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1966-06-02 第51回国会 参議院 運輸委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月二日(木曜日)    午前十時五十分開会     —————————————    委員異動  六月一日     辞任         補欠選任      館  哲二君     河野 謙三君      岩間 正男君     春日 正一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 谷口 慶吉君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君    衆議院議員        修正案提出者   砂田 重民君        修正案提出者   田邉 國男君    政府委員        大蔵省銀行局保        険部長      上林 英男君        運輸政務次官   福井  勇君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省港湾局長  佐藤  肇君        運輸省自動車局        長        坪井 為次君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        農林省農政局参        事官       横尾 正之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○港湾運送事業法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  昨一日、館哲二君が委員を辞任され、その補欠として河野謙三君が選任されました。  また、同日、岩間正男君が委員を辞任され、その補欠として春日正一君が選任されました。
  3. 江藤智

    委員長江藤智君) 港湾運送事業法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から提案理由説明を聴取いたします。福井政務次官
  4. 福井勇

    政府委員福井勇君) ただいま議題となりました港湾運送事業法の一部を改正する法律案提案理由につきまして御説明申し上げます。  港湾運送海陸輸送のかなめとして、流通機能の一翼をにない、産業発展貿易振興等わが国産業経済上きわめて重要な機能を果たしておりますことは、御高承のとおりであります。  ことに近年、わが国経済高度成長に伴い、港湾における取り扱い貨物は急激に増加しており、その重要性は一段と高まってきておりますが、これとともに、増大する運送需要に対応して港湾運送機能整備、増強し、ことに最近における労働需給の逼迫、流通経費節減要請等に対処して荷役機械化、能率化することが各方面から強く要請されております。  しかるに、港湾運送事業現状は、一昨年三月の港湾労働等対策審議会答申指摘されておりますように、近代化合理化をはかるべき幾多の問題を包蔵いたしております。  この点につきましては、さきの通常国会における港湾労働法の御審議に際しましても、同法による近代的労働施策に対応して、港湾運送事業に関する合理化施策のすみやかな整備が強く要望された次第であります。  今回の港湾運送事業法改正は、このような情勢にかんがみまして、港湾運送事業近代化合理化をはかるための諸施策の実施に関し、所要規定整備しようとするものであります。  改正の第一点は、港湾運送事業事業規模拡大をはかるため、免許の基準を整備することであります。すなわち、現行法におきましては、施設及び労働者については、当該事業適確遂行するに足りるものであることが要求されておりますが、さらにこれを事業種類及び港湾ごと一定規模以上のものでなければならないことといたしました。  改正の第二点は、港湾運送一貫責任体制確立をはかるため、下請に関する規制を強化することであります。現行法におきましても、引き受けた港湾運送の全部を下請させることは禁止されてはおりますが、船内荷役はしけ運送沿岸荷役いかだ運送のうちのいずれか一つについてその作業の一部をみずから行なえば足りることとなっておりますため、主要港におきましては、港湾荷役作業が大幅に下請専業者の手にゆだねられるのが常態となっており、このため、港湾運送の円滑な遂行に支障を来たすことも少なくない現状であります。このような欠陥を是正するために、港湾運送事業者に対し、港湾運送行為種別ごと一定率以上の作業直営を義務づけるとともに、一定の要件のもとに下請制度の利用を認め、また港湾運送の再下請禁止することといたしました。  改正の第三点は、港湾運送の円滑な遂行に資するため、これに直結して行なわれる船積み貨物位置固定警備等行為を行なう事業港湾運送関連事業として、新たに港湾運送事業法規制対象として届け出を要することといたしました。  このほか、現在までの港湾運送事業法運営にかんがみ、港湾運送事業者会計面における近代化をはかるため、会計に関する規定整備する等所要改正をすることといたしました。  以上が、この法律案提案する理由であります。  なお、この法律案につきましては、衆議院において、港湾運送関連事業に関し、その事業の範囲の拡大料金届け出等修正が行なわれております。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げます。
  5. 江藤智

    委員長江藤智君) 次に、本案に対する衆議院における修正点について、修正案提出者衆議院議員砂田重民君より説明を聴取いたします。
  6. 砂田重民

    衆議院議員砂田重民君) ただいま政府側から提案のありました港湾運送事業法の一部を改正する法律案につきまして、衆議院におきまして、自由民主党、日本社会党民主社会党党共同提案修正をいたしましたので、その修正点について御説明を申し上げます。  修正点は、港湾運送関連事業についてでございますが、今回のこの事業法改正において、新たに港湾運送関連事業を取り上げまして、法規制対象としておられることは、港湾運送事業一大進展考えていいのでございますが、その関連事業というものが、政府提案の法案によりますと、貨物位置固定、区画、または荷づくりとか、荷直しとか、警備とか、そういった事業を指定しておられるのでございますが、この関連事業の中に、貨物船積みのためにする船倉内の清掃を業とする事業が除外をされております。他の港湾運送関連事業はいずれも港湾労働法対象になっておりまして、同じように船倉内の清掃事業もやはり港湾労働法対象事業となっております上に、この船倉内の清掃事業というものは、本来の港湾運送事業でありますところの船内荷役作業不可分一体作業でございます。すなわち、貨物積み込み直前あるいは貨物揚げ切りの直後に必ず行なわなければならない。船倉内という特殊な危険を伴う場所で、しかもきわめて短い限られた時間内にその作業を完了する必要があります。また、船倉内にはあらゆる種類貨物積み込みますために、積み荷の損傷でありますとか変質を来たす危険が多いので、船倉内の清掃作業は厳重に行なわれ、その完了の際には必ず乗り組み士官の検査を受けますと同時に、特に危険品などの積み込み直前には、港湾運送事業法第三条第七号に掲げてあります事業に従事する鑑定人検査を受ける、こういう義務を負わされているわけであります。かかる重要性を持っております船倉内の清掃事業でありますので、他の関連事業とともにこの清掃事業法規制対象に当然入れられるべきである、このように考え修正をいたしましたのでございます。  もう一点は、本改正案では料金につきまして何らの規制もされておりません。自由料金となっているのでありますが、料金が単なる名目で実際ときわめてかけ離れて不適正である場合におきましても、政府は何らこれに介入の余地がない、この点本改正案一つの大きな欠陥ではなかろうか、このように考えまして、料金届け出にしよう、こういう考えを持ったのでございます。その港湾運送関連事業港湾運送事業法対象に取り上げておりますのは、港湾運送事業とこれはもう不可分の関係にあるきわめて重要性を持った事業である、この健全な発展を促して港湾運送におきます適正な役割りを果たすためであると考えますので、したがって港湾運送関連事業料金が適正にしてかつ完全に守られているかいなかは最も重要な問題である、こういう考えから料金届け出制という点を修正いたしました。  以上二点が修正の大要であり、かつ修正をいたしました理由でございます。  以上で御説明を終わりますが、当委員会におきましても何とぞ御賛同賜わりますようにお願いをいたしまして、御説明を終わらせていただきます。
  7. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  8. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。  ただいま理事会の相談の結果、直ちに港湾運送事業法の一部を改正する法律案質疑に入ることにしましたから、さよう御了承願います。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止
  9. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記つけて。
  10. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 あまり問題点がそうあるという法律内容でもございません。ただ、前回改正でも多少そういう点は問題になりましたが、今度の改正提案理由にもございますように、当該事業適確遂行するためには、施設及び労働者についても適確事業遂行できるに足るものにしなければならぬという要求がされています。こういうことが提案理由問題点の第一に書かれていますね。具体的にどういう要求をされているのか、この際明らかにしてもらいたいと思う。
  11. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 従来、この港湾運送事業免許するにあたりましては、その港における需給の状態、また業を営むに必要な施設及び労働者を保有しておるとか、また資力、信用、こういうものを審査いたしまして免許しておるわけでございますが、現在は非常に港ごと事業者の数が多いわけでございます。したがいまして、過当競争も起こると、こういうようなことがございますので、今回の改正におきましては、一定規模というものを想定いたしまして、その規模以上のものに今後免許をしていきたい。それは、どういうようにしてその規模というものをきめたかと申し上げますと、現在の六大港におきます事業者の年間の仕事の受注量というものを調べまして、少なくとも平均以上の規模を持つべきではないかと、こういうことから省令でもって施設及び労働者の数というものをきめていきたいと、かように考えたわけでございます。で、これを六大港で申し上げますと、大体現在の施設及び労働者の五割ないし倍のものを持たなければならない、こういう結果になっておるわけでございます。
  12. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから、これは前回にもいろいろそういう問題が議論されたし、それからその後かなりやはり独禁法等関係で問題化した点もあるのでちょっと伺っておきますが、この改正の第二点にその点は若干触れていますが、つまり港湾運送一貫責任体制確立、これを今度はかる、こうなっていますね。これは現行法でも、きちんと管理監督さえすれば、私はこの責任体制というものは確立されているのじゃないかという気がしていたのですけれども、それが現行法では確立されない、そのためにおそらくこの改正点として出てきたと思う。で、われわれ一番心配しているのは、かりにこの二点にあげられているようなことが今度きめられたとしても、これは必ずや、運輸省港湾局の予算の関係であるとか、人手の問題であるとかいうことでえてしてそういう問題がいつも議論として出てくるのですがね。船内荷役はしけ荷役沿岸荷役、まあいかだ運送もあるけれども、いろいろこのいま申し上げた運送運送法によって種別が区分されていますね。ところが、実際問題として、そのような政令なり諸法規事業区分を示しておるように事業が行なわれておるかというと、必ずしもそうでない。つまり下請関係についても、全面的には港湾運送事業禁止しているわけでしょう。これは実際下請でやっておる。ところが、下請でならばそれでいいが、そのまた再下請でやっておるというような実態が随所にあるわけです。そういうものから派生していっていろんな問題が惹起をしている事実がありますよ、これは御承知のようにね。ですから、そういう事柄をただ単にこういう文言だけでこういうふうに改正してみても、問題はやっぱり監督管理、指導する運輸省が、直接は港湾局がそういう衝に当たるわけでございますけれども、そのやはり姿勢がきちんとしていない限りは、私はいかに法律文言を変えてもこれは具体的に事業があなた方が考えているようなことにならないのではないか、こういう気が一つします。  それからもう一つは、こういう環境を決して私は悪いと言っていない。これは大いに基盤強化をして、その中におけるいわゆるこの労働者作業環境なり、あるいはこの賃金の適正な確立なり、あるいはそれがために具体的に施設を改善していくというようなこと等が行なわれるわけですから、いいわけですがね。一つ心配として、ややともすると今度は先ほど言った船内荷役はしけ荷役役岸荷役事業分量をわきまえないで、これはあらゆる目に見えない裏面の経済行為が行なわれて、現在ある法律あるいは諸規定というものが骨抜きにされている、こういうこと等を私は過去においてずっと聞いたり見たりしていますから、それがより今度は企業基盤強化という美名に隠れてやられていくのではないか、こういう心配があるのですよ。これについては港湾局は一体どういうふうに考えているか。あなた方が聴取しているもの等もこの場合ざっくばらんにこの委員会に出し合って、こういう問題についてはこういう手を打つ、この問題についてはこういう指導監督をするのだと、こういう説明をしていただければ幸いだと思います。
  13. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) ただいま御指摘になりましたことは、現行法の第十六条におきまして全部下請禁止ということがございまして、一部を一般港湾運送事業者がやる限りにおいてはその他を下請にまかせていいことになっているわけでございます。このことが先ほど先生も御指摘になったようないろいろな秩序が乱れた結果としてあらわれているのではないか。これにつきまして、昭和三十九年の三月三日に内閣に置かれました港湾労働等対策審議会答申は、一貫作業を行なえるような責任体制をとれということと、それを目標にした集約ということ、このやり方については系列化というものを考えろというような、いろいろな示唆があるわけでございます。今回の法律改正は、この第十六条におきます全部下請禁止の項を強化いたしまして、一般港湾運送事業者はその基盤となる業、要するに直営率というものを強化いたしまして、省令できめるわけでございますが、私どもは現在七割以上のものを直営するということを省令できめたいと思っております。で、そういたしますと、基盤となる一つ業種については当然七割を直営でやるわけでございますが、その他につきましても、たとえばはしけ基盤業者はしけについて七割自分がやるといたしましても、船内沿岸につきましても同じようにこの株の持ち合いその他によりまして系列化なりある共通の責任を持っている、こういうような形のものを直営と認めていく、こういうことで秩序を立てていきたいというのが一つでございます。  もう一つは、再下請禁止というものは現在の法律では明示されておりませんので、再下請禁止するように私ども行政指導をしているわけでございますが、その点にいささか抜かりがあるわけでございます。今回は再下請禁止ということを明示いたしまして、先生が御指摘になったようなことをなくしていきたい、これが法律改正趣旨でございます。  さらに、これをどのように実施していくかということでございますが、これにつきましては、今回の運輸省設置法改正によりまして、港湾審議会港湾運送部会というものを二年の臨時の組織として認めていただきましたので、この港湾運送部会に、港湾運送事業者代表者と、それから荷主、貿易業者代表者と、さらに港湾関係する労働組合代表者、また学識経験者を加えまして、その審議会港ごとにどのような規模業種をどのような形で集約していったらいいかということを諮問いたしまして、その答申によって行政指導をしてこの法律に基づくように業界というものを再編成していきたい、かように考えているわけでございます。
  14. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 大体考え方はわかりました。やはり一番心配になるのは、事業集約にあたって、現状かなりこの種事業については元請、以外の事業者というのがほとんど中小企業事業者が多いことは港湾局も知っているわけですね。これに対して毎回中小企業近代化を行なう場合においては、資金助成をするような措置をとらなければ、近代化あるいは機械化集約といっても、なかなかそこがネックになって進まないのじゃないかという議論を展開したことをたしか私は記憶しているのですがね。そういうこと等を考えてみると、そのネックになっている中小企業近代化についての資金の具体的なものが、いまだに私はないような気がするのですよ。もしあったら、この場で、こういうものがある、あるいはこの法律と並行してこういうことを考えてこうやるのだということをお答え願えればいいのですが、私はないと思っているのですね。ですから、そういう前提に立ちますれば、この事業集約化にあたってはやはりかなりこれは配慮もしなければならぬし、先ほど心配一つだということを言った意味はそこにあるわけですけれども、十分先ほど心配だと言ったことが起こらないようにやらないと、何らこの法律改正した意味は私はなくなると思うのですね。  それから、それと相関関係にあるわけでございますけれども、やはり労働不安の問題がありますよ。この提案理由の冒頭に、労働需給が非常に逼迫しているために近代化機械化がかくかくしかじかと、こう書いていますけれども、私は港湾労働者がそんなに逼迫しているとは見ていないのです。なぜ港湾荷役に人が最近集まらないかというと、その労働の諸条件が満たされていない。たとえば作業環境あるいは労働時間あるいは労働賃金等々数えあげてみれば、他の一般の常識的に言われる労働者条件から見るとかなり低位置に置かれているということはもう御承知だと思うのですね。そういうことが災いをして、あまり港湾労働者になりたがらない、こういう傾向だと思うのですね。ですから、近代化機械化集約化というものは決して私は否定しませんけれども、まず事業主である中小企業に対しては金融関係等々についていまだにないわけですから、具体的にこういうものをやはりきちんと整備をしてやる必要があるわけですよ。一面においては、今度は労働不安のないように十分留意をしなければ、これはもうほんとうに絵にかいたぼたもちのようなものになりはせぬか、こう思うので、労働の不安の問題についてひとつどういう対策を持っているのか。それから、中小企業近代化に対するこの資金の面についてどういうこれからこの法律が通った暁においては施策を試みるのか、この辺をひとつお聞かせ願いたいと思うのです。
  15. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 最初に資金の問題でございますが、これは機械化を進めていくために、昭和三十九年度に一億円、昭和四十年度に二億円、昭和四十一年度は三億円でございますが、特定船舶整備公団との共有方式によりまして、六大港を中心にいたしまして荷役機械整備を進めてまいったのでございます。そのほかに昨年、中小港湾運送事業中小企業近代化資金助成法対象事業にいたしましたし、さらに中小企業近代化促進法指定事業にもいたしたわけでございます。今回集約をやっていくにあたりましては、この集約やり方につきまして、中小企業近代化促進法対象として税法上の優遇もしくは財政上の援助が受けられるようにやっていきたいとかように考えておりまして、現在実態調査をやっている段階でございます。  それからもう一つは、労働者の雇用の安定と福祉ということでございますが、これは港湾労働法にも強くうたわれているところでございまして、それのもととなる答申におきましては、やはり業そのもの集約して規模を大きくする、そのことによって労働者常用率というものを高めていくし、さらにその福祉厚生施設その他もつくっていけるようにする、そういう趣旨でございますので、私どもも、今回の法律改正によりまして、これを適正規模に高め、かつ系列化した秩序ある機構にいたしまして、そのもとで労働者常用率を高めていくし、福祉施設もつくっていく、かように進めていきたいと思うわけです。
  16. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 その考え方局長からただいま述べられたわけですが、これをぜひ二つとも、たいへんに事業を進める上において大事なことですから、その考え方を積極的に進めてもらいたいと、そう思うのです。後段の労働不安の問題も、前段のほうの金融のこの助成措置さえとられれば、これは労使双方の問題ですけれども、その事業それぞれの自体でかなり改善される面なしとしないと私は判断しているわけですよ。ですから、金融助成についても、やはりただ単にこれは政令できめたとかあるいは他の省庁の連絡でどうだとかというたぐいのものは、すりむいた傷にばんそうこうを張っているようなもので、これはだめなんです。ですから、こういう法律を根本的に変えるわけですから、そういう面についてもやはり抜本的に法律改正をするとかあるいは新たなその面の立法措置をするというようなかまえで運輸省港湾局は取り組まなければ——いまあなたが答えられた内容とその方向を私も否定しない、むしろその方向を私は支持していますよ、しかし、そういったようなことが、いま言ったようなことがなされなければ、実現不可能ですよ、端的に一言って。   〔委員長退席理事金丸冨夫君着席〕 ですから、そういう意味で、一応いま私が申し上げたような積極面をとらえて施策に生かしてもらいたいと思います。  それから、この審議会答申でもこの点はうたわれていますが、この種事業というのは、陸で申しますれば、最近はかなり変わってきましたけれども、ハイヤー・タクシー業のような、いろいろ事業主というものはものの考え方を持っている人が多いのですよ。これは歴史的なものもあるからやむを得ぬと言えばそれまでかもわかりませんけれども、この経営運営経理内容等々見たって、前時代的なやり方をしていますよね。ちっとも近代的な経営の面あるいは近代的な経理、そういうかっこうには私はなっていないと思いますよ。これは大企業は別ですがね。先ほど言った元請をやるような企業は別ですがね、中小事業主というものは大体そんなところですよ。何か昔からのはしけの、その辺から人夫をかり立ててきて、どんぶり勘定でやるというような体系になっているようなきらい全く私はないとは言えないと思いますね。ですから、その点を答申でも、近代的な企業会計をこの際は採用すべしと、こういうような答申が行なわれていると思うのです。そこで私は、その面についても、これはやはり企業ですからね、この機材と金と人というものが企業運営の原則だと、この三つの要素がね、これを十分やはり原価計算をした上でそれぞれのやはり適正な料金というものが出てくると思うのですね。たまたま今度のこの法改正については、料金改正するとか何とかというのはないわけですけれどもね、そういうものをかね合わせてするように指導しなければ、これは意味がないと思うのですね。ですから、一体そういうものが、港湾局として黙って放置しておきますと、これはいつまでたってもそういうものになりっこない。ですから、やはり一つのこういう法律をきめたり、あなた方が政令をきめたり、あるいは通達を出すだけですからね、そういう立場にあるわけですから、この近代的なつまり会計を採用する場合の一つのサンプルとして、やはりどの程度の規模事業については原価計算をした場合にこうこうこういう方式がある、こういう方程式があると、だからこういう会計上の制度にしたらいいんじゃないかという——これはあまりむちゃくちゃにやると、押しつけて、運輸省のほうで役人が命令かけたと、こういうことにもなりかねませんからね、あまり強圧的ではいけませんけれども、そこのところはあなた方役人はうまいのだから、やんわりと真綿で包むような方向に指導しなければならぬ責任が私はあると思うのですよ。その責任というのは、強い責任であるか、いま言ったように弱い責任であるかは別として、少なくとも法律を制定したり、あるいは省令を出したり、あるいは具体的な通達でそれぞれ指導するわけですから、その辺からでも私はその程度のつまり道義的なサービスをしてやる責任くらいあるのじゃないかと、こう思うので、これは局長にそう言うても、大臣きょうはいませんがね、大臣のほうはどう考えているか、政府のほうはどう考えているのかということは、政務次官どうですか、   〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕 こういうことについては、政府としては。まずこういう点をひとつ聞かしてもらいたいと思うのです。その答え方によってまたぼつぼつ質問いたしますから。
  17. 福井勇

