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1966-05-10 第51回国会 参議院 外務委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十日(火曜日)    午前十一時八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木内 四郎君     理 事                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 高橋  衛君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 加藤シヅエ君                 羽生 三七君                 黒柳  明君                 曾祢  益君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君        国 務 大 臣  安井  謙君    政府委員        総理府特別地域        連絡局長     山野 幸吉君        外務政務次官   正示啓次郎君        外務省北米局長  安川  莊君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       星  文七君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省経済局国        際機関第一課長  宮崎 弘道君        外務省条約局外        務参事官     大和田 渉君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件) ○第三次国際すず協定の締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する調査を議題といたします。  これより当面の国際情勢について質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  3. 森元治郎

    森元治郎君 時間がありませんから、大臣質問のおもな項目を申し上げるから、それをよく御検討の上、一括して答弁をしてもらう、そして、時間があれば質疑を若干する。私の質問に落ちたところは、その他の人から、また追加があると思いますが、私の関するのを申し上げます。  第一点は、中国の第三次核爆発について、日本政府はいかに受けとめているか。動揺はないか。従来の、核兵器は持たない、持ち込ませない、こういう方針は断固貫くつもりかどうか。  それから、イスラエルの核の脅威に、アラブ連合核武装の作業を開始して対抗すると言っております。また、最近非同盟三国が集まって相談をするようですが、どうもこれはインド核武装についての相談ではないか。インドは、核武装することは軍事同盟に入りますから非同盟を捨てることになるので、ユーゴなりアラブ連合あたりがこれについての相談をすると思うが、こういう核拡散が行なわれることに対して、いかに考えられるか。  第三点は、中共は、五大国首脳会議を開くべしということを第一回の爆発のときに申しております。しかも中国はさきに、核兵器は使用しない、全面禁止全面核兵器の廃棄という主張をしておりますが、この大きな原則では、核保有国もそう反対ではないと思うのですが、この五大国首脳会議は開くべきであると思うが、政府はどういうことか。  それから、拡散条約で、日本は、中共条約参加しないならば、不参加であるならば、日本は入らないのだ、態度を留保するのだ。  それから、政府は、アメリカ核抑止力により安全の保障はできている、解決済みであると言っておりますが、この点をもう一ぺん伺っておきます。  その次は、このごろ自民党は、中国核爆発核兵器研究開発を利用しているような傾きがあって、核の持ち込みを直ちに核攻撃に結びつけたり、これを罪悪視する観念論は避けなければならない、すなわち、核なんというものはこわいものではないのだ、核アレルギーというものは捨てるべきだというような、核兵器導入の下地をつくるような宣伝をしておるが、はなはだけしからぬと思います。いかにお考えになるか。  それから、核の保障について日本は参画する権利がある、こういうようなことが政府側から出ております。いままでの発表では、政府側見解では、そういう計画がないというのは、日本本土における日本領域内の配備、管理のことをさしておりますが、日本じゃなくて、核抑止力とか、B52、ポラリス、ICBMということでございますから、日本領域外からの核の保障ということについて、政府部内で、外務省あたりでは参画する権利はあるのだ、やるべきだ、こういうふうに言っておりますが、これは何を意味しておられるのか。  それから、こまかいことでありますが、核の拡散ということは、これから国際的に問題になりますが、拡散意味であります。これは、引き金、核の管理権、核を発射する権利ということなのか。あるいは、よその国に核の兵器を配置するだけならば拡散にはならないというのか。拡散というものをどう政府は定義づけられておるか。  おおよそ大きなところ、その点だけを私から質問材料にします。
  4. 岡田宗司

    岡田宗司君 ただいま森委員のほうからいろいろ御質問がございましたが、なお、二、三それにつけ加えてお伺いしたいと思います。  それは、今回の中国核実験というものは、中国核兵器を保有するという意思を示したものであり、また、それへの道を外に明らかにしたことであります。問題になりますのは、核兵器というものの発達が人類を滅ぼすおそれがあるわけであります。で、私どもは、核兵器発達によりまして、古い考え方である兵器発達兵器自分たちがよけい持って、強い兵器を持つことによって平和を維持していこうという考え方、こういう考え方というものは、もはや今後維持できないのではないかと思う。ところが、中国は現実にそういうような兵器の保有を急いでいるという事態から、再びこの力の均衡による平和という考え方が生まれつつあり、また、それは拡大しつつあるわけでありますが、日本としては、この力の均衡による平和という考え方を持つのかどうか、その点を第一にお伺いしたいのであります。  それから、第二に私がお伺いしたいのは、中国核兵器のいまの実験段階はどの程度のものであるか。そして、アメリカ側でも、今後数年間のうちに水爆実験をさらにやる。さらにミサイルの実験をやって、十年後にはICBMを持つであろうというようなこともいわれております。日本側としても、隣の国にそういう兵器ができてくるということについては、これはもういろいろな観点から、たとえ反対であろうと何であろうと、研究していかなければならない事態だと思うのですが、日本側としては、日本政府としては、これに対していかなる判定を下しておられるのか、それが第二点。  第三点は、中国が今回核兵器実験をやりまして、それがアジアにいかなる影響を及ぼすだろうか、特にそれの心理的、政治的影響があることはもう間達いないと思うのでありますが、日本政府はそれをいかに把握しているか、そうしてまた、これによって日本政府アジア政策アジアの各国々に対する日本政策というものにも影響があることは、これは免れないと思うのですが、その場合における日本側政策はどういうふうにお考えになっているか、それらの点をお伺いしたいと思います。
  5. 長谷川仁

