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1966-04-21 第51回国会 参議院 逓信委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十一日(木曜日)    午前十一時十七分開会     —————————————    委員異動  四月二十一日     辞任         補欠選任      館  哲二君     松平 勇雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 野上  元君     委 員                 小沢久太郎君                 古池 信三君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 松平 勇雄君                 谷村 貞治君                 鈴木  強君                 鈴木 市藏君    衆議院議員        発  議  者  森本  靖君    国務大臣        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        電気通信監理官  畠山 一郎君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省人事局長  曾山 克巳君        郵政省経理局長  淺野 賢澄君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君        日本電信電話公        社職員局長    遠藤 正介君        日本電信電話公        社計画局長    宮崎 政義君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠互選の件 ○郵便法の一部を改正する法律案内閣送付、予  備審査) ○郵便局舎等整備促進法案衆議院送付予備審  査) ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (郵政事業及び電気通信事業運営に関する件)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから逓信委員会開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日の委員会においては、午前中、郵便法の一部を改正する法律案及び郵便局舎等整備促進法案提案理由説明を聴取した後、一たん休憩し、午後は調査事件を行なうことになりましたので、御了承願います。     —————————————
  3. 田中一

    委員長田中一君) 次に、委員異動について報告いたします。  本日、館哲二君が委員辞任され、その補欠として松平勇雄君が選任されました。     —————————————
  4. 田中一

    委員長田中一君) これより議事に入ります。  光村甚助君から、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。
  5. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じますが、互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  6. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事野上元君を指名いたします。     —————————————
  7. 田中一

    委員長田中一君) 郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。  政府から、提案理由説明を聴取いたします。郡郵政大臣
  8. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案提案理由及び主要な内容を御説明申し上げます。  この法律案は、郵便事業の円滑な運営と、これに要する財源を確保するため、郵便に関する料金改正するとともに、郵便物種類体系等整備して業務能率化を進め、あわせて利用者に対するサービスの改善のため、所要規定改正を行なおうとするものであります。  まず、郵便に関する料金の改定について申し上げます。  郵便物料金は、昭和二十六年に全面的な改正を行ないまして以来、昭和三十六年に第三種郵便物及び第五種郵便物等料金について若干の調整を行なったほかは、改正を行なわず、収入基礎である書状及びはがき料金につきましては、今日まで十五年間据え置かれたままとなっております。  このように、郵便料金の中心をなします書状はがき等料金が、長期に安定し得ましたのは、戦後の復興に伴って物数が着実に増加し、これを基礎とする郵便収入も、順調に伸長したためでありましたが、最近では、事業収入増加も鈍化の傾向を示し、一方、べースアップ等による人件費の高騰、運送費増加局舎施設整備拡充等のため、事業財政はきわめて苦しくなってまいりまして、昭和四十年度は、当初予算において、すでに五十六億円の収入の不足を生じている状況でございます。このままの状態では、来年度以降相当多額の赤字が予想されるに至っております。  また、業務の正常な運行の確保、事業近代化機械化等の推進のための諸経費増加も考慮しなければなりません。そこで、この際、郵便料金について所要改正を行ない、事業収支健全化をはかろうとするものでございます。  改正の方針といたしましては、料金引き上げはこれをつとめて低位に押えることとし、全体の増収率は二八・八%にとどめるようにいたし、また、通信教育学術雑誌定期刊行物等については、その特殊性を十分考慮いたしました。  料金改正内容を申し上げますと、まず、第一種郵便物は、これまでの第五種郵便物を統合し、これを形状によって、定形郵便物と、非定形郵便物に分け、定形郵便物は、二十五グラムまで十五円、五十グラムまで二十円、非定形郵便物は、五十グラムまで二十五円といたしました。  この結果、書状につきましては、二十グラムまでのものは、十円から十五円になりますが、二十グラムをこえ二十五グラムまでのものは、二十円のものが十五円と安くなる面もございます。なお、これまで十二円の売価であった簡易手紙は、名称を郵便書簡と改め、十五円で発売するようにいたしております。  はがきにつきましては、五円を七円とし、年賀はがきの低料扱いは、廃止いたしたいと考えております。  第三種郵便物は、従来の百グラムごとに二円を、百グラムまで三円とし、百グラムをこえるものは、五十グラムごとに一円を加えることに改めました。  第四種郵便物につきましては、通信教育のためのものは据え置き、農産種苗等は従来の二円を六円に改め、また、学術雑誌を新たに加え、百グラムごとに十円といたしました。  なお、特殊取り扱い料金につきましても調整を行ない、特に速達料につきましては、従来均一料金でございましたものを、重量別に四段階に分け、それぞれの料金を設定いたしました。  次に、この法律案におきましては、郵便物容積及び重量の制限につきまして、その最大限は引き下げ、最小限引き上げるようにいたしております。改正内容を具体的に申しますと、通常郵便物容積最大限につきましては、長さ四十五センチメートルを四十センチメートルに、幅三十センチメートルを二十七センチメートルに、厚さ十五センチメートルを十センチメートルにし、第一種郵便物重量最大限を六キログラムから四キログラムに改めることといたしております。最大限の引き下げによって差し出すことのできなくなる通常郵便物は、現状から見ましてほとんど皆無でございます。最小限につきましては、長さ十二センチメートルを十四センチメートルに、幅七センチメートルを九センチメートルに改めることといたしておりますが、最小限改正につきましては、経過期間を設ける等の配慮をいたしております。また、小包郵便物容積最大限につきましては、取り扱いを容易にするため、長さ百十センチメートルを一メートルに、長さ、幅及び厚さの合計二メートルを百五十センチメートルに改めることといたしております。  第三に、この法律案におきまして、業務能率的運行をはかるため、料金割引制度を設けることといたしております。  これは、郵便物取り扱い量が特に多い郵便局に、第一種郵便物または第二種郵便物を、一時に三千通以上、府県別区分等をして差し出される場合、その料金合計額の百分の十以内の範囲料金を減額して、利用者の御協力に報い、ひいては、郵便物の集中する郵便局の作業を軽減し、全体の流れを円滑にいたそうとするものでございます。  第四は、書留制度について若干の改正を行なうことといたしております。  まず、書留郵便物亡失または棄損した場合に郵政省が差し出し人に賠償する限度額を、現金については五万円を十万円に、物品については五十万円を百万円にまで引き上げることとし、また、損害要償額の申し出がない場合の賠償額限度を千円から三千円に改めることといたしております。  さらに、現在の書留取り扱いのほか、引き受けと配達の記録を行ない、万一、亡失または棄損した場合には、二千円を限度として損害を賠償し、料金も安い、新しい簡便な書留取り扱いをいたすこととしております。  第五は、非常災害の場合に、被災者救助活動を行なう地方公共団体または日本赤十字社にあてて、一般の方々が救助物資を送られる場合、その小包郵便物料金を免除いたそうとするものであります。  第六は、書き損じをしたり、印刷を誤ったりしたはがき交換ができるようにしようとするものであります。はがきを誤って書き損じたり、印刷を間違えたりすることは、間々あることでありますが、これが全くむだになるのは避けるべきであり、交換に応じることとするのが適当だと考えられますので、一定の手数料をいただいて、交換いたすように改正しようとするものでございます。  第七は、現在なお、法律に違反して現金を普通の手紙の中に入れて送られる事例が見受けられますので、これに対しまして、必要な措置を設けようとするものでございます。  郵便法では、法令に違反して差し出された郵便物は、差し出し人に還付することとしておりますが、現金在中普通郵便物をそのまま返すのは、法律普通郵便物現金を封入することを禁止している趣旨にも反しますので、今後は、書留と同様の取り扱いをしてお返しすることとし、なお、その際、今後法律を守っていただく意味も含めまして、書留料の二倍に相当する額の還付料をいただくようにしようとするものでございます。  以上のほか、この法律案におきましては、料金受け取り人払い手数料を省令の定めるところにゆだね、また、私書箱使用料を免除できる場合の規定を設け、あるいはまた、昭和三十六年六月当時、すでに建築中のもの、または建築されていた高層建物に対する受け箱設置義務適用猶予期間昭和四十二年十二月三十一日までにする等の改正を織り込んでおります。  なお、この法律案施行期日は、周知その他準備もありますので、本年の七月一日を予定しております。  以上、提案理由及び主要な内容を申し上げましたが、今般の法律改正により料金が改定され事業収支の均衡が得られました暁には、事業近代化をはかり、郵便物の確実、迅速な送達につとめ、国民各位の御期待にこたえるべく、懸命の努力を傾ける所存でございます。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
  9. 田中一

    委員長田中一君) 自後の審査は後日に譲ります。
  10. 田中一

    委員長田中一君) 次に、郵便局舎等整備促進法案議題といたします。  発議者から、提案理由説明を聴取いたします。衆議院議員森本靖君。
  11. 森本靖

    衆議院議員森本靖君) ただいま議題になりました郵便局舎等整備促進法案について御説明を申し上げます。  郵政事業は、国民文化向上と、経済の急速な伸長に伴ないまして、年とともに発展し、取り扱い数は最近著しく上昇し、今後さらに激増することが予想されます。  これに対し国民の負託を受けて、事業を円滑に処理するためには、郵政省は適正な要員の配置と執務上の施設を完備することが必要でありますが、とりわけ、郵便局舎整備は緊急問題と言わなければなりません。  現在の郵便局舎状況は、全国で一万五千八百八十六局昭和四十年三月末日現在設置されておりますが、そのうち、郵政省の所有するものはわずかに千七百局で、他の一万三千九百八十六局は借り上げによる局舎であります。しかも、その借り上げ局舎の九五%までが、個人所有のものであるために、国有局舎に比較して、通風採光等が非常に悪いというばかりでなく、老朽かつ狭小のものが多くありまして、公衆利用上においても、職員執務上からも、早急に整備する必要があります。  この法案はこの趣旨に基づいて制定しようとするものであります。  次に、この法案のおもな内容について申し上げます。  第一に、この法案公衆の利便を増進し、事務能率向上をはかるために、老朽狭小郵便局舎郵政省みずからの手によって建築、修繕、模様がえ等を行なうことを明らかにしております。  第二に、郵政大臣郵便局舎等整備審議会の議を経て、昭和四十一年度以降十カ年間における郵便局舎等整備計画を作成し、閣議の決定を求めるということであります。  第三に、郵便局舎等整備十カ年計画実施に要する経費財源については、政府は各年度に新たに積み立てられる簡保積み立て金の二十分の一を下らない額を郵政事業特別会計に貸し付ける措置を行なうこと及び郵便貯金特別会計における剰余金からの一部貸し付けを行なうことをきめるとともに、その他においても財政の許す範囲において必要な措置を講ずることといたしております。  第四に、各省庁の長及び大蔵大臣または関係市町村長郵政大臣申し出たときは、郵便局舎等整備計画の円滑な実施協力をすることにしております。  第五に、郵政省委員十二名以内で組織する郵便局舎等整備審議会を設置して、郵便局舎等整備に関する重要事項について調査審議し、また、郵政大臣に意見に述べることといたしております。  第六に、政府はこの郵便局舎等整備促進法実施に要する経費財源に充てるため、郵政事業特別会計法の一部を改正して、一般会計からこの会計に繰り入れすることができることとしました。  なお、この法案実施にあたって、昭和四十一年度以降十カ年間に必要とする経費は約千五百二十億円であります。  以上のとおりでございますので、何とぞ、十分御審議くださいまして、すみやかに可決くださいますようお願いいたします。
  12. 田中一

    委員長田中一君) 自後の審査は後日に譲ります。  午後一時まで休憩いたします。    午前十一時三十分休憩      ——————————    午後一時二十分開会
  13. 田中一

    委員長田中一君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。
  14. 野上元

    野上元君 郵政大臣にお聞きしたいんですが、今次の春期闘争もようやく山場を迎えたようで、二十六日には相当大がかりな公労協実力行使があるようです。したがいまして、この実力行使が行なわれるということになると、通信関係に与える影響も相当大きいと思うのですが、これを官房長官は何とかして避けたいというようなことを盛んに報道されておるようですが、郵政大臣としては、どういう態度で臨まれておるのか、あるいはまた、どういう具体的な対策をお持ちなのか、それをお聞かせ願いたいと思います。
  15. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 組合闘争目標賃金引き上げでありまするから、できるだけ早急に有額回答をいたしたいと考えて、目下取り運び中でございます。
  16. 野上元

    野上元君 郵政大臣が心の中できめられておるその有額回答を出せば、この争議行為はとまるという御自信がありますか。
  17. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) できる限り検討を重ねておりまして、最近の民間賃金動向等も見ながら検討いたしており、組合側にも累次、違法なストライキというような状態に相ならぬようにということの話し合いもいたしております。したがいまして、何とか円満な妥結を見るようにつとめたいと考えております。
  18. 野上元

    野上元君 大臣は、民間等賃上げ等とも十分に比較をして回答を出されるというお話でございますが、大体民間にもいろいろとありますが、大手と言われるようなところは、大体今回の回答が出そろっておるようでありますが、昨年の大体一割増しないし一割五分増しぐらいの回答が出ておるようですが、郵政当局としても、昨年の賃金引き上げよりも一割ないし一割五分ぐらい上げて出される、どういうお考えでしょうか。
  19. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 有額回答の構想については、目下いろいろと、できる限り今後組合との間も円滑にまいるように、したがいまして、私どもも当事者としていろいろ苦心をいたしておりますので、現在のところ、どの程度ということはまだ何とも申し上げかねるという状態でございます。
  20. 野上元

    野上元君 二十六日に迫っておる大きな統一行動を前にして、現在の段階においてはまだ何とも言いかねるということでございますがね。それではあまりにも無責任な答弁じゃないでしょうか。私は、いろいろな法律的な制約がありますから、ここで大臣がずばりと有額回答を出される、具体的数字をあげて回答を出されるという答弁をされるということを期待しておるわけじゃありません。しかし、先ほどもあなたが御答弁になったように、民間労組等上昇率等は十分に勘案しながら、組合が納得できる線を出したい、こういう御答弁でありますから、もしもそれが出るならば、おそらく組合としても相当受け入れることが可能ではないかというように思います。しかし、有額回答と言いますと、過去において出したことがあるのですが、たとえば、去年でしたか、たしか五百円の回答を出したのですが、五百円ではおそらく話にならぬと思うのです。これは郵政部内においてもそうでしょうし、電電公社等においてもそうだろうと思いますが、これに一割を増して五百五十円を出して、郵政当局誠意を見せた、こういうことにはならぬと思うのです。その辺のことをもう少しあなたのほうで、ものを申すことができるならば、われわれを安心させるようなひとつ答弁をしてもらいたいと思います。
  21. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 郵政省としましても、ほんとうに業務運行にいつも最善を期していかなければならないのでございまするから、十分相手方の言いますることも、また、最近の各賃金動向等も十分見ては考えまする、それから、おっしゃるように、昨年の有額回答、これがあの程度ではとおっしゃる野上さんのお気持ちも私もよくわかるのであります。  さて、それでは、それがどうなるかということになりますると、鋭意検討をいたしておるということで、いまのところ、その検討をさらに進めてみたい、こういう状態でございます。
  22. 野上元

