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1966-05-30 第51回国会 参議院 決算委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月三十日(月曜日)    午後一時四十八分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月十二日     辞任         補欠選任      片山 武夫君     高山 恒雄君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 仲原 善一君                 八木 一郎君                 相澤 重明君                 竹田 現照君                 二宮 文造君     委 員                 川野 三暁君                 木内 四郎君                 久保 勘一君                 黒木 利克君                 内藤誉三郎君                 野知 浩之君                 山本茂一郎君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 達田 龍彦君                 中村 波男君                 藤原 道子君                 山高しげり君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  莊君        大蔵政務次官   竹中 恒夫君        大蔵省主計局次        長        鳩山威一郎君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        農林政務次官   後藤 義隆君        林野庁長官    田中 重五君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        外務大臣官房会        計課主計室長   峰崎 邦雄君        林野庁林政部長  木戸 四夫君        林野庁林政部調        査官       斉藤 清二君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 一、昭和三十八年度一般会計予備費使用調書  (その2)(内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十八年度特別会計予備費使用調書  (その2)(内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十八年度特別会計予算総則第十三条に  基づく使用調書内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十八年度特別会計予算総則第十四条に  基づく使用調書(その2)(内閣提出衆議院  送付) 一、昭和三十八年度特別会計予算総則第十五条に  基づく使用調書内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十九年度一般会計予備費使用調書  (内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十九年度特別会計予備費使用調書  (内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十九年度特別会計予算総則第十四条に  基づく使用調書内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十九年度特別会計予算総則第十五条に  基づく使用調書内閣提出衆議院送付) 一、昭和三十九年度特別会計予算総則第十六条に  基づく使用調書内閣提出衆議院送付) 一、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(そ  の1)(内閣提出衆議院送付) 一、昭和四十年度特別会計予備費使用調書(そ  の1)(内閣提出衆議院送付) 一、昭和四十年度特別会計予算総則第十一条に基  づく使用調書(その1)(内閣提出衆議院送  付) 一、昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為総  調書(第四十八回国会内閣提出)(継続案件)     ―――――――――――――
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  去る五月十二日、片山武夫君が委員を辞任され、その補欠として高山垣雄君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件、昭和三十九年度一般会計予備費使用総灘.書外四件、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その一)外二件及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為調書議題といたし、審査を行ないます。  まず、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その一)について、政府より概要説明を聴取いたします。
  4. 竹中恒夫

    政府委員竹中恒夫君) ただいま議題となりました昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その一)外二件の事後承諾を求める件につきまして、その概要を御説明申し上げます。  まず、昭和四十年度一般会計予備費につきましては、その予算額は四百五十億円であり、このうち、財政法第三十五条(予備費管理及び使用)の規定により、昭和四十年四月六日から同年十二月二十一日までの間において使用を決定いたしました金額は三百六十七億五千三百万円余であります。  その内訳は、災害対策として農業施設災害復旧事業に必要な経費等四十九件、その他経費として佐藤内閣総理大臣沖繩訪問に必要な経費等十九件であります。  次に、昭和四十年度各特別会計予備費につきましては、その予算総額は二千七百二十億五千四百万円余であり、このうち、昭和四十年六月十五日から同年十二月十七日までの間において使用を決定いたしました金額は九百六十億七千二百万円余であります。  その内訳は、食糧管理特別会計国内米管理勘定における国内米買い入れに必要な経費、同特別会計国内麦管理勘定における国内麦買い入れ増加に伴い必要な経費、同特別会計輸入食糧管理勘定における輸入食糧買い入れ増加に伴い必要な経費、同特別会計砂糖類勘定における砂糖類買い入れ増加に伴い必要な経費道路整備特別会計における道路事業及び街路事業調整に必要な経費等特別会計の二十五件であります。  次に、昭和四十年度特別会計予算総則第十一条(歳入歳出予算弾力条項)の規定に基づき、昭和四十年八月三十一日から同年十月十二日までの間において経費使用を決定いたしましたものは、食糧管理特別会計国内麦管理勘定における国内麦買い入れ増加に伴い必要な経費二十九億円、同特別会計輸入食糧管理勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費七億一千三百万円余、同特別会計砂糖類勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費八十九億七千八百万円余、同特別会計輸入飼料勘定における返還金等調整勘定繰り入れに必要な経費二十一億二千七百万円余であります。  以上が昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その一)外二件の事後承諾を求める件の概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御承諾くださいますようお願い申し上げます。
  5. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、昭和三十八年度一般会計予備費使用調書(その2)外四件、昭和三十九年度一般会計予備費使用調書外四件、昭和四十年度一般会計予備費使用調書(その一)外二件、及び昭和三十九年度一般会計国庫債務負担行為調書。  質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 大森創造

    大森創造君 林野庁長官にお尋ねいたします。  まず、国有林野とそれから民有林との交換、それはどういう法的根拠に行なわれるものであるか、簡単にお答え願います。
  7. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有林野交換につきましては、国有財産法あるいは国有財産特別措置法に基づきまして行ない得ることになっております。それで、交換を必要とする場合は、国有林野事業運営上土地あるいは建物等を取得する必要がある場合には、渡し財産として普通財産としての国有林野交換するということになっております。
  8. 大森創造

    大森創造君 私は国有林野の売り払いとか処分という問題は相当むずかしいと思うんです。法的に手続的に非常にむずかしいと思うんですが、交換というものは比較的手続が簡単でございます。それが法の盲点だと思いまするけれども、交換という名のもとに国有林野の実質的な払い下げを受けている。私の計算では、二十億からあるいは五、六十億ぐらい不動産業者が非常にもうけたという、裏を返せば、国のほうが二十億から五、六十億の金を損した、そういう事件を大体つかみました。その経緯についてひとついまからお尋ねいたします。  そこで、行政財産と申しますか、要存置林野ですね、そういうものの払い下げを受けるということはたいへんむずかしいことでしょう。どういう手続を要しますか、払い下げを受けるとき。
  9. 田中重五

    政府委員田中重五君) 要存置林野としての国有林野を売り払うという場合は、たとえば自作農創設特別会計、その特別会計に売り払うという場合、公用、公共の用に供する場合、そういう場合は国有林野が売り払われる場合がございます。
  10. 大森創造

    大森創造君 そこで、端的に長官にお尋ねいたしますが、売り払いとか処分払い下げというものは用途指定だとかいろいろな制限事項がございますが、交換ということはわりあい簡単にできるようですね。そこに法の盲点が私はあるだろうと思います。  そこでお伺いいたしますが、過去五年間に、これはあまり例がないわけですから、百町歩以上の国有林野民有林交換した件数はどのくらいありますか、一つ二つしかないと思いますが。
  11. 田中重五

    政府委員田中重五君) 過去五年の間に二件ございます。
  12. 大森創造

    大森創造君 その二つしかないのですから、二つを言うてくれませんか。
  13. 田中重五

    政府委員田中重五君) その一つ静岡県の伊豆でございます。それで面積が、受け財産といたしまして八十一町三九〇八、それから渡し財産は二百三十八町〇五二二、受け財産のほうは造林地で、渡し財産天然林でございます。価格は、受け財産が一億三百八十三万二千四百六十九円、渡し財産が一億三千百三十二万五千六十二円。それで差金は二千七百四十九万二千五百九十三円、これを受け取っております。そうして交換相手方静岡県でございます。  それから他の一件は栃木県の国有地でございますが、受け財産所在地新潟県でございます。面積が三百九町五〇一九、それからそのほかに地上立木が二千二百二十四立米金額が五千七百九十一万一千七百円、渡し財産栃木県でございます。その面積が二百三十五町三二〇四、地上立木が一万四千三百五十一立米でございます。その価格は五千九百十六万一千九百円、差金百二十五万二百円となっております。それから第二回目の分といたしまして、受け財産新潟県の分でございますが、面積百十六町四六〇三、それから地上立木が千百七十二立米渡し財産栃木県でございますが、百三十五町六一〇八、地上立木が一万二百十四立米、そして受け財産価格は二千八百二十七万四千四百円、渡し財産が二千八百八十三万七千八百円、差金が五十六万三千四百円、こういうふうになっております。
  14. 大森創造

    大森創造君 そのあとのほう、二つのうちのあとのほうですがね、問題は。こういうのは全国で二件しかないのですが、そのうちの一つですね。那須ですね、これは場所は。それから受け財産のほうは新潟県の岩船郡の川村大字金丸ということになっていて、そして二回にわたって交換をしているわけですね。第一回が三十九年の三月三十一日契約、それから第二回が四十年の七月七日契約ということになっております。これは林野庁のお出しになった資料に基づいて申し上げているのですが、この相手先はだれですか。
  15. 田中重五

    政府委員田中重五君) 相手先は東京都の美福株式会社代表取締役小針暦二でございます。
  16. 大森創造

    大森創造君 小針暦二氏が社長であるが、ほかの役員大物がずらりいるでしょう。御存じありませんか。これはあとでお調べ願うとして、それでは次に聞きますが、まず払い下げ処分ということは使用制限だとかいろいろな制限事項がつきますが、交換ということはいとも簡単にできるようなので、ある業者がここに目をつけて、そして交換をして一もうけしようという場合には、これは可能なわけですよ。しかし、交換ということは、法の精神から見て国が必要がある場合に交換という措置をとるのだろうと思うのです。不動産業者などが申請をすべきものでない。国の判断によって交換する必要があるという場合に、交換をまず林野庁なり国のほうから申し出るべきものだろうと私は思う。ところが、そこのところが少し問題なんですね。まずお答え願います。そういう性質のものでしょう。
  17. 田中重五

    政府委員田中重五君) それはお説のとおりでございます。
  18. 大森創造

    大森創造君 そこで、ある業者がいまして、まあ前半の静岡県のほうは相手公共団体です。それで二番目の那須土地の場合には、これは美福でないのですよ、交換相手先は。その前の所有者知っていますか。どなたか。
  19. 田中重五

    政府委員田中重五君) 相手方はいま申し上げたとおりだと承知いたしております。
  20. 大森創造

    大森創造君 美福所有は、大体いろいろな工作を行なって、林野庁がこの新潟県の土地とそれから那須土地交換ができる、契約ができろという見通しが立ってから、美幅がばんと買い入れているのですよ、その百前に。大体これは何億にもわたる、しかも全国二つのうち一つ、しかも美福というのはどういう会社かお調べになりましたか、どういう会社か。
  21. 田中重五

    政府委員田中重五君) 林政部長から申し上げます。
  22. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) 定款によりますと、「当会社は左の事業を行なうことを目的とする」、こうなっておりまして、そこに五つばかりの業務が書いてあるわけでございますが、一つ内外農産物鉱産物繊維製品紙製品機械器具売買及び木材加工、二番目には問屋業仲立ち業及び輸出業、三番目は不動産売買及び賃貸、四番目は旅館及び観光施設経営、五番目には土木建築業、六番目といたしまして前各号に付帯する一切の事業、こういうことになっております。
  23. 大森創造

    大森創造君 私は、前に戻りますが、この百町歩以上交換したのは全国二つしかない、五年間のうちに。そこで、私は異例中の異例だと思うのですね。これは美福という会社は、私はここに謄本を持っておりますが、謄本をごらんください。小針暦二という人は代表取締役でございますが、以下はみな政治家ですよ。こういう会社全国にありません。大物国会議員がずらりとそろっております。資本金は二千万円ですよ。そこで、あなたがおっしゃられているように、定款記載目的は全部で六項目あることは間違いございません。その美福は福島に床材の工場を持っていますが、名実とも謄本の三と四に記載している不動産売買及び賃貸旅館及び観光施設経営、これが会社の主たる任務です。私はずっと調べてまいりました。あとのことはつけたり同様です。いいですか、これは不動産業者ですよ、はっきりと。これは何億という交換をする場合に、相手会社調べないんですか、どういう顔ぶれが役員であって、そうしてどういう仕事をしている会社であるかということをお調べになりませんか、事前に。
  24. 田中重五

    政府委員田中重五君) 会社定款等についてはもちろんそれを調べますし、その交換相手方として交換能力あるいは支払いの信用力等、そういう点については十分に確認をしなければならぬと存じます。
  25. 大森創造

    大森創造君 そこで、そういう不動産会社――主たる業務不動産会社でございますが、そういうものに交換するという例は全国にこれ一つしかないのです。いま長官の言明のとおり、静岡県の場合には、これは公共団体ですから。それで、不動産会社に払下げをした。いいですか、美福という株式会社、その美福という株式会社は、交換寸前に、ある会社から、交換できるという見通しが立ってから、新潟県の土地第三者から購入しているのですよ。これは交換するために買っているのですよ。そうして、大体私の計算では二十億から五、六十億のもうけがあるだろう、こういうことですね。そこで、国有林野交換を受けた美幅が、交換を受けた主要目的観光、レジャー、分譲と、こうなっているのだね。こういうことでいいんでしょうか。そういうことがいままでにございましたか。
  26. 田中重五

    政府委員田中重五君) 交換にあたっての相手利用計画としましては、緑地公園、森林植物園運動場、山小屋、別荘旅館等総合開発ということになっておりまして、そういう利用計画であるということを承知して交換をいたしております。
  27. 大森創造

    大森創造君 そういう例は皆無でしょう。交換する場合に、別荘旅館を建てる、しかも分譲をするということについて、これは法的にはどうか知らないが、林野庁始まって以来こういう事件はなかったでしょう。
  28. 田中重五

    政府委員田中重五君) 交換をして財産を渡す場合の、その利用のしかたが、その地元あるいはその地域の産業の開発なり、あるいは環境の改善なり、その他福祉の向上と一般に申し上げてもいいかと思います、そういう利用計画がある場合に、そういう利用計画を了承の上で交換するという場合は、この件だけでなく、ずっと零細の土地の場合に、なおほかにも例がございます。
  29. 大森創造

