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1966-05-12 第51回国会 参議院 外務委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十二日(木曜日)    午前十時三十八分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         木内 四郎君     理 事                 長谷川 仁君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 廣瀬 久忠君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 黒柳  明君                 曾祢  益君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省欧亜局長  北原 秀雄君        運輸省航空局長  佐藤 光夫君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省欧亜局外        務参事官     岡田  晃君        外務省条約局外        務参事官     大和田 渉君    参考人        日本航空株式会        社取締役社長   松尾 静磨君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○関税率表における物品分類のための品目表に  関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブ  ラッセルで署名された関税率表における物品の  分類のための品目表に関する条約改正に関す  る議定書締結について承認を求めるの件(内  閣提出、衆議院送付) ○航空業務に関する日本国政府ソヴィエト社会  主義共和国連邦政府との間の協定締結につい  て承認を求めるの件(内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)     ―――――――――――――
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。航空業務に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件の審査のために、参考人として日本航空株式会社関係者出席を求めることに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 木内四郎

    委員長木内四郎君) まず、関税率表における物品分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品分類のための品目表に関する条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。椎名外務大臣
  6. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました、関税率表における物品分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品分類のための品目表に関する条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明申し上げます。  この条約及び改正議定書は、関税率表における物品分類のために共通基準を採用することによって関税交渉貿易統計比較を容易にすることを目的として、それぞれ一九五〇年十二月十五日及び一九五五年七月一日にブラッセルにおいて作成されたのであり、また、条約第十六条の改正は、関税協力理事会において一九六〇年六月十六日に勧告されたものであります。  この条約及び改正議定書は一九五九年九月十一日に同時に効力を生じ、条約第十六条の改正は一九六五年九月三十日に効力を生じました。  この条約は、締約政府が同条約不可分の一部を構成する附属書品目表に適合させて自国関税率表を作成すべき旨を規定するとともに、品目表委員会の構成及び任務等について規定しており、改正議定書は、前記条約附属書改正議定書附属書によって新たに置きかえることを規定しております。また、条約第十六条の改正は、この条約改正手続簡素化内容としております。  わが国がこの条約等に加入することは、関税及び貿易行政の分野における国際協力の見地から望ましいことであるのみならず、貿易実務上も便利であり、ひいてはわが国貿易発展にも資するものと考えられる次第であります。  よって、ここに、この条約及び改正議定書締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  7. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。簡潔に要領よく御説明をお願いいたします。大和田外務参事官
  8. 大和田渉

    説明員大和田渉君) 補足説明を申し上げます。  ただいま提案理由説明にございましたとおり、この条約は、関税率表における物品分類のために共通の国際的な基準をつくろうという目的のもとにつくられたものでございます。共通基準を持つ分類表を持つことによりまして、関税交渉あるいは貿易統計比較というような際に、きわめて便利になるわけでございます。わが国がこれに入りますことによりまして、わが国が行ないます関税交渉あるいは各国との貿易統計交換という場合に、非常に便益をもたらされるというわけでございます。この条約加盟国に義務づけておりますのは、この条約に附属しております品目表に合わせて自国品目表をつくるという点でございます。わが国の場合、今次国会に国内法改正をすでに出しておりまして、御承認を得ております。  以上でございます。
  9. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 以上をもちまして、説明は終了いたしました。本件に対する質疑を後刻に譲ります。     ―――――――――――――
  10. 木内四郎

    委員長木内四郎君) この際、航空業務に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。椎名外務大臣
  11. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました、航空業務に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  本件協定締結のための交渉は昨年十月七日から東京において行なわれましたところ、本年初頭日ソ両国代表団間で合意を見、一月二十一日モスクワにおいて、本大臣ソ連邦側ロギノフ民間航空大臣との間で協定の署名が行なわれた次第であります。  この協定は、わが国ソヴィエト社会主義共和国連邦との間に定期航空業務を開設することを目的とし、業務の開始及び運営についての手続と条件とを規定するとともに、両国航空企業がそれぞれ業務を行なうことができる路線を定めているものであり、わが国がこれまでに締結した二十一カ国との間の二国間航空協定に一般に規定されていることのほか、ソヴィエト連邦国際民間航空条約加盟国でないことにかんがみて加わえられた規定を含んでおります。  この協定には、さらに、シベリア上空開放されて協定上の相互乗り入れが可能となるまでの期間政府間の合意により暫定運航を行なうことを規定する議定書協定不可分の一部として附属しております。  この協定締結されますと、両国航空企業は、さしあたり共同運航の形式により東京モスクワとの間の飛行を行なうこととなりますが、この東京-モスクワ間の飛行は、従来の欧州経由の場合と比較し、距離、運賃、所要時間等において著しい改善を見ることとなります。さらに、シベリア上空開放されて相互乗り入れが実現する場合には、わが国航空企業にとって、モスクワ以遠第三国内の地点へ運航することも確保されております。わが国が世界に先がけてシベリア経由モスクワ線を運航する権利を得ることは、わが国国際航空界における地位を向上させることはもとより、今後の日ソ関係発展のために重要な意義を有するものと期待されます。  よって、ここにこの協定締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  12. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、補足説明を聴取いたします。大和田外務参事官
  13. 大和田渉

    説明員大和田渉君) 補足説明を申し上げます。  この協定は、ただいまの説明にございましたとおり、本年一月二十一日署名されたわけでございますが、その内容は、従来日本各国と結んでおります航空協定とほぼ同じ内容でございます。ただ、ソ連邦国際民間航空条約に入っておりませんので、ほかの、従来日本が結びました各国条約と違う点が幾つか出てまいります。ただ、全体の内容としては、ほぼ同じものというふうにお考えになっていただいてけっこうだと思います。  この協定には附属書が二つついておりまして、一つは通常の国際航空協定と同じ内容の特定路線問題及び指定航空企業をどこにするかということを附属書のⅠに規定しております。附属書のⅡには、協定の第四条に基づいて技術的な事項がきめられております。  なお、協定本文では、当然なことながら、相互の国が相互の国に自国機によって乗り入れることがきめられておりますのでございますが、実際にシベリアがまだ開放されていないということのために、シベリア開放されるまでは両国政府間の合意によって暫定運航を行なうということがこの協定不可分一体である議定書にきめられております。したがいまして、暫定運航内容が次に問題になるわけでございますが、お配り申し上げました交換公文がございますが、この議定書に規定している両国政府間の合意というものは、この交換公文によって行なわれているわけでございます。その内容は、シベリア開放されるまで共同運航を行なうという内容になっております。  なお、シベリアがいつ開放されるかという問題が当然両国政府間の交渉途上問題になったわけでございます。その点につきましては、お手元にお配り申し上げました合意議事録にございますが、約二年間にシベリア開放されるということを日本代表が非常に強く主張したわけでございます。それに対しまして、ソ連側日本代表の「この強い希望了承した」ということが、合意議事録の第一項にうたわれております。  それからもう一つ、その合意議事録の第二項でございますが、そこに、シベリアが外国の定期航空開放されるという場合には、直ちに、かつ、ほかの国に先立って日本国企業にその許可を与えるということがうたわれてございます。  以上であります。
  14. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 以上をもちまして本件に関する説明は終了いたしました。  そこで、これよりただいま提案理由説明補足説明のありました両案件を便宜一括して質疑に入りたいと思います。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 ソビエトもたいへんよくここまで譲歩したような感じを受けるのです。問題点は、シベリア上空開放二年間という暫定期間暫定期間後の状態がどういうふうになるか、モスクワ以遠権利及びその実態というものが問題でありましょうが、まず常識的に伺いたいのは、この週一便という約束で、赤字でなく黒字でやれるようになるのか。この際、北回りあるいは南回りの日航線というものがどの程度打撃を受けるのか、受けないのか。実質的な利益の面をひとつ明らかにしてもらいたいと思う。単なるあそこに航空路を設定したという名目上のことじゃなくて、実態のほうはどうかということから伺います。
  16. 岡田晃

    説明員岡田晃君) この点に関しましては、ただいま日本航空とアエロフロートとの間で商務協定交渉中でございまして、チャーター料を幾らにきめるかということが主として損益採算基準になるわけでございまして、そのチャーター料基準につきましてまだ先方が相当高いことを言っておりまして、合意に達しておりません。それで、今日まで、チャーター料をもう少し安くして何とか採算に乗せるようにということで話し合いを続けておるのでございますが、まだ合意に達しておりませんので、それがきまってからその採算の問題がはっきりと出てくることだろうと思います。日航社長がいずれ詳しく御説明するだろうと思いますが……。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 それは日航社長さんも見えるのだろうからそれに譲りまして、シベリア上空開放というのは何を言うのか。その理由として、技術的な困難であるとか、立ち入り禁止区域があるとか言っておりますが、この上空開放――これで見ると、ある期間、ある区間ということなのか。シベリアも広いですからね、どこを言うのですか。
  18. 岡田晃

    説明員岡田晃君) それはシベリア特定地域をさしておるわけでございます。それはもっと正確に申しますと、ハバロフスクからバイカルの北のほうを通りましてモスクワへ通るという、そういう区域をなぜ開放するということばを使いましたかと申しますと、地上との連絡のために地上に一定の施設が必要なわけでございます。飛行機が飛んでおりますときに地上から常時連絡をいたしておりまして安全性を保持するというために、その施設を今回新しく設置しなければならない。その設置をするために必要な経費をソ連側が自分で出して設置するのですが、現在通っております航空路線ソ連国内路線でございまして、その国内路線国内航空で、ソ連のパイロットが自国国内法に基づいて運航するために必要にして十分な施設だけしかないわけでございまして、国際路線にするためには新たに施設を必要とするということになっております。そのための施設を新たにつくるということによって、路線がその施設されたところだけの上空を飛べるわけであります。それで、その上空開放するということばで使ったわけでございます。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 それはバイカル湖の北ということだけのお話ですが、これは南北広い地域だと思うのですがね。たとえばシベリア鉄道沿線とか、イルクーツクとか、その鉄道沿線を言うのか。通っちゃいけないというのはどこを言うのですか、立ち入り禁止区域ですね。
  20. 岡田晃

