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1966-06-30 第51回国会 参議院 決算委員会 閉会後第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月三十日(木曜日)    午前十時二十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         鶴園 哲夫君     理 事                 相澤 重明君                 二宮 文造君     委 員                 黒木 利克君                 高橋文五郎君                 内藤誉三郎君                 野知 浩之君                 山崎  斉君                 山本茂一郎君                 稲葉 誠一君                 大森 創造君                 柴谷  要君                 中村 波男君                 黒柳  明君                 高山 恒雄君                 岩間 正男君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        国 務 大 臣  安井  謙君    事務局側        常任委員会専門        員        池田 修蔵君    説明員        人事院事務総局        職員局長     大塚 基弘君        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        公正取引委員会        事務局長     竹中喜満太君        警察庁刑事局長  日原 正雄君        法務省刑事局長  津田  實君        大蔵省国有財産        局長       松永  勇君        大蔵省銀行局長  佐竹  浩君        大蔵省証券局企        業財務課長    安井  誠君        国税庁直税部法        人税課長     茂串  俊君        厚生省政務次官  佐々木義武君        厚生大臣官房長  梅本 純正君        厚生省薬務局長  坂元貞一郎君        厚生省児童家庭        局長       竹下 精紀君        厚生省社会局長  今村  譲君        農林政務次官   後藤 義隆君        農林省農地局管        理部長      中野 和仁君        農林省畜産局長  桧垣徳太郎君        林野庁長官    田中 重五君        建設省計画局宅        地部長      井上 義光君        建設省河川局長  古賀雷四郎君        労働省労政局福        祉共済課長    長谷川 操君        会計検査院事務        総局第一局長   斉藤  実君        会計検査院事務        総局第三局長   佐藤 三郎君        会計検査院事務        総局第四局長   小熊 孝次君        会計検査院事務        総局第五局長   保川  遜君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○昭和三十九年度一般会計歳入歳出決算昭和三  十九年度特別会計歳入歳出決算昭和三十九年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和三十九  年度政府関係機関決算書内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産増減及び現在額総計算  書(内閣提出) ○昭和三十九年度国有財産無償貸付状況計算書  (内閣提出)     —————————————
  2. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  これより昭和三十九年度決算外二件を議題といたし、前会に引き続き総括質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 大森創造

    大森創造君 私は、前回と、その前の委員会で、栃木那須の問題について林野庁公取にお聞きをいたしました。で、その後私のところに氏名住所入り投書などがたくさん参っておりまして、私のしゃべったことに偽りはない、という確信を得ました。それで、それぞれの投書責任を持つということを言うておりますので、ほぼ私の申し上げたことは事実だろうと思います。いずれも国有財産の厳正な管理を要望しております。  しかし、この問題についてはなお時間がかかりますから、きょうは時間も制限されておりますので、この問題は一応きょうは公取の問題にとどめておきたいと思います。  そこで、きょうはここに示しました熱海伊豆山の問題について質問をいたしますが、その前に、前回委員会公取のほうにお願いしておきました、誇大広告なり誇大宣伝なりしました不当表示法違反容疑の問題について、公取はいかがお取り調べになりましたか、その経過をお伺いいたしたいと思います。
  4. 竹中喜満太

    説明員竹中喜満太君) 先般申し上げましたとおり、今月の十四、十五、十六の三日間、私どものほうで本件を担当いたしております取引部景品表示課課長以下五名が現地へ参りまして、現地調査いたしますとともに、宇都宮地方法務局那須出張所東電出張所、それから那須郵便局栃木県庁、これらのところへ参りまして、所有権確認を行ないあるいはいろいろ事情を聴取いたしました。法務局関係土地台帳登記簿関係で私のほうで確認したところを御参考までに申し上げますと、那須高久地区美福株式会社所有しておりました土地は二百三十万坪と俗に言われておりましたけれども、これは百九十五万三千六百坪、このうち藤和不動産株式会社に譲渡いたしましたものが五十三万七千三百坪、この五十三万七千三百坪のうち二十八万坪をすでに第一次、第二次、第三次、第四次に分けまして分譲をいたしております。それから美福所有となっておりますものが現在四万九千八百坪、これは抵当権が設定されております。それから高根沢幸吉ほか十二名、これは共有になっておりますが、これに譲渡しましたものが三千九百坪、それから江商所有権が移転しておりますものが百三十六万二千坪というようになっております。これと、前回大森委員が、所有権が移転しておるので施設ができないであろうというようなことを言われました点については、後ほど申し上げることにいたしまして、電気のことでございますが、私のほうで現地を見、東電那須出張所事情をいろいろ聴取しましたところ、結局私のほうで確認いたしました結果、大体七月中に配電可能であるということを確認しております。それから電話につきましては、那須郵便局で現在これを取り扱っておるわけでございます。現地区域外でございますので、凶域までの設備を持てば、電話が架設できる。ただ、現在電電公社那須電報電話局を建設しておりまして、来年の初めにできますと、東京ダイヤル通話ができるというような状況になっておるようでございます。したがいまして、区域までの設備を持ちますと、これは電話は架設は可能であるということでございます。それから水道でございますが、これは現在藤和不動産のほうで第一、第二、第三のポンプ場をつくりまして、鋭意水の確保のために努力しておるようでございます。いずれは上のほうへダムをつくりまして、そこへ水をためるという計画のようでございます。まあこまかい点はそういうことでございまして、先般大森委員が言われました、先ほど申しました百三十六万二千坪の土地所有権が移転して現在江商所有になっておる、したがってここにパンフレットに書いてあるような設備はできないのじゃないだろうか、つまりホテルとか、ユースホステルとか、モーテルとか、林間学校野外劇場、こういうものをつくるという計画はできないのじゃなかろうか、この点が不当表示になるかどうかという問題でございます。昭和三十八年だと思いますが、それ以来逐次所有権が移転したわけでございますが、聞くところによりますと、江商美福株式会知の間で紛争がございましたそうでございます。それが今年の二月九日に和解が成立したようでございます。和解契約を見ましても、代金支払いが、その方法が合意されれば担保物件一切返済するというようなことになっておるようでございます。それで、同じ二月九日に江商代表取締役から美福株式会社取締役社長に対しまして一札書面が入っております。その書面には、次に読むようなことが書いてございます。「右の土地は貴社より所有権移転登記を受けているが、条件について関係者合意の上は、藤和不動産株式会社において開発施設分譲等をなすことについて何等異議はない。」、(二)としまして、「当社は藤和不動産株式会社総合開発計画について協力することを確約する。」、このように書いてございます。まあ藤和不動産藤田組の子会社でございまして、信用を重んずる点では従来私ども調べました不動産業者とはだいぶ違うようでございます。藤和不動産常務取締役、それから江商専務取締役、これを呼びましていろいろ事情を聞きましたところが、結局この土地藤和不動産株式会社で譲り受ける、譲り受けるについては美福江商に対して十八億の債務の支払いをどうするか、この支払い方法について藤和不動産がいま親会社である株式会知藤田組あるいは取引銀行といろいろ協議をしておるようでございます。それで、江商もそれを期待しておるようでございます。したがいまして、この話が成立いたしますれば、当然それらの施設はできることに相なるわけでございます。それで、この点につきまして私どもまだ最終的な結論を出しておるわけではございませんが、現在の段階で考えられることは、現状このようにいろいろ努力しておると、それで藤田組その他もああいうパンフレットを出しておる以上責任を持ってこれをやるというようなことを申しておりますので、いますぐ施設ができないということで、不当景品類及び不当表示防止法不当表示に該当するということはいかがかと存じます。われわれとしましても、これが絶対できないということがはっきりすれば、これは当然でございますが、それがはっきりしなくても漫然時日経過するというようなことでは、これは困りますので、それらについてはこれからも十分厳重に監視をするとともに、いろいろ報告も聴取しまして、改めさせるべき点があれば改めさせる、こう考えております。
  5. 大森創造

    大森創造君 竹中事務局長お話を大体私は信用いたします。そのとおりならばけっこうですが、まあ老婆心ながら、私はこの場合はそういう藤田組なりそれから美福のほうで言うだろうと思うのです。前回委員会で申し上げましたように、これは六百円くらいするそうですが、これはまあホテルとかユースホステルだとか人工池だとかいうものが、他人名義土地——現に江商名義土地にこういう設備がなされるということを前提としたカタログやいろいろなものをつくっております。そこで、公取のほうで調査に行きますというと、いやこれは去年の十二月に告訴騒ぎになったけれども、本年二月になって和解が成立したから云々ということは、当然公取の側で行けばそういう宣伝はされるだろうと思うが、これは美福江商のほうに支収われる金額は二十六、七億円ですよ、御存じだと思いますが。こういう金がさっと払われるものかどうか。現実に私をして言わしめれば、江商から美福使用契約でも取っておるならば、それは信じてもよろしうございますが、現実には江商からそういうものは取ってないでしょう。その場合に、あくまでこういう宣伝をした内容のものを他人土地につくるということを言っているのであって、そのことによって購買者の心理を決定づけているというように私は考える。個人の住宅ならいざ知らず、こういう分譲地の場合には環境が大事でございますので、環境においてこういうもろもろのデラックスな設備をするということを公約しながら、現実にそういう使用契約江商との間に美福はしておらないでこういう宣伝をするのはいかがなものであろうか。それから、公取調査を始めてから藤和不動産は、ここにも持っておりますが、これはたいへんな広告をしております。私たちは八十円といわれた土地——というのは私が言ったことなんでございましょう、これは。私たちは八十円といわれた土地をあえて——あえてとは書いてございませんが、八千円で売っておりますという広告を出しておりますが、そこで、これは竹中事務局長お話でもわかりますが、公取が調べに行かれた場合にはいま言われたようなことを一応言うであろう、そう想像されますので、これはこのまま看過していい性質の問題であるかどうか、もう一回お尋ねいたします。
  6. 竹中喜満太

    説明員竹中喜満太君) 私のほうとしましても、違反事件を審査する場合、業者の言うことをそのままうのみにするわけではございません。これは御承知のとおりだと思います。したがいまして、一応そういう話も聞き、当事者が相当の会社でありますところから、もうしばらく事態の推移を見たい、そういうことでございまして、これを見のがすということではございません。
  7. 大森創造

    大森創造君 その答弁、了としますが、私はどうもあぶない感じがするのです。美福株式会社というものの内容などから見て、二十六、七億円の金がはたして江商に払えるものなのかどうか疑問に思う。そうしてまた、この宣伝カタログやこの新聞に書いてありますようなことがはたしてできるかどうか疑問に思います。だから、公取のほうに、今後こういう問題が事務局長の予想のようであったらいいが、私のようなことにならないとも限らないから、厳重にこれはひとつ監視をしていただきたいと思うわけですが、よろしゅうございますか。
  8. 竹中喜満太

    説明員竹中喜満太君) 大森委員が、いま私が予想していると言われましたけれども、私は別に予想しているわけではございませんので、そういう説明がありましたし、相手方もある程度信用し得るものでございますので、一応この際話は聞いておく、ただ今後非常に問題があり得る場合もあるので厳重に監視いたしたいと、こういうことでございます。
  9. 大森創造

    大森創造君 そこで、次に大蔵省証券局長にお伺いいたしますが、前回委員会で御質問申し上げましたように、江商株式会社有価証券報告書に、いま申し上げました美福に対する債権二十六億か二十八億、金額はさだかではございませんが、とにかく二十五億以上の債権があるはずなのに、これが有価証券報告書には記載不十分でございました。この点も指摘いたしましたけれども、この点はいかが相なっておりますか。
  10. 安井誠

    説明員安井誠君) いま大森先生からお話がございまして、私どものほうで調査をするというお約束を申し上げたわけでございます。結論から先に申し上げますと、先生の御指摘のとおり、美福に対します債権短期貸し付け金一億九千万のほかに約十八億ございまして、それが売り掛け金債権の中に含まれていたわけでございます。その事実を私ども知りましたので、江商のほうに対しまして、現段階においてその債権そのものの発生は通常の商取引から生じたもののようでございますけれども、期間が長くなっておりますし、消費貸借契約公正証書で結んだりいたしておりますので、表示の問題といたしましては長期貸し付け金として表示すべきであるというふうに判断いたしまして、江商のほうに申しましたところ、会社のほうも四十一年の三月期の有価証券報告書におきましてそのように訂正いたしますということを言ってまいりましたので、御報告申し上げます。
  11. 大森創造

    大森創造君 それでは、そのことをまあ了承いたしまして、その次の問題に移ります。  これをごらんください。この問題の説明をしますのには相当長時間を要しますが、時間が制限されておりますので手っとり早く想像を交えて申し上げますが、以下申し上げることは全部証人がございますし、それぞれ確証を私は握っておりますから、私の、何というか、ためにせんがためのことばではございませんから、林野庁はじめ関係当局においてはよくお聞き取り願います。それから順次御質問いたします。  これは熱海伊豆山、これの国有地、面積は一万三千五百坪。これの貸し付けにまつわる問題であります。これは汚職であります。これは、私は黒と完全にきめております。刑事局長がおいでになれば、よく私の説明をお聞きいただきたいと思います。  どういうケースかといいますというと、これはこの土地をほしかったわけです。ここには書いてございませんが、ある人がほしかった。ところが、那須の問題でもおわかりのように、なかなか払い下げということは困難でございます。そこで、一応借り受けて、そうして時間がたったらこれは払い下げを受けて関係者でぶんどりをしようという約束がもうすでにできております。だれがここのところを取る、だれがここのところを取るという約束ができております。これは表から行ったのではなかなか払い下げを受けることはできません。そこで、いま申し上げましたように、貸し付けを受けまして、三年たったら払い下げを受けようということで、いろいろ舞台を仕組んでおります。そこで、最初は大真会——これは新興宗教の大真会と申しますが、大真会経営大磯病院、これは現在存在しております。患者も相当とっております。ちゃんともうやっている病院であります。この医療法人真会大磯病院なるものを利用して、これで林野庁のほうへ申請を出しました。林野庁あとからお伺いいたしたいと思いますが、申請を出しましたところが、林野庁の某高官が、それではだめだということで、示唆を与えました。これは借り受けするのに、林野庁から借り受けるためには社会福祉法人をつくったほうがよかろうということで、恵泉会なるものを利用いたしまして、ただいまこの恵泉会理事長は現在橋本恭平という人物でございます。そこで、この恵泉会社会福祉法人という認可厚生省からいただくのにいろいろな工作が行なわれた。有力な政治家、それから高級役人、こういう連中が盛んに工作いたしました。ところが、この恵泉会社会福祉法人として認可を受けるべき要件を備えておりません。これは社会福祉事業法違反であります。この点については、あとから詳細にお尋ねいたします。そして、問題は、ここに橋本恭平と書いてありますね、この人が主役のようですが、これが大真会大磯病院というものを医療法人の名前でまず貸し付けを受けようとしたけれども、これはまずいので、林野庁のある人から示唆を受けて、今度は恵泉会という社会福祉法人をでっち上げて——これは偽造であります。この段階は、書類が不備というよりも、インチキそのものであります。そこで、厚生省のほうの認可をとったということ、こういうことであります。そこで、この認可を受けるについては静岡県知事認定書が必要でございますが、これは形式的な認定書でございます。その間に、地元有力者政界有力者平塚営林署——これは私がいま申し上げていることは平塚営林署東京営林局の人から具体的に聞いております。それで、この工作には、ここには書いてございませんが、もろもろの料亭を利用いたしまして散財いたしました。この認可ができたのが、あとから申し上げますが、これは昭和四十年の八月二十三日ですから、あまり遠いことではございません。認可を受けてから、間もなくこれが貸し付けを受けました。大ざっぱに言うと、そういうことでございます。  そこで、それに基づいて順次お伺いいたしますが、この社会福祉法人恵泉会というもの——精薄児養護施設をつくるんだという、そういう恵泉会なるものはどういう社会福祉事業団体であるか。  それから、認可のいきさつはどういうことになっておるか、厚生省の方からお答えいただきたいと思います。
  12. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 社会福祉法人恵泉会設立経過につきましては、当初医療法人の大真会——これは大磯病院を経営しているわけでございますが、この病院伊豆山のほうに国有林貸し付けを受けまして、精神病院をつくると、こういうような考えで始まったようでございますが、精神病院設置につきまして地元から反対がございまして、そういう点から精神病院設置ということにつきましてはやめるということでございます。  しかしながら、精神薄弱児の問題につきましては、その施設状況からいたしますると、たとえば、調査によりますると、約五万八千名ぐらいの要収容の児童がおるわけでございますが、それについて現在のところまだ、一万三千名ほどが収容されて、約三分の一が収容されている現状でございまして、まだまだ施設をつくるべき必要があるわけでございます。また、精神病院の中にもそういう子供が入ってくる場合もあるわけでございますので、これは医療法人の大真会としても、むしろ社会的な要請のある精神薄弱児施設をつくったほうがいいんじゃないかと、こういうことで、地元お話をして、それならばまあよかろうということになったというふうに聞いております。したがいまして、精神薄弱児施設をつくりますためには、特殊法人であります社会福祉法人をつくると、そういうことで、考え方には変更がございましたけれども社会福祉法人設立しようということで、申請が出されたものでございます。先ほど御指摘ございましたように、四十年の二月二十八日に申請がございまして、社会福祉法人認可します際には、必要な土地建物、いわゆる基本財産というものがありまして、そこで事業を開始するというのが原則的な問題でございますが、最近におきましては、金はありましてもなかなかそういう土地が得られない。また、土地がかりに得られましても、土地代にばく大な金が要るために、建物が建たないと、こういう問題がございまして、そのためには、国有林野を、あるいは国有地を低廉に貸し付けていただくと、まあそういうことができるわけでございますので、そういう面で、この国有林野貸し付けということを前提にいたしまして、社会福祉法人設立した際には貸し付けを受け、また持っております金で工事をすると、こういう計画でございます。したがいまして、私どものほうは、この国有林野貸し付けができるかどうかという点につきまして、事務的に平塚営林署連絡をとっておったわけでございますが、これにつきましては、営林署長から当時の社会福祉法人設立する母体であります医療法人の大真会あてに、法人設立されれば貸し付けをしていいと、こういうような書類が出されておりますので、そういったものを参考資料といたしまして、なおその他社会福祉事業法によります社会福祉法人の基礎的な要件であります基本財産、また定款の内容、役員の問題、設立の手続、こういった点についての審査を行ないまして、それらの点について、その法人施設をやっていく見込みがあるということで、昨年八月に認可をしたという状況でございます。
  13. 大森創造

    大森創造君 それは、あなたのほうの筋道はそうでございましょう。そこでお伺いしたいのは、問題なのは、その社会福祉事業法の二十九条によると、いま御説明のように、一定の財産がなければならないということだが、この恵泉会なる社会福祉法人財産がありますか。
  14. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 財産といたしましては、基本財産として一千二百万、運用財産として三百万あげてございます。
  15. 大森創造

    大森創造君 その一千二百万と三百万というのは確認いたしましたか。どういう方法確認いたしましたか。
  16. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) その確認につきましては、申請書に添付してございまする各人の持っております銀行預金の現在残高証明書、それを添付してございまして、これによりまして確認をするというのが私どもの通常やっておりまするやり方でございます。
  17. 大森創造

    大森創造君 そこで問題なのは、それはそういうことでございましょう、書類上は。そこで、あなたのほうの出した申請書と一緒に付属書類がございまして、これが一番問題だと思うわけですよ。社会福祉法人恵泉会泉学園新築工事資金計画表というものがあって、これは収入の部で、いまあなたがおっしゃいましたように、自己資金として一千二百万円という数字が書いてございます。ところが、内訳(イ)として、共同募金で四十年度に一億三千五百万円もらうことになっている。昭和四十一年度には一億二百万円もらうことになっている。四十二年度においては六千二百十五万円何がしの金をもらうことになっているのだが、これはもらったと思いますか。
  18. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 共同募金よりの寄付金は、現在はまだもらっておりません。
  19. 大森創造

    大森創造君 これは申し込みもしてないのですよ。現に四十年度、もうこれは終わったのですよ。四十一年度、四十二年度も、私は県から確めてみたのだが、こういうイカサマの恵泉会には、共同募金を出さないはずですよ、一銭も。これがもらうべきはずの予定が何ぼになりますかな、合計するというと約三億になります。これは架空の数字ですよ。県はくれるはずはありませんよ。また、みんなから集めた共同募金はもらえませんよ。これはもらい得るというふうにお思いですか。
  20. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) その書類の収入の部の共同募金という欄に、指定寄付金より二億九千九百万という金額があげてございます。この点につきましては、共同募金の中で十月から十二月までに一定の施設へ寄付をするというのが指定寄付でございますが、そういった場合には、大蔵省の指定寄付の取り扱いを受けまして、個人が出されたあるいは法人が出した場合についての免税の措置があるわけでございます。したがいまして、この内訳の(ロ)の欄に書いてございますが、寄付決定者と書かれてございまして、一億五千五百万という計があがっておりますが、その各人の寄付金をこういう共同募金の指定寄付金という形で取り扱っていただくと、したがいまして、これで共同募金からいただくと書いてございますが、実際には、その個人の寄付を、そういう指定寄付を受ける手続のために、共同募金という形で取っております。こういうことでございますので、まだ建物その他が済んでいない関係もございまして、県のほうには正式に手続をしてない、こういう実情でございます。
  21. 大森創造

    大森創造君 それはおかしな話ですが、一応お聞きしておきます。  それでは、その次の(ロ)のほう、あなたのおっしゃた(ロ)のほうの昭和四十年度の寄付決定者として、「別紙予金残高証明参照」と、ちゃんと銀行の預金残高証明書がついてございます。  このいきさつをひとつお話し申し上げます。これは、私はいまから一週間ほど前に、あなたのほうでお調べになったかどうか知らぬけれども、秘書に命じて、各銀行全部、残高証明の実態を調べさせたのです。いいですか。各銀行に行ってみて——ここに名刺をみな持って来ておりますよ、銀行の。そうすると、いずれの場合も全く同じ手口でございますけれども理事長橋本恭平の場合を例にとって申し上げます。橋本は、六月二十二日、この信用組合を訪問して、六千万円の借り入れの契約をしたのです。ただ借り入れの契約だけをしたのです。金は一銭も預金してないのですよ。そうして、その金で、同日、六千万円の定期をつくっているのです。そうして翌日六千万円の残高証明を——翌日ですよ、残高証明をもらって七月一日——これはべらぼうに早い、一週間足らず、七月一日に早くもこれを解約しているのです。ですから、これは一銭も定期預金がない。抵当も何にもなくて、そうして銀行のほうに六千万の借り入れの契約をしている。これは、私は銀行もいかがかと思いますよ。そうして、七月一日には解約をしている。そうして、その間の橋本の出費というものはどういうものか、金がどの程度要ったかというと、その間の支払い金利だけですよ。支払い金利だけ数万円を払ったにすぎない。だから、ことばをかえて言うと、数万円で六千万円の残高証明をまあ買ったみたいなものです。そういう行為なんです。他の五名も、全く同様の手口で、残高証明を手に入れているのです。この残高証明は、全部私は調べました。これはみんなインチキなんですわ。それから個人資産も調べました。ほとんどなしですね。この橋本恭平、橋本健二、後藤、云々——この六人の方は、ありませんね。そこで、六億の金を寄付すると、こう言っているのだけれども、残高証明が云々と言いましたが、残高証明は全部インチキです。これは、私は銀行に当たりました。これは銀行もいかがかと思います。問題だろうと思う。これは全部架空の数字ですよ。このことをお調べにならないでしょう、いかがですか。
  22. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 先生の御指摘のような銀行につきまして、その後、どういう状況であったかということについては調査いたしておりません。ただ、私どものほうといたしましては、これらの方々が寄付をするということを明らかにしておられますし、またその寄付金額についての銀行の預金について証明書があるということでこの認可をいたしたわけでございます。そういった点につきまして、先生の御指摘のような事情があるかもしれませんけれども、事務当局を呼んでいろいろ問いただしたわけでございますが、その点につきましては、工事にかかる、また建築ができた際には寄付をするんだ、そういうことでございますので、私どものほうではそのことばを信頼しておった、こういうことでございます。
  23. 大森創造

    大森創造君 そういうお人よしな厚生省では、ないほうがいいですな。これは全部架空なんですよ。全部、定期預金は一銭も入っていないのですよ、この人はみな。そうして、いま御説明申し上げたとおり、わずか一週間足らずでしょう。借り入れ契約書と残高証明書を獲得するために、数万円の金利だけを払ってこの書類をつくったんでしょう。私のほうは、まあ容易ではないけれども、一々、これは重大な問題なので、銀行に行って調べてみた。銀行のほうは、全部そのことを打ち明けているのですよ。これは、この恵泉会なるものが社会福祉法人ということで認可が受けられれば、一万三千何百坪というものが林野庁から借り受けができる。それから三年たったらもらっちゃうという魂胆があるので、医療法人ではやりずらいということなので、これをでっち上げたのですよ。でっち上げて、そうして自己資金が一千二百万もあぶないのです。これはお調べになっていないだろう。それから共同募金のほうも、手続をとっていない。昭和四十年度は終わったのですから、これは手続をとってしかるべきですよ、県のほうへ。手続すらとっていない。一億三千五百万円の共同募金をもらうべきはずのところ、申し込みもしていない、県に。だから、共同募金のほうは、これも架空の数字。それから寄付金として麗麗しく残高証明までつけたこの寄付金は、全部寄付ができないということが想定されます。一体、これで厚生省として認可要件が満たされているのですか。社会福祉事業法の二十九条に抵触いたしませんか、三十条に抵触いたしませんか。そういう事務がスムーズに行なわれるということは、ふしぎと思いませんか。これはあなたの部下からちゃんと聞いているのですよ。某政治家の圧力等いろいろなことがあったから筋を曲げざるを得なかったということを私に言うているのですよ。必要とあれば、次回の委員会で申し上げてもよろしい。こういうでっち上げの書類等をつくったものに、あなたのほうはめくら判を押せばいいのですか。しかも、これはふしぎなことには、自己資金、共同募金、借り入れ金の合計が、この書類によるというと三億二千百十五万何がしになっている。その内訳(イ)、(ロ)、(ハ)というやつを合計すると六億になっている。片方は三億、片方は六億、この書類はインチキですよ。どうしてこんなことで許可いたしましたか。これはもう許可すべき筋はないと思う。これが許可できるなら、何でもできますよ。いかがですか。
  24. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) この工事資金計画は、第一期工事とその後の計画に、二つに分けられるわけでございますが、第一期工事と申しますのは、収容定員百名ということでとりあえずスタートするという考え方でございまして、そのためには約一億五千万円ほどの金額が要るわけでございます。したがいまして、ここに掲げてございます内訳と書いてございますのは、これは確かに書類上の不備がございまして、共同募金よりの年度別寄付予定と昭和四十年度の寄付決定者、これは実際の問題は、最初に申し上げましたように、ダブっているわけでございまして、これは別個に出されるというものではないわけでございます。したがいまして、この金額全部を合わせますと六億となりますけれども、二億九千九百万の中の内訳がむしろ(ロ)になるということでございます。
  25. 大森創造

    大森創造君 ただいまの説明は、私はわかりません。残念ながら、私の悪い頭ではわからない。  そこでお伺いしますけれども、この社会福祉事業法の二十九条によると——二十九条をごらんください、この定款の内容、手続の問題についてどうしているか。申請書には左の書類が添付されることになっているが、厚生省はこの書類を受け取っておりますか。申し上げますよ。この恵泉会なるものは、泉学園というものをつくるということになっておりますが、泉学園の運営並びに管理規程、それから泉学園の新築工事年度別内訳書、同じく工程表、備品計画表、年次別工事予定図、これらの審査をいたしましたか、またこういうものの書類を備えておりますか——ないでしょう、あるわけがない。
  26. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 泉学園の管理規程その他については、この申請書には添付されておりません。しかしながら、泉学園の新築工事年度別の内訳というものは書類の中にございます。
  27. 大森創造

