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1966-06-02 第51回国会 参議院 建設委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二日(火曜日)    午前十一時二十分開会     —————————————   委員異動  六月一日    辞任          補欠選任     春日 正一君      岩間 正男君  六月二日    辞任          補欠選任     森田 タマ君      中津井 真君     白木義一郎君      鈴木 一弘君     岩間 正男君      須藤 五郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         松永 忠二君     理 事                 石井  桂君                 稲浦 鹿藏君                 山内 一郎君                 小酒井義男君     委 員                 青木 一男君                 内田 芳郎君                 大森 久司君                 奥村 悦造君                 小山邦太郎君                 中津井 真君                 平泉  渉君                 米田 正文君                 竹田 現照君                 達田 龍彦君                 鈴木 一弘君                 須藤 五郎君    衆議院議員        発  議  者  増田甲子七君        発  議  者  江崎 真澄君        発  議  者  山本 幸一君        発  議  者  春日 一幸君    国務大臣        建 設 大 臣  瀬戸山三男君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        総理府総務副長        官        古屋  亨君        内閣総理大臣官        房審議室長    高柳 忠夫君        建設政務次官   谷垣 專一君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        中島  博君    参考人        日本道路公団総        裁        富樫 凱一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する  法律案内閣提出衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件 ○中部圏開発整備法案衆議院提出)     —————————————
  2. 松永忠二

    委員長松永忠二君) ただいまから建設委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨一日、春日正一君が委員辞任され、その補欠として岩間正男君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案を議題といたします。  この際おはかりいたします。  本案審査のため、必要な場合には、日本道路公団役職員参考人として、随時出席を求めることとし、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。  それではこれより質疑を行ないます。本案に対し質疑のある方は、順次御発言願います。  なお、政府から瀬戸山建設大臣及び尾之内道路局長が、参考人として日本道路公団から富樫総裁が出席いたしております。
  5. 達田龍彦

    達田龍彦君 実は本日の質問は、前回委員会資料提出を求めておりまして、昨日おそく私の手元には資料が、それもごく一部ですが、一部のものだけ来たという状況であります。全体の資料がまだ整っていない段階であります。さらにまた、この資料それ自体についても、まだ一回もこまかな御説明も受けていないのでありまして、審議を進める条件としてまだ整っておりませんので、きょうは、そういう前提に立って一部の問題について御質問を申し上げておきたいと思っております。いずれ資料が整い、さらに御説明をいただいた上で、最終的に質問を締めくくってまいりたいと思っているわけであります。そういう立場で御質問申し上げますけれども、まず最初には、前回政府側答弁によりまして、一番問題になるのは、この高速道路建設するにあたって、一体前提となる、有料とするのか無料とするのかという料金制度の問題が一つの大きな問題であろうと思うのであります。したがって、この前の説明では、現在の高速道路については、一応有料ということを考えておるけれども、いま現実にやっている路線の中で、料金改定等を行なわなければならぬ実情もあるし、将来の見通しとして、それでいけるかどうかという問題もあるという御説明もあっておるわけでありまして、基本的には有料なのか無料なのか、この点をまず大臣から明確に御答弁をいただきたいと思います。
  6. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 現在考えておりますのは、この前も申し上げたと思いますが、基本的には有料制でやりたいと、こういうことであります。
  7. 達田龍彦

    達田龍彦君 基本的には有料制であるけれども無料制ということも例外としてあるのかどうか。あるいは有料と、あるいは何といいますか、その率を低減して、全体として有料という持って行き方があると思います。あるいは一部の路線については有料である。特に地域開発地域経済格差を是正するという面にとっては、ある地域路線は完全に無料にして、そうして全体をプールして財源をまかなおうという方法もあろうと思うのでありますけれども、その辺をもう少し具体的に御説明いただきたいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その点も目下専門家の間で検討願っておりますから、あとで、いま結論は申し上げられないと思いますけれども検討をいたしております。道路局長のほうから申し上げたほうがいいかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、現状ではやはりこの道路全体を有料制にしても、ただ全区間を同じ料金でいいか、あるいは無料のところをやって運営ができるかどうか、いろいろなこまかい技術的な問題もありますから、そういう点は検討しなければならないと思っております。いずれにいたしましても、全国にわたるいわゆる高速自動車道でありますから、有料制にいたしましても、原則的に申し上げますというと、産業経済その他に、コストその他の面からいって適切な範囲で料金をきめなければならない、こういう基本的な考え方区間区間にやや違った有料制をするか、あるいは無料のところをやる必要があるかどうか、そういうものもあわせて検討を現在やってもらっておる、こういう状況であります。
  9. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ただいま大臣からお話ございましたように、私どもは、ただいま各問題につきまして検討中でございまして、まだそれが基本的にどうなるかということを申し上げる段階ではございませんが、学識経験方々の意見も実は伺いつつあるわけでございます。私どもは、当初、現在の有料制では、いずれにしても全国的にこれだけの延長のものを十年、十五年で整備していくということはむずかしいという観点に立ちまして、これらを従来の有料道路制度を改めました新しい有料方式によってやっていきたい、あるいは一部特定の路線については無料でいくかというようなことについて、比較検討したわけであります。しかしながら、無料ということになりますると、有料無料との限界ということもなかなか具体的にきめることはむずかしいのでございます。それから、前回も申し上げたかと思いますが、もちろん無料制にいたしますれば、非常に多額の出費を要する、御承知のように、いまの国道は、国の負担が四分の三でございますが、自動車国道につきましては、その負担をどうするかという問題も起こっておるわけでございます。少なくとも四分の三あるいは全額ということになりますると、相当の国の負担というものは大きくなるというようなこともございます。ただいま自動車高速道路をやっております全体投資に対する高速道路建設費の率は、大体一七%くらいでございます、全投資の。そういうようなことから見まして、まだまだ一般公共道路、つまり国道県道市町村道、そういったもので、いわゆる公共道路として無料でやらなければならぬ仕事がたくさんあるというようなこともございまして、これから大々的にやろうと考えております自動車国道を、かなりの国の資金でもってやるということになりますると、いずれにしても、その財源計画として相当むずかしい問題にぶつかりますということも予測されますので、それらを比較検討いたしまして、結論的には、やはり有料制によらざるを得ないだろう。しかしながら、そういう有料制と申しましても、従来の方式では採算がとてもとれませんし、また、せっかくつくったものの利用効率が高くなければその意味もございませんので、十分利用されるような料金率でもって、しかも有料制でいくには、どうしたらいいかというようなことを中心に、いま申しましたように、いろんな角度から検討いたしております。そういうようなことで、なお今後も学識経験方々、もちろんこれにつきましては縦貫道審議会にも相談いたしまして、今後いかに持っていくかということを検討したいと思っております。まだそういう段階でございまして、詳細な数字を申し上げる段階ではございませんので、その点御了承いただきたいと思います。
  10. 達田龍彦

