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1966-07-01 第51回国会 参議院 決算委員会 閉会後第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年七月一日(金曜日)    午前十時三十三分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 仲原 善一君                 八木 一郎君                 相澤 重明君                 二宮 文造君     委 員                 木内 四郎君                 熊谷太三郎君                 内藤誉三郎君                 山崎  斉君                 山本茂一郎君                 稲葉 誠一君                 柴谷  要君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君    国務大臣        法 務 大 臣  石井光次郎君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        法務政務次官   山本 利壽君        法務大臣官房主        計課長      藤島  昭君        法務大臣官房営        繕課長      田村 秀策君        法務省民事局長  新谷 正夫君        法務省刑事局長  津田  實君        法務省矯正局長  布施  健君        法務省保護局総        務課長      海治 立憲君        法務省人権擁護        局長       堀内 恒雄君        法務省入国管理        局長       八木 正男君        会計検査院事務        総局第二局長   井上  鼎君        最高裁判所事務        総長       岸  盛一君        最高裁判所事務        総局総務局長   寺田 治郎君        最高裁判所事務        総局人事局長   矢崎 憲正君        最高裁判所事務        総局経理局長   岩野  徹君        最高裁判所事務        総局刑事局長   佐藤 千速君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから、決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、法務省決算について審査を行ないます。  まず、法務省決算について説明を聴取いたします。山本政務次官
  3. 山本利壽

    説明員山本利壽君) 昭和三十九年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。  法務省所管歳入につきましては、予算額百九十四億一千九百九十一万二千円に対しまして、収納済み額二百三十九億八千八百二十五万四千円であり、差し引き四十五億六千八百三十四万二千円の増加となっております。  収納済み額増加のおもなものは、罰金・科料の四十三億七千二百四十六万円、刑務作業収入の二億二千百十二万八千円であります。  次に、法務省所管歳出につきましては、当初予算額四百九十四億一千二百九十万四千円に、前年度からの繰り越し額一億七千五百六十八万八千二百円、大蔵省所管からの予算移しかえ増加額一億七千三百二十四万七千円、予備費使用額二億五千三百四十六万円、給与改善等に伴う補正予算額十五億二千八百三十三万二千円を加えました予算現額五百十五億四千三百六十三万一千二百円に対しまして、支出済み額は五百九億二千六百十一万八百四十八円であり、その差額は六億一千七百五十二万三百五十二円となっております。この差額のうち翌年度に繰り越した額は三億七千三百八十万三千百八十四円であり、不用額は二億四千三百七十一万七千百六十八円であります。  支出額のうちおもなものは、外国人登録事務処理経費として一億三千三百三万四千円、登記及び土地・家屋台帳事務等処理経費として七億七千八百九十七万一千円、検察事務処理経費として六億一千五百四十六万六千円、矯正施設における被収容者収容就労経費として五十七億七千六百四十四万九千円、補導援護経費として七億百八十一万三千円、出入国関係に伴う被退去強制者収容送還等経費として七千六百八十八万六千円、公安調査庁における破壊活動防止のための調査経費として八億三千百六十九万一千円、施設費として四十一億八千八百十二万一千円となっております。  不用額となったおもな経費は、人件費及び刑務所等収容者食糧費であります。  詳細につきましては、お手元に提出しております「昭和三十九年度決算について」に記述してありますので、御了承願いたいと存じます。  以上をもって、法務省所管昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算について説明申し上げました。よろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  4. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  5. 井上鼎

    説明員井上鼎君) 昭和三十九年度法務省所管決算について検査いたしましたところ、特に違法または不当として指摘した事項はございません。  以上でございます。
  6. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 法務大臣が来られないものですから、それまでの間に法務省のうち、ことに矯正行政に関連する点について、事実関係を先にお尋ねしていきたいと思います。  いろいろ騒がしておりまする松山刑務所汚職事件ですが、この事件法務省当局調べた範囲の事実関係をまず御説明をお願いしたいというふうに考えます。これは矯正関係のほうからです。
  8. 布施健

    説明員布施健君) まず最初にお断わり申し上げなければならないのでございますが、今度のこういう事件につきまして、私ども、世の中を騒がせ、皆さまに御心配をおかけし、まことに恐縮に存ずる次第でございます。  そこで、今度の事件関係でございますが、これにつきましては、実は刑務所側で発見いたしまして調査しました事件につきましては、それぞれ検察庁のほうへ事件送致いたしております。これらはいずれも職員収容者暴行を加えたという事件でございます。ただいま問題になっております収賄事件、これはその捜査中に発覚したものと存じておるわけでございまして、それらの内容につきましては、矯正当局の私からお答え申し上げるよりも、民事局からお答え願ったほうがよろしいかと思うのでございます。その点あらかじめ御了承お願いしたいと思います。  まず、今回の事件が発覚いたしました経緯につきまして、私ども矯正当局のほうから見ました資料によりまして御報告申し上げます。  前提といたしまして、実は矯正当局のほうといたしましては、毎年三月の十六日付定期異動を実施いたしております。その異動に関連いたしまして、松山刑務所におきましては、所長もかわり、また、管理部長、それから保安課長、それから保安課長補佐といった保安関係幹部級が全部交代いたしております。新しい所長楠下芳輝と申します。この人は三月の二十五日に着任いたしております。それから管理部長堀内幸蔵でございますが、これは三月二十三日に着任いたしております。それから保安課長高田弘幸でございます。これは松山刑務所庶務課長から保安課長にかわったわけでございまして、この人は三月十八日から保安関係の勤務に従事いたしております。それから保安課長補佐梅崎元也、これは事件被害者としてあらわれるわけでございます。これは川越刑務所から転勤いたしまして、三月の二十四日に松山に着任いたしております。この異動の前後におきまして、保安課長高田弘幸——これは庶務課長であった関係で、拘置場のほうのどうも規律が乱れておるということをうすうす耳にいたしておった関係もございますし、今度は自分が保安責任である保安課長になるということから、積極的に情報の収集も始めたようでございます。その結果、越智という看守がございまして、これがあるとき拘置区のほうの居房の捜検をいたしましたところ、たばこの犯則品を発見した。それを持ち帰ろうとしましたところ、多数の暴力団関係者が取り巻きましておどかされて、結局、だれも助けがなく、そこには警官等もおるわけでございますが、援助がなくて、やむなくそれをまたそこへ置きっぱなして帰るというようなことがあった。看守としてさようなことをしたことについてはまことに申しわけないといったような、過去のことについての述懐があったわけでございます。それやこれやを総合いたしまして、高田保安課長といたしましては、拘置場紊乱は間違いないということで判断いたしまして、新しい管理部長、それから新所長の着任を待って、新所長の裁断のもとにその粛正に乗り出したわけでございます。  で、その対策といたしまして、まず職員配置がえをやったわけでございますが、その職員配置がえにつきましては、かねてからうわさにのぼっていたところを対象といたしたわけでございます。そこで、拘置区のほうの配置がえにつきましては、拘置区の係長、これは副看守長でございますが、坂東定というのが三月の十六日付これは一般異動にも入っておったわけでございましょうが、これもかわっております。三月二十五日に拘置場の階上二階のほうの担当をやっておりました富岡照雄看守、これが三月二十五日に大津の支所のほうへ配置がえになっております。その後四月二日杉原章——この富岡杉原、これは今度の収賄事件によって逮捕されて調べを受けておるわけでございますが、これは階下の担当でございましたが、これを免じております。さようなことから手をつけまして、さらに三月の二十六日には一斉送検をいたしております。この送検の結果は、あまり成果があがらなかったようでございますが、それはあとでわかったことでございますけれども、いま逮捕されております杉原情報を漏らしたために隠したというような事情がございます。  それから、その後さらに、郷田会組員二名、これを、受刑区のほうに臨時拘置区を設けて、そちらのほうへ分散拘禁して隔離するというような措置をとり、あとで申し上げます梅崎事件関係者、これらも受刑区のほうへ臨時に設けた拘置区に分散するというような措置をとり、その後今日までの間に控訴した者で高松の刑務所へも十二名ばかり移送しておるようでございますが、このような手を打ってまいったわけでございます。  そこで、まず最初は、三月二十八日の梅崎元也に対する公務執行妨害傷害等事件になるわけでございます。これは刑務所側から事件送致いたした事件でございますので、私どものほうから申し上げましても差しつかえなかろうかと存じますが、三月二十八日に梅崎看守長拘置区のほうの巡視をやっておりましたところ、突然一人の者がそばへ寄ってきまして話しかけた、それを合い図に数名の者が取り巻いてさんざんに暴行を加えて十日間の傷害を負わせたという事件でございます。事実といたしましては、「三百二十八日、松山市春日町所在の松山刑務所拘置場内において巡警中の梅崎元也に対して、こもごも手拳をもって当人の顔面を殴打する等の暴行を加え、その職務執行を妨害すると同時に、当人に対し全治十日間を要する眉部切創等傷害を負わせた」ということでございます。この被疑者六名につきまして取り調べた結果、未決囚村上征夫小山浩志谷川清勝金昌二……。
  9. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 要点だけにしぼってくれませんか、時間がないのですから。
  10. 布施健

    説明員布施健君) これについて、六人を送致いたして、この事件送致いたしまして——これは四月二十五日に送致いたしましたが、とれに対しまして、さらにそのとき制圧された谷川という者のもとの事件弁護士宮部という人から五月の九日に特別公務員暴行致傷ということで氏名不詳看守三十名を告発いたしております。この内容は、私どもはよく存じておりません。  それから、その二つの事件を取り調べ中に今回の収賄事件が発覚したというように私どもは承知いたしておるわけでございます。  そのほかに、なおその間におきまして受刑区のほうで起こりました職員収容者に対する暴行事件につきまして、刑務所側から取り調べた結果、五月の四日に特別公務員暴行致傷特別公務員暴行陵虐というので、立石及び河原という二人の看守事件送致いたしております。さらに六月六日に、その後の調べで、同じ特別公務員暴行陵虐罪石丸昭一という看守を、それから河原——先ほどの河原看守でございますが、この二人、それから同じ日付丹生谷文夫という看守、これも特別公務員暴行陵虐、それから石丸昭一、同じ日付でございますが、これも同じ罪名で検察庁にそれぞれ送致をいたして取り調べを仰いでいるわけでございます。  以上が、今回の収賄等事件が出てまいりました一応の経過でございます。  私ども調査でいままでにどのようなことが乱れて行なわれておったのかという点でございますが、私どものほうの現在までの調査で認められますことは、昼間郷田会組員担当看守からかぎを受け取って、これを持ってほかの被告監房事務室に出入りした、あるいは監房内で喫煙が行なわれておった、あるいは監房内で賭博が行なわれておる、また担当職員郷田会組員の手紙を頼まれて自宅に届けてやるなどというような不正発信仲介をしておった事実、それから郷田会組員はほかの被告が購入した間食を取り上げて喫食するとか、あるいは金を巻き上げた形跡もあるようでございますが、さようなことが行なわれるほか、それらに関連して同じ拘置場におります他の者に対しリンチ的な行動があったというようなことがうかがわれるのでございます。このような紊乱状態でございました。  これに対しまして立て直し策といたしましては、先ほど申し上げましたことのほかに、松山刑務所といたしましては、この事故収拾策等といたしまして、事故職員に対する行政上の責任等については検察庁調査結果を待って検討する。事故に対する一般職員不安動揺も考えられますので、全職員が一致団結して事態の解決に最善の努力を尽くすように特に説示をする。収容者の動静に特に注意をして、軽挙盲動しないように指導する。収容者処遇を公平かつ厳正に行なって、暴力団関係者なるがゆえに特別な措置はしないというようなこと、これはもちろんのことでございますが、これを実行するというようなこと。それから、暴力団幹部受刑者はなるべく分散するということ。それから、この事故に関連する被告人は、今後関係機関、特に検察庁等協議いたしまして、なるべく松山刑務所収容しないように配慮したい。それから、暴力団関係者収容する拘置場担当看守の人選につきましては特に慎重を期し、なるべく地元出身者等を避けるというような方針をきめまして、さらにしばしば研究会等を開いて処遇技術等について研究を重ねていくというような方法をとることといたして、それを実践に移しておるわけでございます。  このような事件がなぜ起こったのかという原因について、現在までの調査の結果によりまして、私どもが考えておりますのは、結局幹部職員暴力団関係収容者の力というものに対して評価が少し甘過ぎたのではないかということの反省、これが足りなかった、評価が甘過ぎた。それから、暴力団関係者が、したがって、多数入所した場合に、それに対応する強力な措置を講ずることに足りない点があった。彼らの処遇及び警備がほとんど下部職員にまかせられ、したがって、また必要な報告、または意見具申上級幹部職員に対してあまりなされぬままに推移した。その間において、ついに下部職員暴力団関係収容者の圧力に屈したということに相なるものと考えておるのでございます。したがいまして、松山刑務所におきましては、ただいま申し上げましたような収拾策、今後の対策を考えて実行に移しておるわけでございますが、私どもといたしましても、この際、暴力団関係収容者の実態を十分に認識して彼らの処遇あるいは警備に臨むとともに、日ごろから幹部職員部下職員処遇に十分配慮し、部下職員は進んで上司に何事でも報告し、または意見具申が行なわれるように、下意上達の雰囲気を醸成し、全職員一体感の育成をはかるように強く指導をしていきたいと考えておりますが、さらにそれに対します対策といたしまして、警察庁、検察庁等と、緊密な連絡を保ち、情報を収集して、暴力団関係収容者についての所遇方針をきめる。暴力団収容者に対して厳正な職務執行をなし得る適格者職員として厳選する。必要ある場合は、管区機動警備隊または近隣施設職員の応援を活発に行なう。必要に応じ他の施設に分散収容する。上級幹部職員による巡回を励行する。警備器具充実等を行う。暴力団関係者による誘惑、威嚇等から職員及びその家族を保護する。職員の訓練に留意し、職責の自覚を強め、信賞必罰を明確にするといったような方針のもとに、今後一体となって間違いの起こらないようにやっていきたいと、かように存じておる次第でございます。  その後、松山刑務所拘置場におきます暴力団関係者はだんだんにまた減りまして、昨日では十名が残っております。一時一番多いときは、昭和三十九年の六月ピストル乱射事件がありました後の九月、六十五人ぐらいまでふえておりましたが、現在では十名に減じております。これも大体幹部ではない者ばかりでございますし、郷田会ばかりでもございません。現在のところ何らの心配もない保安上の状態になっておるわけでございまして、この機会十分立て直しを励行して、二度とかような事件が起こらないように十分配慮してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。  以上、事件概略の御報告を申し上げた次第でございます。
  11. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑事局のほうから、松山地検のとった態度と、この贈収賄関係、これの経過要点だけでけっこうですから説明していただきたいと思います。
  12. 津田實

    説明員津田實君) ただいま概略の事実につきましては矯正局長が申し上げたわけでありますが、まとめて申し上げますと、本年四月二十五日に、松山地検におきましては、松山刑務所拘置場内における未決囚刑務所職員に対する公務執行妨害傷害等事件送致を受けまして、捜査をいたしておりましたところ、その被疑者弁護人から、本年五月九日、同刑務所看守らが被疑者らに対して集団暴行を加えて傷害を負わせたという特別公務員暴行陵虐致傷事件の告発がありました。さらに同年四月二十六日、同刑務所長から別途看守らの未決囚に対する暴行事件の発生について報告がありました。さらに、これらの事件捜査中に、同刑務所内に収容されておる暴力団関係刑事被告人らが不当な行状を重ねておる事実を探知したこと等から、同刑務所看守等に対する被疑事件以外の特別公務員暴行陵虐事件及び看守にかかわる贈収賄事件等についての捜査の端緒を得まして、鋭意捜査中でございます。  そこで、ただいまお尋ねの贈収賄関係事件でありますが、現在までの贈賄関係者として、まず郷田会に属する郷田昇、その妻の多都子、岡本雅博兵藤卓也松原洋その他四人ぐらいが贈賄者関係でありまして、収賄側では同刑務所看守杉原章、同丹生谷文夫及び看守長宮岡照雄の三名でございます。で、いずれも六月十七日から二十一日までの間に逮捕いたしまして、目下勾留取り調べ中でございますが、被疑事実の概要は、これら三名の看守に対しまして在監者の便宜な取り扱いを受ける趣旨で五万円ないし一万円程度の金品を数回、それから物品を数回にわたって贈賄した、こういう事実になっております。
  13. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 大臣が閣議でまだ来ないのですがね。大臣が来てからでないと、大臣の見解を聞かなければ意味がないのですね。だめだな、これでは。
  14. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  15. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) じゃ速記を起こして。
  16. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 六月二十三日ですか、全国刑務所長会議があったというのですけれども、ここでは具体的にどういうことが論議されたのですか。
  17. 布施健

    説明員布施健君) 当初予定されておりました協議事項は、受刑者分類あり方についてという協議題目でございました。御承知のように、受刑者はいろいろ分類して収容しておるわけでございます。それにふさわしい処遇というのはどういうものであるか、処遇分類の区分、これをいかにして実施についてよりいい方向に向けていくかということが主題でございました。そのさなかにかような事件が起こったものでございますから、特に管区長をわずらわしまして、一日半にわたってこの問題について協議をし、今後の対策を検討してもらいますとともに、全刑務所長にもこの問題を持ち出しまして、松山事件を契機としてわれわれいかに暴力団に対処するかということを議題として協議をいたしたわけでございます。
  18. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 この種の未決の場合、あるいは既決の場合、両方ありますが、暴力団関係被疑者なり被告人なりあるいは既決囚に対する矯正のまああり方といいますか、それは具体的にはどういうふうにやっていたのですか、いままでは。いままでのやったことが、今度きまったことと別に違わないでしょう。
  19. 布施健

    説明員布施健君) 今度出ました意見も、もちろん従来やっておりましたことに触れるものが多いわけでございます。しかし、こういう事件がありました機会に、さらにそれを励行していく——これを励行していくという面も多々あるわけでございますが、特に新しくと申しますか、強くつけ加えられた点は、看守から所長に至るまで、職員が全部一体となって事に当たるというための一体感醸成ということが強く要請されたわけでございます。この松山の場合も、相手は暴力団のことではございますけれども、何かおどかされたとか、あるいは誘惑されたというようなことが最初にありましたときに、その事実を下から上に報告して、上が適正にそれを取り上げて処置いたしますれば、かような事態には至らなかったものと考えるのでございます。そういう意味で、一体感醸成ということがつけ加えられた点は、注目され得ると考えるわけでございます。
  20. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは松山刑務所の本所と、それから拘置所と、全然別なんですか。これは拘置所として何人くらい入れるところへ何人くらい入っていたんですか。これは拘置所の中の事件ですか。
  21. 布施健

    説明員布施健君) 松山刑務所は、独立の拘置所ではございませんで、刑務所の中にへいで分割した拘置区があるわけでございます。そこだけの職員収容者に対する暴行事件は別といたしまして、この規律が非常に乱れて、収賄等まで及んで、処遇を非常にめちゃくちゃにやっておったというのは、拘置区のほうだけでございます。
  22. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 その拘置区は、定員何名で、何名くらいその当時入っていたんですか。場所によると、倍近く入っていたところがありますね。過剰拘禁で、六十名くらいのところへ百名こえているところもあるし、まあでこぼこがありますけれども、どの程度入っていたんですか。独房はどうなっているのですか。
  23. 布施健

    説明員布施健君) 定員関係はすぐに調べてお答え申し上げたいと存じますが、収容人員は、六月二十八日現在で総人員が八百三十九名、そのうち未決が九十一名ということでございまして、私の存じておりますところでは、定員を若干上回っておるということは事実だと存じます。
  24. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 これは拘置所で、おそらく暴力団関係だから接見禁止にほとんどなっているんじゃないかと思うのですが、すべて最後まで接見禁止じゃないとしても、接見禁止で普通独房に入れるでしょう、証拠隠滅の関係なんかあるから。それが、房が足りないとか、あるいは過剰拘禁だからというので、独房に入れないで雑居にたくさん入れておくんじゃないですか。そこをどういうふうにやっていたんですか。
  25. 布施健

    説明員布施健君) その点、今回の収賄等関係者、贈賄等の関係者につきまして、個々にどのようにいたしておりましたか、いま私ちょっと資料を持ちませんので、たいへん恐縮でございますが、一般的には、接見禁止等がつきました場合には、独居房に入れまして、外界との遮断をきびしくやるというのが例でございますし、ただ本件の場合は、一審判決に対しまして控訴したという後において起こった事件でございます。昨年の秋ごろから乱れ始めたというふうに考えられます。その辺、接見禁止というようなことがそのまま続いておったかどうかといった点につきましては、十分承知いたしておりません。
  26. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 刑務所に併置してあるところだと、刑務所のほうの担当拘置所担当とはっきりこれは分けているのですか、この点。それから、いまお聞きしていると、拘置してあるということになると、これはおそらく接見禁止は解けていると思うわけです。普通の場合でしたならば。これは、あすこは拘置は高松ですね。高松のほうの拘置所に早く送るという方法はとらなかったのですか。その辺はどうなっているのですか。
  27. 布施健

