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1966-03-02 第51回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二日(水曜日)    午前十時四分開議  出席分科員    主査 愛知 揆一君       赤澤 正道君    木村 剛輔君       登坂重次郎君    石野 久男君       大出  俊君    栗原 俊夫君       高田 富之君    只松 祐治君       中澤 茂一君    兼務 楯 兼次郎君 兼務 永末 英一君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         国防会議事務局         長       北村  隆君         防衛政務次官  井村 重雄君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛庁参事官         (長官官房長) 海原  治君         防衛庁参事官         (防衛局長)  島田  豊君         防衛庁参事官         (教育局長)  宍戸 基男君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (衛生局長)  高部 益男君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  國井  眞君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部長)    沼尻 元一君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会計課長) 大浜 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         検     事         (刑事局長)  津田  實君         通商産業事務官         (重工業局長) 川出 千速君         自治事務官         (行政局長)  佐久間 彊君  分科員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合計画局参事         官)      竹内 直一君         会計検査院事務         総長      白木 康進君     ————————————— 三月二日  分科員中澤茂一委員辞任につき、その補欠と  して栗原俊夫君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して大出俊君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員勝間田清一君及び大出俊委員辞任につ  き、その補欠として石野久男君及び只松祐治君  が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員石野久男委員辞任につき、その補欠と  して島上善五郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員島上善五郎委員辞任につき、その補欠  として泊谷裕夫君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員泊谷裕夫委員辞任につき、その補欠と  して辻原弘市君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員松祐治君及び辻原弘市君委員辞任につ  き、その補欠として中澤茂一君及び勝間田清一  君が委員長指名分科員選任された。 同日  第五分科員楯次郎君及び第三分科員永末英一  君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算中、会計検査院、  防衛庁、外務省及び大蔵省所管  昭和四十一年度特別会計予算大蔵省所管  昭和四十一年度政府関係機関予算大蔵省所管      ————◇—————
  2. 愛知揆一

    愛知主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計会計検査院所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は、一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に、要領よく、簡潔に行なうよう、特に御注意申し上げます。  質疑の通告がありますので、これを許します。栗原俊夫君。
  3. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は、会計検査院検査やり方等について、まことにしろうとらしい質問でありますが、数点についてお尋ねいたしたいと思います。  現在、会計検査院は総人員どのくらいで、どのくらいの予算をもって検査を執行しておられますか。
  4. 白木康進

    白木会計検査院説明員 現在会計検査院の職員の定数は千二百十二名でございます。所管予算は毎年若干ずつ増加しておりますが、昭和四十一年度において要求いたしております金額は十三億四千八、百二十八万八千円となっております。
  5. 栗原俊夫

    栗原分科員 会計検査院の任務は、法律に定められたことに基づいて行なうようでありまして、必要な検査事項、それから任意的な検査事項と分かれておるようでありますが、特に任意的な検査事項についてどんなぐあいに行なわれておるか、この概要を御説明をいただきたいと思います。
  6. 白木康進

    白木会計検査院説明員 お説のとおり、会計検査院法おきまして、会計検査院の必須の検査事項並びに必要と認めた場合に任意検査をする場合と二つに分かれておりますが、後段の先生指摘の点につきましては、会計検査院法二十三条に具体的に記述をいたしております。そのあらましを申し上げますと、たとえば、国が出資をいたしております場合には、国の出資団体出資額が半額以上の場合には、これは当然義務的に検査をいたしますが、それを下回る場合には、会計検査院が特に必要があると認めた場合にこれを指定して検査を行なうことができることになっております。そのほか、順序から申し上げますと、「国の所有又は保管する有価証券又は国の保管する現金及び物品」、それから「国又は公社のために取り扱う現金物品又は有価証券の受払」、それから「国又は公社が直接又は間接に補助金奨励金助成金等を交付し又は貸付金損失補償等財政援助を与えているものの会計」、それから先ほど申し上げましたように「国が資本金の一部を出資しているものの会計」、次に「国又は公社資本金出資したものが更に出資しているものの会計」、「国又は公社が偶入金の元金又は利子の支払を保証しているものの会計」、最後に、「国又は公社工事請負人及び国又は公社に対する物品納入者のその契約に関する会計」、以上のものにつきましては、会計検査院が諸般の検査関係から必要と認めた場合、あるいは特に内閣から検査の請求があった場合に検査することができることになっております。
  7. 栗原俊夫

    栗原分科員 大体は、第二十二条の必要検査事項と二十三条の会計検査院が必要と認めた場合ということがおおむね行なわれておる現状だと思うのですが、内閣が必要を認めて特に請求して検査をした、こういう事例はここ数年間ございますか。
  8. 白木康進

    白木会計検査院説明員 そういう事例は最近ございません。
  9. 栗原俊夫

    栗原分科員 この任意的検査事項の中で、第七号に「国又は公社工事請負人及び国又は公社に対する物品納入者のその契約に関する会計」、こういうことで、この第七号に該当するものを会計検査院が必要と認めて検査した場合、こういう場合はありますか。
  10. 白木康進

    白木会計検査院説明員 だいぶ前にこの二十三条の第一項第七号の関係で、特に民間の会社指定して検査したことがございますが、最近はこの事例は全然ございません。
  11. 栗原俊夫

    栗原分科員 この会計検査院法を見ますと、普通の法律は大体第一条に、本法はどういうことを目的とすると書いてあるけれども、この法律にはそういうことが書いてないようですが、会計検査院会計検査院法によって会計検査を行なうその目的というものをきわめて簡単に法律に書き込むならば、一行半なり二行で書けるのだろうと思いますが、どんなぐあいにお考えでございますか。
  12. 白木康進

    白木会計検査院説明員 御趣旨の点、ちょっと簡単に申し上げかねますが、私ども検査の主たる対象は、国の歳入歳出決算並びに国の財産の管理関係、それからただいま二十三条の場合に申し上げましたように、国が出資をするとか、あるいは財政援助を与えるとか、そういった国以外の団体会計経理の収支、こういったものについて検査をいたすことになっております。
  13. 栗原俊夫

    栗原分科員 どうも私が答えてもらおうと思う答えがまともに出てこないのですが、私は会計検査院会計検査するゆえんのものは、会計上起こってくる間違いはむろんのこと、意識的な不正不当、こういうものを積極的に防止しよう、こういうところに主眼点があるのだと思うのですが、この考え方はどうでしょう、間違っていますか。もっと大きなほかの目的がありますか。その点を承りたいと思います。
  14. 白木康進

    白木会計検査院説明員 私ども検査の基準と申しますか、これは、法令あるいは予算に違背した収入支出が行なわれておるかどうかというようなことでございまして、これはすでに行なわれた会計経理取り扱い、つまり決算についてその当否を検査し判断するわけでございますが、新しい現在の立法の第二十条に、包括的に会計検査院権限規定しておりまして、特にその第二項におきまして「会計検査院は、常時会計検査を行い、会計経理を監督し、その適正を期し、且つ、是正を図る。」この趣旨から見まして、不当な経理が行なわれるおそれのある場合には、あらかじめそういったものに対する予防措置と申しますか、こういったものについても指摘することは、広い意味において私ども職責の一部であろうかと存じております。
  15. 栗原俊夫

    栗原分科員 現員千二百十二名、こういう人員で膨大な国家機関会計、またこれに関連する任意検査事項、こういうもののすべてを検査し切れるはずのものでないことは明らかでございます。できればそれは関係事項を全部検査することが一番好ましいと思いますけれども、そういうことが許されぬということになれば、こういう陣容をもって——もちろんおそらく会計検査院とすれば、もっと予算がほしい、人手もほしい、こういうことでありましょうけれども、与えられたこういう中で効率的にあげるには、検査にもいろいろな方法があろうかと思うのです。  そこで、私がこういう質問を展開しているのはどういうことかというと、おそらく会計検査院では人手が足らないから、順次会計検査をやっていく。そういうことになると、去年やったのだからことしはおれのほうは来ないというようなことが起こるのではないか。ことしは来ないということになれば、まあ善意の間違いはどこでも起こるのですが、意識的な間違いが起こる余地が出てくる、意識的な不正、不当をやり得る余地が出てくる。そこで、そういう順次にやるのではなくて、毎年どこへ来るかわからぬというたてまえが、毎年全部を検査するというたてまえに通ずるのではないか、私はそう思うのです。ですから、あるところは、何年も実は具体的にはやらなかったかもしれぬ、あるところには去年も来た、ことしも来た、来年も来る、毎年来るかもしれぬという事情にあることが、意識的な不当、不正を発生させない最大の道だ、こんなふうに思うのですが、その点はいかがでございましょうか。
  16. 白木康進

    白木会計検査院説明員 私ども限られた人員、機構をもって、国その他の団体の全部について一応検査職責を負うておるわけでございますが、先生指摘のように、できるだけ全体についてわれわれが把握ができるように、見落しがないようにということで、これは長年の経験もございますが、検査やり方にはいろいろくふうをいたしておるわけでございまして、ただいま御指摘検査を要する個所をどういうふうに見ていくかということにつきましては、大体主要なる官衛、あるいは従来の検査の結果から見て不当事項の発生のおそれのあるようなところ、それから事業量の特に大きいところ、こういったものは大体原則的に毎年行っております。御指摘のように毎年行けないようなところ、会計検査院は必ず一年おきに来るとか、二年おきに来るとかいうことで、相手方が安心するような検査は必ずしも実はやっておらぬのでございますけれども、結果的に見ますと、おっしゃるとおり二年に一回行くところは一年おき、三年に一回のところは順番に三年に一回というようなことで、相手方でもことしは来る年、ことしはたぶん来ないだろうというようなことがわかるようなことに結果的にはなっておるかと思いますけれども、いま御指摘の点は、まことにごもっともな点もございますので、実施上はそういうこともあるいは局のほうでも考えておるかと思いますが、なお十分検討いたしたいと思います。
  17. 栗原俊夫

    栗原分科員 ただいまの問題は、必要検査事項についての問題なんですが、任意検査事項について、これは検査院が必要と認める場合はやれる、こういうことで、大体必要と認めるところは主要なる個所というところで、おおむねほとんど必要検査事項と同じくらいのウエートで検査が実際には行なわれておると思うのですが、問題はそういう従来会計検査院が必要と認めて検査できる事項の中で、特に必要と認めて検査しない場所、こういうところにも検査の手を伸ばしてもらいたいと思うわけです。かつてこれは、率直にいって電電公社が数千億の購入契約等をやるときに検査をしたら、随契が九割何分も占めるから相手方検査したらどうか、これは任意事項であるということで、そういうところにたまたまずばりと行くと、何かあるのだという予断一般に与えて、当該被検査主体不測の損害を与えるおそれなしとしないというようなことで、ちょいと出足が渋るようなお話でした。それはよくわかります。それはやらないということが前提であって、ぽこっと行くからそういう不測の不利益を招くような事態が起こるのであって、いつでもやられるのだという状態に置くこと、そうして、そういう中から引き抜き的に、少ない人員ではあるけれども適当にやっていく。いつ来られるかわからないという状況に置くことが、やはり緊張も与え、また意識的な不正不当というものを積極的に排除するという検査効果、こういうものがあると思うのですが、こういう考え方についてはいかがでございますか。
  18. 白木康進

    白木会計検査院説明員 いま御指摘のように、任意検査を行なう相手方等につきましては、先ほどもちょっと申し上げたかと思いますが、私どもとして検査を必要と認めた場合に、特に指定をいたしまして、相手方に通知をして検査を行なう、こういう取り扱いを現在やっております。先生指摘のように、その取り扱いをしていない相手方もかなりあるわけでございます。こういったものを、一応いつでも出向いて検査ができるような関係にあらかじめ置いておく、やるやらないはこっちのかってである、こういう状態がいいかどうか、これは御指摘の点もございますので、いろいろ従来からも、こういう問題についてどういう団体指定してやるほうがいいかどうか、あるいは、これはもう指定しないで全然検査のらち外に置いてもいいんじゃないかというようなことについては、たびたび実質的な、具体的な論議をやったことはございますけれども、一応検査指定をいたしますと、私どもとしては、これは取り扱いでございますけれども、原則として書面検査書面証明をやっておるわけでございます。そうして必要な場合には実地検査もやる。指定をしない場合には、計算証明の義務もございませんし、もちろん実地検査もやらない。さい然とこういうふうに分けるということについては、若干問題もございますけれども、いまの任意検査し得る根拠となる、たとえば財政援助でございますね、こういったものがあります場合には、出資をした、あるいは補助金の交付をしたというその主体となる官庁、そういうものの検査おきまして、そういった団体内容も、一応は検査をしたということになりますか、承知しておりますので、その間の経緯が私どもには全然わからない、こういうわけではございません。ただ実際に乗り込んで検査をやれるかどうかという問題でございますので、現在は、先ほど申し上げましたように、一応全然タッチしないというような形に置いてあるものが相当あるというわけでございます。
  19. 栗原俊夫

    栗原分科員 検査院は本職なんだから、われわれしろうとしろうと考えで言うのは、実際お笑いのような質問になるかもしれませんけれども先ほども話しましたとおり、電電公社のようなところあたりが、年間四千数百億の品物を購入するのに、その九割七分までが随契だ、こういうことになっておると、一般からはかなり色めがねで見られるわけですよ。公社の諸君にも言っておるのですけれども、そういう実情があるにしても、やはり世間ではそうは見ない、できるだけ指名競争入札、こういう形にやってできるものはやるべきだというようなことをすすめておるわけですが、なかなかそうはいかぬ。だんだん随契の率もふえている、こういうような状況なので、そういうことになれば、その随契相手方についてはいつでも検査できるんだよ、できるんだけれども、たまたま具体的にやらないだけなんだよというような形にしておかないと、調べてくれというような要望がかりに起こった場合に、何かあるという予断一般には持たせる、こういうことなので、たまたまそこへ検査に入ったけれども、何かあるから入ったのではなくて、当然の検査として検査に入ったんだという姿にしておくことのほうが検査もやりいいだろうし、またそういう検査があるということになれば、間違いは人間だから起こったとしても、少なくとも意識的な不正不当というものは起こり得ない、こういう防犯的な検査効果というものが期待できるのではないか、こういうことを強く思っておるわけなんです。そうすることが一般国民からもとかく色目で見られがちなものが、検査も入るという状況の中では、でたらめはでき  ぬのだ、こういうことを裏づけすることにもなる、こんなぐあいに考えるので、特にそういう方法はどうだろうかというようなことを考え、またできればそうしてもらいたいということを強く要望するわけなんですが、いま一度御所見を……。
  20. 白木康進

    白木会計検査院説明員 まことにごもっともな御意見でございまして、若干重複いたしますけれども、たとえば、ただいま御指摘電電公社の例で申し上げますと、御指摘のように、ほとんど九〇何%というものが随契でございますので、私どもとしても、もちろんそういう目で公社資材調達というようなものは検査しておるわけでございます。実際の場合におきまして、電電公社の場合に、資材調達する場合の価格の算定でございますけれども、これは随契で、特定品物特定会社から購入するということでございますので、その特定会社原価計算等十分考慮に入れてやっておるわけでございます。そういう扱いでございますので、私のほうとしても、その原価計算がはたして適当であるかどうかということは、これはもう先生の御指摘をまつまでもなく、その会社について見ないと、実情はなかなか把握できない。そこで、先ほど答弁でもちょっと申し上げましたが、電電公社資材調達検査の際に、電電公社のほうの検査を通じまして、相手方経理内容等についても相当程度首を突っ込むというのがむしろ検査実情ではないか。それならば、むしろ全部指定をしておいて、遠慮なくこっちでじかに行ったほうがいいじゃないか、こういう御指摘もまことにごもっともでございますけれども、これは、電電公社に限らず、国の工事、あるいは資材納入というようなものは、相手方の数も全国にわたって相当たくさんございます。こういった関係を、ただいまのようなことで、 目私ども検査対象下に一応形の上で置くということは、一面においては、やはり業者としては、官庁品物を納めるばかりに検査院検査を受ける、こういった点で実質的にいろんなまずい面も、あるいはあろうかと思います。会社側にいろんな迷惑をかける点もあろうかと思いますが、その辺のかね合いでどちらがいいか。私どもは、しいてこの全部を検査対象下にあらかじめ置くこともなかろう。また検査実施においても、先ほど申し上げましたように、電電公社なら電電公社を通じて、相手方会社経理内容もかなりの程度調査ができる、こういう実情で、検査には格別支障を感じておらないわけでありまして、現状でよかろうと私どもは考えております。
  21. 栗原俊夫

    栗原分科員 検査院立場からすればそれでいいだろうと思いますけれども会計検査院会計検査をしているということは、検査院人たち検査をした結果十分納得する検査ができれば、それでいいというものではないと思うのです。検査院検査したことによって国民全体が納得するという効果を必要とすると私は思うのです。そういう意味から考えると、国民が納得するような検査の執行の方法、こういうものがやはり大きく要請されているのではないかと思うのです。そういう意味からいうと、指定をしておく、具体的にはしない年もあるだろうし、あるいは時には一つ二つ抜き打ち的に引き抜きでやることもある。しかし、それは特定のものがあるからやるのではなくて、当然の検査としてやったんだという一般の認識のもとでやれる体制を築いておくことが、やはり会計検査院検査をやっておるということで国民に安心をさせるというか、信頼をさせるというか、納得させるという方法であろう、こう思いますので、いまの立場で、それはあなたの考え方も一応わかりますけれども、われわれ国民としての要望もひとつ大きく受けとめて、さらに御研究を願いたい、このように思います。  それから最後に、特に私が希望するのは、これはなかなかこの法律の中からは任意事項にも入らぬのではないかと思われる節なんですが、山一証券の問題です。山一証券のあの特別融資の問題は、これは国民があげてどうしても納得ができぬような事態なんです。それは日本銀行法二十五条の要請によって政府が許した。その許可によって山一証券特別融資をした、その融資内容がどうも国民的に納得できない、こういうことになると、ああいう条件で特別融資をしなければならなかった山一証券のあの時点での実態はどういうものなのかということを、やはり国民の前に明らかにしてもらわなければ、これはどうにもおさまりがつかぬ問題だと思うのです。ただこの条項からいうと、なかなか任意事項にも入らないようなのです。これは法改正してでも、あの検査はしてもらわなければならぬ。たとえわれわれが少数派で敗れても、法改正までやるつもりで私はいまお尋ねしているのですが、いまの検査院法では、たまたま日銀法二十五条の要請にこたえて、政府から許可を受けてああいう特別融資をした山一証券実態というものは、検査院の手ではこれは検査ができるのかできないのか。もしいまの法制でできないとすれば、できるように法改正するには、どう法改正したらいいのか、この点をひとつ答えてもらいたい。
  22. 白木康進

