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1966-02-28 第51回国会 参議院 運輸委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十八日(月曜日)    午後四時九分開会     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         江藤  智君     理 事                 岡本  悟君                 金丸 冨夫君                 岡  三郎君                 吉田忠三郎君     委 員                 木村 睦男君                 谷口 慶吉君                 天坊 裕彦君                 中津井 真君                 平島 敏夫君                 前田佳都男君                 松平 勇雄君                 吉武 恵市君                 相澤 重明君                 大倉 精一君                 木村美智男君                 瀬谷 英行君                 浅井  亨君                 中村 正雄君                 岩間 正男君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        運 輸 大 臣  中村 寅太君        建 設 大 臣  瀬戸山三男君    政府委員        大蔵省理財局長  中尾 博之君        運輸政務次官   福井  勇君        運輸大臣官房長  深草 克巳君        運輸省鉄道監督        局長       堀  武夫君        運輸省鉄道監督        局国有鉄道部長  原山 亮三君        建設省計画局長  志村 清一君        建設省道路局長 尾之内由紀夫君    事務局側        常任委員会専門        員        吉田善次郎君    説明員        日本国有鉄道副        総裁       磯崎  叡君        日本国有鉄道常        務理事      豊原廉次郎君        日本国有鉄道常        務理事      今村 義夫君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○連合審査会に関する件 ○国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣  提出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  連合審査会に関する件についておはかりいたします。  国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案について、農林水産委員会商工委員会及び物価等対策特別委員会からの連合審査会開会の申し入れを受諾することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 江藤智

    委員長江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、連合審査会開会の時日につきましては、これを委員長及び理事に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 江藤智

    委員長江藤智君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。     ―――――――――――――
  5. 江藤智

    委員長江藤智君) 国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑を行ないます。御質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  6. 相澤重明

    相澤重明君 きょう建設大臣並びに自治大臣を、一昨日立体交差等の問題で御出席方を要請しておきましたが、自治大臣は明日になるということでありますから、明日質問をさせていただくことにいたしまして、建設大臣はきょうお見えになるようですから、お見えになったら建設大臣にということで、それまで運輸大臣並びに国鉄当局に対して質疑を続けていきたいと思うのであります。  まず最初に、今回の運賃値上げが二五%平均ということで、公共負担が、どうしても私ども社会党としては、政府出資による、いわゆる政府の財政的な援助というものを基本的に必要とすることを繰り返し質疑を続けてきたのでありますが、まだ運輸大臣の御答弁では私どもを満足させることになっていないのであります。まことに残念だと思うのですが、なお引き続き公共負担の問題にメスを入れるために、次の点についてもひとつお尋ねをしていきたいと思うのであります。  まず第一は、日本アメリカ安保条約を締結をいたしております。したがいまして、日米安保条約のもとにおけるアメリカ合衆国日本国有鉄道との契約の問題についてであります。今日、日米安保条約に基づくところのいわゆる公務鉄道輸送支払い手続、いわゆる日本国有鉄道アメリカ合衆国との間の協定について、どのような条件に今日あるかということを、まず最初一つ運輸大臣からこれは御説明をいただきたい。
  7. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えさせます。
  8. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 国鉄米軍との運送契約に関する協定は、安保条約第六条に基づく地位協定の第七条によりまして――第七条をちょっと読んでみますと、「合衆国軍隊は、日本国政府の各省その他の機関に当該時に適用されている条件よりも不利でない条件で、日本国政府が有し、管理し、又は規制するすべての公益事業及び公共役務を利用することができ、並びにその利用における優先権を享有するものとする。」、こういう規定がございますが、この規定によりまして、現在「適用されている条件よりも不利でない条件」ということで、国鉄当局米軍との間に運送契約が行なわれている、そういう状況でございます。
  9. 相澤重明

    相澤重明君 現在の契約ができて、いわゆる協定発効日、それからこの期間はいつまでですか。
  10. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 協定契約期間は、一九六五年四月一日から一九六六年三月三十一日まででございます。
  11. 相澤重明

    相澤重明君 現在は、そうすると、もうきょうは二月二十八日ですから、来月一ぱいまでがいま契約されておることであって、再来月になると、いわゆる一九六六年四月一日以降は、これを再協定をする予定なんですか。それとも、これで一応終わりと、こういうことなんですか、いかがですか。
  12. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在におきましては、おおむね同じような内容で再協定するという予定でおります。
  13. 相澤重明

    相澤重明君 今日、日本国有鉄道協定をいたしましたその協定総額はどのくらいですか。
  14. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 協定総額と申しますか、一応実績で申し上げてよろしゅうございますか。
  15. 相澤重明

    相澤重明君 はい。
  16. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 協定によりまして私のほうが輸送いたしました旅客貨物並びに郵便物に対する運賃の収入は、昭和三十七年度が六億五千万円、昭和三十八年度が五億七千万円、昭和三十九年度は四億八千万円、昭和四十年度の上期が二億二千万円。旅客貨物内容は、後ほどもし御質問があればお答え申し上げますが、これでよろしゅうございますか。
  17. 相澤重明

    相澤重明君 アメリカ合衆国としては、この日本国有鉄道との間の協定において、最高限度額というものが予定をされておりますか。それとも、日本国有鉄道との間の協定によって輸送されたものは、幾らでもこれはアメリカ合衆国は支払うんだ、こういうことですか。アメリカつまり予算限度額というものはございますか。
  18. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) これは、いわゆるいまの先生のお話の限度額であるかどうか一応別といたしまして、いまの輸送協定の本文の中に書いてございますので、ちょっと読み上げさしていただきます。「甲」「乙」で書いてございますので、乙が国鉄でございます。「乙に対する役務の請求は、甲が、その予算範囲内において、この協定別表第2号に掲げる帳表類を使用して行なうものとする。」ということで、こまかいことを省略いたしまして、「この協定予算は、約百八十万ドルとする。しかし、ここに記載の予算制限及び上記の諸事項は、契約官による事務上の統制のため定めたものであって、当事者間の協定の一部とするものではない。」ということであって、百八十万ドルということは、「約」と書いてございまして、これはここに書いてございますとおり、当事者間の協定ではない、向こうの、何と申しますか、一つ部内統制上のものだということが明記されております。百八十万ドルと申しますと、大体五億ぐらいになると思いますが、実際にはここ数年間ずっと減ってきておりますので、この範囲内で輸送できる数量を予定しての金額だというふうに考えております。
  19. 相澤重明

    相澤重明君 そこで私は思い起こすのでありますが、米軍輸送重要品目の中で、私ども日本国民輸送する品目とのいわゆる賃率の問題について、やはり変わることはないのですか。つまり、国内日本人が輸送する場合の品目に対しては、同じようなレートでとる、あるいは、米軍の場合には特にその品目何等級か統廃合をして、いわゆる圧縮をして、そうして品名によるいわゆる賃率をかけていく、こういうようなことが行なわれておるのか、それはいかがですか。
  20. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 大きく分けますと三つに分かれておりまして、「火薬類」と、その次が「タンク車積貨物」と申しますから石油類だと存じますが、それと、それからそれ以外の一般物資でございます。火薬類タンク車積み貨物につきましては、これは国鉄一般貨物賃率表によって運賃を収受する。その他の一般物資につきましては、貨物等級の二級の運賃を収受いたしております。これは実績を見ますと、非常に種類が多いのでございますが、実績に基づきまして、大体向こう輸送いたします品目をいろいろ集計いたしますと、大体二級と三級の中間で、二級に近いという実績が出ております。かと申しまして、一々一品一品私のほうでも運賃を取るわけにいきませんので、それを切り上げまして二級運賃ということで協定いたしております。
  21. 相澤重明

    相澤重明君 いまの大まかに三種類といいますか、火薬石油一般物資ということで御説明をいただいたのですが、実績として、三十九年度四億八千万円の輸送の中でこの三部類に分けたならば、どのくらいずつになりますか。
  22. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 三十九年度の全体の運賃が四億八千万でございますが、このうち貨物運賃が四億一千四百万でございます。
  23. 相澤重明

    相澤重明君 私は実は米軍輸送によるいまの収受を御答弁いただいたのでありますが、国内物資と比較をしたならばどの程度差がつきますか。
  24. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 貨物運賃につきましては、火薬類といま申しました石油類につきましては、国内運賃と全く同一でございます。それからその他のものにつきましては、いま申しましたとおりたくさんの種類がございますので、それを二級品に統一して統一運賃を取っておる実績から申しますと、二級-三級の中間ぐらいでございますが、それを切り上げまして二級運賃ということで取っておりますので、いわゆる国内一般運賃適用いたします貨物等級表と全く同じものを適用している、こういうふうに御了承願ってけっこうでございます。
  25. 相澤重明

    相澤重明君 これはやはり、あとでそれぞれの物資等級と、それからその扱い金額を出してもらわないと、どうもはっきりしないようですが、実はこういうことを私は承知をしておる。また、当運輸委員会でも、決算委員会でも私から指摘をしたことがあるわけですが、ナイキを陸揚げをして、陸上輸送をする場合に、発動機として輸送したことがあると思うのです。この場合、日本国内ならば、これは当然やはりそれぞれの品目によって高い料金が取れる。実はナイキとすれば高くつくけれども発動機ならば安くなるということは、これはもう自明の理である、そういうこと。これは一つの例ですよ。これは私が、横浜港にいわゆる荷揚げされたものを送ったとき、現地を調べたことではっきりしているわけですから、そういうようなことが他の品物にないというふうにいまの答弁をされておるように思うのでありますけれども、私はいま少し事実は事実として、等級圧縮をすれば当然その間に国内物資輸送との差が出てあたりまえだとこう思うのですよ。差がないということ自体が私はおかしいと、こういうふうに思うのだが、そういう点はいままで国鉄としてはお考えにはなっていないのですか。
  26. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 実は、国内物資につきましても、まれに貨物等級表にない物資輸送を受諾しなければならないことがございますが、大体これは荷主の申し出によりまして、それに近いものと同じ等級運賃を収受しているというのが実績でございます。ただいまのナイキ実例は、ちょっといまここで私存じておりませんが、少なくともそれが濶大貨物である、あるいは車両限界問題等があれば、これはもう一般と同じ規則適用いたしていることは間違いないと思います。ただ、ナイキなどというのは、たぶん私のほうの貨物等級表にない品物だと思います。そういった場合には、それに最も近い等級のものを適用して運賃を取るというたてまえになっていると思います。そのナイキの問題につきましては、もう一ぺん調べてお答えいたします。
  27. 相澤重明

    相澤重明君 当時、いろいろ議論があって、いわゆるアメリカ軍国内ナイキ持ち込み反対という強い意見があったものですから、どうもそういう品名輸送することは困るというので、事実は分解をしてそういう発動機というようなことで輸送をしたということは、歴史上これは明らかなことですから、これは無理に調べてと言われなくても私はいいと思いますが、それでは特定運賃料金というようなものは設定をされておりますか。
  28. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 特定運賃料金と申しますのは、先ほども申しました協定別表第一号ということになっております。これの中に、大体現在私のほうの旅客運送規則並びに貨物運送規則で定めましたものを実はそのまま書き込んでおるわけでありまして、たとえば、例を申し上げますと、団体旅客運賃がどうだ、二十五人以上の集団旅客等級、発着駅が一緒だった場合には何割引きする、その割引率国鉄の現在の一般割引率と同じでございます。あるいはその運賃料金の算出のしかた、あるいはたとえばエレベーターとかテルファーを使います料金、これも全く同じでございます。それからいまの貨物運送運賃の問題、小口の運賃の問題。それから専用線使用料金の問題、これは標記トン数一トンにつき八十一円でございますので、これはたぶん平均専用線料金で計算していると思います。それから、車両貸し渡しがございます。たとえば冷蔵車タンク車等が現在約五十両くらい貸しておりますが、これも日本国内一般荷主貸し渡しをする料金と同じでございます。それから、あと荷くずれの手直し料とか、特別清掃料とか、あるいは特別の貨物付き添い人料金、これは現在の国鉄運賃規則をそのままここに書き抜きまして、適用鉄道法規類名称一覧表というのがございます。この法規名称は、全部、国鉄部内営業法をはじめといたしまして、鉄道省令運輸省令、あるいは公示、総裁達といったような部内の規程の一般荷主に対して適用すると同じ規則をそのまま書き抜きまして賃率表にしておるわけでございます。
  29. 相澤重明

    相澤重明君 それから、いまの一般国鉄扱いについて御説明をいただいておるわけでございますが、たとえば郵便車等の場合はどうなりますか。
  30. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 郵便車につきましては、現在四両貸しておりますが、これは非常にはっきりいたしておりまして、郵便車運賃といたしまして、甲の使用する郵便車適用される賃率郵政省適用されているものと同一のものとするというふうに、いわゆる国内郵政省に対してこちらがお貸しする、あるいは郵便料金を受け取るというのと同じ運賃でやっているわけでございます。
  31. 相澤重明

    相澤重明君 結局は、自治体に対する納付金等の問題、固定資産税等の問題を含めて今日まで議論されておりましたが、そういう国内輸送貨物扱いに準じて米軍側輸送についても行なう、ただ違いがあるのは等級品目との照合がはたして同じであるかどうかというところに問題は若干ある、それも一般貨物である、こういう考えでいいのですか。
  32. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま先生のおっしゃったとおり、一般貨物につきましては、非常に種類が多いものでございますから、一品一品それを貨物等級表適用するわけにまいりませんので、それを実績で見ると、二級と三級の中間のものが多いようでございます。それを平均して二級運賃というふうに約束してあるわけであります。その他は全部、現在の国鉄旅客運送規則並びに貨物運送規則等に定める一般荷主旅客の利用する方法と全く同じ方法で利用させております。
  33. 相澤重明

    相澤重明君 次に、いまは比較的米軍人軍属負傷者等輸送は少なくなったようでございますが、朝鮮戦争等の場合はたいへん多くの人々を輸送したわけでありますが、先ほどの二十五人集団扱いの場合の一割二分の割引賃率という問題以外に、そういう負傷者輸送、あるいは死体輸送、こういうものについてはどういうふうになっておりますか。
  34. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 負傷者につきましては、もう昔のように、御承知のとおり、特別な車を全然使っておりませんので、もし寝台車負傷者が旅行する場合には、寝台料金をそのまま取っております。それから死体の場合には、最近国鉄による死体輸送は全然ないようでございます。ほとんど飛行機で全部行ってしまうようでございますから、もし万が一あれば、これは国内死体運送料金と全く同一なものをいただくという規則でございます。
  35. 相澤重明

    相澤重明君 それから今日まで、米軍人軍属を含んで、手小荷物等輸送等依頼をされて、たとえばそれが受け取り人がおくれたとか、あるいはそれがなかなか見つからなかったとか、こういうような事案というものはあったかどうか、いかがですか。
  36. 今村義夫

    説明員今村義夫君) 最近においてはほとんどございません。
  37. 相澤重明

    相澤重明君 この協定に基づく、いわゆる事故発生後三カ年の期間の問題については、今日までそういう適用をすることがあったのですか、なかったですか。
  38. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 協定文の第八条に賠償責任という項がございまして、ここに、ちょっと読み上げますと、乙というのは国鉄ですが、「乙又は連絡運輸機関の保管にかかる手荷物小荷物及び貨物の滅失、き損又は延着及びその取扱いにかかる旅客の死傷であって、これらの手荷物小荷物及び貨物並びに旅客運送を、この協定に基づき引き受けたものである場合は、日本国法令及び諸規則により、甲に対して賠償責任を負う。」ということで、これははっきり、米軍なるがゆえに特別な賠償責任を負わない、「日本国法令及び諸規則により、」ということを明記してございます。実際に、いま申しましたように、確かに数年前に何か手荷物か何かの紛失事故があったように思いますが、最近はほとんどこういう事例を聞いておりませんので、実際はあまり問題が起きてないというふうに考えております。
  39. 相澤重明

    相澤重明君 この協定に基づいて、給付の場合の条件等について、米軍側としては「陸軍長官又はその権限のある代表者の定めるところにより」、いわゆるアメリカ合衆国会計検査院の、いわゆる日本で言えば会計検査院長、「アメリカ合衆国会計検査院長官又はその正当な権限のある代表者」と、こういうような条項まで含まれておるわけでございますが、これらの問題点についていままで該当したことがございますか、それともありませんか。
  40. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ちょっと私も米軍の組織はよく存じませんが、現在契約を担当いたしておりますのは、私のほうは外務部長総裁の代理で担当いたしまして、米側のほうは、合衆国代表者契約担当官といたしまして、これは横浜におる人でございますが、ジェームズ・M・マローネという名前の契約担当官になっておりますが、いわゆる先生が御質問のような事態は起こってないというふうに存じております。
  41. 相澤重明

    相澤重明君 私は、アメリカ合衆国日本政府、いわゆる日本国有鉄道との協定というものは、実は国の協定と同じ効力を持つ。したがって、米軍側としては、少なくとも権利義務という問題については、アメリカ軍人軍属についてはアメリカ陸軍長官アメリカ合衆国のもし法令日本政府に対しで責任をとらなければならぬ場合は、アメリカ合衆国会計検査院長官またはその正当な権限のある代表者、こういうようにまで規定をしておるということは、全然触れないということであるが、私はそういうふうには思っていない。実はまあ、過去に厚木飛行場など、これは国鉄とは若干違うけれども電電公社の問題の際も事案はあったはずなんです。こういうようなことを考えてみると、アメリカ合衆国としては、あらかじめ、そういうアメリカの国を代表する陸軍長官、あるいは会計法上からくれば会計検査院長官、これがその最終的な責任を負う、こういうふうに規定をしておることでありますから、まあ表面にはなかなか出てこないと思うのですが、そういう点、三カ年間という期限までつけたということは、それだけのいわゆる権利義務というものに対する明確性を出しているものだと私は思うのですよ。そういう点で、いままで全然該当がなかったと、そういう適用するようなことはなかったと、こういうふうに理解していいですか。
  42. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま先生のおっしゃったとおり、第十五条に「検簿」という欄がございまして、「この協定による最終支払後三年間は、アメリカ合衆国会計検査院長官又はその正当な権限のある代表者が、この協定関係のある取引行為を含むこの直接関係のある」云々ということになっておりますが、この支払った後三年間、具体的にこういう問題の起こった事例はございません。
  43. 相澤重明

    相澤重明君 こういうことはなかったのですか。つまり緊急輸送、いわゆる国内で言えば、大火災等が起きて、どうしても緊急輸送しなければならぬ、米軍の必要によって緊急輸送をして、当時賃率あるいは等級というものを具体的にきめることができないで、あとでそういう解釈をしていわゆる賃率等をきめる、等級表をきめる、こういうようなことはございませんでしたか。
  44. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ここに担当者も来ておりますけれども、本人の記憶でもないと申しております。実はこの問題は、実際の契約現地でいたしまして、現地で疑義がございますれば、必ず本社外務部に問い合わせがあるわけでございますが、その具体的実例について記憶いたしておりません。私自身も実はよく記憶いたしておりませんが、係の者も記憶いたしておりませんと申しておりますので、そういう実例はなかったというふうに了承いたしております。
  45. 相澤重明

