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1966-06-25 第51回国会 参議院 地方行政委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十五日(土曜日)    午後一時十九分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岸田 幸雄君     理 事                 小林 武治君                 沢田 一精君                 加瀬  完君                 原田  立君     委 員                 小柳 牧衞君                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 中村喜四郎君                 林田悠紀夫君                 占部 秀男君                 鈴木  壽君                 林  虎雄君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 市川 房枝君    衆議院議員        地方行政委員長        代理       亀山 孝一君        地方行政委員長        代理       門司  亮君        修正案提出者   細谷 治嘉君        修正案提出者   門司  亮君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        近畿圏整備本部        次長       上田  稔君        首都圏整備委員        会事務局長    鮎川 幸雄君        自治政務次官   大西 正男君        自治省財政局長  柴田  護君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治大臣官房参        事官       鎌田 要人君        自治省財政局公        営企業課長    近藤 隆之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○風俗営業等取締法の一部を改正する法律案(衆  議院提出) ○首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のた  めの国の財政上の特別措置に関する法律案(内  閣提出衆議院送付) ○地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付)     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  風俗営業等取締法の一部を改正する法律案議題といたします。  提案理由説明を願います。衆議院議員亀山孝一君。
  3. 亀山孝一

    衆議院議員亀山孝一君) ただいま議題となりました風俗営業等取締法の一部を改正する法律案提案理由並びにその内容概要につきまして御説明申し上げます。  まず、この法律案を立案した理由を申し上げます。  御承知のように、過ぐる第四十六回国会におきまして、風俗営業等取締法の一部改正が行なわれましたが、その際、衆・参両議院におきまして、政府は、風俗営業等に対してさらに有効適切な取り締まりが可能となるよう現行法体系を根本的に再検討する等、全般的に整備するとともに、風紀上、法律上に問題の多いトルコ風呂ヌードスタジオ等営業規制についても、現行法令改正等によりすみやかに抜本的な対策を確立して、その実効を期すべき旨の附帯決議が付され、その附帯決議趣旨に沿い、衆議院地方行政委員会風俗営業等に関する調査小委員会が設けられ、自来、今国会に至るまで約二カ年間にわたり熱心に調査を進めてまいりました結果、去る五月二十四日小委員長報告が行なわれた次第であります。  この法律案は、このような経緯を踏まえ、小委員長報告基礎として立案されたものでありまして、その目的とするところは、善良風俗を維持するため、トルコ風呂営業について、風俗環境浄化の観点から必要な場所においては営業場所の制限を行なうこと、トルコ風呂営業者等トルコ風呂営業に関して売春わいせつ、その他風俗犯罪を犯した場合には営業停止処分ができるようにすること、及びストリップ劇場等興行場営業についても、これらの興行場営業者等が公然わいせつ罪等を犯した場合には、営業停止処分ができるようにすることなどにより、いまや大きな社会問題と化しているこれらの営業に対して必要な規制を加えようとするものであります。  あらためて述べるまでもなく、風俗上、法律上に問題の多いトルコ風呂は、公衆浴場法によって特殊浴場としての許可を受ける営業でありますが、これらのトルコ風呂営業におきましては、浴室の中で、客にいかがわしいサービスが行なわれ、または売春が行なわれている等の事例が多いため、世間からは、この種営業に対して、売春防止法施行によって姿を消した娼家の変形であるなどと、きわめて手きびしい批判が行なわれております。  あたかも、これらの批判を裏書きするかのように、トルコ風呂及びミストルコの数は、近々数年の間にウナギ登りに増加し、昭和四十一年五月現在において、トルコ風呂六百七十五軒、ミストルコ九千七十二名となっておりますばかりでなく、風俗事犯の面から見ましても、昨四十年八月から九月にかけての警察庁による一斉取り締まりの結果によれば、当時全国五百四十四カ所のトルコ風呂——この一年間に約百三十一の数が増しておりますトルコ風呂営業のうち、その約四分の一に当たる百三十六カ所において違反行為が認められ、二百五十八名の者が各種法令違反被疑者として検挙されているのであります。そればかりでなく、各地の熾烈なトルコ風呂建設反対運動を見ましても、もはや業者の自粛などで解決できる段階ではないと存ずるのであります。  同様のことは、ストリップ劇場ヌードスタジオ等興行場営業についても言えるのでありまして、警察庁が昨年八月下旬にこれらの興行場営業について一斉取り締まりを行なったところによれば、ヌードスタジオについては二百軒のうち、その三四%に当たる六十八軒で違反行為が認められ、公然わいせつ罪などによって百三十一名が検挙され、ストリップ劇場においても、三百十三軒のうち、その二九%に当たる九十軒で違反行為が認められ、公然わいせつ罪などによって三百八十四名の者が検挙されている実情でありまして、とうてい放置を許されない状況であります。  次に、本案内容について御説明いたします。  まず、トルコ風呂営業に対する規制から申し上げますと、第一に、トルコ風呂営業は、官公庁施設、学校、図書館及び児童福祉施設並びにその他の施設で、善良風俗を害する行為を防止する必要上、都道府県条例で定めた施設の周囲二百メートルの区域内では営業を営むことができないこととしております。  第二に、都道府県は、善良風俗を害する行為を防止するため、必要があるときは条例により、地域を定めてトルコ風呂営業を営むことを禁止することができることとしております。  第三に、以上に述べましたトルコ風呂営業に対する場所規制は、これらの規定施行、または適用の際、現に公衆浴場法許可を受けてトルコ風呂を営んでいる営業者営業については適用しないこととしております。  第四に、都道府県公安委員会は、トルコ風呂営業を営む者、またはその代理人使用人その他の従業者が、トルコ風呂営業に関して売春わいせつ、その他の風俗犯罪を犯した場合には、八カ月をこえない範囲内で期間を定めて営業停止を命ずることができることとしております。  次に、興行場営業停止について申し上げます。  都道府県公安委員会は、ストリップ劇場ヌードスタジオ等興行場営業を営む者、またはその代理人使用人その他の従業者がその営業に関し、公然わいせつ罪等を犯した場合には、六カ月をこえない範囲内で期間を定めて営業停止を命ずることができることとしております。  以上の措置に伴い、罰則、その他所要の規定整備するとともに、この法律昭和四十一年七月一日から施行することとしております。  なお、世上これらの営業と同様に、善良風俗を害するものとして強く批判されております。いわゆる浮世風呂につきましては、その実態が公衆浴場であるものについては、あらためて公衆浴場法許可を受けさせるように行政指導を行なうなど、現行関係法令の適切な運用と、この法律案により十分対処し得るものとしております。  以上がこの法律案の立案の趣旨及びその内容概要であります。  この法律案は、衆議院におきまして、自由民主党日本社会党及び民主社会党の三党の合意のもとに成案を得まして、国会法第五十条の二の規定により、地方行政委員会提出にかかる法律案として提案し、全会一致をもって衆議院を通過いたしたものであります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本案審査は後日に譲りたいと存じます。     —————————————
  5. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。別に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認め、これより討論を行ないます。  御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますので、討論は終局したものと認め、これより採決を行ないます。  首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案全部を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 全会一致でございます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、沢田君から、各派共同提出にかかる附帯決議案提出されております。  沢田君の御説明を求めます。沢田一精君。
  7. 沢田一精

    沢田一精君 私は、この際、自由民主党社会党公明党並びに第二院クラブを代表いたしまして、本法律案に対し附帯決議案提出いたしたいと存じます。  ただいまから決議案を朗読いたします。何とぞ御賛同をお願い申し上げます。   首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案に対する附帯決議案   首都圏及び近畿圏整備については、これが、本来国の重要施策の一環として国家的見地から強力に推進されるべきものであることにかんがみ、政府は、本法施行に関し、特に左の諸点につき適切な措置を講ずべきである。  一、首都圏近畿圏整備計画等については、早急にこれを策定又は調整するとともに、これが実施について最も効果のある推進態勢を確立すること。  二、首都圏近畿圏における産業及び人口の集中防止について適切な対策を立てること。  三、本法規定による財政上の特別措置は、なお、不充分であると認められるので、今後、対象事業範囲の拡大、国の負担割合引上げ等につき引き続き検討し、実情に即して改善に努めること。   右決議する。  以上でございます。
  8. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまの沢田君の提出附帯決議案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  9. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 全会一致でございます。よって、本附帯決議案は、全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、永山自治大臣より発言を求められております。これを許します。永山自治大臣
  10. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 御趣旨を尊重して善処いたします。
  11. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 審査報告書の作成につきましては、先例によりまして、委員長に御一任願いたいと存じます。     —————————————
  12. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 次に、地方公営企業法の一部を改正する法律案議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  13. 原田立

    原田立君 大臣にちょっとお伺いしたいのですが、お忙しいようですが、いいですか。  衆議院地方行政委員会において、審議最終段階において、自治大臣は各委員質疑に対し、いろいろと見解を述べておりますけれども、この中には自治省だけでは解決がつかない事項も含まれております。たとえて言えば、料金水準の著しく高い水道事業については、住民負担能力を勘案して、必要な財政援助措置を講ずるよう努力してまいりたい、こういうような御答弁とか、あるいはまた、高速鉄道建設費については財政援助措置が必要だから、早急に具体策を検討してまいりたいとか、あるいはこれらの事業に関して国庫負担制度を確立する等、別途財源措置によりコストの切り下げをはかり、住民負担の軽減につとめたいとか、こういうような大臣発言があったわけでありますけれども、私は大臣考えをそれは了とするものですが、実はこれらの事項は、大蔵省とか運輸省、厚生省、こういうような各省にまたがる事項でありますし、また各省がどのように考えるのかということで問題もあります。いまにわかに起こった問題でもありません。  こういうことについては、毎年の予算折衝の経過を考えましても、御答弁趣旨が早々に実現するとは思われない。しかし、われわれとしてはぜひ実現してもらわなくてはならない重要問題でありますが、そこでお伺いしたいのは、衆議院地方行政委員会における大臣は、自治大臣としての希望的御意見なのか、それとも佐藤内閣国務大臣の一員として、政府統一的見解を述べられたものなのか、この点お伺いしたいと思います。また、大臣の御決意のほどをお伺いしたい。
  14. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) これらの質疑には、関係各省の人も出ておりますし、並びに関係各省へも質問をいたして、十分配属するという答弁をいたしております。したがいまして、政府といたしましては、答弁をいたしましたような方向においてぜひ努力をいたす考えでございます。なお、自治大臣といたしましては、その責任者でございますので、格段の努力をいたして実現をさせたいと考えております。
  15. 原田立

    原田立君 まあ大体そのようなお話で了解するとしたいところでありますけれども、約束した、提案したことは、やるやるというようなことでありながら、毎年逐次遷延化していって、実現化が非常におくれている。そのおくれていることにたいへん私は不満を持つのですのですけれども、じゃ、衆議院地方行政委員会発言したこと等は、いわゆる精神的な発言ではなしに、具体的にいつごろどういうふうに具体化されていくのか、お考えですか。
  16. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 本年度予算編成を通じまして、予算的処置が非常に多いと考えますので、努力をいたして実現に邁進したいと考えます。
  17. 原田立

    原田立君 質問を続けますが、公営企業は多くの国民に親しまれ、また生活必需品みたいなようなそういうふうな企業であり、非常に大事なのでありますが、もしこれを、企業性を重視した独立採算制を強化しようとするならば、累積赤字も激増している現在、財政的にも困難であろう、このように考えるわけですが、したがって、当面そのはねっ返りとして料金値上げだなんという面ではね返ってくるのじゃないかという、こう考えるわけですが、しかし、公営企業の本質から言えば、公共性をより重視することが適当ではないか。こういうふうな議論が盛んに新聞、雑誌等にもいろいろ紹介されておりますが、私もそうだと思う。公共性をより重視し、低料金対策によって、安い料金によってそれが使われて、十分に地元住民恩恵を与えているのですが、この基本線公営企業においてはどうしても貴くべきではないか、こう思うのですけれども、その点いかがでしょう。
  18. 柴田護

    政府委員柴田護君) 公営企業性格といたしましては、お話のように企業としての性格公共性という二つがあるわけでございます。この二つについての理解のしかたが、いろいろと過去におきましていわば混乱が起きた一つだと思います。そこで、それをはっきりして、能率的、合理的な経営をやっていくことが望ましいということから、今回は負担区分規定を置きまして、その両者の調和をはかったわけでございます。したがいまして、その負担区分規定によって、一般会計で持つべきもの、言いかえれば租税によって負担することを適当と考えられますもの以外のものにつきましては、やはり原価主義原則に基づいて、公営企業において継続していくということが本来のあり方であろうと思うのでございます。しかしながら、たとえば交通がふくそういたしております場合に、代替交通機関ができないのにかかわらず、電車の経営が困難をしておるといったような場合に、代替交通機関整備されますまでの間、一部それを一般会計で肩がわりするといったような、政策的な理由による繰り入れということは、一般会計におきまする租税の使い方に問題がございまして、これは今回の改正法でも、特別の理由がある場合においては補助金を支出をしてよろしい、こういう規定を置いておりますので、それによって処理されるべきものと考えておるわけであります。  要するに、そういう場合に租税をもって支弁をする、あるいは租税をもって援助をするということが適当かどうかということは、租税使途の問題として、その議会において自主的に判断をされるべきもの、このように考えておるわけでございます。
  19. 原田立

    原田立君 公営企業の行なうその料金等は、非常に低料金で現在行なわれてきております。低料金で行なわれているということは、これは公共性を十分尊重している、公共性考えている、そういう面で低料金になっている、そのあらわれだと思うのですが、これが独立採算制にすれば、結局はいまもお話ししたように、料金にはね返ってくる、こういうことは明らかだろうと思うんです。要するに値上げ等については、現状においてしょうがないと思っているのか、それとも値上げは絶対にやめていこうという考えなのか、その点どうですか。
  20. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私どもは、やはり公営企業におきまして負担すべきと考えられるものにつきましては、やはり原価をつぐなうに足る料金というのが、つまり能率的経営におきます適正料金ということば法律はうたっておりまするけれども、ということが本筋であろうと思うのであります。しかしながら、何もかも料金にかぶしていけというようなことを考えているわけではございません。できるだけ高能率経営をやって、コストを引き下げていくべきである、そういう努力をすべきであると思うのでございます。しかしながら、特殊な政策目的によって、一般会計から租税繰り入れていくということは、租税使途の問題として、その議会において判断すべき問題である、こういう態度をとってまいっておりますし、この改正案におきましても、同じような態度考えておるわけでございます。
  21. 原田立

