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1965-12-28 第51回国会 参議院 石炭対策特別委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十年十二月二十八日(火曜日)    午前十時四十二分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         阿部 竹松君     理 事                 剱木 亨弘君                 小林 篤一君                 大河原一次君                 鬼木 勝利君     委 員                 石原幹市郎君                 高橋雄之助君                 二木 謙吾君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 川村 清一君                 宮崎 正義君    政府委員        文部省初等中等        教育局長     齋藤  正君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省石炭        局長       井上  亮君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石炭対策樹立に関する調査  (石炭鉱業審議会中間答申に関する件)  (産炭地教育の振興に関する件) ○委員派遣に関する件     —————————————
  2. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。  当面の石炭対策樹立に関する調査を議題といたします。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  3. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 まだ大臣がお見えでないようですけれども政務次官に、あるいは、また、担当の政府委員お尋ねしたいと思いますが、先般、石炭鉱業審議会から中間答申が出たのでございますが、新聞等の報道によりますと、通産省もその答申に従って着々計画準備を進められておるという話を承っておりますが、もともとこれは申すまでもなく、通産大臣のほうから諮問をされたのでありますので、この答申の線に沿って十分その手当てができておると思いますが、以下二、三の点についてちょっとお尋ねしたいと思いますが、この答申はむろん本答申でなくて、中間答申でございますが、大ざっぱに申しまして、あとからだんだん順を追って申しますが、大体中間答申に対して通産省としてはどういう態度をとっておられるか。また、それに対してどの程度までお話が進んでおるか、まずその点を最初にお尋ねしたいと思います。
  4. 堀本宜実

    政府委員堀本宜実君) 先般、審議会中間答申が出てまいりましたことはお説のとおりでございます。この中間答申趣旨に沿いまして、これを尊重いたしまして施策をいたしたい、かように考えておるわけですが、なお、先般、十七日でございましたか、それを受けまして閣議決定が行なわれまして、ただいま当初考えておりましたものと若干違いますが、つなぎ資金の融通をいたしまして、中間答申にありまするように、いずれ抜本的な対策を本答申を受けまして樹立いたしたい、こういうふうな考え方で進んでおるわけでございます。
  5. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 政府債務肩がわりをする、合理化過程で生じたところの資金経理過重負担長期利子財政資金によって肩がわりをする、それには千二百億の公債制度答申しておるということになっておりますが、この政府債務肩がわりを、しかも、それを公債によると、こうした基本的なこれが大きな焦点になっておるようですが、大蔵省は相当これに対して反対を示しておるようですが、通産省としてはどういうお考えを持っておりますか、その点ひとつ。
  6. 堀本宜実

    政府委員堀本宜実君) ただいまお尋ねの、石炭鉱業合理化事業団に出資をいたしまして、交付公債で救済をするという案につきましては、中間答申では出ておらないわけでございます。これは今後の推移と状況を見まして検討をいたしてまいりたい、こういう段階でございます。
  7. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 いや、それは今度の中間答申にはむろん出ておりませんけれども審議会基本的考えとしましては、政府肩がわりをしてもらいたいということだと思うのですが、そういうことになりますと、やはりこれを頭に置いて通産省のほうも考えていただかなければならぬと思う。で、さしあたっての、来年の六月の本答申までの間の一時的な、応急的な処置をなさるとしても、基本的には政府債務肩がわりということを頭に置いて、これを根本に考えなければ案は立たないと思う。その点をお尋ねしておる。
  8. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいまの鬼木先生からの御質問につきましては、政務次官のお答えしたとおりでございますが、この答申作成に関連いたしました者としまして、少し詳しく御説明申し上げてみたいと思いますが、先生のおっしゃいましたように、中間答申におきましては、抜本対策一つといたしまして、今日の石炭鉱業の不況のやはり最大の原因は、過去数年間にわたります閉山とか、あるいは合理化過程におきまして、非常な資金経理上の重荷を今日背負っておるわけでございまして、たとえば昭和三十四年から今日までに、閉山合理化関係企業負担しました額は約千二百億程度にのぼっております。なお、異常債務とおぼしきものも大体同額程度ございますし、こういった状況をそのまま放置いたしますと、この金利負担だけでも非常に膨大な額でございまして、なかなか企業としての自立体制はできないというようなことから、特にこの閉山合理化関係で発生しました資金経理上の負担につきましては、何らかの財政措置によりまして、やはりくれてやるわけにいきませんので、肩がわりする必要があるのじゃないかという考え方石炭鉱業審議会の諸先生方のほとんど全員の意見でございました。そういった意味合いで、中間答申におきましても、この資金経理上の過重負担財政資金によって肩がわりするという方針審議会として政府に建議されたわけでございますが、さて、この財政資金による肩がわりといいます場合に、交付公債によって肩がわりするのか、それとも一般政府資金によって肩がわりするのかというような点については、議論が全く煮詰まりません。しかし、方向としては、先ほど申しましたような方向で処理すべきだということで決定をみたわけでございます。この答申を受けました政府といたしましても、答申趣旨は尊重すると先ほど政務次官も仰せになりましたが、そういう方針でございますが、さて、これを政府具体化する場合に、やはりどういう手段、方法でやるかということにつきましては関係省間で話し合っておりますし、大臣関係大臣間でお話をしておられますけれども、まだ結論が出ておりません。ただ、鬼木先生おっしゃいましたように、審議過程で、ただいま申しました千二百億程度異常債務といいますか、過重負担といいますか、こういったものについて交付公債肩がわりさそうという意見審議会の内部から出たことは事実でございます。出たことは事実でございますし、率直に申しまして、私どももそういう考え方を持っておりまして、しかし、この考え方は、なおもう少し今後個別企業にわたって検討して、どの程度の額を肩が・わりしていくか、あるいはその方法論としても、交付公債によるのかどうかというような点について、なお慎重に検討した上で審議会としても態度をきめたい、こういう意見になりまして、中間答申では、先ほど鬼木先生がおっしゃいましたような線できまったわけでございます。これらの具体化につきましては、六月の最終答申までに慎重審議を重ねまして方向がきめられるというふうに考えております。
  9. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 大体それはわかりましたが、これは中間答申にそういうことはまだはっきり盛り込んでないというようなことをおっしゃっておりますけれども、これはもう全部国民周知の事実であって、結局通産省としては、そういう大々的なことをやって巨額の資金を投入する、国家が投入するということになると国家管理みたようなふうになるのじゃないか。それは通産省としては好まないことだというようなふうなお話も聞いておる。また、一面、業者のほうとしては私企業を望んでおるけれども経理面の規制とか、あるいは監督の強化というようなことをやられると、事実上これは国家管理みたいになるのだと、いま私は、私企業であろうが国家管理であろうが、その点を論じておるものではありません。その可否をいま言っているのではありませんが、世上の批判、見方はいろいろな見方があるようでございますが、現状においては、国家が救ってくれるならば、国有化であろうが何であろうが、現在のこの苦境を救ってくれるならばいいじゃないかというふうな意見もある。いろいろそういう取りざたをされておるこの答申案でございますが、いずれにしましても、これはさしあたっての応急策を講ずるといたしましても、一貫性がなければ、私は応急策だけ切り離して考えるべきものじゃない。やはり抜本的に石炭対策はどうすべきかということの基本方針を樹立されて、その上に立っての応急策でなければならない。そこで、そういう点をいま私はお尋ねをしたわけでございまして、まあ世上見方は、それはどうでもいい、結局これが完全に安定作業ができれば私はけっこうだと思うのですが、そこで、その次にお尋ねしたいと思いますのは、このトン当たり三百円から六百円程度助成をする、価格差補給金を出す、そういうことに対しては何かお考えをしておられますか。
  10. 井上亮

