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1966-03-01 第51回国会 参議院 逓信委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月一日(火曜日)    午前十時五十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中  一君     理 事                 植竹 春彦君                 新谷寅三郎君                 西村 尚治君                 光村 甚助君     委 員                 小沢久太郎君                 白井  勇君                 寺尾  豊君                 谷村 貞治君                 久保  等君                 鈴木  強君                 横川 正市君                 田代冨士男君                 石本  茂君                 鈴木 市藏君    国務大臣        郵 政 大 臣  郡  祐一君    政府委員        郵政大臣官房長  鶴岡  寛君        郵政省電気通信        監理官      畠山 一郎君        郵政省電気通信        監理官      野口 謙也君        郵政省郵務局長  長田 裕二君        郵政省電波監理        局長       上田 弘之君    事務局側        常任委員会専門        員        倉沢 岩雄君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米沢  滋君        日本電信電話公        社副総裁     秋草 篤二君        日本電信電話公        社営業局長    武田 輝雄君        日本電信電話公        社施設局長    北原 安定君        日本電信電話公        社経理局長    中山 公平君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査郵政省所管事項に関する件)  (日本電信電話公社事業概況に関する件)     —————————————
  2. 田中一

    委員長田中一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  まず、委員長及び理事打合会協議事項について御報告いたします。  本日の委員会においては、郵政省所管事項に関する件及び日本電信電話公社事業概況に関する件について、郵政省並び日本電信電話公社に対し、質疑を行なうこととなりましたので、御了承願います。  なお、本日の予定としては、十二時過ぎまで続行し、残余の質疑は次回に譲ることにいたします。     —————————————
  3. 田中一

    委員長田中一君) これより議事に入ります。  郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  4. 鈴木強

    鈴木強君 最初に大臣に伺いたいのですが、前々回の委員会で、放送法改正についてすでに要綱がきまっておって、法制局目下作業の進行のために努力中である、こういう御回答がございました。それで、それなら、その要綱をぜひ出していただきたい、こういうふうにお願いしておいたのでございますが、その後、一向出してくれませんが、どういうわけですか。
  5. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 委員長からもお話がございましたし、また、鈴木委員からもお話がございまして、申し上げたように、重要な点をあげたものの用意はあるのでございますが、その際にも申し上げましたように、法制局を督励いたしまして早く固いものをこしらえたい、そしてお目にかけたい、そのほうの作業をいたしておりまして、そのためにおくれていることをおわび申し上げますが、政府といたしましては、可及的正確なものを、という考えのためにおくれておりますことをお許し願いたいと思います。
  6. 鈴木強

    鈴木強君 そうしますと、普通、法律案改正する場合には、要綱がきまりますね。それはわれわれも見せていただくわけですね。そうして、その要綱に基づいて法制局との立法上の表現その他についての打ち合わせをやっていく、こういうことですから、それはもう技術的な問題じゃないかと思うのですね。問題は、その要綱そのものがきまっておらぬのじゃないかという気が私はするのです。まあ秋田電波放送小委員長おかわりになって、あなたの与党内部におけるいろいろな意見調整がまだ残っているようにも聞くわけですよ。ですから、私あのときにも申し上げたように、そういう点があったにしても、三月の上旬——もうきょうは一日でございますから、そうしますと、NHK予算その他郵便法改正等ありますから、できるだけ放送法を早く出してもらいたい、国会のほうも考えてもらいたい、こういうことを要請をしているのですね。特に前大臣が出すと言っておきながら出せなかったという経過もありますから、そこでもうここまで来ますと、かりに与党内部においていろいろ意見が違ったとしても、ある程度の結論を出して決断をしておく必要があるのじゃないでしょうか。それはもう大臣のお考えにあると思いますがね。もちろん、民主政治をやる場合には与党意見を十分尊重していかなければなりません。ですから、そういう点がもしあるならば、与党内部意見を早くまとめていただくようにして、いずれにしても早く出していただきませんと、ちょっとわれわれも審議の段取りからして心配なものですから、私は重ねてこう言っているのですけれども、たいへん恐縮でございますけれども、ひとつ最終的な決断をする段階に来たら決断をして、そして早う出すようにしていただきたいと思いますがね。もう、ちっともいつ出すかわからないのです。十日までには出せますか。十日までにはどうでしょう。
  7. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 仰せのとおり、与党内部でも極力急いでおりますし、また、社会党の御意向もすでに十分承っていることでございます。したがいまして、鈴木さんのおっしゃるように、私の責任できめるべきものはきめまして、そして、昨日も法制局に念を押したのでございます。今週中には何といたしましても固いもの——鈴木さんのお察しもつきますように放送法電波法、ああいう種類法律でございますから、ちょっと法律でそれを書くのにはなじまない行政上の行為じゃなかろうかという点はございますけれども、最後の煮詰まりをいたしましたので、好意を持った御督励をいただいている点よくわかりまして、ほんとうに早く提案いたしまして、そして御審議をいただくことを、おことばのとおり果たしたいと思います。そのようにいたします。
  8. 鈴木強

    鈴木強君 これはぜひ掛け値なしの早期提出をお願いをしておきます。  それから、きょうは前回の質問の継続ですから、電電公社のほうにお尋ねしたいと思っておりますが、その前にひとつ郵便問題で大臣の御所見を承っておきたいのですが、実は、きのうの毎日新聞を拝見いたしますと、今度の郵便料金値上げに伴って、第五種郵便物が廃止になるわけですね。したがって、それは第一種のほうに吸収をされていくということになりまして、身体障害者の諸君が親睦のために発行している機関誌ですね、これが相当に値上げになっていく、こういう記事を見ました。この記事の中に、新料金が、いままで四十円で発送できたも一のが一ぺんに百円になる、こういうのがありますが、これは私いろいろ調べてみたのですが、ちょっと表現が悪いのでして、五十グラムまで二十五円ですか、それからあと五十グラム増すごとに十円ですから、これは五十五円になるのじゃないかと思いますね。かりに百七十グラムという雑誌がありますとすれば五十五円になる。そこで、料金改正の歴史を見てみると、二十六年の改正で、当時第四種郵便物であった印刷物とか、業務用書類というものが第五種に移ってきたわけですね。そして、比較的安いといいますか、当時の第四種と比べると、幾らか安い程度料金に変わったのじゃないかと思います。今度、第五種をなくす場合に、当時盲人用のやつは、第四種に残っておった、第五種にいかないで。そういう身体障害者の立場を考えて、盲人点字その他の問題は手をつけなかったのじゃないかと思いますね。その当時、問題は、身障者政府がどういうふうに受けとめて、できるだけやっていこうということにあると思うのですよ。技術的にいろいろむずかしい面もあろうかと思いますが、何とかこの問題は再検討してやる必要があるのじゃないだろうか、こう思うのです。幸い、小包郵便料金なんかの決定は政令できめられることになっておりますね、これは。ですから、そういうときに、何かそういう配慮をするか、いずれにしても、検討するようなことが願えませんでしょうか。私はこまかいことは、ここで質問いたしませんから、そういうことの、この新聞を読んで非常に感じましたことですから、日本政府身体障害者に対する施策というものを、どれだけ現実にやってくれるかという証拠になると思うのですね。これは厚生省のほうでもいろいろ力を入れているようですが、特に、私は前に新聞に出ておった米国の身体障害者の方が、自分の力で日本身体障害者のために会社をつくって、そして、ともに苦しみを分かち合おうという、奇特な記事の出ているのを見まして、異国の人でも、これだけ日本肢体不自由者に対してあたたかい配慮をしてくれているわけですから、日本政府が、もう少し積極的な施策をしてよかろう、もちろん、郵政省にそういったしわ寄せを料金上かぶせるということは、いろいろ問題があると思います、郵政事業に。だから、むしろ、国の施策としてそういうものは何かの手当てをしてやって、郵便料金値上げ程度はめんどうを見るようなこともやらなければならぬと思います。ですから、郵政省だけに強くそのことをやれと言っても、私は無理があると思います。あると思いますから、総合的にそういう点も配慮していただいて、政府全体として、けなげなといいますか、こういった希望を満たしてやるようにしていただきたいと、こう思うのですから、その点を大臣に伺っておきたい。
  9. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も鈴木委員のおっしゃるとおりだと思います。  第一の、昨日のある新聞に掲載されており、同じ新聞にきょう記事で訂正いたされておりますが、これは明らかに、鈴木委員が御指摘のとおり、誤解でございまして、それほど激しい値上げにはなっておりません。むしろ、五種を廃止して一種に統合して、しかも、値上げをできる限り低くしようということは、これは私、必要なことと思いまするが、ただ、その後、私のところにいろいろな方面から注意をしていただきました。まだ郵政省PRのしかたがまずいのじゃないかと。私はそれにお答えして、現に法律国会に提出しておるので、あまりPRもこまかい点についてするのを少しく遠慮しているかもしれないと。けれどもどうもはっきりわからない、この前幾らになったのか、今度は幾らになるのか、自分のところがわからぬと。これは宗教関係印刷物発行しておられるところからの御注意もございまして、したがいまして、今度のようなものは全く誤解で、ああいう四十円のものが百円になったりするはずはないのでございますから、その点については、十分私のほうも改正案の徹底をはかろうと思います。  これも鈴木委員いま御指摘になりました小包の点でございますが、二百五十グラムまで五十円の、大体これ見ておりますと、二百五十グラムというのが、こう出されます印刷物の、一つ書籍なり相互のつながりをつけるような印刷物についての単位でありまするようで、したがいまして、書籍小包全国一律に、従来のような区域を分けませず、全国一律に二百五十グラム五十円といたしまするならば、これは政令できめることでございます。かなり御便宜がはかれるのじゃないだろうか。そういう意味合いで、私ども鈴木委員の御指摘のように、何と申しましても、印刷物でコミュニケーションをはかることは、これは文化国家としても必要なことであり、そういう意味合いで、できる限り便宜をはかってまいりたい。ただ、二百五十グラム五十円というようなことを政令書籍小包考えますときに、さらにそれをあまり小さく種類を区切りますと、事務のほうがほとんど繁雑にたえないところがございますので、そういう点は一つの区切りをつけながらいたしてまいりたいと思います。  それから身障者に対する受けとめ方は、これは政治全体としてどうしても受けとめなければ相ならぬことだと思います。したがいまして、私、お年玉つき年賀はがき寄付金ども、次第に結核等が減ってまいりました今日、重点はむしろ身障者というふうに振り向けていくべきではないだろうか。ただ、盲人用点字のように、条約でもきまっており、また、きわめてはっきりしておりますものと、身障者機関誌というようなことになりますると、ちょっと扱いが違ってまいりまするし、盲人用点字につきましても、条約もあることでございます。したがいまして、郵便物の中でこれは身障者がお出しになったのかどうかということを一々見るというようなやり方がなかなかむずかしい点がございますが、むしろ、政治全体として身障者をあたたかく受けとめる、それに対応する行政というものは郵政行政のほうでも今後も十分あとう限り取り入れてまいりたいと、このように考えます。
  10. 光村甚助