    白木会計検査院説明員 ただいまの点につきましては、先生指摘のとおり、現在の会計検査院法権限規定から申しますと、検査権限はございません。それで、ただいま山一証券に対する融資の点を御指摘になりましたが、こういった特定金融機関融資だけについても会計検査院が直接に検査ができるというようなことは、たとえば先ほど指摘になりました検査院法第二十三条の一項七号のような規定をさらに挿入すれば、これはできるわけでございます。ただ、そこまでやる必要があるかどうか、いま先生指摘の山一のような場合に、これは立ち入ったことを申し上げるようでございますけれども、多数の投資家の保護とか、あるいは証券市場の安定とか維持、そういった高度の政策的な理由から、あえてああいう異例の措置がとられたのではないかと考えておりますけれども、そういったものについて特に会計検査院検査をする必要があるかどうか。これは、いま直ちにここでそういった政策的な融資内容についてまで、相手方について検査する必要があるかどうか、これはちょっと結論をいますぐ申し上げることは御猶予願いたいと思います。今後の観点といたしましては、いまのような場合でなく、政府関係機関、特に金融機関でございますが、いわゆる金融公庫と称する団体がたくさんございます。こういったものの融資についてまで検査する権限は現在ないわけでございます。しかも、これも、そういった金融機関検査の万全を期するという点から申せば、検査権限検査院が持っておったほうがいいのではないか、こういう考えもあろうかと思います。これは、そういった全体の問題として今後検討さしていただきたいと思います。
  23. 栗原俊夫

    栗原分科員 確かにどうも権限のないことを議論してもしようがないので、権限を与えるか与えないかのほうは、われわれの立場でしかるべくやりますから、できたときには遠慮会釈なしにしっかり検査をやってもらいたい、このように思います。  以上で私の質問を終わります。
  24. 愛知揆一

    愛知主査 次に楯兼次郎君。
  25. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私はこういうところで質疑をしていいかどうか、ちょっとわかりませんけれども、実は昨年、私は衆議院の災害対策の責任者をやったわけです。北海道を除く日本の全地域を調査に参った体験から、ごく短時間に感じましたことを申し上げたいと思うのですが、災害について検査院検査されるのはどういう機会にやられるか、まず冒頭にお伺いしたいと思うのです。
  26. 白木康進

    白木会計検査院説明員 災害が発生しました場合には、主務省におきまして災害の査定をやりまして、それで災害復旧事業に対する補助金の額を一応決定するわけでございます。相手方にこれを通知するわけでございますが、私どもとしては、その査定が一応済みました段階におきまして、その査定がはたして災害の被災の実情に応じたものであるかどうか、あるいは復旧工事内容あるいは積算等が適当であるかどうかを工事着手前にあらかじめ調査いたしまして、その当否を判断する、こういうことをやっております。なお、こういう工事着手前の査定の検査実施いたしますのは、大体当該年災のうち特に大きなものにつきまして、大体慣行的に申し上げますと、十数件程度のものについて実施しております。それ以外のものにつきましては、これは通常の補助工事検査と同じように、工事着手後に検査をいたすわけでございます。
  27. 楯兼次郎

    ○楯分科員 この査定に立ち会われるのは大きなもので平均十数件だ、こうおっしゃるわけですね。工事終了後の査定については、年度によって工事量が違いますから、一律ではないでしょうが、大体常識的に何%くらい検査をされるか、全部じゃないでしょうね。
  28. 白木康進

    白木会計検査院説明員 工事完成後の検査につきましては、これは災害と特に限定いたしませんで、公共関係の補助工事全体について、改良工事等も含めまして検査をいたすわけでございますが、これは非常に大ざっぱなお答えで恐縮でございますけれども、件数にいたしますと、大体毎年当該局所管で三十件あるいは三十数件程度をやっておるかと思います。工事の数に対する率から申しますと、これはもちろんかなり重点的に選択してやりますけれども、全体の八%程度実地検査いたします。
  29. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私は災害の復旧工事の監査については、これは全部やられるのじゃないか、こういうような印象を受けておったわけですが、そうじゃないですか。
  30. 白木康進

    白木会計検査院説明員 ただいま申し上げましたとおり、主要なる工事、あるいはいろいろな観点から特に見る必要があると認めたものについて重点的にやるわけでございまして、年によってどの程度やるかは必ずしも同じでございませんけれども、もちろん私どもが現地について見ない工事も相当あるわけでございます。
  31. 楯兼次郎

    ○楯分科員 前に戻りますが、平均十数件、大きい案件について査定を検査する。こういうのは、内容は、たとえば大きな橋をつくるという場合には、技術者でなければその積算の内容あるいは工法の内容がわからぬのじゃないか、こう思うわけですが、どういう面について査定を検査されるのですか。
  32. 白木康進

    白木会計検査院説明員 査定検査の場合に、私どもが主たる検査基準といたしますのは、何と申しましても第一には被災の状況、これは御承知のとおり一応原形復旧ということがたてまえになっておりますので、被災の程度がどういうものであったか、それに対応する必要にして十分な査定が行なわれておるかどうか、これが第一の眼目であろうかと思います。それに基づきまして、そういう被災の状況に対しては通常他の工事、あるいは特殊な場合もございましょうけれども、通常一般にとられる構造、設計、そういうものが過度にわたるものはないかどうか、それからその内容となっております積算が、これまた災害復旧の通常の基準に照らし妥当であるかどうか、こういうのが主たる検査の基準になっておるわけでございます。
  33. 楯兼次郎

    ○楯分科員 私も昨年各地域を回った。これは取り立てて具体的にどこの個所でということではないのですが、どこへ行っても、特に査定の場合の検査ではなくて、工事終了後における検査だろうと思うのですが、指導態勢といいますか、そういうものをひとつもう少し緩和というか、やわらかくやってもらえないのか、こういう声が、あまり大きい声となっては出てきておりませんけれども、全体の地域でそういうことを言うわけです。極端な言い方をいたしますと、われわれは一生懸命仕事をやった、しかも会計検査院検査に来るということになると、それだけでも非常に緊張をしておる、そこへ、これは人によって違うでしょうけれども、何だか被告のような立場で、おいこら、こういうふうにやられるので、憤激より、まったく縮み上がっちゃう、どうもこういう声が私の一年間の経験では非常に多いと思います。強く出ないところもありますが、いろいろ話の節々によると、みんながそういう感じを持っておるのじゃないか、こういう気がしましたので、幸いこういう機会が与えられましたので、私の感じを申し上げて、被告的立場でなくて、もうすでに会計検査院ということになると一つの大きな権威といいますか、相手に与える力があるわけですから、そういう監査はなるべくやわらかに指導をしてもらえないのか、こういうことを感じたので、総長さんに申し上げるのですが、災害復旧を監査するという部門は特別の部門ですか。
  34. 白木康進

    白木会計検査院説明員 災害査定並びに災害復旧工事検査、こういったものを担当しておりますのは、建設省関係で一課、農林省関係で一課、なお運輸省関係は、これはもちろん直轄も補助も含めておりますけれども、建設、農林については補助金検査の専門の課を一課ずつ置いております。この課の職員が大体検査に従事しておるわけでございますが、ただいま先生指摘の私ども検査の態度と申しますか、これは、私どもも他の機会にそういうことを耳にしたこともございまして、災害復旧工事検査に限らず、これは別にわれわれが権限をかさに着てやっておるわけではございませんで、いわば職務を忠実に執行するというたてまえでやっておるわけでございますので、できるだけ謙虚に、しかもいろいろわからない点等につきまして、経験者の立場から、指導的な立場も十分に考慮しなければならぬということも言うておるわけでございます。特に災害の場合につきましては、再度災害の防止というような観点から、主務省なり、あるいは立ち合いの財務局とか、あるいは中間的に監督の立場にある県とか、そういった方々の立場で、査定の内容等についていろいろ勘案の結果行なわれました決定につきましては、かりに原形復旧の災害補助のたてまえから見て、若干あるいは超過ではないかというような点があっても、必ずしもしゃくし定木なことをやらない、むしろ再度災害の防止というような点から考えるというようなことも、担当の諸君にはかねがね注意しております。あまり無理なことのないようにということで、いろいろ細心の注意はしておりますけれども、なお御指摘の点はまことにわれわれとして重要な事項でございます。今後十分に反省して実施したいと思っております。
  35. 楯兼次郎

    ○楯分科員 昭和二十八年、あるいは三十年に復旧工事についていろいろな問題があった、こういうことは私も聞いて、峻厳な態度で臨まなくてはいけないということもわかるのです。わかるが、その反面、非常にまじめにやっておるところは、これくらい一生懸命まじめにやっておってなお被告的な取り扱いにあう、こういう場合もあると思うのです。だからどちらがどうということは言えませんけれども、私の回った感じでは、どうも指導方針が峻厳過ぎるといいますか、被告的立場のような感じがするという地域の方が多いように感じたものですから申し上げるのですが、立場立場ですから、もう監査員という名前だけで恐縮しておるのですから、ぜひひとつそういう立場に立って指導をしていただきたい、こう思います。分に意思を体しまして実施したいと思います。
  36. 愛知揆一

    愛知主査 これにて会計検査院所管に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  37. 愛知揆一

    愛知主査 昭和四十一年度一般会計予算防衛庁所管を議題といたします。  それでは、質疑の通告がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  38. 大出俊

    大出分科員 松野さんにお伺いいたしますけれども、二次防、三次防、あるいは四次防等をめぐりまして、いわゆる松野構想というのがあるわけでありまして、四十二年からの五カ年計画、二次防の最後をダブらせるということだと思うのです。したがってダブって六年、こういうことだというのでありますけれども、時間がございませんから簡単に御答弁いただきたいのです。その説明の中に断層をなくすというお話だとか、幾つか述べられているように聞くわけでありますが、閣議了解の有無等について御答弁をいただきたいと思います。
  39. 松野頼三

    ○松野国務大臣 三次防の問題で閣議了解をまだ得たことはございません。したがって、国防会議にはかったこともございません。本年度予算は、二次防の計画予算を出しております。私の言うのは予算のその内容じゃなくて、継続的に四十一年度予算が将来三次防につながるものである、したがって、その断層をなくす、基本的に二次防から三次防に異質のものをやるのでない、こういう基本から、継続的に、断層をなくし、そして一年ダブらせるということが出たわけであります。基本的に閣議了解、閣議決定、国防会議にはまだはかっておりません。
  40. 大出俊

    大出分科員 国防会議にはかるのはおそらく夏ごろであろううといようなことを言われておりますから、私も予算にからんで御質問を申し上げておるのじゃないので、松野構想、こういうことで質問をいたしておるわけであります。つまり断層をなくすなり、ローリングだなんということも一面ありますけれども、そういう考え方。しかも六年間こういうことにして、予算は別でありますが、その前半の三年間はほぼ固定されたものに近いのじゃないか、残る三年間というのは情勢対応という形でいろいろ考えなければならぬ、こういうようなことがやはりあったと思います。したがって、その辺のことを確かめておきたい、こういうことで質問をいたしておるわけでありますから、もう一ぺん御答弁願います。予算のことではございません。
  41. 松野頼三

    ○松野国務大臣 第一次防衛計画の過去を見ますと、そのために一年あいております。第一次防衛計画が終わってから第二次防衛計画が翌年に始まっていない。一年あいて翌々年から始まった。その一つの反省をしますと、やはり防衛計画は、一次防が終わってから二次防を決定するということは現実にはできない。一年ブランクをおいて翌々年から初めて二次防が発足する、これが反省の一原因であります。第二番目に、今度は二次防を五年間やってみますと、その間に非常にかたいものがあるために、情勢が変わってきた。一番大きなものはベースアップとか物価騰貴というものがありますので、二次防当初決定したものと現実、どんぶりの外側は同じですが、内容においてはずいぶん苦労して、少ない予算の中で圧縮された、外形はあっても内容が必ずしも伴わない、この二つの反省から私のこの構想を出発させたい、こう考えております。
  42. 大出俊

    大出分科員 二次防なるものを見ても、何もこの中には装備その他について具体的にこうしなければならぬということが確定的に書かれているわけじゃない。したがって、たとえばCXが出てこようとも他のものが出てこようとも、だからといって二次防に違反をするものではない、こういうように私は理解をいたします。したがって、予算とからんでばかりものを言うつもりはないのでございます。そこで問題は、いま言われる、これは表向きあるいはそのとおりかもしらぬ、そういう理由づけをされているんだけれども、六年のうちの三年間はほぼ固定的にものを見ていきたいというのですね。これも、断層を埋めるということともつながるでしょうし、あるいは二次防がとかくおくれがちという世上の言い方もありますし、したがって、そこでダブらしていこうというようなお考えもあるいはあるかもしらぬ。また情勢対応ということも考えなければいかぬかもしれない、こういうふうに思うのであります。したがって、そこのところをまずもって念を押しておきたかった、こういうわけでありますが、あわせて残る三年の間に情勢対応の措置をとらなければならぬ。こういうことになってまいりますと、その間に国際的な事情の変化などというものもあるでしょうし、あるいはまた国内的な問題等もあるかもしれません。それらのことをいろいろ考えての構想だろうというふうに私のほうは受け取りたいわけなんですけれども、そこのところをもう一ぺんひとつ御発言願いたい。
  43. 松野頼三

    ○松野国務大臣 御趣旨のような考えで、やはり国際的情勢、兵器の改良進歩、三年間の実績というものをあわせて、六年の固定的なものよりも、三年目にはもう一度見直すという制度があることのほうがより安全がある、こういう意味であります。
  44. 大出俊

    大出分科員 そこで、引き続いて申し上げたい点は、昨日来の分科会の席上でも何となくどうも割り切れないというか、はっきりしないものだらけなんでありますが、目下確定してこうだという御発言がないにしても、世の中の新聞その他にはたくさん出ているわけでありますし、しかももう一つ納得しかねるのは、経団連の例の防衛生産委員会などがございます。あるいはまた兵器工業会もございます。あるいは自民党なり政府の皆さんが出ておられる防衛装備国産化懇談会などというものがございます。いろいろなことで、時間がありませんから例は一々あげませんが、いろいろな方がものを言っておる。その中で発注を受ける業者の諸君の側は、一日も早く内容を知りたい、これはあたりまえだと思う。そうでなければ準備ができないわけですからね。だから、そういう意味でいろいろとものを聞かれる。したがって、規模はおおむねどのくらいからどのくらいである——言った人の名前もわかっているわけでありますけれども、たとえば五年計画、まあ一年置いて六年間ということで、これは予算と関連なしに申し上げておりますが、そこで、大体三次防でいえば、四十二年を初年度とする五年間、こういうわけでありますけれども、おおむね二兆八千億くらいになるのではないか。ただこの三、四割程度が生産部門に発注をされる、特に燃料と輸入品とを含む、こういうことになるわけでありますから、国内向けのものは二兆二千億くらいというふうに想定をし、年間平均約千三百億ないし千七百億円くらいになるのではないか、こういうほぼ見通しを立てて、あるいは三菱重工であるとか、その他たくさんございますけれども、おのおの準備が進んでおる、こういうふうに見えるわけであります。したがって、あんまりどうも核心がズレてしまっても困るので、その辺の大ワクのところをどうお考えになっているかという点をひとつ明らかにしておいていただきたいと思います。
  45. 松野頼三

    ○松野国務大臣 総数につきましては、これはなかなか推定というものがむずかしい。第一は国民所得、国民総生産の予想というものを基本にして私のほうははじかなければなりません。国民所得の六年先の見通しというのは、現在の政府機関ではまだ一つも確定的なものは出ていない。これが第一。ただ私のほうの数字が多少出ましたのは、先般の中期経済計画というものをかりに前提とした場合、最終年度において国民所得の二%と予想した場合どういう数字が出るか、これが、ただいま大出分科員の言われた二兆何千億という数字をあるところで話をしたかもしれません。その前提はそういう前提です。したがって、その数字が非常に動くことは御了解いただけるかと思います。では装備品の問題はどうだと言われますと、いままでの過去の実績を見ますと、大体装備品——いわゆる消耗的なものと装備的なものは全予算の中の半々くらいです。燃料とか消耗品を入れれば六・四で、六が大体物に対する発注に当たる。四が人件費的な経費になってきます。しかしその中で燃料とか必要なものを引きますと、いわゆる装備品として購入するものは五・五で、五〇%ずっと戸」らんになれば大体当たっているだろうと思います。今後とも大きな物価変動がない限りは、全予算の五〇%から、まあ消耗品まで入れれば六〇%というくらいのところは——私のほうの防衛計画の人員を特にふやすという計画はありませんから、そうなってくると、やはり全予算の中に占める購入費というもののパーセンテージがふえるだろうというので、消耗品まで入れるなら六〇という予想が大体当たる、これよりも下がらないだろう。今度は、では装備品として計算する場合には五〇というものが、一応の過去の予算の実績から見るとこの辺が大まかに予想できるところだろう。したがって大体その辺を——きょうは実は大出さんに初めてこんなパーセンテージまで言うんですけれども、もしかりにその一面だけを予想されるならば、大体私はその辺ではなかろうか。といって、これはまだ作業しているわけではありません。私が過去の実績から推定すると、結論においてこういうものになるだろう。また装備を重点に主張するならば、この線は下らないだろうと私は思います。実はきょう初めてこの。パーセンテージを申し上げるわけであります。もちろんこの中に新装備、旧装備の補充、これは合わせております。したがって、その中で、CXの開発などが完了すると、この新購入物資が非常にふえてくるということは、これは内容の移動はありましょうが、大体そんな感じで進むのが、見方によって公平に見られるところではないかと私は思います。
  46. 大出俊