    政府委員井上亮君) 安定補給金の問題につきましては中間答申でも触れられておるわけでございまして、中間答申のやはり大きな柱は一応三本掲げられております。その第一が、先ほど鬼木先生質問長期利子財政資金による過重負担肩がわりという問題が第一の柱でございます。第二の柱が、いわばいまおっしゃいました安定補給金制度、あるいはこれにかわる制度というのが第二の柱でございまして、第三の柱というのは、ほかに今後の終閉山政策について、もう少し国の融資とか、あるいは助成強化しろというのが第三の柱になっております。  第二の柱である安定補給金考え方につきましては、まず三本の柱がございますので、第一段階措置としまして、今日石炭鉱業が自立不能に近いような過重負担を持っておりますが、これを長期利子政府資金によって肩がわりしますと、金利面における負担が相当減少することになりますし、それから、同町に、今日の石炭鉱業市中金融機関との関係におきまして、ほとんどその融資が受けられないような硬直したような状態にございますが、これが今後資金が円滑に回転していくというような一つのルートができる形になりまするので、そういった面で相当今後の経営が楽になることは事実でございますし、そういう措置をやりましても、なおかつ企業労使の努力にもかかわらず、私どもの見通しでは、なお二、三百円の赤字がやはり今後発生するのじゃないかというふうに見ております。トン当たり二、三百円と、ちょっと不正確なことを言いましたが、正確に申しますと、私どもの試算によりますと、運賃の値上げの影響を考慮しないで考えますと、大体平均的にいいまして二百円くらいの赤字がなお残るのではないか。ところが、運賃につきましては、御承知のように、一年間全額延納付ということにきまりましたか、昭和四十二年度から——一年度はそれでいいんですが、二年度からはこれを払っていかなければいかぬということになりますと、まあ全国平均で大体トン当たり八十円くらいの負担増になります。トン当たりそうなりますと、約三百円ぐらいどうしても平均的に見て赤字要因が残るのではないかというふうに想定されましたので、これらについては、やはり安定補給金制度を導入していくか、あるいは安定補給金制度にもし問題があるとすれば、これにかわる措置としましては、これはいろいろ審議会などでも討論いたしましたし、あるいは政府部内でも研究いたしておりますが、たとえば坑道掘進に思い切った国の補助助成をするというような措置をとることによって同等のやはり効果を持つような施策を行なったらどうかというような考え方もありまして、まあ審議会とされましては、この中間答申考え方としましては、まだ必ず安定補給金をやるというふうにきめたわけではございません。いずれにしましても、なお出る赤字について、安定補給金制度か、またはこれにかわるような措置をやるべきであろうというような考え方になっておられるようでありまして、これを受けました政府におきましても、なお六月の最終答申までの間に、審議会も検討されましょうが、政府部内においても検討いたしまして、いずれにいたしましても、石炭鉱業が安定して経営がやっていけるような体制をぜひともつくってまいりたいというような考え方でおるわけでございまます。
  11. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そうすると、大体それはあなた方が研究しておられることはよくわかりましたが、来年の最終答申の六月になれば、それはもうはっきり補正予算でも組まれることになると思いますが、安定補給金に対して四十一年度はどういうふうな予算措置をされるつもりですか。
  12. 井上亮

    政府委員井上亮君) 四十一年度予算につきましては、中間答申にもうたわれておりますが、先ほど申しました三本の柱と申しましたのは、主として六月最終答申を出すときの基本的方向として、そういう考え方審議会として決定したということでございまして、これができます間のつなぎ対策としましては、同じく中間答申にも触れられておりますが、まず第一点といたしまして、現行利子補給制度拡充強化していくという点が第一点でございます。答申ではどの程度ということをうたっておりませんが、私ども政府部内でいろいろ検討いたしまして、特に通産省の見解といたしましては、これにつきましては全額利子補給、ただし、相当程度配当をしているところは除きたいと思いますけれども、実質的な赤字企業につきましては全額利子補給。それから、中にはそれだけでもなかなか不十分だというようなものにつきましては、今後市中銀行協力要請も相当強くいたさなければなりませんが、それと関連いたしまして、特に再建が必要だと思われる企業につきましては、市中銀行残高利子についても、三%程度利子補給考えてみたいというのがこれは通産省考え方であります。ただいま申しました利子補給拡充強化というのが第一点でございます。  第二点といたしましては、なお、この金融問題につきましては、これだけでもなかなかつないでいけないという問題があると思いますので、これは政府市中の両面にわたる返済猶予措置を講じてまいりたいというふうに考えております。  それから、第三点といたしましては、これは本格的な対策でございますが、やはり何と申しましても、つなぎと申しましても、石炭鉱業はやっぱり今後安定してやっていかなければなりませんので、保安対策に相当な重点を置くことばもちろんでございますが、これと並びまして、長期安定出炭体制を確立するために、近代化資金融資比率の引き上げとか、あるいは対象の拡大とか、新たに炭層探査について補助制度を導入するとかというような措置を講じてまいりたい。まあこういう措置を講ずることによりまして、その他の財投の問題もございますが、ただいま申しましたのは一般会計ですが、財投は主として開発銀行資金、それから合理化事業団からの融資鉱害についての基金制度拡充というような点を通じまして、何とか抜本策ができます間、石炭鉱業が健全に一応経営できるように善処してまいりたいと考えております。
  13. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 利子補給につきましても、将来は最も赤字に苦しんでおる、しかも、将来性のある炭鉱には全額利子補給をするといういまの御説明でしたが、従来は、この開銀とか政府資金とか再建資金とか鉱害賠償資金、ああいうふうなものに対してはどの程度利子補給をしてこられたのですか、四十年度は。
  14. 井上亮

    政府委員井上亮君) 現在では、先生も御承知のように、主として政府関係資金につきまして利子補給するというたてまえのもとに、政府関係と申しましても、開銀合理化事業団、それに中小企業金融公庫、これがまあ対象になりますが、で、現在は同じく何といいますか、黒字配当会社には利子補給はいたしておりません。まじめに経営をやっているけれども、やはりなお実質上の赤字が残る企業につきまして、一般的には政府関係資金につきまして三%の利子補給をやっております。で、ただ御承知のように、石炭鉱業におきましては、再建計画を、まあ一種の管理企業といいますか、これは開銀とか合理化事業団とか政府とかいうようなところで内容を検討いたしまして、特にめんどうをみている企業が四社ほどあります。その再建企業につきましては、これは全額利子補給をやり、その他は三%というのが現行制度でございます。
  15. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 なお、いまの御説明で、市中金融機関からも融資残高については利子補給をするというような御計画があるのだと、それはまことにけっこうだと思うのですが、市中金融機関などに対して、借り入れ金返済を猶予してくれというような、市中関係金融機関に対する協力を求めるというようなことはできませんか。
  16. 井上亮