    説明員布施健君) 本省から調査に参りますときに、私どものほうも一人派遣いたしまして、そうして資料を持ってまいって、出入り関係の資料はございますけれども、実は昨日帰ってまいりまして、まだ十分整理しておらないわけでございますが、ただ控訴いたしました場合、松山刑務所といたしましては、早く高松のほうに送りたいという希望はございますけれども、高松のほうの事情もございますし、またもう一つには看守等の関連もございますので、必ずしも控訴しましたらすぐにということは事実上は行なわれておらないという実情でございます。先ほども申し上げましたのですが、最近になって十二名高松に移送しておりますが、一審判決があり、控訴いたしました場合には、今後関係機関と十分緊密な連絡をとりまして、できるだけ早く処置したいということを考えております。
  28. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 本省から勝尾経理部長が派遣されて行っておるわけですけれども、これはどういう趣旨で行って、何を中心に調べてくることになっているのですか。これは大臣でなければ、政務次官でもあれですけれども、どうも全体の質問のペースが全部くるってしまって調子が悪いのですが……。
  29. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  30. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  31. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いままで松山刑務所関係事件矯正局長とそれから刑事局長からいろいろ事件経過説明を聞いていたけれども——詳しく聞きましたので、経過はいいのですが、これに対して法務省、ことに法務大臣としてどういうふうに原因を考え、どういう対策を今後立てていくように考えているか、あるいは一つの感想といいますか、こういうふうなものでもけっこうですけれども、お話をお聞きして、またそれに基づいて質問をしたい、こういうふうに考えます。
  32. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 今度の事件、まことに申しわけない事件でございまして、恐縮いたしておるわけでございますが、こういう事件が起こりまして一番先に私ども考えることは、こういうことを再び起こさぬようにしなくちゃならない、それにはどうやってこういう問題が起こってきたかということの原因をたずね、そうしてそれを直すためにはどうしたらいいかということをまず考えなくちゃならないということでございます。まだ、御承知のように、事件そのものは取り調べの途中でございますけれども、いずれにいたしましても、刑務所内の警備状況と申しまするか、扱っておりまする人たちに対する態度等が万全でなかったことは、申すまでもないところであります。そこにいろいろないままでわかって、私どもが聞いておることにつきましても、非常に遺憾の点が多いわけでございます。ただ、激励をして、ひとつしっかりみんな気を取り直して一体となって力をつけてやれということを申すことは当然でございますが、それだけでなく、一つ一つを取り上げて、こうもあるか、ああもあるかという問題をこれからだんだんとよくしていかなければならないのでございます。今度の問題で私ども一番考えます問題は、この事件暴力団関係の者が入っておる、それが内と外との連係の仲を公務員が取り持ったというような問題、どうしてそういうことになるのかということでございます。私考えますのに、平たく申しますと、暴力団——松山にある限りのものはいま刑務所に入れられておるものか、あとはみんな改心してりっぱになっておるか、こういう二つに分かれているわけではないだろう、外にもまだまだ問題になるような連中が残っているのではないか、そういう連中と中の者との行き来がいろいろ行なわれるというようなことになりますと、今度、中に入っている者がかりに改心しようという心持ちになって出てまいりましても、たえず連係をしておりますと、出てまいりまして、その瞬間からまたもとの巣に帰っていくということになりますれば何にもならない、行ったり来たりしているだけでございます。刑務所暴力団の巣と行ったり来たりしているというのでは、百年たっても暴力団の悪い状態は直らないということになるわけでございまするから、この関係をあれだけの高いへいの内と外がはっきりと区別されるような状態にすることが第一である。そうして、中では矯正の実をあげて、そうして出ていくときはりっぱな人間になってもらうように努力をして、そうしてそうなった人に出て行ってもらって、そうしてそのあとはわれわれはまた世間と一緒になってその人たちの補導もしていくということで、だんだん暴力団が減っていくということにならなくちゃならないのでございます。そういう状態から考えますと、今度のことなんか私は直すべきものがたくさんあると思う。そういう線においての直し方、それにはまず刑務所が、中に入ったら、ここには侵しがたきものがあるんだというものをちゃんと示さなければならぬと思うんでございます。何でも自由だと、外も内もないというような状態に甘く見られてはならない。これは刑務所だけではできないことでございます。外にありまするわれわれの関係官署——警察、検察その他の役所等の力もかりまして、一体となりまして、この暴力団の内と外との関係を断つ。そうして外に向かってももちろん暴力団狩りの威力を発揮し、中におる者に対しては厳重にこれを監督指導していくというような道をこれから講じていかなければならない。それには、この仕事に携わっておりまする人たちがあるいは誘惑をされ、あるいは脅迫をされるという場面が、一個々々であると非常に多いだろうと思うんです。そこで、一個の人としてそういう場面に当たった場合に、何か誘惑される、何か脅迫されるような場合があったときには、すぐ仲間あるいは上司に通じて、そうして全体の力でそれを防遏するというようなこと等をぜひやらなくちゃならない、それをまず始めなくちゃならないんじゃないかというようなこと等で、この間実は刑務所長の会同が行なわれた際に、この事件がちょうど新聞等にも発表された日でございまして、私はちょうどこういう問題についての話をしておりました。関係者の諸君がお互いに話し合いをいたしまして、ぜひ私いま申しましたような方向に向って一そうの協力体制をつくろう、そうしてそのほかの問題につきましても、いろいろとこうしよう、ああしようというような話し合いをいたされたようでございます。それを実行に移して、ここの刑務所だけでなく、そのほかの問題が起こっていない刑務所でも、ぜひいま述べましたように、全体が一体となって、そういう誘惑、脅迫等に対抗して、びくともしないような体制をまずこしらえていくというようなことにしていくということにいたしたい、こういうふうに考え、それをぜひやらすように、私はあらゆる方面からやっていきたいと思うのでございます。  それからまた、この刑務所に働いておる人たちが非常に気の毒な状態で、苦しい勤務状態であるというようなこと等は、私もかねてから気になっておる問題でございます。なかなか思うにまかせない、待遇等の問題も至らないものがあるのでございます。これはぜひもっと待遇もよくし、そうして中に働いておる人たちが一体となって、そうしてお互いが助け合って、心持ちを養って、ほんとうに力強い一団となって、仕事もし、それから家庭生活もほんとうに安んじてやっていけるような状態に進み得るように努力いたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 暴力団対策につきましては、矯正だけではなくて、刑事局関係、ことにその下にあるところの地方検察庁を中心として、あるいは警察関係の協力で、これは十分な対策を立てて、絶滅を期さなければならぬわけですが、これは法務省が中心になって徹底的にやってもらいたい。同時に、看守の人が収賄をしたというようなこと、これはよくありませんけれども、だからといって、すべての刑務所職員責任を転嫁するというわけにはいかないので、いろいろ今後そういう人たちに対していろいろ求むべきところがあるわけですから、やはりそれにふさわしい待遇というか、そういうようなものを十分しなければいけないというふうに考えるわけです。いま大臣は気の毒な状態にあるということを言われたのですが、これは刑務所職員の、拘置所を含めて勤務状態の実態調査をやるようにというか、やったほうがいいということを私よく委員会で言って、矯正局である程度やったのもあると思うのです。私などもよく視察に行きますけれども、そうすると結局、日曜、祭日というのは一年間に六十何日あるのですか、そのうちで休みがとれるというのは、ほんとうに少ないわけですね。これは日曜と祭日に行事をやるのが非常に多いわけですよ。ですから月に一日か二日くらい休みをとれればいいくらいで、平均その程度のものが多くて、日曜、祭日ほとんど出勤をしておる。それから夜勤が、ここに新聞にも出ておりましたけれども、非常に多いわけですね。二十四時間の夜勤なんですけれども、二十四時間の夜勤で済まなくて、もう一時間超勤でやるというようなことと、それから仮眠所なんかもよく見ましたけれども、非常に不備なところが多いし、それから待機室というのがある。休んでいるところがあるのですが、ああいうようなものも非常に無味乾燥なところが多いわけでして、こういうことを全面的に、やはり刑務所関係拘置所関係のつとめている人の勤務の実態調査をやって、その中から問題点を出して、こういう人の要求も十分に聞いてあげなければならないと、こう思うのです。これは労働組合をつくれませんから、いろいろ要求したいことがあっても要求できないわけなんですね。こういう点は十分ぼくはくんでもらいたいというふうに考えます。それで大臣はこの前、少年院だとか、鑑別所ですか、視察されたことがちょっと出ておりましたけれども、これは少年法の関係で視察されたらしいのですけれども、ですから刑務所の実態調査といいますか、それから収容者の問題もちろんありますけれども、そういうものも全体含めてこれは早急によく視察を願って、そうしていま言った面での対策というものをぼくは立ててほしいというふうに考えるのですがね。その点についてもう少し具体的に何か大臣のほうからお答え願えればと、こう思います。
  34. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) いまのお話は全然同感でございまして、私、刑務所を数カ所見ましたのですけれども、見たところは、ちょうど行ったところが、福岡であるとか広島であるとか、新しいりっぱになった刑務所ばかりちょうど見たのですが、そういうふうなところだけでは刑務所の日本の実態ではないという私は話も聞いております、実際の問題がそうでないことを。幸い夏になりまして国会でも少し時間、余裕ができればいろいろなところを私はもう少し実際を経験し、そういうふうな方向に力を入れたいと思います。
  35. 柴谷要

    ○柴谷要君 関連して。大臣に一間お尋ねしておきたいのですが、松山刑務所事件に関連しまして、法務省の事務次官と矯正局長が六月三十日付をもって訓戒という処分を受けた。これは松山事件に関連をしての処分と、こういうことでございますか。その点をひとつ大臣から直接お聞きしたい。
  36. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 昨日、事務次官と矯正局長から私に対して、松山事件について、はなはだ部下監督不行き届きであったからといって進退伺いが出ました。これに対しまして、まだこの事件内容は全般的にははっきりしているわけではないわけでございまするが、いずれにいたしましても、問題が起こっておることはもう明らかでございまするし、そうして中央の問題といたしまして、中央でありまする次官とか局長の立場としてのいまの進退伺いの点においては、今後といえども同じような心持ちでもって自分たちの責任を、私に責任があって申しわけないと、いかようにも御処分願いたいということで、これは私この際早くはっきりして、そうしてこの人たちがさらに力を入れて、ここの一松山の問題だけでなく、こういうふうな矯正問題全般にわたって一そう力を入れてくれるようにということで、そのほかの現場の人たちの行政処分というものはあと回しにいたしまして、二人の進退伺いに対する処分といたしまして戒告をしたようなわけでございます。この事件に関する問題でございます。
  37. 柴谷要

    ○柴谷要君 私は順序が逆だと思うのですね。真相が明らかになって、そうしてしかるべき責任者の処分が終わって、その上に立って矯正局長なり事務次官の責任というものが重大である、だからこれを処分をするのだということになって行なわれた処分ならば、ある程度納得がいくのです、われわれ官僚人としてかってのそういうふうな経緯をたどってきてみると。そうなると、一体大臣はどういう責任をおとりになるのか、これも聞きたいのです。部下だけ処分をする、大臣は依然として処分者であるというだけでおられる。そんなことよりも、処分などということはあとにして、こういう問題が再び起きないような体制を確立することのほうが先決じゃありませんか。だから、国民の前に、ああいう事件が起きたから、それじゃ事務次官と矯正局長を処分をしてと、一応目先だけのことをやっておいて、それで責任をとったかのごとく見せかけるというような、見せかけのことじゃだめなんだ。処分なんということはあとでいいんだ。こういう問題を再び起こさないように十分な体制をとる、それが国民に対するあなた方の仕事だと思うのです。それからゆっくり過去の実態というものを把握をして、国民に明らかにした上で、しかる上にこういう欠陥があり、こういう処置があったから処分をしたと、こういうことで間に合うと思うのです。官僚のこれは悪いくせなんです。いつも簡単な処分でもって事を済ましちゃう。そういうことであるから、われわれは言わざるを得ない。大臣、反省する意思ありませんか。この処分について、少し早まった処分じゃありませんか。もっと過去からきちっと真相を明らかにして、再びこういうことの起きないような体制を確立しました、今後起こせば重大な処分をしますぞ、というような決意を披瀝して、そうしてその上で処分をしたと、こういうふうに発表されるのが私は順序だと思う。ただ進退伺いが出たから、それだけ処理するために、まあ事務次官と矯正局長をやったのだと、こういう答弁では納得いきませんよ。それは少し早まったとお考えになりませんか。その点だけ伺って、私は質問を終わります。
  38. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 私は必ずしもそうは思っていないのでございますが、私はまたこれによって世間をごまかしてこの問題を終わろうというようないいかげんな考えは持っておりません。この問題を、これを次官や局長が進退伺いをいち早く出して、私にしかるべくというので自分の進退をまかしたことほど、それほどみんなも考えておるし、私はこの問題は、みんな法務省全体をあげてこの問題をどうやっていくか、一松山の問題にあらずして、これはこの刑務所の全般の問題として考えようじゃないかということで力を入れておる問題でございまして、この問題につきまして、私どもがいいかげんなことにこれを終わらせようとは決して思っておるわけではございません。
  39. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 まあいまの次官、局長の訓戒処分というような問題については、これはいろいろ見方があると思うのですが、どうも何か見方によって対外的な一種のゼスチュアのようにもとれまして、いろいろな見方が出てくると、こう思いますが、それはそれとして、問題を私の質問しましたことに返すと、よくこういうことがいわれるんですね。ぼくのところへ——ぼくは刑務所の篤志面接委員もやっているし、いろいろな関係で行きますし、向こうからも看守の人が個人的にぼくのところに遊びに来るわけです。こういう話が刑務所の中にあるんですよ。定年過ぎてやめるわけですね、刑務所看守を。そうすると、何といいますか、あまり長生きできないで死んじゃうんですね。こういう話が矯正職員の中では非常に多いんですよ、決して変な話でなくて。ということは具体的にそういうことが非常に多いようですね。それは勤務の状態がきわめて不自然なんですね。夜勤が非常に多いわけでしょう。そうすると、いま言ったように、夜勤をしてなおかつ休養が十分にとれない、日曜、祭日が休みが非常に少ない。日曜、祭日にどの程度出勤をしていて、それに対して超勤手当をどの程度払っているかという調査を、これはぜひやっていただきたいと思うのです。ぼくはこの前、福島の刑務所へ行ったときにそういう話が出て、詳しい調査をあそこはやっております。資料を見ましたけれども、みんなこぼしているんですね。そういうことからからだを悪くして、退職後は早くなくなるというのが多いんです。大臣そこまでお知りにならないかと思いますけれども、そういうような面についても十分お考えを願いたい、こういうように考えます。この松山刑務所事件も、全体として暴力団に対する対策というものを刑務所の中でも十分考えなきゃなりませんし、それはそれとして、きびしくすべきものはきびしくする、同時に看守の人の待遇というような問題についても、十分あたたかい配慮を尽くさなければならない、こういうふうになってくると思うのですね。いわゆる刑務所行政全体を通じて、非常に監獄法というような古い法律のたてまえでやっているわけです。それが改正が前から言われておりながら、さっぱり進まないわけです。一時やっていただいたところが中断しちゃったんですね。どこに原因があるかといえば、刑法の改正の中で懲役と禁錮の刑の一本化の問題の結論が出ないので、監獄法の問題ストップしちゃったというんですが、これも考え方によってはおかしなことなんです。監獄法の改正というものを、刑務行政全体をもっと合理的なものにするためにも、監獄法の改正というものを早急にというか、具体的な内容を持ったものにしていくということが必要だと、こういうふうに考えられるんですが、この点について大臣なり、あるいは大臣そこまでということならば、矯正局長なりから監獄法の改正問題についてどういうふうに考えて、これをどういうふうに近いうちにしたいというふうに考えるのか、こういう点をお答え願って、松山刑務所関係の問題は私の質問は終わって、別のほうに入りたいと、こういうふうに考えます。
  40. 布施健

    説明員布施健君) 御指摘のように、監獄法は非常に古い法律でございます。しかしながら、この監獄法の規定は非常に弾力性を持っているものでございますから、いままでその規定の中でかなり進んだこともやれるというような点も多々あったわけでございます。それらの点につきまして、現在の監獄法のもとでやれるだけのことはやっていくという方向で進んでまいっているわけでございます。ところで、御指摘のように、古い法律でありますことは事実でございますし、その後憲法も変わっていることでもございますし、いろいろな行刑思潮の変遷等もありますし、それらの世界的な行刑思潮等も考え合わせますと、これは私ども矯正当局といたしましては、改正の方向へ向けていきたい、かように考えているわけでございますが、御承知のように、刑法の全面改正をやるかどうかというようなことで、その作業は法制審議会に諮問されて、法制審議会で論議されている段階でございます。ただいま稲葉先生おっしゃいますように、拘禁につきまして、懲役と禁錮をどうするかといったような問題、これはそれならそれでというおことばになろうかと思うのでございますけれども、二つに分かれて残った場合に、懲役なり、禁錮なり、その刑罰の内容として盛られるものはどんなものになるのかという点につきましては、刑法的な考え方もあることでございますし、その他保安処分等という問題も論議されているわけでございまして、刑法が将来改正されるといたしますと、それらの点は、おそらくは問題の中心になってくるのではなかろうかと考えますし、そういたしますと、その執行法でございます監獄法、これをそれと関連なしに、現行刑法のもとにおいて考えてみましても、やはり現在の監獄法のもとで訓令、通達等で実際の行政上やれることを越えて思い切った前進はできないのではないかということを考えるのでございます。刑法の改正作業とにらみ合わせて、これらの基本問題の見通しを得ながら、またその刑法の考え方のほうへ矯正の考え方も反映していって、その見通しを得ながら、刑法の改正とにらみ合わせて監獄法の改正は行なうべきではないか、かように考えております。したがいまして刑法、新しい刑法ができ上がるといたしますと、その刑法が施行されるまでには、監獄法も当然一緒に施行の運びに至らなければならない、かように考えております。私どもといたしましては、大臣の御指示を得まして、だんだんとその方向に仕事を向けていきたいと、かように存じておる次第でございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 問題があまりほかへそれてもいけませんから、一応矯正行政、ことに松山刑務所を中心とした問題については、ここで終わります。  法務局関係の問題ですが、いろいろ問題がありますが、一つは人員の増員の問題を中心として、これは大臣なり、民事局長にお聞きするわけです。時間の関係があって——これはいずれ法務委員会であらためて時間をかけてお聞きすることになると思いますから、要点だけお答え願いたいと思いますが、事務量が非常にふえておる。そのふえ方に比例しないんですね、人員関係が。それで非常に仕事がふえる、労働強化になる、国民が頼んだものがおくれると、こういうことになってきて、国民が法務局関係、ことに登記の関係で迷惑しているわけですが、それはやはり事務量の増加に見合って人員がふえていないということに問題があるわけなんで、これは増員というものをもっとはかっていって、国民の不便を解消しなければならない、こう考えるわけですが、これについての大臣なり、民事局長の考え方というか、そういうものをお伺いさせていただきたいと、こういうふうに考えます。
  42. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 法務局の事務量が近年非常に増大いたしておりまして、これが業務の上にいろいろ影響を及ぼしておりますことは、お説のとおりでございます。これは最近の金融活動あるいは経済活動、あるいは公共事業、そういったものがだんだんと活発化してまいりましたために仕事がふえたということになるわけでございます。お説のように事務量そのものをながめてみましても、昭和三十年の事務量と比べますと、ことしあたりの事務量は、大体その四倍に達するわけでございます。ところが法務局の登記台帳事務に従事いたしております職員の数は、三十年に比べますと一五%の増加にすぎないわけでございまして、その間に非常にアンバランスが出ておるわけでございます。確かにお説のように、国民の不便を解消いたしますためには、法務局の職員を思い切って増員していただくということが必要でございます。私どもも年来このことを法務局の予算における最大の重点といたしまして努力いたしておるわけでございますが、国の全般の方針、あるいは財政事情等もございまして、これがなかなか思うようにまいらないのが実情でございます。と申しましても、いろいろと法務局の業務の重要性というものも各方面に認識されまして、少ないながらも、ほかと比べますとかなり増員も考慮されてきたというのが実情でございます。しかし、この国民の不便を解消いたします方法といたしまして、単に事務量の増加に見合う増員のみでこれが処理し切れるものかどうかということは、これは問題でございまして、私どもといたしましては、増員に何と申しましても、重点をかけておるのでございまするが、職場の改善ということが、非常に大きな影響を持つということもいなめない事実でございます。したがいまして、庁舎あるいは事務処理体制の積極的な改善をはかり、さらに事務そのものの合理化をはかっていくというふうに各方面におきまして検討を加えて、御要望のような趣旨を達成できるように努力いたしてまいったわけでございます。今後ももちろんそのような考え方に立ちましていろいろの面にわたっての施策を推進してまいる考えでございます。ことに庁舎につきましては、これは非常に大きな影響を及ぼすということは、最近具体的な例もあるわけでございます。ある登記所におきましては、職員の手不足その他の事情によりまして、謄抄本の交付が五日あるいは一週間というふうに遅延いたしておったのでございますが、その事務処理体制を改善する趣旨におきまして、庁舎の構造を変えまして新しいものをつくってみましたところが、一挙にしてこれが解消いたしまして、一日の遅延もなしにスムーズに動くというふうな事態も起きてまいっております。したがいまして、増員が必要であることは、もちろんでございますけれども、ただいま申し上げましたように、ほかの面におきましても十分くふうを加えまして、法務局の事務処理体制を完全なものにしてまいりたい、それによって国民に迷惑のかからないように、能率的に仕事が運ばれるようにいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま民事局長から答えがあったのですが、ほかの面での合理化というか、そういうことをやらなければならない、それはそれとして、絶対的に事務量が十年に約五倍くらいふえておるのに、これは甲と乙との換算の割合などがいろいろありますから、考え方によって多少数字は違うかもしれませんが、人員というのは大体一〇%くらいしかふえていないということから、これは常識的に見て合理化とか何かして、ある程度のあれができたとしても、これはだれが見ても無理なんで、どうしても増員というものを大きくしていかなければならない、そうでないと国民が不便になるわけです。これは大臣にお伺いをするわけですが、結局国民の不便ということを中心に問題を考えていかなければならない。謄本の場合はその日に申請すればその日にできてくるというのが原則なんです。登記法はそのたてまえになっているのです。いま民事局長も言われたように、三日かかったり五日かかったりするというところもあるというふうになってくるくらいなんで、国民は非常に不便を感じるのです。謄本がないというと金を借りたりいろんなところで必要になってくるのです。それができなくなって、不測の損害をこうむることがあるのです。そういう点を含め考えますと、絶対的に事務量の人間の増員、去年百二名ふえた。ところが、この百二名の半分というのは、前に凍結されていた部分ですから、実際にふえたのは五十名前後ですから、とてもこれではどうにもしようがないということになってくるわけですから、こういう点について明年度予算の中で、これは大臣、幸いというか留任されるということですから、そういうことになっているようですから、これは新聞に出ておったのですが、そういう点で、これは大蔵省なり何なりへ、大蔵省なんか石井さんから言わせると、自分の部下みたいなものじゃないですか、それから石井さんのほうがずっと上なわけですから、だれが見ても。ですから、いまのは別としまして、だから大蔵省あたりにもっと強く言って、もっと増員をして、全体としての国民の不便というものをなくさなければならぬ。それは、いまのは登記所のことですけれども、登記所だけではなくて、法務省全体というものは官庁の中でもじみな官庁ですから、影が薄いと言うと語弊がありますけれども、影が薄いので、じみな官庁ですから、大蔵省あたりに行ってもまじめなんです。予算折衝でもまじめにやるから、大蔵省あたりから政治力がないということを言われて、結局あと回しにされてしまう、あと回しにされると結局だれが困るかというと、職員も困るけれども、国民に非常に関係があるので国民が困るのです。幸い石井さんがさらに明年度にかけて、いま言ったのは登記所の関係ですけれども、そればかりではなくて、全般的な予算の増大というか、そういうふうな面に格段のお骨折りを願いたいというか、これは石井さんのお仕事だと思うのですが、そういう点についてぜひ願いたい。これはその点についてのひとつ御抱負というかお話を願いたい、こういうふうに考えるわけです。  時間がございませんので、そのほか庁舎施設の近代化の問題、それから臨時職員定員化の問題、これは臨時職員が千人以上いるわけですから、その定員化の問題、税務署との関係の税通、部外応援の問題、いろいろのところから応援をもらっているのですが、いろんな問題がございますけれども、それは別の機会に、臨時国会が開かれれば法務委員会の中でゆっくり質問することにして、いま言った法務局関係人員の増、あるいは法務省全体の予算の増額ですね。こういうふうな問題について法務大臣の決意というか、抱負というか、そういうふうなものをぜひ伺わしていただきたい。それで私の質問は残っておりますけれども、時間の関係もあって、きょうは終わりにしたいと思います。そういうふうな意味において、大臣のひとつ非常にいい答弁をお願いしたいと、こう考えます。
  44. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 法務局関係人員、設備等の不足という問題は、非常に問題でございまして、いまおっしゃるとおりでございます。民事局長が御説明申しましたように、私も何カ所か見てまいりました。もうひどく登記所などで込んでおるところ、登記のいろんな書類を写しに来ても、写す場所がない、待っておらなければならぬ、また来ても、来るために何日か呼び出しを待っていると、いまお話のように、きょう来てきょうすぐ仕事したいけれども、そのためには三日、四日たってしまう。商売ですからその間に非常な変化が起こってくるということがあってはほんとうに、これは役人の仕事で、はがき一本で呼び出して、その答えさえ出ればいいのではないか、時期なんかかまわないというようなやり方では済まぬのではないか、これは相当な高い登記料だとか、印紙税を取っておるのに、サービスがこんな状態でいいのかということを、私はあっちこっち行ってしみじみ考える。またよくなったところは、いま説明のありましたように、いままで三日とか四日とかかかっておったところが、一日でどんどん片づけておるいい登記所の例を見まして、なるほどほかから比べると、わりあいに広々として仕事がどんどん運んでおるようでございます。こういうふうな状態までどこもいかなければ、金を取って、そうして半日も待たしてというふうなことじゃ申しわけないのじゃないかというようなことを話し合ったわけでございます。私どももはなはだ申しわけないわけでございますが、これは実情を私もよく見まして、これではいかぬということをしみじみ感じた点が、たくさん実際上ありますので、いまの人員の点、設備の点等につきまして、格段とひとつ大蔵省等に考えてもらうように、早くから折衝をして、予算閣議なり何とかという前に、ひとつ了解を得ておきたいというふうに思っております。
  45. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょっと法務省のほうへ資料としていただきたいと思うのですが、人権擁護局です、この人員が非常にやはり少ないと思うのですね。ですから、これは全国で何カ所あるのか、この全体の人員はどれくらいなのか。まあいわば、いまの法務省の中ではこれは日陰と言われておりますが、中でも特に盲腸的存在というようなのが、人権擁護局じゃないかと思うのです。私も実際に何回も視察をしましたが、その結果、この機能が生きていない、積極的に果たされていないことを痛切に感じているわけです。こういう点は非常にやはり重要だと思いますので、簡単に説明できればここで説明していただいてもいいし、もし時間がかかるようでしたら、資料で出していただきたいと思うのですがね。これに対して大臣はどういうふうに考えておられるか。特に簡単でいいですから見解を伺っておきたい。
  46. 堀内恒雄

    説明員堀内恒雄君) ただいま御質問の人権擁護関係職員の数でございますが、法務省の本省におきまして定員が十六名でございます。それから全国の法務局及び地方法務局の人権関係担当職員の総数が、定数におきまして百六十二名ばかりでございます。
  47. 岩間正男

