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1966-06-25 第51回国会 参議院 大蔵委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十五日(土曜日)    午後一時三十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         徳永 正利君     理 事                 青柳 秀夫君                 藤田 正明君                 柴谷  要君     委 員                 伊藤 五郎君                 植木 光教君                 大竹平八郎君                 大谷 贇雄君                 栗原 祐幸君                 西郷吉之助君                 西田 信一君                 林屋亀次郎君                 田中寿美子君                 戸田 菊雄君                 成瀬 幡治君                 須藤 五郎君                 小林  章君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        外務政務次官   正示啓次郎君        外務省経済協力        局長       西山  昭君        大蔵政務次官   藤井 勝志君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵大臣官房長  村上孝太郎君        大蔵省主計局次        長        岩尾  一君        大蔵省国際金融        局長事務代理   村井 七郎君        中小企業庁次長  金井多喜男君    事務局側        常任委員会専門        員        坂入長太郎君    説明員        外務省国際連合        局外務参事官   松井佐七郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○アジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 徳永正利

    委員長徳永正利君) それでは、ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  前回に引き続き、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案及びアジア開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律案の以上両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。田中寿美子君。
  3. 田中寿美子

    田中寿美子君 昨日御質問いたしましたときに、御返事いただいていない点がございましたので、きょうはその係の方、中小企業庁の方がお見えになっていただいているかと思うのですが、私の質問は、韓国から技術研修生を送りたいという申し入れが日本にあったと、これは新聞報道で見たわけなんですが、三千人ないし四千人の青年労働者技術研修生として受け入れてほしいという申し出が、韓国中小企業協同組合中央会からあって、それを受けた側は日本全国中小企業団体中央会である。その間でこの問題についての話し合いがなされているという報道がありまして、これに対して日本側韓国側との間でどういう話し合いがなされておるかという点をお伺いしたのですけれども、昨日は外務省国際協力局のほうでは全然知らないというお話でございました。まず、そのような事実があるのか、どういう話し合いがされているかということをお伺いしたいと思います。
  4. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) ただいま御質問のように、韓国中小企業協同組合理事長がことしの二月日本に参りまして、日本全国中小企業団体中央会のほうに韓国技術研修生三千人ないし四千人の受け入れについて要請がありましたことは承知しております。
  5. 田中寿美子

    田中寿美子君 それに対して日本の側で、東京、大阪、名古屋、神奈川あたりでその受け入れ方検討をしているというような報道があるわけですが、これはどういうふうな受け入れ方検討がされているわけでしょうか。
  6. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) 本件につきましては、ただいま申しましたように、業界中央会ベースで話が進んでおる次第でございまして、私ども中小企業庁としていまそれについてそうこまかい実態を、率直なところ、存じないわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、二月に話があったわけでございますが、正式に向こう受け入れ要請計画につきましては、調べましたところ、五月の二十五日付でもって向こうから具体的な計画案として日本側全国中小企業団体中央会のほうに申し越してまいっておるわけでございまして、目下は中小企業団体中央会のほうで慎重に検討しているというような段階でございます。
  7. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでは、計画案というのは韓国側計画案なんでございますか。いろいろ派遣人員三千人ないし四千人、労働条件日本高卒者と同等の賃金にするとか、そのほか転職者はどうするとか、社会保障はどうするとか、そういったようなことは全部向こうの側の計画案なんでございますか。
  8. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) おっしゃるとおりでございます。
  9. 田中寿美子

    田中寿美子君 これは三月十二日の参議院の予算委員会のときに私がお尋ねしたことでしたけれども日韓経済協力に関連して、労働力輸入するというような計画がないかどうかというようなことをお尋ねしましたときに、労働大臣が、若年労働力が不足しているけれども労働力としての受け入ればしないというお答えがありましたのですが、中小企業庁のほうではこれをどういうふうに見ていらっしゃるのでしょうか。
  10. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) 三月の予算委員会速記録を見まして、そういう政府側の答弁があったことは承知しております。私どもの態度といたしましては、何と申しましても、中小企業外国労務者受け入れというようなことにつきましては、こういうまとまったのは初めてでございますし、内々ちょっと業界側から耳にしましたところでは、中小企業受け入れ施設その他につきまして、韓国側計画の要望からいたしますると、相当問題もあるようでございます。したがいまして、中小企業庁のほうといたしましては、中小企業労務管理にいま、日本国内労働者の場合につきましても大企業等と比べまして相当問題がございまして、そういった点から中小企業者労務者の確保が難渋しておる実情でございますので、この点につきましては、あまり無理をしたかっこう中小企業庁がどうこうというようなことは、いま見解を表明する段階ではないというふうに考えておる次第でございます。
  11. 田中寿美子

    田中寿美子君 いまのお答えですと、労働者として受け入れることもあり得るというふうに受け取れますが、それでよろしいですか。
  12. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) その点は、要するに現在の段階では向こう中央会とこっちの中央会ベースでございまして、いま中小企業庁なり政府側としてとやかく申すべき段階でございませんので、その辺、もう少し日本中央会側の意見がまとまりまして、何らかの意思表示があってから、慎重に検討いたしたい、このように思っております。
  13. 田中寿美子

    田中寿美子君 つまり、これは完全に民間ベースであって、日韓経済協力とは関係ないということでございますか。
  14. 金井多喜男

    政府委員金井多喜男君) 私ども、そこまでまだ話を詰めておらない次第でございます。
  15. 田中寿美子

    田中寿美子君 中小企業若年労働者の不足と、それから同時に、今度は建設関係の業務が非常にふえていくため、建設労務者が不足しているから日本業界が飛びつく可能性があるということが各所に報道されているわけなんです。この場合に、安い労働力日本労働者をおびやかすというようなことがあってはいけないと同時に、韓国労働者を差別するというようなことがあってもいけない。それから、いままで予算委員会のときには、法的地位が発効してから入ってきた韓国の人の数——その前もそうですけれども、十人とか、せいぜい十数人ずつしか入ってきていないわけですね。それで、三千人も四千人も入れるということになりますと、これは技術練訓というふうな名前で呼べないものではないかと思います。その辺のことを十分問題として注意を喚起しておきたいというふうに思っているわけなんです。労働省のほうの考え方なんかも十分お打ち合わせしていただきたいと考えております。外務省もやはり私はこの問題は知らないでは済まされない問題だと思っておりますので、今後また問題になるんじゃないかというふうに思っております。  委員長韓国の問題だけでなくて、もう一、二点、きのうの私の質問で非常にふに落ちなかったことを、いいですか。
  16. 徳永正利

    委員長徳永正利君) どうぞ。
  17. 田中寿美子

    田中寿美子君 インドネシア関係ですけれども、昨日インドネシアに対する経済援助についてお尋ねしましたときに、インドネシアへの経済援助は非常に複雑で私たちのわからないところだらけでございますが、   〔委員長退席理事青柳秀夫着席〕 提出していただきました資料で見まして、賠償関係以外のもので民間ベースあるいは賠償担保のもの、政府長期信用貸し付けですか、そういうようなものの中で、項目や金額が非常におかしいと思うものがたくさんあるのですが、その中の一つとしてきのう申し上げた雑製品ですか、その中で、雑製品日本の円にして十億二千五百万、その中でコーランが七億幾らとおっしゃいましたが、五百万冊コーランを単価百四十八円で出しているわけなんですが、コーランというのは、これは私はインドネシアのことを多少知っているんですけれどもコーランはみなアラビア語なんです。一体五百万冊をどこで印刷したものなのか。インドネシアの人はふだんインドネシア語を使っても、礼拝するときは全部、コーランアラビア語でやっているんです。口うつしにみんな覚えるものなんです。回教圏はみんなそうです。一体アラビア語コーラン五百万冊をどこで印刷したものなんでしょうね。非常に私はふしぎに思いましたので、五百万冊というものにも非常な疑惑を感ずるわけです。それから、あそこはたいへん文盲の国ですから、いまインドネシア語はローマ字を使っているわけですけれども、それも読めない者が多いんですが、アラビックというものはまた一段とむずかしい文字でございます。これは非常にふしぎに思うんですけれども、少し説明していただけないでしょうか。
  18. 西山昭

    政府委員西山昭君) ただいままで承知いたしておりますところによりますと、アラビア語でございまして、日本で印刷いたしたものでございます。会社の名前は正確にいま記憶いたしておりませんが、たしか凸版印刷であったかと記憶いたしております。
  19. 田中寿美子

    田中寿美子君 凸版印刷アラビア語で印刷したというわけですか。
  20. 西山昭

    政府委員西山昭君) その辺詳細は承知いたしておりませんが、アラビア語のものを日本で製作いたしましてお売りしたことは事実でございます。
  21. 田中寿美子

    田中寿美子君 これは一例でございますが、非常におかしな感じがいたしまして。全体としてインドネシアへの経済援助というのは、何かしら不明朗なものがあるような気がいたします。最近例のマリク外相が訪問したときに、緊急援助三千万ドルすることにしまして、その中身内容は何ですか、あれは現物だったように新聞報道承知しておりますけれども
  22. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) いまのところ、まだ中身が確定いたしておりません。向こう側との話し合いもあるわけでございますが、繊維とか、それから部分品、肥料、そういったものが含まれると想像しております。
  23. 田中寿美子

    田中寿美子君 つまり、それは緊急援助するのは、日本でたまっている物資を持っていって援助するということになるわけですか。
  24. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 私たちはそのような観点からこの品目の選定をいたしておりません。むしろ、やはりまずインドネシア側が緊急に輸入を必要としておるという需要を第一といたしまして、それにわが国のほうから見てこれは適当であるという考えを加えまして、品目を選定するということでございまして、この場合にストックを第一に考えるという考えではございません。
  25. 田中寿美子

    田中寿美子君 先方が繊維を望んだわけですね。繊維とか部品とか、そういうことでございますか。金、貨幣では要求はなかったんですか。
  26. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 資金では要求はございません。品目輸入をしたいということでございます。
  27. 田中寿美子

    田中寿美子君 インドネシアヘの貸し付け、ずいぶん焦げついていると思うんですが、そういうものが非常に焦げついているにもかかわらず、争って各商社が迎えにも出たり、それから部品緊急援助に使うということは、これは別に商社にとっては損害にならないという保証があるわけですか。
  28. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) そういうわけで、この品目政府間の話し合いできめたのでございまして、この品目及びその数量というものを確定いたしましてから入札が行なわれるということになるわけでございますので、商社はどのように活動しておりますか、十分には存じませんが、必ず自分たちが出したいと思うものが輸出されるという保証はないわけでございます。
  29. 田中寿美子

    田中寿美子君 私のお尋ねしたポイントとちょっと違いますけれども、つまり、そういうものを緊急援助として出しても、商社その他企業の側は迷惑はこうむらない、結局政府保証する、これは国民の税金で保証していく、こういう関係になっているわけですか。
  30. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) これは輸銀がその大部分国内的に金融するという関係に立つわけでございますので、原則といたしまして、商社がかぶるという事態は起こらないということになるのでございます。
  31. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでわかりました。それですから、商社は、インドネシア経済状態がどうであろうと、喜んで参加していくという事情がちょっとわかったような気がします。  インドネシアに対する援助に関しては非常に疑惑がたくさんありますけれども、きょうは私の時間をあまり取っても悪いので、ただもう一点。これは大蔵大臣が昨日、国民所得の一%を低開発国援助に数年のうちにはしたいという希望をお述べになりました。その際、国民一人当たり所得もやはり上げていきながら、その援助も一%するのだというふうにおっしゃったんですが、そうすると、大体国民一人当たり所得世界で二十一番、ベネズェラ並みなんですけれども、それをどの辺くらい並みにまでお上げなさるつもりですか。ほかの国が国民所得に対する比率でたくさん援助しているというのは、国民一人当たり所得日本より高いんですね。日本も一%するというのが達成されるころは、一体世界並みにいえば何位ぐらいのところまで上げていくというお考えでございましょうか。相変わらず二十一位じゃ、その絶対額は上がりましても、それが上がったことにならない。
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) よその国も国民所得の一人当たりはおそらく上がってくると存じます。ですから、どこのところまでに日本がなるかということは、ちょっと申し上げかねますけれども日本国民所得の上がり方は他の国に比べまして非常にスピードが高いわけでございます。さようなことから、二十一位にとどまるというふうなことは私はなかろうと、かように考えております。
  33. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 沖繩実情をちょっと聞きたいんですが。何か日本労働者アメリカ人たち給料の十分の一ぐらい、同じ運転手にいたしましても、フィリピン人日本人よりも大体多いわけなんですね、沖繩基地に働いている人。これは一体いまいう低開発国に対して貧困と文盲をなくせなければならぬという大きな立場から見たときに、日本国民がそういうかっこうでいま沖繩でやられているということは事実だと思う。そういうことに対しては、日本政府はいまどういうような手を打っておみえになるのか。
  34. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日本国民一人当たり所得アメリカに比べますと、最近はだいぶ改善されていると思いますが、日本自体をとってみましても七、八分の一ぐらいになるんじゃないかと思います。四、五年前は十分の一ぐらいの所得だったと思うわけです。そういう状態でありますから、おそらく沖繩日本の水準に比べますとたいへん落ちております。したがって、十分の一ぐらいになっておるのではないかと思います。まあとにかくアメリカはずば抜けて一番高いところであります。アメリカは他のいわゆる先進国というものに比べましても倍高いのです。あるいはそれ以上というような地位にあるわけであります。だんだんわが国もそういう方向に向かって、ひとつその格差を縮めるという努力をしていかなければならないと思っております。
  35. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 あのね、大臣、ぼくはそういうことを言っておるのではないですよ。同一労働で、同一技術ですよ。たとえば基地に働く自動車の運転手といえば、大体同じ技術で、同じ労働をしているわけです。労働の質と内容は同じなのですね。たまさかアメリカ人なるがゆえに、日本人給料の何倍かを取っている。日本人は非常に少ない、フィリピンのそれよりも。私は所得がどうこういうことを言っているのではない。そうではなくて、現に沖繩基地で働いておる人がそういう低賃金で、しかも差があまりにもひど過ぎる。人種によって違っている。そういう差別待遇が行なわれておるという事実は御存じでしょう。それに対してどういう対策をしておみえになるかということが、これとこの法律案と若干関係がありますから、伺ったのです。何もやっておらぬとおっしゃるなら、何もやっておらなくてもいいです。知らぬなら知らぬで、あまりそういうことには無関心ですよとおっしゃるなら、それでよろしいのです。
  36. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) この問題は、御承知のように、総理府が直接には所掌をしておりますが、若干米国と関係があるので、私のほうからお答え申し上げますが、これは何せ御承知のように沖繩に対する主権を持っておりませんので、直接われわれがどうということはございませんが、一般的に申しまして、沖繩民生向上、これにはわれわれとしても非常に関心を持っております。そこで、御承知のように、沖繩への援助ということにつきましても、年々増額を見つつあるわけであります。また、アメリカ側からも増額をせられつつあるわけであります。そういうふうな方向におきまして民生向上ということに努力をいたしておるわけでございまして、個々の賃金問題等については、一々われわれとしてはもちろんこれは権限を持っておりませんが、そういうふうな差別待遇というふうなことが起こらないように、あらゆる機会に、たとえば沖繩との協議の機会その他においては当然これは努力すべきであると、かように考えております。  なお、いま御指摘のこまかい資料に基づく実際の事実等につきましては、総理府から、いわゆる特連局長のほうでこれは所掌されておるのでございますので、総理府総務長官所掌になっておりますので、場合によりましてはそちらからお答えいただくのが適当かと思います。
  37. 田中寿美子

    田中寿美子君 それでは、もう私は須藤委員が待っていらっしゃいますから終わりますけれども大蔵大臣日本国民所得の伸びが非常に速い、すばらしい、それは事実ですけれども、これは総所得のことなんで、それがせめて低開発国への援助が一%に達するころにはヨーロッパ並みの、まあヨーロッパの中で一番低いのでもいいですが、ベネズエラ並みでなくて、ヨーロッパ並みという目標ぐらいはお出しいただきたいと思います。そうでないと、やはりそれと同時に社会保障その他いわゆる振替所得なんかの面はふやしていただかなければなりませんから、そういう方針でやっていただくのでないと、対外的にはいい顔になりますけれども国内国民の生活はちっともよくならない。
  38. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 国民所得からいいますと、先進国の中でイタリアがわりあい低いのですが、日本のちょうどいま現在は、いま手元に資料を持っておりませんが、イタリアに追いつけ追い越せというような段階でございます。逐次そういうふうに努力をいたしていきたい、かように考えます。
  39. 田中寿美子

    田中寿美子君 イタリア日本の一倍半ぐらいですから、せめてそこまでは、それはお約束していただきたいと思います。それでは、私はこれで……。
  40. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、このアジア開銀質疑に入る前に、実は外務大臣出席要求して、そうして外務大臣アジアの平和に対する所信を伺ってこの質問に入りたい、そういうふうに考えておったのです。というのは、この問題はアジアの平和に非常に重要な関係があるので、そこをはっきりさせたほうがいいのじゃないか、こういうふうに考えておったわけですが、残念ながら外務大臣出席がない。もしも委員長が許すならば、ぼくは外務大臣出席なさるまでこのまま実は待っていたいと思うのです。委員長のお考えはどうですか。
  41. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) いずれ外務大臣見えることにはなっておりますけれども、どうか、御都合もあるでしょうけれども、その点とは別にお進め願えればたいへん……。  速記をとめて。   〔速記中止
  42. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 速記を始めて。
  43. 須藤五郎

    須藤五郎君 外務大臣がいつ御出席になるかわからぬというような不確かなことでは、実は質問が非常にしにくいのですよ。私がちょっと質問したあとですぐ大臣が見えるとか、質問してもなかなか外務大臣が見えないとか、それでちょっと見えてはまたすぐ帰っていかれるというようなそういうようなことでは、質問者としては非常に質問がやりにくいのですね。だから、あらかじめ外務大臣が何時に御出席になって何時までここにいらっしゃるかということを、あらかじめ私は知らしていただきたいと思うのです。わかっていないのですか、どうですか。
  44. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  45. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 速記を始めて。
  46. 須藤五郎

    須藤五郎君 いま理事からのお話ですと、実は予定は二時に来られる予定になったのです。それで、私は二時から始めようと思ったが、それがいま実現していないので、何時に見えるのかということをいまお確かめになっていらっしゃるという話ですから、私もそれでは質問を始めることにしますから、どうぞ誠意をもって解決をしていただくようにお願いしたい。   〔理事青柳秀夫退席委員長着席
  47. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて、   〔速記中止
  48. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  49. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは、外務大臣もやがて十五分ほどたつと御出席だと言いますから、その前に大蔵大臣質問をすることにしようと思います。そのかわり、外務大臣出席したからといって、すぐ退席しないように、委員長のほうで責任を持っていただきたいと思います。  アジア開銀成立のいきさつなど見ておりますと、どうもアジア開銀うしろでひもを引いているのはアメリカだというように感ぜざるを得ないわけです。このアジア開銀は、事情は、何といろいろなことを言われましても、アメリカによって、アメリカ推進力によってつくられたものだと私たち考えておりますが、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  50. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アジア開銀は、その成立に至る過程を見ておりますと、これは全く国連でございます。須藤先生が、国連アメリカだと、こういうふうにおっしゃるなら、これはもう何をか言わんやでありますが、私は、国連アメリカではない、そういうふうに思うわけでございます。ソビエトロシアも入っているわけなんです。国連が、何といっても、スポンサー的な立場でずっと推進をしてきたわけでございます。しかし、まあ持てる国といえば何といってもアメリカでございますから、アメリカの金を何とかして引き出さなければならぬ、そういうふうな状態にあると思いますが、たまたまアメリカもまあ協力してやろう、こういうことになったので、きわめて自然な形でこういう国連的色彩の銀行ができ、しかも資金を持っているアメリカも足を踏み込む、こういうことになったのでございます。
  51. 須藤五郎

