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1966-04-19 第51回国会 参議院 逓信委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月十九日(火曜日)    午前十時三十二分開会     —————————————    委員異動  四月十九日     辞任         補欠選任      浅井  亨君     田代富士男君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 古池 信三君                 白井  勇君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 横川 正市君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        科学技術政務次        官        田川 誠一君        科学技術庁研究        調整局長     高橋 正春君        科学技術庁振興        局長       谷敷  寛君        郵政政務次官   亀岡 高夫君        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        電気通信監理官  畠山 一郎君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省電波監理        局長       上田 弘之君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    参考人        日本科学技術振        興財団会長   藤本 輝夫君        日本科学技術振        興財団理事    安斎 義美君        国際電信電話株        式会社常務取締        役        竹内彦太郎君        国際電信電話株        式会社取締役研        究所長      新川  浩君        国際電信電話株        式会社取締役営        業部長      増田 元一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査電波に関する件)  (電気通信事業に関する件)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日の委員会おいては、まず、参考人出席要求について御決定を願った後、午前中は、日本科学技術振興財団及び電電公社に対し質疑を行ない、午後は、国際電信電話株式会社及び郵政省当局質疑を行なうことにいたしましたので、御了承願います。
  3. 田中一

    委員長田中一君) 次に、委員異動について御報告いたします。  四月十四日、田代富士男君が委員を辞任され、その補欠として浅井亨君が委員に選任され、本日、浅井亨君が委員を辞任され、その補欠として田代富士男君が委員に選任されました。
  4. 田中一

    委員長田中一君) これより議事に入ります。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査のうち、国際電気通信事業及び電波に関する調査のため、参考人から意見を聴取することとし、国際電信電話株式会社常務取締役竹内彦太郎君、同取締役研究所長新川浩君、同取締役営業部長増田元一君、日本科学技術振興財団会長藤本輝夫君、同理事安斎義美君の五君を参考人に決定したいと存じますが、御異議ございませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中一

    委員長田中一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  6. 田中一

    委員長田中一君) まず、日本科学技術振興財団に対し質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  7. 鈴木強

    鈴木強君 私は、日本科学技術振興財団経営になっておりますいわゆる東京十二チャンネルの問題について質問いたしたいと思いますが、御承知のとおり、昭和三十九年四月十二日に、財団に十二チャンネル免許認可があり、開局をされたわけでありますが、まだ二年を経過しないのに、非常に遺憾な事態が起きておりまして、これを免許いたしました郵政当局責任、また、これを公益法人として認可いたしております科学技術庁責任、と同時に、もちろん、この十二チャンネル経営に当たりました皆さん責任は非常に重いであろうと思います。で、いままで郵政当局なり科学技術庁当局からいろいろ今日に至るまでの経緯については伺っておりますが、なかなか、当事者でございませんので、直接経営の衝に当たりました皆さんから御意見を承る機会がございませんでした。たいへんお忙しい中と思いましたが、きょうはおいでいただいたのでありまして、以下、この問題の今日までの経過、さらに、これから一体どうしてこの放送をやっていくかという、そういうところに重点を置いて御質問したいと思いますが、実は倉田会長にもおいでいただくように手配したのでございますが、きょうは科学博物館科学週間とかでおいでいただけないというので、あるいは藤本本部長さんにいたしましても、その後経営を引き継がれた方ですから、当時のいきさつがおわかりになりますかどうですかよくわかりませんが、御理解いただいておるという立場に立って質問申し上げ、なお不明の点につきましては、いずれあらためて私は一度倉田会長にぜひおいでいただいて、出発当初のいきさつについてももう少し承りたいような気もいたしますので、そういうことを含みとしてお尋ねしたいと思います。  まず、京浜地区としてはVHFの残された唯一の波だというので、駐留軍から開放されましたあと日本科学技術振興財団株式会社ラジオ関東日本電波塔株式会社株式会社千代田テレビジョン中央教育放送株式会社、この五つが競願をいたしまして、公益法人特殊法人である日本科学技術振興財団予備免許がおり、開局をしていただいたわけでありますが、当時、特殊な科学教育放送というものは確かにわれわれもかなり期待しておりました。番組についても低俗番組とかなんとか言われる時代に、その点で何か科学技術教育放送というしっかりしたものがほしいということはわれわれも考えておったんです。したがって、これをどこにやらせるのが適切かということは、これはもちろん電波法上の認可権でございまして、これは郵政大臣の権限なわけです。したがって、大臣はおやめになる一日前に、おたくに認可するという方針をきめて審議会にかけたことも、御承知のとおりであります。審議会はいろいろ目論見書計画書その他を拝見した上でよろしいというので認可になっておるわけですから、形式的に見ますと、なるほどその当時の情勢に合っておったんじゃないか、こう思う。ただ、その後、中央教育放送郵政省を相手どって訴訟を起こしております。しかも、高裁で負けておりますね、郵政省側が。そういった係争事件まである段階です。われわれが一番納得できないのは、協力会というものができましたね、そして、その協力会方々日本科学技術振興のために協力しようというので、それぞれ協力するということで、月一億くらいのものを出そうじゃないかということで、拝見しますと、たくさんの方々が名前を連ねておるわけですよ。ですから、われわれはこれを見たときには、少なくとも日本財界のほとんどをメンバーに並べておるわけですからだいじょうぶだろうと感ずるのはあたりまえですね。しかし、実際にスタートされて、だんだんとたってまいりますと、協力会はだんだん月を追って減ってしまう。したがって、非常に疑問に思ったのは、一体協力会人たちがはたして計画書に示されたような協力体制ほんとうに持っておったかどうかということが、まず第一番に疑問に思うわけですね。で、十二チャンネルのほうとしましても、これは公益法人でございますから、株式会社じゃないんですから、営利を追求するということでなくて、やはり科学技術振興のためにやろうということになりますと、協力会皆さんの、いい意味における協力がほしいわけです。で、むやみにスポンサーをとるということは、これもまたちょっと問題があるでございましょう。したがって、そこら経営当局としては非常に苦しいんだと思いますけれども、まあ一年たってみて、あとからお伺いしますが、相当赤字が出てくる、十億をこすような赤字が出てくるというところまでずるずるといってしまったということは、一体どこに原因があったんだろうか、こう思うのでございますがね。その点は、端的に言って、申請当時の協力会メンバーというのは見せかけのものではなかったんだろうか、本物ではなかったんじゃないだろうか、要するに、免許をとるための一つの方便としてそういうものが出たんじゃないだろうか、ここまで勘ぐりたくなるわけですね、われわれは。一体その辺の、財界の並べた諸君の協力体制というのはそんなものじゃなかったんでございましょうか。まず、そこからひとつ藤本さんに伺っておきたいと思う。
  8. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 日本科学技術振興財団の副会長で、テレビ事業本部長を兼任しております藤本輝夫でございます。どうぞよろしく。  ただいま御質問の点は、実は、私は昨年六月末にこの副会長に就任し、テレビ事業倉田会長から受け継いだのでございまして、創立当時のいきさつその他についてはあまり関係しなかったものですから、詳しいことはわかりませんが、私も、開局以前から協力会メンバーとして毎月幾らかの協力会費を出しておる会社も別にやっておるものですから、大体のことはわかっておりますが、昭和三十五年ごろの経済界事情と、これを認可を受けてスタートした昭和三十九年四月、ちょうどいまから二年前の経済界事情とは、すでに皆さんも御承知のように、非常な相違がある。非常な成長景気をうたっておった経済界と、そして昭和三十九年、四十年、あるいは、いまに至るようなこういう非常な不況のどん底にあえぐ時期とでは、大きな相違があって、当初おそらく、これに賛成をしておられる理事以上の会社だけでも数十社、あるいは評議員会社を入れれば数百社の日本有力会社は、そのくらいの費用は十分出せるという自信のもとにお願いしたんだろうと思いますが、そういうような経済界不況で、なかなか思うようにいかないというような事情になったんではないか、こういうふうに私は考える次第でございます。そして、当初の開局の一年、なお不況とは言いながら、昭和三十九年度は、それでもいわゆるスポンサーとしての協力費も入れまして約七割、経費の大体七割ぐらいはまかなっておった。その後、四十年度に至りまして、私が引き継いでから後は、非常な倹約をいたして経費を切り詰めても、なおかつ五割五分程度協力会費しか得られないという状況でございまして、そこにこの赤字累積ができたんではないか、こういうふうに私は考えておる次第でございます。
  9. 鈴木強

    鈴木強君 当初の予定しました協力会費が入ってこなかったということは、これは事実ですね。したがって、財界不況その他のことも影響のあったことも事実と思う、事実と思いますが、初めての試みであり、科学技術という特殊な教育放送に対する支援ということは、一億ぐらいの協力をして、それによって、各財界協力会員になっておる会社が左前になるとかなんとかということでないと思うのですね。問題は、ほんとう日本科学技術教育というものを育ててやろうと、それにはひとつ浄財として出そうじゃないかと、こういう腹がまえを会員方々ほんとうに持っておったかどうかということなんですよ。その点について疑わしいのじゃないか、私はこう言っておるわけです。ですから、まあ一カ月——三十九年四月九百八十四万円ですか、それから五月が一千万円程度入ってきておりますが、当初の計画から見て、どうも七割が五割になってくるというかっこうは、だんだん月を追って最悪になるわけですから、そういう場合には、経営の衝に当たる方々が、もう一度会員の奮起を要望し、協力を要請するというような、そういう措置をとって、ほんとうに一人一人の会員方々が心から協力してやろうというような、そういう努力経営者としてやったかどうかということに一つ私は問題があるんじゃないかと思うのです。そういうことを具体的にやったかどうかという点はどうでしょうね。
  10. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) あるいは、その点について、いま御質問のように、創立当初から多少手抜かりがあったかもわかりません。私が就任してから、これを立て直すということについて、この収支状況をとりあえず合わせ、そうして、その後に発展せしめようということで、今度は財界が必死になってこれを応援願いたい、それだけぐらいの費用はどうしても出してもらいたいということで、この七、八カ月努力いたしまして、今日大体の見通しがついて今後は十分——私は、少し縮小した形ながら財界協力は十分得られる、また、継続的にもこの費用ぐらいは確保できるという段階に達したという確信は持っております。その状態で当分やっていきたい、こういうことでございまして、今度は財界も十分な協力を惜しまないという体制だろうと私は感じておる次第でございます。
  11. 鈴木強

    鈴木強君 藤本さんの場合には、さっきも最初に私が申し上げましたように、昨年八月再免後、再建のためにおいでいただいているわけですから、その前のことをよくおわかりにならないだろうという、それが出てきておるので、ちょっと質問も私やりにくいわけですよ、倉田さんおりませんからね。ただ、非常に、経営を見ていますと、財団方々が兼務、兼職をする。それから、もう役員も非常に入れかわりが多い、見ていますと。しかも、科学技術振興財団全体の問題もこれはあるのです。ですから、科学技術館とか、あるいは十二チャンネルとか、あるいは教育のほうですね、学校のほうですね、こういったいろいろの経営をなさっておるわけですね。それで総体から見て、いずれも赤字経営という状態になっているわけです。私は、このことはいずれあらためてまた一度伺いたいと思いますが、当事者おいでいただいて、われわれはいろいろ最近、たとえば科学技術館皇居北の丸に三十七年七月につくりましたときに、鹿島建設がこれを請け負っておりますね。その場合に何か東大の松下教授なんかの御意見等もあるようですが、何かスキャンダルみたいなものがあったんじゃないかというような、具体的に額まで、そういう話もこれは聞いているわけですね。そのほか、いろいろと十二チャンネルにまつわる免許取得当時の政界への献金とか、しかも、そういうことをあなたのほうのある責任者が、相当の地位にある方が就任の前に言っているということを私たちは聞き及んでいるわけですね。これはそういう話を私聞いているわけですから、まことに科学技術振興財団経営そのものに、これは相当に問題があるように私たちは見ております。ですから、これは私は相当な証人と証拠をそろえて、いずれまたあらためて倉田さんのおいでいただいたところでやりたいと思います。これはもうかなり詳細な資料も持っておりますから、ですから、ただ観念的なことで言うのはたいへん、国会の場所ですから、失礼ですから、きょうは、あなた当時の責任者じゃないわけだから、まあそういう問題もあるという上に立って、私はこの日本科学技術振興財団というもの自体の根本的な問題を、設立当時のあれから見まして、もう一回再検討する必要がある。その中で十二チャンネルというものをもう一回整理して考えませんと、どうも問題の解決にならぬような気がするわけです。これはきょうは上原長官にもおいでいただくようになっておったんですが、たまたま所用のためにおいでいただけない、政務次官に来ていただいておりますが、とにかく、これは特殊法人として民法上認可をした科学技術庁の、これは振興財団に対する監督上の問題もあると思います。ですから、ひとつこれは上原長官にもおいでいただき、場合によっては、当時の迫水郵政大臣等にもいろいろ私は伺いたい点があるわけです。そこで、いきさつはこの程度にいたします、藤木さんじゃしょうがないですからね。  そこで、一体、昨年の六月再免になりまして、さらに再免許が許可されて今日までの間、実際に赤字になっておる額は幾らになっておるのか。これは流動負債固定負債含めて十二チャンネルの分だけですね、幾らになっておりますでしょうか。現在幾ら残っていましょうか。
  12. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 全部でございますか。いままでの開局以来の全部でございますか。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 ええ。
  14. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 開局以来の全部につきましては、負債ですか、累積赤字ですか、どちらでしょう。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 負債です。
  16. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 負債全額につきましては、財団全体としまして四十五億円です。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 財団全体ではもっと多いでしょう。十二チャンネルだけで四十五億じゃないでしょうか。
  18. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いやいや違います。財団全体としまして四十五億円です。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 赤字幾らになっておりますか。
  20. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 赤字はいままでの累積合計いたしまして、正確な締めは三月末まだやっておりませんが、二十二億八千万円くらいの赤字でございます。累積赤字、この二年間の……。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。それで合計——その赤字負債と両方入れますと何ぼになりますか。
  22. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) その赤字を入れまして、つまり、借り入れ金として負債になっておるのが四十五億でございます。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 四十五億三千八百万円あると思います。そこで、ついでに、この日本科学技術振興財団の経理について、あなたに伺うのはどうかわかりませんが、もし御承知でしたら答えてもらいたいのですが、昭和四十一年の一月三十一日現在資産合計というのは、五十一億二千二百万円、この内訳は、財団本部が三千万円、東京十二チャンネルが二十八億二千三百万円、科学技術館が二十二億六千九百万円、これが資産合計で、負債は五十一億一千八百万円、要するに、正味資産わずかに四百万円くらいしかないのですね。負債流動負債が十五億一千万円、固定負債三十六億八百万円、これには間違いないですか。
  24. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 間違いございません。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 それで十二チャンネル負債は、どこからこれは融資されておるのでしょうか。赤字も含めて四十五億円の融資先はどうなっていますでしょうか。
  26. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 申し上げます。  四十五億円の内訳は、支払い手形が二億四千五百万円、未払い金等いろいろ合計が九億三百万円、財団債、これが八億一千九百万円、借り入れ金が二十五億四千七百万円ございます。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 これで、毎月これだけの借金がありますとたいへんな利息を払わなければならぬと思いますがね。そういう利息は全部毎月払っておるのでございましょうか。
  28. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いままでのところは利息は払っておりません。大体待ってもらっておるのが大部分でございます。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 一番長いのはどのくらいになります、借り入れてからですね、返済できないでおるのは。
  30. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 一番最初借り入れ金は、昭和三十九年の十二月ごろが一番最初借り入れ金の始まりでございますが、しかし、この負債全額のうちの未払い金という中には、設立当初の機械代金なんかも含まれておりますから、設立といいますか、開局当時からと存じます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 それで、この赤字が出てまいりますと、この赤字を埋めるために融資を仰がなければならなぬわけですね。そうしますと、今月はここから借りてまた払って、来月はまたここから借りるという、そういうたらい回し式運転資金の調達をしておったのでございましょうか。それはどんな……。
  32. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) それは一切いたしておりません。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 借りっぱなしですか。
  34. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) はい。そういうことはできないのです。一切いたしておりません。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 最高何年になりますか。創設資金なんかですと、約二年になるわけですね。ですから、そういうものを、たとえば開銀とか興銀とか長銀とか信託三行あるいは市中銀行市中九行ですか、お借りになった二十億九千四百万円なんかについても全然、催促はされるでしょうけれども、金がないから利息は待ってもらっている、こういうかっこう銀行側のほうも了承しているわけですか。
  36. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いままでのところは、借り入れ金について金利を待っていただき、あらためて計画を今度ちゃんと立ててお話をいたしますということで、いま折衝中でございます。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、まあこの負債については、後ほど再建の問題とからめてもう一度お尋ねしますが、二十五億の赤字を出しておるわけですけれども、そのほかに負債が二十数億ありますね、合計で四十数億の負債をかかえておるのですが、科学技術教育放送ですから、なかなか番組作成等についてもむずかしかろうと思いますけれども、そしてスポンサーもなかなかつきにくい、視聴率等も後ほどお伺いしますが、そうい中で、初めスタートしたときに、考え方は協力会と、それからある程度スポンサーもこれはさがしたわけですね。そういう二木立てになっていると思う。しかし、まあ基本的には協力していくというのが筋でございますから、まあスポンサーはこの次になっておった。そこで、一年たってみて、あるいは九カ月たってみて、なかなかこれは協力費についても入ってこない、協力してくれない、けしからぬ。そこで、できたテレビ局を何とか維持しなければならぬという経営者努力があると思います。したがって、全職員一体となって、この資金確保をどうするかということは、当然倫じられたと思うわけですね。その際に、協力会が出してくれないならば、さっき私が申し上げたように、あなたがなってから行っておるようですけれども、その前に協力会へ行って、何回でも経営者に訴えて、そして浄財を集めて、約束した金を取り立てる、そういう努力をしたかどうかということがまだわからぬわけですよ。したけれども取れなかったというのなら、これはもう協力会は頼むに足らず、したがって、ある程度免許申請当時の条件は狂うかもしれません。しかし、結局、維持するためにはスポンサーをとらざるを得ないでしょう、そういう方向に切りかえなければならぬでしょう。そうして十二チャンネルを本来の目的に沿うように動かしていくということは、これは子供でもわかる経路だと思うのですね。そういうことがはたして行なわれて、なおかつ、こういうことになったかどうかということについては、私は非常に疑問を感ずるわけです。そこら辺が決定的な、こういう方向に来るカーブを切る原因じゃなかったでしょうか。要するに、非常に安易な気持ちで番組をつくり、どんどんつくるほうは四百名の人が総出でもってやる。しかし、入ってくる金は幾らかわからぬけれども、とにかくやっちゃえというような無責任、無方針である。まことに何かわれわれから見ると危険きわまるような乱暴な経営をやってきたように考えられてならないわけですね。ですから、ここらにおいてこの赤字の克服ということが、依然として入るものは少ないのだけれども、出るものはむしろ多くなっていくというかっこうなんですから、赤字の出るのはあたりまえですよ。ですから、そこら経営者の頭のことが、どうも疑われてしょうがないのです。しかし、そういう赤字になっていることは事実ですから、そこで私は、今度藤本さんの場合になるのですが、去年の六月再免するときにも非常に問題になったのですよ。はたして再免許をしてやれるのかどうなのかということをわれわれもひとしくここでも論議したわけです。しかし、郵政省は再免しました。そのときにつけた条件も、あなたは八月来られてよく御存じだと思いますが、ほんとうならば、いまの電波法の不備がありましてね、これだけ経営について行き詰まりを来たした場合には、むしろ免許を取り消すぐらいのことがあってもいいと思う。ところが、それがないのです。ですから、認可するときに一つの条件を出してきて免許されましたけれども、それが二年間やってきて、いろいろな条件と違ってきておりましても、これに対して法的に規制を加える方法がないのですよ、電波法は。これは非常に私は問題があると思うのでありますけれども、そういう意味で、結局、免許をとってしまえばあとはまあまあいいのだ、こういう安易な気持ちが一面あるのじゃないかと思うのです。法律で必ずしも私は、規制して解散するということは最悪の場合であって、軽率に言うべきことじゃないと思います。しかし、かりに悪い者があってそういう意図的にやった場合には、やる余地がないとは言えない。安易な経営者になってしまいますと非常に困るのですが、そういう問題も一面にはあります、法的には。ですから、私もあまり法的な立場であなたに言えないですけれども、しかし、それはそれとして、やはり科学放送としての体面を汚しているわけですから、ですから、それを挽回するという努力をしてもらわなければならぬと思うのです。そこで、再免のときにかなりおたくのほうの経営状態も聞きましたら、これはあぶないのじゃないかと思いましたけれども、そう問題がなくてさらに再免されたいきさつがあります。そこで、再免されて一年足らずのうちに、二百名近い、少なくとも生活権を奪うような人員整理、首切りというものを根底にひそめて大改革をしなければならぬということには、まことに、再々私が申し上げたように遺憾しごくのきわみです。遺憾千万に思うのですよ。ですから、そういう意味において、再免されたときの条件、これを藤本さんおいでになってみてどういうふうに受けとめて、そうして、これではいかぬと、こういう方針でひとつ十二チャンネル再建しようというおそらくお気持ちを持たれたと思う。あなたを専任の本部長に任命するということも、これは当時の条件の中に一つある。郵政大臣から示され、それによってあなたはやられたわけです。ですから、再建について、あなたが御就任すぐから相当考えられたと私は思いますが、その点はどうでございましょうか。
  38. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いま鈴木委員から御質問のとおり、私は入って、このままではとうてい経営成り立たないと、おそらく破綻するだろうと、こういうふうに考えたもんですから、どういうふうにそれを生かすか、まず設立当初の精神にのっとって科学技術放送に徹するということ、いろいろな娯楽放送をみんなやめて経費を節約する、制作費を非常な消減するというか、ということが第一。そうして科学技術及び通信制工業高校を中心にした放送局にするということを目標にいたしまして、どの程度費用でいけますか、それを実業界の人々と相談をいたしまして、この程度なら私に出してもらえるという案をつくりまして、これなら絶対にだいじょうぶという、まあ設立の趣旨にも一番忠実ではないかという局をつくりたいということで、この半年ばかり非常な苦心をして折衝してきて今日に至ったわけでございます。そういう点から、いままでの過去のことはいろいろあるでしょうけれども、それはもう一切言わないことにして、本来の姿に立ち返って、とりあえず再発足するのだという精神でいまやっておるわけでございます。以上。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 藤本さん、ちょっと私の質問は、もちろんそういうことだと思いますけれども、私の聞きたかったのは、再免のときにつけられた条件ですね、おそらく、このときには十三時間くらいやっておられましたね。ですから、その十三時間の放送時間の中で、科学技術教育番組が六〇%ですね。その他の教養番組が一五%、こういう条件があります。その他いろいろ普通協力会費の収入を確保する。営業収入の総額の三〇%は普通協力会費をもって確保するとか、ここに要するに、十二チャンネルの財源の捻出についても触れておられるわけですね。ですから、私はあなたのいまのお答えによりますと、もう経費節約ということは、即番組をどんどんどんどん少なくして、そうして放送時間も自然的に短くなっていくような方向でお考えになっておられるように思いますけれども、それは違うのじゃないでしょうか。あなたのところでつけられた再免のときの条件というものは、決して放送時間を十三時間から五時間にせよということは一言も言っておりません。ただし、その中における教育番組、一般教養番組というものは、教育放送局ですから七五%というNHKと同じような条件がついているわけです。それを実施するためには、なるほど節約はけっこうです。しかし、番組の、要するに、放送全体を弱化するような意味においての私は節約ではおかしいと思うのです。ですから、むしろ、あなたがさっき言われた、協力会に対して、それこそ、あなた方は約束してくれたことに対して、一年間約束を果たしてくれなかった。いまじゃ専任になったのだ、したがって、一億くらいの金を出してくれ、これが国家民族のために、世のために必要なんだ、こういうあなたの強い信念によって、協力会に訴えて、そして金を取ると同時に、もう一つは、それがだめであれば、これはスポンサーのほうにもやはり必然的にたよらざるを得ない。そうでしょう。そういうことをあわせやりませんと、どうも出ずるを制するという、そういうことをまっ先に考えておるように思われるのだが、節約ということはけっこうだが、そういう節約は条件と違うのじゃないですか、そういう考え方は。
  40. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 仰せのとおりでございますが、現在の経済界状況からいたしまして、最初に一億円の協力会費という約束をしておるけれども、それをまず第一に実行してもらって、とりあえず一億円を確保するというのが私のいまの任務と心得まして、一億円を確保する。その一億円の中でやれる程度はまずこれだけというふうに考えて時間を減らしたわけでございます。もっとも、もっといろいろ娯楽放送も加えれば、あるいはスポンサーがとれるかもわかりませんけれども、私が入りましてからいろいろ調べてみまして、従来の実績から見て、放送する範囲が関東一円であるとか、新しい局であるとか、いろいろな条件がございますから、スポンサーがなかなかとりにくいという中で、娯楽番組をいろいろ金をかけてつくるということは、多少の収入の増加はあるが、支出の増加がそれ以上にあるというような悪循環のもとで経営をされておったという点を一応断ち切って、最初の約束された協力会費一本でひとつとりあえずやっていく。その後この時間帯を漸次私はふやしていきたい。いろいろまだ同じ科学技術放送にしましても、工業高校の通信教育番組にいたしましても、おそらく、現在私のほうで三時間行なっておる工業高校の番組が、これが六時間にもなり十時間にもなり得るであろうという私は希望も持っておりますし、想定もいたしております。とりあえずのところは、この協力会費を中心に再建をしたいという考えでございます。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 藤本さん、あなたの御回答は先へいっちゃったのですが、その前に、私の聞いているのは、あなたが御就任なさったときに、これはたいへんだ、えらいものを引き受けたとお思いになったと思います。よく経営の内容を見れば、何でこんなばかげたことをしておったのだろう、弱った、しかし、何とかしなければならぬというところで、これはひとつどういうふうにしたらいいだろうかという、そういう最初あなたがお考えになったこと、条件として再免のときにつけられた、郵政省のここに書いてあります問題と照らして、どういうふうに努力努力して、一年やって、実際三月になってああいう再建案を出されたということですから、おいでになったころのどうしようといった気持ちを私は聞いているのです。そこで、ただ、番組を減らして、番組作成費というものを削っていくというようなことも言われたから、そうなると、当初の条件に反したことになっていませんか。条件は、一億かりにかかるとすれば、約三千万円というものは協力会費でやりなさい、おさめなさい、やりなさいと言っているでしょう。それから剰余金があったら借金を返しなさい、こういうのがたくさんありますね。ですから、そういうものについてどう努力されましたかということを聞いているのです。
  42. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いまの御質問はたいへんよくわかりました。私の先ほどからのお答えは、少しはずれておったようであります。私が入りまして、再免の条件について、実は私もテレビについてはしろうとでしたが、もっと収入がないものか、もっとできないものかということで、私もずいぶん営業関係でかけ回った。知っている範囲については、私もずいぶん秋まで、非常に十二月ごろまではむちゃくちゃに苦労して、知っている範囲の金はみな、スポンサーを呼び込むとかいろいろかけ回ってみましたが、どんなにやりましても、やはり毎月七、八千万の不足を生じて、これはもうどうやっても少し経営が無理だ、七、八千万の赤がどんなにしてもある。これを営業関係、スポンサー関係、あるいはその他で埋めることはとうていむずかしいというような私の感じになって、最初の再免の条件については、私は少なくとも三、四カ月は非常に努力してみましたが、非常に困難だというところで、どうしてやっていいか、いろいろ悩んだ末に、現在のような案になったというふうでございます。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 当時安斎さんは編成局長をやられておったわけですか、再免された直後ですね。
  44. 安斎義美