    大森創造君 私はあなたの説明は了といたしません。全然おかしいと思うのです。この書類が、これはもうこういう書類で通るものならたいしたものですよ、これは私はずいぶん調べてみたんだから。これは全部でっち上げですよ。  そこでお聞きしますが、それではね、社会福祉法人認可を受けて、あなたのほうで認可を与えた恵泉会なるものはどこにありますか、場所は。責任者はだれです。
  28. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 主たる事務所の所在地は静岡県熱海伊豆山字岩上千百五十五番地、社会福祉法人恵泉会ということになっております。それから設立者の代表——理事長橋本恭平氏でございまして、この人は東京都世田谷区成城町百六十二番地でございます。
  29. 大森創造

    大森創造君 その事務所の所在地が問題なんですね。これは認可を受けてから、先ほど御説明申し上げましたように、認可の日にちが昭和四十年の八月何日ですね。それからあと今度は林野庁のほうから何日かたってから土地を借り受けた。その借り得べき土地の中に事務所があるということにしているんですよ。それはそうでしょう。そこへ行ってみたんだ、私。あなた行かないでしょう。何にもないんだ、うち一軒ないですよ。そこが事務所ということになっている。いいですか、社会福祉法人認可を受けるべきその事務所が、まだ借りてもしない山の中に事務所があるというんだ、これはふしぎなことではありませんか。これはこの書類と同じにでっち上げではありませんか、でたらめではありませんか。事務所の所在地は山の中で、うちは一軒もありませんよ。その土地も、自分の所有でもなければ、林野庁からもまだ借りていない、この事件の真相をはしなくも示しているのと違いますか、どうでしょう。
  30. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 社会福祉法人の主たる事務所につきましては、大体設立される施設と一体である場合が多いわけでございます。そういう関係で、将来つくられる社会福祉法人精神薄弱児施設の所在地に主たる事務所を定めたということは、これはやむを得ないんじゃないかと考えておりますが、現在はまだ建っておりません関係東京のほうに事務所がございますけれども社会福祉法人が、将来精神薄弱児施設設置されました場合には、ここに主たる事務所が置かれるという予定地という意味に解釈いたしております。
  31. 大森創造

    大森創造君 それでは時間ありませんから端的にしますが、どの程度の工事を現在やっておりますか。
  32. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) この法人のその後の状況としましては、設立認可をいたしましたのが四十年の八月の二十三日でございますが、同日で敷地造成の設計監理契約を締結いたしております。それからまた、土地測量関係の契約をいたしております。それから四十年の九月七日に法人設立登記をいたしております。九月の二十九日に国有林野の貸借契約書を積んでおります。それから十一月の十七日に泉学園の工事設計監理契約を結んでおります。しかしながら、地元関係からいたしまして、若干問題が残っておったようでございまして、まあそういう面で、特に水道を引くという関係地元の住民との間にいろいろ問題があったようでございまして、そういう関係で延び延びになっておりましたが、そういう面は最近におきましてようやく地元と話がついたということで、熱海市と水道工事契約を結んだのが四十一年の三月の三十日でございます。そこでその後に、五月の十八日に土地の地鎮祭を行ないまして、五月の二十五日から立木の伐採を始めております。六月の二十三日に水道工事現地説明を行ないまして、来月の中ごろより敷地の造成を開始したい、こういうことを聞いております。あとの見通しにつきましては、四十一年中に建物の建設を開始いたしまして、四十一年度内に建物は完成される、こういう見込みでございます。
  33. 大森創造

    大森創造君 いまのお話は、あんた現地に行って当たったわけじゃないでしょう。
  34. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 私が実際に現地を見ての話じゃございません。
  35. 大森創造

    大森創造君 あんまり無責任なことは言いなさんなよ、私は手間ひまかけて行っているんですから。国会だけの答弁で済ましちゃいけませんよ、あんた。こういうのらくら問答していたら、議事にならないから。  それからお伺いしますが、大真会大磯病院というのはどういう経営状況か、いま問題がないかどうか、あなたのほうの所管だからおわかりでしょう。
  36. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 大真会病院につきましては、私どもの所管でございませんで、医務局の所管でございまして、内部的に問題があるということは聞いております。
  37. 大森創造

    大森創造君 いまの理事長はだれですか、大真会大磯病院理事長どなたです。
  38. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 現在、大真会につきましては、私どもの所管でございませんので、承知いたしておりません。
  39. 大森創造

    大森創造君 こういうわけでしょう。いまの理事長は山下さんという人で、その前の理事長橋本恭平という——恵泉会の現在理事長をやっている橋本恭平という人ですね。それと前の理事長の後藤一夫という人を相手どって、そうして五千万から八千万の使途不明の金があるということで、この大磯病院については背任横領の告訴をしているんですよ、五千万か八千万の金について。この事実御存じですか。
  40. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 承知いたしておりません。
  41. 大森創造

    大森創造君 そうでしょう。そこでね、五千万円から八千万円の金でいろいろ工作したんですよ。これはあなたのほうの部下と林野庁の部下からちゃんと聞いているんだ、私は。証拠書類も持っているんですよ。それを現地に行きもしないで——私は現地にちゃんと行って見てきているんだから。一々個人について当たっているんだから。それをあんた、こういう残高証明書どうのこうの説明したり、現地に行きもしないでだれの話を聞いているんですか。それは、私の質問がきょうあるということで、こう答弁しましょう、こう答弁しなさいということを机上の話を聞いているにすぎないので、あまりに誠意がなさ過ぎると思う。全部当たっているんですよ、私は。五千万円から八千万円の金の背任横領の問題で、山下さんという人はきょう来ていますよ、この人がこの橋本恭平という恵泉会理事長と前の大真会大磯病院理事長を告訴しているんだ、背任横領で。この金がどこに使われたかというと、大体はっきりしているんですよ。これは無理な認可をすべく、林野庁とそれから厚生省のほうにたいへんなことをしているんですよ。場所を申し上げましょう。きょうおいでの方もこれは心当たりの場所でございますから、申し上げましょう。これは、ここ全部ぼくは当たっているんですよ。場所、金額、供応の場所、収賄の場所——大体ね。これはいま申し上げましたように、認可が下りたのは——恵泉会社会福祉法人として認可を受けたのは四十年の八月二十三日で、そうして今度は貸し付け契約、林野庁のほうから山を借りることに契約ができたのはそれから約一月おくれの四十年の九月二十九日で、ここでいま申し上げました大真会大磯病院の背任横領の金五千万から八千万の金というものはこの工作費用に使われている疑いが濃厚だ。全部ではないが、半分ぐらい使われている。その場所を申し上げるというと、この場所は、渋谷に大栄という料亭がある。ここへ行って調べてごらんなさい。私のほうで行きましたよ。それから赤坂の「やよい」というところがあります。ここに行きました。熱海の大月ホテル、それから箱根の湯本の橘旅館、そこで平塚営林署の某課長、これは私は行っているんです、この人がたいへんな工作をした。ここの営林署課長の名前は必要とあれば私はあかしますよ。この人がこの事件の主役橋本恭平の秘書役なんです。林野庁の長官の部下である課長が、この問題の工作を一切やっている。プロモーターなんだ、この事件の、平塚営林署課長が。この課長が、いま申し上げましたような渋谷の大栄とか、赤坂の「やよい」とか、熱海の大月ホテル、箱根の橘旅館……、ここの課長橋本恭平とぐるになって、そしていろいろな問題を取り次ぎをした。供応、買収が行なわれたのは、大体三十九年の後半だ。橘旅館にはここの課長は十五同行っています。女もございます。女に会ってきました。そこで、何でそういうことが必要なんですか。これはあなたのほうでほんとは認可すべきものでないものを、林野庁がどの程度圧力をかけたか——林野庁でないと思うんだ、ある有力者だと思うんです。ここに書いてあります。政界有力者と書いてある。これが圧力をかけて恵泉会なるものをでっち上げて、先ほどからお話し申し上げているように、共同募金はこうしろ、それから寄付金はこうしろというので架空のものをでっち上げて、これを終始指導をしてここまで持ってきたのは平塚営林署課長です。この平塚営林署課長は、この箱根湯本の橘旅館に十五同行っている。何でそういう必要があるんでしょうか。きょうは委員会の席上だからむちをばたりとたたくくらいで私はとどめておきますが、必要とあれば全部さらけ出しますよ。何でそういうことが……、あなたの部下や林野庁の部下の人に私はじかに聞いているんですよ。証拠書類も写真もみな持っているんですよ。どういうことかというと、これは結局、認可すべからざる恵泉会なるもの、その事務所は、あなたの説明ではどうのこうの言っておりましたが、山の中にある。いまから借りるべき山の中にこれは設けている。それはまあいいとしても、これを少し洗ってごらんなさい。背任横領の告発がされている。こういうのが真相なんですよ。どうしてそういううわさとか、私のようなところへそういうお話があるんでしょうか。これはあなたがおっしゃるとおり、ちゃんと適正な認可基準に基づいて認可をなされたと判断されますか。私は判断しないのですが、これは。
  42. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 私どものほうでは、この法人の問題につきまして、先生指摘のような事実の調査が十分至っていなかったということについては、まことに申しわけないと思っておりますが、ただその後の状況としまして、困難な水道を引くような問題についての契約を締結し、また今後これから敷地を造成していこう、こういう心がまえを持っておると私どもは考えておりますので、そういう面で若干おくれておりますけれども精神薄弱児施設ができるということを期待しておるわけでございます。
  43. 大森創造

    大森創造君 期待をすることはけっこうだが、事実は事実としてひとつ受けとめてもらいたいと思う、いいですか。私は一たんここで申し上げるからには、私にも責任がある。あなたのほうの立場としては、できたものだからしかたがない、この委員会で私が質問する場合にはこう答えようということで、予備知識になっているからそういう答弁に終始している。そうでなくして、国民の立場から、国有財産をどうするか、こういう処置は妥当であったかどうかということを、管理の立場を離れてひとつ考えてもらいたい。そうでないと、決算委員会の意味がない。あなたはこういうことを書類だけ審査してパスした。社会福祉事業法の二十九条、三十条にはどう書いてあるか、そのことに違反した事実はないかどうかということを厳正に考えてもらいたい。林野庁にしてもしかり、あなたのほうにしてもしかり。でき上がった問題を糊塗することでなくて、委員会のその場のがれだけではなくて、事実はどうであるかということを究明をしてもらいたい。それがほんとうの公僕の立場でしょう。私がむちを振り上げるというだけではないですよ。国民の立場から、こういう管理でいいものかどうかということを、はだかになってひとつ見つめてもらいたい。よほどばかでない限り、これはインチキでぺてんであることがわかるはずです。そこで、これはあなたと押し問答してもしょうがない。これは東京営林局林野庁関係しております平塚営林署の某課長が主役なんです。それから政界の有力者、それから地元の有力者、静岡県はそう関係ないが、それから厚生省認可申請の問題、これには相当ばく大な金が飛んでいる。その金はここから出ている。それで背任横領で告訴されている。山下さんという人はきよう来ておりますよ。五千万から八千万、金額ははっきりしないが、背任横領の訴えが出ている。そこでふしぎなことに、その背任横領の訴えを——刑事局長おりますか、その問題について、大真会大磯病院の金庫をぶちあけて、一切の証拠書類を盗んでいった人がある。これは橋本恭平関係する人です。これはばれたらたいへんだというので、それについてなぜか知らぬけれども、大磯警察は黙っている。検察庁に行っても、それは大磯警察署のほうに聞いてくださいと言って黙っている。なぜそういうことをするか。私は、さっきの銀行の問題にしても、詐欺横領の疑いが強いのです。それから大磯の警察の態度がどうしてもわからない。これは暴力団にひとしい。こちらから来て大磯病院の金庫のかぎをぶちあけて、これは五十万から八十万の横領の事実がちゃんと書いてあったその書類を持ち出している。そのことについて告訴しようとしても受け付けない大磯の警察、これはいかがなものですか、刑事局長お調べいただきたい。
  44. 津田實

    説明員(津田實君) ただいま御指摘の事実は、ただいま承知したわけでありますが、告訴をした場合に、告訴状を受け付けない、あるいは口頭の告訴を受け付けないということは、私はないと思うのですが、もしさような事実がありますれば、十分調査をいたす考えでございます。
  45. 大森創造

    大森創造君 そこで私は、厚生省と問答しても始まりませんから、問題の筋道は大体おわかりだと思いますが、こういうことです。この橋本恭平なる者が恵泉会をでっち上げて、橋本恭平なる人のこのグループが、初め大真会大磯病院の手を通じて、山の払い下げというか、借り受けの申請をしたところが、これが不適当である。払い下げを受けるのには社団法人たる社会福祉法人をつくったほうがよかろうということで、そうして社会福祉法人をつくってみた。ところが、どうしても条件が具備しない。そこで、ここに一件書類を持っておりますが、こういう書類をつくって、そうしてあなたのほうに許可を迫った。そこで、これは払い下げをやがて受けるもの、特殊法人設立して——社会福祉法人特殊法人設立したほうが貸し付け、借り受けをするには便利であるということでこれはやったに違いない。それには政治家が介在している。ことに書いてあるもろもろの人が関係している。これは、いま申し上げたことは、平塚営林署の某課長の私に対する言明なんです。それから裏づけ書類を持っております。それから平塚営林署課長は、橋本恭平が最初からそういうことをたくらんでおりましたが、この人が大体参謀であります。そうしてこの恵泉会認可は四十年八月二十三日で、そうして今度は林野庁のほうから山の借り受け契約ができたのはそれから約一ヵ月おくれの四十年の九月二十九日、私が申し上げるのは、繰り返すようでございますが、贈収賄や供応やいろいろなことが行なわれたのは大体三十九年後半であります。使われた場所はさっき二回申し上げたからおわかりと思います。そこで、問題はこういうことですよ。借り受けということが目的、林野庁の山がなかなか借り受けできない。私がなぜこれを憤るかというと、赤城農林大臣のときも、重政農林大臣のときも、周東さんのときも、農業構造改善について、地元の営農のために必要ならば、これからこういう林野庁の山ででも何でも払い下げる。貸し付けるということを再三言明しておるのです。なかなかやってくれないのですよ。そのくせ、こういうものにはいと甘いというのですよ。それだからぼくは問題だと思うのです、よ。これは手段なんですよ。社会福祉法人恵泉会というものを、これをつくったのは手段であって、問題は、借り受けをして、それからあと関係者でもって甘い汁を吸おうということが真相なんですよ。このことについて、書類上はでき上がっておる、あなたのほうでは。それから局長は、そういういま答弁されたような答弁をせざるを得ない立場にあるポストであるということは私は了解できないことはない。部下をかわいがることはけっこうだけれども、もう少し国民をかわいがったらどうだ、それが真相なんです。どうしてもお役所の人間が無邪気に判こを使ったとは思えない。圧力と政治力と金力に負けたのですよ、私はそう断定してはばからないのです。そのことについて厚生省のほうでお答えがあれば、念のため伺っておきます。それで、あなたがきょう答弁されたことは、それ事実かどうか、責任ある答弁を伺います。それから林野庁のほうに移ります。
  46. 竹下精紀

    説明員竹下精紀君) 社会福祉法人認可いたしましたあとにつきましては、社会福祉事業法によりまして監督規定がございます。したがいまして、私どものほうといたしましても、認可いたしました以上は、これが本来の目的を達成するようにいたしたいという考えを持っておるわけでございますので、調査の行き届かない点につきましては、さらに調査いたしまして、本来の目的が達成できるように指導または監督をいたしたいと思っております。  なお、社会福祉法人ができましたあとで、たとえば持っております財産等につきましては、これはかってに処分ができないわけでございまして、本来の目的以外には使用できない、こういうような社会福祉法人に関しましての規定がございます。そういった点につきまして、国有財産を借り受けましても、それがほかに分割されるというようなことは、私どもは考えられないと思うわけでございますけれども、また、林野庁のほうでも、そういう点につきましては、いろいろ条件として考えておられるのじゃないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、調査の点につきましては、さらに調査を進めまして、本来の目的が達成されますように努力をいたしたいと、かように考えております。
  47. 大森創造

    大森創造君 そういうふうにしていただきたいと思うのですが、そうできるかどうか、次回の委員会のほうで私はさらに調査してみたいと思います。あなたの立場よくわかりますから、そういうお答えしかできないでしょう。しかし、林野庁長官にお伺いします。すでにお聞き及びのことと思いますけれども恵泉会に対して熱海国有地約一万三千五百坪を貸し付けた経緯をお伺いしたい。特に契約に至るまでの交渉の経緯についてお伺いいたしたい。
  48. 田中重五

    説明員(田中重五君) 昭和三十九年の四月に、大磯病院から、精薄児、精神障害者等の収容施設敷地として営林署貸し付け申請があったのでありますが、その施設内容から見まして、地元の同意を要するものと判断して、この旨を大磯病院に回答をまずしております。そこで、その病院熱海市と湯河原町と協議をいたしまして、精神障害者は収容しない、それから地元の給水施設をするということを条件に、精薄児施設の同意を得たということになっております。  で、一方、営林署といたしましては、三十九年の十二月に、その用途を精薄児施設に限定をして、そうして、その事業主体を社会福祉法人にして、その性格を明確にすることを申し入れております。それから、四十年の八月に、社会福祉法人設立認可を待って、四十年の九月に貸し付け契約を締結したというのが、以上が経緯でございます。
  49. 大森創造

    大森創造君 その貸し付け料金が、私の計算によるというと、一坪一カ月二円五十銭という金額なんですね、これは。そうすると、十二倍して一年間の貸し付け料は三十円ということになるのだけれども、これはどういう基準でこういうことに相なりますか。
  50. 田中重五

    説明員(田中重五君) 貸し付け料につきましては、不動産研究所等の評価を参考にいたしまして、その土地の時価を坪当たり八百円と見て、そうして、その百分の四という貸し付け料で三十二円という計算になっております。
  51. 大森創造

    大森創造君 私は、これね、過日私現地に足を運んで調査してみたのです。そうすると、問題の土地は、そこは熱海伊豆山の中腹にあって、海あり山あって、それから、まことに景勝の土地でございます、これは。また、地元の人の話によりますというと、温泉の鉱脈も地下を流れており、坪当たりの評価額は温泉なしで二万円を下るまいということでございます。これは、私が実際に行って見た。それが、この土地貸し付け料金を、坪当たり年三十円と算定する基礎がどうしても私はわからないのだけれども那須の場合も数千円の土地が数十円になっているし、その反面、あっちこっちの多くのあれを見てみましても、学校なんか貸しているのはべらぼうに高いところがありますよ。こういうのがどうも私はわからない。しかし、長官にこれ以上の御答弁は求めませんけれども、ここで、この問題はもう時間が来ましたからやめますから、そこで、これできょうのところは一応終了いたします。  それで、次回に引き続き行なう予定でございますが、最後に、刑事局長に一つお伺いしたいと思う。本件は、私の調査する限りでは、汚職の疑いがはなはだ濃厚でございます。ぜひ、しかるべき筋からの調査を進めていただきたいということです。  これは、さっき申し上げましたように、五千万円から八千万円の背任横領が、この山下さんから——ここに書いてあります現在の大磯病院理事長の山下さんから、橋本恭平並びに前の理事長の後藤一夫に対してなされているのですよ。その証拠書類がこの大真会大磯病院の金庫の中にあったのを、ちゃんとやすりでこじあけて持っていったんですよ。こういうものは、橋本恭平のグループの一人だろうと推測されます。これはたいへんな問題だと思うので、このいきさつは、私は大磯警察署長もよく知っておると思う。これを御調査いただきたいということと、また、こういう利権にからんだ事件には暴力団の関係することがはなはだ多いのです。それから政治家も相当これは関係していると思う。きょうはあえて申し上げませんけれども、私は大体みんなつかんでおります。そうするというと、本件の場合も、これはごたぶんに漏れず、非常に暴力団の関係の動きがございます。すでに私に情報を提供してくれた人の身辺にその危険が及んでいるのです。その形跡がございます。このことはよろしくひとつ御配慮いただきたいと思う。そうでないと困りますから。そこで、そういうことがありますというと——私にも、刑事局長、部下の人が言うた、大森さん、決算委員会の場で土俵がありまして、土俵をはみ出したことを発言すると、あなたあぶないと言われた、警察の人に。しかし、そういう決算委員会の場なら、国民のための決算委員会じゃありませんよ。私は決して美福の問題にしても、今度の問題にしても、特定の人を憎んでいるのではありません、私憤はありません。よほど林野庁、えりを正さなきゃいかぬと思う。押えているのですからね、私は。大体林野庁の多くの人は、田中長官の指導よろしきを得てまじめに働いている。臨時職員のごときは、ほんとうに安い給料で働いている。一部の人、ほんの一部の人がこういうことをやっているんですよ。これは全部否定されるならば問題になりませんが、否定はできないはずです。多くの何千人という人がみんなまじめな官吏であるのにかかわらず、一部の人がこういうことをやっていることが私憎い。そうして田中長官や関係課長が幾ら目を光らせてもこれはだめですよ、やろうとすればできるんですから。そういうものを、私は林野庁に協力して、あるいは会計検査院や刑事局長に協力して、この問題の目に触れた限り、私は私の可能な限り調査をするから、委員会の場で問題になる。何も選挙違反は小林章さんだけでありません、幾らでもいるのだ。これが、小林章さんとどなたかがクローズアップされただけです。私は、汚職は日本じゅうにたくさんあるだろうと思う。これは小さい汚職の一つかもしれないが、私の目に触れたからこれを言っている。決して林野庁が憎いから言っているわけではありません。私が以上申し上げたことはほんとうですから、これは角度を変えて、さっき申し上げたように、一国民のための立場から、これはひとつ再検討してもらいたい。この書類は適正であるとどうして答弁するかということが頭にあるというと、どうしたってそうなりますよ、そういう答弁になります。そうでなくして、これはすなおにこの事実を見るというと、これはおかしいということが出てくるはずです。まあ、くどいようですが、私は他意ございませんから。大きい声出しました。むちをたたきました。しかし、それは一部の官僚が権力と政治の圧力でこういうことをやっているということが、一方働く農民が山を払い下げてくれ、貸してくれと言っても、なかなか許さないのです。そういうことと比べてみた場合どうか、そういうことの立場から申し上げている。林野庁の多くの人はまじめなんです。刑事局長に申し上げますが、この問題について、これは非常に暴力団の動きもございます。それから私のほうにも、国会の決算の場というものは一応土俵があるのだということを言うている人もございますから、そういう決算委員会では何もならないから、悪いことは悪いとする立場をとって、そうして遠慮なしにこれはひとつただすべきものはただしていただきたいと思う。  いろいろございますけれども、次回に譲ります。時間が参りました。林野庁の答弁を求めます。
  52. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 林野庁長官、いまの問題で答弁か御回答ございますか。
  53. 田中重五

    説明員(田中重五君) ただいま大森先生お話恵泉会の問題につきましては、私のほうでも厳正な監査を進めております。それで、その違法、不法がありやなしやを十分に調査を進めておりますので、もしそういう事実がありといたしますれば、これは厳正に措置をしなければならないと考えております。なお、今後、国有財産の管理処分につきましては、一そうその適正かつ厳正な取り扱いをするように部下を指導し、そういう方針を強く職員に、反省し、のみ込んで仕事をするように指導してまいりたいと思います。
  54. 大森創造

    大森創造君 一言長官並びに厚生省の方に申し上げますが、書類はできているのですよ。しかし、その書類ですら、きょうの問題の場合には不備なんです、不合格なんですよ。書類はできてはいるけれども、裏の事実が問題なんですよ。さっきから、こういう場所で発言してはいけないようなことばを申し上げましたけれども、そういう裏の事実があるのですよ。そういう裏の事実は必要ないでしょう。なぜそういうことが必要かということのその裏には、これは何というか、圧力によって——金力と権力に属したということ、書類審査してもわかりません。そのことを念のためにつけ加えておきます。
  55. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 政治の腐敗しているということを、ことに、それが特定の政治家と一部の利権屋といいますか、そういうようなものが組んで日本の政治が非常に乱れてきているわけですが、そういうことに関連をして、那須の例の国有林払い下げの問題、これを中心にお聞きをしたいと思います。  那須の御用邸がありますが、それの先にいわゆる河野牧場というのがあるわけです。行った方は御存じだと思うのですが、五十三町四反ですか、これは河野さんがあそこへ行きまして、あそこを見て、これはいい土地だからほしいという話をしたわけですね。それで、いろいろな人が中へ立って、一時ほかの人に売られておったものを話をつけたかつけないかして、結局、いわゆる河野牧場と称するものになったわけですが、この点はきょう問題にするわけではありませんが、その金を一体だれが出したかという問題なんです。三千四百万円ですが、この金を出したのは、美福産業の社長である小針というのが、河野さんのために三千四百万円を出してこの牧場を買ったと言われておるのです。なぜ、じゃ、小針というのがそんなにまでして河野さんのためにやってきたかということになると、それだけのことをしてもらったからお礼にこれだけの金を出して牧場を買ったということが、常識的に考えられてくるわけです。問題はいろいろありますけれども、時間の関係もありますから、しぼってお伺いをいたします。  最初に国税庁の関係にお聞きいたしますが、これは順序としては逆ですけれども、お聞きいたしますが、美福産業の過去の税金の関係はどういうふうになっているかということについて考えをお伺いをいたします。
  56. 茂串俊

    説明員(茂串俊君) ただいまのお尋ねの点についてお答え申し上げますと、最近における美福株式会社の申告状況でございますが、毎期申告書は提出されておりますが、その内容は、通じまして欠損の申告あるいは繰り越し欠損の関係で、所得ゼロの申告をいたしております。  なお、この会社の課税の問題につきましては、現在調査中でございますので、その内容については、詳しいことは申し上げかねるので、その点御了承願いたいと思います。
  57. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その税金関係について調査中というのは、私の聞いている範囲では、ことしの二月ですか三月ですか、東京国税局と聞いたのですが、あとから聞くと、京橋の税務署のようですが、これがこの会社の所得税の関係について調査を始めておるというように聞いておるわけです。それはだいぶ日にちがたっているわけですけれども、いまなお税金の所得の関係ということについてはつかんでおらないわけですか、その点はどうなっておるのですか。
  58. 茂串俊

    説明員(茂串俊君) 御指摘のとおり、ことしの二月以来本件につきまして調査をしておるわけでございますが、いろいろ内容につきまして問題の点がございまして、現在なお調査を続行中でございます。結論はいまだに出ておりません。
  59. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これは昭和三十九年に藤和不動産に相当な山林を売っているわけですから、この所得なんか相当あるわけですね。ですから、どうも繰り越し欠損だということは、ちょっと納得がいかないのですが、これはいずれにいたしましても、税務署のほうで所得をしっかり把握をしてもらいたいし、場合によっては、これは査察の対象ということで発動するということも十分考えられると、こう思うわけです。そこまでぼくのほうで干渉するあれはありませんけれども、いずれにいたしましても、早急にしっかりとしたもので所得をつかむようにしてもらいたい、こういうようなことを、これは国税庁のほうに要望しておきますから、その点について、どういうふうにするのか答えを願って、国税庁関係はそれで終わります。
  60. 茂串俊