    野上元君 それでは質問の角度を少し変えましてお聞きしたいのですが、このたびの二十六日予定されておる公労協の大がかりな統一行動を、これを事前に中止させるために、政府としてもいろいろ考えておられるようですが、政府としては、公労協相手方である各当局に対して、ずばり有額回額を出して事態収拾しようとしておるのか、あるいは、それは単なる形式的な有額回答であって、事態収拾は依然として公労委にまかせる、言いかえれば、調停あるいは仲裁段階にまかせる、こういうようにお考えになっておるのですか、どちらですか。
  23. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 政府部内でも関係大臣が集まりまして協議をいたしております。今後も、差し迫まった時期に来ておりまするから、協議をいたすことが必要だと存じております。各当事者であるそれぞれの主管大臣においては、有額回答によって事態を解決できることが一番望ましいと考えております。ただ、現実の事態が、現に公労委における調停中のことでございますから、その事態を頭の中に置いておりまするけれども、有額回答が、できる限り相手方にも、誠意のあることがうつるようにしたいものだということは、私も考えておりまするし、政府部内においても、他の閣僚もそのように考えておると私は存じております。
  24. 野上元

    野上元君 従来、予算は、賃金引き上げを考慮せずに組まれておるのがならわしですね。したがって、すでに予算が通過した今日において、郵政当局がこの予算を重大に修正しなければならぬような有額回答を出すということは、法律的にも、あるいは国会対策上も、できないのだ、こういうふうな消極的な態度で終始され、そして結局、公労委仲裁段階まで持ち込んで解決をしてきたというのが、従来の考え方なんです。これは、しばしば問題になっておりまするように、それでは郵政当局に、全逓との間の賃金引き上げ交渉については、当事者能力がないことになるではないか。これでは、いたずらに争議を長引かせるだけであるから、当事者能力をつけなければならぬじゃないか、持たせなければならぬじゃないかということが、しばしば問題になっておったわけでありまして、前総理大臣である池田さんが、当時の春闘収拾するにあたって、将来は必ず当事者能力を持たせて、春闘というものが混乱しないように、また長引かないようにしよう、こういう誠意を持って努力するということで事態収拾をはかったことがあるわけです。それとの関係はどうなっておるのですか。郵政当局としては、その池田さんが言われた約束に基づいて、十分に当事者能力がありと考えておられるのか、あるいは、やはり制約的な当事者能力しかない、制限的な当事者能力しかない、こういうふうにお考えになっているのですか、どうですか。
  25. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 有額回答をいたします場合に、おっしゃるように、予算上の措置ができておらないじゃないかという点、確かに昨年の有額回答のときもそうでございましたけれども、この有額回答については、これに要する財源は、年度間における企業努力によって確保する、そして現行制度によって必要とされる手続を経て実施するのだというようなことを、昨年の例でもそういう前提で有額回答をいたしておるのでございますが、私はいまのところ、やはりそのような意味での有額回答に相なろうと思います。  それで、お尋ねの当事者能力の点は、確かに、団体交渉をいたすという点では、当局の自主的な判断にまかせられておる。しかしながら、予算総則なり、その他の給与総額についての制約がある、そのような意味合いでは、両当事者間で有効に実施し得る協定が締結し得ないで、政府または国会所要措置が講じられない限り、制限されておりますので、その意味のような制約というものはくっついておるということは、これは是認せざるを得ないと思います。したがいまして、当当者能力につきましては、公務員制度審議会において適当な判断を下しますれば、私は、現在の法律範囲内でも、でき得る限り当事者能力を持っているものとして交渉に当たるということが必要である。しかし、どこかでいつも法律上の制約にぶつかる。そういたしますれば、やはり公務員制度審議会の主要な題目であります、当事者能力についての、もっとはっきりした法令上の措置その他が講ぜられることは、私は望ましいことだと考えております。
  26. 野上元

    野上元君 依然として、完全な当事者能力というものは、今日の段階においてはまだないという御見解のようです。まあ将来、公務員制度審議会がこの問題について結論を出すでしょうから、私も、これ以上この問題について追及をしたいと思いませんが、池田さんの約束から見ると、やや政府としては消極的ではないかというふうに考えるわけです。  そこで、いま大臣が言われたように、すでに通過した予算の実行を節約できる限度内において有額回答がなされる、こういうことになりますね。そうしますと、その額は大体どのくらいですか。
  27. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 大臣から御答弁がございましたように、調停段階におきまして賃上げ紛争がもしまとまりますならば、ということを前提にいたしまして、企業努力によりましてその原資を見出だすというお話がございました。先生から、それじゃその範囲は幾らかというお尋ねでございますが、企業努力によりまして、金額的に幾らかということは、今後の努力程度いかんということになってまいると思いますけれども、さしむき非常に固いという点を申し上げますと、御案内のように、必要やむを得ざる、予見し得ざる場合に出す経費として予備費がございますので、その予備費移用の場合ですと、本年度予算では二十億でございますが、そのあたりが目安になろうかと思うのでございます。
  28. 野上元

    野上元君 そうしますと、結局、有額回答といっても、予備費の範囲内において出される以外に手はない、こういうことですか。
  29. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) その点につきましては、先ほど来大臣が申しておりますように、なお企業努力ということによりましての、さらにめどが具体的に立ってまいりますならば、あるいは有額回答の額が去年の額にふえるといたしますと、いまの予備費の範囲内で出します額にプラスの要素が加わる可能性もあるかと思います。しかし、その点は、先ほど来大臣がいろいろ御心配になっておりますように、まだそういった検討段階でございますので、ここでその額につきまして予見を申し上げるわけにはいかないのでございます。
  30. 野上元

    野上元君 あなたがいま答弁されている、基本になっている予算というのは、郵便料金値上げが実施された上での予算でしょう。
  31. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) さようでございます。
  32. 野上元

    野上元君 そうすると、予備費の二十億円だけじゃなくて、相当増収があるはずなんだから、もしも郵便料金値上げが成立するという前提であるならば、相当思い切った額が、有額回答として出せるのじゃないですか。
  33. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) その点は、御案内のように、予算を御審議いただきました段階におきまして、省側で歳出予算としていろいろとお示しいたしましたものは、ほとんど既定経費の増、あるいは新規にいたしましても、真にやむを得ざる新規の経費だけでございまして、したがって、年度当初からベースアップの額というものを予想した予算ではないわけでございます。先生のおっしゃる御質問に対して、ずばりお答えいたしますと、さようなベースァップ額の隠し財源というものは持っておらないということを言わざるを得ないと思います。
  34. 野上元

    野上元君 そうしますと、二十億円の予備費ということになると、これはベースにすると四、五百円でしょう。おそらくそうだと思うのですが、かりに仲裁裁定が、二千円なり二千五百円なり、あるいは三千円なり出た場合に、いまの人事局長の話を聞いているというと、一銭もそうした余裕はないということになれば、当然それは補正予算でも組んでやる以外に手がないということですか。
  35. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) いまお示しになりましたように、公労法十六条の規定によりまして、私どもは仲裁が出ましたならば、これは仲裁の裁定は、当然政府といたしましてもこれを尊重いたし、また、私ども服従の義務があるわけでございますから、規定によりまして、移流用その他予算総則の定めますところによって所定の手続をとり、それによって措置してまいるということになろうかと思います。
  36. 野上元

    野上元君 全逓の今回の賃金引き上げ要求額というのは幾らですか。
  37. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 八千五百円でございます。基準内賃金八千五百円であります。
  38. 野上元

    野上元君 その要求額に対して郵政当局はどういう見解を持っておられますか。
  39. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 昨年の十一月にその要求が出されましたときに、全逓信労働組合の要求内容といたしましては、いま申しました額を四十年の十月一日にさかのぼって支給することということが一つございました。それに対しましては、昨年の五月十四日に出ました仲裁裁定が実施されまして間もないときでございまして、私どもといたしましては、賃金額の変更につきましての必要性を認めないものですから、それについてはお断わりいたしました。ただ、四十一年度以降におきます賃金のアップにつきましては、先生も御承知のように、給与特例法の示すところによりまして、一般公務員賃金、さらに民間賃金その他の事情を勘案してきめることになっております。特例法のきめ方はそういうことになっておりますので、私どもといたしましては、民間賃金の出るのを待って、その上で回答したいと申してきたのでございます。調停段階におきましては、民賃がきまるような時期が迫ってまいりましたら有額回答を出すということを、公労委調停委員の前で申してきております。
  40. 野上元

    野上元君 八千五百円の要求が出、それを四十年の十月一日から遡及して実施せよという内容だそうでございますが、その十月一日実施の遡及については、すでにその年度において賃金引き上げが行なわれておるのだからそれは必要がないから断わった、しかし、四十一年度のベースの問題については、民間とのバランス等を考えながら検討したい、こういう御答弁のようでございますが、四十年度におけるベースアップは何%ですか。
  41. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 基準内賃金六。二五%でございました。
  42. 野上元

    野上元君 そうしますと、四十年度の物価の上昇率は大体七・五%ないし七%と言われておるわけですね。そうしますと、六・二五%のベースアップは、すでに物価の上昇によって消されてしまっておる。むしろマイナスになっておるという事実が政府の統計によって明らかになるわけです。そうしますと、四十一年度において賃金引き上げなければならぬということについては是認されておるわけですか。
  43. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) ただいま先生から物価と賃金関係について絶対的な必然的な関係があるようにお話いただいたのでございますが、私どもといたしましては、先ほども申し上げますように、なるほど、その他の事情ということで物価も確かに賃上げの要素にはなると思います。しかし、絶対的な要素になろうというぐあいには考えておらぬのでございまして、民間賃金等の状況を見まして、民間賃金の中にも、もちろん物価が要素になっておることは認めますが、そのものずばりの要素ではないと思います。したがって、民賃にならって、私ども、特例法を適用する職員賃金をきめるにあたりましては、賃金の上昇率よりも物価の上昇率が上回っておるということをもって、即四十一年度賃金をそれと同じ率だけ上げなければならぬという理屈にはならぬと思うのであります。
  44. 野上元

    野上元君 いや私は別に、昨年と同じ率とかなんとかというのじゃなくして、せっかくあなた方が六・二五%の賃金引き上げ実施したけれども、消費者物価の上昇七・五%によって、その中身はゼロになった。むしろマイナスになってしまっているということであれば、当然四十一年度においても、前よりも実質的に低くなっておるとすれば、これを回復することに努力することは当然のことじゃないですか。
  45. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) その点につきましては、組合等の団交の中でもいろいろ議論をしたのでございますが、過去五年間の実質賃金の上昇率と、さらに物価の上昇率等を勘案いたしましても、総合的に見ますと、物価の上昇率が賃金の上昇率を上回っているという実態でございます。何回も繰り返して恐縮でございますが、やはり民間賃金の動向を見るということを主にいたしております。私どもの賃金考え方におきましては、ただいま先生のお話いろいろございますけれども、そういう意見もあろうかと思いますが、絶対的に物価と合わした賃金の上昇をせなければいかぬというぐあいには私ども見ておらないのであります。
  46. 野上元

    野上元君 わかりました。あなたの答弁を聞いておりますと、物価上昇が賃金引き上げの絶対的な条件ではない、しかし、相対的な条件ではある、その相対的な条件の中には民間賃金もあると、こういうわけですね。そうしますと、物価上昇が七・五%あった、この事実はあなたも認められると思う。これは政府の統計で明らかになっておる。民間のほうも昨年より一割ないし一割五分ぐらいの上昇率で賃金引き上げが行なわれておる、こういうことを勘案して、しからば、全逓の場合、郵政省の場合にはどれくらいの額が適当だと思われますか。
  47. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) どれくらいの額ということは、先ほど申しておりますように、私ども目下検討段階でございまして、したがって、申し上げるわけにはまいらぬのでございます。ただ、先ほどもいろいろお話ございましたが、私ども、政府自身有額回答をしたほうがいいだろうという意見を持っておりますし、また、当事者である私どもといたしましても、有額回答はある時期にしたいと考えておるわけでございますので、前向きの姿勢でおるということにつきましては、御了承を願えると思います。
  48. 野上元

    野上元君 私は有額回答の性格についてはわかっております。だから有額回答は一応たな上げにして、また、郵政省予算とも無関係に、あなたが二十何万という従業員を使われておる最高幹部として、先ほど申し上げましたように、物価上昇と民間賃金引き上げとの総合的な関係において、観念的でけっこうですが、大体どれくらい上げれば妥当なのか、こういう結論は数字が出ておるんですから、簡単にあなたの頭の中には描かれるはずです。出てくるはずです。別に郵政省に、あなたが答弁したからといって、それを郵政省予算とは無関係に出せとは言いません。しかし、どのくらいのものが必要なんだということはわかると思う。もしそれが出て郵政省予算がないとすれば、それは郵政大臣予算を獲得する努力をされればいいのであって・その点をはっきりしなければこれは意味がないじゃないか。
  49. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 観念的、抽象的でいいというお話でございますので、まあそういう点から申しますと、御案内のように、一般公務員の賃金の確定方法におきましても、先生お詳しいように、企業規模百人以上の事業所をとらえまして、その賃金額を見ておるのでございます。したがいまして、私ども現在、もちろんその中には企業規模従業員千人以上の事業所も当然含んでおるのでございまして、この百人以上という規模の事業をとらえて勘案するという立場から申し上げますと、御案内のように、いま出ておりますのは、先ほど先生のお話がございましたように、大手のところでございまして、百人以上の企業規模のところにつきましてはまだ出ておりません。かつ、その出る時期等につきましてもかなりずれてまいりましょうし、御案内のように、現在の経済不況の点なんかも考えますときに、はたして去年より上回ったものが出るか、あるいは去年と同じか、ないしは出ないか等というのははっきりわかっておらないのであります。したがって、抽象的に申しますならば、むしろ、そういった企業規模百人以上の事業所がはっきりいたしまして、もっと詳細な資料を出しましてはっきりしたいという気持ちを持っております。ただ、例年四月の末から五月の初めにかけまして、大体動向を勘案いたしまして、ある程度回答をいたしておるのでございますから、そういう点から申し上げますと、五月末までほうっておくというつもりはございません。前回きの姿勢でございますが、まだ具体的な額については決定いたしかねるというのがいまの状況でございます。
  50. 野上元

    野上元君 民間の場合ですね、どういうものと比較検討するかというのは、郵政当局としても重大な問題でしょうね。われわれとしても考慮しなければならぬ問題だと思いますが、大体その大手のほうは、私の得ておる情報では、松下電器だとか、住友化学だとか、あるいは鉄鋼だとかいうのが、いま続々回答を出しておりますが、松下や住友化学などは四千をこえた回答を出しておる。鉄鋼が、最もことしは不景気で過当競争で苦しんでおると言われながら、二千五百円の回答を出しておるわけです。そういうことを考えてみますると、当然一つの皆さん方の頭の中には数字が形づくられておらなければならぬと思うのですがね。それを数字そのものでお聞きしておるわけじゃないのですが、大体こういう程度のものを考えてよろしいですかと言うて私は聞いておるのですが、どうですか。
  51. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) たびたび同じようなことをお答えして恐縮でございますが、その点につきましては目下検討中でございますので、具体的なことを申し上げるわけにいかぬことをお許しください。
  52. 野上元