    大出分科員 私も、松野長官がまことに慎重で、ものをおっしゃらぬですから、万やむを得ず、時間がないですけれども、こちらから少しものを言わなければならぬと思っていろいろ用意はしているのです。大体そんなところではないかという予測でおったのですけれども、そう変っておりませんから、その点は国民所得その他の大きな変動なり国際情勢の大きな変動なり、特段のことがなければ、大体そんなことでいくのだろうという理解をいたします。  ところで、もう一点前段で確かめておきたいのでありますが、四十年の三月二十六日の参議院の予算委員会第二分科会で羽生さんの質問がありました。これは小泉前長官のときでありますが、きょうは海原さん、うしろに行っておられますが、当時海原局長がまさに学のあるところ、うんちくのあるところを傾けてお話しになっているわけであります。それは何かといいますと、三次防、こう一口に言うのだけれども、さて一体日本の自衛隊の自衛力というものを考えた場合に、どこまでいったら一体満足すべきことになるのか、こういうやりとりなんでありますが、この辺が満足すべきところだという一応の目安めいたものを小泉さんあたりが言われたり、海原さんが言われたりしているのでありますが、それと関連をいたしまして、大体どの辺をめどに兵員なり装備なりあるい艦艇なりというふうなものを進めていこうとお考えになっておりますか、簡単に御答弁願います。
  47. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛は、基本的に、日本は特定国を対象にして防衛計画をきめるわけではございません。しかし、日本が今日予想されるいかなる国からもその侵略を受けないようにする。したがって相対的なものである。したがって、その相対的な国際的な軍事力というものの動き、それが日本における脅威の、あるいは守り得るかどうかの限界である。その上から申しますと、やはり相対的に日本の国情に対する脅威の相対国というものの基準というものが、日本の自主防衛の目標じゃないかと私は思います。したがって、その基本から私は判断をしなければならない。最近どこの国も軍事力が膨大に増大しております。それならば日本もその壁に負けないだけの、川でいうならちょうど右岸と左岸みたいなものですけれども、左岸が高くて右岸が土手がなければ、右岸には洪水がくる。洪水防御の最低線というのはどこがいいかということは、これは河川なら水量ではかりますけれども、人間の進歩ですからはかれませんが、基本は右岸と左岸である。右岸が高ければ左岸に洪水がくる。洪水がこない程度のものは、左岸の土手を高くすべきだ。では、どこがいいかといま言われると、相対的な——複数でしょうけれども、世界の防衛の前進というものがものさしになって日本の防衛を考えるべきだ。抽象的ですけれども、抽象的なところにまたおわかりがかえっていいところがあるのじゃないか。はっきり言ったほうがこれはわからないと思います。三%がいいんだと言えば、三%という議論はかえってたいへんなわかりにくい数字になってしまうと私は思います。
  48. 大出俊

    大出分科員 二つ聞きますが、一つは先ほどの問題とからんで、先般、さっき私があげました経団連の側からの政府に対する申し入れがございました。あそこで国民所得の二%、こういっておりますが、先ほどの長官の言い方からすると、私は中身の点からいくと多少どうも越権の憂いなきにしもあらずという内容なんですが、初めてのことですから真意がわかりませんが、大体金のワクからいきますと、きつき長官がちょっと言われたこととほぼつじつまが合う気がするのであります。したがって、幾つかの委員会があり、直接皆さん方もお話しになっておりますから、そう違わない線で出てきたもの、こういう理解になると思うのですが、そう受け取っておいていいかどうかということが一つ。  それからもう一つは、いま言われた防衛力の限界ということ、左岸と右岸だということになりますと、川は流れるわけでありますから、向こうの岸はやたら高くなり切りがないということになりますと、こちらの岸も切りがないということになる。つまり限界があるのかないのかということになる。どうもなさそうな感じがするわけでありますが、そこでひとつ承っておきたいのは、昨日、例の椎名さんが参議院で岡田さんなり森元治郎さんなりの質問にお答えになっている、つまり核安保などと旧来いわれてきたもの。もちろん安保条約そのものをお認めになる前提からものを言う限りは、つまりそういう意味における日本の防衛というのは、核抑止戦力などというふうなものとは切り離しては考えられない、その点は常識だと思う。しかしそういうものの言い方で、あらためて米側と特段の取りきめをする必要はないのだと言い切っているわけでございます。したがって下田発言その他についても、それなりの説明を椎名さんはしているのです。これは防衛庁のほうとお打ち合わせの上での発表でありますか。その二点お伺いいたします。
  49. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛庁といままでこの問題であらかじめ打ち合わせたことは一ぺんもございません。ただ先般当分科会で外務大臣が答弁をしたのが翌日の記事に出て、その朝私に少し新聞記事のようなことを、差しつかえるというとおかしいですが、防衛庁関係のあることを話した、新聞で理解してくれと言うから、新聞記事で理解をしたというだけであります。実は速記録を読んだわけじゃないのです。外務大臣の性質は常々知っておりますから、いずれなかなか名調子な、名文的なお話をされたのだろうというぐらいに私は理解しておりますが、その程度であって、打ち合わせたこともありません。連絡があったというなら、ただそんな連絡が私に口頭であった、ことばの数はその程度であったというだけであります。
  50. 大出俊

    大出分科員 私のいま申し上げているのは例の一日、つまりきのうの夕刊に載っている、安保条約に基づく日本の核防衛を含むアメリカとの新協定の必要はないという、この件なんですが、いまの御答弁、そう理解していいですか。これも打ち合わせがないのですか。
  51. 松野頼三

    ○松野国務大臣 それもきのうのことですから、なおございません。
  52. 大出俊

    大出分科員 これはたしかきのうの田口さんの質問だと思いましたが、全く無連絡、打ち合わせなしでやったのではどうもうまくない、やはり打ち合わせをしておかなければまずかった、私おりませんでしたからまた聞きですけれども。そういう意味の御発言があったやさきのことですね。そこへ持ってきてまたこういうことになる。しかも最近の新聞をずっと調べていきますと、これはまさに長官になってからえらいハッスルをしているという感じがする。四十年十二月二十三日には東京新聞が屯田兵村をつくるなんという報道をされる、さらに二十七日になると予備自衛官を倍増するという、一月二十三日になると東京新聞が例のゴルフ場のホークの問題を出す、さらに一月二十六日は毎日新聞がミサイル基地の問題を出す、さらに日にちは前後しますけれども、その前四十年には自衛隊が爆撃隊を編成する云々ということが出てくる、さらに二月二十八日には両用兵器の問題が出てくる、さらにまた原子力潜水艦と自衛艦の問題が出てくる。とにかく次から次とこう出てくるので、いろいろな疑惑や不安を持ってくる。さらにきのうここで質問が出ているように、防衛機材の発注をめぐる問題、もちろん個人攻撃は私はいたしませんが、いろいろな新聞や週刊誌その他にも載る。こういうとき、全くどうも防衛の当の責任者である責任官庁と打ち合わせなしに、ぽんぽんこういうものを出させておくということ、しかもそれは知らない、外務大臣の性格だで済みますか、あなたの立場として。
  53. 松野頼三

    ○松野国務大臣 私は、特に基本的な方向や打ち合わせをしなければいけない新事態は出ていないと思うのであります。新事態が出て打ち合わせをしないならお叱りのようなことばが出るかもしれませんが、何にも変わったことはない、また変わった状況が今日現実にない、したがって何も打ち合わせをする必要もないと思います。しかし、こう議論が出ますならば、今後この発言について、じゃ打ち合わせを始めましょうという話を昨日いたしました。またきょうそういう話が出ますならば、その問題についての打ち合わせを始めなければいけないかなと思います。私自身は、その記事が出ましても、基本的な問題は何も変わってない。その意味で、何も打ち合わせする事実はないという意味で、打ち合わせをいたしませんと、こう言っているのです。
  54. 大出俊

    大出分科員 となりますと、国連協力法の問題にしても、あるいは何にしても、米国と新協定の必要はない、現在のままで、いわゆる世の中に核のかさなんということばがありますけれども、安保条約のたてまえ上そこまでのことは当然考えられているんだということで、松野長官のほうも同意見だというふうに受け取っていいですね。
  55. 松野頼三

    ○松野国務大臣 核のかさというのは実は最近出たことばで、安保条約当時はなかったのです。しかし安保条約の基本精神、基本の方向は変わっていませんから、表現が変わったのかなと私は思っています。基本的には何も変わっておりません。条約の一条の解釈も、一条の修正もないのですから。ただ表現が、かさというのは、安保条約当時は私の記憶ではそんなことばはなかった、急にかさが出たのですから。内容はちっとも変わっていない。要するに、そういう意味で私は何も打ち合わせとか、そういう心配をしていないわけで、何も現実に変わったことはないと思うのです。
  56. 大出俊

    大出分科員 二つ申し上げているのです。もう一ぺんお聞きしておきますが、国連協力法案を検討云々の発言が一つあったのです。内容は時間がありませんから申し上げませんが、いま昨日の例をとりましたが、日本の核防衛を含む米との新協定の必要なし、こういう趣旨の椎名発言とあなたの考え方は変わっていないと確認していいのですね。いまの発言からすればそうなるのですが、新しいことばがあれば伺ってもけっこうです。
  57. 松野頼三

    ○松野国務大臣 基本的には何ら変わったものはないと私は思います。
  58. 大出俊

    大出分科員 時間の関係がありますから、あらためて私どものほうの委員会でこれはやるつもりでおりますけれども、もう一点だけ確認をして終わりたいと思います。  そうしますと、先ほどのお話からすると、防衛力の限界というものについては、限界はない。こういう理解にならざるを得ぬのですけれども、左岸が高くなれば右岸が高くなるというのですから、相対的には高くならざるを得ない情勢だとすれば、まずもって限界はない。そうなると、先ほど私が例にあげた参議院予算委員会で言うところの、たとえば今日三次防を対象にいたしまして、兵員等の問題につきましても、現在十三個師団の陸上はじめ艦艇その他装備がございますが、それについて第三次防では、現在持っている大砲だとか戦車だとか、あるいは自走砲だとかいうような装備改善に重点がある。だから兵員のほうについては特段手をつけるという基本的な意味での考え方はないというところから始まって、うしろにおられる海原さんがずっとあげられました、この参議院予算委員会に言うところの趣旨というもの、さらに小泉前長官がここで答えている、今日の段階では最小限度における自衛というもので事足りる、そこから先のところは安保条約がある、こういう考え方で、日本は特殊な憲法を持っているから、その意味における一つの限界を片や考えて、当面こういうところに落ちつかせている。こういう実は一つの限定を置いた発言があるわけですけれども、この点はいまの答弁からいきますと、ちょっと限りなしということになるのでありますか。そこらあたりの計算はいかがですか。  さらにもう一つつけ加えておきますが、韓国が五十万、台湾が四十万ということまで兵員についてはここであげられている。しかし日本の場合には飛行機等が千機もあって、装備の面ではまさっているということだから、兵員だけでの判断はできない。してみると、韓国や台湾というところと比べて、日本のほうは装備その他を含めればまさに自衛力は完備をしている。こういう意味のことまで述べられている。一つの限界的なことが示されておるのですが、それとの関連で、それを否定なされますか。
  59. 松野頼三

    ○松野国務大臣 先ほど私が答弁しましたのは、防衛力だけの議論をしたわけでございます。しかし、今日の日本の国にとっては憲法の規定というものがある、これはもう当然なことであります。その次の問題といたしまして、防衛力というものを、すべてを抜きにして、限界というお話から私は議論いたしました。当然防衛力は、日本の場合で言うならば憲法の規定予算規定、ことに日本の場合は憲法九条という規定がありますから、同時に日本の経済、国民負担に応ずるという制約もありますから、それは防衛力の中の次の段階における条件であって、そういうものを抜きにして、防衛力とは何だという一般論の話ですから、私は右岸左岸の例をとったのです。したがって、それはもう当然その次に、それではどこまでやられるのだと言われれば、憲法の問題、自衛隊法の問題、経済の問題、国民生活の問題、これに関係してくるのはもう当然のことであります。そういうワクがあるために、諸外国ともいろいろな限界の相違があると私は思う。これが第一点のお答えです。  第二点は、その時点においては十分だと言ったので、その時点において小泉長官が、いま不安なのかと言われると、いまはとにかくこれでいいんです。しかし、将来だいじょうぶです。ということは言っていないんじゃないかと私は思うのです。
  60. 大出俊

    大出分科員 海原さんに一つ質問があるのですが、このF104Jの最近の状態等から見て、FXなる将来の主戦力戦闘機の問題が出ておりますが、各方面でいまうわさにのぼっておりますし、また業界でもそれが言われておりますが、どういうものだとお考えになりますか。かつまた、その必要のあるなしについて、ひとつ簡単に御答弁願います。
  61. 海原治

    ○海原政府委員 私、ただいまは官房長でございますので、御質問の点は防衛局長からお答えさせていただきます。
  62. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 御承知のとおり、三次防期間におきましては、主力戦闘機としてはF104を考えております。F104七飛行隊を維持していくということでございます。ただF104Jも、いつまでもこれを維持していくというわけにはいきませんので、ある段階になりますと、当然次のこれにかわるべき優秀な戦闘機というものを検討いたさなければならないのでございまして、そういう時期が参ると思いますけれども、現在の段階におきましては、FXと言われている戦闘機が何であるかということにつきましても、全く私どもとしては検討いたしておらないのでございます。したがいまして、いまのF111につきましても、その性能等につきましてあまり私どもとして具体的な検討をいたしておりませんし、専門的な知識を持ち合わしていないのでございます。
  63. 大出俊

    大出分科員 最後にひとつ要望しておきますが、これは別な問題ですが、私は、実は自衛隊の皆さんの医者の数を調べてみたところが、あまりどうも各現場に——現場という言いくさはないかもしれませんけれども、各地にあまり少な過ぎる。貸費生なんというものを調べてみると、六千円かそこらしか金を払ってない。私は、自衛隊というものには基本的に考え方を異にしますけれども、現実に若い方々がたくさんいるところに、それは選別されて出てくるんだからじょうぶな人には違いないけれども、しかし、こういうことでは、まことにもって、これが病気になったとき人道上の問題が起こる。この辺はどうしても直さなければいかぬのじゃないかと思うのですが、そこのところはどういうふうにお考えになっておりますか。一つだけ簡単に聞いておきます。
  64. 高部益男

    ○高部政府委員 御指摘のとおりの現況でございまして、いろいろわれわれとしても苦心の存するところでございますが、何と申しましても、編成上の問題、防衛上の問題から見まして、配備それ自身が基礎にございます。たとえば現在、部隊の駐とん地あるいは艦艇等を単位にとりまして見ますと、約四割の駐とん地等に医官が配備されてないという現状はたいへんなことだと私自身も思っておるわけでございます。ただ、現状は、やむを得ず自衛隊以外の一般診療機関にお願いをして、何とかして最小限度隊員の健康保持の問題に  つきましては確保をしておるわけでございますが、今後の方向といたしまして、医官の処遇、あるいは研究、診療、環境の整備等を十分にするような方向をもって、隊員諸士に御心配のないような、衛生支援とわれわれは申しておりますが、衛生支援の態勢をとるように努力していきたいというふうに考えておる次第であります。
  65. 大出俊

    大出分科員 ひとつ善処をお願いいたします。
  66. 愛知揆一

    愛知主査 次に、只松祐治君。
  67. 只松祐治

    ○只松分科員 たびたび繰り返されただろうと思うのですけれども、話の糸口として、防衛庁当局でお考えになっている防衛とは一体どういうことを意味するのか。いわば攻撃は最良の防御なり、これは昔からことわざがございますし、現代もそういう観念は変わっていない。そういうことから、昔からのいわゆる日本を守るために朝鮮、いや、満州だ、何だ、こういうことが行なわれたという、大東亜戦争のような歴史的な反省が行なわれておるわけでございます。現時点における防衛庁が指向されている防衛とはどういうものか、お伺いいたします。
  68. 松野頼三

    ○松野国務大臣 攻撃は最良の防御なりというのは、一般的に兵法の常だと私は思います。日本の場合におきましては、いまの憲法の上からある程度の制約を受けております。したがって、今日では、装備が最良の防御なりということばが日本の今日の立場じゃないか、装備は日本の最良の防御なりと私は思っております。
  69. 只松祐治

    ○只松分科員 それでは、いまのおことばに従って、あとでそういう点をお聞きしたいと思うのですが、さっき大出君も聞いておりましたが、その防衛というのは、それでは何を基準に、あるいはどこの国を目標にしているのか。そういう具体的な何かがないと、先ほどからうまく逃げられて、抽象的なほうがいいのじゃないかというようなお話があったのでありますけれども、私は、こういうようなものは抽象的じゃいけないと思う。いわば具体的な仮想敵のようなもの、三矢事件があるなしは別といたしまして、とにかくそういうものを一つ想定しておられるでしょう。私どもも軍隊に経験がありますけれども、想定のない演習というものはないわけであります。当然にそういうものを想定しておられると思う。将来や過去のことはいい。現在いかなる国を相手に対策をお立てになっているか。特に日本国自体としては、安保条約に基づいた日米共同のような防衛というものがある。しかし、自衛隊独自にも——独自ということばも考え方によればちょっとおかしいのですけれども、たとえば自衛隊のある幹部に私がそういうことを話したことがあるのですが、朝鮮ぐらいは相手になんかしても負けないくらいのことをしておかなければ、日本もどうしようもないじゃないか、そのくらいぐらい何とか認めてくださいよという冗談話があったわけであります。日米の安保条約からくるものと、当面自衛隊が自衛隊独自——独自と言っては誤りがあるかもしれませんけれども、一つの想定としても、自衛隊としては独自でどのくらいのものを考えているのか。朝鮮か、台湾か。フィンランド、デンマークのような遠い国が相手じゃないと思うけれども、もっと身近な国と思うのですが、どういう国を相手にしておるか。想定をやっておられるところでけっこうでありますから、ひとつお話しを願いたい。
  70. 松野頼三

    ○松野国務大臣 想定として一つの対象国を特定してはおりません。日本が危険にさらされる可能性、危険にさらされる状況ということを十種類でも二十種類でも想定して、それに応ずる訓練を常にやっているわけです。したがって、どこの国というような特定の国に対してのみこれをやっているわけじゃありません。直接侵略については、日本がいかなる状況で、いかなる可能性で、いかなるものが攻撃をされるであろうかということ、また、間接侵略については、今日想定されるあらゆる状況を考えていかなければならぬのじゃないかということ、これが訓練の目的であります。国という考えよりも、いかなる状況で日本が侵略を受ける場合の危険があるか。言うなれば、領土、領空、領海というものをどういう場合でも守れるということが今日の訓練の目標であります。
  71. 只松祐治

