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1966-06-25 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十五日(土曜日)    午後一時二十一分開会     —————————————    委員の異動  六月二十五日     辞任         補欠選任      小平 芳平君     鬼木 勝利君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 鹿島 俊雄君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 土屋 義彦君                 山下 春江君                 山本  杉君                 横山 フク君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 鬼木 勝利君                 小平 芳平君    衆議院議員        社会労働委員長        代理理事     小沢 辰男君        発  議  者  伊能繁次郎君        発  議  者  大出  俊君        発  議  者  大原  亨君        発  議  者  山田 耻目君        修正案提出者   小沢 辰男君    国務大臣        厚 生 大 臣  鈴木 善幸君        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        防衛施設庁長官  小幡 久男君        防衛施設庁労務        部長       江藤 淳雄君        厚生政務次官   佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省公衆衛生        局長       中原龍之助君        厚生省環境衛生        局長       舘林 宣夫君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省年金局長  伊部 英男君        厚生省援護局長  実本 博次君        社会保険庁年金        保険部長     網野  智君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案  (内閣提出衆議院送付) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正す  る法律案衆議院送付予備審査) ○原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を  改正する法律案衆議院送付予備審査) ○性病予防法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す  る法律案衆議院提出) ○製菓衛生師法案衆議院提出) ○国民年金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○健康保険共済改悪反対及び医療保障確立に関  する請願(第一八号)(第一四六七号)(第一  四六八号)(第一四六九号)(第一五二九号)  (第二五七六号)(第二六〇三号)(第二六〇  七号) ○結核対策拡充に関する請願(第一九号)(第  一五二八号) ○医師・看護婦の充足に関する請願(第二〇号) ○国民健康保険料引上げ反対及び給付改善に関す  る請願(第二一号) ○病院給食改善生活保護基準引上げに関する  請願(第二二号) ○療術業務医業類似行為)の新規開業制度化  に関する請願(第二三号)(第七五号)(第一  四〇号)(第一五〇号)(第二八九号)(第三  八五号)(第一五三六号)(第二〇六七号)  (第二〇九〇号)(第二一一六号)(第二一三  八号)(第二一三九号)(第二一五一号)(第  二一七九号)(第二二二二号)(第二二二七  号)(第二二六八号)(第二三一九号)(第二  三六一号)(第二四一一号)(第二四一二号)  (第二六三一号)(第二六三二号)(第二六五  五号)(第二六七三号)(第二七二六号)(第  二七四八号)(第二七八九号)(第三一六四  号) ○保育所拡充強化に関する請願(第五六号) ○戦傷病者支給する補装具の種目に「義装耳た  ぶ」を追加するの請願(第七六号) ○国民健康保険改善に関する請願(第八二号) ○全国保健所栄養指導員管理栄養士)必置等  に関する請願(第八三号)(第九六号)(第一  二六号)(第一八四号)(第二二六号)(第二  四二号)(第二八二号)(第三〇七号)(第三  四〇号) ○老後生活完全保障のための年金制度根本的  改革に関する請願(第九四号)(第八〇〇号)  (第一四四五号)(第二一一三号) ○国民健康保険に対する国庫負担金増額等に関す  る請願(第九五号) ○老齢福祉年金増額に関する請願(第一二三号)  (第二二七号)(第二二八号)(第二四九六  号)(第二五七七号)(第二五九五号)(第二  六八四号)(第二六八五号) ○母子栄養強化対策に関する請願(第一二四号) ○国立栄養体力研究所仮称設置に関する請願  (第一二五号)(第三〇八号) ○「一酸化炭素中毒症に関する特別措置法制定  に関する請願(第一五一号)(第一六五号)  (第一六六号)(第一八一号)(第一八二号)  (第一八三号)(第三四四号)(第三六五号) ○環境衛生金融公庫設置に関する請願(第一六四  号)(第一六七号)(第二八八号)(第一八五  号)(第二二五号)(第二四八号)(第二四九  号)(第二六六号)(第二六七号)(第二六八  号)(第二八三号)(第三三二号)(第三四一  号)(第八四二号) ○国民年金法改正に関する請願(第二一八号)  (第二一九号) ○国民健康保険制度強化に関する請願(第二二  九号) ○性病対策強化に関する請願(第三九二号) ○動員学徒犠牲者に対する国家処遇改善のため援  護法改正に関する請願(第四二一号) ○国立岐阜療養所災害保障等に関する請願(第四  七一号)(第四七二号)(第六〇〇号)(第六  〇一号)(第六一五号)(第七二〇号)(第八  四三号)(第九六四号)(第九八九号)(第一  一八一号) ○長崎大学医学部原爆犠牲学徒援護に関する請願  (第五三二号)(第六七一号) ○国立らい療養所栗生楽泉園入所患者療養生活  改善、向上に関する請願(第六一四号) ○調理師免許、登録、試験制度に関する臨時  行政調査会並びに地方制度調査会の第二次答申  反対に関する請願(第六六三号)(第八七三  号)(第九〇六号)(第一三一六号) ○原爆被災者遺族援護に関する請願(第六七二  号) ○部落解放に関する請願(第七七九号) ○政府関係機関労働者労働条件に関する請願  (第八二七号)(第八二八号)(第八二九号) ○健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請  願(第八五一号)(第八五二号)(第八五三  号)(第八五四号)(第八五五号)(第八五六  号)(第八五七号)(第八五八号)(第八五九  号)(第八六〇号)(第八六一号)(第八六二  号)(第八六三号)(第八六四号)(第八七八  号)(第八八二号)(第一一九六号)(第一一  九七号)(第一二二八号)(第一七一一号) ○陸中海岸国立公園地域拡張並びに下北半島の  国定公園指定に関する請願(第八八八号) ○国民年金法改正に関する請願(第九〇七号) ○身体障害者福祉法根本的改正に関する請願  (第九二四号) ○国立足利療養所結核ベット縮小反対等に関す  る請願(第九六五号) ○栄養士法第五条の二の第二号改正に関する請願  (第一〇一四号)(第一一五三号)(第一四一  二号)(第一五八二号)(第一五九九号)(第  一七二一号)(第一七七七号)(第一七七八  号)(第一七九八号)(第一八五三号)(第一  八七八号)(第一九三三号)(第一九五九号)  (第二〇四四号)(第二〇六五号)(第二〇六  八号)(第二一〇五号)(第二一〇六号)(第  二一三六号)(第二一七六号)(第二一七七  号)(第二一七八号)(第二二二一号)(第二  二二八号)(第二二二九号)(第二二四二号)  (第二二四三号)(第二二六九号)(第二二八  二号)(第二二八三号)(第二二八四号)(第  二二九二号)(第二二九五号)(第二二九六  号)(第二三〇二号)(第二三〇三号)(第二  三〇四号)(第二三〇五号)(第二三一二  号)(第二三二〇号)(第二三三八号)(第二  三六二号)(第二三六三号)(第二四一四  号)(第二四一五号)(第二四四四号)(第二  四四五号)(第二五〇三号)(第二五〇四号)  (第二五〇五号)(第二五一九号)(第二五二  〇号)(第二五二一号)(第二五二二号)(第  二五二三号)(第二五二四号)(第二五二五  号)(第二五二六号)(第二五二七号)(第二  五四〇号)(第二五四一号)(第二五六六号)  (第二五六七号)(第二五六八号)(第二五六  九号)(第二五七〇号)(第二五七一号)(第  二五八五号)(第二五八六号)(第二五九四  号)(第二六〇六号)(第二六一〇号)(第二  六一三号)(第二六一四号)(第二六一九号)  (第二六二九号)(第二六三〇号)(第二六五  六号)(第二六八七号)(第二六九七号)(第  二七四六号)(第二七六〇号)(第二七七四  号)(第二七七五号)(第二七八三号)(第二  七八五号)(第二七八六号)(第二七八七  号)(第二七九七号)(第二七九八号)(第二  八〇九号)(第二八六一号)(第二八六二号)  (第二八六三号)(第二八六四号)(第二八八  二号)(第二八八三号)(第二八八四号)(第  二九二〇号)(第二九五六号)(第二九八〇  号)(第三〇六八号)(第三〇九二号)(第三  一六三号) ○深夜興行禁止に関する請願(第一〇一九号)  (第一〇三六号)(第一一四一号)(第一一九  八号)(第一一九九号)(第一二五九号) ○ストリップ劇場許可反対に関する請願(第一〇  三五号) ○製菓師法制定に関する請願(第一一八二号)  (第一二〇〇号) ○ハンセン病療養所患者作業賃日用品費増  額及び不自由者看護職員切替えに関する請願  (第一二二二号)(第二〇八九号) ○千葉精薄弱児施設桐友学園助成に関する請願  (第一二五〇号)(第一二五二号) ○失業保険制度改善し農民に適用する等の請願  (第一三四八号) ○クリーニング業法の一部改正に関する請願(第  一三六七号)(第一三九七号)(第一四〇六  号)(第一四〇七号)(第一四〇八号)(第一  四一九号)(第一四二〇号)(第一四三〇号)  (第一四三一号)(第一四三二号)(第一四四  六号)(第一四六四号)(第一四六五号)(第  一四六六号)(第一四八一号)(第一四八五  号)(第一五〇二号)(第一五一四号)(第一  五一五号)(第一五一六号)(第一五二三号)  (第一五二六号)(第一五二七号)(第一五五  三号)(第一五七五号)(第一五八〇号)(第  一五八一号)(第一五九七号)(第一五九八  号)(第一六二八号)(第一六二九号)(第一  七九七号)(第一八一三号)(第一九〇五号)  (第一九三四号)(第二〇九三号)(第二一二  五号)(第二一二六号)(第二一二七号)(第  二一五三号)(第二一七五号)(第二二七〇  号)(第二三六四号)(第二四九五号)(第二  五七五号) ○アルコール中毒者治療施設増設及び整備拡充  に関する請願(第一三八一号)(第一四一三  号)(第一四一七号)(第一四八二号)(第一  五七六号)(第一五八三号)(第一六〇七号)  (第一六三〇号)(第一六三一号)(第一七一  二号)(第一七一三号)(第一七七九号)(第  一七九六号)(第一九三七号)(第一九四八  号)(第一九五七号)(第一九五八号)(第一  九八七号)(第一九八八号)(第一九八九号)  (第一九九〇号)(第二〇〇四号)(第二〇〇  五号)(第二〇〇六号)(第二〇四二号)(第  二〇四三号)(第二〇六六号)(第二〇九四  号)(第二〇九九号)(第二一三〇号)(第二  一七四号)(第二二四八号)(第二二六一号)  (第二二九三号)(第二四一三号)(第二五〇  二号)(第二五一七号)(第二五六五号)(第  二七四七号)(第二七八八号) ○戦没者慰霊顕彰並びに遺家族援護対策強化に  関する請願(第一三九五号) ○同和対策審議会答申完全実施に関する請願  (第一三九六号)(第二一五五号)(第二三二  二号)(第二三七四号)(第二三七五号)(第  二三七六号)(第二三七七号)(第二三七八  号)(第二四三七号)(第二四三八号)(第二  四三九号)(第二四四〇号)(第二四四一号)  (第二四四二号)(第二四四三号)(第二五〇  六号)(第二五〇七号)(第二五〇八号)  (第二五〇九号)(第二五一〇号)(第二五一  一号)(第二五一二号) ○衛生検査技師法の一部改正に関する請願(第一  四一八号)(第一四八六号)(第一四九七号)  (第一六二七号)(第一八五二号)(第一九〇  四号)(第二〇一九号)(第二四四八号)(第  二四九七号) ○心臓病手術に要する供血制度改善に関する請願  (第一四二六号)(第一九三八号)(第一九九  二号)(第二一八九号)(第二二二四号) ○心臓病の子供の治療に対する育成医療助成拡充  に関する請願(第一四二七号)(第一九三九  号)(第一九九三号)(第三一九〇号)(第二  一九一号) ○国民健康保険事務費全額国庫負担に関する請願  (第一四五二号) ○健康保険改悪反対及び医療保障確立に関する請  願(第一四七〇号)(第一九九四号)(第二六  〇四号)(第二六八八号) ○健康保険改悪反対及び医療内容充実に関する請  願(第一四七一号)(第二一八七号) ○衛生検査技師国家試験地方自治体移譲反対に  関する請願(第一四八七号)(第二〇二〇号) ○戦没者等の妻に対する特別給付金支給法の不均  衡是正に関する請願(第一四九二号)(第一五  〇七号)(第一六一二号)(第一七〇三号)  (第一七八六号)(第一七九九号)(第一八三  七号)(第一八六四号)(第一八六五号)(第  一九一二号)(第一九六二号)(第二〇二三  号)(第二〇三四号)(第二〇七九号)(第二  三九八号)(第二四六三号)(第二六六九号) ○戦傷病者等の妻に対する特別給付金の不均衡是  正に関する請願(第一四九三号)(第一五〇八  号)(第一七〇四号)(第一七一九号)(第一  七八七号)(第一八六六号)(第一八六七号)  (第一九一三号)(第一九六三号)(第二〇一  八号)(第二〇三五号)(第二〇八〇号)(第  二一〇三号)(第二二二〇号)(第二三九九  号)(第二四六四号)(第二四六五号)(第二  六七〇号) ○戦傷病者特別援護法是正に関する請願(第一四  九四号)(第一五〇九号)(第一五八七号)  (第一六一八号)(第一七二〇号)(第一七八  八号)(第一八六八号)(第一八六九号)(第  一八七〇号)(第一九一四号)(第二〇三六  号)(第二〇八一号)(第二三〇六号)(第二  四〇〇号)(第二四六六号)(第二六  七一号) ○戦傷病者戦没者遺族等援護法による障害年金、  同一時金に係わる不均衡是正に関する請願(第  一四九五号)(第一五一〇号)(第一五八八  号)(第一六一九号)(第一六二〇号)(第一  七〇五号)(第一七〇六号)(第一七八九号)  (第一七九〇号)(第一八三八号)(第一八七  一号)(第一八七七号)(第一九一五号)(第  二〇二四号)(第二〇三七号)(第二〇八二  号)(第二三〇七号)(第二四〇一号)(第二  四六七号)(第二六七二号) ○全国一律最低賃金制確立に関する請願(第一五  三〇号)(第一五三一号)(第一五三二号)  (第一五三三号)(第一五三四号)(第一五三  五号)(第一九九五号)(第一九九六号)(第  一九九七号) ○農林水産業に対する失業保険適用に関する請願  (第一五六四号) ○簡易水道事業に対する助成強化に関する請願  (第一五六五号) ○引揚医師免許及び試験の特例に関する請願  (第一八七九号)(第一八八〇号)(第一九三  五号)(第一九三六号)(第一九四七号)(第  一九六〇号)(第一九六一号)(第一九九一  号)(第二〇〇三号)(第二〇四一号)(第二  〇九一号)(第二〇九二号)(第二一三五号) ○少年非行対策に関する請願(第一九四六号)  (第一九六四号)(第一九六五号)(第二〇二  七号)(第二〇二八号)(第二〇二九号)(第  二一九二号)(第二一九三号) ○原爆被害者救援に関する請願(第二一三一号) ○原爆被害者援護法制定並びに原子爆弾被爆者の  医療等に関する法律改正に関する請願(第二一  三二号)(第二一三四号)(第二一五〇号)  (第二一七三号)(第二二八五号)(第二二九  四号)(第二三〇一号)(第二三二一号)(第  二三八二号)(第二四四六号)(第二五一三  号)(第三〇三五号) ○最低賃金法改正に関する請願(第二一五六号) ○家内労働法仮称制定に関する請願(第二一  五七号) ○健康保険制度緊急改善に関する請願(第二一  八六号)(第二二三〇号)(第二三五六号)  (第二五一四号)(第二五一五号)(第二五一  六号) ○日雇労働者健康保険改善及び老後保障に関す  る請願(第二一八八号) ○国民年金法第九十条改正等に関する請願(第二  二〇〇号) ○戦没者の父母の処遇に関する請願(第二二六七  号) ○生活保護法実施要領に関する請願(第二三〇  〇号) ○環境衛生関係営業運営適正化に関する法律  の一部改正に関する請願(第二三二七号)(第  二三二八号)(第二三五八号)(第二三五九  号)(第二三六〇号)(第二四一〇号)(第二  四四七号)(第二四九八号)(第二四九九号)  (第二五〇〇号)(第二五〇一号)(第二五一  八号)(第二五五三号)(第二五七二号)(第  二五七三号)(第二五七四号)(第二五七九  号)(第二六〇〇号)(第二六〇五号)(第二  六〇八号)(第二六〇九号)(第二六一八号)  (第二六二五号)(第二六三三号)(第二六四  五号)(第二六五七号)(第二六七四号)(第  二六七八号)(第二六八六号)(第二六九一  号)(第二六九五号)(第二六九六号)(第二  七一一号)(第二七二七号)(第二七四九号)  (第二七五〇号)(第二七五八号)(第二七五  九号)(第二七六一号)(第二七六二号)(第  二七六三号)(第二八〇三号)(第二八〇四  号)(第二八〇五号)(第二八〇六号)(第二  八〇七号)(第二八〇八号)(第二八三三号)  (第二八四九号)(第二八六八号)(第二九一  九号)(第三九三七号)(第二九五七号)(第  二九五八号)(第二九七九号)(第三〇三六  号)(第三〇三七号)(第三〇四三号)(第三  一七七号)(第三一七八号) ○社会保険診療報酬支払期日法制化に関する請  願(第二三五七号) ○人命尊重に関する請願(第二五七八号) ○ソ連長期抑留者処遇に関する請願(第二五九七  号) ○緊急失業対策法に基づく事業運営実態調査と  その対策に関する請願(第二六五〇号) ○下肢障害者福祉、更正に関する請願(第二六  五一号)(第二六五二号)(第二六五三号)  (第二六五四号)(第三〇〇〇号)(第三一六  五号) ○老人福祉施設設立認可に関する請願(第二八七  四号) ○元戦犯の一部及び同刑死者遺族に対する特別  措置に関する請願(第二八八五号) ○環境衛生金融公庫設置に関する請願(第二九八  九号)(第三〇〇一号)(第三〇〇二号)(第  三〇〇三号)(第三〇〇四号)(第三〇〇五  号)(第三〇〇六号)(第三〇〇七号)(第三  〇三四号)(第三〇四四号)(第三〇四五  号)(第三〇四六号)(第三一七一号)(第三  二〇三号) ○長野県茅野市立病院がん研究に対する追試検  討に関する請願(第三〇〇八号) ○バーテンダーの国家試験実施に関する請願(第  三〇〇九号)(第三〇一〇号)(第三〇四七  号)(第三一六六号)(第三一六七号)(第三  一六八号)(第三一六九号)(第三一七〇号) ○医業健康保険組合医療費国庫補助に関する請  願(第三〇七五号) ○日雇労働者健康保険法改悪反対に関する請願  (第三一六二号) ○継続審査承認要求に関する件 ○継続調査承認要求に関する件 ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————   〔理事藤田藤太郎委員長席に着く〕
  2. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  内閣提出戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案、及び、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案議題といたします。  まず、政府から両案に対する提案理由の説明を聴取いたします。鈴木厚生大臣
  3. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  戦傷病者、未帰還者留守家族及び戦没者等遺族に対しましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、未帰還者留守家族等援護法戦傷病者特別援護法戦没者等の妻に対する特別給付金支給法、さらに昨年制定されました戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法等により、各般にわたる援護措置が講ぜられてきたところでありますが、今般さらにこれらの援護措置の一段の改善をはかることといたし、この法律案提案することといたした次第であります。  次に、この法律案の概要について御説明いたします。  まず、第一は、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部改正についてであります。  その改正の第一点は、準軍属範囲拡大であります。すなわち、昭和十六年十二月八日以後満州等において旧国家総動員法による総動員業務協力者と同様の事情のもとに当該業務と同様の業務に協力しておられました方々を準軍属として処遇することといたしたものであります。これは内地等における旧国家総動員法の規定に基づく総動員業務協力者につきましては、現行法においてすでに準軍属として処遇されております関係上、これとの均衡を考慮した次第であります。  改正の第二点は、軍人軍属または準軍属であった戦傷病者戦傷病者特別援護法によって療養給付を受けている場合には、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきましては、これまで障害年金支給しないたてまえとなっていたのを改めて、療養給付障害年金支給とを合わせ行なうこととしたことであります。  改正の第三点は、準軍属につきましては、従来項症程度障害者に対してのみ障害年金支給することとしておりましたのを、軍属の場合と同様、項症程度障害者に対しても障害年金または障害一時金を支給することとしたことであります。  改正の第四点は、準軍属にかかる障害年金及び遺族給与金の額は、従来軍人軍属にかかる障害年金及び遺族年金の額の十分の五とされておりましたのを、十分の七に引き上げまして準軍属処遇改善をはかったことであります。  改正の第五点は、遺族範囲拡大であります。すなわち、現行法におきましては、遺族年金遺族給与金等を受けることができる父または母はいずれも戦没者と自然血族または法定血族の関係にあることが必要とされておりましたが、昭和二十二年五月三日以後に戦没者が死亡した場合におけるその継親であった者及び入夫婚姻による妻の父母であった者並びに戦没者の事実上の養親等であった者のうち、戦没者によって生計を維持し、またはその者と生計をともにしていたもので、援護審査会が当該戦没者の死亡の当時において死亡した者の父または母と同視すべき状況にあったと議決したものに対しても、遺族年金遺族給与金等を支給することといたしました。  改正の第六点は、旧軍人恩給の停止の日である昭和二十一年二月一日から戦傷病者戦没者遺族等援護法の施行の日の前日、すなわち、昭和二十七年四月二十九日までの間に再婚し、この期間内にその相手方と死別した配偶者で、同日において当該婚姻前の氏に復していた者、その他援護審査会において当該死別を離婚による婚姻の解消と同視すべきものと議決したものについては、遺族年金遺族給与金等を支給することとしたことであります。これは、この期間内において再婚し、かつ、離婚した配偶者に対しすでに同様の扱いが行なわれていることとの均衡をはかろうとする趣旨であります。  なお、戦没者の父、母、祖父、祖母等が再婚し、その相手方と死別した場合についても同様の扱いといたしました。  改正の第七点は、昭和四十年の戦傷病者戦没者遺族等援護法改正により、昭和四十二年一月ないし同年七月までに実施することとなっていた遺族年金及び遺族給与金の完全増額措置を、六十五歳以上の者及び妻子等については三カ月短縮して昭和四十一年十月から、その他の者については六カ月短縮して昭和四十二年一月から、それぞれ繰り上げて実施することとしたことであります。  以上のほか、関係法令の改正により、遺族年金、特例扶助料等を受け、または受けることとなる戦没者等の妻に対し、戦没者等の妻に対する特別給付金支給する等、所要の改正を行なうことといたしました。  第二は、未帰還者留守家族等援護法の一部改正についてであります。  改正の第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法による遺族年金等の完全増額措置の繰り上げ実施に準じ、留守家族手当の額の増額措置昭和四十二年一月から繰り上げて行なうこととしたことであります。  改正の第二点は、未帰還者の死亡の事実が判明した場合においてその遺族支給する葬祭料の額を、六千円から八千四百円に引き上げることとしたことであります。  第三は、戦傷病者特別援護法の一部改正についてであります。  改正の第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法改正により、新たに準軍属として処遇されることとなりました者をこの法律による援護の対象に加えることとしたことであります。  改正の第二点は、療養給付を受けている者が死亡した場合においてその遺族支給される葬祭費の額を、六千円から八千四百円に引き上げることとしたことであります。  第四は、戦没者等遺族に対する特別弔慰金支給法の一部改正についてであります。すなわち、戦傷病者戦没者遺族等援護法による弔慰金を受けた遺族には、同一の戦没者について年金給付を受けている者がいない限り、この法律により三万円の特別弔慰金を支給することとし、該当遺族がいない場合は、戦没者の子に限って転給することとしておりましたが、今般この転給の範囲拡大し、遺族以外の者に嫁し、また遺族以外の者の養子となっている等の場合を除き、兄弟姉妹までの遺族に転給できるようにいたしました。  以上のほか、各法につき、所要の条文の整理を行なうことといたしております。  以上がこの法律案を提出いたしました理由でありますが、なお、衆議院において、本法律案中、、未帰還者留守家族等援護法等の改正規定等は、公布の日から施行し、昭和四十一年四月一日から適用することと修正されました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。     —————————————  次に、ただいま議題となりました戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  過ぐる大戦において、戦闘その他公務により障害を受けられた軍人軍属及び準軍属、いわゆる戦傷病者等の方々に対しては、恩給法、戦傷病者戦没者遺族等援護法等により、増加恩給または障害年金等を支給するなど、政府といたしましては、これまででき得る限りの措置を講じてきたところであります。しかしながら、これらの戦傷病者等の妻につきましては、戦傷病者等と一心同体ともいうべき立場において、久しきにわたり、夫の日常生活上の介助及び看護、家庭の推持等のための大きな負担に耐えつつ今日に至ったという特別の事情があると考えられます。したがいまして、この際、このような戦傷病者等の妻の精神的痛苦に対しまして、国としても、何らかの形において慰謝することが必要であるものと考え、これらの方々に特別給付金支給することといたしますため、ここに、この法案を提案する次第であります。  次に、この法案の概要について、御説明いたします。  まず、第一は、昭和十二年七月七日に勃発した日華事変以後に公務上負傷し、または疾病にかかり、これにより恩給法別表第一号表ノ二の特別項症から第五項症までに該当する不具廃疾となり、昭和三十八年四月一日において、軍人軍属または準軍属にかかわる増加恩給または障害年金、もとの陸海軍の雇用人等にかかわる旧令共済障害年金、もとの陸海軍に配属された雇用人にかかわる各省共済障害年金等の給付を受けていた者の妻に対し、昭和三十八年四月二日以後昭和四十一年四月一日前に戦傷病者等と離婚した場合等を除き、十万円の特別給付金支給することとしたことであります。  第二は、この特別給付金は、十年以内に償還すべき記名国債をもって交付するとともに、この国債は無利子とし、昭和四十一年五月十六日をもって発行することとしたことであります。  なお、国債の償還金の支払いについては、省令をもって規定することとなりますが、来年五月十五日に第一回分として一万円を、その後、毎年一回一万円ずつ、最終回は昭和五十一年五月十五日に一万円を支払うことといたしております。  第三は、特別給付金を受ける権利は、その譲渡を禁止しておりますが、相続についてはこれを無条件に認めるとともに、国債についての承継に関しても、民法の原則により、相続人が受け継ぎすることとしたことであります。  その他、特別給付金につきましての時効、差し押えの禁止、非課税実施機関等、所要の事項を規定いたしております。  なお、この法案による特別給付金支給件数は約三万三千件程度と見込んでおります。  以上がこの法案を提出いたしました理由でありますが、なお、衆議院において、本法案は、公布の日から施行し、昭和四十一年四月一日から適用することと修正されました。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  4. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 次に、両案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員小沢辰男君より説明を聴取いたします。衆議院議員小沢辰男君。
  5. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 私は、衆議院の社会労働委員会を代表いたしまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分につきまして、その内容を御説明申し上げます。  その要旨は、本法律案中、昭和四十一年四月一日施行となっていた葬祭料の引き上げ等に関する改正規定については、公布の日から施行し、同年四月一日から適用をすることにいたしたことでございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げたいと思います。
  6. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) ありがとうございました。  続けてやってください。
  7. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 次に、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案に対する衆議院の修正部分について、その内容を御説明申し上げます。  その要旨は、「昭和四十一年四月一日」となっていた施行期日を「公布の日」に改めまして、同年四月一日から適用をすることといたしたことであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  8. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) ありがとうございました。  右両案に対する審査は、一応この程度にとどめておきます。     —————————————
  9. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 次に、大原亨君外四十名提出の戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者、衆議院議員大原亨君から提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員大原亨君。
  10. 大原亨