    光村甚助君 関連。ただいまの身障者書籍ですね。これを現在の値段に据え置いたら幾ら減収になるんですか。また、いずれ、これは詳しいことは法案が出たときにお聞きしますが、現在据え置いたのと、あなたの考えている値上げの分とを差し引きずると、幾らぐらいの減収になるのですか。
  11. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 新聞に出ました例は、百七十グラムのものでございます。現在は四十円、新聞にもこれも出ておりましたが、それが今度の通常郵便物料金では五十五円。書籍小包につきましては、大臣が申し上げましたように、五十円ということになるわけでございます。  身体障害者機関誌の部数は、私いまはっきりつかんでおりませんので、金額につきましては、はっきり申し上げかねます。
  12. 光村甚助

    光村甚助君 またあとで、この審査のときにその資料を出してください。
  13. 鈴木強

    鈴木強君 私はきょうはあれですから、法律的なこのことについての質問はやめます。ただ、大臣考え方を伺ったんですが、大臣としても、私の意見にも賛成のようですから、どういう方法にしても、この改正について、これらの方々に安心のいくような措置をしていただくようにお願いしておきます。いずれ、これはまた改正のときにやります。  それから電電公社に伺いますが、現在まで電電公社発行いたしました電電債ですね、これのトータルはどうなっておりますでしょうか。これは加入者債券、一般の公募債外債と、こう分けて。
  14. 中山公平

    説明員中山公平君) お答え申し上げます。  加入者債券でございますが、三十九年度末で五千八百三十八億円発行されております。公募債は七百七十八億円発行されております。縁故債が百八十二億円、外貨債が邦貨に換算いたしまして二百十億円発行されておりまして、合計いたしまして七千八億円発行されております。
  15. 鈴木強

    鈴木強君 そのうち、現在償還をした額ですね、すなわち、未償還の額でもけっこうなんですが、それの内訳をお伺いしたいのです。
  16. 中山公平

    説明員中山公平君) お答えいたします。  加入者債券では三十九年度末までに三百二十三億円が償還されております。したがいまして、加入者債の現在三十九年度残高は五千五百十五億になるわけでございます。それから公募債で三百十二億円償還されておりますので、残高は四百六十六億円になります。縁故債償還がまだなされておりません。外貨債は十三億円償還されておりまして、残高は百九十七億円になります。償還の合計は六百四十八億円に相なりまして、三十九年度末の残高は、先ほどの発行総額七千八億円からこの額を差し引きまして六千三百六十億円、こういうことに相なります。
  17. 鈴木強

    鈴木強君 四十年度予算総則承認を与えておりまして、外債発行が認められておりますが、それは最近の情報によりますと、登録を済ましたのでございますか。で、いまどういうふうな経過になっておりますか。簡単でいいのです。
  18. 中山公平

    説明員中山公平君) 外債発行につきましては、二月の十七日、アメリカ時間でございますが、証券取引委員会登録届け出をいたしました。それで、通常届け出がございますと、証券取引委員会におきまして、二十日間ぐらいの間に審査をいたしまして、それで登録が有効になる、こういうふうな手続に相なりますので、現在、公社といたしましては、現地大蔵省代表とともに、発行条件等についての交渉を始める準備をいたしておる、こういう段階でございます。
  19. 鈴木強

    鈴木強君 昨年で、たしか約二千万円でしたかね、発行になりましたが、三十九年度は……。
  20. 中山公平

    説明員中山公平君) 四十年の四月に発行いたしましたのが二千二百五十万ドルでございまして、八十一億円ということになるわけでございます。これは予算的には、三十九年度政府保証債の分が七十二億円、四十年度政府保証債の分が九億円、こういう経理をいたしております。
  21. 鈴木強

    鈴木強君 これは三十九年度承認をされた分が四十年度には実際には発行されたわけですが、年度を越すのですが、その際、たしか当時、経理局長向こうに行かれましたね。今度は交渉を開始するというのですが、だれが行くのですか、向こう公社から。
  22. 中山公平

    説明員中山公平君) 債券課長その他二名の者、先日行広総務理事向こうに参りました。
  23. 鈴木強

    鈴木強君 向こうに行っている方々から何か連絡があって、それで、そこで特にわれわれに報告をしていただけることはないのですか。まだ折衝に入っておらないわけですか、折衝に入ってどういうところまでやったのか、わかりませんか。
  24. 中山公平

    説明員中山公平君) 二月の十七日にファイルを済ませて、翌日の金曜日、土、日になるものですから、ファイルと同時に、アンダーライターのほうでは公社関係資料投資家のほうに配布をいたした模様でございますが、まだ投資家のこれに対する反応というものが、時間の関係で的確には出ておらない段階でございまして、いましばらく条件折衝に入るのは時間がかかるように私どもは観測いたしております。
  25. 鈴木強

    鈴木強君 われわれが心配するのは、平衡税免除になるかどうかというような点もあるわけですが、いずれにしても、ずっと現地にとどまって交渉を続けるわけですね。現在、平衡税の点はわかっておりますか、当然免除になると思いますが。
  26. 中山公平

    説明員中山公平君) お答えいたします。  利子平衡税免除ワクにつきましては、御承知のように、暦年でいっておりますので、年間一億ドルというワクは、四十年につきましては、まだまるまる残っておるわけでございますので、当然電電公社が今度外貨債発行するということに相なりますれば、そのワクの中で処理をされる、こういうふうに考えておりますし、政府のほうともそういう話し合いになっております。
  27. 鈴木強

    鈴木強君 それから電電公社の総固定資産というのは、一体、最近、現在で幾らになっておりますか。
  28. 中山公平

    説明員中山公平君) 固定資産総額は、無形固定資産まで入れまして、三十九年度末で正味資産といたしまして一兆二千五百十三億、こういうふうに相なっております。有形固定資産のみでまいりますと、一兆二千四百九十四億円、こういうことに相なっております。
  29. 鈴木強