    参考人安斎義美君) 当時私、再免の直後は番組編成のほうと営業のほうとを兼ねました編成業務局長というものを命ぜられて、最近までその職におりました。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、藤本さん、安斎さんはそういう関係だと思います。したがって、非常にやってみたけれども、どうも協力会のほうは出してくれそうもない、万策尽きたようなもので、したがって、それでは八千万からの赤字を出している経営状態をどう戻すかということについて、一体どうするかという相談をしたと思います。そこで、おそらく、三月に出てきたように、再建案は別としましても、基本的に収入源をどうするかということが先ですから、ですから、収入源を確保するためには、協力会と同時に、スポンサーの確保にかなり力を入れなければならない。そうしなければ、その日その日も暮らしていけない、こういうやはり姿になってきたと思います。そういう点は安斎さんとも相談されたでしょう。そうしてスポンサーをとろうという方向にかなりカーブを切ったのですね、八月、九月、十月ごろから。それは間違いないですね。
  46. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) その努力は非常にいたしました。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 そこで、そういう努力を全職員がやったようですね。その結果、少なくとも十二月段階おいては、スポンサー収入は九千万円からあった、一月は一億をこしておりますね。そうして、その予定の月収入の一億という線にいっているわけでしょう。スポンサー協力が非常に強くなってきた、一面、協力会のほうは七百万円とか八百万円とかこれは愚にもつかないようなものしか集まらなくなってしまった。だから、まさに協力会のほうは免許条件をもうだめだ、つけられてみてもどうにもならない、したがってこの際、公益法人——株式会社、営利会社ではないけれども、スポンサーに重点を置かざるを得ないというふうに、大きく経営方針が変わってきたと思うんですね。一億以上の収入が入ってきたというわけでしょう。ですから、そうであれば、今度はその次の再建案とも関係するんですが、どうして収入源をやっと確保した段階おいてそれを全部切って、もう一切スポンサーの世話になりません、一億の金はどなたが借りてきたか知りませんが、出してくれる人が見つかったから、それによって日本科学技術放送というものはやるんだ、こういうふうになってきた、そこら辺がどうもあなたの言っておる理論と合わないんですが、せっかく努力したものをどうして切って、また協力会方向に、それこそ数社の方々協力によって一億の金を調達する、こういう方向にいったんでしょうか、そこらがわからないんです。
  48. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 一時は、それは一カ月やそこらは一億のこともあったかもしれませんが、大体スポンサー漸減方向にある、平均して七千万、これを七千万の平均にしまして、広告代理業者の手数料を取られて、実収入は大体五千万くらいなんですが、それもあるいは十二月、一月のようなお正月には一つのはなをつけてもらうというようなことで多少の収入がふえることはありますが、ずっと見まして漸減傾向にある、それから、そのスポンサー料というのは、非常な努力にもかかわらず、私自身がやりましても、これはもうみんな大体におい協力会費と思って、視聴率は問題にしないが、寄付をいやいや出しているのだという寄付が、私自身が何十という会社を回りましてありましたのですが、そういうような感じで出しておる。そうすると、このいやいや出しておるというようなことは、どんな努力をしても長続きはしない、数カ月後には漸減しながらだんだんほとんどなくなるのじゃないかという感じで、私はこういう一つの結論に達したわけであります。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 その辺は、私は経営当事者ではないから断言できませんけれども、あなたも経営おいては御経験のある方で、私はしろうとですからその点についてはわかりませんが、ただ、われわれしろうとはしろうとなりに、おたくの経営の実態を拝見させてもらいますと、たとえば十月にはやっぱり九千五百万くらいの総売り上げがあります。十一月には九千六百万、十二月が一億二百五十二万、一月が一億一千三百九十三万、それから二月が一億五百十九万というふうに、こういうふうに決してあなたがおっしゃるように減る傾向はないんですよ。しかも、番組その他の提供者の内容を見ましても、かなり広範になっております。あなたが直接お回りになって、これは寄付だと、おまえのところ苦しいんだから、おつき合いするんだと、スポンサーになった方々もあるかもしれませんが、総体的に見ると、スポンサー科学技術放送というものにほんとうに誠意を持って協力するという体制ができてくれば、むしろ、これは商売ですから、一方は、ですから、そういう意味においては、番組ほんとうに大衆に愛され、教育科学放送としての内容を持ちながら、ためになる、お茶の間に入ってくるという点がはっきりすれば、私はスポンサーはつくと思うんですよ。ですから、必ずしもあなたのおっしゃるように、お情けみたいに、お涙ちょうだいみたいにもらってきたんだというふうには判断できない。そういうことであれば、むしろ、最初からあなたが言うように、スポンサーもやめて、協力会一本でやって、どんなことがあっても出してもらう、お涙ちょうだいでも出してもらうということであるならば別ですが、せっかく全職員が協力し、いろいろな番組を作成し、そうして努力し、実績があがってきているにもかかわらず、ぱっと切ってしまって、今度は努力会というんでは、支離滅裂じゃないですか、論理的に合わないでしょう。だから、その点ちょっとおかしいじゃないですかと、くどいようですが、聞いているわけです。
  50. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) あるいは表面から見れば、おっしゃるとおりかもわかりませんが、大体のスポンサー収入のうち、過半、五五%以上はいわゆる協力会で、いまいうおつき合いでやっておる。私自身も別の会社経営しておりまして、その私自身のグループで一つのなにを集めるんですが、もうみんないやがるのを無理やりに社長を説き伏せて、宣伝部長なんかも絶対やらぬというのを、社長命令でやらしておって、数百万円ずつ毎月出しておったというようなスポンサー料がかなりある、それが半数以上であるという点を見まして、私はこのテレビ局に関係して仕事を始めたのは昨年の七月でございますが、創立以前から協力会メンバーとして金を相当寄付したり、あるいは財団債をたくさん持ったりしてやっておりますが、それについていろいろ外側からも協力もしてみて、なかなかこれは協力会、つまり、スポンサー料というものは集まりにくいということを私は一年以上痛感しながら入ってきたんで、入ってみて、やはりやってみて、いよいよそういう実感を持って、どんな会合へ出ましても、私の顔を見ると、みんな、おい、藤木君、君の顔を見たら、じき金だろう、こういうふうに言われるくらい、私はいやがられたものなんです。そういういやがられる中でスポンサー料を集めるということは非常な無理がある。それなら初めから寄付だというふうに、協力会費に切りかえたほうがずっと気持ちがいいんじゃないかという私の感じでこれをやったんでございます。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 たいへん御苦心のほどはよくわかります。私たちも感謝することがたくさんございますが、ただ、そうなりますと、もう科学教育テレビ放送というものは日本ではもう限界に来ているんだと、スポンサーはつかないし、協力しようと言った人たちもそっぽを向いたと、そうすると、一体経営はだめだといいことになるんじゃないですか、極端に言いますとね。
  52. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) こういう実業界というのは景気不景気の波がありまして、いろいろもうちょっとでも不景気が来ると、むちゃくちゃに寄付あるいは宣伝費用というものを倹約するのがまず第一ですが、私はいつまでもこういうことはない、もうすでにそういう時期はここ二、三年で過ぎた、今後はだいじょうぶだ、かつ、日本の将来から見て、このくらいの金は十分、持っていき方といいますか、話のしかた、あるいは力の入れ方によって、これくらいの金、あるいは、もっと以上の金は、私は十分に実業界は出し得る、また出さなければいかぬもんだという確信を持ってやっておるわけでございます。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 その確信はもうけっこうなんですが、ただ私が言っているのは、一般的な経済の不況が確かに影響することは、これはどなたも異論ないところだと思います。ただし、一方には、NHKは別ですけれども、四、六、八、十とキーステーションがあるわけですね。そういう人たちも、それぞれ完全スポンサーですね。したがって、スポンサーがそういう不況の中にありながらも、不況であればあるほど、自己の宣伝をし、大衆に訴えるということは、これは営業の基本ですよ。やはりPR費というものは、全体の経営の中の何%ということは常道であるけれども、そういう場合には、かりに三%、五%になってもやるべきです。またやりますよ、もうけるためには。問題は、当事者であるあなた方の科学放送に対する番組の編成なり、大衆に訴える放送の内容というものはどういうことになっておりますか、それを聞きたいのです。ほんとうにあなたがそうおっしゃるならば、もっと就任以来実のあるものをおやりになって、視聴率も多少なりとも前進したというのならばいいけれども、視聴率はだんだんだんだん減ってしまう、七%から五%、三%というふうにだんだん視聴率は減っているじゃありませんか、だれが見てもあまり価値のないようなものを放送される。また、日本の全体の思想というものが、科学というものが大事だと言いながら、科学放送をやることに対しては無関心ですよ。十二チャンネル開局したときも、あれはどこの放送かというふうな無関心の層が多かったものですよ。だから、もっと魅力のある、やはり固い番組の中にも大衆に訴える、笑いの中にも科学が出てくるような、そういうりっぱな番組を編成してつくって、それでやってみたら、スポンサーはつきますよ。そういう努力をやらないで、ただ回ってみたけれどもだめだ、お涙ちょうだいで集めた、そんなことだったら、お涙ちょうだいというのは、不況になればなるほど、ますます出せませんよ、スポンサーは。見もしないものにむだじゃないか、こういうことにならないかと言うのです。だから、あなたがどういう努力をやってきたかということを私は伺っておるわけです。ちょっと御答弁が引っくり返っておりますね。
  54. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いまのお話、まことにごもっともでございまして、あるいは過去において非常にそういう点で皆さんの御不満があったかと存じますが、今後は青少年の通信制工業高校教育放送を中心にしまして、一般大衆に対する科学技術教育、科学知識の普及ということに専念をいたしまして、いま御指摘いただきましたとおりに努力いたします。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 時間もきょうは制約されておりますし、もう一度藤本さんにお伺いしたいと思いますが、そこで本論のほうに入っていきたいと思います。三月の十五日の日に再建案というものを藤本さんおつくりなりましたな、さっきから伺っておるように、あなたは御就任のときからすでに心配なさっておったのですね。これはいかぬ、何とかしょうというので、財源の調達その他にも努力をし、節約をはかり、いろいろくふうをしてみた、しかし、なかなか実らないでああいう結果になった、こういうお話ですね。  そこで、まず約二百名近い首切りですね、人員整理が含まれておりますから、これは要するに、この段階で生活権を奪うということはたいへんなことですよ。しかも、非常に熱意を持って十二チャンネルに結集した人たちだと思います、私は。その立場は多少違っても、十二チャンネルほんとう日本の科学放送の使命を達成しようという、そういう崇高な気持ちでみなが集まっておると思いますね。そういう人たちを、少なくとも首切りという、そういう事態の起きたことについては、私は全経営者が重大な自己批判と反省をされておると思います。責仕を感じておると思います。そこで、一面、皆さんの気持ちはわかりますけれども、なおかつ、私が納得できないのは、先ほど来のように、御就任以来たいへんな努力をしてきたわけですけれども、しかし、組合員に対しても、こういう経営状態ですから、おそらくこの職員も努力したと思いますよ。そして、さっき言ったような実績を一月、二月と積み重ねてきている段階に、青天のへきれき。首切りはしませんという、あなたが約束を組合員にしておきながら、三月十五日突知として二百名近い整理を含む案が出てきたということについては、これはやはり労使間のあり方としても問題があろうと私は思うのですよ。ここは逓信委員会ですから、いずれ、社会労働委員会のほうでこの問題についてはもっと詳細に伺いたいと思いますが、ここでは簡単に触れておきますが、そういうように昨年の就任以来八月ころから頭に描かれておったんですか。そういうふうなことを整理しなければだめなんだということを描きながら再建につとめてきた。で、組合員のほうにはそれを言うと問題があるから、じっとしておいて、首切りはしませんよというのを約束して、そうして、いよいよ三月になってぱっと協定を破棄してやるんだということでやられたんだと思いますがね。そういうことは少し近代的な労使関係からいきましてもね、とんでもない間違いをおかしたんじゃないかと、こう私は思うのですが、その点はどういうふうな心境をあなたはいま持っておられますか。
  56. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 人員整理につきましては、これはまことに私どもとしましても非常に遺憾なことでございますが、いま御指摘のように、私も経営者である以上、全員をかかえてやっていきたい、現状のままでなおかつ利益を生んで、借金を返すような経営のやり方をやりたいと思って、三、四カ月は非常な努力をしてみました。どんなにしてもこれは非常にむつかしいことであるということで、まあだんだん、いろいろ再建策を練って、最後にこういうことになったんでございますが、決してどんな経営者であっても、人員整理を望むという人はおそらくなかろうと思いますが、これは現在の状況おいてはやむを得ないという心境で、私も実は涙をふるってこういうことを発表したのでございます。はなはだその点は遺憾でございますが、御了承お願いいたしたいと存じます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 それはもうとても了承などはもちろんできませんがね、経営者としてのあなたのおやりになったことに対して、われわれは批判をする権利だけはありますからね、そのやり方だけはまずいじゃないですか。少なくとも首切りはしませんと紳士的に協定をしておきながら、その約束を一方的にほごにして破棄してやるといことは、あまりにも血も涙もない一方的なやり方じゃないですか。そうであれば、もう少し民主的にというか、労働組合もいま法律的にあるわけですから、そういう組合員ともよく腹を割って、企業の再建についての相談をするとか、何らかのしかるべき方法がとられてよかったんじゃないかと、私はこう思うのですね。こういう意味でお尋ねしたんですよ。  あと、その問題にからんでいろいろ質問がありますが、ちょっとこれは横におきまして、いよいよ十五日に再建案を発表なさるときに、おそらく関係の役員の方々をお集めになったと思います。そこで、まずひとつ聞きたいのは、大体月一億円の予算で番組編成その他の経常費をまかなっていくというようなことは、郵政省科学技術庁から資料をいただきました。そこで、一億というのは一体だれが出してくれることになるのですか。協力会メンバーのどなたが出すようになるのですか。
  58. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いま科学技術振興財団の主要なるメンバーであります会長、副会長あるいは常任理事会社、その他の理事会社で負担することになっております。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 これは具体的に申しますと、まあ、おたくは日産ですね、それから東電でしょう、それから会長は日立ですね、そのほか、東洋レーヨンとか、あるいは、あれは八幡製鉄ですか、富士製鉄とか、どういうのがあるんですか、具体的に。
  60. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いろいろたくさんあるんですが、いま御指摘のような会長、副会長及び常任理事会社のうちで、特に有力なメンバーをそろえて、そのうちから出していただくということになっておるわけでございます。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 それ藤本さんあれですか、ここでお聞かせいただくわけにはいかないんですか。というのは、やはりわれわれも非常に関心を持っているんですよ。ですから、何とか再建——いろいろ問題がありますよ、ありますけれども、やはり死滅するか、さらに発展するかという、立ち上がっていくかという境目だと思います、ぼくは。ですから、これはただ単に皆さん経営者だけにすべてをということでなくて、やはり日本のあらゆる層がやっぱり協力して科学技術放送というものの私は真髄をやっぱり理解してもらわなくちゃならぬと思うんですよ。そうしなきゃとても無理ですよ。だから、やはりこれは特に差しつかえがあって秘密事項であるというならば、これは私も秘密会にしてもらって聞きますが、そうでなければ、やはりわれわれにも聞かしてもらいたいと思うんですがね。そういうことで、とかく言わぬことが誤解を生むんですよ。
  62. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 先ほど申し上げたように、この日本科学技術振興財団会長、副会長会社であります日立製作所でありますとか日立造船でありますとか、あるいはその他東洋レーヨンさん、従来御関係のところ、常任理事会社が十四社ございますが、そのうち、十四社の特に有力なるところ、それから理事会社のうちでまた特に賛成のところというふうで、ただいま八社ないし十社のほうで出していただくということの確言は私は得ておるように存じますが、なお、これはしかしこれだけでは足りませんで、さらに残りの常任理事会社並びに理事会社にいま呼びかけてこの数をふやすことに努力しております。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 それから、まあそれは大体のワクがつかめましたからいいでしょう。  それから放送時間の五時間半というのは、これはもう相当長期間続いていくわけですか、これは見通しはどうなりますか。
  64. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) ただいま御質問の五時間半というのは、財政の基礎がいま一億円という拠出金ですから、一億円の範囲内で当分続けると、しかし、私どもの希望は、こういう短時間ではなく、これをもっと科学技術放送のためにたくさんな時間を使いたいという理想は持っております。それは、その費用の拠出金のなにと見合いながらそれをやっていくつもりでございますが、ここ当分、たぶん一年ぐらいはこれでやらざるを得ないではないかというふうに私はいまのところ感じております。拠出金のぐあいによりましてこれをもっと増加したいというふうに考えております。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 十三時間から五時間半に放送時間を短縮してですね、まあたいへんけしからぬ話なんだが、二百名近い人を整理する、こういうことが基礎になっておりますがね。そうしますと、減価償却とか、あるいは借金の返済ですが、これは私もおかしな話でずいぶんいろいろなことがあるものだと思いましたよね。一年も二年も利息を払わないで貸してくれるなんていうようなところがあるわけですからね。われわれ借金しても、ちょっと納めないとすぐ差し押えられたり取り立てられたりしますけれどもね。それはいろいろ科学技術振興財団の趣旨に賛同し、いろいろ経営についても同情しているところがやっていると思いますが、それはしかし、おそらく銀行側も返せなければ持ち出しになると思いますがね。いつ返せるかわからぬというんですが、私は特に借金は借金として返すべきだと思うんです、早く。そんな人さまに借金して返さないで、利息も払わぬなんていう、そんな無責任なことは長く続きませんよ。だから、そうなると、減価償却、返済金ですね、それから放送時間の短縮に伴う節約とか、人員整理の問題等を含めて、一体、一億円かりに協力してもらうとして、そういう返済や減価償却費に回る金が幾らあるのですか。そうして、そういうものを払いつつ、一億が一億何ぼになるかわかりませんし、また、八千万になるかわかりませんが、いずれにしても、再建案というものは持っておられるわけですから、藤本さんとしては、これからこういうことでやっていきたい、これは郵政省科学技術庁もそうですし、この前、大臣にも質問いたしましたが、両者とも、この再建整備については誠意を持ってひとつやるということを言ってくれましたが、いずれにしても、国民が一番知りたいのはそこです。過去もだらしがない、非常にけしからぬというのと同時に、一体どうなっていくか、五時間半がまた三時間になるのじゃないかという不安を持ちますよ、みんなが。ですから、いい機会ですから、もしあなたが案があるなら、われわれの納得できるものを示してもらいたい。借金もあり、減価償却もしながら、こうやっていくんだという案があるなら、示していただきたい。
  66. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) ただいま御質問の債務償却その他につきましては、ただいまから御説明いたしますが、時間帯については、ただいま御質問の五時間半が三時間になるというようなことは絶対ございません。これはふやしたいということで先ほど申し上げたとおりでございますが、先ほどの四十五億の借り入れ金未払いにつきましては、そのうち、二億四千五百万円については大体この八月末までにお支払いしたいということで考えております。未払い金約九億につきましては、そのうち、四億円というものは日立その他の、あそこに機械を納めた大会社でございまして、いずれも常任理事その他の会社でございますから、この設備関係は、これを未払い金のうち、九億のうち四億円はひとつ寄付に切りかえる、もう払わないで寄付してもらうというふうにいま考えて計画をして、これから話をするところでございます。残りの三億円につきましては、本年の九月末までにお支払いしたい。それから、なお残り二億円ばかりございますが、これは金利のたまったものでございまして、なるたけなら寄付に、ひとつ金利はまけてもらって寄付にお願いしたいというふうな交渉を計画しておるわけでございます。それから財団債の八億一千九百万円、これにつきましては、この財団理事会社の手持ち分は約四億円以上ありますから、これはほとんど全部財団債と寄付に切りかえてもらってかんべんしてもらうということでいま考えておりまして、借り入れ金の二十五億四千七百万円につきましては、まだ私もこれというしっかりした成案はございませんが、これから理事会にはかって、長期にその元本並びに金利を返済していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。以上。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 これは藤本さん、いま御説明いただきましたが、昨年の再免許の際に、おたくからテレビ局再建計画というものをお出しになっておりますね。これ見ますと、昭和四十六年までの収入支出についての借り入れ金返済の計画表というのが載っております。おそらくこれはくずれてきていると思いますね。くずれてきている。ですから、いまあなたのおっしゃったのを骨子にして、これからの収入と支出ですね、それから、あなたのほうで十五日に発表したのを見ますと、一億一億の収支、要するに、バランスをとった事業計画と資金収支プランというような表が、計画書というのがありますね、資金収支というやつが。それ見ると、営業外費用とか償却費というのは支出としてはあまり組んでいないように思うのですね。これは組んでいるのですか。そこらが少しまだよくわかりませんから、ですから、もう少し適切な、あなたが考えられた計画案の内容については、別途、時間の関係がありますから、ひとつ資料として御提出をいただくようにこれはお願いしておきます。時間がちょっと足りないようですから、そういうふうにしておきたいと思います。よろしゅうございますか。
  68. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) はい、けっこうです。
  69. 鈴木強