    大森創造君 とにかく、三百七十一町歩ですか、そういう膨大な面積を、別荘、すなわち分譲するために不動産業者交換をさせるというケースは、小さい例はあるかもしれないが、こういう問題はないと思うのですよ、私は。これ一つだろうと思うのです。これは異例中の異例だろうと思うのです。  そこで、具体的な質問に入りますが、美福株式会社は、先ほど申し上げたとおり、前後二回にわたって、合計三百七十一町歩にわたる広大な面積国有林交換によって取得しております。その坪単価が、立木ともに入れて八十三円と七十二円という法外に安い値段です。その交換契約は、三十九年の三月三十一日と四十年の七月七日になっている。その契約の年月日から推して、長官決裁案件と思うのでございますが、いかがですか。
  30. 田中重五

    政府委員田中重五君) そのとおりでございます。
  31. 大森創造

    大森創造君 それで、現地の営林局並びに林野庁は、交換相手方美禰株式会社不動産業者であるということを知って交換に応じたのですか、知らなかったのですか。
  32. 田中重五

    政府委員田中重五君) いま林政部長が申し上げましたような、定款に掲げられた仕事をする会社であるというふうに承知をいたしておりました。
  33. 大森創造

    大森創造君 どうしても、私は調べてみますると、これは新潟県の土地、この土地興国人絹パルプ土地なんでしたよ。いわゆる貸し付けの申請をし、運動をずっと継続的にやっている段階では、美福のものでないですよ。美幅と国との間に交換の約束ができる見通しが立ってから、江商という会社からお金を一億七千万円借りて、興国人絹から美福が取得したわけでしょう。この土地は、だから結局、国の那須土地分譲して一もうけしようという目的のもとに、興国人絹のほうは一方売りたがっていたのですよ。林野庁に売りたがっていたのですね。それは、いろいろな証拠をここにそろえてございます。前々からずっと調査をしていて、そうして働きかけをして、林野庁のほうに、交換したい、そう思っていて、そうして美福のほうに売り渡した。美福のほうは、これは交換が可能であるということなので、江商から金を借りて、興国人絹からこれを取得している。だから、林野庁のいわゆる交換相手先美福ということになっていますが、実は少しさかのぼって見てみますというと、交換のために興国人絹からこの土地を取得したのです。その金は江商株式会社から出ているのです。だから、林野庁並びに国のほうは踊らされた感じなんです。江商美福の間には、十八億円の貸借関係があるのです。美禰江商から金を借りているのです。そのために、林野庁というものを利用して、そうして江商美福が大もうけしようということでたくらんだ。そこに政治的な工作が行なわれた。これは、あらゆる点から見て、そうなんですね。こういう前例がないのです、いままで。いわば脱法行為払い下げはできないが、交換ということならばいとも簡単にできるということで、政治的な工作を行なって、そうして自分の土地でないものを、交換直前に、見通しが立ってから、ばんと買い込んで、そうして交換をした。もうけが何十億、こういうことになっている。  そこで、公取事務局長おいでだろうと思いますが、これは各新聞などにずっとある。この土地は、ふしぎなことに、交換ができてからわずかな期間のうちに、今度は藤田組子会社であるところ藤和不動産というやつに所有権が移っています。そうして、いま分譲中です、これはどの程度お調べになったか。誇大広告誇大宣伝、その疑いはないかどうか。というのは、江商美福に十八億円の債権を持っておりますから、債権の担保として取っている。こういういろいろな宣伝をしてみても、とてもこれはこのとおりにはできないのです。こういういきさつについて、公取のほうでお調べになっているはずだ。ひとつお答えいただきたい。
  34. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 御承知のように、昭和三十七年に不当景品類及び不当表止防止法という法律ができまして、競争者の顧客を自己取引に不当誘引するために不当な景品を与える、あるいは不当な表示をすることを、この法律は規制しております。  ただいまお話しの、那須土地分譲につきましては、先般そういう事実を探知いたしましたので、先般来、関係者を呼びまして、事情を聴取いたしております。
  35. 大森創造

    大森創造君 この美福役員が、交換取引完了の時点で、取締役はじめとしてですが、これが交換完了と同時にそうそうたる国会議員にぐんと肩がわりしていることを御存じですか。
  36. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 私が聞いているところでは、まだ私としてはそこまで聞いておりません。
  37. 大森創造

    大森創造君 林野庁長官御存じですか。
  38. 田中重五

    政府委員田中重五君) それは承知しておりません。
  39. 大森創造

    大森創造君 承知していませんか。  そこで、定款面でも明白な不動産業者国有地交換取引をすることの妥当性というものを長官から承りたいと思う。あるいは国有財産局長から。
  40. 田中重五

    政府委員田中重五君) 国有財産交換する場合のたてまえにつきまして先ほど申し上げた次第でございますが、で、その受け財産が今後国有林野事業経営上、必要かつその生産性等において十分に高く評価ができるかというふうに考えた場合に、一方において渡し財産をそれに見合ったものとして評価をして出すわけでございますから、ただそういう面からいいまして、国有林野交換は、その評価が適正に行なわれているかどうか、その点に一番問題があると思いますけれども、なお交換後の渡し財産利用等につきましては、先ほども申し上げましたような、その地域のいろいろな意味における発達、改善、そういうことに資し得れば、国有財産の活用という面で妥当ではながろうかという考え方でいるわけでございます。
  41. 大森創造

    大森創造君 それで、その問題の土地払い下げてない。交換を受けてから日ならずして売り出しているのですね。藤田組子会社藤和不動産並び江商のほうに相当な面積を渡していて、そうして分譲している。その分譲広告によりますると、これは大体坪当たり八千五百円から九千二百円ぐらいで売り出しているのですよ。そうして払い下げ価格は七十二円から九十二円というわけです。造成費ほかかっていますが、これは藤和不動産で聞いてみますというとわずかなものですな。千二、三百円から二千円くらいで造成はできるということになると、これはもう何というか、林野庁長官はそういう答えでも、こういうもうけ仕事というのはいまどきないですね。これはいいですか、くだいて申しますというと、あらゆる政治的な工作をして、そうして那須の適当な土地というものを、これを払い下げることができる、交換することができるということなんで、第三者興国人絹パルプ新潟に持っていた土地、たいした土地じゃありませんよ、その土地江商から金を借りて美福がぽんと自分のものに取得をして、この交換をして、いいですか、交換をしてから日ならずして今度は八千五百円から九千二百円ぐらいの額でばっと分譲するというふうなことは、こんなもうけ仕事いまどきないと思うのですが、これどうですか、長官じくじたるものがございませんか、この決裁の問題について。それから、この決裁の問題について国有財産局長のほうも関連があるはずなんだが、こういう申請があった場合にいささか政治的な圧力を考えなかったですか。
  42. 田中重五

    政府委員田中重五君) 渡し財産あるいは受け財産についてはそれぞれ適正に評価をしておるつもりでございますけれども、特に渡し財産のほうにつきましては、国有林野処分でもあるわけでございます。慎重をあくまでも期さなければならないわけでございます。で、その場合の評価の方法としましては、できる限り高度利用をされるという前提で評価をするわけでございます。この場合も、宅地造成等の計画もあったようでございますから、そこで宅地造成をするものとしての評価をした場合のそういった額は幾らになるという計算もいたしております。それから、一方山林としての取引価格についても、その取引事例あるいはその他国有財産評価の場合に必要な評価の方法をすべてとっているわけでございます。で、その中で最も有利と考えられる評価方法によった価格処分をしておるということでございます。
  43. 大森創造

    大森創造君 本件を、林野庁の段階では、これはたいしたことないと思って決裁したのだろうと思いますが、私の仄聞するところによるというと、営林局や林野庁のほうには書類がわりあいにすいすいと通った。通るだけの理由があるとは思われる。この美福株式会社役員を見ますると、もとの農林大臣もいますし、有力な国会議員が五、六人いますから。ところが、財務局のほうでは、これは少しひっかかったようですね、この問題では。この間のいきさつがおわかりでしたら教えていただきたい。
  44. 松永勇

    政府委員(松永勇君) 本件につきましては、林野庁国有財産特別会計の問題でございますので、各省、各庁の庁としての林野庁が処理なさっているわけでございますが、本件の処理にあたって関東財務局のほうに協議が参っております。参りましたのは、その間処理の状況を調べてみますと、事務の処理としては比較的順調に処理がその期間で行なわれております。いろいろ調査等に若干の時日を要したというふうに認められますが、いまのような関係で、どの程度その段階で林野庁事務当局との間に話があったのか、私詳細には存じませんが、いずれにしろ、いろいろな観点の応答があった末、協議に応じ、同意を与えたという経緯になっております。
  45. 大森創造

    大森創造君 私からこの問題の背景になるものを簡単に説明いたします。  この交換で国が受け取っている新潟の山は、もともと興国人絹パルプ所有です。美福所有ではないのです。興国人絹はそれを少しでも高く林野庁に売りたいと思っていた。これは私は全部物的証拠を持っておりますから。で、また貿易会社である江商は、美福に対して当時すでに元本十八億円の焦げつき債権を持っていた。その回収に苦慮していたんですよ。あなたのほうで交換をされた美福という株式会社は、これは江商が十八億円の巨額の焦げつき債権を持っていた。この背景をひとつ頭の中に入れておいてください。美福那須国有地で起死回生の丁もうけをして、これは全部調べましたが、何とかならないかと思って四苦八苦していた。ここで大ばくちを打とうと考えた。そこで興人と――これはもともと興人の所有ですから、美福ではないのですから、交換のためにその直前にばっと美福江商から金を借りて自分の所有にしたんですからね。そこで興人と江商美福の三者の利害が一致して、昭和三十六年、七年ごろこの交換の下工作が活発に行なわれた。これは長官御存じない。興人はパルプ会社の関係から林野庁には特に近いのです。林野庁長官御存じない。これは江商美福の社長の小針暦二氏は自民党の河野派と特に近い。江商の前専務植松氏は河野氏の推挙によって江商に入った。これは確実なんです。とういう関係から、江商と農林省とは特に近い。いいですか、これは否定できませんよ。美福の小針社長は春秋会に出入して、河野派と特に親しい。これはちゃんと調べました。興人は林野庁工作を側面から援助した。江商、特に植松専務は農林省に特に働きかけておるとともに、河野一郎氏を通じて間接的にもいろいろ工作をした。しかし、河野一郎氏を積極的に動かすことには至りませんで、工作は成功したとは思われなかった。私は事実を申し上げます。そこで、工作の主役は江商の植松専務から美福の小針社長に移った。小針氏は先ほど申し上げましたように春秋会に出入していた関係上、また従来から美福役員もしていた河野派の某議員のあっせんもあって、河野派である元農林大臣に直接働きかけた疑いがあります。疑いでなくて、大体事実です。そして、その取引はすぐに成功した。その大臣はその直後美福の会長に就任されました。これを見ると、ちゃんと書いてあります。会長に就任した。これは御存じないかどうか知らぬけれども、ごらんください、会長になっております。で、この興人がまたこの取引に関係したことは、元来興人の所有であった新潟の山林が美福所有権が移転する前から、新潟那須交換の話で一生懸命調査しているのですね、興人が。この一事からも大体推測ができるのです。この交換の問題に興国人絹パルプが、それから江商が相当動いたことは間違いないのです。これは関係者の話を総合しますると。そして、交換の日時が三十七年の七月十八日、交換申請は何月何日と、全部符合するのですね。林野庁長官は以上のような事実をどの程度知っていたか、正直にひとつお答えいただきたいと思う。
  46. 田中重五

    政府委員田中重五君) そういう事情は全然存じません。
  47. 大森創造

    大森創造君 で、江商とこの問題との関係は、先ほど申し上げたとおり、この交換による資金一億九千万円――一億七千万円と申し上げましたが、一億九千万円が江商から出ていることなんです。このことは、私自身江商美福双方で確かめた、まるっきり交換のために。それで林野庁交換ができるという見通しが立ってから、美福が興人から買ったのです。もともと美福所有ではないということです。こういう問題を長官御存じないが、そういう下話を背景にしてこの事件をごらんになると、以下私は数点質問いたします。  国にとってこの必要性は那辺にあったのか。交換という問題は、国が相当積極的な交換の必要性がなければだめなわけですが、その必要性をもう一回言ってください。
  48. 田中重五

    政府委員田中重五君) 新潟県の受け財産としての造林地は非常に成績もよく、そうして将来の生産性向上の見通しも非常に高いというふうに判断をし、それが国有地に隣接をしておるということで、国有林野といたしましては、そういう奥地の林業経営でできるだけ林地を取得していこうという方針もございますが、で、この林地を受け財産にして取得した、こういうふうに考えております。
  49. 大森創造

    大森創造君 まあそういうことでございますがね。交換という一側面は、林野庁にとっては、一方では土地の取得であると同時に、別の面では土地処分ですね。那須国有林処分にあたって地元がどうだとかこうだとか、その妥当性をいろいろ長官がおっしゃいますが、私ははなはだ当を得ていないと思う。  それから、処分の単価が問題だと思うのです。この表から換算すると――これは林野庁からちょっといただきました資料によるというと、その坪当たりの処分単価が、立木ともに八十三円と七十二円、立木を別にすると六十四円と五十六円ですね。この数年来那須観光ブーム、分譲ブームにわいている。これは御承知のとおり、毎晩テレビでやっております。大都リッチランド、新栄ファミリーガーデンとかいって宣伝をしています。その那須土地が、七、八十円から五、六十円で処分するのは、これは妥当かどうか。これは常識の問題だ。
  50. 田中重五