    鈴木強君 それで、一兆二千億円の正味資産のうち、借金が約六千三百六十億になるわけですね。そこで私は、このいまかかえておる借金というのは、たいへんな額に将来なっていくと思うんですね。ですから、公社財政の許す限り償還のほうに向けていくということも一つ方法ではないかと思うんです。しかし、まあ現在非常に建設資金に困っているんですから、できるだけ償還最小限度にしようということもわかりますけれども、いずれにしても、これは借金ですから、将来おそらく一兆円をこすような借金になるんじゃないかと思うわけです。そこで、現在の償還方法は、郵政大臣承認を得て告示によってやられているわけでしょう。まあ利付のほうが二%以上、割債のほうは四%以上ということになっているわけですから、これ以上というところをどこまでやられるかということになると、幅はこの告示によって与えられているわけですから、ですから、そういう意味からして、借金の返済については、毎年度国会承認を得て予算的にはやっておるわけですけれども、その組み方、立て方、こういうものをどうしたらいいかということは、もう少し私は突っ込んで検討する必要があるんじゃないかと、こう思うんですね。これはまあ経理局長答弁になるか、総裁答弁になるかわかりませんが、そういう点の御判断は、現在やっておる償還額ですね、償還金額を多少でもぼくがいま申し上げたような線で検討してみるというようなことは考えられないでしょうか。
  30. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 公社が持っております債券に対しまして、償還期限が参りましたときにこれを還付するということは従来からやっておりますし、また、本年度の、四十一年度予算におきましても、その必要額経常資本勘定に計上しておる次第であります。それで、いまのお話は、そういう期限が来たもののほかに、期中償還といいますか、まだ期限の来ていない間に償還するというふうなお話関係しておると思いますが、たとえば借り入れ債券につきましては十年間ということになっておりますが、期中償還を行なうことにいたしまして、期中償還の率を、利付債については四%、割引債については二%ということで、その範囲においてやっておるわけです。しかし、最近の公社経理状況といたしまして、収支差額が非常に減少してまいりました。収入に対しましてパーセンテージで言いますと、四十一年度は約四・五%ぐらい、従来はそれが一〇%以上、多いときは二〇%もあったのであります。そんなふうに収支差額が非常に少なくなってまいりましたしいたしましたので、現在の時点におきまして、この償還率を大幅に上回って返すということは困難である、こういうふうに考えます。
  31. 鈴木強

    鈴木強君 困難なことはわかっているんですよ。ですから、その辺の調整を、告示によってきめられている線を十分考えながらやっていると思うのだが、もう少し、借金なんだからこう早目に整理するという考え方一つの行き方じゃないかとぼくは思うので聞いているわけです。必ずしも十年あるいは七年の償還期間が来なければ償還しちゃいかぬということはないでしょう。ですから、できるだけ借り入れ債券などの場合は繰り上げて償還していこうという気持ちはあると思うんですね。問題は金との関係ですから、非常に苦境にあるとは思うんですが、その辺ももう少し再考してみる必要はないだろうか。全体の資金計画ですね、長期にわたる計画の中から、もう少し綿密に再検討する必要があるんじゃないかと、ぼくはこう思うんですがね。もう少し考えてみる必要があるんじゃないかと思うんですが、その辺は。
  32. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 公社に金があった時期におきましては、たとえば借り入れ償還というようなこともやった時期があります。いまのお話のように、今後経営基盤が確立されてきたような時期におきましては、そういう問題も総合的に考えていいと思いますが、現在の時点では、このきめられた範囲のことをやるということでやむを得ないのじゃないかと思います。
  33. 鈴木強

    鈴木強君 この前ですね、国会承認を得て設けられた割債に対する債券発行差損償却費ですね、これは一体幾らたまったのですか。
  34. 中山公平

    説明員中山公平君) 差損——予算におきます差損勘定の支出として計上されますところの債券発行差損償却費は、負担法以来毎年計上いたしておりまして、三十九年度末までの累計が四百三十三億円と相なっておりまして、四十年度予算を入れまして、四十年度末の予定では、六百十七億円に達する見込みでございます。
  35. 鈴木強

    鈴木強君 この金は実際に十年たって倍額になる、まあ五十円のものが百円になっていくわけですね。ですから、残りの五十円分に対する償却費として見ておるわけですから、ですから、この金は実際には使わないわけでしょう。積み立てていく形になるわけでしょう。ですから、この金は流動資産として公社が運用できる金ですね。どういうふうにやっておりますか、これは。
  36. 中山公平

    説明員中山公平君) 先生御指摘のように、この差損償却費は、割り引きされた債券の割り引き分につきまして、その経過分を積んでいくわけでございます。これを予算の上では、資本勘定の収入に充てまして、建設投資あるいは債務償還、こういうものに充てていく仕組みになっておりまして、必ずしもこれは貸借対照表上は流動資産として残っている、こういうことではなくて、多くは固定資産に化体をされて財産として将来の支払いに充てていける裏づけにしているということに相なっております。もちろん、理論的に申しますと、公社の資産の中の流動資産もあることでございますから、その中の一部にもなっているというふうにも言えるわけでございます。まあ実際は、多くは固定資産に化体しておる、こういうふうにわれわれは考えたほうがよろしいかと思います。
  37. 鈴木強

    鈴木強君 これがなかなか運用上むずかしいと思うんですよね。ただ、積み立てている趣旨は、一ぺんにこれを支払うのはたいへんだから、毎年毎年少しずつ積み立てて、最後に償還する際に支障のないようにしようという趣旨ですからね。どんぶり勘定みたいな金です、どっちみち公社の出す金ですから。極端に言ったら、こういうものはなくってもいいんじゃないかという議論もあったわけです。しかしきちっとしておかないと非常に返済の支払いが多くなるから、そこで、要するに安全を期するためにこういうものを設けたわけですから、これはあまり固定資産のほうにがちゃがちゃやられちまいますと、その趣旨から見てどうかという気もするわけですよ。公社の全体の運営の中で、この趣旨に沿うようにしていただければいいのですけれども、いままでのところでは、経理局長も言われているとおり、そう問題ないと思います。公社がつぶれぬ限りは問題はない。そういうこともないでしょうから安心だと思いますけれども、しかし設定したときの趣旨というものを十分考えていただいて、有効な、効率的な資金運用というものをこの問題については考えてもらいたい、これが私の要望です。  それから次に、減価償却の電電公社のやり方ですが、現在は、四十一年度千六百三十五億、四十年度に比較して三百三十九億円の増になっているのだが、見方によると、公社は少し減価償却が甘いんじゃないかという意見もあるだろうし、また辛いんじゃないかという意見も一あるでしょうが、この四十一年度予算に計上されておる千六百三十五億円ですと、まあまあというところですか。一般の会社の減価償却などから見て、税法上の特別措置等から見れば、どうでしょうか。
  38. 中山公平

    説明員中山公平君) お答え申し上げます。  いまの減価償却費の問題でございますが、これで十分かどうかということについて、いろんな角度から検討してみなければならないわけでございますが、ここに一つの日銀統計局で発行いたしました三十九年度の上期の主要企業分析というものがございまして、それによりまして各産業の減価償却率というものが出ておりますが、それらと比較をいたしてみますと、これは三十九年度の問題でございますが、公社も日銀が統計に用いた計算のしかたで率を出しましてやりますと、公社の償却率は八・九八%ということになっております。それに対しまして、全産業では一二・九三%、運輸業で一六・四三%、製造業で一五・五三%、ガスで一四・七五%、通信業五社——これは国際電電と民放四社が含まれておりますが、それが一三・一〇%、こういうことになっておりますので、これらの資料から見ますと、減価償却というものが現在のやり方で十分ではないのかもしれないという、今後検討すべきものを持っておるように思います。一方、私どもの償却のしかたでございますが、土地は除きまして、建物あるいは工作物、それから車両、それから研究所あるいは病院等の機器、こういうものにつきましては、いまもって定額法を用いております。ほかの会社等を調査をいたしたところによりますと、これらのものについてはほとんど九〇%まで、大きな会社はもう定率法を用いておるというようなことでございます。それからもう一つ。昭和三十六年から、この電信電話設備につきましては、機械、線路に分かれておるのですが、定額法を定率法に改めまして、耐用年数も、従来二十一・四年程度であったものを、約十六年ということで、残存価額一〇%ということで定率法を実施いたしておるのでありますが、これは三十年から三十四年までに削除されましたところの財産の実態を調べまして、今後の技術革新の動向ということも考えに入れまして、約十六年ということにいたしたわけでございますが、その後三十五年から数年、三十八年までの間、また調査を私どもいたしておるわけでございますが、それによりますと、その実態から申しますと、いまの甲種固定資産の償却方法をもってしても、なお技術革新のテンポが速いための不適応化あるいは陳腐化が起こってまいります関係で、八〇%程度の耐用年数に削除された財産はなっておりました。十三年ぐらいに相なっておる、こういうものも出ておりますので、これらにつきましては、こういったデータを十分分析検討いたしまして、減価償却の正しいあり方について目下研究を進めておるところでございます。
  39. 鈴木強