    相澤重明君 これは、本社にそういうことは一々わかりますか。米軍輸送実態はどうなんですか。米軍輸送実態は、取り扱い駅における連絡将校じゃないですか。連絡将校の判断によって、これはこういうもの、これはどこへということになって、着駅連絡将校によってやるんじゃないですか。あなた方本社の者が行って、本社の者が指示してやるんじゃないんでしょう。
  46. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は、平常の場合は、いま先生のおっしゃったとおりでございます。発駅の連絡将校と当方の駅長連絡をいたしまして着駅へ送りまして、着駅連絡将校と当の駅長受領事務をするということでございますが、異例のものがありまして、たとえば非常にむずかしいとかということになりますと、本社に聞いてまいりまして、輸送計画やその他は一応現地でやらしておるわけでございます。もし何か異例のことがあれば、こちらに上がってまいりますが、そういった異例のことは最近耳にしていないということの御答弁でございます。
  47. 相澤重明

    相澤重明君 私は、ちょっとしつこくなったようで恐縮でしたが、実はナイキ・ハ一キュリー等の輸送の問題を含めて、私自身現地を見ておったからそう言っておるんですよ。だから、別に国鉄本社から担当者が行って、これは何等級でどこの発駅、どこの着駅ということをやっておるわけじゃない。米軍連絡将校がおって、そして日本国鉄駅長と話をして、これはこのものであるという品名を書いて、それで輸送しておるわけです、実際は。ただ、その結果は、たとえば横浜でいえば運輸長を通じ、あるいは東鉄局長を通じ、本社に上がってくるでしょう。そういうふうになると思うんですが、私の見たところでは、やはりほぼ米軍側の言っておることをそのまま駅では受けて、おそらく駅でこの品物がこの等級に合致するとかしないとかというようなことをあまり反論するということはできないんじゃないですか。まあそれはおそらく米軍側もこの協定に基づいて良心的にしておるとは私は思いますよ。私も思うけれども、当時のことを、私自身横浜におって、常に第三輸送鉄道司令部と取引をしておったのですから、そういうことからいって、私は今日のこの協定からいっても、必ずしもそういう点は十分ではないのじゃないか、こう思うんです。しかし、まあ御説明でそういうことがなかったということで、けっこうです。けっこうですが、私の聞きたかったのは、米軍貨の輸送について、非常にやはり、特に私ども横浜におる者としては、いろいろ目に触れるわけです。たとえば陸上の横浜港の駅に米軍貨を輸送をして船に積み込む、あるいは米軍の船から陸揚げをして陸上輸送をする、こういう場合にも、その取り扱いについても、米軍はダンピングをする会社にその荷物を扱わせるんですよ。これは、かつて私が当委員会で、三十一年から三十二年のころ、米軍のあまりにもダンピングをするというものを追及したことがあるわけです。これは明らかなんですよ。つまり、もぐり業者と同じようなことを……。これは運輸大臣よく聞いてもらいたい。米軍は少しでも輸送量のコストを下げるために、あるいは扱う価格を下げるために――それを下げれば米軍の将校は成績かいいと言われる。そのために、たとえば、これは三十一年から二年にかけての話ですが、京浜港運という船会社が、この京浜港運は運輸大臣の認可する料金を取らなかったのです。そうして徹底的にダウンさして、横浜港の運輸大臣のきめたところの認可料金というものを大きく制限をさせる、つまり割って、そうして非難を受けて、業界を大混乱におとしいれたことがある。これは現実にその連絡将校なんですよ。その荷物の発着を扱う連絡将校がそういうことをやったのです。そういう点で、まあ私は陸上の問題と海上の問題を承知しておりますから、実はお尋ねをしたので、今日ないということは、たいへん喜びなんです。そういう点は、今後もひとつないように……。私は、米軍の荷物だからといって、国内ではあまり差をつけるということは好ましくない、こういう点で、せっかく協定もあることだし、そのように希望をしておきます。  その次に、今度の運賃が改定をされた場合は、この協定を変えるのですか、それともこの協定の効力の日前はだめなんですか、いかがですか。
  48. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの貨物の問題でございますが、貨物の中の火薬とかタンク車というものは自動的に運賃がはっきりきまりますので新運賃になります。それから一般貨物につきましては、駅長連絡将校と立ち会いの上で抽出検査をいたしまして、そうして数日間にわたりまして具体的に輸送した品目を検査いたしまして、それによりましてどういう品目であるかということを加重平均をいたすわけでございます。何級品が何トン、何級品が何トンと、それを新しい運賃に当てはめるということでございますので、ことしのもし上がれば上がった日から新運賃でもって検討し直すと。現在の二等級と申しますのは、三十六年の運賃改定のときにやはり抽出検査でつくった等級でございますので、当然今回も運賃法が変わりましたならば、これは即時払いじゃございません、一般貨物と同じようにあと払いでございますので、さっそく現場の駅長連絡将校と立ち会いの上で現実に貨物を調べまして、そうして何級品が何トン、何級品が何トンというふうに全部調べた上で、それの加重平均をして、そうして実績をとって等級をきめると、こういうことになってまいります。いずれにいたしましても、いまの御質問に対しましては、改定すると、こういう意味でございます。
  49. 相澤重明

    相澤重明君 これはまあ、補佐官の人や常務がおりますから、幾らか聞いておるかもしれませんが、今日は米軍の荷物というのは実に横浜には多いですね。私は先週、決算委員会でも話をしたのですが、いまも横浜参りというのですよ。米軍物資調達をするところが横浜なんです。ですから、業者は米軍の調達所に対して日参をしておるのです。しかも、大ぜい列をなしているのです。横浜参りというのです、これは。それほど米軍のベトナム戦争に対する荷さばきというものは多いのですよ。そういう点は、国鉄にはちっとも影響ありませんか、わかっていませんか。
  50. 今村義夫

    説明員今村義夫君) お話のとおり、横浜を中心とした輸送の要請はかなり多くなっておりまして、最近においても、その増発といいますか――というような希望は聞いておりますが、まだ具体的に専用列車を動かしてどうということはございませんで、そういうふうに非常にふえてきておる、また要請があるということは、承知いたしております。
  51. 相澤重明

    相澤重明君 次に、少しまたもとに戻りますが、運輸大臣に聞いておきたいと思うのですが、先日大阪博覧会のことを聞いたのですが、あれはお調べになったでしょうね。それはあとで御答弁いただくことにして、きょうは、経済企画庁を中心とした中期経済の見通し、これの持つ国鉄の役割り、こういう点について、今日運賃値上げ並びに国鉄七カ年計画というものが出されておると私は思うのです。そういう点で、今日の七ヵ年計画を設定するにあたって、私は先ほども申し上げたように、建設大臣をお呼びをしたのは、鉄道等と、いわゆるそういう交通輸送に対する鉄道等の受け持つ役割り、道路等のいわゆる受け持つ役割り、こういうことはきわめて大事なことだと思う。そこで、現在の逼迫をした輸送力を緩和するのに、一体、たとえば陸上だけをとっても、陸上の国鉄、私鉄等による、交通機関による輸送量、それと道路等の開発をしてその受け持つ輸送量、こういうものの調整というものがなければ、それこそ総理大臣の言う調和というものはできないのじゃないかと私は思うのです。そういう面で、国鉄と道路、自動車等の輸送の分担というものがどのように策定をしたのか。ひとつ運輸省のほうから答弁をいただきたいと思います。
  52. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 中期計画において鉄道輸送、その他道路輸送はどういうふうになっておるのか、こういうお話でございます。中期計画というのは、昭和三十九年から四十三年までの見通しでございますが、人キロで申しまして――今後の貨物輸送量と旅客輸送量、両方の見通しを立てておるわけです。それによりますと、貨物輸送量におきましては年率八・七%、それから旅客におきましては七・七%。それから、この貨物のトンキロで申しますと七・六%、それから旅客の人キロで申しますと八・一%、こういうふうに策定をしておりまして、その中で国鉄は、貨物におきましては四・四%、それからこれをトンキロで申しますと年率四・九%、こういうふうに想定をしておるわけでございます。いま申しましたのは貨物でございますが、それから旅客について申しますと、そのうちで国鉄輸送量で申しますと三・六%の年率、それから人キロで申しますと五・三%、こういうふうに策定をしておるわけでございます。  それから、道路の関係で申しますと、トラック輸送ということが考えられるわけでありますが、貨物につきましては九・六%、貨物のトンキロで申しますと年率九・一%の伸び、それから旅客で申しますと、これは道路輸送でありますから、バスをとって見ますと、年率が輸送量で九・七%、それから人キロで申しますと九・五%の伸びと、こういうふうに輸送需要の見通しを策定をいたしておるわけでありますが、この中期計画は、御承知のとおり、一応これをやめまして、新たに策定をし直すということになっておるわけであります。
  53. 相澤重明

    相澤重明君 いわゆる改定をされた、国鉄の場合七カ年計画ということでありますが、私は一昨日も申し上げたんでありますが、この経済企画庁の考えと、それと運輸省の考えというものが若干ズレがあるんじゃないか。どうも運輸省の見方のほうがしてやられているんじゃないかと、こういう実は若干さびしい気持ちを持っているわけです。  そこで、中期計画を改定をしなければならなかったというのは、今日のこの輸送力増強が全く最悪の事態にきておると、こういうことが、当初三十八年に設定をした中期計画を今日では改定せざるを得なかったということに私はなろうと思う。ですから、経済企画庁はむしろ大蔵省側に立って、少し国鉄輸送については見通しを甘くしておったと、こういうふうに私はとっておるんだが、運輸省としては、そういう点については思わないんですか。  特にそこで、その一つの関連としてお答えをいただきたいんですが、中期計画の中で、今日では、  一昨日も御答弁されましたように、国民総生産、これは二十八兆から三十兆を見込んでおるわけですね。その中期計画の中におけるこの交通問題に対する投資は幾らを設定をしておったんですか。お答えください。
  54. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 国鉄に対する投資額として、私の記憶では一兆八千億というような見通しであったと記憶しております。
  55. 相澤重明

    相澤重明君 そうしますと、今度の改定額では幾らになりますか。
  56. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) この中期計画はまだ改定されておらないわけでありまして、これから再検討しようということでございますから、それはまだ出ておらないはずでございます。
  57. 相澤重明

    相澤重明君 局長、それでいいのですか。中期計画は全然改定されていない。しかし、国鉄の七カ年計画については改めて出し直した、こういうことですか。国鉄のいわゆる第三次五ヵ年計画をつくらなければならなかったのは、第一次五カ年計画を改定をしたことと、第二次五カ年計画をさらに改定をして、第三次、この中期計画になった。長期計画じゃないですよ、七ヵ年だから。七ヵ年計画は長期計画なんというようなことじゃ困るわけですよ。そんなことで交通問題が議論をされたのでは、私はたいへんだと思うのですよね。三十八年に内閣で交通問題を議論をしたときに、三十八年度ならば五カ年の中期計画の見通しはかくかくだというのが、いま君が答弁したことじゃないか。いま提案をしておるのは、四十年度に大綱をつくって、四十一年のこの国会に提案をしておるのは、三十八年を基礎にした五カ年計画の中期計画とは違うでしょうが。どうなんです。
  58. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 国鉄の第三次長期計画は、国鉄自身が自分でマクロ的及びミクロ的に両方から攻めていった昭和四十五年の推定の輸送需要というものをはじいたわけでございます。で、所得倍増計画の数字と、国鉄自身がこの両面から攻めていった数字と、おおむね数字が合っているわけであります。それから、運輸省のほうとしましても、独自の計算方法でそれを計算いたしました結果、それも国鉄の出した数字と、所得倍増の数字と、三者がおおむね同じような数字になっておる、そういうふうなことになっております。
  59. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、私は運輸大臣に聞きたいのだよ。運輸大臣は閣僚、国務大臣。運輸関係を担当しておる専任大臣だ。この大臣が、   〔委員長退席、理事金丸冨夫君着席〕 いまの運輸省の担当者の言う答弁は、国鉄のことは国鉄だけできめたと、こう言うのだ。国務大臣は、佐藤内閣として交通基本問題はどうするかということなんだ。それがひとり国鉄だけの問題できまりますか。そんな基本問題がありますか。それじゃ、この中期計画というものは、何もあなた方は知らないということじゃないか。どこにそんなことが書いてある。内閣は関係者として、そうして陸上の持つ役割り、道路の持つ役割り、海上の持つ役割り、そして航空の持つ役割りまで全部きめているじゃないか。国鉄だけがそういうふうにしてきめたということが言えるか。だからお粗末だと言うのだよ。   〔理事金丸冨夫君退席、委員長着席〕 だから、運輸省は実際の自分たちの資金問題についても十分な手当てができない、私が言えばこういう結論になってしまうというんだよ。そんなことはないでしょう。やはりこの経済企画庁が中期計画を三十八年に策定をしたけれども、これでは今日はやっていかれない、今日の交通輸送問題を考えた場合に、これじゃやっていかれないというのが、国鉄に七カ年計画を策定させなきゃならぬ、国鉄自身もやらなきゃいけないということじゃないですか。全然各省のそういう国の交通問題というものを度外視して、国鉄だけが策定をしたのですか。運輸大臣、これは運輸大臣ですよ。あなたの答弁がなければだめですよ、これじゃ。どこにそんなことが書いてあるんですか。そんなふざけた答弁があるか。
  60. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 政府委員からお答えいたさせます。
  61. 深草克巳

    政府委員(深草克巳君) ただいまの国鉄部長の発言、いささか誤解を招いたと思いますが、国鉄が策定をしたということでございますが、御承知のように、この前も御説明を申しましたように、過去の各輸送機関の分担率の推移、それから経済の成長の度合い、そういったものを勘案いたしまして、運輸省の官房で各輸送機関別の将来の分担の見通しを立てたわけでございます。同時に、たまたま所得倍増計画でそれぞれの各輸送機関の分担をきめられておりまして、国有鉄道といたしましては、その後の変化を考えまして案をつくったわけでございまして、それをそのまま私どもが承認をしたというような筋合いでございませんで、先ほど申しましたように、運輸省の試案とも十分につき合わせまして、これで間違いないと、さらに国鉄基本問題懇談会の席上では経済企画庁の試案も出されまして、それが先ほど鉄監局長並びに国鉄部長・が申されましたように、おおむね符合いたしておる。したがって、それが当時のわれわれの見通しとしては、政府部内として完全に一致した数字であるというようないきさつでございます。
  62. 相澤重明

    相澤重明君 いまの答弁で、やや理解をする気持ちになったけれども最初答弁したようなことだったら、絶対許されぬよ。それなら中期計画これが全部進んでいっているということになる。ところが、そうじゃないんだよ。たとえば国が中期計画を改定をして――私は率直に言って、中期計画は今日はなくなった。三十八年の、経済企画庁が当時策定したところの、この交通問題はなくなった。新たにいわゆる国鉄が七カ年計画を策定せざるを得ない、それまで窮迫した状況にある、こう私は踏んでもさしつかえないと、こう思うんです。ところが、私の質問は、今度少し意地が悪かったのかもしれぬけれども、いわゆる公共負担というものが、この前から何回も言われるように、つまり運賃を、貨物等の運賃割引率を若干修正しておる。旅客から徴収をするところの料金によってまかなわれる、お客さんから納めた金で公共負担というものが行なわれるということに間違いはない、こう私どもはこれを判断しているわけですよ。どう理屈をこねようと、どう言い回しをしようと、別に政府から金を出さない以上は、これはそういうことになっていくわけなんです。そこでしかし、経済企画庁を中心に内閣がこういういろいろ交通問題を検討した中には、国が積極的にこの問題に突っ込んでいかなければいけないということを言っているわけなんです。だから私は運輸省があまりにも見通しを甘くして、そうして大蔵省から金を十分出すことができなかった、こういうふうに私は運輸省の政治力の貧困を実は胸に秘めて言っているんですよ。あなた方が最もよかった、最上のいわゆる政府から資金を出させて国民負担を軽減した、それでもなおかつ二五%平均運賃料金を上げなければならなかったということなら、これは理解ができるわけです。そうじゃない。そうじゃないところに、たとえば、じゃ港湾の場合はどうなっているんだ、海運の場合はどうなっているんだということが、ここに書いてあるじゃないですか。いま一ぺん運輸省の担当に聞くが、それでは三十七年までに国鉄は一体幾ら回復ができたんですか。戦前のいわゆる日の丸の鉄道、国鉄から、そして戦争中のいわゆる軍によるところの食いつぶし、強制的な利用、それから戦災によるところの災害を引き受けた中にみずからの手足を食っていった国鉄、三十七年、三十八年の中期計画をやるまでに、国鉄は幾らの復興をしたんですか。幾らの財政援助を国から受けたんですか。言ってみなさい、パーセンテージを。不勉強のきわみだ。
  63. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 財政投融資の、戦後二十四年からのトータルでございますが、約一兆円でございます。
  64. 相澤重明

    相澤重明君 その金額によって国鉄の復旧というものは何%になったか。交通の復旧は何%になったか。
  65. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) ちょっと質問の意味がわからないのでございますが……。
  66. 相澤重明

    相澤重明君 いわゆる戦争中から戦後にかけて、国鉄の荒廃が目立った。その荒廃の目立ったというのは、みずからの資産を食いつぶしたんです。タコじゃないけれども、自分の手足を食ってしまった。それが国鉄の財政的にも疲弊をしたことなんです。いまのあなたの言う、たとえば国の財政投融資があった、その金額で、三十七年までにそれでは国鉄は幾らの復旧をしたかと、こう聞いている。何%になっているかということを聞いているんですよ。そのくらいの計算ができないのか。
  67. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 政府から財政融資として約一兆円の融資が行なわれまして、それに基づいて国鉄の第一次五カ年計画も第二次五カ年計画も行なわれまして、第一次五カ年計画につきましては、先生承知のように、老朽資産の取りかえ等が重点に行なわれたということでございますので、現在の国鉄の資産の正味資産が約二兆、その中でどの程度の復旧率という問題については、ちょっと表現がしにくいのでございますが、正味資産が二兆ある。それから借り入れ金と自己資本と分けて、正味資産の二兆のうち、自己資本としては資本金の四十九億プラス現金資本の四十億で八十九億、それから再評価積み立て金として、そういう政府資金等を含めて資産再評価の額というものが相当入っておるわけでございますので一率は正確に出ませんけれども、自己資本の構成比率としては、相当一般会社としてもわりあいいいほうの資本構成になっておるということが言えるのじゃないかと思います。
  68. 相澤重明

