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1966-03-17 第51回国会 参議院 商工委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十七日(木曜日)    午前十時五十四分開会     —————————————    委員の異動  三月十七日     辞任         補欠選任      永岡 光治君     久保  等君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         村上 春藏君     理 事                 赤間 文三君                 豊田 雅孝君                 柳田桃太郎君                 近藤 信一君     委 員                 岸田 幸雄君                 剱木 亨弘君                 近藤英一郎君                 宮崎 正雄君                 大矢  正君                 小柳  勇君                 椿  繁夫君                 藤田  進君                 向井 長年君    国務大臣        通商産業大臣   三木 武夫君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        通商産業政務次        官        堀本 宜実君        通商産業省重工        業局長      川出 千速君        通商産業省繊維        局長       乙竹 虔三君        工業技術院長   馬場 有政君        中小企業庁長官  山本 重信君        中小企業庁次長  影山 衛司君        労働省労政局長  三治 重信君    事務局側        常任委員会専門        員        小田橋貞壽君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (昭和四十一年度通商産業省施策に関する  件) ○工業標準化法の一部を改正する法律案内閣提  出)     —————————————
  2. 村上春藏

    委員長村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  まず、理事会において協議いたしました事項について御報告いたします。  本日は、通商産業省施策に関する件につきまして質疑を行ないました後、工業標準化法の一部を改正する法律案の審査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。
  3. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、委員変更について報告いたします。  本日、永岡光治君が辞任され、その補欠として久保等君が選任されました。     —————————————
  4. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、昭和四十一年度通商産業省施策に関する件について質疑を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  5. 近藤信一

    近藤信一君 過日、本委員会大臣所信表明をされまして、それ以後予算委員会で、大臣が本委員会へ出席される機会というものがなかったのでございますが、幸い、きょうは公聴会で、大臣もこちらに御出席されましたので、若干の質問をいたしたいと思います。  まず私は、特振法が、一昨年だったと思うのですが、国会で廃案になった。しかし特振法が廃案になりました後、通産省としては、いろいろと多くの業種にわたりまして行政指導というものが行なわれておる。この行政指導につきましては、過ぐる日にも本委員会大臣にいろいろと御質問を申し上げた次第でありまするが、特に私は行政指導というものは、法律によらない通産省指導であると思います。この行政指導の面から考えました場合に、いろいろと大臣も答弁の中で言っておられまするように、今日の経済不況を克服していくためには、いわゆるカルテル行為等も必要であり、また行政指導も必要であると、こういうことを述べておられるわけでありまするが、私はやはり法律によらない行政指導をやる場合には、特に慎重に事を運んでいかなければ、いろいろとあとに問題が残って、いろいろと各業種が波乱を生ずるというふうなこともございまするから、その点一体通産省方針として、どのような方法で今日行政指導というものをお進めになっておられるのか、まずこの点からお尋ねいたします。
  6. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 御承知のように、まあやがて日本の場合は、資本自由化ということも行なわれる。これはいますぐということでもないけれども、あるでしょう。こういう日本経済の持っておるこの現在の状態から考えてみますると、やはり日本企業が体質を強くして、国際競争力を持たなければならぬということは御承知のとおりであります。したがって、そのためには全部が全部ではないけれども自動車工業などは、やっぱり将来において伸ばすべき戦略産業というのですか、こういうわけで、やはりわれわれがアメリカ、ヨーロッパなどを旅行してみても、一番問題は、将来日本工業として、世界競争場裏に出てくるものは何だろうと言うと、みんな自動車である、乗用車であると言うのです。これはやはり欧米各国とも日本自動車の将来というものに注目している。ところが、御承知のように自動車の場合は、ある程度やっぱり量産体制を持たなければならない。この間も調べてみますると、ジェネラルモーターなどと日産などを比べてみると、売り上げ高は三十三分の一なんですね。そのくらい悪いのです。だから非常にやっぱりスケールが小さいわけです。そういう点でまあ自動車工業などは、でき得べくんば、もう少し量産のできるような体制に持っていくことが至当であるといろ考えを持っているわけです。しかし、それをこちらのほらから、通産省のほうから、君のところは合併しなさいと、そこまで関与することは行き過ぎである。やはりイニシアチブというものは産業自体で持たなければならぬわけでありますから、今度のたとえばプリンス日産合併ということも、これは役所はいろいろなあっせんはしましたけれども、やはり企業側一緒になろうという意思、これに対する、これが円滑に合併ができるようなそういう調整役をしたけれども、やりなさいとこちらが、通産省がそういう形の行政指導はしたことはない。したがって、やはり企業合併ということは、その合併しようという意思、その最初イニシアチブはやはり各企業がとらなければならない、そういう企業意思が生まれた場合に、それは好ましいことでありますから、自動車の場合は。これがいろいろなあっせんをするというやはり行政指導限界であって、最初意思決定企業である。それを円滑に合併するための何と言うのですか、あっせん調整、そういうことが通産省本来の任務だと考えておる。それが限界だと、それ以上あまり行き過ぎてもいけないという考えです。
  7. 近藤信一

    近藤信一君 私は三木通産大臣手腕というものは高く評価しておるわけなんで、それは石橋内閣、さらに池田内閣佐藤内閣には三木通産大臣は重要な役割りを演じてこられたことも周知の事実でありますが、行政指導がいろいろと弊害を起こしておるということは、これはいま大臣も言われましたように、特に国際競争力を強めなきゃならぬということで、自動車合併、さらに粗鋼操短繊維行政指道管の問題、いろいろあるわけです。また繊維関係につきましては、あと大矢委員からいろいろと御質問があろうと思うのですが、この粗鋼操短の場合でも新聞等ではいろいろと言われておった。特にその手腕の高い三木通産大臣は、このごろちょっと落ちたんじゃないか、いわゆる粗鋼のときに、住友金属の問題でこれがいろいろと問題をかもしてきた。そのときにある人は、佐橋大臣三木次官じゃないかというような酷評までされたことが新聞にも出ておりました。いろいろとそういうことで自動車の問題にいたしましても、粗鋼の問題にいたしましても、相手方、いわゆる業者間においてはなかなか通産省の思うとおりには私はいっていないと思う。特に行政指導企業合併をさせるというようなときには、一体何を考えてやられるのか、ただ過当競争であり、国際競争力を強めなきゃならぬということだけで企業だけを合併する、これだけでは私はいけないと思うのですね。やはり企業合併ということになりますれば、そこに働く多くの従業員の問題も総括して私は考えていくべきじゃないかとこういうふうに思うのですが、一体現在通産省がやっておられる行政指導に対して、そこまで十分に考えて事を進めておられるのかどうか、この点いかがですか。
  8. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これはやはり合併などをして、労働組合両方がいろいろな所属を異にする場合が多いわけでしょうから、そういうことで、円満に労働組合間の協調がとられなければなかなかこれは生産にも影響するわけです。したがって、この日産プリンスの場合も、このことによって両方が不利な条件にならないという前提のもとに合併が行なわれたと思うのです。しかし通産行政労働組合の問題に深入りすることは私はよくないと考える。これはそこまで深入りしてきますと、非常にやはり深入りし過ぎるのではないか。したがって、そういうことも含めて、両方組合がある、組合同士が、しかもそれが全体として長い目で見れば、今度の合併によって合併された会社というものは強力な会社になって、長い目で見れば労働条件というものはよくなっていくわけですから、合併したその時点においてはいろいろな言い分はあるでしょう、それをやっぱり克服するだけの労働組合というものがおとなにならなければならぬ。それはやはり望みのない斜陽産業の場合はいろいろありますよ。しかしこれから伸びていく、世界の市場において最も競争力を持っています自動車工業という望みのある職場に働いているんですから、そういう労働組合が、時点においていろいろな問題はありましょうが、それを乗り越えて、そして一致してやってくれることを期待しておるので、われわれが労働組合の中に入っていっていろいろやるということは、そこまでは通産行政としてはやるべきではないという考えでございますので、深入りはしてないのでございます。
  9. 近藤信一

    近藤信一君 合併の場合には労働組合、いわゆる従業員のことまで深く立ち入って問題を運んでいくわけではない、それは企業が伸びていくことによって徐々に解決されていくことだといま大臣は言われましたけれども、それは長い目で見ればそういうことが言われるかもしれません。しかし、いま当面している問題として、合併でいろいろと起こってくる問題は、従業員従業員の問題、言いかえれば労働組合労働組合という問題がいろいろとここに発生してくるわけなんです。現に日産プリンスとの合併の問題に対しまして、いろいろそこに問題が起こって、たとえば不当労働行為の問題、われわれが考えてみて不当労働行為であろうと、こう考えられる点などが発生しておるわけなんです。このことについて大臣は御存じですか。
  10. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 私聞いておるのは、東京都労委に対して提訴されておるということは聞いております。まだその結果についてはよく聞いていない、提訴されたという事実ははっきり知っております。
  11. 椿繁夫

