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1966-04-27 第51回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午後二時二十四分開会     —————————————    委員の異動  四月二十七日     辞任         補欠選任      松平 勇雄君     徳永 正利君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大河原一次君     理 事                 剱木 亨弘君                 小野  明君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 沢田 一精君                 高橋雄之助君                 徳永 正利君                 豊田 雅孝君                 二木 謙吾君                 吉武 恵市君                 阿部 竹松君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 藤田  進君                 片山 武夫君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君        通商産業省鉱山        保安局長     森  五郎君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  原山 亮三君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 小柳勇

    小柳勇君 この前三点ばかり質問いたしましたから、それに付随いたしまして質問いたします。  第一は、今年度出炭計画が大体できたようですが、四十年度残炭ですね、貯炭、四十年度貯炭がなおあって、今年度出炭がこれに加わりまして、需要のほうは少ないというような情勢にあるのですね。閉山情勢を見ましても、今年度合理化閉山は昨年より減っておるようだが、これに機械を入れて出炭を増加いたしますと、ますます貯炭がふえて需要が減らないようになるが、電力業界鉄鋼業界など、いわゆる需要側出炭側との話し合いなど、通産省としてとっておられる大方針をまずお伺いいたします。
  4. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま御質問の中でありましたように、石炭需要長期安定ということは、今度の抜本策の中にも、非常にわれわれとしてもこれはどうしても目的を達せなければならぬというふうに考えておる点であります。しかし、今年度は、結局において大需要家である電力鉄鋼に対して、これは石炭を使ってもらうように頼むよりほかにはないと思います。そこで、今年度は五千百五十万トン程度目標で、問題は貯炭が九百五十万トンぐらい——七百五十万トンぐらいを適正貯炭といっていいと思うのですが、貯炭がふえておると、こういうので、相当やはり石炭需要を勧誘するために、通産省としても今後相当苦心せなければならぬと思いますが、最善の努力を払って、今日のところ、できる限りの需要を確保していきたいというふうに考えておる次第でございます。
  5. 小柳勇

    小柳勇君 速記録に載りますので、この数字が合わぬと変ですから、石炭局長から説明してもらいましょう。石炭合理化実施計画で出ております四十一年の出炭規模、それから四十年の残炭、いわゆる貯炭、それからこれからの需要を差し引きまして、四十年三月の在庫と四十一年三月の在庫を加えまして、需要見通し、こういうものをまず石炭局長からお聞きいたしまして、そのあと少しお話を聞きましょう。
  6. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいまの昭和四十一年度出炭見込み並びに現在の貯炭状況等につきまして御説明を申し上げます。なお、三十九年度という年は、非常に何といいますか、出炭不振の影響もありまして、貯炭は少なかったわけでありまして、三十九年度末といいますと、四十年三月末の貯炭といたしましては、これは大口工場や山元全部入れまして五百六十万トン程度の全国で貯炭があったわけであります。ただいま大臣から御説明のありましたように、私ども適正貯炭といたしましては七百五十万トンないし八百万トンぐらいと考えているわけでございますが、四十年三月には五百六十万トン程度、非常に少なかったわけであります。ところが、四十年度に入りまして、御承知のように、上期は事故が続発するとか、あるいはその影響を受けまして離山ムード等も一部ありまして、出炭は非常に振るわなかったわけでありまして、年間出炭計画五千百五十万トンに対しまして、上期の出炭のおくれは、結果的に見まして、実績を見ますと大体百四十万トン程度の不足を来たしたわけであります。ところが、四十年度下期に入りましてようやく生産体制も整いまして、出炭は順調に推移してまいりました。上期のこのおくれを下期におきましては取り戻しまして、四十年は、年度を通じましては大体当初の計画に近い姿となったわけでございます。大体当初の計画に近い姿に相なったわけでございます。大体五千百万トン程度出炭をあげたわけでございますが、そういう状況で、現在の貯炭は三月末で私ども調査いたしておりますが、大体年度見込みとしましては、約八百万トン程度見込みでございますが、これは今日まで調べた正確なものでございますが、私どもといたしましては、大臣のおっしゃいましたように、九百万トンをこえる姿に相なっておるというふうに現状は判断いたしておるわけでございます。  そこで、なお、四十一年度出炭計画といたしましては、石炭鉱業審議会合理化部会等で先般検討いたしまして、これは一応需要確保の問題が残されておるわけでございますが、一応今日の各山の出炭見込みからいたしますと、同じく大臣が御説明になりましたように、私ども見込みといたしましては、五千百五十万トン程度に相なるのではないか。ただ、この五千百五十万トンといいますのは、五千九百カロリー換算ということで考えております。実際の実トンといたしましては、五千九十七万トンくらいに相なるのではないかというふうに考えております。ところが、これは一応需要は確保されるものというような前提考えておりますが、さらに今後需要確保点いかんによりましてはこの出炭数字の修正も若干あり得るかと思いますが、そういう状況でございます。
  7. 小柳勇

    小柳勇君 問題は二点ありますが、一つは、需要確保見通しについて通産省がどのように働いておるかということを私さっき大臣質問いたしました。第二の問題は、五千二百万トンの問題があるのでありますが、まず、第一点の需要確保、現在の貯炭と四十一年度出炭見込み、それから需要確保、この点についてもう少し数字をあげて御説明願いたいと思います。
  8. 井上亮

    政府委員井上亮君) 昭和四十一年度の需給の計画といたしましては、私ども今日の山別出炭状況をつぶさに検討いたしますと、先ほど申しましたように、おおむね五千九百カロリー換算で五千百五十万トン程度になろうかと思うわけでございますが、ところが、需要の面を見ますると、特に一般炭につきましては、一般産業向け需要、それから国鉄のほうも若干減少するかと思います。そういう状況を各需要部門別に四十一年度需要検討いたしますと、電力以外の一般産業について、この中には暖厨房、運輸、国鉄を含めておりますが、おおむね百八十五万トン程度需要が四十年に比較しまして四十一年度需要は減少するのではないかというふうに私ども見込んでおります。そうしますと、出炭につきましては、先ほども説明しましたように、ここ数年の出炭状況横ばいで来ておるわけであります。大体五千百五十万トン、五千百万トン程度横ばいで来ておりますが、来年度もその横ばいで行くと見ておるのですが、しかし、需要が特にいま申しましたように、年々若干ずつ減ってまいりますと、これはなかなか需要確保がたいへんになってくるわけでして、結局従来の考え方は、一般炭につきましては、一般産業需要の減少を電力業界に引き受けてもらう、いわゆる政策需要と申しておりますが、長期引き取り契約によりまして電力業界に引き取っていただいてきたわけでございます。ところが、最近に至りまして、電力業界としましても、特に四十年度電力需用の伸びが停滞してきている。この停滞傾向というのは四十一年度もなお継続される見込みが強い、こういうような事情、それから、もう一つは、やはり豊水の関係、こういうような事情から、必ずしも私どもが期待するだけの引き取りをすることはなかなか困難があるというような意見電力業界では私どもに申してきているわけでございます。しかし、電力業界も、短期の問題ではなくして、これを長期の問題として考えれば、電発火力等建設問題等についても、前々から了解しておられるわけでございますから、長期の問題としては十分話し合いにのっていただけるかと考えておりますけれども、しかし、それらを一貫いたしまして、これは短期の問題についてもそうですし、長期の問題についてもそうでございますが、この話し合いにのる前提といたしまして、電力業界では負担増対策をやっていただきたいという注文が私どもにきているわけでございます。現在負担増対策につきましては、これは先生承知のように、重油関税原油関税還付制度ということを通して、負担増の一部をそれの還付を通じましてまかなっているわけでございますが、なお、今後増量引き取りにつきましては、その増量分についてそういった何らかの配慮をしてもらいたいという意見があります。  次に、原料炭につきましては、これは出炭も少し原料炭は年々少しずつふえてまいりますが、この需要大宗鉄綱業界でございますが、ガス業界もございます。ガス業界鉄鋼業界でございますが、ガス業界は大体需要横ばいより少しダウンするかと思います。そこへナフサ転換等がございますので、そういった若干減少する傾向があるかもしれません。そうなりますと、主として鉄鋼業界に相当量引き取ってもらうということでございますが、鉄鋼業界につきましては、これは近年豪州炭の弱粘結炭の輸入が相当軌道に乗ってきておりますが、豪州における開発が相当軌道にも乗ってきておりますので、そうすると、価格差について何らかの負担増対策を講じてほしい。もちろん鉄鋼業界としては、従来ともに国内炭を優先使用するという原則は鉄鋼業界も従来認めていただいてきておったわけでございますが、しかし、最近の鉄鋼業界はなかなか、特に最近の構造的に見まして輸出に相当依存する産業に変貌してまいって、おりますし、鉄鋼業界収支そのものもかつてほどのゆとりがなくなってきているというような事情から、いままでは比較的どちらかというと、変な言い回しですが、大まかに国策に協力していただいてきたわけでございますが、最近のそういった事態から、やはりここまできますと、今後の増量引き取りについては何らかの負担増対策追加需要について、いままでのものについてはともかくとして、今後の追加分についてはそういった負担増対策考えてもらいたい。電力と内容的には少し違いますけれども、いま同様趣旨意見を申してきている。したがいまして、主として石炭長期引き取り大宗である二つの業界のそういった意見に対しまして、私どもこれをどうするかということで、いま政府部内、あるいは関係業界と協議を重ねているわけでございして、これをできるだけ早く解決いたしまして、少なくとも五千百万トン程度の本年度出炭目標については、一応需要もつき得るような態勢を私といたしましては努力いたしたいというふうに考えております。
  9. 小柳勇