    説明員(茂串俊君) 先生もおっしゃいましたが、われわれとしましても、常々あらゆる案件につきまして適正な課税ということを念願いたしまして調査をさせていただいておるわけでございます。十分にその点は配意しながら、今後もなお厳正な調査を続行してまいりたいと思っております。
  61. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま、さっき公取事務局長お話しになった中で、美福江商との関係で争いが起きて、和解が成立をし、そのときに十八億の債務があることが確認された、こういうような話が報告あったように聞いておったわけですが、この債務関係金額の争いがあるんじゃないですか。そこが一つの問題になって、美福江商との間で争いがあり、仮処分が行なわれたのじゃないですか。十八億というのはどういう形で確認されたわけですか。
  62. 竹中喜満太

    説明員竹中喜満太君) 私のほうの業務の関係では、美福がどうこうということは、本来あまり問題のないことでございまして、藤和不動産がああいうパンフレットを出しまして、そのパンフレット表示しておるとおりのことができるかできないかということが問題でございます。ただ、所有権が移転しておりますので、それに関連して私のほうで調べたのですが、争いが、その金額について争いがあったかどうかということは、私承知しておりません。おりませんけれども、十八億の債務の確認公正証書で準消費貸借証書というのをつくっております。これに記載されておるので、これは私存じております。
  63. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 公正証書にあるのは十八億でなくて、二十一億幾らではないですか。その金額の差が問題となっているんではないですか。
  64. 竹中喜満太

    説明員竹中喜満太君) 私が手元に持っております公正証書は、昭和三十八年七月に作成されたものでございまして、これは結局、十八億円を確認しておる公正証書でございます。
  65. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは何です、準消費貸借でしょう。だから前の債権債務は何なんですか。
  66. 竹中喜満太

    説明員竹中喜満太君) ほとんど約束手形であるようでございます。
  67. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 公正証書が十八億円というのは、それが問題があるのであって、美福のほうで主張しておるのは、二十一億円の準消費貸借の債務を負担しているというような公正証書がつくられたのだと、それで、これはあるいは林野庁のほうかもしれませんが、公正取引委員会の場合はそれまであれじゃないかと思いますが、林野庁のあれかもしれませんが、二十一億円の債務を負担しておる、その金額については、二十一億円ではないのだ、実際はもっと低いのだということで争いがあって、美福江商との間で問題が起きているわけですね。それにからんで仮処分の申請が行なわれておるわけですから、だから、十八億円という公正証書がつくられた経過が、これはまた問題になると私は思いますが、それはまあ一応別にしておきますが、実際には二十一億円ぐらい借りて、十八億円というふうに——十八億円しか実際は江商のほうでは現実に貸していない。しかし、額面では二十一億円になっていて、その差額の三億円ぐらいがどこにいったかはっきりしない、こういうところに問題があるということを美福は主張しているわけです。美福は十八億円と言ってないわけです、仮処分の申請のときに。これは法務省の刑事局長のところでわかっていますか。告訴をしていますね、江商を。江商を告訴して、これは嫌疑なしになっているわけですが、その中で、その金額の点について何か言っていますか、言っていませんか。
  68. 津田實

    説明員(津田實君) ただいまお尋ねの、美福江商関係の起訴事件でございますが、この内容自体は、従来の債務額の確認関係ということで、問題の土地の権利書を江商に渡したというようなことになっておりまして、その債務額の内容は、いま私の手元ではわかっておりません。
  69. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その債務額の確認ということは、債務額に争いがあるわけです。争いがあるので、美福側の代表的な人、代理人ですか、それと江商側の代理人とが、再三その金額のことについて交渉しているわけです。その交渉のときに代理人になったのはだれかということ、これが問題になるわけですが、美福側の代理人として出てきたのは、重政誠之氏が代理人として出てきている。江商側の代理人として出てきたのはだれかというと、東京銀行の頭取の堀江氏が出てきたと言われている。これは美福のほうでそういう主張をしているわけです。問題は、その二十一億の債務を負担しているというようなことを美福が言っておって、公正証書には十八億円となっている。その差額の三億円というものがどこにどういうふうに行ったかということの争いがある、疑問点があるわけです。しかし、これはまた、きょうここで追及してみても、あるいはこれ以上のあれが出ないかもしれませんが、これは将来大きな問題となってくると思うのです。  そこでお尋ねをしたいのは、大蔵省の銀行局長ですが、東京銀行は大蔵省の銀行局のいろいろの監督を受けるのでしょうけれども、その中で、江商に幾らぐらい金を貸していることになっているのですか。
  70. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) お答え申し上げます。  最近の時点におきまして、四十一年五月末現在で申し上げますと、江商自体が外部から借り入れております金額は、四百五十億近いものでございますが、そのうち、東京銀行からの借り入れ金は百三十四億六千四百万でございます。
  71. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 江商というのは、何を定款で目的としている会社なんですか。
  72. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) これは主として繊維を扱います、いわゆる貿易商社ということでございまして、大体の業務は、輸出入の貿易関係の業務を主たる業務としているわけでございます。
  73. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 江商美福にこれだけの金を貸してやるということは、これはどういう業務に入っているわけですか 江商の定款からいって。
  74. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) 私どもは、実は江商というものは直接監督いたしておりませんので、その点は他の所管のところからお答えしたほうがいいと思います。
  75. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いまあなたが言われたのから見ても、江商の定款の業務の範囲に入っていないということは、これはもう常識的に判断がつくわけですね。江商が、業務の範囲がいろいろで、付随的にある程度のものが入っておったといたしましても——ぼくは入っていないというふうに聞いておりましたが、あるいは入っていたといたしましても、そうすると、東京銀行というのは、あれですか、いまは普通銀行だから、輸出入金融以外の金融というものは、どんな金融をしてもいまはかまわないことになっているのですか。その点はどうなっているのですか。
  76. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) これは、先生御承知のように、実は外国為替銀行法という特別立法がございまして、いわゆる通常の銀行業務を規制するところの銀行法のいわば例外的な立法になっておるわけでございます。その外国為替銀行法に基づいて免許を与えられたのが東京銀行でございますので、したがって、東京銀行の業務というものは、この外国為替銀行法に定めるところに実は限られるわけでございます。  で、その内容をごく簡単に申し上げますと、第六条においてその業務を規定しておりますけれども、これは一口にいえば、要するに輸出入貿易に直接伴うところの金融業務を手形の割引でございますとか、あるいは貸し付け、債務の保証、その他内国偽替取引等々を含んでおります。  で、次に、この第六条業務以外に、第七条業務というのがございまして、これは、この輸出入に直接ではないけれども、その輸出入業務を円滑に遂行するために必要がある場合、その場合に限りまして、つまり、いわゆる輸出入関連業務と申しますか、砕いて申しますと、たとえば輸入物資が入ってくる、そうしますと、それの、つまり、国内で加工してまた出す場合の、いわゆる、はね金融——俗に、はね金融と申すような、そういう部面も関連業務としてやれるわけでございます。  で、なおそのほかに、さらに十条というのがございまして、第十条というのは何を規定しているかと申しますと、これまた先生も非常に詳しく御案内のとおり、外国為替銀行法というのができましたのは昭和二十九年でございます。で、それ以前のいわゆる東京銀行というものは、つまり、いわゆる普通銀行として、銀行法に基づく免許を受けて普通銀行業務を営んでおりました。それがこういう特別の外国為替を専門にする銀行制度ができまして、それに乗りかわったわけでございます。したがって、つまり、その二十九年以前の取引関係は、これはもう広く一般の普通銀行業務をやっておったわけでありますから、それを一気にそこでゼロに落とすわけにはまいりません。そこで、その経過措置としまして、従来からやっておったもののうちで、そのごく限られた部分につきまして、これを大蔵大臣の認可があれば当分続けて差しつかえない。つまり、いわゆる準国内業務と申しますか、そういうものも実は一部ございます。これは全体の貸し金の中から申しますと、現在ではもうごく微々たるものになっておりますが、以上申しましたように、三つの種類の業務を営んでおるわけでございます。
  77. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 三つの仕事、業務をやっているのはわかりましたが、そうすると、十条の認可というのは、あれですか、一般的に認可をするのですか。個別的に、こういうことをやりたい、やりたいということで認可をするのですか、あるいは、実際に外国為替銀行本来の目的から離れたものですね、十条というのは。その場合には、特別に大蔵省に報告をするとか、認可を得るとか、そういうふうなことをしているわけですか。そこはどういうふうになっているのですか。
  78. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) これは一件一件見るわけにはまいりませんので、一定の基準を設けて包括認可をしておるわけでございますが、これはもう実は、さっきも申し上げましたように、外国為替銀行制度発足以来今日まで大体十年とちょっとになりますが、もうほとんど残高はゼロに近い、なきにひとしい状態にまで落ちてしまっております。
  79. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ちょっと説明がはっきりしなかったのですがそうすると、普通銀行をやったときのものが残っているものをそのまま認めるということで、新しく認めるのではないという意味ですか。
  80. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) 大体そういう趣旨に解していただいてよろしいかと思います。
  81. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、江商が本来の輸出入業務ではないものをやっておる。不動産を担保に取って金を貸しているとか、そういうふうな業務をやっておるということがわかっていて、東京銀行が多額に金を江商に融資している、こういうことになってくると、一体それはどういうことになるのですか。
  82. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) そればもう非常に賢明な稲葉先生のことでございますので、あまりくどく申し上げませんが、その江商自体がどういう業務をやっておるか、これは通産省が直接見ておりますので、私もそのこまかいことを知りません。しかし、さっき申し上げましたように、江商の主たる業務は輸出入貿易の仕事でございます。東京銀行が江商と融資関係でつながれば、これはやっぱり輸出入関係の仕事だということに実は限られておりまして、したがって、さっき私が申し上げました百三十四億六千四百万円の江商に対する貸し金というものは、輸出関係、輸入関係、貿易関連関係と、きわめて内容ははっきりしておりまして、いま先生がちょっと御指摘になったような何やらわけのわからぬものに貸しておるのじゃないか、不動産がどうのこうのとおっしゃっておりましたが、そういうものは一切出しておりません。
  83. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 出しておりませんという意味がはっきりしないのですが、出しておりませんというのはどういう意味ですか。
  84. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) これは融資の中身をきちっと見ればわかることでございまして、たとえば、輸出貿易のその輸出手形というものがございます。その輸出手形の中でいわゆる再割り適格を日本銀行へ持っていけば一銭一厘で割り引いてくれる、再割り適格の貿易手形、これを幾らとか、そういうふうに全部、中身が貿易と結びついたものできっちりできております。それ以外の融資は東京銀行はしていないということを私は申し上げておるのであります。
  85. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 していないということを申しておるのですけれども、これは実際はしておるわけですね。
  86. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) いいえ、しておりません。
  87. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いやいや、東京銀行の本店の審査部の者が那須現地へ行って、美福が交換した土地を評価しておるでしょう。坪七百円で評価して、そうして江商に金を貸して、江商から美福へ金が来ておるでしょう。それで美福江商との間で二十何億の債権債務の争いがありましたね。いまも話が出たでしょう、あるのですね。そのときに、いいですか、江商側の代理人となって出てきたのはだれかというと、東京銀行の人ですよ。東京銀行の堀江さんが江商側の代理人。美福の代理人は重政誠之、この二人で債権債務が幾らかということを確定しようというので交渉しておるのですよ。これはちゃんと書いてあるでしょう、書類に。だから、ぼくはおかしいと言うのですよ。あなたはぼくの質問に対して、おかしいというふうに感じておられるに違いないのですが、だれが見てもおかしいと思われるのは、だから、そこに何かの圧力というか、非常に不明朗な別な圧力が加わってそういうことが行なわれたとしか考えられないのですよ。いいですか、江商側の代理者として堀江さんが入っている、堀江薫雄という東京銀行の頭取じゃないですか、と名前を聞いておりますが、債権者の代理債人、その人と、美福の場合ですね、仮処分の場合ですから、重政誠之との間にいろいろ交渉が開始されております。昭和三十九年六月中旬ごろから債務者が——いや読むのはやめましょう。書類を読むのはやめましょう。いずれにいたしましても、美福江商との間で仮処分があってですね、仮処分があって、その前段として、これは仮処分がある前に争いがあったから、仮処分があったわけです。その前に所有権の移転と金額の争いがあったのです。そのときの代理人は、片っ方は東京銀行、片っ方は重政誠之です。こういうことが行なわれているのです、現実に。ですから、ぼくはこれ以上言いませんから、こういう事実があったのかどうか。東京銀行の本店審査部の荒井真一、これがちゃんと那須現地に行って、この土地の査定をしているのですから。美福が交換したところの土地を坪七百円で査定している。そうして担保価値があるかどうかということを見て、東京銀行から江商に金がいき、江商から美福に金がいっておる、こういうふうに考えられるのですから、だから、これはぼくの言うことがほんとうかどうか、ぼくはこの人の名刺もちゃんと見ているから、よく調べてください、東京銀行はあなたのほうの監督権ですから。それから重政誠之と東京銀行の堀江さんとの間に、美福江商との間の債権債務の額の交渉その他についてあったかどうか、これを全部調べてくれませんか。
  88. 佐竹浩

    説明員(佐竹浩君) どうも東京銀行の審査部の一人が那須土地を見に行って評価をしたというようなお話、私実は全く初耳でございまして、ちょっと常識で考えましてそういうことはあり得ないことではないかと私はいま思いながら、先生お話を拝聴しておったわけでございます。まして、いわんや、堀江某なるものが立ち会い人なり代理人に出てくるというのもちょっと理解しがたい。しかし、先生もおそらく何やら的確な御証拠を持っておられてのお尋ねのことでございますならば、私もいまこの場でそうでないと言うわけにもいきませんかもしれません。しかし、よく一ぺん実情を堀江何がしを呼び出して確かめてみたいと思います。
  89. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 問題がこれはもういろいろあるんですね。私も、非常に複雑といいますか、疑問に思っているところがあるわけです。そこで、これは林野庁にお聞きをしたいのですが、国有林の交換といいますか、これは二回にわたって行なわれておるわけですね。それで、美福から申請書が出た日にちであるとか、それから、どういうルートをたどってそれが農林大臣のところにいって決裁になったのか、その経過、それから日時的に、新潟の山というのが出ておりますが、新潟の山を美福が取得した日時、それと交換の申請なんかをした関係、それから交換の契約書なんかあるわけですね、そういう関係をまとめて日時的にわかるようにしてひとつ説明をしていただきたいと思います。
  90. 田中重五

    説明員(田中重五君) 今度の那須国有林の交換の経過は、いまお話しのように、二回に分かれておりますが、それで、三十九年の三月に交換をいたしました。申請書の出た日はあとで申し上げますが、現地調査をいたしましたのが、三十八年の六月から三十八年の十月、そうして国有林野の処分をいたします場合には、営林局ごとに置かれた国有林野管理審議会というものがございまして、これは県、それから関係の市町村その他の人たちが委員になっておりますが、その管理審議会にかけましたのが三十八年の十一月、それから、その審議会の承認があった後、その評価の調書の作成に入りましたのが三十九年の一月で、そのころに財務局にも協議をして、その評価についてその適正を期するための協議をいたしております。それから林野庁国有林野の上申が参りまして、そうして大蔵省と協議をしましたのが三十九年の三月、大蔵省の承認によって同じ月に契約をいたしたものということでございます。  それから二回目の四十年の七月の交換の分につきましては、現地調査をいたしましたのが、三十九年の六月から三十九年の十月でございます。それから管理審議会につきましては、一回目の分のときにあわせてかけておりますので、そこで評価の調書の作成、これが三十九年の十一月、それから同じく財務局への協議が四十年の一月、それから林野庁へ上申いたしましたのが四十年の二月、大蔵省の協議を経て契約をいたしましたのが四十年の七月、こういうことになっております。申請書の出た日にちは、ちょっといまわかりません。
  91. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 その鑑定は四つあたりにあれしたんですけれども、前橋の営林局から書面で鑑定の依頼がいったんですか。大田原の営林署を通らなかったのか、それが一つと、鑑定を受けたところはみんな土地の支店でしょう。そういう財産の価額の査定権というようなものは支店にはないんじゃないですか。本店にしかないんじゃないですか。それが二番目。三番目は、実際には査定する銀行——四つの銀行ですか、査定したのは。現地に行かなかったんじゃないですか。営林局との話し合いというか、営林局から頼まれて、向こうから来た書類、依頼状に基づいて、大体のことで査定したんじゃないですか。これが三つ。その点はどうなっていますか。
  92. 田中重五

    説明員(田中重五君) 鑑定の依頼は書面でいたしております。それから鑑定権と申しますか、これは国有林野を貸付したり、あるいは売り払い処分をしたり、この場合のように交換をしたりする場合の評価の適正を期するために、もちろん営林局長責任で行なうものでありますけれども、その適正を期するために、財務局であるとか、あるいは銀行であるとか、あるいは不動産研究所の調査であるとか、そういうところの評価についての意見を聞いて、そうして営林局の評価の適正を期するというふうにいたしているわけでございます。
  93. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私の言うのは、支店にはそういう査定権がないんじゃないかというんですよ。本店でなければいけないんじゃないですか。支店と営林署の話し合いで適当にやったんじゃないですか。それから査定というか、鑑定する銀行の支店も現地に行かないんじゃないですか。こういうふうに頼んだんじゃないですか。こういう金額で査定してくれということを営林局のほうで。そうじゃないですか。
  94. 田中重五

    説明員(田中重五君) こういう金額で査定をしてくれというふうに頼んだということはございません。
  95. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ございませんというのは、どうしてそんなことわかるんですか。調べもしないで、そんなことわかりっこないでしょう。
  96. 田中重五

    説明員(田中重五君) いまの支店の査定権の御質問でございますけれども林野庁では、国有財産の管理及び処分に伴う財産の評価の基準であるとか、あるいは取り扱いの要領について通達を出しております。で、いまの銀行等につきましては、こういう評価の能力のある銀行であるとか、信託会社であるとか、不動産会社、その他不動産の評価について信用のある法人、そういうものの鑑定評価についての意見を求めるということにしておりまして、銀行の支店としても、その評価について能力を持っているというようなところにつきましては、その意見を求めるということにしているわけでございます。それから、こういう価格に鑑定してくれというようなことを頼んでおりません。
  97. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いや、頼んでおりませんと言っても、よくその点を調べてからならそういう答えでいいんですけれども、十分その点調べてないんじゃないですか。よく四つの銀行に当たってごらんなさい。四つの銀行が現地へ行って調べたのかどうか、よく調べてごらんなさいよ。どうも現地へ行ってないんじゃないですか。これ、書面上でやったんじゃないですか。その点よく調べてみてくれませんか。  それからもう一つは、最初に交換のときに、二十九人の人がオソ山部落というところで、七十七町歩を営林署から借りていたわけですね、借りていたのを返させたんですね、営林署へ、国へ。返させて、それを美福のほうへ渡しているんですね。そういう事実があるでしょう。よく調べてくれませんか。オソ山部落のところですね、七十七町歩ですか、二十九人の人があれしたところですが。そうすると、営林署から借りている人に、前橋の営林署に、国に返せと、こう言ったわけですね。それを美福に渡すのだから返せと言った。いやそれは返す必要はないんだと、借りているんだから、こういうことを言った。大田原営林署の、名前はあれしましょう、Yとしておきますが、この人がそれを反対したわけですね、農民のためを思ってというか。そうすると、その人は結局やめさせられてしまった。やめさせられたのが、形は自分のほうからやめたようなかっこうになっていますけれども、やめさせられたんですね。こういう形になってきて、非常に変な圧力がかかっているんですね。これもよく内容を調べてごらんなさい。無理に農民の持っている借りた土地を返させちゃって美福のほうへ渡した、こういう関係が出てきた。これは大田原のもとの管理課長に聞けばわかりますから、よく調べてごらんなさい、その関係事情はですね。東京銀行が行って、坪七百円で査定したということは知っているでしょう、林野庁は。知らないですか。
  98. 田中重五

    説明員(田中重五君) そのことは存じません。
  99. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これはまあどういう目的で行ったかということは、いま大蔵省のほうで調べていますからわかると思うんですがね。これは考え方によっては二つありますよね。それは二つというのを分析して言ってもいいんですけれども、まあここでは省略しますけれども債権が焦げついて取れなくなっちゃったから、取るためという意味で行ったという場合もあるし、それから、東京銀行が金を某所から向こうへ回るのを知っていて、そうして行ったという場合もありますね。この点はよく調べないとわかりませんけれども、いずれにしましても、東京銀行が行ったときは七百円に査定しているんですね、同じところを。それを、あなた方の払い下げのときは七十円ぐらいでしょう。だから、その時期的な問題とかなんとかによって、あなた方の——交換ですけれども、銀行の査定した金額などが妥当か妥当でないかということが、これは問題になって、わかってくると思いますが、これなんかも、私は時間の関係がありますから、あとで査定の金額の点だけはゆっくり別の機会に聞きますが、よく調べてみてくださいね。  それからもう一つの問題点は、これは栃木県にあるわけですね。そうすると、栃木県の県庁なり何なりとどのような話が、国有林の交換なり何なりについてあったのかということですね、この点はどうなんですか。これは時期的に分けないといけませんからね。全然、栃木県のほうに話もしないで、ばかばか、ばかばか進んじゃったということもちょっと考えられないんですね。その点はどういうふうになっているんですか、あなたのほうで知り得た範囲で……。
  100. 田中重五

    説明員(田中重五君) それぞれの県で、その県内に所在する国有林野について、いろいろ県としては、栃木県に限らず要望というものはございます。それで、この場合は、那須の地域等についての開発の希望といいますか、そういうものは、このケースが始まることに関係してかどうか別として、とにかくその県の方針というか、そういうものとしてあったのだろうと思いますけれども、標高七百メーター以下は牧場で、七百メーター以上は観光用地、それから森林公園などに開発をしたいと思うから、国有林の譲与を願いたいというような要望があったというような話を聞いております。
  101. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 ここへ目をつけてというとことばは悪いんですけれども、将来開発されるからというので、交換にしろ、とにかく払い下げを受けたいということを考えるについては、前もって何らか栃木県のほうと当然話し合いがなければならないわけだとぼくは思うんですがね、それは常識だと思うんですがね、それは国のあれかもしれませんが、那須開発ということについては、県自身が非常に取っ組んでいることなんですからね。そこで、ぼくは、あなたのほうで調べてもらいたいのは、栃木県知事、これはもとの林野庁長官の横川さん、それから副知事成良一郎、それから観光課長鈴木何とかというのが——名前忘れましたが、これらが、何といいますか、県と小針との結びつきについて、いろいろ知っているわけですよね、事情を。これらから事情を聞けば、もっと詳しいことはわかってくるわけです。県の商工部長やっていた中川晃というのがいるんですが、これが横川知事の世話でやめて美福栃木県の支店長みたいになったわけです。中川という商工部長、いまやめましたが、これは横川知事の世話でなったんです。ですから、小針の動静全体ということについては、栃木県は非常に大きく関係しているんですよ。横川知事なり、成良さんなり、それから観光課長なり、よく知っているんです。その間にどういうことがあったということをぼくは問題にしているのじゃないんです。その間に不正があったとかなかったということを私はここで問題にしているのじゃありませんから、誤解されてはいけませんが、事実関係全体について問題点がもっとたくさんあとから出てきます。その中で明らかにするためには、その三人が一番よく事情を知っているということが考えられるということを、ぼくは好意的にお話ししているわけです。あなた方のほうに、私なり、大森さんなり、いろんな方々から御質問があったときに、この三人の方方に聞けばよくわかる、こういうふうに思うわけですね。  そこでもう一つの問題は、美福なり何なりに交換をするというときに、その小針という人がどういう人だということを林野庁では考えなかったのですか。考えなかったかということばは悪いから取り消しますが、どういうふうに考えていたのですか、経歴などについて。
  102. 田中重五

    説明員(田中重五君) その点はどういう人であるかということは全然考えておりません。
  103. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、払い下げるときには、それがどういうふうに使われてもかまわないわけですか。
  104. 田中重五

    説明員(田中重五君) 国有林野の交換という処分の場合に、渡し財産として出す国有林野につきましては、一応それを受ける側の利用計画等は聴取いたしますけれども、特に用途を限定するとかということはないわけでございます。それが何に使われても、一応それは拘束はできないということでございます。
  105. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 この国有林の交換について最終的な決裁をしたのは農林大臣ですか。そのときは農林大臣はだれだったのですか。
  106. 田中重五

    説明員(田中重五君) これは、この交換ということにつきましては……
  107. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 だれが最後に決裁を。
  108. 田中重五

    説明員(田中重五君) 要存置林野につきする場合には、不要存置林野にしてすることとなりますが、その場合には、農林省の承認が必要だということでございます。それから、もらうほう、つまり、受けるほうの財産の面積がある限度以上の場合には、これは大蔵省との協議も必要になるということを除きまして、本来的には営林局長の権限でございます。
  109. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、この国有林の交換については、前橋の営林局長長又氏のところの決裁だけで済んだのですか。よく調べてくれませんか、申請書とかなんとか、いろいろなものを見て。最終的な決裁は農林大臣までは来なかったのですか。これは事実関係だから来なければ来ないであれですしね、どうなっているのですか。
  110. 田中重五

    説明員(田中重五君) お答えいたします。  いま申し上げましたように、大蔵省の承認を得るという事項がございますから、そこで、そういう意味で一もちろん農林省を通っているわけでございます。そういう意味で、農林省に協議、農林大臣の決裁を必要とするということでございます。
  111. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 農林大臣の決裁を必要とするという抽象論じゃなくて、本件の交換の場合に農林大臣が決裁したのかしないのか、農林大臣はだれだったのか、こういうことなんです。
  112. 田中重五

    説明員(田中重五君) 農林大臣は赤城農林大臣でございますし、それから第一回の分が三十九年の三月三十一日、第二回の分が四十年の七月七日でございます。
  113. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは両方とも赤城さんですか。重政さんのはないですか。
  114. 田中重五

    説明員(田中重五君) 一回目の分は赤城大臣でございまして、それから二回目の分は坂田大臣でございます。
  115. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 じゃ、もう一つきょうは別のことをちょっとお聞きして、時間の関係があって終わりますけれども、これは直接林野庁なり何なりの関係ではないかもわかりませんけれどもね、一つ問題になっているのは、あそこに塩那スカイラインというものをつくることになっているわけですが、エンは塩ですが、塩谷郡と那須郡を通ずるスカイラインというものをつくることになっている。大体道は予定されていたわけです。大体下のほうのところを関東土地というのですか、それが買って、それの上のほうを美福のほうへ払い下げをしたわけですね。そこをこうずっと通って、関東土地のほうの土地も通ってくることになって、それを見通して関東土地というのが買ったらしいのですね。これも、ある政治家関係しておるらしいのです。ところが、美福側の話し合いか、あるいは要請か、あるいは、もっと上のほうの人の要請かわかりませんが、栃木県では関東土地が買ったところを通らない、その上のほうを通って、この上のほうがまた美福土地なんです。そこを通って、美福土地だけを通るような形に塩那スカイラインを変えようというようなことがやられているわけです。せっかく当てにして買った関東土地のほうは値段が下がってしまうわけです。その土地をまた美福のほうで安く買おうということになって、塩那のスカイラインの道筋を県では変えたわけです。変えようとしたわけです。それで、県の道路課の人たちは非常に、実際に仕事をした人たちは、なぜそういう理由によって変えるのか、不自然だ、おかしいと言っておこっておるわけですが、上のほうの政治的な人の力、いわば河野さんなくなりましたけれども、河野さんにつながる人たちの動きによってその道筋を変えていこう、これを美福のほうの人が動かしておるということが、いま現実にあるわけです。塩那スカイライン、この問題については、これはもう県でも問題になると思いますが、私のほうでも今後問題にして聞きますから、あなた方のほうでも、よくそれを、塩那スカイラインのこの道の設計変更の問題、これをよく確かめておいてください。実にこうけしからぬことがいま行なわれているわけです。私はいろいろのことをまだ聞いて知っておるし、あるいは小針という人の経歴などについても、これは個人の名誉に関することですから、ここでは私は申し上げません。いずれにいたしましても、その政治といわゆるそういう一種の商人との間の利権的な結びつきが非常に強く行なわれておって、栃木県の那須を舞台にして行なわれておるのは遺憾なことであって、これはやはり事実は事実として明らかにすべきものは明らかにしなくちゃいけない、いたずらに個人を非難したり何かするつもりは全くございませんが、国民の立場に立って明らかにするものは明らかにしなくちゃいけない、疑惑を解かなくちゃいけない、こういうふうに私は考えるわけです。で、きょういろいろ調べてくれと言ったところもありますから、そういう点については、臨時国会が始まりますと臨時国会の中で、私もなおよく調査をいたしますから、調査した中で、さらにこれは時間をもう少しゆっくりいただいて、現地の図面をここに持っておりますけれども、図面などで説明をしながら質問をしていきたい、こういうふうに考えますので、きょうのこの問題は、この程度で終わらせていただきたい、かように考えます。
  116. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 他に御発言がなければ、午前中の審査はこの程度にとどめたいと存じます。  午後一時二十分まで休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後一時三十五分開会
  117. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、三十九年度決算外二件を議題といたし、総括質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  118. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 厚生省に、きわめてじみな質問ですが、三十七年の八月に社会保障制度審議会ですか、それが生活保護の基準のことについて、実質三倍にしろという意味の勧告をしているわけですね。この勧告の具体的な内容というのはどういうことなのか、ちょっと御説明願いたいと思います。
  119. 今村譲

