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1966-06-13 第51回国会 参議院 災害対策特別委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月十三日(月曜日)    午前十一時開会     —————————————    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      高山 恒雄君     中沢伊登子君  六月四日     辞任         補欠選任      中沢伊登子君     瓜生  清君  六月六日     辞任         補欠選任      米田 正文君     小山邦太郎君  六月九日     辞任         補欠選任      瓜生  清君     高山 恒雄君  六月十日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     米田 正文君      黒柳  明君     浅井  亨君  六月十三日     辞任         補欠選任      羽生 三七君     瀬谷 英行君      林  虎雄君     森  勝治君      吉田忠三郎君     伊藤 顕道君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         成瀬 幡治君     理 事                 稲浦 鹿藏君                 永岡 光治君     委 員                 大森 久司君                 近藤英一郎君                 斎藤  昇君                 山内 一郎君                 米田 正文君                 伊藤 顕道君                 瀬谷 英行君    政府委員        農林政務次官   後藤 義隆君    事務局側        常任委員会専門        員        宮出 秀雄君    説明員        国税庁所得税課        長        林  大造君        農林大臣官房参        事官       来正 秀雄君        気象庁予報部長  今里  能君        自治省財政局財        政課長     佐々木喜久治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (昭和四十一年六月の降ひょうによる農作物等  の被害対策に関する件)     —————————————
  2. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  六月一日、高山恒雄君が委員辞任され、その補欠として中沢伊登子君が選任されました。  六月四日、中沢伊登君が委員辞任され、その補欠として瓜生清君が選任されました。  六月六日、米田正文君が委員辞任され、その補欠として小山邦太郎君が選任されました。  六月九日、瓜生清君が委員辞任され、その補欠として高山恒雄君が選任されました。  六月十日、小山邦太郎君、黒柳明君が委員辞任され、その補欠として、米田正文君、浅井亨君が選任されました。  また本日、吉田忠三郎君、林虎雄君、羽生三七君が委員辞任され、その補欠として伊藤顕道君、森勝治君、瀬谷英行君が選任されました。     —————————————
  3. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) それでは、災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  本日は降ひょうによる農作物等被害並びに麦の病害対策に関する件について調査を進めます。  初めに本件に関する被害状況について、政府当局より説明を求めます。まず気象概況について、気象庁からお願いいたします。
  4. 今里能

    説明員今里能君) 六月六日、七日の雷雨降ひょう時の気象概況を御説明申し上げます。  お手元青焼きのプリントがお配りしてあるかと存じますが、それをごらんいただきまして、それに基づきながら説明をいたしたいと思います。  一枚めくりまして、二ページでございますが、ことしの六月六日午前三時、日本海南部前線を伴った低気圧、千七ミリバールがあらわれまして、日本海沿岸に沿って、弱まりながら毎時三十五キロの速度で北東方向に進行いたしました。低気圧中心から南西方向寒冷前線が伸びておりまして、山陰、四国西部九州中部をゆっくりこの寒冷前線は東進いたしました。前線の通過の際、鳥取島根両県の一部に雷雨が発生したのでございます。  六日の十五時、中部地方山岳地方に、熱によりまして低気圧が発生いたしまして、前記寒冷前線と接触いたしました。そのために、岐阜県に強い雷雨が発生いたしまして降ひょうがございました。  同じころ、低気圧中心から北東方に伸びる温暖前線が通過いたしましたために、青森県の一部で、六日の午後雷が発生いたしまして、降ひょうがございました。翌七日十五時、低気圧北海道中央部に達しまして、これから伸びますところ寒冷前線太平洋岸に沿って南西方向に、本州に沿いまして伸びまして、関東中部紀伊半島を経まして九州に達しております。七日の午後、関東地方西部山岳地方に熱的な低気圧が再び発生いたしまして、前記寒冷前線と一緒になり、その進路に当たりましたところ群馬埼玉東京千葉栃木茨城の各都県に強い雷雨が発生いたしました。そのために相当降ひょうがございました。七日の二十三時過ぎに、寒冷前線と低気圧太平洋方面に去りましたので、この気象状況は一応解消いたしました。  それから二枚めくっていただきますと、そこに簡単な天気図が書いてございます。五ページでございます。ごらんのように、この天気図は七日の二十一時、ちょうど東京都におきまして盛んな雷雨降ひょうがありましたときの模様でございます。北海道根室付近中心を持ちますところの低気圧から寒冷前線南西方向に伸びまして、関東地方から東海地方紀伊半島まで伸びている状況がごらんいただけるかと思います。  次のページをごらんいただきますと、六ページでございますが、これは前線移動模様を示した図でございますが、日本海南部に六日の三時に低気圧中心がございまして、それから南西方寒冷前線が伸びて北東方向温暖前線が伸びております。低気圧は六日の十五時には青森県の西方の日本海海上に達し、さらに七日十五時には北海道中央部に達しておりますが、それから南西方に伸びましたところ寒冷前線は、低気圧中心移動いたしましたにもかかわらず、大体本州に沿いまして北東から南西に伸びておりまして、寒冷前線移動はあまり顕著でございませんでした。  次のページに、大体の降雨域、激しかった降雨域降ひょう域を示してございます。これは六日の九時から七日の九時までの状況でございまして、この図によりますと、岐阜県と青森県に降ひょうがございましたけれども鳥取島根両県におきましては降水だけ、雨が降りましただけで、ひょうは降っておりません。  それから次のページをごらんいただきますと、六月七日の九時から翌八日の九時までの主として関東地方における降水状況が示されております。降水量といたしましてはたいしたことはなかったのでございますけれども、猛烈な上昇気流によりまして、次の九ページに書いてございますように、関東各地すなわち群馬栃木茨城埼玉東京都県に、大きな鶏卵大すなわち三センチ以上の直径を持ったひょう、それから小さいのは一センチ以下のそういう降ひょうをもたらしたのでございます。なお、この図でお断わりしておきたいと思いますのは、この範囲は必ずしも正確でございませんで、ただこの地区を中心としたところ降ひょうがあったという概念をいただくために、この楕円形のような図を入れてあるわけでございます。  以上が気象状況概況でございます。なお、もう一枚めくっていただきますと、十一ページに当時の雲の状況をエッサ2号から写しました写真のスケッチを載せてございます。これによりまして、広範囲前線の両側に厚い雲におおわれた区域があることが明瞭でございます。  以上が大体六日、七日に起こりました雷雨降ひょうによります概況でございますけれども、これらの雷雨降ひょう日本海南部から北東進いたしました低気圧及びそれに付随いたしますところ前線によってもたらされたものと見ることができます。以上でございます。
