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1966-06-27 第51回国会 参議院 地方行政委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十七日(月曜日)    午後一時十九分開会     —————————————    委員異動  六月二十七日     辞任         補欠選任      占部 秀男君     藤原 道子君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岸田 幸雄君     理 事                 小林 武治君                 沢田 一精君                 加瀬  完君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 中村喜四郎君                 鍋島 直紹君                 林田 正治君                 林田悠紀夫君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 藤原 道子君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 二宮 文造君                 市川 房枝君    衆議院議員        地方行政委員長        代理       亀山 孝一君        地方行政委員長        代理       秋山 徳雄君        地方行政委員長        代理       門司  亮君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        警察庁保安局長  今竹 義一君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君        自治政務次官   大西 正男君        自治省財政局長  柴田  護君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    法制局側        法 制 次 長  杉山恵一郎君    説明員        労働省労働基準        局監督課長    藤繩 正勝君        労働省婦人少年        局婦人課長    木下 雪江君        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君        自治省財政局公        営企業課長    近藤 隆之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○地方公営企業法の一部を改正する法律案(内閣  提出衆議院送付) ○「料理飲食等消費税」の全面的撤廃に関する請  願(第四号)(第二四号)(第二五号)(第二  六号)(第二七号)(第五三号)(第六八号)  (第六九号)(第七〇号)(第八〇号)(第九  三号)(第一二九号)(第一四二号)(第一九  〇号)(第二一〇号)(第二二三号)(第二六  五号)(第三九三号) ○地方財政法の一部改正税外負担禁止範囲の  拡大)に関する請願(第五号)(第二一一号)  (第二五〇号)(第二九四号)(第三六六号)  (第三六七号)(第三九四号)(第四六五号)  (第四六六号)(第四七七号)(第四七八号)  (第四七九号)(第五九一号)(第五九二号)  (第五九三号)(第五九四号)(第六一七号)  (第六一八号)(第六七七号)(第六七八号)  (第六七九号)(第六八〇号)(第六八一号)  (第六八二号)(第六八三号)(第七二二号)  (第一五三七号) ○家畜保健衛生所職員特殊勤務手当支給に関す  る請願(第一五七号) ○消防法規則第十条に規定する小量取扱量制限の  緩和に関する請願(第一七九号) ○昭和四十一年度地方財政に対する抜本的対策に  関する請願(第二〇〇号) ○地方財政確立に関する請願(第二三〇号)  (第五三七号)(第一五六三号)(第二一五四  号) ○旧樺太引揚市町村吏員の退隠料等支給に関する  請願(第二四〇号) ○非常勤消防団員殉職者に対する遺族年金制度  の法制化に関する請願(第五三六号) ○地方公務員等共済組合法の一部改正に関する請  願(第八三六号)(第九〇九号)(第九一〇  号)(第九一一号)(第一一三八号)(第一一  三九号)(第一一四〇号) ○ボーリング競技料金に対する課税撤廃に関する  請願(第一二〇五号) ○住民のための地方公営企業確立に関する請願  (第一三〇〇号)(第一三二九号)(第一三六  〇号)(第一三七四号)(第一三八二号)(第  一三八三号)(第一三八四号)(第一四〇二  号)(第一四二四号)(第一四四〇号)(第一  四七二号)(第一四七三号)(第一四七四号)  (第一四七五号)(第二〇九七号) ○社会保険関係職員身分移管に関する請願(第  一四五一号) ○保健所国庫負担職員給等超過負担解消に関す  る請願(第一四五三号) ○地方財政の強化に関する請願(第一五五九号) ○人命救助並びに火災防止に対する諸設備施行に  関する請願(第一五六七号) ○東京阿佐谷地域トルコ風呂設置反対に関す  る請願(第二一三三号)(第二二三七号)(第  二五六四号)(第二六二六号)(第二六二七  号)(第二六四六号)(第二六四七号)(第二  六六七号)(第二六六八号)(第二六九二号)  (第二六九三号)(第二七九五号)(第二八一  七号)(第二八四二号)(第二八四三号)(第  二八四四号)(第二九一六号)(第二九四一  号)(第二九四八号)(第二九九六号)(第二  九九七号) ○特別区の区長公選制復活に関する請願(第二一  三七号)(第二一九六号) ○風俗営業等取締法など一部改正による個室付ト  ルコ風呂営業規制促進に関する請願(第二一  九四号)(第二四三三号)(第二四三四号)  (第二四七三号) ○低開発地域開発促進措置に関する請願(第二  二〇五号) ○戦傷病者に対する地方税減免等に関する請願  (第二二六五号)(第二三〇九号)(第二三一  三号)(第二三三四号)(第二三三五号)(第  二三四〇号)(第二三四一号)(第二三四二  号)(第二三六五号)(第二三六六号)(第二  三八七号)(第二三八八号)(第二三九五号)  (第二四五九号)(第二四六〇号)(第二四八  七号)(第二四八八号)(第二五三九号)(第  二五五八号)(第二五五九号)(第二五九六  号)(第二六一一号)(第二六二〇号)(第二  七四五号)(第三〇八五号) ○消火弾簡易消火器具として規定するの請願  (第二二九七号)(第二六二一号)(第二九四  三号)(第二九五三号)(第二九八一号) ○家庭用消火器具規制に関する請願(第二六二二  号)(第二九四四号)(第二九五四号)(第二  九八二号)(第三〇三三号) ○個室付トルコ風呂営業規制に関する請願(第二  七一二号)(第二七一三号)(第二七二八号)  (第二七二九号)(第二七五二号)(第二七七  一号)(第二七九二号)(第二八二三号)(第  二八四〇号)(第二八五六号) ○東京都豊玉北にトルコ風呂設置反対に関する請  願(第二七九六号)(第二八一八号)(第二八  一九号)(第二八四五号)(第二八四六号)  (第二八四七号)(第二八四八号)(第二八五  七号)(第二八五八号)(第二八五九号)(第  二八六九号)(第二九一七号)(第二九四二  号)(第二九四九号)(第二九五〇号)(第二  九五一号)(第二九五二号)(第二九七八号)  (第二九九八号)(第二九九九号)(第三〇四  〇号)(第三二〇四号) ○東京都二十三区区長公選制復活及び自治権拡  充に関する請願(第三〇一一号) ○自動車税軽自動車税軽減に関する請願(第三  〇六七号) ○継続調査要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。  本日、占部秀男君が辞任され、その補欠として藤原道子君が選任せられました。     —————————————
  3. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  4. 市川房枝

    市川房枝君 衆議院地方行政委員会で自民、社会、民社、三党でお話し合いの上で、このいわゆるトルコぶろを規制するための風俗営業等取締法の一部を改正する法律案を御提出になり、参議院に回付されたわけでございますが、その御努力には感謝をしますが、その内容については、私ども婦人議員としては少なからず不満な点が実はあるわけでございます。しかし、三党でお話し合いになりましたので、まあ婦人議員も党派に属する方々は、それぞれ党の御決定にお従いになるわけでございます。その点、私は自由な立場でございますので、ほかの方々の御意見も含んで提案者並び取り締まりの衝にお当たりになります警察及び厚生省に対して、許されております時間、三十分ぐらいいいということでございましたので、それだけでは実は少し足りないのですけれども、要点だけをひとつ伺いたいと思います。  まず、提案者にお伺いいたしたいのでありますが、最初の第四条の四といたしまして、「浴場法公衆浴場法第一条第一項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。以下同じ。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務提供する営業」ということが出ておりますけれども、この「当該個室において異性の客に接触する役務提供する」ということの内容をもう少し具体的に伺いたいと思います。
  5. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) お答えいたします。  この「当該個室において異性の客に接触する役務」というその役務についての御質問でございますが、これは単純に個室における女性の役務というような文字を使いますと、あるいはお茶の提供であるとか、あるいはタオルの提供とか、あるいはふろのせんをひねるというような問題まで入り、必要はないんじゃないか。ですから、ここにありますように、「異性の客に接触する」、この接触するということばに非常に苦心をいたしました。それで、いまのように単純な役務と、これは排除いたしまして、幾ぶんかからだに触れるという意味を出したわけでございます。どういう内容かは、このことば適用の問題として考えていいんではないか、かように考えております。
  6. 市川房枝

    市川房枝君 その接触するという具体的内容をおっしゃっていただかないというと、これは将来非常に問題になると思うわけなんです。それで、これは別に政令とか何とかいうことでありませんので、この解釈の問題ではっきりと委員会でもっておっしゃっておいていただくことが、将来の取り締まりの上で重要だと思いますので、それをお伺いいたします。
  7. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 最初政令でこの役務内容をきめるつもりでありましたが、いろいろ考えてみますというと、風俗営業法によってやるという場合には、ただ政令で定むるということに譲ることはどうもどうかと、そう思いまして、はっきりとこの文字を使ったわけでございます。したがって政令は出す意思はございません。  そこで、接触はどういう内容だと、これは要するにからだに触れるという行為がそもそもこの範囲に入るわけです。その観念というのは、これは市川先生一番おわかりと思いますが、そこでわいせつ罪を構成するかどうかという範囲まで含む。だから一番単純なことを申し上げれば、まあ三助のような仕事です。接触します。だが、もう一歩進んでマッサージの行為とか、それから先は何とかサービスと、いろいろありますから、そういうものをひっくるめて、この接触するという観念であらわしたわけでございます。
  8. 市川房枝

    市川房枝君 警察のほうはその点どうお考えですか。
  9. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) ただいま亀山議員からお答えのとおりでございますが、風俗営業法には第四条の三に、いわゆる深夜営業年少者禁止行為としまして、「十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること」、 それからいわゆる風俗営業法行為としまして、客の接待という行為禁止されており、で、ここに新たに「客に接触する」ということになったわけですが、ただいま亀山議員からもお答えのとおり、いわゆる単純な機械道具的なものは別としまして、客の身近に接する行為、客の身体に触れる行為はすべてこれに入ると、かように解釈しております。
  10. 藤原道子

    藤原道子君 亀山先生がおっしゃったように、三助行為もやはり接触すると解釈してよろしいですか。
  11. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) そのとおりです。
  12. 市川房枝

    市川房枝君 これはやっぱり背中を流すということですね。それからもむということですね。それははっきりいけませんね。
  13. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) これはこの中に入ると思います。
  14. 市川房枝

    市川房枝君 それからスペシャルサービスももちろんでしょう。
  15. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) それはもちろんです。おっしゃるまでもありません。
  16. 市川房枝

    市川房枝君 ところで役務ということばがあるわけですが、これは仕事としてですね。ところが、そこには女の人がその部屋に出入りするといいますか、あるいはいまトルコふろの習慣からいえば、指名制度があるわけです。そうすると、お客と懇意なわけですが、いわゆる役務でなくて好きで接触するような場合はどうなんですか。
  17. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) それはごもっともな御質問でございまして、役務というのは、要するにそこにいる使用人といいますか、従業員がそういうような役務を持って仕事を担当している、こういう場合に好き同士の問題があるのでございまして、それは風俗営業法取り締まり範囲ではない。
  18. 市川房枝

    市川房枝君 そうすると、いわゆる中で売春行為が行なわれても、それが単純売春当人同士の合意のもとで行なわれれば、それは売春行為は成り立たない、売春行為といいますか、それは罪にならないわけですね。そうすると、こういう項目をつけても、御苦心の結果、「接触する」ということをつけても、結局やっぱりそういう風紀を乱すような行為がそこで行なわれるということを認めることになるのではありませんか。
  19. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) いまお話のありましたうちに、ちゃっとこれは、はなはだことばは恐縮ですけれども、好き合ってそこに行くような場合に、これは売春行為が行なわれない。そこに一種の金銭対価というようなものをもらった場合に問題になる。したがってトルコぶろでそういうような行為がありましても、いわゆるわいせつ罪になるかどうか、あるいは売春法違反になるかというのはその法の解釈で、これはこういう体裁の公衆浴場に対してこの法律適用するという、こういう概念をきめたわけであります。個々の具体的問題については、それぞれ裁判所の解釈によらざるを得ぬと考えます。けれども、いま先生がお述べになりましたように、これは非常に問題なんですけれども、こういう場所でいわゆる好き合った同士がいろいろな行為を行ないました場合に、一体すぐ取り締まるかどうかという問題をだんだん研究いたしますと、よく言われることですが、キャバレー等において、そこのホステスと男子がいろいろ懇意になって、それからあとよそのどこかに行ったりするようなこういうことまでもやるということは、もちろんいけないと思いますが、その場合に、かりにキャバレーの場合に、いろいろ非常にむずかしい問題になります。したがって、先生のおっしゃった例は、何もトルコぶろ関係したことじゃございません。いわゆる接客関係の状態については、そういうこともありますが、しかし、わいせつ罪として処罰することには、程度の限度がございます。
  20. 市川房枝

    市川房枝君 亀山さんの御意見にちょっと納得しかねるのですが、トルコぶろで相手の女、ミストルコ、そこの使用人であって、そうして片方はお客として来ているわけです。あなたのおっしゃった好き合った二人というのは、恋愛中の男女がお客として来ているならば、それとは全然違うわけですよ。どうなんですか。
  21. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) それは私の誤解でございます。おっしゃるように、いわゆるミストルコ、これが個室においていま御例示のようなことがあれば、これはおそらく売春防止法なりわいせつ罪に触れると思います。
  22. 市川房枝

    市川房枝君 警察は、そこをもう一ぺんはっきりしないのですが、取り締まる際にどういうふうになさいますか。
  23. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) いま亀山議員から答えられたとおり、役務提供するというのは、これはトルコぶろ使用人その他の従業員営業にからんでそういうことを提供する。ここで、使用人その他の従業者ということでございますが、たとえ指名であろうと何であろうと、そういう従業者であれば、当然こういう役務提供するものとして、トルコぶろということになります。また必ずしも雇用従属関係じゃなくても、トルコぶろ営業者とそのミストルコとの間に何らかの関係営業上の関係があれば、当然この業態として、ここでいう「役務提供する」というものに該当すると、かように解釈しております。
  24. 市川房枝

    市川房枝君 いまの警察解釈なら納得できるんですが、それははっきりしていただきたいと思うんです。  次に3の項目ですが、「第一項の規定又は前項の規定に基づく条例の規定は、これらの規定施行又は適用の際現に公衆浴場法第二条第一項の許可を受けて個室付浴場業を営んでいる者の当該浴場業に係る営業については、適用しない。」、この点の御説明を少し具体的にお願いします。
  25. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) この第四条の四の規定は、いわゆる場所制限であり、地区制限でございます。現在すでにこれに該当するものがあるかと思います。けれどもトルコぶろと称するものがすべて悪いものとは断定できません。ですから悪いものであれば、これは現在あるものを認めておりましても、そこで営業することを認めておりましても、あとにありますような営業停止によって制限を加えている。八カ月をこえざる範囲営業停止によって制限を加えている。ことにこれはでき上がったあと立法でありますから、さかのぼってその営業禁止まですることはどうであろうと、つまりトルコぶろ営業というものがすべて悪いという前提に立つことは立法として困難であろうと思います。おことばを返すようですが、トルコぶろが全部悪いんだという観念のもとに、これを撲滅という観念をわれわれは持っておりません。トルコぶろのいい面はまあある程度黙認をしてやる、悪ければ制裁を加える、こういうことで、すべての営業が悪いわけじゃない、こういうように考えております。
  26. 市川房枝

    市川房枝君 いまの亀山さんの御意見には少し異議があるんですが、なぜトルコというものに対する反対運動方々で強く行なわれるかということは、やはりいわゆるトルコぶろというものが風紀を乱しているんだということが一般に信ぜられているということからくるのであって、中にはそれはいいのもあるかもしれないけれども、少なくとも大部分はそうなんだ、九九%はそうなんだということの私は証拠になるんじゃないか、こういう点から考えていただきたいんですが、この3の項目について、学校のそばでも現在営業しているものはやはり許すと、こういうことになりますね。それは何とか——四条の四の第一項で「二百メートルの区域内」ということをおきめになったのなら、そういう付近にあるものはある程度の制限ができないものなんでしょうか。
  27. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) トルコぶろが九〇%近くよくないということ、これは私はいろいろ疑義があると思います。私ども衆議院の小委員会におきまして二年間いろいろ調査をいたしました。まあ名前はあげませんが、東京でもトルコぶろの形式をとっておりますけれども、健全なものもございます。関西方面においても健全な営業をやっておるところもございます。したがって、これをすべてこういう個室を設け、また役務提供するものであれば、これは好ましいものではない、こういうふうに言えるかどうか非常にむずかしい、かように考えますが、一面現在あるものも、先ほど申し上げたように、いわゆるわいせつ罪ということの違反行為があれば営業停止をいたしますから、そういう点では前進をするものだ、かように考えております。  最後に、この問題をもしもあまりやかましく言うと、補償の問題、できたあと営業禁止するわけですから補償問題ということになると、これはなかなかゆゆしき問題で、この式の今後の立法が、あと風俗営業あるいは他の法令によって禁止する、制限するという場合に、補償の問題を考えますというと容易でありません。したがっていろいろな方面考えまして、この限度制限にしたわけでございます。御了承をお願いいたします。
  28. 市川房枝

    市川房枝君 たとえばですね、現在の営業者が死んであと子供が継ぐとか、あるいはこれを売ってだれかが買って営業すると、そういうふうな場合はどうなんですか。
  29. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) この規定は、「公衆浴場法第二条第一項の許可を受けて個室付浴場業を営んでいる者の当該浴場業に係る営業については」、かように規定いたしておる次第でございます。現に「許可を受けて個室付浴場業を営んでいる者の当該浴場業に係る営業については」、かように規定いたしておるわけでございますから、いわゆる相続をした場合、またはその営業を譲渡した場合等は当然この規定が働かない。したがって場所制限規定適用を受ける、かような解釈をいたしております。
  30. 市川房枝

    市川房枝君 この法案、社会党も御賛成のようですが、社会党の方お見えになっているのですが、社会党をはじめ衆議院で、この風営改正なんだけれども風営の第一条の一、二、三、四、五、六とありますね、その最後に持っていってといいますか、その七は、一番最後は、現在はマージャンなんかになっていますね。その前に一項目個室付トルコぶろですか、というものをお入れになるような修正案の案をちょっと拝見したのですけれども、その案でなくてこの案に御賛成になりました経緯、それをちょっとお伺いいたします。
  31. 秋山徳雄

    衆議院議員秋山徳雄君) その点につきましては、私どももいろいろ各党の人たちともお話し合いを申し上げ、同時にまた実際においてもいろいろ検討をいたしました。その結果といたしましては、その制限は非常にいろいろな点で不便の点、無理な点があったので、いろいろ検討した結果として、最初お話に出ましたような個室において接触云々ということがございますが、これを確実に守っていくことによって、いままで忌まわしいいろいろのうわさがあったことごとは総じてなくなるだろう、こういうことを予測いたしましたので、私どもは一応これで実際に行なってみまして、そうしてあともし不便な点があれば、これはそのときにもう一ぺん考えるということにいたしたわけでございます。
  32. 市川房枝

    市川房枝君 衆議院地方行政委員会としては、この案に最上の案とはお思いにならない、これは臨時のもので、なお研究してこれをよくするという御意思をお持ちになっておりますか、そういうことを……。
  33. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 小委員会の報告の中には、いま市川さんのおっしゃいますように、理想的にはそれぞれの、トルコぶろにつきましては公衆浴場法、それからヌードスタジオストリップショーにつきましては興行場法、これを改正し、場所地区制限については建築基準法改正していくべきだ、こういう考えでございました。けれども、国会のこういう状況を考え、一日も早くこのトルコぶろ制限をしたい、ヌードスタジオを、ストリップショー制限をしたい。こうなりますと、まず率直に申し上げて、最良の案とは決して思っておりません。一歩前進の程度でございますけれども、今後におきまして、われわれ衆議院地方行政委員会としては研究を重ねまして、検討を重ねて、また警察当局及び厚生省とも相談をいたし、そうしてできるだけこの善良な風俗が保持できるように立法していきたい、かように考えておりますので、決してこれで満足しておりません。一歩前進ということで御了承願いたいと思います。
  34. 市川房枝

    市川房枝君 厚生省当局にお伺いいたしますけれどもトルコぶろというか、ここに掲げてあるものは、許可はやっぱり厚生省というか保健所ですね。
  35. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 今回の改正がありましても、たてまえはあくまでも、トルコぶろといえども公衆浴場の範疇の中でございますので、公衆浴場法許可を従来どおり保健所で現在は受ける、かようなことになるわけでございます。
  36. 市川房枝

    市川房枝君 たとえばいま河佐ヶ谷の学校の五十メートルのところにトルコぶろを建てようとしている。それに対して付近のPTA、婦人会、商店会、町内会が非常な反対をしているわけですが、その業者が、ここにありまするような「当該個室」にはするのだ、しかし、「個室において異性の客に接触する役務」、これは先ほどからお話がありましたが、背中を流したり、あるいはもんだりはさせないのだ。こう言えば、やっぱり学校のそばでも許可しなければならんでしょう。
  37. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 私ども法律解釈で、第四条の四の第一項には、かくかくの施設のところではこういうトルコぶろを営むことができない。また第二項には、そういう地域の禁止をすることができるということで、かような場所におけるトルコぶろ営業は、この法律が成立いたしますと、違法なる営業、こういうことになるわけでございます。したがいまして、許可申請の段階において、知事が公衆浴場法に基づいて許可をする場合でも、さような違法行為になるかどうかということを十分に確認して許可をすべきだ。そうして違法になる場合には、当然受理対象とならない、かように解釈いたしております。
  38. 市川房枝

    市川房枝君 いまの警察の答弁がはっきりしないのですが、私は、厚生省当局が許可権を持っているので、厚生省当局に伺ったわけですが、つまり業者が異性の客に接触する役務提供しないと言えば、それを禁止することはできない。それに違反するかどうかということは、建てたあとで、はたしてお客接触する役務提供したかどうかということで、もし提供したということになれば、違反として罰せられる、あるいは営業停止を食うかもしれないけれども、それはあとの話であって、初めから業者はそれはしませんと言えば、許可しなければならないと思うのですけれども、どうですか、厚生省
  39. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 私からお話ししましょう。  いま市川先生お話、ごもっともなんですよ。そういうことをまさかやった場合に、かりに個室のみであって、いわゆる役務提供させないと言ってやった。それをそういって許可を受けながらやった場合は、これは明瞭にいろいろな制裁ができます。だからそういうことはやらぬ。ただ御質問になかったが、私どもがこの法案審議中、非常にどうかと思ったのは、全国で二十数カ所にあります旅館業で許可を受けていながら、それに直近してトルコぶろをつくる、いわゆる浮き世ぶろです。これは今度のこの法律ではっきり、旅館業法と同時にこの法律適用して、そういうようないわゆる浮き世ぶろというものは制限したつもりであります。だからむしろ合法的なものを装ってやるものに対しては、われわれとしては、厚生当局、警察当局とともに、先生の御心配のないようにする考えでございます。
  40. 市川房枝

    市川房枝君 どうも御答弁、満足しないのですが、それを許可しないというのは、違反するだろうというのでしょう。私は、違反しないと業者が言えば、許可しないわけにはいかないと思う。どうしてそれを防ぎますか。違反したかどうかということは、私がいま言ったように、建てちゃって、そうして背中を流したりしたら、それは違反だけれども、こう聞いているのだが、厚生省に私聞いているのです。
  41. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) いや、全体問題です。私から言いますと、悪いことをしないというときに、するだろうという予断のもとにやれるわけはございません。悪いことをしないといって悪いことをした場合に罰するのですから、先生のおっしゃることはわかるけれども、それはちょっと、悪いことをしないといっても、するだろうからといって制裁することは、むずかしいということをひとつ御了承願いたいと思います。これはたびたび先生に申し上げたつもりなんだけれども、なかなか御了承願えないで、私の説明がへたかもしれませんけれども
  42. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) いまの設例の場合でございますが、私ども警察及び厚生省関係許可を与える衛生当局と十分な行政連絡を緊密にいたしまして、そういうことのないように十分に善処してまいりたいと思いますが、万々一そういう全くのうそをついてやるというものについては、これはもう厳重な取り締まりをもって臨むという以外に対策はないのだ。第四条の四の第一項あるいは第二項の違反行為でありますし、また、その違反に対しては、第四条の四の第四項によって厳重な営業停止を命ずることができる、かように考えております。
  43. 市川房枝

    市川房枝君 私は業者というものはあまり信用しないのですがね。いまの保安局長お話、御答弁は、衆議院の小委員長とはちょっと違うのですが、やはりあなたは、建てさしちゃって、違反した場合には厳重に処罰すると言っているが、建てさしちゃう場合があり得るのです。だからここに私は、たとえば現実に阿佐ヶ谷と総理官邸の下の問題、二つ具体的にあるけれども、それは絶対に建てさせないとはっきり言えますか、約束してくださいますか。
  44. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 私の答弁と亀山議員の答弁と全く同じでございまして、そういう違法な状態の許可というものは受理すべきものではない。したがって「個室付浴場」、こういった役務提供するというように思われるという場合には、警察当局、その他許可当局と十分行政連絡をして、そういう業者に対しての行政指導というものに万全を期してまいりたい、こういうことであります。
  45. 市川房枝

    市川房枝君 それじゃ私満足しないのです。厚生省、どうですか。
  46. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) トルコぶろと想定できる公衆浴場個室を設けているという場合には、ほとんどの場合には女性の従業員個室内において労働するのがほとんど全部と言っていいほどであります。したがいまして、お尋ねのように、これが特に申請の場合に、そのような事態はないという申請形式でございましても、いま御心配のような事態が十分考えられることでございますので、それを公衆浴場として審査をし、設置を許可するにあたっては、十分それらの点が解明せられない限り許可はしない、かようなことになるわけでありまして、もちろんそのような施設が皆無とは申しませんから、絶対にそのような従業員がないというものも、あるいはないわけではございませんので、すべての点でそういう点が解明され、今後そのような悪い形態といいますか、トルコぶろの形態になる心配が全くないということでございますならば、許可することもあり得るわけでございます。そのような十分な注意を行なってもなおかつその後において、今日のいわゆるトルコぶろの形態に変化することもあるいはあり得るかもしれません。したがいまして、かりにそのような許可がなされましても、特例的な営業形態でございますので、絶えずその営業内容については注意をいたしておりまして、この法律規定に従いまして、直ちに法律を発動して、違反、行為がございますれば法律的に処置をする、かようなことになるわけであります。
  47. 市川房枝

    市川房枝君 許可の権限を持っておられる厚生当局はやっぱり許可することはあり得る、違反したらあとで取り締まるのだとおっしゃるのです。これは私は法律解釈上一応当然だと思うのですけれども、そうなると、私はやっぱり、せっかく風俗営業では百メートルとなっているのを二百メートルとして、距離を離してくださったのだけれども、その御好意は結局有名無実になるのだ。学校のそばだって建っちゃうのだ、官庁のそばだって建っちゃうのだ。違反するかどうかということは、そのあとの問題であって、だから私はどうもこういう条項がついていたのではその心配がたぶんにある。  そこでこれは、この条項を拝見してから、私ども婦人議員有志で相談をし合って、そうしていまの「当該個室において異性の客に接触する役務提供する営業」というところを削除しちゃって、そうして個室付浴場業というものはこういう官庁、学校、図書館等の二百メートル以内には建てさせない、女のことは何も触れないで、これは構造上で済むことですから、個室でなくて少し広い部屋でトルコをするということになれば、風紀の問題は心配がなくなるわけなんですから、そこを削除してほしいというお願いをしたのですがそれはどういうふうにお考えになりますか、厚生省当局から御意見を伺いたい。
  48. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 公衆浴場というものを取り出して考えました場合に、御承知の旅館におきましてはしばしば個室が設けられておるわけでございます。個室があることが直ちに風俗上の事犯を起こすということも、そういう場合には必ずしもつきまとうものではございませんし、したがいまして、ただいま私が申し上げましたように、個室をわざわざ設けた公衆浴場であって、しかもそれに女子の従業員が出入し、役務に従事するという事例のない事例というのは今日においてはほとんどございませんので、かような特例を想定してそのもとにおいて法律をつくるということよりは、先ほど来亀山委員長お話しのように、今日のこの原案で進みまして、非常に違反事実が起こる事態が起こりました場合に、あらためてもう一度検討するということで、今日の状態では差しつかえないのではなかろうか、かように思います。
  49. 市川房枝