    説明員(今村譲君) お答え申し上げます。  ちょうど所得倍増、三十六年から四十五年の計画に関連して、社会保障をどうするかというふうな問題が制度審議会で取り上げられました。で、いろいろの議論があったようでありますが、いただいた、出されました勧告というものには、三倍の内訳は、詳細に出ておりません。ただ問題は、一般の国民の所得を倍増する、特に考えなければならないのは、中小企業とか、零細企業とか、低い賃金体系のもとにある人は、相当、二倍とか、二倍半とか、二倍六分とかいうふうに上げなきゃならぬだろう、そういう点から見ますと、生活保護のほうも単に二倍ではこまる、もともと根っこが低いんでありますから、国民平均が二倍というならば、それより高く、中小企業あるいは零細企業というふうなものの勤労者の給与を二・五倍あるいは二・八倍というふうに上げなきゃならぬ。それならば、生活保護はそれより下にあるから三倍まで持っていけ、そういうふうな議論で三倍、客観的な数字で出されたものというふうに考えております。
  120. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それは具体的な数字ははっきり出てるんですか。そうじゃなく、ただ抽象的にいま言ったようなことで三倍ぐらいにしたらいいじゃないかと、こういう程度ですか。
  121. 今村譲

    説明員(今村譲君) 具体的な数字は出ておりませんです。で、一般の階層が全部で二倍というならば、生活保護は低いから——いまでさえ低いから、格差是正という意味で三倍を目標にすべきである、こういうふうなことです。
  122. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そうすると、厚生省としては大体いま言った勧告に従って生活保護の問題を予算なりいろいろな面で解決をしていきたいと、一応のめどですね、それに従っていきたいと考えておるのですか。あるいは所得倍増計画が実際上撤廃されたからこれも変えるんだ、こういうようなことなんですか。そこら辺はどのようなことですか。
  123. 今村譲

    説明員(今村譲君) 三十六年期の基準で三倍と申しますと、これを年率に割り掛けますと、年率一二・九八%というものを実質上げなければならぬ、こういう計算になります。で、厚生省といたしましては、三十六年度からいろいろ所得倍増に合わせまして、少なくともこの目標は実現させなければならぬという意気込みのもとにおきまして、年々相当大幅な要求をしてきておったわけでございます。結果におきましては、そのとおりになかなか進みにくい、非常に困難があるということでございますけれども、従来の三十五年以前のような生活保護のアップ率ではなしに、たとえば三十七年は一八%、三十八年は一七%というふうに、従来よりも非常に思い切った、とにかく一二・九八%という年率よりも上回ったかっこうにしてもらわなければ困るということで、せっかく努力中でございます。
  124. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 これいままでも低いからという話があったわけですが、そうすると、昭和二十七、八年といいますか、三十年ごろというのは、あれですか、生活保護基準が低かったというふうに考えられるのですか。
  125. 今村譲

    説明員(今村譲君) これは率直に申し上げますと、終戦直後あたりは、とにかく米でも何でもほとんど配給ということで、上下の生活水準の差別というものはなしに、ぎりぎりかつかつであったというふうなときにおきましては、終戦後から二十七、八年くらいまでだろうと思いますけれども、大体そんな格差はなかったのでありますが、三十年前後あたりから一般の経済復活ということで相当金が——金といいますか生活程度が伸びてまいりましたので、格差がだんだん開くような傾向になってきた。その限りにおいては、生活保護をそれに追随しあるいはそれをもっと追いつくというふうな努力をせんければならぬだろう、こういうふうには考えております。
  126. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 いま格差の点があったわけですが、一般世帯に対する被保護世帯の生計費の格差の推移を見てみますと、いろいろあるわけですが、大体いまは四七、八%で、半分以下なんですか、その点はどういうふうになっているのですか、それが一つ。  それから、これは大ざっぱな話になりますが、具体的に一つの目標としては、一般世帯に対してはどの程度のパーセントが妥当なのか。いわゆる最低の文化生活というものがそういうものだというふうに、これは厳格にこまかい数字までは無理かと思いますが、その点はどういうふうに見ておるのでしょうか。
  127. 今村譲

    説明員(今村譲君) 非常にむずかしい御質問でございまして、あれですが、実は厚生省といたしましてはこういうふうに考えております。  その前に、第一点でありますが、昭和四十一年度予算におきましては、被保護世帯と一般世帯の格差というものは、これはFIESでありますから、四十一年度はまだ出ておりませんが、それが伸びるだろうという推定のもとに出しましても、四九・二%というふうに四十一年度は推定をいたしております。確実なものは、三十九年度はFIESが出ておりますが、これが四七・一%という数字が出ておりますけれども、それで私ども、それが五〇%でいいのか、あるいは六〇%、七〇%まで持ち上げなければならぬのかということが何か計数的に、理論的にできないものであろうかということを検討いたしておりますけれども、なかなかその辺になりますと自信がないわけでございます。ただ問題は、ここ二、三年検討いたしておりますところは、国民平均の生活水準といっても、実は計数上は出ますけれども、これは千差万別でございます。したがいまして、生活保護、貧困感というものは、何と申しますか、隣近所——たとえば三菱をうらやんでみてもしょうがない、隣近所のいわゆる低所得階層の生活水準の上昇あるいは実態というものとの比較検討、要するに貧困感というものは相対関係にあるのじゃないか、こういう気がいたします。三十五、六年あたり以降の国民生活の水準の伸びを見ておりますと、やはり下のほうほど所得が伸びておる。たとえば中卒の人が足りない。どんどん初任給が上がっていく。理髪屋さんでも人手が足りない。初任給をうんとあげないと人が来ない。労働事情がからむわけでありますが、そういう意味で、低所得階層ほど一般の平均を上回って消費水準が伸びていく。したがって、これは国民を五つに分けて、一番下から第一五分位、第二五分位という言い方もありますし、あるいは十階級に分けて、下のほうから第一十分位というふうに計算するのもありますが、せめて第一十分位とか、あるいは第一五分位というふうな、生活保護法の人方と同じような職業あるいは同じ生活状態にある人の上がり下がり、それを常に目標にして、私どもはそれに追いついていくというふうなことにしなければいけないのじゃないか。抽象的な最低の生活はという単なる物量ではできっこないのじゃないか。そこのところをいかに発見するかということに苦しんでおります。
  128. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それはそのとおりとして、大ざっぱに言って、一般世帯に対する被保護世帯の生計費の格差というか、何といいますか、比率といいますか、これはどの程度になったらよろしいというふうに考えるのですか。東京の場合とかその他の中都市の場合とかで違いが出てくることも考えられるし、統計のとり方によってもいろいろ違ってくるものはあると思いますが、ですからなかなかむずかしい問題だと思うので、厳格にはなかなか出てきませんけれども、一つの目標としてはどの程度か。たとえば、七〇%では何か上過ぎるというような考え方もあるわけでしょう。そうすると、五〇か六〇か、相対的なものだから、片一方のほうも上がっていくわけですから、なかなか基準といっても、科学的なものとしてはむずかしいかもしれませんが、一応の目安としてはどの程度なんですか。いまは大体半分以下でしょう。生活保護世帯が一般の世帯の半分以下でいいということはちょっと考えられないのですがね。そこらの辺のところはどの程度、これは大ざっぱに見て目標にしているというか、どうなんですか、その点は。
  129. 今村譲

    説明員(今村譲君) それは、たとえばFIES、これは先生よく御存じでありますが、第一十分位階層というのがございます。これは下から約一千万——九百九十何万人、約一千万人の階層だと思っていただけばいいと思いますが、その人方の消費水準と日本国民全般の平均の一人当たりの消費水準とを計数的に比較しますのは、昭和三十九年度までできておりますけれども、それを見ますと、一般の三十九年度の国民平均の消費水準を一〇〇といたしますと、第一十分位では六六・〇%、要するに六割六分というのが現実であるという計数が一つ出ております。ただ、そこで生活保護を六六に持っていけばいいのかという問題が一つございます。ただ、第一十分位に約一千万人ぐらい、総人口の一割ということでございますので、被保護者は大体百四、五十万というので、必ずしも六六まで持っていけない、もう少し下回るのじゃないか、その辺の見当を持っております。計数的には、ちょっと申しわけございませんが、ここでは申し上げかねるのであります。
  130. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 それから、生活扶助の算定にエンゲル係数を用いるようになったのは、これは三十六年からですか、その前はマーケット・バスケットでいったわけですか、それでどういう理由で算定のしかたを変えたのですか、ここら辺のところを具体的にちょっと説明を願いたいのであります。
  131. 今村譲

    説明員(今村譲君) これは、二十三年から三十五年まではマーケット・バスケットを用いておりました。三十六年からエンゲル係数に切りかえたわけであります。これはどうも公式の席で申し上げるのはぐあいが悪いのでありますが、マーケット・バスケット方式では非常に生活保護法を伸ばすについてむずかしい理論構成になっている。たとえば石けんを、四人世帯で想定しますと、月に石けんが一個要る、ちり紙は三百枚要るとかいうものを全部積み上げて計算します。ところが、国民生活がだんだん経済的に余裕がついてデラックスになってきても、さてそれではちり紙三百枚を三百五十枚にふやしてくれといいましても、これは三百枚で済んでいるなら三百枚でいいじゃないか、こういうことで、時々刻々の周辺の相対関係を見るのには非常にぐあいが悪い。ただ、絶対物量主義で、単価だけ直していけばいい、物量がそれで済んでいくならそれでいいというふうなことで、いろいろ時期がずれる、逐次改善はやりますけれども、非常にやりにくいということがございますので、少なくとも飲食物費は一般の社会保障生計調査あたりから大体のワクをとってきまして、それ以外の日常の被服費とかあるいは教育費とか文化教養費というものは、一般国民が二万円取ったならば、そのうち一万円は飲食物——エンゲル係数五〇なら一万円は飲食物、残り一万円は、内訳はつけないでエンゲル係数の動きによって逐次それの総額を出していくということにしたほうが、生活保護法を伸ばすのに都合がいいということで、三十六年から踏み切ったわけでございます。
  132. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 エンゲル係数のやり方に変えたということ、前のマーケット・バスケットのやり方とでは、率直に言って一長一短があるのじゃないかと思うのです。そこの点はどうなんですか。一長一短ですから、比較しなければいけませんけれども、エンゲル係数のやり方でも長所もあるし短所もあるし、マーケット・バスケットのやり方でもそれがあるしということになると思うのですが、そこのところはどういうようなものですか。
  133. 今村譲

    説明員(今村譲君) 委員会先生方に資料を全部お配りしておくべきであったと思いますけれども、たとえば昭和二十六年は、一般国民水準から見て、被保護者の水準は五四%であった。それがどんどん下がりまして、三十五年には三八%になったということは、これはもちろん一般国民のほうが経済的に余裕があってどんどん伸びた。別に保護基準そのものは毎年上がっておりますけれども、それを上回って伸びていったというこの現状は、厚生省の努力の足らなさもございますでしょうけれども、やはり一定の物量に限定いたしますと、石けん一個でよかったものが何で二個にならなければならぬかという、いろいろな物量積み上げの弊害というものは、一ぺんきめてしまうとなかなかそれが流動的に変動しにくい。隣が景気がよかったからこっちのほうも物量二割、三割上げてくれということはなかなか言いにくい。使用価値ということを検討していきますとそうなるので、やはり私はエンゲル係数というものが絶対物量方式よりもその時世時世の国民一般の経済的な水準の流動というものに対処し得る一つの方法ではないかというふうに考えるわけです。
  134. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そのエンゲル係数のとり方なんですが、ことしあたりは五二・三%というとり方ですがね。三十六年が五七・九ですか。これは実際の調査の結果とは違ってくるわけですが、実際の調査といっても東京都の一部分を調査するのですから、全般を律するわけにはいかないかと思いますが、そうするとエンゲル係数はどの程度のエンゲル係数になったらばいいというか、一つの目標として考えているわけですか。ということは、エンゲル係数、いろいろな前提があって、直ちにそれでこの数字だけ上げていまの時代に正しく当てはまるかどうか、これはなかなかむずかしいわけですね。百年ぐらい前のこれ、研究の結果ですからね。ですから、どうもはっきりしませんけれども、五二・三ということになると、エンゲルの言ったのはやっと生存できる生活というのが五〇%ですからね、それ以下ですからね。五五になってくると限界以下の生活というのがエンゲルのあげた生活程度の分析ですが、やっと生存できる以下のところにいま生活保護はエンゲル係数だけをとって言うとなってくるわけですね。これではおかしいわけですから、エンゲル係数ならエンゲル係数をどういうふうにもっと下げていくかということを目標にして考えているわけですか、そこはどうなんですか。
  135. 今村譲

    説明員(今村譲君) それは仰せのとおりに、昔のエンゲル時代、これはイギリスのその当時の社会情勢にも左右されるかと思いますけれども、五〇%を割ったのでは困るということはよく承知しております。現実に、仰せになりましたように、たとえば第一五分位、一番下から二千万人、全国民の。第一五分位のFIESをとりますと、エンゲル係数が四四あるいは四四・二ということになっております。それから第一十分位をとりますと、これははっきり計算いたしておりませんけれども、相当五〇に近い、四四と五〇の間ぐらいというかっこうになってくると思いますので、上ほどエンゲル係数高くなってくる。一般に平均全都市勤労世帯、人口五万以上の全都市、それの国民全般の平均が三五ないし三六ということになっております。厳密に申しますと、三十九年は三五・七、それから四十年は三六・二、こういうふうな係数、それに対しまして同じ時期の第一五分位階級の平均というのは、三十九年に四四、四十年が四四・二と、これは非常に妙な現象になりますけれども、三十九年より四十年がエンゲル係数が上がったということは、物価の問題なり、景気沈滞というようなことで時間外賃金が減ってきた等、いろいろな問題がからんでいると思いますけれども、逆に上がっているのですが、普通は毎年文化の進むに従って落ちるのだということでありますが、そこで、ここでいう、いまおっしゃった生活保護において五二・三というものについては高過ぎるではないかというのを、私どもは少しでもこれを下げようというので、三十九年は五七・九という係数でありましたのを、毎年努力して下げてきた。目標を四四がいいか四八でなければならぬかという、一気にそこまで飛べるかという問題がございますので、できるだけ第一十分位あるいは第一五分位のエンゲル係数に合うようにもっと努力していきたい、こういうふうに考えております。
  136. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 明年度の概算要求なんかも問題になってくると思うんですが、明年度は、いま言ったような前の一般世帯に対する格差の問題なり、いまのエンゲル係数で生活補助の算定をする場合に、どの程度にしたいというふうに大ざっぱに考えているわけですか。まだはっきりとしたものが出てこないと思いますが、大ざっぱにはどういうふうに考えるんですか。
  137. 今村譲

    説明員(今村譲君) これは最初マーケット・バスケット、それから三十六年からエンゲル方式というふうなものをとっておりますが、実は昭和三十八年の暮れぐらいから社会福祉審議会の生活保護分科会というものがございますけれども、そこで今度、ちょうど先生がおっしゃったように、被保護者というものをどういうふうに一般国民の平均、あるいは第一十分位、第一五分位というふうに比率を考えていくべきかという根本問題について御審議願ったわけです。三十九年の十二月に中間報告というので出されたのがありますけれども、これはやはり少なくとも国民の平均のエンゲル係数なりあるいは消費水準なりというものの何割だ何割だというふうな議論では、今後生活保護のためには十分でない。したがって、こういうふうに国民の生活の伸びは当然として、さらにその被保護階層の周辺にある生活保護と似たようなボーダーラインの階層の所得収入というふうなもの、消費支出がどのくらい伸びているか、それも勘案して相関関係でいくべきである、こういうふうな中間意見が出てまいりまして、私どものほうとしましては、いままでのエンゲル方式で進みますならば、これは社会保障生計実態調査というので東京都でやっております低所得階層の生計内容を明らかにして、それからエンゲル係数を導いてきたのでありますが、明年度につきましては昭和四十年度のいわゆる社会保障生計調査の整理を解析して係数を出すというのがぎりぎりいっぱい、これはエンゲル係数は好きなようにどうでも直せるものじゃありません。たとえば東京都でいいますと、実態調査の結果、曲線で描けばこういう曲線になるという、客観的にはこれだけ上がっていくから、これだけ上げてもらわなければならぬ、こういう一つの機械的な方法をとっております。もしそれがそうでなしに、エンゲル方式を離れまして、最初に申し上げましたように一般国民あるいは低所得階層の所得水準の伸びに追随して、さらに格差を縮めるというふうな、いわゆる相関関係の予算要求方式というものになりますならば、思い切ってエンゲル方式をやめてしまうということも考えられる。その辺の、問題としては一挙にひどいドラスティックな問題でございますので、そこまでやる考えはございませんけれども、できる限りおっしゃるように五〇%をこしたい、当面の問題としてはこういうふうに考えております。
  138. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 時間があれですから、あと少しですが、いままで概算要求するときに去年よりも何パーセント増しだという要求していて、大蔵省はそれをまた、何といいますか、切り捨てるというか、そういう形でやってきたわけですね。これは三十九年までそれでやってきたのですか、それをやってきたのに、なぜ切りかえたのか。ちょっと考えますと、厚生省が二〇%アップ要求をし、大蔵省が一〇%にした。そうすると、いかにも国が生活保護なり、そういう階層に冷淡だ、こういう印象を与えてどうもまずいというので、それをわからないようにするために、こういうやり方を変えたというふうにもとれるのですが、具体的にはどうなんですか、概算要求のやり方を変えたのは。
  139. 今村譲

    説明員(今村譲君) お答え申し上げます。それは、いまちょっと申し上げましたように、三十九年度の十二月十六日の生活保護専門分科会からの中間報告が参りまして、厚生省のいままでのように、たとえば石けんがどうの、ちり紙がどうのという積み上げでは困る。それはもう物量に足を引っぱられることでなかなか伸びない。したがって、むしろ生保あるいは貧困というのは相対関係だというふうに割り切って、第一十分位階層あるいはいわゆる低所得階層というのがうんと伸びたら、うんとそれにくっついていって大幅に要求するというふうな、連動方式といいますか、そういうふうなことを考えなければならぬじゃないかというふうな要求が——要求といいますか、意見具申があったわけでございます。したがいまして、厚生省といたしましても、いつも痛感しておりますのは、まあたとえば三〇%要求して一〇%しか入らぬというふうなことでは、一般の被保護者あるいは低所得階層に対しても非常に心理的な影響もある。これは事実でありますけれども、根本は、要求方式そのものについて、やはり国民生活一般の来年度はどういうふうに伸びるんだ、それからことに過去四カ年なり五カ年なりで第一五分位階層あるいは第一十分位階層、もうぎりぎり一千万の階層ですけれども、その辺の生活水準の伸びというものはどうなるかというふうなことから、国民全般の、経企庁がよく出します、毎年年末、予算の寸前ぐらいに出しますけれども、いわゆる明年度の経済見通し、この中に、個人消費支出というので来年度は一一%二とかいう計数が出てまいります。それは当然のこととして、そのほかに第一十分位との格差をもう一声縮めてもらいたいというような要求をしていくのが本筋じゃないか。そのためには、やはり来年度の物価問題を含めまして、国民生活水準が経済動向、あらゆるものから見て一体どのくらい上がるんだというものをなしに、たとえば物量を二倍にしてくれとか三倍にしてくれとか言ったって、なかなか迫力がないというので、経企庁の経済見通しというもので明年度の一般の推定をして、さらにその格差縮小分を追っかけていく、こういう要求にしよう、こういうことになりましたので、いつもならば八月の省議が済みますと、たとえば二五%要求したと新聞発表をしておったのですけれども現実にはその時点においては物価関係ばせいぜい五月分までくらいしか利用できませんし、FIESに使えるのもせいぜい四月分くらいしか使えない。とにかく来年度の見通しに近い直近の計数で議論をしていこうじゃないかということでありますものですから、したがって、三割というこれは閣議の一応ワクがあります、その三割のワクを一応要求として出しておいて、端的に申しますと、十二月の二十五日なら二十五日までにわかった経企庁の明年度の経済見通しその他一切の資料で折衝するというかっこうにならざるを得ないじゃないか、こういう状況でございます。
  140. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 そういうことであるならばまあわかるんですが、疑問が起きてくるのは、それならば最初からそういうやり方ならば話はわかるんですよ。いいですか。ところが、途中からそういうふうに変わったとなると、いかにも不自然なんで、国会などで論議されるときに、概算要求と結局大蔵省の査定とは違うじゃないかと、いかにも冷たいというか、あれじゃないかというように、非常に率直に言えば、その議論はわかりいいわけですよね。しろうと受けがすると言うと語弊がありますけれども、わかりいいわけですから、非常に突っ込まれるわけですね。それじゃまずいからというので、ちょっとわかりにくいようなところへ理屈をくっつけて持っていったんじゃないかともとれるんですけれどもね。これはまあ理論の発展だということならけっこうなことなんですけれども、まあいずれにいたしましてもこれは百六十万ぐらいおりますか。それからボーダーライン層がどのくらいおるか。これもなかなかあれですけれども、一千万かそこらいるだろう。こうなってきますと、そういう人たちの生活の向上と、こういうふうなことについても、これは明年度においても十分——これはきのうの厚生大臣がいるところで全般的な来年度の施策について聞きたかったんですが、いずれにいたしましても、そういうふうな面についていろいろ配慮を明年特にお願いしたいということ、これはまあ申し上げておきます。  来年度としてはあれですか、社会局関係では、特にこういう点、こういう点に力を入れたいという点があるのですか。いまのところまだそこまでいっていないのですか。もしあれば、それをお答え願って、私の質問を終わります。
  141. 今村譲

    説明員(今村譲君) それはございます。まだ省議の段階までまいりませんので、局だけが片思いで持っておるというのがたくさんございますが、やはり生活層の問題が第一点だろうと思います。その格差をいかに縮めるか。それから、ちょっと申し上げるのは残念なんですが、身体障害者行政というのは、子供のほうはまあいろいろな会合で、重症身障児とかいうことがありますが、おとなのほうの身体障害者行政というのが非常にまだ肉がついていないのじゃないか。これ何とか思い切ってやりたい。それから老人福祉の問題は、例のこの前江東区で老人が自殺をしたというふうな問題でもわかりますように、やはりいろいろな収容施設なり、その援護の手というのがまだまだ薄いのじゃないか。もっとも法律ができてまだ三年目でございます。そういうふうな点に重点を置いていきたい、こういうふうに考えます。
  142. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 終わります。
  143. 相澤重明

    ○相澤重明君 後藤政務次官、林野庁長官がまだ見つからぬようだから、政務次官から報告をしてもらいたい。それは、去る二十四日の木曾谷における集中豪雨の結果、たいへんもう長野県では大きな被害が出ておる。しかも、昨年の七月には同じ場所でこの被害が起きておったのに、どうして今回のようなこの被害が大きくなったかと、その結果をひとつ報告をしてもらいたい。政務次官報告を聞いているだろう。
  144. 後藤義隆

    説明員(後藤義隆君) 詳細の点について調べましてすぐ御報告を申し上げます。御答弁を申し上げたいと思っております。
  145. 相澤重明

    ○相澤重明君 政務次官、長官がまあ私がきょう午前中いなかったから帰ったのかもしれぬが、きょうの林野庁の際には、この事故の経過報告を求めるということを言っておいたはずなんだ。私が来るのがまあ二時になっても、そのことは、もう林野庁の決算を受けるときには報告をしなきゃいかぬ。文書でもってあとでこれを提出をしてほしい。  それからいま一つは、最近林野庁のいわゆる国有林野の管理、処分についてたいへん問題が多い。どうしたらばそれを直すことが、是正をすることができるかですね、林野庁としての、いわゆる農林本省としてですね、その態度というものをやはり出してほしい。私は、午前中も大森委員や稲葉委員からも指摘をされたと思うのですが、これはもう決算委員会全体としてですね、非常にこの林野庁に対しては関心を持っておるのです。ですから、このままの形では、おそらく決算委員会自体が林野庁の問題だけでもって毎日開いても追いつかないほどのたくさんの問題があると思うので、一つの例を言うと、先日も、昨年の七月、昨年の国有財産の小委員会の際にも、そういう林野庁関係の問題たくさん出ておって、しかも私の地元の箱根の国立公園の中でもいわゆる国有林払い下げておる、こういう問題があって、農林省にそのいわゆる態度というものを明確にしてほしいということを言っておったが、いまだにはっきりしない。そういう点で、昨日も大蔵省の国有財産局長には、昨年の国有財産委員会における事案について報告を求めるということをきめたのでありますが、きょうは、農林省、特に林野庁のこの国有林野の管理、処分について、そういう報告をひとつ提出をしてもらいたい。これは決算調査室のほうに昨年のそういう取り扱った事案がありますから、そのことについて正しく報告するように求めておきます。  き上うは、時間の関係もありますから、いまの二つの点を申し上げて、農林省のほうで善処してもらいたい。後藤政務次官から答弁願いたい。
  146. 後藤義隆

    説明員(後藤義隆君) 先日来林野の払い下げ、交換あるいはまた貸し付けについていろいろ御質疑がありましたが、それを伺っておりますと、いま少しやはり慎重な態度でやらなければいけないということは私も痛感しておりますし、いままでの分をよく調査いたしまして、さらにそれを十分な監督をすることはもちろんでありますが、将来こういうようなふうな新たに事を行なう場合において十分な注意が必要である、こういうようなふうに考えております。
  147. 相澤重明

    ○相澤重明君 木曾谷の報告をする際に、この工事を担当した者、工事の進捗状態、そういうものもあわせて報告するように、以上希望して私は終わります。
  148. 後藤義隆