    須藤五郎君 私がいまここで述べることは、これはもう衆議院の大蔵委員会でも述べられたことであり、周知の事実だと思うのですがね、その一九六〇年のエカフェで検討されたということは事実ですね。ところが、昨年三月、このエカフェ総会で、アメリカは最初非常に消極的な態度で、このアジア開銀に出資することは実は最初は拒否しておったということも事実です。これも大蔵大臣も御存じのことだと思うのです。アメリカが出資を拒否したためにこの開銀の設立というものがなかなか進まなくて、一時とんざを来たしたということも、これは事実だと思うのです。その後いわゆる有名なジョンソン大統領のバルチモアですね、ジョンス・ポプキンズ大学における演説ですね、その演説の中で、東南アジア開発構想をジョンソン大統領が打ち出した。これは大臣も御存じだろうと思う。その後ブラック世銀総裁が大統領の特使として六月のバンコクの諮問委員会に出席をしている。そうして米国がアジア開銀に二億ドル出資する意向であるということを、初めてそこで発表している、そうしてさらに、他の国も寄託をすることを条件に、なお一億ドルを銀行に寄託する用意があるということを明らかにされた。これが非常にアジア開銀の設立を促進したと、こういうふうにいわれているのです。このいきさつから見ましても、アジア開銀の設立のプロモーターというものはアメリカではないかということが私は推測できると思うのです。  そこで、私は大臣質問したいのですが、アメリカは最初は非常に消極的であったしアジア開銀に対して最初は出資等も拒否している。ところが、このジョンソン大統領の演説後、とにかく非常に積極的になってきた。この消極的な態度が積極的な態度に変わった理由は、一体原因はどこにあるのかということを伺いたいと思います。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アジア開銀に対しましてアメリカが消極的であったものが、去年の四月ごろを境にして積極的になったということは私は聞いておりません。アジア開銀国連で、エカフェにおいて一九六三年に決議が行なわれて以来ずっと検討を進めておりまして、昨年のジョンソン声明の時点では、こまかい、投票権をどうするかとか、総裁、副総裁というような人事構成の問題とか、そういう論議段階になってきたわけであります。私は、アメリカがその動きに対してブレーキをかけておったというような話は聞いておりません。それで、アジア開銀はそういうふうな国連の舞台で進んできたものであって、突如と行なわれました昨年四月のジョンソン声明とは全然一緒のものではないと、こういうふうに思っておるわけであります。
  53. 須藤五郎

    須藤五郎君 いや、大臣、私が聞いているのは、昨年三月のエカフェ総会でアメリカは出資を拒否して、非常に消極的な態度を示しておったわけですね。それがその後四月になって、わずか一月後にジョンソンがバルチモアで演説をした。それをきっかけとして非常に積極的にそれに乗り出した。わずか一カ月の間に豹変するがごとく態度が変わったわけですね。いわゆるその態度の変わったのは何に原因があるのだろうか、こういうことなんです。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、そういうアメリカが態度の変化を示したということを聞いておりませんが、外務省、どうですか、聞いていますか。
  55. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいま大蔵大臣からお話しのとおりでございまして、世間によく、アメリカがこの構想を推進したというふうな言い方をしておられる方があるのでありますが、これに対してただいま須藤委員お話は、全くそれは逆である。すなわち、アメリカは具体的構想の固まるまでは全然その態度を表明しなかった。しかるに、国連エカフェの加盟国等によって寄り寄り協議が進みまして、具体的構想が打ち出されて以来、アメリカがこれに対しましてやはり応分の協力をしたいということを言っておるのでありますが、これはあとであります。その前からこういう考え方ができておったという事実があるのであります。  なお、十億ドルの構想は、これは出資ということではむしろございませんで、いわゆる基金というふうなことには関係ありますが、出資というふうなことまでは、これは別の予算によってやられるというふうにわれわれは理解をしておる次第であります。
  56. 須藤五郎

    須藤五郎君 このバルチモア演説で十億ドルの金を出して東南アジア開発をやろうという構想をジョンソンが示したわけですが、ところが、この構想はジョンソン大統領の意向に反してあまり東南アジアで評判がよくないわけなんですね。そこへもってきて、ベトナムの戦況がああいう状態になって、アメリカが非常に苦しい立場へ追い込まれたのです。そこで、何とか手を打たなくちゃならぬというので、このアジア開銀に積極的に乗り出してきて、そして片方では非常に積極的な態度を示してきた、こういうふうに私たちは推測しておるのであります。
  57. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ざっくばらんなお話を伺いましたが、実はそういうことではなくて、すなおに私どもは時日関係からいいまして、一年ほど前に具体的に相談が進められまして、そのあとでジョンソン構想というようなことがたまたまありましたが、これは須藤委員御指摘のようなアメリカのそういう考え方というふうにはわれわれは受け取らないのでありまして、先ほど大蔵大臣もおっしゃいましたように、きわめて自然な形で各国の意図が期せずして一つの方向に向かってきた、こういうふうに理解をしておるのであります。
  58. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ、私たち考えが当たっておるか、あなたたち考えが当たっておるかは、これは後にわかることだろうと思いますが、アメリカの態度は、片方でニンジンを持って、そうして片方でむちを持って馬を駆使するがごとく、アジア開銀というものがいわゆるニンジンの役割りを果たすためにアメリカがやってきたんだと、こういうふうに私たち考えているんです。あなたたちと私たち考えはまた対照的な考え方ですから、これ以上話をしても一致点は見つからないだろうと思いますので、次の質問に移ります。  大蔵大臣も昨年の七月に第四回日米貿易経済合同委員会に出席されましたね。その会議の席上、アジア開発銀行についてどういうふうに討議がなされたか、お伺いしたいと思います。
  59. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 日米合同委員会の場におきましてアジア開発銀行の討議は、私の記憶するところでは、なかったように存じます。
  60. 須藤五郎

    須藤五郎君 アジア開銀の問題については一言も話が出ませんでしたか。
  61. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 会議では一言も出なかつたように記憶をいたしております。
  62. 須藤五郎

    須藤五郎君 衆参の外務委員会におきましても、椎名外務大臣はこういう答弁をしているわけです。ジョンソン大統領のバルチモア演説の中で述べられている東南アジア開発構想はアジア開銀とは関係がありますん、というような答弁をしていらっしゃるのです。しかし、第四回日米貿易経済合同委員会では、アメリカは、ジョンソン提案にこたえてアジア開発銀行は動きつつあると、こういう確認をしているのではないだろうか、私たちはこういうふうに思っておりますね。すでにもうこのときにアメリカは一歩進んで、アジア開銀が動きつつあるということをアメリカ自身がすでに確認している、そうしてその会議の席上、やはりアジア開銀についてある種の意見を述べているにきまっていると思う。そういうことは絶対にありませんか。
  63. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私の記憶では、会議の席上ではございません。ただ、会議外において、私も記憶しておりますが、ジョンソン大統領がああいう演説をしておるが、あの十億ドルはどういう性質のものだとか、あるいはどういう使い方をするんだとか、あるいはアジア開発銀行の信託基金として一億ドルを出す用意があるというふうな、それは十億ドルの中のものであるとか外のものであるとか、いろいろ質問をしたことはあります。
  64. 須藤五郎

    須藤五郎君 それごらんなさい。
  65. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) しかし、これは会議とは関係ない問題でございます。
  66. 須藤五郎

    須藤五郎君 この日米貿易経済合同委員会にアメリカが出したトーキング・ペーパーというものがあるはずですね。大臣、ごらんになっているでしょう。そのトーキング・ペーパーをここで資料として出してほしいのです。私は資料として要求してあるのです。
  67. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) これは私は外交官ではございませんので、外交官の常識を聞きますと、アメリカ側で用意した内部の書類でございまして、通常それは出さないことになっております。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたたちが出さなければ、私が出してもいいのですよ。大部のものですから、全部ここで読み上げるととても時間がかかって委員長が渋い顔をするから、その一部を読んでみましょう、あなたたちが否定なさるから。議題の五に「低開発諸国の経済開発に関する協力」という項目がある。御存じでしょう。そこにこう書いてある。「米国はアジアの域内経済協力の実が挙がるかいなかは日本の参加とリーダーシップにかかつているものと信じている。米国は、佐藤総理が他のアジア諸国及び域外援助諸国の協力を得て、東南アジア経済開発を促進しようという、ジョンソン大統領の四月七日の提案をただちに、かつ熱意をもって歓迎されたことに対して感謝している。米国は提案されているアジア開発銀行の東南アジア部の将来の活動が、同銀行の通常条件ないし緩和された条件による貸付業務、同銀行加盟国の設置する特別信託基金の管理及びプロジェクト別コンソーシアムの管理ないしは特別援助国の援助実施機関となること等の便宜をはかることや技術援助の供与——特に銀行融資の対象プロジェクトの開発面において——を通じて東南アジア経済開発計画をさらに強化するものと信じている。米国は前述のごとき信託基金取りきめに対し、相当額の拠出をする用意があり、また日本がエカフェ地域の他の資格ある借り手を軽視してまでもとはいわないが、米国と同様の気持を持つことを希望する。米国はメコン委員会の活動範囲の拡大——調査から開発への移行及び河川管理以上のものを含む——が、ジョンソン大統領の提案にこたえて東南アジアで一歩前進することとしての意義を認めている。メコン委員会の活動は現在ではもちろん委員会の現加盟国に限られている。」、ずいぶん長いんです。ですから、この程度でよしますが、読めとおっしゃるなら全部読んでもいいです。  こういう事実があるわけです。だから、大臣が、アメリカアジア開銀の設立に何の役も買っていなかったとか、その主役を演じていなかったなどと言っても、それは少しおかしいんじゃないかと思うが、やはりこういうところから判断しましても、アジア開銀の設立に対してはアメリカがやはり主役を演じて、アメリカ推進力によってこれがずっと推進されてきたということは、大体私は想像ができると思う。そうしてこれを裏づけるように、五月二十五日の衆議院の外務委員会で外務省の星国連局長が、アジア開発銀行としてはメコン開発委員会と密接な関係をとって事業を進めていくということになると思います。こういうふうに一歩前進した意見すらも述べていらっしゃるのです。だから、去年の七月の日米貿易経済会議においていろいろなことが述べられたということは、こういう事実から見まして私ははっきりすると思うのですが、大蔵大臣、どうですか。
  69. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私はそうは考えません。これはやはり国連が、アジアがおくれておるということを心配して、アジアに何らかの特別機構をつくろう、こういうことです。しかし、アジアにそういう特別機構ができましても、出資者がいなければなかなかこれは活発には行動できない。そういうようなことでアメリカの参加ということを期待した。これは当然だったと思います。アメリカもそういう期待にこたえてこれに参加する、そういうことであります。アメリカ推進者じゃなくて国連推進者である、そういう認識であります。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは何ですよ、筋の通った話のようで筋の通らぬ話で、それは少し詭弁じゃないですか。一つの会社を設立するときに、大株主がやはり推進者ですよ。一番権力を持つんですよ。だから、このアジア開発銀行推進者はアメリカだと、こういうふうにはっきり私はいままでの私が出しました文書でもわかるんですがね。まあ大蔵大臣はあくまでもそうじゃないと突っぱねられるが、私たちには納得いかないですね、大蔵大臣の説明では。もっと納得のいくような説明をしてくださるなら、私も納得するのにやぶさかではないが、いまのような説明では、何だか詭弁としか受け取れませんです。やはり私は、アメリカの力というものが非帯な大きな力になって加わって、そうして開発銀行の設立を促進したもの、こういうふうにしか考えられません。  それじゃ、もう少し具体的な質問をしますが、このメコン委員会は、昨年四月七日ジョンソン大統統のバルチモア演説があって、その後一カ月たった五月に、総額十九億五千万ドル、期間十カ年間の貸し付け計画をつくった。それは御存じでしょう。
  71. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 何かメコンに相当大規模の開発計画があったことは承知していますが、その金額は承知しておりません。
  72. 西山昭

    政府委員西山昭君) 大統領の声明がありまして、大統領の声明の趣旨が、なかんずく地域的な協力関係を促進する意味におきまして、各国に多角的に利益がまたがるような開発計画があれば、アメリカ政府は優先的にそういうことに資金を導入して協力したい、そういう趣旨のものでありまして、メコン委員会はこれを受けまして、いろいろ検討いたしまして案を出したことは事実でございます。これは国連の事務総長を通じて検討してアメリカ側に出したと記憶しておりますが、その内容自体がはなはだ不完全なものでございまして、それについて実施に移されたという事実は現在までないわけでございます。
  73. 須藤五郎

    須藤五郎君 その内容を少し聞かしてください。
  74. 西山昭

    政府委員西山昭君) ただいま資料を持っておりませんが、これは先ほど申し上げましたように、非常に早急の間にメコン委員会におきましていろいろのプロジェクト、それからそれの予想の金額というようなものを累積したような性質のものでございまして、私どものところに正式にそういう通報されたものではございませんので、自信をもって提出し得るような材料として持っておりません。
  75. 須藤五郎

    須藤五郎君 私たちの手元にある資料によりますと、総額十九億五千万ドル、第一期が一九六五年から六七年、これが二億四千万ドル、第二期が一九六七年から七〇年まで、四億一千万ドル、第三期が一九七〇年から七五年、これが十三億ドル、こういうふうになっているんで、大体あなた方聞いているのと合っていますか。
  76. 西山昭

    政府委員西山昭君) 正確な数字につきまして自信がないのでございますが、初めにメコン委員会から提出しました素案というものは、そういうような段階的な形で計画を立てたように記憶しております。
  77. 須藤五郎

    須藤五郎君 メコン委員会の第一期計画の中のナムグム・ダムの開発計画、これについて日本は四百万ドルを贈与することになっておる。これは事実でしょう。
  78. 西山昭

    政府委員西山昭君) 四百万ドルは日本が分担いたします総額でございまして、事実でございますが、全部一度に四百万ドル出すということでございませんで、一年間に百万ドル、四年計画で出すようになっております。
  79. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本が出す四百万ドルというのは、やはりアメリカから要請されて、それで出すことになるわけですか。
  80. 西山昭

    政府委員西山昭君) ナムグム・ダムはビエンチャンの北方の約六十キロの地点で、かんがい、電力の造成を行なうことを目的とするものでございまして、あの地方及びタイ等に送電いたすという性質のものでございます。これはメコン委員会及びラオスの政府、タイの政府が非常な熱意を持ちまして推進したいということでありまして、国連等も計画に参加いたしまして、そうして世界銀行がこの管理に当たることになっておりまして、それにつきまして必要な金を各国が拠出する、こういう形で実現されつつある計画でございます。
  81. 須藤五郎

    須藤五郎君 第四回日米貿易経済合同委員会では、次のようにあの中に書いてあるんですね、私の持っている資料の中にも。日本政府も、御承知のとおり、米国はラオスのナムグム・ダム第一期についての経済可能性についての若干の問題が解決され、さらに他の援助諸国が経費の半額を贈与することを最近申し入れた、こういうふうになっております。昨年七月前に日本政府は申し入れを受けたのかどうか、それに対する日本政府の態度はどうであったのか。
  82. 西山昭

    政府委員西山昭君) この計画の実現のしかたにつきましては、御承知のように、メコン委員会が中心になりまして、何度も会合いたしまして、そのときに関係国が参加いたしまして、そうして最終的には拠出の金額だとか、あるいはその前提となりまする計画の規模とか、そういうものを決定いたしたわけでございます。したがいまして、アメリカが一方的にこれを決定し、各国に押しつけたという性質のものではございません。国連が、世界銀行が管理を引き受けまして、そうして各国が共同して有益な事業に応援しようという形で会議をして、決定となった次第でございます。
  83. 須藤五郎

    須藤五郎君 ナムグム・ダム開発は、アメリカ日本のほかに、どの国がどの程度の贈与をやるということになっておりますか。
  84. 西山昭

    政府委員西山昭君) これは合計たしか七カ国であったと記憶しておりますが……
  85. 須藤五郎

    須藤五郎君 アメリカ日本を入れて七カ国ですか。
  86. 西山昭

    政府委員西山昭君) 日本アメリカ、オランダ、カナダ、デンマーク、オーストラリア、ニュージランドでございます。総額は二千二百八十一万五千ドルと相なっております。
  87. 須藤五郎

    須藤五郎君 それで、ほかの国の贈与額はわからないのですか。
  88. 西山昭

    政府委員西山昭君) 日本が四百万ドル、アメリカが千二百六万五千ドル、オランダが三百三十万ドル、カナダが二百万ドル、デンマークは六十万ドル、オーストラリアが五十万ドル、ニュージランドが三十五万ドルでございます。
  89. 須藤五郎

    須藤五郎君 ナムグム・ダムは何に使われるダムだと考えていますか。これはやはり軍事目的に使われるダムだと私たちは見ているわけです。
  90. 西山昭

    政府委員西山昭君) ラオスは御承知のとおり非常に経済が低いわけでございまして、今日でもビエンチャンの市街は自家発電がやっと電力をささえている。最近日本から供給しましたジェネレーターなんかによって少しは改善しましたが、非常に——いわんや、これを電力を供給いたしまして、若干の中小企業を振興さして、経済をいまの原始的な状態から改変するためには、どうしてもこの程度の電力の供給が必要である、また、将来これが完成しますれば、国境を越えましたタイにも送電して、タイのほうからそれを買電しまして、相互に利用できる、こういう趣旨から全く民生向上という角度からこれを考えた次第でございます。
  91. 須藤五郎

    須藤五郎君 ラオスのスファヌボンの愛国戦線党の中央委員情報部長のシサナシがこう言ってるのを御存じですか。アメリカはラオスを軍事化し、その一つとしてメコン開発をやろうとしておると。現地のスファヌボン一派の人がこう喝破している。これから見ましても、アメリカがどういう意図をもってこの金を投じて、そうしてナムグム・ダム、これを建設しようとしておるか、それで私ははっきりすると思うのです。  で、日本政府はことし五月四日ナムグム・ダム開発基金協定を結びましたね。それで、いずれ国会に協定を提出する予定であると言っておりますが、この四百万ドル、四年間毎年百万ドルずつ贈与するという、これいつの国会に出されるのですか。
  92. 西山昭

    政府委員西山昭君) これは現行の法令の範囲内におきまして、もちろん予算の支出を要するわけでございますから、予算にも要求いたしまして、そうして御承認を得たわけでございますが、現行の予算の範囲内でやるものでございまして、特別の義務を負うのもでないというのでございますから、協定そのものを国会の御承認の対象にする予定にはいたしておりません。
  93. 須藤五郎