    鈴木強君 まあ電電の場合は、非常に技術革新が激しいものですから、一度つくった機械を数年のうちにまた新しくしなければならぬ、しかもそれが将来にわたって経済効果の面から見てもいいというようなこともあると思うのですが、したがってまあ機械の陳腐化ということに対して他の企業と違った私は部面があろうかと思うのです。ですから、そういう面は、やはりわれわれがよくわかるように説明もしていただきたいし、せっかくいま御説明のとおり、いろいろの角度から一応参考にした基礎に立っての減価償却を公社はやっているようですけれども、なおひとつ、企業の特殊性にかんがみて、十分な減価償却を早目にやっていく必要があろうかと思いますから、この上ともひとつ研究してもらいたいと思います。  それから次に、これは委員長にもお願いして、資料公社に出してもらいたいのですが、最近電話機なんかも非常にいろいろな型の電話機がつくられておりますね。したがって、せっかくつくった電話機が途中で倉庫に入ってしまうとかいうようなことはないでしょうか。それから、その他電電の機材器具等において、不用在庫品として倉庫に入っているようなものはないでしょうか。そういうものがもしあれば、ひとつ資料として、これは次の委員会に出していただきたいと思いますが、いかがですか。
  40. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) ただいまの在庫の中における遊休あるいは規格外の物品につきましては、常々非常に技師長を中心にして注意をしているところでございます。ただいまの電話機のようなもの、こうしたものは、いま先生から御心配になられたような点は、まず絶対にないと申してよかろうと思います。と申しますのは、非常に綿密な準備と計画のもとに設計もしますし、また非常にボリュームが大きいので、発注にあたりましても万全の対策を立てた上において実行いたしますので、めったにそういうことは起こりません。ただ小さな部品とか架線金物、そういうようなものになりますと、ある時点に達しますと、いろいろ検討の結果新しい仕様のほうが安くて工法が楽だとかというようなものが出てまいりまして、すでに買ってあったようなものが一時使われなくなる。そういう場合には、その品物のあり高を見て、できるだけ完全消化した上において初めて、納期等を考えた上で新しい製品の発注を考える、こういうようなことをいたして、十分在庫の不用物品のないように配慮しております。しかしながら、そうは申しますものの、年間常に在庫が百数十億ございますので、年々歳々、いわゆる在庫整理というものをいたしますと、数億程度のいろいろな不良品とか破損品あるいはそういう規格外の物品が出て廃棄処分にする、こういうことは多少あります。
  41. 鈴木強

    鈴木強君 資料にして出していただけませんか。
  42. 田中一

    委員長田中一君) 総裁、いまの鈴木君要求の資料は、次回までに出していただけますか。  鈴木君、どの程度資料かひとつ説明してください。
  43. 鈴木強

    鈴木強君 それはあとで私と担当の人と話し合ってもいいですから……。
  44. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 鈴木先生とお打ち合わせの上、また資料を提出することにいたします。
  45. 鈴木強

    鈴木強君 四十一年度予算はいま国会審議中なんですが、もちろん公社のほうではこの予算に組まれた事業計画に基づいてそれぞれ準備を進められていると思います。そこで、四十一年度のこの実行計画と申しますか、具体的な実施計画というものについては、どの程度作業が進んでおるか。それからもう一つ、この前の委員会でも総裁に特にお願いしておきました、おそらく第三次五カ年計画から第四次五カ年計画へと、既定の長期計画というものは、先般の電信電話調査会の答申等もあり、これはかなり修正が加わっていくだろう、こう思います。したがって、それと四十一年度の関連はどう結びついていくのか、そうしてこれを土台にしてこれからの残された四十七年度末の長期計画というのはいつごろコンクリートされていくのか、こういうことなんです。これは佐藤喜一郎先生の答申もありますし、また高橋正雄先生の国民の電信電話を守る調査会というところの一つ意見もまとまっているわけですから、これもひとつ総裁にぜひ読んでいただいて、いい点は取り入れていただきたい、こういうようにお願いしておったのですが、総裁もその趣旨を了とされておったようですが、大体見通しとして、そういう点も十分考えながら既定の長期計画を確定化していくのはいつごろでございましょうか。
  46. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 最初に、四十一年度予算の執行にあたって準備がどうなっているかというお話でございますが、私たちといたしまして、いわゆる設計をやるとかあるいはまた工事命令の準備をするとかいうことは昨年来ずっとやっておりまして、また債務負担行為に関するものは予算で認められました範囲におきまして契約をするというようなことで進めております。いまの予想では、大体上半期には物品の契約等におきましては九五%まで契約ができる、それから支出におきましては全部を平均いたしまして五〇%の支出を済ませるということにいま進んでおりますが、細部につきましてまた御質問がありましたら、施設局長からお答えいたします。  それからその次に、従来の五カ年計画と今回提出いたしまして御審議願っております四十一年度予算案との関係でございますが、四十一年度につきましては、従来、第三次五カ年計画のこれはちょうど四年目になっておりまして、加入電話百十五万をつけるということになっております。しかし、最近の需要が非常にふえてきたこと、現在積滞におきましても窓口にたまっておるものが約百六十七万ございますが、そのほか現在の不況下にもかかわらず毎月十万あるいは十二、三万の新規な申し込みがあるということでございます。それからまた、最近の地域開発計画等が非常に進められまして、改式あるいは自即化等の要望が非常に高い、あるいはまた団地とかあるいは農村方面の電話の要望が非常に強く、いわゆる国民生活の中に電話の申し込みが非常に多くなったこと等によりまして、修正いたしまして、四十一年度においては百二十八万の架設をするということにしておったのでありますが、予算段階におきまして百二十三万、すなわち従来百十五万でありましたものを八万ふえるという計画でいま進んでおる次第でございます。それで、四十七年度末には、前々から——といいますと、第三次五カ年計画をつくるときあるいは第二次をつくるときにも、いわゆる申し込んだらすぐつける、あるいは全国を即時化するという目標を立てて進んでおるのでありまして、その目標のもとにいま長期計画公社として検討しておるところでございます。  佐藤喜一郎氏にお願いいたしました調査会の答申は、先般ここで所管事項を御説明する際にも申し上げましたが、昨年の九月二日に答申をいただいておりますし、それを尊重していま検討しておる段階であります。  それからまた、先ほど引用されました高橋先生のおやりになったのを私は読みまして、これは見解の違うところもありますけれども、たとえば四十七年度末において申し込んだらすぐつけるというようなことは一致している点もございます。いずれにいたしましても、この長期計画につきましては、郵政省なり、あるいは経済企画庁、大蔵省等の政府関係方面におきまして経済の長期見通しをいろいろ検討されているようでありますから、それらの意見も伺い、またこちらもいろいろそれと意見交換をしながらつくっていきたい、こういうふうに考えております。
  47. 鈴木強

    鈴木強君 それはわかりました。したがって、まあ中期経済計画も一応御破算になって、とりあえず三カ年間の経済見通しを骨子だけ政府は発表しておりますが、これは藤山さんに伺いますと、四月ごろにはこれからの長期計画が出てくると思うのですよ。ですから、そういうものを基礎にして公社作業を進められると思いますが、大体めどをどこらに置いて公社の長期計画を既定計画から見てこうするのだということを、やろうかという、その見通しを聞いているのです。それはわかりませんか、全然。
  48. 米沢滋

    説明員米沢滋君) 政府のほうでもいろいろ長期の構想を練っておられると伺っておりますが、四十二年度予算の概算要求といいますか、毎年九月前には郵政大臣のところへ出すようになっておりますが、その前には公社もまとめたい、こういうふうに思っております。
  49. 鈴木強

    鈴木強君 これはまだ非常にわれわれの意見もあるところですから、次の機会に十分私の意見を出したいと思いますし、また四十七年度末以降どうなるかという姿も当然関連して論議されると思いますから、そういうことできょうは一応これは置いておきます。  それから最後に、時間がきょうはないようですから、一つだけ伺っておきたいのは、公社のほうではたいへん全国のカラーテレビの中継網の高規格化についてえらい努力をされて、その工事が完成されて、三月二十日から高規格化のマイクロ回線が動いていくわけですね。そこで、これは、いままで投下した建設資金というのは一体幾らになっているのでしょうか、テレビ高規格化に対する金というものは。
  50. 北原安定

    説明員(北原安定君) お答え申し上げます。  第一期計画と第二期計画に分けて実施してまいりまして、オリンピックに間に合うように、東京‐名古屋‐大阪間、これが第一期工事でございます。これに大体二十二億円でございまして、それからそれ以降この三月に完成します大阪から福岡方面、それから東京‐仙台‐札幌方面、これが第二期でございまして、これが二十九億円、合計五十一億円を投下いたしております。
  51. 鈴木強

    鈴木強君 郵政大臣、いまカラーテレビは幾ら見ていますかね。
  52. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) さあちょっと……。
  53. 鈴木強

    鈴木強君 よくわからぬようですから、あとで調べておいてください。
  54. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) はい。
  55. 鈴木強

    鈴木強君 私はこのカラーテレビについては大いに意見があるところでして、これは言ってると長くなりますからきょうはやめますけどね。なかなかカラーテレビが普及しない段階で、公社が五十一億の資本を投下して全国にカラーテレビが見えるような高規格化のマイクロウエーブを建設したということは、どうも私は、経済効果の面から見まして、現在の経済情勢の中でむだな投資をしてるように思うんです。ただし、これから伺う公社の見解によってその点は解けてくると思うんですが、いままで白黒テレビを乗せておったマイクロ回線は、この高規格化によって、カラーも通り、テレビも通り、それから電話もやれると——カラーだけ別につくったということでなくて、その高規格化の上に乗っかるものは、白黒も全部やれるようになるんだと、こういうふうなことですか。
  56. 北原安定