    衆議院議員(大原亨君) ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案につきまして、社会党を代表してその提案理由を御説明申し上げます。  お手元に援護法等の一部を改正する法律案提案理由の二つ説明書がございますが、一方は参考資料でございます。  過ぐる大戦におきまして戦闘その他の公務により死亡し、あるいは障害を受けた軍人軍属及び準軍属に対しましては、恩給法は別としまして、戦傷病者戦没者遺族等援護法戦傷病者特別援護法等により援護措置がとられておるのでありますが、その援護の対象となる軍人軍属及び準軍属につきまして逐次その範囲拡大されつつあるのであります。  このたび政府提案しております戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案でも「満州等において旧国家総動員法による総動員業務協力者と同様の事情のもとに当該業務と同様の業務に協力しました人々」を準軍属として処遇しようとするものでありますが、何ゆえに、完全に戦争状態下に置かれていた内地において身命を賭して日夜防空業務に従事し、これにより倒れ、傷ついた者に対する援護措置が講ぜられないのでありましょうか、理解に苦しむところであります。  もともと、防空業務に従事しました者は、旧防空法によりまして危険をおかして防空業務に従事することを法律によって強制せられ、その違反につきましては、最高一年以下の懲役に処する刑罰をもってしたものでありまして、これは旧兵役法による兵役に服すること、また、旧国家総動員法による総動員業務に服することなどと少しも変わるところがないのであります。  また、防空業務に従事しました者に対しましては、旧防空法第十二条及びこれに基づく旧防空従事者扶助令、これは昭和十六年勅令第二十二号でありますが、これによりまして最低五百円から最高千五百円までの間の扶助金が支給せられ、千円としてもいまの貨幣価値では約四十万円でありますが、死亡の場合には別に葬祭費が支給せられることになっていたのであります。これらの法令は昭和二十一年一月に廃止になったのでありますが、その附則におきまして廃止後も扶助金の請求はなおすることができることとしながら、政府は何ら予算措置を講ぜず、また旧内務省の解体によりまして請求の事務を処理する官署すら明白でなかったのであります。したがって、当時旧防空法や旧防空従事者扶助令によりまして扶助金を請求することができるはずのが、事実上請求もできないという状態に置かれてしまったのであります。敗戦という異常な事態のもとにあったとはいえ、はなはだ遺憾というほかないのであります。  私どもは、このような措置がとられたことについていまさら当時の失策を責めようとするものではありませんが、終戦後二十余年を過ぎ、経済的にも、社会的にも落ちつき、戦傷病者等援護措置拡充強化され、逐年準軍属等の範囲拡大されつつある今日、これら防空業務に従事した者で死亡した者の遺族や、いまなお傷病に苦しむ傷病者に相当の処遇を与えることは当然のことと存じます。そこで、これらの犠牲者を準軍属として処遇するために、この法律案提案することといたした次第であります。  以下、この法律案の概要について御説明申し上げます。  第一点は、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正して、旧防空従事者扶助令第二条に規定する者で、旧防空法の規定に基づき、防空の実施もしくはその訓練に従事中または応急防火もしくはその訓練に従事中もしくは協力中のものを「準軍属」として処遇しようとするものであります。ここで旧防空従事者扶助令第二条に規定する者とは、  第一に、防空監視隊員、これは別紙の第二項及び昭和十六年十二月十七日の勅令千百三十六号による防空監視隊令、これに規定がしてあります。  第二に、警防団員、これは別紙資料にございますが、昭和十四年勅令第二十号の警防団令に規定されてあります。  第三に、防空法第六条第一項に規定する防毒、救護等の特殊技能を有する者と同条第二項に規定する特別の教育訓練を受けた者であります。これは別に医師、薬剤師、看護婦、保健婦、助産婦等をずらっと規定をされております。  第四に、防空法第九条第一項により緊急の必要ある場合に地方長官や市町村長から防空の実施に従事することを命ぜられた者。  第五に、第三と第四に掲ぐる者を除き、地方官庁または市町村長のなす防空の実施または訓練に従事した者のうち、内務大臣の指定するものであります。これは別に主として学校報国隊関係と指定しております。  第六に、防空法第八条ノ七に規定する建築物の管理者、所有者、居住者等の応急防火もしくはその訓練をなしまたはこれに協力した者でありまして、これは内務省訓令第十七号、昭和十八年には市制と町村制を改正いたしまして、そうして町内会や部落会の法的な地位を明確にいたしまして、行政の補助機関として規定をいたしまして、防空業務やら配給業務に従事されたのであります。  第七に、防空法第三条第一項の規定により、工場、学校等の防空計画の設定者の従事者等でその防空計画に基づいて防空の実施または訓練に従事した者であります。  以上述べました者が防空法に基づく防空の実施もしくはその訓練または応急防火もしくはその訓練に基づき死亡した場合または負傷しもしくは疾病にかかった場合には、その死亡した者の遺族には遺族給与金及び弔慰金が支給され、また、負傷しまたは疾病にかかって、これにより身体に障害がある者には障害年金支給されることとなります。  第二点は、戦傷病者特別援護法改正して、さきの戦傷病者戦没者遺族等援護法の「準軍属」として加えました防空の実施の業務に従事した者等を、この法律の「軍人軍属等」に加えて処遇しようとするものであります。これにより、防空の実施等の業務に従事中その業務により負傷し、または疾病にかかり、現在なお療養中の者は、療養給付を初めとして、この法律に規定する援護措置を受けることができることになるわけであります。  なお、第三点として、戦没者等の妻に対する特別給付金または戦傷病者等の妻に対する特別給付支給を受けることができるよう措置した次第であります。  最後に、わが党といたしましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法におきまして、「軍人軍属」と「準軍属」とを差別して取り扱っていることには賛成しかねるものでありますが、今回の改正では、この点は一応差し置いて、とりあえず、防空従事者を準軍属範囲に加えて処遇するにとどめた次第であります。  なお、本一部改正案の実施の時期は昭和四十二年十月一日というふうにいたしました。これは実態調査その他で若干の時間を要するというものであります。したがって、私どもの推定では、一年間、この一部改正によりまして平年度八十億円内外の予算が要るであろう、そういうふうに考えております。  なお、衆議院におきましては、自民党、社会党、民主社会党の提案によりまして、政府提案戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議を決議いたしました。その内容は、  政府は、わが国が世界唯一の原爆被爆国である事実にかんがみ、原爆被爆地において、旧防空法等による国家要請により、防空等の業務に従事中死亡又は身体に障害をこうむった者に対し、昭和四十二年度を目途として具体的な援護措置を講ずること。  なお、被爆地以外の地域についても必要な措置につき検討すること。こういう附帯決議をつけられまして、大臣も善処を約束している次第であります。  以上、この法律案を提出いたしました理由でございますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げまして、提案理由の説明を終わります。
  11. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) ありがとうございました。  本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  12. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者、衆議院議員山田耻目君から提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員山田耻目君。
  13. 山田耻目

    衆議院議員(山田耻目君) ただいま議題となりました原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、日本社会党を代表いたしまして、提案理由の御説明を申し上げます。なお、私も生き残っている被爆者、ケロイドを有する一人でございますが、委員の皆さんの絶大な協力をお願いをいたしたいと思います。  昭和二十年八月六日午前八時十五分、人類史上最初の原爆投下は、一瞬にして広島、長崎三十数万の人たちの生命を奪い、両市を焦土と化したのであります。幸いにして一命を取りとめた人たちも、この世のものとも思われない焦熱地獄を身をもって体験し、原爆の被爆という、一生ぬぐい去ることのできない宿命を背負わされ、あるいは原爆熱線による痛ましい傷痕のゆえに結婚もできないという悲歎にくれ、あるいは放射能の影響による造血機能障害、原爆後遺症に悩まされるなど、病苦、貧困、孤独の苦痛にあえぎながら、だれに訴えるすべもなく、ただ、黙って歯を食いしばり今日まで生きてまいったのであります。そして二十年、きのうは一人、きょうも一人と、くしの歯の落ちこぼれていきますように生命のともしびが吹き消されていく中で、白血病、貧血症等の発病の不安、生命の不安と焦燥におののきながらも働かなければ生きていけないというのが、原爆被爆者の今日の実態でございます。  この悲惨な現実をもたらした原因が、原爆の被爆に基づくものであることにかんがみ、昭和三十二年、主として原爆症の医療について、現行の原子爆弾被爆者医療等に関する法律制定され、その後、三十五年の一部改正以来、四回にわたり、委員並びに政府の御協力によりまして、対象範囲拡大、医療手当の所得制限緩和と増額もはかられてまいりました。しかしながら、今日なお原爆を受けた被爆者の肉体的、精神的障害をぬぐい去ることができないのであります。特に最近の異常なまでの消費物価の上昇のもとでその生活の苦しみを訴える声も、日ましに高まっているのであります。したがいまして、これら被爆者の置かれている心身上、生活上の不安を除去するために、被爆者に対する措置も、その健康面及び精神面の特殊な状態に適応させ、かつ、生活の援護をはかるべく、一そうの拡充がはかられるべきであると考えるのでございます。  次に、法律案の内容の概要を御説明申し上げます。  第一は、援護手当の支給であります。認定被爆者はもとより、特別被爆者のうち、それに近い、いわゆるボーダーライン層も含めて、 これらの人々が被爆によって生じた身体障害のために労働力が減退し、それにより収入が減少した場合、政令の定めるところによりまして最高月額五万円までの援護手当を支給することにいたしたのであります。該当数を申し上げてみますと、認定被爆者四千二百二十、特別被爆者のうち、ボーダーラインに近い人々、認定被爆者に近い人々が二十万人中の約一割の二万人程度と推定されます。したがいまして、合計二万四千二百二十人がこの手当の該当者と推算をいたしました。  第二は、障害年金支給であります。被爆に起因した身体障害のある被爆者に対し、それが外的、内的障害たるを問わず、年額十二万円を限度とする障害年金支給することにいたしたのであります。なお、この障害年金は、国民年金の無拠出年金を除き、他の増加恩給その他障害年金に相当する給付とは併給することができないものといたしております。該当者数を申し上げてみますと、全国民対比の身体障害者受給人口は〇・三%、三十万八千人でございます。原爆被害者総人員が二十七万三千人、今日生き残っておりますので、この障害者受給人口対比のパーセンテージを掛けて一応の参考にいたしました概数は九百名でございます。  第三は、医療手当の月額の引き上げと所得制限の撤廃であります。医療手当は、昭和三十五年の改正によって新らたに加えられたものでありまして、現在は、認定被爆者が医療の給付を受けている期間中、毎月三千円を限度として支給することになっておりますが、この月額を、さきに申し上げました援護手当の額と勘案いたしまして五千円に引き上げるとともに、医療手当にかかる所得制限を撤廃することにより、これら被爆者が、安んじて医療を受けることができることといたしたのであります。該当者数六百五十一人、年間七千八百十二件になっております。  第四は、認定被爆者はもとより、それに近い特別被爆者が、健康診断または医療を受けるために、日本国有鉄道の鉄道、自動車または連絡船に乗車または乗船する場合には、政令により、身体障害者福祉法に基づく運賃割引を行なうことにいたしたのであります。これによって、被爆者が容易に健康診断を受け、遅滞なく適切な医療を受けることができるようにしたものであります。該当者総数二万四千二百二十人と推計をいたしました。  第五は、被爆者が死亡した場合に、その葬祭を行なう者に対し、葬祭料として三万円を限度として支給することであります。なお、この葬祭料は、本法が施行されました昭和三十二年四月にまで遡及することができることとしたのであります。該当者数四百十五名でございます。  第六は、以上のような措置を講ずることにより、いわゆる医療法から援護法へ移行するものとし、法律の題名を「原子爆弾被爆者援護法」に改めたことであります。  以上のほか、原子爆弾被爆者医療審議会の名称及び権限を改めるとともに、委員の数を十名増員して三十名とし、また、都道府県が設置する原子爆弾被爆者相談所の費用の一部を国が補助することとし、さらに認定被爆者について所得税法上の障害者控除が受けられるようにする等、被爆者の援護に関して必要な措置を講ずることといたしております。  また、特に沖繩に在住する約八十名の原爆被爆者が、今日まで専門医の診断を受ける機会も与えられず、何らの援護も受けないまま放置されている現状にかんがみ、政令により本法を適用することとしたのであります。  原爆の被爆という悲惨な災害をこうむった被爆者の苦境を救済することは、人道上も決して放置することのできない問題であり、被爆後二十年を経過した今日、救済さるべき被爆者は、国による援護の手が差し伸べられないままに、あるいは死亡し、あるいは老齢化し、平均年齢おおむね六十歳と推定されます。肉体的にも、精神的にも、はたまた物質的にも苦痛と困窮の度を深めているのであります。いまにして救済せざれば、悔いを千歳に残し、政治はそのかなえの軽重を問われると申しても決して過言ではありません。しかも、近時、いわゆる戦争犠牲者に対する救済の措置は次々と講ぜられ、ただいま説明のございました恩給法の一部改正戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部改正戦傷病者の妻に対する特別給付金支給法等、一段とその拡充がはかられているのであります。したがいまして、被爆者に対する右のような措置を講ずることは、むしろおそきに失したものであると確信する次第であります。  先般全国の被爆者の代表数名が佐藤総理とともに会談をいたしました際に、佐藤総理も、原子爆弾被爆者はこれ以上数はふえない、減るばかりである、何とかして被爆者の人々がこれ以上苦しんでくれないように、政府としても責任ある措置をしたいという答弁をしておる中にも見られますように、このように被爆者に対する援護を一そう拡充すべきであるという考え方は、提案しております日本社会党並びに提案者のみではございません。昭和三十八年十二月七日の東京地方裁判所の判決理由の中にも見ることができるのであります。同裁判所は「被爆者に対する救済策をとるべきことは多言を要せず、それは立法府である国会及び行政府である内閣の職責であり、終戦後十数年を経て、高度の経済成長を遂げたわが国において、国家財政上これが不可能であるとは、とうてい考えられない。われわれは本訴訟を見るにつけ、政治の貧困をなげかずにはいられない」と述べております。被爆者救済について国の責任を指摘しているのであります。幸い昭和三十九年四月には衆議院で、三月には参議院におきまして、原爆被爆者援護強化に関する決議の可決をみており、本年八月には厚生省の原爆被爆者実態調査の中間報告も行なわれるやに聞き及んでおるのでありまして、必ずや被爆者の援護をはかろうとするこの法律案の趣旨に皆さんの御賛同をたいだけるものと確信をいたしておる次第であります。なお、これに要する費用は平年度約七十四億二千六百万円の見込みであります。  以上がこの法律案提案理由及び内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに可決されますようにお願いを申し上げます。
  14. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 本日は、本案に対する提案理由の説明聴取のみにとどめておきます。     —————————————
  15. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 性病予防法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。鈴木厚生大臣
  16. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま議題となりました性病予防法の一部を改正する法律案について、その提案理由を御説明申し上げます。  近年各地において早期顕症梅毒の増加が報告され、特に若年層に多発の傾向が見られ、性病の流行は新たな様相を示しつつあります。  従来、この疾病の特殊性から予防対策の推進は困難な面がありましたが、このような趨勢にかんがみまして性病予防対策改善強化をはかるため、性病予防法の一部を改正し、性病撲滅の推進を期そうとするものであります。  改正の第一点は、医師が性病にかかっていると診断したときの都道府県知事に対する届出制度を合理化し、医師の協力により、重点的に患者を把握する等、制度の実効を期することとしたことであります。  改正の第二点は、婚姻をしようとする者に梅毒血清反応についての医師の検査を受けることを義務づけたことであります。  現行規定上、婚姻をしようとする者は、あらかじめ、相互に、性病にかかっているかどうかに関する医師の診断書を交換するようにつとめなければならないこととされておりますが、性病のうち、梅毒は子孫にまで害を及ぼすものでありますので、義務として悔毒血清反応についての医師の検査を受けることを特に規定したものであります。  なお、婚姻をしようとする者及び妊娠した者が性病病院等において梅毒血清反応についての検査を受けた場合の費用は、本年十月一日から公費負担することといたしております。  改正の第三点は、法第十一条の売淫常習容疑者に対する健康診断命令等の権限は、現行法上都道府県知事が行なうこととされておりますが、保健所を設置する市にあってはその市の長が行なうこととし、より迅速、かつ、適切な運用を期したことであります。  以上がこの法律案を提出いたしました理由でございます。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  17. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 本案に対する審査は、一応この程度にとどめておきます。     —————————————
  18. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 次に、伊能繁次郎君外二十九名提出の駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、提出者、衆議院議員大出俊君から提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員大出俊君。
  19. 大出俊