    須藤五郎君 待ちかねた外務大臣がいま御出席になりましたから、ここでアジア開銀質問をちょっとやめて、外務大臣質問したいと思います。  椎名さん、こういうことを私は聞いたんです。去年の参議院選挙のときに自民党の総裁の佐藤さんが広島へ行って、広島で演説をしたというのです。そのときにどんな演説をしたかと申しますとね、演説の中にこういうことをおっしゃったというのです。私は負ける戦争は絶対しませんと、こう言った。これを聞いた人が私にこう聞いたんです。佐藤さんは負ける戦争はやらないと言ったが、それじゃ勝てる戦争ならやるつもりかなと、こういう質問を受けたのです。私も、佐藤さんずいぶんおかしい演説をなすったもんだと、そのとき感じた。しかし、その後の国会における発言、佐藤さんの発言、椎名さんの発言を聞いていると、どうも私はおかしいと思うのですよ。  今度の国会の特徴はどこにあるかというと、これまでひた隠しにしておった安保条約の正体やいろいろな問題を、今度政府のほうから積極的に露骨に出してきたということじゃないかと思うのです。これが今回の国会の大きな特色ではないだろうかと、こう私は考えるんです。その証拠にね、佐藤さんは三月十日の参議院の予算委員会においてとんでもない失言といいますか、勇み足をして、とんでもない発言をした。それは沖繩が攻撃をされるときは日本の自衛隊を出動させるという発言ですよ。そのために野党がみな怒って、審議は一週間とまった。そこで、佐藤さんも前言を取り消すんだといって発言を求められて、十六日の予算委員会で発言をした。それで、沖繩に施政権が戻らない限りそういう事態があっても日本の自衛隊の出動はあり得ないというような発言をされました。沖繩が攻撃されたとき日本の自衛隊がそれは見殺しにできないから出動するんだというと、いかにも勇ましく筋の通ったような話にも聞く人もあるのです。私たちはそう聞かないです。じゃ、沖繩の人は、沖繩が攻撃され、そのとき自衛隊が出動することを心から希望しておるかというと、そうじゃないと思うのです。沖繩の人は沖繩が攻撃されないことを希望しているのです。沖繩が攻撃されたときに日本の自衛隊が出動して、それで沖繩を見殺しにしないだなんて、そんなこと決して沖繩の人も希望していないのです。  だから、佐藤さんこの前沖繩に行ったときに、沖繩島民に会って、沖繩島民の気持ちをすなおに聞けばよかったんですよ。ところが、沖繩島民が佐藤さんに押しかけたら、佐藤さんはびっくりして、アメリカの兵舎に逃げ込んでしまった。こんなことで沖繩島民の気持ちが佐藤さんに通じますか。佐藤さんはこんなことで沖繩島民の気持ちがよくわかったなんて言えないですよ。言えないから、ああいうくだらぬ発言をするんですよ。  そうして取り消したというけれども、取り消しになっていないですよ。沖繩島民はそういう危険のないように、また沖繩が攻撃されるときは日本全土が攻撃されるときじゃないですか。そういう危険な状態日本の全国民も希望していないですよ。(「ここは大蔵委員会だ」と呼ぶ者あり)あなたは先ほど聞いていなかったからわからない。アジア開銀をするためには、これをはっきりしていかなかったらだめなんです。やかましく言いなさんな。(「予算委員会でも外務委員会でもない」と呼ぶ者あり)同じことじゃないか。ぐずぐず言う必要はない。何言ってるんだ。  だから、そのためにはどうしたらいいかといえば、やはり日本をそういう危険な状態に置いておる安保条約を破棄すること、日本からアメリカの軍事基地を撤去すること、沖繩も含めてです。アメリカ軍の撤退、完全自主独立、これを戦い取らない限りわれわれは常にそういう危険にさらされているということなんです。ここを私は考えてほしい。ところが、そこどこじゃない。  あんた、この間五月二十五日、衆議院の外務委員会で、わが党の川上貫一の質問に対して、安保条約は軍事条約でございますとはっきり答えたのです。これまでは安保条約は軍事条約だなんということは言わなかったのです。それを今度は露骨に軍事条約だと言っておる。そうすれば、日米安保条約というのが軍事条約とすれば、アメリカ日本は軍事同盟を結んでいるということになるでしょう。そうすれば日本の憲法に反するじゃないですか。何とかうまく言いのがれるかもわからぬけれども、実際は私は憲法違反だと思う。  ところが、もう一つ驚くことは、六月一日のやはり衆議院の外務委員会におきまして、社会党の戸叶さんや穂積さんのこの両議員の質問に対しては、あなたはこう答えている。一般的には日米安保条約を結んでいることによって日本が他国から攻撃とか脅威を受ける危険はあり得るが、とはっきり言っている。日本とベトナムとの距離は遠く、ベトナム戦争をめぐって日本がこのような攻撃、脅威にさらされるようなことはありません。しかし、日米安保条約がある限り、やはり攻撃脅威を受ける危険はあり得るということを、はっきりここであなたは認めている。そうしてそれを言いのがれるために、ベトナムは遠い、日本から遠いから、いまベトナムでやられている戦争の結果日本が直ちに攻撃されるというようなことはないのだと、こういうことを言ってごまかしている。それでは、これが距離が近かったらどうかということなんです。将来その戦争がどんどん大きくなっていって、きょうの新聞報道によりますと、アメリカは北爆を強めると言っておる。宣戦拡大すると言っておる。その結果アジアにもっと大きい戦争になった場合、端的に申しますなら、朝鮮半島にこの戦火が飛び火したとき、そこでベトナムと同じような状態が起こったら、これは距離という点からいったら非常に近い。そのときは、日本は安保条約のたてまえ上攻撃を受けると、あなた、ここではっきり言明できますか。
  94. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) だいぶ、私の言ったことを歪曲しておっしゃっておられますから。軍事条約でない、軍事に関する条項も含んでおる、いわば正確にいうと軍事防衛条約とでもいうのでしょうか。こんなことばがないとすれば、やっぱり安保条約は安保条約でいいんではないかと私は思います。  それから、安保条約があるために全然危険がないということは言えないと思います。多少あり得るかもわからぬ。あり得ることも予想しなければいけません。しかしながら、安保条約がなければ、これは比較にならぬほどの危険にさらされるということを一方において考えなければならぬ。だから、そういうことを言っておるのです。ちゃんと速記録調べてください。私の言ったことをただ、都合のいいところだけ拾い読みして披露されても、非常に迷惑する。全貌はそうです。  それから、私は、ただいまのベトナムの紛争が限定戦争であって、決して無制限に拡大すべき性質のものではない。何となれば、アメリカはただ北越の侵略を防止すればそれでよいというのであります。しかし、相手方の北越が南越を征服しようとしている。しかしながら、アメリカはこれに対してただこれを防衛するというだけの目的をもって軍事行動を起こしておるのでございますから、決して、一定の限度を越えてこの戦争の性格が変わり、したがって、無限に際限なくエスカレーションするということは考えられないことでございます。
  95. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなた、都合のいいところだけと言うけれども、あなたの答弁の中心はこれなんですよ。だから、新聞社の発表を見ても、新聞記者はこの中心課題をとって新聞記事にしていますよ。あなたこそ、自分に都合の悪いところを忘れてしまっておるということになると思うのですが。  それじゃ、もう一ぺん聞きますが、今日のようなあのベトナム戦争、あの状態日本が攻撃を受けないのは、受ける心配のないのは、これはベトナムが日本から非常に遠いからだと、距離の問題をあなた問題にしていらっしゃる。それじゃ、将来もっと近いところであれと同じような戦争状態が起こったら、日本は攻撃されるのですか、どうですか、それをはっきり言ってもらいたい。
  96. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 攻撃される理由はないじゃないですか。
  97. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、何でこんな答弁しているのです。ベトナムは遠いから……。
  98. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) とにかく、ほかの場合に言ったことはともかく、いまあなたの聞かんと欲するところをひとつ私に質問してもらいたい。そうすれば私の見解を述べます。
  99. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  100. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  101. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたは衆議院の外務委員会で、今日安保条約があるから、だから、ベトナムのような問題が起こったときには、日本は攻撃の脅威にさらされることがあり得ると、こういうことをはっきり言っているのです。あり得ると。ところが、日本とベトナムとの距離は遠く、ベトナム戦争をめぐって日本がこのような脅威にさらされるようなことはないと思う、こう言っている。ベトナムは遠いと、遠いから脅威にさらされることはないと言っている。それならば、近いところでベトナムと同じような状態が起こったとき、どうなるのですか。
  102. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) だいぶ都合のいいところだけあなたはしゃべっておるから。
  103. 須藤五郎

    須藤五郎君 そんなことないですよ。事実ですよ、これは。
  104. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは鯨岡君のたしか質問でございまして、日米安保条約が今日存在するということから、ごうまつも危険がないと感ぜられるか、場合によっては危険にさらされるというようなこともあり得ると考えるか、こういう話だったのです。そこで、私は、ものには間違いというものもあるし、誤算というものもありますので、ベトナム戦争に従事しておるアメリカ軍の軍艦の修理を日本でやったり、あるいはいろんな補給をやったりするということが、何かこう敵性を帯びるというようなことを私はよく質問を受けるので、そういうことは敵性を帯びるということにはならない。なれば、もっと北ベトナムの背後の数国が非常な近代兵器を供給しておるというようなことは、もっともっと敵性を帯びるということになったら、これは比較にならぬほど程度の高いものである。しかしながら、これは交戦国ということにはならない。いわんや日本がただ——これ、ただやるのじゃないですよ。補給物資を日本から買い付けて、そうして持っていくというようなことを目つぼにとって、そうして日本に攻撃してくるというようなことはあり得ない。あり得ないけれども、しかし、たまたま誤算とか思い違いというようなもので、あるいはそういうことがあるかもしれない。そういうことを言ったのです。それで、もしもそういったような起こるかもしれないきわめてまれなそういう危険というものを避けるために安保条約をもし廃止したならば、そりゃこれとは性質の違った、規模の違ったたいへんな危険というものにさらされるということになるんだということを私は言っている。  それから、ベトナムが遠いからということを言ったといいますが、あるいは言ったかもしれません。言ったかもしらぬけれども……。
  105. 須藤五郎

    須藤五郎君 言っているのですよ。
  106. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ聞かれれば、そりゃ危険にさらされるということは、逆必ずしも真ならずで——大体そういうふうに、どうも論理を飛躍して人の気持ちを判断するのはよくないですよ。
  107. 須藤五郎

    須藤五郎君 冗談じゃない。これ、聞いた人はがく然としているのだよ。あなた、これ、言ってしまって、まずいことを言ったと、あとで考えているのだろうと思う。だから、うまいことそれをごまかそうといって、幾ら言を費やしても、そりゃあなたの本心はやっぱしごまかすことができないのですよ。ここにはっきり出ています。これは速記録から私はちゃんと抜き取った、書き取ったのですよ。
  108. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それなら、もう少し詳しく申し上げます。たとえベトナムがかりに日本に近接した地域であっても、ただいまのような状況では、これは敵性を帯びるなんていうようなことは世界のどこの理屈にもありませんし、それから戦争に介入するなんていうものじゃない。戦争に関係のあるものをどこかの市場で買い付けたら、みんな買い付けられた国が敵性を帯びて、戦争に介入したと、相手方から見たら敵だというようなことになったら、そりゃまたたく間に世界じゅうどっちかの敵性を帯びることになって、世界戦争になっちまう。そんなばかなことを考えている学者もいなければ実際家もいない。こういうわけでございますから、ベトナムがたとえ近接した地域にかりにあったとしても、それは戦争に巻き込まれるという理由、根拠も何にもない。ただ、たまたま流れだまが飛んで来るようなことがあるかもしれない。それぐらいのことはあるかもしれぬ、たまには。
  109. 須藤五郎

    須藤五郎君 いまの答弁を聞いていると、非常に苦しい答弁だと思うんですよ。えらいことを言ってしまって、あとで何とかつじつまを合わそうというので、苦慮しておられるようですが、それじゃ、あなたの発言をあなた取り消したというふうに解釈していいんですか。
  110. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 取り消しません。
  111. 須藤五郎

    須藤五郎君 だって、はっきり言っています。それじゃ問題にならないです。衆議院ではっきり言っているじゃないですか。攻撃されることもあり得ると、はっきり言っているじゃないですか。流れだまの問題じゃないんですよ。冗談を言っちゃいかぬですよ。
  112. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私の真意をさらに補足して申し上げたんであって、決して取り消す意思はございません。
  113. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、日本が攻撃を受ける危険はあり得るがということは、攻撃を受けるというのは、これは流れだまのことですか。あんた、流れだまを受けることはあるかもしれぬということを言っている。流れだまのことですか、これは。
  114. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ベトナムが遠いから流れだまは飛んで来ないが、もし近ければ、ごく近い場合には…‥
  115. 須藤五郎

    須藤五郎君 そんなばかなおとぼけ答弁したって、あんたは通るかもしらないけれども、そんなこと言ったって世間は通りませんよ。やっぱりあんたがこういうふうな答弁をするところに非常な危険性を国民は感じておるんですよ。総理大臣の…‥
  116. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止
  117. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  118. 須藤五郎

    須藤五郎君 こんな話をいつまで続けても(「いや、大事なことだ」と呼ぶ者あり)大事なことだけれども、こんなおとぼけ大臣相手じゃはっきりしないです。  あんた、そんなことを言って済まされても、国民はほんとうに済まされませんよ。総理大臣の言動といい、外務大臣の言動といい、最近おかしいですよ。最近佐藤内閣はおかしいですよ。あなた方ほんとうに戦争やるような腹をきめているんですか、こんなこと言っておって。
  119. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本は国際戦争から離れている。かりにやろうと思っても、できない状況でございます。
  120. 須藤五郎

    須藤五郎君 そんならば、国際戦争に協力するような援助をなぜやるんですか。
  121. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ベトナム戦争に、特に戦争に介入するとか、参画するとか、あるいは協力するという意思を持ってやっておるものではございません。ただ日米安保条約のたてまえ上、アメリカの軍艦、飛行機が日本の施設、区域を使って、そして兵たん補給をするということは、これは当然許されておるところであります。たまたま日本で買い付けておる補給物資が、韓国へ行くのか、あるいはフィリピンへ行くのか、あるいはベトナムへ行くのか、それはわれわれの知るところではない。しかしながら、かりにそれがベトナムのほうに行って使われたにしたところが、それは戦争に介入するというものではない。戦争参加というものじゃない。そんなことを言ったら、北ベトナムのほうのいろんな戦略物資、あるいは直接殺傷兵器を補給しているやに見られるところが多分にありますが、そういうものにアメリカは直ちに敵性を認めていない。戦争に参加しているものとは認めていない。したがって、その間には戦争は起こり得ない。ですからね、殺傷兵器なんかはないし、それから毒ガスも買い付けておらないし、ただ普通の補給物資をかりに買い付けたものがベトナムに行ったところが、これは戦争協力じゃないんです。そんなことを言ったならば、知らぬうちに戦争協力をしているところがそこらじゅう出てくる。
  122. 須藤五郎

    須藤五郎君 あるかもしらぬ。私は日本のことを言っているんですよ。日本が戦争に協力することはけしからぬと言っている。よその国が協力しようとかってのことだ。われわれの関知したことじゃない。日本が協力するのはけしからぬ、憲法の精神に反するから。日本が危険な状態に置かれるじゃないか。あなた、ここに危険があるということを認めているじゃないですか。あなた自身認めておって、日本は協力していないといっても、ちゃんと協力しているのだ。それは日米安保条約に協力の条項があるから、それは協力を強制されているんです。だから、協力しているんです。あなたのさっき言ったことは、速記録を調べれば矛盾していますよ、明らかに。やはり日本は協力しているんですよ、戦争に。戦争に協力していないなんて言えませんよ。おかしいですよ、あなたの言うことは。そんな態度を非常に国民は不安がっているんですよ。そんなばかな答弁をするものじゃないですよ。失礼千万ですよ。——ちょっと、腹が立って、私はものを言えぬから、待っておってください。  私が何でこういう話をまず切り出したかといえば、やはりいま日本人全体がいまの佐藤内閣の政策に大きな危惧の念を持っているんですよ。佐藤内閣は評判が悪いですよ。このごろどこへ行っても評判が悪いですよ。何なら、いま解散して選挙をやってごらんなさい、その結果が明らかに出ますから。ほんとうに評判が悪い、どこへ行っても聞くのは。何で評判が悪いかといえば、こういう政策をやるから評判が悪いんですよ。国民は非常な危険感を持っている。佐藤内閣にまかしておいたら、いつ戦争に巻き込まれるかわからない。非常にみなが心配しているんですよ。だから、そういうことをやっておってほんとうに——椎名さん、笑いごとじゃないですよ。みな真剣になって心配しているんです。だから、あなたたちのやることを合理化そうというので、小選挙区制などもやろうとしているわけです。きょう参議院を通った祝日法案だってそうですよ。その目的で祝日法案を強引に通したんですよ。野党が全部反対していますよ、参議院じゃ。みな関連したことです。そういう一貫した政策が今度の国会で露骨にずっと述べられてきている。これは並みたいていのことじゃないんですよ。やはりアメリカにあなたたちが何か要求されて、もっともっとアメリカに対する協力を強制されて、要求されているのじゃないですか。そういうふうに国民はみな受け取っているんですよ。そうしてその結果に対して非常な危惧の念を持っている。これだけのことを私申しまして、次の質問に移りましょう。  アジア開銀のことで質問しますがね、アジア開銀の資本金は十億ドルですね。
  123. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) さようでございます。
  124. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし、この十億ドルでは私はたいしたことはできないだろうと思うのです。それでは、あなたたちは十億ドルで十分だと考えておるのか、それとも将来何か考えがあるのですか、その点明らかにしてほしいと思うのです。
  125. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 私たちは必ずしも、長い目で見まして十分だとは思っておりません。したがいまして、まあたとえば一定期間後に資本金を再検討をするというような必要性は起こってくるのではないかというふうに考えております。
  126. 須藤五郎

    須藤五郎君 その十億ドルが資本金ですけれども、これは小さい話で、たいした問題ではないのですけれどもアジア開銀が実際に使える金は十億ドルのうち、大体何じゃないですか、五〇%の五億ドル前後といいますか、もっと詳しくいえば、三億六千万ドルか五千万ドル、五、六千万ドルぐらいの金じゃないですか。
  127. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 実質から申しますと、十億ドルのうちの半分は払い込みが行なわれるということになっておりますので、五億ドルということになるわけでございますが、これが五年間に払い込まれる。しかしながら、いろいろな経費もございますので、運用資金といたしましてはそれを下回ったかっこうになるわけでございますが、しかしながら、他方借り入れ金の規定もございますし、アジア開銀債というものの発行の可能性もございますので、そのときの状況におきまして、何億ドルということを一律にいまからきめてかかることもできないわけでございますが、大体まあ四、五億ドルぐらいは五年間で運用できるというふうに考えていいのじゃないかと思います。
  128. 須藤五郎

    須藤五郎君 この四億ドルか五億ドルか知りませんけれども、それだけでは実際仕事ができないのですね。実際は、実際の腹の中は、アメリカの信託基金というのですか、これを実は当にしておるのではないですか。
  129. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) あくまでも銀行の主体はこの資本金を中心として運営されることは、これは協定上も、あるいは設立の経緯からいたしましても、明らかでございます。ちょうどたまたま信託基金の話も並行的にございまして、またそういう協定も織り込まれておるわけでございますが、中心はやはり普通の資本金をもって行なう融資ということになろうかと思います。
  130. 須藤五郎

