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1966-06-09 第51回国会 参議院 商工委員会 第29号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)    午前十時三十七分開会     —————————————    委員の異動  六月七日     辞任         補欠選任      井川 伊平君     岡村文四郎君  六月八日     辞任         補欠選任      岡村文四郎君     井川 伊平君      大矢  正君     亀田 得治君  六月九日     辞任         補欠選任      亀田 得治君     大矢  正君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 井川 伊平君                 大谷藤之助君                 劔木 亨弘君                 宮崎 正雄君                 吉武 恵市君                 亀田 得治君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 藤田  進君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        中小企業庁長官  影山 衛司君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君    説明員        農林省農林経済        局企業課長    杉山 克己君        通商産業省企業        局商務第二課長  諸口 昭一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (商品取引所に関する件)  (銀行融資中小企業金融に関する件)  (商工会に関する件)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。  本日は、商品取引所商工会銀行融資中小企業金融に関する諸件の調査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、委員の変更について報告いたします。昨日、大矢正君が辞任され、その補欠として亀田得治君が選任されました。
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、商品取引所商工会及び銀行融資中小企業金融に関する件について調査を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  5. 亀田得治

    亀田得治君 私は、商品取引所法改正問題につきまして、少しお尋ねをいたしたいと思います。この問題は、いろいろな方面から意見が出、問題点等指摘もされておるわけでありまするが、通産大臣として、どういうふうに処理をしていくつもりでおられるか。こまかいことは、後ほどまた局長等にお聞きをいたしますが、大局的な立場で、まずお尋ねをいたしたいと思います。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 商品取引所法は、これは改正の必要があるという見解のもとに、いま商品取引審議会で検討を願っているわけであります。秋までには結論が出るということでありますので、その結論を待ってということで、法律改正考え方を持っております。
  7. 亀田得治

    亀田得治君 商品取引所法は、御存じのとおり通産省農林省と両者にまたがっているわけですが、私どもが聞くところでは、通産省のほうがわりあい積極的な姿勢考えている。どうも農林省のほうが必ずしもそうでないようだ。しかし、問題はあるのだから、一応通産省の態度について行っているというふうなことを聞くわけなんですが、実はこの質問、商工委員会か、農水か、どちらがよかろうか、数から言うたら農水のほうが多いし、問題を起こしているのは農水関係が多いわけなんですが、しかし、どうも法改正そのものに対する姿勢が、多少積極、消極、いろいろな面が考えられるし、一応ここでやってみようというふうなことでお願いしたわけですが、これは大臣にお聞きしなければならぬことなんでありまするが、農林大臣考え通産大臣が代弁するわけにもいかぬかもしれませんが、その辺はどういうふうに一体なっているのでしょうか。多少そりが合っておらないというふうに聞いておるのですが、どうでしょうか。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは生産、流通、関連がありますから、これを商品取引行政一元化ということも実情にそぐわない点がございますので、関係各省連絡を緊密にするということが限度ではないか。そういう点で消極、積極、同じ政府もとにそういうことがあることは好ましいことではないのでありますので、やはり関係省間の連絡を緊密にする。これは一元化はちょっと実情に沿わない。そういう点で連絡を緊密にすることによって方針の食い違いの出ないようにしたいというのが基本的な考えでございます。
  9. 亀田得治

    亀田得治君 法改正内容として、監督官庁所管官庁一つにするかどうか。これも改正問題の一つの大きな問題点になっておるところですね。  だから、その点をいまお聞きしたわけではないわけでして、農林省姿勢法改正に対して消極的なように感じておるのですが、それは農林大臣に聞いてくれというお話になろうかと思いますが、率直にいえば、通産当局としてはその点をどのように感じておられるのか、お伺いしておるわけです。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 商品取引審議会、これで結論が出ましてから、いろいろ折衝しなければならぬので、いまのところ消極的だとは考えてみてはいないのであります、農林省を。これからの問題でありますから、そういう農林省考え方法改正消極的で、通産省と何か歩調が合わぬというふうには考えていないのでございます。
  11. 亀田得治

    亀田得治君 その取引所法所管、あるいは審議会所管等通産省になっておるわけですから、どうしても表向きの正規の扱いとしては通産省ということになるわけでしょうから、これはひとつこれからの法改正案作成過程でいろいろ問題点が出るかと思いますが、相当これは長年にわたる問題ですから、しっかりひとつ踏まえて進んでもらいたい。これは大臣に要望しておきます。  それから昨年ですね、今度の国会法改正案を出すという立場作業が進められたと私はいろいろ聞いておるのです。それがついに今国会に出な  いで終わってしまった。そのいきさつをひとつ御説明願いたいと思います。
  12. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘のように、現在の取引所法はいろいろな問題点がございますので、私どもといたしましても、できるだけ早い機会改正ができるように努力いたしておりますし、また過去においていたしたわけでございますが、御承知のように、この取引所法の各条文というのは相当膨大なんであります。しかも改正と要する問題点というのもいろいろございまして、これをきわめて短時間に仕上げるということは、非常にやってみましてむずかしいという事情になったわけでございます。しかし、この取引所の問題を法律改正まで放置するわけにもまいりませんので、可能なものにつきましては、その間のつなぎといたしまして、行政指導を今年の四月一日から強化出していくということにいたしまして、残りの法律改正に伴う問題につきましては、先ほど大臣が御答弁申し上げましたように、秋を目標に成案を急ぐ、こういうことにいたしておるわけでございま出す。したがいまして、次の通常国会には成案を得て御審議をお願いしたい、かように考えておる次第でございます。
  13. 亀田得治

    亀田得治君 次の通常国会に提案するめどで作業を急ぐということでありますが、先ほど大臣からも若干その点の御説明がありましたが、もう少し詳しいこのスケジュールなどを持っておられると思いますが その辺差しつかえない程度に御説明を願いたいと思います。
  14. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほど申し上げましたように、行政指導強化後、この六月に入りまして審議会を開いておりまして、いろいろな今後の問題点の整理、あるいはスケジュール等につきまして御審議願ったわけでございます。いまの段階といたしましては、六月ないし七月にかけまして、関係業界等から十分意見を聴取したい、かように考えております。で、その後それをもとにいたしまして審議会を開いていきまして、少なくとも十月ごろには答申を得たい、あるいは十一月に多少かかるかと思いますが、秋までには審議会としての答申を得たい。そしてそれをもとにいたしまして、われわれといたしましては、十二月ごろまでに法律改正案成案を得たい、かようなスケジュールを現在のところ組んでおる次第でございます。
  15. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、商品取引所審議会に対しては六月に入ってすでに正式の諮問をしたということのようですが、その諮問内容というものはどういうことでしょうか。
  16. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先生御承知のように、こういう審議会諮問いたします場合は、非常にすべてを包含いたしておる抽象的な表現をもって諮問をいたしまして、その中でそれをもとにいたしまして、審議会の中で検討する項目を検討していく、こういうことになるわけでございますが、正式に諮問いたしました文章は、「わが国における現下の商品取引所制度あり方及びその改善をはかるため必要な施策について」という正式な諮問をいたしておる次第でございます。
  17. 亀田得治

    亀田得治君 業界意見というのは、具体的に言うとどういう機関意見を求めることになるわけでしょうか。
  18. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) 大体三部類に分けまして、第一が商品取引所関係及び仲買い人関係のものが一つでございます。内容は、大体取引所の会長、理事長クラス代表を大体三名ばかり予定をいたしております。仲買い人の団体につきましても、同様に全国的な観点から代表者を三名ばかり選びまして、その方々意見を聴取いたしたい、かように思っております。それからいわゆる当業者関係では、物資別通産省農林省と分かれますが、通産省関係では、いわゆる繊維関係生産メーカー及びいわゆる機屋さん関係、及び糸商関係等から大体六名程度を選んで意見開陳をお願いするということになっております。それから農林省につきましても、大体物資別にそれぞれの代表の方に意見開陳を願うということで、現在両省庁におきまして人選を進めておるということでございます。
  19. 亀田得治

    亀田得治君 商品取引所審議会というのは、取引所法に基づく審議会本来の使命は現行法運用について検討していく、こういう立場審議会ですね。現在の法律ワク内にある審議会というふうに私は理解しておるのですが、審議会の設けられた条文そのものがそうなっておるわけですね。そういうふうに理解いたしますと、いま御指摘になった業界関係ども含めて、どうも検討される幅が狭いような感じがするわけですね。業界自身は、これはある意味では束縛されると言いますか、相当悪く言えば締めつけられる立場にもなるわけなんですね。審議会自身はもう法律で明確にしておるように、この現行法ワク内の機関なんです。通産省付属機関、こういうふうにちゃんとなっておるわけですね。だから商品取引所の問題についていろいろ問題が提起され、またそれに関連して、もっと抜本的にこういうふうに法律改正考えたらどうかというようなものは私はなかなか出てこぬように感ずるのですね。これは現行法運用の面の欠点などの指摘は、これは直接の関係者だから相当指摘されてくると思います。しかし指摘された点をどう最終的にまとめ上げるかというと、先ほどの御説明からいたしますと、結局は通産省のほうで総合的な立場でまとめるのだというふうに聞こえるわけなんですが、私は十分いろんな意見を聞いてということであれば、業界なり審議会意見を聞くことも、もちろんこれは基礎的な問題として当然なければならぬわけですが、もう一つ通産省最終意見をまとめる前に、広い立場での意見を求める、私はあまり審議会なり調査会を設けることが必ずしも賛成じゃないわけですけれども、問題の性質上、どうもそういうことが必要ではなかろうかというふうなことを考えておるんですが、と言いますのは、どうも当業者とか、そういうところから出てくるのは、何としてもやはり自分たち立場というものが都合が悪くならぬようにということを考える、これは人間の自然でしょうが、そういうわけで、これらの意見を最終的にまとめるについて、通産省として、もう一つその点について検討する余地があるやに思うわけですがね。そのほうが改正案をつくり上げた後に国会に出した場合においても、これは通産省だけでまとめたのじゃないという、実質もそうなるでしょうし、権威が私はあるように思うのですが、そういう点についてはどういうふうにお考えでしょうか。これは大臣からそういう点についてひとつ。事務当局はどう考えておるかわかりませんが、大臣の率直な意見を聞きたい。
  20. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは形式はどういう形式をとるかは別として、通産省が、方向がきまりますれば、そういう業界意見を聞くような機会を持ちたいと考えております。それはいま言ったような審議会というようなものをもう一つつくるのはあまりどうかと思いますが、何らかの形でそういう意見も聞くような機会は持つことにいたします。
  21. 亀田得治

    亀田得治君 そうすると、先ほど局長説明されたのに、もう一つ、まあ形はまだはっきりは言えないでしょうが、何かそういう広く意見を求めるというふうなことを私はぜひ実行してほしいと思って言ってるんですが、それはひとつ考えていただけますか。
  22. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) この改正問題といいますのは、御指摘のように実質的に非常に広範囲にわたる。特に一般大衆の保護というような点が相当やはり問題になるわけでございます。したがいまして、今度の法改正の趣旨からいきましても、御指摘の点は十分やはり織り込んでいくべきだとかように考えております。やり方といたしましては、法律的には、この法律施行事務というような書き方になってなおりますが、先般国会委員再任をお願い申し上げましたときも、議運の委員会におきまして、法律改正をどうするのかという議論が出まして、積極的にそれに取り組むということで、りっぱな方々再任をお願いしておるわけでございます。おそらくこういう方々が当業者だけの意見で案をおつくりにならないと思いますし、また審議会審議過程におきまして、先ほど課長から申し上げましたのは、一応はっきりしておるものを申し上げたわけでございまして、必要に応じましては、もう少し審議会自体としても多方面の意見を聞いていただくというふうに役所としても措置したいと思いますし、さらに審議会から案が出ました後に、その上に審議会をつくるというわけにはまいりませんが、役所立場から、それぞれ必要面意見をさらに聞くというように、この改正案一般の世論に従ったものになるように十分つとめてまいりたい、かような感じを持っておるわけでございます。
  23. 亀田得治

    亀田得治君 私も、本日後ほど改正問題の参考にしていただきたいという意味で、若干意見を申し上げたいと思っておりますが、ぜひ局長が言われたような、そういう形で狭いものにならぬように、ひとつやっていただくよう要望しておきます。  そこで、改正問題に具体的に入る前に、今年の四月からこの運用面改善を実施に移したと言われておるわけですが、その点についての項目的な説明でいいですから、一々くわしく答弁されたらたいへん長くなりますので、どの点どの点という御説明をひとつ願いたいと思います。
  24. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 項目的に申し上げますが、先ほど来申し上げましたように、今回の行政指導一般大衆商品取引所に参加するようになったという、それによってまたいろいろな弊害も出てきておるということに着目いたして、行政指導を行ないましたので、その点が中心になるわけでございますが、項目を申し上げますと、受託場所、これは専門的なことになるわけでありますが、それの制限考えている、こういうことでございます。  それからいろいろな事故を起こしておりますのが商品外務員である面もございますので、その資格要件を強化する、こういう措置を講じております。  それからもう一つは、一般大衆が参加いたします場合に、必要以上に取引に参加するような、いき過ぎた勧誘を行なうという弊害もございましたので、誇大な宣伝とか、いき過ぎた勧誘というものを自粛するような行政指導をとったということでございます。  なお、仲買い人外務員との責任の分担の問題でございますが、外務員のほうについて仲買い人責任が明らかでない点もございましたので、外務員のほうについて仲買い人責任を持つような行政指導をしていくということでございます。なお、仲買い人自体につきましても問題がございますので、これを免許制にするかどうかというような問題も一部にあるわけでございますが、これは法律改正を要しますので、さしあたりの措置といたしましては、仲買い人が義務として登録要件として守らなければならない純資産額最低額単純合算制といいますか、これは専門用語になるわけですが、とにかく純資産額を引き上げるということでございます。  それからもう一つは、一般大衆が参加いたします場合に、委託証拠金というものをまず納めるわけでございますが、これの取り扱いが明確でないためにいろいろな紛議を起こしておりますので、その取り扱いをはっきりさすような行政指導をしたい。たとえば取引が済みましたならば直ちにそれは返す、あるいは証拠金の流用といいますか運用につきまして制限を設ける、こういう形をとったわけでございます。  なお、これは一般指導ではございません。法律改正、特に税法の改正でございますが、本年から商品取引責任準備金制度というものを税制改正によって設ける。  なお、相場を、価格を公正に形成するというような問題も、今後の取引所としては非常に大事な問題でございますので、小口落とし制度廃止等につきまして所要な指導をいたしておる、こういうのが現在までの実情でございます。  このほか、先ほど申し上げましたように、法律改正は別途研究をしておる、こういうことでございます。
  25. 亀田得治

    亀田得治君 たとえば誇大宣伝をやめさせると、具体的にはどういう措置をとっておられるわけですか。
  26. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) 具体的には定款改正をいたしまして、いわゆるテレビ等宣伝はしない。それから広告につきましても、いわゆる一般新聞広告はしない。ただし、特別に経済関係専門紙でございますたとえば日経であるとか、産経であるとか、そういう経済新聞に限ってはこの適用外というようなこと。それから特に定款におきまして広告事前承認制を採用した。広告する場合にはあらかじめ承認を受ける、こういう形で処理いたしております。
  27. 亀田得治