    ○岩間正男君 大臣いかがですか。これでは非常に貧弱だと思うのです。盲腸的存在と言われるが、これは日本が民主国家として新しく設けた組織でしょう。
  48. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) いまのお答えをお聞きいただくように、まことにこのとおりでありまして、自慢のできる数字とは思っておりません。さっき稲葉君がおっしゃったように、法務省は人がよ過ぎるというのか、いままでの予算折衝等で、あまり多くの人も予算もとれずにおったという状態で、はなはだ申しわけないのでございます。少しずつでも前進するようにどの面も考えます。どの面もそういう状態だと思うのでありますが、世界人権宣言に日本も加盟しておる立場から、もっと力を入れるべきが当然のことではないかと思っておりますので、何とか努力いたしたいと思っております。
  49. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言もなければ、午前中の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  午後零時四十分まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後零時五十九分開会
  50. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、法務省決算について審査を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。
  51. 相澤重明

    ○相澤重明君 法務大臣にお尋ねをいたしますが、法務省歳出決算が、五百十五億の予算現額でありますが、これに対して歳出は五百九億二千六百十一万八百四十八円となっておるわけですが、この五百億余の歳出あるいは五百十五億余の予算現額、これに対して増額をしたおもな点は何かという点を説明を得たわけでありますが、それによりますと罰金等、いわゆる罰金及び科料の増収あるいはいわゆる刑務所等における収入の増というものが言われているわけですが、特にこの罰金の額を見ましたとき、三十九年度に収入が百八十九億七千七百八万五千円、実に二百億にもなろうとする罰金の額、これがいわゆる予算に比べて四十五億六千八百三十四万二千円というのが増額でありますが、そのうちの罰金及び科料が四十三億七千二百四十六万円という内容を御説明いただいたわけでありますが、ここで、大臣にお伺いしたいのは、道路交通等による罰金等は非常に多くなっているということと、この罰金をたくさん取るということはわかったわけですが、これはどういうところに費用のおもなものを使うというお考えなんですか。これを一度罰金は取るけれども、その罰金を取ったものはどこで使うのか、これをひとつ御説明をいただきたいと思う。
  52. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 罰金は罰金として取りますし、それから交通関係で取りまする罰金であるからといって、右左に交通に使うとなっているわけではないのでございます。政治的にそういうことを頭に置いて予算を組むことは考えられますけれども、右左にそういうことにはなっていないわけでございますから、どういうところに使っているということには、これはなってなってないことは御承知のとおりなわけでございます。私どもといたしましては、こういうふうにふえていくことはまことに遺憾なことである。これがふえることは自慢にもならないことでありますから、ふえていくだけに、それにも増すような大きな交通上の障害をなくなすような国の施設をよくやってもらいたいということを要望しておるわけでございます。
  53. 相澤重明

    ○相澤重明君 基本的な態度は、いまの大臣の答弁で私はいいと思うのです。やはり運転者の教養の問題あるいは道路をよくするという、いわゆる事故をなくすということが、形は基本の問題だと思うのです。いま俗に交通戦争と言われるわけでありますが、そういう被害者をできるだけ少なくしていくということが、国全体の政策でなくていかぬと私は思う。そういう点では同感であります。ところが、ここでいま罰金の問題を取り上げたのは、罰金を取るいわゆる第一線の者は、これは地方における警察官ですね。交通違反であり、これはいわゆるスピード違反ならスピード何キロ違反、駐車違反である、そういう自動車の違反に対する取り締まりをしているのは、第一線の警察官だと思う。この第一線の警察官がどのくらいの多くの仕事をするかということが、やはりこれだけの結果としては罰金額にあらわれてくると私は思う。私、一つの例で申し上げますと、神奈川県でも、現在ほとんど年間大体八億ぐらいの罰金を取っておると思うのです。そこで考えられるのは、これは特に大臣に御相談なわけですが、そういう交通裁判所で、最終的に罰金を徴収しても、摘発をするのは第一線の警察官ですから、その第一線の警察官を扱っておる地方自治体ですね。いわゆる都道府県、この都道府県にそういう罰金の還元ということを考えたことはございませんか。これはもう警察官は非常に増員をするのにも、地方自治体は予算の問題で苦労しているわけです。しかし、現実には交通戦争という今日のこの苦しい中でやらなければならぬ。罰金の増額はしてやるけれども、それは本省がみんな吸い上げていく。こういうことになると、これは地方自治体は一生懸命になってやって、からかさの骨を折れるということはあるが、実際には本省のために仕事をやっておるようなものである、こういうことになるから、この罰金の、地方自治体、いわゆる都道府県にある程度還元をするというようなことは考えられないのか。一つの例がある、これは大臣こういうことなんですね。大臣の所管ではないけれども、たとえば運輸省の所管の中に、港に船の出入がある、そうすると、これはいわゆるとん税という制度がある。これについては、その港を管理する自治体に対して還元をしておるわけです。とん税特別とん税についてはそういう制度がある。法律上もできるわけであります。だから法務省だけがこの罰金というものは非常に増額、四十五億も増額した。そのうち道路問題のいわゆる自動車関係の罰金が多い。しかしその摘発をして実際のそういう仕事に当たっておるのが、都道府県におけるところの地方の警察官、こういうことになると、私は本省だけに吸い上げるというのでなくて、ある程度はこれを都道府県に還元をするという道を考えてもいいのじゃないかと、こう思うのだが、ひとつ大臣の見解を承っておきたい。
  54. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) ただいまの御意見のようなことが、地方長官会議において地方長官から毎年のように問題にされておるようでございます。私がそういう会議に出ても何回かそれを聞いております。もっともだと思うのでございます。費用はどんどんかかっていく、そうして取り上げた収穫は国のほうに持っていかれる。トンビにさらわれてしまうというようなことであって、何か割り切れないものがある。それだから、どんな形でもいいから関係の府県に分けてやるというか、還元するという方法を考えてもらえぬかというような話がよく出ます。これは大蔵大臣も前で聞いておるところの話でございます。私どもといたしましては、これは国庫収入になるものでございまするから、これをそのまま右左に分けるということはできないことは、さっき申し上げたとおりでございますが、その心持ちをくんでどの県、たとえば神奈川県などというものは、東京の隣県で非常に大きな交通上の施設をしなければならないし、人件費もうんとかかっている。しかし県としては何とかやっておるのだけれども、こういうことにどんどんと費用をとられて、ほかの施設に使うべき金もそのほうに回る状態だというようなこと等を言うておられたわけでございまするから、そういうふうなことを考慮して、特別の交付金であるとかというような形で還元する道を考えられないかというのが、私どもの考え方でございます。何かそういうふうなことを考えてもらえぬかということを私どもは希望して、要望しておると申しますか、何とかしてやらないと、実際上に県は赤字を出してないからいいじゃないかというても、ほかの施設に影響を自然及ぼすものではないかということを政治上としては考えてもらいたいという心持ちを持って話をいたしておるわけであります。何かそういうふうなことを具体的に取り上げてもらいたいという心持ちを持っております。それにかわるものが出てくれば、これは問題は別でございます。
  55. 相澤重明

    ○相澤重明君 大臣からたいへん熱心な御感想をいただきまして私も同感です。ぜひ、先ほど私一つの運輸省の例を申し上げたのですが、そういう特別交付税なりいわゆる還元という問題について御検討願いたいと思う。  それから同じこの道路交通の取り締まりの問題で、私どもがやはり頭を痛めるのは、道路標識、交通標識ですね。これは大臣も御承知だと思うのでありますが、警察に協力をして、民間団体では交通安全協会なる組織があるわけです。これはもちろん都道府県警察の予算の中にも若干の問題がありますが、地域団体の寄付等がこれは中枢をなすものです。実は私は末端の町内会の連合会長をしておるわけで、その一番の問題を扱っておるわけだ。交通安全協会をつくり、そして道路交通の安全対策を進めておるわけです。その金がやはり地域の住民からある程度出してもらわぬことにはやっていかれない。たとえば、いまこれは一つの例ですよ。参考にして申し上げたほうがわかりいいと思うから申し上げるんですが、横浜の桜木町から国道一級一号線の戸塚へ行く平戸、そこまでの間をいま道路拡幅をしているわけだ。ところが、拡幅しても道路標識を整備しなければ、道路交通による事故が多いわけだ。そこで、たとえば道路標識を立てるのに百メーターがいいか、百五十メーターがいいかは別として、その間隔に道路標識を置くわけだ。いろんな制限の道路標識を置くわけだ。一カ所に三本から四本置くと、一本が大体三千六百円前後かかる、標識が。これをたとえば百メーターにすると、たとえば四キロあると、これはたいへんな数になる。それが両側に必要なわけですね。両側に必要だ。こういうことを考えてくると、私が先日もちょっと試算をしてみると、大体道路標識だけで百五十万から二百万かかってしまう。その上に横断歩道のいわゆる白帯を引くとか、あるいは信号機を設備するとか、こういうのをつけると、たいへんな額になる。緑のおばさんを一人雇っても、なかなか御承知のように、そう簡単なものじゃない。いまや子供の通学あるいはおつとめの人たちの通勤、こういうものが都市交通にとって欠くべからざる対策なんだ。そういう末端のことを私どもが扱っておると、これでいいのかと。税金を国民が納めておるけれども、その税金が一体正しく使われないで、やはり実際にそういう交通安全をやる場合には、また住民から金を取らなきゃ実際にはやっていかれない。これではいけない。先日、私は実は神奈川県の公安委員会に対して、警察本部長に対してできるだけ県で持ちなさい、しかし、足りない場合はしかたがないから、われわれ交通安全協会でも負担するけれども、これは原則として国がそういうことをやるべきじゃないか。そこで、先ほどの罰金の一つの例を、最初大臣にお尋ねしたわけですが、大臣の誠意ある答弁で私も了解しますが、ぜひ交通安全対策は、いまや至上命令である、こうお考えになって、私はこういう罰金等を取るのもけっこうだけれども、いわゆる被害、事故をなくするということが第一条件でありますから、道路をよくし、広く使う、そして被害者をできるだけ少なく、事故を少なくすること、こういうことに法務省としてもお考えを願いたい。そういう意味で、標識の問題であるとか、信号の問題であるとか、そういうものについてもできるだけ整備をする費用を、私は都道府県に、自治体で持ちなさいと、あるいは市町村で持ちなさいということだけでなくて、本省も考えていくべきではないか。  それから、いま一点は、さっきの四月の、私、豪州のキャンベラにおける列国議会同盟春季総会に出たわけです。そのあと北米、南米を回ってきました。やはり道路交通問題について、いわゆる日本の道路標識のあり方、信号のあり方というものがこれでいいかと、いま一度検討すべきじゃないか、こういうようにも思うんです。しかし、これは長い習性がありますから、そう一ぺんに変えていいかどうかわかりませんが、豪州あたりではとにかく赤が、停止というのが一番先にいわゆる目に入ることなんだ。とにかく事故を起こさないということが最初なんですね。ですから、信号の配列順でいきますと、縦に三つある場合に、赤が一番上なんです。そして注意、青信号なんです。一番先に、自動車を運転してて見ると、赤がまず先に目に映る。ここで停止線というものが確実に守られるということを考えてみると、日本の道路交通の標識あるいは信号の設備のしかた、こういうものについてもいま一度考えて見られないものか。これはもちろん警察庁長官なり、交通部長なりのそれぞれの専門家からいろいろと大臣にも復命があると思うのですが、私はいまや交通戦争というものは至上命令であるという立場から、法務大臣にも特にそういう面の御検討をいただきたいと思うのですが、いかがですか。
  56. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) いまの御説は私も賛成でございます。事故を起こさないようにするというのが、われわれの交通取り締まりの目標でございます。それには、事故を起こさないようにするような設備をまず整えることが、一番大事なことだと思うのでございます。いまのような標識等がまだまだ先進国に比べましたら非常に不完全だと思います。御承知のように、今度の予算で三カ年間三百億でございますか、交通安全のための施設のために予算が組まれることになりました。本年度はその中の百九億でございますか、そういうものに使われるということでございまするから、まず第一歩を踏み出すということになるわけでございますが、まあそういうことになりまして、効果的に行なわれなければなりませんから、その効果的に行なわれるように私どもは各関係の者とよく相談をいたしたいので、主管は、道路の問題でございますから建設省でございましょうが、事故を起こさないようにしてもらわなくちゃならぬのは、そのしりぬぐいするのは、警察であり、またわれわれのほうの仕事でございます。よく相談をいたして万全を期したいと思います。
  57. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、先ほども同僚の稲葉委員からも質問がありましたが、国民生活にとってきわめて大事なこの登記事務の問題でありますが、非常に最近はこの登記事務が多いわけです。私、先日芝の登記所をちょっと聞いてみたのでありますが、定員のわりにこの扱う件数というものはばく大なものですね。これが庁舎も古いし、定員も少ないし、扱う件数はもう非常に多いというので、もう聞いてびっくりするほどなんです。まあ横浜の地方法務局もちょっと調べてもみました。いろいろ調べてみましたが、もうとにかく商売をするにも登記謄本が必要である、金を借りるにも登記謄本が必要だ、先ほどの午前中の質問のとおりなんです。そこで、そういう登記所の庁舎の改修築あるいは定員の増、これは扱い件数等とか、あるいは地理的条件ですね、そういうものによってかなり私は違ってくると思うのです。大都市の場合の非常な今日の扱い件数の増大をしておることを考えますと、私はどうしてもこの点は改善をしてもらわなきゃならぬのじゃないかと思う。先日も当委員会で、栃木県那須野の国有林野のいわゆる払い下げ問題を、熱心に同僚議員が質問をいたしました。しかし、登記所の中は全く乱雑きわまる、はっきりしない、こういうことが実は指摘をされました。いまひとつ、これは私自身が本委員会でいろいろ質問したのでありますが、たとえば神奈川県の城ケ島というところがありますね。あの城ケ島の国有地の問題、あるいは県有地の問題あるいは民有地の問題、こういう問題についても、実際に登記のあり方というものは、これでいいのかという点を疑問を持ちたくなるような問題がある。これはなぜかといえば、結局はいわゆる定員が少ないことや、それだけ登記事務が進んでいないということを、私は証明するものだと思う。ですから、まあしかたがない、お役所だから、幾ら住民から言われても、ある程度の日数がかかるのはしかたがないと言ってしまえば、それはもう役人のやることで、いわゆる登記が進まなければ仕事ができないということになってしまう。それじゃ私は申しわけないと思う、国民に。そこでまあ午前中大臣自身も御答弁がありましたが、この登記事務関係についての改善策を政府自身がお考えになったことがあるのかどうか、これはひとつ基本的な問題ですから、それを御答弁いただいて、私どもは四十二年度の政府の予算あり方を見守っていきたいと思うのです。ひとつ基本的な問題を大臣から御答弁いただきたいと思うのです。
  58. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 登記所の問題につきましては、お話しのように、いろいろ問題があるわけでございます。午前中の稲葉委員からの御質問もございましたように、人員も非常に不足いたしておりますし、その他の面につきましても、いろいろと改善を加えてまいる必要がある点があるわけでございます。私どもの態度といたしましては、何と申しましても、事務量の激増に対処いたしますために、増員を必要とするということは、これはもう当然のことでございまして、毎年、増員要求につきましては、重点中の重点といたしましてお願いいたしてまいったわけであります。増員の数は、必ずしも多くはございませんけれども、毎年百名あるいは二百名というふうに、増員の数といたしましては、かなりほかの省庁と比べますと多くのものを認めていただいてまいっておるわけでございますけれども、これとても、まだ現下の事件増加に対処いたしますためには、十分ではないわけでございます。今後とも、この増員の問題は、最重点といたしまして要求いたしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。ただしかし、この増員のみに依存するということは、これは不可能でございますし、またそうすべきではないと思うわけであります。確かに、人間を圧倒的に増加すれば、それだけ手数は省けるわけで、事務は能率化するわけでございますけれども、単に増員のみにたよるということはできないわけでございます。したがいまして、その他の面についても積極的にいろいろのくふうをこらしまして、その改善に努力いたしてまいったわけでございます。とりわけ庁舎の問題でございます。先ほども説明申し上げたわけでございますけれども、いわゆる登記所といわれるものが全国で千五百ぐらいございます。そのほかに支局、本局と合わせますと、約二千に近い数になるわけでございます。これが非常に朽廃いたしておりますことと、現在の事務量から見ますと、非常に狭くなってまいっております。こういった点を改善いたしませんと、結局内部の事務処理体制にも非常に影響いたしますし、一般の申請者の方々にも非常な御迷惑をかける結果になるわけでございまして、人員に相次ぎまして、庁舎の改善ということを一つの大きな重点といたしまして、年来努力してまいっておるわけでございます。ことに末端の登記所におきましては、特にその朽廃度あるいは狭隘度がはなはだしいのでございまして、何とかして早くこれを整備いたしたいと考えまして、計画的にこれも建設を促進するように努力いたしておるわけでございます。  さらに事務の改善でございますが、登記事務は、御承知のように、人間がおりませんとこれはとうていできないわけでありまして、一件一件の仕事につきまして、どうしても人間の手を省くということはできないわけでございます。とは申しましても、何とかこれを能率化してまいりますために、可能な限り機械化していく、人間の手を少しでも省いていくということを考えるべきでございます。そういう意味合いから、登記所の中で使います機械器具類、あるいは外部に出ましていろいろな調査いたします際の機動的な器具類、そういったものも毎年改善を加えてまいりました。ことに一番大きな問題は、午前中も御質問ございましたが、謄抄本の事務が圧倒的にふえております。これを処理いたしますために、できるだけ性能のいい複写機を備えつけて、これによってスピードアップするということが、最も望ましいわけでございます。ところが、機械は年々進歩してまいりますが、残念なことに登記簿そのものが昔からの登記簿でございます。これがその機械に乗るようにいろいろのくふうをいたしてまいりまして、昔の大福帳式の登記簿を改善いたしましてバインダー式にして、それぞれ一枚ずつそれを複写機にかけられるようにするとか、さらにまた戦中戦後を通じまして登記簿で使われました用紙が非常に粗末なものでございます。破損もしやすいのみならず、機械にかけられないような用紙であったわけでございます。これは当時の情勢といたしましてやむを得なかったわけでございますけれども、いまとなって考えてみますと、さらに能率化いたしますためには、こういった用紙類ももっといいものに改めて、機械に容易に乗っていくようなものに改めていく必要があるわけであります。そういった意味でただいま登記所の登記簿を改正いたしまして、その粗悪用紙を優秀な用紙に書きかえ作業もいたしておるわけであります。さらに、登記簿のあり方自体も、不動産の場合、あるいは商業登記の場合、それぞれ特異性はございますが、帳簿そのものも広く利用できるような形にいたし、さらに、そういう複写機にも容易に乗るような形に改めることを短日研究いたしておるわけであります。さらに外部的に、どうしても登記所としましては調査に出かけるようなこともございます。これもスクーターとかオートバイというふうなものをかつては整備してきたわけでございますけれども、現在ではそれでもまだ不十分でございますので、軽四輪車の性能の優秀なものを用意いたしまして、随時そういったものも活用できるようなことを考えておるわけでございます。  さらにまた大きな問題といたしましては、登記制度そのものの問題がございます。これにつきましては、昭和二十五年に土地台帳、家屋台帳というものを登記所が引き継ぎまして、そのほかに登記制度というものと両建てになって仕事をやってまいったわけでございます。これは登記所の中におきましても手数が二重になりますし、国民にとりましても二重の手間をかける結果になりますので、これを一元化しようということになりまして、昭和三十五年から十年計画をもって現在その作業を推進中でございます。ただいまのところ約六〇%ぐらいのところが完了いたしておりますので、さらに数年たちますと、完全に台帳と登記簿が一元化されまして、事務の能率増進にも非常に役立つというふうに考えておるわけであります。そのほか、こまかい器具類等につきましても、登記所独特のものを考案いたしまして、またそのために法務局におきましても、また本省におきましても研究会を設けまして、実際の現地の声を聞きながら、一つ一つの問題を改善していこうという努力を重ねておるわけでございます。  いま申し上げましたように、人員から始まりまして、こまかい器具類、さらにまた登記制度そのものの改善も実現することによりまして、できるだけ早く国民の不便を解消するような方向に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。予算も毎年少しずつではございますけれども、改善されてまいっておりますので、この上とも私どもといたしましては登記所の全体の能率があがり、国民の利便を増進いたしますように努力いたす所存でございます。
  59. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの御答弁では政府の考えはわかったのですが、たとえばこの件数を見ると、昭和三十年から四十年あるいは四十一年の推計を見ると、事務量としては倍以上ですね。しかし人間の定員をふやしたというけれども、実際には千人そこそこでしょう、この十年間で。そういうことからいって、しかも庁舎の古いのを見ると、私どもが実際に行ってみると、整理してなければならぬ帳簿類が、実際に狭い庁舎の中でもって、どうやったら一体整理ができるのかという苦労を末端ではしておるわけです。そういう点の改善をしない限り、私はやはりいま言った能率はあがらぬと思う。ですから、具体的にひとつお尋ねしていきたいと思うのですが、四十一年度は、この全国の中で庁舎の改善というものは、どのくらいの件数を考えておるのですか。それから、今日建て直しをしなければいけないというのは、どの程度本省で把握をしているのですか、御説明をいただきたい。
  60. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 登記所と申しますか、本局関係の営繕でございますが、昭和四十一年度におきましては、本局が四カ庁、支局が四カ庁、出張所が二十七カ庁でございまして、全部で三十五カ庁の新営費が認められております。いろいろの庁舎の朽廃の度合いその他の事情はそれぞれ違いますが、私どものほうで調査いたしました結果では約三百三、四十カ庁というものが雄も緊急に改善を要するものというふうに考えておりますので、とりあえずそれを対象にいたしまして、早くこれらの庁舎の改善をはかっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  61. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、刑務所あるいは少年院の職員の問題で、やはり午前中も関係の質問あるいは答弁がございましたが、今日では特にこの青少年の補導あるいは収容ということが、非常に件数が多いと私は思う。最近では中学の在校生、そういうところが中心に非常に多くの件数があると思う。それに対して関係のいわゆる少年院等の収容人員に対する職員の負担というものも、定員数というものも、私はやはり非常に扱い件数から考えると少ないのではないか。それからいま一つは、少年院等を出されて、つまり家庭保護に回るいわゆる補導といいますか、そういうような場合の定員というものは、どんなふうになっているのか、一部はいわゆる政府が委託をする、保護司に実はゆだねるわけです。これも私自身先ほど申しましたように末端を扱っておりますと、たとえば一万人の人口の中でも三人か四人しか、この保護司を実は割り当てることができない。そうすると扱い件数一人の受け持ちというものは非常に多くなる、しかも範囲が広くなるということで、普通のいわゆる信用のある人を推薦をしても、なかなか自分の仕事をしながらやるわけですから、国家から給料をもらって特にそれ専門でいくわけじゃないわけですから、こういう民間のそういう人たちに対する謝礼のこともさることながら、謝礼よりもむしろそういうほんとうに子供を自分も一緒になって補導して直してやろう、こういうような保護司等の定数の問題についてはどう考えているのか、あるいはこのいわゆる観察官として扱っておる人たち、こういう人たちの扱い件数から見ると、やはり私は定員数が少ないのじゃないか、こういう点を実は末端で私も一番苦労をしているわけです。こういう点についてはどういうふうに考えているか、この機会にひとつお答えをいただきたいと思う。
  62. 布施健

    説明員布施健君) 少年院の職員の問題についての御質問でございました。少年院につきましては、収容人員等と比較して職員が非常に少ないではないかという御質問でございますが、御指摘のように私ども少年院の職員が、これで満足すべき十分な状態にきているとは、毛頭考えておらないのでございまして、そこで少年院の合理的な基準体制、執務体制と申しましょうか、そういうものを考えまして、たとえば昼間の教科教育でございますと五十人に一人の教官が必要だといったような基準を積算いたしまして、そういう一つの勤務体制基準というものを考えまして、それを大蔵当局にもお認めいただいて年々増員につとめておるわけでございます。昭和四十一年度におきましては、少年院につきまして二十名の増員を認められたわけでございます。昭和三十七年と記憶しますが、それ以来百四十七名の増員を見ているわけでございます。そうしてただいまの職員の数は二千七百三十九人ということになっております。収容者これが九千三百五十六人ということに相成っております。
  63. 相澤重明

    ○相澤重明君 それは一日の平均だろう。
  64. 布施健

    説明員布施健君) 昭和四十年の一日平均でございます。累年の比較を見てまいりまして、少年院の収容者一日平均、これは三十九年を取り上げますと九千八十四人でございます。多少ふえておりますが、一万をこえるまでには至らないでここ数年経過いたしてまいっております。したがいまして、今後とも職員の増員には努力いたしまして、十分な教科教育ないし生活指導、あるいは職業補導教育はやっていけるように努力を重ねてまいりたいと、かように存じておるわけでございます。なお、保護観察所のほうは保護局の所管でございますので、私からお答えするのは差し控えたいと思います。
  65. 相澤重明