    市川房枝君 厚生省当局は、この前深夜喫茶の審議をいたしましたときに、深夜喫茶禁止のための風営改正案を審議しましたときに、公衆浴場法のこのトルコのことが問題になりまして、そうして厚生省個室においてはやっぱり風紀が問題になるんだということで、三十九年五月十二日に環境衛生局長から都道府県知事に通牒をお出しになりましたね。ということは、やっぱり風紀個室においては乱れるのだということを厚生省当局もお認めになっているわけです。一体その通牒はどの程度励行されているのかということをちょっと伺いたい。
  50. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 三十九年に出しました通牒に基づいて、各都道府県はそれぞれ条例を設けまして実態上の取り締まりに当たっておるわけでございます。ただ、その当時から心配いたしておりましたが、現行法の公衆浴場法範囲内で行なわれる通達でございますので、これをもって風紀上の取り締まりを万全にするというわけにはまいらないという実態があるわけでございます。
  51. 市川房枝

    市川房枝君 保健所は公衆浴場といいますか、トルコぶろなんかを監督しておいでになるわけですが、月に何回ぐらい一体監督なさっておいでになるのですか。その監督のときにはどんなことを監督するんですか。
  52. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在まで設けられております公衆浴場法を含めまして、環境衛生の一般営業法の取り締まりの基調は、あくまでも公衆衛生上有害なことを規制するというところにあるわけでございまして、したがいまして主眼はあくまでも公衆衛生上の心配の点ということで、たとえばふろの水質等に対する注意とか、あるいは着物を脱ぐ場所において鼠族、昆虫等の駆除というところに従来は主眼を置いて指導してまいったわけでございまして、一昨年来問題となっておりますトルコぶろ等における風紀取り締まりという点になりますと、施設上のガラス窓を設けるとか、特別の張り紙をしないというような程度でございますので、これは保健所の監視基準というものにおきまして年に何回という程度の監視しかできない、必ずしもそうひんぱんに行なわれるものではないという実態でございます。
  53. 市川房枝

    市川房枝君 厚生省衆議院の地方行政の小委員会公衆浴場法改正案の案をお出しになっておりましたね、案の案ですか、まあ公衆浴場法には、今度の案は全然触れないで、風営だけの改正になっておるんですけれども厚生省としては、公衆浴場法はいまのままでおいでになるつもりですか。
  54. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 先般衆議院風営委員会にお目にかけました私どもが検討いたしておりましたトルコぶろに対する規制の内容は、今日旅館業法におきまして旅館に対して風紀上の規制をしておる程度でございまして、したがいまして本日ここに提出せられておりますトルコぶろに対する規制の法律よりははるかに不十分なものでございまして、今回ここに示されております規制の内容は、私どもの原案よりははるかに徹底いたしたものであるわけでございます。
  55. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 市川君、あなたの御質問の時間は三十分ということを言っているのですが、四十分以上経過いたしましたので、あと簡単に願います。
  56. 市川房枝

    市川房枝君 わかりました。で、公衆浴場法でほんとうはトルコを取り締まろうというのは、私そこに無理があると思うんですが、これはもうほんとうは分けるべきだと思うんですが、もっともこのごろ、いわゆる公衆浴場人たちによって、トルコを兼業しようかというような意見も出ているということを聞くんです。それを厚生省はどういうふうにお考えになりますか。
  57. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 公衆浴場が事業としては斜陽事業でございまして、漸次内ぶろを設ける人が多いというようなことから、多角経営ということを考えて、その一つとしてトルコぶろ様式のものを考えたいと言っておりますが、それはあくまでも健全な意味の、北欧等で用いられておるようなトルコぶろでございまして、トルコ嬢を置いてというような考えは全くないように今日私どもは聞いております。
  58. 市川房枝

    市川房枝君 それじゃ、警察に対してまだありますけれども、一応私はこれで。
  59. 藤原道子

    藤原道子君 私は亀山さんがおっしゃるように、トルコぶろそのものを悪いなんとはだれも言ってない。ところが今日トルコぶろということばは、即売春の復活というふうに考えられているんですよ。また私たちの心配するのは、売春防止法取り締まりの現状を見るときに、一そうこの点において心配する。だからくどいくらい念を押さざるを得ない。こういう立場ということを御了解願いたいんです。トルコぶろの健全なものは、私たち何ら反対しておりません。  ところが、先ほど来話になっておりますように、目に余るものがあると同時に、女子に役務提供させないと言ったら許可しなきゃならない。ところが、いまのトルコ業者の中には、もとの赤線の理事長してた人、あるいは、角海老その他の有名な赤線の業者がトルコぶろを現に経営してるんです。その中には相当まあ政治的実力者と言われるような人も関連してるわけなんですね。ということになれば、個室を認めた場合に、そこに演ぜられる状況が心配せざるを得ないということになるんだということは、十分御理解を願わなきゃ困ると思う。  そこで私は、その点はさておきまして、今日非行少年問題が非常にやかましいんですから、どうですか、亀山さん、私たちは、細君にも、おい、きょうはトルコに行ってくるぞ、ああ、行ってらっしゃい、というふうな健全なものにトルコをしていきたいということがわれわれの念願なんです。ところがこれによりますと、二百メートルの距離は置いてくだすったけれども、現に営業してるものは野放しになるんですね。ここに私たちは非常な心配がある。そうすると、二百メートル以外で現にやってるものは、何をやってもいいということになるんですか。私はそういう点から言ってやはり非常なアンバランスも出てまいりますから、経過規定を置いて——すぐ禁止すれば補償金等の問題が起こるというのですけれども、この弊害を認めてこういう法律が出た以上は、やはりこれを野放しにしないで、一年なり二年の経過規定を置いて、これにも適用するというふうにはできないものでございましょうか、そういうことはお考えになったことないのでございましょうか。
  60. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 藤原議員のおことば、ほんとにごもっともでございます。しかしながら、この法律は、いわゆるトルコぶろというものの建設の制限をまず念頭に置いてやっております。それ以外のところにありますトルコぶろに対してもあわせてこのあとの制裁規定があるわけです。この制裁規定の八カ月未満の営業停止という問題は、何も規制した土地の付近という中だけじゃないんです。まだできませんけれども。いわゆる全国にある個室つき、こういうふろに対してこれを適用する、こういうふうになってますから、いまの行政処分と申しますか、営業停止の制裁は及ぶということを御了承願いたいと思います。  それからいまお話しになりました青少年に対する影響というものは、私ども非常に心配いたします。この問題に直接関係ございませんが、われわれが衆議院の小委員会で参りました際にも、映画の広告ですね。ほんとうに目に余るものがございます。なお警察庁で調べましたこれらの全国的調査も、まことにわれわれは心配にたえません。と同時に、また週刊雑誌あるいはその他の婦人雑誌にもずいぶんいかがわしい記事がございます。ただ現在のわれわれの力では、これはいかんともなしがたいことを非常に残念に思うということをつけ加えて申し上げておきます。
  61. 藤原道子

    藤原道子君 したがって、いまの、私がお伺いしたのは、経過規定を設けて、現に役所の近くにもある、警察の近くにもある、学校の近くにもある、これらをそのままにしておくのはおかしいじゃないか、だから将来経過規定等を設けて制限する御意思があるかどうかということです。
  62. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) その点は今後の研究問題だと思います。ただ、これは私個人的意見ではなはだ恐縮でございますけれども、先ほど市川先生からもお話がありましたように、この際まずトルコぶろに対して第一歩前進いたしました。その情勢によりまして、いまおことばのような問題と関連して、現在あるものに対してもある程度の、まあいわゆるトルコぶろの浄化をする、こういうことに意見が一致すれば、それこそトルコぶろ規制法というものを別個につくるべきであって、公衆浴場法と切り離していくべきだ、かような考えを持っております。
  63. 藤原道子

    藤原道子君 その点は強く要望しておきたい。それから旅館業法にも営業停止規定はあるのですけれども、ほとんどそれがなされていない。厚生当局に伺いますけれども、ずいぶんこのごろ旅館でいかがわしいものが雨後のタケノコのように出てきているのですけれども、いまだかつて旅館業の営業停止をくれたというようなことはあまり寡聞にして私承知しておらないのでございます。そういう点から、営業停止営業停止とおっしゃるけれども、そこに私どもは大きな不安を持つのです。この法律で厳としてこれをおやりになれますか。
  64. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 従来旅館業法の営業停止の理由になっております風俗関係は、刑法あるいは売春防止法風俗営業法等に触れて旅館の営業者が処罰されたときに対象になるということでございまして、実際上そういう事例、私どもあまりはっきり覚えておりませんけれども、お尋ねのようにあまり多くない。ただそういう事例に旅館業主が触れたという事例が比較的少ないという実態にあるのでありますが、今回このトルコぶろについて営業風紀を乱すようなことがあった場合に、営業停止が行なわれるわけでございますが、これは警察のほうでおやりになる……。
  65. 藤原道子

    藤原道子君 ただ旅館業で営業停止をほとんどしてないのですよ。それなら違反がないかといったら、軒並みといっていいくらいにいかがわしいあいまい宿がこのごろはずいぶんふえている。これが野放しになっているから、この問題についても私どもは心配なのですが、いかがですか。
  66. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) トルコぶろがいわゆる風俗犯罪を犯した場合の営業停止でございますが、私ども法の趣旨を体して厳正に実施いたしたいと思っております。在来風俗営業に対してどうなっているかの実績を申しますと、昭和四十年中に風俗営業等取締法に基づきまして、営業許可の取り消しを行ないましたものが百十二件、営業停止を行ないましたものが六千七百六十八件、こういうことになっております。今後この法律が成立した場合、トルコぶろについても十分にこの趣旨に基づいて実施してまいりたい。  なお、御質問の旅館の点でございますが、これは私どもも第一線の警察に対しまして、いわゆる旅館業法に規定する売春防止法あるいは風俗営業法等の違反行為があった場合は、積極的に県の衛生当局に連絡をして、その行政処分の発動を求めるように、かように指導を十分いたしているところであります。
  67. 藤原道子

    藤原道子君 いろいろ伺いたいことがたくさんあるのですが、時間がもうないんですってね。そこで亀山さんに、さっきの御答弁の中に非常にひっかかるものがございますので、その点お伺いしておきます。役務提供する者が、そこに雇われておる者ですね、役務を。けれども、自由な恋愛ならこれは別だと、こういうおことばがあったんです。ということは、暗にこれは方法を教えるような結果になると思うんです。いまのトルコぶろ個室で恋愛——好き合っているからといって、二人でトルコぶろへ入っている例はないと思う、個室でね。だけれども、これがもし従業員でないならば別だというようなことはちょっとひっかかるのでございますが、どういうことなんでしょう。
  68. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 先ほど申し上げました地方行政小委員会で参りました際に、やはり料金広告等の中に家族ぶろという、家族同伴の場合は安い料金にしています。まあ、そういうことも頭にありましたので、ちょっと申し上げただけでございます。
  69. 藤原道子

    藤原道子君 トルコぶろはね、一人しか入れないようになっているんです。個室だったらね。家族同伴なんていうことはあり得ないと思う。
  70. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) これは大阪に参りました際にそういうのをわれわれ見てまいりまして、やはり……
  71. 藤原道子

    藤原道子君 それは個室ですか。
  72. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 個室です。
  73. 藤原道子

    藤原道子君 私ども近く視察に行くわけでございますけれども、大阪のどういうところに。
  74. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) どうか大阪のほうでよくひとつ御研究をお願い申し上げます。
  75. 藤原道子

    藤原道子君 では、そこでは家族でトルコぶろへ行っているんですか。
  76. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) その際の業者の説明には、そういう者もあるので家族ぶろという料金を掲示してあると、こういう説明でございました。私ども、どうもその専門家でありませんから、経験もあまりございませんから、そう詳しいことは存じません。
  77. 藤原道子

    藤原道子君 私たちがトルコぶろを何も目のかたきにするわけじゃないということは、どうぞ御理解を願いたい。けれども、最近のトルコぶろは目に余るものがある。それをあまり甘く考えていらっしゃると、この法の適用も十二分にいかないんじゃないか、こういうことを心配いたします。したがって、先ほど来の市川さんの質問、また私の心配等も十分あわせお考えいただきまして、特に地域指定外の現存——この法律ができる前にやっている、営業しているもの、これらについても、経過規定その他でやはり制限ができるような方向でひとつ研究していただきたいし、私たちもまた検討してまいりたい。  で、警察当局に申し上げておきたいのでございますけれども、私たちこのトルコぶろについては長い間心配いたしまして、公衆浴場でありながら個室を設けるのはおかしいじゃないか、いろんな問題が起きるから、この点について厚生省にずいぶんただしてきたんですけれども、これに対して今日まで延び延びになって、今日悪の花の花盛りというようなところへ追いやったわけなんですね。これは当局の責任だと思うんです。幸いに衆議院の地方行政の皆さんが二年にわたって研究していただいて、そして御苦労の末のこれは産物でございますから、これがぜひ生きるように強く要望いたしまして、私も時間のないところ割り込んでおりますので、この程度で質問を終わります。
  78. 原田立

    ○原田立君 ちょっとお伺いしますけれども、この営業に関してですね、区域内の営業については一代限りで許可されているから、引き続き代がえの許可はできないと、こういうことに理解しておるわけですが、そうすると、それの施設に関して新たに増改築等はできるのかどうか。
  79. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) この条文は、現に許可を受けて営業を営んでいる者の当該浴場業にかかわる営業についてはと、かように限定をいたしておりますので、御指摘の、増改築をいたした場合にはこの規定適用を受けない。したがって、地域制限に該当する、かように解釈いたしております。
  80. 原田立

    ○原田立君 そうすると、増築等はできないということでよろしいですね。
  81. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 地域制限に該当する場合は、増築等はできません。
  82. 原田立

    ○原田立君 それは、もし不法に増築なんかやった場合には、それを取り締まって営業停止させることはできるわけですね。
  83. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) さようでございます。
  84. 原田立

    ○原田立君 二百メーター以内にある既設の——もうすでにやっているところの事業については、この法は適用されないとありますけれども、そこいら辺のところはどうしてこういうふうなお考えなのかお伺いしたいのですけれども
  85. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 先ほどもお答え申し上げましたように、これを適用するといたしますと、補償の問題というのが一番頭に来たわけです。この問題に対するある程度の予算措置なりそういう見通しのつかない前にすでにやっているものを、あとでできた法律でこれを制限するということに対してはちゅうちょをしたゆえんでございます。
  86. 原田立

    ○原田立君 ただいま委員長の報告によると、トルコぶろ公衆浴場法で取り締まるというようなお話が前にありましたのですが、今回のは風俗営業法で取り締まると、こういうふうに変わってきているのはどういう点ですか。
  87. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 先ほども申し上げましたように、早くやりたいのですね。早く制限をしたい。それを先ほど申し上げたように、公衆浴場法改正、あるいは興行場法改正あるいは建築基準法改正、そうやったんじゃ間に合わぬと思いまして、とにかく一歩前進という意味で、あえて風俗営業でやりましたゆえんでございます。
  88. 原田立

    ○原田立君 これは警察のほうにお伺いしたいのですけれどもね、未然の防止策については今回のでは薄いのではないか、こんなふうに考えるのですが、その点いかがですか。
  89. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 先ほども答弁いたしましたように、地域制限規定に触れるというような場所にいわゆるトルコぶろを営もうという場合には、違法な状態ということで許可の対象にならない、受理すべきものではない、かようになるわけであります。そういう場合には、十分に警察当局と衛生当局と緊密な連絡をいたしまして、いわゆるトルコぶろと認められる場合に、そういう違法な建築、違法な許可申請の扱いについては、十分慎重にこれを取り扱ってまいりたいと考えておるわけであります。
  90. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 亀山委員長にちょっとお伺いしたいのですがね。まあ、いろいろ社会的な要請がありましてこういう法律改正をなさったということよくわかるのですけれども、外部的な影響もさることながら、この既設のいわゆるトルコぶろにおける料金形態とかあるいはまたは女子従業員の賃金形態、労務契約というものが非常にあいまいであって、まあ、ほとんど前近代的と言ってもいいんじゃないかと思うのです。そういうものの実態を御調査になりましたか。もし調査されたとすれば、どういう実情でございますか。
  91. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 昨年の八月から九月にかけまして、警察庁がトルコぶろ営業の一斉取り締まりを行ないました。その際は、先般も提案理由で申し上げましたように、トルコぶろ五百四十四件、それからミストルコが七千二百三名という数字でございます。その取り締まりの結果は、その四分の一に当たります百三十六カ所において調査いたしましたが、いま御質問の労働関係の法令違反と思われる数字だけで、詳しいことは警察庁から御報告願いますが、児童福祉法違反が百五十名、管理売春、売春の場所提供など売春防止法違反が十五名、職業安定法違反が七十四名、こういうようになっております。
  92. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう一つ御調査があれば承りたいのですが、この法律ができましても、古くからのやつは従前のとおりと思われるのですが、既設のものにつきましては、もう少し賃金形態や、あるいは労働条件などから考えてみて、また対処すべき方策というものが考えられるのじゃないかと、こう思いますのでお聞きするわけなんですが、賃金のほうはどういうことになっておりますか、お調べになりましたらひとつ。
  93. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) 私どもは詳しい、松澤先生のおことばのような賃金形態ということには調査はいたしておりません。けれども、われわれ調査に参ります際にミストルコについて聞きますと、もう区々なようであります。トルコぶろで一貫した賃金形態はないようでございます。まあ、スペシャルサービスに対して幾らプラスアルファするか、あるいはいろんな問題があるようでございまして、十分聞けません。私が答弁を申し上げかねますけれども、とにかく、まとまったというか、そういう賃金形態は表面には、われわれには言いますけれども、裏料金というものがわかりませんので、その点までの調査は、おそらく労働省でやっておれば別ですけれども、われわれにはわかっておりません。
  94. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) ちょっと補足して御説明申し上げます。  私ども調査によりますと、これは昨年の状況でございますが、いわゆる入浴料金が、大体いろいろ地域、時間等によって違うわけですが、五百円ないし千円でございまして、この入浴料金に合わせてトルコ嬢に対するチップとして三百円ないし千円ぐらいの範囲を入浴料金と同時に支払いを受けておるという状況でございます。しかし、いわゆる特別なサービスことばはどうかと思いますが、スペシャル・サービスとかダブルとか、いわゆる特殊なものについては、特に客と相対ずくで、別に相当金額のものを受け取っておるというのが現状でございます。
  95. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いまお話しの料金が五百円から千円、チップが一人について三百円から千円ですか。
  96. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) さようでございます。
  97. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 千円の料金を取って、千円のチップを渡すのですか。料金のほかに千円またチップを取るのですか。
  98. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 料金のほかにでございます。
  99. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは、警察調査で、全然固定給といいますか、日給あるいは月給、そういうものを全然払っていないという事実もございましたか。
  100. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 固定給の問題につきましては、私ども実は確認いたしておりません。固定給の問題については確認いたしておりませんで、そういう、いま申し上げた三百円ないし千円のチップでやっておると、かように理解いたしております。
  101. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 そのトルコぶろ個室というものは一体どういうことになっているのですか。経営者が職場として提供して、そこで女子従業員が働くという形ですか。それとも、その部屋を経営者が女子従業員に賃貸して、そのあがりの中から、また部屋の使用料というようなものを経営者に女子従業員から出している、そういう形になっておりますか。
  102. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) トルコぶろ個室と申しますのは、従業者個室という意味ではございませんで、そこへ客を入れた場合に、客が排他的に利用するという、つまり個室でございます。ただ、営業の形態によりましては、個室の数よりも従業者がたくさんおるというような形態がございまして、いわゆるもうけの多いミストルコでないとそういう個室に振り当てないというようなこともいたしておるように聞いております。そこで、いまの収入の点は、そういう客を取った場合の入浴料金に合わせてチップを取るというのがいわゆる正規収入、そういう形になっておるわけでございます。
  103. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どうも、警察の方にお聞きしても、はっきりわからないと思うのですけれども、聞くところによれば、固定給というものを全然払わずに、ただチップだけでやっている。それでチップをたくさんもらうために過剰サービスというようなことが起こるということを聞いておるのですが、警察当局としては、そういうことをお認めになりますか。
  104. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) いわゆるトルコぶろその他この種の営業については、いま先生御指摘の点が実は私どもも最大の問題点だと、こういうふうに考えております。
  105. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 先ほど市川委員から質問のときに、許可の申請があった場合には、非常に衛生当局と十分慎重に審査して、許可すべきものでない場合には許可しないというようなお話しがありましたけれども、実際上十分に慎重にするということの具体的なことはどういうことですか。
  106. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) たとえば松澤先生御指摘のございましたように、私どものほうでは、そういういわゆる役務提供はいたしませんというようなことを言っておりましても、開店広告等にミストルコサービスあり、あるいはミストルコの募集を行なっておると、こういうような事実がございますと、いわゆるミストルコサービスというのは単にお茶を提供するというようなふうには考えられませんので、そこらのところを実態に即しまして十分慎重に衛生当局とも連絡をとって扱っていきたい。こういう趣旨でございます。
  107. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 警察当局としては、これは違反事実があるとかあるいは違反の疑いがあるとかいうような場合にはできると思いますけれども許可申請にあたってどんなに慎重審議をやりましても、具体的にいま二つの例をおあげになりましたが、しかし、そういうことがなければどうしますか。許可する前に慎重に調査するということは実際上できますか。法治国として一方では成規の手続を経て許可の申請をして、許可をしてほしいと、こういう場合に、あるかもしれないということで許可しない、受理しないということは実際上できますか。
  108. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 立法のたてまえとして、先生の御指摘のぎりぎりの場合に許可をしないということは私どもも困難であろうかと思っております。しかし、個室付浴場業許可申請がございまして、これに対して、その業者が同時にミストルコを募集しているというような場合には、その客に接触して不正な役務提供するのではないかという点について十分に業者にその意向を確かめて、慎重な態度で善処してまいりたい、かような趣旨でございます。
  109. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま保安局長のおっしゃったことだと、従来と同じじゃないですか。この法律ができたからといって特にどうこうということはないんじゃないですか。特に違うところはどういうところですか。事前の問題ですよ。
  110. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 事前の問題といたしましても、こういう個室を設けて役務提供するという浴場の経営が、ある場所においては禁止される、こういうことは従来と非常に違ったところでございまして、大部分のものは当然法律で定められればその法律に従って行動するものと、かように私ども考えております。
  111. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 どうもやはり市川さんやあるいは藤原さん、特に婦人議員方々の心配のことは、事前に疑わしいとかということで申請を受理しない、許可しないということが実際上はむずかしいんじゃないかというような気がするのです。特に私考えますのに、もしその目的を達成するということになれば、相当きつい法律改正をやらなければなりませんけれども、それを婦人議員方々は主張していらっしゃるけれども衆議院のほうはそこまではということで、一歩前進というようなこの改正案を提案していらっしゃるわけです。で、厚生省としてはどうですか、いま保安局長がおっしゃったことをどのようにおとりになっていらっしゃいますか。特に強化してこの法律の目的を達成するということに大きな効果を期待していらっしゃいますか。
  112. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 個室を設けて公衆浴場を経営するという場合には、これがトルコぶろになることはほとんど予測されるわけであります。したがいまして、それがあらかじめ警察当局と連絡なしに衛生当局に申請が出されたというような事例が具体的にありました場合は、十分警察当局に連絡をし、警察当局の調査によって確実にこれがトルコぶろでないという確証を得てこれを許可する、こういうようなことによって、トルコぶろが隠れて許可を取ってあとからトルコぶろの形態になるというようなことはかなり防止できる、かように思っている次第でございまして、今回の改正によりまして、許可をされるべきでない場所に設置されるということはほとんどあり得ない、かように期待をいたしておるのでございます。
  113. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう一つの点は、たとえばおふろ屋さんが、経営者が幾つもふろを持っていると同じように、トルコぶろなどでも、一人の経営者が、まあ会社とかあるいはその形態は別としましても、実質的に一人の経営者がたとえば渋谷のほうでトルコぶろを持っている、あるいは浅草のほうに持っているといったふうに、ある資本家といいますか、経営者があちらにもこちらにも持っているという事例もあるように思いますけれども、そういう経営の実態などについてお調べになったことありますか。
  114. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) ただいま御指摘のように、一人の経営者がたとえば浅草で経営しておって、かつ、池袋等で経営しておる、幾つかのものを経営しておるという事実はございますが、全体的にどういう経営状況であるかということの調査をいたしたことはございません。
  115. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 亀山衆議院議員にいまのところをちょっとお尋ねしたいのですが、その経営の実態ですね、会社は別々の会社であるかもしれませんけれども、資金を握っている者がある特定の人である。それが二つも三つも経営しているというような事例は、もちろん二年間にわたって調査されたのですから、十分握っていらっしゃると思いますけれども、その点はいかがですか。
  116. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) はなはだ申しわけございませんけれども、それまではどうもわれわれは調査いたしておりません。
  117. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは全く突然話を変えるわけなんですけれども、きのうヒルトンホテルに参りましたら、あの角のところに何とかというビルがある。そこにサウナ・バスとかいう大きなたれビラがたれまして、八月一日オープンと、こう書いてある。これはどういう形の——バスというのは浴場でしょうけれども、どういう形のものなんですか。
  118. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 私どもの把握しておりますところによりますと、普通のむしぶろのように解釈しております。
  119. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これはもちろん十分調査の結果おわかりになっていらっしゃると思うのですけれども、これはむしぶろを幾つもずっと大広間があって並べておいて、そうして希望者が、甲の人は一番、乙の人は二番というふうに入るようなものであって、その世話をする人はどういう人がやっているのですか。
  120. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 詳細を私ども把握しておりませんが、多くの個室のように私ども理解いたしておりまして、ただいま先生お話しのような大部屋のような形態のものはあまりないように思っております。
  121. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 じゃ、そのサービスをする人は男の人がやるのですね。
  122. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) そこのところが私ども調査……
  123. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これも首相官邸のそばだということがある。私、参議院会館の窓からのぞくと、大きなたれビラが、屋上から下にたれているようなたれビラが下がっている。私は目が悪いからよくわからないけれども、秘書に読んでもらったら、サウナ・バス、それから何とか八月一日オープンと書いてある。内容は知らない。オープンになったら私も行ってみようと思っているのだけれども。それで、あなたのほうの権限に属することなんでしょう。それを実態を知っていらっしゃらない。トルコぶろではないでしょう——だということは私申しませんけれども、しかし、一方では官邸の周辺にそういうものをこしらえてはいけないということを衆議院の皆さんがたいへん御心配になって、それで法律改正やっているということはあなた方も御存じなんでしょう。突如としてあそこにサウナ・バスというか、それはサウナ・バスですから、非常に健康的なものでしょう。国会の方が疲れたらそこに入って汗を出すということだろうと思うのですけれども、一つのことが、いま言ったように、あなたの所管に属している浴場といいますか、公衆浴場だか何だか知りませんけれども、それをいまお聞きしましても全然わかっていない。それじゃ、この法律改正をやりまして、それで改正法でもって何か審査するとか、あるいは許可の事前調査をするということ、そういうふうにうかつである間にどんどん新規に開業をされるということになるのじゃないですか、うかつであったのなら、うかつであったということを一言釈明していただきたい。それはどういう形のものであるということはちゃんとあなたのところには、直接には行っていないでしょうけれども、保健所あたりから連絡があるはずだと思うのです。
  124. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 現在東京都におきましては公衆浴場許可は区が受け付けまして、都庁が審査をしてきめておりますので、東京都庁としては詳細の資料を持っておるものと思います。お尋ねのように、トルコぶろの形態につきましては、私どもも十分注意をいたしておりまして、最近問題となっております事例につきましては、私どももある程度承知をいたしておりますが、トルコぶろでないものにつきまして私ども調査の不十分なものもございますので、なお、東京都に照会をいたしまして、その内容を明確にいたしておきたいと思います。
  125. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それからもう一つは、マッサージ類似行為ということは厚生省としてはどういうふうに考えていらっしゃいますか、あんま、はり、きゅうというような法律があって、国家試験まで取らなければ営業あるいは従業ができないというふうになっているのに、トルコぶろあたりではマッサージをやっている、あんまの類似行為をやっているということがあるように聞いておりますが、その点はどういうふうに調査され、取り締まっていらっしゃいますか。
  126. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 前々からトルコぶろ従業員の行なう行為はいわゆるマッサージの法律で取り締まっております。マッサージに非常に近い行為ではないかというお話がございまして、私どもとしてもかなりこれは法律の規制対象になるものではなかろうかという気持ちは持っております。しかしながら、ただいままでのところ、これはマッサージ効果をきわめて明確な目標といたします普通のマッサージとはやや種類を異にしたもの、入浴の介添えというようなことが主となって、あわせてマッサージ類似の行為が行なわれるということで取り締まりの対象となっておりません。おりませんが、これは今後の営業の形態から考えて、十分これはマッサージ法の対象として検討する必要はある、かように思います。
  127. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 まじめに高等学校を卒業して、学校へ行って、それでやっている人は、トルコぶろなんかで、マッサージ類似行為と言われたんですが、お客にそういうことをやって、試験も学校も何もしないでできることならば、われわれ苦労したことが何も意味がないというようなことを言っている人もある。この点については、はたしてマッサージ行為であるかマッサージ類似行為であるかそれは別としまして、やはり厚生省としては注意していただきたいと思います。  労働省は……。ちょっと労働省関係質問することありますが、保留しておきます。
  128. 加瀬完