    達田龍彦君 どうもまだ私は、この問題については非常に根本になる問題だけに、方針を明確にしてもらわないと、高速道路全体の私は計画に大きなそごを来たす、あるいは問題を残すと思うんであります。特に高速道路有料であるかどうかということは、財源上の問題が一つと、さらには、路線決定にも私は影響するところがあると思います。さらにはまた、道路構造をどうしていくか、あるいはインターチェンジをどこに求めていくかという問題等に関して、有料無料かということは相当変わってくると思うんであります。そういう意味でも有料無料かという問題についても、原則としては有料だけれども、場合によっては、という考え方は、私は、この根本的な問題をあいまいにして問題を進めるということについては、非常に大きな危険があるんではないかと思うんであります。特に今回の高速道路は、従来高速道路の概念というのは、交通上の隘路打開あるいは産業上欠くべからざるためにつくるという高速道路主体であったと思うんでありますけれども、今回打ち出されたのは、地域格差を是正する、あるいは地域開発中心にするというものの考え方が全面的に出てきておるわけでありまして、その意味で私は、有料でいくことが必ずしも地域開発あるいは格差の是正になるとは考えないのであります。そういう意味では、産業上あるいは交通上の必要なところについては有料でいくけれども地域開発中心にするところは私は無料でいって、全体としての財政のバランスあるいは道路構造路線決定インターチェンジ等の技術的な設定のしかたというものも、根本的にそういう方針をきめてかからないと、全体の道路計画が立たないんではないかと私は思うんであります。そういう意味で非常に重要だと思いますので、いま包括的に、原則はそうだけれども無料にする地点もあるかもしれない、あるいは全体として低減をするかもしれないと、こういう話でありますが、そうではなくって、有料路線はどれであり、無料路線はどれである、そのために不足する財源については、国家が幾らどういう形態で、たとえば国債によるのか、あるいは一般財源によるのか、そういう点でどうしていくということを私はこの際明確に基本的な問題としてお示しをいただきたいと思っております。
  11. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 私の御説明がややあいまいだったかもしれませんが、この路線は、無料のところは結論的にはないと思います。ただ、そういうことを検討をいろいろしておるということで、無料でこの道路は、さっき申し上げましたような現段階では、他の一般道路建設がまだだいぶありますから、国家財政上それはできない。ただ有料制にいたしましても、有料にしてもなおかつこれを利用し得る、利用して産業経済の発展あるいは地域開発に支障を来たさない程度の料金にとどめることに努力をする、こういう考え方を申し上げておるわけでございます。
  12. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、どうもこの点議論のあるところでありますけれども交通上の隘路打開だとか、産業上の必要性ということになると、有料であっても私はある意味ではいけると思うのです。ところが、四国あるいは九州あるいは東北、北海道等地域開発というなら、低開発地域における有料道路というのは、有料で一体いけるのかどうか、効果的な投資になるのかどうか、そういう点についてはおのずから判断がつくところだと私は思うのであります。そういう意味で、高速通路有料であるがゆえに地域開発に役に立たない、全体の体制としてこなし得ないということになるおそれが非常に強いのでありますから、この点、私は、いま大臣説明では非常に危険がある、そういう意味での政治路線的なにおいが非常に強いのじゃないか。場合によっては、建設法案としての法案は通したけれども現実にはこれが建設できないという危険性をかかえておるんではないかという気がいたすのでありますけれども、この点について、大臣のはっきりした見通しと決意を聞いておきたいと思います。
  13. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これは前にも提案理由でも申し上げたと思いまするが、私どもは、この道路はもちろん非常に有料制でうまくいける区間もある、多くの地域においては、有料のこの度合いでありますけれども、現在行なわれておるような有料制考え方ではだめだ、こういうことはしばしば申し上げておるわけであります。ちょうど鉄道を敷設いたしまして、鉄道のただのところはございませんけれども、あれでやはり産業経済地域開発に非常な寄与をしておる。まあああいう基本的な考え方で進めていきたい。鉄道やり方と申しますか、ああいう基本的な考え方で進めていきたい、こういう構想でありまして、有利なところを先にやるとかなんとかということでは、この全国高速通路網の意義はなくなる、こういう姿勢でありますから、いまお話しのようなことは、話どもはそう心配しておらない。もちろん今後の日本経済力の推移によって相当変わってくると思いますけれども、いまのところでは、無料のところはこの性格道路ではできない、こういうことを申し上げておるわけであります。
  14. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあこの有料無料の問題について見解の相違があります。またいずれかの機会にもう少し突っ込んだ議論をしたいと思います。  そこで、観点を変えまして、もう一つは、この高速道路ではいろいろの問題があるんです。それは工事施工の問題、あるいは管理体制の問題、予算上の問題あるいは国土総合開発の問題と、いろいろあるんでありますが、そこでひとつ道路公団お尋ねをいたしたいのであります。それは、この高速道路建設施工道路公団が引き受けることになると思うのであります。で、道路公団発足当初の性格からいって、私は、高速道路以外の有料一般道路、これを中心にやってくるところに公団の当初の発足のねらい、趣旨があったと思う。で、公団法ですか、内容を見てまいりましても、有料道路ということが一応事業主体になっておる。その中に高速道路が一部ではやられるというような形態として当初発足しているように私は考えておるのであります。ところが、今回高速道路というのが、いままでの性格とは一変して、高速道路主体的な仕事になるような性格を持つのであります。いま建設大臣からお話もあったように、鉄道にかわるべき自動車道路でございますから、全体の工事規模予算規模管理体制の問題もたいへんなものであります。したがって、当初そういう形で発足した公団の機構が、高速道路を今後管理あるいは建設をするという立場に立ったときに、そういう体制にいまあるのかないのか。ないとするならばどうするのか。あるとするならどういう形でその体制ができているのか、この点についてまずお尋ねをしておきたいと思います。
  15. 富樫凱一

    参考人富樫凱一君) 道路公団発足当時は、一般有料道路をまず最初に手がけたわけでございます。しかし、公団ができます前には、将来、日本道路網の根幹になるものは高速道路であろうということは予想しておったわけでございまして、高速道路が具体化するようになれば、これを有料公団が実施しよう、こういう考えがあったわけであります。そこで、名神等高速道路を実施いたしましたが、今回法案に出ました七千六百キロの高速通路をもし公団が実施するということになった場合にどうなるかということでありますが、現在の体制では、これはできません。ここ十年の間にもし二千数百キロを実施しようとなりますと、年間の実施高も、ピークのときにおきましては三千億をこえることになろうと思いますが、また、これに従事する人間も、いまの人員の約二倍にしなければならぬと考えます。しかし、これもただいま検討中でございますからはっきりした数字は申し上げられませんが、公団独自でこれを消化するというのではなくて、現在ではコンサルタントも非常に成長いたしておりますし、また施工体制も近代化されてきております。それらのことを期待いたしまして、この専業を十年間で先ほど申し上げましたような体制に持っていけるようならば、これは消化可能である、かように考えております。
  16. 達田龍彦