    ○只松分科員 アメリカのもとの空軍長官のトマス・フイン・レターという人が書いておるように、日米でやる場合には中国を想定しているのだ、こういうことを言っております。この人が言ったからというわけではございませんけれども、日米で防衛条約を結んでおる以上は、その当面の目標とするところは相対しておる社会主義体制の、国家体制を異にしておる中国であろうということは、これはもうだれも常識的に見てはばかるところはないと思うのです。ただ、中国が仮想敵国であるというようなことをここでずばり言うならば、国際的に何か問題が生ずるというようなことで、国会答弁としてはお逃げになるかもしれないけれども、しかし、今日いわゆる資本主義国である日本を、あり得ないことだけれども、あなた方が想定すると、もし日本を侵略するものがあるならそれは中国だろう、中華人民共和国だろう、こういう想定のもとにあることは、これは否定することはできない。だから、ほんとうにあなた方が正直におっしゃるなら、こういうふうな安保の体制からは、究極の目標といいますか、敵国は中国である。しかし、いまの南ベトナムあるいはかつての朝鮮戦争の問題とか、いろいろあります。そういう意味ではあなたがおっしゃったようにあらゆる面と申しますか、あらゆる国を想定する、あらゆる場合を想定する、こういうことは言えると思う。私は、正直にひとつ中国なら中国ということを、たまにはと言っちゃ語弊があるけれども、おっしゃったほうがいいのじゃないかと思う。仮想の一つの目標としてそういうものがあります。こういうことは言うべきだろうと思う。それがあなた方自民党なり資主本義を守っていこうという立場の人からは、正直なすなおな答弁じゃないかと私は思う。それをひとつ正直にお答えをいただきたいと思います。  それから、あなたがおっしゃるように、いかなる国、あるいはいかなる事態、そういうものを想定して、いかなるときでも対処し得るようにやっているのだ。こういうことになれば、まあそうでなくても、よく皆さん方がお使いになるどろぼうの論議とか、カやハエやトンボの論議をお使いになる。戸じまりをしておっても、強盗が出刃ぼうちょうを持って入ってきたらこれはかないっこない。出刃ぼうちょうではお互いに傷つきますから、こちらは防衛としてピストルを必要とします。ピストルを持ってどろぼうが入ってくれば、機関銃を持っていなければかないっこない。機関銃を持ってくれば、少なくとも迫撃砲、大砲を持っていなければならない。大砲を持ってくるときには、大砲同士ではかなわないので、飛行機を持っていって先に守っていなければならない。こういうふうに、防衛論議というものは、あなたもさっき右岸左岸という話をお出しになりましたけれども、いわゆる敵にまさる力を持っていないことには防御にならない。大東亜戦争だってそうでしょう。私たちも行ってきたわけですけれども、私は戦闘機に乗ってやった。戦闘機に乗って、負ければ負けるだろうと思っておったところが、空を防ぎ得ないでついに負けた。最後には原爆を投下されたというわけだけれども、そこから考えても、いまの近代戦においては、第二次世界大戦は核兵器で終わったということは、第三次大戦、現代は核兵器で始まるということですね。したがって、そういういかなる想定にも勝ち得る、対処し得るというならば、核兵器を持っておらなければ現在の防御はなし得ない、日本を守り得ないということは、もう足し算、割り算式に簡単に考えても出てくるわけです。いろいろ言い回しになっておられるけれども、現時点のこの防御体制、防衛というものは核戦略を持たなければならぬ。そういうことで、近ごろになってぼつぼつ椎名さんなんかも、広義の意味においてはアメリカの核のかさの中にあると解釈してもしかたがないということになる。こういうやむを得ざる式の御答弁をなさっている。防衛庁のほうはまだそこまで御答弁になっておりませんけれども、そういう意味では、私はやはり核というものが現軍事体制の中核になっていかなければ、真の意味の防衛というものにはなってこない。こういうふうに考えるわけですけれども、私が第一点に言いましたことと、いまの二点についてひとつ長官のお答えをお聞かせ願いたい。
  72. 松野頼三

    ○松野国務大臣 日本の場合は、防衛力というものを端的に表現すれば、正当防衛権であります。したがって、正当防衛権が脅威を受ける相手方を想定するものではないという基本を私が申し上げたのは、何もごまかしではない。正当防衛権というものが日本の自衛力、これが日本の今日の立場だと思う。したがって、どうもあれが脅威を与えるという非常に明らかな証拠が見えるならば、正当防衛権をその方向に向けて用心をしなければならぬ。これは当然のことです。したがって、私が言うのは何もごまかしていない。相手方を攻撃するという意図があるならば、常に相手方という敵が固定される。日本の場合は、攻撃よりも正当防衛権に対する発動であり準備であるために、どこからその被害が起こるかということは常に用心をしておかなければならぬ。しかし、それは想定だけにする。戦闘的なものでない。その私たちの気持ちから、私は現実の姿をごまかして言うわけではありません。ただいま只松委員も言われたような脅威が一般国民の常識ならば、正当防衛権は、その方向に正当防衛権をもって用心しなければならぬ。これはありましょう。しかし、だからといって対象国とか敵国ということばで表現することは日本には当てはまらない。力の限界も相手方——只松さんも経験がおありで御承知のように、外に出て働くときの兵力というものと、うちを守るときの兵力というものは基本的に違います。装備から内容から。かりに言うならば、渡洋爆撃なら渡洋爆撃の準備がなければならない。あるいは航海をするならば、補給の船がなければならぬ。同じ戦力であっても、他国に出ていく戦力と国内を守る戦力では、基本的に同じ戦力ではない。おそらく、だれが見ても、言うならば同じ牛でも、雄と雌の差があるくらい違うんじゃないか。そこに私たちが正当防衛権ということを宣言して、戦力ということばならば、牛だということばならば、同じかもしれません。しかし、雄と雌とでは用途が違う。おのずから分かれてくる。そこに私たちが常に言う憲法条項に合致した日本の防衛力、角がある牛とない牛と、牛でも違う。無角牛だ。そこを私が言うことばを御理解いただくならば、私はごまかしではなしに、基本的態度がそこなんだから、御答弁できない場合も出てくる。  一般的諸外国における戦力、戦闘の議論ならば、只松さんがおっしゃるとおりであります。しかし日本は無角牛であるということになると、おのずから牛は牛でも戦力、装備、兵力、したがって対象国というものも、正当防衛で、日本を侵すものが対象勢力になるのであって、侵さなければ対象勢力じゃないわけです。私たちは正直に申して、今日の自衛隊のあり方と昔の戦力の相違がここに出てくるんじゃないかと思います。  第二番目は核の問題、これはおっしゃるように正当防衛権です。世界じゅうが核を持つときには正当防衛を最高に発揮をする。それにはそれに応ずるものがなければいけない。しかし、今日のアジアにおいては、まだアジアじゅうが核装備をしたという事例はございません。したがって、私たちはそういう危険性が日本にないとは言いませんが、だからといって核を持たなければ防衛力は無力だということもまた言えない。その意味で、今日の姿で私たちはいまはやっていけると私は考えます。
  73. 只松祐治

    ○只松分科員 一見きわめて常識的なお話でございますが、その限りにおいてはそういうふうにも理解されるのですけれども、しかし先ほどから自衛隊、こういう限りにおいては攻撃というものはあり得ないわけですから、防御ということで、あなたの御論議がほとんど首肯されると思う。ところが安保体制というものがございます。したがって、これがどういうふうになっていくか。あとで海外派遣等もお聞きしたいと思いますけれども、御承知のように、何せ韓国ではすでに派遣をいたしております。ここまで積極的派遣でなくとも、沖繩においては潜在主権の中で軍事行動がとられている。日本にも艦隊休養が来ておる。あるいはそれがもっと進んで、野戦病院が日本にたくさんつくられて、検査もほとんどなくて、無防疫状態の中で米軍の防疫が行なわれておるということだけれども、日本側の厚生省や何かの管轄の手から離れて、軍人が戦病兵で入ってきておる。傷ついた人だけれども、悪い病気を持ってきて、それが日本の手の中にないわけですから、適当に外出や何かする、こういうことになれば、日本の国土も汚染をされる、こういうことにもなるわけです。こういうふうに、どこまでがあなたの言う防衛力、あるいはそういう国民生活というものに関連してくるか、これはなかなか困難な問題になる。広義に解すればそういうことが全部出てくる。だけれども、とにかく日米防衛体制のもとにおいては、あなたがおっしゃったような、いわばきれいなと申しますか、そう割り切った状態ではない。だからこそ椎名さんあたりも、広義の意味においては核のかさの中にあると言ってもいたしかたない。こういうことを言っておるのだと思うのですよ。これはきょうの新聞にも出て、モスクワあたりでも、日本は一歩一歩そういうことを宣伝して、そして、核のかさに入る条件をつくっていこうとしている。こういう論評をすでにモスクワ放送あたりはいたしております。そういうことからするならば今日では、あなたがいまおっしゃるとおりと解釈しても、こういう既成事実をつくっていって、国民の世論を喚起しながら、日米防衛の核のかさの中に日本を持っていこう、こういうふうに近い将来しようと言っていることが明らかなんです。要するにこれは椎名さんもお答えになった。ただ松野さんのほうでは、そこまでのことは相談していないとおっしゃっていますし、それから、そこまで考えていないというような御答弁がいままであったようですけれども、それでは防衛庁のほうでは、やはり日米防衛体制の中にあってもそういうことはいわば拒否するといいますか、そういう中に組み入れられない、こういうふうにお答えになるのか。あるいはきのうあたりもちらちら出ておりますように、たとえば限界点がたいへんむずかしいというのは、原子力潜水艦との共同演習もよろしい、アメリカ側もそれはすでにオーケーだというふうに言っております。これは広義な意味の中における核の戦略体制の中に入っている。あなたの言うように、そう割り切ったきれいな状態ではない。むしろ椎名さんのほうがある意味で正直と申しますか、そういうことを言っておるのだと思いますが、防衛庁長官のほうはどういうように考えているか、重ねてひとつお答えをいただきたいと思います。
  74. 松野頼三

    ○松野国務大臣 外務大臣も正直でしょうし、私も実は正直であります。別にどちらが正直ということでなく、お互いに正直である。  第二番目には、核のかさの問題がいろいろ出ますが、私は日本の防衛から考えて、正当防衛権ですから、放射能の雨が降らなければかさはだれもさす者がいません。放射能の雨が降るという場合、その中にずぶぬれでおるかというときに、だれかかさでもささなければあぶないじゃないかというところから私は議論が発展したと思うのです。したがって、相手の、相対的なものがない限り、こんな議論は出てこないし必要もない。そこに私はかさ議論の前提が多少あるのじゃないか。放射能の雨が降るというときに、かさなしでどうするのだ。これは正当防衛権の当然な自己防御になるわけだ。私はこれをとやかく言うのは憲法上においても——今日の国民感情は、雨が降らないのにかさをさすというのは、これはおっしゃるようにおかしいじゃないか、おまえは核戦術の中に入っているじゃないかと言われる。そんな考えは私はない。かさ議論の前の問題、雨が降らないのにかさをさすなら、おまえは核戦争の一端をになうじゃないかと言われる。そうじゃない。日本はあくまでも正当防衛権なんです。その方法においていろいろな場合がある。雲が来れば雨が降るじゃないか、それに放射能が入っているじゃないか、おまえはかさをさすかという議論になってくる。私は今日そう思うのです。またそうあるべきだと思います。外務大臣の答弁は私聞いておりません。したがいまして、外務大臣の答弁について私は言っておるのではない。只松さんの御質問に答えて私が言うならば、そういう考えがいまの日米間の問題だ。したがって、特に私は核戦争の一端をになうという考えでも、また今日の状況は現実はいまだありません。そういうものはありません。また、アメリカが核爆弾を使ったという報道はまだ一ぺんもありません。したがって、私は核装備とか核戦争をアメリカはアジアにおいてはしていない。戦争状態はあるでしょう。そのときに、日本が何で核装備とか、核戦略の一端をになう必要があるか。私は全然ない。原子力の動力化というのは世界じゅうやっております。ソ連においても原子力潜水艦が開発されている。私は原子力潜水艦が今日危険だというわけじゃない。日本でも原子力商船というものの法案も何年か前にできたかと思います。これは燃料の問題です。
  75. 只松祐治

    ○只松分科員 時間もございませんから、あまり詳しい論議はできないのですが、もう一点だけお尋ねしておきますが、ポラリス搭載のやつには共同演習はしないけれども、その他の通常——通常ということはサブロック搭載の潜水艦を含むわけですから、これとの共同行動はあり得る、こういうことを言っておられるわけでしょうね。これもある意味で核兵器の中に入るわけなんですから、だからサブロックは、これは対潜水艦攻撃あるいは海の対艦船攻撃で、対陸の攻撃ではない、そういうことでこれはいい。ポラリスになると、陸や、何か攻撃するから、これとはしない、こういうことも一つ一つ——ものはどろぼうにも三分の理で、理屈はつきましょうけれども、やはり初めおんぼろの潜水艦を持ってきて、だんだんサブロック搭載の近代的な潜水艦を日本に持ってきているみたいに、一歩一歩こうやって、核戦略は一切日本は否定するのだ、こういうことを言いながら、核戦力を保持しておるそういう潜水艦とも行動をともにする、こういうことは、私たちから見るならば核のかさの中にすでに入っているものだ、こういうふうに言ってもいいと思います。あるいはあなたが繰り返しおっしゃるように、それも違うというならば、一歩譲って、仮定の論議として、雨が降りそうだからかさをさす、雨が降りそうだからそういうことをしようとしたのか、極東の情勢がベトナムなんかで緊迫しているから、あるいはもっと緊迫して雨がいよいよ降りそうだということになれば核のかさに入るのか、かさをさすのか、こういうことになると思う、仮定の論議として。そういう面から言えば、椎名さんのほうがむしろ正直ではないかと思うのですが、まして防衛庁も、そういうことになると言えばたいへんなことになってしまいますから、防衛庁当局として、外交辞令はアメリカの関係では椎名さんが、国内関係を考慮してはあなたが否定して、どうも八百長みたいな感じがしてならないのですが、もう少し正直に、それなら専門家の海原さんのほうから、ずばり核戦略の中に入っているのかどうか、こうやってお答えいただいてもいいと思いますが、重ねてお伺いいたします。
  76. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ポラリス潜水艦が太平洋に来ているかどうか、私たち防衛庁には関係がございません。また、私のほうは出会ったこともありませんし、合同訓練したこともありませんし、あるかないか、ほんとうに私たちは関係のないことで、要するにアメリカの軍事の問題だけで、したがって、日米安保の目的の合同訓練とか、合同教育の中には何もこれは入ったこともありません。昨日も申しましたように、要するに相対的なものですから、世界じゅうの潜水艦が原子力に変わりつつある、そのときに、対潜水艦防御を日本がするときには、その時点において防御力の訓練をしなければならない。したがって、世界がその情勢になったならば、ディーゼルエンジンの潜水艦がいないのに、ディーゼルエンジンの潜水艦攻撃の訓練はナンセンスであります。そういう意味で、日本を守る意味における立場から、昨日も本日も議論しているわけであります。したがって、アメリカの援助をするとか、あるいはわれわれはアメリカの戦略の訓練をになうとかいう議論をしたことは一ぺんもありません。今後もありません。日本を守るということだけについて、どうしても相対的な勢力、がなければ訓練ができません。日本には残念ながら、潜水艦攻撃の潜水艦の数が足らないときには、アメリカの潜水艦を一つの対象的な訓練の相手方にしなければならない、そういう意味の訓練というのを今日までやってきたわけであります。したがってまた、そんなにポラリス型の潜水艦がアジアにうようよするという情勢でなければ、日本もこれに対する防衛訓練をする必要もない。したがって、今日までいたしておりませんということです。
  77. 只松祐治

    ○只松分科員 次に、時間がなくなりましたから話を進めます。ほんとうはこれを少し論議して、皆さん方のいままでおっしゃったことがほんとうかどうかということを詰めたかったのですが、時間がありませんし、ひとつ海原さんのほうから概括でもけっこうでございますから、お答えをいただきたい。  それは、現在の日本の防衛能力、すなわち具体的には陸海空三軍の現在の軍事力、これはある面から見るならば、大東亜戦争前よりも機械化されておるし、その軍事力というものがある、こういうふうに評価する向きもあるわけでございます。その現在力。それからいま技術開発資金というのが年々急増をいたしております。第二次防衛計画の中でも、精鋭な部隊を建設するには技術研究開発を推進することがきわめて大切である、こういうことがうたわれております。これもこまかにお聞きしたかったのです。が、時間がございませんから、技術開発の中で特に顕著にこういうものをわが国としては開発して防衛の任に当たる、そういう顕著なものをひとつお示しいただきたいと思います。
  78. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 官房長に対する御質問でございますけれども、私が防衛局でそういう問題を担当いたすものでございますので、私からお答え申し上げます。  御質問は、わが国の防衛力の現状はどうであるかということでございます。ことに戦前の陸海軍の戦力というものとの比較においてどういうことになっておるか、陸海空どうであるかという御質問でございます。これは先ほど長官からもお話がありましたように、防衛力というものも相対的な問題でございますので、要するに相手の攻撃の威力、その脅威、あるいは現実における直接侵略の様相というものがどういうふうになってくるか、またその規模はどうであるかということによりまして、それに対してわが国が陸海空の防衛力を駆使いたしましていかに侵略を防衛できるかということになるわけでございまして、非常にむずかしいわけでございます。ことに旧軍の兵力との比較という問題、これも御承知のとおりに今日の、たとえば陸上自衛隊の一個師団と旧軍の一個師団の装備力あるいは戦力というものを比較します場合に、何を基準にして比較することができるか。これはなかなかむずかしい問題でございます。例を師団の比較ということにとりました場合に、たとえば輸送の面におきましては、昔は主として輸送は人が徒歩で歩いたり、あるいは馬で運んだり、車もございましたけれども、これはごくわずかな数でございましたし、それに対して今日は師団の機動力、輸送力というものが非常に大きいのでございます。また火力におきましても、一分ごとに発射いたしますところのたまの火力というものを比較しました場合に、これもなかなか大砲から小銃に至りますそういう火力の量を比較するということが容易でございませんけれども一般的には旧師団の数倍の火力を今日の師団は持っておるのじゃないかということがいわれておるわけでございます。また、それ以外に、たとえば情報通信能力というものは、これはとても比較にならないほど今日の師団の力というものが大きいわけでございまして、そういう意味で旧師団と今日の陸上自衛隊の師団というものの戦力の比較ということになりますと、これはある人は数倍という人もありますし、ある人は十倍という人もありますし、いろいろ基準の取り方によって違いますけれども、相当な威力を持っておる。今日の各自衛隊の相対的なそういう自衛力につきましては、陸上自衛隊は基幹部隊といたしまして十三個師団を展開いたしておるわけでございまして、もし敵国が直接わが国に侵略をしてくるということを考えました場合には、やはり先ほどの敵国の兵力の規模、様相等によりまして一がいには申し上げられませんけれども、これに対しましてある程度の対処する力は持っておるというふうに考えられます。ただ、具体的なそういう様相によりまして違いますので、その辺は明確には答えられませんけれども、ある程度の兵力、戦力は持っておるというふうに考えます。  海上自衛隊につきましても、これもただいまの様相のように変わってまいります。一応わが国の周辺に対する防衛能力、また大規模な船団攻撃がありました場合に、それに対する防衛能力はどうであるかということにつきましても、これも一応現在の在来兵器によりますところの、局地戦以下の様相というものに対処するための整備をやっているわけでございます。まだ、これが必ずしも十分であるということは言えませんけれども、一応の防衛力というものは持っておる。  航空自衛隊につきましては、F104を中心としますところの有人機、さらにまたミサイル部隊等によりまして、一応わが国の全般防空というものに対処するということでまいっておりますが、これも先ほど申しましたように、一に相手の侵略の様相なり規模というものによる相対的な関係でございますので、それが現実にどうなるか、あるいはどれだけの力を発揮できるかということは必ずしもここで明確な形において申し上げるというわけにはまいりません。非常にばく然たることでございますけれども、とにかく在来型の兵器によりますところの局地戦以下の侵略に対処する能力というものを持つために防衛力の整備をやっております。今後もさらにそれの内容の充実をはかっていくということでいきたい、かように考えておるわけでございます。
  79. 國井眞

