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1966-05-13 第51回国会 参議院 公職選挙法改正に関する特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十三日(金曜日)    午後一時三十一分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川野 三暁君     理 事                 小林 武治君                 玉置 和郎君                 松本 賢一君                 多田 省吾君     委 員                 楠  正俊君                 天坊 裕彦君                 小酒井義男君                 鈴木  壽君                 北條  浩君    国務大臣        自 治 大 臣  永山 忠則君    政府委員        自治省選挙局長  長野 士郎君    事務局側        常任委員会専門        員        鈴木  武君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公職選挙法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 川野三暁

    委員長川野三暁君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。  公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一三二号)を議題といたします。  前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 多田省吾

    多田省吾君 永久選挙人名簿による選挙実施の時期でございますが、四月五日の衆議院(しゅうぎいん)の特別委員会におきまして、社会党の堀委員の質問に対しまして、永山自治大臣は次のようにお答えになっていらっしゃいます。「大体、来年の統一選挙を目標に名簿整理を完備したい、こう考えておりまして、年内等に行なわれるものについては、これはまだ周知徹底準備が十分できておりませんので、旧選挙人名簿による体制でいくという方向でございます。」と、そのように御答弁なさっているわけでございます。ところが、一昨日の当委員会の御答弁では、六月中旬に一斉調査をやって、八月一ぱいに大体名簿を完備して、九月以降に行なわれる選挙については、この永久選挙人名簿によって選挙をしたいと。で、九月十五日の基本選挙人名簿と重複しますからつくらない方針であると。九月十五日の基本選挙人名簿がつくられないとすれば、もう当然永久選挙人名簿でやるより以外にない。そうしますと、四月五日の衆議院(しゅうぎいん)の特別委員会における自治大臣の御答弁と一昨日の自治大臣並びに選挙局長の御答弁では明らかに食い違っているわけでありますけれども、これはどういうわけでございましょう。
  4. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) ちょっと表現がまずかったのと、観念的そごがあったように、いまの速記録を見まして思われるのでございますが、まあ、一般選挙は、来年統一選挙ということが一般に行なわれる選挙でございますから、それまでにはどうしても間に合わしたい。それで年内に行なわれる分については、間に合えばやると、間に合わぬ分は現在の名簿でいく、こういうようなきわめてラフな考え方で言ったんですが、しかし、九月に名簿をつくりますので、二重手間になりますから、できる限り早く一斉調査をいたして、そういう二重なことにならないようにやるように、この委員会が早く通りませば、地方自治体関係者と相談をして協力を願って、できる限り早くやると、早くできませば、できたときから選挙がもし行なわれることがありませば、それを新しい分でやるということになるかと思いますのですが、やはり地方選挙は、大体統一選挙は来年と、一般的にこう考えておったものですから、それには必ず間に合わすというような意味で申しましたので、ただいまの前の表現はきわめて不明確でございますので、九月の選挙人名簿をつくる際に間に合うようなら、二重の作業にならないようなぐあいに、地方自治体協力を仰ぐことができれば、そのようにやっていきたいという考えでございます。
  5. 多田省吾

    多田省吾君 きわめてラフに答弁されたという表現でございますけれども、来年の四月の地方選挙の前でも、ことしの九月から十二月までに地方選挙が数多く行なわれるということは、自治大臣ともあろう方が十分御存じのことだと思うのです。もちろん九月以降の衆議院(しゅうぎいん選挙のことに関係しなくても、九月以降に各所において全国的に地方選挙が毎月行なわれているということは、自治大臣としても十分御存じのはずでございます。それなのに四月五日の御答弁でははっきりと、年内等に行なわれるものについては、永久選挙人名簿周知徹底準備が十分できておりませんので、旧選挙人名簿による体制でいく、こういう御答弁なんです。その御答弁は結局取り消されるというわけでござますか
  6. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) きわめて表現がまずうございますので、なお観念的に私のほうで、統一選挙が大体来年春ということを非常に強く思っておりましたので、この間に行なわれる選挙等を強く頭に入れておりませんのでしたが、ただいま申しますように、二重の事務を排除して、事務合理化をはかる上におきましても、でき得る限り早目にこれをやりまして、統一選挙前に行なわれる分につきましても、完備をいたしませば実行するようにいたしたいと考えますので、衆議院答弁不備の点をこの場合是正をさしていただきたいと存じます。
  7. 多田省吾

