運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-05-10 第51回国会 参議院 地方行政委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         岸田 幸雄君     理 事                 小林 武治君                 沢田 一精君                 加瀬  完君     委 員                 小柳 牧衞君                 高橋文五郎君                 津島 文治君                 天坊 裕彦君                 中村喜四郎君                 占部 秀男君                 鈴木  壽君                 松澤 兼人君                 松本 賢一君                 林   塩君    政府委員        総理府恩給局長  矢倉 一郎君        自治政務次官   大西 正男君        自治省行政局長  佐久間 彊君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君    説明員        自治省行政局福        利課長      寺本  力君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法  律案衆議院提出)     —————————————
  2. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 林塩

    林塩君 私は、今回提案されておりますところの地方公務員等共済組合法等の一部改正案につきまして質問いたしたいと思いますが、これに関連いたしますところの恩給法にも関連ございますので、恩給局の方にまず最初伺いたいと思います。  で、この戦時中に召集を受けまして、そして陸海軍に軍属として勤務をしておりました日本赤十字社救護員は、この勤務期間恩給対象となっておらないために、国家公務員並びに地方公務員としてその後勤務していたのでございますが、その召集期間中が通算になりませんために、非常に不利な立場に立たされておったのでございます。このことにつきましては、長い間何とか恩給の中にそれを通算したいというようなことで声があったのでございますが、今回政府におかれましてこのことが是正されました。そしてまた、この問題解決のために恩給法の一部が改正されたということにつきましては、時期が少しおそかったという感じはいたしますけれども、政府当局の御努力に対しまして、たいへんに感謝しているものでございます。しかしながら、この法案を見ますと、いろいろ問題点があるのでございます。したがいまして、その問題点につきまして質疑を行ないたいと思います。  まず第一点は、この法案によりますと、日本赤十字社救護員として陸海軍病院等に派遣されていた人たちのことでございますが、その中に「事変地又は戦地」とありますのでございますが、この意味でございます。私の伺いたいのは、内地勤務しております人たちはどういうふうになるか。それからまた、なぜ「事変地又は戦地」と限定されましたか。それについてまず質問をいたします。
  4. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) ただいまの先生の御質問に対してお答え申し上げます。  実は日赤救護員戦時衛生勤務に従事された方々についての恩給通算の問題が、長い間の懸案として御要望のあったところでありますが、まあこの件につきまして、今回の恩給法改正についての法案提出をいたしましたのは、これは事変地または戦地における勤務特殊性考慮しまして、一つ特例措置として、救護員についての通算措置を講ずることが適当であるという判断に到達いたしましたために、この法案改正に持ってまいったわけでございます。  そこで先年の御質問内地勤務ということでありますが、この日赤救護員戦時衛生勤務に従事された方々勤務は、いわゆる当時の特異的な事情から考慮いたしまして、こういう人たちに対する特例的措置をとることが、他の恩給扱いとの関係からいたしましても是認をすることが適切であると考えたわけでございますが、これは内地勤務まで及ぼしますと、内地の他の関係方々との均衡が破れるというふうなことで、この改正措置戦時衛生勤務に限定するということにいたしたわけでございます。
  5. 林塩

    林塩君 これは他の方々との均衡が破れるかどうかということについては、いろいろ問題もあろうかと思うのでございますが、実際におきましての勤務状態考えてみますと、事変並びに、それからまた当時の戦争状態から考えてみますと、内地がいわゆる戦地よりももっと激甚な状態であったと思うわけでございます。それにつきましては、御当局はほかにお考えになったことがございますか。
  6. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに先生の御指摘のごとく、当時の状況からいたしますと、内地における勤務においても、決して平穏な状態でなかったことは事実でございまして、その意味においては、当時はすべての国民がそういう条件に置かれていたというふうにも考えられるわけでございますが、しかし、この戦時衛生勤務についての特例措置考えますというのは、やはり戦時衛生勤務というそういう特異勤務状態が、そういった従軍看護婦あるいは医師等に要求されたことを一応前提といたしまして、さような方々に対する特例措置を講ずることが適切であると判断したわけでございます。
  7. 林塩

    林塩君 お考えになっておられたことはあったと思うのですが、私が考えますのに、内地陸軍病院勤務は非常に長期にわたっております。それからまた激甚であったということです。空襲下における勤務というのは、戦地と変わらないというような状況でございました。内地必ずしも——他内地におりました者としては、それは必ずしも看護婦だけではございませんけれども、しかしながら、長期にわたった勤務であったということ、同じような勤務をしていた人たちには、たとえば陸軍看護婦につきましては、すでにそういうことは文句なく認められているというのでございますのに、日赤救護班であったがために、むしろそれよりも、ずっと陸軍看護婦と同等、あるいはまたそれよりも重要な用事をしておりました人たちでございますのに、そのことが非常に不公平に考えられるという世論もございます。また事実、その後、日赤召集から解除されまして、引き続き国家公務員あるいは地方公務員としてそのまま勤務している人が多いわけでございます。私は特にこの問題については、将来御当局考慮を払っていただきたいと思いますことは、この間に、長年にわたりまして勤務しておりまして、婚期を逸し、そしていま老後保障問題も確立されておらない人が多いわけでございます。長期日赤救護班としての勤務でございますために、その後それが通算されましたならば、年金になりますか恩給になりますか、いずれにいたしましても、多少とも老後保障の問題が確立される人が多いというわけでございますが、それについては、国策としてお考えになったことがあるのかどうか、これも一応伺っておきたいと存じます。
  8. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先生の御指摘のように、確かに日赤救護員であって、当時の内地において病院等における勤務長期勤務であり、その質的な程度においては、それぞれ陸軍看護婦のそれとそれほど大きな差がなかったということも事実でございましょうし、やはりそういう点につきまして、私たち恩給的に、一体恩給対象公務員というものをいかに考えていくことが、恩給制度のあり方として適切であるかというふうなことを、いろいろ判断をいたしてまいっているわけでございますが、御承知のように、恩給法はもともとは実は恩給公務員としての資格を備えた者だけが対象であったわけでございますが、しかし、その後いわゆる背後の社会的、経済的ないろいろな条件の変化に従いまして、恩給法も次第にそういった当初の恩給公務員に限定するという考え方を拡充してまいっているわけでありますが、広げるにあたりましては、おのずからそこにひとつの限界がございまして、そこでそういった限界の引き方をいかにするかということがひとつの課題であるわけでございます。その意味におきまして、現在いろいろな形で恩給公務員そのものでない人たち特例的措置扱いをしておりますのは、それなりのやはり必要な条件というものを設けまして、そうしてその条件を満たす方々にのみそのような措置を講じてまいるというふうなことをいたしておるわけでございます。  しかしながら、先生のいろいろな御質問の点もございますし、私たちはこの恩給制度全体をどのように見直していくべきかということも考慮されなければならないと思いますので、今回実は恩給審議会という審議会方式諮問機関を設けまして、いろいろこれまで提出されている諸課題についての十分なる御審議をお願い申し上げるつもりでおりますが、かような点につきましても、先生のそういうふうな問題点の御指摘もございますので、今後十分に検討してまいりたいというふうに考えます。
  9. 林塩