  5. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 次に、農作物等被害状況ついて農林省からお願いいたします。
  6. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) それでは降ひょう被害につきまして農作物被害につきまして御報告申し上げます。  いまお話がございましたように、六日、七日の両日にわたりまして降ひょうがございましたが、お手元に差し上げてございます表を見ていただきますと、右のほうの備考欄に日が書いてございますが、七日のほうを先に書いてございまして、このほうが被害としては大きくなっております。これは関東地域主体といたしまして、埼玉茨城群馬栃木千葉東京、この地域降ひょうに見舞われまして、麦、野菜、果樹、たばこ、その他の工芸作物被害を受けまして、七日の分が四十九億になっておりまして、大体五十億程度被害、それから六日のほうは青森鳥取、それから岐阜となっておりまして、青森の場合はリンゴ、鳥取の場合はナシの被害が多うございますが、この小計が二億を少し上回っておるという数字になっております。合計いたしまして五十一億七千五百万円が県の報告としてまいっております。ただいま農林省といたしまして、統計調査部のほうで調査を実施いたしております。御報告申し上げます。
  7. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 麦のほうはどうしますか。
  8. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 続いて麦のほうを御報告させていただきます。  麦につきましては、九州地域黒さび病が発生いたしまして、これは大体九州のほうは五月下旬が収穫期になっておりますが、その直前より被害をこうむりまして、北九州主体となりまして九州全域被害を受けまして、大体県の報告といたしまして六十三億という被害になっております。そのうち小麦が四十六億くらいで、大部分小麦ということになっておりますが、これにつきましても現在農林省統計調査部のほうで被害調査をいたしておる次第でございます。
  9. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 以上で説明を終わります。  この際、政府側出席方々を御紹介しておきます。農林省から後藤政務次官、来正参事官、安尾農政局植物防疫課長中川園芸局経済課長千野園芸局園芸課長気象庁から今里予報部長国税庁から林所得税課長自治省から佐々木財政課長、以上の方が出席しております。  それでは、ただいまの報告について、御質問のおありの方々は、順次御発言を願います。
  10. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 ただいま降雹関係災害被害状況について、農林省のほうに集まっている被害状況を聞いたわけですが、実は私、群馬なんですけれども被害状況実態を、被害がありました翌々日見てまいりまして、まあぼう然自失ということばもございますが、農民方々の表情、それから現況をつぶさに見てまいりまして、この際どうしても国でできる処置について要望したいということを幾つか私聞いてまいりましたので、その点について、政務次官にひとつ承りたいと思うのでありますが、麦の問題それから蔬菜の問題、その点について現状を見てまいりましたですが、ほとんども収穫皆無というような麦の被害状況でございます。それから特に麦については、これは共済対象になるのでありますけれども、結局半年もかかって大事に育ててきて、いざ収穫直前収穫皆無になるような大きな被害を受けて、農民の打撃は非常に大きいものがあるわけでございます。そこで、どうしてもこの際、生活の資金、それから再建するためには、どうしてもそれに対するところの国の処置が必要だ、そういう点から考えると、天災融資法発動をぜひお願いしたいということが第一点でございますが、これに対して農林省はどう考えておられるか。この点について第一点にお伺いいたしたいと思います。  それから第二点でございますが、結局麦をつくっているところでは、習慣からいって食糧関係でどうしても一日一回はめん類を食べるという慣習が、われわれのほうの県ではあるわけであります。ところが麦はとれない。そういうことになると、結局食糧関係にも影響してまいりますし、できれば政府が持っておる配給するような価格で安い麦を配給してもらえないか、こういう点について強い要望があったわけでございますが、それに対してどうお考えになっておるか。それが第二点。  それから被害を受けた町村が結局部落によっては全滅町村によっても大部分の大きな被害を受けている農村地帯だけに、市町村財政事情に非常に大きく影響してくるわけでございます。そういう点から特に大蔵省関係自治省で、特交特別交付金関係をどう考えておられるか。このまず三点についてお伺いいたしたいと思います。
  11. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) ただいま天災融資法適用してもらいたいというお話がございましたが、各県からの損害は、ただいま御報告申し上げましたようなふうに五十一億七千万以上になっておりますが、農林省のほうで、目下統計調査部調査中でありまして、本月の末までには、それの正確なものがあがってまいると思いますが、それが大体天災融資法適用数字に達すればやりたい、こういうような考えを持っておりますが、農林省といたしましては、なるべく前向きの姿勢天災融資法適用するようにいたしたいと思いますが、数字に非常に差がありますと、そういうわけにもいかないかと思いますが、いずれにいたしましても月末の報告を待って決定いたしたいと思っております。  それからこの麦の生産農家食糧のために、やはり麦の配給をしてもらいたいということでありますが、それは私どものほうでもやはり必要だと思っております。普通できる自家用の麦ができればそれを自家用に消費するのを、これができないことになれば、それにかわるべきものとして政府の手持ちの麦を配給するということは必要であろうと思いますが、これも事情はよく調査いたしまして、そして検討いたしたいと思っております。  なお被害をこうむった町村に対するところのいろいろな救済の点でありますが、これは農林省としてできるものはいたしますが、あるいは先生のいまのお話は、自治省などの交付金などの関係が多分ではないかというふうにも思われますので、十分にこれは検討いたしたいと思っております。
  12. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 麦の共済を受けられた方々は、共済金支払い関係なんですが、ぜひ早期支払いができるように措置要望したい、こういう非常に強い要望があるわけであります。これについては、どうお考えになっておられるか。
  13. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) これもやはりただいま調査中でありまして、今月の二十五日ごろまでには、調査が大体終わる予定でございまして、七月上旬には支払いをいたしたい、こういうようなふうに思っております。
