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1966-04-27 第51回国会 参議院 外務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十七日(水曜日)    午前十一時九分開会     —————————————    委員異動  四月二十二日     辞任         補欠選任      田村賢作君      上原 正吉君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         木内 四郎君     理 事                 草葉 隆圓君                 長谷川 仁君                 増原 恵吉君                 森 元治郎君     委 員                 笹森 順造君                 杉原 荒太君                 高橋  衛君                 廣瀬 久忠君                 山本 利壽君                 岡田 宗司君                 佐多 忠隆君                 羽生 三七君                 大和 与一君                 黒柳  明君                 渋谷 邦彦君    国務大臣        外 務 大 臣  椎名悦三郎君    政府委員        外務政務次官   正示啓次郎君        外務省アジア局        長        小川平四郎君        外務省北米局長  安川  壯君        外務省条約局長  藤崎 萬里君        外務省国際連合        局長       星  文七君    事務局側        常任委員会専門        員        瓜生 復男君    説明員        外務省条約局外        務参事官     大和田 渉君     —————————————所得に対する租税及びある種の他の租税に関す  る二重課税回避のための日本国ドイツ連邦  共和国との間の協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出) ○第三次国際すず協定締結について承認を求め  るの件(内閣提出衆議院送付) ○国際情勢等に関する調査  (国際情勢に関する件)     —————————————
  2. 木内四郎

    委員長木内四郎君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。四月二十二日、田村賢作君が委員を辞任され、その補欠として上原正吉君が選任されました。     —————————————
  3. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。外務大臣
  4. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ただいま議題となりました、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  政府は、ドイツとの間の、所得に対する租税に関する二重課税回避のための協定締結につき、昭和三十六年五月以来ドイツ政府との間で交渉を行ないました結果、最終的合意に達し、昭和四十一年四月二十二日にボンにおいてドイツ駐在内田大使ドイツ外務省カルステンス次官及び大蔵省ファルク主税局長との問でこの協定署名を行なった次第であります。  この協定は、本文三十カ条から成っております。その内容は、わが国が従来ヨーロッパ諸国との間に締結しているこの種の租税条約とは、ほぼ同様でありますが、案文について、OECDモデル条約案規定をできるだけ採用することとしたため条文数が比較的多くなっております。協定内容のおもなるものは、次のとおりであります。すなわち、相手国内にある支店等恒久的施設を通じて事業を行なう場合の利得に対する相手国課税につきましては、これをその恒久的施設に帰属する部分に限るという方式によることとし、船舶航空機の運用から生ずる所得につきましては、相手国において全額免税としております。投資所得に対する源泉地国課税税率につきましては、配当では一五%、利子及び使用料ではそれぞれ一〇%をこえないものとしております。政府職員、百八十三日以内の短期滞在者、二年以内の短期滞在教授及び教員並びに学生及び事業修習者の受け取る報酬や手当等につきましては、滞在地国において課税されないこととしております。また、二重課税回避は、それぞれの国の税法の規定に基づき、日本においては外国税額控除方式により、ドイツにおいては、投資所得等一部の所得については外国税額控除方式、その他の所得については外国所得免税方式により行なうこととするとしております。  現在両国間の経済関係は、貿易、技術導入企業進出等の諸分野において緊密な関係を保っており、また、文化交流も盛んでありますが、この協定締結によりまして、両国間の二重課税防止制度を通じ、経済技術及び文化の面における交流が一そう促進されるものと期待されます。  よって、ここに、この協定締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、本件につきすみやかに御承認あらんことを希望いたします。
  5. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 補足説明を聴取いたします。大和田参事官
  6. 大和田渉