    ○相澤重明君 だれが担当……。
  66. 布施健

    説明員布施健君) 保護観察所の関係、これは保護局の所管になるわけでございまして、私からお答えいたすのはいかがかと存じます。
  67. 海治立憲

    説明員海治立憲君) 御説明申し上げます。保護観察所の保護観察官の総数は六百八十一名でございまして、そのうち所長課長等の管理者を除きまして事件の処理を直接の担当業務といたしております保護観察官の数は四百七十四名でございます。事件の負担量を見ますと、昭和四十年中の取り扱い事件を例にとりまして、常時保護観察官一人当たり平均保護観察事件数は二百十二件となっております。また環境調査調整事件というものがございますが、これが一人当たり二百三十一件でございます。この保護観察の事件は大まかに申しまして常時十万件ないし十一万件くらいあるわけでございますが、実際にはこれらの保護観察官の指導監督のもとに、全国に定数で申しますと五万二千五百名の保護司が配置されておりまして、これらの人に、おおむね一人当たり二件程度の事件を負担していただいておるわけでございます。このようにいたしまして保護観察期間中、保護観察官や保護司が対象者と密接に接触をいたしまして、生活指導とか、あるいは職業紹介などのお世話をしておるわけでございます。保護観察官の業務は、保護観察事件、環境調査調整事件のほかに諸種の仕事がございまして、非常に多忙でございますが、現在これらの職員の待遇について申しますと、保護観察官は行政職の(一)の五等級以上の者と六等級とに分けまして、五等級以上の者が四百二十八名、六等級の者が二百五十三名となっております。また、一般の保護観察官につきましては、その職務の特殊性にかんがみまして、俸給の調整額八%が支給されておる実情でございます。  ところで、先ほど先生からお話のございました青少年につきましては、この保護観察を特に重要視いたしまして、現在、東京、大阪、名古屋の三大都市におきましては、他の地域と異なったやり方を実験的に採用しております。すなわち、保護観察の初期の機会におきまして、保護観察官が直接対象者と一カ月に二回、三回、あるいはそれ以上ひんぱんに接触いたしまして、専門的な立場から処遇を実施するということを行なっております。将来はこれを七大都市あるいはそれ以上の数の大きな都会に広げまして、青少年対象者が集中的に居住しております地域では、保護観察官が、もちろん保護司の協力を得てでございますけれども、直接対象者と接触する、そうして処遇の効果をあげたいという考えを持っております。  なお、保護観察対象者が直ちに帰るべき家がない場合、あるいは適当な職が見つからない場合に、更生保護会というものに委託をいたしまして、そこでお世話をするということもやっております。これは全国に現在百三十六施設動いておりまして、その収容定員は約八千二百名となっておりますが、現在は労働雇用状況、その他諸般の情勢にかんがみまして、定員を相当下回るような収容実績になっております。これらの保護会におきましては、単にその晩、宿泊をさせて食事を提供するということだけでなくて、やはり保護観察官がひんぱんに施設に出かけまして、その中で生活指導などを通じて青少年の改善に努力をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。  保護観察官の待遇につきましては、ただいま申し上げましたけれども、この職務の複雑困難性及び責務の重要性にかんがみまして、今後ともその待遇を向上させるように十分配慮を加えたいと存じます。  また、保護観察所の関係予算でございますけれども、先ほど申しましたように、保護観察の質を充実していくということ、それによって実際に処分を行なった相手方の青少年に改善更生の効果をあらわしていくということのためには、相当数の保護観察官を増員するとか、その他の予算の確保も必要であると考えております。明年度におきましては、この増員の問題、あるいは庁費の増額、また、保護司に対しまする実費弁償金の予算、あるいは更生保護会に対する委託費の予算等につきましても、その充実について努力をいたす考えでございます。
  68. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの総務課長の答弁で、たとえば民間の、観察官に協力する保護司ですね、保護司の扱い件数が一人平均二件というような説明をされておりますが、そんなものじゃないですよ。われわれ末端で、いわゆる町内会で扱っているものはもっとたいへんなものです。だから、私は先ほども言ったのは、そういう定員の問題も、いわゆる重点地区かもしれぬけれども、大都市におけるこういう非行少年等の扱いについて、私が先ほど申し上げたのは、少年院をふやせ、そういうところに多く収容しろということを奨励しているわけじゃないのです。できるだけそういう犯罪を予防をする立場を強化しなければいけない。悪い者は、どうしてもいけない者は収容しなければ直らぬけれども、できるだけ在宅でやはり本人を育成をしていくというのがわれわれの基本でなければならぬ。予防することが基本でなくてはならぬ。そういう意味では、民間のこの保護観察協会のいわゆる保護司の協力というものがたいへんな私は努力だと思うのですよ。それがいまの報告では、一人当たり二件くらい、五万二千五百人ですか、そういうことを言われておりますが、私どもの地元で扱っているものとしては非常に多い。だからこういう点は改善してもらわなければいかぬじゃないか、こういうのが私の言っていることなんです。保護司に対してはどのくらいの報酬を年間払っているのですか。
  69. 海治立憲

    説明員海治立憲君) 昭和四十一年度におきまして保護司に対する実費弁償金予算は、総額六億七千八百十七万八千円計上されておるわけでございます。これの保護司に対する支給の方法といたしましては、保護司が保護観察事件を負担いたしました場合に、一件の事件を持ちますと、一月当たり六百円以下ということで実費を支給しておるわけでございます。
  70. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの説明でおわかりのように、一件当たり六百円ですか、というようないわゆる説明をいただいておるのでありますが、私は、この民間団体等委託費、政府が扱っているこの委託費の項を見まして、いわゆる更正保護のために、補導援護費、更生保護委託費、これが更生保護会その他に与えておるものが、昭和三十九年度で見ましても、一億五千百八十五万五千円でしょう。更生保護委託費は、これは大蔵省から出した資料ですよ。大蔵省から出してある資料によると、法務省昭和三十九年度予算額交付対象、更生保護会その他として出されているものは一億五千百八十五万五千円、そうでしょう。これはどういうことなんですか、との政府の出しているのは。説明してください。
  71. 海治立憲

    説明員海治立憲君) 先ほどあげましたのは、保護司に対して事件をお願いしました場合の実費弁償金でございます。それから、いま先生がおっしゃいましたのは、更生保護会という施設に対象者を預けました場合の更生保護会に払う委託費でございますが、委託費の金額は先生の仰せのとおりでございます。
  72. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、先ほどの、くどいようだけれども、末端で実際に保護観察官に協力しておる保護司が、そういう非行少年等の補導に当たっておる人たちに対して、月額どのくらいの金が要るんですか。一件当たり六百円というさっき説明がありましたね。月にどのくらい、年にどのくらいになるのですか。一人当たり。
  73. 海治立憲

    説明員海治立憲君) 保護司の中には、実際問題といたしまして、非常に山間部におられるような方もおられまして、実際に事件を持っておられない方もあるわけでございます。それからまた、都市部におきましては、多い方は一人で十件あるいは二十件ぐらいお持ちの方もおられるように聞いております。したがいまして、全部の保護司の平均実費支給額というものは計算をしておりませんけれども、多い方では、たとえば二十件持ちますというと、一件が六百円でございますから、最高一万二千円までということになると思います。
  74. 相澤重明

    ○相澤重明君 先ほどの私は政府の答弁から聞いておるんですがね。あなたは一人当たり二件と言うのでしょう。二件ということは、六百円なら、その倍ですから千二百円でしょう、平均して。大都市の場合は、先ほど申し上げたように、非常に件数が多いということを私は言っているわけですね。しかし、実際にそういう政府の、民間の協力に対しての資金というものはきわめて簿い、こういうことを私はついているわけなんだよ。法務大臣わかりますか。私は、この保護観察官の定数の問題、扱い件数から考えて、ほんとうにそれだけ仕事ができるだろうか。結局、カバーしているのは民間団体ではないか。民間の保護司が協力しておればこそ、今日どうにかやりくりしているんじゃないか、こういうことを言っているわけです。ですから、もっと政府自体がこれを、青少年のこういういまの時代に最も関心を持たれておることに対して、私は犯罪者を検挙しろとか、犯罪者をふやせということを言っているのじゃない、そういう予防をまずわれわれはやるべきだ、そうして青少年の補導をしていくことが、家庭と相談して直していくことが、今日の急務ではないか、そのための民間の協力を求めるおるんだから、民間団体にも、もっとそういう保護司等の人たちに対して、誠意を持って政府も善処していかなきゃいけないんじゃないかということが、私の言いたいことなんです。それから、たとえば、そういう人が十年、十五年もつとめた場合に、何らかの表彰等の問題を政府は考えておるんですか。たとえば表彰規程があるんなら、どういう基準を持っておるのか、ひとつ御説明をいただきたい。
  75. 海治立憲

    説明員海治立憲君) この保護司活動につきまして、非常に功績のありました方に対しては、現在藍綬褒章の制度がございまして、毎年私どものほうと賞勲局と御相談をいたしまして、十数名程度の方に藍綬褒章を差し上げるということをやっております。また、そのほかに大臣表彰、それから地方におきましては、下部機関といたしまして、地方更生保護委員会、保護観察所というようなものがございますけれども、それぞれ従事年数に応じて委員長表彰あるいは観察所長表彰というようなものを実際上実施しております。ただ、これをもちましては、多数の保護司の方の御苦労にお報いするのには必ずしも十分ではないのでございまして、現場の第一線の観察所などからは、さらに表彰者の数をふやすようにというような御要望もございますが、予算的な関係どもございまして、現状のような状態にとどまっておるようなわけでございます。しかしながら、この保護司の表彰、顕彰につきましては、政府として大いに意を用いなければならないということが法律で規定されておりますので、今後とも努力をいたす考えでおります。
  76. 相澤重明

    ○相澤重明君 何年ぐらいでやるかという基準を言えというのだよ。末端のことを知らぬじゃないか、おまえたちは。
  77. 海治立憲

    説明員海治立憲君) 藍綬褒章につきましては、明確な何年というふうな規定をされたものはございませんけれども、現在のところ、おおむね七十歳以上ぐらいの方、あるいは従事年数が二十五年以上くらいの方が褒章を受けておる実情でございます。
  78. 相澤重明

    ○相澤重明君 とにかく、いま少し現地のことをよく調べろよ。実際の末端が、国民がどういうふうに協力をしておるかということをよく把握をしなければだめですよ。ただ、そういう政府でもってきめたことで、大体これをやっているだろうというような考え方じゃだめです。答弁聞いておっても、その態度だからしかたがないけれども、そんなことじゃだめです。もっと、いまの青少年の問題はこれだけ大きなことになっているのにどうしたらいいかというような、これは法務省だけじゃない、内閣全体の問題だけれども、しかし、やはり法務省としても、十分そういう関係者には関心を持つと同時に、できるだけ善処をしてやらなければならぬと思う。  そこで、いま一つ、時間もだんだんなくなってきますから進めていきますが、たとえば政府の発行をする刊行物、この配布欄を私は見せてもらいますと、法務省が扱っておるところのこの刊行物、昭和三十八年、九年度のをいま私、手元に資料を持っておるわけでありますが、これはどういうふうに政府が刊行物を配布されておるのですか。先ほどのいわゆる法務省関係の部局あるいは出張所等を考えれば、本省等も含んで相当の数になっておる。しかし、部数によっては、全くこれでもう実際図書を購入をした、あるいは刊行したその目的が達せられるだろうかというような、むしろ、もっとまとめてそうして効果的に刊行したり、あるいは配布したほうがいいのではないか、こういうような面も、これは考えられるわけです。これは三十八年、九年度のを見ますると、たとえば法務省の刊行物の中に、「法務統計」、「警察統計」、「登記等統計年報」、「矯正統計年報」、「保護統計年報」、こういうようなものがたくさん出ておるわけであります。特に、いまの「保護統計年報」を見ましても、年間六百三十配布しておる。こういう内容を見ると、本省と検察庁刑務所と保護観察所と各省と裁判所等しかいっていないのだよ。実際に観察官あるいは保護司等に対して、どこにいっておるのか、これは。何にもないじゃないですか。保護観察業務をやりますと言ったところで、これに何にも載っていないじゃないか。本省の偉い人だけが持っておる。そういう指導というものがありますか。私は、各省庁の図書の購入、あるいは発刊の状況、こういうものを各省庁全部、内閣から調査をさせまして、そうして私の手元に、決算委員会に提出してもらいました。これは全くこれでは偉い人のいわゆる本棚に積んでおくだけじゃないですか。これは法務大臣、あなたはこういう内容を実際に見たことがありますか。一体、図書の刊行物というものはどういうふうに利用をされて実際の行政効果をあげるのか。むだなものはやめたほうがいい。そうして、いわゆる行政効果があがるように、国民に裨益をするように私は使うべきだと思う。そういう点で、図書の刊行物あるいは購入等について、大臣何か相談を局長あたりから受けたことがありますか。これはもう少し各省庁がそういう点については、えりを正して、国民の税金をどう効果的に使うか、行政の目的に沿うかということを再検討すべき段階に来ておる、こう思うのですが、大臣の所見を承っておきたい。
  79. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) 各省庁そうでございましょうが、その省で出しました出版物は、その種類によりまして関係の向き向きのいろいろな仕事の上の参考にしてもらうために出すのでございますから、それがいいかげんになるようなら出さぬほうがいいということは、御指摘のとおりでございまして、いままでもそのつもりで出しておるはずだと思いまするが、なお、ときどきこれは検討する必要があると思います。毎年出すたびに検討を——心を新たにするような意味で検討をして、むだのないように、一部でも有効に配布されるように努力するようにいたしたいと思います。
  80. 相澤重明

    ○相澤重明君 ぜひ大臣に、こういう図書購入あるいは配布刊行物等については、行政効果のあがるように、いま大臣の御答弁のように御検討いただきたい。これは当院では、非常に、この問題を横川委員が質問を始めましてから、各委員からこの問題についてはメスを実は入れておるところであります。こういう点で、ひとつ、私は発行してはいけない、買ってはいけない、配布してはいけない、そんなことを言言ているんじゃない。そういう行政効果をあげるように、しかも、その関係者には十分徹底するように、本棚の、いわゆる蔵書を自慢するようなことにならぬように私はやってもらいたい。特にこれは大臣の御答弁があったから、これで終わっておきますが、御検討いただきたい。
  81. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 ちょっと関連して。  いま相澤さんから本の話が出たので、ちょっと関連してお聞きするのですけれども、これは大臣は御存じないかもわかりませんけれども、法案が出ますね、出ますと、法案立法者が法務省にいるわけですから、そうすると、盛んにその法案の解説書を書くわけですね。書くことが悪いと言うわけじゃない。これは勤務時間中に書くのかどうかは別として、書くわけですね。それを下部の職員に売るのですね。ことばは「売る」のですけれども、「売りつける」ということばがあるいは当たっているかもわかりませんけれども。それで、法務局の職員などはほんとうの話、悲鳴をあげている。法務局に一冊ぐらいの備えつけでは足りないから、職員が自分の金を出して買わなければならない。それが多いときには月三千円くらいになる場合がある、これは月によりますけれども。これは民事局ばかりじゃありませんけれども、非常に一種の学者が多いから、一生懸命勉強して本を書かれるのはけっこうなんですが、法案が出るというと、その法案の解説を書いて、その解説を買わないと、末端の職員、法務局の職員だとか、そういう人が仕事が現実にできない場合がある。そこで言うのですね、統計法の改正なんかが何回も行なわれるのは、悪口を言う人は、何回も改正したほうが本が売れるからと言う人もいるのですね。これは冗談話にしておきますが、末端のほうでだいぶ不平が多い。このごろは民事局長がかわってから、その点だいぶやかましく言われて、ある程度おさまったと聞いているわけですが、それはどうも末端で、法務省の人は個人で書いた本ですが、買わされてかなわぬという話がありますから、これは仕事がそっちのほうにいっちゃって——本来の仕事の合い間にやるのならいいのだが、本を書くのが主たる仕事になっているという変なあれがありますから、これは十分御注意を願いたいと思います。これはひとつ民事局長あたり一つのお考えを持っておるかと思いますが、もしそれがあれば御意見を承っておきたいと思います。
  82. 新谷正夫

    説明員(新谷正夫君) 書物を書くという問題でございますが、確かに仰せのように、新しい法律ができますと、それに関連する解説書とかいうふうなものを担当者が書いておるという実態は、これは否定できません。まあ率直に申し上げまして、これは法務省のみに限りませず、すべての法律についてそういうことが行なわれておるように私見ておるわけでございます。ただ、これは法律によりますと、非常に一般の要望の強いものもあるそうでございます。現に今回国会で御審議いただきました商法あるいは借地法等の改正法律につきましても、もうすでに早くからあちこちからそういう解説を書いてくれとか、雑誌の原稿をほしいとかいう要望が出たようでございます。これはもちろん、それぞれの担当者の余暇を見てそういう仕事をすることも、これはやむを得ないことだというふうに考えるわけでございますけれども、とれを役所の職員に売りつけるということは、これは絶対になすべきことではないというふうに私は考えております。いろいろとそういったうわさも私の耳にも入っておりましたので、私、民事局に参りましてから最初に取り上げました問題が、実は稲葉委員の仰せになりましたその問題だったのでございます。われわれ職員としては、やはりなすべき限度というものがありますので、その限度を越えないようにお互いに自粛してやろうじゃないかということを最初職員に申したわけでございます。だんだんその気持ちも理解していただきまして、従来のような弊風はなくなってきておると私は見ておるわけでございます。今回の商法あるいは借地法等の改正につきましても、すべてがこれが法務局に直接仕事の上で関係してまいるものではございませんけれども、これはやはりいろいろ相談もございましょうし、法務局側といたしましても、その内容を知っておく必要があるわけでございます。そこで、一般の雑誌の論文あるいは解説書というものはともかくといたしまして、私といたしましては、いち早く「民事月報」にその解説を載せるということ、さらに、裁判所、検察庁あるいは法務局等に会員として配布されております法曹界の「法曹時報」という雑誌がございます。この二つの雑誌にはとにかく早く解説を載せるべきであるということを私から指示いたしております。これはそういう特別なものを職員に購入させるという意味では毛頭ないわけでございまして、会員として月々購入しておるものを通じて早くその内容を知っていただくとか、あるいは役所の出版物として発刊いたしております「民事月報」を通じて法務局の職員にその内容を知ってもらうという必要性から、そういう指示をいたしておるわけでございます。近いうちに「民事月報」を通じまして法務局の職員にも両法律の内容が周知されるという段取りにいまなっておるわけでありますが、一般論といたしましては、稲葉委員からお話のありましたようなことは、これは最初私が申しましたように、厳に慎んでいこうという考えでやっておるわけでございます。
  83. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、この会計の問題でお尋ねをしておきたいと思うのですが、一般会計の補助金等の件数が、三十九年度に十七件になっておるわけであります。どういうものですか、補助金の内容は。どういうところに出しておるのか。
  84. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) 補助金は法務省ではたしか三件と考えておりますが……。
  85. 相澤重明

    ○相澤重明君 補助金は三件でないので、三十九年度は二件だよ。補助金等で全体でいくと三十九年度十七件。で、補助金は二件、それはどこに出しているか。
  86. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) ただいま調査いたしましてお答えいたします。
  87. 相澤重明

    ○相澤重明君 調査とは何だ。決算だ、これ。三十九年度のをいまやっているのだよ。そんなことで決算できるか。それじゃ、いま一つ、次にまとめて答弁しろ。  その次に、補助金の二件、それから負担金の三十九年度の一件、どこへ出しているか。それから交付金十一件、どこへ出しているか。それから委託費が三件、これはどこに出しておるか。以上説明願いたい。資料はここにあるよ。そんなもの決算やるときにそのくらいのことできなくてどうする。
  88. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) 補助金は二件でございまして、更生保護会の補助金、それから法律扶助協会の補助金でございます。交付金は国有資産所在市町村交付金、分担金は国際私法会議の分担金でございます。委託費は訟務調査委託費及び外国人登録事務の委託費でございます。
  89. 相澤重明

    ○相澤重明君 二件か。三件ある。
  90. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) もう一つは、更生保護会の委託費でございます。
  91. 相澤重明

    ○相澤重明君 三十九年度決算は、そのとき一々大臣に文句言われないように、ちゃんとそのくらいの答弁ができるようにしておきなさいよ。大蔵省から出ているこの資料に基づいて私は説明を求めているのだよ。そんなだらしのないことではしょうがないじゃないか。  その次に、先ほどのこの庁舎の改修築等の問題でありますが、庁舎等の特別取得費の全額、翌年度に繰り越しになっておる一億七千三百二十四万七千円は、全額この翌年度に繰り越されているが、どういう理由でこれはなっているのか。
  92. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) ただいま御質問のありました事項につきまして御説明いたします。  仰せのとおり、昭和三十九年度の庁舎等特別取得費としまして、一億七千三百二十四万六千九百九十円が全額繰り越しになっております。これは二口に分かれておりまして、そのうちの一口は、府中刑務所職員宿舎及び合同宿舎の購入でございまして、これは九千八百九十一万四千円でございます。もう一つは、兵庫県にございました鈴蘭台学園、これは少年院でございます。鈴蘭台学園の施設購入費として計上してございました七千四百三十三万二千九百九十円、この合計が全額繰り越しになっております。これは繰り越しの理由は、いずれも用地の選定が遅延したというのがその理由でございます。  府中刑務所職員宿舎及び合同宿舎購入の場合は、これはいわゆる建築交換でございまして、相手方は、日本中小企業指導センターでございます。これは、当初は、府中刑務所の一角に古い宿舎がございましたので、それを取りこわしまして、そこに宿舎を建て、それからもう一つの合同宿舎、これは大蔵省の所管の合同宿舎でございますが、これは滝野川にあります用地にこの宿舎を建てる予定であったのでございますが、いずれも、当初予定しておりました宿舎用地に宿舎を建てることが、地形の関係上、極度に困難になりまして、そのために、途中で施設場所を変更いたしました。そのような関係で、年度内にこれの完成ができなくなりましたために、事情やむを得ないものとして、繰り越しのお願いをしたわけでございます。  次に、鈴蘭台学園の繰り越しも、先ほど申し上げましたとおり、庁舎敷地の用地の選定が遅延したためでございます。この鈴蘭台学園につきましては、当初は姫路市にその用地を予定して、これも建築交換でございまして、相手方は、神戸電鉄株式会社でございます。この神戸電鉄株式会社が姫路市にその用地を見つけまして、そこに建築を予定していたわけでございますが、建築に着手する前になりまして、姫路市当局から、播磨工業地帯の発展性を考慮して、ここに建築することを取りやめてもらいたいという強い要望がありましたために、やむを得ず敷地を変更いたしまして、法務省が従来から持っておりました、加古川少年院の農耕用地の一角に、この鈴蘭台学園を移転するということになりましたために、工事が年度内に終了の見通しがつかなくなりましたので、そのような事情で、全額繰り越しをお願いいたしたわけでございます。  そういたしまして、この二件とも、昭和四十年の九月三十日及び昭和四十年の十月二十五日付で竣工して、一年間の繰り越しによって、全額実施済みになっております。  繰り越しいたしました事情は、以上のとおりでございます。
  93. 相澤重明