    政府委員井上亮君) それをぜひやってまいりたいというふうに考えております。で、現在でも、先生承知のように、先ほど申しました再建企業四社につきましては、市中からの融資につきまして返済猶予の御協力をいただいております。で、今後におきましても、やはり再建整備計画をつくっていくというような際に、それから、また、国からも相当思い切った助成をやっていくわけでございますので、市中につきましても返済猶予等についての強力な御支援を国として要請して、まいりたいというふうに考えております。
  17. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 利子補給の点については、ぜひそういうふうに強力に私は施策を進めていただきたいと思いますが、なお、安定出炭及び保安体制確保ということがうたってあるようでございますが、五千五百万トンの出炭目標が、今日は五千万トンか、あるいは五千万ちょっとぐらいだろうと思っておりますが、それを確保するということにおいて、労務者答申のほうでは十二万と、こういっている。現実的にはこれは十万をあるいは割っていると思いますが、そういう労務者確保というような点についてどういう施策、どういうことを考えておられるか。これはむろん労働省関係もあると思いますが、なぜ私はこういうことを申し上げるかというと、保安確保ということに対して、過去においてああいう大災害が相次いで起こったというようなことも、やはり私は労務者不足であり、したがって、組夫などというようなものがたくさんおられる関係でやはりああいう災害が勃発するというような私は一因をなしていると思います。ただ、安定出炭だ、保安体制確保するのだと、五千五百万トンの目標は達成しようと、こういっても、労務者は非常に減っている、しかも、現に労務者の中には組夫がたくさんいらっしゃる。そういうことでは、何もこれに対してただアドバルーンをあげただけであって、何も実際の施策がとられていない、労働省だって通産省だって、ただそういうことを声明するだけであって、現実にどういう手を打っておられるか、これも私は大きな根本的な問題だと思う。その点ひとつ伺いたい。
  18. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいま鬼木先生のおっしゃいました労務者確保、これは先生御指摘のとおり、今後の石炭長期安定出炭体制確保いたしますために非常に大事な点であるというふうに考えております。今日まあ政府でやっております労務者確保対策は、先生も御承知のように、この前の第二次答申にもうたわれておりますけれども、やはり作業環境改善と申しますか、そういうような問題はもちろんございますが、住宅確保の問題とか、あるいは、さらに今度の答申におきましては、第二次答申にうたわれました中で、政府が必ずしも十分やっていない点を指摘しております。その点は、第一に、厚生年金制度の検討問題、それから、第二は、健康保険組合財政が最近非常に窮迫しております。赤字組合が非常に多くなりますした。このままでいきますと健康保険組合が解体するというような状態にまでまいっております。こういう状態を放置いたしますと、やはり労働者生活の安定はもちろんですが、士気に非常な悪影響がございますので、特に今度の答申では、健康保険組合に対する国の助成強化すべきだという考え方をうたっておりますす。もう一つは、厚生年金制度ですが、なかなか事務的に検討しますとむずかしい問題があるのですけれども、それにもかかわらず、やはり前向きに取り組んでいくべきだというおしかりを答申でいただいているわけでございまして、私どももこの答申の線に沿って今後努力してまいりたいというふうに考えております。  なお、今度の中間答申におきましては、労務者確保対策は、私率直に申しまして、昨年答申をいただきました第二次答申の域を出ておりません、今度の答申は。これは労務者確保対策が重要でないという意味ではございません。むしろ今回のは中間答申でございまして、主としていま崩壊に瀕している石炭鉱業を、まずどのようにしたらこの崩壊を食いとめ、安定の基盤をつくるかというところに重点が置かれましたために、その点が必ずしも迫力をもってつくられておりません。私ども考えとしましては、この問題は非常に大事な問題でございまいますので、六月本答申に際しましては、労務者確保対策について、もう少し迫力のある対策審議会にお願いをいたしたいという心がまえをしておるわけでございます。
  19. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 まあこれはきょう通産大臣見えになっていないけれども政務次官がお見えになっておりますので、政務次官に申し上げておきますが、これは石炭局長を責めたってしょうがないのですが、炭鉱労務者確保というようなことは、これはもう十分いままで言い尽くされておるのでありますけれども、私は予算委員会においても、前の大臣に強力にこういうことを申し上げた、保安確保ということに対してもですね。だけども、どうしてもこれが手を打たれない。これはもう生活環境改善だとか、年金制度国家が補助するとか、あるいは健康保険組合国家補助とかいうようなことは、これは三歳の童子だってだれだってわかっていることなんですが、それをやらないのですね。そして、口には人間尊重ということをさかんに佐藤さんは言っている。いささかも人間尊重なんということはないんです、今日最も生活環境が悪くて、最も生活が逼迫して、そして悲惨な生活をしておるのは炭鉱労務者だ。こういう点を私はまず第一になすべきだと思うのです。それは利子補給もむろんたいへんりっぱな御計画を承ってけっこうです。それはけっこうですけれども、まず私は人にあるんだと思う。だから、こういう今日一番就職の移動の激しいのは炭鉱労務者です。きのうまで働いておっても、もうきょうはわからない。だから安定所あたりもつかめないのですね、組夫なんかどういうふうになっておるのか。で、安定所を責めても、なかなか安定所はよくわからない。こういう状態で、また、一面、炭鉱労務者は家代々炭鉱で働いておられる方が多いのでありまして、非常に愛着を感じておるのですね、その土地に。だから、事実上だれだって離職したくないけれども、条件が全部悪いのですからね。だから、炭鉱労務者がこう激減するのですね。そして出炭量は五千五百万トン出せなんというようなこういう答申をしてあると、私は非常に矛盾もはなはだしいと思う。その点については、ひとつこれは政務次官によくよく申し上げておきますので、大臣がお見えにならないときは政務次官、あるいは政務次官のほうが実力者かもしらぬと私は思う。この点をひとつはっきりとあなたからお答えをいただきたいと思う。
  20. 堀本宜実

    政府委員堀本宜実君) ただいま御質問、御要望等がございましたこの労務者確保の問題でございますが、これは若干私の私見もまざるかと存じますが、エネルギー資源の国内産といえば石炭でございますが、この資源の確保という問題がきわめて重要な問題であるのにもかかわりませず、いろいろ異常債務その他の問題がございまして、炭鉱経営というものがきわめて劣弱になってきたということの基本的な弱さというものがだんだんと経営の上にもあがってき、しかも、組夫をたくさん使わなきゃならぬというような悪循環が起こってくるということになり、ことに鉱山で働いている若い人たちが他に転業、転職をしていくということの防止が、施設やその他厚生関係等の不十分なために起こっておる、それが保安対策にも影響してくる、こういう結果となってきておるのではないかと思うのでございまして、きわめて遺憾な状態でございます。ただいま鬼木先生の御指摘になりました、単にこの健康保険組合でありますとか、あるいは厚生年金等だけでこれを糊塗するわけにはまいりませんが、基本的に、よく言われまする抜本的にこの対策を立てて、安定経営に移るような状態に持っていかなければ、私は、やはりこの労務者確保という問題もきわめて困難である。そういう末節のこともあわせてやらなければならぬが、基本的な問題の解決をやはり何といっても強力にやらなければこの対策、解決はつかないのではないかというふうに考えておるわけでございます。ただいまのお説、十分に拝聴いたしましたので、今後の施策、ことに抜本的な問題が今後明年の中ごろには行なわれることと存じますが、それには十分にこの問題について検討をいたさなければならぬ問題であるというふうに確信をいたしておるわけでございます。
  21. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 ただいま政務次官の御答弁に対しては、まことに私満足いたします。ぜひひとつそうしていただきたい。ただ御答弁のための答弁でなくして、有言実行でぜひそうしていただきたいということを私は重ねて要望申し上げます。これに対して関連質問があるそうでございますから……。
  22. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) なお、政府委員の文部省初中局長の齋藤君が出席しておることを御報告申し上げておきます。
  23. 大河原一次

    大河原一次君 関連ですが、ただいま鬼木委員が触れられました中間答申のいわばその背骨ともなっておるべき、いわば長期安定出炭を行ないたい、もちろんこれに保安対策も出ておりますけれども、私は、その長期にわたる安定出炭を行ないたいという意味をどういうふうにとっていいのか。わかるような気もするけれども、わからない点があります。ということは、かつては五千五百万トン出炭確保しようということであり、それがくずれて五千二百万トン、現在はすでにわずか五千七十万トンであるということを承知しておりますので、この中間答申長期にわたる安定出炭というものの出炭の規模を現状において押えていくのか、さらに、また、千二百億のいわゆる肩がわり融資という裏づけのために、今後この現状の出炭量がさらに低まるのではないか、低下するのかどうかという、その問題を先に私は聞いておきたいと思います。
  24. 井上亮

    政府委員井上亮君) ただいまの長期安定出炭体制、これは今後の石炭対策のやはり基調になると思いますが、その場合も、石炭出炭数量と申しますか、あるいは別なことばで申しますと、石炭の位置づけということばも行なわれておりますが、これはどの程度かという御質問でございますが、この点につきましては、御承知のように、通産省の中にエネルギー調査会というのがいまございまして、私どもがやっております石炭鉱業審議会と並行的に、いま石炭の位置づけについて、このエネルギー調査会におきまして審議検討中でございます。したがいまして、いま私どもといたしまして五千五百万トンに位置づけられるか、あるいは五千万トンに位置づけられるか、あるいは四千五百万トンに位置づけられるか、正確なものは私どもいまお答えできないわけでございますが、いずれにいたしましても、このエネルギー調査会の審議は、私どものいま考えております六月の石炭最終答申の前にこの位置づけを一応きめまして、それを受けて六月の本答申を出したいというふうに考えておるわけでございます。で、これが一応通産省としての公式のお答えでございます。  あと私見を少しふえんさしていただきますと、私個人といたしましては、やはり今日のエネルギー事情、それから、あるいは将来の日本のエネルギー対策の中で、やはり国産エネルギー資源というものの持つ意味というものはきわめて重大だと思います。この点は先ほど堀本政務次官が御説明されたとおりでございまして、そういった観点から、この位置づけにつきましては、やはり何と申しますか、そういった角度から、この石炭の持っているエネルギーの安定供給の面、あるいは石炭産業は、御承知のように、地域社会と全く密接不可分の関係にありまして、やはり一山が閉山すれば一市町村が潰滅するというような状態にございます。そういった特殊な事情、あるいは雇用の問題もございますし、国際収支の問題、こういった点がございますので、単に経済合理主義の立場からだけでなくて、やはりそういった政策的な立場を考慮して位置づけを行なってもらいたいという要望を、石炭局長の立場からエネルギー調査会にいま出しておるわけでございます。最終的には三月末ぐらいにこの位置づけについての結論が出るのではないかというふうに考えております。
  25. 大河原一次

