかにやってなおかつ文学にいそしんでいる、あるいは、それに類するもの——しょせん弱いものはがまんをして、しかも今度の料金改定前回の三十六年を含めて一番料金改定の被害を受けるのだ、これは文化事業とみずから自負している郵政事業を預かっている当局者としては、配慮が少し足りないことは遺憾なことだと思うのです。これの事情はわかると思うのですが、どうしようとするのですか、こういうような事態を。これはいたし方ない、それだけでは私は納得しない。
  46. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 従来の一種と五種との関係におきましては、五種が少なくとも料金の面では非常に優遇されていたわけでございます。最近の郵便の運行の点などから考えました場合には、あるいはまた、コストが五種のほうが一種と比べますと相当高くなっているというようなことなど考えました場合に、今後依然として料金の面で五種を、従来の五種を優遇し続けるということが、一方では財政の面からしまして、他方では、また技術的な、どこではっきり区別をつけ得るかというような有効な区別のしかたというものを十分、現在、私ども発見と申しますか、考えついておらないということの二つの理由からいたしまして、学術雑誌とか書籍のようなものは、いままでも各方面のいろいろな御意見等もあり、また、技術的な方法などもいろいろ考えまして、今回御提案を申し上げたようなことになったわけでございますけれども、従来の五種につきましては、ただいま申し上げましたように、財政上の理由からも、また、はっきり区別して抜き出して料金上優遇するという有効な方策というものを現在まだ十分考えついておらないということなどから、今回のような案でお願いいたしているわけでございます。
  47. 竹田現照

    竹田現照君 これは衆議院の公聴会でも、学術雑誌の問題について、わが党の委員もいろいろと言っておりますが、あれですか、学術雑誌にも、おそらくこれはだめだということを言われると思いますが、文学、この同人誌ですね、特に文学だけを取り上げて言いますが、この文学というようなものは学術の中には入らないと考えていいですか。
  48. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は、学術雑誌の判断でございますが、学術団体が発行している学術刊行物というくくり方をする、しようということにしておりますが、学術団体が発行する学術刊行物という範囲には、一般の同人雑誌等は含みかねるのではないかというふうに考えております。
  49. 竹田現照

    竹田現照君 いや文学というものは学術の範疇に入らないのかということを聞いているのです。
  50. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 文学を研究するという点は学術の領域に入るような感じがいたします。まあ、私、しろうとでございまして、十分その点についての自信はございませんが、そういう感じはいたします。
  51. 竹田現照

    竹田現照君 入るとすると、学術雑誌の部類に入れてもおかしくない、こういうふうに理解していいですか。
  52. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) ちょっと、私、ことばが足りなかったかと思いますが、文学を研究するという点は学術の領域のような感じがいたします。文学そのものが学術か芸術か、そこらのことになりますと、いま、私は、十分自信を持ってお答えできるまでに至っておりません。
  53. 竹田現照

    竹田現照君 今度の改定で、この学術雑誌だけちょっとゼスチュアだけ値下げをしているわけですよ。値下げですね、これは。そういう配慮があるのであれば、いま私が質問している主要な件についても、当然配慮があってしかるべきではないかと、こう言っているのです。学術雑誌だとか——ガン学会だとか、胃腸学会だとか、整形外科学会だとか、そういう医学会からいろいろとあると思うのです。文学だって、これは学がついているのですからね、一つの学術……。大学に文学部というのがちゃんとあるのですから。ところが、文学というものは、・小説家の皆さんからいったら一つの団体——小説家協会ですか、そういうものもあるにはあるけれども、これは既成の作家ですね。それまでになる一つの素材なんですよ、実際この文学活動というものは、この同人誌なんというものは。そういう点から、ようやくいま、郵便法も、上がる上がらないは別として、審議が終末になる段階になって、これはたいへんなことだということで、ぼくがこれを取り上げると言ったら、あちらこちらから毎日のようにいま陳情がこう来ている。ところが、郵務当局といろいろと事務的に話をしてきたけれども、さっぱり煮え切らないわけですが、こういう問題はやっぱり文学——学術雑誌も政治的に考えていることだし、三種の低料金もこれは政治的な扱いだし、そうすると、郵便料金もこれは政治的にいろいろきめられる性格、要素というものは持っているわけですから、こういう現に郵便料金——戦争中は軍がこういうものをぶっつぶしてしまったのです、危険思想だとかなんとかと言って。これがしかし、いまのような平和の世の中だと言っているときに、文化の先駆であるべき郵便事業料金改正によってこれがつぶされるというような事態になるということは、これは郵便事業にとって、はなはだ遺憾なことだと言わざるを得ないわけです。したがって、こういうことについて、いますぐ法律改正をして出せと言っても、これはむずかしいでしょうけれども大臣、政治的にも、また実際的にも考慮をする、あるいは早急に検討をするとかという点についての配慮はなされないものですか。
  54. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 学術雑誌の範囲につきましては、それぞれ学会等で明瞭なものももちろんございます。それで私は権威ある機関の意見を聞いて、そうして郵政審議会にかけてきめるというような、だれが見ても筋の通ったものであれば、その幅が相当広範囲にわたりましても、そのことは差しつかえない。ただ、学術雑誌と言った以上、それが同じようにまた権威ある判断をしてもらうことを期待したいと思います。私どもはそうして一応の標準を得ました上で、郵政審議会にかけるというような手続できめたいと思います。
  55. 竹田現照

    竹田現照君 それは大臣、学術雑誌、それはわかるが、私が先ほどから質問しているこの件についてです。同人雑誌あるいはこういうものに類するもの、あるいは中学、高校、大学もあるでしょうけれども、同窓会誌というようなものですね、こういうようなものが、大臣御承知のように、きわめて安い会費で年に一回あるいは年に四回とか、そういうものを出しているものを含めると、これはたいへんな数ですから、どこらで線を引くかということはむずかしいであろうということは、私も十分わかりますが、最初から言っているように、この料金値上げによって、この発行経費の半分近いものは郵便料金に食われて、にっちもさっちもいかなくなるという事態が出てきている。こういう問題について、それが郵便事業であるだけに、当然、もう少し慎重な配慮があってしかるべきだと思うのだけれども、今度の郵便料金改定、この法律改正を修正するというわけにいかぬだろうけれども、そういう点で近い将来、郵政当局として、私がいま質問している点について配慮をする、あるいは考える——考えると言っても、将来出さなければ別ですよ、将来、そういうことについて何か具体的なものとして提案をされるという前提の上に立って配慮をするというお考えはないか、こういうことです。
  56. 郡祐一

    国務大臣(郡裕一君) いろいろ今度、事実を考えまして、百五十グラムの書籍小包の道を開きました。しかし、こうやって見てみまして、いまお話のような広く同人雑誌、あるいはそれをさらに聞いて見ますと、まことにお気の毒な、たとえば身障者だとかというような方の問題がございます。これらは一つ限って見まして、ただ、それをこのたびの法律改正の経過で考えましたときにも、非常に幅を広げますときりのないことであります。たとえば盲人の点字のようにきちんとわかっているものはあれでございますが、これは郵便事業をなるべく簡単な形でやっていく上にいかがであろうかという点を論じました。そうして一応こういう結末になっておりますけれども、しかし、問題を限って見ますと、私は方法もあると思います。したがいまして、これは研究さしていただきます。また、事実、各方面からの御要望の中にはごもっともだと思うこともございますから、ひとつ、どういうぐあいにしたらものを限ることができるか、そうした点を十分検討いたしまして、取り上げるべきものは取り上げるということにいたしたいと思います。しばらく時間をかしていただきたいと思います。
  57. 竹田現照

    竹田現照君 ここで結論がつきませんから、幾ら論議しておってもしようがありませんけれども、ぜひこれは、今回の審議の過程でそういう意見があったということだけでなく、やはり郵務当局もいろいろと検討をされて、やはり学術雑誌の範囲でもなかなかむずかしいと思います。郵政審議会におかけになると、こういうことですから、これはやはり郵政審議会等にも、こういうような問題について、これはもう各界のいわゆる郵政事業理解ある人を網羅していると、こういうことを言っているのですから、将来、こういう郵政審議会のメンバーには、前回委員会で私は特に要望しているそういう人々も加えられると思いますから、答申を求めていただく等の措置を早急にしていただいて、ぜひ、この全国に散らばっている——組織なんかこんなものはされませんからね、こういう人たちは。組織されないそういう人々のためにも、何らかの福音というか、郵便料金郵政当局のためにつぶれてしまったというようなことの起きないように、これはもうきわめて近い将来に何らかの結論を出して、救済措置をとっていただくように、特にお願いをして、いまの大臣答弁を了承いたしまして、私のきょうの質問を終わりたいと思います。
  58. 野上元

    委員長野上元君) 午前中の質疑はこの程度にとどめまして、暫時休憩をいたします。    午前十一時四十二分休憩      —————・—————    午後一時十四分開会
  59. 野上元

    委員長野上元君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  まず、委員異動についてお知らせいたします。  本日、竹田現照君が委員辞任され、その補欠として森中守義君が選任されました。     —————————————
  60. 野上元

    委員長野上元君) 質疑のある方は、順次御発言願います。
  61. 森中守義

    森中守義君 企画庁の藤山長官にちょっとお尋ねしたいと思いますが、昨年一年は公共料金値上げしないということでとめてありましたが、ことしになってたいへんな大騒動になってきたわけですが、在来、こういう公共料金がたびごとに値上げされる状態の中で、ずいぶん世論も非常にきびしい反対の意見があり、かつまた、国会におきましても審議を通じて、こういうふうに軒並みに値上げされたのではかなわない、そのことが物価に相当強い影響を与える、こういうわけで、もう少し、公共料金はどういうような状態にしたほうがいいのか、たとえば制度あるいは料金のあり方とか、そういう根本的なことについて検討を実はしてもらいたいというようなことが、特別に本会議等の決議というわけでもございませんが、関係委員会等ではしばしば議論をされ、かつまた、政府にその善処を要望してまいっておりますが、今回出された一連の料金の問題等を見てみますと、ただ、もう上がってきたから、少々値切ったと、あるいは時期をずらしたとか、そういうことで、ほとんど根本的な問題に触れられてはいない。したがって、この辺の事情を少しく、直接こういう問題の所管の大臣ですから、お話を願いたい。
  62. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公共料金値上げが引き続いて行なわれた、しかも、それが物価高のときに行なわれたということは、実は私どもといたしましても、まことに残念なことだと思います。しかし、たとえば郵便料金のようなものは十三年も上げないで据え置かれたというような状況でございまして、いつかは上げなければならぬ問題。しかも、当面として郵政事業の財政が赤字になってくるというような状況でございますと、やはり健全にこの事業を運営してまいりますためには上げなければならぬ、こういうことに相なったわけで、それぞれ各種の公共事業等について上げざるを得ない理由があったと、過去においては一年間ストップしたというような状況がございます。それが物価問題にもいい影響を与えたと見られる節もございます。しかし、ただ単にストップしただけでは、翌年に繰り越されて、さらにその赤字幅が大きくなって値上げの率を大きくするというようなことで、ストップ自体は必ずしも完全な解決にはなっておりません。したがって、今日の現状からすれば、公共料金そのものをある程度値上げしていただかなければならないという状況にいわば追い込まれてきたと、こういうことだと思います。ただ、お話のように、この政府のやっております公共事業等につきまして、将来の問題として、あり方についてはわれわれも検討をしてみる値打ちがあるものだと、こう思っておりますけれども、こういう問題は過去の長い歴史もございますし、また、それぞれの性格もございますから、そう一朝に検討が終わるものでもございません。したがって、そういう問題については相当検討してみるとしても、慎重に各方面の御意見等も伺いながら検討しなければならぬのでございまして、今日の差し迫っております問題に引きかえて、そういう問題をすぐに解決しながら扱っていくというわけにはまいらぬ事情に来ておりますので、われわれもやむを得ず料金値上げ、しかも、それをできるだけ内容的には消費者に御迷惑にならぬように、また、その種類等につきましても、あるいは将来の合理化等につきましても、郵政当局がいろいろ苦心をされて改善の方途を講じておられますので、そういうことを勘案しながら、今日の値上げを私どもといたしましても認めたような次第になっておるわけなのです。
  63. 森中守義