    須藤五郎君 昨年六月バンコクで開かれたアジア開銀設立のための諮問委員会へオブザーバーとして出席したブラック大統領持別補佐官、これが出席して、その直後日本にやってきておりますね。そのときにこのブラック大統領特別補佐官はこういうことを言っておる。アメリカは米州開銀に信託基金の運用をゆだねているが、アジア開銀についても同様のことをやる計画である、こう言っているのです。これは大臣はじめ皆さん御存じのことだと思うのですが、どうですか。外務大臣がいらっしゃるから、大臣から、
  131. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 十億ドルの資本金の大体割り振りはきまりまして、アメリカ二億ドル、日本二億ドル、そのほかにアメリカが一億ドル程度の信託基金をこの難行に寄託するだろうという観測が行なわれておりまして、アメリカの意向がその意向であるということはいまははっきりしておりますけれども、銀行としてはそれを受け入れるとも何ともまだ言っておらない状況です。
  132. 須藤五郎

    須藤五郎君 大臣がいらっしゃる前に、ぼくはここに第四回日米貿易経済委員会のトーキング・ペーパーというものを持っているのですよ。それで、そのトーキング・ペーパーを資料として出してくれといって頼んだのですよ。ところが、外務省は出さないのですよ。ところが、ぼくの手元に不幸にしてあるわけなんですよ。それで、ぼくはあなたのほうで出さなければ私のほうから出しましょうかといって、さっき少し読んだのですよ。その中にやはり「米国は前述のごとき信託基金取きめに対し、相当額の拠出をする用意があり、また日本がエカフェ地域の他の資格ある借り手を軽視してまでもとはいわないが、米国と同様の気持を持つことを希望する。」というのです。米国はこのトーキング・ペーパーの中ではっきり信託基金を出すということを言っているのですよ。それで、日本にも出せということを要望しているわけです。だから、米国が信託基金を出すということはこれはもう隠すことのできないことで、まだ金額ははっきりしませんけれども、まあ出すということだけは事実です。  それから、世界週報の六月号ですかによると、世銀理事でありアジア開銀総裁候補の渡辺武、この人が、銀行をつくっても金がわいてくるわけではないから、アジア諸国が単に自分の金を持ち寄るだけでは意味がない、アジア開銀アジア域外から資金を引っぱってくる手段である、こういうふうに言っている。これは暗に私はアメリカの信託集金をさしたものだと、こういうふうに理解するのです。ですから、おそらく皆さんは今後信託基金の形でどんどんとこのアジア開銀アメリカから資金を導入しょう、こういう計画を持っていらっしゃるのではないだろうか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
  133. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 私、直接渡辺武顧問のものを読んだり聞いたというわけではございませんが、いま須藤先生がお読みになられたところから察しますと、必ずしも信託基金のことばかりではなくて、やはり域外からも資本金の参加を求めて、現に三億五千万ドル程度は域外から資本金の部分として集まるということでございますので、これはやはり域外先進国のそういう資本力を使用するということは、このアジア開発銀行の運営上適当なことではないかと思いますが、ひるがえってその信託基金の話になりますと、これはいままでも話に出たかと思いますが、あくまでもこれは信託契約に基づいて受け入れるわけでございまして、そのときにどんどん受け入れるかどうかということは、これは私は従来のアジア開銀の設立の趣旨からいって、あまりにこれが過分になるということはそうないのではないか。たとえば域内の資本の比率が六五%なければならぬというような趣旨から申しましても、どうもそう多額にならないというふうに想像されますし、また、それも信託契約の内容、条件その他によるわけでございますので、どんどんこれが入ってくるというふうには、私は考えなくていいんではないかというふうに思っております。
  134. 須藤五郎

    須藤五郎君 外務省の意見はどうですか。
  135. 西山昭

    政府委員西山昭君) ただいま村井調査官からお話があったとおりに考えておりまして、信託基金というものもどういう運営、あるいはどういう構想、具体的なそういうものがまだ私はきまっていないと、こう了解しております。アメリカ自身もまだ考え方がそうはっきり考えているわけではないと思います。まだいまこれはどうこうという段階ではないのじゃないかと考えております。
  136. 須藤五郎

    須藤五郎君 米州開銀はいつ設立されたかということを伺っておきたいと思います。
  137. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 米州開発銀行は、協定が五九年にできまして、協定発効がその年の暮れに発効しております。業務は一九六〇年、ちょうど六年前に開始をいたしております。
  138. 須藤五郎

    須藤五郎君 キューバに革命が起こったのは一九五九年四月二日ですね、キューバ革命は。それから、米州開銀が発効したのが一九五九年十二月なんですね。それから、業務開始が一九六〇年十月、こういうふうになっているわけです。この米州開銀は何で急いでつくったかというと、このキューバ革命と一つの関連があるように思うのですけれども、キューバ革命がラテンアメリカ全土に波及しないように何とかここで経済的に手を打ってこれを防止しなければならぬ、そういう考えでこの米州開銀が非常に急いでつくられた、こういうふうに私たちは思っているのです。これは質問してもあなた方もそういうふうに答えないから、質問しないのですが、私たちはそれと同じように、米州開銀ができたように、先ほど一番最初に申しましたように、今度のこのアジアの開銀自体も、これはアジアの情勢ですね、それを見て、やはりアジアにおいて反共ブロック、経済的な反共ブロックをつくるためにこういうものを急遽つくらなければならぬ、それがアメリカが急に非常に熱意を示した一つの私は現実だと、こういうふうに思っておるのです。  そこで、次は、信託基金について少し質問したいと思うのです。米州開銀のアメリカの信託基金は総額幾らになりますか。
  139. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 社会進歩信託基金という名で呼んでおるのが信託基金に当たるわけでございますが、これが一億ドルでございます。
  140. 須藤五郎

    須藤五郎君 一億ドル……。
  141. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) いや、一億ドルは誤りで、アメリカが五億二千五百万ドル出しております。
  142. 須藤五郎

    須藤五郎君 それで、それはどんなふうに使われておりますか。
  143. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 私たちが調査いたしましたところでは、比較的ゆるい条件でもちまして、やはり開発事業の貸し付けということに充てられておると、しかも民間の融資がかなり困難な場合にそれに向けておるというふうに聞いております。
  144. 須藤五郎

    須藤五郎君 きのうもらいました資料によりますと、私が、これ、間違っておるかどうか、ちょっとあなたのほうと照らし合わせてほしいのですが、ブラジルに対しては二億二千九百万ドルですか。——私、いま言ったのは、信託基金だけじゃないと思うのですね。
  145. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) はい、ちょっと待ってください。いま至急調査して、あとで御返事申し上げます。
  146. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうですか、それじゃ……。  米州開銀の信託基金並びに資金は、キューバ封じ込めか反共政策を約束しないところには一文も貸していない、こう思うのです。政治的な意図でこの銀行は成立していないと言っていますね。米州開銀も、それから今度のアジア開銀も、政治的な意図はないと言っていますけれども、この金の使途ですね、これを見ると、そうは言えないと思うのですね。すべて政治的な意図でこれが運営されておるのじゃないか。  それから、アメリカの承認を得ない限りこの信託基金は使えないということになっていますね、信託基金は。アメリカの信託基金はアメリカの承諾を得ないと使えないのです。だから、これは全くのアメリカのひもつきの金だということになる。タイドローンになるわけですね。その例をあげますと、ベネズエラ、コロンビアはキューバと断交した。それまでは金を貸してもらえなかった。ところが、キューバと断交して、そこで何億何千万ドルかの金が貸し出された。条件はキューバと断交するということが条件です。断交したから貸してくれて、それまでは貸してもらえなかった、こういうふうになっている。それから、アルゼンチンは、米州外相会議でキューバに対する集団裁判に反対したために、資金を受けることができなかった。ところが、アメリカの圧力で後にキューバとの断交に踏み切った、そのとたんに一億三千九百万ドル、これだけ借款を受ける、こういう事実があるのです。こういう事実から見まして、やっぱり米州開銀というものは政治的に運営されておるということがはっきりすると思うのです。  さっきの答弁のほうはできたのですか。
  147. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) そのキューバ事件の前後の資料が必ずしも十分でございませんが、一部コロンビアについての資料によりますと、キューバ断交が行なわれました以前、十二月九日以前の融資を見ますと、約二千万ドル以上の融資を三回にわって行なっております。以後、キューバ事件以降の分としては二百万ドル、一割以下の数字しかございませんので、先生が言われますことがこのコロンビアには適応しないと思いますが、ほかの地域についてはいまのところさだかではございません。
  148. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたのそれを打ち破る資料が私どもの手元にいまありませんから、それはそれとしておきますが、それでは、アルゼンチンはどうですか。
  149. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) アルゼンチンの私の持っております手元の資料によりますと、千四百万ドルくらいは断交以前の融資でございますが、断交以降におきましては千二百万ドルくらいの融資を行なっております。
  150. 須藤五郎

    須藤五郎君 この信託基金は、今度のアジア開銀の運営でもこれが問題になってくる点だと思うのですが、この信託基金は自由に幾らでも増加することができるのですか。かりに日本が信託基金はどれだけ出すか、まだわかっていないんでしょう。アメリカはいま一億出そうといっている。アメリカは将来二億、三億という金を出そうと思えば信託することができるのか、日本が出そうと思えばできるのか、制限があるのかないのか。
  151. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) これは協定上の制限はございません。しかしながら、これはあくまでも銀行と信託者との契約によるわけでございますので、諸般の環境から申しまして適当でないということになれば、これは契約は成立しないということになるかと思います。
  152. 須藤五郎

    須藤五郎君 その契約を、アメリカは今度五億ドル出すなら出すといってくる、それを拒否するか受け入るかということをきめるのは、どこできめるのですか。
  153. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) これは理事会でもってきめることになると思います。
  154. 須藤五郎

    須藤五郎君 それは外務省もおいでになりますから、また運営の面はあとで伺いますが、そこの問題があると思っているのです。自由に増加することができれば、先ほど申しましたように、アメリカの基金は今後どんどんとふえてくる傾向にあるだろうと私は思うのです。そのことがやはりアジア開銀におけるアメリカ地位を強固にし、アメリカが支配を強くするという結果が起こってくると思うのです。  それで、借り入れ金ですね、これは使途は自由ですか、借りた金は。
  155. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 使途はやはり協定上の趣旨によりまして、業務の範囲というものが十一条及び二十一条に列挙されておりますが、その趣旨に従って使途されるということになるわけでございます。
  156. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本の対外貿易におきまして東南アジア貿易の占める比重、それをひとつ伺いたいのですが、それは輸出の面で一九五四年から六四年、この十年間の比重がわかりますか。
  157. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をとめて。   〔速記中止
  158. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  159. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) いま正確な集計をいたしておりませんが、私の記憶では約三割というふうに承知いたしております。
  160. 須藤五郎

    須藤五郎君 私のほうの資料が少しあるんです。輸出の面でいいますと、一九五四年には三一・七%だった。ところが、一九六四年まで十年間にずっと減って、一九六四年には二〇・九%となっておるのです。そうすると、こういう点から見ますと、このアジア開銀日本が出資するということ、これはその面から見ましても、やはり東南アジアの市場を日本か取り返すために——借り入れ金の使途やなんか信託した金の使途によって、不況になってきたその貿易を取り返すために日本はこれをやっているんだと、こういうことがいわれている。その点は昨日外務大臣もそれに似たことを——外務大臣じゃなかったですか、大蔵大臣でしたか……。
  161. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私も話しました。
  162. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたも話されましたね。同じような意図のことは、これは日本の貿易との関係があるということをおっしゃったと思うのです。やはりこれは低開発国援助だといいながら、ねらいはやはり日本の貿易の拡大、ひいてはやはり日本の——というと、皆さん笑うかもしれないが、日本の独占の育成という面と続いてきている問題だ、こう思うのです。信託基金も、いまも話されましたように、信託国の承認がなければ貸し出しもできない、信託国以外の物資も買うことはできないんでしょう。
  163. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 信託国の承認がなければその貸し出しが行なわれないということはそのとおりでございますが、物資は、これは協定の内容によりまして、加盟国からの買い付けということでございますれば、必ずしも信託国でなくてもいいというふうに相なっております。
  164. 須藤五郎

    須藤五郎君 信託国の承認を得なくてもいいのですか。その加盟国のものだったら自由に買えるのですか、どうなんですか。
  165. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) これは協定の中身によることかと思いますが、非常に具体的な話し合いになる場合もございますし、普通一般的でございますれば、この協定によります加盟国であればどこからでも買い付け得るというのが通常の場合であると考えております。
  166. 須藤五郎

    須藤五郎君 この金が政治的に、いわゆるイデオロギー的に使われる危険があるということは、私が先ほども述べたとおりですが、この協定の中には三十六条に、「政治活動の禁止及び銀行の国際的性格。」という条項に、政治的にこれを使ってはならないという条項がある。だから、あなたたちはこれは政治的には使わないのだという答弁をなさる。私が質問をすると、そういう答弁をなさる。しかし、政治的に使われるということは、乏しい例ですが、私が例をあげた面を見ましても、そのことが言えるし、それから、信託基金はその国の承認がなければならない、信託基金は無制限に増加できるという面から見ますと、アメリカの発言権というのはどんどん大きくなる。出資が大きくなればそれだけ発言権も大きくなる。アメリカのひもつきというものがどんどんふえてくる。だから、こういう条項かあっても、結果的に見れば、アジア開発銀行の金はやはり政治的色彩を持つ金だということははっきりわかるし、アジア開発銀行自体もそういう意図を持ってつくられたものだということが言えると思う。なぜならば、このアジア開銀の中には社会主義国は一つも入っていない。むしろアメリカに従属した国、ベトナムに対してアメリカに協力をして、出兵をしたりなんかしている国が中心でしょう。こういう国が銀行をつくれば、その銀行の運営はアメリカの意図どおりに動くというのは当然なことです。それがやはりイデオロギー的に使われるということは、これははっきりしていると思う。こういう条項を設けておっても、結果的に見ればそうではないということが言えると思う。  それから、きのうはあれだったが、きょうは松井君と議論するから。あなた、きのう発言の中で、このアジア開銀の目的は、世界人口の三分の一を占める貧困、無知、この低開発国に対する援助をする、これが目的だということをあなたは言った。そこで、私は、世界人口の三分の一を占める貧困、無知なる国々はアジアのどこにあるか、それを具体的に示せとぼくは言った。
  167. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 私の申し上げたのが用語にあるいは不適当な点があったかもしれませんけれども、私の申し上げましたのは、UNCTADの最終議定書におきまして、南北問題の重要性を説明した場合に、世界の三分の二の人々ということをまあ低開発国の意味において取り上げておったということをお伝えしようと思った次第でございます。
  168. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、貧困と無知というのはあなたがつけ加えたことばですか。
  169. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 最終議定書のプリアンブルの中の第五項だと思いますが、貧困と無知ということばはそのまま使っておりませんけれども、こういうふうに言ったことを記憶しております。世界の三分の二の人々は、その三分の一の先進国の有する国民所得の十分の一の所得しか持っていないというふうなことを言っております。それからECOSOCの文盲撲滅運動の場合にも、世界の三分の二の人々がイリタラシー、文盲と貧困に苦んでおるというような用語を使っております。
  170. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなたはあわてるから言い間違えるんだ。三分の一なんだ。文盲、要するに貧困と無知は三分の二じゃないんだ。いまあなたは三分の二と言ったが、それは間違いだ。三分の一なんだ、三分の一といっても、世界人口はどれだけあるんですか。
  171. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 三十億程度かと思います。
  172. 須藤五郎

    須藤五郎君 三十億程度でしょう。そうすると、三分の一というと十億だ。アジアにどこに貧困と無知の人口が十億ありますか。
  173. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) わかりました。私の申し上げたのはアジア銀行の関係で申し上げましたけれども、UNCTADの場においては世界的なグローバルのベース考えておりますので、先進国と後進国を分けた場合には、後進国が世界の三分の二の人口を占めるというふうに考えておるのでございます。
  174. 須藤五郎

    須藤五郎君 アジア開銀質疑のときに、あなた、それを言ったんですよ。
  175. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) 私のことばが足りなかったのかもしれませんが、その点についてはおわびいたしますが、アジア開発銀行の設立の由来というか、その世界的なトレンドを申し上げたほうがアジア開発銀行の性格なり目的がはっきりするだろう、そういう趣旨から、UNCTADにおいて地域開発銀行の問題とかあるいは開発資金の問題をどういうふうに考えたかということを御説明いたした次第でございます。したがって、アジアの場合が世界の人口の三分の一というふうにあるいは誤解を与えたかもしれませんが、そういう趣旨ではございませんです。
  176. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、その世界の三分の一の十億の無知と貧困な人民を、そこへずっと国別にあげてごらんなさい。
  177. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) UNCTADの場におきましては、大体ラ米の国、中南米が入ります。それからアジア……
  178. 須藤五郎

    須藤五郎君 中南米はみんな無知と貧困ですか。
  179. 松井佐七郎

    説明員松井佐七郎君) いや、それは一般的なグローバルな問題を考えるときのことばでございますので、一般的なことを言ったんで、特定の国の場合におきましてはいろいろ例外があるかと思います。たとえばUNCTADで後進国といわれる国の中におきましても、国民のパーキャピタ・インカムから見ると、低開発国の中でも日本より水準の高い国がある。そういう点から見ると、たとえば日本なんか世界の二十一番か二番目でございますので、低開発国の中に属する一部の国、たとえば中南米なりあるいは豪州、ニュージーランドのような国なんかも、そういう意味においては先進国とも言えるという趣旨はございますが、ああいう政治的な場におきましては大体大まかなところをきめましてやっておりますので、あまり強く理論的に区別できないのじゃないかと考えております。
  180. 須藤五郎

    須藤五郎君 まあ、きのうぼくに一喝を食らって、夕べじっくりいろいろ考えてきただろうと思うけれども、あなたがきのう発言した様子を見ていると、アジアの貧困と無知ということをはっきり言っているんです。アジアということをはっきり言っているんです。何だったら、あとで速記録を調べてごらんなさい。アジアの貧困と無知な後進国を援助するためということをあなたははっきり言っている。だから、あなたのあの発言の中に、あなたは——アジアで十億といったら、中国を省いてはそんな国あり得ないんです。だから、中国というところがあなたの頭の中にあったんだろう。ところが、今日の中国はそんな国じゃないんです。あるいは朝鮮、いわゆる北朝鮮ですね、朝鮮民主主義人民共和国、これもあなたの頭の中にあったかわからぬ。しかし、いまや朝鮮は、北のほうはそういう国じゃないんですよ。いまやもうりっぱな国になっておるんです。ベトナム民主共和国もそうなんです。あなたはみんなその中に入れているかもわかりません。そうじゃないんです。だから、私は怒ったんです。そこで、夕べ一晩考えて、そういうふうに答弁変えてきたんだろうと思うんです。それでも、よく厳密に調べたら、そういうことないですよ。これは外務省の人がそんな発言をしちゃいかぬですよ。第一そんな不確かな文章をそのままうのみにして、国会にそのまま発表するなんて、不見識じゃないですか。そんなことがあっていいんですか。だから、それは不見識だったら不見識だったと言いなさい。それは不見識ですよ。国会の答弁にそんな不確かな文章を持ってきて、そのままうのみにしてやるなんて、不見識じゃありませんか。もっとしっかりしなさいよ。——答弁できないの。できなければできないでいいんですよ。次に移ります。  この金は政治的な意図には使われない、政治的な意図を持ったものには金を貸さぬと、こう言っておるんですけれどもね、金を貸したら、政治的な意図でないと言いながら、やはり政治的な意図に使われる危険が十分あるんですよ。  かつて私は郵政関係の委員をやっておったんです。そのときに、一つの資料を手に入れた、郵政省が隠しておる資料でしたけどね。それは電電公社が商取引に名をかりて、そうして非常な安い値で、元を割るような値段で、いわゆる南ベトナムにおけるマイクロウェーブの工事をやったんです。その明細をぼくは手に入れた。これは金庫にしまっておった文書を、どうしたものかぼくの手に入ったわけです。それで、ぼくはそれをもとにして質問した。最初否定しておったけれども、ぼくが、こういうものがありますよ、こう言ったら、隠すことができなくて、全部白状したんです。そのときも、これは商取引によってやったので、決して電電公社が戦争目的にやったものではありませんと、極力そのときに否定した。しかし、今日ベトナム戦争を見ていると、それが全部戦争に使われておるんですよ。  だから、これはナムグム・ダムが戦争目的じゃないと言います。しかし、必ず将来戦争目的に使われる。そういうことをはっきり言えるんです。だから、これは必ずアジア開銀の金というのは、アメリカを中心とするいわゆるベトナム戦争に参加している国々、またその周辺、その国々に使われて、戦争目的に使われるということは私は明らかだと思うんです。これは私の一つの経験からはっきり言えると思うんです。  それから、もう一つ聞いておきたいのは、この融資をした地域に紛争が起こった場合ですね、かりにマレーシアとインドネシア、これはまだしていないけれども、将来ああいう問題が起こった場合は、これはどういうふうに処理するんですか。
  181. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 紛争が起こりましても、アジア開発銀行としては普通の融資条件に従って返済を求めるというたてまえでもって臨むということを予想しておるわけでございます。  それから、先ほどお尋ねございましたブラジルの数字がいま集約できましたので、ちょっとついでに……
  182. 須藤五郎