    相澤重明君 全く答弁がとんちんかんだよ。私が聞いているのは、少なくとも国鉄の投資資本に対して食いつぶした、いわゆる資本が十分投資ができなくて、戦前と比較してみて、戦争中と戦後のあの荒廃の期間と戦前とを比較してみれば、戦前は少なくとも国鉄の投資資本に対しては四五%それこそ五〇%といってもいいでしょう。しかし戦後の荒廃をしたことから見れば、四〇%以下じゃないですか、三六、七%でしょう、内閣が出しておるのは。それだからこそ第一次第二次計画をしても、なおかつ追いつけない。高度経済成長に伴って追いつけないから、第三次七カ年計画というものが策定をされたのじゃないですか。私はやはり国鉄に対しては、あまりにも政府の見方がかた過ぎる、あまりにも国鉄に対して政府の力の入れ方が足りなさ過ぎるというのが私の質問の趣旨なんですよ、それを数字であらわしてごらんなさい、こう言っているんですよ。そのことが、一〇円を投資しましたから国鉄はほかの会社から見ればもっといいですよ――何がいいんだ、いいなら運賃なんか上げるな、ばかばかしい。そういう全くとんちんかんの答弁をされたら困るよ、実際。運賃値上げ撤回しろよ。ほかの会社から見たら国鉄のほうがいいと言うのなら、ほかの会社のほうが悪いのだから、ほかの会社へもっと政府が財政援助をすべきだ。委員長、私はこういう答弁じゃ困るんですよ。ほかの会社、民間の会社より国鉄がいいのだから、運賃値上げは撤回してもらいましょうや。やめた、質問は。ばかばかしい。そんな手があるか。これはもう総理大臣と大蔵大臣を呼ばなければ、ぼくは承知できない。
  69. 江藤智

    委員長江藤智君) もう少し懇切に御説明を願います。
  70. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) いま申し上げました点について誤解があったようでございます。
  71. 相澤重明

    相澤重明君 誤解じゃないよ、民間よりいいわけがないじゃないか、ふざけるな。
  72. 原山亮三

    政府委員(原山亮三君) 財政投融資の額として二十四年から約一兆円の……。私の申し上げましたのは、資本構成という意味で申し上げたのでございまして、自己資本と他人資本との比率を見ると、再評価積み立て金を含めて正味資産の中で一兆円以上の自己資本として見られるものがある、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  73. 相澤重明

    相澤重明君 運賃値上げを撤回してもらおう。何も国鉄がそんなにいいなら運賃なんか値上げする必要はない。委員長、もう審議はむだだよ、国鉄はいいと言うのだから、答弁が。
  74. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  75. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  76. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 御質問の趣旨は、第一次五カ年計画、それから第二次五カ年計画でどの程度まで復旧したか、戦前に比較してどの程度まで復旧したか、こういう御質問だと理解をいたしたのですが、どの程度まで復旧したかということを数字的にあらわすのは、非常にむずかしいことだと思うのです。そこで第一次五カ年計画では、老朽資産の取りかえということで、戦争中に酷使をいたしました施設をとにかく極力取りかえるということを主目標にしてやったのであります。それでそのときの第一次五カ年計画の目標とした老朽資産の取りかえというものはおおむねできた。しかし、老朽資産としてどんどんその後も取りかえをしなければならぬものは、さらに出てくるわけでありますし、さらに需要も旅客需要、あるいは貨物輸送需要も予想に上回って出てきたということで、さらに残った老朽資産並びにその後取りかえを必要とする資産そのものの取りかえ、並びにその後に起こった予想せざる急激に増加した輸送需要をまかなうために、第三次長期計画をどうしてもやらなければならなかった、こういう事情でございます。
  77. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 委員長、ちょっと関連。先ほど相澤さんの質問の際に中期経済計画はいまだに残っているという意味の御答弁があったのですがね。二月十四日の衆議院の運輸委員会中村国務大臣答弁によると、「中期経済計画は一応廃止しまして、新しい観点に立っていま検討中でございます。」こういうふうに言っておられる。先ほどの答弁によると、廃止したのではなくてまだ残っている。衆議院の運輸委員会では廃止になって、参議院の運輸委員会になって復活したというのでは、ちょっとおかしいような気がするのですが、これは第三次長期計画の関係でどういうふうになっておるのか、御説明願いたい。
  78. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 第三次長期計画の需要見通しというのは、中期計画における輸送需要の見通しというものと合わせてつくってあるわけであります。それでその後中期計画は再検討しようということで廃案になった、こういう事情でございます。それで一応第三次長期計画といたしましては、この中期計画の輸送需要に基づいてできておりますので、途中で変えることをしないで、とりあえずそのままの輸送見通しでもって進んでいく、こういうことに相なっていると、こういうふうに了解していただきたいと思います。
  79. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は相澤委員の質問をわきで聞いておったのだが、これは約一兆円の政府の財投があったというんでしょう。それでどれだけ進捗したかという質問だと最初聞きました。それから進捗状況、第一次、第二次ははっきりあなたたちわかっていないのですか。わかっていないことないじゃないですか。監査委員会の報告書があるじゃないですか。これあなたたち見ていないのですか、ちゃんと出ている。第一次の進捗率については六八%、そういう点どうなんです一体、明確にしたらいいじゃないですか。ちゃんとみなわかるでしょう。通勤輸送から幹線輸送、幹線電化、電車化、ディーゼル化、車両増備、これはみなわかっている。どこなんですかわからないのは。はっきりしたらいいでしょう。
  80. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) それはわかっております。それは二・三日前、たしかきのうかおとといの御質問のときに答えておりますので、その進捗率はわかっております。しかし先ほどの質問は、戦前の状況に対してどれだけ老朽資産その他が復旧したかということでございますので、先ほどいま御答弁申したようなことを申し上げたわけであります。
  81. 江藤智

    委員長江藤智君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  82. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  83. 相澤重明

    相澤重明君 運輸大臣、先ほどですね。私が内閣の中の特にこの総合交通政策について、陸上なり、海上なり、空なり、それぞれの持つ役割りというものを中期経済計画で策定をした。しかし、その中期経済計画は、今日の時点では間に合わない。内閣が諸般の準備を整えて、ここに国鉄には七カ年計画を出したのだろう、こういう質問をしたわけです。たまたまいま瀬谷委員が関連質問で言ったように、中期経済計画が残っておって、国鉄だけで、いわゆるこの国鉄の現状を改善して、さらに新しい需要と合わせたものが七カ年計画だという答弁だというと、私はたいへんな誤りを起こす。国全体の交通政策の中で、国鉄に持たせなければならない役割りを、実は今回は出してきたのだと、こういうふうにわれわれは判断をする、こう言っているわけです。だからあなたが衆議院で、いわゆる中期計画はなくなりましたと、これはいま提案をしておる七カ年計画が、その総合的ないわゆる内閣の経済企画庁等々と相談をした、その中での運輸省と国鉄の持つ役割りですと、こういうように御答弁がないとですよ、私はむしろあなたの食言になると思う。いかがですか。
  84. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国鉄の第三次長期計画の中に取り入れております輸送の需要見通しは、中期計画の中で取り上げましたものを第三次長期計画の中に取り入れておるということでございます。需要の見通しは、そういう形で第三次長期計画の中に取り入れられているということでございます。
  85. 相澤重明

    相澤重明君 せっかく大蔵大臣がお忙しい中を御出席いただいて、あなたもよく御出席いただくので、できるだけあなたに質問したほうがいいと思う。運輸大臣は担当大臣ですから……。  そこで率直に、私はあなたにひとつお伺いしたいと思うのですが、内閣の中で、いわゆる経済企画庁が三十八年に設定をした中期経済計画、この中期経済計画の中で、国鉄の持つ役割りというものは、それぞれ評価をされておるわけです。ところが、今日のいま内閣から提案をされている国鉄運賃法の改定は、この中期計画ではどうにもならない。新しい需要に合わない。輸送力を緩和することはできない。こういうことが含まれて七カ年計画というものが提出をされておる。運賃値上げを提出されておる。こう私どもは理解をしておるわけです。そこでこの陸上と海上と、そして空の飛行機等によるこういう輸送全体についてのバランスの中で、国鉄が持つ役割りというものを、大蔵省としてどういうふうに評価をして、国鉄の財政投融資というものをお考えになったか。つまり全体の財政投融資の中で、この前もあなたも御説明になったと思うのですが、国鉄には、いわゆる国鉄というために独占権を与えておると同時に、いわゆる資金的な面では、財政投融資で援助しておりますというあなたの答弁でしたね。したがってこの総合交通政策の中で、国鉄の持つ役割りに対して、大蔵省の評価というものはどうなのか。これを中期計画から見た今日のこの七カ年計画を出されている時点で、ひとつあなたの御意見を出してもらいたいと思う。これをはっきり聞かないと、どうも中村運輸大臣が先ほどから言っているのは、中期経済計画は生きております、中期経済計画は若干今日の時点でいわゆる修正をして、そしていまの提案をしております、しかし衆議院の中ではいわゆる中期経済計画はなくなりました、こういうような話もしておる。いろいろその場その場で国会の答弁が違ってきたのでは私は困る。そういう意味で、これは大蔵大臣にまずこの公定、あるいは公共という名前もいろいろあるでしょう。あるでしょうが、公共負担という問題について議論をする場合には、そのいわゆる国家的な立場におけるこの国鉄の持つ役割りという評価がないと、これは実は公共負担という名目も出てこないと私は思う。そういう意味で中期計画と今日の提案をしておる場合の評価を、一応大蔵大臣として御説明をいただきたい。
  86. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私は国鉄の地位は非常に重要だと思いますが、特に国鉄陸上輸送力の主軸をなすものである、そういう意味合いにおきましてきわめて重要な地位に立つものだ、こういうふうに考えております。いまお話しの中期計画は、これはその後御承知のような経済の事情も変わってきておる。同時に金融財政政策、これも大転換をするというに立ち至りましたので、これを廃止して、そして新しい長期計画を立てるという準備にとりかかっておるような次第でございます。しかし、中期計画におきまして検討されました輸送の諸問題、これはそれ自体としてあるわけでありますから、また重要な参考資料になっていると、かように考える次第であります。
  87. 相澤重明

    相澤重明君 そこでひとつ問題をわかりやすく質問をして、わかりゃすくひとつ答えてもらいたいと思うのです。この経済企画庁が策定をした中期経済計画の中でも、たとえば交通問題の中で国鉄と道路と、この受け持つ役割り、あるいは住宅と鉄道という、港湾と鉄道という、こういうものがそれぞれ議論をされておりますね。それで建設大臣も一緒でありますから、お答えをいただきたいのでありますが、この国鉄輸送が逼迫しておるものを緩和をして、しかも人命尊重を推進をしていく。つまり事故をなくす。これには現在の全国の国鉄なり私鉄なりいわゆる鉄道網、この鉄道網の踏切というものに対して、政府が基本的に立体交差化をしなければならぬ、あるいは高架化をしなければならぬということがこの中にも出ておりますね。出ております。そこで大蔵大臣としては、現在の国鉄が持つ資金の、あるいはその国鉄の持つ重要性を考えて、立体交差化というものがどの程度一体できると思っているのか。あるいは今日のこの七ヵ年計画の中では、どのくらいまでそういうものが進捗をされるのか、つまり進んでいくのか。こういうことについて、これは主として建設大臣自治大臣運輸大臣の所管にかかわることでありますが、さいふのひもはあなたが握っておるわけです。道路を立体交差化をすると言っても、地方財政計画には大きな関係を持っているわけです。きよう不幸にして自治大臣が明日でなければ出席できないというので、自治大臣は一緒に御答弁をいただくことができませんけれども、要は金のことは、あなたが一番よく知っているわけです。そこで、現在の内閣が考えておる法律をいま国会に提案をして、さらに踏切立体化等について延長する、こういう中には、もちろんそれだけの投資をしなきゃならぬことになりますね、これは。また佐藤内閣としても人命尊重ということは、あるいは社会開発ということは重大な政治の柱としているわけです。そういう意味から申し上げまして、この立体交差化というものを、どの程度財政的にお進めになるお考えがあるのか、これをひとつお伺いをしておきたいと思う。これは一番わかりやすいと思う。
  88. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) この二、三年来、立体交差ということは非常に問題になってまいりまして、御承知のように立体交差もぽつぽつと進められてきておるわけでございます。ただ、これはなかなか一ヵ所やるにつきましても、相当金がかかるもんですから、そう思うようにはかばかしくは広まっておりません。しかし、これは財政力とも見合いまして、力強く進めていかなきゃならぬ問題である、こういうふうに考えておりますから、この中心におられますのは建設大臣でございますから、ちょうど来られましたから、かわって……。
  89. 相澤重明

    相澤重明君 じゃ建設大臣から答弁してください。
  90. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 御承知のように、踏切道の立体交差化を期するということで、その法律をつくりまして計画的に進めておるわけであります。しかしこれは、四十年で一応法律の期限が終わりますので、まだこれが完成というわけじゃありませんから、さらにこの法律の実施を延期したい。こういうことで近く国会に延期の法案を御提案することにいたしておりますが、今日までの状況を簡単に御報告いたします。  最初に計画いたしましたときには、三百二十九ヵ所という計画をいたしました。それが四十年度末で完成予定が三百二十九ヵ所のうち二百五ヵ所でございます。進捗率にいたしまして六二・三%、四十年完成のものが、着手中のものが四十ヵ所ありますが、それで七四・五%未着工分が八・四%、こういうふうにいまなっております。しかし私ども考えますに、当初予定いたしましたよりも、なおまだ踏切道の立体交差化をしなければならぬ所はたくさんあると思いますから、先ほど申し上げましたように、この法律の延長をお願いしたい、こういうように考えておるわけでございます。
  91. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄にお尋ねいたします。  国鉄は全国の中で踏切を立体化しなければいけないと考えていたのは、どのくらいありますか。全国の中で踏切が何ヵ所あってそうして現在までに立体化、交差化されたものは何ヵ所、それから立体交差化しなければいけないと思うのは何ヵ所あるのか御説明いただきたい。
  92. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 踏切道改良促進法ができてからの実績は、いま建設大臣がおっしゃったとおりでございます。私どもといたしましては、いま御審議を願っております今度の計画の中には、相当踏切問題を大きく取り上げております。一応私のほうといたしましても、今度延長されます踏切道改良促進法に指定される踏切、あるいは道路の改良に伴うもの、あるいはそうではなくても、いま第一種の踏切でなければ非常に交通事故の起こる可能性のあるもの、あるいは、京浜間のように、遮断時分の長いもの、こういうふうに大体カテゴリーを四つに分けまして、そしてまず、法指定のもの、踏切道改良促進法に今後指定されるであろうものが、約二百ヵ所、それから道路改良に伴うもの、これは主として御承知のとおり、バイパスができたりするもので、これは大体建設省のほうで負担される場合が多いのでございますこれは私のほうの計算では、道路改良に伴うものが二百九十ヵ所、主としてこれは国道関係でございます。それから、それ以外の踏切で、現在踏切保安掛がおります踏切の中で、非常にあぶないもの二百ヵ所、それから、東京―横浜間のごとく、複々線の個所ないし非常に列車回数が多くて、一たんしまったら、三十分も四十分もあかない、こういう、いわゆるあかずの踏切が相当ございます。これは全国で、しぼりましておおよそ二十ヵ所、これらの個所で、全体で約六百数十になりますが、このほかに、私のほうでいわゆる複線化工事をいたします。複線化工事をいたします際には、道路交通の多いところは、いまから立体交差でやるという計画を立てております。これは、いま申し上げました数のほかに三百ヵ所でございます。これは原則として全部国鉄側の踏切保安の費用でなしに、幹線輸送力増強と申します複線化のほうの予算に含めて、これは計上いたしております、したがいまして、今後建設省といろいろ御折衝申し上げる踏切は、先ほど申し上げました前の四つの約六百数十ヵ所の踏切ということになるわけでございます。実際問題といたしまして、いままではわりあいに私のほうの出先と建設省の出先との費用の分担あるいはその時期等が一定いたしませんで、進行率は必ずしもはかばかしくなかったのでございますが、この一、二年、わりあいに進捗状況が進んでまいりましたので、私どもといたしましても、現在におきましては、建設省と国鉄との間できまっております費用分担の方法によりまして、一昨日申し上げました二百億の予算をこのうちどれにつけるかということにつきまして、今後具体的問題として、建設省と事務的に進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
  93. 相澤重明

    相澤重明君 建設大臣、いまお聞きのとおりなんです、国鉄測の言い分は。これは言い分ですな、国鉄側の言い分です。そこで、建設省は、先ほども申し上げましたように、自治省との開係もありますが、道路については、主として私は建設省の所管と考えてよろしいと思うのです。いま国鉄当局説明をされただけでも、六百三十一ヵ所は、これはもうやりたいと言う。そのほかに複線化の中で三百ヵ所を、これは幹線輸送等の費用の中で直したい、こう言うわけです。しかし、予算は二百億。それをどう建設省と調和をして、そうしてこの七ヵ年の中で進めていくかということだと私は思う。建設省はどのくらい予算をお考えになっているのですか。たとえば国鉄の七ヵ年という、これがいいのか、あなたのほうの十ヵ年計画というのがいいのかは議論があるといたしまして、たとえば国鉄が七ヵ年間にこういうふうにやりたいというのに対して、七ヵ年と計算をしたら、建設省はどのくらいになりますか。
  94. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 建設省でやっております立体交差の関係につきましては、実績を申し上げますと、ただいま大臣が申し上げました改良促進法によりますものを含めまして、四十年度で四百四十四カ所、金額にいたしまして百九十六億ほどのものをやっております。そのほかに、つけかえ工事としてやっておりますものは八十三カ所、五十五億、この程度でございまして、四十年度で五百二十七カ所二百五十二億の事業をやっております。なお、今後やるべきものはたくさんございますけれども、今後におきましても、引き続きこの程度、それ以上のものをやる必要がある、かように考えております。
  95. 相澤重明

    相澤重明君 国鉄と道路との交差の場合の費用の分担は、自治体及び建設省、国道でいえば建設省、それと国鉄、これはどういう分担になりますか。それぞれお答えいただきたい。
  96. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私のほうから申し上げます。これはいろいろいきさつもございますが、前に建設省と正式の書面の約束をいたしまして、いろいろな場合がございますが、四つに分けて、ごくかいつまんで申し上げますと、まず、鉄道と道路が同時に新設される場合、これはお互いに半分ずつ、鉄道と道路と半分ずつということになります。その道路の中で、国費と地方費の分担、これは私どもちょっとわかりませんので、後ほど建設省のほうから申し上げます。それからすでに片方ができておりまして、片方があとから新設される場合、たとえば鉄道が先に敷かれておりまして、その上を道路が通るという場合には、全部これは原因者の負担ということで、道路が全額持つということでございます。それから逆に、もし道路がございまして、その上を鉄道が越すという場合には、これは鉄道が全面負担、多少の出入りはございますが、原則は原因者負担で、結局原因者となる国鉄あるいは建設省関係のほうが、おのおの原因者として全額を持つということでございます。それからその次に、これが一番多いのでございますが、既設の平面交差を除去する場合、すでに踏み切りとしてあるものを除く場合でございます。これは原則として国鉄が三分の一でございます。それから道路関係で三分の二でございます。ただし、逆に駅の構内等で、非常に交通量が多い、あるいは遮断している時間が長い、あるいは線路が多いというような場合には、国鉄が五分の二または二分の一、場所によりまして違いますが、最高二分の一、最低五分の二、五割ないし四割、国鉄が持つということになります。それから最後に、一昨日申し上げましたいわゆる高架化の場合でございますが、全面的に高架化するというふうな場合、一つの都市の中をずっと高架化するという場合には、原則といたしまして、国鉄が二分の一、道路が二分の一、こういうお約束になっております。道路の中の分担につきましては、いろいろ国、都道府県等の分担は、あとでこまかく建設省のほうでおきめになっておるようでございます。
  97. 尾之内由紀夫