    多田省吾君 そうしますと、一昨日の答弁のように、永久選挙人名簿を、この法案が通ればもう作製にかかって、おとといの御答弁では、六月中旬に一斉調査をやり、八月中に大体整えたい。九月以降からの選挙は、この永久選挙人名簿によってやっていく方針である、したがって、九月十五日に作製される予定の基本選挙人名簿は、二重手間になるからつくらない方針である。そのように了解してよろしゅうございますか。
  8. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) さように考えておるのでございまして、衆議院で申しました点は、この場合訂正さしていただきます。
  9. 多田省吾

    多田省吾君 先ほどの自治大臣の御答弁では、来年の地方選挙のことが強く頭にこびりついておりましたから、九月以降の選挙についてはあまり頭に入っていなかったというような御答弁でございますけれども、この前も新潟県知事選挙なんかも二回にわたって行なわれ、京都府知事選挙、あるいは参議院補欠選挙、それから各地方選挙が毎月のように何カ所か行なわれているのですね、ちょっと私たちにはうっかりしていたというような御答弁では、ちょっとふに落ちないのですが、まあそれはそれとしまして、そうしますと、四月五日におきましても、また一昨日におきましても、自治大臣はことし一ぱい永久選挙人名簿整理を完備したい、四月五日の御答弁でも、自治大臣の御答弁では「準備期間等周知徹底年内はかかるんじゃないかというように考えておるわけでございます。」とおっしゃっているわけですね。そうしますと、年内周知徹底が行なわれるかどうかわからない、この不徹底な、不備永久選挙人名簿を九月から使用していく、それで九月十五日の基本選挙人名簿はつくらない方針でいくということは、ちょっと不備永久選挙人名簿を使っていくということにおいて、大事な選挙においてそのようなお考えでは、私たちにはふに落ちない。どうしてもそれは選挙軽視であり、不備選挙が行なわれるのではないか、そういう危惧が十分にあるわけでございます。それはどういうお考えなのでしょうか。
  10. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) これはまあ御審議をいただいて、これが通過いたしませば、早急に地方関係担当者にも、あるいは責任者にも懇談会をいたしまして、粗漏のないように、二重の作業にならぬように努力をいたして、本法案の目的であります登録の記載の適正、不備のないようにやるということに、全力をあげて行政指導をいたしたいと考えております。
  11. 多田省吾

    多田省吾君 それでは自治大臣としましては、あれですか、周知徹底を八月一ぱいぐらいにしてしまって、八月一ぱいぐらいに大体永久選挙人名簿をつくってしまって、そして九月からの選挙永久選挙人名簿でしたい。したがって、四月五日に衆議院(しゅうぎいん)の特別委員会でおっしゃった準備期間周徹知底年内はかかるのではないかという御答弁、お考えは、この際もう訂正して、それで八月一ぱいになるべく周知徹底準備を進めたいと、そういうふうに受け取ってよろしいのですか。
  12. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 事務当局全力をあげまして周知徹底努力をいたして、二重作業にならぬようにやるというようにいたしたいと言っておりますし、また、さように私も努力をいたしていきたいと思いますので、やはり衆議院(しゅうぎいん)で申しました点の不備は、ここで是正をさせていただきたいと思います。
  13. 多田省吾