    説明員(後藤義隆君) ただいまの御質問に対して、十分調査いたしましてお答えいたします。
  149. 黒柳明

    ○黒柳明君 私も、時間が限られておりますので、簡単に二、三問質問したいと思います。  私、先国会中、厚生省の行政の問題について数回にわたって指摘しましたのですが、その後この行政の欠陥を暴露したような事件が続発しております。どろ沼的な様相を見せているような感じがしますのですが、千葉医大の鈴木医師の問題にしても、あるいは岩手県立の南光病院ですか、精神病患者の生体実験、これはあくまでも個人の不備はあるにしても、行政問題を根本的に解決しませんといけないのじゃないか、こういう点が感じられるわけです。この点についてどのように反省をし、また善処もしているか、この点をお伺いしたいと思いますし、また現在どのような過程になっておりますか、簡単にその事件を報告していただきたいと思います。
  150. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) ただいま御指摘のございました点でございますが、検察庁のほうで、司直の手で捜査している段階の問題は、向こうのほうで進めておりますので、ただいま私から申し上げる段階ではございませんが、全般の問題といたしまして、厚生省行政は御指摘のように非常に多岐にわたっているのみならず、人命に関するような重大な問題でございますので、何とかしていままでのような事態が発生をしないように今後相戒めまして進みたいということで、いろいろただいま、綱紀粛正と申しますか、そういう点に関しまして首脳部といたしましても考慮中でございますので、必ずや御期待に沿えるように善処を申し上げたいと存ずる次第でございます。
  151. 黒柳明

    ○黒柳明君 岩手県の南光病院の扱いに関しては、厚生行政の面について何か反省し、また善処するような点はございませんですか。
  152. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 医務局長がただいま参りますので、後ほど御答弁申し上げたいと思います。
  153. 黒柳明

    ○黒柳明君 その問題、来てからひとつ答弁願いたいと思います。  同じく私は新薬の認可の問題について、これもたびたび質疑をしたわけですが、そのときに、新薬の実験段階から認可に至るまでの過程、あるいはその資料の提出を求めてきたわけです、再三にわたりまして。ところが、資料の提出については、企業の秘密にわたる点は提出できない、あるいは膨大な資料になるから云々と言って、いまもって提出されたのは雑誌のリコピーしたもの一通です。こういうようなところを見ると、こちらは一生懸命研究し、あるいは何とかして改善をはかるために質疑をしているのに、何か厚生省の行政というのは、国会の審議を立ち入り禁止と、こういうような感がするのですが、その理由はどこにあるかお伺いしたいと思いますし、またその雑誌のリコピーを見ますと、これはアスパラギン酸塩の実験資料ですが、そこには実験した担当官が田辺製薬の一研究部員になっている。非常にここにまた私が再三指摘したその裏の何かくされ縁みたいなものがはっきり明示されているような気がするのですが、そのような点について、二点についてどのようなお考えがございますでしょうか。
  154. 坂元貞一郎

    説明員坂元貞一郎君) 先般来、当委員会で新薬の承認の際のデータの御要望がございましたが、これに応じまして私どものほうで現在のところ学会その他等で公にされているデータのことに最も代表的なもの、つまり私どもの当局の考え方で当該製品について一番代表的なデータとこういうふうに思量されるデータを先般提出をいたしたわけでございます。しかし、何分にも新薬の承認の際のデータというものは、先生御存じのように、品目によって差異はございますが、相当な膨大なデータが積み上げられて提出をされておりますので、その全部を提出するということは非常にたいへんなことでございますので、いま申しましたように、一番代表的なデータを先般提出を申し上げたわけでございます。しかしながら、もしさらにデータの提出の点について御要望がございますならば、私どもの手元で現在持っております公表できる分の当該製品の承認データというものは提出することについては同感でございますので、御要望等の点を個々に御相談申し上げまして提出をいたしたいと、かように考えております。  それから、第二の点につきましては、新薬の承認の際は全国の権威ある大学、研究機関等でいろいろ臨床実験をやるわけでございますが、その際にもいろいろ各方面の第三者的な学者の方の臨床データというものが当然入るわけでございますが、当該メーカー等の研究所等にも相当優秀な研究員をかかえているメーカーがわが国においても相当あるわけでございます。したがいまして、そのようなメーカーの研究所における研究員が大学等の先生と共同研究というような形でデータをつくっている場合もありますし、そのようなデータが私どものほうに参りまして、そうして薬事審議会等のほうでいろいろな角度から検討をしてもらっておるわけでございます。したがいまして、かりにも、当該メーカーの研究員が入っているからといって、そこでその承認についていろいろ特別な取り扱いをするというようなことはいままでないわけでございまして、公正な学者等によって専門的な立場から審査をしていく、こういうような状況に相なっているわけでございます。
  155. 黒柳明

    ○黒柳明君 新薬の認可について公表できないデータというのはどんなデータがあるのか。それから、やはり田辺製薬から出しているアスパラに対して、田辺製薬の研究部員がレポートを出しても、これは非常に世間が認めないし、またそこにおかしな、先ほど言いましたような、何かその裏にやみ取引があるのじゃないか、こんなような印象を与えるだけじゃないかと、こう思うのですが、少なくとも当該メーカーのそういう研究部員を除いてそして臨床データをつくる、こういうような方向に向かっていけば、その点だけでも新薬の認可に対して疑惑を与えるようなことはなくなるのじゃないか、むしろそういう方向に行政を向けなければならないのじゃないか、こういう面を何回も何回も——一番初めに冒頭に述べたこともそういうことなんです。なかったから疑惑を起こさないのじゃなくて、あること自体が疑惑を起こす原因になるのじゃないか、そこに欠陥があるのじゃないか、それを善処するための政治を行なわなければならないのじゃないか、こういう意見なんですが、いかがでしょうか。
  156. 坂元貞一郎

    説明員坂元貞一郎君) 第一点の公表できないということは、法律上、決して私どものほうでもらっております臨床データというものは、不可能だという趣旨ではございません。ただ個々の大学なり研究機関等の学者の方が、いろいろ専門的な独自の立場から研究をしてデータをつくっておられるわけでございますが、そのうち学会等で公表しておられるデータというものは相当部分ございますが、特別な事情のためにか、公表できていないデータもございますので、そういうものについては、私ども当該研究員の先生の御了解をとって提出するのが筋かと、こういうふうに考えているわけでございます。したがいまして、先般当委員会に提出いたしましたデータは、すでに学会その他等で公表されているデータのうちで一番代表的なものを提出いたした、このような事情になっているわけでございます。  それから第二段の、当該メーカーの研究員が研究に参画してデータをつくっているという問題でございますが、確かに御指摘のような疑惑を受ける面もあるいはあるかと思いますけれども、私どものほうでやっております審査あるいは薬事審議会でやっております審査というのは、先ほども申し上げましたように、公正な立場で審査をしているつもりでございます。したがいまして、かりにも当該メーカーの研究員が参画しているからといって、そこでそのデータを特別な扱いをするというようなことは、ただいままでのところやっていない、こういうように私ども思っているわけでございます。しかしながら、御指摘のような点もございますので、そういう点については今後データのとり方、臨床実験のやり方、そういう点については十分御意見の趣旨に沿うように、今後われわれもさらに一そう改善くふうを加えていきたい、かように存じているわけでございます。
  157. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間も限られておりますので最後に質問しますが、代表的データを出した出したなんておっしゃいますけれども、代表的データというのはどんなデータか、ここで見せれば皆さん驚くと思うのです。ほんのリコピーしたものですよ。しかもそれがいま言ったように、当該社の研究所員のレポートなんです。それが代表的なものであるとするような——失礼ですけれども、そういう発言というのは、私は納得できないのです。そういうような不備な点を、一番初めに言ってるように、その点の頭を変えなければ、またその次の事件が起こる、こういうようなことを、私は初め冒頭に注意したわけです。そんなことをやっても水かけ論ですし、平行線をたどるだけですから。おことばのとおりに、何とかそういう行政を直すように、誠心誠意努力してもらいたいと思います。  それから最後に、先日の人事の問題ですが、人事院のほうからも検討して適当な措置をとる、また厚生大臣のほうも遺憾の意を表したわけですが、その後どのような結末をつけましたでしょうか、お伺いしたいと思います。
  158. 大塚基弘

    説明員(大塚基弘君) 御質問の件でございますが、予算委員会で厚生大臣と人事院総裁との間で御指摘のあった点につきましては、人事院は調査をいたしますということでございましたし、先国会の本委員会におきましても、一度御質問がありまして、調査状況につきまして御報告をしろ、こういうことでございました。なお、その当時は調査が全部完了しておりませんでしたので、なお調査を継続中であるとこう申したわけでございます。もちろん、ただいまの段階においては、御指摘の件に関する一応の人事院としては調査を終わっております。簡単にそれを御報告申し上げます。  まず、予算委員会では、元厚生省の職員であった四名の方が問題になったわけでございますが、そのうち一番日時の古い三十五年十二月に退職をされて、中外製薬に就職をされた喜谷氏の場合、当時製薬課長でございましたが、この方に関しましては、その後明らかになりましたように、当時は人事院の百三条の営利企業就職に関する申請の承認の基準といたしましては、三十八年の法改正以前でございましたので、一時的に喜谷さんの場合のような社長室付というようなポストに関しては、百三条の規定の営利企業における地位ではないというこういう判断をいたしまして、職員課長名をもってそういうことを厚生省に答えておきました。この件に関しては、人事院としては、当時といたしましては、承認の申請による審査は必要でないと考えたわけでございます。その後、三名の方に関しましては、厚生側から百三条にかかわる申請がございませんでしたということでございまして、この三名の方に関して調査をいたしたわけでございます。その三名の方のまずつかれた地位でございますが、元監視課長の市村孝夫さんは、明治製菓の調査研究的事項を担当の嘱託につかれました。次に麻薬第二課長をやっておりました五十嵐吉久氏は理研ビタミン油株式会社の市場調査担当の参事につかれたわけです。それから三人目の方である平瀬整爾氏は当時製薬課長であったわけですが、この方は藤沢薬品工業の調査研究的な事項担当の社長室付というポストにつかれたわけでございます。いずれも当時つかれたときのポストでございます。  ところで、これらの営利企業と三者の会社厚生省との関係は、市村さんの場合は、明治製菓は製菓会社でございますので、それについての監督官庁としては、農林省の食糧庁関係でございますけれども事業の一部で薬品を製造しておりますために、その部分については厚生省の監督を受ける、こういうわけでございます。五十嵐さんの場合の理研ビタミン油株式会社の場合は、同じく食品製造業を主としておりますが、その事業の一部で局方肝油等を製造いたしているわけでございます。その意味では、厚生省との関係はそれほど深いものではないと判断しております。平瀬さんの場合は、藤沢薬品工業で、医薬品の製造販売を営んでおるわけでございます。三者中では最も厚生省との関係が深いわけでございます。つきました地位は、いずれも先ほど申しましたように、調査研究的な事項関係を担当されておりますので、厚生省と接触する関係等を見ますと、それほど直接の関係は生じない。厚生省と三人の方々がつかれたそれぞれの会社の地位との関係については、それほど密接な直接的な関係はないと判断されております。  ところで、いま申し上げた三人の方が人事院の承認手続を経ないでこれらの会社のポストにおつきになったという事情に関しましては、これも先般来明らかになっておるところでございますけれども昭和三十五年の場合の喜谷さんの場合、職員課長名をもって非該当と回答しておりますので、その非該当のポストに非常に類似したポストにつく場合であるということで、人事院に対しましては、厚生省側として承認申請の手続をとらないで処理をなさったということでございます。これらの点につきましては、実は三十九年の四月ごろより、人事院としましては法改正に基づきました新たな審査の方式を一応内部的に定めまして、それらの点については、各省庁にかなりの接触をもって非常に努力をいたしまして、新しい審査方針についての了解を得るようにつとめたわけでありますが、残念ながらいろいろのいきさつから、厚生省側ではそれらの点の十分の御了解がなかったようでありまして、三十五年の例を踏襲したという形で、その後の三人の方についての申請をなさらなかったわけであります。われわれとしては、若干遺憾だと言わざるを得ないと思います。  最後に、あと始末の問題でございますが、いずれも三人の方々は、お一人は就職されました会社の社長との多少の交友関係等がありまして就職をされたようでありますが、他のお二人に関しましては、厚生省側に会社側よりこうした職員がほしいというふうな申し出があったようでありまして、当時の上司がそれについてのあっせんをなさったと思われます。したがいまして、三人とも当時の職員の立場といたしましては、別に法律の規定を知りながらそれをあえて犯して就職をしたという事情にはないように思われます。御承知のとおり、法自体には罰則がございまして、一年以下の懲役及び三万円以下の罰金という罰則の規定がございますけれども、これは当の職員であった方に対する罰則でございまして、いまの三件の場合を調査いたしてみますと、少なくともそれら三人の方々に関しては、御自身ではその罰則を犯してまでどうこうしたというぐあいではない、むしろ人事院に対して承認を申請すべき立場におられる、これはまあ法律の上でそういう規定になっておるわけでございますけれども、これらの立場におられる厚生省側の事務担当者の側に、新しい規則改正後の人事院の運用に関しての了解が不十分であったということがありますようなので、われわれとしては、この際罰則を適用するということは考える必要がないのではないか、こう判断いたしました。  つけ加えて申し上げますと、予算委員会で問題になりました翌日、厚生省事務次官が人事院事務総長のところへ参りまして、これらの件について遺憾の意を表され、かつ今後は絶対にこのような遺憾な問題が起こらないように、事務担当者を十分督励するというお話があったわけでございますし、また私が担当しておりますわけですが、官房長あるいは人事課長と私のところへ参りまして、同様の趣旨を表明されておりますので、人事院といたしましては、今後厚生省が百三条の関係において遺憾のないような運営をされることを希望して、離職された三人の方に関する罰則の適用は一応差し控えたい、こう判断いたしました。
  159. 梅本純正

    説明員(梅本純正君) 厚生省といたしましては、先ほど職員局長から御説明がありましたように、昭和三十五年十二月十六日に退職いたしました当時の製薬課長喜谷市郎右衛門が、中外製薬株式会社の社長付ということで参りましたときに、公文書を持って参りました……、
  160. 黒柳明

    ○黒柳明君 過程はわかっておりますから簡単に……。
  161. 梅本純正

    説明員(梅本純正君) 前例によりまして、それが密接な関係がないという御判断をいただいたわけであります。したがいまして、これと類似の職種につきまして手続は不要なものというふうな解釈をとりまして、他の三人につきましても人事院に申請をしなかったわけでございます。まあ一方、この前例のない国立公園の計画課長が別の会社に参りましたときには、承認の手続をとっておったのでございますが、そういう事情もございましたが、いずれにしましても、先ほど職員局長が御説明いたしましたように、われわれのほうと人事院のほうとでその後の運用につきまして、十分な意思の疎通を欠いておりましたことは、まことに申しわけなかったことと存じております。この点は、人事院に対しましても今後十分に連絡をとり、注意をいたしたいというふうに申し述べておりますので、ひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
  162. 黒柳明

    ○黒柳明君 はっきり遺憾であると言いながら罰則を適用しない。であるならば公務員法第百九条は何のためにつくったのか、罰則は何のために設けたのか。じゃ立法の精神がまるっきり失われておる。そういうふうに結論づけざるを得ないと思うのです。また、三十九年一課長であった者が、いま重役にも取締役にも、部長にもなる、おそらく倍くらいの給料もらっておると思うのです。とするならば、課長にとどまらず、みんな横すべりして別の製薬会社へ行って重役にも何にもなったほうがずっといいのじゃないか。むしろそういうことを奨励したほうがいいのじゃないか、私はこうも言いたいくらいなんです。法の精神を曲げてでも、法の精神を順守しなければならない立場にある者が法の精神を無視する、そういうふうなことは決してあり得べきことじゃないと思う。公務員法がある、それに対しての罰則規定がある、それを人情や感情で無視していくと、こういうやり方はいけないと思います。当然その三人に対して云々ということじゃないですけれどもね、こういうことが是認されると、またこの次にこういう事件が起こるとまたこれも感情論、人情論が先に立って法の精神が無視されるのじゃないかと、こういうことを私は非常に憂えるものです。しかも一番最後の場合は、きょう付でもう期限が切れるわけじゃないですか。四月一日でもう何というのですかね、罪はなくなると、こういうふうになるわけです。ですから何かその辺がすっきりしないものが私自体あとにまだ残る、こういう感じがするのですが、この点もう一つ、あくまでも善処するじゃなくて、根本的にその法の精神を守る方向にいってもらいたいと、最後に要望しておしまいにします。
  163. 佐々木義武

    説明員佐々木義武君) 大臣からも前に遺憾の意を表し、その後の厚生省として厳正な態度で臨んでおります点をお話申し上げたと存じますが、まことに頂門の一針でございますので、こういう事態を、一つの天与の声として今後いただきまして、そういうことのないようにしたいと存じます。  それからもう一つ、先ほどありました岩手県の南光病院の人体実験問題でございますが、これは県立の病院でございまして、ただいま東北大学のほうに詳細な調査を依頼して、その調査の結果を待っておるところでございますので、結果が出るまで、しばらく御猶予願いたいと、こういうふうに存じます。
  164. 二宮文造

    ○二宮文造君 私、前日に引き続きまして、かって本院の決算委員会、あるいは国有財産に関する小委員会で問題になりました件につきまして、そのつど当局の処理をお願いしてきたわけでございますが、その後の経過を伺いながら、今後の審査の過程に資してまいりたい、こう思います。  まず最初に、大蔵省にお伺いしたいんですが、日銀のダイヤのことにつきまして、近々にその何分の一かが処分される。それについて私どものほうから、管理を厳正にしていただきたい、さらに価格の点についてとかくの批判もあるようですので、再鑑定をし、評価の点に遺憾なきを期してもらいたい、あるいは処分の方式につきましても、少なくとも疑いを呼び起こさないような処分の方式を願いたい、相なるべくは、特定の人に対する指名入札あるいは随意契約というような形は一切避けていただきたい、こういうふうなことを申し上げて、その後大蔵省のほうでも努力をされて、私どもが希望しましたようなそれまではいきませんが、多少努力をしていただいたような再鑑定の方式をとっていただいたようです。で、前回お伺いして相当時日もたっておりますし、聞くところによりますと、処分の期日もだんだん近づいてきたようでございます。その後に、より具体的な処分の方式というものが、大蔵省のほうでも立案されたかと思いますので、その後の経過あるいはこういう考え方で進めてまいりたいという点について説明をいただきたい。
  165. 松永勇

    説明員(松永勇君) ダイヤモンドの処分につきまして、昨年秋以来、二宮先生の御質問を受けました。大蔵省としましては、こういう国民の供出を受けた貴重なダイヤモンド処理にあたっては、公正な処分をはかるということを第一義といたしまして、自来この処理の方式を考えてまいったわけでございます。  まず第一に、このダイヤモンドは、四十一年度において処分をするという方針を立てまして、四十一年度予算にも約十四億の歳入予算を見込んでおります。処分にあたりましては、大体十六万一千カラットのダイヤモンドのうち、約二万九千カラットを第一年度である四十一年度において処分する。そのうち二万二千カラットを一般競争入札の方式による、七千カラットをいわゆる委託方式によって処分する。このいわゆる委託方式と申しますのは、このダイヤが戦争中に供出されたというふうな経緯にかんがみまして、種々の処分方法を考えたわけでございますが、処分の全体の約四分の一程度のものを、一般国民に直接国が売り出すという方式をあわせて行なうということを考えまして、七千カラットを売り出すという措置を講じてまいったわけでございます。売り出しにつきましては、二万二千カラットの一般競争入札は、これは会計法に定めるところによって、公正な方法で行なうということは当然でございます。委託になりました七千カラットにつきましては、そういう一般国民の要望にこたえるような売り出し方式として、百貨店等、一般の方々も買いやすい場所を全国から選んで売り出しをいたしたい。なお売り出しの対象になりますダイヤモンドといたしましては、階級別に申しますと、いわゆる八等級ということになっておりますが、そのうち、中級あるいは中級以下のものであって、そうして一個が大体〇・三から一カラットぐらいのもの、いわば一般大衆向けのものを売り出したい、いま大蔵省が保管しておりますダイヤモンドの中でも、大体このクラスが全体の八割程度を占める大量のものでもございますし、そういう一般大衆向けのものを第一回にいたしたいという考えから選んでおります。  それから価格の面について、とかくの黒い霧があってはいかんというお話がございました。前回までの評価というものは、これは一応処分をする前提として評価したということではなしに、どのくらいの価格のものになるかということを、国みずからが評価いたしましたものでございます。今回はこれを処分をする前提として評価を行なうということで、評価を厳正に行なう。先生からの御注意もございましたように、従来の合議制、鑑定人が合議制で行なうというやり方も改めまして、いわゆる鑑定人の入札制と申しますか、個々の鑑定人がそれぞれ相談をして価格をきめるということでなしに、それぞれの鑑定人の妥当と思う価格を申告していただいて、それを国の手において統計的な処理をはかる、すなわち個々の鑑定人は、他の鑑定人が幾らでこれを評価しているかということがわからないという方式で鑑定いたした次第でございます。この鑑定にあたりましては、十一人の鑑定人を選んで、そのうち学識経験者として四人の者を選んだわけです。その一名は先般にも報告いたしましたように、アメリカから特にヘンダーソン氏を招聘いたしまして評価をしてもらっておる。  なお、管理の点についてとかくのうわさがあっては相ならないということで、従来からも厳重な管理をいたしておりますが、さらにその上に慎重を期して、日銀地下にありますダイヤの管理をいたしてまいっております。今後の予定といたしまして、その鑑定の作業が三月の十四日から二十五日までと、四月の十八日から五月の四日までの間に鑑定を了しまして、六月に入りましてから売り出しの事務に入っております。先ほど申しましたいわゆる委託分につきましては、一個ずつこれを袋詰めするという作業、しかも、これは大蔵省の職員で連日日本銀行の地下金庫においてこれを続けております。大体九月の上旬ぐらいまでその作業がかかる予定でございます。九月の下旬から十月にかけて売り出し処分を開始いたしたいというふうに考えておる次第でございます。最近の事情以上のとおりでございます。
  166. 二宮文造

    ○二宮文造君 二点ほど続いてお伺いしたいのですが、このダイヤの評価につきましては、あるときは七十二億円、またあるときには六十八億円ですか、そういうように評価されたこともある。また一説によりますと、とんでもないそんな値段ではない。買い上げ当時の値段から比較参照してみると、それは数百億円にも相当する金額である、こういう説もあったわけです。そこで、非常にむずかしいことかもわかりませんが、つい最近まで大蔵省としては六十八億円ですか、と、総額を評価されておった、再評価をしまして、その六十八億円という総体のワクが上回るものと再評価されましたか、あるいはその程度にとどまるものと再評価されましたか、この点についてはどうでしょうか。  それからもう一点は、百貨店等に委託をされる、そういうことでございますが、これは確かにいま財産局長お話になったように、一般消費者を直接対象とする売り渡しのしかただろうと思うのです。そうなりますと、その値段というものは、おそらく指値といいましてこの値段で売るということになると思います。しますと、そこには一般大衆にはちょっとこう入手困難というような関係も出てくるのではないか、指値ですから、店頭に出ないままで特定の人の手に渡ってくるという心配もあるのではないか、こう思いますが、この二点についてお伺いしたい。
  167. 松永勇

    説明員(松永勇君) 今回評価いたしましたのは、この本年度の第一回の処分をする九月、十月に処分をいたしますものにつきまして評価をいたしましただけでございまして、十六万一千カラットのうち四十一年度で売り出すものが二万九千カラット、その二万九千カラットの第一回分の処理、第二回は来年の一——三月に予定いたしておりますが、その第一回分の評価をいたしましただけでございまして、これでもって従来の評価六十八億というものとどうなるかということを正確に比較するということは、現在のところなかなか困難であろうと思っております。  なお、先ほど申しましたような評価をいたしておりますが、これをいわゆる入札予定価格にいたします作業、これは現在これを進めている段階でございまして、この部分につきましての前回のものの評価との差がどうなったかということも、まだ正確にはわかっておりません。  それからなおこの際申し上げておきますことは、ダイヤにつきまして最近の傾向を見ますと、品質のいいものは値上りの率が相当高いが、品質のよくないものは比較的それほど値上がりしてないというような傾向が見られております。そういう点も今回選びましたものがいわゆる上等のものではございませんで、いわば少し下級のもの、中級以下というものでございますので、その点からも、価格としては非常に大きく上がってくるというものではないというふうに考えております。したがいまして、結論的に申しますと、正確に六十八億円が今度評価したら幾らになるかということは、いまの段階では差し控えさしていただきたいと思います。  第二点の、消費者が買う委託販売分につきましては、これは百貨店等の店頭において売り払いをいたします場合に、実は大蔵省としてこの評価をいたしましたものを、はっきり明示し定価もつけてそうしてその容器も大蔵省の刻印を押したもの、つまり責任を持ってこれを大蔵省が売り出すものであるということを明示して、誤解のないようにいたしたいということで現在準備を進めておりますが、このものがやみからやみに消えるというようなことは、これは絶対にいたさせない。それがためのいろいろな手だて等については、現在準備を進めておりますが、そういう趣旨で委託をいたします場合の契約、あるいはその実行の監視等につきましては、十分なる措置を講じてまいっていきたいと思っております。
  168. 二宮文造

    ○二宮文造君 次に、時間がございませんので、農林省関係を私のほうから一括して申し上げてお伺いしたいと思いますので、関係当局のほうからそれについて分けて御答弁願いたいと思います。  まず、その最初は、例の麻布台ビルですが、これは非常に私どもが考えてみて複雑怪奇な仕組みになっておりまして、いま思い起こしてみますと、東京大学の天文学教室のあと、これをまず所管が之をして普通財産にする、続いて大蔵省が公務員住宅の用地を確保するその用途のために、中央競馬会と交換をする。中央競馬会は、今度は物産ビルと建物の建築契約をやって、この代償にこの土地を差し出す、その際に農林大臣は物産ビルに対して、手に入ったこの土地は、日本飼料工場会に売り渡しなさい、ふしぎな一項目を農林大臣はそれに加えて、そして物産ビルと中央競馬会との交換契約が成立した。まことにその交換の過程というものは非常に複雑です。それはそれとして問題はありますけれども、今度は日本飼料工場会がそれを手に入れて建物をつくった。しかしながら、現実建物は麻布台ビルになっております。しかも、日本飼料工場会の貸借対照表にも、あるいは事業報告書にもその土地が入手されたという報告もないし、金額の明示もない。その点について、これは明らかに農林大臣が一項目を指定して渡したにもかかわらず、その辺に納得のいかない部面がある、こういう指摘を私のほうでしておきました。このままで放置をしておきますと、何年かたたないうちに日本飼料工場会というものの名前は消えて、そこに残るのは麻布台ビルである。したがって、日本飼料工場会の傘下の組合員は、当然受けるべき利益も受けられない。これが非常に遺憾であるという指摘をしておきました。念のために申し上げておきますと、麻布台ビルは現在は知りませんが、麻布台ビルの土地あるいは建物の登記は、その時点においては麻布台ビルでした。日本飼料工場会の名前は出ておりません。これは不可解ではないかと指摘をしておいたのですが、その後のことをお伺いしたい。  それから、今度は手賀沼の用地の変換です。地目変換です。これは千葉県が遊園地をつくります、こういうことで農林大臣の認可を受けて、許可を受けておりながら、しかもまた、実際の手続は買収にあたっても、あるいはその後の実質的な管理においても、千葉県が主体ではなくて全日本観光株式会社がやっておった。この全日本観光株式会社は、かって問題を起こした朝日土地興業株式会社の社長と同一人である。しかも遊園地をつくると言っておきながら、その遊園地が、地盤が云々ということになって、そしてそれをいま住宅地に売り渡そうとしている。これは明らかに地目変換の手続において、農林省に対して虚偽の申請をしたのではないか。これをどうするかという問題。参考のために申し上げますと、千葉県としてはこの土地にすでに数年前から幅員十二メートルの道路をもう建設予定していた。したがって、遊園地をつくるなどという申請は、当初からうそであった、こういう指摘もあわせてしておきましたが、この地目変換の申請、千葉県なるものの地目変換の申請が虚偽であったということに対して、当時農林省の側としては、非常に遺憾でありますと、千葉県が申請したのだから遊園地をつくらせるようにいま話を進めておりますというところで終わりました。その後の経過をお伺いしたい。  さらに、江戸川区の堀江にあります国有農地の件、これは塩害のために当然農耕不適地である。しかも、それに対して不適地であるにもかかわらず耕作契約をやって、その耕作契約から逆算してまいりますと、あの江戸川の堀江の土地が、坪三十数円で耕作人の手に落ちてしまう。危うく東京都にその払い下げ申請をして、自作農創設の申請をして、もう耕作人に売り渡される寸前で、都議会公明党のほうで指摘をしていまペンディングになっている。この国有農地の管理の不十分なことも当然ながら、農耕不適地を耕作契約をする、農耕地として貸し付け契約をするということは誤りではないか。明らかにこれは貸し付け契約を解除して、そして付近の事情から考えますと、ここには都営住宅でも建てて、そのほうに転用したほうが、はるかに効率的な使い方になる。国有財産局長は、何か話をしますと、公務員住宅の用地がないというふうなお話をされておりますが、ここに適地があるわけです。国と国との関係において適地がある。そういうふうに利用されたらどうかということを提起しておきました。  以上三点について、その後どういう手を打たれたか、それぞれから御報告をいただきたい。
  169. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 中央競馬会が、本部のビルを建設する必要に迫られまして、いろいろな経過を経まして、物産ビルディングとの間に新しいビルの建設と、従来中央競馬会が所有をいたしておりました西新橋一丁目の三百八坪の土地と、それからお話に出ました港区飯倉三丁目の六百六十四坪余の……
  170. 二宮文造