    説明員大和田渉君) ただいま提案説明のございました、所得に対する租税及びある種の他の租税に関する二重課税回避のための日本国ドイツ連邦共和国との間の協定について、補足説明を申し上げます。  わが国は従来アメリカ、イギリスをはじめといたしまして十四カ国との間に租税条約締結しておりますが、今回ドイツとの間に新たな協定を結ぶこととなったわけでございます。説明の便宜上、租税条約一般的な構成についてまず御説明申し上げたいと思います。  租税条約とは、一口に申しますと、同一所得に対して二つ以上の国で課税が行なわれるいわゆる国際的な二重課税を防止するために締結される条約であります。国際的な経済関係が密接になってまいりますと、個人法人も、自国においてのみならず、外国に進出して活動を行ない、あるいは投資をして、所得をあげるということになりますが、そのような場合、その個人法人は、自分の住んでいるいわゆる居住地国において、その全所得に対して課税されると同時に、外国であげた所得につきましては、その外国においても課税を受けることになります。ここにいわゆる国際的な二重課税が生ずるわけでございます。このような二重課税国際的な経済関係発展にとって悪い影響を与えるものであります。すなわち、企業外国に進出しようといたしましても、そこで高額な税金をその利益に対して課せられ、また、パテント等技術輸出をしようとしても、そこでロイアルティーに対して高額な税金を取られるというようなことになりますと、企業進出技術輸出等はちゅうちょされるということになるわけであります。  このような二重課税の場合には、居住地国所得源泉のある国のいずれかが課税をしないこととする、つまり、課税権を放棄すれば問題が解決するわけであります。そこで考え出された制度がいわゆる外国税額を控除する制度であり、これは自国居住者外国で納付した納税額は、自国税額から控除するというもので、大体これに似た制度各国においてそれぞれ国内法上とられております。したがって、国際的な二重課税は、各国国内法上の制度としてこのような控除制度をとることによって回避されるのでありますが、これでは、居住地国が、一方的に源泉地国に譲歩して、課税権を放棄するにとどまることとなりますので、さらに進んで相手国で取られる税金をできるだけ低いものにすべきであるという要求が当然出てくるわけでございます。  そこで租税条約交渉が始まりますと、相手国全額免除にしてくれなくても、少なくとも一般よりは軽減してくれという要請を満たすために双方とも、外国税額控除等制度条約相手国に対して約束すると同時に、源泉地国課税税率軽減免除交渉する、こういうことになります。この交渉の焦点は、当然のことながら両国経済関係の度合いとか態様により異なってまいります。つまり、資本や技術を輸出する投資国が、それらを輸入する受け入れ国租税交渉をする場合は、投資国側から受け入れ国側に対して、配当利子ロイアルティーに対して税率軽減ないし免除しろという主張をし、受け入れ国側は、税率軽減して投資外国技術を輸入したいにはしたいが、自国国庫収入源をも確保したいということで、税率はできるだけ高いところで妥協したい、こういうことになります。租税条約の中の配当利子ロイアルティ一等に対する源泉地国課税税率に関する規定はこのようにして設けられるわけであります。また、所得の種類によっては相手国では課税しないということになっているものもあり、そのような所得についての免税に関する規定租税条約中に設けられます。これらは、たとえば、相手国に半年以内くらいの短期間滞在する者の相手国での役務所得教授学生相手国に教育や研究で滞在中に本国から受け取る手当等、また、船舶航空機国際的運航により船舶会社航空会社が受け取る利得等でありまして、これらに対しましては、若干の条件がつくことはありますが、大体相手国では免税ということになっております。  国際的二重課税というのは、このように、居住地国課税源泉地国課税競合という形であらわれるのが最も多く、かつ、典型的なのでありますが、このほかにも、同じ個人法人二つ以上の国からそれぞれの国内法居住者とされたり内国法人とされたりする場合に、それらの国から同時に全世界所得に対して居住地国課税が行なわれるというような、いわば、居住地国課税権競合という形であらわれる場合、また、さらに、同一所得が、二つ以上の国において、それぞれの国内法自国源泉であるということとされて同時に源泉地国課税されるという、いわば源泉地国課税権競合という形であらわれる場合等がありますが、これらの場合には、条約上、相手国との合意により、どちらの居住者となるかとか、どちらの国の源泉であるかというような規定を設けておけばよいような性質の問題でありまして、いわば定義上の問題であるということができると思います。  租税条約一般的な構成ないしその締結の意義は大体以上のとおりであります。  今回御承認を願っておりますドイツとの協定も、概して言えば以上御説明いたしましたような構成を持っておりますが、おもな事項に関する内容ないし特色を簡単に申し上げます。  日独租税協定一般的租税条約でありますが、協定対象とされる租税については、昨年発効いたしましたフランスとの租税条約等と同じく所得に対する租税である国税のほか、地方税協定対象となっており、カナダ等それ以前の条約より対象が広がっております。これは、OECDモデル条約において国税地方税をともに条約対象として含めていることにならったもので、わが国としては、事業税及び住民税並びに船舶及び航空機について課される固定資産税がこれに当たります。このように、今回の協定におきましては、住民税均等割り部分、及び固定資産税という所得に対する租税とは言い切れない部分も入っておりますので、協定の表題におきましてこれらが含まれていることを明らかにするため「ある種の他の租税」という字句を入れてあります。定義条項が第三条及び第四条にありますが、ここでは、「一方の締約国居住者」の定義を置き、いわゆる二重居住者については、双方合意によりその者の居住地国を決定して、この協定適用を受けさせることとし、従来のわが国租税条約双方の国の居住者適用対象としなかったことに比べ一歩進んだ方式をとっており、恒久的施設定義も最近のわが国条約例同様OECDモデル条約における恒久的施設定義規定を採用しております。企業利得計算方法や海運、航空所得相互免除規定は、他の租税条約例OECDモデル条約と同様であります。投資所得源泉地国課税税率については、配当は一五%、利子ロイアルティーは一〇%をこえないものとしております。なお、親子会社間の配当につきましては、配当所得及び留保所得に関する両国税率が大幅に異なることを考慮して、日本側は一〇%、ドイツ側は二五%をこえない税を課することができることとしております。このほか、政府職員短期滞在者教授学生相手国免税を許与される旨の規定が置かれていることや、その規定ぶりは、すべて、ほぼ従来の条約先例OECDモデル条約と同様であります。また、二重課税回避のための方法に関する規定として、この協定においては、日本側外国税額控除方式によること、ドイツ側は、投資所得源泉課税については外国税額控除、その他の所得については外国所得免税方式によることとされています。両国の権限のある当局間の協議情報交換規定租税上の内国民待遇規定も、他の租税条約と同様であります。この日独租税協定では、OECDモデル条約に可能な限り忠実に沿ったことから、若干条文の数も多くなっておりますが、条文の数が若干多くなっていることには、ドイツ連邦共和国の特殊な事情によるものも一、二あります。すなわち、ドイツ(州、地方公共団体を含む。)は、第二次大戦中に行なわれた敵対行為または政治的迫害の結果受けた傷害または損害に対して年金等を支払っておりますが、これについては日本国租税免除することを第十九条第六項で定めております。また、ベルリン地区につきましては、米英仏三国の管理が及んでいる結果、ドイツ締結しまたは制定する条約または法律は、当然には同地区適用されないこととなっているため、協定第二十八条におきまして、ドイツ協定発効の日から三カ月以内に日本に対して反対の宣言を行なわない限り、この協定ベルリン地区適用すると規定し、ドイツがこの協定ベルリン地区適用されるのに必要な諸手続を行なう時間的余裕を与えるようにしております。この規定は、ドイツが結んでいるすべての条約に挿入されているいわゆるベルリン条項といわれるものでありまして、ベルリン地区を含ませることが必要な条約等において必ず設けられるものであります。  以上、簡単でございましたが、補足説明を終わります。
  7. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 以上をもちまして説明は終了いたしました。本件に対する自後の審議は後、日に譲ることとといたします。     —————————————
  8. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 第三次国際すず協定締結について承認を求めるの件を議題とし、これより質疑を行ないます。質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  9. 森元治郎