    鈴木強君 それから、問題は、このような計画を、再建計画というのをお立てになる場合に、たとえば、おたくにただいま理事者といいますか、経営者といいますか、課長とか部長とかおられるわけでしょう。そういう人たち意見とか、あるいは労働組合の意見なんというのは、これは聞いていない。そこで、そういう計画をまとめるに際して、あなたが基本的に一体だれと相談したのかということですね、一体。これは私たち質問してみますと、発表した翌日ですか、おたくから上原科学技術庁長官のほうに相談に行った。郵政省のほうにもしかり。これは民法上の監督権を持っている、公益法人の監督をする両省ですから、もう少し私は再建案について事前の御相談があってしかるべきだろう。もちろん、正式には言えないけれども、橋本さんや田中さんや、いろいろ政治的にこの問題について裏でやっておることもよく知っています。私はそういう人たちがどういうことをやっているか知っていますが、そういうふうなものとの関連で実際にはやっておったか知らぬが、形式的には、聞いてみると、再建案が発表されたあとに、新聞に発表されたあとできているというのですね。そういう報告を聞いているわけですよ。これは少し監督官庁に対して、形式的にも少しあなたのほうでは一考が必要なところではなかったのか。実際にはやっていると思いますけれども、そういう点はどうでしょう。
  70. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) その点は、あるいは御指摘のとおり、多少手続上遺憾な点があったかと存じますが、私どものほうの会長は、今回の再建計画の樹立に対しまして、監督官庁に事前にあまり連絡協議は行なわなかったかもわかりませんが、監督官庁の——事前の協議連絡は行なわないにしても、監督官庁の意思または再免許に対しての御趣旨に沿ってこういうふうに実施するようになったものでございます。
  71. 鈴木強

    鈴木強君 しかし、どうも私たちがいろいろと郵政省科学技術庁のほうに伺いましても、担当の課長なり局長なり、そういう方々に聞いても、ここでの答弁は、相談なかった、新聞で見て初めて知ってびっくりした、こういうようないきさつになっているわけですね。ですから、これはどうも一考を要して、もっと大胆に相談をするということが当然じゃないでしょうか。しかも、再免許されたときの条件というのは、先ほども申し上げたように、シビアーになっているわけですね。そういうことがくずれてしまうということになりますと、これはもうたいへんな社会問題なんですから、ですから、もうちょっと慎重を要してよかったのじゃないかと、私はつくづくそう思うのですがね。相談をしなくてもいいと思っておったのか、それとも、すべきだと思っていたのだがついやらなかったのか、そこらはどうなんですか。
  72. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) それは、ただいま御指摘のとおり、当然事前に連絡すべきが本旨なんですが、あるいは、いろんな時間の関係その他で詳細にお打ち合わせはできなかったことと存じます。その点はこちらの手落ちで、まことに遺憾でございます。
  73. 鈴木強

    鈴木強君 それから今度通信制高校の講座を中心にして、これが大体三時間くらいですか、あとその他の教養、教育番組というものが、時間があるのですね。そこで、通信制高校の講座については、これはおたくの事業の一環である学園のほうで生徒を募集し、八千名というのが、現在どのくらいありますかわかりませんが、八百円くらいの受講料を取ってやっていると思いますがね。そこで、この学校と十二チャンネル番組との関係でひとつ伺いたいのですが、この講座については何時何分から何時何分までと、こういうふうにきまるわけですね。そこにどういう番組を入れるかということは一体だれがきめるのですか。そうして講師は一体だれを充てるというふうな、そういう番組の編成に対する権限というのはどっちが持っているのですか。学校のほうでもうきめたら、その中へ押し込めてやるというのか、あるいは十二チャンネルのほうで、こういう内容でこういう先生を充ててもらいたい、こういうふうな注文をつけて番組ができるのか、その点はどうなんでしょうか。これは安斎さんに……。
  74. 安斎義美

    参考人安斎義美君) テレビ局のことでございますので、編成権はもちろんテレビ局側にございます。ただ、具体的な番組の作成にあたりまして、ないしは時間帯の編成その他につきましては、非常に関連の深い学校との特殊な関係にございますので、十分に事前に協議、相談をいたしまして、そうして時間帯の編成並びに番組の制作ということに当たっております。あくまで編成権並びに制作の自主性はテレビ局側にございます。
  75. 鈴木強

    鈴木強君 私は十二チャンネルを非常に関心を持って見せてもらっているのですよ。八時からやったニュースのワイド番組の一時間ものが非常に私はよかったと思いますね。それを十時三十分にしたり、いま「異議あり!」なんというのは非常にみんな見られているのじゃないですか。ああいう番組は見ているのですが、どうも安斎さんね、たとえば二十分なら二十分の講座の番組があるでしょう、時間帯がね。そうすると、途中で時間があるのに早目に切り上げてしまったりなんかする先生がいるわけですよ。これは何日の何時だったかちょっと私も覚えていませんが、そういうのがたまたま目につくわけだね。そうすると、これは放送中は広告を出しちゃいかぬ、十分にやれるのにかかわらず時間をかなり残してやめてしまう、この先生は、もう少し貴重な時間なんだからねというふうな感じを持つことがあるのですがね。そこいらはいままで、あなた、もし編成権があるんなら、ちょっと監督してやらしたらどうですか。
  76. 安斎義美

    参考人安斎義美君) 御指摘の点はたまにあると思いますが、これは御案内とも存じますけれども、この通信制工業高校番組は、東京、関東エリアだけでなくて、実はMBSという大阪にあります毎日放送におきましても、関西地区にも一部課目につきまして出しております。その関係で、あちら側との時間の調整がございまして、私のほうでは二十二分間を一番組としてとっておりますけれども、あちらは二十分間を予定しておりますために、それに合わせるために、こちら側としては、残念ながら若干の時間をカットして、そしてフィラーその他のことでもって埋めなければならぬという番組が、現在この四月以降は四課目ございます。その点がお目にとまったのではなかろうかと思いますが、大体におきまして番組はすべてビデオどりと申しまして、事前に何度もできる限りリハーサルその他をいたしまして、内容の充実したものを出すということになっておりますので、もし時間があれでしたらとり直すとか、十分時間に合うように操作することも可能でございまして、そういう点も全部こちらが自主的にやっております。
  77. 鈴木強

    鈴木強君 そうおっしゃるけれども、現実にいろいろ運営の面なんかを見ておりますと、必ずしもそうでない、要するに、学校側がある程度のイニシアをとっているような場合もある、ぼくはそう感ずるんです。いい先生をとることが大事だと思うんです。きょうは私は時間がないようですから、学園のほうの少し状況も、教育放送との関係でこれは重大関係があるわけですから、伺いたいと思いましたが、そういう時間がありませんが、やはり問題は、いい先生を集めていい放送をしなければならぬでしょう。しかし、あなたのほうで最初五千円くらい出しておった謝礼というんですか、それを半分に削ったりなんかするものですから、あまりいい先生は行かぬですな。だから、そういうところにも原因がある。そうして、やはり質の悪い先生が行くと、いま言ったようなことが出てくる。これでは前進がない。安くても一生懸命やるというんならいいが、やはりギャラが安ければどうしたって力の入れ方が足りなくなる。これは人情の常だから、だから、ぼくは、集めるときだけは五千円出したけれども、途中から半分にするということは、経営の実態からやったと思いますが、まあ問題があると思うわけであります。ですから、そこら辺を含んで、もう少しわれわれが見てなるほどいいというような、これは使命ですからね、この定時制高校の通信講座というのは、あなたの言うように。ですから、もう少し内容を充実してもらいたいと思う。これは私の希望です。  それから科学PRセンターというのがございますね、これは教科書なんかも全部印刷しているんでしょうけれども、これなんか、いろいろ聞きたいことがあるけれども、時間の関係があるから、きょうはこれだけにして、最後に、二百名くらい整理をしたいという方針でおられましたね、これはどうなんでしょうか、労働組合との間にさっき言った首切りはしないという協約が、覚え書きがあったわけなんですね、それを破棄してやられたのだが、現在おたくのほうで何名希望退職というんですか、応じてきた人がいるんですか。
  78. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 四月十五日現在の人員整理の状況を御報告申し上げます。  いま希望退職数は百三十六人、配置転換をいたしました者が十一名、それから残務整理のために退職時期がおくれる者が九名、それ以外に指名解雇者数が二十五名、合計百八十一名の整理でございますが、残る人員は三百二十名でございます。
  79. 鈴木強

    鈴木強君 これは残務整理のために退職の時期がおくれるというのは、これはどういうことか。それからもう一つは、指名解雇ですね、これはどういうのでその指名解雇をしたのか、その基準ですね、理由はどういうんですか。
  80. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 残務整理のほうは、いろいろ閉鎖する機関がたくさんございまして、その閉鎖する機関の残務整理その他がございます。それから、まだ少しどうもいろいろ用事が残っておる点がございまして、それをやらしているので、ここ早いものは今月一ぱい、おそいもので来月中ごろぐらいまでの残務整理でございまして、そのものが九名、それから指名解雇というのは、退職者を募りました期間中に希望退職を申し出なかった人でございます。
  81. 鈴木強

    鈴木強君 前の残務整理はわかりましたが、指名解雇は希望退職を申し出なかった人を指名したというのですが、それじゃ、だれと、だれさんはやめなさい、こういうことをみなに言ったわけですか。そうでなくて、こういう条件で整理しなければならぬ、したがって、この条件でやめていただける人は届け出てくださいとかなんとかいうことでやったのですか、その点はどうなっておりますか。そして回答がないから指名解雇ということはわかりませんね。三百何十人全部に出したのですか、そのやめてくれというのは。
  82. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 希望退職名——全員出しました。
  83. 鈴木強

    鈴木強君 希望退職者全員というのは……。
  84. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 希望退職を募るということは全員に出しました。
  85. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、全部で百八十一名に。三百二十名残っているわけですね。そうすると、約五百名ですね。これは経営者の方も管理職も入れていますが、そうしますと、全員にやめてくれ、かりにそう言ったとしても、そうすると、二十五、六名だけを指名解雇して、あとの三百二十名だって応じないわけですから、あなたの論でいけば、指名解雇になるわけでしょう。ちょっと言っていることがわからないです。
  86. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 初めに希望退職の条件を募りますときに、全体に対して手紙を出しておりますが、その条件を読みますと、希望退職者が百八十一人の整理をしたい、そのくらいの規模でやりたいということを目標にしまして、その希望退職者がこの人員に達しない場合の措置としては、指名解雇をいたしますということを出してあるわけでございます。
  87. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、幾らかわかってきたのですが、百八十一名やめてもらうということで全職員に提示か何かしたわけですね。そうしますと、そのうち百三十六名は希望でよろしゅうございますときた。あと十一名はどこかかわってもよろしい。あと九名は残務整理というのが、これはいうならばやめてくれ、指名解雇のほうもそうだと思います。そうすると、三百二十名残った、指名解雇と残務整理入れますと三十四名ですから、本来三百五十四名残ったわけだ。希望のない人が、申し出ない人がおったわけです。その中からなぜ残務整理として九名、時期はずれるのだがやめさせるのか。それから、なぜ三百五十四名の中から二十五名を指名解雇したかという、そこのところを聞きたかったわけです。
  88. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) この九名につきましては、大体希望退職者が主でございます。それを特に残務整理のために半月ないし一カ月ぐらいの間残ってもらっておる人でございますから、大体希望退職者のうちに加えていいと思います。二十五名は、百八十一名に達しない、希望退職でもない、配置転換でもないという人に対して、こちらが指名通知を出したわけでございます。これにつきましては、むろん、いろいろな条件に照らして、その条件に合っておる人に指名をしたわけでございます。
  89. 鈴木強

    鈴木強君 そういう抽象的なことでは、藤本さん、過ごされないと思いますね。ですから、指名解雇というのが何か条件に合っていると言うんだが、その条件は一体何かわかりませんがね、これはやはり国会の答弁としてはわれわれ納得することはできないですよ。ですから、どういうことか知らぬが、いずれにしても、特定の人をあなたがやめてくれいと、こう言うからには、相当の事実がなければできぬと私は思います。そういう事実を一体何に求めているかということは、これは争いの大きな問題点になると思います。われわれは、そういうふうな一部の人たちを特に指名して解雇するということについては、重大な関心を持っておりますし、これはけしからぬことだと思いますよ、ほんとうを言って。内容はまだよくわからぬからわかりませんが、そう思います。これは、労働組合のほうもこういうものは絶対に受け入れないと思いますし、争いはそういう意味からも続くと思います、これは。そんな理屈にならぬようなことで指名解雇したということは、われわれには絶対納得できないですよ。何か特別に基準があったのですか、これについては。
  90. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) それは、その前に整理基準を私どものほうできめてありまして、人事考課による下の順序の者から指名したということでございます。
  91. 鈴木強

    鈴木強君 人事考課の悪い人からやったということですか。
  92. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) そうでございます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 その人事考課がどういうものか、私もよくはわかりません。ここでは、団体交渉ではないですから、これ以上立ち入って申し上げるのは私もどうかと思いますし、社労委員会のほうもありますから、これは労働問題専門としてやったほうが適当かと思いますので、きょうは私はこれ以上言いませんけれども、いずれにしても、こういう特定な人を指名して解雇するというようなことは、これはあってはならぬことだと私は思います。往々にして皆さんのほうで、経営者のほうでこういうやり方をするんだけれども、こんな前時代的なようなことはおやりになってはいけないと私は思います。そういう意味で申し上げておきます。  そこで、残務整理の九名の方をあなたのほうでは本部の中に入っちゃいかぬという通知を出しましたか、どういう通知を出しましたか。
  94. 安斎義美

    参考人安斎義美君) いまお尋ねの点は、残務整理の九名の者について局内に立ち入らないようにという通知を出したかという御趣旨でございますか。——それはございません。
  95. 鈴木強

