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1966-04-28 第51回国会 参議院 逓信委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十八日(木曜日)    午後二時十七分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 迫水 久常君                 白井  勇君                 松平 勇雄君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 永岡 光治君                 森中 守義君                 横川 正市君                 田代富士男君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省貯金局長  稲増 久義君        郵政省人事局長  曾山 克巳君        郵政省経理局長  淺野 賢澄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣提出、衆  議院送付)     —————————————    〔理事光村甚助委員長席に着く〕
  2. 光村甚助

    理事光村甚助君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  初めに、理事会協議事項について報告いたします。  本日は前回に引き続き、郵便法の一部を改正する法律案について質疑を行なうことになりましたので、御承知願います。     —————————————
  3. 光村甚助

    理事光村甚助君) これより議事に入ります。  郵便法の一部を改正する法律案を議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。
  4. 永岡光治

    永岡光治君 私は、この郵政審議会答申をまず冒頭もとにいたしまして、この料金改定に至りました経緯等から見まして、郵政大臣に若干質問をいたしたいのでありますが、昨日の同僚議員からの質問に対しましても、郵政大臣答弁は、大体において、今度の料金改定は約五年間は料金値上げをしなくてもだいじょうぶであろうという趣旨——正確にはそう言ったかどうかは私もはっきり覚えておりませんが、そういう趣旨に受け取れる実は答弁をしておりましたので、そういう立場に立つときに、この郵政審議会から答申をなされております数字と対比いたしまして若干疑問を感じますので、お尋ねするわけでありますが、この主文の中にも、「さしむき今後三年間において生ずべき最少限度収入不足額基礎として、下記のように料金改正案を作成した。」と、こういうことを明確にしておるわけです。そして、現行料金によるこの収入見込み額に対しまして、この勧告案によれば、約二九・五%の収入増加が期待されるということも述べております。また、この三年間ということに限りました理由も、「少なくとも今後五年間の収支見通し基礎として、これに適合する料金改正を行なうことが本筋である」——大臣の言うように、五年間ということが本筋であると認めるけれども長期展望において予見することは非常に困難な要素が多いのだ。そこで、この際は、大幅な改正を避けるほうがいいという観点もあるので、この際は「三年間にとどめて、この改正案を作成した。」とも言われております。そしてさらに、この各論めいたところに入りましても、そのことを第三項目ですか、「今後の収支見通し料金改正基本方針」という項目でも、同様なことが言われておるわけでありまして、五年間をかりに見通すとするならば、この二九・五%じゃなくて、これによりますと、三六・八%の増収を確保する料金改定が必要だと、こういうように言われているわけです。そこで、私ども、昨日から答弁を聞いてちょっとつかえるものがあるわけでありますが、これはまあ三年間で——この答申どおりやるとすれば三年間しかもたないと、まあこういう見方をしておるわけです。その点を大臣はどのように見通されておるのか。これは当然この料金改定基本になる問題でありますので、大臣の所見をあらためて承りたいと思うのであります。
  5. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 本会議でも光村さんからのお尋ねがございまして、これは当委員会でもまたお尋ね出るかと存じまするが、郵政審議会答申をいただきましたのは昨年の十二月九日、それから政府経済政策会議開きまして、郵便料金について改定を必要とする見当をつけましたのが、十一月の二十七日でございます。そのときにも、大体郵政審議会の小委員会は、ただいまお述べになりましたようなめどをつけまして、五カ年もたせるとすれば三六・八%、しかし、なるべく小幅に押えたいということと、それから、めどがなかなかこれからの動向をつけにくいということで二九・五%、三カ年というような答申に達しそうだというお話を、当時の小委員長である足立さんから承り、それを土台にいたしまして政府部内で協議をいたした次第でございます。その当時、ただ、一つの点といたしまして、どうしても、手がたいことはけっこうであるけれども、三・五%の伸び率というのは、これはいかにも低く見てあるのじゃないだろうか。それともう一つ、もちろん、いろいろな基礎資料があってのことでなければいけないことでありまするけれども政府といたしましては、でき得る限り料金値上げの幅は低位に押えたい。それから、当然のことでありまするけれども、なるべく、料金の、一たん改定をいたしましたら、それを長い間また手をつけないでやっていかなければならぬ、こういう考え方で見てまいりますると、昭和三十六年度のときに、一、二種手をつけませんでも、相当無理はございましたが五カ年を維持できましたし、一、二種は、改定をいたしました二十六年から十五カ年間というものは一、二種に手をつけずに今日に至っておる。そういたしまするならば、これは当時の、二十七口の経済会議の発表でもございまするように、つとめて低位に押える、こうしたことで郵政審議会の中間的な報告でございますが、それを受けて、そうして極力低位に押えたい、これが経済政策会議内容でございました。そのような趣を、料金改定はやむを得ないことであるということと、つとめて低位に押えたい、こういうことを当時発表いたしたわけであります。  それで結局、またお尋ねが出てまいると思いまするが、郵便裏業というものについて、どの事業でもそうでございまするが、企業努力というものをして、なるべくいろいろの要素を吸収してまいる。ところが、郵便について考えますると、結局、企業努力というのは、何とかして物の数をふやしていく。もちろん、これは大量観察でございまして、地方の数の少ない扱いをいたしまするところは、物の増加はかえって支出増加を招いております。採算割れになっていることも承知いたしておりますが、まあ大量観察としては、どうしても郵便事業企業努力は、一つは物の増加、それも端的に送達速度を安定することによって達成しなければならないことでありましょう。それからもう一つは、つとめて支出増加を押える。これは局内作業等で、また近代的な業務の運営というものはそうでございましょうが、機械化等によって、こうしたことの企業努力郵便事業でも重ねていかなければならない。そういうことをしてまいるならば、かつ、この数カ年のような七%、六%という増加は見ることができないでも、五%という見方はどう見ても無理はないのではないか。そういたしますると、四十一年度については、料金改定をいたすので物の伸びがやや鈍化すると、この点は郵政審議会の御感触と大体同じに考える。そうして四十二年度において回復をする。四十三年度以降平均五%の伸びというものは、非常に長い将来はとにかく、これから五カ年間のめどをつける場合には、四十三年度以降平均五%というのは維持できる数字ではないか、あるいは、もう少し多くを期待することができるかもしれないが、それはまず維持できる。そういたしますると、五カ年間の収支見込みというものを立てることができる。このような一つ収入の面におきまして、物の増加伸び率を想定いたしました。これは三・五%というものが、当時の郵政審議会方々の御意見を伺いましても、非常に当時の状況、夏ごろから十一月ごろにかけての作業のときに、物が予定収入を毎月満たしていかないという状況から、手がたく手がたくと見られたことは、その御審議経過等を伺ってもわかりますが、とにかく、物の伸びはそういう程度までいくであろう。それから先どの程度伸ばすかということは、各国の状況を見て努力することが必要であろうかということであります。  それから今度は、またこれもお尋ね出てくるかと思いますが、今後の景気動向等は、政府としても非常にいろいろの方面から材料を求めてまいらなければなりませんが、支出の面では、まず普通の状態でものを判断するならば、参考の資料でお目にかけていますような人件費物件費見方ができるだろう。そうして収支見通しを立てますると、五カ年間はこの二八・八%で収支見込みを立てることができる、こういうぐあいに結論を下した次第でございます。
  6. 永岡光治

    永岡光治君 そういたしますと、この審議会答申は、物数増加を一応三・五%と見ている。その算定に基づくこれが二九・五%。だから、したがって、大臣の実際の、そうは言ってみるけれども、今後の動向からするならば、まず五%は確保できるであろう、まあこういう見地に立つと、大体五年間はもてそうだ、こういうわけでありまするけれども、何しろ五年間もたすためには三六・八%を、いま大臣計画によりますと二八・八%ですから、八%の開きがあるわけですね。どうも私は、これはいま具体的に数字をどういうふうに持っておるからどうだという意味で申し上げるわけでもないのでありますけれども、どうも私は、これは気になると思うのです、率直に申し上げまして。いま大臣も、はしなくも答弁の中に言われておりましたが、機械化等によっていろんな経費節約等もできると、こうおっしゃいますが、三年間に機械設備をして、これが効き出すのは、経費相当かかりこそすれ、それが消化されるというほどの伸びは期待されないと思います。おそらく、あとかりに三年間で機械化が整備されたとしても、二年間で五年間分を消化する、予定増収——ということになると、私は、これは非常に無理な計算ではないだろうかと思うわけです。特に二九・五%の増収見込みの中には、答申案をそのままそっくり尊重してのことであります。ところが、これを見ますと、まあどれだけの増収を見込んでおるか知りませんが、第三種の、勧告案によりますと、現在の二円を五円にしなさい、こういうたてまえに立って二九・五%ですね。ところが、大臣のいまの話によると、これを二円に対して一円、つまり二円の差が出るわけです。勧告よりも二円低くて、なおかつこれがもてるというのですから、どうも私は、その点については、ほんとうに、あなた方が数量の計算をして確信を持ったということであれば、これはあえて私は申し上げませんけれども、必ずしもそうではないのじゃないだろうか、こう思うのですが、特にこの問題に関連してまいりますことは、五年間と言いますと、今日の経済情勢をどう見るかという問題、とりわけ、物価上昇率がどのくらいになるだろうかということを考えますと、これは機械設備することにいたしましても、相当経費が要ると思います。いまこの段階計算しておる機械購入単価にいたしましても、ずいぶん私は上がるのではないだろうか、こう考えてまいりますと、この大臣の言われる五年間というのは、どうもこれは、私は自信が持てないのではないだろうかと思うのでありますが、さらにこの点を、もう一度私は具体的に質問をいたしますが、三種の二円を五円に勧告あったにもかかわらず、三円で押えて、二円の減収を得て、なおかつこれが五年間、さらに三年の計画を五年間もつというのは、私は、これはどうも納得いかないのでありますが、大臣はそれでもいけると、こう思うのでありますか。それが一つと、ついでにお尋ねいたしますが、いまの答弁の中にもありましたが、物価上昇というものをどう見ておるのか、これもひとつあわせてこの際お聞かせをいただきたいと思うのであります。
  7. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 郵政審議会が非常に手がたく見てくれておりますることは、私も敬意を表するのでありますが、これは審議会答申をごらんくださいますと出てまいりますように、たとえば相当大きい金が要ります局舎の建設、こうしたことにつきましても、その四分の一ぐらいは必ず料金収入で見ている。これは四十一年度では料金収入から出しましたけれども、四十二年度以降は借り入れでいこうと思います。これは何と申しましても、いまの郵便料金を可及的低位に押えるということと、それから、何としても、おくれている局舎の改善をいたそうというために、これは借り入れでいくのが筋だと思います。そういう点で、郵政審議会の御答申と、ある程度支出の面で違いが出てきております。  それから第二のお尋ねの、物価動向でございますが、これは本日も、四十年度の最終月の三月の月例報告を見たんでありまするが、卸売り物価がようやくやや横ばいより低目に押えることができるようでございます。消費者物価については、若干の上がりをいたしておりまするが、これは三月という月の、大体いままでの傾向と似たような動向をいたしております。それから、輸出と生産とは明瞭に伸びております。景気動向先行き指標となります原資材の輸入の状況を見ますと、これはもちろん、いまの銅の値上がり等国際事情もございます。その先行きもございますが、動向は必ずしも悪くございません。こうしたことを考えてみますと、いつも物の伸びと、それから物価との関係はあわせて考えなければなりませず、また、いま永岡さんのおっしゃった長期展望となりますると、これも先日当委員会で申し上げましたが、まず、夏ごろには経済企画庁はその作業にかかりたいようでございます。私どもは、わりに落ちついた上向きのカーブをとり得るものだと、このように考えております。そういたしますると——その議論に入りますと非常にいろんな問題が出てくる点でございますが、景気物価動向というものをまず安定した基調に置いてみるならば、私どもの考えておるような収入支出郵便事業についての収入支出というものの一応の見込みは守れるのじゃないだろうか。ただ、私どもこう考えております。七月という月から実施をいたします。それから、何と申しましても、私どものいたしました作業にも非常に多くの推定が入っております。はっきりした経済指標というものを持てません、中期計画を御破算にいたしました時期にいたしておる収支見込みでございますから、これは私ども、七月という、料金改定をお願いしている月を土台に、これからの見込みというものは、もう一段きちんと立てなければ相ならぬとは思っております。思っておりますけれども、非常に著しい違いを起こさずにやっていけるのではないだろうか。一口に企業努力という、このことばは、これはみだりに使うべきことばじゃないと思いますが、それに並行した企業努力郵政部内全体でやっていきたい、こう考えております。
  8. 永岡光治

    永岡光治君 これは実は私も、当然の義務として、経済企画庁あたり物価その他労賃等における指標を調べてくるべきが筋でございましたが、用意してありませんので、その点はお尋ねいたしますが、経済企画庁見通し等郵政当局においては十分検討した上で自信を持ったということなのか。それとも、これも一つのそういうはっきりしたものではなくて、一応現状のまま、というと現状固定というものでなくて、推移の状況から大体こうであろうというばく然たる考えで、五年ぐらいはもてるだろうということにしておるのか。やっぱりこれはその点のところを明確にしておかなければいけないと私は思うのです。
  9. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) その点は永岡さんのおっしゃるとおりでございまして、私もこの点は、おそらく従来の作業に比べましても、絶えず経理郵務の両局には、経済企画庁との連絡を、必要な分については大蔵省の材料もとっておりまするが、そのほうとの連絡をとらせながら、持っておりまする最近の状況でものを判断しておるのであります。私自身も、経済月例報告経済企画庁長官の申しました月例報告を見ながら、いつも−ただ長期展望を持っておらない現在でございますから、そこに長い先の見通しがつかないのでありますけれども、ただいま申しました本日の経済閣僚会議で説明のありました月例報告模様等を見ましても、まず、いま現在の段階で、私ども立てておる見通しには、狂いがなく推移しておるように考えております。
  10. 永岡光治

