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1966-06-23 第51回国会 参議院 社会労働委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二十三日(木曜日)    午前十一時四十七分開会     ―――――――――――――    委員異動  六月二十二日     辞任         補欠選任      山崎  昇君     阿部 竹松君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         千葉千代世君     理 事                 鹿島 俊雄君                 丸茂 重貞君                 佐野 芳雄君                 藤田藤太郎君     委 員                 川野 三暁君                 黒木 利克君                 紅露 みつ君                 佐藤 芳男君                 上屋 義彦君                 山本  杉君                 阿部 竹松君                 大橋 和孝君                 杉山善太郎君                 森  勝治君                 小平 芳平君    衆議院議員        修正案提出者   澁谷 直藏君    国務大臣        労 働 大 臣  小平 久雄君    政府委員        経済企画庁総合        計画局長     鹿野 美夫君        林野庁長官    田中 重五君        通商産業省企業        局長       熊谷 典文君        労働大臣官房長  辻  英雄君        労働省労働基準        局長       村上 茂利君        労働省婦人少年        局長       高橋 展子君        労働省職業安定        局長       有馬 元治君        労働省職業訓練        局長       和田 勝美君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        林野庁職員部長  森   博君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○雇用対策法案内閣提出衆議院送付) ○労働問題に関する調査  (労働行政に関する件)     ―――――――――――――
  2. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。  委員異動についてお知らせいたします。六月二十二日、山崎昇君が委員を辞任され、その補欠として阿部竹松君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 雇用対策法案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。小平労働大臣
  4. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ただいま議題となりました雇用対策法案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  近年わが国雇用失業情勢は、時には停滞の時期もありましたが、全体としては、雇用の大幅な増加、失業減少等、かなりの改善が見られたところであります。  今後の情勢を概観いたしますと、本春を頂点として、新規学校卒業者中心とする若年労働力の急激な減少及びその学歴構成変化平均寿命の伸長による人口構成高齢化の傾向に加え、技術革新進展生産工程変化等に伴って、技能労働者等生産部門に従事する労働者不足が一そう激化することとなる反面、中高年齢者等の再就職問題などが懸念されるところであります。したがいまして、このままでは、わが国経済の基調が人手不足へ移行する過程において、年齢職種産業等によって労働力需給の不均衡が顕著になり、その結果、労働者が安定した職場でその能力を有効に発揮できるようにし、これを通じてその経済的社会的地位向上をはかることに対して大きな障害となるものと考えられます。  このような事態に対処するため、今後の「産業及び労働面における構造的変化等に伴う雇用に関する政策について」、昭和三十九年二月、内閣総理大臣から雇用審議会に諮問したところ、同審議会におきまして二年近くにわたり慎重な審議が行なわれ、昨年末これに関しての答申をいただきました。労働省におきましても、かねてから今後の情勢に即応する雇用対策方向について検討を加えてきていたところでありますが、この答申趣旨を十分に体し、そこに述べられております「すべての労働者能力が十分に発揮されて、経済発展労働者福祉向上を実現していくために」、「職業能力職種中心とする近代的労働市場形成」、「労働力適応性流動性向上」、「技術者技能者養成職業指導充実」等、必要な施薬を総合的に展開することを内容とする「雇用対策大綱」を取りまとめたのであります。  この大綱は、何ぶんにも雇用対策に関する重要事項でありますので、重ねて雇用審議会にはかりその御意見を全面的に取り入れて成案を固め、ここに雇用対策法案として提案した次第であります。  次に、その内容の概略を御説明申し上げます。  第一に、この法律は、国が雇用に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働力需給質量両面にわたり均衡することを促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者職業の安定と経済的社会的地位向上をはかるとともに、国民経済均衡ある発展完全雇用達成とに資することを目的とするものであります。なお、当然のことではありますが、との法律の運用にあたっては、労働者職業選択の自由及び事業主雇用の管理についての自主性を尊重しなければならないこととしているのであります。また、国はこの目的達成するため、職業指導及び職業紹介事業技能に関する訓練及び検定事業労働者福祉増進に必要な施設労働者職業転換地域間の移動、職場への適応等援助するために必要な措置雇用形態改善等促進するために必要な施策、その他労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策充実すること及びこれらの施策を総合的に講じなければならないこととしております。  さらに、これらの施策及びその関連施策を講ずるに際しましては、国民経済の健全な発展、それに即応する企業経営基盤改善国土均衡ある開発等の諸施策と相まって、雇用機会の着実な増大及び地域間における就業機会の不均衡是正をはかるとともに、労働者がその能力を有効に発揮することの妨げとなっている雇用慣行是正を期するように配慮しなければならないことを明示しているのであります。  第二に、国は雇用対策基本計画策定しなければならないこととし、その中で、雇用動向を明らかにするとともに、さきに申し述べました労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策基本となるべき事項を定めることとしておりますが、この場合に、職種技能程度、その他労働力質的側面を十分考慮しなければならず、かつ、特定職種中小規模事業等に関して特別の配慮を加えることができることとしております。  また、その策定にあたっては、労働大臣が、広く関係行政機関の長と緊密な連係を保って案を作成し、雇用審議会意見を聞き、かつ、都道府県知事意見を求めた上、閣議で決定しなければならないこととし、さらに、計画策定または実施に関し、労働大臣関係行政機関の長に対して、所要要請をすることができることとして、必要な施策の総合的な実施及びその実効性確保することといたしております。  第三に、労働者がその能力に適合する職業につくことができるようにし、また、企業がその必要とする人材の確保ができるようにするため、雇用に関する諸情報の提供と、これに基づく指導援助充実することといたしております。このため、労働大臣は、労働力需給状況求人求職条件その他必要な雇用情報を迅速、かつ、的確に収集、整理するとともに、今後の技術革新進展産業構造変化等に即応して、職業の現況及び動向職業に関する適性適応性増大等職業に関する基礎的事項について調査研究をし、これらの雇用情報調査研究成果等職業指導職業紹介等を行なうに際して活用させるとともに、広く関係者が利用し得るよう配慮することといたしております。さらに、職業紹介機関は、これらの雇用情報調査研究成果等を提供して、求職者に対しては、その適性能力経験技能程度等にふさわしい職業を選択することができるよう、また、求人者に対しても、職務に適合する労働者を雇い入れることができるよう必要な指導援助をすることといたしております。  第四に、国は、若年層能力開発向上及び中高年層職業への適応性増進をはかるため、職業訓練施設整備職業訓練内容充実及び方法研究開発職業訓練指導員養成確保及び資質の向上等職業訓練充実するための施策を積極的に講ずるものとし、また、公共の職業訓練機関が行なう職業訓練産業界が行なう職業訓練とが相互に密接な関連のもとで行なわれ、有為な技能労働者養成確保がなされるようはかるべきことを明らかにいたしております。また、技能を軽視しがちな雇用慣行改善し、労働者技能向上技能労働者地位向上をはかり、能力中心とする労働市場形成促進するため、技術進歩等状況を考慮して技能評価のための適正な基準を設定し、これに準拠した技能検定制度を確立し、かつ、その拡充、普及をはかることといたしております。  第五に、産業構造変化等過程において生ずる職業転換を円滑にする等、労働者がその能力に適合する職業につくことを容易にし、及び、促進するため、職業転換給付金制度を創設し、関係給付充実をはかることといたしております。  これは、従来、特定失業者に対して支給してきた就職指導手当職業訓練手当職場適応訓練費及び就職のための移転費について必要な充実をはかるほか、その支給対象を拡大するとともに、特定職種訓練受講奨励金広域求職活動費訓練受講のための移転費帰省旅費を新たに加え、制度的に確立しようとするものであります。  第六に、中高年齢者または身体障害者雇用促進するため、国が、別に法律で定めるところにより、雇用率を定め、これが達成されるよう必要な施策を講ずるものとし、これと並んでこれらの者の適職を選定し、公表するとともに、その就職促進につとめ、また、事業主その他の関係者に対し、その雇い入れを容易にするための援助を行なうことといたしました。  雇用率に関しましては、現在、身体障害者については身体障害者雇用促進法に必要な規定を設け、その推進をはかってきているところでありますが、中高年齢者につきましても、事業主は、労働大臣適職に応じて定める雇用率達成するよう、その雇い入れにつとめなければならないこと、及び、労働大臣が常時百人以上の労働者を使用する事業所であって、中高年齢者雇用に著しい困難を伴わないものに対し、雇用率達成のために必要な要請ができることを職業安定法規定するよう措置しているところであります。  第七に、労働大臣は、身体障害のある者、新たに職業につこうとする者、中高年齢失業者その他職業につくことについて特別の配慮を必要とする者に対して行なわれる職業紹介及び職業指導実施に関し必要な基準を定めることができることとし、また、労働者募集に関し、過当な求人競争による弊害を除去するために労働大臣募集時期について規制することができるようにする等、職業安定法に若干の改正を加えているところであります。  第八に、建設業その他聖業の実施季節の制約を受ける業種の労働者が年間を通じて雇用されることを促進するため、事業主に対し、これに必要な設備の設置、または整備に要する資金の貸し付けを行なう業務雇用促進事業団業務に追加することといたしております。  以上のほか、この法律案において、大量の雇用量の変動についての事業主届け出義務等、必要な規定を設け、また、その附則において関係法律について所要整備をいたしております。  なお、この法律案の作成にあたって、雇用審議会のほか、中央職業安定審議会及び中央職業訓練審議会にはかり、その意見を十分尊重しているところでありますが、今後とも、この法律の施行上の重要事項につきましては、これらの関係審議会意見を求めるとともに、その施策実施にあたり、関係行政機関とも緊密な連係を保ちつつ、今後の情勢に即応して積極的な雇用対策を展開し、すべての労働者がその有する能力を有効に発揮することができるよう、万全を期する所存でおります。  以上、この法律案提案理由及びその概要につきまして御説明申し上げた次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 次に、本案に対する衆議院における修正点について、修正提案者衆議院議員渋谷直藏君より説明を聴取いたします。衆議院議員澁谷直藏君。
  6. 澁谷直藏

    衆議院議員澁谷直藏君) 雇用対策法案に対する衆議院修正部分について、その内容を御説明申し上げます。  その要旨は、第一に、労働省駐留軍関係離職者対策審議会を設置すること。  第二に、炭鉱離職者炭鉱就職し、再び離職した場合にも炭鉱離職者求職手帳を発給することができることとすること。  第三に、中央職業訓練所職業訓練大学校に改称することであります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  7. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 本案に対する審査は、一応この程度にとどめておきます。     ―――――――――――――
  8. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 労働問題に関する調査議題とし、労働行政に関する件について調査を行ないます。本件に関し御質疑のある方は、順次御発言を願います。
  9. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 林野庁長官がお見えになっていることと思いますが、六月の二日に、国有林労働者、または営林、それから林野事業の今後のあり方について御質問を申し上げした。その内容とするところは、六カ月から九カ月の間における季節労働者三万三千人、これは一般民間労働者における失業保険との関係にあって、そして六カ月から九カ月まで働いた人はそのまま失業保険をもらう。あとで農林省が補給するわけでありますけれども、そういう不完全な雇用状態が続いて、国の施策としても労働行政としても、また、そこで働いている労働者皆さんについても、こんな不安定な状態というものは、国家事業としては一日も早く解消しなければならぬ。ですから、そこで起きてくる問題は、日本のような気候風土、こういう条件のもとでは、一年間通じて増植植林の問題、伐採製品の問題、いろいろ総合的な施策が立てられるはずなんだ、また、これをしてもらわなければ困るんだ、これがいま国家事業として林野事業行政基本になるものだと私は考えて林野庁長官質問をし、御意見も承ったわけであります。そのときに林野庁長官は、いろいろの角度から、労働省の御意見や、他の労働行政に影響する問題や、その他をつけ加えて勘案をして、何とかそういう些末的な常用雇用化方向を立てなければならん、こういう御発言がありました。具体的な問題は十六日にここでお答えをしようという約束でございました。ところが、十六日の日はいろいろの都合でできませんでして、ちょうど一週間おくれてきょうになったわけでありますが、林野庁長官から、常用化不安定雇用を解消するという基本産業計画とあわせてお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。
  10. 田中重五

    政府委員田中重五君) いまの御質問に対する農林省としての考え方をまとめて申し上げたいと思います。  国有林労働者雇用の安定につきましては、林業基本法の第十九条、それから、政府といたしまして、三月の二十五日に参議院の農林水産委員会で表明いたしましたそういう趣旨に基づきまして従来の取り扱いを是正いたしまして、基幹要員臨時的雇用制度を抜本的に改めるという方向雇用の安定をはかってまいる所存でございます。  この基本的な姿勢に立ちまして、さしあたりの措置としては、生産事業通年化による通年雇用の実現なり、事業実施期間の拡大なり、あるいは各種事業の組み合わせによります雇用期間の延長などによりまして雇用の安定をはかってまいりたい、こう考えております。なお、これらの具体化にあたりましては、労働者意見を尊重するということは当然でございますので、関係労働組合と十分に協議話し合いをいたしまして、意思の疎通をはかりながら円滑に進めてまいりたい、こう考えている次第であります。そういう考え方に立ちまして、今後労働組合と十分に相互意見を出し合って積み上げてまいりたい、こう考えているわけであります。
  11. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いま仰せになりました、いまのような不安定雇用条件を抜本的に改正をすることが柱になっていると聞いたのでありますが、そうなりますと、私が先ほど申し上げました植林事業もあるでしょう、また、伐採製品事業もあるでしょう。万難を排して事業を継続して行なうということ、あわせて、継続して雇用安定雇用転換をするという、この基本というものを全面的に取り組んでいこうということに理解してよろしゅうございますか。
  12. 田中重五

    政府委員田中重五君) お説のとおりでございます。
  13. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういたしますと、私はここでもう一段中に入ってお尋ねをしておきたいのでありますけれども、その考え方転換をしていただいたことはまことにけっこうであります。ですが、三万三千も従業員が、季節労務者というかっこうの人がおいでになるわけですから、これはいまの話で進んでいくという方針はきまったけれども、少しでも進めているからこれでいいのだということになると困るわけであります。これはまた労働大臣の御意見もそうなると聞かなければならんことになってくるし、われわれ自身も、不安定雇用が続いているなんということは許されないことでありますから、おおむねどれくらいの計画常用化に進めていくかというようなところを、ひとつ長官構想を聞かしていただければと、こう思うわけであります。いずれ、今年度から努力されて、具体的には来年度の予算編成で進むことになるのでしょうけれども、おおむねどれくらいの計画でこれを進めていくのだということがいまいろいろの角度から検討されていると思いますから、この方針をお出しになる以上は検討しておられると思いますから、そういうこともお聞かせ願っておきたい、こう思います。
  14. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましては、いまも申し上げましたように、いろいろ林野庁なりの腹案はあるにいたしましても、いまも申し上げましたように、労働組合とよく話し合いをし、協議をいたしまして、そうして最も妥当な内容による妥当な計画というものを持ちたいと思っている次第でございます。
  15. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、具体的なことについては労働組合とよく御相談をしていただいて、労働組合としても、皆さん方計画事業としての林野庁に働いておる方々が柱ですから、だから、皆さん方と同じように、この事業の本質その他に精通をされておいで方々ですから、これはひとつここで十分に話し合って、この基本が生かされるように進めていただきたい。きょういまいろいろな構想があって言えないとおっしゃるなら、私はこれ以上追及いたしませんから、これはひとつこの基本に立ってやっていただけるという期待だけを私は持って、その項は了承いたします。  問題は、その裏を見ると、裏というか、うらはらの問題として、やっぱりこれを進めていくのも、また、こういう方向をされましたのは、いまのような不安定雇用という問題を国家的にどうするか、国家行政としてどうするかということが重要なウエートに私はなっていると、こう思うわけであります。ですから、たとえば六カ月から九カ月の方方を順次常用雇用安定雇用転換をしていくわけでありますから、そこで働いている方々の不安というものを除去するために、順次やはりこういう方法でこういうぐあいに転換をしていくのだということを、ぼくはやっぱりそのほうが重要なウエートとして労働組合協議されて取りきめをしていただきたい。いずれまた来年度の計画については私たちもお聞きをしながら、われわれでお手伝いできることならお手伝いもするでありましょうし、またまた私たちが素朴な感情で見ておりますと、林野庁というのは国有林伐採植林というのが中心事業でありますけれども、しかし、林野行政ということになりますと、国土の膨大な三千六百万町歩の中の三千万町歩近いのが山林なのだと私は理解をしているわけですが、そういう植林事業とか林野行政という国家的な重要な任務を林野庁はお持ちになっていると私は理解するわけでございます。ですから、今日のように、私は、やはり何にもかんにも国がやればいいのだと、国がですね、いうことには議論があるところだと思いますけれども、いずれも今度回りまして、あらゆるところに木のない山がだんだんふえてきている。国土の荒廃、水害ですね、治山治水水害、それからそういう災害が年次ふえてきているような状態でありますから、ここらの問題も、私は、林野庁が国の林野行政として手をつけていくという、最も経験のある技術のある林野庁労働者諸君皆さん方と一体となってそこに林野行政を進めていく。国土保全のために一歩を踏み出して、いままでの消極的じゃなしに、積極的に踏み出していくということになりますれば、私は、いまのようなこういう不安定雇用という状態なんかというのは即日に解消する問題で、むしろ人を求めて、今日の荒廃した林野林野行政で前向きに進めていくということになれば、またむしろ熟練工を養成していかなければならぬぐらいに、私はこれはしろうと考えでありますが、思うわけであります。ですから、そういうこともひとつ十分に勘案をしていただいて、深く入っていただきたい。まあ私は非常に簡単でありますけれども、この林野庁がここできちっと方向をきめ、農林省自身できめ、閣議でことしの秋から長期経済計画政府は立てられるというのでありますから、そこにも重要な政策の中に林野庁行政入れていただいて、そしてやっぱり林野庁正常化雇用問題をあわせて、製品生産の問題の条件基盤をつくると同時に、国全体の林野行政というものに積極的に踏み出してもらって、むしろ国土保全という面とうらはらに、住民の災害が起こらないような保全、防止というかっこうにもなり得るわけです。それがひいては国民が豊かになっていくという国の全体の富であるし、国民全体の生活向上というものにつながっていくというように、私は、まあ専門的な立場から言うといろいろ意見があると思いますけれども、そういうものを積極的に出さないと、何かいろいろ民間がどうだとかこうだとかいうようなところに遠慮をされて、どうも消極的になっていくというようなかっこうではどうも私は納得ができない。そういう点もひとつ労働組合とよく話をしていただいて、前向きの姿勢でひとつ前進をしていただきますように、来年の通常国会、ここで議論するときには、やっぱり方向がきまって、そして働いている労働者が喜んで、われわれも、国土保全立場から、また、正常な雇用関係立場から、他の国家的な社会保障的な事業立場からも、ここで喜び合えるようにぜひひとつしていただきたい。これはあわせて林野庁の全職員が、労働組合皆さん方とがよく協議されて、そしてそういう成果をあげられるようにぜひお願いをしておきたい。  私は、きょうのところは、林野庁がひとつやろうというかまえにおなりになったのですから、これ以上は申し上げません。ただ、皆さん方のきょう委員会でお約束をしていただいたことが大きなる成果があがりますように期待をし、むしろお願いをして、私の質問を終わります。
  16. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ただいま藤田委員のほうから非常に商い角度からいろいろお話がありましたが、私はこれに関連しまして、ごくささいな問題ではありましょうけれども、二点ほどお尋ねしておきたいと思うのです。  いま、お話があって、この季節労働者の不安定なものをだんだんと改正されるというわけでありますが、いま現在のところで、そういうふうになるまでの間におきまして、私は、やっぱりその常用作業に属している人たちは、その間じゅうは、やはり政府の管掌の健康保険、あるいは、また、厚生年金に入っているわけでありますが、それが解雇されますとそれが国民健康保険になるというふうなことでありますので、こういう点には非常にいま現在が困っておられると思うわけでありますが、こういう観点で、これを何とか改善する、いま当初改善する方法はお考えになっていないのか、そして、また、お考え願えるのか、ひとつお聞かせいただきたい。
  17. 森博