    小柳勇君 こまかい問題がたくさんありますけれども、ほかの委員質問がありますから、大臣いまお聞きのように、出炭がふえて需要が減る、もしどうしても使うならば、負担増対策引き取り分について何か国家から考えよという、これは自由主義じゃないわけですね。国家統制国家が統制していかなければならぬような情勢、社会党がいっている国有国管をやらぬと何ともならぬという情勢にきていると思います。それで、まあ内部の問題はいろいろありますけれども、大きくいいまして私どもが五千五百万トンといっている、また、家族からの陳情も、この間も五千五百万トンと盛んにいっておられる。で、本年度のこの合理化実施計画が五千百万トンで推移してまいりますと、六月か七月に出ます答申がそういうものを無視しては出せないのではないか、需要は減るし、出炭は今度はふやさなきゃならぬ。この法案の改正によって新しい機械を貸すということは、一人当たり出炭をふやすための措置ですね、でなければ、わざわざ新しい機械を整備する必要はないのですから。一人当たり出炭はふえる、貯炭はふえる、需要は減る、そういたしますと、結局もう五千五百万トンというものは、から念仏ではないか。この間も阿部委員がしきりに、一体根本的にはあなたどう考えているかと大臣に詰め寄っていたけれども、こういうものが具体的に一つ一つ積み上げられていきますと、これが既成事実となりまして、これを無視しては答申はできないのではないかと私は考えるわけです。もうすでに四十一年度実施計画と、こういって出ますと、これは無視できないと考えるが、こういう点について大臣はどうお考えになりますか。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は、いまのエネルギー調査会石炭位置づけといいますか、エネルギー資源というものに対して将来どのような相当長期的な展望をしていくかということを検討願っているわけです。その調査会には五千五百万トンを必ず確保してくれという前提条件はついていないわけです。もっとやはり自由な立場検討してほしいということでございますので、その答申等もわれわれ参考にしたいと思うのでありますが、初めから五千五百万トンという石炭を掘らなければいかぬと、こういう前提に立ちますと、非常にやっぱり審議会なんかを拘束いたしますから、もう少しこれは長期需要確保という面から考えてみていろんな問題を含んでいることは小柳さん御指摘のとおりでありますから、こういうところでこの数量についても検討を加えるということは当然のことだと私は考えております。
  11. 小柳勇

    小柳勇君 それはそのとおりなんです。そのとおりなんですけれども、もう今年度実施計画はこうやって出ているでしょう。そういたしますと、そういうものを無視できないのではないかということを私は第一に質問したいわけです。だとすれば、五千五百万トンきちっとげたをはかせて、ここから審議をしなさいということは言えないでしょう、審議会は独自の審議会ですから、わかっていますけれども。  では、今度はちょっとこまかな問題に入りますが、閉山はことしはどう考えているか、その点をひとつ。
  12. 井上亮

    政府委員井上亮君) 閉山につきましては、ことしは予算措置におきまして、年間にいたしまして大体二百万トン程度出炭規模考えております。
  13. 小柳勇

    小柳勇君 いままでずっと合理化計画が進んでまいりましたけれども閉山については若干昨年よりは減っております。昨年が多過ぎたからかもしれませんが。そういうことでありますから、私どもが柱として考えているエネルギー政策の中で、一体出炭量をどこに置くかと、そこからでないと議論が出てこないわけですね。閉山も、あるいは合理化というものもあいまいにしながら、大臣の言うように、五千五百万トンは審議会を拘束しないといいますと、具体的にはどんどん合理化計画が実施されているから、結局は五千百万トンと固まってしまうのです。そういう方向に動きつつあるから、私どもがやっぱりあせって、もうこれは国有化でないとつまらぬと、そういうようなことを考えておるわけですが、大臣どうでしょう。
  14. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 国有にしたからといって問題は私は解決できるとは思っていないのです。この石炭問題は、国有という、何か鉱区の所有権経営権、これを強権的に国家に移動して、これで石炭問題が解決できるとは思っていないので、そういう問題については、確かに私企業としては形の変わった私企業ではあるけれども、だからといって、国有化したら問題はすべて解決だということではないので、そういう経営形態のほかに、やはりエネルギーの大きな革命、その影響を受けておるのですから、必ずしも国有国営とかという形態によって問題が解決できるとは考えないのでありますから、その点については、どうも小柳さんと見解を異にしておる。もっとほかのほうに原因がある、こういう状態に石炭産業をもたらした原因というものはほかにある。経営形態からくるとは私は思わない。
  15. 小柳勇

    小柳勇君 じゃあ、もう少しこまかい論議をしますから聞いておってください。石炭局長負担増の問題ですね、電力業界鉄鋼業界のこの増炭分については何とか考えるというのは、具体的にはどういうお考えですか。
  16. 井上亮

    政府委員井上亮君) 現状は、先生も御承知のように、原・重油関税につきましてキロリットル当たり幾らというようなことで還付額をきめておるわけでございます。電力につきましては、一般還付特別還付とを合わせまして、大体四十一年度で四十二、三億ぐらいの還付になるわけでございます。それから、鉄鋼業につきましては、やはり一般還付特別還付を合わせまして十億前後のものが還付されるというふうに考えております。ただ、これも重油引き取りによりまして、重油使用量によってこの金額が変わってくるわけでございます。したがいまして、いま正確には見通せないわけですが、私ども見通しとしまして大体その程度考える。  なお、今後の増量引き取りについて負担増対策考えていきたい、こういう意見でございますが、それにつきましては、たとえば現行関税還付制度考えていくか、あるいは現行関税還付制度は若干の問題点といいますか、矛盾もあるわけです。たとえば石炭引き取りに協力してくれる企業にそういった負担増対策をするのではなくて、重油を使った量に応じて関税還付される。したがいまして、具体的にいえば、九州電力石炭をオンリーで使っておるわけです、重油も若干使っていますけれども。ところが、揚げ地電力石炭はあまり使ってないかもしれませんけれども重油はたくさん使っておる、そういうところには還付は多い。産炭地は少ない。電力業界はそういう矛盾に対して、御承知のように、プール制度でプールして、揚げ地で得ました還付額は九州にも還元できるようにというようなことでやっていただいておりますが、しかし、重油をたまたまたくさん使った年は多く還付されるけれども、たまたま電力業界全体として重油が少なければ、今度は還付額も減るというような矛盾もございますので、こういった制度につきましても、少し私どもとしましても関係方面とも打ち合わせをしながら再検討したいというふうに考えております。
  17. 小柳勇

    小柳勇君 その問題は、たとえば鉱業審議会答申にもあるいは入るかもしれませんけれども、それとは若干趣を異にして、通産省自体方針の問題だと思うのですけれども、その点いかがですか。
  18. 井上亮

    政府委員井上亮君) お説のとおりでございますが、しかし、審議会としましても、これは石炭長期需要確保対策、いわばこれは位置づけでもあるわけですから、その検討をいたしておるわけでございますが、当然審議会のほうでも検討さるべき内容だとは思っています。しかし、それが事柄として通産省政策事項である、したがって、通産省内で、検討すべきであるということについてはそのとおりであると考えております。
  19. 小柳勇

    小柳勇君 鉄鋼電力も、ガス国鉄も、やはり需要がありませんと出炭の問題は起こらぬのでありまして、出炭の中で合理化する山もきまってくるし、あるいは出炭能率も出てきますから、したがって、需要の問題でどうしても現在の企業ではだめだといわれれば、また考えなければならぬでしょうが、そういうことでありますから、審議会結論云々よりも、そういうものの方向がきまりましたら、ひとつなるべく早い機会にこの委員会にも出していただいて、お教え願いたいと思います。  この問題についてもまだ若干ありますが、次に進みまして、それに伴う労働者の問題、人の問題です。出炭量が大体きまりますと、閉山になりまして離職数もきまってまいります。離職数がきまりますと就職の問題が出てくる。この合理化実施計画を見ますと、私どもとして非常にある面うれしいのは、現在の日本の経済計画というものは、労働者の移動なり需要計画というものを第二義、第三義的に考えておる。経済計画をやれば労働力というものは自然についてくるものだという頭で経済計画をやられておる。このことは、私は、党の立場でも、私個人の立場でも、非常に遺憾とするところでありまして、先般の予算委員会でも、労働大臣を中心に、そういう問題をずいぶん論議したところでございますが、この鉱業審議会合理化計画ではずっと出炭計画検討しておいて、これに必要な労働者の数、難職者の数、それから就職あっせんをどうするのだということまでちゃんと見当をつけておる。こういう点については非常に敬意を表しておる。これはわが党のいう方向国有国管にいたしましてもそうしなければならぬわけでありますから、ほとんど私ども考えをいっているようなものです。そこで、いままでの本年三月に残ります離職者の数、それから四十一年度実施計画に依存します離職者の数、それをどういうふうに就職させようとしておるのか、そういう問題を数字がありましたら数字をあげて御説明願いたい。
  20. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいま数字を持ってきておりませんが、先生が御指摘になりましたように、私ども毎年年度の初めに長期生産計画に基づきまして年々の生産計画、それから合理化計画投資計画能率見込み、、さらには閉山見込み、それを地域別炭田別につくりまして、そうして離職数について地域別にその数を明らかにいたしまして、労働省一体となりまして、こちらの閉山計画と見合って離職者就職計画、これを労働省がつくりまして、そうしてそれを確認した上で、審議会で確認いたしましてその年度計画とするというやり方をやっておるわけでございますが、ただいま数字につきましては、これは正確を期さなければなりませんので、至急数字を取り寄せまして、後刻報告をさせていただきたいと思います。
  21. 小柳勇