    森中守義君 まあ大体経過としてはそういうことでしょうが、いままで広く議論をされた国会等の議論というものは、関係の各閣僚等は、料金値上げというものは、これは財政負担によるべきものじゃなくて、当然受益者負担によるべきだと、こういう意見があるのですよ。ところが、必ずしもそういう政府の見解というものが国民全体の支持を受けるとか、あるいは識者の支持を受けるとか、必ずしも言い切れない点があるのですね。特に私どもが在来より主張してきたのは、財政負担か、あるいは受益者負担かという議論は非常にむずかしいと、これを肯定をする説、あるいは否定をする説、両方ありますよ。そこで、そういう問題がどうしても料金値上げのたびごとに大きな焦点になっているから、このままじゃやっぱりまずい。であるとするならば、経済審議会等もあるのだから、その辺に一ぺん問うてみたらどうかというようなことが具体的な問題の一つなんです。それからいま一つは、たとえば郵便料金の場合は、両院の審議を通じて、郡郵政大臣の御説明によりますと、物価への寄与率は〇・一四%ぐらいだから、国民経済に大きな影響を与えない、こういう意見なんです。国鉄の場合もそのとおり。あるいは消費者米価の場合でもそのとおりです。水道料金の場合でも、個別にそれぞれの業態では寄与率は少ない少ないと、こう言われておるのですね。ところが、先ほど長官が言われるように、なるほど一年間据え置かれたという限りにおいてはよかった、しかし、結果的には、一年据え置いたために軒並みにぞろっとやられた、ですから、個別には寄与率は少ないということになっても、全体を通して見れば、相当な寄与率になっているという、こういうことになるのじゃないかと思うのです。したがって、まずはあり方、あるいは制度というのは、受益者負担か、あるいは財政負担かという、その辺の事情を審議会等にもっと早く問うべきではなかったか、あるいは個別に寄与率は少ないということだけでは、今度のようにこうもぞろっと出てくれば、国民経済に与える影響というものは相当甚大なものがあるのじゃないか、そういうように考えているのですけれどもね。
  64. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体この種の事業が受益者負担でもってやっていくのが私ども適当だと思います。特にまあ何らかの形で公共のために——公共のためと言えば全部が公共のためであって、極端に言えば、受益者が負担しないで、国が全部負担すればいいという議論になるのですが、国がそこまでめんどう見るわけにいきませんし、また、郵便等についても、あるいは国鉄その他の運賃についても、それを利用する人が負担する、利用しない人まで税金という形を通じて負担するということもいかがかと思います。ですから、利用者が負担するというたてまえは、私はくずす必要がないと考えております。そこで、しかし、いろいろ外国等の事例もございますし、たとえば公共性の限界というものもおのずから考えられないわけではございません。ですから、そういうものについて、いまお話のように、あり方を一。へん検討してみたらどうかということについては、私どもも、お説のとおり、今回公共料金等をあずかってみまして、一ぺん各方面の意見を聞いてみたい、こういうことでございまして、いま企画庁でつくりました物価問題懇談会では、逐次そういう問題にも触れていただきまして、検討していただきたいと、こういうふうに思っております。いまお話しのように、消費者に対する影響がそれぞれのものについてはパーセンテージは少ない、しかし、まとめてみれば大きいじゃないかというお話は、まとめてみればそのとおりでございまして、ただ、それが一時に個々にすべてのものを上げなければいけないという状況に、先ほど申したように、追い込まれたような形になっておりますから、そういう全部が影響している、しかし、これが時期等が分散されまして、国鉄はことし上げるのだ、あるいは郵政は再来年になるのだとかいうようなことでありますれば、その効果というものは、やはり個別の出てくる効果になってくると、こういうことにも言えるわけです。ですから、昨年来から今年にかけまして公共料金が軒並み上がったということにつきまして、世間の物価も軒並み上がらざるを得ない、また、軒並み上がったということについて非難が私はあるのではないかと思います。これは今後のあり方として、やはり一般の国民の方も理解していただいて、郵政事業のようなものについては、早目ということばを申してはあれですけれども、ある時期に、むろん一ぺん値上げしたら上げないけれども、まあ、どん底まで経理内容が追い詰められてない前に、ゆとりを持ってやっていただく。国鉄等においてもそうで、そういうものがある時期に一気に出ないで、そうして、ある時期に分かれて出てくれば、それはおのずから国民全体の消費者生活に及ぼす影響というものは吸収されていくということが私は言えると思います。ですから、今後はやはりそういう点について、個々の企業体の方々にも、早目というか、おそ目というかわかりませんが、やはり時期等の問題については、物価問題等を考えられまして、おのずから適当に判断をしていただきながら、そして各種企業のそういう状況については、それぞれの当該御当局が検討されると同時に、経済企画庁あたりでおのずから事前に、早目にお話を伺いながら、そういうものを調節していくということができれば、私は個別価格の値上がりというようなことでいけるのではないか。しかし、いまみたいに、一緒に重なって出てくると、お話のように、それを一つ一つ郵政については〇・一四だけれども、ほかのものを加えていくと大きくなるというと、それはそのとおりでございます。そういう注意は、今後のこういう問題を扱う上において、企画庁等におきましても、各省の調節をする機能を企画庁は与えられているのでございますから、そういうものを十分発揮して、そして事業をしていらっしゃる方も、経理内容が窮屈にならぬように、また、国民もそういうような公共料金が上がる時期等についてもまとまってこないように、企画庁あたりで、もっと積極的に各省とお話し合いをして、そして調節していくことが大事だと思います。
  65. 森中守義

    森中守義君 大体その辺が一番問題だと思うのです。その各企業体と言っても、理由なくして料金を上げる、こういうものはもちろんあり得ないということです。これはあとでいろいろお尋ねしますが、それなりに理由はあるのですよ。ところが、理由はあるにしても、そういうものを取り扱っている企画庁の場合に、なるほど個別の企業は企業であっても、金を払わねばならぬ、出さねばならぬ側は国民ですから、だから、それぞれの理由があるからということでは、ちょっとやはり済まされぬのじゃないか、私はそう思うのです。それで、ことしの値上げ関係を扱ったという、いま長官の言われる物価問題懇談会ですね、この中の記録を企画庁からいろいろちょうだいをして拝見をしますと、もうほとんど物懇でやったという経過らしい経過はありませんよ。それから与党と政府も、こういう経済関係の意思決定機関と言われている経済会議等でも、手続、取り扱いをどうするかという議論に終わったように聞いております。もちろん、そういうものは公の機関でございませんから、ここで議論する対象にはちょっとおかしいと思うのですけれども、要するに、審議会においても、あるいは長官の言われる物懇においても、少なくとも個別の寄与率は小率であっても、これは全体となると大きいものになる、その辺の配慮というか、あるいは対策というものが行なわれていない。そうなってくると、さっき申し上げるように、出す側はみんな同じがまぐちから出るのです。だから、個々の企業がどういう理由であったにしろ、なかなか世間というものは簡単に、そうですかということにはならぬのじゃないかと思いますし、しかも、今日のように物価の基調が非常に不安定な状態においては、一段とそういうことが騒がれてもしかたがないというように私は思うのです。ですから、いま少し今回の鉄道なり、あるいは当初の消費者米価なり、今回の郵便料金とか、たくさん出ておりますから、そういうものを私の理解では、物懇でもただもう形式的に取り扱いを議論したにすぎない。どこでそういう話が詰められてきたのか、ただ、もう値上げの率を値切るとか、時期をずらそうとか、そういうことに終始をして、国民のふところというものはあまり配慮が加えられないで出されてきたという、つまり、政府の経済対策あるいは姿勢というものが、この際はちょっとやはり問題になるのじゃないか。もちろん、物価特別委員会等でこの辺のことが相当詳細に議論されたものとは思いますけれども、いま一度この委員会でも、その辺の扱い方、少し長官からお答え願っておきたい。
  66. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) ただいま森中委員のお話のように、物価問題懇談会は、実はこの一月から発足したわけでございます。そうして、それぞれ国鉄、郵便その他の値上げというものは、昨年の予算編成前に実はある程度方針を決定しなければならない。それまではそれぞれ従来各省に運賃審議会なり郵政審議会なりございまして、過去においては、それらの審議会答申を得まして、そうして、そこで審議をされた結果が持ち寄られてきたわけでございます。しかし、いまお話しのような基本的な問題を少しわれわれも掘り下げてみようじゃないか、その必要があるのじゃないかということで、そろいうことを契機としまして、将来に対しても何らか考えてみなければならぬだろうということで、実は物価問題懇談会をつくりまして、そうして一月から始めたわけでございます。したがって、今回の場合には、いまお話しのような物価問題懇談会等で、国鉄もしくは郵便料金等についての基本的なあり方というような問題について論議をいたし、また、それを通じてこういう案が出てきたわけじゃございません。また、われわれもそういろところの意見を体してこの問題を扱ったわけでございません。ただ、しかし、いま申し上げましたように、そういう基本的にもう少し考えてみようじゃないかということからつくりましたので、今後の物価問題懇談会の活動の中で、そういう問題はひとつ検討していただきたい、とりあえず、いまの物価問題懇談会は、野菜とか、独占価格とか、そういう種類の緊急を要するものをまず取り上げておりますけれども、それらのものが一段落しましたら、公共料金のあり方等についてひとつ取り上げてみたい、こういうことにいまなっております。いままでの経過を見ますと、まだあれは何も論議されていないじゃないかと言われればそのとおりでございます。
  67. 森中守義

    森中守義君 それで、さっき申し上げましたように、この問題は、これはまあ戦後のことではありますが、急激に公共料金に対して世間の目が向いてきたというのは、何と言っても今日の物価ですよ。それで、今回の料金値上げをどうするかという、それ以前の問題として、もっと早目にそういうことをよく考えてほしい、しかも、公共料金はどうあるべきであるかということだとか、あるいはまた、国民の側からすれば、なるほど各企業体において、きびしい企業の合理化というものは、これはもう行なわれておりますけれども国民の側からすれば、それは一つ料金値上げに対する約束ですからね、差しかえにする約束なんです。だから、もう少し早目にそういう措置がとられてしかるべきであったのに、しかも、国会、世論というものはそういうものを切実に要求しておったのに、いま長官の言われたようなことでは、どうしても少しいただきかねるというようなことに相なりましょうし、そのことをもっと裏返して言うならば、国民の世論とか、あるいは国会における要望されている善処とか、そういうものには全くこたえていないのじゃないか。ただ、各企業が個別にそれなりの理由で出してきたものを、なるほど物懇で若干の検討は加えた、あるいは予算の概計に始まって詰めに入る段階で相当議論をした、こういうことでありますけれども、なかなか世間はそれで納得しませんよ。その辺に私はやはり根本的な問題として、少し物価問題に対して取り組んできた姿勢、あるいは政府の対策というものは完全でない、今回のように七つも八つも上がった時期で、いまからやりますというのは、これは少しまずいと私思うのですよ。これは意見になりますが、大体経過としてはわかりましたので、これ以上申し上げませんけれども一つ特に御意見を伺っておきたいのは、二、三日前に審議会答申されましたね、したがって、いままでの公共料金関係の問題等をいま少し慎重に扱っていこうということであれば、少なくとも、財政負担か受益者負担かということは、これはもう大いに議論の分かれるところですから、一つのやはり経済政策だと思うのですよ。ですから、企画庁のお考えでは、いや公共料金等はこれは審議会ではかるほどの重要な政策ではない、あるいは長期的なものでない、そういう考え方のもとに物懇等で扱おうというのじゃないかというように私は推理をするのですが、本来は、いま申し上げた根本的な問題がやはり世間の注目を浴びておりますから、当然一つの重大な経済政策として、審議会の諮問に付すべき内容じゃないかと、こう思うのですが、どうでございます。
  68. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 今度新しく中期経済計画をやりまして新しい経済計画をつくる、それについては、お話のように、われわれも物価問題というのは大きな問題でありまして、消費者物価の問題、それがひいては卸売り物価の問題にもなってまいりますし、消費者物価、卸売り物価を通じて、もし適当にそれが解決されてまいりませんければ、悪性インフレみたいなものにならぬとも言えないわけでして、そういう意味から申し上げますと、経済政策の大きな一つの私は課題だと思いますので、今回の審議会が新しい計画を策定するために、まあ均衡ある一つの経済発展ということを趣旨として、総理が諮問されたのですが、その諮問の冒頭に、総理の説明と申しますか、総理の考え方の第一として、物価問題というものを取り上げて説明しておられるのでございます。したがって、経済の大きな流れを見ます場合に、物価問題をないがしろにして構造上の問題も論じられないと思います。それから国際経済上の問題も論じられないと思います。物価を安定させるということ自体が、やはり経済計画の中の大きな柱になってまいります。そういう意味で、今度は経済審議会にも諮問をいたすと同時に、その諮問をするときの気持ちとしての柱の一つとして、第一に物価問題というものを取り上げて総理が説明されたわけであります。そういう心持ちで私どもも経済審議会が今後の計画をつくるにおいて、どうして物価がこういうふうに上がってくるか、その物価の上がってこないような方向に経済計画を組み立てるのにはどうしたらいいかというような問題について、おそらく今度は、数字よりも政策を主体にして、その政策に対する裏づけとしての数字を出してくるという形でございますから、そういうような意味の政策的な内容が答申に出てくるのではないかということを私ども期待いたしておるのでございまして、その点は、いまの森中委員と全く同じような気持ちで私どもも今回の長期計画というものを諮問いたしておるのでございます。
  69. 森中守義

    森中守義君 いままでの倍増計画にしても、中期計画にしましても、大体在来の考え方からすれば、長官の言われるようなことを、いつの機会にも述べられているのです。ところが、その気持ちとか精神とかいうものは、やっぱり形にあらわしたものでないと、なかなか答申する側もそうそう取り扱いを軽々にできない。こういうことは、特にやり方次第では、企業体に逆に規制を加えるというようなおそれも出てきましょうし、その辺が非常にむずかしいと思うのですけれども、今回のような場合には、私は何回も申し上げますように、やはり経済の中に占める公共料金の比重というのは相当に重要な要素を持っている、こういう見方をするのが正しいと思うのです。だから、一般の物価と込みにして、大体公共料金は何%ぐらい上げたほうがよかろうとか、どの程度にとどめておこうという、そういう扱い方でなしに、もっと根幹に触れていくような諮問、つまり、一つの項目をあげ、いま長官は一つの柱にしたいと、こういう御意向のようですけれども、項目をあげて、料金制度についてはどうしたほうがいいのか、たとえば今回は、はしなくも集中的になったのかわかりませんけれども国民の側からすれば迷惑ですよ。しかし、その各企業が赤字になってどうにもならぬ、こういう実情においてはやむを得ないということに、必ずしも得心がいかぬのじゃないか。だから、時期を段階的につくっていくとか、あるいは三年に一回ずつぐらいは検討を加えるとかいうような、内容的なものをむしろ柱に立てて諮問をしたほうが、いままでの国会の議論とか、あるいは国民の世論にこたえる、しかも、上げるたびごとにもんちゃくを起こさないで、こうこうこういう方法でこうしたのだからという、そういう国民への説得にも私はなるのじゃないかと、こう思うのです。だから、今回ここで審議している郵便法を含めまして、なるほど、国会の多数でこれはきめたことだから、それが合理的であり合法的であり、国民の完全な得心を得て、あるいは協力理解をもらったのだということには、これはやっぱりなりませんね。非常に疑問を持っていますよ。ただ、仕組み上両院が議決承認を与えたからという、そういう形の上のことであって、はたして鉄道運賃に対してすっかり得心しているとか、あるいは米価に対してそうであるのか、水道料金に対してそうであるのか、郵便料金に対してそうであるのかということは、かなり私は疑問があると思う。そういう疑問に答えるために、一つの項目を立てて審議会に諮問するというのがやっぱり筋じゃないかと思うのです。もちろん、この物懇というのもないよりもあったほうがそれはいいでしょう。しかし、こういうものは、なるほど権威あるものとは言いたいのですけれども、必ずしも審議会という、そういう高い権威のものだと思えませんし、だから、たまたまいま諮問をかけられた直後でもあるし、こういうものを一つ項目として起こして諮問をされるというお考えはないのか、その辺をもう少し詳しく聞かしてください。
  70. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 大体この経済審議会は、いま申し上げたような物価の動向その他経済から影響されるもの、あるいはまた、経済に影響されるという立場において、物価の安定という大きな線から経済計画なり見積もりが出てくると思います。いまお話しのようなつまり、その内容となるべき公共料金のあり方等については、私は必ずしも経済審議会が、見通しの段階で、見通しあるいは長期計画作成の段階で、その問題を取り扱うということには、経済審議会の性格から言って、やや私は適当でないのではないか。したがって、将来、いまお話しのように、物懇というものはまだ私的な機関でございます。これをつくりますときにも御議論があって、これを設置法に伴う審議会等にしたらどうだという御意見もございました。ただ、審議会等がたくさんあり過ぎるから、もっと審議会の活動状況を見てからやったほうがいいだろうという御意見もあったわけです。今回、物価問題懇談会をやりまして、当面の問題と同時に、こういう基本的な問題に触れていきますと、あるいは物価問題懇談会のような立場において、いまのそういう問題をもう少し権威あるものにして掘り下げていくのが適当なのか、あるいは別個にいまの公共料金のあり方等について、内閣に一つ審議会をつくって、そういうもので、あり方を検討するのがいいのか、そういう点は今後の問題であろうと思います。そうして、経済審議会等については、そういう構造、それ自体の構造でなくて、全体の経済の中における物価の位置というものを重く見て見積もりを進めていく、こういうことになろうかと思います。そういうようなことが将来考えていかなければならない問題であると同時に、具体的な問題については、やはり各省がそれぞれ持っております運輸審議会とか郵政審議会等で、その内容等についてやっていただかなければならぬ。ただ、郵政審議会とか運輸審議会等で触れにくいようないまのような基本的な問題は、別個の問題として検討されてしかるべきじゃないか、こういうように思っております。今日までのところ、十分にそういう問題について一応の検討はされて今日のあれに来ておりますけれども、外国の事例等も必ずしも日本と同じようなものでないものがたくさんございますし、そういうものもあわせ研究した上であり方を考えていく。いまのままでいいのか、あるいは将来何らかの形で変えていくべきかというような問題は、私は将来の大きな問題として、われわれとしても考えなければならぬ問題じゃないか、こういうように考えております。
  71. 森中守義