    ○國井政府委員 研究開発についての御質問がございましたので申し上げたいと思いますが、研究開発につきましては、限られた予算の範囲内でなるべく効率的、重点的な研究をいたしたいということで私ども研究項目を選んでおります。が、現在やっておりますものは、誘導武器関係では赤外線等によるAAM、それから三〇型ロケットと呼んでおりますロケットの開発をいたしております。その他、すでに開発を終わりましたものでは、対戦車誘導弾等が開発を終わっております。そのほかに航空機関係といたしましては、対潜飛行艇の試作、あるいは対潜哨戒機の改造というような研究をいたしております。それから、そのほかに船舶関係と申しますか、水中兵器として考えられますものは、音響探知機に関する研究、その他陸上の車両関係の試作、研究というようなことを現在やっておるわけでございまして、できるだけ重点的な研究項目にしぼって研究をいたしておる、かように考えております。
  80. 只松祐治

    ○只松分科員 いまお答えになったようなことは、答弁じゃなくて、そこいらのお話、町の茶飲み話でございまして、その程度のことはそこいらの雑誌にもたくさん出ておりますし、私たちがやっておる軍事問題研究会にも逐次出しておりまして、全部出ておる。およそ国会答弁なんというものじゃないですよ。いまみたいな、現在のわが国の防衛力、それの基幹をなす陸海空三軍の配備状況、あるいは装備状況、あるいは新たなそのものに対する軍事面の開発状況などというものは、それをそのまま、たとえば力による平和を説いておられる皆さん方が、国民にこういうことをやっているから信頼せよ、こうおっしゃっても、国民がそんなことを聞いて、小学校の一年生だって、あなたたちのむすこだって信頼しますか。冗談じゃないですよ。だから、そんな程度なら私は聞かなくったって、私のほうが教えたっていいんですよ。私の部屋に来なさいよ、幾らだって教えてやるから。そういうことを考えず、もう少しまじめな答弁をしなさい。ただ、私は時間がございませんし、そんなことをやり合ったところでしようがないから……。あんまり国会を侮辱するな。だから、あなたたちが官服のほうからなめられたりなんかするわけですよ。もう少し自信を持った答弁なり行動をちゃんとしなさいよ。そのことを強く希望して私はこれ以上言うことはやめます。  それから時間がございませんから、最後に自衛隊の海外派遣について、とかく今日的な問題として話題になっております。これもまあ外相と防衛庁のほうと食い違いを来たしておるかのような印象を受けている。これも、あるいは両方のPR合戦かとも思われる節があるわけです。具体的に、現在直ちにないとしても、いかなる状態のときにこの自衛隊の派遣を必要とするか、あるいは現憲法のたてまえ上、社会党が言うように、絶対にそういうことは現在の自衛隊としては憲法及び自衛隊法のたてまえ上ないのだ、こういうふうにお考えになるか、お聞かせいただきたい。
  81. 松野頼三

    ○松野国務大臣 憲法条項につきましては、これは法制局の長官のほうの権限でありますので、私は意見を差し控えますが、海外派兵ということを今日の防衛庁で考えておるようなことはございません。また、自衛隊法にも海外派兵ということが容認されるような字句というのは端的には見当たらないのじゃないかと私は思います。
  82. 只松祐治

    ○只松分科員 海外派兵にもいろいろな段階があって、軍の派兵、あるいは派遣軍、あるいは国連監視下の警察軍、あるいはそういうことをずっと下がりまして監視隊、あるいは調査を主とするもの、いろいろあると思いますが、そういういかなるものにも、いわゆる自衛隊の人をそういう軍隊、いわば直接戦闘目的として軍隊を派遣するということは、いまおっしゃったようにない、その他のそういういかなる——少し前にベトナムに見学に行っておるというようなことがあって、おやめになったとかならないとかいう問題があったと思いますけれども、そういういわば個人的に類するものでも、そういうものはとにかく一切ない、あるいは国連のもとにおける監視隊のようなものでも、自衛隊としてはあり得ない、こういうふうに断言なさるかどうか、重ねてお尋ねいたします。
  83. 松野頼三

    ○松野国務大臣 いろいろ御質問が広範囲で、一つ一つの中にずいぶんまだ問題が多いかと思いますが、要するに海外派兵というものはいかなる形であろうと、しないということであります。
  84. 只松祐治

    ○只松分科員 まあ広範囲だからお答えにくいと言うが、軍隊としての派遣はあり得ないということは私は理解しました。しかし、軍隊ではない、そういう国連監視隊とか、あるいは調査隊とか、そういうものを含んで、ない、こういうふうに海外派兵というものを広義に解釈して、私たちからいえば厳密に解釈して、そういうこともあり得ない、こういうふうにお答えになりますかということです。
  85. 松野頼三

    ○松野国務大臣 国連監視隊というのがいかなるものか、国連監視隊がどんなときにできるのかということは、これは予想しがたいことであります。いままでにはありました。いままでにはございましたが、いままでのものは全部処理済みでございます。ということは、派遣をしておりません。
  86. 只松祐治

    ○只松分科員 今後そういうものを………。
  87. 松野頼三

    ○松野国務大臣 今後海外派兵ということは、私は考えておりません。
  88. 只松祐治

    ○只松分科員 まあ私が言いました、私ら社会党が言っておるいかなる広義の意味からもないものだ、こういうふうに私は解釈をいたします。  いろいろ質問をしようと思ったのですが、どうも肝心の軍事力、装備力の問題でまともな答弁がありませんでしたので、時間もございませんので、ひとつあとで、もし何なら資料としてでもそういうものをお出しいただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  89. 愛知揆一

    愛知主査 次に、石野久男君。
  90. 石野久男

    石野分科員 質問に入ります前に、ただいま防衛の問題で、長官が、日本の自衛隊は正当防衛権で動くのだ、こういうふうに言いました。正当防衛権を発動させる状況というのは周囲の事情による、周囲にまだ、いまアジアには核の装備された国はあまりないから、そういうことも問題ないのだ、こう言っておりました。その正当防衛権というのは周囲の事情によるということは、周囲が全部核装備した場合にはやはり日本もまた核装備をする、こういうふうに受け取ってよろしいのですね。
  91. 松野頼三

    ○松野国務大臣 その限界は非常にむずかしいことで、正当防衛権に必要なもの、必要な装備というのは正当防衛権の範囲だと私は考えます。正当防衛権の発動できないものは、正当防衛権のものではないと私は思います。まだ世界じゅう核装備ができたとは私は思いません。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕 したがって、核問題というのは、日本で議論するという必要はまだいまはないと私は思っております。
  92. 石野久男

    石野分科員 先ほどから、只松君あるいは同僚議員がいろいろと聞いておるのは、日本の自衛隊が核装備をみずからするか、あるいはまた他国の、いわゆるアメリカのかさに入るかというようなことで質問をしているわけです。長官は正当防衛権で動くのだから、周囲の事情がいろいろ出てくればそのときは考えなければならぬということを先ほど御発言になったわけです。だから、それをそのまま聞けば、周囲に核装備の体制ができれば、日本の自衛隊の正当防衛権というものは当然核装備を持たなければならぬ、こういうふうに受け取れるわけです。そういうような発意で発言されたのかどうか、それを私は聞いておるわけです。
  93. 松野頼三

    ○松野国務大臣 周囲全部が核装備するという状況が、じゃあるかないかということが前提でないとお答えができない。あるかないかというと、まだそういう状況はない。したがって、日本の正当防衛権は核装備の必要はない。ともかく、あるであろうという意味じゃなく、あるかないかという前提の問題が議論されませんと、正当防衛権の発動の限界が出てこないと私は思います。私はないと思います。
  94. 石野久男

    石野分科員 あるかないかというその前提があるからということで逃げようとしておる。しかし現実に問題なのは、やはり核拡散防止ということが世界的な問題になり、その核拡散防止をするために一九六一二年に部分核停ができた。その部分核停ができた段階では、フランスがこれに反対した、中国もこれには賛成しなかった、こういう事情で世界的な核拡散防止に対する条約、協定というものがなかなか困難になってきておるし、最近では特に非保有国の諸国からもいろいろな問題があり、それが順調にいってないのが実情だと思います。アジアにおけるところの情勢は、すでにアメリカが非常に神経質的にこれを見ておると私は思うのです。それで防衛庁は、というよりもむしろ長官は、先ほどから日本の自衛力というものはその正当防衛権に基づいておるのだと言う。日本の憲法は、その正当防衛権というものをどういうような範囲の中で考えておるかということが一つあると思うのです。特に第二次世界戦争のときに、広島や長崎のああいう原爆の実態があってから、国民はすべて核禁止ということで動いております。どんな場合にでもこれは核禁止の立場で動こうという行動をしているわけです。政府もそうだと私は思うのです。そういうことであり、それと同時にまた憲法はそういう意味を受けて、第九条で戦争放棄ということがなされておる。日本の自衛隊が正当防衛権に基づいて装備をする場合の範囲というのは、おのずからそこには出ておると思うのですが、その点、大臣はどういうように考えておりますか。
  95. 松野頼三

    ○松野国務大臣 憲法における正当防衛権、それを受けて自衛隊法、それを受けて各種法律ができております。したがって、正当防衛権というものがどの程度かということは、自衛隊法や国会においての議論、国民の常識と観念、日本の財政力というもので、私は限界が、おのずからブレーキがかかっておると思う。それで核を持つか持たぬかということは、第一に、正当防衛権ということにはあるいは当てはまるかもしれませんが、日本の今日の国情、また国民の感情、被爆国という日本の特殊なあり方からいうと、そこでブレーキがかけられ、チェックされ、持たないということになると私は思います。世界じゅう核を持とうというときに、おまえは何で正当防衛するのか、日本の国民感情と世界情勢とどう合わせるかということは、その次の段階で、おのずから議会においても、あるいは法律においても、これは国民立場から議論が出ると思います。いまの場合、まだ核をアジア全部が持つという状況にはないのですから、日本も持つという状況にはない。私はいつもその前提で議論しても差しつかえないんじゃないかと思う。これは現実から言うと、私はまだないと思う。また、世界中が核を持つということを促進している国は、必ずしも世界にはない。みな非保有国、あるいは拡散防止、あらゆる面で核のチェックのほうに今日動いている。それならば日本の正当防衛権の発動も核を排除する方向で、その限界で私は十分だと思います。
  96. 石野久男

    石野分科員 いま防衛庁長官は、前提としてそういう条件がないと言う。ところが、あなたが一緒に住んでおる佐藤内閣という家の中では、椎名外務大臣は、その必要があるからアメリカの核のかさに入るんだと、こう言っている。これはどういうことなんです。それをどういうふうに大臣は考えますか。
  97. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ただいまのは日本の自衛隊が核装備をするかしないかということで、私はいまその必要はない、また今日考える必要もないんじゃないか、十分正当防衛権の発動はできる、こう言っている。ただここで問題になるのは、核の攻撃に対してどうするか。日本にはない。その議論が私は問題だと思うのです。そこで、その前提は核の攻撃ということがあるという前提のもとに、この正当防衛の問題が議論されなければならない。外務大臣は外交的な立場から、お話をどうされたか知りません。私たちはあくまで正当防衛権なんですから、ないのにそれを装備するということは、これは必要ない。必要なら、これに対応する正当防衛を考えなければならない。そこに私は議論が出てくると思う。まだ今日は、核の脅威を日本は直ちに受けておるという感じも持っておりませんし、また核を持たなければ正当防衛権はゼロだとは思っていない。核なしで十分正当防衛権は発動できると私は思っております。
  98. 石野久男

    石野分科員 大臣は、いまそう言うけれども、椎名外務大臣は、外交的にそう言ったんだろう、こういうお話ですね。外交的な問題と自衛隊の装備の問題、あるいは攻撃があるかどうかという問題との関連は、国防の上ではどういうふうに関連するのですか。
  99. 松野頼三

    ○松野国務大臣 外務大臣は、外交的観点という意味じゃなしに、要するに安保条約というものの解釈をされたと私は思うのです。条約解釈から議論が出たと思うのです。国防の脅威という観点からの私の話とは−外務大臣は安保条約という話からされたと思います。どっちでも私は矛盾していないと思います。どちらでも矛盾していません。ただ私は、自衛隊の装備の問題、自衛隊の部隊の行動の問題から議論をしている。しかし、どちらも国を思うということで、同じものを考えているのですから、どちらも矛盾はないと私は思います。
  100. 石野久男

    石野分科員 椎名外務大臣は、安保条約の条約上の解釈からそういう発言をなされたと思う。——自衛隊は、安保条約の条約上の解釈からは、全然無関係で行動し得るようになっているのですか。
  101. 松野頼三

    ○松野国務大臣 安保条約は、御承知のように軍事だけの条約ではございません。経済的な問題、いろいろな問題がございます。その中の軍事面が防衛庁における関連がある。これは十分ある。しかし、安保条約が全部防衛庁のものだというわけではございません。
  102. 石野久男

    石野分科員 条約の中には多岐にわたっていることくらい、だれだってわかっている。それをばらばらにしてしまったのでは、条約の値打ちはなくなるはずだ。だから、椎名外務大臣が、条約上の解釈でそう言ったとするならば、当然やはり自衛隊自身にも関係があるわけですよ。無関係であるはずがない。だから、長官に聞きたいことは、外務大臣が言ったことばと自衛隊とは、全然無関係であり得るのか。佐藤内閣というものは、そういう形で外交と国防の問題との関連性をうまくつじつまを合わせることができるような器用な内閣なのかどうか、これを私は聞いている。
  103. 松野頼三

    ○松野国務大臣 国の守りという意味からは関連はあります。自衛隊の今日の行動の範囲の中にはそれはない。国防というものにはそれは関連はございます。そこで、私の議論は自衛隊法、自衛隊という見解からお話をしておるので、国の国防というのは、これは全部各国務大臣、国民全部、議員全部の問題であります。私の所管は小さなものであります。国防という意味からいえば、それはみな関連のあることであります。そこで見方が違う。私の場合は小さく見える。片一方は山の頂上から見る。そこに見方の相違が出ているが、現物、現実に同じ観点から見ていると私は思う。
  104. 石野久男

    石野分科員 そうすれば、こういうふうに解釈してよろしいですか。あなたの所管部門は部分的なものだ。外務大臣はまた違った面で見ている。しかし、一つの内閣、この佐藤内閣は国の内閣で、だからここで言ったことはみな関連がある。だから、それとは無関係でないということが出たわけです。したがって、日本の国防上の諸問題が、アメリカの核のかさの中に入るんだという外務大臣の発言は、同時に自衛隊の長官としてもまたそれを受けて立たなければならない、こういうことになると私は思うのです。そういうふうに長官は理解していると、こういうふうに解釈してよろしゅうございますか。
  105. 松野頼三

    ○松野国務大臣 核のかさ議論が最近急に出まして、先般も予算委員会で、核のかさとは社会党はこう考えると言われました。その社会党の代表が言っている核のかさと、外務大臣が言っている核のかさとは、だいぶ軸が違っているのです。軸というと、かさの柱です。柱の置き場が違っている。ですから、どっちのかさか。かさだけで議論をすると誤解を招く。したがって、その意味で、私は核ということばはなるべく避けている。日本の防衛、日本の国全体の問題としては、条約というのは防衛庁もその中に含まれている。ただ私が今日答えているのは、防衛庁だけの答えを私はいたしておる。核戦略、核戦術の中に合同演習をしたり共同作戦をしたりというようなことはしていない。まあ守りを小さくして、自衛隊は内野をやっと守っている力しかありません。とても外野まではまだそろっていない。それで第三次防で外野まで守れるように御協力願いたいのです。その意味では、確かに日本はまだ完全な防衛力まで成長していないと私は考えます。
  106. 石野久男

    石野分科員 日米安保条約の中で、日本の自衛隊がアメリカに協力するということになれば、内野を守っておろうが外野を守っておろうが、それは一つのチームワークをとらなければいけない。勝負で勝とうとしたら、インニングをうまく自分のものにしようとしたら、どうしたって外野も内野も一つにならなければいけない。だから、いま私は自衛隊というワクの中での小さい場所の行動を言っているのです。外務大臣の言っているのとは、一つの家の中ということでは関係があるけれども、それは行動の中では関係がありません。こういう言い方は、これは子供だましですよ。一つ事が起きたときに、私は内野ですから、外野のほうには球はやりませんということでは、どうにもならないでしょう。外野からも内野に球が来るのです。そうしなければ走者を殺すことができないじゃないですか。だから、いまおっしゃるようなことは一つの逃げ口上だと思います。私は、防衛庁長官が、外務大臣の言っているアメリカの核のかさに入るんだということとは全然無関係で、ノータッチだというふうな解釈をしておるとするならば、内閣の解釈のしかたには疑義を持ちます。これは、総理大臣に来てもらってはっきりしてもらわなければいかぬ。これはただ言いのがれをしてもらっては困るのですよ。外務大臣が言っていることが、間違いなら間違いだと言ってくださいよ。外務大臣の言っていることが、それでいいというなら、やはり自衛隊だって、それの解釈の中で関係を持たなければいけないじゃないかと思います。そこをはっきりしてくださいよ。もう理屈はいいですよ。核のかさとか、軸はどうなっているとか、どこに軸を置くかなんということ、そんなことを聞いているのじゃないんですから。問題は、外務大臣が言っていることが間違っているのかどうなのか、それは不当なのか、それでいいのか、そこだけを聞けばいい。私はまだほかにたくさん質問があるので、これは前の関連でちょっと聞いているのだから、そこだけはっきりしてくださ  い。
  107. 松野頼三

    ○松野国務大臣 先ほど申しましたように、安保条約、これはもちろん自衛隊も完全にその中に関連の部門は含まれております。その安保条約の解釈は、外務大臣がおやりになる。それなら私は外務大臣の答弁は間違っていないと思います。私はそういう言い方をしたわけで、防衛庁長官に外務大臣のかさはどうだと言われたって、私はかさの話を聞いたことがないのですから、これは答えられない。あなたの質問と私の表現が違ったのは、ことばが基本的に、私の知らないことばを石野さんが使われるから私が答えにくいのです。私の知っていることばで質問していただけば答えます。かさということばは、ほんとうにこれは番がさか洋がさか私は知りませんけれども、かさ議論はあぶない。かさ議論は一般に、通俗的に受けます。受けますが真剣にお互いにやりとりするときには、かさは何かという議論からしていかなければ、この議論は非常に大きな差を生じる。その意味で、私はかさということばを使ったことがないものでございますから、そこを私の知っていることばで御質問願えれば、知っていることばでお答えいたします。
  108. 石野久男