    林塩君 そのような御答弁をいただきまして、私もたいへんうれしいと思うわけでございますが、この問題と関連いたしまして、看護従事者、ことに日本赤十字社の場合としましては、私もその一人でございますけれども、また戦時中はそういう意味勤務もしておりました者として考えるわけでございますが、この看護聖職である。そうして聖職であるということは、まことに看護従事者みずからは、精神的には非常に満足をして働いているわけでございますが、しかし、あまりに聖職であるという意識を高くいたしまして、そうして、そのためにあまりにも物質的な要求をすることができなかったということでございます。今日そういうようなことに甘えて、そうして看護者みずからが、聖職であるから待遇はどうでもいいというふうな考え方をいたしておりましたために、老後保障問題も考えませず、それから給与も非常に少なくていいという考え方、また、当局といたしましては、それでいいのだという考え方もあったのではないかと思いますが、今日全国的に非常に不足しております看護婦の不足というのも、やはり施策が、ただ聖職であるからそれでいいのじゃないかという考え方にあったのじゃないかと考えます。老後保障もないままに、そうしていずれはどうかしてもらえるのだというよりも、それでいいと、国のために働いたならばそれでいい、人のために働いたならばそれでいいという考え方だけであることが、かえって今日の時代になりますと、老後は非常に貧しいのだ、そうして何にも恵まれないのだ、生活もできないような状態になるのだというような例を残しましたために、看護婦になる人が少なくなってくるということを考えてみますときに、戦時中の赤十字召集者に対しましては、できるだけ恩典を与えてもらいまして、そうして数はそうたくさんないと思います。せめてそういう意味で、他の関係者との関連があると言われましても、特殊なものとして救える道を考えていただきたいわけでございます、資格ができたのでございますれば。  そこで、もう一点伺いたいと思いますことは、内地勤務でありました軍人については、そういう場合はどうなっておりますか、伺いたいわけでございます。
  10. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 軍人につきましては、御承知のように、内地勤務につきましては、当然恩給公務員期間としての普通恩給対象期間として計算されるわけでございます。
  11. 林塩

    林塩君 それについて伺いますが、将来それではこの問題につきまして、内地勤務であった赤十字看護婦救護員につきましても、御当局としましては、事情が許すようになりますれば、拡大してお考えになる御意図があるかどうか、伺っておきたいと思います。
  12. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 先ほど来も申し上げておりますように、現在の段階におきましては、実はただいまこの戦時勤務についての特例措置をちょうど法案として提出しておりますさなかでございまして、したがって、内地勤務についていかように取り扱うべきかというふうな問題につきましては、今後の研究にまたしていただきたいというふうに考えます。
  13. 林塩

    林塩君 次の問題に移りたいと思います。  もう一点、これと関連いたしますが、病院船勤務はどういうふうになりますか、伺います。
  14. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 戦地もしくは事変地において戦時衛生勤務に従事しておられた方々対象とするという意味合いは、ただいま御指摘の、いわゆるこの中身についての考え方の問題でございますが、それを今後は政令の中で定めていくつもりでございますけれども、現在御指摘のいわゆる戦地——あるいはこの点は洋上を含むと考えますが、病院船勤務についても当然この点も対象として含めていくつもりでございます。
  15. 林塩

    林塩君 次に移りたいと思います。  この法案によりますと、退職年金受給権が発生するわけでございますが、調べたところによりますと、これが二十年で打ち切るということになっております。これは恩給局の方よりも地方共済の理事の方に伺ったほうがいいかと思いますが、両方でお答えいただければ幸いだと思いますが、そのようなことでございますか、打ち切りになるかどうか、それについて伺いたいと思います。
  16. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方公務員共済組合法上の取り扱いでございますが、恩給法官吏相当のものと認められます者、言いかえますと婦長以上の看護婦さんでございますが、これにつきましては公務員期間として他の公務員と同様に取り扱うことにいたしております。それから恩給法上は、雇い相当として扱われる普通の看護婦さんの期間でございますが、これは恩給のほうでは公務員期間に入れていないわけでございますが、地方公務員共済組合期間のほうでは、これを資格期間として取り扱ってまいろう、したがいまして、その場合におきましては、その看護婦さんでありました期間通算をいたしまして、初めて年金の発生する期間になるものにつきましては、その期間を見ていこう、こういう考え方でございます。
  17. 林塩

    林塩君 で、資格期間方式でいろいろ計算されるわけでございましょうが、その場合に、年金額計算方法についてはどのようになりますか、伺います。
  18. 寺本力

    説明員寺本力君) 看護婦長さんの場合で申しますと、最短恩給年限共済法のほうで申しますと、最短年金年限に達するまでのものを年金基礎期間として見るわけでございます。それから看護婦さんにつきましては、これは資格期間として、その戦時衛生勤務に服した期間を見るわけでございますので、これは年金計算基礎には入れないわけでありまして、地方公務員として実在職いたしました期間をもって年金基礎期間とみなす、こういうことでございます。
  19. 林塩

    林塩君 そういたしますと、こういうことになるわけでございますか。たとえば十五年になった、地方公務員として勤務している間が十五年、しかし召集期間が五年としますと、それで年金受ける権利ができた、こういうことになるわけでございますね。その場合に十五年をもって計算するわけでございますか。いわゆる減額支給、こういうことになりますか。
  20. 寺本力

    説明員寺本力君) 仰せのとおりでございます。
  21. 林塩

    林塩君 その理由はどういう理由でございますか。せっかく資格ができておりますのに減額支給になりますか、その理由をお願いいたします。
  22. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは他の制度との均衡考えたわけでございます。と申しますのは、恩給法官吏期間として扱われておりますものにつきましては、他の制度におきましてもこれはまるまる見るということになるわけでありますが、雇い相当の場合におきましては、すでに前例のございまする、たとえば満州国勤務した場合でございますとか、あるいは満鉄に勤務された方の場合でございますとか、いずれも雇い相当の分につきましては資格期間として取り扱っておるわけでございます。さらに陸海軍看護婦さんの場合におきましても、雇い相当の分につきましては資格期間として計算する。これはさらに正確に申しますと、そういう雇い相当方々には戦前恩給という制度がございませんでしたので、戦後共済組合年金制度ができたわけでございまするし、そういう制度の沿革も考えまして、さような取り扱いをいたしておるわけでございます。
  23. 林塩

    林塩君 私はちょっとその辺不合理ではないかと思うのでございますが、慣習もあろうかと思いますけれども、資格ができたということは、結局そういう二十年に達したならば、二十年のところで、減額支給ということでなくて、二十年に達したそのときのことでもって二十年の計算がなされるのが、これは理屈じゃないかと思うのでございますけれども、いまの減額支給については現在そういうふうなことをしていらっしゃいますが、訂正されていくという御意思はございませんか、伺います。
  24. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先ほど申し上げましたように、他の制度との振り合いも考えてまいらなければなりませんので、もし先生のおっしゃいましたようなことにいたしますといたしますならば、これは制度全体につきまして考え直していかなければいかぬ、かようなことになりまするので、先ほど恩給局のほうから御答弁がございましたように、恩給審議会などで十分これは検討した上で結論を出していくべきものではないか。現在のところ、私どもとしては、これまでの他の制度なり前例に従って措置をしてまいる以外にはないのではないかと、かように考えております。
  25. 林塩

    林塩君 現在そういうことが常態でございますので、それ以上方法はないとおっしゃられますれば、了承はいたしましたが、将来、せっかくできました資格でございますので、そういうふうに幅を広げて進めていかれるように要望をしたいと思います。  それから、その次に……。
  26. 加瀬完

    加瀬完君 ちょっと関連させていただいてよろしゅうございますか……。  恩給局自治省両方に伺いますがね。日赤看護婦というものは、特殊任務を承認して、それで看護婦を志望して、またそういう任務についておったわけですね。これは一般の看護婦とは性格も、置かれている身分、地位というようなものも違うと思うのですよ。先ほど御説明もありましたがね、たとえば事変地域あるいは戦地従軍勤務をしておった者はこれは対象にした、病院船対象にした。それならば具体的な点で伺いますが、適切ではないかもしれませんが、満州の戦場であった近くの野戦病院看護婦であった者は、これは事変現地看護婦ということになろうと思いますね。それなら大連の衛戌病院看護婦をしておった者は、どういうことになるか。それから九州の福岡なら福岡陸軍病院勤務しておった者は、どういうことになるか。それは現地あるいは現地近く、あるいは現地のやや遠く、内地という違いはありましても、従っておりました仕事内容というものには変わりはないわけですね。それで内地という地域だけで、同じ仕事をしておりながら、結局その対象からはずされるということは、ちょっと不合理のように考えられるのですけれども、この点はどういうことなんですか。  それから原則的には、日赤看護婦、しかも軍関係病院勤務しておった者は、事変現地戦地でないというだけで、今度のような対象からはずしていくということ自体は、原則論からいって、これはもっと考慮の必要があるんじゃないかというように考えられるのですけれども、この点はどうなんですか。
  27. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 実は恩給についての考え方をどういうふうに立てていくかということでございますが、これまで実は恩給法を累次にわたって改正改善を加えております経過を追ってみますと、実は、いま先生の御指摘勤務内容、つまりいかなる仕事ぶり、つとめという、その面についての考慮一つ条件であることは間違いございませんが、その勤務なりその背後条件が、どういう条件の中で勤務したかということで恩給的に措置をいたしておりまして、その点から実は特例措置として、改善の過程の中で、そういう特異条件のあった者を救っていこうじゃないか。その救い方をどういうふうにすれば一番いいだろうかという判断の中で、いまのように戦時あるいは戦地勤務というふうな特異のある期間を指定いたしましたり、地域指定をやったりするというふうなことで実は救済措置を講じてきておりますので、その考え方の適否が問題になれば別でございますが、いままでの制度的変遷というのは、いま申し上げたようなことをよりどころとしながら実は逐次特例措置として改善を加えてきたわけでございます。
  28. 加瀬完