    椿繁夫君 三木さん言われるように、国際競争において力をつけるために一定水準にまで企業合併を進めていく必要がある、そういうことは私も同じ考えなんですが、通産省日産プリンス合併の問題について深入りしてないと言われますけれども、特振法が出ましたときに、私どももこれは特殊鋼であるとか、あるいは自動車であるとかいうような限られた業種にだけ国の力で援助をしていくという問題もあって、批判的な立場をとっていましたが、特に業界のほうにも強い反対がありまして、それでついに特振法は日の目を見ることができなかった経緯がございます。それが日産プリンス合併の問題については、昨年の五月三十一日に前の通産大臣あっせんによって合併が成立の運びになったのであります。ですから通産省は、企業主導権にまかしておくべきものであって、そうあまりくちばしを入れちゃいかぬと言われているけれども日産プリンス合併問題に果たした通産省行政指導役割りというものは大きかった、これは大きいのであります。ところが、この合併条件を後ほど局長さんでも出してもらいたいと思っているんですが、あっせんをされた、そして合併ができた。ところが、これを通覧すると、労働者不在合併なんです、労働者不在ですよ。不当労働行為の問題は、これは地労委なり中労委でいずれ審問が進むと思いますが、現在の労働条件賃金合併した会社によって保障さるべきであるかどうかというような初歩的なことぐらいは、これは合併あっせんされる場合に、当然合併条件の中に私は落としちゃいかぬ、こう思っているのです。これは労政局長もおいでになりますが、通産大臣としても、現在の労働条件とか、あるいは賃金退職手当、あるいは企業内における労働組合活動というようなものが全然問題にならないで、資本とそして株式と設備だけが一緒になればいいというものでは、通産行政立場からいってもあっちゃならぬと思っているわけです。通産省としてはあまり労働条件のことなどに深入りしたくなかった。それなら政府としては、労働者のサービスを担当される労働省一緒にこの相談に乗って、労働者待遇というものが企業合併によって侵害される、あるいは保障されないというようなことのないようにしていく必要がやっぱりあると私は思う。通産大臣、それから労働省、御見解を聞きたいと思います。
  12. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 町方が合併のときに了解事項として合併委員会で、椿さんも御承知のように、そこで労働条件も含めていろいろな問題を合併委員会で検討しようということになって、そしていま検討が進められておるものだと思います。やはりあすこの場合には、組合所属が違うのですから、やっぱりやっかいな問題があると思います。実際問題としてそういうことだけれども、しかし労働組合人たち合併合併といって、それがおそらく日本で一番大きな会社になろうという、将来に大きな望みを持っておる一つ体制ができるのですから、それくらいはやはり解決できるのではないか、具体的にいろいろ労働条件が違うでしょうからね。賃金あるいは退職金いろいろ違うでしょうが、それを乗りこえて、合併委員会でこれは解決されるものという期待をしておるので、われわれが中に入ってそういう合併委員会労働条件まで、ここでわれわれが中に入ってやるということはいたしておらない。だからこれが円満に話がついて、みな経営者ばかりじゃなしに、労働組合も喜んで働けるような条件をつくり上げてもらいたいということを期待しておるわけでございます。
  13. 三治重信

    政府委員三治重信君) いま会社合併の場合に、また、ことに政府が勧奨といいますか奨励、行政指導合併さすような場合に、労働条件までよく話して一緒にやったらいいという御意見だと思いますが、この月産とプリンスとの合併の場合については、労働省には事前に、あるいは合併をされるについてのそういうことについて別に御相談もないし、会社のほうからも別に、また組合のほうからも別に御相談はなかったもので、しかもこれは発表されてから合併にいくまで相当長期の期間がある。そうすれば当然その間に会社同士組合同士それぞれ話し合いが行なわれるものというふうに思っておりまして、労働省といたしまして、別にこれがそういう深い問題になるというふうには認識していなかったわけでございます。
  14. 椿繁夫

    椿繁夫君 先ほどから申しますように、政府行政指導によって両者の合併が行なわれた、これはもう間違いない。ところが、通産大臣会社合併して大きくなるのだから、待遇のことなどがそう明らかにならぬでも、そのぐらいのことはひとつしんぼうしたらどうじゃというようなお話ですけれども労働者にとっては会社合併して大きくなるということはあるいは楽しみの一つでしょうけれども、現在日産プリンス合併をすれは、一カ月四千円からの収入がプリンスのほうが高いといわれておる。そこでその高いといわれておる給料を合併後の会社において保障してもらえるかということを労働組合らしく会社に話をしておるわけなんです。ところが、昨年の五月三十一日以来、合併委員会は進んでおるのでしょうけれども、何らそれに対して明確な回答を与えていない、与えようともしない。一体退職手当は制度があるのですけれども、今度日産プリンスを吸収合併する場合に、プリンスで働いておった八千人の労働者退職手当というものは合併のときに支払ってもらえるものだろうか、合併した新会社がこれを継承するのだろうかというようなことは、非常にこれは大きなやっぱり労働者にとっては関心事です。そういうことを解決をしないで、安心を与えないで合併がかりにできたとして、この会社通産省政府が期待されるような生産が上がるとお考えになりますか、私は上がらないと思う。したがって、その労働条件のことについては干渉しないといわれますけれども、いままで半年以上を経過しておりますのに、プリンス経営者もこれを従業員に対して明らかにしていない。これもまた二対一の条件で吸収しようとしている。日産もこれを明らかにしようとしていない。そこに労働不安というものがいまあるわけであります。私は合併最初あっせんをされた政府としては、この労働不安を解消するような指導を行なわれて、労使関係というものが円満におさまって、企業合併ができて、初めて生産体制水準の引き上げということになるのであって、この問題を忘れて、それを放任しておいて、いたずらに資本の統合だけをやったって通産省の期待される企業合併にはならぬ。今後の御方針をひとつ聞きたい。
  15. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは椿さんの言われるとおりだと思います。労働組合が円満に話し合いがつくということを期待しますけれども、御方針といわれても、合併委員会というのができて、そして労働組合代表者がこれぐらいの問題というものは話し合って解決されなきゃならぬと思いますね、労働組合は。一々政府——この合併の問題の場合でも行政指導という形でやったのですが、これは両方意思があったからですよ。通産省あっせんしたですがね。しかし、両方意思があって、それは好ましいことだからということでしたので、あまり役所合併後の条件まで、退職金の問題、賃金の問題とこういう問題に入っていきますと、それはいい場合もあるけれども弊害の面も非常にある。やっぱり労働組合自分たちの問題で、両方とも組合がおるのですからね、日産プリンスのほうも組合同士でそれぐらいのやっぱり共通の広場を持って、そうして話し合って解決するというくらいの——労働組合だってそれぐらいのむろん能力も持っておるし、だからこの問題というものは、実質的に私は解決できるものだと、皆があまり立場にとらわれないで話をすれば、この問題は解決できるものだというふうに見ておるので、私どもがいまの段階で入っていって、これをあっせんするという考えは持っていないのであります。
  16. 椿繁夫

    椿繁夫君 労政局長相談がなかったと、こう言われるんですが、どうですか。労働組合が要求しても、合併後の会社において現在条件を明らかにしない。お前ら黙ってついてこいというようなことが行なわれておる、現に。こういうのを不当労働行為というのじゃないですか。ちょっと御見解を聞きます。
  17. 三治重信

    政府委員三治重信君) 一般に会社合併の場合に、被合併会社とその当該従業員組合との労働契約または労働協約は、特別の約束がない限り、承前に約束がない限り、これは全面的に合併される会社にそのまま移譲されるわけですから、そこに労使関係と申しますか、労働条件についてのそういう法律上の権利義務関係は、合併による自然的な変更というものはないというふうに解釈しております。
  18. 椿繁夫

    椿繁夫君 ちょっとだめを押して伺いますが、賃金がきまっている、退職手当もちゃんときまっている、この会社が他の企業合併をする、合併ができるまでに何ら条件について変更申し入れをしていない場合には、当然その条件というものは新会社に引き継がれるものだと理解する、こういう御見解ですか、労働省は。
  19. 三治重信

    政府委員三治重信君) ええ、そのとおりでございます。
  20. 椿繁夫

    椿繁夫君 特別にそれでは取り消しとか、引き下げとかいうような申し入れ、それからその結果の協定というものができない限り、現在の権利というものは保証されておると解してよろしゅうございますか。
  21. 三治重信

    政府委員三治重信君) その被合併会社労働者との間の労働契約、あるいは労働協約というものが、その合併の前に特別な約定というか、合併についての特別な変更というような申し合わせがない限りについては、合併会社になっても、その被合併会社従業員との間の労働協約労働契約というものについての効力というものは変更はない。
  22. 椿繁夫

    椿繁夫君 わかりました。変更はない、新会社が引き継ぐべきものであると労働省は解する。  そこで、そのことをさらに確定しておきたいために、合併の前に労働組合団体交渉申し入れて、それを拒否するということは、労働法上どういうことになりましょうか。ちょっとこの機会に教えていただきたい。
  23. 三治重信

    政府委員三治重信君) その団交申し入れを拒否するという、その場合の団交申し入れというのは、おそらく先生の意味されるところは、従来の労働条件なり労働協約というものを新しい会社が全部確かに引き継いでくれるように、その経営者は大丈夫だなということを確認するために団交申し入れる、それを拒否すれば不当労働行為になるだろうかということでございますね。
  24. 椿繁夫

    椿繁夫君 そう。
  25. 三治重信

    政府委員三治重信君) まあその確認的なことが団体交渉事項になるかどうかという問題はさておきまして、やはり会社のほうが、特別にそういう条件なり何かについて組合側に提案したり何かするような特別な意思表示をした、それについて団体交渉申し入れるというような場合のことは、しかし、それはまだ会社のほうとして一応見解はあっても、まだ団交の時期じゃないというふうな拒否の場合と、ただ単に確認という場合には、その条件が、ほんとうの法律上になると、いろいろニュアンスがあると思います。一般的にまあそういう場合に拒否すべきではないでしょうし、それがすぐ不当労働行為になるかどうかという問題になると、これはやはり労働委員会のこういう不当労働行為についてのいろいろ事例もわれわれ研究してみたのですが、なかなかそういう問題について、具体的に過去労働委員会でそういう問題を取り扱って、こうだというふうに判定した記録が実際上ないものですから、しかも、現在いまの先生お尋ねの問題は、実際都労委に出ている提訴事件と必ずしも合っていることとは思いませんけれども、そういう問題もおそらく含めて、全般的に不当労働行為でいま都労委にかかっておりますので、ここではわれわれとして、従来の慣例から言って、役所側不当労働行為の問題について、該当するとかしないとかいうふうなことを言わない慣例になっておりまして、まあ都労委のその事実認定というものにいましばらくまかしたい、こういうふうに考えます。
  26. 椿繁夫