    政府委員福井勇君) 先ほどの吉田委員の御質問の中にも、お尋ねの中にも、指導強化というようなことを特に気をつけよという御指摘もございまして、ただいまの御発言の中にも、役人が型どおりのことをやってもどうか、大臣がよく指導しなければいかぬという意味の御発言は、しごくごもっともだと存じておりますので、この中にもうたってありますとおり、近代的なひとつ方法に進め、省令などでやるというような型どおりなことはやらないようにしていく、そうしてこの改正趣旨を基礎として、これも御発言のそれに関連した種々のファンクションをいろいろ注意して処置していきたいと考えております。
  18. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 先ほど御指摘のように、三十九年の三・三答申にも近代的会計方式をとらせるということが書いてございますので、今回の法律改正におきましてはこの趣旨も盛り込んでおるわけでございまして、現在のような非常に原始的な大福帳的な会計をやっておりますのでは、先ほど申し上げました中小企業近代化促進法対象にいたしましても近代化計画を立っていく上においても問題が出てくる、こういうことでございますので、今回の法律改正にあたりましては、さらに省令で各事業種類ごとに勘定科目の分類と必要帳簿の整備並びに報告要旨等をきめたいと考えております。なお、運輸関係事業としては、道路運送法第三十一条、通運業法第二十五条にも本条と類似の規定が設けられておりますので、これらの事例をも参照いたしまして、また港湾運送事業者の先ほど御指摘のような経理事務能力というものも勘案いたしまして、できるだけわかりやすくかつ記帳しやすい制度にするように配慮いたしますとともに、さらに日本港運協会を中心として業界についての講習会等を開催して、御趣旨のように行政指導していきたいと、かように考えます。
  19. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 それから、この法律のねらいは、近代化合理化を進めながら、これはやっぱり基盤強化をしていくということがねらいだと思うのですよ、一口で言えば。そこで、そこまでねらって法律改正をして、今度は省令をさらに細分化したものを出して指導するとするならば、監督するとするならば、私はかなり今度この法律で、禁止ということで強い規制を受けるようだけれども下請についてはね。やはりそれにしてもなかなか——ぼくは運輸省港湾局を信頼しないということは言いませんがね、そこにはやはり毎回のこと国家財政の事情とか何とかいうことで、なかなか予算編成期にあなた方が考えているような予算を大蔵省認めませんわな。ために、それに要する定員の増も認められない、思うようにそれぞれの監督すべき現場に対しても人員の配置ができない、こういうことだと思う。これは言うてやすいけれども、行ないがなかなか現政治経済体制の中ではぼくはできないことだと思う。なかなか一挙にできないと思いますよ。これはわが党が天下でも取ればわけなくやれます。やれますが、佐藤榮作君の総理大臣、いまの政府では、なかなか言うてもこれはできない、こう私は判断をするので、この法律が通ってもなかなかその辺が問題の解決にならないような気がするのですよ。ですから、だとすれば、私はこの際は思い切って全部下請というものは全面的に一切がっさいもう禁止してしまう。いまの法律よりさらに、佐藤さんそういうこと好きだから、思い切ってこれは規制を強めて——下請業でやっておる仕事量、仕事の範囲というものは、これは局長御存じのようにたいへんな大きな事業量になって、また範囲も広いのです、だからこれをこれ以上さらに規制を強めて全面的に禁止をいたしますれば、あとあとはそれぞその法律に基づく事業免許を受けたものは必然的にその事業規模というものが拡大されていくと思うのです。事業拡大されていけば、当然ここにも書いているような一貫体制というものがこれはものの道理として強化をされなければならないし、またされていくものだと私は思うのですが、ここまで言い切ってしまうと、結果的にはいまは間に合わぬとしても、私はやがて抜本的な、あなた方がねらって、私が最初に申し上げたようなねらいがあるとすれば、思い切った法律改正が心要ではないのか、こう思うのですがね。この点については、局長でもけっこうだし、それから政務次官でもけっこうですが、こういう考え方はあまりにも飛躍していますか、どうですかね。
  20. 福井勇