    加瀬完君 その経緯はよくわかっているのですよ。ですから、その地域だけでワクをおさめないで、なぜ任務というもの、あるいは従事しておった仕事内容というもので、もっとワクを広げていけないのか。具体的に申し上げますと、内地でありましても陸軍病院のようなところ、あるいは海軍病院のようなところで、はっきりとこれは公務員と同様な立場で従事しておった者は、これは対象ワクの中に入れてよろしいのじゃないか、入れるべきじゃないか、こう思うわけですが、これを入れない理由は一体どういうことなんですか。特にこれをワクからはずさなければならないというのはどういうことですか。
  29. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) ただいま御指摘の点は、確かにいわゆる仕事内容勤務ぶりというものがどういう状態であったかということは、当然恩給的措置考慮対象の一要件ではございますが、一つの例示を申し上げてみますと、たとえば、理論の上からは確かにおかしいではないかというお考え方が出てくるかもしれない一つの問題は、たとえば、いわゆる恩給公務員として対象にいたしておりますのは、旧来いわゆる恩給公務員としての資格を持った人たち、たとえば当時判任官というふうな官というものがございましたが、この判任官は認めるけれども、たとえば地方吏員というものは認めない。仕事内容からしますと非常に接近しておりますけれども、そういう恩給的措置というのは、御承知のように、そういう長い歴史の積み上げの中で取り上げられておりまして、確かに、たとえばいまの地方吏員期間恩給期間通算していいじゃないかという説があることは御存じのとおりでございますが、ただ恩給的措置のとり方としては、その仕事内容、それからその仕事をするについての置かれた環境条件というものが必然的にそういう勤務を、本人の意思にかかわりなく、ある程度そういう状態に置かれざるを得なかったというような人たち、こういう問題を、一つ限界をきめながら制度化してまいりましたので、必然的に、恩給一つ均衡論の中から生まれておりますので、かような点から、現在までの措置が、いま御主張の点は、確かに勤務ぶりの点からすれば、それなり一つ理由はあろうかと思いますが、措置としてはさような、いわゆる恩給制度の中における均衡の問題として、現在まではいまのような別の扱いになっているわけでございます。
  30. 加瀬完

    加瀬完君 関連でたいへん時間を取りまして恐縮ですが、それはわかりますよ。しかし、いま問題になっておりますのは、局長のおっしゃる恩給対象の職種で十年間なら十年間つとめた。そこでその前の十年なら十年の、先ほど私が指摘申し上げたような業種に従っておったものを、この新しくつとめた十年間に追加をして計算してもらえるかもらえないかという問題になるわけですね。それだけを、いわゆる判任官なら判任官恩給対象にならない地位のものをそのままで恩給にしろということでは、いまは議論はないわけです。新しく恩給対象になる職務に従って、前のを通算すれば恩給支給が受けられる。あるいは退職手当にしても非常に加算されるという場合、前のがゼロということは、局長さんのお話の、それこそ不合理じゃないか。こういう点を共済組合の算定の上で加えるという方法共済組合のほうで考えました場合は、別に御異論は恩給局としてはございませんか。
  31. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) ただいま先生指摘の点は、あるいは共済組合資格期間を認めることについての問題かと存じますが、われわれの恩給局に関する限りは、御承知のように、そういった最短年限までの恩給としての是認をいたしますことは、もともとは恩給公務員そのものではないんだけれども、恩給公務員相当するものとしての一つ救済措置考えようといたしておりますので、したがって、その恩給公務員そのものでないものをどのように見るかということになりますと、自然、私たちといたしましては、恩給の最短年限を認めるという一つ措置として、今回の改善措置考え方をいたしておるのでございます。
  32. 林塩

    林塩君 次に伺いたいと思いますのは、年限の加算の問題でございます。一般には戦地勤務の場合には、一年は四年に見られております。一年勤務をした場合には三年つきまして、一年の勤務が四年になるのでございますが、これは戦地並びに事変地となっておりますので、資格ができた場合に、当然これはやはり一年が四年に加算されてよろしいかと思いますが、この点どうですか。
  33. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 実は戦地における加算を是認いたしておりますのは、恩給法全体をごらんいただきますと、いずれも実は恩給公務員としての在職ということが一つのよりどころになりまして加算を認めておりますので、その意味から、この点について特殊な事例として、いわゆる日赤救護員期間を見ようといたしております関係もございまして、一つは、均衡論に立ちますときに、この加算を認めるというところまで、われわれは考え方を進めることができなかったわけでございます。
  34. 林塩

    林塩君 それで詳細にお伺いしたいのですが、認めることができなかったといいますのは、均衡とございますが、特にこれは戦地事変勤務としてありますならば、その勤務状態から考えまして、やはり一年勤務をしても、それを四年にいかなくても、ある程度の年限として認められるという思想は生まれませんでしたかどうか、伺いたい。
  35. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 確かに先生のお考えの点はわからないわけではございませんが、実は恩給制度全体をながめましたときに、加算年を見ていくということは、やはりこれについては、本質的にそういった恩給公務員であったということから、特別な措置として旧来恩給法の中で加算を考えてきたわけでございますので、したがって、さような点については、確かに広げるということにも必ずしも理由がないわけではないかと思いますが、制度的には、関係のいろいろな均衡という問題が恩給措置一つの柱になっておりますので、さような点から、ここまで考えるということについては、実は今回の改善措置については、いわゆる加算を認めないことによっての措置が、現状においては少なくとも適切であるというふうに考えたわけでございます。
  36. 林塩