    説明員(森博君) この点につきましては、かねがね国会におきましてもいろいろお話があった経過があるわけでございます。いま常用作業員は、これは共済組合関係に入っているわけであります。それから、定期作業員は、これは任意包括の政府管掌の組合に入っているという関係になります。任意包括でございますから、各まあ二分の一以上の同意を得た事業所において入るということになるわけであります。それで、これはちょっと共済組合関係に入るというわけには、まあ法律上も不可能なわけであります。それで、これに入らなければ、国民健康保険かどちらかということになるわけであります。いろいろ国会でも御議論がございまして、われわれといたしましては、作業員の福祉関係上、健康保険に入れるべきである、厚生年金に入れるべきであるということで、しかし、任意包括加入の法律規定でございますので、できるだけ皆さんの同意を得まして、この加入率を高めるという方向で努力をいたしておるわけでございますけれども、これを共済組合、その他制度上どういうふうにするかということになりますと、われわれ一つの企業としてはどうにもいたしかねる問題でございますので、そういう運用の面で健康保険なり厚生年金にできるだけ早くたくさん加入していただくように努力はいたしておるわけであります。
  18. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 その程度の答弁は衆議院でもされたことは私承知しているのでありますが、もっとそんなふうにして、ことに私は、健康保険というものは任意加入ということにしないで、もっと積極的な方法をとらなければいかぬのじゃなかろうか。ことに、これを見てみますと、毎年ある期間を置いては再度採用をされるわけでありますが、そういうことを繰り返されておって、一方ではまた健康保険に入り、またそれをやめて国民健康保険に入る、そういう繁雑さでは、やはり対象になっておる人が困るわけであります。だから、そういうふうな不便さを与えておるところに私は間違いがあるのではなかろうかと思うのでありまして、そういう点も議論されておるのでありましょうが、もっとそれ以外に前向きな方法というものを考えておられるかどうか、それをもっと突き詰めてお尋ねをしているわけであります。
  19. 森博

    説明員(森博君) いまの法律改正自体では、なかなかわれわれとしてはそれ以上のことを検討しろとおっしゃいましても、現在の方向で努力するよりいたし方がないと、こう思っているわけであります。
  20. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それは通年されまして、先ほどの林野庁長官の答弁にもありましたようなことになれば、それは法改正されていいと思うわけでありますが、それまでの期間を私はもう少し積極的に考えてもらえないものか。私はいま一つの便法として考えてもらえないかと思う点があるわけでありますが、たとえばずっと通年されるのが一番望ましいですけれども、いまでは毎年毎年ほとんど繰り返して職についているわけでありますから、私は、休職というような取り扱いにして、結局健康保険の掛け金をそのまま林野庁のほうで持って、そして保険はそのまま継続していく、すぐ翌年には採用されるのでありますから、そういうふうなところで何かいい便法は考えられないものか、それは考え方によってできないことじゃないと思うわけでありますが、その点はどうでしょうか。
  21. 森博

    説明員(森博君) 厚生関係の事柄、さらに休職という関係になりますと、これは事実通年雇用ということになるわけでございまして、そういう通年雇用に努力するということは先ほど長官がおっしゃいました。われわれとしてはそれをしてまいりたいということでございますが、これは休職という形になりますと、いまの国家公務員制度についても問題があるわけでありますが、その辺の検討は私どもなかなかむずかしい問題ではなかろうかと思っております。
  22. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 こういうふうな人たちの非常に社会保障的なことが考えられてない、これは非常に大きな差だと思うわけです。これをまた特に国家でやっているわけでありますから、だから、そういう点ではもう少し煮詰めて考えていただいて、何とかそういう方法が現在でも早く行なえるような、私それはできるかできないか、ほんとうのしろうと的な考えで申し上げたのでありますけれども、これをもっと何とかの方法で考えていただいて、こういう社会保障的なもの、厚生年金だとか健康保険だとかいうものはたちまちいま困るわけですから、こういうものについては、ひとつ前向きの姿勢で考えていただきたいと思います。  続いて、私は白ろう病について、もう少しちょっと考えていただきたい。この間の質疑の中では、白ろう病は振動を何とかするような機械を使うようになったので非常に少なくなった。もう一点は、就労時間が短くなったために非常に効果があった、こういうようなことを聞いたように思うわけでありますが、もし機械を使うことによって効果が著明にあらわれたとすれば、私はその機械を使わなかったらほかのことはせないという、必ずその機械を使わせるという何か方式を、たとえばこのような病気をほんとうに防いでしまうほうに何か処置をしてもらったらどうかと思うのですが、この点についてはいかがなものでありましょうか。
  23. 森博

    説明員(森博君) 前回いろいろ御質問がございましたとき申し上げましたのは、チェーンソーに改良ハンドルというのをつけまして、緩衝装置をつけたわけでありますが、これによりまして物理的な計算をいたしますれば、三分の一程度ほ振動を減らすことができる。したがいまして、これが相当の効果を期待できる、お医者さんの先生方もそうおっしゃっていただいているわけであります。それで、うちのチェーンソーは全部四十年度中に変えたわけでございますので、うちでチェーンソーを使う場合にはすべて緩衝ハンドルがついておる、こういうふうなことになっておるわけであります。うちのほうは個人的に持つというようなことはいたしておりませんで、皆さん緩衝ハンドルのついたものをお使いになっておる、こういうふうになるわけであります。
  24. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 それでは、緩衝装置のついてないのは使わないといういま指令は出ておるのでありますか。その点をもっと明確にしていただかないと、やはりそういうものを使うことになるとそういう病気は避けられないと思う。  それから、もう一つは、時間を短縮したから非常に効果があったという話を聞いたわけでありますが、 いまの賃金体制では時間短縮ということはあまり効果がないのじゃないか。特に請負制度によってやられているようでありますから、なかなか時間短縮でということも表面的な理由であって、実際には、その効果の明確にあらわれないような実際の賃金、あるいは、また、働くような条件になっているんじゃなかろうかと思うのでありますが、そういう点につきましてもちょっとお知らせ願いたい。
  25. 森博

    説明員(森博君) 時間短縮の問題につきましては、現在の労働組合と話し合っている段階でございまして、まだ私こういう国会の席上で時間を短縮したという話はいたしたことがないと思っておりますけれども、時間短縮の問題は、まあ先生方の御議論によりましても、時間短縮してどの程度効果があるのだということがはっきりしない。こういうことは今後医学的な検討を待つべきであるというような御主張のわけでございます。それで、いろいろ組合とも現在まだ話し合い中のことでございます。
  26. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 特にそういうことは気をつけていただいて、この予防のためには万全を期していただきたいと思うわけであります。  それから、もう一点、この病気そのものに対しましては、やはりいろいろ学会でも問題になっておりましたし、また、東京の医科歯科大学の厚美先生なんかもいろいろ研究されておって、あるいは、また、いい薬も出てきたという報告もあるわけでありますが、私は、こういうものの根本的な研究として、やはり林野庁としてこの研究のために何かそういう学者を動員して研究するとか、あるいは、また、その治療、あるいは予防についての万全策のために施策を講ずるということにもっと真剣に取り組まれるべきだと思うのでありますが、ただ緩衝装置をつけたから減ったからいいというものではない。特に鉱山なんかでも、やはりけい肺の予防のためには湿性な開さく装置も完全にやったというほかに例もあるわけでありますから、そういうふうな研究の面におきましても、あるいは、また、これを予防するための対策につきましても、もっと徹底した処置をとってもらいたいと思うわけであります。最後にそれにつきましてのお考えを聞いて、私の質問を終わります。
  27. 森博