    森中守義君 それからいま一つの問題は、これは本来は、財政当局の方も一緒にお越しいただいたほうがよいかと思いますが、お呼びしておりませんので、直接長官の所管になるかどうかわかりませんけれども郵政はじめ今回料金値上げを行なおうとする各企業体等の理由は、私は大体共通したものであると思うのです。たとえば倍増政策あるいは中期経済計画、こういうもので相当生産の向上というものが強調された。これに対応するような生産基盤をつくらなければならない。あるいはまた、人口動態が非常に変わりつつある。そういうことで、在来の企業体が在来の方針ではどうにもやりにくい。つまり、現代流に言うならば、新時代に即応する生産基盤の造成ということが一つの大きな根底になっていると思う。ただ、やってみて、経営の合理化をやったけれども赤字が出てしょうがない。赤字の消化をはかるために、あるいは克服をするために料金値上げというのが一面の理由でもあるけれども、その根底を流れているものは、在来の状態を脱皮しようという、あるいはそれに迫られているのが料金改定の特徴だというように私は思うのです。そうなりますと、何と言っても、生産基盤の造成をはかろうということは、言いかえるならば、一つ社会資本でいくということになりましょうから、それを各企業体に負担をかけるというのは、さっきの受益者負担か財政負担かという一つの問題の分かれ道になると思うが、ここらはどうなんですか。各企業体の料金値上げのそういう理由について、どういった理解をしておりますか。
  72. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 私どもは、やはり個個の各企業体が、それぞれ利用者の支出によって利用度を上げていくというようなことをやるのが、公共企業体といえども本来の私は姿ではないかと思います。ただ、御承知のように、たとえば都市が非常に膨張してくると、そうすると、郵便局等も非常な数でふやしていかなければならない。あるいは、その時代に適応するように、早く速達便を十分やるとかというようなことをやる。あるいは配達をよくするために機械化もしなければならぬとかというような設備の改善等が非常に急速に行なわれなければ、近代的な生活にならぬというところが、ただいまお話しのようにあるんじゃないかと思います。そういう一般的な経済情勢の非常な変化、ことに過密都市における郵便局等については、相当な御苦労をしながらふやしていくなり、あるいは家屋の中の設備を合理化していく。あるいは大事な信書を預かっているんですから、火事等があってそれが焼けてしまうというようなことではいけないから、不燃性のものに建てかえていくとか、そういう非常にここで近代化を促進しなければいかぬものが非常に多くなっておりまして、普通の事態とは若干違った現状が私どももあると思います。まあ、お説は、そういうものまで利用者に負担させないで、何かもっと国庫ででもめんどうを、公共事業であるんだから見たらどうだということがお説の焦点じゃないかと思いますが、私は、そういうものはできるだけやはり利用者で負担できる限りは負担していくことが本来の性格ではないかと思います。ただ、いま申し上げましたような、非常な社会的環境等の違いのために、そういうことを急速にやらなくちゃならぬ。したがって、そういうことのために起債が必要である、あるいは、そういうものの低利な金が必要であるというようなことにして政府がめんどうを見るというようなことは、これは当然ある程度やっていかなければならぬと思いますが、そのもの自体を全部国でやっていくというところまでは、まだまだ私などは考えておらぬのでございます。しかし、そういうような状況がありますから、御議論としてそういう議論が出てくるのも無理からぬところが私どもあろうかと思いますが、要は、公共企業体といえども利用者負担という原則を必ずしもはずす必要はないんじゃないかというふうに私は考えております。
  73. 森中守義

    森中守義君 これは少し比較をしますと、ちょっと異質のものかわかりませんが、たとえば、長官の所管であるとか、あるいは通産であるとか、あるいは建設とか、農林とか、運輸とか、一口に言う公共事業というのがありますね。しかも、それらの対象というものは、いま申し上げるように、郵政、国鉄というような同質のものじゃこれはもちろんありませんね。ないけれども、それぞれ生産手段を持っていますよ。そういう生産手段を持っているところに対しましては、かなりいろいろめんどうが見られているのです。それをやっているからこれも一緒に見ろというのは、ちょっとこれは飛躍した議論となるかもわかりませんが、私はそういう意味からいきますと、もう少し配慮がされてもいいんじゃないか。特にいままで長期計画というものは、何回も策定されているんですからね。そういう計画を策定する際に、大体生産体制はどうなっているか、それに対応する労働配置はどうなっているとか、ひいては、人口密度はどうなっているとか、四十年度の例の国勢調査というものは非常に顕著にそれを物語っていると思うのですよ。したがって、そういう長期計画の中に一つの固まった政策があってしかるべきであろうし、また、ただいま申し上げるように、各省庁が所管をしている公共事業については、相当手厚い保護政策がとられている。もちろん、郵政にしても、電電でも、国鉄でも、それぞれりっぱな一本立ちをしている企業ですから、他の地方自治体とは同様に見られないということはわかります。理屈としてはわかります。あるいは実態としてもわかりますけれども、やはりそういうような公共事業等に手厚い保護政策をとっておれば、こういう企業に対してもいま少し配慮があってしかるべきじゃないか。あるいは将来そういうことが検討の対象になっていいのではないか、こう思うのですが、どうなんですか。
  74. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) そういう点につきましては、私どもは現状から言えば、先ほど来申し上げておりますように、利用者負担で、しかも、その利用者がふえることによって増設その他をしなければならぬ設備等については、やっぱり利用者が負担してしかるべきものじゃないか、こういうふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように、非常に急激な日本の都市の膨張、その他日本経済の膨張等のため、郵政事業なり何なりの本来の努力になかなかむずかしいという面があれば、そういう面については若干考慮してもしかるべきじゃないか。しかし、それは従来からでも低利資金その他でめんどうを見てきておられているわけでありまして、必ずしも全然めんどうを見ていないわけじゃないと思います。ただ、郵政ということを別にしまして、公共企業全部はいま申し上げましたような点について、外国等のあり方等とも比べてみまして、何か新しい考え方を入れてみることが必要ではないかということについては、われわれも検討するにやぶさかでないつもりでおるわけであります。
  75. 森中守義

    森中守義君 これは先ほどから、将来の課題のことですから、それを期待することにしまして、さっき私がちょっとお尋ねした今回の各種料金値上げで、総合的にどのくらい物価への寄与率を与えておりますか、それが一つと、各企業体の値上げ理由、これは私はさっき申し上げたように、私の見るところでは、赤字の克服であると同時に、生産基盤の造成である、こう私は見ているのですが、理由についてどういうように把握をしておりますか。
  76. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 数字につきましては、いま事務当局から御説明申し上げます。  郵政事業の点から見まして、あるいは他の国鉄等から見まして、郵便料金値上げが経常的な経費をまかなうという以外に、いまの基盤の育成というようなおことばがありましたけれども、基盤の育成というような面に使われていることは、必要な経費として出されるために、その内容に含まれていることは、これは申すまでもないことでございます。
  77. 矢野智雄

    説明員(矢野智雄君) 数字について申し上げます。  ことしの初め以来問題となっておりますものにつきまして申し上げますと、まず最初に、消費者米価が一月一日から引き上げられておりますが、これが配給米において八・六%であります。非配給米のほうは、自由米でありますが、従来ありました配給米が上がりますと、若干それにつれて、その何%か、あるいは何割か上がる慣例もありますので、そういうことを全部含めまして、消費者物価に対します影響が平年度で約〇・七%であります。ですから、四十年度の場合には、もうすでに済んだのでありますが、これは一−三月の三カ月分だけでありますから、この場合には〇・二%弱であります。したがって、取り方によって違いますが、平年度としますと、約〇・七%。それから国鉄運賃でありますが、これは旅客が、増収率といたしまして三一・二%上がっておりますが、これがやはり平年度で消費者物価に対します影響が約〇・三%、そのほか、貨物運賃が一二・三%上がっておりますが、これは消費者物価指数には直接は項目に入っておりませんから、影響は出てまいりません。それから次に、私鉄の運賃でありますが、これが十四私鉄、賃率で二〇・二%、営団地下鉄二六・六%それぞれ上がっておりますが、これを両方合わせまして、消費者物価指数に対する影響が同じく平年度で〇・〇七%。それから郵便料金は、先ほどもすでに話が出ておりますが、値上げ率二八・八%で、消費者物価に対します影響が〇・〇六%、同じく平年度でございます。大体おもなところはこういったところでありますが、以上合わせますと、平年度で一・一%強ということになります。  先ほどの国鉄の運賃で貨物が上がっております、この影響がどうかということでありますが、これは直接消費者物価指数の中には入っておりませんから出ておりません。これが間接的にどう影響するかということは、計算はほとんど不可能になります。と申しますのは、上がった分がはたしてどう価格に転嫁されていくか、これは一律の計算ではまいりませんので、ただ消費者物価に対する影響としますと、まあ、これ自身はわりあい軽微だと思います。心理的な影響とか、こういったことは何とも申せませんが、非常にそれ自身わずかな数字だと思います。  大体以上申し上げましたようなおもなものを合わせまして、一%強あるいは一・一%強というように見ていただけばよいんじゃないかと思っております。
  78. 森中守義

    森中守義君 ちょっとこの数字には少し疑問がありますが、それはそれとして、昨年の十二月の指数と、料金値上げされた以降の指数は比較されておりますか。
  79. 矢野智雄

    説明員(矢野智雄君) 全都市の消費者物価指数で申し上げますと、現在、三月までしか出ておりませんが、これで約一・八%くらいになります。
  80. 森中守義

    森中守義君 これは長官、やはりさっき申し上げますように、個別の企業体の値上げということは、それはもう一歩譲ってコンマ何%ということで、そうたいしたことはない。それだけではやはりはかれないですね。総合してどういう影響を与えるかということは、いま参事官からお話しのように、一応の数字は出る。のみならず、十二月からわずか三カ月の間にもう一・八%上がっている。だから、しばしば論議されましたように、七・八%、当初五・六%ですか、それをはるかに飛び越えて七・八%というのだけれども、すでにその辺のことをおそらく四月——これからもっともっと異常な物価高騰を来たすんじゃないですか。
  81. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) まあ御承知のように、私ども、四十一年度の消費者物価を対前年度五・五%ぐらいに押えたいという努力をいたしておるわけであります。いままでのまだ四月しか出ておりませんので、今後の推移を想定していくことは非常にむずかしいと思いますが、七、八月までのことを考えますと、従来、野菜が一番値上がりが多いわけでございます。ことに三月から四月にかけて多い、今年は特に値上がりが多い。それから四月は授業料等が上がりますので、そういう種類の値上げが非常に多い。これは昨年も今年も同じような影響が出ております。しかし、野菜等につきましては、五月から六月、七月と、それぞれ下がってまいります。夏野菜が出てまいりまして下がってまいります。そこで、昨年も四月には対前年度九・九%くらい上がったが、だんだん下がって平均七・四%というところに落ちついたわけでございます。そこで、今年も対前年度の四月だけのものを、全都市の数字がまだ出てきておりませんが、東京都並みにいきますと、今年は五・五%の上がりになるわけであります。ですから、昨年よりはだいぶ——昨年は異常な年だったということが言えると思うのです。そういうことで、われわれも努力目標はやってまいりたい。ただ、われわれが警戒してまいらなければなりませんことは、昨年は上半期が高くて、だんだん下がってきて九・九%が七・四%まで落ちたのでありますが、今年は逆にうっかり、注意しておりませんと、下半期のほうが上半期より高くなるのじゃないかという予想がされますのです。ですから、私どもとしても、五・五%の努力目標をやるについては、よほどの決意を持ってやってまいらなければ、努力目標を達成するということはなかなか困難ではないかという心配をしております。ですから、ただいま野菜をはじめその他の問題について、できるだけ手を打っていくというようなことを推進させていきたい、こう思っておるわけでございまして、大体われわれが見ております中には、今年の米価の値上げ——今年というのは一月の値上げでございます。それから国鉄、郵便料金、私鉄等につきましては、この値上げ率がきまっておりますので、それらのものを予想した上で五・五%に押えたいという努力目標であります。これは必ずそこまでいけるとは申し上げられないが、何とかしてそこまで努力しなければ物価問題の解決にはならぬと思いますので、やってまいりたいという決意でおります。
  82. 森中守義