    永岡光治君 私が指摘したいのは、五年はもたぬだろうという、実は大臣と逆な私、見解を持っておるわけです。特にこの勧告の、いろんな具体的な内容で示しておりますけれども、たとえば「所要の要員や施設と適正な職員給与等を確保する一方、」という問題も一つ条項に出ております。これについても、郵政事業が人によって動かされる事業であるということも、この審議会の中でも十分その点を指摘しております。すなわち、物価上昇その他生計費増高によりまして、人件費というものがかなりふえるだろうということは、当然これは予想にかたくないわけでありますが、その点を考えましてもそうでありますし、また、この勧告によりますと、利用度の低い郵便局の設置を差し控えなさい、こう言っているけれども、やはり郵政当局におきましても、今年はそう差し控えているとは私は考えられぬと思うのです。新規増局の分もかなり考えておるようであります。そういたしますと、要するに、この審議会で想定をしている要素と逆な部面が相当あるにもかかわらず、なおかつ、料金審議会では三年しかもたないというのを、いや五年もちますと、こう言っておるのでありますから、これは不安定ではないかということを私は指摘をしたいのであります。しかしながら、大臣の言うところの一応ばく然とした一つ資料でということでありますから、それはその程度指摘をしてとどめたいと思うのでありますけれども、まあ努力目標としてはわからぬわけでもないわけでありまするが、これはやはり相当な、審議会答申を受けた郵政当局料金改定については、まずこの見通し郵政大臣との間には私は開きがあるのではないか、こう思うわけです。もう少しこれを指摘するならば、それでは、郵政審議会で、その資料郵便物増加が三・五%ということを要素に入れて審議をしたというのであれば、おそらく私は郵政当局に、審議会審議する際において、一体郵便物はどのくらい伸びるであろうということを質問したに相違ないと思うのです。その際に、なぜあなた方は、いやそれは五%ぐらいは伸びがあると言えなかったのだろうか。そうすれば、もっとこの料金は安く勧告したかもしれません、答申したかもしれません。だから、私はきょうの段階で言えることは、どうも郵政大臣審議会答申を受けて一応これをつくったけれども、五年ということに、どうもこれは物価をあまり上げちゃ困るということと、物価値上げ反対という声に気をとられてと申しますか、そちらに関心を持つのあまりに、五年ということを言ったのではないだろうかという気が実はしないわけでもありません。したがって、この点については、さらに次の委員会ないしは機会ある委員会におきまして、私はこの点を明確にする必要があると思うのであります。将来の課題として十分これは検討を要する問題だ、こういうことをまず指摘をして次の質問に入ります。  ところで、国民立場から言いますならば、料金は安いにこしたことはありません。いま大臣が言いましたように、これは五円が七円になるわけであります。十円が十五円になるわけでありますから、相当大幅な値上げであることは、これは間違いないわけでありますから、その際に、一体、料金値上げをするにしても、もう少し幅が狭くて、つまり、小幅に料金改定することによってまかなえるような努力をやっぱりしたのではないかと私は思うのでありますが、そのことを国民にやっぱり明確にする必要があると思うのですが、どのような努力をしてきたのか、料金の大幅な値上げについて、これを差し押えるように。その一例として申し上げるわけでありますが、いま大臣がはしなくも答弁で言っておりましたが、郵便局舎、これは私は前から申し上げておるわけでありますが、こういう大きな固定資産というものを料金値上げによってまかなう——いずれはこれはやらなければなりません。これは特別会計である以上は、いずれはまかなわなければなりませんが、それを食いつないでいくという方法、その支払いを短期間に償還するのではなくて、長期にわたってこれを償還するという借り入れ方式、そういうことによって、少なくとも今日は若干でも値上げの幅が差し控えられたのではないだろうか。あるいはまた、もう一つ努力としては、昨日も同僚議員から言われておりましたが、新聞料金改定であります。日刊新聞、その三種の問題でありますけれども勧告は五円でいいと、こうおっしゃっているのだが三円にしている。これももう少し、私は新聞社が憎くて申し上げているわけじゃありませんよ、そういう意味でなくて、公平な立場で考えるべきであるというのが私の主張なんであります。今日公共性を言うならば、これほど民主化された、非常に大きな国民消費対象になる、あるいは、その他に影響を及ぼす対象になる事業として、今日公共性を言われない事業は私はないと思うのです。ひとり新聞のみが公共性を叫ばれて、他の大きな事業公共性ではないと言えるものは私はないと思うのです。だとするならば、他の公共事業の会社その他には料金勧告どおり適用するけれども新聞のみにこれを適用しないということはいかがなものであろうか、こう実は考えるわけです。特にまた社会正義をもってその使命としておる新聞でありますから、だとするのであれば、当然この新聞事業に従事しておる従業員の待遇の問題を考えても、あるいは新聞社の経営するその利潤による配当の問題を考えましても、私は新聞のみが特に優遇されるというものはあまりこの際は考慮する必要はなかったのではないだろうか、そういう努力をやっぱりする必要があったのじゃないか。早い話が、こういう勧告があるから、新聞社方々を、協会を呼びまして、こういう勧告もあるし、ひとつ御協力いただけないだろうか、こういうのは当然私はあってしかるべきだと思う。これは一つ企業努力でありますけれども企業努力というか、そういう料金を少しでも安くしようという、一般の公衆に迷惑を及ぼすものは安くしようという努力はやっぱりされてしかるべきじゃないかと思うのでありますが、限定をいたしますが、この二つの問題についてどういう努力をされてきたのか。これはもういろいろの委員からも言われたことだろうと思いますが、重ねて私はこの点をこの際、明確にして、国民の世論の喚起を求めなければならぬと思うのです。
  11. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 値上げ案をつくるに際して、全体が安くなるようにどういう努力をしたかというお話でございました。その一つとして、局舎の財源をあげられましたのですが、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、郵便局舎につきましては、相当これから積極的に増改築をしていかなければならない事情でありますが、一方、それを料金に主としてその財源を依存してまいるということは、値上げ幅にも影響し、事柄の性質上からも当面差し控えるべきであるというようなことから、初年度の四十一年度につきましては、値上げの最初でもあり、ある程度の剰余も出ましたので、これを五十九億局舎の財源に振り向けましたが、五カ年間全体といたしましては、局舎の財源としては料金を見込んでおらないわけでございます。局舎の財源として見るべきであるという答申趣旨も、二五%見るべきであるという答申のあれもございましたが、省側の案といたしましては、それに至らなかったようなわけでございます。ただ、それ以外の経費等につきましては、なるべく減らして所要の料金値上げの幅を小さくすることができたのではないかという点につきましては、実は先生も御承知のように、郵政事業特別会計の特色といたしまして、人件費の比重が高い事業——これは各国ともそうでございますが、事業の特殊性からいたしまして、人件費が圧倒的大部分で、それにつきましていろいろ勤労意欲の問題その他での努力はいたしておりますけれども、大きくその削減ということをするにつきましては、まだ機械化の点についても目下鋭意開発中というところでございます。しかし、かりに相当開発されました暁におきましても、この人力依存の体制をくつがえすわけにはなかなかまいらない、そういうような事情もございまして、非常に限度がございます。置局が郵政審議会答申相当上回ってなされているというお話でございますが、四十二年度以降まだ——四十二年度以降の計画に逐次答申趣旨を織り込んでいくつもりでございまして、当面は大都市なりその近郊等、非常に置局の要望も強く、また、必要性も高い個所がまだ千カ所ぐらいございますので、四十一年度におきましては、従来どおりにやっておりますけれども、逐次審議会答申趣旨を織り込んでいくということにしているわけでございます。なお、郵政審議会の中で、たとえば、ずっと辺陬の地域のサービスがコストと比べて過剰だから、これをもう少し切り下げてもいいのじゃないかというような意見が相当出ましたのにつきましては、これは料金値上げと同時に切り下げるということは、なかなか国営の事業としてやりにくい、また、やるべきでないのではなかろうかというような議論も省側からいたしたりいたしまして、そういう面につきましては、たてまえとしては、現状維持ということでまいっております。経費の節約——料金値上げの幅を、経費を詰めることによって少なくするということは非常に限度がございまして、あまりできませんので、いろいろしました結果二九・五%という出ました答申を五年間で二八・八%というようなところがかなりいっぱいいっぱいというところであったわけでございます。  それから新聞につきましては、お説のように、答申のほうはもう少し高い料金というものを出しておりますが、これは全体といたしまして、従来からの新聞の文化的意義並びに負担者が購読者であるということ、日刊紙につきましては、毎日毎日の料金で日刊等に比べてかなり負担も多くなるというようなことなどが考慮されましたのと、昨日も当委員会で申し上げましたのですが、二十六年以来の値上げ幅が、今度五割にいたしまして、なおかつ二十六年からの三倍、昭和三十五年ごろから見ますと三倍にもなるということなども、あわせ考慮いたしまして、答申趣旨そのものは省として十分尊重しつつも、いままでの経過等からいたしまして、三円ということにとどめたわけでございます。その他、農産物種苗等、答申趣旨に沿って検討いたしました結果、なお四種の低料金にとどめるべきであるというような結論になりましたものもございまして、結局、郵便書簡が答申で十二円でありましたのを十五円、また、書留、速達の料金がそれぞれ答申では五十円、四十円でございましたのを、六十円、五十円にいたし、そういうことで答申より安くなりました料金——申し忘れましたが、書籍小包も相当答申の線よりも安くなっております。そういうものをまかなうために、郵便書簡、書留、速達料金、そういうものを高くするということで、全体のバランスをとった次第でございます。
  12. 永岡光治

    永岡光治君 どうも新聞新聞と言いますと、何か目のかたきにして言っているようでありますが、そういう意味で言っておるのではないのでありまして、文化の使命を持つ新聞の使命というものは私もわかります。いまの答弁の中に、ことばじりをとらえるわけじゃありませんが、この料金を高くすれば即、配達を受ける購読料が高くなるという考え方は、この際私は、郵政当局がもしそういう考え方であるとするならば、変えてもらわなければなりません。それは当然新聞社全体で、全体の、これこそ郵政当局がよく言われる総合原価主義と申しますか、そういうもので考えてあげませんと、郵便新聞配達の量が多いわけですから、つまり、新聞社がみずからの手によって、配達員によって配達している購読料金そのこともやっぱりあるわけでありますから、これは総合的に見て、単に料金値上げするから、ごく限られた地方のものだとか、あるいは、その他だけが負担するということでなしに、これは実を申しますと、経営でいえばテレビ会社を兼業している会社も新聞社によくありますし、総合的にこれは考えてみませんと、単にそれだけにこだわられると、私は正鵠を失するのではないかと思いますので、この点はひとつ十分御考慮をいただきたいと思うのでありますが、特に私は辺地における、地方における場合の比較でありますが、それだけの文化的な使命を持つ新聞の配達をしている郵便外務員、特にへんぴなところで請負集配という形で、ほとんどたいした給料ももらっていない、普通の職員よりは請負という名のもとに低い給料で、給料というか、請負料というか、それで仕事をしている方々、これを考えますと、これだけの重いものを、しかも、山の中の辺地に配達をしてあげると、その料金はたいした大幅な値上げもしていない、わずか一円だ。自分たち配達をするその人は請負集配人で給料も低い。新聞社の配達員の諸君に比べてずっと低いでしょう。そういう立場を考えますと、これはこれと直接関連があるわけじゃありませんけれども、派生的に起こる問題として、この際、そういう方々の処遇の改善というものも十分考えてやるべきだと思いますが、その点はどのように考えておりますか。
  13. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 辺地で請負配達をしてくれている人たちの処遇につきましては、お話のように、かなり低いような事情もございましたが、最近数年間相当その面には努力をいたしまして、四十年度現在で平均二万八百円程度の請負料になっております。四十一年度の予算におきましても、約一五%の値上げを実現することができておりますので、これも年度内になるべく早い機会に実行に移してまいりたい。なお、その他請負料だけではなしに、それ以外の健康診断とか、あるいは公務災害とか、そういう面などにつきましても、過去数年間の間にかなりの改善がなされているというような実情でございまして、今後も私どもお話のような点につきましては、相当気をつけてまいるつもりでございます。
  14. 永岡光治

    永岡光治君 いまの請負集配の話に触れましたので、この際、この点だけについて善処を要望しなければならぬと思うのでありますが、数次の改定をいたしましても二万八百円、これは平均だろうと私は思いますね。おそらく一万円以下の者もあるかもしれません。しかも、これは普通の正規の職員と違いまして、手当その他についてもたしかない——あってもそれほどの率は出されていないと思いますね。つまり、一般職員が期末手当で二カ月なり三カ月というものがきまれば、それだけやるということになっていないと私は思うのです。間違っていたら訂正いたします。これはひとつぜひ再考していただいて、もともとこの問題が請負に切りかえられるときの事情というのが、人員整理というものが法律で通りましたために、定員法が国会を通過いたしましたために、やむなくひとつやめてくれと、事情がもとに戻れば、つまり、増員、定員法の改正があるならば優先的に戻そうという約束のもとに、この問題が請負集配に変更されたいきさつがあるわけです。ですから、できるだけ正規の職員に返すということと、それから、いまの金額につきましても、これは私は十分でないと思うのです。今日数次の改定平均二万八百円、これはいまの郵政職員の給与と比較いたしましても、あるいは新聞がだいぶんたくさん配達されるわけでありますが、新聞の職員の給料と比較いたしましても、私は低い金額だと思いますので、早急にこの点の問題については、改善方を取り計らってもらいたいと思いますが、いまのお話によりますと、新年度においてはこの問題の解決をはかるという方針のように承りましたが、そのように理解をしてよろしいのでしょうか。もう少し見通しのある答弁をしていただきたいと思うわけであります。
  15. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 四十一年度の予算に計上されました一五%の増額は早急に実行に移してまいりたいというふうに考えております。  なお、本務化の問題のお話がございましたが、勤務時間も相当本務者と同じぐらいの勤務時間になる計算になる。郵便物数も相当多く、また、郵便局からじかに出発できるような地域等につきましては、これまた、過去何年間か、あまり多い数ではございませんが、本務化もしているような状態でございます。請負集配の方々の処遇につきましては、先ほども申し上げましたが、今後もさらにいろいろな面につきまして、その改善に努力は続けていくつもりでございます。
  16. 永岡光治

    永岡光治君 次の質問に移りますが、郵政事業は受け身の事業だという話を昨日も答弁の中にしておりましたが、できるだけ取り扱い量をふやしませんと収入があがってこないということは、これは理の当然でありますが、受け身のこの事業が、企業努力をしてこれをふやしていくというんでありますが、どういう企業努力内容があるのでしょうか。その点を私もこの際、明確にしていただきたいと思うんであります。郵便をたくさん出してくださいという宣伝をやるのか。そういうことはまさかやらないだろうと思うんでありますが、どういう努力をされるものでありますかですね、その点もこの際、明確にしていただきたいと思います。
  17. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 確かに企業努力ということで生み出すことの、まことに何と申しますか、余地が比較的少ないほうの企業であります。私もそう思います。そして、いま御指摘になりました、確かに物をふやしてまいらなければならない。これは先ほど御指摘にもありました、郵政審議会見通しとの差の一つの点であります。郵政審議会では三・五%を出される理由に、各国の先進国の郵便物伸びが大体三・五%程度で平準化してきているんじゃないか、こういう点を指摘しておられます。しかし、これは私は、アメリカはもちろん、イギリスにいたしましても、フランスその他につきましても、かなりな利用者一人当たりの数が伸びております。そこまでまいりますなら、なるほど三・五%というめどになるかもしれません。しかしながら、私はいまの、なるほど九十六億通という多数を扱ってはおりまするけれども国民一人当たりにしては、どうしても、ことに第一種の伸びというものは、先進国の模様を見ましても、もっと伸びていっていいはずだと思います。しかし、これにはやはり国民の信頼と申しまするか、送達速度の安定ということが必要だと思います。  それともう一つ郵便というものが、ことに第一種の場合には、国民全体の文化的な経済的な水準というものとやはりつり合ったものの考え方、そういたしませんと、私は、戦後二十年たちました今日というものは、日本はアメリカがどうだ、イギリスがどうだと言います前に、もっと伸び幅の強い伸び方をしていっていい時期に入ってるんだと私は思うんでございます。そうしますと、それをお願いすると言いましても、そのことを端的にお願いしてもどうできるというわけじゃございません。そういたしますと、私ども企業努力というものは、どうしても送達速度の安定ということじゃないだろうか。そういたしますと、やはり航空機をどういたしますといえば、なるほど遠距離に航空機を、一種、二種に使いますということは、私は必要なことだと思いまするけれども、それはごく遠距離の、一つの、こういうこともいたしますという国民へのお約束なり、サービスなりでありまするけれども、中距離についてはかくかくである、近距離については、ことに何と申しましても、自動車専用便の増強というようなことだと思います。そうしたことで送達速度を高めていく。そうして、ごく雑なものの言い方でございますけれども送達速度を安定することによって利用の増加をはかってまいる、物数伸びを確保してまいるということが企業努力一つ。  それからもう一つは、やはりことに経費の面で、これは組合の方とお話し合いをしておりますときも、自分たちも機械化というのを決して反対しているのじゃないとおっしゃる。私は、ことに局内の作業機械化ということは、組合の皆さんの利益と、従業員の皆さんとも一致することと思います。そのような、ことに局内作業機械化という点は、したがいまして、おのずからそれはまた大型の局とか、それから全体の局の数の中では限られたものになってまいります。しかしながら、そういうところでは、またそれによる合理化の余地のあるところでございますから、そうしたところに機械化という面が作業の面で起こってくるのではないだろうか。そうすると、そこに経費の面でも、また能率の面でも、企業努力というものがあらわれてくるのじゃないだろうか。非常に大づかみな言い方でございますが、私は、郵便の物をふやしますること、機械化と申しましても、これは私なぞがこう拝見し、また、計画を聞いておりましても、その機械は比較的素朴な機械ではあります。しかしながら、それはできる限度があります。ただ、私は少しよけいなことを申すようでありますが、いままで機械化機械化と言いながら、どうも見本みたいなものをこしらえるけれども機械化への努力というものは、率直に私ども郵政部内を反省いたしましても、あまり十分でなかった。これは大急ぎで実用化できる機械化というものを急いでいくということで、機械化の限度の能力というものをためしてみたい。企業努力は、ごく大づかみではございますが、私はその二つの面から考えていきたいと思います。
  18. 永岡光治