    須藤五郎君 簡単に言ってください。
  183. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) キューバ断交までは三千万ドルの融資を行なっておりましたが、その後は三千七百万ドル、断交以降三千七百万ドルの融資を行なっております。
  184. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう一つ聞いておきたいのは、このアジア開銀が戦争目的のためじゃないと、決して政治的な意図を持って使われない、こういうことを言っていますけれどもね、本年二月十二日、バンディ国務次官補、これがこういうことを言っているんです。アジア開発銀行の創立など、東南アジア開発援助アメリカの軍事政策と相互に関連しておる、その目標は中国封じ込めにある——はっきり言っております。これから見ましても、アジア開銀がどういう意図を持ってやられているかということははっきりしている。私がこれまで言ってきたことをバーディが裏書きしています。  それから、自民党の安全保障調査会でまとめた安保問題に関する中間報告、この中にもこういうふうになっています。経済協力は単に経済的基盤でのみ考慮してはならない、安全保障といった観点からも検討しなくてはならない、こう書いてあります。  こういう点から見ましたら、今度のアジア開銀は、アメリカアジア侵略政策、これに追従するところの日本独占の野望の一環であるということが明白になると思うんです。だから、いかにあなたたちが、これが政治目的でやったものじゃない、こういうことを言っても、こういう材料がずっと出てきますと、私たちはそれをそのまま、そうでございますかといってね、うのみにすることはできない。やはりこういうことが事実で、それを隠そうとしているのじゃないか、こういうふうに思うんです。  それから、銀行の運営について少し。銀行の運営はどういう方法でやるんですか。
  185. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 大方針は、各国の総務をもって構成いたしております総務会というもので基本方針、大方針をきめるわけでございますが、しかし、日常の執行業務、経常業務につきましては、理事会が方針をきめて、きめるということに相なっております。
  186. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、この出資に対するまあ株式ですね、株主の持ち株数と、それが持ち株一万ドルについて一票、それから基本票というやつがあるんですね。それと両方でやるというわけですね。そうするとね、アメリカの持つ票数は一六・八%になりますね。日本の持つ票数も大体それと同じことでしょう。大体というか、それと同じことになる。そうすると、日本アメリカで三十何%になる。そこへもってきて、アメリカの支配下に、従属下にある国々、それを加えますと六〇%以上になると思うんですよ。アメリカの同盟国の票なんかも入れれば六〇%以上になる。そうしますと、この銀行の運営というものは、結局アメリカを中心とした国々によって握られるということになるのじゃないんですか。
  187. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 日本アメリカが全体の総表決数の中でそれぞれ一六、七%を占めるということは、いまのところそういう数字に相なっておりますが、これが糾合して、アメリカ支配下の国がどれどれであるかということは、はなはだもって私は解明しがたいので、したがいまして、それが六割に達する、アメリカの発言権が事実上六割に達するという御質問、御指摘でございましたが、私はさようには思っておりません。
  188. 須藤五郎

    須藤五郎君 アメリカが二億ドルで二万票ですね、日本も二万票、韓国が三千票。これは比例票ですよ。台湾が千六百、南ベトナムが七百、ニュージーランドが二千二百五十六、タイが二千票、オーストラリアが八千五百、これを合計しますと五万八千五十六票。それから、資本金も、十億ドルのうちずっとこれらの国々の出資を見ますと、五億八千五十六万ドルになるんですね。そうすると、十億の半分以上ですね。過半数になる。票数の過半数になるんです。そうすれば、この国々が全部の銀行の運営を握るということになるんですが、大株主みんなこれそろっちゃっているから。
  189. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) それぞれの国はそれぞれの見解によりまして表決をするわけでございまして、日本アメリカですら必ずしも常に同一の結論を出すということに限ってはおらないことは当然かと思います。
  190. 須藤五郎

    須藤五郎君 だって、普通の株式会社でしたら、株式の半数以上握っておれば、その会社の運用は株主総会でやったって自由に運営できるでしよう。そうしたら、このアジア開銀でも、株式の、要するに票数を半数以上、六〇%握っているんですから、その国々で……。だから、アメリカの言うとおり動く国が六〇%握っているのだから、アメリカの言うとおりこの会社は動かされるんじゃないですか。
  191. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) そうではないと申し上げておるわけでございます。アメリカが一六、七%しか持っておりませんから、アメリカは一六、七%はこれは完全に行使できるかと思いますが、あと日本をはじめといたしまして、必ずしもアメリカと同じ表決をしなくちゃならぬということはもちろんないわけでございます。
  192. 須藤五郎

    須藤五郎君 それはことばの上のことですよ。いまの日本の政治にとってはそうじゃないですか。片っ端から、アメリカが原子力潜水艦を入れるといえば、よろしゅうございますといって椎名さん答えているじゃないですか。原子力空母も、どうぞ、入れますと言っているじゃないですか。そんな政治しかできない国が、アジア開銀でそんな大きな口たたいたってだめですよ。結局、アメリカの言いなりに日本は引っぱられていくにきまっているんじゃないですか。日本をはじめ韓国、台湾、南ベトナム、みんなそうじゃないですか。アメリカのほうのごきげんをとらなければやっていけない国ばかりじゃないですか。だから、そんな国集まったら、必ずアメリカの言うとおりされてしまうんじゃないですか。そこで、開銀のアメリカのねらいがそこにあるんです。また、日本もそうかもわからぬ。日本アメリカと腹を合わせてこれを運営していく、そういう危険があるということを私は言っておるんです。  それじゃ、最後の質問をいたします。外為関係でちょっと質問したいんですがね。最近、韓国向け輸出がふえたといわれていますが、どの程度にふえたのか。
  193. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 数字をいま取り調べまして、後刻なるべく早くお答えいたします。
  194. 須藤五郎

    須藤五郎君 えらい不勉強やね。  韓国のベトナム向け特需が増加しておりますが、どの程度になったか。これは新聞にずっと出ていますから、あなたもよく知ってるだろうと思うんですが。また、今後の見通しはどうか。この二点質問いたします。これは新聞に出ていますよ。
  195. 西山昭

    政府委員西山昭君) 韓国のベトナム向け特需の詳細については承知いたしておりません。
  196. 須藤五郎

    須藤五郎君 あんた、新聞見ていないのかね。この韓国特需というのは大きな見出しで出てるじゃないか。
  197. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 最後の質問だから、しっかり答えなさいよ。
  198. 西山昭

    政府委員西山昭君) 最近、韓国からベトナム向けの、持需といいますか、輸出がふえておるように聞いております。新聞等にも報道されておりますが、的確な数字につきましては、まだ詳細入手いたしておりません。
  199. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじやぼくから言いましょう。昨年、一九六五年に急増した韓国のベトナム特需、受注が二千万ドル、それが本年初頭には年間六千万ドルと、一挙に三倍増を見込むに至っておる。これが現状ですね。さらに、アメリカ国防総省の軍納関係責任者レオン・サテンスタインを団長とする基地調達視察団と韓国当局との討議により、一般輸出三千万ドル、軍需物資二千万ドル、軍事施設二千万ドル、役務提供二千万ドル、派遣技術者送金一千万ドル、計一億ドルのところまで拡大できる、こういうふうに韓国当局は言つておるんですよ。だから、これから見ましても、韓国のベトナム特需がどれだけふえておるかということは想像がつくと思うんです。こういうことをあなたたち知っとって答えないんだと思う。知らぬとしたら、あまりにも無関心だと思う。知っとってあんたは答えようとしない。実際はこういうふうになっている。  そこで、もう一つ質問しますが、最近、日本から韓国経由のベトナム特需がふえておると、こういうふうにいわれております。また、日本から韓国に原料、資材を送り、韓国でそれを加工して、韓国が特需としてベトナムに送るという事例が多いと私たちは聞いております。実態を知らしてほしい。
  200. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  201. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記を起こして。
  202. 西山昭

    政府委員西山昭君) 所管は通産省でございますので、通産省のほうへ資料要求していただきたいと思います。
  203. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、外務省は何も知らぬのですか。
  204. 西山昭

    政府委員西山昭君) 責任ある数字を御説明いたす上におきまして、さよう申し上げたわけでございます。
  205. 須藤五郎

    須藤五郎君 最後の質問です。韓国がベトナムに輸出した約三千万ドルの鋼材は、日本から韓国を経由したものだと思います。また、韓国が特需として輸出したジャングル・シューズ八十万足も、韓国東信化学工業に日本の丸紅飯田が、また、春和ゴムに東洋綿花が、国際ゴムに日綿実業が、それぞれ原料を供給しておる。だから、日本韓国に対する有償無償援助の大半が、ベトナム特需用の現地資材になるのじゃないか、こういうふうにいわれておる根拠がここにあるわけです。全く根拠のない話ではない。政府はこのようなことを大体いいことだと思っておるのか、どういうふうに考えておるか、外務大臣のお答えをいただきたい。
  206. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 韓国に原料、資材を供給して、向うでこれを加工してベトナムに出ておるということを言われましたが、あるいはそういうことに該当するものが多少あるかと思います。しかし、経済協力の無償有償の日本からの資材、役務、そういうものはまだ手続の最中でございまして、まだ向うに渡っておらない。でありますから、有償無償の経済協力が、そのままベトナムに軍需物資として再輸出されているというようなことは、これはもう全然架空の議論でございます。
  207. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかしね、やがてそれは始まろうとしているのでしょう。だから、いまこういうふうなことになっておるが、有償無償が始まった結果は、こういうことになるのではないか。そういうことはいいと思うのですか。
  208. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはちゃんとした両国の間の経済合同委員会、及び日本それ自身としても、有償無償の援助内容については十分に審査をして、これが真に韓国の経済に役に立つかどうかということを十分にらんだ上でこれに承諾を与えるのでありまして、いまあなたのおっしゃるようなことは毛頭御心配はございません。
  209. 須藤五郎

    須藤五郎君 それじゃ、最近韓国から何年間分は早くよこせというような要求が来ているということも新聞に出ているんですが、外務省としては、椎名さんとしては、そういうことを考えておりませんか。
  210. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 初年度の総体計画として九千万ドル余のものが来ております。これは内容を審査して、大体まあよかろうということにかりになっても、今年度分は四千五百万ドルということになっておりますから、これからはみ出たものは翌年度回しということになります。
  211. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 衆議院の段階や、あるいはきのう私どものほうの数人の議員が数多くの質問をやっておりますから、でき得るだけ複合しないように質問をしてまいりたいと思います。委員長要請もありますから、外務大臣に対して、まず最初に質問をしてまいりたいと思います。  第一の問題としては、低開発国に対して日本政府として基本的な計画というものは持っているのかどうか、その辺のことについてひとつ外務大臣からお聞かせ願いたいと思います。
  212. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 低開発国に対しましては、すでに国連の場においても、それからOECDの場においても、いわゆる南北問題として取り上げられておるのであります。日本アジアにおきましては唯一の工業国であり、先進国でありまして、日本はそれぞれ欧米の先進国とともにこの責任を分担して南北問題の解決に当るべき立場に立っておる、こういうことが一般的に申し上げられると思います。  それから、日本自体としても、東南アジアを中心とするアジア各国に対する関係は、従来からこれは大事なお得意でございます。日本の輸出市場であります。ところが、さっき須藤さんからもお話がありましたが、日本の輸出入はだんだん膨張してまいりまして、数年前までは日本の輸出の三〇%くらい占めておったものが、最近では二〇%前後になっておる。こういうことは、絶対数が減ったわけではない、日本の輸出量、輸入量、これがだんだん総額がふえておる、ところが、東南アジアを中心とするアジアに対する貿易量がこれに伴ってふえないというために比率としてはずっと落ちておる、こういう結果になっておる。日本としてもやはり東南アジアの経済協力をやりまして、これを育成し、しかる上に日本の品物を従来以上にたくさん買ってもらう、日本からの輸出もそれに応じてふえるということになりまして、日本の経済の将来からいっても当然この地域に対して相当力を入れなければならぬ立場にある。  こういう両面からいいまして、低開発国に対する日本関心というものはどうしても今後ますます高まらざるを得ない、そういう情勢にある、こう申し上げることができると思います。   〔委員長退席理事青柳秀夫着席
  213. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 これは日経の三月七日の新聞ですが、四十三年度八億七千万ドルの経済協力に対して、その内容は低開発国の経済協力三カ年計画大綱、加えてこの対外協力基本法、こういったものを政府の中では考えられておって、通産省なり外務省あるいは大蔵省は目下いろいろ協議中である、こういういわば低開発国に対するところの援助体制というものが、政府の中で、その基本的な問題について種々検討が加えられておるということが、この新聞に載っているわけです。こういう具体的な作業というものはいま進められておりますか。もし、進められておるとすれば、その大綱と今後の方針、そういったものと、それから詳しくはあとでいろいろ進めていく中で私は質問してまいりたいと思いますが、そういう計画を持っておるのか持っておらないのか、持っておるならばその大綱はどういうものか、ここにはちゃんと八億七千万ドルと金額まで明示されてそれぞれタッチされておる、こういうことでありますが、それについてひとつ。
  214. 西山昭

    政府委員西山昭君) 日本の経済協力のあり方というような問題に関連いたしまして、いろいろ一%の目標を達成しますにはどういうぐあいに考えたらいいか、こういうことは当然関係の各省で検討しておるわけでございますが、それはいろいろまた複雑な問題がございまして、これからすぐに作業ができるような簡単な問題ではないというのが私どもが現状で理解しておる状況でございまして、まだ、共通の試算に立ちまして、財政規模をどうするとかなんとかいうような、具体的に数字でお示しできるような段階の作業には至っていないのが実情でございます。ただ、そういう点につきまして検討はいたしておるということは事実でございます。
  215. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  216. 青柳秀夫

    理事青柳秀夫君) 速記を始めて。
  217. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 先ほど須藤委員からの質問韓国に対する輸出でございますが、最近の数字を申し上げますと、六三年、一億六千万ドル、六四年、一億飛んで九百万ドル、六五年、一億八千万ドルというふうに増加の傾向にあるのは、先生の御指摘のとおりであります。たとえば去年の一−三とことしの一−三という三ヵ月を比べてみますと、去年は四千二百万ドル、ことしの一−三は五千五百万ドルというふうに増加いたしております。
  218. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ここでひとつ聞いておきたいのは、低開発国というのは一体どういう国をさすのか、この見解をひとつ説明していただきたい。
  219. 西山昭

    政府委員西山昭君) 非常にはっきりといたしました低開発国という定義は国際的にはございません。国民所得が低くて経済の開発がおくれておるというのを一般的な呼び方で低開発国といっておりまして、科学的にこういう条件を具備した国が低開発国だというような国際的なはっきりした定義の話し合いはございません。
  220. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 一般的にどういう国々をさすんですか、通常。
  221. 西山昭

    政府委員西山昭君) 一昨年開かれましたUNCTADの会議におきましては、大体資料等の関係から、七十七カ国は低開発国のカテゴリーに入るものとして考えられております。
  222. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そうしますと、アジア開銀加盟する三十一国ですか、それはすべてその範囲に入るということですか。
  223. 西山昭

    政府委員西山昭君) 域内の国におきましては、日本はもちろん入らないわけでございまして、そのほかの国が低開発国に入るわけでございます。
  224. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、今回のアジア開銀の設立について、二つの動きがいまあると思うんですね。一つは何かというと、一九六五年の四月七日、先ほどから問題になりましたけれども、ジョンソン大統領がバルチモアのジョンズ・ポプキンス大学において提唱した東南アジア開発構想声明があって、一つは、一九六一年以来ずっと検討されてきて、今回発足の状況を見たアジア開発銀行、このことに基づく開発計画、こういう二つの流れがからみ合っていま動いているのが低開発国に対するところの姿ではないかと考えられる。したがって、この二つはどうしても車の両輪のような形でかみ合ってきているのではないか、こういうように私は考える。したがって、そういう関係について明確にひとつ、方針上の問題として、外務大臣にお考えをお聞きしておきたい。  それから、もう一つは、アメリカが、先ほども論議があったんですけれども、東南アジア開発構想、こういったものについて自己ペースでいろいろと進めている、あるいは国連の開発ペースというものについてこれを抱き込もう、そういう姿が、あとから具体的に質問してまいりますけれども、あるんじゃないか。これに対して日本政府として一体どういう考えを持っておるか、この辺についてひとつ伺いたい。
  225. 西山昭