    ○加瀬完君 提案者と法制局に伺いますが、「浴場業の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務提供する営業」というのは、いわゆるトルコぶろをさしていると考えてよろしゅうございますね。
  129. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) そのとおりでございます。
  130. 杉山恵一郎

    ○法制局参事(杉山恵一郎君) 規制の形式からいいまして、トルコぶろ以外のものは入らないとか、トルコぶろについては全部というふうには読み取れませんけれども、いわゆるトルコぶろを主として規制しているように理解しております。
  131. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、異性に接する役務が現に行なわれているかどうかということは問題ではなくて、個室付浴場業そのものの内容が、営業内容が、いわゆるトルコぶろだと推定される形態があれば、これは取り締まりの対象といいますか、この個室付浴場業の規制の対象になると考えてよろしゅうございますね。
  132. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) おっしゃるとおりと思います。
  133. 加瀬完

    ○加瀬完君 そういたしますと、個室付浴場業の規制における個室付浴場業というのは、いわゆるトルコぶろ営業をさすものであると了解がされますので、取り締まりにあたりましては、当然個室の中において提供されております役務の現認をするのみではなくて、それが問題になるだけではなくて、いわゆるトルコぶろ営業そのものの状態を取り締まっていけるのだと、警察当局もそういう態度でお臨みになると判断してよろしゅうございますね。
  134. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 特に異性の客に接触する役務提供する営業でございますから、そういう形態の営業であるということは先生御指摘のとおりでございます。ただ、それを立証するには、必ずしも警察官の現認が必要とされませんが、やはり入浴客等の、そういう役務があったということの何らかの立証要素は必要である、かように思いますが、営業の形態としては、先生お話しのとおりでございます。
  135. 加瀬完

    ○加瀬完君 あなたのようにおっしゃると、それはトルコぶろの新しくできるものは取り締まれないです。役務があるかないかということは現認されなければこの規制に当てはまらないということではないと提案者の御説明では承ってよろしいわけですね。結局、いわゆるトルコぶろ営業というものが行なわれるということが推定されること、それは規制の対象になるのです。したがって、結論を言えば、許可しないという方針も当然出せるということでありませんで、先ほどから御婦人の委員さんもおっしゃっているように、個室があっても許可は原則的にはするものだ、この個室の中で、いわゆるいろいろのいかがわしいサービスが行なわれているということにならなければ、これは取り締まりの対象になれないのだという法律ではないです。そうでしょう、一応明らかにそれはいかがわしい行為が行なわれていると風評の高いトルコぶろ営業が行なわれているのだと推定されると、その規制のワクの中では対象として取り締まれると、また、取り締まられなければならないというねらいでしょう。そう取り扱いくださるのですか、くださらないのですか。
  136. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 許可の段階におきましては、先生お話しのとおりでございます。
  137. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、制限区域内ではいわゆるトルコぶろ許可は今後はしないのだ、こういうことになりますね、はっきりと。
  138. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) そういうことになります。
  139. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで、その現認は、何々サービスが行なわれているだろう、行なわれていないだろうということではなくて、その建築の形態——具体的に言うならば、ネオンをはなやかに、いかにも遊客を招き入れるような態様、あるいはまたサービス嬢をこれは雇い入れなければここでは営業ができかねると推定されるような状態、こういうものがあると、これはトルコぶろをやるなということで取り締まりができる、こう考えてよろしゅうございますね。
  140. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 許可の段階におきましては、諸般の状況を客観的に見て、そういうふうな役務提供する営業と認められる場合には、さようなことになると思います。
  141. 加瀬完

    ○加瀬完君 いわゆる取り締まりの厳正と言うか厳格を期するというような名前のもとに、女がいるけれども、その女の子はこれは半分はだかのようなかっこうで何々サービスをしているとは限らない、しているとは認められないと、あるいは服装が、上着を着ているからあれはお茶だけを持ってくるのではないかというのではないですね。あん摩をするのもマッサージをするのも、とにかく女の人がそれらまでも含めて個室の中で営む営業であればいけないという提案者の御説明だったと思います。それは提案者の御説明の筋でこれから取り締まっていくということになりますね。
  142. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) この法律の形態が、個室を設けますものがこういう制限を受けるというものではありませんから、あくまでも、個室があるということだけでは許可しないということではないわけでございますが、しかし、従来個室を設け、その個室から推定してこれは当然トルコぶろ営業が行なわれるであろうということが推定されるのが大部分でございます。したがいまして、そのような場合に、初めからトルコ嬢のような者がいないというような形がありましても、なおかつ、かなり詳細に精査をいたしまして、絶対にそういう心配がないという確実な状態でない限り、許可対象にならない、そのようなことを先ほど申し上げたわけでございまして、その間に十分警察当局の御意見を伺って許可をする。こういうことでございます。
  143. 加瀬完

    ○加瀬完君 よくわかりました。そこでですね、取り締まり基準というものを施行令か何かで警察は出す意向でございますか。この法律が通りましたならば当然取り締まりをしなければならないわけですね。で、とにかく提案者の意図しておりますのは規制区域内に新しいトルコ営業を許さないということでしょう。それならば、許さないようにするためには、取り締まりに一応の基準というものを明確にしなければならない。施行令なりあるいは何か規則なりで、そういったようなものを基準をつくってお示しになるというお考えがございますか。
  144. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) この法律が成立いたしますと、直ちに警察庁次長通達をもちまして全国の各県公安委員会に対してこの法律施行の基準を示したい、かように考えております。
  145. 加瀬完

    ○加瀬完君 くどいようですけれども、学校とか社会施設とかそういったところに、ここに規制されている区域の中、あるいは指定される区域の中には、とにかくトルコぶろ営業というものを将来許していかないのだという強い基本線でこれは臨んでいくと考えてよろしゅうございますね。
  146. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) そのとおりでございまして、トルコぶろ営業についてはこういう地域にはこれから認められない、こういう趣旨でございます。
  147. 加瀬完

    ○加瀬完君 これも前の委員の方から出ましたけれども、それではですね、これからのことはわかりました、はっきりお取り締まりになる、許可をしないということでいくのですから。現在あるものはどう規制していこうとお考えになりますか。提案者の御説明なりこの法案というものは、これから将来について規制をなさる。で、それによって将来ははっきりと提案者方々の御趣旨が生かされるわけです。しかし、この御趣旨というのが、現在ある既存のものについてもやはり、この法律ではくくれないけれども、くくっていく必要という社会的条件はあるわけですね。これについてはどういう方法でこれから臨むという御態度ですか。
  148. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 現にあるものについての第四条の四の第三項の解釈でございますが、これは私ども繰り返し申しておりますように、現に公衆浴場法許可を受けて営業を営んでおる者の当該浴場業にかかわる営業に限るものである、こういう趣旨でございますので、こういう適用しないというものにつきましては、いまさっき申しましたように、増改築されたものはだめであるとか、あるいは代がわりをしたものはだめであるとかというように厳格に適用してまいりたい、かように考えております。なおまた、この種トルコぶろ営業者でいわゆる風俗犯罪等を犯しました者につきましては、第四条の四の第四項を厳正に執行いたしましてこの取り締まりを励行してまいる、かように考えております。
  149. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると、現在営業している者については、営業状態の調査内容調査というのを厳密にして、他の法律を含めて違法性というのがあれば、厳重に営業停止とかその他の罰則を適用していく、それはいままでよりもはるかに厳しくおやりになっていくおつもりだと考えていいですね。
  150. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) この法律の趣旨を体しましてその取り締まりを徹底してまいりたい、かように考えております。
  151. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうすると現状のままの営業状態でいわゆるトルコぶろ営業がある限りは相当のこれは営業停止の処分というものが行なわれると予測してよろしゅうございますね。
  152. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) 昨年取り締まりを行ないましたような営業状態である限り、かなりの法違反及び営業停止がある、こういうふうに予想いたしております。
  153. 加瀬完

    ○加瀬完君 制限区域内では特にその条件といいますか、取り締まり基準というものはきびしくしていく。何と言いましょうか、もっとはっきり言うと、区域内のトルコぶろ営業については、特にその違法性というものについてはきびしくこれから取り締まりをしていくというように考えてもいいわけですね。まあ、この法律では既存のものは一応許されているけれども、あるべからざる所にやむなくそれが残るようなものだから、あるべからざる行為というものは絶対許さない、こういう厳格な方針でこれから臨んでいくのだ、だから、その中には営業停止も相当出るのだ、こう考えていいですね。
  154. 今竹義一

    政府委員(今竹義一君) この地域制限に触れるような地域で三項の規定によって適用しないということについて特に厳格にやるかという趣旨の御質問だと存じますが、私ども、そういう地域内のものはもとより、そういう地域外のものでございましても、取り締まりにつきましては厳格に法を執行してまいりたい、こう考えております。
  155. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 労働省の方がお見えになりましたので、だいぶ忙しいようですみませんが、先ほど——新しく法律改正をして特定の地域におけるトルコぶろ営業許可について規制するというわけでありますが、ところが、従来既設のいわゆるトルコぶろ等における特に女子従業員の労務契約あるいは賃金契約、そういったものの実態はどうですかと言ってお聞きしたのですけれども改正案の提案者もよくわからないし、警察のほうもよくわからないしということで、特に労働基準関係あるいは女子従業員という関係からお尋ねをして、どの程度まで実態を把握しておられるか、その点について御質問申し上げているわけであります。そういういわゆるトルコぶろ等における女子従業員の労働実態の調査というものをなされたことはございますか。
  156. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) いわゆる遊興的サービスの職業に従事する労働者はかなり多いわけでございますが、その中にはバーのホステスでありますとかあるいは芸者、ダンサー、さらには、いま問題になっておりますようなミストルコ、こういうようないろんなものが入るわけでありまして、そこにおける労務契約あるいは賃金形態というものについて種々問題がございますことはただいま先生御指摘のとおりでございまして、ただいま問題になっておりますミストルコにつきましては、労働省の婦人少年局で一月に六十一名のミストルコを直接面接調査をいたしたものでございますが、これによりますというと、たとえば労働時間の面では、時差勤務制を実施しているものが大部分であって、拘束時間は八時間ないし九時間のものが比較的多い。そのうち接客時間は二時間ないし四時間が多い。また賃金の面では賃金収入のみのもの、あるいは客からの収入のみのもの、あるいは両者によるものというような三種類がございまして、そのうち両者によるものが半数以上を占め、一ヵ月の総収入額は五万ないし六万程度のものが多い。かような結果になっておる次第でございます。でまた一方、私ども労働基準局といたしましても、かねがね問題がございましたので、昨年の十二月には東京、神奈川あるいは大阪、京都というような主要大都市におきまして一斉にこの関係の監督を実施いたしました。対象になりましたのはトルコぶろとバー、キャバレーでございますが、その結果は、たまたま当時警察が手入れをなさっておったような関係もございまして、特に悪質と思われる違反は少のうございましたけれども、何らかの形で労働基準法に違反しているというものの事業場の割合というのは相当高うございまして、普通の事業場でございますと、監督を実施いたしました事業場で、何らかの基準法違反があるという率は大体四四、五%にとどまるのでございますが、この業種では実に九四%が何らかの形で基準法違反が見つかった、特に就業規則あるいは割り増し賃金、健康診断というような関係で違反率が高くなっておるわけでございます。そこで私どもは、従来労働基準法の監督は、比較的どちらかと言えば、興行的業種というものに重点を置いて行なってまいりましたけれども、こういう時勢でございますので、今後ともこういう問題業種を含めまして非興行的業種にも十分監督の手を伸ばしていかなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  157. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 いま賃金の形態は、経営者から支払うものと、それから客からチップみたいな形で受け取るものと、これが多いということでありますけれども、端的にお聞きします。全然固定給というものを支払わずに女子従業員を使っているという、そういう事例は御存じですか。
  158. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 具体的に計数をいま持っておりませんけれども先生御指摘のようなチップのみに依存しておるというものもかなりあるようでございまして、実はこの監督を行ないましたときにも、そもそもミストルコが一体労働基準法上の労働者であるのか、もう少し具体的に申し上げますと、いま御指摘のように一体賃金を使用者から払われていないものであるから、したがって、労働基準法上の労働者ではないではないかという議論があったことも事実でございます。しかし、私どもは、従来から解釈確立いたしておりまして、かりにチップのみによって生活しておる者でありましても、こういった施設を利用することによってそういう収入がある者は、使用者が施設を提供している限り、施設の利益を提供している限り、やはり広い意味で賃金の供与がある、したがって労働関係がある、実質的に使用・従属関係があれば労働者であるという解釈確立いたしまして、その上に立ちまして一斉監督を行なっておるのでございます。今後といえどもその方針は変わらないのでございます。
  159. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 婦人課長がお見えになっていらっしゃると思いますが……。
  160. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) はい、来ております。
  161. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 昨年——本年ですか、六十一名の面接調査をなさったときに、その賃金——全然給与を出さずにチップだけでやっていくという、そういう事例はどのくらいございますか。
  162. 木下雪江

    説明員(木下雪江君) ただいまの御質問でございますが、賃金収入というような中で、店から支給される固定給と歩合給、チップその他のもので成り立っているものと、それから客からの収入によるものと、それから賃金収入と客からの収入の三種類になっているわけでございますが、賃金収入だけのものは一三%、それから客からの収入のものは三三%、両方のものが五四%というような割合でございます。
  163. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その面接をなすったときには、もちろん未成年者という人にはお会いになっていらっしゃらないと思います。しかし、いろいろな立場から、どの程度まで未成年者がミストルコとして従事しているという御計算ですか。
  164. 木下雪江

    説明員(木下雪江君) 調査をいたしました時点でございますと、未成年者は一名もおらなかったわけであります。ただ、当時一年前に十七歳でなったというような者がございましたが、もうその当時は未成年者ではなかったのでございます。
  165. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 課長さんは未成年者の従業者がいないとお考えですか、相当数いるとお考えですか。
  166. 藤繩正勝

    説明員藤繩正勝君) 先ほど申し上げました、労働基準局のほうで行ないました昨年末の一斉監督でも、百事業場のうち年少労働者はわずかに十四名でありまして、割合としては意外に少なかったと思ったのでございますが、これは、先ほど申しましたように、当時警察当局も調査をやっておられたというようなことも影響をしておったのではないかというふうに思っております。したがいまして、それらを総合すると、ある程度の年少労働者も入っておるのではないかというふうに考えられるわけであります。
  167. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 私はこれでもう最後にいたします。せっかくおいでいただきましたけれども、あなた方もたいへんお忙しいそうで……。  まあ、経営者から賃金を払ってないから労働者でないということ、それはまあ形の上ではそうかもしれませんけれども、しかし、役務提供しておることは事実ですから、まさか独立した経営者というわけにもいかないでしょう。まあ、そういうことを別にしまして、やはり実態についてもう少し労働省一生懸命お調べいただきたいと思います。と申しますことは、いろいろと衆議院方々法律改正をやって、いわゆる一定地区におけるトルコぶろというものを規制しようとしているわけですが、その実態というものは、そういう前近代的な賃金形態といいますか、労務契約といいますか、労働条件、そういうものの中から過剰サービスというものが生まれてくるのじゃないか、こういうふうに私は考えますので、今後いろいろ論議する場合における資料となるべき実態的な調査をお願いいたします。
  168. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明かにしてお述べを願います。  なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。市川君。
  169. 市川房枝

    市川房枝君 私は、本案に対して一歩前進ということは認めますけれども、しかし、先ほど質問でも申し上げましたように、不満な点が幾つかございます。私どもは、このトルコの問題は、藤原さんもおっしゃいましたように、赤線の復活と、こういう観点で見ておりまして、そうして個室で女をサービスさせるといういわゆるトルコぶろというものは禁止をすべきである。もっとも個室でなくて大きい部屋ならば女を使ってもよろしいし、あるいは個室でも男に対しては男のサービスをするならばかまわない、こういう考え方で衆議院の小委員長に実はお願いしたのですけれども、それはいれられず、こういう案ができたわけでございます。  で、この案に対しましても、私ども婦人議員としては、せっかくのこの距離制限が、これは、先ほどから私が何べんも質問しておわかりいただけたかと思うのでありますけれども、この条項では、学校、図書館、児童福祉施設等の付近に新しく建てることを押えることはできない。許して、それから違反になってから罰するということであることがはっきりしたと言いますか、おしまいの加瀬さんの御質問では、だいぶ、少し違ってまいりまして、いわゆる「接触する役務」云々の問題ではなく、いわゆるトルコぶろとして考えるというような御答弁もありましたけれども、その点は、どうも実はまだはっきり私は納得していないのであります。個室というものそれ自身がやっぱりトルコぶろというもの、ほとんどそうなんだということは、直接監督の任にある厚生省の環境衛生局長が、一度ならず二度までも、先ほどこの席でおっしゃいましたんですが、そこで、私は修正の案を実は出したいと思うのであります。  この修正案をちょっと読んでみます。   風俗営業等取締法の一部を改正する法律案に対する修正案  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。  第四条の三の次に二条を加える改正規定のうち第四条の四第一項中「の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務提供する営業」を「でその施設として個室を設けてするもの」に改める。  つまり、個室ということだけで許可の対象にするということでよくはないか。とすれば、学校の付近なんかで申請をしました場合に、その建築の様式が個室であれば、当然、それはいわゆるトルコ営業をするものと認めて、そうしてこれを禁止することができる、はっきりできる、そう考えますので、この修正案を出したいと思います。
  170. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ほかに御発言もないようでありますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  討論中に述べられました市川提出修正案を問題に供します。本修正案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  171. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 少数と認めます。よって本修正案は否決されました。  次に、原案、すなわち衆議院提出案全部を問題に供します。本案を原案のとおり可決することに賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  172. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、沢田君から各派共同提出による附帯決議案が提出されております。沢田君の御説明を願います。
  173. 沢田一精

    ○沢田一精君 私はただいま可決されました風俗営業等取締法の一部を改正する法律に対し各派共同により次の附帯決議案を提出いたしたいと存じます。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。    附帯決議案   政府は、本法の運用に当つては、次の点に留意して善良な風俗保持のため有効適切な取締りの徹底を期すべきである。  一、個室付浴場業の規制における個室付浴場業とは、いわゆるトルコ風呂営業を指すものと了解されるので、取締りに当つては個室の中において提供される役務の現認を問題にするのみでなく、いわゆるトルコ風呂営業の状態を取締りの対象として徹底を期すべきである。  二、現に許可を受けて営む個室付浴場業についても、本法の目的にかんがみ、すみやかに浄化対策を検討するとともに、風俗営業等の規制の実効の確保について再検討すること。    右決議する。  以上であります。
  174. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの沢田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  175. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 全会一致であります。よって本附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し永山国務大臣より発言を求められております。これを許します。永山自治大臣。
  176. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) ただいま御決議になりました風俗営業等取締法改正法につきまして、その立法の趣旨及び附帯決議の趣旨を十分尊重し、取り締まりの徹底を厳に期するようつとめてまいりたいと存じます。
  177. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 審査報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願います。     —————————————
  178. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  179. 原田立

    ○原田立君 今回の答申にも国及び一般財政の持つべき経費及び費用において負担すべき経費の負担区分の明確化を出しておりますけれども、これは政令で定めると聞いておりますが、具体的内容はもう大体仕上がっておりますか。
  180. 柴田護

    政府委員(柴田護君) この間、逐条の御説明をいたしましたときにおおむね御説明を申し上げましたし、お手元にも資料としてお配り申し上げてあると思うのでございます。  一応の案といたしましては、水道事業で申し上げますならば、第十七条の二第一項第一号該当といたしまして、消火せんの設置及び管理、その他水道を消防用に供するために要する経費、それから公園、道路、公共用水飲み場その他の公共施設において水道を無償で公共の用に供するために要する経費。それから交通事業では第十七条の二第一項第一号該当としまして、地下または高架の高速鉄道への転換のため軌道を撤去する場合におけるその撤去に要する経費。それから二号の該当といたしましては、高速鉄道建設に必要な地下または高架構築物の建設費の一部。病院では一号該当といたしまして、看護婦養成所、伝染病室、救急医療、集団検診、医療相談、巡回検診、防疫活動その他保健衛生行政の一部として行なわれる事務に要する経費。それから第二号該当といたしましては、不採算地区の病院、それから病院付属の僻地診療所に要する経費、結核病院、精神病院及びリハビリテーション専門の病院における増高経費、これは高度医療に関しますものでございます。それから高度医療等公的使命に基づく増高経費並びに病院の建設改良費の全部または一部ということを予定いたしております。なお、このほかにも若干の問題が残っているものがございますので、現在検討をいたしているところでございます。
  181. 原田立

    ○原田立君 資料はどうですか、この前もらったのと。  これは検討中ということですけれども、大体成案を見るのは、いつごろまでに仕上がるのですか。
  182. 柴田護

    政府委員(柴田護君) この関係規定は、本法律案では昭和四十二年度予算から適用することにいたしております。したがって、なるべく早いほうがいいのでございますが、少なくとも明年度予算に対する態度をきめますまでには一応の検討を終わりたいと、かように考えております。特に地下鉄等の建築費の一部を一般会計から持ちます場合におきましても、国との関係、国庫負担との関連が出てまいりますので、やはり、ものによりましては若干ずれることも予想されます。いずれにしましても昭和四十二年度予算のまとまりますまでの間におきましては明確にいたしたい、かように考えております。
  183. 原田立

    ○原田立君 いまこういう予測的なことを聞いて悪いのですが、これによって企業会計はどのくらい負担減になるのですか。計算したことありますか。
  184. 柴田護

    政府委員(柴田護君) これは、企業の種類によりまして、またその企業の置かれておりまする状態によりましていろいろ違うわけでございます。たとえば病院といたしましても、看護婦養成所を持っておりますところとか、持っていないところ、これから始めるところとか、いろいろございまするので、正確な計算はいたしておりません。
  185. 原田立

    ○原田立君 そこら辺が問題だと思うのですよ。要するに、独立採算制を強化するには、政府の考えは、一般会計と企業会計とをこうやって負担区分を明確化すればその公共性が保持できるということを主張しているのだ。そうなれば、その中身として、じゃあ、こういうふうに負担区分を明確化すれば幾らぐらい負担減になるのか。負担減というのは、公営企業に対する応援になるのですから、それをいまごろになってわからないと言うのはおかしいじゃないですか。
  186. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私のお答えが不十分かと思いまするが、正確に幾ら、総額でこれくらいになりますということを申し上げかねるということを申し上げたのでございまして、個々の事業につきますものについて申し上げますならば、それぞれいままで公営企業の上にかぶせておりました経費というものは相当助かることになるというように私ども考えております。
  187. 原田立

    ○原田立君 よくわからないのですが、じゃあ、一般会計が負担すべき経費を企業会計で負担をしてきたのでありますけれども、それがどのくらいなのか。要は、これによって健全経営ができるという見通しはあるのかどうか、この点はどうなんですか。
  188. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 法適用企業に対しまして、三十九年度の決算でございまするが、法適用企業に対しまして、一般会計から繰り出されているものが、資本的収入、つまり出資金、借り入れ金、資本的関係の補助金で二百三十六億円、収益的収入の補助金関係で百三十九億円、合計三百七十五億円の繰り出し金が組まれております。しかし、この繰り出し金の額が直ちに公営企業を健全化するものとは言えないのであります。これは、これを繰り出しておってなおかつ赤字があるという部門があるわけでございまするので、これだけをもって論ずるわけにはまいらぬと思いまするけれども、決算上の計数を申し上げると、合計三百七十五億円の繰り出し金の中で、資本的収入関係のものが二百三十六億円、収益的収入関係のものが百三十九億円ということになっております。しかしながら、地方財政計画上では、昭和四十一年度の地方財政計画において、収益的勘定に繰り出されるべきものとして考えております額が百四十九億円、資本的支出として、いわば支出の強化という形において繰り出すべきだと予定いたしておりますものが二百七十四億円ございます。この額は両方合わせますと四百億円になるわけでございますが、前年度の約三百億円から百億円ばかり増加をされておる、こういうことに計画上はいたしております。ただ、この規定を働かしてまいりますると、結局、一般会計で持つべきものと法律上、法令上いたしましたものにつきましては、財源措置を明確にするということであります。いままでは財政計画上の計算の根拠として一つの区分けを置いておったわけでございますが、はっきりした負担区分を置いてまいりますれば、具体的な財源措置の対象の一こまとしてこういうものを原因として取り上げていきたい、こういうことでございまして、少なくともその限りにおきましては、個々の公営企業にとりましては、従来に比べましてはっきりとその間の措置がつくわけでございまして、一般会計と公営企業会計との区分けが、財政的に言うならば、交付税会計等も含めまして区分けがはっきりとする、こういうようになることだと思うのであります。
  189. 原田立

    ○原田立君 大体において一般会計で負担すべきものを企業会計で負担させてきたなんということがもうすでに法の不備であり間違いなんです。そんなことは最初から。それを新たに今回はっきり区分しようというだけであって、それはそれなりに一歩前進、半歩ぐらい前進でしょうけれども、それはそれとして、それじゃ三十九年度の決算によると、約三百七十五億円一般会計のほうから出ているというのですが、じゃ、今度いわゆるきちんと負担区分を明確化して前よりもふえるのか減るのか、ふえるのだったらどのくらいふやす考えで大体ふやすようになるのか。それは金額の面で言えば計算上むずかしいかもしれぬけれども、それじゃ、内容においてどのくらい前進が考えられるのか、その点御検討になっておったら答えてもらいたいのです。
  190. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 具体的に計数をもってどうこうということは、現状におきましては少し困難であるということを先ほどお断わり申し上げたのでありまが、たとえば、消火せんの消防用の水のような問題は、現状におきましても負担区分こそ明確でございませんけれども、一般会計の消防の単位費用中で見ておるわけであります。しかし、その額は十分かと言えば、問題が残されておりますけれども、少なくともそういうふうに見ておるものもございます。しかし、先ほど御披露申し上げました病院事業等の問題になってまいりますと、ほとんどその辺は放置されておる。むしろ病院の第一線の実情は、病院の経費は一切病院で持てということで、この辺についての区分けというものがきわめて不明確である。むしろ病院の経理に押しつけられている部分というのが相当にあるのでございます。したがって、その辺のところを明確にいたしまするならば、病院会計の経理等につきましては、私どもは非常に改善されると考えておるのであります。また、地下鉄事業につきましても、この辺の区分けはきわめて不明確であります。むしろ、現状におきましては、全部が地下鉄の建設経費というものは公営企業の負担とされています。しかし、これははっきりと区分けをいたしますれば、その辺のところはきわめてはっきりしてくるし、企業側も助かることとなりましょうし、一般会計のほうも助かることになる、こういうように考えておるわけであります。具体例をもって御説明申し上げるとそのほうがいいのでありまするが、個々の具体例についての計算は、残念ながら持ち合わせておりませんけれども、私たちの予想では相当に改善になるものというように考えておる次第でございます。
  191. 原田立

    ○原田立君 相当に改善という、そこいら辺の答えがぼやけていますよね。相当に改善というのはどのくらいの前進になるのかですね。いかがですか。
  192. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) たとえば水道事業などの例で申しますと、消防用に供するものにつきましては一般会計で負担するというようになるわけでございます。その場合に、消防用と申しましても、消火せんの設置に要する経費はもちろんでございます。また、その維持に要する経費も当然一般会計で持つわけでございますが、消火せんを設置することになりますと、一定の水圧というものを絶えず維持する必要がある。したがいまして、住民の飲む水を供給するだけならば細い管でもいいかもわからぬけれども、消火せん用に特に太い管を引くというような場合も出てくるわけであります。そうしたものについてはアロケーションといたしまして一般会計で持たせるわけでございます。現在いろいろ実情に応じて実態について検討しているのでございますが、たとえば大都市のようなところになりますと、もともと太い配水管をやりますもんで全部企業会計に持たしていいと思います。しかし、小都市のようなところになりますと、たとえば配水管の工事費が、消火せんのために倍ぐらいかかるというような例も出ております。つまり、水を飲ませるだけならば非常に細い管でいいけれども、その水圧維持のために太い管を引く、よけいな投資をしておるというような形になります。したがって、配水管だけで申しますならば、小都市から大都市にかけて、大体多いところで五割ぐらい、だんだん規模が大きくなりまして逓減してまいりまして、大都市になれば全然そのための経費はゼロというような形になります。平均してたとえば一割ぐらいということになりますと、御承知のように、現在水道の工事費というのは年間千五百億ぐらいに上がっております。その一割といえば百五十億ぐらい、こういったようなものがいままでは全部料金収入でまかなわれておったわけでございますけれども、負担区分の明確化によりましてこれが一般会計のほうに肩がわりしてくるということが言えると思うのです。  それから次に、地下鉄工事、こういったものも現在五百億程度年間工事費があるわけでございますが、これも現在まだはっきりいたしておりませんけれども、国、地方団体、それから企業収入、その負担区分をはっきりさせていくならば、その何割かを一般会計なりあるいは国なりで、これはつまり企業収入以外のもので持つということになってくるわけでございますから、必然的にそこに金額が出てくるわけでございます。  なお、地下鉄につきましても、現在はほとんど起債で料金収入という形になっておりますので、こういう形で負担区分をはっきりさしていきますならば、その方面においても相当額が料金収入から一般会計収入のほうへ切りかわるのじゃないかと思っております。
  193. 原田立