    永岡光治君 いまお話のありました、この郵便に対する信頼を高めることによって需要を増していくという方針だというのがその一つに含まれておりますが、それはそうだと思います。特にいま——昨日も指摘ありましたが、やはり速度の問題よりは、確実に、正確に郵便が配達されるということが、いまこの段階で一番国民が望んでおる私は要請だろうと思います。特に料金改定という、この事態に立ち至っての国民の期待というものは、一にかかってこの問題が一番大きな問題であろうと私は考えております。これは正確に、確実に、いつ出したものはいつどこには必ず着くということが事実の上に証明されるのでありますれば、もっと早いものには電報もありましょうし、それからさらに早いものには電話もあるわけでありますから、おのずから通信の郵便に対する需要というものが明確になってくると思うのでありますが、その正確ということについてどのように実は考えておるのかですね、これは私は一番大切な問題だと思いますが、料金改定を提案されました所管の大臣としては、この機会を通じまして、国民に明確に私はお約束をする必要があるのではないかと思いますが、いかがな所見でありましょうか、お尋ねをいたします。
  19. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) また余談を少し申し上げるようで、お許しを願いたいのでありますが、いま永岡さんのおっしゃいました送達速度の安定、確実な送達、これはこの春、一月でございますか、イギリスの郵政大臣のベンというのが参りまして、これはイギリスの郵便事業でも、やはりもっと物をふやしていただくことが一つなんであります。だからというて、これは決して——これは外国人の言うことでございますから、それで郵政部内をおしかりを受けないようにお願いしたいのですが、日本を方々見せましたときに、機械化の点だけは、京都の局に行ってみたが、あれを機械化と言っていらっしゃるかと——そうまで申しません、イギリス人ですから丁寧なことばを使っておりましたが。ですから、機械化のほうは自分の国のほうが進んでいるぞ。同時に、NHKの放送の、代々木のセンターなどを見ましても、この進み方には非常に驚いた。それで私はつくづく感じたのですが、どこの国でも、郵便については送達努力というものを、どこの国がより早く確実にするかということだと思います。私も国民の前に送達速度の安定、確実な送達をお約束するのは、一つは、やはりこの料金値上げをお願いしたときに、これはすでに私申しておることでありますが、郵政の従業員全体が、とにかく、いままでやり切れなかったのを、料金値上げをしたぞという気持ちじゃなくて、これは国民に対する責任を一つの出発点——それを何であらわすか。一つは、職場規律の厳正な精神からあらわしていこうじゃないか。それから一つは、やはりここまでとにかく落ちついてまいった状態をどうやったら保っていけるだろう。それで、それを見ますと、今度大都市周辺というところでなかなかいまむずかしい事態が起こっておると思います。しかも、郵便の遅配等のありますような場合には、私はどこのがそうでしたかということをいつも私におっしゃるたびに聞くのであります。そうすると、ほとんど局がきまっておる。どことどこの間というのがほとんど定型化してまいっております。そうすると、いま申しました職場規律の問題が一つはございましょうけれども一つはやはり要員の配置等についてもっと考えなければいけないところがあると思います。したがいまして、大都市周辺の、ことに確かに毎日居住者のふえてくるようなところでは、普通のいくらなれている人間を回すぐらいじゃ済まないで、どうしても要員をそこに重点的に配置をいたすということ、また車両その他の充実ということもございましょう。そうしたそれぞれのところに、大都市周辺は大都市周辺なりに、それに応じた人的、物的な用意をいたしていく、こうしたことによって送達の速度を安定させてまいりたいと思っております。
  20. 永岡光治

    永岡光治君 職場規律の確立の問題を触れております。これも抽象的な表現としてはけっこうだと思いますが、そのことが、何と申しますか、しりたたきというようなことになっては、これは非常に危険でありまして、職場環境なり、要員事情なり、つまりそれを整備いたしまして働きやすい環境をつくる、このことがやっぱり一番大切だと思うのでありますが、そういう意味で、これは関連をするわけでありますが、私は最近の郵政事業を地方に参りまして拝見するわけでありますが、どうも事業部門のサービスというのが前面に出ておりません。郵便事業、貯金事業、保険事業というものが一番大切なんだ、それに従事する課長なり中間管理者というものが非常に大切な役割りを演じているんだという印象が、実は私は残念ながら受け取れないんです。むしろ、昨日もお話あったかと思いますが、組合の切りくずしをやってみたり、あるいは弾圧をやってみたり、そういうことばかりに終始しておって、労務対策というものがその事業のずっと前に出てしまって、事業がほっぽらかされておるという不幸な事態を見かけるのが実は多いのですが、これではいけないと思うのです。もう少し人員の配置、人材の配置にいたしましても、事業の優先という、こういう姿勢をぜひ私は郵政当局は出していただきたいと思うんです。  それから、特に管理者に言えることであります。これは郵政局段階のレベルの高いところを申し上げておるよりは、私はむしろ中間管理者のことを申し上げているわけでありますが、往々にして、長い伝統がありますせいでもありましょう。たとえば町の顔役といえば郵便局長さん、町長さん、警察署長さん、校長さんということで従来からきた慣例もありまして、何か郵便局長になると、一つの名士になったような考えにおちいりやすいのであります。これは公務員という観念を頭からまずのけてもらいたいと私は思うんです。郵政事業という一つの会社の営業所長、出張所長だという、こういう観念に徹して、この事業サービスに専念していただきませんと、せっかくの料金改定というものが国民にとって非常な期待はずれのことになることを私は非常におそれるのでありますが、その管理者教育といいますか、心がまえと申しますか、その点について、事業のサービスの向上なり期待にこたえるという態勢をどうつくろうとしておいでになるのか、これもこの際私は明確にしていただきたいと思うのであります。
  21. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) お尋ねの点は、政府委員のほうから正確なことを申し上げるべきだと思いますが、その前に私から、いま永岡さんのおっしゃったこと、私は非常に共鳴いたします。と申しますことは、心持ちでは、腹の底では公務員としての誇りと責任とをきちんと持った人間になってもらいたい。これは私、そういう若い職員には、また郵政大学の専門課程の諸君にも同じようなことを言ったのですが、精神はそう思ってもらわないと、各人の向上というものはないと思います。事業では、国民への最も素朴な、一番相手方の多いサービス機関なんです。それに仕事として徹し切ってもらわなければいけないのだ、こう思います。したがいまして、おっしゃるように、そういう点の指導と申しますか、訓練と申しますか、ことに中間の管理者に対する名の指導のやり方がやや中途はんぱだったかと思います。それは私も率直に反省して、もっと事業そのものが国民にどれだけ、独占事業であるが、かりに競争者があったときに、どこまで一体事業のサービスをして競争に打ち勝つことができるのかというような形の事業をしなければいけないという点は、非常にごもっともだと思います。ただ、私聞いてみますと、そのやり方がそれぞれでいろいろになっておるのだと思いますが、人事局などに聞いてみましても、なかなかよくいろいろな機会にいろいろな教え方なり研究をやっておるようでありますが、ただもう一つ申し上げるならば、同じやり方をしておるけれども、焦点というものがやや散漫であったということがあるのじゃないだろうか。したがいまして、いまおっしゃることを伺いながら、そういう点は十分共鳴もし、反省もいたしたいと思います。
  22. 永岡光治

    永岡光治君 どうぞその事業面に携わる方々の心がまえというものを十分ひとつ御注意をいただきたい。そのことによって信用を高め、そのことによって需要もふえるのでありましょう。そのことを特に大臣に要望申し上げておきたいと思います。  それから同時に、職場環境とも関連いたしますが、近代化ということがうたわれておりますが、職場内の環境をよくするための近代化もありましょうし、公衆に対するサービスの面での局舎その他における近代化という問題もあろうかと思いますが、この近代化の具体的な項目ですね、どのように考えておいでになるか、これもどちらからでもけっこうでありますが御答弁をいただきたいと思います。
  23. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 事業の近代化ということについてはいろいろな面から考え得るかと思いますが、私どもは当面、年々数億通ずつふえてまいる、また都会の交通難なりあるいは労働力の需給難等でだんだん事業の運営がやりにくくなっていくような今後の大勢に対して、事業を手ぎわよくしっかりと運営していく体制という角度から考えたいと思うわけでございますが、それにつきましては、一つは外勤面での問題でございます。外勤の職員を採用するということにつきましては、これは昨日もちょっと申し上げましたが、宿舎の問題あるいは経済的な処遇の問題その他ございますが、関係の向きで相当推進をしておりますことは、先般の予算等でも御承知のとおりでございますが、さらに外勤面におきましては、一方では機動力を相当充実するということにいたしておりまして、市外地、市内地、あるいは業務の種類等によりまして、軽四輪車からスクーター等に至るまで、今後五カ年の計画をもちまして事業として最も望ましい姿にまで持ってまいろうと思っておるわけでございます。  なお、外勤のほうの近代化のもう一つの問題といたしましては、現在地番が非常に混乱しておりますのは、三十七年以来自治省を中心として取り進めております住居表示制度、これが整備されますと、非常に格段に配達がしやすくなる1道順組み立てがしやすくなり配達がしやすくなる、こういうことからいたしまして、郵政省でも側面から非常にこれに協力をしております。住居表示が実施されました地域について見ますと、しばらくの間は新旧住居表示、番地等がまざりましてかなりやりにくいわけでございますけれども、八〇%以上ぐらいずつ書かれてまいりますと、今度は作業が非常に能率が上がってくるということは、各地の実験からも申せるところでございます。外勤の面につきましては、機動化、住居表示制度の推進ということになろうかと思うわけであります。内勤の血につきましては、先ほど大臣も申し上げましたように、特に大局につきましては、郵便物数も相当多うございますし、機械化もかなり多面的にできます。局内の搬送施設あるいは小包の自動区分機等につきましては、ほぼもう軌道に乗りまして、相当その実効をあげているところでございますが、さらに、大局と限らず、各郵便局につきまして、窓口の料金計器あるいは計数器等から、中での自動把束機、あるいは郵便の定形、非定形の問題に関連いたしまして、自動選別機等の実用機がもう本年度より配備され得る状態にもなってきております。選別機、それから自動取りそろえ押印機等、まだいずれも台数は多くはございませんが、四十一年度予算におきましても、それぞれ七台か八台ぐらい、普通いままでの人力の数倍の能率をあげ得る機械を配備し得るところまで参っておりますが、これらをさらに推し進めてまいりたいと思っております。そのほか郵便番号制度、一方では郵便物の規格化とからみ合わせ、他方では自動読み取り装置の開発ともからみ合わせまして、ただいま相当準備を進めているところでございます。なお、これらの機械化等の背景といたしまして、郵便機械に乗せやすい状態、機械にかかりやすい状態にするというような趣旨も込めまして、今般郵便の一種、五種を統合し、これを定形、非定形ということで、料金のきめ方におきましても定形郵便物が非常にふえてくる、全体としてやりやすくなるというような政策を取り進めておる次第でございます。  なお、ただいま申し上げましたような事柄を全般としてやりやすくしていくという意味から、郵便局舎の建設に非常に力を入れてまいることも当然でございます。  そのほか、東京、大阪を中心としまして、全国県庁所在地との間、あるいはまた自府県内、あるいは近県との間の翌日送達等をただいま取り進めているところでございます。  大体以上のような事柄を中心にいたしまして、事業が当面いたします新しい情勢に対処してまいろうというふうに考えております。
  24. 永岡光治

    永岡光治君 その近代化の中の機械設備の問題と局舎整備の問題について触れてみたいと思うのでありますが、大局は比較的最近は新築をされまして、外観においてはやや体面を保ち得るものがだんだんふえておると私は思うのです。しかしながら、小局の局舎の整備というものがどうもないがしろにされているきらいがあると思います。そういう意味では、小局の整備というものをどう考えておるのか。いろいろ大都市における地価の値上がり等の問題もあろうかと思いますが、そうでない場合でも、依然として非常に古い局舎、しかもそれが、局舎の位置等の問題もありまして、よほど尋ねてみなければ郵便局の位置もわからないというようなところも間々ありがちであります。したがって、私はその信頼を高めるということの一環にもなろうかと思うのでありますが、この局舎の整備について、きわめて小局の場合はこれはやむを得ないにいたしましても、もう今日の段階では、まず本建築の場合には木造をできるだけなくしまして、これは火災予防等の問題もありましょう、そういうところに郵便貯金を預けるとどうもあぶないではないかというような感じも間々持ちがちでありますし、あすこに書留や速達を頼んだけれどもだいじょうぶだろうかというような気も起こりがちでありますが、小局の局舎の整備、それもスタイルの問題もあろうと思いますが、もう少しあか抜けのした局舎をつくることはできないのかどうか。特に電電公社等は、最近非常に建築の技術も進んでおるようでありますが、りっぱなものもどんどんできておりますけれども、それに比較してどうも郵便局は貧弱だ、したがってこれをコンクリート建てにしてくれということを要望してきても、それは予算が足りないとかなんとかいうことによってなかなか思うようにいかないというところもあるようでありますが、もうこれからの日本の建築というものを考えた場合には、木造をやめて、これからはもうそういう本建築は鉄筋になりますかどうなるかわかりませんが、不燃——燃えないりっぱな局舎ですね、そういうものを建てる段階にきておるのではないかと思っておりますが、その点はどう考えておるのか、そうしてまたその局舎における近代化の年次計画というものをお持ちになっておるのかどうか、当然あるだろうと私は思うのでありますが、どのように考えておられますか、お尋ねをいたしたいと思います。
  25. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 特に小局の局舎の整備についてのお話でございますが、特定局の局舎につきましては国費でつくりますもの年々百二十局程度予定しております。今後五年間で六百局新築する予定でおりますが、それ以外に自費新営あるいは互助会等第三者の手による新築というものも相当予想されておりますので、今後五年間に、特定局舎だけでも約三千二百局かと思いましたが、この程度、狭過ぎる、あるいは老朽したというようなものが、面目を一新することになるかと考えております。なお、大都会の中の無集配局、これがまわりの建物との対比におきまして特にみすぼらしいというような、あるいは狭過ぎるという状態になっておりますことも、これは先生のお話にもございましたとおりでございまして、これらにつきましては、実はこれは国費新築をする数もある程度予定しておりますが、地価等の関係、あるいは経済的に、これを建てることになりますと、相当広い面積で合築等も考えなければならないというようなこともございまして、それらの点につきましても若干の用意はしておりますが、むしろ大都会のまん中におきましては、既存の建物、大きなビルなどの一画を借りるということで、今後はそちらに重点を進めてまいりたいというふうに考えております。現在の局長等も、自分で改築する力も意思もなくなってきている、自分がやめたらもう返してもらい、どこか権利金かなんか取ってほかの使い道に回してしまう、そういうようなものも相当ございますし、また借料も、それらにつきましては、借料の増額等も相当用意はいたしておりますけれども、ほんとうの近代化、面目を一新するという意味におきましては、近辺の適当なところにありますビルの一画を借りるというような方向、そういう方向に重点を置くことにいたしまして、予算の面でも昭和四十一年度におきましてある程度の準備をいたしたわけでございます。
  26. 永岡光治