    椿繁夫君 この問題はいずれまた機会を見てなにしたいと思いますが、通産大臣お尋ねをいたします。これからこの企業合併を、自由化に伴って国際競争力をつける、そのためには一定水準にまでその規模を引き上げる必要があるということでやられるわけですが、いま自動車がある。繊維のほうでも進んでいる。鉄鋼もどうもそういう傾向が見られる、工作機械にもぼちぼちそういうなにが出ているように思うのですが、どの程度の業種にいま通産省企業合併といいますか、合同の指導を行なおうとしておられるのか、業種別に、大体期間的な目途などをお示しいただきたいと思います。
  27. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは非常にむずかしい御質問で、こちらのプログラムをもって合併さそうというのではないので、業界自体の動きというものが、これが最初の出発点になるわけでありますから、業界自体も鋭敏に国際経済の状態など、あるいは国内の競争条件、いろいろなものを頭に入れて、一番の責任を持つものは企業自体ですからね、いろいろ考えておる。そういうものがいろいろ御指摘のような業種にも、繊維などにおいては始まっているわけでありますから、したがって、こちらのほうがちゃんともうこういうものはこの程度というふうな計画をもって推進さすという、そこまでの行政指導考えていない。やはり業界自体の発意によってそういうものが生まれてきたときに、通産省としては、合併国際競争力強化に役立てられるように、できるだけこれに対していろいろなあっせんを行なうという立場で、先へこっちが予定表を持っておって押し込めていくという考えではないのであります。
  28. 椿繁夫

    椿繁夫君 大蔵省銀行局長においでいただきましたが、いま通産大臣のお話では、もう自主的に企業がやっていくのが先行すべきものであって、あまり深入りすべきものじゃないということなんですが、この体制金融のなにが過年度来進んでおるわけなんですが、この業種ですね、どういう業種には四十年度どの程度の融資措置を考えるか、これを合わせるとこうなる、それを年度別に、来年度ももうすでにできておるわけだから、業種別体制金融の全貌をひとつ明らかにしていただきたい。
  29. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) お答え申し上げます。開発銀行の資金の運用につきましては、先生承知のように、毎年「政府資金の産業設備に関する運用基本方針」というものが閣議の決定を経まして、これに基づいてそれぞれの機関の運用の方針を示しておるわけであります。その閣議決定によりますと、昭和四十年度におきますところのこの体制金融の項目といたしましては、「国内産業体制の整備」ということで、「国際経済環境の変化に即応しつつ、産業構造の高度化を促進するため、産業体制を整備して早急に国際競争力を強化する必要がある石油化学工業、乗用車工業及び特殊鋼工業について、産業活動の効率化に資する工事を推進する。」、このように示されておるわけでございます。特に乗用車につきましては、なお、乗用車工業については量産体制を早急に確立して生産の相当部分を輸出に向け得ると期待し得るもの、もしくは合併提携を行なって量産体制の効果を期待し得る企業、こういうものを対象とするということになっておるわけでございます。  そこで、先生お尋ねの開銀におきますところの融資計画でございますけれども、これは大体三十八年度ごろからあらわれ始めたものでございまして、三十八年度におきましては総額四十億円の計画でございました。これに対しましてその内訳でございますが、まず、乗用車工業に対して十五億、それから、石油化学に対して同じく十五億、それから特殊鋼につき十億という計画をもって発足いたしたわけでございますけれども、実行におきまして乗用車工業はゼロでございます。これは当時融資実行が行なわれておりません。次に石油化学は計画どおり十五億円実行済み、それから特殊鋼がまた同じく十億円計画どおり貸し付けが行なわれました。次に三十九年度に入りまして、計画が総額六十億円計上されました。その内訳は乗用車について二十五億円、石油化学につき二十五億円、特殊鋼で十億円ということでございましたが、その実績は総計三十五億円でございました。その内訳は乗用車工業についてはゼロ、融資実行されず、石油化学につきましては二十五億計画どおり、特殊鋼が同じく十億、計画どおり実行されました。そこで四十年度でございます。これは当初計画におきまして五十億円の計上を見ております。その内訳は乗用車についてはございません。石油化学四十億円、特殊鋼十億円、つまり計五十億、こういうことで発足をいたしたわけでございますが、当年度そろそろもう年度末に近づいてまいりましたが、大体この石油化学並びに特殊鋼につきましては、ほぼ計画どおりの実行が行なわれるのではなかろうかというふうに見られておりますが、乗用車工業につきましては、目下のところ全く何もきまっておりません。したがって、あるいはこれも三十八、三十九年度に引き続いて四十年度においても実行を見ぬまま終わるのではなかろうかとも思われますけれども、現在は融資実績は全くございません。次に四十一年度の計画でございますけれども、これにつきましては、総額七十五億円ということが定められておるのでございますが、ただその三業種業種別の内訳については目下定められておりません。これにつきましては、今後体制整備の進捗状況でございますとか、資金需給の実情等十分勘案をいたしまして、開発銀行が通産省等関係各省庁と協議しながら、その内訳も定め、効率的な運用をはかってまいろう、かような予定になっておるわけでございます。
  30. 椿繁夫

    椿繁夫君 三十八年度から体制金融の制度が採用されておる。特定産業振興法が国会に出されて廃案になりました。大体そのころからですね、一致している。法律は通らなかったけれども、実際に目標にしたほうは、ちゃんとこういうふうに金の裏づけをやってどんどん行政指導をやっている。これは特定産業振興法が通ってこれがものを言う段取りだった。それが法律だけ流れてしまって政府もあきらめておられる、今度あたりは出ていない。それにこう実際にやっておられることは、法律があろうがなかろうがやっておるというのが三木さん現状ですよ。これは国会無視といいますか、それとも役人がちょっと走り過ぎているという感じをあなたお持ちになりませんか。  それから銀行局長、乗用車のほうは十五億、二十五億といつも毎年余ってきておったようですが、これは三十八年度分で十五億余った、三一九年度で二十五億余った、それがずっと四十年度に蓄積されて、四十年度かりに何があるとすれば、三十八年度分の余った十五億も貸し出すことができるというしかけになっておるのですか。
  31. 佐竹浩

    政府委員(佐竹浩君) 御指摘のように、繰り越しという形で合わせて四十億円というものが持ち越されている。したがって、現在自動車工業向けのいわばワクといたしましては四十億円があるというふうにお考えいただいてけっこうでございます。
  32. 近藤信一

    近藤信一君 労働問題についていま椿委員からいろいろと御質問がございましたが、もう一つ合併による弊害があることは、たとえば日産プリンスとが合併いたしました後に、その合併されたプリンスのいわゆる下請企業系列、これに対するところの措置というものが非常にまたむずかしいんじゃないかと思うのです。現在プリンスの系列で九十社ほどあると私思うのですが、そのうち合併されて実際に日産のほうでよろしいと返事をいたしましたのは機械関係で九社のみである。そういたしますると、他の残りました残余の下請企業というものは、面接下請でなくて再下請で今後ひとつやってもらいたい、こういうふうな通達があるやに私聞いているのです。また合併当時には、これは現在のプリンスの車種の生産というものは行なわれておりますので、この残りました九社というものは強力にやっていけるでございましょう。しかし、これがだんだんとプリンスの車種が日清でやられないようになった場合に、今度は日産の車種一辺倒になって生産が行なわれた場合に、そのときには従来の車種と違うから残った九社の下請もこれは日産自動車関係には合わないということで、再び直接下請から切られるような心配があると思うのですが、この点について何らかの対策というものを通産省として講じておられるのかどうか。またそういう事実があるかどうか、お尋ねいたします。
  33. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 下請工場の問題につきましては、合併当時の両社の基本方針といたしまして、抽象的ではございますが、協力工場の商権を尊重してまいりたい、そのための配慮をしていきたいという方針が発表されておる次第でございます。なお、自動車工業は、アッセンブル産業ともいわれておりまして、下請企業を非常にたくさんかかえておるわけでございますプリンスの場合、私の聞いておりますのは、三百社をこえておると聞いております。日産の場合も二百をこえておるというふうに、非常にたくさんの部品企業を傘下に持っておるわけでございます。自動車工業国際競争力をつけていかなければならないのは、実はこの下請企業の問題も含めて考えておるわけでございまして、アッセンブル企業であるシャシー・メーカーが弱ってきますと、下請も同じ運命をたどるわけでございまして、その点体制整備を自動準工業について通産省が要望しましたのも、そういう大きな中小企業問題を含んでおるからでございます。先ほど大臣も申し上げましたように、自動車工業は伸びていく産業でございますので、この両社の合同によります両方の下請企業調整の問題、これは非常にむずかしい問題でございますけれども、そういうふうに伸びていく産業でございますので、そういう好ましい環境をできるだけ活用して、相当時間をかけて調整をしていかなければならぬというように考えておる次第でございます。  具体的な問題といたしましては、両社に共通している企業もかなりあろうかと思います。また、両社に共通していない下請企業もあるわけでございまして、問題は、共通していない下請企業をどういうふうに調整していくかということが非常にむずかしい問題でございます。どちらかといいますと、プリンス自動車の下請企業には、比較的規模の小さいものが多いように聞いておるわけでございます。したがって、プリンス自動車工業の下請企業調整の問題につきましても、商権尊重ということを基本方針にいたしまして、そしてグループ化をはかっていく。協同組合をつくっておるのも出てきておるそうでございます。そうして発注の場合に窓口を一本化して、共同受注をするというような方向で、プリンス自動車は現在検討をしておるというように聞いておりますが、いま先生の御指摘になりました九社云々の問題、実は私きょう初めてここでお伺いしましたものですから、何とも御答弁しようがございません。大体そういうような方向でやっておるというふうに聞いております。
  34. 近藤信一