    原田立君 ちょっと値上げのところについて、何かまだはっきりしないけれども、その点どうなんですか。
  22. 柴田護

    政府委員柴田護君) 企業そのもの料金は、何も高いことが望ましいわけじゃございません。これは低ければ低いほどよろしいと、こういう態度でございますけれども企業としてのあり方からいいますならば、やはり能率的経営のもとにおける適正化ということが料金の基準である。したがって、やはり先ほど質問の中にもございましたように、受益者負担原則というものが、公営企業の態様としてあるわけでございますので、やはりそれに基づいて経理というものは考えられるべきものであろう、かように思うのでございます。  したがって、料金を下げるということだけの目的のために、租税を使うか使わぬかということは、企業そのものだけの立場からいいますならば、企業経営だけの立場からいいますならば問題がある。しかし、それをしても、一般会計租税使途という立場から、それを越えた問題として、この議会が判断する場合においては、それはそれで一つあり方だろう。たとえば特殊の生活保護者等について、特殊な料金を設定するとかといったような問題は、そういう形ではなくして、むしろ料金適正料金にしておいて、一般会計からの繰り入れといったような形で片づけるべきものだろう、こういう考えを持っているわけでございます。
  23. 原田立

    原田立君 いまのお答えの中には、諸般の情勢によって値上げもやむを得ないというような考え方のように思えるのですけれども、だけれども先ほども何度も言うように、公営企業住民の手となり足となり、十分その低料金のために非常な恩恵を受けている。しからば値上げはやめさせるべきだ、そのために、じゃ一体どうしたらよいかということになると、一般会計からの繰り入れという問題もあるだろうけれども、じゃ国からの強力な援助措置財政的にもとるべきだ、こう思うんですけれども、その点はどうなんですか。
  24. 柴田護

    政府委員柴田護君) その点はお説のとおりだと考えております。したがって、私どもといたしましては、たとえば資本費を、非常に大きく料金の中に占めておりまするけれども資本費が大きく占めておりまする水道事業等におきましては、従来から何とか資本費というものの割合を下げようということで、償還期限の延伸でございまするとか、あるいは水道に対しまする低利資金の融通でございまするとかということに努力を続けてまいりまして、なお十分ではございませんけれども、今後におきましてもそういう方針で努力を続けてまいりたいと思うのでございます。やはり今日のたてまえから申し上げますならば、企業経営ということを中心考えますると、そういった資本費系統のものは、地方債というものの合理的なあり方ということをまず第一義に考えるべきじゃないか、公共性という名のもとに租税というものをあまり乱用しちゃ——乱用というと語弊があるかもしれませんけれども租税というものを、十分な検討を加えずに使うということには、やはり企業の利益の問題から問題がありやしないか、やはり努力という立場からいいますならば、企業能率経営というものをまず中心考えて、それに対する資金的な面におけるコストの引き下げに全力をあげていきたい、そういうように考えているわけでございます。  なお、水道料金につきましても、非常に高いところ、合理的な経営をやりましてもコストがかかりまして、料金が高くなるといったようなところにつきましても、何らかの措置をということで努力をいたしたのでございまするけれども、このたびの予算措置では、そこまで手が届かなかったような次第でございます。しかし、この問題につきましては、先ほどもお答え申し上げましたように、将来とも私どもといたしましては努力を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  25. 原田立

    原田立君 局長のいまの答弁の中で、十分でないけれども努力しているという、そういうお話がありました。あるいはまた、地方債云々というような話もありました。具体的にはどういうことですか。あえて言いたいことは、地方債は借金でしょう、はっきり簡単なことばで言えば。それで地方債、で十分手厚い援助をしているからと言ったって、結局地方債でまかなわれるお金は地域住民が支払わなきゃならないのですから、これで国として強力な財政的援助だなんということは通じないと思う。しからば、そのほかの、いまの局長お話になっていた、十分でないけれども努力しているという、その点は一体どういうことですか。
  26. 柴田護

    政府委員柴田護君) 企業でございますので、今日の仕組みでは、他人資本に依存をして経営をしている。本来、まあ理屈を言いますならば、一般企業と同じように、自己資本を充実していって、企業基礎を固めていくというのも、あるいは基本的なあり方かもしれません。しかし、企業を、民間会社で言いますならば、社債を発行して、それによって得た資金で物品を生産をして、これの売り上げによって回収し、そして返済をしていく、こういうことが普通とられるわけでございます。そういうことから考えますならば、公営企業地方債というのは、いわば社債に類するようなものでございます。社債と考えていいものだろうと思うのでございます。ただ、しかし、その社債が非常にコストに影響いたしますのは、やはりその償還年限の問題あるいはまた利率、利子の問題ということが非常に大きく響いてくる。  御承知のように、たとえば百万円の金を借りましても、三十年たてば、三十年償還ということになれば、百万円借りた金を百五、六十万円から百七十万ぐらいにして返さなければならない、まあその利払いというものを何とか軽減をしたい、これが一つ。それからもう一つは、減価償却というものの年限と地方債償還期限というものの不一致、これが期間的に赤字として出てくるわけでございまして、これをどうするか、こういう問題があるわけでございます。地方債の分野におきましては、この二つを、できるだけ償還期限施設の耐用年数に応ずるように延ばすとともに、利率をなるべく下げる、つまり低利、長期の資金をこれにあてがう、こういうことによって経営状態は非常に改善されるわけでございます。  そういう努力を、特に資本費の大きいものにつきましては努力を払ってまいりました。しかし、私ども考えておる状態からいいますならば、満足ではございません。こういうことを申し上げたつもりでございます。しかし、それだけではいかぬということも確かでございまして、たとえば地下鉄というようなことを考えてまいりますると、資金的なめんどうだけではとてもいかぬだろう。そうすると、地下鉄というものに対するものの考え方というものを変えてかからなければならぬだろう。言うならば地下における道路だと、この道路の中に軌道が走ってるんだという考え方をとってまいるべきじゃなかろうか。そうしますと、その部分につきましては、隧道の部分につきましては国と、一般会計なり、あるいは企業会計なりの負担区分というもので、負担制度というものを確立するということになってまいるのではなかろうかと思うのでございます。その方面で努力をしたのでございまするけれども、いろいろほかとも関連のある制度ということになってまいりますので、問題がなかなか簡単に片づかなかった。そこで、本年度は地下鉄につきましては、従来の利子補給的意味を持つ補助金というものを、これを倍にして、四億円を八億円にして、この一年を組むことにいたしました。しかし、一年の間にその負担制度につきましては基本的に検討をいたしたい。そうして、少なくとも来年度予算に間に合うように負担制度の確立をはかってまいりたい、かように考えておるようなわけでございます。  何も地方債だけが万能ではございません。しかし、地方債の合理化という武器も、企業の場合におきましては非常に大きな援助武器になると、こう思うんであります。それだけでいきません部分につきましては、やはり国の別途の援助というものが必要であろうということは考えておるわけでございます。  ただ、そういうことを考えながらも、当初私ども考えました線、地方公営企業制度調査会の答申の線までいかなかった。これは力及ばずしていかなかったわけでございまして、申しわけなく存じておりますけれども、少なくともそういう方向に一歩前進いたしております。そういうことを申し上げたのでございます。
  27. 原田立

    原田立君 よくわからないな。ちょっと局長のお答え、よくわからないんですがね。要するに、十分ではないけれども努力をしたと。国のほうからも強力な援助措置をしているのも当然だと、こう言っておきながら、じゃあ具体的にどのくらいの、どういう制度、法制度をつくって財政援助をするのか、その点少しもお話がないように思うんです。検討中ですか、それは。
  28. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私の説明がまずくって申しわけございませんが、援助資金的な意味におきまするコストというものを下げる努力ということをすることがまず第一に必要だと、特に企業経営だからその努力が非常に必要でございます。そのためには、過去において企業債の償還年限というものを延長する努力をしてまいりました。公募債につきましても、政府債につきましても、水道情その他を初めといたしまして、償還期限という本のをなるべく耐用年数に一致するように延ばしてまいりました。それらも必ずしも十分ではございません。  そこで、昭和四十一年度からは、公庫の水道債の利率を、公庫に対して政策金融的な出資をいたしまして、それによって、小そうございますけれども、三厘の引き下げを行ない、これによりまして相当企業によりましては利払いの額が変わってくるわけでございます。しかし、それだけで十分かと言われますれば、それでもなおかつ高水準の料金にならざるを得ないところが出てくるだろう。現に、これはまあ特異の例でございますけれども、因島のあたりにいきますると、どうしたって十トン千円近い金になってしまうところがある。そういうようなことを考えてみますると、それだけでは足りぬのであって、やはりそういうどんなに合理的な経営をやっても、異常に高いところの料金しか出てこないといったような団体につきましては、一般会計なり、あるいは国の特殊の財政的配慮というものが要るだろうというように思うんでございます。ある程度の配慮は法案の中に打ち出しておりまするけれども、国からの配慮につきましては、予算折衝をいたしましたのが時間切れになっちまったというのがことしの現状でございますが、この部分につきましては、別にあきらめておりませんので、将来とも努力いたします。  それから、地下鉄につきましても、資金的な問題もさることながら、この問題は資金的な問題では片づきません。どうしてもここには地下道というものに対する一つ考え方を取り入れてまいりまして、そうして国と一般会計並びに公営企業会計、三者間の負担の区分の制度を考えていかなければならぬだろうと思うのでございます。これはそういう方向でもって努力をいたしたのでございまするけれども、問題が単に公営企業だけでございませんで、ほかのものにも影響が及んでまいりまするので、昭和四十一年度の予算折衝の場合におきましては、ものごとが解決するに至らなかったのでございます。  そこで、従来から利子補給的意味を込めて、国が地下鉄の経営者に対して補助金を出しておりました。三億何千万、約四億の補助金が出ておりました。これをことしは倍にして、八億の額にふやして、とりあえず四十一年度を組むことにいたしました。しかし、問題は片づいておりませんが、この部分につきましては、昭和四十二年度以降におきまして、問題をただいま申し上げました方向で片づけるようにいたしたいと考えます。こういうことでございます。
  29. 原田立

    原田立君 話はちょっと別になりますけれども、累積欠損金ですね。これの処置について、今度は修正案によって「おおむね七年度」、こういうふうになってきておりますけれども、この七年とした根拠はどういうような点なんですか。  それからまた、当初は自治省は五年でいいじゃないか、こう言っていたのが七年に変わった。変わった推移ですね、経過。また、五年でいいのじゃないかとこう言っておった最初の根拠は、どういうことなんですか。あるいはまた、累積欠損金の多い東京とか大阪、名古屋、こういうような巨大な欠損金のあるところには、どういうように指導していくのか。そこら辺をひとつ合わして……。
  30. 柴田護

    政府委員柴田護君) あの再建期間のめどの規定は、一応のめどでございます。したがいまして、「おおむね」という字をかぶせてあるのでございます。それをまあ普通会計でやりました、つまり一般会計財政再建でやりましたときに、おおむね七年ということになっておったわけでございます。しかし、企業会計でございますので、そういうものはなるべく早く片づけたほうがいい。できるなら早く始末をしてしまって、さばさばしたほうがいいのじゃないか、こういう気持ちから、普通なら五年ぐらい、しかし、非常に赤字を抱えておりますところは、これをもっと延ばさなければやり切れぬわけでございますので、それはその実情に応じて弾力的に運用したい、これだけのごくあっさりした気持ちで書いたのでございますが、それがいたくどうも議論の対象になりまして、どうも少しきびし過ぎやしないかということが一つ。  それから、たまたま四十年度の決算がまとまってまいりますと、赤字が非常にふえている。すると五年というのは無理じゃないか。おおむねも無理じゃないか、そこで七年ということに修正されたのでございます。実際の運用上から言いますならば、何年と書きましても、実際できないものはしようがないのでありまして、できないものはできるようにするしかしようがない。実態に応じて過去の赤字をなるべく早く始末できるように再建計画を計画してもらいたいし、また、そういう方向で指導してまいりたい、さように考えているわけでございます。
  31. 原田立

    原田立君 ことばじりばかりとらえて悪いけれども、いまの局長の話の中に、借金は早く返してさばさばさせたいと思うので五年というような御説明だったけれども、それは少し軽率ではないかと思うのですがね。むしろ、この五年だとか七年だとか、そんなところで短期間にこの欠損金を解消させようとするには、これはどうしても企業合理化とか、人員整理だとか、首切りだとか、給料のダウンだとか、あるいは料金値上げだとか、ここにいかざるを得ない。そうなると、これはむしろ償還していくのは五年とか七年とかでなしに、むしろもっと長期にわたってそれが支払われていくような、そういうふうに基本的に考えるのが妥当ではないかと思うのですが、どうですか。
  32. 柴田護

    政府委員柴田護君) やはり私どもは、実は赤字が出ておる原因はいろいろございますけれども、人間にたとえますれば、やはり一種の病気をしているという考え方をとるのが一番わかりやすいのじゃなかろうかというように考えておるわけでございます。したがって、それはその病気の原因がいろいろあるわけでございますから、ものによっては、御指摘のように非常に長くかからなければなおらないものもございます。しかし、やはり病気をなおすということは、長いこと病床におるのがいいわけでもございませんので、なるべく早くなおすにこしたことはないんじゃなかろうか。そういう意味で、原則としてはやっぱり適当な時期をめどにして療養するんだと、こういう考え方をとってまいったのであります。  しかし、お話のように、あまりきつくまいりますると、御指摘のように、非常にあちこち不必要な無理が起こるということも、これまたおことばのとおりでございまして、その辺を実態に応じて処理できますように、「おおむね」という字をつけて、そうして弾力的運用を確保した、これがごく正直な気持ちでございます。そう別にぎゅうぎゅうやろうという気持ちもございませんし、ゆっくりのんべんだらりとやろうというような気持ちもないわけでございます。実態に応じてまいりたいと思います。ただ、赤字企業の実態は、それこそピンからキリまでございまして、非常に簡単に立ち直るものもございますれば、ずいぶん時間をかけなければなおらない。それも企業だけではどうにもならぬというような企業もあるわけでございます。やはり実態に応じて再建方策というものをきめてまいらなければならぬというふうに考えておるわけでございまして、決して一律的な運営をしよう、指導をしようというような気持ちは持っておりません。
  33. 原田立