    政府委員(尾之内由紀夫君) 道路管理者と国鉄との負担割合は、ただいまお話しのとおりでございます。道路管理者内におきまして建設省とそれから地方公共団体の負担の割合でございますが、若干の特殊改良であります例外を除きましては、国道については四分の三を国が持ちます。四分の一を地方公共団体が持つ。それから国道以外の地方道関係につきましては、三分の二を国が補助し、三分の一を地方公共団体が持つ、かような負担割合になっております。
  98. 相澤重明

    相澤重明君 いまの御説明でまいりますと、国鉄と道路との交差の中で、人口増、交通量増に伴う立体交差をする場合には、地方自治体も負担をしなければならない、これは大蔵大臣、どう思いますか。
  99. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国の仕事と地方の仕事ですね。これは仕事はそれぞれの地域において施行されるわけであります。そういう際に、地域の発展振興に連なる問題でありますから、その地域の人が一部負担していただくという制度は、これはもう全面的にどの事業につきましてもとっておる制度でございます。やはり道路をつくるにつぎましても、そういう原則でいくべきものである、その負担の度合い、これは別ですよ、度合いは別ですが、幾ばくかの負担をしていただくということは必要であろうと思います。
  100. 相澤重明

    相澤重明君 いや、私のお尋ねしておるのは、いいですか、国道をつくる、国の計画に基づいて国道をつくる、たまたま、それが先に占有権を持っておる国鉄のところに国道が通るのだ、だから、これは立体交差しなければいかぬ。先ほど磯崎総裁が言ったように、国鉄が敷いてあるところへ、たまたま、そこへ国道が通る、その国道はあとからつけるんだから、建設省が主として予算は持つんだ、これはその地方住民に一部負担させなければならぬというのが、いまのあなたの原則論になっておるようですね。国が国の計画でやる場合に、しかも、それを地方自治体に負担をさせる。私は逆の例なら理解ができるのですよ。あなたの言うように、地方がどうにもこれでは狭くて困るから道路を広げてくれ、そうして、この交通量が多いからそれを立体化してくれと地方自治体から要請があって、そして、しかも国鉄も建設省も、これは確かにそうだということになって、その原因者が地方自治体の場合なら、これはまだある程度まで私は理解ができると思う。しかし、国鉄が通っておって、そこに国の計画で国道をつくるという場合に、これをしも、地方自治体の貧弱な財政の中に一部負担をさせなければならないという理由は、私は大蔵大臣の御答弁としては少し無理ではないかと思うのですが、そういうことまで、あなたの答弁は含んでいるのですか。
  101. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国と地方、これはまあ共同して仕事をいたします場合もありまするし、あるいは国が仕事の主体になる場合もあるし、あるいは地方だけが主体になって仕事をする場合がある。それに、ただいま申し上げましたような考え方に従いまして、地方財政法でそういう原則をちゃんともう検討してつくっておるのです。中央で負担してはならないという費用がある。地方自治体のみが負担すべし、それから一方において、国だけで負担しなければならないというのがあるわけです。その中間におきまして、両方に利害が連なるという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、両方で金を出し合う、しかし、出し合う度合いが、ずっとそのものごとによって、性格によって違ってくるわけですが、国道に対しては国が主力となって負担をいたします。これはもちろんでありまするが、地方も何がしかの貢献をする、こういうたてまえをとっておる次第でございます。
  102. 相澤重明

    相澤重明君 話を、角度をかえてみましょう。建設大臣に先に御答弁をいただいたほうがいいと思うのですが、前回も他の委員から御発言がありましたが、たとえば東京の例をとってみましょう。首都圏の場合に、首都圏を整備するというのは国家至上命令だと私は思うのです。このままの乱雑な姿に首都を置いてはいけない、これが首都圏を整備しなければならぬという法律をつくったり、あるいは、この整備事業に着手をしたことだと私は思うのです。そうした場合に、いわゆる首都圏整備に伴って、この東京付近のいわゆる近県は、近郷都市においては、住宅なり工場がたくさん建設をされたわけですね。そして、これは建設省といえども、できるだけ工場誘致なり、あるいは住宅誘致どいうものは、首都圏の、これ以上ふやしてはいけないということがあって、初めてそういうことが行なわれている、国の政策としそ。その場合、そういう国の要請によって、むしろ、地方では、住宅をつくったり工場をつくれば、もちろん固定資産税もあがってくる、あるいは消費のこともある、確かにいい面もあるけれども、反面、地方財政は相当そのためにやはり苦労しなければならぬ、施設をしなければならぬ、こういうことで、今日、どこへ行っても、地方財政の困難ということは、もうみな一致した見解なんですね。きょうは自治大臣がおりませんけれども、私は地方自治体というものは、今日ずいぶん苦労していると思うのです。その中で、建設省が国鉄と十分の連絡があって、工場誘致なり住宅を建設させた、団地をつくって住宅を建てた、こういうことであれば、今日の混雑というものは、もっと変わった姿の私は輸送力というものができたのではないか。ところが、前回のお話では、確かに連絡はとっておるはずだというけれども、現実には、建設省は、建設省の考えておる団地造成工場団地造成ということが行なわれておるのではないか。国鉄というものは、むしろ、そういう団地がつくられて、住宅がつくられて、工場がつくられたために、輸送が間に合わぬ。あとから一生懸命追っかけて、自転車ではないけれども、夢中で追いかけておる、こういうのが今日の輸送の状況ではないかと、こう思う。しかも、その輸送力の足りない中に、いま言った交通量がひんばんになって、踏切もいまのような形ではいけないから立体交差化をしなければいかぬ、いわゆる無人踏切にしておくと事故が一番多い、たとえば、そこに信号の設備をしても、チンチン鳴っておっても、自動車が飛び込んでいく、こういう事故のことを考えれば、どうしても立体交差化というものは近代社会として最も必要なことである、これが私はこの中期経済計画の中に示されていることだと思うのです。あるいは今日の国鉄の改定の中にも立体交差化を進めていかなければならぬということだと思う。そうすると、国鉄の気持ちでなくて、国鉄が率先してやらなければいけないということは、そういう原因があって国鉄は立体交差化を進めていかなければならぬ、その負担をさせられるのだと、私はこう思う。そのことになると、本来はこれは住宅なり、工場ができたために、その人口が多くなったために、流入のための仕事として私は建設省が行なうことが本来の姿ではないか、こう思うのですが、建設大臣はいかがお考えですか。
  103. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) 先般も申し上げましたように、なるほど結果においては、いまお話しのように、住宅団地あるいは工場地域ができて、そこに人口が集中する、したがって、輸送の問題が起こって、それがどうしても、それに追っつかないから、いろいろな混乱や交通難等が起こる、これは仕事の時差で避けられることであります。いろいろ団地をつくるについては、この前申し上げましたように、特に新住宅市街地法などには運輸大臣等と意見をかわすという法律の規定までもありまして、御協議を申し上げておるわけでありますけれども、家をつくることは非常に急いでおる、しかし、鉄道その他の輸送機関はそう簡単にそれに応ずるように早くできない、こういうところに問題があると思います。と同時に、いま道路と踏切の立体交差等のお話がありましたが、これも建設省が住宅をつくって、あるいは工場地域をつくって、そこに人が集まるから、鉄道はよけいなことをしなければならぬということは、ちょっと私は、これは両々相まって、鉄道のみならず、あるいは道路でも、やはり人が集まるというところにそれをつくって、その輸送体系を整備するというような、おのおの担当がありますから、そこに道路を、人を集めたからおまえのほうが鉄道までつくれ――鉄道までつくれとはおっしゃらぬけれども、それまでやるのがほんとうじゃないかというようなことはちょっと――これはみんなが協力してやるということがほんとうじゃないかと思っております。ただ、なかなか国鉄さんも御承知のように忙しいですから、それに追いつかないという事態は私も認めておるわけであります。
  104. 相澤重明

    相澤重明君 私の時間が、他の議員の関係する質問もあるので、一人ばかりでやっておられないから、どうも中途はんぱになってしまうのですがね。建設大臣、あなたは工場や住宅ができて人が多くなってきたから、鉄道の輸送力だけでは足りないから、いま言った、あぶないから、たとえば踏切は立体交差するのに、これはみんなしてやらなきゃならないという話をいまされたわけだ。私は、交通問題というものは、全体を考えなければ、バランスをとらなきゃいけないんだと、こう言うのですよ。だから、きょうも大蔵大臣出てもらったのは、そういう国家投資というものがいかに産業、社会、経済のために必要かということがあるから、その一体、国の負担というもの、あるいは、その名目を公共負担とすれば、当然私は政府がそれは持つべきものだ、ただし、政府の持つのも、各省があるから、その各省の中で、やはり公平な立場で私は考えていくのがいい、いいけれども、原因が明らかなものは、その原因の明らかなほうに持たせるほうがいいんではないか、これを言っているわけなんです。そこで、あなたに反論するわけじ中ないけれども、私は道路がもっと整備されておれば、鉄道輸送だけで負わなきゃならぬ、負担をさせなきゅならぬこともかなり緩和されると思っているのですよ。だから、あなたのほうでも道路のこの計画があるでしょう。今日の道路が悪い、整備をされていない、これをやはり中期計画にせよ、十カ年計画にせよ、建設省は進めておいでになる、これをやればもっとバランスが公平にとれてくるのじゃないか、こういうことを私は言えると思うのですよ。いま一番困っておるのは何かといえば、国鉄だ。道路がまだそこまでいっていない、急ピッチに追いつかないということになれば、それをしも、乗客の運賃料金から出さなければいけないかということになると、国の政策としてやるべきものを、そこだけにしわ寄せをするということは、少し私は行ぎ過ぎではないか、逆を言えば。こういうことで、いま少し、国鉄の現状に対してと同時に、交通問題を全体として、私は財政の問題は、大蔵大臣も建設大臣考えていかなければいけないのじゃないか、これが私の言っておることなんです。だから、全然負担をしなくちゃいけないということを言っておるのじゃないんだ。けれども、その原因というものがあれば、その原因が主として、そうしてこのいまの国家全体の利益になることになるのでありますから、そこに国家財政というものをつぎ込んでいくことは、国家予算として何らおかしくない。私はこの十年間決算専門にやっておるけれども、全く、国の各省庁の使ったあとを見れば、つまらぬ使い方もあると思う。ですから、そういうものをなくしていく、ましてや、不正不当はいけません。しかし、それまでいかなくても、もっと改善しなければいけないということがずいぶんあるわけです。そういう点からいって、いま当面する命題は、この国鉄輸送力をどう隘路を打開をしていくか、そこにいまの大幅運賃値上げというものが政府から提案をされておる。ところが、私どもは、この現状、窮状というものは、国鉄に無理に負担をさせ過ぎはしないか、こういうところを私どもの同僚が、大蔵大臣にも、建設大臣にも、繰り返して公共負担の原則というのを実は質問をしておるわけです。私もその公共負担の原則はもっと議論をしなければいけないのじゃないか、政府はあまりにも金の取れそうなところにそういう公共負担の肩がわりをやる傾向があるのじゃないか、こういう点を私は心配をしておるわけです。その点について、いま一度ひとつ建設大臣から、公共負担の問題と関連をして、いまの立体交差化等の問題についても私は国が負担をすべきではないか、こう思うのだが、あなたの見解をお尋ねしておきたいと思うのです。
  105. 瀬戸山三男

    国務大臣瀬戸山三男君) いま相澤さんがお話しのとおりに、住宅その他を建てる、それに道路、はもとよりでありますが、鉄道あるいは軌道等の、いわゆる人が動く体制をマッチさせる、これは考え方としては、私は当然のことであろうと思います。ただ、事実上、なかなか、先ほども申し上げましたように、家を建てることと、あるいは鉄道等をそれに合わせることが、時間的にズレがある、こういう問題は、確かに私どもも心配して、いろいろやっているわけであります。むしろ、本来ならば、道路を先につくって、そして、そこに住宅団地をつくるというのがたてまえでありますけれども日本の場合は、残念ながら、道路全体が非常におくれておりまして、現に通るところさえも御承知のような状態にありますから、それが逆になっておるという事態は、これは日本の今日までの状態からいいますと、適当でない。それは事実であります。また、道路のみに限らない、鉄道の問題でも同じことだと思いますが、それが前後することは、日本の従来の急激な進み方に追いつかなかったというところもありますけれども、道路政策が立ちおくれておった、これは率直に認めますつ鉄道のことは申し上げませんが、その際に、十分マッチさせるために財政政策をどうするか、資金計画をどうするかということが、相澤さんの主たる問題点であろうと思います。これは、私がいろいろ論ずることは差し控えなければならないと思いますけれども、私はやはりそういう体制をとるのがほんとうだと思う。ただ問題は、それを国家の一般会計の負担だけにするのかどうか、やはり長期に見て、利用する人に負担させるのがたてまえじゃないかという議論がいま支配的だと思っております。その際にも、財政投融資その他、やはりそういう道路施設等が、あるいは鉄道施設等ができるような財政措置を講ずるということは、これは私やるべき問題であって、それを運賃負担にまかせるのが適当なのであるか、あるいは国家の資金を貸して、長期に償還する財政措置を講ずるのが必要であるか、あるいは国家の出資によって、いわゆる運賃にかけないでやるのがいいのかどうか、ここがいま問題点になっているわけでありまして、これは、運輸大臣と大蔵大臣からお話を願いたいと思います。
  106. 相澤重明

    相澤重明君 大蔵大臣ね、まあ建設大臣の後半のほうは、ちょっと論理が私は飛躍し過ぎだと、こう思っておりますが、あまりそこでやりとりしていると時間がないから、大蔵大臣に聞いておきたいのだが、きょうも午前中公聴会をやって、公述人四人に述べてもらったのですが、いま建設大臣国鉄のほうから言われたように、利用者が負担をするにしても、原因者というものがある。そこで、たとえば通学割引をする、学生に対して。その場合、きょうの公述人の言うには、外国の場合は、それは文部省が負担する、割引の差は文部省の予算でやる、こういう話もあった。日本だけはお客さん、国鉄利用者からだけ出させる、こう言っているが、やはりこれは自民党推せんの人でもそう言っているんですよ。とにかく、やはりたとえば運賃でまかなうとすれば、その運賃によって割引をしたものは、その原因者か割引をさせたのだから、その所管のもので払って償っていくのがあたりまえではないか、こういう話があった。これが一つの社会政策ではないか、ということからいくと、たとえば、あなたが大蔵大臣としてさいふを握っておるわけですが、文部省の予算の中で、日本でも学割をした場合に、国鉄はそれだけの学割をすれば、それだけ運賃が減るわけです。それがあなたたちの言う公共負担ということです。その公共負担は文部省の経費の中から出してもいいではないかという意見なんです。  それからいま一つの点は、これは運輸大臣に、やはりいまの輸送力を増強するというのは国鉄だけにすべての使命を与えておる、国鉄だけにすべての責任を負わせるということは、私はやはり行政がばらばらだと、こう思う。ということは、交通機関というものは国鉄だけではなくて、私鉄もあるわけですね。私鉄から国鉄に乗りかえるのもあれば、国鉄から私鉄に行くのもある。ところが、国鉄は十五両編成、十両編成をやっても、その私鉄に行く場合には三両か四両という、まことに経済に合わない輸送状況もあるわけです。これをむしろ連帯をして、そうして、いわゆる国鉄、私鉄の通し運転という、たとえば、そういうものができれば、もっとコストダウンできるんじゃないか、もっと輸送力も増強できるのじゃないか、こういう点も考えられると、こう思う。そういう考え方があるかどうか。これは運輸大臣に御答弁いただきたいが、もし、そういう考えがあるとすれば、国鉄なり私鉄は設備の改善をしなければならぬ。その場合に、私鉄に対して大蔵省としては資金融資というような問題について考えられるかどうか。これは大蔵大臣にお尋ねをしなければならぬと思う。  私の鉄道というものは全く企業性です。企業性ですから、国家全体の交通政策の上からいってこれではむだである。もっとこれを効率的に使用させるためには、国鉄と私鉄との連関というのを考えていくべきだ。しかし、それには私鉄の企業性だけでは設備が改善できない。この場合は、国家的な命題としての私鉄のそういう相互乗り入れ等の問題については改善をさすべきではないか。あるいは、私鉄運賃の値上げの場合にも、運輸大臣は場合によれば改善命令が出せるのでありますけれども、そういうようなことが資金面からも大蔵大臣としてできないものかどうか、お考えになったことがあるかどうか、これは大事なところでありますので、いまの交通力のこの逼迫しておるものをどうしたら打開できるかということは、みんなが知恵を出し合って、そして、できるだけお金をあまり使わぬで、できるだけ節約してよい結果を生み出すということが、私は国会に与えられた任務だと思うのですよ。また、そういうふうに政府としても行政指導をしなければいけないと私は思う。そういう意味で、以上のような問題点についてお考えがあれば承わっておき、きょうは他の委員の御質問もありますからやめますが、あした自治大臣等に質問をさせていただくことを申し添えまして、私は質問を終わります。御答弁によっては、そうはいきませんがね。
  107. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私鉄につきましても、これは国鉄の機能を補完するという意味におきまして重要な意義を私は認めなければならぬと思います。そういうことでありますから、もし私鉄の施設を強化するというような上におきまして、資金上の対策が必要であるというような上におきましては、政府としては、できる限りのこれに援助をすべきものであると、さように考えます。現に開発銀行なんかの融資も、そういう見地から行なわれておるわけなんです。  それから学割のことにつきましては、この間もお答え申し上げたんですが、学割は政府の負担とすべきか、あるいは国鉄の負担とすべきか、こういう問題であろうと思います。私は、これは国鉄の仕事だといえば国鉄の仕事であるが、国家の仕事だといえば国家の仕事だと考えられないことはない、そういう意味合いにおきまして、絶対にこれを、政府がそういう金を出してはならぬというふうには考えません。これは結局、程度の問題である。国鉄の財政がもう、どうしてもしょい切れない、こういう際におきましては、私は、政府がこれをかぶっていくことを考えなければならぬというふうに考えますが、そのときそのとき、その時点における国の財政の状況、また国鉄の財政の状況、そういうようなものを考えまして判断すべき問題である、かように考えます。
  108. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 国民が要求しております輸送需要の実態とにらみ合わせまして、やはり国鉄の分野あるいは私鉄の分野等があると思いますが、その間の調整をはかっていくと同時に、国鉄は、第三次長期計画で輸送の増強計画を立てておりますが、私鉄のほうも、第一次計画は三十六年から三十八年まで、たしか一千二百七十億ぐらいの投資額でやったと思いますが、第二次計画は三十八年から四十一年まで、これは二千二百五十億ぐらいの投資計画で輸送力の増強をはかっております。その間、相互乗り入れとかその他いろいろ、国鉄と私鉄との間には関連を持ちながら、全体の輸送力増強に努力をいたしておる状態でございます。
  109. 木村美智男