    説明員(北原安定君) 御質問のとおりにやっておりますが、一部の機械につきましては、カラーができないために、電話線用に公社の中で転用しているものもございます。
  57. 鈴木強

    鈴木強君 ですから、もちろんカラーテレビに使ってない部分は電話に使っておられるでしょうから、まあむだの回線はないと思いますけれども、要するに両方とも使える高規格化のものですねと、こういうことです。
  58. 北原安定

    説明員(北原安定君) 仰せのとおりにしてございます。
  59. 鈴木強

    鈴木強君 それで、これの回線使用料とか、末端の設備の占用料とか、こういう問題については、第一次計画のときにやりました三十八年十二月の料金ですね、これをそのまま適用していくつもりでしょうか、その後に多少改正をしていくつもりなんですか。
  60. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 先生が御指摘になりました三十八年の十二月から適用いたしております料金をそのまま適用していくつもりでございます。
  61. 鈴木強

    鈴木強君 この料金はだれがきめるんですか。
  62. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 公社郵政大臣の認可を受けて定めるということになっております。
  63. 鈴木強

    鈴木強君 この料金は、私は郵政大臣にも聞いておいていただきたいんですが、もちろん使うほうはできるだけ安く使いたいですね。それから貸すほうは、少しでも原価計算をしてみてそれに合うようにということで出るでしょう。しかし、テレビ、ラジオのことですから、私も高くしろとかなんとかということじゃないんですが、はたしていまの三十八年十二月の料金というものが適正料金であるかどうかということは、もう一度考えてもらいたいと思うんですよ。全国高規格化のために五十一億の資金を投下して公社はやっておるが、実際にはカラーテレビにまだ使えないところがあるわけですね。まあカラーテレビもそう伸びませんよ、時期尚早だってのにきめたんですから。だから、その辺を考えて、もう少し私はこれを、三月の二十日に全面的に動いていくわけですから、それまでに公社のほうでもひとつ十分検討していただきたいし、郵政大臣もその点をよく検討してもらいたいと思いますが、いかがでしょうか。
  64. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も、放送事業者の会合その他の場合に、いろいろな要望も聞いております。それぞれの側の立場からの要望、意見を十分聞きまして、私自身としても検討してみたいと思います。
  65. 鈴木強

    鈴木強君 これは公社のほうに伺いたいんですが、こういうふうに全国のアイクロウエーブが高規格化され、それから同軸ケーブルがずっと南北に縦断されてまいりますと、将来電話の全世界への自動化という考え方が当然出てくるし、それに対応する体制が、いま電電公社でこういうふうな高規格化の問題も一つの基礎になって考えられているのじゃないかと思うのですね。一体全世界自動化ということはいつごろになるのか、そして公社はそれに対する体制というのはどういうふうに準備されているのか。これはCCITTのある程度決定もありまして、そういうものに基づいてやられていると思うのですが、その辺はどうでしょうか。簡単でいいですから。
  66. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 全世界の自動または半自動電話網の建設につきましては、三十五、六年ごろからITUの会議でずっと検討を続けてきております。いまのところいつごろになる見込みかということははっきりさせておりません。技術的にもあるいは運営上にもいろいろむずかしい問題がございますので、なお現在も検討を続けている最中でございます。ある一部の見通しによれば、早くても十年先であろうということも言われておりますが、ITUとしての計画あるいは目標ということではございません。なお、電電公社のほうでは、これらのITUの世界自動または半自動電話計画網の会議につきましては、事前に郵政省電電公社、国際電電あわせて入れまして十分に打ち合わせをし、また会議の際にも三機関共同で出席しておりますので、その辺のところの調整については十分できていると考えております。
  67. 鈴木強

    鈴木強君 時間がないから、あとはまた次にいたします。これで終わります。
  68. 久保等

    ○久保等君 私は、大臣の御出席がございますので、有線電気通信政策の基本的な問題に関連することなんですけれども、聞くところによりますと、昨年の秋——九月の二日と聞いておりますが、京都の東山の祇園地区、いわゆる花街ですが、この地区に私設の有線電話施の設置についての認可を郵政大臣が行ない、その後十一月の二十五日に通話の開始に至ったという話を聞くのですが、このことについては、もちろん郵政大臣が許可をせられて、現実に通話開始にまで至っているようでありますから、その間の経緯について郵政大臣も非常によく御存じだと思うのですが、その点の経過をひとつお聞きをいたしたいと思うのですが、このことがもし事実だとすれば、少なくとも従来とってまいった有線電気通信政策に対して非常に私は重大な影響のある問題であり、単に京都の東山の花街にそういういわば私設電話局ができたという問題のみならず、これは影響するところきわめて重大でもありますし、どういう一体検討を加えられ、どういう見解のもとにこういう私設電話局的なものを認可したのか、そういったことについて、まず最初に郵政大臣から経緯のひとつ御説明を願います。
  69. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私、経緯はつまびらかにいたしておりませんので、法律的な考え方を私から申し上げて、政府委員から経過等についてお答えをいたしたいと思います。久保さんよく御存じのとおり、有線電気通信法による有線電気通信設備であり、有線放送電話ではないのでございまして、これについては、法律によって、相互に緊密な関係を有する業務に必要な通信を行ないまするために許可を求めてまいりました場合には、申請上、これを認めることが正しい処分であるようでございます。法律的な解釈はそういうようでございまするが、それぞれの実情に応じてものは考えていかなければ相ならぬと思っております。実情として、電話機二百八十三個を共同して設置し、運営いたしているということを聞いております。   〔委員長退席、理事光村甚助君着席〕
  70. 久保等

    ○久保等君 大臣に。なお、若干そういったこまかい経緯は関係者のほうから御説明願っていいと思うのですよ。ただ、おそらく有線電気通信法の第四条、第四号、第五号、あるいは第五条の内容をいま大臣からお話しがあったのだと思うのです。しかし、申請が一昨年あたり出て、約一年前後検討を郵政省としても加えられておったと思うんですが、単に私は近畿電波監理局できわめて事務的に扱ったとは思えないんですが、郵政大臣が直接出席せられたしかるべき会議等でも検討を加えられたのかどうなのか。単にいまの法文の有線電気通信法の四条、五条だけを何か根拠にして言われたようですが、そういうことでなくて、もう少し郵政大臣としての高い立場から、この問題にどう対処され、したがってこの条文を適用したのだというようなお話がもう少し伺えないと、何かきわめて事務的なお話だけでは、経緯をお聞きいたすにしても、大臣の御説明としてはちょっと私納得しかねるのですが、大臣がどの程度この経緯についてお知りになっているのか。一昨年あたりからいろいろお話もあったのじゃないかと思いますが、ただ最終段階になって、採決、裁断だけを大臣がこの条章によってやられたという程度なのかどうか、その間の経緯をもう少し御説明願いたい。
  71. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 本件は、私ただいま御指摘のような事柄を従来承知しておりませんでした。したがいまして、私までの相談は一回もございませんでした。これが出先の機関から本省に相談がありましたかどうかということも、私は承知いたしておりません。したがいまして、何か会議等で話がなかったかという御指摘でございましたが、会議等の席上でも、またこの処分についても、またそれまでのいろいろな経過につきましても、私のところまで話は参っておりませんでした。
  72. 久保等

    ○久保等君 大臣のそういうきわめて率直なおそらく経過の御説明だと思うのですが、そうだとすれば、私はこれはきわめて、何といいますか、郵政大臣として重大な問題に逢着していると思うのです。これは、少なくとも、長い今日までの電気通信政策の立場からいって、非常に重大な問題だと思うのです。なおしかし、事務当局から詳細な事実経過をお聞きしたいと思います。
  73. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 有線電気通信法の許可事務は、すべて地方電波監理局長に委譲しております。本件につきましては、四十年の六月十八日に近畿電波監理局に許可申請がございまして、同局では昨年の九月二日に許可をいたしております。したがって、本省に上がってきたり、あるいは大臣の決裁をいただくというようなことはございませんでした。
  74. 久保等

    ○久保等君 これは何ですか、そうすると、近畿電波監理局長の専決事項ですか。
  75. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) そのとおりでございます。
  76. 久保等

    ○久保等君 こういったことに類似するような問題が従来からありましたか。
  77. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 祇園地区の有線電気通信施設は、先ほど先生御指摘のとおり、有線電気通信法第四条の第五号によりまして、共同設置の許可をいたしたものでございます。共同設置の許可の件数を申し上げますと、昨年の三月三十一日現在でございますが、五千三百三十四件ございます。
  78. 久保等