    大河原一次君 これは関連ですから、長い質問を申し上げませんけれども、あらためて通産大臣に聞きたいところなんです。いま私が長期安定出炭の規模を聞いたのは、今後のいわゆる本答申、あるいはその中に出てくるエネルギーの位置づけ、石炭の位置づけの場合、現状の出炭規模というものが、はたして位置づけの場合に出炭量確保されるのか、あるいはわれわれの望むところは、もっと五千二百万トンなら五千二百万トンを確保するというふうな、そういう前向きの姿というものが位置づけの場合に出るかどうかという心配があるわけです。そういう意味でぼくは聞いたのです。したがって、現存中間答申の出されておる出炭規模、いわゆるあなたたちの言っておるところの安定出炭というものの規模が、はたして今後石炭の位置づけが行なわれる場合に、いわゆる石炭規模という数量になってあらわれるかどうかに対する心配があったから聞いたのですが、これに対してもっと具体的にほんとうは聞きたいところなんですけれども、これ以上、もう少し明確に答弁を補足することはできないのですか。
  26. 井上亮

    政府委員井上亮君) この位置づけの問題につきましては、私も先生のお気持ちと同じでございまして、私といたしましては、先ほど申しましたように、単にこれは私が石炭を担当しておるという立場ではなくて、やはり広く考えてみましても、あるいはヨーロッパ各国のエネルギーに対するものの考え方というような点から考えましても、やはりエネルギーの安全保障の問題とか、あるいは地域社会との重大な関連とかいうような点を考慮いたしますと、少なくとも一定量の石炭はどうしてもやはり推持、確保していかなければならないものであるというふうに考えております。この点につきましては、これは石炭鉱業審議会はもちろんでございますが、エネルギー調査会においても、日本のエネルギー政策として、この石炭の一定量をとにかく確保すべきだという考え方は、私はほぼ全員に近い御意見ではないかというふうに考えております。ただ、従来いわれております五千五百万トンが妥当であるか、あるいは現在の出炭規模である五千万トン程度が将来のめどとして妥当であるかどうかというような点につきましては、今後エネルギー調査会で検討する立場になっておりますので、あまり私この席で私見をいま申し述べるわけにまいらないわけでございますが、ただ、私といたしましては、私個人としての一つの見解を持っておりますが、先ほど申し上げましたような趣旨から、極力この石炭確保してまいりたいという気持ちだけは十二分に持っておるわけでございます。
  27. 大河原一次

    大河原一次君 これはまたあらためて検討いたしますし、私が強く要望したいのは、いま局長が発言されたような、そういう線を強くいわゆるエネルギー調査会の中に出してもらって、そうして現状を上回った線で石炭の規模を確保してもらいたいということを要望いたしておきます。  それから、ちょっとついでですけれども、産炭地振興の問題で一つ。これは前の福田通産大臣のときもちょっと触れておいたと思っておるのですけれども、九州、あるいは、また、常磐地方においては、九州あたりはかなり進んでおるというように聞いておるのですけれども、これは常磐地方は私のほうで恐縮なんですか、いま福島県等は常磐、郡山をつないでの新産都市指定で、一生懸命そのほうに熱を上げておるわけです。肝心かなめの足もとに火がついておる産炭地振興というものは、どちらかというと等閑視されておるわけです。ぼくは地方の自治団体等に対しても、いつも機会あるごとに要望しておるのですが、どうも魅力がない。産炭地振興に対する積極性がないわけです。これはやはり通産当局あたりの指導性も足りないのじゃないかと思うのですが、ややもすると産炭地振興よりかも新産都市のほうに魅力があって、そのほうにばかり期待を持っておる。どちらかというと、新産都市なんというのはこれからの問題で、さらに今後の政府予算措置その他を考慮すると、一体どうなるか、お先まっ暗の状態であるにもかかわらず、産炭地振興よりかも新産都市のほうにうつつを抜かしておるというのが現状じゃないかと思うのです。私は、いまもっと積極的に現状に目をつけてもらって、新産都市の産炭地振興というところに具体的に指導性を発揮してもらいたいと思うのですが、このかね合いをどういうふうに考えておられるか、通産当局としては。これはひとつ局長のほうからお聞きしたいと思います。これは大臣にもお聞きしたいと思いますか。
  28. 井上亮

    政府委員井上亮君) 新産都市の問題と産炭地振興の問題は、常磐地区もそうでございますが、九州のほうでも、やはり競合といいますか、しておる地域もあるわけでございますが、一言で申しますと、やはり地域の市町村の方々が、端的にいえば、いずれをとるほうが有利か、有利なほうの恩典をお受けいただいてけっこうだと思うわけでございますが、ただ、私どもといたしましては、やはり産炭地振興の問題につきましてはまあ今後ともに相当な施策の充実をはかってまいりたいというふうに考えておりますが、現状におきましては、大体全国各地のそういった地域を見ておりましても、大体産炭地振興のほうの恩典を受けられるような市町村が多いと承知いたしておりますが、ただ、両制度が併用されておりますので、私どもこの両制度につきまして、その相互の計画の中であまり変な、何といいますか、関係地元市町村に御迷惑のかからぬような、中央における両制度の運用にあたっての連携は十分保ってまいりたいというふうに考えております。
  29. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  30. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 速記を起こして。
  31. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 もう間もなくやめますが、なお、先ほどからのあれに続けて申し上げたいのは、今度の中間答申にいろいろな要請が織り込まれておるようですが、「財政資金融資枠の拡大」とか、「個別企業再建案の検討」、これは石炭鉱業審議会のほうで、経理、審査会のほうで検討するということだろうと思うのですが、各社はその再建整備に関する計画書を通産大臣に提出するというようなこともあるようですが、これはどういうふうなことなんですか。
  32. 井上亮

    政府委員井上亮君) その中間答申で書いてありますことばの中で二通りありますが、一つは、最初先生おっしゃいました再建計画の検討、これは個別再建計画の検討、これは従来の、先生承知の貝島とか明治とか、あるいは日炭とかやりましたようなケースが大体従来の再建計画ということでございますが、今回中間答申によりますと、従来の線もつなぎとして考えていかなければいかぬわけですけれども、より本格的には、石炭鉱業の大手につきまして見ますと、二、三の例外の黒字企業を除きますと、ほとんど大部分が、今日はもちろんですけれども、将来も赤字から脱却し得ないというような現状にございますので、各企業一般的に再建整備に関する企業考え方企業計画をまずつくってもらう、それを土台にして国がどういうふうに助成することによって企業が安定した経営をやれるかというような検討をしてまいりたいというのが、この中間答申の前段のほうに書いてあります再建整備計画の検討ということでございます。ですから、これにつきましては、特にあしたにもつぶれそうだから、さあ応急にやるという再建計画ではございませんで、やはり長期にわたって赤字を脱却し得ないような企業について、これはほとんど一般的でございますから、そういった一般的に、もちろん検討するときには個別の再建計画について検討することになりますけれども抜本策を織り込んで検討してまいりたいという趣旨でございます。
  33. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 そうすると、大体全国二百数十の炭鉱の中で、大手十七社の、赤字に最も悩んでおる大手関係を主として対象ということに考えているわけですか。
  34. 井上亮