    鈴木強君 ない。そうすると、帰休というのはどういうのですか。これは残務整理の人と違うのですか、一時帰休というのは。
  96. 安斎義美

    参考人安斎義美君) 帰休と申しますのは、これは実は指名解雇というふうに申し上げておりますのが、三カ月の自宅待機といいますか、帰休ということを業務上は命令したものでございまして、三カ月後には自動的に解雇されるということになるものを本部長が指名解雇と呼んだわけです。
  97. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、帰休というのは指名解雇のことですか、指名解雇の人に帰休というのをやっているんですか。
  98. 安斎義美

    参考人安斎義美君) 結果におきましてそういうことになるわけです。とりあえず三カ月自宅で休んで待機していなさいという業務命令を出しまして、その帰休期間が済んだ時点において解雇するということを命じているわけでございます。
  99. 鈴木強

    鈴木強君 これはちょっと驚きましたね。帰休というのは、普通言う場合は、いま仕事が非常に操短する、したがって一時その間だけうちで待っていてもらう、こういうのが帰休というのでしょう、レイオフ。とにかく身分はあるのでしょう、帰休ということになりますとね。身分はあるでしょう、あなたのところの職員だから。その職員に対して、公文書で、これは藤本さんの名前で言っているんだが、いわゆる「四月九日以降帰休期間中は次の事項を特に遵守されたい。財団が特に命じた場合を除き、帰休者は財団に立ち入らない。一切の財団の業務に従事せぬこと。」、これは仕事がないのだから、あなたのほうから従事しろと言ったって、できないと思うのだが、給料も幾らか払っておると思うのですよ、首切ってないのだから。払っておるわけでしょう。給料を払って、職員である者を、あなたのほうで入っちゃいかぬということは、そういうばかげたことはないと思いますがね。これはどうしてこんなばかげた文書を出したのですか。
  100. 安斎義美

    参考人安斎義美君) 帰休者と申しますのは、先ほど申し上げましたとおりに、自宅待機者でございまして、これをまあ解雇予告者といいますか、そういうふうな者でございますが、これに関する文書を本人あてに四月三日付で出してございます。それには、「財団が特に命じた場合を除き、局舎内外の財団の職場に立ち入らないこと。」ということがうたってございますが、二十五名のうち二名が総務局付に発令になっております。それから二十三名が人事部付で発令されておりまして、身分は鈴木委員の御指摘のように六月十四日まで一応存在している形でございます。ただし、自宅待機を命じたのであるから、命じた以外は職場に立ち入っては困るというふうな意味合いを含めてございます。で、もちろん、現在の所属の局部、すなわち総務局とか人事部付でございますから、そういった局部に入って話すことは別段制限しているわけではございません。
  101. 鈴木強

    鈴木強君 いや、それにしても、おたくの職員なんだからね、まだ。そうでしょう、首切ってないのでしょう、これは。首切ってなければ、なぜその人だけ、二十五名の人を差別待遇しなくちゃならぬかということです。これはもう人権問題でしょう。首切った人であれば、それは理屈はどうあろうと、一応筋としては、局舎の中に、管理しているのはおたくのほうだから、入るときには連絡してくれいとかなんとか言うのは、これは一般常識ですよね。しかし、あなた、一時帰休というものは、内容はわかりましたよ。帰休というのは首切りなんだ。要するにカムフラージュして何かていのいいことばで言っているので、内容はわかりましたが、首切ったと同じだということであなた方はその人たちに接しているのじゃないかと思うのです。これは撤回しなさいよ。こんなばかなことはないですよ。これは中に入るまで、その当該部はいいそうだね。当該部に行くには、その中を通らなければならぬですよ。どれだけ大きいか知りませんがね。これは人権問題として、ちょっと問題じゃないでしょうか。これは藤本さん、少しお考えになったらどうですか。おかしいじゃないですか。そうは思いませんか。まだ職員で給料を払っている者に対して、その中に来ていかぬなんという文書を出すのは、非常識ですよ。
  102. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 自宅におって待機してもらいたい、職場には来ないようにという手紙を出しておるわけでございますが、ただいま御指摘のように、私のほうはその所属の部課に来ることについては別に制限しておるわけでございませんから、他の職場に入るということについて制限をしておるわけでございまして、それで私は一向差しつかえないかと存じますが……。
  103. 鈴木強

    鈴木強君 これは差しつかえないと、こう言うんだけれども、ぼくは、少し非常識でないでしょうか。少なくともジャーナリストとして放送に参画する経営者皆さんですから、もう少し世間一般が納得できるような常識をもってこれは処理すべきだと思いますよ。これはちょっと見まして、こういうのをやるのに全く罪人扱いじゃないですか。帰休制ということがあるから、私は言うんです。職員であり、給料を払い、それは仕事はなるほどないから休んでくれと言いますけれども、これは何かの用事でおたくに行く場合があるでしょう。そういう場合に、一々職員である者が入っちゃいかぬという通達を受けるというようなことは、死刑を受けた者に対してなお痛めつけるようなものじゃないですか。そんなあなた非常識なことが今日放送界においてあるということはまことに嘆かわしいことだと思いますから、私はさっきの意見を申したんですが、一考してください。
  104. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) それは、いまのは御忠告として承っておきます。
  105. 横川正市

    ○横川正市君 関連。これは直接の監督官庁というわけじゃないですけれども、許認可を担当している郵政の考え方で、放送というのは、言ってみればきわめて公正妥当な取り扱いをする、そういう意味合いで許認可一つの条件というのは付しているわけでしょう。ところが、いま言ったように、おそらくこれは労働組合側からは経営者に対して、相当取り扱いに対して不当だという訴えが出されるんじゃないかと思うんだ。経営上の責任はこれは経営者にあるんであって、しかもこれは許認可の条件に違反をして今日のような経営上のそごを来たしているわけなんですが、一体十二チャンネルは許認可に値する経営状態だと判断をされているのか。いま労働組合との紛争を起こしているというようなばかげた経営者に、依然として経営の許認可条件に当てはまった経営状態だと判断をされているのか、その点どうですか、政務次官
  106. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 郵政省当局といたしましては、十二チャンネルに再免許を与えました当初、郵政省として、放送事業の公共性というような点、さらに企業性というような点について、郵政当局としては十分なる条件を付して再免許をいたしたのでございます。したがいまして、郵政当局といたしましては、十二チャンネル当局がその条件を十二分に果たす期待を持って今月まで来ておるわけでございます。いままでの経営によりまして非常に困難な情勢にあるという事実は確かでございますが、この困難な情勢から最大の努力を傾けて再免許いたしました当時の条件に復帰したいという御意向でそれぞれ御努力をされていることもわかるわけでございますので、郵政当局としては、もうしばらく十二チャンネル当事者方々努力を期待している。さらに、今後の行政的な問題につきましては、十二分に慎重に検討していきたい、こう思っている次第であります。
  107. 横川正市

    ○横川正市君 私は、いまの鈴木委員藤本さんのやりとりを聞いておって、普通帰体その他の制度からするならば、企業再建努力を一応の目安に置いて、そうしてその間自宅待機というような話はあるわけですがね。自宅待機は、言ってみると、ていのよい首切りの前段として使った作為ですよね。これを裏返しにひっくり返してみると、いま言っているいわゆる努力などというようなものは、これはここで言いのがれとまではいかないまでも、非常に架空なものを土台にして努力をしようとしているように見受けられる。もし努力が実るならば、三カ月後に自宅待機者は採用するあるいは復帰させるというような条件で自宅待機ということならあり得るわけだね。そうじゃないのだ、実際には。  それからもう一つは、労使関係さえうまくいかないような、そんな会社が公共放送だなんといっても、担当する能力ないですよ、実際には。一般の企業とは違うんだ。これは許認可をもらうときの条件その他からいって、ある仕事をどうかこうかしたというような特別な間違いを起こしたというなら別だけれども、公共放送たるものはあらゆる面でそういった点を具備しておかなければならぬのだ。単なる企業経営者と違うんだ、そういうたてまえを持っておらなければいかぬと思うのだ。努力をするという、その努力方向も明らかじゃない。自宅待機ということは首切りだ。三カ月たったら職場に戻りなさいというような目安もない。しかも、再建計画については、聞いてみますと、具体的なプランというものは持っておらない。こういうような状態に対して、しばらく見るといっても、そのしばらく見るという態度は、どういう態度で見るんですか。もう少し内容について、具体的な内容を検討して、それに適切な助言等をやるわけですか、ただ黙って見ているわけですか、どういう態度で見るんですか。
  108. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 横川委員承知のとおり、電波法放送法によりまして、郵政当局としては、民間放送関係でございますと、十二チャンネルから報告を求めるという態度をずっと続けてきているわけでございます。したがいまして、私も実は内容の詳しい点はきょう初めて伺ったわけでございます。先般大臣からも御答弁申し上げましたとおり、郵政当局としてもよく検討いたしてまいりたい、こう思っている次第でございます。
  109. 鈴木強

    鈴木強君 藤本さんね。この一応第一次というあなた方の考えた再建計画というものによると、五時間半で一年ぐらいやっていきたい、そうしてだんだん延ばすようにしたい、こういうような考え方のようですが、さらに三百二十名の職員を解雇して、これから多難な道を歩むことになると思いますが、問題は、収入が確保できるかどうか、番組ほんとうに国民の納得のできるものができるかどうか、その先頭に立って経営者が命がけでやるかどうか、こういう点に問題がかかってくると思いますね。そこで、私は、放送法の改正によって教育放送というものがNHKに義務づけられ、もちろん民間放送がこれをやることを拒むものではありませんがね。そういうような方向がいま出ているわけですね。したがって、根本になる教育放送そのものがはたして民間放送で収支ペイできるのかどうなのか、そしてほんとうにそれがやり得るのかどうなのか、そこまで問題がいきますよ——と思います、私は。そこで、私たちが心配するのは、さらに編成技術ですね、これらの方々がほとんど整理されてないでしょう。営業部門をなくして、要するにスポンサーをとる営業の仕事をなくそう、で協力会の金でやろうという思想で、指名解雇を含めて処理されている。だから、はたしてそれで一億五千万なり二億になるかということについては、いま言われれば、非常に悲観論ですよ、率直に言って悲観論です。ですから、はたしてこれが長続きするかどうかということについては、私は非常に疑問を持っています。まあ一年間たったらもっといくというあなたの御見解ですから、私はそれを信頼したいと思いますけれども、どうもいままでの二年間の実績を見ると、信頼できないんです、率直に言って、たいへん失礼ですけれども。なまやさしいことでないです、これは。できれば、非常にりっぱです。しかし、なかなか困難であると私は判断します。そこで、さらに第二、第三の整理というものがこのままの状態だったら私は来ると思う。それが絶対来ないという保証ができますか、これはどうです。
  110. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) この整理の次に、また二回、三回の整理が来るかということでございますが、私は絶対に整理は行なわないということをここで申し上げたいと存じます。もう整理はこれ一回だと。  それから、先ほど御質問の点で、どうして二十五人の帰休者を出したかということについてちょっと申し漏らしましたが、今度組合員に対しての整理基準というものを通知してございますが、それを一応ここで読み上げさしていただきます。その整理基準といたしまして、第一は、当テレビ事業本部への出向者は原則として出向を解く。(ただし業務上必要な者は除く。)これは朝日新聞その他から来ておる人の出向を解くということでございます。それから第二番目には、嘱託、それから既卒、つまりすでに卒業したアルバイト及び撮影関係契約者をこの際整理する。第三番目には、過去において不始末行為のあった者で程度の重い者ということ。それから第四番目には、昭和四十年四月一日から四十一年三月十五日までの期間に欠勤日数十五日以上の者。(ただし業務上の傷病者及び勤務成績優秀な者は除く。)それから第五番目に、勤務成績のあがらざる者。その方法としまして、(イ)が、全部門につき人事考課を中心とした評価で低位者(ただし業務上必要で余人をもってかえがたい者は除く。)を解雇する。(ロ)としまして、閉鎖部門は原則として全員を解雇する。(ただし人事考課を中心としてきわめて成績優秀な者でかつ配転可能な者を除く。)これらを総合するというふうなことを通知してございまして、それによって、いまの百八十一人のうち、希望退職者その他を除きまして、二十五人を家庭で待機させるというふうに通知したわけでございます。
  111. 鈴木強

    鈴木強君 その基準は読み上げていただきましても、なかなかわれわれには納得できませんし、抽象論ですし、これはとてもいまここで論議するだけの時間もありませんし、これはいずれ社会労働委員会のほうでもっと伺いたいと思います。  そこで、さっき申し上げたような教育放送の今後の方向というのは非常にむずかしい段階に来ていると思うのですが、NHKは教育放送を義務づけられていく、法律が改正しますと。そういうようなことで、いままで藤本さん、NHKと連携をとりつつ何かやっていこうというような考え方を持ったことはないですか。
  112. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) いままでのところ私はそれはございません。私は、自分自身で日本科学技術振興のためにぜひこれをやりたい、またもっと大きくやり遂げたいという希望に燃えて実は経営に当たっておるわけでございます。
  113. 鈴木強

    鈴木強君 おたくのほうの、これは倉田さんだったと思うのですが、ことしの初めごろ、NHKから少し資金的な援助その他を受けるようにしたい、こういう話が上原長官のほうにあったやに私たちは伺っているのです。ですから、全然なかったということではないと思うのですが、やはり何かしら財政的な援助を受けようとする動きをしたことは、これは事実じゃないですかね、どうですか。
  114. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) いまのNHKの問題は、私のいるところでは、NHKに対してどうこうというようなこともございませんでした。したがって、上原長官倉田さんとお会いになったのは、最近は例の整理案が出た直後でございまして、そのときは私はおりませんでしたけれども、それ以外には私はすべて同席をしており、そういう席でもいままで出たことはございません。
  115. 鈴木強

    鈴木強君 それはことしの初めのことですよ、年度当初。
  116. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) ことしの初めにおきましても、少なくとも十二チャンネルのほうからそういうような話が出たことは、私は全然聞いてはおりませんし、上原長官もおそらく聞いていないだろうと思います。
  117. 鈴木強

    鈴木強君 十六日の日に整理案がきまって、報告が長官にあったときは、政務次官は御列席でしたですか。
  118. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) その日は私はほかに用事がありまして出ておりませんでした。私の留守においでになりまして——局長に聞きましても、出ておらなかったようでございます。
  119. 鈴木強

    鈴木強君 これは私の情報ですから、そういう意味において聞いていただきたかったのですが、そういう動きがあったようです、私たちが仄聞するところによると。ですから、まあいずれこの投資条項の改正の一連の動き等からして、これは直接やらぬと言っていますが、前田会長も。しかし、いろんな、角度を変えてそういうふうな動きも出てくるんじゃないかと私たち思いますので、その点も今後の問題として残ると思います。  そこで、結論的に、両政務次官もいらしておりますから、最後に私は所見をただしておきたいんですが、問題は、十二チャンネルが今日の事態を招いたのでは、なまやさしい理由ではありません。私たちは、この衝に当たった経営責任者は、ほんとうに大きな責任を感じなきゃならぬと思うのですね。その責任がはたして——われわれがはたから見ておって、なるほど謙虚に反省をし、謙虚に再建しようという気持ちが十分にうかがえないことを、私は遺憾に思います。ですから、もう一段のおのれがやった始末に対する反省というものを持ってもらいたいと思う。反省があって、前進があると思います。ですから、死んだ子のことをいくら言ってもしょうがないですから、これは反省の上に立って今後やってもらいたい。要するに、経営方針なり人事、機構が行き当たりばったりですから、人が何人かわったか。一人が役員を兼ねて、一人で三つも四つもやっていますね。これじゃ仕事ができっこないです。そういう人事、機構上における欠陥があったと思います。そして、気に入らなければ、私は例をあげますけれども、朝日から行った石原君にしてもやめろとやめさしちゃう。郵政省から行った、名前はちょっと忘れましたが、総務局長をやってた、それもやめさせちゃう。日立から行った人も気に入らなければやめさしちゃう。こういう経営陣に対して、おのれの意見に反対すれば一網打尽に飛ばしちゃう。そういうことも事実としてあったと思うのです。一体になってやるということは必要ですけれども、一体のチームワークをとれなかった人も責任があると思う。いまはその人はおりませんが、いつか参考人で来てもらいたいと思いますよ。その責任をどう果たされるか、やめたから知らぬということではないと思うのです。そして、事もあろうに、退職するときに退職金を五百万円も、十二チャンネルの財政貧困の中で退職手当をもらった。これは藤本さんも認めたことだから、あなたにも責任がある。退職手当制度があるでしょう。退職手当制度はあとから出していただきたい。それから、今度の希望退職を含めて、一体どういう措置をしたのか、それを聞きますと、そういう経営陣における姿勢を正すということはたくさんあったと思うのです。そういう点を正して、ほんとうに、さっき言った、科学技術に対する国民の世論、関心を高めるために、政治的、財政的に、あらゆる面からのバックアップをしなければならぬ。そういう努力をされなければ一これは経営に当たる人はおのずからこの影響を考えてもらえばわかる。そういうふうにして、親しめる番組、みんなが愛する番組、そして科学技術に対する教養を高めていくという、そういう方向に向かって努力してもらわなければならぬ。  これは郵政省も、大臣はきょうはおらぬけれども、両次官とも、いまごろ聞いたような話をされたのでは迷惑千万なんだ。これは藤木さんのほうも悪いのだよ。もっと相談したらいいじゃないですか。これを監督する政務次官経営の内容も知らないということではだめですよ。われわれは一応国会に議席を持っておりますし、公益法人ですから、両大臣認可した特殊法人ですから、しかも放送をやってる事業ですから、常に関心を持っております。私はむしろいい助言もしていますよ、間接的には。それはやはり、科学技術という特殊な放送日本で初めてできた。世界でも珍しいですよ、私も世界を回って見てきましたが。それだけに、国民の期待も大きかったし、衝に当たる人の責任も大きい。その経営認可をした、判こを押した両者がわからないでどうしますか。あなた方は法律上立ち入りができるし、解散を命ぜられる、だらしがなければ。法律上十二チャンネルに解散を命ずることができる。これはぐうたらなことをやっては困る。だから、ひとつ今後再建については大いに協力するということを大臣は言っておられる。そのことはやはり藤本さんも胸にたたみ込んでいただいて、緊密な連携の中で、ほんとうに両省が認可した公益法人としての使命を果たせるように、両政務次官にも心からお願いしたい。一体になってやらなければだめですよ。できませんよ。ですから、そういう点については、私はことばが強いかもしれません。失礼なことを言っているかもしれませんが、他意はありません。ただ願わくは、このせっかくの教育放送というものが、全国民の理解の上に立って発展してもらいたいということを願うから申し上げているわけですから、そういう意味で、いままでの総括としてお三人から最後に伺って私は終わりたいと思います。
  120. 田川誠一

    政府委員(田川誠一君) いまのおことばの中に、両政務次官がいままで全然知らなかったというお話がございましたけれども、私は就任早々からこの問題に重大関心を持っておりまして、個人的にもいろいろと事情を聞き、私は私なりの再建の考えを持っております。その点は訂正さしていただきます、誤解があるといけませんから。  それから、いま鈴木委員がおっしゃいました中にも、私どももっともな点もずいぶんあると思います。しかし、なかなか一般の民放局と違いまして、非常にむずかしい点があるのでありまして、先ほど来お聞きいたしておりますと、もっといい番組をやればスポンサーがつくのじゃないかというお話がございますけれども、一般の商業放送と違いまして、なかなか十二チャンネルの営業というものはむずかしいのでございまして、そういうむずかしいところもひとつごしんしゃくをお願いいたしたいのでございます。これからの——過去のことはともかくといたしまして、私は整理が始まる前まではこの再建には非常に悲観的な見方をとっておりましたけれども、藤本さんが本部長として就任になってから、よく経営について勉強されまして、整理案が出たあとのいろいろな状況を見ますと、私は非常な希望を持っているわけであります。これからの科学技術教育、そういうものに徹してこれからやっていかれるということでございまして、この再建の基礎が私は必ずできるのではないか。再建のめどがなかなかできませんと、政府が何でもかんでも財政的な援助をするというわけにはまいりません。そういう再建のめどさえ自主的につくっていただければ、もっと政府が協力の手を差し伸べられるのではないかと、こういうふうに思っております。もちろん、科学技術財団と十二チャンネルの問題、さらに通信制高校、科学技術館、こういう三本立てに分かれておりますが、科学技術財団そのものの機構についても検討していかなければならないと思います。鈴木委員がおっしゃいましたことなども、私ども十分参考にしまして、この十二チャンネル再建については私どもも全力を尽くしてやっていくつもりでございますので、どうかこの上とも御協力のほどをお願い申し上げます。
  121. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 私は、先ほどことばが足りませんでしたけれども、事務当局のほうからは実は詳く聞いているわけでございますが、十二チャンネル方々から直接お話をお聞きしたのはきょう初めてであるということでございますので、その点御了承いただきたいと思います。  申し上げるまでもなく、非常に貴重な国民のものといわれておりますこの電波を使用いたしまして、国民の科学技術に対する振興をはかってまいりたいということで、十二チャンネルがスタートをいたしたわけでございますので、先ほど来いろいろ鈴木委員からも御指摘、御批判のございましたような点、もっともな点ばかりと存ずるわけでございますので、郵政当局といたしましても、再免許の際に、そういう見地からつけました条件も満たせるような目標に向かって大いに努力していただきたいし、また、その努力に対しましては、郵政当局としても大いに協力を申し上げたいと、こう思っておる次第でございますので、皆さん方の今後とも格段の御指導、御協力をお願いする次第でございます。
  122. 藤本輝夫