    ○久保等君 ですから、これに類似したような問題があるかといってお尋ねしているのです。
  79. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) この第五号の規定によりまして共同設置を許可いたしましたおもな例を申し上げます。電力会社と大口需用者、電力会社と保安電気工事業者、地方通産局電気事業監督部課と電力会社、鉱山と坑木供給業者、あるいは国鉄とその他の地方鉄道事業あるいは軌道事業等の輸送業者、国鉄と通運事業、あるいは国鉄と交通公社等、あるいは国鉄と公安関係の官公庁、国鉄と鉄道弘済会、あるいは国鉄と列車食堂業者、あるいは紡績会社とその製品をほとんど扱っております商事会社、そういったところがおもな例としてあがっております。
  80. 久保等

    ○久保等君 それで、私のいまお尋ねをしているような問題いま御説明の中で、最後の紡績会社と云々という問題は、これはまた私も若干検討を要する問題だと思うのですが、しかし、少なくともこういったいわば京都で最も昔から古い花街だといわれているところ、こういったところの、何といいますか、したがって電話の加入者の普及率といったようなものも高いところだと思うのですが、そういったようなところにこういった私設電話局的なものを許可する、こういうことに類似した問題はかつてほかにありましたか。
  81. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) お話のような例は、私は聞いておりません。
  82. 久保等

    ○久保等君 そうだとすれば、きわめてこれは電波行政を含めて、電気通信政策に対してはたしてどういう定見をもち、どういう方針で許可をするのか、こういったこと自体をまず根本的に私は徹底的に洗ってみないと、一体地方で何をやっているのか、責任者である大臣も一あまり御存じでない。あるいはまたさらに、電気通信監理官なり電波監理局長も御存じない。地方の監理局長がかってにこの条文だけをたてにとって認可をしている。一体日本の電気通信政策はどういうことになっていくのか、これはたいへんな私は重大な問題だと思うのです。ところで、もう少しその経緯について、監理官として御存じないですか。もう少しこのことについて、一昨年以来の私はおそらく問題がだんだんと煮詰まっていって、先ほどお話があったように、昨年の六月に申請を出した、九月に認可をした、十一月に開通した、こういうことなんでしょうが、もちろんこれについては、いろいろ相当な理由があって申請が出された経緯なり、そういったものがあるのだと思うのですが、これは一切近畿電波監理局長どまりで、中央では全然タッチしてなかったということなんですか。
  83. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 有線電気通信法の許可事務につきましては、先ほど申し上げたとおり、全部地方電波監理局長に委任しております。この有線電気通信法ができましたときの通達で、種々雑多な事例について共通した基準を具体的に規定することはきわめて困難であるから、そういうものは出さない。もし認定の困難なるものについては、具体的事例について本省に照会されたい、こういう通達を出しております。「緊密な関係を有する業務」ということを規定しております第五号に関しての通達でございますが、そういった方法でやっております。したがいまして、緊密な関係を有するかどうかという点に疑問がありますものにつきましては、照会をしてまいります。その他のものにつきましては、地方にまかされているということでございます。
  84. 久保等

    ○久保等君 大体有線電気通信法の第四条そのものを一体どういうふうに理解をしておられるのか。有線電気通信法の第四条によると、「有線電気通信設備は、二人以上の者が共同して設置してはならない。但し、左に掲げる場合は、この限りでない。」といって、いわば例外規定として共同設置というものを認めるというたてまえなんです。いわば例外規定なんです。だから、いま言われるような第四条の第五号にしろ、あるいは第五条にしろ、これはやはりあくまでも大原則の上に立っての例外規定だ。しかも私は、特に有線電気通信法だけが電気通信法のすべてではない。公衆電気通信法というものがあるのです。公衆電気通信法のたてまえは、御承知のとおり、少なくとも国内における電気通信というものは、これは電電公社が独占的にやる、国際的なものについては国際電電を設けてやるのだ、これは公衆電気通信法の大原則です。したがって、郵政大臣といえども電電公社の委託を受けるのでなければ、みずからこれをどうこうすることはできないのだ。電電公社からしたがって委託契約によってやっておられることは、これは釈迦に説法で、私が申し上げるまでもない。そういう大原則があるのに、京都の、とにかく電話普及率からいえば一〇〇%あるいはそれ以上と目されるような地域に、全然中央も知らない、電波監理局長監理官郵政大臣もタッチしない、出先だけでかってに私設電話局を認可する、こういうことが、これは常認からいったって私は許されないと思うのです。もしそういうことをやるならば、公衆電気通信法も、こんなものはありはせぬです。有線電気通信法の第四条の例外規定だけでもってどんどん全国に私設電話局ができます。緊密な連結といえば、緊密な連結をしなければならぬから電話を引くのであって、話も何も用事もないのに、そういう電話を設置する必要はありませんよ。そういう関係とするならば、これはひとり京都の東山の花街だけに限らず、東京都内の赤坂だって、とにかく新橋だって、柳橋だって、さらにはそれ以上に重要な一般の商取引だとか、公共的な点を取り上げていくなら、これは数限りないと思うのですよ。そういう問題を取り上げていったら、この例外規定だけで、電電公社なんかの存在意義は全然ありませんよ。何でもやれるということになる。しかもそういうことについて出先の電波監理局長だけ、地方の電波監理局長だけに一切の権限を委任してやっておる。これは私もいま初めて聞いて、むしろ意外に思い、驚くのですけれども、この点についてどう考えられますか、郵政大臣ひとつお尋ねします。
  85. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私も、全国の実際の運用また大きい事例については、監理官が御説明申しておりましたそれ以外に、いまのように出先の機関に委任をいたしておりますると、いろいろな例が起こっているのじゃないかと思います。これは早急に全体の運用の状況を、法律の運用の状況を私のほうも確めて、そうして一つの方針をきめる必要があり、先ほど監理官が申しておりました通達の程度では、事態の処理に不十分なのじゃないか、こんなぐあいにいま問答を伺いながら感じた次第でございます。
  86. 久保等

    ○久保等君 それでは、この問題になっておる東山の祇園地区にこういった私設の共同電話を認可したということについて、その状況等を把握する意味においてお尋ねしたいと思うのですが、あの祇園地区の電話は、一般の加入電話の状況等はどういうふうになっておりますか。電電公社のほうにお尋ねしたいと思うのですが、加入電話の普及状態、あるいは最近における加入電話の積滞等が一体どういう状態になっておるのか。一体こういったものが設置されなければならぬという——法律的に合法であるとか非合法であるとか、そんなことは抜きにして、現実の問題としてこういったようなことをやらざるを得ないというような一体事情でもあるのかどうか。そういったような背景を把握する意味において、この方面における状況をひとつ電電公社のほうから御説明願いたいと思うのです。
  87. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) いま先生お尋ねの祇園におきます状況でございますが、お茶屋とか置き屋といいましたところには、大体、私が承知しております限りは、必ず加入電話はついておるというふうに聞いております。それからなお祇園地区の電話の状況でございますが、祇園全体で、祇園局全体で大体二千四百くらいの積滞がございます。四十年度に七百ほど販売いたしまして、四十一年度で二千三百ほど販売いたす予定にいたしております。積滞の大部分は、第四順位が非常に少数でございまして二百五十二、第五順位が千、第六順位が千百といったような状況になっております。
  88. 久保等

    ○久保等君 この問題になっておる地区は、何でも東山の甲地区といいますか、非常な中心街のようですが、面積にすると何でも東西四百メーター、それから南北八百メーター、そういう地域内における今回の電話組合といったようなものをつくって、私設電話局的なものの設置の申請を出したというような実情になっておるようですが、その地域における加入電話はどのくらいの数になりますか、わかりますか。——それはいま、にわかに言っても御答弁できなければ、また後ほどそういった加入者の一体普及率はどんな程度になっておるか。いま申し上げたように、祇園新区甲部電話利用組合という名において何か申請書が出されたように聞いておるのですが、こういったことについても、電通監理官のほうではあるいは事情がわかっていなければ、こういったことについて、またさらに私後日適当な機会にぜひもう少し究明をしたいと思うのですが、御説明願いたいと思うのですが、こういった申請その他についても、あまりここでは答弁願えませんか。
  89. 畠山一郎