    ○二宮文造君 経過はけっこうですから、その後——経過は私が申し上げましたから、その後おたくでやったことを……。
  171. 桧垣徳太郎

    説明員桧垣徳太郎君) 交換契約を三十九年三月に結んだという経過については、従来当委員会等で御説明をしてきたところでございます。その後、六月十五日に本部のビルが完成をいたしましたので、契約に基づきまして西新橋一丁目の当該地並びに飯倉三丁目の土地を物産ビルに引き渡す。新しいビルは、物産ビルディングから中央競馬会に引き渡されたのでございます。  そこで、今日までの間で、二宮先生からも御注意のございました、交換物件の価格の関係の問題でございますが、本契約に基づきまして、従来の契約で、契約当時における価格を一応の交換価格として示しておりますけれども、交換成立時における評価額をもって交換物件の価格を確定するということに相なっておりますので、中央競馬会としては、本部ビルの交換価格は契約どおり総工事費ということで確定をいたしました。残る問題は、交換物件である土地の価格の評価の問題でございます。競馬会として民間の信用できる評価機関数カ所に依頼をいたしまして評価をする。同時に私ども農林省としても、この交換の最終精算には、行政機関として許可をしなければなりませんので、その許可をいたしますためには、公正な評価ということを求める必要がございますので、大蔵省の関東財務局に評価の依頼をいたしておるのでございます。御引き受けを願いましたので、その評価額をもって最終的な交換の精算に当たらせたいというふうに思っております。  次に、物産ビルディングと飼料工場会との関係でございますが、これは本契約では交換成立のときに所有権は物産ビルディングから飼料工場会に引き渡されるということで、当時の評価額相当額の金額は、保証金として提出をいたしておるわけでございますが、ただいま申し上げましたように飯倉三丁目の土地につきましても、最終の評価額をもって価格を確定するということでございますので、その価格がきまりますと、保証提供額との差額が当然出てくることが予想されますので、その差額精算の際に、所有権に物産ビルディングから飼料工場会に引き渡すということにいたしておるのでございます。現段階においては、所有権は物産ビルディングの所有権に実質的にはなっておるのでございます。  次に、登記関係でございますが、御指摘のように狸穴に建設されました建物は、地下一階が共通の建物でありまして、しかも、それに対する建築費を麻布台ビルが立てかえ支弁をしている関係から、債権保全のいまの現状におきましては、所有権の保存登記は麻布台ビルの名義に相なっておるのでございます。この点につきましては、私どもも権利の所在を明確にする必要、また将来の財産運営に関しましても問題がございますので、両者間において権利の所在をもちろん確認をすべきであり、またそれに基づいて分割登記ないし共同登記をすべきであるということで指導をしてまいったのでございます。当事者間では飼料工場会が正式に敷地の所有権を取得いたしました際に、土地所有権の保存登記とともに建物についての共同登記を同時に行ないたい。少なくともそのころまでには建物の共同登記をいたしたいということで、権利関係の確定等の事務手続を進めてもらいましたが、最近になりまして、それらの準備も完了いたした状態でございます。あとはいつ登記を実施するかだけでありますが、建物土地に関します債権者の担保権の設定等の関係にございますので、先ほど申し上げました土地所有権の正式の移転が行なわれます時期に、土地建物あわせて登記の関係を明確にいたしたいという希望でございますし、私ども少なくともその時期までに完全に登記関係を明確にするように指導をしてまいりましたし、今後もそういたしたいと思っておるのでございます。  それから次に、麻布台ビルと工場会との関係でございますが、先ほどもちょっと触れましたように麻布台ビルは連続した敷地でございまして、土地の形状上連続した建物を建てることが効果的であるということで、ああいう建物ができた経緯でございますが、麻布台ビルの飼料会館分の建設費についても立てかえ拂いをいたしておるのでございまして、その関係で両者間には金銭消費貸借の債権債務関係があるわけでございます。で、この金銭消費貸借契約関係は、今後といいますか、昭和六十年の三月末に精算を完了するという約束に相なっております。その間には、ビルの利用から生ずる利益その他をもって弁済に充てるということに相なっておるわけでございます。  で、工場会の内部の問題といたしましては、確かに御指摘のように、従来からこれらの問題についての財務諸表、あるいは経理の関係について、正しい処理がされておるとは言いがたいのでございますが、所有権関係が確定をいたしますれば、私どもとしても、当然のことでございますが、財務諸表の整備、経理の明確化ということを指導をしてまいりたい。で、工場会としましても、去るたしか五月と思いますが、理事会におきまして、飼料会館の運営の基本的方向が従来の方向を確認をいたしまして、事務的な処理については、理事長に一任をするという決議をいたしておるのでございます。また、私どもも、この問題のみではございませんが、工場会の事務運営の充実を期する必要があるというふうに考えまして、その点の指摘をいたしたのでございますが、ごく最近に工場会の事務陣営の充実、拡充もはかった次第でございます。御指摘の点は、今後、当事者間において、誠実に適正な処理が行なわれるよう指導してまいりたいというふうに考えておるのでございます。
  172. 二宮文造

    ○二宮文造君 ちょっと、途中ですが、いま局長から非常に悪戦苦闘された結果を報告していただいたわけです。確かに局長のおっしゃるように、今後、分割登記なり、あるいは共同登記なり、これを確信を持って進めていただきたい。  それからもう一つは、財務諸表のことについて、正式に交換契約が成立したときにする、させる、こういう確言でございますが、昨年私が問題にしたわけです。四十年度の財務諸表には、もし局長のおっしゃるとおりであれば、載っていなければいけないわけです。その点はつぶさに指摘をしておいたのですから、指摘をした後においても四十年度のそういう財務諸表に掲記されないということにおいては、よほどの局長さんの今後の指導がなければ、四十一年度もなくなる。四十一年度も掲記されなければ、おそらく共同登記も、分割登記もしない。自然に落ちつくところへ落ちついてしまう。当初予定したところに落ちついてしまう結果になることは必然ですから、これはあらかじめ私のほうから要望いたしておきますから、誤りのないように指導していただきたい。  また、飼料工場会の件につきましては、今後、農林省の審査にあたりまして、もう少しお伺いしたいことがありますので、きょうは麻布台ビルについてはここでとどめておきます。  では、あと農地の問題……。
  173. 中野和仁

    説明員(中野和仁君) 手賀沼の農地転用の問題と江戸川の国有農地の問題につきまして、その後の経過を御報告申し上げます。  まず、手賀沼の件につきましては、農林省といたしまして、千葉県知事に対しまして二月の十九日に、当委員会でも指摘されましたような実情にあることははなはだ遺憾であるから、農地法の履行確保という観点からも放置し得ないというようなことで、早急に許可の目的どおり事業を進めるよう特別の御指導を願いたいということを、千葉県知事に公文書を出しまして、千葉県知事は、それに基づきまして、会社に対して公文を出すと同時に、いろいろ折衝をされておったようであります。具体的には二月、三月ということで何とかやっておるようでありますが、なかなか、その間、会社からは具体的な計画が出てこないような状況でございました。それから、その後、千葉県知事と農林省と、二度ばかり、農林省におきまして協議したわけです。県知事といたしましては、できるだけ当初目的に沿うようにやりたい、いまの会社にやらせる、そういうことができない場合には、企業能力のある別の会社を見つけてでもやってみるということで、いろいろ検討をしてみたいということを申しておったわけでありますが、一方、会社のほうといたしましては、会社が経理状況が悪い、それから金融、融資を受ける能力がなかなかないという事情なり、あるいは汚水の問題等をあげまして、なかなか困難であるということを県知事のほうに言っておるようであります。したがいまして、まだ前回委員会で申し上げました許可目的どおりにやらせるように指導いたしたい、こういう面からいたしますと、この事件——事件といいますか、この問題は残念ながら落着していないという現状でございます。  それからその次の江戸川区の問題でございますが、本件につきましても、農林省から東京都に対しまして、その国有農地の小作農家あるいはそれをどうするのかという方針について公文で照会をいたしまして、その回答がその後東京都から来ておるわけであります。それによりますと、この地域が地盤沈下に伴い塩害を生じ耕作不適となっておるところもあり、また四十年の六月十八日に建設省で江戸川南部土地改良区画整理事業の施行区域に指定されておるというような事情にありますので、自作農創設の趣旨から判断いたしまして、耕作を目的とする農地の売り渡しは不適当と考えられるので、売り渡しは行なわない方針であるというのを農林省に回答してまいってきておるわけであります。その後、それに基づきまして、東京都としましては、貸し付けております十名に対しまして、耕作をやらないならば解約の手続をとる場合があるというようなことで催告をやっておるわけでありますが、ごく最近の現地現状を申し上げますと、御承知のこの前の委員会で出ましたように、六町ばかりの国有農地があるわけでありますが、堀留川というのがありまして、これの南と北に分かれておるわけでございますが、その南のほうの大部分、大体約四分の三程度でございますが、これは水田、畑とも耕作または耕作の準備がなされておりまして、四分の一は葦が刈ってあるけれどもまだ耕作されていない。それから、北のほうは、現在耕作されておりませんが、葦は全部刈り取られておる、こういう現状になっております。  それで、この土地を、いま申し上げました東京都の方針というのは、われわれとして全く賛成でございまして、売るべきじゃないというふうに考えておりますが、その場合に、それではすぐ公共目的に提供するかということになりますと、御承知のように、現行農地法によりますれば、農林大臣が自作農創設を目的として使わないということで不用地認定をいたすわけでありますが、その場合には公共用あるいは公用、国民生活上緊急な必要がありまして転用の目的が確実な場合に、旧所有者に売り戻すということになっております。そこで当時局長から御答弁申し上げたと思いますが、もう少しこの制度の運用の範囲を拡大をいたしまして、そういう具体的な転用計画がない場合でも、もう確実に市街化するというようなところにつきましては認定をいたすということにいたしまして、国有農地の管理を何といいますか、ずるずるほうっておくというようなことはいたさないということを申し上げたと思いますが、それに基づきまして、現在関係各省と折衝をしておるわけでありますが、何ぶんにもわれわれのほうとしましては、現行農地法があり、また農地法では旧所有者に戻すという規定がございまして、その線で考えておったわけでありますけれども、これは内部の議論でございますけれども、そういう二十年もたった農地について、その後土地価格の問題も含めましていろんな事情が変わっておる。現在、直接公共用に供したらどうかという御意見等もありまして、まだその辺の政令の具体化ができていないというような状況になっておるわけなんでございます。以上でございます。
  174. 二宮文造

    ○二宮文造君 手賀沼の件につきましては、これは全日本観光株式会社というものを私は主体にしていないのです。これは千葉県がやったのですから、会社にどうさしてもこうさしても、どういう交渉をしておるということは、これは千葉県の言い分でありまして、私どもがやはりたてまえから問題にしなければならぬのは、千葉県の立場だろうと思います。そこで、ここには早急には住宅用地に処分を許さない、こういうふうなきびしい何といいますか、指導というものがあってしかるべきではないかと思うのです。  それから堀留の件につきましては、耕作または耕作の準備をしておる、当然です。そうしておきませんと、農地の貸し付けの契約破棄の条件になりますから、準備はします。なぜそういう準備をするかといいますと、払い下げを受ける手はずになっておりましたこれらの人たちは、別に大手の土地業者とすでに内々契約をしております。金銭の授受もすでにあります。したがって、何としてでもこれは自分たちが農耕適地として払い下げを受けよう、そこまでの作戦は組んでくるのは当然です。その事態を的確に見分けて今後の処置をお誤りならぬように。塩害で水田ができなくなったって、植えるのはかってですから、できないところに植えるのはかってです。それをもって農耕適地であると判断をされるのは誤りであろう、参考のために申し上げておきます。以上、二つほど私のほうから当局のほうの御注意を促しておきます。  それから、ちょっと時間がおくれてたいへん恐縮なんですが、建設省と労働省の関係の方がお見えになっておりますので、両省あわせてお伺いしたいことがございます。建設省には手賀沼の埋め立てです。これは千葉県の県知事の権限において遊園地をつくるということで埋め立てを許可した。ところが、先ほどの農地と同じような状況で、これも住宅用地に転売されんとしております。したがって、こういうふうな公有水面の埋め立てに対して、建設省としては、県知事に対してどのような指導をされたかということ、前にも私はこれを申し上げておきました。  それから、第二番目は、同じく浦安の地先のこれは数百万坪にわたる公有水面の埋め立てですが、これは千葉県知事が建設大臣の認可をとっております。しかし、実質は千葉県の仕事ではありません。千葉県が、地方公共団体が、公有水面の埋め立ての申請をしますときには、そのときの費用といいますか、免許料といいますか、それは要らないことになっております。しかし、地方公共団体以外の者が公有水面の埋め立て申請をする場合には、いわゆる埋め立て認可料が必要になります。これは膨大な金額になります。それをのがれる手段としてこういうことを考えたのではないかと、私どもは思われてしょうがないわけです。したがって、実質はオリエンタルランドという、さらにまたそれを構成する朝日土地興業株式会社だとか、あるいは京成電鉄だとかあるいは三井不動産だとか、そういうところが実質的にやっておるわけです。当然私どもが考えれば、免許料を取ってしかるべきだと、こういう段階になっておりますが、これについての建設省のその後の判断がどうか。  それからこれは直接建設省の担当ではありませんが、住宅公団の深谷の団地で、工業団地を国際家畜研究所という、あえて架空と言いますが、現在実体がありませんから。それに売り渡して、売り渡し契約をいまだ未済です。前回住宅公団の総裁は、もしも施設がつくられない場合は買い戻しの特約をしておりますので、解約をすると、こういうその後の調査を進めて解約にも持っていく場合もあるというような答弁でございましたが、その後数カ月たっておるのであります。これを建設省としては、住宅公団からどのような報告をとっておられるか、この三点についてお伺いしたい。  それから労働省関係では、中央労働福祉センターに四十一年度予算で何がしかの名目で補助金が、いわゆる建物についての補助金が三千万円組まれておると私ども承知しております。しかし、中央労働福祉センターはことしの二月に問題になりましたように、総工費四十一億円というこの資金の調達は、私ども考えてとうてい不可能である。なぜならば、年金福祉事業団から二十数億円にわたる還元融資を資金計画の中に入れておるから、こういう年金福祉事業団の還元融資は、こんな膨大な額の還元融資はない。したがって、労働省で組んでおられるこの補助金は、現在の場合補助の対象に該当しないのではないかと私ども思いますが、その補助金の性格、あるいは今後どういう場合に支給されるか、この点についてお伺いしたい。以上、建設省と労働省各関係の答弁を求めて、本日の私の質疑は終わりにしたいと思います。
  175. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 第一点の手賀沼の公有水面埋め立てに関する件について御報告を申し上げて、建設省の指導方針を御説明申し上げます。手賀沼の公有水面埋め立てにつきましては、四十年の二月二十六日竣工認可をいたしましたわけでございますが、これは埋め立て目的は遊園地の設置でございます。その後地質とか水質の関係で遊園地は無理であるということで、住宅地に変更したいというようなことが、全日本観光株式会社から提起されて御指摘を受けたもんでございますが、その後私らとしましては、こういう使用目的の変更を有する埋め立て地につきましては、その土地が公有水面でありますので、十分慎重にやらなくちゃいかぬというところで、埋め立て地の担当であります運輸省の港湾局長と建設省の河川局長の連名で、公有水面埋め立てについての過正化について私のほうから通達を出しております。その趣旨は、埋め立ての免許は、国有財産であります公有水面について権利を設定するもんでございますので、埋め立て地の使用は、埋め立ての免許の目的に従って公共の福祉に適合するようにされなければいかぬということと、事業の都合によってみだりにその使用目的を変更することは、公有水面埋立法の趣旨に適合しないものであるということで、次のような措置をいたしました。埋め立ての免許あるいは承認につきましては、原則として次に掲げるものについて行なうと。その第一点は、法令に基づく土地を収用し、または使用し得る事業のために必要な埋め立て。それから国または公共団体が行なう埋め立て。三番目に、一に掲げるもののほか私人が行なう埋め立てで、公共の利益に寄与するものということを原則的に免許を与えていきたいということで、なお埋め立ての免許にあたりましては、当該埋め立ての目的あるいは出願主の資力、信用、事業計画並びに資金計画内容工事実施の方法等を厳重に審査して、当該埋め立てが的確に実施されるという場合にのみ許可するようにすると、それから埋め立ての埋め立て権の譲渡の許可はみだりにこれを行なわない。譲渡が行なわれた場合におきましても、ただいま申し上げました第二番目の措置によって審査していくと、それから埋め立ての免許にあたりましては、次のような条件を付するということにいたしております。第一点は、埋め立て地を埋め立ての免許の際に、使用目的以外に使用する場合においては、免許権者の許可を要するものとすると、それから埋め立て地に関する権利の設定または譲渡については、免許権者の許可を要するものとするということで、そういう条件を付して埋め立て免許するということにいたしたわけでございます。それからすでに免許を与えておる埋め立てで竣工認可前のものについては、ただいま申し上げたような措置をやりまして、埋め立ての適正な使用がなされるように措置をするということを、埋め立て免許者あて通知したわけでございます。そこで、こういう趣旨に基づきまして通知いたしたわけでございますが、手賀沼の埋め立てに関しましては、その後全日本観光と我孫子町との間にある程度の話ができまして、町議会ではやむを得ないと、目的の変更も町政の発展のためにはやむを得ないということで町議会で議決をいたしております。その後、全日本観光株式会社から埋め立て免許権者である千葉県知事に対しまして、昭和四十一年の六月七日付をもちまして資金調達の問題と、それから水質汚濁等の理由で、埋め立て地転用農地の用途変更についてというのが、正式に陳情書で千葉県知事に提出されております。それにつきましては、ただいま農地局の管理部長からお話がありましたように、千葉県ではまだ処分をいたしておりません。今後われわれとしましても、ただいま通達の趣旨に基づきまして千葉県とよく話し合っていきたいというふうに考えております。  それから第二点の浦安の公有水面埋め立てでございますが、これは京葉臨海工業地帯造成計画の一環として江戸川の河口、千葉県浦安の地先の公有水面約百九十三万坪に対して埋め立てを実施するものでございまして、このうちA、B、C地区に分かれておりますが、昭和三十八年二月二十二日付でA、B地区についての公有水面埋め立て免許の申請が千葉県に提出されまして、三十九年一月二十九日付で建設大臣が認可いたしております。A、B地区の進捗状況は現在B地区についてだけ施工を実施しておりまして、A地区については未着工でございます。B地区の土地造成工事と水路護岸工事を、委託によりましてオリエンタル・ランドが施工しておりまして、土地造成工事昭和四十一年六月二十二日現在で完成を見ております。水路護岸工事は現在施工中でございます。また前面の護岸工事は、高潮との関係から別途請負工事として発注する予定のようでございます。次にC地区については、現在建設大臣の認可申請を受理しておりますが、利用計画等について十分審査を行なう必要がありますので、千葉県といま具体的な打ち合わせをいたしているような状況でございます。  これらの埋め立てにつきまして、先ほど申し上げましたような公有水面埋め立ての通達の趣旨に従いまして、具体的に実情をよく聞きまして処理していくようにしたいと思います。
  176. 二宮文造

    ○二宮文造君 いまの、文書で出してもらいたいと思いますがね。
  177. 古賀雷四郎

    説明員古賀雷四郎君) 港湾局長・河川局長の通達の公有水面埋め立ての適正化については、文書で提出いたします。
  178. 井上義光

    説明員(井上義光君) 深谷の日本住宅公団の工業団地分譲の件につきましてお答えいたします。当委員会で四月四日御指摘のありました、日本住宅公団が国際家畜に対しまして処分をいたしました工業用地が、その後工場建設が行われず全然放置されているということにつきまして調査いたしましたところ、二宮委員御指摘の事実がございましたので、工場建設等の督励を一方でいたしますとともに、契約解除という方向に切りかえましてその後準備を進めてまいりましたが、本年五月十七日に再び大映株式会社のほうに所有権が移っているということになったわけでございます。そこで、現在のところはできるだけすみやかに大映株式会社に対しましては、買い戻しの登記がしてございますので、その権利に基づきまして現在の所有者に対しましては、所有権の移転登記を認める。それから当初契約者の国際家畜の権利義務を承継いたしました田中牧場に対しましては、契約上の違約金及び三十七年から今日までの期間における工業用地の使用料相当額というものを請求すると同時に、連帯保証人に対しましては、同じく当初契約者に対しますと同じように契約上の違約金と譲渡契約から今日までの使用料相当額を請求するという準備を進めてきまして、近く三者に対しまして要求する予定でおります。
  179. 二宮文造

    ○二宮文造君 それも文書で。私が前回指摘のとおりです。こうなることは当然きまっていたわけです。事実、大映株式会社にはすでに前に一ぺん所有権が移転した事実がありますし、それも指摘しておきました。したがって、この問題は当局のほうとしましてはゆるがせにしていただきたくない。いま連帯保証人に対してとか——連帯保証人は田中彰治氏です。それから田中牧場。こうなってまいりましても、違約金を請求しても、それに担当するだけの対策を考えながら違約金を請求しませんと、ナシのつぶてになります。それから現所有者に対する移転登記を認めるということが私は納得できない。国際家畜研究所と日本住宅公団との間の買い戻しの特約なんです。当然あの登記謄本を見ますとそれは出ておるわけです。その事情を知りながら所有権移転公告、移転をやっているということは許せない。この点についても姿勢を正して、強く持って臨んでいただきたい。この二点を特に要望しておきますし、先ほどの住宅公団の国際家畜研究所なり、あるいは大映株式会社なり、あるいは連帯保証人なりに対するこういう手を打ちたいという件につきましては、同僚委員のほうからも要望がありましたので、文書で出していただきたいと思います。
  180. 井上義光

    説明員(井上義光君) ただいまの御指摘につきましては、本件の解決につきまして、単に円満に解決するというよりは、法律の趣旨及び契約の条項に従いまして筋を通しまして、買い戻しを行ない、その他の違約金等を請求するというふうにいたしたいと思っております。文書の件につきましては、書類を作成いたしまして提出いたします。
  181. 長谷川操

    説明員(長谷川操君) 中央労働福祉センターのことについて御説明申し上げます。  お話しのように中央労働福祉センターは、当初は四十一億五千万の計画でございましたが、その後計画が縮小されまして、今年の五月に三十一億二千万の計画に変更されました。当初は地上二十階、地下二階というのが、地上五階、地下二階というふうに縮小されまして、宿泊部分が今度の計画では落ちております。そういう状況でございますが、その資金計画の中に、御指摘のように、年金福祉事業団からの融資を、当初は二十四億でございましたが、今度は十九億見込んでおりまして、年金福祉事業団に申請いたしましてヒヤリングを終わったようであります。近くその結論が出るのではないかと思います。私のほうで考えておりましたのは、労働者の福祉向上、特に失業保険の被保険者についての福祉増進ということをかねてから考えておりまして、その施設と併設することによってその効果をあげるということで、雇用促進事業団に対する出資金といたしまして三千万円計上いたしております。これもお話しのような補助金ではございませんで、雇用促進事業団がその中に施設を持つということで財産として三千万円を出資するということでおりましたが、この計画が何と申しましても、年金福祉事業団の融資と非常に関連が深い。六割程度がここに負っておるわけでございますので、これのいかんによって全体も左右されるのではないかということを考えておりますので、その状況を見て出資いたしたいというふうに考えております。
  182. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は沖縄の問題について質問したいと思うのですが、最初に沖縄援助費の問題について質問いたします。  昭和三十九年度に二十億二千二十七万、四十年度に三十億、本年度の予算になりますと、これは五十九億というふうに非常にふえているわけですが、これはどう使われて、それから会計検査上これはどのようになっておるか。会計検査院見えておりますか——会計検査院の立場からその実情を明らかにしてもらいたい。最初にこの内容について簡単に説明してもらいたい。
  183. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 沖縄の日本政府の財政援助につきましては、御承知のとおり、日米協議委員会で決定を見ましたものを、それぞれの年度で支払をいたしておるわけでございます。昭和四十年度は二十八億六千五百三十六万円、昭和四十一年度は五十八億九十七万一千円こういうふうに相なっております。その内訳といたしまして、沖縄政府へ直接に援助費を出して、政府でいろいろな各種の施設に使うという分が、昭和四十年度では二十三億五千三百八十三万二千円、昭和四十一年度は四十八億三千百十七万円こういうふうに相なっております。先ほど申しました総額との差額につきましては、これは日本政府自身がいろいろな施設やあるいは資材の何というのですか、つくりまして、これは現物のような形で向こうへ援助する。いま申し上げました数は、沖縄政府自身へ政府資金援助として出しました。それぞれの沖縄の琉球政府のいろいろな施設あるいは行政費に使う、こういうふうになっております。
  184. 斉藤実

    説明員(斉藤実君) 御説明いたします。ただいま総務長官からお話がございましたように、沖縄援助金は三十七年度から出ておりまして、会計検査院といたしましては、三十九年度から会計の実地検査を沖縄に参りましていたしております。三十九年の五月二十四日から六月一日まで、これが第一回、四十年の五月二十四日から六月五日までが第二回、四十一年の五月三十日から六月十一日までが第三回、ごく最近第三回目を行ったわけであります。人員といたしましては第一回目は三名、第二回目三名、今年は五名参って実地の検査をいたしております。  第一回目には、昭和三十七年度成立予算にかかるすべての事業について検査いたしました。第二回目は、昭和三十八年度成立予算にかかる事業のすべて、それから三十九年度成立予算のうち三十九年度支出済みにかかる事業について検査いたしました。それから第三回目、本年は三十九年度成立予算のうち四十年度に繰り越し支出になったものにかかる事業、それから四十年度成立予算のうち四十年度支出済みにかかる事業につきまして検査をいたしております。  施行の状況について申し上げますというと、全額といたしましては、第一年度には、対象金額に対しまして七八%、個所数につきまして三四%、第二年度は金額につきまして六九%、個所数につきまして一九%、それから第三年度、本年は金額におきまして五八%、それから個所業につきまして三七%、金額に対しまして個所数のパーセンテージが低くなっておりますのは、比較的大きな個所に対して検査を実施した結果であります。  検査の結果につきましては、特に御報告申し上げるというような不当な事態というようなものは現在までのところ見当たっておりません。さような状況でございます。
  185. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは三十九年度の決算ですね。この中で出来高不足、設計過大、こういうような問題で指摘を受けて検査報告には掲載されていないのですが、そういう問題はあるのですか、ないのですか。簡単でいいです。
  186. 斉藤実