    達田龍彦君 このいまの公団管理体制あるいは施工体制の中では、直ちに高速道路を完全に消化するだけの能力はないと、こういう理解でいいのですね。  そこで、建設省お尋ねをいたしたいのは、一体——これは私も非常に大きな問題だと思うのですが、路線はきめた、ところが路線をきめた上に立って財源をどうしていくか、それからその工事施行をどうするか、さらには、できた道路をどう管理するか、これは私は一般国道管理についても必ずしも十分でないと思うのです。さらに高速道路ということになると、管理体制の問題については相当気を配っていかないと、道路資産を守ろうという立場から非常に重要な問題だと思うのです。私は、いまの道路行政一つ欠陥は、つくることはつくろうという、これは産業経済上の必要からつくることを急ぐけれども、その管理に手抜かりがあったために道路資産が案外おろそかにされておるということが一つ欠陥としてあると思うのです。今回の問題についても、予算の問題、財源の問題については明確でない、しかも、管理体制についてもいまから検討しよう、こういう段階でありますけれども、一体公団のほうを含めた管理体制の問題について、建設省はこの高速道路をつくる上に立ってどういう構想をお持ちなのか、具体的にこれまた説明をいただきたい。
  17. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) この高速道路をやるにつきましては、私どもは当然長期的な計画を立ててやらなければならぬと思っております。そこで、現在の五カ年計画ではもちろんこれだけのものは考えておりませんでしたので、公団の組織等含めまして、今後のこれを進めるについての段取りと申しますか、そういうことにつきまして新たな観点に立っていろいろな計画を立てなければならぬと思っております。私どもは、大体七千六百キロのうち約四千キロを今後十年間ぐらいにやりたいということで、逐次それに対する管理体制を整えていく必要があろうかと思っております。道路公団におきましても、名神が終わりまして、ただいま東名中央道にかかっておりますが、東名中央道も、いずれ四十三年度ころにはでき上がってまいります。かたがた新たに本年度から他の五本の高速道路についても着工しなければなりません。そこで、これらを今後十年間に理想のペースに持っていくために、さしあたり次の五カ年間にはどれくらいやるべきであろうかということを具体的に検討いたしております。これはまたあらためて新しい五カ年計画という形で提案しお願いするわけでございますが、そういう際に、事業の伸びをどの程度見ていくか、それに伴いましてまた人員増強をどういうふうに考えていくかということを具体的にやらなければならないわけでございます。  そこで、いま富樫総裁からお話がございましたように、現在の道路公団の陣容が、現勢力では足りませんので、いずれにしてもこれらを増強していく。その増強していくやり方を年々何百人という数で増強していくわけでございますが、これらの増強について、建設省あるいは他の建設能力を持っておりますところからの増強あるいは公団における内部の養成、そういうようなことを含め、また、従来やっておりました仕事やり方工事施行やり方等につきましても、これをできるだけ合理化いたしまして、まあ能率的に仕事ができますような方式も考えなければならぬというようなことで、ただいまそれらにつきましてもいろいろ検討いたしております。いまでもすでにそういうことで東名名神高速道路をやっておりますが、私どもは十分それらが次の十カ年でいま申しましたような目標に達することは可能である、そういう観点に立ってやっておるわけでございます。  一人の消化量といいますか、道路公団では、大体高速道路で一人当たり三千万くらいであろうかと思います。現在建設省でやっております地方建設局施行能力というものは、一人当たり一千万円から一千五百万円くらいであろうかと思います。そういうふうにいろいろ団体によって施行能力が違っておりますし、工事が大規模化すればするほど、この消化量は上がってくると思います。もちろんそれに伴う他の問題もいろいろございますけれども、他のそれらを含めまして、十分人員の活用によりましてやっていく可能性はあろう、かように考えまして勉強しておるわけでございます。  それから、できましたものの管理の問題でありますが、これについては、必ずしも現在道路管理状況が万全であるとは私ども思っておりません。特に地方公共団体におきましては、御承知のように、全体で九十万キロをこえます長大な道路延長を持っておりまして、なかなかその道路の良好なる管理ということは、物理的にもむずかしゅうございます。そこで、私ども建設省でやっております国道のうち、直轄建設大臣管理しております区間につきましては、直轄管理をするように逐次いたしております。現在でもすでに数十キロやっておりますが、そういう線につきましては、今後管理の模範的なやり方をしようということで、ただいまやらしておりますが、そのためには、どうしても維持管理費というもので経費がかかります。かかりましても、しかし、それはやるべきことであり、まあ従来のように金がないから、あるいは人がないから管理を怠るということではやはり適切ではないと思っております。そういう点につきましては、むしろ県道市町村道においてそういう問題が多々残っておろうかと思っております。これらは今後逐次行政指導をいたしまして、ただいま申しました直轄管理機関を模範といたしまして、そういうレベルに近づけるような努力をいたさなければならぬと思っております。  道路公団がやっております道路につきましては、この管理は、私はかなり十分行なわれておるものと考えております。もちろんいろいろ料金を取ります関係上、一般道路と違った管理面がございます。また、新しい事態に応じまして、管理上まだ技術的に十分こなされぬ面があろうかと思います。たとえば一昨年あるいは昨年におきまして、名神高速道路におきます関ケ原周辺の除雪の問題、これなんかは極力新しい機械を入れまして、雪が降っても通れるようにということでやらしておりますが、やはりそういう点については、まだ技術的に十分でなかった経験がございます。しかし、前年に比べまして昨年からことしにかけては、かなり成果があがったというふうに考えております。そういうふうな点で、一応道路公団における道路管理は、私はかなりなところまでにいっておる。したがいまして、そういう経験をもとにいたしまして、今後の高速道路建設などにつきましても、それらの管理についても、十分これもこれからさらに完ぺきを期するように研究していかなければならぬ、それは可能である、こういうふうに考えております。
  18. 達田龍彦

    達田龍彦君 この高速道路管理建設省がやるのですか、公団ですか。
  19. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 先ほど来申し上げておりますように、高速道路道路公団有料道路として施工させようと思っておりますので、できましたものの管理道路公団が当たることになっております。
  20. 達田龍彦

    達田龍彦君 それで、これはそういうものを含めて高速道路、これは大きな画期的な事業でありますし、日本建設行政の中心をなすものでありますから、いままでの一般道路やあるいは有料道路、あるいは地方道、あるいは市町村道と違った大きな全体の体制の相違が出てくるわけでありますから、これを建設し、管理をし、維持をするための全体的な制度というものは再検討されなければならぬと私は思う。そこで、これを建設し、さらには施行していく上にあたって必要な制度改革、あるいは制度をどう検討していかなければならぬか、大まかでけっこうですから、どういう部面を制度的に、これを実行していくにあたって制度的に変えていこうとしておるのか、その点をひとつ御説明いただきたい。
  21. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) いろいろ問題がございますが、一つは、有料道路の制度、これについての問題が大きな問題としてあるかと思います。先ほど来お話が出ておりますように、従来のような料金体系ではいかないということがはっきりわかっておりますので、料金制度を改めなければならぬということでございます。どちらかといいますと、現行の道路整備特別措置法の考え方は、要するに、かかったものを償還するに必要な料金ということで料金の立て方がきめられております。そういたしますと、非常に格差の低い地域におきましては、道路建設して、それのかかったものを償還する料金ということになりますと、かなり高いものになる。また、交通量がそれに伴っておりませんから割り高になるということで、路線ごと、あるいは区間ごとに、かなりの格差が出てくる。そういうことでございますと、かえって自動車が通らないということになりますので、料金考え方を変えなければならぬ、そのために道路整備特別措置法を変える必要が出てこようと思います。その料金、しからば、どういうような料金の立て方をするかということをきめてまいるわけでございますが、これについては、一応先回から申し上げておりますように、全体の高速道路がプールされまして、大体まあキロ当たり料金というものが均一化されること。それから、長距離輸送に対して、むしろ逓減と言いますか——長距離輸送に対して逓減制を研究すると、もしそういうことが採用されるならば、そういう考え方料金の中に入れなければならぬと思っております。それから、トラックと乗用車との運賃の考え方も、これも料金政策の問題でございますが、現在でございますと、道路を損傷する、あるいは受益に応じた料金の立て方になっておりますが、産業道路として自動車を、トラックを、むしろたくさん乗せるという観点に立ちますと、トラックに対する料金というものの考え方を変えなければならぬ。それが結果的に法律の改正になるかどうかは別といたしまして、少なくとも道路整備特別措置法におきまして、こういう従来の有料道路考え方を改正する問題になると思います。これが一つの大きな問題であろうと思っております。  それから、他の問題といたしましては、やはり財源上の問題が起きてこようかと思っております。これは先ほど来、いろいろ御質問ございましたが、どういう方向で国がその資金の大部分を負担するか、現在でございますと、国が出資するというかっこうになっております。約一〇%、国が道路公団に対して出資する、そして資金の率を薄めるといいますか、そういうようなやり方をしておりまして、そういたしまして、大体道路公団でやります有料道路料金率、資金の利子率が大体年平均六分になると、こういうふうに国が出資するという仕組みになっておりますが、そういう考え方でいくのか、あるいは国が補助するという考え方でいくのか、あるいは国が負担するという考え方でいくのか、いろいろ考え方があろうと思います。いずれにしても、国がかなりの持ち分を持つわけでございますから、それの持ち方をどういう形でやるかということに伴いましても、その必要によってまた法律の改正も生ずるかと思います。その辺のまあ持ち方をいろいろいま検討しておるわけでございます。大きな問題はそういう問題であろうかと思っております。  あと管理問題等については、さしあたって、いま重要な制度の改正を予想はいたしておりませんが、もし必要ならば、またそういう問題も関連して起きてくるかと思います。
  22. 達田龍彦