    林塩君 やはり戦地事変地勤務というのは相当激務でございます。看護仕事自体がそういう激務であるということが、当局には考えられていないというような思想があるのでないかと思うわけでございます。  それで、もう一つ伺いたいのでございますが、これは全般に通ずることでないかと思います。先ほど加瀬先生も言われましたように、同じような仕事をしているのだと、それから、あるいはそれよりもっと責任の重い仕事をしたかもしれないのにかかわりませず、そういう仕事の面から考えられていないということは、私もしみじみ思うわけでございますが、今回の措置として、御当局のお考えもわからないことはございません。ございませんが、将来におきまして、やはり看護職というものについての勤務、そういう重要さについてものを考えられますときに、考えていただきたいわけでございます。  それで、先ほども申しましたように、看護はたいへん聖職である。聖職でありますから、われわれも考えることでございますけれども、黙ってしていればそれでいいという考え方が過去にずいぶんございまして、当局は、やはり社会は、そういうことについて黙ってしていれば、いつかはそういうことを考えて、適当な措置をしてもらえるものだというふうな甘えた気持ちがあったかもしれませんが、しかし、そういうふうに、当然仕事というものは、それは形をやはり認めて、そうして戦地事変と書いてありまして——他軍人の場合には、これは恩給法からいきますと、それは当然かもしれません。いまのような措置、お考え方からいきますれば、考え方はそれで理屈に合うと思いますけれども、しかし看護そのものについて考えますときに、やはりそれと同じような、あるいはそれ以上に心労であった戦地並びに事変地のそういう看護仕事というものを評価された場合には、ただ機械的にそういうことをしたというのでなくて、その仕事内容そのものも、やはりものを考えられますときに重要な要素として考えて、そうして相当のこれに対する処置を考えるのが私は政治でないかと思うわけでございます。そういう点の考慮が足りませんために、人の命を預かり、あるいはまた自分の身を挺して、そうして傷病者の看護に従事したと、しかも戦地の場合は非常に不自由なところでございますし、もうそれは私がいまさら申し上げるまでもございませんが、将来とも、内地におきましても、いろいろ命を守ったり、あるいは人の傷病の看護をしたりすることはたいへんなお仕事であります。その仕事を評価するという姿勢が国策の上にないものでございますから、いつも適当な措置がされていないということをしみじみ考えるわけでございます。  恩給法の中に今度召集期間というものを通算されましたことは、私は一歩前進であろうと思うのでございますけれども、しかしながら、ここにもやはり看護を軽視しているという思想があります。戦地の場合は、軍人の場合は一年が四年になっておりますのに、看護婦仕事については、それがそのまま通算さえすればそれでいいというお考えもあったように思うのでございますが、この思想がやはりいつでもついて回っているということでございます。現在、看護婦は非常に不足をしております。そうして看護者になる人が少ないということは、その評価をあらゆる面でされていないということの如実な問題であろうかと思うのでございます。  私はここで政府当局に申し上げたいと思いますことは、看護職のあり方自体についてもっともっと真剣にお考えいただいて、価値ある仕事に対しては価値ある評価をしていただきたいと思うのでございます。今回のこの恩給法改正並びに地方公務員共済組合法については、一応ここまで御努力いただいたことには感謝いたしておりますけれども、あらゆるところにそういう看護という職に対するところの評価が正しくされていないという面で申し上げているわけでございますが、そのことをぜひ将来ともお考えいただきまして、加瀬委員も言われましたように、内地におきますところの仕事についても、仕事内容を評価するというたてまえから、この問題もやはりそういう面で将来とも評価をしていただきまして、そしてできるだけ有利にこの幅を広げてもらうようにぜひお願いしたいわけでございます。  そういう意味におきまして考え方を申したわけでございますが、このこと自体がやはり現在、看護婦不足という非常に困った状態が起こっております。医療の上にも、それからまたあらゆる面に、国民の健康保持、福祉の増進の上から看護婦は必要なのでございますが、それが国策の上に反映していないということをあらわしているというふうに思いますので、御考慮をお願い申し上げたいと思うわけでございます。それについて、御無理ではございましょうが、ひとつ御見解をお願いしたいと思います。
  37. 矢倉一郎

    政府委員矢倉一郎君) 実は恩給立場から考えまして、私たち恩給の受給者をどういうふうに考えていくことが最も適切なのかという点につきましては、常に配慮を怠らないつもりでございますが、また先生指摘のごとく、看護婦さんの聖職であり、また現在不足がちになっている状態も、決して私たちもそれに対して無知であるわけではございませんでして、ただ恩給的な措置として考えます場合には、一体いかなる措置をとることが、現在の状態において、制度的にも、また均衡の上においても適切であろうかという判断も、またこれ、われわれの側としては必要な判断の材料になりますので、いま先生の御指摘のごとく、勤務内容それ自体からすれば、確かに戦時における日赤従軍看農婦が、内地勤務であろうとも激しい勤務であったということについては、私たちも十分に考えさせられますし、またこのような点について、今後の制度的なあり方としてはいかようにすることが望ましいのか、これは恩給制度全体の中からながめてみなければならない問題でもございますので、先ほど申し上げましたように、本件につきましては、実は今後の恩給審議会等における審議の場において、かような問題も一つの討議材料にしていただくというふうにつとめてまいりたい、かように考えております。
  38. 林塩

    林塩君 もう一、二点伺いたいと思いますのですが、これは共済組合方々に伺うのが当然かと思いますが、恩給法にも関係がありますので申し上げますが、資格が今回発生したわけでございますけれども、その資格が発生してない前に辞職をしているわけでございます。もし召集期間通算されますならば、当然これは受給権が発生したのでございますが、何しろ長い間の召集期間でございますので、公務員として勤務をしております間に年齢がきまして、そうして公務員としての勤務が十何年間、たとえば十六年なり、あるいは十五年ということになりましたために、年齢に制限がございまして、やめている人がございます。そういう場合には、今回資格が発生いたしました場合に、その通弊がされまして、そうして恩給並びに年金、そういうものがもらえるようになるのかどうか。すでに年限に達していない間にやめてしまった人に対しては、どういう措置をとられますか、伺いたいと思います。
  39. 寺本力

    説明員寺本力君) これは地方公務員共済組合法長期給付に関する施行法で認めております資格期間特例措置と申しますのは、この法律が、地方公務員共済組合法及び施行法が施行されました日現在におきまして、地方公務員として在職いたしておりました者について適用されるわけでございます。したがいまして、それ以前に退職をされた方につきましては、このたびの改正措置が適用されない、そういうことになるわけでございます。
  40. 林塩

    林塩君 私が伺いましたところでは、何らかの措置がとられるのではないか、実はこのことがたいへんに問題になっております。それで、せっかく受給権が発生しておりますのに、やめてしまった人については——現在そういう人がたくさんいるわけでございます。その通算をされました場合には、少なくともある程度の年金受給権ができるのに、もうそういうことができないものとして、やめてしまって、一時金か何かもらいまして、そうしてやめた人たち老後保障の問題というのが起こっておりますが、これについては、やめたのは権利はないわけでございますか、そういうようなお取り扱いになるわけでございますか、念のために伺いたいと思います。
  41. 寺本力

    説明員寺本力君) 先ほど申し上げましたように、この施行法の上では更新組合員ということばを用いておりますが、法施行日現在におきまして、地方公務員として在勤いたしておりました者、この者につきましての期間通算の特例を認めておるわけでございまして、それ以前に退職されました方につきましては、今回の措置の適用はないということになるわけでございます。ただ更新組合員として在職しておられました方につきましては、恩給法改正措置に伴いまして、年額の改定がそのつど行なわれてまいります。こういうことになるわけでございます。
  42. 林塩

    林塩君 じゃあ、もう一点伺いますが、現在それでは恩給並びに共済組合法によります年金受給権が発生するであろうという人は、どれくらい数があるものでございますか。
  43. 寺本力

    説明員寺本力君) 地方公務員関係につきましては、従軍看護婦で、召集解除後地方公共団体に勤務しております者の総数が百十七人でございます。そのうち恩給公務員相当婦長さんが二人、こういう調査になっております。これは昭和三十九年の二月末現在での数字でございます。
  44. 林塩

    林塩君 それよりも数がふえるという見込みはあるのでございますか。
  45. 寺本力

    説明員寺本力君) その数字は、実は日本赤十字社のほうの御調査になりました数字を用いておりますので、その後御調査が進んでおりますれば、あるいは若干の異同はあろうかと存じます。大体この辺の数字であろうかと思います。
  46. 林塩

    林塩君 もう一点伺いたいと思います。といいますのは、法的なことにつきまして案外無関心でもって、権利ができているのにそのままになってしまっている。そうして民間にありまして、わりあいに不幸に過ごしている人もあると思うのでございますが、そういうことにつきまして、これはもうこの法律ができますれば、団体も赤十字支部もおそらく努力をすると思いますが、これについて政府として、どのようなPRをお考えになっておられますか、伺います。
  47. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 政府といたしましては、それぞれ関係機関がこの趣旨を関係地方公共団体あるいは関係の団体に連絡をいたしまして、趣旨の徹底を期してまいるつもりでございます。  私どものほうだけに限って申し上げますと、府県、市町村に勤務をされておる方が対象になるわけでございますので、この趣旨を通達といたしまして都道府県知事に流しまして、各都道府県知事が関係市町村にも流すということにいたしております。なお、趣旨につきましていろいろ異議のあります場合につきましては、それぞれ関係者に適当な連絡をいたすという措置を従来とってまいりましたので、今回もさような措置をとるつもりでございます。
  48. 林塩