    木村美智男君 せっかく大蔵大臣……。
  110. 江藤智

    委員長江藤智君) 建設大臣はどうですか。
  111. 木村美智男

    木村美智男君 私は建設大臣のほうはいい。  それで、大蔵大臣にまだ続きになりますけれどもね、これは何回でも、大蔵大臣来る限りは続きになる性質の問題ですよ。実は先ほど相澤委員のほうからもお話があったように、午前中の公聴会でも、賛成、反対両方の立場から、やはりある程度の条件がついたにしても、まあ大体学割というのは、大まかに言って文部省。赤字線というようなものは、トラックの限界を越える部分については、少なくともこれは国がめんどうを見なければいかぬのではないかというような話もあった。で、新聞、雑誌のごときに至っては、これは値上げをしたまま、大蔵大臣の説からいえば、利用者負担なんですよ。これなんかこそは、まさにこれは利用者負担の原則からいくならば、新聞、雑誌は自分が売るやつはかってに上げておいて、その運送料金については、これは特別な割引を受けている。これは大蔵大臣の言い分からいっても、矛盾している。こういう問題で、いよいよ公聴会を契機にして、前二回主張をしてきたわれわれの主張の、実は確信を深めてきた、だんだん。そこで、大蔵大臣、言いたくないことも少しは言わなければならぬようになってきたわけです、あなたがあまりがんこだから。それで、ひとつ聞くのですが、運賃値上げを認めるという態度を政府がきめたのはいつですか、公式に。
  112. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) これは私よりは運輸大臣にお答えをしてもらったほうがよいかと思います。
  113. 木村美智男

    木村美智男君 大蔵大臣だめですよ、そういうことを言っては。あなたがちゃんと出席しているそれは経済閣僚懇談会できめたのだから、その目を運輸大臣から答えるなんということはだめですよ。あなたがちゃんと責任を持ってその会議に出席している。政府がちゃんと態度をきめたときに……。
  114. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 私が答えるよりは、運輸大臣が答えたほうが適当だろうと思います。
  115. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 十一月二十六日の閣議で国鉄運賃の改定について決定しております。
  116. 木村美智男

    木村美智男君 佐藤総理大臣が、佐藤内閣が発足をして間もなく閣議の決定をして、そして世の中に向けて、当面国鉄運賃の値上げはしない、こう言明をしたことがありますね、それはいつですか。
  117. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、運賃の値上げをしないということを言ったというのを承知いたしておりません。
  118. 木村美智男

    木村美智男君 まあ承知していないというようなことを言っておったのじゃいかぬので、これは三十九年の十二月に、やはり当分国鉄運賃値上げせずということを閣議で総理大臣が発言をして了解をしたのが、五段抜きで新聞に出ている。だから、これは承知せぬなら承知せぬでもいいけれども、そういうような関係も多少は頭に置きながら、この問題を、ちょっとあと質問をしたいと思うんですが、どうもうまくないな、そういう覚えはないとか知らぬとかということは。
  119. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 三十九年の十二月でしたら、私は承知しておらぬのですけれども、四十年度の予算編成期ごろじゃないかと時間的には思いますが、どういうところでそういう発言をしたのか承知いたしませんので、よく調べてみます。
  120. 木村美智男

    木村美智男君 運輸大臣、いずれにしましても、佐藤総理大臣がそういう言明をしたことだけは間違いないので、その方針があったから今日まで国鉄当局運賃値上げという問題について政府に持ち込んだ時期は、すでに去年の暮れや、ことしになってから持ち込んだわけじゃないでしよう。そういう方針が生きていたから、今日まで政府はこれをようきめることができないで、先ほど運輸大臣が言った、十一月になって初めて政府の腹固めをしたのじ酔ないですか。これはどうですか。
  121. 福田赳夫

    ○国務大頃(福田赳夫君) 私は一昨年、つまり三十九年の暮れごろはまだ閣僚になっていなかった。しかし、ほのぼの聞いておるところによると、国鉄から相当強く運賃引き上げを要請してきておる、政府はこれを押えておる、こういう状態であったというふうに記憶いたします。
  122. 木村美智男

    木村美智男君 だから、大蔵大臣が、佐藤総理が言明したところ大臣でなかったのは認めますよ。それはそれでいいです。いいけれども、佐藤内閣であることには変わりはないのです。したがって、そういう立場で、今日いまこの十一月の閣議、それから十二月の二十五日の七ヵ年第三次計画というものを経済閣僚懇談会で了解をしたという、このことは、私は少なくともこれは今回の運賃値上げという問題を、あなた方がどういう観点からうんと言ったかということの、実はこれを聞きたかったわけです。そこで、少なくとも、先ほども申し上げたように、だんだん、だんだん物価は上がっていくという過程の中で、今日まで政府はどうもインフレの傾向というものについて、国民生活の問題、物価の観点からは、やっぱり運賃値上げという問題に踏み切れなかった、腹を固めることができなかったというのが、率直なおそらく政府考えでなかったかと思うのです。ところが、これが急に十一月から十二月にかけて――予算編成の段階ではまだ腹はきまってなかったのだ、それが十一月、十二月にかけて腹ぎめをしたということは、あとの一月一日の消費者米価の値上げ、それから私鉄運賃、そして今回の国鉄でしょう。もうあとの郵便の話までもすでに出ておるような、こういうことを考えてみると、あなた方が従来何とかインフレなり物価の問題ということを頭に考えておったその考え方というものを放てきして、そうして、いわゆる赤字処理のために公債を発行してインフレ策をとるという方向に踏み切った、その一つとして国鉄運賃の値上げの方針を了解をした、こういうふうにこれは私が推察をしているわけです。この点について、そうでないというならないような説明をしてもらいたい。いろいろそれは国鉄当局が言っている運賃値上げの理由というものは、それなりに、それは国鉄国鉄としてまかされた立場から、幹線輸送なり、あるいは安全確保なり、過密ダイヤの解消なりということを真剣に考えてこうだという立揚をとっているけれども、しかし、政府自身はもう一つ大きな一段高いところから、国の政策的な立場でこの運賃値上げを認めたのじゃないですか、どうですか。
  123. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 木村さんから、ただいまインフレ不可避というか、そういう見地で国鉄運賃を認めたのであろうという御推測のようですが、そういう考えではないのであります。つまり、先ほどもお話がありましたが、国鉄運賃の値げというのは、一昨年の秋ごろからくすぶり続けてきている問題であります。それを押えに押えてきた昨年の秋ごろの時点になって、さらにこれを押え切るかどうかという問題に当面したわけです。しかし、これを押えてみましても、いずれは一年もつかもたないか、昭和四十一年の時点でこの問題を解決しなければ、四十二年にはどうしても解決しなければならぬようなことになる、そういうようなことを考えますときに、まあどうしても、この四十一年の春の課題としてこれを解決しなければならぬ、しかし、その春は一体どういうときをつかまえるか、これについては運輸当局は、たしか一月から実施したいというふうに要請しておったと思います。企画庁は物価というような見地もありまするから、四月以降だというふうに主張される。結局、二月十五日ということに落ちつきまして、補正予算におきまして態度をきめて御審議をお願いする、こういうことになったわけでございます。物価問題につきましては、それはそれといたしましても、これは四十一年度を通ずる最大の課題であるということで取り組んでいくつもりでございます。決して放棄したわけではございません。
  124. 木村美智男

    木村美智男君 私も聞き方が悪かったかもわからぬけれども、インフレ政策をとることに踏み切ったので運賃値上げに踏み切ったのじゃないかと、こう聞かれれば、まあそうじゃないと、こう答えるのは、これはあたりまえの話なんですね。ことばをかえて言えば、とにかく、いま、大蔵大臣、非常な深刻な不況、いわゆる産業界、財界をして言わしめれば、深刻な不況の段階である。だかぢ、この不況というものの原因はいろいろ学者によるとまちまちだけれども、大体がこれはいわば過剰供給能力というか、生産過剰というか、これが何と言ったって中心的なものだ。そうすれば、この不況というものを打開するためには、どういう手段をとっていくかということになれば、いまのそれはあなた方がやるその政策の中では、これに対して有効需要をつくり出すような方式をとる以外にないでしょう。そうすれば、どこかに膨大なやはり投資をやっていく。たまたまちょうどいいどころへ国鉄運賃値上げ案が持ち込まれた。そんなら、ひとつここへ、どうせ金を使うのなら、やはりそういう関係で産業全般に関連を持って行き渡るような、特にいま不況であるセメントであるとか、あるいは機械工業であるとか、あるいは鉄鋼業であるとか、特に国鉄を使う産業界ですね、こちらのほうの景気刺激をやはりでき得るような、そういうものがより望ましいものだというふうにあなた方がやはり考えて、これはこの上うまいこと運賃値上げの聞題が持ち込まれたというところで、今日の不況を、国鉄の七ヵ年計画というものをてこにこれはひとつやっていく、つまり、不況対策としてこの問題を取り上げた、こういうふうに私は見るのですけれども、この点については、大蔵大臣どうお考えですか。
  125. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) 国鉄の問題は、これは七ヵ年計画に連なる問題であります。この計画ほ、不況対策のそれ以前に発足した問題であります。しかし、この七ヵ年計画を実行するにあたりまして、資金が不足してくる、なかなか思うように実行できないという事態に当面いたしまして、一体どういう措置をとるかということになりますと、これは財源をくめんして七ヵ年計画をやっていくか、あるいは事業を圧縮する、これ以外にないのであります。ところが、事業量を圧縮するといいますれば、これまた、国鉄の与えられた使命の遂行というものに困難を来たす。そこで、どうしても国鉄当局は、事業量は遂行したいんだ、こう言う。たまたま、いまお話しのように、経済界は沈滞しておる、国鉄の七ヵ年計画を計画のように施行していくということは、経済界の現状から見ても適切な行き方である、こういうふうに判断しまして、事業をやっていく。さてその財源を一体どうするかという問題になってきたわけです。ところが、その財源の調達が、まあ一般会計のほうも、とにかく公債も出さなければならぬ、また、減税もしなければならぬ、これが経済界からの見たどうしても要請ということになるわけであります。そういうときに、一般会計においては、なかなか財源もない、まあ、それじゃ国鉄が借り入れ金でいくかということを考えてみまするときに、借り入れ金にいたしましても、これは結局、国の財政資金をそれだけ国鉄に集中するわけでありまするから、それもそういう千七百億という借り入れ金が積み上げられる、上積みになるということはなかなか困難な問題でもあるし、そこで、いずれにしても、国鉄運賃問題というものは、国鉄が一昨年から叫び続けているところでもあって、早晩解決しなければならぬということになってきたわけなんです。そこで、先ほどのようないきさつを経まして、二月十五日施行という方針を固めることになった次第であります。
  126. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 委員長に議事進行についてちょっと申し上げたいと思うのですがね。  まず第一点としては、慎重審議をわれわれとしてはあくまでも守りたいと思っております。衆議院の運輸委員会に引き続いて、参議院の運輸委員会では、いろいろな大臣を呼んだわけです、衆議院の運輸委員会よりも。ある新聞によれば、いろいろな大臣の出席を求めたことを、引き延ばしのためであるというふうな書き方をしているところもあります。しかし、いままでの審議の経過は、いろいろな大臣を呼んでむだ話をした覚えはない。ですから、これはわれわれ、あくまでも慎重審議をたてまえとして審議しておりますから、きょうかちあしたにかけて、いや、あしただけというわけじゃない、きょう以後においても、あくまでも私は慎重審議をたてまえとして議事の運営をやっていただきたいということが一つであります。これは委員長からお答え願いたい。  それから大蔵大臣にお伺いしたいことは、公聴会があったのです、きょう。公聴会の公述人の公述を十分に尊重してもらえるかどうか、こういうこと、このこともまず聞いておきたいと思う。
  127. 江藤智

    委員長江藤智君) 委員長からお答えいたします。ただいまの瀬谷委員の御提案は十分に考えて運営をいたします。  なお、福田大蔵大臣の、きょう公述人を呼んだのでございますから、速記ができておるかどうかわかりませんが、早くひとつお調べ願いまして、そうして、また適当な機会に質問に答えていただきたいと思います。それでよろしゅうございますか。
  128. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) よろしゅうございます。
  129. 江藤智

    委員長江藤智君) 午後七時まで休憩いたします。    午後六時三十分休憩      ―――――・―――――    午後七時十三分開会
  130. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を行ないます。
  131. 岩間正男

    ○岩間正男君 まず最初にお伺いしますが、先ほどの相澤委員の質問の中で、米軍との輸送契約の問題が出された、その中で、米軍物資につきましては、第一に火薬、その次は石油類、それから一般物資と三つに分けてございます。その一般物資内容については、これは中身がどういうものかということは、米軍関係者とそれから駅長が立ち会いで中身を調べることができる、こういうお話だったですね。そこで、私はあらためてお聞きしたいのですが、そうすると、国鉄には米軍のそのような輸送物資に対して立ち入り検査権がはっきり認められているのか、その点はどうなんですか。
  132. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点は、検査権とかいうような問題でございませんで、荷送り人と輸送機関との通常の関係でございます。ですから、一般荷主が車扱い貨物を出す場合と同じでございます。
  133. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは輸送の場合、普通で、そうして中身はそう問題にするほど秘密でもない、こういうような場合は、それで一応いいかもしれない。しかし、一般物資というものの中には、これはいろいろ違ったものが入ってくる可能性があるわけですね。そうして、米軍がかりにこの立ち入りを拒否するという事態も起こり得ないとは言えない先ほどナイキ輸送の、日本に陸揚げの話が出たんですが、そういう場合について、当然これは軍機保護の立場から、これに対しまして向こうが拒否するという事態もこれは起こり得ないとは保証できない。そうしますと、私ははっきりここでしておかなければならないのは、この立ち入り検査権があるのかどうか、これはどういうことになっているのか、契約の上ではどうなっているのか。もし、あるとすれば、だれが一体その立ち入り検査権というものをはっきり持っているのか、こういう点について、国鉄当局から伺いたい。国鉄当局でその点不明瞭でございましたら、これはまた外務省の出席を求めて、この点については、日米行政協定に基づく合同委員会の分科会でどういうふうにこれはきまっているか、明らかにしなくちゃならないんですが、この点は、外務省の出席がもし不可能だとすれば、当然国務大臣から担当大臣としてお答えをいただきたいと思うのであります。
  134. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま申し上げましたとおり、米軍物資輸送につきましては、日本一般法令、たとえば鉄道営業法あるいは鉄道運輸規程その他の規定がそのまま適用されるわけでございます。しかし、御承知のように、たとえば一般の車扱い貨物につきましても、包装してある貨物につきまして、たとえば、荷づくりがあるので、これは中身が何だということは荷主の申告にまつだけであります。荷主の申告によって、たとえばこの品物は、何と申しますか、菓子なら菓子という申告があれば、それを菓子として受託するのが国鉄営業法のたでまえでございます。したがいまして、米軍に対しましても、また日本一般荷主に対しましても、一般貨物は、鉄道営業法に基づきます鉄道運輸規程並びにそれに基づきます国有鉄道の貨物運送規則によってやっているわけでございます。
  135. 岩間正男

    ○岩間正男君 しかし、これは国鉄の場合、怪しいと思うようなもの、中身について、これは全然立ち入り検査権というのは、普通の場合、ないのですか。これはどうですか。
  136. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それは普通の鉄道営業法によりまして、鉄道営業法並びに国有鉄道の貨物運送規則によって処理するわけでございます。しかし、虚偽の申告があるかないかということにつきましては、一応荷主を信用いたしまして、荷主の申告どおりにいたすというのが通例でございます。
  137. 岩間正男

    ○岩間正男君 異例の場合について聞いているんです。異例の場合、どうも火薬のようなものがあるんじゃないかという、そういう安全性の保持から考えて、それから中身が等級に違反しているんじゃないか、そういうような場合、これは起こらないですか、全然。
  138. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 普通、AとBの場合はもちろん問題ございません。Aは火薬で、Bはタンク車でございます。これはおのずから内容がきまっております。Cの場合は、いま申しましたとおり、一般荷主の場合と同じように、この品物はこれだとCの場合、さっき申し上げましたとおり、私のほうは品物内容よりも、その品物何等級に該当する、そうして幾らの運賃をもらうかというのがたてまえでございます。したがって、品物が何だということは、一般荷主から申告を受けますが、米軍貨物につきましては、原則として二級ということがきまっておりますので、米軍貨物につきましては、当然二級が適用される。したがって、二級の運賃を計算するというたてまえでございます。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、火薬でない、石油でない、そのほかのは二級だから、そこのところはそれでいけるわけですね、そうでないということが確認されれば。そういうことになって、実際は、その中身には具体的に立ち入る権利は、資格はないというふうに、大体通常の場合考えていいわけでございますね。
  140. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いわゆる立ち入り権という、法律に基づく権利と申しますより、運送契約当事者としての申告義務と、それからこちらの契約当事者としての、こちらとしては輸送するという義務を履行する、役務を提供する、そういう義務の双務契約でございます。だから、いま先生のおっしゃった意味の立ち入り権という民法なり、刑法なり、憲法上の権利ではございません。いわゆる民法上の純粋の運送契約者並びに運送提供者としての関係から出てくることでございます。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 国鉄関係はわかりました。営業上のたてまえからのこれは処理の問題。しかし、これは日本政府としてはどういうことなんでしょうか。地位協定の立場から、これは立ち入り検査権というものがないのが常例じゃないかというふうに考えられるんですが、この点についてはどうですか。
  142. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) 鉄道営業法の第十条に「鉄道ハ貨物種類及性質ヲ明告スヘキコトヲ荷送人ニ求ムルコトヲ得若シ其ノ種類及性質ニ付疑アルトキハ荷送人ノ立会ヲ以テ之ヲ点検スルコトヲ得」、ここではっきりとその種類及び性質について疑いあるときは立ち入り検査権があるというふうに法律上明文がございます。
  143. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、いまの解釈でいいんですか。それは営業法が――そうすると、国内法が米軍の場合適用できる。地位協定のいかんにかかわらず、これはちゃんと適用できる、こういう解釈ですか。それでいいんですか。
  144. 掘武夫

    政府委員(掘武夫君) 先ほど読みました安保条約第六条に基づく地位協定の第七条には「当該時に適用されている条件よりも不利でない条件」というふうに書いてあるだけでございますので、特別、何というか、特権といいますか、与えるとは約束されていないのでございます。
  145. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま鉄監局長が言われましたとおり、この協定の第三条の「役務」というところがあります。この役務の中にいろいろございますが、「役務」のA、B、CのCというところに、「役務の提供は、この協定に別段の定めのない限り、日本国法令及び乙の鉄道運輸に関し、一般適用される諸規則及び達によって行なうものとする。ここにいう日本国法令、諸規則及び達のおもなものは、この協定別表第3号に示すとおりである。」というふうに書いてございます。別表第3号。私は法律論はよく詳しくわかりませんが、このお互いの契約によりまして――いわゆる行政協定の問題をよく存じません。その点は責任ある御答弁できませんが、この契約によりまして、この別表の中に一から十五までの法令が書いてございます。第一が、いま鉄監局長の言われました鉄道営業法でございます。鉄道営業法以下十五番目の貨物輸送手続第15条というのに至るまで、十五にっいてのいろいろ法令――法律、命令、政令、公示、それから部内の達し等が羅列してございます。ですから、いわゆる行政協定上の問題は私は存じませんが、この協定によりまして、米軍としては国鉄との輸送契約においては、鉄道営業法以下の法令に従うということを約束しているものというふうに解釈される。ただ、これは、いわゆる行政協定との関連につきましては、私は有権的な御答弁はできませんが、私どもとしては、そういう輸送契約上の相手方というふうに見ておりますが、ただこの営業法第十条にいいますのは、いわゆる運賃逋脱の目的でございます。運賃を高い運賃でもらうべきものを安い運賃で、すなわち等級の安いものに言いかえるという意味の運賃逋脱を防ぐための規定でございます。したがいまして、その証拠といたしまして、もし点検で違ったら、その当然の運賃を払え、こういうふうに書いてございますで、いわゆる運賃逋脱上の問題から起きた条文だというふうに考えられます。
  146. 岩間正男