    政府委員西山昭君) まず第一に、先ほど申し上げました中で間違いがありますので、訂正させていただきたいと思います。域内国で日本だけと申しましたけれども、豪州、ニュージーランドは低開発国ではございません。  それから、ただいまの御質問の、ジョンソン大統領の十億ドルの構想、アジア開発銀行とどういうような関係かというお話でございますが、最近の世界的の関心といたしまして、なかんずく日本といたしまして最も関心がある問題は、アジア地域、なかんずく東南アジア地域の経済開発を進める問題でございます。こういう世界的な関心が高まります中におきまして、先ほどからお話がありましたように、域内の国で、エカフェ等を中心にいたしまして、アジア地域で開発銀行をつくろうという自然の動きが出てまいりました。もちろん、日本はその中の一環としまして、アジアの国の一員としまして、それを推進してまいったわけであります。たまたまアメリカ大統領の四月七日の演説で、十億ドルの構想が説明されました。これは時期的に四月でございまして、その内容は、戦争は正義のために戦い抜かなければいけないけれども、同時に、戦争だけで問題が解決するわけでなく、平和の建設をやらなければいけない、そのために東南アジアの地域に対して、各国がみずから経済建設の案をつくっていくならば、アメリカはこれに積極的に協力する用意がある、こういう話をいたしました。ただし、そのために十億ドルくらいを使う用意があるとは言っておりますけれども、これは一つの政策の方針をうたったのでございます。これを何年間にどういうぐあいに使うとか、具体的な方向は指示されていないわけであります。そういう意味におきまして、大きい世界的な空気の中で、東南アジアというものがいろいろ議論されておりまして、経済開発が取り上げられておるわけでございますが、これがアジア開発銀行と大統領の政策とが結びついて、あるいは初めから有機的に一体をなして進んでいくという性質のものではなくて、自然発生的に、これは全く違うものでございます。
  226. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃ、重ねて聞くのですけれどもアメリカのジョンソン大統領のいわば東南アジア開発構想というものについて、日本政府としてはどういうふうな理解をしてきておりますか。
  227. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはことしのホノルル会議ではっきりと出ておるのであります。すなわち、ベトナムの戦争が一面においては国内の破壊活動の分子を排除する、掃討する、それから北からの浸透を防ぐ、こういう軍事行動をとられておるということでございますけれども、何しろベトナムに限らず、ベトナムを中心とするあの東南アジア一帯は非常に貧困であって、ほかの国においてもなかなか経済的に安定しておらぬ。したがって、政治的にも絶えず流動的である。こういうような状況を考えると、一方においては軍事行動、一方においては平和建設の方向に相当力を入れないと地方の安定というものは期し得ない、こう考えておるのでございまして、これはだれが考えても、多少立場の相違からいろいろな考え方に相違が出てくるかもしれませんが、結論は同じだと思います。日本のきわめて近接した地域にありまして、あの地方の政治経済の不安定な状態が、日本にとっても非常に近接な問題である。政治的にも、経済的にも、非常に近接な問題である。これはどうしても日本それ自身としては放置できない、こういう観点から、この四月に日本としては、軍事面では能力ありませんから、経済面においてですね、何とかこの問題の解決のために努力したいという考え方からいたしまして、東南アジアの開発のための閣僚会議を開いた、こういう状況であります。アジア関心を持つ限りにおいては、やはり経済開発の問題に無関心ではあり得ない。どの国が考えても同じ結論になるのではないか。しかし、ただ、これを実行する上において、経済的な力、そういうものがおのずから逕庭、差異がございますので、その力の入れ方、効果のあげ方いかんということになりますと、差別ありますけれども、大体どこも同じような考え方を持っておる、こう考えます。
  228. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 外務大臣、いまちょっと話をされたんですが、このジョンソン大総領の援助方向というものは、すべてこれベトナム戦争、それを中心にしてやっておる、こういった意味合いのことだと思うのですが、その具体的な内容について、外務省としてジョンソン大統領構想に基づいてどういう具体的な作業がやられておるか、この点についてわかればもう少し詳しく教えてもらいたい。
  229. 西山昭

    政府委員西山昭君) 昨年の四月に大統領が演説いたしました。そのあと、先ほどここでお話が出ましたが、メコン委員会等で案をつくりましたけれども、それは推敲された案でないわけでございまして、実行には移されておりません。ただ、昨年の夏にアメリカは十億ドルの関連におきまして八千九百万ドルの予算を議会に要求いたしまして、これの承認が得られておるわけでございますが、その内訳はメコン水域の開発促進のための千九百万ドル、南ベトナム地方都市近郊農村電化協同組合の支援のために五百万ドル、医療協力、これは医療団の派遣、村落診療所の設置等でありますが、七百万ドル、タイ、ラオスの道路、ダム等建設労務者の訓練六百万ドル、鉄鋼、セメント、化学品等必需物資輸入のための融資が四千五百万ドル、現行農業開発計画の補足等に七百万ドル、合計八千九百万ドルの対外援助が承認されております。このうちにどれだけ現実に出費されて実行されたか、詳細は不明であります。
  230. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま発表になったように、総額が八千九百万ドル、それから昨年の六月一日の議会教書の中で具体的に予算措置をとられた、いまおっしゃられたように。私はいまこの内容を聞きまして一番疑問に思うのは、援助の対象というのがベトナム、タイ、ラオス三国に限定しております。さらに、総額が八千九百万ドル。その六割は大体南ベトナム。さらに、この資金の用途ということになりますが、まあおおむね三カ国内におけるところの六項目に限定してそれぞれやっておるようでありますけれども。  そこで、問題なのは、私は三月にラオス、カンボジア、あるいは南ベトナム等のあの辺へ行ってまいりました。このラオスという、こういう国情というものはよく理解をされておるのかどうか。これは私はあの辺へ行ってまいりまして、タイはいま少なくともアメリカの軍事基地で、駐留軍の増大がものすごい。言ってみれば、建設の大半は道路その他に向けられておる。あるいは上水道その他設立されても、それは全部駐留軍が主体で行なわれておった。ラオスにおいてもしかりです。そういういわばすべてが軍需を補給するそういう補給源になっておるというのがいまの現状であります。そういういわばラオスとか南ベトナムとか、あるいはカンボジアとか、こういう国情についてどう一体御理解をなさっているか、その辺について知り得る範囲内でひとつお聞かせを願いたいと思います。
  231. 西山昭

    政府委員西山昭君) 御承知のとおり、国によって相当事情が違っています。たとえばタイのごときは相当経済開発も進捗いたしまして、政府自身も相当具体的な計画を持ちまして、進歩の実現もなかなか着実に行なわれておるわけでございます。もちろん、地方のへんぴなところに参りますと、まだ至らないところは多いわけでございますが、比較的に安定した発展の道をたどっておるのでございまして、これに対しまして、カンボジアは現在政治的な関係アメリカ等と断交しておりまして、非常に経済的にも困難な事情にありますけれども、戦争の直接の影響を受けておりませんので、まだ経済的には非常に混乱した状態にはなっていない。ただ、何と申しますか、資力に弱いものでございますから、経済開発と申しましてもなかなか早急にはいかない。したがいまして、進歩の程度も緩慢でございます。これに対しまして、ラオスはさらに資源等も貧弱であります上に、まだ国民生活の基盤がそれよりも低いわけでございます。そういう意味では、何と申しますか、軍事的な経済の状態をいかにしたらもう少し近代的な初めの段階に持っていけるかというような状況でございまして、そういう意味におきまして、日本その他の国も経済協力をいたします場合には、いろいろやり方を変えて別に考える必要がある、こういうぐあいに考えております。
  232. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は他国をどうのこうの誹謗する気持ちは毛頭ございませんが、ラオスに参りまして、現実いろいろ聞いたりなんかしたのでありますが、アメリカが一億ドルの経済の援助をラオスにする、そういうことになりますと、その八割がほとんど基地の拡大、あるいは軍用道路、あるいはまたあすこに駐留している軍隊の住む家とか、そういうものにすべて消費される。一たんラオスの国家にはそういう援助される総額が入るのだけれども中身の使い方については、すべて軍のいわば補給源になる、こういうのが実態なんです。残る二割程度がかろうじてラオス国家に繰り入れられて実際使える。しかし、その中でも、たとえば一つの凱旋門——私は理解しにくかったのですが、おそらく十年前の一九五四年の独立を記念して、それを凱旋門と称したのでしょうが、これがビエンチャンの飛行場から約十分くらいの間隔のところにあるのです。その一つの円をつくるのに、約十年かかって、なおかつ完成しない。それはどういうことかというと、すべてが軍人、高級将校とか官僚のいわば汚職の中で、もうすでに完成をする手はずのものが、そういう状況になっておる。全く政体というものはもう腐敗堕落、その絶頂に達しておる。  ことに不幸なことには、北部の方面にはパテト・ラオという北部軍がいるし、現に議会の中には北部は入っておらなくて、この間東南アジア開発閣僚会議に出てきたプーマ首相殿下、いわば中立と目されるプーマ殿下を中心とした右派軍との連立で政権をとっておる。したがって、十年後の今日において、長いこと植民地政策をやっておったというそういう中で、とても国土復興もならず、あるいは残念ながら文盲という状態もまだまだ。したがって、人口が自国内に何ぼいるかという正確なものを把握する国勢調査もできない。まことにこれはラオス自身の責任ではなくて、そういうものを押えつけてきたいわゆる支配国にあると思うのですが、そういう実態。したがって、ラオスの人口は一体どのくらいあるかといったって、その日によって、異同があって困る、はっきりしたことがわからない、こういうのが実態です。こういうところにアメリカは軍事基地を増大し、軍用道路を増大し、少なくともビエンチャンの飛行場にはアメリカの、あれはラオス国際監視委員会の飛行機あるいは輸送機というものが南ベトナムに向けて一分間隔で飛び立つ、そういうことで、まるきり南ベトナム戦争用の要地として使われておる。これが行ってきた現実の姿です。  そういうものに対して、アメリカが東南アジア開発構想に基づいて、ジョンソンの指示に基づいていろいろやっているわけですが、実際軍事面の補給のすべてはそこに集中されておる。一つのラオスの使う予算があったにしても、それらもすべてまたこれの支援体制のために使われるという、そういう状態です。こういうのが私が行ってきた偽らざる実際の現地でのなまの声なんです。  ですから、国民の生活というものは、全くそれはひどいものです。何ら改善されておらず、アメリカ軍が何ぼ駐留しようと、自分の食事とかなんとかいうものは全部本国から持ってきたものでやるわけですから、ラオス国民の生活状況というものは、消費生活には何ら影響を与えない。これはもう経済援助というものじゃないと私は思うのです。そういうのがむしろいまのラオスの実態です。南ベトナムだって、帰りにあの飛行場に寄ってみたけれども、それはもう全くすべてが戦闘行為一点ばりです。  そういうところに、アメリカが東南アジア開発構想、経済援助をやりますよといっても、それは私は少なくともベトナム戦争に対する国際世論の非常な非難、そういう非難を排除するための一つのペテンですね、そういうことになっているのじゃないか、こういう点に対して一体政府はどういう理解をしているか、この経済援助のしかたなり方法、内容、そういうものについて、この辺についてもう少し具体的に私は政府の見解を聞きたい。
  233. 西山昭

    政府委員西山昭君) 現状は先ほど申し上げましたようでございまして、ただ、こういうところに何もやる必要はないのだということになりますと、ますます経済状態は悪くなりますし、何とか少しずつでもよくして、そうしてそういうところが経済的に安定しまして、そうして結果におきまして、紛争等も起こらないようなよい方向に行くように期待を持ちまして、またそれが実現するようなぐあいに、効果のあるような手段で経済協力をやるということが目的でございまして、その意味で、そういう国に大きな高層の建物をつくったり、あるいは大きな工場をつくったり、そういうことは現状におきましては全く意味ないことでございまして、まだ初歩的に必要ないろいろの施設をつくるとか、あるいは改善をするとか、そういう非常に規模は小さくても現実の必要に合ったような経済協力をやりますことが、いまの私ども考え方でございます。   〔理事青柳秀夫退席委員長着席
  234. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで、私はあとでまた具体的に聞いてまいりますけれども、このアメリカの大統領の声明書に基づいて、私は米州開発銀行というものがつくられた。この米州開発銀行のいわば計画責任者というものは、いろいろと問題になりましたけれども、私はロストウだと思う。このロストウについてきのうまあ次官が回答されたのですが、あまり詳しく回答されておらなかった。このロストウについて、一体米州開発銀行設立に伴ってどういう計画をされたのか、先ほどちょっと表向き出たようでありますけれども、具体的にいまラテンアメリカ一帯に向けての経済援助、あるいは銀行から貸し出されている融資形態、その事業内容計画内容、こういったものが具体的に一体どういうものなのか、そういうものに対して、ラテンアメリカの皆さんが歓迎しているのか、していないのか、その運用等、こういう問題について私はお伺いをしたいと思う。
  235. 西山昭

    政府委員西山昭君) 米州開発銀行が関係地域にこの資金を活用いたします際には、いろいろのやり方があるわけでございまして、長期低利の——長期に回収を予定されるようなインフラ・ストラクチュア的なものには長期低利のものをやりますが、比較的早く収益性が見込まれるようなものなどにはもう少しかたい条件で貸し付ける、場合によりましては技術協力をやる。それから、その他いろいろの面でやっておりまして、その運営のしかたは、七人委員会というものがございまして、毎年各国別に、経済計画建設あるいは実績等につきまして、コンフロンテーションと申しますか、審査を銀行においていたしまして、そうしてそういうものの検討を通じまして、非合理的に資金が流れないように、十分銀行の内部で国別の審査をいたしまして、その結果うまくいくように合議が行なわれて、運営をされておる、こういうぐあいに了解しております。
  236. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 米州開銀の内容については、あとでまた詳しくいろいろと質問したいと思うのです。ただ、私はここで問題なのは、いわゆる米州開発銀行計画を実際やったのはロストウだ。ロストウ氏がどういう合いことばでやっているかというと、いわゆる「進歩のための同盟」、こういう合いことばのもとに米州開発銀行の計画というものを進めておるわけでしょう。そのロストウ氏が、いままあこれは国務省政策企画院長、こういうことだと思うのです。経済担当の。これは間違いないかどうか、ちょっと確かめておきたい。
  237. 西山昭

    政府委員西山昭君) ロストウ氏は最近まで国務省の政策企画委員会の委員長をしておりましたが、最近大統領顧問になりまして、現在はホワイトハウスに勤務しております。
  238. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この方が日本に来たことも御存じですね。その来たときに、こういうことを言っていると思うのですよ。そのロストウ氏の演説の一端を私は紹介しておきたい、これは開発銀行に非常に関係がありますから。一つは、昨年の四月の二十三日、国際親善日本委員会、ここの主催で、「アジアにおける経済開発」、こういう演題のもとに講演を行なっているわけですね。その中でどういうことを言っているかというと、アジア諸国が互いに助け合う五つの道を指摘をしているわけですが、それは省略をいたしますけれども、結局はこのアジア地域開発計画を「進歩のための同盟」と同じに扱うことだと言明しているのですね。それから、もう一つは、翌二十四日でありますけれども、これは内外情勢調査会全国懇談会、ここで「近代世界における安全保障問題」、こういう演題でもって講演をされているわけです。これについてこういうことを言っているわけです。ラスク国務長官が上院外交委員会で述べたそのことばを引用して言っておるわけでありますけれども、「アフリカとアジアにはいまや地域的基盤に立つ多角的な取りきめを行なおうとする動きがある。米州機構を通じてアメリカにつくり出されたような取りきめは、もちろんほかの地域ではそのまま模倣することはできないにしても、われわれにはいま述べたような効果を持つ多角的な地域取りきめの発展を促進するために、その役割りを果たす用意ができている。」と明確に言い切っているわけです。こういう発言をわれわれが考えますと、言ってみれば、米州開発銀行、その計画担当者、その土台を敷いたそういう方が、日本にやってまいりまして、この二つの講演内容の中で、明らかにこの多角的な地域取りきめを発展させると。したがって、今回のアジア開発銀行の中には、域内域外、ことに先ほどちょっと質問出ましたけれども、総裁就任予定者の渡辺さんなんかは、「エコノミスト」の中でも明確にそれらのことを言っているわけです。域外資本を多く取ってこい、こういうことを言われておるわけです。こういう一連の発想、構想というものは、やっぱりアメリカのジョンソンの東南アジアの開発構想に基づいて、その命を帯びたロストウが日本へ来て、講演の中でそういうことを明らかにしたと、こういう形だと思うのですよ。こういうことに対して、一体外務省としてはどういうふうに考えておるのか。
  239. 西山昭

    政府委員西山昭君) 昨年ロストウ氏は日本へ参りまして、いろいろの問題を、非常に非公式に意見の交換をやったことは事実でございます。その中で、経済協力の問題も一つの事項として取り上げられまして、いろいろ話し合ったことも事実でございます。ただ、ロストウ氏が、アジア開発銀行を通じまして、いまのお話のようなことを東南アジアでやるべきだということをアメリカの政策として言ったという事実はないのであります。「進歩のための同盟」の活動を通じまして、アメリカが他の南米諸国といろいろやっておる経験を、日本側に話したことは事実でございます。その中には、おのずから、先ほど申し上げましたように、七人委員会というようなものの構想も説明を受けました。しかし、南米の諸国と東南アジアの諸国は、また事情もおのずから違います。アメリカとしては、アメリカひとりでやっておるわけじゃございませんが、南米でこういうようなぐあいの経済開発の共同努力をやっておることについて、東南アジアではどういうぐあいに感じるであろうかというような話はいたしましたけれども、もちろんこれは参考のために説明をしたという程度でございまして、アメリカの政策として、日本にこういうことをやってくれというような話は、全然ございませんでした。
  240. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ロストウ氏が講演の中でそういうことを言ったことは知っていますか。
  241. 西山昭

    政府委員西山昭君) ロストウ氏がそういうCIAP的なものの考え方——それはCIAPといっておりますが、そういうことについて強い関心を持っておることは聞いておりますし、それから各地でそういう点について触れて発言をしたということは聞いておりますが、私どもが直接会っていろいろ話した関係におきましては、いま申し上げたとおりでございます。
  242. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あなた自身はそういうことを見ていますか、演説の内容を清書された原稿でもなんでもいいのですけれども
  243. 西山昭

    政府委員西山昭君) 詳細には記憶いたしておりませんが、私もロストウ氏がそういう発言をしたことは記憶に残っております。
  244. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それじゃ、国連の東南アジア開発構想の中心は一体何ですか。
  245. 西山昭

    政府委員西山昭君) 国連はエカフェを中心といたしまして、いろいろの基礎的な経済開発の調査に努力しておると了解しております。
  246. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私が調べた範囲では、こういうことが言えると思うのですがね。エカフェ機関というものは国連の下部機関、これはそうですか。
  247. 西山昭

    政府委員西山昭君) 国連のECOSOCの各地域的な下部機関でございます。
  248. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それで、その国連の東南アジア開発構想の中心はメコン川流域の開発だ。メコン川の流域開発の問題について、外務省としてはタッチしていますか。
  249. 西山昭

    政府委員西山昭君) メコン開発の調査委員会が発足いたしまして、各国とも協力して基金等も出し合いまして、メコン川のサンボールの本流を中心にいたしまして、その地域の開発につきましての基礎的な調査をこの数年実施いたしてまいりました。メコン委員会としましては、このメコン・デルタの地域を開発しまして、それを人類の福祉に現実化することができれば、東南アジアのこの地域の開発に非常な貢献をするという信念で、鋭意調査を実行いたしておりまして、そしてその調査の結果につきましては、一部すでに発電等で実現を見たものもございます。
  250. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 メコン川流域の関係国は何カ国ありますか、それが一つ。それからもう一つは、その関係国の人口の数は一体どのくらいですか。もう一つは、メコン川流域の開発について具体的な計画を持たれていると思うのですが、その計画がいつごろから検討されて、どういう内容になっているか、それを教えていただきたい。
  251. 西山昭

    政府委員西山昭君) メコン川の流域は四カ国でございまして、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナムでございます。人口はタイが二千九百万、それからベトナムが千五百七十万——ベトナムは南だけでございます。それからラオスは二百万、カンボジアが六百二十万でございます。  それから、計画につきましては、サンボールの本流の調査を基礎的な計画の大宗といたしておりまして、それの関連におきまして、支流の計画の調査も、かんがい等の計画の調査もいたしております。そのうちで現在までに実現をいたしましたプロジェクトにつきましては、後ほどまとめて御連絡いたします。
  252. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 メコン川流域というと、中国とかビルマも入ると思うのです。これはいわゆる国連加盟しておらない。そういう意味で、何といいますか、メコン委員会というものは四カ国構成、こういうことになっておるのですか。
  253. 西山昭

    政府委員西山昭君) メコン委員会の加盟国としては、ただいま申し上げたような四カ国でございます。
  254. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 そのメコン委員会で私はいろんな計画がなされてきていると思いますけれども、このメコン委員会の加盟国には日本が入っておりますね。全体で何カ国ですか。
  255. 西山昭