    野上元君 答弁できないのじゃ、これはもうしょうがないので、これ以上突っ込みませんが、公労委は、今回の賃金引き上げの問題についてどういう進捗状態なんですか。
  53. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 御案内のように、全郵政におきましては二月の二十二日、全逓信労働組合におきましては三月の十二日に調停申請いたしまして、現在に至るまでに、それぞれ四回ほどの事情聴取がございまして、きょうをもって最終の事情聴取を終わった次第でございます。さような状況でございます。
  54. 野上元

    野上元君 その公労委の中に、当然人事局長またはそれを代理する人が代行する人が郵政代表として出ておられると思うのですが、公労委の事情聴取に対して、郵政当局としてはどういう態度で臨まれたのですか。出すべきであるという、民間に比較してですね、当然出すべきものは出すべきであるという態度で臨まれたのか。それとも、ことしは出すべきでないという態度で臨まれたのか。どちらですか。
  55. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) その点は前者でございます。出すべきではないとは言っておりません。ただ、具体的な額等につきましては、民間賃金状態を見てから出すというふうに申しております。
  56. 野上元

    野上元君 あなたのほうとしては、公労委が出して、仲裁裁定を出せば、当然これに服さなければならぬということになれば、予算との大きな関係があるわけですね。したがって、あなた方はあなた方の立場から、公労委に対して、これくらいまでは出せる、これ以上出されては困る、こういう一つの線があるはずですね。労働組合は労働組合でまた別の考え方で線がある。そのときの一線というものはどういうものですか。
  57. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 先ほど来申しておりますように、具体的にこれだけの線という実額につきましては、ただいまのところ申し上げることはできないわけでございますので、再三でございますが御了承願います。
  58. 野上元

    野上元君 それは、ただいま申し上げることができないのであって、公労委の中では十分に述べられたということですか。
  59. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 公労委段階におきましても、具体的な額は民間賃金状況等を見て出したいと思うので、いまのところ申し上げられないということを申しております。
  60. 野上元

    野上元君 それじゃ公労委として出しようがないじゃないですか。これだけ出したら郵政省は困る、これならばのめるというおおむねの線が公労委の中で明らかになっておらなければ、仲裁裁定としても出しようがないのじゃないですか。もっとやっぱり正確なものをあなた方は持って臨まれたんじゃないですか。
  61. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 全逓は八千五百円、全郵政は六千三百円要求を出しておりますが、それの算出根拠等につきまして、組合側から詳しく詳細理由を申し述べられました。また、私どものほうにおきましては、組合の主張しております、先ほど申し述べました昨年十月一日にさかのぼり得ない理由、かつまた、八千五百円の基礎になっておりますところのいろいろな事情、たとえば生計費の問題、また、ヨーロッパ並みの民間賃金の獲得の問題等、いろいろ理由がございますが、そういった理由につきまして、私どもはこう思う、そう思わないといった点につきまして、いろいろとこちらの意見を申し上げて、それで現在に至っているような状況でございます。
  62. 野上元

    野上元君 そうしますと、公労委としては公労委の立場から、郵政省予算検討し、あるいは民間賃金等の動向を見、あるいは組合の要求等を加味し、そして自由にお出しくださってけっこうだという仲裁裁定が出れば、これはもうのみます、こういう態度で臨まれているわけですか。
  63. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 調停段階でございますので、調停段階におきまして、調停委員会公労委に出されました調停案がもっともだということでございましたならば、私どもは当然それに従いたいつもりでおるわけでございますが、いわんや、組合のほうでも調停を不満といたしまして、仲裁にあげまして、仲裁が出たということになりますと、当然、先生おっしゃられますように、服する義務がございますので、私どもとしてはそれに従いたいと思います。
  64. 野上元

    野上元君 私は非常に郵政省態度は消極的だと思うのです。かりに調停案を出すにしても、組合は現実に具体的数字をもって要求しておるわけです。郵政省のほうでは具体的数字を出さないで、とにかく、全般的な状況を加味して調停してもらいたい、こう言うだけでは調停委員会としては非常にやりにくいと思うのですね。しかし、組合の八千五百円を二で割っても四千二百五十円になるわけですから、調停委員会としてはそれを出さざるを得ないのじゃないですか。あなたのほうが五百円でも出しておれば、九千円になって、四千五百円になるけれども、やりようがないのじゃないですか。それはあなたが、幾ら質問しても言わないから、これ以上追及しませんが、最後に、時間がありませんから、大臣にひとつお聞きしておきたいと思うことがあるのです。これは重要な問題なので十分ひとつ心にとめておいてもらいたいと思います。  それは、佐藤総理がしばしば言明をされておるところなんです。そしてまた、藤山経済企画庁長官がこれを裏づけておる問題なんですが、賃金の平準化は悪なりという考え方なんですね。池田さんの時代に賃金の平準化が行なわれて、そして、それが進むにつれて、今日の経済のアンバランスが生じてきたのだから、賃金の平準化ということはやるべきでない、したがって、言いかえれば、支払い能力のあるところはどんどん出してよろしい、しかし、支払い能力のないところまで、支払い能力のあるものに追随する必要はない、そういうことをやるから企業が非常に危殆に瀕するのだと、まあこういう発言をされておるのです。これはもう非常に重要な問題なんですが、これをたとえば藤山さんの言をかりていえば、こういうのです。佐藤さんの言ったことは、同一産業内において、ある程度の平準化はやむを得ない、しかし、異種産業の間に平準化は必要ない、こういうふうに彼は答弁をいたしました。これは私は物価問題で質問したときに答弁をしておるわけです。これを公労協に引き伸ばす場合、一体どういうふうになるのかという問題であります。支払い能力ということになると、御承知のように、郵政のような、きわめて硬直した予算をかかえておる省は非常に問題があると思うのです。しかし、これは働いておる従業員の責任ではないのですね。これは企業の特性から来る必然の結果なんですね。したがって、私の考え方は、少なくとも公労協というものは、あるいは、それに対応する各省各公社は、大体同一産業とみなしてよいのではないか、こういうふうに私は考えるが、郵政大臣は一体どういうふうにお考えになられるか、ひとつ聞いておきたい。
  65. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も三公社五現業が業種を異にすると申しましても、いわゆる民間の業種とおのずからその度合いを異にいたしまして、むしろ、法律でも言うておる、公共企業体等と言われて一くくりにして言われております三公社五現業というものは、私はひとしく国民全体のものであり、したがいまして、同じように国民全体が納得される賃金を受けるべきものだと思うのであります。さようにいたしますならば、三公社五現業間につきまして、少なくも基準内賃金におきましては、これらの相互間に格差を生ずることはないほうが好ましい、むしろ、そういう意味合いでは、一つの業種というぐあいに三公社五現業が扱われますことのほうが、私は三公社五現業の実態として適当なのではないか、このように考えております。
  66. 野上元

    野上元君 ただ、ここで、私は郵政大臣にお願いしておきたいんですが、三公社五現業の中で、先ほども申し上げましたように、郵政の場合は八十数%という人件費をかかえておるわけですね。したがって、予算には、いわゆるフレキシビリティーというものはないわけです。ほとんど硬直してしまっているような状態の中で賃金をきめていくわけですから、上昇させていくわけですから、他の公社とのバランスを考える場合に、どうしても郵政省のような低いところにバランスしてくるということが往々にしてあるわけですね。これは他の公社にとっては非常に迷惑千万だと思うのです。したがって、公労委の中で、他の三公社五現業と歩調を合わしてもらいたいという要求はいいと思うのですが、しかし、他の足を引っぱって、そして低くしてしまって、そして、みんな郵政に右へならえというようなことになっては、これはやっぱり問題があると思うんですね。というのは、民間との賃金を比較した場合にアンバランスがまた生じてくる。一番低いところに標準を合わせるのではなくして、郵政の場合は、むしろ、そういう点では消極的にしてもらって、しかし、足並みだけはそろえるような努力をぜひしてもらいたい。そうでないと、他のほうにも非常に迷惑がかかる、こう考えます。その点をひとつ大臣から御意見を伺っておきたいと思います。
  67. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) ただいま野上さんのおっしゃいました点は十分そのように考え、もちろん、先ほど来、冒頭からお話のございましたように、また、いまも御指摘のございましたように、郵政事業特別会計——このたびの料金の改定をお願いいたしましても、御指摘のように、本質的に人件費が圧倒的に大部分を占める事業でございまするから、おっしゃるようなフレキシビリティーのまことに乏しいものではございます、ございまするけれども、賃金、給与そのものにつきまして、いまおっしゃるような意味合いで均衡はとりながら、しかし、もちろん、他に悪い影響の生ずることを可及的避けるという態度で、私は郵政部内における給与の今後の扱い方を考えさせていただきたいと思います。
  68. 野上元