    近藤信一君 局長の答弁では、下請の企業の商権というものも尊重していく、こういうことでございまするけれども、私は昨年本委員会でも若干この点について質問したと思うのですが、いま伸びていく自動車産業であるから、それを強力な体制を整えていかなければならぬ。そのためにはやはり何といいましても、下請企業に対するところの合理化政策というものがとられることは当然だと思うのです。下請企業に対して合理化政策がとられてくる、たとえば、私が昨年だったか、質問いたしましたように、まず下請企業の設備の問題からやれというふうな指示もあるわけなんです。せっかく設備を改善して、さあこれで仕事はくるだろうといって待っておりますと、なかなか自動車の車種というものは次々と変わっていきますから、従来のあれとまた変わっていく。そうすると、また変えていかなければならん。それに対して親企業は何らの面倒をみてくれない、金融的な面倒をみてくれない。せっかく設備いたしましたその機械を遊ばしていかなければならんということも、下請の大きな悩みになっておりますし、また今度はいわゆる下請単価の切り下げということも往々にしてあるわけなんです。そうすると、一つの産業が伸びていくために、それに関係する系列に合理化のしわというものが寄せられてくることは、局長もこれは御存じのとおりだと私は思うのです。そうなってまいりますと、実際下請企業、特に中小企業というものが、現在ですら仕事がなくて困っている。もう労働力は何とか確保できたから仕事をひとつさがしてくれ、これがいま下請企業としての私は切実な要望だと思うのです。こういう問題は、通産省としてどのように考えておられますか。
  35. 川出千速

    政府委員(川出千速君) 下請企業の問題は、これは自動車工業だけでない、機械工業全般、あるいはそのほかの産業全般の問題に共通する点であろうと思います。自動車工業について申しますと、ほかの下請企業に比べまして、非常にまだ相対的ではございますけれども、恵まれたほうでございまして、下請に対する支払い条件等も優良の部でございます。それから成長していく速度も、ほかの業種に比べますと、自動車産業、特に乗用車部門というのは非常な、不況の時期でも十数%の伸びを四十年に示しているわけでございます。ほかの産業等はむしろ横ばいないし下がっているわけでございますから、自動車、特に乗用車部門は成長度は高いわけでございます。しかしながら、企業によりましては、数が多いわけでございますから、先生の御指摘のような問題もあるわけでございますが、これは業態によりまして、中小企業の対策に乗せられるものは乗せ、あるいは事業のあっせん等もはかっていかなければならない、かように考えている次第でございます。
  36. 近藤信一

    近藤信一君 さらに私、いま局長が中小企業あっせんの問題をいわれましたが、これはプリンスとの問題と違いますけれども、けさのテレビを見ておりまして、埼玉県における機械工場団地が、せっかく団地計画はやったところが、わずか八社とかがあって、予定されているのは七社、あと十五社は全然申し出がない。こういうようなことがけさテレビでも放送されておりましたが、機械工場の団地というものは、私は非常にむずかしいのじゃないか。これは愛知県でもそれに一つ失敗いたしまして、現在使用されていないという事実もありますし、ただ通産省は団地計画をして、それに吸収をして、希望者はそこへ持っていって、そういう小さな工場を一つに集めて団地計画をすれば、その対策というものは成っていくのだ、こういうふうなことでは、私は機械関係の将来というものは非常に危ぶまれる、こういうふうにも考えるのですが、この点どうですか。
  37. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) きょうのテレビは見ませんでしたが、うまくいっていないところもあることは事実です。全体とすればうまくいっているほうが多いのですが、これは実際にいま御指摘のように、ただ団地つくってそれだけでいいというものではないですね。これは非常なやはり行政指導というか、もっと親切な、これを育てていく、そういう努力というものをもっとしなければいかんと思っております。御指摘のとおりだと思います。ただ団地をつくれば、それが中小企業の高度化になっていくのだということではいけない。あとあとまでも育てていくめんどうをもっと見なければならぬ。この点は十分注意を今後いたしたいと思います。
  38. 近藤信一

    近藤信一君 いま一つお尋ねしておきたいことは、これは日産プリンスの関係でございますが、さっき局長が、合併されるときにはいろいろな下請の従来の関係というものを尊重していくと、こういうようなことを言われておるけれども、前にこういう事実もあるのです。たとえば吸収された工場に向かいまして、日産のほうでは、おまえのところの労働組合日産労働組合方針が違う、だから、まず労働組合から整理してこい、それでなければ仕事というものがおまえのところには出せないぞと、こういうふうなことを言って、それが合併一つ条件にもなっておる。こういうふうな事実もあるわけなんですが、こういう問題はどうですか。
  39. 川出千速

    政府委員(川出千速君) ただいまのようなお話は初めて承ったわけでございますけれども、そういう情勢によって変わるということは好ましくないことではないかと考えております。
  40. 近藤信一

    近藤信一君 そういう事実から考えますると、私は決して吸収されるほうのいわゆる条件というものが尊重されたというふうには考えられないわけなんです、往々にして合併の当時には、吸収されるほうの企業というものに対してはいろいろな条件を言うでしょう。それはいままでの方針どおりにいくとかね、そこの会社のいわゆる方針というものをそのまま受け継いでいくとか、いろいろなことが合併のときの一つ条件であるけれども、それが実際には行なわれていないということで吸収というものが行なわれていく。そこで、先ほど椿委員が言われましたように、合併に伴う労働条件の紛糾というものが次々に起こってくる、こういうことになるわけですが、そこで不当労働行為やいろいろな問題が出てくる。また、公然と合併するほうの社長が組合の大会に行って、そちらのほうの労働組合はうちの労働組合方針が違うから、まずその労働組合を整理して、そうしてやはりうちの労働組合方針に合ったかまえというものを持ってこい、それでなければ合併はしないぞと、こういうふうなことも社長が堂々と公衆の会議の席上で述べておる。こういうふうなことでございますれば、何も相手方の意見というものを尊重しておるというふうには私は考えないのです。そういうことを通産省は御存じないですか。
  41. 川出千速

    政府委員(川出千速君) そのようなことは聞いておりません。それから日産プリンスの合同の際に発表されました基本了解の中で、従業員については、日産あるいはプリンス両方の融和をはかり、差別を行なわないという一般的な了解をしておりますので、そういう方向でいくべきことを期待をしておる次第でございます。
  42. 近藤信一

    近藤信一君 時間がございませんから、最後に一点だけお尋ねするのですが、実はこれは佐橋次官に来ていただいていろいろとお聞きしようと思いましたが、佐橋次官は政府委員でないし、きょうは都合が悪いそうでございまするから、まあ佐橋次官がそんなことは言っておられないと私は思うのですけれども、この点ちょっと大臣に私はお尋ねしておきたいと思うのですが、これは去る昨年の十月ごろですね、私と椿委員と二人で佐橋次官を訪れて、日産プリンスとの合同に対して、やはりただ企業だけの合同ということを考えるのではなくして、労働組合の問題も十分考えて、合同というものに対するところの指導というものをやらなければだめじゃないか、一体通産省としてそういう点は考えてやっておるかどうか、こういうことで二人で行きました。そしてそのときに、まあいろいろと労働問題が紛糾するであろうから、そういう点はひとつ労働組合のことも十分に考えて合同をやってもらいたい、指導をしてもらいたい、こういうことで帰ってきたのです。そうすると、今度はそれを日産労働組合の連中が、委員長が、これを逆に利用しようとして、いやあこの間椿と近藤と二人がおれのところに来たのだ、これは佐橋次官が言うのですね、そして三拝九拝していった。日産組合プリンス組合とごたごたしているが、それはそういうことのないように労働省通産省としてもひとつ何とか努力をしてくれと、こう言って三拝九拝していったと言って、塩路委員長が公衆の会議の席上で述べておられる。このことばからいくと、何か私どもが次官のところに行って、いろいろとお話ししましたのを、逆にわれわれが三拝九拝して陳情に来たと言って佐橋次官が語っておられ、その塩路という委員長にお話しになったと、こういうことを盛んに宣伝しておるわけなんです。私と椿委員は、そんなことは次官は言わないというふうに考えておるわけなんですが、実際は次官から面接私どもはそういう事実があったかなかったかお聞きしたいのですが、まあきょうは都合が悪くて来られないということでございますから、この点通産大臣から一言青お願いしたいと思います。
  43. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 椿君にしても近藤君にしても、国民から選ばれた国会の最高機関のメンバーで、これが話しに来たからといって、三拝九拝する、しかもこれを労働組合の材料に提供するほど佐橋君は低劣な人間でない、それは誤解であると私は考えます。
  44. 椿繁夫

    椿繁夫君 二、三もう少し伺っておきたいのですが、いま自動車企業合併繊維が進んでおる、工作機械が進んでおる、通産省としては一定水準にまで生産の規模を高める必要があるという見地から行政指導を今後も続けていかれると思います。その際に、大臣も言われますように、プリンスの場合は石橋正二郎氏が株を売っちまった。いまの社長の小川氏は、これは住友の出であって、自動車産業というものにはあまり住友全体として興味を持っていない。だからこれはもうほとんど合併が終われば身を引くつもりなんでしょう。そのためにプリンス従業員のこと、株主のことなど、今度の合併にあたって、どうも考え合併委員会が進んでおるように思われません。そこで、通産省は将来いろんな企業業種合併指導される場合、労働者不在合併あっせんを私はやっちゃいけないと思うのです。なるほど通産省は経営のことだけ考えておればいいようなものですけれども、先ほど労働省が言われますように、そういう合併指導される場合、労働省には相談も何もないわけなんです。労働者立場を主張される労働省の発言の機会というものはないわけです。そのためにいま先ほど来問題になっておりますようなことが重大な障害になっておるのでありますから、私はこれから企業合併なり合同をあっせんされる場合、下請なり代理店なりのことはわりあいに言われるのですけれども、肝心の労研者の問題ついてはおれのところの仕事じゃないという態度で触れておられぬのであります。こういう方針では、私はせっかく合併ができて会社が大きくなりましても、肝心の生産体制というものが伴わないのでは、通産省の御方針にも反すると思いますので、十分労働者立場というものを考え合併あっせんあるいは指導されるように望みたいのですが、いかがでしょう。
  45. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この合併の場合も、合併条件の中に、従業員は融和をはかって差別は行なわないと、こういうふうな合併の幾つかの基本条項になっておるのですから、われわれとすればむろん当然のことであります。そういうことが好ましいということで、これは直接に通商省が労働組合の問題に関与することはよくない、全体として。合併後の労働組合の融和をはかって、そして皆がせっかく合併して、そのことが国際競争力強化に役立つということで実は通産省もいろいろな便宜を与えるわけですから、金融、税制、そういう全体としてのわれわれが組合間の融和をはかるということに対しては、われわれもできるだけ行政指導を通じて両当事者に申すことにいたします。直接には関与しないけれども……。
  46. 椿繁夫