    亀田得治君 この四月から実行したと、指導しておるといわれますが、これはどういう経路をたどって実行され、そしてその実効はちゃんと上がっておりますか。
  28. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) どういう経路をたどって実行したかというお話でございますが、御承知のように法律的な措置でございません。仲買い人なり、取引所のほうで行政指導によりまして実質的にたとえば定款改正する、あるいは受託の準則を直すというような形でやっていただいたわけでございます。その場合に、過程におきまして、多少これは正直に申し上げましてきついんではないかという御批判も、実は当業者からはあったわけでございますが、最近の客観情勢から見て、少なくともこの程度のものは法律改正までやっていただきたいということを極力お願い申し上げました。最終的には当業者の方もやろうということになりまして、やっていただいたわけでございます。  なお、この効果がどの程度あらわれたかという問題は、実は四月一日から発足いたしたわけでございまして、私のほうもまだ正確なる把握はいたしておりません。しかし、私ども感じといたしましては、まあ多少取引が非常にやりにくくなったというようなクレームも多少出ておるわけでございます。その半面から見ますと、相当のやはり規制というか、自粛にはなっておる。まあできるだけ早い機会にどういう点に効果があって、どういう点にやはり問題があるというような点も、法律改正審議参考にもなりますので、できるだけ早い機会にそういう調査をいたしてみたい、かように考えておる次第でございます。
  29. 亀田得治

    亀田得治君 農林省のほうはこの行政指導を同じようにおやりになっておるんでしょうか。
  30. 杉山克己

    説明員杉山克己君) 農林省通産省と始終打ち合わせまして、全く同じような姿勢、同じような方針で運営いたしております。  なお、この際申し上げておきたいのでございますが、法律改正の問題につきましては、どちらかといえば通産省が積極的ではないかというようなことで、若干農林省は差があるのではないかという御指摘がございましたが、問題が多いのは、確かに農林関係穀物関係でございます。したがいまして、農林省といたしましては、法律改正議論が出る以前から行政措置をもちまして、むしろ先行的にいろいろ規制を続けてまいったということがございます。制度自体はほかの商品関係もございますので、いろいろ通産省と打ち合わせて法律改正の問題が最近爼上に乗るようになったという経緯があるので、一言申し上げておきたいと思います。
  31. 亀田得治

    亀田得治君 それでは、次に法改正の点につきまして入っていきたいと思います。  最初に、これらの行政指導をもってしてはできない部分とか、あるいは行政指導はやっておるが、しかし法的な裏づけをもっと与えたほうがいいとか、いろいろ法改正問題点があるわけですが、その中の重要な点について項目的でいいですから、御指摘できたらひとつ御説明を願いたいと思います。
  32. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 今後の法改正項目でございますが、先ほどもちょっと申し上げましたように、さしあたりの行政指導といたしましては、定款改正等でやっていただいたわけでありますが、これは法律論になると思いますが、やはりそのうちで相当重要なものにつきましては、自主的に定款でやるというのも一つの手ではございますが、法律上はっきり定款ではこういうことをきめなければいかぬようにして制度を確立するというのも、あり方としては考えられるんじゃなかろうか。したがって、そういういままで行政指導でやりましたものを、法律制度としまして、はっきりするという点が研究項目一つになろうと思います。  それからもう一つの点は、行政指導ではできない面が御指摘のようにございます。その例を申し上げますと、たとえば仲買い人免許制考えるという場合は、これは法律改正を要するわけでございます。それから仲買い人外務員につきましては、現在、取引所登録という形になっておりますが、それだけでいいものか。あるいはこれを証券取引所法と同じように、主務大臣に対する届け出、あるいは許可制というようなところまで踏み込む必要があるのではないか。これまた法律改正の問題でございます。なお、公正な価格を形成していくという取引所の任務から見まして、現在の主務大臣監督程度でいいだろうかという監督体制の問題がございます。この監督体制の問題につきましては、これはもちろん法律事項でございますので、大ざっぱに申し上げますと、以上のような点が法律問題としては問題になる、かように考えております。
  33. 亀田得治

    亀田得治君 概要はわかりましたが、そこで私のほうで二、三点、私なりに考えておる事柄について、ひとつお聞きをしてみたいと思います。  それは第一に、いわゆる総合仲買い人ですね、デパート仲買い人の問題です。この数は現在非常に多いわけですが、その現状をまず先に御説明いただきたいと思います。仲買い人の中でどの程度デパート仲買い人がいて、たとえば全商い高の中に占める割合とか、そういう点を明らかにしてほしいと思います。
  34. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) 具体的な調査農林省関係で出ておりますので、農林省から御答弁申し上げます。
  35. 杉山克己

    説明員杉山克己君) 全体の仲買い人の中でデパート的仲買い人がどのくらいあるかということは押えておりませんが、一つの例として、東京穀物商品取引所におきまして三十二年当時と三十八年当時を比較したものがございます。三十二年に二種の商品を扱っておったものが十七人、これが三十八年になりますと十三人。三種の商品を扱っておったものが三十二年に五人、三十八年に三人。四種の商品を扱っておったものが三十二年は四人、三十八年は七人、それから五種以上は三十二年はございませんでしたが、三十八年は五種を扱う仲買い人が八人、六種を扱う仲買い人が五人、七種を扱う仲買い人が四人と、かように多商品を扱う仲買い人の数がふえてまいっております。  それから仲買い人取引所に加入しておる状況でございますが、二つ以上の穀物取引所に加入しておる仲買い人の数、これもやはり同じ東京穀物商品取引所の例でみますと、加入取引所の数二カ所というものは三十二年は一人でございましたが、三十八年は八人。三カ所というものは三十二年は一人でございましたが、三十八年は二人。それから四カ所以上は三十二年はございませんでしたが、三十八年に四カ所が四人、五カ所が二人、六カ所が一人、かようになっております。非常に多角経営といいますか、デパート化した仲買い人が多いということが東京穀物商品取引所でもあらわれております。
  36. 亀田得治

    亀田得治君 これは東京穀物だけでなしに、全国的な傾向と見ていいわけでしょう。
  37. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) いわゆる総合仲買い人が増加傾向にあるということは、先生のおっしゃるとおりでございます。
  38. 亀田得治

    亀田得治君 まあ私が特にお聞きしておるのは、数の上ではまだ少ないでしょうけれども取り扱い量なり実力というものが非常に違うわけなんですね。全体の取引界におけるその比重というものがどういう状態であるかということがはっきりしませんと、デパート仲買い人に対する態度といいますか、そういう点の立法上の措置もこれはきちんと出ないわけです。そういう意味で聞くわけですが、大体全商いの中の八〇%は、これらの数の上では少ないデパート仲買い人によって占められておるというふうに私は聞いておるのですが、どうなんでしょうか。
  39. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) まことに恐縮でございますが、正確な数字はつかんでおりませんが、まあ相当な部分この総合仲買い人、デパート仲買い人によって占められておるのではないかというふうには考えております。
  40. 亀田得治

    亀田得治君 その相当というのは、これは何か資料はあるわけでしょう。調べればわかるわけでしょう。
  41. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) はい。これは調査すればすぐわかると思います。
  42. 亀田得治

    亀田得治君 これは委員会外でいいですから、資料に基づいてどの程度になっておるのか、ひとつ明らかにしてほしいと思います。  そこで、私はこのデパート仲買いというのは、現在の取引所法の二十三条の一項、この資格要件ですね、こういうものには当てはまらぬ人が多いのじゃないかというふうに考えているのです。たとえば三菱商事とか、あるいは三井物産とか、伊藤忠とか、そういう総合的にいろいろなものを扱っておる総合商社ですね、総合商社がやる場合は、それは当然当業者の中に私は入ると思うのですが、むしろそういうのは少ないように私は聞いているのです。定款にだけ穀物なら穀物、砂糖なら砂糖、そういうものを扱うということを書いておるだけであって、定款に書きさえすればそれで当業者だというふうな、これは無理な解釈があるんじゃないかというふうに思うのですがね、その辺どういうふうに当局は解釈をしておるのか。この法律の二十三条の資格要件は、現にやはり上場されておる品物を流通面なりあるいは生産面で扱っておるということが、これは何と言っても条件なんでしてね、だからその点に非常に矛盾がある。私は矛盾があるから、デパート仲買いというのは無資格者として登録なりそういうものを消してしまえと、そういうことを言うのじゃない、これは必要性があって出ているのですから。ところが、その法の規定との間に何べん考えても矛盾があるように思うのでして、矛盾があるならあるでやはり法改正の中でそういう点を検討して、ちゃんとした地位を法律上与えるようにしなければならないものだと思うのですがね、その辺はどういうふうにお考えでしょう。
  43. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) お答えいたします。確かに実態的には先生のような御質問の点が問題かと思います。ただ従来、私ども考えといたしましては、いわゆるデパート仲買人と申しますと、大体において会社組織でございます。その会社の定款にこれこれ、これこれ、いわゆる五つにしろ十にしろ、こういう売買行為をするという会社であるというようなことでできた会社ということで会員に入りますと、それはまあ認めざるを得ないのではないだろうかというような考え方で処理しておりますが、確かに実際問題としては先生の御指摘のような問題があろうかと存じております。
  44. 亀田得治

    亀田得治君 しかし、それは定款に書いてあると言いましても、この法律の趣旨はやはり実際に営んでおるということだろうと思うのですよ。そう読まなけりゃこれは矛盾が出てきますよ。定款にさえ書けばいいのだということであれば幾らでも脱法行為ができるわけですね。だから一体総合仲買い人のような場合に当業者主義というものが必要なのかどうかということがやはり問題になろうと思うのですね。で、そこら辺の検討をやはり今度の法改正の場合にも十分すべきじゃないか、これは非常な疑義が持たれておる点なんですから。たとえばこの会社をつくって仲買い人としての登録を受けるといったって、登録を受けるときにはまだ扱っておらぬわけでしょう。だからそれは私は二十三条に反すると思うのですよ、そういう規定が出てきた趣旨に。だから二十三条は当業者主義という立場に立ってできているのでしょう。だからその辺に何か割り切れぬものがあるわけですね。だから今度の改正過程においてこの問題をひとつやはり議題にして、きちんとしたものにすべきだと思うのですが、どうですか、局長
  45. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 私も専門家でございませんので、どうも申しわけないのでございますが、おっしゃるとおりこのデパート仲買い人の問題は根本的に言いますと、当業者主義と少しずれてくる問題であろうと思います。したがいまして、御指摘の点は先般の審議会でも御指摘のような感じで問題になっております。非常な貴重な御指摘の点だと思いますので、審議会で十分法律改正過程において審議してみたい、かように考えております。
  46. 亀田得治

    亀田得治君 まあその法律がある場合には、なかなか改正できないという場合には、拡張解釈なり運用でその辺をかっこうをつけていくということはこれはまあやむを得ない。取引所だけじゃないのですが、法律改正をやろうというのですから、そういう資格要件なんかについての疑義というものはこの際やはりはっきりさせてもらいたい。これはひとつ問題点として出しておきます。  それから次はいわゆる委託者からの証拠金の保管の問題ですね。これはまあいつも非常に問題になるわけです。ことに農林省関係でアズキなどがしょっちゅう問題になる。この証拠金の保管ということが私はひとつ大きな影響があると思うのですよ。そこで私の意見としては、ぜひこれは分離保管をしてほしい、分離保管を。分離保管についてもそのやり方はいろいろ考えられます。取引所自身にやる場合もあるだろうし、あるいは銀行、信託など利用するということもあるでしょうし、あるいは非常にはっきりした形では、たとえばアメリカのような精算会社を別につくるというふうなかっこうで、きちんとこれは別に保管をしておくということであれば、委託者と仲買い人との間でいろいろ起こる争いは、これは相当防げると思うのです。現状ですと、とにかく委託者が証拠金を出したが、仲買い人が一体その金を自分の手元に持っておるのかおらぬのか、どこにいっているのか、皆目これは不明な状態ですね。初めはそういうものに手をつけないつもりであっても、いろいろな事情から、やむを得ずそれを使う。すぐ埋めておくつもりであっても、なかなか予定どおりいかない。そういうことがだんだんたまってきて、いろいろな事件を起こしておるわけですね。だから私は今度の法改正の中で、委託者保護の立場から考えた場合に、この点を一つ大きな柱として、何とかきっちりしてもらいたいと考えているのですが、この点どうでしょうか。
  47. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 私も御指摘のとおりだと思っております。先般の行政指導におきましても、証拠金の流用等につきましては、一応いろいろな面から同意書をとるというふうな指導もいたしておるわけでございますが、やはり徹底的に考ますと、御指摘のように、これを分離するということが一番いいわけであります。アメリカ等におきましても、分離の関係、あるいは精算事務の関係というような面から、精算会社というような制度も、御指摘のように広く採用されておるわけでございます。ただ、日本におきましては、取引の実態が少し違いますので、これにすぐよれるかどうか、あるいは現在のところ、取引所自体がやっておりますので、やはり取引所の組織なりに相当大きな変革をもたらすわけでございますので、先ほど御意見もございましたように、どういう形でやれば実効が上がるか、しかも現状とそう矛盾なくやれるかという問題が今後の研究問題であろうと思いますが、御指摘のようにやはり委託者の保護という面からみますと、私自身もこの問題が一番大事な問題である、かように考えております。したがいまして、先般の審議会におきましても、この問題も大きな項目として取り上げて研究しようということになっておりますので、われわれとしても、実情に沿った案を十分研究してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  48. 亀田得治

    亀田得治君 一番明確な分離保管ということになれば、これは精算会社というふうな形が考えられる。もちろん精算会社のつくり方もいろいろまた考えられるわけですが、確かにそうなりますと、精算会社にそういう分離保管の仕事だけやらすというわけにいかないので、現在取引所がやっているような差金の決済とか、いろいろなそういういわゆる営業的なことは一切そちらでやらすということに、どうしてもいかざるを得ぬと思うのです、これは関連して。ところが、私はそのほうがいいように思うのです。現在の取引所制度から考えると、非常な大きなこれは機構上の改革になると思うのです。ところが、なかなか現行制度をそう大幅に変えるということになると、いろいろな疑問も起こる。反対等もまた——これは説明されれば、なるほどと思われるような反対等も私は当然あるものと思う。だけれども、いろいろな事例がら見て、ともかく取引所取引自体を成立させる公の仕事の部分ですね、そこだけを受け持つ。したがってまた、そこだけを絶えず念頭に置いているということのほうが、仕事としてもこれは集中できるわけですね。それから取引所の経営なんかもよく問題になるように、定額会費でいくか、定率会費というものをやはり続けていくかというような問題も、私はこれは関連してくると思う。取引所というようなところは、ほんとうはやはり関係者の定額会費でいくべきだと私は思うのです。そうすると、財政的な基礎がはっきりする。仕事の分量が若干整理されるわけですから、十分経営上も成り立つようなかっこうになるのじゃないかと思うのです。ところが、現状では、アメリカ等が精算会社でやっているようなことも全部引き受けてやっている。なかなかこまかいそういう事務量がずいぶん多いようですね。実際家に聞いてみると、まじめに取引所の発達ということを考えている人は、そういうことはもう手放したいというふうに言われる方もわれわれ聞きます。いろいろなもめごとの途中で、そういうことをよく聞くわけです。だから、思い切って何かそういう体制をこの際考えられぬものだろうか。よく市場の振興論とか振興策とか、そんなようなことが言われますが、取引所がそんなことを言う必要はないのです。それはやはり取引が、出来高が多いほうが、現在の制度だと取引所の収入が多いでしょう。そういうことがやはり関連してくるわけです。忙しい役所が収入が多いというような、そんなことはおかしいので、これを公的なものと考えていく場合には。だから、その辺もあわせてこの際根本的な問題として研究願えぬだろうかということを希望するのですが、どうでしょうか。
  49. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほども申し上げましたように、今後の取引所法改正一つの重要なポイントだろうと、われわれも思っております。したがいまして、十分研究していきたいと思いますが、一面から言いますと、御指摘のように、これは取引所の根本に触れる問題になってくるわけでございます。したがいまして、初めからそういうすっきりした形にいけるのか、まあ現状は現状としてあるわけでございますので、その現状をふまえて、何かいい、取引所自体としても心から乗ってくれるような改正ができないだろうか。たとえて申し上げますと、精算会社というような形になりますと、取引所とは別個のものになって、なにか他人だというふうな感じがいたすわけでございますが、場合によっては取引所の連合会を構成いたしまして、その連合会でそういう事務を行なう。いまの事務を共同でやるというようなことを考えれば、あるいはそう摩擦なくやれるのじゃないかということも、現実問題としては考えられるわけでございます。したがいまして、前向きに、そういう現実的な問題も考えながら、十分研究してまいりたい、いまのところ、どういうふうにこれを持っていくかという成案もございませんが、審議会では大きな項目として研究してまいりたい、こういう気持ちでございますので、御了承願いたいと思います。
  50. 亀田得治