    達田龍彦君 さらに質問をしておきますが、日本建設行政が非常におくれておる、これが確かに一面では国力の問題もあると思うのでありますけれども、私は、建設技術の問題として一体高速道路というものをつくるだけの技術、これは何というのですか、建設工学というのですか、そういうものがあるのかないのか、非常に技術屋さんに失礼かもしれませんけれども、その点についても、大きな初めての工事でありますから危惧する問題があるのであります。そこで建設省として、この道路に関する技術的な制度、どういう機関あるいはそういう機構というものがあって、そこで研究をされ、そうしてどういう水準にあり、能力的にどうなのか、その点の見通し、見解を伺っておきたいと思います。
  23. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 非常に広範な問題でございますので、私が簡単に申し上げて、お答えに十分なるかどうかわかりませんが、これもごく大ざっぱでございますが、高速道路建設につきましては、いわゆる工学的には私はもう十分な水準に達しておると、かように考えております。もちろん戦後から約二十年いろいろ研究いたしました結果築造したものでございますので、その間にかなりの努力がなされたわけでございますが、他の国と比べることのむずかしさというのが一つございます。それは、日本におきましては、まあ特に道路につきましては、日本の地質条件あるいは気象条件あるいは他の何といいますか、むしろ土地の開発条件、そういうものがほかの国に比べて非常に違いますので、直接比較になりませんが、特に日本においては、地質工学的にあるいは土質工学的に非常にむずかしい問題がたくさんございます。まあ日本の大部分が山地におおわれておる。そこにたくさん河川がある。それから火山地帯で各地域に火山灰の沖積地帯がある、こういうようなことでございますし、また御承知のように、水田耕作地帯が大部分であるということで、高速道路をやります道路築造技術におきまして、特に相当の盛り土をしたり、あるいは構築物のくいを打ったりするということがございますが、非常にそういう地質、土質条件が特有でございまして、日本道路工学上の問題というのは、むしろそういうところにあると考えたほうが適切かと思います。よく外国と比べてキロ当たり建設費が高い、倍もかかっているじゃないかといわれる部分の大部分はそういうところにあると言ってもよろしいかと思います。それから、地域の非常に平地にたくさん住民が住みついております。それから田畑の所有区分、これも非常に零細、細分化されております。そんなところで構造物をつくる際の用地問題あるいは構造条件、こういったものが非常に他の諸外国と違っておりまして、これも経費が高くなる一つの条件であろうと思っております。そういうことで、私どもも、まあ日本におきます道路建設技術につきましては、どうしても建設費構造物が多くて高くなる、あるいは土質条件が悪くて高くなるという傾向があるわけでございまして、これを他の国の道路技術と比べてどちらが進んでいるかどうかということを比べることは無理であろうと思っております。むしろ日本で外国の業者、あるいは外国の技術者にやらせましても、これだけのものをつくるのは容易ではない、かようにすら言えると思います。そういう意味におきまして、日本道路技術というものは非常にむずかしいところで、よく名神高速道路なりあるいは現在は東名地方でやっておりますが、こういうものがりっぱにできていくということについては、私どもむしろ技術的な自負を持っております。それから構造物、橋梁等につきましても、これも全く遜色はございません。もちろん、いま話題になっております海峡横断の長大橋については、これは今日まで経験がございませんので、外国に学ぶ点が多うございますが、他の一般橋梁については、これはもう決してひけをとるというものではございません。材質的にも、あるいは構造的にも、そういう心配はございません。特に、日本は地震という条件がございますので、これについても、あるいは他の地震のない国よりも日本構造技術のほうが進んんでおると言っても過言ではないと思っております。  それからトンネルでございますが、トンネルについても、これはむしろ、日本の宿命的なそういう地形にございますから、非常に進んだ技術を持っておると思っております。富樫総裁もトンネルのことは専門家でございますし、私は、日本のトンネル技術というものは、おそらくほかの国から勉強に来ると言ってもいいぐらいのものであろうと思っております。特に山の状態、これは岩質的にも非常にむずかしいいろんな岩質がございまして、いい岩盤のところで長いトンネルを掘るというような問題ではございません、むしろむずかしい岩質のところでうまくトンネルを掘るという技術のほうにこそ、隧道技術の中心がございます。  そういうことを申し上げまして、大体技術的には決しておくれておらぬ、むしろ特異な専門技術を持っておると、私どもはそういう自負を持っているわけでございます。
  24. 達田龍彦

    達田龍彦君 まあ財政の問題だとか管理面になると非常に心細いんですが、技術面だけでは何か力強いものがあるような印象を受けました。確かにそうだろうと思うんです。  そこで、民間の建設会社が会社独自で研究所を持っている場合が多いんですが、建設省直轄で、道路を含めた建設技術の研究所というんですか、そういうものは直轄でどの程度あるのか、その内容がわかれば、これはできれば資料をいただきたいと思っていますが、説明できる範囲は説明してもらって、資料によるところは資料をいただきたいと思います。
  25. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 建設省には中央に土木研究所というのがございまして、そこに道路、河川、いろいろ分かれておりますが、特に道路につきましては、千葉の稲毛に独立の——独立といいますか、一つ道路研究所を持っております。そこで道路に関するほとんどすべての問題を研究いたしております。それから、各地方建設局には、これは研究所というものではございませんが、材料試験のための試験場的なものをそれぞれ持っております。そういう形で研究については体制を整えておるわけでございます。道路公団も、公団の研究試験所を持っておられまして、道路公団におきましてもまた独自にかなりの試験研究を行なっているわけでございます。詳しくはまた道路研究所の資料等を整えまして御提出したいと思います。
  26. 達田龍彦