    政府委員福井勇君) 本日は御存じのとおり大臣があちらへ行っておりますので、非常に私たちの手腕と力量を信頼しておりまする大臣がおりますれば、皆さんの日ごろの御協力がありまするから、非常に明快な答弁をされると私は期待いたしておりまするけれども、帰りましたら吉田委員の御高説についてはつぶさにひとつ報告して善処するように連絡したいと思っております。御高説ありがとうございました。
  21. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 先ほど御指摘がございましたように、答申趣旨も理想としてはそういうような強力な体制をつくっていくということであると思いますが、さらに答申の中ではこのような集約というものを進めていくときに企業及び労働に不安を与えないようにやれということをうたってあるわけでございまして、私ども理想は理想といたしまして、この法律規定いたしましたのも、現実に企業に不安を与えないように理想にどのように近づけていくか、こういう趣旨でございまして、衆議院の附帯決議におきましても、このような集約方向を肯定なさるとともに、さらに各個の実情に沿って専業者企業規模を適正化しこれを育成してその能力を活用せよというようなことも言っております。私どもはやはり現実に即しながら不安というものを起こさせないように逐次理想に向かって進むというやり方をすべきじゃないかと思います。
  22. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関連。その下請禁止という問題について吉田委員からちょっと提起されたのですけれども、ちょっと抽象的な御答弁のように聞こえたわけですが、今度の下請制限の強化について、改正案でもって再下請を全面的に禁止することになった。では再下請現状はどうなのか、どういう弊害があってそれをどうするために全面的に禁止をすることになったかという、その現状について説明をしていただきたいということが一つ。  この下請制限強化の改正規定の実施は、既存業者については二年間の猶予が認められているということなんですが、なぜ二年間の猶予を認めなければならないのか、その認める理由、以上の点について御説明いただきたいと思います。
  23. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 再下請につきましては、私どもも、法律には明記しておりませんが、こういうことがないようにということで常に監査もし、また行政指導もしておるわけでございます。しかし、どれくらい再下請がしからばそれでも行なわれておるかということは、はっきりはつかみ得ないわけでございます。で、この再下請禁止いたしますのは、一つは、業務の秩序責任体制確立するということと、もう一つは、港湾労働法と並行いたしまして、登録した労働者だけによる、こういうような港湾における労働問題の正常化といいますか、そういうものをはかっていく上にも必要だということでございます。  それから二年間の猶予を置きましたのは、第十六条の直営率を向上して、系列下の中でお互いに責任を持ち合ってその直営に該当するような形でやっていくということを措置いたしますには二年の期間を必要といたしまして、十六条の改正全体について二年間ということを猶予期間として設けたわけでございまして、したがいまして、これに関連して再下請禁止も同じように既存業者については法律としては明記されない、こういうことでございまして、実際に行政指導においてはそういうことがないように指導していきたいと思うわけでございます。
  24. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 政務次官は大臣に報告するということですが、大臣間もなく帰ってきますが、ぜひひとつ、大事なことですからね、せっかく今度の法律改正でございますからね。法律というのは、いま改正して次の国会に改正していけないなんということはないわけですから、よりよいものに法律をつくって、その法律のもとにこういう事業が正しく行なわれて日本の産業経済に寄与するように、そうしてまたそこから国民が当然利益を得るというようなことが私は法律のたてまえだと思うのですがね。そういうことにしてもらいたいと思うのです。  それから、いま港湾局長ちょっと衆議院の附帯決議のことを読み上げて触れましたが、私は衆議院でやったことについてはとやかく言うべきものではないと思っておりますが、ほんとうのこの種問題、この法律改正していくというねらい、このねらいに根拠を置いて考えてみると、理論的には若干衆議院のこの法の附帯決議というのは矛盾しているのじゃないかという気がしますけれども、いま冒頭言うたように、衆議院でやられたことですから、私は参議院ですから、とやかくけちをつける気はさらさらありませんがね、そういう気がするのですけれども、いま局長が答弁されたことが、現時点では具体化するということはできないわけですから、十分これは、こういうやや矛盾したようなことでも、やりなさいということになったんじゃないかと思うので、こういう点だってやはり、現状政策実施に具体化できないとすれば、改正する必要があるだろうと思いますがね。  それから、荷役近代化というものをこれから考えてやらなければならぬ時期に来ているのじゃないですか、それぞれ。それぞれの荷役ですね、はしけ荷役にしても、沿岸荷役にしても、それから船内荷役にしても——沿岸荷役の場合はかなりこれは事業規模も大きいですから相当緩和されてきていますよ、設備なりその他については整備されてきていますが、それ以外のものはまだまだこの荷役近代化というものが必要だと思うのだが、さてしからばそれをどうするかという問題は、当然それは金も伴うことになるのですがね、これを港湾局としてこれからどういうふうに指導しようとしているか、こういう点。  それからもう一つは、港湾事業者が、最近の経済事情の変動といいますか、動向といいますか、構造の変化といいますかね、非常に戦後急激に変りましたね。ここにも書いてありますように、高度経済成長の何とかかんとかと書いてありますが、それがよかったか悪かったかという議論はここでやめますけれども、あらゆる産業、あらゆる部面にひずみが出ているんですよ、この経済成長何とかかんとかという政策がね。ですから、したがって、ここに書いておりまするように、港湾運送事業についてもたいへんな変動があったという意味のことを書いていますね、これ。その変動はどのように一体事業者にはね返ってきたかというと、いろいろな形で、多角経営といえばたいへん美しい表現なんだけれども、多角経営じゃなくて、いろいろな角度で兼業をやったりなんかしているのがございますね。それが本来の港湾運送事業のレールからはずれていなければ、私はあまり問題にすべきものではないと思う。そうでない兼業が行なわれるのですね。こういうものなどは、やはりどこかでチェックしていかなければならぬ性質のものじゃないかというふうに思うのですがね。こういう関係一体どのようにお考えになっているのか。
  25. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) たいへん申しわけございませんが、最初に瀬谷先生の御質問に対して私間違ってお答えいたしましたので、ちょっと訂正さしていただきます。  それは再下請禁止の項でございますが、これにつきましては、ただこの人は再下請さえしなければいい——言ってみれば、自分の能力だけの仕事をやっていけばいいわけでございますから、二年の猶予を置かないで、この法律施行と同時にこの再下請禁止の条項は適用するようになっております。先ほど私は二年の猶予ということを申し上げましたが、間違いでございました、訂正いたします。  それから、吉田先生の御質問でございますが、荷役機械化ということだと思いますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたように、特定船舶整備公団による機械の共有方式ということで六大港を中心にして進めてまいっておりまして、本年からさらにこれを地方港にも進めていきたいと思っております。御指摘のように、沿岸荷役はわりあい機械化がしやすいわけでございますが、船内荷役は、非常に労働が過重であるにかかわらず、機械化がなかなかむずかしいわけでございます。これについては、さらに私どもは検討をしていきたいと思います。  なお、兼業の点でございますが、これは関連するたとえば沿岸業者がトラック事業までやるというのは、これは関連としていいことだと思いますが、そのほか兼業することによって本来の港湾運送事業そのものが妨げられる、こういうような例があれば、われわれとしては行政指導をいたしまして、本来の港湾運送事業に支障のないようにしていくべきではないかと思います。
  26. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 十二時ですから、人間はもう昼めしを食わなければいかぬですから、もう一つだけにしておきますが、どんな企業でも、これは港湾事業だけでなくて、運輸業では、陸の関係にしても、あるいは空の関係にしても、あるいは船の関係にしても、下請が盛んに行なわれつつありますね。あるいは自動車のメーカーあたりでもそういう面がありますね。紡績でもそうでございます。それから地下産業でもそういう傾向がございますが、基盤強化集約統合いうことを言っても、利害が共通する点であれば非常に容易になされますけれども、ここのところが自由主義経済競争の何とかいうことで、利害一致しない点がなかなか多いのじゃないですか。ために、非常にこういう名文句で立法化されても、これはなかなか簡単な問題じゃないと思う。一番いい例は、先般の全日空の事故以来、急速に日本の航空事業の将来の展望あるいは当面どうすべきかという対策等々が議論されて、やはり集約とか統合とかいうようなことで盛んに、運輸大臣はじめ、そこに次官もおりますけれども、かなり積極的にやったんじゃないかと思うのですがね。その結果どういうことになったかというと、これはやがて本委員会で私は少し尋ねてみたいと思っているところですがね。どうも国民の側から見れば、当初国民が求めていたような、念願していたような方向になっていないということになっているんじゃないかと思うのです。まだそういう報告は聞いていませんが、新聞その他等々で私どもが伺っているところでは、そういう感じがします。それは何かというと、これはやはり新聞紙上に出たことであるけれども、全日空の考え方と、日本航空の考え方と、それから国内航空の考え方というのは、利害共通する点がなかなか一致しない。こういうことが妙なものになって、植村さんですか、石坂さんですか——の出した案も、将来展望、将来のビジョンというものも、当初掲げたものが全くのスローガンのように終わっちゃって、出てきたものは、行き当たりばったりの何かばんそうこうを当てたようなもので、答えにならない。しかも、それが国民の目にうつるのは、そう何だかんだと言ってみても、結果的には、日本航空の集約統合という美名に隠れて、つまり国内航空というのは従属化したのではないか、そういうやはり見方をしている者も、私一人ではなくて、かなりあると思うのですよ。  そこで、今度は本論に戻りますが、港湾事業者集約統合といっても、それは航空業とはまたかなりその規模が小規模であって、しかも数もものすごく多いのですね。それからその港々の条件によっても差異がありますから、ですから、その場合に行なわれる集約統合というようなものは、ややともすると系列化をされてくる、こういうものが出る。ですから、冒頭に申し上げたように、そういう点で私は心配がある。独禁法に抵触する面が出てきやせぬか。現にあったわけですからね。あったわけですから、公取の勧告を受けている企業体もあるはずですよ。きょうは時間がありませんからそういう点については触れませんが、そういう系列化をしていくというような形で集約をしていく。ところが、その過程の中で、一つの例を申し上げましたけれども、それは従属化をしている、こういうものが全くないとは私は言い切れないと思うのですよ。そこのところを一体どういうふうにしてこの法律をつくりあげて——先ほど冒頭に言ったようなきらいがあるとすれば、港湾局としては、いやしくもいま私が申し上げたことを欲しているわけではないでしょうから、ないとすれば、それをできるだけやっぱり排除しなければならぬという立場に立っていると思うのです。そこで、どういう考えをもって、どういうふうに指導されるのか、この心配が全くないかどうか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  27. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 実際に答申に従って集約というものをやっていく上に、いま御指摘のようなことは非常に大きな問題であると思います。で、私どもといたしましては、昨年来、この三、三答申に基づく港湾労働法の制定を契機にいたしまして、業界に新しい事態が起こっておるということで、いろいろと今後の港湾運送事業の姿について相談をしてまいったのでありまして、業界といたしましても、現在は、自分たちが多数のこまかいものに分かれておるのではなくて、一つのもう少し規模を大きくしたものにまとまらなければ力が弱いということを十分自覚しております。その一つの例を申し上げると、料金が確定料金であるにもかかわらず現実に守られていない。これはやはり過当競争の結果でありまして、そういうものを通じて十分集約化をはかるべきであるという自覚が高まってきております。  もう一つは、この系列化ということでございますが、これは従来から何らかの結びつきがあったわけでありますが、下請と元請というものがお互いに株を持ち合う。港湾運送事業の場合は下請のほうが大きい場合もあるわけでありまして、お互いが株を持ち合う、こういうこと、もしくは、長期の下請契約を結ぶというならば、何らかの経済的な援助を受けるというつながり、こういうもので共通の利害と共通の責任というものに集約していけばいいのではないか。そういう何といいますか、一つの原則というものは、港湾審議会港湾運送部会委員答申で見出していくと、こういう形でやっていきたいと思うわけでございます。
  28. 江藤智

    委員長江藤智君) 午後一時まで休憩いたします。    午後零時九分休憩      —————・—————    午後一時五十九分開会
  29. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  30. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 午前中、雇用関係集約関係あるいは補助金関係若干伺っておきました。あとあと細部にわたってわが党の木村委員から御質問があろうかと思いますから、この際簡単に二、三質問したいと思います、先ほど開会前に申し上げたように、各条項ごとに伺わなければならぬ点がたくさんございますけれども、そうも一人でしているわけにもまいらぬと思いますから、第一条の関係を、これは何といっても基本目的が書かれておりますから、この点をちょっとお伺いしたいと思います。「この法律は、港湾運送に関する秩序確立し、港湾運送事業の健全な発達を図り、もって公共の福祉を増進することを目的とする。」、こうなっておりますね、第一条。そこで考えてみると、もともとこの法律は議員立法だったですね。港湾運送事業の育成のために議員立法としてつくったものであるが、しかしそれをせんじ詰めてみますれば、一種のこれは業界のカルテルのような内容もないではないと私は思います。したがって、この法律に基づいて現在まで——現在といっても四十年の実績でございますけれども、これは資料を調べてみますと、免許事業者として免許されたものが会社数にして大小まぜて、先ほど抽象的に言っておりましたが、千七百五十六くらいございますね。これはもっとふえていると思うのですよ、四十一年度のものでは。どのくらいのこれは正確に言って数になっているかどうかということをひとつ聞かせていただきたいし、それからこの法律の精神そのものはいま言ったようなものですから、今度の改正そのものも、先ほど来の答弁を聞いていればそうではないという印象も受けましたけれども、そのままそっくりすなおな形で過去のいろんな起きてきた事象等をわれわれは判断してみると、これは佐藤内閣のもとで行なわれる法律改正ですからやむを得ぬかもしらぬけれども、どうしてもやはり大資本に偏重していくような感じがぼくはしないでもないと思うのですけれども、どうでしょうか、この点は。
  31. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 第一点でございますが、昭和四十年の十月末で千八百五十八店社になっております。その後におきましても、もっと新しい免許というものはございませんので、この数字はあまり変わっていないのではないかと思います。  もう一つは、大資本に支配されるようになりはしないかということでございますが、現在事業を行なっておる千八百五十八店社のほかに大企業が進出してくるというようなことは考えられませんので、この千八百五十八店社というのはほとんど資本の規模の小さい中小企業でございますので、これを再編成して現在やっておられる人を資本力の強いまた規模も大きい近代化した事業にしていく以外に方法はないのでございまして、今回の法律改正に基づきましてわれわれは行政指導をしていく、方向もそのような方向であるわけでございます。
  32. 木村美智男

    木村美智男君 午前中、吉田田委員のほうからいろいろ質問がされていると思いますから、あるいは多少ダブる点があるかもしれませんけれども、できるだけひとつ要点的に質問したいと思います。  まず第一点は、三・三答申の問題ですが、この三・三答申の中に、港湾運送事業等についての二項の「集約化の促進」という中の(2)にこういうことが書いてあるのです。「事業集約化を進めるため、暫定的に港湾運送事業者に対する共同免許考えるほか、免許基準の改訂を検討する。」というふうにありまして、集約化ということが、(3)で「企業および労働の不安を生ぜしめないよう」とか、いろいろこの答申の中では事業集約化方向というものが特に強く指摘をされておるわけですね。そこで、しかしその場合に、いま「企業および労働の不安を生ぜしめないよう留意する。」ということが一面では言われているわけですから、したがって、この立案にあたって、この近代化を促進する上において企業労働者の不安を生ぜしめないというある程度の確信があってつくられたのかどうかということが一つと、そういう確信の上に立っておるとすれば、具体的にどういう対策をお持ちなのか、これを明らかにしてほしいと思います。
  33. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 御指摘のように、この答申の精神を受けて今回の法律改正案提出したわけでございますが、この免許基準の改訂、それから暫定的な共同免許というようなことがございますが、昭和三十四年の法律改正で登録制が免許制に切りかえられましてから、免許の切りかえの事務を完遂いたしますのに昭和四十年の六月までかかったわけであります。このような事態を踏まえまして、従来の事業を実施するだけの規模というものをさらに拡大して、適正な事業規模というものを想定して免許基準の改訂は新しい免許だけにしたわけでございます。  それからもう一つは、この(一)にあります「集約化方向」というのにありますように、集約を進めていく上にやはり港湾運送一貫作業として行なわれるということを取り入れなければなりませんので、第十六条の全部下請禁止規定を強化することを主眼にしてこの答申にこたえるようにしたわけでございます。  その場合に、企業及び労働の不安をどのようにして生ぜしめないようにするかということでございますが、この法律趣旨を十分に具現するために、別途港湾審議会の中に港湾運送部会という新しい部会を二年間の臨時的なものとして設置することが運輸省設置法改正によって認められました。この港湾運送部会には、港湾運送事業者のほかに、荷主、貿易業者、それから労働組合の代表、さらに学識経験者というものを入れまして、われわれが各港の実情を調べた結果に基づくこの集約統合の方法を提案いたしまして、十分審議会の意見を聞いて、一つの原則的なものをきめてもらって、それに基づきまして具体的に実施に移りたい、そういうことによって企業労働の不安というものをなくしていきたいと、かように考えておるわけでございます。
  34. 木村美智男

    木村美智男君 いまの答弁に関連をして、要するに今回の港湾運送事業集約化方向が、一貫作業としてやられるということを目標に集約をやるわけですね。そこで、この答申の中では、やはり集約化方向として、「貨物の流れる経路、海運業の変化等の諸条件を考慮する系列ごとの集約、この場合系列化による従属化となってはならない。」、だから、一面から言うと、事業に一貫性を持たせるという面と、それからそのことは同時に資本的に見れば、あまり系列化を促進をして、何か下の者が全部従属化していってしまうということは、これはいかぬという、一見矛盾したような答申に実はなっているわけです。しかし、これはきわめてその間の調整をとるということに力点を置くという趣旨なんだろうと思いますけれども法律の十六条の改正に、発行済み株式の二分の一以上を保有をして事業活動を支配する者に下請させる場合には、みずから作業を行なうものとみなすと、こういうふうにある。この点はどうも一貫性という問題から少し系列化による従属化のほうが強く押し出されているように考えられるんですが、この点について御心配はないのかどうか、この点をひとつ。
  35. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 六大港実態を調査いたしましても、現在もすでにこのような形が存在しております。で、私どもは、そのように一貫体制というものを強めていくためには、株というものを通じての支配関係というものが、一番いいのは集約合併をすることだと思いますが、これに次ぐものとしてこの形というものは適当であると思います。ただ、おっしゃられましたように、これを強制することによって隷属化というものが起こらないように、また港湾運送事業実態から申しますと、下請のほうが逆に元請の株を持っているという列もあるわけでございます。こういうような株の持ち合いというものが実際にあるわけなので、株の持ち合いというものによって密接な関係というものをはっきりさせたいということが一つと、もう一つは、長期の下請契約、大体五年程度と考えているわけでございますが、そういうものによって経済的な利益を提供すると、こういうような結びつき、それは考えてみますと、隷属化というよりも、港湾運送事業の場合は責任を一体にするし、かつまた利害関係というものが共通になると、こういうような形が一番労働企業に不安を与えない一貫体制の方向だと思いますので、省令でそういうことを具体的にきめまして、それに基づいて直営率を向上することをやっていきたいと、かように思うわけでございます。
  36. 木村美智男