    森中守義君 お約束の時間が来たようですが、もう一つ重要なことをお尋ねしておきますが、さっきから、重要な政策的なことについてはこれから検討したいということですから、それを期待するとしまして、そういう検討の中に、こういうことは考えられませんか。たとえば、郵政から今回二八・八出た。それずばりいったんじゃまずいから、その中で一八・八%はそれはまあ受益者負担でよかろう。残余の一〇%というものは、これはひとつ利子補給等を考えて、全額財政負担ということが可能であればけっこうですが、そうでなければ、区分けでもして、財投の中から少し特殊な配慮を加えるというようなことは全体的に考えられませんか。そうしませんと、各企業体がそれぞれの理由によって出す、その理由は否定しませんよ。否定はしませんが、とにかく、出た以上は上げねばなるまいということになると、国民感情は、内容を詳しく知っているわけないので、赤字になればすぐ料金値上げをする、こういう素朴な意見が非常に強いし、かつまた、さっきの数字でも多少言われましたように、波及効果というのはかなり大きいですよ。だから、各企業何%上がったというそれ自体が私はすべてじゃない。どう影響をしている、そういうものが全体的に勘定されて初めて私は料金値上げというものは議論さるべきだ、こういうように思いますので、だから言ってきたのを幾らか縮めるとか時期をずらすという、そういうやり方ではなくして、その中のある部分については、財投からめんどうを見るとか、あるいは補給金を出すとか、何かそういうことも私は考えられてもいいんじゃないか。そうすると、ある程度押えがききますね。規制ができますよ。これは企画庁長官の直接の所管じゃないでしょうけれでも、やはり経済閣僚の最もその中心的な存在として、前向きの姿勢でそういうことを考えるようなことはできませんか。
  83. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) たとえば郵政事業赤字が出たと、その赤字をカバーするために二〇%なり三〇%なり上げる、その中の何と申しますか、つかみで一〇%は政府がそれを見ていくんだというようなことは、私は適当だとは思いません。ことに物価問題に関連して、そういう面を政府が補給いたしますことは、ある意味からいうと、通貨膨張に導いていく原因にならざるを得ないところがございます。ですから、もし検討するとすれば、先ほどお話しのように、固定的な設備に対する投資の分は金利の安いところの起債を認めていくとか、あるいは、そういうものに関しては、何か政府の補助金ということでもって赤字全体をただパーセンテージで割って補給するということは、私は適当だとは思いません。ですから、もし今後検討してみるとすれば、そういう意味で、ちょうど先ほど森中さんの御指摘になったような、そういう面がないのだろうかという御指摘がありましたけれども、そういう面での検討は、これはやはりしてみる必要があると思いますが、値上げが出てきたもののうち、二〇%出てきたからその半分の一〇%見てやるのだという、こういう行き方は私は不適当だろうと思います。
  84. 森中守義

    森中守義君 それは分かれる議論ですから、さらに追わないことにしまして、郵政大臣間もなく見えるでしょうが、もう一つ郵政に限定したことじゃございませんが、おおむね、企業体の中でも、郵政のごときは、かなり顕著な例として経済性と公共性という非常にむずかしい経営形態がとられている、採算が企業的にとにかくとっていける、企業努力してやれ、片や、公共性ということで、ずいぶんそういう運営のしかたというものを規制するような面が、たとえば政治的にも、あるいは財政的にも、いろいろあり過ぎますね。そこで、私は、この問題の制度の一つとして、今日のように、経済効果を求めるのか、企業効果を求めるのか、いまのようにどっちつかずのような二面が強調される行き方というのは、もうこの時点に立てば、そろそろ検討の余地があるのじゃないか、こうも思うのですよ。相当長期間おおむね二元的な運営で行なわれてきておりますが、それも人に言わせると、それが妙味だと、こう言う人もおるかもしれませんが、なかなか隘路になるところが多過ぎる、ああいう二元的な運営では。ついては、このあたりで、そういう根幹に構造上の欠陥を言えば言えると思うのですけれども、その辺で何かお考えになるようなことはございませんか。
  85. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 公共的な性格を持った事業といえども、私はやはり経済性を持たなければならぬと思います。それが経済性を無視してやっていいとは……。結局、そのしりぬぐいは公共性だから経済性を無視して何か政府で補助すればいいということになれば、これは税金のむだ使いと同じような結果になりますから、やはり公共の経営としては経済性を重んじて、そうして、その中でできるだけ一本立ちができるようなことをとっていかなければならぬのであって、政府関係の公共企業といえども、私はそういう点については経済性を無視してはならぬ。ただ、特殊な何か政府が押しつけたものがあれば、そういうものにはやはり政府が見なければならぬこともあろうかと思います。一般的には私はそういうふうに考えております。
  86. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣、いま実は藤山長官にこういうお尋ねをしておるのですよ——相当長期間にわたりまして、郵政事業の場合、これに限ったことではございませんが、おおむね、公共性と経済性の二元的な運営がかなりいろいろな面で隘路があるのじゃないか、ついては、相当長期間にわたった実績を積み重ねている今日のことですから、一体、経済性に重点を置くのか、あるいは公共性に重点を置くのか、両方とも重点を置いて、とうとう麻痺状態になるということは、これこそ適当でないと私は思うのです。いま藤山長官は、いずれを選ぶかという私の問いに対して、やっぱり経済性のほうを見るべきであろう、こういう答弁が藤山長官からあったのですが、所管大臣としてどう思いますか。
  87. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 公共性とか経済性とかいうことばの使い方がまずもって問題だと思いますが、郵便事業のような独占事業、しかも、国民生活に非常に密着しておるもの、これについてどういうぐあいに経営していったらよろしいか、これは私のこの大臣になりましてからの経験だけでも、特別会計ということでやっておる妙味ですね、これは事実いろいろのことも考えました、やり方を。しかも、特別会計ということで、そうして、これを堅持していく行き方、したがって、国民皆さん負担をいただきながらやっていく、その場合に、この事業について非常に経済性に重点を置いてやっていくというような意味合いでは、非常に、したがってそのくふうが完全だとは私は思いません。思いませんけれども、また、これを分析してみれば、郵政省で実態調査をやってみても、それから統計から見ていっても、小口の差し出しが二〇%くらい。八〇%は大口、大企業というような結果が出てきています。そうしたものについては、そうしてみると、なるほど、消費者の国民負担というものがわりに低い数字で出てくる、これは実態からも実証される。そうすると、こういうものについては、こういう種類の料金については、やはり郵便法の第一条のなるべく安くという考え方と、それから事業そのものの、なるべく合理的な——能率的ということばはちょっと私使いませんけれども、合理的な経営をやっていくということ、そして独立採算制を妙味のあるような動かし方をする。うかつに繰り入れだの借り入れをすると、この会計は妙味をなくするぞという感じを非常に強くしております。だから、そういう意味では、おっしゃるようなことばの意味をまた突き詰めていかなければいけませんけれども公共性、経済性の調和ということなんじゃないですか。
  88. 森中守義

    森中守義君 この問題はまたあとで少しお尋ねしますが、藤山長官、もう一問だけおつき合いしてください。  郵政大臣が、今回の改正で五年間はいいんだということをずいぶん強く主張されておるのですね。ところが、答申でも、まあ本来はこれは五年があたりまえなんだが、今日のように非常に物価の基調が不安定なときには、そういう長期にわたる見通しはなかなかあぶないというわけで、三年としているのですね。その間の議論はもうずいぶん尽きておりますから、いろいろ言いませんけれどもね。まあ私はやっぱり三年という答申が言っているようなことが一応筋が通っているというように思うのです。そこで、あまり郵政大臣の言うように、五年五年ということを法案審議の中で、何が何でも法案を上げたい一念からこういう言い方だとも思いませんがね、ちょっと危険なような気がするのですよ。つまり、すでに仲裁裁定が出ましたね、それですでに一〇%くらいになるんでしょう、今回の場合はね。そこで、一〇%人件費の上昇率を見込まねばならぬということになると、いままで言われていたのは、人件費の上昇率は五%ないしは七%だと、こういう言い方だった。ところが、すでにもう四十一年度仲裁裁定においてすらも、三%ないしは五%くらいの狂いを生じてきた。これがまた来年になり、あるいは再来年になり、五年間の中にこの人件費の上昇率の見込みだけでも相当変わってきますよ。それと、今回の長期経済計画の答申でどういう答えが出るかわかりませんが、このように深刻になっている物価問題を一刀両断のもとに基盤を確立する、基調を安定するということは、私は急激には望めない、こういうふうに見ていきますと、人件費という一つの具体的な問題をとらえても、すでに大きな狂いを生じているということになれば、これはあまりその五年間五年間という主張は、事実問題として根拠が薄らいでくるのじゃないですか。どう思いますか、その点は。
  89. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) それね、確かに、おっしゃるように、七%来年見ておる。ところが、ことし六・五の仲裁裁定が出た、ほかに定昇もある、こういうことですね。だけれども、同時に物増五%平均を見ていますがね、四十三年以降。そういう物増を見、それから収支の見込みというものを、これは何と言ってもかなり不確定な要素を中に入れて見ております。それですから、もちろんこういう窮屈な会計ですから、どこに財源が隠れていることも、水増していることもできない会計ではあります。でありますけれども、これはですから私はひとつ郵便法を少しでも早く成立をお願いしますと言っておるけれども、七月一日からはっきり切りかえて、できる限りむだをなくして、そうして生み出すものはできるだけ生み出す。収入を多くはかり、支出もできる限り、物件費も人件費も通じてですね——これは無理するというわけじゃありませんよ。国民に約束した送達速度の安定なり何とかしなければいけないことがありますから、することはする。そうして、できる限り収入を多くはかり、支出を押えていく、こういうやり方をしますれば、不確定な要素がなるほどある、来年もどういう問題が出てくるかもしれませんが、ベースアップの問題が出てくることにしましても、これは五ヵ年の収支の見通しというのは、私の関する限り——私の関する限りというか、企画庁長官もまた御答弁がありましょうが、郵政大臣としては、郵政省のやっておるあの収支の見込みというものは、私は維持していくことができるだろう、こういうぐあいに私は考えております。
  90. 藤山愛一郎

    国務大臣藤山愛一郎君) 郵政大臣が御答弁になりましたように、私は郵政大臣が早く通したいために五ヵ年だと言っておられるとは思いません。これだけの郵政事業を経営していらっしゃる主体として、三年のかりに答申が出ても、それをできる限り五年に延ばしていくように、すべての点について合理化をやり、機械化もやって、そうして長もちしようという立場に立って、そうして郵政事業を全部指揮されるのは私は当然だと思います。  ただ、お話のように、物価問題も、私の立場から見て十分解決ができないで、そうして、そのしりを郵政大臣に押しつけていきますと、それは郵政大臣、いかに事業を合理化されても、陣頭指揮でそれをやられても、あるいは郵政大臣の思っておられないように短縮せざるを得ないことになるかもしれません。したがって、私としても、物価問題非常に大事でありまして、それぞれの事業影響する問題でございますから、慎重な態度でもってやっていかなければならぬということであって、郵政大臣が特にその努力を目標としてやっておられる点については、私は敬意を表しておる次第でございます。
  91. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣、これはまあ三年先、五年先に見当が連っていたとかいなかったとかいう議論をいまするわけにはいきませんがね、それはできるだけ長期にわたって料金値上げのない方法があったら何よりですよ。しかし、さっき言われる不確定な要素を確かに認めはされるのですね。それで大体、五%の中の大体何%くらい不確定なものを踏み込んでいるのですか。
  92. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) それね、問題はこうですよ。これからの五ヵ年を見ますときに、収入についてももう少し、平均五%というよりも、もう少し見方はあるのじゃないか、もう少し精密にしようじゃないかということも言いました。私はもう少し見れると思います。〇・何%というものでは相当響くものですから……。しかし、いまのところ、先ほども午前中もちょっと申しておったのですが、国民の皆さまにお約束した送達速度の安定というようなことはどこまでも堅持しながら、しかし、それ以外の物件費等もかなり多い事業であります、これは。ですから、これについて、そういう事業そのものにしわ寄せが来ないやり方で、そうして、さらに事業のもっと経済的な経営をやるという方法は、私は考え得ると思っております。  それから、人件費の伸びは確かにございましょうす。ございましょうけれども、現在四十二年度以降に見ておりまする予備費も、割合から申せば、わりによく見ておるのでありまするから、そうした点から考えますると、今後のベースアップ等に対応する処理は、私はそう無理なしに——無理なしにと言っても、決して、どういう上がり方をこれからするかわかりませんから、大づかみにしか申せませんが、おおよそ大量観察して、できるだけの、したがって、また逆に、こういうお尋ねになるかもしれません。それは、今度は、あるいは非常に不確かなものである。私はむしろ、ですから、現在経済審議会でいたしております作業等も見まして、これからも、十一月にはできますが、その前にも見込みはつきますから、早くそれに合わせて、そして七月以降の、これからの長期の見通しというものをこしらえる必要がある。その作業に急速に郵政省の努力を向けていきたいと思っております。それですから、そのような意味合いで、現在の収支の見通しというものには、それだけの弾力は含まれておる、こういうことであります。また、詳細なことは政府委員のほうからお答えいたします。
  93. 森中守義

    森中守義君 人事局長来ておりますか。——今回の裁定を全部合算すれば、何%になりますか。一〇%ちょっと出るのじゃないですか。
  94. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 仲裁裁定は六・五%程度でありますが、そのほかに定期昇給分としてすでに予算に組み込まれているのは三・五%である。それを合わせますと一〇%、人件費の単価としては一〇%の上昇ということになるわけであります。
  95. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、さっきから申し上げているように、すでに五%、七%程度人件費の当初見込みというものは、すでにもう三%狂っているわけです。あるいは五%狂っている。したがって、来年あたりは、ことしこれをおおむね五ヵ年間を対象にして五%、七%見込まれているようですが、すでにもう手直しする必要ないですか。このままやっていけますか。
  96. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) ただいまの御質問につきましては、実は今後ベースアップ等がどうなっていくか、来年以後どうなるかという非常にむずかしい見通しの問題、それから郵便物数を基本にいたします収入がどうなっていくかという問題もございまして、収入の問題につきましては、四十一年度対前年比四・五%、四十二年度四%、四十三年度四・五%、以後〇・五%ずつ上がって、五%台というところまではいけるというふうに見込んでいるわけでございます。内容につきましても、必要な経費というものはほぼ見込み、若干——これはあらゆる会計で当然のことでございますが、若干の予備的なものも当然見込まざるを得ないような事情もありまして見込んでおるわけでございます。それら非常に予測のむずかしい問題と、私どもがある程度予測——若干高目というような御批判もいただいております郵便物数の将来の予測と、それにさらに七月一日以降私どもがぜひしなければならないと考えておりますいろいろな施策の展開、職員の勤労意欲の向上等によりまして、ぜひともいろいろな事態に対応してまいらなければならぬ、また、対応できるようにある程度できるのではないかというように考えておるわけでございます。
  97. 森中守義