    政府委員田中重五君) その点につきましてはいまも申し上げた次第でございましたが、渡し財産のできるだけの高度利用がはかられるという前提での評価一つ評価の方法として行ないまして、それで、それと現在の山林の取引価格あるいは精通者の鑑定、そういうものを勘案をいたしましたところでは、山林としての取引価格のほうが有利であるというふうに結論を得たわけでございます。で、宅地になってしまった場合の坪当たりの単価は相当高額になるわけでございますが、それを造成するに至る諸経費を差し引いてまいりますと、必ずしも宅地で処分をするほうが有利であるとばかり言えないわけでございまして、やはりその場合のいろいろな評価の中で一番有利な単価を採用するというのが筋だろうと、そういうふうに考えております。
  51. 大森創造

    大森創造君 まあ長官のお答えはお答えにしておきますが、私、長官少し人がよすぎると思うのです。この土地は、何回も申し上げているように、交換の直後に藤田組子会社である藤和不動産に三十八万坪は売り波されているのですよ。残りも漸次藤和に売り渡されることになっているのですよ。その藤和不動産の社長は政治家です。藤和不動産はその販売会社である藤和那須開発とともに、この土地造成の未完成の現在――現在ですよ、坪当たり七千円から九千八百円で一般分譲している。これはカタログやリストがたくさんあります。これは交換から何年も経過しての話ではない。交換後わずか一年か半年しかたっていない現在の話ですよ。長官このことを御存じですか。この事実関係を踏まえた上で、その評価妥当性について御答弁願いたい。
  52. 田中重五

    政府委員田中重五君) 坪当たり八千円あるいは九千円というのは存じませんけれども、まあその宅地造成者がそれぞれの計算の上で計算した価格で、一方分譲を受けるほうが、また将来のその地域の環境の改善なりあるいはいろいろな施設、それの開発といいますか、そういうことを見込んで、あるいはそういう取引に応じて言う場合があるかもしれませんけれども、まあ将来においてどういうふうに値上がりをしていくということを国有林野処分価格評価するときに織り込んでいくということについては、なかなか問題があろうかと、こういうふうに考える次第でございます。
  53. 大森創造

    大森創造君 そこでね、現在売り出している藤和の分譲価格から造成費用を取り除いたものが手取り価格です。その手取り価格交換価格の差が美福と藤和のもうけになるわけです。  それではどの程度の造成かと考えてみれば、さっき長官おっしゃった、まず道路を――これは現地に私行って見ました、まず東西に伸びるメインがあります。これは栃木県側との話し合いで、県有の那須高原有料道路を延長してもらうことにきまった。土地の提供者は一銭も金がかかっていない。そのメインから分かれる私道は舗装なしの幅員五、六メートルのもので、これは事実そうなんです、たかが知れている。また、造成といっても、谷を埋め山をくずす大がかりなものではなくて、自然――景勝を生かしたままでの分譲地で、大体金はかかっていない。しいて言えば、貯水池を含める水道設備に若干金がかかる程度のものです。藤和の担当者の話でこう言っている。総体の造成費は坪二千円ぐらいまでで済むと、こういうふうに言っております。ずっと造成費を控除しても、交換価格の八、九十倍で売られているのです。その交換価格から間もなく――これは三歳の童子でも交換に大きな疑問を持つのです。こんなうまい商売があるものかと思うのです、この世の中に。八、九十倍ですよ、造成費を差し引いても。こういうことをやっていただけるならば、私も不動産会社をつくりたいと思うのだ。  それから、その評価手続についてお尋ねします。評価は、当然のことながら、三十八年の三月五日の評価基準に関する長官通達によったはずであります。それによれば、評価価格は相続税や固定資産税から割り出した算定評価価格と民間評価価格の算術平均で求めることになっているのです。そうですね、それはいいです。時間の制約もあるので、算定評価価格の当時の問題はおくとして、那須国有地の民間に依頼した鑑定井を御掛出いただきたいと思う。これが問題なんだ。いまここで鑑定者、これは一等簡単ですから、六十円につけることも、八十円につけることも――一円の報酬ももらえないんですから、銀行は。その日付、出してもらいたい。その日付同じなはずです。鑑定者は、私は教えますが、黒磯の銀行と森林組合とだれか。それぞれ反当たり千八百円前後、だから坪六十円つけている。鑑定者はまさに私の予想したとおりの価格をつけているのだが、足利銀行、栃木相互、大田原信用金庫、それに森林組合、これだけが鑑定書をつくっている。その方たちは不動産の鑑定士の資格を持っていないのです。いいですか。不動産鑑定士の肩書きのない点からも資格がないと思いますが、これはどうでしょうか。  時間がないから、一括して私は御質問申し上げます。きょう一日ではとても質問終わりませんから……。  ことに主観の思惟に左右される土地の鑑定を、客観的、科学的な根拠の上に行なうことはたいへんむずかしいことです。国家試験-不動産の鑑定評価に関する法律昭和三十八年七月に制定されたのは、御承知のとおり。なぜ不動産鑑定士の資格を持った鑑定者に依頼しなかったのか、そのことを質問はいたします。政府機関とも言うべき不動産研究所があるのに、なぜこれを利用しないのか。あまりに面積が多過ぎる、三百七十一町歩。  それから、この点が問題だと思うのです。銀行だとか森林組合に鑑定を取りに行ったのはだれなのか。美福が鑑定書を取りに行ったんでしょう。
  54. 田中重五

    政府委員田中重五君) 林政部長から申し上げます。
  55. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) 精通者の価格は、先生おっしゃったとおりでございます。  それから、不動産鑑定士に評価させることについては、先生からただいまお話がありましたように、不動産鑑定士法ができましたのは三十八年七月でございまして、山林や農地等につきましては適用除外になっておるわけでございます。  なお、国家試験による鑑定士の鑑定業務の登録は四十年の三月の末ごろになされたものでありまして、本件評価の後になっておるわけでございます。今後の問題につきましては、宅地見込み等につきましてはもちろんのことでございますが、できるだけ先生のおっしゃるような方向でやっていくように検討いたしたいと思います。
  56. 大森創造

    大森創造君 そこで、鑑定書を取りに行ったのはだれだと思いますか。私知っているんですよ。
  57. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) その点は、調査しておりませんのでわかりません。
  58. 大森創造

    大森創造君 私はこの交換は無効になると思うのです。これは美福でしょう。そこで申し上げますよ。大体あなた方御承知のとおり、いなか銀行のいなか支店というのは、権力や取引先の圧力には非常に弱いものですから。また、鑑定書の作成によって銀行の報酬は一文にもならないのです。単なる無料のサービスなんですね。だから、このような鑑定書は、依頼者の言いなりほうだいで、目の前で箇単に書いてくれる、六十二円なら六十二円と。私は知っているんですよ、六十二円なら六十二円、七十二円なら七十二円というふう一に鑑定書を書いてくれと言えば一いなかの銀行は一文にもならない。その晩ごちそうになるんだから、幾らでも書くでしょう、月給もらっていないから。そのことについては、依頼の報酬なんか  一銭もないでしょう。いかがです。いま無料のサービスなんです。
  59. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) 報酬は払っていないそうでございます。
  60. 大森創造

    大森創造君 そうでしょう。  そこで私は、しかも鑑定書は、ここに持っておりますが、同一の日付なんです。いま申し上げましたように、幾つもの鑑定者の鑑定書がございますが、同じ日付でばばんと取っちゃってある。行った人が問題だ。これは松本清張ばりでございますが、林野庁の役人が行ったんならいいんだけれども、そうじゃない。そうして依頼したということになれば、六十二円でも七十二円でも鑑定書ができるのですよ。しかし、林野庁のほうでは、交換に必要な書類として見た場合に、長官の机の上に来た場合に、合法的に鑑定書がなされたということになっているが、内容はそうでない。そこで、この鑑定書の依頼を交換申請者である美福が営林局にかわって銀行に行って、そして局の職員と鑑定書の単価を事前に打ち合わせたその鑑定書をもらってきたとするならば、この交換という法律行為は無効になると思うが、どうでしょう、これは。
  61. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) 評価の方法につきましては、先ほど長官から御説明がありましたように、固定資産税の標準価格をもとにした価格とか、相続税を参考にするとか、売買実例、第三者評価額を参考として林野庁長官が定めるということになっておりますので、無効にはならないものと存じます。
  62. 大森創造

    大森創造君 そこで、そういうふうに書類は整っているが、こうなんだ。私が調べたところによると、いま申し上げたとおりなんだ。評価基準に関する通達の末尾にこういうことが書いてある。これは林野庁長官、知らないとは言えない。「国有林野評価の特例」、そこには「ただし、当該林野が宅地、宅地見込地」――いまの那須の問題がそうです。「市街地、温泉地、観光地その他特殊な価値を有すると認められる」場合には、その評価は特例として措置する旨が記されている。高く見積らなければいけないということが書いてある。つまり評価手続にかかわらず高く評価すべきことが書いてある、あなたのほうの通達には。しかも美福というのがただ一つです。不動産会社が三百七十一町歩というこれだけの面積を取得したということは、全国でただ一つしかないと私は思う。その利用目的を見るというと、明らかに分譲観光利用されていることが明白であるにもかかわらず、林野庁としては林野としての利用価値しか認めないという算定方法で、評価が特例措置評価すらされておりません。これは奇妙だと思う。特例の評価をすべきでしょう。いかがです。
  63. 斉藤清二

    説明員斉藤清二君) 内容を私から御説明をさしていただきます。先生が御指摘の国有林野評価の特例でございますが、これは国有林野の売り払いあるいは交換による場合ではなくて、国有林野を貸し付けますとかあるいは使用させ、あるいは部分林々設定し、共有林野の設定をいたします場合には、本来の評価基準によらず簡便方式で評価をしなさい、こういう内容でございます。ただ、先生御指摘のように、その林町が、貸し付けの結果、宅地でありますとかあるいは宅地見込み地、温泉地等になりますようなものは、本来の評価基準、正しい評価基準でやりなさい、簡便にした評価基準でなくて、精密な評価基準でやるように、こういう趣旨の特例でございます。したがいまして、本件の場合におきましても、この特例の適用によらず、本来の評価基準によって評価をする、こういうことになると思います。
  64. 大森創造

    大森創造君 いまの答弁はよくわかりませんが、とにかくこの次にこれはまた継続いたします。そのときに譲りますけれども、ここに私が林野庁からちょうだいした国有林野の貸し付け地の一覧表がございます。その中からそろばんをはじいているのです。温泉ホテルのようなぜいたくな貸し付け地を除いて、スキー場とかゴルフ場、ケーブルカー用地などのような、やや利用価値の少ないレジャー用の貸し付け地の平均の貸し付け料というものをはじいてみました。そうすると、坪当たり年額二十二円に相なります。林野庁のきめた規定によるというと、貸し付け料は最高で評価額の五%となっておりますね。貸し付け料二十二円から計算できる平均評価額は、少なく見積っても坪四百四十円という数字が飛び出します。そこで、那須はこの数年来土地ブームにわいているので、その利用価値の出た土地が、経済価値が常識よりはるかに低い。スキー場、ロープウェー敷地、それなどより一段と安い七、八十円の評価になっているのはどういうことか、ぼくはわからない。長官自身疑問に思わないか。評価はどこで狂ったか。手続のミスか、政治的の圧力か、この点について長官の答弁、それから事務局長の御感想をいただきたい。
  65. 田中重五

    政府委員田中重五君) それは評価のミスではないと考えております。すでに開発された地域がありましても、また一方に未開発の地域もあるわけでございますし、それそれ土地の所在する立地の条件その他算定上必要な因子を勘案しながら評定をしたというふうに私心得ております。
  66. 大森創造

    大森創造君 時間がありませんから次回に譲りますけれども、こういうことですよ。この那須国有地交換で国はみすみす数十億の損失をこうむっているのですね。また、逆にこの交換によって数十億の不当利得を得た者がございます。不当利益ですよ。この美福という会社は、国会議員五人が取締役なんです。これは御存じでしょうね。調べればわかる。ここに謄本がございますから、五人の名前あえて申しません。謄本取ってきました。現議員が社長をしている藤和不動産、政商的に不当なうわさのある江商、河野さんとの関係、この三者の間で那須国有地をたらい回しにして数十億の不当利益を得た事実は、長官林政部長その他の御答弁のいかんにかかわらず、これは現実なんですね。数十億の不当利益を得ているということは、だれでもいなめない、これは。非常に汚職のにおいがするのですね。これは百十万坪の国有地のうち三十八万坪は美幅より藤和に実質一千五百円で譲渡されている。これでも相当もうかっている。また、五十万坪あたりは、先ほど申しましたように江商が十八億焦げつきを持っておりますから、焦げつきで取れない。美福からの金を十八億、そのために五十万坪は現在江商所有に帰しているのです。このとうとい国有地は――この土地は五十万坪、こうなっておる。再度美福を通じて藤和に売り渡されて分譲地になる予定になっている。この美福と藤和の橋渡しをだれがやったかというと、元農林大臣ですね。そこで、美福と藤和のこの土地取引に対する記帳は非常に複雑で、なかなかすっきりしておりません。そこで私は、いま御答弁の限りでは、スタンダードな御答弁でございますが、何としても私はふに落ちない、この問題については。だから、委員長にお願いいたしますが、いままでの問答で、少し口早に申し上げましたからおわかりにならない点があるかもしれませんが、とにかくその前にひとつ公取のほうにもう一回お伺いしますが、なぜ誇大広告をしなければならなかったかというと、こういうことなんですよ、現実は。美禰江商より借りた元本十八億円の返済として、昨年の五月七日にその所有権江商に移転登記されているのです。また同時に、美福が持っていた隣接地百万坪もあわせて江商所有権移転がなされた。つまり、他人の土地を自分の土地のような顔をして開発計画を立ててこれを売りものにしている、これが事実です。このことは、不当表示防止法の規定に触れることにならないか。また、藤和不動産のセールスマンが買い付けの見通しが立たないと言っている。電気、水道の工事も大幅におくれている。第一、水道の水源予定地は現在江商のものだ。公取があくどい不動産業者を次々に摘発していることについては、非常に大衆のためにけっこうだと思いますが、こういう大手の業者に対しても厳重に取り締まってもらいたいと思う。その点について公取のほうの御答弁をいただくと同時に、これはひとつ、美幅小針暦二社長と、江商の植松正久専務と、藤和不動産の藤田正明社長、重政誠之議員、当時の前橋営林局長、これをひとつ次回の参考人としてお呼びいただきたいと思います。  以上です。
  67. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) ただいまお話しの点については、先ほども申し上げましたように、現在私のほうで調査いたしております。この調査の結果を待ちまして、不当景品類及び不当表示防止法に触れるということになれば、厳重に処置をいたしたい、こう考えております。
  68. 大森創造