    ○岩間正男君 この点、なぜ私が質問を申し上げているかといいますと、実は最近ベトナムとの関係で非常にやはり軍事輸送が増加されてきている。それからまた米軍が戦地から帰ってくるという事態が、これは起こらないという保証はないわけです。ことに朝鮮戦争の場合を考えましても、相当日本が補給基地に使われて彼我の往復が多かった、鉄道もそれに関与させられてきたわけですね。そういう点から考えますというと、安保条約との関連でこの点を明確にしておかないというと、やはりたてまえ上はいけないのじゃないか。先に行っていざこざが起こってはいけない。たとえば営業法十条を適用して、こちらに立ち入り検査権があるのだ、それは運賃逋脱の目的をもってやるのだがとにかく、それはあるのだ。しかし、これは軍機を保つためにはその適用を受けないのだというような解釈になりますと、どうしても地位協定において、日米合同委員会ではどういうふうになっているかということを明らかにしておくことが非常に重要だ。したがって、中村運輸大臣見えておるのですけれども、もしこの点について御答弁がないとするならば、外務省から、私はこの点については、委員長のほうで努力をされまして、当委員会として明らかにしておくことは、先ほどの相澤委員の質問等との関連で必要だ、日本の置かれているいまの実情で必要だ、こういうふうに考えておるのですから、あすの連合の席上でもけっこうですから、ぜひその処置をとっていただきたいと思います。  もう一つこれと関連して伺いたいのは、米軍日本に帰ってくる、あるいは沖繩にいる米軍日本の富士山麓の演習に来る。在日米軍規定というのは鉄道でできないのですね。鉄道ではこれをどういうふうに規定するのですか。沖繩に行っているのは在日米軍でないことはたしかだ。しかし、これが日本に入ってきたときにはこれは在日米軍としての扱いをする。なぜこれが問題になるかというと、安保条約の当然の適用は、これは在日米軍ということになると思いますから、在日米軍であるかどうかということは非常にむずかしい問題である。これも沖繩の問題あるいは三矢作戦なんかで一方で非常に問題になっていますから、これとの関連で国鉄としてはやはり立場を明らかにしておくということが非常にいいのじゃないかと私は思うのです。この点について、何かまた見解がございましたら運輸大臣からお聞かせを願いたい。
  147. 堀武夫

    政府委員堀武夫君) その辺に関する有権的な考えというものは、ちょっと私のほうではよくわかりませんので、外務省のほうに聞いていただいたほうがいいと思います。
  148. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは同じようにこの問題も譲ります。  それじゃ、私は国鉄の問題しろうとでして、先ほどから先輩の委員の方々が詳しい質問をやったようなそういう詳細な質問はできない、これはしろうと質問ですから。  第一にお聞きしたいんですが、ダブるところがちょっと出てくると思いますが、第三次計画の中での混雑緩和ですね、これの計画を一通り示していただきたい、重複するところがあれば簡単でいいです。
  149. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 今回の計画の中のいわゆる混雑緩和と申しますのは、主として通勤輸送の問題と存じます。私のほうといたしましては、通勤輸送以外に一般の幹線における過密ダイヤのことも混雑緩和と申しておりますが、ただいまの質問は一応通勤ということを前提といたしまして御答弁申し上げます。約二兆九千七百二十億の中の五千百九十億と、全体の約一七・五%、これが、数日来申し上げておりますように、東京と大阪付近だけの通勤輸送の緩和に使われる金でございます。このうち設備と申しますか、主として線路をふやす金が三千九百九十億、それから車両をふやすものが千二百億、この二つに分かれます。すなわち、施設のほうは線路をふやす金、それから車両のほうは車をふやす金で合計いたしまして五千百九十億、これは東京と大阪付近だけでございます。
  150. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは混雑緩和といっておりますけれども、ある程度の混雑緩和ですね、解消ということではむろんない。これはあなたの速記録の提案理由で衆議院のやつ見たわけですけれども、これはそういうことになっておりますか。
  151. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どもも、いわゆる混雑の解消ということばはとても使えませんので、一昨日申し上げましたように、混雑の緩和ということばを非常に意識して――解消ということばを使わずに緩和ということばを申し上げている次第でございます。
  152. 岩間正男

    ○岩間正男君 このパンフレットを見ますと、だいぶ瀬谷委員からも指摘されたんですが、混雑緩和ということを大わらわになってうたっているわけだな。このうたい文句の中でこれが一番はでなんですよ。前面に押し出されている。しかし、これはどういうことになるんですかな。内容をこれはもうここでくどくど申し上げる必要はないと思います。これは、たとえば中央線の快速は二八〇%、完成した場合には二七〇%ですね、それから、中央線の緩行は二八〇が二三九、中にはふえるのもありますね。南部ですか、南部線のごときは二四二が二五七に。これは混雑緩和どころか混雑増加になるわけですね。こういうような計画が出ているわけなんですが、この程度で混雑緩和というようなことばが使えるかどうかというのは非常に私に問題だと思います。それで運賃値上げの理由としては、この混雑緩和をしなければなりませんから、とにかくはぎ取りとか、それからあばら骨を折るとか、そういうようなことはないようにするんだということを大わらわになってやっているわけですね。しかし、実際の実態というのはまことに見すぼらしいものじゃないかと思うのです。この点は羊頭狗肉になるような感じがするんですが、どういうものですか。
  153. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) この点は、過般も瀬谷先生の御質問にお答え申し上げましたが、やはり混雑緩和ということばの中には、いま申しますとおり、ほんとうにピークでございますね、ほんとうのピークはなかなか緩和できないんです。これは物理的にもう輸送力がきまってしまいますので、そのわずか二十分なり三十分の時間帯にお客さんが密集したものは、これはある程度以上には緩和できない。しかし、緩和される幅を広くするという意味のことはぜひ今後やらなければいかぬという意味のことでございます。
  154. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもこの点が内容を実際見ないから、相当混雑が緩和されるだろう、私は、第一次の運賃値上げのときにも、この点を大衆の立場から議論したわけですけれどもね。そうして大衆は非常に印象としては、とにかくいまのようなあの交通地獄が解消されるなら、これはある程度やむを得ないんじゃないか。ところが、緩和どころかむしろ激増されたというのがその後の趨勢だと思う。そうすると、何よりも通賃値上げのあの公約というものは裏切られたという感じを免がれることはできないと思うんですね。だから、この点でのあまり宣伝でうたうというのはどうかと思うんですがね。これが一つの欺瞞の感じを与えたら国鉄の信用に関すると思うんですが、こういう点はどういうふうに考えておりますか。
  155. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 現在東京、大阪付近の通勤輸送におきましては、先ほども申し上げましたように、根本的に線路をふやすという政策をとっているわけでございます。この基本問題の意見書をごらんになっても書いてございますとおり、いままでは、昭和の初期にできました鉄道輸送網を基礎として、とにかく電車をふやすということしかやっていなかったわけでございます。先生が御指摘の第一次長期計画におきましても、また第二次長期計画におきましても、結局現在の線路のままの上で、ただ電車をふやすということだけやってきたわけです。今度それが完全に限界にきましたので、線路そのものをふやすということに今度の施策の重点を置いたわけでございますので、今回以後は、もちろん線路ができてしまえば、あとはもう当分の間電軍をふやすだけで一応事足りる。しかし、実際過去十年間における東京付近の通勤客の増加は、年率七・八%ふえている。七・八%と申しますと、大体十年たつと倍になるという数字でございます。このいままでの増加趨勢というものに対して、ただ電車の数だけで対応してきたいままでの第一次長期計画なり、第二次長期計画なり自身の問題はあるわけでございます。今度は根本的に線路をふやすということに全力を注いでおりますので、今度は緩和ということが言えるというふうに、私は思っております。
  156. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ国鉄だけの聞題でなくて、実は都市の人口集中の問題、それから総合的な運輸行政が非常に確立していないと、そういうような点では政府責任になると思うんですけれども、しかし、今度の運賃値上げでそこのところをあまりに宣伝に使うというのはどういうものかと思うんですが、これは運輸大臣、どうですかね、こういう点では。どう考えますか。
  157. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 私は、まあ宣伝に使うというおことばでございますけれども、宣伝というよりも、今度の長期計画を実施すればこうなりますという一つの大衆に対する理解を深める意味での処置だと、かように考えております。
  158. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうもそういう点で、もう少しこれははっきりこの性格を明確にしないと、大衆欺瞞になってまずい。私はお聞きしますが、この定員算定の基準ですね、これは法律できまっているわけでしょう。これはどういうところからきたんですか。もう時間の関係があるから、私のほうで読めばいいと思いますが、昭和四年七月の、これは鉄道省時代ですか、それが二十四年五月に改定されたわけですが、日本国有鉄道建設規程、これによるというと、表面積その他の条件というのはこれはどういうことなんですか、一応お聞きします。
  159. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いま先生何をごらんになったかちょっとわかりませんけれども、車の定員と申しますのは、車の大きさ、たとえば長さでございますね、最近は二十メートル車両を使っておりますが、十七メートルの車両と二十メートルの車両ではおのずから定員が違ってまいります。それからドアの数も、三ドアの場合と四ドアの場合と定員が違うということで、定員はおのおのの車自体についてきめられているわけでございます。
  160. 岩間正男

    ○岩間正男君 これによりますと、第八十条「客室ノ床面積ハ旅客定員一人二付〇・三平方米以上タルコトヲ要ス」、それから第八十一条「旅客ノ使用スル室ニハ通風、点燈及必要ニ応ジテ暖房ノ装置ヲ為スルモノトス」、こういうようなことがきまっていると思うのです。これは何か根拠があってこういうものをきめたのですか。先ほども公述人は、こんなものを改めてもっと多いそういうものをきめるべきだという意見を出したのだが、これにはこれの根拠があるでしょう、どうなんです。衛生上の立場とか、保健上の立場とか、そうして人権擁護という問題もこれは出てくるわけでしょうな。何せ人間尊重をうたっている政府なんだから、そういう点からこういう条件というものが非常に無惨に踏みにじられている現実というものについてどういうふうに感じているか。これは運輸大臣が御答弁になったほうがいいようですね、答弁
  161. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) その目標にできるだけ達するように努力をしていくということが私は必要だと思います。御承知のように、輸送需要が急激に上昇いたしましたために、その目的を達し得ずにおる現時点でございますので、できるだけその目標に近づけるという程度以外にどうにもならぬということで、先ほど副総裁が言っておりますように、解消というところまでいかない、緩和という線であると申し上げておるのも、私はそういう意味だと考えます。
  162. 岩間正男

    ○岩間正男君 緩和であろうが、解消であろうが、ことばの問題でなくて目標を達成する方向だ、こう言っていますが、これはできないのじゃないですか。こんなスピードでいったら、七ヵ年計画で二八〇が二四〇ぐらいになるという、もう最初からそういう低い線で出ているわけですね。そうすると、これは何年かかるのでしょう、とてもこれは永久に達することのできない問題でしょう。だから、いまのような御答弁ではちょっとまずいのじゃないかと思うのですが、そういうことをやっていますと時間をとりますからあれしますが…。
  163. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 それじゃちょっと関連でお伺いしますけれども、通勤の非常にひどい状態を緩和するということが一応今度の目標になっているわけでし上う。おととい浅井さんも、そういう意味で三百何十%というのはひどいじゃないかという話があった。おりの中のサルみたいだという話もあった。それを解消するために今度運賃を上げるんだということになっておるわけですけれども、この基本問題懇談会の意見書の中には、「今後ともあらゆる努力を払って要員不増の基本方針を堅持することが望ましい。」、こう書いてあるわけです。つまり、混雑を緩和するために具体的には電車をふやす、こういうことなんですね。つまり、二八〇%を二七〇%にするといったようなことは、電車をふやさなければ緩和できないわけでしょう。電車をふやすということは、人間をふやさない限り電車をふやすことはできないわけでしょう。電車をふやすというあれですね、電車をふやすのに人間をふやしちゃいけない、こう書いてある。人間をふやさないで電車をたくさんふやすことができるのかどうか。こういう問題があるわけです。無人電車を動かすなら話は別です。だけど、いまのところは無人電車を動かすということは考えられない。無人電車なんというのは、上野動物園のおサルの電車ぐらいです。そういうわけにいかないでしょう。そうすると、人間をふやさないでどうやって輸送力をふやすか、こういうことがあるのです。その点は具体的に、運輸大臣としては、ここに書いてある方針を堅持する、堅持しながら輸送力をふやすということができるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  164. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 人間をふやさないで輸送緩和の実態を実現してまいりますためには、配置転換等、その他運営の合理化等によってこれをやっていくということでございます。
  165. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 配置転換の話は、たとえば、立体交差によって踏切保安掛が浮いたらそれを配置転換するという話がきのうありました。配置転換をして人間を浮かせる可能性というのはそのくらいのものじゃないかと思うのです。立体交差によって踏切保安掛を――立体交差だってどの程度進捗するかわかりませんが、その程度の配置転換でもって今後の輸送力増強が――ふやすほうは、踏切をふやすわけではなくて電車をふやすわけですから。そうすると、乗務員が必要になってくるわけでしょう。運転手がいなければならない。車掌がいなければならないげ乗務員をふやす。それから駅の旅客関係の要員をふやすということが必要になってくるわけですけれども、そういう穴埋めがはたしてできるのかどうか。そんなものじゃないような気がするのですけれども、そういう面で、つまり、人間を節約しながら輸送力をふやすということになるので、サービスのほうを犠牲にするということに、意味としては、なってくるのでありますが、サービスを犠牲にしてでも人間はふやさない、こういうような方針をあくまでも堅持をされるのかどうか。
  166. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 国鉄内部の問題になりますので私から御答弁いたしますが、基本問題懇談会意見書のいまお読みになった点は、いろいろ問題になった点でございますが、私のほうとしましても、過去十年間、御承知のとおり、全然人間をふやさないで、たとえば電化、ディーゼル化、事務の近代化等をやった、あるいは保守の合理化をやった、いろいろなことをいたしました。あるいはまた、たとえば志免鉱業所をやめるとか、ありとあらゆる手段をとりまして相当な人間を浮かしてきております。国鉄の経営から見ましても、現在の四十五万が非常にふえるということは、非常に人件費のロードがかさみます。今度の運賃の値上げでも、一兆二千億のうちの八千億は設備に回りますけれども、四千億は主として人件費に回るということを冒頭に御説明申し上げましたが、非常に人件費のウエートが高くなってきている。しかも、一人当たりの単価が高いということから申しまして、やはり人間の数をふやさない、しかしながら、能率を高くして給与を高くしていく、こういう方向のために、今後いろいろな角度から合理化をやってまいりたいと思っておりますが、たとえば、いまの踏切の問題、あるいは事務の機械化にょって、本社とか支社のデスク・ワークの人間を減らすとか、あるいは電化をすれば相当人の節約ができるとか、ディーゼル化によって人の節約ができます。また研修体制を改善するとか、いろいろな角度から人間の節約を考える。そうして浮いてきた人間を、いま先生のおっしゃった乗務員、あるいは駅の直接輸送関係の必要な方向に向けるとか、こういうようなことによって経営の実質的な合理化をやってまいりたい、こういうのが私ども考え方であります。
  167. 江藤智

    委員長江藤智君) また次にありますから、できるだけ急いでやってください。
  168. 岩間正男

    ○岩間正男君 私はあとでやりますけれども、計画というものじゃないですね。ただ目分量でしょう、いまのは。こっちのほうで余りそうだからこっちに回す。その計画を今度それなら出してごらんなさい。人員配置の計画は七ヵ年計画として、相当やはり労働力の面からこれは明らかにされなくちゃならない、ここで。その点はいまのような答弁だけじゃ、これは不十分じゃないかと思います。とにかく、一メートル平方のところに十人以上というような状態は依然として解消しない。こういう事態については、これは全くだれも了承でぎないですよ。しかも、大文句でこれをうたって運賃値上げの→番大切な条件のように思い込ませているこのPRに大きな問題があるということを言っておきます。  次に、安全性の問題です。この安全性も、今度の第三次計画の三つの目標のこれは一つとして大きくうたわれておる。そこで私は先にまずお聞きしますが、三河島と、それから鶴見事故のために、国鉄が具体的に経済的にこうむった損害、その点だけまずお聞きをしたい、どれくらいの損害を受けたんです。
  169. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 損害と申しますと、主としてなくなった方の遺族に対する補償金、弔慰金等の問題でございますか。
  170. 岩間正男

    ○岩間正男君 車両を破損したとか、線路を直したとか、いろいろあるでしょう、計算できてますか。
  171. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 間接損害は別としまして、鶴見事故が約六億、三河島事故が約四億、合計約十億というふうに記憶しております。
  172. 岩間正男

    ○岩間正男君 死傷者の数はどれぐらいです。
  173. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) なくなりました方は、鶴見が百六十一名、三河島が、これはちょっと調べてすぐお答え申し上げます。
  174. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはまあ出してもらいたいと思うのですが。これはまあ目に見えたさっきの補償その他の十億という金なんですけれども、この受けた打撃というものはたいへんはかり知れないものがあるだろうと思うのですが、これはどうですか、私は第三次計画の中の一体保安対策、この保安対策でこういう事故が再び起こらないという、そういう一つの保証があるかどうか、この点いかがですか。
  175. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 事故につきましては、私どもといたしましても、過般も申し上げましたとおり、非常に全力をあげて事故防止に邁進いたしております。確かに第一次計画、第二次計画における事故防止に対する金の使い方は十分ではなかったということを反省いたしております。そうしていままで、大体三十六年度からの保安対策に使いました金を申し上げますと、三十六年度は約五十四億、三十七年度が六十億、三十八年度が百三十億、三十九年度は二百十四億、そうして三十六年度から三十九年度までの四年間の合計が四百六十二億でございます。これに対しまして、今回の七ヵ年間に二千四十四億を計上しております。これは内容は具体的になりますから省略いたしますが、いわゆる直接の保安対策費でございます。いまの御指摘の三河島事故、鶴見事故等につきましては、三河島事故には、判決文にもございましたとおり、いわゆる直接の保安対策と同時に、いわゆる過密ダイヤと申しますか、それの解消自体が一つの問題だというふうに指摘されております。過密ダイヤの解消は、何べんも申し上げでおりますが、やはり線路をふやすということ以外にないわけです。したがって、今回たとえば常磐線につきましても、東海道線につきましても、線路をふやすというふうに進んでおります。また地方の過密ダイヤにつきましても、複線化によって相当程度これは緩和できるということになりますれば、三河島、鶴見の両事故の一番大きな原因であった過密ダイヤ自体は、今回の施策によりまして相当解決できるというふうに考えでおります。  次の直接の保安対策につきましては、また具体的にいろいろお答え申し上げます。
  176. 岩間正男