    説明員(森博君) もちろんこのレイノー氏現象は医学的にも非常にむずかしい問題でございまして、われわれしろうとにはなかなか解明できないことでございますので、去年いろいろわれわれのほうで対策を立てますにつきましては、特にこの問題について権威を持っていらっしゃる労働科学研究所、東大、国鉄の研究所の先生方、それから、うちの管理で、中央で特に中心的な管理をやっていただいております慶応病院の先生方、こういう先生方にいつも委員会みたいな形でもって御相談をしながらその対策を樹立してまいったわけであります。それから、この研究につきまして、この問題についてのさらに深い解明につきましても、いろいろ林業試験場はもちろんでございます。これは機械関係中心にしての研究所、それから労働科学研究所、東大、札幌医大、熊大というようなところの専門的な先生方にも委託して、林業機械と疾病の諸関係というものを根本的に解明していただきますようにお願いをいたして、目下続いているわけでございまして、一そうの努力と研究を進めてまいりたい、こう思っております。
  28. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  29. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を始めて。
  30. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 労働省は、御承知のように、七月一日から、昨年の六月の時点で成立をいたしました港湾労働法の施行を控えて、目下その施行の対象となる六大港湾で、それぞれ登録の促進の問題に関連をして、関連の運輸省であるとか、あるいはこれはこの法案の成立の過程で、たとえば労働委員会であるとか、あるいは運輸委員会と連合審査会などを開きまして、この法案が一人歩きをする時点においていろいろと障害になってくるところは、港に組織暴力が相当はびこっておるのだ。これは組織暴力が陰に陽にからんでくる、こういうような論議が繰り返されておるわけでありますが、それは過去の問題といたしましても、七月一日から港湾労働法の全面施行を控えて、日雇い労働者の登録の促進の問題ということもさることながら、これに関連して運輸省や警察庁と申しますか、協力を得て、港に巣食うところの手配師などをやはり締め出すといったような問題から、やはり当然てこ入れをしていかれるというふうに判断しておるわけでありますし、その辺の状況について一応運輸大臣から――これは労働大臣になりますが、石田労働大臣時代に、いつも連合審査会では労働大臣あるいは運輸大臣も連合審査会に来ていただいて真剣に討議をいたしたわけでありますので、この法律がいよいよ歩き出してきたわけでありますので、その辺の点につきまして、一応ひとつこの問題がうまく円滑にいくかどうかといったような見通しも含めて、現状の姿をお話いただきたい、こう思うわけであります。
  31. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) この七月一日の全面施行を控えまして、現在労働者の登録指導を最終段階として強力に行なっております。調整計画によりますと、日雇い労働君の登録予定数が約三万、それから常用労働者の予定数が約五万でありますが、常用のほうは大体四万ちょっとということで目的達成しつつございますけれども、日雇いのほうが一万ちょっとという状態で、目下この追い込みのほうに努力をいたしておるのでございます。御指摘のように、これらの日雇い労働者がなぜ登録へのってこないかという点をいろいろ分析いたしてみますと、港湾に従来から存在しておりまするボス勢力に左右されておる面が相当ございますので、この点は運輸省、あるいは警察当局とも連絡をとりながら、手配師その他のボス勢力を排除しつつ、港湾労働法が目的としておりまする港湾労働の近代化の目的達成するために、日雇い港湾労働者の登録を強力に推し進めておる。その間に、ボス勢力の排除については慎重に各方面と相談をしながら対処しておる、こういう状態でございます。七月一日を目前に控えておりまして、登録数が確保できるかどうかということは非常に心配をいたしておりまするけれども、かたがた、そういった難問題の解決をはからなければこの問題は解決いたしませんので、両方を同時に解決すべく、第一線を目下督励しておる段階でございます。
  32. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 昨年から段階的にもろもろの準備を進められておることは、一応私どももそれなりに側面から了承しておるわけでありますが、いま職安局長のお話によるというと、大体その登録のワクは、正確にいうとどの程度でありますか。それから、現在まで一応登録に関する作業を開始されましてからどの程度登録されておるか、その辺のところは数字が出ておると思いますが、その辺のところと、それから今後の見通しですね、まあこの法律ができれば当然一人歩きをすると、そういう時点でなかなか計画はそれなりにいろいろな審議会答申だとか、いろいろな御努力によってできるけれども、それを満月の姿で達成するということについては、いろいろな事情が陰に陽にからまってきて、そのネックは広域な組織暴力や手配師というものがいろいろとじゃまをして、なかなかそう簡単にうまくいかぬぞといったようなことを、今日あることを予側して――しかし、すでに一人歩きをしておるわけでありますから、四月の一日以降、昨年から準備段階の過程を経ながら、そうしてやはり登録の作業が始まっているのですが、いま正確にはどの程度、六大港でワクが三万――正確にはどれだけだ、今日まではどれくらい登録が済んでおるか、今後の見通し、そういったような点についても、ひとつ率直にありのままを聞かしていただきたい、こう思うわけであります。
  33. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 登録の計画数は、常用労働者につきましては五万四百七十名であります。これに対しまして十八日現在で四万一千百七十三名、それから日雇いのほうは三万七百十名でございますが、これも同じく十八日現在で一万五百八十八名、以上でございますが、先ほど申しましたように、常用のほうは大体まあ七月一日を迎えて必要労働者数は確保できると思いますが、日雇いのほうが非常に登録がおくれておる。その原因は、先ほど申しましたように、ボス勢力を排除しなければ港湾労働法が予定しておる登録制度にのってこないという面が相当ございますので、この点の指導を現在加えながら登録数の確保に向かって努力をしておる段階でございます。で、もともとこの労働法が規定しておりまする雇用調整計画に基づいていまの定数をきめたわけでございますが、港湾の実情が、必ずしも港運統計その他に載っておる数字と実態が一致してないというふうな面もございまして、先ほど申しました定数は、やや数字としては大き過ぎたのではないか、こういうふうな面もございますので、多少定数を下回ったところで七月一日を迎えましても、港湾の荷役作業に支障がくるというようなことはないというふうに考えておりますが、問題は、日雇いの登録について二万四、五千名は確保しなければ港湾の機能に支障がくる、こういうふうな判断のもとに最後の追い込みをやっておる段階でございます。
  34. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 最近、この問題に関連して、いろいろな新聞が陰に陽に報道しているわけでありますが、やはりネックは、いま局長のお話によるというと、予定のワクはこれこれであっても、やはりリミットで最低二方四、五千人はどうしてもということでありまして、現存ではまだ一万ちょっとこえておる、こういう状態でありまして、そこで港の組織暴力につながる手配師の巻き返しも相当あるというふうに聞いております。私は全国の港湾労働の組織にいろいろとつながりを持っておりますが、したがって、事業主との間に恐喝であるとか、あるいは暴力事件が相当に起こって、なかなか混乱もしておるといったようなことも聞いておるわけですが、その辺は労働省はどのように掌握をしておられるか。そんな心配はないんだということになっておるのか。それとも、運輸省や警察庁とも相当緊密な連絡で、そういうことはあったけれども、相当にその危惧は解消されておるんだということになるのか。その辺のところをひとつ歯にきぬを着せず、所管局長もさることでありますけれども、大体この法案を成立せしめる方途の中でもって、諸外国ではもうこの港湾労働法は十数年前のもので、非常に立ちおくれておりますので、そういうような観点では、その当時は運輸省や、それから何か非常に非協力的な面もありましたのですが、せっかく日の目を見て一人歩きをしているわけでありますから、やはり計画は最低限達成されるべく配慮してもらわなければ困る面もあるので、その辺の点についてどういうふうになっておりますか。
  35. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御承知のように、警察は港湾に巣くっておる組織暴力を徹底的に追及をするという基本的な態度で臨んでおりますし、運輸省のほうとしましては、この国会で成立いたしました港湾運送事業法の改正によりまして、運送事業の近代化が一段と進められる、こういうふうな法的な根拠もできてまいりました。私どもとしましては、警察並びに運輸省の御協力を得て、港湾労働法の円滑な実施ができるようにということで緊密な連絡をとっております。御指摘のような暴力事案については、今日までのところはまだ具体的な事例にぶつかっておりませんが、今後そういった危険が全然ないかというふうなことになりますと、全然ないというふうにも判断しかねますので、警察当局とは絶えず緊密な連絡をとってこの施行の万全を期していく、こういう態度で臨んでおります。
  36. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いま職安局長もいみじくも言いましたけれども、あの前時代的な港湾運送事業法も、ついこの間国会でやや前進した形で一部手直しをされておる。そういう関連の中で、やはり言うならばこの港湾運送事業法の前時代的なものが近代化されるという方向づけと、そうしていま七月一日に施行実施されるところの港湾労働法は、やはり言うならば港湾の近代化という、そういう方向においては、言うならば車の両輪のようなものだと思います。したがいまして、法案はそれぞれの条文なり規定をきめておるわけでありますけれども、これの施行にあたってやはり一つの成果をあげるには、どうしても労働大臣と運輸大臣が、仏つくって魂を入れずということでなしに、十分かみ合わせてやっていただかないとなかなかうまくいかぬのじゃないか、こういう面もありますし、同時に、やはりたとえば雇用調整手当と申しますか、ないしは登録日雇い労働者の退職金共済制度の問題なども、実際は手配師などに幻惑されて港湾労働法というものができて、そうして登録すれば、今日皆さんの努力によって港湾の労働者も自分の生活というものに利益があるということを、それなりにそういうものができておるということは知っておるわけであります。ただし、これは実際に登録をしてうまみがあるかどうかということも若干てんびんにかけておるので、手配師が妨害するとか、また、全体の徹底、浸透がないということだけではなくて、いわゆる港湾であぶれたものがこういう一つの調整手当もあるのだ、あるいはしんぼうしておると、常用ではないけれども、登録労働者になればやはり退職手当的なものが出るのだ、だけれども、中身についてはこれこれこういうもので、今後やはり審議会答申などを得て漸次前進的に改良されていくと思うのでありますけれども、そういうような点についても、たとえば法案が昨年成立をして、そうして七月一日から実施されて、即、何もかもいいというわけにはまいらないと思いますけれども、この雇用調整手当の問題や、それから中小企業労働者の退職手当引き当てに相当するところのこのうまみのような点についてもひとつ関連をしてーーでありますから三つになります。全体の運輸省、労働省の間で、大臣相互間においても、十分意識してうまく立法の精神というものを生かしながら現実にかみ合わしていただくという問題と、それから組織暴力というもの、手配師というものも、これは漸次後退せしめるような方向に努力をしてもらうということも必要であります。それから、実際に登録した労働者が魅力を感じて、これはどうもいいものだということで、未登録で迷っておる連中を、皆さんが職安の窓口であの手この手で側面から促進させるのじゃなくて、登録した労働者が仲間を仲間意識で誘導するということが出てこないというとなかなかその点がうまくいかぬのじゃないかというふうに感じておるわけでありますので、その辺のところをひとつお答えをいただきたい、こう思うわけであります。
  37. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生から港湾労働法の施行に関連していろいろ御注意をいただきまして、感謝にたえません。先生のお話は私どもも全く同感でございまして、せっかくできた港湾労働法でありますから、これが円満に施行されて、いわゆる港湾労働の近代化ということの目的が達せられることはもちろんでありますが、同時に、それがやはり私はそこで働かれる労働者諸君雇用の安定なり、あるいは生活の改善なり、そういう点に積極的にやはり資していく、こういう成果をぜひあげたいと考えておるわけでございます。そのためには、先生の御指摘のとおり、一方においては関連のあります運輸省なり、あるいは警察当局なりとも十分連携をとりながら進めなければなりませんし、また、一方におきましては役所間の連絡にもまして重要なことは、私は、やはりこの法によって労働者に対して与えられます処遇の内容も、ぜひこれは改善を逐次していかなければなりません。また、そのよさというものを労働者に実際によく理解してもらう、この努力がやはり一そう必要であろう、かように考えるわけであります。したがいまして、先生の御指摘の方向に従いまして最善の努力を今後とも続けてまいりたい、かように考えるわけであります。
  38. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 もう一点で、まあこれは往復三十分ぐらいということで、往復三十分ぐらいで唯々諾々ではありませんけれども、まあ昼めしの時間も経過しておりますので、もう一点で終わりますが、具体的な問題であります。  港湾労働法が発足をして、それに関連をしての成果だと思いますが、中央職業安定審議会というものができておりまして、具体的には四十一年の六月十一日付で労働大臣に、あなたに答申が出ておりまして、これに対して、実はこの雇用調整手当の問題で、日額の設定基準の問題でありますが、私のうかがい知る範囲では、これは文章を持っておりますから間違いがありませんが、その中に、前文は省略いたしますが、「なお、そのうち雇用調整手当の日額の基準については、一部の委員に反対意見があることに留意し、当審議会における港湾労働部会の報告及び審議内容を尊重のうえ、来年度において善処されたい。」と、こういうふうに言っておるわけでありまして、その四十一年度は泣いても笑ってももう予算がきまっておりますので、「来年度」と申せば四十二年度の予算ということになると思いますが、問題の焦点は、この委員のうちには、直接港湾の労働者の利害を代表するところの港湾労働組合委員が、やはりここには「一部の委員に反対意見があることに留意し、」と、反対意見ということは反対のためではなくて、実態はこうだから、もう少し雇用調整手当の日額の基準をよくしてくれということで、論議の過程には明白になっておりますが、来年度からは、十分ひとつこの答申にも出ておるわけでありますから、「来年度において善処されたい。」ということになっておりますので、来年のことを言うと鬼が笑うということでありますけれども、その問題は非常に必要な問題でありますから、これは大臣からぜひひとつ、その七月の人事大改造なんということは考えに入れず、あなたの責任で、やはり大臣であるという責任において、そういう形で、ひとつそういう意味で簡明直截にお答えをいただきたい、こう思うわけであります。
  39. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の御指摘の点につきましては、審議会からせっかくいまお示しのとおりの答申をいただいておるわけでありまして、特に「来年度において善処されたい。」と、こうまで申されておるのですから、私の責任におきましてできる限りの努力をいたすつもりでございます。
  40. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 終わります。
  41. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  42. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  午後二時まで休憩いたします。    午後零時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後二時二十二分開会
  43. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を再開いたします。  午前中に議題といたしました雇用対策法案に対し、これより質疑に入ります。御質疑のある方は、順次御発言を願います。なお、政府側からは、労働省関係者のほか、経済企画庁鹿野総合計画局長、越智総合開発局参事官、通産省熊谷企業局長が出席しております。
  44. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は雇用対策法について質問をいたしますが、この法律の骨になっているものが何かといえば、私はこの目的に明らかにすべき問題だと思うわけでございます。雇用対策というのは、最終の目的雇用対策を立てて完全雇用へ貫いていくということが法の目的であってしかるべきだと私は思うわけでございます。この対策法を見ますと、たとえば具体的な問題に入ってまいりますと、「国民経済均衡ある発展完全雇用達成」という字句を使ったり、「国土均衡ある開発等の諸施策と相まって、雇用機会の着実な増大」云々というような字句になっておるわけでございます。このようなことばは容易に使えることでありまして、昭和三十五年にできた所得倍増計画、あとでできた中期経済計画にも同じような文言がいつも入っているわけでございます。雇用を具体的に進めていき、完全雇用にしていこうというこの単独立法をつくって、雇用対策基本計画というものをつくろうというのには、もっと具体的ないろいろな問題がこの法律の中に盛り込まれてこなければならぬ、私はそう思うのであります。この国の施策を見てみましても、職業訓練とか、具体的なその現在労働につかれた方、そうして離職された方、それから新しい機械化生産に移りつつある対策、こういう問題が主としてこの国の施策として盛られているのであって、六百万からの潜在失業をどうしていき、雇用者、雇用関係の近代化をどうするかというような、その就労の場をどうつくっていくか、労働力均衡なり配置をどうしていくかという問題について、どうも舌足らずと私は思います。だから、これを進めていくと、雇用対策基本計画というものを何を骨にして立てるかということになると、どうも職安行政の域を出ない状態基本計画というものが立っていくような気が私はするわけでございます。ですから、そこらの基本計画について、また、基本的な考え方について労働大臣の御意見をまずお聞きしたいと思う。具体的にどういうぐあいに正常な雇用関係に基づいて雇用が拡大し、完全雇用の道が開けていくのかということをひとつお聞かせいただきたい。
  45. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生から御指摘をいただきましたように、法案を見まするときに、どうも具体的な施策というものがはっきりしないんじゃないかといったような印象をお持ちになられますことも、あるいは私はやむを得ぬことかとも思います。それらの具体的な施策につきましては、この法案で策定することになっております。雇用対策基本計画におきまして逐次展開をいたしてまいる、こういうたてまえに相成っておるわけでございまして、そのまた根幹をなしますものは、申し上げるまでもなく、本法の目的といたしておるところを目ざして、申しました基本計画においてその時点においての具体的な施策というものを策定していく。ですから、目的において、一つの目標と申しますか、ねらいというものをうたっておるわけでございますから、それに向かって、その基本計画を通じて、逐次国のあらゆる施薬を通じてこれが実現をはかってまいる、かような組み立てになっておるわけでございます。  なお、詳しくは局長から御答弁申し上げます。
  46. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 大臣から御答弁ございましたとおりでございますが、多少補足いたしますると、先生御指摘のように、この第一条の完全雇用達成を目ざすための施策の範囲でございますが、これは第三条にそれぞれ号を立てて明記してありますが、これも必要に応じては相当広範囲に広げてまいることができる。ただ単に職安と訓練関係の仕事だけでなくて、たとえば第正号にまいりますと、「不安定な雇用状態の是術を図るため、雇用形態改善等促進するために必要な施策充実すること。」、この「等」の中には、やはり賃金その他の労働条件関連する問題もございましょう。また、第六号にまいりますると、「その他の労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにするために必要な施策充実すること。」ができる、こういうふうに規定してありますので、ここで相当広範囲にわたって、必要に応じて雇用対策基本計画施策内容を広げていくことができる、こういう仕組みに相なっておりますので、この点は、今後施策の具体的な内容については、必要に応じて逐次範囲を広げてまいるという仕組みを御了解いただきたいと思います。
  47. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、完全雇用達成するのには幾つかの要件があるのです。要件がやはり雇用対策基本計画の中に入っていくようなことがこの法律には明記されなければならぬのじゃないか、そういう考えを持つものであります。二、三点申し上げてみますと、労働者労働力が遊休せずに労働を通じて生産に携わり、社会に貢献するというのが、経済の面からも、生活の面からも、これが前提になるのじゃないか。私は、たとえば生産増強の機械化促進、科学の発展は人間能力の振興の成果でありますから、社会全体で受けとめて、労働力の適正配置をしていくという条件も一つの条件になるでありましょう。それから、経済、社会の基礎をなす生産手段、生産力の上昇と、国民所得、購買力の上昇とのバランスが、いつも大前提でなければならぬということも、私は、完全雇用への主権在民国家における施策の前提になっていかなければならぬのじゃないか。だからILOは雇用対策の百二十二号条約を六四年、一昨年つくりました。この第一に書いているのは、仕事につくことができる、かつ、仕事を求めているすべての者に仕事を与えることというのがこの条約の柱になっている。どういうぐあいにしてそれでは仕事を与えていくかというのが私は雇用基本計画だと思うのです。近代社会――日本も同じ住民主権の国家でありますから、だから経済政策にも大きな関係を持ってくる。また、関係をもつというよりか、経済計画完全雇用国民生活を引き上げていくという前提のもとに経済計画がつくられなければなりませんし、経済というものは、工場ができ、機械ができ、そして生産ができれば国民生活が自然に潤いが下に回っていくのだというようなものの考え方経済計画をつくっている国はいま世界じゅうにないと思う。そこで、通産省と企画庁に、きょうは来ていただいたのでございます。  完全雇用の方策について、私は幾つかの条件をここであげてみたいと思う。まず、労働力の配置計画をどうつくるか。この労働力の配置計画に就労機会を、EECがやりましたように、地域住民の経済文化生活が潤いを受けるとか、地域開発というものが前提になって、いまのように、農家がせっかく住んでいる住宅を放棄して、離村をして太平洋ベルト地帯に人が集まってきているというような状態でいいのかどうかというようなことも、私は重要な要件ではないだろうか。今日の国勢調査を見てみても、大都会周辺に、ベルト地帯にものすごい勢いで、過密化が行なわれている。こういうことを見のがしておいていいのだろうかという問題も要件の一つに出てくるでしょう。それから、太平洋ベルト地帯を離れた地域の殺到率を見てみますと、これは各地区によって多少違いますけれども、たとえば特徴的な北九州福岡が殺到率が六。二、石炭産業の斜陽化その他の関係があるでしょう。殺到率がいままで一番いいときでも、東海、京阪神、それから京浜をはずしたところは、日本海側とか北海道、東北、四国、九州というのは殺到率が二と三とか五ということだ。これは労働省からもらいました去年の十月現在の資料を見ても、やはりその格差というのは非常に違うわけです。そういうことの要件というもの、この雇用対策基本計画に盛る要件というものは何か。むろん職業訓練であるとか、広域行政、職安行政であるとか、これはもう必要でございます。いま大臣も職安局長も仰せになりました。これは必要なことでございます。しかし、もっともっと大事なことが忘れられていはせぬかということを、私は皆さんにきょうは御意見を聞きたいわけであります。住宅が不足だといって大都市中心に住宅を建てる。これは建てなければ生活ができないわけでありますから当然であります。しかし、地域の殺到率の高いところにいままで政府がやってきた新産都市というようなもののいまの姿はどうなのか。水島と大分ぐらいだと私は見ておりますが、どうにもならぬ。コンビナート式の新産都市なんていうようなものでなしに、何といっても労働力のたくさんあるところに工場を分散配置がえをするという、このことが国家の総合的な繁栄のためには絶対条件ではないかと、私はそう思う。昭和三十九年の六月に労働省が、工場の分散をして、殺到率の高い地域に就労の場をつくる、そうして労働力の配置をやろうという計画が出ました。そうして賃金や労働条件のこと、労働時間とかそういうことが入っていないから、これは舌足らずであるという意見を出しました。そうしてまたこういう計画をお出しになるとするならば、いまのような採算のとれるところだけ、自由主義、自由経済のもとで採算のとれるところだけに国家の長期の、将来の計画からいって、いいところだけとっていって、便利のいいところだけ工場さえつくればいいということだけで工場を地方分散せよといっても、なかなかできないという結果がそこに出てまいりました。私は予算委員会で、企画庁長官や通産大臣や大蔵大臣にも、その予算化をする、まず工場を分散するために補助をする、受け入れ態勢の地方自治体にも援助をする、こういう前提なしには、この完全雇用の方策としての地域開発を含めて、日本経済発展完全雇用の道というものはできないのじゃないか。それは予算をつけますということであった。ところが、私の伺っているところでは、そういうことを含めて労働省雇用対策法というものをお出したなったと私は伺っておる。ところが、肝心のこの法律ができるようになってきたら、特に経済庁である企画庁とか通産省が、そんな産業経済のことまでくちばしを入れ雇用計画をつくるのはけしからぬといって、それが全部骨抜きになって名前だけが残ったというぐあいに私はこの法律の出てきたその経過を聞いているわけです。そうすると、雇用対策基本計画というのは何を基礎にして立てるのか、私は立ちようがないと思う。だから、そこらの経過についてひとつ労働大臣から承り、企画庁または通産省から、この雇用対策法ができてきた経過、いまのようなことがどうなってきたのか、御説明を願いたい。
  48. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 雇用対策法ができるまでの経過でございますが、先ほど先生が御指摘ございました、三十六年六月につくりました地域産業雇用計画試案というのは、御指摘のように、今後の雇用動向を推定をいたしまして、できるだけ産業をまあ地方へ分散していくというふうな考え方も織り込んでこの試案をつくったのでございますが、まあその後の産業経済動向等を勘案いたしますと、この計画試案そのものも再検討を要する問題が多々ございます。そこで、私どもとしましては、この試案を打ち上げまして、各方面からいろいろな積極的な御意見もいただきました。今日まで、この雇用対策法を策定するについては、この試案に刺激されて各方面から出された意見が有意義に役立っておるということはいなめない事実でございますが、一方、この試案の考え方だけではやはり雇用対策を積極化するためには不十分であるという見地に立って今回の雇用対策法を制定いたしたのでございます。しかし、御指摘のように、通産省、あるいは経済企画庁等が、まあ私どもの雇用対策を立案する過程において、産業政策、あるいは財政金融政策の面について、私どもの当初原案に、そういった面についてはさほど積極的に原案自体に触れてなかったのでございますから、これらの点について両省がわれわれの原案を骨抜きにしたというふうな経緯は実はないのでございます。もともと先生御指摘のように、雇用対策を考える場合には、財政金融から始まって、産業経済政策全般について考えなければ意味がないじゃないかというふうな御意見は重々承知しておりますけれども、私どもとしましては、そういった面はそれぞれ財政金融政策、あるいは産業政策と調和をはかりながら積極的な雇用対策を樹立していく、そのための法制を整備する、こういう考え方で今日まできておりますので、両省によって骨抜きにされたという経緯はございませんので、その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。
  49. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) ただいま先生がおっしゃられましたように、現在の人口の流動状況を見ますと、非常に都市化現象が旺盛で、地方でも都市に人口が集中しておりますが、特に国全体を見ました場合に、太洋ベルト地帯を中心に、いわゆるメガロポリス形成の勢いが非常に強くなってきております。これは私どもかつて国土総合開発計画を作成したとき、昭和三十七年度につくったのでございますが、そのじぶんに想定した人口の動きよりもはるかに中央に集中する傾向が強いのであります。こういう事態をそのままにしておきますと、おそらく東京を中心に、近畿、あるいは中部地方の太平洋津についてはかなり過密の状態が出てまいる。いろいろ公害の問題、あるいは災害の問題等、社会的な問題も発生するように考えられます。もちろん人口が集中し、産業が集中するのに応じまして、それに伴っての産業基盤の整備、いろいろな対策が講じられなければなりませんが、いずれにいたしましても、非常にその傾向が強いということをわれわれも認識を改めている次第でありますが、私どもといたしましては、地方の開発につきましては、やはり大きな中央に流れていく力に対抗し得るだけのものを地方につくり上げていくということで、いろいろ新産都市その他の施策を講じてまいったわけでございます。なかなかねらうように現実は動いていないという面がございますが、地方の開発の一つの魅力は、やはり現段階でございますと土地とか、あるいは電力とか水とかという問題もございますが、一番大きな魅力は、やはり労働力が豊富であるということだと思います。そういう意味で地方の開発という面から見ますと、労働力を地方において生かす、また、地方の開発にはその地方における労働力を生かしていかなければならないという、お互いに雇用の対策の一面と地方の開発の面とが、ある面では表裏一体となって結びつく、その点は労働力の活用ということにあろうかと思うのでございますが、そういう面で雇用の対策の基本計画地域的なそういう面も十分加味してつくられるということについて、私どもも大いに賛意を表しておる次第でございますし、また、労働省のほうとこの法案の作成の段階でも、全国総合開発計画とか地方の開発促進計画等と十分に調和のとれた計画をつくっていきましょうということをお互いに約束してまいってきておる次第でございます。決してこの計画のといいますか、法律作成の段階で労働省基本的な面でいろいろ意見が食い違ったということはほとんどなかったというふうに記憶しております。
  50. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 先ほど安定局長からお話がありましたので、蛇足は必要ないと思いますが、この法案につきまして通産省がとやかく申し上げて、これが変な形になったということはないと思います。と申しますのは、通産省といたしましても、やはり経済が今後均衡のとれた形で発展いたしますためには、やはり労働政策、特に労務配置の問題というようなものと完全に融合していかなければ経済発展は期し得ないのでございます。むしろ緊密な連絡をとるたてまえでございます。毛頭そんな考え方は現在持っておりませんし、過去においてもなかった、かように考えております。
  51. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういう御意見、三人同様のような御意見が出たのでありますから、そんなら個々の国の施策の中で訓練とか云々ということが、就労のお世話をする必要なことが書いてあります。しかし、地域の開発と同時に、このベルト地帯に集中して人口がものすごい過密になっている。そしてそれだけ過密になっておっても地域には殺到率が五も八もなっておるような条件というものを、どうそれじゃ主権者国民の就労を通じて、機構を通じて政策を立てていくという基盤の基本的な施策というものをなぜ国の施策の中に書かないか、書いてないじゃないですか、何も。そういうおことばでいまおっしゃるけれども、その書いていることばは何かと言ったら、国土均衡開発云々、これはどの計画にもこう害いてある。社会開発とか何とかかんとか書いてあるけれども、そういう具体的な、現実労働者が不安定な状態におったり、そして職なしにいま農民が一番底に追いやられて、専業農家というものは二〇%ないのですよ。これだけの農村地域が第一種兼業が四〇何%、それから第二極兼業が三〇何%、専業農家というものは一〇%台です。そういう状態でも一時間でも仕事をしたという人は総理府統計局の完全失業者に出てこないのです。そういう状態でおって、そして過密化がどうのと言ったら、それじゃ何をしたら土地の過密化が直るのですか。労働力が、その地域の町村から新規学卒労働力だけをそこへ吸収して、中高年は膨大な失業者がおる。そして地域別学卒だけを抜かれたところの農家であっても、それであっても農家にこれだけの殺到率が高いということは何を物語っておるか。労働力を遊ばしておる。労働力を遊ばしているのも一つの議論でありますけれども、労働力の上に、せっかく住んでいる家を離れ、住宅を放棄して  各地がそうであります。そんなことを置いておいて、ここで住宅を放棄するということは、たんぼを放棄するということですよ。食糧を生産する田地田畑を放棄して、食べられるところへ集中しているわけです。これが太平洋岸ベルト地帯の都市なんです。そこへコンビナートのような大組織でなしに、日本の荒業の中でも幾らでも配置ができる生産機関があると思う。そういうものをなぜ配置をして、そこで農家の経済を、たとえば第一種兼業でもよろしゅうございます。第二秘兼業でもよろしゅうございますから、その両方を相和したようなところでなぜ農村地域の住民の生活をお守りにならないか、それが完全雇用の道じゃないですか。そういうことをここのところにぴったり書かないで、単にいつも書かれているような字句でそういうことができるのでしょうか。基本計画を立てるときにそういうことができるのでしょうか。私はなかなかできるとはどうしたって考えられない。そうすると、あなた方はいまおっしゃったけれども、そんな工場配置とか、そういう総合計画とか、通産省は、産業経済云々というようなことについては労働省のかまうべきことじゃない。企画庁は、そんなことは企画庁がやることじゃない云々ということで、結局題目だけは並べたけれども、労働大臣が一生懸命に完全雇用をやろうとしているその骨が抜かれて、結局ここで字句は落ちついたというように、私は思い過ぎかわかりませんけれども、そういう感じを持たざるを得ないのです。だから雇用対策基本計画を立てる前提要件というものをやはりやらないと、この真に完全雇用を目ざした雇用計画は立たないと、私はそう思う。企業局長にはこの前小野田セメントのときに来ていただいて、いろいろ御意見を聞かしていただきましたけれども、私は、この雇用対策法を立てるときに、この国の施策から基本計画の間の前提としてそういうものがもっと具体的に考えられないで完全雇用の道というものがどうなるんであろう、私は心配でならないわけです。だから、もっと具体的にそれじゃあ通産省としては、また、企画庁としては、いまの過密状態やこの非常にアンバランスな状態、こういうものをどうして画していくかということをひとつお聞かせをいただきたいのです。そうでなければ、私たち基本計画をどうして立てるのか、よく見当がつかぬ。
  52. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 経済雇用の問題が混合していかなければいけないという点は御指摘のとおりだと私は思います。立法的に見まして、ここに経済計画まで書くかどうかという問題は別にいたしまして、実態の通産省の対策を申し上げますと、御指摘がございましたように、いまの状況は、確かにある地方が過密である、しかも、非常に最近問題になっております公害問題が発生している、こういう段階になっております。これをこのまま放置していいかという問題でございますが、私どもといたしましては、現在この過密問題、公害問題も考え、さらに地域開発という三つの観点から検討を進めておるわけであります。どういう検討を進めているかと申しますと、通産省に産業構造審議会というのがございまして、今後の産業のあり方というものを検討する場でございますが、その中に立地部会というのがございます。最近立地部会を開催いたしまして、過密の地区、特に非常に公害問題がやかましい地区につきましては、業種によってはやはり立地制限をある程度今後考えていかざるを得ないのじゃないか。ただ、そうなりましても、やはり企業の習性といたしましては、やはりものをつくってすぐ売れるところということになるわけでございます。押えるだけでは問題は解決いたしませんので、やはりそれがどういうところに立地できるか、これがためには、場合によっては従来の新産問題以外に、相当なやはり企業が行きやすい環境をつくるという措置が必要かと思いますが、そういう労務状況も考えまして、そういう企業が行きやすい地区を重点的にやはりつくっていくというようなことをやはり考えていかなければいかぬのじゃないか、それがやはり先ほど御指摘の一つの地域開発になるのではなかろうかというようなことで、現在せっかく研究中でございます。おそらく今後結論を出しますためには、この部会で相当やはり詰めなければいかぬと思いますが、秋ごろまでにはそういう一つの従来になかった新しい構想を出していきたい、かように考えまして勉強中でございます。したがいまして、おっしゃる趣旨は私どもも十分わかるわけでございます。実態的にはそういう観点で通産省も勉強しておりますので、今後労働省のほうと十分タイアップいたしまして、この法律が所期の効果をあげるように、また、経済均衡がとれて発展していくように私どもは努力をいたしたい、かように考えております。
  53. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) 地方開発の構想はどうかというお話でございますが、地方の開発を推進する場合の幾つかの手段のうち、具体的にいえば、やはり地方の産業が発達するための基盤の整備、やはり公共施設整備が第一のてこ入れになるかと思います。第二には金融ということで、地方に産業が出ていき、また、地方の産業が興こることをあと押しすることになるかと思います。第三には、税制によって地方に企業を引っぱっていくというやり方があろうかと思います。それらの施策が総合されていろいろな地域開発の計画を推進するわけであります。現在、新産都市の関係、あるいは工業整備特別地域関係、あるいは低開発地域の工業開発の関係、それぞれいま申し上げたような点の施策がいろいろの角度から実施されているわけでございますが、確かに十二分の成果、あるいは十分の成果をあげているとは言えない状況だと思います。と申しますのは、先ほども申し上げましたように、確かに東京を中心とする中央の太平洋ベルト地帯の引っぱっていく力、一種の大都市の持つ経済力、あるいは外部経済の持つ引力、こういうものが非常に強うございます。それに対抗するものだけのものをさらにつくり上げていかなければならぬ。それには大都市に対するいろいろ産業あるいは人口が集中することを抑制するよな手段についてもいろいろ考える。一方、いま申し上げましたようなそれぞれの施策についても、もっと強化をする必要があろうかと思いますが、いずれにしましても、現在地方の開発というのは、単に資源開発的な面からだけではいきませんので、いわゆるそこに人口をとどめて、ある産業とともに都市を形成しながら発展していくような形態を何とかしてつくり上げていかなければならぬ、こういうふうに考えて、全国総合開発計画を三十七年度につくったのでございますが、かなり内容的にも変わってきておりますので、ただいま総合開発計画の改定を総合開発の審議会においていろいろ検討を始めておるわけで、新しい時代に即応した計画をそう遠くない時期につくり上げていく。その際には、今回御審議願っておる雇用対策法に基づく基本計画とも十分調和したものをつくり上げていくということを念願としている次第でございます。
  54. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は、どうも皆さんの話を聞いていると、すなおに雇用計画ができて地域開発ができるようなお話なので、これは倍増計画でも中期経済計画でも同じようなことをおっしゃっているわけです。ところが、おな極端になってきているんですね。今日。そうでしょう。それは否定できないと思います。たとえばイタリーの今日の開発はどうやっているか、計画局長はよく御存じだと私は思うのです。イリイ、エリイ等を動員して北と南を六、四で分けて投資を認めている。北の六だけでは投資を認めない、南の四と並行しない限り認めないと国がきめているから、投資事項が分けられないときには南だけに投資をすることになっています。南部がおくれているから、北と南の両面をともに開発していくためであります。というくらいに国家統制して、陶部のおくれた開発をしながらイタリー経済発展さしているでしょう。EECを見てごらんなさいよ。各国の持っている特徴的なものを地域地域で生かしていくというので発展してきているのです。日本は自由主義、自由経済ということで、もっともらしいことはたくさんお書きになるわけですけれども、具体的なそういうことが一つも前に進まぬわけですよ。ここで雇用対策基本計画ができて、さあやりましょうといりたら、あっちの労働者をこっちに持ってくる。それから就労の基盤整備というようなかっこうで、地域の開発は度外視してあっちの労働者をこっちに持ってくる。それだけの住宅計画をやる。労働省経済官庁じゃありませんから、それ以上はできないのです。しかし、通産省や、特に企画庁でありますが、企画庁がその国家方針を立てて、この雇用対策法の計画とマッチしなければできない仕事なんです。その仕事をそれじゃ労働省は一生懸命気ばっても限界があります。国家経済の中で、特に私は企画庁が中心になってそういう計画を出して、そのうらはら雇用対策法が出てくるというなら、私ばかりでなく、国民全体は納得するでしょう。しかし、そういうことがないわけです。計画の表面に出てくるのはあっても、具体的には何も出てこない。だから先ほど、圧力をかけたとか、そんなことを言ったことはありませんと職安局長はじめ、皆さんおっしゃったけれども、そんなら昨年の七月、予算委員会で三大臣が約束をした予算の措置、地方自治体にも分散して補助金を出したり援護してやりますといって約束をしたことはどうなんですか。なぜ国の施策の中にその一項目が出てこないのか。皆さん方が抵抗していない、そんなことはしてないとおっしゃっても、そういうことがあるからここへ出てこない、法律の中に。雇用計画というものはそういうものじゃないですか、私はそう思うのです。だから、そういうことの裏づけがきちっとここに出てこなければ、基本計画を立てるといっても、結局訓練をしましよう、そして失業者は気の毒だから訓練手当をやったり、そいうものをやりましょう、あっちに労働者が余っているからこっちに持ってきて、そこで就労の場をこしらえましょう、どんどん産業基盤が太平洋ベルト地帯からそこに集中する以外に何もない状態になってしまう。なぜそういう地域開発をしながら、住民主権の、国民全体の歴史や立地条件が続いてきたその中で、社会に労働力の生産を通じて貢献するような場をつくり、食糧生産にも励んで農家を維持しながら、そこで基盤を強化すれば、自営農家百五戸といわれることも生きてくるのですね。皆さん方基本になっているそのことが生きてこないじゃないですか。三反百姓、五反百姓で、食うに食えないつぼの中に零細農家は皆おちいっているじゃないですか。そのことをどう労働力を生かして、そうして社会に労働力を通じて貢献をさして国を発展をさせ、そうして労働者ばかりでなしに、全勤労国民がほんとうに生きていく道というものをつくろうとしたら、太平洋ベルト地帯に工場を誘致して、来なさい来なさいということで、農業の生産性もうんと下がるし、ほとんど学卒は全部そこへ行ってしまうわけですから、そういうことでは私は雇用計画にならないと思う。その基本が、いま企画庁の局長のお話によると、なぜ国の施策の中にそれが入ってこないか。皆さん方閣議できめられて、そして各省が相談をされて承認をされてこの法律ができたのであります。そういう文言や実際にやろうということが、単なる国土の開発云々というような抽象的な問題じゃなくて、均衡な開発とか何とかいうことばだけで終わらずに、なぜそういう具体的な問題がここに入ってこないのか。そうでなければ、私は雇用対策基本計画というものはできないと思うのです。私はそう思う。どうですか。企画庁の計画局長
  55. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) いま先生のおっしゃられたように、雇用対策計画の場合に、国土の全体の利用計画、あるいは開発計画と一体となったものをつくり上げていって、一方で具体的に雇用計画が生きてくるというお話でございますが、私どもも全くそういう意味では同感でございまして、ただ、国の施策の中に書いてある国土均衡ある開発等の諸施策ということ、そういう意味で、計画をつくる場合にも、十分関係機関のほうと御相談の上、私どもも、計画をおつくりになる場合には、ちょうどだだいま新しい長期経済計画策定している最中でもございますが、それらの計画の線と一体になってやれるような計画をお互いに力をあわせてつくり上げていくということが、ただいま御審議願っている法律趣旨を生かして十分やっていけるのではないかというふうに考えるわけでございます。
  56. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういうお気持ちがあるなら、先ほどの地域産業雇用計画試案というものが一昨年出たときに、過密化していく今日の都市集中、特に太平洋ベルト地帯になっていくことに対して、これは一つの構想としては労働省がそういう案をお出しになったんだが、それと取り組んで企画庁が出しておいでにならないので、労働省がやむにやまれず、こういうことをやらなければ雇用計画が立たぬといって出したんです。これには足らないところがたくさんあります。そのときなぜ取り組みなさらなかったか。どうにもならぬというかっこうだけで今日まできたんじゃないですか。それでいまになって尊重しますというて、そんなことでこれが実際にできるのかどうか、私はなかなかそんな簡単にできるものじゃないと思う。じゃ、いま計画局の中でお立てになっているこの秋からの新しい経済計画、倍増計画も中期経済計画も破棄して、新しい経済計画はことしの秋までに立てるとおっしゃるその構想はどうなんですか。その構想はこの雇用計画との関連はどうなるのでしょう。それもお聞かせいただきたい。
  57. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) 新しい長期経済計画は、ただいま経済審議会のほうで作成の内容的な検討をいたしておるわけでございます。これからのことではございますが、当然経済企画庁で事務当局としてその計画を作成する過程におきましては、詳細に各省と連絡をとって、むしろまた各省に御参加願って計画をつくり上げてきております。ですから、この計画につきましても、当然労働省が十二分に御参加願ってこの法律に基づく雇用基本計画と呼吸の合ったもの、調和のとれたものにしてつくり上げられることは当然だと私は考えております。それは労働省のほうからも実際に企画庁に正式に派遣されて、私どもの計画局の局員となって一緒に働いている方もおりますし、審議会の各分科会においては、労働省の先輩方、あるいは労働省の事務局の方々が詳細に議論に参加され、計数をいろいろ固めるのに御一緒になってやってくれることになっておりますし、また、事事そうなっておりますので、そういう点では決して食い違いがあるものができ上がるというふうには考えておりません。十分調和のとれたものをつくれるというふうに申し上げることができようかと思います。
  58. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 計画局長にもうちょっとお尋ねしますが、この前はあなたのほうの調整局長企業局長に来ていただいて少し議論をしたわけですが、生産力の拡大というものは、昭和三十五年を一〇〇として、二七〇ぐらいになっていると私は推定をしている。ところが、今度消費購買力の関係になってくると、雇用労働者の実質賃金を見たって、その間に一〇くらいにしかなっていない。そうして生産と消費のアンバランスができて、それで結局過剰投資と申しましょうか、そういうものをやって、いろいろの要件があるでしょう、金融の利率の問題、いろいろの要件がありましょうが、結局会社経理の帳じりは労働者を首切ってつけようという。小野田セメントしかり、繊維における二つの会社の合併における首切りしかり。ちょうどいまの経営者側のチャンピオン行為だと私はこの前言いました。そういうかっこうで、地方から集めた労働者を働くだけ働かして、そうして帳締めを労働者の犠牲でやっていくということであるならば、なぜ生産と消費のバランスをとりながら経済計画化し、そうして常時発展していこうということをおやりにならないのか。今日のヨーロッパの場合がいいとは言いませんけれども、ヨーロッパがそういう姿をやっておるわけです。賃金から社会保障、所得保障を含めて、バランスをとりながら繁栄をしておるわけです。だから、そういうことを考えてみたって、私はやかましくこの前言ったのですが、経済計画を立てるときに、労働者のこの失業の問題を初め、労働者、働く者の所得、購買力と生産とのバランスをとりながら、それは科学とか能力で生産発展をしていくのは当然であります。それは先行きそれをしながら、あとバランスをとって経済を繁栄していくという道をとるにはどこから始めたらいいか。行き過ぎた設備投資の規制であり、そうして購買力を高めて国民生活を守っていくということであるという話を私はこの前しました。それは遺憾でありましたということを調整局長はお答えになるから、それは何ごとだといって議論したことを覚えております。私は計画局じゃありませんからわかりませんと、最後にはそういうことになったのでありますけれども、まさか計画局長はそういうことはおっしゃらないと思いますけれども、そこらあたりのことをそれじゃ聞いておきたい。どうなっておるか、聞いておきます。
  59. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) わが国の場合、やはり基本的には自由主義経済の形体をとって経済が運営されておりますから、計画といいましても、やはり政府の部門として計画的に政府の責任において遂行できる分野とそうでない分野が、つまりガイドポスト的な、指標として示されておる分野とが両方入って一緒になって一つの経済計画がつくられていくというふうに私ども考えております。それはやはり民間の設備投資もそうでしょう、あるいは個人消費の度合いにおいてもやはりいえることじゃないかというふうに思います。あるいは国際収支の問題につきましても、ある程度施策的な面もありますが、ある予測的な面も入っておらざるを得ない。そういう面で、かつての所得倍増計画の際に示された指標が、大きく民間企業方々の刺激となって著しく行き過ぎた結果が現在のような事態――現在なおその是正に向かいつつあるのでありますが、なお禍根を残しておる面があろうかと思います。今度の計画の場合も、やはり経済の形態が現在のような状態である以上、なかなか民間の設備投資、あるいは個人消費等に至るまで、計画としてきちっと固めたものを一歩も動かないように実際に運営するという問題は、なかなかといいますか、不可能ではないかというふうに思います。あくまでガイドポストとして示したものが、それはたとえば設備投資であれば、消費、あるいは政府関係のいろいろな活動、政府投資、あるいは国際貿易の状況等と相互に全部総合的に関連いたしますから、一つの指標が動けば全部の指標は当然動いていか、さるを得ないというふうに、常に計画であるが、弾力的に考えてみていかなければならない。それはつまり今後の計画実施に対して、入念にといいますか、厳密にアフターケアの施策をとって、少しでも路線に違ってくれば、こういう点が変われば他の面がこういうふうに動くのであるというふうな総合的なアフターケアを常にやっていくということで、計画達成をできるだけ円満に行なっていくということがわれわれの任務ではないかというふうに考えております。無理やりに企業に設備を規制したり、あるいは設備を促進させたりということはなかなかいまの状態ではできませんが、十分に経済全体の動きを計画と実態とを常ににらみ合わせながらアフターケアをして、民間方々に何といいますか、警告をしたり、あるいは口幅ったい言い方でしょうが、若干指導をしながら計画を十分円滑に達成していくというふうに考えていくべきではないかというふうに現在考えております。
  60. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 そういうことが実施していただければ、私はここでこんなことを言う必要がないんです。先日も、セメントは五千七百万トンの生産能力があって三千三百万トンしか動いてない。ことしの投資計画を見たらどうかというと、昨年の一五%減だけです。同じように設備投資をやっている。通産省の関係でも一兆五千億のベースが三年続いている。ことしも続いている。そして生産力はどんどん上がって、昨年や一昨年の関連産業整備だといえばそれまでですけれども、そういうぐあいにたくさんの設備計画が行なわれておって、そして大都市、特に太平洋ベルト地帯に労働者を集中する、学卒の若年労働者は全部集中をして、これは労働省に言わなきゃならぬことですから、あなたにはあまり――あなたは総合的だから言いますけれども、技術労働者が足らぬと言って、五十五歳で技術能力を持っているものをみんなちょんと首切ってしまって、そして六十歳まで世帯盛りの人が生活にあえでいるということに一切手を触れられていない。そして、また、地域にはその殺到率が五倍、八倍にもなっている。こういうふうに、過密を何とかしなきゃ、いかぬいかぬと言いながら、五年間に東京周辺地域は五割の人口がふえているのです。もう今後五年してごらんなさいよ、東京都というのは、東京周辺きちっと家が詰まっちゃう。そういう事態をお考えにならなきゃならぬ問題があるのに、今度の雇用対策基本計画を立てる前提になるものは、一般的な抽象論で国土云々ということだけしか出てこないというのは、やっぱり経済庁である企画庁が、労働省労働省のことだけやりなさい、そういう総合的な全体の問題はわれわれのところがやるんだから、まああまりかまうなということになっているんじゃないかとしか私は考えられない。先ほどからの話ですと、協力をいたしまして、そんなことはありませんと言われるのなら、そういう事実があるなら、なぜこの国の施策の中に雇用計画を立てる前提にそれを明記されないか、この雇用対策法に明記されないのかということが私は問題になってくると思うのです。だから、私はそこらあたりのことがどうもなかなか理解ができないわけです。ですから、これはひとつ職安局長、いま通産省や企画庁とやりとりいたしましたけれども、労働省としては、今度の新しい経済計画の中で、産業開発、経済発展の中で、金融から経済産業まで含めて、との雇用基本計画が名実ともに私が申し上げているものを含めて立てさすという自信があるのかどうか、そういうおつもりで書かれているのか、この法律をおつくりになっているのかどうか、これをひとつ聞きたい。
  61. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 先ほどから申しましたとおり、三十九年に出しましたこの雇用計画試案というものは労働省限りの試案で、政府全体を拘束するものになっていない、そういう状態で今後の雇用政策を展開するには不十分である、こういう考え方で今度の雇用対策をつくったのでございまして、今後は、この雇用対策法に基づきまして、雇用対策基本計画閣議レベルで決定をする、したがって、政府全体の施策を拘束することに相なるわけでございます。したがって、先ほどから企画庁あるいは通産省の両省からお答えがありましたように、経済計画、あるいは国土の総合開発計画等々と調和をはかった雇用基本計画にするのだ、こういうことに相なるわけでございます。  それと、もう一つは、この雇用対策法で考え方がはっきりしないじゃないかというふうな御指摘がございましたが、これは第三条の第二項に配慮事項として明記してありまするように、「地域間における就業機会等の不均衡是正を図る」、これは雇用対策を樹立する場合の、配慮事項になっております。また、同じ対策法案の四条の第六項には、都道府県知事意見を求めて計画策定する、こういう手続に相なっております。これらの点を考えましても、今後の雇用対策基本計画方向としては、先ほどから御指摘のありましたような地域間の需給率のアンバランスを是正していこう、これはどちらかというと、余っている労働力を一方においてベルト地帯に持ってくるという研もありましようけれども、それよりも、地方に産業の分散をはかってその地域における需給率を緩和していこう、こういうねらいもございますので、今後は積極的に経済官庁に雇用立場から発言をいたしまして、互いに調和をはかりながらこの基本計画策定していく、こういう基本的な態度で臨みたいと思いますので、私どもとしましては、対策法ができたらその辺はもっともっと積極的に推進をして先生の御期待にこたえたい、かように考えておるわけでございます。
  62. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 これはいま職安局長がそうおっしゃった。そうおっしゃったけれども、ここに書いてある地域間における就業機会均等の不均衡是正ということは、いまおっしゃったような形にしていくということであれば、これは大臣でなければ通産省も企画庁もお困りになるか知りませんけれども、皆さん方の段階でそのような理解で取り組んでこられたかどうか。ここのところが大事なんです。法律はできたけれども、ここで法律は似たようなことを書いたけれども、私のところは知らないのだと、いままでの答えがそうなんですから、そういうことをやろうというかまえで皆さん方議論して進めてこられたかどうか、これを計画局長にひとつ聞いておきたい。いまの三条の二項の問題であります。
  63. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) 私ども、いま職安局長の言われた点には全く同感でございますし、経済企画庁のほうで地域開発計画はいろいろ作成するわけでごさいましょうが、その際に、もちろん労働省と十分お打ち合わせをした上で、労働省のほうで雇用対策基本計画をおつくりになる場合にも、地域の問題を十分考慮になっていただいてやっていただくことをわれわれとしても期待しているわけでございます。先ほど藤田先生がおっしゃられました、当初地域別のいろいろ計画労働省でお考えになっておられたということにつきましても、私どもも労働者中心になってそういうことをお考えになる、そういう何といいますか、御努力、あるいはそういうふうに進められることについて、むしろ全面的に賛意を表して、一緒に協力してそういうふうな計数を固めることにつきましてはやっていきましょうというふうなお話を申し上げたことも記憶しておる次第でございます。
  64. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  65. 千葉千代世