    野上元君 最後に要望して申し上げておきたいと思いますが、ひとしからざるを憂えるというのは、非常に強いやっぱり一般の気持ちだと思うのですがね。したがって、もしもそういう状態が現出すると問題は非常にこんがらがるし、混乱するし、長引くというおそれが十分にあります。そうすれば、国民にそれだけ迷惑がかかるということにもなりますから、その点は十分に留意してもらって、円満に解決されるように要望して、私の質問を終わりたいと思います。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 春闘もたいへん大詰めに来まして、私も政府、公社の見解をただしたいと思いますが、野上委員の質問もありましたので、重複を避けたいと思います。私は順次伺いたいと思いますが、最初に、いま大臣がお答えになりました給与のあり方について、ちょっと私は違うんです、見解が。公社法第三十条というものは、電電公社職員の給与をきめてある、どうあるべきかということを。そこには、「職員の給与は、その職務の内容と責任に応ずるものであり、且つ、職員が発揮した能率が考慮されるものでなければならない。」、ここが大事なところなんです。二項には、「国家公務員及び民間事業の従業者の給与その他の事情を考慮して定めなければならない。」。三公社五現業の場合は、内容的には、国家公務員の五現業と、そうでない三公社があるわけでしょう。一体、昭和二十七年の八月一日から、かつての電気通信省というものを——郵政省から電気通信省、電気通信省から公共企業体、こういうふうに、公共企業体の経営に切りかえた妙味というのは、一体どこにあるのですか。あなたは非常に画一論を言われているんですけどね、私は違うと思いますよ、その考え方は。公社をつくった趣旨というのは一体どこにあるのですか。高能率、高賃金制。合理化を進めて成績をあげる、その努力に報いる道は当然私は約束されておったと思うのですね、あなたの論から言えば。これは何のために公企体にしたのかさっぱりわからぬですよ。その点どうですか。
  70. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私もその点はむずかしい問題だとは思います。しかし、給与という点から、私は民間における他の異種産業の間におけるのとは、おのずから、いわゆる公労法に規律されております三公五現については違ったものがあるのじゃないか。ただ、私は、おっしゃるように、公社を企業体として扱いましたときの企業ということ、それから、たとえば郵政事業特別会計における企業的に経営するということ、その企業というものに多分に差があることを感じておるのであります。同じように法律に企業と言うておるけれども、公社という制度を特に設けましたというところには非常に違った意味を持たしているということは、私もそのように考えます。考えまするけれども、三公社五現業というものは、何と申しますか、国民全体の立場から見まして、民間との差ということを考えますると、先ほど野上さんに申し上げましたような意味合いで私は給与というものを考えるべきである、こう思います。しかし、今度は、公社というものの企業性という点では、非常に特異な、発展させようということで公社という制度が設けられたということは、私もそれはそのとおりだと思います。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 あなたがニュアンス、いわゆる色合いにおいても触れないから私は言ったのですよ。公共企業体というのは、これは佐藤さんが非常にはっきり言っているように、私は当時労働組合の書記長をやっておりまして、大臣の部屋に呼ばれて聞いておるのですよ、成績をあげてくれ……。国家公務員、国有国営という形のワクを離れて、自主性を持って経営してもらって、能率があがればそれだけの給与改善もやれるのだというのが唯一の公共企業体の妙味だったのですよ。それをあなたがここで否定するような発言をされたのじゃ、われわれも黙っておられぬし、それから二十何万の従来員は、これは何のために能率をあげているのかさっぱりわからぬ。幾ら努力しても返るものが何にもないというのじゃ、これは従業員は勤勉の精神どころか、怠惰の精神を高揚することになりますよ。これはだいぶ注意をしてもらわなけりゃならぬ。公共企業体何ぞや、これは私、あなたと不幸にして根本的な論争をすることがいままでなかったんです。歴代大臣と私はやってきたんですが、答申が二回も出ておって、その答申の内容を御存じですかというと、よく知らない。そこで、ここでやり合って認識してもらう。そして、その古い考えを是正し、本来の公企体のあり方に持っていく努力をやらなきゃならないですよ、これは。そういう意味から非常に私は大事な発言ですから、一言申し上げておきます。  政策上、賃金決定の場合、諸般の情勢からして、できるだけ格差をなくしていこう、いいほうにならしていこう、そういう意味でしたら私も多少わかる。ですから、いまも閣内でもって、今度の有額回答を、全然差をつけないでぴりっとやるか、差をつけるべきかという論があるでしょう。まだ閣内一致していないようですが、多少差をつけて企業努力に見合うべきだという閣僚諸君もおられるようだし、そうでなくて、全部一律だという御意見もあるようですが、そこらのところはまだ政府態度がきまっておらぬと思いますが、これは所管をしている電電公社の大臣ですからね、閣議の中でもやはり御主張があると思います。そういう際に、電電公社企業というものを正しくやっぱり理解していただいて、職員努力をして今日非常な成果をあげている、その努力に見合うひとつ最高のものを出してやる、そして、これが郵政職員なり、他の公務員である公共企業体職員、労働関係法を適用されておる職員に、できるだけ有利にいくようにやるというのが、私は大臣の意見じゃないかと思う。そういう点を野上委員は言ったので、この公共企業体そのもののずばりの性格というものを否定されるようなことを言われたのでは黙っておられぬから、私は重ねてあなたに申し上げておきます。その点の認識は十分持ってやっていますか。
  72. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おっしゃるとおり、確かに、公社という制度が戦後できまするときに、現在の公社の作業を一挙に民間に移したらどうかというような議論も、経過の際に、非常に一種特別の特徴を持った、日本で最も能率的なものをこしらえようというような考え方、そのとおりの理想的な発展をしているかどうか、これはまた別に論じなければならない問題でございます。それには、あらゆる法律上の差もあるのではないかということを考えなければならぬと思います。とにかく、おっしゃるような企業体としての非常な独特な形を持っていくこと、これは非常に活発な活動をしなければいけない、そういう認識は十分持ちまして、そして、この給与の問題について考えさしていただこうというわけです。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 その点は、私は非常にくどいようですが、多少予算委員会でも総理にも見解承りました。総理は当時の責任者ですから、よく事情も知っております。ただ、公共性という立場に立って、思い切った自主独立な経営というものに対する、政府なり国会からの干渉というものを、できるだけ排除していこうという気持ちがあるのだが、その限度について悩んでおるのだ、公務員制度審議会もあるし、そこでひとつ十分に考えたい、こういう御答弁を私は総括質問でいただいているわけですよ。ですから、あなたも民間移行なんていうことも御発言あったわけですから、そのいきさつについても御勉強だと思います。ですから、これ以上言いませんけれども、少なくとも日本の公共企業体というものを、本来の姿に、やはりできるだけ制度上欠陥があればこれを是正していくとか、運営上の点についても、できるだけ自主性を尊重してやるというような、そういう方向にひとつ格段の努力をしていただく、公務員制度審議会などにも政治的な、総理などとも相談したならば、そういう意見を反映するようにしていただきたいと思います。  そこで、いろいろ野上委員からありましたから、重複は避けますが、私は何と言ってもやはり当事者能力というものが今日ない。政府はあると、こうおっしゃっているが、われわれはないも同然で、ほとんどないと言ってもいいと思う。それが今日、毎年毎年の春闘においてゼロ回答であり、あるいは二百円、三百円、五百円というような、そういう中途はんぱな回答が行なわれて紛争の種になっているのです。ですから、この当事者能力を持たせるという基本の問題を解決しない限りはだめなんだ。そこで、そうは言っても、現実にない中でやっているわけですから、制度が改正されない中でやっておるわけですから、私はそういう立場で伺いますが、去年有額回答が五百円で、ことしはゼロだ、去年ずいぶん政府も、公企体関係の労使の紛争に対して、大所高所から指導に当たったようです。企業自体は能力がないのですから、たとえ三百円、五百円出すにしても、このワクを越えることになりますと、団交で出せない。そとで、いろいろ政府考えた末、何とか差し繰りできないかというので、五百円ぐらいだったらどうにかなるだろう、経費の節約その他で。それで五百円出した。その誠意は認めますよ、ぼくら。団体交渉段階において、そういう多少でも当事者能力を発揮して、自主性ある労使間の紛争を解決しようとする努力は多とする。ことしは物価が七・五%上がった、さらに公共料金がどんどん上がって、政府の見通しでも五・五%の物価が上がる、これはおそらく一〇%になると思うのですが……。そういう中でゼロを出したということは、明らかに自主性そのものについて行き当たりばったりで、ことしはもうゼロで、あなたまかせというので団交が実らないから公労委送り、調停送り、こういうような態度をとっておるのは、どうも終始一貫しておらないし、何か去年よりも春闘解決に対する政府態度は後退したんじゃないか、こういうふうに私らは受け取らざるを得ないのですけれども、この点は大臣どうなんでしょうね。
  74. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) この点は、私は後退していないと思います。とにかく、昨年有額回答という例があった。これを土台にして、さらに発展して、それぞれの当事者考え方、もちろん、もとでありますが、政府としても、積極的に事態の解決をはかることが、それぞれの業務運行に非常に大事だということの決心と努力はかなり真剣にいたしております。ただ、何と申しまするか、先般、関係閣僚が集まりまして相談をいたしましたけれども、そのときだけでは、直ちに結論は出てまいりませんでした。したがいまして、実は先ほども、昼、労働大臣などとも話をいたしておりまして、まあ早い解決を何とかしよう、そうした機会を早く持ちまして、おっしゃるように、いままでよりももっと進んだ態度でいい回答が出ますように努力をさせていただきたいと思います。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 大臣努力を私はしていないとは思いませんが、御苦労ですよ、たいへんですね、郵便料金の値上げなんか、たいへんでしょう。ぼくらもたいへん御苦労に思いますけれども、ただ、昨年五百円でも、とにかく有額回答団体交渉で出たわけです。もちろん、組合は五百円でオーケーじゃないわけですから、不調になって公労委送りになりましたが、五百円というものを誠意を持って団交に出したということは、やはり当事者能力——一方は当事者能力がない、一方は当事者能力がある、あるならこれっぽっちだから出しにくい、こういうことで政府と相談してこのくらいでいいというので出てきたのですね。そういう形の上のことであっても、当事者能力努力をしたというのです、昨年は。ことしは団体交渉は全部ゼロ。あなたは、労働省の所管ですからおそらく労働大臣からことしはゼロだと、団体交渉はゼロで突っぱっておけというので、公社のほうにはそういう話をして、団体交渉で賃上げをするということすらいかぬというのですね。物価は上がるのに、賃上げの方向すらなかなか認めないというような交渉が進んできたのじゃないですか。ですから、そういうことが五百円あるいは四百円出してもしようがないから、この際、ひとつゼロで出しておいて、次の公労委調停段階あるいは仲裁段階で、思い切った、組合が納得するようなものを出そう、こういう心でおやりになったのか、その点は私はわかりませんが、もしそうであれば多少わかりますが、筋として考えた場合には、どうも昨年よりか後退したのじゃないかというように感じたものですから、私は率直に伺ったわけです。予算委員会でも、労働大臣は、そういう指導はしません、各当事者が自主的判断でやっていただくと言っているけれども、実際上はそうじゃないです。われわれいろいろ情報をとってみると、政府の指導によって、ことしは全部ゼロ回答ということで、ゼロ回答になった。ですから、そこらは政府は前向きとおっしゃいますけれども、どうもうしろ向きにことしはいったのじゃないかという気がするわけです。そこで、ひとつ、公社の総裁もおられますので、専門的なことは事務当局でもけっこうですが、一体、昨年五百円ですか、御苦労されて出しておられましたね。しかし、これでも不調になって公労委にいったのですが、ことしはどうして団体交渉で一銭も上げない、民間賃金とか物価とか、いろいろ理由を出したようですけれども、賃上げはせぬと終始がんばったから、一方から見ると、何だか物価が上がって、しかも、ことしも上がっていくという中で、一銭も上げないという態度はひどいじゃないか、血も涙もないじゃないか、公社は一体われわれの生活はわかっているのかと言って奥さん方がおこるわけです。そのことはやっぱり全従業員の士気に影響すると思うのです。どうして団体交渉でゼロ回答をしたのですか。去年やってことしどうしてできないのですか。
  76. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 昨年の経緯につきましては、たしかこの委員会でも答弁いたしたのでありまして、二月八日の時点で、電電公社が、これは一昨年来の経過もあったのでありますけれども、まあ何といいますか、率先してああいう回答をし、また、政府に対しまして、いろいろ現在の制度のもとで運用をやるということでやった次第であります。ことしにつきましては、これは先ほどゼロ回答したと言われたのでありますが、私たちはゼロ回答いたしましたのは、四十年度のベースアップにつきましてゼロ回答をいたしたのでありまして、四十一年度につきましては、民間賃金の相場が出そろったら回答する、こういうふうに言っておるのでありまして、いわゆるゼロ回答とは私は違ったというふうにいまでも考えております。したがって、昨年はいろいろやりまして、その結果、何といいますか、国鉄とか、あるいは専売その他のやはり三公社というものは、ある程度相談していったらいいんじゃないかというような気持ちも、昨年の反省からあるのでありまして、いろいろ関係方面ともいま打ち合わせをしながら現在進めておる次第であります。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 それもまたおかしな話ですね。当事者能力というのはあるわけでしょう、多少とも。それがあっちやこっちに相談しなければ、組合に対して回答ができない。これは全くみずから自主能力を放棄しているんじゃないでしょうかね。まあ、なるほど、民間賃金の動きというものを見てみなければ回答できませんということは、即、民間賃金が何%かわからないが、上がったらその分だけは公社は必ず上がりますよ、こういうふうに理解していいのですか、これは。人事局長は過去の団体交渉で同じような交渉をしてきていると思いますけれども、いま総裁が言われたように、ことし民間賃金の動向を見て、従来はやらなかったが、ことしはそういう回答をした。したがって、民間が昨年並みであれば、大体昨年並みなりに公社は自主性を持って出しますよ、こういうふうにとっていいですか。そういうことは昨年まで言わなかった。
  78. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 昨年は二月八日の時点で五百円の有額回答をいたしました。今度は民間賃金の相場が出そろったらお答えしますということは、もともと公社の賃金というものは、公社法によりましても、民間の給与、民間賃金というものを十分考えてやるということになっておりますので、私たちは、今回、昨年と少し違っておりますけれども、しかし、考え方としては決してうしろ向きになっておるということではない。ただ、問題が御承知のように、根本的にはやはりこの制度問題があるのでありまして、やはり制度というものが現在のままではやはり運用していくよりしかたがない。そういたしますと、どうしても十分なことはできないのであります。結局、われわれとして、過去十二年間の苦しみというものを十分御理解願いたいと思うのでありますが、根本的には、やはり公務員制度審議会等で、やはり当事者能力問題を十分すっきりしていただくことが望ましい、こういうふうに考えます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 総裁の言われるように、これは初めて言ったなんて言っているけれども、そんなものはえらそうに言ってみたところで、そんなことは電電公社法の、この三十条の給与というところにあるんだから、公務員や民間事業の従業員の給与を考慮しているんですよということは、これはあることなんだから、それを言わなかったのはむしろ怠慢で、これはもうあなた方堂々と言ったって、だれにも文句を言われることもないし、団交等で言うべきことはあたりまえなんだ。ただし、これは抽象論ですから、その抽象論が、いま当事者能力があるかないか、ゼロ回答から有額回答へ、また、有額回答からゼロ回答へ、こういうふうにその年その年によって、いかにも労使問題というものが一貫しないという点から言って、まあゼロではないのだという論から言えば、民間賃金の動きを見て考えましょうということは、即、三十条に言うところの、民間賃金の上昇によって、われわれ公社の賃金もそういうふうにいくのだ、こういうふうにすなおに理解されるわけでしょう。だから、そういうふうにいまわれわれは受けとめておいていいわけですかということを、念のために聞いたわけですよ。それでいいですか。文字どおり、この三十条のとおりでいいんですか。
  80. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 先ほどお答えいたしましたとおりなんでありまして、いま念を押されたのでありますが、先ほどの答弁のとおりでございます。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 それは大臣がおるからといって何も遠慮する必要はないので、政府のほうばかり向いたってだめですよ。公社は公社の自主性を持って、やはり労使間のことを三公社へ行って相談したなんて言ってたんでは、さっぱりわからぬですよ。まあ私は、一番従業員の基本になる待遇というものが、毎年こういうふうな雲をつかむような抽象論に終始してしまって、その上にトラブルを起こして、事業運営にいろいろな障害が出てくる、そんなばかげた話はないので、もう少しやはり、いま総裁がおっしゃったんだが、基本的な当事者能力の何といいますか、復活というか、当事者能力の自主性というようなやはり考え方にいかなければならぬと思う。  そこで、ひとつ米沢さんに伺いたいのですが、これは制度の全体の問題とも関連があると思いますが、しかし、一番やりやすい方法が一つある。それは、昭和二十七年  これは大臣も聞いておいてもらいたいんだが、昭和二十七年に公社法ができまして、いわゆる給与総額制度というものが生まれたわけですね。そして基準内外というものは電電公社総裁にその使用権をまかせておる。ところが、昭和三十二年になりまして、これは予算総則の中でそれを禁じましたね。こういうものは明らかに電電公社発足当時与えた公社の権限というものを途中において剥奪したということになったわけです。ですから、郵政省が公共企業体等労働関係法の適用を受けるときにも、全逓労働組合がやはり非常に心配したのは、この給与総額制度というものが、やほり郵政特別会計の中であることについて、非常に疑問を持っている。これはほかのところもみんな同じなんですよ。ですから、これはやはり政府が、法律改正をしなくても、予算総則上国会へ提案する一カ条の一ところだけをかってに変えて、まず重要な権限の一角もくずしたのですね。以来もう約八年ぐらいたっているのですが、どうですか、公社は直ちにこれをもとに戻してもらいたいという要求をすべきでしょう。これはやったんですかね、総裁。それから郵政大臣はそういう点について、ほんとうに公務員制度審議会の中でやろうということをおっしゃっているのですから、せめて自分の権限で、政府の権限でできるくらいのことはおやりになったらどうですか。その点どうですか。
  82. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 当事者能力のあり方という点、これはいろいろな場合にそれぞれの御意見も伺っております。私は公務員制度審議会が取り組んでおりますること、その場合に、当然どの程度当事者能力を定めるかということについての検討がもとになってまいると思います。私は、現にそのために公務員制度審議会は研究しておるのでございますから、そういう結果を十分見て判断をいたしたいと思っております。
  83. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) ただいま基準内外の流用の問題だと思いますが、私たちといたしまして、臨時行政調査会ではこの問題をはっきり意見として出しておりますし、それからまた、予算の総則の改正のつど、そういう意見は表明しておるのでありますが、なかなか——もっと一般的な広い角度でこの問題を考えたいと思って保留になっているのだと思います。
  84. 鈴木強

    鈴木強君 これは確かに、全面的な当事者能力の戦いからすれば——戦いというか、要求からしますと、ほんの一こまだと思いますよ。しかし、私は、大臣ね、佐藤総理が公社法を制定した当時に、やっぱり給与総額というものがかなり問題になっているのですよ。給与総額的なものを少しとっておいて、物価の上昇その他の変動によって、そのワク内で給与というものが、労使間で団体交渉権でくるわけですから、公務員当時から、そういうふうにしたらどうかという意見もあったのです、これは。しかし、結果的には、この給与総額というものを認めて、その中でどういうふうに基準内外を使う、これはしかし、かってに使うったって、何でもかんでもかまわぬということはないのですよ。要するに、公共企業体の性格に即応して、従業員が意欲が持てるような形にその基準内外の金を使うことに関しては、これは電電公社総裁にまかせてよろしい、まかせる、こういうことになっておった。それが二十七年、二十八、二十九、三十、三十一、三十二年の三月の予算委員会、私は当時予算委員で出ておりましてね、当時の岸総理大臣と、これはもうほんとうに私は涙を流して彼に訴えた。そういう不当な、与えた権限をなぜ取るんだということで、私はかなり論争したんですよ。しかし、まあ大蔵当局の何かしらぬ思い間違った考え方がございましてね、予算総則でそういうふうに変えられてしまったんですよ。まことに私は遺憾に思っております。自来、毎年毎年機会あるごとに、議会においてその意見を出しておるんですけれども、今日まだ実現してないんですよね。ですから、せめてその程度のことは、私はもうやれることですから、しかもやったことなんだからね。それもとに戻すのはあたりまえじゃないか。そしてなおかつそれでは不十分ですから、だからもっと大局的見地に立って、昭和二十九年、三十一年、二度出されている審議会、あるいはこの前の臨時行政調査会ですね、こういった中にも言われておりますし、行政監理委員会の勧告等の中にも出ているような実積を与えるべきだというのが私の意見です。それが根本なんですよ。それがうやむやになっていますから、毎年毎年こういう労使間の紛争が、お互いにいやな思いをしておるんじゃないですか。そのことは国家のために、事業のためにマイナスですよ。一つ一つできることからやっていったらどうですか。あなたのおっしゃるような、公務員制度審議会で全体の問題として改正していただくこともけっこうですけれども、できることからやったらどうですかと、こう私は言ってるわけですよ。どうでしょうか、無理ですか、これは。
  85. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も毎年そうした点にからんで紛争が激化しましたり、長期化する、これは決して好ましいことじゃないという感じを、いま持っております。ただ、何と申しましても、公務員制度審議会で全体を、いまお話しのような、一体当事者能力の問題について、どの程度今後考えていくかという問題が現に審議される段階になっておりまするから、私自身もよく自分の判断を固めまするし、また審議会の動向を十分正しい方向に持っていかれますことを期待いたしまするので、しばらくその成り行きを私は見たいと思います。
  86. 鈴木強