    椿繁夫君 合併した新会社労働者の差別待遇をやっちゃいけない。日産プリンスの場合は、この通産省の御心配の点がじゃまになっておる。日産労働者よりもプリンス労働条件のほうが一カ月四千円高い。差別待遇を行なわないということになると、現に開きがある、それを安いほうに合わせる危険さえ生じておるのであります。その証拠に、プリンスの八千の労働者会社のほうに対して一体これまでの賃金というものは保証してもらえるのですかと言っても回答をしない。われわれの退職金というものは一体どうなるのですかと言っても回答しない。とにかく労働組合をつぶして、大きい資本日産が言いなりに吸収合併ができると、まるで弱肉強食であります。こういう無法地帯で弱肉強食が行なわれるような企業合併が将来行なわれては、産業界の非常な混乱を招くことになると思いますので、これは委員長にも後ほど要請をしたいのですが、関係者を当委員会にひとつおいでいただいて、つまびらかにする機会を持っていただきたいと思っていますが、通産省にも特にそのことを望んでおきます。  それから労働省のほうに調査をお願いしたいのですが、いま合併しようとしておる日産では就業規則、就業細則というものが一般労働者に周知徹底していない。職場で労働災害のためけがをする、その場合でも自由に診療所なり医者にかかることができない事実がございます。その他労働条件の決定などについて、意思を自由に表示することができない事実がある。こういうことは労働基準法によって保護さるべきことではないかと私は思うのです。基準監督署が定員が少ないために、申告に大体重点を置いておられることは了承できます。進んで出張監督をやるような予算と人をもらっておられないからだと思います。これは労働省立場は私は了承しております。しかし、いま申し上げますような公然たる事実が看過されるということは法治国家としてよくないと思いますので、次の機会までに労働省の責任において、当委員会に報告されることを望みます。お引き受けいただけますか。
  47. 三治重信

    政府委員三治重信君) 私、直接基準法関係の所管でございませんが、帰りまして関係局長に印して、これにつきまして現地の実情を調査をして御報告するように申し伝えます。
  48. 大矢正

    大矢正君 私は繊維産業に対する対策等について政府考え方を承りたいと思います。   特に四月一日以降、重ねて長期にわたるカルテルを業界において決定をしております綿紡関係についてお尋ねをしたいと思いますが、基本的な、また構造的な質問に入ります前に、綿糸の生産、在庫、また市況等についてお答えをいただきたいと存じますが、私の手元には十一月までの生産、在庫、それから二月十四日現在の市況の資料がありまするが、それ以降の生産、在庫ないしは市況等の現状を御説明いただきたいと思います。
  49. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) ただいま正確な資料を持っておりませんので、後刻提出させていただきたいと思うのでありまするが、大体のところを申し上げますると、市況は四〇で現在のところ百六十円を割っておるというふうな大体の状況でございます。それから生産は大体横ばい、在庫は若干ふえておるというふうな状況と心得ております。
  50. 大矢正

    大矢正君 そこで新聞の報ずるところによりますと、日本紡績協会は通産省指導のもとにカルテルを一年間、すなわち明年の三月三十一日まで延長することを公取委員会に申請するという決定をいたしております。特にこの中で私どもが若干問題だと思われますることは、この内容が事実であるといたしますれば、繊維新法を改正し、凍結率の改定があるまで共同行為を実施する、こうなっておるわけです。そこでさらにあと響きがついて、ただし、公正取引委員会に対しては三月三十一日までの一カ年の期間で申請をする。言いかえますと、公正取引委員会に対しては一カ年間の申請をするが、もし繊維新法が改正になり、凍結率の改定その他の共同行為に対する内容等が、いうならば改正されない限りは、このカルテルはさらに延長されるだろうという解釈が生まれてくるわけでありまするが、先般の紡績協会において通産省指導のもとに行なわれた業界を一致させる努力、その努力の結果というものはこういうものなのかどうか、そこからお尋ねをします。
  51. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 新聞の「通産省指導のもとに」ということばは、私は正確ではないというふうに考えるわけでございまするが、通産省の態度といたしましては、現在、先刻申し上げましたような、遺憾ながら不況カルテル下にあるにもかかわらず市況は相当悪い。さらに昨年の暮から本年の当初におきましては、カルテルが三月で失効し、その後継続が困難ではなかろうかというふうな見込みと申しますかであったと思うのでございまするが、さっき申し上げました四〇番手の綿糸は百、五十円を割ったというふうな状態におちいっておったことでございます。このような状態におきまして、通産省といたしましては、また二面業界側の多数の意見といたしましては、不況カルテルを存続いたしたいがというふうな要望が出ておったわけでございます。通産省といたしましては、現在客観的な情勢は、独占禁止法において不況カルテルの結成を容認しておる条件を満たしておるというふうに考える。しかし、不況カルテルはあくまでも業界のお話し合い、業界の契約であるので、業界の契約のおまとまりになる、お話し合いがおまとまりになるのが先であるといったような態度をとっておったわけでございます。そういたしましたところ、先生すでに御承知のとおり紆余曲折はあったのでございまするけれども、日清紡績が三月初めに不況カルテルに同調するという態度を表明いたしまして、三月の九日、紡績協会の委員会におきまして、いま先生おっしゃいましたような決定がなされたことを承知いたしております。ただ、これは紡績協会の決定でございまして、先生御指摘の凍結率云々ということをわれわれがもちろん了承しておるというわけではございません。
  52. 大矢正

    大矢正君 あなたの発言の内容が私にはよくわかりませんが、法律に基づく行政指導ということを私必ずしも申しておるわけではない。法律に基づくか基づかないかは別にして、通産省立場それ自身が、カルテルを結成させる方向に動いたことは間違いないんじゃないですか、その点はいかがですか。たとえば二月十六日にあなたが記者会見をして言っている内容には、当面繊維新法を改正する考えはない、構造対策推進の足がかりとして今後実需に見合った生産体制を確立するという見地から、市販糸の生産制限は効果があると思う、すなわち生産制限を当面行なうのだ、法律の改正は行なわなくてもよろしい、こういうことをあなたが記者会見で語っているということが出ている。これが事実だとすれば、あなたは行政指導とかそういうことを行なう考えはない、業者の団体がそういう考え方でまとまったのをわれわれが受け取っておるだけだという御発言だが、そうではなしに、通産省それ自身がこの際綿糸の市況の不況の現状から、カルテルは当然行なわなければ市況の回復は望み薄だ、したがってその方向でまず努力をすべきだ、こう言ったんじゃないですか。
  53. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 繊維の市況から考えまして、短期的に需給の調整をはかるということは必要であるというふうに私としては考えたわけでございます。その方法でございまするが、その方法としては不況カルテルという方法が一番いいのではないだろうかというふうに考えたことは群雲でございます。したがいまして、業界がその方向でまとまられるということを希望したことも事実でございます。
  54. 大矢正

    大矢正君 そこで大臣お尋ねをしますが、御存じのとおり昭和三十九年の十月から繊維新法ができまして、これに基づいて現在指導が行なわれておるわけでありまするが、この綿紡績の過去の歴史を見ますれば、カルテル行為、あるいは言ってみれば生産の制限でありまするが、こういうことがないほうが少ないのであって、カルテルがあるほうがあたりまえになっているわけですね。これは戦前戦後の歴史を眺めてみても、カルテルをやっている期間とやらなかった期間を比較してみれば、やらない期間のほうがずっと少ないわけです。構造的にカルテルを最初からやらなければならぬように、今日の繊維産業というものは置かれているわけですね。ところが、繊維新法というものは御存じのとおり今日の日本の自由な競争、自由な経済のたてまえのもとに互いが競争することによって繊維産業の強化発展をはかっていこうということが貫かれているわけですね。ところが、繊維新法ができた一年後には再びカルテルを結ばなきゃならぬ。そのカルテルも半年やってみたところが市況がさらによくならない。インドネシアに対する十万梱の契約がどうもうまくいかなくなったというようなことに理屈をつけておられるが、単にインドネシアの十万梱だけの問題ならば、こんなものはわずか十日を越える程度の生産量にしか見合わぬわけで、これで日本の今日の紡績というものが在庫増になり、市況が悪化しているなぞということは考えられぬわけであって、部分的な要素にはなっておるが、これが本質ではないわけです。むしろ本質は構造的なところにあるわけですね。ですから四年後、正確には三年後には自由な競争をするという繊維産業、特に綿紡の基本的な考え方を明らかにした繊維新法というものは今日有名無実です。事実上ない。あってもないにひとしいものです。しかも、そこでさらに一年間の長期のカルテルを結ぶということになりますと、カルテルの本来の趣旨でありまする緊急避難どころではなくて、戦前戦後を通して行なわれてきた年がら年中カルテルを結ばなきゃならないという従来の形と何ら変わりがなくなってしまう。私はこれがたとえば三カ月とか半年を限度にして結ばれるとか、延長されるとかいうことであれば、また話の聞きようもあるのだが、これから一年延ばすということは一年半になる。さらにまた先般もこの紡績協会の決議事項を見ますると、法律で凍結率というものをさらに強化しなければ、今後もカルテルを結ばざるを得ないような内容ということは、繊維新法の趣旨から大きく逸脱しているのですね。これならば繊維新法はないほうがいいし、もし必要だとするならば大きくこれを改めなきゃならぬという解釈を持たざるを得ないのだが、繊維産業対策の全体的な問題は別としても、取りあえずの問題の紡績に対して、特に綿紡に対してどういうお考えを持っておられるか、お尋ねをしたい。
  55. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま紡績協会と化繊協会との間で不況カルテルの問題について内容を検討を加えている。私は一年にはむろんならないと考えております。まあこういうことは非常に非常事態の——それは構造的なものも中にはあるですけれども、こんなに綿糸の相場というものが下がってきて、これではなかなかやっていけぬというような状態が出てきたわけで、これは一時的なものであって、繊維新法にいう自由競争を中心として国際競争力を強化するというあの一つの基本原則、立法の精神に抵触するとは思わない、このことは。しかし、これがずっと永久にこういうことであればお話のとおりだけれども、これ自体はそういつまでも長期にやるという性質のものとは考えてないわけです。いろいろ景気の回復も伴いましょうし、いろいろな経済環境からそういつまでもこういう状態が続くとは考えていないので、さしあたり繊維新法の立法の精神に真正面から抵触するとは考えていないのであります。しかし、根本の問題にはいま御指摘のように、こういうカルテルのようなことはほとんどの歴史じゃないかということはお話のとおりだと思います。そういう点で繊維産業に対する構造問題というものにこれは取り組まなければ、なかなか容易にこういう状態から脱却できないという御指摘はそのとおりだと考えております。
  56. 大矢正