    長谷川仁君 私も政府与党立場で、今回の中共水爆実験について外務大臣にお伺いしたいと思うのですが、第一点は、新聞発表の見出し、タイトルと申しますか、これは、「ついに水爆実験」と、こうあるのでございますけれども、私どもは北京の発表を読みますと、従来にないことば、すなわち、「熱核材料を含む」という表現を使っているわけであります。そこで、アメリカの国防省のスポークスマンは、「詳細な分析が判明するまでは何も言いたくない」、こう語っているわけでありますけれども、これがいわゆる水爆予備実験か、それとも原爆の小型軽量化に成功したのか、この点をどうごらんになるかということをまずお伺いしたい。これが第一点。  それから第二点は、もう世界の国々が核停条約を順守している、このさなかに、中共が大気圏内の核実験を行なったという悪影響、これを世界は非常に鋭い緊張と警戒というか、凝視していると思うのですけれども日本は、これに対してどう対処していくかというのが第二点。  それから第三点でございますけれども中共側発表を見ますと、従来にない一項目があるわけです。それはどういう点かといいますと、「アメリカ帝国主義者とその協力者恐喝反対して被圧迫人民、被抑圧人民を励ますためのものである」と言っているわけです。アメリカ帝国主義者というのはわかりますけれども、「その協力者反対する」、「その協力者恐喝」というのは一体だれなんだろうかということと、もう一つは、なぜいまこの時期において水爆実験を行なったか。ある一つの見方によれば、中共外交攻勢というものがここ一、二年来退潮というか、退化している。そこで国内の世論というものを外に向ける、また、自分実力があるのだということを誇示するというねらいもあるのじゃないかというふうにいわれているのですが、こうした従来にない一項目に対する外務省側見解外務大臣見解をお伺いしたいと思います。それから、これは非常に大事なことだと思うのですけれども中共側のやはり発表は、「今回の実験アメリカ進攻を想定しての布石だ」と、こう言っているわけですけれども、そうすると、今度は、こういう中共水爆実験が行なわれたことに対して、アメリカ側の今後の対応策と申しますか、これがおそらく変化を来たすだろうと思いますし、また、わが国としても、これはだれが何と言おうとも、日本国民は非常なショックを受け、非常な脅威を感じていること、これは事実だと思うのです。そこで、いまこそ、こういう段階に、結局日本としては、この間も、日本としてはそれだけの実力が、佐藤総理もおっしゃっておりますが、核実験をするだけの力を持っているけれども日本平和利用なんだ、こう言っている。そうすると、どうしても安保条約というものの再確認というか、重要性というものをやはりこの辺でもう一度われわれは国民に対して訴えなければならぬ段階に来ていると思うのです。こういった点について外務大臣はどうお考えになるか。  それからもう一つは、いやたいしたことないのだという見解もあるわけなんですけれどもアメリカミシガン大学に行っております中国研究室長鄭竹園教授は、中共が問題となり得るところの工業力を獲得するにはまだ二、三十年はかかるのじゃないかというようなことをこの間言っておるわけなんでございますが、実際に二、三十年かかるのか、もう一、二年のうちにほんとうに脅威を感ずるような時点に来ているのかというような点についてもひとつお伺いをしたいと思います。  それからもう一つ日本知識層といいますか、文化人といいますか、非常に注目していることは、一九五七年の例の反右派闘争整風運動ですか、これにもまさる——文芸批判と言っておりますけれども中共はこれを社会主義文化大革命と言っているのですが——たいへんな粛正のあらしが吹き回った。有名な郭沫若さえ、毛思想の学び方が不十分だった、自分の著書は、六十年に及ぶ自分というものを考えて一切の自分の書物は焼き捨てなければならぬというようなことを言っていることは、非常なセンセーションを起こしているのですけれども、この整風運動水爆実験——予備実験といいますか、水爆実験と関連があるのかというような点も外務大臣に一括してお伺いしたいと思います。
  6. 黒柳明

    黒柳明君 いままでと重複しないような点を私二、三質問したいと思うのです。  中共原子力工業というものが、その水準は、いままでわが国あるいはアメリカが予想していた以上に高いものを持っていると、このように思うわけですが、その原子力評価もまたあらためて考えなければならない、こういうふうな見解が相当各方面から出ております。外務大臣はせんだっての予算委員会を通じて、あまり中共の核に対しては脅威と思わないと、こういうおことばを繰り返してまいりました。ここであらためて中共核工業力というものを再評価しなければならない段階にあるのじゃないか、再検討する余地がありやいなや、それが第一点であります。  それから、政府見解として、日本アジアの民生の安定に主眼を置き外交を進めているが、中共核実験アジアに不安と動揺を招くものであり、徹底的に反対するという官房長官の談話が載っておりましたが、アジアに不安と動揺を招くものであると、当然この中に日本も入っているのじゃないかと、こう思うわけでございますが、その不安と動揺を招く、これに対しての相当な結果が考えられると思うのです。それにもかかわらず、まだこの中共の核というものに対して政府としては無視していいものであるかどうか、これが第二点です。  さらに、その水爆実験というものは決して戦争に結びつけてはいけないと思います。あくまでもこれを契機として十八カ国軍縮委員会あるいはスエーデンの核探知クラブ、それに対する積極的な参加、あるいはそこにおけるわが国としての自主的な外交方針を打ち出していかなければならないと思いますが、それに対して政府は、今回の水爆実験契機として、より積極的な参加、あるいは自主的な方策をお持ちやいなや。  それから、あくまでも軍縮、あるいは全面的核停止、こういうことがたとえ合意が成り立ったとしても、中共、フランスのこの二国に対しては道義的な拘束しかないと、こういうような軍縮案核拡散防止条約であってはこれは意味がないと、こう思うわけでございますが、これから発展して、当然その根底にあるのは中共国連加盟、この中共国連加盟がすべての根底にあって、核拡散防止条約あるいは全面的核停止と、こういうような段階に話が発展していくと思いますが、今後の国際情勢の流動は非常に激しいものがあると思います。そういう流動的な国際情勢、それにもかかわらず政府現状を保持している、中共国連に加盟させる考慮をしない、あくまでもこういう見解を持ち続けていくのかどうか、以上についてお伺いします。
  7. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 第三次核実験をどういうふうに日本としては受けとめるかというお話でございましたが、まだ核実験の正体もはっきりしておらない。ほぼどういう程度のものであるかということは推察はつきますけれども、的確にまだこれを把握しておらないというわけでありまして、政府としては、いま直ちにどうしなければならぬということを実はいま考え段階ではない、従来の方針をただいまのところはとる、こういう態度であります。  それから、イスラエルに対するアラブ連合——イスラエル核実験が始まっているわけじゃないが、核をこれから開発するかもしれないという、そういう想定に基づいてのアラブ連合の今後の反応というようなことについての御質問だと思いますが、これは、いま、これまた的確にわれわれとしては言及することは避けたいと思います。  中共は五大国会議を開け、そういうことを提唱しておるようでありますが、その意図は一体那辺にあるのか、十分にその意図を分析研究して日本考え方を固めたいと、こう考えております。  核拡散防止条約中共が入らなければたいした意味がないと思われるが、それでも日本はこれに参加するかしないかというお話でありますが、中共が入るか入らぬかということよりも、その他の国における意見がまだ核拡散防止条約というものに対して固まっておらない。日本は、核拡散防止条約はこれは必要なものであるという基本的な考え方はこれは持っておるのでありまして、これがはたしてどういう範囲において、どういう内容において固まるかということについては、まだ予断を許さない段階である、こう思います。  それから、アメリカ核戦略計画、あるいはその運営等日本参加するかどうかというようなことは、日本としてはさような考え方をまだ持っておりません。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 権利があるのかどうかということ。
  9. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 権利があるかどうかということですが、日本の置かれた立場は、あくまで、自己防衛という点を除いては積極的な軍備は持たないということになっておりますので、そういう意味においては、これに対して参画する権利というものはないと私は考えております。権利ということばが適当かどうかわかりませんけれども、憲法の制約を越えてやる意思日本はない、こう思います。  核の持ち込みというようなことをおそれる必要はないと、何でも核被爆国としていつまでもそういう亡霊に取りつかれておるような形はどうかという意味の御質問であったように思われますが、とにかく、そういう形容詞は抜きにして、核を持たないという方針をとっておることにおいては今日の段階においても変わりはない。  それから、核拡散とは一体何か。これについては、ソ連のヨーロッパにおける多角的核戦力体制を中心にして、大国の間に意見が違うようであります。引き金を引かぬでも、核というものに近づくことは核拡散の趣旨に反するものだというふうにソ連は言っております。日本といたしましては、実際の具体的な政策というものにいま当面しておりませんので、いろいろ国際間には核拡散というものの解釈が違うということを申し上げるにとどめておきたいと思います。
  10. 岡田宗司