    亀田得治君 ぜひこれはひとつ根本に触れる問題として、御検討を願っておきます。  それから第三には、いわゆる一般大衆取引参加の問題ですが、当局としては、この問題をどういうふうに理解しているか。歓迎しているのか。基本的な姿勢ですね。いや、それはもう自由主義だから、自然に参加してくるものをこばむわけにはいかんというふうな気持ちでいるのか。この辺の考え方をひとつ承りたいと思います。
  51. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 非常にむずかしい御質問で、役所としての考え方は、正直に申し上げましてまだまとまっておりません。審議会過程において皆さん方の意見を聞きながらまとめたいと思っておりますが、私の個人的といいますか、申しわけないのですが感じを申し上げますと、商品取引所一般大衆がどんどん参加いたしていくという問題は、私は証券取引所とは違うという感じを持っております。したがいまして、過度にわたることは適当でない。ただこれを全然しからばやめてしまうかという問題でございますが、私まだ十分勉強はいたしておりませんが、取引所筋から言わせますと、やはり一般大衆が参加しないと適正な価格形成ができないのだという強い御議論もあるようでございます。はたして日本の実情が、いまの実情がそういうことになるものかならぬものか、ここら辺は今後の情勢判断の問題にもからむわけでございますが、審議会で十分審議をしていただきたい、かように考える次第でございます。
  52. 亀田得治

    亀田得治君 一般大衆がよけい参加し過ぎることはどうも好ましくないと、こういう御意見のようですが、私もその点ではそういう考えを持っているのです。やはりなんでしょう、この商品取引所法の根本の問題というのは、その取引を通じて、最終需要家が安全に品物を入手できるというところからこの必要性が何といってもこれは出ておるわけでありましてね、だからその点をやっぱり根本に考えていかなければならぬと思うのですね、根本に。単なる投機のためだけに参加してくると、しかしそれをどういうふうにチェックするかということになると、これはなかなかいろんなまた反対論も出るわけでしょうがね。指導方針というものは、私はおのずからそこにきちんとしたものがなければならぬと思う。この点はやはり証券の場合とこれは若干違う。証券の場合には、これはああいう上場会社などの場合には、いわゆるこの所有と経営との分離といったようなことが、これはまあどこでも言われるように完全に行なわれておる。上場されておらない中小の証券はこれはまた別個な考え方をしなければならぬと思う。上場されておるような場合の証券の場合には、性格がもう違ってきておりますよ。したがって、所有と経営が分離されておるのだから、その所有の点に対してだけ大衆が参加していくということは、これは私は理論的にも通ると思うのです。しかし商品取引の場合には、その点が私は大きな違いだと思いますので、そこの基本的な立場というものを、この法改正過程においてやはりきちんと確立してほしい。たいていまあ実務家なりいろいろな人に聞くと、あまりよけい来過ぎてもいかぬ、しかし一人も来ぬのじゃこれはまたぐあいが悪いというふうなことがある。だからそういう常識的な理解だけじゃなしに、もっと掘り下げたその点についての考え方をはっきりさせてほしい。そうせぬと、これはいろんな法律ができたあとの運営上の問題ですね、いろんなことにこれは響いていくわけなんです。あるいは監督上の問題にも響いていくわけですね。だからその点をひとっこれは法律の上に出す必要もないことかもしれぬが、やはりうんと掘り下げたものをひとつやってほしい。どうでしょう。
  53. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘の点は、今後十分掘り下げてみたいと思います。先ほども申し上げましたように、その点については全く同感なことでありますが、証券とは違う、本質的に違うものじゃないかと考えるという点は、私も理解しておるのであります。したがって、そういう理解のもとに今後どうするかを考えてみたいと思いますが、ただ現実には相当なものが参加いたしておるわけでございます。それが弊害のない形で参加できるような制度が何かできます場合は、これはまああまり現実と飛躍して極端なことをやる必要もないような感じもいたすわけであります。したがって、この問題は根本的には私は大衆が参加するのは例外である。しかし、その例外がどういうふうにしたら弊害なくやれるかというところに、現実問題としてはポイントがあると思います。したがいまして、そういう両面から根本的な考え方を持ちつつ、実際とあわせて十分掘りげて研究をしてみたい、かような感じで現段階ではおるわけであります。
  54. 亀田得治

    亀田得治君 現行法のたとえば九十条とか百二十四条とか、そういうところを見ますると、「過当な」取引ということばが出てくるわけですね。この「過当な」取引という概念ですね、これはどういうふうに理解しておられるでしょうか。過当は過当、多過ぎる取引であるというようなことじゃなしに、たとえば生産量なり実際の流通高、そういうものに比較して取引所内における商い高、まあこれが当然多いわけですね。多いわけなんですが、どの程度というものを適正な取引というふうに考えておられるのでしょうか。具体的にはその点の考え方がはっきりしておりませんと、何か九十条なり百二十四条などを使うといいましても使いようがないわけですよ、どうなんでしょう。
  55. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘の点は私も十分わかっておるのでありまして、まあ過当というのは抽象的な表現でございまして、どの程度を過当と認めるかという基準が実はほんとうのところはほしいわけであります。今後の取引所がほんとうにその本来の使命を達するように、公正な価格をこの場で形成できるという形に持っていく。投機の場所にならないような形に持っていくためには、何らかこういう場合はすぐ手が打てるという基準が実は私どもにほしい、かように考えているわけであります。したがいまして、取引所における取引の適正規模というようなものが何らかの形で実現できないかという点を研究いたしておるわけであります。実際の量の二十倍の取引があるというようなことはおかしい話でございます。審議会におきましても、この点は一つ項目に実は上っておるわけでございます。具体的にそういうものが発見できること、これは物資によっても多少事情が違うと思いますが、少しこういう問題も実際問題として研究してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  56. 亀田得治

    亀田得治君 私もいろんな機会に実務家なりそういう方面を理論的に研究しておる人からも意見を聞くのですが、大体生産量の二、三倍、年間比較してのことですが、まあ輸入品もありますから、流通高に比較すると三倍ないし五倍、ここら辺が大体ちょうどいいところじゃないか、それより少なくてもこれは公正価格の形成にかえって支障がある、これを越えるとやはりだんだん過熱する、こういうふうなことをよく聞くわけですが、たとえば大阪の砂糖取引所の沢田徳藏さんなんかそういうことを非常に興味を持って考えておられるようですが、そういうことを言われますがね。どうなんでしょうか。
  57. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 私どももそういうお話はおりに触れ聞いております。御指摘のように、物によって多少違うと思いますが、三倍とか五倍というのがいいじゃないかという御議論もあるようでございます。また現実に有識者は研究をしていただいておるわけでございます。われわれといたしましても、これは物によって違いますので、おそらく今後の制度としては運用基準というような形になるかと思います。何らかそういうものが発見できるならば、今度の制度改正運用基準として取り入れたらどうかということを考えておるわけでございまして、具体的に何ぼがいいかということは現段階においては申し上げられませんが、おっしゃる意味は十分理解もいたしておりますし、今後も研究してみたい、かように思う次第でございます。
  58. 亀田得治

    亀田得治君 少なくともアズキなどは、これはもう全くむちゃくちゃですね。もう百倍越えることがあるわけでして、きょうおそらく農林省もそれを言われるだろうと思って資料は持ってきておられると思いますが、ちょっと試みに数字を持ってきておられましたら、ここ五、六年のことでけっこうですから、商い高と日本のアズキの生産量、何倍になっておるか、ちょっと数えてもらいたい。
  59. 杉山克己

    説明員杉山克己君) 前年の生産高と当年の出来高、出来高と申しますのは商品取引所におきます取引高、これを倍率で見てまいりますと、三十六年におきましては五十六倍、端数は省略いたします。三十七年におきましては二十二倍、三十八年におきましては百二倍、三十九年に百倍、四十年に六十八倍となっております。
  60. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、いま一例をちょっとお示し願ったわけですが、絶対数から言っても、ほかの商品に比較して非常に倍率が高い、しかもその年の豊凶がもちろん影響するわけでしょうが、非常な年によって差があるわけですね。こういうことでは需要者としては非常に困るという苦情がずいぶん出ておるわけですね。それは不作のために自然に高くなるという程度は、これは取引所がなくてもそうなるんで、これはいたし方ない。ところが、それを越えて非常に高くなるわけですね、あおられて。実際は最終の需要家のためのこれは制度なんですから、そういうことは困る、アズキなどはしょっちゅうそういうことを繰り返すので、こんなものは上場商品として適当ではないのだというふうな意見がずいぶんあるわけですが、私はほんとうに迷惑かけていて、たいした利益がないというものであれば、そんな投機の対象にして、一部の者だけが騒いでおるというようなことはやめて、もうさっぱりとはずしたらいいと思うのですね。これは農林省のほうでどういうふうにそこを検討されておられますか。
  61. 杉山克己

    説明員杉山克己君) アズキの商品取引につきまして、ほかの商品の場合よりも事故が多く出ているということは、たいへん私どもも遺憾に思っております。ただ、私どもとしましては、アズキは雑穀の中でも非常に重要な商品でもございますし、取引所におきまして上場されておることが公正な価格の形成、流通の円滑化ということに役立っているというように考えておりますし、また、歴史的にも昭和二十七年以来上場商品として一貫して扱われております。そういうようなこともございまして、事故が多いからと言って直ちに上場を停止するというようなことまでは考えておりません。しかし、フルに事故自体をなくすることは当然必要でございますので、先ほど来いろいろ通産省のほうからも申し上げておりますが、各種の規制の徹底をはかるとか、あるいは検査を強化することによって事故をなくしてまいりたい。それからいま現在は特に過熱投機ということは出ておりませんが、三十九年の不作のおりには、先ほど申し上げましたように、百倍、あるいはそれを上回るというような出来高がございまして、過熱であったのじゃないかというように見られましたので、冷やすたの対策をいろいろ講じております。何倍くらいが適当であるかということは、客観的なほかの条件と総合的ににらみ合わせて考えなければいけませんので、具体的には示しがたいのですが、少なくとも百倍を越えるというようなことは異常だというふうに考えております。今後も、そういったようなことから相場が乱調になるというようなことがあるならば、これは十分心して抑制策を考えていかなければならない、かように考えております。
  62. 亀田得治

    亀田得治君 まあアズキなどは、ずっとそういう上場はされていなかったわけですね。戦前もなかったのでしょう、どうでしたか。
  63. 杉山克己

    説明員杉山克己君) 戦前はございません。
  64. 亀田得治

    亀田得治君 まあ、それでちゃんとおさまっていたわけでして、とにかく戦後取引所の設立というものが非常に容易になり、いろんなことから上場商品もふやす、アズキも出てきたというような、たぶんに気分的なものがある。だから私は今度の法改正等においても、やはり現在の上場商品がみんな適当なのかどうか、あるいはさらに上場されておらないもので、こういうものは上場すべきじゃなかろうかとか、経済の実態がどんどん変わっていくわけですからね。十年、十五年したら相当いろいろな実態が変わるわけですから、何か上場商品が少なくなったから役所の仕事がさびしくなるといったような、けちな考えじゃなしに、やはり根本的にこういうこともこの際考えるべきだと思う。これは上場していればしているなりの理屈はいろいろ言いますけれども、あまりにも事故が多いんですよ。  私は、きょうは多少もう少し時間があれば、名古屋の丸正事件とか、あるいは神戸のソーワの問題とか、あるいは東京の山榮物産のたとえば黒部出張所のいいかげんな置き方をして、ずいぶん農民とかそういう人に迷惑をかけておる、そんなようなことも少し追及したいと思っておったんだが、これはまあ時間の関係もあるし、きょうはまあそうこまかい具体的なことはやめて、これは言いませんけれども、ともかくアズキには問題が多過ぎる。結果は普通の善良な人が泣かされておる。いろいろな非劇が起きておるということなんでして、こういうことは商品取引所全体の品格を落とすものですよ。スムーズにいっているところは新聞に何も出ない。ところがいろいろなことがちょいちょい出る。週刊誌などにも書かれていたりする。そうすると今度は取引所自体を罪悪視し、否定するような考え方に変わるわけですよ。そういう点が何となく影響して、それは私は取引所の正しい意味の発展にはやっぱりマイナスだと思います。だからそういう意味で私は言っておるわけで、何も役所の権限をひとつ減らしたらどうかということを言っておるのじゃない。これはやっぱり真剣に検討してほしい。農林省自体が自分のほうであずかっておる問題ですから、ほんとうにこれは検討してください。取引所法改正のときに、私はもう一ぺん質問にきますが、どうしてもこれを残しておかなければならぬという根拠を、もし残すなら根拠をはっきり説明してもらわなければ、私はこれだけはどうも納得がいかぬわけです。研究してくれますか。お二人に聞いておきます。
  65. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) 審議会におきましても、先生の御指摘の上場商品の問題につきましては、いろいろ具体的に検討してまいるということに相なっております。したがって上場商品、まあアズキに限らず、現在上場されている商品についても十分検討が行なわれましょうし、私どものほうといたしましても検討してまいりたい、かように存じます。
  66. 亀田得治

    亀田得治君 農林省はどうですか。
  67. 杉山克己

    説明員杉山克己君) 何が上場商品として適当であるか、アズキは不適当なのではないかという御意見、よくわかりました。私のほうもいろいろ問題も起こっておりますので、いままでも十分検討は続けてまいったのでございますが、さらに一そう通産省のほうとも歩調を合わせまして、審議会にも御相談して十分研究、検討を続けてまいりたいと思います。
  68. 亀田得治

    亀田得治君 もうお約束の時間も過ぎてきておりますので、あと簡単に聞きますが、例の問題になっておる懐玉の問題ですね。まあ行政指導でもいろいろされておるようですが、私はこれはもう法律できちんとはっきり禁止すべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
  69. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 先ほども申し上げましたように、この問題につきましては、行政指導を強化いたしまして、届け出制を現在とったわけでございますが、まあそれによりまして、私どもといたしましては現実には相当弊害がなくなるという感じを持っておるわけであります。しかし、今後実態を調べてみませんと、行政指導的な措置だけで済むかどうかという問題があろうかと思います。法律改正過程におきましては、これを制度として廃止してしまうという点は問題になろうかと思います。現段階におきましては、まあ廃止までいかなくても指導でいけるのではなかろうかという感じもございますが、確かにこういう面から弊害があるということも事実でございますので、法律改正をやる必要があるかどうかということは、今後の研究問題として研究してまいりたい、かように考えております。
  70. 亀田得治