    大矢正君 大臣のおことばを返すようですが、今日の綿の不況というものは若干構造的なものもあるようだというような御説明なんだが、そうじゃないんですな。これは若干じゃない。
  57. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 若干じゃない……。
  58. 大矢正

    大矢正君 もう構造的なものはこれは本質です。だからこそ通産省も行政の指導として、いかにこの合理的な綿業界の体制を立てるかということで努力をされているものと私は思うのでありまするが、そのカルテルを結ぶ場合において、一つ条件としては、当然のことながら市況がコストを割っているという段階、しかもそれは大きくコストを割っているということが考えられてカルテルというものが認められるわけですね。そこで、今日の綿のコストを平均してとりますると、おおむね百七十円くらいといわれておるわけですね。先ほどの局長の答弁からいくと、最近の市況は百六十円くらい、十円くらい割り込んでいることは間違いない。しかし、カルテルが認められる条件としての、コストを大きく割るという条件には必ずしもいまの市況というものは当てはまっていない。しかもこれが短期の三カ月程度の問題ならいざ知らず、すでに六カ月カルテルをやり、今度はさらにそれを倍にして一年間の延長をしようというのでありますから、公取委員会は九カ月というような説も出しておる、中をとって九カ月というようなことを言っているのかもわかりませんが、これだっておそらく根拠はないと思う。九カ月ならいいけれども一年ならだめだという根拠はないと思う。それは公取委員会自身の中に、不況カルテルの要件であるコストを大幅に割るという現実はまだ綿業の中に出ていないから、というふうに私は解釈をするわけです。最近の新聞等を見ましても、なるほどそれは零細な綿紡それ自身ではかなり大幅なコスト割れをしないとは——むろんないとはいわぬが、逆に今日でも多額の黒字を出している紡績会社がかなりあるじゃありませんか。そうすると、カルテルを結んだ結果がどうなるかということであります。一つには綿紡績の合理化や構造的な改善というものがカルテルの中に逃げ込んで、結局これが遅延をし、新法の精神であるところの三年後ないしは四年後には自由な競争をするという原則がそこでなくなってしまうじゃありませんか。もう一つは、安易にカルテルによって市況が維持できるために、結局のところ損するものができてくるという状態になるじゃありませんか。これは私は考えてみて、決して百六十円という今日の市況というものは、不況カルテルにいわれるコストを大幅に割っているというふうには考えられない。繊維新法をつくってやっと一年半になるかならぬかの段階で、今日繊維新法を大幅に変えなければならぬということは、通産省にとってたいへんはずかしい話だ。だからこの際、行き着くところまで行って、その間は不況カルテルを結ばしておいて、まあ三年たち、いよいよ法律の期限が切れそうになったときに出し直さなければいかぬのだから、そのときになったら考えようということでは私はいかぬと思うのです。特に私が不思議だと思うことは、ことしの二月中旬ごろ繊維局長は、法律の改正は絶対必要なのだ、こういうことをあなたは盛んに強調されておるということがしばしば新聞に出ておるわけです。ところが、日清紡の不満の表明や、鐘紡も途中までやりましたが、こういう大手のカルテルに対する不満が出て、最終的にまとまった内容を見ると、どうも通産省も現在の新法は改正せざるを得ない、改正することを前提として今度カルテルを結ぶというように考え方が変わったように見受けられる。これじゃまことにわれわれに言わせると、通産省繊維、特に綿紡に対する方針というものがどっちを向いておるかわからない。いままでいろいろと私なりの判断を並べ立てたわけだが、こういう点について大臣がまずどう考えるか、それから出離者である局長はどういう考え方を持っておられるのかお伺いしたい。
  59. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) この繊維新法の問題はそう通産省がこだわる必要はない。改正は年限があまりたっていないからというのでこだわる必要はない。しかし、現在のところ根本の問題には、いま御指摘のように構造問題というものが一番横たわっておるわけでありますから、これはいずれにしても構造政策というものに取り組まなければ繊維産業というものに対する根本対策は私は出てこないと思う。そういう点で現在も御承知のように繊維工業の審議会、あるいは産業構造審議会の合同委員会でかなり熱心にやっておる。石炭もやったのですが、次はやはり繊維ということでやらざるを得ないのじゃないか。そういうことでその問題にメスを入れない限りは、やはりこの委員会でもいろいろ御質問があっても、あまり歯切れのいい答弁をすることはできないのじゃないか。それはその問題がやはり根本じゃないか、こういうことでございます。そうしてまた繊維新法についても、そんなに立場立場といったって、通産省立場というものは国民の立場以外にないのですから、それにこだわる必要は考えておりません。
  60. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 先ほど先生から綿紡の不況というのは独禁法上どうだろうか、非常に大きく割り込んでおるのではないのではないだろうかというお話がございましたが、非常に合理化をしておりますところでは、もうけをのけますと百六十円で、四〇でございますが、コストが四〇を百六十円であげておるごく例外的な会社はございます。これは事実でございます。ただこれはもうけは出ておりません。一般的に申しますと、実は私のほうでいわゆる構造問題と取っ組みますために、どうしてもコストから入らなければいかぬということで、抽出調査でございましたが、コスト問題というものは非常に調べにくいのでございますが、できる限りわけを話して会社側の協力を求めまして、数十社についてコスト調査をいたしたのでございます。四〇につきまして一番コスト・ダウンをしておるところは百六十円ちょっと割っております。しかし大体は百七十五円から、その上ひどいのになりますと百九十円近いというようなコストのものもございまして、私は市況の百六十円というものは、これは非常にコスト割れであると考えております。なお十大紡の決算の状況でございますが、四十年の上期下期をとってみますと、十大紡がかつて三十九年には利益率三・五%近くございましたのが、四十年の上期には一・八%に落ち、四十年下期には〇・四%になっておる。これは一応利益は出ておりますけれども、御承知のとおり土地なり工場などを相当多数、二十数億売ったと聞いておりますけれども、特に利益を計上して〇・四%のかろうじて黒を出しておるというのが十大紡の状況でございますし、また新紡の十社につきましても、かつて三十九年の三・五%前後の利益率が現在一%程度に落ち、ないしはそれが減りつつある。新々紡も同様、こういう状況になっておるわけでございます。そういうようなことでございますので、われわれは独禁法の条件に該当すると思うわけでございます。  第二に新法について、これは先生非常にお詳しいのであれでございますけれども、新法の十七条によりますと、新法発足と同時に、まあ簡単に申せば余った精紡機ですね、需要に比べまして余った過剰精紡機と申しますか、ラフに申せば。これを凍結いたしたわけでございます。この凍結したということは、考え方から申せば、新法が施行になったそのときから綿糸業界は自由競争に入ったということでなくして、新法が失効する四年後に自由競争に入る。新法の施行期間中は法律でもって、旧法に比べますと、ラフではございますけれども、一応需給の調整をやって、そうして綿紡会社に収益を確保させて、そうして自由競争時における綿紡会社の体質改善を、新法施行という期間中に綿紡会社に対し体質改善を達成させようというのを私は新法がねらったというふうに考えておるわけでございます。ところが遺憾ながら、確かに先ほど御指摘のように、通産省だらしがないじゃないかと言ってしかられたわけでございますが、新法を施行いたしましたとたんにカルテルを結ばざるを得ないほど大きく需要供給のバランスがくずれたということではないだろうか。私の考えておりますのに、新法の施行期間中というのは、むしろ綿紡会社に四年後における自由競争に備えて、収益をある程度確保して、そうして体質改善をなすべき期間というふうに新法で考えておったのが、事志と違ったというふうに私は考える次第でございます。確かにどうも通産省見込み違いをしたと思うのでございますが、まあそれはともかくといたしまして、現在はそんなことでカルテルの延長を業界は希望しておるわけでございますが、ポイントは御指摘のように、こんな短期の需給調整でつないでいってもどうも間に合いませんので、構造問題と取り組まなければならない。後進国の状況、先進国のマーケット、国内の労働の需給関係、また複合繊維時代といわれております合成繊維の進出等々を考えました場合に、どうしても急速に綿紡各社を、いわゆる労働集約産業から資本集約産業に脱却しなければならない、差し向けなければならないというふうに考えておりまして、大臣も申しましたように、目下繊維工業審議会と産業構造審議会の共同の体制委員会におきまして、この体制問題に本格的に取っ組んでおるわけでございます。ただ、この体制問題とカルテル問題との関係でございますが、私個人といたしましては、何を申せこの構造改革を達成いたしますためには、先立つものは資金が要る。この資金は国も極力これは支援をしなければならないというふうに思い、また国会にお願いしなければならないというように考えておるわけでございますが、何を申しましても、主になりますのが綿紡各社の自力、体力だというふうに思うわけでございます。で、この構造改革に綿紡各社が向かいますためにも、ある程度の収益は確保してやらなければなかなか構造改革はスムースにいかないのではないか。これが現時におけるカルテルの位置づけではないかというふうに考えておる次第でございます。
  61. 大矢正