    永岡光治君 かりに全郵便局の数が今日どのくらいあるかわかりませんが、一万六、七千はあるだろうと大ざっぱに言ってそう思うのですが、これを何年計画で全部新築しようという計画を持っておいでになるのか。
  27. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は、一万六千局に余まりますものの中には、まだ建ててすぐのもございますし、当分は手を加えないでも済むというものもございまして、特定局の中で、私ども今後五カ年間に老朽、狭隘等のために手を入れなければならない、改築等をしなければならないものは、先ほど申し上げました三千数百局程度というふうに考えておりまして、それにつきまして、先ほど申し上げました国費によりますもの六百局、それ以外の第三者によるものあるいは局長の自営によるものを合わせまして、従来の実績等を考えますと、今後五カ年間にほぼその要請は満たせるのじゃないかというふうに考えております。もっとも個々の特殊な事情からそういうことができないという局もあるいは出るかと思いますが、それらにつきましては、また個別にその措置を考えていくことになろうかと存じます。  なお、先ほどのお話の中に、今後建てるものについては木造をやめて不燃化あるいは本建築にすべきではないかというお話でございますが、私どもも、国費新営によります相当規模の局につきましてはそういうように持っていくべきであるという観点から、予算の面につきましてもいろいろ用意もいたしております。完全に満たせているわけではございませんが、今後もそういうお話のような向きにつきましては努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  28. 永岡光治

    永岡光治君 私の申し上げているのはですね、いまある現在の局舎の耐用年数を計算して、これは当然その年数がくれば建て直さなければならぬのでありますから、三十年がいいのか、三十五年がいいのか、そいつは建築の質によって違うでありましょうが、当然私はそういう計画がなければならないはずだと思いますですよ。これはそうでなければ、三千局五年間でやったらそれでおしまいだ、あとの一万三千局は残るわけでありますから、それを順を追って改築していかなければならないわけでありますから、当然耐用年数を計算をして、それに基づいて局舎というものは建てるべきだと私は思うのです。そういう計画はなくて、ただ今日の段階でさしむき困っているものだけについて計画しているということにすぎないのかどうなのか、これをひとつあらためてお尋ねしておきたいと思います。
  29. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 老朽という面につきましては、実は個々の局でいろいろ違うわけであります。四十年たってもしっかりしているものもあるし、もっと短くてもいたむのもありますが、私ども一応標準としましては、木造三十年ということを一つの基準にしております。  なお、狭過ぎるという問題につきましては、これは電話交換が移るとか移らぬとか、そういうような事情もからみ合っているのですが、一人当たりの作業面積というものを内部の基準にも持っておりますし、それらに基づきまして、相当、著しく狭いというようなものなどにつきましても、この改築の対象にしている次第でございます。
  30. 永岡光治

    永岡光治君 それはわかりました。木造三十年という耐用年数を、計算を頭に入れて整備していくということでありますから、当然それは年次計画は出てくるはずだと思います。したがって、その計画でぜひ確実に推進をさしていただくようにお願いをして、これと関連があるわけでありますが、この機械化の問題とまた関連を生んでまいりますけれども、今度の郵便法改正によって大改革がなされたという感じを私は強くするわけですが、それは一つは何かと言えば、一番大きな問題は、信書その他ということに分けるのでなくして、定形、非定形という方針として分けた。このことは機械化を予想してのことであろうと想像はつきます。そこで、機械化の問題をまず尋ねたいのでありますが、これは大局の読み取り区分機というものをいま計画されておるようでありますが、先般私が日本電気を見学する機会を得ましたので、そこの社長さんのほうにも御説明いただいたわけでありますが、大体いつごろからこういうものが実用段階に入るのか、その点はどういうことになりましょうか、これは念のためです、一応お尋ねしておきたいと思います。
  31. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は現在日本で考えております自動読み取り装置と郵便番号制度を組み合わせたやり方は、どこの国でもまだやっておらないところであります。自動読み取り等はほかの分野で、アメリカあたりでほかの分野で機械の開発がある程度進められておりますが、直接郵便の自動区分ということに結びつけて深く突っ込んではおられないようでございまするので、また自動読み取り機そのものも、機械の読む力というものは、識別力はだんだん進んでおりますが、今度は書かれます番号、数字をどういうふうに書かれるかという、いわば利用者の側の要素というものをどの程度まで考えていくか。たとえば一万人の人が特別の訓練を受けないで一般の書き方をした場合に九千五百人分は十分読み分けたらこれでいいとするか、さらにもっと安全率を高くしていくべきか、そういうような問題もございまして、なかなかいま何年たったらすぐ実用に移せるかということは非常にむずかしいあれでございます。私ども四十一年度、二年度、三年度あたりはそれの開発の年ではなかろうか、実用に移せるものが出る可能性というものは四十四年度あたりからではなかろうかというふうに一通り考えておりますけれども、また最近委託して研究してもらっておりますところあたりではもっと早くできそうだというようなことなどもございまして、まあ決してそう悲観すべきものでもないような感じがいたします。これは全く新しい機械の開発のことでございまして、いま何年ということをはっきり申し上げ切れないのはたいへん遺憾でございますけれども、何分いま申し上げましたような事情でもございますので、その点ひとつ御了承願いたいと思います。
  32. 永岡光治

    永岡光治君 そこで、この定形、非定形の問題になるわけでありますが、おそらく郵便に愛着を持っている人が一様に感ずることは、信書というものが他の物件と一緒にされた、これで送達をおまかせするということになるかどうかですね。まあ一般の人は知らなければ別でありますが、多少とも郵便に関心を持つ人は、何といっても信書の送達というものは歴史的に見てこの事業の発展の主流をなした事業でありますだけに、定形非定形に分かれましても信書を送達についての責任ある措置をしていただかなければならないと私は思います。物と一緒にこれは運ばれたのじゃ、どうも郵便というものが物になったのかという感じになりますと、これは感覚が違ってくると思いますので、その信書の扱い方についてどういう心がまえでいくのか、これもひとつあわせて、この際、信用を高めるという問題とあわせましても関連する問題でありますが、御答弁いただきたいと思います。
  33. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) たいへんけっこうな御意見でございます。私どもも全く先生のただいまのお話と同感でございまして、郵便事業が運送事業になり切ってしまってはいけないという気持ちを非常に強く持っているわけでございます。運送手段の改善等につきましては、もうある意味では運送事業になり切って、世間の運送事業にあります長所をどしどし取り入れるということにしなければ、その使います器材、手段等につきましては勇敢なる運送事業であったほうがよいという感じがいたしますが、その取り扱うものが郵便であるということは絶対に忘れないで、人間の魂に深く関係する事業だということは忘れまいということをいろいろな機会に相戒め合っているわけでございます。実は、今般の法律改正におきまして、第一種郵便物について規定をしております二十一条の規定のしかたについても相当いろいろ話し合ったわけでございますけれども、本来ですと、今度の二十一条の第一項第一号「筆書した書状(特定の人にあてた通信文を筆書したもので、郵便葉書でないものをいう。以下同じ。)を内容とするもの。」——第一号に「筆書した書状を内容とするもの。」というふうにうたってあるのでございますが、これは従来の法律にもあったわけでございますが、新しい法律の立て方からいきますと、特にこう規定する必要はないわけでございます。郵便書簡、これは第一項の二号郵便書簡、一項の三号が「前二号に掲げるもののほか、第二種郵便物、第三種郵便物及び第四種郵便物に該当しないもの」、こういう規定をしております。郵便書簡と、それから第二種、第三種、第四種に該当しないものというふうに規定すれば、論理的には十分間に合うわけでございます。内閣の法制局との折衝などにおきましても、この一号は要らないではないかという議論がだいぶ出たそうでございますけれども、先生の先ほどのお話のような趣旨からいいまして、私どもは二十一条の一項一号に「筆書して書状を内容とするもの。」という規定はどうしても残したいという主張を強くいたしまして残したわけでございます。郵便法全体としましてはここに特に書きませんけれども、第五条事業の独占とか、あるいは信書の秘密とか、各所に信書が非常に郵便事業にとって大事だということはうたわれているわけでございますけれども、特にそういうような趣旨からしまして、二十一条にも残したような次第でございます。  なお、気持ちはそうでも、十分に信書の送達が従来と同様あるいはそれ以上に確保され得るかどうかということにつきましては、昨日も御質問がございましてお答えいたしましたのですが、従来の五種、その中には約四六%、十億近い一これは印刷書状や信書でございますが、それも入っているわけですが、これはそのまま従来の一種とほぼ同じ扱いを受けるわけでございます。定形、非定形の違いはございますが、印刷書状の相当の部分、圧倒的大部分は当然定形に入ります。結局新しい一種の定形郵便物の中に信書の九八%はほぼ入ってしまうというふうに考えられますし、これにつきましては、もういろいろな面で優先的な、優偶的な扱いをしております。残りの二%ぐらいの信書で定形に入らないものというものにつきましては、これは非定形に残りますと、優先扱いということにはならないわけでございますけれども、しかしながら一方では、大切なものにつきましては、従来でも大型の一種につきましては、速達で出されるものが非常に多かった。新しい非定形の信書につきましても、おそらく相当の部分は速達で出されるものというふうに考えられますし、昨日来大臣からも申し上げておりますように、定形と非定形によって扱い方は異にいたしますが、総体といたしまして、全体的に一種とそれ以下のものも、あるいは定形も非定形も、従来より相当よくしていくということにつきましては、万般の措置をとってまいるつもりでございますので、信書全般につきまして、従来同様あるいはそれ以上のサービスはでき得るものというふうに考えているわけでございます。
  34. 永岡光治

    永岡光治君 利用者の立場からいたしますと、定形の同じ料金の中に扱いの区別があるということは不満であるかと私は想像はいたしますが、しかし信書というものが郵便の主流をなして今日まで運営してきた歴史的な点から考えましても、これに対する扱いの態度、姿勢といいますか、それは非常に私は慎重な上にも配慮していただかなければならない問題だろうと思うのです。もちろん印刷物も、今日は非常に印刷の技術が相当進んでいますから、手で書く手紙よりも印刷の手紙がずっとふえてくるでありましょう。したがって、そういう点は、印刷といえども信書に相当するものであれば信書の取り扱いをしなければならぬと思いますが、他の定形の中に入れられておるものでも信書でないものもやっぱりあるわけでありますから、そういう問題については、やはり平常に運行されておるときには差しつかえないだろうと思いますが、やはりこの点については十分ひとつ心して信書というものに対する取り扱いの態度というものを考えていただかなければならぬと思いますから、この点はいま答弁によれば慎重な態度で臨むということでありますから、それを信用いたしておるわけでありますが、どうぞそのことはくれぐれもひとつ配慮していただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  それから、郵便の送達の速度と安全度に関連してまいりますが、今日郵便の輸送機関の中にいろいろな種類があります。ありますが、通信の大切と申しますか、配送で一番重要な問題は大都市の通信だろうと思うのでありますが、そういう関係から、大都市はほとんど日本郵便逓送株式会社という会社によってこれが逓送されておるようでありますが、しかし私は、国民として、新幹線もできた、非常にスピード感というのが強くなってきた、それから飛行機というものがある、電話の普及も非常に徹底してきたという段階になりますと、片やスピードも考えつつ、しかも鉄道輸送に委託する部分が、だんだんスピードをとうとぶ輸送機関として、郵便がそでにされると申しますか、排除される傾向にあるというふうに、将来もずっと続く運命だろうと私は思うのですが、そうであるとするならば、郵政自体でそういう逓送機関、輸送機関というのを確保する必要があるのではないか。昨日も質問がありましたが、道路の整備もだんだん進んでいくのだから、ひとつ自動車というものも考えたらどうかということでありますが、私は郵政独自で輸送機関を、事業者によって輸送機関を、北は北海道から南は鹿児島まで持つという計画をして、近い将来それを完成する段階に進みつつあると私は判断をしておるわけでありますが、この考え方について郵政当局はどのように考えておいでになるのか、お伺いしたいと思います。自主的な、自分で持つ輸送機関でありますから、郵政独自の輸送機関ということになりますと、経営形態にいろいろあるでありましょうが、そういうことになるとすれば、自然正確という問題もこれによって相当カバーできる問題もあろうと思いますが、そういう全国一本にした輸送機関を持つ、鉄道便にたよるものをできるだけこれから排除していく、そういう考えについて郵政当局はどういう展望を持っておいでになるのかお尋ねをしておきたいと思います。
  35. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 鉄道輸送の近代化に関連いたしまして、郵便の輸送がだんだん鉄道の面からはずされてくるというお話は、国鉄側が意識してそうしているわけではございませんけれども、自然に確かにお話のようになる傾向はございます。旅客列車に郵便や手荷物、小荷物をだんだん積まなくなってくるというようなことからいたしまして、また各駅停車の貨車、そういうものもおそらくだんだんなくなっていくのだろうと思いますが、そういうように郵便物をそう載せてまいるわけにはなかなかまいらないというようなことなどから、数年前からだんだんこちらも心組みはしているわけでありますけれども、おそらく郵便を載せて走る列車は急行貨物が主体になって、とまる駅も現在の急行列車の停車駅に似たようなところになるということにだんだんなってまいろうかと思うわけでございまして、そういうふうになります場合には、その停車駅を拠点にいたしまして、現在全国で国鉄の受け渡し局が二千四百局ばかりありますが、そのうちの相当の数が鉄道受け渡しということでなくなってまいるわけであります。停車駅を拠点といたしまして、そこから自動車によって運送をしていくというのが全国の大多数の局について行なわれる形になってくる、数では相当多い局になってまいろうかと思うわけでございます。しかしながら、そういうふうになるといたしましても、やはり一、二種——一種の定形及び二種等は、遠距離につきましては航空搭載を考えておりますけれども、それ以外のもの、一種の非定形、あるいは三種、四種の郵便小包、そういうようなものにつきましては、依然として中距離ないし遠距離は鉄道に依存しなければならない。スピードの面におきましても、搭載力の面におきましても、あるいはまた料金コストの面におきましても、鉄道を主体にやはり今後相当の期間考えてまいらなければならないのではなかろうかというふうに考えます。近距離につきましては、その近距離の範囲もだんだん進んで、道路の発達、自動車の発達によって、だんだん範囲が広まってくることは当然でございますが、近距離につきましては、自動車が主体になってまいる——いまでも主体になっておりますが、この範囲がだんだん広まってまいるということも、当然予想されるところでございます。先ほど申し上げましたように、中距離、遠距離につきまして、なお自動車を主体にするというところまではなかなかまいらないのではないかというふうに考えている次第でございます。
  36. 永岡光治