    政府委員西山昭君) メコン委員会のメンバーはただいま申し上げました四カ国でございまして、日本は正式な加盟国ではございません。
  256. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、あとで資料をいただけるわけですから、いろいろ検討してみたいと思うのですけれども、非常に疑問に思っておるのは、水資源開発が大体中心になっておると思うのですけれども、特にその中で多目的ダムの建設、あるいはかんがい工事、舟運整備、こういう大綱計画があると思うのですね。その内訳を若干修正はされたようですけれども、言ってみれば、カンボジアのバッタンバンの支流計画が一つ入ると思います。あるいはラオスの先ほど来問題になったナムグム・ダムの建設問題、あとは全部ベトナムのドレイリング発電所の計画とか、あるいはダルラックかんがい工事であるとか、あるいはクロングブックかんがい工事であるとか、あるいはアッパー、セサン支流計画であるとか、それから、ミツアン架橋、こういういわばメコン川流域開発、そういう中心の中でもことに南ベトナムだけが中心ですね。そうして共通して言えることは、このダム建設、そういうものは一体どちら側に使われておるかということが私はまた問題だと思う。  確かにあの地帯は長い間植民地支配で、独立して十年ですから、どこへ行っても電気に使うのは自家発電、これがだいぶ多い。そういう中でダム建設も非常に緊急にして必要性はわれわれとしても認める。しかし、いまのそれぞれの国際情勢なり国内情勢、現地に戦争が発生しておる、こういうものからいけば、すべて戦争最優先、そういうものと結び合わされてすべての計画ができてきておる。それに対してアメリカが、これはやはり資本を出しておる、分担しておるわけです。そういうかっこうでこのメコン川下流地域調査調整委員会、俗にメコン委員会というものは推し進められておるのがいまの現状です。ことに中国とかビルマというものは、言ってみればアメリカの少し息のかからない、おもしろくないものは、これは除外をしておる、こういう状態ですね。それはまあ建設委員の皆さんでないから専門屋でないでしょうけれども、少なくともメコン流域の全体開発とすれば、関係の国全体と総合的に共同してやらなければ、私は、雨季節なんかに入った場合洪水とかなんとかいうものは防げない、障害というものは防げない。そういういわば本格的な地域住民の生活なりあるいは文化的な水準を求めるための生活水準の引き上げ、いろいろな建設資材、建設方法、そういう問題について、もう少しやはり日本自体も入ってもらって、これらについて今後、アジア開発銀行、そういうものに向けて融資する一つの基準にもなると思うのですね。だから、そういう立場からいっても、私は、こういう計画を推し進められても、ことにすべてがアメリカの息のかかっておるこういう姿というものは、決して好ましい姿ではないと思うのですけれども、こういう点についてどうですか。
  257. 西山昭

    政府委員西山昭君) メコン委員会の活動は従来調査が主体でございまして、そうしてこの大きいメコン川の開発といいますか、洪水をとめまして、そうして農民が収穫をふやしていく。かつ、それとの関連におきまして、だんだん小規模な工業が起こっていくような環境をつくるという非常に野心的なこの調査を対象といたしておりまして、現在までサンボールの本流の調査がほぼ完了に近い段階になっております。  ただ、御承知のような事情でございまして、それらの実現のためには非常にばく大な資金が要るわけであります。こういうようなものを一挙になかなか実現するわけにいかない。また、国によりましては、全部外国から資金を仰ぐというわけにいきませず、国からも財政支出をしなければならぬとか、いろいろ問題がございまして、長期的な、野心的な、非常に大きい洪水の対策、それから河川の利用、そういうものの調査はいたしておりますけれども、それをどのように実現していくかということはなかなかむずかしい問題でございまして、たとえば現在クロングブックの計画とか、いろいろございますけれども、そういう意味におきまして、メコンのサンボール地域の本流を本格的に対策を講ずるか、あるいはそれはしばらく延ばして、実現できるような支流の地域で開発に直ちに着手できるようにするか、いろいろメコン委員会の中で検討しておるような実情でございまして、これはしかし、各国の専門家が参加いたしまして、報告をやっておりまして、たとえばオランダとか、日本とか、そういう国が中心になっていろいろの調査に参画いたしておりまして、アメリカのイニシアチブで全部が行なわれておるという実情ではないのでございます。
  258. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私はこういう二つのことからいろいろ判断するのでありますが、一つは、ジョンソン大統領が東南アジア開発構想というものを発表しておる。日本に来てロストウが、担当者といわれる人がそういうことをばらまいておる。そして一方、日本では、今度は開発閣僚会議というものを開いて、そこで経済援助というものを発表している。片や国連ペースでくるこの開発構想については、メコン委員会を中心に具体的に仕組まれているところはどちらでも全部にアメリカが入って、分担金を負担をしたり、あるいは出資金を出したり、そういうことの中で、一貫して進められているのがいまの姿である。ですから、先ほど来外務大臣がそういったことはないという否定のお話をされたのですけれども、私は、こういったものは全く最初に言ったように両輪かみ合わさって、お互いに進展をしているというのがその実態じゃないか、こういうふうに私は考えるのです。どうですか、外務大臣
  259. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) アメリカの実力からいいまして、戦後ヨーロッパの回復のためにマーシャル・プランというものを実行したわけでございます。そして結局アメリカが孤独で発展するわけにはいかぬ、やはり欧州の回復なくしてアメリカの繁栄はない、こういう考え方でマーシャル・プランというものはあのとおり成功した。続いて東洋では、日本に対して相当な援助をいたしました。おかげで日本は非常な復興を来たしておる。こういうようなわけでございまして、アメリカがそれ以上何か領土的、あるいは利権的な、あるいは政治的な野心があって、それがわれわれに非常な害毒を与えているというなら別問題でございますけれども、とにかくアメリカというものは孤独の繁栄というものはあり得ないと、こういう考え方でやっておったのではないかと思います。  今度日本日本立場から、東南アジアの繁栄のために微力を尽くすといういま姿勢を示しつつありますが、アメリカは、まだ依然としてやはり地球上にああいう貧困な地域というものがあるということは、やはりごたごたのもとであるという立場でやっているものと私は考えるわけでございます。そういう善意の協力ということならば、私は受け入れて一向差しつかえない。ただ、繁栄をもち来たすと、そして今度は逆にしぼりにかかる、こういうことでは、私はこれはどうも非常に有害だと思いますけれども、そうでない限りにおいては、やはり大体において善意の世界政策であるというふうに解釈して、その協力に対して特別の抵抗をする必要はない、むしろそれを歓迎していいのではないか、こういうふうに考えております。これは全般的な考え方であります。ただしかし、同じ援助にしても、やり方がどうも気にいらぬ、あるいはタッチが悪い、全く独善的である、そういったような方法論の気にくわないところは、またあまり効果をもたらす意味において十分ではないというようなところは、これは是正していかなければいかぬと思います。そういう大体の考え方でございまして、日本としては、何もそれにこびる必要もなければ、それを全然当てにして、あなたまかせというようなことでも、それはもちろんいけない。日本日本立場から独自の構想をもってアジアの開発に協力する、こういう立場で、それがたまたま抵触しなければそれでいいのじゃないかというふうに私は考えております。  そしてわれわれの開発上の経験なり知識からいって、大いに主張すべきものは主張していく、こういうたてまえでいくべきではないか、こう基本的に考えているのでございまして、東南アジアのこの間の開発会議の状況から見まして、何といっても同じような気候風土、その他宗教、人種の関係、そういう点から共通の要素が相当にある。連帯感を固める上においても非常にぐあいがいいし、それから具体的な施策をする上において、特に農業関係、みな米作地帯でございます。そういうような関係からいって、非常にまとまりのいい地域でございますから、そういう地域をまず限定してこの間の会議をやったわけでありますが、その中で大きな成果は、やはり農業開発会議というものをやろうじゃないかということが期せずして一致いたしました。ということはどの国も人口が三%ないし三・五%ぐらい年々増殖している。ところが、食物はだんだん減ってくる。減るというよりも、人口増殖の比率に追いつかない。でありますから、これを放置すればどんどん半飢餓の状態におちいるのじゃないか。ものが食えなければ経済の開発もありません。でありますから、開発の大きな前提として、農業の増産、そういうことを提唱したところが、もう期せずしてみな一致した。こういうわけでございまして、まあその他いろいろな農産加工品、あるいは軽工業、あるいは日常雑貨工業なんというのは、ほとんど地域外から供給を仰いでいる。これを自前でやろうというようなことになると容易ではありません。ずいぶん開発の面においてはやるべき問題がたくさんあると思うのですが、農業一つ取り上げても、乾季には水が一たれもなくて、全然たんぼが遊んでいる、こういう状況でありますから、大きなやはりかんがい施設というものを考えていかなければならぬというわけで、いろいろ私は問題はほかの地域の開発について参考にすべきものもずいぶんあると思いますが、東南アジアは東南アジア自体としてやはりそれにふさわしい開発の諸問題をかかえていると思うのであります。そういったようなことをとても十億ドルやそこらの銀行資金で解決するとは思われませんけれども、端からひとつだんだんやれるようにしたらどうかと、こう思っている次第であります。農業開発問題については、会議につきましては、専門家を入れて十月以降においてなるべく早く開く、こういう考え方をしております。
  260. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いま外務大臣のお答えの中で、善意に受け取ってもよろしいと、こういうことですが、私は当初ジョンソン大統領が声明を発表して、十億ドル程度の資金をもって開発銀行を開こうじゃないか、アメリカはそのために私のほうの優秀ないわばユージン・ブラック氏ですか、この辺を国連の開発委員会の中に派遣しようと、この程度までの内容なら私はさほど問題じゃないと思うのです。しかし、その後の動きを見ますと、先ほども指摘をいたしましたように、具体的にアジア開発銀行の中に介入をしてきているといいますか、みずから進んで二億ドルの出資を出し、一億ドルの信託基金を出す、こういう姿でどんどん、言ってみれば、アジア開発銀行の主役を果たそうという状況ですね、こういうものについていままでの日本アメリカ関係、あるいは日米安全保障条約などを通じてだんだん発展的に憲法第九条などをないがしろにする、こういうことが既成事実としてどんどん進められている。これはどこから来るかというと、それはアメリカ要請に基づいてでしょう。そういう中でこの開発銀行についてもアメリカはどんどん資金を出してくる、援助もする、発言権も増大する、こういうことに私は結果的になっていくのじゃないが。また、そういう一つの申し合わせ事項のもとに日本政府も相協力してやっているのじゃないか、こういう考えがしてならないのです。ですから、いまの外務大臣は善意として受け取る云々と御答弁をなされたけれども、どうも私は信用するわけにいかないのです。  だから、その辺についてもどうも私は理解しにくいですから、もう少し外務大臣アジア開発閣僚会議などで議題になった諸問題、具体的にどういうことが討議をされて、開発銀行等の問題についてどういう計画があり——それは案を出しているからそのとおりだといえばそれまでですが、具体的に突っ込まれた話の内容というものがあるのじゃないかと思うのです。その辺をもう少し詳しく私は説明をしていただきたい。
  261. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この間の開発会議のときは開銀の問題はほとんど出ませんでした。私はちょっと二、三時間中座いたしましたが、私の出ているときには開銀の話は一つもなかった。聞いてみましても、開銀の問題は出なかったようであります。  最も私はおもしろいと考えたのは、インドネシアを除いては大体人口二千万前後の国が多いのですね。そして農業開発の問題については、いま申し上げたようにこれはもう双手をあげてみんな賛成をして、半年以内にスタートしようと、こういうことになっております。  それから、その他の問題について工業の問題、交通、通信、教育、医療といったような、いろいろな広範な産業開発の面において欠くべからざる部門について一通りの論議が出ましたが、最も時間をかけたのは工業問題でなかったかと思う。それは少なくとも日常雑貨製品あるいはその他の軽工業、農産加工工業、こういうもので、何一つとして近代的な産業らしいものがない。これをどうして育成するかということについていろいろな討議が行なわれたのですが、いずれにしても、自分の一国だけでは市場が狭過ぎる。であるからして、どうしても東南アジア地域に、一通り見渡して、そうして分業、それぞれ得手があるだろうから最も適したところに工業を興す、そうして、隣国はみんなでこぞってそれを育成する。関税の問題であるとかあるいはその他税制の問題、まず市場を提供する。開放する。そういうようなことをお互いに認め合うということでないと、この地域に近代工業というものは興るものじゃないというような話を熱心にやっておりました。そして結局、そういうことを一つ考えても、協力組織をつくって連帯感を高め、国際協力組織をつくって、そうしてこの地域を繁栄に導くようにしなければならぬ。そのためにはどうしても産業開発に関するセンターを設けて、そして技術の問題、それから企業経営の問題はもとより、国際組織に関するいろいろな関税制度その他の税制制度、市場開放の問題、運輸、交通の問題、そういったような問題を、どうすれば最も有効にそういう施設を進め得るかということの研究啓蒙の機関というものをひとつつくろうじゃないかというような話が出たのですが、気の早い人は、ここでさっそく決議をしようというような話も出ましたけれども、お互いにみな責任ある政府をしょっておるのだから、ただ出先で、よしきたというわけにいかない。のみならず、提案者に、一体具体案があるかといったようなことになりまして、これはまあほんとうのサゼスチョンである。それならもう少し案を練って次回にかような会議を開いたときに十分に具体的に審議しようじゃないかということで別れたのですが、そういったようなことに終始論議が集中いたしまして、会議はもうほとんど時間が一ぱいで終わった、こういう状況でございます。開銀の話は出なかった。  ただ、資金の問題については、これは域内のどの国も資金が不足である。であるからして、国外からの資金供給にまたなければならない。ついてはひとつ日本も奮発してくれというような、その程度の話で、開銀の話は一つも出ませんでした。
  262. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大蔵大臣が入ってくれば外務大臣が帰るそうですから、少し先へ急ぎますけれども、きのうちょっと大臣がいないときに木村委員のほうから質問をしたのでありますが、このことについて、ひとつ原則的な問題ですから。  後進性というものがなぜ生まれてきたかというその原因について、外務大臣はどういう考えを持っているか、そのことが一つです。それからもう一つは、東南アジア開発閣僚会議の中で、開銀の問題についてはほとんど話が出なかった、こういうことでありますが、だとすれば、一体会議のおもな議題は何だ。わずか二日間ですから、それは各国集まってそんなに詳しい論議は私はできないと思います。だけれども、中心議題というものがあるはずだ。そういう議題というものは一体どういうものか。それからもう一つは、会議が終わった後、特に日本とラオス、あるいは日本と南ベトナム、この二国間の話し合いをやっておるわけですね。これは私は先ほどいろいろと話をしてきたように、ラオスのいまの国情、アメリカの支配状況、南ベトナムの戦争の状況、こういうことからいって、非常に重視をしているわけなんです。こういう問題について、一体どういう話がされたのか、その辺が答弁できるならお答えを願います。
  263. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 各代表の人から簡単な開発に関する各国の所感、短いスピーチでありますが、十分か十五分、長いので二十分ぐらい、それが繰り返されてずっと一通りやって、それから農業問題、工業問題、それから通信、運輸、そういったような問題が二日間にわたってずっと討議された。そして最も論議の集中されたのは農業問題と工業問題であったと、こう思います。
  264. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 具体的にどういう議題ですか。
  265. 西山昭

    政府委員西山昭君) 議題は、いま覚えておりますところでは、各国の経済開発に対する基本的な政策の問題、それに関連するいろいろの問題点ということで、ただいま大臣からお話ありましたように、各国が五カ年計画あるいはそういうものに対するどういうところに重点を置いているか、またその国がどういうような問題をかかえているか、そういうような説明がございました。それから、それをめぐるいろいろの討議が進みまして、それからサブアイテムとしまして、農業問題、工業化の問題、それから運輸通信の問題、医療衛生の問題、それから域外国との経済協力の問題ということに分けまして議論をいたしました。
  266. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 具体的な問題で、外務省の行政指導というか、そういう問題をひとつ伺いたいと思います。  ちょっと、前の二国間の話はどうですか。
  267. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 二国間の話は会議では出ませんでした。
  268. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 いやいや、会議が終わったあとで特にその二国間と話をしていると、こういうことです。
  269. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) それは、タイはすでに五カ年計画を持っておって、その具体的な問題についてそれぞれの関係各省を訪問したようです。外務省にも参りました。それから、マレーシア、これも同様。それから、シンガポールは、これはそうたいした具体的な問題はなかったように思いますが……。
  270. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 大臣は南ベトナムとラオス、それぞれ別個に会っているわけです。そのラオスとベトナムの話です。
  271. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ベトナムは私はあまり記憶ありませんが、ラオスのプーマ殿下はだいぶ長く残って、それから具体的にいろいろな計画について、それぞれの担当相を訪問して打ち合わせを行なったようです。その結論は西山局長から……。
  272. 西山昭