    衆議院議員(大出俊君) 三党共同提案でございますが、私が代表させていただきます。  ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につき、提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。  御承知のように、駐留軍関係労働者はきわめて雇用の不安定な立場に置かれておるのであります。一昨年におきましては、日米共同声明による米軍基地の縮小に伴って約六千人の労働者が解雇されました。また、昨年におきましても約二千人に近い労働者が離職せざるを得なくなったのであります。  この間、政府は、これらの離職者について積極的に再雇用につとめると言明を行なってきたのでありますが、これらの離職者のうち、再就職した者はわずかにその三割程度にすぎず、その他の者は、なお安定した職場を得ていないというのがその実情であります。これらの例を別にいたしましても、いままでの駐留軍離職者の再就職状況を見ますと、その不安定な立場にもかかわらず、離職後の措置に多分に不備な点が多いのであります。たとえば炭鉱離職者、金属廃業関係離職者にとられてきた離職対策と比較いたしますと、その対策はきわめて不十分であると言わざるを得ないのであります。特に駐留軍離職者は、中高年齢層が多く、その再就職ははなはだ困難な状況にあり、これらの見地に立ちますとき、駐留軍関係離職者につきましては、その就職対策をさらに積極的に行なう必要があると考え、本法案を提出した次第であります。  次に、その要旨を御説明申し上げます。  第一点といたしましては、すでに炭鉱離職者に対して行なわれております特別の就職指導と、その就職指導を受ける間に支給される就職促進手当の制度を駐留軍関係離職者にも実施しようとすることであります。  第二点は、これもすでに炭鉱離職者や金属鉱業等離職者に対し実施されてまいりましたごとく、駐留軍関係離職者を雇い入れる事業主に対しても雇用奨励金の支給を行なうこととし、離職者の再就職促進をはかることとするわけでございます。  なお、これらの措置は、一昨年、日米共同声明による米軍基地の縮小に伴って大量の解雇が行なわれた事実に着目いたしまして、昭和三十九年一月一日以降の離職者を対象として行なうことといたしました。  以上、はなはだ簡単ながら、本法案の提案理由並びにその概要について御説明申し上げた次第でございます。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  20. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) これより本案に対し、質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を、願います。——別に御発言もなければ、質疑はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  23. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 御異議ないものと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  25. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 次に、製菓衛生師法案議題といたします。  まず、提出者、衆議院社会労働委員長代理理事小沢辰男君より提案理由の説明を聴取いたします。衆議院議員小沢辰男君。
  26. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 衆議院の社会労働委員長にかわりまして、ただいま議題となりました製菓衛生師法案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  近年、化学の発達に伴い、製菓原材料として各種の化学的合成品等の添加物の使用が普及増大し、今後ますます常態化する傾向を高めておりますが、菓子製造業者の素質は十分これに適応するとは言えないのであります。また、最近の激しい経済環境の変化と社会事情の推移により、菓子製造業における従業者の離脱や雇用難はまことに深刻で、新しい時代に応ずる製菓衛生技術者の養成が急務になっているにもかかわらず、その実施はきわめて困難な現状であります。これをこのまま放置するならば、製菓業将来の向上発展を期し得ないばかりでなく、公衆衛生の見地からも支障なしとは言えないのであります。  かかる情勢にかんがみ、本案は、製菓衛生師の資格を定めることにより、菓子製造業に従事する者の資質を向上させ、公衆衛生の増進等をはかろうとするものであります。そのおもな内容は、第一に、製菓衛生師とは、都道府県知事が行なう製菓衛生師試験に合格し、免許を受け、製菓衛生師の名称を用いて菓子製造業に従事する者をいうことであります。  第二に、製菓衛生師試験は、中学卒業者であって、厚生大臣の指定する製菓衛生師養成施設において一年以上製菓衛生師としての必要な知識及び技能を修得したものでなければ受けることができないことであります。  第三に、製菓衛生師でなければ、製菓衛生師またはこれに類似する名称を用いてはならないことといたしたのであります。  第四に、受験資格の特例として、本法の施行の日または施行の日後、菓子製造業の業務に従事した期間が三年をこえた場合は、中学卒業者でなくとも、製菓衛生師試験を受けることができること等であります。  以上が本法案の趣旨の概要でございますが、本法案は、自由民主党、社会党、民主社会党三党の一致によりまして成案を得、衆議院社会労働委員会提出の法案といたしましたものでございますので、何とぞ御審議の上、すみやかに御可決をお願い申し上げます。
  27. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) これより本案に対し、質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  28. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 いま説明を聞きました中に、衛生師の「師」はこの「師」になっておるのですが、いままでいろいろの法案を見てまいりますと、労務管理士とか、あるいは栄養士とかいうのはさむらいという字の「士」で、その点は少の字句はおかしくないかと思うのでありますが。
  29. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 三党で話し合いましたときに、こういう「師」を用いますのは、主として公衆衛生の関係のもの、たとえばあんま師とかはり師とか、そういうものに全部こういう「師」がございますし、そういう意味で、さむらいの「士」を使わないで、この「師」を使ったわけでございます。それ以上特別な意味はございません。
  30. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 じゃあ簡単でございますが、一、二ちょっと御質問を申し上げます。先ほど御説明の中にありましたように、最近は非常に製菓の中にありましても、いろいろな色をつけたり、あるいは、また、いろんな化学的なものも利用されるようになりました関係上、このようにして衛生知識を高めるための教育を受け、身分を与えられることに対しては私も非常に賛成でございます。ただ、この法律ができまして、これらの人たちがそういう製菓業に携わるときに勤務しなければならないとか、何ぼ以上の製品をつくるところにはこういう人を置かなければならないというような、身分的な保障をしてあげるということがない。ただ身分だけでこういう製菓衛生師というものがあるだけであって、そういう人をこういうところで使わなければならないとか、あるいは、また、こういう場合の事業所には、かくかくの状態のときにはこういう人を置かなければならないというふうなことの条件が何もないわけでありますが、その点につきましては、やはりこの名称独占だけではなくて、名称を与えたならば、なお一そうその人たちが保障されるような職場を与える必要があるのではなかろうかと、こう思うのでありますが、その点についてお聞きいたします。
  31. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) まことに先生おっしゃるとおりだと思いますが、何ぶん新しくつくります法律でございますので、一挙にそこまでいくのもいろいろ製菓業の実態から見てどうかと思いまして、とりあえず類似名称を用いてはならぬという、名称のいわば独占のような形だけにいたしまして資格をつくって、今後この法律になじんで、製菓業の実態がそうしたこの法律の趣旨に沿うように向上してまいりましたときにまた先生方と御相談をさしていただくと、こういうつもりでございます。
  32. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それで、もう一つちょっとこの法律の中で気になりますことは、この養成するところでは、知識並びに技能と、こう書いてあるわけでありますが、しかし、試験のところでは、知識を持った者と、こうなっておるのであります。この製菓衛生師も、やはり物をつくることの技能的なものの訓練をするならば、そのようにして、何と申しますか、試験の場合においても、技能はある、あるいは、また、それがひいては衛生師の方々の働く分野にも一つは通ずるのじゃなかろうかと思うのでありますが、この点少しどうかと思います。
  33. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 主として衛生上の知識を十分持ってもらいたいということでございますので、実は製菓という技能試験まではいまのところ考えないで、衛生上の知識だけを試験してみると、こういうつもりで考えましたので、まあ先生の言うように進めば一番完備すると思いますけれども、とりあえずはこういうような考え方でいっておるわけでございます。
  34. 森勝治

    ○森勝治君 ちょっとお伺いしたいのですが、もしこの法案が実施の暁には、この製菓衛生師という資格の保持者でなければ製菓関係の事業に従事することができない、いわゆる製菓を業とする職業に携わることができないのかどうか、この点を聞いておきたいと思います。
  35. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) そういうことではございませんで、製菓衛生師でない人は、たとい菓子の製造業に従事しておっても、製菓衛生師またはこれに類似する名称を用いてはいかぬというだけであります。いま先生のおっしゃるようなことに徹底するのが一番いいのでございましょうけれども、そういたしますと、日本の大小さまざまな、いろいろな菓子の製造業がございます。こういう方々が非常に困ってまいりますので、とりあえず名称の独占ということにいたしたわけでございます。
  36. 森勝治

    ○森勝治君 重ねて質問しますが、私どもが聞いた範囲ですと、同じ衛生のこういう食品関係で調理士という称号もございますね。調理士の場合には、調理士試験に合格をした者でなければ従事してはならぬ、こういうことが現在できておりますね。業界の陳情書などを見ますと、この調理士もそうだから、われわれにもそういう資格を与えてほしい、もちろんその中には技術向上、衛生知識の普及、涵養ということもその目的の一端でありましょうけれども、ただいまの説明ですと、衛生知識の普及、そのために名称を与えるにとどまる、こういうお話でありますと、これらの関係の方々が調理士と同じ社会的な資格を与えてほしいとおっしゃっておられることとやや隔たりがあるような気がしますが、この点はどう考えておられますか。
  37. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 調理士法も、先生、現在のところでは名称の独占だけでございまして、調理士の方々の会からも、いま先生がおっしゃるような改正をすべきだという陳情は確かに強い要望として出ております。ただ、現在調理士法がやはり名称の独占というだけで、類似名称の禁止をやっているだけでございますので、この調理士以上に製菓衛生師のほうを進めるというわけにはこれはまいらぬので、むしろ両方軌を一にしているわけでございます。将来の問題点でございまして、先生のおっしゃるような方向で、調理士法もこの法律も、そういう方向に足並みをそろえていくのがいいのじゃないかと思いますが、現在のところでは御了承をいただきたい。
  38. 森勝治

    ○森勝治君 それではこういうことですね。調理士の場合には、営業する場合にはそれぞれの営業所に調理士を置かなければ営業ができないというふうに私は聞いておるわけですね。そうじゃありませんか、かまわないのですか。
  39. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) それは特別に生命にかかわる例のフグの試験を何か都道府県でやりまして、フグの料理にはフグの免許を持つ者でないとさせないというのがありますけれども、調理士法は、あれはそういうものを置かなければいけないとか、そういう者でなければ商売を許さぬとかいうものでなくて、やはり製菓衛生師法、いま提案申し上げておるのと実は同じ立場で法律をつくってございます。
  40. 森勝治

    ○森勝治君 先ほど大橋委員が若干触れたのですが、製菓衛生師という、こういう称号と申しましょうか、資格と申しましょうか、これを有資格者に与えるということは、もちろん衛生知識の普及も知識を得ることも当然でありましょうけれども、製菓技術もまたこれにふさわしいものでなければならぬと私は思うのであります。そうなりますと、社会的にもある一定の水準をこれらの称号を持った方々は常時保っておかなければならぬと思うのであります。そうなりますと、やはりこれらの方々がそういう業界で働く場合に、当然これは最低賃金の保障という問題が出てまいるわけであります。ですから、その点についてはどのようにお考えになっているのか。当分名前だけやっておけば業界が喜ぶだろうという安易なことで御提案になったのではゆめなかろうと私は理解いたしますけれども、その辺のところはどうなるのでしょうか。
  41. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) 先生のおっしゃるように、そこまでいくべきものと思いますけれども、当面は、衛生上の知識を十分普及いたしまして、製菓衛生師試験を受けて衛生上の知識を身につけていただいた方を、できるだけこうした資格制度、名称禁止の制度によって、まず第一歩この製菓衛生師の普及をはかりまして、その上でひとつ先生のような方向に進みたいと考えておりますので、おっしゃることはよくわかりますが、今回はこの程度にとどめさしていただきたいと思っておるわけでございます。
  42. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、最後に一点。私のは賛成の立場で質問をしておるわけでありますが、一点だけお伺いしておきたいのは、製菓関係の各種学校が全国にはたくさんあります。これは枚挙にいとまがありません。そうなりますと、この製菓衛生師法が制定された場合に、こうした製菓学校との関連、学校に対する資格の付与か何か、そういうことはどうなるのでしょうか。そのまま野放しですか。それとも、やはり一定の資格付与ということで各種学校を統合されるのかどうか、この点を聞いておきたいと思います。
  43. 小沢辰男

    衆議院議員小沢辰男君) この法律ではそこまでは実は考えておりませんので、現在たしか全国に二カ所だけ菓子の技術者を養成する学校があるやに聞いておりますが、したがって、その程度の普及でございますので、私どもとしてはそこまでこの法律では触れなかったわけでございます。もし詳しいことでございましたら、政府委員が来ておりますから、政府のほうから答弁をしていただきたいと思います。
  44. 舘林宣夫

    政府委員舘林宣夫君) 実は、先ほど来話題になっております調理士法とほとんど同じ法律で、ございますが、調理士法とこの法律の違う点の一つは学校の問題がございまして、調理士法は、一定の調理学校を出た者は自動的に免許をもらえる制度になっておりますが、この製菓衛生師はすべて試験を受けなければもらえないという方式にしたわけです。その原因は、学校がまだ必ずしも完備していないということによるわけでありまして、正式な製菓衛生師を与えるにふさわしい学校は全国に、ただいま大沢先生からお話がありましたように、二カ所程度でございまして、そのほかは講習会に類似したものにすぎないわけでございます。
  45. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  46. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。製菓衛生師法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  48. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 総員挙手、全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  49. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  50. 藤田藤太郎

    理事藤田藤太郎君) 次に、先ほど議題といたしました内閣提出戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案及び戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案の両案に対し、これより質疑に入ります。  御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  51. 川野三暁

    ○川野三暁君 今回提案されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の審議にあたりまして、援護局長さんに対しまして二、三質問をいたしたいと思います。  今回提案されました援護法の一部を改正する法律案の要旨につきましては、先ほど大臣から要旨を説明されましたので了承いたしたのでございまするが、まず、第一点は、私が問題に本日いたしまする準軍属処遇の問題でございまするが、この準軍属範囲拡大、第二点は、療養給付障害年金支給をあわせ行なうということに改善されたこと。第三点は、準軍属に対して、従来項症程度障害者に対してのみ障害年金支給されていたのを、軍属の場合と同様に、款症程度の障害者に対しても障害年金または障害一時金を支給すること。第四点は、軍人軍属遺族給付金あるいは障害年金が、従来、軍人、軍属支給額に対し十分の五であったものを十分の七に大幅増額をすると、こういった点等々で準軍属に対する援護措置が著しく改善されたことは、これは認めるのでございますけれども、しかしながら、準軍属遺族の立場といたしましては、いま戦後二十年を経過した今日、軍人、軍属と比べてたいへんな差別的な処遇を受けておることが納得のいかない点なんでございまして、質問の第一点は、御承知のように、戦時中及び昭和十九年に勅令第五百十八号、学徒勤労令あるいは総動員令等によりまして強制的に当時の学徒が動員をされたのであります。この動員された学徒の中で、一般軍人、軍属に劣らないほどの非常な国家的な活動をいたしたことは御承知のとおりであります。この学徒が不幸にして戦没し、または障害を受けた者の数は、私が調べたところによりますると、全国で死亡者が一万一千人、そのうち、原爆でなくなりました関係者が約九千人、障害を受けた者が一万余、このうち、原爆関係が四千人等でありますが、これら動員学徒の犠牲者に対しては、軍人、軍属と同等に処遇することが国家としての当然の義務であろうと私は思うのであります。しかるに、いまなお、先ほど申しましたように、軍人、軍属に比して処遇に差別がありますことは、一体厚生省当局とせられましては、いかなる法的な根拠によって、このいまだに軍人、軍属と差別的な処遇をせられるその法的な根拠をまずひとつ承りたいのであります。この件につきましては、遺族はもとよりのこと、一般の国民としても了解に苦しむところでございまして、先ほど原爆地における防空要員の援護の問題について社会党の大橋委員からお話がありましたように、この点明らかにひとつしていただきたいのであります。むしろわれわれといたしましては、衆議院の社会労働委員会で、過ぐる六月六日に局長さんは質疑に対する説明の中で、これら準軍属を軍人、軍属と同等に処遇することは妥当でないという説明をしておられるのであります。私はむしろ逆でありまして、当時あの戦争のさなかにおいて、これはことばがいささか不適当であるかもしれませんが、軍人または軍属を職業としておられる方々に対する処遇よりも、もっとこれを重く見ることが、今日のいろいろの情勢から考えまして、むしろこのほうが妥当ではないかと私は思うのでありまして、この点については、ひとつわかりますように御説明を願いたいと思うのであります。  質問の第二点は、これは昭和三十九年に動員学徒の障害者、主として広島の原爆による障害を受けた人でございまするが、三十三名が項症年金の申請をいたしたところ、そのうちの女子十三名だけが認定合格を受けまして、男子の障害者はほとんど全部不合格、却下されておる事実があるのであります。どうして男子を区別したか、その点について当時の障害者から厚生省の係官に質問をいたしましたところが、その係官が、女子の場合は結婚をするという条件があるので、それで女子だけを特に合格にしたのであるといった意味の返答があったということであります。このことは、やはり何か法的な根拠があると思うのですが、この男女の差別待遇ということは、非常にその原爆による障害を受けた動員学徒の犠牲者はこの処遇に対して著しく不満を持たれまして、憲法十四条違反ではないかという見解で、関係者一同、厚生大臣を相手として行政訴訟を提起しようということまで実は聞いておるのでありますが、このことは、当時のこの原爆による障害を受けた人たちに対する厚生省の係官の説明が十分でなかったのではないかと思うのでありますが、この点についてもひとつ明瞭に御答弁を願いたいのであります。  以上、二点につきましてお答え願います。
  52. 実本博次

    政府委員(実本博次君) まず、最初のお尋ねの件でございます。遺族援護法におきます準軍属処遇の態度として、軍人、軍属と準軍属を同等にされるべきではないか、こういうお尋ねでございます。遺族援護法が成立いたしました昭和二十七年の当初から振り返って考えてみますと、まず最初、この遺族援護法におきましては、旧国家総動員法によります被徴用者、それから、それの協力者、つまり動員学徒なんかはこれに入るわけですが、それから戦闘参加者といったような方々の遺族に対しまして、最初の処遇といたしましては弔慰金三万円を支給するということで発足したわけでございます。その際の軍人、軍属処遇は、いまありますような遺族に対します年金、あるいは障害者に対します障害年金というふうに、最初出発当初から、片方は三万円の弔慰金だけという処遇で出発したわけでございます。その後に至りまして、昭和三十三年に法律改正が行なわれまして、まず準軍属——先ほど申し上げましたような旧国家総動員法によります被徴用者、あるいはその協力者、戦闘参加者といった方々を一つの法概念でくくりまして、準軍属というふうな身分と申しますか、まとめ方をいたしたわけでございます。そうして、そういう準軍属の方々に対しましては、昭和三十四年一月一日から第六項症以上の障害者に対しまして障害年金支給する、それから、死亡者の遺族に対しましては、五年間に限って遺族給与金支給するというふうな所遇の改善が行なわれたわけであります。この際に、障害年金の額、あるいは遺族に対します遺族給与金の額が軍人、軍属に対します額のそれぞれ十分の五というふうに定められて出発したわけであります。それから、さらに昭和三十六年にまいりまして、内地勤務の徴用軍属というものを準軍属に加えて、その範囲拡大いたしました。また、昭和三十八年の法律改正によりましては、内地勤務の有給軍属すべてを準軍属に加えますとともに、支給要件を緩和いたしました。また、三十三年に設けました遺族給与金の五年間に限り一時金の分割払いといった制度を年金化いたしまして、遺族給与金といういまの年金の姿にして処遇改善をしてまいるということでございます。さらに、先ほど先生からもお話がございましたように、今回障害年金及び遺族年金給与金の額を、従来の制定当初からの十分の五というものについてはいろいろ御意見がございましたもので、十分の七に引き上げるというふうに、その額を上げますとともに、軍人、軍属と同様、款症程度の障害者にも障害年金支給する制度を新設いたしまして今回の改正案の中身ができ上がったわけであります。そういう経過をたどりまして、準軍属処遇というものは、遺族援護法におきましては逐次改善されてまいっておるわけでありますが、最初やはり出発の当初、軍人軍属、準軍属処遇についての差別があったという根拠は、やはり私考えますのに、その身分関係におきまして、軍人、軍属のほうは陸海軍の構成員としまして国との間に従属雇用関係があります。   〔理事藤田藤太郎君退席、委員長着席〕  それから、今度は第二点といたしまして、勤務の態様の問頭でございますが、旧帝国憲法が保障いたしております自由権を享受する制限とか、あるいは、また、非常に厳格な軍紀というもので勤務を非常に厳しくいたしまして、絶対的な命令のもとに四六時中無定量の勤務に服しておった軍人、軍属の勤務態様であり、そうして、また、その職務に違反しました場合につきましても、一般刑法のほかに、陸海軍刑法等の厳重な刑罰により罰せられたといった非常にきびしいものであったわけでありますが、動員学徒の場合は、国との間には先ほどのような軍人、軍属に見られます雇用従属の関係はございませんし、また、国家総動員法上の協力命令についても罰則をもって臨んだものでも、こざいませんし、総動員業務に従事するため審宿舎に収容された場合においても、兵営等とはおのずから異なった事情のもとに推移してまいったわけでございます。で、そういった軍人、軍属と準軍属の間におきます勤務の態様の相違といったようなものが、やはりその根本に、その処遇の差異の出発点になったものではないかと考えられるわけでございます。で、先ほど申し上げましたように、昭和三十三年の法律改正で準軍属法律の中に取り入れましたときにも、実はこういう考え方のほかに、臨時恩給等調査会という法律によって設けられました総理大臣の諮問機関でいろいろこういう問題についての御意見を承った際にも、同様な、軍人と準軍属に関します処遇の問題につきまして、その一節を見てみますと、「年金を支給すべしとする意見においても、準軍属の地位等にかんがみ、年金額は援護法において軍人軍属またはその遺族支給する年金額の六割ないし七割程度を妥当とし、」云々というふうな意見の答申もございまして、そういうふうに処遇をきめて今日まで推移してまいったと、こういうふうな事情でございます。しかしながら、やはり動員学徒が、戦時下、国家の要請に応じまして総動員業務に挺身したことにつきましては、先生御指摘のとおり、非常に同情すべき点がございますので、今後とも、その処遇改善につきましては慎重に前向きで考慮していくべきではないか、こういうふうに考えておるわけであります。  それから、第二点でございますが、いまお尋ねの原爆によりますケロイドに対します障害年金支給に際しまして、男女の間に認定上の差があるのではないか、それは一体どういう理由によるのだろうという御質問でございますが、遺族援護法におきます症状等差の認定につきましては、恩給法の別表に定めるところによりまして行なっておるわけでございますが、原爆ケロイドについても恩給法別表に従って判定を行なっているわけでございます。しかしながら、顔面等の醜形については、四肢の欠損と機能障害によります労働能力の損耗を国が補てんしようとする趣旨よりも、むしろいわば醜形によります精神的苦痛に対します国の補償というふうに考えておるわけでございます。したがいまして、この醜形を残したことに対します当人の感受性、あるいは社会的評価につきましても、男女間におのずからの差があることは、社会通念に照らしまして言い得ることで、ございまして、受傷部位、瘢痕の大きさ等が全く同一でありましても、性別によりまして症状等差に差異をつけることは社会通念にかなっておるところと考えたわけでございます。これをたとえますと、ほかにも国家公務員災害補償法や、労災保険法におきます障害等につきましても、男子の外貌に著しい瘢痕を残すものにつきましては十二級というふうに、低い格づけにされておりますにもかかわらず、同じく女子の場合にさらに上位の第七級とされているのを初め、他の船員保険法等におきます社会保障の取り扱いにつきましても男女間にそういった差をつけておるのが一般的な傾向でございます。これらの事情を勘案しまして、援護法によりますケロイド等差認定上の実際の取り扱いにおきましては、男性に比べて、女性の場合にはより弾力的な運用を行なっているというのが実情でございます。
  53. 川野三暁