    小柳勇君 前もってこの質問の予告をしておりませんので、数字についてはあとでまたお聞きします。大体私のほうで概数を見てみますと、労働省職業安定所によって就職する者、それから産炭地域振興事業団などで就職する者、あるいは独自に自分で仕事を求める者ということで、約一万七千くらいの四十一年度就職が見込まれるわけですね。そういう就職の問題につきましても、ひとつ労働省だけにおまかせにならないで、通産省の責任において万全を期していただきたい。これは要望だけいたしておきます。同時に、これは私は地元の炭鉱の問題でありますからお聞きしておきますが、白炭高松が第一鉱業所を閉鎖してまいりましたあと、北のほうに北進して開発されてまいりましたけれども日炭高松現状について御説明を願いたいと思います。
  22. 井上亮

    政府委員井上亮君) 日炭高松は、先生も御承知のように、昨年の春再建計画をつくったわけでございますが、一昨年の秋ぐらいから、日炭経営につきましては、経営そのものが悪かったという意味ではなくて、御承知のように、八幡地区の採掘につきまして、地上の物件でありますところの三菱化成の池とか、八幡製鉄の貯水池とか、あるいは北九州市の池とかいうものの直下を掘らざるを得ないような事態になりまして、掘ることがいいか悪いかというようなことの検討を続けたわけでございますが、これは相当鉱害被害も大きくなりますし、同時に、やはり北九州市の大きな産業に相当な影響を与えるというような判断を下しまして、白炭のその地域の採掘を見合わせたわけでございます。施業案を不認可にいたしました。日炭といたしましては、その施業案を不認可にされますとその地域は掘れませんので、相当な離職者を出したことは御承知のとおりでございます。その点は、先ほどいいましたように、労働省と連携を取りまして、以後離職者対策を実施して今日に至っておりますが、日炭といたしましては、その後、今度は東部地域の開発、これに専念いたしまして再建のいま方途を立てたわけでございます。東部地域につきましては、ただいま再建計画によりまして、私ども検討しました計画とほぼ同程度の実績を示しまして、むしろ計画よりも出炭は上回っているというような好成績をあげております。ただ、日炭はあれだけの大手術をしたわけでございますが、施業案の不認可を受けて過半の労務者の人員整理する、その費用の負担も相当巨額にのぼっておるわけでありますし、それから、同時に、東部の開発ということでございますから、相当苦心はいたしておりますが、なお資金の足らない点は、日炭が所有しております土地を処分する等のことによりまして不足資金のカバーにただいま努力いたしております。しかし、出炭計画としては、おおむね順調にこの一年間を経過してまいっております。
  23. 小柳勇

    小柳勇君 大体いまの概要につきましてわかりましたけれども、先般離職者の組合が結成されまして、私も出まして、非常に逼迫したものを感じましたものですから、さっきの炭鉱離職者就職の問題に付加していま私はここに質問していきたいと思うのですが、二千四百名ばかり離職されまして、現在仕事がきまったのは四百から五百しかない、あとは若干就職訓練に通ったりしておられますれども、ほとんど失業保険にたよっておられるというのが実情である。あの小さい地域に二千名あまりの方が離職者としてほうり出されておるという現実はあまりにもひどいではないかと、ほかの山とは違うんだ、この日炭の再建というものはほかの山とは違うんだと、こういうことで再建計画がなされておるではないか、こういうような声が方々から出てまいりまして、私も当時の石炭対策特別委員長として責任を感じておるのです。その問題も含んで、四十一年度に一万七千名もの炭鉱離職者が出るんだと、で、労働省職業安定所計画としては一万一千名ぐらいしか、それも自分の好みの職業あっせんというのはなかなかできぬでしょうね。そういうことを考えますと、まことに暗たんたるものがあるのでありますが、これはひとつ大臣から御決意を聞いておきたいと思います。
  24. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いまいろいろな事情をお述べになりまして、なかなかうまくいっていないというお話、これは非常に気の毒な立場にあるわけでありますので、いままでも労働省とも連携をとりながらやっておるようですが、この問題には一そう関心と積極性をもってわれわれとしても努力いたしたいと思います。
  25. 小柳勇

    小柳勇君 同時に、これは大臣もよく腹に入れておいてもらいたいのでありますが、あそこに工業団地をつくりました。これに企業を誘致しようとしておる。先般も通産省石炭局長などの努力によりまして、ある一つ企業を誘致いたしました。それから、その他にも団地をつくって誘致をしなければならぬものがたくさんある、これが一つの大きな問題。  それから、第二は、あそこの町の財政がこれは非常にたいへんなものですね。したがって、その町の財政並びに周辺に残されました商店街の問題なども、これは再三私もここで問題にしたことでありますけれども、この間のこの大会の中でそういう人の声も相当出てきておりますので、今後また具体的にはそれぞれの方からお願いに見えるかと思います。また私もお願いする場合がありましょうが、誠意をもって解決してもらいたいと思います。あのような事情日炭がつぶれていった、これは地上権という問題もありますけれども、これは地上の発達、北九州市の発達のためにはやむを得ないことですね。やむを得ないことでありますから、政府としても責任がありますし、私どもも責任がありますから、今後最善の処置をしてもらいたいと思います。  それから、もう一つは、この間予算委員会大臣質問いたしました大手石炭業者と小山の石炭業者との格差、これはいまなお問題になっている。大臣の答弁によりますと、これは大山も小山もないのだ、みんな差はつけないのだ、一視同仁であるという御発言がありますから、私どもはこれを憲法として、これからその方向で施策されるものと考えておりますが、大手の山に対する処理と小山に対する処理というものに差があってはならぬと思う。ただ、具体的には大手のほうは石炭協会なるものをがっちり持って、石炭協会で指導したり援助したりする。小山のほうは、私も委員長時代に石炭協会一緒になったらどうですかという助言をしたこともありますけれども、なかなかうまくいかなかったのですが、今日現在、小山の皆さんの気持ちなど、これは石炭局長からお聞きしておきたいと思います。
  26. 井上亮

    政府委員井上亮君) 中小炭鉱の経営者がいま一丸となって石炭対策の樹立について陳情しに参っておるわけでございますが、私は昨日も全国の代表約三十名と二時間半ぐらいにわたりまして、ほんとうにこまかく、政策の検討といいますか、中小炭鉱の実態についてお話し合いをいたしました。結局中小炭鉱が今日困っております根本的なものは何かといいますと、一言でいいますと、まず第一に金融だ、これは先生承知のように、中小炭鉱にはいまなかなか担保力がない。普通の機械工業やなんかと違いまして、むしろ坑道そのものが担保で、今日の事態では、そういうものは一般的に金融機関から見まして担保力があり得ない性格を持っております。したがいまして、設備というのは、これは担保力がないとひとしい状態なんです。この点につきましては大手も同様でございます。大手につきましては金融機関に対する信頼はまだ大きい。鉱業財団というようなことを通してあるわけですが、中小についてはそういう担保力がほとんどないといっても過言でない。したがいまして、きわめて短期の運転資金については別でありまするが、設備資金となるとなかなかむずかしいというような問題、そういった問題が中小炭鉱の一番大きな経営上の問題になるというように考えております。この点については、従来、中小企業金融公庫等を通じましてめんどうをみてまいりましたが、今後これらについては少し何らかの政策的なくふうをする必要があるのではないかというふうに考えております。  それから、第二点としては、中小炭鉱としては、大手と同じように、異常債務については何らかの救済措置をとるというようなことをいっておりますが、この点については大手と同じような意味合いで、異常債務があれば、これは大臣も仰せになりますように、差別すべき筋合いではないので、一律に考えたいと思いましたが、ただ、実際は大手と比べますと、中小にはいわゆる異常債務が比較的に少ないわけであります。現在の経営も大手ほど悪くない。これは浅部の開発をやっております。浅いところ、設備投資をしないところを掘っていく関係で、わりあいにコスト的には大手よりはまだいい。しかし、そのかわり低賃金であるという問題がございます。したがいまして、苦しいことには違いありませんが、実態の面が違いますので、中小の面については、中小独自の、中小にふさわしい対策を検討していく必要があるんじゃないか、概括的に、私はそのように現在考えております。
  27. 小柳勇