    参考人藤本輝夫君) 先ほど来鈴木殿からいろいろ御忠告、まことにありがとうございました。私は、開局一年余りしてから入ったものですから、詳しい事情については、聞いておる程度で、事実当たっておるわけじゃございませんが、いろいろ思い当たるところもあると存じます。今後は、非常に貴重なる御忠告に従いまして、全力をあげて私はこの局の発展に尽くしたいと存じますから、どうぞよろしくお願いいたします。
  123. 田中一

    委員長田中一君) 他に御発言もなければ、本件についてはこの程度といたします。  この際、参考人の方方に一言お礼を申し上げます。  皆様方には、御多忙のところわざわざ御出席いただき、長時間にわたり貴重な御意見を承り、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。  午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時五十分休憩      —————・—————    午後一時二十九分開会
  124. 田中一

    委員長田中一君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。  国際電電株式会社に対し質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  125. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 電電公社の方、たいへんどうも申しわけありません。時間がちょっと切迫しておりますので、十分御質問ができないかと思います。別に国際電信電話公社の経理の内容や何かについての質問でございませんので、きわめて一般的な質問ですが、この際ぜひ明らかにしておきたいという二、三の問題について、約一時間ぐらい——四、五十分の予定でございますから、お含み置き願いたいと思います。  最近、電波通信面で国外との関係について、新しい施設や、あるいはまた新しい計画や、そういったことの打診などが行なわれてきていると思いまするが、その概況についてお聞きしたいと思います。
  126. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 前委員会のときに私どもの社長からお答え申し上げたことを繰り返すようでございますが、現在新しい計画と申しますと、わが国と韓国との間の通信施設の拡充、それから東南アジアケーブルの問題、あるいは衛星通信施設の問題等がありますが、具体的にまとまっておるのは日韓通信だけの問題でございます。そのほか、現在の短波通信の拡充に対しましては、従来とも相手国と通信の拡充につきまして打ち合わせをして、具体的な案ができますと、郵政省の御認可を受けてやっておるという次第でございます。そういうふうに、現在のところでは、そのほかの広帯域幹線につきましては、先般申し上げましたとおり、日韓通信だけの問題がはっきりしておりますが、そのほかのものは目下審議中でございます、計画中でございます。
  127. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 この計画中のものを含めてお聞きしているわけなんですけれども、最近直江津——ナホトカ間の海底ケーブルの問題だとか、あるいは日本と中国との間の通信施設の問題だとかということがかなり具体的な話になっていると聞いておりますが、この点はどうですか。
  128. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) いまちょっと、私が先ほど落としました日本海海底ケーブルの問題でありますが、これは現在ヨーロッパと日本の間を有線で結んでおる、いわゆるウラジオから長崎までの電信回線を良質のものに変えようということで、このケーブルは御承知のようにわが国とデンマークの大北電信会社との話し合いになっておるものでございます。したがいまして、両者の間において話し合いを進めておるわけでございます。このほどこの回線を、電信も電話も通るように、よいケーブルにしようという話し合いが二、三年前からありまして、いろいろ審議して協議しておりましたが、なかなか本筋の話し合いは、結局シベリア経由ということになりますので、大北電信会社のほうがすべてソビエト関係の話をつけてわれわれと話をするということで、具体的にはまだ結論として最終的にまとまっておりません。
  129. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これはやはりあれですか、計画は直江津—ナホトカ間ですか。
  130. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) そうでございます。いま計画しておるのはナホトカ—直江津間でございます。
  131. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 中国についてはどうですか。
  132. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 中国は、現在日本と上海の間に無線電信回線を持っております。それ以外の計画はございません。
  133. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 聞くところによりますと、この前この電波通信の問題を内容として中国との間に話し合いをするための、何といいますか、使節が招聘された、そういう形の人が日本から行ったということを聞きますが、これは公社のほうですか、会社のほうじゃございませんか。
  134. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 先般私ども会社から二人中国へ参りました。これは私どものほうの会社の事業の必要上、従来各国に対しまして、施設内容その他の業務上の通信の内容を改善するためにお互いに知り合うという意味で、各国で調査しております。中国に対しましては、いままで一回もしておりませんので、一昨年来中国と連絡しておおりましたが、昨年になりましてあちらから来てもよろしいという話がありまして、二人出しまして、上海と北京の無線通信施設を調査してまいったわけでございます。
  135. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 現在、上海との間の無線以外に、何か新しいルートというようなものの計画は具体化しておりませんか。このときに、おたくのほうの会社の代表が参ったときに、そういうような具体的な話というものはなかったのですか。
  136. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) ございませんです。
  137. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、中国とのあれは、現在上海との回線、それだけでございますか。それとも香港経由はないのでございますか。
  138. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 失礼いたしました。私先ほど電話回線の北京を落としておりました。
  139. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 香港はどうですか。
  140. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 香港は、従来香港のケーブルアンドワイアレスと私のほうの会社と通信をいたしております。
  141. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、香港を経由して中国への回線もあるわけでございますね。また、ちょっと聞きますが、香港を経由してハノイへの回線もあるわけでございますか。
  142. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 香港を経由して中国へは現在ございません。連絡ございません。ハノイのほうは、ちょっと不明でございますけれども、おそらくないと思います。
  143. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 ちょっとこの問題に関連して、最近ハノイへ行く手紙類、書類が全部戻ってくるわけですね。いままで一体ハノイへ行くのはどういう経路をたどってどうなって行くのか、この辺事情がよくわからないので、おそらく香港から差し戻されるのが多いのじゃないかと思うのですが、その辺の事情を明らかにしておきたいと思うでのす。
  144. 増田元一

    参考人増田元一君) 北ベトナムの通信電気を申し上げますと、電報だけでございまして、ただいま大阪——上海回線を経由して参っております。それだけでございます。
  145. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 電報電話のほうはわかりましたが、郵便物がハノイがとまっている。戻されてくる。現に私たちもそういう経験を持っておりますが、これはどういうことになっておりますか。ちょっと郵政関係の方に聞きたいのですが。
  146. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 実は、鈴木委員承知のとおり、郵便のほうでやっておりますので、さっそく私のほうで調べさせていただきまして、御回答申し上げたいと思います。
  147. 田中一

    委員長田中一君) ちょっと速記をとめて。  〔速記中止〕
  148. 田中一

    委員長田中一君) 速記をつけて。
  149. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは、来てから事情がどうなっているか明らかにしたいと思いますが、いま香港—グアム間の新しい施設については、会社のほうでは全然関知しておりませんか。
  150. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 例のイギリスが香港—グアム経由で豪州に対しましてケーブルを引くんだということで、来春に完成することになっております。私どものほうといたしましては、現在、太平洋ケーブルで東京—グアム—ハワイに行っておりますので、このグアムで一緒になります。したがいまして、その香港—グアム間のケーブルを、私どものほうとしてもそのケーブルの施設を借りまして、これを利用して通信をするように計画しております。
  151. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 先ほど、東南アジアの方向へもと言っておりましたけれども、具体的には、東南アジアはフィリピンとタイですね、それ以外のところはどうなんですか。
  152. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 東南アジアケーブルは、目下、郵政当局が中心になり、各国と交渉中でございまして、私どものほうとして申し上げる段階でございませんですが、第一次計画としましては高雄—マニラ—サイゴン—シャヌークビル—バンコクというような構想になっておるそうでございます。
  153. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 韓国との新しい施設をつくるということですが、韓国のほうはどこですか。
  154. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 韓国のほうは、蔚山の近くにございます舞竜山という山が中継所になります。
  155. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その「浜田—ブリュウム山」これはどういう字を書くんですか。普通よく聞いておるのは、ブルーマウンテンという英語で呼ばれているように思いますが、蔚山の近くにある現状を視察か何かされたんでございますか。
  156. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 韓国側の蔚山は御存じのことだと思いますが、東海岸にある町でございますが、そこの舞竜山というのは、舞うという字と竜という字に山でございますが、これは日本側に対して見通しのいいところの高い山でございます。それで、私は確実なことは存じませんが、京城—釜山間のマイクロルートの一つの中継局が、この蔚山の近くにあって、非常に中継に都合がいいという場所でございます。
  157. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その浜田—舞竜山間は、どういう使用目的によって新しく施設されることになったのでございますか。
  158. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 前回も申し上げましたが、最近、日韓間の通信が非常にふえてまいりまして、現在、国際電話として、われわれのほうでは短波の回線を九回線使っておりますが、これでも需要を満たすためには不十分でございまして、さらにふやしていかなくちゃならぬ。これは現在の需要がアメリカに次ぐ量でございます。したがいまして、いまの短波の回線では、波の関係上、どうしてもこれを拡張するわけにまいりませんので、広域帯通信幹線として何かないかということで昨年来、韓国側と話し合っておりましたところ、わりあい施設の経費が安いこの対流圏散乱波伝搬を使って広域帯通信幹線をつくるのが韓国側でも有利であるという話し合いから、この対流圏散乱波伝搬を使って、わが国と韓国との間に広域帯通信幹線を引くことになりました。そういう関係でございますが、浜田を選んだということに対しましては、当初、韓国側は釜山—九州間を希望しておりましたのですが、電波の関係上、九州北部は非常にわが国でも通信が活発なところでございます。かなり妨害があることが認められまして、当局の御了解を得て、浜田のほうへ—中国地方のじゃまにならぬところに選んだという次第でございます。
  159. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 浜田は、どういう経路をたどっていって、それでどれくらいの期間に完成する予定なんですか。
  160. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 韓国と日本との間の通信の関門局といたしましては、韓国側はソウルでございまして、日本側は東京を関門といたします。したがいまして浜田と東京の間は、公社のお持ちになっておるマイクロウェーブの線をお借りすることになっております。
  161. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 まだ浜田—舞竜山間は開始されてないわけですね、開始されるのはいつごろの予定ですか。
  162. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 失礼しました、工期につきましては、来年、四十二年の末までに完成する予定にしております。
  163. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 ちょっと委員長、おそれ入りますけれども、先ほどの質問のときの、郵政省関係の方が来ましたのでひとつ。いま、東京—ハノイ間—こちらから行く郵便物がほとんど着かないのですね、着かないだけでなくて、戻ってくるのです。これはどういう事情にあるのかということを、私たち自身も経験が最近あるのですけれども、わかっている範囲においてぜひこれを明らかにしていただきたいと思います。
  164. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) 北ベトナムと日本との郵便は、ただいま小包はございませんで、通常郵便物だけでございます。で、香港経由で送達しております。日本から香港へ参りまして香港から先のルートのことは、私ども詳しくいま把握しておりませんが、香港からじかに便があれば、それで参るはずでございますし、じかに便のない場合には、中共経由——少なくとも香港郵政庁は北ベトナム向けに一番確実に送達し得る道を選んで送達すべき義務もあるわけでございますし、そういう趣旨で送られているというふうに思っております。具体的な例を私存じませんでしたので、もし送達されていない例等がありましたならば、香港郵政庁に必要あれば照会でもいたしまして調べたいというふうに思っております。具体的例を別途の方法でもよろしゅうございますから、お示しいただきたいと思います。
  165. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは別途の例でもいいからというお話でありますから、具体例を——私のところで出したものが届かないで戻ってきたのですが、これは自分自身が経験していることだから一番具体的な例ですが、これは他にもあるはずだ。最近、北ベトナムに対するアメリカの政策に対して、イギリス政府のとっておる態度というものと、香港の郵政当局のとっている態度との間には、一脈同じような考え方でやられているのではないかという懸念が非常に濃くなっておりまして、これはあらためて、具体的問題を持って上がりますから、そのときひとつ郵政当局としてもぜひお調べになっていただきたいと思います。
  166. 長田裕二

    政府委員(長田裕二君) かしこまりました。
  167. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それで、先ほどのお話で、つまり韓国との間にこういうふうな形で浜田—舞竜山間を結ぶということに話し合いがついたそうですが、福岡—釜山間、現在一体どういうことになっているのですか、あの回線は。
  168. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 現在回線は切れて、ないと思います。というのは、かつて日本の持っておりました海底電線は厳原—釜山間で切れたままになっておると思います。これはすべて公社が管理されております。
  169. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、現在福岡で非常に電波が錯綜しているというので浜田に変えたというのですが、福岡—釜山もないし、ほかのところはどうですか、福岡を起点として、韓国に対する。
  170. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 韓国に対する通信はないと思いますが。
  171. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 福岡からないのですか。
  172. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) はあ。
  173. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それでは、福岡での電波が錯綜しているから、北九州ではぐあいが悪いから浜田に移したという理由がわからないのですが、ここはどういうことになるんですか。
  174. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 東京—ソウル間の通信は短波通信でございます。短波の波は御承知のように世界各国とも詰まってまいりまして、あるいはマイクロウェーブ、VHFその他の波に変わってきているわけであります。それで私どもは今度使います浜田—舞竜山間の波は二千メガのマイクロウェーブ、まだそこに余裕がございます。北九州で詰まっておるというのは、御承知のように国内テレビ回線があり、あるいはテレビ放送局とスタジオその他の間のVHFを国内で使っております。そのほか通信は国内でたくさんあると存じます。したがいまして、そういうマイクロウエーブの、われわれの使うマイクロウエーブのじゃまにならない浜田に持ってきたわけでございます。
  175. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 その浜田に持ってきた理由はわかりましたが、つまり福岡—韓国間の現在の電波通信の実情については、アメリカ軍のこれに対する使用状況というものは把握しておられますか。
  176. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) 当社では全然わかりません。
  177. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これもわからないかな、郵政当局のほう、電波局のほうはどうですか。
  178. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) アメリカとの間の通信につきましては、日米協定によりまして波の割り当てがもちろんあるわけでございまして、いまのところ九州におきましての使用状態というものは、ちょっと資料もございませんのでわかりません。
  179. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私は、それは非常に困ったことだと思うのです。遺憾なんということばではないほど困ったことだと思います。つまり、どういう状況になっておるかわからないということ、福岡とその要するに韓国ですね、釜山かあるいは京城か知りませんけれども、そことの間の短波通信の実情というものは、日本側としてつかんでいないということになりますと、非常にこれは問題が多いのではないかと思うのですが、この辺のところ実情を調べる機関はないのですか。局として調べる権限、調べる機関というものはないのですか、やりっぱなしなんですか。
  180. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) いま申し上げましたように、日米協定によりまして周波数の割り当てということはもちろんあると思いますが、その内容につきましてはつまびらかではありません。
  181. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 大臣が来てぼくの質問にかえらなければならないのですが、非常に時間がかかって、これから本論に入ろうと思っておったのですが、だめなんですが、結局あれでしょう、福岡—釜山間、そしてそれはさらに東京の府中に来るわけでしょう、府中へ。
  182. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) ただいまの釜山との間の問題は、公衆通信ではないかと思いますので、府中のほうとは関係ないのではないかと思いますけれども。
  183. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 非常にあやふやな答弁なんですが、これはきょうはここのところこれくらいにしておいて、次にちょっと聞きたいと思うのです。それでまん中を飛ばしますから、十分に会社の方のほうも質問の趣旨がのみ込めないかと思いますが、ついでに関連して、ぜひともここは聞いておかなければならないという点が一つあるのですが、つまり、現在日本と韓国との間の通信料金がかなりアンバランスになっている、この実情はどうなっているのですか。
  184. 増田元一

    参考人増田元一君) ただいま電報につきましてはアンバランスはないのでございますけれども、電話料金につきましてアンバランスがございます。韓国発信が六ドルでございますが、こちらのほうは三ドル幾らということになっております。約半分近く違っております。
  185. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 日本からは三ドルで、韓国からは六ドルというのは、どういうことですか。
  186. 増田元一

    参考人増田元一君) これは韓国の通信を無線で始めましたのが昭和二十五年十月でございます。そのときに日本側の発信につきましては、そういうふうに安い料金に定められたわけでございます。
  187. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 こういう例というのは、よそにもあるのですか、よその国との間に。
  188. 増田元一

    参考人増田元一君) こういう例はあまりございません。
  189. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 よその国との間にはこういう例がなくて、日本と韓国との間にだけこういう二分の一というような格差がついている。その理由は一体どこにあるのですか。
  190. 増田元一

    参考人増田元一君) それにつきましては、どういう事情がございましたのか、ちょうど二十五年十月は占領中でございまして、私どもにはちょっとわかりかねるのでございます。
  191. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは冗談ではございませんよ。これ「どういう事情か」とあなた言いますけれども、二十五年十月から今日まで依然としてこういうつまりアンバランスが続いているわけです。これについて一度も会社のほうとしてはあれですか、交渉したという事情はないのですか。その事情をつまびらかにして、このアンバランスをなくなすという努力をしたことはございませんか。
  192. 増田元一

    参考人増田元一君) 交渉したことは、いままでございません。
  193. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これ聞くところによると、朝鮮戦争のときに、南朝鮮へ行っているアメリカ軍の、いわゆる軍人軍属の家族が日本にいて、そしてその軍人軍属の家族が、わが夫に電話をかけるのに、日本からかけるのが六ドルじゃ商過ぎるから半分にしろ、三ドルにしてくれというので、そのままそれが今日まで踏襲されているのだということを、うわさとしては聞きますが、事情はそのままですか。
  194. 田中一

    委員長田中一君) 増田参考人に申し上げますが、委員長の許可を得てから発言を願います。
  195. 増田元一

    参考人増田元一君) そういううわさにつきましては、私は存じてはおりません。
  196. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 それはあなたが存じていなくても、そういうことで、いわば何といいますか、この問題に関する限りは、文字どおり、占領下の不当な料金査定、アンバランスがそのまま今日に至るまで持ち越されておる。十数年にわたってこれが放置されておる。この料金の問題は、大臣認可事項だというふうに承っておりますが、こういう事情が十数年放置されておるということについて、一度も御努力なすったことはないのですか。
  197. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私、従来、私自身それを様子を聞きませんでした。あるいは当該の部局のほうで扱っておりますれば、政府委員のほうからお答えいたさせます。
  198. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 日韓間の通信の料金につきましては、ただいま増田参考人から御説明申し上げましたとおり、相当長い間日本発信のほうが安くなっております。この事情承知しておりますが、やはり国際電電としていろいろ考えました上、認可申請が出てきますれば認可すると、こういう態度をとっておりますので、郵政省として特に努力したということはございません。
  199. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 そうすると、これは認可申請が出れば修正すべき性質のものですか。
  200. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) おっしゃるとおりでございます。
  201. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 どうしてその認可申請をしなかったのですか。
  202. 増田元一

    参考人増田元一君) やはり料金が値上げになるわけでございますので、料金値上げにつきましては慎重にやりたいということで、現在まで従来の無線でやっておりますそのままの状態でまいった次第でございます。
  203. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 これは普通国内におけるところの電話料金の値上げとかなんとかいうものと性質が違うものなんです。十数年にわたって、日本からは三ドル、韓国から六ドルだという、この通話料のアンバランスというものは、占領政策がそのまま継続していることなんです。これをこのまま放置しておくということは、大げさなことばで言えば、ずいぶん自主性のないやり方じゃないか。これを申請が出てくればそれを認めるにやぶさかでないと言っているにもかかわらず、今日まで一度もその点について出したこともない、努力したこともないというのは、これはどういうところに原因をするのか、その辺のところを聞きたい。
  204. 増田元一

    参考人増田元一君) 先ほど申し上げましたように、無線時代は、サービスも現在のところ非常に回線が詰まっておりまして、待ち合わせ時分も、たとえば電話について言いますと七十分もかかる、平均しまして。テレックスにしますとやはり六十分もかかる。こういう状態でやはり料金を改正するということは、会社としまして適当でないと判断いたしております。しかしながら、先ほど竹内から御説明いたしましたとおり、対流圏の散乱波方式によりまして、広帯域の通信幹線というものを建設するという一応合意ができまして、将来日韓間の電気通信のサービスの向上が期得し得るという状態になりましたときには、会社といたしまして十分こういう問題を検討したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  205. 鈴木市藏

    鈴木市藏君 私はこれはずいぶん怠慢な話だったと思っております。別に何も値上げをする必要はないので、日本からは三ドルなら、韓国からも三ドルにしたならよろしいので、つまりこういうような二分の一というようなアンバランスを今日まで放置しておいて、何らの努力もしなかった。この委員会で初めてそういうことが問題になって、必要ならば努力をしましょうということでは、私は日本電波通信に関する国際的な問題においてですね、きわめて自主性のないやり方ではないかということが、これはまあそれなりに一つの問題点だと思います。  時間がありませんので、まあこの辺のところでこれもおきますけれどもね、これは値上げということを前提にしなくても、つまりアンバランスをなくなす、当然のことですから、やらなければならないことだというふうに思います。  それからこの浜田—蔚山間のマイクロウエーブの設置が、同時に国内のほうに来て、会社のほうとしては浜田—広島間にさらにこれを延長して設置したいというような計画があるかのごとく聞いておりますが、それはございますか。
  206. 竹内彦太郎