    説明員岡田晃君) 立ち入り禁止区域がどこであるかということはソ連の軍の機密に属することであろうと思いまして、私どもには知らせてくれません。ただ、彼らの申しておりますのは、ハバロフスクからモスクワ最短路線ということで交渉の途中で明らかになりましたのは、バイカルの北のほうということが明らかになっております。ただ、もう少し具体的に、どの路線をどういうぐあいに行くかということになりますと、これは航空技術協定の中で、日本航空当局ソ連航空当局技術細目の資料を交換することになっておりますので、それに従って明らかな航空路線地図が出てくるということになっております。航空細目協定はまだ現在交渉中でございますので、はっきり決定はいたしておりません。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、ハバロフスクまでは確かですね。ハバロフスクからモスクワ最短距離ということだけで、大体どういう経緯度で、どういう線をどう通っていくのかというおおよその見当もないわけですね。
  22. 岡田晃

    説明員岡田晃君) おおよその見当はございます。すなわち、ハバロフスクからモスクワ最短距離と申しますと、地図がございませんからあれですが、バイカルの北のほうをずっと行くところが最短距離になります。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 しろうと式地図の上に棒を引っぱって……。
  24. 岡田晃

    説明員岡田晃君) そういうことであろうと思います。それは交渉経緯で非常に明らかになったわけであります。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 その間に不時着をするところも必要でありましょうしね。モスクワ、だけにおりるのではいろいろな事故もあるわけです。そうすると、立ち入り禁止区域地上設備がないから困るということ以外は、おりることも、通ることも可能ですね。実際問題として可能だと思う。そうすると、昔の満州国の、ソ満国境の満州里、あの辺から先、あれはいいんですか。満州里より先は大体問題はない区域になるわけですね。
  26. 岡田晃

    説明員岡田晃君) 満州里のほうは通らないわけであります。ハバロフスク――地図があるとすぐわかりますが、満州里はその西南でございます。東をこういうぐあいに上がるわけでありますから、全然西のほうは関係はなく、満州里のほうを通りますのは国内路線のほうになってまいります。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 それから、暫定期間の二年の根拠はどこから割り出したのですか。
  28. 岡田晃

    説明員岡田晃君) いま申しましたように、地上との連絡をするために先方施設をつくっていく必要があるわけでございます。その地上通信設備をつくっていく。それから、ただいま先生がおっしゃいました不時着をするための飛行場を――もし万一不時着でもするような場合に、そういう飛行場の準備もしておかなければならぬ。そういうようなことで、ソ連が従来ほかの国とこういう協定を結んだときに、国内路線国際路線に転換するときに必要だったのが大体二年間、二年かかったという実績がございます、ソ連側に。ソ連側の過去の実績に基づいて二ヵ年あれば――その実績というのはイランとの場合だと思います。イランとの場合は非常に短い航空路線でございまして、今度のソ連日本との場合には非常に航空路線が長いのでございますけれども、ミニマム二ヵ年あればやっていけるだろうということであります。私どもはなるべく短く、短くということで――当初はもっと長い期間希望したわけでございますが、それで、二ヵ年あれば大体できるであろうと思います。
  29. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 先ほどの参考人につきましては、日本航空株式会社取締役社長松尾静磨君を本日御出席願うことといたしましたところ、ただいま御出席になりました。
  30. 森元治郎

    森元治郎君 その、いまの二ヵ年が過ぎたあとについて十分わが日本側意向を尊重して本格的相互乗り入れをやるようにしたい、そういう日本側希望了承した、この「了承」ということをどういうふうに解釈しているか。皆さん、衆議院段階でもそうだと思うのだが、その点が明確でないというのでいろいろ論議があったわけですね。締結された外務当局の考え方は、実際折衝に当たってみてどういう印象を受けられたのか。「了承」とは一体何と了承したらいいのか。
  31. 岡田晃

    説明員岡田晃君) この点が非常に交渉のときに問題になり、長い時間をかけて私どもも強く主張した点でございまして、あちらもその先方意向説明いたしたわけでございます。この「了承」と申しますのは、ソ連の、ロシア語で申しまして、大体ほとんどもう「同意いたします」ということばにほぼ近いことばになっておるのでございますが、ただ、それを日本語では言いあらわすときにそういう適当なことばがございませんので、「了承」というのが日本側の非常に強い希望日本側がそういう希望を表明してそれはわかりましたという、了承いたしましたと、こう言えば「了承」というそれに一番意味が近いという感じを持ちまして、それで「了承」というぐあいに訳したのでございますけれども、大体二ヵ年いたしましたならば、非常に不測の事態が発生しない限り、すなわち、技術的にこのままずっと行きます限りにおきましては、日本側単独運航ができるという形になると私どもは確信いたしております。
  32. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、二年になる半年くらい前から、二年後のことを相談しなければならぬわけですね、あらためて今後。
  33. 岡田晃

    説明員岡田晃君) ある段階になりましたらそういうことを相談しなければならぬという事態になるかもしれないと思っております。
  34. 森元治郎

    森元治郎君 一わたりなでますが、モスクワ以遠権というのがございますね、モスクワから先へ行くという。一体、附属書第三国といったようなことが書いてありますが、何かモスクワから先の地点とは一体それはどういうことを含んで附属書に書いてあるのか。同時に、ソビエト側からすれば、日本からも先へ出たいという希望も当然あるわけですね、両方とも。
  35. 岡田晃

    説明員岡田晃君) 以遠権と申しますのは、モスクワを越えまして、たとえばオランダとかあるいはフランスとかあるいはイギリスとか、そういうところの特定地点に――あるいはアメリカということもあり得るだろうと思いますが、特定地点を考えておるわけでございまして、航空機の発達の状況によりましては、日本利益を考えれば、当然モスクワの次にニューヨークということも考えてしかるべきだと私どもは考えております。ソ連側といたしましても、東京を越えまして他の第三国地点ということになりますと、アジア地域採算のとれるという、たとえばジャカルタに行くとか、あるいはフィリピンは国交の関係がございましてむずかしいかもしれませんが、オーストラリアに行くとか、そういうようなことになりますと、非常に問題がいろいろあって、はたして採算の面でそういうモスクワから東京に出てジャカルタに行く人がおるかどうか、現実にモスクワからビルマに参りましてジャカルタに行く線はもうすでに開通されておるわけでございます。そういうお客さんがいないのに路線を開くということはちょっとあり得ないということも、商業主義に徹すればあり得ないわけでございます。ロシア側としては、あるいは東京の次にアメリカということを考えるのが当然ではないかと思います。その場合に、米ソ航空協定ができておらなければならないということでございますが、米ソ航空協定は、今日に至るまで、ニューヨーク-モスクワ路線についての航空路話し合い事務当局ではできておるのでございますが、批准されておらないわけでございます。したがいまして、ソ連アメリカ航空協定を結んで、東京を越えて他の第三国アメリカを考える場合には、その前にまずモスクワニューヨーク路線というものを開通することが、当然いままでの経緯からいえば第一のステップになってくると思います。したがいまして、ソ連以遠権というものについて、なかなか日本のように――日本はもうすでにヨーロッパ第三国地点、これを商業採算ベースで言えば非常にベースに乗るところがございますので、そこで非常に経済採算上有利なポイントとして獲得したく、そしてわれわれも非常に強く以遠権を主張し、彼らをしてのましたわけでございますが、日本側の有利さに比べて、ソ連側はそれほど経済的に有利な路線はないというのが、実現の可能性が非常に薄 ということが現状であります。
  36. 森元治郎

    森元治郎君 せっかくモスクワまで延ばしたが、モスクワ東京だけじゃお客さんは限られたものだと思うが、やっぱり延ばして初めてこの線が生きるのだと思うのですね。九時間で行くようですね。せっかく延ばしても、あれからヨーロッパに出て、ロンドンなりニューヨークに行って初めてこれはすばらしい路線になる。この運動といいますか、どういう計画があるのですか。どこかの国の、イギリスのBOACと交渉するのかどうか知りませんが、あるいは日本ニューヨークまで乗り入れたやつを太平洋横断をやって来るのだというような雄大な計画は……。
  37. 岡田晃

    説明員岡田晃君) それはただいまおっしゃいましたとおりでございまして、モスクワまででとまっては何らうまみがないわけでございまして、モスクワを越えてヨーロッパ第三国地点に行くことによって初めて二ヵ年間の暫定運航というような形の不便さをも償い得る利益が出てくるわけなんでございます。したがいまして、その第三国地点の獲得ということについては、非常に私ども注意を払っておりますわけでございまして、たとえば、アムステルダム――オランダなとでございますと、日本はその以遠権を行使してオランダの空港に着陸することができる権利をもうすでに得ておるわけでございまして、したがいまして、二ヵ年たてば自動的にヨーロッパの一地点に行くということはできると思います。それから、ほかのイギリスとかあるいはフランスとか、そういうパリ、ロンドンとか、そういうような地点になりますと、現在の日英、日仏の航空協定にやや手直しを加えざるを得ないということでございまして、したがって、ある程度の交渉を必要とするということになると思います。
  38. 森元治郎

    森元治郎君 そこで、シベリア上空開放の暁には日本の運航の優先権を与えるということが書いてございますね。優先権というものは一体何か。優先とは、ただ許可を、おまえに先だというのでは意味がないので、他国より実態的に実質的に日本が特に有利なんだということが優先権に含まれるのかどうか、この説明をお願いします。
  39. 岡田晃

    説明員岡田晃君) その点も、やはり交渉のときに非常に長い時間をかけて交渉した点でございまして、具体的に申しますと、こういうケースを先方に提起して注意を促したわけでございます。たとえば、SASないしはエール・フランス、そういうようなヨーロッパ飛行機がモスクワまで来ております、現実にいま。それで、その飛行機がモスクワからイルクーツクに参りまして、イルクーツクに来て、たとえば北京に来て香港に下がる。そういう路線を、たとえばフランスの場合は中共を承認いたしておりますから、そういう路線をつくるという可能性があるわけでございます。これを先に設定された場合には、先ほど先生の御指摘の、シベリア上空開放するという問題にからんでおりまして、先に開放されてしまっては日本は何ら権利がないじゃないかという議論を提起したわけです。そこで、もし他の第三国モスクワを越えましてそしてシベリアを通ってアジア地点に着くというような場合は、いかなる場合においても、日本が、SASとかそういうヨーロッパ飛行機が、ないしはアメリカ、ほかの第三国飛行機がシベリア上空を通ってアジアのほうに来る場合には、必ず日本に先に権利を与える。しかる後に日本がどんどん運航をし出した後に、初めてほかの国にも与えてよろしいというところで、優先権ということばが出てきておるわけであります。したがって、これはシベリア上空開放とのうらはらの問題として考えておるわけであります。
  40. 森元治郎