  11. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まだ考える必要はない。
  12. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは驚いたな。
  13. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本がいまそういう実際的な立場に立たされておりませんから、いまそのことをはっきり……。
  14. 森元治郎

    森元治郎君 条約に入ろうという人が、拡散ということもわからないで、拡散防止条約なんて言えない。
  15. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 結局、いま申し上げたように、積極的な核に対する一つ管理権というものを完全に持つということが拡散である、こう言っておるのに対してソ連は、いや、そこまで至らなくても、核というものに近づく、何らかのそこに発言権があるということだけでこれは拡散になるんだと、こういう、まあ、その中間の段階もございましょうが、そういうふうに意見が分かれております。
  16. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本見解は。
  17. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) これは私の見解になりますから、申し上げてもあまり意味がないと思います。
  18. 岡田宗司

    岡田宗司君 外務大臣見解というのは、これは重要なんです。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 盛んに研究しているのだろう。
  20. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本としては、その管理権を持つということが間違いなく核拡散になる、それに至らないものは、必ずしも核拡散と言うべきものではない。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 接近することはいいのですか。
  22. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 接近することはかまわないじゃないか。
  23. 岡田宗司

    岡田宗司君 これは危険だ。
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いや、それはソ連考え方です。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 日本は。
  26. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 日本は、そういういま立場に置かれておりませんから、ただ一つの理論として、管理権を持つということはこれは核拡散になると、こう思っております。しいて言えとおっしゃるから、私は申し上げる。
  27. 岡田宗司

    岡田宗司君 じゃ、この間の下田発言というのは、一体何の意味を持っておりますか。
  28. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まず、御質問に答えてから。  それから、中共核保有は、力の均衡による平和維持というものの一つの形態である、こう言われるようでございますが、それでは、いま中共が核を保有しないということによってアジアの平和が乱されておるか、すなわち、均衡が破れておるために平和が乱されておるかという現状認識の問題に帰ると思うのでありますが、私は必ずしもそうは思っていない、こう申し上げておきたいと思います。  それから、中共の現在のこの核兵器開発段階は一体どういうふうに解釈するかというお話でございましたが、まだ第三回の実験が行なわれたというだけの認識では、私はまだ十分にお答えする資料を持っておりませんので、きょうはこれは差し控えさせていただきたい。  それから、中共アジアに対する影響力——日本も含んで——どういう意味か、こういうお話でございましたが、これもただ第三回の実験が相当大規模に行なわれておるという今日の段階においては、日本といたしましては、特にこれに対して特別の反応を示す必要はないのではないか、こう考えます。  それから、熱核材料を含む核爆発中共側発表によりますと、熱核物質を含む核実験を上空で行なったと、こういう新聞発表でございます。すなわち、初歩的な水爆かと思われますが、完全原水爆であるかどうかということはまだ不明である、こう思われます。  実験影響にいかに対処するかということは、先ほど申し上げましたが、どういう反応日本としては示すべきかというようなことと同じでございまして、まだその実態がはっきりいたしませんし、やはり従来の方針、従来の態勢を堅持するということで足りるのではないかと考えます。  それから、「米帝国主義者とその協力者恐喝反対する」、これはまあ御指摘のとおり、新しい文句でございますが、まあ、こういったような威勢のいい文句はしょっちゅう新しく次々と発表しておりますので、これに対してそういまさら特別の感覚を持つ必要もないと考えております。いままでは非常に友好的な態度であったが、急にここへきて「協力者恐喝」なんていう文句を使ったとすれば、これはたいへんな変化でございますから、どういう意味を持つかというようなことについては考えてみなければなりませんけれども、この種のものはもうたえずやっておる。いまさら驚く必要はないと思っております。  それから、今度の実験アメリカ進攻を想定してのものだと言っておるが、この際において安保条約意味というものをどういうふうに見るかということでございまして、これは、これまた絶えず中共のとっておる姿勢でありまして、新しい意味を私は発見することはできない。安保条約の現在の体制を堅持するということでよいのではないか、こう考えます。  整風運動との関係、これは全く国内での思想上の運動でありまして、核実験と直接の関係は私はないと思います。ただ、核実験によりまして国内に対する一つの従来の姿勢を強化したというような意味は、私はあると思います。それ以上のものではない、こう考えております。  中共工業力評価はどうだ、こういうお話でありますが、工業国というと、私は総合的な工業力ということになると思うのであります。総合的な工業力はまだまだ非常に低い段階のものではないかと考えます。ただ、こういう核開発上の特殊な工業力というものは、今回の実験というものにすでにあらわれておる。その点につきましては相当進んでおるということを認めざるを得ないと思います。  今回の第三回核実験によってかなり近隣諸国不安動揺を与えておると思うが日本はどうかというお話でございますが、これは私は、従来の方針に対してさらに再検討をするというようなところまではまだ行く必要はない、こう考えておりますが、しかし、今回の核実験実態というものをもう少し時間をかけて調べる必要がもちろんあることは申すまでもありません。  中共国連加盟に対して、特に今回の問題に結びつけて従来の考え方を変える必要がないかというようなことにつきましては、私は、ただいまのところさような考え方を変える必要はない、こう考えております。
  29. 木内四郎

    委員長木内四郎君) それでは、議事の都合によりまして、国際情勢等に関する調査を一時とどめておきます。     —————————————
  30. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行ないます。  質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  31. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本の現在のすずの需給状況、それからどこの国が日本に対してすずを供給しておるか、それから第三は、今度の第三次協定によってすずの価格の安定を実現し続けていくことができるかどうか、そうして、それは日本の経済にとって有利であるかどうか、この四点についてお伺いいたします。
  32. 正示啓次郎

    政府委員(正示啓次郎君) ただいまの岡田先生の御質問につきまして、いま専門の政府委員が参りますので、ちょっとお待ちを願いたいと思います。
  33. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  34. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記を起こして。  議事日程の壁頭に載っておりますから、政府委員は待機しておらなくてはなりません。今後においては注意していただきたいと思います。
  35. 大和田渉

    説明員(大和田渉君) どうもたいへんおそくなりましてまことに申しわけございません。  御質問のすずの需給状況、輸入量、輸入先、それから、この協定がすずの価格安定に寄与するかどうか。それから、わが国がこの協定に入りましていかなる利益があるかという点に関しまして、国際機関宮崎第一課長から答弁いたさせます。
  36. 宮崎弘道