    森元治郎君 いま政府委員から日独二重課税説明があったが、簡単でございましたが以上で終わります——簡単じゃない。長過ぎるから、これは印刷して要点を。いつも外務省からもらう書類を見ると、ありったけの知識をさらけ出して書くのだが、新聞記者が書くように要点をぴしっと書いて、国際間の税金の問題なんてほんとうにむずかしいですよ、正直言って。ほんとうに理解するといったら該博な知識がなければならぬ、経験がなければならぬ。だから、要点をよくひとつまとめてお出しを願えば審議が早いと思うんですね。  そこで、委員会審議の進行にも関係ありますから、すずをちょっと伺っておきます。協定目的とかあるいは改定の要点だとか、日本関係とか、三、四項目で五、六分でぴしゃっとひとつ明快な説明をしてください。できますよ、そんなもの、要点というものは。
  10. 大和田渉

    説明員大和田渉君) それでは、第三次国際すず協定要点を申し上げます。この協定は、第二次協定がことしの六月三十日有効期限が切れますので、それを更新するものとして、五年間の有効期間を持っておりますが、昨年三月、四月にかけてニューヨークで行なわれました国連すず会議で採択された条約案でございます。日本は、署名開放期間中である昨年の十二月二十三日にこれに署名しております。この協定仕組み目的は、第二次協定内容をほぼ踏襲しております。ただ、第二次協定と変わっております点が、おもな点が三点ほどございますので、その点を御説明申し上げます。  第一点は、すず協定には消費国、あるいは生産国として加入しているわけでございますが、いずれの国も、第二次協定は、最初に生産国として加入した国は引き続き最後まで生産国、もしくは、消費国として加入した国は引き続き最後まで消費国であったわけでございますが、第三次協定では、この有効期間中に消費国から生産国に、あるいは生産国から消費国に移り得る規定を設けております。このことは、具体的には、オーストラリアが消費国として加入する予定になっておりますが、この有効期間中に、将来生産国に変わるかもしれないということを考慮して設けられた規定でございます。  それから、改正のおもな点の第二点は、このすず協定目的は、すず国際価格を安定させ、それによって安定した価格の上ですずの取引をより活発に行なう、それに伴なって生産をふやそうというような一般的な目的を持っておりますが、その仕組みといたしまして緩衝在庫制度というものを持っております。これは、すず現物あるいはそれに見合う現金としてすずの二万トン分を生産国が拠出しまして、それを緩衝在庫にいたしまして、値段の上がり下がりに応じて在庫を操作いたしまして安定に寄与するというような仕組みにいたしておりますが、第二次協定におきましては、その現物現金割合が合計二万トンで同じでございますが、現物が一万二千五百トン、それから七千五百トン分の現物に見合う現金というような割合で拠出することになっておりましたが、第三次協定におきましては、現物現金割合については何らきめず、ただ二万トン分のすずの額に見合う分というだけをきめております。この内容の、現物をどのくらいの割合にするか、現金をどうするかという点については、この協定が発効いたしまして、理事会できめるということになっております。  それで、第二次協定と違います点の三番目の点は、非商業的在庫  政府備蓄でございますが、この放出に関する規定がございますが、それが第二次協定ではかなり厳重な規定が設けられておりまして、たとえば、六カ月の予告をもって公表する、その分量あるいは放出方法等についても六カ月前に公示しなければならないという規定がございましたが、第三次協定におきましては、事前に理事会協議をするということだけで、あらかじめ六カ月も前から公表する云々という規定がなくなったわけで、かなり非商業的在庫放出については規定が緩和されておるというような結果になっております。  以上であります。
  11. 杉原荒太

    杉原荒太君 さっき森さんも言われたが、きょうは質問じゃない、希望を言っておくけれども、二重課税問題で、ここにどんなことが書いてあるかということは読めばわかるのだから、われわれは、これをつくった結果、つくらない場合と実際上どう違うかというようなことだけ端的に説明してもらいたいのだ。税金なら税金を取られるほうと取るほう、実際上の結果が税収の上でどう違うかということなど、そういうことなどを説明してもらいたいんです。これはこの次のあれだが、いまから希望を表明しておきます。
  12. 森元治郎

    森元治郎君 閣議に報告するように、大臣は頭がざっぱくなんだから、損か得かということを、そんなことをすぱっと言ってくれればいい。
  13. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に御発言がなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  14. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 次に、国際情勢等に関する調査議題にいたします。  これより、当面の国際情勢について質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。
  15. 羽生三七

    羽生三七君 先日、参議院の内閣委員会で、外相は十八カ国軍縮委員会への参加希望することを表明されて、アメリカあるいはソ連等にも協力を求める、こういう態度を示されたわけでありますが、もちろん、私どもも原則的には賛成であります。特に、国連がいろいろ批判されておる際、正しい意味の国連発展をさして、その中で軍縮問題を真剣に討議することは、これは重要なことでありますから、そういうことにはもちろん異存がないのみならず、賛成でありますが、そこでその場合に、十八カ国委員会ソ連アメリカ等、これが中心になって認めれば、これで参加がきまるのか、あるいは最終的には国連総会で決定すべきことなのか。もちろん、最終的には国連総会で決定すべきことだと思いますけれども、一応十八カ国軍縮委員会で了承が得られれば、最終的には国連総会の議を経なければならないにしても、何らかの形で一応の参加という形をとり得るのか、その辺はどうなんでありますか。
  16. 星文七