    政府委員西山昭君) ラオスのプーマ首相は総理にも会いましたし、それから外務大臣にももちろん会いました。討議の内容は、ラオスと日本との間の経済協力の関係に重点を置きまして、日本がラオスに対しましてかって十億円の無償協力をやりまして、現在実現しております上水道だとか、こういうものに対する感謝の意を表明したり、それから今後いろいろラオスの立場から見まして、こういう方面に日本の協力をしてほしいという経済協力の面につきまして要請がございました。私どもはそういう要請を目下検討いたしまして、実現し得るものかどうか、実現し得るものはどういう形で実現するかと、具体的に検討しておる状況でございます。
  273. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 二つほど、大蔵大臣来たのですけれども外務大臣質問したいことがあるのですが、一つは、カンボジアに日本の畜産センターとか医療センター、農業センター、これらはバッタンバンにつくられているのですね、賠償の一端として。きのう非常に忙しいところ資料をもらったのですが、忙しいところありがとうございました。その中で、この資料にもありますように、十四億六千二百六十八万円、これを賠償としてやったわけですね。で、現地にある各種そういったセンターは、当然この賠償金で建築をされたのですね。その後、われわれが行って現実にこの農業センターあるいは畜産センターは回りませんでしたが、医療センター——ところが、そのセンターに行ったら、薬品も何にもないというのですね。派遣されるときに、少なくともカンボジアはまだ医学的に発展をしておりませんから、政府に聞いたら、これは三百人ぐらいしかお医者さんがいない。六百五十万ぐらいの人口でありますが、それに三百人。ですから、当然日本の優秀な医療制度ないしはその医療技術、そういったものを、やっぱりカンボジアに対して友好を示すというなら、養成も含めてやるのが私は至当じゃないか。あるいはまた具体的に日本の優秀な医薬品とかそういうものを使用にこと欠かないように、そういうものについても具体的措置をとるのが私は至当である。これは相手国があることだから、もちろんカンボジア政府とのいろいろなそういう問題についての話し合いは必要でありましょう。現地の大使館やなんかは非常に苦労しておる。だけれども、中央の外務省の指導行政というものは非常に不徹底なため、あるいは関係のそれぞれの各省が不徹底のために、現地に行って五十度以上の暑い炎天下で苦労しながらも功績があまりあがらぬ、実績があがらない、こういうふうなのがいまの実態です。そういう問題に対して一体大臣は具体的に——日本国民の税金を賠償として十億何がしやった、そういうような問題に対してそのままほっぽり投げておるのが現状の姿ですね。そういうようなことは、これは非常に遺憾だと思う。それについていろいろと内訳にもあるようでありますが、十億の使用等について設計とか建設資材とかいろいろありますが、これは大体六割程度使っておる。これらの賠償計画についても、まあ相手国と当然協定を結んでやったのですから、そこまでは私は無視はしないと思うけれども、しかし、そういう場合においても、自国内に全部賠償金を吸収をしてくるようなやり方は現地としては決して喜んでいないわけです。だから、こういう点については、もう少し現地の要請にこたえて、技術的に計画的に相手にそれだけの好意を示したら喜ばれるような方向を、ことにカンボジア、ラオスあるいは東南アジア一帯にいたしましても、後進国といわれると、それ自体非常に反感を示しますよ。だから、そういう角度で、外交センスでいろいろな仕事をやっていったら、この間の東南アジア開発会議あたりでやって反感を持たれた由も聞いておるのでありますけれども、そういうことが至るところに出てまいっております。現地では少なくとも後進国ということばを使わせない。新興国である、こういうことを言っておる。それくらい勢いよく意欲的に自力更生、それを土台にして各種産業の発展のために努力をしておるというのがいまの実態なんです。そういう実情において、いつまで日本の外務官僚が幅をきかして、そうして、東南アジア経済援助なり友好親善を進めようといっても、私はとても進むはずがないと思うのですよ。そういう具体的な諸施策について、一体大臣はどう考えておられるか。  それからもう一つは、ベトナムに対して、ことにいまアメリカがああいう状況で過酷な侵略戦争でえらい被害をこうむって、少なくともいまベトナムにおいては、これは私が現実に行ってきて正確な資料をもらってきたわけでありますけれども、一九五四年七月から一九六五年六月までの間に一体どのくらいの被害をこうむったか、こういうものが統計に載っておりますけれども、一つは掃討、これが十六万回やられた。それから、殺害された者が十七万、それから拷問や殴打や、不具者にされた者が八十万人、そうしてさらに監獄に突っ込まれた者が四十万人もいる。さらに強制収容所といって、テーラーの一九六一年の戦略であります。このことによって約一千万近い人口がそれに一たんおさめられて、いまほとんど破壊され、これらの作戦は完全に失敗しております。そういう状況。さらに学童から学校爆撃によって二百万人のいわば学業の機会というものが失われ、あるいは婦人や女性の方々が約三万人、強姦その他の恥辱を受けている。あるいは五千人の腹を裂いて肝をえぐり出している、こういう残虐行為をやっている。そればかりではなくて、毒薬をまいて、そうして少なくとも六万ヘクタール、こういった田畑の産物を全部だめにしてしまう、あるいは牛や豚などが数十万頭やられた。われわれが現実北ベトナムに行っていろいろながめてきましたけれども、実際にそれは戦争に関係のない学校とか託児所とか、そういうものが至るところで爆撃をされている。そういういわば悲惨な戦略戦争が現地でいろいろやられている。そうして一面、わずかな金を、何といいますか、経済援助をするんだという。これほどの大損害を与えておいて、そうしていま南ベトナムに対してわずかに四千万ドルかそこらの経済援助を持っていったって、これは一体何になるのですか。そういういわばベトナム戦争に対する現地の住民が——外務大臣としてはこの戦争に対して、現実なまなましいそういう実況のもとでやられているこういう問題に対して、一体どういう考えを持っているのか、この機会にはっきりと答弁をしてもらいたい。
  274. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは一日も早くとにかく平和収拾が成功することを、これは切望せざるを得ないわけでありまして、日本といたしましても、微力ではあるけれども、あらゆる機会においてこれに寄与し得るならば努力を惜しまないと、こういう方針でございます。全くもう二十年近いフランス時代からの内乱でございますから、私は現地は見ませんけれども、まことにお気の毒にたえない、こう考えます。
  275. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 もう一点はどうですか。カンボジアとの各種の協定に基づいて、友好親善のいろいろ技術向上とかなんとかやっているわけですけれども……。
  276. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これはアメリカは、いつでも、相手方が同調すれば、武器をおいて和平の話し合いに入るということを言っておるのでありますが、とにかく戦争、軍事行動を両方でこれをやめないと、和平収拾にはどうもならない。その点はまことに遺憾であると存じます。
  277. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 技術協定その他のカンボジアの問題は一例ですけれども、こういう問題について大方針はないのですか。いま現地における医療センターにしても何にしても不足しておる、行ってみれば、三人のお医者さんが行っているのだけれども、わずかに一日百名や百五十名、これはたいへんだと思うのです。現地では診断をやって、それ以外のことはやられておらないという。
  278. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま西山局長から………。
  279. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 だから、こういう問題について外務省はさっぱり実行していないじゃないか。私はもう少し、友好親善ならそのように好意のあるような拡大事業の方式に持っていって、それで進めるのが当然じゃないか。
  280. 西山昭

    政府委員西山昭君) カンボジアのセンターにつきましては、このカンボジアの政府との話し合いによりまして、診療所のような形でスタートいたしました。御指摘のとおりに、いろいろの面で不足いたしておりますけれども、開所以来非常にカンボジアの官民に喜ばれました。ただし、現状で満足しておるわけではもちろんございませんで、これを何とかもう少しりっぱなものにいたしまして、そうして運営ができるような形に、一本立ちができるような形に持っていきたいということで、本年度は特別に予算を出していただきまして、医療センターだけで六千万円の増額を認めていただきまして、今後数年かかりましてセンターの内容を充実したい、こういうぐあいに考えているのでございます。
  281. 徳永正利

    委員長徳永正利君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  282. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 速記をつけて。
  283. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それは大臣がいないと、私は完全な行政指導ができないと思うのです。いまの官庁というのは。だから、大臣がいないと困るのだけれども、いまの局長の回答では、これは私はもう何を言っているのだかわからぬと思うのですが、具体的にどういう一体措置をとるのかね。それは現地に行ってみると、大使館員の数は少ないわ、もうてんてこ舞いしてしてやっている。そういうものについて本省ではどういう考えを持っているのか。
  284. 西山昭

    政府委員西山昭君) 私どもといたしましては、さしあたり本年度に拡充いたします予算の要求をいたしましたが、これの実施につきましては、さらに税地の事情を十分に取り入れまして、そうして有効に実現できますように、目下海外技術協力事業団の関係者を現地に派遣しておりまして、その結果を待って至急検討いたしたい、こう考えております。
  285. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 ちょっとこまかく聞きますけども、設計はどこの業者でどういう計画で建てました。
  286. 西山昭

    政府委員西山昭君) 私の記憶では、カンボジア政府の依頼を受けまして、大林組が医療センターの建設に当ったと記憶しております。
  287. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 農場センターはどうですか。畜産センター……。
  288. 西山昭

    政府委員西山昭君) 農場センターもそうでございます。畜産センターもそうでございます。
  289. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 それから、時間がありませんから、ラオスの関係で水道計画の設計がありますね、ビェンチャンの。現地に行ってみますと、アメリカの駐留地帯は確かに水道が引っぱられております。しかし、ビェンチャンの市内の一般市民というものにはそういうことにいっていない。ですから、こういったいわば援助内容ないし計画というものは、さっき大まかに指摘をしたのだけれども、すべてがそこに集中されてこれらの賠償が使われているのが実態じゃないかと思うのですが、そういう点はどうですか。進められた事業の内容と金の使ったそういう内容、これらについて明確に外務省はチェックしておりますか。
  290. 西山昭

    政府委員西山昭君) ラオスに対します十億円の無償経済協力、これは御承知のようにラオスが賠償を放棄した金で日本政府が無償の経済協力を実施したわけでございますが、これにつきましては、具体的に十億円の実施に関しまする各種の計画の際に、契約につきましては日本政府がそれを妥当なものであるかということを判断しますために検討いたしまして、認証の手続をとっております。それから、最後の実施につきましては、できる限りの調査をするようにいたしておる次第でございますが、しさいな点につきましては、必ずしも十分の調査ができていないかとも思います。ただし、ビェンチャンの水道につきましては、一般的には非常に喜ばれておりますが、末端の施設の点につきまして、経費の点その他の関係から、御指摘のような十二分の市民に満足がいくようになっていないという話も聞いておる次第でございますが、詳細の点についてはただいま知識不足でございます。
  291. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間がありませんので、いずれあさってあたりまた外務省関係は詳しく聞きたいと思います。  それで、大蔵大臣にお伺いするのですけれども、いまいろいろと経済援助という名目のもとに、たとえば米州開発銀行、アフリカ開発銀行、今度アジア開発銀行、こういうふうにつくられておるのでありますが、私はどうもそういった情熱を判断しますと、満州事変が起きた当時のあの不況に際して、貿易不振、こういうものから来て、日本を含めてのいわゆる資本主義の先進諸国家といわれるものの海外進出のためのブロック経済体制確立、こういう姿と、いまの日本が推し進めようという開発銀行の姿というのは似ているのじゃないかという気がしてならないのですが、その辺の見解を大臣からお聞きしたい。
  292. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いま私は世界的に二つの傾向があると思うのですね。一つは、世界一体化というか、国連というものができて、そうして一つの屋根の下で世界化というような傾向があると同時に、また地域的にも特殊な関係をつくっておこうという動きはあると思うのです。EECというようなものができるかと思うと、コメコンというようなものができる、あるいは大西洋連合体というような構想が出てくるとか、あるいは南米だ、アフリカだという一つの何らかの形の動きがありますとか、そういうものもある。そういう二つの動きがありますが、だんだんそういう過程を経て一つの方向にいくのじゃないか、科学技術の進歩発展というものがそうさしていく、こういうふうに私は判断をいたします。
  293. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 米州開発銀行の大体融資内容をいろいろとながめてみますと、当初はいわば社会開発、経済の基本、こういうものを発展させよう、こういう趣旨であったと思うのです。ところが、いつの間にかそういうものが道路や飛行場、下水あるいは水道、郵便局あるいは電力関係、こういうところに融資関係がもっぱら行っているわけですね。そうしてそういういわば環境の中でアメリカならアメリカ民間資本が進出している、そうして安全性を求める、こういう形にいまの米州開発銀行の融資形態というものはなっている。それに対していわばラテンアメリカ各国の皆さんから非常に反感を買っている、こういうのが実態。アジア開発銀行もそういう角度で、たとえばアメリカ日本が多額の資本金を、四割を出しているから、そういう意味でそういう構想のもとに銀行融資をやっていくということになったら私はたいへんだと思う。その辺に対して大臣としてどういうふうな考えを持っておりますか。  もう一つは、アメリカは資本金なり信託基金を出してアジア開発にいろいろ熱意を持っておる。一面では、アジア開発銀行の設立や、そういったものについては、日本というものは自主独立、中立の立場、そういう形でいろんな計画を進めておる。私はそうは思わないのですよ、それは明らかに合体の姿でやられていることは間違いないと思うのですけれども、先ほど来の答弁では、そういうことは言っていないと思うのですけれども、そういう形でいくならば、私は必ずアジア加盟各国から、同じような立場日本自体も置かれてくる、こういう考えを持つのです。こういう点について、今後運用方法について、あくまでも中立というものを保持する、そういうためにはどういう経管ないし運営でいくか、この辺明確な方針というものを示してもらいたい。
  294. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) アジア開発銀行は、協定第三十六条に政治的中立性ということを特掲しておるわけです。私はそれが守られているというふうに思います。それが守られていないというような根拠のある材料は、いま何ものも持ち合わせておりません。まあ今後の運営もこの協定に従っていくわけでありますから、まさしくそのとおりに動いているだろうと、こういうふうに思います。  それから、第一のほうの御質問でありますが、アメリカの資本が入ってきて、アジアの諸国が何らかの感触を持つのではないかというようなことだと思いますが、これはアジアの諸国はいま非常にあせっておる状態だと思います。つまり、大体において、新興国であり、新興民族としての国家再建の意欲には燃えておるが、しかし、経済的の面から見ると、はなはだ貧困である、そういう共通した事情がある。そこで、何とかして資力のある国から援助を求めたいという気持ちがあるわけであります。そういうようなことから、日本に対しましても、非常にしつこく要請が、きびすを接するがごとくやってくるような次第でございますが、そういうことを考えますと、とにかく世界的な背景で、つまり国連を背景としての今度のような地域機関ができるということにつきましては、これはまあ手放しで歓迎するということはできないと思います。ただ、この銀行が政治支配におちいらないように、先ほど申しましたような協定自体できておりますし、また銀行自体の運営が域内諸国で指導権を握るような仕組みになっておりますので、御心配のような点はなかろうかと、かように考えておるわけでございます。
  295. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 アジア開発加盟各国の出資予定額ですか、あるいは決定したものがあると思いますが、その内容はわかりますか。
  296. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 協定の別表にその金額がございます。附属書Aというものを見ていただきますと、それにございますが、域内国、日本二億ドルをはじめといたしまして、たとえばインド九千三百万ドル、オーストラリア八千五百万ドル、以下十九ヵ国の列挙がございます。域外国におきましても、アメリカ二億ドル、西独三千四百万ドル、以下十二カ国列挙してございます。
  297. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 その附属別表を持ってこなかったのですが、ちょっと私が調べた資料によりますと、若干その額の異動があったのじゃないかというふうに考えるのですが、西ドイツは三千五百万、四百万……。
  298. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 当初三千万の予定でございましたが、その後三千四百万ドルというふうにふやしてまいりました。
  299. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あとで、もし提案当時と変わらなければそれはけっこうでありますけれども、提案当時と変わっておるなら、ひとつ資料として提示を願いたい。
  300. 村井七郎

    政府委員村井七郎君) 御提出いたします。
  301. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 時間の関係がありますから、簡単に一言最後に聞きたいのですが、開発銀行の本店がマニラにきまったわけですね。日本もそれを東京に置くためのいろいろな努力はしたわけですが、これが失敗に終わった。言ってみれば、外務大臣にしても非常にショックを受けた、こういう情勢だそうでありますが、当時首席代表として行った藤山経済企画庁長官もいろいろ小言めいたようなことを声明書として言っているようでありますが、これは一体どういうところにその失敗した原因があるのか。あるいはまた、渡辺さんという方が総裁就任予定ということになって、これは大蔵大臣の指名ですね、総裁は。推薦ですか。それを各国できめるわけですけれどもね。この実現の可能性についてはどういう判断を持っていますか。
  302. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは総裁がどこの人になるか、それから本店がどこに行くかということ、これが二つの大きな問題だったわけです。それでかねてから総裁につきましてはとにかくアジア人でなければならぬ、こういうことでありますところから見ますると、国際的理財家として渡辺さんがいいということは、これは定評というようなところになっておったわけであります。これに対してはだれも異存がない。ところが、今度は本店はどこかという問題になりますと、わが日本といたしましては、これは日本はこの銀行から金を借りる立場にはない。したがいまして、最も公正な判断ができる立場にあること、それからもう一つはアジアの金融中心ですね、そういう立場から見ますると、東京が最も適切である、こういうふうに考えましていったんですが、総裁も本店もというわけになかなかいかぬだろう、そのいずれを取るかということになると、まあ本店を東京に置くというところに重点を置いたほうがよかろう。で、総裁は捨てても、本店は東京だということを主張する基本方針をとったわけなんです。ところが、アジアの諸国の見方はそうじゃない。総裁を日本が捨てるというが、総裁は渡辺さん以外にはないじゃないか。そうすると、本店も総裁も日本が取るということになる。これは片寄り過ぎている、こういう感情になってきておったわけです。  そういうさなかにおいて、マニラで本店をきめる会議が行なわれるということになりまして、投票が行なわれたわけなんでありまするが、そういう雰囲気を受けまして、本店は日本でなくマニラである、こういうふうにきまってきたわけです。そういういきさつを考えまするときに、私は総裁は当然、日本の意向にかかわらず、総裁は渡辺さんだということになる傾向でありまするが、とにかく本店をマニラに譲ったということになってみると、総裁は渡辺さんということですんなり受けたほうがよかろうというので、正式に渡辺さんを総裁候補として推薦をしたわけですい推薦をいたしましたあとの情勢を見てみますると、対立候補というのをどこの国も出してきておりません。総裁は十月中旬のテヘラン会議できまるわけでございまするが、おそらくこの状態がその時点まで続くのじゃないか、場合によれば渡辺候補独走のような形できまっちゃうのじゃないか、いまそういう観測をいたしておるわけであります。
  303. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私はアジア開発銀行とアフリカ開発銀行の機構なり構成なり、性格、内容というものは、まるきりアジア開発銀行というのは人にたよってやっていこう、そうして総裁というか、総裁予定者ですね、渡辺さん自身がまたそういうことをほのめかしている、十月十九日号のエコノミストでありますが、「この人と一時間」、こういう中に渡辺武という人が対談している。そういう中で、先ほどもちょっと出ましたけれども、資本を多く集めることが一つの仕事のような考えを持っているわけですね。だから、少なくともアフリカ開銀は、加盟資格なり機構、内容というものを見た場合には、私は三つの特色があると思う。一つは、何といっても域内に限定をしたということと、他人をたよらない、加盟各国だけでひとつ自力方式でやっていこうじゃないか、こういういわば意欲的なものがその中に感じられるわけです。それからまた、加盟資格も域内に限定をする。それから、授権資本金の拠出についても、これは域内に限定をしている。私はアジア全体を考え、あるいはアフリカの各国の加盟条件を考えて、そう相違はないのじゃないかと思う。あえてあるとすれば、アメリカ等がもう少しうまい汁を吸おうということで支配態勢を強めて、新植民地態勢をとっていく、こういうこと以外にはない。ですから、そういう中で、なぜ一体アジア開発銀行というものは、日本自体も主催者の一員として入っているわけですから、そういう面で自力更生の上に立った意欲的な人が、大蔵官僚ではなくて、もう少しそういう点に意を強く持ったほうがいいのではないかというように考えるのですが、そういう点で、この機会に構成、性格についてだいぶ私は懸隔があると思う。こういう点についてひとつお伺いしたいと思うし、総裁と思われるような人が、言ってみれば、それは大蔵大臣から考えれば、いまおっしゃられたように、この人こそ適材適所だ、こう考えているのかもわからぬけれども、しかし、私には、頭からそういう考えで今後銀行運営をやっていこうというような人が頂点に立つということについては、多くの疑問を持っている。こういう点についてひとつ大臣の答弁をお願いしたい。
  304. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ごもっともな話だと思うのです。で、今度のアジア開発銀行におきましても、アジア的なものにしようという考えで発足したわけでありまして、したがって、資本の構成におきましても、アジアを七、域外を三というふうにいたしておるわけであります。アフリカの場合はいま御指摘のように、全部域内国だというふうになっておるようですが、これはそういうアフリカ的なものにしようという考え方が非常に強く出た結果そうなったと思いますが、結果はよくない。よくないということは、やはりアフリカだけで立ち上がれるはずはない。アジアも同様だと思うのです。アジアだけで立ち上がれるはずはない。やはり先進国の資本なり技術というものを取り入れなければならぬ。と同時に、アジア的なものを保持していかなければならぬ。両々の要請を満たす仕組みとして七対三。しかもその他、域内国にいろいろな意味において優先的な立場を与えておる。私はむしろ観念的に行き過ぎてやりそこなうというよりは、そういう過去の事例等を参考にし、反省して、実際的なやり方を選ぶということこそが、適切なやり方である、こういう見解であります。
  305. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まだありますけれども、時間だそうですから、きょうの質問はこれで終わります。
  306. 徳永正利

    委員長徳永正利君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  なお、次回の委員会は六月二十七日(月曜日)午前十時からとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時二分散会