    亀田得治君 最後の質問になりますが、監督官庁の一本化の問題ですね。最初通産大臣からそのことについてちょっとお答えがありましたけれども、私はやはり一本化をすべきじゃないかと思う。現在通産、農林のほうで、しかも通産、農林の内訳がまだ局が三つ、課にすると四つと、こういうふうなかっこうになっているわけで、これはまあ物資別という立場からできておるわけですが、どうも監督していくという立場からみたら、物資別の考慮ももちろんこれは要るんですが、そのことは念頭に置いてやればいいわけで、何とかこれを一本にできないものだろうかと、戦前はそうなっていましたね。戦前の商工省ですか、商工省の中に一本の課があったわけですが、そういうことで私は差しつかえないように思うのですが、どうなんでしょうか。
  71. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 大臣からもお答えいたしましたように、先生また御承知のように、現在の大体所管といいますか、行政事務のやり方は、大ざっぱにいいますと、大体業種別になっておるわけでございます。そういう面から戦前と違いまして、戦後はこういう取引所物資別に監督していくということになったわけでございます。私考えますのに、まあ取引所につきましての監督は、一般的な監督面と、それからもう一つは、従来はむしろそういう面に役所はどちらかというとタッチせずに、取引所の自主性にまかしていたわけでございますが、先ほど来御議論のございますやはり公正な価格を形成するという面についての指導、監督を強化するという面からいいますと、これは物資によって相当やはり違うわけでございます。そういう面の指導強化、監督強化をやります場合は、どうもこれを通産省に統合いたしましても、通産省はアズキのことならばこれはわからないわけでございます。生産、流通、そのアズキのやはり行政に携わっている者が一番私はわかりいいのじゃないか、かような感じを持っておるわけでございます。したがって、今後政府がこの取引所の適正な価格形成という面でどういうように指導、監督をしていくかという問題ともからめて考えてはいかがかと、こう考えておりますが、現在の気持ちとしましては、むしろ物資別にそういう面にタッチしていく面がいまより多くなるのではないか。したがって、情勢としては、なかなかこれを一本にまとめるという方向よりは、そうでない面が強く出るんじゃなかろうかというふうな感じを持っておるわけでございます。ただ、そうなりまして、各省間の考え方がばらばらということでは、政府としてもおかしいわけでございますし、また取引所の運営も期せられないと思いますので、何か現在でもやっておりますが、農林、通産が非常に緊密に連絡しながら監督に遺憾なきを期することをもう少し積極的に、現在でも相当やっておるわけでございますが、考えるほうが、あるいは現実に合うんではなかろうかということも考えておるわけでございます。今後の問題といたしましては、監督強化という問題が、審議会一つの議題としても出ておるわけでございますので、おそらく先生の御意見のような意見も出てまいると思います。両面ありますので、慎重に検討したい、かように考えておりますが、役所としましては、これを一本にするという考え方は、現在のところは持っていない、かように御了承願いたいと思います。
  72. 亀田得治

    亀田得治君 それで、最初にデパート仲買い人のことにちょっと触れたわけですが、これは商い高の大部分を占めておるわけですね。そっちのほうは各界にまたがるわけなんです、デパート仲買いのほうは。ところが取り締まるほうは、そのデパート仲買いの部分部分に接触する、こういうことになるので、そういう面の不便さ、矛盾というものが私はますます今後出るんじゃないか。だから各業界の事情を知りながら、しかも一本にするということを、私は考えられぬものだろうかと、こう言うておるわけです。そうすると、ざっくばらんな話が、じゃ通産省にアズキの勉強せいと言うても、これはなかなかちょっと無理かもしれぬ。しかし、アズキはそのうちはずれるかもしれませんが、アズキ以外にしても農産物のことをやれ、本来これは別だ、こういうことはわかりますが、だからそうなると、たとえば、通産省農林省もやめて、経済企画庁あたりに一課なり一局を設ける。そこへおのおの物資のわかっておる通産、農林から出向していくというふうなことなら、きちんとこれは事情がわかりながらまとまり、そうして相手の総合仲買い人が出てきても——現在ですと部分的にやられるものですから、ごまかしがきくんですよ。また調べにくるほうだって、部分しか頭にないものですから、ごまかされてしまう。それができぬようになって、私非常にいいように思うんですがね。出向するんだから、別にそう権限が狭まったという感じも多少はやわらぐだろうし、何かそういうようなことを考えてもらえぬものだろうかというのが、私のいろいろ具体的な問題にタッチして感ずることなんですが、どうですか、経済企画庁案というのは。
  73. 熊谷典文

    政府委員熊谷典文君) 御指摘の点は、私もいまの体制において非常に部分的な面をそれぞれの部課や省でなくて、総合的にやはり監督をすることが、受けるほうからも便利だという御指摘の点は、私もわかります。ただ先ほども申し上げましたように、これを一カ所にする、しかも商品ごとの問題の知識のある人で、こまかく入ってくるということになりますと、これは企画庁に置くにいたしましても、相当大きな機構改革になるわけでございまして、全体の機構改革とにらみ合わせませんと、なかなか取引所だけでそういう問題を考えるということは、私の力で申し上げてはどうかと思いますので、御遠慮申し上げたいと思いますが、そういうことで、なかなか実際問題としては、現状ではむずかしいと思います。ただ御指摘の点に沿う意味におきまして、現在も多少やっておりますが、今後はいろいろな立ち入り検査をするとか、あるいは監査をするというような場合に、各省が共同してやる、そこにすき間ができないようにする、あるいはもちろんそれぞれの部署に対する立ち入り検査とか指導のほかに、やはり取引所の首脳部に対して、いろいろ御協力申し上げるというような面もあるわけでございます。こういう面で各省の考え方が多少でもニュアンスが違いますと、混乱を起こしますので、そういう一本で指導したほうがいい、あるいは申し上げたほうがいいという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、両者の意見を合致させ、さらに共同で検査する、お伺いするというような形をとりまして、先生の御指摘のような弊害ができるだけないように善処してまいりたい。これが現在の私どもの気持ちでございまして、まあそれ以上のことは、局長でございますので、ちょっと申し上げかねますのでお許しをお願い申し上げたいと思います。
  74. 亀田得治

    亀田得治君 まあひとつ研究してください。  それから、いま課としては四課あるわけですが、四課の中で取引所関係にタッチしておる専門の人は何名になるのでしょうか。こまかくずいぶん問題が起きて、関係者がやはり本省に行くらしいのだ。だけれども、うちのほうはもう人手が足らぬから、それはなるほど悪いかもしらぬが、とてもそんなことまで手が及ばぬというようなことを、ときどき言われるようですよ。きわめてわずかの人数じゃないかと思うのですがね。ちょっとその人数だけ明らかにしてください。
  75. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) 私どもにおります、いわゆる検査専門職でございますが、これが三名でございます。これは本省において常時検査をいたしております。それから地方通産局、これはおもに商工課でございますけれども、ここに全部で九名、これが商品取引所行政のほうのおもに監督検査に従事しております。それからなお、商品取引所行政の重要性にかんがみまして、四月の二十五日付をもちまして、従来、商務課で担当しておりました商品取引所行政を二つに分けまして、商務第二課というものをつくりまして、そこで商品取引所行政を専門にやる。若干別の事業がございますけれども、大部分商品取引所行政に当たる、こういう制度改正も実施いたしております。大体通産省関係は、そういうような体制で現在やっております。
  76. 亀田得治

    亀田得治君 いまの説明で商務二課というものを新たにつくったわけですね。つくったけれども、担当者は三名しかおらぬということは変わらぬわけですね。
  77. 諸口昭一

    説明員諸口昭一君) 私の申し上げました三名と申しますのは、検査専門職でございます。そのほかに、いわゆる一般商品取引所行政ですね、一般行政職、これが六人ございます。したがいまして課長を含めまして大体十人、こういう形に相なります。
  78. 亀田得治

    亀田得治君 農林省はどうですか。
  79. 杉山克己

    説明員杉山克己君) 私どもの穀物備品、海産物を取り扱っております企業課は課長が一名、班、長一名、検査を担当する者、専門検査官、補助的な検査担当官を含めまして五名、なお本年から一名増員される見込みでございます。したがいまして、現在のところ七名、これが八名になる予定、こういうことでございます。なお蚕糸局関係の生糸、それから乾繭は、実は本日、蚕糸局のほうと打ち合わしておりませんので詳細存じませんが、おおむねいずれも六、七人程度かと存じます。ただし正確なことは、いずれ後ほどまた御報告申し上げます。
  80. 亀田得治

    亀田得治君 全部合計しても三十名になるかならぬか程度でして、そのわずかの者がばらばらになっているわけで、同じ人数でも私は一カ所にきちんと集めて、系統的に動いたら相当効果があがるように思うのですがね。何しろ取引所が二十カ所あり、それから仲買人の支店、出張所なんというものは三千こえているでしょう。それから外務員ども一万名こえるわけでしょう。それだけの者が全国に散らばっているわけでしてね。それは私はいろいろな問題があっても、とても忙しくてそんなところまで一々言うておれぬということを、たまには担当者が言われるらしいが、その気持ちはよくわかるのですよ。わかるのだが、そのわずかの人数をいまおっしゃったように四カ所に分散しているわけです。これは私はやっぱりひとつ研究をしてほしい。これは大臣が初めぱーんとその点を何か感違いされて、否定されたものですから、局長はどうも研究するということもはっきりおっしゃらぬけれども、これは大臣にも私は陳情しますから、これはやっぱり国として全体の能率があがるように考えるためには、やはり一つ問題点だと思うのですよ。研究してください。研究はいいでしょう。じゃ、まあ研究すると言うから、これでやめておきます。
  81. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 午後は一時に再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。    午後一時二十三分休憩      —————・—————    午後一時三十七分開会
  82. 村上春藏

    委員長村上春藏君) これより商工委員会を再会いたします。  委員の変更がございました。亀田得治君が辞任され、その補欠として大矢正君が選任されました。     —————————————
  83. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 休憩前に引き続き、を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  84. 近藤信一

    ○近藤信一君 この際、大臣に若干の質問をいたしますが、私はいま汚職問題というのが、非常に官庁における問題になっておるので、この点についてお尋ねするわけですが、内閣が生まれるたびに、いつも綱紀粛正ということが言われておりますし、また官紀の振粛ということも盛んに言われてきております。特に佐藤総理も今国会の施政演説で、公務員は一そう厳正な規律の保持と、行政の能率的運営につとめ、国民に対する義務を忠実に果たさなければならない、こう施政演説に言われておるわけなんです。しかし官吏の汚職問題といいますか、これはなかなかあとを断つに至っていないわけでございます。特に通産省におきましても、朝日新聞を見ますると、特許庁の汚職で収賄が二十六人、うち逮捕された者が十二人、それから贈賄のほうでは五十六人、うち逮捕された者は十九人、合計して八十二人と出ておるわけなんです。収賄はもちろん役人側でございますし、その役人の中には、特許庁の審判長という高級官吏も出ている。まことにこのことは嘆かわしい事態だと思います。特許庁の汚職は大問題として、新聞にもしばしば報道されておるわけでございますが、そういう関係で国民もこれはよく知っておることだと思います。その他にもこうした汚職がないとも私は言えない。私もただいま確証を握っているのもあるわけでございますが、こういうふうなことで国民の信頼を失するということは、まことに私どもとしても残念だと思います。特に官吏の中から、ちょいとした汚職でも、これは大々的に取り上げられる。こういうことで国民の疑惑というものは一そう深まってくる、これであってはいけない。やはり人間でございまするから、誘惑に弱い点もございまするけれども、それは職掌柄そういう誘惑を排除していかなければならぬと私は思うんですが、この点について、まず大臣の所信を伺っておきたいのであります。
  85. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 近藤さん御指摘のように、官吏の汚職事件というものが、しばしば新聞に報道される。このことが世道人心に与えておる悪い影響というものは、はかり知れないものがあると思います。したがって、政府としては、官吏の綱紀粛正というものが、政治の基本にならなければならぬわけで、信頼が失われて、政治というものはやっていけるわけがない。十分に注意をいたしておるのでありますが、通産省においても、特許庁の汚職事件は、まことにこれは遺憾なことである。ああいう事件もありまして、私も省内の綱紀粛正ということについては機会あるごとに注意を喚起して、ああいうことを再び繰り返すことのないようなことの注意を促しておるわけでございます。それは非常に政治のほんとうの基本に属することで、今後ともああいう特許庁の汚職事件のようなことのないように、十分これは監督あるいは注意の喚起をいたす所存でございます。
  86. 近藤信一

    ○近藤信一君 前大臣のときにも若干問題があって、大臣が庁内に対して、業界から誘いを受けたゴルフだとかマージャンには出ないようにしよう、招待を受けないように、こういうことで庁内を引き締めておられたということもあったわけなんですが、三木通産大臣になってから、庁内に対して、そういうゴルフだとかマージャンに業界から誘われてもこれを自粛せよ、こういうふうなことを通達をされたことがあるかないか、この点いかがですか。
  87. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私はゴルフをやりませんので、あまりゴルフに同情はないんです。みな、ゴルフゴルフと、朝から晩までゴルフの話ばかりして、それはいかにおもしろいものであるにしても、ちょっとやっぱりゴルフにあまり熱心になり過ぎておる面がある。役所においても、そういうふうなウィークデーなどのゴルフは絶対にいかぬ。日曜日にゴルフに行くというようなことは、それはむろんけっこうなことでしょうから、あれはなかなかおもしろしい、なかなか連動にもなるようですけれども、しかし、もうウイークデーなどには、ゴルフなどを絶対やってはならぬ。それからそういうふうなややこしく誤解を受けるようなゴルフに誘われてはいかぬというようなことで、ことにマージャンもやっぱり同じことでありますが、しかしゴルフは時間をとるものですから、そういうことで十分注意をしておるわけであります。そういうことはあまり好ましいことではないと考えて、きびしく申しておるわけでございます。
  88. 近藤信一

    ○近藤信一君 人間でございまするから、そういう個人的なゴルフやマージャンをやるなというような、やぼなことは私は言いません。特に通産省にはそういう点で疑惑が非常に向けられておることは、大臣も御承知のとおり。やはり団体から、あの局長にはこんなときにえらいお世話になったから、ひとつあの局長を慰労しようとか、今度は局長が栄転したからマージャン大会をやろうとか、ゴルフに招待しよう、こういうことで、しばしば誘われておられるやにも私聞いている点があるんですが、人間でございますし、またスポーツでもございまするから、プライベートで、個人の方との交際でいくやつは、私何もあれこれ言うわけじゃございません。やはり何々団体という団体で招待を受けるというふうなことは、私は疑惑を持たれるんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
  89. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 疑惑を持たれるような招待には応じないほうがいい。それはいろいろな交友関係がありますから、そういうことで、あまり窮屈に考えて、業界の者とはゴルフをしないというわけにも、実際問題としてはいかぬと思いますから、それは業界ということじゃなしに、交友関係があるでしょう。しかし、いやしくも通産省の役人が、やはり誤解を受けるような形の招待は受けるべきじゃない。これはやはり各人の良識というものにまたなければならぬ面が多いと思います。規則的にいけない点もありますが、この点は各人の良識によって、いやしくも世間の疑惑を受けるような招待には応ずべきでないということは、近藤さんと私は全く同意見でございます。
  90. 近藤信一