    ○相澤重明君 次に、退官退職手当の予備費の使用あるいは流用がたいへん多く見られるのでありますが、これはどういう理由ですか。
  94. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) 三十九年度の退官退職手当の予算額は、十四億一千三百万円でございまして、御指摘がございましたように、約一億二千万円の予備費の使用をいたしている次第でございます。  これは、退職と申しますものが、主として本人の意思によるということになりますので、なかなか、あらかじめ退職人員を推定するということが困難な事情にあるわけであります。具体的に申し上げますと、三十九年につきましては、その段階でわかっております。前の、過去の二カ年間の退職人員を私ども調べまして、その平均をとりました人員をもって、一応三十九年度の推定退職人員、こういたすわけでございます。そうして、やはり過去の二カ年間の退官退職手当の所要額がわかっておりますので、それを、その退職した人員で割りまして、一人当たりの退職手当の所要額を出しまして、その額に、先ほど申しました平均した推定人員をかけて、三十九年度の退官退職所要額ということで予算要求をするわけでございます。しかし、退職は退職手当法によってきめられておりまして、退職手当法の三条、四条、五条というのが、その根拠になるわけでございますが、三条は一般の退職、四条は比較的長期間勤務した者の退職、五条は長期間勤務して勧奨によって退職する場合の適用の条文、こういうことになっておりまして、一番退職金の計算上有利な扱いを受けるのが、五条の適用を受ける勧奨退職と申しておりますが、五条の退職でございます。そのようにして年間執行していくわけでございますが、それぞれ予定しました人員を、実際に執行してまいりますと、上回る場合もございますし、また、特に五条の勧奨退職につきましては、法務省職員構成を見てみますと、五十歳をこえる職員が、ちょっと正確ではございませんが、約二割弱おると思います。そういうような現状から、人事管理の面から職員のある程度の新陳代謝をはかる必要があるということで勧奨を行なうわけでございまして、そういうような人員をあらかじめ正確に算定するということが非常に困難な事情にあるわけです。勧奨退職でございますと、長期間つとめておりますので、一人の所要額がざっと四百万円あるいは五百万円ということになりますので、二十人、三十人の差が出てまいりますと、一億円以上のそこに差が出てくる、こういうようなことになります関係で、あらかじめ正確な人員を算定しがたい、推定しがたい、こういうことが予備費の使用ということになってあらわれてきたのではないか、こう考えております。
  95. 相澤重明

    ○相澤重明君 流用についてはどうですか。
  96. 藤島昭

    説明員(藤島昭君) 流用についても同様でございます。この退官退職は、先ほど申しましたように、予算額は三十九年は十四億一千万でございまして、予備費の使用が一億二千万、流用が一億一千万、合計いたしますと予備費と流用を合わせますと二億三千万ということになりますが、結果的には、いま申し上げましたような事情で、二億三千万不足を生じた、こういうことになるわけでございます。
  97. 相澤重明

    ○相澤重明君 これは石井法務大臣ね、いまの事務当局の説明を聞いておると、まあ見通しがなかなか人事の問題だからつかないからやむを得なかった、こういう答弁。しかし、これは原則としてそういうどんぶり勘定主義ではいかぬと思うのです。予算の款項目をつくる場合に、やはり人事管理をきちょうめんにして、そして予算というものはつくらなければ、予算はまあ、とにかく一応形式だから出しておいて、あとは予備費で運用します、流用で運用しますなんというのは間違いだ。そういう点を私はやはり法務省としてもきちっとしてもらわなければいかぬと思う。いまの説明説明として受けましたけれども、そういう点は今後気をつけてもらいたいと思う。  そこで、同僚の議員が大臣に質問もありますので、私もそろそろ終わりたいと思うのでありますが、いま一つやはりお尋ねをしておかなければならないと思うのでありますが、それはこの公安調査庁の庁費、いわゆる公安調査庁における破壊活動防止のための調査経費八億三千百六十九万一千円、こういうふうになっておりますが、よくわからないので、内容はどういうものですか、御説明いただきたい。
  98. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  99. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  100. 相澤重明

    ○相澤重明君 政府の法務省の三十九年度決算の、私は各ページについて質問をしておるんでありまして、政府が答弁ができるのがあたりまえだと思っておるんですが、いま委員長も言ったように、出席しておらなければ答弁できませんから。しかし、これは全般的には、会計の問題等については、とにかく支出したことは決算上明らかにしなければならないのでありますから、決算委員会はそのために聞いているわけですから、その点は今後、各省の担当官はやっぱりそういうときに出席してもらう、原則ですから。これはひとつぜひこういうことのないようにしてもらいたいと思うのです。いずれあらためて公安調査庁の問題聞きますが。  それから、先日、大阪の入管局で職員の不正があった、こういうことで事件になったというのを新聞報道で聞きましたが、これで見ますというと、非常に外国人発録事務処理等でたいへんなお仕事だと思うのです。費用としては一億三千三百三万四千円の支出を行なっておる。その外国人の中で、いわゆる朝鮮人が五十八万八百六名、中国人が四万九千百二十九名、米国人一万五千三百七十四名、その他の外国人一万六千四百七十四名、こういう報告が来ております。その外国人登録に関係をして、入国管理局のいわゆる担当者が不正を働いた、わいろを取った、あるいは便宜を与えて不法な処理をした、こういうことでいま摘発をされておるようでありますが、これはどういう経緯だったのか。それから、今後どういうふうにしてこういう事案というものをなくす考えがあるのか。ちまたにときどきうわさに聞かれるのは、朝鮮人の入国問題については夜の大使がいると、こう言っている、夜の大使が。昼間の大使はできないけれども、夜の大使に頼めばそういうことができるという話をときどき聞く。こういうことがそもそもそういう事案に発展をしているのではないか、こう思うんだが、まあ私としては、たいへんな事務を行なっておる政府のことでありますから、中にはまずい点もあったと思うんだが、しかし、摘発をされた新聞報道等を見ると、必ずしもよくない。こういう面で、入管のこの問題についてどう考えておるか、今後の対策をも含んで御答弁願いたい。
  101. 八木正男

    説明員八木正男君) けさほど、松山事件が新聞をにぎわした早々に、また入管の問題が出まして、はなはだ申しわけないと思っております。ただ、御承知のとおり、二名の警備士は逮捕されまして目下取り調べ中でございますので、その結果を待って、いずれ処置しなければならないと考えております。私、常日ごろ、これは大臣以下は全部、法務省方針でございましょうが、同じ行政官庁の中でも法務省は特にこういう綱紀の粛正ということについては他省の模範とならなければならぬという、非常に強い御訓辞をたびたび受けておりますし、私どもも地方入管の所長、次長、審査課長警備課長といったような各グループごとの全国会同は、年に一回ないし二回ぐらい実施しておりまして、この場合、必ず最も重要な問題として綱紀の問題を取り上げておったわけであります。けさほどから私ども伺っておって感じたのでありますが、結局、役人の綱紀の粛正は、個人個人あげればいろんな人間が入っているから、単に訓辞だけで弁ずるなら何も起こらないわけであります。また、経済的な理由から起こるとすれば、待遇改善以外にないわけでありますけれども、待遇を改善したからといって、こういう問題がなくなるものでもないと思います。要は、その役所の雰囲気として、そういう問題が起こったときに包み隠さず、ふだんから上司、同僚と懇談し合う雰囲気が大切ではないかと思っております。私、実はまだ新任でありまして、一年余しか経験がございませんが、昨年の経験で申しますと、十二カ月のうち約十カ月近くが国会の開会中でございまして、入管は全部職員合わせてせいぜい千四百名くらいの小さな役所であります。したがって、もし私が機会をつくって地方入管を回って、ひざを突き合わせて人的接触を深めるという機会がありましたならば、こういうケースもまだ減ったんじゃないかと思いますが、残念ながら、そういうととが事実上不可能である。現にこの通常国会終わりまして臨時国会までの十日までの間を利用して、大急ぎで北海道だけでも行ってきて、そういうことをやろうと思っているのですが、こういう人的接触が十分でなかったということが一番大きな原因ではなかったかと思います。  そこで次に、それに対してどういう処置をするかという問題でございます。これは第一に、私、御質問の陰にこういう趣旨が含まれていると想像いたしますのは、こういう汚職があった場合、それによって外国人管理行政がどのように歪曲されるであろうかということだろうと思うのです。幸いにして、私どものシステムによりますと、この警備官というのは違反調査をするその職責であります。ある不法入国の外国人を逮捕して、あるいは、それについて取り調べまして不法入国の事実だけを確認するというのが彼らの仕事でありまして、したがってその人間に特別在留の許可を与えるかどうかということは、警備官の職権外の問題であります。したがって、もしこの警備官がわいろを受けたとしまして、そのために便宜を供与するというのは、せいぜいその本人の身上調査の結果の報告の中にいろいろ本人に有利なことを書き込んだというのが限界だろうと思います。その結果、その人間が特別在留を許されるかどうかというのは、警備士補の問題ではなく、その上の特別審理官あるいは地方入管の所長である主任審査官が決定いたしますし、さらに不法退去ということになりますれば、結局、彼らは再審を要求しまして、私どものところに上がってまいります。私のところでは、毎週特別の裁決委員会をやっておりますが、ここには局の幹部十名くらいが列席しまして、この場合、地方の入管あるいは警備官等の意見というものはもちろん参考とはいたしますけれども、絶対のものではない。われわれ独自の判断によって、現に地方入管全員が許可意見であっても、われわれが退去意見にするというような例もございます。しかしながら、今度のケースは、いずれ内容がはっきりしました場合には、具体的にどういう判定が行なわれ、われわれがそれによってどのような誤った処置をしたかということを明確にいたしました上で、あらためて、その調整の処置ができますればそれをいたします。われわれ自身に対する責任も十分に痛感しておりますけれども、そういうようなわけで、今後われわれとしても、ますます機会あるごとに綱紀粛正を強調しますと同時に、ひまを見ては、われわれ地方入管に行きまして人的接触をいたして、そういう雰囲気をつくっていかなければならないと思っております。
  102. 相澤重明

    ○相澤重明君 法務大臣時間が来てお帰りになるというのですが、あなたがけさ来るのがおそいのだから、結局はそういうことになったので、同僚の黒柳君も質問がありますから、それが終わったら帰ってもらうことにして、いま少し待ってください。私のはこれであと簡単に二つで終わります。  その一つは、小田原区検が取り扱った交通事故に対する処置、これについて刑事局長の答弁を願っておきたい。先日、場所は違うけれども、本院の運輸委員会あてに、私あてに請願書が提出されました。これは昨年の八月二十二日に、箱根におけるところの道路上で、箱根登山のハイヤーと箱根町会議員の乗用車とが衝突をして、その箱根の町会議員が死亡した事案であります。これに対して、その請願書の内容を見ると、いわゆる当時の町会議員の運転しておったのと、反対側から来た箱根登山のバスのうしろから来たハイヤーが、いわゆる追い越しをしたために正面衝突をしたというものであります。その当時は、いわゆる登山会社そのものはできるだけの責任を持つ、補償もする、こう言ったようでありますが、小田原区検の担当検事がこの事案を担当して審査を進めたところが、九月三十日に不起訴にした。したがって、先日もいわゆる自動車損害賠償法が本院で通過をいたしましたけれども、その自動車損害賠償法に基づく保険さえ、いまだに支払われていない、こういう事案の内容のものです。遺族の人たちやその子供たちが、これで一体いいのか、国会としては、いま少しく、法律の実際に国民に適用される問題、あるいは、もっと温情ある行政あり方というものが必要ではないかということだったわけであります。この点については、刑事局長にその文書を提出をしておきましたが、自後どういうふうになったのか、報告を願いたい。  それから、いま一つは、人権擁護の問題を午前中稲葉委員等が質問をいたしましたが、人権擁護局あるいは人権擁護委員、先ほど私が民間の例を取り上げましたが、民間で人権擁護委員になっている人たちの努力というものもたいへんなものであります。そういう人権擁護の問題について、特に最近では、小田原における警察官の集団暴行事件というのは、弁護士会から告発をされました。こういうような人権問題というのは、たいへん大きな関心を持たれておるわけでありますから、私は、この人権擁護局がもっとほんとうに人権を守るように、組織的にも人員的にも、政府が努力をすべきではないか。それからいま一つは、そういういろいろな末端において、地域社会の中でいろいろな相談を受ける人権擁護委員、こういう人たちに対しても、もっと私は、やはり前向きの姿勢をとるべきではないか、どのくらいの、人権擁護委員には報酬を払っておるのか、定員は何名なのか、都道府県にどのくらいの人たちがおるのかということもあわせて御両者からひとつお答えをいただきたい。
  103. 津田實

    説明員津田實君) ただいまお尋ねの件は、箱根登山鉄道タクシー運転手大野由蔵にかかる業務上過失致死事件であると考えますが、この事件につきましては、ただいま御指摘のとおり、昨年九月三十日、小田原区検察庁におきまして不起訴処分にいたしております。  そこで、との事件内容につきましては、いまお話ありましたように、請願書が出ておることは承知いたしておりますが、不起訴になりました理由のおもな要点は、警察官の行なった実況見聞の結果によるものというふうに判断をいたしておりますが、この点につきましては、この請願書の内容等を参酌いたしまして、なお、私のほうで調査を要するというふうに考えましたので、最高検察庁に指示をいたしまして調査をすることにしております。事件として再捜査をするという段階ではございませんが、この間の経緯を全部調査をいたしたいというふうに考えて、いま指示をいたしておるところでございます。
  104. 堀内恒雄

    説明員堀内恒雄君) ただいま法務省の人権擁護の組織の問題と、人権擁護委員の問題とお尋ねでございますが、法務省部内の組織の点につきましては、先ほど稲葉委員の御質問にお答えしたとおりでございます。  人権擁護委員につきまして申し上げますと、人権擁護委員は、人権擁護委員法に基づきまして、全国で二万名をこえない人権擁護委員を置くことができるようになっておりますが、実際におきましては、予算上の制約を受けまして、ただいま九千百名ほどの人員でございます。およそ、村につきまして三名、町につきまして五名、市につきまして十名、大きな市につきましてはそれ以上特別の数字がある、そういうのが実態でございます。そして、ただいまお説のとおり、法務省といたしましても、また人権擁護の組織といたしましても、私どもとしましては、なお充実して、そして人権擁護の活動をいたしたい、こう念願いたしておるのでございます。  人権擁護委員に対します実費弁償金でございますが、人権擁護委員は、人権擁護委員法に基づきまして、給与を受けないということになっております。そして、ただ実際に要しました経費だけを補償を受けるということになっておりまして、ただいま実際に支給いたします金額は、一日御活動いただきまして六百円をこえない限度で実費弁償金を支払っておる、こういうのが現状でございます。全国的に見ますと、予算の面では、九千七十五名の人権擁護委員に対しまして、年間三千三百円という単価でかけたものが総額でございます。
  105. 黒柳明

    ○黒柳明君 大臣の時間が相当過ぎておりますので、私は結論で一つだけお伺いしたいと思いますが、結論をいいますと、これはすべてになるんですが、昭和三十九年六月五日に、法務省行政財産になりました、仙台地方検察庁の気仙沼支部の庁舎敷地、これについて質問したいと思います。  これは先日国立高専の問題で当委員会でも問題になって、当時の田中大蔵大臣が、初めは、地方財政再建促進特別措置法には触れない、あるいは地方財政法にも触れない、こういう発言をしていたんですが、次には、妥当性を欠くからとにかく善処したい、国有財産の等価交換をしたい、こういう発言をしてきたわけです。この気仙沼支部も、この地方財政法あるいは特別措置法に触れる、こういうような気がするわけですが、また、これから法務省当局の話を聞きませんと、どうとも私だけの意見じゃ結論は出せませんが、そのような私は感じがします。ですから、これについて、当然法務省予算も少ないですし、地方はそういう国からの建物あるいは庁舎などを誘致すれば、その地方の発展になる、こういうようなことから、何か法務省側としても、暗黙の了解のうちに、そういう建物を地方公共団体から寄付を受ける、こういうことにもなっている、こういう気がしますが、また、これがそういうことの一つであり、さらに二、三カ所そういう点がある、こういうことに関して、大臣いかがお感じになるでしょうか。
  106. 石井光次郎

    ○国務大臣石井光次郎君) まず関係局長から説明いたさせます。
  107. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 仙台地検の気仙沼支部並びに同区検の庁舎敷地のお話だと思いますが、いま御指摘のありました敷地につきましては、これは三百四十六坪七合六勺ございます。この敷地につきましては、ただいま仰せのとおり、昭和三十九年六月五日付で、寄付受納の認可手続をとって法務省の財産となっております。その前提といたしまして、昭和三十九年一月二十一日付で、気仙沼市長より寄付採納の願い書というのが出ておりまして、それに基づいてそのような手続をとったわけでございます。ただいま仰せのありましたとおり、地方財政再建促進特別措置法の二十四条に、地方自治体が国に寄付をするということについては、自治大臣の認可のない限り制限があるわけでございますが、にもかかわらず、この庁舎敷地を寄付受納として受け入れました経過について、簡単に説明申し上げたいと思います。  気仙沼の検察庁の敷地につきましては、昭和二十八年の十一月七日に、気仙沼検察庁庁舎建設促進協議会というのが、これは認意団体でございますが、これは気仙沼の市長さんや、市議会議長さん、その他関連の市町村の市会議長、町長などを委員とする会でありますが、その協議会におきまして、昭和二十八年の十一月の七日に、検察庁の庁舎の敷地として適する敷地を寄付する、その総額は、二百万円を目標として寄付の募金をするという決議が行なわれております。その決議に基づきまして、昭和二十九年の一月には、この問題の三百四十六坪が購入されております。その金額は百八十一万円でございます。そういたしまして、この百八十一万円は、うち五十万円を気仙沼市当局が出費され、さらに他の五十万円は管内町村の議会で負担され、その不足の八十一万円につきましては諸団体の篤志による形で、この百八十一万円によりまして三百四十六坪の購入が行なわれております。で、購入後、名義は前地主のままになっていたようでございますが、昭和三十二年の十一月三十日になりまして、気仙沼市長名義で所有権の移転登記が行なわれております。その事情は私どもにはよくわかりませんけれども、おそらく、先ほど申し上げました気仙沼検察庁庁舎建設促進協議会というのが任意団体でございますので、この名義で登記ができにくいという事情で、市当局の所有名義に登記されたものと思われます。そこで、昭和三十九年の一月になりまして、市当局から寄付の採納願いが出たわけでございますが、それより前の昭和三十五年の十二月に、気仙沼支部並びに同区検の庁舎は完成しているわけでございます。で、そのまま無償使用を続けておりまして、昭和三十九年の一月二十一日に至りまして、市当局より寄付採納の願いが出たわけでございます。法務省といたしましては、この採納願いを受けましていろいろ慎重に検討したわけでございます。まずその第一は、法務省におきましては、昭和三十年の九月八日付法務事務次官通達によりまして、この種の寄付受け入れば禁止するという扱いが部内的に行なわれております。それからもう一点は、御承知の地方財政再建促進特別措置法二十四条によりまして、先ほど申し上げましたとおり、地方自治体が国に寄付するということは、自治大臣の承認のない限り禁止されております。この二点について問題がございますので、法務省としていろいろ検討したわけでございますが、また、気仙沼市当局におきましても、地方財政再建促進特別措置法二十四条による承認の手続をとられたようでございます。それに対して昭和三十八年の十二月七日付で、自治省の財政局財政再建課長名義で気仙沼市長あてに対しまして、本件の寄付は昭和二十八年十一月にすでにきまっている。すなわち、特別措置法実施以前に寄付がきまっているという理由によりまして、特別措置法二十四条の適用がない、承認の対象外であるということで、申請書類を返すという文書で回答が来ております。このような自治省の法的な解釈が、本件はこの実施前の行為である——これは特別措置法の附則の第二項にそのような条項があるわけでございますが、特別措置法の附則の第二項に該当する事項である、したがって、特別措置法二十四条による自治大臣の承認は必要でないという公文書による回答がございまして、それの写しが私どものほうに提出されましたので、すでに昭和二十八年の十一月に特別措置法施行前に寄付が決定し、二十九年の一月に現実に購入が行なわれ、その後、現に検察庁の庁舎敷地として使用させていただいておる土地でございましたので、いま申し上げましたような諸般の事情を考えました上で、昭和三十九年の六月五日付をもちまして寄付の受納の手続をとったわけでございます。  以上が気仙沼検察庁の庁舎敷地を寄付採納したいきさつでございます。  なお、参考までに申し上げますが、これ以後、庁舎敷地を地方自治体から寄付採納した事例はございません。法務省としては、地方自治体から庁舎敷地を無償で寄付を受けてこれを受納するという取り扱いは、昭和三十年の九月八日の事務次官通達が出て以来、いま申し上げた例外を除いてはやっておりませんので、御参考までに申し上げておきます。  以上でございます。
  108. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  109. 鶴園哲夫

    ○要員長(鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  110. 黒柳明

    ○黒柳明君 国が寄付によって行政財産を取得する場合には、国有財産法によると、法務省と今度の場合は大蔵省と協議をしなければならないと、こういうふうになっているわけですが、この場合には、大蔵省とどういう協議をしたわけですか。
  111. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) お答えいたします。  本件につきましては、昭和三十九年二月十七日付で東北財務局長から、この寄付の受納について同意するという回答書面が来ております。
  112. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほど言いましたように、三十年前にこの土地をすでに建物があって使っていたと、ですから特別措置法の二十四条の二項の規定には触れないと、こういうわけですけれども、それじゃこの建物が建った年月日、及び気仙沼市議会でこの建物を寄付すると決議した年月日、それから法務省に通知されて認可された年月日、これはどうですか。
  113. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 仙台地方検察庁気仙沼支部並びに同区検察庁の庁舎の新営が竣工いたしましたのは、昭和三十五年の十二月十日でございます。それから、先ほど申し上げました気仙沼市長から寄付の採納願いが出される前提といたしまして、地方自治法に基づく市議会の議決がありましたのは、昭和三十六年十二月二十二日ということになっております。
  114. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから、法務省に通知されて認可された年月日はどうですか。
  115. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 認可というのは、どこの認可ですか。
  116. 黒柳明

    ○黒柳明君 法務省です。
  117. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 法務省で寄付の受納を認可いたしましたのは、昭和三十九年の六月五日でございます。
  118. 黒柳明

    ○黒柳明君 当然、経過措置でいう契約というのは、国と地方公共団体との正式な手続を経なければ結べない、そういう契約だと思うんですけれども、その前にともかく土地があった、建物を使用していたと、こういう暗黙の合意で片づけるというわけにはいかないんじゃないかと思うんですが、どうでしょうか。
  119. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 仰せのとおり、確かに地方自治法二百三十七条第二項による市議会の寄付に関する決議があったのは、特別措置法の施行後の昭和三十五年でございますし、建物が建ったのも三十五年でごさいますので、その前に、それではどういう契約が正式にあったのかと言われますと、本件について多少の問題はあろうかと思いますけれども、自治省の当局が、正式に公文書で市当局に回答されました内容によりますと、寄付の原因になる決議並びにその土地の購入が特別措置の施行前にすでに行なわれているから、特別措置法の関係では二十四条の適用がないという結論を出しておられましたので、特別措置法のこれが一つの有権解釈といいますか、自治省当局における御解釈でございますので、すでに庁舎敷地として事実上寄付を受けて長年使わしていただいていたものでございますので、その法的な処理の終結をつけるという意味で、法務省としまして、本件について寄付の受納手続をとったわけでございます。
  120. 黒柳明

    ○黒柳明君 多少の問題点はあると、こういうふうにおっしゃいましたけれども、今回の寄付というのは、明らかに所有権の無償譲渡のことであって、従来、国がその土地を無償で使用すると、そういうこととは問題が別だと、このように私は思うんです。ですから、新たにその寄付受納の措置をとった、それが三十九年の六月五日じゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、これは明らかに先ほど言いました特別措置法二十四条の二項、あるいは地方財政法の十二条に違反するんじゃないか、いかがでしょうか。
  121. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 気仙沼市当局から自治省当局に対して伺いを出された文書には、詳しい従来の経過とか、あるいは市議会における議事録とか、いろんなものを添付されていたようでございます。で、先ほど申し上げましたが、昭和二十八年十一月七日における協議会の議決、そういう書類も添付され、いま日付を追って申し上げましたようないろいろな経過の資料を自治省で全部検討されまして、特別措置法の附則第二項に該当するという御結論をお出しになったわけでございますので、私どもとしては、自治省当局がそのような見解を示されましたので、それに従いまして寄付の受納手続をとったわけでございます。
  122. 黒柳明