    委員長千葉千代世君) 速記を起こしてください。
  66. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 だから、いまの計画局長のお話ですと、労働省地域開発をおやりになるようですから、私らも協力をしたいと、こうおっしゃる。労働省はそうじゃないですか。ちょっと話が違ったらあとから訂正してください。労働省は何がやれるのですか。就労の機会なんかつくれないじゃないですか。そうでしょう。経済企画庁がやるわけでしょう。企画庁が計画を立てて、通産省を含めて、産業機関の分散、整備云々ということは、完全雇用達成するためにやる仕事としては、むしろ企業庁や通産省が主体じゃないですか。そのことが一緒にならなければ、労働者はそれじゃあここで人を何人雇いますといったって、仕事のないときは雇えないわけです。だから、そこらあたりは労働省がそういうぐあいに発案をいろいろされたら、それに応じて協力しますということはどういうものをさしておられるか、ちょっとぼくわかりにくいから、もう一度言ってください。
  67. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) 労働省のほうのお立場からしますれば、地方のそれぞれのブロックごと、あるいは県ごとに助働力の配置状況もわかっておりましようし、余剰労働力がどれくらいあるかということもわかっておられるわけでしょう。そういう意味で、それを活用するためには雇用計画としてこういうものが好ましいというふうな一つの案ができようかと思います。そういう案と、片  一方は地域開発的な構想、あるいは通産省のほうのお考えであれば、おそらくあるいは産業配置的な構想、そういうものが全部かみ合わさって、お互いに論議を尽しながら、総合的にまとめ上げて実際は地方開発計画というものができ上がっていくわけだと思うのでございます。ですから、原案的な意味で各省がいろいろな計数をお持ちになって、それぞれの立場で一つの案をお立てになる、それをお互いに持ち寄って突き合わして議論をして総合的にまとめていく。そういう過程において、私ども、労働省のほうでいろいろ総合的に広く、あるいは地方的に開発の計画をおつくりになることについては、一緒にわれわれも努力して、一緒にそういうものを協力してやっていきましょうということを申し上げたということなんです。そういう意味でございます。
  68. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 いや、よくわかりました。そこはわかりましたが、通産省の立場から考えると、これはもう経済企画庁の計画に沿っておやりになるのか、通産省の立場産業開発をおやりになるのか、そこら辺の関連をひとつ話していただきたい。
  69. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) 通産省といたしましては、もちろん総合的な計画地域的にできましたら、それに沿ってやはりやるわけであります。ただ、その中で、総合計画というのはどれだけ詳しくできるかという問題に関連するわけでありますが、それをどういう業種をどこの地区に持っていくという作業はおそらく通産省ということになろうと思います。先ほども申し上げましたが、やはり過密都市の問題とか、あるいは公害問題、あるいは地域開発のような問題になりますと、ばく然とした議論では進まない。やはりこういう業種はここへきたら公害を起こす、それから、こういう業種はここへ行ったら一番能率のいいというような、もちろん雇用の問題とタイアップするわけでありますが、そういうように通産省としては業種別にやはり呼応していかなければならぬじゃないか、こういう段階まで現在きておる。そういう考え方で、先ほど申し上げましたような立地部会という中で、地域開発問題を含めて、公害問題、過密問題、この三つを業種別に解決していく手はないかということで研究をいたしておるわけであります。そういう意味合いにおきまして、私どもといたしましては、労働省の面から見て雇用計画ができるということは、産業の今後の配置を具体的に考えていく場合に非常に役に立つわけであります。そこの辺は、先ほど企画庁からもお話がございましたように、全体計画としてそうでありますと同時に、具体的な計画につきましても十分連絡をとってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  70. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私はいままでの例から申しますと、炭鉱でたくさん事故が起きるのも生産第一主義と、労働者はみんなそう思っておる。そうして労働者がみんな犠牲になっておると、こう思っておるのです。これからだんだん工場が過密化して公害問題が起きる。私は先日水島に行って見てきましたけれども、周囲の山の木が煙突から出るガスで枯れてしまう。こういうことは、単にそこで働いている学働者ばかりでなく、地方の住民までしが塗炭の苦しみになっていく、これも自明の理であります。しかし、これは生産をするためには採算上の問題は大率でしょう。大事でありましょうけれども、国策として、住民主権の国家で、国民全体が潤いながら経済社会が繁栄するという道は、これは社会政策で私はカバーしてコントロールをとっていかない限り、解決できない問題だと私は思う。だから、自由主義、自由経済という問題に対して、それだけでいいのかどうかという問題が出てくるのもそこだと私は思う。だから、そういう点が配慮されないで、かってに計画がどんどん進んでいったら、いまの不況のしりぬぐいは労働者の首切りでしりぬぐいをするという答えしか出てこない。そういう責任を労働者にかぶせるなら、主権者の国民を守っていくというのなら、経済計画の根本から、初めからなぜそういうことを考えて産業計画をお考えにならないのか。これは通産省も企画庁もそうでありますということを言わざるを得ぬことになってくるのであります。だから、その問題は、私は十分にひとつ考えていただかなければならぬ問題として提起をしているわけであります。だから、今度の雇用対策法の問題にしても、計画局長労働省との関係はわかりました。わかりましたけれども、その具体的な雇用対策基本計画を立てる要件にそれが明確に入ってこなければ、だれが見ても、単に国土の開発や地域間における就業機会の均等ということばだけではどうにもならない感じをみんな持っておる。私だって持ちます。だから、先ほど職安局長が言われたように、具体的にその労働力のある地域開発とあわせて産業の分散をやって、そこで就労の機会均等をつくるのだということを腹の中でお持ちになるなら、ここにきちんと響いておけばいいのです。そしたら計画の要件にそれが合うのだということが出てくる。そこを私は申し上げているのです。そうでなければ完全雇用なんてできやせぬ。肝心の就労の場をつくるところが経済企画庁やわしのところに入ってくるなということじゃどうにもならぬということを私は申し上げておる。まあひとつその点は、いままでのような計画倒れにならないように、この法律案法律になりますと一人で歩くわけでありますから、法律が歩くときに、そこに書いてないからわしゃ知らぬということでは、これは問題は解決しないということも、私は非常にくどいようでありますけれども、申し上げているわけであります。  そこで、一つ労働大臣にお尋ねをしたいわけです。いままで議論をしてまいりました大体の問題については御理解をいただいたと思うのです。私は、労働大臣がこの基本計画を立てるときに、ほんとうに単にあそこに労働力がある、ここに失業者があるから、これをあっちに持っていったりこっちに持っていったりするようなことでこの雇用計画というものが終わらないように私は実証をしていただきたいと思うのです。実証といっても、いま大臣がお見えになっていないから、これ以上私は言わないわけですけれども、労働大臣――三大臣を含めて、この実証をやっぱりしてもらわなければ、私は絵に描いたもちになると思う。いままでの計画がみんなそうです。これは場合によっては通産大臣も企画庁長官もここに来てもらいたい。そして総理大臣にも来てもらって明確にしてもらいましょう、場合によっては。だから労働大臣の決意のほどを、計画をどう進めていくかということを私はやっぱり明確にしていただきたいし、それから、もう一つは、基本雇用計画といえば事足りるのに、雇用対策基本計画となぜつけたか、ここらに悪い言い方をすれば逃げ道を考えたのか、それはどういうことなんです。
  71. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) この法案で規定いたしております、雇用対策基本計画と、企画庁で主として担当される経済全般に関する計画、あるいは通産省が主として担当されますところの産業立地計画といったようないろいろな計画関連につきましては、先ほど来いろいろ三局長が御説明申し上げたとおりでございます。このことは、先ほど来法案の引用もございましたが、基本的には、従来ややともすれば、先生からも再三御指摘がございましたように、どうも雇用対策ないしは広く労働対策というものがとかく経済全般の政策などのいわば全国的な立場、そういう色彩というものが強くありまして、主として物的な関係からもろもろの経済政策が立てられ、人の面の考えを取り入れるということがどうもこれはあとについていくような感じが確かに私はあったと思うのであります。そういういままでの事情というものは、私は率直に申しまして、従来の労働市場状況、そういうものが背景にあってやむを得ない面もあったかと思いますが、少なくとも、ものの考え方という点から申しますならば、この人を主とした人の立場からの政策計画というものが、より一そう重視されなければならない、こういう考え方が妥当なんでありまして、労働市場の事情から申しましても、今日はもうそういう段階にきた。ここにおいて労働省といたしましてもこのような法案を考えて、これはひとり労働省が考えたというよりも、申すまでもなく、各省十分連絡いたしまして、最後には、申すまでもなく、閣議の決定を経てこの御審議をわずらわしておるわけでございますので、政治の姿勢そのものが、いま申しますとおり、もう物の面からだけの施策ということでなく、人の面を十分重視し、物の面と人の面との施策が相調和した施策ということをどうしてもやらなければならぬ、こういう点から私は今度の法案ができておると思うのであります。したがって、各種の計画の立案につきましても、これは法案の中にもうたってありますように、十分調和のとれたものでなければなりませんし、また、雇用対策基本計画についても、これが策定にあたっては、先ほど来御指摘のような点を十分配慮することはもちろんのこと、あらかじめ関係各省の長と十分注意もし、さらに、また、この計画実施にあたっても、それぞれの省に労働大臣は必要があれば要請もできる、こういうことを明らかに法文上もいたしておるわけでございまして、私は、今後この法案が幸い成立をいたしますならば、従来の各種計画立場、あるいはその関連というものがここに面目を一新するであろう、また、そうぜひしなければならぬ。特に労働大臣としては、この法案の示しております精神というものを体しまして努力をする責任を痛感をいたしておるわけでございます。  さらに、第二点の、なぜ雇用対策基本計画という書き方をしたのか、雇用基本計画でよろしいのじゃないかという御指摘であったと思いますが、このことは、この計画雇用に関する対策というものを主とした計画、対策の基本的な計画、こういう意味でございまして、これを単に雇用基本計画と申しますと、あたかも先生のお話のうちにもございましたが、単に数字をあげて、片方では余っているから不足のところにつじつまを合わすために移動させるのだとか、どうもそういった数字だけでつき合わせるのだといったような印象を、単に数字のつじつまが合えばいいのだといったような、どうもそういう計画になりがちのようにとられがちな心配もございましたので、むしろ対策というものを主にして計画を立てるべきである。申すまでもなく、就業の自由とかいうことは、これはもう基本的に守らなければならぬことでございますので、そういった誤解を招かないためにもむしろ雇用対策基本計画、こういうほうが妥当である、こういう立場からこういうふうにしたしけであります。
  72. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 ちょっとどうもあとのほうはあまりこだわりませんけれども、ちょっとどうも苦しい答弁のような感じがする。雇用計画というものは、雇用を拡大し、完全雇用をしていく要因は何かということが、その国の施策、それから計画の中に明らかにこれとこれとこれとを計画の中に立ててやるのだというかっこうに出てくる。いろいろの職安行政、広域行政の対策を含んでいるから、その対策もやるんだからとおっしゃるのだから、私はこれ以上これにこだわりませんけれども、しかし、どうもその辺が私が先ほど議論しましたように、雇用基本計画というものの骨がなくなってしまって、対策のほうに重点が行ってしまったという印象をこの法律を見たら受ける。むしろ労働大臣説明より、そういうところにわれわれはいろいろの労働の広域行政とか職安行政の対策だけが法律の主体になってしまったんじゃないかという印象を受ける。ですから、私はそれではなりませんから、いまの完全雇用というものはいかにあるべきかという議論をして、その根は、労働省が何ぼ計画を出したらどうだこうだという話じゃない。ちゃんと殺到率というものは毎月あなた出先から、的確であるかどうかは別として、毎月これは出てきているわけです。これは各官庁にいっているわけですから、いまさら労働省が、それはまあここに何ぼよこせとか、予算上の関係の取引でそれはあるかもしれませんけれども、しかし、こんな本のが企画庁に毎月いっているわけですよ。まさか労働省の倉の中に入れているわけでもなかろう私は思う。そんならば、いままで何回かの計画に、その地域開発をいまやっているんだ、これからやろうとしているのだとおっしゃるけれども、そんなことはわかり過ぎるほどわかっていることで、ずるずるべったりで今日のような現状になっているわけですから、まあ計画局長のお話は、あれはあれで了解をしますけれども、私はそこらに問題があるわけです。これはまさか企画庁にいってないと私は言わせない。もっと詳しい資料を企画庁はちゃんと御存じだと私は思うのですね。御存じでありながら、いまここでむしろどうのこうの、いうような、これから云々というような話じゃないと私は思う。そういうことをやるのが雇用基本計画雇用対策法だと思うのものですから、どうも私らの印象では肝心なところはみんな抜けてしまって、そして労働省がから回りをしているということになりはせぬかという心配ですよ、これは。具体的に申し上げればね。具体的に申し上げればそういう心配。労働省は旗を振っているけれどもだれもついてこないということにこの雇用対策基本計画というものはなるのじゃないかという心配をする。まあきょうはいろいろ聞いていただいて、それは私の間違いも間違いとして正していただければいいけれども、しかし、私は、こんなことは近代国家でみんなやっていることを私は言っているのだ。私だけが飛び抜けて、雇用計画について私の自画自賛でこんな議論をしているのじゃないわけですね。だから、それはひとつよく含んでもらって、企画庁もひとつ計画倒れにならぬようにしていただきたい。それから、労働大臣もいまおっしゃいましたけれども、私は、やはり総理大臣も来ていただかないと、先ほどちょっと申し上げましたが、やはり労働大臣がいかに苦労されても、肝心なところが抜けて飛んでいってしまっているということじゃ、この法律は結局この法律の姿だけであることになる。姿だけにあるしとになれば、労働省が幾らこういう具体的な雇用計画をおやりになろうとしても、それはそれでとどまってしまって、何だ法律のどこに書いてあるのだ、機会均等とか国土の開発なんていうてみたって、とこにそれじゃ――労働省のそういう考え方もあるだろう、しかし、わしのところは採算上の問題で産業を開発するのだから、そんなところまで知らぬということになればそれまでにな、てしまうのですよね、この雇用対策計画というものは。その心配なんです。だから企業局長にも計画局長にも、私はそういうものは打ち出してやるとまあきようはおっしゃっているのですから、だからそれをまあ期待いたしましょう。そして今度の秋出る経済計画の柱は、労働力の配置を含めて、完全雇用の道が開けるような計画になることを私は期待しますよ。まあその件はこれでとどめます。  もう一件、これの要因として私は通産省と企応庁に尋ねておきたいと思うのです。昨年か一昨年をピークにして、労働力人口は五、六年の間に半減するわけですね、労働力は、学卒が。そういうことも考慮に入れられているだろうかどうか、特に経済計画を立てる企画庁でありますが、半減することを考慮の中に入れて考えられているのかどうか。それから、労働省もそうでありますが、いま技術労働者不足するということを盛んに宣伝をされますけれども、五十五歳になったら皆首を切るという、その産業においては技術能力を持って働ける人をみんな首を切っているというこのこと、定年制、そして六十歳にならなければ年金がもらえない。まあ経済的な問題、そういう点はそれは別といたしまして、そしてその間の労働力を埋もれ木にしておいて技術労働力が足らぬというようなことをよく宣伝されるわけですけれども、フレッシュな学卒の労働力、そして今日の賃金体系では、賃金が安くてよく働ける労働力だけを集中的に計算に入れ技術労働力不足しているというようなことがよく出るわけですけれども、その辺あたりの労働力の問題についてどう考えておられるか。この法律の中に中高年の云々ということがありますけれども、この中高年のそれじゃ就労のコントロールというのはどういうぐあいに考えられているのか。殺到率が五にも八にもなって、たとえば学卒と中高年とを抱き合わせでなければいけないとか、何かこの中高年の失業者を救済することの具体的な処置をどうしようとしておいでになるとかですね。まあもう一つの要件を、私はこれでやめますから、またかわりますから何ですけれども、たとえば身体障害者のことも少し書いてありますけれども、身体障害者労働力をどうそれじゃ活用していくか、これは全部生活の面につながるわけですから、そういう問題について、最後にえらいこまかいことを二点聞きましたけわども、ひとつ構想を聞かしておいていただきたいし、企画庁には、特に労働力が減っていくわけ必ずが、その問題について、日本の産業労働力をどうお考えになっているか、ここらあたりもひとつ聞かしておいていただきたい。
  73. 鹿野美夫