    木村美智男君 いまのこの場合ですね、元請の株を下請が持っているような場合もあると、こういうことなんで、これはまあ初めて聞いたんですが、なかなか事情は込み入っているようですけれどもね、しかし、それはどっちかといえば、むしろ例外のほうであって、通常はやっぱり元請のほうが主たるほうになって、下請は従の関係にあるわけですから、したがって、その元請業者が契約権を持って、そうして当然運送約款を運輸大臣に提示をして、これは認可を受けるわけでしょう。そういうことである限りは、どうも下請というのは、私はやはり何だかんだと言ってみても、単なる商売上の、正式には商法上のこれは貨物取り扱い業にしかすぎない、こういうふうに考えられるのだけれども、この点は、さっき言われた元請の株を下請が持っているというような一面もあるのだからというような答えからすると、さほど心配もないようにも考えられるけれども、いま言ったようなことがやはり私としては危惧されるので、その点はどういうふうにお考えになられているのか。それから、その場合に、確かにこの港湾労働者下請といえども雇用責任というものは持っているわけですよね。したがって、そういうふうに今度は、何というのですか、元請によって支配されているという関係からいけば、全く何というか、自主性なり権限なりというものをあまり持たない単なる労務供給事業ね、こういうふうなものとならないかどうかということが一つ考えられるわけです。そこら辺は一体、そういう心配はないのか。
  37. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 最初に、私が先ほど申し上げました株の持ち合いの関係につきまして、六大港実態を申し上げます。これは京浜、名古屋、大阪、神戸、関門についてでありますが、元請業者下請の株を五〇%以上持っている例というのは三十六ございます。逆に下請業者が元請業者の株を五〇%以上持っているというのが四十九あるわけでございます。これが実態でございます。  それからもう一つ下請というものをきめてしまうと、下請は労務供給になりゃせぬかと、こういうことでございますが、港湾運送事業法では、一般港湾運送事業のほかに、はしけ船内沿岸というおのおのの専業者が、これももちろん免許になっているわけでございます。実態を申し上げますと、おおむねこの一般運送事業者というのははしけ基盤にしているわけでございます。でございますから、実際に荷主なり船主から港湾運送の委託を受けました場合には、船内及び沿岸というものを伴わない限りにおいてはやっていけないわけでありまして、おのおのの専業者というものは、元請の下請として使われると同時に、元請もその下請がなければやっていけないという、まあ何といいますか、お互いに依存する関係にあるわけでございます。で、そういう関係でございますので、それぞれがいまのような形で結びつくということで、下請は労務供給だけになりゃしないかということにはならないだろうと思うわけでございます。船内のように、非常に機械に依存するよりも人力に依存するものについては、そのもの自体がすでに労務供給的に見られがちでありますけれども、やはりこのギャングというものを指導するためには、それを監督して作業をやらせるためのフォアマンと申しますか、そういうような技術者がおって、一つの総合的な船内労務者が動き得るような組織としてあるわけでございまして、単なる労務供給ではないわけであります。したがいまして、今度の法律改正で、一つ系列化というものができましても、その実態は変わらないと思うわけでございます。
  38. 木村美智男

    木村美智男君 大体いまの説明で、一応単なる労務供給というか、そういうことにはならないというお答えなんで、この点はこれは了承いたしますが、この一般運送事業者の中で限定一種ですか、この関係による事業が三分の二以上占めている。そういう状況ですから、この海運秩序というものは、そういうふうに多くのものが乱立をしているので、いわば乱れるという心配も一面では出てきておるわけです。そうしますと、何か独占禁止とは逆なんですが、いわゆる乱立を何か除かなければ、せっかくこういうことで集約化をしていくということの方法を講じたにしても、やっぱりどうも問題が出てくるんじゃないかというふうに考えられるので、その点については一体どういうふうにお考えになられているか。
  39. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 確かに、御指摘のように、限定一種と申しますか、いわゆるわれわれは乙仲といっておりますが、こういう運送事業者が数が多いわけでございます。今回の改正におきましては、自分が荷主から引き受けた貨物については、少なくとも船内はしけ沿岸のいずれか一つ自分の基盤としているものについては、みずから七〇%以上のものを直営しなければならぬことになるわけでございます。そうしますと、現在の乙仲というものは、いまのままの規模ではとうていやっていけないわけでございまして、この部分についてはどうしても統合というような形で一種のものが幾つか集まって一つ規模を持たなければならぬ、こういう形の集約が起こると思います。
  40. 木村美智男

    木村美智男君 そこで、この今回の改正によって集約を促進をしていくために、いろいろと海運局として助成措置をとっているんじゃないか、あるいはとられるんじゃないかと思うんですけれども、大体中小企業近代化計画といったようなことを、何というか計画をし、そいつに裏づけを持って、そういう計画を出せるようないわゆる下請というものはあまりないというふうに聞いているんですけれども、先ほどからの答えを聞けば、あるいはだいぶ力を持っている下請もあるようにもうかがわれるわけですが、したがって、この中小企業近代化法というものとの関係ではこのことはどういうふうになるんだろうかということがやっぱり多少疑問なんで、近代化計画をどんどん自分の自力でつくって出せるよらなところは問題はない。出せないようなところについて、一体この中小企業近代化促進法との関係で、何かひとつ育成なりあるいは何かの手だてをしてやらなければならぬとか、そういう面についてどう考えておられるか。
  41. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 港湾運送事業は昨年中小企業近代化促進法指定事業になりました。それに基づきまして、私どもは現在業の実態調査をいたしまして近代化計画をつくるための資料を集めている段階でございます。御指摘のございましたように、大きな企業については問題はないのでございますが、むしろ小さな企業をいかにしてこの法律対象として救っていくかということが問題でございまして、そういうものを主眼にして現在実態調査をやって、それに基づいて近代化計画というものをつくっていきたいと思うわけでございます。その場合に、先ほど申し上げましたように、十六条の改正に基づく集約、合併ということが起こってまいりますので、それを具体的な形で取り上げる場合に、この中小企業近代化促進法対象になって税制上の優遇なり財政的援助なども受け入れ得るように指導していきたい、かように思っておるわけでございます。
  42. 木村美智男

    木村美智男君 次の関係ですが、この港湾運送関連事業の取り扱いについて料金の制度をどういうふうに考えておられるか。これは何か聞くところによると、あるいは法案にはっきり明示してあるかどうかわかりませんが、届け出料金制にするように伺っておるわけです。しかし、この問題は、この種の料金というやつが届け出制になった場合には、どうもダンピングなりあるいはリベートというような問題が往々にして発生しがちなんです。したがって、そういうようなことについての問題を除くためには、単なる届け出料金制ではまずいんじゃないか。その点は何かやはり確定料金制度というようなものにきちっとして法的な拘束力を持たせるということが実は大事なのじゃないかというふうに考えられるのですが、この点はどういうふうにお考えですか。
  43. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 港湾運送関連事業につきましては、答申の中にも関連する事業について規制、指導というものを行なうべきではないかというような示唆がございます。したがいまして、今回私ども考えましたのは、まず業を届け出制にすることによって実態を把握して、その上でいまおっしゃられましたような料金制度その他についても考えていきたいということであったわけでございます。衆議院修正によりまして、これらの業につきましては料金届け出ということに修正案が出されております。で、この届け出をされた料金の取り扱いでございますが、実はこの関連事業につきましては、その実態が多種多様でありまして、実際届け出料金としてどのような体系のものがいいのかということが私ども現在まだ把握しておりません。ただ、この法律修正では一年間の猶予期間がございますので、この間に実態を調査して、この修正趣旨に沿うように私どもとしては料金の体系というものをきめていって届け出制を実現したい、かように考えているわけでございます。
  44. 木村美智男

    木村美智男君 いまお答えがあったように、これは衆議院届け出料金制に修正をされたということで、まあそのとおりのようですが、やはり港湾局でもある程度心配をされているように、この問題はやはり将来いろいろ問題の起こってくるまあ危惧というものはあるわけですね。したがって、ここできちっとなってしまうということであれば、私は賛成できないと思うのですが、問題はまあ一年間の猶予があるということで、その間に港湾局等でもある程度実態調査をやって、そしてほんとうに届け出料金制度でいいのかどうかということを現実の面でも把握しようという、そういう意思がおありのようですから、まあそういう意味で私はこれは了解をしておきたいと思う。届け出料金制を無条件に了解をするわけにはいかぬ、こういうことで、この点は、今後港湾局が実際に一年間の実態調査の中で、やはり問題が出てきたら率直にひとつ出してもらって、そして経緯が経緯なんですから、いわばこの点については私ども条件つきで、今日の時点ではこれは届け出料金制という方式をとるのもある程度やむを得まいという気持ちには立ちますが、問題がなくてそういうことをよろしいということではないのであります。そういう点をひとつ十分心に置いていただいて、港湾局のほうもこの実態調査の中でひとつ真剣に取り上げてもらって、そしてその出た資料についてやはりこの委員会に再び問題を提起するか、私どもが伺うか知りませんけれども、的確にひとつこの一年間の動態を把握していただきたい、これはひとつ要望しておきます。  それから問題は、港湾労働法によりますと、いわゆる俗に言う箱屋、梱包業者関係ですね。港湾労働法ではこの問題がきちっとしているわけですが、一体運送事業法では、船積み貨物位置を直したりあるいは固定したり荷づくりを直したりといったような場合の梱包業者といわれるもの、これは港湾労働法関係からいうこの点の範囲はどういうふうに考えられておるか。もしそれを何か考えておるとすれば、今後省令か何かできめようとしているのか、あるいはその他の方法でやろうとしているのか、その辺をひとつ聞かしていただきたい。
  45. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 港湾においてするこれらの荷づくり、荷直し位置固定清掃、こういうものを行なうものは、シップサイドであろうと、ドックサイドであろうと、いずれもこの法律対象にすべき運送関連事業と解しております。
  46. 木村美智男

    木村美智男君 その関連事業と解しておるのはいいのですよ。したがって、梱包業者もそれではこの中に含まれておる、こういう意味ですね。その点はわかりました。  問題は、警備行為を行なう事業届け出という条項がありますね。この問題の中で、要するにいまやっておる仕事そのものは、これこそいわゆる事業という関係が、内容そのものは警備行為だけだというふうに極端に言えば言えると思う。そこで、現在この点についてあちこち事情が違うのですけれども、利益法人と公益法人とに大体分かれておって、その中では、たとえば神戸の海員共済会というのですか、正式な名称は別にして、これなんかは公益法人の性格を大体持たしておる。そうでないものもあるわけですね。全日検から分かれた警備会社というようなものもあちこちにできておるわけですね。そうしますと、この点については、やはりある程度そういう公益法人あるいは利益法人というようなことで分けずに、これは一本化して、少なくとも団体それ自体に、その事業それ自体に公共性なり中立性をやはり持たしていく必要がある、こういうふうに思うのですけれども、この点については、むしろ指導方針になるかもしれませんが、どういうふうにお考えですか。
  47. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) この警備をやっておるものの中で公益法人でありますのは神戸の船員弘済協会だけでございまして、あとは普通の営利法人であるわけでございます。現在におきましては、公益法人であろうと、営利法人であろうと、そういうことではなくて、実態を把握すると、規制をしていきたいという趣旨ですべてを届け出制にしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  48. 木村美智男

    木村美智男君 最近、港湾運送事業法のあり方の問題でこれは関係するかと思うのですが、専用埠頭ですね、専用埠頭の中で、たとえば外国の定期船を対象にするような関係で、コンテナ専用の専用埠頭建設ということを新たにやろうというような計画があると聞いておるわけです。しかし、この問題については、地域によって賛成、反対まちまちである。たとえば横浜であるとか名古屋の場合には、あるいは局長承知かもしれませんけれども、これは反対していますね。それから神戸やら東京のほうは、まあまあということで大体賛成的な態度をとっているわけです。しかし、そういうような状態の問題なんで、やはりこれは、これこそさっき吉田委員が冒頭に質問したような観点から言うと、相当独占集中の傾向が強いのでこれはやはり問題じゃないかと思うんです。そこで、埠頭運送事業法といったようなものについて何か考えられておるのかどうか、あるいは将来専用埠頭をつくることについてどの程度海運局あるいは運輸省としてタッチをしてどの辺まで進んでおるのか、現状をひとつ説明をしてもらいたい。
  49. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) この専用埠頭というのは、船会社その他が埠頭を専用して自分の貨物だけを扱うというシステムであろうと思います。これにつきましては、港湾審議会の中の管理部会が、港湾管理者の財政問題と効率的な運用の問題につきまして大臣が諮問いたしました場合に、答申がなされました。その中で、横浜、神戸のような外国貿易が非常に盛んである程度成熟した港については、要するに、国の補助に基づく公共事業でやらないで、何か財政資金を活用することによって専用埠頭をつくったらどうか、そうして専用埠頭をつくれば、効率的に運営されるし、また専用料によって投資した資金が回収できやせぬか、こういうことが答申の中にございます。それを受けまして、事業団もしくは公団というような方式で横浜、神戸に外国貿易埠頭をつくろうということで、四十一年度予算では要求したわけでございます。これは公団その他の新しい政府機関を認めないという方針で成立しなかったわけでございますが、その場合に埠頭運送事業というようなことがわれわれの中で考えられたことは事実でございます。それはどういうことかと申しますと、答申趣旨そのものを具現するには、一貫して一人の者が責任を持ってやるのが一番いいわけでございまして、現在のところでそういうやり方をするということは、従来そこに働いておる業者にとっては大問題であるかもしれませんが、新しいものができる場合には、一気にこの答申趣旨を具現するにはそういうものがいいのではないかということを考えて相談したわけでございます。それがいろいろと、先ほどお話がございましたように、横浜反対、神戸ではそう反対がなかったというようなことでございましたが、この問題は非常に重要なことだと思いますので、先ほど申し上げました港湾審議会に設けられます港湾運送部会の中で、今後の理想的な港湾運送のあり方としてこういうようなものも考えられないか、またこういうようなものに移行するにはどのようにしたらいいのかということを審議してもらい、その結論を得てこれを実施に移すようにしてはどうか。現在はそのように考えておるわけでございます。
  50. 木村美智男

    木村美智男君 いまの問題で、特に港湾局に今後もひとつ気を配っておいてもらいたいと思うのは、最近何とか審議会、何とか調査会、何とか委員会という答申がはやっているわけです。で、これはいろいろ専門家や経験者を集めてそういうことをやられることについて、必ずしも原則的に私は否定をするものではありませんけれども、そのことが往々にして、冒頭に申し上げたように、いわば港湾運送事業法そのものが、これはいわば港湾運送事業をとにかく何とかして悪条件の中であっても育てあげたいという趣旨の上に議員立法としてつくられたということから考えていけば、これはだんだんさっき吉田委員指摘もありましたが、やっぱりカルテル化していくような方向に、少なくともこの法律の制定の趣旨からいって遠ざかっていくものであることは間違いないわけです。そういう意味で、何でもかんでも答申があったからといって、そういうことですぐ答申をたてにして乗っかっていくということ自体は、やはり大きな問題を含むものであるから、本法が成立をしたときのいきさつあるいはこういう立法の趣旨というものをそこなわない範囲の中で答申というものをやっぱり受けて立つというのが行政面で大事なことじゃないか。もしそれがそうではなしに、現実の事態の中において、もはや答申のほうが現実的にも実際的にもそれはよくなってきているというなら、法律そのものを変えるべきである。今日港湾運送事業法が厳然として生きている以上は、その趣旨、精神というものは、やっぱりこれは生かしていかなければならぬ。こういう立場からすれば、いまのこの専用埠頭の問題は、答申があったことは事実あったんですから、それはあったということは了解をしますけれども、これを具体化するにあたっては、十分ひとつ法の精神にのっとって、これをどうこれから考えていくか、現実につくりあげていくかということの研究の態度なり構想を練るにしても、そのことをひとつ忘れないようにやってもらわぬと、それでないと、やはり心配するような、いわば今日カルテル化しつつあるという批判が、それはまさに適中をするだけじゃなしに、それに拍車をかける一つの手段としてそういうものが考えられているのだと、もしそうでないとしたら、そういう別に何というんですか、そのような気持ちがないにかかわらず、まあ痛くもない腹を探られるということにもなるわけですから、そういう意味で、いまの問題については、特にこれは港湾局長に要望しておきますから、それはひとつ忘れないように、今後の運用の中でこの問題を進めるにあたってひとつ特に気をつけていただきたい、これは要望しておきます。  大体原則的には賛成の法案でありますから、したがって私は、一応以上のことを聞きまして、だいぶ事情も明らかになりましたから、まず反対という気持ちには立たぬわけでありますが、一応これで私の質問を打ち切ります。
  51. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 関連。だいぶいま同僚の木村委員から細部にわたって質問がありましたが、この法律の二条の定義ですよ。これは配付された港湾運送事業現状というのを見ると、過去にこの法律が三十四年に大修正されてでき上がったわけですね。そういう歴史をずっと読んでみますと、やはり若干この二条の定義というものを、法文だけでは読み取れませんから、この際説明をしていただきたいという、こういう立場で質問を私はするわけです。  で、いろいろ午前中にも私は申し上げておりましたが、業種が一から四に分かれておって、一というのは御承知のように一般港湾運送事業でありますね、その他まあ船内荷役とかはしけとかあるいは沿岸とか分かれておるけれども、今度の法律改正のねらいは、従前いろいろ議論されたり問題にされたりして、結果的には三・三答申、つまり昭和三十九年の三月三日にこれに対する審議会答申が出ているわけで、これを踏まえてこの法律改正になっていることは受け取れるんですよ。受け取れますけれども、先ほども言ったように、かなり下請についてはきびしい統制をしておるということになっていますね。もっと私なら思い切ってやったらいいじゃないかというさっき午前中意見を述べたんですが、その結果、確かにいいことであるけれども、起きてくる系列化による従属化の心配、これはそんな心配はないと、それから先ほど午前中の答弁でもそんなようなことは大体ないようにうかがえたんですがね、それでもなおかつ私は心配なのは、そう言ってみても、過去の現実から、経験から見ると、そうはなかなかすかっとしたようなものに一挙になりゃせぬじゃないか。言いかえれば、その結果、むしろ何ら権限なくして、実態としては、いまの下請というものを——再下請は別として、法ではなくて現実面として合理化していくようなものになりゃせぬか。そうすると、結果、一般港湾事業というものとの二本立てになってきやせぬか、そういう懸念があるんですよ。ですから、こういう関係——これは集約化と非常に関連のある問題ですが、そこのところをわれわれのような専門家でない者について胸にすとんと落ちるような答弁を聞かしていただきたいんですが、これは二条の定義の関係です。
  52. 木村美智男