    達田龍彦君 それから、これもまた資料をもう一ついただきたいんですが、この次の審議にどうしても必要だと思うのでありますが、いま、昭和五十五年度ですか、すべての計画がその時点で、日本建設行政というものの一応の区切りとしておるようでありまして、それは欧米並みの水準ということが前提になっておるようでありますが、まず、この五十五年度における——これはもう道路にしても、河川にしても、住宅にしても、私は、全体の建設行政の水準を高めるためには、日本経済と無関係にこれを進めるわけにまいりません。したがって、五十五年度における日本の国民総生産をどの程度に見ておるのか、そして、五十五年度における国土総合開発における都市形成の構想をどういうふうにお持ちなのか。これはここで説明できなければ、私は総合開発上の資料をひとついただきたい。これはあと、先ほど私が問題にしました地方の高速道路に関して、地域開発あるいは低開発のための必要という問題から考えたときに、一体どの程度の必要性道路交通需要というものが出てくるのか、あるいは有料でもって一体地方の高速道路が運営できるのか、こういう関連が出てまいりますし、欧米諸国の水準に一体そういう形で達していくのかどうか、こういう問題との関連が出てまいりますので、その点、資料が出せると思いますが、出せればひとつ出してもらいたい、こう思います。
  27. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういう資料を従来持っておりました。従来計画を持って進めておりますから、それは差し上げられると思います。ただ、御承知のとおり、前に立てました将来の国全体の財政経済計画、これは率直に言って実情に合わなくなっているということで、いま改変を検討中であります。ことしの八、九月ごろまでには一応めどをつける、こういうことで、おおむね二十年を見通した、その中の十年あるいは五年というものをいま検討中であります。それに応じて、建設省といたしましても、建設行政に関する部門について、今後二十年の将来をさらに現状から推定したものを検討する、こういう作業をいま始めつつあります。でありますから、従来のそれとは違ってくると思いますけれども、従来ありましたものを御参考に差し上げたい、かように考えております。これはここで一言でなかなか御説明申し上げられませんので、資料で御研究願いたいと思います。
  28. 達田龍彦

    達田龍彦君 それから、これは道路公団の総裁に、この資料を私昨日おそくいただいたんで、実はまだ目を通しておりませんけれども道路公団がいまおやりになっている一般有料道路があるわけですね。これの実績ですね、こまかな資料がほしいんです。そして、そのために管理体制のあり方としてどの程度の人員を必要としているのか、今日どういう問題点があるのか、そういう点、道路公団でいろいろ検討されていると思いますから、できるだけわかりやすい資料をひとつおつくりをいただいて、御説明を早急にお願いをいたしたいと思います。これは資料をもらわなければ論議が進められませんので、本日はこの程度で終わりたいと思います。  そこで、最後に一つだけ、基本的な問題として大臣お尋ねをいたしておきますけれども、それは私は、この国土開発縦貫自動車道建設法というのは、建設をするための法律であるわけです。単に計画をするための法律じゃないのであります。そういう意味では、建設をするということになると、必ずこれは実行するわけでありますから、財源上の問題にいたしましても、あるいは管理体制の問題にいたしましても、あるいは、この画期的な大きな事業をするための全体のおくれている制度というものを立て直し、あるいは改善するというものが、この建設法案を通すために一体となって、これは同時に提案されなければならない問題であると思うのであります。単に計画をするというならば、計画のためにこういう構想がありますというだけでいいんでありますけれども建設をしていくという立場に立っている性格であれば、財源見通し、あるいは将来の都市発展の構想、あるいは管理制度の問題等々、私は、一応きちんとしたものがこれと一体となって提案をされ、そして自信と確信を持って法律を通すという姿が国会の姿としてなければならぬと思います。私はそう思うのでありますけれども、いまの計画、考えによりますと、ほとんどのことが今後検討されていかなければならぬ、こういう問題点がありますという段階であります。たとえば、一例を取り上げても、建設公団の制度のあり方についても今後検討していきたい、料金制度の問題についてもそういう問題があるわけでありまして、一体、ものの考え方としてそれでいいのかどうか、建設大臣のお考えを最後に聞いておきたいと思います。
  29. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) まあおっしゃるとおりだと思います。おっしゃるとおりだと思いますが、さっき局長からも御説明いたしましたように、これはおおむね今後十五年間ぐらいの目標でやりたいということでありますから、全体のことをここで資料として出すというわけにも、ちょっと困難だと思います。同時に、先ほど来申し上げておりますように、全体がどれくらいでできるのだ、それをいまの見通しで何年計画くらいでやるのだということは、これは申し上げられますけれども、その資金構成をどうするのだということは、やはり次の五カ年計画、四十二年度から開始したいと思っておりますが、それは今年の八、九月ころまでに一応のめどをつけますけれども、今日ただいままでということには、なかなかそこまではまいらないわけであります。その点は御了解を願いたいと思います。
  30. 達田龍彦

    達田龍彦君 私は、これは相当大きな問題になると思いますが、特に、資金のめどが立たないでこの建設法案を通すことは私は不都合じゃないかと思うのです。これは、国会のわれわれ参画をした一員としてある意味では無責任なことになりはしないかと思う。法律は通したわ、そのとおりいかなかったわ、ということになると、これはまた私は大きな——国会の一員としてそういう無責任な通し方はできないようになってくると思う。したがって、ここで強く大臣に希望を申し上げておきますけれども財源見通しについては、どういうことであろうとこの法案を通すまでにはきちんとしたものを私は委員会提出をいただきたいと思います。一応の構想であってもけっこうですから、財源をどうすると、そうして、こういうふうに年度計画で進んでいくと、このことだけは明確に出してもらわないと、私はそういうあいまいな形で法律を通すわけにはいかないという気持ちを持っております。したがって、その点についてぜひ強く希望いたしておきまして、本日の質問を終わりたいと思います。
  31. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) ちょっとお答え申し上げておきますが、この国土開発幹線自動車国道は、これは御承知と思いますが、従来ございました縦貫自動車道法を改正するという趣旨で御提案申し上げております。したがいまして、従来の縦貫自動車道法といいますのは、ごらんのとおり、いわば計画法、若干建設に関するいろいろ他のことも書かれておりますが、内容は計画法である。それから実行面におきましては、御承知のように道路整備緊急措置法というものがございまして、この法律で実行計画がきめられる、こういう仕組みになっております。それから、高速道路管理については、高速自動車国道法というふうになっておりまして、まあ計画法、管理法、実行法としての緊急措置、こういう形になっております。そこで、財源の問題はすべて緊急措置法の中身であり、それを閣議決定するということになっておりまして、これだけの計画に基づいて新たに緊急措置法に基づく実行計画というものをつくらねばならぬ。それは次の五カ年計画として別の形でまた御提案申し上げる、こういうことになっておりますので、この法律はそういうことを予想しないでもちろんつくったものじゃございませんけれども、まあ法律体系としてそういう区分になっておるということを御了承いただきたいと思います。  なお、大まかな建設見通し等については、私ども一応はもちろん持っておりますが、先ほどから申し上げておりますように、いろいろ財政的にただいま各方面の意見を聞きながら検討いたしておりますので、それをはっきりさせるということは、いずれにしてもいまの段階では不可能と思いますが、こういうふうな考えを持っておるというような姿でごらんいただく以外なかろう。それはもちろん決定的な問題でございません。いろいろむずかしい問題を含んでおりますので、そういうふうに御了解いただきたいと思います。
  32. 達田龍彦