    林塩君 せっかく政府におかれましてはそういう前向きな姿勢でこの問題を解決していこうとしての法律の提案でございますので、この趣旨が徹底いたしますように、そして国としてもやはりこういうこまかいところに気をつけてしているのであるというふうな考え方を、ぜひ看護関係者には知らせてもらうようにお願いをしたいわけでございます。もちろん団体も、それぞれの関係のところもいたしますが、ぜひお願いしたいと思います。  なお、これはもうめんどくさいことであるからというふうにお考えいただかないで、過去のことではございますけれども、現在にも将来にもつながる問題でございますので、看護業務の推進のために、看護職の福祉はひいては国民の福祉でございますので、そういう思想をお持ちになりまして、積極的にそういうものについての宣伝をお願いすると同時に、取り扱いもやはり親切にしていただきますように、なお御当局にお願いは、この機会にもっと、さらにこういう法律を前向きの姿勢で開発していただきまして、看護従事者がよくなっていきますように、ますます御努力をお願いしたい、こういうことを申し上げまして、私の質問を終わります。
  49. 占部秀男

    ○占部秀男君 佐久間局長に、この改正案のうち第七十四条の二、年金額の改定の問題についてお伺いをしたいんですが、この前総括的にお伺いをしたときに、一応趣旨の問題についての説明をいただいたわけでありますが、この年金額の改定が行なわれるということは、これはもちろん悪いことじゃない、いいことであり、一歩前進であるとわれわれは思っておるんですが、この内応について少しくこまかく具体的にお伺いをしたいと思うんです。  というのは、この七十四条の二は、「この法律による年金である給付の額については、国民の生活水準、地方公務員の給与、物価その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情を総合勘案して、すみやかに改定の措置を講ずるものとする。」、こういう、ちょっと見れば精神規定のような形でつくられておるんですが、いずれにしても、この中に地方公務員の給与ということが入っておるんですが、どうも地方公務員の給与ということばの内容がちょっと私にはわからない。というのは、この年金基礎計算になる地方公務員の本俸、これは給与の中の一つですが、これが変動すれば、これはもう当然年金額の改定が行なわれるわけなんで、改定というか、これは変動すれば、それに応じた年金額がもらえるわけなんで、特にこれを入れたということは、これは何かベースアップという形のことを考えての、ベースアップというか、一般の給与の引き上げということの場合を考えての考え方でありますかどうか、お伺いしたいと思います。
  50. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生のおっしゃいますように、地方公務員のベースアップが行なわれました場合に、すでにその前に退職をいたして、年金の受給を受けております方々は、退職時の給与が基準になって年金支給されておりますが、そのために、従来とも前にやめた方ほど年金が不利になるというような声もあったわけでございますが、この規定はそういう意味で、地方公務員の給与につきましてベースアップが行なわれました場合を一つ考慮しなければならぬ要素として掲げた趣旨でございます。
  51. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこでこの改正案では、国民の生活水準と地方公務員の給与、物価その他の諸事情、これらが「著しい変動が生じた場合には、」としてあるのですが、これはひとつ、言い方はおかしいのですけれども、これらの条件をセットとして考えて、そしてその年金額の改定の措置を講ずるようにするのか、あるいはまたその一つ一つ年金額の改定のいわば事情といいますか条件といいますか、そういうものになるのか、その点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
  52. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ここに掲げてございます国民の生活水準あるいは地方公務員の給与、物価にいたしましても、いずれも相互に関連し合って変動が起こるものと考えられるのでございます。したがいまして、具体的に年金給付の額をどう改定するかということを考えます場合には、これらの諸事情を全体といたしまして総合勘案して検討をする、かような趣旨でございます。
  53. 占部秀男

    ○占部秀男君 一般的なお答えとしてはそれでけっこうだと思うのですが、しかしそれだけでは私は足りないと思うのです。というのは、この物価が相当上がったと、しかし、たとえば地方財政なら地方財政の窮迫のような場合が起きて、物価が上がったけれども地方公務員の給与は財政事情から——これは将来の問題ですから、そういうことがあるとかないとかいえませんけれども、財政事情から相当制約されるような問題が起こったときには、いま言った一般的、総合的な考え方の範疇の中にはどうもそれが入らないような気がするのですがね。やはりこの地方公務員の給与のベースアップというだけでなく、物価その他の諸事情に著しい変動がある場合は、これはやはり一つのファクトとして、そのもの、それ自身を取り上げる必要があるのじゃないか。これは率直にいえば、地方公務員の給与は国家公務員に準ずるということで、いままで結局は物価が上がれば、例の国公の情勢適応の原則があって、そして国家公務員の給与が上がる、そうするとこれも上がるのだから心配ないのじゃないか。結局は国公と地公という関係で、物価とのバランスの上から心配ないじゃないかというふうに一応はわれわれも了承はするのですけれども、そういう場合がなきにしもあらずだと思うのですがね、ぼくは。やはり三つのこの条件、一応具体的にここに出されておる三つのこの関係というものは、相互関連は持つけれども、そのうちのいずれかの条件がそういうようになった場合には、やはり考えていかなければならぬのだ、こういうような考え方があってしかるべきではないかと思うのですけれども、その点はいかがでございますか。
  54. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 先生がおっしゃいますような場合、これはまあ頭の中で考えますと、そういうような極端な異例の事態というものも考えられぬことはないかと思いますけれども、通常は後段でおっしゃいましたように、そういうことはないので、国民の生活の水準なり物価その他が著しい変動があります際には、公務員の給与につきましても、国・地方を通じまして適当な額に改定が行なわれると、こういうことでございまするので、私どもも、これは常識的に考えてみまして、先ほど申し上げましたように、いずれも相関連して変動が起こるものでございまするし、それらの変動を総合勘案して改定の措置を講ずるように、かようにすらっと考えておるわけでございます。
  55. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると、この趣旨の基本は、結局、物価が変動して地方公務員のベースアップがあると、それをまあ具体的にいえば基準にして、激動というか、変動の著しい場合にはスライドをしていこうじゃないかと、こういうことに簡潔にいえばとっていいわけでありますか、この点はいかがです。
  56. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方公務員の給与が、国民の生活水準なり物価その他の諸事情を十分考慮した上できめられるというのが通常の状態でございまするので、そういうことから考えてみますと、先生のおっしゃいますようなことに、きわめて端的に申しますとなろうかと思いますが、この文章は、むろんそれだけを言うとるわけではございませんで、何ぶんにも長い期間にわたって退職した方々全体を対象にして考えるわけでございまするので、必ずしも公務員の給与だけじゃなくて、その他の事情も総合的に勘案をしていくと、こういう趣旨でございます。
  57. 占部秀男

    ○占部秀男君 非常にいい御答弁をいただいてけっこうだと思うんですが、そこで、いま局長が言われたような御答弁ですと、もう一歩私は聞きたいことがあるんですが、それは、給与の問題と年金の問題では、これはもらう金の性格が率直にいって違うわけですな。違うけれども、生活保障の問題としては、これは共通の問題になってるんですね。そこで、この年金の額の改定ということ自体が老後の生活保障の問題になる。こういうような観点から考えまして、国公の給与の情勢適応の原則ですか、あれは何条でございましたかな、国家公務員法の。それには、物価の変動が五%以上のときには人事院は勧告をしなければならない、こういうようなぐあいになっていたわけです。そこで、この問題をほんとうにこうやっていくような場合に、特にいま局長の言われたように、ベース改定の問題だけでなく、いろいろな問題も含めてある程度考えるということになると、そうした点についての何か——これは給与ですから、ベースアップというものの基準を物価に求めるのはいいんですけれども、年金の場合には、たとえばベースが何%上がったときには、やはり年金の改定をしなきゃならぬじゃないかというふうに、この給与の改定と年金の改定、これの間の基準的なものをこの中に入れるべきが私は至当ではないかと、こういうふうに思うんですが、その点はいかがでございますか。
  58. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) だんだんとこの研究が進んでまいりますと、あるべき年金の額と給与の額との関係、それと物価との関係ということにつきまして、おっしゃいますような一つの基準というものがつくられるということも考えられるかもしれないと存じますが、何ぶんにも現在のところにおきましては、そこまで政府部内におきましても、この規定の適用につきまして、掘り下げた検討が進んでいない実情でございます。  従来、年金のスライド制について何か法律の中にはっきりした規定を設けるべきだという御要望が非常に強かったわけでございますが、とにもかくにも、今回そういう御要望の趣旨、また本院における附帯決議の趣旨をくんで、とにかくここに、抽象的ではございますが、一つの規定を設けたということでございまして、この規定の具体的な運用につきましては、地方公務員共済組合だけでもきめかねる点もございまするし、他の年金全体に通ずる共通の問題も多かろうと思いますので、今後の問題といたしまして、私どもとしても、先生のいまおっしゃいました点も一つの研究課題として含めまして検討をさしていただきたい、かように考えておる次第でございます。
  59. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうしますと、この年金額の改定なり、この改正内容の問題について、あとでこの問題をどうするかという問題にも関連してくることになるのですが、私の言ったような問題点も、あとの問題として、当然やはり検討していかなきゃならぬと、こういうふうにお考えになっておると了承してよろしゅうございますか。
  60. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) まあはっきり数字で、何%物価が上がった場合にどういうふうになっていくかということまでは、これはなかなかむずかしい問題だと思います。しかし、この物価と公務員の給与、それと年金の改定の措置との関係、そういうものを具体的にどういう目安でもって今後考えていくかということにつきましては、私どもとしては、ぜひ今後検討をしていかなゃならぬ問題だと、かように考えております。
  61. 占部秀男