    ○岩間正男君 その所要経費は。
  177. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 複線化その他の所要経費は、過般も申し上げましたが、通勤輸送はいま申しましたとおりでございます。複線化につきましては、全体で七千七百億でございます。これが全国の――一昨日申し上げました全国の地方の主要幹線、これが非常に過密ダイヤになっております、これを複線化をするという費用が、全体で七千七百億でございますこれはさっき申しましたとおり、全国的に主要幹線を全部複線にする、そしてそれによって地方的な単線区間の過密ダイヤをなくす、これが一つでございます。それから…
  178. 岩間正男

    ○岩間正男君 私が聞いているのは、保安対策の費用ですよ。
  179. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 保安対策は、いま申し上げましたけれども、今度の計画の中には二千四十四億でございます。
  180. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、あなたたちのうたっている二本足――三本足の二つ、混雑緩和と保安対策、これで五千二百億と二千四十四億、合計七千二百四十四億ということになる。今度の三兆の計画から私は推算したのですが、これは二四・五%ですね。大体四分の一足らず、これで三本足の二つをあなたたちは解決するということになっているのですよ。だから、宣伝の内容と宣伝の文句と中身はだいぶ私は違っておると思うのです。ところで、ここで問題になるのは、増収の見込みが大体あなたたちの発表でも、七年間で一兆二千億、われわれはこれはもちろん二兆近く出るのじゃないかというのは、この前の実績から見て第一次の計画では一三%上げたけれども、これは一七%、一二%値上げのときには二六%という実績が出ています。これでいけば、はるかにあなたたち七年間の見積もりよりも多くなる。そうしますと、三兆の予算の上で大体かりに一兆五千億ぐらいにしても、半分以上はこれは運賃の増収でまかなう、その中の半分足らずを輸送の安全確保とそれから混雑緩和に使うということになるのですが、あとの残された分というのは、これは幹線輸送力の増強という方向に大きく持っていかれるんじゃないか。こういうような配分にこれはなると思うのですが、この点ではどうですか。これではなかなか、このうたい文句とはずいぶん内容が違ってくる、こういうふうに思うのですが、いかがです。
  181. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 岩間先生のお話を承っておりますと、地方の幹線輸送力の増強が何か保安には関係ないような御意見でございますが、これは全く私どもとしての説明が不十分だと存じます。それは、たとえば単線区間で百本以上の列車が走っているというのは、複線区間のこの辺の電車よりもずっと過密ダイヤです。したがいまして、今回七千七百億という金を地方の複線化に使うということは、これは根本的な過密ダイヤの解消でございます。これが、過密ダイヤと申しますと、どうも東京、大阪付近だけだというふうにお考えのようでございますが、そうでなしに、これは東北線にしても北陸線にしても、九州においても、やはり単線の上に百本以上の列車が走るということは非常な過密ダイヤです。それを根本的に直すというのが幹線輸送の増強でございます。したがいまして、幹線輸送に使います七千七百億、あるいは線路改良の八百億といったものは、全部これは根本的な保安対策になるわけでございます。
  182. 江藤智

    委員長江藤智君) 岩間君、簡単に……。
  183. 岩間正男

    ○岩間正男君 保安の面も出てくるだろうけれども、目的がどこにあるか、主要な目的はどこにあるかといえば、そう言い切れないと思うんですね。その点は、まあそちらから簡単にという声があるのでどうもやりにくいんだけれども、まあなるだけ委員長の要望に従ってやりますから、あまり請求しないでください、気が弱いですから。  それでは、それとの関連で新東海道線のことを私はお聞きしたい。これは第一に、今までの計画では、これは資金は当初予算、それからそれが追加されて修正された、これは幾らになっておりますか。
  184. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 当初、昭和三十四年度に計画いたしましたとき、当初の計画は千九百億で発足したわけでございますが、その後二回にわたりまして予算の増額をお願いいたしまして、一ぺんは千億ふやしまして二千九百億、それを最終的に三千八百億にお認め願ったわけでございます。
  185. 岡三郎

    ○岡三郎君 ちょっと関連して。そこでちょっと聞きたいのですが、新幹線についてこの運賃値上げで幾らになるのか、ここに書いてあるのに沿うというと、運賃値上げで八千億で、そのほかに幹線輸送力の増強による増収を見込めば、相当のものになるであろう、こういうふうにいわれておるわけです。四、五年前には急行が三百本ぐらいだったが、後その現在では一千本ぐらいになって、その急行の増発だけで一千億以上増収になっている。そう見てくるというと、新幹線で今は赤字だが、四十一年度については、大体二百億程度もうかる予定だ。この計画が終わるまでに、大体新幹線による増収の見込みですね、これは年次別にどの程度お考えになっているのか。それから新しい幹線輸送力の増強によってどのくらいの利潤、利益を見ているのか、その点ちょっと関連で。
  186. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 新幹線の長期収支見込みにつきましては、一ぺん御説明申し上げたことがございますけれども、一応四十年度は収支とんとん、ちょっと赤でございますが、四十一年度は三百五十億、それからこれは収支の差額でございますが、四十二年度が四百二十三億、四十三年度五百九億、四十四年度が五百八十六億、四十五年度が六百七十一億、四十六年度は七百五十五億、累計いたしまして、この期間内に三千二百五十二億、すなわち一兆二千億の収入のうち、これはちょっと運賃値上げの見方でなしに、収支の。バランスで見ておりますので、一兆二千億との関連は直接申し上げてもおかしなことになりますが、新幹線だけの収支のバランスで申しますと、七ヵ年間に三千二百五十二億の予定利益があがる。ただし、これによりまして東海道の現在線が、過般も御説明いたしましたように、収支が当然急直行減らしましたので減ってまいります。それを差引いたしますと、それと今度の主として幹線の複線電化等によりまして、現在の計画いたしております一兆二千億を計算いたしますと――この一兆二千億の線別の内容をいま持っておりませんので、これは大体私どものほうでは、線別には非常にむずかしいので、各支社、管理局別の大体計画をつくっておりますので、そういう地域的なものの見方をいたしております。これはちょっといまここに手元に持っておりませんが、いつでも御提出いたします。
  187. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは赤字のとき、営業係数はどれくらいに持っていこうというのですか。
  188. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 営業係数と申しますと、たとえば、いま申しました七百五十五億と申しますのは、大体支出がほとんど同額、支出と同じ程度の収入をあげようという意味でございます。これは償却も入っておりますし、利子等もございますが、経営費を極度に切り詰めて、そうして、何と申しますか、収入をふやす、大体支出の倍程度の収入を確保しよう、こういうひとつの相当意欲的な数字でございます。
  189. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは何ですか……。
  190. 江藤智

    委員長江藤智君) 簡単にお願いします。
  191. 岩間正男

    ○岩間正男君 それでは、この東海道線のほうがそのために非常に食われている、そういうところが出てきているのですが、この表はありますか。何か資料としてありますか。
  192. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ございます。
  193. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから非常に事故が多いわけですね。事故の続発じゃないですか、もう雨にも弱い、風にも弱い、雪にも弱い、どうも非常にこれはそういうことになるわけですが、きのうもその原因の一つは請負がどんどん下のほうに出されて責任の主体がはっきりしない、そういう問題が指摘されましたが、そのほか、どういうふうにこれは考えておられますか、それから事故がいままで起こったのですが、これはどれくらいの数になっておりますか。
  194. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 新幹線の事故につきましては、いろいろな原因がございます。雪の問題も大体その原因をつかめましたけれども、たとえば風と申されましても、やはり昨日のような突風になりますと、これはやむを得ないということもございますが、大体去年からことしにかけまして、出るべき事故の原因もほとんど出尽くしたというふうに考えております。ただ、私どもといたしましては、あまり早目に列車をとめ過ぎるということで、事故というふうに言われますが、どっちかと申しますと、少し大事を取り過ぎるのじゃないかというふうな御批判も受けているのでございます。しかし、これはあくまでも安全第一だということで、たとえば非常に雪に弱い、雨に弱いとおっしゃいますが、たとえば霧のようなものに非常に強いわけでございます。そういう強いことは、一切おっしゃっていただけないで、弱いことばかりおっしゃいますが、新幹線でなければ走れないところもあるのでございます。そういう意味で、今後いろいろ技術的な改善をいたしましてあれしますが、まあ三十九年度の下半期平均が合計一力月平均三十五件、部内の事故が二十一件、部外の事故、部外の事故と申しますのは、投石とかいう部外の事故が三件、災害が十一件で合計三十五件、ことしの本年度の上半期は合計二十八件、多少減っておりますが、過般の雪でまた少しふえておりますが、大体ごく特殊な原因さえ除きますれば、見込みとしてはそれほど大きな御迷惑はかけないで運行できる見込みが大体ついております。
  195. 岩間正男

    ○岩聞正男君 これは第二次五カ年計画の資金量から考えて、新東海道線に使った所用、経費は何%になりますか。
  196. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 第二次五カ年計画で全体で使いました金がたしか約六千億であったと記憶いたします。それでそのうちの三千八百億が使われたようであります。
  197. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうしますと、いわゆる六〇%くらいですか。
  198. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) それはいまの部外資金でございます。新幹線は借金で全部やっております。
  199. 岩間正男

    ○岩間正男君 全体のこれは所要経費は一兆三千四百億ですね。それとの対比でこれは見たのだが、大体二六%ですか、二六%になりますな、一兆三千四百九一億円に対して。新幹線の資金総額がこれは私は国鉄の監査委員会の報告書で見たのですが、これによりますと、修正分を入れて三千五百六十三億、そうしますと二六%ですね。そうすると、こういうことをやって、しかも非常に現在事故が多い。回収はほかの東海道線その他の線路を食って、そういうことで自分自身は五、六年後にふとる。それでは非常に営業係数なども所要経費の倍くらいということで、ここだけは非常にふくれるのですが、全体の、バランスが非常にくずされてくるという一つの問題が出てくる。そうしてしかも事故が多い。こういうふうになりますが、私はここでお聞きしたいのですが、国鉄の監査委員会の報告書によりましても、新幹線のこの所要経費の見込み違いをやってるわけですね、途中で修正して。そのためにいろいろな点で指摘をしている。この指摘点はどういうことになっておりますか、お聞きしたい。
  200. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 途中で新幹線の経費がふえましたことについては、そのつど国会でいろいろ御審議、御批判を賜わりましたので、あまり詳しいことは申し上げませんが、やはりいろいろな積算違い、あるいは用地買収費が思ったより高かったというような点が主たる点でございます。これらにつきましては、今後の山陽新幹線の場合には、いろいろそういったいままでの経験を生かしまして、たとえば用地費にいたしましても、あるいは工事の設計にいたしましても、また全体としての工事の進め方につきましても、たとえば非常に広島、北九州から御要望が強い山陽新幹線を、九州まで伸ばすなどということは一挙にいたしませんで、岡山までと、しかも、昭和四十六年度までという非常に現在線の行き詰まりとびたっと合わせた計画を立てまして、そうしてほかに対する波及が極力少なくするように、こういった努力をするように、過般のいまおっしゃった監査委員会等の指摘を生かして今度の計画を立てたつもりでございます。
  201. 岩間正男

    ○岩間正男君 私のお聞きしているのは、どういう点を指摘しておるか、その指摘です。なぜああいうような修正を何回もやったり、非常に不安定の要素の上で新東海道線が竣工したか、この点について指摘をしているわけです。どういう点を指摘しているか。
  202. 豊原廉次郎

    説明員豊原廉次郎君) ただいまのお尋ねの会計検査院の指摘事項といたしましては、三十五年以降三十九年までに、三十五、三十六年度が各一件、三十七年度に三件、三十八年度に三件、三十九年度に一件というふうな指摘がございますが、それにいろいろございますが、積算が過大であるというようなこと、それから、用地につきましては、この間もお話の出ました近江鉄道との関係、また設計と実施とが相違しておるというようなこと等が指摘されておるわけでございます。
  203. 江藤智

    委員長江藤智君) できるだけ早く、この程度でひとつもう……。
  204. 岩間正男

    ○岩間正男君 どうしたわけだ、そんな。おかしいじゃないか、どうしたんだ。何ですか委員長。もう少し落ちつきなさい。大体公平の原則というのがあるのですよ。やはりわれわれは一人だから、そんなに無理をしようとも思っていないのですよ。質問の時間はまだ一時間にもならないじゃないか。少なくとも私は三時間は要求していたのだが、三時間ここでやるとは言っていませんよ。三時間やるとは言っていないが、その半ばぐらいの時間は何しないといけない。だからそうあわてなさんな。だいじょうぶですよ。慎重審議を先ほど瀬谷委員からも特に要望されているのだから、それは瀬谷委員は社会党さんだけの立場を言っているわけじゃないのだ。全体のここの運営に関する問題だから、私はしろうとだからうまい質問はでぎないけれども、しかし、だからといってそういうふうに何しちゃまずいですよ。  質問に移りますが、そうすると、いまの指摘を、今度のこの第二次計画ではたして指摘の点を解消する、そういうような手段が講じられているのかどうかという問題ですね。第一に、この机上プランで調査測量、それから設計と画一的なそういうような概算でこれをやっていったというのですが、岡山までのたとえば新幹線ですね、これについてはどういう計画を持ち、その根拠はどうなるのか、積算の基礎はどういうふうになるのか。これと関連して地価の高騰による用地費の増加というものを一体どういうふうにこれは見ておるのか。それから設計協議費用、こういうものの細部確立に伴うこういう費用の増加、それから賃金、物価の高騰に伴う費用の増加、こういうふうな点がこれはあげられていると思うのですが、今度の第三次計画の中で、ことに一番の中心になるのは、やはり東海道線の続きである山陽新幹線、岡山までの問題だと思うのです。これについては少なくとも私は相当明細なプランをここに出さなければ、この前の指摘をまた繰り返すということになると思うのです。そういう点については、詳細にこの内容を当委員会を通じて明らかにしなければなりません。それをしないというと、これは運賃値上げの一番大きな原因になっています新幹線増強というものについて、だれも了承することはできないのですから。この点いかがですか。これは運輸大臣もはっきり答えてください。
  205. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 新幹線を運賃でやるということは、私ども説明が不十分だったと思いますが、全くこれは先生の誤解に基づくものと私は考えます。新幹線には一切運賃から出ます自己資金は使いません。もちろん金に色はついておりませんから、運賃の金か借金の金かわかりませんが、形式上は、新幹線は一切外部資金――全部利子を支払うわけでありますから、その点はどうぞ誤解のないように願いたいと思います。  それからいま御指摘のありましたような東海道新幹線につきましては、少し急ぎ過ぎて、計画に粗漏のあった点は率直に私認めなければならないと思います。しかし、現在兵庫県並びに岡山県当局といろいろ具体的な折衝をし、線路の選定等もいたしておりますから、もうしばらく具体的な、どことどこの間に幾らかかるかということにつきましては、いまここで出せとおっしゃっても、これは不可能でございます。いまおっしゃった設計協議等も、十分地元の府県といたしました上で、いずれ具体的な御審議を願う時期がまいるかと思います。全体の計画としまして、大阪―岡山間は大体何キロで墜道が何キロ、こういった点につきましては、大体の計画は持っておるわけでございます。
  206. 岩間正男

    ○岩間正男君 まるで新幹線が独立の会計で扱われて、それで少しもそういう原則が乱れていないような話ですけれども、それはしかし内部の融通で費目変更をやったり、そういうことはできるわけでしょう。ですから第二次の場合に、東海道線の影響を受けて、そして結局総体的に見た場合には、ぽっきりやはり保安の問題、あるいは混雑緩和の問題が不十分になったじゃないか、そういう問題も非常に関係があるわけでしょう、今度のやつは。どうも国鉄は、たとえば私指摘したわけですが。運賃収入によってこれは一兆五千億ぐらい、もしかしたら二兆ぐらいになるかもしれない。その中で保安対策あるいは輸送増強ですね、混雑緩和の費用というものは先ほどあげたように、大体全体の二四%程度なんですよ。そうしますと、あとの部分というのは、これはもう大体結局新幹線あるいは幹線輸送力増強というかっこうで使われているのが実情じゃないですか。それから実際は、かりにそれをすぐに新東海道線に持っていかなくても、それは別なところで補充するためにそこの費用が今度は逆に幹線のほうに移動することもできる、そんな操作というものはできるわけです。その点についてはわれわれも全然了承していないわけじゃないのですから、そういう御答弁はこれはまずいと思うのですけれども、そういう点でどういうふうに考えておられますか。
  207. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 私どもといたしましては、今度の全体の計画の中における山陽新幹線の占めるウエートと申しますか、これは非常に低い。前回も申し上げましたとおり、たとえば東京―大阪間五百キロ一気に開業する、これは非常に大きな問題でございます。しかし今度は大阪―岡山間のわずか二百キロのところを開業するのでございます。そのためによその地域に絶対影響のないようにいたしたいというのが今度の私どもの基本的な方針でございます。実は山陽新幹線につきましては、非常に西のほうの方々からは、ぜひ広島までやれ、ぜひ北九州まで一気にやれという強い国民的な要望があったことは事実でございます。その事実に対しましても、私どもも、しかしそれはほかの地域のことは今度はどうしてもできませんということで、岡山までのわずか百八十キロの計画にとどめたわけでございまして、そのために全体の計画を大きく狂わすということは絶対にないということをはっきり断言してよろしいと思います。
  208. 岩間正男

    ○岩間正男君 幹線輸送増強として一兆二千五百億ですか、これは全体の、今度の三兆の予算の四一・数%に当たると思うのですが、これの年度別ですね、年度表を一応示してもらいたいと思います。その中で山陽新幹線、岡山までの分ですね、これは幾らになるのですか、この点。
  209. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 全国的な幹線の増強につきましては、具体的な線名をあげれば一番いいのですが、時間がございませんので、過般お届けいたしました地図に全部入っておりますので、すでに着工いたしました線につきまして、黄色い表紙の図面にございます。これの中で四十年度から四十六年度までに現在一六%複線化されておるものを全国的に三一%、複線化の率を約倍にいたしたいということでございます。幹線輸送と申しますと、何か東海道新幹線のようなことをやるのではないかというふうにあるいはお考えかとも存じますが、これは明治の末なり大正にできました日本の幹線の鉄道を複線にするというだけのことでございます。これは全国的に、東北も北陸も九州も北海道も全国的にわたりまして主要幹線を複線化するということで、これによりまして、これからの日本の経済発展に対する実力がついてくる、こういうふうに考えておるわけでございます。なお、山陽新幹線はこのうちに千七百億ここに入っております。七千七百億のうちの千七百億でございます。
  210. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから幹線輸送増強のこの資金計画を年度別にこれは持っておりますか。
  211. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 年度別と申しますと、まだ着工していないやつもございますが、ほとんど四十年度中に着工いたしまして、大体年度割りはできておりますが、やはり御承知のとおり、何と申しましても用地が買えるか買えないかという問題が第一でございます。したがって抽象的な年度割りをつくりましても、実際にはあまり効果がないということで、どの線に幾らかかるという全体の資金計画はもちろん線別にでぎておりますが、それを何年度にどこどこをやるというところまでの具体的な計画はまだできておりません。一応こういう計画をつくりますときは、東北線の場合は、盛岡―青森間は昭和何年何月までに複線化する、奧羽線の秋田―新津間は何年何月まで、大体こういう大きな計画を立てまして、それによって実際着工してみた上で、具体的に各区間区間の年度割りをきめるわけでございます。
  212. 岩間正男