    石野分科員 大臣は、私はかさが洋がさであるか、番がさであるかわからない。もちろん条約上の解釈で外務大臣が解釈したのだから、それはいいと思います。だから私は、かさは洋がさだか番がさだかわからぬけれども、外務大臣が外国との間で話し合いをして持ってきたかさなんだから、持ってくれば入りますよということなんだ。私はそういうふうに解釈します。そして、もし間違っているのならはっきりしておいてください。私は三十分しか与えられていないのだから、その問題の意見だけ聞いておきたい。
  109. 松野頼三

    ○松野国務大臣 私は、外務大臣の安保条約の解釈についての意見が正しいと思っております。いまの外務大臣の条約解釈というものが政府の条約解釈である。私はこういう意味で言ったのです。
  110. 石野久男

    石野分科員 この問題はあとで論議することになると思いますが、問題はそういうふうに、内野しか守っていないので、外野が守れないので第三次防をやっているのだ、それに協力してくれ、こういうようないまの御発言でした。第三次防というものは、大臣がすでに構想を発表しておるところによると、五カ年で約三兆円、ことしは一年のブランクを埋めて、本年末からやるのだということを聞いております。三兆円、これだけの予算を使って装備するということになりますると、この装備は非常に多岐にわたると思うのです。私はその装備の一々がどういうものであるかということはお聞きしませんが、それだけの装備をするにあたって、日本の国内産業はどの程度にそれを受け持っていけるような計画をしておるのか、そういう点での構想を聞かせてもらいたい。
  111. 松野頼三

    ○松野国務大臣 三兆円という数字は、だいぶ変動があると私は予想します。それでは、どの程度受け持つか、今日の自衛隊の装備の中で、国内に発注するものが約八割、したがって、今後国産化というものは重要なことでありますから、国産化は今日八割ですから八割以上にこれは上げていきたいと思います。ただ八割といいましても、全部が国産調達ではない。中には多少部分品が、外国のものがありましょうから、大体これを差し引きますと七〇%程度くらいは純国産である。あとの一〇%は部分品などの輸入、あとの二〇%は外国調達である。いま、こういう姿ですが、これよりも国産化を促進しますから、この比率はだいぶ上昇するであろうと私は予想します。
  112. 石野久男

    石野分科員 そうしますと、国内受注の大体七割ないし八割というものの中には、航空機とかなんとか全部日本で生産する、こういう意味でございますか。
  113. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ただいまつくっておる航空機は、国産の中に入っております。その中の一部、一〇%くらいは輸入部品が多少入っておる。それが一〇%の範囲内、七割の中には国産の飛行機が入っております。
  114. 石野久男

    石野分科員 防衛庁の国防ということに対するものの考え方、特に私は先般ある放送討論会に出てみました。そこに防衛庁の方が相当たくさん来ておられた。その防衛庁の方々の発言によると、国防の意識というものは、とにかく外敵に対して猛然と振りかかっていかなければならない。見渡す限りみな敵国だというような、こういう形の発言ですよ。いま防衛大学で、防衛庁の学生に対して国防意識をどういうふうに教育しておるのか、憲法との関係ではどういうふうに教育をしておるのか、こういう点でひとつ大臣の指導方針を聞いておきたいと思います。
  115. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛大学の基本は、理科系であります。世界じゅう防衛というものの意識は別として、技術的なものは、理科系のものでなければ防衛指導者というものにはなれません。ほとんどの、約八〇%以上は、理科大学の系統と同じものを、同じ教授で教えておる。その他、もちろんその中には法律が入ります。法律の中に憲法もあります。憲法という科目は、日本の理科系の学校では、特殊科目としてはおそらくあげておりません。一般の社会、法律の中に憲法があり、法律を入れておる。したがって、一般の理科系の大学の修学科目をごらんいただくと、ほとんど防衛大学の修学に似ておる。もちろん防衛大学ですから、国防という時間がないとは言いません。しかし、それがほとんどを占めるということはありません。  今日防衛大学は、文部省の理科系の学校の必修科目、それがほとんどを占めております。
  116. 石野久男

    石野分科員 与えられた時間がなくなりましたから、その問題について、私ひとつだけ希望を申し上げておきたいのです。  防衛庁の学生諸君の発言なんか聞いておりますると、特にアジアにおいては、中共はもう完全な敵国だ、こういうものの考え方の発言、発想が非常に強い。で、どういうような教育をしておるのかということを私は疑問に思いました。これはあとでまた大臣から、どういうような教育のしかたをしておるのかということをお聞きしていきたいと思います。  それから、本年度の予算をずっと見ますると、特に施設運営等関連費が非常に増額されておるわけです。防衛庁関係だけ。ほかにもあると思いますが、防衛庁だけで出しておる予算は三千四百六億円、昨年度に比較して約一一・五%くらいの増でございますが、施設運営関係というのは大体一七%に及んでおります。この施設運営の経費がなぜこういうように多くなるのかということが一つと、それから、この中には主として合衆国軍等の駐留に関連して必要な関係のものがあり、あるいはそれに関連する付近地等の安全装置だとか、あるいは防音装置だとか、こういう問題があるわけです。この項目に非常に大きい額がふえておる。この中にはたぶんにこういう経費を使いながら、自衛隊が日本の再軍備の思想を吹き込むようなものに関連させながらやっておるのではないかという疑念を持たざるを得ない。たとえば飛行場などにおける騒音防止、こういうことになると、当然一番まつ先にくるのが小学校とか中学校なんかの防音装置費です。そういうところへ経費を入れていけば、その市町村の方々は、いや、防衛庁のおかげで学校がきれいになりましたと、こうくる。それをまた巧みに利用しながら再軍備の思想がどんどん入り、国防の意識を−軍事的な国防ですね。私はいま国防というのは、ただ軍事だけでやっていける時期ではないと思っております。その論争は別にしていきますが、とにかくそういう形で、学校教育、子供たちの教育をこういうような経費を使ってやっておるように見受けられる。しかも、こういう経費の使い方なんかを見ると、非常にその経費の使い方がずさんです。私は茨城です。茨城には、御承知のように前渡飛行場がある。あそこには前渡飛行場に関連して防音装置の補助費がたくさん出ております。あるいはまた採草地に対しても、やはり補償などが出たりしております。この防音装置に対する経費の使い方、あるいは採草地に対して補助金を出しているというような、こういうような金の使い方等について、やはりほとんど地方自治体の長が巧みにそれを利用し、あるいはまたそれをテコとして自分たちのいろいろな勢力範囲を広げたり、あるいは行政をやったりしておる。たとえば前渡飛行場の採草地の問題については、ここでは昭和三十年以来あなた方が出したところの採草費が、七年間農民に渡らないでとめられておって、ようやく去年の暮れにこれが個人配分されている、こういう事情も一つあります。  また、最近では非常に大きな問題になって、もう訴訟事件にまでなってきている問題として、勝田の中根小学校の防音工事契約についての事件がありました。これなどはもうひどいです。入札をして入札の最低値が三千六百万円であった。それを価格決定するについては四千百四十万円の価格に引き上げて決定しているのです。こういうようなものの使い方をしておったら、幾ら増額しても、内容的には非常におかしなものになってくるし、悪害を残します。私は、いま勝田で出ておるところのこの問題は、すでに市会ではもう訴訟まで起こして、これを提訴しておるところまできておるのです。こういう問題については、その管理というものが非常にずさんじゃないだろうか。防衛庁はこういうことを知っているのかどうか。そうしてまた、こういうことがもしわかっているとするならば、こういう処理はどういうふうにしようとしていますか。たとえば最低値を三千六百万円で入れた請負工事人と市長とが一緒になって、四千百四十万というような膨大なものに上げて、それをあなた方は何も知らずに、その金を渡してしまっている。その工事ができて、それがあとになってわかっている。こういうようなものに対してどういうような処置をなさるのか。これは私のところの事例なんですけれども、全国にはそういうふうなのがたくさんあるだろうと思うのですが、こういうことを起こしちゃいけないと思いますから、まず大臣から、先ほどお聞きしました問題に一ついて御答弁をいただきたい。
  117. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛大学では、国際情勢については当然講義をいたしております。学生自身がどういう判断をするか、これは学生の今日の思想、あるいは考えできまると私は思います。  なお、基地問題については、これは防衛庁が宣伝費に便っているということはございません。これは要求と希望に応じて私のほうはやっているのです。要求と希望がないところに、私のほうがこの基地交付金とか、基地に対する補助金というものをやったことはありません。どっちかというと要求が多くて、希望が多くて、私のほうは分ける予算が少なくて今日困っているわけであります。たまたま勝田の問題は、これはすべてが市町村における−私のほうは補助費であります。高率補助になっております。したがって市町村で計画を立てられ、市町村の計画を認めて、それに補助金をやった。それがたまたま入札業者は、もちろん市町村でおやりになっているのですから、防衛庁が知っておるわけはありません。入札金額において四千百万という一つの基準を設けられた。ところが三千六百万で落札した、事業ができた、当然この差額は返納していただかなきゃなりません。したがって、その請負業者から市町村が返納を受けまして、その返納を防衛庁は受けるようにしております。これは市においても特別委員会が設定されて、もうすでに特別委員会からの結論も出ているようであります。市当局からも、自分のほうの計算の違いであるということを認められて、防衛庁は、返納していただくように処理するつもりでおります。もちろん、こういう事例が多々あるわけじゃありません。たまたまこういう事例が出ましたが、私どもいろいろ申しますけれども、何といってもその市町村の申請というものを信頼してやっておりますし、その請負まで防衛庁が関与すべきものではない。高率の補助の形で今日やっております。
  118. 石野久男

    石野分科員 それに関連して、私はそういうふうに大臣が言うように、市当局に迷惑をかけるようなことをしちゃいけないと思うのです。しかし、ただこの問題についてはすでに告発もされておりまして、この告発は、特にこの不正談合とか、あるいは背任というような問題での告発をしております。したがってこういうような事件がすでに告発されているということは、当然法務省でもよくわかっているだろうと思います。それをどういうふうに処置なさるか、あるいはまた、こういうような場合に自治省としては、それに関連するやはり主張なりなんなりあるわけですから、そういう諸君に対してはどういうようななにをされておるのか、ここらのところをひとつ聞かしておいていただきたい。
  119. 津田實

    ○津田政府委員 ただいまお尋ねの件は、勝田市議会議員の打越博外八名が同市長を告発した事実にかかるものと思われます。この事件は、ただいまお話しのとおり、告発は昭和四十年十二月二十五日と四十一年一月二十七日の二回になされております。告発の内容は、最低入札価格三千六百万円で入札をいたしました横須賀建設株式会社というのに対しまして、これを市役所に呼び出しまして、四千万円で工事を引き受けるように命じて、結局四千百四十万円で入札をした。こういう事件のようでありまして、これは入札公正妨害、あるいは背任という二つの罪名で告発をされております。ただいま水戸地方検察庁におきまして捜査中でありますが、すでに数名の者を取り調べております。したがいまして、事実がはっきりいたしました場合に、これが入札妨害事件になるか、あるいは背任そのものになるか、あるいはその他の罪名のものになるかという問題がありますが、まだ事実そのものもはっきり認定されておりませんし、したがいまして、どういうような罪責があるかという点については、まだこの席では申し上げかねるわけでありますが、引き続き関係者を取り調べて、早急に結論を出す予定になっております。
  120. 佐久間彊

    ○佐久間政府委員 ただいまの問題につきましては、自治省には、二月の下旬に県から地方自治法の解釈問題につきまして問い合わせがございました。その内容は、ただいま御指摘になりました入札手続につきまして違法があるかどうかという点でございます。いろいろ事情を聞いてみますと、三千六百万で受けたものを四千百万に書きかえておるというような事実もあるようでございまして、私どもといたしましては、これは違法な手続による契約であるから、契約が無効だという判断を県のほうに申したのでございます。  なお、この市町村の行政上の指導につきましては、府県庁が第一次的に責任を持っておりまするので、勝田市につきましては、なおこの件で監査請求も出ておるようでございまするが、それらの問題につきましては、県のほうでしかるべく指導をお願いをいたしておる次第でございます。
  121. 石野久男

    石野分科員 私は大臣に、これはもうほんとうに要望しておかなくちゃいけないと思いますが、本年度予算の中でも、ほんとうにこの施設運営等関係費というやつは一番高率な増額をしているわけです。おそらくこれからあと防衛庁の経費がかさまっていけばいくほど、こういう率でいきますと、こういう部門への金が相当出ると思うので、これは決算委員会等でもっときびしく締めつけなければならぬ問題だと思いますが、かりに補助金といえども、こういうルーズなやり方は私はいけないと思います。国民の膏血を、こういうむだづかいさせ、それらを通じて、大臣はこれで教育するとかなんとか言っておりませんけれども、事実防衛庁のおかげさまでこういうふうにきれいになりましたとみんな言っているわけだから、たくみにそういうことを利用しながら再軍備の方向に、憲法とは全然違った方向にどんどん子供の教育をしていくということに使われるということはよくないと思うのです。その背後には、背任とかなんとかいろいろの不正が出てくるということは、なおさらいけないと思うので、現にそういう点についての管理、監督というものをやってもらうことを私は要望しておきます。
  122. 登坂重次郎

    ○登坂主査代理 永末英一君。
  123. 永末英一

    永末分科員 政府はただいま三次防の作成をやっている最中だと承っております。三次防の基本的性格につきましては、わが民社党の考えることを過般の予算委員会で申し上げました。本日はこの内容に触れて、わが民社党が防衛問題に対して考えている基本的な見解を明らかにしつつ、政府の所信を伺いたいと思います。したがって、政府は簡単明瞭にお答えを願いたい。  第一は、過般の予算委員会で、長官は、いわゆる経済の中期計画は廃止されている現在、この日本経済全体の見通しがはっきりしておらぬ段階で、三次防の全体の財政ワクというものがどうなるかはわからぬ、こういう御答弁をされました。そこで長官は、日本経済の見通しが、政府の有権的な一つの規定があるまでは、すなわち担当省は経企庁でありますから、経企庁からそういう計画がきまるまでは三次防の計画ができない、こういうお考えであるかどうか伺いたい。
  124. 松野頼三

    ○松野国務大臣 国民所得の何%という基準をもって策定するなら、政府の確定的な方向がなければできません。しかし、防衛計画は、それができない場合にはどういう計画を立てるかということは、また別な方式で考えられると私は思います。
  125. 永末英一

    永末分科員 経企庁の方に伺いますが、一応今後、三年の見通しなるものを発表されましたが、防衛計画は、伝えられるところ五年間を見通しておるわけです。したがって経企庁における作業は、その五年間を見通していつごろに一体策定が完了するかお答え願いたい。
  126. 竹内直一

    ○竹内説明員 御承知のように、中期経済計画は廃止されまして、できるだけ早い時期に新しい経済計画を策定するという方針がきまりましたので、今後の手順としまして、できるだけ早い時期に総理大臣の諮問機関である経済審議会に新しい計画の策定について諮問をいたしまして、本年の後半期までの間にその答申を得まして、それに従って新しい計画を決定したい、そういうふうに考えております。大体四十二年度から始まりまして五年くらいの期間にわたる計画、そういうことになろうかと思います。その内容については、経済審議会の答申を待って政府としてはきめることになると思います。
  127. 永末英一

    永末分科員 いま御答弁によりますと、経済審議会にかけて、本年後半ごろまでにという話ですから、五、六月ごろには間に合いませんね。
  128. 竹内直一

    ○竹内説明員 できるだけ早く仕上げるようにという要請がございますので、審議会の審議もできるだけスピードを上げていただくようにお願いすることになろうかと思います。五月というのは、少し間に合わないかと思います。
  129. 永末英一

    永末分科員 防衛庁長官、経企庁の手順はいまお聞き及びのとおり五月じゃとうてい間に合わない、こういうことでございますから、あなたのほうが五、六月ごろに三次防をおつくりになるという場合には、そういう政府の経済計画なるものが立たない先に、立たないでも立てる、こういう御方針ですか。
  130. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ちょっと私の最初の計画と少しずれたことは事実です。しかし、第二次防衛計画でも経済見通しというものが確定しないうちにきめてやったんです。それではあまりよくないから、私は経済見通しを立ててやるほうがベターだと思って今日まできましたが、情勢の変化がありますから、その情勢の変化に対応して、経済計画がかりに立たなくても、防衛計画はその範囲内で考えていかなければならないか、と今日考えております。
  131. 永末英一

    永末分科員 そういう計画になりますと、たとえば経済計画なるものが横にございますと、その中のどういう経済量を防衛計画で消費するか、こういう考え方になるわけです。そこで、過般来話が出ておりますように、国民所得の何%だとかいうようなことが一つのめどになる。しかし、それを一応離れてやるといたしますと、むしろ防衛の内容というものに重点を置いて防衛庁では防衛計画を立てられるという筋道が出てくるのではないかと私は思いますが、いかがですか。
  132. 松野頼三

    ○松野国務大臣 経済見通しの中に占める防衛費の問題というのは、全国民生産から見て一%そこそこであって、この一%の防衛によって経済計画が動揺することはありません。経済計画によって防衛計画は影響を受けるけれども、防衛計画によって経済計画が影響を受けるということは、これはちょっと少ないのではないか。したがって私のほうは、内容あるいは第二次防の関連を深めながら策定すれば、二%という目標の数字になると多少移動があるかもしれませんが、しかし一応の見通しというのは、日本の経済の見通しは全然無じゃありませんから、その有の中において一番有権的なものをつくりたいと思います。
  133. 永末英一

    永末分科員 私どもは、防衛計画というのは、基本的には一番大きな方針を立てて、これに対して国民に一体どういう犠牲を、要求しなければならないか、逆に言えば国民がどういう任務を一体負わなくてはならないか、こういうことがはっきりされる、その中で自衛隊内部の計画が立てられるべきだと考えます。その自衛隊内部の計画につきましては、第一点としましては、陸海空三自衛隊が統合された一つの計画を持つということが第一に必要であると思います。第二には、その計画は、わが国に対する脅威というものがいろいろ考えられるでしょうが、その脅威の一つ一つの態様に応じて、統合的に立てられるべきだと思います。言うならば、理想的な防衛計画というものが立てられなければならぬと考えます。さらに第三点は、いま長官は、防衛生産が国民経済に占める割合が一%程度で、あまり大したことはないという御表現でございましたが、これからの防衛力というものは、ほとんどすべてが、先ほどの長官の御言明にもございましたように、国民の生産力にかかってくるわけでございますから、その波及するところはきわめて大であり、また防衛生産の内容から申しましてもきわめて大きな意味合いを持つと思います。したがって防衛生産力というものを一体どのように位置づけるかということがこの防衛計画の中に明らかにされてこなければならぬと考えます。この三点について長官はどうお考えか、伺いたい。
  134. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛生産というものが軽微であるという意味ではありません。経済計画をきめる場合におけるウエートとしては、経済計画を変動させるような大きなものではないと申し上げておる。国民の中において防衛産業に従事するものが、ある産業においては防衛生産というのが九八%ぐらいを占めているものもあれば、〇・六%ぐらいしか占めてない業種もあります。とり方によっていろいろ議論はある。同時に、おっしゃるように、三軍が均衡と連係のとれたもの、これは御趣旨のとおりであります。いま世界じゅうで四軍に分けているところもあれば、三軍に分けているところもあれば、二軍に分けているところもあれば、一軍にしているところもあります。これはその国の事情、あるいは防衛の性質によって機動的に策定されているものだと私は思います。したがって第三次防においては、三軍を今日やっておりますので、三軍という形を堅持しながら——あるいは四軍がいいじゃないかという方もございます。別に四軍は何だといわれると、いろいろありますけれども、三軍に属せざるものとか、三軍が共有するものを一カ所に集めたほうが機動力があるじゃないかとか、いろいろこれは議論があります。その辺がいま検討しているところであります。
  135. 永末英一