    ○占部秀男君 まあ、いまの御答弁でいいわけなんですが、ぼくの言ったことは、もっと端的に言っておるんですよ。つまり給与そのものの、たとえば本俸そのものの引き上げ、こういう問題は、物価の上昇ということに対応して国家公務員法では、五%以上物価が上がった場合には給与の引き上げの勧告をするように人事院として義務づけられているわけですがね。ぼくの言うのは、物価の問題ではなくて、それと同じような共通した性格のものになるかもしれませんけれども、これは年金なんですから、いわゆる本俸的な給与ではないわけですから、したがって本俸的な給与、ベースアップというものが、たとえば五%なりあるいは一〇%なり、二〇%なりベースが上がった、こういう場合には、年金なら年金もやはり上げるようにしていかなくちゃならぬじゃないかという、そういう基準、つまり給与ベースと年金と、こういう形で、物価とは別に何かそういうようなことを考えてもらえないかということを言ったわけなんですがね、そういう点の検討の問題なんです。
  62. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは関係機関と連絡会議を持って、この法律が成立いたしましたあとは、だんだんと検討を進めていくつもりでございますが、いまおっしゃいましたことを、私自身といたしましては、当然、検討の課題とすべきものと考えております。
  63. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、この問題の最後にお聞きしたいことは、いま言われたあとの問題なんですが、これは政府部内の事情も私もわからないわけじゃないですから、そうむやみなことをここでお聞きしようとは思わないのです。ただ一応こういう規定が、大まかではあるけれども、できたということは、これはもう非常な私は前進だと思うのです。そこで、この肉づけをしてもらわなくちゃならぬわけですが、これができたらできたなりに、そのまま当面ほうっておかれたんでは、この法律の意義がないんだし、それからいま政府のほうで、せっかく物価の上昇を押えるいろいろな諸施策をされておる、こういう点についての努力はわれわれも多としておりますが、遺憾ながら物価というものは当面上がっていく見込みで、これを阻止できるという具体的な条件がまだないわけです。そうすると、少なくともこの問題は、近い将来にはどういうふうな形になるかわからぬけれども、十分であるか不十分であるかは別として、発効できるように、具体的に発動できるようにやはりしておかなくてはならない。そのためには、そう長いことこの問題の具体化についての措置といいますか、それをほうっておかれたんでは、これは率直に言って、いまの地方公務員——これはだれでもそうですけれども、生活の上からいって非常に困るし、また年金がこういうふうな法律上相互扶助の形で、恩給とは違った形の年金制度が、雇用関係における年金制度ができたという、そうした意味の上からいっても、ぼくはそれは本意でないことではないかと思うのです。そこで、いま局長のほうにあまりきちんときまったことをお伺いしようとは思わないんですけれども、おおよそ、どういうようなところをめどにして、どういう機関でこういう問題を研究して、ほぼいつごろ——といっても来年とか、あるいは何月とかいうことは言えないでしょうけれども、いつごろにこういう問題を具体化するような方向で自治省としては問題の研究に当たってもらえるのか。そういう点は、おそらくこの法律案が通ると、地方公務員並びに、何といいますか、この法律ができて以降やめられた方々、こういう人の一つの大きな的になると思うのです。そこで、そういうふうな見通しについて、きょうは無理なことは聞きませんから、局長のほうから、考えられ、言い得る程度のことをひとつお話し願いたいと思います。
  64. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) この規定の適用につきましては、恩給局関係がございます。それからまた、国家公務員共済組合関係で大蔵省の関係もございますし、また地方公務員共済組合については私どもというふうに、関係省庁がたくさんございますので、この関係省庁の間でこの年金問題につきまして、現在連絡協議会をつくっております。そこで法律が成立いたしました暁におきましては、それらの連絡協議会におきまして、まず相互の検討を始めていくことになろうかと考えております。  なお、地方公務員だけにつきましては、自治大臣の諮問機関といたしまして、地方公務員共済組合審議会というものがございまして、これは政府機関、また使用者あるいは職員団体側、学識経験者、各方面の代表者で構成をされて、地方公務員共済組合制度につきまして、重要な問題についてはいろいろと御意見を伺ってきておりますが、そこでもひとつさっそく研究を始めていただこう、かように考えております。  それで、御承知のように、現在恩給のベースがたしか二万四、五千円ぐらいのベースになっておりますが、公務員の給与ベースからいたしますと、何年かおくれております。これを一挙に改善をするということになりますと、相当財政負担も伴う問題でもございまするし、その辺のところは、財政当局にはまた財政当局としてのお考えもあろうかと思いますし、それらの点も最終的には考慮いたさなければならぬかと思いますが、私どもといたしましては、とにかくこういうスライド制の趣旨が法文に明記をされるということになりますれば、できるだけその規定の趣旨に沿うて、これが具体的な適用につきましては十分努力をしてまいりたい、かような考えでいるわけでございます。
  65. 占部秀男

    ○占部秀男君 いま局長の言われた政府側の連絡協議会、さらには地共済の審議会、これは組合のほうも入っている審議会ですね。ここでそうした点について検討するという方向については、これは私は非常にありがたいことだと思うんですが、具体的にはやはりこの法律案が通れば、直ちにという言い方はおかしいんですが、速急な形でやはりこの問題についてこの連絡協議会なり、地共済の審議会に諮問するかどうかは別にして、問題として論議してもらう、こういうことになるわけですな。
  66. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのように考えております。
  67. 占部秀男

    ○占部秀男君 じゃ、この点はこのくらいにしておきたいと思います。  それからもう一つお伺いしたいことは、今度の改正案では、公務員に復帰した職員についての通算措置が行なわれているわけですね。この通算の問題はかねてからの問題であります。通算問題がここに具体化したということは、非常にわれわれもまた一歩前進である、かように考えているわけですが、そこでこの問題は百四十四条の二の諸規定に具体的にはなると思うんですが、そういうことでございますな。
  68. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) さようでございます。
  69. 占部秀男

    ○占部秀男君 ちょっとすみません。その前にもう一つ年金の改定について聞いておかなければならぬ問題があったんですが、それを先にひとつ。それは改正案の百五十八条の二には、同じ年金額の改定の問題で、共済会の行なう年金についてのこの問題があるわけなんですが、これは具体的にはどういうことになりますか。
  70. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは地方議会の議員の年金の問題でございますが、地方議会の議員の年金につきましては、公務員年金制度上たてまえが異なっております。これは、御承知のように、互助年金でございまして、原則としてはお互いの掛金でまかなっていこう、こういうような趣旨でございます。そこで、公務員の場合のように、公務員のベースアップが行なわれたから直ちに議員の年金の改定を行なうといったような関係考えられないわけでございます。しかしながら、この議員の互助年金にいたしましても、これが退職後の生活保障一つでございますので、これにつきましても、国民の生活水準、その他の諸事情に著しい変動が生じました場合には改定の措置を講ずるようにしていかなければならぬ、かような趣旨をここにうたうことにいたしました次第でございまして、字句の上に若干の違いがございまするのは、先ほど申しましたような、制度のたてまえが幾ぶん違っておりますからでございます。
  71. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると具体的にお伺いいたしますが、地方議員の年金の問題は、結局各地方議会の条例事項になっておるわけです。具体的には条例で、たとえば東京都の都議会議員の年金についてやはり都条例でその規定をいたしますわな、していないですか、その点ひとつ。
  72. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方議会の議員の年金につきましては、地方公務員共済組合法ができました際に、従来の規定をこの中に吸収をいたしまして、そして全国を通じまして地方議会の議員については強制適用にいたしました。で都道府県議会の議員につきましては都道府県議会議員の共済会をつくりまして、全国一本に年金を行なう。それから市議会議員につきましても、市議会議員の共済会をつくりまして、これも全国一本にしており、町村議会につきましても町村議員の共済会をつくりまして、全国一本にしてございます。かようなたてまえにいたしておる次第でございます。
  73. 占部秀男