  14. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 蔬菜関係なんですが、これはまあ御承知のように共済対象になっておらないわけであります。ところが行ってみて、キュウリあるいはナス、ゴボウ、これらのものがほとんど全滅なんですが、これから出荷して収益を得ようという現金収入が、全然断たれたわけでありますが、これに対してもちろん天災融資法発動があれば、そうした資金の面なんかめんどう見てもらえると思うのですが、将来やっぱり蔬菜関係野菜関係、これに対して共済対象にしていただきたいという声が非常に強いのですが、なかなか被害状況とか、あるいは被害程度とか、共販体系に入ってないという関係で、むずかしい技術的な面があるようですが、これなんかやはり考えていかないと、ちょうど埼玉群馬東京都の郊外で野菜がやっぱり主生産地になる。こういう点は、将来考えてもらいたいと思うのですが、これに対してどうお考えになっておられるか。
  15. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) 野菜に対する共済範囲に入れるかどうかという、また入れてもらいたいというようなふうな御要望が、従来からあるのでありますが、非常にこれはむずかしい問題でありまして、どの程度にこれを見積もるかというようなことも、非常にむずかしい問題でありまして、十分これはひとつ検討いたしたいと思っております。そうして結論を出したいと思っております。
  16. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 それから所得税減免の問題ですが、結局これはやっぱり現金収入が断たれてくるし、それからたとえば天災融資法を受けて、融資を受けても、いままでかかっておる所得税は払っていかなくちゃならない、来年はどうするかということになるのですが、将来を考えると、所得税減免も、収入が全然なくなるのですから、いわゆる現金収入を断たれると同時に、つくったものが全部収入を得られない対象になってしまっておるだけに、所得税減免考えていただきたい。これに対して大蔵省自治省関係どうお考えですか。
  17. 林大造

    説明員林大造君) お答え申し上げます。税の関係は、租税法律主義のたてまえ上、法律で定められましたところによってやっていくわけでございますが、所得税は、御存じのとおり一年分の所得についてかけられるものでございまして、これは七月と十一月と、それから三月に納めるわけでございます。で、ことしの三月に昨年分の所得についての税は納付されたわけでございまして、今回起こりました災害につきましては、ことしの七月と、それから十一月と、それから来年の三月に納められるわけでございます。で、ことしの七月の納税につきましては、災害にあわれました方は、六月三十日現在で見積もりをされまして、税務署のほうに七月に納めます税額の減額の申請をしていただければ、災害の場合には、ほかの場合よりもはるかに寛大に予定納税額減額ということがされることになっております。御存じのとおり、今日農業所得所得税納税をされます方は数が少うございまして、したがいまして災害にあわれて相当被害を受けられた方は、おそらく七月の納税をされる必要はない。そういたしますと、自動的に十一月にも納められる必要はないことになります。で、来年三月でございますが、来年の三月には一年分の所得——それは農業所得も含み、それからさらにおつとめをしていらっしゃる場合でございますと、兼業と申しますか、どちらが主になるか、場合によって違うと思いますけれども、その一年間の所得を合算して課税することになっております。その場合に課税最低限以下に落ちれば、もちろん所得税課税になりませんし、またマイナスの所得すなわち損失がつきますれば、翌年に繰り越して控除ができることになっております。したがいまして、現在租税法律主義のたてまえで、私どもにワクとして与えられております措置は、かなり十分な手当てがしてあるわけでありまして、その範囲内で、できるだけ被害を受けられた方に融資するように運営してまいりたいと、かように考えております。
  18. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 最後にもう一点、政務次官にお伺いしておきたいと思いますが、先ほど天災融資法適用関係で、調査の結果はまだはっきりしない、運用面で言えば、普通、前は三十億をこした場合には適用になったという例があるようであります。大蔵省考え方は五十億ということを言っておるそうですけれども、これは精神的な面から考えても、また農家が再建するという面から考えても、調査がどう出てくるか——いまの報告では五十一億になっておりますが、現状調査されておるようでありますけれども、できるだけ早い機会に調査をまとめていただいて、天災融資法適用になるように努力していただきたいと思っておるわけでありますが、いかがでしょうか。
  19. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) ただいまお話しのとおりに、被害額三十億を限度といたしまして、そうして天災融資をした例が従来の例でございますから、そういうようなふうなところでやっていきたいと思っております。  それからさっき申しましたようなふうに、被害調査はなるべく早く出したいと思っておりまして、今月の末には調査の最終の計数が出ると思いますから、そういうようなふうに御承知願いたいと思います。
  20. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 このひょう害について関係各省に二、三お伺いしたいと思います。  いま日本の多くの農家は、農業だけではなかなか生計が立たないので、大事なたんぼや畑は御老人や御婦人にまかせて、いわゆる三ちゃん農業という変則な形で苦しい経営が続けられておるわけであります。そうして御主人は出かせぎに出て生計を補う、こういう苦しい営農の実態、こういうときに、今回農林省から御報告のあったような埼玉はじめ北関東三県、全国御指摘のあったような県に相当大きなひょう害があったわけです。ここには持ってきませんでしたけれども相当大きな——カササギのような小鳥ひょう害で即死するというような、ことほどさように激しいひょう害で今回はあったわけです。農林省統計によっても五十一億七千五百万円、おそらく被害は精密な調査によってさらに拡大されるであろうことが、一応予測されるわけです。  そこで、このことに関連してお伺いするわけですが、従来農林省としては、地方からのこういう調査報告のあった場合、大体その査定に際して、各部県報告の大体六割見当しか見ていない、こういう実態があるわけです。これはまことに不合理きわまるものであって、六割だと、あまりにも割合が少な過ぎるのではないか、大体実害そのもの査定すべきではないか、まずこういう態度について、農林省のお考えをただしておきたいと思う。
  21. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) ただいま各府県からの災害報告の六割しか認めていないじゃないかというお話でございましたが、従来の例は、ちょっと私存じておりませんが、お話しのとおりに、実際損害の実額を正確に調査しなければいけないと思っておりますから、ただ言ってきた金額の六割というようなふうなことではいけない、実際の金額を出さなければいかぬと思っております。その点も十分注意をいたしていきたいと思っております。