    政府委員(鹿野美夫君) ただいま経済計画を新しくつくっていく中に、一つの大きな問題点として、いま先生がおっしゃられました若年労働力不足という問題があるかと思います。確かに、従来、どちらかといえば労働力過剰の状態から、そういった若年労働力が非常に不足してくるという大きなパターンの変化が、今後経済計画を立てる上での非常に大きな課題になっておりまして、現在真剣にそういう問題について部内で検討をいたしておるところでございますが、特にこの若年労働者が、現在の傾向からいきますと、どちらかというと三次産業に集中しているような傾向がございます。そういう面からも、今後日本の一次産業、二次産業、三次産業産業構造変化にまで及んでいく問題ではないかというふうにも考え、非常に今後の日本の経済の成長を規定する条件として非常に重大なポイントであるというふうに認識して、われわれいまその対策といいますか、今後どういうふうに計画にそういう問題を織り込んでいくかを検討している最中でございます。また、それは一面うらはらに、中高年齢層をどういうふうに活用して、どの面に中高年齢層を生かしていくかということも、同時に計画の必要なる課題であるというふうに考えております。非常に重大なるポイントであるというふうに思って、目下検討いたしております。
  74. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生のお示しのとおり、一方においては技能労働者が非常に少ない、こういう状況を示しながら、一方においては、せっかく技能を持った高年者と申しますか、要するに定年制というものによって高年者が退職をしいられておる、こういった矛盾した姿が今日現存することはそのとおりだと私どもも思います。そこで、私は、この委員会でもさきに申し上げたかと思いますが、結論的に申しますならば、定年制というものも、まあ、普通今日では五十五歳、こういうことに相なっておるのが通例のようでございますが、これは延長をされてしかるべきものである、かように考えております。元来、定年制が五十五歳であった。そういう慣習ができたというのも、一つには、労働力が過剰であるという基本的には背景がありますし、また、一方におきましては、日本人の寿命そのものが非常に短かかったということもございましょうと思います。しかし、今日では労働力が全体として不足方向にありまするし、寿命も、とにかく最近では男子の場合でも平均寿命が七十歳近くになったということでありますから、五十五歳程度なら、まだまだ健康の人は大いに働けるという肉体的な条件も備えておると思います。そういう関係からいたしましても、当然定年制というものは延長されてしかるべきものである、かように考えておるのであります。ただ、率直に申しまして、定年制を設けた一つの理由は、わが国のいわゆる終身雇用制に基づきますところの賃金制度、勤続が長くなればなるほど、あるいは年をとればとるほど賃金を高めていく、こういった賃金制度自体も、今日の新しい時代の賃金制度とはどうもマッチしておらないということも定年制を五十五歳にきめた一つの理由ではないかと思います。そういう賃金制度にも、私は、より合理性を持たせていくということが一面においては必要ではなかろうか、かような考えを持っておるのでございます。いずれをとりましても、もちろん定年制を幾つにするかということは、これは労使間できめるべき筋合いのものであろうかと思いますが、私は、いま申しましたような考え方をあらゆる機会に申し上げて、なるべく民間一般が定年制を時代に即して改めていかれることを期待をいたしておるわけでございます。それから、この法案によりましても、実は中高年齢者の採用、雇用に関しましては、まあ特別な配慮をいたしておるわけでございまして、これはあらためて指摘をいたしますまでもございませんが、第十九条なり第二十条なりにおきまして、中高年齢者雇用を極力促進できるように、政府としての施策を十分やっていこう、こういうことをここに考えておるわけでございます。
  75. 藤田藤太郎