    ○岩間正男君 この計画は資金の面で非常に不確定な要素が一つあるわけです。これは資金計画を明確にしてもらえばいいわけです。それから用地買収の件で非常に不確定な要素があるわけですね。それからもう一つは、これは物価の値上がりはどうなんです。物価の値上がりをやはり織り込んでいるのかどうか。積算の基礎としてそういう点が明確になっているのかどうか。したがって、私はこの新しい第三次計画というものはどれだげ一体固まっているのか、固まっていないのか、いかにももう太鼓判を押したような計画になっているんですね。しかも、一方ではそれが理由になって運賃値上げが押しつけられてきているわけですね。ここの点が私は非常に重要だと思うのですが、以上のうちの用地の問題は聞きました。しかし物価の値上がりの問題については一体どういうふうにこれは見込んで積算の基礎にしているのか、この点を伺いたいと思うのです。
  213. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点につきましては、初日に瀬谷先生から御質問があって、一応一回お答えいたしましたが、もう一ぺん申し上げますと、物価の中でもやはり一番問題になりますのは、物価と申しますか、私どものほうの工事費と経営費の問題、経営費の中の人件費の問題でございます。それからもう一つは工事をなす場合の主として労賃の問題でございます。そういった人間関係の問題を除きますと、あとは私のほうで使いますセメント、鉄、そういった基礎資材でございますが、こういったものにつきましては、国鉄は石炭のように特殊な場合を除きましては、全部卸売り物価で買っておりますので、一応これは横ばいを見ております。これは過去の経験から申しましても、ほとんど値上がりがないということで、これは横ばいに見るのがいままでのやり方でございます。また労賃、人件費につきましては、ある程度の過去の増加趨勢を見ました上で、将来の増加も考えた数字を一応計上してございます。
  214. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  215. 江藤智

    委員長江藤智君) 速記をつけて。
  216. 岩間正男

    ○岩間正男君 先ほど運賃収入が幹線輸送力増強にこれが使われないということを言っておるのですけれども、そうではないでしょう。山陽線では別の特別会計を置くということではないでしょう。どんぶりになっているんではないですか。どんぶり計算だ。
  217. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) その点はどんぶりと申しますか、金に色がついておりませんので、借金から上がってきた金か自己資金の金か区別はできませんが、しかし資金計画上自己資金でやる、あるいは借入金でやる、これは工事をやる前に必ずきめるわけでございます。たとえば現在中央線でやっておる工事は借入金だ、あるいは橋梁の取りかえ、これは自己資金というふうに一応全部もとをはっきりきめましてやるわけでございます。したがいまして、いまの山陽新幹線というものは全部借金でございます。それからいま先生おっしゃった幹線輸送は、理論上はこれはもう借金と自己資金の半々というのがたてまえでございます。すなわち幹線輸送の中にもすぐ利子の払える仕事もあれば、十年、二十年かからなければ利子も払えない仕事もありますから、これは両方ございます。ただ今度の幹線輸送は、残念ながら幹線輸送は借金によらざるを得ないというのが資金計画の現状でございます。
  218. 岩間正男

    ○岩間正男君 この運賃がそういうものに使われないというような説明を一生懸命やっておられるようですが、そういうことにはこれはいかないのじゃないか、つまり保安とそれから輸送混雑緩和に七千億程度でしょう。そうして実際の運賃収入というのはその倍見込んでおる。そうすれば結局運賃収入そのものがこの輸送力増強という、これは所得倍増計画以来のそういう方向にはっきり使われているというのが具体的な事実ではないですか。これは認めざるを得ないと思う。そうなると、保安と混雑緩和のために、少なくともあなた方がここに掲げておるところの目的を遂行するには全部使うべきだ。そして第二次計画では御承知のように混雑緩和には六〇%ですか、第二次計画では五五%しかやってないのですから、そういう結果を来たさないためには、はっきり少なくとも運賃収入によるその金というものをあなたたちの掲げている安全性と、それから大衆の利益に奉仕する、サービスに奉仕するというふうに使っていくのなら、これは私はどのような値上げもあまり欺瞞だということはないと思うのですけれども、こういう点はどうですか。
  219. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいま先生のおっしゃいました通勤、輸送と保安対策、これで約七千億になります。そのほかに非常に大きなウエートがあるのは、いわゆる取りかえでございます。老朽取りかえ、いわゆる減価償却に見合う分の仕事でございます。たとえば橋が古くなった、トンネルが古くなった、路盤が悪くなった、あるいは災害が起きた、踏切だ、こういったいわゆる諸改良、取りかえ、ちょうど経営的に申しますと減価償却に見合う分の仕事が一番基礎でございます。これこそ運賃、自己資金でやらなければならない仕事でありまして、その次にいまの通勤輸送と保安対策、やはり基礎的な取りかえをしなければ、その上にいくら保安対策を積み上げても、これは基礎がゆるんでしまう。あくまでも基礎の取りかえが第一であります。その基礎の取りかえができた上で通勤輸送と保安対策を積み重ねていく、それで初めて輸送の安全が期せられる、こういうことになります。運賃から繰り入れられるのは八千五百億でございます。所要の総体の資金は過般申しました四兆でございます。約一兆円の借り入れ金の返済がございますが、四兆の所要資金でございますので、自己資金でやりますのは全体のうち二〇%、あと八割は借金でやる、こういう形になります。
  220. 岩間正男

    ○岩間正男君 これははっきりした明細を明らかにする必要があると思うのですけれども、取りかえの費用が実際幾らになるのか。その点はこれは資料としてまだ明確になっていないと思います。私はここで心配するのは、とにかく第一次、第二次の計画が完全に遂行されなかったという問題です。これは国民の頭に深く入っているのです。そうしてあのような三河島の事故も起こしている。現に鶴見の事故も起こしている。そういうことから考えますと、これはやはり羊頭狗肉を再び繰り返すことはできない。  私はここで念のためお聞きしておきますが、第一次の進捗状況の実績はどういうことになっているか、第二次の実績はどういうことになっているか、その中で特に混雑緩和の実績はどうか、それから安全の確保の実績はどうか、これを数字をあげて明らかにしておいてください。
  221. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 第一次の五ヵ年計画は、御承知のとおり昭和三十二年度から始まりまして三十五年度で終わったわけでございますが、その全体の四年間の進捗率は六八%でございます。そのうち代替いたしました老朽取りかえ、これは一〇〇%完全にやったわけでございます。それから第二次の五ヵ年計画は、御承知のとおり途中で改定いたしましたために、全体の進捗率は約六〇%弱でございます。そのうち通勤輸送は五五%ということになっております。
  222. 岩間正男

    ○岩間正男君 保安のほうは。
  223. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 保安対策は途中で改定いたしまして、大体七〇%、先ほど全体の四百何十億と申しましたが、それが全体の八〇%の計画に対しまして七八%ぐらいだと思っております。
  224. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間の関係があるから、この問題は追及する点が不十分になったと思うのでありますけれども、何といいましても、仏の顔も三度ということがあります。それで第一次、第二次がいまのような実績に終わっているのです。いろいろ経済の変動もあった、しかしその中ではやはり運賃値上げを、もうほんとうに合理化するための大急ぎのプランというものが押しつけられてきたというのは事実ですよ。第一次のときにも、第二次のときにもそうです。私は第一次の運賃値上げのときに、この点を指摘した。結果においては、この予言が当たったようなかっこうになっておる。第三次の計画についても、この点は非常に時間の関係で全貌を尽くすことはできないけれども、不十分である。そうして依然としてこのような不安定の要素の上に立っておるのだということを、これは私は言うことができる。で、藤山経企庁長官に、機構上の改革なくして物価の安定がないという問題で追及しましたが、この国鉄の機構上の問題として、こういう点は今後大きく問題が残ると思います。しかし、そこのところで詳細をやっておるひまがありませんから、その次に移りたいと思います。  そこで、これをやっていくに、先ほども話が出ました、安全を守るためにどうしてももっと車両をふやさなければならぬ、それにはどうしても従業員が必要になってくるということで問題になったわけでありますが、今度の七ヵ年計画でどれだけの一体工事量がふえて作業量がふえるのですか。国鉄職員の作業量問題があると思いますね。人員はどうなんだ。人員と作業量の対比というのはどういうふうになっておるのか、大体三十年ごろから最近のそういうふうなものを示してもらいたいと思います。
  225. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの御質問は、たぶん職員一人当たりの作業量のような御質問だと思います。
  226. 岩間正男

    ○岩間正男君 ええ。
  227. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 職員一人当たりの作業量を計算いたしますには、世界的に一つのものさしがございまして、これは換算車両キロというものを使っております。国によっていろいろございますが、大体換算一人当たり車両キロを幾ら受け持つかということによって計算するのが一応の通例になっております。在の国鉄人員の能率は昭和十年、三十年ほど前に比べますと、五、六割方上がっている計算になっております。今後いまの予定収入をあげますためには、相当の輸送をふやさなければなりませんが、同時にやはり輸送の近代化、あるいは保安の向上等によって、極力人を節約してやってまいりたいということで、現在の作業量の約二、三割増し程度のことでもって、全体の車両キロは吸収できるというふうに考えております。  しかしながら、いまおっしゃった中の工事量の問題でございますが、工事につきましては、やはり一人当たりの工事量というものがおのずから出てまいります。これは建設省におきましても、どの省においてもそうでございますが、一人当たりの大体年間消化できる工事量というのはきまっております。これにつきましては、すでに昭和四十年度並びに四十一年度二年間かかりまして、昭和四十年度に三千、四十一年度に二千、そういう工事関係の人間をふやしまして、この膨大な工事量に対処することにいたしております。
  228. 岩間正男

    ○岩間正男君 定員は幾らですか、現在の定員。これは昭和三十年に比べて現在幾らです、職員の実数。
  229. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) いまちょっと実数を申し上げられませんが、指数から申七ますと、三十年度を一〇〇として、三十九年度は一〇四でございます。
  230. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは人員ですね。仕事量はどうなっています。三割いっていますか。
  231. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) 仕事量は四割でございます。三十年度の一人当たりの換算車両キロを一〇〇といたしまして、三十九年度が一四〇でございます。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、大体五割がた仕事は多くなっている、しかし人員はほとんどふやさない、こういうことになるのですか。ここの基本問題懇談会の意見書によるというと、「国鉄では、過去十数年にわたり、要員不増の基本方針を堅持し、おおむね四十五万人をもって年々増大する輸送量をまかなってきた。この結果、国鉄職員の一人当りの生産性がいちじるしぐ上昇したことは事実である」として、そのあとに、第三次計画では、健全経営のたてまえから、あくまで要員を増加しないという、この大原則なるものをきめているわけです。この方針を堅持するということになるのですか。生産性は向上したと言っているが、この生産性は、全く国鉄労働者の労働強化の犠牲によってまかなわれているという数字が、はっきりこれは出てくると思うのですが、この点はどうなんです。四〇%の仕事量の増加に対して人員はほとんど押えている。これで生産性が向上した。むろん合理化ということになるでありましょうけれども、この合理化がどういうかっこうになっているかということを、これは国鉄総裁にぜひ出ていただきたかったのは私はそのことなんです。国鉄総裁が一体こういう事態をはっきりつかんでいるのか。末端の職場に一体どういうふうはこれが響いているかというこの実態をつかんでおられるかどうか。これはどうです、運輸大臣ちょっとお聞きしたい。運輸大臣は政治的立場で、こういうような人員はおさえる、それで仕事はどんどんふやしていく、こういうかっこうです。これは一応の統計で出ていますけれども、これが四十六年あたりになったら、おそらく二倍になる、二〇〇%になる。人員は依然おさえる。そうしたら二重の労働強化になってくるわけです。こういう事態について、これは国鉄労働者の労働条件の問題として非常に重大です。これは基本的に重大です。しかし、それだけじゃない。この結果は、全くこれは国民大衆の安全性の問題に大きな影響を持ってくる。こういう問題について黙っていることはできないです。政治的な立場から、一体運輸大臣はこのような懇談会の方針というものをこのままうのみにして、このような第三次計画を進めてきたのではないか。この政治的な見解と責任はどうする。重大な問題です。この点どう思います。
  233. 中村寅太

    国務大臣中村寅太君) 基本問題懇談会の意見書の中にありますように、人員をふやさない方向でいくということが望ましいということをうたっているわけであります。私はこれは原則として、そういう基本的な態度でございまして、国鉄の運営の面におきまして、近代化あるいは合理化等に期待をいたしまして、過重労働ということにならないようにやっていきたいと、かように考えます。
  234. 岡三郎

    ○岡三郎君 議事進行について。
  235. 岩間正男

    ○岩間正男君 いま終わるからもう少し待ってください。私は国鉄総裁に、これは副総裁から伝えてもらいたいのだが、私はある駅長と会ったんです。これは北海道です。北海道のどこだか言わないほうがいいでしょう。その懇談をしたわけですな。あすこのところに私は旅行の途中に休ましてもらった。これは約二百七十九名くらいの駅員があって、仕事量が最近六〇%くらい増している職場です。定員はどうかというと一名しか増してない。この駅長がつくづく述懐してこういうことを言いました。十月のダイヤ改正の結果、いままで三分で水を入れかえていたのが一分になった、停車時間が短くなった結果、ホームをひた走りに走ってタブレットの交換をしておる。最初これは管理局から呼び出されてその改正を言い渡されたときに、これは全く心中納得できなかった。非常に腹の中では反発して、ええくそ二、三分かえって逆におくらしてやれ、こういうふうに考えた。しかし、いつかそれがならされた。まるで火事場のときに重い物を軽々しく持ち運ぶあれと同じような形で、非常に無理だと思っても、それが国鉄労働者の本能とも関係して、いつの間にかそれがならされて、それが普通のことになってしまう。しかし、その結果は、非常にこれは職場の沈滞の問題になったり、あるいは疲労こんぱいというものにこれはなってくるんじゃないか、こういうことでいいのか、というふうに言っているのですね。当局は大体国鉄労働者の本能というものは、どういうものを押しつけてもこれはそのまま消化するのだということを前提にして押しつけてぎているのじゃないか、こういうことを言っております。こういうことでいいのかどうか。こういうことがやはり大きな事故につながり、国鉄全体のやはり士気に関係してくるのじゅないか。この点を私ははっきりやはり考慮の中に入れなければならないと思うのです。したがって、時間がございませんから、いまの問題は運輸大臣もはっきり肝に銘じてこの実態をつかんでくださいよ。さっきのような答弁でやられたんではこれはたよりにならないのです。何といっても大国鉄を動かしているこの原動力、この大きな原動力はもう労働者なんですから、この労働者に対してはっきりいまのような合理化、徹底的な最近の高度経済成長政策の合理化を押しつけるということで、はたして国鉄の安全と発展を守ることができるかという問題が痛切に出てきます。私はこういう点から実際聞きたいのですが、一体、田町のこの前裸事件の逮捕というものがあった。これは四、五年前、四年くらいになりますか、私はあの現場に行ってみた。そしてあのふろ場がどんなにひどいものか。三百人の労働者があそこに三交代で働いていると思いますが、そうしてそのために、これは少し三十分くらい先に……
  236. 江藤智

    委員長江藤智君) 岩間さん、質問をして下さい。
  237. 岩間正男

    ○岩間正男君 これに対して、まことにこれは問題にならない条件でなかったかと思いますが、ああいうふうな保安上の問題、それからこの労働条件について、一体はたしてこういうところが行き届いているのかどうか、こういうことをひとつお伺いしたい。  それから人員の問題について、国鉄労働組合から昨年の十二月十四日に総裁に対して次のような要求が出ていると思うのですがね。第三次長期計画による業務量の増加に伴う要員増加をはっきり申し入れていると思う。この内容は御存じだと思うのですね。この内容はどういうことなんだ。これに対してどういうふうに対処しようと考えておられるのか、私はこの二点をお伺いしたいと思う。ついでに国鉄労働者の平均賃金をはっきりしてください。これではたしてやっていけるのかどうか、この三点をお伺いします。
  238. 磯崎叡

    説明員磯崎叡君) ただいまの御質問の第一のいわゆる職場環境でございますが、これは一昨日大倉先生から御質問ございまして、お答え申し上げましたが、やっと今度の計画の中で、職員のいわゆる職場環境に相当金を使って、基礎的な事故防止、いま先生のおっしゃったような基礎的な事故防止に、いままで以上の力が注げるということを期待しておりますし、現にことし三十億ばかりの金を使って、一応やるだけのことはやってみました。今後こういった方針で進んでまいりたいと思います。  それから第二の全体の問題でございますが、これは将来とも、全体の人間をふやすということは、冒頭に申しましたとおり、いまの経費の六二%が人件費でございます。片っ方運賃は非常に上げるのが困難である。そう思い切った増資もできない。しかも人件費はどんどん上がってくる。やはり人の頭数を押えるという以外には、それは経営上からは方法はないわけでございます。したがいまして、基本問題懇談会で、要員不増の原則というのをいわれたのは、これは経営上は当然なことだと思います。しかしながら、私どもといたしましても、必ずしもこの一本やりではございませんので、合理化その他をやると同時に、ある程度の、最小限度の人間は徐々にでもふやしていくという方針で、実は四十年度、四十一年度、大蔵省と折衝いたしまして、一万五、六千の人間を実は予算でふやしてあります。そういった意味で、多少懇談会の御趣旨にも沿いませんが、一方方針的にはこの御趣旨を尊重しつつ、合理化その他を頭に置きながら、最小限度の人間をふやしていくという方針で進んでおるわけであります。  また、職員一人当たりの基準賃金につきましては、四十年度予算におきましては、一人当たり基本給、手当てを入れまして三万七千九百四十七円、そして昨年仲裁が出ましたので、それを合計いたしまして四万四百五十九円になりますが、現時点におきましては四万四百五十九円、これが現時点の一人当たりの基本単価でございます。
  239. 岡三郎

    ○岡三郎君 議事進行について。  本日はたいへん時間が経過しておりますので、かなり疲労しております。したがって、質疑はこれで打ち切って、あと委員長及び理事打合会もございますので、散会していただきたいと思います。
  240. 江藤智

    委員長江藤智君) ただいまの岡君の御提案、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  241. 江藤智

    委員長江藤智君) 異議ないと認めます。  本日はこの程度とし、明日は午前十時より連合審査会開会し、連合審査会の終了後、運輸委員会開会いたします。  これにて散会いたします。    午後八時四十二分散会