    説明員(宮崎弘道君) 最初に、御質問の順序と違いますが、本協定はすず価格の安定に寄与するかどうかということから御答弁させていただきます。  このすず協定のねらいといたしますところは、御承知のとおり、いわゆるバッファー・ストックというものを設けまして、すずの値段が非常に下がりました場合には、バッファー・ストックは買いに出るし、値段が上がりました場合には売りに出るということを骨子としておるわけでございます。そこで、このすず協定のねらいそのものは、すずの価格の安定ということを目標としておるわけでございます。ただ、現状から申しますと、非常にすずの需給関係世界的に逼迫いたしておりまして、すずの価格がこの協定で予見されております最高価格を上回っておる状況でございます。そこで、バッファー・ストックが実はからになっておるというのが実情でございます。実情を先に申し上げますと、そういうことになっておりますので、したがいまして、このすず協定が発効いたしましても、現在価格が上がっておりますすずが直ちに下がるというようなことは、残念ながら必ずしも期待できないということを申し上げざるを得ないわけでございます。ただ、今後の問題といたしますと、このすず協定のいろいろな機関の会合を通じまして、さらに、すずの生産の奨励であるとかあるいはその他の措置によりまして、協定の規定しております本来の機能を果たし得るような方向に持っていきたいというのがこの加盟国の実情でございます。そこで、そのようなことが行なわれまするように、あるいは場合によりましてすず理事会においてさらにそのほかの適切な措置をどういうふうにやったらいいかということを各国集まりまして協議いたしまして、そちらのほうに持っていくという趣旨でございますので、協定の現在の仕組みはそれをねらっておるわけでございますが、必ずしも、発効いたしますと直ちにすぐ翌日からこのようなすずの価格の安定に役立つということはいささか期待できないというのが実情でございます。  それから、このすずの需給状況でございますが、これはすず鉱石で申しますと、圧倒的に多いのがマレーシアでございます。このほかすずの輸出国といたしましては、タイでございますとかあるいはインドネシアでございますとか、そういう国がございます。この三つの国がすず鉱石の供給国としては圧倒的な比重を占めておるわけでございます。わが国のすずの鉱石の生産はきわめて微々たるものでございまして、これはほかの鉱石を産出しますときにあわせて出てくる程度でございまして、すずにつきましては地金を含めましてほとんど輸入に依存しておるわけでございます。輸入につきましては、これはいま申し上げましたように、国内の生産が非常に乏しいものでございますから、その輸入依存度はほとんど約九〇%くらいに達しておるわけでございます。つまり、地金の輸入が、昭和四十年の統計に見ますと、一万四千八百四十トン、輸入鉱石によります地金の生産が三百十八トン、輸入依存度は約九〇%に達しております。地金の輸入は八八%までがマレーシア、残りはこまかいところでございますが、中共からも若干の量を買っております。しかし、輸入の約九〇%近くはマレーシアで買っております。  わが国に対する利益でございますが、先ほど申しましたように、この協定に加盟することになりまして直ちにすずの価格の安定が期待できないことは遺憾ながら事実でございますけれども、長い目で見まして、すずの需給事情を改善していく、また、そのために国際間で話し合いをいたしまして、どういうような方向でいくかということを論議する場合でも、わが国が非常に大きな輸入国といたしまして出席いたしまして、わが国の意向を反映させながらこのすず協定の運用をいたしまして、そういう問題につきまして、輸入国としての日本立場も反映さしていくということは非常に必要なことでもございますし、また、わが国にとりましても利益になるかと思います。  もう一つは、いま御説明申し上げましたように、すずの輸出国はほとんどアジアの諸国でございます。それで、これらの国との関係も考慮いたしまして、この協定に入ることがそういう意味から申しましても有益ではないかと考えております。
  37. 岡田宗司

    岡田宗司君 もう一点、いまのすずの需給状況の中で、需要が非常に多い、そのために供給逼迫しておると、これは日本にとっても同じであるということですが、その需要が非常に多いというのは、アメリカが軍事用として買い付ける、世界市場で買いあさっておるということが主たる原因ですか。
  38. 宮崎弘道

    説明員(宮崎弘道君) このすずにつきましては、かつてアメリカが例の戦略物資の貯蔵ということで非常にたくさんのすずを買い付けたことがございます。ところが、その後いろんな事情の変化から、アメリカ国内でこのような膨大なすずを戦略物資としまして貯蔵しておく必要がないということになりまして、毎年相当量のすずを放出いたしております。そこで、いまのところ生産が需要に追っつきませんので、アメリカの戦略物資の放出ということが唯一の需給事情を緩和させる短期的な措置になっておるわけでございます。まあ、そのほか需給事情緩和についてはいろいろな策がございますけれども、ある程度時間のかかるものもございますので、毎年、毎年アメリカはすず協定の理事会とある程度相談しながら、戦略物資川として貯蔵したすずを放出しておる状況でございます。
  39. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  40. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  これより討論に入りたいと存じます。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでごさいますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  41. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決をいたします。第三次国際すず協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件を承認することに賛成の方は御挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  42. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 全会一致と認めます。よって本件は、全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  44. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 再び国際情勢等に関する調査を議題といたします。  御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  45. 岡田宗司

    岡田宗司君 安井総務長官は、過日沖繩を訪問されまして、またきのう開かれました日米協議委員会に御出席になった。この日米協議委員会で、最近問題になっておるいろいろな点についての協議を行なわれて、若干の問題については解決され、進展を見ておるようでございますが、それらの協議委員会において問題になりました点について、なお具体的に明らかにされてない点もありますので、この機会に、それらの点について具体的にお伺いいたしますので、明らかにしていただきたいと思います。  まず第一にお伺いしたいのは、自治権拡大の問題であります。この自治権拡大の問題は、今回の協議委員会で初めて取り上げられた。従来は、経済援助と申しますか、協力というか、その問題だけでございましたが、今回初めて取り上げられた。この協議委員会におきまして、アメリカ側は、最近いわゆる自治権拡大といわれるものについて説明をして、日本側がそれを聴取したわけでありますが、その過去においてでなくて、これから将来この自治権の拡大について日本側に何を希望し、それからまた、アメリカ側はこれについて具体的に今後いかなる問題を取り上げてこれを解決しようとしておるか、それらの点、具体的にお知らせ願いたいと思います。
  46. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 琉球政府あるいは自治体の関係の自治権の拡充ということは、御承知のアメリカが施政権を沖繩に持っておる関係もありますが、できるだけ民生関係のものについてはこれを権限を委譲して、住民の意思によって運営されるほうが好ましいであろう、こういう申し入れをかねがね政府としてはやっておるわけでございまして、今回の日米協議委員会におきましても、そういったトップ会談——佐藤・ジョンソン会談等でもその問題を確認されておることだから、将来もそういう民生関係についてはできる限りやっていこうという向こう側の方針を披瀝したわけでありまして、私どもも、これは当然のこととして今後も推進をしていきたい。従来、ここ一年の間に、百五十近くありました布令、布告のうち九十幾つかに減ってきております。今度でも、直接この際廃止になるであろうと予想されますものは、たとえば琉球大学がこの七月一日から、アメリカ政府のもとにあったものが琉球政府に移され、また、そうなれば、それに関する布令、布告も廃止になるということでありまして、内容的には、どれをどうするということより、その時点で一つずつつかまえた問題について解決をはかっていく。そのことが布令、布告もだんだん減っていくという形になろうかと思うのであります。今度の沖繩の住民の海外渡航、あるいは移住等の問題にも触れてやはりそういう問題が起こってくるであろうと思うのでございます。
  47. 岡田宗司