    藤田藤太郎君 私は意見だけ申し上げておきたいと思います。一つは、労働者を使用するときに、採算をもとにして、能率をもとにして定年制というものができてきた。日本の歴史から見ると、昭和三年当時に人間の労働者の握力や牽引力をはかり、これをものさしに労働科学研究所で研究し、定年制を強めたのです。労調会が発表しています。五十歳と十五歳が同じ労働力であるということで始まっています。人間のいいところだけ食うというかっこうで出てきたのが定年制の出発だと思う。しかし、人権の尊重された先進国ヨーロッパにおいては定年制なんてあるところはないわけですし、それで、また、企画庁も所得倍増計画の、その計画民間の突き詰めたところにちゃんと定年制は廃止するということをお書きになっておりながら、一指も触れない状態で今日まで六年たってきています。そうして昔の国家と違う今日の国家体系の中で、あくまでも企業の採算だけでそういう労働問題をいまだに認識して扱っておるところに問題があると、私はそう思うのです。ですから、これは真剣にこの問題と取っ組んでいかないとこの問題解決しませんよ。そのことは企画庁の、労働力が今後減っていく中において、ちゃんと発表された計画の中にはありながら、いまだに、私はそういう問題までお話になると思ったら、新規労働力が減っていきますから配慮しますというぐらいで話が終わっちゃうわけです。ですから、私は、労働問題というのは、あらゆる角度で、国民がどういうように生活をしていくか、そのためには生活保護に金をあげるということじゃなしに、勤労しながら、社会に貢献しながらりっぱな生活を立てていく働く能力ある者を遊ばして埋もれ木にするというようなことはないという、この基本的なものと、それに必要な経済産業発展というものが――今日のヨーロッパの経済計画をごらんなさい。完全雇用をこれだけにするには、国民生活をこれだけ上げるには経済がどれだけ成長するかということで計画経済を進めているじゃありませんか。そのこともきちっとやっぱしお考えになって今後の新しい経済計画を立ててもらいたいし、労働省としてもそういう立場からこれに取っ組んでもらわなければ、私は通産省もそうでありますが、この問題は解決しない。雇用問題というのは、もうここで聞いただけで終わってしまうというふうに考えるのでありますから、ぜひそういう面で十分に全知全能をしぼって、完全雇用達成のために、産業経済発展は、何といっても労働者完全雇用への道が前提条件として、それに基づいて経済計画を立てるようにするのが、今日、国家の私はなすべきことではないか。それを忘れて、設備ができて物ができるようになったら勤労国民国民が潤ってくるなんというものの考え方経済計画を立てるのは根本的に間違いだということを最後に私は強調をして、質問を終わります。
  76. 森勝治

    ○森勝治君 藤田委員から基本的な問題について質問がなされたわけでありますが、この法案をべっ見しただけでもわかりますように、なるほど、この法案では労働者雇用の安定などという、完全雇用云々などというきれいな文字が並べられてあります。このことばだけをとらまえてみますと、諸外国の例にも見られるように、完全雇用目的とする法律、このような錯覚を思わず覚えるような気がするのでありますけれども、さて、具体的に一条ずつわれわれがこの内容をつまびらかにいたしました場合には、必ずしもそういう断定を下すわけにはまいりません。むしろそれよりも、労働者側にとってはもろもろの危険な側面がひそんでいるような気がしてならぬのであります。たとえば労働力需給均衡目的などといっておるけれども、その他たくさん並べておるけれども、いま申し上げた労働力需給均衡だけを目的としているような法案の内容としか私は受け取れないのであります。そうなりますと、大臣がこの提案理由説明でもいわれましたように、四十九国会でもいわれましたように、あるいは、また、五十回国会でもいわれましたように、近い将来に若年労働者減少し、中高年層があふれる。あふれるという表現は用いませんでしたが、顕著になってくるというような表現を用いられております。そうなりますと、この法案を実施することによって、若年労働者は大企業に、さらに、また、合理化によってちまたにほうり出された中高年層は中小企業に、しかも、それは低賃金なそういう姿を露出させるような法案のような気がして私はならぬのであります。したがって、私はその辺を心から憂慮いたすものでありますが、私が心配いたします点、日本の多くの労働者の諸君もまた私のような危惧を抱いておるわけでありますので、この点についての私の心配が単なる杞憂にすぎないのか。はたしてこの法案なるものが、労働者の身分、生活を守ると称しながら、低賃金という線を脱却できないのかどうか、そういう問題について大臣の所見をただしたいと思います。
  77. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の御質問によりますと、どうもこの法案に書いてあることはりっぱなことを書いてあるが、実際は若年労働者は大企業のほうに、まに、低賃金で特に中高年齢者などはほうっておくということになるんじゃないかという御心配のようでございますが、この法案の目的は第一条にうたってあるとおりでございまして、私どもは、もう正真正銘、この目的に沿うて、また、この目的を達するためにはどういう方向で国の施策を行なうべきであるか、もっぱらそういう立場から第二条以下の規定をつくったわけでございまして、表は第一条のような目的を掲げておるが、実際はどうも先生がお話しのようなことになっておるんじゃないか、どうもこうおっしゃられましても、私はそういうことは全然ねらってもおりませんし、また、もろもろのここにうたってあります施策を行なうことによって、結果的に先生の御心配のようなほうにいくことはとうてい考えられない、かように信じておるわけでございまして、しかし、まあ先生のお話でございますから、私は、一部にでもそういう心配がおありだとするならば、   〔委員長退席、理事藤田藤太郎君着席〕 この法案が成立後、実施するにあたりましては、そういう方向にいかないように、十分注意を払いながら所期の目的を達するように努力をいたしたい、かようにただいま考えておるのでございます。  なお、………。
  78. 森勝治

    ○森勝治君 大臣は誠心誠意というふうにおっしゃいました。かつての池田総理大臣は、私はうそを申しませんといってうそをいわれたわけであります。なくなった池田さんよりも、私は尊敬する小平大臣のことばを信用したいのであります。信用したさに私はいまのような発言となったわけでありますが、誠心誠意お答えくださるというあなたですから、さらに後段の点でも一言あるべきだろうと御期待申し上げたところが、語を継ごうとしてあなたはやめてしまった。私はそこに勇気のある小平大臣のしばしばちゅうちょする姿が、政治の中にも、具体的に申し上げますと、この雇対法案の中にも散見するのではないか。ちらちら見え隠れするのではないかということをおそれるものであります。なぜならば、この法案を、先ほど私も申しましたが、さらにこれをほかのことばで申しますと、大臣はそうおっしゃいますけれども、職業安定に関する行政上の監督権限というものをさらに強化する、この中で強化されていく、そうして労働力需給計画というものをきめて、先ほど申し上げたように、若年労働者に対する需要と中高年層に対する配置転換というような、そういう問題を、しかも、強制的に誘導しよう、こういう思想が根底に流れておるような気がして私はならぬのであります。そういう心配がありますがゆえに私は冒頭のような質問をいたした。大臣が後段を答弁されようとしてちゅうちょされたのも、私はその辺に重要な関連があるのではないかというふうな疑問を持つものであります。したがって、このままでまいりますならば、中高年層雇用条件の切り下げをはかり、なるほど雇用促進ということでありますから、働く場というものは広がるという期待は持つことができるでありましょう。しかし、働く場所は与えられても、賃金水準というものが低下するならば、大臣が最初に私の質問に答えて申されましたように、完全雇用という姿でなくして、それは依然として不完全雇用の姿が拡大されてくる、このような気がしてならぬのでありますが、大臣はどう考えておられますか。
  79. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先ほど私が何か言おうとしてやめたと、こういうことで、何か隠したものがあるのじゃないかというお疑いを持たれたようでありますが、別段隠しごとをしたわけではないのであります。私は、一般論として私の気持ちを率直に申し上げたのでありましたが、実は引き続いてこの法案に従って詳しく局長からひとつ御説明を申し上げさせようと、こう思ったのですが、それはいずれあとでもよかろう、こういうようなことだったものですからやめたわけなんです。それはさようなことで御了解願いたいと思いますが、いま先生の御質問の中で幾つかお話がございましたが、特に中小企業関係等につきましては、すでにごらんいただいたと思いますが、この基本計画策定にあたりましては、中小企業等に対しては特別の配慮を加える、こういうことで、中小企業関係雇用問題につきましては、大企業などに比しまして、特段の促進措置と申しますか、援助措置と申しますか、それを当然やろう、こういうことを考えておるわけでございます。また、職業安定業務について監督権を強化して、強制的にでも何かやるんじゃないかといったような御懸念だったと思いましたが、そういうことは全然考えておりません。この点につきましても、本法案の第一条第二項におきまして職業選択の自由と、こういう原則はあくまでも守らなきゃいかぬということを明記しておるわけでございまして、この法案を通じて行なおうといたしておりまする諸施策というものは、要するに、この雇用の安定、促進、この第一条の目的を逃するために必要な諸施策を行なうことによってその雇用条件、環境、こういうものをつくっていこう、こういうことでございまして、その間、決して強制力を用いてもろもろの施策を行なおう、特に配置転換その他を行なおう、こういったようなことは毛頭考えておらないところでございます。  それから、安い賃金で就職する者が多くなったのでは結局不完全就労を増すばかりではないかといったような御趣旨のお話もございましたが、その点につきましても、もちろんただ単に数の上で就業者がふえたといいましても、賃金その他の労働条件が改悪されたということになりまするならば、これはお話のとおり、私はやはり不完全就業というものがふえるにすぎない、こういうことになろうと思いますが、この不完全就労に対しましても、本法案中におきまして、雇用形態改善その他を通じまして、逐次これを解消していこう、こういうことを意図しておるわけでございまして、御心配のようなことにはならないように、十分私どもも気をつけて法の運営に当たってまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  80. 森勝治

    ○森勝治君 大臣は、ただいま職業選択の自由ということばを特に語尾を強めて発言されたやに私は拝聴いたしたわけでありますが、それならば、さらにお伺いをしてみたいと思うのです。御承知のように、ILO条約や勧告において明らかに述べられておりますように、「経済発展と成長を刺激し、生活水準を向上し、人力需用を満たし、かつ失業および不完全就業を克服することを目的として、完全、生産的かつ自由に選択された雇用促進するよう企図された積極政策を宣言し、かつ追求」しなければならないと、こうあるわけであります。これは大臣御承知のとおりですね。とするならば、完全雇用の実現を目ざす最賃制の確立というものもまたこの中に盛り込んでいかなければならぬと私は思うのであります。そうなるならば、不完全雇用はやがて解消されるでありましょう。そうして失業者の生活保障を含むところの社会保障の拡充などの措置が確実にとられなければなりませんけれども、この法案のどこを見ましても、こういう点には何ら触れておらぬような気がしてならぬのであります。したがいまして、この点について大臣のお考えをただしたい。局長、だいぶ御答弁をお急ぎのようなそぶりに見、えますけれども、五十項目ぐらい局長に十分用意してございますから、後ほどとくとひとつ御答弁をわずらわしたいと思います。
  81. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 御質問の第一点は、最賃制に触れてないじゃないかと、こういう点であると思いますが、最賃制が重要であることは申すまでもございません。この点につきましては、これまた、かねがね当委員会におきましても何回か御答弁申し上げておるところでございますが、先生御承知のとおり、現行最賃制はどうも本物ではない、あるいはILO条約にどうも合致しないのじゃないか、こういった御議論もおありでございますので、昨年八月以来、中央最賃審議会に将来の最賃制について御検討を現に願っておるのでありまして、私どもは、最賃審議会が三十八年に答申されましたところによりますと、四十二年度以降の最賃制については基本的に検討をすべきだと、こうみずからおっしゃっておられるところがらいたしまして、四十二年度以降の最賃制については新たなる御答申をいただいて、それがまたILOの条約にも適合するものであって、世間一般からも御納得いただけるようなりっぱな答申を得られるものと実は期待をいたしておるわけでございます。答申がいただけますならば十分それを尊重して、それはそれとして、この立法措置なりその他の施策を十分講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。  それから、第二に、社会保障制度のことも触れておらぬじゃないか、こういうことでございます。もちろん労働者諸君の生活の安定なり向上なりというものが、単に労働政策だけで、あるいは特に雇用政策だけで、それだけで十分にいくとは私はもちろん考えておりません。しこうして、社会保障の制度というものがきわめて、重要であることはあらためて申し上げるまでもないのでございまするが、当面のこの法案は、申し上げるまでもなく、雇用対策、これを主としたと申しますか、これをねらった法案でございますので、あらためてこの社会保障制度云々には触れておりません。しかし、いま申すとおりの基本的な考え方からいた、しまして、労働省といたしましても、もちろんこれが担当の役所である厚生省とも十分連絡をとりまして、社会保障の充実という方向に御善処を願うということには十分努力をいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  82. 森勝治

    ○森勝治君 私が後段で質問した点についてはやや答えられたごとく、ほとんど無視されたごときおことばのように承るわけであります。具体的な御答弁がなされておりません。まあことさら避けておられるのは、私がここであえて申し上げたいのは、具体的なそういう私が申し上げた法案の中に、不完全雇用の解消とか、そういう問題が具体的に盛られてないから、大臣の御答弁がその辺についてはぼやけたのだろうと思うのです。ですから私どもはさらに心配を大きくするのです。私は、いまも申し上げましたように、今度のこの法案を見ましてもおわかりになりますように、現行の職業安定法職業訓練法において定められているような内容と重複する傾きの中身がたくさんあるように見受けられるわけでありますが、ことさらにこのように総合的にまとめたねらいというものは一体どこにあるんだろうか。私は、ここに需給計画に基づいた職安行政の持つ流動化をはかろう、流動化促のためにその権限を強く行使しよう、こういう意図がこの法案の裏に隠されていやせぬか、こういう疑問を多分に持つものであります。具体的に申し上げますならば、低賃金雇用でも強制的に、すなわち、失業者を職安の指示で無理にでも就職させることができる、こういう法案の意図する内容のような気がしてならぬのであります。ですから、この点も単なる私の杞憂にすぎないのかどうか、これはひとつ基本的な問題でありまするから、大臣からお答えをいただきたい。
  83. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 第一点は、この法案において、職業安定業務なり、あるいは訓練なり、そういうものについてうたっておるが、そういうことは何か権限を強化する意図ではないかと、こういう御心配かと思いますが、決してさような意図はないのでございます。この法案中に、確かに職安関係なり、あるいは訓練関係のこともうたってございますが、実はこういたしますことによって国の職業安定業務なり、あるいは職業訓練なりに対しまする責務というものをより明確にし、あるいは、より積極的にやる国の責任というものを明らかにいたそう、こういうことでございまして、別段それぞれの担当部局の権限を強化して、そこに何か強権的なことを行なおうといったような意図は全然ございません。もちろん紹介業務、あるいは訓練というもの自体を、それを、あるいは機構を拡充するなり、従来以上に労使双方へのサービスを拡充するなり、あるいは訓練につきましても、従来以上にこれに力をいたすということはうたっておりますが、そういうことはすべて国の責任を拡充しておるのでありまして、決して権限を拡大しようという意図ではないことを御了承いただきたいと思います。  さらに、第二点といたしまして、失業者等を強制的に何か就業させるんじゃないかという御心配のようでございますが、このことも、先ほど申しましたとおり、職業選択の自由というものは、どこまでもこれはもう現憲法下に守らなければならぬことでありますから、そのたてまえをくずそうなどということは毛頭考えておりません。ただ、失業者の方にいろいろむしろ国家が援助的な措置を講ずることによってこれらの方々が安定した職業を得られる、それを促進する、これを国があらゆる角度から施策を講じなければならぬということをこの法案は規定いたしておるわけでございまして、先生の御心配のようなことは全然私は生じないものと思いますが、冒頭にも申しましたとおり、そういう心配がかりにおありとするならば、そういう心配の事態が起こらぬように、これは十分注意をいたしながら本法の施行に当たりたい、かように考えておるわけであります。
  84. 森勝治

    ○森勝治君 労働省は、もちろん、雇用対策の全般についてお考えをわずらわしておられるわけでありますけれども、ところが、どうでしょうか。いままでに行なわれました炭鉱の離職者、駐留軍の離職者、さらには、また、失対事業の打ち切り、さらに、また、失業保険金の受給のワクの制限、こういう一連の措置労働者の行動というもの、指導というもの、規制というものを考え合わせてまいりますときに、大臣は、なるほど完全雇用目的をもってこの雇用対策法案なるものを提出したという説明はされております。なるほど、働く者に働く場を与えようとする前向きの姿は発見することができますけれども、いま申し上げたような一連の労働省施策をうかがい知るわれわれにとっては、大臣のせっかくのおことばでありますけれども、どうしてもそういうふうに実行性のある政府施策労働省の姿というふうには受け取れないのであります。こういう疑念や疑問を持つのは、あながち私一人のみではなかろうと思うのであります。したがって、この点についてもう一度大臣から考え方をひとつお聞かえいただきたい。
  85. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の御質問は、姿勢はさることながら、炭鉱離職者の問題、あるいは駐留軍の離職者の問題、失対事業の問題、これらに対する労働省の実績、行政の実積、というものから見ると、どうも信用がおけないといったような御趣旨かと思いますが、もちろん私どもといたしましても、いま列挙いたしましたようなことに対する施策がすべて満点にいっているなどといううぬぼれた考えは毛頭持っておりません。しかしながら、労働省といたしましても、これらの問題につきましては、もう先生にも御了解いただけると思いますが、十分関心も持ち、また、できるだけの努力もいたしてまいっておるところでございまして、ただ、これが何と申しましても相当の資金と申しますか、まあ経費も要ることでございますから、それらとのかね合い等もございますけれども、もちろん十全ではないと思いますが、しかし、十分努力はいたしてまいっておることだけはひとつ御了承いただけるのではないかと思います。しこうして、今後におきましても、もちろん労働省としましても、これらの問題については十分従来以上に努力をいたす覚悟でございまするし、今度の法案を通じまして、雇用対策全般について、特にこの雇用対策基本計画中心にいたして、政府全体が一体となってこの問題と取り組もうと、こういうことなんでございますから、その辺のこの政府の決意というものもひとつ御了承を願いたいと、かように考えるわけでございます。
  86. 森勝治