    原田立君 「おおむね」というところですよね。五年が七年になった。七年の上にまたおおむね七年ということですが、上げ下げはどのくらいなんですか。七年が「おおむね」で、上で十年ぐらいとか十五年とか、下で五年とか三年とか、そこら辺の幅はどうなんですか。
  34. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは具体的に言いますと、やはり企業から立ててまいりまする再建計画の中身を見てまいりませんとわかりません。私どもがささやかな経験を持っております一般会計の場合で申し上げますると、たとえば和歌山県の花園村のような場合には、あの当時の再建計画をまともに計算しますと百年かかった。百年じゃしょうがないから、とりあえず十五年ぐらいの暫定的な形に一応しておこうということで、その後いろいろ再建計画の実行についていろいろ指導もし、財源措置もしてまいりました。その結果、たしか現在十五年ぐらいでこれが片づくというような形になっておると思います。したがいまして、この公営企業の場合でも、五大市のような非常な膨大な赤字を抱えておるところの企業になりますれば、そう簡単に一時的にものが片づかぬだろうと私ども考えます。特に東京都の場合などを考えますと、これは東京都の力だけではどうにもならぬものがそこに含まれておる。そういうものをどうするかという問題は、やはり再建計画の実態とにらみ合わして、確実な措置をとってまいらなければならぬと思っております。  で、同じような質問が実は衆議院委員会でもございました。そういうものの措置が片づかないのに、この再建の法案を出すのは乱暴じゃないかというようなおしかりもございました。私どもはそういうような状態を知りながら再建の規定に踏み切りましたのは、やはり不安定債務というものを早く安定債務に切りかえてやりませんと、金融いたします金融機関のほうも困ってしまいます。また企業のほうも不安定で困ってしまいます。早く不安定債務を安定債務に切りかえることがこの際一番必要なことだ。したがって、できるだけ将来赤字を来たさないというものをこの際できるだけやる。しかし、なかなか外部要因も多々あるものでございまするから、できない面もございます。現に私どもが当初意図いたしましたものよりか、ものが一〇〇パーセント今回実現されておりません。しかし、これは一ぺんにできないものもございますので、順を追って、すみやかにできるものから片づけていく、そうして一応、一方で赤字をたな上げしながら、将来に赤字が出ないというものを早く確立していく、こういう方法をとることが、今日公営企業の置かれておる立場から考えまして一番妥当じゃなかろうか、かように判断をいたしまして、あえて再建の規定を設け、再建を実施するということにいたしたのでございます。
  35. 原田立

    原田立君 その「おおむね」のところの上げ下げについては、具体的に申請がこなければわからないというお話ですけれども、この「おおむね七年」となっておるけれども、じゃ、いろいろ勘案して十年ぐらいの計画で持ってきたら受け付けるのですか。
  36. 柴田護

    政府委員柴田護君) これもお答えにならないかもしれませんけれども、実態と見合って、十年かかるものもございましょうし、あるいは十五年かかるものも出てくるかもしれません。あまり長いものになりますと問題が残りますけれども、まあ十年や十五年ぐらいのところでは、あるいはそういう場合が出てくるかとも思います。
  37. 原田立

    原田立君 その場合には、法律では、財政再建計画はおおむね七年となっておるけれども、場合によっては十年あるいは十五年というのもあり得ると、こういうように理解していいわけですね。
  38. 柴田護

    政府委員柴田護君) けっこうでございます。
  39. 原田立

    原田立君 また別な面になりますけれども公営企業金融公庫に対して四十一年度は二億円出資額を増加して、水道に対する起債の利子を七分三厘から七分に引き下げた。公営企業金融公庫は発足当初から政策金融を行なう機関であるとされ、その貸し付け業務は資金の調達コストで行なわれてきたわけでありますけれども、今回の利下げは資金コストを割る逆さや運用となっております。額としては少ないが、政策金融の道が開かれたとして、その意義を非常に重要視される人もあります。このように考えていいかどうかということが一つと、地方公営企業の発展のために、住民福祉の向上のためには、さらにこういう方向をもっともっと拡大いたしていくことが必要と思われるのですが、その点についてはどうですか。
  40. 柴田護

    政府委員柴田護君) お話のように、公営企業金融公庫の発足のときの趣旨は、弱小団体の起債難というものを緩和するために設けられたのでございますが、しかしながら、やはり公営企業に関しまする唯一の金融機関でもございます。これを強化したいということは、かねがね私どもも念願しておりました。今回、水道債につきましてとりました措置は、それほど大きなものではございませんけれども、御指摘のように水道企業に対しますところの政策的配慮というものの道を開いたということは、御指摘のとおりだと私ども考えるわけでございます。しかし、水道だけでいいのかという問題になってまいりますれば、問題はいろいろあるわけでございまして、将来なおほかの分野にもこういったものを、必要に応じてこういう考え方を取り入れていく必要があるのじゃなかろうかというように考えておるわけでございます。  公営企業の将来問題につきましては、いろいろ考え方があるわけでございます。私どもといたしましては、公営企業金融公庫の設置のところに書いておりますように、低利な資金というものを融通する機関という方向にやはり考えていくべきだろうと思うのでございますが、ただ実際問題といたしましては、なかなか経理上の難点等も、陸路等がございまして、思うようにいきません。いきませんけれども、私どもはそういう方向で努力をしてまいりたい、かように考えております。
  41. 原田立

    原田立君 発展のために努力したいということは、こういう方向をもっともっと拡大していきたい、そのために努力をしたい、こういうことでよろしいですね。
  42. 柴田護

    政府委員柴田護君) やはり低利な資金を供給する方向で努力いたしたい、かように思います。
  43. 原田立

    原田立君 ちょっと、また観点が違ってくるのですけれども、地方公営企業の本質についてはいろいろな見解がありますけれども公営企業施設を利用するのは住民の一部のもので、その利益は特定の個人に帰着するのであるから、その受益者が利用料金として負担するのが当然であるとして、一般行政事務とはっきり区別し、その場合は公平の原則、ひいては公共の利益に合致するんだ、そんなような意見があります。御承知だと思うのですが、しかし、私は、このようにはっきりと区別して、公営企業の維持に必要な経費はすべてその利用者に負担させるというのは、逆の面でいえば、料金を無償にしろというような理論と同じであり、非常に片寄った考え方ではないかと思うのです。  それで、もともと地方公営企業住民の福祉のために経営されるものでありますから、低所得者のために料金を安くしたり、生活保護世帯に対しては料金を免除する、こんなようなことがあってもいいんじゃないか、そのような場合にその費用を料金にかぶせるのは筋が通らないから、一般会計で負担するということがあってもよいと思うのですが、改正法では負担区分を明確にした上で、さらに補助に関する規定があるわけですが、私はこの補助規定は、このように政策料金による収入不足を補ってもよいという考え方、趣旨、すなわち、その他の理由により必要がある場合に当たる、そう考えているのですが、見解をお伺いしたい。あるいはこのような場合は、負担区分規定の一号に該当するのじゃないかと考えているのですが、その点はいかがですか。
  44. 柴田護

    政府委員柴田護君) 負担区分規定で予想いたしておりますのは、昨日御説明申し上げましたように、現在いろいろ検討中ではございまするけれども、おおむねだれが見ても一般会計で持つことがあたりまえだという経費を予想いたしておるわけでございます。ただいまお話になりましたようなものは、やはり事柄といたしまして一般会計におきまする行政施策として考えらるべきものであると考えております。したがってそれを行政施策として、議会においてそういう施策をとるということが判断されますならば、決定されますならば、それを公営企業のほうに移します場合には、やはり一般会計租税負担ということによって始末すべきものであろう、それはむしろこの改正法補助金規定によってなされるべきものであって、料金規定によってなされるべきものではないのじゃなかろうかというように考える次第でございます。
  45. 原田立

    原田立君 当初御説明のあった中で、適正原価によって経営能率を向上して云々というようなお話が前にありましたが、ところで適正原価というのは、これはもともと企業経営的分析に立つそういう観念であって、住民負担となる料金経営立場のみではなくして、公共的立場から検討しなければならないと思うのですけれども、適正原価ばかりを強調して、料金値上げはやむなしというような、そういう方向はむしろ私は反対なんですが、その点いかがですか。
  46. 柴田護

    政府委員柴田護君) この条文では「公正妥当なものでなければならず、」と、まず「公正妥当」ということが頭にかぶっておりまして、それから能率的経営における適正原価をカバーする、まあ二段がまえになっておるわけであります。しかも、そしてそれを基礎にするんだ、「地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならない。」、こういう規定になっております。したがって適正原価だけが何も中心にはなっておりません。適正原価というのは能率的経営のことにおける原価だと、こういうことがかぶされておるわけであります。それから「公正妥当なものでなければならず」ということになるわけでございます。ただ原価カバー主義一点ばりでもないわけでございます。たとえば運賃の場合でいいますと、運賃に「能率的な経営の下における適正な原価」のほかに、別の観点がつけ加えられております。そういったものの観点も、たしか消費者、利用者の負担関係であったかと思いますけれども、そういうことが規定されておりまするが、そういうものは、この公営企業法に言う「公正妥当な」という条件に該当する、かように考えておるわけであります。
  47. 原田立

    原田立君 この適正原価の議論になるときに、公営企業の適正原価と、民間企業の適正原価とは差があるのですか、ないのですか。
  48. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 各事業法にも同じような表現が大体あるわけでございますけれども公営企業のほとんどは民営企業と競合しておりまして、公営企業につきましても民営と同じように、各事業法の適用を受けるわけでございます。したがいまして、それに載っております適正原価というものは民営、公営共通だと思っております。
  49. 原田立

    原田立君 共通しているというんですね、公営企業も民間企業も……。  それでは、ちょっとまた別な観点ですけれどもね、いろいろな公営事業を行なうのに、それぞれの施設をしていかなければいけないし、当然かかるわけですけれども水道にしても地下鉄にしても、そういう建設費の部類については膨大なものがある。この建設費料金収入によってカバーしていくとか、ないしはまた、料金収入によってカバーしていくというその考え方ですね、これは時代おくれな考え方ではないのか。むしろそういう建設費等については、資本投下していくようないわゆる資金については、企業会計だけで扱うのではなしに、むしろ国の財政面で補っていくというような議論があっちこっち、多々聞いておるわけでありますけれども、その点について自治省はどんなふうに考えていますか。
  50. 柴田護

    政府委員柴田護君) それは実は非常にむずかしい問題だと私どもは思うのでございますが、ただ私どもは、はっきり結論に到達しておりますのは、先ほど御披露申し上げました地下鉄の問題、高架鉄道、地下鉄の問題は、先ほど申し上げましたような意味合いにおいて片づけるべきものだと考えております。問題になりますのは水道とか工業用水道というものについての、いわゆる先行投資部分をどう考えるか、こういう問題であろうと思うのでございます。確かにそれを無批判的に全部料金に持っていくということにつきましては若干問題がある。  まあ普通そういう大規模先行投資の場合になりますると、大体多目的ダムのようなものをつくりまして、それによって水を持ってくるというような場合が多うございます。私どもは、この問題については、多目的ダムに関しますアロケーションの現状というものは適切じゃないのじゃないか、アロケーションの今日の現状をもう一ぺん再検討しよう、それによってどこまでものごとが片づくかという限界を見きわめていく、それからそれについてどういう態度をとるか。私どもは、直ちにそこに国が出てくるという前に、やはり住民というものが出てくるだろう。受益するのはその地域住民でございますから、住民一般会計との関係が次に出てくるであろう。その出てくる上に、今度はその事業国家的見地から見てどうかという判断が立つだろう。そうしてその上で国と一般会計との問題を考えていくべきじゃなかろうかというふうにいまは考えておるわけでございます。まっ先にやらなければなりませんことは、やはりアロケーション問題だろう。  で、まあ多少余談にわたるかもしれませんが、アロケーション問題の現状につきましては、私どもは非常に十分とは考えておりませんので、これをしさいに検討し、再検討してもらうように企画庁に話を持っていきまして、関係各省庁でアロケーション問題の合理化委員会みたいなものを現在つくっております。ここで検討を続けておるわけでございます。
  51. 原田立