    永岡光治君 これは、大体、いまの段階の説明がありましたが、私は行く行く、交通事情等を考えてまいりますと、自然そこまでいかなければならぬということになろうかと思います。したがって、それは航空搭載の問題も信書の送達についてありましょうが、まあしかし、これはコストの問題も考えてみませんと、問題になることであります。したがって、専用の郵便自動車を持ってコストがどのくらい比較して安くなるのか、あるいは高くなるのか、比較検討してみなければわからぬと思いますが、これはぜひひとつ大きな課題として御検討をいただきたいと思います。  私がなぜそういうことを申し上げるかというと、実は、いま日本郵便逓送会社というのが全国にありますけれども、この経営が非常に苦しくなっていることは、もうすでに当局も十分承知であろうと思います。この会社には、企業努力というものが、実は積極的なものがあまりないのです。もし努力ありとするならば、支出面において、つまり経費の節約についてどれだけするかということが、おそらく今日として残される企業努力の一番大きなものだろうと思いますが、しかし、それとても、今日はもはや極限にきていると思うのであります。この会社の経営の内容を見てまいりますと、配当も漸次下がっておるようです。昨年の末期でありましたか、配当はたしか五分と私は承っております。これではならぬのでありまして、今日の賃金値上げの問題もありまして、賃金値上げの財源がない。話によりますと、職員の退職の引き当て金もこれを給与改善その他に回しておるという苦しい状況のようであります。あるいは固定資産を売却してその経費をつくっておるという状況でありますが、これでは、一番大切な都市1いま都市通信が大部分の輸送の役割りを演じているようでありますが、この大切な役割りをそういう形に置いていいのかどうかということを私は非常に心配するわけであります。したがって、この点を考えますと、もはや、この事業の性格と申しますか、体質と申しますか、再検討する段階にきておるのではないだろうか。まあ保険事業団というものができておりますが、そういう事業団をつくるぐらいであるならば、むしろこれは、政府出資によって、配当金など要らない、いうならば、かかったものだけあげましょうというか、直営と同じような形ですね、内容は、質としては。そういう形で、いくべき段階にきているのではないだろうか、こう私は思うわけです。運賃の計算の方法を承りましても、一車何キロ走ったからということで計算されているようでありますが、郵便物をいくらたくさん積みましても、極端な話が、十個積んでも百個積んでも、一車しか走らないということなら料金は同じだという、これはコマーシャル・ベースで考えるとおかしな運賃の計算の方法だと私は思うのです。もちろん端的にそれだけではないでありましょうけれども、そういうのが大体主だろうと思うのでありますが、それではこの会社の成り立たないことは当然でありますので、この点はひとつ再検討の段階にきている。特殊法人がいいのか、あるいはまた、この会社をそのまま存続するとすれば、現在の運送法によって料金を認可されているようでありますが、それを郵政独自の認可でこれをきめていくという方法も一つあるでありましょうが、そういう方法によるのか、いずれにしても、今日はこのままではだめだということは、もうみな知っていることだろうと思うのであります。この点につきまして、郵政当局はどう考えておいでになるのか、お尋ねしておきたいと思うのです。
  37. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 郵便の自動車運送をしてくれております会社が全国で六十七社ございまして、そのうち日本郵便逓送会社が業務面では八〇%くらいを占めているわけであります。この日本郵便逓送株式会社が、経営上、現在一番経営内容もよくなくなってまいりました。今後の問題について相当心配されているわけでございます。  一昨年十一月、三二・三%の賃率の引き上げが各地の各陸運局から認可されまして、現にそれによっているわけでございますけれども、おそらくそれ以前におきましての累積いたしました原因等も、今日の業績があまりよくない——業務のほうは別といたしまして、経理上の成績があまりよくない大きな原因にもなっているかとも思われますが、また同時に、ただいまの御指摘のように、もう一定の、きめられた時間にきめられた距離を走るだけ、郵便が非常に多いときでも、少ないときでも、そう料率は変わらないというふうなことなども一つのいわば企業性を発揮する余地が少ないということになりまして、経営成績を上げていくことのできない大きな原因になっている。あるいはまた賃率のきめ方が、都市で地方との差を若干は見ておりますものの、基本的には同じだということからいたしまして、東京、大阪のような大都市での交通難というような事情なども十分反映されておらないというようなことなども考えられるわけでございます。賃率の改正等におきましても、運輸省の関係当局とただいま私ども打ち合わせ中でございます。そういう面の賃率が、そう遠くないうちに改正されることになると思っております。会社側も申請しているようでありますが、そう遠くないうちに賃率が改正されることになると思われますし、また他方、業務量の増大によりまして、省側から施設の拡充を会社に要請いたします際の投資資金等におきましても、最近ほとんど会社は一般の市中銀行等から借りているわけでございまして、これらにつきましては、あるいは私ども、以前一回だけありましたようですが、もっと低利資金、たとえば日本開発銀行の資金、そういうようなものを会社が利用できるように、こちらも相当配意をしてあげるというようなことによりまして、現在支払っております相当高額の、年間おそらく一億を上回る金利を払っているのではないかと思われますけれども、そういう金利の負担も軽減することができるとすれば、これも経営の改善にかなり役立てるのではないか、そういうようなことも考えられるわけでございます。  その他、あるいは大都会の中で、非常に取り集めのような作業どもどんどんと広げていくというようなことを今後続けていくべきかどうか。会社としては、大きな企業体として——会社そのものはそう大きいものではございませんが、郵便の運送事業としては非常に大きいわけでありますが、大きな企業体としてやるべき業務とか、小回りのきく企業のほうがある程度有利だと思われる個所とか、そういうようなことなどもさらに研究する余地もあるようにも感ぜられますし、会社におきましてもただいま非常に勉強しているようなところでございます。私どもも今後さらにそういう点も勉強して研究してまいりたいと思っております。  ただいま特殊法人にしたらどうかというお話でございますが、まだ私ども特殊法人にしたほうがいいかどうかということにつきましては、もう少し研究を続けてまいりまして、方向を見出したいというふうに考えております。
  38. 永岡光治

    永岡光治君 私特殊法人というのは一つの思いつきで言ったわけでありますが、そういう性格のものにする、つまり郵政事業一体として運営すべきもの、そうしてまたそういう意味でめんどうを見るべきもの、したがって、料金改定が提案されておりますが、その逓送会社に対する運賃をどうするのだということも当然考えた上での料金決定もおそらくあっただろうと私は思うのでありますが、いずれにいたしましても、これはこのままではいけないということはお認めになっておるとおりでありますから、早急な機会に、この会社が成り立つように、それも郵政事業と全く離れることのできない一体のものとして御検討いただきたいということを特に要望しておきたいと思うのです。  そこで、最後にお尋ねと要望になるわけでありますが、ただいま賃率の改定について運輸省関係当局と話をしているというお話でありましたが、この問題は、今度の賃上げ問題もありまして、相当財源は窮屈であることは、これは間違いないと思うのでありますから、その問題については早急に郵政当局で、その賃金もいま、俗なことばで言えば、春闘で賃金の妥結も見たようでありますが、それが完全にカバーできるように、郵政当局でもひとつ特段の配慮をしつつ善処していただかなければならぬと私は思うので、郵政省の当面の問題としては、いますぐこの性格を変える、体質をどうするといったところで、早急のこの瞬間に間に合うわけではありませんので、それらの問題は将来にいたしましても、この当面を切り抜ける方法としての料率の改定について特段の配慮をいただくようにお願いをし、そうしてまたその点はお約束できるのかどうか御質問をして、あと質問はたくさんありますけれども、きょうのところはこれで質問を私は終わりたいと思います。
  39. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 先ほど申し上げましたようないろいろな事情もできるだけ考慮されました適正な賃率が認可されますように、関係当局とも打ち合わせまして努力いたします。
  40. 永岡光治

    永岡光治君 終わったわけですけれども、いまの当面の瞬間の問題で、たとえば賃金の引き上げについて交渉して一応妥結したにしても、早くこれを処置してあげませんと間に合わないわけですが、それを支払えるように特段の措置を講じてもらわなければならない、こういうことなんです。だから、その点についてはどういう借金をさせる方法があるのか知りませんが、そういう問題と賃率が間に合えば、それでもけっこうでありますし、それも郵政当局の裏書きがあれば私はできることだと思います。金融にいたしましても、先ほど開発銀行等もありましたけれども、ほんとうを言いますと、これこそ預金部の金をそのまま貸してやっても差しつかえない、郵政事業そのものでありますから。そこから借りてもけっこうなものでありますから、それも思いつきでありますが、考えを広げまして、この急場がしのげるように特段の配慮をしていただきたい、こういうことでございますから、これを特に要望しておきたいと思います。
  41. 光村甚助

    理事光村甚助君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 光村甚助

    理事光村甚助君) 速記を始めて。
  43. 田代富士男

    田代富士男君 ただいまお話がありましたとおりに、大臣は御都合で一時間ほどだそうでございます。いまも永岡委員より問題になっております郵便法の問題についていろいろお話がありました。きょうは皆さん方も、あすからは連休でありますし、きょう委員会をやっているのはこの委員会だけでございますし、心もそちらのほうへ向かうばかりじゃないかと思うわけです。そういうことも心得ておりますが、だがこの郵便法はいま国民の焦点になっておりますし、永岡委員の申された点につきましてはできるだけ私もダブらないようにして、そのように心得ていきたいと思いますから、ひとつよろしくお願い申し上げます。  まず第一点でございますが、郵便法の第一条を見てみますと、それぞれ郵便法の根本理念とも言うべきものが説かれているわけであります。郵便法第一条に「なるべく安い料金で、」云々、また公平に提供しなくちゃならない、かような意味が説かれてありますけれども、この解釈の範囲はどの程度までを言うのであるか、その点をまず郵政大臣からお願いしたいと思います。   〔理事光村甚助君退席、理事西村尚治君委員長席に着く〕
  44. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃるとおり、郵便法一条に「あまねく、公平に提供する」——これはもう「あまねく、公平に」でありますから、当然均一な料金が法定されることを申しておりまするし、郵便事業というものが「公共の福祉を増進する」ために——したがいまして、確かに郵便事業というものを国が独占しておりますることは公共一の奉任であります。したがいまして、そういうような考え方から、「なるべく安い料金で、」——これは非常に含蓄のあることだと思います。それで、「なるべく安い料金で、」、ここに書いておりまするように、一条に言うておりまするようなことを果たしていくということが、郵政事業に当たります者の心しなければいけないことだと思います。したがいまして、一条の中に、他の条文にも出てまいることではありまするけれども、国が独占をいたし、しかも均一料金にいたし、しかもまかない得る限度におきましては「なるべく安い料金」でやる、この一条の精神というものは、どんな場合にも堅持してまいらなければならないものだと思っております。
  45. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、いまもお話が出ておりました、今回の値上げ幅は二八・八%を打ち出してあるわけなんです。この二八・八%は、郵便法第一条の上からはどのように見ておられるか。これが第一条の精神に沿った上のこのような数字であるかどうか、その点につきましてひとつお願いしたいと思います。
  46. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 「なるべく安い料金——この気持ちがございますので昨年の十一月二十七日政府経済政策会議をいたしましたときも、まず打ち出しましたのは、料金改定をせずに済むかどうかということをまず検討いたしました。しかし、どうしてもこれは、後にまた御質問が出てまいると思いまするけれども、ずいぶん無理をして、ある意味では郵便事業というものが、一条に言うている精神のようにはたして動いているかどうか、そこを疑問にしなければいけないところまで無理をしてやっている。そうすると、これは国民への負担をかけることではありまするけれども料金改定をお願いしなければいけない。そうすると、今度あとはつとめて低位に押える。これは、先ほどもお尋ねがございましたが、五カ年もたせるならば三六・五%、あるいは、三年でも二九・五%というような御答申郵政審議会から事実ございました。ございましたけれども、やはり私どもは、前からどうやったら低くなるか——といって収支計画が不安定なものをこしらえては困る、根本的な間違いだと思いますので、そうやって考えながら幾たびか試算をいたしまして、かつ今後の展望をいたしてみますと、五カ年をもたすために二八・八%あれは——これは決して楽な経理とは申せません。したがいまして、企業努力を重ねなければいけませんけれども、とにかくこれなら今後五カ年間は再び料金のことをお願いするということなしにやっていける、そういう意味合いで、「なるべく安い」という一条の趣旨に合ったものと考えております。
  47. 田代富士男

    田代富士男君 そうしますと、前回三十六年の値上げ率の基準はたしか一九・六%じゃなかったかと思うわけなんですが、このときの郵政省の考え方と今回の二八・八%とおきめになられた郵政省の考え方については相通ずるところがあるか、三十六年度の値上げのときの考え方と違う点があるかどうか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  48. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 三十六年の場合には、御承知のように、一種、二種に手をつけませんでした。同時に、その前後におきまして、御承知のように、ベースアップの著しい大幅なのがございました。したがいまして、三十六年度におきましても、その後のもちろん事業収支の安定ということは考えてはおりまするけれども、このたびのように全体に手を触れて、そして御指摘がございましたように種類体系の整備というようなことは、私は郵便事業としてはある画期的な改革をいたした時期だと思っております。したがいまして、三十六年の料金改定の当時の当事者が非常な苦心をいたしてくれたことはよく私も承知をいたしておりまするけれども、このたびの改定のほうがより根本的な、ひとり料金だけの問題じゃなくて、郵便の体系そのものを、あるいは近代化というようなことを込めまして一つの答えを出そうとしておる、そういう違いがあるものだと考えております。
  49. 田代富士男

    田代富士男君 そういう考えで今回は二八・八%という決定がなされたわけなんですが、公共料金の一環としまして、ほかの公共料金を見てみますと、国鉄運賃が二五%、米価が八・六%、地下鉄が二六・二%、私鉄が二〇%、このような値上げ数字が出ておるわけなんですが、今回の郵政省の値上げは二八・八%という、こういう大きい数字が出ているわけなんですが、この関係でありますが、これがほかの物価に与える影響というものはどういう関係になるのか、そういうこともお考えの上に二八・八%という線が打ち出されたのであるか、その点をお願いしたいと思います。
  50. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) いま田代さんのおっしゃった点が、公共料金に手をつけますときの一番大きい問題だろうと私は思っております。それで、確かに料金値上げの幅はいまおっしゃったとおりでありまするけれども、これは消費者物価指数というものは、御承知のとおり、総理府の家計費調査というものをもとにいたしまして出してまいります。その家計費調査では〇・一四、この家計費調査をもとにいたしまして消費者物価指数を出しますから、そういたしますると、こまかいことを申すようでありますが、家計費調査で出てまいりましたものの中で、どこにも割り振りのつかない雑費というものを除きまして今度は配付いたしまするから、消費者物価指数はちょっと率が高くなりまするが、二八・八%の引き上げを今度いたしました郵便料金というものは、消費者物価指数で見ますと〇・二という消費者物価指数の割合を占めております。したがって、二八・八%でありますると、〇・〇六という消費者物価指数への影響でございます。これに対しまして、いま御指摘のような米価、国鉄運賃等を見ますると、国鉄運賃についてはこの影響が〇・二、それから米価については、配給米のみを見ますと〇・五、非配給米の価格上昇を含めたものですと〇・七、そういたしますと、郵便料金の〇・〇六というのは、消費者物価指数に対する影響というのは、まず私どもそれをもって一般の物価に響かないものだということを申すつもりはございませんけれども、これは御想像いただきましても、一般の家庭が使っております郵便数は全体の二割程度、八割程度は大企業等が用いておる。こうした実情から見ましても、消費者物価指数に対する影響というのは、〇・〇六と見ますると、毎月の消費者物価指数の動向から見ましても、これは千分の幾つかの動き——というのは、御承知のように、毎月移動を示しながら消費者物価指数は動いております。これは、ただいま申しまするように、一万分の幾つという動きでございます。ほとんど消費者物価指数に影響というものはなしにやっていけるのではないか。そういたしますると、一方ではこれから五カ年間の収支を見ますと同時に、まず郵便料金そのものによる物価への影響というものを考えないで済むだろう、こういう見当でお願いをしている次第でございます。
  51. 田代富士男