    多田省吾君 そうしますと、九月十五日の基本選挙人名簿はつくらない方針であり、八月一ぱいに大体永久選挙人名簿が使用できる態勢まで周知徹底準備を進めるという、まあお話しでございますけれども、そうなりますと、これはたいへんな問題だと思うのです。おとといの御答弁では、六月の中旬に一斉調査をやるというお話しでございますが、そうしますと、かりに五月中にこの法案が通ったとしまして、六月一日に公布されたとしますと、六月中旬ですから、まあ六月十五日として考えましても、それは何日かまた、お聞きしたい点でもありますけれども、六月十五日に一斉調査をすれば、わずか十五日間の周知徹底期間しかなくて一斉調査をするということになりますと、これは相当たいへんなことであり、一般人たちもたいへんだし、また調査する市町村側、また選挙管理委員会等事務当局側も大混乱を来たすのではないかと思われますけれども、その点の準備は絶対遺漏なくできるという御確信がおありでございますか。
  14. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) もちろん御指摘のございましたように、準備につきましては、まだ法案が御審議中でございますので、正式の形での準備とか打ち合わせとかいうことは、御遠慮をしておるようなかっこうでございますけれども、もしこの法案がこういう形で成立するというような状態では、どれだけの用意作業が必要かというようなことは、内々関係者の間で検討を進めておるというようなわけでございまして、そういう打ち合わせ内々はさせていただいているようなわけでございますが、そういうことでございますけれども、法案成立の時期というものは、この実行とは非常に密接な関係が当然あるわけでございますから、申し上げておりますような六月の中旬ごろに、できればそういう調査時時点の設定をいたしまして、その前後のところで調査ができるようにもっていきたいということを考えておりますけれども、お話にもございましたように、非常な準備とか用意とかということが、そこまでのところでは時期が足りないというようなことがあるようでございますと、それほど粗漏なことになってもいけませんから、その点はまた考えなきゃならないということにもなるかと思いますが、まあ現在のところ、大体六月の中旬ごろの調査時点を設定させていただくことができれば、六月の初めごろから周知徹底につとめさせていただきまして、六、七、八、三カ月間の間に計画を進めていくことができはしないかというふうに考えております。
  15. 多田省吾

    多田省吾君 選挙局長は、衆議院(しゅうぎいん)の特別委員会における御答弁におきましても、国勢調査並みにやりたい、また従来の名簿を洗い直すような姿でやりたいと、まあ相当遠大な御計画をお立てになっておるようでございます。しかしながら、予算請求も十億六千万円の請求が四億九千万円と、約半分に削られてしまいまして、また、この前のお話によりますと、大体四億九千万円の予算で八万三百四十数人の調査員を頼んで、そうして国勢調査並みにやりたいというお話でございました。ところが、国勢調査におきましては、大体二十二億円の予算を使って、四十八万九千人の調査員を使ってやっておるわけです。その内容につきましても、大体戸別訪問ということになれば、仕事は大体似たようなものになると思うのです。それは内容書き込み事項国勢調査のほうが少しよけいかもしれませんけれども、一々戸別訪問するというような手間ということを考えますれば、そんなに変わりあるものじゃありません。そうしますと、国勢調査のほとんど五分の一、あるいは人員におきましては六分の一の陣容で、どうして国勢調査並みの、従来の名簿を洗い直すような、そういう一斉調査ができるかどうか、それは非常に疑わしいと思われるわけでございます。どういう根拠で、国勢調査並みの、またしかも、戸別訪問式で一斉調査をやるというようにお考えになっておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  16. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 一昨日もこの点についてお話がございましてお答え申し上げたのでございますが、一つ選挙人名簿調査といいます場合には、有権者につきまして従来も調査をある程度いたしてきておったわけでございますが、国勢調査と比べますと、お話のとおり予算人員その他非常に窮屈であるわけでございますけれども、一つ有権者選挙資格調査と申しますときには、一応現在の選挙人名簿というものが全然根拠がなくてやるわけではございませんで、一つ根拠をもってやるわけでございまして、各調査する区域をきめました場合に、その調査区の中の選挙人名簿に載っておりますところの世帯なり人名なりというものは、あらかじめその調査区所在のそういう人々のリストというものも一応用意ができておるわけでございます。そして、そういった現実の世帯との間の異動というものを中心にいたしまして、調査をいたすわけでございます。非常にある程度調査そのものが簡易な形で能率よくやれる点もございまして、国勢調査のような非常に複雑な調査では必ずしもない。もちろん、中には住所の確認その他の点で一度だけでは事柄が済まないという場合も、それは起こるかと思いますけれども、大体において従来把握しておりますものにさらに継ぎ足すとか、あるいは修正するとかいう形が基本になると考えられるわけでございます。  それからまた、従来から選挙人名簿調製費といたしまして、約九億ばかりの財源措置も毎年されておるわけでございます。それからまた、今回は永久選挙人名簿作製するということで、交付税財源措置もさらに三億円ばかり加えまして、財源措置としては十二億ばかりのものを別に用意をいたしておるわけでございます。それと今回の四億、これはすべてそこに投入するというわけには必ずしもまいりませんけれども、四億だけで非常に窮屈というかっこうで終始するわけではございませんで、ある程度ふくらみを持った運用ということは、そういう意味でも可能でございますので、非常に切り詰めた範囲ではもちろんございますけれども、全世帯につきまして、選挙資格調査というものを、能率よく、そして正確を期してやっていく。その結果に基づきまして、名簿の点検ということが可能になるように、ぜひ実施をしてまいりたい、こう考えております。
  17. 多田省吾