    ○近藤信一君 特許庁に大きな汚職があったことにつきまして考えてみますると、特許ということが、実に大きな特権を持っておるということにもなるわけなんです。しかも、その特許の出願が多いにもかかわらず、審査、審判というものがなかなか進まない。そうしてこれがだんだん長引いておる。早いので三年ぐらいかかるというふうなことでございますから、非常にこれは重大な関係があるというふうにも私思うのですが、どうしてもおくれておるから、何とかこれを早くやろう、やってもらおうという人間の心理といいますか、そういうものが動きまして、今度の汚職のようなことがここに出てきた。官吏が職務に忠実であればあるほど、良心的にも悩むかもしれません。たくさん積もっておるのだから、何とか早くしてやりたいという、そういう仏心も出るのかもしれません。しかし審査、審判というものがおくれて、特許行政というものが非常にうまくいかぬというところで、今度の改正案ということにもなったのだろうと私は思うのでございますが、しかし特許の問題に対しましては、やはり私どもはえりを正して、特許の精神というものにのっとっていかなければならない。審査、審判がおくれることの大きな原因には、何といいましても、時代の進展に伴いまして、特許庁の技術官を増員充実しなければならないのでございますが、それが思うように実現していないというところにもあるのじゃないかと思います。今年も定員増がなされておりまして、四十一年度は百四十四名増員ということになっておるわけでございますが、しかし、それでもなかなかうまくいかない、こういうところに一つ制度としての、何といいますか、矛盾というのか、特許はまた特殊的な関係があるので、人ばかりふやしても、これも解決できないという点もあろうかと私は思うのです。しかし、これはやはり人を幾らふやそうとしても、審査、審問ということになると、まるっきりしろうとばかりではできないわけでございますから、養成していかなければならぬという点もあるわけなんです。そこが私は特許としてむずかしい点じゃないかと思うのです。いろいろと改正をやられて、いままで何回かやってきたわけですが、それでもなお申請出願が山になっておる。これは毎年毎年出願がふえてくるから、若干人をふやしてこれを早くやっても、またふえる。こういうようなことになってきておるのじゃないかと思うのですが、大臣はそれに対して、人員だけをふやしてもだめだ、また機械の点で合理化をやっていこうといっても、なかなか合理化できることではないと私は思うのですが、これはあらためてこの特許法が本委員会にかかって本審査になれば、これは詳しく御質問申し上げるわけでございますが、一応大臣、この点について、汚職と関連した問題でお尋ねしてみたいわけであります。
  91. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、汚職とはこれは切り離して考えるべきものでありましょう。幾ら、いろいろ案件がたまって審査に時間がかかるというような背景があるにしても、これはやはり、だからといって汚職というものが弁護される何らの理由はないわけでありますので、この点は先ほど申し上げておりますように、綱紀の粛正ということに対しては、一段と意を用いてまいりたい。ただ特許制度それ自体が、どうも日本の場合は、申請が実用新案なども相当多くて、たまっているわけです。三年くらいかかる。このことは何らかのやはり制度改正を伴わなければ、人員だけをふやしたからといって、これは解決できるものではないので、特許法の改正考えたわけでございます。これはいま国会に提出をいたしておりますが、審議がおくれておることに対して、非常に心配をしておるわけでございます。どうかこれは御審議を促進していただいて、いま近藤さんの御指摘のような、あまり時間がかかり過ぎる、こういう技術の進歩発展の速度の速いときに、三年も結論が出るまでかかるというのでは、やはり技術進歩のために好ましいことではないわけでありますので、これはぜひとも特許法の改正ができますように、御審議を促進していただきたいと思っておるのでございます。各国とも日本のように困っておる。各国とも、まあいろいろの申請の案件がふえて審査がおくれておるというようなのが、各国の状態のようでございまして、各国ともいろいろなこれに対する解決策を考えなければならぬ段階にきておるようでございますが、日本もまあそういうことで、今回改正をいたしたいということで、法案の提出をいたしたわけであります。これは御審議を願いたいと思っております。
  92. 近藤信一

    ○近藤信一君 いま一つ大臣に伺っておきたいのでございますが、私は何も通産省の人事問題をあれこれ言うわけではないし、大臣の人事行政に容喙をするつもりは毛頭ないわけでございますけれども、ただ私が思いついた点を考えてみますと、特許庁を外局にしたことの意義でございますが、特許行政は特殊な領域でございます。したがいまして、一般の通産行政とは異なった面が多いわけで、これを外局としたのだから、やはり特許行政に詳しい人が当たる、こういうことが私は望ましいことではなかろうかというふうに思うのです。特許庁の長官のような人は、ここに相当腰を据えて、そうして特許行政というものに取り組んでいかなければ、なかなかこの特許行政というものはうまくやっていけないのじゃないか、こういうふうにもまた思えますし、最近特許庁の長官がかわられた任期をずっと見てみますと、井上長官は四年六カ月やっておられたのですが、そのあとはずっとみな短いのですね。通産省の人事を見ていると、ところてん式にどんどんいくから、どうしても短くなっていく。徳永さんが一カ月、斉藤長官が一・一カ月、それから伊藤長官が一年、それから今井さんが一年、それから佐橋さんが一年三カ月、倉八さんが一年六カ月と、こういうふうに平均してみますると、この井上さんは別として、あとは一年内外でたいていかわっているわけなんです。ところが、もう一つ同じ外局で工業技術院の院長、このほうを見てみますと、比較的年限が長いのですね。そういう点にも、私やはり特許行政というものに十分取り組んでいく、腰を据えてやるということができないから、だんだんとこういうふうな特許がおくれていく。こういうふうにも、これはしろうと考えでございますけれども、思われるわけなんですが、大臣はこの点どのように判断しておられますか。
  93. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) まあ、私も近藤さんの言われるように、ああいうところは少し腰を落ちつけてやるようなほうがいいのではないかという感じを持っているわけですが、今度の場合も、特許庁にああいう事件などもございまして、いろいろそういうことも頭に入れたのですが、なかなかそういういまのような原則論と実際とが合致しなかったものですが、原則的な考え方としては、近藤さんの言われること、無理なお話ではないと私も考えております。
  94. 近藤信一

    ○近藤信一君 大臣の時間を制限されているようでございますが、最後に、私はこれは蛇足でございまするけれども、いま私が申しました通産省の、特に特許庁の汚職事件、前には関西におけるところの百貨店の問題等あって、いろいろ汚職というと、通産省なんか新聞に必ず出てくるというふうにも私ども見るわけなんですが、特に先ほども大臣が人事の問題を言っておられたように、特許庁は汚職なんかやっているから、だんだんと特許事業というものがおくれて、事務というものがおくれていくのじゃないかというふうにも思うのですが、特に私はいま衆議院で審議しておりまする万博ですね。この万博が一九七〇年に日本で開催されるわけです。博覧会というものは、いままでの過去に行なわれました博覧会を見ましても、いろいろと汚職問題というふうなものがからんできていることも事実でありますし、またそういういろいろな利権あさりといいますか、そういうことが盛んに活躍されるわけなんで、それで万博に対してもその点を非常に心配するわけで、幸い三木通産大臣が万博の担当大臣でもあるし、やはり今後いろいろと問題が起こってくる。特にこの特許庁の汚職事件を見ましても、関西地方がどうも多いようですが、万博も関西で行なわれるのだから、そういう点ひとつ大臣も十分注意して、あとでまた新聞の種になるようなことのないように、ひとつ万博の問題についても汚職問題を十分監視といいますか、ないようにひとつ考えていただきたい。このことを大臣に希望しておくわけであります。
  95. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私も近藤さんと同じように、万博に絶対に汚職事件のないようなことにしなければ、そのこと自体が成功してもとういう事件がうしろにあったということでは、真の意味の成功ではない。だから、清潔な万博ということで、第一回の理事会にも私が一番注文をつけたのは、そういうことでございます。今後も十分に、この件については私も留意をいたしていくつもりでありますが、どうか近藤さんはじめ、国会の有力な方々も、厳重な監視をしていただいて、万博には一切そういう汚職事件のようなものは起こさないということを、われわれもやりますけれども国会方々にも、そういう点で厳重な応援、監視をお願いいたしておきたいと思うのでございます。
  96. 近藤信一

    ○近藤信一君 次は、銀行局長お尋ねするわけですが、局長も何か、隣の運輸委員会に二時から呼ばれておられるようでございますから、私簡単にお尋ねするわけでございますが、中小企業金融に対しまして、私どもが聞いておる範囲では、都市銀行というものは非常に冷淡な扱いをやっておるやに見受けられるわけであります。そこで一体、現在都市銀行は、中小企業金融をどのくらいの割合でやっておるか。これは、詳しいことはあれですが、概略でもよろしいから、この際お知らせいただきたいと思います。
  97. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 都市銀行の総貸し出しの中で占めておりますところの中小企業向けの貸し出しの割合でございますが、これは昨年の六月には二三%でございました。以後、逐次これがふえてまいりまして、本年の三月に至りまして、四十一年三月では、これが二三・八%というふうになっておるわけでございます。昨年の九月からことしの三月に至る半年間の動きを見ますと、全体の貸し出しの伸びは、比較的低調でございました。ことに、大企業向けの貸し出しの伸びは、非常に低いところでございましたが、中小企業向けの融資は、比較的よく伸びております。すなわち昨年の九月からことしの三月までに、貸し出し全体としては五・七%の増加でございました。それに対して大企業は、四・八%の伸びにとどまっておったのですが、中小企業向けの分は八・七五、つまり大企業向けの貸し出しの伸び率の倍近い伸び率を示しておる。つまり、昨年の秋以降今日までのところは、都市銀行も相当中小金融に力を入れておるということが、一応この数字からは出てまいるかと思います。
  98. 近藤信一

    ○近藤信一君 いまの御答弁によりますると、昨年の六月で割合は二三%、それから秋ごろになって若干ふえてまいりまして、二三・八%。伸び率からいくと、いま言われたように大企業の約倍近い伸び率を示しておるわけでございますが、それにいたしましても、比較的二三%とか二三・八%ということは、割合としてはあまり多いほうではないと、私は思うのです。そこで一体、なぜ都市銀行は中小企業に対して融資を鈍っておるか。こういう点は、いろいろと理由があるでございましょうが、不安だという点もあるでしょう。大企業に比べれば、中小企業は不安だ。ところが、一昨年あたりから、大企業は相当行き詰まってきておる。そういたしますと、大企業がまた、倒産の線も出てきておる。大企業に対しては、大きな貸し出しをしておるわけでございますから、大企業の倒産の場合には、大きな影響が都市銀行にあるわけなんです。中小企業は、倒産したって、たいして多額に融資しているわけじゃないのだから、傷は浅いわけです。そういう点、私どもどうも納得いかぬ。ところが、融資する場合には、歩積み・両建てだということでまたやって、なかなか窮屈になっている。私が聞くところによると、なにか都市銀行に対しては、二〇%から三〇%ぐらいは歩積み・両建てをしても、これはやむを得ないだろう。また相互銀行は、三〇%から四〇%くらいは歩積み・両建てをやっても、これはやむを得ないだろう。こういうことで、大蔵省のほうでは、これは一応黙認した形だ、こういうふうなことを聞くわけでございますが、この点、どうですか。
  99. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 先生御指摘のように、やはり都市銀行も中小企業金融に力を入れて、しっかりやるようにということは、従来とも大蔵省として強く実は指導いたしてまいっているわけでございます。ただ、全体の姿をちょっと申し上げますと、現在都市銀行はじめ地方銀行、相互銀行、信用金庫あるいは政府関係機関等々を通じまして、中小企業向けに貸し出しを行なっている残高というものは、大体十三兆円くらいあるわけでございます。これは、いわゆる大企業も含めました総貸し出しの残高というものが、三月末でもって約二十九兆円ぐらいございます。その割合というものは四三・九%、つまり全体の総貸し出しの中で中小企業に向けられておりますのは、四三・九%という実は姿になっております。その中で、相互銀行、信用金庫、これは中小企業の専門の金融機関というふうにいわれておりますだけに、その貸し出しは、もうすべてこの中小企業向けというふうに実は見て、そういう計策になっております。それで見ますと、ことしの三月で見まして、相互銀行の貸出残高が大体二兆六千億円でございます。それから信用金庫は二兆約五千億円でございます。それに対し、都市銀行の中で中小企業向けに貸し出されております残というのは、先ほど比率で二三・八%と申しましたが、これを絶対額で申しますと、二兆六千億円実はあるわけでございます。つまり信用金庫は五百五十二全部でございますが、その全部合わせて実は二兆五千億円、それから相互銀行が全部で七十二行でございますが、それがあげて中小向けに流している金が二兆六千億円、都市銀行は大体十二行ございますが、その十二行の銀行は、相互銀行全部、あるいは信用金庫全部の貸し出し金とほぼ匹敵する二兆六千億というものを出している。それ以外のものは、じゃどうしているかということになるのでございますが、これはすでに御存じのように、やはり日本の全体の産業の中で、超大企業もございます、あるいは大も中もございますが、全体としてやっている。そうしますと、そういう中小企業以外の企業に対して、どうしても資金のめんどうを、じゃどこでみるのだということになりますと、やはり都市銀行がかなり主体になって見ていかなければならん。地方銀行もかなり見ております。地方銀行は、大体いま大企業向けと中小向けとがほぼ半々でございます。中小向けが約半分より高い五三、四%ございましょうか、そういうふうになっていまして、相互銀行、信用金庫は、それぞれほぼ一〇〇%、こうなっている。ですから、都市銀行が、いま申しましたように、ほぼ七・三の割合でやって、それで日本全体の金融が動いているということでございますから、この点は、二兆六千億という現実の融資があるということは、認めておかなければならんかと思うのですが、ただ、そうは言っても、私どもも、もっとやはり都市銀行というものが中小に力を入れるべきだという点は、先生の御指摘のとおりだと思います。  そこで、いまおっしゃいますような、冷淡であるとか何とかというようなケースが、これは私はやっぱり間々見られるのじゃないか。ですから、そういうことのないように十分気をつけろということは、常時申しておりますし、今後とも十分気をつけてまいりたいとかように思いますが、もう一点お尋ねのいわゆる歩積み・両建てでございますが、これは歩積み・両建てというものを含めたいわゆる拘束預金というのが、一番実は問題になっております。でその拘束預金の面から見ますと、これは御承知のように、いわゆる公取のアンケート調査等でごらんになりましても、やはり都市銀行が一番低い数字を示しております。そのほかに、大蔵省としては、先生御承知のように、いわゆる自粛対象の歩積み・両建てというものを定めまして、三十九年の六月以来今日まで、その整理を促進してまいっております。都市銀行、地方銀行につきましては、昨年の五月末で一応自粛対象部分、つまり非常に行き過ぎておる、度を過ごしておる、これは明らかにやめなければいかぬというものは、これはまあ大体整理が終わっております。相互銀行、信用金庫は、事の性質上、ちょっと一年余裕期間を置きまして、ことしの五月末でもって一応整理を終わるようにということで、実はやってきておるわけでございます。この報告が近くまとまると思うのでございますが、まあおおむね所期の目的をほぼ達しているのじゃないかと一思いますが、ただ、それにしても、これだけお金がゆるんできたというのに、依然として歩積み・両建てに対する苦情がやっぱり絶えない。そこをやっぱりわれわれは考えなければいかぬと思います。いろいろ国会御論議等を通じて拝見いたしておりますと、やはり今日残っておる問題は、なるほど自粛対象の預金は相当整理されたんだと、これはわかる、こういうふうに先生方もおっしゃってくださるわけです。ところが、どうもまだ拘束というものが相当残っておる。ですから、その拘束というものの度合いをもう少し落としていくべきじゃないかというまあお話でございます。したがいまして、私どもも決して現状をもってこれで満足だというようなことは毛頭考えておりません。今後、いわゆる第二ラウンドというようなこともいわれておりますので、まあ大蔵大臣もそのように申しておりますが、ここで第二段の措置を、十分また国会の御意向も伺いながら進めてまいりたい、かように実は思っておるのでございますが、ただ、いま先生御指摘のような、都市銀行は三割も何も認められておるじゃないかとおっしゃいますが、決してそういうことを公認されておるわけじゃございません。現に公取の調査でも、都市銀行の拘束の割合というのは、昨年の十一月で一九・三%というふうに実は低くなっておるわけでございます。
  100. 近藤信一