    岡田宗司君 それならば、日米協議委員会では、そういう根本方針といいますか、それが取りきめが行なわれて、アメリカ側もそれを大体承認したと、こういうことですか。
  48. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) そのとおりでございます。
  49. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、今後具体的なものについては、これは琉球政府アメリカの高等弁務官、あるいはまた民政府との間の話し合いによって解決されていく、そういうことになりますか。
  50. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ええ、そういうことになります。
  51. 岡田宗司

    岡田宗司君 もしその間に紛争がある、あるいはまた、なかなか調停がつかぬ、話し合いが一致できないという場合には、日本政府としてそれの解決のために再び日米協議委員会の場を利用してそれを促進する、あるいは他の外交手続をとってそれを促進する、そういう方法をおとりになるつもりでありますか。
  52. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ものによってそういった場合が起きてくると思います。
  53. 岡田宗司

    岡田宗司君 その場合に、琉球で一般的に自治権の拡大のシンボルとされている琉球政府の主席の直接選挙ですね、この問題はしばしば従来から問題になって、今回アメリカ側は間接選挙という方式に切りかえたわけですけれども、これらの問題についておそらく沖繩におきましてはさらに要望が強まってくると思うのですが、この問題について、今後たとえば琉球政府からアメリカ側に要求する、いまのアメリカ側立場からすれば、なかなかそれは認めがたい状況であると思いますが、日本政府としては、この問題の促進をするつもりがあるのかどうか。
  54. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これは、いまお話しの高等弁務官対琉球政府との関係で、いわゆる外交折衝事項というものの議題にはならないというたてまえになっておりまして、したがいまして、せんだっての立法院での選挙できめるという際も、これは直接現地できまっておるというふうなたてまえになっております。ただ、私ども考えますのは、この間接選挙というのは、かなり進んだ民主主議を取り入れたものである、観測をするならば。相当進んだ制度であるので、これが相当な現地における自治権の、自主性の保持という意味からすれば、私は進歩したものであろうと、こう考えております。
  55. 岡田宗司

    岡田宗司君 この間接選挙ということになりますというと、従来の主席の任命と非常に違う点がある。それは、一つは、主席が任命されるという場合では、主席は高等弁務官に対して責任を負っていたわけなんです。今回はとにかく間接選挙にせよ、琉球立法院に選ばれたとすると、琉球立法院に対しても主席は責任を負わなければならぬという地位になると思うんですが、それらの点、これは法律的に、あるいはまた実際の運営上どういうことになっているのか、日本政府としてはどうそれを解釈されておるのか。
  56. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 御承知のように、施政権そのものは原則的にはまだアメリカ側が持っておるわけでありまするから、終局的な責任というものはやはり高等弁務官にあると言わざるを得ないのですが、今度そういったような立法院の自主的な選挙によって任命されるということになりますれば、そのこと自身によって、相当主席の権限拡充——拡張といいますか、持っておる権限は広がったものだというふうに考えますし、また、立法院に対しても、それぞれの責任を持たなきゃなるまいということに相なろうかと思います。
  57. 岡田宗司

    岡田宗司君 たとえば不信任案が提出されたというようなときですね、現在の状況では与野党の差がだいぶありますから、現実的には問題ないのですが、たとえば前に大田主席の場合に、与党が分裂したというような事態が起こると、これは不信任案が通るかもしれない、そういうことは理論的には可能なわけなんですが、そういう場合に、一体間接選挙が認められたとするなら、琉球政府主席の立場はどういうことになるのですか。
  58. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 実際問題として、まだいままでの慣習その他から、不信任案の問題の場合を法的に解明するところまで行っておりません。と申しますのは、従来不信任案を出すというたてまえが慣習的にとられてなかったというような実情もありますし、それから、主席自身の権限が、あそこは三権が完全な分立じゃありませんので、御承知のとおり、相当オーソリティーなものを持っておるという形でありますので、日本の議会等で言うような不信任案という形は直ちには起こってこない。しかし、いま言われまするような、まあ仮定の問題として理論的にはあり得るじゃないかという御質問は、これは理論的にはあり得るかと思いますが、いま、その点は調べさしてみましたところが、現在立法院においては不信任案を出すという問題に対する規定が全然置かれていないという状況になっております。これは将来の問題として考究しなければなるまいかと思います。
  59. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、間接選挙で選ばれた主席は、やはり立法院に対して責任を負う、こういうときに、立法院である種の決議が通った。たとえば、最近所得税を引き下げる法案のようなものが通ったと、そういたしますと、今度それを高等弁務官のほうで拒否したという場合に、一体間接選挙で選ばれて、立法院に対しても責任を負う主席の立場というものは、どういうことになりますか。
  60. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 現在のたてまえから申しますと、立法院で議決されましても、これも御承知だと思いますが、主席がそれを承認して署名しなければ発効しないというたてまえはそのまま生きておるだろうと思います。
  61. 岡田宗司

    岡田宗司君 その場合に、その効力が発生するしないではなくて、そういう場合における主席の立法院に対する責任というものはどうなるのか。たとえば、主席は立法院によって選ばれたものである。ところが、その立法院が議決した法律案が高等弁務官によって拒否されたという場合に、もちろんそれは高等弁務官の権限のほうが強いのであるから、そうしてまた、いまの状況からいえば、その法律案は成立しないでしょう。しかし、この立法院の議決というものは、やはり立法院が選びました主席を拘束するものでありましょう。だから、一体その場合における主席の立場というものはどうなのか。これは、立法院に対しては全然責任を負わないでいいのか。その点はどうです。
  62. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) これも、政治問題として将来いろいろ検討されていかなければならぬ問題であろうかと思いますが、従来の考え方でありますと、立法院の決議そのものが絶対的に主席を制約するものじゃない。必ずしも——選挙によって出た主席であっても、これはときの状況次第で、主席の権限としてそれを拒否することもでき得るというふうに考えられます。
  63. 岡田宗司

    岡田宗司君 主席が拒否するのでなくて、私の聞いているのは、高等弁務官が、立法院の満場一致あるいはまた多数決で議決された法律案を拒否した場合に、立法院に対する主席の立場というもの、責任というものはどうなるかということです。
  64. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 立法院がきめまして、そうしてそれを主席が署名して、琉球政府全体としてこれを承知されたものに対しても、高等弁務官の立場で、別の政策的な見地からこれをはばむという場合は、これはあると思います。しかし、それにはそれだけの理由と手続を今度は高等弁務官自身がするわけですから、そのために主席が直ちに責任を負わなければならぬというふうにはいまのところなるまいかと思います。
  65. 岡田宗司