    参考人竹内彦太郎君) ございません。それは何かのお聞き違いと思いますが、浜田の無線の局と公社の浜田の局との間に回線を——非常に短い距離でございますが連絡して、そうして公社の浜田の局から東京までの線をお借りするということになっておりますが。
  207. 田中一

    委員長田中一君) 速記をとめて。  〔速記中止〕
  208. 田中一

    委員長田中一君) 速記をつけて。  それじゃ、他に御発言もなければ、本件についてはこの程度にいたします。  この際、参考人方々に一言お礼を申し上げます。参考人の皆様には、長時間にわたり貴重な御意見を賜わり、まことにありがとうございました。委員一同にかわり厚くお礼を申し上げます。
  209. 田中一

    委員長田中一君) 次に、有線電話通信政策について質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  210. 久保等

    ○久保等君 私は去る三月一日、当委員会でお尋ねをいたしました京都東山地区の花街の私設の有線電話問題についてお尋ねをしたい。すでに一カ月半ばかり経過をいたしております。大臣のほうでも、当時三月の一日お尋ねしたときには、全然御存じないようなお話だったんですが、その後いろいろ実情等もお聞きになったり、あるいはまたお調べになっておると思いますが、三月一日当時にはこの申請をされた者の名義等も御存じない。全然知られなかったようでしたが、本日は一応その経過について最初に御説明を願いたいと思うのです。時間の関係で詳細にお尋ねすることも、何か本日のところできかねるようですから、要領よくひとつ簡潔に御説明をまず願いたいと思います。
  211. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 本件に関しましては、当初そのような希望が当該の者にありましたのが、かなり古いような時代でございまして、経過が相当長くなっておる模様でございます。いま政府委員のほうから概要をお答え申し上げます。
  212. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 経過を申し上げますと、最初にこの話が地元で出ましたのは、昭和三十三年ないし四年のころだそうでございます。このときには、祇園新地甲部組合の役員が何かこういった通信設備をつくりたいということであるメーカーに相談をいたしましたところが、所要経費があまり高くかかり過ぎるということで、計画を放棄したという経緯があるようでございます。それで、昭和三十八年になりまして、京都信用金庫の本店と支店との間にいわゆる専用通信設備ができまして、それを知りました祇園新地甲部組合の役員が、これは便利なものがあるというようなことを考えたのであろうと存じますが、自分でも研究いたしますと同時に、この工事をいたしました工事会社にも研究を依頼いたしました。その話が大体地元でまとまりまして、昭和三十九年の七月十三日に有線電気通信設備設置届けというものが近畿電波監理局に出てまいりました。これは有線電気通信設備を設置いたしますので、有線電気通信法第三条第一項の規定に基づいて別紙の書類を添えて届け出ますという本文の届け出書でございます。近畿電波監理局では、これは有線電気通信法第三条該当のものではないということで受理いたしませんでした。なお、この届け書に添付いたしまして陳情書という名前でございますが、内容的にはこの届け書に書いてあるような有線電気通信設備を設置したいという事情につきまして詳しく述べたものでございます。この陳情書は、「今般有線電気通信法第三条の規定に基づき、有線電気通信設備を設置したいと存じますが、当組合の特殊性について事情を申し上げます」という文章で始まっておりまして、いま申し上げましたように、名前は陳情書でございますが、中身はその届け書の説明書のようなものでございます。これは名前が陳情書となっておりましたので、近畿電波監理局では陳情として受理いたしております。その後数回にわたりまして口頭で陳情がございましたが、近畿電波監理局の担当課では、事務上の理由によりまして、しばらくの間全然返答はいたしておりません。昨年の春ころになりまして、いろいろ近畿電波監理局でこの陳情につきまして検討いたしました結果、許可申請書が出てくれば、共同設置として許可せざるを得ないであろうという結論に到達したようであります。検討いたしましたのは、業務上そういうような緊密な関係があるかどうかということ、すなわち有線電気通信法第四条第五号の規定に該当するかどうかということだったようでございます。それによりまして、地元では有線電気通信設備共同設置許可申請書というものを六月十八日に出してまいりました。それを受けました近畿電波監理局では、書類上の不備その他の補正をさせるとともに技術的な調査をいたしまして、九月二日に許可をいたした、こういう経過になっております。
  213. 久保等

    ○久保等君 その設置を必要とする理由について、設置許可申請書の写しを資料として手元にもらっておりますが、その中に書かれておる、郵政大臣あてに申請者から出されたその中身に、設置を必要とする事由と書いてありますが、この事由に基づいて許可をしたということですか。この理由の文書をひとつ正確に読んでください。
  214. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 許可申請書に記載されております設置を必要とする事由は、次のとおりでございます。「一、お茶屋、芸妓は常に検番に連絡をとり芸妓の配給や配置転換の要求に応じて早急、適切に行動を起こし得る。一、検番において芸妓の稼動現況を確実に把握することにより正確なる時間を記録し、花代や税金の適正を期する。一、連絡の為の人員を節減せしめる。」以上でございます。
  215. 久保等

    ○久保等君 ただいま言われた以外には、特別設置理由というものがあるわけではないですね、念のためにお尋ねします。
  216. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 書類に記載されております設置を必要とする事由はいま申し上げたとおりでございますが、有線電気通信設備工事設計書に、おもな通信事項ということを記載させることになっております。それには「祇園新地甲部組合員及組合員相互の稼働状況の連絡」ということが記載されております。これは設置を必要とする事由ということではございませんが、関連はあるかと思います。それ以外にはございません。
  217. 久保等

    ○久保等君 そのいわゆる有線電気通信法の第四条第五号にいっております「相互に緊密な関係を有する業務に必要な通信」、そのために設置をする場合については、これを認可するということになっておるわけなんですが、この設置を必要とする事由が、お茶屋あるいは芸妓とそれから検番との間にいろいろ連絡を緊密にとらなければならぬいろいろ事情があるからということになっておるわけですが、この事実でき上がった有線電気通信設備というものは、この書類にも出ておりますけれども、二百六十四加入者ですか、加入者の間においては自由に通信ができるというふうなことになっておるのですが、この関係はどういうことになりますか。
  218. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 先生御指摘の問題は、こういうことではないかと思いますが、設置を必要とする事由として記載されているのは、検番、芸妓、お茶屋間である。しかるに実際の設備の上では芸妓相互間あるいはお茶屋相互間にも通話ができるようになっているのではないか、その点に問題があるのではないかという御指摘ではないかと思います。この点につきましては、御指摘どおり問題はあるかと存じます。しかし、従前からこういう取り扱いをいたしておりまして、たとえば有線電気通信法が施行されます前に、旧電信法の時代でございますが、有線電気通信法よりもはるかに制限のきびしかった時代におきましても、たとえば八幡製鉄の場合を考えてみますと、八幡製鉄と関連会社Aとの間に設置が認められ、八幡製鉄と関連会社Bとの間に密接な関係があるとなりますと、八幡製鉄の交換機を使いましてAとBとが相互に通話できるという結果を来たしております。国鉄関係にも一部そういう例が見られます。有線電気通信法になりましてから、若干そういう施設関係において許可されたものがあります。三人以上の電気通信設備の共同設置の場合に、その業務上相互に緊密な関係があることを必要とするかどうかということでございますが、一応現在までの取り扱い例といたしましては、おもなる関係において、業務上相互に緊密な関係がありますれば、従たる関係におきましてはそれほどに厳重には見ないと、全体として相互に緊密な関係があればそれでよいと、こういう取り扱い方をしてきておりまして、この祇園の場合もその取り扱い例にのっとったものだと思います。
  219. 久保等

    ○久保等君 まあ、私その八幡製鉄云々の問題にまで論及してここで質問をすることは、時間的な関係もありますから省略をしまして、この問題だけに限って焦点を合わせて質疑したいと思います。したがって、この問題についてだけ限って答弁をしてもらいたいと思うのです。それで過去の取り扱い方がどうであったとかこうであったとかとなってくると、これまたそれの資料を集めてどうだとかこうだとかということになって、とてもわずかばかりの質問の時間ではできませんから、一体このいま言った設置を必要とする事由、これは明らかに検番との間における芸妓なりあるいは置き屋、お茶屋ですか、お茶屋との関係が非常に緊密なる関係があるから、緊密な業務関係があるからということで通信の申請がなされたということであるならば、それに対する有線電気通信設備の認可をすべきであって、それをさらに拡大していま言われるような私は少なくとも解釈は成り立つというような考え方をもってこの電気通信行政をやられるとすると、これはとんでもない。やはり法律を少なくとも忠実に私は運用してまいらなければならぬ義務があると思うのです、電波監理局長あるいは郵政省としては。したがって、いま言われるようなそういう何か法律解釈じゃない、全く便宜的な、一般の業者が言うなら、あるいはそういったことも言えるかもしれぬけれども、少なくとも電波監理なり電気通信の行政をつかさどる監理官がいまのような答弁では、私は納得するわけにとてもいかないと思うのです。この必要という一体それじゃ理由はどういうことなんですか。この書かれてあることは、少なくとも検番との関係において、いろいろ連絡その他の面で非常に通信が量も多いし、それからまたどうしてもその間の通信というものがなければ非常に困るのだというようなことが、申請理由として書かれているわけです。それ以外のものがないとすれば、いま言われたように、検番以外の問題を抜きにして、芸妓間において、また置き屋間において通信が、自由にできるのだ、一体それは法律的な根拠は全然ないじゃないですか、監理官。
  220. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 私はこのように考えております。有線電気通信法の第五条に、第二項でございますか、「相互に緊密な関係を有する業務のため必要な通信であるときには許可をしなければならない。」いま申し上げましたように、考え方といたしましては、主軸をなす関係において、緊密関係がありまして、全体として一応緊密な関係があると見られます場合には、全部について、たとえばいまの例で申しますと、芸妓置き屋相互間において、それだけを切り離しまして許可申請が出てきましたと仮定しました場合と若干違った取り扱いをしております。したがいまして、全体として相互に緊密な関係がありますればこれに該当すると、こういう取り扱いをしてきた、こういうことでございます。
  221. 久保等

    ○久保等君 だから、全体として緊密な関係ということは、どういうことなんですか。そういうあいまいなことじゃなくて、だから、検番とAとBとCとDという四つの置き屋なりあるいは芸妓なりがいて、それで、検番との間の関係について言うならば、検番とAとの間と、検番とBとの間、検番とCとの間、検番とDとの間、これはそれぞれ緊密な関係があると言えばあると言える。したがって、その限りにおいて、この第四条第五号に基づいて認可をするということならば、これは一応この法律解釈からいっては当然だと思う。ただしABCDの間、この関係においては、出された申請書の中にも出ておらない。また、実際問題としても緊密な関係というものは考えられないと思うのです。ABCDとの間において何で一体相互の関係があるのだ。わざわざそこへ検番を介入さして、総体的に見れば緊密な関係だというのですけれども、通信をするときに検番なんか入りませんよ。AからB、あるいはBがCとやる場合がありましょうが、とにかくいずれにしても検番との関係においては緊密な関係があるのだけれども、検番を抜きにして芸妓置き屋、お茶屋、あれは何も相互関係はありませんよ。これは事実の解釈の認定の問題じゃないですか。もし、監理官の言われるように、まん中にだれか緊密な関係というものを入れておきまして、しかもそれを設置するときの理由だけであって、平生の運用の面は全然検番なんか抜きにして通信するわけですから、ABCDと相互に通信するダイヤル一つ回して。それが一体何で緊密なる業務関係にある通信だと言えるかと言うのです。
  222. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) この点につきましては、先ほど申し上げましたように、この取り扱いは、従前の取り扱い例の線に沿った考え方で実はいたしたものでございます。したがいまして、全体として緊密な関係があるとみなされれば、それによってこの条文に該当するとして認めてきたわけでございます。しかし御指摘のとおり、いまあらためて考え直してみますと、これは少し認定が甘過ぎたということも私も考えております。したがいまして、将来といたしましては、その辺の事務処理のしかた、あるいは事実認定のしかたについて考え直さなければならないと考えております。
  223. 久保等

    ○久保等君 それからその前例にのっとってやったというのですが、前例を先ほど八幡製鉄の場合を例にあげたのだけれども、これについては少なくともわれわれの手元に出された資料については、そういう関係は明らかではないのです。少なくとも、そういう形で認可をしておるということは、この資料によってはうかがえ知れないのです。あなたが、たまたま前例にのっとって今度この祇園の場合も片づけたというが、これに匹敵するような事例があれば具体的に全部出してください、われわれのほうに。単なる書類の上だけではわからない。全部五千数百のうち、代表的な若干のものをピックアップして報告してもらったのですけれども、この資料に関する限り、いま説明されるような関係になっているとは思えない。事実の上においてそうなっている。そのことを電気通信監理官のところで承認をしてやらせておるということになれば、これはまた問題は別問題というか、これに関連する重大な問題があると思うのです。われわれはそういう前例が調べた限りにおいてはないと思っておったら、そういうえらい前例があってその前例にのっとってやっているということになると、重大問題です。
  224. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 差し上げました資料の「有線電気通信法第四条第五号緊密業務共同設置を許可した事例」というのがございますが、たとえば第六ページのまん中あたりでございますが、4その他(1)の地方鉄道業者とその緊密業者、設置理由の工鉄道事業とその関連事業というのがございます。その近畿日本鉄道、近畿交通社、紅屋商会、関急産業、関急土木というのが近畿日本鉄道を中心といたしまして緊密業務であると認定されまして、近畿日本鉄道の交換台を通じまして、相互に通話もできるような施設になっております。
  225. 久保等

    ○久保等君 これの場合にはもう少し何というか、詳細な資料を出してもらわないと、ただ何というか、印刷物だけではそういった関係はわかりかねます。しかも、そういう祇園の町の場合と全く同じようなケースかどうか。この場合には共同設置者の間において通信することはできると思います、現行法でも。祇園の場合は共同設置者という形にはなっていないでしょう。申請者、少なくとも申請の理由によっても、その検番とそれぞれの間における緊密な関係ということであって、たとえば百人なら百人いる、百人で共同設置するのだという、いわゆる有線電気通信法第五条の場合を例にとって言えば、第五条の第二項にある「二人以上共同して行う業務」、この二人以上共同して行なうという業務関係であるいは解釈したのかもしれませんが、しかし芸妓屋なんかは共同した業務ではない、これは明らかに。だから会社その他が二人以上が共同して行なう業務に必要な通信という場合に、それぞれの間においてこういった有線電気通信設備を設置することはこれは認められております。これはあくまでも「二人以上共同して行う業務」なんです。二人して行なう業務と、今度のこの場合と全然違いますよ。だからあるいはもう少し研究してみると、いま例示せられた第六ページの場合は「二人以上共同して行う業務」、これに該当する問題かとも思うのです。その点はどうですか。
  226. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) ただいまの例示は、近畿日本鉄道とその関連会社との間でそれぞれに共同設置を認めるだけの業務上の緊密な関係があると認定いたしまして、一括して共同設置を許可した事例でございます。
  227. 久保等

    ○久保等君 これはいつ認可したのですか。
  228. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 昭和二十九年の二月でございます。
  229. 久保等

    ○久保等君 この問題については、あまりこういった問題の内容等せんさくしていると、時間が長くなるから省略します。ただ、私にいま例示せられた問題については、この場合とは若干ケースが違うのじゃないかと思います。二人以上の共同して行なう業務という問題に該当する事例じゃないかと思っておるんですが、その問題はここでは一応保留しておきます。  それでいま、先ほど私が質問した、やはり問題の焦点です。要するに、総体として見た場合に、緊密なる業務関係にあるという解釈は、これは全くでたらめですよ。しかも、総体全部含めれば緊密な関係があるからなんて、そんな拡張解釈というよりも三百代言的な解釈は、私は通用しないと思うんです。だから、明らかに緊密な関係というならば、検番とそれから置き屋なりあるいは芸妓なりとの間において緊密な関係があるというだけであって、芸者の相互の間において、あるいは置き屋の相互において緊密なる関係にある業務を行なうなんていう関係はありませんよ。特に、むしろ逆に言えば商売がたきというか、商売競争の関係に立つ関係であって、同類事業をやっておる関係ではあっても、緊密なる関係ある業務を行なう関係にあるんだなんということは、どこからも出てきませんよ。この点だけははっきりしなきゃならぬと私は思う。大臣にその点ひとつ——監理官のいまのような説明ではとても納得できないし、そういうこじつけた解釈なんか成り立たないと思うんですが、どうですか、大臣
  230. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私は、この場合に認める必要がどの程度あるであろうかということになってまいりますると、私自身考え方を持つのでありますが、何かしかし、特殊な有機的な結びつきがあるという点では、全体に認可が法律の立て方がそうであるのかもしれませんが、多くの場合にかなり広いいろいろな態様が認められておる。そうすると、この場合も私は、特別な結びつきのある一団として認可されたということは、法律のたてまえから言えば、間違っていることではない、このように考えております。
  231. 久保等

    ○久保等君 どういう結びつきがありますか。私のお聞きした、芸妓間において、あるいは置き屋の相互においてどういう結びつきがありますか。法律で言う緊密なる業務関係という関係から見て、どういう結びつきがあるのですか。
  232. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 両者の営業というものの共同業務の性格を持つという程度に有機的な結びつきを持っているんだということは、私は認めざるを得ないだろうと思います。
  233. 久保等

    ○久保等君 それは緊密な関係という関係ではなくて、同種類の仕事をやっているという関係において、何といいますか、似通ったというよりも、全く同じような仕事をやっているという程度の関係だけです。仕事の上において相互に連絡をとらなければならぬ、特別に緊密な連絡をとらなければならぬという関係はありません。もしそういうことでいくんならば、全国の床屋さん、パーマネント、あるいは環境衛生、これは全国的な組織を持ってますよ。これは同種産業ですよ。そういった人たちからももし申請が出てくれは許可すると。——これは床屋さん、パーマネントから始まって飲食店、こういったものは要するに環境衛生という面においては共通しています、御承知のように、特にそういった特別法もできているぐらいですから。そういった関係についても、もしこれが出てくれば認可しなければならぬ、そういう見解になるわけですか、大臣
  234. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 私は、相互依存の形で互いに連絡をして一体体制で営業しておると、全国の環境衛生の法律で規律される理髪店というようなものとは異なった体型をしているんだと思います。
  235. 久保等

    ○久保等君 そういう何ていいますか、便宜的な解釈は許されないと思うんですよ。一体で当たっているといっても、何も共同して一緒に何か設備を持ってやっているとかなんとかいうんじゃない。それぞれが独立して営業しているんです。したがって、京都の場合だって、それぞれ個人が独立して営業をやっている。それが緊密なる業務関係に——一体どういう点をとらえて緊密なる業務関係にあるというのか。相互に緊密なる業務関係がある……。
  236. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 具体的なこの問題の、近畿における認定のしかたの問題について申し上げたいと思いますが、芸妓相互の場合、近畿電波監理局の認識では、祇園地区におきましては、検番の統制力が非常に強いために、たとえばこの定められた地域以外に住居を定めることができないとか、あるいは相当一体となって営業活動するような状態にあるとか、そういった説明を受けまして認定をした、こういう経過がございます。
  237. 久保等

    ○久保等君 だから、何か居住の制限を受けているから、何か緊密な関係があるといったようないま説明をされたと思うのですが、どういうことなのですか。祇園のこの町以外に住んじゃいけない、この祇園の限られた中にしか生活できない、したがって何か緊密な関係にあるように解釈したというのですか。もう少し具体的に言ってもらいたい。
  238. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) たとえばそういうふうな状態にあるように検番の統制力が強いということを申し上げたわけでございます。そして、営業上いわば一体となって活動をしているというふうに説明を受け、認定をした、こういうことを申し上げた次第でございまして、居住地の問題そのものについて認定をしたということではございません。
  239. 久保等

    ○久保等君 だからこそ検番とその芸妓なり、検番と少なくともお茶屋、これとの緊密なる関係ということの理由にはなっても、芸妓間あるいは置き屋間、あるいはお茶屋さん間、そういったものの関係というものは、これは何も特別な緊密なる業務関係にあるわけじゃないでしょう。
  240. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) これはいわば同業者相互間ということになると思いますが、この場合には一般的な同業者相互間と違いまして、お客の取り合いは絶対にしないとか、あるいはあるお茶屋へほかのお茶屋のお客さんが見えますと、必ずその本来のお茶屋へ案内するとか、そういうならわしになっている、そういう説明をいろいろ聞きまして認定をした、こういうことのようでございます。したがいまして同業者間に多く見られるような敵対関係、競合関係というものではない、敵対関係、競合関係があるような状態ではない、こういうことを認定したということと、なお検番の統制力が強いために、妓芸相互間に相当密接な関係が生じているというふうに認定した、こういうことを申し上げた次第でございます。
  241. 鈴木強