    ○原田立君 公営企業の赤字の一番多いのは、やっぱり何といったって水道と地下鉄等の事業が一番多いんですから、これは法案提出する前の段階において、もう少し詳しい内容を披露願いたいと思うんですよ、これは要望しておきたいわけです。  それで要は、企業会計の負担と一般会計の負担とをどうきめるかによって、これは少額と言っちゃどうかと思うんですけれども、小さな部分だけれども、そういう小さな部分を積み重ねていって公営企業会計をもっと健全化できるように進んでいかなければならないと思うんですよ。そういう面で、先ほどから執拗に負担区分をどういうふうにきめるのかと、こう聞いているわけですけれども、ひとつほかの事業は別としても、水道と地下鉄くらいなことは、もっとはっきりしておいてもらいたいと思うんですよ。まあ今度、大体この次の国会あたりには提出したいというような先ほど御答弁がありましたから、そのときにはひとつまた内容を十分検討したいと思うんです。  それから今度の法律によると、新たに地方公共企業体をつくりというようになっておりますけれども、どのような事業に対してこの公共企業体を活用するのか、及び対象都市なんかどんなふうに考えておられるのか、その点いかがですか。
  194. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 公共企業体の根拠規定を置きました理由につきましては、この間御説明を申し上げましたとおりでありまして、やはり間接経営方式というものを公営企業の中に大幅に取り入れろと、そのほうがものごとがスムーズにまいりますし、公営企業の持つ本来の使命を果たせるのじゃないかといったような御意見が、御承知の調査会の答申で非常に強力にございました。そこで、これを具体的に検討をして、御答申をいただきたかったのでございまするけれども、残念ながらその時間がございませんでした。そこで、公共企業体に関しまする根拠条文だけを置いておこうということで、本法案の中に根拠規定だけを置くことといたしたのであります。  この中身といたしまして私どもが現在考えておりますることは、これは事業の種類によって公共企業体的なものをつくることもいいし、また、全事業を通じて公共企業体的なひとつの法体系というものをつくることもこれも方法でありましょうし、それからまた、具体的に、たとえば東京都の交通問題、あるいはもう少し広げまして大都市の交通問題といったようなものに限定をする方法もあろうと思うのでありますが、これはもう少し様子を見て、どういう方法をとるのが一番いいかということを検討いたしたいと考えておるのであります。したがって、「別に法律で定めるところにより、」ということで、この公営企業法の中ではございませんで、別に法律を準備いたしますということを明らかにしておるわけでございます。  内容を申し上げますると、その辺のところは、内容的にははっきり固まったものはございません。私どもが立案の過程において頭に描いておりましたのは、一種の三公社的なようなもの、ちょうど政府と三公社的の関係といったようなものを地方公共団体の長と地方公共企業体との間において想定をする、そうしてこれを立法化していったらどうだろうか、それは統一的なものも一つの案でございますし、事業別に考えることも一つの案でございまするし、また、地域を限って特殊なものについて考えることも一つの案だというように実は考えておるわけでございます。
  195. 原田立

    ○原田立君 この公共企業体にするということは、現在の公営企業よりかだいぶ前進した、いわゆる企業性の重視ですね、そこにいくんじゃないかと、こう考えるんですけれども、そうなると、いわゆる字のとおり公営企業、もっと公営企業というものは公営の面を強調しなければならないと私は考えるわけなんですよ。企業性を中心にすると、これはどうしても次の課題として料金の値上げとかいうようなことが出てくると思うのですけれどもね、その点はどういうふうに考えますか。
  196. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お話しのような議論もあるわけでございまして、したがって、地方公共企業体をどういう形で考えるかということは、やっぱり一つの大きな問題だと思うのでございます。私どもも公営企業を扱ってまいっております関係で感じますることは、やはり小さな地方公共団体に参りますると、そこの公営企業というものは地方行政の全くその中に入ってしまって、地方行政そのもののように思うのでございます。まあ、大きなところももちろん地方行政の一部でございまするけれども、しかし、非常に規模が大きくなってまいりますると、長の統轄権と申しましても、実際問題として、長自身がもっぱらそれに専念することがむずかしい。そこで、非常に大きなものになってまいりますれば、やはり、そういう直接経営方式によりますよりか、間接経営方式的なものと考えたほうがより能率的じゃなかろうか、より本来の使命を達成することがやさしいのじゃなかろうか、こういう考え方を持つわけでございます。外国に参りましても、多分に国有ないし公有で、しかも経営は民営委託といったような形態も世界の大都市には発展してまいっておるわけでございますし、さような案もやはり含めまして、公共企業体方式というものをどう持っていくかということを検討してまいりたいと思うのであります。御心配になりました公共性の確保の問題につきましては、別途配慮する余地がありはしないか。公共企業体になったからといって公共性の問題が全部ずれてしまうということは、それは公共企業体の仕組みのつくり方であります。直ちにそれによって御心配のような事態が起こるとは言えないのじゃなかろうかというように考えておる次第でございます。
  197. 原田立

    ○原田立君 それはしかし、結論のところは議論の右左に分かれるところなんですからあれですけれども、だけれども、企業性を中心にすればこれは値上げも当然出てくるのじゃないかと、こう思うのですよ。で、まあ年の初めからいろいろと公共料金が値上げになっているから、だから、五円や十円ぐらいの値上げなんかたいしたことあるまいというお考えじゃないだろうと思うけれども、そういうことはいろんな物価に非常に影響をし、国民全体の生活に影響するところが多いのですから、だから、そういう料金値上げに通ずるような、そんなにおいのあるようなものはもっと差し控えるべきじゃないだろうか、こんなふうな考え方をするわけでございます。だから、最後の、要するに、料金の値上げなんかというようなことが心配ないのかということを聞きたいのです。そこのところを先ほどもお答えがないのですよ。
  198. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 料金を何も上げることだけが能じゃございませんで、これはできるだけ低いのにこしたことはないのでございます。しかし、そのためには、かえって逆に経営自身をある程度離してしまったほうがコストの合理化という面からいいますならば効果のある面もあるわけでございます。一般会計と密接につながっておりますると、負担区分をきめていかなければならぬような問題、つまり一般会計にもたれかかると言いまするか、そういうような気配もいままでの公営企業経営ではあったわけでございます。そういう気配をある程度はっきりさすという意味において負担区分の適正化、合理化ということを考えてまいったわけでございまするが、逆にまた、いつまでも一般会計との牽連性を強く持ちますると、かえって企業の経営合理化に伴うコストの合理化というものもなかなか思うようにいかぬのじゃないか。むしろ、思い切って大規模のものにつきましては別の一つの事業体をつくって、そしてやったほうがあらゆる意味においてベターじゃなかろうか、こういう御議論があるわけでございます。それがまあ公共企業体の答申というようなことになり、この法案に根拠規定を置きました理由でございます。したがいまして、公共企業体をつくりましたからといって、すぐそれで料金の値上げに結びつくとは私ども考えておりませんし、またそういうことがあってはならない、そういうことをプッシュするおそれのあるものはむしろ押えるべきだというように考えております。
  199. 原田立

    ○原田立君 料金値上げに通じないというようなお話だけれども、これは現実にそうなりますよ。そこにわれわれ一応不安点がある、こう思うのですよ。だから、やっぱりいまのお答えにも、何とはなしにニュアンスとして、料金値上げはやむなしと、こういうふうに自治省は考えておるというようなふうに聞こえるのですけれども、どうですか。
  200. 柴田護

    政府委員(柴田護君) やはり企業でございますから、合理的、能率的経営のもとにおきまする適正料金という立場からそれにそぐはないものがあれば、場合によってはやむを得ないと私ども考えます。考えますけれども、何回も繰り返して申し上げておりますように、料金を上げることが何も能ではない。できるだけ経営内部の合理化によって吸収すべきものだ、こういうことは一貫した方針でございます。それは公共企業体というものを考えましたからといって、その方針を変えるつもりは毛頭ございません。
  201. 原田立

    ○原田立君 必ずしもそうじゃございませんというお答えだけれども、値上げというのはことしの初めから国鉄料金も上がったし、健保料金も上がってくるし、いろいろなところが上がっておるわけですね。公営企業関係でも、バス代、電車賃なんかもどんどん上がっていくような全国的な傾向にあるわけです。上げる前の段階において、国においてもっと努力すべき、改善すべき点はあるのじゃないか。そこいら辺の努力をどれだけしたかははっきり開陳しないで、そうしてただ企業性尊重の料金値上げに通ずるような考え方を持つというのは、これは公営企業の破壊じゃないですか。その考えは、私は容認できない。——大臣でもいいですよ。要するに、低料金で押し通すべきだ。公営企業は、値上げに通ずるようなそういうニュアンスを持ったものはいけない、これが私の考えなんです。だから大臣としては——先ほどの局長の答弁では値上げもまたやむなしというような意味のお話があったけれども、それはどうなんですか。
  202. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 基本的には御説のように低料金でいくべきであると考えるのでございまして、要するに、公営企業でございますから、この公益性ということに非常に力を入れまして、一般会計の持つべき分についても検討をいたすべきであると考えるのでございます。
  203. 原田立

    ○原田立君 それはわかるんですけれども、その内容はどうかと聞いたら、これから検討するのだと言って、まだはっきりしないわけですよ。そこに大いに不満を持つのですよ。じゃ、そこのところほんとうに公共性を加味して、公営企業の健全な運営ができるような内容になるかどうかという点ですね。
  204. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) これらの点についても、本年度予算編成におきましては、自治省のほうでは、水道関係で特に高くつく点については利子補給をするとか、あるいは地下鉄関係については、国及び一般会計の持ち分に対して十分ひとつ成案を得たいというふうに努力を続けてきておるのでございますが、今日の情勢はそれに至っておりません。今後さらにひとつ十分努力いたしまして、公共性ということに頭を置いて努力をいたしたい。さらに貸し付け関係の金利並びに期限の延長、これらの点についても再検討をいたして、努力を続けたいと考えております。
  205. 原田立

    ○原田立君 議会の監査が間接的になって不合理が生じるおそれがありはしないかと、こういうふうに思うんですが、どうですか、公共企業体の。
  206. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私どもは必ずしもそう思わないのであります。それはまあ監査委員のあり方の問題とも実は関連するわけで、むしろ現状では、監査委員がおられますけれども、必ずしもこういった企業会計にたんのうな方があまりいらっしゃらない。そこで、むしろ監査が平面的になり過ぎているきらいすらあるのでございます。むしろ公共企業体的なものにいたしました場合にはそのほうの専門家というものをとらえることができるんじゃなかろうか、むしろ逆に監査というものは企業的によりきびしく得る可能性は、公共企業体のほうがやりやすいんじゃないだろうかというふうにも実は感ずるのでございます。お話しのように間接的になるという心配もございまするけれども、その点は立法的に解決することができる可能性があるんじゃなかろうかというように考えます。
  207. 原田立

    ○原田立君 今度は給与のことでお伺いしたいんですけれども、給与の根本基準について、今回、職員の給与は経営の状況を考慮しなくてはならないと、こういうふうに改正しようとしておるわけですが、この地方公営企業の職員は本来、団体交渉権は持っているわけですけれども、民間企業と違って争議権を持たない。しかも、地方公務員として、他の行政職員と同じ地方公共団体の職員として住民の福祉に奉仕していると、こういうわけですが、したがって、一般行政職の給与が上がれば、それが公営企業職員にとってもその賃金の動向を考えるにあたっては有力な資料となるべきものと考えるのが当然ではないかと思うんです。争議権を持たない企業職員に対し、経営の成績がかんばしくないからといって賃金を引き上げてはならないというようなことは妥当ではないのではないだろうか。賃上げというものは、物価の高騰、それなりの要因があるわけで、物価の不安定という事態が続く限り賃金の安定がないわけです。で、住民福祉のため、経営環境の悪い状況の中で経営される地方公営企業の職員に対しては、経営状況を資料とすることは適切ではないと思うんですが、その点いかがですか。
  208. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お尋ねは第三十八条の改正に関連するものと思います。  第三十八条の改正につきましては、現在、現行法におきましてもその解釈上、改正しようといたしておりまする条文と同じことを実は解釈としては私どもはとってまいりました。その方針で指導してまいりましたのでございますが、実際は、必ずしもその私どもの指導してまいっておるようなわけにはいっていない。むしろ、そういうことから現在の条文についていろいろ疑義がございまするのでそういう混乱が生まれてきたものだと思うのでございます。したがって、第三十八条の改正は、その混乱を避けまして、公営企業の職員の給与というものをはっきりした、安定した軌道に乗せたいということから行なったものでございます。したがって、現在現行法の疑義を明快にしたということでございます。  経営状況の問題につきましては、やはり企業でございまするので、経営の状況というものにその給与の中身というものが左右されるということはある程度やむを得ない。現在現行法でも、「事業の従事者の給与その他の事情」という文句がございまするが、この「その他の事情」というものに経営の状況というものが入っておるんだという考え方をとってきたわけでございます。したがって、それを明確にしたというだけでございます。お話しのように経営の状況だけということで給与を左右しようということでございますれば、おことばのような御批判は当たるかと思うのでございますけれども改正法におきましても、経営の状況だけではございませんで、やはり生計費だとかその他の同一または類似の職種の一般会計の公務員あるいは国の公務員、民間事業の従業者といったようなものの給与状態というものを並列的に考えるのだというたてまえになっているのでございまして、その点につきましては配慮をいたしているつもりでございます。
  209. 原田立

    ○原田立君 いまその附則のところを私のほうでも言いたいと思ったのですが、改正法の附則は新給与基準によって給料に著しい変動を生じないようにと、こういう規定してあるわけですが、私は、給与の考え方について自治省とはだいぶ考え方が違うわけなんです。かりに現在の給与が高過ぎて、改正法により引き下げるのが妥当だとする場合、附則規定による給料を引き下げなかったとしたならば、引き下げない給与があったとしたならば、それによって生ずる赤字額は一般会計により補助することは許されますか。
  210. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 改正法の附則にあげておりまするのは、現行法の解釈につきましては先ほど御説明申し上げましたとおりでございまするが、それが実際はそのとおりいっていない。そのとおりいっていないものを、従来現行法の解釈というものを明確にいたしました結果、現行法におきまする疑義が一掃されるわけでありまするので、その結果として現在の給与、各企業におきまする給与規程というものが新法の三十八条と抵触するおそれがある。そういうことになってまいりまするとかえって混乱を生じまするので、そういう場合に激変をさせないように十分配慮しようという規定を、注意的に置いたのでございます。したがって、むしろ附則のほうはないほうがいいのかもしれませんけれども、むしろ、私どもといたしましては親切にと申しまするか、ごく注意的に附則の規定を置いて混乱を避けようとしているわけでございます。三十八条そのものの改正は、現行法にありますところの疑義をはっきりと割り切って、現行法にひそみまする規定の不備を明確化したというだけでございます。特に給与規程のあり方につきまして百八十度の回転をしようというわけではございません。
  211. 原田立

    ○原田立君 この企業合理化ということでいけば、当然人員過剰分が出てきて、その整理というようなことがこれは一般的に考えられるわけですけれども、どのように処理するのか。あるいはまた、具体的に、東京の交通労組みたいにたいへんな人数が、人が余っているように話を聞いております。こういうようなことに対して国は国の段階においてどういうふうな指導をするのか。
  212. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 経営の能率化、合理化ということは、あえて企業に限りませんが、あらゆる分野において常に要求されることでございます。特に公営企業につきましては、それが企業でありまする以上、その能率化、合理化につきましては、絶えずやはり気をつけてもらわなければならぬと思うのであります。いろんな事情でそういったことが実際問題としてうまくいっていないところがあることは御指摘のとおりでございます。やはり、そういうものにつきましては、新陳代謝の促進をはかってまいりまするとか、あるいは他企業への転換をはかってまいりますとかいったような、総合的な施策をもってこれに対処していくべきだと考えるのであります。具体的には、しかし、これは団体交渉を通じていろいろ取りきめられていくものだと思うのでございまして、指導方針といたしましては、やはり企業につきましても少数精鋭主義、能率主義というものをより徹底していくように指導してまいりたいと考えております。
  213. 原田立

    ○原田立君 まあ、少数精鋭主義もけっこうだけれども、現にいまその事業で大ぜい人が働いているわけなんですから、いま局長の言われたような指導なんかで言えば、当然首切りになっていくようなことが考えられる。それは非常に酷な話なんです。やはりその従業員には家族もたくさんいるのですから、だから、そんな首切りなどならないように、これは国として強力な指導をしてもらいたいと思う。
  214. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 好きこのんで冗員整理というものをやるわけでございませんけれども、しかし、やはりこれは企業を能率的に経営してまいります以上、冗員が生じてまいりますれば整理せざるを得ない。それをやめろと言われましてもこれはちょっと無理な御注文だと思うのであります。問題は整理のしかたをどう円滑にやるかということだと思うのであります。何も手荒いことをやれといったようなことを指導するつもりはございません。
  215. 原田立

    ○原田立君 結局それはあと配置転換とかいうような問題に続いていくんだろうと思うのですけれども、それはみんなが、要するに生きられるような方向にいってもらいたいと思うのです。このまま今度の法律、給与の規定からちょっと話が飛んでおりますけれども、企業の合理化能率ある健全なる企業の経営ですか、そういうようなことでいけば、無理押しして大混乱も生じてくるでしょうし、一般住民もはなはだ被害を受けるし、また、従業員方々が、家族の方々がかわいそうなんです。そうなれば合理的な配置転換というようなことは十分考えられるわけですが、そういう不測の事態が起きないように、厳重に国としても監視し、また、指導もしていってもらいたいと思うのです。  なお、給与の引き下げ等があるんじゃないかと、こういうふうに不安に思っている人がだいぶいるわけです。その点いかがですか。そんなことはありませんか、給与の引き下げなんていうことは。
  216. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 給与の中には給料と手当があるわけでございます。給料について引き下げといったようなことは、実際問題としてありようはずがございません。手当等につきましては、場合によりましては、非常に経営がいい場合におきましては割り増しを出し、あるいは経営が悪い場合は多少がまんしてもらうというようなことが起こり得るかもしれませんけれども、全体として、給料全体が不当な扱いを受けるということは避けたいと、かように考えておる次第でございます。
  217. 原田立

    ○原田立君 ちょっとダブった質問みたいになると思うのですけれども、御了解願って、給料値下げについてどのような事実によって応援するのか、公営企業に対してどういう応援をするのか。その従業員が給料ダウンされて値下げになる。値下げの幅等については、値下げになったんだからやむを得ないといってぱっと切ってしまうのか。あるいは国の段階において、この引き下げた部分について何らか援助するというような考えはないのか、その点はどうですか。
  218. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 給与の問題は、原則としては、御承知のように、団体交渉でもってきまるたてまえになっております。団体交渉に臨むに際してどういう態度で臨むかという管理者の心がまえ等につきましては、第三十八条の解釈ということは明らかにせざるを得ないと思うのでございますけれども、原則としてそういうたてまえになっておりますので、その辺の、お話のようなこまかい問題はすべて団体交渉に一任すべきものだというように考えております。
  219. 原田立

    ○原田立君 ちょっと別な問題になりますが、国の公共料金抑制措置により料金の適正化をはかったが、これらの赤字は政府が補償すべきだと思いますが、その点どうですか。
  220. 柴田護

    政府委員(柴田護君) この問題は、私ども年来当委員会におきましてもおしかりを受けてまいりましたし、私どもも何らかの措置を講ずべきだといたしまして、いろいろ財政当局と折衝を重ねてまいりました。三十九年末の料金ストップのときには、とりあえず融資をいたしまして、その融資の金利負担はかからないように、金利負担だけ全部下げるということで一応片づけてまいりました。ただし、元本問題だけは残されておったのであります。これは逆に、料金ストップ全体の問題としましては、私どもは公営企業だけの立場でございますけれども、逆に政府といたしましては、民間企業の問題もございますればその他民間全般の問題もあるわけでございます。なかなかむずかしい問題をはらんでおるわけでございまして、今日まで解決に至っておりません。衆議院の段階で利子補給等につきまして修正を見ました背後にも、そういったようなものに対する配慮があったのじゃなかろうかと思うのでございまするが、なお、将来の問題として検討してまいりたいと思うのでございます。
  221. 原田立

    ○原田立君 健全経営というのは、いたずらに企業の合理化のみに求めるべきではなく、いかに国によって応援するのかということが最も大切な問題だと思うのです。この点について何度も何度も言い古されていることなんですけれども、もう一ぺんあらためてどういうような点によって応援するのかお伺いしたい。
  222. 柴田護

    政府委員(柴田護君) おっしゃるように、経営の合理化だけでものごとが片づくものもございますれば、それだけで片づかないものもあるわけでございます。いわゆる企業の経営悪化の原因としての外部要因と言われるものでございます。したがいまして、たとえば東京都の交通について考えますれば、民営との路線競合問題あるいは道路のふくそう問題、こういったものを片づけてまいりませんと、やはり交通企業というものの合理的なものが出てこないことは御指摘のとおりであります。ただこれらの問題は非常に複雑でございまして、ほかの行政にも密接に関連をいたしております。そう一朝一夕には残念ながらまいらないのであります。逐次片づけていくように努力をいたしてまいりたいと思うのでございます。しかしながら、と言って、公営企業を確立する道というものが、単に外部要因の健全化と申しまするか、除去と申しまするか、そういうものだけにあるかと言いますれば、それも大きゅうございますけれども、やはり何と申しましても、企業でございますれば企業自身の経営の健全化、合理化、能率化ということはやはり企業として要請される第一の要因ではなかろうかというように思うのであります。公営企業の経営という立場からは公営企業経営者がまずその精神に徹底することが必要であろうというように思うのであります。外部要因の問題と相並行して考えるべきもんだと思うのでございます。
  223. 原田立

    ○原田立君 赤字企業の再建については、昭和三十八年に地方公営企業再建指導要綱、これを定め、行政措置として再建指導をなさっておられるわけですが、その実施の状況はいかがですか。
  224. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 三十八年当時は三企業がこれに応じまして再建計画をつくったわけでございますが、この趣旨は、三十九年、四十年と引き継がれまして現在に至っております。三十九年度は六十六企業でございます。四十年度は七十九企業、これが現在それぞれ再建計画をつくっておるわけでございます。七十九企業の内訳は、病院事業が五十一事業、水道が十六、交通が九、ガスが三というような形になっております。
  225. 原田立

    ○原田立君 数だけではなくて、その実施の状況はどうなっているのかと聞いているのです。
  226. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 公営企業制度調査会の中間答申を受けまして、とりあえず単年度収支均衡ということを目標としまして計画を策定せしめております。したがいまして、過去の赤字の年次解消計画という形ではございませんで、とりあえずその年度収支均衡をとるということを目標に、経営の合理化、料金の適正化あるいは負担区分の明確化、そういったことをやっておるわけでございます。
  227. 原田立

    ○原田立君 自治省がこのような行政措置を行なってきた法律的な根拠、並びに今回の改正規定における再建措置は、再建者の利子補給に関する規定を除いて、行政措置の内容もあまり変わらないと思うんですが、その相違点について承りたい。
  228. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 従来のいわゆる公営企業の再建指導と申しますのは、別段特に法律的根拠はございません。むしろ行政指導の一態様としてそういうことを進めてまいったのであります。しかし、何と申しましても自主的な再建ということになりますれば、それで片づくものも実はあるわけでございます。片づくものがないとは申しませんで、いままでも再建指導でもって片づいたものもございましたけれども、ごく少ない。特に重症になってまいりますると、とてもそういうことじゃ追っつかないというようなこともございまして、やはりこれは法律をもって再建の仕組みというものを明確にし、これに対して所要の手当てをしてまいる必要があるだろうということを感じまして、同時にまた、それに関連しては、公営企業の将来のあり方という問題もからんでくるわけでございますので、学識経験者からなる調査会を構成いたしまして御審議をわずらわした、こういう経緯になっておるわけでございます。
  229. 原田立

    ○原田立君 先ほどからいろいろの、きのうからもいろいろの点でお伺いしているわけですが、要は公営企業は公営の面においてもっと強化すべきであって、企業の面に重点を置くような考え方じゃ根本的に私たちは相いれないものを持っております。それで、いかにして国のほうからこの公営企業健全化の育成のためにどれだけの財政的、制度的に応援をしていくかということが最も重要な課題であるわけです。その点についていまだはっきりとした御回答もないし、はなはだ不満とするんですが、より一歩前進という形において公営企業の健全な発展のためにも国のほうからもっともっと財政的に援助すべきだと思う。その方向でひとつ進んでいただきたいと思います。要望だけしておきます。
  230. 鈴木壽

    鈴木壽君 いよいよこれはもう最後の段階になりましたんですが、それで、前に他の方々からも触れられた点もございますし、私自身関連質問の形でちょっとお聞きしたこともございますが、そういうものを含みながら若干お尋ねをしてまいります。大体この条文の順序を追っていきたいと思いますが、一つは、地方公共団体の長と企業の管理者との関係、あるいは地方公共団体の長と議会、これと企業の管理者との関係でございますが、今度の第七条では、この前にもちょっとお聞きいたしましたんですが、地方公共団体の長の指揮監督というものが省かれておるのであります。あるいはこれに関連をして第十六条のそれにもありました指揮監督ということが省かれておる。また、十三条では、長の同意を得なければならないという事務の一部委任の場合のそういうことも省かれている。こういうことで、この形からしますならば、改正されるような形からしますならば、一体地方公営企業というものは長あるいは長によって代表される団体あるいは住民、これとの関係を一体どう考えていけばいいのか、私は公営企業というものの基本的な問題から若干こういう改正について、若干どころじゃない、非常に同意しかねるものがあるわけなんであります。なるほど管理者の権限を大きくするということ、一般的にいってですね、そして企業が能率的に運営されるようにするということ、こういうことは一般的にいって必要なことであります。私はそういうことを否定するのじゃなくて、そういうことは十分考えて、せんだってのちょっと御説明の中にもありましたように、はしの上げ下げなりなんなりまで関与し干渉するというようなことは避けるべきであるけれども、しかし、公営企業であるからには、私は最終の責任といいますか、総括的な意味での責任というものは当然住田を代表し、あるいは団体を代表する長そのものに持たせるべきだと思う。これからはそういうことが抜けてきますね。指示権はある、あるいは議会に提案するようなことももちろんありますけれども、いま言ったような意味での総括的な意味での首長が責任を持たなければならぬという、そういうことからしますと、私は今度の改正ではそういうことが薄れて、もうなくなってきているのじゃないだろうか、こう思うのですが、これについての考え方についていま一応御説明をいただきたいと思う。
  231. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私ども先生がおっしゃいました基本的思想というものと少しも考え方を異にいたしておりません。ただ企業でございますれば、やはり経済活動というものを中心に行なうわけでございまするから、そこにはやはり機動性というものが要求される、機動性というものの要求を満たしながら、なお、おっしゃるように、最終的には企業というものを住民の手に置くというためにはどうすればいいかということになるわけでございます。そこからいろいろ検討いたしました結論は、この改正案にありますようなことになったわけであります。したがって、企業の興廃を左右するような基本的な問題というものは、もちろん条例事項に関しますものは議会にあるわけでございます。また、その年々の業務執行の内容というものは予算をもって議決をするということで住民の代表が議会の意思というものを十分反映させるというたてまえを基本にとりながら、なおその中には非常に有為な人材を吸収して、そして管理の責任を全うさせるという意味では広く人材を取り入れるという制度を考えていかなければなければならぬ、そのためにはあらゆる企業についてそういう制度を指揮監督するという問題があるわけでございまするが、小さなものになりますれば、それを強制する必要はない、しかし、大きな企業になりますれば長が統括するといいましても、事実上不可能であります。したがって、その大きな企業になってまいりますれば、基本的なものについては長が握っている。小さな問題はいわば一種の法的委任のような形でもって管理者にまかせる、こういう仕組みをとって、しかもそれを特別職といたしまして有為な人材を持ち込む余地を残す、こういう考え方でこの案を立てたわけでございまして、おことばにございましたけれども、私どもは、この改正によりまして住民の手から企業が離れるとも考えておりません。また、長が企業の興廃を左右するような問題について長の責任がなくなるといったことはないのでありまして、やはり総括的な最終責任は執行の関係におきましては長にあるのであります。また、その企業全体についての総括的な、何と申しまするか、所有権というと語弊がありますけれども、企業そのものはやはり住民の手にあるというように考えておる次第でございます。
  232. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなたそういうふうにおっしゃいますけれども、いままでありました「指揮監督」という権限、私もこの「指揮監督」ということばそのままはあまり好みませんけれども、いずれにしても最終的には首長が責任を負わなければいけない、そういう立場において総括責任というような意味でのそういうものはこれはなければならぬと思うが、それがなくなっていますね。具体的のいまおあげになったようなことは議会にもかけるし、条例によっても定めるのだ、こういっても、しかし、業務をいろいろやっていく場合の中には必ずしも条例に定めたこと、あるいは議会にかつてかけて審議をわずらわしたこと、そのことだけの範囲内で終わるべきものでもないと思うのですね。企業をやっていく上からは。そういう場合に私はやはり最終的には首長が最終の判断をし、最終の結論に基づいて首長としての責任ある立場においてやはり指揮監督という、さっきも言ったように、ことばはちょっとこれは好きじゃありませんけれども、何かそういう意味でのやつをやはり当然持たしておかなければならぬ。そこで十六条にはいかにもそれらしいことで、「福祉を確保するため必要があるとき」とか、他の「業務の執行との間の調整を図るため必要があるとき」とかいうようなことでいま指示権を持たしている。一体それではこの指示権と、そうして現行法にある総括的な責任を持つという立場における「指揮監督」ということと一体同一と考えていいのかどうか。私は、この指示というものと指揮監督権を持っているその立場におけるところのそれとは私は違うと思うのですが、その点はどうですか。
  233. 柴田護