    多田省吾君 選挙局長は、たびたび地方交付税十二億ということをおっしゃいますけれども、一斉調査のために使える交付税というのは非常に少ないと思うのです。それをまるまる十二億円全部使えるような口吻でございますけれども、これは実際違うのじゃないかと思うのです。交付税十二億と言いますけれども、そのうち実際一斉調査に使える財源というのは一体どのくらいであるとお考えでございますか。
  18. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) これは個々の団体によって事情も同一ではないかと思いますが、今回の永久名簿につきましては、新しく名簿を全くつくり直すというのじゃなくて、現在行なわれて用いられておる名簿手直しをするという形で行なうわけでございます。そして、むしろその名簿調製ということが重点というより——もちろん重点でございますけれども、いわゆる一斉調査、という形に基づいて名簿手直しを行なうという形でまいるわけでござまいして、その点がまた基本選挙人名簿を新しくつくり直すということをぜひ避けたいというのもそこにあるわけでございまして、団体によって必ずしも同一ではないと思いますが、大体基本はそういうかっこうで進みますので、この財源措置の中のおそらく多いところでは半分ぐらい、あるいは少ないところでも三分の一ぐらいは投入できるのではないだろうかというふうに考えております。
  19. 多田省吾

    多田省吾君 先ほどからお聞きしておりますと、どういうわけか、この永久選挙人名簿は非常に急いでおられるようでございまして、選挙制度審議会の答申が出たとたんに急いでおられるように見えるわけですけれども、非常に不備な点が目立つように思うのです。いままでの御答弁を聞きましても、いわゆるおざなりな、問に合わせ的な、国会答弁式の御答弁のように私たちは感じられるわけでございます。特に市町村等地方自治体方々、当事者の方々の御意見を私ども聞きますと、この永久選挙人名簿作成につきましては、もうそんなに簡単なものじゃない。非常に混乱を来たしておりまして、こんな少ない一斉調査費では、正式な調査員は雇えない。したがって、地方自治体職員を使わざるを得ない。それも永久選挙人名簿作製だけでこの地方自治体職員戸別訪問をするようなことは、どうしてもそれだけにかかっているようなことは予算上できないので、ほかの調査事項も一緒にやらしてもらえないかということも都知事にもずいぶん陳情も出ておるようでありますけれども、思いのほか市町村あるいは区における永久選挙人名簿作製についての一斉調査に対しては混乱を来たしているように思うわけです。その混乱をどの程度防いで永久選挙人名簿作成していくか。八月一ぱいに完ぺきなものを作成していくかということが非常に重大な問題であると思うのです。ですから、もっと私は、要望としては、憲法に次ぐ大事な選挙法改正でございますし、また、かつてない永久選挙人名簿——そういう考え方は非常に私も賛成でございますけれども、あまりにも予算措置も少なく、また急いでおられるようで、完ぺきもなかなか期しがたい。しかも、ことし一ぱいでも周知徹底が困難であるのが状況なのに、八月までにつくってしまう——一斉調査のやり方をお聞きしましても、まだまだ確とした案が立っていないようにも見受けられるのでございますけれども、ひとつこの一斉調査にあたっては、そういう国民の疑惑がわかないような、すっきりした一斉調査であるように、また永久選挙人名簿作製であるように、この永久選挙人名簿法案を通す意味においても、強く要望したいわけでございます。