    鈴木強君 予算も通っていることですから、いまの間には合いません。合いませんけれども、私はそういう意見をずっと出しているわけですね。しかも、それは郵政大臣が監督をする電電公社のことですよ。ですから、部内においてあなたがやっぱり一番急先鋒になってね、絶えず主張してもらうし、機会あるごとにそういう意見を述べて、ほんとうにやはり公社の自主的な経営、法に定められた目的を達成する方向に持っていくためには、やっぱりあなたが一番——閣僚ですからね、何といっても。そういう意見を機会あるごとにやらなきゃだめなんですよ。私たちは野党ですけれども、せっかくつくった公共企業体というものを、他に劣らないようなりっぱな経営をしてもらいたいという気持ちがあるわけですからね。どこへでも行って私は言うんですけれどもね。そういう点多少もの足りない点もありました、率直に。ですから、これからだってまだ大臣、任期があるんですからね、再任するかもしらぬし。だから、ひとつ大いにこういう当事者としてあなたがおやりになった経験というものも、もう一年近くなるわけですから、そういう意味で、私は大いにそういう主張をいつも腹の中に置いてもらいたいということがあるんですよ。ですから、多少時期的におそいんですけれども、こういう話を申し上げているんです。その点ひとつ腹に含めておいてもらいたいと思うんです。  それで、野上委員から人事局長曾山さんにだいぶ聞いたんだが、同じ回答をやって、額がわからぬ、幾らやるんだか。それは私が公社に聞いても、おそらく言わぬでしょう。そこで、こういうことはどうでしょうかね。問題は、団交が決裂して、公労委にいきますね。公労委の場所で調停仲裁と、こういう段階ですね。大臣ね、政府は、額は別として、有額回答については、もちろんこれは政府がイニシアをとり、大体この程度だということをきめない限りは、電電公社や郵政省に聞いたってだめですよ。大体政府が相談して、昨年と同じ並みか、あるいは幾ら上げるか、そういうものを出していくんでしょう。そういうものが、要するに調停段階において出るのか。二十六日はまあストライキが行なわれることになってますね。したがって、きょうは二十二日ですよ。三、四、五、六といくわけですね。したがってこの間においてもう……。
  87. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) きょうは二十一日。
  88. 鈴木強

    鈴木強君 ああ。最終的な陳述はもう終わったわけですね。したがって、これはあなたの腹にあると思うのです。調停段階でいま有額回答を出して事態収拾しようとするのか、仲裁の場にいってやろうとするのか、この点はどうです、これは言えるでしょう。
  89. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) なるべく早く近いうちに有額回答をいたしたい、この程度でひとつ……。
  90. 鈴木強

    鈴木強君 それは金額と同じようなわけにはいかぬですよ。金額は私らはここではちょっと無理だから言わぬ。しかし、紛争を早く解決するというのは、これはあたりまえのことですよ。ですから、何も仲裁まで持っていかなくたって、調停段階において、公労法十六条というものはさまればできるでしょう。予算上、資金上の点があれば、これは十六条は生きてくるわけですからね。だから、私は早く解決してもたいたい。そのためには、早く世論の納得するものを出して回答して——どうです、きょう、あすもうやるべきじゃないですかな。それは調停で解決しなさい、調停で。どうですかな、そのくらいのことは言えないですかね。調停か、仲裁か、それはあなた、正式の場所で私が質問している、国民にかわって。
  91. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) このほんとうにもう差し迫っているときでございますから、可及的早くいたすべきことだと考えております。
  92. 鈴木強

    鈴木強君 これは法律的な専門家でなくてもいいのですがね。これは曾山さんと遠藤職員局長に聞きたいのですがね。公労法第十六条というものは、予算上、資金上不可能であるものを協定しちゃいかぬという意味じゃないのでしょう、公労法第十六条は。労使間において、あることが確定された場合には、これは手続をとって支出してよろしい、こういうことですね。
  93. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) そのとおりでございます。
  94. 鈴木強

    鈴木強君 電電公社のほうはどうですか。
  95. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) おっしゃるとおりです。
  96. 鈴木強

    鈴木強君 ですから大臣ね、あなたのほうの腹でできるのですよ。これを何もできるだけ早くということで、もうあなたは調停段階でやりますということを言ってくれないのですけれどもね、私はもう率直に言って、調停段階でやるべきだ、こういう意見を持っているのです。ただ、さっきから言っているように、民間賃金その他の出そろいの面も見たいということも、一面これはわかります。確かにわかります。しかし、できるだけいいものを出してくれ。これは調停で悪いものを出されて、それでおしまいになっちゃ困るのだから、最高のものがねらいとすれば、これはまた時期を多少ずらしても、いいものを取ろうという配慮からおっしゃっているのは、よくわかりますけれどもね。しかし、そこまでほんとうに政府が腹をきめてやっておられるかどうかということも、過去の——これはあなたの場合は別としても、過去の歴代政府のやってきた態度から見て、ぼくはなかなか信用できぬのですよ。ただ事なかれ主義的に他力本願的に事を延ばしていくということがあってもいけないと思う。そこで、そういう公労法上の解決する道があるのですから、この際ひとつ最高のものをここで政府が腹をきめて、いずれ相談しなくちゃならぬのでしょうから、お出しになって、早期に紛争を解決して、あなたの所管する事業が正常な方向にいくようにこれを願うのは、あなた方もそうでしょうし、私どもも国民的な立場としても思うわけですよ。また、できないことを私はやってくれというのでなくて——やはり調停段階で出すのにどういうところに問題が残るのですか。
  97. 曾山克巳

    政府委員曾山克巳君) 先ほど申し上げましたように、全郵政が申請いたしましてからちょうど調停期間二カ月というのが、あす切れるわけでございます。その段階までに、したがって先ほど大臣が申しておられますように、積極的な有額回答というものが出るだろうと先ほど言われておるわけであります。私どもといたしましても、つまり当事者といたしましても、できるだけそういう線で現在検討中であることは、先ほど申し上げました。ただ、その後どうなるか等につきましては、これは私どもの立場より、むしろ組合側の出方によるわけでございまして、その辺の事情は、私どもでは推測しかねる次第でございます。
  98. 野上元

    理事野上元君) 向こう、いいですか。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 いや、大臣でなきゃだめなんですよ。
  100. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私ども当事者である大臣、他の事業を持っております他の大臣もさようだと思いますけれども、それぞれ、今後組合との関係を円滑に持っていくということのためにも、早い時期に解決をいたしたい。ただ同時に、これは政府といたしても中で相談を要することがございます。電電公社の総裁からもいろいろ御要望は承っております。それがまさに熟しそうなところでありまするが、私どもといたしましては、これからの業務運行考えますと、できるだけよい有額回答を出すという努力をどうしてもいたしたいと思います。したがいまして、それは別に大蔵大臣を相手にせぬでもいいことじゃないかというごらんのなり方のある場合でも、政府部門といたしましては、ずいぶん激しく大蔵大臣に、私のみならず口をそろえて、これは早うせにゃいかぬじゃないか、しかも去年がああいう形で出している、似たようなことでおさめようと思ってもおさめられぬ状態じゃないか、そういうようなだんだんな煮詰まり方が、いましておりますので、早いほどよろしいという主張をさらに続けまして、回答ができますようにつとめたいと思います。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 非常に大臣誠意を持ってお考えになっているようですからこれ以上言いませんが、ただ、スケジュール的にやっぱり心配になるわけです。ですから、きのうですか、関係閣僚懇談会……。
  102. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) おとといです。
  103. 鈴木強

    鈴木強君 おとといですか——そうするとこの次はいつお集まりになってやられるスケジュールになっておりますか、関係閣僚懇談会は。
  104. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) これはまだきまっておらぬのですけれども、もうきょうにもあすにもというようなぐあいに、私どもそれぞれ考えております。で、先ほど労働大臣と話をしましたときは、もう今度はとにかく集まったらきめにゃいかぬぞ、この間の十九日のようなことじゃ、集まっても困るぞということで、若干のウォーミングアップも実は打ち合わせいたしたような次第でございます。今度集まりますときは、ものがはっきり言えるという状態で、と思うております。しかし、私ども、主張はどこまでも譲りませんつもりでございまするから、相当曲折はあろうかと思いますけれども、次に集まりますときには、見当をつけなければ相ならぬと思っております。
  105. 鈴木強

    鈴木強君 最後に、ぜひ一つお願いしておきたいのは、あなたもおっしゃっておるように、早期に解決する。それは曾山さんは、少し組合側のほうの出方を待っておるように受け取れるような発言がありましたけれども、それではいかぬと思うのです。ですからこれによって解決するのだという、あなたの言われる最高のものを出して、労使間における妥結の方向への誠意を、お互いに信頼しつつやっていくということでなければいかぬと思う。あまりこちらが出しても組合が逃げておるのだろうとか、こういう他力本願的な、相手次第ということではだめだと思う。やはり信頼するものは信頼して政府誠意を、そのまま最高の誠意を示す、そうして労働者の諸君にも努力をしてもらう、やはりそういう考え方がなければ、これを幾ら出しても、あなた方は仲裁裁定に持っていくだろうという、そういう考え方が前提にあったらだめだと、私はそう思いますよ。ですからその辺は大臣もよく心得ていただいて、ぜひ早期に解決するように、公労法第十六条もあるわけですから、調停段階においてことし出し得る最高のものを出し、そうして事態収拾をはかるというように、ぜひ郵政、電電の担当大臣としてはひとつ閣僚懇談会等においても、あるいは総理に対しても、大蔵省に向かってもほんとうにあなたが腹をくくって御健闘くださいまして、何とかこの事態収拾されるように、早期にこれを解決していただくようにお願いいたしたいと思います。
  106. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私おっしゃるとおりと思います。お話のような趣旨を体しまして、またお話にありますような手順でひとついたします。
  107. 鈴木強