    政府委員(柴田護君) おっしゃるように、同一じゃございません。現行法の十六条は一般的に指揮監督権を保留しながら、その一般的指揮監督権が行使される場合の態様を規律しているわけであります。新法の十六条の規定は、原則としては自由に仕事をしなさいということを一般的に管理者に対して委任をして、その中で特定の事項については長の指示権というものを保留しているという形であります。書き方は逆であります。旧法の十六条は、すべて指揮監督権を持っているのだけれども、使い方を気をつけなさい、いわばその指揮監督権の発動を気をつけろという書き方であります。この十六条のほうは、むしろ、大体まかすからやってくれ、しかし、こういうものについては必要ある場合にはおれの指図に従え、こういう形、最終責任はすべて長が持つ、こういう形であります。ニュアンスが若干違う。ニュアンスが十六条新法のほうがむしろ管理者に対して大きく仕事をする権限といいますか、地位と申しますか、そういうものをまかせきった立場である。十六条はむしろけちけちして、一般的に持っておりながらそれを使う場合に制限をしている。企業の能力を発揮させるという立場からいうならば、私どものほうは新法十六条のほうが、いやしくも管理者を置くならばそういうあり方のほうが、そういう立場のほうが企業の経営にふさわしい、さような考えでございます。
  234. 鈴木壽

    鈴木壽君 管理者の任命は長がすることになっておりますが、これは現行法もそうですかね、議会の同意は必要としますか、しませんか。
  235. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 議会の同意は要りません。
  236. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、こういう考え方、いまあなた方が御説明になったりあるいは法改正をしているこういう考え方、あまりに企業というものの経済性とかあるいはそれから出てくる機動性とか、そういうものを強調されるあまり、何か首長の指揮監督権というようなその中で動くことは、経済性の発揮なり機動性を発揮するということをそこなうものだという思想があるように思うのですがね。それは、あなた方がそういうふうに考えているというふうに私が思うだけでなしに、先般の地方公営企業制度調査会の答申を見ましてもそういう思想ですね、これは。私はあなた方がこれにだいぶ縛られておると、こう見るのですが、そういうふうに、いわゆる企業というものをまず企業性を発揮し、経済性を発揮しなければならぬ。したがって、自由に大きな権限を持ってやっていかなければならぬという、こういう観点に立つ限り、長の指揮監督とかあるいは議会にどうというようなことがうるさいことになってくると思う。しかし、私は少なくとも公営企業として地方団体が当然行なわなければならない公共的な事務の一つとして行なう、地方公共団体が行なう事務である限り、私はそれでは筋が通らないと思いますね。その点になるとこれは議論になっちゃうんですけれどもね、私はこれは基本的な地方公営企業というもののあり方からして考えてみなければならぬ問題だと思うのです。現行法によるこういうものだって、実はほんとうの意味での指揮監督というような機能を十分発揮するとは私思っておりません、それですら。当然もっと首長の立場から市の全体的な行政の総合的な立場から、そうして責任のあるものの立場からいろいろこうやっていかなければいけないこともやらないでおったんですが、そういうことが今度こういうふうに法が変わって、そんなものもだめなんだと、こういうようなことになってくると、なおさら私は企業そのものが単に企業としてだけ動いていって、団体なり住民のそれから離れていく形、私はむしろいまの公営企業の現状はもっと地方公共団体あるいは住民の側にもっと強く結びつけておく、そういう必要性がある段階だと思うのです。これは見解の相違といわれるかもしれませんけれども、私はそうでなければいかぬと思う。そうでなければ何のために——地方公営企業なんて地方団体がやる必要がないですよ、これ。そういうことだから、できるだけ企業は企業として自主的にとかあるいは大きな権限を持ってとか、長のうるさい関与からはずしていってやろうという、そういうところがあるから、さっき原田さんから指摘されたような、たとえば私もあとでお聞きしようと思っておりましたが、公共企業体等のいわゆる間接経営の方式というものがこれは考えられてくる。私は間接経営の方式もあってもいいと思うが、思想的にはそういうところから、こういうものに出てきているのですね。私は、これはこの機会にあなた方が大改正をする。こういう機会ですから、大体地方公営企業というものはどうあるべきであるか、その団体との関係はどうか、住民との関係はどうかと、まずこの点からはっきりさせるべきであろうと思うのですが、自治大臣どうですか、私の申し上げながら、お尋ねをしておることに対して。
  237. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 御説のように、公益性というものを、非常に強く見ることによって国民の福祉は増進するものであると考えておるのでございますが、同時にまた、企業性ということに対しましても効率化という点において、受益者負担の点においても、これをはっきり満たす必要があると考えておりますので、この公益性と企業性との調和をいかによくとって住民の福祉になるかという執行上の点について、十分御説の点を留意してやりたいと考えております。
  238. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきもちょっと引用しましたが、答申の中に「企業の業務運営は、原則として管理者の自主的運営にゆだね、地方公共団体の長及び議会の関与は最少限にとどめること」、私は、これはこれなりにいいと思う。だからといってさっき指摘したように、指揮監督権は要らないのだということには、私はいかないと思うのです。できるだけ自主的に、能率的にやれるようにという、こういう考え方。したがって、何でもかんでもうるさいことまで長からあるいは議会からというようなことは避けるべきだと、しかし、最後のはっきりした地方公営企業としての立場、性格からいって長のあるいは議会の最終的な一つの企業に対する権限というものは、これは当然残して置かなきゃならない。この中には、あなた方都合のいいところばかりとっているのですが、たとえば管理者の任命に対する同意なんかも与えていいということも、議会の権限に与えていいというようなこともあるけれども、これは何かあなた方はじゃまになると思ってとったのでしょうね。都合のいいところは、どういうふうな解釈したかわからぬけれども、答申を尊重する、答申を尊重すると言っていながら、私は筋が通らないと思うのだよ。答申の、私は読み違いではないかと思うのです。私は何も答申をそのまま全部正しいとも思っておりませんけれども。まあそれをとるにしても、私は、これはいまのところはあなた方、おまえの言うとおりだとは、決して言わないようだからやめますが、これは基本的な問題ですよ。私は地方公営企業としてあるからには、これはどうでもいいということじゃないと思うのですよ。どういうことに対し指揮監督権を発動するのか、こういうことを、できるだけ現行法がしぼっておるように、こうこうこういうような問題はということでしぼっていいと思います。しかし、それをのっけからはずしてこちらに指示権があるからいいじゃないかというようなことでは、私は公営企業としてやられるからには、私はうまくないことだと、まあ少し意見に触れましたから、ここら辺でこの問題とめておきたいと思います。しかし、考えていただきたい大臣。
  239. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私の説明がまずうございまして、御理解願えないのは残念でございます。私どもといたしましては、答申を都合のいいところだけ抜き取ったわけでもございません。まあ先生御指摘のような問題もございまするので、やはり長というものを、長と管理者の関係というものをある程度人的なつながりを強くしながら、しかも、経営能力のあるいい人を引っぱってきたい。こういうことからこれを特別職にすると、こういうことをひとつ考えたのでございます。  それから、もう一点のあらゆる企業について管理者の設置を強制するということでございますれば、御批判の点もあろうかと思うのでございまするけれども、非常に大きな企業だけにつきまして管理者というものを必置したい、こう考えておるわけでございます。したがって、大きな規模になってまいりますれば、その企業そのものが非常に大きな組織体となって動いていく。そうなってまいりますると、そういうことには機動性というものが発揮できる余地というものを考えてやらなければならぬ。小さな企業になりますれば、長がそのままやればいいのでございますけれども、大きなところになってまいりますると、そういう経営能力を持つ者を迎えて、それに相当の力と権限を与えて、自由に働かすという立場をとるほうが、むしろ逆に住民の福祉の増進になるのではないか。こういうように私ども考えたのでございます。  それから、最終的な権限がやはり長に残されておりますし、また、住民の代表である議会に基本的なもので、最終的なものは相当残されておるのでございます。したがって、御心配のようなことは、私どもはこの改正案で起こるようには思わないのでございます。
  240. 鈴木壽

    鈴木壽君 やめようと思ったけれども、やめられなくなった。  確かに具体的に幾つかをあげて議会で取り扱わなければいけないとか、いろいろありますよ、私の言っているところは、包括的な、最後的な責任という立場においてそういう規定をはずしてしまって、あたかもここから完全に飛び出してしまったような、そういうものをつくっていいかどうかということなんですよ。あとから能力が足りなければ、気にくわなければ首切ることもあります。確かに強い権限があります。しかし、そんなことは、そのことは別なんです。私の言うのは、できるだけ委任をし、権限を与えて、いろんな仕事をさせる、自由にさせる、自主的にやらせる。こういうことについては、私は、それはそれでいいのだ。しかし、最後の一線だけはきちっと必要なところに結んでおかなければいかぬ。こういうことなんです。それがあなた方の今回のそれでははずれてしまったかっこうになっているのじゃないかということなんですよ。私の言うのは、自主的にやること、能率的にやるという権限をりっぱな有能な人物をそこへ据えて、存分にやらせるということについては、私は何も反対しているのじゃない。しかし、そんな人間いるかどうかわかりませんけれども、それはそれとして私も認めます。しかし、最後のところは、きちっとやっぱり市民の代表であり、団体を代表する市長のところにきちっと結んでおかなければ、これはとんでもないことになってしまう。こういうことなんです。私はそういう意味でだめを言いますが、指揮命令ということばをそのまま使っていいかどうかわからぬけれども、いずれそれの意図するそういうものは置くべきだ、こういうふうに思っておりますから。これはしかし、いまこの段階まできて、置くか置かないかこれからやったってしょうがありませんから、ひとつこれは十分大臣もお考えをいただきたい問題だと思う。この中に、私、一番問題なのはこれだと思う。改正案の中で、企業の問題がどう、これはたいへんですよ、利子補給の問題も、これは大きな問題です。しかし、私は、問題は、公営企業の成果を左右する、公営企業の存立をかけての問題だと私は思う。私の申し上げたことわかりましたか——。もしわからなければもう少し申し上げますが、いずれ考えていただきたいと思うのですがね。これはそのうちにまた検討する機会がやがてくると思います。この法律の体系から言いますと、大臣どうでしょう。
  241. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 執行にあたりましては御説の点を十分留意し、なお、今後の執行状況を見まして十分ひとつおことばの点を検討をさしていただきたいと考えます。
  242. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、さっき原田さんからもお尋ねのありました点ですが、もう少しはっきりのみ込んでおきたいと思いますので、第十七条の二に経費の負担の原則としていろいろこうあげておる。しかもそれが政令で定めるというふうになっておりますが、このいただいた、政令で定めるものとして予定されておりますこういう幾つかのことがございますがね。なお検討中だということでありますが、これはたとえば、法第十七条の二の第一項第一号に該当するものとして水道、交通事業、病院事業、こういうものの中に、こういう一つの基準というものをきめるということでございましょうが、たとえば交通事業の「地下又は高架の高速鉄道への転換のため軌道を撤去する場合におけるその撤去に要する経費」、それから2の、法第十七条の二の第一項第二号該当のものの交通事業の「高速鉄道の建設に必要な地下又は高架構築物の建設費の一部」こういうことは、ここに示される、いわゆる政令でこういうふうに定められるもの以外のものについてはやっちゃいかぬと、こういうきめ方ですか。それともこれに類するもの、なお他に含まれるものもあるけれども——これ以外にもあるだろう。しかし、一応こういうものと、こういうのですか、この点は。
  243. 柴田護

    政府委員(柴田護君) ここに一応現在予定いたしておりますものを書いてお配りしたわけでございますが、これはちょっといきさつを申し上げますると、当初はむしろ負担区分の規定だけで、あとはそこに明示されていないものはすべて企業会計負担ということにしようとしておったのでございます。その後いろいろ関係各省と話し合いを進めました結果、従来の補助規定を一応存置しております。従来一般会計から補助をできるという規定最初の原案では削っておりましたが、これを置きまして、そこで十七条の二の規定というのは、厳格な意味における負担区分ということに相なっておるわけでございます。したがって、ここに案としてお配りいたしましたものについて、それは一般会計から出すのが本筋であって、企業会計で負担すべからざるもの、一応そういうことになる。十七条の三の場合は、企業会計から負担すべきものであっても、特別の事情のある場合は一般会計から出してもよろしい、こういう規定になるわけでございます。したがって、この政令案できめますものは、企業会計で負担すべからざるものというように考えておるわけでございます。
  244. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、これはとにかく企業会計で負担しちゃいかぬものということで、なお負担区分というものを考えていく場合には、裏のほうから言えば、これ以外に一般会計なり何かの会計からこっちのほうへ——一般会計やあるいは特別会計等で負担をし、あるいは何かのいろいろな支出方法をとれる、とるものもあると、こういうことなんですね。これだけは企業会計で負担しちゃいかぬと、こういうことなんですね、そこらをもう一度……。
  245. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 大体そのとおりでございます。
  246. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば路面電車の場合ですね、道路が損傷したというような場合ですね。道路を、これは電車が走っている場合の、あれですね。道路がこわれたんだと言って、企業の側で負担をして、補修なり維持管理——維持管理までいかないけれでも、補修なりやられております。そういうものがたくさんありますね。しかし、考え方によっては、それはもちろん企業の側においても負担をしなければならぬけれども、必ずしも電車があるからというようなことで、その責任だけで企業会計が全部負担をするということがどうも不合理だと思われることもありますね。ありますが、現実にはこれは電車をやっているせいだと、こういうふうなことで全部補修費を負担させられる、こういうことがある。たとえば特に北国の冬期のいろいろな関係で、今度春先の融雪の時期に、相当軌道を中心として道路に亀裂を生じたり、あるいは舗装が損傷したりする場合がある。それをいままでは、いま言ったように、おまえのところで電車を走らせたのだからこうなるんだということで、国道なり地方道、県道等を全部やらせられておったということがあるんですが、そういう場合も、事情によって私は企業だけでなしに、道路管理者のほうにおいてもそれ相当の負担をやるべきではないだろうか、こう思うが、そういうことはこの中に入ってきませんか、どうですか。
  247. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) ただいまのは路面舗装等の問題だと思いますけれども、これは一つむずかしい問題がございまして、民営、公営いろいろ交通事業にはあるわけでございます。そうして路面を特に認めて走らせているというような関係がありまして、現在のところ原則としてその交通事業者が持つという形になっております。それで一律にほかの交通機関も入ってくるのだから、道路のためだから地方団体で負担ということになりますと、いままでの原則を変えてしまって、民営の軌道のものについても地方団体が持たなければならない、というような問題もございますし、それで現在建設省との間でいろいろ相談いたしておりますけれども、やはり原則といたしましては、特に認められて走っている交通事業者のほうが持つ、ただいろいろな事情の場合がございますので、そういった場合は、必要があるならば、補助の規定を発動してもいいじゃないかというようなことで、現在検討を続けているというところでございます。
  248. 鈴木壽

    鈴木壽君 これでこの問題については終わりますが、課長さんのいまのは、こわれた場合に全部道路管理者のほうで持ってやれと、こういうことに……、そういうことでなしに、もちろん企業のほうでも持たなければならないだろうけれども、全部に逆に企業だけに負担させておくというようなことについては、問題があると思うから、そういう場合には、一般会計なりあるいは道路管理者のほうから出せるようにするというようなことも考えていいんじゃないか、こういうことなんです。
  249. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 負担区分の十七条の二の規定でやらせるか、あるいは十七条の三の補助の規定でやらせるか、そういうような問題がございます。現実問題といたしましては、北国のほうのこういう路面電車等につきましてその軌道敷の舗装改良、また国道の場合に国庫補助が出ている場合もございますし、一般会計のほうからも現実問題としては出している例も相当ございます。それをとめようという考えは毛頭持っておりません。
  250. 鈴木壽

    鈴木壽君 補助ではない場合もあろうと私は思う。私はこれは補助ではない、当然の負担として負担区分の中でそういうことが処理されるべきではないだろうか。補助になると、ちょっと性質が違ってくるように思うが、いずれあれですね、そういうふうな場合には検討中でもあるし、そういうものの扱い方については、補助ということで扱うかもしれないけれども、道路管理者等から負担をさせるというようなことについてのそれはこばむものではないということですね。
  251. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) はい。
  252. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 今度の改正は、大体地方公営企業制度調査会の答申を尊重して御改正をいただいたというふうに承るわけですが、ことに交通事業の運営あるいは料金の決定等につきまして、この制度調査会の答申はかなり詳細にわたって述べられているわけでありますが、この交通事業における地方公共団体の責任なりあるいはその権限なりという問題について改正法の中にどの程度まで取り入れているかということを大臣にお伺いしたいと思います。
  253. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 本質的には取り入れておりますが、なお、不十分な点がございますが、それらの点に対しては局長のほうから御説明させていただきます。
  254. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私から補足して申し上げますが、答申には料金決定のシステムでございますとか、あるいは路線免許のあり方でございますとか、あるいは大都市交通の問題でありますとかいう問題が大きく取り上げられております。しかし、この法案の中におきましては、いずれもそれらの問題につきまして十分取り入れられておりません。  大都市交通の問題、特に東京都の問題につきましては、ものごとが非常に複雑であり、こじれております。さような関係がありまして、この法案を立案いたします際にそこまで手が及ばなかったというのが、実態でございます。  それから料金の認可の問題、路線の免許の問題等につきましては、答申の言っております問題まで前進するということは、運輸省との間におきまして具体的に話がつきませんでした。しかし、運輸当局といたされましては、やはり答申の線に沿った運用がしたい、こういったお気持ちもございまして、法案の中には抽象的に、第五条の二であったと思いますが、認可にあたりましては、そういう権限の行使にあたりましては、公営企業の健全な育成をはかるという方向において行使をする、こういう精神規定を置いたのでございます。
  255. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 具体的にどういうことが答申から採用されているかという問題なんです。経営の面におきましてはいろいろと取り入れられているところがある。しかし、答申の中にいっている総合的、一体的に都市交通を確保する必要があるというようなことは、その改正法の中のどこに取り入れられているのか。
  256. 柴田護

    政府委員(柴田護君) その問題はこの法案自体の中には具体的にあらわれておりません。むしろ都市交通の総合的、一体的運用ということになってまいりますれば、具体的には、法律の形でいいますならば、具体的な事業法規であろうと私どもは以ているのでございます。したがって、その問題を立法的に片づけてまいりますためには、法規の面におきましてそういう考え方を生かしてこなきゃならぬというふうに思うわけでございます。これは公営企業という法律の中におきまして、そこまでいくのは法の持つ性格からいきまして少し無理じゃなかろうか、こういうふうに考えた次第でございます。
  257. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは将来答申を尊重して関係法規を改正するとかいうようなお考えは持っているのですか。
  258. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私どもは今日の段階におきましては、答申の所期する線まで運輸当局と話をまとめることができませんでしたけれども、答申のいっております精神というものは、やはり何らかの形において生かしていかなければならないだろうというふうに思うのでございます。今回は私どもの努力が足りませんでしたかもしれませんが、そこまでまいりませんでしたが、将来問題としては答申の方向というものを十分考えていきたいというふうに考えております。
  259. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それでは伺いますけれども、これは運輸省の関係だと思うのですけれども、運輸当局と自治当局との間でこの答申案、特に料金それから都市交通の管理、さらに運営の能率化というようなことについてどの程度までお話しになりまして、どの点が一番難問題であって話がうまくまとまらなかったということですか。
  260. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 運賃の問題等につきましては、答申の考えている線というものを大体頭に置いて折衝をいたしました。それは、しかしながら、今日の段階では答申の線を実現することはできなかったわけであります。  それから地下鉄等の負担区分につきましては微温的ではございますけれども、暫定的に補助金額を上げるということでもって一応一年間を押えていく、この問題は将来に問題が持ち越されております。  それから路線の免許その他についての取り扱いにつきましては、運輸当局におかれましては、答申の精神に沿った運営をするというような言明を私どもは待ております。結局、東京都の交通問題につきましては、問題のむずかしさからいたしまして、私どもは初めからこの問題につきましては改正案の立案にあたりまして、運輸当局と具体的に話し合いをいたしておりません。とても時間的に間に合わぬというふうに考えたからであります。
  261. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 政府のいわゆる諮問機関あるいは調査会、審議会というようなものは、各省各省みんな一つずつ以上持っておるわけであります。何とか自分のほうの省に都合のいいような答申を出してもらいたいということを期待しながら諮問するわけです。自治省は交通事業の改善というようなことで、そういう含みを持って調査会が答申することを期待しているわけです。ところが運輸省のほうは運輸省のほうでそんなことをやってもらっちゃ困るというようなことから、独自の立場から答申の出ることを期待している、運輸省の審議会では別の答申が出てくる。各省の各審議会というものは一体となってかってかってのいわゆるセクショナリズムといいますか、なわ張り争いといいますか、そういうことで違った答申が出てきた場合に、たとえば、それによって法案を審議する国会側におきましては非常に困難を感ずるわけです。そういう全体的なものとしては地方の交通機関をどうするかというようなことは、自治省側も運輸省側も一体となって何か将来の都市交通というものはどうあるべきかというような諮問の出し方をして、一体となってそれぞれ利害関係のある省の諮問機関というものが答申を出さなければいけない。そういうことをされておりませんので、私は特にきょうは運輸省の関係の方に来ていただいたわけです。その事実はお認めになるでしょう。
  262. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 私どもは都市交通事業について特に私どもに都合のいいどうこうといったようなことは実は考えたわけではございません。いま公営企業で一番困っておりますのが交通事業でございます。そういうことから交通事業、水道事業も全部含めまして、公営企業のあり方というものを御検討の上お教え願う、こういう立場から調査会の御審議をわずらわしたわけでございます。したがって、お話のような御心配もあろうと思いまして、私ども関係各省の主管局長さんに幹事になっていただきまして、そこで十分各省の立場からの意見も申し述べていただいておりますし、委員方々からも関係各省の幹事の方々なり主管の局長方々に対しましてもそれぞれ質問もされ調査もされたのであります。しかしながら、それじゃ運輸当局と私どもとの間におきまして、都市交通問題だけを取り上げて特に議論をしたことがあるかとおっしゃいますれば、なるほどそこを突き詰めて相談したことはそうあまりない、これは確かにお話のように、私どもも将来におきまして、もっとそういう関係を密接に持っていかなければならないということは痛感をいたしておるわけでございますけれども、いままでは遺憾ながらそういう機会がなかったということもこれは事実でございます。将来の問題といたしまして十分考えてまいりたいと、かように思います。
  263. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 運輸省にお尋ねしますけれども、この答申が出たことは御存じでしょうか、かつまたこの答申の、特に都市交通に関する答申の各項目につきまして、どんな御意見を持っていらっしゃいますか。
  264. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 私自動車局長でございますので、都市交通全般、軌道も含めましての問題になりますが、官房の所管になりますので、私どもからあまり正確な御答弁はできかねると思います。  都市交通を構成しておりますのは民営あるいは国営もございますし、あるいはハイヤー、タクシーに至るまで総合的に検討されなければならないという運輸行政上重要な問題になって、官房のほうで各局の者が官房中心にしまして検討しておるわけであります。今回の公営企業法につきましては、先ほど財政局長が言われましたように、公営企業の立場からのいろいろなこともあります。われわれのほうとしましては、総合的に都市交通の計画といいますか、あるいは調整といいますか、そういった問題に取り組んでおる、その場合に十分公営企業についての立場というものについては、自治省の考えも聞きながらやってまいりたいと思います。
  265. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 たまたま出ておいでになりました方が自動車局長でありまして、軌道の面もあるわけですし、そういう点で局長さんにいろいろ注文つけたり、文句つけたりするのは、はなはだ申しわけないと思っております。バスだけのことを考えてみましても、バス料金の値上げというような問題でも、あるいはまあ路線の免許ということでも相当大きな問題を起こしているわけですね。そこで運輸省としては、民営優先という一つの省是と申しますか、省の方針というものはあるのですか。
  266. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 運輸省といたしましては、民営、公営を問わずに、道路運送法の第六条による免許基準によって運営しておりまして、特に民営優先とか公営優先とかいうような方針はきめておりません。大体公営のあるところは公営の分野において当然に公営の免許が優先されますし、民営の分野においては民営の免許が優先される、そういうかっこうになっております。
  267. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 それが穏当の御答弁だと思います。しかしわれわれは、住民の立場から考えてみますと、本来、いまは公営企業というような形になってまいりまするけれども、従来は市の固有の事務として、交通事業を市自身が経営していたわけなんです。これは、このごろならば、団地ができれば当然そこに交通機関を入れなければならない、だれがこしらえるかといえば、市長が責任を負わなければならない、民営の場合は引き合わないからといって、そこへ路線の免許を申請しないということもできるでしょう。市の場合は、そんなことしたら団地の住民がおこって市役所に押しかけてくるのです。そういうことで、民営の場合と、それから公営の場合と、やはり本質的に違うところがあるのではないかと思います。それを現在許可あるいは認可をなさる運輸省の側としては、一対一みたいな形で、同じ平等の立場から審議されるように見受けられるのです。そういう都市交通におけるバスと言ってもいいです。民営と公営との経営者の住民に対する責任の度合いということは、私は違っていると思うのです。この点、公営のバスに対する市、あるいはまた公営企業の優先ということは考えられない。
  268. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 非常に抽象的になりますけれども、現在たとえば東京、大阪、名古屋、そういったところにおいて、その公営の分野におきましては、あくまでも公営優先で現在やっておるわけです。たとえば大阪で民営が利用者のために交換乗り入れという場合にも、クローズドドアというものをつけて、公営の分野を守っております。東京都においては相互乗り入れのかっこうで、民営が都内に入れば、都営もそれと反対給付をして民営線に乗せる、こういうようなやり方をやっておりまして、われわれとしては民営、公営を問わず、利用者のため、一面また各企業者の立場を尊重して運営をしております。
  269. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 民営の場合は遠距離であって、それから都市の中に入っていく、しかし公営の場合は、何も外まで出る必要はない、また行政区域でもないから。外から長距離運行してきて、どうしても市内に入りたいと、こういうことで競願になっている、向こうは入ってくる、こっちは出ていくといっても、市の行政区域から外に出ていこうなどとは何も考えてない、そこで、たとえば東京、大阪などでは八社くらいですか、乗り入れをやっているのです。たとえば免許の申請は、大阪市営、または民営など、それぞれあるでしょう、そういうときに、運輸省は民営の一つに免許したいと思うけれども、市長はどうかと、ただ意見を聞くというだけで、市長がそれは反対ですと言っても、意見を聞くという手続だけ済ませば、それで市長の意見を開いたことになる。私、これでは平等の立場とか、あるいは公平に取り扱っているということにはならないのではないかと思う、どうですか。
  270. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 具体的な事例が思いつかないのでよく御説明もできないのですが、われわれとしましては、遠距離から来る、たとえばバスが東京に乗り入れる場合、信越方面から来る、あるいは東海道、遠距離から来るという場合には、やはり都心部に入らないとお客が困るということから、そういった場合に乗り入れを一方的に認めているわけです。大体の原則としては、都内には民営は入れないという原則をとっております。その場合には都と十分話し合いをつけて、相互乗り入れという形で運営されておりまして、近県、近県といいますか、周辺の民営事業者との間では大体相互乗り入れの形をとったものしか一方的には認めておりません。
  271. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 財政局長、以前は税金の中に軌道税とか、電柱税とか、これは税金ではないが、道路損傷負担金というものがありまして、いまはもう全然ないですか。何か名目を変えて、名目が違っても、バス会社から市のほうに道路損傷負担金というようなものを寄付採納の形で取っている事例がありますか。
  272. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 道路損傷負担金にかわるものは現在あまりございません。特殊のところで寄付金を取っているところはございますけれども、大体原則として損傷負担金の制度はなくなったわけでございます。むしろその代替的なものが軽油引取税みたいな形になっております。これが現状でございます。
  273. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 これは日程も詰まっておりますし、私これは将来の問題として十分都市交通のあり方ということについて質問いたしたいと思いますけれども、特にまた自治省にお願いしたいことは、資金を出すこともいいし、あるいは経常の合理化をやることもいいけれども、しかし市が固有の義務として従来考えサービスをしてきたものが、今度は独立採算制とか何とかということで非常に困っていると——困っているかどうか知りませんけれども、やはり市の立場というものは、もう少し内閣の中において尊重されなければならないというのですが、大臣いかがですか。
  274. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) お説のとおりでございまして、公益企業でございますので、公益という点に対して十分吟味して取り扱う必要があると考えるのであります。
  275. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 運輸省のほうにたいへん忙しいところ来ていただきまして恐縮でございます。地方行政委員会の中では、やはりこういう問題が取り上げられるわけで、将来は運輸省の側としても自治省とよく御相談の上、慎重にこの問題について検討してほしいという、これは私個人の希望ですけれども意見もあったということをしかるべくお伝え願いたいと思います。
  276. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) それでは午後七時まで休憩いたします。    午後五時二十一分休憩      —————・—————    午後七時二十九分開会
  277. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  278. 加瀬完