    ○黒柳明君 要するに、三十年前にすでに土地があって、建物を使っていた、で、それに対しての結論を出す意味でと、こうおっしゃいましたけれども、じゃ、その前までは明らかに自治法、特別措置法あるいは地方財政法に抵触していたんじゃないですか。だから、結論を出さなきゃならないんじゃないですか。
  123. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) その点につきましては、昭和三十五年十二月十日に新庁舎ができ上がったわけでございますが、その当時はまだ寄付の手続が未了でございましたので、その新庁舎を建てる前提といたしまして、昭和三十四年の一月二十七日に、仙台地方検察庁検事正と気仙沼市長との周で、との敷地を無償で使用さしていただくことについての契約書を取りかわした上で、法務省としましてはここに庁舎を新営しております。
  124. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと関連。地方財政再建特別措置法とか、そういうものの趣旨というのは、地方財政が非常に逼迫している、それで、国立高専の場合もよく議論になるわけですが、国側は、地元の熱心な行動によってこういうことになりましたと、いわばその熱意を買うわけですが、地方側としますと、身銭を切って迎え入れようという、背に腹はかえられない事情があるわけです。そういうことをやらせて地方財政を窮迫させちゃならぬというのが、今度のこの趣旨だろうと思うのです。で、私伺っておりまして、この気仙沼の問題については、問題がすでに二十九年に起こっておる、それの延長であるから、いま云々されている措置法の問題には触れないのだと、例外として受けているのだと、こういうお話ですが、それでは三十一年に、次官通達ということを先ほどおっしゃったその趣旨は何か、一切そういうような地方団体からの寄付は受けちゃならぬと、この次官通達の趣旨は何か、なぜ、こういうような趣旨が出たか、それには明らかに抵触してくるんじゃないか、こう私ども思うのですが、この点はどうですか。
  125. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 先ほど申し上げましたとおり、法務省におきましては、昭和三十年の九月八日付法務事務次官通達によりまして、寄付の受け入れを制限するという趣旨の通達が出ております。その趣旨は、やはり特別指貫法と同一の趣旨で、国が地方自治体に財政的に負担をかけるということをすべきでないという趣旨に基づくものだと私も思います。それでは昭和三十年にこのような通達が出ておるにもかかわらず、昭和三十九年になってその寄付の受け入れをするのは、その通達に違反するのではないかという御質問でございますが、先ほど来申し上げておりますとおり、すでに昭和二十八年に寄付をするという前提で、これを受け入れるという態勢ができまして、予算の都合で建築が長引きまして、結局は三十四年から着手して三十五年に建築が完成したわけでございますけれども、すでにそれより前の、次官通達が出る前の段階、特別措置法が施行される前の段階から、事実上このようなことで寄付を受け入れるという前提で行為が続いておりましたし、その後、現に庁舎敷地として使わしていただいておりますので、法務省としても、自治省側が地方財政特別措置法についてのそのような見解を示されましたので、これをやむを得ないものとして受け入れたと、こういうわけでございます。
  126. 二宮文造

    ○二宮文造君 私伺いますのは、気仙沼の市議会でそういうふうなことを議決して、そして国に寄付をするというふうにやったのは二十九年でしょう。三十年に次官通達が出たわけでしょう。そうしますと、二十九年にそういう議決はあったけれども、しかし諸般の情勢を考えてみれば、ことに性格が検察庁ですから、そして、先ほど何か伺ってみますと、市議会、これは市は問題ないでしょう。あるいは付近の町村、これも問題ないでしょう。しかし、有力なある各種の団体の寄付も八十万か何か受けているようですが、こういうものが、いわゆる検察庁あり方と将来関連を起こしてはならぬ——確かに地方公共団体から寄付を受けることは、特別措置法の趣旨からは反するし、今度は検察庁の性格からいっても、そういう民間のものから寄付を受けるということはよろしくないということも、この三十年の次官通達の中には一部私は加わっているのじゃないかと思うのです。よくそういう話を聞きます。検察庁のほうで非常に姿勢が高くなった。きれいにしていこうということで、しばしばそういうようなことが会合の場合に問題になって、私はいいことだと思う。そういう姿勢を含まれて三十年に次官通達が出た。ならば、前の二十九年はこれは継続であるという考え方でなしに、あらためてこの時点で新しく次官通達の考え方になって本件を処理すべきではなかったか、私こう思うのですが、この点どうでしょう。
  127. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) ただいまおっしゃられた趣旨は、まことにそのとおりだと思います。なお、この気仙沼の寄付をどなたが幾らお出しになったか、われわれのほうには明細がまいっておりませんけれど、先ほど申し上げましたとおり、気仙沼市が五十万円、それから関係の市議会五十万円、その他は篤志家の寄付によるということになっております。私どもとしては、どなたが寄付されたか一々聞いておりませんけれども、先ほど申し上げました気仙沼検察庁庁舎促進協議会の役員名簿、どのような役員がおられるかということは、私ども調査しております。それによりますと、これは、すべて町のいわゆる団体は一つも入っておりませんで、市町村、あるいは商工会議所の会頭さん、あるいは警察署長、人権擁護委員、その他町村長さんや議会の議長さん、あるいは弁護士さん、あるいは公立病院の事務長さん、そのような方ばかりでございます。で、たしか検察庁が寄付を受け入れているということにつきましては、検察庁の性格上いろいろ問題があろうかと思います。で、私どもとしては最近、その後このような土地であろうと、あるいは庁舎を新営いたしました際の備品であろうと、何であろうと、寄付は一切受け入れる措置はとっておりません。地方からそのような上申がありましたときも、必ずお断わりするようにといって、すべて断わっております。
  128. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、いまお伺いしたのは、促進協議会というこは、二十九年にこういう行動を起こしたのでしょう。三十年に次官通達を出したのでしょう。それとの関係をお伺いしたわけです。三十年にあらためて法務省は、こういうふうな趣旨で寄付は受けない、こうきめちゃった。したがって、二十九年、その通達以前にそういう動きがあったって、それをあとになって生かすべきではないじゃないか。金額をここで云々するほど大きな金額ではないわけです。あるいは借り上げてもいいわけですよ、きちっと契約すればいいのですから。こういうふうな措置を、やはり李下に冠を正さずと私どもよく口にしますが、そういうような姿勢がとれないものか。いま答弁ございました二十九年、三十年の関係、私にしては、次官通達を重視したい。あなたのほうにしてみれば、二十九年を重視する。これでは平行線になっちゃう。それでは姿勢が改まらない。また、その後に一件も寄付の受納がないということは本件とは別です。ここにあるんですから、これがいま問題になっているわけですから、これに対する姿勢を改めていただく、再検討していただくということが心要ではないか。私、関連ですから、以上のことをひとつ要望しておきまして、あとまたかわってもらいます。答弁がありましたら……。いまの二十九年、三十年の分について。
  129. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 昭和三十年に寄付を受け入れないという次官通達が出ながら、その後に受け入れた、これはおかしいではないかという御賛同でございますけれども、それに対しての省内の事情は、先ほど来申し上げたとおりでございます。次官通達が出ながら、その後その前の整理という名目のもとに受け入れるのは不当ではないかということでございますけれども、やはりすでに庁舎ができておりますし、まあ百八十万円ぐらいの金をわずかな金ではないかという御質問がございましたけれども、なかなか不動産の処理をするための予算というものは、非常に限られた予算内で私どもの事務の処理をしておりますので、従来から、当初から寄付を前提にしてこの件が起こされておりますので、いま申し上げましたような事情によって受け入れをしたということでございますので、よろしくお願いしたいと思います。
  130. 黒柳明

    ○黒柳明君 これは見解が平行線をたどっているので、話し合いにならないと思いますので、この気仙沼の、これが特別措置法に触れない、そういう論拠と証拠文書を資料として提出していただきたいのですが、どうでしょうか。
  131. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) ただいまお話しのありました資料は、後刻提出いたします。
  132. 黒柳明

    ○黒柳明君 それから先ほどこういう行為が絶対ないと、こうおっしゃいましたけれども、ないですか、このほかに。
  133. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 三十年に次官通達によって寄付が禁止されて以来、このような特殊な事例を除きましては法務省としては寄付の受け入れば原則的にはしておりません。
  134. 黒柳明

    ○黒柳明君 原則的にということで、絶対ない、一つもないということか、あるいは原則をはずしてこういう事例がある、こういうことなんですか、どっちなんですか。
  135. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 気仙沼と同じような、従来からの継続的な問題の処理としては、このような受け入れをした事例が皆無だとは申せないと思いますけれども、全く新たな寄付行為の受け入れということは、法務省としましては、事務次官通達の趣旨にのって事務処理をやっております。
  136. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をやめて。    〔速記中止
  137. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  138. 黒柳明

    ○黒柳明君 そうすると、要するに特別措置法あるいは地方財政法に触れるような寄付行為はない、こういうことですね。重ねてお伺いします。
  139. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) そのとおりでございます。
  140. 黒柳明

    ○黒柳明君 福島地方検察庁相馬支部、これは三十六年四月十八日、大瀬戸区検察庁、これは三十六年五月二十三日、有川区検察庁、三十六年五月二十三日、この三件、調査資料としてこちらにきているのですが、これはいかがでしょう。
  141. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) ただいまの点について、いまここで準備がございませんので、恐縮でございますが、後刻回答さしていただきたいと思います。
  142. 黒柳明

    ○黒柳明君 準備がございませんじゃなくしてですね、こういう事例はちゃんと、こちらで調査したんじゃないんですよ。調査資料でもらったんですよ。だから、私がそういう事例が数カ所あるからと言ったんじゃないですか。どうなんですか、この点は。
  143. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) まことに恐縮でございますが、ちょっとその資料いまここに持っておりませんので、後刻回答したいと思います。
  144. 黒柳明

    ○黒柳明君 資料があるとかないとかじゃなくして、そちら、資料ちゃんと調べてあるの。年月日、場所全部入っているんですよ、これは事実じゃないですか。資料があるとかないとか言ったって、これは事実じゃないですか。交換方式によるもの以外に四カ所あるわけです、気仙沼含めて。これでも絶対ないと、こう言い切れますですか。
  145. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) たいへん失礼いたしました。相馬支部、それから大瀬戸検察庁、有川検察庁についても、いま申し上げました気仙沼と同じような事情で、いまの気仙沼よりもっと前に、仰せのとおり三十六年に寄付の受け入れをしております。
  146. 黒柳明

    ○黒柳明君 気仙沼と同じような経過ですか。これは原則なんですか、原則外なんですか。全く気仙沼と同じ経過なんですか、あとのこの三件については。
  147. 田村秀策

    説明員(田村秀策君) 全く同じ事由かどうか、ちょっといまここに資料がございませんのではっきりすることはできません。
  148. 黒柳明

    ○黒柳明君 何言ってんだい。私は何回も通告してあるんですよ、このことをやるからと。さっきはないなんて言いながら、あなたのほうからこれ出てきたんじゃないか。とんでもない。あなたのほうから調べて出してきたんじゃないか、これを。わずかこれだけの紙を見落とすなんて、そんたばかなことはないじゃないですか。それこそ怠慢ですよ。そんな役人がいるから、こういう検察庁がうしろめたいことを、寄付をとるようなことをするの。いまも盛んに二宮委員から言われたじゃないですか。地元の誘致に頂けているんですよ、おかしなことばっかし言っている……。ちゃんとここに寄付行為があるじゃないですか。その法に触れる触れないは、私は平行線をたどるから、結論を待たないで資料を出してもらいたいと、これは調べてくださいよ。だけれども、ちゃんとここにあるじゃないですか、同じ事例が。そちらで調べてきたんですよ。こういうことをわからないような課長がいるから、だから寄付をされて、それでおだてられてまたほかの面でマイナスをするんです。そういう政治をやっては困るじゃないですか。どうですか、政務次官、この事実に対しては。自分のほうで調べて、それを担当課長は知らない。しかも私は、この点に関してやるからとちゃんと言っている。そういう事実はないじゃないです。わずかこれだけの四枚か五枚の紙じゃないですか。しかも調べたのは自分で調べたんじゃないんじゃないですか。だれか下の役人に調べさすから、だからこういうことになるんです。自分でしっかりきょうは何をやるべきか、きょう一日の仕事は何か、委員会に臨んでどういう答弁をしようか、しっかりやってくださいよ。少なくとも、現地の事情は知らないまでも、きょう自分が答える答弁の資料ぐらいははっきり把握してなければだめじゃないですか。何もこんなでっかい声で言いたくないけれども、あまりにも雑です、答弁のしかたが。どうですか、政務次官、そう思わないですか。
  149. 山本利壽

    説明員山本利壽君) ただいま黒柳委員の仰せられましたとおりに、今日の係官の答弁においては、せっかく資料も調べておきながら、それについての答弁が円滑を欠きましたということについては、まことに不行き届きであったと私も考えます、この点は。でございますから、結論におきましては、両委員の仰せられたとおりに、平行線をたどるわけでございますけれども、それに対する資料の整備及び説明においては遺憾なきを期さなければならぬと思うのです。今後十分に注意をいたしたいと考えます。
  150. 黒柳明

    ○黒柳明君 政務次官はこの問題、平行線をたどるといまはっきりおっしゃいましたけれども、これはよくおわかりですか。この内容わかった上で平行線をたどる、こう断言されますんですか。
  151. 山本利壽

    説明員山本利壽君) 先ほど来質疑応答を承っておりまして、あなた方の質疑をなされました委員のほうでも、これは結論は平行線をたどることだからということをおっしゃったように思うわけでございます。私も聞いておりました限りにおきましては、平行線をたどる、かのように感じました。
  152. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと。これは政務次官のほうからそう簡単に判断をされては困るのです。私は、しばしば検察陣が国政の紊乱している面について鋭意努力をされて、国民も検察陣に対してたいへん敬意を払っておる、そういう面で私は検察陣の努力を非常に高く評価しておりますし、ぜひ今後もそうあっていただきたい、これは私の念願です。しかし、いましばしば申し上げましたような事例が出てまいりますと、国民のあらぬ疑いも生ずるわけではありませんか。したがって、三十年に次官通達を出しておるそれ以後において、これは例外だからというような安易な受け取り方で寄付を受納するということは、検察陣の、検察庁の名誉に関してでもたいへんな問題じゃないか。ここで事務の処理は一応済んだとしても、金額としては総予算の中でわずかな問題なんですから、土地の購入費が予算として取れないとかなんとかいう問題じゃなくて、検察陣の名誉挽回のためにも必要なことだから、あるいは、それができなければ貸借の、いわゆるその借り受け料ですか、それを支払ってでも貸借の契約を結んでもいいではないか、こういうような私は善後措置をとるべきではないかと言っているわけです。これは決して平行線ではありませんで、法務省としては当然そういう努力をされなければならない線を私のほうで提示しているわけです。それをするかしないかということは、今度は政務次官あるいは法務省の側の考え方なんです。それを単に平行線だから、こういう受け取り方は行政府の受け取り方ではない。私はあえて申し上げておきます。いかがですか。
  153. 山本利壽

    説明員山本利壽君) ただいま二宮委員からの仰せの意味はよくわかりました。先ほど来の御質問及び法務省の係官の答えております点からということは、今日まで法務省のほうで解釈しておりましたのは、三十年に次官通達は出しまして、そういう通達を出すということは、それ以前そういったような事件が過去においてあったからだろうと思いますけれども、そういう通達を出した以後において、やはりいろいろな地方で金を集めたり、あれこれして土地を購入したものを受け入れるというようなことは、私は、まことに次官通達にもこれは違反することであるから、絶対にしてはならぬと思うのでございます。先ほど来仰せられましたように、特にこの法務省関係というものは、そういう場合の姿勢を正して、国民の常に疑惑を受けないように進んでいくべきものだと私も考えております。さような今回のような処置をとりましたということは、それまでに土地購入、あるいはそのための寄付行為等がすでに完了しておったものであるから、それは新たなる例外という意味でなしに、実際問題として、それではその寄付行為をまたもとへ戻すとか、あれこれというような要求があり、あるいはなくても、その手数をまたかけても、それほどにすべきものではないという解釈、あるいは気持ちのもとにおいて私は受け入れたものと考えるのでございまして、そして、法的に言っても、先ほど来営繕課長から繰り返し申し上げましたように、各般にわたっての法神的な手続は私はとっておるように考えるのでございます。それでも帳票庁というものの立場上、さかのぼってでもそれは解消すべきではないかという御質問のお気持ちも私はわかりますけれども法務省といたしまして、われわれが今日三十九年度決算を御審議いただきますものとしてのお願いは、この法律的にあるいは事務的の手続として粗漏がなかった場合におきましては——今後なお御調査願いまして、御審議を願いまして、非常な手続の粗漏が発見されました場合には、これは結論の平行線ということはできません。さかのぼってでもこれは処理すべきものでございます。このことは私もよくわきまえておりますけれども、三十九年度決算の御審議を願いますという今日の立場におきましては、先ほど来係官が繰り返し御説明いたしましたように、法務省としては、これは法的に遺憾なかったから受け入れたというような立場でやっているものでございますので、この点はお認め願いたいと思うわけでございます。しかし、御審議の進みますにつれてさらにこの間に不正な行為があり、あるいは社会的に非常に問題を起こすようなことがございました場合には、これはあくまで究明してその根源を断つべきものである、かように考えます。
  154. 黒柳明

    ○黒柳明君 長くなりますので、結論だけあれしますが、要するに、寄付行為が終わったといっても、正式に寄付行為が終わっているわけではない。要するに議決をしたとか、あるいは正式に法務省と大蔵省との話し合いをしたということではない。その時点においては、先ほどから何回も言うように、地元の誘致に負けて、誘致が強いといいますか、それではそれに使う、そういうような暗黙の了解でもって使っておった。それをしりぬぐいするために、そういう三十年度に通達を出した、こういうようなことは言えると思うわけですけれども、こう言うと見解が違うと、こういうことになると思うが、とにかく先ほど言ったように、資料、それからここにまだ三件ありますから、これに対しての経過、そういうものを資料として提出していただいて、なお、それによって後日検討を加えたい、こう思うわけです。で、資料の提出を要求いたします。
  155. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) いまの資料の提出の要求がございましたが、よろしゅうございますね。
  156. 山本利壽

    説明員山本利壽君) 承知いたしました。
  157. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  158. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を始めて。  他に御発言がなければ、法務省決算の審査は、本日はこの程度にとどめたいと存じます。     —————————————
  159. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、裁判所の決算について審査を行ないます。  ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  160. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をつけて。  まず、裁判所の決算説明を聴取いたします。岸事務総長。
  161. 岸盛一

    説明員(岸盛一君) 昭和三十九年度の裁判所の決算の概要について御説明申し上げます。  昭和三十九年度裁判所所管の歳出予算額は二百三十九億五千九百七十四万二千円でございましたが、右予算決定後、さらに十二億九千四百八十九万三千円増加いたしまして、合計二百五十二億五千四百六十三万五千円が昭和三十九年度歳出予算の現額でございます。  右増加額十二億九千四百八十九万三千円の内訳は、予算補正追加額として九億三千百二十四万六千円、  大蔵省所管から移し替えを受けました金額二億九千七十八万千円、  昭和三十八年度から繰り越しました金額六千七百八万六千円、予備費使用額五百七十八万円でございます。  昭和三十九年度裁判所所管の支出済み歳出額は二百五十億四千九百五十万二千百五十一円でございまして、これを右歳出予算現額に比べますと、二億五百十三万二千八百四十九円減少しております。  この減少額のうち、翌年度に繰り越しました金額は二千四百十七万三千円でございまして、全く不用となりました金額は一億八千九十五万九千八百四十九円でございます。  この不用額の内訳は、裁判所職員の俸給手当等の人件費一億一千九百九十一万千九十九円と、その他の経費六千百四万八千七百五十円とでございます。  昭和三十九年度裁判所主管の歳入予算額は一億一千九百十四万円でございまして、昭和三十九年度の収納済み歳入額は一億五千八百十三万四千三百三十二円でございます。  収納済み歳入額を右の歳入予算額に比べますと、差引三千八百九十九万四千三百三十二円の増加となっております。  増加額は、保釈保証金の没取金等の増加及び民事訴訟費用弁償金、不用物品の売り払い代、保管金の期満後収入等の収納がおもなものでございます。  以上が昭和三十九年度裁判所の歳出及び歳入決算の概要でございます。よろしく御審議のほどお願いいたします。
  162. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 次に、会計検査院当局から検査報告を聴取いたします。
  163. 井上鼎

    説明員井上鼎君) 昭和三十九年度の裁判所の決算につきまして検査いたしましたところ、特に違法または不当として指摘した事項はございません。以上でございます。
  164. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) これより質疑に入ります。質疑のある方は、順次御発言願います。
  165. 相澤重明

    ○相澤重明君 簡単にひとつ御答弁をいただきたいと思うのでありますが、まず第一に、いまの御報告によりますと、この不用額になりました一億八千九十五万九千八百四十九円、そのうちのおもなものとして、俸給手当等の人件費一億一千九百九十一万千九十九円、こうなっておりますが、これは内容はどういうことなんですか。結局、裁判官とか職員の採用ができなかった、こういうことのものですか。
  166. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) ただいま相澤委員からお尋ねのございました人件費不用額と申しますか、でございますが、これは結局、職員に欠員があったということでございます。その欠員は、採用することができなかったのかというお尋ねでございましたが、これは裁判官のほうにつきましては、確かにお尋ねのとおり、希望者その他の関係から採用することができなかったという関係になるわけでございます。一般職員のほうは、これまた採用していない、つまり欠員になっておるという、結果においては同様でございますが、これは採用ができなかったと申しますよりは、いろいろな職種、ことに全国に千三百くらいの単位の機関を持っているわけでございまして、その方々の少しずつの欠員が総合いたしましてこういうことになっておるわけでございまして、私どもといたしましては、鋭意充員につとめ、また逐次充員になっておりますが、その間にまた他面欠員ができる、そういうための総合がかような数になった、かような次第でございます。
  167. 相澤重明

    ○相澤重明君 私のほうの手持ちの資料によりますと、三十九年度の現在員と欠員数が出ておりますが、特に判事が四十人も不足しておる、判事補が十二人、簡裁の判事が十六人、六十八人も判事関係が不足しておる。一体どういうことで裁判官を補充することができないのか。給料が安いとか、地域的条件が悪いとか、あるいはせっかくなった判事がやめて弁護士になるとか、いろいろケースがあると思う。これだけの裁判官の不足というのはどういうことなのか。  それから事務局の職員が三百三十九人も不足しておる、こういうふうに私どものほうでは把握しておるわけです。  それからいま一つは、高等裁判所の秘書官の定員八人を、せっかくつくったものをまだ欠員のままで置くということは、やる気がない、秘書官を置く気がない、こういうことなのかどうか、これもあわせてひとつ御答弁をいただきたいと思うんです。いままでの人員の不足の状況を見ると、最高裁判所をはじめとして、各級の裁判所を見ますと、やはり高等裁判所が比較的欠員が多いようですね。それから検察審査会もそういうふうに見られるようです。以上の点について、なぜ充足できないのか。  それからいま一つは、秘書官の定員を置きながらやる気がないというならやめたらいい、何も制度をせっかくつくりながらそのまま充足しないでほうったらかしておくということは、裁判所らしくないじゃないですか。これはそういう点も含めてひとつ御説明をいただきたい。
  168. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) 多岐にわたる御質問でございましたので、要点的に簡単に御説明申し上げたいと存じますが、まず、裁判官の欠員の問題でございます。これはただいま御指摘のございました判事の欠員数は、昭和三十九年十二月一日現在のものであろうと存ずるわけでございますが、現在の時点におきましては、実は判事はほとんど充員になっておるわけでございます。どうしてその当時判事が欠員が多かったかという点でございますが、これは御承知のとおり、裁判官の中には判事と判事補とございます。簡易裁判所判事というのもございますが、これは一応別といたしまして、判事と判事補とございまして、判事補を十年やった者あるいは弁護士、検事を十年やった者でないと判事に任用できないことは御承知のとおりでございます。そういう関係で、つまり十年の経験をした人が判事補の中にいない、あるいは検事や弁護士からおいでいただけないということになりますというと、自然その判事の充足がむつかしくなるわけでございます。ただ幸いにして、昭和四十一年度予算を御審議いただきました際に、るる御説明申し上げましたとおり、本年の四月におきましては、非常に大きな判事補から判事への充員ができまして、その結果、ただいまにおきましては、判事にはほとんど欠員がないという状況になっておるわけでございます。その反面、簡易裁判所判事、判事補等に若干の欠員がございますが、これらは簡易裁判所判事につきましては、特別選考等の方法も現在ございまして、かようなものによって逐次充員してまいりたい、かように考えておるわけでございます。  基本的には、先ほど御指摘もございましたように、給料その他によってなかなか希望者の適格者を得られないという問題がございまして、その点につきましては、つとに内閣の臨時司法制度調査会等からも意見をいただいております。その実現につとめるべく努力をしておる状況でございます。  それから、一般職の欠員の点でございますが、特に御指摘のございました高等裁判所の秘書官の関係につきましては、まことに御指摘のとおりでございまして、私どももこの点につきましては、どのように申し上げて説明すれば御理解いただけるかということを、まことにいろいろ考えるわけでございます。実は、これは御承知のとおり、最高裁判所の裁判官と高等裁判所長官、つまり認証官には秘書官を置いていただいておるわけでございます。そして現在最高裁判所のほうは全部充員いたしておるわけでございます。ただ何と申しましても、秘書官と申しますのは、その当該裁判官なり長官と非常に意思疎通し、非常に気心のよく合った人であることが当然の要請でございます。ただ現在のところ、高等裁判所の長官の場合には、ある程度その任期というものがそう長くございませんために、そういう人を得ますことがなかなかむつかしく、また、そうして充員いたしましても、今度その長官がたとえば退職されましたときに、また普通の一般職に戻すということになりますと、給与体系が非常に違いますために、その間にいろいろ御本人の——なりました人の待遇上の問題等にもからんでくるわけでございます。そういうようないろいろな関係がございまして、理念といいますか、考え方としては、ぜひこれを置きたいということで制度を設けていただいておるわけでございますが、実際には、いろいろそういう人事面の関係等がございまして、充員していないというような関係になっておるわけでございます。で、そういうことならば、やめてしまえばいいじゃないかというお話し、まことにごもっともでございますが、私どもとしては、これは一つには、また先般臨時司法制度調査会の意見にもございましたように、たとえば部外からお入りになるというような場合のことも考えますと、これはどうしてもやはり秘書官というものがいろいろ補佐するという必要もございますし、そういう点でまだこの制度を廃止するというふうに踏み切るだけの決心がつかないわけでございます。かような説明ではたして十分な御理解をいただけるかどうか、まことに私自身としても考えるわけでございますが、率直に申し上げまして、さような考え方から、現在のところ充員せず、しかし、制度はもう少し維持してまいりたい、そうしてもう少し研究して、何とかその間に道を開いてまいりたい、かようなところが率直な考えでございます。  それからあと、高等裁判所あるいは検察審査会等の欠員が比較的多いじゃないかという御指摘でございます。これも確かに、昭和三十九年十二月当時における欠員数からまいりますと、御指摘のような数字になっております。ただこれは、この欠員数と申しますのは、常時かなり変動いたすものでございまして、常にこういう数字であるわけでもないわけでございます。そういうことで、特に高等裁判所や検察審査会が欠員がいつも多いとは考えておりませんが、ただ、こういうことになります一つの原因は、裁判官のほうにつきましては、一審強化その他で地方裁判所が非常に充実いたしました。高等裁判所は何といっても相当老練な裁判官を必要といたしますために、その充員が必ずしも十分いかなかったという面がございます。また、実際の事務の処理といたしましては、御承知のとおり、地方裁判所の裁判官が高等裁判所の職務の代行ということでまかなっておりますので、定員上にあらわれましたものが実際の実勢力というものでもないわけでございます。そういう点で支障のないようにやっているわけでございます。  それから検察審査会のほうの関係は、これまた検察審査会というのは、何といいますか、同じ建物の中におる機関でございまして、たとえばいろいろ、電話交換手とか、そういうような人たちは地方裁判所のほうの職員になっているというような関係から、比較的純粋の事務官等のみの定員でございますので、そういう事務官のみの定員の欠員率としては、ほかのほうとそう違わない。職種が限られているために、トータルとしては欠員率が高いような形になっている、こういうことではないかと思います。しかし、むろんこれもまた、たとえば小さな支部のほうにまいりますれば、ある程度お互いに協力してやらざるを得ない状況でございますので、この定員表上にあらわれましたのが実勢力というわけでもないという点はひとつ御理解をいただきたい、かように考えるわけでございます。
  169. 相澤重明