    達田龍彦君 了解いただきたいといったって、私は了解できません。それは手続を聞いているのじゃないのです。法律の立て方がどうなって、その手続がどうなっているということではなくて、それだけの大きな構想を持ち、欧米諸国の水準に達するためのこれだけの道路建設することを法案として決定するわけですから、そうなってまいりますと、その五十五年までの財政の裏づけだけは明確にすべきです。もしいまあなたがおっしゃられるようなことであるならば、五カ年計画の中で、五カ年間に建設できる道路はこれだけですと、あとはその後どうするかわかりませんと、これならわかる。そうするならば、この道路法もその範囲に応じて出すべきであって、道路だけの設定はきちんときめておいて、財源については、手続上五カ年計画で、こうなっておりますと、それでは私は納得できません。したがって、ひとつ大臣のほうで十分再考いただいて、ぜひこれについては、財源の裏づけを明確にしてもらいたい。そうしないと私はいまの気持ちとしては、財源の裏づけのないもので路線だけきめてこれを終わる、こういうことでは責任が持てません。そういう立場からぜひ裏づけだけは明確に、本国会の中で明確にしてこの法案を通したいと思いますから、その点ひとつ御再考を賜わりたいと思います。
  33. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御了解してくださいというと了解しないとおっしゃるかもしれませんが、道路網をきめましたのは、最初に申し上げたように、日本の将来の基幹となる道路網はこういうふうに国家できめておきたい。これに従って各般の農業政策、あるいは都市政策、産業政策、この道路を将来図を想定して、すべての他の政策を合わしていこう、こういう考え方に立って七千六百キロというものと、それから一般道路との関係を申し上げておるわけでありまして、その計画を五年ごとに内容を整えて進めていこう、こういう構想でありますから、いま直ちに十五年間あるいは二十年間なり、こういう金でこうしますということを注文されるということは、私は、ちょっと無理じゃないか。これはひとつ御了解をぜひ願いたい。
  34. 小酒井義男

    小酒井義男君 建設大臣お尋ねしますけれども、いまお話しのあるように、ビジョンというのはやはり高く持つべきだと思うのですけれども日本経済の現状というものとどういうふうに均衡をとって進めていくかということに、私は問題があると思うのです。そういう立場で、最近のように自動車産業が次々と新しい車種を発表して、国民の購買力を刺激して買わせていく、新しい車を買った人は古い車をやはりほかへまた転売をしていって、車を持つ者がだんだんふえていく。それがやはり道路必要性を生んでいくというような、こういう循環を繰り返しておる面があると思うのです。そういうことには、日本経済というものと、国民生活の消費の限界というものについて、私は、ビジョンとしてはけっこうだが、現実が、それがマッチしているかどうかというところに問題がありはしないかという気がするのです。そういう点についての政府の総合的な政策というものがやはりなければならぬと思うのですが、大臣のお考えはどうでございましょうか。
  35. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) そういう意味で、従来の経済計画というのをやっておりましたが、今度さらに現時点における従来の経済計画が非常に実情に合わぬと、これを再検討するということでいま政府として検討を進めております。それは先ほども申し上げましたが、それと合わせて、いわゆる国土建設の面からの二十カ年目標の計画をいま検討を始めておる、こういう状況でありまして、ことしの八、九月までにはそれを修正してでき上がらしたい、こういうことでございます。そこで先ほど、従来のいままでの問題については、こういう考え方で進めておりましたという資料は差し上げたい、こういうことでございます。
  36. 小酒井義男

    小酒井義男君 道路立場から考えて、自動車の生産に対して、これはもう生産して輸出することは非常にけっこうなんですけれども、国内で動かす自動車というものは、何らかの規制をするというようなことが必要になってくるのじゃないかと思うのですが、建設大臣立場でそういう点をお考えになったことありませんか。
  37. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 非常にむずかしい問題でありますが、いまのところは規制する段階ではないと思います。これは部分的には少しむちゃな自動車の使い方をしておるのじゃないかという御議論もあるかと思いますけれども、まだわが国の現状から将来を見ますると、少なくとも人口四人に一台くらいの自動車時代になるということを想定して私ども道路政策を進めなきゃならない、まあこういうことであります。やはり日本のエネルギーといいますか、国民のエネルギーというものはそれほどの力を持っておるんだと、私どもは大まかの想定でありますが考えておるわけでございまして、いま自動車の制限をするということは、部分的な面ではありますけれども、全体的にはそういう時代ではないんではないかと考えております。
  38. 小酒井義男

    小酒井義男君 それから高速自動車道がやはり非常に優先をしてしまって、地方道が立ちおくれるんではないかと、こういう意見が非常に強いわけなんですが、地方道とこれは高速自動車道、いわばやはり産業道路的な性格が多いわけなんで、地域の住民生活に必要なといいますか、一番ほしいところの道路というものとは少し性格が違ってくると思うんです。それが非常な立ちおくれをしておるというのが現状だと思うんですが、それをもっと並行さして進めていくということについて、何か建設大臣としての御構想があれば承っておきたいと思います。
  39. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) その点は、先ほど局長からもちょっと触れましたが、もちろんそうであります。前にも申し上げたと思いまするが、従来考え方といたしましては昭和五十年まで、国道、旧二国を入れまして二万七千キロ全部整備をするという構想で進めております。県道が五十五年ぐらいまで、市町村道は非常に八十三万キロ余ありりますからたいへんでありますが、従来ほとんど国としては力を入れておらなかった。しかし、それではいけないということで、御承知のとおり四十一年度から市町村道にも力を入れる段階になった、こういうことでいま進めております。したがって、今後の日本の国力といいますか、経済の発展の度合いとの関連でありますけれども、もう少しくそれをスピードを上げなければならぬかもしれない、上げ得るかもしれない、まあこういう考え方でその時点に合わせるためにこの高速道路全部というわけにはいきませんけれども、おおむね、先ほど申し上げましたように、いわゆる縦貫自動車道二千三百キロ、その他合わせて四千キロぐらいをその時点に合わせる必要がある。一般道路を決して軽視すると——むしろその整備を完備する意味においてこの幹線高速道路をつくる必要がある、こういう考え方でおるわけであります。
  40. 小酒井義男

    小酒井義男君 それからもう一点は、鉄道との関連なんですが、現在新線の建設をされておる鉄道も相当多い。また、さらに予定線というのが、ずいぶん方々にあるんでございますね。この予定線などとやはりこの高速道路の自動車道の予定線と、これと両方必要なのかどうかというような点について、関係の間で連絡か打ち合わせでもされて、あの予定線というものが出されてきたのか、その点についてお答え願いたい。
  41. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 鉄道建設の予定線でただいま残っておりますのは、どちらかというと非常に支線的なものが多いと思いますが、私どもは、鉄道道路の分担につきましては、従来とも大体一つの線があると思います。やはり荷物の種類によりまして、鉄道に乗るべきものはやはり鉄道に将来とも乗るであろう、それから道路に転換すべきものはこれくらいのものは道路ができれば転換するであろうというようなことで、大まかな全体の物の動きというものをつかんでおります。そこで、そういうところにこういう道路が必要である、鉄道のかりにその予定線がございましても、そこの将来の交通の動きから見ますと、どうしても道路によらざるを得ないものがある。そういうものがこれ以上伸びたらここには道路が必要である、こういう観点で選んでおります。したがって、問題になりますのは、今後新幹線的なものがなお並行してたくさんできていくかどうかということだろうかと思います。そういう点で、たとえば山陽道あたりがそういう一つの問題点になったわけでございますが、山陽道につきましても、もうすでに現在の二号国道は大体混雑度が飽和しておりますし、どうしても新しい別の近代化道路が必要であるということから、むしろ産業地帯の第二次あるいは第三次改良的なものとして入れたものであります。これはちょうど東海道をやりましたときに、東海道新幹線と東名高速道路の競合問題が議論されたこともございますが、同じような趣旨によって両者とも必要であるという観点でやったのであります。私ども原案をつくりますにつきましては、もちろん運輸省関係にも御相談しまして、そういう調整のもとにやったわけでございます。
  42. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これにて暫時休憩いたします。    午後零時二十五分休憩      —————・—————    午後八時三十八分開会
  43. 松永忠二