    岡田宗司君 私は、そういうことが繰り返されれば、これはやはり高等弁務官と、あるいは琉球立法院あるいは琉球政府との間の一つの政治的トラブルにもなると思うのです。そういうことは、間接選挙で主席が選ばれ、これはやはりその後の政治勢力の関係いかんによって起こることですけれども、そういうことが予想されるであろう。その際における日本政府態度というものも、私は具体的な問題が起こらなければ明確にすることはできないだろうけれども、しかし、政府としては、やはりそういう場合に沖繩の人たちを擁護し、沖縄の人たちの代表である立法院というもの、あるいはそれが議決して沖繩の人たちの利益になるような法律案が拒否されて、そしてそれが問題になったときには、やはりそれに対応する日本側としてのいろいろとアメリカ側と折衝するような心がまえだけは常に持っていなければならない。いま私はそれに対して答えを求めませんけれども、そういう見解を私は持っております。  それから次に、いわゆる旅券の発給の問題、これはもう前々から私ども要求しておりまして、沖繩の人々が海外へ行く場合に、今度日本の旅券で行けるようになったということですが、これはけっこうなことだと思うわけですが、これの手続ですね。発給の手続はどういうふうにされるのか。たとえば、向こうの南方連絡事務所を通じて日本側に連絡があって、日本側で、外務省で普通の日本人に対する、ないしは内地の日本人が向こへ行くのと同じような旅券を出すのか。
  66. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) こまかい手続につきましては、今後外務省なり特連局と向こう側と協議をするということになっておりますが、たてまえとしまして、旅券発行手続そのものは南連事務所がやる。したがって、これは当然外務省と連絡しながらやることでありましょうが、発給の責任といいますか、手続全部は南連事務所がやる、こういうふうなたてまえで今後具体的な交渉が行なわれるものということになっております。
  67. 岡田宗司

    岡田宗司君 日本政府の発給する旅券ですと、外務大臣が署名することになりますが、今度沖繩の人々が南連事務所でもって受ける旅券は、だれが署名するのですか。
  68. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 署名者は外務大臣ということでございます。
  69. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、これは日本政府の旅券ということで、普通旅券ですね。
  70. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) そのとおりであります。
  71. 岡田宗司

    岡田宗司君 そこに記載される住所、それはどういうことになりますか。沖繩県ということになるのですか、どういうことになるのですか。
  72. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 私も旅券の記載事項の詳細、必ずしもあれしておりませんが、本籍地はたしか一般の旅券に書かれております。これは当然沖繩ということになります。現住所も沖繩のどこどこということになると思います。
  73. 岡田宗司

    岡田宗司君 問題は、その沖繩の人の戸籍ですが、沖繩県ということになっているのですね。それは今度どうなるのですか。
  74. 山野幸吉

    政府委員(山野幸吉君) 戸籍は沖繩県ということになっております。
  75. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、旅券には沖繩県ということが書かれるわけですね。
  76. 安川莊

    政府委員(安川壯君) その辺のこまかいことは、これから検討してきめるということです。
  77. 羽生三七

    ○羽生三七君 それは、この前のこの委員会で外務省当局に希望したことは、日本国籍を明示するということで希望したわけです。それは間違いないですね。
  78. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) それは間違いないです。
  79. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、その旅券をもらって移住なり旅行なりする人は、やはり日本の出先機関の保護を受ける、こういうことになるわけですね。
  80. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 先ほどの御質問に戻りますけれども、現在も沖繩居住者が海外へ出ます場合には、一たん日本へ参りまして、日本で旅券発給いたします。それから海外へ行きまして、海外の在外公館に出頭すれば、そこで旅券を発給いたしますから、旅券に記載される内容は、今後南連事務所の出します場合も、現在と同じ形式になると思います。いまそれの現住所、どういう書き方をしておりますか、ちょっと私承知しておりませんけれども、現在やっている様式そのものを使うということになると思います。そういうことでございます。現在でも本人が希望いたしますれば、在外に出まして領事館に出頭すれば、そこで簡単に旅券が出るわけでございます。旅券をもらえば、当然日本人としての在外公館の保護を受けられるわけでございまして、今後は、沖繩を出るときから日本の旅券を持ちますから、沖繩の領域を出て、直ちにその旅券に基づく日本政府としての外交保護を受けられるということになると思います。
  81. 岡田宗司

    岡田宗司君 ボリビア等に移民しておって、従来の、リューキューアンというか、何というのですか、国籍だか何だか知りませんけれども、それは今度書きかえられることになりますか。
  82. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 現在でも、たとえばボリビアに行っております移住者が日本の国籍がほしいと希望されれば、いつでも現地の領事館か大使館に出頭されれば、そこで出すわけでございます。ですからリューキューアン、レジデント・オブ・リューキューと書いた身分証明書を持って行くわけです。ですから、現在でも、自分がこれでは不安だという気持ちを持てば、いつでもその現地に出頭されれば、その身分証明書を提示されれば、無条件に旅券を出すたてまえになっております。でございますから、現在でも旅券がないために保護が受けられないということはないわけでございますけれども、今回は沖繩を出るときからその旅券がもらえると、こういうことでございます。
  83. 岡田宗司

    岡田宗司君 それはそれでいいと思うのですが、いままでの「琉球人」というのを発給された人、それをいまでも保持している、それらに対しては、やはり積極的に日本が今度旅券を発給するんだ、引きかえろということを、私は日本政府が積極的にやらすべきだと思うのですが。
  84. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 御説のとおりでございまして、こちらは移民の実態的な保護の面も、いままではむしろアメリカ側が保護の第一次的責任を持ちまして、日本側は測面的にこれに協力するというたてまえでございましたけれども、今後は、むしろ日本側が移住者の保護で第一次責任をとるという立場になりますので、それに伴いまして、すでに行っている移住者にも日本の旅券を持たせるということが当然の筋であろうと思いますし、その方向に沿って処置するのが当然だと考えております。
  85. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、今度沖繩とこっちの本土との出入国の問題について、いまでも、沖繩から日本に渡るのに対して、若干の人々が、理由を明示されないでもって、身分証明書を出されないで来られないというのがあるわけですが、今後、出入域管理の権限はアメリカ側に残すが、日本側にその手続はまかすと、こういうことになったわけですが、手続がまかされても、その最後の、たとえば沖繩から日本に来るのに最後の決定権はやはり高等弁務官が持っておって拒否することがあるわけですか。
  86. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) そういうふうになっております。
  87. 岡田宗司

    岡田宗司君 今度、沖繩からこちらへ来る場合にはどういう手続——たとえは南連事務所に行けば身分証明書を発給されて、その南連事務所で発給された身分証明書で直ちに日本に来られる、こういうことになりますか。
  88. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 手続、文書は南連事務所で発給いたすわけでございますけれども、ただいま御質問ございましたように、出入域の最終的な管理権と申しますか、それをアメリカ側が持っておりますから、アメリカ側の出国を許可しない者に日本渡航の証明書を渡すわけにはいかないものですから、その面の連絡調整といいますか、その辺の手続は今後アメリカ側と協議してきめるということになると思います。
  89. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、たとえば、従来、沖繩から日本に渡ることを拒否された者が南連事務所にその手続を申請する場合に、南連事務所は民政府と協議をする、そして許可を得た者にのみ発給すると、そういうことになりますか。
  90. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) そういうことでございます。
  91. 岡田宗司

