○曾祢益君 外務
大臣は時間が少ないそうですから、あまり本格的な議論はいたしませんが、先ほど来伺っていると、社会党の同僚諸君が言われている点は、本質的には
安全保障条約の問題で、必ずしも
原子力潜水艦ということに——
関係もありますけれども、より一般的な問題だろうと思う。この問題を議論する時間がございませんから、
原子力潜水艦入港問題に限って二点ばかり伺います。
第一は、これは黒柳君からすでに御
質問があったところですけれども、何といっても、炉の安全性というものについてはまだこれで十分証明済みだということは言えないと思うのです。つまり、原子力推進機関を持った
アメリカの
軍艦が
日本に来るのだ、しかも、それが
日本でも一番交通の激しい浦賀水道を通って、
日本の一番人口の稠密している、
日本の心臓部である京浜工業地帯のそばに来る。これは安全保障の問題で、炉の安全の問題衝突のことも含めて、これは非常に大きな問題だと、こういうふうに
考えるのです。そこで、その点についても安全だということが、自民党が現地で楽隊つきでPRするのでなくて、国民の中に科学的にそれが十分証明されておらないところに、原潜問題に対する、漠然としているけれども重大な不安があると思う。ですから、これはやはり安全性がもうこれで確認された段階ではまだない、私はそういうふうに
考えて、その
意味で、安全性が確認されない限り、まことに迷惑しごくであるというのが私は偽らざる国民の声だと思うのです。おそらく
横須賀の市民に聞いてみても、おみやげ物屋さんを含めて、どうも心配なんだけれども商売にはかえられない、これは私は実際の心境だと思う。そこで、安全性の確認について万遺憾なきを期しているのかどうか。私は決して安全じゃない、まあまあしばらくの間は佐世保ぐらいで——と言うと、いかにも
横須賀の利己主義のように聞こえるけれども、まあまあ佐世保ぐらいで、もっと国民が、それこそ安全性についてだいじょうぶだという気持ちが起こるまで
横須賀に入港は見合わせるというやはり政治的の措置がいいのではないか。この
意味において、安全性の問題から
横須賀は適当でないというのが私の見解で、あらためて当局の、外務
大臣の意見を聞きたいというのが第一点。
それから第二点は、一番われ一われが残念に思うのは、同じ
日本人が、一方においては実力阻止、きょうのお話を聞いていると、いかにもここのサロン的空気といいますか、そういう
意味できわめてレベルの高い政治的な談議ですけれども、現地へ行ってみると、血なまぐさい
ベトナム戦争の血を浴びた原潜が来るのだから実力で阻止しましょうと、そういう実際の訴えをやっているのです。それで、一部の人はゲートを越して中に入り込んだやつを実力阻止、他の阻止闘争も、やはり
アメリカの水兵さんが現実に、おみやげだか人間のサービスだか知らないけれども、町へ買いに行くのを監視部隊でじゃましよう、実際
補給と
休養に来たのを、実力かあるいは実力のおどしによって阻止しようと、こういうかまえをしていることは事実です。つまり、現地においては実力阻止のかまえ、他方においては、一方において
日本人としてどうかなと思うような行き過ぎた歓迎と言うか、
アメリカの旗を振っていらっしゃい、いらっしゃいと、この同じ
日本人、同じ
横須賀市民が積極的歓迎派と積極的実力阻止派に分かれて戦っておる。しかも、その
横須賀に入り込んでいるのは
横須賀市民でないという大部隊——警察部隊とそれから労働組合、学生の部隊が入り込んでいるというのは、私は正常の好ましい姿じゃない。そういう
意味で、一番問題なのは、先ほど来議論になっている
一つは炉の安全性の問題だけれども、
一つは、何かなしくずしに原子力兵器、つまり核兵器、本格的核兵器を持ち込むという腹があって、それをなしくずしにやるのじゃないかというこの疑いというものをどうして晴らしていくかということが現実の政治でなければならぬと思う。その
意味からいうと、核兵器持ち込みは
事前協議のためにお断わりしますというだけでは済まない。一方において、もう核兵器の持ち込み同様だと言って騒いでいる部隊があるのですから、現地で。してみれば、私は政治の
要請からいえば、われわれがよく言っておりますように、現在の
安全保障条約では協議いかんによっては持ち込めることになっているわけです。これは
事前協議というのは、
日本政府の同意なくしては核兵器は持ち込めない。だとするならば、われわれはその
アメリカの
軍事力が全然要らないのだ、
アメリカの
軍事力というのはこれは全然悪だという一方的きめつけをしているわけじゃない。現在の世界の平和はやはり両陣営の力と力のバランスによってかろうじて保たれているということをわれわれは忘れるわけにいかない。だから、
アメリカの核を含む
軍事力というものは、やはり一方の陣営の同様な
軍事力とのつり合いを保っていることにやはり
極東の安全というものがかかっていることは事実です。しかし、そのことと、
日本みたいな狭い地域に、そういう前進基地みたいなところに核兵器を持ち込んだり、
日本みずからが核兵器を持つなんということは愚かなことだ、りっぱにこの
アメリカの
軍事力に依存している防衛の姿と
日本地域に核兵器を持ち込まないということとは、私は両立する、こう思う。したがって、いまの
安保条約のもとにおいても核兵器だけは持ち込みませんよということをあらためて
日米間で政治的
協定をつくったらいいじゃないですか。それを発表するならば、何でもかんでも一緒くたにした、なしくずしで原子力兵器を、核兵器を持ち込むもう事前運動だというような
意味のこの誤解並びにそれを扇動するような人たちの運動というものは、どうしてもこれはしりつぼみになる、私はそう
考えておる。そういう
意味で、現
安保条約のもとにおいても核兵器だけは持ち込まないという政治
協定をやり、政治
協定ということばが大げさならば、ちょうど
アメリカの閣僚も
日本に近く来るようですし、何か
日米政府の共同声明みたいなもので——相談すれば持ち込めますというそういう
立場になっておる、これはやはり政治的に持ち込まないのだという
両国政府の明確な意思表示をするのが私は事態を解決する一番前向きの姿ではないか、こう思うのです。
以上、二点についての外務
大臣の所信をお伺いしたい。