    小柳勇君 その問題でいま端的に言えるのは、この前第三点に質問いたしましたが、運賃の延納の問題ですね。これは私、何も国鉄に味方するという立場でなくて、払わなければならぬ運賃を延納するということを法律できめるということ自体がナンセンスですね。しかし、これは法律のできるのを一番待っているのはやっぱり小山の皆さんじゃないかと思うのです。現場で運賃を計算する国鉄職員の一番出先きの者は、一生懸命働いていて、延納することを法律できめるというのでは実際に働けないですね。運賃というものの延納を認めるなんということは、それは行政的な処置ならばいいですけれども、法律でちゃんとうたっているということ自体が矛盾でありまして、こういうものは働く意欲にも影響する。まあそういうものでお互いの地域において対立感情はないと思います。ありませんし、そういうものがあってはならぬですけれども、やっぱりある場面もある。出やせぬかという心配があるわけです。したがいまして、この前もちょっと質問しておいたのですが、これはほかにもあります。石炭だけではありません。しかし、それは運賃の扱いを特別に考えるのであって、延納まで認めるのはないのです。これはいまおっしゃったように、小山の実態が非常に苦しい、ぎりぎりの生産とぎりぎりのコストでやっているのだから、せめて運賃のひとつ延納を認めようじゃないかということで、それならば、いまおっしゃったように、大手の場合、異常債務を千二百億も考えるとすれば、運賃のこのくらいは政府が前もってやっておいたらどうかと考えるわけなんです。これは常識です。私は内容がわかっておりますからあれですけれども、しかし、これは法律をあげる以上は質問しなければならぬから、大臣から見解を伺います。
  28. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ運賃の延納ということは普通のノーマルな姿ではないけれども、これはやらなければならぬ事情は御承知のとおりで、この立法も保証が要るわけですから、石炭合理化事業団が中小に対して保証する。だから延納の重点が、延納というよりも、保証業務ということのために立法の必要が起こってきたものとこれは解釈をしていただきたいのでございます。  それから、政府は何か補助金でも出せば運賃の延納なんかもしなくてもいいというような御意見であったかと思うのですが、まあ運賃というものは、やはり企業がコストの中に含ませるべきものであって、そういう意味からすれば、いろいろ根本的な石炭対策を最近の機会に立てようとしておりますから、そういう場合にこの問題も含めて解決するほうが適当であって、この場合に、あるいは暫定的に便宜的な処置をはかるということよりかは、石炭の根本的解決の場合に、こういう問題も含めて解決することが適当であるという考え方からこういう処置をとったものでございます。
  29. 小柳勇

    小柳勇君 この前聞きますというと、保証能力をつけるために五千万円を特別に事業団に出すのだとおっしゃいます。それは十億の延納に対しては五千万円では保証の能力にもならないですね。実際言えば、もしさっき局長が言われたように、大手も小山も差別しないで、国がこれは国策としてみるというたてまえを通すならば、延納などということを認めないで、この産炭地域振興事業団に十億なら十億やっておいて、延納するときはそこから借りなさい、それくらいのことをやるならこれは筋が通ります、法律としては。大臣は苦しい答弁をして、保証能力のほうに重点を置いて考えてくださいといっても、これは少し曲解です。真正面にいうならば、この法律は小山などの運賃延納はもう一年間認めたのだといわれてもしかたがないわけですからね。そしてそのあとの保証能力をつけるために五千万円ばかり気は心で増したのだというふうにしかまあとれないわけです。実際法律はそうなっている。したがって、たてまえをいうならばそういうことを私はいいたい。だから、それはこの間、阿部君の意見を聞いておりましても、石炭政策全般について、この張りこう薬といいますか、おもやがあって、それにまた納屋をつくりまして、あるいはひさしをつけるとか、継ぎはぎの政策がこうずっとあるような気がしてならぬのです。石炭政策というものはずっと継ぎはぎだらけだという気がするのです。ですから、それをすっと取り払って四階建てなら四階建てにして、それで間切りをしてひとつやろう、やりなさいということではなくて、平屋があるわ、二階があるわ、バラックがあるわ、それがずっと石炭政策だという印象がしてならぬ。足らぬところにべたべたこう薬をつけておるような、そういう気がいたします。私は、まあ一服の清涼剤は、さっきいいましたように、鉱業審議会合理化実施計画など、具体的に生産から、あるいは労働者の動きから把握して、それでも金が足らぬから、それは政府から出しなさい、それがほんとうに社会党の言う政策ですね。したがって、ここまで鉱業審議会どもやっているのだから、この際、やはり思い切って、私どもが言う国有国管でなくてもいいから、公社ぐらいのところまで前進をして、大手も小山もないのだ、いま私ども意見を言っても、いや、それはもう自由主義の競争でなければならぬとおっしゃる経営者というものは少ないのですよ。特に小山の人なんかも、政府が本気で考えてくれるならばわれわれは国有でもいい、そういう意見はそのとおりいわれますからね。したがって、基本的には私どもの党の方針あとで小野委員から意見を述べてもらいますけれども、私は全般的に見まして、私どもがずっとこういままで歩いてきた石炭政策を見ましてそういう気がいたしますから、一日も早く抜本的な体制、政策を立てていただくということと、それから、そのこう薬はなるべく一日も早くこう薬をはぐような方向で解決してもらう。  そうして第三にお願いしたいのは、審議会どもちろんこれは非常に重要視しなければなりませんけれども、それよりは、むしろ政府はどうするという政府の方針をはっきり持って、なお審議会に諮問いたしますという態度が必要ではないか。何でもかんでも審議会に入れ込んで、本会議の質問にも予算委員会質問にも、また、この石炭委員会質問にも、審議会答申待ちでございますではあまりにも残念である、こういう気がいたします。  で、最後の問題は、また問題が起こりましたときにそれぞれの政府委員の皆さんに質問したりお願いをしたりいたしますけれども、大体この法案の改正にあたりましては、私は以上のようなことを質問し、かつ、意見を申し述べまして私の質問を終わりたいと思います。
  30. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  31. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記をつけて。
  32. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大臣が四時には御退席になるとかいうことですから、あとはまた政務次官にでもおっしゃっていただいて質問を続行したいと思いますが、まず、最初に、この法案そのものから私質疑を進めたいと思っております。  今回の改正法律案は、なるほど適宜な措置と思いますけれども、先ほどからお話があるように、きわめて微温的な改正案だと私は思うのですが、今度石炭鉱業の近代化に必要ないわゆる近代化機械を貸し付けるんだ、事業団が貸し付けるような方途をとるんだ、こうおっしゃっておりますが、予算は三億つけてあるようですが、それで需要に応じられるか、大体どんな機械を貸与するのであるか、まあ年限は四十二年三月までとなっておるようですが、法案を一べつしますと、通産省の省令で定めた基準に該当するものにこれを貸与する、いろいろあるようですが、三億円ぐらいで需要に応ずることができるか、企業側はそれで満足するか、その点ひとつお伺いしたい。
  33. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 三億円という金額は、鬼木さんのいわれるように、大きい金額ではないですけれども、これは新しくこういう制度を設けて、政策の芽が出たわけですから、こういうものを今後実施してみて、その模様等も勘案をしながらこの金額は将来ふやしていかなければならんもので、三億円という金額が多いとは思っていないわけであります。また、これが対象になる機械は、結局は近代化に関連をする機械で、こまかくはいろいろあるのでしょうが、大きく分ければ採掘、掘進、これを通じて近代化をはかるための機械類であるということを目標にするものでございます。
  34. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、私申し上げたいのは、先ほど小柳委員からもそういうお話があっておりましたが、どうも石炭対策ということに対しては非常に微温的で、いまの大臣のお話ではテストケースみたいで、これはひとつ研究だ、試みにやってみるんだ、悪かったらやめるけれども、だから、最初わずかだけれども三億円ぐらいで出発してみようと、そういうことでは私はちょっと納得できないのですがね。大臣、どういうふうにお考えですか。
  35. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ほかに近代化資金が六十億ほどある中の一項目でありますが、私は、やはり鬼木さんもそうだと思うので、私自身でも、石炭対策というものが、何かいろいろ現在の石炭鉱業の危機といいますか、これはひしひしとわれわれにもわかるものですから、何かやはり役立つということはなかろうかということで知恵をしぼるわけですよ、これで。だから、そこにやはりいろいろな政策の芽というものが出てくるわけですが、全体として私はいま考えておることは、これはこういうことで次々にいろいろ知恵をしぼっただけでは問題は解決できない状態にきておるので、今度近く御審議を願うことになると思います。石炭の根本的な対策の場合には、こういうものでなしに、石炭産業の根幹に触れた一つの安定策を講じてみたいという非常な意欲を持っておるわけであります。それは、言われるとおり、もう何か次々に知恵をしぼっていっておるのですが、こういうことだけで石炭産業が立ち直る性質のものでもないし、今日の石炭産業の持っておる非常な困難性というものはそういう程度のことで解決できるものではないという反省を持ちながら、だからひとつ今度取り組んでみたいということでございます。
  36. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 まあ大臣の御説明は私もよくわかりますが、これは期限付きで、四十二年の三月になるというとこれを廃止する、それでは機械の貸し付けの恩典に浴したものはよかったけれども、自分に回ってこないものはそれじゃこの恩典には浴しないというような状態で、しかも、それが大きな確信に立って、こうやって石炭出炭を確保するのだというような大きな自信と確信のもとにおやりになるのならばいいけれども、まあやってみようと、大臣はよく抜本的解決抜本的解決とおっしゃるけれども、おやりになることは、どうもその場その場の糊塗主義の政策が出てくるように私には思われるのですね。その点もいまの御説明でごもっともと思いますけれども、もっと私はやはり強力に、大臣が先ほど中小炭鉱もみな含めて解決するのだ、差別はしないのだと、こういうふうにおっしゃるならば、私はもっと大幅に大々的にやるべきだと考えるわけで申し上げたわけでございますが、これをおやめになった後はそれじ牛どうなさるわけですか、これは。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはまあこの法律のたてまえが四十二年までで、むろんこれは法律のことですから、延長はいたす、その必要によって延長はいたします。これはたてまえがそういうふうなことでしたので、非常に短期的なものとお考えにならなくても、そういうときには御審議を願いますが、必要に応じて延長はいたす考えでございます。
  38. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、先ほど小柳委員からもちょっとその点に触れられたようでございますので、重複するかとも思いますが、石炭運賃の延納の債務保証の問題でございますが、わずか五千万円くらいの保証で、実際は十億以上もあるのに五千万の保証だなんてどういうところから出てきたか、これの算定基準をひとつ私はお聞きしたいのですがね、どうも納得いかない。これは一体何の金ですか、この五千万というのは。
  39. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはいま支払いができないときに、これが支払いの基金として置いておるのですが、これは大体支払えるような根本策をわれわれは立てたいと思っておるのですから、まあそういうことは起こらないのではないか。しかし、何にも保証というものがないということになれば、それは国鉄のたてまえ上も好ましくないので、こういうことで保証基金というものを置いたのでございますが、これはやはり近い将来にわれわれがやろうとしておる石炭の根本的対策と結びつけて考えたときには、この基金で国鉄には一つのたてまえを通すし、そういうことで、まあ金額からいえば少ないにしても、保証の役割りというものは、やはりそういうことをあわせて考えたときにはあるのではないかと思うのでございます。
  40. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 まあ大体わかったようでわからぬようですが、この支払い方法ですがね。この支払い方法は三カ年の分割払いですか。
  41. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 今度延ばしましたのは、来年の四月一日から一年間に分割して払うことになると思いますが、今度延ばしたものは一年間に支払うということでございます。
  42. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると、大体前の三十六年のあれは六月ですか、それから三十八年度までであったと思いますが、あの延納を認めた鉄道運賃の延納処置は、これは締めくくり、けじめはどういうふうについておりますか。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) あれは前のは四十三年から二年間に払う、今度のは来年一年に払う、四十二年に払う。こういうように、ちょっとこう期間的には支払いの期限が違っておるのでございます。
  44. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこのところはどういうわけでそういうふうになったわけですか。前回のは四十二年からということでして、今回のは来年一年で払ってしまう。どうもその鉄道運賃に対する延納債務の取り扱いに一貫したあれがないようですが。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはわれわれも骨を折ったわけですが、いま実際石炭運賃も全部払えということになってくると、とてもなかなかやはり支払い能力というものにも問題がありますので、それをまあ抜本策を講じようと考えているのだと、この問題は。それで一年延ばしてくれということをわれわれとしても要請したわけです。それは何かといえば、まあ六月か七月ごろには根本策を立てて、こういうことの御迷惑は将来かけないようにするから、これは前のことは前で、そういうふうな今日の時点において運賃を一年延ばしてくれというのとは、多少前の場合は性質が違っておったわけです。今度の場合は少しそういうふうな段取りになっておるので一年間延ばしてくれないかということで、そのときに延納をこちらから要請したときの事情というものは多少違っておりましたから、今年はそういうことになったので、これは私も関係をしたのでよく記憶に残っておる次第でございます。
  46. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると、この延納の利子関係はどうなるわけなんですか。
  47. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 利子も国鉄は取るといったのですが、実際はしかしこういうふうで、利子はかんべんしてもらいたいということで、無利子ということになっております。
  48. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 今回は五千万円の保証金が積んであるようでございますが、その五千万円の保証というのが利子の肩がわりになるというわけじゃないですか。
  49. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは払えないものがあるでしょう。そのときに皆が払うときには基金には影響しないで、これが何の肩がわりという性質のものではない。まあつぶれるような山があったときに払えないというときにこれがものをいうので、そうでなければこの基金は一つの保一証をしたという、国鉄としても何も保証なしというのもたてまえ上ぐあいが悪いでしょうから、そういうことでしてあるので、つぶれるような山がなければこの基金というものは何の関係も起こらなくて済むわけでございます。
  50. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それで了解しましたが、その次に、事業団の役員の欠格条項を整理すると、こういうふうになっておりますが、従来の規定ではどういう点でこれは抵触するか、悪かったのか。国家公務員を政府職員に改める。政党役員はいままではいけなかったが、今度はよろしい。どういう事情の変化があったのでありますか、その点を一つ
  51. 井上亮