この点に関してひとつこれらのお考えというものを前向きにお答え願いたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  20. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 御趣旨の点は、私どもも粗漏があっては、せっかくの永久選挙人名簿作成の発足が遺憾なことがあっては申しわけないと思っておりますので、十分注意して実施をさしていただきたいと考えておりますが、永久選挙人名簿につきましては、これは御承知のように、選挙関係者の間におきましては、十数年来と申しますか、戦後における多年の一つの懸案でもあったわけでございまして、今回の予算措置その他必ずしも十分ではございませんが、選挙関係者としては非常にいろいろな問題がございますけれども、大いに張り切って正確な名簿調製努力していきたいという気持ちで、いま実質上の準備を進めさしているような状況でございます。もちろん、市町村によりましては、住民実態把握という観点もございまして、そういう要求をされるところも多いわけでございますので、市町村の部局とある程度連絡をよくとりまして、調査が円滑に進められるというようなことも考えられる向きも出てくるだろうというふうにも思っておるわけでございますが、そういう意味で、調査は非常に技術的な問題もございますので、市町村職員に限るのがいいのか、あるいは調査員というもので、国勢調査のような民間の経験者に委嘱するのがいいのかと、これはいろいろ見方もございまして、一長一短いろいろあるようにも聞いておりますが、そういう意味で、市町村当局というものがある程度気脈をそろえまして、そして調査協力をしてもらうという態勢はぜひ整えていきたい。元来自一治体におきまして、住民実態について十分把握をするということも、行政上これはある面では非常に大切なことでございますので、そういうこともぜひ円滑に行なわれることがあれば、できれば非常にいいことだと考えておるわけでございますが、いろいろな問題ももちろん御指摘のようにございますけれども、ぜひまあ十分注意をいたしまして、正確な名簿作製ということに努力をしてまいりたいと思っております。
  21. 北條浩

    北條浩君 関連して質問したいのですが、いまの最初の、永久名簿をつくるときに短期間でおやりになるということを伺ったわけですが、その最初永久名簿閲覧ないし縦覧ですね、これに対してはどうなっておりますか。
  22. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) この改正法案の附則に規定をさしていただいておりますように、調査の結果に基づきまして手直しをいたしました名簿につきましては、改正法の十五項、十六項でございますけれども、そこでまず縦覧に供しまして、異議の申し立て、訴訟その他の手続ができるような形で縦覧をいたすわけでございます。そしてそういうことを経過いたしまして、それから名簿が確定をするというかっこうになるわけでございます。調査の結果に基づきまして修正したものがそのまま永久名簿になってしまうということじゃなくて、その間にたしか二週間でございましたか、二週間ぐらいの縦覧期間を設けまして、もう一ぺん住民有権者名簿をさらすといいますか、閲覧をしていただく、こういうことをやることにいたしております。
  23. 北條浩