    ○加瀬完君 鈴木委員質問の途中でございますが、何かいま食事で時間がおくれるようでございますので、その間若干お伺いをしたいと思います。  で、先ほど原田委員のほうから出た問題でございますが、結局その公営企業の企業性と言いますか、あるいは公共性と言いますか、こういうものをもっと峻別をして、公共性というものにもっと重点を置くなら、料金その他の問題でもおのずから考え方が違ってくるのではないか。そこで、その公営企業というものを企業的な面だけを重視するのか、あるいは公共性というものを重視するのかという問題が出たのですが、きのうも私その点を質問をしたわけでございますが、公益性というものをどのように考えておられるか、重なった質問で恐縮ですが、重ねてお答えいただきたいと思います。
  279. 柴田護

    政府委員(柴田護君) やはり公営企業の性格という立場から言いますと、公共性、もちろん公共性があるからこそ地方公共団体が経営するわけでございますが、同時に企業性というものがある。言うならば二つのものが併存しているというふうに考えるのでございます。公共性があるからすべてこれは税金というふうには直ちにならないのではないか。また逆に、企業性があるからというだけで、一切企業の原則がそのまま支配するということにもならないのじゃなかろうか。俗に公益企業と言われるものの中に、一般の鉄道、私鉄あるいは電気等につきましても公益事業ということで呼ばれておりまするが、やはりそれはそれなりに公益性を持っているからであろうと思うのであります。しかし公益、公営企業の持っておりまする使命と申しまするか、その使命というものを頭に置いて、どういうかっこうに公営企業をしていくかということになってまいりますと、やはりその公共性と言い、あるいは企業性と申しまするけれども、その利用の形態と申しまするか、利用の態様というものに重点を置いて考えていくべきではなかろうか。そういうかっこうでまいりますれば、やはり受益者負担の原則というものが、公営企業の基本的な一つの性格であろう。同時にまた公共性という立場からの制約もそれに加わってくる。  まあ言うならば、徹底しないお答えでございまするけれども、両方の性格というものが併存をしておるので、その間のけじめというものをどうつけるか。それがいままでの公営企業法のあり方では必ずしも明確ではなかった。それをできるだけ区分けを明確にして調和をはかりたい、こういうことで、この改正法案を立案したと考えております。
  280. 加瀬完

    ○加瀬完君 それはわかるのですが、たとえば、これはまあ比較が適当ではありませんけれども、かりに赤字路線であっても、公共性ということから考えれば、国鉄の路線でも、赤字路線でも残しておかなければならない路線というものが、公益性というものから考えれば考えられますね。東京都の例でも、たとえば乗客が少なくなったからと、赤字路線になったからといって路面電車を撤廃をするということは、企業性としては妥当ですけれども、公益性ということから考えれば、それは若干赤字になろうとも、公益性から考えれば、その地域で路面電車が必要ならば残さなければならないという理由もまた一方成り立つわけですね。全部そういうものだけを公営企業でやるということになれば、これは財政的な破綻を来たすことは当然でございますけれども、そういう面も若干なければ、公営企業とは言われないわけですね。  ですから、純粋に考えて、どうしても、これはあと質問しますが、財政規模や自治体の規模というものと企業規模というものも、バランスを考えなければなりませんけれども、一応この自治体なり、この財政力を持った団体としては、このくらいの赤字というものは負担をしても、これは公共性というからは、公営企業を残さなければならないという面もあろうと思うわけですよ。こういう局長さんの御説明のような方式でやりますと、公営企業の公共性というものは、だんだん後退をさせられて、企業性だけが出てまいりますと、それならば何も独立採算制とか何とかやかましいことを言わないで、民間企業に移したほうがいいのじゃないか。民間企業と公営企業でどこで区別をするのだということになると、区別がだんだんなくなってしまうと思うのですよ。初めの公営企業の出発というものは、私はそういうものではなかったと思うのですよ。だから財政措置をしていただくにしても、当然これはこの自治体としては行なわなければならない公共性のある公営企業で、しかも、妥当の赤字というのはおかしいけれども、この赤字は万やむを得ないというものに対して、それを認めるか認めないかということを先にきめて、認められる公共性というものがあるならば、それに対してやはり財政対策を考えてやるということでなければ、原田委員の御指摘のとおり、私は公益性というものが非常に後退すると思うのですよ。ですから、それはまあこういう公営企業が批判をされるような経営の内容というもの、そのものもそれは認めていいという議論に私は肩を持つわけではございませんけれども、それが欠点があるからといって、あまりにも企業性というもの、よくこのごろ言う独立採算制ということだけでしぼっていくと、これは公益の面というものは軽視されてきませんかね。
  281. 柴田護

    政府委員(柴田護君) おことばは、私どもよくわかるのでございます。この法案でもそういう点の配慮をいたしたつもりでございます。しかし、たとえば路面電車について申し上げますと、やはり世の中の進歩に伴いまして交通の代替、交通機関の代替ということもあるわけでございます。したがって早晩全体の傾向としてはやはり使命を終わった、あるいは終わりつつある路面電車にかわって代替の交通機関というものが整備されていく。その間の便益供与として路面電車を運営するならば、暫定的にそれに対して、どうしても能率的経営を行ないましても出てくる赤字に対しては、一般会計で買掛するということがあっても許されていいと思うのでございます。その辺の区分けについては、この法案では十七条の三に補助の規定を残しております。この補助の規定を残しておりますのは、そういった政策的な理由に基づくもの、まあそれをすぐ公共性に結びつけるかどうかということはひとつ問題がございましょうけれども、いま申し上げましたような事例等についての判断を、地方公共団体の意思、判断にゆだねている、こういうことにいたしておるわけでございます。  言いかえますならば、本来受益者負担というものの原則によってまかなわれるべき部分とか、本来税金でまかなわれるべき部分というものがまずある。しかし、ものによっては受益者負担の原則にかてて加えて税金というものもそれに投入することもやむを得ないという場合があるわけでございまして、その場合の判断は、当該地方公共団体の判断に基づきまして、その租税をそこへ使うかどうかということをきめていったらいいじゃないか。そういうことで、この十七条の三の補助の規定を残しているわけであります。しかし、企業としての本来のあり方から言いますならば、やはり負担区分を中心として、両方の調和をまずはかっていくということが基本であらねばならない、かように考えておるわけでございます。
  282. 加瀬完

    ○加瀬完君 それでは地方公営企業の経営成績というのは、どういうことを内容とするとお考えですか。何かはっきりしない質問ですが、経営成績という、公営企業の経営成績というものと、民間企業の経営成績というものは、私は観点が違うと思うのです。同じ観点で見てはまずいと思うのです。自治省といたしましては、地方公営企業の経営成績というのはどういう基準から見るのか、こういう点をまず伺います。
  283. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お尋ねの問題は、なかなか問題であろうと思うのでございます。もっと端的に言うならば、社会的な意味合いにおける収入なり経費というものを頭に入れた、いわゆる社会的な損益計算というものがなされて判断されるべきものであろうと思いますが、遺憾ながら現状においてはそういう意味の計算ができません。したがって、第一義的には、公営企業の業績というものはバランスシートというものを中心として判断されていくものだ、第一義的にはそう考えるべきだと思うのでございます。
  284. 加瀬完

    ○加瀬完君 第一義的にはわかりました。第一的で全部を判断してよろしいかどうか、企業成績ということだけで判断してよろしいか。住民サービスに対する効率あるいは効果というものも、公営企業からは当然これは成績の評価の一つの目安になるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
  285. 柴田護

    政府委員(柴田護君) たとえば離島のバスというものを考えますれば、そういう場合におきましては、お話のようなことも当たる場合があろうかと考えます。
  286. 加瀬完

    ○加瀬完君 それは難局とか、あるいは僻地ということだけではなくて、やはり採算制というのみを企業成績とすることなく、住民サービスの濃度というものについても、やはり、一対一とは言いませんけれども、ある程度考えませんと、私は公営企業の成績の評価の基準にはならないと思うのです。公営企業の出発そのものは、むしろ独立採算とか、採算制ということよりは、あとのほうの住民サービスという精神で公営企業というものは出発したと思うのです。これは前の委員の御指摘のとおり、そういう歴史的には出発していると思うのです。ですから、むしろ民間企業ならば、これは独立採算といいますか、そろばんのはじけないものはやりませんよ。しかし、公営企業であれば、そろばんのはじけないものもやらなければならなかったし、やるべきで、そういう事業が起こっているわけですね。しかし、事業そのものも、そういう悪条件の中ですから、採算制というものから見れば、これはうまく運営がいかなくて赤字が積もった、それがはね返って今度のこういう問題にもなるということになりますけれども、同じかさ上げをするにしても、補助金を出すにしても、当然、住民サービスとして、その自治体としては必要な公営企業を営んで、しかもやむを得ずそうした赤字である。それならば、それは特別に考え、経営内容のずさんのために、これは当然黒字になるべきものが赤字になったのだったら、これに対しては同じかさ上げするにしても、補助金を出すにしても、これは階段をつける、やはりこういう区別が若干私は出てこなければ、ほんとうの意味の公営企業は育たないと思うのです。理屈に走りますけれども、いかがですか。そうでありませんと、住民サービスになろうがなるまいが、採算がとれないものはみんな切り捨てていく、住民サービスはみんな何もやらないということに、やらないじゃない、やれなくなるということになるのじゃありませんか。
  287. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お話のような場合を頭に置きまして、十七条の二の第二号、という規定は置かれてあるのでございまして、またその上にさらに第十七条の三の規定を存置いたしましたのもそういう趣旨でございます。  ただ、私の心配いたしますのは、それが乱に流れるということを非常に心配するわけでございます。そこにはおのずから適当なけじめがなければならぬ。そのけじめというのは、やはり最終的にはその地方団体の租税を払う住民がどう判断するかということが最終のけじめをつけるところじゃなかろうかというように考えております。
  288. 加瀬完

    ○加瀬完君 鈴木先生いらっしゃいましたから、私は一、二、端的に伺いまして、質問を打ち切りますが、受益者負担といいますけれども、こういう事実は、これは受益者負担になりますか。ある県で工場を誘致しまして、そこに工業用水が当然必要になりましたので、いままでは農業開発計画、こういうものを工業用水計画に変更をいたしまして、その負担金を三十六億だか農林省に負担をいたしまして工業用水に転換をするわけであります。農地としての開発計画をやめて工業用水に転換をしたわけであります。十二億なら十二億は、現在そこから毎秒五トンなら五トン水を引いていく工場が負担をすることになりました。あとの二十何億というものは、将来誘致される工場が負担をするといって、一般の県の会計のほうからは出さないということでありましたけれども、工場は来ない。しかし人口増によって工業用水の一部は水道用水として使わなければならない。それはもう一部、ごく微々たるものであります。とすると、その水道用水のために、工業用水の赤字分を一般の住民に負担をさせるという形をとらざるを得なくなっているわけでありますよ。しかし工業用水で受けるものは一般の住民じゃないのです。しかしながら、工業用水の工場側の持てない分を背負わされるのは一般の県民ということになるわけですよ。  こういうものが公共事業としても認められるのですか、受益者負担だか何だか知らないけれども、結局県民の負担になってかぶさっていくわけであります。一つの産業計画上からは工業用水は必要かもしれませんけれども、県民の生活の向上という上には、県民の生活の向上には直接何も工業用水はプラスにはなってこないのです。しかし負担だけは残るのです。こういう事例があるのですね。こういう工業用水の費用というものを一般住民が負担しなければならない根拠がございますか。あるいはそういうものを公営企業として一体住民は受けなければならない理由はどこにありますか。  ですから、そういうことは、住民に負担をかけなくしてやらなければならない、公営企業の面というものも当然あるわけです。しかしこれは今度の法律をもっていたしましても、幾ぶん経費を軽減させていただくことにはなりますけれども、初めしなくてもいいところの負担をすることには変わりはない。こういう矛盾撞着といいますかの問題というものが、数多くございますのを御存じですか。
  289. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 御指摘の事例は私ども知っております。それは結局過剰投資のような形になっておるわけでございまして、それを将来来るまでの間に、上水道にその欠損をかぶせていくということ自身に私は問題があると思います。上水道にかぶせるべきものじゃないと思います。問題は、しかし最終的には公営企業を維持するものは、結局その地方公共団体自身でございますので、その団体の経営いたします公営企業が失敗した場合というのは、最終責任はやはり住民がかぶらざるを得ない、これは当然のところであろうと思います。その間どういうつなぎ万をするかというのは、やはり公営企業は公営企業としてその分野でつないでいくべきであって、それを他の公営企業に持っていくということは、やはり筋違いじゃなかろうか。主たる方法としては、その間、一般会計から多少つなぎの金を借りるとか何とかいうことがあってもおかしくはありませんけれども、他の企業の受益者負担においてその企業の失敗をつなぐというのは、公営企業の筋からいっておかしいと思うのでございます。  しかし、現実には、残念ながらそれに近い事例がいろいろあったり、あるいは望ましくない負担の形があるわけでございます。さような関係で、工業用水自身にはいろいろ問題がございまするので、負担のあり方、国と地方との負担区分の問題、あるいは一般会計と工業用水道の負担区分の問題とかの問題が残されておりまするので、財政再建の対象事業から補助工水につきましては一肌除いておるわけであります。除いておりますのは、これを対象としないというわけではございませんで、その問題を片づけてかかりませんければ、再建のめどがつかない。こういうことでございまして、工業用水道のうち補助金を受けておりますものにつきましては除外しておる、こういうケースでございます。
  290. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで自治体規模と公営企業規模というものとの関係を、バランスをもっと考える必要はないでしょうか。その公営企業を経営するその自治体の規模やその財政力で、将来、一体自治体に非常な財政的負担をかけないでやりくりがつくかどうかという関係考えないで、将来発展するであろうという思惑だけで自体が背負い切れないような大きな企業というものをもくろむと、いま私が申し上げたような問題が起こると思う。しかし、現在は自治体規模と公営企業の規模というものに一つの基準としてはっきりしたものはないわけですね。そこに問題はございませんか。  今度の赤字のいろいろの問題は、自治体の規模なり財政力なりと、それが背負っておるところの企業体の規模なり、あるいは運営の費用なりというものとのつり合いがとれているかとれておらないかということについての研究の不十分というものはございませんか、赤字を生んでいる原因として。
  291. 柴田護

    政府委員(柴田護君) ごく率直に申し上げまして、私ども、あると思います。それだけではございませんけれども、それも一つだというように思います。まあ新産地域の細島の問題を取り上げてみましても、もっと極端なことを言えば、東京都の問題でございましても、やはり東京都の人口計画というものがなかった。その辺のところに水道の水源に関する手当てを早くからやっておけばいいものを、遷延せしめてしまった一つの原因があったということも言えると思います。しかし、これは済んでしまえばしょうがないことでありまして、将来におきましてはそういうことのないように、関係省庁とよく相談いたしまして、ものごとを進めてまいりたいと思うのでございまするが、まあいままでのものにつきましては、将来どうなるかということを頭に置きながら、必要な措置をとってまいらなければならぬというように考えております。
  292. 加瀬完

    ○加瀬完君 先ほど鈴木委員から御質問がありましたが、この管理者の問題ですね。今度のこの改正では、管理者が必ずしも当を得なかったところに健全経営のうまくいかなかった問題があるのじゃないかというひとつのねらいでございましょうか、管理者を特別職にして、いろいろのきまりを考えたわけです。そうなると、確かにいままでの管理者は、役人が回り番のように参りまして、それで何年かやれば次のポストにかわっちゃう。それですから最高の管理責任というものはなはだ不明確で、あと下僚の、もうその仕事にひとつのマンネリ化した人たちによって運営されているという悪い面もあるかもしれません。しかしながら、特別に任命した管理者ではありませんから、管理責任そのものは自治体が持たなければならなかったし、あるいは公営企業体の効果そのものの責任も自治体にあったわけですね。  ところが、今度自治体は、一応請負のようにまかせた形になるわけですよね。たとえば、いわゆる通俗的な能率は上がるかもしれません。いわゆるその能率は採算性をとるということにだけ傾いて、住民にサービスをするというほうへ心がけていくわけにはいかなくなる。それをやり過ぎれば赤字になるというので、そこに矛盾が生じないかということと、いまの国鉄の総裁みたいに、ああいう形で特別経営能力があると目される者をこの特別職として管理させるということになると、これはオール事業というような形になりまして、一〇〇%企業体という形になりまして、これは金がありませんからできませんということで、住民のいろいろの公共性、公益性というものは、いかなる面からもその要求は受け入れられないという欠点も生じてくるのではないかと思うのですよ。その点はどうお考えでしょう。
  293. 柴田護

    政府委員(柴田護君) そういうお話のような点を頭に置きまして、いろいろと長と管理者、あるいは議会と管理者の間の関係等につきまして意を用いたつもりでございます。したがって、基本的な事項、企業の興廃を決するような基本的な事項につきましては、すべてやはり住民の代表である議会にコントロールの余地をちゃんと残してある。それは予算というものを通じて残してある。それから長との関係につきましても、同じような意味におきまして、住民の福祉というものに非常に大きな影響を及ぼすようなものにつきましては、長の権限を保留いたしているわけでございます。  で、先ほど大臣からもお答えいたしましたように、これで従来の欠点をためて、企業の従来の欠点をためた運営ができるであろうというように私どもは庶幾いたしておりますけれども、あるいは先生御心配のような行き過ぎが全然ないかといえば、それは公営企業によりましては、そういう心配が出てくるかもしれません。私どもはないと信じますけれども、それは将来のことでございますからわかりません。  したがって、少なくとも私どもがいまできると考えましたこの案を実行に移していく。しかしながら、非常にまずいような事態が起こってまいりますれば、それに、その事態における原因の究明を通じて、法制的に再検討していくということはやぶさかではないつもりでおるわけでございます。しかしながら、私どもは、この改正案を立案するにあたりましては、大体御心配のようなことも頭に置きまして、これならいけるだろうということで立案をしたつもりでございます。
  294. 加瀬完

    ○加瀬完君 これで終わります。  給与の問題ですが、独立採算制とか、あるいは採算性とかいうことばかり強調いたしますと、原案できびしく意図されておりましたように、給与そのものを収入に合わせて計画をするという方向におちいらざるを得ませんね。そうすると、自治体の職員でありながら、公営企業関係の者は一般の職員と格差が出てくるということにもなりかねませんね。  特に、この間の座談会を拝聴いたしておりますと、民間の同種類の企業と比べて高いの安いのということが議論されておりますけれども、これは自治大臣に伺いたいのでございますが、国家公務員にしても地方公務員にしても、あるいは自治体の公営企業の職員にしても、政府なり自治体なりというものは、その職種の一つの基準賃金というものを出す、これは間接的な私は義務があると思うのですよ。採算がとれませんから、生活が立ちませんけれども賃金をカットいたしましたという理屈は、これは自治体や、国、政府としては、雇っておりまする職員に対して出せる筋合いのものではないと思うのですよ。しかし、管理者を特別職にして、それに採算性ばかりを強要すれば、どうしたってこの職員の給与は落とされますよ。押えられますよ。そうはならないというチェックがどこかでできますか。ひとつ大臣にお答えをいただきます。
  295. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 給与の関係につきましては、やはり地方公務員の同一職種の関係等もよく調整をとってみないくようになっておると考えておりまして、十分公務員の給与ベースとの調整をとり得るものだと考えております。
  296. 加瀬完

    ○加瀬完君 こういうことは考えられておるんですかね。民間企業であれば、同じ路面電車を走らせるにしても、あるいはバスにしても、かりに事故ができましても——事故ができることは好ましいことじゃございませんが、事故ができましても、これはその会社なりの形で話し合いはつく面もあるかもしれませんけれども、事故を許容するわけじゃありませんが、事故ができましても、話し合いで解決をつけるということが一つの筋道になることもありますけれども、公営企業体という形で、自治体が路面電車を走らせたり、バスを走らせたりするときには、絶対に事故を起こしてはならないと、こういうたてまえというものは、民間会社よりも大きく責任を感じて出発をしなきゃならないと思うのですが、この点はどうでしょう。
  297. 柴田護

    政府委員(柴田護君) それはそのとおりだと思います。
  298. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうであるならば、給与は民間よりも低い、労働条件は民間よりも低い、だがおまえらは責任は重いぞ、能率を上げろよと言ったって、筋は立たないでしょう。しかも賃金のことばかり言っておりますけれどもね、平均賃金を比較したって、これは賃金の比較にはなりませんよ。  たとえば三十年の経験者が都電なら都電にはたくさんあるということなら、賃金は高いけれども、安全性といいますか、事実賃金は非常にまた高いものであるから、むしろ十二分に、都民としては、一般住民としては、給与が高くてもむしろ喜ばしいことだという見方も成り立ちますよ。平均賃金が低いからといったって、まるで経験年数が五、六年ぐらいの者ばかりが運転手になっておれば、これは平均賃金は低いかもしれませんけれども、安全度なりあるいは信頼度なりというものは持てませんよ、そういう運転手に対しましては。給与は高くても、経験者、安全度の十分信頼できる者をやはり職員として迎えなけりゃならない。そのためには民間と給与の格差が出てくるのは当然だと、こういう私は理屈もあながちこじつけじゃないと思う。金はかかってもそういう方法をとらなければ、公営企業という私は性格は出てこないと思う。  だから独立採算というような形で、平価の切り下げみたいに平均賃金の切り下げばかりやって、質の低いものだけが公営企業の従事者になるというようなことのないように、これは十分御注意が払われていくものだと、そういう意味では、ただ賃金だけを切り下げて独立採算制を強化するということではないんだと確認してよろしゅうございましょうかね。前置きが長たらしくなりましたが、確認したいのはそこだけです。
  299. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 具体問題を取り上げて考えてみますると、いま一定の給与がある、その給与が実際問題として非常に法律の所期するところと違っているとかりに仮定いたしましても、じゃあそれを下げられるかということになりますれば、そんなことができるかできないか、みずから判断できることだろうと思うのであります。企業の給与費ということを考えてまいりますと、何も給与費だけを目のかたきにしておるわけではございませんけれども、まあ問題は経営合理化の一態様として、そしてこの給与費も含めて経営の合理化というものをどうやっていくかということが、公営企業の経営上一番大事なことだと思うのでございます。したがって、まあたとえば二人の乗務員を必要とするバスをワンマン・カーに切りかえるという方法も方法でございましょうし、その他いろいろ勤務の態様等につきまして、さらに合理化し、あるいは能率化していく余地は、今日の公営企業の実態を見てまいりますれば、ないとは申し上げられないのであります。  たとえば水道事業一つ考えましても、これの料金徴収というようなものを考えてみましても、そのために現在とっております方法が唯一最高のものかといいますれば、どうもそうじゃないというふうな感じがするのであります。ここに意図いたしておりますのは、先ほど民間事業の例をおあげになりましたが、民間事業だけの給与の水準の比較だけを考えておるわけじゃございませんで、国、地方公共団体の職員の給与もその一つの基準であります。民間事業のものも一つの基準であります。生計費も一つの基準であります。そういう意味合いにおきまして、総合的に考えて結論を出すべきものだというように思うのでございます。企業の経営の合理化というものが即給与の切り下げだというようには私ども考えておりません。
  300. 加瀬完

    ○加瀬完君 悪いんですけれどもね……。  数年前国鉄で非常に踏切事故が多いわけですね。このごろまた踏切の強化をいろいろ国鉄では考えております。ところが、この前の人員整理のときに踏切番を全部人員整理したですね。ほとんど踏切等のおりました踏切をなくしてしまった。そして事故が多くなりまして、あわてて、また踏切番を配置したり、あるいは信号機をつけたりという二重の手間をかけておるわけです。二人乗りのバスをワンマン・カーにすれば、一人分節約できるということは考えられますけれどもね。そういう安直な考えで、さて事故が起こった場合はどうなるのだ、一体事故が起こる可能性というものはどっちが大きくなるのだというようなことを考えませんで、人員をただ切り詰めるといったようなことだけで、採算性なり合理性なんというものを考えることは、これは企業の上から、安全度ということについては、一つの、特に交通企業なんかは非常な危険性があると思うのです。  殷鑑遠からず、国鉄が踏切番をやめさせて、踏切番をやめさせた以上の大損害を受けておる現状からして、特に交通企業というものは、安全性というものを考えなければなりませんからね。その点はもう十二分に、単に思いつきでない計画を練られて、それぞれの自治体を指導してくださいますように、これはお願いをいたします。
  301. 鈴木壽

    鈴木壽君 さっきお尋ねしたことに続きまして、多少またもう少し、問題は同じでございますけれども、ちょっと立ち入ってお聞きしたい点がありますので、それから始めたいと思います。  第十七条の二、三、あるいは十八条、まあこういうものに関連してでございますが、まず最初に十七条の二の一号と二号ですね。具体的なことは政令できめることになっておりますが、その一号では、「その性質上当該地方公営企業の経営に伴う収入をもって充てることが適当でない経費」、本来的に企業経営の収入では負担すべきでないという経費と、こういうふうに読まれますが、そのとおりでよろしうございますか。
  302. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) お説のとおりでございます。
  303. 鈴木壽

    鈴木壽君 二号は、そうしますと、本来は公営企業の経営に伴う収入をもって充てるべきであるけれども、しかし客観的にそれが困難であるから、何かの方法で、出資や、貸し付けや、あるいは他の一般会計なり、あるいは特別会計なりの負担金をもって充ててもよろしい経費だと、こういうふうに読んで差しつかえありませんか。
  304. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 同様お説のとおりでございます。
  305. 鈴木壽