  22. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 従来の例は、いま私が指摘したようなことであったわけです。そこで、これは強い要望になりますが、やはり実害そのもの数字に出してしかるべきだと思うのです。やはりたとえ六割以上であっても、こういう考え方は基本的に改めてもらいたいと思う。このことをどうするかということは今後の問題で、ひとつそのことをしっかりとかみしめていただいて、査定に際してはひとつ慎重を期していただきたい。  そこで、なおお伺いいたしますが、このひょう害に対して、農林省としてもいろいろ対策を具体的に進めておられると思います。  そこで、その対策についてお伺いしたいわけですが、便宜上私のほうから問題を提起して、以下二、三の問題についてお伺いしたいと思います。  まず、最初にお伺いしたいのは、先ほど近藤委員から御指摘ございましたが、いわゆる天災融資法適用ということ、それと自作農維持資金確保の問題が、まずもって大事な問題ではなかろうかと、これは基本的な問題でありまするので、さらにこの問題について、先ほど一部御指摘ございましたが、さらにこの基本的な態度について、まずお伺いしたい。
  23. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) ただいまの先生の御質問の両方について、前向きの姿勢でもって十分検討いたします。
  24. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 まず天災融資法ですが、私が指摘するまでもなく、一般災害の場合と、激甚災害の場合と、二つの場合があると思うのです。一般の場合は、融資期間は三年ないし五年で利率は年六分五厘と、相当高率のようであります。激尋の場合は、これは六年未満で、利率は三分ということであろうかと思います。そこで、今回のひょう害が、先ほど私が申し上げたように、小鳥も即死するほど、ことほどさように激甚で、ここにも実物があるわけですけれども、ほとんど、群馬の場合を申し上げますと、伊勢崎市とか、それに隣接した境、まあ埼玉のほうは深谷、本庄、そういうところに利根川をへだてて相対している、そこも埼玉としては相当ひどいひょう害があったようですが、ほとんど収穫寸前にあった麦なども全滅で、野菜は、ナス、キュウリ、バレイショ、ゴボウ、こういうものはほとんど全滅という、非常に激甚であるわけです。そこで、ここで特にお伺いしたいのは、一般の場合でなく、激甚災害の場合をひとつ適用してもらいたい。先ほども言ったように、農家の皆さんも、三ちゃん農業という苦しい実情の中で、また重ね重ねのこういう天災を受けておるわけですから、やはり政府としても、被害を受けた農民の立場に立って、ひとつ善意に解釈して、前向きの姿勢——もちろん、最終的には精密なる調査の結果、判定されるでありましょうけれども、大体こういう最初から一般というふうにきめないで、ひどい地区については、特に激甚地区という場合の適用を、ぜひ要請したいと思います。したがって、この問題については、要望を兼ねて農林省態度をお伺いしておきたいと思います。
  25. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 先生の仰せのとおり、制度の運用につきましては、政務次官からもお答えいたしましたとおりに、前向きの姿勢で、当然われわれとしては処理すべきであろうというふうに考えております。  ただ、一点御説明いたしますと、三分資金関係、これは必ずしも激甚法との関係ではございませんので、天災融資法発動されました場合は、三分の適用が、当然これは場所によってはございます。激甚のほうは、ただ金額は若干、たとえば二十万円程度のものが二十五万円というふうに、ふえるという関係でございまして、天災融資法発動によりまして、おっしゃるような点は、その市町村災害いかんによりまして、六分五厘が三分になるというふうなことになりますので、その点は御心配ないかと思います。
  26. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、自作農維持資金についてお伺いしておきたいと思いますが、この自作農維持資金の場合は、原則として壊滅的な打撃を受けた場合と一応制約があるわけですけれども、従来、実際的には、相当この法規は緩和されて実現されている。こういうのが従来の実態であったと思うとの問題については、融資額については、通常の場合は三十万円で、また災害の場合は五十万円となっておりますので、ここで確認したいことは、今度の場合は通常の場合でないわけですから、当然、災害の場合でございますので、その額については五十万円の場合が適用されるであろう。そういうふうに当然考えられるわけです。このことの確認をしておきたいことと、これは三年据え置きで二十年償還、利率は五分のようですが、こういうふうになっておって、非常に苦しい営農をやっている、そういう中で、今回のはかりしれなかったこういう天災を受けているわけですから、ひとつ十分自作農維持資金についても、前向きの姿勢で、これが適用を受けられるように、しかも、災害の場合の五十万円が適用されるように、これは当然の要望でもありますけれども、この点について、農林省の確たるお考えをひとつただしておきたい。
  27. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 御質問の五十万円の点については、これは天災融資法発動関係いたすものでございまして、天災融資法発動の条件がととのいますかどうか、これにつきましては、至急検討いたしまして、先ほど申し上げましたような前向きの姿勢で検討いたしたい、こういうふうに考えております。
  28. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 そういたしますと、ここでさらに確認しておきたいのは、天災融資法については、おそらくもう当然のこととして適用されるでありましょうし、この自作農の維持資金についても、ひとつこれは、全然別個の法律であって、こういう災害のときこそ維持資金が必要になってくるわけですから、しかも維持資金の場合は、二十年償還という、農民にとっては実質的には非常にほんとに助かる措置であるので、これはもう当然天災融資法とは並行して、この維持資金についてもひとつ前向きでこれが適用されるよう、さらに重ねてお願いしておきたい。
  29. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 自創資金につきましては、仰せのような態度政府は処理いたしておりますので、最近の通達によりまして、天災融資法発動の場合は、五十万円ということに変わっておりますことは、仰せのとおりであります。
  30. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 天災融資法に関連してお伺いしたいのは、この天災融資法に基づく政令ですね。この政令については、むろん農民の立場から言いますと、なるべく早く出していただかないと困るわけで、そこでお伺いするわけですが、一応いつごろを目途として考えておられるかということ、それとその内容についてもあわせてこの際御説明いただきたい。
  31. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 被害の結果の調査が、大体今月末には終わるかと思いますが、それから大体二週間程度ところで、処理できるようになるのではないかというふうに考えております。
  32. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、これは近藤委員からも一部御指摘があったようですが、麦類の共済金早期支払いということについて、重ねて私からも強く要望申し上げたいと思う。農業災害補償法に基づく麦類の共済金については、これは従来もそうでございますが、被害が甚大な場合は、当然国から支出されることになっているわけです。少額の場合は、共済会が負担することになっておりますけれども、今回のような場合の相当激甚な場合は、当然国が担当するであろうと思う。これは当然のことですが、そこでお伺いしたいのですが、これは早期に支払われないと、結局これは県の立てかえということは問題が起きてくるわけです。県財政なかなかに困難なおりから、またこういう面にまで立てかえ金を払うというととは、これは裕福な都県は別として、たとえば北関東三県にしろ、埼玉にしろ、あまりそう裕福な県のみではございませんから、特に群馬のような場合は、なかなかもってそういう余裕はない。そこで、早期にひとつ実現してもらいたいと思いますが、早期といってもいろいろ考えようによってだいぶ食い違いが出てきますから、農林省としては、一体いつごろを目途にこれを実施しようとしておるのか、ひとつそのこともあわせてお答えいただきたいと思います。