    説明員(斉藤実君) そういった問題はございます。ございますけれども、特に申し上げるほどの大きな問題はないということであります。
  187. 岩間正男

    ○岩間正男君 それじゃ、それは時間の関係から資料として出してもらいたい。  第二にお聞きしたいのは南方連絡事務所、それは予算の総額はどうか。それから現地でどんな仕事をしているか、簡単に概要を説明してください。
  188. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 政府委員から説明させます。
  189. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 南方連絡事務所の必要な経費としまして、昭和四十一年度は千五百二十五万一千円でございます。
  190. 岩間正男

    ○岩間正男君 仕事の内容は、人員はどれくらいいるか。——それくらいわかっていないのか。
  191. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 人員は大体五十八名から、充足した場合に六十名くらいでございます。
  192. 岩間正男

    ○岩間正男君 仕事は。
  193. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 仕事は、主として沖縄問題につきます各般の事務につきまして、琉球政府との連絡事務をやっております。
  194. 岩間正男

    ○岩間正男君 これもまあなかなかわからないので、できたら資料で出してもらいたい。  それで、これらの問題ですがね、予算の内容について詳細ここでやると時間がないのですけれども、かつて私も予算委員会で、三年ばかりほど前に明らかにしたのでありますが、島の開発と称して、相当多額の予算が出されている。しかし実際は、その内容というのは、アメリカの特殊部隊、ゲリラ部隊の養成であったという事態があるわけですから、アメリカの軍事基地維持のための協力に、これは協力費として使われている点が非常に多いと思うのです。これは時間の関係から性格を指摘しておくにとどめておきたい。  そこで次にお聞きしたいのは、沖縄の現状をどうつかんでいるか。特に私はここでお聞きしたいのは、いま大きな問題になっている裁判移送の問題です。裁判移送の問題というのは、なかなか内容的にはまだ明らかになっていない点があると思う。事件の概要を、これは安井長官から説明してもらいたいと思います。
  195. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 最近沖縄で係争中の事件が、二件ばかり、沖縄琉球政府の裁判所から、高等弁務官命令によりまして、民政府の裁判へ移管された事件でございます。  一つは、サンマ業に対する物品税の課税の問題につきまして、この課税が不当であるという訴えが出まして、これに対しまして、いわゆる琉球政府の下級裁判所では、原告のほうを認めて、これは無効であると、こういう判決をいたして上級裁判へ回った次第であります。しかし、この過程におきまして、米政府側といたしましては、これは布令による物品税の課税である、この布令の有効無効を論ずることは、琉球裁判所の使命以外のものであるから、これは民政府の裁判へ移管すべきである、こういう意向でこれが移管されております。  もう一件は、昨年行なわれました立法院選挙に対しまして、一議員がこれは選挙違反の犯罪を持っているという理由で当選無効になったわけでございます。これがまた不当である、こういうことで裁判が起こりまして、琉球政府の下級裁判所におきましては、その原告側の言い分が通りまして、これは違法であると、こういう判決が出たわけであります。これも上訴裁判にかかっております。これもまた布令によりまして、いわゆる重罪あるいは破廉恥罪に当たるものはこれは当選無効であるという民政府側の解釈が出ておるわけであります。その解釈が不当といいますか、当たらないのだというふうな布令、布告に対する権限上の解釈問題に属する事項は、これは民政府の裁判でさらに検討すべきものであるということで、これもまた高等弁務官の命令によりまして、民政府の裁判に移管されておる、こういう事情でございます。
  196. 岩間正男

    ○岩間正男君 このあとの友利隆彪氏ですがね、社会大衆党で、たしか野党——人民党、社会党の三党のこれは共同統一候補だったですね。宮古島の一部から成る一人一区の小選挙区から立法院の選挙に出馬して最高点になった。開票してもう当選を決定する寸前に、琉球政府中央選管から、失格を通告されたという、これはまことに異例な問題なんですね。それで、これについては、先ほどまあちょっと簡単に失格の理由を触れられましたが、これはどうなんですか、友利氏が選挙違反でかつて一九六二年の選挙のときに、罰金五十ドルに処せられた。これはアメリカ高等弁務官布令第六十八号に基づいて、琉球政府章典の重罪に処せられた者で、まだ特赦を受けていない者は立法院選挙の被選挙権がない、こういうことで失格をこれは命令によって強行されたのですね。ところが、これに対して巡回裁判所は、明らかに勝訴をこれは言い渡したわけです。その勝訴の理由はどうなんです。これは全く判決理由とそれから高等弁務官の命令というのは、これは非常に対立しているのだが、この点について、巡回裁判所の判決理由ですね、これを明らかにしてもらいたい。
  197. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 判決文を全部読んだわけでもございませんし、そこまでの調査はまだ当方として行き届いておりませんので、この内容について詳しい御説明はまだ申し上げかねるかと思います。  要するに、大統領命令に基づいて布令が出る、その布令による沖縄・琉球政府章典によりますと、そういった重犯罪は当選無効とする、こういうふうになっておる、それに該当すべきものだという米民政府側の解釈のようでございます。その布令の解釈に対して巡回裁判所では、そういう布令は妥当なものでないという解釈のもとに、これがその原告側の勝訴、こういうふうに相なったんだろう、それで、そういう布令に対するそういった審議権や判決権は、これは琉球政府側の裁判所にはないはずだと、こういう意味で民政府側の裁判所に移行した、こういうふうに思います。
  198. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、大臣は判決文まで詳細におわかりにならないかもしれませんが、少なくとも特連局長はこういうものははっきりつかんで、国会に出るのですから、国会もこれはやっぱり判決文を明らかにしておかぬと、これは日本の国民の人権に関する問題だから、沖縄の同胞のことだから、はっきりしてもらいたい。全文読まなくてもいい、要点だけはもっとぴしっと明らかにしてもらいたい。
  199. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 要点は、勝訴になった理由は、琉球政府章典の被選挙権の制限規定は、これは民主主義の理念に反して、大統領行政命令にも反するから無効であるという点と、それから沖縄の対内的事項に関する立法は、住民自治の理念を根本とすべきであり、立法院議員選挙法の場合も、布令より住民立法が優先するのだ、こういう二点が中心でありまして、その琉球政府章典二十二条後段に書いてあります重罪の解釈については、これは宣告刑ではなく法定刑であるということは一致した見解でございます。これに対しまして民政府のほうは、布令の審査権はない、こういうことでございます。
  200. 岩間正男

    ○岩間正男君 まあ重罪というのは一年以上の懲役だというふうに判決は下っておる。五十ドルの罰金を重罪だということでやっていたんでは、何でもこれはひっかかる。そうしてしかもまた、最も基本的な選挙権ですね、こういうものに対する布令のよこしまなやり方でもって、重罪だというようなやり方で失格にするということは、これは正しくないと思う。こういう判決ですから、これは当然の私は判決だと思うのですがね。横車を通しておるのはこれは米軍の布令なんです。私はそういうふうにこれははっきり考えなければならぬと思うのであります。この点は、人権を守る立場から明確にしなくちゃならないと思いますが、長官どうですか。
  201. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 御承知のように、沖縄というのは、いまこれは好む好まざる、いい悪いという議論は別にいたしまして、アメリカが全面的に、何というのですか、施政権を持っております。これは日米平和条約三条によって規定されておる事実でございます。したがいまして、最終的な権限は大統領命令に基づく高等弁務官の命令によってすべてきまる、こういう仕組みになっておる。そこでまあしかし、そうはいいますものの、できるだけ内政に関する問題はひとつ自主的に琉球政府にあずけるようにしてもらいたい、こういうたてまえでいろいろ交渉をいままでも続けておりました。ものによっては、そういうふうにあずけて、円滑に行なわれておるものもございます。ただ、そういった裁判権の最終的な判定の問題である、扱い方の問題であるということに相なりますと、これはやはり高等弁務官自身の権限内の問題でございまして、いま日本政府がこれを直ちにいい悪いといったようなことをちょっと申し上げかねるというのが現状でございます。
  202. 岩間正男

    ○岩間正男君 なかなかまあ政治論をやりますと、根源を突きとめなければならないので、結局サンフランシスコ条約三条、これを一体正しくやっているかどうかということになるし、そういう問題をここでやっている時間はありませんから、ただ判断なしに、布令というのは絶対権者の命令だからこれに対する批判の自由も何もないという態度でやられていったら、日本の人民の利益は守られないのだということははっきりしなければなりませんですね。まあこういうような巡回裁判所の判決に対して、琉球政府は上告をしましたね。そうして現在上訴裁判所でこれが争われておった。そしてしかも、一昨日の六月二十八日に判決が下るはずだったのでしょう。その前に突如としてその裁判権を取り上げてしまった。そうしてアメリカ民政府の裁判所にこれを移してしまう、こういう暴虐なやり方をやったわけですね。こういうやり方については、これはどういうふうに考えておりますか。これに対して見解を伺いたいと思います、日本政府の態度を。
  203. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) まあ先ほども申し上げましたように、大統領行政命令というものが絶対のものでございます。それに基づいての高等弁務官の命令というものが、これはまあ最終的に絶対権を持っておる。これはいま私ども、こういう状態がいいとか悪いとかいう問題は別にいたしまして、現状はそういうような形になっておるわけでございます。したがって、こういうトラブルが起こって、島民、住民の感情を刺激する、あるいはこういうトラブルが起こっておるということ自体は、私ども非常に遺憾だと思います。なるべく円滑に、早くこういう問題を解決していただきたい、解決をしてほしい、こういう気持ちを多分に持っておるわけでございます。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 総務長官のことばとしては、立場上やむを得ないところもあるのかもしれませんが、他を顧みてものを言っているようなかっこうになっている。あなたは直接の政府の担当者なんですから、単に遺憾である、円満に解決してもらいたいなどと言って、それをすなおに聞くなまやさしい相手でない。したがって、これに対するやはり政府の決意が私は必要だと考えております。佐藤総理が出てないから、はっきりこの点を日本政府の、一体いままでいろいろ、沖縄に対して自主権の回復だとかいろいろなことを言ってきましたけれども、どうもこういう点と合わないですよ。いまのは他を顧みて人ごとのような感じがする。これは非常に日本人民もがまんができないし、ましてや沖縄の九十五万県民は絶対に納得しないところである。  次に、サンマ事件についてお聞きしたい。これは事件の概要を明らかにしてもらいたい。昨年十月に、中央巡回裁判所に対して、琉球漁業株式会から、輸入サンマの不当課税に反対して、税金を返してくれという提訴があったのですが、その提訴の理由を簡単に述べてもらいたい。どういう理由でこのような提訴をしたか。
  205. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) このサンマは、御案内のようにサンマを輸入するときに課されます関税の一種で、物品税でございますが、当時サンマという品目が物品税法の付表に明らかにされていなかったわけです。それを二〇%の物品税を課されたということで、過去の納付した分を還付してもらいたいという訴えを出したのでございます。その当初の事案につきましては、申請者の勝訴になったのでありますが、その後、民政府のほうで物品税法の付表を改定いたしまして、それと同時に、サンマという品目を二〇%から一〇%に引き下げる。と同時に、従来、これは非常にややこしい規定でございますが、従来二〇%で納めてきた税で、その判決等が確定してしまったものは別として、その他のものについては全部適法に納税されたものとみなす、こういう規定が設けられたのであります。それに対しまして琉球漁業が提訴をいたしまして、遡及して規定されていない二〇%の物品税を課することは、これは大統領命令の——財産保護のたてまえでうたっている大統領行政命令に、物品税法の付表は布令で出ておりますから、その布令が違反している、それは無効である、したがって、当然その過去に納付した分は返してもらいたい、こういう訴えをしておった。それに対しまして、その趣旨が認められて勝訴に相なったのであります。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はこの質問をずっと続けたいのでありますが、外務大臣が見えましたが、非常に時間か制限されているようです。そうしてこの問題と非常に痛切な不可分の関係のある問題について、私は先にまず質問をしておきたいと思う。  一つは、いま、このたびの沖縄の裁判移送問題を私はお伺いしているわけです。これについて、当然これは外務大臣はアメリカ政府と折衝すべきだ。この問題を放置することはできない。これは詳細をここでまだ私は質問しておりませんけれども、いまも説明ありましたが、あんな説明では非常に不十分です。もっと問題のポイントを明確にしなければならない。その点を一つはっきりすることと、しかも、このように沖縄が現在全くこれは植民地的支配、軍事監獄的支配の中に落とされている九十五万島民の人権というものは守られていない。そういう根源の中にはっきり今度のベトナムのアメリカの戦争戦略体制というものがあって、そのかなめの島として沖縄が再編成されつつあるというそういう事態の中から起こっている。したがいまして、昨日起こった、二十九日、米海空爆撃隊がとうとうハノイ、ハイフォンを爆撃するという非常に遺憾な事態が起こったわけです。これは全く私はベトナム人民に対する許すべからざる侵略行為で、単にこのような暴虐なやり方、これを拡大するだけではなくて、アジアと世界の平和に対するまっこうからの挑戦だというふうに考えるわけです。この問題に対する政府の態度というものは、いま重大な事態をはらんでいる。この中で日本政府の態度を明らかにするということが私は必要だと思いますので、この点に対して一体どのように考えておられるか、大臣の意見をまず私はお聞きしたいと思います。
  207. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 米当局も言明しておりますが、北からの浸透がだんだん増強をされつつある、こういう事態に処しまして、その浸透の根源を断つ、こういう限定的な攻撃であることはほぼ確実のようであります。そういう観点から、従来の北爆の性格を変えるものではない、その延長にすぎない、こう考えております。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは一昨年、昨年のまた委員会でしばしばあなたと私は論争した問題です、予算委員会において。あなたはジュネーブ協定の内容についてさえ不勉強だという見解を漏らされた。そういう中で、しかもこれは北からの浸透、それに対する北爆だということの一点張りでやっておられたのだが、今日もなお変えていないのだ、その態度を。そうしてしかも、重要なこういうときになって、アジアの平和を守ると口では言っている、しかし全く反した行為をこれはやっておる、こういう事態を、いまの、しかも緊迫した態勢の中で断じてこれは日本の国民は許しませんよ。それからアジアの平和を守る民主勢力は許さないですよ、私は、だから、そういう点にいては、もっとはっきりした態度をこれはとるべきだというふうに思いますが。これと関連して、次にお聞きしたいのでありますが、大体この問題について政府は当然アメリカ政府から事前の通告を私は受けたろうと思うのです。この事前の通告があったのかないのか。この事実についてお聞きします。
  209. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 事前の通告はございません。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 この前もあなたに北爆のとき質問したら、ありません。今度のやつもないと言っているのですね。これは非常に私はおかしいのじゃないですか。一週間前に武内駐米大使を通じて、その情報を受けているはずですよ。そうじゃないですか。これは知らぬが仏と言って、そんなに仏にされちゃたまらないですから、しかも今度は重大な全くこれは大戦争に発展する。そういう危険をさえはらんだ問題であります。この問題について、あなたは何らの通告を受けていないというふうに言っておりますが、これはイギリスの立場ですが、これは一週間ほど前にアメリカから通告を受けているということをウィルソン首相は言明している。また、きのうの記者会見においても、このことをウィルソン首相は確認しているのであります。それからマクナマラ国防長官は二十九日の記者会見で、同盟諸国は今回の北爆の趣旨を理解しているとはっきり述べている。通告をしないでおいて、理解しておるということをこれはマクナマラは言うわけはないのです。したがって、これを受けていないというような、これは遁辞では私はのがれることはできない。しかも、今度の政府の態度はなかなか落ちついている。ちゃんと期するところがあった。国民ははっきり知っていますよ。こういう点については、受けていない。こういうようなあなたの御答弁では国民は納得しないと思うし、しかも今後日本の基地、日本の政治、日本の平和、何よりも国民の生命、財産、こういうものにとって実に重大な関連を持つ問題でございます。したがって、こういう問題について、あなたたちの言う安保条約の立場から、アメリカが日本に通告をしないでこれほど重大な問題を一方的にやるということは、これは考えられますか。それほど日本という国は相手にされていないのか、あなたたちはその点、どうなんです。もう一度あらためて念を押しておきます。
  211. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) ただいま申し上げたとおりでございます。
  212. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたはそれで通ると思っているのですか、日本の外務大臣として。そんなこと言ったって私はあげているのです。そうすると、イギリスには通告したが、日本には通告しなかった、こういうことが言えますね。そうすると、マクナマラは同盟国の中に日本を入れないのか。同盟諸国は今回の爆撃の趣旨を理解している、ちゃんと事前に通告してやった、日本も同盟国じゃないのですか。そうすると、日本は相手にされていないのですか。そういうことになりますが、それでようございますか。
  213. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) とにかく事前通告はございません。
  214. 岩間正男

    ○岩間正男君 知らぬ存ぜぬであなたまかり通ろうというようなことで、あとからしっぽが出てみっともないかっこうをやる、それが落ちだろうと思います。そういうことではだめです。  私はそれじゃ次に聞きますけれども、どうですか、橋本官房長官は先ほど記者会見で、好ましいことではないが、やむを得ない、これによってベトナム戦争が拡大されるということにはならない、こういうことを言っておるのですけれども、これはあなたも外務大臣としてそう考えておるのですか。これは政府の統一見解ですか。
  215. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) やはり北からの浸透の根源を断つという意味における攻撃であって、従来の北爆の性格をごうも変えるものではないと考えて、私はやむを得ざる措置であると考えます。  なお、これによって戦争が性格を変えて新たな発展をするというようなことはあり得ない、かように考えております。
  216. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは私がくだくだ申し上げる必要はないでしょう。北のベトナム民主共和国を不法律な形で爆撃することに、世界の世論はもうはっきり非難しておるのですよ、アメリカを。国内でさえあれだけの大きな非難の声があるでしょう。日本国内におけるごうごうたる批判の声というものにどうしてあなたは耳をふさいで聞かないのです。そうでしょう。かつてないほど大きな声でしょう。しかも、非常に問題は緊迫してきておる。ハイフォン、ハノイを爆撃するかどうかということは、非常に今後のこれは戦局にとって重大な関連を持つことです。新たな段階にこれは入った。戦争拡大の危険は非常に迫っておるということは、だれでも身をもって感じておるのです。そういう中で、いまのようなやむを得ない、好ましくないことだがやむを得ない、こういうことでまかり通ろうとするのですか。国内の世論を聞いてください。一体、昨日発表があって日本国内はどうですか。労働者といわず、学生といわず、婦人といわず、もう国民がみなこの問題に関心を持って、そうしてやっぱりハノイ、ハイフォンの爆撃を即刻停止しろ、どうしてこんなことを日本政府は許すのだ。いままで日本政府は、これをあくまでも平和的に問題を解決すると、佐藤総理は平和に徹するとか、耳にたこのできるほど言っているのですが、全くこれは平和に反する方向に事態は進んでいる。こういう重大な危機をはらんでいるわけでしょう。この問題についてあなたは何ら、まるでこれはほんとうに知らないような、たな上げみたいな、こういうような答弁をしてここを済まそうということでは、日本国民の深刻な反撃、不安に対するこういうものにこたえることにはならぬと思います。私はこの議場を通じて、日本政府の平和に徹する、平和的解決が望ましいと言った、そういうような方向から言えば、当然これは私はこれに対する措置をやるべきだというふうに考えるわけです。どうですか、この点。この点ははっきりもう一ぺん国民の立場に立って、日本の平和の立場に立って、アジアの平和をどう守るかという立場に立って、アメリカのこのような実に暴虐な北爆の、いわばもうほんとうに焦点に向かって彼らが爆撃を開始したのでありますから、いままでのようなそんな煮え切らない態度では話にならぬと思います。そうでないとすれば、あなたたちはもうこの政策を支持して、アメリカのもう全くお先棒になって、片棒をかついで、そうしてあくまでもともにこれはもうこの戦争の道を行こうと、そういうことの腹をきめておるのだから、いまさら何をか言わんやという態度だと解釈せざるを得ないのです。そう解釈してよろしゅうございますか。それでよろしいならよろしゅうございます。私ははっきりこの点について日本政府の態度というものを明確にしなければならぬと思います。どうですか。
  217. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 最近の戦争の状態は、石油製品を運ぶ輸送の施設、これが非常に強化されておる。一切の北からの浸透というものは、この輸送の根元を断つということに結局集中されてきたわけであります。道路、橋梁等の破壊がございましたが、なお、この石油精製その他の施設に対して打撃を与える、そうして北からの浸透の根元を断つ、こういう地域に今回は集中されたものと考えるのであります。したがって、目標はこれだけでありまして、人口稠密地帯の非戦闘員の殺戮とか、あるいは都市の破壊であるとか、そういうようなものをごうも目的とするものではない。ハノイ、ハイフォンの郊外の石油施設、そういうものだけをねらって爆撃が行なわれた、こういうのでございまして、やはり従来の北からの浸透を防ぎ、これを排除するという限定された戦争目的というものはごうも変更されておらない。そうして一方においては、一日も早くお互いに武器をおいて、そうして平和の交渉に入るというかまえを見せておるのでありまして、ただ北がこれに呼応して、そうして武器をおいて、和平の交渉に入るという決意さえすれば、事態は平和になるのであります。それを常に期待しつつ今回の行動が行なわれておる、こういうことが言えるのでありまして、決して従来の軍事行動の性格を越えるものではないと私は考えます。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 ちょうど同じようなことを、この前北爆が開始されたときに、あなたは同じようなことを答弁された。ところがどうです、事態はどんどんこれは発展したじゃないですか。今度だって、いまのような答弁をやって、アメリカの何といいますかな、立場に立ってものを言っているわけでしょう。そんなことを言ったって、どうですか、こんな不当な一体北爆、そういうものでもって、いわばあいくちを擬してそうしてやるようなことをやったが、ベトナム人民は断じてこんなことを了承するものではない。ジュネーブ協定を完全にじゅうりんして、その上に立った全く不道徳な、全くこれは認めることのできないやり方で北爆をやっておる。そうしてしかも、これによって非常に危険は迫ってきておる。イギリスさえもどうです、あなたもこれはもう情報でお聞きになったと思うが、アメリカの行動の仲間になることはできないという回答をして、このような爆撃を支持しない、こういうことがこれは首相の言明として明らかにされておる。そういうときに、こんなような答弁を繰り返していたんでは、まことにこれはたよりないと言わなければならない。私はここで何ぼ水かけ論をやっていてもしようがないと思う。しかし、ほんとうに国民の声を聞いてください。今度のハノイ、ハイフォンの爆撃というものは、全くこの戦争を新たに拡大する、そういう方向にこれははっきり踏み切ったものだということは言える。今日までの経過を見れば、これはアメリカのこのような拡大というものはもう際限がない。そういう中で一方においては、どんどんどんどんとこれに対する協力体制をつくっておる。横須賀に対する原潜の寄港といい、エンタープライズをはじめとする艦隊の入港は、安保によってこれは合理的なんだと、こう言う。それからいま現に質問をしているところのこの沖縄の問題、こういうものに対しても、実にこれはもうどんどん基地を拡張し、そうしてあそこの軍事基地を拡大しようとしている。こういう事態を絶対に許すことができないので、最後に私はお聞きしたい。  第一に、政府としては当然これはベトナム民主共和国の首都ハノイ、ハイフォン爆撃、これは即刻中止するようにアメリカ政府に要求すべきであると思います。  第二の問題は、ジュネーブ協定の精神を守って、南ベトナムからアメリカは完全に撤退する、これが何よりも正しい方向なんだ。この方向を、こういう重大な段階において、日本政府の態度を明確にするということは絶対にこれは必要です。しかも、五日からは日米貿易経済合同委員会が開かれる。京都で開かれることになっている。あなたも有力な閣僚の一人としてこれに参加するんでしょう、したがいまして、私はこの問題を、日本の国民を真に代表する立場に立つなら、当然ここで問題を持ち出すべきだ、こう思います。  もう一つは、沖縄の裁判移送の問題、この問題も、これは外交折衝によって基本的に、少なくとも重大な基本的な権利である裁判権、これを他国の侵略者の手にゆだねておくということは、これは絶対許されない。私はやはり、この問題を当然この合同委員会に持ち出して、自治権の拡大、さらにはこの布令政治の撤廃、こういうものとの関連において私は明らかに論議すべきときが来ている、こういうふうに考えるのでありますが、この三点についてあなたの明白な答弁を私は要求します。
  219. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 先ほどから申し上げるように、これは戦争を新たに拡大しようとするものではなくて、むしろ紛争を早く終結させようというものでございまして、決して戦争拡大の危険性はない。したがって、米政府に対して、ハノイ、ハイフォンのこの軍事施設の爆撃をとめるように申し入れる考えは持っておりません。  それからジュネーブ協定を守って撤退すると、こうおっしゃいますが、ジュネーブ協定には数項目があって、そうしてその数項目のうち自分に都合のいいことだけを主張される、このジュネーブ協定の精神を貫く考え方は、やっぱり武力をもって政治目的を達成しようとすることはいかぬ、こういうことをいっているのであります。そういう前提のもとにアメリカが撤退するということを主張するならばそれはわかるけれども、自分のほうの軍事浸透行動はやめないで、アメリカだけ一方的に撤退せよというのは、これはジュネーブ協定を貫く精神ではない、これは正解ではないと私は考えます。  それから裁判移送の問題については、これは総理府のほうからお答えがあったようでございますが、私は総理府の見解と同じでございます。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたはいつでも同じようなことを言っているけれども、そんなことで断じて了承できません。また機会を見てやります。  それで質問はさきに戻りますけれども、サンマ課税の問題ですね、このサンマ課税の問題は、これは一体どうなんです。全然物品税法の中にサンマという字は入ってなかったんでしょう。だからこれに対してサンマに課税する、これを返してくれ、こういう要求があった。しかもそれは正しいというので認めて、巡回裁判所は勝訴にしたわけでしょう。ところが琉球政府はこれに対しまして、サンマというのが入っていないのは例示規定にすぎないのだから、包括的にはサンマも入るのだというような、まことにあいまいな拡張解釈をやって、そうしてこれに対して上訴をした。その判決がいつこれはきまることになっていますか。日にちをあげていただきたい、いつか。
  221. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 判決の日取りについては承知しておりません。
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 だから問題の核心が……。私たち調査網よりももっとあなたたちは六十何人の機構を持って、数千万の金を持った現地連絡事務所を持っておられるじゃないですか、南方に。そこから何を聞いているんですか。こういう日本人の基本的な人権に関する重大な問題、そうして非常に国際的な大きな問題になっている問題について、それを明らかにしていないんですか。これは七月八日に判決が出るはずです。ところが、これに対して突如として裁判の移送を命令してきた、こういうことなんですね。そうすると、こういう問題についてもどうなんです。一体、途中で高等弁務官布令によってこれは変えておるわけだね。さっきそういう説明もありましたけれども、これはサンマは入るんだということを途中で法令を変えた。だから事前のやつは、当然認めたことになるんでしょう、あとで改正をしなければならないほど悪かったということを認めたことになるでしょう。事前までさかのぼって取るということはできないんじゃないですか。こんなことをやったら、何でもどんどん法令を変えて、そうして全く支配者の思うままにやれるんじゃないですか。これは徳川時代の暴君がやった、封建時代の専制君主がやったやり方と何らこれは私は違いがないと思うわけですが、こういう点はどうなんです。  それからもう一つ聞きたいのは、この物品税の内容の問題は一体どうです。琉球の物品税というものを、安井長官、検討したことがありますか。これは日本の物品税と比較してあなたたちにやっぱり調べてほしいと思うんですよ。どうです。生活必需品には逆に高いじゃありませんか。魚介類のようなものは三〇%。ところがどうです。たとえば、私お聞きするけれども、日本のものと比較したことありますか、日本ではどうです。生鮮食料品、冷凍魚類、こんなものはかけてないでしょう。日本ではこれは物品税かかっていないんです。乗用自動車の場合は、高級普通乗用自動車は日本では四〇%、ところが琉球の場合は二〇%。ところが、ここで一番問題になると思うのは、貴金属の場合、べっこうを用いた製品、サンゴ、象牙、ダイヤモンドも入る、こういうものについては、わずかに五%でしょう。それからしょうゆのようなものでは二〇%かかっている。これは日本で物品税かけていますか。それからめん類、みそ、それから原塩、塩にまで一〇%かけているでしょう。菓子類、サッカリン、それからズルチン、そういう人工甘味料、それから砂糖含有量五〇%をこえるもの、こういうものには四〇%の物品税かけているんです。日本ではこんなものにかけていますか。私は二、三のこういったものを対照をしてみたんですけれども、こういうことを検討されたことがありますか。日本の本土の物品税と、沖縄における高等弁務官布令によってつくられているこの物品税について検討されたことがありますか。安井長官、どうですか。こういうことを明確にやらなければいけませんよ。
  223. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 琉球政府における課税標準と申しますか、課税機構と日本本土の課税機構には、いま御指摘もございましたように、かなり相違があることは私も十分承知しております。しかしながら、私どもの期待としては、こういったものを日本のものに近いようにできるだけ合理化してほしい、こういう気持ちは持っております。持っておりますが、こういうやつは全部、いまも申し上げましたように、行政命令に基づく布令、布告をもとにした琉球政府のいままでの税制、あるいは財政制度、日本がいま当然の権利として、これを全面的にどうするこうするという権限は持っておらぬわけであります。これは私どもは、しかし逐次そういったものが改善され、合理化されるように、今後も日米協議委員会等を通じて努力したい、こういうふうに考えておるわけであります。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 こういう問題で、これは立法院でも問題になって、いままで三回も物品税を安くしろという決議をしていた。しかし、結局は高等弁務官の壁に突き当たって、ほとんどこれは実効をあげていない、こういう現状でしょう。大衆の要求は生活苦からきているんですね。ところが、こういう問題で、今度の裁判の移送が行なわれたというんですがね、どういうことなんです。私は二つの理由、これは時間の関係から詳細を尽くすことはできなくて、概略だけで、問題の本質というものは、まだ明確にそれほど出ていると思いませんけれども、とにかく、いまここで質疑応答しただけでも、ひどい問題だということは、これはだれでも感ぜざるを得ないんです。なぜ沖縄の九十五万県民だけが、このような一体犠牲にあわなきゃならないのか。ここにはやはり苦しみがにじんでいるんですよ。だから、ベトナム侵略戦争の前線基地として、また最大の補給基地としてアメリカの軍事植民地的支配のもとにあえいでいる血の叫びだ。私はそういう意味で、いわば二つの裁判というのは、やむにやまれぬ、これはみずからの人権と生活を守る抵抗権の行使だというふうに考えるわけです。ところがこれに対して、このたびのような高等弁務官命令という至上命令をもって、最後に残された基本的裁判権をさえかってに取り上げたというのが今度の姿じゃないですか。一体、ここでお聞きをしたいんですが、裁判の移送を命じたこの根拠は何ですか。ここのところ、この問題を私は明らかにしてもらいたい。この根拠について、これは端的に言ってください、どういう根拠によってこのようなことをやったのか。
  225. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 私どもの承知しております限りにおきましては、大統領行政命令の第十節に「高等弁務官が合衆国の安全、財産又は利害に影響を及ぼすと認める特に重大なすべての事件又は紛争に対する民事裁判権。」につきましては、「このような事件が琉球政府の裁判所に提起された場合には、最終的決定、」のある「以前においては、最終的上訴審理を含む訴訟手続中、いつでも、高等弁務官の命令により、これを適当な民政府の裁判所に移送することができる。」、こういう規定がございまして、これに基づくものと承知しております。
  226. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは、いままでこんなことをやられたことはありますか。
  227. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) 一九六二年に通貨の偽造の問題と、それから工事請負代金の問題の二件につきまして、移送された事実はあります。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 今度の問題とだいぶこれは性格が違うだろうと思うんですね。先ほど説明されたように、これは第十節b項ですか、a、bか、それによってこれはやられた。それで結局は合衆国の安全、財産、利益に影響する重大な問題、案件である、こういうことなんですがね。第一に、この大統領行政命令というやつが実際の根源になっているんだが、こんなものは一体いまごろ通用するんですか、民主主義とかなんとか言っている時代にこんなものは通用するんですか。これは、裁判権というやつは、最も基本的な重大な権利じゃないんですか。こういうものまで踏みにじって、しかも、いつでもこれはかってに引き揚げることができるという事態に置かれれば、無権利状態じゃないんですか。裁判の権利も、沖縄九十五万県民は自分で自主的にこれを裁判する権利はないのだ、全部これはアメリカ政府の支配者の手にゆだねられる、この悪法が問題だ。第一に、これが問題であると同時に、この当否はあとで論議するにしても、しかもこれを拡大解釈しているじゃないですか、この中で。そうでしょう。この二つの裁判、これを移送する場合には、合衆国の安全、財産または利害に影響を及ぼす件、こういうことのある案件だ。ところが、これは合衆国の利害に及ぼしますか。サンマの課税を、過去に彼らが法令をかってに改正する前に納めたその金を返してくれ、これについて当然正しいという裁判を下した。これがどうして一体アメリカの安全と利益に反するのです、こう解釈されますか。これはだれが考えてもわかるでしょう。それから罰金五十ドル取られたからといって、選挙をやらせておいて、そうして最高点で当選しようとした、これをそのとたんに失格する、こういうようなやり方をやっておいて、これがアメリカの安全にこれは違反するのだからこういうことをやったのだということを言って、これはなにすると思いますか。大統領行政命令というのはこれは悪法だ。これはいまの世界の中でもこんなものが残っているということは恥ずかしい。アメリカの民主主義の名においてこんなものは恥ずかしい。その法令さえもまるで拡大解釈をして、そうして悪くして使っているのが今度のこの高等弁務官布令であります。どこが一体安全に反するか、この点の見解を言っていただきたい。どの点がアメリカの安全に反するか。
  229. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 大統領行政命令に対するいろいろな角度からの御批判、これはいろいろおありであろうと思います。私どももそういう議論が決してあってならぬと思っておりません。しかし現在は、御承知のようにそれは条約の取りきめに基づいて、行政命令に基づくこの高等弁務官の命令権というものが支配権を持っておるという現実はこれは現実として認めざるを得ない。しかも、いまそういった二件あげられた問題が、何がアメリカの安全に影響があるかという御指摘でございますが、この問題はそのこと自身よりも、高等弁務官命令によって出ておる布令、布告に対する琉球政府の裁判権の関与というものが認められないのだ、そういう趣旨におきましてこれは移管されておるということでございまして、その全体のいまの琉球の置かれておる立場、これはわれわれも御説のとおり民族として一日も早く帰ってもらいたい、また、全面的に施政権も返還してもらいたい、こういう願望に変わりはございませんが、現在置かれておる現実の問題はそういう仕組みで、また、今度の問題についてはそういったような趣旨から移管されておるというふうに解釈しております。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 はしなくも安井長官はほんとうに近いことを言われたと思うのですね。ねらいはそこになかった。だからサンマの問題や失格の問題は、まあそれほど問題でなかったかもしれぬ。アメリカの安全——しかし、布令そのものを批判する、これに違反するということは絶対許せないのだ、こういう精神からこれがされたとあなたは言われたが、まさにその点は当たっているように思うのですね。私は、まさにそのような威圧的なねらいがあったのです。背景は非常に深い、大きい。単なるサンマの問題じゃない。サンマをめぐって実はここで断固として、いやしくも高等弁務官布令というものには指一本触れさせない、これがたてまえだ。現にワーナー民政官というのはそう言ったでしょう。布令、布告というものを批判する権利はない。しかしはたしてそうか。これも大統領行政命令違反じゃないか。なるほどa、bはそうだ。a、bは移送のことをいっている。D項は読んだのですか。D項はどうですか。これは時間の関係から詳細をここで法律的に明らかにすることはしないけれども、ちゃんと布令、布告が正しいかどうかということを上訴裁判所ははっきりこれを再審理する、そういう権利を持っているとうたっているじゃないか。ワーナーのこの声明というのは、これは全くの自己流解釈だ。大統領行政命令にはっきり違反したものであるということをこれは認めざるを得ない。安井さん、そうでしょう。このあなたのお立場は、やっぱり法律的な立場に立ったら、大統領命令の都合のいいところだけはワーナーは解釈して、そうして絶対にこれを指一本触れてはいかぬ、こういうことを言っておる。しかし、そんなことはないはずだ。大統領命令の中でかすかに何かそんな余地が残されておる。これはD項としてあったはずだ。そうでなければ裁判なんというものは成り立つはずがないじゃないですか。日本の占領時代だって見てください。まさか——日本の裁判でらちがあかないときにはアメリカが乗り出してきていろいろ陰でやったかもしらぬけれども、この裁判の案件そのものを引き揚げてアメリカの裁判あるいは軍裁判、こういうものに持っていったという例はこの日本の占領時代だってない。ところが、占領時代のことが今日行なわれているのです。このD項についてははっきり認めざるを得ないと思いますけれども、簡単にこれはお聞きします。どうです。
  231. 山野幸吉