    政府委員井上亮君) これは要するに「国家公務員」というのを「政府職員」にしたというのは、これはただわかりやすい表現に、法制局が立法技術上今後そういう表現で考えようということで、そのとおりになったことに基づきましての改正であります。実質的な問題としましては、要するに欠格条項に該当いたしますのは政府職員だけである。従来は、先生も御承知のように、国会議員とか政党の役員とか地方議会議員とかという方にもやはり欠格条項に入っておったわけです。しかし、特にここまで広げる必要はないのではないかというような大きなやはり政策がございまして、政府全体といいますか、としての方針がございまして、それに基づきましてこういう公団、事業団のようなものの欠格条項は政府職員だけでいいではないかというような大きな方針のもとにこういう整理をされたわけでございまして、特にこの事業団だけがこういう扱いを受けるわけではございません。今後一般的にこういう方針で改めようという大方針に基づく一環としての改正でございます。
  52. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこのところがわからぬですが、国家公務員というものと政府職員というものは違うのですか。政府職員だって国家公務員でしょう。
  53. 井上亮

    政府委員井上亮君) 政府職員と国家公務員は同じでございます。法制局の、何といいますか、非常にこまかい配慮に基づく国家公務員といいます場合に、国会議員は国家公務員か国家公務員でないかというような学問的な若干の疑義があるというので、むしろこの本旨は政府職員に限るというように明確にしたほうがより好ましいという法制局の見解がございまして、私ども通例の解釈では、国家公務員も政府職員も同じでございますが、しかし、国家公務員という場合にはもうちょっと広い概念があり得るという法制局の懸念、そういうものがございまして、より明確にしたほうがいい。特に今回の改正は、国会議員や政党の役員、それから地方の議会の議員さん方を欠格条項よりはずすという措置をいたしたわけでございます。それとの関連において疑義なからしめるためには、国家公務員というよりも政府職員といったほうが、より法律的に明確であろうというような解釈で、今後公団、事業団の役員の欠格条項を整理いたします場合には、立法技術上こういう方針で統一したいというような解釈でこうなった次第でございます。
  54. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこがどうもわからぬが、じゃこれはねらいは国会議員を入れないという意味でこういうふうな無理な書き方をしたのですか、政府職員と国家公務員と。政府職員も国家公務員で、何も違うわけじゃない。国会議員が国家公務員ということは、即、国会議員が国家公務員でなくて、国家公務員に準ずるという意味で解釈しているので、また政党役員はよろしい、今度のは政党役員はいいということになるわけでしょう。だから国会議員で政党役員をしておる者もいるわけです。そうすると政府職員に改めることはおかしい。国家公務員、そこのところが矛盾だと思う。
  55. 井上亮

    政府委員井上亮君) 今度の改正の趣旨は、従来、国会議員、政党役員等の方々も欠格条項になっていたわけであります。それを今度は政府職員だけを公団、事業団の役員とすることについては欠格であるということに改めたわけでございまして、そういう仕分けをいたしたわけでございますが、その機会に、国家公務員という概念がやや広義に解釈されるおそれもあるので、立法の趣旨から政府職員を除きたいということにはっきり徹するため、「国家公務員」というものを「政府職員」という表現に改めたと、こういう次第でございます。
  56. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 どうも国会議員がよくない、国会議員を除外するという意味のこれは改正ということになるならば、政党役員という、これは定義はどういうものだ、政党役員という。
  57. 井上亮

    政府委員井上亮君) 国会議員は欠格条項でなくなったわけです。
  58. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 なくなった。それはそれでいいが、それはそれでわかった。それはそれでわかったが、政党の役員がいけないというのはどういう意味かということです。
  59. 井上亮

    政府委員井上亮君) 政党の役員もいけないのではなくて、欠格条項からはずしたわけです。
  60. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いや、だから条項からはずしたと、どういうわけで。
  61. 井上亮

    政府委員井上亮君) 国会議員、政党の役員等の方々も公団の、これは極端な話ですが、公団、事業団の役員たり得る資格を持つという方針を明らかにしたわけであります。実際にそうなるならぬは別問題にいたしまして、資格要件としては入り得るというふうに改めたわけでございます。
  62. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 政党役員もいいということになったのでしょう、今度。今度いいということになったのでしょう。そうすると、「国家公務員」を「政府職員」に改めるというのは、これはどういうわけだ。
  63. 井上亮