  33. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 統計調査部のほうの調査が六月末に終了すると申し上げておりましたですが、その結果によりまして資料がまとまりますので、その後すみやかに、事務的に可能な限り概算払いをするようにしたいと考えております。ですから大体七月の上旬以降支払いが可能ではないかというふうに考えております。
  34. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、食用の小麦ですね。食用小麦または飼料用の麦類の特別調達措置、このことについてお伺いしておきたいと思うのですが、この調達措置については、当然農林省としても考えておると思うのですが、そこで、これもなるべく早くやっていただかないと、いろいろと具体的に支障を来たすわけです。そこで、このことについては、農林省としては、基本的にどういう考えでやろうとしておるのか、これもできるだけひとつ具体的にお答えいただきたいと思います。
  35. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 少し大きい声でお願いします。
  36. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 食糧につきましては、これは当然生命の維持上必要なものでございますから、われわれといたしましては、責任をもって配給すべき義務がございますので、もちろん自家用米の不足する方々に対しましては、配給措置をとると同時に、先ほど政務次官が申し上げましたように、もし実情調査によりまして、必要な場合は、麦類の安売りにつきましても検討いたしたいというふうに考えております。
  37. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 次に、大蔵当局にお伺いしたいと思いますが、いわゆる被害農家に対する所得税減免の問題ですね、先ほど一部御指摘あったようですが、やはり地区によっては大幅な減税が必要でありましょうし、また特にその中心的に被害を受けた地区については、大幅の減税よりむしろ免税が必要であろう、そういうふうに当然考えられるわけです。ただ単なる減税ではなく、免税についても、ひとつ十分農民の立場に立って大蔵当局も善処していただきたいと思います。その点に対する大蔵省としてのお考えはいかがであるか、お伺いしておきたいと思います。
  38. 林大造

    説明員林大造君) ただいま御指摘ございましたように、ひょう被害といいますのは、地域的に非常に特色がございまして、帯のような大体被害地域になっておりまして、その中心部と周辺部、それからその帯に当たらない部分とでは、被害のあるなし、被害状況が全く違うわけでございます。それで、同じ市町村に属します農家と申しましても、非常に被害を受けられた方もありますし、被害を受けられない方も出てまいります。で、被害が非常に大きいところでは、ただいままでつぎ込みました肥料その他の経費が、全部回収できなくなるような状況になるわけでございます。そういたしますと、収入ゼロに対しまして必要経費はかなりの金額のものになっておりますので、したがいまして、所得金額は非常に少ないか、あるいはマイナスということになります。そうなりますれば、先生指摘になりましたとおり、所得税の控除の金額以下になるわけでございまして、したがいまして、現在私どもに与えられております所得税法それから、そのほか国税通則法あるいは「災害被害者ニ対スル租税ノ減免、徴収猶予等ニ関スル法律」というのを運用いたしますれば、被害状況に応じて、これは所得税は全くかからなくなることになっております。で、そのようなことで現行制度を十分に生かして運用してまいりたいと存じます。
  39. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして一応本日のところ私の質問を終わりたいと思います。なお詳細については、近く委員会として現地調査をやるようでありますので、そのときさらに重ねてお伺いしたいと思います。  最後にお伺いしたいのは、特別地方交付税の配分については、十二分なる配慮をお願いしたい。これは自治省にお伺いしたいのですが、自治省は来ておりますか。
  40. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 財政課長が来ております。
  41. 伊藤顕道

    伊藤顕道君 これは先ほどからお伺いしておる天災融資法適用とか、あるいは地方税のいまお伺いしておる減免措置その他ひょう害に対して、いろいろ県あるいは市町村で特別需要に対して、この際自治省としては十分な配慮が望ましいと思うので、当然こういう県とか市町村の需要に対しては、こういう特異な場合ですから、十二分なる配慮がもうなされておると、またそういう前提で事務が進められておるとは思いますけれども、これもいわゆる地方財政が逼迫しておるおりから、この際地方の実情も十分考慮に入れて、その地方からの需要に対しては、特別な配慮をひとつ具体的に実際に実現してもらいたいということを、要望を兼ねて自治省に対してお伺いをしておきたいと思います。
  42. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 特別交付税は、御承知のように、普通交付税で算定されないただいまのお話のような災害等に要する経費について、各地方団体の財政の実情に応じて交付するものとされておるわけでございます。現在私どもが特別交付税で取り扱っておりますこうした特に農作物災害についての特別交付税の算定については、農林省調査によります農作物被害金額のおおむね千分の五、これは府県、市町村それぞれについて千分の五を算定して特別交付税を交付するという計算をやっております。ただ、これはあくまでも形式上のルールにしておるわけでございまして、さらにそれぞれの地方団体の財政事情なりあるいは災害についての実情に応じまして、別に適切なそれ以外にも適切な措置を講ずるというつもりでおるわけであります。ただ特別交付税は、御承知のように、その年度間の歳入歳出の状況を見きわめて交付するたてまえになっております。現実の特別交付税の交付は、本年度の場合来年の二月末ということになっておるわけでございます。
  43. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 いまの伊藤さんの質問の御答弁にちょっと関連しますが、特別地方交付税のその適切なる措置というのは、具体的にはどういうことになりますか。
  44. 佐々木喜久治

    説明員佐々木喜久治君) 私どもがルール計算でやっております金額が、農作物被害額の千分の五という計算をやっております。ただ市町村あるいは府県におきましては、その被害状況に応じまして、この千分の五程度の計算では不足をする場合もあり得るだろうと考えております。そういう場合には、その市町村の財政の実情に応じまして、これを増額する必要もあり得るという意味でございます。