    森元治郎君 それなら、議定書合意議事録が、これは法的な行為を構成するものではない、こう言っているわけですね。これはどれを指しているのですか。二年間の問題を言っているのか、優先権の問題を言っているのか、せっかく取りきめたものならば、何か法的な力強さを与えたほうがあとあとよろしいと思うのだが。
  41. 岡田晃

    説明員岡田晃君) 法的拘束力がないという問題は、先ほどのいわゆる強い希望了承したもの、了承したということははたして先方を法律的に義務づけるかどうかという点が問題なのでございます。われわれの解釈といたしましては、法的には義務づけしたことにはならない、ただし、政治的あるいは道義的にはオブリゲーションを負うことになるというふうに解釈しております。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 日航社長さんのほうに伺いますが、これができたために、北回りあるいは南回りのお客さんがたいへん打撃を受けるのか受けないのかということが一点。  第二点は、近いから運賃も安くなるかと思うのですが、私が雑誌か何かで見たのでは、東京―コペンハーゲン-モスクワが七百六十二ドル、二十一時間。それから東京ハバロフスクモスクワが六百三十ドル、十二時間。そうしますと、北回りのほうが一時間あたり三十六ドルちょっと、それからモスクワが五十二ドルになるわけですね。この点は時間は近くなったが銭が高いのじゃとんとんになってしまうので、この点もお伺いしたい。
  43. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 御質問にお答えいたしますが、東京-モスクワ線が始まりますと、東京-モスクワへ行きまして、モスクワから欧州という乗り継ぎにいたしましても、私たちは北回りは現在五往復運航をしており、これに影響を受けると、こういうぐあいに考えております。しかし、これが正式に開放された場合には、先ほどのお話しのように、ビヨンド欧州の何地点かに路線を延ばすわけでありますので、そうしますと非常な影響がある。したがいまして、私たちといたしましては、その便数のふえ方にしたがいまして北回りの欧州線を漸次準備していく、こういう方針をとっていきたい、こういうぐあいに考えております。  もう一つの、いまの料金の問題でございますが、この料金の問題は、私のほうで商務協定の詳細にわたっての交渉をやるために、二、三日前から十人ばかり派遣いたしまして、きょうから会議をやっているはずでございまして、この料金の問題が一つ問題になっているわけであります。御存じのとおり、飛行機の運賃は、東京からロンドンはじめ北回り、南回り同じなのであります。こういうことになっております。したがいまして、東京-モスクワ間の運賃はなかなか問題がございまして、この前も当社の専務が団長で行きましたときに、合意に達しておりません。ソビエト側は五百四ドルくらい、われわれは六百十一ドルという線で主張しておるわけなんですが、これはある程度私は互いに譲歩することによって妥結するのではなかろうか、そういうぐあいに考えております。したがいまして、距離は、いま御指摘のとおりに、東京-モスクワ間は約八千キロメーターでございますので、モスクワ経由で欧州に行きますと、距離が非常に短くなる。しかし、私たちは、IATAのメンバーに入っておるわけなんです。やはりIATAのメンバーである以上は、IATAの規則に非常にかけ離れた運賃はきめられないということもございます。しかし、ソビエトのアエロフロートはIATAのメンバーではございません。しかし、先ほども参事官からお話がありましたとおり、IATAのメンバーや欧州のキャリアーがロンドンからモスクワ、パリからモスクワ、あるいはSASもモスクワから運航をしておりまして、すべてがIATAのメンバーでありまして、お互いに伸びておりますので、そういうものを参考にいたしますと、IATAの了解も得てアエロフロートも了解をできるような運賃が今度の会議である程度妥結点に達するのではないか、このように考えます。
  44. 森元治郎

    森元治郎君 大臣、もうソビエト上空を二年もたったら開放してもいいので、雪解けになってきた、雪が解けそうになってきたのだから、がんばってもらわないと国際航空条約、あれに参加すれば、話がもう同じものさしでわかるのですね。そういうことはいかがですか。モスクワは入らないほうが得かもしれないが、入ってもいいんじゃないですか。
  45. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ソ連はIATAに入っていない。それで、シベリア上空開放しておらない関係上、IATAに入りたがらないのがいままでの状態であったわけです。日本開放するその段階に達すれば、そういう気持ちになるかどうか、これは相手次第の問題ですから、また、そういうことが新しい料金を定める上において日本としても利益であるかどうかということをよく考えてこれやったほうがいいと思います。
  46. 羽生三七

    ○羽生三七君 ソビエトはIATAに入ってない。日本は入っている。その場合、料金はソビエト国内料金ですから拘束されるところがない。日本との関連ではどの程度世界的な協定の拘束を受けるのか、ソビエト国内路線という形の料金決定が優先をするのか、その関連はどうなのか。
  47. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 御質問の点は、今回の交渉の最初から私ども最も心配した点でございます。交渉開始にあたりまして、向こうは当然メンバーではございませんが、日本としては大体すべての観点からしてIATAの規則に準拠してやりたい。そうでなければ、航空協定、本協定の問題で非常に議論がむずかしいだろうということを当方から申しまして、先方はメンバーでございませんから、これはもう法律的に何ら縛られてはいないけれども、その点はよくわかるから、IATAの規則にあくまでもできる限り準拠してやっていこうということを原則的に申し述べまして、今回の運賃の問題につきましても、おそらくこの共同運航という暫定的なものをめぐる性格と、それからもう一つは、IATAの規約からする要請との両者の間で、必ず何か適当な妥協ができるのではないかというふうに考えております。
  48. 森元治郎