    政府委員井上亮君) 国家公務員は、これはまあ先ほどもいいましたように、概念がちょっと不明確、国会議員等との関係、政府職員、国会議員等との関係におきまして、やや概念的に、まあ法制局の解釈でございますが、若干の明快さを欠くおそれがあるので、そこをしぼった書き方にさらにしたいというので政府職員にしぼるというような趣旨にいたしたわけであります。そういう改正でございます。
  64. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 この点がどうしても納得がいかぬのです。今度のこの改正はどこにそういう根拠があるのか。不都合な国家公務員を政府職員に改めなきゃならぬというが、国会議員というものは即公務員じゃないんだから、これは準だから、公務員に準ずるのだから。
  65. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生のように解釈をいたしますれば先生のような御疑問が出るのは当然でございまして、私も常識判断では先生の御疑問もよくわかります。国家公務員と政府職員と同じではないか、それから、国会議員と国家公務員とは違うではないかと、まあ準ずるかもしれぬ、準ずるといいますか、非常に近い姿ではあるが、これは常識的な考え方だと思います。しかし、法制局はそこをやはり概念規定として厳密にやっぱり解釈し、かつは、また、いささかも疑義のないようにという配慮もございますので、そういった趣旨からの改正でございますので、その点はひとつ立法技術上の問題でございますので、御理解をいただきたいと思います。
  66. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そうすると、国会議員というのはいけないと、政府職員はよろしいと……。
  67. 井上亮

    政府委員井上亮君) 逆です。
  68. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 国会議員はイコール国家公務員と、こう解釈するというわけだな、これ。そこのところおかしいじゃないか、国家公務員を政府職員に改めると書いてある。それはどう見たってぼくは承知せぬ。
  69. 井上亮

    政府委員井上亮君) そういう意味ではございませんで、もう悪いのは政府職員、あとはもう全部欠格条項ではないと、公団の役職員たり得るということに改めたわけでございます。
  70. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それでまた政党の役員と、こうきているんだね。そうすると、その政党の役員は即国会議員ということか。国会議員に限らぬだろう、政党の役員は。
  71. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) こういう、鬼木さん、昔の法律の中に政党の役員をやっぱり欠格条項の中に入れておったのですよ、政党の役員を。政党の役員というのは、われわれ考えても、どこまでが政党の役員か、なかなかこれは実際問題としてやっかいな問題だと思うが、とにかく法律になっておったわけですよ、これが欠格条項の中に「政党の役員」というのがあったわけです。これもやっぱり不合理だということで、なかなかどこまでが政党の役員だということになれば、実際問題としてやっかいですからね。法律用語としてはあまりいい用語ではない、これは。非常に政治的な用語としては意味を持つでしょうが、法律的用語としては抽象的過ぎる。こういうことも今度直しまして、もうそんなことは何もいわないのだ。それはいわないで政府の関係の公務員だけである。それだけはいかぬ、役員になっちゃいかぬぞ、ほかの者は何でもよろしい、こういうことに改めたというのが今度の一つの改正で、これでもう全部公社、公団はみんなこれでやろうということで法制局で政府の意思統一をしたのだと、こういうことでございます。
  72. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 じゃ、たったこれだけの文字をあなたにそんなに長く説明させれば、幾らかわかったようなわからぬような気になるけれども、わずかこれだけの表現の文字が、それだけ説明しなければ、それでもまだ納得したか納得しないかわからぬようじゃ、だから私は「政党の役員」というものの定義を聞いておる。政党の役員というのは必ず代議士、国会議員にきまっておるか。
  73. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) きまってはいませんよ。ここに古い法律の中にちゃんと入れてあるのですよ。だからその問題は、まあ速記録を読めばいろいろ問題になったでしょうが、しかし、これは国会議員だとは限りませんよ。政党の役員は即国会議員ではないので、そうなってくると、実にその範囲というものはやっかいで、法律の用語として使うべきじゃないと思うのです。「政党の役員」など、法律用語として使うべきじゃない。しかし、古い法律にはこういうものがあったので、少し説明しにくいようなものを今度もっと合理的に改めたのだというのが改正点でございます。
  74. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 だから、とにかく政府職員以外は全部だめだと。
  75. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) そうです。
  76. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そういうふうに改めた、こういう意味でしょう。どうもはっきりしないんだね、表現が。
  77. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) だめじゃない、逆です。
  78. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 いいことになる。そこのところの解釈、いわば条文の改正がこれはどうもふしぎ、了解できないんですね。まあしかし、これは何ぼ言ったって、そういうふうに常識的におっしゃればもうそれより私お聞きしませんけれども、これは非常にあいまいなんです。こういうあいまいな、また他日問題になるようなことはなるべく私はやっちゃいけないと思います。  次に、鉱害の問題でございますが、これまた石炭鉱害についても六月の答申を待って抜本的解決策をやるんだと大臣必ず御答弁になると思うから、大体結果はわかっておりますけれども、無資力鉱害賠償調整交付金ですか、今度新たに一億五千万円予算をつけてやるそうでございますが、鉱害問題に対する抜本的解決策についてどのように大臣はお考えになっておりますか。これはもう非常な問題で、私どもは日ごろからこの点については非常に要望しておるのですが、ただ単に中間答申のつなぎ対策とか、あるいは六月答申を待たなければできないとかいうようなことでいつまでも放置されたのじゃ、これは必ずしも答申を待たれなくたって私はできることだと思うのですが。
  79. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私もそう思います。答申を待つ必要はないので、全国で鉱害の調査も終わっているわけですから、それで六百七十億のこれだけの一つの残存鉱害があるという調査もできているのですから、だから復旧する仕事の量をふやして、そうして年限をいまだったら何年ぐらいかかるかね、これを八年も十年もかかるようなことにしないで、もう少し短期間にやる。そのためにどういう仕組みで金を出していくのか、こういうことが根本策でございます。
  80. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それで、中間答申で一時的にこういうことをやるんだとか、あるいは六月の本答申を待たなければどうだこうだというようなことをおっしゃらないで、これは鉱害対策というのは現実の問題で、通産大臣のお考えでどんなのでもできるのだから、鉱害に関しては、大臣のいつもおっしゃる抜本的な対策、総合的計画をここで私は樹立さるべきだと思うのですね。そういうことを何かおやりになるお考え持っておられますか。それとも、まだ答申を待って除々に少しずつ小出しにやっていくとか、そうしてみんな被害者はまだずっと長く苦しめていくのか、こういうお考えでありますか。
  81. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 何でも答申答申とは申し上げないのであります。そんなに何もかも答申待ちでは通産省あってなきがごときものでありますから、そうは言わないのであります。しかし、石炭需要長期安定というものは、これはやっぱり衆知を集めたいので、答申も待ちたいと思うのであります。これについては、ことしは五十六億、六百七十億の鉱害に対して五十六億円くらいでは、十年もかかりますから、これは五年くらいでやっつけなければならぬ。五年くらいで、そのためにはやっぱり百億くらいのものを出すように持っていくということで、そういう線に沿うて私は努力をしたいと考えております。
  82. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 じゃ、あなたのおっしゃるように、有資力鉱害地でも十年ないし十五年かかるというのです。十年も十五年もかかっておったのでは、そのころになったのでは、それから先は私いいませんけれども、とにかくそういうマンマンデーでは私は鉱害対策にはならないと思う。それは一時的びぼう策であって、大臣のいつもおっしゃる抜本的解決策にはならない。先ほどから小柳君もこう薬張りということをおっしゃっておったが、あちらこちらにこう薬を張っていったのでは、私はそれじゃ鉱害対策にならぬと、先ほど陳情に見えておった方も、どうもそういう鉱害対策のことを陳情して、地方財政を圧迫しておるということをおっしゃっていましたが、四十年度の予算、特に農地、それから農業用の施設などについての被害は、これは非常にたいへんな被害で、予算が非常に不足を来たしておる。ですから、実際その住民は鉱害の復旧の恩恵に浴していない、予算が足らない、そうして大臣は抜本的対策をとったとおっしゃる。そうして抜本的対策をとったとおっしゃるけれども、実際は予算が足らない、だからその恩恵に浴しない、こういう状態が鉱害のいわゆるほんとうの産炭地です。これは惨たんたる状態です。そういう点をどういうふうに大臣は実際の現実を御存じであるかどうか、私はとくとひとつきょうは承りたい。
  83. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 鬼木さん、ことしの予算は抜本策を前にしたのでありますから、大蔵当局とすれば、抜本策も出ることだということで、そのときにいろいろ問題を解決しようという言いがかりをつけられる環境になったことは事実ですね。その環境の中で石炭の予算というのは、相当にやはり予算というものはある程度獲得ができておるのですよ、結果的に見れば。だから、鉱害問題も、私がいま言っておるのは、五十六億円というのは、これで十年かかるというから、やはり百億円使って五年くらいで片づけることで今後この問題は片づけたいということを、私の決意を披瀝しておるわけで、これがやはりいいとは思っていないのですよ。しかし、今年度とすれば、そういう抜本策も近く出るのだから、そのときにあわせて考えようという、そういう事情の中では相当やはり石炭の予算というものに対してはわれわれも力を入れたのだ、しかし、鉱害問題については不十分だ、これはやはりもっと百億円くらいのことで、もっと期間をせめて五年間くらいで公害問題を解決しようという意気込みでかかるべきものだというふうに考えております。また、こういう線に沿うて私は実行したいと考えております。
  84. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 大体いまの大臣のお話でわかりましたが、四十一年度の予算も、御承知のとおり、五十六億二千万円ですか、五十六億二千万円で、これは全国的な問題ですから、地元のことを申し上げましてはなはだ何でございますけれども、わが福岡県などにおきましては四十億そこそこだと思うのです。五十六億二千万円の予算でございますから、四十億としましても、われわれが考えております、また、県で考えておりますように、鉱害復旧費は七十数億要る。そうしまするというと、本年度で七十数億円、それに四十億くらいではこれは全然話にならない。五割強ということになる。だからいま大臣のおっしゃるように、本答申でも出たならば、ほんとうに抜本的な、十年も十五年もかかるのではなくて、四年か五年でもう片づけてしまう。百億も二百億もおれが出すのだ、そのことばをひとつ実際にやっていただくように、ただ答弁だけの答弁でなくて、自民党の実力者である三木通産大臣のおっしゃることだから、私はそのとおりに、あなたのおっしゃった額面どおりに受け取りますけれども、その点どうです、大臣
  85. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はあまりはったりを言うことはきらいな性質ですから、百億でも二百億でも要るだけ出すというふうなことは、これまたちょっと言い過ぎで、五十六億という程度で十年もかかるのでは困るので、百億円のベースでこの問題をやりたい、せめて五年くらいに片づけたい、これが私の決意である、こう言っておるのでありますから、私も相当長期にわたって国会におる覚悟でございますので、この場限りのことは申し上げていないのであります。
  86. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 非常に一歩も二歩も三歩も前進いたしましたので、その点まことにありがたく思います。  次に、先ほどここに陳情団もお見えになりましたが、地方公共団体が非常に鉱害の復旧に対して困窮しております。そのために非常に財政も逼迫しております。これはもともと国の責任において行なわれた国家基幹産業が、その結果被害が出たと、それを地方公共団体が行政的責任を負わなければならない、これは私はどうしてもそこに矛盾があるように思う。国家が掘れ掘れと、国家の責任において行なわれた石炭産業だから、今度は鉱害が出て被害が出るというと、県が責任の一端をまた負えと、こういう点については私は少し納得できないと思うが、その点大臣はどういうふうにお考えですか。
  87. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私は地方もやっぱり負担すべきであるという意見ですよ。これは全部もう国々といいましても、これはやっぱり国といっても、それはタックス・ペイで負担にかかるわけでありますから、石炭もいろいろいままでの間に苦しいこともあったけれども、地域社会に貢献もしておるし、将来においてもやはり地域社会の経済的な発展にも結びついておるので、やはりその区分についてはいろいろ検討の余地はありましょう、その負担区分については。しかし、国も地方公共団体も協力し合ってこの問題は解決をするということのたてまえが私は妥当ではないか。その区分は問題ですよ、負担区分については問題だけれども、たてまえとしては、どうもやはり鉱害問題にいたしましても、責任は全部国だぞ、こういうこととも言い切れないものがあるのではないか。やっぱり地域社会が地域社会としてのある部分を負担するということが、まあ取り扱いとしては妥当ではないか、こういうふうに私は考えておるわけでございます。     —————————————
  88. 大河原一次