    森中守義君 結局、大臣、さっき言われるように、五%は一応見込む、しかしながら、その中には不確定な要素がある。それで、まず第一は、五%の中に不確定要素は何%ぐらい見込んで五%と出したのか、おわかりですか。それが一つと、人件費はもう少し上げようという、その年度において、予定をはるかに上回ったわけだが、ずいぶん状況が変わっているのじゃないか、こういうことが私は気になるのですが。
  98. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 少し大づかみなことを申し上げるようでありますが、私は、平均五%の物の増を、なお〇・四程度見込み得るのじゃないだろうか、これは、いままでのような七・六だの七%をこすというのは見られませんけれども、その程度は見得るのじゃないだろうか。そういたしますと、歳出のほうの予測し得ないものについてもまかないがつくのじゃないか。歳出のほうについては、私はプラスの要素とマイナスの要素があると思います。と申しますることは、私は、郵便料金値上げしますときは、ぎゅうっと締めるところは締めていかなければいかぬと思います。そのほうの作業は入っておりません。もっと歳出のほうで減らし得る要素があるのじゃないか。しかし、御指摘のように、人件費にしても、あるいは物件費のあるものについても、それこそ物価の関係等もありまして、非常に計画そのものに手をつけるような物価の改定というものは別といたしましても、何かこれからの見通しでいろいろ考えなければいかぬものもございましょう。しかしながら、そうしたものに、これは政府委員のほうが詳しい検討をしていると思いますが、あるいは政府委員から補足させますが、私は、いま言った程度の、〇・五には満たない程度の物の増、したがって、収入へのいい影響を持つ要素というものは、これは郵政職員全体が非常に努力をしなければいかぬ点でございますが、努力もしなければいかぬけれども、これは期待し得る収入の増の部分があるのじゃないか。しかし、この点は、私もこまかい数字をつかんではおりません。ただ、収支の見込みをつけますときは、私はそんなぐあいに考えてみておったということで、ありのまま申し上げたわけであります。
  99. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、五年間に見ているのはあまりあぶないから、三年ぐらいに見たほうがいいぞという心配は要らぬということですね。五年間もっていける。それでは国民も五年間は安心するでしょう。
  100. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) どうぞ御協力願います。
  101. 森中守義

    森中守義君 それから、少しこまかな話になっていきますが、今回の答申の中で、前の近代化と、あるいは財政改善の両面ですが、いずれもかなり郵政事業近代化を求めております。しかも、これは時代の要請であるとも思うのです。それで、いままで保険貯金が終わり、しかも、今回郵便が終わっておりますが、管理共通部門についてはどうなんですか、答申を求める意思があるのですか。
  102. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これこそ私は次の段階にどうしても郵政審議会にお願いをいたさなければいかぬことだと思っております。
  103. 森中守義

    森中守義君 大体大臣在任中におやりになるつもりですか。それとも、おおむねいつのころを予定するのですか。
  104. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これはだれがいたしましても、必ずや大事なことだというので、取り組むに相違ないことだと思います。そういう手順は、郵政省自身としても考えておりまするから、どういう者がいたしましょうとも、早急に郵政審議会にお願いする手順になっておりますから、だいじょうぶなされることだ。ただ、私はこう思っております。別の法律でお願いをしておりまするが、例の有線放送の扱いの問題がございます。これはさっそく——実を申しますれば、政府部内においても議論のありました点で、どこで扱う、これは私は方々が同じ立場で議論するのはいいけれども、これは郵政省関係の舞台でなきゃいけない、したがって郵政審議会でということをいたしましたが、このことはさっそくお願いをいたします。管理共通部門につきまして、当然これはお願いすると、むしろ、私が考えると申しますよりも、郵政省の持っておるスケジュールの中のことでございますから、早急に案を、所見を具しまして、そうして審議を願うことにいたしたいと思います。
  105. 森中守義

    森中守義君 私はかねがねの持論ですけれども保険貯金郵便という三つの事業部門だけじゃどうにもならぬのですよ。ですから、そういう意味からしますと、むしろ、管理共通部門も段階的にやるというのじゃなくして、各部門に共通的なものを管理しておるわけですからね。本来ならばこれは一緒にやられたほうがよかったのじゃないか、こう思うのです。それが一つの問題です。  それからいま一つは、答申が言っているように、ことさらに近代化を強調するならば、それをどうしても実行せねばいかぬ。ただし、そこで問題になるのは、先ほどもお尋ねしましたように、一体公共性と企業性という二元的なもので、近代化が求めるような答えがはたして現状のままでできるかどうか、たいへんむずかしい問題だと思う、事実問題としましてね。だから、なるほど、大臣の答えによれば、両々相まって味のあるものにしていきたい、ことばとしてはそのとおり理解しますよ。しかしながら、はたして実際問題としてそういうことができるのか、あとで聞きますけれどもね。金を借りようとすれば、六分五厘、二十五年償還、しかも、なおまた、元金よりも支払う金が多いなんという、こういう実情の中で、はたして二頭立ての状態の中でこういうものができるかどうか、こういうことを今回の二つの答申機会にお考えになったことはございませんか。
  106. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私の持ちます率直な所見は、郵政審議会が合理化を主張され、近代化を主張され、それで、したがって、考え方の上では、審議会の言うておられる一つ一つの問題はわりあいに取り入れて考えておるつもりであります。しかしながら、送達速度の安定と言うても、国民の期待する送達速度の安定ということ、それから、あるいは終戦後二十年たって、今日までいろいろな事情でおくれにおくれてきておる。これをたとえば電話事業などに比べてみて、一体国民はどの程度の送達速度の安定ができるならば満足をしてくれるのかということを考えてそれに非常に設備の機械化とか近代化とか、いろいろ審議会答申一つ一つの項目について答えて、私どもも多く並べております。しかしながら、まだできていないものもあるけれども、とにかく、郵便というものは非常に急いでものを進めなければいけない。しかし、これは予算の面の制約もございます。そうした点を、今度貯金等になりますると、私はこれはやはり法律で解決させにゃいかぬなんという問題もありまするしいたしまするから、そういういろいろなことを一どきには申しませんが、郵便事業という本来の信書の送達をいたすこの独占事業で、国民の期待するということは何かということを考えますると、郵政審議会答申をそういう意味合いで読んでまいりますると、これからかなり、私どもは一応五ヵ年のいろいろな計画を考えておりますが、もっと長期なものが必要なんだ。それから、この五ヵ年の計画というものも、早急に練り直してみる必要がある。四十二年度予算には、申せばその頭が出るくるようなつもりで、早急に作業をいたさなければいけない。これは私の率直に感じておるところであります。  そこで、これを、森中さんがさつき言われた公共性と経済性との、まあむずかしいことだとおっしゃること、ようわかりますけれども、しかし、私がお答えしたように、やはりこれはどうしても調和していかなきゃいかぬことでありますから、そういう意味合いで、私は公共性と経済性の調和ということをどうやってはかっていくか、しかし、ねらいはどこまでも郵政審議会答申もそうでございましょうが、利用者の国民にどうやってその期待にこたえるかという調和を、これから四十二年度予算にはもういまお願いをし、いまいろいろ御説明を申している以上に、もう少し進んだ形でどうしても努力をしなければいかぬと思います。
  107. 森中守義

    森中守義君 私も大臣のおっしゃる意味はよくわかります。しかし、実際問題としまして非常にむずかしいことです。それこそ、現在の時点ではそれが至上命令だから、そのワクの中で調和をはかる以外にない、こういうことになりましょうが、私はすべて現状肯定の上に立っていない考えなんです。つまり、現状はもうすべてでない、絶対でないという、そういう認識を私は持っております。だから、そういうむずかしいことをあえて無理してやらなくても、もっと何かかわるべき方法を考えてみたらどうか、これが一つです。それと、なるほど、おっしゃるように、答申等で言っている、郵便保険貯金事業はそれでいいでしょう。いいでしょうが、むしろ、そういうものの潤滑油の役を果たしているのはやはり、管理共通部門で、その辺のことが並行的に答申を求めておかないと、たとえば各部門ごとに管理共通部門で、その辺のことを並行的に答申を求めておかないと、たとえば各部門ごとに何をやったにしても、潤滑油がうまく回っていかないんじゃないかということを懸念される。で、もっと平たく言いますと、私が現状のままでは困難ではないかと言うのは、はたして、今日の行政機構の中で、期待されるような答申の完全な消化ができるかどうか、というのが第一の疑問です。  それからいま一つは、例の公務員法というのがなかなかやっかいなしろものでしてね。むしろ、こういう公務員法というものの存在が、答申が期待するようなものを、逆に歯どめをするんじゃないか、こういうことの不安——不安というよりも、問題が一つあるんじゃないか、こう思うのですが、それからいま一つは、たとえば設置法にしても、あるいは組織法令、組織規程にしましても、さらには、人事の任免の制度とか、あるいは慣行とか、ずいぶん古い時代のものをそのまま残しております。むしろ、やはりこういうようなことが、近代化の手初めに、全体を近代化していくためには検討する必要があるのではないか、こういうようなことを考えるのですが、要するに、三つの事業部門の答申をもらったから、あとは共通部門だという、実際問題としてそういう点になりましょうけれども、もっと全体を見通す角度から近代化をはかっていかねばまずいんじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
  108. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は、現在の公務員法のワクの中で、まず、郵便というものがそういう独占事業であり、信書送達という点でほとんど全部が国営でやっている。これは私も、そのことに、立法例がそうなっていることも意味があると思います。そういたしますと、現在の公務員法が公務員というワクの中で、しかも、現業についてもいろいろな特例を認めているということ、これは私は、事業の遂行の上に、しかし、さらに、その現在の程度でいいものかどうかというくふうは必要だと思います。これは私ども現業官庁として考えなければいかない問題がございましょう。そういう意味合いでの審議会等の御検討等はいただきたいと思いますが、私は、その公務員というワクの中で、現業についての特例なり、弾力的な規定を持っておるということ、この妙味というのは、十分活用すれば必要を満たしていけるものだと、そういうぐあいに考えております。
  109. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結局管理共通部門については、おおむねいつごろ諮問する予定ですか。
  110. 鶴岡寛

    政府委員(鶴岡寛君) 管理共通業務の近代化につきまして、私どもといたしましても、この問題は前々からの問題でございましたので、本来ならば郵便貯金保険事業の諮問、これに対する答申が終わりましたならば早々にという計画であったわけでございます。ところが、郵便法答申をいただきましてから間もなく通常国会の会期に入りました。御案内のように、管理共通業務を審議会にかけます際には、これは郵務局、経理局、資材、建築、そうしてまた、先生お説のように、貯金保険事業局も当然関係するわけでございます。したがいまして、会期中はこれを避けたいと考えまして、会期が終わったならばすぐにでもと考えまして、人選等も一応私どもの事務段階では進めておりましたような次第でございます。ところが御承知のような、有線放送関係の問題が急遽有線放送並びに有線電話、この二つの問題を急いで審議会に諮問しなければならないような状況に立ち至りましたので、ひとまずそのほうを先に諮問をいたします。また、これは審議会委員との話し合いでございますが、もしできましたならば、一方そのような有放あるいは有線電話の委員会と並行してでも、この管理共通業務の特別委員会も、もし審議会に余力があってわれわれの希望が許されますならば、並行してでもやっていただきたい、かようなつもりでおります。
  111. 森中守義

    森中守義君 管理共通部門の諮問をされるという御意思がはっきりしましたので、これ以上そういうこまかな内容には触れませんけれども、これは大臣に対するお願いとしまして、やはり本来は三事業部門と同時に、あるいはそれより先んじて管理共通部門は出すべきものであったと、私はそう思うのです。それで何としても各事業部門の近代化を進めていく上においては、さっき私が幾つか例をあげましたようなことが相当慎重に吟味されないと、答申はもらった、近代化をやれと、しかし、制度上あるいは慣行、慣例上なかなかそういうものが簡単に身動きとれないという個所が具体的にたくさんありますよ。私は、そういう意味からぜひできるだけ早く管理共通部門の諮問をしてもらいたいし、また、その中にはそういうもろもろの問題を審議会に一ぺん聞いてもらいたい、こういうようにいまのことは特に要望しておきたいと思います。  それから先ほど来何回もくどいように申し上げておりますが、受益者負担か財政負担かという問題ですが、いまにわかにそのことが政府側におきましても右する左するという結論は、もちろんこれは期待しません。できるだけ早く何かの答えを得たいと思いますけれども、そこで、そういう一つの決定的な時期を迎えるにはかなり時間がかかると思うのですよ。そこで、現在郵政省一体金が足りない、しかも、今回値上げをしてもなおかつ足りないということで、相当長期にわたる借り入れ金を予定をされているようですね。ですからこの借り入れ金というのは、私は、財政負担かあるいは受益者負担かという答えが出るまでの一つの方法として理解をしておきたいと思うのですが、これと、そういう経過的な措置であれば、そういう理解をする以上、いま少しこの借り入れ金の問題については、いろいろ意見をお聞きしておいたほうがいいと思うのです。ついては、借り入れ金の現状と将来の予定、こういうものを少し聞かしておいてくれませんか。
  112. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 現在、昭和四十年度末におきまして借り入れ金の現在高は二百六十億円余になっております。それでその内訳といたしましては、簡保の資金から二百五十三億、資金運用部資金から七億、合わせまして二百六十億、こういうふうに相なっております。  それから今後でございますが、今後は、五ヵ年計画の中に現在予定いたしております借り入れ金の総額は六百三十二億でございます。
  113. 森中守義