    岡田宗司君 そうすると、ただその場合は、発行する者が南連事務所にかわったということで、根本は従来と変わりないということでしょうか。
  92. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) その点は、その許可権自体は基本的にはやはり民政府が持っておる。しかし、それを許可した者のそれから先の行動については、日本国籍を持った日本人としてすべて日本政府が責任を持つと、こういうふうになりますので、これはまあ従来よりはだいぶ変わった形に出てくると思います。
  93. 岡田宗司

    岡田宗司君 しかし、たとえば出さないと、従来出さなかったからその者については出さないというような規定がされた場合には、従来と何ら変わりない、こういうことですか。
  94. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) その点はそういうことに相なります。
  95. 岡田宗司

    岡田宗司君 それから次に、こちらから向こうへ行く場合に、これはわれわれのほうから総理府を通じてこの身分証明書を申請いたしまして、ずいぶん努力をしてもらっても、理由を明示されずに出ない例がずいぶんある。たとえば、国会議員でも出ない例があるので、それでしばしば総理府にお伺いして、いろいろ交渉をしても結局だめだったというようなことがあるのですが、今後この点は緩和されるのかどうか。やはりこれは向こう側に一々問い合わせて、そうして向こう側で許可した者にのみ発給するということなんですか。
  96. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 許可権はやはり向こうが持っておるという原則に変わりはなかろうと思いますが、向こうさんの考え方も、できるだけ民生上の問題その他についてトラブルを少なくしていこう、それから、制約もなるべく少なくしていきたいという基本的な考え方を持っておるわけですが、最終的な決定権、許可権というものについては、これはやはり従来どおり向こうが持っておると言わざるを得ないと思います。
  97. 岡田宗司

    岡田宗司君 従来、私どもの党のほうからも沖繩に行きたいというので、いろいろ身分証明書の申請をしたわけですよ。結局おりなかった例が非常に多かったわけなんです。先ほど申し上げましたように、国会議員でさえ出ない場合がしばしばあったのですが、そういうことは今後少なくなるのかどうか、その点についての見通しですね、それはどういうものでしょう。
  98. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 国会議員等理由なしに断わるということはきわめてまれなケースであろうと、まあ、何か特殊の事情があった場合にやむを得なかったという例があったかもしれませんが、非常にまれじゃないか。それから、特殊のあれがないというふうに認められれば、できるだけそういった相互間の問題は円滑にしようというたてまえであることは間違いないと思います。まあ、個々のケースについてどういうことが起こりますか、それはそのときによろうかと思いますが。
  99. 森元治郎

    森元治郎君 その、国会議員で行けない人もときどきあるのですよね。あれはどういう理由なんでしょうかな。反米だとか、あるいはあまりひどいことをふだん言っておるような人であるのか、どんなものか知らぬけれども、だれも国会議員は平等であるべきだ、国会議員であると思うのだが、属人的に。
  100. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 国会議員の場合に拒否されるといいますか、許可が出ないという場合は、これはきわめてまれなケースじゃないか。ただ、いろいろな状況判断や、そのなにのために手続がおくれたりすることはちょいちょいあるようですが、実際国会議員を認めないという例は非常に少ないのじゃないかというふうに考えております。まあ、せんだって——去年ですか、たとえばあの赤松さんがおいでになるというときも、実は最後にはあのときは、これはちょっと速記はどうかと思いますが、ちょっと速記をとめてください。
  101. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  102. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 速記つけて。
  103. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 普通の事態でありますと、国会議員の渡航といったような問題はそう特別な制限をすることはきわめて少ないと思っております。したがいまして、今後もできるだけそういう点については事情を話して、そうしてそれが促進できるようにはかっていきたいと思っております。
  104. 岡田宗司

    岡田宗司君 次に、例の沖繩船舶の国旗掲揚の問題ですが、この前曾祢君からも御質問がありまして、外務大臣は努力をすると、こういうことでしたが、昨日の日米協議委員会で、アメリカ側が難色を示してその問題は将来に持ち越された、こういうことですね。これについてアメリカ側が公式にどういう理由から国旗掲揚に難色を示したのか、そのアメリカ側のあげておる理由ですね、私どもはいろいろ推測をしておりますけれどもアメリカ側が公式にどういう拒否の理由を持っているか、それは明らかにされたか、その点お伺いいたします。
  105. 安川莊

    政府委員(安川壯君) アメリカ側が同意いたしませんでしたおもな理由は二つあると思います。一つは、やはり船に国旗を立てます場合は、純法律的に申しますと、沖繩の住民が自分の家に旗を立てるというのと若干異なりまして、国際法上、国内法上の法律的な効力を持ちますので、その点について船に関する管轄権はアメリカ側が持っているという関係で、その点との関連でむずかしい、そういう純然たる法律的な立場がございます。それからもう一つは、一般に、沖繩の船が国旗を立ててないために、何と申しますか、無国籍扱いをされて、いろいろなことで拿捕されたり、保護上不備があるということがよく言われるわけでございますけれどもアメリカ側の言い分は、そんなことはないのだ、いま立てておるデルタ旗といいますか、これは成規の手続を経て関係国に周知させてあるし、その旗のために拿捕されるということはないはずだというのがもう一つの理由でございます。アメリカ側は、でございますから、その法律問題があるということと、それから保護にこと欠くという理由は、自分らのほうとしては納得しがたい、ただ、沖繩人も日本人であるので、日本国民として日本の旗が立てたいのだというその感情は十分理解できるけれども自分のほうとしては法律上の問題があるのだと、それから、保護にこと欠くという言い分は納得しがたいということのために、昨日の協議委員会では同意に至らなかったというのが実情でございます。
  106. 岡田宗司

    岡田宗司君 私ども納得できないのですが、日本側としてはこれに対してどういう反論をし、将来どういう理由をもって沖繩の船に日本の旗を掲げさせようと要求されるのか。
  107. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 先方の法律論に対しましては、日本側としても船に対する管轄権をこの際日本に取ろうというところまでは考えておらないわけでございます。その点をアメリカ側によく説明をしまして、いまのデルタ旗に日章旗が取ってかわるということでなくても必ずしもいいんだと、こちらとしては何らかの形で日章旗を事実上立てられるという方法はないか。たとえば、いまのデルタ旗と日章旗を併揚して、それを一本の標識にする、それを国際的に登録するという方法もあるんじゃないかという主張をしておるわけです。それによって法律的な問題は避け得るんではないかというのが一点でございます。それから、保護の問題につきましては、確かにアメリカ側の言っていることに全然理由がないわけではないんでございまして、ごく最近の例でも、実はインドネシアで沖繩の船が拿捕されたケースがございます。これがはたして旗が不明瞭であったからつかまったのかどうかということは問題でございますけれども、ごく最近の例では、ほとんど同じ時期に同じ地域で実は日章旗を掲げた日本の漁船が拿捕されておるわけでございます。で、こういうケースは、おそらく旗の問題というよりも、インドネシアは特殊の領海宣言みたいなものをしておりますので、旗の問題と関係なしに、領海侵犯だということで拿捕されたんではないかと思われるわけでございます。こういう例につきましては、アメリカ側の言い分も必ずしも理由がないわけではないと思うわけでございまして、したがいまして、日本側としましても、保護というようなことは別としましても、やはり日本国民としてぜひ日本の旗が立てたいんだという国民感情と申しますか、そういう点は強く昨日も長官あるいは外務大臣から指摘いたしました。その点でアメリカ側の再考を求めたわけでございまして、今後はそういうラインに沿いましてさらにアメリカ側と折衝していきたいと考えております。
  108. 岡田宗司