    北條浩君 そうしますと、ここに「政令で定めるところにより、」とありますね。具体的にはまだきまらぬわけですね、大体二週間と、いま伺いますと。要するに二週間といいますと、これはこのようないままで論議されておったような非常な変革ですね、新しく名簿ができるわけです。そうしますと、有権者としてははたして自分名前が登録されているかどうか、これは実際に区役所なり市役所の窓口に行かなければ、これはわからんわけですね。今度は決定してしまいますと、選挙が近づいてきて、はたして自分名前が登録されているかどうか確かめに行って、そのときに発見してもこれは間に合わない、決定してしまうわけですから。だから永久名簿をつくるときも閲覧ないし縦覧ということはもっともっと重要視すべきではないかと思うのです。一口に有権者といいましても六千万人からいると思うのですがね。それがわずか十四日の間に、それぞれの仕事を持っておる人は普通のウィーク・デーには行かれない、日曜しか行かれないといった場合に、それではほんとうに限られた期間にはたして行けるかどうか。しかも周知徹底とおっしゃいますけれども、この選挙人名簿というようなものは、一般有権者としては、やはり選挙が近づかないというと意識は低いものです。ほっぽっとけば、おそらく兄に行かないのじゃないかと思うのですね。これをわずか十四日の期間でとにかく閲覧に供したからそれで事足れりと、見に来ぬやつは来ぬほうが悪いのだと、こういう態度では私はよくないと思うのですが、その点いかがですか。たった十四日間で新しい制度変革ですね、それに伴う新名簿閲覧、これが十分にできるかどうか、この点を伺いたいのです。
  24. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 確かにこの名簿閲覧縦覧ということにつきましての期間なり、縦覧の場所なり、いろいろ御指摘のような問題もあるというふうにも思いますが、名簿縦覧については、まあなるべく住民に近いところへ、非常に形式的に、ただ役場のどっか奥深いところへ名簿を置いてあるというようなかっこうじゃなくて、見やすいようなところへ持っていくようなかっこうにぜひ指導もいたしたいと思っておりますが、今回が従来と違いますのは、今回は、その前にとにかく一斉調査をいたします。一斉に調査をいたしまして、各世帯について選挙人名簿に載せるか載せないかという調査をするということで、ずっと世帯に当たってまいりますので、その点では従来と違って、それが一体いつごろそれじゃ名簿に載るようになるとか、名簿縦覧はいつごろになりますということを、もうほとんど各世帯に周知ができる。その調査の際に周知ができるという従来と違った、非常に関心を呼び起こす一つの前提行為がずっととられるわけでございますので、その点が従来の、たとえば、法律に書いてありますような、いつ幾日からいつ幾日まで縦覧するとか、あるいは従来の名簿のように、何月何日から何月何日までということを、ただ公報に告示をしてそれで終わりということとは、これはまあ状態がずいぶん違うだろうと思います。そこで、どなたも関心を持っておられる際に縦覧をされるということでございますので、また、その縦覧の時期、縦覧の場所等については、十分周知につとめますが、まず、その点については、最初に各世帯調査をいたしますときに、その点はあわせて各世帯に周知するような方法はもうぜひやりたい、こう考えております。
  25. 北條浩

    北條浩君 いまちょっと具体的に聞きますが、日曜日はやりますか。また、いままでですと、それぞれの地域の、東京におきましても区域によって扱いが全然違うのですね。サービスのいいところと悪いところではまるきり違うわけです。それから具体的に日曜はやるのか。それからまた、本人が行かなければ見せないというところもあるのですね。かりに留守の場合に、たとえば、友だちとか大家さんが行って間借りをしておる者の分まで見るとか、そういったことができるのかどうか。その辺も具体的な問題になりますが、お聞きしたいです。
  26. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 縦覧期間は日曜日も縦覧をいたします。  それからこの前も申し上げたのでございますが、従来選挙人名籍の閲覧という点につきまして、非常に固い態度を選挙管理委員会当局がとっておったことは、御指摘のとおりだと私どもも思っております。今回からはむしろ考え方を逆にいたしまして、だれでもいつでも名簿が見られるという状態を原則にいたしたい、そういうことでやはり役所だけの力でなく、ほんとうに正しい名簿ができ、またみんなの関心もそこに集められるようにする、それがまた政治的な、この政治意識といいますか、政治的な関心を高めるゆえんでもございますので、むしろいままでのような固い考え方で、名簿の汚損だとか名簿の損傷ということばかりに気をとらわれまして、閲覧を非常に制限をしたという状況ではなくして、むしろだれにでもいつでも見られるというような形に百八十度考え方を、執務の考え方を転換をして、縦覧しやすいように、閲覧しやすいようにいたしたいと思っております。
  27. 多田省吾