    木村美智男君 終わったんだけれども、やっぱり思い出した。いまの問題はこういうことですね。はしけだとか、いかだだとか、船内沿岸といったようなやつは、一応利用者が直接やるやっと、それからもう一つは元請を通してそして依頼をするというのと、二通りあるわけでしょう。そのどっちかというと、この法律ではいわゆる元請を通すほうばかり見て、あっちを見ないわけだね。そこのところを言いたいわけです。そこで、  一体何というのですか、いわば一般港運業、つまり元請のほうの関係はよく見ているけれども、こっち側は見ていないから、総体的にはどうも片手落ちのような気がして、一体これはうまくいくのだろうかどうだろうかということが心配になるわけです。したがって、これは資本の支配を受けているところはいいけれども、つまりある程度元請の下にあってぜにのめんどうを見てもらっているところはいいけれども、そうでないところ、これは一体ここの法律第二条からいってみたら、ちょっと何か見捨てられて、置いてきぼりにされているような気がするのだが、この点は一体どうなのかということが私の聞きたいことです。
  53. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 二条に最初にございますのが、荷主もしくは船主から依頼を受けて港湾運送というものを一貫して行なうものを言っているわけでございまして、そのほかに、いま御指摘のございましたように、船内なり、沿岸なり、はしけなりというものがまた別に専業としてあるわけでございます。今回改正対象にしたものは一貫作業体制ということでございまして、一貫作業体制というのはこの一般港湾運送事業以外にはないわけでございます。したがいまして、その他のものについては従来の法律でもできるわけでございます。ただ、ここで一つ今回の法律改正関係ありますのは、直営率を、とにかく一般港湾運送事業者が引き受けようと、先ほどお話がございましたように利用者から直接二種以下の業者が引き受けようと、いずれにしても直営率というものは七〇%以上にするということがございまして、これによって、船内以下の業がいままでやっていたことにつきましても、自分の能力にふさわしいだけの仕事をこなしていくということで秩序が保たれていくようになるのではないかと思うわけでございます。
  54. 木村美智男

    木村美智男君 いまの話で、どっちにしろとにかく直営率を七〇%以上に持っていくのだというのだけれども、そういう意味ではわかったような気がするのですが、しかし一応この企業基盤強化という立場から考えると、私はやはりさっき聞いたように、元請を通してそしてそれにつながった形にあるところはその面いいけれども、そうでないところについては、どうも何か資本的にも小さいから、だんだん店をしまわなきゃならぬという運命になっていく心配があるような気がするのです。そこのところは、一貫作業のあり方はどっちにしろ七〇%以上だということで、それは理解できますよ。しかし、七〇%以上にしていくということなんですけれども、やはり元請につながってないところは、そうあなたがおっしゃっても、現実の問題としてはなかなかそこまで商売を持っていくということはちょっと無理な面も出てくるのじゃないですか。そこら辺のことは、いやたまにはしまうものも多少あるかもしれぬくらいのことを答えるのが常識じゃないですかね。
  55. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) ただいまの元請を通さない二種以下の業種が直接元請をする場合というのは、製鉄所の鉱石を荷役するのは船内沿岸に製鉄所がそれぞれ依頼すればいいと、こういうような場合でございまして、このような場合は大体専属契約ということがなされておりまして非常に業種が安定しているほうが多いわけでございまして、むしろ一貫作業体制をとらなければならぬ元請と下請関係というのがいろいろ過当競争で乱れているのが実情ではないかと思いまして、そちらのほうを答申趣旨によって秩序を立てていくというのが今回の法律改正趣旨でございます。
  56. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 そこで、この定義の関係のみならず、全体的な局長の明快な答弁がございまして、私も、いよいよこの法律が成立をしますれば、総合的な企業基盤の強化が確立できると期待している一人であります。そのためには、具体的な集約方向というのは何であるかということについても大体明らかになり、それを具体的に執行する場合に今度はどこに注意をしなければならぬか、留意をしなければならぬかということについても、たとえば系列化の場合は従属化を防いでいかなければならぬであろうというようなこと、それから企業及び労働者の不安を取り除くなどなどの、数をあげれば数々の問題が明らかになりましたので、最後に一つだけ伺っておきますが、最近かなりどこの港湾でも大規模機械化、設備の拡充をしなければならぬような状態になってきていますね。ために、膨大なやはり設備の資金を必要としてくるわけです。いままでは大体港湾労働者あるいは事業を営んでおる大半の、先ほどの説明では千八百何がしかの会社になっていますが、一年間に約百社くらいふえているわけでしょう、四十年度から見ればふえていることになります。計算上はふえておることになっていますが、そういう人々はほとんど中小企業でありますから、そういう関係質疑応答をやっておるわけなんで、これはこれで先ほども言ったようにたいへんわかりやすい答弁で、大体われわれもよう認識しました。認識しましたが、先ほど申し上げた大規模な機械設備改善あるいは新たな設備をしなければならぬという、投資を必要とするものについて一つの例をあげれば、埠頭業のような問題がありますね。近代的なターミナル・オペレーターといいますか、こういう関係について、これもまた中小企業と同じように、今日何ら法律的、さらには財政的に助成をしていくというようなものはあまり私は見当たらないのではないか。全くないとは言いませんよ。私は全くないとは言わないけれども、いま申し上げたような膨大な近代的な設備投資をしなければならぬ、それにふさわしい法律あるいは助成措置というものはないと言っても過言ではないと思うのですね。ですから、私は一面においては、先ほど言ったようなだんだんの具体的な諸施策はもとよりであるけれども、こういう面についても港湾局としてはこれから考えなくちゃならない問題じゃないか、こう思うのですが、この点はどうです。これは最後の私の質問にしておきますから。
  57. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 現在埠頭事業をやっておりますもの、たとえば東洋埠頭であるとか三井埠頭とかございますが、こういうものにつきましては、従来も開銀の融資によりまして機械化その他に対する大きな融資をした例がございます。今後におきましても、機械化というような面、さらにはサイロをつくるというような面では、日本開発銀行の融資というものを対象にしてやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 ちょっと私もお伺いしておきたいことは、この今回の一貫作業という点は、ただいまの物価対策その他を考えても中間的現象と見て当然だと思いますが、また、これを実行する結果、相当に集約化せられるということが望ましいということと、港湾労働法によって大きく労働施策について力のある業者でなければならぬという、従来のいわゆる人夫供給というようなことではいかぬということも含まれているのだと思います。ただ、今回のこの法律によりまして、現実にたとえば乙仲作業あるいはまたエージェントは別ですが、そういった実際の労働関係、実際作業をする労働関係とのつながりというものが一体どういう程度に集約関連ができるとお見通しになっておるか、その点をお伺いさしていただきたいと思います。言いかえれば、先ほどお話しになった合併とかいうようなことは、これはもちろんけっこうですが、そういうこともいまの現実を直ちに大きく改善するということは困難だということの見通しのもとに、たとえば五〇%以上の株を持っておれば、しかもそれは相互に、あるいは荷役事業者が乙仲といいますか、そういう方面を持つにしても、乙仲がそういう方面の株を持つにしても、それはよろしいという構想が入っておるように思うわけですが、結局それによって、簡単に申し上げれば、乙仲その他はどういう程度に今回の法律によって整理される——整理されるというよりも、この法律に乗っかっていってそういう関連が維持されるか、簡単に言えば、集約化せられることはどの程度かということをお伺いしておきたいと思います。
  59. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) どの程度ということは非常にむずかしゅうございますが、一つは新免の場合には基準を上げたわけでございますが、この基準を上げたのは、七〇%をみずからやれるということで一つの基準を上げたわけでございます。先ほどの乙仲の場合の問題について、やはり自分が七〇%の面を直営しなければならぬ。いままでは一部だけ直営すればいいという非常に抽象的な表現だったのを、月間の引き受け貨物を七〇%直営しなければならぬというのでありますから、そうしますと、年間十万トン扱っておる業者であれば、それに該当するその七〇%だけを直営できるだけの施設並びに労働者を持たなければならぬということになるわけであります。それをするためには、どうしても資本的に弱い者は一緒にならなければならぬとか、また労働者を雇うためには幾つかのものが一緒にならなければならぬ、そうして確保しなければならぬ、こういう形をとらざるを得ないので、必然的にそういうような形の集約というものが行なわれざるを得ないと、かように考えるわけであります。
  60. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それはわかっているのですが、具体的にたとえば神戸あるいは名古屋、横浜というような港でそれはどういうことになっているのか。もう相当に港湾業者等の御意見も十分にあなたのほうが聴取されておるということを伺っておるのですが、結局それは何にも現状を変えずに済むようなことで、二分の一の株を持てばいいとか、あるいは五年以上契約しておればよろしいとかいうことになってくると、いまとあまり変わらぬのですが、ただていさいだけ直したのでは法の実際の目的を達しないことになりますから、だから事実どういう程度に集約化せられる考えか、そのお見込み、これを伺っておきます。
  61. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 業界はこの法律については知っておりますし、業界の意見も十分これに入れておるわけでありますが、いまのような集約合併の実態につきましては、われわれとしても、今後港々によって集約をしていく規模なり方向なりというものは違っていくわけでありまして、これについては十分調査をし、先ほど来申しました港湾審議会運送部会に実態を報告し、われわれの案をかけて、その中から各港ごとの原則というものを見出していただきまして、それに沿って、二年間の猶予がございますので、この間にそういう規模なり集約方向なりというものを見出していきたい、かように考えるわけであります。
  62. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それはわかりますが、大体そういう施策としてお打ち出しになる以上は、どの程度のものまでなるかということは一応おわかりになっているのじゃないでしょうか。それがもしわからないとすれば、しからばお伺いしますが、基準というものは、これは運輸省令できまるということですが、その基準の点はどういう程度をお考えになっているのか、これが現実の問題ですから……。
  63. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) 免許基準の引き上げにつきましては、一種港及び二種港につきましては、港湾運送事業者の実績に基づいた一店社当たりの年間平均港湾取り扱い貨物量をもって適正規模な操業を維持するための最小限の年間の取り扱い量だと、こういうようにきめまして、これに基づく施設及び労働者規模というものをきめたわけであります。したがいまして、これを現在と比べますと、大体一・五ないし三倍というようなものが出てまいります。これは新しい免許はこれで与えるわけでありますが、従来の免許のものにつきましては、十六条による集約合併というものを、系列化というものを進めていくときに、この基準以上になるように指導していきたいと、こういうことであります。
  64. 金丸冨夫

    金丸冨夫君 それで、いま実際の港湾関係において二カ年間と言いながら、たとえば乙仲の乱立とか、そういうようなものをどの程度これが整理ができるというか、またいわゆる労働者供給の団体というものがどういうぐあいにできるかという見通しはまだ持っていない、これからやるというわけですね、そうですか。
  65. 佐藤肇

    政府委員佐藤肇君) これからでございますが、たとえばいまの乙仲の問題などは、直営率並びにこの基準から見て明らかに現在のままではだめだということははっきりいたしております。     —————————————
  66. 江藤智

    委員長江藤智君) 次に、自動車損害賠償保障法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  67. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 ちょっと委員長、私のほうできょう私の質問に対して答弁者を要求いたしましたのは、大蔵省の銀行局長、それから農林省の農政局長、それと運輸省の自動車局長、こういう方々にお願い申し上げました。ところが、政府側出席者の名簿をいま拝見いたしますと、大蔵省のほうは保険部長、農林省のほうでは参事官、かようなことでございます。ところが、衆議院の会議録をつまびらかに読んだ私からすると、この審議に入る第一日目にもかかわらず、何かしらわれわれ参議院の運輸委員会を軽視されているような印象を受けてしようがないのでございます。こういうことは、きょうはやむを得ないにしましても、われわれ参議院運輸委員会の面目にかけても、今後改めてもらわなければならない問題だと思いますから、追って委員長のほうから、それぞれの役所に対しては十分御注意願いたいと思います。
  68. 江藤智