    永末分科員 三軍、四軍、四軍目が内局軍だとは思いませんけれども、そういうことではないと思うのです。われわれが見ておりますと、いまあるいわゆる三自衛隊がそれぞれの計画を立てたものを集めて、予算的に配分をしているのが防衛計画であってはならぬ。もっと基本的に一つの方針があって、その方針のもとに統合すべきではないか、こういう意見を申し上げているのであります。  その場合に、いろいろ兵器生産は進んでおりますが、人間の計画は進んでおりますか。
  136. 松野頼三

    ○松野国務大臣 人間をつくることが防衛においての一番最重点であります。幸いに防衛大学の入学者の希望、最近の兵員の募集状況は、過去数年非常に下向きでしたが、おかげさまで最近は上向きになりつつあります。したがって、この上向きの傾向は三次防において有力な兵員充足の要素になると私は思います。
  137. 永末英一

    永末分科員 防衛大学だけのことを申されましたが、あとで人間のことはもう一度申し上げますが、通産省に伺いたいのであります。通産省は防衛生産というものに一体どういう指導をしておられるか。内容を申し上げますと、戦後日本の経済発展というのはいろいろの原因がございましたけれども、たとえば戦後発達したカメラにしろ、光学関係のものは、旧軍時代に海軍の測距儀をつくるというようなことが一つの刺激要素になった。あるいはまた鉄鋼にいたしましても、そういう艦艇をつくるための鉄精錬の方法や、航空機をつくるためのいろいろな精錬の方法というものが一つの刺激になった。あるいはまた戦後日本で発達しましたいろいろな小さな計器、これらも武器生産がもととなっていることは、大体みなが認めているところだと思います。したがって、いま単に長官が言われましたような、現在の生産力に占める比率よりは、いうならば日本の産業力、経済力の自今の発展のために占める割合というものは、私は相当な波及効果を持っているものだと思います。しかしながら、そのもの自体は消耗されるものでありますから、そのバランスを失するならば国民に犠牲をしいることになる。一番大きな問題は、そうやってできてくる物の購入主が防衛庁である。こういうことのために、いまの資本主義社会における私企業においては、研究、開発というものについて五分五分の確率しかない仕事に一体どれだけ先行投資ができるか、非常に悩んでおると思うわけであります。これらの点について通産省はどういう基本的な御方針をお持ちか、伺いたい。
  138. 川出千速

    ○川出政府委員 防衛産業の育成方針につきましては、これは需要が特殊なものでございまして、国防計画といいますか、防衛計画に基づく防衛庁の需要が非常に大きな部分を占めておるわけでございます。したがって、防衛産業の育成の方針は、その需要にマッチして生産ができるように指導なり、あるいは法律の運用によって許可をしておるわけでございます。  それからなお、その生産にあたりましては、なるべく国産化でやるように、これは、当初そうでないものが多かったわけでございますが、最近は国産化の率が非常に高まってきておるわけでございます。これは、極力推進するようにしております。  それからまた、需要の問題につきましては、これは間欠的に発注が行なわれますと、産業の側では非常に困るものですから、長期に安定した発注を希望しております。これは、防衛庁の需要の発注のあり方の問題にもなると思いますが、現在のところは大体そういう方向で運用されておると思います。  なお、お尋ねの技術開発の問題でございますが、これはほかの国の例を申し上げますと、国防費が非常に多いものですから、非常に先導的な技術開発ということになりますと、民間ベースだけではなかなか採算が合わないということで、非常に問題があるわけですが、国防費でまかなっている事例が各国においては多いかと存じます。そういう点につきましてはわが国のほうは非常に劣っておるという感じがいたしております。
  139. 永末英一

    永末分科員 いま通産省が明らかにしましたように、なるほど防衛庁予算には研究開発費はございますが、先ほど説明があったように、きわめて微々たるものであります。しかも、国産の趨勢をたどりましても、なおわが国ですぐには間に合わないようなものは、やはり技術導入なりしなければならない。その場合に、いろいろなロイアルティーを払わせられるわけであります。それをいまの日本の私企業にぶっかぶせますと、ここにいろいろな問題が起こってくるわけであります。西ドイツにも例がございます。そういう防衛庁が重要と認めて開発しなければならぬもの、製作しなければならぬもののロイアルティー等については、防衛庁が国費をもって購入する、こういうことをお考えになり得るかどうか、伺いたい。
  140. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛庁が要求するもののロイアルティーについては、過去においてもある程度のものは負担しております。ただその負担が完全負担じゃないという希望と要求が出ておりますが、もちろん原価計算、購入単価の中にはロイアルティーというものが入っております。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕 ただ、御承知のように、ロイアルティーの単価は、防衛庁が望む品物だけについて限定するものですから、その他のものについてのロイアルティーはあるいは業者負担というものが出ておるかもしれません。しかし、お考えのように、防衛庁が要求するものはもちろんロイアルティーも含めるべきであると私は思います。ある意味においては、政府がロイアルティーを負担してはどうだという意見もあります。それならば政府間で、友好国というか、条約国においてはお互いロイアルティーをなしにすればいいじゃないかという条約もできまして、アメリカの持っているロイアルティーは、日本には今日あの協定で無償供与を受けております。しかし、政府が持っておるロイアルティーは非常にわずかなもので、アメリカの場合においてはほとんどは民間が持っております。その意味で、やはり負担をさせられておるわけであります。
  141. 永末英一

    永末分科員 私は、これから陸海空三自衛隊につきまして、第三次防でどういう形になるかということをひとつ伺ってみたいと思います。長官は過般の予算委員会では、そういうことについてあまり言われなかったので、私の推測するところを申しますから、お答え願いたい。  まず陸について、L90というものを今年の予算でつくられます。これは対空戦闘に使われるものであります。だといたしますと、ことしは少しではございますけれども、相当程度これを装備しなければ役に立たぬ。しかも、それは陸上自衛隊が独自で対空戦闘能力を持つのだ、こういうことが前提にならなければ意味がないのでございまして、その点についてお答え願いたい。
  142. 松野頼三

    ○松野国務大臣 L90は、まだ試験開発の意味で一基だけの問題で、これを本年実際試験をいたしまして、はたして有効であるという判定がついたときにこれをきめたい。したがって、これを正式な装備品と決定するにはもう一年かかるのじゃないか。これは、御承知のごとく、今日の高射砲は、非常に古い米軍の供与品的なものが多々ありますので、これを何とか近代化したいということの一翼で、今回試験的なものであって、これはまだ装備品というわけではございません。
  143. 永末英一

    永末分科員 三〇型ロケットは日本で開発されて、ようやく装備されました。これは密集集団に対して威力を発揮するものだと私は思います。そうしますと、これまた三次防において完全に各隊に配置をするということになりますね。
  144. 松野頼三

    ○松野国務大臣 これは、国産化で、ただいま試射の段階まで実は成長しております。その結果、良好ならば、国産品でございますので、これは量産の傾向というものが相当うかがわれると私は思います。
  145. 永末英一

    永末分科員 六一型戦車、これは、二次防からすでに国内で開発きれて、少しずつためられております。しかし陸上自衛隊が戦車を装備するということについては、その作戦態様等についていろいろな検討があったと思います。この戦車を自今どんどん生産されて大いにこれを配置される、こういう御予定ですか。
  146. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 三次防の作業がまだいま検討中という段階でございますので、戦車につきましても、そういう構想につきましてまだ明確なことを申し上げる段階でございませんが、従来から御承知のとおりに、六一戦車を長期一括国産で整備してまいりました。これを三次防期間中におきましても引き続き整備してまいりたい。ただ現在持っておりますところの米軍から供与されました戦車は非常に古うございまして、三次防期間中に相当減耗いたしますので、そういう戦車のパイプラインと申しますか、それは逐次広げてまいりたい。三次防期間中ずっとそういうことで六一戦車を整備してまいりたい、そういうふうに考えております。
  147. 永末英一

    永末分科員 長官、私の伺っているポイントは、従来のアメリカからもらった戦車は、アメリカがくれたからもらったのですが、自衛隊がいよいよ三次防をやるという場合に、戦車というものはどういう効果があるか、効用があるかということはまたやられなくちゃならない問題だ、いままであったものは古いから更新するんだというのでは、私はどうもいい発想じゃないんじゃないか、こう思います。  ヘリ団をつくられる御予定で、ヘリコプターを少しずつ購入されておられる。ヘリコプターというのは、陸上自衛隊の人が乗って動くわけですね。そうしますと、そういう大量の兵員輸送というものが、陸上自衛隊の考えている一つの想定の中にあり得ると、こういうことになるわけであります。そういうヘリ団なるものをつくって大量の陸兵輸送をやろう、こういう御計画でございますか。
  148. 松野頼三

    ○松野国務大臣 そういう構想はあり得ます。
  149. 永末英一

    永末分科員 ホークは二大隊参りました。これは試験的に参ったのでございましょうが、これが陸上自衛隊の所管になって、陸上自衛隊の防空兵器の第一線に立っておる。二大隊ではどうもしようがない。どこを守るのかよくわからない。これが今後どの程度の地域をカバーしてやらねばならぬかということになりますと、相当多数のホークが必要である、こういう結論になると思いますが、長官のこの点に対する御方針を伺いたい。
  150. 松野頼三

    ○松野国務大臣 相当多数なければ日本のホーク部隊の安全はないと私思います。
  151. 永末英一

    永末分科員 先ほどの御方針で相当多数を国産する、こういう御方針でございますか。
  152. 松野頼三

    ○松野国務大臣 多数整備するということは、やはり国産ということを前提にすることのほうが私は妥当であると思います。多数で輸入ということならば、国産という問題がうとんぜられる。なるべく国産化を推進するたてまえから、多数というものは国産ということだと考えております。
  153. 永末英一

    永末分科員 その御方針はいつごろ御決定されますか。
  154. 松野頼三

    ○松野国務大臣 目下作業中ですが、第三次防をきめるときにはきまるんじゃないかと思います。
  155. 永末英一

    永末分科員 これらの兵器を使う人間の問題でございますが、現在陸上自衛隊の定員充足率は、海、空に比べて非常に悪いと思います。しかも、その悪いところが、士の階級のほうに非常に多いように私は思います。つまり実施部隊における配備状況がきわめて悪い。しかも、また去年のごときは、自衛隊に入ってきた士階級の人は一割五分程度もやめていった、こういうことを聞いております。一体どうしてこういうことが起こるのか、この原因をひとつ長官から伺いたい。
  156. 松野頼三

    ○松野国務大臣 要するに、若年の士というのが一番その除隊率が高い。おっしゃるように一割五分程度のものはあります。一番大きなものは健康の問題であります。家庭的事情の問題、本人の意向で転職を希望する問題、そういう問題が一番であって、特別に自衛隊がどうこうというのでなくて、他により以上の職業を求めるという希望によって転職をされておるわけであります。しかし、士が悪いと申しましても、応募者総数を入れますと相当な数なんです。二万四千人くらい毎年士の募集をいたします。希望者は大体三倍近く、少なくとも二倍以上参ります。五万人くらい希望者があります。その中から選んで二万数千人が毎年入る。その中で健康上の理由、家庭的の理由で一割前後の減耗、除隊者があるということを考えると、そう不健全ではなしに、健全な補充が私はできると思います。
  157. 永末英一

    永末分科員 ある連隊をとりますと、士の位の人が六割程度しかおらぬ、こういうので、編成にも非常に不便を感じておるのではないかと思うわけであります。しかし、現在の自衛隊は昔の陸軍と違って、一旦緩急あればどんどん赤紙を発行して集めていくというのではないわけであります。そうなれば、現時点においてそういう編成をしておるというのは、どうもどっちがほんとうかわからない。定員でかまえておる編成と実員で現在やっておることと、どちらが事実なのかよくわからぬ、こういうことになる。そういうことが国民にはっきりわからなければ、自衛隊の自衛能力は、先ほどばくたる答弁防衛局長が申されたが、よくわからぬということになると思います。  この際、各師団別兵員実員状況、編成状況、それに対する装備品一覧表、こういうものを御提出いただけますか、お答え願います。
  158. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 調査いたしまして提出いたします。
  159. 永末英一

    永末分科員 先ほど長官は、やめていく者は一五%くらいあるが、応募者が多い、こう言われた。今度は入隊されて除隊していく人がありますね。これは、自衛隊ができましてからでもすでに二十万以上になっているのじゃないかと私は思います。この二十万人の人が、自衛隊はちゃんといまどこにおるかということがおわかりですか。
  160. 松野頼三

    ○松野国務大臣 特に正確な名簿というものはできておりません。除隊当時、除隊者についての行く先、あるいは除隊後の方針については、それは身上調査でいたしますが、その後それを追いかけて、次々転勤のたびにどう行った、それはやっておりません。今日考えておりますのは、御承知のごとく予備員的なもの二万四千ですか、その程度のものを、私たち今回希望して三万人にしたいと思いますが、それだけであって、その後のものを転勤先まで追いかけておるということはございません。
  161. 永末英一

    永末分科員 私は陸上自衛隊の防衛能力というものを考える場合、基本は人だと思う。そうしますと、いまのような状態で除隊したときは、これがあとの転勤先までわからぬ、こういうことになりますと、その人々はもちろん志願してきたには違いございませんが、年間いままで一人当たり四十万円から八十万円に至る、これは計算方法が少ないと思うのですが、そういういわば国費を費やしつつ一応の訓練を終えた若い人たちがどこにおるかわからぬというのでは、一体国土防衛という観点から十分だと長官はお考えですか。
  162. 松野頼三

    ○松野国務大臣 基本が志願でありますから一旦緩急のときにはおそらくみずから志願して再び防衛についてもらえるだろうと私は思います。  と同時に、もう一つは隊友会、みずから希望して、その意向によって今日隊友会というものがみずから組織されている。これは、防衛庁が転勤先をとやかくさがすよりも、みずから隊友会というものができている姿をごらんになれば、友人同士みずからの職務に再び志願によってついてもらえるだろう、これは本人の国に対する愛情の問題である、無理にしても、心のないところに防衛能力は出てこないと私は思います。
  163. 永末英一

    永末分科員 心を持たすためには、やはり防衛庁長官としては努力をされなければならない。ほかの国民より以上にやはり何年間か防衛の問題について若い世代で真剣に考える時間を持った人々、これが志願だから、それはもうできないんだ、自由であるということではなく、——強制はできません。しかし、その人々がやはり絶えず連絡ができるような、もちろんこれはその人々の自発的な意思に基づいてではございますが、そういう準備は私は防衛庁としてはされるべきだと思います。  次に、時間がございませんので、海の話に移りますが、伝えられるところによりますと、三次防の中で沿岸警備軍というようなものをつくりたい、こういうことででございますが、そういう御計画ですか。
  164. 松野頼三

    ○松野国務大臣 私はまだ沿岸警備軍という話をどこでもしたことはありません。ただ、沿岸防衛ということが主ですから、総体的に言うならば、沿岸防衛というのが海上自衛隊の主任務になるとは思いますが、特にそういうような構想を言ったことはまだありません。
  165. 永末英一

    永末分科員 沿岸防衛ということになりますと、一体どういうものを防衛するかということになるわけでございますが、これは、アスロックを搭載しておる護衛艦を中心にしてつくろう、こういうことが伝えられております。アスロック艦はすでに一隻できました。アスロックというのは、これは対潜兵器でございますが、アメリカではもっぱら核弾頭を装置して使っておると思います。わが国の海上自衛隊は核弾頭は使いませんか。
  166. 松野頼三

    ○松野国務大臣 アメリカで使っておりますのは、性能と基本のすべてが違っております。日本の場合のものが転用されるようなものは、基本的に全部違っております。
  167. 永末英一

    永末分科員 ターター艦が一隻できております。これは、海上自衛隊の船が独力で対空戦闘をやるという意思をはっきりさせたものだと私どもは思います。ただし、これはまだ一ぱいでございますから、一体海上自衛隊は独力で自分の船、あるいは自分が護衛する船団は独力で空からの脅威は排除する、こういうかまえで計画をされますか。
  168. 松野頼三

    ○松野国務大臣 これは、戦略戦術の基本的な考えですが、今日の場合は対潜ということに焦点を置いております。と申しますのは、海戦という軍艦同士あるいは艦隊同士の戦いは、今日の自衛隊の状況としては考えておりません。主として日本の国土、国内、領空を守るという沿岸的なものなので、対潜ということに焦点を置いております。しかし、それだけでは完全でありませんので、先般ターター艦というものを試験的につくった。これがある意味においては国土に対する対空防御ということになります。みずからの船を守るのみならず、日本の国土を洋上において防衛するという任務にも当てはまりますので、今後はそのような方向でいきたい。今日は船がみずからを守る防衛ということよりも、国を守る、あるいは近接する敵に対する攻撃ということに焦点を置いた対潜が今日までの海上自衛隊の主任務であります。
  169. 永末英一

    永末分科員 そういたしますと、対潜が主任務だといたしますと、アスロック艦、DASH艦、またヘリコプターを積みましたいわゆるDDC艦、こういうものは第三次防では大いにつくる、こういうことになりますね。
  170. 松野頼三

    ○松野国務大臣 大いにつくりたいのですが、価格が高いものですから、先ほどのお話に戻りますが、装備品の価格がすべての問題に比例してあまりに高いというために、非常な苦労をしておるところであります。
  171. 永末英一

    永末分科員 海上自衛隊は潜水艦をお持ちでございますが、その潜水艦は電池で走る潜水艦で、速力はきわめてのろい、これは一体どういう用途に使っておられるのですか。
  172. 松野頼三

    ○松野国務大臣 潜水艦は、水上よりの攻撃に対する防御であります。したがって、日本の潜水艦は遠洋的な潜水艦の性能にあらずして、近海を長期的に遊よく防衛する任務であります。したがって、非常に小型で、千八百トンが一番大きい。どちらかといえば小型なものです。そういうのが主任務で、要するに洋上の警戒、ある場合には潜水艦の見張りの役、そういうものが考えられます。
  173. 永末英一