    森元治郎君 大臣ソビエトは国際航空条約に入ってはいかがといったら、入ったほうがいいと思うが、その理由は、たとえばエカフェなんか見ても、共産圏は一つも入っていないのですね。それから、航空条約も共産圏は入ってないと思うんです。ですから、そういうシベリア開放でもしようというふうになってきた二年後、いまやはりそういうところへ引きずり込むことによって、徐々に問題のエカフェなんかにも入りやすくなるようにしむけていく政治姿勢が大事だと私サゼストしておく。
  49. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) エカフェは、モンゴル、ソ連、入っています。それは別問題として、料金の問題をどういうふうにするかということは、ここに専門家がおられるから、松尾先生のほうから――じゃあ、そっちのほうで。
  50. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) ちょっと補足させていただきますが、ただいま私の申したことは、本協定のほうの十一条「特定路線に関する運賃は、指定航空企業間の合意により、国際慣行上合理的と認められるべき水準に定めるものとする。」という、条文上はこういうふうに先ほど申し上げた点が出ておるわけであります。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 先ほどのまず以遠権の問題についてお伺いしたいのですが、日本からモスコーへ行ける。それから、モスコーからアムステルダムなり、あるいはコペンハーゲンなり、パリなり、ロンドンなり、日本としてはすでにそれらの国に相互乗り入れをやっておりますから行けることになるわけですが、その際に、スカンジナビア諸国――SASてすね、あるいはエール・フランス、あるいはBOAC等もモスコーへ乗り入れておるわけですが、日本からモスコーを経てヨーロッパ諸国へ行くことになりました場合に、今度ヨーロッパ諸国が、モスコーから、やはりシベリアを経て日本へ来ることを要求するでしょうし、また、そういう場合には、おそらくそれが可能になる可能性が多いと思いますが、もしそういうふうになりました場合には、北回りというものは実際非常な打撃を受けることになりますが、そして将来はシベリア経由がヨーロッパアジアを結ぶメーン・ルートになると思うんですが、その点はどういうふうにこの交渉では考えておるのか。
  52. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 御質問の前段の点でございますが、たとえば例をとりまして、モスコー経由パリに以遠権日本が乗り込むという場合には、フランスのほうは何らかの代償を求めることになるわけでございます。その代償がはたして、フランスがシベリア上空を飛ぶという権利ソ連から得た上で日本乗り入れを要求いたしますか、あるいはもっと別なルートにおいて代償を求めるか、これはやってみないとわかりませんが、その点、必ずやわがほうがヨーロッパ乗り入れに際しまして何らかの代償を求められることは確かでございます。現在の時点で、すでに乗り入れ権を得ておりますのはヨーロッパに一点ございます。これはまあ不公表というたてまえになっております。しかし、結局、いずれにせよ、ヨーロッパの一国が、モスコー経由日本乗り入れいたしました場合には、どうしてもシベリア上空についてのソ連との話し合いがまず前提になるわけでございますが、そこで、今回の協定の中に含まれております優先権という問題につきましては、結局、日本以外の国がソ連交渉いたしまして、シベリア上空を飛ぶ権利を獲得して、なおかつ、日本乗り入れの点について日本との交渉で話がまとまるという、この二つの条件がひっかかるわけでございます。そこで、私どもといたしましては、シベリア上空開放されて単独相互乗り入れが実現いたしました場合に、日本はもちろん優先権を得るわけでございますが、この優先権を排他的なものにあくまでもしていくということは、これはやはり全般的な国際航空の通念からいってやはり無理なのではないか。しかし、先ほど申しましたような二つの条件がいれられるまでの交渉は、相当曲折があろうと思いますので、事実問題といたしましては、優先権の問題は、日本は当然他国の交渉がまとまるまでの間、すなわち一年ないし二年というものは、実質上この優先権というものが、実質権利が行使されるのではないかというふうに考えております。  それから、第二の点の北極回りの線は、全部モスコー経由の直通のほうになるのではないか。これはこの単独乗り入れをやりまして、各国がこの旅客運送についての非常ないい条件の運航をやりますれば――と申しますことは、ソ連飛行機じゃなしに、ほかのもっと、何と申しますか、ツーリストに快適な飛行機と条件をもってこれを運航する時期になりますれば、これは当然北回りのほうは南をほとんど回ってくる、私どももそういうふうに考えておりますし、ヨーロッパの諸国でもみなそういうふうに考えているようでございます。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、いまは日本ソ連共同運航で、ソ連飛行機を借り入れてやる、こういうことですけれども、将来は日本飛行機を使うことになる。で、日本飛行機を使う場合には、現在日航で使っておりますジェット航空機、これを使うことになるだろうと思うのですが、そういたしますと、ソ連飛行機をチャーターしている場合と、時間だとか――あるいは時間は早くなるのか、それからまた、その場合に、日本飛行機を使って運航する場合には、ソ連飛行機を使う場合と比べてどれくらい利益があるか。それからもう一つは、さらに、いま日航では将来に備えてアメリカに非常に高速の飛行機を発注しているようでありますが、将来それが太平洋横断だけじゃなくてヨーロッパヘも使われるという場合に、シベリア上空についてもそれを使うように考えているのかどうか、そこいらの点をひとつお伺いしたいと思います。
  54. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 東京-モスコー間の航空機の問題と利益の問題の御質問でございますが、私たちは現在ソビエトと話をいたしまして、当分の問共同使用したいと考えておりますのは、ターボプロツプ――プロペラのついたジェットエンジン-TU114でございます。これはDC8――現在われわれ東京で使っておりますDC8と比較いたしまして、若干スピードが不足、いわばピュアージェットでございませんので、そういう点では、世界の一流の航空路に使っている飛行機といたしましてはちょっと劣るというぐらいに考えております。これで利益が上がるかどうかの問題でございますが、これはこれからの交渉でございまして、これをアエロフロートと日本航空と両方でソビエト政府からチャーターする、そのチャーター料がまだきまっておりません。このチャーター料というものが利益を上げるためには非常に大事な問題でございまして、きょうから、条件、チャーター料、こういうものについて協議をやるわけでございます。これが非常に安くチャーターできますれば、われわれは、とんとんかあるいはある程度利益が上がるんじゃなかろうか。利益が上がりますれば――またこれの配分の問題について交渉を今回やるわけでございまして、この配分にいたしましても、わが社といたしましては、この東京-モスコー間を開設したために、北回りのわが社の飛行機に乗ったお客がこちらへ流れるというマイナスがあるわけですから、ソビエト側は五〇、五〇でいいじゃないかと言っていますけれども、私たちは五〇、五〇では条件が違うからいかぬのじゃないかと、こういう交渉をやっておりまして、その配分問題もまだまとまっておりません。だから、私たちとしては、チャーター料が非常に高くて初めからとてもこれではいかぬということではいけませんし、また、ソビエト側も、損がいかないようなチャーター料にするということはたびたび言っておりますので、まあ、これは大きな問題でございますが、あんまり損がいかない、できれば初めはとんとんぐらいでいいんじゃないか、そういうところで妥結をしていったらいいんじゃないかと考えております。  それからもう一つ、現在ソビエトではイリューシン62という大体DS8と同じ程度のジェット機を開発しておりまして、もうおそらく一、二機できてるんじゃないか。これを一年ぐらい国内線にソビエトとしては使いまして、そしていろいろ悪いところを直し、そして国際線に使っても十分というようなところで、これを私たちは、かりに一年後に使えるとなれば、これをやはり東京-モスコー間に共同でチャーターしたらどうかというぐあいにわれわれのところでは考えております。そうしますともう少し時間も早くなる、合理的な飛行機ですから。あるいはチャーター料その他どうなりますか、このイリューシンよりもそういう面では利益があがるんじゃないかと、こういうぐあいに考えております。しかし、一週間に一往復でございますから、さして北回りにもそうたいした影響はないんじゃないかと、こういうぐあいに考えております。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 将来の、いまアメリカに発注しておられる飛行機は。
  56. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 将来は開放されて、日本日本人のパイロット、それから、日本日航で持っている飛行機を使うということになりますと、私たちは、できれば現在太平洋長距離に使っておりますジェット機、あるいは非常に将来お客が激増してくるということになりますと、いまアメリカでもいろいろ開発されておりますが、そういうもう少し大きなジェット機を使っていきたいと、こういうぐあいに考えております。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 また、シベリア上空がもっと開放されて、そして日航自身の機が乗り入れられるようになるという場合に、将来のことですけれども、これは世界一周の路線との関係がありますから、その世界一周路線に将来このシベリア線を入れて考えておいでになりますか。
  58. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 当然、われわれ考えております。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、共同運航の機関ですが、それはどういう形の経営主体といいますか、どういう形のものを考えておりますか。
  60. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) この共同運航は、先ほどもちょっと申し上げましたが、日本航空とアエロフロート共同でソビエトの民間航空局から先ほど申しましたTU114の飛行機と、それからソビエト人の乗員つきの飛行機を共同でチャーターする。したがいまして、アエロフロートと日航機のマークをつけて飛ぶ。そして、利益その他についての配分をやる、こういうことでございます。したがいまして、たとえばこの運航の責任ということになりますと、これは共同の責任、こういうことになるわけでございます。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっとその点、共同の責任ということはよくわかるのです。それからまた、マークを一緒のものをつけてやるとかそういうことはわかるのですけれども、やはり何か両方から人が出て、そうして、本来ならば、こういう場合に新しい会社をつくるとかなんとか言うのですが、ソビエトとの関係では、そういう新しい航空会社をつくってということでなくてやるわけでし上うが、その機関ですね、それはどういう機関が主になるわけですか。両方からやはり責任者を出してそうしてやるわけでしょう。すると、その機関の責任者あるいはそれを補佐する者、いろんな機関かできるだろうと思うのですが、それはどういう形になるのですか。
  62. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 機関と申しますか、機関を補佐する――オルガニゼーションの問題ですね。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうです。
  64. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) どういうところが責任を持つかという問題だろうと思うのですが、そういう運航の責任についても、いま、まだ合意に達していない点がありますので、これから協定をやるわけですが、かりに、たとえば飛行機が事故を起こしまして、第三者に非常に危害を及ぼしたというような場合は、日航とアエロフロートで共同で責任を負う。ところが、そうでない、内部の責任において、アエロフロートか日航かどっちかの責任で事故を起こしたという場合には、日航の責任であった場合には日航が持つ、ソビエトの責任であった場合はソビエトで負うというようなことで話し合いを進めております。  それから、地上のいろいろ保安施設の誘導その他についての責任は、これはソビエト側でやる、こういう行き方でやっておりまして、特にこの責任運航なりそういうものをやるための共同した何か組織をつくるというようなことは、いまのところ考えておりません。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 まあ、二年の暫定ですから、あるいはそういう特別な組織を考えないでもできるというふうな考え方に立っているのじゃないかと思うのですが、普通ですと、こういう場合にはやはり一つの経営体というものができなきゃならぬ。両方から人が出て、どちらかから出た人がその最高責任者になって、そうして経営の母体になって、それが運航するというのが普通じゃないかと思うのですが、はたしていま言ったように、両方からそういうものを設けないで、ただ協定だけで共同で責任を持ってやるということだけで、はたして円滑にいくかどうか私疑問なんですが、それらの点ではどういうふうにお考えになっておりますか。
  66. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 御指摘のとおり、ほんとうはそうしたほうがいいかと思いますけれども、この責任の所在なりそういうものが両者の話し合いで、商務協定ではっきりいたしますと、その運航をする責任に対しての分野あるいは機材その他についての整備というものがはっきりいたしますので、私は、商務協定がその点はっきりできますれば、さして支障はないのじゃないかと、こういうぐあいに考えております。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 次にお伺いしたいのは、今度のは飛行機をソ連政府から借りることにして、乗務員つきで借りることになるんですが、将来日本から乗り入れることになる。それまでに日本の乗務員がシベリア航空路になれておくことも必要だ。今回の協定日本側の乗務員あるいは他――スチュワーデスは別ですが、乗せることになるわけですか、そういうこと。それはどの程度までできることになるんですか。
  68. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 操縦責任、今回の協定にもありますとおり、日航側も運航乗務員を乗せるということになっておるわけであります。したがいまして、直接ハンドルを持たなくても、シベリアの運航状況あるいは通信のやり方、そういうものについてのある程度の知識が得られる、これは将来非常に役立つんではないか、こういうように考えております。そのとき、交渉のとき、キャプテンが運航上責任を負うわけですが、責任問題にもなりますが、日本航空の操縦責任者運航要員が乗るんだから責任の一半は持つべきじゃないかというようなこの前の商務協定で話が出たんですが、わがほうは直接ハンドルを持たないんだからそれは責任は負わないということで、向こうも了承しております。  それから客室のサービスは、ソビエト側も、サービス、応待については日本側が非常に進んでいるから援助をしてもらいたい、こういうような申し出がございますが、おそらく客室乗務員はソビエト側と一緒にしまして勤務時間割りその他をつくる、こういうぐあいにいっておりますので、客室乗務員は向こうと同じような勤務割りで対等にやる、こういうことになると考えております。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 こういう共同運航のこういう形式は他に例がございますか。日本だけではなく、世界の諸外国で何か例がございますか。
  70. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) わが社ではこういう共同運航の例はございません。ただ、北回りを六年ぐらい前に始めますとき、わが社はまだ北回りをやるだけの機材の余裕はなかった。これは北回りで欧州に行く権利はわれわれは持っておりますので、エール・フランスといわゆる共同運航方式をとったわけですが、このときは両方のマークはつけましたけれども、これは運航乗務員は全部エール・フランス、客室乗務員はわれわれのほうでという経験はございますが、これとはまた若干違うわけでございまして、初めてのケースだと思います。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 北原さん、これは世界じゅうに例がないんですか。
  72. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 松尾社長の御説明のとおりだと思います。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 初めてのことですし、かなり新機軸を出したということ、あるいはある種の冒険というのがあると思うのですが、こういう共同運航の方式で一週間に一ぺんということですが、非常に時間も短くなる、それから、モスコーからヨーロッパに乗り継ぎもそう困難でないということになるというと、多少運賃が安くなれば、時間も短くなるんで、この線に相当な乗客があるということになってきた場合に、これをもっとふやせるのかどうか、この一週一回というのを二年間動かせないものであるのか、その点はどうなんですか。
  74. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) この共同運航の運航方式、内容につきましては、両当事者間の商務契約できめるということになっております。運航の回数につきましても両当事者間できめまして、それを両関係当局の許可を得た上で行なう、実施するということになっております。ですから、たてまえといたしましては、この点すべて両者の合意にかかるというのみで、その他はオープンになっているわけでございます。今回一応週一回でやるということをきめました理由につきましては、日本側の立場から見た場合には、われわれはこの暫定運航というものを、ほんとうの本協定による運航のためのあくまで暫定的な措置、そういう考え方でいたしまして、これはなるべく短期間に終えるべきものだ。それからもう一つは、あくまで暫定的な性格でございますし、北回り線に対する影響を考えた場合には、なるべく運航を細い形で行なうのがいいのじゃないか、そういうことで週一回ということで合意したわけでございます。いまのところ、週一回と申しました場合には、現在の国際航空の通念からいたしまして、非常に皆さんが忙しい一日、半日を予定表でみな組んで旅行されるわけでございますので、そういう面から見ました場合に、週一回という運航は非常に、何と申しますか、非常に運航度の少ない形だろうとは思います。しかしながら、協定全般、特に日本側の、あくまでも早い機会に本協定の実施に移りたいという観点から見た場合に、週一回で始めるということが一応妥当なのではないかというのが私どもの結論であったわけでございます。
  75. 羽生三七