    委員長江藤智君) 委員長におきまして善処いたします。
  69. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 ただいまから質問に入ります。  まず、修正をされました田邉議員にお尋ね申し上げたいんでございますが、今回の自賠法の一部改正の問題につきましては、衆議院においては二カ月余にわたってあらゆる角度から慎重な審議をされましたことをば十分承知いたします。ただ、この法案が参議院に回付されまして、実質衆議院を通過しましたのが五月の二十六日でございましたから、とても衆議院審議されたほどの審議は尽くされないと、かように私ども考えざるを得ないのでございます。特に衆議院の段階でいろいろ御審議になりました経過などからいたしましても、まだ相当質問を申し上げなければならない点もたくさんございますけれども、与党の議員の一人として、会期のことなども考え、なおかつこれから上がってくる法案などのことを考えます場合に、きょうは衆議院での審議になお突き込んだ質問をしたかったんでございますけれども、これは本日は取りやめることにいたしたいと思います。ただ、責任共済制度を創設するという修正が行なわれまして、前回の本委員会におきまして田邊議員から修正部分の趣旨説明がございました。もとよりこの本法案は、激増する交通事故に対処して、被害者保護をより一そう強化するための措置でありまして、私どもはこの趣旨、この法案には賛意を表するものでございます。しかしながら、振り返って、この法案が提出されるまでの経過を見ますと、当初政府原案は、原動機付自転車を本法の対象車種に加えることと、保険金を引き上げようとする二点、それと審議会委員十一名を十三名にしよう、こういうことが原案でございました。この法案を提出しますぎりぎりまで、実は田道議員のほうで修正案件を出されまして、そういうこと以上のものをば実は法案として出したいということで、種々田邉議員は、自民党の交通部長でもございますために、そのことについてはいろいろとお骨折りをいただきましたことも、十分承知いたしております。ただ、予算の伴います法案でもございました結果、急いで一応原案として出しておいて、あとで修正しようというようなお互いに腹がまえでこれは臨んだことも、御承知のとおりでございます。これがいろいろな経過を経まして、このためには、自由民主党といたしましても、交通部会あるいは農林部会、数回にわたって慎重に検討もいたしました。そして最後に財政部会とも寄り寄りこの問題について検討を加えまして、最終的には、これは現時点においては一つの段階的な処置として、この前修正に対する御説明がございましたようなことに落ちついたことも、よく存じ上げております。ただ私は、大蔵省銀行局からお見えになっておりますから申し上げますが、この農協共済を始めた昭和二十六年来九年間役員をした私ですから、経過についてはあなた方よりも十分勉強しているつもりでございます。しかしながら、いまさらかようなことを申し上げましても、与党の議員としては、現段階においては、衆議院の与党の修正にかかわりますものをば参議院でとやかく申し上げるわけにはまいらないことも、私の良識がさように言わしております。ただしかし、いろいろと考えられますことは、たとえて言えば、農協は別として、農業者が持っておる二百五十CC以下のオートバイあるいは原付と申しますか、それと三百六十CC以下の軽自動車に限ると御説明にもございます。私が非常に割り切れなく考えますことは、すでに農民は、野菜を運搬し、くだものなどを運搬し、あるいは農産物をば運搬する場合に、多くの農家は小型トラックを持っております。なぜ割り切れないかと言えば、原動機付自転車の強制保険は農協へ、それ以外の、軽自動車以外の小型トラックは保険会社へと、同一家族内において違った方法をなぜしなければならないのであろうかということは、だれが何と言っても農家に説明はつかないのでございます。  いろいろと経過過程においてはございました。私ども業者の代表である者から言えば、農業基本法の最終目標は農家がそれぞれ自家用車を持つ日までと私は念願しております。現時点においてはまだ農家が保有する自家用車などというものは少ないからこの際はがまんしたんだというあの三者会談の間いろいろと論議されたことは、部会長である田邉議員御承知のとおりでございます。私はその際に、いまでも考えますことは、いまから十年足らず前にテレビなるものが農村に入ったときに、どういう経路で入ったかと言えば、都市周辺の農家から入って、そしていまでは末端にいって、おそらく普及率は九〇%に達しております。やがてはさようなことがこの自動車の問題になることは、火を見るよりも明らかでございます。したがいまして、ここでまず第一にお答えいただきたいことは、現時点においては軽自動車並びに原動機付自転車に限られておりますが、修正者としては、これは将来どうしてやっていこうかというお考えに基づいてのことでございますか、まずそれを承りたいと思います。
  70. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) 御質問にお答えいたします。  ただいまの御質問でございますが、私も谷口先生と同じように、やはり農家の保有しておる自動車を区別するということはまことに不合理である。ですから、今後早急にこれは全車種に拡大すべきものであると考えております。
  71. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 次にお尋ね申し上げたいのでございますが、農協が保有する自動車も対象となっておりますことは、先ほども申し上げますとおり、なお田邊議員の御説明にもあったわけでございますが、その場合の農協とは農協法に基づくすべての法人をさすものであると私は考えておりますが、この点はいかがでございますか。  それと、員外利用についての考え方でございますが、農業協同組合法では五分の一の員外利用を許しておりますが、この場合に員外利用はさせないのだということの法的根拠についていささか私は疑問を持ちます。しかし、員外利用はさせないのだということのようでございますから、私としても現時点においてはこれは認めざるを得ないと思います。しかしながら、将来、たかがしれた五分の一でございます。しかも、農協が自分の町村を離れて遠いところまでわざわざ員外利用者をさがし歩くようなことは、過去において一ぺんもございません。農林省からも見えておりますから申し上げておきますけれども、農業協同組合法が言う五分の一の員外利用の規制をいまだかって農協は破ったということは一ぺんもございません。あったら、あとで農林省のほうから御報告願います。私はないことをかたく信じ切っています。それが何かしら員外利用すら認めないというようなことにしたのは、農協が走り過ぎはしないのかというような、さような危惧の念にとらわれて、あるいはこの話し合いが行なわれたんじゃないかと思われる節もございますので、あわせて員外利用の問題についての田邊議員の御答弁をお願い申し上げます。
  72. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) 最初の御質問でございますが、農協法によって設立されましたすべての法人を考えておるわけでございます。  それから、第二の員外利用の問題でございますが、これは認めないという考えでありますが、このことは、農業者や農協法によって設立された法人以外の一般の者の利用を認めないと、こういう意味でございます。
  73. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 ただいま田邉議員の御答弁に対しましては、後ほど運輸省、大蔵省、農林省のほうでも御確認願いたいと思いますけれども、まだ御確認願いたい案件が他にもございますから、次に進めてまいりたいと思います。現在農村におきましては、バイクも、軽自動車も、またその他のトラックなども、その多くが月賦で購入されております。このために、代金を全部完済するまでは販売会社が所有権を保有しているのが実情でございます。このために、所有権を持つ者のみにもしかりに限定いたしますと、そのものについてはすべて農協との契約が不能となって、せっかく本制度をお設けいただいた趣旨にも反するという結果となるばかりでなく、現に自家保障の制度においても、この種のいわゆる月賦払いのものについて、現金払いまたは月賦完済のものも同等に扱っていく、かような経緯から考えましても、これは私の質問に対して、所有権及び使用権を有するものは契約できるのだという、そういう考えでございますのかどうか、それをこの際伺っておきたいと思います。
  74. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) 谷口委員のおっしゃるとおりでございまして、自家保障におきましては、法第五十六条の第一号において「政令で定める両数以上の両数の自動車を有する者であること。」ということになっておりまして、なお現行法の法第二条第三項におきましても、「「保有者」とは、自動車の所有者その他自動車を使用する権利を有する者」と、こういうようになっております。実際はお説のとおり扱っておりますので、私もさようにいたすべきものと考えております。
  75. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 それでは次に進めてまいります。  責任共済の今後の運営という問題については、これは私自身も御承知のとおり農業協同組合長でございますから、あとで問題や疑問が起こらないようにここで確認していただくために実はお尋ね申し上げているわけでございますが、たとえば原動機付自転車の年間の共済掛け金が二千五百六十円と、こういうことに全国のプールでなっているように承っております。ただ、責任共済とは別個に、農村独自の掛け金率を設定して、すでに任意共済の自動車共済は行なっております。それとこの問題とについて、将来いろいろと必ず問題が起こるのではないかという気がしてなりません。御承知のとおり、農協は利潤追求が目的ではございませんから、自家保障の場合と同様に、国への再保険や損保会社のプールは行なわなくても、責任共済制度の中で共済責任の全部を保有せしめてもいいんじゃないかという気が実は私はいたします。また、こういうことになれば、損害の査定などにつきまして、保険との均衡ということをあるいは大蔵省あたりでいろいろ御心配になっておられることかと思いますが、そういうことは当然でございますから、農協の独自の組織による査定を行なうということも私はあっていいんじゃないかと思いますが、ただ、前に申し上げますように、民間保険とのいろいろな査定においてはなはだしい不均衡な面がもし出たら、これはまた保険会社のほうでもお困りであろうから、それはやむを得ないにいたしましても、いまその制度を始めてすぐ、もうかった、損したということは、衆議院の会議録を読んでみましても、少なくとも二、三年、四年くらいはかかるかもしれないという実情のようでございますから、農協が共済事業としてこの保険を営みます場合においても、数年後には、相当な利潤がもし出て、それをば、他にもやっておりますように、割り戻しのことはやっていいのか悪いのかということが、数年後には必ずこれが問題になってくるような気がいたします。そこで、提案者の田邉議員にお尋ね申し上げますが、その際には割り戻しもしてもいいんだというようなお考えに立っておられますのかどうか、それをお尋ね申し上げたいと思います。
  76. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) この問題につきましては、衆議院運輸委員会でも非常に議論をされた問題でございます。ただ、私は提案者といたしまして、共済の掛け金率、また責任保有、査定割り戻し制度、こういうものは、やはり谷口委員がおっしゃったとおり、私もさようにやるべきであると、かように考えておるわけでございます。
  77. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 それでは、まだ一、二点ございますけれども、あとは大蔵省のほうにお尋ねすればいいことになるかもしれませんが、ここで、大蔵省の銀行局の保険部長さん、田邉議員から答弁をいただいたのでございますが、そのとおりだと私はかたく信じますけれども、大蔵省のほうでも御同感でございますか。運輸省自動車局長にも同時に伺います。なおまた、農林省は、あの衆議院での審議の経過を読んでみますと、和田局長は、勇気を持って、しかも自信を持って答えておられる。ですから、私の言うことには反対じゃございますまいけれども、あの際に農林省が何も答えなかったということになれば、多くが政令にゆだねられることになっておりますから、あとであなた方が事務的にやられる場合にお困りになられるかもしれないと思うから、ここであなたにも御質問申し上げる。
  78. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 御趣旨の点につきましては、当然のことでございますが、国会の御意見に従いまして十分善処いたす所存でございます。
  79. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 善処ということは、承認したということですか、期待に沿うようにやるということですか、いずれのほうでございますか。
  80. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 御期待に沿うように善処いたすつもりでございます。
  81. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 期待に沿えない場合もあり得るようなことはないのでございますね。そこを確認しておきたい。いかがでございますか。
  82. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 御趣旨に沿いまして、そのとおり御趣旨を実現するようにいたしますと、こういう趣旨でございます。
  83. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 提案の御趣旨に沿うように、政令その他の運用においてやっていきたいと思います。
  84. 横尾正之

    説明員(横尾正之君) 農林省といたしましては、修正案の趣旨内容を忠実に実行するということで考えておりますので、田邉先生から御答弁のありましたとおりに実行いたしたいというふうに考えております。
  85. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 もう一点でございます。法第五十四条の九で、責任共済に関して大蔵大臣が関与することになっております。これは衆議院の会議録を拝見いたしましても、そのようにお答えのようでございますから、あるいはそうだろうと、私もそういうふうに一応あの会議録は読みました。運輸大臣の同意は、自賠法の主管大臣としてこれはもう当然のことだと思いますけれども、大蔵大臣までなぜ必要なのだろうか、ここが非常に疑問に思いますのは、農協でやっております生命、火災あるいは建物、特に損害のほうで言えば、火災共済、建物共済、こういうことも、主管大臣である農林大臣の監督下に、過去において一回もトラブルは起こしておりません。これはもう自信を持って私は申し上げられます。しかしながら、これについてどういうわけだろうという実は疑問を持ち続けております。あるいは田邉議員も同感かも知れません。いろいろと経過がございましたので、この辺でしかたがないだろうとお互いあきらめた経過もございますから、あえてこれを申し上げようとは思いません。ただ、この事業の実施時期に関連しまして、両大臣の同意ということになりますと、いたずらに時期を引き延ばされちゃこれはたいへんだと思います。いろいろと私も、ほんとうに、この問題については、農民を代表して出てきておる私でございますから、もっともっと突き詰めて実は質問もしたがった、究明もしたがったんだけれども、時間的に余裕がないからやむを得ないにいたしましても、ここで「同意」ということばがある場合に、同意がもし得られないというようなことになれば、いたずらに時間をかけるような結果になりますと、せっかく法律まで改正していただいて、まず責任共済の第一歩から歩み出そうとする農協の組織ではたいへんだろうと思いますが、この同意というものは、一体過去において——これは自動車局長でもいいと思います——大蔵省と運輸省と同意しなければならなかった過去がございますが、時間は大体何日ぐらいかかって同意が得られた経過があるのかどうか、その過去の事例を教えていただけばおのずから判断ができようと思いますので、それをお尋ねいたします。
  86. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) ただいままでの例としては、的確な時間というものはちょっとわかりませんけれどもさしたる支障なしに、事前の打ち合わせで十分話し合いがつきまして運用されております。
  87. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 保険部長は主管部長ですから——こんなことまで実は心配しているんですよ、あなた方があまり強過ぎるから。ようございますか。ですから、おおむね農林省のほうから同意を求めてきた場合には、日にちは切りませんけれども、早くやってくださいますかどうか。私は実は十日ぐらいあれば足りると思うんですけれども、どんなものでしょうね。いままで自動車局とやり合った過去で、あなたのほうは専門家だからおわかりと思うんだけれども、どのぐらいの時日が必要なものでしょうか。それは問題によって違いましょう。しかしながら、まあ実施方法とか、限られていますからね。共済規程といいますか、あるいは約款ということばもありましょうが、そういうものなんかをいろいろやる場合に、そうたいしてかからないとは思うんですけれども、これもひとつ農民を思う親心から聞いているんだということから、誠意のある御答弁をお願い申し上げたいと思います。
  88. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 運輸省といままで経験があるわけでございますが、先ほど自動車局長からお話ございましたように、いろいろの問題につきましては、よく内々打ち合わせもし、非常に円滑に運営されてきていると私は考えております。今度の問題につきましても、いろいろと御議論もいただいたところでもございまするし、大ワクについてはすでにいろいろと御決定をいただいておるところでございます。その実施までの細目につきましては、御趣旨の線に沿いましてできるだけすみやかに処理をいたしたい、そういうふうに考えております。
  89. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 三十四条の審議会でございますが、これは、この法案は運輸省から提案されておりますけれども審議会は大蔵省に置いておられるようでございますが、この審議会委員を二名ふやされた中に、第三十五条で、「委員のうち五人は、関係行政機関の職員のうちから、大蔵大臣が任命する。」、こうなっておりますが、私は長い演説はいたしませんが、これから承りましょう。この中の一名は、私の希望といたしましては、こういう農協で強制的な自動車共済ができるようになったのだから、農林省あたりから一人とっていただいておいたほうがあとでよくはなかろうかと、これも親心で実は考えておるのでありますが、いかがでしょうか。
  90. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 仰せまことにごもっともだと思います。ただいまの審議会委員の定員をふやしますときにあたりまして私ども考えましたのは、当初は御存じのような状況でございましたので、原付に深い関係がございます地方自治団体関係の官庁ということも考えておったわけでありますが、その後御存じのようなことで、衆議院修正が行なわれたようなわけでございます。そういうような点も考えて、どういたしますか、まだきまったわけでもございません。御希望の点も頭に入れましてよく考えさしていただきたい、こういうふうに思っております。
  91. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 最後に、この修正の問題については終わりたいと思います。学識経験のある者が三名から四名になりますが、現在の三名の学識経験者という人たちは、過去においてどういう経歴を持っておられる方々でしょうか。
  92. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 学識経験者といたしましては、お一人は会長をやっていただいております浜口巌根さん。これは長期信用銀行のこのたび会長になられました方でございます。それからもう一人の方は慶応の園教授、これは保険学者でございます。それからもう一人の方は山田亮三さんとおっしゃいまして、たしか日本産業材料研究所の専務理事をやっておられるということでございます。
  93. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 いま顔ぶれを承りましても、やはりどっちかに一人は入れておいていただいたほうが、将来の法律の運用あるいは保険の運用、そういう方面について、非常に私はやはり大蔵省のほうでも助かると思うのです。一人くらい入ったからというて、多数決でどうという審議会じゃないと思いますから、やはりあらゆる方面の知恵も取り入れながら、審議いただくことが私はいいと思います。これは要望でございますから、大蔵大臣がおやりになることですから、きょうここで部長のほうからどうかということを突き詰めて私は確認しようとは思いません。これは要望にとどめておきたいと思います。  ここで最後にお尋ねいたしたいのですが、ある新聞で見たんですが、「大蔵省「共済」の規制検討」「加入者の保護図る」「保険会社なみの膨張に対応」、ただ見出しだけちょっと読みます。「大蔵省は最近めざましく拡大しつつある保険に類似した共済事業に対し、何らかの規制措置をとる方針で検討をはじめた。これは契約者を保護する観点から共済の所管官庁がばらばらになっているのを大蔵省にまとめ、保険行政を一体化することをねらいとしている。このため保険審議会(石坂泰三会長)でも六月からこの問題の実質審議にはいり、約一年がかりで福田蔵相への答申を作成する。」、これは日刊紙の記事ですが、しかしこの内容に詳細入ってみますと、さもありなんというような気がいたしてなりません。これは一体どういうことをば規制しようとしておいでなのか。いままで私が田邉議員に質問申し上げまして、それぞれの田邊議員はじめ関係各省からの答弁もはっきり承りました。現時点においてもなおこの考えは持ち続けて今後もいかれるんでしょうか。もしお持ちだとすれば、共済にどういうメスを加えて、そうしてどうして大蔵省のほうで一本にこれをにぎる——どういうことなんでしょうか。事情、話が非常にむずかしい問題で、新聞記事だけでわかりませんけれども、何かございましたら私にお教えいただきたい。
  94. 上林英男