    政府委員星文七君) 私ども了解している範囲では、まず、ともかく十八カ国軍縮委員会共同議長国であるアメリカソ連了解ということが先決問題であろうと思います。その上で了解ができれば、おそらく十八カ国委員会の場でのやはり合意といいますか、賛成というものがなければならない。その後にいわゆる国連総会ということで承認してもらうというのが手はずであろうかと思っております。
  17. 羽生三七

    羽生三七君 それはわかっているんですが、秋の国連総会で決定を見るまでは、十八カ国委員会承認されても、それは一応承認されたというだけで、実質上の参加ということにはならないのか、その間でも参加して発言機会があるのかどうか、その辺。
  18. 星文七

    政府委員星文七君) 先ほど申し上げましたような手続によりますと、やはり正式参加というものは国連総会の決議を待たなければならぬということで、おそらくそれ以前には正式に十八カ国委員会参加するということはあり得ないのではないかというふうに考えております。
  19. 羽生三七

    羽生三七君 この問題は従来の経緯を見ると、御承知のように、あのときはソ連日本中立国と認めないことによって参加ができなかったわけですね。そこで、今度もし米ソ両国合意が得られて、さらに十八カ国加盟国みなが承認をして参加するようなことになる場合に、それは日本はどういう立場から承認を得る可能性があるのか。あるいは西側代表と見られるのか、中立国代表と見られるのか。あるいはもし西側代表と見られるならば、バランスをとるために、東側からも他の国を選ぶということもあるし、その辺は日本自身としてはどういう立場で臨んでおられるのか。
  20. 星文七

    政府委員星文七君) 全くの想像でございますけれども、まあ、西側の一員として入ると、そうしますと、いま御指摘のとおり、東側もふやさなければならぬ、あるいは場合によっては非同盟諸国もまたふやさなくちゃならないという事態になりかねないのではないかというふうに想像しております。
  21. 羽生三七

    羽生三七君 それで私は先ほども、十八カ国軍縮委員会参加することには賛成だし、それからまた大事だと申しましたが、それは内容自体によりけりで、どうも日本西欧陣営に属しておると——前々から言っておるから、それに違いないけれども、明らかにそういう形を表明されて参加を求められるのはどうかとも思いますし、特に、これがやはり将来十八カ国軍縮委員会核拡散防止条約等を取り上げたり、さらにもっと発展しては、核の本質的な問題にまで発展する場合、核のみならず、軍縮まで——そうすると、世界軍縮会議参加にも関連をして、私はなかなかこれは重要な問題だと思うんです。そこで西側中立かということは、ここで議論しても始まらない問題で、いずれどういう立場がいいかということはゆっくり機会を見て申し上げたいと思っておりますが、その場合、日本としてはたとえば十八カ国軍縮委員会に臨もうというのに、私はこの前もちょっと申し上げたと思いますが、ただ、日本も仲間に入れてくれよというだけではこれはおかしな話で、何らかの構想があって、あるいは軍縮に対する一応の考え方を持っておって、それを反映させるために参加をしたいということでないと、ただ日本も大国になったんだから仲間に入っておかなければというようなことではならないし、また、そんなことでもないと思う、政府の考え方は。そうなると、核拡散防止条約等についてどういう態度で臨むのか、あるいは前に下田発言に見られたように、核保有国、特に大国の核の漸減を義務づけるように何らかの試案を持っておるのか。そういう基本的な問題をある程度考えた上で軍縮委員会への参加を求められておるのか。そうでないと、何が何でもとにかくちょっと入ってみるのだということでは、どうにも私たち了承ができない気がするのですが、一応の構想というものがあってしかるべきだと思うのですね。しかも、それが当面の問題になってくるのじゃないですか。だから、ソ連なりアメリカの協力を求めたと言われるのですが、求めるについては、入る、少なくとも秋の国連総会承認を目ざしていくというわけですから、その間十八カ国軍縮委員会がかりに事前に承認をして、場合によってはオブザーバーとして発言機会がないとも限らないと思う。その場合に、何の抱負、構想もなしに、ただ参加するということだけではおかしいと思う。
  22. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) もとより、ただ通り一ぺんの資格を得るために参加希望しておるわけではございません。こまかいことを言うまでもなく、軍縮、特に核軍縮の問題については、これは日本といたしましては、事実によって日本の決意を示しておるというような状況でありまして、ただ漫然と入るというのではもちろんないのであります。しかし、加入手続する以上、加入の理由は何だというようなことはないのであります。
  23. 羽生三七