    委員長松永忠二君) これより委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、森田タマ君及び岩間正男君が委員辞任され、その補欠として中津井真君及び須藤五郎君が委員に選任されました。     —————————————
  44. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 中部圏開発整備法案を議題といたします。  本案は、すでに提案理由説明を聴取いたしておりますので、これより質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。
  45. 竹田現照

    ○竹田現照君 二点だけ簡単にお尋ねをいたしますが、今度の法律案で、近畿圏、首都圏整備法にない、第一条の目的の最後に、「あわせて社会福祉の向上」云々とありますが、これは近畿圏、首都圏整備法との対比上、いままでの法律の運用上からも反省されてこういう項目をのせられたものかどうか、その点についてお尋ねいたします。
  46. 増田甲子七

    衆議院議員増田甲子七君) 提案者は自由民主党、社会党、民社党でございます。でございまするから連帯責任を持って御答弁申し上げるわけでございますが、さしあたり私から御答弁申し上げますと、その第一条に、「あわせて社会福祉の向上に寄与することを目的とする。」というのは、昭和二十五年に制定されました国土総合開発法にもこういうことが書いてあるわけでございまして、特にこういうことを書きましたゆえんのものは、この種の立法はややもすれば工業偏重ということに傾くきらいがあるのでございまして、そういたしますと、地域住民の福祉ということが閑却されるきらいもないわけではないのでございます。すべてまあ法律の目標は社会福祉にあるわけでございまするが、特にこれをうたいましたのは、以上のような意味でございます。したがいまして、これを受けまして、基本計画を第九条で策定することに相なっておりまするが、その中に特に住宅、生活環境の整備とかあるいは公害の防止、教育文化施設の整備等の項目を、これを受けて書いてあるゆえんもそこにあるわけでございます。  以上をもちまして私の御答弁といたします。
  47. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは提案者というより政府側ですが、あえて今回の法律にいま私が質問いたしましたようなことを載せざるを得なかったと、皮肉のようですが、半面解釈いたしますと、現行の近畿圏、首部圏整備法では、社会福祉の向上に寄与する面というものが、これは欠けている面があるのですか。
  48. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いまの現行の首都圏整備法あるいは近畿圏整備法、これは社会福祉という面で欠けておるとは思いません。思いませんが、先ほど提案者代表からお答えになりましたように、本来社会開発なんということばもありますが、政治全般についてそういうことを旨とすべきという思想をここに明確にあらわしておいたほうがよろしい、こういう趣旨であろうと思います。でありますから、従来のちょっと立法例と違いますけれども、従来そう書いてないから、それをないがしろにするということじゃありませんが、やはり最終はこれが目標でありますから、これを明らかに法文上明記されたと、まあいいますると、一歩前進というふうに解してもいいのじゃないか、かように考えております。
  49. 竹田現照

    ○竹田現照君 次に、第二条に、滋賀県が近畿圏整備法と重複をしておりますが、そこで、この滋賀県のいろいろな問題について、この近畿圏整備本部と新法の中部圏開発整備本部との開発整備計画の調整というものはそごのないようにはかられるものかどうか、その点心配はないのかどうかですね、お伺いしたいと思います。
  50. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは、お説のような点がございますので、総理大臣の手元で実施にあたりましては調整をする、こういうことになっております。     —————————————
  51. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 委員異動について御報告いたします。  ただいま白木義一郎君が委員辞任され、その補欠として鈴木一弘君が委員に選任されました。     —————————————
  52. 竹田現照

    ○竹田現照君 私がいまお伺いいたしましたのは、提案者の増田さんが衆議院でもお答えになっていますが、滋賀県を入れたということは、重複するところはむしろそこに意味があるのだというようなお答えをされておりましたけれども、この近畿圏、中部圏の整備本部のいわゆる役所のなわ張り争いといいますか、開発計画なり、そういう問題について、そういうようなことが万一起きるというような場合に、むしろ意味があるべきはずの滋賀県の開発計画が、そのことによって取り残される結果を生ずるのではないかと、そういうことを懸念をするものですから、あえてお伺いをいたしたのですが、御心配はないのですか。
  53. 増田甲子七

    衆議院議員増田甲子七君) お答えを申し上げます。  衆議院の建設委員会においても、こういう趣旨のことを御答弁申し上げたことは、竹田委員の御指摘のとおりでございまして、われわれは、今回この法律の対象になっておりまする東海四県と北陸三県並びに長野県と滋賀県とが一つである、一体的見地から、開発並びに整備を、大阪やあるいは東京みたいに過密地帯になる前に考えるべきであるというような識者の勧告等もございまして、特に重複することを意識しつつ中部日本は一体である、こういう構想から開発整備基本計画をつくりたい、こう考えているわけであります。もとより、滋賀県自身もそのことを望んでおりまするし、また、滋賀県自身が近畿閥に入っていることも明瞭でございます。近畿圏という立場からも整備計画が——整備計画の中には開発計画もあるわけでございまするが、つくられます。つくられますと、両方の絵がその点がちょうど重複するわけでございまして、これはやっぱり立場立場で二つの計画があり、重複されてもいいんじゃないかと、そのために滋賀県が取り残されないように、それからなわ張り争いがないようにということは、特に主務大臣になるべき中部圏開発整備長官において、内閣総理大臣が調整をするときに、特別に勉強をしてもらうことを政府に期待をいたしておる次第でございます。
  54. 竹田現照

    ○竹田現照君 提案者のそういう期待は期待ですが、これは最後になりますが、この法律ができて、それを推進をされる立場政府側としては、いま私が質問をしたこと、あるいは提案者の御答弁にありますようなことが、かりにも、やはり二つ役所ができるわけですから、役所ができると、とかくなわ張り争いというものがこれはつきものでございますから、そのことが、いま心配をしたようなことがないように、そうしてその飛ばっちりを受けて滋賀県の開発計画が逆におくれるというようなことのないように、格別の配慮をされるように、政府側からもその点確言をしていただきまして、私の質問を終えたいと思います。
  55. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) これは考え方によりましては三重、滋賀、福井というものは、近畿圏整備法の区域に入っております。でありますから、それでいいんじゃないかという考え方もあるわけであります。ところが、地形的にまあ名古屋を中心とする中部圏、いずれもまた接壌地域でありまして、産業経済、その他の関係がきわめて深い。そういうことで、やはり中部圏の開発計画あるいは整備、そういうものと非常な関連があるということで、まあ重複するのもやむを得ないということで立案されたことを聞いております。そういう意味で、やはり、ややニュアンスの違った計画が、必ずしも一致しない計画が立てられるかもしれません。しかし目的は、この第一条に書いてありますように、また、近畿圏整備法の第一条にも同じような趣旨が書いてありますから、その点はその目的に沿うように調整をして、そうして円満なる開発ができるように、これは当然のことだと考えておりますから、両方がつり合いをして、そこが取り残されるということがないように、また、あってはならないものと考えておるわけでございます。
  56. 松永忠二