    大森創造君 竹中局長、もう調べているんですね。調査を開始しているんですね。
  69. 竹中喜満太

    政府委員竹中喜満太君) 現在事情を聴取いたしております。
  70. 大森創造

    大森創造君 それから、六十二円、七十二円というふうに鑑定をつけたのは四カ所か五カ所あるのだけれども、これは不当に安いと思うのだが、鑑定書を取りに行ったのは美福の人でしょう、営林局の人ではないでしょう、いかがでしょう。
  71. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) 先ほど申し上げましたように、ただいまのところわかりません。
  72. 大森創造

    大森創造君 私は、美福の人なりあるいは興国人絹の人かと思う。林野庁の職員ではないはずです。そうすると、私はこの三百七十一町歩交換というのは無効になると思う、法的に。そういうインチキなことを――これを評価額を坪当たり五千円にするならもうからないけれども、六十二円、七十二円にするというなら何十億という金がもうかることになるから、長官のところに来たのは、そのことによって決裁するから。ところが、事前に工作して、六十二円にしろ七十二円にしろと言って鑑定書を依頼に行ったのは、問題です。依頼に行った人が美福の職員であったらどうしますか、それでもかまわないですか。
  73. 木戸四夫

    説明員木戸夫君) 鑑定の依頼は営林局長がしたと思います。それから、先ほども御説明いたしましたように、価格の問題は、営林局でも計算をした上でございますし、そういうことであれば直ちに無効ということにはならないのじゃないかと考えております。
  74. 大森創造

    大森創造君 私の調べでは、営林局長が行っているはずはないです。これは自信がありますか、あなたのほうは、職員が行った――行ってないでしょう。うそを言ってはいけませんよ、決算委員会ですから。  そこで、効、無効はとにかくとして、こういう不動産会社に前段申し上げたような伏線がある、背景が。それでもあなた方は、国有財産局長も含めて、こういう交換という手続、この問題について――これは異例中の異例です。不動産会社払い下げして、日ならずして八千円から九千円で売り出した。この背景にこういうものがある。これはまんまと江商美福広告にだまされたことになるのですよ。結果的に手続の上ではいいですよ。国会でいまのような答弁はいいです。だけれども、どうしてもこれは不審にたえない。不動産会社ですよ。私もこういう交換をしてもらいたい、直ちにもうかるから。一番安易な金もうけの方法です。そこで、いま申し上げましたような方方を、これはあなた方の一方交通だけでは、私の議論だけではわかりませんから、どちらが真実か、いま申し上げた方を絶対に参考人として呼んでいただきたいと思います。これは国有財産の損失ですから、何十億という不当な利得を受けるということになるから、これを参考人として呼んでくれるということを条件として、私の質問はきょうは打ち切ります。ですから、鑑定に依頼に行ったのは、下打ち合わせをしている、六十二円、七十二円にするということは。これは行ったのは林野庁の職員ではないはずです。うそを言ってはいけない。ほんとうならば、その人を参考人として出していただきたい、私が行ったという。
  75. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  76. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  77. 相澤重明

    ○相澤重明君 外務大臣に緊急質問として、決算委員会で、三十八年、三十九年、四十年度の予備費等についての審査の中でお尋ねをしたいわけです。それは、三十九年度の予備費使用についてベトナムの協力関係費がございますが、このベトナム戦争に関係をして、けさ横須賀に原子力潜水艦が寄港をしたというのが、新聞発表をされておったわけでありますが、外務省は、今回のこの原子力潜水艦が横須賀に寄港をするのに、いつアメリカ軍からこの通知を受けておるのか、まず、その日時を大臣から御発表いただきたい。
  78. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 今回の横須賀に入港いたしました原子力潜水艦の入港に関する事前の通告は昨日、すなわち五月二十九日の午前八時に大使館を通じまして、入港するという通告を受けて去ります。
  79. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは、いわゆる事前協議という名によるものなんですか。
  80. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 原子力潜水艦につきましては、これは核装備をしておらない限りは、協定上の事前協議の対象にはならないわけでございます。しかしながら、原子力潜水艦が寄港することにつきましては、御承知のように、日米間で、条約上の協議ということではなしに、事前に協議が行なわれまして、その結果、一昨年の七月に、原子力潜水艦の寄港につきまして、日米間の一つの申し合わせと申しますか、了解ができたわけでございます。その了解の中に、原子力潜水艦が入港いたします場合には、二十四時間前に事前に通告するということになったわけでございます。それに基づきまして、今回も二十四時間前に入港を通告してきた次第でございます。
  81. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、事務当局のいまの答弁聞いておると、日本に寄港をする二十四時間前に、アメリカ側は日本政府に通知をする、事前協議の対象ではないけれども、申し合わせ事項として、アメリカの原潜が日本に寄港するその二十四時間前に通知をするのだ、こういう申し合わせによって、きのうの午前八時、二十九日の午前八時に通知があった、こういうことですか。
  82. 安川莊

    政府委員(安川壯君) そのとおりでございます。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、通知をされた二十四時間前に入ったということは、あなたのほうでは、事前通知は申し合わせどおり行なわれていないということを証明することになるが、そう受け取ってよろしいですか。
  84. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 少なくとも二十四時間前でございますから、二十四時間よりも前に、たとえば三十時間前に通告してもいいわけでございますが、今回は昨日の八時に通告がございまして、実際に横須賀の埠頭に接頭いたしましたのがたしか八時十一分、正確に言いますと八時十一分というふうに了解しております。したがいまして、厳密に申しますと、二十四時間と十一分後に入港したということになるわけでございます。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 全くもって外務省はお粗末の至り。私は現地におったのだから。けさ横須賀の現地におったのだよ。横須賀の現地から私はここに来たのだ。決算委員会があるからここに来たのだ。八時十一分に入港したなんて、何を言っているか。けさもう七時五十分には現地に黒い姿が浮いて接岸したのですよ。八時前だよ。何を寝ぼけたことを言っているのだ。あなたがもし、これは二十四時間前に通知をするのだから、三十時間前でもよろしい、三十五時間前でもよろしいというようなことは、それは議会答弁です。つまり、アメリカの言うことは何でもいいという考えだから、そういうことになってくるのじゃないか。これは外務大臣でなければ答弁は了承できないのです。外務大臣、いまの事務当局の話では、二十四時間前に申し合わせによって通知を受けることになっておった、だから三十時間前でもいいのだ、こういう話、そうじゃないのだ。私の聞いておるのは、二十四時間前の通知というのは、通知をされた二十四時間後に日本に寄港するのかと、こう聞いておるのだ。外務大臣いかがですか。
  86. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) そのとおりでございます。通告後二十四時間たって、そのあとで寄港が完了するということでございます。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 その前に来たというのはどうなんです。私はけさ六時四十分から現地におったのだよ。各新聞社の空からの撮影は全部やっていますよ。放送も全部やっているじゃないですか。私は文句を言うわけじゃないけれども、あまり事務的にうま過ぎちゃって、頭隠してしっぽ隠さずという外務省の態度はよくないよ、それは。  それといま一つ私が聞きたいのは、事前協議ということを、私ども社会党としては、事前協議の対象にすべきではないかというのが、従来から衆議院なり参議院で外務大臣に常に同僚議員が言っておったと思うのです。核装備をしていないから事前協議の対象ではないし、まあ昨年の申し合わせによって事前の打ち合わせ通知だと、そういう答弁でしょう、いまの当局は。ところが、外務大臣、私の一番おそれるのは、アメリカは何も全部悪いということを言うわけじゃないけれども、あなたが外務大臣としてアメリカ側から通知を受けるのに、日本にはもう適当に打っておけばいいのだ、日本政府は、佐藤総理なり椎名外務大臣は何でもアメリカの言うことはイエスだ、こういうことになったら、日本の独立なり自主性なりというものはないじゃないですか。私はそういうことであっては相ならぬ。せっかく外務大臣が一生懸命やっておっても、いまの事務当局の答弁では、八時十一分に入りました――私は六時四十分に現地に行ってずっと見て、黒い船が上がってきて、八時前に港でもって姿が出ておって、八号岸壁に接岸したのに、そんな話をしておって、なぜほんとうのことを言えないのか、こういう気持ちになる。だから一体アメリカから受ける通知というものは、厳密に政府がそういうことを考えておるのか、それとも、アメリカから通知さえあればと、こういうことでお考えになっておるのか、これはもう姿勢の問題ですから、いま一度外務大臣から御答弁いただきたい。
  88. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 二十四時間ぐらいという意味じゃなしに、やはり二十四時間なら二十四時間、少なくとも事前通告があるということになっておりますので、その点はわれわれとしては、厳格にこれを解釈して実行すべきだと思います。  それで、結局、入港というのは、港の入口に着いたことじゃなくて、接岸して、その接岸の行為が一切完了したときと、こう解釈しておりますので、私は現地に立ち会っておったわけじゃないが、正確に言うと、八時十一分に接岸行為が完了したと、こういうことになっておるのでございます。でありますから、二十四時間事前通告というものは守られておる、こう考えております。
  89. 相澤重明

    ○相澤重明君 全く外務大臣、国会の答弁はまあそのくらいでいいと思うかもしれぬけれども、やはりそれじゃ国民納得しないですよ。あなたは、その原潜が来たか来ないかというのは、海中の探知機で調べなければわからぬでしょう、普通。確かにアメリカの原潜が横須賀の港に入ったというのは、姿をあらわしてきたということになるのでしょう。それをいままで政府が受け取ったのは、八時二十分に横須賀に寄港するという事前だったのでしょう、いままでの新聞報道では。ところが、いまの事務当局の答弁によれば、八時十一分に接岸をしました、こう言っておる。八時二十分の予定よりは三十分早く着いたということなんですよ。それを、いま八時十一分とぬけぬけとしゃあしゃあと言っているのだよ。現実に姿をあらわしたのはもっと早いのですよ。そうして、実際に八号岸壁に着いてきて、護衛艦でもって来たのはそういう時間なんだよ。七時五十分なんだよ。だから、八時二十分から見れば、いわゆる三十分も早く実は来てしまった。私はこのアメリカの速度が速過ぎたと思うのです、外務省に言うよりは。そういうことじゃないですか。速力が出過ぎるのじゃないですか、あの船は。だから、外務省の通知を受けたよりは早く来たんじゃないか。そういうふうにとればまだ良心的だと思うのですが、私は、外務大臣、一番心配するのは、先ほど申し上げた、アメリカの言うのが、厳密に二十四時間前に通知を受けるということを外務省が信じておいでになるということだというと、だいぶ今回の事態は違う。それから今度は、厳密にお考えにならないで、何でもアメリカから通知を受ければそれでいいんだ、こういうお考えだと、これは内閣の姿勢になるから外務大臣にお答えいただいたわけです。外務大臣は、そういう点では、やはり厳格に二十四時間前、こういうお話でありますから、その点については、やはり椎名大臣のお話は私はやはり正しく了解していいと思う。しかし、事実は、事務当局のいまの答弁はだいぶ食い違っておる。事実とは違う。  そこで、昨日の二十九日の午前八時にアメリカ側が通知をよこしたと言うのですが、それはどこで発信をされて、どこで受け取ったのですか。
  90. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 大使館の、ここにおりますアメリカ大使館の担当官から、外務省の北米局の安全保障課長に電話をもって通告があったわけであります。そのときの向こうの通告の内容は、接岸するのが八時二十分になる予定であるということでございました。この二十四時間通告は、御承知のように、当時のアメリカ側の声明の中に、「二十四時間前に、その原子力軍艦の到着予定時刻及び停泊または投錨の予定位置につき通報する」と、こうなっておりまして、当時の了解は、この到着予定時刻は接岸するときの時間だというふうに両方で了解しているわけでございます。したがいまして、今回は、その接岸の時間が八時二十分の予定であるということから言えば、約九分早かったわけでございますけれども、その時期は八時でございますから、通告の時期から考えますと、まさに二十四時間以上たっておったわけであります。したがいまして、二十四時間よりも早く着いたということにはならないわけでございます。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 その二十四時間よりよけいかかった、通告の時間より十一分よけいにがかった。すると船はおそらく速力は出ていない。私の言うのは、二十四時間前に着いたから、これは船は逆に速力が速かったのじゃないかという、おそいか速いかの論争なんだ、あなたと私と。どっちなんです。この船はどういう名前のもので、どのくらいの速力が出て、どのくらいの原子炉というものを積んでおるのですか。
  92. 安川莊

    政府委員(安川壯君) おそいか速いかの、私の申し上げましたのは、昨日通告があったのは八時でございます。そのときには、接岸の予定の時間が八時二十分ごろになるという内容であったわけであります。それから勘定いたしますと、約九分予定よりも早かったわけでございますけれども、通告の時期から計算いたしますと、二十四時間と十一分かかったわけでございますから、二十四時間以上、通告があったときから接岸した時間を計算いたしますと、十一分よけいかかったということになるわけでございます。  それから速力その他につきましては、ちょっといまここで資料を……。入港いたしました原子力潜水艦の名前は、「スヌーク号」という原子力潜水艦でございます。スキップジャック型というものでございます。これは速度は、水上が十六ノット、水中が三十ノットとなっております。それから動力炉は原子炉一基と、こういうことでございます。
  93. 大森創造