    羽生三七君 もちろん、それはないけれども、おまえの国が加入するのはどういう理由に基づくかと聞くようなばかなことはありっこないので、問題は、望む以上は日本は何らかの構想を持つべきじゃないか。そのあらましを、核拡散防止等に関連をする日本軍縮委員会参加する希望の基本をなす考え方、これをひとつ承っておきたい。こまかいことはいいですよ。
  24. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まず、核実験、部分的実験禁止条約、これに日本は加入しておりまして、何がその理由であったかということは、言うまでもなく、拡散防止の意味においても、これ以上実験を継続するということはよろしくない。進んで地下実験に対しましても探知クラブの一員として十分に貢献し得るという確信を持ってその意思を表明しておることは、御承知のとおりでございます。それから、拡散防止の問題につきましては、これは能力があるとかないとかというようなことについて議論がございましたが、世界のどの方面の意見を聞いても、日本は今日においては核開発の能力ありという判定でございます。日本もまたやろうと思えば、相当の費用はかかりますが、能力としては日本は持っているという自信を持ってしかるべきものと考えますが、しかし、それにもかかわらずこれは開発しない、それから、開発しておる国からの譲り受けも受けない、とにかく持たない、こういうたてまえをとっておるわけでありますが、日本と同じように、能力があってまだ開発をしないという国はある。これらの国国の意見としては、持っているところはそのまま認めて、そうしてまだ持たない国だけに一方的に義務を課するということは適当でない。そういう形式論は別問題として、いずれにしても、核軍縮という、そうして最後にはこれを完全軍縮という目標を持ってこの問題に核所有国も臨むべきであるという議論がほとんど定論になっておるのでありまして、そういう意味でこの拡散防止条約締結するにあたっては、持たない国、持っておる国、それぞれやはりみずから自粛自制をして、そうして核を含む軍備の完全廃止、そういう理想に向かう姿勢をとるべきである、こういう考え方を日本は持っております。条約に具体的にどういうふうに文句を入れるか、それともこれと離れた適当な方法によってこの問題を明確にしていくか、その方法については必ずしもただいまきまっているわけじゃありませんけれども、核拡散防止については、少なくとも当面の問題としてこれは重要なものであり、日本といたしましては、以上申し上げたような考え方を持ってこの問題に臨みたいと考えておる次第であります。
  25. 羽生三七

    羽生三七君 ある程度わかりましたけれども、ただ条約が、条約協定かこの拡散の方法、それができちまってそれが賛成か反対かというようなことになってきた場合の論議というものは、それなりに重要なことに違いないけれども、その前に、日本の意見が反映するかどうかということに比べれば、あまり意味のないことになってしまうと思うのです。ですから、その辺の見通しは、これは国連局長でもいいのですが、どうなんですか。近いうちに協定ができ上がりそうなのか、それはまだしばらく先で、日本参加してから——かりに参加を認められた場合でも発言できるような情勢にあるのかどうか、その辺の見通しはどうですか。
  26. 星文七

    政府委員星文七君) 拡散防止条約の原案につきまして米国案、ソ連案というものが二つ出されているということは御存じのとおりでありまして、ただいまジュネーブの軍縮委員会は主としてこの拡散防止の問題に主力を置いて審議を進めておりますけれども、私たちの得ている情報によりますれば、やはり西ドイツの核への接近といいますか、あるいは欧州のMLF、ANF、そういった構想に対するアメリカソ連との態度の相違という点が、やはりこの条約合意の障害になっているのじゃないか。そういう意味からいいますと、ちょっと近いうちに合意を見るということがないかのように思えるわけでございます。
  27. 羽生三七

    羽生三七君 もう一つですが、いまの外務大臣のお話の中には特に触れられていなかったけれども、そういった、いま述べられたような基本路線に沿って、大国の、核保有国の核の漸減——一定期限をつけての漸減を義務づけるような方向を日本としては指向しておるのかどうか、考えておるのかどうか。その辺はどうですか。
  28. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) その問題、概括的な考え方は、申し上げたとおりでありますが、これを技術的にどういうふうに取り扱っていくか。すなわち、条約内容にこれを盛り込むにしても、どういう表現にするかといったような、そういう技術的の問題については、まだ実は成案を得ておりません。
  29. 羽生三七

    羽生三七君 技術的でなくてもいいですよ。考え方としてはそういうことでいいんですか。
  30. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 考え方としては、先ほど申し上げたような考え方をいたしております。
  31. 森元治郎

    森元治郎君 大臣、この十八カ国の軍縮会議を見ていて感ずることは、相当勉強したつもりだが、私の得ておる結論は、せめて地下実験の禁止協定をこの十八カ国軍縮委員会でまとめられれば最大の目標は達成できるのじゃないか。持たない国の安全保障をどうするかというようなことを議論したら、とてもこれは、東西の立場も違うし、むずかしい問題です。さしづめやれそうなのは、実験禁止協定、地下の。これが中国にも影響を与え、軍縮作業が進展する。こういう点、日本は強く主張すべきだと思うんですが、どうですか。
  32. 羽生三七

    羽生三七君 核探知クラブヘの参加もその辺が関連しておるのじゃないか。
  33. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 御指摘のとおり、そういう考え方を持って、そういう方向に進みつつある状況です。
  34. 森元治郎

    森元治郎君 だれが進みつつあるのですか。政府が進んでいるのですか。よその国がそっちへ向いているのか。だれが——主格のない話でわからないが、日本はそれを強く主張する絶好のチャンスだと思うので、地下実験禁止……。
  35. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 探知クラブの結成は五月の二十三日になっております。日本はこれに加入する——出席する所存でございます。
  36. 森元治郎

    森元治郎君 日本は探知クラブなんというクラブへ行って、人がやっているようなことを隣の部屋で音を聞いているようなかっこうじゃ、政治じゃないんだよ。それで探知ができて、あっさりわかるなら、松代地震でもみんな片づいてしまう。国会で松代地震のことをやる必要もない。だから、地下核実験禁止をやれ十八カ国は、せめてこれをもって、来たるべき総会に十八カ国委員会の結果はこれですということを出すことが一番大事。そっちのほうに日本政府は声を大にして米、ソ、イギリスに呼びかけるべきだ。その御決意があるかどうか、やっているかどうかということです。
  37. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) ですから、十八カ国軍縮委員会に加入する切なる希望は持っておりますが、なかなか……
  38. 森元治郎