    森中守義君 この合わせた六百三十二億の金利は、最終の年限で幾らになりますか。
  114. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 全部で六百八十七億八千万円に相なります。
  115. 森中守義

    森中守義君 元金よりも金利のほうが約五十億ぐらい上回っておりますね。これは償還の期限が非常に長い、そういうことがこういうことになるのですか。
  116. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) おっしゃいますとおりでございます。現在借りておりますのは、年六分五厘、三年据え置き、償還期限が二十五年でありますが、二十二年間の元利均等償還、こういうふうに相なっております。
  117. 森中守義

    森中守義君 定めによる償還期限であり、金利であれば、この数字をどうせよと言ってもなかなか無理でしょうが、今回こういうように赤字を克服するために、あるいはまた近代化を促進するために、料金改定等を行ない、それで今度は片一方の面では借金がずいぶんある、また、これから先も借金をせにゃいかぬ、しかも借金の返済が、利子が元金より高い、こういうことになると、ここは少し考えどころじゃないか、こういうふうに思うのです。もうきまっておることだから、これ以外に方法ないというお考えであるのか。何かの手当てをして、この問題をもう少し有利な方法に持っていこうという、そういうお考えはございませんか。
  118. 淺野賢澄

    政府委員淺野賢澄君) 御意見まことにごもっともでございますが、先ほど来企画庁長官も御返事申し上げておりましたが、やはり利用者負担の原則ということと、それから独立採算ということがやはり私どもの現在の体制におきましてはたてまえになっております。そういたしますと、このような長期資金におきましても、元本、利子ともに、期間は別としまして、料金でやはり負担してもらわなければならぬ、こういうふうに相なってまいります。問題は、どの程度償還期間を長くするか、こういうところにくると思うのですが、長くなりますとまた利子もふえますし、現在のところ二十五年というところはやむを得ないということではないかと、かように考えております。
  119. 森中守義

    森中守義君 そこで大臣、ちょっと私は、いままで衆議院あたりでお話しになったのをいろいろ拝見しまして、少し合点がいかないのは、局舎設備等はこれは借り入れ金でいいと、あとは受益者負担だ、この辺の理詰めというのは大体どういうことですか。あるそういう設備関係は借り入れ金、どうせそれは事業収入から払うんだからという理屈じゃございましょうが、ちょっとその辺のことを少しお話しになってください。
  120. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これは設備の大きなもの、局舎のようなもの、別に詰めた理屈じゃございませんけれども、これは全体にそういう大きい建設については、長い間のこなしをつける考え方をつけなければ、おそらくものは解決できないであろうということでございますね。だから、この事業全体については、利用者負担という原則を強く貫いても、それじゃ一体これは私はいろんなものの考え方はあると思います。それはたとえば、イギリスのようなところを見ますと、もう残っているのは港湾だけだというぐらいに、あらゆるものはずっと進んでおる、そうして、どこかのところに重点を入れていまやっております。イギリスの、この間もどなたからか御指摘があったように思いますが、九十九年債ぐらいの金を貸してやっておるようであります。それはほかのものをそれに集中すればできるが、ところが、日本のように何もかにも一度にやっていかなけりゃやっていけない国ですと、非常に乏しいところから財源を分け合って、何もかもしていかなきゃならない、そうすると、一体どもの所管しております事業では、局舎のようなものは、これは急速に建てていくためにはどうしても借り入れ金でやっていく以外に方法がない。むしろそういう必要のほうから割り出して、私は、そうせなけりゃ現実にものができていかぬのだ、こういうぐあいに考えております。
  121. 森中守義

    森中守義君 それから簡保会計でいままで郵政事業が借りている金利の中で、償還年数が違っているもの、あるいは金利が六分、六分三厘、六分五厘というようにそれぞれ違いますね。これはどういうことであるのか、おおむね見当はつきますけれどもね、むしろ六分で借りている実績があるんだから、その辺まで下げられないものかどうなのか。要するに、どういう理由で金利が違っているのか、あるいは償還年数が違っているか、その辺を少し、保険局長見えておれば保険局長からでも聞きたいのですが、特に四十一年度の融通条件をずっと資料としていただいておりますが、この中でもやはり違うのですよ。六分、六分三厘、あるいは償還年限十年も十五年も、前のものじゃなくて、四十一年度の場合でも償還の年限が違う、金利は一緒ですがね。それとどうしても六分五厘でなければならぬという理由をちょっと聞かしておいてもらいたい。
  122. 武田功

    政府委員(武田功君) 償還期限の点でございますが、これは従来三十年あたりから三十七年ぐらいまで、十五年となっております。それから三十八年から二十五年になりました。これはやはり融資いたします対象の関係で、たとえばコンクリートづくりの局舎がふえてくるというようなこと等が加わりまして、その耐用年数等も変わりますので、したがいまして、十五年のものをなべて二十五年に改める、こういうようなことでございます。大体財投で融資いたします対象につきましてほぼ同じような調子でございます。  それからこの金利の点でございますが、これも六分から六分三厘あるいは六分五厘という順序を踏んでおります。これはやはり財投の対象に対しましては、簡保でありましょうと、また運用部でありましょうと、同じ歩調でやっておりまして、しかも、一般金利の動きに合わせて上げたということでございます。  なお簡保といたしますと、何ぶん加入者からお預かりしておる金でございますので、しかも、なるべく保険の性格上できるだけ資金は有利に運用して、そしてでき得べくんば正味保険料を少しでも下げて加入者のためにしよう、こういうのがそもそもの使命でございます。それでございますし、また同時に、事業経営上も予定利率を四分取り、かつまた、一応約款上六分の配当ということでお約束をした形で経営しております。したがいまして、現在のところ、いま御指摘のような点もありましょうけれども、私どもといたしますと、簡保といたしましては、やはり利回りはどうしても六分五厘というところでお願いしたいという意見でございます。
  123. 森中守義

    森中守義君 ちょっと保険局長、これがまあ現在のあれですからね。とかく理屈を言うわけじゃないけれども、貸し付け対象の中に私立学校振興会というのがありますね。二十億貸してあります。これは正確に融資の対象になるのですか。
  124. 武田功

    政府委員(武田功君) 対象といたしますと、運用上入っております。それから特に本年から私学関係の問題が出ましたので、大蔵とも相談いたしまして出したわけでございます。
  125. 森中守義

    森中守義君 いや、そのなるというのが、正確に性格としてこれは対象にあげ得るということなんですか、私学振興会……。
  126. 武田功

    政府委員(武田功君) 簡保の運用法から申しますと、第三条の第一項第十号に該当するわけでございます。
  127. 森中守義

    森中守義君 それで大臣、これは相当借り入れ計画も膨大ですしね。しかも、長期にわたらなければならぬのですが、なるほど簡易保険の加入者を背景にした資金ですからね、金利を引き下げろということもこれは非常に無理かと思うのですが、たとえば六分五厘を四分五厘くらいに直す、あるいはさっき経理局長の、むやみに期限を延期してもかえって金利がかさむのだという話もありますが、私は、その辺の計算ができておりませんから何とも言えないのですけれども、常識的に考えると、金利を下げる、据え置き期間を長くする、こういうようなことが考えられてもいいのじゃないですか。
  128. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これはもう日本の全体の、こういう官業でもあるいは民間の事業でも、確かに現在の景気の状態、いまのような段階で少し上り坂にちょっとなりかけておるようなときに堅実な経営をするところは、うかと金を借りてやるよりも、自分でまかなっていくというような気がまえでものをやっているようであります。私は、これが必要なんであります。ということは、日本のような金利の高い金をやって、そしてもうかるというときには、非常に爆発的なときならとにかく、かなり細心な注意、ほとんどそこへ注意を払っていくということだと思います。結局そうすると、日本事業というものは、金利ということがものの相当大きい部分になっておると思います。そういたしますと、財投資金の貸し出し金利というものの六分五厘、これは現在一様にそういたしておりまするけれども、それからこれは保険局長が申しましたように、必要な利率の問題でございますね。これとのからみ合いがいつも保険そのものということになると、やや堂々めぐりするような感じでございます。だけれども、これだけではどうしても解決しない問題であって、日本の全体の金利体系がどうあるべきかということ、また、財投資金の貸し出しにつきましても、これは国全体の金利との問題がいつもパラレルに考えなきゃいけない問題でありまするから、大蔵省も考えもいたしましょうし、それから審議会のほうも考えるのでありまするけれども郵政省の立場としても、この問題を考えるときに、いつも金利全体のうちにおける財投資金の貸し出し金利がどうあるかということとあわせて考えないといけない状態、それから私どものほうといたしましては、いま郵便預金が剰余金を出しておりまするけれども、これがかつて皆さん方のお骨折りでようやく赤を埋めていただいたようなぐあいに、一体この剰余金のふえている状態というのは貯金なり、いまだんだんと預金の減るのを心配しておりますのは貯金でございますけれども貯金などの場合に一体どう考えていったらいいのかということを、いつも一つの根本問題があるように私は考えております。したがいまして、・簡保資金の貸し出し金利の問題、また償還年限の問題、これは私のほうもよく自分のところの立場も考えますと同時に、関係の方面と、金融を扱っております方面と十分これは考えて相談はいたしていかなければならぬ問題だと思っております。しかし、おっしゃるように、二分引き下げられるかというようなことになりますと、それはそうして運用するほうは有利にいけば、これは私のほうとしてはまことに飛びつきたいことですけれども、なかなかそういう話もむずかしい。しかし、金利全体の中で、一体これからも簡易保険については運用がどの程度有利に将来ともやっていけるであろうか、貯金についてはいまのような剰余金を出していける状態がはたして続いていくであろうか、そんなことを考えながら、私も大蔵大臣と、これは実は、事実郵便会計の非常に苦しいことを見たときに、しょっぱなに大蔵大臣とかけ合いました話の中の一つにもあったことでありまするが、この金利の問題は、これは利息の問題は、これは日本全体の経済の問題だなということにどうも落ちついてしまいました。しかし、これは問題としては当然簡易保険のかかえている、あるいは郵政事業全体のかかえている問題だと思います。
  129. 森中守義

    森中守義君 いまのお話を聞いて、さらに私ども大臣にお骨折りを願う必要があるかと思うのですが、ただその六分五厘というものの考え方ですが、これは保険局長、なるほどこれは加入者への約款上の約束もあるわけです。だから言われんとする意味はよくわかるけれども、だれにでも貸そうというわけじゃないのですからね、ちゃんと貸し出しの相手もきまっておる。だから、そうなると非常に限定された、しかも、全くの公共的なものに限られた貸し方であれば、私は金利によって保険財政をうんと有利にしていきたい。あるいはずっと率を好条件のものにして、いわゆる加入者保護ということを考えなきゃいかぬでしょうけれども、貸す相手が相手ですから、その辺はやはりよほど慎重に考える必要があろうし、現在の六分五厘というものがはたして公共事業等に貸し付ける金利として適当であるかどうかということはかなり問題だと思うのです。ですから、できるならば、いま大臣の言われる固有のこの問題もさることながら、全体的な問題として審議会に一ぺんそういうことをもう一度問うてみたらどうですか。毎年運用審議会があっているようですけれども、金利によって加入者を保護するということだけでは、貸す相手が何としても公共事業ですからちょっとやはり適当でないような気もするのですよ。まあしかし、そういうことを考えて六分五厘が一番理想的であり合理的な金利だということになれば別ですがね。
  130. 武田功

    政府委員(武田功君) 貸す対象を郵政の場合考えてはどうかというお尋ねと私拝聴いたしましたが……
  131. 森中守義

    森中守義君 いや、そうじゃない。貸す相手は公共企業体と法律上限定されているでしょう。だれでも貸すという相手じゃないから、もうちょっと金利を考えたらどうかと、こういうことですよ。
  132. 武田功

    政府委員(武田功君) 公共企業一般となりますと、ただやはり全体的な歩調ということを考えなければならないと思います。その点は、先ほど大臣からも御答弁申し上げた次第であります。ただ、あるいは郵政事業の場合は、このくらいにしてもらえるかというようなもし御要望でもあったといたしましたときに、私どもも、その点についてはあるいはほかの融資関係等、また同時に、運用の程度考え合わせまして検討さしていただくということに御答弁申し上げられるかと思うのでございます。ただ、そういう際でも、やはり私どももっと運用範囲を広めて、そうして現在の運用利回りを向上させたいということをかねてから念願しておるわけでございますので、そういう点等もからみ合わせた上で検討させていただきたいと思います。
  133. 森中守義

    森中守義君 それから郵務局長に少しお尋ねしますが、今回の料金改正は、なるほど五十六億の赤字がもうすでに出ている、現状のまま行けば相当赤字が見込まれるというのでその手当てということでもあるようですから、また一面においては目的を持っているわけです。つまり過密都市といいますか、相当人口状態も変わっていますし、そういうところに対する近代化なりサービスの提供をはかる、こういうことのようですが、私は、さっきから申し上げるように、何といっても過密都市等は、言ってしまえばやはり生産基盤の造成ということにも置きかえることができると思うのですよ。だから根本的には、そういうものは当然財政負担のほうが正しい、これは議論になりますがね。そこでお尋ねしたいのは、大体過密都市対策のためにどういう計画を持っておいでなのか、また、それに伴う資金はどの程度になるのか、その辺のことをまず最初にお聞かせいただきたい。
  134. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 過密都市とはどういうところをさすかということもひとつ問題でございますが、私ども、京浜地区、阪神地区、名古屋地区、そこらを取り上げてみて考えますと、ここらでは、仰せのように人口の集中化も非常に激しうございますし、それに伴いましてこれら地域に発着する郵便物も激増しているのでございます。しかも、団地住宅等の造成が概して郵便局から離れたようなところに集団的にできてくるというようなことからいたしまして、うっかりしておりますと、郵便の正常な運行も期しがたいというような状況が起こりますので、郵便の施設等につきましても重点を置いて、非常にそういう地域に対して重点を注いでいるわけでございます。要員の増員、それから集配区の増区、配達郵便局あるいは配達分室等の増置、集配施設の機動化等にあたりまして重点を注いでいるわけでございます。  過去においてもそうでございますが、今後五ヵ年間の計画におきまして、これら地域にどのようなものを考えているかという点について申し上げますと、まず、窓口機関は四百局、それから普通局、特定局——大体普通局が多うございますが、局舎の改善が二百十四局、機動車の増備が三千四十五両、七号ポスト、これは二方面ポストでございます——東京都内にございます二方面ポスト——七号ポストが六千八百九十二個でございまして、その他機械器具類等を含めますと、以上申し上げました設備関係で約四百九十億円予定しております。人員の面では、今後五ヵ年間のうち一万二千八百八十人、約一万三千人近くをこの地域に配置しなければならないのではないかというふうに考えておるわけでございます。これの人件費は、推計でございますけれども、二百四十億をこえるのではなかろうか、かように考えております。その他専用自動車による運送集配施設の増強も相当ございますし、職員宿舎につきましてもかなり大規模なものを考えていかなければならないというふうに考えておりますが、それらにつきましては、ちょっと所管の関係もございますし、金額につきましては省略させていただきます。  ただ、先ほどのお話の過密都市対策は、いわば生産基盤の造成ということにもなるので、郵政事業だけが負担しなくてもいいのではないかという点につきましては、実は経理局からも別の機会にも御説明したこともあったのではないかと思いますのですが、こういうところにおきます郵便事業は、個々の局の収支をとってみますと、相当収益が多い、相当集約的な作業をいたします関係で、事業収支の面では相当貢献している面が多いということもございますし、全体の体制からいたしましても、独立採算制のワク内でやっていけまするし、その地域だけとるのは適当じゃありませんが、総体の関係でも独立採算制でもやっていけるし、また、そういう地域でもあるという考えを持っているわけでございます。
  135. 森中守義