    説明員(山野幸吉君) D項のこの解釈につきましては、私どもの立場からかれこれ申し上げるわけにいきませんが、高等弁務官の発する布告、布令もしくは命令の解釈を含む合衆国法、外国法、国際法の問題について当事者から上訴のあったとき、あらためて再審できる、こういう規定でございます。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの立場ではっきりそうだ、イエス、ノーで言ったらあとでアメリカからしかられる、そういうこともあるかもしれませんから……。しかし、いま読まれたこの答弁そのものは語っておるので、明らかにこれは、アメリカのこんなことは通りません。こんなものはかってにあそこでいばっていて、お山の大将で島にいて、九十五万島民の全くこれは彼らの権力のもとに自由自在、生殺与奪の権を持っておる、握っておるものの暴虐なやり方だ。こんなものが通ると思ったらたいへんな話だ。これは絶対に許すことはできない。私はさきの安井長官の、布令、布告そのものを絶対にこれは守らせることが今度の大きなねらいだというのが、先ほども賛意を表したように、そういうことになっておると思うのです。  そこで、そんならその背景は何なのか。これは私はやっぱり沖縄の土地問題にあると断ぜざるを得ないのであります。この背景は膨大だ。そうでしょう。現に今日では無法な裁判、植民地支配のもとにこの土地取り上げがまたなされようとしています。それはもう高等弁務官布令二十号、これによって耕作地が大幅にこれは取り上げられようとしています。沖縄本島中部の具志川村字昆布の耕作地が約八万二千五百平方メートル、読谷村内約六十八万六千四百平方メートル、嘉手納村内八万五千百平方メートル、さらに南部の知念村字志喜屋、山里の耕作地四十九万五千九百平方メートルという土地測量をこれまでも申し入れており、これの新規接収を通告してきております。沖縄本島の総面積は約十四億九千八百平方メートル、そのうちの一四%に当たる約二億平方メートルが軍用地として現在使われておる。これは山の多い沖縄ですから一四%ということになっておるが、耕地総面積から考えると実に七六%に当たるものです、アメリカの軍用地として使っておるものは。残りの二四%に九十五万のわれわれの同胞がいるのだ。そこのところをまだ取り上げようとしておる。大量の耕地が米軍によって取り上げられようとしています。これは全く文字どおり沖縄島民の生活を根底から破壊し、死ねと言うことにひとしい。だからアメリカが強制執行をすれば島ぐるみの大闘争が展開されようとしておるやさきに、今度の裁判移送問題が起こったのです。移送問題は決して土地取り上げ問題とは無関係ではない。つまり高等弁務官布令には、先ほど申しましたように、指一本触れさせない断固とした威圧の態度を示すのでなければ、土地取り上げは強制することはできない。こうしてワトソンは前例のない裁判移送問題に踏み切った、これが背景じゃないですか。しかも私は、もう一つの背景をここで明らかにしなければならぬ。それは何か。なぜこの土地取り上げをやるか。これはアメリカの極東戦略のかなめとしての沖縄の軍事基地を徹底的に維持拡大強化するそのためであるということは明白です。その点を明らかにしなければ、今度の裁判移送の問題というものは明確にならないです。沖縄基地の強化は、アメリカのベトナム侵略戦争にとってぎりぎりのこれは計画である。現に、先ほど私は外相に質問した、こういう事態とあわせて考えるときにぴったりしておるのです。そういうやり方で、しかも、これを私が言うより何よりワトソンに語らせればいいのだ。昨年三月のアメリカ下院の軍事委員会の証言で、はっきりワトソンは次のような証言をしています。「米国は沖縄に重大な利害関心を持っている。沖縄は依然として東南アジアの防衛の基礎であると同時に、ベトナム戦争におけるかなめの軍事基地であると言い、また、ベトナム戦争によってアジアの脅威と緊張は増加した。沖縄の軍事基地は、米国と日本及び西太平洋の他の同盟国の防衛にとってきわめて重要である。このことは沖縄からベトナムに軍隊や物資を敏速に移動できたことに示された」と語り、また最近の記者会見では、「ベトナム戦争と関連して那覇軍港での補給活動は手狭になったので、新たな軍港を開設することが必要になった。全体の利益のためには一部住民の不利益は避けられない」と述べ、沖縄基地の強化と、そのための強制土地取り上げのねらいを明らかにしたのであります。沖縄はアメリカの極東戦略の最大の核ミサイル基地として、また補給、通信、謀略宣伝、ゲリラ訓練、スパイ養成、渡洋爆撃の中継などを含めてアジア侵略の第一線拠点基地であります。この中で輸送中継基地として、新たな軍港、荷上げ施設として、那覇軍港と中部のホワイトビーチが使われていますが、これは商港などと一緒になって手狭になっている。太平洋岸に新たな軍港をつくり、また嘉手納の飛行場の滑走路を拡張しようとしている。これが沖縄の土地取り上げの真相ではないですか。だから、これに対する反対運動また日に日に熾烈をきわめています。六月二十四日に、これは長官もお聞きになっていらっしゃるだろうし、南方連絡事務所でも報告を当然しているだろうと思うけれども、つい二十四日、嘉手納村では基地によって被害が非常に耐えがたいものとなった。米軍基地による死亡者、爆音、ことに最近道路の工事をやっているコンクリートの白い煙がぼうっと立っておる。普通の場合はそんなことをしないわけで、これは導管で煙が立たないようにやっているわけですが、全く沖縄の住民に対する人権もへちまもあったものじゃないから、もう息もつけない、目もあいていられないという惨状で、もうたまりかねてついに村長、助役、学校長など、こういう村のおも立った人たちが先頭に立ってすわり込みをやった。われわれが死ぬか、そうして工事を中止するかという決死の決意のもとに、ついに米軍は工事を最近になって中止せざるを得なかったということは覚えています。また、具志川村昆布では、ブルドーザーが入ってきたら全員からだを投げ出すという誓いで決死の戦いを続け、こういう激しい島ぐるみの反対闘争が強く世論を動かし、立法院は全員一致で土地取り上げの反対決議を可決し、沖縄市町村会もあげて反対を決議している。しかも、最近の特徴は、土地取り上げの反対運動が米軍の基地撤去の要求と一本になって全県民的な色彩を帯びてきているということです。したがって、これらの反対運動を弾圧し無力化させることなしに米軍の基地強化の計画は遂行されない。これが裁判移送という人権無視、自治権圧殺の暴虐な専制的な支配を強行させた理由であるということを、われわれはこの情勢をよく見、つぶさに見、事態を検討して、はっきりわれわれはこの真相を明らかにせざるを得ないと考えておるわけです。この点、長官、どうですか。この点をはっきり検討されたことがありますか。こういう点いかがでございますか。
  233. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記ちょっととめて。   〔速記中止〕
  234. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記起こして。
  235. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) 軍事基地のために沖縄の島の一三・九%に当たるものが使用されておるという御指摘、これは事実でございます。また、そういったものが現在のいろいろな状況からある程度拡大を要求され、そうしていま手続中であるということもこれは事実でございます。ただ、そういった場合に、住民とのできるだけ穏やかな話し合いのもとにこれが進むように配慮してほしいという希望も強く持っております。したがって、これは、現在、たてまえとしまして、御承知かと思いますが、民政府から琉球政府を通じ、琉球政府と民間とのいろいろな取引——取引といいますか、折衝の結果、そういうものは決定するわけであります。民政府自身も、それの接触期間を百二十日間延ばすといったような、できるだけ住民あるいは所有者との話し合いのできるようなゆとりを持ちながら、いま折衝しておるという状況だと思います。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 長官のいまの答弁、それが具体的にどういうふうになるのか。しかも、現実の上に立って問題を解決していかなければこれは話にならぬ。だから、ここにははっきり自民党政府の姿勢という問題がこれは出てくるわけです。このことを私は論ずるわけではないが、その前に、これに対する反対運動はどのように起こっておるか、これはすごいじゃないですか。こういう裁判移送に反対し、その撤回を要求する声はもう日に日に高まっておる。いまや島内で裁判移送に反対しないという人は一人も発見することはできないでしょう。だれでも反対しておる。日本でもこれに対してものすごい憤りがわいています。この点をどうつかんでおるのかという点が、いまのあなたの答弁でいいのかどうかということを決定するかぎになるわけです。一体那覇の南方連絡事務所はどんなことを言ってきておるのだ。なるたけ耳をふさいで、見ざる言わざる聞かざるですか、そうじゃないでしょう。これは長官もいろいろいままで見られたから、私は御存じだと思う。もう最近抗議をかけておる、こういうものを私たちは乏しい情報の中でこれはやっておるわけですが、そういうものを発表したのをおも立ったものを見ても、立法院、これはもう全会一致。那覇市議会、みんな全会一致でしょう。沖縄法曹会、沖縄人権協会、沖縄教職員会、もう全分野にわたっておるわけでしょう、そうして当の上訴裁判所の、移送命令したそういう連中まで、これは首席判事まであげて、そうして移送撤回の要求を出したはずですね。それでつい最近、これは上訴裁判所の仲松首席判事はワトソンに辞表をたたきつけた。これについては、問題は米大統領行政命令が悪いのであって、住民がその改正を要求すべきであるという、まことに衷心からの声をあげておるのですよね。これはあの判事そのものがあげた。ワトソンの任命したその者がこういう声をあげたというのは、これは非常に重大ですよ、全く。どんなにひどく抑圧されて、いままでゆがめられたかということも身をもって感じた。一番大きなしわが寄った仲松判事が叫ばざるを得なかった、これは沈痛な声だ。こういう点を私ははっきり明らかにしなければいけないと思うのです。ここに立法院の移送撤回を要求する決議があります。また、那覇市議会の同様な決議があります。簡単に読んでみると、琉球上訴裁判所に対する移送命令に抗議し、その撤回を要求する決議。立法院六月二十一日、「琉球上訴裁判所に係属中であり、それぞれきたる六月二十八日及び七月八日を判決言い渡し期日とされていたいわゆる友利事件及びさんま課税事件の二つの事件について、アメリカ合衆国の安全、財産、利益に影響を及ぼす特別重要な事件であるとの理由で、高等弁務官は、さる六月七日、改正大統領行政命令第一〇七一三号第十節(a)一項及び(b)一項の規定に基づき琉球上訴裁判所の裁判権の取り消しとアメリカ合衆国民政府裁判所への移送を命じ、琉球上訴裁判所は、六月十六日に、この命令にしたがって、両事件の移送を決定した。この移送命令は、民主主義に反し、県民の裁判権を侵害するものであり、かつ司法制度を自らの統治目的に利用しようとする不当な干渉であるばかりでなく、判決直前にこの命令を出したことは、琉球政府の裁判所の権威を無視する措置である。このことは、琉球政府への権限を逐次拡大するとのアメリカのいくたびかの言明を自ら否定し、県民が絶えず要求してきた自治権の拡大をも無視する不当な措置であり、断じて許せるものではない。よって、琉球政府立法院は、今回の高等弁務官の措置にたいし、激しく抗議し、強く前記移送命令の撤回を要求する。」、これはまだ穏やかなほうじゃないでしょうかね。  那覇市議会になると、「ワトソン高等弁務官が裁判移送の理由としてあげている大統領行政命令第十節a一項、b一項の「米合衆国の安全、財産又は利害に影響を及ぼすと認める特に重大な事件」の規定に、この二つの事件、すなわち「友利事件」と「サンマ課税事件」が該当するものでない。大統領行政命令は「高等弁務官がこの命令を実施するにあたっては民主主義国家の人民が享受している基本的自由を保障しなければならない」とうたっており、高等弁務官は沖縄県民の人権を尊重して施政にあたる義務を負わされている。しかるにこのたびの移送命令は明らかにそれに反するばかりでなく、国連憲章や世界人権宣言の崇高な精神にも違反するものであり、アメリカの軍事優先政策、軍事的植民地支配の実態をバクロしたものである。琉球立法院はもとより、那覇市議会はこれまで機会あるごとに沖縄の政治前進の基本をなす自治権の拡大を要請し訴え続けてきた。このような沖縄県民の強い要求を無視し民裁判権を取り上げ司法自治を侵害する高等弁務官の暴挙は断じて許せるものではない。よって那覇市議会は、市民の総意を代表し高等弁務官が人権を無視し、非民主的な移送命令を発したことに対し、怒りをこめて強く抗議するとともにすみやかに撤回するよう強く要求する。」、これもワトソンあてであります。  日本本土の反対運動は、日に日にこれは高まって、私は、ここでたくさんのいま反対の意思を表明しているこういう人たちの、これはもう団体名——数十の団体名、これは時間の関係で省きます。しかし、沖縄九十五万同胞の怒り、苦しみ、悩み、この実態にいまさら触れて、それが現在もまだアメリカの半ば占領のもとにある、日本本土のわれわれはひしひしとこの沖縄同胞の苦しみというものに触れ、そうしてほんとうに連係の立場——一体になってこの問題を解決する、こういう高まりが国内においても起こっているのであります。  私はあらためて安井総務長官に聞きたい。佐藤総理は昨年八月沖縄を訪問し、自治権の拡大と沖縄と本土の一体化を強調し、県民の声をよく聞くと言ったはずです。また、二十五日の衆議院での答弁にも、善処するということを言ったはずだ。一体善処というのはどういうことなんだ。進んでアメリカ政府に抗議し、移送の撤回をはかるとともに、米大統領の行政命令そのものを廃止する、その方向にこれははっきり政治行動することじゃないのですか。私はそういう意味で、椎名外相に先ほどこれは答弁を求めたが、これに対しての答弁というものは、ほとんどこれはだめだった。安井総務長官、あなたは担当大臣として、これに対してどのような対処をするか、お伺いしたいと思います。
  237. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  238. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。
  239. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はね、こういう点で、この欺瞞政策をやっちゃいけませんよ。この前、昨年ですね、これはジョンソンに会って、そうして佐藤・ジョンソン会談の中で、沖縄問題で明らかにしたわけですよ。沖縄問題で、彼らはもうとにかく自治権の回復に努力をする、施政権の返還方向に向かう、民生の安定について努力をするということを確約したという。しかしそう言いながら、一方でアメリカの基地として沖縄を確保するということを、これは確認すると一方で言っているのだ。この二つは、私がさっき質問したように、まっこうから対立しているのだ、相いれない両面ですよ。両立しないのだ、絶対に。これを二つ一緒にこれはしているというような行き方で、この沖縄問題を解決することは私は絶対にできないと思う。したがって、私は当然政府が、九十五万沖縄同胞の基本的権利を守り、民生の安定を真に願う、そういう方向に立つならば、私は先ほどのベトナム戦争、これに対して全くこれはやめるその方向に大きく、この根源であるそういうものをとめるとともに、一つは、米大統領の行政命令の撤廃の方向、高等弁務官布令政治という、まことに何ともならないものを、私は廃止する、それから土地取り上げ、核ミサイル基地化をこれはやめる、そうして沖縄県民の民主的権利を守るとともに、施政権の回復の方向にこれは努力する基本的な方向をとらない限り、遺憾である、努力をする、善処をするという、こういうごまかしでは、絶対今日はごまかされる条件には私はないと思うのです。だから私は先ほど言いましたように、経済合同委員会ではっきりとあなたはやはり主張すべきだ。  最後に私が申し上げたいのは、最近アメリカの「USニューズ・アンド・ワールド・レポート」、これは、沖縄問題はここ数年来最も激しい論議の中心になろう、こういうことを論評している。「フォーリン・アフェアーズ」は、沖縄では日米間で最も危険な問題をはらんでいるということを指摘しております。だから裁判移送や土地取り上げ問題は、このまま放置するというならば、沖縄はまさに私は第二のベトナム化する、そういう危険を持っているのだということを、はっきり私は考えざるを得ない。この事態を見のがすということは私はできない。私は、はっきりアメリカ政府に対してこの点を交渉すべきだ、そうしてその方向に国民と力を合わして進んでいく、こういう考えがあるかどうかということを最後に総務長官にこれは意見を伺いたい。
  240. 安井謙

    ○国務大臣(安井謙君) われわれも、国民感情としまして、沖縄の住民の皆さんが早く全面復帰したい、あるいはするようにありたい、この点については、いささかも異なるつもりはない、一日も早く帰ってもらいたい、こういうことでやっております。  また、その過程におきまして、いろいろと従来と仕組みの違う分につきましては、逐次行政命令に基づく布令、布告等もでき得る限り早く撤回なり改善して、そうして沖縄住民の自治権も確立する、こういう努力も続けてきているわけです。その例は、いままでの最近の一年間における教育制度の改正あるいは社会福祉制度の問題あるいは沖縄に対する米日ともに財政援助の画期的な拡充、こういった点については、逐次あらわれている面も非常にあるわけでございます。しかし、いま御指摘になったような点につきましても、私はこれは決して好ましい傾向であると申し上げているのじゃない。これはできるだけ早く円満に現地で解決をされたい、また、そういうふうに私ども慫慂したい、こういうふうに実は考えているわけでございます。ただ、その岩間委員の言われまする世界の安全保障といいますか、平和保障のあり方、方法論につきましては、残念ながら、どうも根本的に、岩間委員とわれわれの考え方が基本的に違うのでございまして、世界観の違った上に立っての、いま直ちに米軍の基地撤廃、そうして直ちに全面復帰、これを現実の問題ですぐそういう方途をとれと言われましても、これは私たちの立場、見解の相違から、いますぐそういう方途をとるわけにはまいりかねる、こういう現状でございます。
  241. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  242. 鶴園哲夫

    委員長鶴園哲夫君) 速記を起こして。  他に御発言がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じます。本日はこれにて散会いたします。    午後五時十二分散会