    森元治郎君 入らなくてもいいですよ。
  39. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 入らなくても、そういう声を出すということについては、すでにそういう声を出しているのですから……
  40. 森元治郎

    森元治郎君 聞こえないです。
  41. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 聞こえないですか。聞こえるような声を出します。
  42. 森元治郎

    森元治郎君 何でそれが聞こえないかといいますと、いま政府のほうから放送されているのは、核を持たない国が、あぶなくてしかたがないが一体どうしてくれるのだ、こういう議論もはっきり新聞に出るから、私は、政治家としてそっちをおやりなさいということを鞭撻して言ったわけです。  そこで、もう一つ関連して、国連には決議というものがありますね。国連決議についての取り扱いについて伺いたいのだが、核拡散についての国連の決議、昨年のたぶん十一月二十九日の国連決議だと思う。そのときには、非核武装の宣言の、非核武装地帯のものもあったし、それから、中共も入れた世界軍縮会議をやれという決議も圧倒的多数できまっている。これを再び声を大にするということを国連ではやらないのかどうか。なぜそういうことを聞くかというと、中共の侵略国だという決議は、年じゅう——第五総会だったと思うが、国連は、侵略の決議は、絶えず再確認のような構想がアメリカその他から出ているが、大事な核実験禁止、十八カ国軍縮、非核武装、それから世界軍縮会議、この決議案というのは、しっぱなしではこれは相すまないと思うのです、反対が少ないのですから。棄権はあるけれども、反対がほとんどないのだから。決議の取り扱いに対する日本の態度はどうなんですか。決議の実行を迫るということがなければ、何の意味もないと思うのだ、決議は。
  43. 星文七

    政府委員星文七君) 御指摘のとおり、昨年の二十総会では、まず第一委員会で拡散防止に関する決議案があり、それから御指摘の世界軍縮会議の決議案、それから全面核実験禁止の条約、それからまた一般完全軍縮についての決議というものが行なわれておりますし、この拡散防止条約と、それから全面核停条約、この二つについての決議案は、それぞれ十八カ国委員会の注意を喚起して、非常にこれは緊急を要する議題であるということで、一応十八カ国委員会のほうに譲った形になっております。それから世界軍縮会議のほうは、御承知かと思いますが、コンサルテーションといいますか、協議を、必要な協議をすべての国と行なうということを決議に書いてございますが、現在のところ、一向そういった非公式な協議というものが行なわれているという情報には接しており、ません。昨年の総会の決議の状況は、そういうようなものです。
  44. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 いまあげられた軍縮に関する国連の諸決議、それを資料としてひとつ出していただきたいと思います。
  45. 星文七

    政府委員星文七君) 英文でよろしゅうございますか。
  46. 森元治郎

    森元治郎君 日本文。
  47. 星文七

    政府委員星文七君) はい、日本文。
  48. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 それから、先ほど大臣は、拡散防止の問題について、大国——核保有国に対しても一定の義務、制約を負わすような主張を日本は主張しているのだと、それを一体どういうふうにあらわすかというような問題は、技術的な問題でいま考えていないというようなお話であったのですけれども、もうすでに拡散防止条約の案は、ソ連でも、アメリカでも、りっぱなものができ上がっている、向こうでは。したがって、それに対してさらに日本の意向をどう反映するかということを反映させるためには、それを具体的にどういう手続によってどういう文言で示すかという具体的な案まで持っていなければ、少しも強い主張にならないと思うのですが、その点は大臣、どういうふうにお考えになっていますか。
  49. 羽生三七

    羽生三七君 ついでにいまの佐多さんのことに関連して、その場合、いま佐多さんの言われたような問題を、何らか、たとえば軍縮委員会参加できればいいけれども、その前にそういうことが起これば、具体的に文書にして提示するとか、あるいは何らかの外交機関を通じて口頭で申し入れをするとか、そういう具体的な動きがないと、いまの御答弁が非常に実のないものになってしまうので、佐多さんそれを言っておると思う。
  50. 星文七

    政府委員星文七君) 確かに、いま先生おっしゃったとおりであると思いますが、何ぶんソ連アメリカの案が提出されておりますけれども、いまだ逐条審議には入っていないというふうな段階にございますし、わが国といたしましても、拡散防止については昨年の国連の全メンバーからなる軍縮委員会において、また、外務大臣も昨年の二十回総会でわが国一般的な態度を表明しているという状況でございまして、いま格別にいろいろな問題を取り上げて、文書なりあるいはほかの形によって十八カ国軍縮委員会に訴えるということは、当面事務的には考えておりません。
  51. 羽生三七

    羽生三七君 どうやって反映させるの、意向を。具体的にはどうして反映させるのですか。入れるのならいいですよ、それまでに問に合うならば。
  52. 星文七

    政府委員星文七君) まあ、具体的には、私は、はなはだテンポがのろいと言われるかもしれませんが、今度の二十一回総会、そういうところで十分表明する機会があるのではないかというふうに考えております。
  53. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 地下核実験探知クラブですね、これに日本が入るというお話でしたが、このストックホルム会議に日本参加するその代表の資格は、どういうことなのでしょうか。これは正式の政府代表でないと聞いているのですが、その点はどういう資格ですか。
  54. 星文七