    ○近藤信一君 いま局長からいろいろと現状についてお答えがあったわけですが、この歩積み・両建てにつきましては、いま局長の言われたように、前大蔵大臣の当時から、やかましく大臣通達というものを出されて、各金融業界では歩積み・両建てをあれせいと、自粛せよと、こういうことで通達が出されて、だんだんとよくなってきておるというお話でございますが、しかし、実際に私どもが当たって聞いておる点から見ると、やはり、そういう自粛もされておるが、まだその反面においては、いまなお四〇%ぐらいの歩積み・両建てをやっておる、拘束預金というものをやらなければ融資してくれない。こういうことも私どもしばしば聞いておるわけなんですね。そこで私どもといたしましても、いま局長は、本年の五月一ぱいに一応調査して整理していこうと、こういうことになって、だんだんと自粛はされておるようでもございまするけれども、依然として、やっておるところはやっておるというふうにも聞いていますし、都市銀行といっても、ほんとうに大蔵省の通達に従ってやっておるところと、またその反面、延び延びになっておるところと、こういろいろとあると思うのです。そういう点、やはりこれを何か一方では正直に守っていくが、一方ではいまなお行なっておると、そういうことであっては私はいけないと思うので、こういうふうにだんだんと自粛はされていくでしょうけれども、私は何といっても、都市銀行などは中小企業に対してあまり優遇しないという点で、いろいろ不平を私ども聞かされておるわけでございますから、そういう点で、いま少しそういう点については大蔵省としては考えていただきたいと思っております。  それからけさほどちょっと話を聞いたわけでありますけれども、何か九州で相互銀行が歩積み・両建て、いわゆる拘束預金をもう廃止したのだというふうなことを私ちょっと聞いたわけなんですが、その事実についてもし御存じでございましたならば、どこはどうしたということを、ひとつお知らせ願いたいと思います。
  101. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 先生のこの前段のお話も全くそのとおりだと思います。私どもも今後ともいまの歩積み・両建ての改善、整理については、一生懸命やってまいりたいと思います。  第二点のお尋ねお話、これはおそらく、いまいろいろ問い合わせてみておりますのですが、どうもこういうことではなかろうかというのです。つまりいま私がちょっとお答え申しました中に、相互銀行、信用全席につきましても、いわゆる行き過ぎた歩積み・両建て、自粛対象ということに大蔵省の通達で定められておるいわゆる自粛対象預金、これを本年五月末までに整理するということになっていると申し上げました。おそらくその九州のほうの相互銀行の関係者が、あるいはそのいまの通達の趣旨に沿って五月一ぱいで、そういうものをすっかりきれいにしました、今後は債務者の皆さまにそういう点では御迷惑かけませんという意味で申したのではないかというふうに思います。御承知のように、歩積みなり両建てなりというものは、本来、商取引の慣行上、ある程度のものはやむを得ない。つまり外国なんかでもそういう取引の慣行でございます。ですから国会の御意向も、そういう取引慣行としてある程度やむを得ないものまで責めるわけではない、つまりそれをこえていかにも行き過ぎてひどいもの、これはいかぬじゃないか、こういう御趣旨でございましたものですから、おそらくいまの話は、根元から一切やりませんという意味でなくて、その自粛分をきれいにいたしましたということではないかと思いますが。
  102. 近藤信一

    ○近藤信一君 公取の事務局長お尋ねしますが、いま局長からも、だんだんと拘束預金の問題については自粛されてきたと、こういう御答弁があったわけですが、公取がその後お調べになった中で、どのようにその点については、拘束預金の点については進んでおるか、この点をお聞かせ願いたい。
  103. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 公正取引委員会といたしましては、昭和三十九年の三月から昨年の十一月まで、中小企業約四千を対象といたしまして、拘束預金の実態の調査を行ないました。その結果を見ますと、最初の昭和三十九年の三月は借り入れ額分の拘束預金額、これを拘束預金比率と申します。これが平均いたしまして二九・三%でございました。それが三十九年の九月には二八・九%となりまして、四十年の三月には二一・五%、昨年十一月にはこれが一九%と、こういうふうに下がっております。それで、私どもこれで必ずしも満足しているわけでも何でもございませんけれども、逐次よくなりつつあるとは見ております。それで本年は五月三十一日現在で、現在全国の中小企業八千に対しましてアンケート調査をやっておりまして、今月中に回収いたしまして集計することになっております。
  104. 近藤信一

    ○近藤信一君 いま事務局長の御答弁で、だんだんと拘束預金というものがずっと低くなってきておるわけでございますが、そこで公取は、どうしてもこの拘束預金の問題で自粛しない場合には特殊指定ですか、あれをやろう、こういうことを公取委員長委員会でお述べになったこともございますし、新聞でもそういうふうなことがしばしば出ておったのですが、現在の公取の方針として、その点はどういうふうに考えておられますか。
  105. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) お話しのように公正取引委員会といたしましては、金融機関につきまして公正な取引方法を指定をしようということで、ここ長い間いろいろ検討いたしてまいりました。最近最終的な基準の案もまとめまして、この五月のアンケート調査の結果などを勘案いたしますとともに、銀行局の調査もございますので、これらを参照いたしまして、もし必要であれば指定をするというような考えを持っております。
  106. 近藤信一

    ○近藤信一君 今度は変わった面でお尋ねするわけでございますが、今年の去る三月十一日日刊工業新聞に、東海銀行の綱紀粛正問題が表面に出た、こういうことで工業新聞ではトップ見出しで書いてありました。いろいろとこれは内部の事情の点で、内部の重役陣がどろ仕合いのような形で進んできたと私思うのですが、それがいろいろな面に新聞の報道を見ると発展しておるようにも私思うのです。これはいろいろと当時の報道によると、大蔵省の監査も受けたり何かしてごたごたしたように出ておったわけですが、その後は一体どういうふうな結末になっておるか、この点いかがですか。
  107. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) ただいま御指摘の本年三月十一日付でございますか、日刊工業新聞紙上に、東海銀行の役員間に内紛ありとする記事が掲載をされました直後に、これは事実の有無を確かめる必要があるとかように思いまして、東海銀行の責任者でございますところの金子頭取に来てもらいまして事情をただしました。その際、金子頭取からは、新聞紙上に伝えられるような事実はございませんということでございました。しかし、その後銀行の首脳部間においてどうも内紛というものがあるのではないかということが、いろいろな方面に伝えられておったわけでございます。これは何と申しましても、信用を重んずる金融機関といたしまして、はなはだ好ましくないことでございます。したがって、一日もすみやかにそのような事態は終止符を打たれなければならない、かように考えまして、銀行経営本来の面目に立ち戻って、経営者は深く自粛自戒をすべきではないかという指導をいたしてまいったわけでございますが、去る六月四日に取締役会がございまして、その取締役会において役員人事の異動の決定がございました。それによりますと、鈴木会長は中部経済圏の法律制定を機会に、名古屋商工会議所会頭の仕事に専念する必要もあり、かつは銀行創設ちょうど満二十五周年にも当たるこの機会に引退をいたしたいということで会長を辞任をする、安江副頭取は、健康が思わしくないという理由で、これは退任という旨、役員会において決定いたしたということが、その直後に金子頭取から私のほうに報告がございました。まあそこで、いわゆる世上取りざたされておりましたところのいわゆる銀行内における問題というのは、決して伝えられるようなことはございませんということを、さらに重ねて頭取からも話がございましたが、ただ、いかにもそういう誤解を受け、世間をいろいろお騒がせしておったということについては、これは非常に銀行としても十分自粛して自戒をせねばならないという気持ちを、強く抱いたようでございました。銀行内部の問題として、これを自主的に解決をはかった、しかも早期解決をはかったという点で、まずまずであったなと思っております。で、私は報告を聞きました際に、どうかひとつ今後はこのようなことが起こらないように、銀行というものの信用を傷つけないように、国民経済全体から、つまり負託をされておる大きな使命があるわけでございますから、その使命にぴしっとこたえていくように、しっかり経営をやってもらいたいということを申しておる次第でございます。
  108. 近藤信一

    ○近藤信一君 いま局長も自主的解決云々ということを言われておりまして、これは福田大蔵大臣もこれは自主的解決でいい線であった、こう言って喜んでおられるし、宇佐美日銀総裁も、このことは言っておられる。ところが、実際私が不可解に思うのは、これは工業新聞がないことを書いたわけじゃないと思うので、この中で、責任のある副頭取の安江さんが、当時の会長の鈴木さんに対して、不正問題がある、不正融資の問題がある、綱紀粛正をやらなければならぬ、それから銀行法違反、それから私文書偽造、背任横領、こういうことで東京地検に告訴するのだと、こう安江さんは言っておられると、こういうふうに新聞に出ておったし、またその内容をずっと見て、やはり東海銀行が三十九年の使途不明金の操作をめぐって粉飾決算をした、それから過小申告で税務調査を受け、重加算税の追徴を受けるということもあったじゃないか、こういうことを副頭取が言っておられるわけですね。また、さらにこういうことも言っておられる。使途不明金の不明瞭な経理は、一体鈴木会長にあるのだ、使途不明というのは一体どういうところにあるのか、いわゆる銀行を私物化して不正融資をやっておる、政治献金によるものがある、こういろいろと言っておられるのですね。私は表面に出ないだけで、東海銀行といえば、中部きっての一大都市銀行であって、名古屋を中心とするあの隣県に対しては、大きな勢力を持っておるわけなんです。こういうふうなことも中にはあるのじゃないかというふうなことも、私どもは思うわけなんですが、それはいろいろと調査した結果、そういうことはなかったのだと大蔵省のほうでは言っておられるのですけれども、どうもここら辺は私はおかしいのですが、この点どうですか、実際は。
  109. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) まあいまの粉飾決算でございますとか、脱税といったようなお話がございました。これは大蔵大臣も記者会見などでも申しておりましたが、まあ税の査定をめぐりまして、税務当局と企業の当事者との間にいろいろまあ見解の食い違いがあるということは、これはまあ一般の事業法人でもままあることでございます。それはまあ銀行といえども、決して例外ではない。要するに法人税の解釈上、つまりどこまで損金にするとかしないとか、それはもちろん基本的なルールはございますけれども、具体的な個々のケースに当たりますと、それはいろいろ見解が違ってということは、よくある話じゃないかと、結局はそのようなことが何か非常に誇大に伝えられたということではないかと思います。  で、粉飾決算ということばがございました。これはいわゆる証券取引法上における粉飾決算というものを禁止する趣旨から見て、万一真にそういう粉飾があるということですと、それは非常に問題でございます。それは私ども銀行検査を通じて調べておりますけれども、そういういわゆる粉飾という事実はございません。その点は、当時それが問題になりましたときも、私、まあ大蔵大臣からも記者会見において発言がございましたし、私からも補足をいたしておいたわけでございますが、そういったわけで、いろいろ誤り伝えられ、もしくは誤解を生んだという面も、どうも多々あるんじゃないかというふうに思います。したがって、今後はそのような世間の誤解を招くようなことは、厳に慎まなきゃならぬ。つまり、実際やってなくても、何かやったように思われる。それがすでにもういわゆる不徳の至すところと、李下に冠を正さずということでなければならぬということは、もう全く先生の御指摘のとおりでございますので、今後とも十分指導上遺憾なきを期したいと思います。
  110. 近藤信一

    ○近藤信一君 それからですね、東海銀行は集中融資をしている。これは銀行でございまするから、もうかるところへどんどん金を貸すことは、当然だと思うんだけれども、やはりたとえば当時、地元の新聞でもいろいろと言われたわけなんですが、愛知紡績がありますね、各古屋に。資本金が二億円。それともう一つ、それの姉妹工場でございまするところの小杉株式会社、これは資本金が八千三百万円。三億円足らずのところに六十億の融資をして、そして紡績のほうが御存じのように不況になってきてだめだということで、今度は東海銀行は輸入金融などを除いた四十三億円に対しまして、一カ年間これをたな上げにしようと、こういうことでいま再建にかかっておるようでございます。その他ですね、東海製鉄も、何か私が聞くところによると、二百数十億から三百億円にわたる金が、どうもたな上げになっているんじゃないかというようなことも聞いておりますし、そのほか観光事業やその他のビル建設の何十億という融資をどんどんやって、集中融資して、そして先ほど私が言いましたように、中小企業に対してはほとんど冷淡である。これは私がかつてですね、中小企業に一千万円の金がどうしても必要だということで、千五百万から二千万ぐらいの不動産を担保にして、そして銀行保証をしてもらいたい。これは、金は借りるのは火災保険のほうから金を借りることに話がついたのですが、そうして、これも支店ではほぼもうよろしいということになったけれども、一応本店の許可をもらわなければいけないということで、私が本店に行って話をした。ところが、わずか一千万円の金を保証してくれない。それはやはり中小企業に対してですね、非常に冷淡な扱いをやっているんじゃないかと、そのときに私はまざまざ見せつけられたわけなんです。大企業に対しては、実際利益があるかどうかわからぬ観光事業なんかにも、どんどんと何十億という融資をやり、中小企業には一千万、五百万の金にさえけちっておる、こういうことでは、私は正常な銀行の業務じゃないのじゃないかと思う。こういうことでは私は論議し得る——地方において東海銀行といえば、ほんとうにもう神さんのような存在なんです。そういう銀行がこういう扱いをするのじゃ、私はあまり信用できないのじゃないかと、こう思うのです。そういう点は、あなたのほうは一体どうお考えになられるのですか。
  111. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) まあ確かに愛知県と申しますか、あの愛知県の中には、いわゆる地元に本店を有する地方銀行というものはございません。これはまあ先生よく御存じのとおりに、東海銀行というものがこれが地元銀行であり、かつ、これがまた東京、大阪その他全国的なネットワークを持つという形に実はなっておる。それだけに、やはり東海銀行というものは、地元の中小企業というものの融資をなおざりにするようなら、これはやはり銀行本来の使命から見てもうよくないということは、もう御指摘のとおりと思います。したがって、そういう大企業に走るあまり、大事なそういう地元の中小企業の育成を怠るというようなことのないように、十分ひとつ気をつけてまいりたい、かように思います。
  112. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後にもう一つ。これは特に銀行業者がいろいろな事業に手を出されるのですね。まあ代表者という名前で、個人かもしれませんけれども、背景はやはり銀行ということになるわけなんですね。たとえば、この東海銀行の場合なんか、テレビだ、それラジオだというので、ああいう事業に必ずこの代表者の名前が筆頭になって出てくるというわけです。金貸しだけでなくして、事業計画にもどんどんと銀行が乗り出すということは、大蔵省として、これはどう思われるのですか。こういうことは望ましいと思われるのか、またはあまり歓迎しないと、あなたのほうは思われるのか。私は特に銀行業務は、そういう民間の事業へどんどんと名前出してあれすることは、ぼく自身としてはあまり望ましいことじゃないのじゃないかと思うのですがね。ところが、今日いろいろな場面を見ておっても、今回でも、いま申請案が出ておりまするところの中京テレビにも、東海銀行の代表者の名前が筆頭で出ている。こういうことも、どうも私は非常にけしからぬと思うのですが、どうですか。
  113. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 銀行の役員というものは、やはり銀行業務に専念しなければなりません。また、銀行自身がやはり他業禁止ということで、銀行法上他業を禁止されております。これはやはりあくまで銀行業に専念すべきことを、法律が明示しております。したがって、役員についても、これは当然専念体制、したがって銀行役員が他の会社のいわゆる常勤の役員というものを兼ねちゃならぬという銀行法上の規定がございます。ただ、それがいわゆる専念体制を阻害しない範囲で、たとえば非常勤の役員になるとかということは、これはまあ、間々あり得るかと思います。したがって、そういう点は、私はもう基本的には先生のおっしゃるとおりだと思います。やたらと手を出すべきでないということは、もうおっしゃるとおりだと思います。ただ、そういったような、いわゆる非常勤の関係で兼ねるということは、これは間々あり得ることですから、これは必ずしも法律ではそこまで禁じておりません。まあ、適正な運営をはかるように十分注意してまいりたいと思います。
  114. 近藤信一