    大矢正君 いま局長は、この繊維新法ができてからカルテルを結ぶような、また結ばなければならぬような結果になったけれども、それは繊維新法の本旨とするところとはあまり関係のないようなお話でありますが、私はそうじゃないと思うのであります。まあ私がいまさら申し上げるまでもなく、繊維新法ができたときに、その自由競争をいかにしてもっとも早い機会に綿業界の中に打ち立てるかということ、これが基本的な考え方であり、そのことのために具体的には一定の凍結をし、その凍結は二対一の比率でこれを廃棄もしくは新設、すなわちスクラップ・エンド・ビルドをやるという考え方が出たわけでしょう。ところがこの資料を見ると、四十年十二月一日現在のこの滅失錘数と、それから新設の錘数、あるいは解除の錘数、これらをみますると、おおむね当時通産省から出された考え方とはあまり大きな変化はない。徐々にこのスクラップとビルドが行なわれているわけです。三年後にはこれでちょうど需給が見合う体制が綿紡の中においては、特に綿紡の中においては、まあその他もありまするが、第一区分の中の綿紡の中においてはでき上がるのだという前提で立てられてきたわけですね。今日遺憾ながらそれとは違う状態にあるわけです。もしかりに当時実需に見合う紡機の錘数を計算して、それ以外は使用しないという、いうならば使用停止の錘数というものをきちっと押えておいて、そのままの体制でくれば、今日何も過剰在庫、そして市況の悪化ということはなかったはずなんです。ところがスクラップ・エンド・ビルド方式で、使用停止の解除は一つには新設、一つには封鎖の解除、この方向でやっていくことによって新しい機械も入るだろうし、解除は古い機械ではあるけれども、合理的な方向がとられるという観点からやられたわけなんだが、ところがその数が今日おおむね綿では五十万錘、スフを入れれば七十万錘くらいになると私は計算しておりますが、そのことが一つと、もう一つは潜在的であった当時のヤミ紡機が第四区分に乗せられてこれが顕在化してきた。この二つが非常に今日の繊維市況を悪化さしている理由にもなっている。これだけじゃありません。これだけじゃありませんが、これも大きな理由になってきているわけです。そうすると、あなた方が考えてきた内容はたくさんあるが、その中の主要な骨子であるスクラップ・エンド・ビルドがまずこわれた。それから潜在化していたものを顕在化する法律の骨子というものがこれまたくずれた、第四区分で。これはどう見たって繊維新法の当時の情勢や判断というものとは大きく違っていることは私は間違いないと思うのですよ。あなたが幾らそこで、いやいまの情勢も繊維新法の本旨と何も違いはないと、こうおっしゃるが、もう一ぺん御答弁願いたいと思います。
  62. 乙竹虔三

    政府委員乙竹虔三君) 私の御説明が不十分、適確ではなかったかと思うのでございますが、繊維新法ではまあ法律的に需要と供給とを合わせたわけでございますね。新法の第十七条で法律的に需要と供給を合わせた。しかも、これは釈迦に説法でございますが、旧法は国が保障いたしまして、限界企業を温存するために最初は年に四回、あとは年に二回需給調整いたしましたのに比べまして、法律施行当時一ぺんだけ需要と供給だけ合わせて必要錘数というものを設けた。なお、いま御指摘のように、あとはスクラップ・エンド・ビルドで徐々にそれからふえてくる需要に見合うものはスクラップ・エンド・ビルドで達成、補てんをしていこう、こういうようなことであった。そのたてまえはそのとおりきているわけでございますが、どうも私は端的に申しまして、需給の想定に誤りがあったのか、ないしは不況が非常に深刻であって、これも需給想定に誤りがあったといえばいえるかと思いますけれども、非常に不況が深刻であって需要が予想どおり伸びないというところに問題があったのか。やはりその辺法律は、三カ年ないし四カ年の法律の施行の間に、法律施行の当時に一ぺんだけ需給調整をしておいて、そうしてゆるいかっこうであるけれども一応需給バランスをとって、企業に収益を確保しようと考えたんだろうけれども、需給の想定に遺憾ながら狂いがあった。その一つの大きな原因は、先生の御指摘のようにやみ紡機の顕在化という点もあったんではないかというふうに思うわけであります。
  63. 大矢正

    大矢正君 通産大臣お尋ねしますが、御存じのとおり紡績というものは五十万錘、六十万錘なんという大きな会社から、一機四百錘の最低限度のものも一つ企業ですから、個人企業、法人企業を問わずまことに規模の上においては千差万別ですね。したがって百七十二もカルテルに参加をしなければならぬという結果が出ているわけです。ただ私はふしぎだと思うことは、不況で市況が悪い、ないしは構造的に問題をかかえているから市況が悪いと、こういうが、あまりつぶれたという話を聞いたことがない。十大紡、今度九大紡になるそうでありますが、こういう大きなものはもちろんつぶれっこはない。銀行が金を貸して倒すわけはないから一応それは別として、中小零細な規模のものといえどもなかなかこれはつぶれない。非常に根強いものがある。戦前は離合集散というか、合併というか、そういう歴史の繰り返し、またカルテルの繰り返しというものでやってきているわけですが、今日はそういうことがあまり行なわれなくてもなかなかつぶれない。先ほど繊維局長は今日の四〇番手のコストはどのくらいかという計算はなかなかむずかしいが、しいてその計算をすれば百七十円ないし百七十五円くらいだという話があったのですけれども、どうもこの辺にひとつ問題があるような気がしてしょうがないのです。ほんとうに百七十五円というコストに計算をするからには、私はよもや最低のほんとうに規模の小さい、コストの高いもののそのコストが百七十円ないし百七十五円ではないと思う。おおむね、あるところに目標を設定して、その辺のコストはどのくらいかということから計算するわけですね。そうすると、四十年に入ってからも百五十円台になったことがしばしばあったのです。市況が四〇番手平均を示しておるのですが、そういう時代もあった。しかし、これはなかなかつぶれないわけですね。どうしてこれはつぶれないのか。つぶれないうちにカルテルを結ぶんじゃないかということも考えられるわけですね。もう長い明治時代からの歴史のある業界ですから、先の見通しが早い。したがって危くなる前に、半年も一年も前にこれは危くなるぞということでカルテルを結んでその中に逃げ込むという傾向が私はなきにしもあらずだという感じがする。大臣は、そういう零細な綿紡なんかを見られて、いま私が申し上げることは間違いだというふうにお考えですか。どうも私はいまのはわからないですね。綿紡関係の業界の内部というものがね。
  64. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは、繊維局長の言っておる百七十円から七十五円というのは、ある一定の基準を考えての一つの平均生産費でありましょう。だから実際問題としていま言われたように、これはカルテルも結ばずに、そういう形で繊維の構造改革というものをするということも一つの行き方かもしらぬ。しかし、そうなってくると非常な混乱が起こるわけですからね。それこそ弱肉強食という形になるわけですから、そこでどうしてもやはりこれには転廃業したりあるいはまた合併したりするものもできてこなければならぬ。そういうふうな対策も立てて構造政策というものに取り組むのでないと、ほったらかしてその間の自然淘汰ということもできないのですね。政治としてはできないのですね、行き方かもしれぬけれども。そういうことでいま申したようにやはり大問題でありますから、この構造問題というものに対して、これは役所だけの考えでもいかないので、小委員会で、これはかなり熱心に活動している小委員会ですが、いま検討を加えて、そして自然淘汰の形でなしに、構造政策というものに取り組んでいきたいという基本的な考え、しかもいま言われたように、こんなに市況が悪いのに零細な企業がなかなかりっぱにみなやっていっておるのですからね。あまりこれをやめようという人もないようです。それは非常に私自身もふしぎなことだと思っているのです。そういうことだけれども、これを自然淘汰の形でいかないで、やはりそういうふうな一つの基本的な方針が打ち出されて、それにのっとってこの構造改善というものをやることが好ましいという方向でいま動いておるわけでございます。
  65. 大矢正

    大矢正君 もち一回これは最初に戻るんだが、大臣こういうことですか。法律の改正をするまではカルテルを、やらなければならないというのがどうも私が聞いている紡績協会の考え方の骨子のように思われる。ここから一〇%のかりにその生産調整といいますか、紡機の封鎖といいますか、というものが生まれたり、それから市販糸をどうするかという問題が生まれたりしているように聞こえるわけですがね。ほんとうにそうお考えになっておられるかどうか。たとえば私が聞いておる限りによると、繊維、特に綿業界の構造的な問題は来年までかからなければどうしたらいいかということが出ないような話を、審議会ですがね、聞いておるわけです。そうすると、いやがおうでも来年になってからかりに審議会で結論が出た、答申が出たということになっても、実施するといったら今度は四十二年、四十三年になってしまいますね、予算上からいったって。そうするとカルテルを二年でも三年でも続けるということになる。そうすると何のために繊維新法がある。自由競争をするために本質を改善しようじゃないか、そうして合理的な計算の上に立ったいわゆる生産設備ということを考えられてきたいわゆる繊維新法とは全然かけ離れてしまうじゃありませんか。その点はどういうことなんだ。いやそういうことはないのだ、あくまでも緊急避難で一時的なものなんだという考え方だと、紡績協会のきめた方針とはかなり隔たりが出てくる。その点……。
  66. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) これは紡績協会でいろいろきめましても、われわれとして判断をそれで束縛されるわけではないのです。これは公取委員会としてもそうでしょう。紡績協会としてはいろいろな希望の条件を持っているということ、これにわれわれは拘束されるものではないということです。
  67. 大矢正