    ○川野三暁君 まことに親切な御答弁ありがとうございました。時間がないので、詳しい質問は私は差し控えたいと思いますが、ただ、第一点の私の質問に対する御答弁のうちで、動員学徒の場合は、一般軍人、軍属と違って、国との雇用関係がなかった、それが違っている。第二は、勤務上の拘束があることはあったけれども、軍人、軍属ほどきびしくなかった。したがって、法の適用もそういったたてまえで差別をしたと、こういう答弁なのでありますが、これは私はこの答弁では非常に不満足なのでありまして、国との雇用関係がないとおっしゃる理論的根拠はきわめて希薄だと思うのであります。完全にあったと思います。しかも、軍人、軍属の場合、あなたのお考えは、私はやはり職業的な軍人とか軍属を中心にした旧軍国主義的な戦前の法理論的な思想を今日なおこの援護法の適用に関しても考えようとすることが底流にあるのではないかと私は思うのでありまして、私は広島の出身でありますが、私の親戚の子供が広島一中に当時在学をいたしておりまして、いわゆる動員令によって学徒動員をされました。広島の疎開事業に従事しておったのであります。まことに私の個人的な縁故関係を申し上げて失礼なんでありますが、それがひとり子であったために虚偽の申し立てをして、病気と称して家に疎開をして帰っておったのであります。とここが、広島の学徒動員本部のほうで、その虚偽の病気であるということがたまたまわかりまして、非国民という扱いを受けて非常な叱責を受けたのであります。したがって、原子爆弾が投ぜられた八月六日の前日の八月五日に、本人も本人の親も、不承不承広島に出てまいりまして、ついに原爆の奇禍にあったわけでございまして、したがって、まあこの一例を見ましても、非常な拘束があったわけであります。しかも、当時の動員学徒はみな一カ所に収容されまして、厳重な規律のもとに置かれておったわけで、本人の向山はなかった。これは当時月給をもらい、かつ、また、職業として従事しておった軍人、軍属と全く違っているのでありまして、この連中は何も俸給はもらっていない。将来に大望を抱いて、幾多暮秋に富む若い連中が国家のために動員を受けたのであります。しかも、そういった点で私は差別を受けていることについては、なお非常に不審な点があるのであります。しかしながら、今後ひとつ善処するというおことばでございますので、この点についてはなお一そうの考慮を願いたいと思うのであります。  終わりに鈴木厚生大臣にお伺い申し上げたいと思うのでありますが、将来準軍属に対する遺族年金あるいは給与金並びに障害年金等を、軍人、軍属支給している額と同等の額に引き上げるお考えが、ございますでしょうか、その点をお伺い申し上げたい。
  54. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) まず、先ほど来お尋ねや御意見がございました動員学徒の処遇の問題でありますが、この問題につきましては、今回の改善措置によりまして相当大幅な前進を見たと考えております。今後におきましても、私でも・軍人、軍属との関係、それから一般戦災者等との処遇の問題等をも考えながら、前向きでこの援護措置改善の充実を考えてまいりたい、かように考えております。  なお、最後に私にお尋ねがありましたところの、準軍属全般についての援護対策強化の問題につきましては、いま申し上げたと同様、軍人、軍属や、また、一般戦災者等の援護対策等をも考慮に入れながら、十分前向きで検討いたしたい、かように考えております。
  55. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 私は、本委員会に付託されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案の審査に関連いたしまして、過般厚生当局に資料の提出をお願いいたしました、かつての太平洋戦争の激戦地においてなくなられた戦没者の遺骨の収集や墓参の計画等について御質問をいたしたいと思いますが、すでに会期末であり、時間もございませんので、要点だけお伺いいたしますので、明快なる御答弁を賜わりますようお願いを申し上げる次第でございます。  さて、本年も終戦の日が近づいてまいりましたが、戦後二十一年を経た今日、いまなお太平洋戦争の激戦地には、国家のためにとうとい命を捧げられた旧日本軍の遺骨が山野や海底に置きざりにされております。かつての戦役に際しまして、いまはなき諸英霊が、一身一家も顧みず、ひたすら祖国のため、同胞のため身を挺して戦ったゆえんは、名誉であって金銭ではなく、精神であって物、質ではありません。われわれは、いまはなき諸英霊にお報いする道はただ一つ、国民感謝の念と真心をもってする私は報恩行為でなくてはならぬと、かように信じて疑わない次第で、ございます。私、先年世界を一周する機会がございましたが、いずれの国に参りましても、自由圏であろうと共産圏であろうと、国のために命を捧げた方々に対しましては、国をあげて感謝の誠を捧げておる次第でございます。私は、ここであらためて太平洋戦争の激戦地においてなくなられた方々の遺骨の収集、墓参計画等を明らかにすることによって英霊に対する国民の感謝の念を深めてまいりたいと思う次第でございます。  そこで、まず第一に厚生大臣にお伺いさしていただきますが、仄聞するところによりますと、厚生省当局は南方地域の遺骨の収集や墓参は一応終わったやに聞いておりますが、肉親をなくしました御遺族の気持ちからいたしますれば、まだ国の手が尽くされてしかるべきではないかと思いますが、その点につきましてお尋ねさしていただきます。
  56. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 去る太平洋戦争におきまして太平洋諸地域でなくなられました戦没者の方々の御遺骨の収集につきましては、御承知のように、昭和二十八年以来、数次にわたりまして、政府の責任をもちまして実施をいたしてきたところでございます。そこで一応この遺骨の収集の事業は終了したという形にはなっておりまするけれども、御承知のように、何ぶんにも広範な地域にわたっておりますし、きわめて限られた時間と員数をもって実施をいたします関係もございまして、私は、御遺族の方々が御納得のいくような十分な遺骨の収集がなされておる、こうは考えておりません。そこで、特に多数の方々がなくなられた地域、あるいは現実に御遺骨等が原野にさらされておるという実情が判明いたしました地域につきましては、今後も重点的に御遺骨の収集はやってまいる、こういう考えを持っておる次第でございます。
  57. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 ただいまは厚生大臣からたいへん御理解ある御答弁を賜わりまして、さぞかし、いまはなき諸英霊、御遺族の方々も心から喜んでおられるものと思う次第でございます。では、ひとつ具体的の問題につきまして二、三点お伺いさしていただきたいと思います。  一部の新聞の報道するところによりますと、ソ連の外務省は、今年、国後、南樺太の択捉、ソ連本土のエラブカの三カ所への墓参を認めると日本国へ通達があったと述べられておりますが、これに対する日本側の受け入れ態勢はどういうことになっておりますか、お伺いさしていただきます。
  58. 実本博次

    政府委員(実本博次君) いまお尋ねのモンゴル、それからソ連の本土のエラブカにつきましての墓参に相手国からの同意があったということで、目下その墓参団の具体的計画を検討いたしておりますが、モンゴルにつきましては、八月の中旬以降に大体一週間ないし十日くらいの予定で参るというふうな計画で、まだ最後的な決定はいたしておりません。向こうには大体千七百名ばかりの方々をお祭りした墓地がございます。その墓地を四カ所訪問するといったような計画でございます。それから、ソ連本土のエラブカにつきましては、まだいま折衝中で、折衝中と申しますか、具体的な計画をそれぞれ関係方面と打ち合わせておりまして、もうすぐ成果が得られる、これもモンゴルの場合と同じ期間で参りたい、かように考えておる次第でございます。
  59. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 人員とか、それから費用の点はどうですか。
  60. 実本博次

    政府委員(実本博次君) 人員につきましては、モンゴルの場合は遺族約十名の予定にいたしております。それから、関係政府当局から二名ないし三名というふうな予定にいたしております。それから、ソ連につきましては、いまのところ大体同程度の予定をいたしております。
  61. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 このほか、今年の遺骨収集や墓参計画もあわせてひとつ御答弁を願いたいと思います。
  62. 実本博次

    政府委員(実本博次君) 今年は、このあと南洋諸島のペリリュ一島、それからオーストラリア東方に、ございますニューカレドニアについても遺骨収集並びに墓参を行なうというふうに計画がございますが、ペリリュー島につきましては来年二月、それからニューカレドニアにつきましては本年十月というふうな予定を立てておるわけでございます。
  63. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 次に、ロタ島の遺骨の収集についてお伺いさしていただきますが、私は来月初旬にグアム島を視察する機会に恵まれましたが、その前に一点だけぜひひとつお伺いさしていただきたいと思います。  それは、先年グアム島在住の日系米人のエドワード筒井さんという米軍の軍属の方が日本へ参りましたときに鈴木厚生大臣をたずねられまして、ロタ島にも約二百名以上の遺体が牧場の地下に眠っているので、その遺骨の収集をぜひ厚生省にお願いしたいということで、厚生省をたずねてお願いしたように聞いておりますが、その点につきまして何かおわかりでございましたならば御答弁願いたいと思います。
  64. 実本博次

    政府委員(実本博次君) いまお尋ねのグアム島に在住しておられます米軍の軍属の筒井さんという方が昨年外務省のほうをたずねられて、大臣もお会いなさいましたが、この方の情報によりますと、ロタ島にはまだ日本人の遺骨が相当あるというので、これは一度日本政府からも収集に来られてはどうかというふうな連絡が、こざいました。で、こちらの各方面からの情報もあわせまして、いろいろその御連絡を確かめてみましたが、それは軍人、軍属につきましては、もうロタ島には上陸もいたしておりませんし、それには該当しないのではなかろうか。で、あるいは沖縄等から参っておりましたこちらからの一般邦人の方々のではないか、もしあればそれではないだろうか。軍人、軍属関係につきましてはそういったものは該当いたしておりませんので、そういう御連絡を受けたわけでございますが、一応南方連絡事務局等にも御連絡申し上げまして、一般邦人ではないだろうかということでございましたが、その後、そういった関係につきまして確かな情報はまだまいっておりませんのですが、それにかかわりませず、いろいろそういった向こうの戦没者の遺骨その他につきまして非常に御熱心な御協力をいただいておる方でありまして、また、そういった場所に遺族巡拝が参ります場合には、いろいろな協力を約されたことをわれわれのほうも非常に多といたしておるわけでございます。
  65. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 次は外交上の問題で、非常にむずかしい問題であるかと思いますが、中国本土及び旧満州、北鮮地区で戦没したりなくなった邦人の遺骨の収集や送還、あるいは墓参計画の見通しはどうなっておりますか、その点についてお尋ねをさせていただきます。
  66. 実本博次

    政府委員(実本博次君) お尋ねの中国本土及び旧満州地区におきまして死没いたしました邦人の遺骨収集、送還につきましては、昭和二十八年三月に中共地区からの集団引き揚げが開始されましてから、帰還船等で現在まで約四千柱が送還されておりますが、今後も、遺骨が発見されれば、中共側としては、逐次機会をとらえてこれを送還してまいるものと期待いたしておるわけでございます。もともと旧満州地区以外の中国本土において死没いたしました軍人、軍属については、大部分その御遺骨は部隊または同僚等の手によりまして持ち帰られておりますわけでございますが、旧満州地区については、ソ連参戦による戦闘と、これに続く引き揚げの途次において約二十万人の死没者を出しているわけでございますが、その御遺骨の大部分は持ち帰られておらず、また、その埋葬状況も不明でございます。また、北鮮地区についても約三万四千人の死没者があるわけでございますが、その御遺骨の大部分は、やはり同じように持ち帰られていないわけでございます。このように残されました地域といたしましては、旧満州地区及び北鮮地区があるわけでございますが、これらの地区については、諸般の状況から見まして、遺骨収集及び現地追悼の早急な実施は非常に困難と考えられるわけでございますが、なお、その実現につきましては、主として民間ルートを通じまして従来行なってきた交渉を、さらに一そう努力をして続けてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 どうぞひとつ、できる限りあらゆるルートを通じまして努力されますことをお願いいたします。  次に、今次の戦争で沈没した艦船などの問題についてお尋ねをさしていただきたいと思います。かつての激戦海域には、いまなお、沈没したあまたの艦艇とともに、海底に数多くの遺骨が沈んだままになっております。過般厚生省からいただきました資料によりますと、今次の戦争の沈没艦船と死没者の数は、沈没艦船数三千二百六十隻、内訳を見ますと、海軍艦艇が六百八十隻、海軍徴用船が七百九十隻、陸軍の徴用船が七百隻、船舶運営会所属船が千九十隻。それから、死没者が三十五万八千五百人となっておりまして、内訳は、海軍軍人、軍属十八万二千人、陸軍軍人、軍属十七万六千人、船舶運営会船員五百人ということになっておりまして、まことに痛恨にたえない数字でございます。もちろんこの中には、すでに引き揚げられ、遺骨の収集も行なわれたものも多いと存じますが、聞くところによりますと、南ベトナムの近海の引き揚げ可能海域だけでも約百八隻、四千五百余人が海底に眠っておると聞いております。今日のサルベージの技術をもっていたしますれば引き揚げ可能な場所もあろうかと思いますが、その点につきまして御答弁を賜わりたいと思います。
  68. 実本博次

    政府委員(実本博次君) フィリピン及びベトナムのこの沿岸海域の沈没艦船で引き揚げ可能なものにつきましては、これは日本との賠償協定に基づく役務賠償の一環といたしまして、日本のサルベージ業者による船体の引き揚げが行なわれてきておるわけでございますが、こういったケースのほかに、その他の諸国の領海内の沈船は、もと日本側の所有に属していたものでございますが、現在は当該国の所有に属しているものでございまして、日本といたしましても、これを直接引き揚げの対象として作業を推し進めていくということができないわけでございます。従来、こういう場合には、当該国におきましてスクラップ回収等の目的から、経済的または技術的に引き揚げが容易なものにつきましてはすでに相当引き揚げが行なわれまして解撤が実施されているものと聞いておりますが、これらのうち、その引き揚げ解体を日本の業者が担当したものにつきましては、その業者の協力を得まして、船体内の残存遺体等の収容は、あとう限り丁重、かつ、完全に行なうようにつとめてまいってきている次第でございます。
  69. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 よくわかりましたが、でき得れば一でき得ればじゃなく、まあ何とかして当該国の了解を得て引き揚げができるように御努力願いたいと思います。  次は、世界的艦船であった大和、武蔵、陸奥や赤城などの引き揚げは可能であるかどうか。これはひとつ率直に、できないならできない、できるならできるということで御答弁を賜わりたいと思います。また、引き揚げにはどのくらいの経費がかかるものか、これもあわせておわかりでございましたならば御答弁を賜わりたいと思います。
  70. 実本博次

    政府委員(実本博次君) いまお尋ねの大和、武蔵、赤城といったような艦船につきましては、いずれも数百メートル以上の深海に沈没しておるわけでございまして、いまの技術的なレベルから申しますと、これは専門外でございますが、運輸省その他関係機関に聞きますと、これは引き揚げがそういう技術的な意味で不可能だと、こういうことになっております。したがいまして、それに要する経費というようなものも概算もはじいてみたことはない、こういうことでございます。
  71. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 引き揚げが不可能ということでございますのでやむを得ませんが、そこで、ひとつ私から心からお願いがございますが、国が慰霊船を仕立てて、おもな海戦激戦海域を巡回しながら慰霊法要を行なうようなことができ得ないものかどうか、この点についてひとつ厚生大臣にお伺いさしていただきたいと思います。
  72. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま御指摘がありました、沈没いたしました艦艇等の船底に眠っております英霊の慰霊の問題につきましては、今日まで数度にわたりまして船上からの慰霊を行ってまいったところでございます。今後におきましても、南方諸地域等に慰霊団等が参ります際におきましては、機会あるごとに、できるだけこの海底の英霊に対しましての慰霊をやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  73. 土屋義彦

    ○土屋義彦君 重ねて厚生大臣からたいへん御理解ある御答弁を賜わりまして、まことにありがとうございました。  最後に、もう一点だけお尋ねさしていただきたいと思います。最近民間団体によってサイ。ハン、フィリピンなどにいままでにおよそ四百人の遺族が戦跡巡拝団を組織いたしまして、現地において慰霊法要に参加しておるようでございますが、その費用がまちまちで、費用が高くてなかなか参加することができないといったような話も聞いておるのでございますが、その点、これらに対しまして国として何らかの援助をするような方法があり得ないものかどうか、その点につきましてお伺いさしていただきます。
  74. 実本博次

    政府委員(実本博次君) 先生のお話のように、最近民間団体によります戦跡巡拝がしばしば行なわれておりますが、こういうケースは、民間航空機を利用する等、商業ベースで行なう場合が多うございまして、おっしゃいますように、遺族の個人負担が相当額になる場合が多いわけでございますが、政府といたしましても遺族の個人負担がなるべく少なくなりますように、たとえばブーゲンビル島に予定しております七月に出かけられますケースにつきまして考えますと、運輸省の航海訓練計画に支障のない限り、そういう練習船への便乗について便宜をはかる。これは具体的に今度七月に行かれます場合に、そういう船への便乗がきまったわけでございますが、そういったような配慮を行ないまして、なるべく経費の負担を軽くするというふうな措置をとってまいりますとともに、この種の行事を行なっております戦友、あるいは遺族の方々を中心とした民間団体に対しましてもこの趣旨をよく理解していただきまして、それが適正に行なわれますように、必要な各方面からの指導をしてまいりたいと考えておるわけでございますが、遺骨収集につきましては、あくまで国の責任において、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、全部収容されておらないところにおいては、遺骨収集は国の負担において国みずからが行なうということになっておりますが、戦跡巡拝のほうにおきましては、先ほど申し上げましたような配慮は行ないますにいたしましても、直接これに国庫補助を出して行なうというふうなところまでは、まだ目下のところ考えていないわけでございます。
  75. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ただいまの質疑の中で、だいぶ詳しいところまで答弁、あるいは、また、質疑がされまして、私ちょっと大ざっぱなところで一、二点だけお伺いしたいと思います。だいぶ時間もありませんので、ただしたいことはたくさんありますけれども、ちょっと大まかなことだけお伺いしておきたいと思います。  非常に援護法もいろいろ改正されましてよくなってまいり、また、いろいろなところで未処理の分も処理されるようになったわけでありますが、実際の面から言えば、戦争が終わってもまだなかなか行き届いていない、二十年たった現在でも処理されていないわけであります。今度の改正によって、またやはり最近の新聞にも出ておりますように、死亡に対しましても、遺族の同意もなくて、そのまま未処理になっている分もかなりあるやに聞いております。いろいろいま先ほどからまた引き揚げの面につきましてもいろいろ数字も発表され、計画も発表されたわけでありますが、ここで私一言、未処理になっている、また現在でも解決できないというものを体系づけてひとつお調べ願いたいと思うのであります。また、いま土屋君からもお話がありましたように、遺骨の収集とか、あるいは、また、戦没者遺族の巡拝というようなことに対しても、かなり国のほうでもやられておるのでありますが、まだまだこれに対しての実績はあがっておるとは言えないと思うのであります。これにつきましては、もう一度将来は十分なことを配慮するというお話ではありますが、もっと私はこの前の未処理分とかなりあわせて、もう少し具体的な考え方につきまして、大まかな計画をここで伺っておきたいと思うわけでございます。  それから、次には、この旧軍人遺族に対する恩給等の特例に関する法律の適用に際しまして、在職期間の経過後に死んだ人、これが経過後二年の者、あるいは結核のような者に対しては六年でございますが、というような制限をされているわけであります。これをいろいろ実情を考えてみると、こういうことなんかも、もう私どもの考えでは制限は撤廃してしまって、そうして何年といわないで、やはり恩給だとか、あるいは、また、援護法の遺族年金とか、そういうものと同じように年限を撤廃してもらうということもひとつ考えてもらいたいと思う。そういう点についてはいかがですか。それから、弔慰金の支給に関しましても、やはり在職期間経過後に死亡したという者に対してやはり制限があるのでありますが、こういうものについて撤廃をしてもらいたい、こういう点についてちょっとかいつまんで御答弁願っておきたいと思います。
  76. 実本博次