    永末分科員 いま長官の言われましたのは二つあるわけです。水上攻撃に対して要撃する。その点については、なかなか想定はむずかしいのでございますけれども、たとえばわが国のどこかに大きな船団を組んで上陸作戦をやってくるものがある場合には、陸上は陸上で何らかの措置を考えましょうし、海上は海上で考えるかもしれませんが、たとえばそういう想定で、陸海空というものはどういうぐあいに一体防衛できるのであるか、こういうことを考えられたことがあるかどうか、これをまずお伺いしたい。
  174. 松野頼三

    ○松野国務大臣 防衛の基本は常にそれを考えてやっております。それがまず訓練の基本だと思います。
  175. 永末英一

    永末分科員 その次にもう一つの問題、見張りだと言われる。しかしながら、先ほどの話を伺いましても、原子力潜水艦は各国の海軍が持っておりまして、潜水艦がこれからいくべき姿ではないかと私は思う。原子力潜水艦の水中速力はきわめて早いのである。いまわれわれが持っております潜水艦は速力がきわめておそい。そんなもので一体見張り能力があるかどうか、どうお考えですか。
  176. 松野頼三

    ○松野国務大臣 いまの潜水艦では高速の潜水艦の性能にはとても匹敵しません。したがって、ある場合にはある地点に固定化して、重要地点の見張りという役目しかなさないのじゃないかと私は思います。
  177. 永末英一

    永末分科員 政府は、アメリカの潜水艦は核弾頭を積まざる限り入港を認めておる。それは単に  エンジンが原子力であるからという話、そうしますと、核弾頭のない原子力潜水艦は核兵器ではない、こういう御見解だと思います。だといたしますと、いまのようなきわめて任務の限られた、しかも考えられる態様に対してはあまり対処できないような潜水艦を持っておってはどうにもならぬと、こういう意見が出てきた場合には、日本もまた原子力潜水艦をつくらなければならぬとお考えですか。
  178. 松野頼三

    ○松野国務大臣 そういうように国民感情が発達というか、常識化するかどうか、その場合には国民の常識に従うべきだと思います。まだ日本においてはそこまで原子力エンジンの普及が常識化していないという今日、原子力の潜水艦を防衛庁で計画する考えはまだございません。
  179. 永末英一

    永末分科員 海上自衛隊の演習等で、よく合同演習をやったということが事後に新聞等で知らされることがある。最近アメリカ側から米国、日本、韓国、三カ国の海軍の合同演習をやろうじゃないかと申し入れられたことはございませんか。
  180. 松野頼三

    ○松野国務大臣 それは一ぺんもございません。
  181. 永末英一

    永末分科員 海上自衛隊はそういう合同演習の必要を認めますか。
  182. 松野頼三

    ○松野国務大臣 まだその必要は認めません。
  183. 永末英一

    永末分科員 過去においてアメリカと合同演習をやったことはございますね。
  184. 松野頼三

    ○松野国務大臣 たびたびございます。
  185. 永末英一

    永末分科員 空の問題に移ります。バッジがいよいよ本年度から予算を使用してつくり出されることになります。五百数十億以上の金を費してこれをつくるわけでございますが、このバッジは一体何目標くらいはとらえられると計算しておられますか。
  186. 松野頼三

    ○松野国務大臣 いま政府委員に聞きましたら二百五十のようです。  何目標というのは、いま実は改良をしながらやっておりますが、バッジの中で非常に目標の多いもの、少ないものという二種類の装備が考えられます。全部が多くなければいけないというのじゃございません。この地点には多数目的を発見できるものが必要だ、この地域にはそんなものは要らないのだ、これは、カバーしますから、全部が全部でなくとも、一つがとらえればあとは分割的にやれるものです。したがって、全部を多目標には置きません。一番性能のいいのは装備局長にお答えいたさせます。
  187. 國井眞

    ○國井政府委員 バッジの性能につきましては、詳しく申し上げることは御遠慮したいと思います。ただ目標の捕捉能力でございますが、これは、現在手動でやっておりますのに比べまして、格段の進歩と申しますか、多目標のものを捕捉できるわけでございます。ただ、一体それが何機か、あるいはそれの識別が一体幾らだという数字で申し上げることは御遠慮いたしたいと思いますが、従来に比べまして相当倍数の能力増加になる、こういうことでございます。
  188. 永末英一

    永末分科員 兵器の問題は、長官、むずかしいですね。言うとわかってしまうというのですが、相手方はよく知っているかもしれませんし、やはり防衛委員会は必要ですね。何なら秘密会で聞いてもいいのですが、国民側からしますと、全然それがわからぬ。大きな機械を買うのだと防衛庁は言われる。その能力は何だといえば、国会に明らかにされなければ、国民にはこれはわからぬわけである。やはりある程度国民の協力を得なければできない防衛力でございますから、明らかにするような機会をつくってほしいと思いますね。  もう一つ伺いたいのは、現在のレーダー・サイトから入ってくるものをここで受けるわけでございますが、現在のレーダーは、距離と方位しかわからぬと聞いておりますが、仰角がはっきりしない。そうしますと、その仰角については別途計算しなければならぬ。そこで、いわゆる三次元レーダーみたいなものがほしいということが前からいわれておりますが、それをつくろう、こういう御計画はございますか。
  189. 松野頼三

    ○松野国務大臣 そういうものをつくりたい、ほしいと思います。
  190. 永末英一

    永末分科員 レーダー基地というのは、空の所管でございますから、空の人がいっておる。しかし、これは地上にあるわけである。もし日本に内乱状態のようなことが起こった場合にまっ先にやられるのはレーダー基地ですよ。レーダー基地の防衛というのは、どういう御計画でございますか。
  191. 松野頼三

    ○松野国務大臣 レーダー基地の防衛については、レーダー基地のみの防衛にあらずして、レーダー基地以遠においてこれを防衛するという考えで、したがって、レーダーの把握能力というものが非常に大きな勝負になると私は思う。したがって、より優秀なレーダーで攻撃以前数十分前に捕捉すること、これがレーダー基地の防衛に逆につながるのではなかろうかと思います。
  192. 永末英一

    永末分科員 それは、レーダーを空からたたきに来るときにはそうかもしれませんが、これは手りゅう弾でもつぶれるわけで、機関銃でもつぶれるわけです。したがって、レーダー基地そのものを守る態勢がはっきりしていなければ、国民の中で、あれは要らぬのだ、こういう人々が出てくれば、これはむき出しのままでございますから、簡単にこわれやすい。その防衛について空だけでやろうとするのか、陸と共同してやろうとしておられるのか、計画があれば伺いたい。
  193. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ある力はレーダー基地自身に持っております。これはもちろん空に所属しております。同時に、その近くの陸上部隊においては、そのレーダー基地防衛についても防衛演習の中に入れております。したがって、ある期間はレーダー基地自身が防衛する。その援助部隊として陸上部隊がいく。こういう計画で今日準備をしております。
  194. 永末英一

    永末分科員 先ほどの上陸作戦の場合といい、現在の具体的な問題としてレーダー基地の防備の場合といい、私はそれ、それの幕との間にきっちりした防衛計画が立っているように思われぬのですが、これはあなたが責任者ですから、やっていると言われますと、これは信用せざるを得ませんけれども、そういう統合というものは議論ではありません。それは、ちゃんとそういう機能別に防衛計画を統合していくということが必要だと申し上げたいのです。  もう一つ、時間がございませんが、ナイキアジャックスがございますけれども、これはきわめて射程が近距離でございまして、現在配置されているところを見ますと、わが国全土から申しますと、あばたくらいのところしか守られていない。先ほどのバッジが、装備局長はあいまいなことを申しましたけれども、もし全部の目標を探知されたとして、現在の戦闘機104で——いままで104の飛行基地をたんねんに調べますと、わが国国土が全部カバーできるという態勢になっているように思えぬのでございますが、欠けているところがありますか。
  195. 松野頼三

    ○松野国務大臣 一応すべてをカバーするようにしてございますが、さてそれではというには、あまりに兵力がまだ微弱である。要撃機の数が非常に少ないというので、今日は重点的な防備ということで、完全とは申しませんけれども、ある程度整備した。しかし、全土にするにはまだまだ防衛力が足らない。足らないところを移動で実はやっておりますが、非常に心配と申しますか、完全でない地域が多々あると私は思います。
  196. 永末英一

    永末分科員 104Jが追加生産ができて、七隊が完備いたしましても、その上昇能力、航続能力、速力等から見まして、これは十全であるかどうかは、あなたのほうで御判断なさらなければならぬ問題だと思います。それをカバーする意味で、ナイキアジャックスを入れられたが、その射程距離はきわめて短い。先ほど申し上げましたように、あばたくらいである。  そこで、ハーキュリーズというもう少し射程距離の長いものがほしいんだということは、当然その限りにおいては必要性を感じられておると思います。過般の予算委員会で、これを必要だと感じておる、こういうあなたの御意見がございました。  この機会にもう一度伺いたいのですが、ナイキハーキュリーズは導入したい、こういう御意思ですか。
  197. 松野頼三

    ○松野国務大臣 昨日もハーキュリーズの問題で議論が出ましたが、私は、やはりナイキハキュリーズ程度の性能のあるものはぜひ必要だと思います。ナイキハーキュリーズかといわれますと、もっといいものがあればもっと性能のいいものがほしい。この辺でいま苦慮しているところでございます。
  198. 永末英一

    永末分科員 アメリカがいま使っております第一線の防空兵器は、ナイキハーキュリーズでございますが、その上というとどういうものであるか。その場合に、先ほどの国産化ということとひっかけて考えました場合に、その上なんというものは日本ではすぐできるわけではございませんし、それなら全部買うのか、こういう話になりますか。  その辺の御方針はいつおきめになりますか。
  199. 松野頼三

    ○松野国務大臣 いまもしナイキハーキュリーズに決定するという場合には、これは、相当な数を予定しなければ私は決定しないつもりでございます。相当な数というならば、国産ということもこの中に含んで、その上でこの問題をきめませんと、輸入だけできめるわけにいきません。後続生産、補給生産というものもあわせ考えなければならないというので、実は苦慮しているところであります。
  200. 永末英一

    永末分科員 苦慮されておりますが、しかし、三次防決定のときにはおきめになりますか。
  201. 松野頼三

    ○松野国務大臣 すべての資料が整って、国産化ということが可能かどうか、はたして出るのかどうか、私もまだ見込みがありません。もしその見込みがきまらなければ、その品目決定は延ばして防衛についての万全を期したいと思います。  したがって、それには二、三カ月のあと、ハーキュリーズがいいか悪いか、できた場合の生産ができるかどうか、その生産がどの程度の年限でできるか、あるいは価格はどの程度であるかということを考えた上できめたい。どうしてもそれが折り合わないならば、また別のものを研究、開発をするなり、あるいは改良するなりという方法を考えなければならない。そういう考えであります。
  202. 永末英一

    永末分科員 ナイキのほかに、先ほど申し上げましたホークがございます。多目標の侵入機をバッジがとらえまして、そのバッジによって戦闘機隊、それからナイキ隊、ホーク隊全部に即時に連動するようにいまなっておりますか。
  203. 松野頼三

    ○松野国務大臣 バッジ・システムができました場合には、全部が連動するとは申しませんけれども、連動する部面が非常にふえてくると私は思います。
  204. 永末英一

    永末分科員 問題は、ホーク隊であって、これは移動が可能であって、あっちこっちに行くわけでございますが、数も相当ふえた場合にしても、そういう通信線というようなものはちゃんとつくらなければいけないですな。そういう御用意をしておりますか。
  205. 松野頼三

    ○松野国務大臣 さしあたりバッジの場合は、対飛行機との連携が一番早くできるかどうか。次には、ホークとの連携を考えるという段階を経てまいりますので、ホーク全部に直ちに一度にというよりは、まずさしあたり要撃機に対してバッジは直ちに連携しなければならないという第一目標は、そこであります。ホークは、御承知のごとく、移動性があるという意味で、ナイキよりも少数のわりに日本の防衛にはどちらかといえば適切なものである。その意味で、ホークというものの性能はある程度国産化が可能だという見通しがつきますならば、これをいずれ採用したいと思っております。
  206. 永末英一

    永末分科員 104について週刊雑誌等で妙なことが書いてありました。あれを国民が読みますと、大騒ぎの末導入した104というものは役に立たぬのか、こういう不安を起こす。したがって、この機会に防衛庁としてどのように104を見ておるかということをひとつ明確にしておいていただきたいと思います。   一つの問題は、昨年の十一月にベトナムで戦闘に従事しておりましたアメリカの104飛行隊が前線を引き揚げてアメリカに帰ってしまった。私ども思いますのに、現在のベトナム戦争はかつてのスペイン戦争と同じである。アメリカが持っておるいろいろな兵器を実験しているのではないか。実験される側は迷惑しごくでございまして、けしからぬと思いますけれども、そのようにいろいろ雑多な兵器を使っておるように思います。ところが104が中共空軍に撃墜されたとかなんとかで引き揚げてしまった。しかも、それに対してアメリカの航空雑誌の報ずるところによりますと、これは航続力が不足なんだ、索敵能力が不十分なんだ、武装が貧弱だ、全天候性に欠陥がある。こういうような理由で104を引き揚げた、こういうことが伝えられておる。そうすると、そんな飛行機をわが国の防空の第一線機として使用しておるというのはどうだろうかという不安が国民に起こりますね。この点についてひとつ御見解を明らかにしていただきたい。
  207. 松野頼三

    ○松野国務大臣 104はいろいろな議論があって、今日採用していますが、私は、この104の性能は採用当時の模様から見ると非常に正確なものであったと私は思います。ベトナムの戦闘の模様と日本の今日の模様とは用途が違う。これは要撃機であり、要撃能力においては私は世界水準だと思います。ベトナムの場合は、要撃戦闘よりも、ある意味においては爆撃的なものに戦闘の状況が置かれておるのじゃなかろうか。その場合に、スピードが早過ぎることはかえって欠点になることがあります。その意味で、やはり戦闘の状況に応じて104は不適格であったという報道は私も受けております。しかし、日本のように要撃専門に使う飛行機としては、私は世界にこれ以上のものはなかなかないのじゃないか、要撃専用のものとしては、104以上のものはまだ世界じゅうに私はないのじゃないかと思う。爆撃機、艦上機というものは多々開発されております。しかし、日本の目的としては、要撃が主であるというならば、104というものは私はいまだ時代おくれだという意向は全然持っておりません。また104の日本における稼働力は、世界の中でも優秀な性能を持っておると思います。
  208. 永末英一

    永末分科員 アメリカが引き揚げた理由は、要するに攻撃用の航空機としてはベトナム戦線では不適当である、こういう理由で引き揚げておるとお考えですか。
  209. 松野頼三

    ○松野国務大臣 それがほとんどであると確信します。
  210. 永末英一

    永末分科員 現在104は赤外線ホーミングをつけております。ところが赤外線ホーミングでは、あらゆる場合に有効であるという保証が科学的にないわけである。そこで、レーダーホーミングをつけるべきであるという意見があると聞いております。ところがレーダーホーミングをつけると重くなったり、金がかかったりしてぐあいが悪いというので、それをしない。そこで104は全的な戦闘能力に欠ける点があるという評価がありますが、この点について長官はどうお考えか。またレーダーホーミングをつける必要があるとお考えなのか、お伺いしたい。
  211. 松野頼三

    ○松野国務大臣 ただいまの永末委員のお話はそのとおりであります。したがって、それについて私はどうも申しません。ただ104全部が悪いかというと、それはいい飛行機であって、日本にとって必要である。使用方法によっては欠点がある、これは、おっしゃる点は私は認めていいと思います。
  212. 永末英一

    永末分科員 もう一問。やっと苦労して104を整えられた。ただし消耗率が高いのでまた下がっていく。第三次防の最終年度を想定したときには、有人航空機でそういう要撃機防空をやるのかどうかということは、当然第三次防の中で考えられなければならない。そこで巷間FXというようなことを考えまして、104にかわる有人要撃戦闘機を購入しなくてはならない、あるいはつくらなくてはいかない、こういう意見があります。そういう意見があるため104を訓練して、これを一〇〇%使おうという意欲に欠けるところがある。その点の御方針をひとつ伺いたい。
  213. 松野頼三

    ○松野国務大臣 104が今日第一線におりますが、86Fも今日まだ健在であります。したがって、新たにFXができたにしても、104の性能、使用というものは当分続く。まず老朽化するというなら86Fのダウンのほうが先ではないか。したがって104はもっとますます戦闘意欲を燃やして、当分の間は104は健在である。その上に新たなものが生まれた場合でも、104は私は十分にやっていけると思います。
  214. 永末英一

    永末分科員 時間を延長させていただいてありがとうございました。これで終わりますが、最後に希望しておきたいのは、過般の予算委員会でも、国会中にはこれははっきりさせることはできない、こう言われたわけであります。したがって、われわれとしては長官の言われるとおり、われわれが気づくところをこの国会で申し上げました。これは一部でございます。基本的には、防衛計画なるものが、武器を整えれば防衛力になるというのではなく、先ほど陸上自衛隊の信頼という、面で申し上げたとおり、もっと強く日本の国民に対する訴求力、この辺を解決しなければ、日本の防衛力の基本にはならないとわが党は考えております。この辺をどのようにまとめていくかということに基本を置きながら防衛計画をつくられて、われわれの検討に供していただきたい。ここを忘れて、単に日本の経済力というものと、その中で扱うべき兵器体系なり、あるいは兵器の量というものだけによって日本の国防力というものは十全だとは言えないと私は思います。もちろん、これは国際情勢あるいはまたいろいろないまのような通常兵器では処理し得ない強大な、強力な兵器に対しては別の問題が生じると思いますけれども、少なくともわれわれの領土、領空、領海を守るに足りる最小の備えはわが党は認めております。しかし、その備えの根本は、まだまだ日本の第一次防、第二次防の基礎には十分つちかわれていないと判断いたしておりますので、この辺を十分検討されて、想を新たにしてまみえていただきたい。期待をいたしております。
  215. 愛知揆一

    愛知主査 これにて防衛庁長官に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  216. 愛知揆一

    愛知主査 以上をもちまして、昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算及び昭和四十一年度政府関係機関予算会計検査院防衛庁、外務省及び大蔵省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  217. 愛知揆一

    愛知主査 この際、おはかりいたします。昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算及び昭和四十一年度政府関係機関予算会計検査院防衛庁、外務省及び大蔵省所管に対する討論採決は、先例によりまして予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  218. 愛知揆一

    愛知主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて第二分科会の議事はすべて終了いたしました。  この際、分科員各位、特に副主査の方々の御協力を心から感謝いたします。  これにて散会いたします。    午後一時五十分散会