    鈴木強君 これで春闘関係は終わらしていただいて、あと一つ大臣に、向こうの本会議があるようですが、伺っておきたいのは、中期経済計画が公債発行論その他もありまして、結局くずれましたね。そこで新しく長期経済計画というものを打ち立てる、こういうことで、いま閣議は了承し、経済企画庁が作業に入っておると思うのですけれども、おおよそどうでしょうか。本年一ぱいともいわれておるのですが、その時期ですね、策定の完了する時期。おおよそ経済の成長率それからこれからの物価の上昇等の基本的な問題は、閣議ではきまったのでしょう。新聞でちょっときまったように、三日四日前に報道がなされたと思うのですが、どうでしょうか。
  108. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 経済企画庁長官から四十年度の大体の見込み、予想よりもわずかでありますけれども、消費者物価指数の上がり方が、予想したほどまでには四十年度末ではなっておらなかったような状況とか、一応四十年度の締めくくりのような報告はいたしました。しかし、経済企画庁長官もつとめて急いで今後の見通しを立てよう、それで作業としましては、相当かかる作業でありますけれども、夏ごろには出したい、立てたいと立っております。それで私どもといたしましても、郵便料金の改定の場合に、今後の五カ年の収支の見込みを立てておりまするけれども、この場合に今後の経済動向と——よけいなことを申さしていただけば、私は郵便の仕事は、必ずしも景気の動向というものは、それほど著しい影響のあるものとは思っておりませんけれども、しかし何と申しましても、景気の動向というものは、考えに入れなければならぬのですから、そうしますと、四十二年度以降の予算というようなものも、夏になれば考えなければいけない時期です。したがいましてかつ四十一年度の実際の七月以降の状態を、もう少し現在持っております収支見込みの正確なものを、郵政省といたしましては出さなければならぬと思います。それには、したがいまして経済動向というものを至急に出してもらいたいということを言うております。しかし経済企画庁のほうの作業も、一応中期経済計画を御破算にいたしましたから、この夏までかかるということは、私はやむを得ないことだろうと思っております。それから御案内のように、従来の経済動向についての一切の指標等のとり方を、今度変えてまいりますから、それらに合わせました作業というものを含めまして、私は大体夏ごろには見当がつけてもらえるのではないだろうか、こういうふうに考えております。そういたしまするならば、私のほうでもさらに収支の見通し等、これもよけいなことを申し上げますが、電電公社のほうについてもそういう作業の必要がきっとあるのだろうと思います。そのような意味合いで私は夏ごろには、ぜひ最終的なものが求められませんでも、大体政府として主管庁である経済企画庁が中心になって、大体の見通しをつけてもらうことを期待をいたしておりますし、また企画庁長官はそのように申しておりますから、大体夏ごろには承知できるものだと思っております。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 これは各方面に影響があると思いますね。きょうは郵便法の一部改正法案の提案説明を聞きましたけれども、あなたもちょっと触れたようなことであるのか……、一体この景気の動向で過去どういうふうに物の増加というものがあったかということは、これはいずれ明らかにしてもらえると思いますが、同時にこれからも新長期経済計画に伴って、日本の経済はどういうふうな方向をたどっていくか、これに対して郵便の扱いというものがどうなっていくか、これは基礎になるものはそれしかないのです、率直に言って。ですからその基礎がぐらぐらしておる中で郵便料金引き上げの問題が出てきたわけですから、私その点非常に心配をしておるのです。これはあとから具体的にあらゆる資料を出してもらいたいのです。そこで、きょうは電電公社総裁、副総裁いらしていただいておりますが、公社も同じように昨年の電信電話調査会、佐藤調査会と言われる答申をいただいておりますね、私も拝見させてもらいましたが、これはいわゆる政府の中期経済計画基礎にしてはじいたすべての需要予測であり、経済動向に一応順応するという立場でおつくりになったものだと思います。そこでこの新経済計画というものは、いま大臣のお話のように成長率、物価の動向、鉱工業生産の動きがどうだろうかという基本のものがまだ一つもきまっていない、公債も七千三百億からずっと何兆という長期の公債を発行するというような形になってきているわけですから、おそらくこの出された昨年九月二日の御答申というものは、そういう意味において変更というか、ないしは内容的に修正を加えなきゃならないのではないか、もしかりにかなり中期経済計画より違ったものが新長期経済計画の中に出てきたときには、そうせざるを得ないとぼくらは思うのです。そこで当初千七百万個十年間で需要予測があるというので指摘されたものが二千百万個の需要に変わってきているわけです。これらがはたして二千百三十四万個でいいのかどうなのか。現に四十一年度予算というものが通過して、その実行計画を公社はお立てになっているわけなんですが、その計画にも多少変更を加えなければならぬような事態に、ほんとうはならなければならぬと思うのだが、しかしそれはまだいまのところきまった方向で行くんでしょうけれども、さて来年、再来年で一体いまきめているこの予測というものは、このとおりいくのかどうなのか、そういう点非常に心配なんですね。ですからどうなんでしょうか、その辺の見通しについて。
  110. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) ただいま御質問がありましたけれども、中期経済計画昭和四十三年まで立てた計画でありまして、それが現在その計画がなくなった、こういうふうに了解しております。  それから電信電話調査会から答申を私いただいているのでありますけれども、これは調査会が自主的にきめた、公社が干渉したというよりも自主的にきめていただいたというものでありまして、特に四十七年度末における需要がどうなるかということは、前にもたしか予算委員会その他で申し上げたことがございますが、今後の経済の見通しということが非常に影響することは、ただいまの御説のとおりでありまして、そのためには公社といたしまして、郵政省あるいは経済企画庁、あるいは大蔵省その他の関係の省と十分お打ち合わせをしながら、経済の見通しというものを立てながら需要をやはり考えなければならぬ、こういうふうに考えております。ですから、そのただいまの数字自体にいたしましても、経済の数字によっては、変わってくることはあり得るのじゃないかと思います。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 中期経済計画基礎にしておつくりになったこと、これはもう間違いないと思うのです、私は。公社が介入したかどうかそれは別な話で、おそらく自主的に電信電話調査会は作業を進められたと思いますが、しかし何といっても一年足らずの期間ですし、スタッフその他から見ましても、電電公社ではいろいろの角度から資料を提出し、参画をしていることは間違いないと思うのです。そこで二千百三十四万個というこの数字、それから一方では国民の電信電話を守る調査会というのがありまして、当初公社が考えた千七百万個程度だろう、どういう予測を立てているわけです。したがって、ここが私はこれからの電電の料金値上げの問題と関連してくると思うのです。ことし二百二十六億ですか、黒字になっているのだが、その黒字があるから、それで電話はこれからの需要に対してどんどん引かれていくんだということじゃない。しろうとは黒字だから上げなくてもいいじゃないかという論議になるのだけれども、しかし一本三十七万円近くかかる電話というものは、二千百万の電話を引く場合には、やはり資金が二兆何ぼか不足するというようなことになるわけですから、そこら辺のつかみ方が非常に論議になると思うのです、これから。ですからこれは調査会が答申したのだから、公社でこれに対して検討を加えておると思います。はたしてこれが電電公社の現在の経営状態、特に収入がだんだんと住宅電話がふえるたびに下がってくる中で、はたしてこれだけの資金が調達できるだろうかということを心配しつつ作業を進めておるんでしょう。これは総裁どうなんですか、大体これでよろしいと公社では……、この答申の線に沿って大筋としてはやろう、こういう考え方だけは、幹部会できまっているのですか。
  112. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 私、この答申を受けましたときに、これを十分尊重するという談話を発表しておりますが、公社といたしましてこれから慎重に検討いたしますし、また経済見通しにつきましては、経済企画庁とかその他関係方面の意見も十分伺いながら、あるいはディスカッションしながら進めていきたいと思います。その答申がそのまま公社の案になるとは考えておりません。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますとね、四十七年までに申し込んだらすぐつく電話、どこへでもダイヤルで続く電話、こういうにしきの御旗を掲げているわけですけれども、そうしますとこの答申を受けて、公社は一つの目安としてこれをこう置くわけですか、それともこの答申というのはなるほどそうなんだ、したがってこの答申は大体間違いない、したがってこの答申されているような二千百三十四万個という需要予測が、昭和四十七年度までに当然考えられるのだ。したがって年間充足率を最終年度は二百六十八万という大規模な電話架設をやろうというふうにやっていくのか、これはこれで長期見通しその他の点も考えてみて、できるだけやっていこうということなのか。そうなると、あなたが言っているにしきの御旗は、おろさなければならぬでしょう。一体需要予測というものはこう出ているのだが、こんなものはとらわれないのだ、公社独自でやるのだ、こういうことですか。
  114. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 昭和四十七年度末になりましたら申し込んだらすぐつく、それから全国をダイヤル即時というのではなくて、全国を即時化する、こういう目標を立てて第二次五カ年計画、第三次五カ年計画を進めてまいりました。この目標は変えておりません。しかし需要の問題につきましては、経済見通しその他もありますので、私どもといたしまして今後いまの新しい時点において、十分政府の経済の見通しその他も伺いながら、ディスカッションしながら進めていきたい。したがって、その目標そのものは変えていないのでありますけれども、数字はまだきまっていない、こういうふうに御了解願いたいと思います。
  115. 鈴木強

    鈴木強君 それじゃ何のためにこういう調査会をつくってあなたは答申を求めたんでしょう。
  116. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) いまのその数字のほかに、調査会としてはいろいろ重要な問題が入っておりまして、たとえば新しい加入者電話をつける場合に、設備料を従来の一万円から三万円にしたほうがいいというような答申も出ております。それから現在月五千円の収入が入っているわでありますが、住宅の電話がふえることによりまして、月二千円の収入しかない加入者が非常にふえてくる、いわゆる収入の構造変化が起こってくるという点、あるいは債務償還というものについてでどういう考え方があるか、そういう広範な問題を含んでおりまして、私はもちろん需要予測も、一つの重要な要素でありますけれども、それ以外に先ほど申し上げました新しい加入者からの設備料を一万円を三万円にするというそういうようなことの答申とか、そういうふうな非常に広範な問題を含んでおりまして、それらの中で公社として十分それを考えて、採用したほうがいいというものにつきましては、公社の案をつくるときに尊重していきたい、こういうふうに思っております。ですからいま言われましたように、私どもとしては、全体的にはこの案というものを非常に尊重しておるわけでありますけれども、数字その他につきましては、やはりその後の新しい時点というものを、これは予算委員会の分科会におきまして、やはり公社当局も答えておるのでありますが、数字等については、必ずしもそのとおりであるかどうかはわからないというふうに答えておるのでありまして、たとえば設備料を一万円から三万円にいたしますと、需要は二千万くらいに落ちるということも言っておるのでありまして、したがって、いわゆるいろいろな基本料の取り方とか、あるいは設備料の状況とか、そういうものによりまして需要が変動するということは、すでにそのとき言っているのであります。
  117. 鈴木強

    鈴木強君 その設備料の現行制度をどうするとか、そういうことはこれは法律改正との関係もあるでしょうが、それによって加入電話の需要の見通しというのは狂うということは、これは私も資料を拝見しておりますからわかっておりますよ。たとえば設備料を二万円引き上げて三万円にした場合には、二千百三十四万が二千十八万で、約百十六万くらいの需要が減ってくる、こういう数字も出ております。しかし大体において、その中期経済計画というものを基礎にして想定してみた場合、これはあくまでも推計ですからね。推計した場合に、大体需要というものは二千百万になってくる。したがって、従来千七百万と言っておった公社の十年間の需要予測で、約四百万個狂いがきたのだ。それだけ経済の発展というものが伸びていくために需要がふえてきたのだ、こういうように答申は言っているわけですね。こういう考え方が、数字はそれは百万とか五十万とか差のあることは、ぼくらもその点は認めますよ。しかし、少なくとも千七百万個と予想したときから見ると、だいぶ変わってきておりますから、変わってきておりますだけに、そのことが料金値上げをかなりやらなければならないという、やはり結果を誘発する原因になっている。もっと極端に言うならば、現行料金で二百二十六億黒字があるのでありますから、その黒字に見合う程度において、他の財政投融資の金を少しふやしてもらって、四十七年即時化ということでなくして、それを四十九年にしても五十年にしてもいいじゃないですか。そういうことになれば、何も四十七年に無理をして、最高千七百万個をしいてやることはない。そうすれば料金値上げをしないで済むでしょう。しかしその予測が四百万個ふえてきたでしょう。それが六年間、七年間かぶってくるでしょう、平準化していくと。そうすると二十万なり三十万なり当初計画から見ると、需要がかなりふえてきている。そのために建設資金が変わってくる、そういうことになるでしょう。だからやはり借金、借金では困るから、ひとつ料金も少し上げてもらいたいというかっこうになるんではないでしょうか。千七百万個だったら、これはやりようがあると思うのです。そういう点を聞いているのですが、何か権威のないような答申書のようなことを言われたのじゃ困る。
  118. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 千七百五十万の数字を言われたのですが、私も私の個人的な見解を言ってはあれですが、数字の問題ですけれども、千七百五十万で足りると思っておりませんが、しかし二千百三十四万個、そのものができるかどうかは、これは先ほど申し上げましたようにこれはわからない。千七百万という数字は申し上げておらぬのであります。相当私はふえるということは予想しております。ただ何といいますか、答申書にありますような二千百三十四万、そのものであるということは考えられないし、また今後の経済見通しと十分つき合わせながらやっていきたい、こう言っているのです。
  119. 鈴木強

    鈴木強君 それは私の言っていることなんです。経済が変わってくるから、その数字も狂うだろう。しかし中期経済計画というものを基礎にして、あなた方もいろいろな資料を基礎にしてこういう数字が出てきたのでしょう。だからそれが何か権威のないがごとき発言をされることは、私はちょっとどうかと思うのですよ。問題は経済計画がどういうふうになってくるかわかりませんから、ことによっては減るかもしれぬ、あるいは千七百万という数字が中期経済計画以上に伸びていけば、これはあるいはふえるかもしれない。しかしふえても逆に電話のほうは減るかもしれない。これはあくまで推計ですからそういう数字であって、必ずしも一銭一厘私はこの数字が動くとか動かないとかいうことは言ってないですよ。ただし、およそ調査会というものが苦労されて出した結論なんだから、これを尊重するということは内容的にも大体これはよろしい、了承できるということで尊重するのでしょうが、これはどちらを向いているかわからぬ、一つの目安として出したのだということでもないのでしょう。
  120. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 先ほど私数字を少し正確に言えというふうにちょっと誤解をいたしたので、あるいは答弁が悪かったかもしれませんが、尊重するということは、もちろん一〇〇%ではないということを申し上げたのでありまして、   〔理事野上元君退席、理事新谷寅三郎君着席〕 しかしその九〇%か八〇%か相当の部分は、これはもちろんそれが公社の案になるだろうというふうに考えております。しかし公社の案をつくるのは、いまいろいろ検討しておりまして、前にも国会答弁いたしましたけれども、八月末の時点におきまして公社の案をまとめていきたい。こういうふうに考えております。
  121. 鈴木強

    鈴木強君 これは八月末になりますと、そうすると、昭和四十七年までの公社としての需要予測、それからこれに対する年間充足率ですね。そして昭和四十七年になったら、申し込んだらすぐつくと、こういう計画ができるということですか。
  122. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) そのようにいま進めたいと思っております。
  123. 鈴木強

    鈴木強君 それは総裁ね、いま言った政府の新しい長期経済政策というものが、八月ごろ何とかやっと骨格というか、考え方というものがまとまるがごとき話を大臣から聞いたのですね。   〔理事新谷寅三郎君退席、理事野上元君着席〕 それから作業をしていきますと、どうしても十月か十一月になると思うのですね。そういう長期経済計画というものがきまる段階で、八月にまたその公社独自のものをつくるというのは、どういうのですか。
  124. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 私経済企画庁の事務当局と、どうせ数字の問題でありますから、いろいろ打ち合わせをしていく過程が必要だと思っております。したがって、そのいろいろ基本的な経済計画がまとまる過程におきまして、部分的には相当数字の固まってくるのもあるのじゃないかというふうに予想しておりまして、したがって、そういうことも考えに入れて先ほど申し上げましたように進めていきたい、こういうふうに考えております。
  125. 鈴木強

    鈴木強君 それはちょっと先ばしりますよ。もうあなたのほうでは、当初の第三次五カ年計画というものがわれわれに示されているのですね、昭和三十七年八月におつくりになったものが。その内容を拝見しますと、大体昭和三十八、三十九、四十、四十一、四十二年と、これ四十一年度が増設数約百十五万と見ておりましたから、わずかに八万ぐらいの差が出ております。昭和四十二年度は百三十万一応増設数を考えているわけですから、ちゃんとここにあるのですよ。何も八月にあわててやる必要もないじゃないですか。そんなら私はこういうものを一応まあつくってもらって、そしてこれによって、新たな観点から第三次既定の計画というものをどう変えていくか、そして第四次の五カ年計画というものをどう変えていくかということを、当然これは公社がやらなければならぬ。答申を尊重するならば、間違いがあるとすれば、どういう点に間違いがあるのか、これはわれわれだって公社の意見をよく聞きたいと思うのです。ですからいま八月に政府の大方針がきまる、一兆五千億かの公共投資をできるだけ早く上半期に使って景気のてこ入れをしよう、そういう中で来年度以降の長期経済計画というものがどうなっていくかということを、いま政府考えているわけですよ。ですから大臣がおっしゃるように必ずしも八月までにめどがつくと思いません。これはここまで深い傷を受けた日本経済というものに、ことしの四兆三千億の予算、そして景気回復のためのあらゆる措置をとっておりますが、それが浸透していくには、やっぱり九月なり十月になると思うのですよ。そういう中で初めて新長期経済計画というものの基礎が固まるのであって、こういうときに、どうも公社のほうが連絡を事務当局ととりながら八月ごろつくるというのは、ちょっとわれわれのほうの経過的な検討をしてきた立場から見ますと、少しタイミングを誤っているのじゃないか。こう思うのです。
  126. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) 具体的に御説明申し上げます。ちょっと数字の問題で、総裁は非常に厳格にお考えになりましたものですから、先生の思っておられる答弁にならなかったのじゃないかと思いますが、実は現在でも政府は基本的了解として経済の見通し、四十三年までは七%ないし八%ということを、例の中期経済計画を廃止されるときにすでにきめられております。で、さらに今後その七%ないし八%という形できめられておりますが、先ほど大臣もお話がありましたように、今後五カ年間の新長期計画をつくっていきたい、それをいま大臣が御説明になったのだと思います。その数字がどう出るかは、もちろん時日の問題は、先生お話のとおり夏に出るのか、あるいは確定しないかもわからぬ。ただ、われわれがじゃどういうやり方で調査会のときの答申が出るまでの説明をいたしたかといいますと、調査会は先ほど先生おっしゃったとおり、四十年の九月に御意見が出てきたわけですが、当時は一年にわたって討議をされております。したがいまして、その当時われわれが提出しました資料には、三十九年度からやっておるわけでございます。御案内のとおり三十九年度は、政府としては中期経済計画をおきめになっておるわけです。したがいまして、政府の見通しとしまして、八・一%という四十三年度までの中期経済計画の経済実質成長見込み率というものを用いているわけでございますが、その際でも、四十四年以降については政府は何とも申されておりません。これはわれわれとしても政府のオーソライズされた数字がほしいわけでございますけれども、遺憾ながらそういう数字は、政府として発表されておりませんから、前の所得倍増計画のときに四十五年度まで七・二%、その後は二%ダウン、こういう経済の見通しが出ておりますので、われわれとしましても、その二%ダウンとしまして六%、つまり四十四年から四十七年までは六%、したがって、実質で見ますと七。二%ぐらいの経済成長率になるわけです。七カ年間の実質で見ますと、大体そんなところが一応その当時考えられる数字としてわれわれは使わさしていただきまして、資料として提出したわけでございます。それが調査会の答申としまして、いわゆる設備料を幾らにするかということによって、価格弾性値から見て幾らに需要が下がってくるだろうかということを、われわれとして資料を提出いたしましてその結果となったわけでございます。  それじゃ現在その見通しが著しく非常に変わるだろうかと、こう申しますと、先ほど私が申しましたように、政府は現在七%ないし八%と言っておられるわけでございますから、それをわれわれがそのまま受けますと、その案では八・一%になる、これがはたしてそうなるかどうかということであります。また新長期経済計画のところへいって、その七%ないし八%というものは極端に狂うこともないだろう、かように考えられますと、先ほど総裁が御答弁申し上げましたように、非常に厳格に考えると二千百三十四万という数字にはならぬけれども、かなり幅はありますけれども、しかし経済の見通しは、そう大きな違いは今後出てくるとも考えられそうにもないということを考えますと、やはりその案が一つの骨子として考えていただけることになるのではないかと、私は考えておるわけでございますが、さように御理解いただければ、あるいは先生も御理解いただけたのじゃないかと思いますが、なお補足して御説明申し上げます。
  127. 鈴木強