    委員長大河原一次君) この際、委員の異動についてお知らせいたします。本日、松平勇雄君が委員を辞任され、その補欠として徳永正利君が選任されました。     —————————————
  89. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それはこもっともです。そういう点は私もそれは了承しますが、ところが、終閉山等に伴って、そうして無資力鉱害なんか非常に多くなった。したがって、地方公共団体の財政がだんだん緊迫してきた。それで石炭鉱業審議会の中間答申にもございましたように、鉱害復旧事業が非常に事業量が拡大してきたから、そこで地方公共団体の財政負担もしたがって非常に大きくなってきたから、だからこの点も政府は産炭地の地方公共団体の財政事情が悪化したことに対しても考慮すべきだ、こういうふうに中間答申でも出ておることは御承知だと思います。ところが、四十一年度の予算を拝見しますと、地方公共団体の補助率が四十年度のまま、そのままになっておる。悲痛な叫びをもってきょうもああして陳情団がお見えになった。地方財政がこういうように極度に逼迫しておりますので、何ぶんよろしくと、全国のこれは関係都道府県の切なる陳情、悲願であります。それにもかかわらず、四十年度の負担率と同じなんです。その点は私はちょっと了解しにくいのです。
  90. 井上亮

    政府委員井上亮君) 先生のおっしゃいますように、鉱害復旧の事業費が年々増大してまいっております。そのことは、先生もおっしゃいますように、今日鉱害復旧がおくれておるわけでございますから、国といたしましてもできる限り復旧のテンポを急ぎたいということで、年々予算規模も拡大いたしておるわけでございますが、それに伴いまして、従来、鉱害復旧に際しまして、特に無資力鉱害については、これは鉱業権者に資力がないわけでございますから、この無資力の事業者に対しましては国と地方公共団体の負担で処理いたしておるわけでございますが、その場合に、先生も御承知のように、大部分は国が負担いたしております。しかし、そもそもこういった鉱害復旧の趣旨が、臨鉱法の趣旨にもありますように、国土保全、民生安定というような趣旨から、特に国、地方公共団体が無資力については全面的にみようというような趣旨になっておりますので、したがいまして、確かに地方公共団体は、最近石炭鉱業の衰退に伴いまして、終閉山の増加等に伴いまして疲弊いたしていることは事実でございますが、しかし、そういった趣旨からいたしますと、やはり一部負担は地方公共団体にもお願いしたいというような筋で、今日法律もそういう構成になっておるわけでございまして、ただ、先生も御承知のように、年々賠償の補償というようなことになりますと、これは国がみずからやるというような新たな予算措置も今年度から講じたわけでございまして、国の役割りが高まるということは今後の方向として確かであろうと思いますけれども、やはり何分の負担は地方公共団体にも持っていただくのが筋ではなかろうかと、大体実情が、地方公共団体は非常に財政的に苦しいからという点につきましては、私どもも今後の施策を検討いたすに際しまして十分配慮していかなければいかぬというふうに考えております。
  91. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 それはさっき大臣の答弁で、地方も何がしの負担をするということは了承しますと、ごもっともだと、その答弁を聞いているんじゃない。四十年度の負担率と四十一年度の負担率は同じじゃないか、だから地方公共団体の負担については、臨鉱法に基づく負担、特交制度もあるのだから、一〇%以下ぐらいのところに下げてくれ、一〇%以下ぐらいにでもしてくれという悲痛な叫びがあるのに昨年もことしも同じじゃないか、その点をもって遺憾とする、こう尋ねている。よくこちらの質問を聞いてください。
  92. 井上亮

    政府委員井上亮君) お説の点につきましては、先生も御承知のように、昭和四十年度と四十一年度につきましてそのような実情にあるわけでございまして、そういった負担割合のもとで地方公共団体、特にこれは道県の立場になろうと思いますが、負担が特につらくなる、これは復旧量が増大しますとその分だけ道県の負担がふえるわけでございますから、つらい。地方財政としてそういった穴埋めをどうするかというのが現実の問題であろうと思いますが、その点につきましては、これは自治省とも話し合いまして、交付税で補てんするというような方針で現在やっていただいておる次第でございます。
  93. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 実際これは鉱害問題については、地方ではこれが一番頭の痛いことでありまして、事実、御承知のとおり、産炭地の経済は極度に沈滞しておるし、と同時に、地方公共団体もしたがって財政は極度に窮迫しておる、失業対策費、あるいは生活保護費、鉱害対策費と、もう次から次に出費が増大しておる。だから今日われわれに残されたものは、ただ石炭政策の犠牲は石炭企業のみだと、こういうふうにお考えになったら間違いであって、産炭地の疲弊と、残されたものは鉱害であって、その中に住んでおるところの住民です、これが一番被害甚大なんです。これを忘れていただかないように私はしていただきたい。
  94. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  95. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 速記を起こして。
  96. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 次に、根本施策はもうそれくらいにして、時間がないから、保安局長にちょっとお尋ねしたいのですが、先般の北海道の空知炭鉱の爆発事故に対しては、第三報までわれわれ入手しました。第三報までは入手しましたが、それからあとは竜頭蛇尾で全然事情がわからない。われわれとしては、火元のないところで爆発したというので、どうしてもこれに対して疑問を持っておる。まことに奇怪千万だと思っておる。だけれども、三報で、あとがない。それから、福岡県の漆生炭鉱で出水の事故があった。二十数名の方が重軽傷で助けられて、三名が行くえ不明でいまだにわからない。それから日ならずして、また四月九日でありましたか、山野炭鉱が爆発した。これは幸いにして大部分の方が助かったけれども、これも二、三名は行くえ不明だというようなことでありますが、こうして相次いで炭鉱事故が起こっておりますが、これに対して保安局長のほうからは何もお話がないし、われわれ全然その内容がわからないことはない、私は調査しておるけれども保安局長はこれに対してどういう処置をとられたのか、その後の経過をひとつお話し願いたい。
  97. 森五郎