    政府委員(上林英男君) ただいま御指摘の記事の内容は、必ずしも正確ではございません。というよりは、規制を検討している点は何かという点につきましては、それは事実ではございません。保険と共済との問題につきましては、かねてからその本質的な相違点はどこにあるかとか、その分野はいかにあるべきかというような、いろいろの議論がございます。そういうような観点から、このまず保険と共済の本質についてどうあるべきであるかというようなところから議論をしていただきまして、そのおのおののあり方というようなものにつきまして、あるいは保険との関連におきまして、共済と申しますか、最近におきましてはその保険と共済の分野が必ずしも明確でなくなってきておる。素朴な共済というものが非常に成長してまいったものもございまするし、また共済の中におきましても法的の基礎がありますものとないものとございます。そこいらの分野が必ずしも明確でない。これについてどう考えるべきかというような、いろいろの議論があるところでございます。こういうような点につきまして議論をしていただきまして、その御意見を伺い、それについてもし必要な措置があればするということになるわけですね。大蔵省といたしまして、初めからどういう規制をするとか、どういうことをしようということを頭に置いての議論をしていただいておるわけではございません。いま申しましたような、保険と共済というものが本来どうあるべきであろうか、その定義なり分野なりというものはどういう分野が限界が引かれるのであろうか、そういうようなところから議論をしていただきまして、そのあるべき姿をいろいろ御審議をし、御意見を賜わりたい、こういう観点で保険審議会に御議論をしていただいておるのでございます。
  95. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 よくわかりましたがね。やはりどうも私どもからすると、心配ごとがないでもないんでございます。というのは、この問題を自民党の交通、農林、財政とやり合ったときに、いつの日かどこかでメスを入れなければといった議論もございました。財政部会の中に、それは農協共済やあるいは自家保障をやっておるもの、あるいはここに出ておりますように労働組合なりその他でやっておるものが、いままでやっておることを知らなかったのだと、あっけにとられたような顔つきで、これは容易ならざることだということを言っておる人がおりましたからね。そういうところから積み上げてきて、大蔵省は正直言って強いですからね、これはみなわれわれは、農林部会、交通部会、共同戦線張ってやったにかかわらず、特に田邉部長などはあんなに御苦労願って、そうしてようやくかちとったこれでございます。ですから、今後何をたくらむ——悪く言えば、失礼かもしれぬが、たくらんで、農協共済などは何かいやらしいことでもおやりになるのじゃなかろうかと、この新聞記事が出たときに、これは容易ならぬと思ったのですが、いまあなたの御答弁を聞いておれば、そうでないようでございますから、農協共済をやめさせようとか、これに監督権を伸ばしていくのじゃないということ、その二つだけをお願いします。
  96. 上林英男

    政府委員(上林英男君) この保険審議会は、実は、先ほど申しましたように、まだ一回だけ聞かれたわけでございます。その一回目におきましては、保険と共済の定義というものはどうあるべきであろうかという議論が行なわれた程度にとどまるものでございます。この議論がどういうふうに進展いたしますか、もちろんこれは審議会委員の方々の御意見によるわけでございます。ただ、私どもといたしましては、もちろんこの問題非常にむずかしい問題でございます。別に結論を持っておるわけじゃございません。また、その審議の過程におきましても、各方面の御意見も伺っていきたいと、こう考えておるわけでございまするし、あらかじめ目的を持って、特にその監督行政を一元化するとかなんとかというような目的を持ってやっておるものではございません。もちろん、審議会委員の中には、非公式にそうすべきではないかという意見を持っておられる方もないではございません。しかし、そういう問題につきまして、私どもが結論を持ってこの審議会に臨んでいるというわけじゃございませんし、私どももただいまのところそういうものを考えているわけでもございません。
  97. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 自民党がこの修正案を提案した田邉さんにちょっとお伺いしたいのですが、もとよりわが党は、本委員会におきましても、要約して三点の修正案をただいま準備中ですから、成規の手続でこれを取り扱いますから、そのときに提案理由説明をいたすことにしますが、ただいままでの衆議院段階における審議の過程、それからいま同僚の谷口委員が質問されて答えられた中でも、非常にこの法律を制定する精神とは逆行している面があるのじゃないか、こういう感じが一つするのです。  それから一つには、修正を、どうもいまのお話を聞いておりますと、何か与党内で紆余曲折があってこんな程度にとどまったというようなことのようにうかがえたのですけれども、そのために何か非常に筋の通らない内容になっているのじゃないかとこう思うので、二、三伺っておきたいと思うのです。  そもそも、この原付自転車を自賠法に法律化していく、こういうものは、とりもなおさず四十年の一月の二十日に答申されたわけですね。審議会答申がありましたね。これに基づいて私はやったと思うのですよ。ですから、そのことは、今日も原付自転車の全国的な交通事故の数等を見ても、これは入れてはいかぬと、こう否定するような人はだれしもないと思うのです。そこで、それはいいのだけれども、今度はこの再保険の関係になってまいりますれば、この修正案ではこれを除外していますね。これは種々当時、簡単なものですが、審議会の資料がございますが、この再保険についてはいろんな各委員間の意見がありまして、ついに意見の一致を見ることができなかったというこの答申になっていますがね、どこにそういう問題点があったのか、これからだんだん委員会で私は伺っていくつもりでいますが、どうもいま谷口さんの質問聞いていると、そこらあたりに意見の一致を見ないというのは、大蔵省の考え方に非常に強く支配される、こう思うのですね。で、少なくとも自賠法の精神というのは、被害者擁護の法律だと私は思うのですよ。したがって、すべての、不幸にして被害者になった国民平等にその法律の恩恵を浴せしめるということは、ぼくはこの法律のたてまえだと思うのですね。ところが、原付の関係のたとえば再保険の関係は、これはそれとは別ですが、なぜ再保険をやるのかということは、もうこれは論をまたないのです。しかも、自動車という定義からいけば、これは自動車になっていますよ。ですから、こういう点をなぜここまでせっかく二カ月も、それぞれ最初に与野党が一致をして合致点を見たものを、さらに途中で二転、三転して、最後に何かぼくら聞くところによると、その約束をほごにしましてこんなお粗末な改正案が出てきたというについては納得がいかぬのが一つ。  それから二つ目は、ここにも答申に出ていますが、保険の対象の範囲、これは第三番目に、「農耕用の小型特殊自動車については、」——これは自動車ですよ、いわゆるティラーですがね、自動車です。自動車局長、間違いないですね、自動車の定義ですね、この自動車については、「その特殊性にかんがみ、性能等を検討のうえ、その実情に応じ、これを保険対象から除外することが適当である。」、こう出ているのですよ。ですから、この保険金をかけていくというような、その面からの除外については、私どもも決して事故等々の傾向を見ても、そうさほど数は多くいまのところなっていません。ですから、この自動車そのものの性能から見ても、これは除外しても差しつかえない、こう思うのですよ。ところが、田邊さんの改正案でいくと、それと同時に本法からすべてを除外したのですね。除外をしたということになると、先ほど申し上げた自賠法の精神からいくと、つまりこの被害者の擁護が基本になっていますからね。全くこのティラーといえども、事故がないのかというと、そうではないのです、御承知のようにね。かりにこの自動車が事故を起こして被害者が出たという場合に、田邊さんの改正案でいくと、何ら補償がないということになる、死傷者が出た場合。全く死んだりけがをした人はそのまま泣き寝入りということになりませんか、これはね。そうすると、この法律の精神に合致しない、こういうことになるのですがね。この点はどうお考えになっているのですかね。この答申との関連でですね、こういう点ね。  それから、谷口委員も盛んに、これは農協出身でございますから、力説しておりましたが、私は農協出身でも何でもございませんが、農協出身であるとか、出身でないとか、そうしたことを全く関係なくして考えてみても、この賠償の保険の取り扱いを少なくとも改正案では、原付の自転車を農協の共済、ここで扱わす、こういうようなことですね。それと農協の自家用車に限られておりますね。なぜこう限らなければならないか、私は非常にここに疑問があるのですよ。保険制度とか共済制度とかなんとか、いろいろ賠償なりあるいは補償していく制度というものが多種多様にありますけれども、ぼくは、そういう議論をしている段階じゃないと思うのですよ。自賠法をつくり上げていくというこの根本のものは、ですから、事故が起きて、さあけが人ができた、不幸にしてなくなった等々のときに、これが従前の一般の保険制度で扱うか、あるいは共済のほうで扱うかなどという議論をしているひまがないのですよ。そんなひまは大蔵省の保険をやっている役人くらなものですよ、ことばは悪いけれども。私は、少なくともその原付を扱うということになれば、全般にわたって扱わせるべきものだと思うのですよ。加えて、これは他のものの面も扱っていかなければならぬとかなんとかありますが、私は、もう一般的に言っては、部外者であろうと何であろうとも、それぞれの希望でやるわけでありますから、希望でそこに契約するわけですから、やっていいと、これくらいのことを私ども言っております。しかし、私はそこまで飛躍もしませんが、今日的な段階では、少なくとも農家が保有しています自動車——自家用をかなり持っています。持っていますから、そんなものはすべて農協で共済制度の中で扱っていいものではないか。これはなぜ原付だけに限って、あるいは農協の保有自動車だけに限ったかという点について、非常に私は理解に苦しむのです。こういう点は、改正提案した田邊さんはどうお考えになっておるか。私ども、国鉄労働組合の中にも火災共済ですか、こういう制度、それから相互共済等々の共済制度というものをやはりやっていますよ。これは農協さんのような年間契約高が三兆円などという膨大なものではありませんよ。膨大なものではありませんが、そういう機関を持っています。この場合に、逐一大蔵大臣の同意を求めるなどということはないのですよ。これはないのですよ。農協だって、いま建物共済とか農業共済、いろいろやっておりますね。やっていますが、その場合、やはり大蔵大臣の同意を求めなければならぬということはない。なぜ、自賠法だけに限って大蔵大臣の同意を求めなければならないかという、私はそこの意図がわからないのですよ。できるだけこういうものは、それぞれの所管大臣がやるわけですから、その所管大臣の、特に農業用の関係でありますればこれは農林大臣の関係であるかもわかりませんが、数の限られた少ないところでできるだけこの事務の煩瑣というものを排除して、的確に、しかもすみやかにこういう補償というものをしてやるというのが、この法律の私はたてまえじゃないかと思うのです。冒頭に申し上げた、基本が被害者の擁護ということになりますれば、そういうものじゃないかというように思うのですが、これは提案者はどうですか。
  98. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) 質問は三点でございますので、最初に原付自転車については、いわゆるバイクはなぜ再保険しないか、まことに核心を突いた私は御質問だと思うのでございますが、このことにつきましては、衆議院運輸委員会でも野党の委員から非常な強い質問がございまして、私は、本来の考え方としては、責任保険というものは国家権力によって保険をすべきであるという強制されましたものでございます。したがいまして、営利目的の介入を許さない、こういう保険でございますから、国が再保険を通して監督を行なうということであることは当然であります。したがいまして、原付の自転車についても再保険をすることが私は理想な姿だと思う。しかしながら、原付の再保険については、他の自動車の再保険を通してみましたときに、現在までこの保険、いわゆる保険会社自体の運営によりまして再保険を必要としない限度で運営ができておるという現状にかんがみまして、今回の原付自転車については、一つのテストケースとしてこれを再保険をせずにひとつやってみよう、こういう考え方に立ってバイクをはずしてみよう、しかしながら、この運用が将来非常に悪い場合においては、再保険をしなければならぬ、こういう考え方に立ちましたのが、今回のこれをはずした理由でございます。  それから第二の保険の対象の範囲、いわゆるティラーについては、どうして保険の対象から除外をしたかというのでありますが、これはもう御承知のように、ティラーというのは、いわゆる国道、県道、町村道を走る目的でございませんで、限られた耕地の中でこのティラーの運行が行なわれるわけでございます。したがいまして、対人関係というものはほとんど皆無というのが現状でございます。他の欧米諸国においても、この問題についてはやはり除外をされておるのが現状でございますので、この現実の実態に徴しまして、今回これをはずすことが適当である、かように判断をいたしまして、これを除外したわけであります。  第三の農協の自動車を、なぜ農協またはその組合員の所有する車を区別しておくのかと、こういうお話でございますが、ただいまの御質問の中に原付のみというお話でございましたが、これは農協の組合員は軽四輪までということでございます。その点はひとつ御承知おきをいただきたい。そこで私どもは、理想としては軽四輪、普通自動車まで全部これを認めるべきだと実は考えたわけでございますが、現在の軽四輪のいわゆる付保率というものを調査いたしますと、四五%程度実際に強制保険に入っておらない。これは衆議院委員会においても、そういう答弁になっております。そこで、これをついたときに、実は車検制度が軽四輪まで及べばと、こういうようなお話がございました。そこで私どもは、いまお話がございましたように、自動車保険は被害者保護の立場、それから公共性と、こういうようなことから考えて、特に軽四輪については、農村で非常に多く使用をしておると、この面にまず農協に扱わせるということが目下の急務ではないかと、かように考えまして、理想の姿よりもやや後退をした形ではございますが、当面これをやることが必要だと考えて、軽四輪までを農協の組合員に扱わせると、それからまた農協自体には、農協保有の一般車まで含むと、こういう形で区別をしたわけでございます。  なお、それに関連をいたしまして、この農協の他の事業にも実施されるべきではないかというようなお話がございました。私どももやはりこの法律の目的から考えまして、被害者保護という観点から、やっぱり法制、それから組織、それから能力、こういうものが農協と同等あるいはそれ以上の資格を備えた組合であるならば、これにはこの事業を実施させると、そして現行制度の欠陥を是正すべきであると、こういうふうに考えておるわけであります。
  99. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 いまどうも田邊さんのお話聞いても釈然としませんな。ですから、そういう釈然としない面が、谷口委員が日刊紙を読み上げたような印象にとらわれる結果になるんじゃないですか。従前の自動車というものは、国の再保険もこれは強制的にやるようになっていますよ。新しく非常に事故が多いという傾向から、原付自動車というものを自賠法の範疇に入れようということになったわけでしょう。そのねらいは、さっき言ったように被害者擁護なんですからね。そういう面で入れたと思うんですよ。で、どうもいまの答弁では、何か、将来の理想としてとか将来の実績を見ながらというような答えですけれども、これは田邉さん御承知のように、実績を見られたって明らかだから、これを今度の法律の中に入れようということに、運輸省の自動車局は提案したのですよ。現に全国の事故率を調査してみてくださいよ。これは原付の自転車の事故というのは非常に多いんですよ。かなりの高い割合を占めていることは事実ですよ。ために、こういう措置をとったんですから、私はこの措置をとったということについてはけっこうなことだと思うのだが、それだけにやはり再保険というものはやらなければならぬとぼくらは思っていますよ。それはやらなければならないというのははっきりしているのですよ、それくらいは。再保険するということは、保険会社がその間の再保険料の資金運用がかなりなものになりますよ。ですから、そこのところを結局免除してやろうということのねらい以外ないですよ、これをはずしたということは。だから新聞にいうふうな、既存の保険会社を擁護するようなかっこうになっているというふうに新聞にたたかれる。国民もそう見ているのですよ。そんなことではいけませんよ。これは少なくとも法律改正しようとするのは、いいものにしようとするのですからね。ですから、きょうは時間ありませんから、あるいはこれは追って本格的に、わが党の修正案を提案した中で、対比して、比べて私ども議論しますから、どうもそういうふうに——私はきょうはやめますがね、やめますが納得いかぬ。これは納得できません、この問題はね。  それからもう一つは、農協の例の軽四輪ですね、この扱いのものを、私ども一般的なものも扱わしたっていいじゃないか、こういう考えに立っているのは、実態として既存の保険会社が、たとえばかなりの町村でも、普通なら出先機関持っておりません。特に農村地帯においてはそのことが言えますよ。これは最近、ことわざかなんか、たとえごとかどうかわかりませんが、いろいろなものがありますが、たいてい農協というのは、いま言うた地帯では、経済の中心的な役割りをして、かなりのスタッフを備えて、共済の事務の取り扱いをしていますよね。まことに利用者としては便利ですよね。近くて便利なんだ。それが今度は、そういう会社がないために、農協で扱わないということになれば、これはたいへんですよ。時間的にも、あるいは忙しい中で仕事を休んで、その手続に及ばなければならぬ。こういう実態は全国至るところにあると思いますよ。それが非常に多い、結果としてね。だから私は一般のものもどんどん、そういうきわめて時間の節約とかあるいは簡単にやれる場所があるのですから、そういうところでやったらいいじゃないかという、そのことを考えているのですね。  それからもう一つは、特殊自動車——ティラーの問題ですね。これはこの保険の法律対象外にするということについては、あまり私ども考え方と変わっていません。いませんが、そのことと、その損害補償をしていくということと、おおむね違うのですね。根本的に違うのですよ。ですから法律からはずしても、そのティラーならティラーによって起きた死傷者に対する補償、これはやはり本法でですね、国がその賠償の責任をとるようにしなければならぬのじゃないか、同じ自動車ですからね。自動車で、片や、たとえば今度は原付の場合が入りましたから、原付のオートバイでけがが出たり、あるいは不幸にしてなくなったとしたら、その場合は百五十万円ですか、今度の改正では補償が出ますね。ところが、ティラーの場合は一銭も出ないのです。そういうことでしょう。これはまことに、先ほど言ったように被害者を擁護するという立場に立てば、やはり矛盾してやしないか。はなはだ不公平な、法の平等な取り扱いにならぬのじゃないか、法律の恩恵に浴するところはないじゃないか、こういうことなんですよ。ですからね、この答申の第三項でうたっているものと、そうして私の考え方は変わっていませんがね。問題は補償なんです。補償があまねく本法の平等な恩恵に浴するようにすべきじゃないか、こういうことを申し上げているのですね。これはどうなんですか。諸外国が大体こういう例でありますからやりましたというだけではだめなんですよ。これはせめて諸外国より少しでもいいものをわが日本ではつくらなければ、何でもかんでも諸外国でやっているからサルまねのように悪いところまでまねする必要はないんだ、田邉さん、これはね。
  100. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) ただいまのティラーの問題でございますが、私、先ほど答弁をしたと同様で、ただ、いまの補償の問題ですが、これは一台につき三円ですか、補償としての掛け金というものを取ることになるわけです。ところが、これは徴収というものが非常に煩瑣になりまして、結局その徴収をするために十円以上の手数料がかかる。そういうようなことで非常に実際にティラーに多くの人身事故があるというのならこれをやはり——しかも、よその国でもこれを初めやってみて、どうしてもこれは掛け金のほうよりも実際に徴収するほうがより多くの経費をかける、しかも実際の効果はあがっていない、こういうような観点からこの制度というものが廃止されておる。私は、日本においても現実に、もしその畑の中で事故が起きた場合には、たいがい話し合いで済んでおります。そういうことから考えて、私はこれを除外しても差しつかえない、こういうように判断をしてこの法律をつくったのであります。
  101. 吉田忠三郎