    政府委員(実本博次君) ただいまの点は、遺族援護法を中心といたしまして、まだ未処遇の問題についてどういうふうな考え方でおるかというふうなお尋ねでございますが、いわゆる未処遇者の問題といたしましては、やはり遺族範囲拡大してまいったり、あるいは準軍属、あるいは軍人、軍属等の範囲拡大してまいっておるわけでございますが、残されている問題につきましては、なるべくすでに処遇されております者との均衡を考えまして、まず、このすでに処遇されておる者がまだ低いではないかというふうな問題を先に片づけてまいり、それから、それとの関係において、今度はそれがそういうふうに改善されるなら、こういった未処遇の問題の人たちの範囲拡大して取り入れるべきではないか、こういうふうなことで、まず、いまあります処遇されておる者の処遇改善、それから、それに伴います範囲拡大均衡範囲拡大してまいる、こういうことで今後援護法の改善をはかってまいりたいと、かように考えているわけでございます。  それから、第二点の、勤務関係によります特例扶助料の、退職後一定期間内に死亡したという場合の制限を撤廃して、もう無期限に、いつでも死ねば対象に取り入れたらどうかという御意見でございますが、死亡が公務上のものではないけれども、勤務関連ということで処遇いたしておりますたてまえ上、やはり一応退職後一定期間内に死亡した場合に初めてそういった公務との勤務関連性というものが推定できるわけでございまして、そういったやはり制限というものは、公務を中心にいたしまして、それとの関連においての処遇ということでございますので、この制限はちょっと撤廃には相当むずかしい問題が含まれておると考えられるわけでございます。  それから、第三点でございますが、弔慰金につきましても、やはり公務との関連で一定の関連性が認められるということで、そういう期間はやはり撤廃はむずかしいのではないか、こう考えられるわけであります。
  77. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 まあその理論立てについてもわからぬではないと思いますが、しかし、特にやはりこの援護法の精神からいえば、私はもう少しそういうところは拡大解釈をして、もっと広くそういうふうな差別のないようにしていくべきではなかろうかと思うのです。  それから、第一の質問に対するお答えの中に、未帰還の者は、いままで帰還した者の処遇をもうちょっと高めてからだというようなお話でありますが、やはり困難な者はあと回しにするという形があり得るわけでありまして、私どもとしては、できるだけこの方面に対しても、もっと具体的、積極的にこれを進めていただきたい、こう考えるわけであります。  なお、ここで続いてちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、内地で軍務に関連した軍人、軍属、あるいは、また、準軍属障害とか疾病、これに対して障害年金支給せられることになっており、また、援護法では年金、一時金の支給範囲に制限を加えておるわけでありますが、この廃止をして恩給法と同じような新第五款症までは支給するというふうに不均衡を是正してはどうか、こういうふうに思うわけでありますが、この点についての説明をお伺いしたい。同時に、また、戦没者の父母で公務扶助料の加給の対象になっていないところの者は遺族年金を受給できるように改めるべきではないかと思うのでありますが、この二点についても、ひとつその範囲を制限をしないということ、あるいは、また、この受給を受けられるようにするということに対してのお考え方をちょっと聞かしていただきたいと思います。
  78. 実本博次

    政府委員(実本博次君) 最初のお尋ねの、勤務関連で、内地で勤務関連でなくなられました軍人、軍属に対しては特例扶助料が出ている。しかし、障害者については何も処遇してないが、これをしたらどうか、こういうお尋ねかと思いますが、いまの特例扶助料なり特例年金では、お話のごとく、勤務関連によります死亡だけをとっておりまして、障害は、そういったものは恩給の場合も援護法の場合も認めていないわけでございます。ただ、もし処遇いたしますとすれば、恩給の場合も、すなわち、軍人の場合も、それから軍属、準軍属の場合も、同時にそういったものに対します処遇を考えていくべき筋合いじゃないか、かように考えております。これは恩給との関係におきまして善処いたしたいと思っております。  それから、第二点のお尋ねでございますが、これは昭和二十八年に軍人恩給の復活に際しまして、従来援護法で遺族年金を受けていた軍人の遺族につきまして、まず第一に、恩給法上先順位者として公務扶助料の受給権を取得することとなる者、すなわち、戦没者の正妻というものについては当然遺族年金を失権させて、恩給法でもらわせるということにしたわけでございます。  それから、第二に、恩給法上後順位者として公務扶助料の受給資格を有する者、たとえば戦没者に正妻がある場合の父母でございますが、これには先順位者として生活維持関係があるかないかに関係なく、そのものの自由な選択によりまして恩給法の対象となるもの、あるいは恩給法の対象とはならず、引き続いて遺族年金の受給者として遺族援護法に残るかどうかを決定していただいたわけでございます。  第三に、初めから恩給法の対象となり得ないもの、たとえば内縁関係のほうは恩給法でとっておりませんが、そういったものにつきましては、当然遺族年金を継続して支給するというふうな整理基準を立てまして、恩給法の復活の際に遺族援護法との調整を行なったわけでございます。ただいまのお尋ねのケースといたしましては、第二に申し上げたもの、すなわち、恩給法の公務扶助料の後順位者で、遺族年金を放棄しまして恩給法に移行され、公務扶助料の先順位者と生活関係をともにしておられたことによりまして扶養加算の加給の対象となったものの方々の問題と考えられるわけでございますが、これらのものが公務扶助料の先順位者たる妻と生計関係を有しなくなったために扶養加俸の対象とならなくなったといたしましても、すでに自由な選択によって遺族年金を放棄されました以上、まことにお気の毒でございますが、制度上やむを得ないということになるわけでございます。かりにこのような場合におきまして、この遺族援護法を適用する道を開きますというと、今度は生計関係の発生証明という、日常生活上絶えず起こります現象に応じまして、常に援護法から−今度は恩給法から援護法にいき、また生計関係が変わりますと援護法から恩給法へ行くというふうに、適用制度をしょっちゅう変更しなければならぬということになりますので、制度の運用が実際困ってしまうわけでございます。なお、ただいまのお話の中にありました、かりに妻と同居しなくなった場合にでも、そういう御父母の方でも、生計関係が存続します限り、扶養加算の加給の対象から除外されるものではございませんし、また、扶養加納の対象たるといなとを問わず、先順位者たる妻が失格した場合には、直ちにこれにかわって公務扶助料の受給権を取得するということになっておりますので、その場合、その額は恩給法のほうが援護法よりはいかなる場合でも多いというふうな利点はあるわけでございます。
  79. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 なかなか法のたてまえでいろいろこの谷間に置かれる、あるいは、また、そういうように非常に適用しにくい面はよくわかるのであります。よく承知はしておるのでありますが、事実上やはりこういうことで非常に受け入れられないで困っておるという人たちがあることが現状でありますので、こういう点についてももう少しあたたかい手を差し伸べてもらって、そして同じくそういうふうな日陰に置かれるというか、恩恵に浴されない人がないようにこの配慮はできるだけしてもらいたい、これは実際の場面を見てそういうふうに感ずる次第であります。  続きまして、もうあまり時間がございません。早くやりたい気持ちで一ぱいでありますので、非常にかいつまんで話をしますので理解しにくいかもしれませんが、先ほど準軍属についてのお話もありました。これについてもいろいろいままでにも配慮されましたので、非常に円滑にはなりつつあるわけであります。先ほどのお話では、当然理由があって、たとえば軍人、軍属と準軍属とは差別があってあたりまえだというような法解釈を説明されたわけでありますが、また、大臣のほうからも、これについてはできるだけひとつ配慮をしようというお答えもいただいておるわけでありますが、これに対しても、私は、いまの問題と同じように、非常に割り切れないものがあるわけであります。一方では五万円いただいておるのに、こちらは三万円であるというふうな形でもって差があるということ自身にも、やはりあの当時に入れたのは、軍人、軍属よりは、この準軍属といわれるほうがむしろ条件が悪くて国家に協力しておったというたてまえから考えますと、私はむしろ逆じゃなかろうか、こう考えるわけであります。そういう点でいろいろ法解釈の上では何かあるかもしれませんけれども、私は実情を見て非常にここに矛盾を感じておりますので、なお一そうひとつ御配慮願いたいと思うわけであります。  それから、また、この遺族給与金支給に際しましても、先ほどちょっと申したのでありますけれども、従事員の遺族に対して、一人について三千円の遺族給与金を支払うべきではないかと私は思うわけであります。一方、遺族年金のほうでは五千円をいただいておられるから、いまの差がありましても、三千円はぼくは出されるべきではないかと思うのであります。また、それから遺族年金の額を恩給法によるところの兵の公務扶助料の額に合わせるように御配慮はこれもやはりひとつ考えてもらわなければならぬというような、同じような問題じゃないかと思っております。  それから、先ほど原爆についても委員の方から話がありましたが、この中で、被爆死亡者で、死亡について公傷性がない、その立証が困難のような場合、軍人、軍属、準軍属遺族に対しての遺族年金等の支給をすることができないものか、非常にあいまいであるということではずされておるのは、やはりこういういまの時期になっては、一応ひとつ考えてもらうべき時期ではなかろうか、こういうふうに思っております。  それから、また、日華事変の中で、その勤務地において、故意とか、あるいは大きな過失以外での事由で負傷したり、または疾病にかかったり、あるいは、また、これによって死亡した軍人、軍属、この遺族に対しましては、遺族年金のその十分の六が支給されることになっておりますが、この額の引き上げももう一ぺん考えなければならぬ。一方は十分の七にもなっておるわけでありますし、いろいろなことでやはりこれは遺族年金と同額くらいにすべきではなかろうかと、こういうようなぐあいにも思うわけであります。あるいは、また、勤務の訓練によって死亡した軍人、軍属、準軍属遺族に対しまして、遺族の給与金を支払うべきではないかと、こういうふうに思うわけであります。これにつきましても、やはりいろいろ理由は一通りあるだろうと思います。ありますけれども、現段階でこういうこともひとつ配慮していただく時期ではないかというふうに考えております。  それから、また、特別の弔慰金支給法では、公務扶助料等の受給者が失権した場合に、兄弟姉妹がおれば、その者に対しては特別な弔慰金が支給されることになっているのでありますけれども、三等親の親族には及ばないので、これを三等親の親族にまで支給されるようにしてはどうか。これもいまの段階でひとつ考えてもらってはどうかと思う問題点であります。あるいは、また、特別給付金の貸し付け、買い上げの促進等、資金の増額をはかって、買い上げ償還に際しての条件を緩和すべきではないかとこういうふうにこれも思います。これら関連をずっと申し上げたわけでありますが、また、もう一つ最後の一点では、今度の戦争でただ一人の子供をなくした、戦死をさした、あるいは、また、二人以上の子供を戦死さして、その戦死した子供以外には直系の血族がない父母あるいは祖父母に対しましては、そのよるべき者もなく、非常に孤独な環境に置かれておる、こういうような人たちの将来、子供が絶えるというか、いろいろ底知れぬような非常なさびしさを感じていると思うのでありますが、こういう者に対しても慰謝料的なものを、そういう者を慰める意味において特別給付金を与えるような考えもこの際考えてもらってはどうであろうか、こういうような問題点を私いま考えておるのであります。こういうことに対しまして、ひとつ含めて簡単に御答弁いただきたい。
  80. 実本博次

    政府委員(実本博次君) いろいろお話があったわけでございますが、その中で、たとえば恩給法におきます兵の公務扶助料に援護法の遺族年金の額を合わせろというふうなお話、これは全くごもっともなことでございまして、ただいまほんのちょっとの差でございますが、ついておりますので、これは恩給法のベースアップのたび、ことに、われわれのほうも同時にそういった差をつめるように努力をしてまいるわけでございまして、できるだけ早くこういったものについて実現いたしますように努力いたしたいと思っております。  それから、その他この給与金の高順位者に三千円を支給することはどうであろうかというようなことでございましたが、これはちょっと経過事情がありまして、いまのところは非常に困難な問題ではないかというふうに考えられるわけでございます。  それから、勤務、訓練につきまして準軍属処遇をもう少し改善すべきじゃないかというふうなお話、これはその方向に従いまして努力してまいりたいと考えておるわけでございます。  その他、特別弔慰金の支給範囲を三等親まで、おじ、おばまでひっくるめて給付したらどうかというふうな御意見でございますが、これもなるべくそういうふうな方向に拡大するようなふうに処遇改善をはかってまいりたいと考えてはおりますが、いまのこの国会に出しておりますのは兄弟姉妹までというところで、いままでは子供まででございましたが、兄弟姉妹までというところで改善したわけですが、また将来そういう点につきましての検討をしてまいりたいと、そのように考えておるわけでございます。  それから、その他いろいろ現に行なっております給付改善につきましてのいろいろな御意見がございましたが、いわゆる未処遇問題を取り上げる程度にそういったものを優先さして処遇していきたいと、かように考えておるわけでございます。  それから、最後に、老父母に対します一人むすこ、あるいはもう直系血族のいなくなった、全部捧げてしまった老父母に対して何か慰謝料的なものを考えたらどうかというお話でございますが、これもまことに御心情もっともだと思いまして、これはやはりそういった方々の御要望に沿う方向で検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  81. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 たいへんどうもいろいろなことを羅列申し上げましたけれども、ほんとうに気の毒な方のほうに、より一そうの国の配慮をお願いいたすという意味で申し上げたのであります。  最後に、一点、大臣のお話を承っておきたいと思うのでありますが、いまのようなことは、どうかひとつ前向きで大いにいろいろ御配慮願いたいと同時に、先ほど土屋委員も少し触れられましたが、まだ引き揚げ関係につきましてはいろいろな国際的な情勢もありましょう。また、いろんな技術的の問題もありましょう。こういう点については未処理の部分が非常に多いわけであります。こういう点につきましては、いまの科学の、あるいは、また、いろんな技術の許す範囲の最大を用いて、もっと配慮をしてもう一歩進めることが私は考えられると思うわけでありまして、そういう点につきまして、最後に大臣のもう一つ前向きな御答弁をいただいて私の質問を終わりたいと思います。
  82. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 未帰還者の早期処理の問題、あるいは海外のまだ収集できておりません御遺骨の収集、これらの問題は相手国との外交上の問題もあるわけでありますが、政府間でできますことは政府といたしましても最善の今後努力をいたし、また、直ちに政府間で話し合いが困難な状況下にありますところにつきましては、民間団体等を通じまして、極力相手国の理解と協力を深めまして、早く御指摘のような措置ができまするように最善を尽くしたいと存じます。
  83. 小平芳平

    小平芳平君 私は、お尋ねしたいことは簡単なことですが、先ほどちょっとお尋ねがあったようでしたが、この戦傷病者あるいは戦没者遺族という方々が、自分は戦傷病者、あるいは自分は戦没者遺族であるというふうにしていろいろ手続をとっているのですが、やはりその立証の関係が困難な関係かなんかで、いまだにそういう認定を受けられない、もうそれこそ十何年にわたって何回も何回も手続を繰り返しているけれども、いまだに最終結論が出されないというような場面の人にぶつかったことがありますが、実際問題としてそういうような人がどのくらいいらっしゃるものか、あるいは最終的にそういう人を救う道はないものか、そういう点についてはいかがですか。
  84. 実本博次

    政府委員(実本博次君) 先生いまお尋ねの遺族年金の——これは恩給法は恩給局からでございますが、援護法の遺族年金関係でいままで申請をして却下されました件数が十万千四百六件でございますが、これが却下されました中には、まだその処遇の対象にならなかったものとか、そのときにはならなかったのですが、その後の改正で、漸次毎年毎年対象範囲改正して拡大したりなんかしまして、その後、法律改正によりまして新たに処遇されることになったものが八万一千九百八十二件ございます。誤進達によります却下が約一千件も含まれておりますところから、本法が不適用だといって却下されたものが一万九千四百二十四件ばかりございます。この約二万件につきます件数は、しさいに見てまいりますと、退職後の事由によって死亡した、あるいは退職後の事由によって1遺族年金の場合ですから死亡ですが、退職後の事情で死亡したというものが大部分でございまして、軍人、軍属の身分を有しないもの、あるいは遺族範囲に該当しないものが大部分である、こういうふうなケースが約二万件ばかりございます。
  85. 小平芳平

    小平芳平君 それで、現にそういう関係で決定にならないで、却下ともきまらないでいるとか、あるいは却下されたけれども、なお不服で再申請しているとか、そういうような件数はどのくらいですか。また、最終的にその見通しはどういう見通しになるのですか。
  86. 実本博次

    政府委員(実本博次君) いまお尋ねの件数は、今年の四月末現在で二千七百九十七件が未処理ということで手元に残っておるわけでございます。それに対します今後の見通しでございますが、いずれも、非常におっしゃいましたように、挙証するのに、何しろ二十年以上前の挙証書類みたいなものが必要な場合であったり、あるいは実態究明の関係が、もう二十年以前の実態について調査をしたり、あるいは聞き取りをやったりするようなケースばかりが残っておるわけでございますが、遺族の心情なりその他を考えます場合に、この残っております件数につきましても一、何とかして早くけりをつけるように、鋭意努力してまいりたいと思っておるわけでございます。
  87. 小平芳平

    小平芳平君 そういう方たちは非常に特別な場合の人が多いと思いますので、なるべく早く、しかも、納得のいく結論が出るようにお願いしたいと思います。  それから、もう一つは、遺族援護、あるいは戦傷病者援護ということは、これは国の政策としてしっかり力を入れてやっていかなければならないのは当然ですが、それがともすれば、何といいますか、要するに厚生省としてやるべきことが、社会福祉の面からこうした遺族援護を手厚くやっていくとか、また、戦没者に対する十分な配慮をしていくという面が強調されてしかるべきじゃないか。それがあまりにも精神面を、建国記念日の問題とか、あるいはそういうような国が宗教行事をやるみたいな、あるいは靖国神社をどうこうするとか、そういうようなおそれはないか。そういうような厚生省の役割りは精神面ではなくて、精神面は精神面でも、戦没者に対する援護、あるいは戦傷病者に対する援護、そういうことを主眼としてやっていかなければならないと思うが、そういう点についてのお考え、あるいは見通しについてはどうですか。
  88. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 戦没者の御遺族、あるいは戦傷病者並びにその御遺族、あるいはその妻、そういう方々に対する援護対策につきましては、立法の御趣旨を体しまして、厚生省といたしましても、今後とも前向きで援護の充実を期してまいりたい、このように考えております。また、いろいろの事情からいたしまして、その援護法等の適用を受けられない方々に対しましては、社会福祉の面からその方々に対するところのあたたかい手が伸べられますように、厚生行政をそういう面からも推進をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  89. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はこの際お聞きしておきたいと思うのです。それは戦争による犠牲者の援護というのは、実際に戦傷された方をはじめ、家族の方々、それから戦争の犠牲になられた国民に対して漸次援護措置が講ぜられてきたことは、また、厚生省も努力されてきたことは敬意を表します。しかし、厚生省の行政をやっているものは衆議院、参議院の社会労働委員会だと私は思うのです。それでいろいろな角度からその援護行政を進みてまいりました。私は、先ほど土屋さんから質問が出ておりましたが、外地から帰られる皆さんをお迎えをして、そうしてその万全を期するというのは、ひとり政府のみではなしに、衆参の社会労働委員会が、多くはないことと思いますけれども、全力を尽くしてやってまいったと思っております。今日遺骨の収集や、外地で留守家族が心配しておられる方々の援護その他を厚生省はおやりになっておりますけれども、そういうことについては国会両院の——衆議院は知りませんけれども、参議院には何ら報告がないということは言い過ぎかもしれませんけれども、どうもそういうことの報告があまりされないし、実態がどうなっているかわからないし、そうして、また、遺族の方々がそれに努力をされて現地にお行きになっているとか何とかいうことはよく新聞やその他で見るわけでありますけれども、この行政をやっておる社会労働委員会に対して、そういう行政をやっていない皆さん方が次から次へお行きになるということを見ておりますと、何かちぐはぐのような感じを私は受けておるわけであります。ですから、厚生省はどうお考えになっているか知りませんけれども、事柄というのは厚生行政、援護行政をやる社会労働委員会に何らかの連絡とか報告とか、そういう協力とかいう処置をおとりになっていいのじゃないか、私はそういう気がいたすわけであります。今日この援護法の法律と直接関係があるとは申しませんけれども、そういう調査であるとか、いろいろの角度において社会労働委員会関係のない人が次から次へと顔を出しておいでになって、われわれはつんぼさじきで何ら知らぬ、こういうことでは、私は社会労働委員会としては少し行政の、これはもう国民全部によって進められなければならぬ問題でありますから、ここらあたりは少しお考えになられたほうがいいのじゃないか。私たちも法律援護措置をどんどん講じるけれども、法律をやるときだけわれわれはやるので、実際の問題では何か社会労働委員会に実際にタッチしている以外の人がどんどん処置されているということでは、少しどうもわれわれちょっと何といいますかね、了解がしにくいといいますか、そういう感じを持つわけでありますから、遺族の問題が先ほど出ておりましたけれども、何かこう社会労働委員会はつんぼさじきで、厚生省も努力されていること、これには私は文句を言っているわけではありませんけれども、もう少し緊密なことがあってしかるべきじゃないか。たくさん外地から引き揚げられるときには、社会労働委員会が全力をあげてあらゆる活動を歴史的にしてきているという面のあることを忘れてしまっているような感じがするのであります。そこらあたりお考えをいただいたほうがいいのじゃないか、こう思うのであります。
  90. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 戦後における同胞の引き揚げ援護の問題、また、軍人、軍属、準軍属等の遺家族の処遇の問題、戦傷病者等処遇の問題等につきまして衆参両院の社会労働委員会の非常な御推進、また、御配慮をわずらわして今日に至っておるわけでありまして、政府といたしましても、この点につきましては深く感謝をいたしておるところでございます。したがいまして、これらの問題につきまする政府の直接関与いたしました諸問題につきましては逐一御報告を申し上げ、また、御指導もいただくということでなければならぬのでありまして、今日までもできるだけそのような心がまえで私どもやってまいったつもりでございますし、手落ちの点につきましては今後さらに私ども注意をいたしまして、さようなことのないように努力をいたしたいと存ずるわけであります。ただ、最近慰霊団でありますとか、あるいは現地を参拝いたします巡礼の民間の班等が組織をされまして、そうして最近しばしば慰霊のためにお出かけになるケースが非常に多いわけでございますが、こういう点につきましては、厚生省も、できるだけお帰りになった際におきまして現地の事情等を御報告をいただいておるような次第でございますが、今後とも、そういう民間の行ないました行事等につきましても、できるだけ取りまとめて厚生省のほうから当委員会にも御報告をいたしまして、今後の援護対策の参考になりまするように配慮いたしたい、かように存ずるわけであります。
  91. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  92. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こしてください。  他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案(閣法第九五号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  95. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。     —————————————
  96. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 次に、戦傷病者等の妻に対する特別給付金支給法案(閣法第九六号)を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  97. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
  98. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ただいま可決されました戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案について、各党の御了解を得まして附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読いたします。  以上でございます。よろしく御賛成のほどをお願いいたします。
  99. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいま述べられました藤田君提出の附帯決議案を議題といたします。  藤田君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  100. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 全会一致と認めます。よって藤田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、鈴木厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許可いたします。鈴木厚生大臣
  101. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま議決されました附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、政府といたしましても最善の努力をいたしたいと考えております。
  102. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) なお、本院規則第七十二条により、両案に関する議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  103. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  104. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を始めて。     —————————————
  105. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 国民年金法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引き続き、本案に対し、質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  106. 森勝治