    田代富士男君 いま郵政大臣から丁寧に説明をしていただけば、私たちは理解できることでございますが、問題は一般大衆の人々じゃないかと思うのであります。だから、ここに日本全国の一般大衆の人がいらっしゃって、いまの郵政大臣お話をお聞きになったら、納得される方もいらっしゃるかと思いますが、そういうことが大衆には知れないわけです。だから、物価指数の問題の扱い方においても、これは問題点があるんじゃないかと思うわけです。これは一つ余談でありますが、例をとりますと、一番最近肉類が値上がりしておるわけです。そこで、物価指数の対象となるものは、ロースと中肉の二つの銘柄になっているわけです。その調査をしますと、東京都ではお肉屋さんでロースが先月の百グラム百八十円から二百円、中肉が百四十円から百六十円と、二十円上がっています。ところが、一般大衆が買われる並み肉というようなものは、百円から百四十円である。このように一般の大衆が買う肉というものは四〇%ないし五〇%上がっているわけです。ところが、指数としてあらわれるのはどのくらいの指数であるかといえば、そういう肉類全部を含めまして〇・六%の上昇を示しておる。こういう物価指数自身の問題点があるんです。そこで、先月、佐藤総理のもとへ主婦団体の代表の人がおいでになられて、まあ先年度は七・五上がったということを聞いているけれども、それ以上に上がっているんだと、私たちの家計簿はと、こう見せつけられたときに、それは家計簿が違っているんだと佐藤さんが申されて、げきりんに触れたことがあるわけですが、まあこのようにいま家庭生活に与える影響というものは、ほかの国鉄の場合、あるいは米価の場合、いま数字を示していただいたとおりの、それに比べればずいぶん低い数字になっているわけです。しかし、そういうことはわかるわけですが、直接一人の人がはがきなり切手を買った場合には、事実十円が十五円になったり、あるいは五円が七円になった、そういう感じを受けるわけです。これが二八・八%ということになるんじゃないか、一体これはどうなんだ。もちろん平均単価の二八・八ということはわかりますけれども、一般大衆の人に理解できるように——私たちは今の説明でわかるわけですが——そのようにするにはどうすればよいか、その点の具体的なお考えがありましたならばお聞かせ願いたいと思うのであります。
  52. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) いま田代さん、国民の受ける非常に大事な感じを御指摘になったように思います。  それで、私ども消費者物価指数については、これはこういう指数でありますから、非常にある程度同じ形を踏襲しなきゃいけません。しかし、ごらんくださいましても、現在の日本の経済指標が、国連でとっております指標と違った指標をとっておりますために、これはこのしばらくの間は、同じ従来のものと国連のものとを両方並べまして、そうして比較をとりながら世界全体の指標というものは同じベースで見れるようにいたしませんと、これは予算委員会等でも伺っておりましても、非常にそこでとり方によっての議論の差が出てきております。したがいまして、田代さんのおっしゃった点は、一つはその点を私ども考えなければいけないと思います。それから物価についての問題、これはまことに確かに国民の受ける感じは強いのであります。それで指数で出てまいりますが、一体その中で、いまも主婦連の総理に対する御要望のお話がございましたが、生活内容が一体向上しているかどうか。なるほど確かに肉の値が上がってきている。しかし同時に国民全体の日々の生活の内容が上がっておれば、それは同じような、どうも苦しさが増したような気がすると言いましても、内容の向上した生活を営んでおれば、全体としてはそれはむしろ望ましい、望ましいと言っては何でございますが、楽じゃないぞと言いながら生活が高まっているという、その実態をとらえなければいけません。したがいまして、私もおっしゃいますように、今度郵便料金のこれは私は郵政部内でもしばしば言っていることで、私自身もくふうし、また部内の者もくふうしているのでありますが、七月一日から料金値上げをしていただきますと、この場合に、端的にいままで十円張っていただいておったものが、同じものが十五円張っていただくのでありますから、その場合に郵便料金値上げの実態というものをよく知っていただく。それからよくこれも御指摘を受けるのでございますが、はがきが七円になるが、何か二円上げるのを弁解するために紙をよくしたり、少し大きくしたりするそうだが、そんな無用なことは要らぬ。私も舟橋聖一さんのところに、どうしても君に会いたいということでお会いしてお話をし合ったのでありますが、そのときも、自分たち文筆を業とする者は、はがき大と言えばある程度の感じが出てくる。また名刺大と言えばああいうものだ、はがき大と言えばこれなのだと視覚が熟したものを、君らが何センチかふやすということは感情に合わないじゃないか、ごもっともであります、ごもっともだ。そのことはごもっともでありますけれども、この席でもしばしば議論が出ておりますが、機械化という問題がございます。それからはがき、封書というものはことに国際的な動きをいたしておるものでございます。日本だけがいまのような機械にも乗らないような紙を使って、そうして国際間の規格はとにかくきめて、それにみんな合わせていこうというときに、日本だけが、日本人の持っているはがき大という感じをどこまでも維持するのだと言いましても、これはむしろ世界の水準におくれていくことだ。またある意味では、国際間が相互に協力をいたしまして、国際的の一つの規格で世界の各国との交流ができるようにぜひしなければいかぬことであります。決して私ども一種と五種を寄せたことは、郵便料金値上げに伴うということからしたことではない。はがきのそのような紙質の改良なり、大きさを変えましたことも、郵便料金値上げと同じではない。しかしながら、それがすぐ生活の向上を伴なっていくかというと、私のところにも各種の人々からおもしろいおたよりをいただきます。いまのはがき一ぱい通信文を書くときに、このはがき一ぱいにどうやって書こうかと苦労しているが、郡のために広げられるそうだが、また一行か二行かよけいな文句を考えなければならない。まことに生活を知らぬ者は愚かなことを考えるものだという御投書がございました。その限りにおいては、そういう感じをお持ちになると思います。お持ちになるかもしれませんが、そうではない。皆さんが、非常に多くの人が外国にはがきをお出しになる、手紙をお出しになるときに、同じような形でどこの国でも機械に乗せられるような、そういうことのためにいたすのでございますということを私はもっと申し上げて、いまもここで申しておったのですが、私どもここで定形、非定形ということを申します。定形ということばはわかります。非定形、定形にあらざるものということばが、はたして国民の間に熟していくだろうか。規格でないものというならばまだわかります。そうした点はもっともっとくふうしなければならぬことがございますが、したがいまして、郵便料金値上げというのは、数字で説明すれば消費者物価指数なりで御説明いたしますならば、統計指数としては影響のないということを説明できましても、そうでなく、一つ一つの実態がはがきが、手紙がこうなりますことは、こういう意味を持つのですということを申し上げて、そうして理解をしていただくということにこれから進めたいと思います。そういう点で田代さんのいまおっしゃったこと、まことに私は示唆に富んだお話と受け取ります。
  53. 田代富士男

    田代富士男君 いまの問題点についてはよくわかりました。  次に、料金決定の原則でありますが、郵政省に料金理論というものが確立されてあるのかどうか、こういう点について御説明を願いたいと思います。
  54. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 料金の基準というものをはっきりすべきであるということは、郵政審議会からも御指摘を受けております。私はこの郵便法一条の規定のほかに、それぞれの種類別に応じた基準というものができることはけっこうだと思います。ただ、ただいまのところ、郵便法並びに郵政事業特別会計法、両法を通しまして企業的な経営をいたす。企業的な経営をいたすといえば、独立採算制であり、そうして独立採算制をこういう仕事としてとっていきます場合に、種別に応じてその原価に応じた金額を取りますということは、絶えずそれに応じてものの動きをいたさなければならぬ点もございます。しかし、そうは申しましても、五割上げましたから、三十六年で上げた第三種をまたこのたび五割上げたのでありますから、その程度にとめましたけれども、第三種郵便物、特に低料扱いのものの料金は、将来もう少し上げていくべきものだと思います。しかしながら、原価に対するものの考え方というのは、私は全体を通じて、郵便法一条の趣旨にかなったような料金の決定をして、それは総括原価主義でそれぞれの種別について配賦をいたす、こういうことが料金決定の原則というぐあいにお考えいただきたいと思います。
  55. 田代富士男

    田代富士男君 では私はいまの御説明でまあはっきりしているような御説明でありますが、私もいろいろ資料を見させていただいて研究をしたわけなんですが、郵政関係の料金理論というものが、私なりの考えであったならば、これは考え違いということもありますが、全般的にまだ決定論が出ていないのじゃないかと思うわけなんです。だから、いま総括原価主義というような方法をとっていらっしゃるわけなんです。それでいきますと、第一種、第二種、第三種、いろいろあるわけなんですが、そういう点での費用という面につきましては、これはあとでも出てくると思いますが、さまざまな条件あるいはいままでの経緯等がありまして、一がいにいかない面もあるかと思いますけれども、まあ今回は画期的な今回の改正である関係で、郵便法のただいま御説明いただきました第一条の「公平に提供することによって、公共の福祉を増進する」とありますけれども、そういう点で、料金決定の原則がはっきりしていないとするならば、この解釈というものはどういう意味になっていくのかということを、私は理解に苦しんでいるわけなんですが、その点いまの御説明でもけっこうでありますけれども、もうちょっと具体的に御説明を、願えたらと思うわけなんですが、お願いいたします。
  56. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これは後ほど政府委員のほうからこまかく申し上げさせたいと思いまするが、現業部門の経費が幾らだとか、窓口事務の経費が幾らだとか、配達事務費については幾らだとか、こういうふうに作業の種類別に分けまして、そうしてそれぞれの作業に要した延べ勤務時間の比率を基礎として置いていく。そして、こうして分けられたそれぞれについて、今度は書状にどう、はがきにどうというぐあいに、配賦してまいりまするし、そして、今度は書状、はがきというような郵便物の種類ごとに、一体、容積がどれくらいかかるとか、手数がどれくらいかかるとか、取り扱い物件がどうだとか、こういうことで比率化して分計してまいっております。私はその限度においては、そのようなやり方以外に、郵便のような比較的素朴な事業については、出てまいらないのじゃないかと思います。しかし、それ以上に今度は、それでは特にこのたびの一種十五円ということにいたしましたその十五円というものについてきめまする場合に、もっとはっきりした基準というものが出てくるならば、私は、それは望ましいことだと思います。現在の原価計算のやり方につきましても、私はいまも正しいやり方をしていると思いますけれども、これについてのさらに検討はあってよろしいものだと思っております。
  57. 田代富士男

    田代富士男君 まあ、いま一応の御説明をいただきましたけれども、総括原価主義をとっていらっしゃる関係上、いろいろな情勢に押されて、それぞれの料金というものが手直しされるわけなんですが、その場合に、圧力の強いところ、そういうような場合にもっと上げなくちゃならない、そういう見方もされると思うのですけれども、その反面、今後は圧力の弱いところは割り高となってくる、こういう今回の姿も一部見えているのじゃないかと思うのです。それで、今回の郵便法改正にあたりまして、大衆が主体になっておるのか、企業体を主体として、そちらのほうにウエートをかけた上の料金であるか、その点も理解に苦しむ場面があるわけなんです。そういう点につきまして、郵政大臣からのお考えをお聞きしたいと思うわけです。
  58. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私はその点は、郵便事業というものにつきましては、どこまでも眼目に置いておりますのは、大衆であります。おそらくこれくらい国民の皆さんがお使いくださる、少しづつであっても、はがきを出さない人間、手紙を書かない人間はないのであります。もうめどは大衆そのものであります。ただ、あるいは御指摘になりました点が、第三種郵便物の低料扱いの問題になると思います。それで、第三種郵便物の低料扱いの問題、これについては新聞社が主じゃないか、そうすると、大新聞の刊行物は低料に扱うために、現に赤字が出ておるのじゃないかという御議論が出てくるかと思います。しかし私どもはむしろこう考えております。新聞を低料扱いにいたしまして、届けます場合に、これは先ほどもお話が出ておりましたが、現在は確かに購読者の負担になっております。そして、かつそういうところでは、これは一つの面では、私は郵便配達なさる方からこういうお話を承ります。新聞を一通持っていくために、非常な労力と体力を使って、そして届けているのだ。しかしながら同時に、それを届けていただく、受けるほうの側というのは、とにかくその新聞ということによって社会とのつながりを持っている方であります。そうした方に、現に御本人が負担になっております、これはあるいは世論を喚起して、そうじゃなくて新聞社自身が負担するようにしたらいいじゃないかという議論もあろうと思います。そうなれば、またものは別かと思います。いまのところは、購読者の負担になるといたしますならば、かつ、二十六年でも第三種低料扱いを上げた、三十六年も上げた、今日も上げる、そうするとある程度値上げの幅というのは、一挙にどうするということは、私はまた無理なものじゃないか。したがいまして、第三種郵便物の低料扱いについて、少なくも直接経費をまかなうぐらいは取ったらどうかという郵政審議会の御意見に、やがてそこに近づいていかなければならないものだと思いますので、まずその程度にとどめました。ほかのものにつきましては、私は、第四種郵便物を今度、実は少しその形の上からいうても厄介な第四種郵便物をやめるわけにいかぬかと思いましたが、これは業務者のということもございましょうけれども、やはり郵便というものへの、一般大衆が利用しておられる感度、これから申しますと、これは急激に改革をいたしまするよりも、徐々に改めていくべきものじゃないだろうか。したがいまして、ある程度画期的な改正をしたいということを考えながら、一種、五種の統合などは、あるいはちょっと当座の間はよほど国民の皆さんに御理解をいただかなければならぬことかと思いますので、料金の点については、やや現状に即しながらいたしておった。しかし考えるところは、どこまでも大衆の生活ということを一番頭に置いてしてまいったつもりでございます。
  59. 田代富士男