    ○占部秀男君 そこで、いま地方公務員のほうはある程度の基準的な問題が各省間あるいはまた地共済の審議会、こういうところで検討はできるわけですが、議会の場合には具体的なことになりますと、これは非常にむずかしいいろいろな問題があると思うのですが、たとえば各県会議長会とか、あるいはまた個々の地方議会でスライドをしたいというような要望あるいは決議というのですか、そういうものがあった場合は、結局それを取り上げることができるような法的な基礎というものをこの中に置いたというふうにこれを解釈してもよろしいのでございますか。それをそのまま、決議なら決議に基づいて年金額を上げろと、こういう意味じゃありませんよ。ただこういう規定はあるけれども、公務員の場合と違って、規定があるだけ、これは率直に言えば、いまの地方議員の年金制度の上からいくと、そのままになってしまうじゃないかという感じがするものですから、つまり下からと申しますか、具体的なそういう県議会なり市議会なりという当該の利益を受ける団体、そういうようなところからの決議とか、あるいは何とかというものが取り上げられ、そしてそこで検討されるのだというような、そういうようなことも方法としては考えておるかどうか、こういう点をひとつお伺いしたい。
  74. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 地方議会議員の年金制度につきましては、先ほど申しましたように、都道府県、市、町村ごとにそれぞれ共済会がございまして、そこで定款でもって所要の事項を決定するたてまえになっております。で、これは実際は都道府県議会議員共済会は都道府県議長会の中にございます。それから市議会議員共済会は市議会議長会の中にございますし、町村議会議員共済会は町村議長会の中にございまして、その代議員もそれぞれ各議長会の役員の方が代議員になっておりまして、そこで御相談をしてきめるたてまえになっておりますので、ただいまお話のありましたように、ある議会で改定をしたという要望がございました場合には、議長会を通じて、さらにまた代議員会を通じて自主的に相談をされる、かようなことになっております。もちろんこの掛け金を幾らにするかということにつきましては、自治大臣の認可も要るということになっておりまするので、まあ三議長会相互間あるいはまた公務員共済組合との間の均衡というようなものは、自治省で適当な指導をしていくという考えでございます。  ただこのような規定が入りましたので、私どもといたしましては、各共済会につきましても、できるだけこの規定の趣旨に沿うて今後の運営が行なわれてまいりますように適当な指導はいたしてまいりたいと考えております。
  75. 占部秀男

    ○占部秀男君 それで先ほどの通算の問題に返りたいと思うのですが、まず通算という問題がこうだんだんはっきりしたのですから、この際私ははっきりしておきたいと思うのは、百四十四条の二に書かれた団体職員、この団体職員という団体は、どういうものであるか、具体的にひとつはっきりさしておいてもらいたいと思うんです。
  76. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) これは法律に掲げてございますが、おもなものはいわゆる地方六団体、それから国民健康保険団体連合会、これらがおもなものでございます。そのほか地方公共団体の行なう業務と密接な関係を持って運営されておりまする、たとえば全国公営住宅共済会でございますとか、都市健康保険組合でございますとか、水害予防組合とかというような諸団体でございます。
  77. 占部秀男

    ○占部秀男君 今度の改正では、これは私の解釈の違いかもしれませんが、地方公務員であったと、それが今度は団体職員になるために一応退職をしたと、その退職をした者が六十日以内に組合員期間通算の問題についての希望の申し出をした場合に、通算という、何と申しますか、事実が——事実というか、この法の法文が発生すると、こういううふうに規定されておると思うのですが、そういうふうな形ですか。そうして結局は地方公務員に復帰したときに具体的には通算措置がとれるんだと、こういうことになるわけですね。
  78. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) そのとおりでございます。
  79. 占部秀男

    ○占部秀男君 そうすると、これは地方公務員から団体職員になり、団体職員から地方公務員に復帰したと、こういう場合に通算になったということは、これはもちろん悪いことじゃない、非常にいいことだと思うのですが、何かどうもそれだけでは、せっかくそういう問題を扱った趣旨がどうも中途はんぱのような私は感じがするんですね。一応地方公務員から団体職員になって、たとえそのあとで地方公務員に再び復帰したとしても、地方公務員から団体職員になった、その団体職員になった期間は、これは通算されるわけなんですから、したがって当然筋からいって、地方公務員であったんで、ある程度地方公務員としての仕事をしてきたと、ある程度というか、ある期間ですね、してきたと、それが今度は団体職員になったという場合に、団体職員でやめたという場合にも、これは当然通算をさせるべきではないだろうか。私はそう思うのですが、ひとつの筋でいけば、地方公務員、団体職員、今度また地方公務員、これはいずれにもつながっておる。ところが、つながっておるのだけれども、今度のこの法律改正では、この団体職員のところで切れた者は全部つながっていないということになるわけですね。これは、筋としては、ぼくは非常におかしいと思うのですがね。地方公務員から団体職員になった、一たん退職してなったのですから、それがまた復帰したのですから。したがって、地方公務員で退職して団体職員になってやめたという場合にも、これは当然通算するのが私は筋じゃないかというふうに考えるのですが、その点はいかがなものですか。
  80. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) その点も、私どもといたしましても、立案の過程におきまして、いろいろ検討はいたしたのでございます。ただ、現行制度のたてまえと申しますか、そういうことのいい悪いは、またいろいろ御議論があろうと思いますが、共済組合公務員だけを対象にいたしておるわけでございます。そこで、公務員対象にいたしました共済組合と、それから公務員でない者を対象にいたしましたものの共済組合との間におきましては、通算を認めないというのが現在の制度のたてまえになっておるわけでございます。  そこで、具体的に例をあげますと、公務員共済組合と公共企業体共済組合との間、あるいは公立学校職員の共済組合と私立学校職員の共済組合との間、あるいはまた公務員共済組合と農林漁業団体の共済組合との間と、まあいろいろあるわけでございますが、それらの間におきましても、たてまえとしては相互に通算は認めないということになっておるわけでございます。そこで、通算を団体職員共済組合地方公務員共済組合との間において認めるということは、現行制度の上では、一つの特例をここに設けることになるわけでございます。そこで、全体の基本のたてまえにはそう大きな変動を与えないで、しかも、団体共済と地方公務員共済との間の通算をしてほしいという御希望に沿い得るには、どういう形が考えられるかということで検討をいたしました結果、ここに御提案いたしておりますように、公務員から団体職員になって、そうしてまた公務員に帰ってきたという場合だけは認めてはどうだろうか。俗に公庫公団方式と申しておりますが、公務員が公庫、公団に参りまして、そうしてまた公務員に帰ってまいりました場合に、現在こういう通算措置が認められておるわけでございます。これはまあ前例もあることでもございまするので、この例にならって特例を設けることにいたした次第でございます。  なお、それ以外の先生のおっしゃいますような場合について、すべて通算を認めるということになりますと、特に公務員から団体にいって、団体でやめたという場合に認めるということになりますと、団体における費用負担というようなものも相当大きな額になるようでございまするし、いろいろ難点もございまするので、私どもの案といたしましては、この公庫公団方式ということで御提案を申し上げた次第でございます。
  81. 占部秀男