    原田立君 水道の話が出たのですが、それで続けてやるのですが、多目的ダムの費用割り振りについてはいろいろな問題点があるといわれておりますし、今回配付された仙台市の資料を見ましても、便益額が過大に評価されている、利子率、減価償却率が過小である、またこのような矛盾がダム完成後の維持管理費、負担額にも持ち込まれて、上水道としては建設費のみならず、維持管理費にも大きな損失を受けているということでありますが、この問題についての経緯、現状、将来の方向、自治省対策、これについてお伺いしたい。仙台のほうですね。それと、いまの建設費のこと等もあまりはっきりしないのですけれども水道会計や何かで非常に赤字が増大しているというのは、むしろその建設資金が多くて、その後赤字の内容が、建設資金が大多数だと、こうなっているのでしょう。そして、いまごろ検討中というのでなしに、従来十何年前から議論されている問題なんだから、もうそろそろ結論を出して、今後の方向というものを明らかにすべきだと思うのです。
  52. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私が申し上げましたのは、仙台の問題は、お話のように非常に問題があるわけです。で、なぜ問題があるかといいますと、やはりいままでのアロケーションというものは、多目的ダムというものは、公共的な観点からつくるのですけれども、しかし、そこから水を引いていきます水道というものは企業でございます。したがって、企業としての水道というものを考えて、それでアロケーションが行なわれている。だから、言いかえますならば、そういう企業企業的観点からの背負うべき問題を、原価主義というものを基礎にして積み重ねて、そうしてアロケーションが行なわれているところに問題がある。つまり水道だって、なるほど企業ではございますけれども公共性というものがある。その公共性というものについての、一般会計水道会計との公共性の配慮が片手落ちじゃなないか、簡単に言いますならば。したがって水道のほうによけいな負担が押しつけられているのではなかろうかというふうに考える。そこで、まあひとつやらしてくれ、こういうことでやっておるわけでございます。  非常におそきに失するのじゃないかというおしかりでありますが、確かにおそかったかもしれません。しかし、いままではそう先行投資問題というものは大きな問題として浮かび上がってこなかったわけであります。そうしてある意味で水道料金というものは、減価償却が終わった観点におきまして水道経理が行なわれておったわけでありますので、ずいぶん古い昔のベースに立って水道料金が形成されていた。ところが今後は先行投資的な分子がふえてまいりまして、あるいは拡張していかなければならないということになりますと、新しい資金コストを要します。金を使って建設してまいらなければならないわけでございますので、そこに負担が急増する、こういうわけです。ものによっては先行投資的な考え方で片づけなければならない問題もあろうかと思いますし、料金適正化という問題で片づけなければならない問題もあると思います。一がいにただアロケーションだけの問題とも言えない問題があろうかと思うのでありますが、いずれにいたしましても、アロケーション問題そのものにやはり大きな問題があるということは確かであろうと思うのでございまして、そういう意味合いで、私どものほうから会計再検討を申し入れて、現在検討いたしておる、こういう経過でございます。
  53. 原田立

    原田立君 一番素朴な質問なんですがね。赤字が現在非常に多くある。この赤字の解消、つまり累積赤字を解消していこう、返済していこうとするときに、赤字を、返す分の利子を加味した料金にしていくのだろうと思うのですけれども、その点料金のきめ方のところの問題なんですがね。その点どうですか。
  54. 柴田護

    政府委員柴田護君) やはり全部が全部料金にかぶせるということでもってものを片づけようと私ども考えておりません。やはり、本来言いますならば不良債務をたな上げをして、長期債にいたしますと利子を払わなければなりません。これを元利利子補給という形でもって、赤字が赤字生をむ形を、それをカバーしていく。赤字の元本といいますとおかしゅうございますけれども、赤字そのものについてはやはり計画的に整理をするわけでございますが、料金に求めなければならない部分がありますれば、それは料金に求める分も出てくるかもわかりません。しかし原則といたしましては、やはり赤字が出てまいります大きな原因は、私ども資本費であろうと思っております。そうしますると、資本費というものを軽減する方途というものを考えていく。たとえば借りかえ債を起こすとか、あるいは元金償還の延伸をいたしますとか、そういうような方途、あるいは料金徴収の合理化をはかりますとかといったような、いろいろなやり方があろうと思います。一がいにその赤字をすべて料金にかぶせるといったようなことは考えていないのでございます。
  55. 原田立

    原田立君 考えていないというけれども、実際問題、政府はここのところずっと、ことし初めから公共料金値上げばかりどんどんやっている。今回の公営企業法の改正も、もうひっきょうそこにいくのじゃないか。現に東京都でもバス代のほうの値上げを申請している。これはそういうふうなことをやっていけば、一般住民に与える影響は非常に多大です。だからそこでさっきから議論している。国のほうから一体どういうふうな援助をするのだということを盛んに聞いているのに、地方債でやるとか、利子補給してやるとか、四億だ八億だというような、そういう糊塗策で現在の赤字に悩んでいる公営企業問題が解決できますか。
  56. 柴田護

    政府委員柴田護君) 料金の問題につきましては、先ほどお話し申し上げておりまするように調整的に変えなきゃならぬものは、これは望ましいことではございませんけれども、やむを得ない。全体といたしまして考えているわけでございますけれども、それのみがすべてじゃございません。もとより料金はこういう際でもございますので、できるだけ低いほうがいい。そうなってまいりますと、水道の場合を考えますると、経営を圧迫する大きな原因というものはやはり借金の返済じゃないか。地方債に関しまする部分、いわゆる資本費と言われる部分じゃないか。そうしますと、この資本費というものを軽減していく、負担を軽減していく方途というものを考えていかなければいかぬじゃないか、このようになろうかと思うのであります。そういたしますと、おしかりでございますけれども、やはり中心は利子補給でございますとか、元金償還の延伸でございますとか、借りかえでございますとかという問題にやっぱりなっていかざるを得ない。また、そういう方途を講ずべきものじゃなかろうかと思うのでございまして、私どもはそういう方針で進んでいきまして、水道事業等につきましては、特殊なものを除きましては、やっていけるだろうと思うのでございます。特殊なものと申しまするのは、非常に膨大な先行投資、いまおあげになりました仙台等の問題になってまいりますれば、問題はそれだけでは片づかない。また、先ほど私が引例いたしました因ノ島のようなものになってまいりましても、それだけでは問題は片づかない。これはどんなに経営を合理化いたしましても、コストが高過ぎてどうにもならぬ。これは水源地が遠いからでございます。こういうものにつきましては、やはり一般会計からの問題、それに対する財源措置といったような問題になってくるだろうと思うのであります。  そういう場合を予想いたしまして、負担区分の条項の中に、どんなに合理的に経営をしても、なおかつ収支が合わないというものについては、一般会計負担を認めるという規定を置いておるわけでございます。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 今回の法律案は、審議日程が制約されていますから、私は二つの問題点だけしぼってお伺いしたいと思います。  一つは、管理者の問題と、もう一つは労働関係についての問題です。まず、管理者の問題ですが、今度の改正案は、第七条で、管理者は、「当該地方公共団体の長の指揮監督の下に」あるということばを削られたわけです。しかも第七条の二に、「管理者は、当該地方公共団体の吏員で」云々というところも消されておる。そうなると、管理者は自治法百五十四条のいわゆる補助機関ではなくなっていて、執行機関になっているのじゃないか、かように思うのですが、この点が一つ。  それからもう一つは、次の七条の二で、「地方公共団体の長が任命する。」、こういうことになっておるわけです。そうすると、これは補助職員ではないけれども、地方公務員であるということには間違いはない。そうなると、一体、地方公務員法上の身分の扱いは、どういうふうになっておるか、この二つの点をまずお聞きしたいと思うのです。
  58. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 管理者の今度の改正におきまする地位、身分と申しますか、というものは、従来の公務員法の規定改正を加えまして、特別職にいたしておるわけであります。特別職で、かつ、長の任命による特別職、非常にそういう意味におきましてはニュー・ルックと申しますか、いままでの特別職の範疇にない、一つの範疇ができておる。こういうふうに御理解を願ってけっこうかと思うわけでございます。  そういう改正を行ないましたゆえんのものは、最初は、御案内のとおり、地方公営企業制度調査会の答申等におきましては、長が議会の同意を得て選任する特別職、こういう形にいたしておったのでございますけれども、一面におきましては、公営企業経営について、管理者が、いわゆる企業経営に徹し得るような面で、長の指揮監督というものでございませんで、長の指示のもとにおいて、しかし、あくまでも長の補助機関であることは間違いないわけであります。ただ、非常に独立性の強い補助機関である、こういうところに一つの特色がある。  それから、議会の同意を、選任を除きましたゆえんは、これはやはり公営企業の最終の責任というものは、これは長がやはり握っておるわけでございますので、そういった意味合いにおきまして、長との一体性を確保する、こういうねらいから、議会の選任を得ることとしませんで、長の選任ということにかわらしめた、こういうことでございます。
  59. 占部秀男

    ○占部秀男君 どうも参事官のお答えは、わかったようなわからないような、どうもあやふやな地位に置かれておると思うのです。少なくとも地方自治法では、長の補助機関たる職員は、長が指揮監督するということが、百五十四条でぴったりきまっておるわけです。長の指揮監督にないもの、つまり、長から独立しているものは、これは私が言うまでもなく、長とは独立機関として扱っておる。これは執行機関なんですね。ところが、あなたの言うのだと、何だか執行機関ではないけれども、補助機関ではあるけれども、指揮監督を受けない。こういうようなあり方は、非常に新しい考え方かもしれぬけれども法律的な見方から見れば、これは非常に問題があるところじゃないかと私は思うのですね。というのは、一体、任命権者である知事なり市長、いわゆる長というものは、補助機関が指揮監督のもとに置かれているからこそ、その機関が行なう住民に対する事務、事業について責任を持っているのであって、指揮監督のもとに置かれてない者に責任が持てるわけがない。それは、地方自治法上明らかになっている。そうでしょう。にもかかわらず、今度の改正法で、確かに任命権があるということになっているけれども、それはただ形式だけであって、指揮監督のもとに置かれてない。しかも独立機関でないそういうものに対して、一体、長がどういう責任を持てますか。責任を持てない者を任命するということは、これはあなた、地方自治に対する大きな干犯であり、無責任です。この点をあなたはどういうふうにお考えになりますか。
  60. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 非常に管理者の地位と申しますか、自分の規定づけというものにつきましては、私ども、現在の公営企業の運営の実態を見ながら、また、あるべき公営企業の姿というものを頭に描きながら、腐心をしたわけでございます。そういった意味で、新しい一つのタイプの特別職というものが、法律上創造せられているわけでございまして、長との関係におきましては、比喩的な表現をいたしますと、一般的と申しますか、一般的、総括的、最終的な責任というものは、これは当然長にあることは間違いない。ただ、たとえば長とほかの補助機関のように、一々こまかい事務について指揮監督を行なう、こういうことでは、公営企業の機動的な、能率的な経営というものはできないわけでございます。したがいまして、経営の大綱と申しますか、大筋というものは、長がこれを把握する。予算なり、毎年度の事業計画の決定というものは、これは長の権限に留保されているわけでございますので、そういう形で大筋というものは把握しながら、その個々の運営については、思い切って管理者の機動的な経営というものにゆだねるようにする。ただ、その間のつながりをつけるものといたしまして、この第十六条の規定にございますように、長は地方公共団体の住民の福祉に重大な影響がある業務の執行に関し、その福祉を確保するために必要がある場合等については、管理者に必要な指示をすることができる——指示権というもので、そういう関係のつながりをつけているわけでございます。
  61. 占部秀男

    ○占部秀男君 参事官のいわれる意図は、私にはわかる。意図はわかるけれども、指示権は指揮監督権じゃないのです。それからまた、一般的な指揮監督を最終的には持たせるのだといっても、この第七条で、「当該地方公共団体の長の指揮監督の下に」、こういうふうにあったやつを取ったのですから、あなたの意図はそうであっても、この改正案をそのまま読めば、そういう点はないわけです。立法者の意図はわかるのです。ところが、実際この法律を適用する場合には、法そのものが独立するわけですから、あなたの意図というものは、これはもうないのです。法そのものが独立するわけですから。そうでしょう。そうなると、これは指揮監督権は、長にはない。指揮監督権の長にない自治法上の補助機関としての職員があるのか、これはないのです。これは明瞭なんです。  そこで、これは非常に大きな問題を含んでいる。というのは、一体、任命というものは、これは任命をする者の責任というのはどういうところにあるのかということが、これは地方自治の本旨からして、しかも住民自治の本旨からして、基本的な問題として一つはあるわけです。というのは、任命権者というのは、自分が任命した場合に、任命された者の事務、事業に及ぼす行動が住民に直接影響するわけですから、任命する場合にも、住民自治の立場から、住民に対して責任が明らかになるような方法で任命をする。これが憲法の規定であり、この地方自治法で現在定められている性格であることは、あなたも御承知のとおり。だから、地方公務員法の第三条で、いわゆる特別職というものが規定されている。この特別職には、一般職の、いわゆる補助職員であるところの副知事その他の任命の方法、そうしてまた独立機関であるところの各種委員会の方法、さらに臨時的な職員ですね、これは常勤でない職員の方法、こういう手続上の問題が明らかにされておるのですね、その中には。住民から公選された、しかも住民に責任を負っている知事が特別職を任命するか、あるいは住民から公選された地方議会が、住民の名において同意を与えて、そうして知事が任命するか、あるいはその議会で選任するか、これは住民の名において選任するのですよ。もう一つは、同じ独立機関である委員であったとしても、たとえば当該住民の中のその委員が所管しておる事務、事業から直接利害関係を持つところの住民、これが選挙をするか、もしくはその住民の団体が推薦をして長が任命するか、いずれにしても住民に対する責任というものが明確になっておるのがこの自治法のたてまえです。  確かにこれはこの自治法の特例であることはここに書いてある。特例であるということは書いてある。しかし特例ということは、その元の法を否定するというわけじゃない。そうでしょう。元法の問題について特別の規定を設ける、ただそれは元法の規定がある程度の期間、その特例法のある期間停止するかもしれませんよ。しかし、元法が持っておる基本的な原則というか、本則というものは、これは否定できない。それは私が言うまでもなく、あなたが御存じのとおり。ところが、今度の管理者だけはそうなってないですね。指揮監督権は知事、市長はない。その指揮監督権のない知事や市長が任命だけをする。これでは住民に対する任命権者としての責任が明確になってないじゃないですか。それはやはり補助職員の特別職として、議会なら議会に同意を得てやるのが筋が正しいのです。筋が正しいのですよ。その点はいかがですか。
  62. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 指揮監督という用語が現行法にございまして、今度の改正法案におきましては指示ということばに変えておるわけであります。指揮監督、指示というものとの関係いかんということになるわけでございますが、この指示というのは、やはり広義におきます指揮監督の一つの態様である、こういうふうに私ども理解いたしておるところであります。  それから長と管理者と住民、この関係でございますけれども、長は管理者を選任いたします。管理者を選任いたしまして、企業経営に専念をしてもらう。しかし、その経営というものが不幸にしてうまくいかない、その人が経営に必要な適格性を欠いておるという場合におきましては、長はこれを罷免する。こういう形で長と管理者との間におきましては、身分上のいわば監督権というものと職務上の監督権、こういうものをつなげておるわけであります。  なお、管理者の選任の手続につきまして、あるいは身分につきましては、いろいろな態様が考えられます。思い切って独立の執行機関に——教育委員会、公安委員会と並んで地方自治上独立の執行機関にするということも私ども検討してみたわけであります。あるいはまた、議会の同意を得て選任する現在の副知事、出納長のごとき形にすることも、これも検討してみたわけであります。それから現行のような任命制度の特別職という形もございます。で、この三者の比較検討を行ないまして、この長との関係あるいは議会との関係、こういった面から申しまして、改正法案に規定をいたしましたような管理者の制度が最善なり、こういう判断に達した次第でございます。
  63. 占部秀男