    政府委員井上亮君) いや、そうじゃありませんで、たまたまふがいなくも大手の大きい会社が赤字から脱却し得ないということでございまして、むしろ今日の状態では中小の炭鉱のほうが懸命に努力もいたしておりますし、黒字企業が多いわけであります。率直に申しますと、中小炭鉱赤字企業というのはまずないのではないか、私の知っております範囲では。それから、なお、累積赤字といいますか、累積債務というか、異常債務といいますか、これも中小で累積の赤字、累積の債務を持っておるところは、今日残存企業の中では少ないのではないかと思います。ないことはない、ありますが、少ないと思っております。私ども、この再建整備計画の検討にあたりましては、先生御指摘のとおり、大手だけを対象にするかということでございますが、そうではありませんで、中小炭鉱についても対象にしてまいりたいというふうに考えております。ただし、やはり三、四年先には閉山するのだというような中小炭鉱経営者が、炭量その他の関係から、やはり四、五年後には閉山したい、それまではやっていくというような企業について、国が相当の国の資金を投入して、長期安定対策のために、あるいはエネルギー政策のためにめんどうをみていくというわけにもまいりませんので、私ども考え方としましては、これはまだきまったわけではありませんが、少なくとも相当長期出炭する炭量を持った、また、そういった自然条件を持った山を持つ企業について、これは大手、中小を問わず、対象にして検討してまいりたいというふうに考えております。
  35. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 時間がありませんので、まだいろいろ聞きたいのだけれども、次に「鉱害対策拡充」として、無資力鉱害農地なんかの、無資力者のこれに対する、これはもちろん査定もたいへんだと思うのですが、査定が、はたして鉱害によって家が傾いたか、土地が下がったか、いろいろなこと、また、それにかこつけて申請する人もないでもないかもしれない。ありはせぬとは思うけれども、そういう点で査定もたいへんだと思うが、これが私どもが九州に帰りますと非常に多いんですね。訴えてこられる方が、これはひとつすみやかに処理をしてもらいたいと思うのですが、これが進捗状況が遅々として進まないからこういう「鉱害対策拡充」ということをうたわれているのだ、だから、あなた方が十分できておりますとは言えないと思う。できておりますと言うならこんなことが出るはずがない。だから、やはり等閑に付しているわけではないと思うけれども、あまり積極的にこういう対策にあなた方が取り組んでいないというこれは証左だと思うのです。この点について満足のいくようにすみやかにやってもらいたいと思いますが、局長どういうふうにお考えですか。
  36. 井上亮

    政府委員井上亮君) 鉱害の問題につきましては先生の御指摘のとおりでございまして、今日やはり私どもの力足らずして残存鉱害量が相当な額にのぼっていることは御承知のとおりでございます。この中間答申、特に鉱害のほうの答申におきましても、特にこの復旧のおくれ、特に無資力鉱害については親元がいないわけですから、国と県で責任を持つ以外にないわけでございます。この復旧を大幅に拡大して復旧の促進をはかるべきだということをいわれておるわけでございまが、この点につきましては、私ども来年度予算の編成に際しまして、相当な額を大蔵省に要求いたしております。ぜひともこの予算確保につとめて復旧の規模の拡大につとめてまいりたい。  なお、無資力鉱害につきましては、これは多年懸案になっておりました年々賠償問題、無資力鉱害農地の、これにつきましても、ただいま国の資金で年々補償、賠償ができますような予算要求を大蔵省に提出しておる次第でございます。
  37. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 最後に一点、時間がないから、ひとつ簡潔にお答えを願いたいのだが、そこで、国費支出の財源措置として、今日原重油関税はありますが、消費税を新たにここに設けたい、新設したい、むろんこれは第一次答申でもたしか出ておったと思う。この消費税は外国においてはほとんど設けてあるようですが、日本ではそういうことは全くないが、今度新設する。相当のこれは産業界からの反撃もあるんじゃないかと思いますが、これに対して通産省はどういうお考えを持っておられるか、その点ちょっと承りたい。
  38. 井上亮

    政府委員井上亮君) 通産省にもいろいろ利害関係が非常に多いものですから、通産省全体の意見としてはなかなかむずかしい。ニュアンスがそれぞれございますが、まあ御質問通産省に対する御質問でございますので、通産省全体の意見として申し上げたいと思いますが、各局によりまして、たとえば石炭局長個人となりますといろいろな意見がありますししますので申し上げたわけですが、いずれにいたしましても、この中間答申にありますように、今後石炭長期の安定対策を進めてまいりますのには、現状において非常に遺憾なことではございますが、相当やはり巨額な国の資金を導入していただく以外にないというふうに考えております。その反面、これを円滑にやっていきますためには、やはり財源対策が必要であるという考え方があるわけでございます。で、従来でも鬼木先生承知のように、今日の石炭予算の財源は、原重油関税の収入が引き当てになっておるわけでございます。原重油関税はいま一二%かかっておりますが、根っこの二%を除きました一〇%については石炭財源ということに相なっておりまして、今日これでやっておるわけです。まあしかし、これにつきましてもいろいろ問題はあるのですが、私はこの収入額は相当な額にのぼっておりますので、今後の石炭対策は原重油関税収入で相当程度まかなっていけると思います。この運用よろしきを得るといいますか、運用を正確に行なっていけばまかなっていけると思いますが、しかし、先ほど御指摘のありましたように、かりに安定補給金制度というような制度を導入してまいりますと、原重油関税だけではたして十分かどうか、疑問と思います。その場合、この中間答申におきましては、単に原重油関税だけでなしに、もう一つ原重油関税につきましては、例のケネディラウンド等の問題、これは最近立ち消えになっておりますが、やはり国際的な環境がございますので、将来漸減するおそれもあります。そういった点も考慮して、消費税の問題だとか、その他税制一般にわたってやはりもう一ぺんここで再検討する必要があるという考え方に相なっております。通産省といたしましても、そういう方向で今後検討してまいりたいというふうに考えております。
  39. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 じゃ、まだ研究中だということですね。はっきり言えないというわけだね。
  40. 井上亮

    政府委員井上亮君) はい。
  41. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 しかし、いまあなたのお話を聞いておると抽象的で、原重油の関税で十分まかなえるのじゃないかとか、思うとか、相当な額があると思うとか、そういうことでは、これはあなた研究しても研究にならないでしょう。原重油関税でどれだけいまやっておるという、その関税がどれだけ上がっておるか、御存じなければ私が申し上げてもいいが、こっちは聞くからにはそれくらいのことは研究している。現実に消費税を新設するという、つまりどれだけの油を使っておるか、今度の消費税を新設すると、どれだけ使っておるからどれだけあると、大体五千万キロリッターくらい使っておると思う、年間に。そうすると、どれだけの収益があるからどうだという、そういうのをもう少し合理的に、数字的に、だからこれでまかなえる、原重油関税だけでも私はいいんじゃないか。消費税を設けぬでもいいように思うとか、もう少しこれは足らぬからこうしなければならないとか、そういう根拠がなければあなたの御説明はちょっと私はあいまいだと思うのです。納得できないですね、それじゃ。どうですか、局長
  42. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 鬼木委員に申し上げますが、はっきりきまっておらぬことは石炭局長として通産省代表して云々という答弁はとてもできなかろうと思うのです。ですから、次回の委員会に通商産業大臣の出席を求めて、あらためて鬼木委員の質問に答えてもらうと、そういうふうにしたいと思います。
  43. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 ごもっとも。それは局長がどうだこうだという、最終段階の是なり非なりということはできないと思う。けれども、いまの御説明で、原重油関税でまかなえると思いますとか、あるいはできやせんだろうとか、そういうあいまいなことでは——その点を言っているのですよ。
  44. 井上亮

    政府委員井上亮君) 表現が少し抽象的すぎたようで、少し数字で申し上げます。たとえば本年度、昭和四十年度におきます原重油関税の、何といいますか、いろいろ免税とか、電力、鉄鋼等に対する還付とか、こういったものを引きました、粗収入から引きました額が本年度で約三百十億ぐらいございます。このうち、石炭対策通産省関係では、御承知のように、本年度予算としまして百四十五億、これは通産省関係石炭予算、これに農林省関係鉱害とか、あるいは農林省に限りません。農林省、運輸省その他の鉱害関係、あるいは労働省石炭関係の離職者対策費とか、あるいは産炭地の公共事業、ほんとうは公共事業まで入っているのは私は個人的には賛成いたしかねるわけでございますが、こうういうものまで入れまして大体三百十億を石炭関係ということでいまつけられている。ただ、ただいま申しましたように、公共事業費を石炭対策費というのは、これは私は個人的に賛成いたしかねますので、今後の予算折衝にあたりましては、この点につきましては、これは本来の石炭対策に回してもらうように、それ相当なというふうな気持ちでおるわけでございまして、そういうことがもし実現されますならば、たとえば四十一年度におきましては三百七十億ぐらい石炭対策に回すべき財源があると見ておるわけでございまして、三百七十億ありますれば、私どもが来年度予算要求している程度の額はこの原重油関税でつくはずであるというふうに考えているわけでございまして、そういった意味で足りるような話を申し上げた。しかし、また鬼木先生がおっしゃいましたような将来抜本対策が出まして、安定補給金制度の創設とか、あるいは財政資金肩がわり措置とかということの、税度いかんによりましては場合によると足りなくなるおそれが多分にある、そのときはやはり別途中間答申に書いてありますような線で財源問題を検討する必要がある、こういう次第でございます。
  45. 鬼木勝利