    ○相澤重明君 ただいまの答弁を聞いておると、昭和三十九年十二月現在のいまの資料からいけば、充足がしておらなかったけれども、現在ではたいへん改善をされておる、こういうことは御答弁があったのですが、そうすると、それは三十七年の臨時司法制度調査会の意見、いわゆる三十九年に裁判官の任用制度や給与制度等の根本対策を求められておったので、それの改善が今日できた、こういうふうに解釈をしてよろしいのですか。それで、具体的にいま欠員があるというのは、どういうところに欠員があるのか。欠員はもう全くない、こういうことなのか、あわせて御答弁をいただきたいと思うのですが、私は、実は北海道に一度現地調査に行ったときに、やはり判事が実際に他の省庁の者と比べてみて、どうも生活があまりよくない、したがって、やはり民間の弁護士になったほうがいいと、こういう意見も率直に私は聞いたことがあるわけです。私は、やはりこういう制度が設けられ、あるいは答申が出されておっても、実際に末端における裁判官の、いわゆる判事等の給与が改善されなければいけないと思う。そこで、前回の第五十一回国会で最高裁判所の裁判官の退職手当等の特例法ができたわけでありますが、これに伴って、いわゆる高等裁判所以下の者については、いわゆる下級裁判所の者については、どういうふうにやる方針なのか、それもちょっとあわせてお答えをいただきたいと思うのであります。  それからいま一つは、先ほど法務省の際にも私申し上げたのでありますが、近ごろは交通戦争といいまして非常に交通事故が多い。この交通事故の扱い件数が多いので、実はたいへんな末端の簡易裁判所、高等裁判所等では苦労をしておるわけです。これに対するところの事務の渋滞ということも考えられるわけでありますが、スピード化ということを考えると、やはり定員というものを考えていかなければならぬと私は思う。そういう意味で、給与とか定員というものについて、裁判所としてはどう考えておるのか、あわせてひとつ御報告を願いたい。
  170. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) ただいまの御質問もきわめて多岐にわたりまして、私どものほうの所管で申し上げますと各局にわたるわけでございますが、一応便宜私から数字を申し上げて、さらにお尋ねがございますれば、各局長から補足するようにいたしたいと存じます。  まず、裁判官の給与の問題につきまして、相澤委員からたいへん御親切なお話をいただいて恐縮し感激するわけでございますが、一般的に申し上げまして、現在の裁判官の待遇というものは、国家公務員の中におきましてはまあ比較的よい待遇をしていただいておるということを、私どもとしては率直に感謝せざるを得ないと考えておるわけでございます。ただ、いまお話しのございましたとおり、たとえば弁護士と比較をいたしますと、これは非常に差があるわけでございますために、裁判官から弁護士のほうへ移っていく、あるいは司法修習生が弁護士のほうに流れるということのために、裁判官の充員がなかなかむずかしいという面が非常にあるわけでございます。御指摘の臨時司法制度調査会の意見の出ました後におきまして、たとえば判事補の初任給の引き上げ、あるいは簡易裁判所判事の一番最高号俸の引き上げ、あるいは管理職手当の本俸繰り入れというような、いろいろな給与面の改善の措置をしていただいたわけでございます。また、さらに定員的に申し上げましても、裁判官のみにつきましても、昭和四十年度予算におきまして、十六名、昭和四十一年度予算におきまして、二十七名の増員をしていただいたような次第でございます。そうして、これらの増員の裁判官は逐次充員されつつあるわけでございます。こういうことで次第に裁判官もふえ、また待遇もよくなり、事務も次第に円滑になりつつあると思うわけでございますが、ただいま御指摘ございましたとおり、たとえば道路交通関係事件としてみますると、四十年度におきましても、四百万件をこえるような件数が全国で出ておるわけでございます。これにつきましては、先般来いわゆる交通切符制というような手続も行なわれまして、それによって、いわば事務の合理化の面から訴訟の促進をはかるという方策も講ぜられてまいっておりまして、次第にその効果があがってまいっておるように思うのでございますが、しかしながら、今後ともますます増員あるいは施設充実等に努力いたしたいと、かように考えるわけでございます。  それからなお、ちょっとお話しのございました裁判官の退職手当の問題、これは人事局のほうの所管でございますが、私の承知いたしております範囲では、先般の国会でも、いろいろ附帯的な御決議もいただいたわけでございまして、目下法務省とも打ち合わせて鋭意検討中という段階でございます。
  171. 相澤重明

    ○相澤重明君 そうすると、いわゆる最高裁判所以外の下級裁判所についても、それにならうように検討を進めておる、つまりそういうふうな改善策をとるということをいま裁判所としては検討しておると、こう理解をしていいですか。その点はっきりしなければいかぬ。
  172. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) これは臨時司法制度調査会の意見もあることでございますので、何らかの改善方策を考えたいということで検討いたしておるわけでございますが、ただ、最高裁判所裁判官の先般の法律と同じような形でやることには、いろいろ問題点があるように思われるわけでございまして、それと同じ形ということではなくして、要するに、何らかの改善方策ということで広く検討いたしておる、かように御理解いただきたいわけでございます。
  173. 相澤重明

    ○相澤重明君 要は、最高裁判所の判事等に対する待遇改善を認めたことは、何も最高裁だけを神格化する、別格官幣社にしておるわけではない。つまり、そういう意味でいわゆる全部の裁判官等に対する待遇をよくしなければ、なかなか今日の扱い件数の多い中で事務が処理できないじゃないか、安心をして仕事ができぬじゃないか、こういうことを言っておるわけなんです。ですから、そういうことでやはり最高裁判所としては事務を進めるべきだと、まあこういうふうに私は質問を実はしておるわけです。そういう点でいまの答弁を前向きな答弁として私は受けとめておきます。以後はどうそれを具体化すかはよく見ておりますから。やらなければ今度逆にあなたがしかられるわけですから、その点はひとつ肝に銘じておくように。  それからその次に、定員が充足できないというような問題やら、いろいろな仕事を手伝ってもらわなければならぬという面があると思うのですが、ひとつこの点のお答えをいただきたいのですが、民間団体等に対する委託費、この民間団体等に対する委託費が二件あるわけですね。この中で弁護士会、いわゆる裁判所のこの委託費の中で、昭和三十九年度に弁護士会に対して司法修習生の研修委託費が六百万出ている。それから少年補導委託費が団体または個人ということで九千八十万六千円出ている。この司法修習生の研修委託費というのは六百万ぐらいで、これで一体どんなことをやっているのか。何回分のこれは委託費なのか。私がいままで大体判断しているところでは、大体四回ぐらいだと思うのだが、そうすると一回にわずか百五十万かそこらのわずかの金しか出ていない。一方においては判事やあるいは判事補等の、あるいは事務職員定員がふえていく。そうしてそういう人たちをできるだけ多くとっていこうというのに、実際にその委託費なんというものは幾らも出ていない。これで一体ほんとうのことができるのか、やる気があるのか、何かおざなりになっているような気がする。これは予算面から見て、私は委託費のこの内容から見て、最高裁としてはほんとうにやる気になっているのかというように思える。そういう点の委託費についてはどういう考え方でこれをやっているのか。それから少年補導委託費について団体または個人となっているが、この内容はどういうものか、これをひとつ説明を願いたい。
  174. 岩野徹

    説明員(岩野徹君) 司法修習生の補導委託費について御説明申し上げます。司法修習生は研修所及び裁判所、検察庁、弁護士会を通じまして、ただいま二年間の修習をやることになっておりますが、研修所がそのうち八カ月、裁判所が八カ月、検察庁四カ月、弁護士会四カ月と、かようになっております。その関係で実は二十四カ月のうち四カ月間の全修習生に対する補導委託費の計算になりまして、一期五百人のただいまの修習生の数と、これは二年間でございますから、一期、二期合わせますと千人ということになります。その千人のうちその者が四カ月間だけ弁護士会に世話になるという金額になるわけでございます。弁護士会でおもに使っていただきますのは、これは実際に会に所属しまして、具体的に日常の実務等については、むしろ先生の横にいてその活動を見るということで、特別先生に御迷惑をかけるような点はあまりないと思います。講師のための謝金とか、あるいは見学等に行っていただく、こういうようなときの謝金として考えられている委託費でございますので、それほど多額を要するわけでもございません。それから裁判所、検察庁の場合、これは国の行政の業務でございますので、その分には特別には委託費というものは出ておらないわけでございます。それほど多額は要らない計算でございます。補導委託費は、特に増額要求もあまり弁護士会からそれほど強い要望をまだ受けておりませんので、十分検討はいたしますが、十分実情に照応した姿で必要なものはふやしていかなければならないかと思いますが、それほど弁護士会に御迷惑をかけるほどの少額とも現在考えていないわけでございます。  少年関係につきましては、刑事局長のほうからお答え申し上げさしていただきます。
  175. 佐藤千速

    説明員(佐藤千速君) 刑事局長の佐藤でございますが、家庭局長が海外出張中事務代理を命ぜられて、数日前から実は家庭局の仕事をやっているわけで、正直申し上げますと、詳しいことは知らないので、数日前から熱心に勉強はしたのでございますが、その程度でお答えを申し上げるわけでございます。  この補導委託費でございまするが、これは少年法の二十九条に規定がございまして、二十五条の二項第三号の措置として、すなわち家庭裁判所が少年事件につきまして最終的に保護処分の決定をいたす過程におきまして、試験的にこの少年の身柄を委託する環境を調整して、そうして最終的な保護処分を決定するについての参考にするということであるわけでございまするが、その費用といたしまして、本年の一月現在において見ますると、この費用が年間約一億五百三十三万円くらいになるかと存じます。そうして、この予算上の単価について申しますると、約三百三十九円ぐらい、少年一人一日についてでございますが、三百三十九円ぐらいと、かようになると考えるわけでございます。
  176. 相澤重明

    ○相澤重明君 いまの四十一年度の少年補導委託費は一億七百三十五万四千円ですね。この弁護士会の司法修習生の委託費が六百二十四万、こういうことになっているわけです。四十一年度でいえばそういうことで、そのほか調停相談事業委託費が八十四万一千円というふうになっているわけですが、このいまの少年一人当り三百三十九円は、扱った人に対して三百三十九円を払う、いままで法務省関係で大体こういう保護観察のいわゆる保護司あるいは人権擁護委員等の額は大体六百円なんですね。こういうことで見ますと、裁判所のほうが出すのは安いんですね。こういうのは改善する気はないんですか。実際に法務省関係の同じような仕事をする人権擁護委員にしても、いわゆる保護司にしても六百円。これが裁判所へくると一人当り三百三十九円、ずいぶんきざんだものだと思うんですね。そういうことで実際に一生懸命仕事ができるかという気がするわけです。そういう点の改善策を考えているかどうかというのが一つと、いままで三十九年度にはなかった調停相談事業委託費を四十年から八十四万一千円計上して、日本調停協会連合会にこれは一任している。その内容はどういうものか。  それから先ほどの弁護士会に司法修習生の委託費を出したわけですが、三十九年度六百万を四十一年度二十四万ふやして六百二十四万にしておるが、先ほど五百人で二回で千人だと、年間そのうちどのぐらいの判事等になってくれる歩どまりがあるか。率直に言ってこれはやはりせっかく勉強をして、そうしてまた自分では判事になるつもりで勉強をされたけれども、結果からいって、この年間千人の人たちが確実にそういうふうに判事さんになっていきますか。そのことも含んでひとつお答えをいただきたい。  大体以上で私は終わりますが、答弁いかんによってはそういうわけにいかぬ。
  177. 岩野徹

    説明員(岩野徹君) 司法修習生のことに関して御説明申し上げます。結局六百万と申しますのは、修習生一人当たり一カ月三千円で、四カ月分で一万二千円、それが五百人分で六百万円でございます。四十一年度でふえましたのは、修習生の数が二十人ふえまして五百二十人となりましたために、その分が増額になったわけでございます。  先ほどの修習生の歩どまりとおっしゃいますのは、採用されておりますのがほぼ六十名ないし七十名というところでございます。まあ八十名になったりしておりますが、検察官のほうが四十名から五十名というところでございます。両方合わせますと百二、三十というところが国の職員になっておるということでございます。
  178. 佐藤千速

    説明員(佐藤千速君) 少年の委託費の問題でございまするが、先ほど申し上げました三百三十九円ぐらいと申しまするのは、実はこれは法務省傘下の更生保護会におきまする費用よりは若干上であるわけでございまするが、もちろんそれで私ども満足して何もしないというわけではございませんので、今後もその点については努力いたすつもりでございます。
  179. 岩野徹

    説明員(岩野徹君) 先ほどの御質問で、調停協会に対する委託費でございますが、これはいままで、その前年までは調停協会連合会に対しまして補助金が四百七十万程度ございましたが、補助金が出ておりましたのですが、補助金の整理の政府の方針に従いまして、補助金でなくなったわけでございます。その点で調停協会が従来行なわれておりました業務のうち、国が代行できますものは国のほうで引き取りまして、あと調停協会の活動にお願いしなければならない分につきまして、その費用を裁判所のほうから支出する形で、従来の補助金当時に行なわれた業務内容だけは実質的に確保するということで、そういう費目が出てきたわけでございます。
  180. 相澤重明

    ○相澤重明君 終わりたいと思ったのだが、どうもこれはさっきの答弁でいくと、せっかく司法修習生を養成しながら歩どまりがたいへん悪い、これはどこに原因があるか、こういうこと、やはり待遇の問題じゃないですか。実際の問題として、待遇がよければ、そんなにせっかく自分で法律を勉強して、その道で進もうと思った者が途中で意思を変えるということはないでしょう。そういう点で、私はやはり地道で、しかも実際に扱い件数がたいへんに多い裁判所のこの審理の状況を見ていくと、判事等が非常に足りないということが、そこに原因しているのじゃないですか。だからもちろん合理化も必要でしょう、いろいろな事務的なものについては進める道はあると思うのですが、裁判は判事がいなければこれはできないじゃないですか。そういう点でやはり私としては、裁判官を充足する、むしろ定員をふやしていく——扱い件数がふえたらふやしていくというのが政府で、最高裁判所でそういう方針をとらなければやはり裁判が長引く、だから民事なんかも七年も十年もかかってしまうというようなことになってしまうんですよ。そういう点で改善をする意思があるかないか、こういうことはきわめて大事なことですから、いまひとつこれは答弁を聞きたいと思うし、それから私の質問を終わるわけですから、その次に聞いておきたいのは、法務省関係でいわゆるいろいろな書籍を発行したり、配付をしたりしているわけだ、ところがそのものを見ると、高最裁判所とか高等裁判所、あるいは下級裁判所の刑事裁判例集、各国の法令集、こういうものを見ると、どうも裁判関係の刊行物や図書配付が少ないのじゃないですか。いま一体判事等に対する勉強する資料というものをどういうふうに配付しておるのか、個人の負担にすることになればこれはたいへんな額になってしまうんですね、だから少ない給料の中で高い本を買わなければならない、こういうことになればだんだん裁判官になり手がなくなりますよ。やはり法律を勉強しなければならぬ裁判官の立場からいうと、できるだけ、国会で法律が通れば、それを整備したものを配付してやる、外国図書も購入してやるというそういう考え方でなければ、自分の身銭を切って図書を買わなければならぬ、勉強しなければならぬ、こういうことであってはいかぬと思う。これは私の一覧表です。内閣から出してもらったいろんなものを見ると、裁判官に対するものは少ないのではないですか。他のものから見て、そういう点から見て一体最高裁判所は何をやっておるのか、こういうふうに私は思うが、そういう裁判官に対する刊行物、図書の配付等について、あるいは最近のそういういろんな勉強するものについてどういうふうにしておるのか、これもひとつあわせて御答弁いただいて私は終わります。
  181. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) ただいま相澤委員からお話ございました増員の問題、資料の問題、ことごとく私ども全く同感でございまして、またその方向で、その線に沿って従来も努力してまいっておりますし、今後とも一そうの努力をする覚悟でおるわけです。その要点を簡単に申し上げたいのでございますが、御承知のとおり国家公務員の定員につきましては、御承知のとおりの閣議の抑制措置があるのでございます。そういう状況のもとにおいて、私どもとしては最大の努力をして、昭和三十九年度、四十年度、四十一年度、いずれも裁判官の実質的な増員予算を計上していただき、国会で御承認いただくという関係になっておるのでございます。何ぶんにも先ほど来お話ございました充員の関係がございますので、大幅に一挙に百人、二百人と増員をいたしまして充員できません関係で、自然三十人、二十五人というような増員になるわけでございますが、そのかわりに増員していただきました分は、できるだけ充員をはかって、そうして全力をあげていく、かような考え方で従来ともやってまいっております。今後ともますます増員については努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。その点につきましては、確かに給与問題が関係することも当然でございまして、先般来私どもとしても、裁判官の待遇改善については十分の努力をしてまいっておるつもりでございますが、今後とも一そう国会の御支援をお調いしたい次第でございます。  それから資料の点でございますが、これはいまお話のございました最高裁判所、あるいは高等裁判所の判例集等につきましては、これは完全に個人に支給いたしておるわけでございます。裁判官に国家の費用で支給いたしておるわけでございます。なお、六法全書等もさような措置を講じておるわけでございます。それからその他の一般の図書、これは御承知のとおりいまお話のございましたように、裁判官が執務するにつきましては、法律図書が非常に必要というところから、臨時司法制度調査会の意見の結果によりまして、昭和四十年度予算で、いわゆる研究庁費一億八千万というものを計上していただいたわけでございます。これは金額的には一億余りのものでございますけれども、庁費の形で入れていただきまして、これの大部分のものは図書の形になりまして各裁判所に行っております。そしてあるいは東京地方裁判所の刑事部を一度御視察いただきますとありがたいわけでございますが、画期的に、前と比べますと飛躍的に図書、資料等が裁判官室に充実してまいっておるのであります。これは継続費ということでございまして、いまのところはまだ十数庁程度でございますが、今後これを毎年計上していただきますれば、十年くらいのうちに、あるいは五年くらいでおもなところは完成すると思うのでございますが、そのくらいの期間のうちに裁判官室の図書は充実すると、かような見通しで努力しておるのでございます。今後とも一そう御支援をお願いする次第でございます。
  182. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 いま相澤さんから非常に貴重な御意見があって、お聞きしておったんですけれども、そのとおりなんですけれども、これは国会議員にもぼくは責任があると思うのです。国会議員は、法務委員会というものは希望者が全然ないわけですが、ほとんどないし、あったってほとんど出て来ないわけですが、そういう行き方が原因なんで、これは直さなければいけないと思うのですが、それはここで話すことじゃありませんけれどもね。  別なことですけれども、少年法の改正の問題が非常に出てきておるわけですが、これに対して最高裁が、この前高裁の長官と地裁、家裁の所長の合同会議ですかを開いたわけですが、これを開くに至った趣旨と、その中で出てきた考え方というか、おおよその結論といいますか、そういうふうなものを事務総長のほうから簡単に御説明を願いたいと思います。
  183. 岸盛一