  45. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 六月の十日の日に、埼玉県の深谷、本庄両市と豊里、岡部村の連合のひょう害対策協議会が、陳情書を持って参りまして、農林大臣並びに自治大臣に陳情をいたしております。その内容は、すでにいままで近藤並びに伊藤委員からここで御質問がありましたような、天災融資法適用であるとか自作農維持資金の問題、あるいは農業近代化資金農業改良資金、こういったような事柄から、それから所得税の問題、特別地方交付税の問題といったような事柄が網羅されておりますから、すでにほぼ言い尽くされていると思いますが、埼玉県の場合は、この深谷近辺で連続してひょう災害にあっている地区があるわけであります。去年もやられた。その前にも、三十八年だったか九年だったか、やはりやられたことがあります。念の入ったところは、続けて三、四回ぐらいひょう害にあっているわけなんです。そういうところがかりにこの融資をまた受けるとしても、いままですでに、前回やられて融資を受けているというところがあるわけですが、そういう、重ねてやられておるような場合に、償還期間の延伸措置を講ずるといったような特別な方法が講ぜられるものかどうか。その点についてお伺いしたいと思います。
  46. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 仰せのように、連続災害の場合には、償還期限の延期等につきまして、それは措置することになっております。これは、実情によりましてお申し出くださればやるという予定でおります。
  47. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 先ほどの天災融資法関係質問に対する御答弁で、統計調査部調査をやっておる、今月中に完了の予定であるというお話でありましたけれども、この調査の進行状況ですね。まあ実際に被害を受けた農民にすれば、これから現金収入のあてがなくなってしまうというふうな深刻な問題に直面をしている人が非常に多いと思うのでありますけれども、それに対する対策、手当てというものがおくれますと、非常にこれは困ったことになると思うのであります。だから、先般の陳情団の方々の意見の中でも、早くやってもらいたいという声が非常に強かったのでありますけれども調査がはかどらなかったとすると、これまた、いつまでたってもどうも対策が実行に移されないということになるおそれがあるわけであります。一体これは、その被害状況は、非常にひどかったところもあるし、軽微なところもあるし、さまざまであろうと思うのでありますけれども、それらの調査が全国的に一通り全部完了をしてから適用ということが考えられるものかどうか。あるいは、重点的に、特に被害のはなはだしい個所から特に早く調査を行なうというふうな措置が講ぜられているものかどうか、その調査の進行状況について一応お伺いしたいと思います。
  48. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 災害調査につきましては、農林省といたしましても非常に力を入れまして、早急にやる態勢で常時やっております。先ほども申し上げましたように、今月中に大体調査終了するようなことでやっておりますが、天災関係融資につきましても、その調査を待ちましたあと、大体二週間ぐらいで融資の開始ができるというふうに考えております。御了承願います。
  49. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 私が言ったのは、非常に災害が激しいところもあるし軽微なところもある。いろいろあるだろう。だからそれをおしなべて全国的に全部完了してからでないと、これは話が軌道に乗らないということなのか、重点的に特にひどいところは優先的に調査を進行させると、こういうふうな方法が講ぜられるものかどうか、その点をお伺いしたわけなんです。
  50. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) これはまことに申しわけないことでございますが、もちろん災害地については重点的には調査をいたしておりますけれども天災融資発動等につきましては、これは全体の総額で決定されるという問題が法律上ございますので、われわれといたしましては、普通八月に発表されるものを臨時調査をいたしまして早期に調査するという態勢でやっておりますので、制度上やむを得ない点もございますので、御了承願いたいと思います。
  51. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 制度上やむを得ないということなんですけれども、この間の陳情団の陳情の中に、農林省統計調査要員がどうも充実していない点があって、思うようにはかどらないということになると困るのじゃないでしょうか、こういう話があるのです。はたして農林省のこの統計調査部調査の要員というものは、このような緊急事態に対して、十分にその仕事がなし得るだけの整備をされているかどうか、あるいはまた、要員の面において非常に不自由な点があるのかどうか、そういう要員の問題のために統計調査がはかどらないということがあれば、これは非常に問題だと思うのでありますけれども、そういったようなことがありとすれば、一体政府としてはどのように措置をするお考えがあるのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
  52. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 統計調査のほうには、専門的な職員を相当擁しておりまして、普通の調査といたしましては、かなり微細かつ正確にやっておるつもりでありますが、なお御指摘のような点がもしありとすれば、われわれとしても十分注意いたしまして、今後の事務の取り扱いにつきまして間違いのないようにやっていきたいと存じております。  それから先ほどちょっと私不十分な点がありましたので、その点申し上げておきますが、もし金融措置で必要な場合があるといたしますれば、それは場合によってはつなぎ融資等の措置を指導するようにいたしたいと考えております。
  53. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 今回災害を受けた地域は、蔬菜類並びに果樹等の被害相当大きかったのでありますが、これはもう季節のものであって、もっとも季節のものでなくたって、これは困るわけでありますけれども、こういう季節のものがやられてしまうと、ちょっと直ちにかわりがきかないということになると思うのです。農林省の、ひょう害を受けた場合、あるいはこれからも受けるかもしれないという場合の指導、これはどういうふうに指導されているのか。農家としては、先ほどのお話にもありましたようにぼう然自失という状態じゃないかと思うのです。農業はもうかんべんだ、こういったような声も出ておるというようなことなんでございますけれども、そういう状態をそのままお気の毒ですと言って済ませておくわけにいかぬと思うのです。今後の指導としては、めったにないことではあるけれども、一回あるというと、まあすべてが御破算になってしまう、こういう性質のものでありますから、農業経営の指導というものも、相当これは考えてやらなければいかぬと思うのです。その種の指導は、一体どうやったらいいか、今後の対策としてはどのようにしたらいいかという点をお伺いしたいと思います。
  54. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) なかなかひょう害という災害は、ちょっと防ぎがたい災害なものでございますから、今後の営農指導と関連いたしまして、なかなかむずかしい問題があるかと思いますが、ともかく農家の経営が成り立ちますように、全般的な農業の近代化等あるいは構造改善等を続けるのは当然でございますが、それ以外に災害の直接の対策といたしまして、必ずしも十分ではないかもしれませんが、融資その他の措置を講じまして、農家被害から立ち直れるように、われわれとしてもできるだけの努力をしたいというふうに考えております。