    鈴木強君 そういうふうに理論的に話してもらうとわかるのです、ぼくも。ただし、あなたは経済企画庁長官じゃないんだから、七%ないし八%程度の経済の伸びがどうなるということは、中期経済計画を廃止する当時の一つのものの考え方として、政府がしたことを宮崎さんは言われておるのですから、これは無理もない、政府の一応の見解として出ています。しかし、それがはたしていまの経済のてこ入れの中から、どういうふうになっていくかということが問題なんですね。ですから、解散の問題もそれにかかっているわけですから、経済の上向きに。ですから、そういう段階だから、われわれもわからないし、政府当局も、それはなかなか、見通しは立っているけれども、わからない。そういうふうなことで、ことさら中期経済計画を廃止したあとの新長期経済計画へのテンポというものがおくれているのです。早くできるはずなんです、そういうはっきり見通しがあれば。しかし、なかなか経済の見通しはそういかないものですから、慎重に慎重に藤山さんもことしの暮れごろという目安を持っておるわけですよ。ですから、そういう意味においてものの判断を、ぼくらはしておるわけですが、多少違うけれども、あなたがそういうふうに政府の公になった資料というものをもとにしていけば、私も大体そう狂いがないだろうということはわかります。したがって調査会が答申をしている二千百三十四万というものは、ずばりそのとおりということは私も言っていないものだから、およそそう狂いはないだろう。そこの需要予測というものは、公社として尊重される、まあ尊重する立場に立てば理解できる。したがって二千百万前後、二千万前後の需要予測というものは、大体において四十七年においてはあるのだというはっきりした一つのものをもって、そうしてこれから第三次の四年、五年それから第四次、こういうふうに、これから六年間の計画というものを積極的にとっていって、そうして「申し込んだらすぐつく、どこでも通ずる電話」、こういうようなものをにしきの御旗として到達しようというそう努力をされるならわかる。どうも総裁のさっきのお話ですと、この答申そのものに対する理解が、私はやっぱり違うのですよ。総裁その辺の受け取り方がどうも違う。どうもそこのところがわからないものですから、答申を尊重すると言っておるのだが、いまも私が申し上げておるような立場に立って尊重し、そうして公社がこれを受けて公社としての計画を立てていくのなら、私は理解できるのです。そういうことで間違いないのですか。言い方がいろいろあったけれども……。
  128. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) いま計画局長が数字につきまして御説明いたしましたとおりでありまして、先ほど申し上げましたように一〇〇%そのままではないというふうに申し上げたのでありまして、八〇%か九〇%はそのままになるだろう、こういうふうに申し上げたのでありまして、そこは御了解願いたいと思います。
  129. 鈴木強

    鈴木強君 八〇%ということになるとだいぶ違うね。そういうことがわからぬのですよ。そんなら二千万割りますよ。八〇%になると千六百万だから、千七百万とたいした変わりがない、あわてることはないですよ、それは。
  130. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) いま八〇%ないし九〇%と申し上げたのでありまして、その気持ちがとにかくそのままではない若干修正することございます。こういうふうに申し上げたのであります。あまり八〇とか、九〇という数字にとらわれないでお願いしたいと思います。
  131. 鈴木強

    鈴木強君 だから私はおおよその需要予測というものは、答申の二千百万という数字が出ておりますが、これは、これからの新長期経済計画がどういうふうに発表になるかわかりませんが、それが経済企画庁が言っておるように八%がもっと九%に大幅に成長する、もっと五%になるというような中期経済計画を廃止するような際に、政府が発表したような一応の目標がずれた場合、そういう場合にはこれは変わってきますよ。変わってくると見なければならぬ。そうでなければ大体のところ八%前後、七・五から八%前後であれば、中期経済計画で予想した二千百万前後という数字は、大体これはそこらにいくだろうと、そういう判断を公社が持てるか、持てないかということです。八割、九割というなら八割をとるのです。大体九五%から九三%というならわかるけれども、八〇%というのはあまりにも、二割信用しないということですから、そういうような権威のないような答申だったのでしょうか、こういう点を言っておるのですよ。
  132. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) さっき八〇ないし九〇ということは、多少誤解を生じたようでありますから、取り消しまして、十分尊重するというふうにお考え願ってけっこうです。
  133. 鈴木強

    鈴木強君 それで、私は昨年の九月下旬答申がなされておるわけですから、もうそろそろこれに基づいた長期計画というものが年度別にどうなっていくかということを、公社はおきめになるだろうとこう思っておったのだが、話を聞くと、八月ごろしかまとまらぬということです。また経済の予想等も、いま進行中ですから、そういう意味で了解しますが、ただそれと関連をして心配になるのは、一体昭和四十八年度からどうなるかということですよ。例の負担法は三十八年三月三十一日で切れる。最高十五万円の加入債がもらえるという段階になって、昭和四十八、四十九、五十年というふうな第五次の五カ年計画という、名前は別としても、申し込んだらすぐつく電話だから、要するに最高二百八十万くらいあっても、申し込めばつくわけですね、工事能力があるわけだから。ただし、資金的に、二百八十万あった場合にそうはいかぬと思うのですよ。そうすると、依然として、申し込んだらすぐに電話が、四十七年のときにはついたけれども、四十八年、九年になったら、また、申し込んでつかない電話ということが出てくるでしょう。これは、ただ一時の気休めには、四十七年度がピークになって山だということが考えられるわけですよ。ですから四十八年度以降、一体どの程度の需要予測があって、そして負担法が廃止されても、その資金調達は、一体借金を払いながらどうなっていくか。そこまでの検討はしておられるのですか。そうしないと、われわれは申し込んで、すぐつく電話というのは、昭和四十七年だけで、八年、九年になったらそうならぬかもしれぬということになるでしょう。それはどうです。
  134. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) まことにむずかしい質問をされまして、ここ二、三年の需要の見通しでさえ、いろいろ問題になるところなんですけれども、しし、われわれ一応長期計画をつくりますときには、大体五カ年の計画をつくるわけでございますけれども、一応の先はやはり、見通していきたいと思うわけです。で、すでに調査会の時点で、われわれ考えました計画を見ますと、四十八年以降の需要というものは、どうなるだろうか。これが、先生のお話のありましたように、拡充法のいわゆる時限立法でございますから、それがとれるという時期でもあります。そういう負担がなくなった場合に、負担弾性値から見まして、どれくらいの需要がふえるだろうかというようなことは、一応の試算はいたしております。ただこの問題は、非常に長期の電話の需要というものは、それほど、どこの国でもはっきりした、いい方法で見通しているものはないようでございますし、われわれのやっている方法も、必ずしも正しい方法ではないかもわかりませんが、まあ見通しの方法としては、普通、成長曲線を考えております。したがいまして、そういう成長曲線から推定しますと、かりに負担法がなくなったときでも、調査会の時点における計画では、大体二百万ないし二百五十万くらいはあるのじゃないか、かようには見ております。  さて、それから今度は、非常に難問の資金の見通しということになると思いますが、これはまことに課題が非常に多うございますし、また、そのころの日本の経済全体から見まして、われわれに期待されている、電話のいわゆる応用と申しますものが、一そう発展するであろうので、たとえば現在アメリカでやっておりますデータ伝送、こういうものも、この七年後には、おそらく日本でも相当拡充されてくるだろう。そういうことを考えますと、そういうものをまだ本格的に日本では実施していない現状において、そういうものの増収等も見られないわけです。また、そういうものの設備としても、どれくらいかかるだろうかというような問題が、なかなか解明できる問題でありません。しかし、一応われわれなりに検討してみますと、決して楽観を許さない資金状況になるのではないだろうか、かように考えております。
  135. 鈴木強

    鈴木強君 これは、確かにむずかしいと思いますが、たとえばアメリカの電話の普及率というのは、人口一人当たり何ぼだ、あるいはイギリスは何ぼだということは、つかめますね。そういう最高のこれはアメリカと日本を比べるというのは、ちょっと例がまずいかもしれませんけれども、大体日本と経済情勢が同じ国と比較した場合に、人口に対する普及率というものはどのくらいになるかということをはじいていけば、日本は一億の人口ですから、何人に一台ということをはじいていけば、大体そこらあたりが事実問題として、ひとつの外国の例としては、人口何名までは電話というものが普及しているということが出てくるわけです。そうなってくれば、日本は、電話は四十七年になって、二千八百万か、九百万か、なるわけでしょう。最高、日本は大体五千万か、四千万か、あるいは三千五百万か、大体電話というものはその程度で需要というものはストップしていいのだということが、事実問題としてわかると思うのです。そういう研究をしてみれば、いまのあるやっとこれから引くやっと、差し引いてみれば、幾ら残るかということはわかるでしょう。
  136. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) いま先生おっしゃったようなことを、私が簡単に成長曲線と言ったわけでして、大体こういう電話の普及率というようなものは、アメリカと比較するとしましても、日本は、いま加入電話というやり方であります。アメリカは、現在電話機数という形でやっております。これは非常に性質が違いまして、特に現在のアメリカというのは、移転が非常に多うございます。いわゆる西部に向けてどんどん移転しているという実情がございまして、建設費等を比較するわけにもいきません。また、いま言いましたような成長曲線から見ましても、あるいは普及率その他から見ましても、五十年ごろには欧州並みにはなれるだろう。あるいは経済の見通しも、六十年ごろにはアメリカ並みという話も一般に言っておられますので、大体そんなことを考えまして、われわれの将来の極限需要というようなものを一応想定しているわけでございます。そういう形から、逆に成長曲線を出しまして、過去の延びと、延ばしていったカーブから推定するやり方をやっていきますから、大体先生おっしゃったような考え方でやったということでございます。
  137. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、そういうふうなおおよその予想数字というものを持っておられるわけですね。昭和四十八年以降の需要の予想数字というものは、持っておられるわけですか、現在。
  138. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) 先ほど申しましたように、この時点でこういう考え方でいったらどうなるかということは、先ほど申し上げましたように、曲線的には出るわけです。
  139. 鈴木強

    鈴木強君 だから、もっと言うならば、四十八年、四十九年、五十年、それから五十一年、五十二年ぐらいまでの、いわゆる第五次の五カ年計画という名前をつければ、そういう程度年度別の需要予測というものはわかりますか。
  140. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) そういうぐあいにブレークダウンしておらないのです。これは、たとえば五カ年計画を出す場合に、大体いま申しました経済成長というようなものでリンクさせる、あるいは相関関係を求めるというほかに、いろいろな方法でバックアップしていくわけです。いま私が申しました成長曲線というようなものだけでは、単にカーブが出たというだけでございますから、実際の、政府が超長期のたとえば経済成長というようなものをお出しになるならば、そういうものでまたバックアップしていくという形でないと、われわれ正式な需要という考え方には立っておらないのです。ただ、全然やってないかとおっしゃると、非常に設備投資が大きい公社事業でございますから、一応考えられる方法ではつとめて進めてみたいというだけでございます。その需要は、具体的に年々幾らであるというようなところまでブレークダウンしておりません。
  141. 野上元

    理事野上元君) ちょっと速記をとめてください。  〔速記中止〕
  142. 野上元

    理事野上元君) 速記を始めてください。
  143. 鈴木強

    鈴木強君 これは長期の見通しですから、むずかしいと思いますが、ただわれわれはさっきも申し上げたようにはたして四十七年以降の、四十八年度からの申し込んだらすぐつく電話ということが、ほんとうにそのとおりいくかどうかという、財政的な面も一つありますから、かりに二百五十万個四十八年度にあったとすれば、これはたいへんなことですよ、もし需要が、その年度に。そうすると、二百八十万個引かなければ残るわけですからね。積滞がないということですから。そういう点で、夢のような話かもしれないけれども、しかしそうじゃなくて、現実に申し込んだらすぐつく電話という終着駅があるわけですから、そういう場合に、はたして借金もかなり相当残っていくだろうし、収入もどうなっていくかわからんが、おそらく住宅電話等ももっともっとふえていきますと、好むと好まざるとにかかわらず、料金は減っていく。さらに農村地域における、利益を度外視した、公共性の立場に立っての施設もどんどんやらなければならん。そうなりますと、負担金というものは、だんだん一個当たり下がってくるわけです。だから、はたして昭和四十八年度以降、どの程度の需要が出るのか。その需要に対してほんとうにこたえるだけの資金的な裏づけがうまくいくのかどうか。工事能力は、私はあると思います。最高の四十七年度の力があるわけですから。そういう意味において、たとえばこれに関連する産業メーカー、線材、器材、建設等も含めれば、その人たちだって、一体四十八年度以降はどうなっていくだろうか。四十七年度まで体制を全部総動員して、公社に協力をして、ところが四十八年度になったら、二百五十万が百万になってしまった。いまの体制を半分にしなければならんのじゃないか。それはやはり不安も持ちますよ、事業協力をしてくれる関係各位に対しても。ですから、ある程度そういう見通しはちゃんと立てていく必要があるんじゃないだろうか。こう思いましたから少し伺ったのですが、無理もないでしょう。長期のことですから、いまにわかにお聞きしても。ここでは総裁から、そういうふうにいろいろな条件があるだろうが、とにかく申し込んだらすぐつく、どこでもすぐ通ずる電話というのは、昭和四十七年度以降どんなことがあっても公社はやっていくのだ、こういう御答弁が再確認の意味で聞ければそれでいいですよ。
  144. 米沢滋