    ○羽生三七君 この場合ですね、たとえば現在のソ連ハバロフスクから飛んでいる場合ですね。日本からナホトカ、ナホトカからハバロフスクまで汽車で行って、あすこから飛行機に乗って行くわけですが、そういう場合の乗客数と、北回りから今度新路線に移る場合とを想定して、一応試算というものを試みたことがあるのかどうか。大体週一回でどの程度乗るのか、そういう試みの計算をしたことがあるわけですか。
  76. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 今度の日ソ間の商務協定交渉で、ソビエト側は平均一便八十名、こういう数を出しておりますが、日本側は一便八十名はとても見込めまい、こういうぐあいで、それを基礎にしてのチャーター機その他の交渉をやろう、こういうぐあいに指示をしております。
  77. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま羽生君から、横浜-ナホトカ間、ナホトカ-ハバロフスク間、ハバロフスク-モスコー、これは相当時間がかかります。しかし、たとえば最近新潟-ハバロフスク間が二十四時間、もしナホトカに民間飛行場ができて、そうしてハバロフスク、モスコーへ行くとさらに時間が短縮される。その場合、モスコーへ行く運賃というのは非常に安いわけなんですね。おそらく十万円以下だろうと思うのですが、そういう際に、一体今度かかるこの日本とモスコーの直接の価格、これと比較してどういうことになるのか、それも一つ問題があると思うのです。
  78. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 非常な具体的な数についてのお答えは私はこの際できないのでございますが、問題は、やはり御質問の点は、この欧亜をつなく最短連絡という――どうしても東京-モスコー間だけの旅行を考えますと、いま先生の御質問のような疑問は必ず出てくると思います。そこで、東京-モスコー間だけをとりますれば、そう国際的な価格でロシアの国内航空を利用することはできずに飛ぶわけでございますが、ただ、これは無着陸で時間は十一時間で着く。他方新潟-ナホトカ、ナホトカ-ハバロフスクハバロフスク-モスコーの場合は、どうしても三日ぐらいはかかるという点でございますが、しかし、問題は、この東京-モスコ一間を非常に急いで飛ばなければならぬという方は、おそらくモスコーで活躍、活動される日本のいろんな各界の方の需要だろうと思いますが、問題は、やはりこの東京-モスコー・ラインを設定することの妙味は、どうしても欧亜連絡――ヨーロッパまでまっすぐに飛ぶということにあろうと思います。そうでなければ、あまり国際的な値段を払って飛ぶということの、つまり、ハバロフスク経由の旅行に比べての妙味というものは少ないわけでございます。そういう意味では、やはりモスコー・ビヨンドを日本日航機によって行なうという時期にまで到達いたしませんと、ほんとうのこの線の真価というものは出てこないのじゃないか。それまでの過渡期におきまして、やはりナホトカ-ハバロフスク-モスコ一線との関係につきましては、やはり急いでモスコーに行く必要のある方が主としてこの線を使う。そのほかいろいろ見学及び視察をも含めての旅行をされる方は、やはりナホトカ-ハバロフスクの線を選ばれることが非常に多いのじゃないかというふうに考えております。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 週一回で非常に便が少ないわけですが、北回りに比べるというと飛行時間が短い、それから、モスコーから先へ乗り継いでもやや時間が短くて済む、こういうことですが、これはモスコーにおけるヨーロッパ路線との連絡いかんということになっているわけですが、この一週間に一ぺんの飛行でモスコーへ着いて、モスコーから他への飛行機との連絡なんかのことはすでに考えられてスケジュールを立てられておるわけですか。
  80. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 欧州は、いろいろの航空会社がモスコーについてやっております。もうすでに欧州のある会社からもそういうことをやりたいというような申し入れもございました。アエロフロート自体が欧州の各地に行っておりますので、そういう面での連絡はできるだけうまくはかりたいと考えております。  それから、ついでに先ほどのをつけ加えますが、ナホトカかあるいはハバロフスク飛行場があればソビエト国内線を利用したほうが安いのじゃないかというようなお話でございますが、これは確実に安いのです。しかし、北原局長が言われたことも非常に意味があると思いますが、ただ商売上からいきますと、もっとひどいことになるのであります。たとえば日航ハバロフスクまで、ソビエトハバロフスクから東京に乗り入れる。そうすると、ソビエトのアエロフロートが東京からハバロフスク-モスコー-欧州。そうしますと、この最短コースを非常な独占をすることになる。これはわが社にとってはたいへんな影響でありまして、これはどうしても私たちは考えられない。そういう実例があって、ソ連側もこれは非常によくわかっております。インドとモスコー路線があのニューデリーからタシケントにおりて、タシケントからモスコーの国際線を開いておりますが、その際も、ソ連側も申しておりましたが、タシケントでお客さんが国内線に乗りかえることを許さないということをやっておりまして、そのくらいソビエト側もその点はわかっておりますので、やはり東京-モスコーの相互乗り入れという原則が私はいいかと存じます。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に運賃の点ですが、過日、太平洋横断の運賃がだいぶ下げられたわけですね。将来あるいはシベリア線が開かれるということになると、ヨーロッパの各社で北回りを経営しているところが、対抗上下げるというような事態が起こらないとも限らない。私どもよくわかりませんけれども、しかし、そういうことも考えられる。そういう際には、やはりさらにいまきめられつつある東京-モスコー間、こういうものもその影響を受けるだろうと思うのですが、そういうような将来北回り線なりなんなりの運賃が下げられる場合のことも想定されて今度の東京-モスコー間の運賃をきめる要素に入れられておるのか。
  82. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 飛行機が、御存じのとおり、航空界ではジェットが数年前から入りました。非常にこの飛行機は、御承知のとおり、合理的でございまして、輸送原価はピストンに比較いたしましてだんだん下がっておる。わが社も、したがって下がっておる。しかも、 スーパー・ソニックが出現する少し前に、ジャンボー・ジェットと申しまして、二百人、二百五十人前後あるいは四百人乗り、こういうジェット機がここ三、四年の間にあらわれてくる。そういたしますと、ますますトラフィックの多いところは輸送原価が下がりますから、料金が下がっても利益が上がっていく。国際線の運賃というものは、将来だんだん貨物もあるいは旅客も下げていく傾向にあるということは、われわれは十分承知しておりますので、そういう考えも常に頭に持っておりますので、そういうことも考えて運賃の交渉もやっておるわけでございます。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 やはりいまの運賃関係の問題ですけれども、おそらく今度のシベリアに日ソの共同運航が始まるということは、やはり北回り路線に対してある種の影響を与えるだろうということは各社とも予想しているだろうと思う。これに対する対抗措置、これは現在直接の対航措置のみならず、二年後の、特に日本が優先的に数年間他に先がけてシベリア上空を運航する状態、これらを含めて、おそらく何らかの対抗措置が出てくるのではないかと思うが、それらの点について、北回り路線を経営している会社がいま日ソの共同運航に対してどういう態度を持っているか。それから、将来これに対してどういう対抗措置を講じようとしているか、その点どういうふうにお考えですか。
  84. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) わが社の国際線、太平洋、東南アジア、北回り欧州線、あるいは南回りの欧州線、韓国と、こういうような路線をやっておりますが、この収入の四八%は太平洋でございます。それから一八%が北回り欧州線、一六%が東南アジア、南回り欧州線が一四%、こういうぐあいに、路線といたしましては、北回り欧州線は二番目になっておるわけでございまして、これの減収というものは相当わが社の経営面に影響が大きいわけでございます。しかも、北回り欧州線は北極でございまして、途中に店がございませんので、間接費が非常に少ない。したがいまして、わが社が経営しておる国際線のうちでは、分岐点が一番少ない非常に有利な路線であるわけであります。したがいまして、どうしても東京-モスクワ間の利益の配分というものが非常に問題になってくるわけです。私たちは五、五ではいけない。北回りのお客さんが東京からモスクワに行く人は半々でもいいけれどもモスクワを経由して欧州に行くお客さんというものは、もともとは北回りの欧州線に乗る人が、東京-モスクワ線が開設されたためにそっちに移行した、この点については、これはまるまる日本航空がもらってもいいじゃないかというようなことも主張しているわけです。したがいまして、ソビエト側は、モスクワから東京に来て東京からどっかアメリカなりなんなりに行くお客ソビエト側が取った場合は、それはソビエト側でまるまる取ってもいいじゃないかというような、実はいろいろな話もしておるわけでございまして、どういうぐあいに利益の配分がおさまりますか、非常に問題点も多いわけでございます。したがいまして、申しましたとおり、北回りの欧州線は一週間に五往復やっておりまして相当の利益を上げている。これの非常な影響を受けるような利益の配分ではわが社は困る。ソビエト側としては初めての路線ですから、われわれと非常にそういう点の条件の違いがあるわけでありまして、そういう点をよくわかるように向こうに説明をいたしまして、この利益配分をどうするかという問題はいま交渉中でございます。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま私がお伺いしたのは、さらにほかの北回りを経営している会社がこれは非常に注視しているわけです。ことに、将来日本航空が優先的にシベリアを通る、数年間は日本が非常に有利な立場に立つわけなんです。そういう場合に、北回りが、いまあなたの言われたような打撃を各社とも受けるということになると、この対抗措置というものを当然考えておるだろうと予想される。そこで、この北回りを経営しておる各社が一体この路線に対してどういう見方をしているか、それから、どういう対抗措置をとろうとしているか。それから一つは、開かれる最初の共同運航の分に対して、将来日本航空ソ連路線、このアエロフロート、この二つが持つ優先的な有利な地位に対してどういう対抗措置をとろうとしておるか、その点どういうふうにお考えになっておるか。
  86. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 委員長、速記をとめてもらってよろしゅうございましょうか。
  87. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  88. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をつけて。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 北回り路線の各社か、対抗措置として北回りの運賃の値下げを提案してくるというようなことはありませんか。
  90. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) いまのところ、そういうことはないようであります。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういう場合に、日航としてのとるべき措置というものを考えておられますか。まあ、ないのだから考えておられないとおっしゃるなら別ですが、そういう場合も想定して考えておられますか。
  92. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) 東京から欧州に北回りで行きます運賃というものは、これはIATAできまっているわけでありまして、そうして東京モスクワ間の運賃は、それを基準にいたしまして、たとえばロンドンからモスクワまで幾ら、あるいはパリから幾らと、いろいろな地点からの欧州からのモスクワまでの運賃を考慮いたしまして、東京-モスクワ間の運賃がIATAで了解のできる程度の運賃にきまるわけでありますので、東京-モスクワ間の運賃がきまりまして、その影響で北回りの欧州線の運賃が基本的に変わるというような議論は起こってこないのじゃないか。私どもも北回りの運賃はそのままでいきたいと、こういうぐあいに考えております。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 この交渉の過程において、ソ連のほうは東京以遠権をやはり認めてくれということなんで、これは相互で認める。そうすると、ソ連でもおそらく世界一周路線ということを考える。おそらくアメリカに太平洋から乗り入れるということも将来予想している。現在、米ソ間に協定がないからできないでしょうけれども、将来そういうふうになるだろう。それから、アメリカ日本との航空協定の場合に、アメリカ側では、やはり東京以遠の乗り入れの問題について非常に関心を持っておるが、やはりその関心の一つが将来シベリア通過ということじゃないかと思うのですが、日米の航空協定話し合いのときにその問題が出たかどうか。それからまた、日ソの航空協定話し合いの場合に、東京からの以遠権の問題について、将来ソ連アメリカへ乗り入れて世界一周線を完成しようというような話し合いが出たかどうか、その点はどうでしょうか。
  94. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 御質問の第一点、日米交渉の際に、アメリカ側の意図としての東京ビヨンドの以遠権の問題が出たかどうか。これは日米協定によりまして先方以遠権を全部持っておりますので、そこで、それに従いまして、最近の米系会社の申請を見ておりますと、すべて東京-モスクワ経由、パンアメリカンのすでに申請が出てきております。それから、ソ連側東京以遠の問題をどういうふうに考えておるかという第二点でございますが、これは実は先方としては非常に苦しい立場であったわけでございます。しいて言えば、アメリカに乗り入れたい、西海岸に乗り入れたい、ところが、米ソ協定が、先生もおっしゃるとおり、そういうことでございますし、そこで、わがほうとしては、モスクワ以遠権というのはほんとうにあすの問題なんだというわれわれの立場と比べまして、先方は非常にその点苦しい立場にあったわけでございます。そこで、結局将来自由にこれをお互いに選ぼうという形での妥協に達したわけでございます。先方の申しましたことは、アメリカ西海岸への乗り入れば確かにわれわれは考えている、ただし、これが近い将来に実現するとは思えない、で、五、六年先のことを考えた場合には、飛行機はおそらくスーパー・ソニックの時代になっている、その場合に、ソ連として東京以遠権の問題がどういう価値のあるものになるか、スーパー・ソニックの場合にでもやはり東京を通らなければコマーシャルに合わないけれども、しかしその場合に、はたして太平洋の状態がどうなっているか、そうした点を考えると、どうしても結論を出しにくいのだということを先方は申しております。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 一つだけ。具体的にいつ運航になるのですか、第一便は。
  96. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 日航松尾社長から先ほど申されました現在第二回目の商務協定交渉を本日からモスクワでやっております。この商務協定がまとまりましたら、その後試験飛行及び地上整備その他営業関係の整備、これは、私どもは、航空局及び日航のほうからソ連側と話した結果として、大体一カ月という期間があればだいじょうぶだというふうに伺っております。要は、商務協定内容を望ましい形でなるべく早い機会にまとめようというふうに考えております。交渉中でのソ連希望も、この夏には始めたいということでございまして、日本側もそういうつもりでおります。
  97. 森元治郎