    ○森勝治君 先般藤田委員から基本的な質問がなされましたので、若干私も質問をしてみたいと思います。  御承知のように、現行国民年金法は、昭和三十四年の十一月に無拠出制、それから昭和三十六年の四月には拠出制ということでありまして、この両制が実施になりましてからことしでちょうど五年目に相なるわけであります。そこで、本年の一月には、すでに国民年金審議会側の答申があり、引き続き、二月には社会保障制度審議会からも答申が出されましたが、厚生大臣は、先般来、口を開くと、こうした答申案は尊重するということをしばしば言明されておられるわけでありますけれども、こうしてこの国民年金審議会や、あるいは、また、社会保障制度審議会が先般答申された内容というものが、答申尊重のたてまえをくずさないとするならば、大臣がおっしゃるとおりであるならば、もっと大幅にこの内容が改正の中に盛られてしかるべきだと私は考えておったわけでありまするが、なかなか両審議会の答申の真意が必ずしも今度の改正の中に盛られてないような気がしてならないのであります。さらに、また、本件につきましては、今日まで両院で附帯決議等をされた内容につきましても、長い間その問題が解消されてないような気がして私はなりません。ところが、夫婦一万円年金、こういうキャッチフレーズを盛んに出されまして、この中身を何とかすりかえるような、そういう気配等が受け取れるわけであります。少なくとも今年度は、この国民年金法の大政定期に当たっておるように私は思うのでありまするが、どうもなかなかわれわれが考えておるような社会保障の理念という観念からいたしますならば、大臣が口を開いて声を大にして叫ばれておりまする人間尊重というたてまえからはなかなかほど遠いような気がしてならぬわけであります。したがって、この点について大臣の所見を伺いたいと思います。
  107. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 国民年金制度は、申すまでもなく、厚生年金制度、あるいは国家公務員、地方公務員等の共済保険制度とともに、わが国の所得保障の重要な柱でありますことは御指摘のとおりであり、また、政府も、したがいまして、この制度の充実、改善につきましては、数次の改正を通じまして、できるだけの努力を積み重ねてまいったところでございます。特に昨年、国会の御承認を得ましたところの厚生年金制度改善、また、それに引き続きまして、今回御審議を願っておりまする国民年金制度改善は、私ども、わが国の年金制度の上から見まして、きわめて画期的な制度改善であると、かように考えておるところでございます。ただいま森さんから社会保障制度審議会等の答申のお話があったので、ございますが、国民年金制度につきましての社会保障制度審議会の御意見というものは、四十年拠出積み立てをいたしました際におきましては、月額七千五百円の給付ということになっておるのでございますが、今回の改正案の内容は、すでに御検討いただいておりまするように、八千円に相なっておるのでございます。したがいまして、給付の内容等からいたしますと、私ども社会保障制度審議会の御意見というものは十分尊重をいたしておる、こういうつもりでおるところでございます。ただ、今回の夫婦一万円年金の給付に見合ったところの保険料並びにそれに伴いますところの国庫負担、こういう面からいたしますと、保険料等ももっと四百円程度に引き上げられ、また、それに伴いまして国庫負担の額も増額を見るのでございますが、一挙にそのように保険料を引き上げるというようなことば、現在の被保険者の所得の現状から見まして、そのような急激な保険料の引き上げ等は適当でない、かように考えまして、今回は百円程度の引き上げにとどめた次第でございます。今後この保険財政の面につきましては、五年ごとの再計算期の時期における経済情勢なり、あるいは国民所得の面等を考慮しながら、年金保険財政が十分確立をされまするように、長期的な健全化がはかられまするように努力いたしたいと存ずるわけでございます。また、国の負担の面につきましても、それに見合いまして十分配慮をいたしたい、かように考えておるところであります。  なお、四十一年の一月二十四日に出されましたところの社会保障制度審議会からの御答申につきましては、この今回御提案を申し上げておりまするところの夫婦一万円年金の内容につきまして御了承をいただきますると同時に、今後なお引き続いて制度改善のために政府が努力すべき事項につきまして御指摘をいただいておるわけでありまして、私ども十分この御趣旨を尊重して制度の充実、改善に引き続き努力をいたしたいと、かように考えておる次第であります。
  108. 森勝治

    ○森勝治君 私は、冒頭において、社会保障の完全な姿にはほど遠いという意味で質問をいたしたわけでありますが、そこで、さらに具体的にお伺いをしてみたいと思うのであります。たとえば二十五年払い込み済みの人が六十五歳からの年金額は御承知のように五千円でございます。ところが、本年度の生活保護基準の一級地標準世帯の一人当たりの額は五千百三十二円でありまするから、ほぼ同額ということに相なります。しかも、片一方の拠出年金につきましては、二十五年間も保険金を払い込み、しかる後に五カ年間お預け、六十五歳から支給ということに相なりまするならば、私が先ほど若干指摘をいたしましたところの社会保障という名のもとでは、ちょっとかけ離れた措置のような気がしてならぬわけであります。金額につきましても、昨年度の厚生年金保険法の改正の際には、年金額が約二・五倍ですか、ということでありまするが、そうならば、確かに二・五倍というところに合わせれば、なるほど御努力を願ったようには一応見受けられるわけでありますけれども、厚生年金の今度は半額、しかも、いま申し上げたように、五ヵ年間の差があるわけであります。片や六十歳から、拠出制は六十五歳ということでありまするから、五カ年間の差があるわけであります。そういうところから見まするならば、やはりこの年齢につきましても、他の年金同様に、これはもう六十歳で支給されてもしかるべきだと思うのであります。したがいまして、そういう問題について、将来は当然これはもう厚生年金と合わせていく姿が望ましいと思うのでありまするけれども、将来の展望はどうお考えになっておられるのか。いま申し上げたように、標準世帯の一人当たりの月額は一級地では五千百三十二円でありまするから、そうなると、いま申すように、繰り返すようでありますが、二十五年も掛けて六十五歳にならなければ月額五千円もらえない。どう考えてもこれは理屈に合わないと言わざるを得ないのでありますが、こういう点についてもあわせてお答えをいただきたい。
  109. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま社会保障の観点からいろいろ御批判があったわけでございますが、まず、その第一点でありまする生活保護との関係でございますが、私どもは、厚生年金の場合におきましても、また、国民年金の場合におきましても、その給付額によりまして生活全体をそれで保障される、こういうぐあいには見ておらないのでございまして、特に国民年金の場合におきましては、被保険者の方々は、老後におきましても、実際にはお仕事の面の収入というものがやはりあるわけでございまして、六十五歳で職を失うとか、収入が全然絶たれるとか、そういうようなことは実際上の生活実態の調査等からいたしましてもさようになっておりません。私どもは、老後における所得の面に、国民年金等の給付によりまして老後の生活の安定が期せられるように、そういう意味合いで今回の給付改善の一人五千円、夫婦で一万円、こういうことを考えた次第でございます。この年金給付の水準は国際的に見てどういうことになっているかと申しますと、西欧諸国に比べましても決して見劣りがするものとは考えておりません。大体において西欧諸国の給付水準に比べましても中位程度にランクされるのではなかろうか、かように考えておるのであります。なお、私どもといたしましては、厚生年金の一万円なり国民年金の五千円なり、この実質的な給付が確保されるように、今後物価の問題でありますとか貨幣価値等の問題等につきましては、実質給付が十分確保されるようなスライド制等につきましても、今後引き続いて検討を加えていきたい、かように考えておるのでございます。なお、この給付開始の年齢の問題でございますが、この点につきましても、給与所得者でありますところの、被用者であるところの厚生年金の被保険者、あるいは国家公務員や地方公務員の共済年金の被保険者等は、国民年金の被保険者と生活の実態が違うのではないか、こういうような観点からいたしまして、五年程度のそこに給付開始の年齢差があるということにつきましては、私は決して不合理なものとは考えておりません。ちなみに、西欧諸国の制度を見てみましても、大体六十五歳給付開始という国が多いように私ども承知をいたしておるところでございます。
  110. 森勝治

    ○森勝治君 いまの大臣の答弁の中に、年金というものは必ずしも生活を保障するものではないというおことばがあったように私は承るわけでありますが、その点、私は大臣と反対なのであります。厚生年金でも国民年金でも、いわゆる年金制度の根底を流れる思想というものは老後の生活の保障であろうと私は思うのであります。したがって、そういう点については大臣と若干私は考え方を異にするのですが、おそらく大臣も、私が申し上げたような考え方でやるのが正しい、現行はやはり理想に一歩近づける段階である、こういう趣旨のお答えで、年金必ずしも生活をささえ得る額ではないというような表現を用いられたのではないかというふうに私は理解をいたしまして、次の問題に移りたいと思うのであります。  国庫負担の率を見ましても、厚生年金の国庫負担が二割、国民年金が三分の一であります。この率だけを見ますと、厚生年金よりも国民年金のほうがあたかもだいぶよさそうに見受けられるわけでありまするけれども、それを今度は逆に、年金額や給付開始年齢に六十歳と六十五歳、五年の隔たりがある点、こういうのを比較いたしますと、さらに国民年金の場合には厚生年金の二分の一ということでありますので、したがって、これは率が悪いと言わざるを得ないわけであります。厚生省の予算編成の過程における原案では保険料と同額、すなわち、給付には二分の一、こういうことであったように私は記憶をするわけでありますが、なぜ、こういうやり方をやめてしまったのか、その辺のいきさつをひとつお聞かせいただきたい。
  111. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 第一回の再計算期に当たりまして、大臣から御説明ございましたように、厚生年金との実質的な均衡という点に主眼を置いたのでございますが、その際、御指摘のように、国庫負担につきましては二分の一の要求をいたしたのでございます。二分の一を要求いたしました理由は、過去五年間の積み立て不足、保険の給付は引き上げに伴う積み立て不足、いわゆる整理資源を二分の一の中に含めるということで、実は整理資源の要求であったのでございますが、長期保険の場合におきましては、整理資源の問題は必ずしも一時点において解決をせねばならないということはないわけでありまして、今度の保険料の決定に際しましては、今後の標準的な新規加入者の保険料を念頭に置いて定めるという考え方をとりまして、整理資源につきましては、これを今後の被保険者の所得の伸び、あるいは国家財政等の状況により、その時点において解決をしていくという、いわゆる修正積み立て方式を採用した次第でございます。
  112. 森勝治

    ○森勝治君 その問題については、各審議会とも、いずれも負担率の増額という答申をしているわけでしょう。この点ひとつお答えいただきたい。
  113. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 国民年金審議会におきましては、特に整理資源の問題につきましては国庫負担を中心に考えるべきであるという御議論をいただいておるのでございます。この点は、われわれのほうといたしましても、これを体して努力いたしたいと考えておる次第でございます。
  114. 森勝治

    ○森勝治君 保険料についてでありますが、いま大師はそれぞれ百円ずつ値上げというふうに言われました。なるほど現行の百円が二百円、百五十円が二百五十円、さらに四十三年から五十円ずつ上げよう、こういうことであります。一番最初の引き上げ率から見ましても、昨年行なわれました厚生年金保険料の引き上げは五割七分であります。ところが、今度の国民年金の保険料の引き上げは七割八分増ということになりまして、四十四年一月一日から実施される二度目の引き上げ額を加えますと、実に十一割四分増ということになりますね。被保険者の実情は低所得者の多いという、こういう現状、さらには、また、物価高その他の影響を受けて生活にあえいでいる国民の被保険者に対してこんな多額の負担をしいることは、まさにひどい仕打ちと言わざるを得ないのでありますが、そういう点については、一体この被保険者の負担過重についてはどういうお考えを持っておられるのか、この点ひとつお伺いしたい。
  115. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 今回の再計算期にあたりまして、保険給付につきましては厚生年金と実質的な均衡のとれることを目標にしたことば先ほども申し上げたとおりでありますが、この考え方をとります場合においては、やはり保険料につきましても相当のはね返りがあるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、保険料につきましては、この所得の伸び等に見合って妥当な水準に定める必要があるのでございまして、この点が実は最も心配をいたしたところでございまして、各地方の年金行政の担当者を通じまして、末端までいろいろいわばよく打ち合わせをいたしまして、まあただいま御審議いただいております程度のことならば、給付も二倍半になることであるし、御了承いただけるのではなかろうかと考えたのでございます。  なお、御参考まででございますが、厚生年金の場合におきましては、保険料は標準報酬、つまり所得に対する率の形であらわれておるわけでございます。したがいまして、実質的な所得が、厚生年金の場合におきましては、賃金水準が上がるために、保険料の額としては相当の増加をするのでございます。保険料率の引き上げは、ただいま御指摘のように、ほぼ七割程度かと存じますが、昭和三十六年四月から昭和四十年五月までの保険料額を比較をいたしますと、やはり相当の引き上げ幅になっておるのでございます。これらの点も、厚生年金との均衡という点もやはり念頭に置いて考えなくてはいけない問題であろうかと思うのでございます。また、実態的には、最も被保険者階層の多い農家所得が、昭和三十三年当時、第一五分位二十万六千円でございましたが、昭和三十八年にはこれが三十五万円に上がっておる、あるいは平均的には三十五万円から五十八万円に上がっておる、あるいは農家経済余剰が二万六千円から二万八千円に上がっておる、こういう要素も考えまして、保険給付の引き上げとも見合って御了承を願いたい、かように考えておる次第でございます。  なお、申しおくれましたが、国民年金制度におきましては免除制度がございまして、一定の所得水準以下の方は免除がされる、そのかわり、免除された場合におきましても国庫負担に見合う給付は行なわれることになっておりますので、この点申し添えたいと思います。
  116. 森勝治

    ○森勝治君 ただいま後段で免除されたものというお話がありましたけれども、免除されたものは保険料納入者の三分の一、これは従前どおり変わりありませんね。ところが、大体この種の保障を受けたい、また、受けさせなければならぬというのは、保険料を払う力のある者よりも、保険料の払うことの力に乏しい人のほう、あるいは、また、その遺族というものの方々のほうがこうした救済の愛情の手を差し伸べることを心から願っておるのではないかと思うのであります。ところが、保険料を払えないで免除を受けた人々は他の人々の三分の一という支給額ということに相なりますね。そうなりますると、やはりこれはまことに酷な表現かしれませんけれども、一般の保険会社のように、掛け金をたくさんかけたほうが保険の給付率が多い、本来社会保障のあるべき姿、生活の困窮者に差し伸べられるところの社会保障という問題から考えますと、その点の給付率が非常に低いわけであります。こういう問題についてはしばしばもう衆参両院でも決議や、あるいは、また、議論、さらに、また、両審議会の答申の内容にも盛られたと思うのでありまするが、こういう問題を一体いつ解消されようとするのか、このまま放任して置かれるのか、その点についてひとつお伺いしたい。
  117. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 国民年金制度発足の当初は、免除者につきましては給付がなかったのでございますが、その後国庫負担に見合う給付が設けられるようになったのでございます。本来、拠出制の年金は一定の保険料を負担し、あるいはその負担の額をふやすことによりまして保障のレベルを引き上げていくわけでございますので、やはり拠出制との均衡を考えますとやむを得ない面があろうかと思うのでございますが、全般的な社会福祉行政との関連におきまして、低所得問題につきましては一そう施策を強化しなければならないわけでございます。  なお、この免除者に対して、国庫負担だけではございますが、三分の一の給付をするということは、いわばその拠出制の持つ一つの限界と、ただいま森先生御指摘のような考え方とのいわば妥協の接点であろうかと思うのでございまして、かような低所得による免除という制度を持っている国はございますが、これに対して給付を行なっておる国は非常に少ないように承知をいたしておりますので、やはりこの程度の格差はやむを得ないと考えておる次第でございます。
  118. 森勝治

    ○森勝治君 身体障害者の場合ですね、二十歳以前に障害者になった者と二十一歳以降障害者となった者とのはなはだしい差別待遇というものはどうして起こり、これをまた今後ともこのまま放任されておくのかどうか、お聞きしたい。すなわち、二十一歳以降に障害者となった者から比べると、二十歳以前に、あるいは、また、本人の責任でない、子供のころから不具になった者ですね、これはもうこの席上でも、こうした障害者の人々には、国を初め、われわれができるだけ率先して生活をみてあげよう、更生をさせようといってお互いが懸命になり、その先頭に立って私はがんばると大臣もこの問題についてもしばしば言及をされておるけれども、こういう年金に至っては、まことに冷酷むざんなやり方だと私は言わざるを得ない。したがって、こういう点にも当然改正すべき問題があろうと思うのであります。したがって、その点についてどう対処されるのか、お伺いしたい。
  119. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 二十歳前の障害の問題につきましては、前々から衆参両院においても御議論いただいておる問題でございます。この点につきましては、二十歳前の障害につきましても障害福祉年金の対象になりますし、また、二十歳後の障害と合併をした場合におきましてはこれを考慮するという、いわば年金制度の中での新しい考え方が国民年金制度の中にあるわけでございます。ただ、二十歳前に障害を発生をしてしまっておる方について拠出制の年金を支給せよと、するかどうかという問題がございます。この点につきましては、実は森先生のお気持ちはよくわれわれとしてもわかるのでございますが、一面において考えますと、今日各種の年金制度が存在をしておるのでございます。国民年金は、主として農民、自営業者の年金制度でございます。そこで、その相当部分をやはり保険料でまかなっております以上、この負担の均衡ということをやはり考える必要があるのではなかろうか。つまり労働者の子弟、あるいは国家公務員の子弟が二十歳を過ぎると、今度は農民、自営業者の保険料でまかなわれる、それによる今度の六万円なり七万二千円の年金の支給を受けるというのは、どうも負担関係においてえらい問題があるのじゃなかろうかという点が一つの問題点でございます。  なお、先ほど児童関係の際に御議論のございました児童手当の問題に関連してでございますが、かような二十歳前の障害の問題につきましては、むしろ児童手当の延長という形で解決をされておる国が多いようでございます。そこで、問題の重要性はわれわれとしても十分自覚をいたしておりますので、児童手当制度の組み方、あるいは先ほど申し上げました負担の均衡等を考えまして、これらの方々に対する適当な施策というものを前向きの姿勢で考えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  120. 森勝治

    ○森勝治君 五体満足、身体強健といわれる皆さんでも、この物価高の世の中を生き抜いて渡ろうというのには、並たいていの努力では至難のわざといわれております。日本の政治が悪いものですから、政策が間違っておるものですから、働く大衆の生活がますます苦しくなって、もう国民が非常に困っておる。これは皆さん御承知のとおりであります。そういう健康な皆さんでも生活しにくい世の中、いわんや、身体障害の方々はどれだけ御苦労されるか、はかり知れないものがあるだろうと私は思うのであります。私はこの前も申し上げたような気がするのですが、少なくとも、政治というものは、弱い者の立場に立つ政治でなければならぬと思うのであります。したがって、いまや全世界的に社会保障の完備された国家を目ざして各国がそれぞれ努力をし、私ども日本も及ばずながら社会保障の万全を期そう、たとえば失業者のない世の中にしよう、完全雇用制を実施しよう、最低賃金制を実施して働く者の生活を守ろう、力の弱い人には力を貸し、歩けない者にはつえとなり、光明を持たない者には光を与えようとする、そこに私はほんとうに生きた政治があるのではなかろうかと思うのであります。大臣御承知のように、浅草のある老人は、いまの日本の老後の生活に対し、国が貧しい老人に与える愛情の手の乏しきを憂えて、厚生大臣、あなたに書簡を託して、みずからおのれの命を断ったことを大臣は御記憶でありましょう。私ども政治に携わる者は、これら身寄りのない老人が前途に生きる希望を失ってわれとわが命を縮めるという、この一事をもってしただけでも、政治に携わるわれわれは大いなる反省をしなければならぬと思うのであります。と同時に、そういう身寄りのない者には友情をささげ、住宅のない者には生活を与え、失意の者には慰安と希望を与え、この政治こそ国民が最も期待し、かつ、そういう世の中のくることを念願しておるのではないでしょうか。したがいまして、いまのように、二十歳以前の者は身体障害者の手当を出す。なるほど、重症の身障者は満二十歳までは、いま提案されている案によりますと千四百円出される。しかし、これを他の児童手当から比べて額が三百円も少ないじゃありませんか。私どもはそういう点にも、からだの弱い者にもっといたわりをしてあげなければならぬと思うのであります。  大臣、そこで私は、はしなくも浅草でなくなられ、大臣に今後の願いをこめて遺書を託した老人からあの手紙を受け取ったそうであります。したがって、これがいまの日本の政治かと、国民に社会保障の面で冷たい仕打ちだと言われないように、この書簡を受け取った大臣の社会保障に対する考え方と、より一そうの御努力をお願いしたい。たとえば先ほどの局長の話では、二分の一にしたかったけれども削られたという意味のことを言った。国民を救うためには、大蔵省と組み討ちをやっても弱い者の立場に立たなければならぬと思う。そういうためには不退転の固い決意を込めて社会福祉行政の推進に当たるのが当然の為政者としての責務であろうと思うのであります。したがって、そのことについて大臣の隔意のない御意見をいただきたい。
  121. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 社会保障の充実につきまして森さんから非常に熱烈な御鞭撻をちょうだいをいたしたのでありますが、まあ私どもも厚生行政をあずかる責任者といたしまして、森さんに劣らない熱意を持ちまして福祉国家への理想を目ざして最善の努力をいたしてまいりたいと考えておるのでございます。確かにわが国の社会保障制度、特に所得保障の面は発足の日もなお浅いというようなことで、長年にわたって所得保障の充実をはかってまいりましたところの西欧諸国に比べまして、非常な立ちおくれを来たしておることは事実でございます。さような観点もございまして、昨年は厚生年金につきまして、また、今年は引き続いてこの御審議を願っておりまする国民年金制度につきまして、制度の大幅な改善をはかりたいということで御審議を願っておるような次第でございます。私は、先般も当委員会で申し上げたと思うのでありますが、社会資本の長年にわたって蓄積されておりまする西欧諸国に比べまして、わが国は戦後敗戦のどん底から、廃墟の中から再建と復興に向かって立ち上がったのでございますから、道路の問題にいたしましても住宅の問題にいたしましても、あるいは鉄道、港湾等々の社会資本の面につきまして非常な立ちおくれがあり、これを早く解決をして民生の安定と、そして経済の復興、発展に資しよう、こういう努力を一面においていたしておるのであります。そういうような社会資本の充実をしながら、一方において社会保障の充実をやらなければいけない、こういう日本の置かれておる現状につきましては、私は、社会保障の面が西欧諸国に比較いたしまして確かに十分行き届いたものになっていないという点につきましては、率直にこれを認めるのでございますけれども、こういう状況下において政府ができるだけの努力を社会保障の充実の面に傾倒をしておるということだけは御理解がいただけると、こう思うのであります。  ただいま浅草の簡易旅館で遺書を残されてなくなった植田老人のお話が出たのでございますが、この老人福祉の問題につきましても、私ども各種老人福祉施設の整備、それから老人ホームの建設でありますとか、あるいは養護老人ホーム、特別老人ホームの施設の整備、あるいは御老人に対するところの健康診断の実施でありますとか、あるいは老人福祉年金の問題でありますとか、あるいは老人クラブの拡充の問題でありますとか、まあいろいろなことを私ども努力をいたしておるのでございますが、ただいまお話がありましたように、いまだ十分でないという点につきましては御指摘のとおりであり、今後ともさらに努力を重ねてまいりたいと思うわけでございます。  いま問題になっておりまするところの二十歳未満の子供さんが拠出制年金の障害年金の対象にならないということにつきましては、制度上この点がまだ十分な検討が進んでいないのでございますけれども、私は、こういう子供さん方の福祉の問題につきましては、いろいろな児童福祉の総合的な対策によってカバーができまするように、十分今後政府としても努力をいたしたいと考えておるのであります。
  122. 森勝治