    説明員(米沢滋君) 昭和四十八年以降におきまして、結局年間の申し込みを年間において処理するわけでありまして、申し込んだらすぐつく、即時架設する、この目標はずっと守っていきたいというふうに考えております。
  145. 鈴木強

    鈴木強君 それで、私は各年度別の需要供給、それともう一つは要員の問題について具体的にどういう変化をもたらすだろうかという点を実はお伺いしたい。これはどうでしょうか。大ざっぱの数字として四十七年度まで、最終的に八月にきまるそうですからいま聞くのは無理のような気もするのですが、おおよそ答申等に沿って計画を進めていった場合に、電電公社の要員というのはどういうふうに動いていくのか。これは詳しく言えば、電信とか電話部門とか、あるいは建設部門とか部門別に伺いたいのですが、そこまできまっておらぬとすれば、おおよそ、特にダイヤル即時化に伴う交換要員の減ですね、また施設増に伴うその部門の要員増、こういったものと相殺をした公社の職員の数というのは、大体どういうふうになっていくんだろうか、こういう大ざっぱなところはわかりませんか。
  146. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) お答えいたします。これも公社の現在の計画という形ではありませんけれども、いわゆる調査会の時点において、当然支出という中には人件費の項目を見ておるわけでありまして、その際どのくらいの数字を見ているかと申しますと、二千百万のときには大体八万ぐらいの増員になるだろう。それからもう一つの調査会案であります設備料を三万円として、約二千万のときは大体七万人くらいの増となる。これはおおよその数字でございまして、現在までに、すでにわれわれが計画いたしましたいわゆる合理化というようなもの、あるいは小局経営の問題等を一応考えに入れますと、大体そんなところにいくんじゃないだろうか、かように考えております。
  147. 鈴木強

    鈴木強君 運用面はどこへいきましても縮小々々の一歩をたどっている、運用部門等は。ですから、特に女子が長い間電話交換要員として従事しておったわけですが、御苦労いただいたわけですが、そういう方々が長距離即時化、TS、TTSが入ってまいりますために、極端にいったらダイヤルになれば一人も要らないということになりますか。全部ダイヤルでないですから、その点はどういうふうになりますか。女子はどのくらい減るのですか。
  148. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) まだそういうこまかい数字は出しておりませんが、全部ダイヤルになるのじゃなくて、私どもの見当では、おおむね二千五百くらいは手動のままで残ると、かように考えております。
  149. 鈴木強

    鈴木強君 二千五百。
  150. 宮崎政義

    説明員(宮崎政義君) 二千五百局ぐらい。しかし、これは二千五百くらいは残りますが、手動局として残るのであって、したがって、手動即時で全国につながるわけであります。大体四十二年度末までの電話局数は四千八百くらいになりますから、それが第三次末であります。それから第四次末には二千五百局くらいの手動局が残る見込みであります。ただ要措置要員とか、あるいは運用要員というものをはじく場合には、具体的な局の積み上げをやらぬと、こういう数字は出ないわけです。まだそういう段階までいっておりません。
  151. 鈴木強

    鈴木強君 大体の数字はわかりましたが、特に郵政に委託しておる電報、電話事業を直轄化するという仕事があるわけですね。その場合に郵政省と電電公社の間で相互にいろいろ話し合いをして過剰人員についての受け入れをやっていると思いますが、これが最近私たち全国を回ってみますとかなり激しいのですね。郵政省のほうではある局にプールします。極端なところですと、過員措置でかなりやっておりますね。ところが電電のほうも全員をかかえるということはなかなかむずかしいですから、うちの中で過員が生じますから、そういう意味ではなかなか郵政職員を電電に受け入れるということもむずかしかろうし、郵政省内部で操作することもむずかしいという事態がかなり顕著になっておると思うのですね。これは官房長おられますけれどもね。そういう意味で私が心配するのは、昭和四十七年なり昭和四十八年なり長期の計画が進んでまいりますと、一番問題になるのはこれはやはり要員対策だと思います。ですからそういう問題について、やはり郵政省と電電公社あるいは全電通労働組合全、逓労働組合、そういった関係の方々との間で、そういう問題については長期計画をやはり出し合っておきませんと、そのつどになりますと、たいへんなトラブルが起きると思いますから、やはり事前からその計画を示して、万遺憾なき措置をとっていただかないといけないと思いますが、とっていただいておると思いますけれども、一体その状況はいまどういうふうに把握されてやっておられるのか、そこらをひとつ伺いたいと思います。
  152. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 郵政省との間のいまの私どものお話ししている過員協定というものがありますが、これはお話しのように、従来から円滑に話し合いをずっとやってまいりましたけれども、お話しのように、今後の問題としてはこの問題がますます大きくなってまいりますし、また全電通あるいは全逓とそれぞれの問題がありますから、ひとつ根本的に将来を見通した上で、根本的に原則的な問題から郵政省当局と話し合いをして、この辺でもう一ペん過去の実績を見直して、また将来の問題を含めて根本的なお話し合いをしたいということで、実はここ数カ月間ずっとやっております。それで非常に私どもの立場を郵政当局も理解していただいておるということ、また私どもの立場といたしましても円満に解決できるように、現在努力中でございます。
  153. 野上元

    理事野上元君) 答弁するときに、少し大きい声で言ってください。速記の方も非常に困っておるようでございますから。
  154. 鶴岡寛

    政府委員(鶴岡寛君) 郵政省としても、ただいま電電公社側から申し上げましたような線で考えておりまして、十二分に協調して円滑な消化等をはかりたいと、このように思っております。
  155. 鈴木強

    鈴木強君 官房長、これは具体的な例ですけれども、山梨県の県内の合理化の要員措置状況を見ておりますと、郵政のほうもかなり困っておるのですね、たまたまあそこに貯金局があるのです。貯金局で余ったのは全部プールしておるのですね。これはかなり具体的にわかります。数字は私は知っておりますけれどもね。そこで手当などが出た場合には定員の数しかやらないが、そうするとオーバーしている分はいかぬ手当があるのです。そうすると百人のやつを百二十人で分けるので、分け前が少ないのですね。ああいうのは私はおかしいと思うのですが、事業の性格上過員措置になっているが、出すべき手当は出すと、これは本俸とか何とか、そういうものは出ておるのですが、これはそういうところがあるのですがね。これはどういうわけで差別しておるのですか。過員であろうけれども郵政省の定員だ。
  156. 鶴岡寛

    政府委員(鶴岡寛君) お答え申し上げます。手当は御存じのように、予算で厳格に規制を受けております関係上、まあ一定の、たとえば貯金置局であれば、地方貯金局であれば、その貯金関係業務について支給されておるわけでございます。したがいまして、そこへ従来電話交換等を扱っておりました従業員が入ってきました場合、総体の手当のワクから、まあいわばワクを越えるということになって、現在御指摘のようなことがあろうと考えております。その点につきまして、それならそれをどのように措置をするかという点でございますが、まあ貯金局、地方貯金局に置きますのは、あくまでも一時的な暫定措置でございまして、これを他の郵便現業の欠員あるいは増員の補充として可及的すみやかに消化をするというような方針で進んでおるわけでございます。ただし一部の局におきまして、まだそのような措置がうまく行なわれていないという場合に、ただいまおっしゃいますようなケースが出ておるのじゃなかろうかと思います。
  157. 鈴木強

    鈴木強君 これはそう、他の局が増員になったからすぐこっちに回すなんといってみたって、すぐそういうわけにいかないのですよ。なかなか人はふえないのですよ。山梨県の場合なんかは特に経済状態がああいうことですから、これが直轄に伴って、これは一時間半なり、しかもかなり通勤してみな通っていますよ。しかしあなたが言うように、これは甲府の郵便局がふえるかというと、ふえない。大体人口がだんだん減っていく県ですから。そうすると、貯金局へ女の子ですから一応配置転換する。そこで仕事をなさっておる。ところが今度は機械化がくるというので、いつ転換させられるかわからぬ。そういう不安の中でやっていますよ。だから、あなたのおっしゃるようななかなかうまいぐあいにいかぬのですよ、人間というものは。実態はそうではないのですよ。だからそこらを十分考えて、もう少しこれは配置転換だって  これはあとから公社に伺いますが、協約というものがあって、通勤時間とかその他いろいろあるわけでしょう。だからそういかぬと思います。だからもう少し委託業務を一体直轄化する場合にどうしたらいいかということは、もう少し広い視野から検討を加えないといけないような気がするものですから、そうかといって、ほかの県に持ってくるということも、これはなかなかむずかしかろうと思うのですよ。もう少しその点は実態を把握していただきたいと思うのです。
  158. 鶴岡寛

    政府委員(鶴岡寛君) ただいま御指摘があっておりますように、確かに第三次の五カ年計画におきましても、いわゆる措置が困難と見られておるような人員も、発生を予想される余剰人員の四割程度はあるように存じております。私どもとしましても、これは非常な部内の人事管理上あるいは労働政策上重要な問題でございます。この解決方には、もうこれは公社の年次計画が始まりまして以来ほとんど七、八年以来、非常に頭を悩ましておる問題でございます。公社の計画を私どもの要員事情をたてにして引きとめるというわけにもいきませんので、公社といろいろな協定、協約を結んで善後策を講じておるわけですが、また部内の配転等につきましても、従業員組合と十分に協議をいたしまして、強制にわたらざるような意味におきまして、多少の通勤もしてもらうとかいうようなことで、現在いろいろと手を打っている現状でございます。問題の重要性はよく認識しておりまして、極力善後策を講じておるということを申し上げておきたいと思います。
  159. 鈴木強

    鈴木強君 公社のほうでは、先ほど昭和四十七年末の要員増について八万ないし七万と、こういう数字を持っておられるようですが、配置転換も職種転換もどうにもならなくて、結局は過員としてかかえる場合でも、いうならば過員措置といいますか、そういうものでかかえなければならない人はどのくらいいるのですか。これは遠藤さんわかりますか。
  160. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) いま増員の数は、先ほども申し上げたと思うのですが、具体的な四十七年末までのいわゆる要員計画は、まだ現在の段階でちょっとやっておりませんので、正確にはわかりませんので……。
  161. 鈴木強

    鈴木強君 それはおかしいじゃないですか、八万人ないし七万人増員になるというのでしょう。だからさっき言ったように、運用部門は減って施設部門がふえて、事務系統が多少ふえるところもありますが、相殺して七万人ふえるということでしょう。だったらその根拠はわかるでしょう。
  162. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) ただ先生のおっしゃいましたように、配置転換なり職種転換というものにつきましても、おそらく御承知のように第一次、第二次、第三次でやってまいりました配置転換程度では済まなくて、あるいは職種転換につきましても、もう少し思い切って職種転換をしてやっていくという問題になりますと、それでも残る人間の数というものは変わってまいります。そういう問題については、いわゆる第四次でございますかの段階で、労働組合ともいろいろ話し合いいたしませんと、その点がはっきりいたしません。したがいまして、正確な数字はいまの段階では全然まだわからないと、こう申し上げるよりほかないと思います。
  163. 鈴木強

    鈴木強君 確かに言われるように、たとえば営業部門とか運用部門だけに過員の職転、配転するというだけではとてもだめですね。したがって職種はたくさんありますが、女子として多少無理でもやっていただくというならば、やっぱり職場開拓というものを積極的におやりになって、そういうものの上に立って、一体その希望があるかないか、そして最終的にはどの程度状態になるか、そういうことをおっしゃっておられると思うのですよ。そこで、いまでも一時間以内における配置転換という原則があるわけですね。なかなかこれが一時間半以上区域外といいますか、協定外の遠距離まで行かなければどうにもならぬ事態にきていると思うのですよ。そういうものを含めて一体女子をどういうふうに扱っていくかということの基本でもいいですわ、具体的な数字わからなければ。基本方針はおきめになっているのですか。
  164. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) 今度の私どものほうでやります設備計画の要員の段階で、すでに労働組合の人とそういう問題について相当突っ込んだ話し合いをしております。具体的には、先ほどから申し上げておりますように、この要員計画の具体的なものは、やはり設備計画そのものがきまりませんとわかりませんので、それを含めまして、できるだけ早いうちに、できれば年内にそういう問題を含めて労働組合と根本的に話し合いをしよう、こういうお約束でこの春いたしたわけであります。御承知のように、全電通の要員問題というものは、すでに十何年の歴史を持っておりまして、ただ一方的に反対というだけではなくて、そういう問題について非常に真剣に考えておられる労働組合でございます。したがって、原則的には、私どもも労働組合につきましては、先生御承知のように、第一次の五カ年計画のときには、合理化によって首切りは出さないということを労働協約をいたしました。さらに加えて私どもとしては、今後の様子が変わってきて、合理化の段階において、特に女子職員に対しては労働不安を生ぜしめないと。要するに、少なくとも現在いる女子職員について、合理化に伴う労働不安は感じさせないということを基本原則に置いて、そして区域外配転でありますとか、職種転換でございますとか、そういう問題について、計画がまとまり次第、できるだけ早く話し合おうという段階にあるわけです。
  165. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それで原則として第一次五カ年計画等に、いまあなたのおっしゃった合理化によって首切りはしませんと、そういうその基本的な考え方はやっぱりずっと続けていくと、しかしなかなかむずかしい情勢も、もちろん第一次、第二次、第三次より以上にこれからは出てくると思いますね。したがって、そういう問題をさらに首切りしないという前提に立って、特に女子職員の処遇の問題については考えていくと、こういうふうに理解しておっていいわけですね。
  166. 遠藤正介

    説明員(遠藤正介君) おっしゃるとおり、首切りをしないということは、いまさら私どもと全電通との問ではあらためて確認することもない大原則になっておるわけです。ただ首切りをしないというだけじゃなくて、特に女子職員については、できるだけ労働不安を少なくするという、これは新しい原則になるかどうかわかりませんが、首切りをしないという前提に立ってやるということは、当然のことでありますが、さらにできるだけ労働不安をなくしていこうじゃないかという約束といいますか、基盤の上に立って話し合いを進めていこう、こう考えております。
  167. 鈴木強

    鈴木強君 時間もたいへんおそくなりましたからこれで終わりたいと思いますが、確かにこれからの電電の長期拡充計画は、かなりのスピードで進んでまいりますし、それに伴って要員措置等もなかなか至難な問題が出てくると思います。しかし、まあ皆さんが労働組合約束をしておる約束を十分に果たすと同時に、なお合理化によって労働条件その他についてもぜひ格段の考慮をするという、ひとつ積極的な施策を打ち立てていただいて、そして事業が従業員の期待に沿えるようにひとつ御奮闘をお願いいたしたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  168. 野上元

    理事野上元君) 他に御発言がなければ、本件に関する質疑は、これで打ち切りたいと思います。  次回の委員会は四月二十六日を予定し、本日はこれにて散会いたします。    午後三時五十分散会