    田代富士男君 あとで具体的にお聞きしようと思ったのですが、時間的に制限がありますから、これからあらためて、第三種の問題が出ましたから、それに関連してお聞きいたしますけれども、この五十六億の赤字は、もちろん人件費等も含まれておりますけれども、第三種郵便物のための赤字ということも、一つの原因になっておるのじゃないかと思うわけなんです。そういうところから、今回の問題が起きてきておる。私が申すのは、大企業優先という点も、いま申しました点はどういうことかと申しますと、第一種の郵便物または第二種を、一時に三千通を府県別に区分して出された場合には、合計額の百分の十以内の範囲内で料金を減額して利用者の御協力に報いていくという、この点がございます。これをちょっと計算してみますと、三千通のはがきを出した場合と二千通のはがきを出した場合、その経営者としての出費は、それは金額は違いますけれども、どういう関係になるかということを出してみましたら、三千通の場合、たとえば百分の十の値引きのあった場合と仮定しますと、これが大体一万八千九百円になるのじゃないかと思うわけなんです。そうしますと、従来も三千通ほどまとまれば値引きということも考えていただいておりましたけれども、値引きなしと見ていただいた場合に、はがきの場合は一万五千円、そうしますと、その差額というものは三千九百円の差額が出てくるわけなんです。ところが今回は、二千部の場合は、そういう百分の十以内の範囲での料金の減額というものはなされないわけなんです。そうしますと一万四千円、従来の五円単価でいきますと一万円、その差数は四千円という数字が出てきているわけなんです。そうしますと、三千部出した会社というものは三千九百円の差額、二千部の会社は四千円、こういう数字が出てきているわけなんです。これを従来支出していた金額に対しての数字は、三千部扱ったところの会社は従来の二六%の支出増になっているわけなんです。二千部扱っているところの会社というものは、従来のお金よりも四〇%の支出増になっているわけなんです。こういう一つの例でありますけれども数字が出ているわけなんです。同じようなことが手紙をやってみますと、手紙の場合も大体いま申し上げますとおりに、三千部出したほうの会社というものは差数が一万五百円、二千部出した会社は一万円、そのパーセントを出しますと、三千部出した会社は従来の三五%増、二千部の場合は五〇%増、こういう数字が出てまいるわけなんです。それで三千部、二千部とそういう第一種、第二種出されるところは、定刊物も出していることは間違いありません。そうしますと、定期刊行物を出し、手紙で案内状を出す、そういうようなことをやっている。定刊物と手紙、はがき等、これをまた合わせて出してみますと、いろいろいまの計算でいきますと、定刊物と手紙を出した場合は、三千部扱ったほうは三七・五、二千部扱ったほうが五〇%。それから定刊とはがきを扱った会社が、三千部の場合は三一%、二千部の場合は四四%。このような、数字の上の一つの例でありますけれども、出ているわけなんです。そうしますと、今回の改定では二千九百九十九部では百分の十以内の範囲の料金を減額する、これに適用されないわけなんです。そうしますと、三千部以上のそういうものを出すということは、大企業でなくちゃできないわけなんです。そうすると、中小企業の人が出されている場合は、いままでよりも、このように大企業の人々が出すよりも一割も一割五分も——これが二回三回と繰り返していくならば、金額にするならば、国家予算から考えるならば微々たる金額じゃないかとそのように上から見たら微々たる金額でありますが、今度は下のほうから見るならば、こういうあなどりがたい金額が出ているわけなんです。   〔理事光村甚助君退席、委員長着席〕 そういう点から、私は今回の恩典も大企業優先という面も一つ出てくるのじゃないかと思うわけなんです。そういう点についてはどういうお考えでございましょうか。
  60. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいまの点は、先ほどもちょっとお尋ねがございましたが、一種、五種を統合する、そうすると、今度新しい一種がかなりの分量になります。その分量をさばいてまいりますために、差し出し人の御協力が得られる。そして、差し出し人の御協力によって郵便物全体が円滑に送達できますならば、それは結局、その方々のために御便宜をはかるということよりも、信書を受けます国民の皆様全体への送達速度が安定することができる、そういう見地から部数と扱い方をきめたわけです。したがいまして、そういう方の優遇をいたすというつもりではないのであります。いま御指摘になりました、三千部、二千部によりましての差の点は、ひとつ郵務局長のほうからお答えさせます。
  61. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 確かにお説のように、三千通と二千通というものを比較いたしまして、三千通で一割の割引き、二千通は全然ないということになりますと、支払う料金の率につきましては、三千通のほうが非常に割り安で二千通のほうが割り高だということになるわけでありますが、支払います料金のほかに、一割の割引きをいたしますについては、相当のこまかな区分等を要請いたします。あるいはまた、差し出し時間等も、局の比較的あいているときに出していただきたいとか、そういうようなことと重なりましてそうするわけでございまして、大臣がただいま申し上げましたように、一方では全体がよくなり、同時にそのために相当自分が犠牲を払っているということでもございますので、決して大口差し出し者優遇という趣旨ではございませんので、そういうものから受けます全体の大事な通信の被害と申しますか、混乱というものを防ぐというのが、もっぱらの趣旨でございます。  なお、じゃ三千通にしないでもう少し低い水準にしたらどうかということでございますが、あるいはまた、もう少し機動的な扱いができるようにしたらどうかということでございますが、通数があまり小さくなりますと、たとえば府県ごとの区分をしていただきましても、ある県では一通とか二通とかとなりますと、これは実は分けてもらってもそのままではやれませんから、効果があがらないということになります。府県区分とかあるいは東京都などにつきましては、各行政区ごとの区分を要請いたしますので、そこらの各区についてある程度効果のあがる協力ということを考えますと、どうしても三千通ぐらいになるわけでございます。しかし、場合によれば、もっと地域的に集中して出されるというものについては、もっと少ない通数でも効果があるわけでありますけれども、実はこれは料金自体の問題になるので、あまり省令とか政令とかで規定すべきものではなくて、法律自体で書くべきものだというような、こういう法制局の意見等もございますし、私どもも一種、二種等の基本的なものの料金に関する点もございますので、法律で書かざるを得ない。としますと、あまりに機動的な扱いもできかねるという実情であったわけでございます。
  62. 田代富士男

    田代富士男君 いまの問題に関連してでございますが、いまの三種の問題がいろいろ焦点になっておりますし、一種は大衆のわれわれに密接した扱い物であるわけですが、そこでいま申すとおりに、三種の問題をもっと検討しまして、たとえば、今回は速達の問題につきましても、従来は均一化されていたのが重さによって、重量によっての格差が出てきております、料金等におきまして……。そのくらいまで検討されておるならば、今回は一種、二種の料金は据え置きにして、第三種のそういう料金は、昨日の説明でありますと、遠距離であるために、あるいは社会文化向上のために、そういうために第三種料金というものは、本人負担等を軽減するためにやっているということでありますが、これが本人負担の部分もありますが、そういうおもに第三種を利用しているのは、大企業の会社が多いわけなんです。それでありますならば、これは遠距離だけでもありません。これは近距離でもずいぶん多くの部数が出ております。それで速達においても、重量の格差をつけるくらいであるならば、距離によって値段の格差をつける、そうして、そういう面におきまして、前回改正でありませんけれども、今回は一種、二種は差しおいてそちらのほうで赤字をカバーしていくというそういうようなお考えはございませんでしょうか。その点ひとつお聞きします。
  63. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 速達につきまして、いままで申しておりますように、一種、二種を、一種の定形と二種を航空機で送達をいたします。今度速達は当然そうしますと、一種の非定形などでも速達が出てまいります。そういたしますと、非定形等には、相当の重さのものも出てまいります。これを今度航空機で送るといたします。そういたしますと、どうしても重量によって差異を設けませんと、それこそ、とうていお引き受けできないような航空機搭載量が出てまいります。そうしたために、どうしても一種の定形と二種を航空機で送るといたしますると、速達については重量扱いということを考えざるを得なかったわけでございます。  それから、そうすると、第三種については雑多なものであるから、これを距離制にしたらどうかという御意見と普通に伺ったのでありますが、第三種郵便物の中で、今度距離に応じまして速達とかいうような特殊料金は別でございます。郵便法一条のあそこにはなるべく均一という思想が出ていると思いますが、理屈は別といたしましても、郵便のことでありますから、なるべく制度は簡単にしたい。一種のところで私どもは非定形の分け方でもずいぶん苦心をいたしましたのは、何らか重量のところで少しややこしいという感じを持ちました。したがいまして、三種をさらに重量によって分けるということにいたしますと、取り扱いの分量の全体から申しましても、少し繁雑になりはしないだろうか、そんな点につきまして三種については、速達の上で重量別は考えなかった次第でございます。
  64. 田代富士男

    田代富士男君 私がお聞きしているのは、三種の重量別でなくして、距離制の問題なんですが、いまのお話を聞きますと、事務上そういう分類がたいへんである、そういうことも私もわからないわけではございませんが、小包にいたしましても距離制になっているわけなんです。そういうところから考えれば、今回がごく少部分の改革であるならば、次回にそういうことも検討しようということも考えられないわけではありませんが、いまさき郵政大臣が申されるとおりに、画期的な改革であります。今回の改革をおやりになるについては、郵政大臣として勇断をもっておやりになったし、最近の郵政大臣の中では、郡さんがおやりになった仕事が一番りっぱじゃないかと思うわけなんです。それであるならば、ついでにこういうところまで検討されたならば、よりりっぱな足あとを残すことになるのじゃないかと思うし、事務的な問題で、そういうことをただ片づけるのじゃなくして、それであるならば、第一種の黒字であるべき、大衆を主体としたそういうものも私は考えなくちゃならないと思います。そういう点につきまして、今後においてもそういうことを検討する余地は皆無であるか、あるいは今後の郵政行政上において、そういう点も検討していくべき余地があるのかないのか、その点をお聞かせ願いたいと思うのです。
  65. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 失礼いたしました。私ほんとうに、距離のことを言いながら重量のことを……。これはお聞き苦しかったと思います。速達についてそのような振り分けをしていきます気持ちも申し上げたのでありますが、いま何かひとつ根本的な問題を考えないかというお話でございました。私は率直に申しますると、今度の改正のときに、小包は政令に現在譲っております。速達と書留の料金等は、政令に譲ることができないのであろうか。法律できめるのは一種ないし今度は四種になりましたこの種別の基本料金だけをきめるべきでないだろうかということを考えましたが、しかし同時に、私は小包は、すでに法律が改正されて、政令に譲られておりまするが、とにかく公共料金全体の問題の多いとき、したがいまして一般の郵便料金と速達、書留とは違いまするけれども、やはり特殊扱いの料金についても、この際法律からはずすという法律をお願いすることはいかがであろうか。私はしたがってその点には手をつけなかったのであります。したがいまして、今後一つの問題は、定形、非定形という分け方で、五種を一種に持ってまいりました。これが一体どういう形で国民が御利用くださるか。非定形というものが、料金の関係等で次第に定形化している傾向があろうけれども、それが一体どの程度のスピードで、どのくらいの定形化ができるであろうか。そうすると、非定形の中でも、おのずからいいろいろな区分ができてまいるのではなかろうか、そうした点のこれからの動向を見たいという問題がございます。それから御指摘になりました第三種低料扱いの料金の問題というのがございます。ただ先ほども田代さんが御指摘になりましたように、料金の均一性をとっており、郵便の便利であるという点は、ポストにほうり込みさえずれば、日本全国どこへでも届けてくれるのだという郵便の特質、これはあのポストを通じての国民へのサービスという点が、非常に基本的にできていると思います。そういたしますると、このポストにほうり込むときに、ほうり込まれる方が判断に苦しむような料金、目方は、これは大体切手を買うときにもはかってもらおうと思えばはかれますが、距離とうら点等については、これは投函される方が御判断ができないことですから、したがいまして、今度の新しい一種から四種については、やはり均一料金ということ、それからポストによってお引き受けをするという、この郵便の特質、これは堅持しなければいけないものだと思っております。したがいましてその以外の点では、いまも申しましたように、こういう種類体系をきめた。しかしそれがどういうぐあいに現実に利用してくださる国民の皆様は、私がいまここで申し上げておるとまた違った発展がしていくかもしれない。そういう点は十分これは大きい宿題をみずから負ったつもりで、郵政部内全体でひとつ扱ってみたいと思います。それからこの点においては、扱い方については、国民の皆様もちろんでございますけれども、同時に郵便事業を扱います全従業員に、ひとつ私はいろいろとこれから経験も聞いてみなければいけない問題も残っておると思います。そのような意味合いでは、いろいろ研究問題が今後残っておると考えます。
  66. 田代富士男

    田代富士男君 いまの郵政大臣お話で、まあ今後研究してみたいとおっしゃいますから、そのように希望する次第でありますが、いまの第五種が今度なくなりまして、それが一種並びに二種に変更してくる形がとられると思いますが、今後ですね、そのような第五種がどのような形で第一種、第二種にあらわれてくるか予想を立てていらっしゃるか。またいま私の手元にあるのは、たしかこれは三十九年度の資料じゃないかと思いますが、これでいきますと、概算で申し上げますと、第一種が大体全体の扱い物数の五分の一、それから第二種が四分の一、それから第三種が大体十分の一強、それから第五種が四分の一弱というような、こういう数字が一応出ているわけなんです。そうしますとこの四分の一強の第五種が、この第一種、第二種にどのような形にあらわれてくるか。これは今後実行しなければわからない問題でありますが、これはわれわれ実行しなくちゃわからないと言いますが、ある程度はいままでの第一種、第二種、それぞれのデータがあります。五年ないし十年のその上から、郵政当局としてはある程度の目測と申しますか、予算と申しますか、そういうものは立てておかなくちゃならないし、幸いここに四十年度から四十五年度までの物数の予想等も出されておるわけなんですから、現段階を中心としまして、現時点から将来どのような変化がなされていくものであるかどうか、また特に第三種の変動というものに対して、郵政省当局としてどのような見込みを立てていらっしゃるか、その点をお聞かせ願えたらと思います。
  67. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私は日本の郵便物送達速度が安定し、かつ国民の御信頼を得るということと、さらに国民の生活の安定に伴いまして、一番ふえてまいるのは、私は第一種だと思います。これはある程度世界的な傾向を見ましても、第一種というものがふえてくるんじゃないだろうか。そういたしますると、その第一種のふえぐあいというのは、ある程度はがきというものの伸びを鈍化させていくことになるかもしれない。そうして、あるいは外国におきまするように、絵はがきの利用が非常にふえて、現在あるような官製のはがきというものは、ある程度利用者が伸びが弱まってくるんじゃないだろうか。そういたしまして、四種のようなものは非常に特殊な盲人のお使いになる点字のものでありまするとか、通信教育でありますとか、そういうものになってくるのじゃないだろうか。ただその中で、一種の信書に当たりまするものは、筆書の信書に当たりまするものの伸びは、これは国民の生活の伸びとともに伸びてまいる。一番問題になりまするのは、やはり今度の非定形の部分だと思います。これも私はしかしいろいろなコミュニケーションの手段と申しまするか、そうした国民のいろいろな生活の手段として、非定形の部分も先ほど申しましたように非定形がある程度形が整いながら、非定形もふえていくのであろうと、そういう将来の見通しは持っておりますが、さしあたってのところ、一体何がどのくらい減り、そうして何がふえていくかというようなことは、このたびの、今後五カ年間の目途をつけまする場合にも、郵政省において十分推定をいたしておりまするから、それはひとつ郵務局長のほうからお聞きいただきたいと思います。
  68. 田中一

    委員長(田中一君) 速記をとめて。  〔速記中止〕
  69. 田中一

    委員長(田中一君) 速記をつけて。
  70. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 今後五年間の郵便物数の動向につきましては、総体といたしましては昭和四十一年度は、これは予算できまった数字でございますが、前年度の予測物数に比べまして五・三%ふえるということを一応考えまして、利用減一億五千九百万通として算出いたしました。それから四十二年度におきましては、この一億五千九百万通の利用減はもとに戻るということと、前年度、昭和四十一年度に比べて四%増加するという見込みを立てました。四十三年度は、前年比四・五%増、四十四年度は五%、四十五年度が五・五%増というふうに、郵便物数を見込んだわけでございます。その中で五種はどうなるかというお話でございますが、四十一年度におきまして見込みました五種の動向は、その五種のうち二百五十八万通は学術雑誌でありまして、今度新しく設けます第四種、学術雑誌のほうに移る、それから九百七十五万通はこれは書籍でありまして、これが書籍小包、新しくこれも設けました制度で、料金もかなり安くなっておりますが、書籍小包に移る残りはあげて一種に一本になる、今度はその一種に移りましたもの——従来の一種と従来の五種が合わさりまして、新しい一種になったわけでございますが、その一種の中で料金の関係等からしまして約三億通前後は、現在は非定形であるものが定形化されるのではないか、約五千万通足らずのものは重量も相当軽くなる、非定形ということと別個に低量化によって料金改正に即応するというようなことになるのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  71. 田代富士男