    大森創造君 事前協議でない、事前の通告というものは、二十四時間ということをだいぶ固執しておるのですが、四十時間前でもいいのでしょう、外務大臣。あるいは二十四時間前なら三十時間前でもいいでしょう。七十時間前でもいいのでしょう。どうです。
  94. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 少なくとも二十四時間前にと、こうなっておりますから、七十時間でも三十時間でもよろしいのです。
  95. 大森創造

    大森創造君 そこで私は、相澤さんとの問答を聞いていてふしぎに思うのは、十分がどうだとかこうだとかいうことではない、原子力潜水艦が横須賀に来るということは一カ月前から騒いでおったことは事実です。なぜ外務省は十分間のことを言わないで、四十時間――三日前、四日前に連絡するように言えませんか。  もう一つお伺いしたいのは、外務省の安全保障課長のほうにアメリカ大使館から連絡があったと言うが、どこから船が来て、何日滞在するのか、どういう内容を通告してきたか。外務大臣には、二十四時間を固執する必要はない。これほど重大な問題なら、三日前、四日前に通告してしかるべきです。何で二十四時間マイナス十分に通告するのか。そういう点は厳重に言っておきなさいよ、四十時間でも五十時間でもいいから。世間では一週間――一カ月前から騒いでいるのだ。そういうものを外務大臣として、えりを正して米軍のほうに言うべきだと思います。その点についてはどうか。  それから、どこから来たのか、何日滞存するのか、これをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  96. 安川莊

    政府委員(安川壯君) まず、通告の内容ですが、申し落としましたが、滞在期間は六月三日まで滞在するということでございます。  それから、たしか、二十四時間前なら、四十時間前、五十時間前でもいいわけでございますけれども、日本側としては、少なくとも二十四時間前に通告があれば、わがほうは受け入れ上何ら支障がございませんので、しいてこれ以上の長い予告期間を要求するということはしておらないのでございます。  それから、どこから来たかというお尋ねでございますが、これも日本に寄港いたしますのは、補給、休養が目的でございまして、その目的にかなっている限り、しいてどこからどういう任務で来たかということは、従来もアメリカ側に問い合わせするというようなことをしておりませんし、現在必ず向こうの入港する前の行動がどうだったということは知る必要がないというふうに考えております。
  97. 大森創造

    大森創造君 もう一つ。知る必要ないと言っても、われわれは知る必要があるのです。大いに関心を持っている。六月三日の何時に退散する、出港するのか。
  98. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 出港の時間は正確にはまだ不明でございます。六月三日の何時に帰るかということの予定は、目下のところ不明でございます。
  99. 大森創造

    大森創造君 いまからどこに行くのですか。
  100. 安川莊

    政府委員(安川壯君) これは第七艦隊に所属されておりますので、艦隊は西太平洋一般において任務についておりますから、出港後はおそらくその任務につくものと考えております。具体的にどこの地点に行くかということは不明でございます。
  101. 大森創造

    大森創造君 そうすると、私は、事前協議の対象にならないと言いながら、おそらく原子炉をかかえておるだろうと思うのです。その中に何が入っているか。非常に全国民が関心を寄せておる問題について、外務省はただ電話一本でぽんと何月何日、二十四時間前に連絡すればそれで済むのか。六月三日にどこへ行くということだけで、それ以上聞けない性質のものですか。聞いてはならないものですか。聞いたら教えてくれるものじゃないのでしょうか。なぜ向こうにそのことをただしませんか。ただして国会でお答え願いたいと思うのです。いまからでも聞いてくれませんか、この席からでもいいわ。これは簡単な事実でしょう。どこへ行くのか、ベトナムへ行くのか、それとも、どこかへ帰るのですか。どこに行って、六月二日の何時まで――十分や二十分という入港の時を厳密にするならば、この出港するときの日時もはっきりするのが必要だと思います。それから、どこへ行くのか、どこから来てどこへ行くのかということは聞いて差しつかえないでしょう。聞いたら教えてくれるものでしょう。それとも、通告というのは、通り一ぺんの電話でちょこっと言って、よけいなことを聞いたら日本側はまずいのですか、どうなんですか。聞いてまずいことはないでしょう。
  102. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 日本側としましては、この原子力潜水艦につきましては、いろいろ放射能の調査、その他諸般の準備が要りますので、それに必要な限度の事前通告を受ける必要があると思いますけれども、それ以上に、出港後どこへ行くかというようなことは、日本側としてこれを知らなければ、日本側としての責任が果たせないという性質のものじゃございませんので、しいてこれを問いただす必要はないというのが政府の考えでございます。
  103. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  104. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  105. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほどのお話で、原子炉は一基ある、これはどのくらいの大きさのもので、戦争に使うときには効力がどのくらいあるものというようなことはわからないのですか。
  106. 安川莊

    政府委員(安川壯君) その点は一切軍事上の機密でございますので、知る由がないわけでございます。
  107. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、外務大臣にお尋ねをするわけですが、結局、アメリカの軍事という名による機密によって、日本側は安全性の問題については一切わからぬ。わからぬけれども、これは日米安保条約のたてまえでわが国は受け入れなければならない、こういう理解のしかたになってしまうと思うのですがね、いまの事務当局のお答えを、木で鼻をくくったような話を聞いておると。いや、そんなことを言ったって、それはもうすべて機密なんだよ、軍事なんだ、そのことは何もわが国が一々聞く必要がないじゃないか、また、相手が言うはずがない、だから、わがほうは聞く必要がない、こういうことになってしまうのですがね。そうするというと、国民は原子力問題というものにきわめて大きな関心を持っておって、私は、外務大臣も、最も東京に近い茨城の東海村にわが国の原子炉をつくっておるのは御承知だと思うのです。あの東海村の原子炉については、どんなにか注意を払っているんでしょう。私ども決行委員会も現地を調査いたしましたね。この原子炉を動かすためには、どのくらいの、内閣としても、また国会としても大きな関心を持っておるかわからぬでしょう。もし万が一、事故があったらどうするか、原子力損害賠償法はどうするのだということまで国会で議論をしてつくったんじゃないですか。国内の原子炉の問題については、そこまで至要ないわゆる取り組みをし、しかも、常に茨城県の方には非常な苦労をかけておる。そういう中に、アメリカのことは軍事という名による機密という名によって一切ノーコメントということがありますか。そういうことなら、それでいいのです。日本の政府は、いや私どもは一切アメリカのことはもう聞くことはできません、アメリカはお答えになる必要はありません、こういうふうならそれでいいのです。それはそれでいいのです。外務大臣のひとつお答えをいただきたい。
  108. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 機密云々のことは、軍事上の行動に関して、いま北米局長から申し上げたのではないかと思うのでありますが、少なくとも海水汚染がある限りにおいては、日本の国民一般の生命の問題にも関係するのでございますから、この問題については、あくまで十分なる研究調査をして、そうして差しつかえないというところで、初めて原潜の寄港というものがここに実現したのでございまして、日本の原子力委員会におきまして十分に調査をして、差しつかえない、人体に危害を及ぼすものではないという安全性について、十分に調査をして結論を得たものであります。  そのほかの、どこから来てどこへ去るのであるか、また、どういう日本近海において行動をするつもりであるかというようなことは、これは科学上の問題でなくて、もっぱら軍事行動の問題でございますから、これは海水汚染等によって日本の国民に危害を与えるという性質のものではない、それに関する限りにおいては、原子力委員会が責任を持って結論を出した、それによってこれを認めたと、こういう状態でございます。
  109. 大森創造

    大森創造君 関連。外務大臣に聞きますがね、そうすると、私は科学技術振興対策特別委員長なんだが、一体、二十四時間十分前に通告する以前に、原子力局では調査したのだね、海水を。どこの部分を調査したのか、どこの場所を。そうすると、二十四時間前に電話があった以前に、実は政治的に一月前なりに話があったんでしょう、政府側に。だれからありましたか。そういう話があったことに基づいて、近くこれは原子力潜水艦が入ってくるから、海面のどこの部分を原子力局が調査をするということ、わからないとそのことにならないはずですよ。一体、どこの部分をだれが調査したんですか。したがって、二十四時間前でなくて、二週間か三週間前に政治的に話があったんでしょう、この問題は。
  110. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 原子力潜水艦が日本に寄港する個所は、佐世保、横須賀の二港のうち、いずれかということになっております。それで、それに関しまして必要な問題は、佐世保であろうと、横須賀であろうと、共通問題は共通問題として事前に調査をいたしました。原潜の原子炉の構造あるいは操作、それによってどういう海水に影響を及ぼすかというような問題は、これはどの海域に来るかということにかかわらず、十分に事前に調査のできるはずのものであります。そういうことを、寄港するかもしらぬといういろいろな型の原子力潜水艦について十分な調査をいたしまして、そうして、さて寄港した後における、今度は実際海水汚染が原子力潜水艦の操作上起こっているかどうかというような問題については、なお念を入れて事後の調査をするということになっております。そういうような点につきましては、絶えず事前に調査を十分にやって、いつでも、いつ来てもよろしい、こういう態勢を整えておるのでありまして、事前に一カ月とかあるいは二カ月前に通告があって、そして、それからまたあらためて調査をするというようなことは必要はなかったわけであります。
  111. 相澤重明

    ○相澤重明君 あと二宮君の質問もあるから、そういつまでもやっているわけにはいかないから、そこで外務大臣に質問を続けるわけですが、原子力潜水艦が危険であるとかないとかいうことを、軍事的な機密、こういう名によって相手のアメリカが教えてくれないで、それが安全であるとか安全でないとかいうことが言えますか、大臣に。  それから、先ほど私が原子炉は何基積んでいるのかということを伺ったら、一基ということをお答えになった。それはどういう力を持っているのか、それについては答弁がない。それで私が一番心配するのは、少なくともアメリカ、その国でさえ、人口の多いところには特別の場合以外は寄港さすべきでないと、こういう船を入れるべきではないと、こう言う。わが国の首都、東京湾を控えたところの横須賀が、これはもう横須賀の浦賀水道というところを入らなければ東京湾には入れない、その横須賀港に入るということは、すなわち、東京湾に入ったということなんだ、これは。アメリカでさえ、まだそういう疑問が解決してないじゃないですか。入れちゃいけないと言っているじゃないですか。人口稠密のところは特別の場合以外はこれは避けるべきだと言っている。さっき言ったのは、ここに寄港する理由は何ですか。さっきあなた言ったところの寄港の理由は何ですか。特別の軍事上の理由があるんですか。こういうことを見ると、私は、あまりにも日本政府がアメリカの言うことをはいはいと聞く、そういう考え方に立っているんじゃないかという気がするわけです。ここは、少なくとも東京を中心としたこの東京湾周辺は、二千万、二千五百万の人口がおるわけですよ。日本の国の少なくとも三分の一あるいは四分の一とも言われる人口が住んでいるんですよ。いわゆる日本の国の心臓部じゃないですか。その心臓部に、アメリカでさえ、まだ人口棚密のところには特別の事由以外には入れるべきでないというのに、わが国はなぜ黙っていなければならないんですか。義務ということでしょう、さっきの話は、日米安全保障条約の義務から言って、あなた方は、事前協議ではない、事前の打ち合わせ、いわゆる事前通告によって、あなた方はいいと言っているんじゃないですか。そういう点はどうなんですか、一体。外務大臣、私は、あまりにも日本政府はアメリカの言うことを聞き、そうして一方的に判断をしておるように受け取れるんです。先ほど大森委員の言うとおりですね。あなた方がいいと言ったところでもって、日本の国民がそれだけ心配しない人がおりますか。やはり日本の国民は心配しておるでしょう。だから、現在、自民党の市民協議会というのをつくって、いやそれはもう絶対安全ですというPRをしなくちゃならぬじゃないですか。横須賀の町にあなた方の自民党の宣伝カーを使って、前防衛庁長官の小泉君が中心になって、それでいま、いや絶対にこの原潜は安全ですよというPRをしているじゃないですか。PRしていることは、それだけやはり国民の中に、もしこのまま黙っておれば心配をされるという心配があるからでしょう。そうでしょう。心配がなかったら、何もPRする必要がないじゃないですか。わが国民の中でさえ、それだけのやはり問題を提供しておるのに、しかも、その原潜を持っておるアメリカでさえ、まだそういう議論があるのに、この日本の心臓部に、安全であるか安全でないかということがわからぬで、しかも、相手の国が軍事機密ということで一切ノーコメントできたものを、それで安全性があるとだれが保証できますか。これはそのまま通ってしまって行ってしまったあと、海水を調べたところが、さっきの外務大臣の話じゃないけれども、海水を調べたところが、そこの海水にはあまりそういうものが残っていなかったと発表すれば、それで通ると思う。一たん間違ったとしますと、「スレッシャ一号」でさえ、その原因がわかっていないじゃないですか。その後どうなったかということがわかってないじゃないですか。これだけのやはり国際問題にいろいろ議論されており、しかも、日本とアメリカが幾ら仲がよいと言っても、全然相手に教えてもらわないで、それでわが国が安全であるということが、だれが一体言えるんですか。あなた方が言うだけじゃないんですか。しかも、それを日本の心臓部に入れて、それでしゃあしゃあしているなんというのは、ずいぶんスレッシャー、すれっからしばかりじゃない、それは。実際どうしたら、あなた方は日本の国民の立場をとれるんですか。まるで君はアメリカの課長のいわゆる仕事をやっているにすぎないよ。いわゆる事務当局の答弁は、日本の国民の期待を持った政府の答弁じゃないよ、そんなことは。いま一度その信念を持ってお答え願いたい。どうしてこの安全性というのは解明をされておるのか。先ほど私が例にあげたのは、わが国の茨城県の東海村の原子炉でさえ、あれだけのいわゆる、私どもとしては慎重な態度をとっているにもかかわらず、今回のこのアメリカの原潜を入れるについては、全くそういう点が明らかにされないで入れておるんじゃないか、こういう点を私は指摘しておるんですよ。お答えをいただきたい。
  112. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほどから申し上げるとおり、これらの危険性の問題については、権威ある原子力委員会があらゆる角度から調査をいたしまして、その中には軍事機密に属する問題もありますけれども、とことんまで、この軍事機密を侵さない限度において、あらゆる角度から調査をし、そうして軍事機密に属する問題については、またいろいろな書面の上から調査をいたしまして、結論としては、これは危険性なしと、安全性ありと、こういう判断に基づいて、この寄港問題が実現をして今日に至っておる状況でございます。  それから、従来の佐世保と横須賀の違いは、一方は人口が稠密でない、一方は人口密度が非常に高い、そうして付近に東京という、非常に日本の心臓部とも言うべき人口密度の高い大都会がある、こういうようなことについては、どこでもこれは避けておるではないかというお話でございましたが、今日においてはさようなことはない。アメリカにおいても、ニューヨーク港にどんどん寄港をしておる状況でございまして、それらの航行について、浦賀水道という、まあどっちかというと難所がございますが、まあ注意の上にも注意を加えて、そうして、さような場所で、つい不注意のために海難事故が起こるというようなことのないように、万全の注意を払いつつ原子力潜水艦の操作が行なわれておるという状況でございますので、これは日本が被爆国、世界の唯一の被爆国であるという点から、国民感情が何となくこれに非常な危惧の念をまだ抱いておりますが、それはまあ感情は感情として、科学的な、あるいは技術的な面において、十分に原子力委員会が責任を持って調査いたしまして、差しつかえないと、こういうことになったのでありますから、それによってわれわれはこの問題に対処しておる、こういう状況であります。
  113. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣ね、先ほどからお聞きをしておると、原子力委員会の委員の諸君が――つまり、原子力委員会とお話しになっておりますね、原子力委員会が調査をされて安全であると、こういうふうにらく印を押されておるから、間違いがないというあなたの答弁に私は受け取っておるんです。原子力委員のどなたが、このアメリカの潜水艦をですね、原子炉を調査をされたのですか、お名前をあげていただきたい。
  114. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 原子力委員会の特定のどなたが主として担当されたか、これは委員会の内部の問題でございますから、私がどなたということを申し上げる立場にございませんけれども、原子力委員会全体として検討されたということでございます。
  115. 相澤重明