    森中守義君 それで、また見通しの問題になりますが、いまお話しになった五ヵ年間に窓口機関の増設以下詳細な内容の説明を受けたのですが、五%増の中に当然こういうものが積算されておる、こういうことなんでしょうか。
  136. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 郵便物数の増が全国平均五%前後で算定しておりますが、従来のいきさつから過去の経過を見ましても、今後の見通しといたしましても、これら地域の増加率は全国平均をはるかに上回っております。五%の中に含めて考えているわけでございます。
  137. 森中守義

    森中守義君 非常に詳細な数字をあげてもらうというのは困難でしょうが、過密も現状に停滞しない。三十五年の国勢調査と四十年度とはずいぶん大きな開きを持っていますよ、たとえば世帯数にしても人口にしましても。したがって、そういうものはどの程度見込みを持っているのですか。たとえば、いま郵務局長が言われるように、確かに東京あるいは神奈川、千葉、埼玉といういわば東京を中心にした周辺、あるいは阪神とか京浜とか、そういうところに集中しているというのですがね、大体どの程度の世帯増あるいは人口増と見るのですか。
  138. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) ただいまこの地域の世帯増等の資料はちょうど持ち合わせておりませんのですが、実は局舎等につきましては、五ヵ年の計画を立てます際に、現在も懸案として私どもが持っているものを中心としまして改善計画を立てました。置局につきましては、現在の地況等からいたしまして、ほぼ置局の基準に該当するところ、あるいはまた現在それにすれすれになっているようなところ、そういうものを拾い上げまして、必ずしも将来この地域の人口が何万になるからというようなとらえ方じゃなしに、逆に具体的な資料として持っている見込みというような観点からとらえたわけでございます。
  139. 森中守義

    森中守義君 資料がなくても、要するに、過密状態というのは停滞をしない。もっと激しい勢いで大きな波をつくりましょうから、そういう過密状態がさらに過密化していくというものも当然見込んでやっているのだという、そういうことですか。
  140. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 現在の大都会の郵便の動向は、一つは、物数の増加傾向、過去何年かの傾向等から推論されますものでございますが、過密がさらに一そう過密化してきてどういう状態になるかという点につきましては、たとえば交通が全く運行困難になるというようなところまでは私どもも想像いたしませんで、その意味では若干平面的な考え方ということにもなるかもわかりませんが、過去何年かの間に東京都が到達し、名古屋市が移り変わってきた姿、そういうものを一応念頭に置き、それが私どもの部内の郵便局の窓口機関、運送機関等にどういう影響を及ぼしてき、いまどういう点をやらなければならないか、それを若干引き伸ばしまして、五ヵ年間のものを考えたわけでございます。
  141. 森中守義

    森中守義君 国勢調査の三十五年と四十年の比較表を私は持っているのです。これからいきますと、世帯数で大体五年間に二百六十五万六千二百三十四世帯ふえているのです。三十五年からですから、一年間に割ってみると、大体四十万世帯は伸びるという勘定です。それから人口は、五年間にこれまた約五百万ぐらい伸びております。膨大な上昇率を示している。そこで、過密都市といっても少しやはり変化を来たしますよ。東京はいまちょっと停滞している。一番ひどいのは埼玉です。これは五年間で四一・五%ふえております。それから神奈川県で四〇・八%、それから大阪で三四・二%、それから千葉県で三一・九%、愛知、これは名古屋を中心にしたものでしょうが、二五・六%、東京の場合はちょっととまっているようです。そういうことで、かなりものすごい勢いなんです。そうなると、大体そういう過密の伸びぐあいをどう見るか。込みにして五%の中に見ているのだというその話の限りにおいては肯定できますが、それでは一体、過密都市といっても、いま申し上げるような都市あるいはコンビナートが新しくできていくとか、いろいろな要件が伴ってきますが、その辺を相当要素に含んだ過密都市対策が持たれないと、先ほど郵務局長の言われた、五ヵ年間でこれこれだということは少しその様子が変わってくるのではないかと、こう思うのです。しかしここでは、一応五ヵ年計画をお待ちのようですから、そのとおりに承っておきますけれども、よほど過密都市対策については配慮する必要があるのではないか。それから根本的には、こういう生産基盤の造成ということであれば、何としてもこれは財政負担で——いま政府側ではそういう方針をおとりになっていない、終始一貫して受益者負担と、こう言われるけれども、こういうことについては、相当検討の余地があるのではないかというように、これは意見ですが、私は思うのです。  それで、次にお尋ねしたいのは、集中処理局ということが計画の中にあがっているようです。いま申し上げる主として過密都市にこういう設備が必要になってくるでしょうが、ちょっと具体的に教えてください。
  142. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) ただいまの仰せのように、小包とか、今度非定形郵便物に属するようなものも伸びが特に大都会で多うございますし、これを一つ一つ郵便局全部についてこれに即応する体制をとっていく、坪数を何割とか増して対処するとかいうことは、なかなかやりにくい点もございますし、また、作業の点でもそういう平面的な伸ばし方だけでいいかどうかという点もございますので、実は東京都心部の郵便、非常に膨大な高率に伸びていく郵便物を処理いたしますためには、従来のやり方を少し変えまして、小包専門、あるいは非定形の大口郵便物だけを扱う専門の郵便局、そういうようなものをただいま建設中でございます。大型非定形郵便物につきましては、晴海に約五千坪足らずの郵便局を昨年八月着工いたしまして、来年の二月ごろでき上がる予定でございます。小包専門局につきましては、東海道方面、それから東北、信越、北陸方面、二つの地域に分けまして、石浜と汐留につくっておりますが、それぞれ七千坪前後のものをつくっておりまして、これは一つは一昨年十二月、もう一つは昨年十二月着工いたしまして、来年の七月と十一月に竣工する見込みでございます。なお、そのほかさらに膨張してまいることも考慮いたしまして、東京西部に中央郵便局のようなものをつくっていかなければならないのではないか。これは小包とか大型とかいわず、現在の中央郵便局のようなものを西部の地域に一つつくることを考えなければいけないというふろに考えているわけでございます。それと大阪に小包専門局を、この五ヵ年の計画の中に考えております。それから名古屋地区についてもそれに似たようなことも考えてまいろうかと、いま論議しているところでございます。
  143. 森中守義

    森中守義君 いまのお答え趣旨からいえば、各地域によって必要に応じて計画する、こういうことですね。同時に、いま予定をされている資金の確保にそういうものを含まれているということになりますか。
  144. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 大阪の小包専門局と、それから東京西部のものと、そこまでは五ヵ年間の計画の中に入れてございます。名古屋地域についてはまだ固まっておりません。
  145. 森中守義

    森中守義君 えらい先のことを言って悪いですけれども、一応現在のその資金確保の中に予定したものがそれだけであるとすれば、その必要に応じて計画ができる。そうなると、新しい時点において資金問題は検討しなくてはならぬ、こういうことですか。
  146. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 非常に遠い状態を考えました場合に、名古屋について、私ども用意はしなければならぬ、考え方として用意はしなければならないというふうに思いますが、現実に今後五ヵ年間に資金が確実に要るというものは、ただいま申し述べました五カ所くらいではなかろうかというふうに考えております。
  147. 森中守義

    森中守義君 それから、改正案の中の現金書留の問題がちょっとやっぱり気になるのです。これはどうなんですか。方法が、為替でやる場合と現金書留と二つの方法をとっておりますね。これはどちらが料金は高いのですか。
  148. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 送る金額や、それから為替を書留で送るかどうかということによって違いますが、たとえば三千円の送金の場合を考えてみますと、現金書留では七十五円でございます。それから、為替を普通、書留にしないで送りますと、普通為替ですが、六十五円で、為替のほうが十円安うございます、これは郵便料金込めましても。それから、普通為替を書留で送りますと百二十五円で、現金書留より五十円高くなります。それから、金額一万円になりますと、現金書留では九十五円、普通為替を普通で送りましても百十五円で高くなっております。書留で送りますと百七十五円で、ほぼ二倍近くになるわけでございます。大体ごく少ない金額を送ります場合には、普通為替を書留にしないで送ればそのほうが安うございますが、それ以外、為替を書留で送れば、ほとんど例外なく為替のほらが高くなります。金額が多くなるにつれて為替のほうが割り高になっていくということでございます。
  149. 森中守義

    森中守義君 それから現金書留で送る場合と為替で送る場合、引き受けから配達までどちらが大体日数としてかかるのですか。
  150. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 為替を書留にいたします場合は、これは現金書留と同じ速度でございます。両方とも普通の書留郵便物の扱いで、同一の扱いを終始受けてまいりますから同じでございます。それから為替を書留にしない場合では、記録の手数が省けますので、特に非常に事務量の多い大都会では、書留のほうが半日程度おくれるかと思います。それほど業務量の多くない地域では、結束が大体順調にまいりまして、同じ速度で送達されるというふうに考えております。
  151. 森中守義

    森中守義君 それから引き受けから配達まで、平均何日くらいかかりますか。
  152. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) いままる二日ないし二日半くらいではなかろうかというふうに考えておりますが、少しずつスピードが上がってきておりますので、あるいはもう少し短くなっておるんじゃないかとも思われます。一、二年前の状況で考えますと、その程度でございます。
  153. 森中守義

    森中守義君 それから一日にいまのやり方でどのくらいの金額を扱っておりますか。
  154. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 現金書留の引き受けは、一日に大体八億円くらいでございます。
  155. 森中守義

    森中守義君 そこで問題になるのは、いま言われるように、二日ないし二日半かかる、しかも、一日八億円とか言われましたね。かりに二日かかって十六億円が送られていっておるわけだから、これはやっぱり通貨の流通からいっても完全に遊休状態にあるわけですよね。これはやっぱり少し考えものじゃないですか。それと、外国には現金をこうして送っておるような例があるのですか。
  156. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) お説のように、現金を封筒に入れてそのまま運用されない形で送るというのは、あまり何と申しますか、すっきりした形  でないようにも感じられますが、いままでの段階では、実は為替等になりますと、郵便局で郵便を扱う時間と為替を扱う時間がだいぶ違いまして、為替を扱う時間が非常に短くなっております。土曜日の午後、日曜日は差し出すこともできない、受け取ることもできないということも一つの原因になっておるかと思います。  外国におきましても、イギリスではやはり日本のように書留書状封筒という特別の封筒の中に現金を入れさせ、書留としなければならないというようなことで扱っております。紙幣はもちろん貨幣も封入を認められております。アメリカにおきましても、現金の金額を申告させて書留とする、これは日本と非常に似た取り扱い方法がなされておるわけです。フランスでは、価格表記という制度の中にこういうやり方が含まれております。ドイツにおきましても、書留ないし価格表記として送ることができるようになっております。オーストリアにおきましても、大体同じようなことで、各国ともこういう制度を残しております。
  157. 森中守義

    森中守義君 これは近代化趣旨からいきましても、じょうずの手からなにが漏ったというたとえのように、はなはだ適当じゃない。それはいま言われるように、非常に手続上の問題もありましょう、あるいは貯金局との関係もありましょうが、何といってもまず第一番は、十六億から二十億に近い金が完全に送られていって遊んでいるということは、これは通貨政策からいってもほんとうじゃないですよ。それが一つと、それと、ぜひ今回の近代化の中に、現金を送らない、たとえば紙の札でも何でもいいから、何かそういうことがやはり今回の改正の際には検討されてしかるべきでなかったか。ちょっとやはりこういう制度としては、いま諸外国の例を言われたように、あまり適当じゃありませんね。どうですか、検討するような必要がありはしませんか。
  158. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 窓口で現金を受け取りまして、あと何か券、証券のような形で配達郵便局へ送って、そこでまた現金にして配達をするということになりますと、ちょうど普通為替の居宅払いというようなことになりはしないかというふうに考えられます。郵便局のほうの問題と申しますか、むしろ為替関係の問題になるような感じもいたしますので、その点につきましては、なお私ども貯金局ともよく打ち合わせたいと思っておりますが、貯金局のほうともよく相談いたしまして、ただいまの御趣旨の点を検討さしていただきたいと思います。
  159. 森中守義

    森中守義君 貯金局長は見えておりますね。これは両方で所管争いになっては困るから、もっと共通の立場からサービスを提供してもらわないと困りますよ。一応貯金局の見解もこの機会に聞いておきましょう。
  160. 稲増久義