    鬼木勝利君 よくわかりました。そういうふうに話してもらわぬと納得できない。さすがに名局長、よくわかりました。時間がございませんので、きょうのところはこの程度で、次回にいたします。
  46. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 鬼木委員の要望どおり、次回は三木通産大臣の出席を求めて十分論議していただくことにいたしまして、次に小野委員。
  47. 小野明

    ○小野明君 先ほどの局長の答弁、次官の答弁など聞いておりますと、産炭地域の振興についても、特に最終答申では配慮をしたいという意味の発言があったと思います。それで私は、産炭地域の問題、特に教育の問題について多少質問をしてみたいと思うのですが、この問題は四十八国会でもかなり議論され、決議まであがっているわけです。そういった決議というものを受けて、産炭地の荒廃した、あるいは荒廃しつつある教育、これに対してどういう施策がなされているのか、努力がなされたのか、その点をお尋ねをしたいと思います。
  48. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 産炭地域の教育対策といたしまして四十年度にとりました措置は、第一は、産炭地域におきます学校教育の中で、あるいは青少年の非行化の問題、あるいは長欠児童生徒の問題等のために生徒指導を主として担当いたしますところの、いわゆる充て指導主事の設置にあたりまして、これを産炭地域に重点的に配置いたすということをいたしました。  また、産炭地域の教職員の配置につきましては、その府県内におきましてその特別事情を考慮するように当該府県に指導をいたしました。  第三点は、就学援助費、あるいは準要保護児童に対する給食費の給与につきまして、援助人員の拡大、補助率の引き上げ等を実施いたしました。  第四は、給食施設設備、あるいはその他の学校教育に関係ありますところの施設設備の補助にあたりましては、予算執行上、充当率の引き上げ、あるいは交付金の配分の迅速化を促進するということを指導いたしました。  第五は、産炭地域におきます高等学校の生徒の育英奨学につきまして、奨学生の採用にあたりましては、実情に応じて特別な配慮をするように日本育英会に対して指導をいたしました。  第六は、父兄の移転、転職によりまして、子弟の公立高等学校への転学等につきまして、できるだけ便宜を与えるように関係都道府県に対しまして通牒をもって指導いたしました。  以上のようなことが四十年度に実施いたしました教育対策でございます。
  49. 小野明

    ○小野明君 学校給食関係、あるいは転職関係の問題これはかなりいいと思うのですけれども、問題は、産炭地域のほうから陳情に窮状を訴えてくるのと同時に、北海道、常磐、あるいは山口、長崎、佐賀、福岡はもちろんですが、こういう地域から、最近非常に教育条件の低下を訴える陳情が多いわけです。実情を聞いてみますというと、休閉山、閉廃山というものが続出しておるといった実情を受けて、やっぱり要保護児童生徒、あるいは準要保護児童生徒、この数が非常に激増しておるわけですね。で、これは四十八国会の答弁を見ましても、愛知国務大臣ですか、学校全体が特殊学級化しておる、こういう表現も使われておるのですが、その傾向がますますひどくなっておる。福岡などは、産炭地に約三百の学校と二十万人の児童生徒がおるわけです。この学校全体が四〇%、五〇%の要保護、準要保護をかかえておる、窮迫しておる学校がどんどんふえておるわけです。一つの山がつぶれれば、もう四割、五割という学校はすぐ出てきておるわけです。こういった実情を受けて、いわゆるいま言われた施策、特に充て指導主事の問題を取り上げてみたいと思うのですが、これで十分なのかどうか、不十分とすればどういう点をさらにことしは力を入れようとされるのか、この点をお尋ねをしたいと思います。
  50. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 充て指導主事の増員につきましては、生徒指導の観点、あるいはいまお話の出ましたことと別なことでございますが、若干似たような事情の同和地区等の問題等がございまして、そういう関係につきまして充て指導主事の増員を私どもにおいては明年度も要求いたしておるわけでございます。一面、学級規模を、当初五十人から四十五人に小中学校とも減らすということを計画的に実施しておりまして、明年度は四十七人にしなければならぬとしてございますので、そういう学級規模の縮小ということも、これは一般問題として生徒指導の個別指導に便宜になっていくという事情もございますけれども、そのほかに現行法で生徒指導に当たりますようなものを立てられる制度といたしましては、充て指導主事の制度がございますので、その点を、たとえば生徒指導の研究指定校というようなことを中心にいたしまして、その所在の教育委員会に、指導機能を強化するということで、学校と連絡を保ちながら、そのために対策を進めたい、そして充て指導主事の増員ができますならば、逐次産炭地等の問題につきまして配慮しながら、府県で合理的な配置ができるように指導してまいりたいと、かように存じておるわけでございます。
  51. 小野明

    ○小野明君 さっぱりわからぬのですが、充て指導主事は昨年は何名づけ、ことしは何名つけようとしておるのか、これをひとつお尋ねしておきたい。
  52. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 四十年は全部で三百二十名でございます。そこで、たとえば福岡県の例を申し上げますれば、府県から強い要望がございましたので、そのうちの三十名を福岡県の産炭地の対策として充当いたしました。それで、これからの予算の折衝でございますけれども、四十一年度の問題としては、三百六十名程度の要求をいたしております。
  53. 小野明

    ○小野明君 それで、もう一つは、先ほど初中局長が言われた学級規模の縮小、学級編制基準の引き下げ、これは全国的にやられるわけですね。これを産炭地に何か特例を設けてこれをやられるような話をされたのですか。そうじゃないのでしょう。
  54. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) そういうことではございません。現在の法律といたしましては、一律に下げるということを基礎として教職員をやるわけでございます。ただ、生徒の指導の関係の問題につきましては、これは学級規模の縮少ということも、全般として施策の一部をなしておるということを申し上げたわけであります。
  55. 小野明

    ○小野明君 それで、私がお尋ねをしたいのは、産炭地に、こういうふうに生活保護、あるいは準要保護児童生徒が激増しておる、こういった実情から見て、産炭地の学校の教師が、非常に厚生省の出先がやらなければならないような仕事までやっておるのですね。その仕事の内容というのは非常に多いのです。これはきょうは資料を持ってきておりませんが、そういった実情についてどのように把握されておるのか、お尋ねをしておきたいと思います。
  56. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 要保護児童に対します具体的な仕事の中で、厚生省の関係で、ある程度仕事をしておいて、実際において金品を渡す仕事は、これは教育上の配慮から学校でやるというたてまえでございます。そこで、私どもは、厚生省に対しても、厚生省関係の仕事の全体というものは、あまり学校によけいにやらないようにはお願いしたいと思いますが、実際上児童生徒を扱う関係から、その資料を集めるとか、あるいは実際に金品を授与するとか、そういういろいろな実際上の仕事が多くありますので、私どもは、厚生省の福祉関係の仕事がなお充実して、そして学校にその福祉関係の仕事が過重にこないようにしたいとは思いまするけれども、しかし、やはり生徒に対する処遇という問題から考えますと、学校の先生にお手伝いを願わなければならない。また、教育委員会が実際上相当仕事をしなければならないということは、実情として避けられないと思うのでございます。しかし、きめられておりますこと以上の仕事が、福祉関係で手が足らないということでただ学校だけにくるような事態はできるだけ避けるようにしていただきたい、かように存じております。
  57. 小野明

    ○小野明君 いまの答弁を聞いておりますと、しかたがないから学校の先生に厚生省の出先の仕事もやらせるんだ、こういう御答弁ですが、そのとおりですか。
  58. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) そういう趣旨ではございませんで、現在のたてまえでは、学校の生徒を相手にいたしますから、金品の支給等につきまして学校で負わない分がある。しかし、当然に福祉行政としてやる分まで学校の事務として実際上お願いしてくるというようなことは、これは厚生省のほうでそういうことをできるだけ避けるようにしてもらいたいということを申したのであります。
  59. 小野明