  55. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 融資その他の対策というのは、要するにあと始末になるわけです。やられたあとのあと始末、対策としてはあと始末以外に方法はないものかどうかということですね。もっともこれはこれだけのひょうが降るんですから、先ほどの伊藤さんの話ですと、鳥なんかがみんな即死をした。もっとも屋根のあるところにいれば別ですが、直接当たったやつは、鳥なんかが即死をしたという話。それから埼玉県で聞いたところによると、人間の場合は即死はしなかったけれども、しかし鶏卵大ひょうでも降ってまいりますと、やはり当たれば、それはもう相当なものだろうと思うのです。畑でもって逃げ出した人が、隠れ場所がなくて、耕うん機の下にもぐり込んで一時難を避けたという話があるのです。ひょうが終わったあとで、ひょうでけがした人のために、救急車がかなり走り回ったという話もあるわけです。ちょっとこれは聞きようによっては、オーバーじゃないかと思われるほどの話がいろいろあるわけですが、ちょっとこの鶏卵大ひょうだとかなんとかというと信用できないような気がするわけです。ここに写真がありますけれども、この写真を見ると、鶏卵大だとか、こぶし大だとか、そんな大きなのはありませんけれども、解けるものですからね、すぐに写真をとらないと。かなりこれはまあ写真を写すころは置いとけば小さくなってしまうんですから、実物よりは感じが出ないかもしれませんけれども、それでもかなり大きなものが降っているわけですよ。しかも、それが三十センチ、四十センチぐらい積もるということになると、なまはんかなやり方では防ぎようがないんではないか、こういう気がします。だから、こういうものを防ぐ場合には、畑やたんぼだと広い面積ですから、その上に一ぺんに屋根をかけるというわけにはいかないので、うまい方法はないかと思いますけれども、もし、こういうひょうが降るという場合にはあきらめて、あとあとのあと始末のことだけに専念をする以外に方法がないものかどうか。少しでも、まあひょうで破れないようなビニールをかけるとかなんとかといったような特別な方法が講ぜられるものかどうかですね。そういう対策もこれは考えてみないと、年々歳々同じようなことをやられておったのでは困ると思うので、その点まあ私はしろうとでよくわかりませんけれども、うまい方法が考えられないかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  56. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) たいへんむずかしい御質問でございますが、ひょう被害に対しまして、どう避けるかという問題になりますと、この施設その他をかりにやるといたしますと、非常な金がかかるというふうな問題がございまして、ひょう被害そのものを防ぐということは、なかなかむずかしいかと思いますが、その場合に、たとえば被害をできるだけこうむらないような作物をつくるとか、あるいは被害をこうむった場合には対策をどういうふうにするかというような問題の検討以外は、現在のところひょう害に対する対策は、事前の対策としてはなかなかむずかしいかと思います。そういう関係で、現在は事後対策というものに集中しておる点は、まことに遺憾な点でございますが、なお、農林省といたしましても検討さしていただきたいというふうに考えております。
  57. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 ひょうが降ってもびくともしないような野菜じゃ、今度は人間のほうが歯が立たない、こういうことになってしまうと思うので、なかなかむずかしいだろうと思うのです。  そこで、今度は気象の問題なんですがね。じゃ、どうしても降った場合、しょうがないということになれば、これは降らせない。これもむずかしい問題だと思うのですが、気象庁からも見えておるのですからお伺いするのですけれども、どうも深谷とか本庄とか豊里村とか、今回ひょう害にやられたところは、いつもいつもやられているわけですよ。やられていないととろは、あっけらかんとしているのですね、すぐ近くでも。してみると、ひょうの好きな地域があるのじゃないかという気がするわけですね。これは山岳の関係あるいは河川の関係、あるいは高圧線の関係、何か特別にひょうをそこに降らせるような原因があるのではないかという疑いも持たれるわけなんですが、その点、気象庁のほうで、これもちょっとむずかしいかもしれませんがね、原因について思い当たるというような節があるのかどうか。もしどうしても、特にこの地域は毎年毎年ひょう害から避けられないということになれば、これはもうそのつもりでもって考えなければならぬと思うのですよ。幾ら一生懸命働いてつくったって、一回ひょうが降ればオシャカになっちまうということでは、これはばかばかしいですからね。だから、これは気象上避けられない、あるいは予測ができるということがはっきりすれば、また考え方が変わってくると思うのです。そういう点で、気象庁関係の見解をお伺いしたいと思うのです。
  58. 今里能

    説明員今里能君) 瀬谷先生の御質問にお答え申し上げます。御指摘のとおり、降ひょうのあるところは、地形的によりましてより好みがあるようでございます。大体降ひょうがあるというところは、非常に猛烈な上昇気流の発生するところでございます。それで、そういう上昇気流が発生する原因はいろいろございますけれども、先ほど御説明いたしましたように、寒冷前線が近接している、それに熱的な原因が加わって、おもに午後でございますが、そういうものが加わって、その上に地形的に上昇気流が起こりやすいところがございます。そういういろいろな原因が重なり合いまして、ひょうが降るわけでございます。したがいまして、御指摘のような地形的な要素も大きな要素でございます。一度降ひょうがあったところは、また降ひょうの確率が大きいということは気象的に申せるのでございます。以上でございます。それから、なおひょうが降りますのは、大体毎年五月が多いのでございます。ことしの六月七日というようなのは、ちょっとおそいのでございますけれども、季節的にも非常に特異性がございます。以上でございます。
  59. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 気象庁のほうでひょうを降らせないというわけにはいかないだろうけれども、いままで調査をした中で、そうすると地域的、季節的に確率が多いということはわかるわけですね。確率が多いということがわかれば、やはり何が原因かということも、これは追求することができるのではないかという気がするわけです。そうしますと、そういう過去における統計というものをもとにすれば、いつごろこの地域では降ひょうの可能性が非常に多いというぐらいのことはわかると思うのです。それをもとにして、今度は農林省でもひょう害に対する対策なり指導なりというものも、ある程度確立をされるのではないか、こういう気がいたしますけれども、その点の連携はうまいこととってできるものかどうか。次官にもひとつこの問題についてお伺いしたいと思うのです。
  60. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) いま伺いますと、ひょうの降る時期並びに地域というものが、大体推測ができるということでありますから、そうすればその時期に降ひょうがあっても、被害をたいしてこうむらないような作物をその地域につくるというようなことも必要じゃないか、これをやはり研究する必要があると思いますので、気象庁ともよく連絡をとりまして、どの地域にいつ時分に降ひょうが最も多いかというようなことを、十分にひとつ調査いたしまして、そしてそれに対する対策を立ててもらいたい、こういうふうに考えます。