    鈴木強君 関連。久保委員の御質問に対しての大臣なり畠山監理官の答弁というものが私にもわからないのですよ。これはこういう点をひとつ根底にものを判断しておいてもらわぬと困るのだがね。これは有線電気通信法なりあるいは日本電信電話公社法なりを読んでみると、一貫してやはり通信の専掌とまでは言わないまでも、設備の設置、運営についてはやはり電電公社が国内においては責任を持つ、国際については国際株式会社、こういうたてまえですね。ですからこの第四条五号なり、これに関連する規定というのは、これは例外規定だと思うのです。ですから久保委員の言うように、ここにも郵政大臣申請があるような、一、二、三、これを設置を必要とする理由としているわけでしょう。この理由に基づいて一応認可した、そういうことになっている。だから、たてまえはあくまでも芸者さんと芸者さんの間で話しをするというようなことのたてまえで認可したはずはないのですよ。検番と芸者との間とか、検番と検番との間とか、そういうための連絡のために設置してあるのだから、だからぼくは原則というものははっきりしてもらわなければ困る。もし極端に言えば、こういう理由を述べて許可してもらって、いよいよ今度設置されたら何やつてもかまわぬのだ、自由だ、そういう解釈になっちゃうのですよ。また現に設置されればやると思う、おそらく。有線放送電話の前の有線放送の時代だって、放送というわけで電話をどんどんやってしまって、電話が八割、九割で、放送が一割にもならぬというようなことになってくると同じことで、だから、この解釈というのは、あくまでもたてまえはこういうたてまえにしてきちっと統制しておきませんと、あなたの言うように、第四条第五号の解釈で「緊密な関係を有する業務」だということでこれはよろしいということになったら、これはおかしいですよ。だからそういうことはできるだけ排除しなければならぬ。もし事実としてあったならば、これはやめてくれというぐあいにむしろ指導すべきなんですよ。で、これは百歩譲った場合なんだが、ここに申請をした理由に基づいてそれをやる場合には、これはやむを得ぬとしても、それ以外のことはできるだけやめてもらいたい、あと電電公社の電話を使ってもらいたい、こういうのが行政官庁の指導の立場なんです。あなたの理論で言えば、こうやってできたのだから、緊密な関係だということでやってもしかたがないのだという解釈とはだいぶ違いますよ。その辺だけは、これはやはり大臣も条文の整理としては考えておいてもらわぬと、あとあとこれは非常にこういう理由でもってつくっては、どこでもかってに電話できるという形になってしまう。そうすると電電公社の通信の一元的運営という問題とも関連が出てきて、だいぶ問題を残すように思うのです。これは、大臣、すなおに考えてそうじゃないでしょうか、どうですか、それは。
  242. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 公社の公衆電気通信事業の統一を維持するということは、これは電気通信全体の上から大事なことだと思います。したがいましていままでの扱い方、この問題もでございまするが、全体にいままでの扱い方の点で統一を侵害するようなものについては、今後方針として考えなければならないと思います。
  243. 鈴木強

    鈴木強君 畠山さん、そういうことで、あなたも専門家だから、もう一度説明しておいてください。
  244. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) いま大臣のおっしゃいましたとおり、本件の取り扱いは、従前の取り扱い例にのせて実施したということを申し上げたわけでございます。その従前のような取り扱い例あるいは本件のような取り扱い例が、はたして適当かどうかということにつきましては考えなければならないと思っております。したがいまして、これからの運用方針といたしましては、たとえば緊密関係の認定につきましてももう少し厳密に、甘くならないように実施するとか、あるいは鈴木先生のおっしゃいましたように、まず公衆通信機を使うことができるかどうかを最初に考えるように指導する、そういった方法をやりたいと考えております。
  245. 久保等

    ○久保等君 ちょっとここで正式に資料を要求しておきたいと思うのですがね、前例にのっとってやったと言われておりますから、その前例と思われるものを詳細に、理解できるような内容をつけてひとつ提出をしてもらいたいと思うのです。
  246. 田中一

    委員長田中一君) いま久保委員の要求の資料はいつごろまでに提出されますか。
  247. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 実はいま地方電波監理局に対しまして、さらにその共同設置の詳細な資料を作成する作業をさせておりまして、今月末までにまとめろというふうに言っております。したがいまして一応五月の上旬ごろまで御猶予を願いたいと思います。
  248. 田中一

    委員長田中一君) 承知しました。お願いします。
  249. 久保等

    ○久保等君 いま監理官の説明を聞いておりますと、非常に電波という統制力の強い、非常にまた中心的なものがあるお話だったのですが、一体あそこの実態というものをどの程度認識しておるのか。あそこにある電電公社の加入電話は一木しかないのです。それからこの私設電話は、この資料によると二個しかない。一体それほど仕事の上から非常に通信が多くてふくそうするからということなら加入電話の、少なくとも一般の加入電話の申請も私は少なくともなされて、三木なり四木なりつけた。しかしその現実がなかなかさばき切れないというような事情でもあれば、その当否は別として事情としてはわからぬこともない。ところが加入電話は一本だけです。どうですか。
  250. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) こういった連絡のための通信設備をつくりたいと考え始めて以後の地元における経過は先ほど申し上げましたが、なおこういったことにつきまして一般的にでございますが、有線電気通信設備の設置などに関しましては、電力会社とか国鉄とかいう、従前から知識や経験を持っております大きなところを除きましては、あまり有線電気通信設備に関する知識を持っておりません。したがいまして、何かつくりたいという場八口には、一応電話局に相談するとか、そういった経過をたどった上で出てまいるのが一般の例でございます。したがいまして、加入申し込みという形で出るかどうかは別といたしまして、多くの場合には一応電話局に話を持ち込んでいるというようなことがあるのではないかと思います。それが形の上で加入電話の申し込みを行ない、それが積滞になっている。そういう形で出るかどうかということだけでは考えられないと思います。
  251. 久保等

    ○久保等君 だから、そういう申請者の立場を聞いているのじゃなくて、監理官は一体どういう指導なり、どういう一般の民間の人たちに対して助言をすべきか。それから地方の場合は、地方のもちろん電波監理局長がどういう指導をするのか。少なくとも電電公社にしろ国際電電にしろ、あなたのところで監督をする責任があるのです。それならばそういった方面の状況がどうなっておるかというようなことは、当然あなたのほうで把握しているはずだし、したがって、それとの関連においてこういった問題を処理すべきです。そうだとすれば、加入電話が一体どの程度需要を満たしておるのか満たしておらないのか、そういった状態は当然把握をすべきです、認可をする前に。それで、私の質問に対してどういうふうに把握をしておるのですか。
  252. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) その点につきましては、本件の許可にあたりましては、申請者の話を聞いただけでそのほかの特別の調査、審査はしていないようでございます。したがいまして、御指摘のとおり公衆電気通信業務の一元的運営を原則とするという立場から考えますと、このような事務処理方針は将来改めさせたいと、このように私段階でございますが、考えております。
  253. 久保等

    ○久保等君 検番に電話は何本ありますか。
  254. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) いまの御質問は、に公社の加入電話が何本あるかということだと存じますが、実はうかつでございまして、これは調査いたしておりません。資料を持ち合わせておりません。
  255. 久保等

    ○久保等君 それも実は怠慢だと思うのですよ。少なくとも認可する前提として、さっき申し上げたように、どういう一体通信事情状況にあるのか。それで、できれば通信一元化なり通信の有機性からいっても電電公社の電話をできるだけ普及さしていく。しかし、なおかつどうしても穴を埋めるわけにいかない暫定的措置として、私はいわば第四条なんかの精神もそうだと思うのです。原則としては共同設置は認めないのだという趣旨もここにあると思うのです。しかしそうはいっても、やはりどうしても間に合わないときには、かようかくかくの理由のある場合に限って共同設置なり、あるいは二人以上の間に設ける有線電気通信というものの設備を認めようという考え方だと思うのです。ところが、本体のこの通信設備の状況がどうなっておるかということ事態を知らないで、ただ出てきた申請書を申請書だけとしてながめて認可をする。実にずさんと思わないですか。
  256. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 従来のこういった案件の事務処理のしかたそのものにつきましては、実は中央からあまり指導はいたしておりません。その点について相当手ぬかりがあったと考えております。
  257. 久保等

    ○久保等君 そうすると、あの地域における公社の通信事情もどうなっておるかということも十分に知らないままに、認可をしたということになるわけですね。
  258. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 本件の許可にあたりましては、その地区の公社の電話の状況はあまり調べていないようでございます。
  259. 久保等

    ○久保等君 はなはだけしからぬことだと思うのですが、ここでそれ以上言ってみても、ここのところではどうにもならないことですが、さらに検番に、この資料によってみると、この私設電話というものは二個ついているわけですね。これはまあ資料に書いてあるからそのとおりだと思うのですが、一体非常に通信がふくそうして、こういう施設が必要なんだということなら、もう少し本来私は多数の電話がつけられるのじゃないかと思うのですね。たった二個なんです。ところが二個以上つけているところはほかにもあるのですよ、この検番以外にですね。そういう点を考えると、検番が非常に何かセンターみたいなことを事実説明をされたけれども、実態というものは、そういうものじゃないのじゃないですか。したがっていま申し上げたように、加入電話もたった一本しかない。ところが加入電話にしても、この地域の人たちの中には、たくさんつけているのは三本つけているところがだいぶんある。二木の加入電話をつけているところは四十数軒にわたってあるのですよ。ところが肝心かなめの最も忙しい、最も緊密な関係があると言われるところには、加入電話は一本しかない。こういう状況を考えてみても、私はここにこういう形の有線電気通信設備というものを設置しなければならないという理由が、客観的には理解できないのです。その点どんなふうに考えますか。
  260. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 検番にこの共同設置の電気通信設備が二本と申しますのは、説明によりますと、人手の関係であるということを聞いております。もう一つは、名を検番と申しますが、祇園新地甲部組合の事務所の一つでございまして、事務所はたしか二カ所に分かれておりまして、他の一カ所には六本程度でございますが、何かついておるようでございまして、いずれにいたしましても祇園新地甲部組合の事務所としては両方合わせましてたしか八本程度だったと思いますが、電話がついていたかと思います。
  261. 久保等

    ○久保等君 それはまた何じゃないですか。設置を必要とする理由とは全然話が違う。設置を必要とする理由の中には、組合なんというものは何にも出てきません。ただ現実ついている状況からあなたはそういう説明をしていると思うが、出ている申請書の中に組合というものはどこにあるのですか。
  262. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 申請者名義に、祇園新地甲部組合の代表者名が出ております。この祇園新地甲部組合の仕事の一部が検番というのだそうでございます。それで検番と組合というのを両方同じ意味に使っている場合が多いそうでございます。
  263. 久保等

    ○久保等君 そういう何か推測めいたような説明じゃ理解できないのです。では、組合というものは具体的にどういう仕事をするところですか。具体的に説明してください、甲部組合の仕事を。
  264. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 祇園新地甲部組合の行ないます事務は、規約などによりますと、たとえば関係官庁の命令、通知の周知伝達に関する事務、祇園甲部芸妓組合との花代等の析衝に関する事務、お茶屋の開業、廃業の手続に関する事務、花代の微収に関する事務、お茶屋の加入する健康保険組合に関する事務などであります。
  265. 久保等

    ○久保等君 その組合事務所のいま説明をされた限りでの仕事の内容は、特にその組合員相互間における問題というよりも、特に官庁との関係だとか、あるいは何といいますか、対外的な問題を何か扱う組合のように考えられるのですが、そういったことは少なくとも設置を必要とする理由の中にはありませんよ。特に何かこの資料によると、八本も電話をつけているところがありますが、組合なんかは少なくともこの設置を必要とする理由の中には全然あらわれてきていない。検番はあくまで検番ですよ、検番は。事務所の中に検番がある。一部の何か部門みたいな話をしているけども、いわゆる検番は全然別ですよ。これは事実、所在する場所も全然違うでしょう、この資料を見ても。それでそれこそ何か夕方のある特定時間に非常に忙しいからという理由は、少なくともこれは検番そのものの仕事なんです。組合の問題を何かまた、こみにしたような話をして、説明のピントを、ぼかしているけれども、あくまでも何でしょう、この主体は検番そのものではないですか。
  266. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 検番は、この組合の仕事の一部であるということを申し上げただけでございまして、別にピントをはずしたとかなんとかということではございません。組合の事務の中には、申し忘れましたが、組合員の取り締まりに関することとか、組合の営業に関することとかというものが入っておりまして、それに関連して検番の仕事をやっているということを聞いております。
  267. 久保等

    ○久保等君 だから、何も組合事務所そのものについて、設置を必要とする理由の中にはあげられておらない、ここで見てもわかるように。何かそれ以外にあなた一生懸命に別に設置を必要とする理由を、あなたは書かれていない問題について一生懸命説明をしようとしているわけです。ここにはっきり検番そのものの忙しさ、その仕事の内容というものは、ここに具体的に書いてあります。そのことのために電気通信設備を設けなければならないのだと言っているでしょう。だから私がこのことでまず劈頭に確認しておいたわけです。話が途中でこんがらないように、混線しないようにお尋ねしておったのです。それを何かそれ以外に重大な設置理由があるような説明を一生懸命しておられる。だから質問していることに対して的確に答えてもらいたいと思っている。その検番そのものには、少なくとも電話は二本しかない、私設電話そのものも二本しかない。そうすると、どうも少し何か説明に困ってくると、ほかの組合の仕事の内容まであなたは言われている、検番そのものだけしかここに設置理由としてあがってきていない。だからそこのところをはっきり答えてもらいたいと思う。
  268. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) どうも御質問から少しはずれたことをお答え申し上げまして申しわけございません。実はこの設置を必要とする理由という事柄の取り扱いでございますが、これもいままでの取り扱い方でございますけれども、設置を必要とする理由は理由として、審査し、その他のいろいろな資料、資料と申しましたのは、許可申請書に添付されて提出されました資料によりまして、設置を必要とする理由を含めまして、緊密関係にあるかどうかということを認定をするという緊密関係があって、それに必要な通信であると認められれば許可しなければならない、そういう事務の運び方をしてまいりました。そういうことを申し上げたわけでございまして、設置を必要とする理由だけでものごとを左右し、許否をきめる、そういうことにはいたしておらないわけでございます。
  269. 久保等

    ○久保等君 そういう扱い方がきわめてずさんだ思う。設置を必要とする理由だけではなくて、とそのほかのいろいろな事情を勘案してきめると言って、なぜそういう解釈のしかたをするのですか。理由は理由として、明確にその理由に基づいて一体それが許可に値するかしないかということを判断すればいいじゃないですか、書かれていないほかのどういう事情で判断するか、そういう考え方でこの問題を扱っていけば、一人合点ですから、千差万別、これはでたらめになってしまう。基準というものを明確にすべきだ。その基準は何かといえば、出されてきた申請書の理由は、それは若干の口頭のいろいろ説明を聞くことはいいでしょうけれども、いずれにしても、せっかく理由を書かせるなら、ほんとうのことを書かせればいいじゃないか、それ以外の理由を判断しても——非常に含みのある解釈のしようなり、あるいはやり方によってどうにでもなるような、いいかげんなやり方は、私は絶対許されるべきじゃないと思うのですよ。その点監理官と押し問答ばかりしておってもしようがないと思いますが、大臣どんなふうに考えますか。もう少し厳正に解釈すべきだと思うのですね。
  270. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) これは、私も先ほども申した点でございますけれども、しかし、地方電波監理局の許可事務になっておるわけでありまするけれども、適正に処理いたしますためには、認定の指針なり基準なりというものを、もう少し可能な限りはっきりしたものを定めて、そしてそれによって処理するように検討する必要があろうと思います。公社電話の一元的な運用、また公社電話が今日のような状態になりましたときに、さして広く設備を認める客観的な理由もないように思いまするが、十分適当なる指針なり、基準をつくるために、郵政省として努力し検討したいと思います。
  271. 久保等

    ○久保等君 昭和三十八年の十月の十二日付けで、あの有線電気通信法が制定せられた直後に、監理官のほうから地方電波監理局長宛に通牒が出ています。その中に、認定の困難なものについては、具体的事例により本省に照会をされたいことというふうに、通牒は一応出ているようですが、  一体この通牒に対して、地方から照会されてきたような事例が今日まであるんですか。
  272. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 本省に照会してまいりましたのはぼつぼつございます。件数はいまちょっと覚えておりませんが、私がいまの仕事に携わるようになりまして二年半でございますが、大体一年に一件か二件だったように記憶いたしております。
  273. 久保等

    ○久保等君 本件は照会されてきた案件なんですか、照会されなかった案件なんですか。
  274. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) この件につきましては、照会されてきておりません。
  275. 久保等

    ○久保等君 照会されてきておらない案件についてこの場合認可をしてしまった、それに対して先ほど来きわめて常識を欠いたような説明をしたり、あるいは法律解釈をしているんですけれども、一体この案件に対して、私は結論的にお聞きしますが、一体こういうやり方が妥当だと思っているんですか、どうなんですか。
  276. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) もう少し慎重に取り扱うべきであったと考えております。いろいろ問題点がございますので、これを契機にしていろいろ考え直したいということをいま考えておりまして、具体的な措置につきましては、いま大臣がおっしゃいましたような線に沿って、事務的に検討中でございます。
  277. 久保等

    ○久保等君 大臣にお尋ねしますがね。あまりこまかく質問する時間がないので、本日のところ詳細に触れることを省略しますがね。いまちょっと結論的な話を監理官にお尋ねしたんですが、この問題を契機にひとつ検討していきたいということですが、こういった問題に対する扱い方がわれわれから言わせれば、これは明らかに不法、不当だと思う、こういうやり方は。だから、少なくとも有線電気通信法第四条第五号にいう緊密な業務関係にあるものの間の通信ということは言えないこれは事例ですね。したがって、こんなものを許可すべきじゃ絶対ない。あなた方は、いわば一種の役人根性で、やってしまったものについては、悪うございました、不法でしたと言えばいいというような気持ちがどっかにあるかもしれないけれども、これは明らかに不法であり、不当だと思う。しかし不法である、不当であるという問答をここで続けておってもしかたがないですけれども、少なくともこういったことを自今再びやるべきじゃないんですが、そのことについて、大臣の簡単なひとつ答弁をお聞きしたいと思う。
  278. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) ただいま久保さんのおっしゃいましたように、本省にこれを問い合わさせるように指示をしておりますけれども、それが励行されておらないようでございます。これは私はこの機会にこの方針を徹底いたしまして、そして指示を受けさせるようにいたしたいと思いまするし、法律そのものの、法律上の可否の検討もございまするので、公衆電気通信業務との関係を考えますると、行政指導が従来のような状況ではよろしくないと思います。実態に即しました行政指導をいたしますように方針をはっきり立てて、今後郵政省おいて措置することにいたしたいと思います。
  279. 久保等

    ○久保等君 本件に関するこれは今後の何か行政指導を十分にひとつやっていきたいというだけの話なんですが、一体本件に対しての判断というものは、どういうふうにお考えなのか、私はお尋ねしたいのはその趣旨なんです。不法であったとか何とかいうことについて、大臣が不法でございましたというのも答弁しにくいかと思いますが、少くとも適切でなかったということだけは、大臣としての最低の判断として持たなきゃならぬと思うのですが、どうなんですか。
  280. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 法律的に見ましての意見は、政府委員のほうからいろいろ申し上げておったところでありまするが、政策的といいますか、行政的といいますか、私はさしてどの程度必要性があったであろうかという感覚を私は持ちます。したがいまして、少しお尋ねに対して先走っているお答えになるかもしれませんが、本件の将来の措置につきましては、設備者の意に反することをできるわけでもございませんけれども、可及的に将来の行政としましても、また政策的な扱いとしましても、何らかの措置をとれるものならとり得るように検討さしていただきたいと思います。しばらく時間を与えていたただきたいと思います。
  281. 久保等

    ○久保等君 いまの問題は、本件に関する問題を含めてですね。
  282. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) 特に御指摘もございましたように、本件につきまして早急に取り上げてものを考えてみたいと思います。お答えを申しておりますところを私が聞いておりましても、少し実態についての把握というのが足りないようでございます。実態をさらに把握させまして、措置を考えさせていただきたいと思います。
  283. 久保等