    ○占部秀男君 あなたは任命制の特別職もあると言われるのですが、任命制の特別職は確かにある。しかし、それには議会の同意を得るというのが大部分ですがな。で、かりに議会の同意を得ないような任命制のものは、長が指揮監督権を持っておるという、それ以外にはないですよ。だからあなたが言われるようなことは、私はわかります。わかるとするならば、なぜこの法律の中に、一般的な指揮監督権があるのだということをうたわないのですか。それをとってないということは、結局これはこの法そのものが動き出した場合に、法独自の形で動くのですから、長の指揮監督権はない。指揮監督権がないものは補助機関ではない。結局、事実上は執行機関の形をとって動き出し、それは同時に、この法律の中で、改正法の中で、七条の二ですか、第八条に「管理者の地位及び権限」というところがございますが、この中で長の権限であったものが大幅にこれは管理者に委譲されておる。しかも議会のチェックというものは制限されておる。そうですね。それと同時に、この法の中で、小さな、管理者を置かないような団体については、管理者の権限は長が負うということになっておるのですね。こういうような形から見ても、この管理者ということは、あなたは補助職員だと言うけれども、法的にも補助職員でもないし、事実上やっておる仕事は執行機関ということになる、そうでしょう。それを単に、この執行機関的な実態を持っているならば、しかも長の一般的な指揮、監督権を法律上明確にしないならば、これを議会の同意を得るぐらいのことはして、そして住民に対する任命権者の任命の責任というものを明確にするのが、地方自治のたてまえではないかと私は思うのですが、いかがですか。
  64. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 申し上げたことを繰り返すようで恐縮でございますが、この第十六条の規定、いわゆる必要な指示権というものと、それから先ほど申しました管理者の適格性を欠く場合等におきまする罷免権、これによって、私はただいま先生のおっしゃいましたような点についての手当てというものができておるんじゃないだろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、この現行の制度の中で、任命制の特別職について幾つかのタイプがございます。御指摘になったとおりのタイプがございます。そのほかに新しいタイプとして、いままでのタイプの中の範疇の上に新しいタイプを創造したと、先ほど若干の苦心談をまじえて申し上げたのでありますが、そういう点があるということを御了承いただきたいと思う次第でございます。
  65. 占部秀男

    ○占部秀男君 そのあなたの言われた創造されたという苦心ですね、これは企業性格から見て御苦心の点はよくわかるのです。私はこれを否定してはいないのです。ただ苦心されたならば苦心されたところを法律上明確にすべきだというのが、私の考え方なんです。法律上明確になっていないのですよ、これは。それが一つと、それからもう一つは、あなたがそういう形を考えられるならば、これはその機関委任の事務ならば、これは私はある程度考えられると思う。御案内のように、これは長が国の仕事を、国の責任を負ってやっておるんですから、これは指示権の範囲内でやったって私は差しつかえないと思う。ところが、これは地方公営企業でしょう。地方公営企業というのは、もちろんこれは委任事務ではないし、固有事務、現在の公共事務でしょうね。公共事務をこれは行なうのですから、したがって当然住民に対して、任命権者が任命したというところの内容の責任というものを明確にする法的な措置をとっておかなければならない。ところが、これはとっていないのですね。私はどうしてもこれは長の、どういう形であるか知らぬけれども一般的な指揮、監督権があるのだという、その何らかの形をとるか、そうでなければ、独立の長とか、独立の執行機関にするか、いずれかにしなければ、これは筋がとおらないと思うのですが、その点はいかがですか。
  66. 柴田護

    政府委員柴田護君) いろいろ御意見をいただいたのでございまするが、やはり公営企業というものの持つ特性というものを頭に置きまして、現行の諸制度、いまるるお話がございました諸制度の上に立って、そして公営企業の管理者というものについて望ましい姿をどう考えるかということになってまいりますると、いろいろ苦心をいたしまして、鎌田君からいろいろ苦心談を御披露申し上げましたが、結果はこう落ちついた。言うならば、先生がおっしゃるように、一か十かという両極端のあり方から、ちょうどまあまん中、ぬえ的だと言われればぬえ的かもしれませんが、今日の公営企業というものの持つ職責、それから公営企業というものに要請される機動力と申しますか、機動化と申しますか、そういうもの等考えますれば、やはり長というものと管理者というものは全然切り離すわけにはいかない。したがって、独立執行機関にするわけにはいかない。かといって、一から十まで指揮監督しておったんでは、機動力というものに劣ってしまいます。しかも、そこには一般職、いわゆる役人流じゃなくして、企業経営というものに才幹を持つ人を持っていきたい、こういう要請もあるわけでございます。そこで、特別職ではございまするけれども、それは長が任命について責任を負う特別職にする。しかし、それについては、事務の執行については長は大幅にまかすと、いういう考え方をとったのでございまして、ちっうどそういうようなものに相似たものに、開発事業団の理事長というものがございます。これはやはり、この公営企業の管理者とよく似ているのでございます。ちょうどこれもやはり機動性が要請される。そこで、その制度的な開発事業団の理事長の感覚を借用いたしまして、そうしていろいろ苦心をいたしまして、つながりをつけた。  そこで指揮監督論がいろいろございましたけれども、重要なことはやはり長が握っていなければいかぬ。指示され、指示というか、むしろ指揮監督の態様でございますが、ある意味では強い指図権というものを事項を限って認める、そのほかはまかせる。そうかわり、あまりできの悪いのは長が処分してよろしい、こういう形にしたわけでございます。
  67. 占部秀男

    ○占部秀男君 局長の言われた開発事業団のような場合、私はわかるし、また、その御苦心の点も私はよくわかるのですよ。ただ開発事業団の場合は、この公営企業とはちょっと性格が違うのじゃないか。地方公営企業が、その企業自体が、もうすでに市なら市の企業なんですね。開発事業団の場合とはちょっと私はその意味では違うのじゃないかと思うのです。それと同時に、いま言われた指示権の問題、これは指示権としてはいろいろな内容を含んでおるから、法的にはいろいろ解釈のしかたがあると思うのですけれども、いずれにしても、開発事業団方式ではなくて、市のあるいは都の、そういうところの事業、事務事業として行なわれておる、性格がですね。それを基礎にするならば、知事が指揮監督をやはりある程度持つか、それでなければ、独立の機関にするか、いずれかをしないと、私はすっきりいかないし、同時に、そのことは、地方自治法の任命権というものの持つ内容と私はズレが出てくるのじゃないかと、こういうように思うのですけれども、まあだいぶ局長も言われておるので、時間もありませんから、これは水かけ論になりますから、ここで打ち切りますが、われわれはどうも納得できない。むしろこれはやはり、市の事業であり都の事業であるならば、長に最後的な一般的な指揮監督権を持たせる、これが私はやはり一番の道であり、それができないならば、当該議会の同意を得るぐらいのことはしておかないとならぬじゃないかと思います。  しかし、それはまあ水かけ論で対立になりますから、もう時間が制約されておるので、私はここで終わりますが、納得ができないということだけははっきり申し上げておきたいと思います。
  68. 鈴木壽

    鈴木壽君 ちょっと簡単に、いまのいいですか、関連で。  いま、ちょっと私中座しておったのですが、全体的なことの質疑のことはわかりませんが、「指揮監督の下に」というのが削られて——現行法第七条にありますこれが削られておる。そしてこれは十六条にもありますね。指揮監督のもとに、「指揮監督は、左の各号に掲げる事項に関して行う」と、まあこういうものがはずれてしまいましたね。そこで別に指示権というものを与える。与えると言ったらいいか、まあそれはあるのだと、必要によってですね。重要事項についての指示というものがあるのだからと、こういうお話ですがね。一体指揮監督ということと指示ということ、これはどういうふうに区別して考えておるのか、あるいは同じことだというふうに考えておるのかですね。  私は、指揮監督ということは、まあ表現のしかたというと私まずいかもしれませんが、包括的な意味でのいわゆる指揮監督権だと思うのですね。これはある事項についての指示ということとは違うものだと思うのです。それは具体的な内容においては一致する場合もあるけれども、しかし、そもそもが指揮監督という権限と指示するというそれとはちょっと、ちょっとどころではない、相当違うものじゃなかろうか、こう思うのですがね。だから指示権を与えておるからいいじゃないかということは、指揮監督をはずした場合、いわゆる行政の責任者としての首長の持つ権限、あるいは企業の管理者の持つ権限と、こういうものからしますと、必ずしもいまのお答えのようなことでは納得できないと私は思うのですがね、どうです。その点もう一度。
  69. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 指揮監督と指示というこの関係でございますが、まあ指揮監督、こういう点においては、私は先ほども占部先生のお尋ねにお答えいたしましたように、広義における指揮監督の一つの態様である、こういうことが言えると思うのでございますが、ただ指揮監督という場合に比べまして、指示という場合のほうが、それを受ける者の自主性というものが尊重されている、こういうことは言えるかと思います。それがまた、まさしく私どもがねらいとするところでございまして、まあ指揮監督という形でございますと、極端なことを言いますと、はしの上げおろしまで一々お伺いを立てて、ああしろこうしろと、こういうことでこまかいまさに指示を受けて処分をする、あるいは事務を執行していく。これではとうてい公営企業能率的機動的な経営ということはできないわけでございまして、繰り返すようでございますが、大綱というものは長がこれを保持しながら、その範囲においてできるだけ管理者というものが自主的に動けるようにする。ただ最終の一点におきまして、その仕事の内容というものにかんがみまして、公共の福祉、住民の福祉ということに非常に大きな関係がある、あるいは他の行政機関の職務の執行との問に大きな関係がある、こういった問題については、長の指示権、先ほど局長が指図権と、こう申しましたが、まさに指図でございます。そういうものを長に留保しておる。それを無視して行なうという場合におきましては、やはりもとに戻りまして、その結果経営の状況が悪化した、あるいはまたこの管理者がその職に必要な適格性を欠く、こういうやはり判定の理由になるであろう。第七条の二の第七項でございますかに規定しておる判定の理由になるのではないか、そういうふうに考えておる次第でございます。
  70. 鈴木壽

    鈴木壽君 開運ですからあまり長くやりませんが、いわゆる指揮監督というものを、それこそはしの上げおろしから一切がっさい、何か上から監視づきで、ああせい、こうせいというふうな縛られ方をするというふうなことを私は言っているのじやない。それは指揮監督かもしらぬけれども、私はそんなものは指揮監督でも何でもなくて、たとえば現行法にあるような事項についての基本的ないろんな問題、こういうことについてもやるということで現行法には書かれておりますから、私どももそういう意味での指揮監督権というものを頭に入れてものを言っているつもりです。  ですからその場合、今度の改正案と立て方が相当変わってきていますから、その必要な指示というようなものも、「住民の福祉に重大な影響がある」云々というようなことで書き方ががらっと変わっておりますからね。実はここで一体指揮監督というものと指示というものをどう考えておられるのか、これを関連してお聞きしたわけなんです。  いま時間の関係もありますし、関連でもありますから、これ以上申し上げませんが、やっぱり私は、はしの上げおろしに至るまで一切干渉がましいことをやれという、そういう意味でない、ほんとうに自治体の行政事務の一つなんだ、その責任を首長が負うという、そういうたてまえでは包括的な指揮監督権というのは、当然私はあるべきだと思うのですね。それにこの改正案にある「必要な指示をすることができる。」という、こういうことの中には、私は、あなた方は同じような権限だというふうに考えておられるかもしれないけれども、ちょっと違いますね、私はそう思う。  それは、私は原則的に企業の管理者に相当大きな権限を持たせる、何でもかんでも首長だ、あるいは議会だという、そうして事業そのものがうまくいかないようなかっこうで、がんじがらめになっておるような、そういうようなことを排除して、強めるという原則的な考え方は、現在の企業運営にあたっては必要だと思うのです。しかし、必要だと思いながら、やっぱり最後の責任というものは、市全体の行政の一つの分野としての経常でございますから、包括的な意味での指揮監督というものは当然私は持っていいと思う、持たせるべきだと思う。ということですが、まあひとつ、これは議論にもなりますし、関連でもございますから、いずれもう少しあとでやります。
  71. 占部秀男

    ○占部秀男君 ぼくは触れないつもりでいたが、いま鈴木先生から言われて、あなたがそういう答弁をされたので、一言だけこの点に触れておきますが、鎌田参事官も御存じのように、指揮監督権を持っておる最後的な長と管理者との間の意見がずれた場合に、長は業務執行命令を出せるわけです。ところが、ここにいわゆる指示権では、業務執行命令は出せないでしょう。そこに指揮監督権と指示権とは性格的に大きな違いがあるんですよ。私は、まあこの問題は非常に苦労されたところですから、これ以上もうあなたのほうでも譲れないし、私のほうでも譲れないところだから、これ以上は申し上げませんけれども、とにかくこの法が法自体として見たときには、非常に問題が出てくるということだけは私は注意して、そして納得できないということは、鈴木先生と一緒にはっきりさしておきたいと思います。  次に、労働関係の問題ですが、今度の改正案によると、九条の十三に、現行法では十四になるわけですが、管理者はその権限の範囲内において組合と労働協約を結ぶことができるようになっておる。それが今度の改正では、いわゆる「その権限の範囲内」においてということが削除されて、「労働協約を結ぶこと」ができるということになっておるんですね。これはもう、さっきあなたは補助機関と言われたけれども、この公営企業の運営そのものについては、明らかに首長の権限を排除して、労働協約を結ぶことについては、執行機関としての立場に立ってこれはやっているというふうに私には考えられるのですが、それはどうですか。
  72. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 「権限の範囲内において」というのを削りましたのは、これはある意味におきましては、いままでの規定の表現自身がむしろおかしいのじゃないだろうか。権限外のことで協約が結べるということは、むしろ論理的に悖理でございますので、当然のことを当然の形に改めたにすぎないのでございます。
  73. 占部秀男