    吉田忠三郎君 田邉さんね、田邊さんのくにのほうは畑の中で解決しているかもしれないが、わが北海道のほうでは、面積の広いところでは、特に佐藤内閣が構造改善事業などといって、いわゆる耕作面積が拡大されていくような方向になっているでしょう。ですから、こういうティラーのようなものはかなりの農家が、谷口さんおっしゃったように、月賦であろうと何であろうと、必然的に投資しなければならぬ状態になっているんですよ。特に最近では一、二級の国道が整備されつつある段階で、これは農道のようながたがたしたところを荷物を積んで走っているティラーなんというものはあまりないんですよ、北海道などでは。全部国道を走っております。ですから、かなり事故があることは間違いない。ただし、一般の自動車とは、速度の制限その他によってバイクのように事故率は多くないが、かなりの事故率が出ていることは間違いないから、ただあなたの言うように、畑の中でごちゃごちゃ話し合って示談で解決しているというような傾向じゃないですよ。そのことだけは認識を改めてもらわなければ、傾向としてはだんだん事故がふえている傾向にあることは間違いない。さらに道路が整備されていけばもっともっと出てきますよ。しかも、農林省の構造改善事業なんというものが定着していく段階では、そういうものがやはりふえていく傾向に、カーブとしてあると思うんですよ。だから、そういう点でひとつ考え方を改めてもらいたいと思うんですが、あなたは政府のあれじゃないから、まああまりむちゃくちゃなことは言いませんが、あとで政府のほうに言うておきますがね。  それと、いまの答えの中で、保険金を徴収していないからなかなかここのところはむずかしい、確かに私もその点はわかるんですよ。しかし、だからといって、かりに一人でも二人でも不幸にしてとうとい人命を失ったというような場合に、全く泣き寝入りしなければならぬ。あなたの言うように、畑でごちゃごちゃ話し合いをして百五十万の補償ということにはなりませんよ、基準がなければ。田邉さん、そういうことをぼくは意味して言っているんですよ。一つの例をあげますと、たとえば災害補償法というのがあるでしょう。かりに集中豪雨その他で災害救助法が発動されて、公的に消防団が行って洪水のはんらんを防いだというような場合は補償されますね。ところが、全体の災害を少しでも防ぐためにはそれだけで足りませんから、吉田忠三郎がかりにそこへ応援に行った、不幸にして洪水で流されたという場合にはないんです、何ら補償が。いまの法律ではない。しかし、それではたいへんだ、特に佐藤内閣になってから人命尊重なんとかいうスローガンでやっているわけだから、たいへんだということで、去年あたりから与野党ともにそれぞれ研究されて、個人災害補償というものについても立法化していくというような方向になっているわけです。だから私どもは、そういう災害時におけるそういう人命の問題等についてもとらえつつあるわけだから、せっかく法改正をするということであれば、この場合の法の精神というのは被害者擁護であるから、そこらあたりはもっと検討を加えて、その場合やろうと思えばできないわけじゃないですよ。国家補償にすればできるわけですから、だから、りっぱな法律にしておくことが必要じゃないかということが、われわれの考え方で、あなたとここで幾ら議論したって時間が過ぎるばかりですから、わが党も議員総会やって対策を練らなければならぬのでやめますが、いずれ次回の委員会には、成規の手続を経て修正案を出しまして、あなたのほうは四十日ですから、その半分の一カ月ぐらいかかって審議したいと思います。
  102. 谷口慶吉

    ○谷口慶吉君 田邉議員に聞くよりも自動車局長に聞いたほうがいいと思いますが、ティラーの全国の最近の台数、それからいままで起きた人身事故、これは死亡者と傷害と分かれると思うのですけれども、わかっておりますか。わかっていたら、それをまずお聞かせ願いたいと思います。
  103. 坪井為次

    政府委員(坪井為次君) 正確な数字が出るかどうかわかりませんけれども、次回までに調べておきます。
  104. 木村美智男

    木村美智男君 せっかく修正案が出ているので、提案者の田邉さんのいるうちにちょっと伺っておきたいのですが、田邉さん、やはり再保険が理想だと言われておって、すぐそのあとに再保険をやらない話をしているわけで、これは何としても私らみたいに頭の悪い者には理解できない。そこで、再保険を必要としないというふうに判断したとかなんとかじゃなしに、再保険を必要としない理由はこうなんだということを明確にこれは教えてもらいたい。それが一つ。  二つ目には、さっきティラー、これはむしろ私よりも谷口さんが言うべきなんで、農民の代表ということを盛んに言うから。ぼくは農民の子供なんで、せがれだから、そういう意味で特に感ずるのだけれども、最近地方を、ずっと農村を歩かれたかどうかわかりませんけれども、耕うん機が限られた畑地の中に活動しているのだという言い方は、これは耕うん機を動かすときに、まさか道路の上で耕うん機を動かしたらぶっこわれちゃうから、それはなるほど畑の中ですよ。しかし、畑といっても、これを収容しているのは家なんですから、そこから畑まで持っていったり持ち帰ったりするときに問題が発生するわけですから、選挙のときに先生方経験あると思いますが、しょっちゅう耕うん機が自動車の前にじゃまになって——だいぶこれは耕うん機の数はふえているのですよ。だから私はやはりこの問題は、事故がどのくらい起きるかという問題よりも、自賠法の精神は、起こった事故についてどうその被害者を擁護するかというところが精神なんだから、それはやはり事故が全然起こらぬということならもう必要ございません。私もそうしますけれども、そうでない以上は、やはりこれを入れるというのが法のたてまえでなければならぬので、この点はどうしても理解できない。ですから、これはあとでわが党のほうからも当然修正案が出ますから、そのときに議論はいたしますが、この修正提案から除かれていることについて、基本的な考え方について誤りがあると思うし、そのことは、これは何と言ってみたところで、あなたの言われる示談をやった場合に、だれが負担するのかといったら、これは耕うん機を持っている農民でしょう。そしたら、農民擁護なんということは口が腐ったって——そういうことを言ったって、話のわかるものは、それはインチキだということはすぐわかる。そういうことじゃだめだ。もっと、やはり農民を思っているということを口にすればするほど、そういう事故としてはささいなこと、あるいは件数としては少ないにしても、起こった場合にはこうするんだという措置を、一般的な法のたてまえとして確立をしておくことが私はやはり正しいと思うので、そういう意味で、いまの二つの問題をひとつお伺いしておきたい。  それから保険部長がせっかく来ているので、共済の関係は少しばかりぼくも担当したことがあるので言うのですが、一体、再保険というものについて、これをやることによってどういうプラスがあって、どういうマイナスがあるのか、これを明確に教えてもらいたい。これはまた次にこれの続きをやるわけなんで、ぜひひとつ御返答をいただきたい。
  105. 田邉國男

    衆議院議員(田邉國男君) ただいまの御質問ですが、先ほど吉田委員に答弁したように、原付についても、御指摘のように再保険を行なうというのが私は本質だと思っております。しかし、原付の責任保険については、他の一般の自動車の再保険を通して国は保険会社の業務を十分監督をしておりますので、原付については、今回テストケースとして再保険を行なわないことをやってみたらどうか。しかし、これが実際にやって、どうしてもいろいろの問題点があらわれたときには、これは再保険をすることに私はやぶさかではない、かように考えております。  第二のティラーでございますが、もちろん、限られた耕地だけで耕うん機を運行するわけではございません。やはりその周辺を走ることは間違いない。しかし、自動車局のほうからも谷口委員からの統計が出ると思いますが、きわめて事故としてはまれなことだと思っております。そこで、今回はこれを除外をするということにしたわけでありますが、この問題についても、私は、吉田委員からも御指摘がありましたように、将来これがどうしても事故が多いということであれば、これはやはり再度検討しなければならぬ、しかし、やっぱり時代の進展とともに法律内容も順次是正することも必要であるし、また改めることも、再びもとに戻すことも必要である、ですから、そこは弾力性を持たして、一つのケース・バイ・ケースでやることも必要ではないか、かように考えております。
  106. 上林英男

    政府委員(上林英男君) 田邉先生のお話に補足的に申し上げるわけでありますが、私は、国が再保険をするということにつきましては、それの意味がなければならないのではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。と申しますのは、国が再保険をいたします場合には、たとえば自動車保険の場合につきましても、発足当初におきましては、経験もないことでございますので、損害がどの程度出るか、損害率がどの程度になるかということもよくわからなかったわけでございます。また、その当時の世界の各国の自動車保険の状態を見てみますと、人命がだんだん高くなってまいりましたに伴いまして、外国の保険会社におきましても、自動車保険のために破産をしたというような会社もあったようでございます。そういうような観点から申しますと、危険の分散と申しますか、危険の一部を国が負担をする、そういうような制度もこれは必要であったかと思うのでございます。しかし、その後、だんだん経験を積んでまいりまして、損害率も経験を積んでまいったわけでございまするので、また、保険会社にいたしましても、あるいはこれを行ないますものにいたしましても、いままでの経験から申しますれば、国の再保がなくしても十分やっていける、ことに被害者の保護には欠くるところがない、こういう状態になってまいったというふうに考えられるわけでございます。そういうような観点から申しますと、ことに新しく始まりまする原付につきましては、自動車の経験もありまするわけでございまするし、自動車を通じてのいろいろな監督どもあるわけであります。そういうような観点で、この原付につきましては、国の再保がなくても被害者の保護に事を欠かない、十分やっていけるのではなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。
  107. 江藤智

    委員長江藤智君) 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会      —————・—————