    ○相澤重明君 いや、ここは国会ですからね、あなたが、事務当局が政府委員として答弁されるのは答弁されてそれでよろしい。よろしいが、やはり国会はただ答弁をしただけで、解明ができないんじゃ困るからね、原子力委員会の全作の者が調査をしたのだから、あなたのほうで、原子力委員会は何用何日、どなたがおいでになって調査をされたという名簿を提出してください。関係者政府機関だから、連絡をとればそれはとれるはずですね。私は、そういうことについてやはり政府の答弁というものはまじめに聞くつもりですよ。しかし、政府の答弁が、いかに議員がまじめに聞こうと思っても、まじめに聞けないような答弁をされると、これは議員の職責として私どもはやはりあなた方を追及するわけです。お互いに国民から選択をされた国会議員ですからね、そんないわゆる答弁でごまかされるようなことはないのです。お互いに誠意を持って国会というものは運営しているのですよ。与党であれ、野党であれ、国民のためなんですから。国のためにやっている、われわれは。われわれは憲法において、いわゆる国権の最高機関として、われわれは、両院が存在しておるのですからね。だから、あなたの答弁が、原子力委員会の全体の者がやったと言うなら、それでけっこうです。何月何日、どういう人がおいでになってこの原潜を調査された、しかも、原子炉はどうだった、そのことについても出してください。わかりますか。
  116. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 原子力委員会の安全性の調査につきまして、原子力潜水艦の原子炉そのものを実地について調査するということは実際行なっておらないわけでございまして、そういうことはさきに申し上げましたように、軍事上の機密がございまして、原子炉そのものについて日本側が実地に調査するということはできないわけでございます。原子力委員会といたしましては、外交ルートを通じまして、軍事機密にわたらない範囲のあらゆる資料と申しますか、資料を井面によりましてアメリカ側から入手いたしまして、その書面について、これは約半年以上にわたりまして調査をいたしまして、最終的には、これは発表いたしまして国会にも御報告申し上げましたように、アメリカ側から原子力潜水艦の安全性その他につきます資料といたしまして、エードメモワールというものと声明という文書が日本側に渡されまして、最終的には、それを原子力委員会が検討されまして、その結果、一昨年の八月二十八日に、これに対する原子力委員会の見解が発表されたわけでございます。これもすでに国会に御報告のとおりでございますが、その結論としまして、先ほど大臣から申されたように、原子力潜水艦の寄港はわが国の、特に基地周辺住民の安全上支障はないものと判断する、こういう判断が下りましたので、それに基づきまして、最終的には、日本政府は寄港を認めるという決定をした次第でございます。
  117. 相澤重明

    ○相澤重明君 あなたの事務的な答弁は、前の話をずっとされておるわけですね。いまのこの西太平洋地域あるいは太平洋地域におけるアメリカの艦隊の行動についてのその中の事実の中から来ている問題ではこれはないわけですよ。そうでしょう。だから、なおあなたのような答弁をされれば、三十八年ですか、湯川博士でさえ国会で、先ほどあなたの言った人口稠密の地帯には入れるべきではない、こういうことを述べられたじゃないのですか。それはあなたと同じようなことを言っておるのですよ。あなたとまるきり反対のことを――同じことを言っておる。それは古い話です。私はこの間アメリカに行って見てきたのです。シカゴ、ニューヨーク、原爆を広島に投下したあの原爆の地下実験をやったところまで行ってきたのですよ。アメリカの水爆基地と言われておるアラスカにおいてさえ、そういうことを言っておるじゃないですか。そういうことは一応それは、そんなことで議論していると長くなるからここではしませんけれども、私は、いまのこのアメリカのベトナム戦争における軍事行動について、その軍事行動に使った船が日本に寄港するということは、これは重大問題だと、こういうのですよ。飾っておく船だったり、あるいは港に係留しておく船だったら、そんなに問題は起きないのですよ。これはいわゆる軍事行動に参加した船が、たとえば、それは沖繩に一たん寄って日本に来ようと、日本から沖繩へ寄って現地へ行こうと、いずれにしても、軍事行動に参加しておる船だったら、これは原子炉というものは動いておることは事実でしょう。原子炉が動かないで、いわゆる港に係留しておったとか、あるいはただこれは見せるだけの船だということなら、それは原子炉がこういうものだということをただ見せるだけなら、別に私はこれは心配ないですよ。けれども、そうじゃない、現実に動いておる船、戦争に参加しておる船だということになったら、これはやはり安全の問題をわれわれが無視しておられますか。そういうことを私は聞いているのですよ。だから、そういうものを調査して安全だというのは原子力委員会の全体がやったと言うなら、それはけっこうだから、それを出してくれ、あなたの言うのは、過去の話を、原子力委員会がこの原子炉についての総合的ないわゆる判断を書類にまとめたものをあなたがいま読まれたのですよ。これは前の話ですよ。いまの話じゃないよ。そういうことから言って、私は、これだけの世論の問題になっておるのに、私どもは背を向くべきじゃない、こういう判断から、政府にいま少し慎重であってほしいと、こう私は思うのですよ。全く、外務当局の話を聞いて、まあ椎名外務大臣は幾らかやはり政治家だから政治家らしい答弁をしておるが、事務当局の話はまるで木で鼻をくくったみたいな答弁だ。そんなことで国民が納骨するかね。賛成であってもいいのですよ、賛成は賛成でね。こういう科学的な根拠がある、こういうふうに――たとえば廃水量があっても、この廃水量というものはいわゆる人体に影響を与えないのだということか証明されればいいじゃないですか。それがないと思うから、あれは不安全だと、こう言っておるのですよ。安全じゃないと、こう言ておるのですよ。そういう意見もあるのですよ。そういう点について、今回のこの横須賀にそういうふうなものを、この国会開会中に、あなた方のほうで事務的に、非常に事務的に電話で連絡を受けて、それで内容さえ明らかでないものを入港さしたというのは、私は政府の責任だと思うのですよ。そうでしょう。安全性について、どういうふうに私どもにその資料を提出していただけますか。資料を提出してくださいよ。これは国会ですからね、いいものはいい、悪いものは悪いと判断しましょうよ。資料を提出してください。
  118. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 先ほど私より育及いたしましたエードメモワール、それからアメリカからの声明、それから原子力委員会の見解等は、当時国会に御報告申し上げましたけれども、あらためて御要求がございますれば、資料提出をいたしたいと思います。
  119. 相澤重明

    ○相澤重明君 私はこれできょうは終わりますが、私はこれだけの――私けさ早く六時四十分に現地に行ってみて、先ほど申し上げたように見ておった。なるほど、日本の海上は運輸省の船が回って警備をしておったし、陸上はおまわりさんで一ぱいだ。労働組合も、民主団体もそんなにいない。いないけれども、おまわりさんで全部一ぱいだ。町はよく警備してあった。私はそれをよく見ています、現場は。それから海上もまことによく警備してあった。けれども、それは半面をいうと、海上はこの京浜間の多く船が出入りするのを、それだけ制限されることになるのですよ。おわかりでしょう、京浜間にどれくらいの船が出入するかということぐらいは。おれは外務省だから運輸省と違うからと言って、船の出入りは知らぬというわけにはいかないでしょう、日本政府という立場からいけば。その船がぴしゃととまってしまう、全部。そして、いわゆる海上保安庁の船が護衛をして、さきに申し上げた八号岸壁に着けたのですよ、沖から。横須賀港に入ってきたときに、船は海上に姿をあらわしてきた。それで、ずっと護衛して着けた。そのときには、そんなにいないですよ、人は。おったのは、いわゆる警察の人たちが中心ですよ。今晩はかなり多くの人が行くでし、ようがね、見に。見に行くと思うのですが、私はやっぱりこのことを見ると、この安全であるか安全でないかという議論をしておるのに、やっぱり先ほど申し上げた資料を提出していただくようですから、資料を見さしていただきますが、やっぱり、このあまり国民の議論が分かれるものを、無理にこういうところに入れるべきじゃない、こういう判断を持つわけです。それをあえて、まっこうからけんかを売るように、いわゆる国会の閉会中に横須賀に入れたというのは、やはり椎名さん、あなたが佐藤内閣の外務大臣だけれども、少し佐藤内閣としては力にたより過ぎていませんか。私は、信頼をする人たちだから、本来ならばそういうことはやらないだろうと思っていたのですよ。ところが、会期延長をしたとたんに、そういうようなことをやって物情騒然とするようなことは、全く佐藤内閣としては好ましい存在じゃないですね。やっぱり外交のことはあなたが佐藤総理によく相談をされるわけですから、その信頼されている外務大臣がこういうふうなことでいいのかということを、私はいま一度真剣に考えてもらいたいと思うね。幾らアメリカのさっきあなたの言う義務だと言っても、相手国の独立国の心臓部をゆり動かすようなことを、私は無理にけんかをさすべきじゃないと思うのですよ。私はまだ、このアメリカの兵隊さんがどういうことなのかということについても、時間があれば話をするつもりでおりましたけれども、きょうはできませんが、私は実際、ベトナム戦争でアメリカの兵隊もかわいそうだと思うのですよ。多くの人が死んでいます。私はハワイヘおりて、ハワイのお墓には新しい仏で一ぱいですよ。しかも、そこに穴が掘ってあって、戦死した人はすぐ入れられるようになっています。ほんとうにお気の毒ですよ。やっぱりベトナム戦争をなくさなければならない、そういう意味で、日本も勇気を持って、日本の外交もアメリカに忠告することは忠告する、聞くことは聞と言っていい、のじゃないですか。そういう点は私は、私の言いっぱなしになると思うのですが、むしろ、横須賀に上陸したアメリカの兵隊がどんなにか気まずい思いをするだろうか。ヤンキー・ゴーホームということになるでしょう。みんな口々に言うでしょう。そういうことを言われる身になってごらんなさい。ずいぶんかわいそうじゃないですか。だから、私は、やはり相手の国を尊重すればわが国も尊重してもらうというのがお互いの外交ですから、そういう立場で私は、この首都に、心臓部にああいうものを入れて、それでひとりよがりになっておったところで、佐藤内閣の功績にならぬ。椎名外務大臣よくやったと私は後世に名を残すわけにいかぬと思うのです。だから、いま少し佐藤内閣も私は御検討を願いたい。特に椎名さんに私はその点はきつく注文しておきたいと思うのです。これが新聞で伝えられたり、あるいは、かねてからアメリカ側の長い間の懸案である「エンタープライズ号を」いよいよ入港させる前ぶれかということになると、これはそれだけでおさまらない。そういう点を私は、まあきょうのこの決算委員会のベトナムの救援物資の問題で実は資料をちょうだいしておった、このほうを二宮さんにやってもらう、私も続いてやるという考えだったのですが、入港をされたものですから、そのほうを先に緊急に取り上げたわけです。いま少し政府も慎重に、そうして日本国民の気持ちも私はやはりあまり無視されてはいけない、尊重して――内閣をつくっているのですから、多数の人があなた方を支持されておると思っておるでしょう。思っておればこそ、なおさら慎重でなければいかぬじゃないですか。そういう点を私は申し上げて終わりたいと思うのですが、最後に外務大臣の気持ちを聞いておきたい。
  120. 椎名悦三郎

    ○国務大輿(椎名悦三郎君) いま御所見は十分に伺いましたが、今回の問題が、原子力空母の入港の前ぶれというようなことは毛頭考えておりませんことを特に申し上げまして、御了解願いたいと思います。
  121. 大森創造