    ○小野明君 避けるようにしてもらいたいというのは、それは何ですか。あなたはそういうふうに言われたのですが、実際そういう事務が錯綜して先生の中にがぶっとかぶさってきておる。それは当然厚生省がやるべき仕事で、先生の本務じゃないでしょう。先生の本務は教えることなんだから、だからそういった事情にあるのを、あるいは学級規模の編制の縮小とか、そういう措置によって救う、緩和していく、あるいは、教師の過重負担というものを是正していく、そういうふうにつとめるのが、文部省の仕事じゃないですか。
  60. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 要保護児童につきましては、お話のように、厚生省で仕事して、ただ実際の金品の授与等は、これは校長にまかせるほうがいい、うちに直接やらないで、校長に渡してもらう、こういうたてまえになっております。  それから、準要保護児童の問題につきましては、これは教育委員会の仕事が大部分でございます。生活保護法と違いまして、これは教育上の配慮として、文部省が独自に予算を取り、政策としてやっていることでございますから、これはむしろ、教育事務のほうが多いわけでございます。その資料等は実際上いろいろ連絡いたしまして、福祉関係の仕事の経験を借り、資料をとるということはございますが、これはむしろ教育事務として、教育政策としてやっていることでございますから、この二つの問題であります。先生の御質問の前段の、当然に生活保護法等に基づいてやるものにつきましては、学校の分担する金品の授与等もありますけれども、この事務のほうは、厚生省関係の仕事を充実して、学校にいたずらに事務がかかるということのないようにしてもらいたい、かように思います。また、教育委員会の仕事につきましても、できるだけ教育委員会を充実いたしまして、学校に過重負担がかからないように、授業に差しつかえないようにしてもらいたいという希望は持っております。
  61. 小野明

    ○小野明君 たとえば生活保護、あるいは準要保護児童に関するすべての仕事は学校の先生がしているのだ、こういうことを申し上げておきたいと思うのです。  次に、もう終わるのですが、時間がありませんから、四十年の二月十日に、この石炭対策特別委員会で満場一致で決定された文を読みますと、要点だけですが、「産炭地域における教育は家庭教育は勿論、学校教育社会教育においても極めて憂うべき状態に陥り地域社会に重大なる影響を与えている。」、こういう状態に対して、「産炭地域の教育のためにすみやかに財政上行政上適切なる措置を講ずるべきである。」、こういうふうになっているわけです。だから私が申し上げたいのは、これに対して、いまあなたの答弁を聞いておりますと、金のかかっているのは充て指導主事だけです。かなりな金を食っているのは充て指導主事たけだとしか私は考えられぬ。それで、いま一つ、学校教育の面ではかなり説明を受けたのですけれども、社会教育の面についてはどういう配慮をされているのか、この点をお尋ねしたい。
  62. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 実は、予算上の措置といたしましては、充て指導主事だけではなく、先ほど何項目かに述べましたように、四十年度の措置といたしましては、就学援助費、あるいは給食の援助等につきまして、市町村の財政力に応じまして、十分の八までのいわゆるかさ上げということを実施しております。これは実は先ほど御指摘ございましたように、この援助の率というものが逐年上昇しております、産炭地は。でありますから、予定いたしました金額よりもふえる傾向がございます、まだ締めておりませんけれども。しかし、それは予算の執行上、市町村で決定いたしました準要保護児童の拡大に伴う分、このかさ上げの分は、これは文部省としては支障のないように増加分も執行できる見通しでございます。  それから、施設の問題につきましては、これも御承知かと思いますけれども、四十年度の補助金に見合う分のかさ上げというものは、四十一年分の予算の中でこれをみるということでやっているわけでございます。  それから、いま御質問のございました家庭教育、社会教育の問題につきましては、私直接所管ではございませんけれども一つは、家庭教育の問題は、家庭教育の学級の増設ということを全国的にここ数年やってきておりますから、そういうものの活用、あるいはPTA活動の促進等の事柄で、特に産炭地域についてもこういう問題を意識しながら、家庭教育の充実、あるいは社会教育の拡充ということを心がけていると思いますが、その具体的な学級の数その他につきましては、私直接いま所管しておりませんので、手元に資料がございません。この点につきましては、私なお担当の局に申しまして調べておきたいと思います。
  63. 川村清一

    ○川村清一君 関連してお尋ねいたしますが、充て指導主事の任免権、それから職務権限ですね、これはどういうことです。
  64. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 充て指導主事と申しますのは、いわゆる通称でございまして、これは地方教育行政の組織及び運営に関する法律の第十九条にございまして、もともと指導主事と申しますのは教育委員会事務局に置かれます。学校教育に関する専門的事項を指導する事務を所掌する仕事でございます。ところが、これは本来学校の先生とは別の職でございます。普通の府県なり市町村の吏員と同じように、事務局職員でございますけれども、学校教育の実態から見て、また、人事交流の実態から見まして、先生の身分のままその職務を行なえるようにするというのがいわゆる充て指導主事の制度でございまして、これは十九条の四項に特にその点を掲げております。そこで、市町村に充て指導主事を置くということになりますと、それは市町村の教育委員会の職員として置かれるわけで、実際上は、これはいわゆる県費負担職員と申しまして、市町村立学校の先生を、これは県で任免権を持っておりますから、県が市町村と協議をして任免をするということをやっております。
  65. 川村清一

    ○川村清一君 そうしますと、その充て指導主事なる者ですが、それは教員の身分で充て指導主事という形で発令されておっても、その職場におけるところの充て指導主事のいろいろな職務というものは、それのいろいろ指導する命令権ですね、これは学校長にあるのか、あるいはその市町村教育委員会にあるのか、どちらにあるのですか。
  66. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 服務の監督は、これは市町村の教育委員会にあります。
  67. 川村清一

    ○川村清一君 いま小野委員が問題にしておるのは、産炭地の教育の問題なんです。いわゆる産炭地の学校の状況というものは、その山の不況、合理化、いろいろな問題によって父母がいわゆる退職しなければならない、首を切られるといったようなことで、非常に家庭的に経済的に不安があるということ、そういう人たちをたくさんかかえておるその産炭地域の社会不安というものはきわめて増大してきておるということ、その中にあって、小学校、中学校生徒の非行児童生徒が非常に多くなってきておるということ、この非行少年たちをどう指導するかということが、その学校における先生方の一番の悩みであり、その子供たちを持つ父兄の一番の心配事なんです。だから、この非行の少年たちを指導する、そういう学校の教育体制というものが、きっちりできておらないと非常に困るわけです。地域社会はそれを要望しているわけです。そこで、充て指導主事というものを充てたという、その充て指導主事なる者が、その学校によって学校長の指導命令に服して、そうしてその地域社会から生まれてくるその学校内におけるいろいろな不安状況、非行少年をきちっと指導する、そういう体制になければならないのであって、それを地域社会は要望しているし、学校自体もそれを要望しているわけです。だから生徒数はどんどん減っている。人口が減るんだから、それは当然わかる。しかし、生徒数が減ったからといって、文部省はただ単に理論学級数、あるいは普通の学校と同じように、生徒数が幾らだから先生の数は幾らでいいのだと、こういうかっこうでほかの地域と同じような教員配置をしておったならば、いま私の言ったようなこういう問題解決にならないわけです。そこで、充て指導主事というのはどこにいるのか、教育委員会にいるのだ、教育委員会のその命令によって動いておる。そうすると、指導主事でございますから、指導主事の指導する対象は学校の先生なんでしょう。児童生徒じゃございませんね、この点はっきりしていただきたい。
  68. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 指導主事の任務は学校に対する指導でございます。しかし、教育委員会に置かれる職員が学校を指導するというたてまえをとりながら、非行少年のような、地域ということを単位にして起こる問題につきましては、学校のいわゆる校外指導の問題その他等、学校の範囲をこえていろいろ問題になるということがあるわけでございますから、そういう面の補導とか、あるいは場合によればケーススタディのようなことを担当するということが非行青少年を扱う場合に出てくるわけであります。そういう意味で学校を指導いたしますとともに、地域のいろいろな問題、学校外における青少年の問題を、これは指導主事その他いろいろな団体が協力して指導するというのがいろいろの地域に出ておりますので、そういうことを担当するわけであります。それから、なお個々の学校内の問題におきますその定数上の問題というものは、先ほど申しましたように、この県の定数というものの中で、特に産炭地域の実情に応じて配置についてくふうをこらしてくれということを指導しておるわけでございまして、これはたとえば福岡県の場合でも、教員配置というものにつきまして、産炭地域につきましては県としては厚く配当されておるというような実情になっておるわけであります。その厚く配当されたものを学校長といたしましてどういうふうに活用して生徒の補導をするかという問題は、これは学校長にまかされておる問題でございます。
  69. 川村清一