  61. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もし大きなひょうが降って、このところはどうにもならぬということになると、そういう地域というものが、人為的にはどうしても避けがたいということになれば、農業には向かないということになってしまうわけですが、それならばそれなりの方法も考えなきゃならないと思うのです。ひょうが降ったところ、必ずしも農村地帯だけじゃなくて、東京都内にもかなり降っておるわけです。ビル街や何か、この近辺なんかは幾らひょうが降ったって、作物というものはないのですからかまわないと思うわけですよ。だからどうせ降るなら、こういう国会付近に降ってもらえば一番害は少ないと思うのですけれども、こういう統計というものもやはり私はこの機会に気象庁あたりでまとめてもらったらいいじゃないか、まとめてもらうことによってひょう害をこうむる地域、それから気象条件、季節的、そういったようなものがある程度浮かび出てくるのではないかと思います。そういうような統計というものがあるのかどうか。これはもしなかったらつくっていただいて、農林省のほうでもこれを参考にしてもらうということができると思うのですが、その点はどうでしょうか。
  62. 今里能

    説明員今里能君) 瀬谷先生の御指摘でございますが、ひょうに関する統計でございますけれども、これは若干はあると存じますが、ちゃんとしたすぐ利用できるような体系に整ったものを、なお今後努力してつくりたいと思います。なお、ひょうを予報するということは御質問ございませんでしたけれども非常に困難でございます。ちょっとつけ加えておきます。ただ、統計的にそういう可能性のある地域、これも全国どこでも降ひょうがない地域というのはないわけでございますけれども、まあ、もちろん緯度の関係はございますけれども、大体日本どこでも降る可能性はございますけれども、その中で特に多いというところは、大体見当がつくかと思います。たとえば、こういう気圧配置のときにひょうが降る可能性があるという大体の予測はつくかと思いますけれども、現在の予報の技術では、的確に降ひょうを予報するということは非常に困難であるということをつけ加えておきたいと思います。以上でございます。
  63. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 まあ地元でいろいろな話が出てまいりまして、たとえば、高圧線なんかも、あれは雷と関係があって、雷がまたひょう関係がある、そういったようなことがある程度作用するのじゃないかといった話が出たそうであります。これは推定の域を出なくて、科学的根拠があるというふうに断定できるものじゃありませんけれども、特に群馬県の赤城山山ろく地方、あの近辺一帯は雷が多いということは有名なんです。上州一帯ですね、雷とかかあ天下でわりあいと有名なんですけれども、雷にどうも符節をしてひょうということになると、まことにやっかいなことになると思うので、これは気象庁関係には要望でありますけれども、おそらくひょうということだけを取り上げたそういったような統計は、いまの御答弁によるとあまりなかったようでありますけれどもひょう害ということを考えて、ひょう害中心のそういった統計といったようなものをまとめることができれば、非常に今後の参考になるというふうに考えられますので、どうかひょう害についても、全面的な研究なり統計というものをまとめて、農林省関係と連絡をとっていただきたいということを要望したいと思います。  それから、最後に、今回のひょう害について出てまいります要望意見というのは、似たり寄ったりなんでありますけれども、問題は農林省でも現在調査を行なっておるということでありますので、委員会としても、この写真なり、陳情書を見ただけで判断をするというのは、なかなかこれは十分じゃないと思います。やはり現地を見て、現地を回って、そして実情をよく見聞をしてくる、現地の人たちの意見も聞いてくる、こういうことが私は必要じゃないか、こういう気がいたしますけれども、国会開会中でありますので、なかなかこれはむずかしい面もあるかと思いますけれども、問題が問題でありますので、その点について委員会としてこの現地調査といったようなことが行なえ得るかどうか、私はやったほうがいいと思うのでありますが、その点委員長にちょっと御都合等についてお聞きしたいと思います。
  64. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 瀬谷君からの御要望もございますが、よその県と申しますか、ほかの委員の方からもそういうような御希望がございますから、後刻ここでおはかりしたいと思います。御要望に沿いたいと思います。
  65. 近藤英一郎

    近藤英一郎君 先ほど瀬谷先生からいろいろ触れられた問題ですが、天災融資法適用するかしないか、これはやはり調査の時期が非常に重大だと思うのです。それも県のほうから報告がきているわけです。いま政務次官の答弁を聞きますと、今月中に調査を終えるんだ、そういうようなことなんですが、現地に行ってみると、現状がわからなくなってくると思うのです。その調査の進行度合いはどうか、あるいは県とも食い違いができてくると思うのですが、やはりすみやかにやらなければ時期を失してしまうと思うのですが、この点についていかがお考えでしょうか。
  66. 後藤義隆

    政府委員後藤義隆君) ただいま先生お話のとおりでありまして、日にちがたつに従ってその被害の額も、やはり被害程度もわからなくなってくるようなふうなことだと思いますので、至急に、なるべく早急にひとつこれは調査を完了するように督励いたしますから、御承知を願います。
  67. 瀬谷英行

    瀬谷英行君 もう一点お伺いしますが、先ほど融資金の償還期間の延伸については答弁がございましたが、やはり続けて災害を受けている個所があるので、そういうところは前回の融資をまだ返さないうちにまた追っかけてということになっているので、そういう場合には、やはり利子補給を完全に措置してもらいたいという要望がこれは強いわけです。これはまあ無理もないという気がするのでありますが、その点についてはどうでありましょうか、もう一点だけお伺いしておきたいと思います。
  68. 来正秀雄

    説明員(来正秀雄君) 先ほど御答弁申し上げました際に、若干不十分な点がございましたので補足させていただきますと、公庫資金では条件緩和、期限延長等をやります。それから近代化資金につきましては、制限の期限内で延長する。それから天災資金につきましては、これは実質的に延長したと同じでございますから、借りかえいたしまして新しい災害については、さらに再び貸し付けをするというふうな措置をとっておりますから、そういう点で利子は天災融資の場合は、他の融資と同じ形で延長されるというかっこうになります。御要望の点は、かなり入っているのじゃないかというふうに考えております。
  69. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) 本日は、ただいまの農林省等の報告に基づく質問は一応これでとどめたいと思います。  そこで、この際皆さんにおはかりいたしますが、現地調査の件が御要望に出ております。  先ほど理事会で一応降ひょう被害の実情調査のために現地視察を行なう、こういうふうに決定をしております。しかし御案内のとおり国会開会中でございますから、委員派遣ということは非常に困難かと思いますけれども委員会として現地調査をしたいというふうに考えておりますが、そういうような点をひとつここで現地調査をするということを皆さんにおはかりをいたしまして、そして、もしそれでよろしいということになれば、いつどういうふうにするかということは、委員長に御一任願いたいと存じますが、いかがなものでございましょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  70. 成瀬幡治

    委員長成瀬幡治君) よろしゅうございますか、ではそういうふうにさせていただきます。  本日は、これにて散会をいたします。    午後零時二十三分散会