    ○占部秀男君 それではっきりしましたが、そうしますと、地方公営企業労働関係法ですね、これの七条に「団体交渉の範囲」という項目が出ておりますね。これはもちろん、地方公営企業関係の労働組合は、地方公務員法上の職員団体ではないのであって、労働組合法上の組合ですから、したがって労働協約を結ぶことはできるわけですね。そこで、その中に交渉の対象として、すなわち協約を結べる対象として、一から四まで給与、勤務条件についてのこまかい規定があるわけですね。そうすると、この規定の労働協約を結ぶ相手方は、組合側から言えば、結ぶ相手方としてはこれは管理者限りである、管理者限りで独立していけるものである、かようにはっきりと今度の改正で明確化した、こういう解釈といいますか、考え方でよろしゅうございますか。
  74. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) そのとおりでございます。
  75. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、同じ関係法の地方公企労法の十条では、従来の条例規定と相反するような、あるいは抵触するような協定が行なわれた場合には、十日以内に地方議会にかけなくちゃならぬ、こういうことになっているのですね。ところが、地方議会にかけるのは、長がかけなければならないということになっている。そこに私はズレが出てくると思うのですが、これは長がかけるということは、いわゆる議会にかけるという事務手続上の問題だけであって、長がかける内容というものは、独立機関じゃないけれども、とにかく管理者限りで責任が持てる、その団体協約の内容が、そのまま地方議会へかかる。つまり、長はその内容を、団体協約の内容、現在の規則あるいは協定とズレのあるそういうような内容をそのままかけるんだと、こういうことに解釈をしないと、この十条はおかしくなると思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  76. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) そのとおりの解釈でけっこうでございます。
  77. 占部秀男

    ○占部秀男君 となりますと、今度は再建計画の問題と労働関係の問題なんですが、今度の改正法の七章は、財政再建の問題ですが、ここで財政再建計画の策定という中に、この再建計画をつくったならば、議会の議決を経て自治大臣に申し出て承認を得なければならぬわけですね。その再建計画を議会へ出し、あるいは自治大臣に申し出るのは、財政再建を行なおうとする地方公共団体ということになると、そうすると、それを出す当該者というか責任者は長になっておるわけですね。そこで長の考え方と、それから再建計画を実際につくっておる管理者の考え方とにズレがきた場合には、どういうふうな救済、いわゆる行政指導といいますか、それをするかという問題が私は出てくると思う。というのは、一般的な問題は、長の指示権があるのですから、いろいろありますけれども、事、労働関係になると、この再建計画の中には、いわゆる地方公営企業労働組合の給与、条件、その他の問題点が入ってくるわけです。率直に言って、先ほど原田さんが言われたように、再建計画の年月を長くするか短くするかによって、合理化の問題、賃金の問題、首切りの問題が出たり出なかったりするわけですね。そこでそういう問題については団体交渉できめる、団体交渉できまったものを、長が出す再建計画で曲げられては、管理者の持つ団体交渉についても当事者能力もなくなるし、さらに労働者の持つ地方公営企業法規定された交渉権も、これは傷がつけられるわけですね。したがって、そういう点はどういうふうになりますか、その点非常に大事な問題ですから、はっきり、明確にしておいてもらいたい。
  78. 鎌田要人

    説明員(鎌田要人君) 管理者と組合との問において交渉が持たれまして、その結果協約が結ばれる、長が再建計画を立てます場合におきましては、当然これを尊重して計画を立てる、これは当然のことでございます。ただ衆議院におきましても同様の質問がございましたが、そのときにも議論がございましたように、お答えが大臣からもあったわけでございますけれども公営企業財政再建というのは、単に管理者だけでできるわけでもございませんし、長、管理者、議会、それから職員、それが一体となって再建をすべきものでございますから、その再建計画の立案と裏表をなしますが、協約はじめ、そういったものについては、やはり職員団体においても高次の立場から積極的に財政再建に協力していただく、そういう立場からの労働協約ということについても成果が反映されるということを期待する、こういうことになっておるわけでございます。
  79. 占部秀男

    ○占部秀男君 参事官が言われた労働協約のほうで協力を期待する、それは私もわかるのです。しかしそれは事実行為なんですね。そうでしょう、事実行為なんです。この場合の規定を、やはり法というものがそのまま動くということになると、その点が非常に実は問題で、微妙な点になってくるのです。だから私は、はっきりとその点を聞きたいのですがね。当該地方団体の議会で議決される再建計画の内容をなす労働関係の、労働条件の問題については、管理者と組合との団交の結果が、整った内容が当然出なくちゃならぬ、事実行為は別ですよ、しかし、法的な扱いとしては当然出なくちゃならぬ、かように私は思うのですが、その点はいかがですか。
  80. 柴田護

    政府委員柴田護君) 財政再建計画をきめまするのは、最終的にはその団体そのものであります。その原案を出すのは、管理者が原案の原案をつくって、長が付議をするということであります。したがって、言うならば議会の議決を得られるまで、つまり長が提案して議会の議決が得られるまでの問というのは、やはり実際問題としては事実問題になってしまう。あとは議会に出てから審議の過程におきまして、いま御指摘のような問題が起こってくる、かように考える次第であります。
  81. 占部秀男

    ○占部秀男君 手続問題に長の場合にはなるといういまのお話で、私は納得いたします。したがって、私は最後に一つだけ聞いておきたいのですが、いわば団交が整わないままに再建計画が議会にかけられるような長の手続のあり方は、まあ普通ならばあり得ないと、かように考えるのですが、ここは急所ですから明確にひとつお答え願いたい。
  82. 柴田護

    政府委員柴田護君) やはり、先ほど鎌田君からお答え申し上げましたように、再建を行なうということにつきましては、地方団体全体が一体となって、その気になってもらわなければ困る。したがって、その議決を得ました再建計画なるものは、いま御指摘のありましたような問題もすべて片づいた上での話である、かように考えるわけであります。また、そのように指導してまいりたい、かように考えております。
  83. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  84. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 速記を起こして。
  85. 加瀬完

    ○加瀬完君 さっきの原田さんの質問の関連になりますが、適正原価ということがありましたね。原田さんから質問があったかどうか知りませんが、民間企業における適正原価というものと、公営企業における適正原価というものは違うのか同じなのか、どう考えておられるか。
  86. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 考え方としては同じでございます。ただ、公営の場合、公営独占でやっておりますような水道事業におきまして、いわゆる民間の場合で申します利潤、そういったものをどのように見込むかというようなことが別途の問題としてございます。
  87. 加瀬完

    ○加瀬完君 そこで、公営企業というのは、一体どういう性格だと認定しているんですか。
  88. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 公営企業法の第三条に申しておりますように、公共性と経済性と、その二つの柱のもとに地方公共団体が行なう企業でございます。
  89. 加瀬完

    ○加瀬完君 まさにそのとおりでしょうね。そこで、企業採算に合わなければだめだということではないわけですね。公共性というもう一本の柱もあるわけですから、企業採算に合わなければ公営企業としては成立しないというものではないでしょう、公営企業というものは。
  90. 近藤隆之

    説明員(近藤隆之君) 性格の問題として、コストを割る料金を設定するかどうかということは別の問題だろうと思う。そのために別に財源措置をする必要があるかどうかという問題だと思います。
  91. 加瀬完

    ○加瀬完君 そうじゃないですよ。公営企業性格というものが、はっきりしなければ、財源措置をする必要があるかないかということもわからない、だから公営企業というのはどういう性格だと伺ったわけです。そうすると、一面の企業性と、一面の公共性があるという、それなら公共性というものを全然ゼロにして、企業性だけで一体いいのか悪いのか、こういう結論が出せるか。
  92. 柴田護

    政府委員柴田護君) やはり公営企業というものの根底に沈んでおりますのは、受益者負担——租税でもってまかなうということでなくて、その公共事業の提供する役務を享受する者が、その受益に応じて払う、費用を負担するのだ、こういうものが公営企業というものを特色づける、一般行政事務と違った態様をなすものではなかろうかというように考えておるわけでございまして、したがって、また、そこに初めて経済性という問題が出てくるであろう。しかし、かと言って、それもやはり住民生活に直結するものでございます。末端に参りますれば、まさに地方行政そのものであろうと思うのでございます。したがって、そこには公共性という問題も出てくる、かように考えておる次第でございます。
  93. 加瀬完

    ○加瀬完君 ですから、ほんとうならこれは企業形態ではなくて、純粋には地方自治体の行政事務としてやらなければならないもののうちでも、やや企業形態をとらせて、独立採算に移したほうが、比較をした上で便利であるし、合理的でもあるといったものが浮かび出てきて、公営企業というものが出発をしたわけですよね。ですから、公営企業そのものは民間事業と違うわけですから、採算が合うか合わないかということだけでは、これは全体のけじめをつけるわけにはいかないと思う。やはり公益性というものも考えなきゃならないということになろうと思うわけです。これらの点、前提がもっと明確になりませんと、結局さっき言ったように、採算性がどうのということばかりが問題になりますので、これは一つの問題点だと思いますので……。門司先生いらっしゃいましたので、私の質問はとめて、前へ進めますが、ここらをしっかり考えてくれませんと、ちょっと困ると思うのです。
  94. 柴田護

    政府委員柴田護君) 大筋としては私どもよくわかるのでございますが、またそれをやや割り切り過ぎた感じが、今日まで公営企業というものをいろんな形に追い込んだ一つの原因でもあるというように私は考えるわけでございます。したがって、この改正案におきましては、その点を経費の負担区分という形でもって割り切っておる、こういうつもりでございます。
  95. 加瀬完

    ○加瀬完君 私はその反対のつもりを持っておりますが、いずれまた申し上げます。  どうも済みませんでした。鈴木さんどうぞ。
  96. 鈴木壽

    鈴木壽君 質問に入る前に財政局長に。さっきアロケーションの問題が出ましたね。今後検討していく問題だとしてやっているんだという話ですが、現在までで、何か仙台でどうとかいうふうなこともちょっとさっきお話があったんでありますが、そういう現状で、どういうふうな資金の配分なんかをやっておるのか、そういう具体的な例をあなた方幾つかお持ちですか。
  97. 柴田護

    政府委員柴田護君) 具体的事例といたしましては、仙台の事例を御配付申し上げた資料のとおりでございます。
  98. 鈴木壽

    鈴木壽君 まあよろしゅうございます。  修正案について二、三お伺いをいたしたいと思います。条文の順に従って二、三お聞きしてまいりますから、どうかそのつもりでお聞き取りをいただきます。  第二十二条の二を新しく設けまして、「企業債についての配慮」ということがここに出てまいりましたが、これについてどういう御意図、どういうお考えでこれを挿入なさったかどうかということを一つ。  それからこの条文の中に「法令の範囲内において、」ということばがあります。「資金事情が許す限り、」ということばもありますが、「法令の範囲内において、」という、もっと具体的に、たとえば現行法令の中にはこうこうこうなっているとか、あるいは将来こうこうこういうような法令の、何といいますか、新設まで考えているとかいうようなことがもしございましたら、それを具体的にお知らせをいただきたい。  それから「資金事情が許す限り」、そういうことばがありますが、資金事情、現在の資金事情、あるいはこれから見通されるいわゆる資金事情というものについての、どういう意味がここに含まれておるのか、こういうことも、もしお考えでございましたらお話をいただきたい。これが第一点でございます。
  99. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) 二十二条の二は、政府原案にはなかったものでございまして、新しくこの条文を追加修正した、こういうものであります。いまお尋ねの二十二条の二の「法例の範囲内において」とか、あるいはまた「資金事情が許す限り」というのは、具体的にどういうことか、そういうことは取りきめがあるかと、まあこういう突っ込んだ御質問でございますが、この条文は単なる飾り条文でなくて、実質的に実があるように特段の配慮をしてほしいということで、そういう点を政府当局のほうも了解をしていただいてこの条文を入れた、こういうことであります。したがって、「法令の範囲内」とかあるいは「資金事情が許す限り」は、具体的にどういうことかというところまで、具体的に詰めてはおりません。
  100. 鈴木壽

    鈴木壽君 この第二十二条の二の新設については、よくやっていただいたと私ども思います。ただその前提に立ちながら、「法令の範囲内において」と、こういうふうなことが一つあるものですから、まあ私自身の考えといいますか、あるいは見方といいますか、それを申し上げるならば、現在の法令の範囲内においてもこういうことが十分行なわれる、それがあると思うのですよね。こういう条文がなくとも、新しくこういうところに設けられなくともね。にもかかわらず「法令の範囲内において」と、こういうようなことが出てまいりましたから、何かまた他にも積極的にこれからやるのだということ以上に、法令そのものについての何か考え方なり、あるいは新たにこういう法令をつくるとかですね、というようなことまでお考えなっておられたのかどうかということでございます。
  101. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) 新たに必要な法令をつくるという考えには立っておらないのでございまして、今日の地方公営企業の実態というのは、資金事情の行き詰まりということもありますから、企業債の償還を繰り延べるとか、あるいは借りかえをするとか、あるいは耐用年数の延長とか、そういう問題も含めて、地方公営企業の健全化のために具体的に資するようにしようということで、かなり積極的な意欲をもってこの条文を挿入した、こういうことでありまして、具体的に、たとえば耐用年数等ということになりますと、現在の法令について若干修正をしなきゃならぬ、こういうことも起こってまいりましょうけれども、そこまでは突き詰めて結論を出しておらない、こういうことであります。しかし、積極的な意味においてこれをつけ加えた、こういうことであります。
  102. 鈴木壽