    ○近藤信一君 先日も本委員会で、官公需に対して参考人に来ていただいて、いろいろと御意見聞いたのです。そのときも、ある参考人はそういうことを言われた。やはり銀行が、いろいろと銀行支配によって建設面にくちばしを出してくる。で、それは、銀行が業者を指定してくるということでは、非常に建設業としてはやりにくい、で、銀行が指定しないようにひとつしてもらえぬかという意見参考人は述べておられたのですが、全くそのとおりだと思うのですね。銀行は、じゃビルを建てるから、金を貸しましょうと、そうすると、じゃこのビル建設にはどこの業者にやらせいと、こう指定するわけですね。ですからせっかく自分のところがやらせてもらえると思っているのに、ひょいと銀行がちょっと口を出すだけでよそへ取られてしまう、こう言って建設業の方は、銀行のそういう何といいますか、ひもつきを銀行としてはひとつ自粛してもらいたい、やめさせてもらいたいこういうような意見が出たわけなんですよ。私どももその点については、特にこのごろそういう点が私は銀行として活発になってきたのじゃないかと思うのですが、これは一体どういう傾向か私もわかりませんが、この点はどうですか。
  115. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 確かにおっしゃるように、金融機関というものがつまり融資をするという立場に立って、いわば社会的優位の意識ですね、いわば不公正な取引をしいるということがかりにあるとすれば、これまさに公正取引委員会の問題だろう、独禁法の問題にも私はなりかねないというふうに思います。したがって、そういうことは実際私は行なわれておらぬと思いますが、ただこういう点が、すなわちかなりの融資を求めて企業がこられる、それに対していろんな事情でいろいろ検討の結果融資をするという場合も、やはり銀行というものは片方で預金者というものをかかえておるわけですから、その融資の保全ということにつきましては、債権保全については、十分これは万全の注意をしなければならぬ、そういうような意味合いから、あるいはその企業者の方に向かって何かと注文が出る場合もあるかもしれません。しかし、そういうことは、これはもう良識でもって見るべきことだと私は思います。いずれにいたしましても、とかくのそういう批判が行なわれないように、銀行みずからが姿勢を正すということは必要だと思いますので、先生の御趣旨全くごもっともだと思いますから、十分気をつけてまいりたいと思います。
  116. 近藤信一

    ○近藤信一君 局長何か向こうから呼びにきているそうですから私はもうこの程度にしておきますが、いろいろと銀行に対して、金融業に対しては中小企業が相当苦情を持っているわけなんで、そういう苦情が言えないというところに、中小企業の金融ということに悩んでおるわけなんで、こういう点は、ひとつ監督官庁である大蔵省の銀行局としても、万全の注意を各銀行にやっていただき、そして中小企業金融にも大いにひとつ力をかせよ、こういうことにしていただきたいということをお願いしまして終わります。
  117. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 十分注意してまいりたいと思います。
  118. 近藤信一

    ○近藤信一君 どうぞけっこうですから……。  次に商工会の問題について若干お尋ねするわけでございますが、商工会商工会議所の経営指導員のあり方につきまして、通産省の見解をただしておきたいと思います。  その前に最近社会党で、社会党の中小企業局から全国の経営指導員に対しましてアンケートを行なったわけなんです。質問をお願いしたのは約二千枚お送りいたしまして、そのうち回答のあった分が六百枚から七百枚くらいきているわけなんです。これは中間の集計でございまするけれども、回答はおおよそこれ似通っておるわけでございますから、おそらく結果におきましては、大きな変化はないと思うわけでございます。そこでまずお尋ねいたしたいことは、約六百枚の回答を私どもは入手いたしましたのからいきますると、いろいろ要望がされておるわけでございますが、全国で指導員と称するものは、一体どのくらい現在あるのか、それから商工会に配置されているのは何人くらい配置されているのか、それから会議所にいる人、これがどの程度であるか、それから指導員の配置数別に見た商工会、それから会議所の数についてもわかっていましたならば、これは簡単でよろしいのでございますがお教えを願いたい。  もう一つ指導員一人だけという商工会が全国に幾つくらいあるのか、それから二人くらいのがどれくらいか、また大きなところになりますと何十人といるところもあるんじゃないかと思うのですが、そういうところがおわかりでございましたならば、一応お示し願いたいと思います。
  119. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) お答え申し上げます。商工会及び商工会議所の経営指導員の総数は四千四百四十名でございます。そのうち商工会所属の者が二千六百三十二名でございます。それから商工会議所所属の者が千八百八名でございます。次に指導員の配置数別に見ました商工会議所、商工会の実態でございますが、商工会におきましては経営指導員一人というのが大部分を占めておりまして、これが全体で二千六百四十四の商工会のうちで、二千三十六カ所になっておりまして、あと二人が二百四十八カ所、三人の指導員を置いておりますのが二十八カ所、四人の指導員を置いておりますのが二カ所ということで、五人以上を置いているところはないわけでございます。商工会議所におきましては、大体二人あるいは三人、四人という経営指導員を置いているところが大部分でございまして、二十二人を置いているところは一カ所というふうになっております。なお六大都市等の大きなところは相当の数を置いておりますが、東京商工会議所においては八十九名にのぼっております。
  120. 近藤信一

    ○近藤信一君 一人というところが圧倒的に多数なわけでございます。いまお示しになったように二千三十六カ所が一人しかいない、こういうことになってまいりますると、一人でいろいろと仕事をしていかなければならぬということになると、非常にこれ荷物がかかっていくと私どもは思うのですがこの点はどうですか。
  121. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 予算におきまして経営指導員に対する補助をいたしますその際の基準といたしましては、大体小規模事業者が七百人いるところは大体一人というふうな基準で配置をいたしております。ところが、実際は二百人に一人くらいな割合になっておるそうでございまして、そういう人間の実際上の数等をも勘案いたしますと、一人のところでもまたやむを得ないし、また商工会全体がやはり小規模事業者の団体でございますので、単に経営指導員だけではなくて、会長以下職員全体が小規模経営事業には従事すべきものだというふうに考えておりますので、そういうところもあわせまして、商工会全体がこの事業に従事しているというふうに考えているわけでございます。
  122. 近藤信一

    ○近藤信一君 指導員の業務につきましては、商工会法には別に規定がないようでございますが、第十一条に商工会の事業が列挙してあります。これを見ますると、相談等の事業、それから情報、資料の収集活動、講習会、講演会など、それから展示会、共進会など、意見の公表、建議など、行政庁の諮問答申、その他と、こうなっておりますが、指導員に対しましては、本来どういうことをなすべきものであると考えておられるのか。これをアンケートで見ますると、経営指導が二〇%、それから労務指導が一五%、金融が三三%、雑務が三七・五%、税務が七・八%、こうなっておるわけでございます。この雑務三七・五%というのは多過ぎるわけでございますが、このことが指導員の苦情のようでもあるのですが、一体雑務とはどのようなことをするのか、雑務だから雑務だと、こういうことはとうも——私どもも雑務とは一体何をやるんだろうと、ちょっと疑問をいだくわけでございますが、あなたのほうは、雑務というものはどのように解釈しておられますか。
  123. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) この商工会は、御承知のように地域的な総合経済団体でございますと同時に、小規模事業者のための民主的な団体ということになっておるわけでございます。そういう使命を商工会は持っているわけでございます。お互いに二つの仕事は関連をいたしておるわけでございまして、商工会の事業と経営改善普及事業とは、非常に密接な関連がございますので、どこまでがどちらというふうに切り離すわけにはいかないわけでございますが、お尋ねの雑務は、どういうものかということでございますが、大体地域商工団体としましての庶務あるいは会費の徴収というようなのは、純粋に地域商工団体としての雑務であろうというふうに考えます。ただ、商店街の大売り出しでございますとか、あるいはそろばんの検定というようなこと、こうなりますというと、両者の限界が非常にむずかしくなる。雑務でもあり、小規模事業の指導に非常に密接な関連のある仕事じゃないかというふうに考えるわけであります。
  124. 近藤信一

    ○近藤信一君 長官も、雑務の内容については、大売り出しの手伝いぐらいじゃないかと、こういうことを言っておられるのですが、その中で雑務とは、市町村の行政事務が優先的に扱われておるんじゃないか、こういうふうにも思われるし、そして実際雑務の三七・五%ですか、こうなりますと、指導員本来の目的というものは、あまり達成できないんじゃないかというふうに私思うんですが、この点どうですか。
  125. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のように、商工会が役場と同居しておるというようなことから、ついつい行政事務に使われるという事例もなきにしもあらずというふうに聞いておりますけれども、これはやはり本件の仕事ではございません。そこで、やはり小規模事業指導者というものは、そういう小規模の事業者のための経営指導に専従すべきであるというふうに私ども考えて、これを指導いたしておるわけでございます。
  126. 近藤信一

    ○近藤信一君 ただ商工会が市町村の役場と同居しておるわけですね、おおむね。それだからどうしても雑務のようなことが多くなってくるのじゃないか、こういうことも言われておる。それで、早く商工会としての独立した事務所というものを設けたほうがいいのじゃないか、それは現在の金ではなかなかできないから、こういう点の独立事務所を持つ補助というものができないものだろうか、また役場に同居しておると、なかなか業者の人が自分らのこれが会だというふうに気持ちよく集まるということが——寄りにくい、こういうこともあるのじゃないかというふうに私は推察するわけなんですが、どうしても市町村といっても、やっぱりお役所ということの頭が抜けないわけでございますから、やはりこれは独立した商工会の事務所を持ってやれば、こういうふうなことも除去されるのじゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。
  127. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 商工会の設立当初は、基礎も非常に脆弱でございましたので、市町村の事務所に同居することが多かったわけでございますが、だんだんと力もついてきておりますし、そのための積み立ても行なっておるようでございますので、私どもといたしましては、独立の事務所を持つようにという方向で指導いたしております。で、そのために昭和四十一年度、今年度から商工会の事務所につきまして固定資産税を免除するという措置をとったわけでありまして、私どもといたしましては、独立の事務所を持たせるという方向で指導いたしたいと考えます。
  128. 近藤信一

    ○近藤信一君 次に、指導員の身分についてお尋ねするわけでございますが、指導員は各商工会の職員でございまして、その任免権はだれが持っているのか、アンケートではこれを会長が持っていて、この会長は地方のボスであり、地方のボス間の政争に巻き込まれることなんかもある、身分がかなり不安定なものである、身分保障については、商工会法が成立したときに、衆議院でこれは附帯決議がありまして、つとに考慮されているはずであると私は思うのですが、この実情はいまどうなっておりますか。
  129. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 指導員の任免権は、先生御指摘のとおり商工会の会長にあるわけでございますが、その経営指導員の身分の安定という見地から、補助金を出します場合の補助要綱におきまして、経営指導員の任免の際には、県知事または通産局長承認を要するというふうに規定をいたしておりまして、その面から、身分の不当な解雇というようなことを避ける指導を行なっておるわけでございます。
  130. 近藤信一

    ○近藤信一君 身分保障が問題になりまして、通産局なり、また府県が会長の意向に対して制肘を加えたというふうなことがございますか、もし実例があるとするならば、ひとつお教え願いたいと思います。
  131. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) そういう事例は、まだたくさん聞いていないわけでございますが、ただ一件、ある県の商工会で経営指導員が商店街の指導をしております中に、ある特定の商店を特に親切に指導したということがありまして、ほかの商店から排斥を食った、会長もそれに同意見でこれを解雇しようとしたという事例がございまして、そういう事例につきまして、県当局が間に立ちまして、円満にこれを解決したという例は聞いておるわけでございます。
  132. 近藤信一

    ○近藤信一君 アンケートでは、身分は地方公務員を希望しておるというのが、圧倒的に多数なんでございます。農業改善普及員は地方公務員となっておるよしでございますが、商工会の場合には、これがその身分というのは地方公務員でもなければ、また国家公務員でもない。で、何とかひとつこれを地方公務員に身分保障してくれないか、こういうのが多いわけなんですが、この点についてあなたのほうはどう考えておられますか。
  133. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のとおり、農業改良普及員は地方公務員となっているわけでございますが、農業改良普及員制度も、この商工会法を制定いたす場合には、参考にして検討をいたしたわけでございますけれども、この農業改良普及員につきましては、大体技術方面の指導ということがおもになっております。そこで、ところが商工会の小規模事業の経営改善指導員と申しますのは、これは先生よく御承知のように、小規模零細層の人たちは帳面のつけ方も知らない、あるいは金融の金の借り方も知らないというような層が多いわけでございますので、商工経営指導員が、そういう人たちの中に飛び込んでいって指導をする。場合によっては身の上相談も聞きながら、その間に親近感を持って、おのずと経営指導も行なっていくというような行き方が、すなわち民主的な行き方がいいのではないかということで、商工会は、先ほど御説明申し上げましたように、地域商工団体であると同時に、小規模事業者のための自分たちの集まりである、組織であるというふうな形、組織にいたしまして、そこの職員が、もちろん経営指導員も会長も一緒になりまして、小規模零細層の親切な指導をやる、天下り的な役人的な指導ではないんだというふうな理念に基づきまして、こういう制度を制定いたしたわけでございまして、この弊害も先生御指摘のようにあるわけでございますけれども、制定の趣旨から申しますと、非常に私どもは当を得た制度ではなかったかというふうに考えるわけでございます。
  134. 近藤信一

    ○近藤信一君 農業普及員は、やはりいま長官が言われましたように技術者が当たるわけなんで、ところが、商工会の経営指導員というものは、ただ一つの技術だけではいけないと思うのですね、万能選手でなければいけない。そういたしますと、私はやはり技術者よりもっといろいろな面に自分たちは接触していかなければならぬということでございまするから、やはり農業普及員が地方公務員であって、同じような仕事を、それより以上に自分たちは頭を使っていかなければならぬ。一つの問題だけ取り組んでいるわけじゃないですから、金融の面から税制の面から経営の面から、あらゆる面に取り組んでいかなければならぬ。そうすると、どうしてもその背景としては、それは身分的には何らかしっかりしたものをほしいというのが、私はこの経営指導員の今日の気持ちじゃないかと思うのです。また社会情勢も、この商工会法が成立した当時と比較しますれば、今日までもう五年なり六年なり経過しておるわけでございまするから、そういう点を、私は通産省においても今後検討していかれたほうがいいんじゃないかと思うのですが、この点の余地というものはいかがですか。
  135. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 小規模事業の経営改善指導員の待遇改善につきましては、先生御承知のように毎年予算のベースアップを行なってきておりまして、待遇改善も大幅にやってきておるわけでありますが、先生、先ほどお話のように、商工会制度も五年以上経過いたしておりますので、またその間におきまして、いろいろと問題点も出ておるというふうに感じておりますので、広く慎重にひとつ今後その点を検討いたしたいと思います。
  136. 近藤信一