    ○久保等君 そのことについても、大臣にひとつ私は注意しておきたいと思うのだけれども、実に怠慢ですよ。私この前質問して、あなた方御存じないと言うから、知らないものを追及しても始まらぬからやめたんですが、すでに一カ月半たっているんですよ。一カ月半たっていまだに監理官そのものが実態を知らない。地方の近畿電波監理局長も、少なくともあの問題がこの逓信委員会で取り上げられてから直ちに調査をし、積極的に取り組んでいろいろ研究したという形跡もないようです。これはまことにけしからぬと思うんですよ。われわれも、しかも単なるこの一事例をつかまえてすべての問題を議論しているのじゃなくて、日本の電気通信政策の基本に触れる問題が、たまたまこういう一つの事例として出てきたところに、私は重大視をしている。したがって、この問題について近畿電波監理局長が真剣に取り組んで善後措置を考えるべきだと思うが、ここ二、三日前あたりの状況では、何らやっておりません。これは私は厳重に警告しておきたいと思う。そういう問題が提起されても、人手もないし、どうにもならない、なるようにしかならぬですよという態度ですよ。そこで、私は大臣に注文しておきたいのは、法律的にそういう疑義が生ずるような点があるならば、法そのものを、やはり日本の通信政策に混乱を招かないようにするために、改正についてもひとつ検討願いたい。それが一つと、もう一つは、行政組織の面がいまのような状態では、これは通信政策を一元的に、しかも長期の見通しを持ったやはりしっかりした通信政策といったものは立てられないと思う。一例をあげれば、具体的な例を言えば、私は、電気通信省といったようなものを一省設けて、日本電波行政あるいは有線電気通信政策に関する問題について一元的にそこで行政を扱っていく。そういうふうにまでしなければ、いまのような電波行政あるいは有線電気通信行政というものは救われないと思う。要するに片手間でやっている。悪いことばで言えば、こういう問題については本省は電波監理局長が主管するのじゃなくて、電気通信監理官が主管する、地方は電波監理局長がこれを主管しているというような、何か竹に木をついだような非常に一貫性のない、しかもまた、地方電波監理局長でこの問題と真剣に取り組むような体制にあるかというと、これはまた片手間なんです、はっきり言って。午前中問題になっている十二チャンネルの問題にしても、これは私はもう少し権威のある電波行政をやってもらいたいのですよ。あれは初めから赤字が出ることはわかっていますよ。ああいう要するにきわめてだらしのない経営をやっていて、一年間にとにかく十二億も十三億も赤字の出るような一体会社——特殊法人ですが、特殊法人にああいうテレビ事業をやらせる、これなんかも、もう少し権威を持って私は電波監理局長のところで考えられるなりしなければならぬと思うのですよ。電波監理局長のところというのは、言い方がまずいと思いますが、要するに私はだからそういう意味からも、電気通信省なり一省を設けたところで、電波行政なり有線電気通信行政をやっていくというしっかりした行政組織を確立しない限り、問題が次々出てくると思うのです。先ほどもちょっと触れましたけれども、ほかにもこういう問題がたくさんある、さっきの監理官の説明によると。ところが、こういう実態を知っているかというと、実態がわからないというのですからね、大臣調査していま資料を取り寄せているというので、本省じゃあっち向いているか、こっち向いているか、資料がないというのですから、こういう状態は放置できない問題だと思うのです。したがって立法上の問題、それから行政組織上の問題、これについても根本的に検討する必要があるのじゃないかと思うのです。これはたまたま一つの今回のこの事例を私はきっかけにしてぜひそういう方向努力してもらいたいと思うのですが、大臣どういう御所見ですか。
  284. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) おっしゃるとおりでござ  いまして、法律上の検討は当然いたしまするし、増大し、複雑化する行政に対しまして、電気通信全体にわたって中央、地方を通じた行政機構並びに要員の配置等については、十分改める必要のあることは私も痛感しております。その方向でものを進めてまいりたいと思います。
  285. 久保等

    ○久保等君 それで大臣、おそらく二年も、三年も今後大臣をやられるように期待いたしますが、しかし残念ながらそうもいかない場合があるかもしらないから、ここでひとつ杞憂に過ぎるかもしらぬけれども、特にこの問題については、大臣のこの場限りの答弁ということでなくて、私はぜひ郡さんの手元でいま私が要望したようなことが実現するとも、ちょっと考えられない問題だと思うのです、非常に大きな問題ですから。したがって、今後の大臣にもひとつ次々と十分に、もし実現をしない場合には、引き継ぎにすることを念のために申し上げておきたいのです。それから同時に、先ほどちょっと資料で出してもらうように要望しておきましたけれども、こういった事例はたくさんあって、先例にのっとってこの問題は扱ったと言っておられるのですが、私はしたがって一体実態がどうなっておるのか、これをある程度何年計画になるかしらぬけれども、計画を立ててひとつ実態を洗ってもらいたいと思うのです、どうなっておるのか、認可をしてしまった、その後どうしてどうなっておるか全然わからないというようなことは、実に怠慢だと思うのです。今後そういったことについては、ぜひひとつ計画的に御調査願いたい。それで、いま申し上げたような方向で既設のものについてもひとつ整理をしていく、整理というのは、何かわけがわからぬようになったものをきちっと整理していく。ひとつ大臣の答弁を聞いて、私の質問を終わります。
  286. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) よく承りまして、御趣旨に沿うようにいたします。
  287. 鈴木強

    鈴木強君 二つあるのですが、一つは簡単ですが、NETから教育放送のワクをはずしてくれという申請が出ていますね。ただし、教育放送をやめるという意味ではないんだが、七五%のワクをはずしてくれと、その申請一つ、それから民放二十五社ですね、ここから相互乗り入れについての申請が出ておるはずですね。その二つに対しては、郵政省はどういう態度をとっておられるか、まずこれを伺っておきたい。
  288. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) お答え申し上げます。  第一のNET問題につきましては、新しい放送法ともいろいろ関係ございますが、その上でいま御指摘のありましたような点を十分考えて対処していきたいと思います。  それから第二の相互乗り入れの問題でございますけれども、おそらく相互乗り入れに関連した問題だと思いますけれども、この問題につきましては、新しい放送法におきましては、事業区域というものを設定いたしますので、その事業区域というものの中に、現在のような二つの地区というものが包含される場合におきましては、事実上の相互乗り入れというようなことが実現するかもしれませんけれども、字句の上におきましての新しい事業区域下における相互乗り入れということは考えておりません。
  289. 鈴木強

    鈴木強君 そうすると、前著の点は放送の改正待ち、それから後者については、これもまた放送法の待ちですね、その前に手を加えるということはない、こう理解してよろしゅうございますね。
  290. 上田弘之

    政府委員(上田弘之君) そのとおりでございます。
  291. 鈴木強

    鈴木強君 それからこれは懸案の問題でして、前回の委員会で私が質問をした山梨県の韮崎市の農協のうち、甘利事業所というところの有線放送電話の電話線の配線を終わって、受話器まですでに入れて、接続をすればいいところまでいったのだが、それに対して待ったがかかった、こういう質問をいたして実情の調査をお願いしておきましたが、その後それに対する調査は進みましたでしょうか、進んでおりましたら、ひとつどういういきさつか、まず伺いたいと思います。
  292. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 先般御質問がございました山梨県韮崎市の有線放送電話につきまして概略の経過を申し上げたいと思います。  韮崎市内にはもと十二の農協がございましたが、昨年の五月に十農協が合併いたしまして、新しく韮崎市農業協同組合を設立したわけでございます。なお合併いたしませんでした二農協のうち、問題は旭農協だと思いますが、旭農協と、韮崎農協に合併いたしました甘利農協とは、従前から事業区域が完全に同じであるという非常に特異な例でございました。そこで一方旭農協には有線放送電話が前からございましたが、甘利農協にはございませんで、新しく合併してできました韮崎市農業協同組合のほうでは、甘利のほうとその隣の大草と竜岡、この三旧農協、現在の韮崎市農協三事業所を単位とした有線放送電話の施設を新しくつくりたいということで、四十年の八月ごろに関東電波監理局に申請しております。それに対しまして、関東電波監理局では昨年の十一月二十六日に、業務区域の点では支障ないと認められるけれども、問題の旭農協と十分話し合いを行なってほしいと回答いたしております。関東電波監理局といたしましては、地元の調整が十分できるように指導もいたしましたし、それができそうだということで、その後の手続を若干進めてまいりました。それで昨年の十二月二十日に韮崎市農協から、甘利と竜岡と大草を業務区域とする有線放送電話の申請書が提出されておりますが、書類不備のために補正させまして、ことしの一月二十日に正式に受理いたしました。  なおこれに対しまして、関東電波監理局の期待に反しまして、旭農協のほうでは承知いたしておりませんで、二月九日に旭農協から韮崎市農協を相手としまして、有線放送電話施設撤去請求の訴えというのを、甲府地方裁判所に提出いたしております。請求の趣旨といたしましては、被告は韮崎市旭町地域内において有線放送電話施設工事をしてはならない、すでになした工事——電柱、電線を撤去せよ、そういうことでございまして、請求の原因といたしましては、主として申しておりますことは、業務区域の競合するようなものをつくるのは禁じられている。その趣旨は有線放送加入者の争奪が行なわれたり、またその運営上の混乱を招くおそれも生ずるものであるからと解する。そういう理由に基づきまして、韮崎市農協が、旭農協の地区内に郵政大臣の許可を受けないで有線放送電話施設工事を始めたのは違法である。こういうことで撤去を請求する訴訟を出しております。それにつきましては、いままでたしか二回ばかり口頭弁論が開かれまして、まだ訴訟係属中でございます。  なお工事につきましては、実は二月の六日でございますが、韮崎市農協から、許可前の工事着工願いというのが出ておりまして、これはあの辺は養蚕地帯だそうでございまして、四月中旬には桑の芽が出て非常にこれが大事な農産物でありますために、そのころに工事をすると非常に産業に弊害を及ぼすということで、電柱工事だけは先にやらしてほしいという願いを出しておりまして、それに対しまして、関東電波監理局は、口頭で了解を与えております。それによって若干の機材の搬入なり、あるいは電柱を建てるための穴掘り作業等が行なわれてきたのだろうと思いますが、なお一方、この三地区に対して有線放送電話施設を設置したいという請求が出たということは申し上げましたが、その後地元の構想が変わりまして、もっと範囲を広くいたしまして、釜無川以西の全地区を対象といたしました有線放送電話施設をつくりたいということで、三月二十五日に許可申請が出ております。これに対しましては、いろいろ地元に問題がございますので、許可手続を保留させております。  概留以上申し上げたような経過でございます。
  293. 鈴木強

    鈴木強君 これも行政のどっか足りないところがあると思うのですよ。われわれが調査をした結果によると、地元側は、少なくとも電波監理局、郵政省認可したという判断をしておるわけですね。ところが法律のたてまえははっきりしていると思います。現在ある旭農協ですね。そこには有線放送電話があるわけですから、そこにもう一つつけたいといっても、そういうものは認められない、はっきりしていると思います。そういう点があれば、申請があった場合にこれはだめです、そこを除外してください。こういうふうにならざるを得ないと思うのだが、どうもその辺の指導が足りないように思うのです。ですから、監理局のほうでは、地元の解釈は、これは誤りだと、こう言うかもしれませんが、地元は仮認可を受けたのだ、こういう立場に立って工事を始めたのです。二千四百三十万円、そして始めたところが、旭農協のほうからおかしいじゃないかというので、訴訟が起きた。どうも恥ずべきこれは事件だと思います。まず同一地区に二つのものがあった場合には、これは許さぬという指導はしているでしょう。行政指導、法律解釈上の指導はしているでしょう。どうですかその点。
  294. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 有線放送電話の業務区域が同一地域で競合することにつきましては、法律上は直接にこれを禁止する規定はございませんが、ただ有線放送電話に関する法律第四条に許可の基準が定められておりますが、その第六号に「その業務を行うことが公益上必要であり、かつ、適切であること。」こういう定めがあります。公益上適切であるというのに若干ひっかかるのではないか、そういうふうに考えております。なお地方に対する指導といたしましては、もうすでに昭和三十二年でございますか、当該業務区域が他の業務区域と大部分重複する場合は、原則としてこれに、つまりいま申し上げました第六号でございますが、これに該当しないものと考えられるが、実情に応じて適切に運用することと言っております。業務区域の競合は、必ずいけないとは申しておりませんが、公益上適切でないと考えられる場合が多いから、慎重に実情をよく考えた上で処置せよという意味の指導はすでにしております。  ところで、いま御指摘のございました仮認可ということでございますが、これは陳情に対しましていろいろ検討いたしております。それに対しましては、業務区域の点では差しつかえないという回答になっております。なおそのほかの事項については許可申請書が出てから検討する。それから地元の紛争につきましては、旭農協と十分話し合えと、そういうことをつけ加えておりますけれども、業務区域については支障ないというふうな表現が、仮認可と地元で言われておりますような誤解を生んだというように考えられますので、この表現をもう少し考えるべきでなかったかと思っております。  なお地元の調整が十分できるように指導もし、期待もしてまいりまして、関東電波監理局は処置いたしましたが、その辺の見通しを十分つけず、また地元の情勢をほんとうに慎重に考えないである程度手続を進め指導を進めていったということに対しまして、若干の問題があるのではないかと考えております。
  295. 鈴木強

    鈴木強君 皆さんのほうは、一たんやりますとメンツになっちゃって、まずい指導をしても、それがまずかったんでないように、どこからかその法律解釈を持ってきてやっておる。これは非常にやはり官僚の悪いくせです。これはそうでなくて、実情に合うか合わないか、またその事業区域というものが、公益上どうかこうかという解釈があるでしょう。しかし一つあるところにまた一つのものを引くということになれば、これは何かそこに紛争があるわけですよ。同じ部落だ。そういうことがある場合に、もう少し実情調査をすべきであるにもかかわらず、事業区域がよろしいというような、しかも文書でもって回答するなんというのは、もってのほかですよ。これは非常に軽率じゃないですか。そういうことは、それはあなたのほうに対して相談をしてやったのか。それとも監理局のほうでかってにきめたのか。それはもう少し実態に即してものを判断し、そこに指導の誤りがあったら直してもらいたいと思うのですよ。いまもっと端的に聞くならば、あなたは旭農協がありますね、あそこが甘利という名前に変えて同じところに二つの有線放送電話をつけようとするものに対して、あなたは認可をするんですか、これは。
  296. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 地元の調整ができますまで、許可を保留するように、関東電波監理局のほうに指示をいたしております。したがいまして、地元の調整がどういう形ででき上がるかどうか、まだいまのところ予測はできませんが、何らかの形で一本にならなければ、許可手続を進めないほうがよろしいと思っております。
  297. 鈴木強

    鈴木強君 そうでしょう。だからその点ははっきりしておるわけだ。やったことが間違いなんだ。そうでしょう。そんなことをやったのは、いままで行政指導的に、しかも文書でやったのだ、御丁寧にね。こんなことは行き過ぎですよ。それはあなたはさっそく注意して、それは間違いでしたと。地元の方に対しても非常に軽率でしたということを言うべきですよ。そうしてこういうものはやはり話し合いをして、じゃあよろしいと、農協に合併して一木になってやりましょうということになって、いまあるやつをどうするか。そしてけんかにならんようにやるべきだ。そんなことを許可するものだから、争いの下地をむしろつくって、裁判ざたにまでなったんじゃないですか。これはひとつ私ははっきりしましたから、調整がつくまではやらないと。その調整というのは地元でどういうふうになるかしらんが、いずれにしても、いまあの一つあるところに二つやるということについては、これは断じてやらないと、これははっきりしておいてくださいよ、これは政務次官。行政当局はどうしても自分でやったことは悪いと言わぬ。あなたは政治家なんだから、端的にそういう点でやはり間違いは間違いとして正していただいて、そうして正しい指導をやるようにしていただかないと、二度三度こういう問題が裁判ざたになったらかなわないですよ。われわれの精神というものが曲げられて解釈しておるんですからね。そういうことをしたのは処分くらいしてもいいのだよ、そういうかってなことをやったのは。もう少し厳重な態度で下部指導をやらなければいかんのですよ。みんなこういうことが下部にまかされておる。それは行政委任をしているのかもしれませんけれども、もう少しシビアに指導してもらいたいと思う。これは政務次官からひとつ。
  298. 亀岡高夫

    政府委員(亀岡高夫君) 私自身も政務次官を間もなく一年になるわけでありますけれども経験いたしまして、鈴木委員と同じような感をいろいろな面で深くいたし、特に今日までとにかく行政は国民のためのものだという立場から、慎重に実行していくべきであるという点を、本省はもちろんでございますけれども、各郵政局を回りましてやってまいっております。御指摘のような点、まことに配慮が足りなかったと率直に私自身は認めたいと思います。特に農家に過重な負担をかけさせる結果になりますし、また一つの地域に二農協があるという、農村にとっては非常にまあ特殊な地域でもありますので、そういう地域に対してあたかも合法的なような行政指導をしたということは、配慮の足りなかった点、これは率直に認めてしかるべきものと私は考える次第でございますが、仰せの点、十二分に考慮いたしまして対処したいと、こう思う次第でございます。
  299. 鈴木強

    鈴木強君 わかりました。政務次官のお答えでいいと思いますが、ひとつもう一回畠山監理官にぼくは伺いたいわけですが、あなたは部下のやったことだから、できるだけカバーしてやろうということはわかりますけれどもね、しかし、甘やかしてはいけないのですよ。だからぼくはあなたにも言うのだけれども、こういう指導というものは、いろいろ複雑な条件があると思いますよ、それは。いろいろ地域のことだから仲介する人もあるでしょうし、わかりますけれども、仲介する人も、仕事をわからぬくせにできるがごときことを振り回すものだから、これに乗っかっていくようなことを政治的にやるのですよ。これは間違いですよ。だから仕事が、できないことをやれというのは、これは違法行為なんだから、いうならばこれはできないことなんです。政治的に考えたって、これはひとつ頼まれれば、それではいやそれは君、農協合併を促進しているときなんだから、早くそれをやりなさい、それをやった上で話し合いをつけてやるのが筋だというのがあたりまえ。それを、あいつは言うことを聞かないからかまわない、言うならば村八分にしようとする、ほかのことをやって押しつけようとすることがこういうところに出てきている。ですからあなたは、関東電波監理局のどこの課長か係長か知りませんが、局か知りませんが、そこに対して厳重にそれを注意しましたか、こういう指導はまずかったのじゃないか、もう少し慎重にやるべきじゃないか、こんな紛争を起こしてまずいじゃないかということは言ったのですか。そして、それに対して監理局のほうでは、あなたが言っているように、法律上はそういうことはないのだ、基準がこうあるけれども、その基準に立って解釈すればいいのだというふうにへ理屈をつけて、そうしてやろうとするようなことがあるのか、そこいらをやっぱり聞いておきたいのです。そして、断じてこれは認可してもらっちゃ困る、市長だとかいろいろ動きがあるようです。かってにやったことだから、あなたのほうの指導の悪かった点は、これは率直に地元にあやまりなさい。たいへん悪い指導をしましたということを。そして、これはできませんというように、ひとつはっきりしておいてもらいたい、これはどうですか。
  300. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) この件につきましては、先生から前に、参議院の予算の分科会だったと思いますが、そのときに御質問がありましたあと、所管の部長を呼びましていろいろ事情を聞くとともに、そのときに聞きまして、少し落ち度があると思いまして注意いたしました。あわせて認可処分は保留するように指示いたしました。なお、特に先生御指摘のございましたような、仮認可と地元で考えられるような書類を出したということについては、非常に軽率だったと私も考えております。その他にもいろいろ事務的な手落ちはあったように思われますけれども、いずれも担当の部長に注意いたしております。
  301. 鈴木強

    鈴木強君 これは資料ですが、ITUの会議がございまして、郵政省からも御出席になるようですが、時間が、もう委員長急いでいますからこれでやめますから、次にまたやりますから、一応資料をお願いしておきますが、今度の会議のおもな議題ですね、それからそれに対する日本政府の態度、それから、この会議で放送衛星あるいは宇宙通信ですね、こういったものがどう論じられるか。あるいは東南アジアを含めた海底ケーブルですね、先般経済開発閣僚会議ですか、ありましたね、それで郡郵政大臣日本政府の立場から促進政策を述べておられますが、そういったものはITUの会議で議題になるのかどうなのか。それからもう一つは、カラーテレビのNTSCというアメリカ方式を日本は採用しているのですが、ヨーロッパの国々も非常にピッチを上げて規格基準について検討を始めたようです。したがって、国際的なカラーテレビの基準というものは一体どうなるか、懸案ですからね、前からの会議の。ですから、これらはどういうふうになっているのか、これに対してさっき言った日本政府の態度はどうなっているか、これらをひとつ一括して資料として出してくれませんか。次の二十一日の日に時間があるようですから、質問したいと思いますから、それだけお願いしておきます。
  302. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) ITUの会議で、近く開催されますのは五月に行なわれます管理理事会と六月に行なわれますCCIRの総会でございますが、それの双方でございましょうか。
  303. 鈴木強

    鈴木強君 そうです、両方です。
  304. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) それじゃ、両方について資料を……。
  305. 田中一

    委員長田中一君) 他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度といたします。  次回の委員会は公報をもってお知らせいたします。本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十七分散会