    ○森勝治君 私が申し上げましたのは、二十歳前に障害を受けた者は、二十歳以降になって障害を受けた者よりも年金支給を受けるのに所得制限があるような差別というものは正していかなければならぬ、こういう意味を申し上げたわけでありまするから、どうかひとつ前向きの姿勢でそういう不均衡の是正方をはかっていただきたい。  そこで、次の問題に移りたいと思うのでありますが、昨年の厚生年金法の改正にあたりまして、早急に年金制度のスライド制、この問題について具体的に取り組む、そういう約束ができたわけであります。ところが、今度この改正案を見ましたところが、そういう中身はさっぱりない。なぜお約束をしたにもかかわらず、提案を見合わせられたような消極的な態度をおとりになったのか、とらざるを得なかったのか、そういう立場についてお伺いをしたい。さらに、また、今度どうこのスライド制について対処されるおつもりなのか、お伺いしておきたい。
  123. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 年金制度は、御指摘のとおり、長期にわたる制度でございまして、これの実質価値の維持は最も大きな関心を集める問題であることは当然であるわけでありますし、また、その実、質価値を維持して、二十五年後におきまして夫婦で実質今日一万円の持っている意義を持つ年金を支給しようというのがこの法律案の基本的な考え方であるわけでございます。ただ、スライドの具体的な方式につきましては、その後社会保険審議会の厚生年金部会及び国民年金、審議会におきましてそれぞれ御検討いただいておる段階でございます。また、一面、事務当局といたしましても、各国のスライドに関する仕組みを調査をしてこの審議のお手伝いをしておるという段階でございます。  なお、この国民年金法改正法案の作成にあたりまして、このスライドの問題を国民年金審議会で御議論いただいたのでございますが、審議会の御意向といたしましては、当面は、まず第一回の再計算期にあたって、従前に厚年との間に維持しておった一つのバランスを絶対にくずさない、これを守る、これに主眼点を置くべきである、スライド制の問題は今後の課題として検討しようという御意見であったのでございます。このため、昨年厚生年金法、審議に際しましてスライドに関する規定が国会で御修正を受けておるわけでありますが、この修正を受けた条文に見合って、国民年金法の第四条の改正もこの中に含まれておるわけでございます。
  124. 森勝治

    ○森勝治君 積み立て金が二千億をこえようといたしております。本来、この積み立て金というものは被保険者の積み立て金でありまするから、当然これはその運用については被保険者の意見を十分取り入れるべきだと思うのであります。ところが、還元融資などというものは、わずか四分の一程度しか還元融資をさせない。これは何か厚生省としてその運用の方針に誤りがあるのではないかと私は思うのでありまするが、今後どうされるおつもりなのか。還元融資の率をもっとふやすのか、さらには、また、管理運用の権利というものを、これら権利を持っておりまする被保険者の代表が多数参加して、その中で、運用をしていく、こういう制度が本来あるべき姿だろうと私は考えておりますけれども、どうもこの辺が合点がいかないので、その点についてお伺いをしたい。この前の失業保険のときにも私は申し上げましたが、失業保険の問題でも、少なくとも千八百万人も保険金をかける。利子が八十二億もある。利子でその事務をみている。国の国庫支出はわずか四千万。本来事務費などというものは国が全額みなければならぬということを私は申し上げましたが、この失業保険のときもそうであるけれども、また、この二千億になんなんとするこの積み立て金の問題についても、どうも一方的なやり方しかしておらない。私はこの辺がどうも合点がいかないのでありますので、ひとつ明確にお答えを願いたい。
  125. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいま森さんから御指摘がございましたように、国民年金、あるいは厚生年金の積み立て金の運用につきましては、これが国民の福祉に寄与できまするようにこれを運用してまいる、そうすべきであるという御趣旨は、私どもも全く同感であり、そういう気持ちでこの積み立て金の運用に当たっておるのでございます。直接二五%の分はこれを還元融資をいたしておるのでありますが、あとの七五%につきましても、基幹産業でありますとか、あるいは輸出のための大きな企業でありますとか、そういう面につきましては厚生年金や国民年金の積み立て金はこれを使っておりません。私どもは、あるいは住宅の面、あるいは中小企業の振興の面、あるいは生活環境施設の整備の面等々、国民の福祉に寄与できまするような観点でこの運用をいたしておるのであります。なお、この使い道を明確にいたしますために、資金運用部の中に特別会計を設定をして、そして使途を詳細にわたって明確にする、こういう点につきまして、ただいま資金運用審議会におきまして御検討を願っておるような次第でございまして、私どもはその審議の結果を待ちましてこれに対する措置政府としてきめたい、かように考えておるのでありますが、前段に申し上げましたように、この積み立て金は、政府が財政投融資資金を確保するためにつくっている制度ではございません。あくまで国民の所得保障のためのこれは積み立て金でございますからして、国民生活の福祉に寄与するように、この運用、使途については十分政府としても意を用いているところでございます。
  126. 森勝治

    ○森勝治君 福祉年金についてお伺いしてみたいと思うのであります。福祉年金は、その制定の当初千円でございました。それから千百円、千三百円となり、今回は千五百円という提案でございます。拠出制の年金が二・五倍、年金額が率としてふえたとするならば、現行の一千三百円の二・五倍でありまするから、千五百円ではなくして、三千二百五十円、あるいは、また、制定当時の一千円の二・五倍ということならば二千五百円、少なくともこの程度の額を支給しなければ福祉年金と拠出制年金との比率が保たれないと私は思うのでありまするが、その辺のかね合いはどうしてこうされているのか。私は、先ほども浅草の老人の自殺の例をとって大臣の所見をただしたわけでありまするが、こういうところにもやはり弱い者が置いていかれてしまうような気がしてならぬのであります。したがって、どうかひとつこの弱い、発言力のない、しかも、ここへきて、団体をもってああしてくれ、こうしてくれ、そういう行動力もないこれらの方々には、やはり、より一そう力強い政治の力というものを与えて、将来を安定させてやらなければならぬと思うのであります。したがって、そういう立場からも、福祉年金の給付額については、より一そう上げてやらなければならぬと思うのでありますが、いま申し上げたように、一千円から一千百円、一千三百円、今回は一千五百円というこの小刻みの額では、一体お話にならぬと申し上げてしまえば、もう私もお話にならぬからやめざるを得ないのでありまするが、やはり乏しきを分かち与える——大蔵省は予算が足らないと大胆がさっき言われた。だから、少ないながらも、やはり福祉年金のわずかな額を首を長くして待っておられる多くの皆さんがおることを大臣も十分おわかりのはずでありまするから、ひとつこの際は拠出制年金と同率の額を出すように御配慮を願いたいと思います。
  127. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 福祉年金の給付の額の問題でございますが、拠出制年金の今回の改正に比べて、その改善の割合が低いではないかという御指摘でございます。御承知のように、拠出制年金につきましては、制度発足以来改善がなされておらないのでありまして、今回再計算期の機会をとらえまして、厚生年金との関連等を考えて、そうして大幅な改善をいたしたところであります。一方、福祉年金につきましては、いまお話もありましたように、一千円から一千百円、一千三百円、さらに一千五百円というぐあいに、昨年に引き続きまして今年も改善をいたしたのでございます。今後におきましても、私は、物価の関係とか、あるいは生活水準の向上等に見合いまして、福祉年金の給付改善につきましては、引き続き政府は努力をしてまいりたいと考えておるのであります。
  128. 森勝治

    ○森勝治君 夫婦で老齢で福祉年金と障害福祉年金を受ける場合には、従来は老齢福祉年金の支給が停止されておりましたが、今度は廃止になったわけでありますね。ところが、夫婦で老齢福祉年金を受けておる場合、三千円相当の部分の支給停止ということになっております。したがって、法七十九条の二の五項、夫婦支給制限という問題につきましても、夫婦で老齢福祉年金を受けている場合、この法第七十九条の二の五項に準拠して制限を撤廃すべきだと思うのでありますが、なぜこれを今回は知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでしまったのか、この辺ひとつお伺いしたい。
  129. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 夫婦で福祉年金を受給する場合におきましては、共同生活をしておる、あるいはその老後の扶養関係が一そう強いということで、従来その所得制限につきましても、一般の所得制限よりもきびしい所得制限があったのでございますが、今回の改正に際しましては、福祉年金を片一方が受給をする場合におきましては、この所得制限を一般の扶養義務者の所得制限に吸収することに改正案をしたのでございますが、衆議院におきまして、御指摘のように、老齢福祉年金につきましても、この所得制限が扶養義務者の所得制限に吸収されたのでございます。しかしながら、この三千円差し引くというただいま御指摘の条文はなお残っておるのでございまして、今後なるべくすみやかな機会にこの問題を解決してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  130. 小平芳平

    小平芳平君 いろいろ国民年金についての質疑応答がありまして、私としてもお尋ねしたい点がたくさんございますが、重複しないように、また、なるべく少ない時間で能率的にお尋ねしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  まず、国民年金については、国民に魅力のある年金であるように、現に老後のことはみんな心配だからこそ、生命保険にも入れば貯金もすれば、老後のことをみんな心配しているのです。したがって、この国民年金に入っていることが、実際問題として、皆さんの老後のためにはこれこれしかじか有利なんだ、こういうふうにしておけばこうなるのだということが出されてなくちゃならないと思うのです。実際問題、今日までの結果として、当局として、この資料の被保険者数というところに、総数千九百八十六万八千人、強制適用千七百九万八千人という、昭和四十年十一月末、こうした数字が被保険者数として載っておりますが、それで、この被保険者数は、該当する国民年金に入るべき人がほぼこれで入っている数字なのか、あるいはまだまだPRして入れなければならない人が相当残されていると見ていらっしゃるか、その点どうですか。
  131. 網野智

    政府委員(網野智君) 私どもといたしましては、毎年市町村におきまして、国民健康保険の帳簿とか、その他のいろいろの帳簿を調べていただきまして、国民年金の対象者の実態調査を実はやっていただいております。それに基づきまして、できるだけそういう方が全部国民年金に入っていただくような推進対策をやっております。で、たとえば昭和四十年度の対象者百六十万人、これが市町村でいまとらえました数でございますが、それに対しまして、年度末までに百三十万人の適用推進をやっております。したがって、あと三十万人ぐらいが適用漏れという形になっております。で、市町村の調査はそのような調査をやっておりますが、全国的にいろいろな観点から推測してみますと、なおそれ以外に百万人ぐらいの適用漏れ者が今年度はいるのではないか、したがいまして、百万人と三十万人を加えまして、今年度は百三十万人の適用を推進してまいりたい、こう考えております。
  132. 小平芳平

    小平芳平君 それで、大臣、あるいは局長ですね、まあ百三十万人の人が漏れているということは、はたして国民年金に入る熱意がないのか、なぜ熱意がなくて入らないのが、あるいは厚生省として、行政当局としてもっと力を入れて、生命保険は別としても、いかなる貯金や積み立て金よりも国民年金に入ることが老後のためなんだということをもっと積極的にやっていかなくちゃならないのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  133. 網野智

    政府委員(網野智君) お説のとおり、私どもといたしましては、第一線の市町村を督励いたしまして、いろいろ国民に対するPRを十分やってまいったつもりでございます。今後も、市町村を初めとして、国みずからも十分国民に対する理解の徹底をはかりたい。特に今回法律改正によりまして、遺族年金障害年金の年金額が非常に大幅に上がった、すでにもらっておる方につきましても二倍半に上がったわけでございますが、こういう実物教育というようなものを通じまして、今後国民に対する国民年金の理解を高めてまいりたいと考えております。
  134. 小平芳平

    小平芳平君 それでは、障害年金が大幅に上がるから理解が深まるだろうというお話ですが、ここにある一つの例として、老齢年金で、老人が五年間手続をしないために時効になって権利を消滅してしまった、そういう人がどうも何人も東京都の窓口に相談に来た。東京は、同じような例が大阪や横浜にもあるから、いろいろ相談して厚生省へ働きかけようということになった。ところが、厚生省の伊部年金局長の話としては、五年間で時効になるのは法律どおりだから、そのとおりやむを得ないのだ、それは、法律を忘れないようにPRしていくよりほかないのだというような話が新聞に出ておりますが、そういうことですか。
  135. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 時効の問題は、各年金制度共通に五年間という時効が定められておるのでございます。この点は現行法では実はやむを得ないのでございますが、ただ、福祉年金につきましては、その他の年金も同様でございますが、請求があれば時効が中断をするのでございます。そこで、この請求は、必ずしも正規のいわゆる請求書によるものでなくても一つの請求と認めてよろしいと考えられますので、それらの点は行政的に解決できる問題が相当あるのじゃなかろうかということで、各年金課長のほうにおいて検討をしておる段階でございます。  なお、東京都におきましては、七十歳になりますと、あなたは老齢年金、福祉年金が受けられますという通知を東京都のほうから出して、非常にPRに努力をしておるようでございますが、ただ、その後東京以外の地方から転任をされるような方についてはPRの漏れもあり得るというようなことを責任者からは聞いているのでございます。なお、市町村に、特に町村におきましては非常に狭い地域社会でございますので、ほとんどそういった問題はないのではないかと考えております。
  136. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ちょうどいま新聞記事のことについての質問がありましたので、私は関連でもうちょっとその考え方をただしてみたいわけです。これは大体老人年金、福祉年金なるものは、やはり老後の非常に困っている人に対しての老後をいかにするかという、ほんとうにあたたかい気持ちで行なわれておるものであるわけですが、特にこの福祉年金に関しては社会保障的な考え方でこの法律ができている。この趣旨を十分に私はかみくだかなければならぬと思うわけです。そういう点から考えますと、いま小平委員からもお話になりましたように、非常にあの答弁の中で、PRさえすればいいというような、そういうような方法しかないというような考え方でもってこれが出されておることに対しては、私は非常に困ると思うわけであります。特に私はここでお尋ねしたいのは、一体PRに対してはどんなことをやっているのか、あるいは、また、特に都会で比較的こういう人が多い。いま御答弁の中にも、いなかであれば老人がすぐわかるからPRしやすいんだけれども、都会ではできないからというのでありますが、一体それはどんなふうな方法でやられておるのか。あるいは、また、時効によって、こうした新聞に出ているのは二、三でありますけれども、実際の数はどれくらいあるのか。そして、また、こういうふうな時効の規定は一体これをはずしたらどうかと思うわけでありますが、この三点についてひとつ御回答願いたい。
  137. 網野智

    政府委員(網野智君) 東京都でいかようなことをやっているかというような御質問があったわけでございますが、東京都におきましては、三十九年度におきまして各福祉年金がもらえそうなすべての方々に対しまして「お知らせ」というようなことで、あなたはできるだけ早く手続をしてください、しなければ時効によって福祉年金が請求できなくなります。こういうようなはがきをできるだけたくさんの方に送るような努力をしております。それから、私どもといたしましては、そういうこともあったわけでありますので、全国的にPRをいろいろやりまして、その結果、福祉年金の請求件数というものが格段にふえてまいっておる、こういうことで、その効果も出ておるのじゃないか、こう考えております。  それから、先ほど新聞の話が出たわけでありますが、この件につきまして実は調べてみたわけでございます。で、この方につきましては、その当時、戸籍係のみ市役所におりまして、本人が実は役場に来られて、国民年金の請求をしようと思って来られたけれども、国民年金係がおらなかった、戸籍係が一応口頭請求を受けつける、こういう形になっておりますので、ただいま局長が申し上げましたように、口頭による請求というものも時効の中断と私どもみなすわけでございますので、この方については、もう一回請求していただけば福祉年金を差し上げる、こういうことになっております。
  138. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの時効の問題につきましては、年金制度全体の問題でございますけれども、しかし、先ほど来お話がございまするように、非常に重要な福祉政策の問題でございますから、その精神を生かしますためにどうしてもこれは再検討をしなければいけない、かように私も考えておりますので、関係各省と十分協議をいたしまして、早急に改善をいたすように努力をしたい、かように考えております。
  139. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 たいへん大臣から御答弁をいただいて、非常にありがたく思うわけでありますが、私はいまの、もちろん早くそうしていただかなければなりませんが、いまこの老人たちが七十五歳になって、そして老人ホームに行ったりなんかして、何か国から手当を受けるものがこれしかない、こういうものをあとから聞いて時効になっているという、何といいますか、非常にさびしい気持ちになっているこういう人たちをどこで一体歯どめをするか、改善してもらうまでの間に何とか歯どめの機会をつかまえていただきたい。厚生省としてはどこでチェックしてやるか、どうお考えになるかをひとつ。
  140. 網野智

    政府委員(網野智君) 私どもといたしましては、非常に重要な問題でございますので、今後ますます強力なPRを市町村を通じてやってまいりたい。いままで時効によってだめだといわれた方につきましても、ただいま局長が申されましたように、多くの方はもらいたいということで、口頭による請求をされている方も相当あるのじゃないか。したがいまして、そういう方につきましてももう一回調査をいたしまして、できるだけそういう事実があれば差し上げるようにいたしたいと考えております。
  141. 小平芳平

    小平芳平君 ですから、大臣がおっしゃるように、年金制度全体の問題であるし、特に老人福祉という問題でありますので、時効になったからあなたはだめだよというのじゃなくて、これは制度そのものを検討していただくことが一つと、それから、もう一つは、新聞に出ている限りでは、局長のお話がいかにも冷たいといいますか、制度制度だ、あとはPRよりほかないのだ、こういうこと。それは制度制度であっても、いまおっしゃるように、口頭ででも申し出れば時効は中断するのです。ですから、漏れた人はすぐ口頭ででも申し出てくださいとか、そういうふうにすればいいと思うのです。まあとにかくこの問題については、先ほど私が申し上げたのは、魅力のある、ほんとうに国民年金ということがどれほど国民生活の中に大きな働きをしているかということを身をもってみなが感じていくという、そういうことになっていかなくちゃならないと思うのです。  それで、もう一つ、先ほどまだ国民年金に入ってない人が百三十万人と言われましたが、あるいはいろんな関係でこれから入ろうという人は、過去の掛金はどういうふうにして入ることになるわけですか。
  142. 網野智

    政府委員(網野智君) 過去の分につきましては、二年間までさかのぼって納めることができます。こういうことになっておりますので、私ども今後適用促進をはかる際には、過去二年までなるべく納めていただくようにすすめてまいりたいと考えております。
  143. 小平芳平

    小平芳平君 とにかく二十五年積み立てていく、あるいは四十年積み立てていくという、非常に先の長いことであるし、そういう長い間お金を積み立てていくということは、よほど自分自身の身に感ずるものでないと、ただ入りなさい入りなさい、強制加入だよと言うだけじゃ済まされないと思うのです。そういう点からお尋ねしているのです。  それから、金額についてのいろいろな問題点は、森委員との間に応答がありましたので、省略いたしますが、保険料については、百五十円と百円、あるいは二百五十円と二百円というふうに定額になっておりますが、この点も、現状としては、国民年金という特殊性からいって、そういうふうな一律でいくよりほかないかもしれませんが、やはり実際上の問題としては、東京都、それから、また、ごく農村地帯で収入の少ない、所得の少ないそういう地方都市、農村と全く同じ金額で積み立てていくということ自体に無理がありはしないか、そういう点についてのお考えはどうでしょうか。
  144. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 年金制度は長期的な保険でございますので、その間に移動等の問題もございますし、また、記録の問題がございまして、ただいま御指摘の点は、事務的にはなかなかむずかしい点があろうかと考えられるのでございますが、しかしながら、免許基準の運用につきましては、ただいま御指摘のような所得の格差、あるいは地域の格差が十分反映いたすように適正な運用をはかってまいりたいと考えておるものでございます。なお、現に各府県ごとにその所得の状況によりまして免除率は非常に大きな差がございまして、たとえば東北地方へ参りますと二〇%をこえておる県もございます。また、同じ県内におきましても、農村地方、あるいは山間僻地等におきましては相当免除率が高く、都市部においては低いといったようなことがあらわれているのでございますが、特に今回保険料も引き上げられることでございますので、一そう免除制度の円滑な実情に即した運用をはかってまいりたいと、かように考えております。
  145. 小平芳平

    小平芳平君 免除制度だけでいいかどうか、これも将来の問題点として研究していただきたいと思うのです。  それから、次に、所得制限ですが、これは七十一万六千四百円から八十一万七千五百円に制限がこれだけ緩和されたわけですね。ところで、実際問題としては八十一万円の制限ではなく、せめて九十万とか百万とか、こういうように、所得制限をするとしても、拡大しないと、実際問題として窓口では、去年までは年金を受けられた人が、ことしになったら、急に、あなたは家族の所得がふえたからもう年金は上げられませんということで、非常に困るという問題があるわけです。重々これは御承知と思いますが、したがって、本人の所得で本人が年金を制限されるというならまだ納得のしようもあると思うのですが、家族の所得が若干上がったからといって、いままでもらっていた老人に、あなたはもらえなくなりましたよということは、非常にこれは問題じゃないかと思いますがね。
  146. 伊部英男