    鈴木壽君 次の点は、第三十八条についてでございますが、三十八条の二項、それから三十八条の三項、政府原案にある特にその三項の場合、政府原案のそれから表現がかなり違ってきております。ことばは、たとえば「生計費」とか、「民間事業の従事者の給与」とか、 いろいろなそういう、ことばは変わりませんけれども、表現全体としてかなり変わってきておるんですね。そこで、このようになさった御意図、政府原案によれば一体どういうことになるのか。したがって、修正されたこういう文章からはどういう給与のきめ方ということが出てくるのか。ここら辺についてお考えのあるところをひとつ伺いたいと思います。
  103. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) 三十八条の二項につきましては、政府原案に「能率が充分に反映」、こういうふうに書いてありますが、これは「考慮」という字句に修正をいたしたわけです。「反映」ということになりますと、客観的な、鏡に映る、こういう意味でありますし、地方公営企業なんていうものは、大体において単年度主義というよりも、ある程度長期的な経理の視野から挑むべきだ、こういうことで、むしろやはり「考慮」とか「反映」という、主観だ客観だということよりも、そういう長期的な観点から企業会計というものを眺めていくべきだ。こういうことから、「反映」よりも「考慮」のほうが適正であろう、こういうことで修正いたしたわけでございます。  三十八条の三項は、ずいぶん議論がありまして、議論の過程におきましては、たとえば国家公務員の五現業の条文がございますが、そういうものをそのまま使うのが妥当ではないかとか、あるいは電通等の条文もありますが、そういうものでいくべきではないか、こういうような議論もあったのでありますけれども、議論の結果、この修正をいたしたわけです。これは、政府原案によりますと、「生計費並びに同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員並びに民間事業の従事者の給与を考慮し、かつ、」、その上に、「当該地方公営企業経営の状況を考慮して」きめる、こういうことになりますと、結果としては、経営の状況というもの、しかも、これはまあどうも原案というのは単年度主義にものごとを見ているようでありますから、非常に固いワクを印象づけるのではないか。言ってみますと、すべてが「経営の状況」ということで決定されていくのじゃないか、こういう心配もありますので、いろいろの要素があるわけでありますけれども、「生計費」あるいは「同一又は類似の職種の国及び地方公共団体の職員」、「民間事業の従事者の給与」とか、「地方公営企業経営の状況その他の事情」、こういうふうに並列的に考慮すべき要件というものを並べていこう、こういうことで修正をいたした、こういうことでございます。
  104. 鈴木壽

    鈴木壽君 政府原案では、特にこの三項のところの「当該地方公営企業経営の状況を考慮して」、しかも、その上に「かつ、当該」ということばを入れて非常に強がった印象を受けますね。まあ、これは修正になってしまったから、提案者に、さきの政府原案のほうをいまさら聞いてもどうかと思いますからやめますが、相当ここでは「経常の状況」そのものが重く見られておるというふうな印象を受けますが、そうではなしに、そういうことをやはり皆さんのほうでお考えになって、もちろんそういう「経営の状況」というものも勘案をしなきゃならぬけれどもというようなことで、さっきお話しになったように、また、この文章にあらわれているように、並列的に並べて「その他の事情」というものも加えてやったんだと、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  105. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) そういう理解に立って修正をいたした、こう私は理解しております。
  106. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治省のほうへお聞きしたいと思いますが、いまお聞きだと思いますが、おそらくこの政府原案の提案者の側からしますと、当初考えておった意図、これは大体かなり静められたような気がしますがね、率直に申しまして。それはしかし、いま御説明があったようなことでこういうふうな修正が行なわれたんですから、それに従ってのこれからのいろいろ指導なり運営なりというものを考えていくという、こういうことについては御異議ないと思いますが、いかがです。
  107. 柴田護

    政府委員柴田護君) 本法案が成立いたしますれば、この修正条文を含めまして法案の趣旨に従って運用してまいるつもりでございます。
  108. 鈴木壽

    鈴木壽君 では四十三条の点でちょっとお伺いをいたします。これは実はさっきほかの委員の方から政府当局に対しての質問の中にもありまして、おおむね政府当局の考え方は明らかになりましたが、四十三条の二項を削って、三項を二項としてありますが、この削除ということについては別にお聞きしませんが、新たに二項となった項目の中に、「おおむね五年度以内」とあるのが「七年」と、こういうようになりましたね。端的に私お聞きしますが、今度の企業の赤字、相当膨大なものをかかえている団体があるわけなんでありまして、この「おおむね七年」と原案の「五年」を「七年」としましても、「おおむね」ですからどの程度の幅があるのか、ちょっとこれはいまにわかにいかないと思いますが、七年やそこらではとてもじゃないが計画も何も立たないというふうなところが私はあると思うのですね。かつて地方財政再建促進の特別措置法ができて、あれによって再建計画を立てた場合は、あの法律には、「おおむね七年」というふうになっておりますが、実際は十年以上の長い期間にわたっての再建期間を計画しなきゃならなかった団体が幾つかありましたが、修正をなさった方々としては、ああいう事態もあり得るのだということを予想されておられるかどうかですね。その点、単に「五年」を「七年」にした、二年ぐらいの上げ下げだと、こういうふうにお考えになっておられるのか、そこから辺ひとつ率直なところをお聞かせ願いたいと思います。
  109. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) 政府原案は「おおむね五年」ということでありますが、同時に審議いたしました社会党の案は「十五年」になっております。指定市等からの陳情等は十年程度と、いろいろな意見もあったわけで、そういう意見も参考にしつつ検討をいたしました結果は、それでは一般会計における財政再建特別措置法の「おおむね七年」という運用はどうなっているかということを自治省に問いただしましたところ、「おおむね七年」というものは、文字どおり「おおむねであって、赤字の額によっては十年以上のところもいま御指摘のようにあるわけで、十年とか十二年とかあるわけでありますから、その赤字の額等を考慮して一般会計財政再建特別措置法の運用と同じような形でやってまいりたいと、こういう自治省からのお答えもありましたので、一般会計の「おおむね七年」ということで修正しよう、その運用にあたっては財政再建特別措置法と同様にひとつ運用すべきだと、こういう確認に立って「五年」を「七年」に修正をいたしたと、こういうことであります。
  110. 鈴木壽

    鈴木壽君 お話わかりました。  そうしますと、いまの「おおむね七年」といういわゆる再建計画の立て方、これと四十六条の再建債の償還のやつ、これはまあ一致しておりますんですね。この場合でも、これは当然のことだと思いますが、再建計画が十年以上というふうな、かりに十年なら十年としましょうか、その場合の再建債の償還も等しく十年というふうに当然なると思いますが、それはそういうふうな御了解と考えてよろしゅうございますか。これはひとつ自治省にもちょっと聞きましょうか。切り離せない問題だと思いますが、両方からひとつ。
  111. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) そういうことであります。
  112. 鈴木壽

    鈴木壽君 自治省のほうでもそれは……。
  113. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私どももそのように了解いたしております。
  114. 鈴木壽

    鈴木壽君 それから、四十七条の財政再建債の利子補給のほうでありますが、政府原案では、「年六分五厘をこえるものにつき」、とあるのが、今度は「三分五厘をこえるものにつき、」、「年一分五厘の定率を乗じて」云々というのを、「年四分五厘の定率を乗じて得た額を限度として、」と、こういうふうになっている。あとのほうの、「利率の定率を年六分五厘」とあるのを、「三分五厘」とする、こういうことになりましたが、そこに、「政令で定める基準により、」ということばが入りましたのですね。そこで、これは立案者の修正の立場に立っておやりになった方々は、「政令で定める基準」というものを、一体内容的にどういうことを政令で定め、基準として示そうというふうにお考えになっておられたか。それをひとつお聞きしたいと思います。
  115. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) 原案には、「政令で定める基準により、」という字句はなかったのでありますけれども、利子の補給の幅を修正いたす際に、財政再建特別措置法と同様に、「政令で定める基準により、」と、こういうものを入れよう、こういうことになったわけで、それでは「政令で定める基準」というのはどういうのかということになるわけでありますが、一般会計の場合には、税収入とそれから赤字額の比率と、こういうものを水準にいたしまして補給の額が算出されておったわけです。この場合も、いわゆる収益、営業収入にすべきか、料金収入に基礎を置くべきか。それとも、赤字の比率と、こういうようなことが基礎になって、一般会計と同じような形で、そしてこの公営企業ということも考慮して基準をきめるべきである、こういう考え方に立っております。そういう考え方が一つ。  それから、政令ということになりますと、一体もらうものがどうなるのかということも心配なわけでございますから、一体自治省としてはどの程度の利子補給になるか。たとえば、自治省考えておる——結論は出しておらなかったのでありますが、考えておるところによると、どのくらいのものになるか。まあ、おおよそ六百億程度の再建債というのが発行されるだろう、そういう場合には、おおよそ利子補給の額というのは二十億程度になるのではないか、こういう見通しでございます。平たく六百億といたしまして、幅が四分五厘ということになりますと、二十七、八億になるかと思うのでありますが、むろん八分の利子じゃなくて、七分ちょっとぐらいで借りておるところもあるわけでありますし、政令によってある程度圧縮を受けますから、そういうことで二十億程度だと、こういう見込みのようであります。  それからもう一つの点は、大きな指定市等に赤字が多いわけでありますが、そういうところにかなりの利子補給の額というのは大部分食われて、小さな地方公営企業というのはあまり恩典にあずからぬじゃないかという心配もあるわけでありますから、そういうアンバランスが起こらないような配慮もして政令をきめてもらわなきゃならぬ、こういうことを修正者としては確認をいたしまして、そういう条件のもとでこの「政令で定める基準により、」という字句を入れると、こういうことにいたしたわけです。  なお、この問題について私のお答えが足りないかもしれませんから、なお質問がありましたら、その段階における私のほうの知っている点がありましたら、追加をいたしたいと思います。
  116. 鈴木壽

    鈴木壽君 すると、いまお話しなさったことからしますと、こうこういうようなことについて注意しながら政令を出せ、こういうことで、細部の点については——細部といいますか、つまり、いろいろな具体的な問題については自治省にゆだねてあると、こういう形と了解してよろしゅうございますか。
  117. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) いま申し上げたようなポイントを条件としてといいますか、そういう確認の上に立ってこういう字句を入れた。したがって、政令でありますから、細部の問題、たとえば料金収入というのを基礎にするのか、どういうかっこうで基準を求めるかという問題については、さらに作業をした上で、自治省できまった確認のポイントを十分織り込んで政令をきめていく、こういうふうに理解しております。
  118. 鈴木壽

    鈴木壽君 実は私、この「政令で定める基準により、」という字句が入ったことによって、率直に言って、心配な点が幾つかあるのですよね。というのは、今度の修正の段階で、いろいろ新聞等にも内容の一部については報道になっておったり何かしておりまして、政府原案では、年六分五厘以上のものについて一分五厘を限度として利子補給をするんだというのを、六分五厘を三分五厘にした、これはありがたいという、率直に言ってですよ、これは赤字を持っておる団体は特にそういう気持ちを持っておったと思うのです。私どももそういうふうになることについては非常にけっこうなことだと思っておりましたが、さて成文された、この修正された文章を見ますと、さっきも言ったように「政令で定める基準により、」というのが入っているから私ははっと思ったのです。というのは、前の再建団体の再建整備促進法の中にやはり同じようなことが入って、「政令で定める基準」という、その基準のつくり方ですね、当初ああいうことになると予想しておらなくて利子補給を求めておった団体がずいぶんあったのですが、いざ政令が出てこういうふうにやるんだといった場合に、せっかく三分も三分五厘ももらえると思ったのにさっぱり来ないじゃないかと言う団体が幾つもあったのです。おまえのところは財政力——財政力ということばは少し悪いのですが、税収入がこんなにあるからというような意識がありますもんですから、これは虫のいい話かもしらぬけれども、利子補給をしてもらえると思っている団体が、この三分五厘に引き下げたことによってストレートに三分五厘をこす分についてはもらえるもんだという期待があったと思うのです。ところが、この「政令で定める基準により、」ということば、前の再建促進の特別措置にあるあれのようなものができてくることによって、おや、せっかく期待をして喜んだのだけれども、これはだめだぞというような率直な声が出てくるのではないかと私は思うのです。そこで、私がさっきお尋ねをしたのは、この政令というものは一体どういう程度に定めることを皆さんの側で態度としておきめになっており、それに基づいてどういう作業が行なわれておるのか、できれば私は、自治省考えておる、あなた方のそれによってつくりました政令のいま案を御提示を願いたいと思っておりますが、どうも私心配になっておるわけなんです。そこで、調整上いろいろなことで政令で定めることも基準を定めることも必要だとは、そういうことを挿入することはやむを得なかったとは思いますが、それにしてもこの前にしばしば申し上げましたが、再建団体のああいうものをきちっとこうやられるというと、非常に私は期待にそむく結果が出てくるんじゃないか。おまえのところは赤字が小さいじゃないかというようなことで、ほとんどの利子補給がもらえないという団体が出てきますね。あるいは一分程度しか出てこないというのがあるんじゃないかというような心配も持つわけなんでありますが、そこら辺ですね、さっきおっしゃった、こういう、何といいますかね、条件といいますか、こういうことだけはきちっと守るというようなことが明確になって示されているとすれば、もう一度ひとつその点を御確認願うような形の御答弁がほしいと思う。
  119. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) この問題に関して修正段階で確認された点、一二、落としておりましたからつけ加えたいと思うのですが、一つは、政令を出す段階で、おそらく都道府県、市——町村は除きまして、市は政令で七分五厘と、法律は八分ということになっておりますが、七分五厘と、こういうことに政令はいたしたい。しかし、その場合ですね、自治省なり大蔵省においては、市以上のところが七分五厘以上の利子にならないように、変える場合にはそういうことで処置していくと、こういう確認の上に立って市以上の場合は、市あるいは都道府県段階では政令では七分五厘の頭打ちと、こういうことになるというのが一点ありました。  それから、これは運用の問題でありますが、「予算範囲内で」という問題と、「政令で定める基準」と、予算がきまったら、もう適当にその予算のワク内に押しつけるようにするかということではなくて、定められた政令の基準に基づいて予算をはじき出す、こういうふうな確認もなされております。いまの御質問の点について、まあ一般会計の政令については手を加える必要があるのではないかというのが鈴木先生の御意見のようでございますが、大体一般会計の政令、取り上げる要素は税収ということが一般会計でありますけれども、この場合には営業収入になるのか、料金になるのかこれはわかりませんけれども、大体の一般会計に基づいて、一般会計の政令に基づいていくと、こういうふうに確認されております。まあ、地方公営企業に非常に大きな利子補給があって、そういう点について弱小の地方公営企業は不利になるのではないかと、こういう心配の意見もあったわけでありますけれども、そういう点を一般会計のと改めろと、こういう確認は修正の段階ではいたしておらぬと、こういうふうに記憶しております。
  120. 鈴木壽