    ○森勝治君 通産省の局長が何かお急ぎだそうでありますので、私も遠慮いたしまして、一点質問をしたいと思うのです。  御承知のように、池田内閣時代から設備投資が盛んに行なわれ、それから所得倍増計画、これは私は税金倍増などとあだ名をつけて申します。過言でございましたらひらに御容赦をお願いして、これから質問をしたいと思うのでありますが、なるほど事業主の資産は三倍にふえて、生産は二倍から二・七倍にも上がったが、労働者の賃金は上がらない。ところが、設備投資ということで資本はどんどんふえたけれども、さて、それならば東京近郊の例をべつ見してもわかりますように、何々工場敷地などといって、驚くべき広大な土地が雑草のおい茂るままになっておる。通産省がどのような指導をされておるか知らぬけれども、このことは、たとえば労働力の人的資源の確保の問題についてもこの計画の中で十分おやりになっておるように承っておりますし、ところが、さて通産行政は通産行政で、私どもの目から見れば、かってに工場を許可し、そんならそこに工場ができるかと思えば、三年も五年も放置されておる。片や、拡大された年産工場においてはフル操業がはたしてなされておるであろうか、なされていないところがたくさんあります。設備投資はしたけれども遊休施設、こういう姿が散見されます。はなはだしい工場におきましては操短をしている、いわゆる時間短縮の作業をしているような現状であります。しかも、通産省のこうした産業振興の姿は、通産行政の場においてまっしぐらに走り、労働行政労働行政で別の角度からこれを追っかける、いわゆる需要と供給のアンバランスが生まれてきております。計画倒れという問題もあるでありましょう。もちろんこの中には企業者の力量の問題もあるでありましょう。しかし、何といっても大衆を収奪する思想がその根底を流れる限り、日本の働く者の生活の向上はあり得ないと私は思うのであります。したがいまして、お急ぎだそうでありますから、私はあまり多く語りませんけれども、こうした三十六年以降おびただしい数にのぼるところの工場の激増、設備投資というものがはたしてどの程度操業されておるのか、通産省の計画と現実は一体どうなされておるのか。さらに、また、これから一体どう対処されようとしておるのか。私どもが心配いたします点は、先ほど私が労働大臣質問を申し上げましたから、局長お聞き及びでありましょうけれども、設備投資やオートメーション化によって工場、事業場の合理化が促進され、働くにない手というのは若者、いずれの大工場、大企業も若い人たちを望みます。何と申しますならば、最近の機械というものは、従来の機械ですと人間が使いやすいようにそれぞれの向きで設計をするのでありまするが、最近は、ややもすると人間の条件を無視して、機械に人間の体質を当てはめよう、こういう姿が随所に見られるわけであります。そうなりますと、中高年齢層にはそうした転換はききません。ここに工場、事業場が合理化によって中高年齢層をちまたにほうり出す具体的な事象というものがあらわれてくるわけであります。労働省もせっかく中高年齢層の完全就業ということで盛んに骨を折っていただいておりますけれども、一体こういう問題についても通産省はどうお考えになっておられるのか。設備と労働力の問題、もちろんわが国産業を興隆するのには人的資源の供給が全きを得なければその所期の目的に到達することができないことは先刻御承知のとおりでありますけれども、これからどう対処されるのか、そのことについて一点だけをお伺いしておきます。
  87. 熊谷典文

    政府委員(熊谷典文君) まず、御質問の第一点の、設備はつくったが、最近の稼働率はどうなっておるかという御質問でございますが、これは御承知のように、個々の業種によって非常に違いますので、非常に大数的なことを申し上げて恐縮でございますが、全般的な平均的な数字を申し上げますと、現在のところ、設備能力に対して、平均的に見ますと七五%程度の稼働ではなかろうかと、かように考えております。もっとも、最近景気も、御承知のように、だんだん回復してまいりましたので、八〇%か八五%というものもございますが、そういう七五%程度が普通ではなかろうかと、かように考えます。なお、設備能力をフルに動かす状況というのはあまりないわけでありまして、通常の操業度といいますのが大体九〇%というのが過去の実例でございますので、まだ現在の設備能力からいいますと、需要は一五%ずつぐらい追いついてまいる、それだけ遊休設備があるということが率直に申し上げて言えるかと思うのであります。  そこで、今後どうするかというのが第二の御質問であろうかと思いますが、先般藤田先生の御質問にもお答え申し上げたと思いますが、確かに従来、物はつくれば売れるんだ、とにかく物の生産の面から経済を考える。まあこれは高度成長の過程において、ややともすればそういう弊害があったわけでありますが、これはわれわれといたしましても産業界といたしましても、厳に反省をしなければならない問題だと、私は率直に申し上げて、考えております。といいますのは、やはり生産といいますのは、需要があって生産するという形でないと、やはり健全な経営というものもできませんし、力のある経済発展というものもできないわけであります。したがって、需要をどうしてつくるかという問題でございますが、この点については、日本経済は輸出関係に依存しておりますので、輸出の恒久的発展ということも一つの問題でございますが、それと同時に、やはり先ほど来問題がございましたように、所得水準をできるだけ高めて、しかも、やはり地方の所得を高める、それによって需要を喚起していく、それで経済がバランスのとれた形で発展していくということがやはり私は大事だろう、かように考えております。そういう意味合いにおきまして、最近の通産行政におきましては、いたずらな設備投資というものは慎んでもらいたいということで、産業資金部会におきまして各業界と話し合いまして、過剰な設備のあるところは設備投資を御遠慮願いたいということで話し合いを進めておるわけであります。幸いにして、産業界のほうもそういう自覚のもとに進んでおりますので、先ほど御質問もございましたが、本年度の設備投資というのは、昨年より極端一には減っておりませんが、やや減っております。例年でございますと、経済の伸びに応じて一割程度伸びるのが通常でございますが、むしろ減っておる、こういう状況でございます。  それから、第三点の、今後経済がやはり合理化していく、大規模化していく、あるいは近代化してきた場合には、中高年齢層が外に吐き出されるのではなかろうかという御指摘でございますが、御承知のように、日本の産業構造というものが世界の状況においてだんだん変わってまいっております。率直に申し上げますと、低開発国との関係を考えますと、やはり日本はどうしても重工業化という方向に進んでおります。そういう面で、やはり設備の大規模化とか近代化という面が進んで二はおりますが、反面、やはり日本の産業構造といたしましては、繊維とか、あるいは雑貨というものの輸出といいますか、そういうものは、またくふうをすれば相当伸びる産業でございます。したがいまして、すべての産業構造がそういうように機械化されて、とにかく技術のない人とか、あるいは年を少しとった人は全部職場から追い出されるという産業構造にはならないと思います。私どもといたしましても、雑貨工業なり繊維工業というものはいま相当苦吟はいたしておりますが、これはやはりりっぱに日本の輸出産業として育てたいという念願は持っておるわけでございます。私は、産業構造が変わります過程において、やはり老後の移動というものは起きてまいろうかと思いますが、施策のよろしきを得れば、さらに先ほどお話ございましたように、労働省あたりのこういう案に盛られておりますような対策と通産省の対策がマッチしていきますならば、私は必ずしも先生のおっしゃいましたような御懸念はない、また、そういう御懸念のないようにすることがわれわれの役目である、かような感じを持っておるわけであります。
  88. 森勝治

    ○森勝治君 婦人局長お見えですから、ちょっとお伺いしてみたいと思うのですが、御承知のように、当委員会雇用対策法のいま審議を続行中であります。この法案の趣旨とするところは、働く人々に安心して働ける場を与えよう、こういう趣旨でつくられたというふうに大臣は説明をされておるわけでありますけれども、最近各職場におきますと、女子労働者の働く場というものが漸次狭められてきたやにわれわれ承るわけであります。たとえば地方公共諸団体におきましては、有夫の女子は三十歳に到達しますと退職、こういう動きは顕著であります。先ほど藤田先生も言及されました五十五歳説というものもこの地方公共団体の中で論議がかわされている現実の姿をわれわれは見のがすわけにはまいりません。戦後、男女平等ということで、せっかく女子が男子に伍して対等の場において産業の第一線に立って、そして文化の向上や生活の安定のためにせっかく御婦人が御奮闘されているにもかかわらず、職場が、いま中高年層の締め出しと同様に、婦人をこれら働く場から締め出そうという動きが全国的に顕著であります。したがって、私はこういう考え方に反対をいたしますがゆえに婦人局長質問をするわけでありますが、一体このように全国的に起こってきたこの現象というものを婦人局長としてはどう受けとめ、どう対処されるおつもりなのか、ひとつお伺いしたい。
  89. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 婦人が職場から締め出されているのではないか、そのような御指摘でございましたが、まず、数字の上で見ますと、女子の労働者の数は逐年増加を続けておりますことは御存じのことであるかと思います。で、ここ数年はいわゆる不況の延長もございまして、やや増加率が停滞いたしたようでございますが、全体を通じますと、過去十年間に婦人の労働者の数は二倍にのぼっておりまして、その増加率は、そのような統計の上からいいますと、たいへんにめざましいものと言えるようであります。また、この婦人労働者の絶対数の増加に伴いまして、先生の御指摘の有夫の婦人労働者というものも増加を示しているわけでございます。全体としては増加を示しておりまして、最近では女子労働者の中の三分の一が結婚をしている婦人である、このような統計が示されているわけでございまして、これもまたきわめて早い速度でもって増加を示しているわけでございます。このように、全体としてながめますときには、女子の雇用機会というものは増大をしているようでございますし、また、その中で有夫の女子というものは特にふえているようでございます。あるいは、また、中高年の婦人というものも全体の中で占める割合がふえておりまして、最近では女子労働者の三分の一が三十歳以上というようになっております。でございますから、全体といたしましては、女子労働者は絶対量においてふえ、また、年齢構成が高くなり、さらに有夫の方がふえていらっしゃる、このような傾向にあるわけでございます。御指摘のように、むしろこのような傾向に対する一つの摩擦状態といたしまして、女子の若年定年であるとか、結婚退職の勧奨というようなことが出てまいっているように見受けられます。すなわち、従前は、女子は若年の間、また、未婚の者だけが働くというような社会通念がございましたために、最近のように女子が長く働き、また、結婚後も働くという形に対しての社会的な一つの抵抗、摩擦というようなものが、ともすれば若年定年制、あるいは結婚退職というようなものを誘発しているかに見られるのでございますが、いずれにしましても、そのように女子を一定年齢で退職させる、あるいは結婚したからといって退職させるということは、これは男女の機会均等という観点から、はなはだ好ましくないことでございますので、私どもといたしましては、従来からそのようなことに対しては、これをこのような事態の発生しませんように啓蒙活動を行ないますとともに、万一発生いたしましたようなときには、との企業に対しまして説得をいたしまして、そのような措置を撤回させるようにと努力をしているわけでございます。ただ、御指摘の地方公共団体につきましては、これは民間企業と異なりまして、自治省の御所管でもございますので、私どもとしては自治省のほうにそのようにお願いをする、このような手だてをとってまいっております。
  90. 森勝治

    ○森勝治君 その後段の問題ですが、自治省などと連絡をとるのもけっこうでありますけれども、いやしくも労働行政にかけては労働省が本家本元、最高の責任の省でありますので、そういう最高の責任をつかさどる労働省として、現実に市町村においてそういう問題が公的の場で議論されておる現実は御承知のはずであります。それを自治省に相談してとか言っておったらもう条例が出てしまう、これでは私はならぬと思うのであります。したがって、そういう立場から、当然これは国家公務員、地方公務員、民間産業労働者を問わず、婦人の立場を守るという、こういう立場から、当然その動きは排除していかなければならぬと思うのであります。局長御承知のように、戦後二十年、今日のようにわが国産業が興隆したその中には、女性が果たした役割りは牢固としてもう評価されておるわけでありまするから、当然これはそういうものについては、やっぱりいま女性に対して門戸を閉ざそうとする産業の分野、官公庁の揚におけるそういう女性の立場を今度は守る姿勢立場に立たされているようにわれわれは確信いたします。したがって、きまってからではおそいのでありまするから、現実はだんだん市町村会のそういう役員の会議の集まりではちゃんと動きがあるということも知っておられるでしょう。各県には婦人少年室が現存しておるわけでありますから、情報収集、指導をおやりですから、当然情報として入っているから、間髪を入れず御指導なされなければ、せっかく獲得した女性の立場がややもすれば危うくならんとする傾向が見えるのでありまするから、この席上でそういう動きは断固封殺するという御約束をひとつ願いたい。
  91. 高橋展子

    政府委員(高橋展子君) 女子を結婚等の理由でいわゆる締め出すというようなやり方につきましては、これはもちろん民間に限りませず、地方公共団体におきましても好ましくないことは当然でございますので、私どもも姿勢としてはいささかも変わるものではないわけでございます。それでございますから、自治省に対しましてこのような事態が起きないようにということの申し入ればいたしております。ただ、具体的な地方公務員の任用、服務等につきましては自治省の御権限ということになりますので、私どもとしてはそれをお願いするという立場になっております。  また、お話にございました地方婦人少年室でございますが、地方でそのような問題が起きておりますときには、そして、また、地方段階で解決が進められておりますようなときには、婦人少年室がいろいろと御協力してやっているようでございますし、また、そのような地方レベルにおける努力で事態が解決した例も報ぜられているわけでございます。
  92. 森勝治

    ○森勝治君 きょうはまあほかの問題が中心でありまするから、これ以上私は申し上げませんが、どうかひとつ女性の職場が狭くならないように最善の御努力をお願いしたい。  次に進みます。あと基本的な問題を二、三点、大臣恐縮でありますが、お伺いして、あと逐条の質問に入りたいと思うのであります。  先ほど藤田委員が御質問したように私は思うのでありますが、これは雇用対策法案ということでありまするが、どうも当初労働省で起草いたしましたのは雇用基本法ではなかろうかと思うのであります、私の推察では。それがこのように形を変えて、悪いことばをもってしまするならば、当面を糊塗する法案のような気がしてならぬわけであります。しかし、こういう問題につきましては、すでに全国知事会でも反対の意向を表明されたやに聞いておるわけでありまするが、一体そういう市町村、自治体の公的な会合において、どういう立場で反対され、この点についてどういう点がだめだというのか、ひとつおわかりでしたらお聞かせ願いたい。
  93. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 労働省としては、最初雇用基本法ということで考えておったのではないかと、こういうお尋ねでございますが、最初こういった法案を出すについて、全体として、法案の名称としてどういうことがいいであろうかというようなことで、いろいろな案が出たことは事実でございます。しかし、別段労働省として、基本法と、こういうことで出そう、こうきめたことは実はないのであります。新聞等に雇用基本法といったような名称で報道されたことも多少ございましたが、そういうことを労働省自体がきめたということは実はないのでございます。いろいろ検討いたしました結果、やはり今回のように雇用対策法ということが、法案の内容からいたしまして最もふさわしいのではなかろうか、こういうことで雇用対策法ということに最終的に決定をいたしたようなわけでございます。  それから、知事会のほうの関係でございますが、知事会からも実は積極的に反対と、こういう意向ではなかったのでございまして、ただ、何と申しましても、雇用対策をやると、こういうことになりますと、地方自治体との関係も、これは特に都道府県の段階についていろいろ関連がございますので、知事さんのほうの意向も十分聞いてくれ、こういうお話がございましたので、この法案におきましてもそれを取り入れまして、雇用対策基本計画をつくるにあたりましては、知事さん側の意見も聴取するということを法文上も明らかにいたしたわけでございまして、このでき上がった法案に対しましては、別段知事会から反対といったような意見は聞いておりません。
  94. 森勝治

    ○森勝治君 先ほども若干触れましたが、この法案の内容を見ますと、何も事新たに雇用対策法などというものを提案せずとも、職業安定法職業訓練法等と、雇用の各種法規によってこの種のものは実施できるのではないかと私は思うのだが、その点はどうですか。
  95. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) さきにも申しましたが、この法案の中に職業安定の関係やら、あるいは職業訓練関係やらうたいましたが、このことは、やはり雇用対策というものを総合的に系統的に行ないますためには、職業安定業務、あるいは訓練というもの、これに対する国の責任というものをやはりこの際明確にし、これを積極的に規定するということが、やはり法の体系上から申しましても適当である、こういう観点から、ここにこれらの点も触れて規定をいたしたような次第でございます。
  96. 森勝治

    ○森勝治君 先ほど私の質問の第三点で触れたのでありますけれども、この法案の目的労働者職業の安定ということであります。そうなれば経済的、社会的地位向上のための労働条件の完備ということもこの法案の中で盛られなければ抜本的な対策にはならないだろう、私はこう思うのでありますけれども、先ほど私が申し上げましたように、この内容では、いわゆる最賃制の確立もうたってなければ、不完全雇用の解消も解消されない、いいですか、失業者の生活の保障も含まれていない。ですから、もちろん社会保障の拡充などというものには、はなはだ縁が遠いわけでありますが、当然これらの措置はこの法案の中に盛られてしかるべきだという私は考えを持つのでありますけれども。大臣はなぜこの法案の中に労働条件向上のための諸施策というものを包含しなかったか、盛り込まなかったのか、この点についてお伺いしたい。
  97. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) この法案は、法案の名称それ自体が表現しておりますように、直接的には、この雇用対策というものを通じてこの第一条に掲げておりますような目的を果たそう、こういうことでございます。したがって、賃金を初めとする労働条件関係につきましては、先生も万事御承知のとおり、労働基準法なり、あるいはさきにも申し上げました最賃法なり、そういう一連の立法によりましてそれぞれ規定をいたしておるところでございますからここに取り入れなかったわけでございますし、あるいは、また、この社会保障の問題につきましても、これもさきに御説明申し上げたとおりの事情でこの法案に取り入れなかったのであります。しかし、いずれにいたしましても、第一条で示しておりまするように、この本法の最高のねらい、目的というものは「労働者職業の安定と経済的社会的地位向上とを図る」ということが直接の目的でありまするし、それを通じて「国民経済均衡ある発展完全雇用達成とに資する」と、こういうことでございますから、私どもは、この法案にいま先生の御指摘のようなことがうたってないにいたしましても、これらのものも十分あわせ考えまして、全体として雇用の安定なり促進なり、あるいは、また、労働条件向上なり社会保障の充実なり、そういう面については十分意を配って努力をいたす、こういう決意でおるわけでございます。
  98. 森勝治

    ○森勝治君 現在、炭鉱の離職者、駐留軍関係の離職者、港湾労働者、それから失対事業に働く労働者等には特別援護措置という方法が講ぜられておるわけでありますが、この法案の意図するところは、それら特別援護措置というものを解消する意図に基づいてこの法案を出されたのか、その反対に、それらの援護措置を拡充する一助としてこの法案を用意されたのか、この点をひとつ明らかにしていただきたい。
  99. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) いま先生の御指摘のような問題のありまするその雇用関係と申しますか、労働関係につきましては、特別の援護措置をそれぞれ法律等も用意いたしましてやっておるわけでございまして、これは今度のこの雇用対策法ができると解消するのかということでございますが、決してさようなことは考えておりません。むしろ今度の法案は雇用対策というものを一般的に掲上し、これをやろうといたしておるわけでございまして、むしろいわば基礎的と申しますか、一般的な事項をここでうたっておるわけでございまして、むしろこういう一般的な考え方を基礎として、さらに従来存しました援護法につきましても、われわれとしてはこれを逐次改善充実していく、こういう方向に当然まいるべきものである、かように考えております。
  100. 森勝治

    ○森勝治君 御承知のように、連日のように物価が高騰を続けております。一般国民は、国の政治が悪いから、なかんずく、佐藤内閣の施政が悪いから物価が上がるのだと言って、盛んにわれわれのところに陳情にまいります。私ども政治に携わるものとして、国民生活の安定のために最善の努力を傾けなきゃならぬことはお互い痛感するところでありますけれども、さて、国の施策の誤れるもろもろの問題によりまして、三十六年以来不況ムードがかもし出され、経済界は混乱の極致に到達したことは御承知のとおりであります。先ほど通産省の企業局長からの説明の中で、産業界はやや愁眉を囲いた、こういう意味の発言がありましたけれども、物価高と不況ムードの中で、国民の生活はいまやまさに危殆に瀕しているといっても過言ではなかろうと思うのであります。したがいまして、この雇用対策法案なるものが実施、適用をされた暁には、こうした不況対策というものに対してどのくらいの効用を持つものであるか、全然関係がないのか、国民生活の向上にどの程度寄与することができるのか、その点についてお考えをお聞かせいただきたい。
  101. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) もちろんこの法案は直接不況対策というものをねらいといたしておるのではございません。しかしながら、不況によって労働者が、かりにその職を失うというようなことがありますならば、この本法の示すところによりまして、職業転換関係について訓練等を充実するとか、諸種の給付を新たに設けるとか、そういうことによって十分この援護をいたしていこう、こういうことでございますから、そういう施策を通じて不況から受ける労働者の被害というものを最小限度には少なくとも食いとめていく、こういう効果は私はあると思います。しかし、いま申しますとおり、これが不況対策という立場からの法案ではないことは、これはもう率直に申してそういうことでございます。
  102. 森勝治