    政府委員(森五郎君) 時間もございませんから、簡単にひとつ説明さしていただきます。  空知炭鉱につきましては、たしかこの委員会でも御報告申し上げましたが、その大崩落の取り明けをいたしまして、四月七日にその奥に崩落がないということがわかりました。そこの奥に十人の遺体がございました。これは同日全部収容をいたしたわけでございます。それから、なおそこには非常にガスが充満いたしておりましたので、これをこのままにしておきますことはまた再爆発を起こすというようなおそれもございますので、この場所を密閉いたしまして、そこからガスが出てこないというような処置をとりまして、その後、空知炭鉱につきましては、人員の整理等を待ちまして再開を見るということになっておるわけでございます。  それから、漆生炭鉱につきましては、先生指摘のように、四月の八日に出水の事故で二名が死亡しまして、一名が行くえ不明でございます。これはいわゆる昔の掘りあと、古洞と申しますか、古洞にぶち当てた、まあ直接ぶち当てたわけじゃありませんが、断層等を通じまして古洞の水が掘進現場に入ってきたということで事故を起こしたわけですが、これもその後水を全部かい出しまして、現在行くえ不明の一名の遺体も揚がりまして、死亡三名、重軽傷合わせまして十一名、計十四名ということでございます。これは現在遺体も全部揚がりましたので、目下坑内の整備を行なっておるところでございます。  それから、山野炭鉱の事故でございますが、これは四月十日でございます。この事故は、ガスが急に出てくるいわゆるガス突出でございまして、この山野炭鉱のガス突出というのは、ここは先生承知のように、ガスが非常に多いところ、かつ、ガスが急に出てくるガス突出のある山でございます。したがいまして、これはちょうど払いをつくっておる準備作業中であった。これは普通でございますと、払いをつくるときに、先生承知のように、上の坑道と下の坑道を掘りまして、それから下の坑道から上の坑道に連絡する、下から掘っていくというやり方でこれを全部つなぎまして、それから払いをつくっていくというやり方をやっておるのですが、ここはガス突出がありますから、したがいまして、上から上下の坑道を結ぶというようなことをやっております。これはガス突出の多い山にはいわゆる定石でございます。それから、同時に、先進ボーリングと申しまして、あらかじめボーリングを打ってそのガスの圧力を去勢をする、それでアタックする、また先進ボーリングを打つというようなやり方をとっておったわけでございますが、急にガスが突出してまいりまして、これは規模といたしましては約六、七百トンの炭が急に出てくる、非常にガス突出の規模としては大きい。そういうことを十分警戒しながらやっておったのでございますが、その直轄の三名が先進ボーリングを行なっておるうちにガス突出がありまして、約十八度くらいの上りをのぼって逃げたのですが、残念ながら炭に埋まって死亡されたということでございます。
  98. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 そこで、いまのあなたの説明のように、われわれもああしてたびたび視察に行ったのですが、漆生炭鉱だって、周囲は休閉山したり、あるいは廃山の山があるので、これは水が流れてくる憂いがあるぞということをわれわれも指摘しておったのです。なお、山野炭鉱にしましても、御承知の、あなたも先ほどいわれたように甲種炭鉱で、ガスの多い炭鉱なんです。だから、そういう点からわれわれ考えてみると、保安の確保に対する経営者の自覚も私は多少欠けておるのじゃないか、保安教育の徹底を欠いておるのではないかと、こう思われるのです。炭鉱の数は、従来からいえばもう四分の一くらいに減っている。逆に鉱山保安官は幾らかずつでも、わずかずつでもふえておる。で、当然監督も強化されておるものと私は考える。それにもかかわらず、重大災害が相次いで発生する。そうすると、その発生したあとで、ここは甲種炭鉱でガスが多かった、ここは周囲が休廃山炭鉱が多いから水が出そうな炭鉱だということを知りつつこういう災害が出る。一体、保安官は何しているのだ。しかも、こういう災害が起こるたびに、これは労働省関係というかもしれぬけれども、その犠牲者には非常に組夫が多い。そういう点を考えてきたときに、私は、もう少し保安教育というものに対して真剣に取り組んでやるべきじゃないか、保安局長健在なりやと私はいいたい。一体どういうことをやっているのですか。全然保安教育の徹底なんというのは、これは見ろったって見られない。こういう状態では、あなたたちがなんぼ保安教育をやっております、保安に対してはこういうことをやっておりますといっても、相続いてこうして災害が起こる、起こったあとから、なるほどここはこうしてこういうふうで水が出たんだ、ここはガスが多いところでございました、そういうことではこれは何べんやったって同じだ。もう少し保安局長が、保安体制、保安の教育の徹底ということを私ははかるべきだと思う。非常に責任重大だと思う。現地にまかせておって、私は知りませんでしたじゃ話にならぬ。
  99. 森五郎

    政府委員(森五郎君) 鬼木先生の御指摘、まことにごもっともだと思うわけでございます。そこで、これは結果論でございますので、はなはだ申し上げにくいのですが、漆生炭鉱の場合についても、監督官が行きまして、いわゆる冠水状態、いわゆる水をかぶらない状態で作業しろということを命令いたしまして、それに対する改善計画等をとっておったわけでございますが、結果的にこういう事故が起こったということで、われわれも、先生指摘のように、経営者といわず、あるいは係員等の技術職員、あるいは労務者、いずれも保安教育と申しますか、あるいは保安意識ということについて、もう一段の努力が要るのではないかというふうに感ずるわけでございます。その点につきまして、われわれも要するに何と申しますか、先生いつも申されておりますように、山の保安というものは自主保安体制を確保するという以外に手はないわけでございます。要するに関係者がやる気を起こしてこの保安を確保するということでなければならない。そのために政府としては一体いかなる手を打ったらいいかということにつきまして、特に先生指摘の保安教育の拡充について特段の考慮をいたしたい、保安教育の必要なことは、これはみなそれぞれわかっておるわけでございますが、いかにしてこれを合理的に強力に推進するかということにつきまして、新たな観点からそういう根本的な対策について考えてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  100. 鬼木勝利

    ○鬼木勝利君 一段と保安教育に対しては努力をするという答弁でございましたが、それは一段は二段も三段も実はやってもらいたいと思う。時間がございませんので、あとは次回にいたしまして、これで一応私の質問を終わります。
  101. 小柳勇

    小柳勇君 私さっきの質問で、速記録に残って誤解されては困りますから、つけ加えて意見を述べておくのですが、これは鉱業審議会合理化実施計画を私ども意見と同じようにとられては困るから言うわけですが、私が発言した意味は、現在の日本の経済政策は、労働者の移動というものが自然的にあるものであって、経済計画さえやれば労働力移動なんというものはついてくるのだということで考えておる。ところが、この石炭産業においては、出炭と同時に、この労働力の移動についてもこの計画の中に入っておるということを肯定した。ただ、私はそのことをそれじゃすぐ賛成じゃなくて、私ども立場からいうならば、労働力が、たとえば今年は五千はどうしてもあとほかに市場がないのだから、五千人だけは閉山をやめて出炭すべきだという方向にいけば私ども考えにマッチするわけです。そのことを言い足りませんで、ほかの日本の全体の経済政策と石炭政策と比べて、そのほうがベターだといいましたのは、全部私がそれを肯定したように速記録を読む人にあとでとられては困るので、そうでないということをつけ加えておきたいと思います。
  102. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願いたいと思います。
  104. 小野明

    ○小野明君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております本法律案に対しまして、反対の意を表明するものであります。  わが国石炭鉱業の現状は、予想以上の窮迫の度を強め、このまま放置することを許されない情勢に立ち至っております。私たちはこの問題をつとに心配しておるものであり、この合理化臨時措置法が生まれた当初から、これが単なる首切り法案、整理法案であると断じてまいったのであります。それが今回の改正案でも少しも是正されていないこと、これが反対の第一の理由で、私どもは、本法にかわって、石炭に関する抜本的、基本的な法律を制定すべきであるという考えを捨てておらないのであります。  次に、今回の法案が、小柳阿部、鬼木各委員指摘いたしましたように、その根本に触れないことはもちろんのこと、きわめて微温的、姑息的であって、ただ単に炭鉱機械の貸し付け制度の創設、消滅鉱区等の活用、石炭運賃延納の保証業務の復活というだけで、抜本策とはほど遠いつなぎ対策にすぎません。これは政府の石炭鉱業に対する熱意の欠如を示すものであります。政府の石炭対策が単なるゼスチュアにすぎないことがここに明らかに見てとれるのであります。そこで、政府に反省を求める意味でも、あえて反対せざるを得ないのであります。これが反対理由の第二であります。  以上の理由で、遺憾ながら、本案には反対いたしますが、私どもは、石炭に対する熱情は決して捨てるものではありません。政府がいま口ぐせのようにいわれる、審議会の議を経て抜本的対策を講ずることを重大なる関心を持って見守っていることを申し添えて、私の討論を終わります。
  105. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 他に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   (「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  107. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  この際、小野明君から発言を求められておりますので、これを許します。
  108. 小野明

    ○小野明君 ただいま多数をもって可決されました原案に対し、私は、この際、各派の理事諸君にもおはかりいたし、御了承を得まして、ここに附帯決議案を提出いたしたいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。  以上でございます。何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  109. 大河原一次

    委員長大河原一次君) ただいまの小野明君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  110. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 全会一致と認めます。よって小野明君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議案とすることに決定いたしました。  大臣から附帯決議案に対する発言を求められております。三木通産大臣
  111. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) ただいま本案の改正法律案に対する附帯決議を御決議になりましたが、この改正案の実施にあたりましては、附帯決議の趣旨を体して特段の努力をいたすことにいたします。
  112. 大河原一次

    委員長大河原一次君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  113. 大河原一次

    委員長大河原一次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会      —————・—————