    委員員(松永忠二君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  57. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議はないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。
  58. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、本法案に反対するものであります。  まず第一に、この法案は、自民党、政府が、独占資本の帝国主義的復活の経済的土台を築くために打ち出した高度経済成長政策に基づく地域開発計画の一環をなすものだからであります。それは、地方自治体に対する官僚的統制と直接干渉を強めるとともに、ばく大な国家資金と地方財政とを独占奉仕中心道路、港湾、用地、工業用水等の造成に投入し、その結果、地方自治と地域住民の生活、権利を破壊するものであります。このことは首都圏整備法や近畿圏整備法がもたらした大都市の現状を見ればすでに明らかであります。すなわち、東京や大阪では、開発どころか深刻な交通地獄、産業公害、水飢饉、住宅難などを来たしています。その反面、財政は極度に圧迫され、全国でも最も大きな赤字をかかえて苦しんでいるのであります。  以上のことは、政府、自民党の強行する地域開発なるものがいかに独占本位のものであり、人民の利益に反するものであるかを物語っております。  ところで、いま議題になっている中部圏開発整備法案もその軌を一にしています。すなわち、本法案は、均衡ある地域開発とか、広域的かつ有機的経済圏の形成とかの美名のもとに、太平洋沿岸の巨大独占企業が北陸地方一円の日本海沿岸地域に進出し、その支配をさらに広げるために、東京と大阪、名古屋と北陸を結ぶ道路交通網の整備、工業用地の造成や港湾づくり、さらに水資源開発などを行ない、そのために中部圏九県の地方自治体を動員し、ばく大な国家資金の投入を容易にするものであります。しかも、このような政策の強行によって当該地方自治体の財政負担は耐えがたいものとなり、中部圏住民の生活と権利が著しく脅かされるであろうことは推測にかたくありません。すでに中部圏の中心となる愛知県では、中部財界の要請に基づき、この五年間愛知県新地方計画を推し進め、県財政から毎年数百億の資金を投入して東海製鉄、トヨタ自動車、名鉄、中部電力などの独占資本に毎年膨大な利潤をあげさせてきました。そのため、かつての富裕県愛知の県財政は赤字となり、県民のための民生・教育予算等は大幅に削減され、名古屋では深刻な都市問題が山積し、農漁村は荒廃し、また工業用水のくみ上げによって地盤沈下を来たし、そのために海水は木曾川に逆流し、塩害のため南部での米の産額は反収二俵といったところも続出している現状であります。  反対理由の第二は、この法案は、国務大臣を長官とする中部圏開発整備本部を設置し、用地、港湾、用水、輸送、住宅、都市計画などの膨大な計画を立て、これを実施するよう定めています。その結果、中部九県に対する自民党、政府の統制と干渉は強化され、ますます地方自治が破壊されることが明らかだからであります。これは自治権の縮小と道州制への道を開くものであり、軍国主義化とアメリカのアジア侵略戦争への国内協力体制を推し進める反動的なねらいにつながるものと言わねばなりません。  第三に、こうした太平洋沿岸の工業地帯と北陸とを結ぶ中部圏開発整備は、米日独占資本の朝鮮進出やシベリア開発のねらいともつながって、侵略と戦争の兵たん補給地として仕立て上げようとする側面をもあわせ持つものであることを指摘せずにはおられません。現に国連のワイズマン調査団の中部圏地域計画調査に関するメモには、こう述べています。関東・近畿両圏をつなぐ強力な力、それに伊勢湾と北陸を結ぶルート、名古屋−富士間、伊勢湾周辺相互をそれぞれつなぐ高速輸送網がつくられなければならない。こうして中部圏から東西南北へ道路が延びれば、それこそ世界へつながるルートが確立される。このワイズマン報告書の裏に隠された意図をわれわれは見のがすことはできないのであります。  以上述べた三点の理由によって、私は、本法案に反対するものであります。と同時に、わが党は、これら地域住民の生活と権利を守るために、米日独占のための地域開発ではなく、工業、農業、漁業その他地域産業の育成と住民の生活と営業のための公共施設を拡充し、健康で文化的な都市、農村計画の実施を要求し、そのための予算獲得のために戦うことを表明して、私の反対討論を終わります。
  59. 小酒井義男

    小酒井義男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となっております中部圏開発整備法案に賛成の討論をいたします。  この法律案は、首都圏と近畿圏の中間の位置を占める中部九県一市が、均衡のある発展と相互間の産業経済等の緊密化をはかるとともに、社会福祉の向上に寄与することを目的としておるのでありますが、特に地元に設置する地方協議会において、開発の基本計画を作成し、住民の意思を反映させることにしていることは、従来の開発整備法において見られないところの画期的な意欲性を持っておるのであります。今後九県一市が、相互の理解と協力のもとに理想的な中部圏を実現させるために積極的な努力をされることを切望するものであります。  以上をもちまして討論を終わりますが、次に、自由民主党、日本社会党、公明党、民主社会党を代表して、附帯決議案を提出いたします。  まず、案文を朗読します。    中部圏開発整備法案に対する附帯決議案   本法の実施に当たつては、その立法の趣旨にかんがみ、中部圏開発整備審議会並びに中部圏開発整備地方協議会の委員のうち学識経験者の任命について、政府及び関係県の知事は、地域住民各層の意見が十分に反映されるよう特に配慮すべきである。   右決議する。  以上をもちまして私の提案を終わります。何とぞ御賛同をお願いいたします。
  60. 松永忠二

    委員員(松永忠二君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  61. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 速記を始めてください。
  62. 稲浦鹿藏

    稲浦鹿藏君 私は、自由民主党を代表しましてただいま提案された法案に対して、賛成の討論をなすものであります。  さきに東京を中核とした首都圏整備法が制定され、また続いて大阪を中心とした近畿圏整備法が制定されました。当然、その中間の名古屋を中心としたこうした法案が出るのが当然だと思います。むしろおそきに失したと思います。この法案を推進することによって均衡のとれた社会経済の発展あるいは社会福祉の向上等は期して待つべきものがあると思うのであります。さような意味におきまして、私は賛成するものであります。  なお、小酒井氏の提案されました附帯決議案には、その趣旨に賛成をいたします。以上です。
  63. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  64. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  中部圏開発整備法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  65. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 多数と認めます。よって本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  次に、討論中に述べられました小酒井義男提出の附帯決議案を議題といたします。  小酒井義男提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  66. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 多数と認めます。よって小酒井義男提出の附帯決議案は、多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、安井総務長官から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。
  67. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ただいま御決定になりました附帯決議の趣旨につきましては、政府といたしまして、十分に尊重をしてまいりたいと存じております。
  68. 松永忠二

    委員長松永忠二君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 松永忠二

    委員長松永忠二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後九時一分散会