    政府委員(畠山一郎君) 申請者名義というようなところまで、実は報告を受けておりませんので、後日申し上げたいと思います。
  90. 久保等

    ○久保等君 それでは、きょうはあまり内容的なことについて深い質問をしても、資料そのものも実はきわめて手元にないといったような状況のようですから、私はあまりこまかい質問をすることは差し控えますが、ただこの問題に関連して、ひとつ詳細な資料を御提出願いたいと思うのです。特にいつごろからこの話が出て、それで一体どういう経過をたどって申請に至り、許可になり、開通をしたのか。したがって、この開通した工事会社なり、あるいはまたいろいろこのことについて実際だれが中心になってこういう運動を進めたのか。そういったような事実関係等についても、詳細にひとつ調査をした上で、この委員会で後日また質問したいと思いますが、ぜひひとつ詳細に報告を願いたいと思います。きょうはあまり詳細に御存じなければ、あまり質問をしても的確なお答えをいただくわけにもまいらないと思いますので、ぜひそういうふうにしてもらいたいと思います。  ただ、郵政大臣に、私は今後さらにこの問題をこの委員会で取り上げてまいるにいたしましても、きょう初日の口火を切ったこの機会にも申し上げておかなければならぬことは、単に有線電気通信法の例外規定だけをもってもし対処されようとするならば、これは重大な私はもう失政と、明らかに違法だと思っていますよ。まず条文そのものからいって——この条文だけ見れば、この条文に何も違反してないじゃないかと言われるかもしれないが、原則があり例外があって、例外だけをあたかもとにかく普遍的な原則みたいな考え方で解釈すると、これは明らかに違法ですから、したがってこの問題については、最終的には許可の取り消しまでいかなければ、事態の解決にはならないと思っています。しかも電気通信法だけが唯一の法律じゃないのですから、公衆電気通信法があり、あるいは有線放送——例の最近問題になっておりますが、有線放送電話法等もあります。したがって、そういうものとのバランスなりそういうものとの関連性を考えた上で、なおかつこの例外規定というものを適用するかどうかということを判断しなければならぬ。特に監理官に申し上げておきたいのですが、有線電気通信法、公衆電気通信法、あるいは有線電気通信法及び公衆電気通信法施行法案というのが、昭和二十八年の十六国会国会に出てまいって制定せられた。このことについては、私も当時この法案の審議に加わっておりましたけれども大臣のこの提案趣旨の説明の中にこういうことが言われておることを、参考までに申し上げて、今後のひとついろいろ質疑の参考にしてもらいたいと思うのです。それはこういうことを言っております。「次に、法案に規定してあります主な内容について申し上げます。」と言って、「先ず有線電気通信法案につきましては」そういうまず口火を切って大臣の提案趣旨の説明があります。それをちょっと一部だけ読んでみますると「第一は、電気通信の利便を広くするため、有線電気通信設備の設置及び使用についてはでき得る限り自由にすることを建前とし、ただ公社又は会社が行う公衆電気通信業務の独占を侵されることのないようにするため、公社又は会社以外の者が有線電気通信設備を設置し、又は使用するについて次のような制限を設けております。先ず有線電気通信設備の設置については、一人の専用に供するものは、自由でありますが、二人以上の者が共同して設置することは、公社又は会社の業務の独占の侵害となる虞れのない特定の場合に限り、これを認めることとし」云々となっておる。この郵政大臣の有線電気通信法案提案趣旨の説明の中にもこのことを念のために電電公社並びに国際電電の独占性を侵すことのないようにということばで表現して、厳に特例の運用については注意しなければならぬというようなことを言っておるのです。こういう観点からすると、とにかく京都の東山のあの祇園の花街に私設電話局を設置したなんというのは、どういう立場から見ても、きわめて私は非常識だと思う。もし、そんなことを許すのだったら、全国こういう申請が出た場合には全部認めなければならぬ。私は、とにかく、公衆電気通信法がどうとか有線電気通信法がどうだとかいったって、全国、こういう申請を出せば全部許可しなければならぬ、それを許可しないで、とにかく、芸者町の電話局を認めておいて、その他の電話局を認めないというわけにはいかぬと思うのですよ。したがって、私は、この真相について、いまだよくつまびらかでないようですから、その内容について、十分にひとつ調査をしてもらって、詳細にこの逓信委員会資料の提出を願い、それからまたこれに対して、これは適当でなかったということなら適当でなかった善後措置を早急にとってもらいたい。これは去年のまだ十一月の二十五日に開局になったばかりのものらしいですし、認可したのは昨年の九月の二日のようですから、半年ばかりしかたっておりませんが、もし、これが、それこそ全国的に伝播していったら収拾つかない事態になると思いますよ。しかも、現実に私設電話局ができ、何千万かの金を投入して設備ができたとなれば、簡単にすぐ撤去だ、取り消しというわけにはまいらない。したがって、このことについて徹底的に、一体、今後の電気通信事業というものはどうあるべきか、どうあるべきかというよりも、従来の経過もあるのですが、従来の根本政策をくつがえすようなことが現実に、京都のところもあろうに祇園でもって突発した。しかもどれは近畿電波監理局長の権限だけでかってにやっちゃった。だから私は、まことにこの点、郵政大臣なり電波監理局長あるいは電気通信監理官の責任は、非常に重大だと思う。だから、そのあたりのことも十分お考えになって、まずこの点を十分御調査をせられて御報告願いたい。このことだけをもう少し徹底的にやってまいりたいと思ったのですが、知らないものをお尋ねしても意味がないですから、きょうのところは残念ですが、きのうちょっと質問の概略だけお伝えをしておいたから、きょうは十分資料を整えて、大いに堂々とここで論議を戦わされるものだと思っておったら、実はこの問題を知らないという話じゃ、これはきょうのところどうにもならないです。ぜひひとつ早急に調べて、近い将来においてこの問題をこの委員会の中でやりたいと思っておりますし、したがって、十分にそういった有線電気通信法、公衆電気通信法あるいは最近非常に問題になっております有線放送電話法その他の関連法案等についても十分ひとつながめていただいて、そういう立場から電気通信政策の基本に関するこの問題について、意のあるところ、またこれに対する的確なひとつ善後策についても承りたいと思うのです。  そこで委員長資料を要求しておきますが、先ほど監理官のほうから御説明のあった有線電気通信法四条の四号それから五号等についての五千数百件あると言っておったのですが、こういったものについて、ひとつ、できるだけ具体的に、しかし一件一件あげるとたいへんですから、そんな資料をつくることを私要求しませんが、ある程度詳細にまとめた、いままでどういうものを現実に認可してきたか、こういったことの資料をお出しを願いたいです。それから電電公社のほうには、先ほど申し上げたように、祇園地区における電話の現在の状況等、できるだけあの事情がわかりますようなことを……。  それからちょっと公社に、ついでにこの際伺っておきたいのですが、郵政大臣なり電気通信監理官、いま御答弁になった状況ですから、電電公社としてはこの問題について、何か連絡なり状況をお聞きになっておりましたか。それとも全然聞いておらなかったか、その点だけちょっと聞いておきたいと思います。
  91. 武田輝雄

    説明員(武田輝雄君) 私の承知しております限りにおきましては、あまり公社としては承知いたしておりません。
  92. 光村甚助

    ○理事(光村甚助君) ただいまの資料、よろしいですか。——私からも資料をもう一つ、くどいようですが要求しておきますが、どういう話をしているのか、それも調べてもらいたい。たとえば、芸者町で電話を使わずに、「菊丸さん、はなやに帰ってください」なんという有線電話をどんどん使われると、それからうどんを持ってきてくださいなんて、そういうのに使われていたのじゃ電電公社はこれは上がったりですから、それはどういう話の内容か、それまでひとつ資料を出してください。そうしなければ電電公社、これは将来たいへんだと思うのです。その点も要求しておきます。
  93. 鈴木強

    鈴木強君 いまの資料で、郵政大臣も多少委任事項について検討すべきじゃないかということを言われましたが、これがやっぱり問題ですよ。少なくも郵政大臣が認可するということが、すなわちあなたが全然知らないものが、出先の監理局においてやられるなんということは、これは私は、まあものによってですがね。しかしこういう久保委員の言われるような、日本郵政事業の基本に触れるようなそういう問題について、出先の者が電電公社に全然連絡をとらないでぽかぽかやっちゃうというのは、不見識もはなはだしい話ですよ。だから、委任事項について、もっときびしい規制をしなければならない。いままでの委任事項についてはどういう規制をしているのか、それを資料で出してもらいたい。
  94. 光村甚助

    ○理事(光村甚助君) 資料わかりましたですね。
  95. 石本茂

    ○石本茂君 私は非常に、具体的なことを存じませんので、愚かな質問かもわかりませんが、現在実施されております郵便法の第一条を拝見いたしますと、この法律の目的といたしましては、あまねく公平に郵便の役務というものを、公共の福祉ということの増進のために提供するのだということが示してございます。しかしながら、第八十五条に交通困難な場所に住居いたします者のために特別なまた措置が書いてございますがこの「交通困難」という字句の表現でございますが、このことの具体的な条件と申しますか、そういうことをちょっとお聞きしたいのでございます。
  96. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) ただいまのお話の郵便規則第八十五条でございます、「特に交通困難であるため周年又は一定期間内通常方法により郵便物を配達することができない地域」、まあこれを普通第八十五条適用地と申しているわけでございますが、これをふえんいたしまして、内部の事業計画の規定におきまして、道路険悪または通行困難な部落及び徒行困難な部落、それから一カ月通常郵便物数が六十通未満ぐらいの河川とか港湾あるいは湖沼、それから配達困難でもよりの集配線路から非常に長遠な距離があって郵便物数がきわめて僅少な地域、こういうふうに定めているわけでございます。
  97. 石本茂