    ○近藤信一君 次に、待遇の問題でございますが、指導員の給与は、最近は増額されていると聞くわけでございますが、中小企業対策費の予算と同じように伸び率だけはいいようでございます。ところが、実際は出発点が低い。こういうことで伸び率が高くても、金額的には他のほうと比べると低いと、こういう声があるわけでございますが、実情は一体どのようになっておるのか、お示し願いたいのであります。
  137. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 経営改善指導員の給与ベースでございますが、これは三万三千円というのが平均になっておるわけでございます。
  138. 近藤信一

    ○近藤信一君 平均が三万三千円ということになっておりまするけれども、私は地方公務員から比べると、まだ安いじゃないかというふうに思うのですが、やはりここにも一つの矛盾があるんじゃないかと思うのです。それから職務の性質からいきましても、危険、通信それから超勤、こういうふうなことがございまして、この手当というものが少ない、こういう声もあるわけでございます。それから賞与も少額であるという。本俸以外のものは一体どういうふうな仕組みになっておるのか、この点お知らせ願いたいと思うのでございます。
  139. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先ほど平均ベースを申し上げました三万三千円の中には、寒冷地手当あるいは超過勤務手当は入っておりません。その外ワクでございます。今度これもことしから超過勤務手当は新たにこれを支給することにいたしたわけでございます。
  140. 近藤信一

    ○近藤信一君 そういたしますと、諸手当も含んだ先ほどの数字だと、そういうことでございますが、諸手当を含んだ額とすると、三万三千円というのは非常に安いじゃないかと思うのですね。で、これは賞与も含まれておるのですか。賞与は地方公務員並みになっておるのか、公務員より低いのか、その点はどうですか。
  141. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) ただいま申し上げました三万三千円の中には、一応考えとしては賞与を含めております。ただ、これは補助金の計算基礎として含めておるわけでございまして、先生御承知のように、あとの二分の一は、三万三千円のうちの半分は国が出し、あとは県が出すわけでございまして、それ以上のプラスアルファーにつきましては、商工会の会員から会費を集めてそういうこれはプラスアルファーをする、あるいは市町村の方が補助金を出しましてプラスアルファーを行なうと、そういうふうなたてまえをとっておるわけでございます。
  142. 近藤信一

    ○近藤信一君 それから給与体系がどうもばらばらだ、一貫していないという声があるわけですね。政府はこの点は、給与体系の点では、どういうふうに指導しておられるのか、この点をお聞かせ願うと同時に、商工会指導員とそれから会議所の指導員との間に給与の点で差があるのかどうか。一体その差はどれくらいの差があるのか、この点いかがです。
  143. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 商工会等におきまして、やはり給与の関係をはっきりさせておかなければ、身分の安定ということにも差しさわりがあるわけでございますので、補助金の交付要項におきまして、給与規程をはっきりと定めておらなければ、補助金を出さないということにいたしておりまして、指導につとめました結果、最近では給与規程も整備されておるというふうに考えておるわけでございます。  それからお尋ねの第二点の、商工会議所との給与の差でございますが、ベースは先ほど申し上げましたように三万三千円でございますが、たとえば都会地の商工会議所等におきましては、商工会議所の会費をもってこれをまかなっておるというようなこともございまして、実際の平均給与額を平均いたしてみますというと、賞与も含めました合計で商工会の平均給与が二万八千六百七十九円、商工会議所の平均給与が三万九百九十二円というようなことになっております。
  144. 近藤信一

    ○近藤信一君 給与体系もばらばらで、また給与も低い。それから身分もはっきりと保障されていない。こういうことで非常に不安も感じておる。これがいまの経営指導員の気持ちじゃないかと私は思うのです。やっぱりこの点は安心して働ける、それからこういう身分が、公務員でもなければ、公務員でない民間のまた団体といっても、零細規模の零細企業の集まりで、なかなかだからその点もはっきりしないと、必然的に退職金ということになってくるわけでございますが、退職金の問題についても、一応の規定というものはあろうかとも思うわけでございまするけれども、これもなかなかうまくいかぬじゃないかと思うのです。これは商工会または商工会議所に所属しておる指導員、これらは一体退職金制度の問題はどういうふうになっているんですか。
  145. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 先ほど御説明申し上げました給与規程と同様に、退職金に関する給与規程というものも整備をするようにという方針指導をいたしておりますが、まだそれだけでは足りない部分もございますので、商工会あたり、あるいは商工会議所の自主的な制度といたしまして、共済年金事業等も行なっておる次第でございます。
  146. 近藤信一

    ○近藤信一君 経営指導員が任命されてから、出入りというものはだいぶんありますか。いわゆるやめた人ですね。数は、先ほどお示しになったようにたくさんあるわけなんでございますが、入るのとやめるのと、バランスというのはどんなぐあいになっていますか。
  147. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 四十年度におきますところの移動は全体のほぼ七%程度ということになっております。
  148. 近藤信一

    ○近藤信一君 それから、もう一つ指導員が希望しておることは、われわれはそれぞれの商工会議所指導員として指導に当たっているわけであるが、横の連絡というものはなかなかない。だからこれを横の連絡会議といいますか、こういうようなものをつくりたいという声が非常に強いわけなんでございます。これは府県単位につくってもらいたいという声が強い。そうして相互に、お互いに日常の問題の交流をはかっていきたい。また研修、情報、こういうことで一生懸命に勉強していきたい、こういう声もあるわけでございますが、あなたが連絡会議については何か構想でも持っておられるのか。それとも現在のままで、まだ当分はいいだろうと、こういうふうに考えておられるのか、この点どうですか。
  149. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 経営指導員相互間の経験知識を交換しまして切磋琢磨する、あるいはお互いの情報交換を行なう、あるいは相互の研修を行なうということは、資質の向上から見ても非常に大切なことでございますので、ただいまの現状におきましては、それを熱心にやっておる県とそうでない県とがございますので、今後の方向といたしましては、できるだけそういう機会を持たせるようにという方向で指導いたしてまいりたいと思います。
  150. 近藤信一

    ○近藤信一君 それからもう一つ、こういう関係にはおおむね新聞だとか雑誌だとか出して、そして指導に当たったりなんかやるわけですね。この商工会の経営指導員に対して、何かそういうふうな機関雑誌や新聞というふうなもの、こういうふうなものを出して、全国的にこれを指導していくというふうなこと、あなたのほうは何か考えておられるんでしょうか。現在あるならば、それによってやっておる、こういうことか。この点はどうですか。
  151. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) ただいま商工会機関誌といたしまして、全国単位で「商工会」という機関誌を出しておりまして、そこでいろいろ情報交換等もいたしておるわけでございます。
  152. 近藤信一

    ○近藤信一君 商工会機関誌はいいが、普及員の問題についてはそういうものはないですか。
  153. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 商工会の会誌の中に、そういう普及員の参考になるような記事が載せてあるわけでございますけれども、経営指導員相互間のための機関誌というようなものはまだございません。
  154. 近藤信一

    ○近藤信一君 そこで、やはり何といいましても商工会という組織自体が零細企業者である関係から、財政的にも非常に苦しい運営だと思うのですね。で、補助金の問題につきましては、聞くところによりますと、市町村で補助金を出しているところがあるようにも聞いておるわけですが、これは一体どういうぐあいになっていますか。
  155. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 市町村で補助金を出しているのは、ほとんどの市町村が出しております。これを全国平均で見ますというと、商工会予算の大体二割程度というものが、市町村の補助金でまかなわれておるというような数字が出ております。
  156. 近藤信一

    ○近藤信一君 市町村で補助金を出しておりまするけれども、裕福な市町村は、これは補助金もしっかりして安心ができるけれども、全国的に見て、そう裕福な市町村ばかりでもないと思うので、そうすると、やはり苦しい財政力ということになってくる商工会も、数多く出てくるのじゃないかと思うのであります。これにつきまして、国からの補助率をもっと引き上げていくというふうなことを、あなたのほうとしては今日御考慮しておられないのか。それとも、この点はひとつ検討して、何とか考慮していこうということをお考えになっておられるのか。いまの物価上昇率からいっても、そういう面もこういう点に私は響いていくと思うし、指導員にとっても、私は大きな問題でなかろうかというふうに考えるのですが、その点はどうですか。
  157. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 商工会及び地方公共団体あたりの財政負担を軽減するという趣旨におきまして、できるだけ国の補助を手厚くしていくという基本方針は、私どももその方向でやっていきたいと考えておりまして、現在におきましても、補助の単価あるいは給与、人件費関係のベースアップというようなことも逐年やってまいっております。今後ともそれは続けていく考えでおります。
  158. 近藤信一

    ○近藤信一君 最後に私、希望しているわけでございますが、私どものとりましたアンケートの上からいきましても、おおむね給与の問題、身分の問題、こういう点について非常に不安を持っておるわけでございまするから、やはり万能選手として経営指導に当たる重要な任務が課せられておるわけでございまするから、やはりこの点、万遺憾のないような対策というものを今後ひとつ考えて、そうしてこれらの第一線に指導に当たっておる指導員に安心感を与えて、そうしてほんとうに自分たちは経営の指導員だ、こういうプライドをもって働けるような仕組み、こういうことをひとつ通産省としても大いに今後研究してもらいたい。そうして、できるだけこれらの方々の要望にこたえていただきたい。このことを私は要望いたして、質問を終わることにいたします。
  159. 赤間文三

    ○赤間文三君 一言質問と希望を申し上げたいのでございますが、通産省、特に三百八十万くらいの企業所といいますか、作業所を擁しております中小企業の企業者の数などから見まして、今日まで通産省の予算その他を通観しますと、非常に合理的であり、なかなか予算そのものとしては私はよく研究ができておる。この点は敬服をいたしております。どうもまた見方によると、多くのやり方がややこう試験的というなら満点、試験的なものであり、それからまた、なかなか内容くふうその他については、われわれ非常に敬服する点が多いが、何ぶんもう少し企業者の数の多いこと、なおまた多種多様にわたっておること、今日の状態から見まして、予算の額というものが、やっぱり将来相当増加せられるという必要があるのじゃないか。あるいはいま近藤さんから人の待遇の問題についてお話がありましたが、私はその待遇についても、補助金なども思い切って出されることが必要だ。あるいは設備の補助、あるいは近代化とか、高度化とか、いろいろな施設をやっておられるので、四十二年度においてさらに御研究を願って、思い切って中小企業に対する、試験的というのはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、あまり規模が小さすぎる。これを相当骨身に沿うようなふうにおいおいやっていかれる必要があるのじゃないかと、私は痛感をいたしております。まあ毎年の例からいうと、一番あなたたちが専門的だが、やはり新しい仕事をやると予算が取れる。古いものは、幾ら趣旨がよくてもそれを出したんじゃ予算が取れぬから、非常に苦労惨たんして毎年新しき構想のもとに新しきアイデアのもとでやられるということもよくわかる。しかしながら、一般の三百八十万からの企業者数があるというようなところに、ただ頭のよい、何とか頭がいいけれどもやや徹底をしない。毎年毎年その考えはまことにけっこう。いままでだれも考えておらぬ思考であると感心する人もおるが、私のような古い頭を持った者は、そんなものはあまり感心しない。やっぱりたとえば設備の近代化というあれをとらえましても、それだけの多数の企業家があるところに、いまのようなもので徹底しておるかというとやはり徹底しない。思い切ってひとつこの際、通産省の予算についての再検討をあわせてひとつやってもらう必要があるのじゃないか、こういう考え方なんです。もう一つは、喜んで受け入れられるような制度にしてもらわなければいかぬ。いい頭でいい構想をやっておっても、それがどうも一般に受け取られない。ピントが合わない。合わぬことはない、合うのかもしれないが……。したがって、団体的ないろいろな行動をやられても、それが予算の消化等が比較的に思うたほどいかぬというようなこと、やっぱり予算を取ればその消化が非常によくいくように、私はそういう点、もっとやっぱり民主的にひとつ思い切って地方の状況なども考えになって、まあ一つの例をとるならば、もう思い切って大阪府なら大阪府に、府とか、市とかありますが、それからまたいまの商工の中央団体があれば、そういうところでもひとつ照会をして、どういう予算をあなた方は欲するか、どういうところをどうとかいうようなことも、相当やっぱりとってから、何とかひとつ日本の中小企業がもっともっと盛んになるようなことを考えていただきたい。特に影山君なんか、頭はいいし、非常に熱心で裏も表も知り抜いているから、君のようなのが長官のときに、ひとつ思い切って資料を集めて、日本の中小企業に一大革新期をつくられたい。こういうことにひとつ私はほんとうに心の底から希望をしてやまない。どうかその点についてあなたのひとつお考えをぜひ聞いておきたいと考える。
  160. 影山衛司

    政府委員(影山衛司君) 中小企業庁予算につきましては、諸先生方の御推進によりまして、毎年相当程度一般平均予算の伸び率よりも高い率で伸びておるわけでございますが、先生御指摘のとおりに、絶対額におきましては、まだまだ不十分でございます。で、最近におきましては、特に構造の問題でございますとか、あるいは物価問題であるとかというような点もありまして、急速に中小企業の近代化を進めていかなきゃいかぬという事態に立ち至っておるわけでございます。一方におきまして、中小企業対策予算の中身でございますが、これはまた、先生先ほど御指摘のとおりに、まああの手この手といろいろな政策手段が用意をされておるわけでございますが、そういうあの手この手というものが非常に薄く不徹底にしか実施をされてないというところが、問題ではないかと思いますが、業種別の問題点、あるいは下請等の政策の目的ごとに、あの手この手の政策手段を重点的に総合的にどすんどすんとつぎ込んでいくということが必要かと思うわけでございまして、三木大臣からも、もうこれ以上新しい制度をつくる必要はないから、いままでの制度を総合的に、重点的に太い線で貫くように、私どもそこをひとつ、くふうするようにというふうな御指示も出ておるわけでございます。その線に沿いまして、ひとつ来年度の予算につきましては画期的な予算を獲得したいというところで、中小企業の全体をあげて現在検討中でございます。また、先生方の御指導も仰がなければいけないというふうに考えております。  ただ問題になりますのは、先ほど先生試験的な制度が多いという御指摘があったわけでございますが、そういう試験的な制度と思われます理由は、たとえば中小企業の協業化でございますとか、あるいは団地化であるとかいうような、一緒に団結をして中小企業構造の高度化をはかっていくというような政策につきましては、なかなか一国一城のあるじであるところの中小企業者がなじみにくい制度でございます。ところが、私どもとしましては、中小企業構造を高度化して、近代化をしていかなければいけないという意味から、相当先導的な制度として高度化資金等の制度を出しておるわけでございます。なかなかその予算を獲得いたしましても、その制度に乗ってきてくれるところが、いままでは少なかったわけでございます。ところが、その点につきましてはやはり中小企業者の意識を改善していくということでございまして、まあ結局のところ、私どものやっております施策の普及、徹底をはかるということ、あるいは指導員の強化をしていくということもあわせ行ないまして、そういう先導的な予算というものが十分に消化をされるという体制も一方では整えながら、ひとつ太い大きな線を出していくということを考えておるわけでございます。
  161. 赤間文三

    ○赤間文三君 時間がありませんから……試験的ということは、何も字の意味の試験的ではなくて、要するに規模が小さいような、徹底を欠くような、ほんとうに企画が小さいという意味で試験的というのです。そういうものは、たとえば大阪府あたりに試験的にでもどんどん仰せつけると喜んでやります。こういうものをひとつやってみろ、そうして成功したら全部国が取り上げる。両方、国がやるのはたいへんだから、試験的に一応名古屋とか大阪とかにやらせてみて、やらないものはどんどんとる。そのかわり、やったものは、中小企業の血となり肉となって骨身になるようにということで、私の言ったのは字のとおりじゃなくて、少し規模が小さいものを試験的にやらせていくべきじゃないかということを言ったわけです。
  162. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本調査はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後三時三十一分散会