    多田省吾君 いまのお話で大体やり方については納得できましたが、従来棄権防止をすごく一生懸命やっておられまして、車を増したり相当の予算を使って選挙の棄権防止をはかっておられるような姿があるわけでございます。それはけっこうですが、その熱意というものを、やはり前の段階である永久選挙人名簿作製にあたっても、やはり登録漏れのないようにやっていくのがほんとうの棄権防止であると思うわけでございます。で、投票したい意思のある人が登録漏れのため投票できないというのでは、もう棄権防止どころか、その前の段階で選挙権がなくなっているような状態でございますから非常に困るわけです。だから、いまお伺いしますと、二週間、それも日曜も使って、そうして他人も見てもよろしいという姿でございますね。しかし、何しろ六千万以上の選挙人が今度は閲覧するわけですね。従来のように補充がききませんので、勢い選挙人名簿に載らないときには、半年ないし一年間は選挙ができないという状態でございますから、相当今度は閲覧期間に殺到することも考えられます。もう一歩進めて、このたびの永久選挙人名簿作製についての小委員会の答申にも賛成意見があったということで載っておりましたけれども、選挙人名簿の写しを選挙人に頒布することはどうかという点についても、賛成すべき点があったということがあります。実費を出せばこの選挙人名簿の写しを購読できるというような姿にすれば、もう一歩申告漏れを防ぐのに大きく役立つのではないかと思われますけれども、特に一斉調査の際の名簿には、なお一そうその要望が強いと思いますけれども、その点に関してはどうお考えなんでございましょうか、その実費で選挙人名簿の写しを分けることもできるという項を、そういう考え方を取り入れたらよろしいのではないでしょうか、その点をお聞きしたいと思います。
  28. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 選挙人名簿の写しを、まあ各名簿の町内単位とか、いろいろな単位に区切りまして、写しを頒布するあるいは回覧する、お話がございましたような御趣旨は、私どもぜひそれを実現したいということで、実は考えておるのでございますが、ただ、何さまいままでは閲覧そのものも非常に不十分なような形でやっておった当局に、そこまで踏み切られますようなことが、いますぐ自信がないということを盛んに言う者もございましたり、いろいろ手数とかその他を言ったりする意見もございまして、結局選挙制度審議会におきましても、便宜供与というものを考えろというようなことではどうか、そういうことで、やれるところからそういうことをやっていくべきだという意見がございまして、今度の改正法の中にも、そういう趣旨でこの第二十八条の第二項というところに、「市町村選挙管理委員会は、」「選挙人名簿又はその抄本を閲覧に供し、その他適当な便宜を供与しなければならない。」こう規定をさしていただくように案ができておりますのも、実はそういう趣旨でございまして、できるところからいまお話のようなことをどんどんやっていくようにしたいということでございます。
  29. 多田省吾

    多田省吾君 いまの件は、基本選挙人名簿縦覧は、たしか十一月二日から十五日間あったわけでございますけれども、今度の永久名簿縦覧は十日間になっておりまして五日間減らされております。そういったことを考えましても、やはり縦覧に対してちょっと力の入れ方が足りないような面も考えられるわけでございます。いま選挙局長がおっしゃったように、二十八条の二項を生かして、「その他適当な上便宜を供与しなければならない。」という項目を生かして、できる限り選挙人名簿の写しを、縦覧期間で、閲覧期間で徹底しないものを、町内会単位等で選挙人名簿の写しを回覧する、あるいは実費で供与するというようなことで防いでいかなければならないと思いますけれども、また、この点を前向きでひとつ、選挙人名簿が遺漏ないようにもつと考えていただきたい。そういうことを強く要望したいわけでございます。  次に、従来基本選挙人名簿におきましても、いま埼玉だとか千葉とか神奈川方面には、ずいぶん大きな団地が毎月たくさん建っているようでございますが、団地の方々名簿が非常に徹底していないようなうらみがありまして、そのために選挙権を行使できないという姿がいままで多々あったわけでございますが、このたびの永久名簿作製に対しまして、特にいままで基本選挙人名簿に載ってもいなかったし、また、補充選挙人名簿においても登録されていなかったうらみの強かった団地の方々を、永久名簿に載せる点に関してはどのような特別なお考えがございますか、その点をお伺いしておきます。
  30. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 確かにお話のような問題が昨年の参議院選挙に際しましても方々で起こりました。名簿の脱漏、団地の名簿の脱漏という事件が非常に遺憾でございますが相当いろいろなところ——大阪の堺でございますとかあるいは千葉県の柏でございますとか、あるいは川越でございましたか、何か、埼玉県のそういうところでございました。相当できたのでございます。これ、原因を調べてみますと、調査をしたり申し出を受け付けたりいたしますときに、たとえば、調査をいたしますときに、新しい団地を担当する者が、他の人が当然担当しているというような軽い考え方で見過ごしたというような例などもございます。そこで、今度の調査につきましては、調査区域と調査の境界線のところは、混同や、お互いが漏れがないようにぜひやっていきたい。それから調査の、まあ、経費等の配分につきましても、そういう大都市あるいは大都市周辺の団地とか、そういう人口の非常に多いところ、人口の移動の大きいところというようなものについては、特に注意する意味での考え方をあらわしますために、調査費の配分等についても、合理的な基準で、そういうところを重視するようにいたして、遺憾のないようにいたしたいと考えております。それから、登録の申し出等につきましても、今後の問題でございますけれども、わざわざ役場まで出かけていって登録の申し出をするというだけでなく、ある程度出かけていって登録の申し出を受けつけ得るような、そういう形での巡回的な申し出受けつけのようなことも、ぜひ行政指導の上で十分行ないまして、漏れのないような形にいたしたいと考えております。
  31. 多田省吾