    鈴木壽君 そうしますと、さっきもお聞きしましたが、政令の具体的な内容のことでございますが、あなた方からいただいたこの資料の1のところでは、第十七条の二の第一項第一号のものと、それから算用数字の2のところは、十七条の二の第一項第二号の該当のものと、こういうふうに分けてありますから、この二号に該当するところは、本来は企業の収入をもって充てなければならないけれども、しかし実際はそれだけではとうてい困難であるというふうなものをこう並べてありますね。そこで考え方ですが、「高速鉄道の建設に必要な地下又は高架構築物の建設費の一部」と、こうある。一部または全部、ここにあるいは区別があるかもしれませんが、一部分はどうしても持ってはいけないということなんですか。本来は大部分は経営に伴うところの収入をもって充ててもいいし、一部はいけない、こういうことなんですね。そこら辺どうです。
  306. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) ここで一部と申しておりますのは、全部に対する一部でございまして、大部分に対する一部分、こういう意味ではないわけでございます。で、結局高速鉄道の建設に必要な地下または高架構築物の建設費の場合でございますと、事柄の性質上非常に多額の経費を要する。それを全部料金で回収をするということになりますというと、やはり利用者の負担能力というものから見て非常に問題がある。そういった意味におきまして、建設費の一部というものを負担することによって、利用者の負担の軽減に資する、こういう考え方があるわけでございまして、それを全部持たせるということは考えておらない。繰り返して申し上げるわけでございますが、全部に対する一部と、こういう考え方でございます。
  307. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで高速鉄道の地下または高架構築物の建設費の問題ですが、むしろ本来的に、これを全部とか、一部とかいう、多少の区別はあるいはあるかもしらんけれども、本来的にそれを全部を、一号のほうの「経営に伴う収入をもって充てることが適当でない」という、もう初めからそういうことに考えていくのか。いや、そうじゃないのだ、本来は企業で持つべきであるけれども、企業の収入をもって充てるべきであるけれども、実際は料金なんかにあまり高くはね返っていきますから、無理だからと、こういうのか、あるいはこの考え方では、ちょっと私は前にいろいろ、たとえば国庫の補助といいますか、負担といいますか、こういうものも投入すべきであるということをしばしばあなた方も言っておられますね。われわれもそう思う。その場合の考え方ですね。本来は企業に伴う収入をもってやるべきだけれども、無理だからやるというのか、あるいは本来的にもう道路と同じように考えるべきだ。同じようにと言っちゃ悪いかもしれませんが、ある意味においては道路の代替物として、路上の路面だけではまかない切れない交通のそれをさばくためにつくるための一つの施設として、道路というふうに考えて、地下道というふうに考えてみた場合に、本来的には、これはやっぱり経営の経費をもって充てるということはそもそもが無理なんだ、一号のほうにかけて補助するなり、あるいは国が出資をするなりという、こういう形をとるのか、私は考え方の上に多少違ってくるのじゃないかと思うのですよね、そこら辺どうです。
  308. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) お説のように道路も、私はやはり、私どもの中で議論をいたしました際にも、やはり先生のおっしゃいますような議論もあったわけでございます。ただ問題は、私は、ここに列挙してあるものの中では、次の病院事業のところでも、不採算地区病院というものを明示してあるわけでございますが、どちらかといえば、やはりそういう性格のものではないだろうか。地上の道路にかえて、地下に道路をつくる、こういう形のものでございますと、先生がまさにおっしゃるようなあとのほうの説になるわけでございますけれども、やはりそこで公営事業というものが、それにプラスして加わってくるわけでございますから、やはりそれに必要な建設費を全部利用者の負担に帰着させるということになりますと、負担能力の点から問題がある、こういった面におきまして、やはり不採算地区病院と同じような範疇に含ませしめて処理することがより妥当と申しますか、合理的ではないだろうか、こういう判断に立っておるわけでございます。
  309. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまあなたがあげられました不採算地区の病院なり、あるいは僻地の診療所なんかでもやはり初めから、これは本来的には経営に伴う収入でもってまかなうのだと、しかし実際は無理だからという考え方と、もう初めからこれは結論はわかっておると、これは性質上どうしても採算あるいは不採算ということを、これはいろいろありましても、そういうものを抜きにしてもやらなければならぬというたてまえに立つならば、これは一号のほうに入るのじゃないかと思うのだな。考え方としてはそういうふうに規定すべきじゃないだろうかと思うのですが、これはいま病院のことも申し上げましたが、むしろ私言いたいことは、たとえば地下あるいは高架の鉄道の場合の、われわれは国が当然補助をすべきだと、こういうふうなもので考えていく場合に、やっぱり主張すべき、どこに立脚してそういうことを主張するかということで、当然やっぱり違ってくると思うのです。これは一つの道路というふうに、現在ある路面道路のみをもってしてはとうていできないという、こういうことからくる一つの道路ということを考えて、それが国でやるとか、あるいは地方でやるとか、これはいろいろあると思います。国がそういう地下道をつくってやるかということ、あるいは地方公共団体がつくるか、しかし、いずれにしても、それに伴って国の補助というものは出てくるというふうに、要求をされなければならぬという、こういうことになって考える場合には、やっぱりこれをもう少し明確にしておかなければいけないのじゃないか。どっちでも考えられるのだが、まあまあこれに入れておきなさい、で、これに入れておきなさいというのは、本来は企業の収入をもってやるべきなんだと、ちょっとこれは力といいますか、変な言い方ですが、要求なり、国庫補助の導入ということをはかるという立論をする場合に、非常に私は弱いものになってくるのじゃないか。  何も強いことを言って、何もかにも取れという意味じゃないけれども、私はやっぱりそこに考え方というものをよほどきちっとしておかないと、うまくないのじゃないだろうかと、いま、当面負担区分を明確にしておくというたてまえから、一応分けておくことはやむを得ないにしても、そこらあたり、基本的にもう少し考えていかなければいけないのじゃないかと思うのです。そういう意味で、私この区分けなり、政令の置き方を聞くわけなのですが、いかがでございましょうか。
  310. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お話の点はよくわかるわけでございますが、まず二つの観点がまああって、それが相乗されて、国の負担というものが出てくるのじゃなかろうか、こういうぐあいに私どもは現状においては考えているわけでございます。  で、地下道をつくるという、地下道、路面交通緩和のために地下にそういう道路をつくって、専用路線を設けて、地下鉄を走らせるのだという考え方をとらなければ、負担ということは出てこない。しかしそれはそれそのものではない。やはりそういう考え方をとらぬ限りにおいては、全部料金にはね返って、とてもやっていけない、また利用者もなくなってしまう。こういうことでありますので、地下道的な考え方、私も地下道的な考え方をとるべしとする論者でございますけれども、その考え方は、やはり二号該当としてこれを規律する、その奥に沈んだ考え方じゃなかろうか、それを表にむき出してくるのは、ちょっと若干問題があるのではなかろうか、こういう感じを持っておりまして、一応この案では二号に置いてある、これが率直な姿でございます。
  311. 鈴木壽

    鈴木壽君 すると、この場合ですね、これはいま地下鉄等に対してきわめてわずかの国庫からのあれはありますよ、しかしこれはきわめてわずかのものだと思います。たとえば三分の一やるとか、四分の一やるとかということでなくて、きわめてわずかの国からの負担を、スズメの涙ほどと言っちゃ悪いかもしれませんけれども、出していく、そういうことで、今度交通事業の二号該当のものとして、ここに一部は負担してはならないものだ、経営に伴う収入をもって充てることがだめなものだと、その一部が一体どういうかっこうになって、これは負担しないぞといってほうっておくのですか、これは。どこか別にそのかわり、国なり、あるいはどこかから、地方団体なりがここに入れてくるような道があるのですか、これは法的に。
  312. 柴田護

    政府委員(柴田護君) これは法的に解決しなければなりません。現在この案に書いてありますのは、一応政令で何を考えているかということをこれは御披露申し上げるべき義務がございますし、また、それがどういうことを考えているのか明らかにしろという御要求もあったわけでございます。そこで一応こう書いてあるわけでございます。  で、この点につきましては、現在は地下鉄の建設に対して、実際は市場公募の金を使ったり、まあそれがほとんどでございますけれども、あるいはその他のいわゆる縁故債というものを使って地下鉄が建設されておりますが、それを政府資金並みくらいまで持っていったらどうだろうか、つまり六分五厘の金利ぐらいまで持っていったらどうかというような考え方のもとに、去年は四億弱、四十一年度は八億の補助金がとりあえずついておる。それでは私どもは納得をしておらぬわけでございまして、ともかく、その負担区分の問題が議論が片づいておりませんので、四十一年度におきましては、まあまあそれで一応妥協をする、しかし、一年間かかって研究をして、そして四十二年度からどうするかということをはっきりきめようじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。  したがって、私どもとしましては、四十二年度以降におきましては、この国と、それから一般会計、地下鉄、三つの負担区分をはっきりきめたい。そうしますると、一般会計の部分についてはこの政令で上がってまいりましょう。そうでない、国の負担の部分につきましては、この高速鉄道法ですか、軌道法と地方鉄道法の中に、その国の負担する部分というものが明確になってくる。準立法措置が要るわけでございます。そういうことによって実施しようといたしておるわけでございます。
  313. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは、いまのお話はそれでわかりました。わかりましたが、しかし、それはほんの金利の一部を、何といいますか、補給する形ですね、いわゆる建設費の一部を負担するというまでにはいっておりませんね。それは広い意味でその一部じゃないかと言われればその一部ですけれども、本来的に言うその建設費の一部を負担するというまでにはいっていないと思うのです。だからこの場合、これは政令のいわば試案というふうなことでお示しいただいたものだと思いますが、かりに、しかしこの趣旨はいいと思うのですよ、趣旨はいいと思うのだが、さてこうやって、その一部というものは一体どういうふうなことであり、じゃ、一部は負担すべきものじゃないといって負担をしないと、たとえば料金なんかにもはね返さないし、何ら法的措置も講じないといった場合に、一体赤字みたいなかっこうで残っていきましょうね。そういうことではちょっと困るのだから、そこらあたりをもう少し法的な負担というものをはっきりしておかないといけないと思うのです。まあ検討してこれからおやりになるということですが、それをやらないと、ただ、これ、やったって、実際には効果のあるものとして生きてこないと思うのですね。依然としてわずかの利子補給分をもらって、それでいいということになりはしないかと思うのですから。  そこで、ひとつ大臣、これは重大な問題だと思うのですが、いま局長からお答えになったように、地下鉄なんかの場合の施設は、これはさっき私も言ったように、国でやるか、あるいは地方公共団体で行なうか、たとえば東京なら東京でやるか、これはいろいろあるとしても、そこにやっぱり国の負担、それから公共団体でやった場合の公共団体の負担、あるいはまた企業としても若干私持っていいものもあると思うが、そういう三者によってどう負担を分け合い、そして建設費をどう生み出すかということを考えてもらわなければならないと思います。これは単に私ども、補助を出せ出せと、そういうことだけで片づかない。これはやっぱりきちっとしておかなければならない問題だと思うのです。  もう一つは、企業全部というわけにいきませんけれども、水道の基幹的な施設等についても私はこういうことが言えると思う。さっき加瀬さんからもいろいろお話がございましたが、利用者だけで持てというのがいまの考え方ですね。しかし、これからの水道なり水道事業というのは、単にいまの利用者だけを対象にして施設なり、ものを考えていってはいけないことになっている、いけないことになっている。理屈ということではなくて、事実上いけない。将来この地区の人口がどのくらいになるか、世帯がどのくらいになるか、その一人当たりの何といいますか、使用料がどのくらいになるか、現在こうだが、将来はおそらくこの程度になるであろうと、あるいはまた、給水の区域も現在の区域はこうだけれども、将来こういうところまでやらなければならない、先を見越した計画を立てなければいけない。  現実にはそうなっていますよ。しかし現在通水の水は、二、三年あるいは四、五年は、わずかの人間でこれは利用するのだから、しかしその料金の計算で、全部それにならしてしまってやるというと、これは赤字を出さないためには、わずかの人間で、いわば自分たちに関係のないところまで給水しようとしてつくった施設のその分まで引っかぶらなければいかぬということになる。だから私は、水道事業なんかにおいても基幹的な大きな施設、取水からあるいはいろいろな地下に至るまでのそういうところまでの建設費は、当然地方公共団体の施設として地方公共団体が持ち、しかもその場合には、国も一つの公共企業扱いにして負担を分担すると、ある程度の、こういうたてまえにいかない限り、単に料金の赤字とか黒字とかいうことだけでなしに、水道事業そのものの性質から、そうしなければいけないようになってきていると思うのです。これは地下鉄とやや似たような扱いをしなければいけないと思うのですね。そういうこともありますから、ひとつ意見めくわけだけれども、この問題ですね、これは本気になって、あまり遠くないうちにやっぱり解決してもらわないといけないと思うのです。大臣いかがでございますか。
  314. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) この問題につきましては、本年度予算編成の際に、地下鉄事業に対しては国が適当な負担をすべきであるという考え方で、強く折衝し、水道関係におきましても、特に近接地の水道が高くつくことについては、利子補給は当然やるべきだということで強く折衝いたしましたが、本年度の予算編成上解決を見ておりませんが、来年の予算編成を中心に、ただいまのお説のような観点で政府、関係者と話を進めていきたいという考え方でございます。
  315. 鈴木壽

    鈴木壽君 そこで、この政令の案でございますが、ここに示されたものだけで、これだけは企業会計で負担してはいかぬと、これははっきりしていいんですが、逆に今度言うと、それ以外のものは企業でみな負担をしなければならない、さっき私が例示したようなことまでも。ここをもう少し弾力的に考え政令をつくってもらわないと、これはかえってこれに縛られて、あとでたとえば補助、一般会計からの出資のことなんかもありますけれども、ここできちっと縛られてしまって、かえって当然やらなければいけないこともやれないということも出てきやしないかと思うから、そこら辺はなかなか微妙なところでありますけれども、これは十分考えて、政令の基準をつくっていただかなきゃいけないと思うのですが、まあなお検討中というふうなこともありますから、そのこともあわせて、ひとつ御検討をいただきたいと思います。  それから、十七条の三ですが、「特別の理由により必要がある場合」ということですが、これはまあ解釈のしようによっていろいろ出てくると思いますが、一つだけお聞きしておきたいと思います。「特別の理由により必要がある場合」ということは、一体だれが、一体それを必要であるのかないのかいうことを認める判断をする人は、人と言っちゃことばは悪いが、あなた方がやるのか、指導の立場にあるあなた方がおやりになるのか、企業者がやるのか、あるいは企業を営んでおる公共団体がやるのか。そこら辺むしろ私聞きたいことは、企業あるいは団体を含めて、そっちのほうの側で自主的に判断をした場合にはやるんだという、こういう規定なのかどうか、そこをひとつ。
  316. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 十七条の三は、条文に明らかでございますが、地方公共団体は、必要がある場合にはと、こういうことになっておるわけでございます。したがいまして長が判断をして、予算を提出して、議会がこれを議決する、これによって団体の意思がきまる、こういうことでございます。
  317. 鈴木壽

    鈴木壽君 私なぜそんなことを聞くかというと、確かにおっしゃったように、文章の中にそういうふうにありまして、ただし、現在の法でもこういうことがありますね。十七条の二の二項ですかにあります。しかしこれは非常に窮屈にあなた方——あなた方というといけないけれども、こちらのほうで考えてまいりましたね。災害復旧、その他それに類するようなとか、何とかいうようなことで考えておった。しかし私は、これは野方図に何でもかんでも必要があるというふうにやれという意味じゃもちろんございません。しかし、いわゆる災害復旧、あるいはそれに類するものという、そういう限定された形でなしに、ある地区によって団体によって、あるいは企業によってはいろいろ事情が出てくる。そういう場合に、これはやむを得ざる特別な理由だという必要を認めた場合はやれるというふうに、企業の人たち、地方団体にも思い込ませておかないと——この乱用は避けなければいけませんよ。乱用はしてもいいという意味じゃありませんから。しかし、いずれそういうふうにしておかないと、従来のようなあなた方の指導の立場からしますと、これをぎりぎりと、きちっと考えておったということは、これは否定できないと思うのです。従来の公営企業がやる場合に一つの問題になったのはこの問題ですが、今回のこの改正によって、繰り返してくどいようでありますけれども、乱用ということを私は何もすすめる意味じゃございませんけれども、その地方団体の自主的な判断によって必要と認めた場合、それが議会の議決を経た場合にやれるのだというふうに解すべきだと思うのですが、よろしゅうございますね。
  318. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) この十七条の三の補助の規定につきましては、あえてこれを、残したという間の経緯につきましては、局長から説明並びに答弁の際に触れたところでございますが、従来の制度に比べまして、負担区分の制度というものを確立し、これを前提にしながら補助という規定をあえて残した、こういう立法の経緯がございます。したがいまして、補助の規定というものが、いま先生が御指摘になりましたように、乱用されるということになりますと、これは率直に申してまだまだ、第十七条の二の経費負担の原則というものを立てましたこの趣旨、理由というものが没却をされるおそれがあるわけでございますので、やはり補助の規定で何でもかでも補助はできるのだ、こういうことでは制度のたてまえとしても、また、現実の運用としてもいかがなものであるかというふうに考えるわけであります。  ただ、先ほど申しましたように、団体の意思としてこのような形で補助を出すということを長が提案をし、それに対して議会が議決をされるということによって、団体の意思によってきめるということでございますならば、これは一つの政策判断の問題でございますので、それについて私はとやかくと言うことは申すべき筋合いじゃない。ただ気持ちとしては、そういうふうに考えているだけであります。
  319. 鈴木壽

    鈴木壽君 わかりましたが、ただ私、今度の再建を行なうという企業なり団体ということを考えた場合に、これは少しあなた方を疑ぐり過ぎるというふうに言われるかもわかりませんが、何かやっぱりこういうことが一つの再建団体に対するチェックの一つの手段として、おまえのところは再建計画なり、こんなことじゃだめじゃないかというような、それで残るのがいいだろうと、実はあとで再建促進法の事業のところでお聞きしたいと思ったが、何かそういうような意味でも残りそうな感じもするものですから、あまりそういうことはからませないで、この目的は主としていま言ったような立場で、地方の自主的な判断で、乱用ということは、もちろんいけないけれども、当然必要なものはやっていいのだし、それを認めていくのだ、こういう立場と考えてよろしゅうございますね。
  320. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 終局的にはその自治団体の意思の決定に従うわけでございますが、繰り返すようでございますが、気持ちとして、ともかくこの補助の規定というもので、あえて残された趣旨というものは常に念頭に置いて運用をしていただきたい、こういう気持ちで地方団体に対して私どもは期待をしておるわけでございます。
  321. 鈴木壽

    鈴木壽君 たとえば、これはどれに入れて考えたらいいか、十七条の二のほうに入れたらいいか、あるいは十七条の三あるいは十八条か、どれに入れていいか、政策的な料金の割引とか何かということがありますね。たとえば失対労務者に対する割引、あるいは身体障害者に対する割引、あるいは昔は、いまはどうか、東京あたりにあるかどうか、早朝の割引とか、いろいろあったと思うのですが、別に、いわばそういうひとつの政策的な意味でのやつが、それが従来はともすれば企業で全部またかぶらなければいけないということもあったと思うのですね。こういうような場合には、私はちょっとおかしいと思うので、一般会計からやっぱり当然負担をすべきだと、こう思うのですが、そういうことをどこかで、いまの十七条の二、三、あるいは十八条、これはどこに入るかわかりませんが、当然考えていいことじゃないかと思うのですが、どうです。それは。
  322. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 割引という場合に、いろいろございまして、企業がサービスでやっている割引もございますし、別の観点から、地方なり、その地方団体の政策的目的から出すものもございます。で、前者の企業がサービスでやっておるのは、これは普通の企業がサービスでやられるのと同じことでありまして、それは、それに対してどういう影響が出るか、覚悟の上のサービスで、したがって、そういうものは税金としては払われるべきものではない。しかし、われわれが、たとえば生活保護費云々と言ったような問題は、それは民生対策が主であろうと思いますので、それはむしろ十七条の三によるべき筋合いのものであろうというぐあいに考えておるわけであります。
  323. 鈴木壽

    鈴木壽君 十七条の三によって、いわゆる特別の理由による必要がある云々という場合に該当させていいと、こういうことなんですか。
  324. 柴田護

    政府委員(柴田護君) と思います。
  325. 鈴木壽

    鈴木壽君 と思うというのですね。  十七条の二の一号あたりにこれはやってもいいじゃないの——まあどこでもいいわけだけれども。まあいい。これはどこへ入れるか、これはいいかもしれないけれども、やっぱりそういう政策的な立場でやる、企業自体でサービスしたり、これはもちろん私も、それはそれなりの理由等、あるいはいろいろなことを考えてやるんでしょうから、それはそれとして、いま私があげたようなものと、局長がいま言ったようなことは、すぐそれをそのまま企業にかぶらせてしまうということは、やっぱりこれも理屈に合わぬと思いますので、そういう場合には当然、一般会計のほうから出してやるべきだ、こういうことでいいわけですね。そうして、あなたのお考えでは、十七条の三の「特別の理由」ということで補助していいんだ、こういうことでございますね。
  326. 柴田護

    政府委員(柴田護君) やはり第一号の問題というのは、だれが見ても、本来ものごとの性質上そういうものであるし、それから、どこの企業にもたくさんある普遍的なものだということでございます。いまお話のありました問題は、むしろ、やっぱりその団体の政策として行なうものでありますから、やはり十七条の三の規定だと思います。  いままでこの点につきましても、御指摘のように、明確ではございませんでした。むしろ、本法の改正を通じまして明確にしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  327. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから料金のことでございますが、ここでお考えだけをひとつ聞いてみます。あまり長くなっても何ですから、意見めいたことは言いません。  公正妥当なものでなければならぬということが一つ、適正な原価を基礎とすべきであるということが一つ、ここでいう「公正妥当なもの」、「適正な原価」をどういうことにお考えになっておられるのか。これはあなた方の指導の、料金問題に対する基本をなすものですから、その考え方をもう少し具体的にお聞きしておきたいと思います。
  328. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 先日の御質問にもございましたが、それぞれの公営企業につきましては、それぞれ事業法があるわけでございまして、それぞれの事業法にはまたそれと同じような規定が置かれておるわけでございます。それを通じまして公営企業法におきましても、料金のあり方といたしまして、公正妥当なものであり、かつ適正な原価を基礎といたしまして、しかも、地方公営企業というのは、将来永続してサービス提供していくものでございますので、そのサービスが維持できるように、健全な経営を確保することができるようなものでなければならないと、うたい込んでおるわけでございます。
  329. 鈴木壽

    鈴木壽君 「公正妥当」ということばは現行法にもありますが、今度の改正でいわゆる「適正な原価」ということが新たに入ってきたわけですね。そこに特に「適正な原価」というものを入れなければならないという理由、いわゆる「適正な原価」とは一体何か。これは実はお話のように、企業のそれぞれによって違ってくるのじゃないかと思いますが、もっと具体的な、たとえば水道なら水道、地下鉄なら地下鉄というものを例に、ひとつ「適正な原価」というものは、一体どこら辺を原価に計算することが適正であるのかどうかというようなことをおっしゃっていただけませんか。
  330. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 現行法は御承知のように、公正妥当なものでなければならないということに加えまして、「決定するに当っては、地方公営企業の収支の均衡を保持させるように適切な考慮が払われなければならない。」となっておりまして、資金ベース的な色彩が出ているわけでございます。  そこで、たとえば水道事業などの料金決定の態様を見てみますと、将来五年間というものをめどにいたしまして、その資金収支が合うか合わないかということで、極端な言い方をいたしますと、元金償還額まで含めて計算しておるという例になっております。企業という場合には、そういう元金まで含めて料金を決定するのは必要ないのじゃなかろうか。やはり損益収支上で損するか得するかということ、そういうことによりまして料金を決定していっていいんじゃないか。損益収支上のいわゆる営業費用、営業外費用、したがいまして減価償却あるいは支払い利息、そこまで含むわけでございますが、それをまかなえるような形での料金設定というものを「適正な原価」ということばであらわしておるものでございます。
  331. 鈴木壽

    鈴木壽君 あなた方この時点で考えた、「適正な原価」というものを考えた時点でのそれではあれですか、一般会計から、たとえばいまの水道の話は一般会計からの出資あるいはその他の資金の導入ですね、あるいは国からの補助等、こういうものを一応予想して、将来できるであろうと、また、そういうものを将来きちっとやってということを前提にして考えておったのか。そういうことは全然考えないで、いまのベースのままそれを考えておったという、そういうことですか。
  332. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) これは地方公営企業の料金決定の原則でございますので、別途、いろいろな政策的な配慮のもとに国からの補助、一般会計からの補助というようなものが行なわれれば、当然それだけ企業に降りかかってくるコストそのものは減少するという形になります。したがって、その減少したコストを基礎として料金を決定するということになります。
  333. 鈴木壽

    鈴木壽君 だから、そういうことを予想しながら、やはり、将来どうしても国のほうからの金なり、あるいは一般会計からの出資というような形になるか、いずれにしても、そういうようなものが当然出てくるし、そういうものがなきゃならぬということを考えながら、こういうことをお考えになったのかと、こういうことなんですよ。
  334. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 何ぶんいろいろな種類の企業を包括した規定でございますので、たとえば、電気事業なりガス事業というようなものにつきましては、ほとんど一般会計からも出されていないような現状でございます。そのほか水道事業もこれまで出されておる例というのは非常に少ないわけでございますけれども、負担区分の明確化等に伴いまして、一般会計等からの入り組みがございますれば、当然その分はコストが下がってくるという考え方でございます。
  335. 鈴木壽

    鈴木壽君 これは将来の問題ですが、今度新しく修正として挿入された二十二条の二ですね、企業債の償還の繰り延べとか借りかえ、こういうものが現在よりさらに年限の繰り延べや、利率の面で何といいますか、有利に出てきた場合には当然そういうものが考慮の中に含まれていくと、考慮というか、いわゆる適正原価というものをそういう場合にこれは考えていくということになりますね。
  336. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) いままで地方財政法上も借りかえ債の発行ということはできたわけでございますけれども、現実問題としてほとんど行なわれない。それで耐用年数と起債の償還年との差がある。それで資金上困って、水道事業などは資金ベースでもって料金を設定しておる。したがいまして、損益収支上から見ればおかしな形になっておったわけでございます。今回、適正原価ということになりますと、そういうことができなくなる。したがいまして、必要に応じてはやはり借りかえ債というようなことが起きてくると思います。それからまた借りかえにあたりまして、低利借りかえというようなことがもし実現いたしますならば、当然のことながら、営業外で払っております利息なども下がってくるわけでございますから、コストそのものが下がってくるということになろうと思います。
  337. 鈴木壽

    鈴木壽君 わかりました。これは私が言っているのは、今回、法でいわゆる地方公営企業として規定せられる七つ全部をひっくるめて言っているんじゃありません。たとえば、一つ例として水道とかなんとか、これは電気事業とかなんとかいうものと、多少精神は違いますから、だからそういうすべてのものに対して、こうだという意味じゃありませんけれども、やっぱり事業ごとに相当考えておかないと、これは一般的な規定だと、こういっても、実際のそれに持ってきて一体適正とは何か、あるいは公正妥当なものとは何かというので、なかなかこれは論議の尽きないところですね。そういう意味で、あなた方のお考えになっていること、あるいは予定しておられることについてお聞きしたわけなんであります。実は料金論といっては少し大げさになりますが、料金についていろいろお聞きしたいのですが、時間もございませんからやめておきます。  次は、給与のことにつきまして、さっきからお話がございましたが、また修正案についても、この前お聞きをしましたから、一昨日でございますか、お聞きをしましたから、これも省いてまいりましょう。  それから第四十二条の、これはさっき原田さんから御質問があったのでございますが、ちょっと私も確かめる意味でお聞きしておきたいと思います。「地方公共企業体を設けることができる。」、そこで現在の公社、いろいろ住宅公社とか道路公社とか何か、いろいろなそういう意味での公社がありますね。いわゆる公共企業体とははっきり言えないかもしれぬけれども、まあそれらしい、ちょっと性格があいまいなところもありますが、いずれにしても、ああいうものがある。これに対しては、せんだって小林委員から兼職という問題からいろいろお尋ねがあったのですが、現在ある公社あるいはこれから出てくるであろう公社、こういうものと地方公共企業体、ここにある、「別に法律で定めるところにより、」云々とある、それをどういうように考えられておるのか、これをひとつ、これからの見通しといいますか、お聞きしておきたいと思うのです。
  338. 柴田護

    政府委員(柴田護君) 公社につきましては、この間からも御質問がいろいろございました。現在公社というのは大体財団法人、社団法人、主として財団法人でございます。これにつきましては、いろいろ欠点も多々あるわけでございまするが、やはり問題は、公社の片づけ方というのは、なぜ一体公社みたいなものができてくるのかということをよほど考えてまいりませんと、どうもいままで私どもがやってまいりましたように、公社というようなものは、責任を不明確にするから、ただ好ましくないという態度一点ばりでは、これは片づかぬだろう、これはこれでまた別に考えていったらいいと思うのでございます。しかし、その公社なるものが、やはり地方公共企業体とは別個の人格でございます。ここにいうところの地方公共企業体というものをどういう形に持っていきますかは、これからの問題でございまするが、やはり一種の特別の法人格を持っておるものと考えられるわけでありまするが、財団法人や社団法人といったものとは違うものである。それからやはり法制的には長なり議会なりというものとこの地方公共企業体というものの関係は、財団法人と地方団体というような関係じゃなく、別個の法律関係というものがやはり考えられるのが実体じゃなかろうか。それは地方公共企業体といいましても、経営の一つの方式でございまするが、やはり基礎は住民に置かれたものでございまするので、そういう観点からの住民の意思の反映といったようなことを織りまぜていかなければならぬかと——財団法人でございますと全く関係なくできるわけでございまするが、そういうものじゃないものにいたしたい、こういう考え方を現在持っておるわけでございます。  これは具体的に、じゃどうするのだということになりますれば、私は先ほど、いわゆる国でいう三公社のようなものを、一応これを法制化いたします場合の参考として考えておりますということを申し上げたのでございまするが、ただいまのところはその程度、それから先にどうするのかということは、それからの研究事項というように考えております。
  339. 鈴木壽