    政府委員星文七君) 今度の五月二十三日から二十七日まで行なわれますストックホルムの会議は、専門家の会議——エキスパートの会議ということになっておりまして、この外交的代表、ディプロマティック・リプリゼンテーションに対してもオブジェクションはないということになっておりますので、今度出席いたします者は、技術者というふうな資格で参加するわけでございまして、日本政府代表というかっこうでは参加しないというたてまえになっております。
  55. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この会議は単に技術的な問題の探究だけなのか、あるいはこの会議を核実験の全面的禁止へ持っていく予備段階としての会議なのか、その性格はどういうことなのですか。
  56. 星文七

    政府委員星文七君) 性格は、いま申されるように、私は全面核停条約ということを目標にして、こういうことを、会議を開いていくのだろうというふうに、スウェーデンの従来の国連総会における演説等から見て、そういうことが言、えるのじゃないかと思いますが、御承知のように、スウェーデンは中立国として非常にその立場に慎重を期しておりますので、今度の会議はもっぱら技術的な意見の交換ということに限っているようであります。
  57. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 この会議において、もし地下核実験というものの探知がかなり精度が高くできる、一〇〇%とまでいかないでも、九〇%とか九五%とかいうような程度でできる、こういうことになりますというと、全面的核実験停止を進める上に非常に有力な武器に、てこになると思うのです。そういうような結果が得られたときに、一体この会議に参加した国々、つまり核実験探知クラブに参加した国々は、全面的核実験停止を実現させるために国連総会に対して何らかの提議をするようになるかどうか、また、日本政府としてはそれをそこまで持っていくための積極的な態度をもって臨むのか、ただおつき合い程度で入るというのか、その点はどうお考えになっておりますか。
  58. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) 技術者の会議ということになっておりますが、もちろん、政府との打ち合わせに基づいて出かけるわけでございまして、日本の地震探知の技術は非常に進んでおることは世界でも認めております。で、この専門家会議の結論をどういう方法でこれを政治的な舞台に乗せるかというその問題については、今後十分に申し合わせ、協議をしてきまることであると考えますが、いずれにいたしましても、これはただ技術家を満足させるための会議ではない。日本といたしましても、そういう期待を持っておる次第でございます。
  59. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もしそういう期待を持ってこの会議に参加するならば、それを望む日本政府の態度というものはもっと明らかでなければならぬと思うのです。すなわち、この会議が成果をあげるならば、その成果をもって直ちに全面的な核実験停止を実現するように、ソ連なりあるいはアメリカなり他の国に対して働きかけるということが必要だし、また、そういう態度をもって臨むならば、初めて私はこの会議においても大きな発言権を持つし、また、今後この会議に参加したものが世界的に発言権を持ち得ることになると思うのです。ただ技術的な問題について日本はすぐれた技術を持っているから勧誘されたから参加したのだ、あとのことはそれから考えるのだということでは、私はあまりに消極的じゃないかと思うのですが、どうでしょうか、その点は。
  60. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) この会議の討議それ自体はきわめて専門的なものであります。その成果については、日本としては十分にこれを活用したいと、こう考えております。
  61. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 それから、先ほどのお話では、私あるいは聞き違いかもしれないけれども、外交関係の人々の出席もできるということに……そうですね。
  62. 星文七

    政府委員星文七君) そうです。
  63. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 ディプロマティック・リプリゼンテーションは向こうができるという招請出したのですね。それに、なぜ日本はその方法をとらないで、そうして単なる技術専門家の派遣という形をとったのですか。これはやはり私は日本の態度が消極的じゃないかと思うのです。その点いかがですか。
  64. 星文七

    政府委員星文七君) 主催国のスウェーデンから日本あてに参りました勧誘の手紙の中に、今度の会議はサイエンティフィック・エンド・テクニカル・キャラクターであるということをはっきり述べておりまして、そういう性質上、ここに代表する人々は遠距離地震学とそれから地震の材料についての処理についてのエキスパートであるということが望ましい。で、そういったエキスパート以外のディプロマティック・リプリゼンテーションということに対してはオブジェクションがございませんという書き方にしてございますので、その要望に従ってわれわれはそういうふうに処理した次第でございます。
  65. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 もちろん、これは専門家の会議ですから、そういう人を出すことも必要でしょうけれども、それと同時に、この会議の性質から見て、スウェーデン政府があげておりますように、このディプロマルティック・リプリゼンテーションということも、私は積極的なその態度を表明するものとして、さらにそれを進めるものとして必要じゃなかったかと思うのですが、その点どうお考えですか。
  66. 星文七

    政府委員星文七君) したがいまして、外務省からもディプロマティック・リプリゼンテーションという名目で国連局の科学課長が出席することにしております。こういったエキスパートの会議でありますけれども、ねらいは先ほど御指摘のとおりだと思います。そういう点を十分外務省としても観察をしていきたい、こういうように考えております。
  67. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 次に、これは別の問題ですが、過日アメリカの上院でマンスフィールド議員がベトナムの和平問題について発言をして、その後アメリカ政府から日本のほうにも何らかの申し入れがあったように伝えられておる。過日の委員会で私が質問をいたしましたところが、まだそういうものはなかった、こういうお話でしたけれども、その後の新聞で見ますというと、たとえばけさの新聞で見ますというと、向こう側で——アメリカのほうで、日本とインドは賛意を表明して努力するということだという発表があったのですが、その申し入れがあったかどうか。それからその申し入ればどういう趣旨のものであったか。それに対する日本政府としてそれにどういう答えをしたのか。その点御説明願いたい。
  68. 安川壯