    ○川村清一君 関連ですから、これでやめますけれども、はっきりしていただきたいことは、その充て指導主事なるものは、ただいまの局長お話によって、学校を指導するのが主体である。それから、地域社会の要望にこたえていろいろな教育活動をやっておるということもわかりましたが、そこではっきりしていただきたいことは、そういう産炭地にはその充て指導主事の指導によって指導を受けて、そして指導技術とかそういうものをよく身につけて、そしてその学校内における非行少年が生じないように、そういう指導教育が完全に行なわれるようなカウンセラーがその産炭地の学校には必ず配置されておるような状態になっておるかどうか、この点を一点はっきりしていただきたいことと、もう一点は、いま福岡県の実情を例にとって言われましたが、それでは福岡県、あるいは産炭地の北海道、こういうような産炭地をかかえておる都道府県におきましては、ほかの府県と別のような教員の配置をされておるかどうか、そういうようなことを勘案されて総体的な教員配置をされておるかどうか。と申しますのは、福岡県、北海道のようなところは、ほかの県のような計算でいくと、児童数からいくと何万何千人と出る。ところが、これは産炭地であるということから、それ以上に割り増しで何分か多くに先生がそこに配置されておるかどうか。そうであれば都道府県の考え方によってそういう学校に特に手配してやることができますけれども、同じような県の配置基準によってやられておれば、総体の中でその都道府県の事情によってそういう学校にはやってあるんだというような御答弁でございます。そうしますと、総体数がきまっておりますから、そういうところに厚くすれば片っぽうに引っ込むところが出てくるでしょう。そうすると、配慮された措置であると私は考えないわけで、そういう産炭地をかかえた都道府県に対しましては、特に増員して、そういう教員のワクを与えてやるのか、予算措置がなされておるのかどうか、その点をはっきりしていただきたい。
  70. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 府県に対します教員の府県ごとの定数の配置につきましては、現在充て指導主事のようなもの以外は、すべて定数に基づく学級規模、それから、それの学級数に基づいて配置するような制度になっております。したがいまして、いま御質問にありましたように、産炭地、あるいはその他の地域ということで、この府県ごとの定数を特別に配給をするということにはなっておりません。
  71. 川村清一

    ○川村清一君 なっておりませんね。
  72. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) なっておりません。ただ、いま例にあげましたのは、これは産炭地であるということでなくて、実情といたしまして、たとえば福岡の問題につきましては、これは定数配置の経過措置といたしまして、通常の府県よりはこれは従来先生が他の府県より多かったという事情がございまして、本年度でいえば、普通の県で計算いたしますよりは六百人程度の増を負担するという経過措置になっておりますから、そういうような点を活用いたしますとともに、また、一面、福岡県といたしましては、産炭地域に対する特配等をも考慮されておるようでございまして、その配置された厚さにおきまして、学校内における生徒指導、あるいは学習指導等の機能に充てておるということの実情を申し上げたわけでございます。それから、その他の地域になりますと、これは県にいろいろな事情がございまして、北海道の問題は、いまのような観点から見るとどうかというようなことになりますと、これまた若干事情がございます。僻地の要素でありますとか、あるいは北海道内における、そのただいま申しましたような、四十五人に達しますまでの経過措置といもうのはどうかというような実情がございまして、この全般問題として、経過措置につきましては、県民の実情を考え、不備な点は補うようにいたしてまいりたい、かように考えておるのであります。現在の学校の定数の標準に関する法律におきましては、まだカウンセラーという職種を学校ごとに配置するとかいうような制度が確立されておりません。したがいまして、先ほど申しましたように、定数の配置といたしましては、学級というものを基礎にいたしまして、これは規模によりまして専任職員を加えるとか、あるいは校長とか、あるいは大きな学校でいえば教頭とかいうものの数を勘案いたしましてはじくようになっておりまして、また、このカウンセラー、学校ごとに指導を担当する専門職員を置くという制度、そのことのまあ実際上の必要はわかりますけれども、そういう職種を特別に立てるかどうかというようなことにつきましては、まだ判断できないような状況でございますので、私どもは、そこの便法と申してはあれでございますけれども、まず教育委員会の指導機能の拡充ということで考えてまいる。このカウンセラーの問題は、将来の問題として、一体学校ごとに、特に高等学校等につきましては、ましてそういう専門職種を定数として配置すべきかどうかということについては、これは将来の問題として検討してまいりたい、かように考えております。
  73. 川村清一

    ○川村清一君 それじゃこれで終わりますが、まあ非行少年の、青少年の指導というか、対策というものを、これは閣議の中においても佐藤総理が発言して、政府は本腰を入れてやるといったようなことが新聞等に出ているわけでありますが、いまの局長お話を聞いて、産炭地に対する配慮、こういつたことに対しまして、まことに積極的なかまえがないということ、はなはだ遺憾でございます。いずれまたこの問題については、機会がありましたならば御質問申し上げることにして、まあまことにこういうことではちっとも考えておらないということだけ、意見だけ表明して、私の質問を終わります。
  74. 小野明

    ○小野明君 最後に、産炭地における長崎から始まって北海道まで、生活保護、準要保護、あるいは長期欠席児童、それから非行児童ですね、この数を調べたものがありますか。去年とことしの比較数字です。それをいま発表されなくてもいいですけれども、次回の委員会までに出していただけませんか。
  75. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) ただいま、私は部分的な三十九年度までの数字しか持っておりませんので、しかも、地域的に限られておりますし、それから、四十年度のこの締めというものはまだ取りまとめ中でございますので、そういうものがそろいましたならば整理して提出いたしたいと思います。
  76. 小野明

    ○小野明君 そろいましたならばと言いますが、いつごろになりますか。
  77. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) 準要保護児童等の数字の本年度の締めができますのは大体二月ごろだということでございますので、そのころまでにまとめて御提出いたします。
  78. 小野明

    ○小野明君 二月ごろということになると、二月の初めもあれば終わりもあります。
  79. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) できるだけ早く私どもとしては作成して出したいと思います。
  80. 小野明

    ○小野明君 予算審議に間に合うように提出をしていただきたいと思います。
  81. 齋藤正

    政府委員(齋藤正君) できる限り御希望に沿いたいと思います。あるいは中間の数字も出したいと思います。
  82. 小野明

    ○小野明君 最後に、四十八国会の通常国会ですが、ここで決議があげられまして、その趣旨が生かされるような施策が産炭地域の文教の面ではきわめて薄い、不十分だというふうに、私も川村委員と同じように感ずるわけです。したがって、事は文教関係でありますから、文部省でありましょうけれども、産炭地域の振興という面から、次官においても、この面における配慮、これを石特の決議に従って、趣旨を生かす意味において、十分に御配慮をお願いをしたいと申し上げて、終わりたいと思います。
  83. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 委員長からも齋藤政府委員にお願いしておきたいわけですが、ただいままでの委員の発言の中に出てまいりました四十八回国会の院の決議ですね、これは当然尊重してもらわなければなりませんが、たまたま決議した委員会が石炭対策特別委員会であり、実際扱っていただくところが文部省関係ですから、あるいは通産当局等においてこれがストップして、皆さん方のお耳に入っておらぬかもしらない。したがって、そういうことで実施の面が四十一年度の予算にあらわれてこないということになると大問題ですから、特に通産当局にもお願いするわけですが、両省で責任負って、決議が実を結ぶように、ひとつ議事進行でお願いします。
  84. 堀本宜実

    政府委員堀本宜実君) ただいま委員長からお話もございましたように、この問題は、石炭の問題、産炭地の問題でございますので、文部省とよく連携を緊密にいたしまして、この決議並びに一般施策について十分に審議をいたし、決議の趣旨に沿うよう努力をいたしてまいりたい、かように存じます。
  85. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 本件は、本日の質疑はこの程度にとめておきたいと思います。
  86. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) この際、委員派遣に関する件についておはかりいたします。  石炭対策等に関する調査のため必要が生じた場合の委員派遣につきまして、これをすべて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  87. 阿部竹松

    委員長阿部竹松君) 御異議ないと認め、さように決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十一分散会