    田代富士男君 第三種のことを説明していただきたいと思います。いまは一種と五種ですから、第三種を……。
  72. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は第三種の今後につきましては、ただいまの五種で申し上げましたような制度上の問題はあまりないわけでございます。これからもっぱら社会の進歩と申しますか、世の中の推移につれまして、公共的な事項を報道する定期刊行物、月刊以上のものがどうなるかというようなことでございまして、私ども郵便物の従来の第三種についての増加率、一般より少し多いかと思いますが、新しく認可されるものが年々数百件ずつでございますし、また物数増加等もございますから、一般的な郵便物増加率よりは少し高かったかと思いますが、従来の経緯からします増加カーブというものを今後たどるというだけの見通ししか、ただいまつけておりません。
  73. 田代富士男

    田代富士男君 実は第三種のその点をもっと詳しく聞きたかったわけなんですが、いまの御説明ではちょっと不本意でありますが、また後日の委員会等もありますから、そのときにはまたいろいろ検討さしていただきたいと思います。  それでいまのに関連しまして、第三種の中で、学術雑誌等も出てきておりますが、雑誌は据え置きになって、新聞だけが一円値上げした理由というのは、どういうところにありますか。
  74. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は低料三種が二種類ありますことは御存じのとおり、月に三回以上発行いたしますものは百グラムまでごとに今度三円、月に一回ないし二回発行されますものが六円というふうになっていくわけでございますが、この二種類のもの、低料三種とそうでないものというふうに分けてありますが、ちょっとただいま私はっきり度数だけ申しましたが、これは差し出し人等によっても違いますから、もうちょっと条件が加わりますが、低料三種とそれ以外のものとの料金の比率、いままで二円と六円であったものを、六円のほうは据え置いて三円と六円にした理由でございます。実は戦前におきましては、低料三種とそうでないものとの比率は、大体一対二くらいでずっと推移してまいりました。戦後紙の不足からしまして新聞紙の枚数が非常に少なくなりました。二ページくらいになってしまった、そういうような状況になりまして、低料以外の三種と実質におきまして百グラムと申しましても、非常に軽いものがほとんど主体になってしまったことなどもありまして、そういう実態からしまして、日刊紙を中心とします低料三種というものの料金も、そういう実情も考えなければならないのではないかということ——当時はまあ占領下でもごさいましたが、そういうような考慮が加えられたものと考えますが、従来の一対二の比重が非常にくずれまして、低料三種のほうが総体的にかなり割安になってまいりました。現在の状況におきましては、日刊紙等のページ数も相当ふえてまいりまして、百グラムをこえるというような、朝刊だけで百グラム前後、朝夕刊を合わせますと百グラムをこえるというものが大部分になってしまったというような状況でございまして、大体戦前の状態に復帰したというようなことが申せるのではないかというふうに思われます。三種の認可の条件は、低料もそうでないものもひとしく同様でございますし、もうこの際低料でない三種というものについても、まあ上げるべき事情がないわけではなかったのでございますけれども、今回は低料三種が三円ということに、非常に物数の点でも低料三種のほうが大体八割くらい、残りの二割くらいがそれ以外のものというふうになっておる事情等もございまして、一対二という関係に落ちついたわけでございます。
  75. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ次に、第三種の中で広告に属するものが低料金扱いにされておるのですが、これはちょっとおかしいじゃないかと思うのですけれども、その点はどうでございましょうか。
  76. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 第三種郵便物の認可の際の条件といたしましては、郵便法二十三条の三項に、第三種郵便物の認可の条件が書いてあるわけでございますが、その内容的なものとしましては、三号に、「政治、経済、文化その他公共的な事項を報道し、又は論議することを目的とし、あまねく発売されるものであること。」これによりまして、内部で申請のありました際に審査をいたして認可をしておるわけでございます。広告を主体とするものというものにつきましては、これに該当しないわけでございます。もちろん現在の新聞その他の実情といたしまして、ある程度の広告のあることは当然でございますが、私どもは一定の比率以上広告が載りますもの、絶えず載りますものにつきましては認可いたさず、あるいは認可しておるものにつきましても、これを取り消したりしておるわけでございます。
  77. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ郵政大臣に関連した質問でずっと続いてまいりましたが、またもとへ戻りまして、三十六年に料金改正されたわけなんです。まあそのときに郵政当局は、毎年七%の郵便物増加を見込んで五カ月間で三五%の増加と、赤字も十億から十数億として郵政事業を安定すると、そういうような見込みで進まれておいでになったわけなんですけれども、まあ最近の状況というものは、逆の姿が出ているわけなんです。そういう点に対していままでにいろいろお話もありましたが、企業努力もされてきたと思いますが、しかし、見通しとすれば逆の見通しが出てきている、当初の見通しよりも。こういう点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいましょうか。
  78. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は三十六年の値上げの際に、ただいまのお話のような見通し郵政当局が持っておったということは、実はたいへんうかつですが私、初耳でございまして、私は人事部長で木省におりましたが、当時聞いておりましたことと、また現在郵務局に参りまして当時のことをいろいろ聞いておりますところでは、当時といたしましては、大体人件費増加を年八%程度見込みまして、値上げによる増収一九・六%——一種、二種を除きまして、それ以外のものについて大体値上げをいたしたわけでございますが、その際の見通しといたしましては、ちょっといまの人件費増加八%、これは見通しのほうでございますが、その際の見通しといたしましては人件費増加率が大体年八%程度であろう。で、三年間は持つ、五年間は持たせたいと、そういうことであったように承っているわけでございます。ちょうど三十六年の六月に値上げをいたしまして、六、七、八、九と四年間はまあ完全に持ちまして、五年目の四十年度にだいぶ不足を来たしまして、予算編成当初から五十六億どうしても不足だと。赤字予算を持ち越し資金で埋めたということになっているわけでございまして、三年は持つ、五年は持たせたいというのが、持たせたいところをほぼ満たしたというようなことかと思っているわけでございます。
  79. 田代富士男

    田代富士男君 そのときにいろいろ検討されて、まあ抜本的な対策を確立をし、いまさっきもお話が出ておりましたが、近代化のためにも努力していきたいと、そういうようなことも言われておりますが、まあ近代化につきましては、いまさっきさまざまな内勤、外勤の立場から説明をしていただきましてよくわかりましたわけです。その中の一つといたしまして、この説明されました住居表示制度の問題であります。この問題は、三十七年の五月じゃなかったかと思いますが、このときに計画をされて、まあ努力をしてきたと、そのように言われておりますけれども、四十一年の一月現在ではまだ二〇%の完成しかできでいない。それが三十七年度から五カ年計画においてなされているわけなんです。そうしますと、三十八、三十九、四十、四十一、四十二と、来年度がまあ五カ年目に当たるわけなんです。これに対してもいまお話がありましたとおりに、本来は地方自治団体でやるべき立場のものでありますが、側面よりこれも協力しているんだと、そういういまさっきお話がありましたから承ったわけなんですが、ところが事実は二〇%であると。ここにおいていままでの計画をされたこれ一つとしても実行されていないじゃないか。このためにいまさまざまなお話がありましたとおりにスピード化ということも大事だけれども、正確性というものを重んじていかなくちゃならないと、そういう点がいまさっきの永岡委員からのお話があったときにも主張されたわけなんです。まあこの住居表示制度というものが、これは完備されてまいりますれば、郵政事業のみに限らないと思うのです。ほかのいろいろな電気、あるいはガス、そのような業においてもこれはずいぶん貢献することになるんじゃないかと思うのです。だが、きょうは郵政関係の問題でありますからそれをお聞きいたしますが、二〇%しか進んでいないと、こういう事実、この点に対してはどういうお考えでございましょうか。
  80. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 住居表示制度につきましては、お話しのとおり三十七年から五カ年間ということで法律が制定され、推進されてきているわけでございまして、それにつきまして、郵政省はもとより、ただいまのお話しのように、電信電話公社とか、あるいは電力会社その他住居表示制度の実施によりまして利便を受けます向きは非常にこれに強い関心を持ちまして、中央での協力会あるいは地方都市での協力会等をつくって、これを推進してきているわけでございますが、新聞等にもいろいろございますような事情等もございまして、あるいは地方自治体が、ことに東京都以外の大都市におきまして、あるいはまた小さな都市で、それほど不便を感じていないというようなところなどで、あまり熱心に進められない関係などもございまして、ことしの二月一日現在、一月末で二四・三%、全国的には二四・三%の進捗率でございます。実施済みの戸数が二百十万戸でございます。ただしこの中で東京都は三三・九%でわりあいに進捗率がよろしゅうございますし、済みましたのは三三・九%ですが、東京都の特別区におきましては、全面積の六三%が完了または実施中ということでございますから、実施済みが三三%、残り三〇%ももう手をつけているということで、追い込みになりましてから非常に全体的に馬力がかかってきております。しかし計画が完了いたしますのは、おそらく法律施行後五年間というよりも、おそらく一年ないしもう少しよけいかかるということになるのではないかと思いますが、東京都がそういうような状況でございますし、その他全国的にも非常に進捗状況のよろしいところ等もございまして、こういうところで一年以上たちました場合につきましては、非常に配達の面でも合理的な作業ができるようになっておりますし、私ども今後も法律の期限は一年でございますが、これがさらに延長されますかどうかは、ちょっと予測の限りではございませんが、おそらく法律に規定しておりました、その期間内にやらなければというのは、補助金の交付等でございまして、それ以外の点につきましては、実行でやり遂げればやり遂げ、効果もあがるということではないかというふうにも考えております。今後とも協力を進めてまいりたいと思います。
  81. 田代富士男

    田代富士男君 これが完備されますと、配達不能になるような郵便物というものは、ずいぶん解消されるのじゃないかと思うわけなんです。そこで、いま実際郵便物を扱っていらっしゃいますが、配達不能になった物数というのは、いまどのくらいになっているのでしょうか。
  82. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 非常にはっきりと把握しておりませんですが、大体の推計といたしまして、一日に約二十万通足らず、年に七千万くらいが配達できないということになっているようでございます。なおそのほとんど全部は、これはあて先がしっかり書いていただいてないというのが、これはほとんど全部でございまして、それ以外の理由は、あまり考えられない状況でございます。
  83. 田代富士男

    田代富士男君 これはまあ昨日詳しく申し上げておけばよかったのですけれども、まあ何でございますが、一日に二十万通というお話でございますが、これがいまの住居表示制度等ができれば解決されると思うわけなんですが、こういうあて先を明記してもらえばというのが、郵政当局のお考えじゃないかと思うわけなんです。それで先日、朝日新聞を読んで見ました。そうしますと、皆さんもごらんになったかと思いますが、ここに朝日新聞の夕刊がありますが、ここに、「迷子郵便物の供養」という見出しで、このようにいままで、東京郵政局主催の迷子郵便物の供養が、浅草の浅草寺で行なわれているわけなんです。集められたはがき類はざっと七万通、こういう風変わりな催しものについて、郵政局としては職員に対して、郵便物は人間と同様に扱うべしと教えをたれるとともに、あて名は正しくと一般にも呼びかけたと、このようにあて名を正しく書いてもらいたいというためにこういう法要をするというようなことが、どこかの郵政省の条例にあるのでしょうか。これはごらんになったはずと思いますが、ごらんになりましたでしょうか、その点ひとつお願いしたいと思います。
  84. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) これはもう条例とか規則とかそういうことでやったわけではございませんで、東京郵政局が郵政紀念日を中心といたしますいろいろな行事の一つといたしまして、一つは、それぞれせっかく出されました魂がこもった郵便物が、あて先をしっかり書いていただけなかったために届けることができないというようなことを、ただいまのお話しのように一般にお知らせをすると同時に、それをねんごろに弔うと申しますか、そういう気持ちで職員にもある程度訓戒をたれるというような趣旨で実施したわけでございます。
  85. 田代富士男

    田代富士男君 それがいま永岡委員の御説明のところにも、信書の扱いについては運送事業としての扱いでなくして、人間の魂に深く関係する事業であるというような意味の御説明があったと思うわけなんです。そういうところからこういうことをなされたのではないかと思いますが、こういう催しものが日本の中心というべき東京都の郵政局でおやりになれば、これが各地方の郵便局郵便局でやったならば、郵政局はお寺と関係があるのであろうか、それでなかったならばこういうPRはできないのであるかと、きのうの委員会の中では、郵政大臣が年賀はがき等は今回の値上がりによってなかなか売りにくくなった、それには商売をするような気持ちで大いに宣伝をし、全体にPRしていかなければならない、こういう意味お話をしていらっしゃいましたけれども、こういう魂がこもっているからというので線香をたいて供養しなくては——これが一つの郵政省としてのPRであるならば、もっとほかに考え方があるのじゃなかろうかと思うわけなんです。これがまあ東京で、地方の小さな郵便局であったならばいざ知らず、東京の中心地であるべき、一方では機械化、近代化というものをはかり、一面ではこのように郵便物を供養する、これを大きくPRしていかなくちゃならない、こういう点について、近代化と前時代的なものの考え方がふくそうするわけなんですが、こういう点についてはいかがでございましょう。
  86. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 普通一般的に配達することができない郵便物につきましては、普通は内容をあけないわけでございますけれども、あくまでも何とかして配達したいという趣旨から内容をあけたりいたしまして手がかりを探す、それでも配達できないものにつきましては三カ月たちましたら棄却する、やはりまあ焼くというようなことを各局でやるわけでございますが、今回の東京郵政局で行ないましたようなことは、先生もお気づきでございましょうが、もう全くいままでなかったような異例のことでございまして、全国の各郵政局あるいは各郵便局で同じようなことをするわけでは毛頭ございません。毛頭ないわけでございます。今後扱い方あるいはまた一般への周知のしかた、職員への訓練のしかた等、そういう訓練、そういう意味をこめてのことではございますが、やり方等につきましては、ああいう行事、特別な行事をするかどうか、あるいはするにしましてもやり方等につきましては、さらに私ども適切な方法を今後とも研究、検討してまいりたいと考えております。
  87. 田代富士男

    田代富士男君 まあ委員長のほうから、時間もきょうはなんだから次回にという要請もありますからじゃ、いまの、今後やり方を研究していくとおっしゃるわけなんですが、今後こういう寺院における供養等というようなものも含めて研究をされるのか、こういうようなことは今後一切しないのか、そういう点ですね、お考えはどうでございましょうか。その点が私まだはっきり受け取れないわけですが、こういうことが東京で行なわれたことが、いま各地方ではやらないと申されますけれども、何といっても全国の中心は東京です。東京でやることは右へならえということになるわけなんです。だから、こういうことを郵政局はやるならば、まあ当局としても相談されたことであると思うのですけれども、まあこういうことはどうかと思うし、今後こういうことをおやりになるのかならないのか、そういう点ひとつお願いしたいと思います。
  88. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) まあ、一般の方にあて先をしっかり書いていただくということ、部内の職員に取り扱いを大事に、大切にするようにというようなこと、そういうことのためにどういうふうにしたらいいかということにつきましては、いろいろ考えられると思います。先ほどのお話の件は、私どもそういうふうに取りきめましたあとで報告を受けて知ったわけでございます。今後につきましては、どうしたら最もそういう目的を達するのに適切で、かつ適正なやり方であるかということをよく検討いたしまして、部内を指導してまいりたいと思います。
  89. 田代富士男

    田代富士男君 じゃ、次回にまたやらしていただきます。
  90. 田中一

    委員長(田中一君) 他に御発言もなければ、本案の質疑は、本日はこの程度といたします。  次回は五月十日の予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十五分散会