    森元治郎君 前に私がちょっと席をはずしたうちにあったらば取り下げますが、二年たてば、航空協定に効果停止条項があって、話し合いができなかったならば打ち切ると、こうなっておる。そのときに、その二年が来れば打ち切るのか、もちろん、その間交渉は以前から行なわれると思うが、打ち切られるのか。あるいはまた、話がどうもうまくいきそうなソ連側の態度で二年をこえてしまう。その間ずるずると共同運航式なことをやるのか。ストップしておいて話をするのか。その二年後のいま申し上げた状況に対する政府のほんとうの腹はどうなっているのか伺いたい。
  98. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 二年後、シベリア開放がうまく実現できなかった場合には、私どもは、この交渉交渉中におきましてのソ連側との話し合い経緯及び内容からいたしまして、一カ月の予告をもって一応暫定運航は打ち切るということを一応の方針と考えております。停止いたしました場合の状態は、本協定はそのまま残っている、暫定運航は一応停止した状態で両国間に当然また何らか事態打開のための協議が行なわれるというふうに考えております。
  99. 森元治郎

    森元治郎君 二年の間に話をして話がつかない。ストップしたらば一体日本が有利なのか、ソ連が痛手をこうむるのか、その辺はどういうふうに計算をしておられるのですか。
  100. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) あくまでも暫定運航というものはどうしても本協定に入るための必要かつ有効な措置であるから、ひとつ日本側はこれはのみにくいだろうがぜひともこれをのんでくれという形でわれわれは話し合ってきたわけであります。その意味で、われわれはどうしても暫定運航というものを本協定に入るための、何と申しますか、一里塚と申しますか、必要な過程という考えでやっております。ソ連側も再三この点は交渉中にはっきり確認いたしました。問題は、暫定運航中に先方としては行政面及び技術面でシベリア開放のための準備を先方がしてくれる必要があるわけであります。その意味では、あくまでも私どもは本協定の実施ということをどうしても早く実現するために暫定運航も一どういう形で運航したらいいか、あくまでも主眼は本協定の実施ということに置いてソ連側とできる限り協力していきたいというのが私どもの考えでございます。
  101. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると、場合によっては効力停止の条項が交換公文にはあるが、話し合いが続いていって、停止条項を援用しないで、また話し合いでそれじゃ半年なり一年なりということもあり得るわけですね。
  102. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 先ほどお答えいたしました趣旨からして、何がなんでも一年十一カ月たったときに打ち切るというふうな考えでは決してございません。
  103. 岡田宗司

    岡田宗司君 ちょっとその点、何がなんでも一年十一カ月で打ち切るつもりはない、こういうことで、私もそれでいいと思うのですが、私は、この条項を設けたのは、日本側として一つのメンツの問題があったろうと思いますが、実際にそういう事態が起こるようになった場合の日本側利益、不利益ということを考えました場合に、日本が一ヵ月前に廃棄通告をして、そうして暫定運航というものが取りやめになった場合に、日本としては有利な立場に立ち得ると私としては考えられない。むしろ、やはり本協定を生かすために、あくまでも交渉を続けていくほうが有利ではなかろうかというふうに考えておりますし、それから、もし暫定協定を廃棄するような場合ということは、これはそのときの政治的ないろいろな諸情勢との関連が非常に多いと思うのですけれども、そうでないとすれば、これはなかなか日本にとって有利に展開さすということは困難だ。一たん暫定運航が停止され、そうして本協定が生きないということになれば、そのまま実質的には、シベリア上空飛行というものは終わってしまって、そうして本協定というものはあるけれども、死文になってしまうおそれがある。そうして、その間にソ連と他国との間の話し合いが進められていくというならば、今度日本が後手に回ってしまうようなことも起こり得るわけですが、これは私は、ああいうものを設けたのはともかくとして、非常に慎重な運用をしていただかなければならないと、こういうふうに考えます。
  104. 曾禰益

    ○曾祢益君 これは共同運航とは言っておりますけれども、実際上は交換公文によっても、まあ「操縦室乗組員には日本航空の乗組員を加えることができる」と、こうなっておるけれども、その実態は先ほど松尾社長が言われたように、実際上の了解としては、そこのクルーの部屋にいるだけで、実際は操縦桿は握らない、こういう暗黙かなんか知りませんけれども、そういう了解ができているようですね。そうですか、お答え願いたい。
  105. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 直接操縦桿を握らないという点はまさにそのとおりでございます。ただ、この共同運航というものを法制的に考えました場合に、日本側からの運航管理者、責任者というものがどうしても必要であるという点が一つございます。それが最も大きなコックピットに日本航空の乗務員が乗る理由だと思います。それから第二は、日本領土の上空に入りましたときにナビゲーターの役をする者が必要だ、これも兼ねてやるわけでございます。しかし、主としてコックピットに乗務員を乗せます趣旨は、日本側も運航管理者を乗せてそれが運航全般について管理しているというたてまえをとったわけでございます。
  106. 曾禰益