    ○森勝治君 不況というのは、国民の責任で不況が招来されるのではなくて、政府の政治のあり方や企業者の経営の優劣によってそういう問題が生まれてくるわけであります。なかんずく、工場、事業場に働く労働者諸君を、不況の名のもとに、企業不振という名のもとにちまたにほうり出すなどということは、経営者として経営の資格、能力を全く欠くるもの私は断ぜざるを得ないのであります。この点については、この前の最賛法の質問のときに私はつぶさに申し上げたつもりでありますけれども、やはり労働者の責めに帰すべからざるそういう経営者の責任の問題について、一体労働大臣はどう対処されようとするのか、それはもう個人企業であるからわしゃ知らぬとよもや言わないだろうと思うのであります。なぜならぱ、日本の産業を興隆する大切な働く人々でありますので、この労働者の生活を守るのが労働大臣に課せられた最大の責務であろうかと私は考えますので、この点について労働者の生活をどのように守られようとするのか。もちろん労働者の生活を守るためにこの雇用対策法案なるものを出しましたと言われればそれまでですけれども、誠実な小平大臣としてはほかのことばをもってお答えくださるであろうと私は思いますので、御答弁をいただきたい。
  103. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ただいまのお話の点につきましては、たぶん前回も森先生に私は御答弁申し上げたと思うのですが、企業家のと申しますか、使用者のと申しますか、この社会的な責任というものが、私は、時代とともに非常にもう変わってきているし、また、それをぜひ企業者の各位には認識もし、また、実践にも移してもらわなければならない、こういう考えを持っておるのであります。したがいまして、不況のこの切り抜け策として、その是正をもっぱら労働者に求めるというような安易な態度というものは、これはぜひ払拭をしてもらいたいということをあらゆる機会に申しておるのであります。また、新聞紙上等によってすでに御承知いただいておるかと思いますが、私は、特にそういう面につきましては、直接この産業の所管省である通産省と、われわれ労働省とが行ないますこの行政というものが従来以上に密接な関係を持っていかなければならない、特に働く者の立場というものを産業政策の上からも十分これは重視してもらわなければならない、こういう見地からいたしまして、先般労働省と通産省の幹部によりまして第一回の会合も持ってもらいまして、労働省はかく考えておるということを十分通産省にも伝え、通産省も労働省の意のあるところを十分理解くださった。このことは、単に事務当局だけではなく、実は三木大臣とも数次にわたって話しておるのでありまして、三木大臣も非常な理解を持って対処をしてくださるということをじかじか私は伺っておりますので、今後労働行政というものと通産行政というものが、従来以上に、相携えて労働者立場というものを十分尊重した方向において通産行政も進められるものと期待いたしております。今後も引き続いてこういうことをやっていくつもりでおります。
  104. 森勝治

    ○森勝治君 大臣は、先ほどの本件の提案理由説明にあたりまして、雇用審議会の御意見を全面的に取り入れ本案を提案いたしましたという御説明をいただいたわけでありますが、そこで、私は大臣にお伺いしたいのは、昭和三十四年に雇用審議会答申第二号として出しました完全雇用答申というものは、この中でどのように全面的に実施されようとなされておるのか、この点が第一点。  第二点は、昨年の十二月に、同じく審議会答申第七号をもっていたしましたもろもろの事項の中で、大臣は全面的に取り入れられたとおっしゃっておるけれども、たとえば児童手当の検討、高齢層の社会保障の問題、家内労働対策の問題、さらに社会保障適用の問題、こういう問題は、いずれも答申案の内容に盛られた重要な中身ではなかろうかと私は思うのでありますが、おそらく大臣の大幅という、全面的ということばとは、ちょっとなじみが薄いような内容のような気がしてなりません。それならば全面的ではなくして、ごく小部分に限り取り入れたというならば、私も大臣の答弁を了とする、衷情を了とするところでありますけれども、全面的に取り入れられたと言って、扇であおいで涼しい顔をされたのでは、全国の働く労働者はたまったものではない。したがって、この点でも率直にお答えをいただきたい。
  105. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 提案理由説明の中で、雇用対策審議会答申を全面的に取り入れた、かく申し上げましたのは、直接には昨年いただきました第八号答申のことを実はさしたのでございます。この点につきましては、この法案自体は、もともとこの八号答申を基礎にしてつくったのでありますが、さらに法案の形ができましてから、その大綱につきまして雇用審議会に再度おはかりをいたして、御同意を得て、また、その御注意を尊重して最終的な決定をいたした、こういうことでございます。  また、御指摘の児童手当関係等につきましても、私どもといたしましては、これがなるべくすみやかに実施されることを厚生省当局にも実はお願いをいたしておるのであります。従来、言うまでもなく、わが国の賃金制度として家族手当といったようなものもございますが、これは本来、何と申しますか、生活補助的な性格を帯びているものではないかと私は思います。本来の償金というものではないのじゃないかという実は私も気がいたしております。そういう考え方からいたしましても、すみやかに児童手当というようなものを、これは厚生省の関係において実施してもらうことが望ましい、私はかよう考えているわけであります。その他老齢者の関係等につきましても、たとえば福祉年金等も十分今後拡充をしていただきたいし、また、家内労働者関係は、これは労働省の所管でございますが、これは先般御審議を願いまして、労働特に審議会を設置して、法的措置を含んで、今後これに対する施策を拡充いたす、こういう方針で臨んでいるわけでございます。なお、社会保障一般のことにつきましては、先ほど来由したとおりでございます。  なお、雇用審議会答申との関係につきましては、詳しくは局長から御説明申し上げます。
  106. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘の雇用審議会答申は、最初三十四年に完全雇用答申、いわゆる第二号答申が出まして、それから昨年の暮れに七号答申が出ました。これが審議会答申でございますが、この二つの答申の中で、直接的には昨年の暮れに出ました七号答申を受けて、この趣旨をこの法案の中に盛り込んだわけでございます。その際に、この七号答申を受けて法案を作成したのでございますが、この考え方について、さらに審議会に諮問をいたしまして、その答えが八号答申になって出てきたわけでございます。したがいまして、八号答申を全面的に尊重するということは、この七号答申の不備な点を八号答申を尊重するこによって修正した、こういうことに相なるわけでございまして、最初に御指摘がありましたように、完全雇用答申の第二号答申も、この法案の考え方といたしましては、等申を尊重して作成いたしたのでございますが、その詳細については、具体的にいろいろな個所で二号答申を尊重いたしておりますので、また御指摘がございましたら各論的に御説明申し上げたいと思いますが、二号答申をできるだけ尊重しているという点においては御理解をいただきたいと思います。
  107. 森勝治

    ○森勝治君 できるだけということは見解の相違で、一つでもできなければみなだめなんですから、そういうのではお答えとして私はいただけない。しかし、時間の関係もありますので、いずれ逐条審議のところで十分御説明くださるというお話でございますので、御期待をいたしておりますので、よろしく。  そこで、次に移りますが、先般、ILO条約二十六号について私は質問したのでありますが、きょうは同じくILO条約の百二十二号との関連について質問を申したいと思うのであります。  これは、すでに四十八国会に報告書として国会に出されているわけでありますが、その中でこういうことが述べられているわけであります。第百二十二号条約の趣旨は、おおむね妥当と認めますけれども、わが国の実情を勘案いたしますと、なお検討を加えていきたい、こういうふうに述べているわけであります。こういたしますと、今度はわが国雇用雇用法制ではこの条約が批准できない、こういうふうに理解をせざるを得ないのであります。そうなるとするならば、わが国の法制のいかなる部分が抵触し、批准できないのか、この点についてのお答えをいただきたい。どういうところが不十分だと判断されておられるのか、ひとつそのことについてお答え願いたいと同時に、そうなれば、今度は雇用対策法案というものをお出しになったのですから、そういう不十分とされているところは当然補足されてしかるべきだと私は考えます。したがって、そういう点を補足さておられるのかどうか。  さらに、もう一点は、この雇対法案なるものが成立するならば、私がいまことあげいたしましたILO第百二十二号というものは批准されるものなのかどうか、また批准をしようとされる御意思がおありなのかどうなのか、この点をお伺いしたい。
  108. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 委員長お願いするのは恐縮なんですが、済みませんが、速記をとめて  いただきたい。
  109. 藤田藤太郎

    ○理事(藤田藤太郎君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  110. 藤田藤太郎

    ○理事(藤田藤太郎君) 速記をつけて。
  111. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 御指摘の百二十二号条約は、雇用政策に関する条約でございますが、この批准をどうするかという御質問のようでございますけれども、この条約は、御承知のように、三十九年の七月九日に採択になりまして、その後まだ日がたっておりませんが、解釈の点で明確でない部分がございます。特に完全雇用を直接実現するために必要な経済政策等を含むかなり広範なもののように読めますが、これがどの程度まで含まれるのかというような点がまだはっきりいたしておりません。もちろんいま提出しておりまする雇用対策法については、この百二十二号条約の趣旨に合致しておるというふうに私ども考えておりまするが、先ほど申しましたような内容の点で解釈の範囲がどの程度まで広がるのかというような点が明確でないので、いま直ちに批准をするということは多少困難があるわけでございます。その点の解明をいたしました上で批准に努力いたしたいと思います。  なお、批准をしておる国は四カ国でございまして、スエーデン、ニュージーランド、コスタリカ、チュニジア、この四カ国でございます。
  112. 森勝治

    ○森勝治君 あと二点お答えが残っておりますので、ひとつ懇切丁寧に迅速にお答えいただきたい。もう一回言いましょうか。では速記をとめてください。
  113. 藤田藤太郎

    ○理事(藤田藤太郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  114. 藤田藤太郎

    ○理事(藤田藤太郎君) 速記を起こして。
  115. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) いまあわせてお答えしたつもりですけれども、第一点は、雇対法の関係におきましては、この百二十二号条約の趣旨に完全に合致しておると思います。したがって、この観点からだけであれば批准しても差しつかえないと思いまするが、御指摘の条約は経済政策一般を含んでおるように理解されますので、これらの点がどういうふうに解釈されるのかという点を明確にした上でなければ批准の可否を考えるわけにはいかない、こういうことを申し上げたわけでございますが、雇対法の点については完全に合致しておる。
  116. 森勝治

    ○森勝治君 批准する意思はあるのですか。
  117. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ILOの百二十二号条約と雇対法の関係については、ただいま局長から申し上げたとおりでありますが、なお、この百二十二号条約の解釈上、経済政策全般等までも含むんだということになりますと、なかなか直ちに批准というわけにはまいらぬと思いますので、私どもでその辺のところをよく検討、研究をいたしまして、差しつかえないんだということならば、これは私は批准をできるだけ早くしたほうがいいと思います。しかし、いずれにいたしましても、まず研究してみることが前提でございまして、その上で何ぶんの処置をいたしたい、かように思います。
  118. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 ただいまいろいろ質疑を聞いておりまして、まだまだいろいろ問題点が残されていると思うわけであります。私自身も少し質問をしたいというので準備いたしております。これは時間もございませんので、きょうはあとに譲りまして、きょうはいまのことにちょっと関連をして、特に私はいまいろいろ質疑の中にあった一つの問題、特に雇対法が実施されるにあたっては、十分にもっと基本的なものを処理しなければならないという質疑があったわけでありますが、そこの中でも、私は特に関連の深い失対事業に携わっている人たち、このような方面の人たちに対する外ワクの十分な措置がとられずしてこの法律が行なわれることは、この失対に従事している人たちに大きなしわ寄せになり、失対に従事している人たちの非常な不安感をさそっているだろうと、こういうふうに思うのでありますが、特に私はこういうような意味で一、二質問してみたいと思うわけであります。特にいまこの失対の打ち切り以来、比較的いろいろ失対の人たちに対する失対事業への就労に対してのいろいろワクがせばめられつつあるというのが実態のようでありますが、特に私は、この就労を希望する人たちにはもっと就労せしめるような方法をとらなければならない。また、特にこの緊急失対法によっては、中高年齢失業者に対してその措置を立て、しかも、それでもまだ就業ができないという人にはもっと就業させなければならない、こういうようなことがたくさんあるのでありますが、それも非常に行なわれていない。しかも、ここで中高年齢層の失業者に対してのいろいろな誘導があって、特にいろいろ問題点があるのにかかわらず、これが打ち切りということになるのは非常な影響を及ぼすのではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。特にいろいろな問題を、小さいのではありますけれども、いろいろな問題点がありますので、ここで一、二出しまして、そしてこれについての心がまえ、あるいは、また、いろいろな処置をひとつ出していただきたいと思うわけであります。非常に就職が困難なような地域におきましては、その中高年の措置を受けてもまだ就労ができないのでありますが、そういう措置を受けなくても就労ができるという規則があるにもかかわらず、いま行なわれていないのがたくさんある。たとえば筑豊あたりでも失業者がたくさんだまっているところでその処置が行なわれていないというので、非常に不安感を持っているわけであります。あるいは、また、失業対策の一種として、高齢な失業者事業に就業するときに、その中高年の措置関係なくして失業者の就労を認める方向になっているのにかかわらず、非常に手続を踏んでもなおまだ認められてない例がある。あるいは、また、賃金の問題につきましても、非常に賃金が安くて、たとえば夏期手当あたりでも九日分で五千六百六十三円、あるいは、また、賃金におきましても月に二十二日のあれで見ますと、一万三千八百円余りの金になっておる。こういうようなことで、非常に生活費も低いので、こういうような者に対しての根本的な引き上げも一ぺん考えた上でいろんなことが考えられていくべきではなかろうか、こういうような点も非常に要望があるわけであります。あるいは、また、この炭鉱離職者あたりでも、非常に手帳なんかの措置がとられておるのでありますが、直ちに就労を認めるべきであるのに、それを認められてない、あるいは、また、この人たちが非常にみじめな状態に置かれておる、こういうようなことも実際においてあるわけであります。あるいは、また、この中高年の失業者に対しての就職促進措置なんかがとられて、低額ではありますけれども、与えられておるわけでありますが、これが生活保護を受けている人たちには差っ引かれているような現状がある。こういうように、失業者、あるいは、また、この失対従事者に対しては、いまのところ非常に手が差し伸べられていないわけであります。いまあげたのは二、三の例でありますが、いまこういうような状態のままでこうした法律が適用され、しかも、そのしわ寄せがこういう人たちのところに大きくくるということが非常に不満を持たれておる根本ではなかろうかと私は思うわけでありますが、こういうふうなことに対して、ひとつ相当の大幅な考慮を払ってこの雇対法に対して臨まれるべきではなかろうかと思うのでありますが、そういう点についてひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
  119. 有馬元治

    政府委員(有馬元治君) 大橋先生御指摘の失対事業の問題、あるいは石炭離職者の対策の問題、いろいろ周辺の問題があるいは前提になるような問題がございます。私どもこの雇用対策法ですべて解決するとは思っておりませんので、御指摘のような具体的な問題については、それぞれの法律を背景に、予算措置その他によってできるだけ問題を解決してまいりたい。現に失対就労者の組合からは相当膨大な項目にわたる要望書が出ております。私どもも従来からこれらの要求については誠意を持って検討を続けておりますが、なお引き続いて検討を続けて、できるだけ早い機会にいい結論が出るように努力をしてみたいと思います。
  120. 大橋和孝

    ○大橋和孝君 関連でありますので、あまりくどく申しませんし、まだたくさん私資料を持っているわけでありますが、これはまた次の機会にこれらの資料を当てはめていろいろ私は質問させていただきたいと思っております。特にいま私申し上げておきたいことは、こういうような非常にボーダーそう言ってはあれですが、非常に苦しい生活に追い込まれておられる人たちに対しての手厚い措置をせずして、そして非常に法律そのものがこの労働人口を自由に調整し、あるいは、また、流通さしていくという形で非常に不安感を増すということは非常にまずいことだと思います。特に最賃の問題、先ほど森委員からも指摘がありましたように、いろいろな問題があります。これについても、私も今後いろいろと質疑の中でただしたいと思います。きょうはこの問題だけに触れておきますけれども、特に私はここに考えてもらいたいことは、そういうふうな方に対しての特に厚い配慮をしながらこの法を運用していくということが必要であろうと思うわけでありますので、特にその点を強調して私は関連質問を終わります。
  121. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) 先生の御意見はよく拝聴いたしました。ただ、私どもといたしましては、この雇用対策法案が成立をいたしますならば、雇用対策のいわば国の全体の政策の中における位置づけと申しますか、そういうもの自体が私は従来にも増してずっと重要度を加えてくる、こういう姿に少なくとも私はしなければいけませんし、また、なると、かように確信をいたしているのであります。そういうことを背景にいたしまして、いま御指摘のようなもろもろの問題についても、これが内容充実等も一そう少なくとも推進されやすくなると、私はさように信じておるわけであります。
  122. 森勝治

    ○森勝治君 もう時間がだいぶ経過いたしましたので、逐条質問をしたい。条文の内容に入りたいと思いましたが、時間の関係上、きょうはこれから一点だけ全体的な質問をいたしまして、お許し願えますならば、後白あらためて第一条から質問に入りたいと思うのであります。  そこで、先ほどの続きをお伺いしたいのですが、まあ日本の国情に照らしてもう少し検討して、批准が適当と思えば批准をいたしますと、どうも気に食わないと思えばのらりくらり延ばします、こういうふうに受け取れるような御答弁と私は考えたのでありますが、そういうことは想定でありますので、そこまでは断定いたしません。ただ、私は、大臣の答弁や局長の答弁の中で、どうも一体労働大臣や担当局長はILO条約というものをどうお考えなさっておられるのか、勧告の内容についてどういうふうに理解をされておるのか、お伺いをしてみたいと思うのであります。たとえば賃金の場合には、労使対等の立場において賃金を決定しなさい、こういうふうにこれはなっておることは、日本の労働法をひもとくまでもございません。ところが、いま労働省が最賃制と称するものは、われわれは、これを先般来、明らかに業者間協定というふうに悪口を言うておるわけでありますけれども、これは労働者側の発言というものを何らこの中で取り上げられない、文字どおり、一方的な使う者の立場で賃金をきめてしまう。私は、こういう点に日本の労働者に対する政府や資本家の思想的な背景というものを見のがすわけにはまいりません。この点については先般も言及したところでありまするから、きょうは多くを語りませんけれども、ひとつILO条約の勧告について、一体所管大臣として、また、担当局長として、尊重されるということは当然いただけるだろうとは思うけれども、そういう抽象的なものでなくして、積極的にどうおやりになるのか、けとばしてしまわれるのか、その辺のことをひとつ十分御答弁をいただきたい。
  123. 小平久雄

    国務大臣小平久雄君) ILOにはわが国が参加し、しかも、理事国にもなっておる、こういう関係もございまするし、かりにそういうことがなくてもでございましょうが、とにかくこれが国際的な労働条件等に関するいわば基準を示しておる、こういうことでございますから、もちろん私どもといたしましては、なるべく多数の条約をも批准いたしまして、わが国の労働事情、労働条件、こういうものがやはり国際水準に一日も早く及ぶということが一番私は望ましいことである、かように原則的にもちろん考えておるのでございます。ただ、この間、わが国にはわが国としてのやはり長年にわたるいろいろなしきたりと申しますか、因習もございまして、あるいは、また、一面においては、条約そのものの解釈等についても必ずしも明確でないという面もある、こういったいろいろな事情からして、すべてを直ちに批准するということにもいかない、こういう事情にあることは先生すでに御承知のとおりでございます。しかし、いずれにいたしましても、原則としては、冒頭申し上げましたとおりの心がまえで今後もいろいろの面で努力を払ってまいりたい、かように考えております。
  124. 藤田藤太郎

    ○理事(藤田藤太郎君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。  次回の委員会につきましては委員長に御一任願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。  それでは、本日はこれにて散会いたします。    午後五時五十二分散会      ―――――・―――――