    説明員(岸盛一君) 少年法の改正問題につきましては、多年にわたりまして裁判所と法務省との間でいろいろ意見の交換がなされております。先般五月の末に法務省がいわゆる少年法改正構想、いわゆる法務省試案というものをおつくりになって、世間一般の世論をも聞きたいということで広く世の中にお配りになったわけです。その中の一つの最も関係の深い裁判所へもそれが示されまして、裁判所の意見を聞きたい、こういうことでございます。  そこで、最高裁判所では、事務総局内に、事務総局のメンバーとそれから在京の実際の実務家の裁判官六名、調査官研修所の所長を加えました十六人からなる少年法改正問題協議会というものをつくりまして、短時日の間ではございましたけれども、鋭意法務省の構想の基本的な問題について討議いたしました。それと同時に、全国の高裁長官と独立家裁、つまり専任の家庭裁判所の所長、それから主要都市の併任の家裁所長の会同を開いて、この法務省構想に対しての意見を求めたわけでございます。その趣旨は、先ほど申しましたように、やがて最高裁判所が法務省に対しまして正式に裁判所としての意見を表明しなければならないわけでございますので、その意見を打ち出すための参考として協議会あるいは会同を開いたわけでございます。そこで、協議会ではまだ中間報告というものは出しておりませんけれども、大体基本的な問題についての討議が相当進んでおります。その協議会における討議の模様と、会同の際における意見とがほぼ同じ傾向をたどっておりますので、両者をあわせて法務省構想案に対してどういう点が問題になっておるかということをこれから簡単に申し上げたいと思います。  まず、法務省構想案を批判する前に、裁判所としまして、今後家庭裁判所の充実をはからなければならぬということは、これはみな考えておることでございますし、また運用の問題も現状をもって満足しておるわけではなくて、運用の改善すべき点については、今後十分それをやっていかなければならぬ、そういうことが前提となっております。その上で、法務省構想案の青年層の設定と検察官先議について、これは御承知のとおり、年齢を十八歳まで引き下げまして、二十三歳までの間の層について検察官のいわゆる先議権を認めよう、したがいまして、少年法の適用を受ける年齢は満十八歳未満ということになっているわけでありますが、この構想につきましては、協議会におきましても、また会同におきましても、ほとんど一致した強い反対意見が述べられております。いろいろ論議されましたが、大体法務省の構想では、青年層の設定と検察官先議権というものは結びつけられておって、年長少年を刑事処分にするか、あるいは保護処分にするかのふるい分けを検察官に行なわせようとするわけでありますが、少年についてどういう処遇をするのが適当か、すなわち、少年を刑事処分にするのが適当か、あるいは保護処分にするのが適当か、ここでいう保護処分ということばは、法律でそういうことばを使っておりますので、これは誤解を招きやすく、家庭裁判所は少年を甘やかすというような批判も一部にはございますが、その点は、反省すべき点は反省しなければなりませんけれども、ここで言う保護処分というのは、少年の再非行防止のための健全育成、そのための矯正的な教育、そういうものが内容になるわけでございますが、それがどちらが適当かという判断は、その少年の非行事実の有無についての正しい審査と、それから何と申しましても、少年の犯罪の原因は環境とその資質、つまり精神薄弱者が多いのですが、そういう非行事実の有無についての正しい審査と環境調査、あるいは資質に関する公正な調査を前提として初めてこのふるい分けが可能なわけであります。そうして、このような正しい事実認定と公正な調査はやはり司法機関である家庭裁判所が行なうのが最も適当である。家庭裁判所以外にその役割りを果たすところは考えられない。もしかりに、検察官がこのような役割りを担当するとしますと、非行事実についての裁判官の審理が始まる前に検察官の調査が行なわれることになる、これは適当ではない。つまり家庭の秘密やプライバシーに重要な関連のある調査捜査の段階で検察官によって行なわれることになるじゃないか。その調査は、さらに保護者や関係者にまでも及ばざるを得ない。その結果、これらの者は、被疑者に対する起訴、不起訴の権限を背景に持っておる検察官によって、一身上のさまざまな秘密をおかされることになって、これは人権保障の点から言って問題じゃなかろうか。またこればかりではなくて、社会調査や資質の鑑別というものは、事件捜査ないし訴追機関の手を離れて裁判所に係属してから初めて審判のために行なわれるというのがこれが筋である。そういうわけで、との構想にはどうしても納得できない。少年事件に関する検察官の関与−もちろん少年犯罪についても社会防衛という点を無視するわけにはまいりません。そのための検察官の関与の程度は、検察官が審判手続へ関与する機会をある程度拡大することによって十分ではなかろうか。いろいろな意見がありましたけれども、大体そういうふうなことに結論がなっておりました。  それから審判手続の改善につきまして、家裁の処分に対して検察官に不服申し立ての道を開くということは、これは認めてもよいという意見が多数を占めております。しかし、抗告権を認めるにしましても、全部の事件についてではなくて、たとえば刑事処分担当の検察官意見が付された事件を家裁が刑事処分に付さなかった、それがあまりにも不当である、こういったような場合に認めるのが適当じゃないか、そういう不服申し立て権はある限度において認めてよろしい。検察官の審判手続の立ち会い権についてでありますが、これは検察官に意見陳述の機会を持たすということは、これは十分考慮検討されてよろしい。しかし、少年審判の教育的な場としての特色、少年の情操保護という点からして、審判の場で少年と検察官とが相対立して相争うような性格を持たすべきじゃない。したがってそういう対審構造をとるような検察官の立ち会い権は認めることには疑問がある、そういうことでございました。なお国選付添弁護人制度については、これは裁判所も大賛成でございました。  次に、保護矯正執行面の改善の問題、保護処分の多様化、またこれらも全員賛成でございました。なお執行面の充実、これこそ目下の急務じゃなかろうかということが強く強調されたわけであります。実際の問題として、少年のための収容施設や保護観察の制度が非常に不備である。そのことが家庭裁判所が事件の適切な処理をするのに大きな支障になっておる、支障を生ぜしめておる。そこにこの現行少年法の運用をゆがめる根本的な原因があるのではないかということも指摘されたわけでありまして、その保護矯正執行面の改善については、これはかねてから裁判所側も強く要望していたところでございました。その点について積極的にその改善をはかるべきであるという強い意見が出たわけであります。  それから調査機構の改善につきましては、これは調査は先ほど申しましたような性質のものでございますので、裁判官からそれを離してしまう、つまり裁判所から独立の調査機構を設けるということには、これを支持する意見はございませんでした。これが協議会、それから会同において述べられた意見の大要でございまして、これからなお最高裁判所といたしまして検討を続けて、一、二カ月先に正式な裁判所側の意見をつくりまして、そうしてやはり世の批判を受けて、そうしていろいろ御意見を聞いて法務省との調整をはかりながら実効のある少年非行対策を考えていきたい、こういう現状でございます。
  184. 稲葉誠一

    稲葉誠一君 それだけの権威ある人が集まっていろいろ協議をされて、一応の結論とは言えないにいたしましても、結論らしきものを出して、これはプリントして新聞社に発表したというようなこともちょっと聞いておるのですが、いずれにいたしましても、二、三カ月後に正式な見解が発表されるとしても、いま言われた基本的な点については、これは最高裁としてはもちろん最高裁判所の裁判官会議の決を経なければならないとか、いろいろな問題プロセスの問題は別として、基本的な問題については、いま言われたことは、今後最高裁の態度として変わりはないんだというふうに承ってよろしいですか、多少の事務的な点やなんかは別としてですね。
  185. 岸盛一

    説明員(岸盛一君) 最高裁としての最終意見は、ただいま御指摘のとおり、最高裁判所の裁判官会議におはかりしなきゃなりません。しかし、この実際事件と取っ組んでおる実務家の意見というものは最高裁判所の意見を形成する上においても十分どころか、十二分にしんしゃくされると思います。
  186. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は二点について時間の関係から簡単にお聞きしたいと思います。  第一の問題は、今度のILOの執行に伴う政令の問題ですね、これはわれわれは基本的に賛成するわけにはいかないのですが、これによって管理職の範囲を近く決定するという現実的な動きがあるわけです。そこで第一にお聞きしたいのですが、これは一般公務員の場合は一応公正な第三者機関ということになって、実際は人事院がこれの実施に当たっている。ところが、裁判所関係では使用者であるところの最高裁みずからがこれに当たる、こういうことになるわけですね。そうしますと、ここでやはり第三者的なそういう立場をとることは非常に不可能になってくるのですから、この執行に当たっては非常に慎重を期すということが私は必要だと思うのでありますが、この点についてまずどうお考えになるかお伺いしたい。
  187. 岸盛一

    説明員(岸盛一君) 裁判所の特殊的な性格から、裁判所における管理職の範囲は、裁判所みずからがきめるということは、まことに仰せのとおりであります。それに関する基準になるような人事院規則が出ることになっておりますが、まだそれが発表されておりません。あるいはきょうあたり発表されたかもしれません。もちろんそれを十分に参考にいたしまして、それから職員組合と十分協議し、そうして裁判所の特殊性を考えながらその範囲をきめていきたい、こういう基本的な考えでございますが、今日までにはまだ組合側との話し合いが済んでおりませんで、その経過は人事局長が当たっておりますので、人事局長から何なら御説明させたいと思います。
  188. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) ただいま岩間委員から御指摘のとおり、この管理職の範囲いかんという点につきましては、非常に重要な問題を含んでいるわけでございます。したがいまして、私どものほうといたしましては、全く公正な立場から十分検討を続けなければいけないという立場をとりまして、まず人事院規則が出たあとで、これを参考にしつつ組合の意見を聞きつつ、いろいろと検討しようかということも最初考えたわけでございますけれども、しかしながら人事院規則がなかなか出るのが手間どっているような感がいたしましたので、それに先立ちまして組合の方々と話し合いまして、そうして現在まで四回、昨日も午後の九時ごろまでいろいろと話し合ったわけでございますが、約四回そういう点について意見を聞きまして、そうしていずれ人事院規則も出ることでございましょうし、それらいろいろな問題点を慎重に検討いたしまして、案を作成いたしたいとこう存じておるわけでございます。
  189. 岩間正男

    ○岩間正男君 裁判所の特殊性ということが先ほど言われましたが、むろんいろいろ仕事の上で責任者をきめる管理職というのも、これは数が多いのかもしれないという特殊性がある、ある課のごときは八人のうちいま考えておられる最高裁当局のやり方だと、五人までがこれに入る、そういうところが出るそうですが、そういうことを聞いているのですが、しかし同時に私は最高裁は国の法律を守る一番張本人ですから、したがって団結権、それから労働者の利益をほんとうに守るという立場、労働三権を尊重するというこういう特殊性があるのだという点を私は強調したいと思います。ところでいままで聞いてみますと、三十日の段階で、団交を通じて管理職の範囲にきめているのは、当局側の発表によると、定員が二万八百四十九人ですか、その中で四千七百九十四人になるというのですね、該当者が。そうすると、これは定員の二三%ということになる、これはたいへんなことです。これになればもう実際は性格が根本的に変わってしまうのじゃないかと私は思うのですね。こうなってみると、明らかに団結権をそこなうということに私はなると思うのです。言うまでもないことですけれども、ドライヤー報告の第二千二百二項、この中には、本委員会は、管理職員等の範囲を、各職員団体から現在あるいは将来の組合員の相当な部分を剥奪することによってその団体を弱化させるほど広範囲に定員にすべきではない、こういうことが特に規定されているわけですから、そういう精神にも私はこういうやり方でいったら反するというふうに考えるわけです。先ほどこういう点から人事院の基準が一応出たらそれに即応して考えたいというお話がありましたが、これは人事院で出ているんじゃないですか。大体一般公務員の場合について全体の定員の何%ぐらいというふうにお聞きになっていらっしゃいますか。
  190. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 先ほどから申し上げました組合との意見の調整、これは三回までの間は、要するに現在の棚上げされている国家公務員法の施行はILO条約に違反するので、これは憲法にも違反するし、条約にも違反するし無効なんだ、したがってそれを前提とする管理職の決定については具体的な意見を述べることができないのだというような点が中心として問題になってまいりました。それについて相当の時間を要したわけなんでございますけれども、その後ようやくにして具体的な事項について検討が進められるような段階に入ったわけでございます。で先ほども申し上げましたように、個々に組合の意見を十分に聞くということは、こちらのほうの確定案を向こうのほうに示しまして、そしてそれについて組合の意見を聞くということではなくて、いろいろと問題を蔵するような点もありましょうけれども、いろいろな職についてそれを一応取り上げまして、素材としてこれについてはどうだろうかということから話し合いを進めていくというところで、御承知のように人事院規則もまだ私のほうはそれが発表になっておるということも聞いておりませんし、そういう段階で十分に意見を聞こうというところで、いろいろな職種についてそれを提出いたしたわけでございまして、いまおっしゃいました二三%という範囲がそれが全部確定する、これが最終的なものであるというような趣旨で、組合の意見を聞いておるわけではないわけでございまして、この点は組合のほうに対しても十分その趣旨を申し述べました上で、これについて意見を聞かせてくれというように話し合っておるのが現状であるわけでございます。
  191. 岩間正男

    ○岩間正男君 最初に断わったように、私たちは管理職を大幅にきめるというような今度の政令には、これはもう基本的に賛成することはできない。ただ現実がこれをこえて強行しよう、こういう中で人事院の一つの基準、そういうものよりももっとやはり法を守る立場から私は当然裁判所なんかでは考慮すべきだということを主張しているわけです。人事院は大体七月一日の現在で定員の八%から九%ですよ、そうすると大幅に違いますよ。これは二三%というこういう案というのは、全く先ほどからのいろいろ述べました点に反して、非常にこれはやはり違反してくる。そして実際は組合そのものの機能というものを奪うという結果になることは明らかだと思うのですね。いろいろあなたたちの示された案というものもこれは私たちも一応参考に見せてもらっているわけですけれども、ずいぶんいろいろなものが入っていますな。課長補佐、係長、タイピストの監督的地位にある者、それから交換手、印刷工の組長、車庫長、車庫副長、組長、それから課長、それから廷吏長、廷吏長に準ずる者というようにあげていきますと、これはやはりたいへんなことになるのじゃないかと思います。これでもって裁判所の階級性を復活するような、ますます強化していくというような、その土台の上に裁判が私は構成されるということが、日本の一体憲法と照らし合わせてどうかという問題が重大だというふうに思うんです。その被害というものはどこへくるかといえば、われわれ民衆が被害を受けるんです。そういう点で過去に戻るような傾向をとるという今度のやり方については、非常にこれは批判の多いところです。ことに法を守る地位、法の番人としての最も張本人の一番本拠がそういうことをやったということでは、これは非常に及ぼすところはたいへんなことになるんですから、私たちはそういう点で、この点については慎重に考えるべきだというふうに思うわけです。われわれその内容についてどうだこうだということを私たちは言おうとはしておりません。しかし、そこには一つの標準というものがあり良識というものがあるだろう。あなたたちの誓う特殊性というものを逆に都合のいいように解釈しないで、ほんとうに法を守るというそういう特殊的の立場から、日本の民主主義を守るんだという立場から、やはりこれは労働三権を保障するという方向に当然基本的な態度を置くべきだと思うんです。この点どうですか。この点について明確に私はあなたたちの確認を得たいと考えるんですがね。
  192. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) ただいま仰せのありました二三%という範囲を前提としていろいろと御意見が出ておいでのように承ったわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、二三%というそのものは、これは一応とにかく素材として、これについて意見を交換しようじゃないかというところの素材でございまして、それそのものでは決してないわけでございます。そうしてただいま八%ないし九%というような。パーセンテージのお教えがございましたが、昨日組合から聞いたところでは一〇%ないし一一%ということで……。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 七月一日現在でまた変わってきた。
  194. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 変わりましたか。しかしいずれにいたしましても、人事院規則が出ました上で、その規則の内容等も十分検討いたしまして、その上で十分公正な正しい立場で案をつくりたい、こういうように考えておるわけでございます。
  195. 岩間正男

    ○岩間正男君 私が要望したいのは、組合とやはりとことんまでひざを突き合わせて話し合ってほしいと思いますが、この点確認できますか。いかがです。
  196. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 来週の水曜日、それから金曜日、この両日がもうすでに入っておりまして、十分話し合いたいというように約束ができておるわけでございます。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは最終決定の大体のめどはどういうところに置いておる——いつごろ最終決定が出る予定ですか。
  198. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) めどと申されましても、これははなはだいまの段階では申し上げることが、正直ちっとも包み隠さないでむずかしいのでございまして、要するにもっともっと練りまして、そうして十分な成案を得た上で確定案をつくりたいということは、これはお約束できると存じます。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはないほうが一番望ましいんですから、ほんとう言えば。だから私たちは別に希望しておるわけじゃないのですが、ほんとうにお互いに納得のいける線、そういうものをさがすために努力をしてほしいと思う。  第二の点ですが、これも時間の関係から簡単にお伺いしたいと思います。それは裁判官の言動の問題です。また裁判官の中には憲法の精神を逸脱したような、そういう言行をする者があると思う。しかしこれは個人のことですから、個人の思想、信条の自由という点から、私は裁判官としての個人がそういうことをやっていることについて私はとやかく言うのではありません。ところが、裁判官である地位、そういうものの上に立って、そうして超国家的な思想、あるいは反共思想、あるいは民主勢力——これはいま申し上げる中には、われわれ共産党を批判し社会党を批判したりした、そういうパンフがあるわけですが、こういうような行動についてはこれはどういうふうにお考えになっていますか。一般論だからお答えしにくいかもしれませんけれども、原則としてどういうふうに考えておりますか。
  200. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 御承知のように裁判所法には裁判官は政治的活動をすることができないということがきめられておりますし、また、実際問題といたしましても、裁判官が特定の政党について、それを誹謗するというような発言をするというようなことは、まあ私どもとしては考えられないのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでございます。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 適格じゃないということになりますね。もっとも、これは訴追委員会の議題になりそうな人なんで、なりつつあるのでありますけれども、そういう言動を露骨にやっているところがあるわけですね。これについては監督指導の立場はだれがとるのですか。最高裁長官ですか、どういうことになっておりますか、監督指導の立場をはっきりしておいてください。
  202. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 裁判官会議において監督の措置をとるということになっております。
  203. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記をとめて。   〔速記中止
  204. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  205. 岩間正男

    ○岩間正男君 飯守重任、この人はどこでいまどんなことをやっていらっしゃいますか。
  206. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) ただいま鹿児島地方裁判所兼家庭裁判所の所長をなすっておいでになる方でございます。
  207. 岩間正男

    ○岩間正男君 この裁判官の言動については、いままで最高裁のほうで問題になった事例はございませんか。
  208. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) はっきりした日時等の記憶は、私としては思い出せないわけでございますけれども、数年前に同裁判官の発言について問題になったことがあるというように記憶いたしております。
  209. 岩間正男

    ○岩間正男君 そのときどういう、たとえばこれについて注意をするとか、そういうことはありましたか。
  210. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 長官からその発言について注意があったというように記憶しております。
  211. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここに裁判所広報、昭和四十一年一月号鹿児島地方家庭裁判所事務局総務課、これは一種の公文書ですね。これが二月号三月号とずっと出ているわけですね。この中に、これは一々ずっと読むひまがないわけですけれども、とにかくひどいですね。これは日本の憲法否定の精神だと言わざるを得ないのだね。これはあなたのほうに届いておるのですか、これはどうですか。
  212. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 私どもの目にはまだ触れておりませんでございます。おそらく岩間委員のところに届いたのがあるいは最初かもしれないというふうに思うわけであります。私どものところには全然届いておりません。
  213. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、これは指導監督上の問題になりますね。こういうものが公然と出されておって、しかも、これが横行しておって、われわれの手にも入った、こういうことになるんですからね。一節だけ読みましょう、参考に。具体的に読まないと……、「次に大東亜戦争の第二の性格は、東洋史上日本だけが列強の植民地にされることを免れたため、日本国民は植民地化されたアジアの諸国民に深い同情を寄せて、日本の米英に対する自衛的戦争の機会が、アジア諸国を植民地の束縛から解放しようとしたもので、植民地解放戦争の性格をもっている。少数の野心家は別として、日本国民全体の意図したのは、岡倉天心のアジア解放の思想と同一であり、そのため天心の「アジアは一つである」ということばが大東亜共栄圏などということばと共に、日本国民のアジア解放の正義感を表現していた。勿論日本の戦争遂行に当っては多くの矛盾したところはあったが、日本国民の意識としては、自衛と植民地解放の意思があっただけであって、侵略という主観的自覚はなかったと見るべきである。植民地解放という日本の善意は、戦後結局実現した。日本の大きな功績をも見なければならない。」、こういうような太平洋戦争のこれは戦争観ですね。この中にはたいへんなものが抜けております。これは階級的な視野なんていうのはないのだから。私はこの人が野にいて自由にこういう評論をすることについて、これ自身は思想戦の中で戦えばいいわけです。それから裁判官としては、やはり終身官としての立場から、これはやはり個人としての言行にもある程度の制約はあるのじゃないかというふうに考えるわけですが、そのことはさておくとしましても、少なくとも職務における広報です。裁判所の広報の中でこういうものが——もうこれは赤紙をずっと張ってきてあるわけですが、こういうところはみな抵触しますよ。これは憲法否定なんだ、憲法で選ばれた裁判官が大きなつらをしてこういうものを書くというこの矛盾については気づいてない、この太平洋戦争そのものを評価しているわけだ。民族を解放したなんて言っている、日本の侵略はなかったと。日本の帝国主義の存在なんというものについては何ら無知識を呈している、こういうものが現に裁判所の現職の一環にあることを一体許すことができるかどうか。当然これは訴追委員会の発動を求めざるを得ないものだというふうに考えるのです。これは一例です。これは極端な一例だと思いますけれども、こういうような気違いじみた存在を許すことはできないと私ははっきり言っていいのじゃないかと思いますが、これについて、これは最高裁の立場ですね、裁判官会議として、これはやはりはっきり明白にあなたたち自身の内部的な監査によって明らかにすべきじゃないか。訴追委員会の発動を待つまでもないと考えるのですが、いかがでしょうか。
  214. 矢崎憲正

    説明員(矢崎憲正君) 裁判官がいかなる範囲でいかなる点について発言ができるかどうかという点については、いろいろと問題があると存じます。私どもといたしましては、ただいま岩間委員からの御発言がありました資料も全然見ておりませんので、十分それを見て考えたいと存じます。
  215. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間がないので、簡単に二、三問質問したいのです。  裁判の滞りがあって国民が非常に迷惑している、こういうようなことをよく聞くのですが、最高裁としてはどのような施策をお持ちでしょうか。
  216. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) いま黒柳委員からお話がございました訴訟の遅延の問題でございますが、これは前々からいろいろ問題のあるところでございまして、先ほど来いろいろお話のございました臨時司法制度調査会の意見におきましても、その点の対策ということが最も大きな問題として出ていたわけでございます。そこで私どもとしては、これは臨時司法制度調査会というものは内閣に置かれました非常に権威のある調査会であり、そうしてまたその中には単に法曹ばかりでなく、たとえば国会議員の皆さま方も大ぜいお入りになり、また学識経験者も大ぜいお入りになっておりますので、その意見を尊重いたしまして、これをできる限り実現するということを基本的な考え方といたしておるわけでございます。ただ、実際の実施面におきまして、いろいろ各方面の具体的な点についての反対意見等もございます関係で、十分思うようにその作業は進んでおりませんけれども、基本的にはさように考えておるわけでございます。
  217. 黒柳明

    ○黒柳明君 一審と二審の平均審理期間を見ますと、一審より二審のほうが相当長くなっておるというのが、これは調査室の資料にもそう出ておりまして、三十八年、九年の一審の平均審理期間はどのくらいの期間になっておるのでございますか。
  218. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) これは一審、二審と申し上げましても、一審の中にも簡裁と地裁とあるわけでございますが、たとえば昭和三十九年度の統計によって見ますと、簡易裁判所では民事は大体五・七カ月、それから刑事は四・二カ月というような数字になっておるわけでございます。地方裁判所におきましては、民事のほうは十一・九カ月で刑事のほうが五・九カ月、こういうような数字でございます。さらに控訴審の高等裁判所でございますが、高等裁判所の刑事のほうは六・三カ月でございますが、民事のほうはやや長期でございまして、十七・五カ月というのが平均審理期間になっております。
  219. 黒柳明

    ○黒柳明君 先ほどから裁判官の欠員の問題がいろいろお話がありましたですが、一審のほうが多くて、高裁のほうが人が少ないんでそういう現象があらわれると、こういうことですか。
  220. 寺田治郎

    説明員(寺田治郎君) これは実は率直に申し上げまして、私ども数年来第一審強化ということを非常に力説してまいったわけでございます。現在の訴訟の手続におきまして、ともかく国民がまず裁判を受けるのが第一審である。そこで相当多くの事件が確定するわけでございます。上訴率は三割とか申しておりますけれども、これは判決のありましたものの上訴でございますから、そのほかにいろいろな形で確定する、終結する事件がございますので、実際の一審にまいりました事件の中で、上訴審へまいりますのは一割にも満たないくらいの数字であろうと思います。そういうことで、何といっても第一審をしっかりしなければ、国民の権利保護にも十分でないということで、いろいろ予算措置もいただいて、第一審の強化に力を注いでまいったわけでございます。そういう関係で、やや控訴審が手薄になる、高等裁判所のほうがやや手薄になるというようなことになったのではないかということを反省いたしまして、昭和四十一年度予算におきましては、高等裁判所の増員ということについて相当な予算を計上していただいたということになるわけでございます。  ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、高等裁判所に欠員があるということが、直ちにその高等裁判所が非常に手薄であったというわけでもございませんで、御承知のとおり裁判所法で、地方裁判所の判事あるいは判事補が高等裁判所の職務代行をするということが認められておりまして、これも大幅にその措置をとっておるわけでございます。で、現地の実情によって、地方裁判所の定員として配置してはあるけれども、しかし高等裁判所に事件がたまっております場合に、高等裁判所長官の措置によりまして、高等裁判所に応援させると、こういうことは相当大幅にやっておりますが、定員にあらわれておりますほどの差はないわけでございますが、多少この審理期間のところにあらわれてまいりましたような感じがあるわけでございまして、その点を四十一年度予算以降においては大幅に修正してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  221. 黒柳明

    ○黒柳明君 まあ具体的にここで事例を出す時間もないので、また後日に譲りたいと思いますが、ともかく憲法三十七条に公平、迅速、その二つの点がうたわれておるわけですが、裁判官の配置の問題によって、それで裁判の迅速性が欠除して国民に迷惑をかけると、こういうことはうまくない、こう思うわけですから、ひとつそういう点に対して、まあ四十一年度から予算の増額とともに相当な手を打たれることを期待して、ひとつ迷惑をかけないような裁判というものをやっていただきたいと、こうお願いしてやめます。
  222. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時四十八分散会