    大森創造君 一言だけ伺いますがね、私わからないのだけれども、相澤さんとの問答を問いていて。この二十四時間云々でなくて、横須賀市内――科学技術庁の原子力関係の人が放射能の危険度を調査するのは、一週間前か十日前にやるのでしょう、これは。そうすると、この「スヌーク号」という船がどこを通ってどういうふうに回って、いるということを政府は知っているのでしょう。そうじゃないと調査ができないはずだ。これが一つ。  もう一つは、始動するとき、二十四時間前から始動しなければならぬでしょう、原子炉が。このときの冷却水のここが危険度が高い。何回も入ってくると海水全部が汚染度が高いということは常識的に考えられるが、冷却水の調査はほんとうに科学的にしているのですか。その二つ
  122. 安川莊

    政府委員(安川壯君) この廃水の放射能の事前調査は、これは調査自体は、横須賀の場合も佐世保の場合も私は変わりないと思うのです。和も専門家ではないので、専門的な説明はできませんけれども、従来、佐世保に八回ばかり入港いたしましたけれども、これも全部二十四時間前の通告で、その通告を待ちまして廃水の調査その他に支障がなかったわけでございますので、横須賀の場合も、私はその点は全く同じであろうと思います。  それから冷却水の調査というお話でございますが、これも出港時に、たしか科学技術庁でございますか海上保安庁のほうで、冷水による海水の汚染があるかないかということを厳密に従来とも調査いたしております。
  123. 大森創造

    大森創造君 私の言うのは、大体「スヌーク号」が入ってくるコースは、外務省で指示したとおりにアメリカ側で船を動かしておるのと違いますか。どうなんです。
  124. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 原子力潜水艦の行動については、日本政府としては一切関与いたしておりません。運航計画に基づきまして向こうが自主均一に運航して、こちらが関与するのは二十四時間前に通告する、それだけでございます。
  125. 大森創造

    大森創造君 それでは事前に調査することはできないのじゃないですか。そうじゃないでしょう。アメリカ側もあなたのほうもちゃんとわかっておって、どこをどう通っておるということをずっと調べてみて、その上で調査しておるのでしょう。そうですよ、事実は。そうでないと調査できないわけです。
  126. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 私は先ほどから何回も申し上げますように、佐世保の場合も過去八回、いずれも二十四時間前の通告でございまして、その前に、たとえば一週間なり十日前にさらに事前の通告があって、そうして、それのための予備的な調査をしたということは私承知しておりません。あくまでも、二十四時間前の通告を待って諸般の準備を進めるというたて、まえでございます。
  127. 大森創造

    大森創造君 二十四時間以内であっても、二十四時間前であっても、調査しておるのだから、その間の船の行動は外務省で把握しておるわけでしょう。科学技術庁で把握しておるわけでしょう。
  128. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 船の行動と申しますか、船の入港してまいります経路は、それぞれ科学技術庁としても、あるいは海上保安庁としても承知しておりますから、その線にのっとって諸般の準備をされておるものと思っております。
  129. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまお話を承っておりまして、原子力潜水艦の横須賀入港の問題に関連して、一、二お伺いしておきたいのですが、いまお話しになったことは、大体基地周辺の住民の生命あるいは財産に支障がない、そういう論点でお話が進められたと思うのです。しかし、いま国民がこの原潜の入港について関心を寄せておりますのは、やはりベトナムの戦争との関連において関心を寄せておると思うのです。政府のほうもたびたび国会答弁で、ベトナムの和平は望むところで、それに対するところの努力は、あらゆる努力を惜しまない。たとえば、伝えられるところによると、外務大臣がソ連へ飛んだそのときの話にも、和平の打診の意図があった、あるいは特使を派遣して関係各国の意向を尋ねた、こういうふうな、政府自身もベトナムの和平という問題について、ある程度の努力はなさってきたように国民は理解しておるわけです。そういうさなかに――その和平の条件が、それぞれよって立つところによっていろいろな条件が示されておりますから、これはまた別の問題として、そういうやさきに、東京のいわばもうすぐ目と鼻の先へ原子力潜水艦が寄港する。このこと自体に私は国民が心配を寄せておるのだろうと思うのです。したがって、政府としては、あるいは外務大臣としては、今回のこの原潜の寄港が、国民のそういう面における心配、あるいは日本の外交上の地位、そういうものにどういう影響を与えておるか、また、それに影響を与えておるとすれば、政府はどういう立場でそれを弁明していくのか、この点についてお伺いしたいのです。
  130. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) ベトナム戦争に関連して、原潜寄港ということが危険であるという問題を中心にお尋ねがあったように思われます。つまり、海水汚染というようなことじゃなしに、そうじゃない戦争波及の問題をみんなが心配しておる、こういうような意味に承ったのでございます。われわれは日米安保条約によって、アメリカが日本の安全について絶対に責任を持つと、こういう立場からアメリカの軍艦が随時日本の港に寄港するということについて、それが原子力兵器を搭載しておるならこれは別問題ですが、そういうことなしに随時寄港するということについては、これは条約上当然なし得ることにしておるわけです。日本の国を守ってくれるんですから、軍艦が日本の港に立ち寄るということを一々とがめるということは、これは理屈に合わない。ただ、原子力潜水艦は推進力に原子力を応用しておるというので、油をたいておるか、原子力による推進力で走るか、それの違いがあるだけでございます。それを、われわれは常にこれを認めようというわけでございます。ただ、原子力を推進力に用いているだけに、日本の国民が原子力というものに対して非常な特別の感情を、感覚を持っておるということにもかんがみて、二十四時間以前の通告という申し合わせをしておるわけでございます。これが現在行なわれておるベトナムにおけるアメリカの軍事行動、そういうものと原潜がどういう関係を持っておるかということについては、われわれは深くこれを知っておりません。しかし、原子力潜水艦があの南シナ海においてベトナム戦争に関連して活動しておるということについては、私どもはみじんもそういう情報を聞いたことがない。また常識上そういうことはただいまのあの軍事行動からいうと考えられないことでございます。でありますから、それの当否はまあしばらくおくとして、少なくともそういうような事柄は大体私どもはあり得ないと、ないと、こういうふうに断定しておる次第でございます。
  131. 二宮文造

    ○二宮文造君 私が伺っておりますのは――ちょっと大臣に一歩飛躍した答弁をしていただいたんですが、日本人がいま心配しておりますのは、戦争に巻き込まれる、これももちろんそういう気分もありましょう。もう一つ、日本人としてまたわれわれとして望んでおりますのは、やはりアジアの一角でそういうふうな戦乱が起きている、政府も、せっかく努力をされて、和平という問題についても何がしかの瀬踏みはしているわけです。そういう段階において、日本の立場が、このベトナムの和平という問題に、もっと積極的な働きかけをすべきではないかというふうな意図もないわけじゃない、そういうさなかにあって、ことさらに関係各国の神経を刺激するような、しかも東京のすぐ目と鼻の先で原潜の寄港がある、こういう問題に対して疑問が出てくるわけです。日本のそういう外交上の地位をマイナスするんじゃないか。世界の人たちが世論として持っておりますのは、ベトナムの和平です。それに対して働きかけていく地位を、より弱くさせるんじゃないかというふうな国民の心配に対しては、大臣はどういう見解を持っておられますか。
  132. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) それならば私はさっき申し上げたように、日米安保体制下において、その推進力が石油によるものであろうと原子力によるものであろうと、アメリカの軍艦が日本の港に立ち入ることは、これはもう概括的にこれを認めているのでございますから、こういう際に特別にそれを制約する理由は私はないと、こう考えております。
  133. 二宮文造

    ○二宮文造君 それは外務大臣がアメリカに対し、日本の国民の生命あるいは財産に支障がないという立場の答弁でして、私が先ほどから伺っておりますのは、和平を推進するということがもう世界の世論だ、まして日本としても、何らかの形でそれを推進していく役目もあるのじゃないか、それをみずから放棄するような立場になりゃしないか。この際、横須賀に原潜が寄港したそのこと自体で、ベトナムの和平をはかっていく日本の立場が後退するのじゃないか、こういう心配をする向きもあるわけでありますが、それに対してはどうこたえられていきますか。
  134. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) それは和平推進は和平推進であり、原潜寄港はまたこれは別個の問題である、こう考えております。
  135. 二宮文造

    ○二宮文造君 平行線になってしまいました。片足よそへ置いておいて、和平を進めていくということは、どうも話が進んでまいらないと思うのですが、現内閣の姿勢が大体いままでもアメリカという立場-その土俵の上に立ってものを考えていくという世の批判がありますが、私どもが心配するのは、そういう政府の立場なんです。もうあらゆる形で、いまベトナムの和平ということは打診されているわけですから、日本もそれではやはりこの和平という問題に、何がしかの構想を持っていなければならぬと思うのですがね。たとえば大臣がソ連へ行かれた。あるいは横山特使が関係各国を打診した。そうして現在の状況に及んで、南ベトナムの中にいま内紛状態が続いている。それと同じように、和平の声というものが強まってきたわけです。政府のたびたびの国会答弁でも、和平を推進していきたい、望ましいことであるというふうな立場をとってこられたのですが、現在はどういう形でその問題を理解されていますか。
  136. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) まずその前に、和平推進の態度は、決してこれを後退させる意図はありませんし、今後においても、あらゆる機会を利用してこの和平のチャンスをつかむことに努力すべきである、またするつもりであります。それと日米安保体制というか、そういうことをするために日米安保体制というものがじゃまになる、少なくともこれをもう少し弱化する――安保体制に何かこうゆるみを来たすことなしに和平推進というものはできないのではないかというようなお考えであるとすれば、われわれはそのお考えに同調するわけにはまいらぬ。和平推進は和平推進であり、日米安保体制というものも堅持していく方針というものは、これはおのずから別個の問題であって、和平を推進する上において、日米安保条約というものはじゃまになるというふうな考え方は、われわれ持っておらないということを申し上げるのでございます。
  137. 二宮文造

    ○二宮文造君 お話を伺っていて、ちょっとまた新たな疑問が出てきたのですが、今度の原潜の横須賀寄港は、日米安保体制のもとにおいてどうしても受け入れなければならない、いわば政府としては消極的に受け入れたと、こういうように国民のほうは理解する面もあるわけです。あるいは積極的に受け入れたという面もあるのですが、国民の世論は消極的なんです。いまお話を伺っておりますと、大臣の意向は、今度の横須賀の原潜寄港を歓迎的に受け入れられたというように感ずるんですが、これはどうですか。それとも日米安保体制のもとにそれを推進していくためには、どうしてもしょうがないので受け入れたと、こういう態度ですか、どちらなんですか。
  138. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) きわめてそう特別のことを考えずに、日米安保条約体制のもとにおいてはこれが普通に行なわれることである、こう考えております。
  139. 二宮文造

    ○二宮文造君 まん中の答弁になってしまって要領を得ないんですが、先ほどから原潜の問題でだいぶ意見が繰り返されましたので、その問題については次にしたいと思います。  私いまお伺いしたいのは、三十九年度の予備費の中にありますベトナム救援費の問題ですが、この問題についても、あらかたのことは当委員会で私の質問とするところは質問いたしました。ただ、ここで問題になってまいりますのは、補助金というものの取り扱いが従来もずさんである。したがって、そういう観点からこの問題をお伺いしていきたいわけですが、あの五億三千万円何がしの救援費、これが突き詰めていきますと、非常にあいまいもことした形で使われているわけです。たとえば、その事業主体になった東南アジア文化友好協会というのは、事務員もスタッフもそう十分でありませんし、過去の実績を見ても、適格な団体であるとも想像できませんし、さらにその協会と契約をかわした商社の平岡という問題につきましても、これは刑法上疑義を起こした商社である。こういうふうな一連の関係性から見てまいりますと、政治的なその意図は別としまして、あるいは政府が言います人道的な見地というものも別にして考えてみました場合に、国費の使用がきわめてずさんではないかという疑問が出てまいります。総ざらいの意味でお伺いしたいんですが、今回のこの五億三千万何がしのベトナム救援費の事業主体は、一体どこにあるか、外務省なのか、あるいは東南アジア文化友好協会なのか、あるいは平岡なのか。それが法の規制の上でここに示されたような形になったのであるという説明をしていただきたいんですがね。
  140. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) この緊急援助につきましては、発案は政府でございます。しかし、これを実施した主体は、東南アジア文化友好協会でございます。
  141. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと、その五億三千万について、それでは東南アジア文化友好協会が独自でやった取引といいますか、それは幾らになりますか。あるいは、長崎医大の医療団を派遣しておりますが、長崎医大の医療団を派遣するときめたところはどこですか、外務省ですか、あるいは東南アジア文化友好協会ですか。
  142. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 経費は全部東南アジア文化友好協会でございます。長崎医大の選定につきましては、各方面と相談いたしまして、政府においてこれを推薦したわけでございます。
  143. 二宮文造

    ○二宮文造君 多量の医薬品が送られておりますが、その医薬品を選定した機関はどこですか。
  144. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) これは、主管省であります厚生省と御相談いたしまして、その監督下にございます日本医薬療品輸出組合に依頼したわけでございます。
  145. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうしますと医療団の派遣についても政府が推薦した、あるいはその主なる部分を示める医薬品についても、厚生省が医薬品組合を通じて推薦した、ならば何もここで東南アジア文化友好協会なるものを引っぱり出してくるゆえんはないようになってくるのですが、その点はいかがでございますか。
  146. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 現在の法制のもとにおきますと、政府が直接に品物を外国に寄贈するということが、財政法規定でむずかしいわけでございます。しかしベトナムにおきます難民の援助のためには、ぜひこの救援の物資を送る必要がございましたので、東南アジア友好協会にこれを委託いたしまして、これに補助するという形で寄贈したわけでございます。
  147. 二宮文造