    多田省吾君 従来の選挙法におきましては、二十三条に、異議の申し立ての項目でございますが、「選挙人は、基本選挙人名簿に脱漏又は誤載あると認めるときは、」となっておりましたが、このたびの新しい永久名簿の異議申し立てについては、第二十四条では、「選挙人は、選挙人名簿に登録すべき者の決定に関し不服があるときは、」、このようにことさらに言い方を変えられましたのは、どういう理由でございましょうか。
  32. 長野士郎

    政府委員長野士郎君) 従来、いまお話のございましたのは、こう表現が確かに変わっておりますが、これは今度の選挙人名簿が実はカードになったわけでございます。原則としてカードになりました。簿冊でございませんので、縦覧をいたしますときには別にリストをつくらなければいけない。そこで従来は名簿でございますので脱漏というような言い方ができたわけでございますけれども、今度はそういうリストで考えてまいりますと、名簿そのものじゃございません。名簿はカードに入っておるわけでございまして、そこで実質は同じでございますが、不服がある者ということでリストに載っていない者、それから間違った者、従来と同じ幅が入るように表現を、法制局等の御意見もございまして変えました。実質は同じでございますけれども、多少このカード式にいたしましたために、縦覧をいたします合格者の発表のようなものを、そこから脱漏しているもの、誤載とかいっても始末がつきませんので、そこに載っていないもの、あるいはそこに間違って書かれているもの全部が入るように書き方を改めたのでございます。
  33. 多田省吾

    多田省吾君 一昨日、自治大臣北條委員の質問に答えられて、集団移動というようなことは実際いままでなかった、そのようにお答えになったわけでございますけれども、今度の永久名簿に関する小委員会の中間報告の要旨にも、「選挙人の集団移動による不正な登録が問題になる等、」というような用語が出ているのでございますけれども、もちろん自治大臣は、この答申を含めてそんな集団移動などの事実は実はいままでなかったということをお認めになられたわけでごさいますね。
  34. 永山忠則

    国務大臣永山忠則君) 集団移動は、自治省では確認をいたしておらないのでございます。確認いたしておりません。さような事実を存じていないわけでございます。
  35. 多田省吾

    多田省吾君 私どもは、委員会人たちの中に、そういった誤解をしている人たちがあるということを見まして、非常に遺憾にたえないわけでありますけれども、これはこの場で申してもしようがありませんけれども、それはおとといの自治大臣の御答弁ではっきりしたことでありますので、これでやめますけれども、非常にこういう表現を使うということは遺憾だと私たちは思っているわけです。
  36. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  37. 川野三暁

    委員長川野三暁君) 速記を起こして。  本日の審査はこの程度にいたします。  次回は、五月十六日午後一瞬に開会する予定でございます。  これにて散会いたします。    午後二時二十五分散会