    鈴木壽君 いまの公社のやっている仕事は、これは全部が全部とは言えないかもしらぬけれども、そのものによってはいわゆる地方公営企業として当然やっていいようなものも、それでやっておりますね。土地造成あるいは住宅あるいは道路なんてやって、当然一般的な地方公共事務としてもやらなければいけないし、また、あるいは企業会計みたいなものを設けてやってもいい、当然そういうものもあるのですね。いわゆる公営企業としてやってもいいようなものでも、それをいわゆる公社という形で、いわゆる地方公営企業じゃない、内容はともかく形の上では別に法人としてやっている。しかもそれにはできるべくしてやはりできてきた一つの必要性といいますか、そういうものがこれは確かにお話のようにあるのですね。とてもじゃないが、一般行政事務の中でやっておったのじゃどうも仕事も何もにっちもさっちもいかないというようなこと、あるいは資金繰りからいっても、事業の進め方からいっても、なかなかたいへんだと、こういうことから、あまりあちこちに請求されないところにちょっと仕事の場をもうけてやっていくというようなことが、こういうことがいまの公社だと思うのですね。そこで、公営企業の中で、今後新たに地方公共企業体、三公社のようなものを設けていく、設けることができることにする、しかも、法律によってですね。そうすれば、いまの公社でやっておる仕事、さっき言ったように地方公営企業として当然やっていいようなこと、やるべきようなこと、これを何かの形で公営企業、地方公共企業体というものの中に引っぱってくるようなことでも考えないと、いやこっちはこっちでやっておるのだ、こっちはこっちで新たに公共企業体というものを設けてやるのだという、同じようなことで両方の似たような仕事をする団体が、法人が二つできてみたり、あるいは仕事の引っぱりっこをやってみたり、こういうことも、これは場合によっては予想せられるので、ここらあたり両者の調整というものを、私は公社をなくせという意味ではありませんし、ここら辺、ちょっと私はっきりいまものを言いかねるのだが、よほどこれは考えていかないと、そういうものをつくることにしたのだがといっても、なかなか、一向そういうものが実体的には生まれてこないということも出てくると思います。これは当然将来の問題として十分これは考えていただきたいと思うのです。その際に、いわゆる現在の公社というものを一体どうするかということも、これはひとつ当然考えて、乱発はいけない、健全なる運用をしてもらうようにという、それだけではこれはいけませんから、当然考えるべきだと思いますが、いかがでございますか。
  340. 柴田護

    政府委員(柴田護君) お話のとおりだと思います。公共企業体というものをつくりました場合に、現在公社で行なっておりまする仕事を公共企業体に吸収するという分野も確かにあると思うのでございます。しかし、だからといって、それで公社が一切片づくかというと、私は片づかないこともあると思います。やはり今日のように、公社を続出せしめました原因というものを、どうただすかということをあわせて考えてまいりませんと、公社問題は片づかないのじゃないかというふうに、私は考えておりまするが、お話の点は十分注意をして、公共企業体に対しまする法制を立案いたします場合には、心してまいりたいと、かように考えます。
  341. 鈴木壽

    鈴木壽君 私個人の意見になって恐縮ですが、ここで、四十二条のほうで新しく「地方公共企業体を設けることができる。」ということは、これはこれでいいのだが、「別に法律に定めることにより、」と、こういうことがありますから、いますぐというわけでもないでしょうが、しかし、もっとやはり公社そのものについての検討までひとつやっていただく、そういう点であとから、あとからというと、これはまあいつごろといってもちょっとはっきり言えませんけれども、いずれ公社に対する一つの指導方針なり、あり方なり、性格なりというものをきちっとさしておいて、それによる健全な、残すべきものは残して発達をさせるということをひとつぴちっとやっておいて、そして今度これを考えていくということにしないと、いたずらな私は混乱が起こるのじゃないかと思いますから、そこをひとつ、私はこれはいま言ったように、個人的な見解を述べて注文みたいなことを言っちゃ悪いけれども、そういうふうに考えますものですから、できたらひとつそういう私の気持ちもくみ取っていただきたいと思います。  時間がありませんようですから、次に移りたいと思います。五十一条ですがね。今度修正された結果、五十条が削除されて、五十二条までが五十一条になりますね。ここであれですか、地方再建促進特別措置法の準用についてこう書かれてありますが、再建特別措置法の第七条ですね、第七条も準用するようになりますが、これはちょっと私考えてみても、具体的に一体どういうことが七条に当てはまるのか、ここでは国の直轄事業の実施に関する自治大臣の云々と、こうあるのですが、ちょっとぴんとこないのですが、これはどういうことでしょう。ちょっと知らしてほしいのですが……。
  342. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 工業用水道、上水道といったようなものになりますと、国の多目的ダムの直轄工事というものが相当ございます。したがいまして、やはりこういう規定を準用しておいたほうが、するのにいいだろうと思います。
  343. 鈴木壽

    鈴木壽君 ダムから水を持ってくるような場合のね、その点は了解いたしました。  それから、ひとつ心配なのは、二十一条の準用ですがね。これは再建団体になりますと、いろんな面で、実はこの前の再建整備促進法に基づく一般会計のほうの再建団体のほうで、いろいろやはり頭の痛い問題であったのですね。この準用やむを得ないとも思うが、しかし、いわゆる実際の準用なり、指導にあたっては、ひとつこれは十分気をつけてもらいたいと思うのです。補助もするのだし、利子補給もするのだし、無条件にはできないぞということでしょう。しかし、この前の再建団体のあれで、地方団体がちょっとした計画変更についても、何だかんだと東京までやってきて頭下げてやって、それが承認されなければ、議会にももちろんかけられない。議会にかけたものを持ってきて文句を言われるのならともかく、にかけぬものがオーケーとれないのですからね。そういう、非常にそれはいま言ったように利子補給もしてもらっておるのだから、当然じゃないかという見方もあるかもしれぬけれども、しかし、できるだけやはりその団体のそれぞれの事情もあることだし、きつく縛るというようなこと、いろんな注文でやっていくというようなことは、これは避けていただきたい、率直に言って。特に再建計画をつくるときに、これはさっき原田さんも質問の中に述べておられましたが、この前の三十一年当時のあれの中には、人員整理をせいということははっきりありますけれども、人員整理の内容も、はっきりしなければ、まだおまえのところはむだがあるじゃないか、合理化がされてないじゃないかというようなことをきびしくやられた団体があるのですよね。どうしてもそういうものを持っていかなければ、うまいぐあいにオーケーとれない、こういうことで、しかも、その裏打ちとして退職金に伴う起債は認めてやると、今度の準用の中にもありますがね、二十四条ですか、退職債のことも入れておる。こういうことから見ると、やはり今度の再建団体が計画を立てる場合に、退職のこともこれは一つの条件になるのじゃないか、整理のことも条件になるのじゃないかということも、当然これは心配されますのでね、私は企業の立場で再建をするという立場で、ある程度の整理もときにはあると思う。全部そんなものも一切やめろという意味ではございませんが、けれども、こちらからそういうものがない限り、おまえのところは再建計画を認めてやらぬとか、金を貸してやらぬとかという、そういう締めつけ方というものは厳に私は戒めていただきたいと思う。これは私の注文です。いかがでしょう。
  344. 柴田護

    政府委員(柴田護君) この規定は一般会計の場合におきましても、具体的に発動されたという記憶は私は持っておりません。しかし、お話のように、再建計画ができるまでの過程において、団体によりましては非常にきびしい場面があったということも、これは否定はいたしません。しかし、あの当時は財政全般の状態も非常にきびしゅうございます。しかもその中での再建でございました。また、指導にあたるわれわれといたしましても、初めての経験であったわけであります。行き過ぎがあったことも事実であろうと思うのでございます。まあ、しかし、現在でも準用団体の制度がございますけれども、その後におきまする経過は、何年間かの経験を経まして、さような行き過ぎのないようには十分注意してまいっておるつもりでございますし、この法律施行にあたりましても十分注意をしてまいりたいと、かように考えます。
  345. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話のように、最終段階でぴしっとしたものをぶつけて、これだぞというような態度は決してとりませんでした、この前も。それ以前にはどうにも——だから再建課に行かなければいけないけれども、行くことがたいへんだと、これはもう率直な話ですよ、当時の地方団体の再建団体になったところはね。ですから私はこれは公営企業課でおやりになるか、どこでおやりになるかわかりませんけれども、もうひとつ、ここまでめんどう見て再建をさしてやろうと、赤字をとにかく減らしてやろうというところまでお考えいただいたんだから、それ以上今度それを条件にしたようないろんな締めつけ方を——公営企業課へ伺うのがおっかないとか再建課へ行くのがおっかないということを言われることのないように、ひとつやっていただきたいということだ、ほんとうですよ、これは。あなた方は感じないかもしれませんけれども、再建課の当時の長野さんか——長野さん直接知らないけれども、それはそれぞれの係のところに行くとたいへんだという、これはほんとうですよ。これは林さんだって経験があると思うんだ、これはね。だから、それは何べんも言うように、利子補給もするんだし、おまえ方ただのんびりかまえちゃいかぬぞという気持ちはわかりますが、それはそれなりにうまく上手にやってこれるような考え方で、あまり締めつけを行なうというようなことになりますと、せっかくのあなた方の配慮なり好意というものが、とんでもないようなことに受け取られてしまうんですから、ひとつその点——何も私ここであくまでも地方団体の自主性を守れとかなんとかいう、そんな変なことばは使いません。そういう意味でなしに、ひとつ上手に指導してやっていただきたい、その上で再建をうまくやらしてやっていただきたいという、これはまあ私は衷情として私の気持ちを申し上げたいと思うんです。とにかくそれを私、一つお願いとして申し上げておきます。  ひとつ最後でありますが、おとといもちょっとお尋ねをしました利子補給についての政令のことで、だいぶどこからどういうふうに聞いたのか、外部で誤解に基づくような心配がありますが、そこで考え方として、まだ政令がはっきりわれわれに示す段階まできてないという局長お話がありましたが、案というものはまだお示しいただけませんか。まだ最終的には固まっていないけれども、こういうことで、いま話し合いをしているとか、あるいはまあ大体こういう方針でわれわれは考えているとかいうようなことお示しいただけませんか、考え方です。せんだって私文句を言ったりなんかしましたが、文句なり注文なりは私別としまして、これはあとでまた衆議院段階の修正の立場の人方とお話をしていただくということにしておりますが、いまあなた方が考えて、こういうふうなものはどうかというふうに思っているというふうなこと程度でよろしゅうございますが。
  346. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 現在のところ大蔵省との間でまだ最終的な結論は出ておりません。早急に詰めるべく努力をしておる最中でございますが、体の考え方といたしましては、一般会計の場合の財政再建のときにも利子補給いたしましたが、あのときの考え方に準じまして、赤字の多いところ、そういうものについては限度一ぱいまで利子補給する、赤字の額が少なくなるにつれまして大体低減していきまして、六分五厘をこえる分について利子補給をするという考え方でございます。赤字の額の高を算定するために四十年末の赤字、これも国会で四十年末に修正に現在なっておりますが、四十年末の赤字を不良債務でとらえまして、四十年度の営業収益、この中にいわゆる経常的でないものもございますので、そういったものを控除いたしましたいわゆる経常的な営業収益というもので割り返しまして数値をとりました。ちょうど一般会計の場合には、都道府県の場合、市町村の場合、主要二税の二割で割り返したわけでございますが、現在の段階では、営業収益全体をとります場合には一割ぐらいで割り返したらどうであろうと思っております。そうやってきますと、数値が二とか三とかいう形で出てまいります。それである程度以上のものにつきまして法律規定されております四分五厘という幅で利子補給をする、それから非常に赤字の額の少ないところにつきましては、法律でやはり定めております一分五厘の幅で利子補給をする。まあそんな程度のことを考えております。
  347. 鈴木壽

    鈴木壽君 四十年末ですか、四十年度末の赤字ですか、どっちです。
  348. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 四十年度末でございます。
  349. 鈴木壽

    鈴木壽君 度末ですね。そうすると、いまのお話を聞いて大体わかりましたが、一般会計のほうの再建促進特別措置法の何といいますか、この施行令の第七条できめてある、この大体やり方はこれと同じだと、こう考えていいのですか。ちょっと数字とか何かね、たとえば、分母とか分子ですか、何かちょっと違ってきますけれども、大体考え方としてはこういう考え方でいくと、こういうことでございますね。
  350. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 大体そのとおりでございます。
  351. 鈴木壽

    鈴木壽君 私、注文は昨日やりましたから、まずこれでよろしゅうございます。
  352. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ほかに御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ質疑は終了したものと認めます。     —————————————
  353. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に請願百七十八件の審査を行ないます。  先ほど委員長及び理事打合会において御協議いただきましたものにつきまして、専門員から簡単に報告いたさせます。
  354. 鈴木武

    ○専門員(鈴木武君) お手元に配付いたしました一覧表によって申し上げます。  第一五七号家畜保健衛生所職員特殊勤務手当支給に関する請願、留保。  第二四〇号旧樺太引揚市町村吏員の退隠料等支給に関する請願、採択。  第八三六号外六件、地方公務員等共済組合法の一部改正に関する請願、採択。  第一四五一号社会保険関係職員身分移管に関する請願、採択。  第二一三七号外一件、特別区の区長公選制復活に関する請願、留保。  第三〇一一号東京都二十三区区長公選制復活及び自治権拡充に関する請願、留保。  第五号外二十六件、地方財政法の一部改正税外負担禁止範囲の拡大)に関する請願、採択。  第二〇〇号昭和四十一年度地方財政に対する抜本的対策に関する請願、留保。  第二三〇号地方財政確立に関する請願、留保。  第五三七号地方財政確立に関する請願、留保。  第一三〇〇号外十四件、住民のための地方公営企業確立に関する請願、留保。  第一四五三号保健所国庫負担職員給等超過負担解消に関する請願、採択。  第一五五九号地方財政の強化に関する請願、採択。  第一五六三号地方財政確立に関する請願、採択。  第二一五四号地方財政確立に関する請願、採択。  第二二〇五号低開発地域開発促進措置に関する請願、採択。  第四号外十七件、「料理飲食等消費税」の全面的撤廃に関する請願、留保。  第一二〇五号ボーリング競技料金に対する課税撤廃に関する請願、留保。  第二二六五号外二十四件、戦傷病者に対する地方税減免等に関する請願、採択。  第三〇六七号自動車税軽自動車税軽減に関する請願、採択。  第一七九号消防法規則第十条に規定する少量取扱量制限の緩和に関する請願、採択。  第五三六号非常勤消防団員殉職者に対する遺族年金制度法制化に関する請願、採択。  第一五六七号人命救助並びに火災防止に対する諸設備施行に関する請願、採択。  第二二九七号外四件、消火弾簡易消火器具として規定するの請願、採択。  第二六二二号外四件、家庭用消火器具規制に関する請願、採択。  第二一三三号外二十件、東京阿佐谷地域トルコ風呂設置反対に関する請願、留保。  第二一九四号外三件、風俗営業等取締法など一部改正による個室付トルコ風呂営業規制促進に関する請願、留保。  第二七一二号外九件、個室付トルコ風呂営業規制に関する請願、留保。  第二七九六号外二十一件、東京都豊玉北にトルコ風呂設置反対に関する請願、留保。  以上でございます。
  355. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの報告どおり決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  356. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  それでは採択決定をいたしました請願は、いずれも議院の会議に付し、内閣に送付することを要するものとし、他は留保するものと決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  357. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書につきましては、先例により委員長に御一任を願いたいと思います。     —————————————
  358. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 閉会中の継続調査並びに委員派遣についておはかりいたします。  閉会中の継続調査はこれを行なうこととし、その要求書の取り扱い並びに閉会中の委員の派遣につきましては、いずれも委員長に第一任願いたいと存じますが、さよう決することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  359. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  暫時休憩いたします。    午後九時二十三分休憩      —————・—————    午後十時四十四分開会
  360. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 休憩前に引き続き、委員会を再開いたします。  地方公営企業法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑はすでに終局いたしましたので、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。  なお、修正意見のおありの方は、討論中にお述べを願います。
  361. 鈴木壽

    鈴木壽君 私は、日本社会党を代表しまして、ただいま議題となっております地方公営企業法の一部を改正する法律案に対して反対の意見を申し述べるものでございます。  この改正案に対しましては、衆議院段階におきまして、いわゆる三党修正ということが行なわれておりまして、この三党修正の修正された部分につきましては、私どもももちろん異議を唱えるわけではございませんが、しかし、全体としてこの法案の一部改正というものを見た場合に、なお賛成しかねる点が幾つかございますので、その点につきまして一、二反対の理由として申し上げたいと思うのであります。  第一は、この改正案そのもの全体の条文の立て方、これに対して私は賛成することのできないということをまず申し上げたいと思うのであります。  で、地方公営企業法は、企業の組織なり、あるいは財務、職員あるいは経営の基本になるべきところ、こういういわば公営企業としての制度の基本的なものについての規定法であるべきなのであります。現行法もそのようになっておるのであります。したがって、改正案は、こういう基本的なその線に沿いながら、この制度の基本的な問題について、いわゆる改正の必要な部面を盛り込まなければならないのにもかかわらず、今回はそれに加えるのに、企業の財政再建という、いわば特殊的なこういう事項についての規定措置というものを大きくこの中に付け加えまして、本来のあるべき地方公営企業法という、こういうものからははみ出した形における条文の立て方、こういうふうになっておるのであります。もちろん現在の地方公営企業におきます赤字の問題、したがって、財政再建の問題は、これは急を要することではございますが、しかし、それはかつて一般の地方団体の財政再建促進特別措置法のあれにとられたように、別個に私は立法されるべきであって、今回の地方公営企業法そのものの中にこういうものを含ませて、しかも、その含ませる意図が私はどうも理解できないものがあるように思うわけであります。本来の地方公営企業というものは、一体どうあるべきであるのか、繰り返して申し上げますが、基本的なむしろ永久的な、そういうたてまえに立っての法の規定であるべきであって、財政再建という、いわば暫定的な時限的なものに対するそれは別個に扱われるべきであったと思うのであります。こういう点から、第一点としましては、いま申しましたように、改正案の条文の立て方そのものに私どもはにわかに賛成することができないということをまず申し上げておきたいと思います。  次に、この改正案におきましては、地方公営企業というもの、その本質、性格、こういうものが明らかにされるべきであるにもかかわらず、依然としてそれがあいまいな形に規定されてしまっている、こういうことであります。あいまいに規定されたということよりも、むしろその公共性というものが失われかけるような、そうして企業性というものが優位に立つような、そういう規定が随所に出ておるわけでございまして、こういうことに対して、本来の地方公営企業のあり方からして私どもはこういう考え方、こういう思想でもって法改正が組み立てられるということについては賛成できないのであります。確かに地方公営企業は、いわゆる企業でもありますけれども、それはあくまで地方自治行政そのものであって、住民の福祉、住民の生活向上を目ざす公共的な事務であります。生産活動であり、経済活動ではありますけれども、それはとりもなおさず、いま言ったように地方の住民の自治の立場から、それらが組織せられ、管理せられ、住民へのサービスを満たす、こういう仕事でなければならぬのでありますが、そういうことがずっと影をひそめまして、 いま言ったように、企業の優位性と申しますか、企業性の優位性というものが出て、したがって、ここからよく言われるように、独算制がまたさらに新たな形で出てきたのではないかといわれるような、そういうものがうかがい知れるのでございまして、われわれはこういう点では賛成できないのであります。ここでは当然公共性が優先すべきであるということ、これらの明確な規定が今回の改正によってなされるべきであったと思うのでありますが、それらのなくなったことに対しまして、まことに遺憾だと言わなければならないのであります。  このようなことから、第三に問題にしなければならぬことは、長とこれら地方公営企業の管理者との関係であります。地方自治行政の公共的な事務の当然なすべき、地方公共団体として住民福祉の立場から当然なさなければならぬ、こういうたてまえからするならば、今回の改正によって行なわれましたように、現行第七条あるいは第十六条にありますところの長の指揮監督、総括的な責任の所在というものが法改正によって削除せられたということは、何としても私は遺憾なものであり、この公営企業法の根本的な問題に対する誤まった私は解釈のもとにこの法の改正が行なわれたといわざるを得ないと思うのであります。企業の事務のうちの一部委任の問題についても、長の同意を必要としないというふうに改められたこと。確かに公営企業の管理者の権限の拡張といいますか、あるいは大きな権限を持って、相当大幅に自主的に運営するということの必要性は認めます。しかしながら、だから最終的に地方公共団体の長との関係が打ち切られるような、こういう形においては地方公共企業の存立そのものをも私は危うくするものであるということを、ここに強く指摘をせざるを得ないと思うのであります。  大きな問題につきましては、以上三点でございますが、なお、私はこの法律改正案によって幾多の心配な点も持たざるを得ないのであります。さきにもちょっと触れましたように、ここにこの改正案によって見られることは、依然として独立採算ということが強く打ち出されておる。もちろん、私どもは企業の経済性なりあるいは能率的な運営なり、あるいは採算を度外視したそういう経営をやれという、こういうことではございませんけれども、さっき言いましたような観点から、それはあくまでも公共事業としての地方自治行政の一環としての公営企業である観点からするならば、こういうものをはっきり前面に出すことが、これは大きな問題であろうと思うのであります。したがって、あるいは経費の負担区分の問題におきましても、いろいろ政令にゆだねるようなことがありますけれども考えておることはまだ徹底を欠くというふうに、われわれは判断をせざるを得ないのでありまして、今後の運営において、われわれはこういう点についても大きな心配を持つものであります。また、料金決定の際のいわゆる適正な原価というような問題につきましても、まだ明確にわれわれを納得せしめるような説明がなされないこと等をも加えまして、この問題は今後の私どもの大きな心配の問題として残っていくであろうということを、ここに指摘をしておきたいと思います。  なお、これも先ほどの質問の段階にも申し上げましたが、地方財政再建促進特別措置法の陣容の問題等につきましても、この再建計画の樹立、あるいはその遂行というような段階において、いろいろ締めつけが行なわれるのではないかという心配を依然として持たざるを得ないのでございまして、こういう点からいって、そういうおそれのある——単なるおそれじゃなくて、強い規制からくるそういう問題が十分解決をされておらない、こういう改正案に対しては遺憾ながら賛成をいたすことができないのであります。  以上、二、三を申し上げまして、党の立場において反対をする理由といたしたいのでございます。(拍手)
  362. 原田立

    ○原田立君 私は、公明党を代表し、本法律案に反対いたします。  反対理由の第一点は、この法律案が本質的に企業性を重視し、公共性を軽視しておるからであります。すなわち、地方公営企業というものは、住民の福祉を増進するため、地方公共団体が行なうべき公共的事務をたまたま企業という形態で運営するものでありまして、営利の追求を目的とする民間企業とは、その存立の基礎を根本的に異にするものであります。しかるに政府の提出してきた法案を見ますと、このような地方公営企業の本質を曲げております。政府は一般会計等との負担区分を明確にすることにより、公共性と企業性の調和をはかれるなどといっております。しかし、これは誤まりであります。負担区分の明確化というのは、たとえば、一般行政として行なう予防注射の費用を病院会計に持たしてはいけないとか、消防で使う水は一般会計で持てとかいうのでありまして、本来企業が負担すべきでないものを負担しなくてよいとするもので、あたりまえのことなのです。民間企業だってこのようなものを負担する義務はないのです。だからこの種のものを地方公営企業に負担させていたのがおかしいので、それを今回、法律上除去しようというので、何も法律改正しなくたって十分やっていなくてはならなかったのであります。このように民間企業ですから負担する必要のないものを負担してはならないとあたりまえのことを規定し、その上に独立採算制の確立をはかったからといって、公共性と企業性との調和がはかれると考えることは、根本的に間違っていると思うのであります。地方公営企業の行なう事業は、公益事業が主体でありまして、まず政府みずからが住民、すなわち国民福祉の増進をはかるため、何をなすべきか明確な態度を明らかにし、その上に立って公共的立場から地方公営企業が運営されるべきで、本法案はただ独立採算制、企業性のみを強調していることを私は強く不満とするものであります。  第二点は、公益事業について国がとるべき政策が明らかにされてない点であります。たとえば、国民生活に必要欠くべからざる水の問題ですが、水の料金は十立方米当たり百円から九百円くらいまでの開きがあります。従来の政府の水道政策は、起債を認めて給水施設をふやすことだけに終始し、その費用はすべて利用者負担ということであったため、このような現状になったのです。工業用水道には、地盤沈下とか、基礎整備とか、いろいろ理由をつけて補助金を交付し、低料金政策がとられています。このようなことで人間尊重の政治と言えるでしょうか。交通事業政策もまたしかり。産業経済の高度成長は都市にいろいろな問題を引き起こしております。街路交通の渋滞から高速鉄道の整備が必要になったが、政府の政策は涙ばかりの補助金の交付をするだけで、膨大な建設費は一部を除いてすべて料金にかぶせております。ほかにもいろいろ問題はありますが、要するに、今回の改正案は政府が必要な財政援助を行なわず、地方公営企業だけに合理化を求め、住民に負担を転稼させようとするもので、納得できないのです。このようなことでは、社会開発を唱える現内閣の看板が泣くのではないかと思うのです。  第三点は、地方公営企業の発展の具体策に乏しいと思うのであります。地方公営企業が企業として存立するためには、自己資本の充実、低利長期資金ワクの拡大などの措置が必要であります。しかるに政府は、公営企業金融公庫の出資金を新たに二億円増額し、水道の金利を七分三厘から七分に下げようとしているにしかすぎません。また、地方財政計画に織り込まれている出資金のワクもごくわずかなものにすぎません。このようなことでは、将来の企業の健全な発展、住民福祉の向上などはできないと思うのであります。  第四点は、赤字公営企業の再建策についてであります。累積欠損金の解消については、幸い衆議院において大幅な修正が行なわれ、その点私どももその努力を了とするものでありますが、今後この法律が成立し、実施いたされますとき、これが交通事業のように根本的に困難な問題をかかえております事業については、政府が本腰を入れて解決策に乗り出すことが大切であります。ただ、地方公共団体や企業、また、そこに働く従業員にだけげたを預けたようなやり方で、はたして何の摩擦もなく健全化がはかれるでしょうか。結局は従業員の賃下げ、首切り、配置転換など、従業員の責任で健全化政策が推し進められるものと考えるのであります。私はこの点を深く憂慮するものであります。  他にもいろいろありますが、以上のような理由により、私は本法案に反対するものであります。(拍手)
  363. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ほかに御意見もないようでございますので、本案に対する討論は終結したものと認め、これより採決を行ないます。  地方公営企業法の一部を改正する法律案全部を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  364. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 多数であります。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、沢田君から各派共同提出による附帯決議案が提出されております。沢田君に説明を願います。
  365. 沢田一精

    ○沢田一精君 地方公営企業法の一部を改正する法律案が可決せられましたが、私はこの際、各派共同による次の附帯決議を付したいと存ずるわけでございます。ただいまから案文を朗読いたしますので、各位の御賛同をお願い申し上げます。    地方公営企業法の一部を改正する法律案に    対する附帯決議(案)   政府は、地方公営企業の健全な発展をはかるため、左の諸点について留意すべきである。一 水道事業及び地下鉄事業に対する国の財政援助措置の強化に努めること。二 公営企業金融公庫に対する政府出資を増額する等により、水道事業、交通事業等住民に直結する地方公営企業に対する企業債の貸付条件の改善に努めること。三 国の公共料金抑制策により地方公営企業を経営する地方公共団体に対し協力を求める場合は、当該地方公営企業の健全な運営が確保されるよう財政上通切な措置を講ずること。右決議する。  以上であります。
  366. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの沢田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  367. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 全会一致であります。よって、本附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し永山自治大臣より発言を求められております。これを許します。
  368. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して善処いたします。
  369. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 審査報告書の作成につきましては、先例により委員長に御一任を願います。  本日は、これにて散会いたします。    午後十一時七分散会