    政府委員(安川壯君) アメリカ政府からこのマンスフィールド提案につきまして正式の申し入れというようなものはございません。ただ、わがほうの現地の大使館では、国務省との間に、これはベトナム問題につきましても常時連絡しておりますし、いろいろ意見の交換、情報の交換をいたしております。そういう接触を通じまして、ただ感触といたしましては、現在アメリカ政府としましては、このマンスフィールド提案にありますように、日本かビルマがいわゆる平和会議を提唱してきたらこれに応じてそれが何らかの成果をあげるというふうには感じておらないようでございます。しかし、もしそういう機運が将来出るならば、日本あるいはビルマがイニシアチブをとっていくことが望ましい、こういう感じを持っておるようでございます。したがって、いますぐに日本なりビルマがこういう会議を提唱しても、これがものになるというふうには思っておらないようでございます。したがいまして、現在アメリカ側から、この際日本がひとつイニシアチブをとってほしいというような申し入れがあるような情勢にはないと判断しております。
  69. 岡田宗司

    ○岡田宗司君 そういたしますと、新聞で、向こうでもって、日本も喜んで応ずるというような発表をしておるのは、正式の申し入れに対する正式の回答を受け取ったからではなくて、アメリカの国務省とワシントン駐在の日本大使との話の間からアメリカ側がそういう印象を受けた、そうしてその申し入れにも、それからなおその回答にも、何ら具体的なものは含まれておらない、時期についても、あるいはどういう呼びかけ方をする、どういう国に呼びかけるか、場所をどこにするか、そういうことについては何ら具体的なものは含まれておらない、そう解釈してよろしいですか。
  70. 安川壯

    政府委員(安川壯君) そういう趣旨の申し入れというものは全然ございませんし、したがいまして、そういう公式にしろ、非公式にせよ、向こうの申し入れにこちらは答えたという事実はございません。あくまで両方の感じ合い方がそのまま新聞に出たのではないかというふうに想像いたします。
  71. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ベトナム問題の平和的な解決のために、外務大臣ソ連に行かれてソ連にそれを話し合われたようですが、同時に、ソ連なり中国に言わせれば、日本はわれわれにそういうものを話するのでなくて、アメリカにもう少し話し合いを積極的にやったらどうだとしっペい返しを食っているようですが、アメリカに対しては平和的な解決のためにどういうふうな話し合い、どういう勧告をしておられるのですか。
  72. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) とにかく一日も早く平和的解決を望むということについては、しばしばアメリカにその日本政府の考え方を表明しております。これに対してアメリカは、北側が武器を置くならばいつでもアメリカは停戦をする、そして話し合いに入る用意があるということをしばしば言っておるわけであります。これに対して北越の反応がない、そういうところに問題がかかっておるのでありますから、この前ソ連に参りましたときでも、その状況を説明して、そしてどの立場からいってもあれが平和になることは望ましいことだと思う、ごく特殊の国があるかもしらぬけれどもソ連としてはおそらく平和——和平収拾ということを望んでおられるだろう、ついては北ベトナムに対する影響力を活用して、そしてそういう意思を起こさせるようにしてもらえないか、日本としてはとにかく非常に近いところに位置しておって、政治的にも経済的にも非常に直接の影響というものを受けておるのであるから、日本の自主的な立場においてこのことをソ連にお願いすると、こう申し入れたのであります。しばしば私申し上げたように、ソ連はそういう立場にないと、こういうことで、これに対して期待するような反応がなかった、こういうことでございます。
  73. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 その外務大臣アメリカ側に対して話しておられるということは、いまお話しの限りでは、日本から話し合いがあるまでもなく、向こうがすでに早くから言っていることにすぎないので、それでは問題は一歩も進展しないので、そこからもう少し進めて、もう少し特殊な方策なり条件なりというようなものをアメリカ側に提示しながら、アメリカをも説得をし歩み寄らしてくるということが重要な問題だと思うのですが、そういう点については何ら話し合いはしておられないのですか。
  74. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) まあ、とにかく戦争をやめて、そして平和的なテーブルにつく、ついてから、両方に言い分があるのでありますから、その言い分を話し合うということなんだろうと思うのです。そうじゃないと、戦争は——まあ両方の意見の食い違いが調整されてから戦争をやめよう、こういうのでは、これは順序が逆であると思うのであります。いずれにしても、戦争によって、実力によって相手国を倒して自分の意思を貫徹するというようなそういう気持ちを改めて、そして戦争はもうこれはつまらない、そういうことでないと、結局和平収拾というものはできないと私考えるのですが、そういう意味において、アメリカはまず向こうが武器をおくならばこっちもおく、それからテーブルを囲んで話し合うと、こういうことを言っております。それがほんとうの順序じゃないかと、こう考えたものですから、ソ連に対して言う場合でも、そういう順序でいくべきものだろうと、そういうことを話したわけです。
  75. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 問題は、そういう一般論ではなくて、すでに北ベトナムのほうからは四条件ですか、ベトコンからは五条件、あるいはアメリカからは十四項目というようなものが具体的に提示をされてるんですね。それらの問題を勘案したならば、日本日本として、それらのものを基礎にしながら、もっと具体的な積極的な働きかけができるはずだと思うのです。そういう努力なり、そういう考え方はされないのかどうか。
  76. 椎名悦三郎

    国務大臣椎名悦三郎君) いままで出された条件は、まず出て行けと——アメリカがですな、戦いをやめ、軍隊を撤収すべし、そうすれば平和はおのずから訪れると、こういうわけだったんです。それじゃ私は問題にならぬと、こう思っております。
  77. 佐多忠隆

    ○佐多忠隆君 ちょっと、資料ですが、先ほどの拡散防止条約ソ連案、それからアメリカ案、これを資料として出していただきたい。
  78. 木内四郎

    委員長木内四郎君) 他に発言がなければ、本件に対する質疑は、本日はこの程度にいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後零時二十一分散会      —————・—————