    大矢正君 通産大臣、あなたそうおっしゃるが、いまだかつて、公取側にはあっても、通産省はカルテルはけしからぬからやめなさい、これはあまり長過ぎるから短くしなさいということを言ったことは私は聞いたこともない。そんなことは新聞で見たこともないし、聞いたこともない。業界できめたからけっこうです、もろちん業界がきめるまでの間に通産省法律に基づく基づかないは別として、行政的な指導をしてきめさせるのですから、それをあとになってから、もうきめたことはこれはお前けしからぬと言いようがないから、乙竹さん知らぬ顔をしているけれども、自分で出かけて行って、そして九カ月とか一年とかと言ってきめさしているのです。幾らうそを言ってもだめですよ。そしてあとから一年がいかぬから九カ月にしなさいなんで通産省言えるわけがないじゃないですか。
  68. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) それは大矢さんの少し思い過ごしで、それは乙竹君でも、初めから一年なら一年ときめて——そういうことではない。いまやっぱり通産省としても不況カルテルを結成しなければ、これを続けていかなければ、三月でそれなりほっぽり出してはぐあい悪かろうという考え方のもとに行政指導を行なったことは事実ですけれども、初めから一年ときめて、そういうことではない。できるだけは、これは緊急避難的なことですから、短期間でこれは終わるということが原則です。通産省だからといってむやみに長いということでは、これはやはりもっと不況カルテルなんかの方式でなしにやらなければいかぬわけですからね。それはそういう点は少し思い過ごしではないかと思います。
  69. 大矢正

    大矢正君 それは大臣、あなたそうおっしゃっても世間の人はそう言っておらぬわけですよ。佐橋次官のことをカルテル佐橋と言っているんだよ。それはあなたが、私は三木さんという人は非常に政策に明るい人であるし、どうすれば日本の産業界、経済というものが発展するかという立場から考えておられると思ったから、かりに業界の中でそういうことが出ても、むしろ抑制のほうに回るものだと思っておったら、積極的にいやだというものまでカルテルさしているじゃないですか、あらゆる産業にわたって。いまだかって通産省がカルテルをやってはいかぬとか、長期だからもう少し短期にせいと言ったというようなことは聞いたこともない。せめてそのことばが三木さんから出るかと思ったら、出ない。だからカルテル佐橋と言われるぐらい、それほど通産省はカルテルをやらせるようになってしまった。その話は言われたようなことで、通産省が積極的にやられるということですから、この際時間もありませんし、了承しますが、最後に、先ほど来零細な綿の企業というものが今日なおつぶれないで現存をして生きているということは、これはまことにこれ自身はけっこうなことだと思うのでございます。したがって、われわれとしては、やはりこういう一つ企業に対しても積極的なてこ入れをして、つぶれないようにしなきゃいかぬと思うのです。ただ問題は、現状のままでつぶさなきゃいいということでは事が進まぬわけですわね。特に零細になればなるほど、結局糸売り専門でしょう。ほかにもうたとえばみずから織って、あるいは染色するとか、加工するかという一貫したものではないわけですね。糸を売ることだけに限定をされてしまうわけです。こういう形では、なかなかこれからの構造的に問題を残している繊維産業の中で生きていくことは困難ですわね。ですから、やはり零細な企業企業なんで、それぞれ集団をつくらせて、力をあわせてやらなければいかぬ。一つ会社をつくるか、あるいはお互いに協業していくか、いろいろ形はあると思うが、そういう方向で指導しない限り、私はこれからのきびしい綿業界に対する風当たりをやはり受けとめていくことはできないと思うんですね。したがって、そういう意味で必要なことは何といってもやはり資金であります。今日やはり大紡績会社は別としても、資本や資金の面で一番やはり行き詰まっている産業なり企業というものは綿だと私は思うわけですね。そこで、ことしのたとえば開発銀行、これはおそらく零細なものは対象にならぬと思うのでありますが、中小企業金融公庫等の紡績その他に対する融資の方向なんというものを見ましても、どうも通産省が大上段に振りかぶって、将来に備えての紡績業界の立ち直り体制を確立するための予算としてはあまりに少な過ぎますよ。何といっても資金がないということは、それ自身合理化をはばんだり、あるいは新しい分野を開拓して、それぞれの持つ企業の持ち味を生かすということができなくなりますね。それからいま申し上げたとおりに、やはり一貫した一つの工程を持とうとしても、先立つものは金だということ。そこでそういう面については積極的に通産省としても資金の確保に努力をしなけりゃいかんと思うのです。ただカルテルだけ認めてやればそれでいいということだったら、絶対に合理化が進むはずはないんです。それから構造的な問題の解決にはならぬ。そこで、やはりそれを幾らかずつでもやわらげていく、それで本来の経済の体制の中で生きていくというなら、構造的な改善をやるという以外に、いま言った方向以外にない。それには金がかかるということが必ずついて回るのですから、その点については十分考えてこれから対処してもらいたいということを希望しておきます。
  70. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本調査は本日のところこの程度にいたしたいと存じます。     —————————————
  71. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 次に、工業標準化法の一部を改正する法律案、本院先議を議題といたします。  本案につきましては、先般趣旨の説明を聴取いたしておりますので、本日はこれより直ちに質疑に入ります。質疑のおありの方は順御次発言を願います。
  72. 小柳勇

    ○小柳勇君 大臣に二問だけ質問いたしまして、きょうは質問を終わろうと思いますが、第一の質問は、工業標準化法が改正されようといたしておりまして、貿易自由化になりまして、国際的に日本工業規格というものが上級化され、かつ国際基準と比べて見劣りがしないように前進していかなければならないのです。日本工業規格が今日まで十六年でございますか、民間の企業者からも支持されてまいっておりまするが、国際的に前進してまいるには、もう少しこの制度なり、あるいは工業関係が協力して、この際一ふんばりしないと前進しないのじゃないかと思うのですが、今年度の予算を見ますというと、国際標準化事業費予算は、昨年に比べまして半分ぐらいに削られておるわけです。私どもとしては、もう少し国際規格の方向に全力をふるって、大臣以下工業技術院も考えてもらわなければならぬと思うが、その点について大臣の御見解を承りたいと思います。
  73. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) その予算のほうは、IECの大会があって、予算がぽっと相当高くついておったのを、そういうものがないものだから、そういうことで、これを軽視したための予算の削減ではないということだと思います。まあこれはどうしても、いままでは、終戦後物をつくればいいという量産体制で、質より量だということでやってきたわけです。これからはそうはいかないのですから、やっぱり質の競争になって、国際競争力といっても、それは量といったって意味がない。そういう点で工業の標準化ということは非常に大事な点で、われわれ役所の中でもこれはわりあいはなやかな面でないですが、しかし今後ともこの問題は取り残されないように、予算の面においても気をつけてまいらにゃならぬと考えております。
  74. 小柳勇

    ○小柳勇君 第二の問題は、今回の改正を含みまして工業標準化を進めますと、工場の施設の改善とか、機械を新たに取りかえませんと、十数年になりますと機械がガタいたしまして、実際に合わせようといたしましてもなかなか合わぬわけです。そういうことで、法改正はもう少し私は広く高く改正していかなければならぬ、全般的な改正が必要だと思うのですが、それには融資とかあるいは補助金とか、臨時措置法でもいいから立法化いたしまして、工業規格の前進のための金融なり補助の臨時措置法的なものをつくりまして、両々相まってやっていかないと、中小企業の人なんか特に規格の前進というものはあり得ないわけですが、その点について大臣見解を聞いておきたいと思うのです。
  75. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) いま小柳さん御指摘のような、別に融資のそういうふうなワクというふうには考えてないのです。将来の問題として検討をいたします。
  76. 小柳勇

    ○小柳勇君 いまの問題が私は基礎だと思うのです。法改正をずっと見てみますと、押し着せですね。政府のほうできめて、それはこうやりますよと、これから熱処理やメッキや染色を加えようとされます。これは技術加工です。これでもやはり新しい施設を考えなきゃならぬでしょうし、それからJISができましてもう十数年になりますから、一生懸命がんばりましても、これ以上あまり前進しないという工場もたくさんありましょう。そういうものにはこのJISに関係する融資というものが私は急務じゃないかと、そうしますと、国際的な規格にいたしましても負けないようなものができると思うのです。最後の問題は、あとでまた工業技術院にずっと詳しく質問してまいりますけれども、大きく言って、三木通産大臣が腹に入れておきませんと、工業技術院のほうで立案しましても、大臣がいいとおっしゃらぬと困るのですから、もう一回大臣見解を聞いておきます。あと大臣はおられぬでも大体論議できるのですから、技術的な問題ですから。大臣の重ねての見解を聞いておきたいと思います。
  77. 三木武夫

    国務大臣三木武夫君) 小柳さんの御指摘ごもっともだと思います。やはり全般の国政の中で、こういうじみな問題、たとえば科学技術の面でも、拾ってみると三十億円くらいしかないのですね。いろいろ拾ってみてやはり少ない。これからの問題というのは、国際競争力といったところで、みな戦後復興できたのですから、質の競争になっていくし、こういうことで工業の規格、これまた品質の改善のためにも非常に大事なことですから、こういう点で今後御指摘のように、どうしてもこれは役所から言えば、いろいろほかにある予算面などに比べたら、どうしても見落とされるような面ですが、私は実に大事な点であると思うので、今後は特にその点に注意をいたしまして、できる限りそういう機運を助長するような方法というものは、これはほんとうに検討したいという心境でございます。
  78. 村上春藏

    委員長村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に関する質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時四分散会      —————・—————