    ○占部秀男君 一応、局長のいまの御答弁は、筋として私はわからない点が——全部わからないということじゃないのですけれども、この公務員だけを対象とした地方公務員共済組合法である、そういう点について今度特例を設けた。その特例をなぜ設けたかという問題なんです。その特例を設けたということは、公務員とほんとうの民間と、一般というような形じゃなくて、やはり地方公共団体に直接関係する団体関係、こういうことに限定されておるわけですね。その限定されておるということを一つの範囲として特例が設けられておる。こういう以上は、やはり限定の範囲内にあるものについては、単に公務員から団体職員、あるいは公務員に帰った場合であるというふうに、ぼくは、それを何というのですか、狭くそれを規定づける必要はないと思う。少なくとも、この場合に特例の設けられた性格、特例の性格自体が、一般的な方向まで無制限に開放したのじゃなくて、直接地方公共団体の関係のある団体職員ということに限定した以上は、その限定された範囲内では相互に、相互というか、何というか、年金をもらうポイントをどこへ置いても、これは筋として私は通るのじゃないか、こういうふうに思うのですがね。その点はいかがでございまょう。
  82. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私どもも、団体職員と地方公務員との間におきましては、御指摘になりましたような職務の上からの密接な関係というものがあると思いますし、あればこそこの団体職員の共済組合という特別の制度も設けていただいておる次第でございます。しかし、密接な関係はございまするけれども、とにかく公務員ではないということになりますので、他の、先ほどあげましたような諸制度との関連を、政府立場といたしましては、全体としてやはり考えてみなければならない、こういうようなことでございまして、かような御提案を申し上げた次第でございます。
  83. 占部秀男

    ○占部秀男君 ぼくはこの場合、食い下がるわけではないのですが、たとえば公立学校の場合と私立学校の場合との関連の問題と、この問題は性格が違うと思うのですよ。たとえば同じ鉄道でも、バス、電車でも、地方公営企業体の場合と民間の電車、バスの場合とでは、こういう問題を論ずる場合には性格が違う。それと同じように、やはり公立と私立とではぼくは違うと思うのですね、それと同じように。ところがこの場合はそれとは違うのじゃないですか。率直に言って、やはり一つ地方公共団体、そうして地方公共団体の職員と地方公共団体に直結の団体職員と、こういうことで、公立学校と私立学校の場合とは私は違うと思うのです。  そこで、あとの職員になった期間の問題を、これを全然いままでのような形でシャットアウトしてきた場合に、その場合はまた問題が私は別だと思うのです。少なくとも地方公共団体に直結する団体職員の場合は特例として認めた以上は、その範囲というものは、これは地方公務員共済組合法の適用範囲である、こうしなければ筋が私は通らぬと思うのです。そうでしょう。つまり、地方公共団体から団体職員になったこの間というものは、これはもう地方公務員共済組合法の適用範囲である、こういうことになるわけでしょう、ここでは。そういうことになるのでしょう。適用範囲ということになるのでしょう。そうした場合には、やはり地方公務員から団体職員、そうして地方公務員に帰った場合はもちろんだけれども、地方公務員から団体職員になり、その団体職員でやめた場合でも、これはその適用範囲に入っていると、そういう特例的な性格であるということに性格をつけなければ、この改正というものは中途はんぱな改正である、私はこういうふうに思うのですが、これは局長もぼくと同じような考え方で、いろいろな事情答弁は言われておると思うのですけれども、答弁がしにくければ、答弁をここのところ強制しようとは思いませんけれども、ぼくはそれが筋じゃないかと思うのですが、その点局長いかがですか。
  84. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) ちょっとおことばの中なんでございますが、適用範囲というおことばがございましたが、団体職員の共済組合地方公務員共済組合法の中に規定はいたしておりますが、ただ、制度といたしましては、地方公務員共済組合とは一応別個な制度だと、むろんこの給付の内容両方同様な内容に規定をいたしております。しかし、一つの法律の中に規定をいたしておりますことがあらわしておりますように、相互に密接な関係のある団体であるということは御説のとおりでございます。でございまするので、私どもも特例として通算措置考えようということに踏み切った次第でございます。他の類似の公務員の組合と団体の組合との関係とそれぞれ似ている、似ていないということは、いろいろな御議論もあろうかと思います。ただ、かりに全部完全な通算を認めるといたしました場合におきましても、人事交流の実態から考えてみますと、公務員から団体へいって、団体でやめるという者が非常に多くなるのじゃないか。そういたしますと、退職時の給与が年金支給の基準になるわけでございまするから、どうしても団体の費用負担というものが大きな問題になってくる。将来の追加費用ということまで考えてみますると非常に、わずか五千人ばかりの団体共済組合としての財政負担の点から考えれば、とてもこの実現はむずかしいことじゃないか。そのたてまえは別といたしましても、そういう難点もございましたしいたしましたので、私どもとしては、この方式で御審議をいただくということにいたした次第でございます。
  85. 占部秀男

    ○占部秀男君 どうもそういうふうに言われると、今度はぼくのほうで承服できないのですが、しりをまくるわけじゃないのですが、承服できないのです。というのは、一つの法律の中で扱われておるということは、これは私も知っておるわけです。ただ、一つの法律の中で扱われておっても、扱いは別々になっておるわけです。その別々になっておるやつを一応橋をかけたのでしょう、今度。橋をかけた以上はその橋の中で、ポイントは、公務員から団体職員あるいは公務員に帰ろうと、公務員から団体職員で終わろうと、これは橋をかけた以上は、そういう場合は一緒の扱いをすべきじゃないかというのがぼくは筋じゃないかと思うのです。これは水かけ論に、理論闘争みたいになるから、ぼくはここでこれはひとつ切っておきますが、もう一つぼくは、いま局長の言われた答弁、非常に重大な問題だと思うのですが、それは第二に、人事交流の問題なんです。私もこの団体職員のいろんな例を聞いておりますけれども、最近交流というか、あれが多くなってきておるわけです。ところが、一応その公務員期間退職年金を一応つけてもらって、そしてかわりたい、こういうことで、これは言い方は悪いけれども、ややおば捨て山的に世間から見られておる。その当人はそうじゃないのです。ちゃんと年寄りにかかわらず、仕事というものは何も年齢できまるわけじゃないですから。しかしどうもそういうような印象というか傾向というか、そういうものが見られるし、また地方団体やその他の場合でも、古い課長を転出させるなどというのは、そういうような安易な人事交流というか、あれも必ずしもないとは言えないのです。ぼくはやっぱり団体職員は団体の問題でじっくりと取り組めるようにしていかなければ、これからの団体というものは立っていかぬと思うのです。そうするためには、やはり地方公務員から団体のほうへかわった以上は団体職員として、かりに五年でも十年でもじっくりと仕事ができるような体制を私はとっていく必要があるのじゃないかということをかねがね考えておったのです。  そこで今度の通算の問題が出て、これはいいじゃないか、これはやはり地方公務員から団体職員へ行って、じっくりと腰が落ちつけるように、若い人でも働く体制ができるのだと、そう思っておったのです。ところが今度の改正案を見ると、ちょっとそれにはほど遠いのですね、率直に言って。やはり団体へ出るというのは一時の腰かけの問題で、また年金をつけるために帰らなければならない。どうしても腰かけになるのですね。そういうようなほんとうの仕事の面から言っても、ぼくは公務員から団体になった場合、公務員に帰らなくても通算する必要が、執務上、事務上からあるのじゃないか、こういうことを考えておるのです。これはぼくの考え方なんであれですが、こういう点は局長どういうふうにお考えになりますか。
  86. 佐久間彊

    政府委員佐久間彊君) 私どもも先生のおっしゃいましたように、団体の職員が公務員から参ります場合に、公務員をつとめ上げて退職した方々だけでいくというのでなくて、若い優秀な人が団体にも行っていただける。そうして団体の業務の能率をあげてもらうということが望ましいというふうに考えております。今回の御提案いたしましたのも、そうした方向での一つの道を開いたものではなかろうかと考えておるわけでございますが、ただいまおっしゃったような観点から、なお検討すべき点はあるいは将来の問題としてはあろうかとも考えております。
  87. 岸田幸雄

    委員長岸田幸雄君) 本案に対する本日の審議は、この程度にいたします。  次回は五月十二日午前十時から開会の予定でございます。  本日は、これにて散会いたします。    午後雰時十八分散会      —————・—————