    鈴木壽君 あれですか、修正なさった方々の立場としては、さらにあれですか、政令の内容等について話し合いをしてみなければならぬというふうにお考えになっておられますか、その点は。
  121. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) むろん政令の内容については私どものほうでも十分な関心を持っておりますけれども、その政令はどうなるのか確認しなければ法律通せぬぞというような形ではやっておりませんので、先ほど来申し上げました幾つかの確認された点、これを前提としてその政令の基準の内容なり、運用等にあたっては政府当局に一任すると、こういうかっこうになっておるわけです。
  122. 鈴木壽

    鈴木壽君 もちろん、政令を出すのは、これは政府のそれなんでしょうから、それを一々最終的なものまで、この法案の通る前の段階においてきめて、これだから法案を通さないとかなんとかということでやるべきでないことは私もわかっておりますが、これはやはりもう少し政令の出る段階までの問に、あなた方がおやりになった、おつけになった条件といいますか、注文といいますか、意図ですね、これがあらわれているかどうかということの確かめ方だけは、これは私はやっていただきたいと思うのですがね。おそらくこれは当初修正なさろうとした御意図の中には、たとえば六分五厘を三分五厘にするとかというような問題の際には、この政令云々ということはお考えになっておらなかったのではなかろうかと思うのです。政府原案の六分五厘以上、一分五厘を持つというのはいけないので、もう少し政府の持つ補給の率を大きくしようという、こういう御意図であったと思うのです。ところが、場合によっては、こういうことでどういうふうにきまるかまだわからない段階で変なことを言っては悪いですけれども、何か心配し過ぎるような感を受けるかもしれませんが、私は、かえって政府原案よりも少なくもらう団体が出てくるんではなかろうかということまで思うのですよ。まあこれはどういうふうになるか。そこで、いま言ったようなことなんですが、政府自治省のほうにひとつ政令案のいま考えているところをお示しいただきたいと思いますが。
  123. 柴田護

    政府委員柴田護君) 現在大蔵省当局と具体的に話を進めておりますが、先ほど細谷先生からお話しのありました線でこの修正が行なわれます際におきましては、大蔵省と事務的にも話はついております。そういう形で具体的に条文作業なり、あるいは具体的にどれくらいになるかといったような金額を検討し作業を進めているのが現在の段階であります。したがって、ある一定の再建期間が非常に短かくなりそうな団体、そういう団体につきましては、一般会計の場合でもそうでありますが、六分五厘以上ということになるわけであります。その他赤字の額が非常に多うございまして、再建期間が長引いていくに従ってその限度が下がってくる。自動的に下がってくる。それは先生御承知のように、一般会計の場合でも同じであります。比較すべきもの、料金収入を赤字にするか、あるいは営業収入を赤字にするかという問題は、なお現在検討中でございます。しかし、非常に大きな赤字の団体につきましては、もちろん三分五厘までいく、こういうことになろうかと現在では予想されます。
  124. 鈴木壽

    鈴木壽君 あれですか、大体こういうようにしたいという案がまだできておらないということなんですか。
  125. 柴田護

    政府委員柴田護君) 自治省自身では、大体のやり方は、御承知の一般会計のやり方と同じやり方をとっております。ただその場合は、上と下との分母と分子の関係は、片一方は赤字であります。分子が赤字でありまして、分母が料金にするか営業収益にするかという問題が問題として残されている、こういうことであります。
  126. 鈴木壽

    鈴木壽君 この前——この前と言っては悪いけれども財政再建促進特別措置法でのとられたあれは、分子のほうはもちろん赤字額でございますが、分母のほうは道府県の場合には県民税とそれから事業税ですよね。これの二割というものを分母になさいましたね。それから、市町村の場合には市町村民税と固定資産税ですか、これのやはり二割と、こういうものを分母になさった。今度は分母にするやつが料金収入の何割ということになるか、あるいは営業収益の何割になるかということはまだはっきりしておらないということなんですが、これもはっきりしておらないのにどうのこうの言うのもおかしいのですが、いろいろやっぱり考えてみなければいけない問題があると思いまして私は言うのですが。それから、それのうちの何割をもって分母にするのか。それによってさっきの適用される率が変わってきますね。はたして料金収入のかりに一割なら一割、二割なら二割、二割をもってこの赤字を何年間で解消していくことができるかというような考え方に立ってやる場合、その二割であるのか、一割であるのか、一割五分であるのか。あるいは五分をもってするのか。これは企業にとって相当大きな問題ですよね。収入の二割をもって償還に充てるような計画を立てる。その場合の一体企業の受ける、何と言いますか、いろいろの運営のしかた、これは非常に違ってくると思うのですよね。一割でやる場合、場合によっては五分か三分でやってもらいたいというところもあると思うのですよ。これはわがまま言っては際限ありませんけれどもね。そういう率の定め方においても非常に私は今回の赤字再建という問題の場合、単なる赤字再建だけでなしに、一体企業がどうこれから健全にやっていけるかという、そういう目安でもってやらない限り、非常に私は困る問題が出てくると思うわけですね。ですから、そういう点で非常に大事な問題だと思いますから、これはひとつこの問題に関しては修正なされた方々のさっさ申されました意向なり条件——まあ条件ということばは少し悪いけれども、そういうことを十分生かされるような形でやってもらわなければ、単にこれは政令の公布は自治省の権限だとか、国会じゃないのだということでやられては私は困ると思う、この問題に関する限り。こういう修正をしたのですから、修正者の意図によって私はそういう内容がきまってこなければならぬと思うから、その点をひとつ私は注文しておきたいと思いますが、修正者の方もそれから自治省の方もそれに対する考え方をさらにもう一つお聞きしておきたいと思う。
  127. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) まあ修正いたしたわけでありますから、修正の趣旨が十分生かされるように、先ほど申し上げましたこの問題についてのポイントがあるわけでありますから、そういうポイントを十分生かして修正の趣旨がほんとうに生きるように私どもとしても政令には十分な注意と関心を持っておると、こういうことであります。
  128. 柴田護

    政府委員柴田護君) 先ほど細谷先生からお話がありましたような修正の線に沿って政令案を検討し、成案を得たいと考えております。
  129. 鈴木壽

    鈴木壽君 この前の、何べんも出して長くなって恐縮でございますが、財政再建特別措置法によっての、三十一年のあれによってのやつを見ますと、たとえばさっき言ったような分子と分母の関係で数値が出てくる。道府県と市町村に分けて、数値の出方によって、三未満のものはどうする、三以上のものはどうする、こうやっていって、三未満の場合、実際は利子補給をしてもらわなければいけないが、全然出てこないという例があるのですよ。だから、そういうことでは、今回、いわゆる企業の再建を考えるために、その赤字を一体どう処理していくかということを考える場合のやつとしては、私はうまくないと思うんです。ですから私は、できれば政令で定める基準なんという、あとで何となるのかわからないような、これではちょっと心配でありますが、まあしかし、このとおりやるにしても、その点はやはり十分考えていただきたいと思うのです。具体的な例があるのですもの。そうなってくると、政府原案で言ってもらったほうが、一分五厘もらえるという団体も、やれ一分になった、あるいはもっと、なおもらえないというような、私は具体的な企業の赤字なんかつかんでいませんから、言うことが抽象的な話になるけれども、実際に当たってみればそんなことはないかもしれぬ。しかし、数字から出てくるものからしますと、そういうことが出てくるのですね。そういう可能性のある数字を使っているのですから、この場合は。それで、際にもそういう団体がある。ですから、この点は、私、うるさいようでありますけれども、いまのお答えに十分信頼をしておきますし、ぜひ、修正なさった立場においても、そういうことに御留意いただきたい。できれば、もしこれに賛成するとすれば、賛成立場においても、われわれの意見もよく聞いてもらいたいと思うのです。まあ、それはつけ足りでございますから。  私の一応修正者に対するお尋ねはこの程度にしておきます。
  130. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 修正者に一つだけ聞いておきたいと思うのですが、何か、大蔵大臣と話をされて、これを修正することに大蔵大臣も同意を与えたという話でありますが、この点は月曜日にまた鈴木君から大蔵大臣に対して最後的な質問をされ、その意見を聞くことに予定をしているわけであります。その修正者が、大蔵大臣に話をつけていったときには、「政令に定める基準により、」ということばが入っていたのですか。あるいは、大ざっぱに、大蔵大臣はよろしいということで、その後法律のていさいから考えてみても、どうしても「政令で定める基準」というものを入れなければいけないということで、入ったのですか。その辺はどうですか。
  131. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) 修正の話し合いをする際に、財政再建特別措置法という一般会計に適用した法律がありますから、政府原案は、それと違っておりますから、大体財政再建特別措置法にならっていくのが妥当ではないか、こういう考え方が前提としてあった、こういうふうに申し上げてよろしいかと思うのです。修正を煮詰めていく段階におきまして、いまの金利の実情からいって、一般会計の場合は八分五厘ということに頭打ちがなっているわけでありますけれども、最終的には八分となったわけでありますが、その間、七分五厘程度が妥当ではないかというような意見も出ましたし、いろいろな経緯を経まして最終的に大蔵省と合憲に達したといいますか、一般会計先ほど申し上げた財政再建特別措置法にならっていくというたてまえ、そういうことから、最終的にこの字句が原案につけ加えられた、こういういきさつになっております。
  132. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 その際、あれですか、大蔵大臣なり大蔵当局との話し合いで、総ワク原資どの程度ならばよろしいとかいうような話はあったのですか。
  133. 細谷治嘉

    衆議院議員(細谷治嘉君) この問題については、事務段階における折衝というのもかなり行なわれたと記憶しております。そういう事務段階の折衝を経まして、先ほども申し上げました若干の経過も含めてこういう結論になった、こういうことであります。御質問に的確にお答えできておらぬと思いますけれども……。
  134. 松澤兼人

    ○松澤兼人君 もう一つ自治省にお伺いするのですが、その大蔵省との話し合いで、総ワク原資どの程度の範囲内で政令をつくるようにとか、つくってくれとかいうような話はあったのですか。
  135. 柴田護

    政府委員柴田護君) 私どもが、衆議院地方行政委員会の理事の方々から、大蔵省の意向を打診をしてみてくれという話が非公式にありまして、打診をいたしました場合におきましては、さような話はございません。また、大蔵大臣との話し合いは、主として与党の委員の方々がやられたのでございますけれども、その際にそういう話があったとは聞いておりません。それから、そのとき大蔵大臣との話し合いの中には、政令の問題は、基準といいますか、一般会計に準ずるという話し合いは出ておったようでございます。
  136. 鈴木壽

    鈴木壽君 すみませんが、さっきお聞きしたことの中で、一つ気になることがございましたので……。都道府県や指定都市あるいは指定都市以外の市に、利率の八分を七分五厘にという話がございましたね。したがって、金を借りるときは、大蔵省や自治省が、七分五厘で借りられるようにする。それは実際の運営では借りるようにするなり、借りることができるような心配をなさることは当然でしょうが、法律で八分ということでやっておって、政府都道府県は七分五厘だぞというふうなきめ方をする意味であれば、これは私ちょっとおかしいと思うのですがね。そういうことでございましたか。ちょっと私、その点に触れようと思っておって、お尋ねをしなかったのですけれども。  そうしますと、八分のものを七分五厘といって、あるいろいろな数値が出てきて、先ほどの算式から数値が出てきて、その率を八分からマイナスしていって、この団体にはこれだけの補給をする、こうやるべきものを、七分五厘からというようなことになりますと、補給の率が今度変わってくるのです。少なくとも五厘ずつ変わってきますね。それを私は、どうせ実際の具体の適用の場合では、実際の利率は必ずしも八分じゃありませんから、七分五厘にも七分三厘にも、それから出てきた数値をそれから引いていくのですから、実際問題としてたいした心配ないと思いますが、ただ、いまの法律では八分というふうにしておいて、政令では、いや、都道府県なり大都市は七分五厘までだぞというふうなきめ方をする政令それ自体に、ちょっと私納得できないものがあるのですが、そういうことはやはりやるつもりなんですか。
  137. 柴田護

    政府委員柴田護君) これは、私どもはこういうぐあいに聞いております。荒筋は細谷先生からお話があったとおりでございますが、なぜ、それでは市以上は七分五厘にするか。実際、今日の金融情勢では七分五厘から上のものはこういう市には借りるものはありません。町村に参りますると、金融機関等の情勢でそうはいかぬ場合が出てくる。そこで、本来七分五厘ということにしてもらえぬかといったような話がいろいろあったけれども、団体によってはそうはいかぬじゃないかといったようなことから、それでは市以上は七分五厘以上に一応しよう。しかし、七分五厘の場合でも、それでも借りられない場合があるんじゃないか。借りられない場合は借りられるように政府として責任を持って当然努力する。それから、それ以上幾ら上に上げましても金融機関をもうけさすだけであります。したがって、そういうことは無意味じゃないかというのが大蔵大臣の御主張であったわけであります。政令の段階におきまして、両方の団体別にそれを区分けするということは別段差しつかえない、法律的には差しつかえないと、かように考えております。
  138. 鈴木壽

    鈴木壽君 きょうはこれでよろしゅうございます。
  139. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本案に対する本日の審査は、この程度にいたします。次回は、六月二十七日午前十時開会の予定でございます。本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十二分散会      —————・————— 六月二十三日本委員会に左の、案件を付託された。(予備審査のための付託は六月二十一日)  一、風俗営業等取締法の一部を改正する法律案