    岡田宗司君 いま、沖繩の船舶は、たとえば貿易等に従事して外国の港へ入っておるものがありますか。
  109. 安川莊

    政府委員(安川壯君) ちょっと隻数まではここに資料も持ち合わせておりませんが、主として漁船だと思いますけれども、場合によって貿易のために——これはずっと古い話でごさいますけれども、昭和三十二年に、やはりいまの旗の問題と関連いたしますけれども、琉球海運の船が、旗がなかったために基隆入港を拒否されたという新聞報道がございまして、それを私どものほうで当時調べたことがございますが、拒否されたという事実は必ずしも確認されませんで、その後台湾政府からわがほうに来ました報告によりますと、何か貿易関係に従事した船が基隆に入港いたしまして、何か荷物の積み込みその他をしたという例がございますから、隻数その他詳しいことはただいま御説明する資料はございませんけれども、単なる漁業以外にも、いわゆる貿易関係の船舶というものも現実に存在しておるものと了解しております。
  110. 岡田宗司

    岡田宗司君 沖繩におきましても、今後経済が発展すれば、単に日本との間の船の行き来だけでなくて、おそらく外国との間の貿易に従事する、あるいはいろいろな輸送をする必要が出てくる。そのときにD旗ではどうにもしようがない。そのために、その船が一体どこの国の保護を受けるのか、これははっきりきめておかなければならない。もし、今回の協議委員会できまったように、日本人が外国へ出た場合に日本政府出先機関の保護を受けるということになりますれば、そういう場合にも、これはアメリカの保護を受けるのではなくて日本の保護を受けるべきが当然である、こう考えるわけです。その際に、これはその船がD旗を掲げておるというのでは、これは困る。また、どこの国の港でもそういう船を入港させるようなことはないだろうと思います。したがって、そこらの点は、将来の問題もありますから、さらに日本旗を使うということを強く要求してもらいたいと思います。  それから次にもう一点、これはきのうの協議委員会で、民政府と琉球政府でつくった長期経済計画ですか、それについて聞いたと、こういうこと、それから、日本側でそれに対していろいろ経済援助をする腹のようですけれども、この長期計画ですね、これは日本参加しておらないわけですね。やはり今後日本が継続的に、かつ援助の量も増大していくと、そして沖繩の経済をレベル・アップしていって、そして生活水準も日本と同じにする、こういうことになっていきますというと、やはりこの計画日本も加わって、そして日本側でもそれを積極的に経済を発展さすための計画を推進するという態勢をとるために、この計画を、単に民政府とそれから琉球政府だけでなくて、日本も加わって、三者での計画にするということはできないのかどうか。日本側は、ただ向こうのつくったものを見て、援助してくれという要求があればそれを援助するというだけのことなのかどうか、その点はどうなのですか。
  111. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) まあ、従来で琉球も政府がいろいろ民政府相談いたします前には、実質上は日本政府とも内容的な打ち合わせはしておるわけですが、今度の場合は、内容がまだ正式に確認されたものでないというので発表はいたさないたてまえにしておりますが、実質上は、ある程度まで日本政府と琉球政府との間で打ち合わせもついておりますし、南連事務所もありますので、形式的に参画するという形になるかどうかは別として、御趣旨のようなことは、ある程度今後さらに推進はしていける、こう思っております。
  112. 岡田宗司

    岡田宗司君 最後に一言。これは、自民党の床次徳二君なんかは、例の基地の施政権を分離して施政権を返還しろ、こういう議論を立てておられ、自民党の中でもかなりの支持者がおる。ところが、佐藤総理、それからあなたも、それに対して消極的ないしは否定的な態度をとっておられるが、これらの点について実現の可能性、あるいは向こう側でそれを拒否しているようですが、それらの点について長官のお考えをひとつ。
  113. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 党あるいはその他の機関の一部でそういった問題も検討されていることは御指摘のとおりでございます。まあ、しかし、これにはいろいろな問題がからんでまいりますので、具体的に日程として政府がいまそれを取り上げて向こう側を打診するとか、あるいは折衝するというのには、まだだいぶ煮えてないという感じがいたしております。
  114. 曾禰益

    ○曾祢益君 一点だけ関連して。さっきの船舶の拿捕の問題ですけれども、安川局長、私の聞いたところでは、拿捕されたかどうかはっきり覚えていないけれどもインドネシアの陸地から狙撃されましたですね。そういう訴えがあったわけです。したがって、単なる推定でなくて、確かにそのケースと、それから、別の日本の船ですね、日本の国旗を掲げた日本の船が、大体同じころに同じようなインドネシアの近海で拿捕なりあるいはおどかされたということがあって、さらにこれを外交的に取り上げて、日本外交関係のほうで抗議等をした結果、その点については両国の主張はまだ食い違っておっても、要するに、デルタ旗ではどこだかわからないから撃ったのではなくて、インドネシア側に言わせると領海侵犯だ、それだから、両方とも狙撃なりあるいは拿捕したりしようとしたのだ、そういうことがはっきりしたのですよ。ただ、一方は、ぼくらのほうは、全日本海員組合を通して沖繩の海員組合のほうからの何とかしてくれという訴えがあったのですが、その点どうなんですか。
  115. 安川莊

    政府委員(安川壯君) 最初の、これは昭和三十七年だったと思いますが、第一球陽丸というのがインドネシア空軍から銃撃を受けて一名が死亡した事件がありました。これがはたして領海侵犯という理由から撃ったのか、あるいは旗がなかったから無国籍船として撃ったのか、この事実が実ははっきりいたしておらないわけでございます。ただ、これにつきましては、第一義的にはアメリカ側インドネシア政府と交渉しまして、補償その他の問題を交渉いたしまして、実はある程度インドネシア側が非を認めまして、補償の請求まで行ったのでございますけれども、その後米イ関係というのが悪化しましたので、この問題が、補償の支払いという問題がいまだにペンディングになっているというのが実情でございます。それから、先ほど申し上げました最近の例は、第八恵洋丸という船がつかまったわけでございます。これが、ほとんど同時期に同じ所でほかの日章旗を掲げておりました第十二芳丸というのですか、これがつかまったわけでございます。これにつきましても第一義的な保護権はアメリカ側が持っておりますので、アメリカ側インドネシア政府と交渉したわけでございますけれども、これと並行いたしまして、わがほうでも、現地の大使館からこの釈放方につきまして側面的にインドネシア政府と交渉いたしまして、この船は現実に釈放されておるというのが実情でございます。
  116. 曾禰益

    ○曾祢益君 その場合の向こうの言い分は、日本船の場合も琉球籍船の場合も領海侵犯だということですか。
  117. 安川莊

    政府委員(安川壯君) この場合は、要するに領海侵犯だということのようでございました。
  118. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言がなければ、本日は、本件に対する質疑はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時五十八分散会      —————・—————