    ○曾祢益君 まあ、苦心のほどはよくわかりますけれども、これ非常な不平等関係であって、せめてコーパイロットぐらい出ているとか、あるいはナビゲーター、あるいは通信関係とか、それらのものが共同でやるという――たまには、操縦桿ばかりの問題じゃないと思うんですがね――ほんとうに操縦以外にもナビゲーションのこともあろうし、通信もあろうし、そういうものについても日本上空に来たときだけは――これはそのときも。パイロットは向こうのパイロットなんですか、日本の領海に来ても。
  107. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 原則としてそう考えております。が、ただいまコーパイロットの話が出ましたが、普通はコーパイロットがナビゲーターの仕事を兼ねるというのが大体のケースだそうでございますが、そういう意味で、先方は一時コーパイロットは一応日航のほうに渡してもいいんだというふうな話も出たわけでございます。
  108. 曾禰益

    ○曾祢益君 ほかのあれはどうですか、乗務員というのは。まあコーパイロット兼ナビゲーターですね。そのほかやっぱりほかの乗務員というのは考えているんですか、考えていないんですか。
  109. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) そのほかの面では通信その他乗務員がおるわけでございますが、この点につきましては、現在のところ考えていないと思います。ソ連の通信その他が、やはりソ連の、何と申しますか、飛行機に備えつけられているソ連の機械であって、それを日航の乗務員がやるという場合には、相当の訓練、研修も必要であるし、そういう意味で、むしろ運航の安全のためにはその点ソ連側にまかしたほうがりこうではないだろうかというふうに考えております。
  110. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうすると、実際上は、ナビゲーター、コーパイロットという名前だけれども、実際上はホイールは持つことはないだろうが、コーパイロットという形でナビゲーションだけは日本の乗務員が一人は動いてくると言いますかね、そういう程度のことを実際上は考えておられるんですか。
  111. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) そのほか、全般的な運航の、特に安全性の問題でございますから、その点、安全性に関しましての気象関係の問題、そういう点は日本側の乗務員も全部あわせてやっているというふうに考えます。
  112. 曾禰益

    ○曾祢益君 それは、この細目協定時で、どの程度の、気象その他の通報を受けるとか、そういうことがはっきり実際共同運航としてある程度の責任は持てるような地位というか、権限が確保されているのか、ちょっとおぼつかない。ほんの名目だけに、いわばかっこうだけに日本人のナビゲーターという形でコーパイロットを一人乗っけているだけで、実際はめくらで乗せられているということになるのではないかということが心配される。そこら辺のことは、気象通報等も受けて、そうして実際上運航について、いわゆるこっちが責任を持てるだけのデータなんか与えられて常に相談を受ける権利があるということまで確保しているのかどうか、その点伺いたい。
  113. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) ただいまの御質問の点は、今回の附属書Ⅱに交通情報の提供、それから、航空機の航行に関しましてのいろいろな技術的な面、通信、それから国際基準の採用、それから空港及び施設への立ち入りの際のいろいろな技術的な面について相当詳しく規定いたしております。大体この規定によりまして暫定運航を行なうというのが趣旨でございます。そこで、日航側から乗ります乗務員は、この附属書Ⅱの内容を絶え、ずこれを基準として運航全般を管理するという責任を持って、乗るわけでございます。
  114. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうすると、この附属書Ⅱというのは共同運航に関するやつで、本協定のあれじゃないのですか。
  115. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) これはこのまま暫定運航にも適用する……
  116. 曾禰益

    ○曾祢益君 両方に適用する。
  117. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) さようでございます。
  118. 曾禰益

    ○曾祢益君 それから、先ほどもお話がありました、いますぐには問題にならぬと思いますけれども日本の、つまりモスクワ以遠権を現状において持っている西欧の国というのは、先ほどアムステルダム――オランダがありましたが、ほかはとことどこですか。そこだけですか。
  119. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 日本が現在持っておりますのはアムステルダムだけでございます。
  120. 曾禰益

    ○曾祢益君 それから、この協定によるシベリア上空開放の場合には、日本が優先権を持っている。これは、このルートでなくても、シベリア上空に関する限りは、どの場合でもどのルートを通っても日本のこのルートが優先するということは、これは明確ですね。
  121. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 明確でございます。ずいぶん長い議論をいたしましたが、御参考までに議論の一端を御紹介いたしますと、中共がソ連機以外の飛行機で北京-モスクワのラインを運航することになった場合に、ソ連政府としては、中共に、日本の優先権に優先して優先権を与えないだろうなという質問をいたしました。先方は、絶対与えない。というのは、考え方といたしまして、シベリア開放ということばが非常に先方にとっては誤解を生みやすい。これはあくまでもモスクワ東京を結ぶ国際路線を開くということであって、たとえば将来中共がソ連機及びソ連の乗り組み員以外の飛行機で北京-モスクワ飛行を行なう場合には、少し北京から北へのぼってもらって、東京-モスクワ線の国際路線に出てもらって、それからシベリアの禁止区域を飛んでもらうのだ、考え方としてはそういうことであるということでございました。
  122. 曾禰益

    ○曾祢益君 その場合、ですから、単に東京-モスクワ線ということを強く言うと、ほかのところならいいのじゃないかという議論にならないですか、ほかのルートなら。つまり、いまソ連から中国に乗り入れるのがいろいろ線がありますけれども、その中で、つまり中国のほうでやろうとしたときに東京-モスクワじゃなくて、いやしくもシベリア上空開放ということに関しては、どの線を通るにしても、実際上はソ連はその場合に東京モスクワルートを通れと言うだろうけれども一、協定上の権利としては、シベリア上空のどこを通っても、ほかの国にはシベリア上空を通った飛行は許さないという、そういう権利は明確なのかどうかということを聞いているわけです。
  123. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 少し誤解を招いたと思いますが、実質的な結果としてはそういうことでございます。ただ、先方の申しましたのは、そういうふうにシベリア全部をどこでも開いた場合に日本が優先するという言い方は、ソ連の民間航空省としては、ソ連政府部内では、そういう説明は困るんだ、なぜなれば、シベリア全部を開くということはどうしても考えていない。開くということは、東京-モスクワ間で開くということなんだということでございます。
  124. 曾禰益

    ○曾祢益君 それからもう一つ、最近フランスがいよいよフランス-上海線をつくるというので、今度は北京と話ができたとか、あるいはこれからするというようなんですが、そういう場合においても、どこのルートを通るか自由だけれども、とにかくシベリアを通ったという形では、これはソ連は受けつけない。だから、まあ中央アジアなり中国領土とほかの中近東の国とを通るんだろうけれども、いわゆるシベリア上空は使わせないというか――シベリア上空というのは語弊があるかもしれないが、ソビエトシベリア上空は通さないということは確実ですか。その点はどうなんですか。
  125. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 最近の中国とフランスの内容を、ほんとの内容を私どもまだ承知いたしておりませんので、この点は留保さしていただきますが、私ども交渉経緯からしてのソ連政府の考えとしては、そういうことは許可することはないだろうというふうに私どもは確信を持っております。
  126. 曾禰益

    ○曾祢益君 これはむしろ松尾社長に伺ったほうがいいかもしれませんけれども、なかなかシベリア開放ができたような二年間は、非常にイレギュラーな形の、開放と言えば開放ですけれども、しかできないわけです。週一回という非常に不便な運航しかできないわけですね。しかし、まあ、これでも第一歩としてはわれわれも了承し、これに賛成するんですけれども、そこで、これができない間に、いまのフランスの動きのような、なかなかソビエトはこれは言うことを聞かぬと、それよりか、ヨーロッパ、それから中国ですね、それからまあ日本、どうしてもやはり東京というところを通らないと、北京までじゃあまり商売的にたいしたものじゃないと思うので、まあ、シベリアのほうはソ連が言うことを聞かないし、日本が最初に、まお、俗に言えば、つばをつけておる。それは望ましいが、しかし、南回りよりか、つまり、西ヨーロッパ-中国、それから東京というようなルートを、かなり興味が、次善の策として、セカンドベストとしては考えられる。そういうことで、一体距離的にどんな違いがあるのか。それから、そういう場合に、フランスが日本にアプローチしてきた場合には、これはまあ政府の問題かもしれぬですけれども、そういう西欧-北京、それからあるいは西欧、上海、それから以遠で日本の問題は起こらないのかどうか。一つの競争相手としてですね。その点をどういうふうにお考えですか。
  127. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) いま先生がおっしゃったような西欧諸国の動きも非常にあると思います。しかし、距離的には、北京なり上海に入るにいたしましても、先ほど北原局長から話がありましたとおり、おそらくソ連領は通らないで回ってこなければいかぬ。南回り。だから、現在われわれが南回りでやっております、あるいは諸外国がやっております南回りは、距離は大差がございませんので、そういう動きはあると思いますけれども距離的には、まあ東京-モスコー-欧州というのは非常な最短コースでございます。
  128. 曾禰益

    ○曾祢益君 おことばですがね、しかし、完全な南回りとだいぶ違って、相当西ヨーロッパから中近東へ、ソ連領土に入らないくらいすれすれに、まあ新疆省とか、なんか通っていけば、これは航続距離の問題でかなり、少なくともいまの通常の南回りよりかは近くなるんじゃないですか。それでも、むろんもっと北のほうを通ったほうがどうせ地球の関係で近いとは思いますけれども、フランスなんかはどの程度の北回りを考えているのか、ちょっと教えてください。
  129. 松尾静磨

    参考人松尾静磨君) われわれはうわさで聞いた程度のものですが、おそらくエール・フランスは、あの辺の、カンボジアあたりを通ってというのじゃないかというふうな風評を聞いております。おそらくそういう程度じゃなかろうかと考えております。
  130. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) われわれ従来知っておりますのは、いま社長から御答弁ありましたプノンペン経由でございます。プノンペン経由上海、そのほかの北京の路線が長い間の交渉の対象でございました。
  131. 曾禰益

    ○曾祢益君 そうすると、東京のほうはどうなるか、以遠権は。上海もしくは北京から日本への以遠の問題は。
  132. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) 中国――中共の地点経由東京乗り入れの問題でございますが、これは現在の段階では、いろいろな要素を総合検討勘案いたしまして、私どもは、いま直ちにはこれに乗り入れ権を与えるということはしないというふうに考えております。
  133. 黒柳明