    ○二宮文造君 医療団の派遣などにつきましては、これはやはり政府の関係機関の海外技術協力事業団、これを使って使えないことはないと思うのですが、なぜこの辺の機関を使おうとされなかったか、その辺の理由を明らかにしていただきたい。
  148. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 当時海外技術協力事業団におきましては、主としてコロンボプランの事業を担当いたしまして、そのほかの事業につきましては扱ったことがなかったわけでございます。またこの緊急援助の主体が医療品あるいは医療器具その他救急車等品物の援助が多かったわけでございます。そういうような点からいたしますと、事業団が扱うのは不適当であるというふうに考えた次第でございます。
  149. 二宮文造

    ○二宮文造君 日赤が最初に政府から話を受けて、それを拒否したという理由、そのことについては前回明らかにしました。人道的見地とは言いながらも、日赤の使命とは遠く離れるので疑義が出てくるので、政府にお断わりした、こういうので、政府の言います人道的見地というのと、それから日赤が言っております人道的見地というのとでは、大いに前回の質疑で論点が変わっているということがはっきりしております。それを頭の中に置いていただいて次に進めていきますが、非常にスムースに話が進んでいるわけです。閣議決定の翌日に、もう取り扱い商社と、それから協会との間の契約書、売買契約書がかわされている。主体は全部政府でやっておりますね。ただ会計法上の問題で、間に機関を置かなければ外国に無償で寄贈することができないので、こういう機関を通した、こういう説明なんですが、その間に国費のむだが相当あるのではないかと私ども思うわけです。端的に申しますと、ベトナム政府に寄贈された、ベトナム政府の受領書はないわけですね。五億何千万円というのは国民の血税です。船積みの場合は税関でそれをチェックした、それは在ベトナムの日本大使館気付で送った、確かに着いたのでしょう、品物は。しかしそれから先はどこへ行ったかわからないようになっています。この点については、前回もベトナム政府の受領書があれば提出していただきたい、こう私希望いたしておいたのですが、今日に及ぶまで出ておりませんが、この点はどうでしょうか。
  150. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 本件は、善意の難民救済のための寄贈でありましたために、一々受領書はとっておりません。
  151. 二宮文造

    ○二宮文造君 会計検査院の方に……。国の会計の場合に、いまの外務省の答弁でよろしいんでしょうか。
  152. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 通常の場合は受領書をちょうだいすることになっております。
  153. 二宮文造

    ○二宮文造君 今回の場合はどうですか。
  154. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 今回の場合は、ただいま外務省からお答えがございましたように、受領書は取っておりませんが、輸出申告書とかインボイスによって、向こうに渡されたものだというように私どものほうは考えておりまじた。
  155. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでよろしいのですか。今後もそういう形式が使われるわけですか。私ども、これは淡い記憶ですけれども、日本が戦後で食糧事情が非常に悪かったときに、アメリカの余剰農産物の寄贈を受けた。それもあとからちゃんとその積算ができているわけですね。日本政府としては、贈与の形で受けたそういう余剰農産物について、ちゃんと受領書を発行したのでしょう。でなければ、あとで積算はできません。また今回の場合、ベトナム政府の受領書が受け取れないような状況じゃないわけです。おっしゃるとおり船積み書類が行くわけですから、その船積み書類と点検をして、この船積み書類の品物はまさに受け取ったということであれば、私はできないことはないと思う。むしろそれをしなかったところに大いに問題があると思うのですが、これはどうですか、検査院として。
  156. 斉藤実

    説明員斉藤実君) この場合、国が直接ベトナム政府に寄贈といいますか、贈与といいますか、やったわけではございませんで、これは先ほどもおっしゃいましたように、東南アジア文化友好協会、これは財団法人でございますが、これがベトナム政府に贈っておる、こういうことでございますので、よけいなことですが、契約も随意契約になっておって、これは財政法、会計法の適用を一応受けないという形でごさいまして、でき得るならば受領書はいただいたほうがよろしいと思うのですけれども、それがなくても必ずしも違法ではないかと考えます。
  157. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと待ってくださいよ。東南アジア文化友好協会の事業費の全額が国庫補助ですよ。そしてそれだけの品物を送って、東南アジア文化友好協会の領収書並びに船積みを証明する帯数だけがあれば、国の補助の目的は達成したのですか。補助の目的は、間違いなくベトナムに送られ、あるいは難民の救済にその品物が充てられるということが、補助の目的であって、相手政府にそれだけの品物が行ったかどうか確認することは、この場合非常に大事なことじゃありませんか、どうでしょうか。
  158. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 当然確認するほうがよろしいと思います。しかしこの場合、私の聞いているところによりますと、感謝状をいただいておられるということでございますので、それから事柄の性質がまあ寄贈という形でございますから、一々の品目について、どれを受け取ったかというところまでやったほうがいいですけれども、やらなかったことについて、違法ではないというぐあいに考えるわけです。
  159. 二宮文造

    ○二宮文造君 その会計検査院の姿勢が、今回のこの問題を非常にあいまいにしているわけです。  それではもっとお伺いしますが、平岡が医薬品組合から受け取りました。そうしてその代行業務として船積みをやったわけですが、平岡が幾らで医薬品組合から受け取ったかということをチェックされましたか。あるいは東南アジア文化友好協会、これは補助金を受けた主体ですから、そちらに対して会計検査院は当然検査をする権限もあると私は思うのですが、東南アジア文化友好協会に対して資料の提出を求めて、そういう努力をなさったかどうか。あるいは、船積み書類を東南アジア文化友好協会から提出させて、それを外務省で要求した書類と突き合わせをしたかどうか、こういう問題について会計検査院はどういう努力をされたか、お伺いしたいと思う。
  160. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 検査としましては、四十年六月十六日に三名の調査官が参りまして、その契約、それから積算の内容、船積みの状況、輸出申告井及びインボイス、それらについて検討をいたしております。まあ医薬品、機器、救急薬でございますとか、ラジオ、建築資材、プレハブ、それらの金額個々についても、一応当たったという報告を受けております。
  161. 二宮文造

    ○二宮文造君 それはどういう当たり方をしたのですか。提出された書類で当たったのですか、それとも関係者から事情を聴取されたのですか。
  162. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 私の報告受けておりますところでは、書類について当たったということでございます。
  163. 二宮文造

    ○二宮文造君 それではお伺いしますが、船積み計数も会計検査院のほうへ届いておりますか。
  164. 斉藤実

    説明員斉藤実君) ちょっと私手元に持っておりませんし、報告を受けておりません。――失礼しました、輸出申告書の写しが届いております。
  165. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、その書類はどこから出されておりますか。文化友好協会ですか、外務省ですか。
  166. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 外務省を通じて文化友好協会から提出されたものでございます。
  167. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、その輸出申告書の全額に重大な誤謬があったことを御承知ですか。
  168. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 検査の限りでは、重大な誤謬はなかったように報告を受けております。
  169. 二宮文造

    ○二宮文造君 それでは、外務省の総務課の方にお伺いしますが、前回照合しておりましたときに間違いがありまして、その提出書類を会計検査院のほうへ誤謬のままで提出されていると思うのですが、その辺の事情を御説明願います。
  170. 峰崎邦雄

    説明員峰崎邦雄君) 会計検査院に提出いたしました、いま二宮先生が御指摘の輸出申告書は、携行資材の輸出申告書のカバリングだったと存じます。その中には、その申告書のとおり、まさにそこに金額の誤謬がございまして、内容に誤謬がございましたが、検査院に実地検査に来ていただきましたときに、その内容を訂正いたしました。したがって訂正された金額で支払われたことを確認していただきました。
  171. 二宮文造

    ○二宮文造君 まあそのように承っておきます。金額としてはわずかな問題ですが、金額はわずかですけれども、書類審査をなさっているとすれば、その書類にたとえわずかの金額でも誤謬があると、私は問題だと思うのです。ここで会計検査院に、ほんとうにその検査態度としてしっかりしていただきたいのは、従来も私申し上げておりますように、地方公共団体とか、他団体については非常に会計検査院の姿勢が強いわけです。これもけっこうです。しかし国の機関に対しますときの会計検査は非常にずさんなわけです。ずさんという言い方が、あるいは言い過ぎかもわかりませんが、説明された資料に基づいて、あまりせんさくをなさらないというふうな傾向があります。私なぜこの問題をくどく申し上げるかといいますと、日本がこれからの経済協力、海外経済協力という問題は、これからもその金額なり件数が累増してまいります。そのつど会計検査院がいま先ほど答弁されたように、相手政府のことであるから、こちらの国内の関係機関の証明さえあれば、相手政府の受領書などは必要じゃない、それがなくとも違法じゃないという態度で今後も進んでいくならば、その間に大きな誤りが、私は出てくる心配がある。現にこのベトナム救援が問題になっておりますやさきに、三月にさらに今度は衣料品、着るものですね、あるいは家庭薬を中心にして船積みがされております。その場合も、会計検査院は同じような態度でこの補助金の問題を扱っていかれますか。あるいは外務省としては、前回はそこまで感じなかったので受領書をとらなかった、今回は会計法規に照らして、国民が納得するように受領書をとると、こういうふうに姿勢を変えられるか、あるいは前回のやり方を踏襲されるか、両者から意見をお伺いしたい。
  172. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) 今回の分につきましては、ただいま御質問のような経緯もございますので、受領書を申し受けることが適当かどうかは別でございますが、口上書によりまして、当方から送りました品物に対して、これを受領した旨の口上書が提出されております、ベトナム政府から。
  173. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 検査院としましては前回の場合につきましても、その報告を受けておりましたときに受領書が必要じゃないかということを担当者に言ったわけでございますが、先ほど申し上げましたとおりの事情であるからということでございましたので、これはまあ、とれなかったのをいまさらベトナムに行ってとってくるということはできませんし、これはとったほうがいいなあということを申しておいたわけでございますので、将来につきましては、名目はどういう名前でございましても、それが確実に相手方に渡ったということが証明できるようなものをいただきたいと思っております。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 そうするとおかしくなるわけです。先ほど違法じゃないとおっしゃった。違法じゃなければ、出せと言われても関係の省庁で出さなかったらどうなりますか。
  175. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 違法ではなくとも妥当でございませんので、適当でございませんので、そのような措置をとっていただくようにお願いする次第でございます。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 それじゃそれで了解しました。どうか検査院としては、もっといわゆる会計法上に基づく厳正な検査をやっていただきたい。  で、大臣も待っていただいておりますが、最後に大臣にお伺いしたいことですが、このベトナムの救援については非常に問題があったわけです。というのは、政治的な問題もあります。それから今度は、手続のほうで、東南アジア文化友好協会というのを早急に改編して、そして事務能力もないのにそこへ指定をした。さらに、従来医薬品なんか全然取扱ったことのなかった、平岡に業務を代行させた。それを外務省が承認をした。こういうことが非常にまずいわけです。今後もこういう問題が出てくると思いますが、いわゆる補助金の交付団体の内容といいますか、それを選定する基準、事務能力があるかどうか。厳密にものさしをあてていくおつもりがあるかどうか。さらに今度は、緊急と称して指定を受けた商社が、いわば独占的な価格で納入しているわけです。少なくとも血税による金ですから、こういう金の取り扱いについては、もっと妥当な競争とか、あるいは納得のできる方式で納入させる、こういうチェックする方法をお考えかどうか。この二つについて大臣の今後の見解を伺っておきたい。
  177. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 従来あまりこういう事例がなかっただけに、不用意な点は重々これは認めざるを得ないと思います。今後は経済協力が従来に増して活発に行なわれるわけでもございますから、御指摘のように、交付団体の選定にあたっては厳正を期する。なおまた、価格等の問題につきましても、独占的でなく、公正な方法によるということを心がけてまいりたい、こう考えております。
  178. 二宮文造

    ○二宮文造君 この際資料をいただいておきたいが、前回三月の十日に、日本ベトナム協会、これから同じようなケースで家庭配置薬と衣料品とが送られております。で、日本ベトナム協会の構成内容、それと、それから代行の商社、おそらくこれも代行の商社があると思います。それから契約内容、これらについて資料を提出していただきたいと思うのですがどうでしょうか。
  179. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) できるだけすみやかに提出いたします。
  180. 大森創造

    大森創造君 会計検査院第一局長にお願い申し上げますが、私は前後三回にわたって労働省の問題を取り上げました。そこで、マル特会計なるものが、私の計算では数十億あるのであります。この問題についてどういう態度を一体会計検査院とられるのか。あなたのほうの所管ではないけれども、会計検査院長と相談をされて、労働省の関係のマル特会計というものについて、会計検査院の明確な態度をひとつお示しいただきたいと思う。これが一つ。これはあのままでは済まされないと思います。  それからもう一つは、きょう先ほど私が御質問申し上げたことは、お聞きだと思いますけれども、山の交換の問題、これは私と林野庁長官とその他の関係者が、まあ作文的なやりとりをしておりますけれども、内容はああいう交換をすることが妥当かどうか。会計検査院として、これは行管のほうからも見解を求めたいと思いますが、とにかくああいう山の交換というものが妥当かどうか。これは会計検査院の御見解をお示しいただきたいと思います。
  181. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  182. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をつけて。
  183. 斉藤実

    説明員斉藤実君) 三局のマル特会計に対する態度と申しますと、どういうことでございましょうか。あのとき私も横で聞いておりましたのですが、いろいろお話がございまして、そのときに大森委員ではなくて、どなたでしたか、私も担当でないから忘れましたけれども、会計検査院は、国会で議員がこの委員会でもって検査しろと言えばするのか、おかしいじゃないかというようなお話もあったわけであります。そういったようなことについても何と申しましょうか、御回答するのでしょうか。それともマル特会計そのものについてどうするのかというようなことでございましょうか。ちょっとわかりません。
  184. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をやめて。   〔速記中止〕
  185. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。  ほかに御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十三分散会