    政府委員(伊部英男君) 所得制限につきましては、年々その緩和をはかってきておるところでございます。ただいま御指摘のように、扶養義務者の所得が上がりましたために年金の給付を受けられなくなるというような事態がないように所得制限の引き上げをはかってきておるのでございますが、必ずしも十分ではない点があるわけでございます。今年度におきましては所得制限の限度額は約一四%と、大幅な引き上げを実施する改正案になっておるわけでございますが、今後とも、この問題につきましては、いわば老齢者の非常に大きな楽しみでございますので、所得制限を大幅に緩和をし、従前受給されておる方はもとより、新たに受給者がふえるような線で一そう努力をいたしたいと、かように考えております。
  147. 小平芳平

    小平芳平君 まあそういうように、むしろ受給者がふえるように大幅に緩和する方向でいかれるというふうに御答弁いただけば、大いにそういうふうにお願いしたいと思います。  ところで、一四%上がりましたが、七十一万から八十一万に緩和したけれども、実際問題、新しくどのくらいの人がもらえなくなるか、そういうような点の御見当はつきませんか。
  148. 網野智

    政府委員(網野智君) 新しくいろいろ年齢到達で福祉年金の対象者になる方もあるわけでございますが、そういう方を総合いたしまして、大体従来もらっておられる方が、従来の基準では落ちるであろう、こういう方は今度の一四%の引き上げでほぼカバーできる、この方々には大体差し上げられるというように考えております。
  149. 小平芳平

    小平芳平君 ということは、一四%上げれば、従来もらっていた人でことしからもらえなくなる人はないと、そういう意味ですか。
  150. 網野智

    政府委員(網野智君) 私の申し上げたのは、大体そういう方がもらえるようになるだろうと、若干だめになる方は出るかもしれませんが、ほぼ大部分の方がそういうことはないようになるだろうと、こう申し上げたわけです。
  151. 小平芳平

    小平芳平君 その数はわかりませんか。大体おおよその見当は。
  152. 網野智

    政府委員(網野智君) その辺はちょっと詳細な資料を用意しておりませんのでわかりませんです。
  153. 小平芳平

    小平芳平君 私も詳細な資料を持っているわけじゃないですが、ただ、おおよそのことで申し上げておるだけですが、とにかく七十一万から八十一万では相当落ちる人が出てくるというのですよ、ある見方によれば。これがもう少し九十万とか百万となればともかく、せっかく去年まではもらっていたけれども、ことしからはもらえなくなったという人ができるのじゃなかろうか。それで、将来の問題としては、こういう制限をもっと大幅に緩和する方向でいっていただきたいことと、それから、国としては、いままで差し上げていた人に継続して差し上げるわけですから、別に新しい財政支出になるわけじゃないのですから、その限りにおいては。ですから、なおさら緩和については御検討願いたいと思うのです。  それから、次に、やはり窓口で保険料の徴収についてですが、納付組織についてですが、いろいろな納付組織については苦心もなさっていらっしゃると思うのですが、この納付組織の現状と、それから手数料ですね、それについてお尋ねしたい。
  154. 網野智

    政府委員(網野智君) 私ども、国民年金制度におきましては、たてまえといたしましては、本人が印紙を買って、これを国民年金手帳に張りつけて納めていただく、こういうたてまえになっておりますが、現在の国民年金に対する理解度からいいまして、何とかこれに対する理解を深め、保険料を納めていただく、こういうことで、納付組織をいろいろ育成して、納付組織によって国民年金のPR、あるいは保険料の徴収、こういうことをやっていただいておるわけでございます。で、その現状といたしましては、婦人団体を使っておるもの、あるいは既成の自治組織を使っておるもの、納税組織を使っておるもの、こういうようなものがございまして、現状といたしましては、いろいろな形態のものが各地域においてつくられておりまして、そういう方々のお世話で保険料を集めていただいておる、こういう状況でございます。大都市におきましてはそういうチェーン的な社会というものが成り立たないということもございまして、その場合には市役所における専任徴収員がいろいろ回りまして、国民年金のPR、あるいは保険料の納入を促進しておる、こういう状況でございます。
  155. 小平芳平

    小平芳平君 それで、婦人団体等を使ってやっているという簡単な御答弁ですけれども、それが現状としてうまくいっているかどうか、将来検討する必要があるかどうか。それから、また、大都市では、市で専門の職員を置いて集めて歩いた場合に、非常に事務費が足りないというわけですね。ほんの三割か四割か、そのくらいの金額しか手数料にならない、あとは赤字になっちゃうというような報告もありますが、いかがですか、現状は。
  156. 網野智

    政府委員(網野智君) 今日まで納付組織を活用いたしまして国民年金の保険料の納入をやっているわけでございまして、保険料検認率の実績を申し上げますと、三十八年度が八五・三%、三十九年度が八八・一%、四十年度は九〇・一%というふうに、漸次検認率は向上している……。
  157. 小平芳平

    小平芳平君 検認率というのは。
  158. 網野智

    政府委員(網野智君) 保険料を納めていただく徴収率でございます。この率は漸次向上している。したがいまして、納付組織の御協力によって非常に成果が漸次上がっているのじゃなかろうか、こう考えております。さらに、納付組織のほうには、実は印紙売りさばきというものが市町村の事務としてあるわけでございますが、印紙売りさばき手数料というものは、印紙を購入した三%について差し上げている。保険料収入の三%を印紙取り扱い手数料として差し上げている。そういうもの大部分が納付組織のほうに大体流れていっているのじゃないか、こう考えております。実際は市町村が納付組織関係で使っております総金額の約六〇%から六五%くらいがその印紙売りさばき手数料でカバーされている、こういうことになっておるようでございます。
  159. 小平芳平

    小平芳平君 私は、たいへん時間もおそいので、大臣にお尋ねしたいと思いますことは、いまの部長さんのお話ですと、市町村では手数料だけでは足りないわけですね、要するにその一人の職員がその保険料を集めて歩いて、それで三%の手数料で足りるかというと、それはもう市町村の持ち出しになるわけです。それが現状だということを部長さんからお話があったわけですが、私の聞いたところでは、もっと、事務費が足りないようなことを聞いているのですが、そこで、また話が最初に戻りますが、一般の加入している人たち、二十歳、三十歳、四十歳の加入している人たちは、とても長い間積んでいかなければならない年金だということが頭にある。考人は老人で、あるいは所得制度とか、あるいは時効だということがいわれる。市町村は市町村で、事務費が足りないと言う。そういうことで、非常に国民年金そのものが確立し、充実されていかなくちゃならない制度である。また、今回の改正については、非常に各層の方からも、各地方の方からも、早く成立させてくれということを言ってこられております。そういうように、非常に期待されているこの国民年金の現状が、いま申し上げるように、はたしてほんとうに市町村にも赤字だから困るということがないように、老人に対して、あんた所得制限だからだめだ、ことしからはだめだというようなことのないように、あるいは、また二十歳、三十歳台の若い人たちも、ここで積極的に積んでいけば将来こういうふうになるのですよというように、もう少し国民の間に浸透していく、国民年金といえば飛びついていきたいみたいな、そういうようにもっともっと改善をし、成長もしていかなくちゃならないんじゃないか、こういうふうに考えますが、いかがですか。
  160. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) 小平さんの御指摘になりますように、国民年金制度、これが制度として国民生活の中に溶け込んでいき、有力な所得保障の柱として確立してまいりまするためには、何といっても魅力のある制度でなくちゃいかぬ、こう考えるわけでありまして、今回の改正も、ほんとうに老後における所得保障の有力なささえになるような給付、そういう魅力のあるものにしたいという観点で今回大幅な給付制限の改定を行なおうといたしているのであります。また、先ほどから御指摘がありましたように、保険料の面につきましても、国民年金の被保険者は、農漁民等、所得の低い階層の方が多いわけでございますから、その所得の低い農漁民の方々の所得を考えながら、漸進的に保険料負担の面につきましても配慮してまいる、こういうことが必要であろうかと、こう思うわけでございます。  それから、さらに、納付組織なり、あるいは市町村で保険料等を徴収いたします場合の事務費、あるいは印紙の取り扱い手数料、こういう面の改善につきましても、今回百六十円から二百円に事務費を引き上げ、印紙の取り扱い手数料が三%でございますけれども、保険料そのものが百円ずつ上がっておりますから、実質的な三%の内容的なものはそれだけ手数料がふえておる、こういうことにも相なるわけでありまして、私は今回の改正で必ずしも十分とは考えておりませんけれども、今後とも、この制度を確立してまいります市町村段階、そういう方々のやりやすいように、そして制度全体を魅力のあるものにという方向で今後とも一そう努力をいたしたい、かように考えております。
  161. 小平芳平

    小平芳平君 これで私は終わりにいたしますが、先ほど森委員の質問に対する大臣の御答弁の中に、国民年金は必ずしも所得保障というわけにもいかないみたいなお話がございましたが、結局いま大臣がおっしゃったように、国民年金が所得保障の有力な柱として発展していくのだということで私は了解いたします。  そこで、これも先ほど来、大臣からお話がありましたのですが、やはり長期間にわたって積み立てをしていきますので、スライド制の問題ですが、ここで長い間積み立てていく上で、はたして二百円とか百五十円とか出してはいるのだけれども、一体これが十年たったらどうなるだろうか。一年たってさえも物価がもう七%も八%も上がっちゃうこういうような時代に、二十年、三十年という長い間の将来を見越して保険料を払っていくということは、相当の将来に対する確実な期待というものがなければ魅力も出てこないと思うのです。スライド制といいましても、物価が上がるということもあるし、国民生活水準の内容がよくなっていくという点もありますし、そういう点について単なるスライド制をそれではやりますといっても、いろいろ事務的にもむずかしい面もあろうかと思いますが、ほんとうに皆さんがここでかけていけばだいじょうぶなんだというような、そういう物価変動なり生活水準の向上なり、それに見合ったスライド制というものを保障していただけるものかどうか、この点について最後にお伺いいたします。
  162. 鈴木善幸

    国務大臣鈴木善幸君) ただいまの御発言に関連いたしまして、先ほど森さんの御質問に私がお答えをしたことにつきまして若干疑問を残したようでございますので、この際、明快にしておきたいと思うのでありますが、私は、所得保障としての年金給付は、それだけでもって全部をまかなうというような所得保障年金というものは西欧諸国においても行なわれていない、それが三割なり四割の生活の有力なささえになっている、こういう制度として所得保障は各国におきましても制度化され育成をされていっておる。全部この年金制度でまるがかえ的な所得保障というのは、これは負担の面その他もございまして、なかなか困難であるというような趣旨のことを実は申し上げたわけでありまして、わが国の厚生年金なり国民年金は、そういう意味合いで、給付水準からいたしましても、現状におきましては西欧諸国の中くらいの給付水準にあるのではないか、また、この実質的な給付額が維持されまするように、今後私ども、スライド制の問題につきましても十分研究を進めていきたい。この国民年金制度が五年ごとの再計算期を迎えるわけでありますが、こういう際におきましても、いまの実質的な給付が確保されるように、今回の改正でも五年の間に二倍半に給付水準が引き上げられたので、こういうように、五年ごとに十分その間の調整ができるような制度にもなっておりますし、また、急激な貨幣価値の変動でありますとか、あるいは物価の変動であるとか、国民生活水準等が大幅に変わりました際におきましての実質的な給付がそのために減殺されないようにというスライド制につきましては、審議会等の御意見を徴しながら十分私ども配慮していきたい、こう考えております。
  163. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 暫時休憩いたします。    午後五時四十七分休憩      —————・—————    午後七時十四分開会
  164. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  委員の異動についてお知らせいたします。本日、小平芳平君が委員を辞任され、その補欠として鬼木勝利君が選任されました。     —————————————
  165. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 休憩前に行ないました国民年金法の一部を改正する法律案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。     —————————————
  166. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 請願第一八号、健康保険共済改悪反対及び医療保障確立に関する請願外六百二十六件を議題といたします。  本委員会に付託されております六百二十七件の請願は、一応専用員のもとで整理してもらい、委員長及び理事打合会におきまして審査いたしました結果、請願第一九号、第一五二八号、結核対策拡充に関する請願、第二〇号、医師、看護婦の充足に関する請願、第二二号、病院給食改善生活保護基準引上げに関する請願、第二三号、第七五号、第一四〇号、第一五〇号、第二八九号、第三八五号、第一五三六号、第二〇六七号、第二〇九〇号、第二二六号、第二一三八号、第二一三九号、第二一五一号、第二一七九号、第二二二二号、第二二二七号、第二二六八号、第二三一九号、第二三六一号、第二四二号、第二四一二号、第二六一三号、第二六三二号、第二六五五号、第二六七三号、第二七二六号、第二七四八号、第二七八九号、第三一六四号、療術業務医業類似行為)の新規開業制度化に関する請願、第五六号、保育所拡充強化に関する請願、第七六号、戦傷病者支給する補装具の種目に「義装耳たぶ」を追加するの請願、第八三号、第九六号、第一二六号、第一八四号、第二二六号、第二四二号、第二八二号、第三〇七号、第三四〇号、全国保健所栄養指導員管理栄養士)必置等に関する請願、第一二四号、母子栄養強化対策に関する請願、第一二五号、第三〇八号、国立栄養体力研究所仮称設置に関する請願、第一六四号、第一六七号、第一六八号、第一八五号、第二二五号、第二四八号、第二四九号、第二六六号、第二六七号、第二六八号、第二八三号、第三三二号、第三四一号、第八四二号、環境衛生金融公庫設置に関する請願、第四七一号、第四七二号、第六〇〇号、第六〇一号、第六一五号、第七二〇号、第八四三号、第九六四号、第九八九号、第一一八一号、国立岐阜療養所災害補償等に関する請願、第六一四号、国立らい療養所栗生楽泉園入所患者療養生活改善、向上に関する請願、第六六三号、第八七三号、第九〇六号、第二一二六号、調理師免許、登録、試験制度に関する臨時行政調査会並びに地方制度調査会の第二次答申反対に関する請願、第七七九号、部落解放に関する請願、第八二七号、第八二八号、第八二九号、政府関係機関労働者労働条件に関する請願、第八八八号、陸中海岸国立公園地域拡張並びに下北半島の国定公園指定に関する請願、第九六五号、国立足利療養所結核ベット縮小反対等に関する請願、第一〇一四号、第一一五三号、第一四一二号、第一五八二号、第一五九九号、第一七二一号、第一七七七号、第一七七八号、第一七九八号、第一八五三号、第一八七八号、第一九三三号、第一九五九八号、第二〇四四号、第二〇六五号、第二〇六号、第二一〇五号、第二一〇六号、第二二二六号、第二一七六号、第二一七七号、第二一七八号、第二二二一号、第二二二八号、第二二二九号、第二二四二号、第二二四三号、第二二六九号、第二二八二号、第二二八三号、第二二八四号、第二二九二号、第二二九五号、第二二九六号、第二三〇二号、第二一二〇三号、第二三〇四号、第二三〇五号、第二三一二号、第二三二〇号、第二三三八号、第二三六二号、第二三六三号、第二四一四号、第二四一五号、第二四四四号、第二四四五号、第二五〇三号、第二五〇四号、第二五〇五号、第二五一九号、第二五二〇号、第二五二一号、第二五二二号、第二五二三号、第二五二四号、第二五二五号、第二五二六号、第二五二七号、第二五四〇号、第二五四一号、第二五六六号、第二五六七号、第二五六八号、第二五六九号、第二五七〇号、第二五七一号、第二五八五号、第二五八六号、第二五九四号、第二六〇六号、第二六一〇号、第二六一三号、第二六一四号、第二六一九号、第二六二九号、第二六三〇号、第二六五六号、第二六八七号、第二六九七号、第二七四六号、第二七六〇号、第二七七四号、第二七七五号、第二七八三号、第二七八五号、第二七八六号、第二七八七号、第二七九七号、第二七九八号、第二八〇九号、第二八六一号、第二八六二号、第二八六三号、第二八六四号、第二八八二号、第二八八三号、第二八八四号、第二九二〇号、第二九五六号、第二九八〇号、第三〇六八号、第三〇九二号、第三一六三号、栄養士法第五条の二の第二号改正に関する請願、第一〇一九号、第一〇三六号、第二四一号、第一一九八号、第二九九号、第一二五九号、深夜興行禁止に関する請願、第一〇三五号、ストリップ劇場許可反対に関する請願、第一二二二号、第二〇八九号、ハンセン病療養所患者作業賃日用品費増額及び不自由者看護職員切替えに関する請願、第一二五〇号、第一二五二号、千葉県沼南町所在の精神薄弱児施設桐友学園助成に関する請願、第一三四八号、失業保険制度改善し農民に適用する等の請願、第二二八一号、第一四一三号、第一四一七号、第一四八二号、第一五七六号、第一五八三号、第一六〇七号、第一六三〇号、第一六三一号、第一七一二号、第一七二二号、第一七七九号、第一七九六号、第一九三七号、第一九四八号、第一九五七号、第一九五八号、第一九八七号、第一九八八号、第一九八九号、第一九九〇号、第二〇〇四号、第二〇〇五号、第二〇〇六号、第二〇四二号、第二〇四三号、第二〇六六号、第二〇九四号、第二〇九九号、第二二二〇号、第二一七四号、第二二四八号、第二二六一号、第二二九三号、第二四一三号、第二五〇二号、第二五一七号、第二五六五号、第二七四七号、第二七八八号、アルコール中毒者治療施設増設及び整備拡充に関する請願、第二二九五号、戦没者慰霊顕彰並びに遺家族援護対策強化に関する請願、第一三九六号、第二一五五号、第二三二二号、第二三二三号、第二三二四号、第二三二五号、第二三二六号、第二三七三号、第二三七四号、第二三七五号、第二三七六号、第二三七七号、第二三七八号、第二四三七号、第二四三八号、第二四三九号、第二四四〇号、第二四四一号、第二四四二号、第二四四三号、第二五〇六号、第二五〇七号、第二五〇八号、第二五〇九号、第二五一〇号、第二五一一号、第二五一二号、同和対策審議会答申完全実施に関する請願、第一四一八号、第一四八六号、第一四九七号、第一六二七号、第一八五二号、第一九〇四号、第二〇一九号、第二四四八号、第二四九七号、衛生検査技師法の一部改正に関する請願、第一四二六号、第一九三八号、第一九九二号、第二一八九号、第二二二四号、心臓手術に要する供血制度改善に関する請願、第一四二七号、第一九三九号、第一九九三号、第二一九〇号、第二一九一号、心臓病の子供に対する育成医療助成拡充に関する請願、第一四八七号、第二〇二〇号、衛生検査技師国家試験地方自治体移譲反対に関する請願、第一五六四号、農林水産業に対する失業保険適用に関する請願、第一五六五号、簡易水道事業に対する助成強化に関する請願、第一八七九号、第一八八〇号、第一九三五号、第一九三六号、第一九四七号、第一九六〇号、第一九六一号、第一九九一号、第二〇〇三号、第二〇四一号、第二〇九一号、第二〇九二号、第二二一五号、引揚医師免許及び試験の特例に関する請願、第一九四六号、第一九六四号、第一九六五号、第二〇二七号、第二〇二八号、第二〇二九号、第二一九二号、第二一九三号、少年非行対策に関する請願、第二一五六号、最低賃金法改正に関する請願、第二一八八号、日雇労働者健康保険改善及び老後保障に関する請願、第二三〇〇号、生活保護法実施要領に関する請願、第二三二七号、第二三二八号、第二三五八号、第二三五九号、第二三六〇号、第二四一〇号、第二四四七号、第二四九八号、第二四九九号、第二五〇〇号、第二五〇一号、第二五一八号、第二五五三号、第二五七二号、第二五七三号、第二五七四号、第二五七九号、第二六〇〇号、第二六〇五号、第二六〇八号、第二六〇九号、第二六一八号、第二六二五号、第二六三三号、第二六四五号、第二六五七号、第二六七四号、第二六七八号、第二六八六号、第二六九一号、第二六九五号、第二六九六号、第二七一一号、第三七二七号、第二七四九号、第二七五〇号、第二七五八号、第二七五九号、第二七六一号、第二七六二号、第二七六三号、第二八〇三号、第二八〇四号、第二八〇五号、第二八〇六号、第二八〇七号、第二八〇八号、第二八三三号、第二八四九号、第二八六八号、第二九一九号、第二九三七号、第二九五七号、第二九五八号、第二九七九号、第三〇三六号、第三〇三七号、第三〇四三号、第三一七七号、第三一七八号、環境衛生関係営業運営適正化に関する法律の一部改正に関する請願、第二三五七号、社会保険診療報酬支払期日法制化に関する請願、第二五七八号、人命尊重に関する請願、第二六五〇号、緊急失業対策法に基づく事業運営実態調査とその対策に関する請願、第二六五一号、第二六五二号、第二六五三号、第二六五四号、第三〇〇〇号、第三一六五号、下肢障害者福祉、更生に関する請願、第二八七四号、老人福祉施設設立認可に関する請願、第二九八九号、第三〇〇一号、第三〇〇二号、第三〇〇三号、第三〇〇四号、第三〇〇五号、第三〇〇六号、第三〇〇七号、第三〇三四号、第三〇四四号、第三〇四五号、第三〇四六号、第三一七一号、第三二〇三号、環境衛生金融公庫設置に関する請願、第三〇〇八号、長野県茅野市立病院がん研究に対する追試検討に関する請願、第三〇〇九号、第三〇一〇号、第三〇四七号、第三一六六号、第三一六七号、第三一六八号、第三一八九号、第三一七〇号、バーテンダーの国家試験実施に関する請願、第三〇七五号、医業健康保険組合医療費国庫補助に関する請願、第三六二号、日雇労働者健康保険法改悪反対に関する請願  以上四百八件の請願は、議院の会議に付することを要するものにして内閣に送付することを要するものとし、請願第一八号、健康保険共済改悪反対及び医療保障確立に関する請願外二百十八件の請願は保留することに意見の一致をみました。  つきましては、委員長及び理事打合会での、審査のとおり決定することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  168. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  169. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 継続審査要求についておはかりいたします。  診療エックス線技師法の一部を改正する法律案一酸化炭素中毒症に関する特別措置法案及び身体障害者福祉法等の一部を改正する法律案につきましては、閉会中もなお審査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本案の継続審査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  170. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  171. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  172. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 継続調査要求についておはかりいたします。  社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  173. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  175. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 委員派遣要求に関する件についておはかりいたします。  社会保障制度に関する調査及び労働問題に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認めます。  つきましては、派遣委員の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  177. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時十九分散会      —————・—————