    ○黒柳明君 時間があれなんで、一問だけお伺いしたいと思いますが、シベリア経由モスクワ線を世界に先がけてわが国権利を得た、こういうことは明記されております。ともかく第一歩の段階として、まあ、やるだけやってみようと、こういう考えと、さらに、この二年間シベリア開放を含めて本協定までに何が何でも持っていくのだと、こういう考えで運航するのだ。非常に、この基本的態度をどちらに置くかにおいて、わが国のその利害関係違ってくると思うのですが、それに対してのお考えはどうでしょうか。ともかく、まあまあやってみよう、採算とれるかとれないか、あるいは何が何でも本協定までに二年間のシベリア開放段階交渉も含めて本協定までに持っていくのだ、こういう固い決意があってこれを実施したのか、いかがでしょうか。
  134. 北原秀雄

    政府委員(北原秀雄君) この、あくまでも本協定実施まで持っていくという基本的立場は、これは間違いないと思います。ただ、採算を相当無視してもという点でございますが、これは実際どういうふうに成果があがりますか、これはまだやっていかないとわかりませんが、一応協定のワク内では暫定運航を行ないます。交換公文の中に、チャーター料は、両方の、アエロフロート、日航にとって十分採算のとれるようにこれをきめるという、まあこれは抽象的な文句でございますが、一応そういう条項を確保したわけでございます。
  135. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言がなければ、両案件のうち、航空業務に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件についての質疑は終局したものと認めて御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは討論に入りたいと思います。  航空業務に関する日本国政府ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定締結について承認を求めるの件を議題とし、討論に入りたいと思います。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。
  137. 森元治郎

    森元治郎君 社会党としては、今度の協定ソビエト側シベリア上空開放の実現ということに対する日本希望了承したということ、それから、開放が可能となったときには第三国に先立って日本機のシベリア経由の乗り入れをまあ言明した、いわゆる上空開放になったときに、日本に優-先権を与えるというようなことを確約をしてくれた、この誠意といいますか、これは高く評価してよろしいと思います。ですから、暫定運航期間中の二年間の時間もあるのですから、この誠意を具体的に実現をして、自主運航による相互乗り入れの本来の協定が遅滞なく成立することを希望いたします。そのように政府も引き続きねばりっこく努力することを望んで賛成いたします。
  138. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それでは、本件を問題に供して、採決をいたします。  本件承認することに賛成の方の御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  140. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 全会一致でございます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  141. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。     ―――――――――――――
  142. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、関税率表における物品分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品分類のための品目表に関する条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件に関する自後の審査は後日に譲りたいと思います。     ―――――――――――――
  143. 木内四郎

    委員長木内四郎君) なお、この際国際情勢等に関する調査を議題として質疑をすることにいたしますが、お断わりしておきたいのですが、外務大臣はお時間がありませんので、その含みでお願いいたします。
  144. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務大臣にお伺いいたしますが、今朝の各新聞に、北鮮からの技術者の入国の問題について韓国から非常に強い抗議が外務省になされたと伝えられております。そして、どの新聞でしたか、椎名外務大臣は、韓国の抗議ももっともであるというような発言をしたと伝えられております。これはほんとうかうそか私は知りませんけれども、しかし、この韓国からの抗議というものは、私どもは解しかねるのでありますが、この技術者の入国の問題について外務大臣はどういうふうにお考えになっておるか。そして、韓国の抗議について外務大臣はどういう処置をされようとするのか。それから、第三には入国を許可するということに、各省の間ですでに話が一致しておるとすれば、それをどういう形で許可をするのか、その点についての御見解を承りたい。
  145. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) けさの新聞に、各新聞ではございませんと私は考えますが、特殊の有力紙であったと思いますが、かなり実際と相違しておるように考えます。韓国の大使が一昨日私を訪問いたしましたのは、来たるべき機会にソウルにおいてアジア及び西太平洋閣僚会議が開催されることにほぼきまったのでありますが、その準備会議がバンコックにおいて行なわれまして、日本としてもまず準備会議についてこれに出席をいたしまして、準備会議において決定される状況によっては、あるいは参加しないかもしれない、あるいは参加するかもしれない、そういう態度を保留して準備会議に出たわけでありますが、大体日本の提言を入れるところとなり、それから、会議全般の空気等も、特に参加を渋るような状況でなかったのでありましたので、日本といたしましても、ソウルの本会議には出席することに方針を決定いたしております。その打ち合わせのために見えたのであります。ただその際に、雑談的に、どうもこれは長い間の懸案であって、これだけは片づけたいと思うというような、政府の一部に相当意向が動いているということを通告しておいたわけであります。そういったようなことからああいう記事になったのではないかと思うのでありますが、いま通告と申しましたが、この通告ということばは、政府の方針がきまってそれを通告するという意味にとられると誤解を生じますから、そういう話をしたというふうにこれは訂正しておきますが、新聞には、通告し、それからまた、中共に対すると同様、政経分離の原則を北鮮にも認めるというようなふうに出ておりましたが、通告でもない、それから政経分離の原則を適用していこうというような考え方は持っておりません。ただ、長い間の懸案が一、二ございますので、その問題は片づけたいという意向が相当に強いということを申しただけでございまして、これはきわめて雑談的に話したわけで、申し合わせをしたわけでもなければ、きまった方針を通告したわけでもない。こういう状況でございます。
  146. 岡田宗司

    岡田宗司君 それに対しての韓国側から抗議をしたということが伝えられておるし、また、ソウル等においてはこの問題についていろいろ反応があったようにも伝えられておるわけですが、そういう抗議はあったのかどうか。
  147. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは数日前か――あるいは一週間か十日前に、やはり日本政府意向というものがかなり確定したように新聞に伝えられて、ソウル駐在の日本大使に対して、これに対する韓国側の意見というものが申し述べられたわけでございます。一昨日の会談においては、その抗議とか通告とかというようなものではなかったということを御了解願いたいと思います。
  148. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本大使に対して韓国側が、重大な決意を持って臨むとかということを言ったというふうに伝えられているわけですが、この内容はもちろん明らかにされておらないのですが、何か日本側で重大な事態が起こるというふうに考えられるような発言を日本側にしたのかどうか。
  149. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 一昨日の会談の模様はごく一ついでをもって雑談的にただ軽く話しただけでございまして、抗議もしなければ、したがって、重大事態云々というようなそういう空気はかもし出されたようなことは少しもございません。
  150. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、通産省やあるいは法務省方面においては、すでに技術者の入国は認めてもいいという方針であって、外務省のほうも大体それに同調をしたと伝えられておりますが、そういうようなことで、たとえ今後韓国側がいろいろなチャンネルを通じて日本側に抗議をするとか、あるいはいま言った重大な決意をして何かするというようなことがあっても、日本側で決定した方針は行なう、こういう考え方でお臨みですか。
  151. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) かねてこの問題についてはケース・バイ・ケースに慎重に取り扱っていく、こういうことを申し上げておるのでありまして、大体そういう従来の方針で取り扱われるものと御了承願います。
  152. 岡田宗司

    岡田宗司君 そういたしますと、もうすでに慎重な考慮を払った上できめたことであるから、北鮮の技術者の入国は認める、それからまた、その上で北鮮側が買いつけたいというプラントの商談も政府としては認める、こういうことでございますね。
  153. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いま申し上げるように、きめたとは申しておりません。そういう意向がかなり強いということだけを言ったわけで、まだきめたとは言っていない。それから、きめる、きめないの対象は、ただ商談締結前の一つの順序として人が日本に入るかどうかというだけの問題でありまして、そのあとの商談の問題等には一切まだ触れておりません。
  154. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、技術者の商談の準備のための入国は大体認めるという方針をおきめになった、こういうことを了解していいわけですね。
  155. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) だから、それはまだきまったということにはなっておりません。ただ、在来の懸案が一、二あるので、それは片づけたいという意向が相当強いということだけを言ったわけです。きめたとは言っていません。
  156. 岡田宗司

    岡田宗司君 韓国にどう言うかじゃなくて、日本として自主的に判断しておやりになればいいのであって、韓国側が何と言おうと、日本側でもって北鮮にプラントを輸出することもこれはあり得ることであるから、現に貿易も行なわれておることなんですから、そういうことで、これを認めるのは何もふしぎなことではないので、韓国にどういう表現を用いようと、それを私はお聞きしておるのではなくて、日本に買いに行きたい、そのために技術的に調べたいという人を入れるのは何もふしぎじゃないんだから、その方針であるということと了解していいんですか。
  157. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ですから、韓国にこれを協議しておるわけじゃございません。ただ、この問題については韓国も関心を持っておるようだが、かなり懸案も解決をすべきだという説が相当に強いということを雑談的に話しただけのことで、韓国大使に協議してその了解を求めるというような意味で話したわけじゃないのであります。そして、この問題についてまだ最終的に決定しておりません。
  158. 岡田宗司

    岡田宗司君 最終的に決定していないなら、何もそんなこと言わなければいいんで、結局、大体きまったから韓国側でも問題にしているので、日本側の態度としてはこうだという説明をしたんじゃないですか。
  159. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ですから、雑談的にそういうことを言っただけの話で、言わなくてもよかったようなことかもしれません。
  160. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 先ほど外務大臣のお話にちょっと出たんですが、バンコックにおける準備会談のときに日本側の提言を云々とおっしゃいましたが、その日本側の提言というのはどういうことなんですか。
  161. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 私も詳しくそのことばを暗記しておるわけでもございませんが、とにかく、ただ空疎な気勢を上げるだけのそういう会合にすべきでない、そういう趣旨のもとに出先の大使からその会議の空気等に応じて発言をしておるはずであります。
  162. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その点についてもう少し具体的に詳しく、どういう訓令を出されたのか、これは局長でけっこうですが、お願いします。
  163. 小川平四郎

    政府委員小川平四郎君) バンコックの会議では、そういうこまかい議論は出なかったようでございまして、一時新聞などに伝えられました、たとえば反共のためのグループつくりとか、そういうような話が出るというような話でございましたけれども、そういう話は全く出ません。そういう点で、私どもも、あまり固まったグループの会議になるということはおもしろくないという感じを持っておりましたですが、ただいまのようなそういうことではなくて、むしろ広い立場から各国がおのおのの立場を認め合いつつ意見を交換しよう、そういう空気になったわけでございまして、当初からわれわれの考えていたような雰囲気になってまいった、そういうことでございます。
  164. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言がなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたしたいと思います。  本日は、これにて散会いたします。    午後、零時五十六分散会