    政府委員(稲増久義君) 貯金近代化委員会答申にも御同様の意見がございまして、ただ御承知のとおり、現金為替のほうが利用される方に非常に便利だと、現金が直接参りますので便利だと。為替のほうは一ぺん郵便局に取りに行くというようなこともございまして、それと料金関係で、どうしても現在の状態ではほとんど為替のほうが金額段階別に見まして料金が高いというふうなこともございまして、現段階では国民の方々がお好みになる方法を活用してもらうということになっておるのでございますが、御趣旨の点は、結局郵便為替にただいま現金為替でやっております居宅払いを併用するというようなことになろうかと思いますが、この点につきましては、要員の関係ほか手続の関係がございますが、検討さしていただきたいと思います。
  161. 森中守義

    森中守義君 貯金局長ね、ちょっと趣旨をはき違えては困りますよ。要員の事情とか、それはいいんだ、内部の問題だから。問題は、現金を送らないで片づくような方法はないのか。それと、両建てじゃうまくない。ですから、確かに利用者の側からいいますと、日曜祭日は金が取られなかったということのないように、現金書留の制度を生かしながらそこをうまく考えてくれ、こういう趣旨なんです。それは事情としまして、なるほど要員関係とか、あるいは手続の問題等もありましょうが、ぜひひとつ検討してみてください。  それから、ちょっと最後にあと二、三問お尋ねいたしますが、なるほど近代化答申をされる、しかも、料金改定機会に、ずいぶん事業上の面では大幅な改善がはかられていくように受け取りますけれども、職員の処遇については何か考えているのですか。あまり法案の審議の際にはこういうことが説明されていない。それで端的にお尋ねしますが、郵便関係従業員にはどういう手当がありますか。
  162. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) お答えいたします。基準内賃金は、これは各局共通でありますが、事業別の手当といたしましては、これは手当とは違いますけれども、外務職につきまして、一般の基準内賃金のほかに月額五百円の俸給の調整というのがあります。なお、大都市等において新期採用者につきましては、郵便外務員につきましては、最高月額二千八百円の初任給調整額という給与がございます。ただし、これは自後の昇給によって、一回の昇給についてその半額程度低減いたしますので、全員に及ぶものではないのですが、そのほかに、これは純然たる手当でありますが、外務員につきましては、道順組立手当、内勤につきましては、区分作業手当というのがございます。あるいは重労務手当でありますとか、あるいは外務員につきましては、自動車運転手当——自動車を運転して勤務した人については、一日幾らというような給与を支給している次第であります。これらの給与を一人当たり総平均いたしますと、先ほどの初任給調整手当及び俸給の月額の五百円の調整額、こういったものを全部含めまして、とにかく郵便特殊のものだけを総平均いたしますと、月額にいたしまして千三百九十六円ということになっております。
  163. 森中守義

    森中守義君 そういう特殊手当及び超勤手当を含めて郵便関係幾ら、貯金関係幾ら、保険関係幾ら、共通関係幾ら、そういうように基準外のものを全部出してほしい。
  164. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) まず貯金保険でありますが、超勤につきましてはあとで申し上げます。特殊勤務手当では、保険の場合におきましては……
  165. 森中守義

    森中守義君 そういう個々の内訳でなくて、基準外のものは超勤を含めて平均、郵便は幾ら、保険は幾ら、共通幾ら、こういう例でいいですよ。
  166. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 超勤だけは最後に別に、合計したのがありませんので、これは別にいたしまして、特勤手当といたしましては、これは三十九年度の実績がありますので、ちょっと古うございますが……
  167. 森中守義

    森中守義君 土生さん、四十一年度予算ができ上がっているでしょう、それを根拠に言ってもらわなければ、古いのじゃしょうがない。事業近代化は直ちに職員の処遇の改善でもなければならぬという前提に立っている。
  168. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) それでは、予算から割り出しましたもので、郵便関係は千三百九十六円、貯金関係は五千九百七円、保険関係は八千八百四十九円であります。これが超勤以外のものでありまして、超勤におきましては、郵便関係は……
  169. 森中守義

    森中守義君 共通……。
  170. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 共通は、ちょっときょう実は用意してこなかったのであります。これらのものよりは非常に少ないと思います。  超勤につきましては、郵便は三千五百四十六円、貯金が三千三百五十四円、保険が三千六十五円、これが四十一年度予算から割り出した職員一人当たりの基準内給与でございます。
  171. 森中守義

    森中守義君 そこで、もう一つ聞きますが、なかなか統計もこれはむずかしいのじゃないかとは思うけれども、大体その職員の就業動態というのはどうなっていますか。たとえば郵便の外勤に採用される。あと現在の傾向とすれば、保険に行きたい、・貯金に行きたい、あるいは共通に行きたい、こういう傾向が非常に強いのですね。その辺の状況をつかんでおりますか。
  172. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) それは職種変更もしくは担務変更の問題でありまして、実際は制度上、自分の欲する職種あるいは担務に回りたいということについて、その隘路になるようなものはないわけでございます。結局任命権者が、それを適当と認めて希望どおりにするかしないかという問題だけであります。現実の動きといたしましては、私どもの承知しているところによりますれば、外勤の場合は、初めに郵便に入る人が多いのです。若い人はまず郵便の外勤でありますが、そのうち本人の希望あるいは経歴その他から考えまして、貯金保険のほうにも行く人もありますし、またあるいは途中で内勤のほうに職種変更する人もあるように承知しておる次第であります。
  173. 森中守義

    森中守義君 大体事情がわかりました。ただ、土生審議官にお願いしておきたいと思いますことは、なるほどむずかしいその任免の制度とかどうとかということじゃなくして、大体職員の傾向というものはどういう部門を欲しているのか、どういうものに流れていっているのか、その辺の事情はやっぱりこれは把握しておかないとまずいのじゃないかと思うのです。それはまあ資料がなければけっこうですがね。できるだけそれはひとつ心してください。  そこで私は、答申の中で、ずいぶんこういう近代化をはかるには、実際仕事に携わる人たちの待遇というものはいろいろと検討しなければならぬということが出ておりますね。もちろん予算編成関係等もあって、この答申どおりに、そしてまた初年度からそれが実行できるかどうかということは、いろいろ問題がありましょうが、さっきのその説明からいけば、郵便関係の独自の手当、それと保険貯金、こういうものに比べると問題になりませんね。その辺にずいぶん問題があるのじゃないですか。だから、なるほど近代化を進めようとしても、貯金保険なら非常にいいと、だから実際働いている諸君というものはそちらのほうに行きたがるということになると、ちょっと私はちんばになると思うのですよ。それで、どうして郵便関係だけが保険貯金よりもあまりにも格差がついているのか、その辺の事情をちょっと聞かしておいてくれませんか。
  174. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 確かにおっしゃるとおり、相当基準内賃金の上では大きな差があるわけであります。この大きな差がある主たる原因といたしましては、御承知のとおり、貯金保険には募集手当というものがありまして、これが毎年募集実績も伸びていきますし、また、手当の計算方法も募集の金額にスライドするようになっておるということで、毎年手当がふえてきます。一方郵便につきましては、いろいろな手当がありますけれども、これは低額でありまして、当然ベースが上がったからといってスライドをするような種類のものもない、基準賃金幾らというような作業手当になっておるわけであります。  そこで、この問題につきましては、私どももやはりいろいろ考えまして、一昨年実は郵便外勤者に五百円の実質的なベースアップといいますか、俸給の調整をいたしましたのもこれを緩和したいということであります。また、できるだけ超勤手当の面におきましても、毎年度予算におきまして、大蔵省に説明のつく限りにおいて、たとえば重労務でありまするとか、その他の手当についても、予算を増額するように努力しているわけでございます。しかしながら、この貯金保険の募集手当を引き上げるということにつきましてもいろいろ問題がございまして、貯金保険の募集手当ははたして純然たる給与的に見るかどうか、いろいろこの手当の性格については、必ずしも一般の勤務手当と同じに見ていいかどうかということにつきましては、いろいろ問題があるわけでございまして、結局郵便郵便独自の見方から、これだけの仕事をしてこれだけの労働条件のもとにおいて、これだけの給与でいいかどうかという絶対的な見方といいますか、評価のしかたをする、ということに勢いならざるを得ません。そこで、その場合におきまして、当然毎日の郵便の仕事というものは、郵便の職員であればたれでもこなさなければならない仕事については、やはりこれは本俸の問題でありまして、手当ということについてはなかなか説明がつかないといういろいろ問題がございまして、やはり必ずしも貯金保険とございまして、適当なバランスというところまでは現在いっているとは思いませんが、なお今後、この問題はいろいろな給与の改善を行なう機会に、関係労働組合ともよく協議いたしまして、できるだけ善処したい、かように考えている次第でございます。
  175. 森中守義

    森中守義君 これから善処したいということであるからこれ以上何も言うところはありませんが、ただ、基本給と違うからあえて貯金保険郵便を同一にする必要がないんじゃないかという意見については、これは少し問題があります。一応保険であろうと、貯金であろうと、郵便であろうと、正式に制度化されているのだから、しかも、その中で著しく格差があるということは不適当である。今日のようにかなり労働力の確保が困難であるという場合には、ことさらにこういうことが考えられなければならないでしょうし、そうしてまた、今回のこういう近代化等の機会に、何としても人が動かしているわけですから、他と比べて非常に懸隔があるということは適当ではない。これはひとつ四十二年度予算編成の際くらいまでにはある程度話を詰めて、高いものを引き下げるのがいい、こういうことは言っておりません。一番高いものに低いものを近づける、この辺の努力はやるべきではないか、さっき善処するということであるから、それ以上の答えを求める必要はないけれども、念のためもう一回私は問うておきたい。
  176. 土生滋久

    説明員(土生滋久君) 確かに手当を比較してその金額がアンバランスであるということにつきましては、私どもはいろいろ意見がありまして、一方が六千円あるいは八千円であって、郵便の千四百円程度と比べて、確かに差額がアンバランスであるということを、私どもが言うのは少し問題があろうと思います。  もう一つは、やはり私どものほうの給与は、三公社五現業の間のやはり均衡ということできめられるわけでございまして、基準内賃金については格差はないということになっているわけです。その場合に、この郵便につきましては、そういった基準内賃金の問題として解決していく、全体のベースの中で基準内賃金の配分の問題としてこの問題を解決していくということができれば、これはやはりどこにもりっぱに通るようなやり方だと思うのですが、こういったことにつきましては、いろいろ問題がありまして、また技術的にも、たとえば特定局等におきましては、貯金保険郵便、全部総合服務をやっているわけでありまして、そういったことをどうするかということ、つまり郵便職員の特別俸給表をつくるというようなことにつきましても、いろいろ人事交流の面、あるいは特定局の総合服務等の技術的な困難性の問題というような点がいろいろありまして、なお今後も検討はいたしますけれども、気持ちといたしましては、できるだけ郵便職員の給与を総体的によくしていくという方向でひとつ検討したい、かように考える次第であります。
  177. 森中守義

    森中守義君 最後に、定員のことをちょっと聞いておきますが、今回郵便定員はどのくらいふえておりますか。
  178. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 四十一年度郵便定員は四千二百二十六人の増員でございます。
  179. 森中守義

    森中守義君 四千二百二十六人の算出の根拠というのは、さっき問題にしました、特に過密都市等における配達の個所、こういうものは要素に入れたものでしょうね。
  180. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 内勤につきましては、郵便物数——内部では一つの換算した数字を使っておりますけれども、やはり郵便物数に応じて増員するという形をとっておりますし、普通局の外勤につきましても同様でございます。特定局関係の職員につきましては、個々の局の実情を見まして、何人不足というような形で積み上げて大体出しております。それから四十一年度郵便定員の増加の中で非常に注目すべき点は、いままで郵便の流れがところどころつかえるような現象が起こっております。従来年々一定の方式で計算してまいったわけですけれども、やはり何カ所かつかえる場所が起こる、そういう点の対策ということで四百人別の形で増員が成立しているのでございます。これも初めてのことでございますが、郵便予算全体にそういう傾向と申しますか、がある程度盛り込まれているということは申せると思います。
  181. 森中守義

    森中守義君 もっと簡潔に、物数中心にしているのか、あるいは個所も算定の中に入れているのか、どっちですか。
  182. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 物数を大体中心にしておりますが、外勤については、配達個所も当然要素の中に入っているわけでございます。
  183. 森中守義

    森中守義君 その要素というのが問題ですがね。さっきから何回も過密都市のことで申し上げるように、あの膨張の状況というのは異常なものですよ。それで、ある要素では、私は、やはり正式な——正式というよりも正当な定員算出にはならない。むしろ物数と配達個所、同じ物数でも個所が多いと相当時間をとりますよ。そうなると、これは当然物数プラス配達個所、そういうものが重要な要素としての定員算定でなければまずいのじゃないかと思うのですし、また、そういうことがへたすると遅配欠配に通じてくる、こういうことが懸念される。配達個所の問題等はこれからもう少し検討する必要がありゃしませんか。
  184. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 最近の配達個所等について調べますと、一つ傾向としまして、世帯がだんだん細分化されてくる。一世帯当たりの人員が少なくなってくる。郵便も、物数の増加に比べまして、配達個所の増加の率のほうが高いということがございます。この傾向は急激な膨張をいたします地域に特にはなはだしいようでございますし、別な観点から、この問題を増員の要素の中に新たに考慮していかなければいけないのじゃないかというような、そういうような感じもいたします。四十二年度以降の増員要求の際に、その点をできるだけ考慮に入れてまいりたいというふうに考えております。
  185. 森中守義

    森中守義君 大臣、これはまだ時間をもらいたいところなんですが、とりあえず短い時間でいろいろお尋ねしましたが、やはり根本的な問題がひとつ片づいていないと私は思っているのですよ。それで受益者負担か、あるいは財政負担かという問題等は、特にこれから先の重要な課題として検討してもらいたいと思いますし、かたがた近代化の内容等についても、出された法案、実行に移されんとする内容を見ても、ずいぶんおこぼれもあるようです。これはさっきからお聞きのとおり、それがすべて正当だとは言い切れませんけれども、要するに、検討に値するような問題がまだ残されておるということもありましょう。  それからさっき問題にしました管理共通部門の近代化答申が全然手がついていない。それだけ残しておいていかに三部門だけやっても、これはどうにもなりませんよ。そういうことを考えますので、いろいろ速記録に残っておりますが、特に残されている問題等についてもこれから、細心の注意を払ってもらいながら、検討されるように特に要望いたしまして、きょうは私の質問を一応終わりたいと思います。
  186. 野上元

    委員長野上元君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時九分散会      —————・—————