    ○石本茂君 御意見よくわかりますが、この法律ができましたのは昭和二十二年で、二十三年から施行されておりますのですが、今日二十年たちまして、非常に交通網は山間僻地でも網の目がこまかくなってまいっておりますが、相当程度この法律についての改善はあったと思うのでございますし、拡張があったと思うのですが、実は先日、開拓団に入植しました開拓農家の人々によって現在あります全日本開拓者連盟というところの婦人部長さんがおいでになりまして、もちろん二年ほど前の調査資料でございますので、現在相当変わってきていると思うが、現在なお千数百戸の者が相当集落しておるのでございますけれども、いまだ恩恵に恵まれませんために、わざわざ山を下ってまいりまして一々取りにいかなければなりません。こういうふうなこととを、なぜこういう不便な地域で一生懸命に生活のために、また社会の開発のために努力しておる者が恩恵がないのでしょうか、というような具体的な御意見をちょうだいしました。なお、調査資料は当局にも出ておりますので、そのことについての返事も待っておりますが、いまだに何もございませんがということでしたけれども、こういうふうなものにつきましても、どのように現在、将来を含めましてお考えになっておられますのか、お聞きしたいのでございます。
  98. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) お話しのような陳情書をいただいておりまして、私どものほうではそれの内容をただいま検討中でございます。なお、参考までに申し上げますと、現在八十五条の適用地が全国で三千六百カ所、一万二千戸ぐらいあります。このほかに、冬になりまして非常に雪の深いようなところは、さらに九百カ所くらいございますが、それらにつきましても、実は年々道路が改良される、あるいは郵便の数がだんだんふえてまいります、そういう地域につきましては、八十五条適用地から解除してきているのでございまして、その数も平均いたしまして昭和三十六年から四十年までで七百六十戸くらいでございます。年々一年間に百五十戸くらいずつ解除してきているわけでございます。なお八十五条適用地を解除いたしまして、請負人あるいは本務者によって配達をやりますほかに、郵便受箱、集団受箱を途中につくりまして、そこまで配達するということで解決をはかっている戸数が、ただいま以上述べました戸数のうち四千四百月くらいございます。今後ともそういう方向への努力を続けてまいりたいと考えます。
  99. 石本茂

    ○石本茂君 このお仕事は国の独占企業でございますだけに、たとえ郵便の数が少のうございましても、また特定の不便な土地におりましても、やはり国民であります限りは、同じような恩恵を受けたいと思われるのは、当然だと私は思うのでございますが、いろいろ努力もされているようですけれども、やはり一日も早くこういった人々の念願をかなえていただくことが、郵政省当局の非常に大きな義務ではないかと思うわけでございます。非常に御努力なさっておりますこともわかるのでございますが、絶対に不可能だというような条件につきましてもう一度、非常に愚かなようでございますが、絶対将来とももう郵便物は、どう言いますか、届けることができないのだと、配達することができないのだという絶対の条件だけひとつお聞きしたいと思います。
  100. 郡祐一

    国務大臣郡祐一君) 私からも気持ちを申し上げておきますが、私は自分の県の開拓地等を見ましても、私の県は茨城県でありますが、だんだんともう交通困難という事情が刻々に変わっていっておる。私が行ってみまして、ここは特例でこうなっているということを聞かされますが、ところが近くに実は郵便局があって、片方の郵便局は遠いが、こっちの配達区域だから来ないので、もっとこっちに郵便局があるはずだと言うと、そうなんだと、あんた気がついたかというので、どうも、これは時々改善を加えているようでありますけれども、役所といたしましても——そういう確かにそれは絶対現状では交通困難というのは、石本さんおっしゃるようにございましょう。ございましょうけれども、これは役所でもう少し開拓者連盟等ともよく緊密に連絡をとりまして事態を見ていきますと、かなり減らし得るのじゃないだろうか。郵便法改正などについても、国民の方に御負担願う際でありますので、こういう面での改善ということは、郵政省の責任としてぜひいたさなければならぬことだと思います。そのようなつもりで私が部下を督励することにいたします。
  101. 石本茂

    ○石本茂君 ありがとうございました。たいへんうれしいと思いました。というのは、郵便物の数が少ないからというようなことで除外されますと、かりに便利なところにおりましても、一年に一回しか来なくても必ずすぐに届けていただけるわけでございますから、そういうことで特に主婦の方々が、現在のような時代になりますと、近親者との交通もほとんどとだえてしまったというような過去の郵便物の受け方にも問題があったと思いますし、出しに行きたいと思いましてもなかなか出しに行けないということで、社会からすっかり取り残されているという不安を特に母親であります婦人の方々が持っておられますので、どうぞ過去のことにこだわりなく、新しい時点におきまして一日も早く改善されますことを、もう一度私はお願いしたいと思います。  それからもう一つお伺い申し上げますが、先ほど鈴木委員、それからほかの先生からも御意見出ていたようでございますが、きのうと一昨日にわたりまして、何か新聞紙上に例の肢体不自由者郵便物につきまして、特に発行しております機関誌のようなものでございますと思いますが、この値上がりがありますために非常に苦労しておるというようなこと、実は私のほうにも、看護婦でございました関係上、連絡ございまして、で、なるほど当局の御意見新聞紙上で拝見いたしておりまして、当然だと思うのですが、この人方の訴え、それから私の考えますのは、同じ肢体不自由者といいましても、重度身体障害者というのがおります。これは決していまの日本の国内にそれほど多くの数にはなっていないと思います。というのは、全く足の自由を奪われる、あるいは手の自由を奪われる、あるいは全身の自由を奪われたということで、このケースに入る人数は少ないと思うのでございますが、そういうものについてもなお困難だという一点張りで、これはやはりいまの場面を切り抜けなさる御意思でございますか。もちろん、法律案はこれからでございますので、御審議もあると思いますが、もう一ぺんお聞きしておきたいと思うのでございます。
  102. 長田裕二

    政府委員長田裕二君) 実は郵便事業、非常に膨大な郵便量を毎日扱っておりますことと、独立採算で結局利用者負担にすべてかかっておりますというようなことなどもございまして、特に低料扱いにいたしますものの範囲は、かなり従来からも限定してまいっておるわけでございます。盲人用点字等につきましては、これは世界的に主要国がほとんど無料にしている、国際条約でもそれを非常に奨励しているというようなことから無料にしているわけでございますが、それ以外のものにつきましては、たとえば三種郵便物、それから四種郵便物などにつきましても、まず内容が非常に公共的なものである、あるいは通信教育、農産物、種苗、学術雑誌というふうに内容がかなり限定されておりまして、どちらかといえば、公共性がわりあいに強いというようなものでございます。同時に、それとまた関連いたしまして、差し出し人が非常にはっきりしておる。郵便局で識別が非常にしやすいということと、内容とそういう技術的な問題と両方からめて低料扱いというものをきめているような次第でございます。重症心身障害者につきましては、私どもさらにその実態の検討を進めてまいりたいと思っておりますけれども、従来からのあれからまいりますと、通信内容につきましては、一般的な内容でございます。それから雑誌等につきましても、一般の社会生活の中にまざっている方がまだ相当多いということなどから、私ども郵便関係者の考えからまいりますと、郵便料金の引き下げという形で重症身体障害者方々に接してまいることがなかなか困難なような感じがする次第でございます。先ほど大臣からも御答弁申し上げましたような趣旨で、さらにこの問題について検討してまいりたいと思います。
  103. 石本茂

    ○石本茂君 最後に一つお願いしたいと思うのでございますが、先刻の御発言の中に、たとえばお年玉はがきなどによります配付金といいますか、そういうものがそういう人々のところにはいっているのだ、あるいはそういう施設を対象に配付しているのだというようなおことばもございましたが、なるほどそういう機関に入っている人はいい、医療機関なり保護機関におります者は、その適用を受けることができますが、もはやそこにおることもできないし、そういう施設も非常に少のうございますために、現在自分の家で、あるいは借り家の中で不自由なからだを、全盲以上に、めくらさん以上に苦しい毎日を送っている人があるわけでございますから、そういうふうな、ただ一律にお年玉はがきのそういうものは、いっているじゃないかということだけでは済まされないようなものがあるように思いますので、特定な条件を持っていて、しかも非常に局長おっしゃいますように、なるほどこういうものと窓口で扱いますということは困難だと思いますが、御努力もたいへん——どういいますか、簡単にはいかないことであろうかと思いますが、どうぞぜひ御配慮の中にお入れいただきまして、お取り扱いいただきますことをお題い申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
  104. 光村甚助

    ○理事(光村甚助君) 他に御発言もなければ、本日はこの程度といたします。  次回の委員会は三月三日を予定とし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時四十一分散会      —————・—————