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説明員(宮崎弘道君) 最初に、御
質問の順序と違いますが、本協定はすず価格の安定に寄与するかどうかということから御答弁させていただきます。
このすず協定のねらいといたしますところは、御承知のとおり、いわゆるバッファー・ストックというものを設けまして、すずの値段が非常に下がりました場合には、バッファー・ストックは買いに出るし、値段が上がりました場合には売りに出るということを骨子としておるわけでございます。そこで、このすず協定のねらいそのものは、すずの価格の安定ということを目標としておるわけでございます。ただ、
現状から申しますと、非常にすずの需給
関係が
世界的に逼迫いたしておりまして、すずの価格がこの協定で予見されております最高価格を上回っておる状況でございます。そこで、バッファー・ストックが実はからになっておるというのが実情でございます。実情を先に申し上げますと、そういうことになっておりますので、したがいまして、このすず協定が発効いたしましても、現在価格が上がっておりますすずが直ちに下がるというようなことは、残念ながら必ずしも期待できないということを申し上げざるを得ないわけでございます。ただ、今後の問題といたしますと、このすず協定のいろいろな機関の会合を通じまして、さらに、すずの生産の奨励であるとかあるいはその他の措置によりまして、協定の規定しております本来の機能を果たし得るような方向に持っていきたいというのがこの加盟国の実情でございます。そこで、そのようなことが行なわれまするように、あるいは場合によりましてすず理事会においてさらにそのほかの適切な措置をどういうふうにやったらいいかということを各国集まりまして協議いたしまして、そちらのほうに持っていくという趣旨でございますので、協定の現在の仕組みはそれをねらっておるわけでございますが、必ずしも、発効いたしますと直ちにすぐ翌日からこのようなすずの価格の安定に役立つということはいささか期待できないというのが実情でございます。
それから、このすずの需給状況でございますが、これはすず鉱石で申しますと、圧倒的に多いのがマレーシアでございます。このほかすずの輸出国といたしましては、タイでございますとかあるいは
インドネシアでございますとか、そういう国がございます。この三つの国がすず鉱石の供給国としては圧倒的な比重を占めておるわけでございます。
わが国のすずの鉱石の生産はきわめて微々たるものでございまして、これはほかの鉱石を産出しますときにあわせて出てくる
程度でございまして、すずにつきましては地金を含めましてほとんど輸入に依存しておるわけでございます。輸入につきましては、これはいま申し上げましたように、
国内の生産が非常に乏しいものでございますから、その輸入依存度はほとんど約九〇%くらいに達しておるわけでございます。つまり、地金の輸入が、昭和四十年の統計に見ますと、一万四千八百四十トン、輸入鉱石によります地金の生産が三百十八トン、輸入依存度は約九〇%に達しております。地金の輸入は八八%までがマレーシア、残りはこまかいところでございますが、
中共からも若干の量を買っております。しかし、輸入の約九〇%近くはマレーシアで買っております。
わが国に対する利益でございますが、先ほど申しましたように、この協定に加盟することになりまして直ちにすずの価格の安定が期待できないことは遺憾ながら事実でございますけれ
ども、長い目で見まして、すずの需給事情を改善していく、また、そのために
国際間で話し合いをいたしまして、どういうような方向でいくかということを論議する場合でも、
わが国が非常に大きな輸入国といたしまして出席いたしまして、
わが国の意向を反映させながらこのすず協定の運用をいたしまして、そういう問題につきまして、輸入国としての
日本の
立場も反映さしていくということは非常に必要なことでもございますし、また、
わが国にとりましても利益になるかと思います。
もう
一つは、いま御説明申し上げましたように、すずの輸出国はほとんど
アジアの諸国でございます。それで、これらの国との
関係も考慮いたしまして、この協定に入ることがそういう
意味から申しましても有益ではないかと
考えております。