運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1966-03-01 第51回国会 衆議院 予算委員会第二分科会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月一日(火曜日)    午前十時九分開議  出席分科員    主査 愛知 揆一君       赤澤 正道君    上林山榮吉君       登坂重次郎君    田口 誠治君       高田 富之君    中澤 茂一君       楢崎弥之助君    村山 喜一君       山田 長司君    兼務 坂村 吉正君 兼務 加藤 清二君    兼務 山花 秀雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         内閣法制局参事         官         (第一部長)  関  道雄君         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 鮎川 幸雄君         防衛庁参事官  鈴木  昇君         防衛庁参事官         (長官官房長) 海原  治君         防衛庁参事官         (防衛局長)  島田  豊君         防衛庁参事官         (教育局長)  宍戸 基男君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         防衛庁参事官         (衛生局長)  高部 益男君         防衛庁参事官         (経理局長)  大村 筆雄君         防衛庁参事官         (装備局長)  國井  眞君         防衛施設庁長官 小幡 久男君         防衛庁事務官         (防衛施設庁総         務部会計課長) 大浜 用正君         防衛庁事務官         (防衛施設庁施         設部長)    財満  功君         外務事務官         (北米局長)  安川  莊君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君  分科員外出席者         外務事務官         (国際連合局外         務参事官)   滝川 正久君         大蔵事務官         (主計官)   井上 幸夫君         日本電信電話公         社技術局長   庄司 茂樹君     ————————————— 三月一日  分科員勝間田清一君及び中澤茂一委員辞任に  つき、その補欠として田口誠治君及び村山喜一  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員田口誠治君及び村山喜一委員辞任につ  き、その補欠として華山親義君及び楢崎弥之助  君が委員長指名分科員に選任された。 同日  分科員楢崎弥之助委員辞任につき、その補欠  として山田長司君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員華山親義君及び山田長司委員辞任につ  き、その補欠として勝間田清一君及び中澤茂一  君が委員長指名分科員に選任された。 同日      、  第四分科員坂村吉正君、加藤清二君及び第三分  科員山花秀雄君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算防衛庁所管      ————◇—————
  2. 愛知揆一

    愛知主査 これより予算委員会第二分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算防衛庁所管を議題といたします。  この際、分科員各位に申し上げます。質疑の持ち時間は一応本務員は一時間程度兼務員もしくは交代して分科員となられた方は三十分程度にとどめ、議事進行に御協力願いたいと存じます。  なお政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は的確に、要領よく簡潔に行なうよう特に御注意申し上げます。  質疑の通告がありますので、これを許します。高田富之君。
  3. 高田富之

    高田分科員 先般、当分科会におきまして玉置委員からの質問答えられまして椎名外務大臣が、自衛隊海外派遣関連しましてかなり突っ込んだ言明をされた。このことにつきましては、その後いろいろな方面で問題になりまして、特に責任者であります防衛庁長官は、新聞紙上、これについて異なった見解を持っておられるというようなことも報道せられておるわけでございますが、幸いきょうはこの席にお見えでありますので、こういう重大な問題につきましてはあいまいでなく、明確にしておく必要があると思いますので、念のため、同じことを今度は防衛庁長官のほうから御見解を承りたいと思います。  念のため申しますが、この間の玉置君の質問に対する椎名外相答弁中、特に重要な点としましては、わが国国連一員として国連平和維持機能協力する、こういう立場から言えば、自衛隊監視機関に参加させなければならぬというような事態が起こる可能性はあり得る、こういう状況判断をしておられるわけであります。したがいまして、そういう状況判断から、そうなったときに態度検討というのじゃ間に合わぬというようなことで、やはりいまから態度については検討しておくべき時期にきている、こう判断しているのだ、こういうふうなことで、監視機関というようなものであれば憲法上は問題ない。ただ自衛隊法では禁ぜられているといいますか、そういう規定がありませんので、自衛隊法改正すれば問題ない、憲法上何ら問題ないというところまで言明があったわけです。したがいまして、この問題につきましては防衛庁長官のほうから、こういう見解に完全に同意せられておるのか、あるいは新聞紙上に報道されておりますように、そういう考え方を持っておられないとすれば、その理由、どういう考えを持っておりますか。その点、念のため明確にお答え願いたいと思います。
  4. 松野頼三

    松野国務大臣 実は椎名外務大臣発言内容を私は全然聞いておりません。また承知しておりません。したがって、椎名外務大臣発言に対する答えでは少し誤解がありますので、ただいま高田委員が御質問になったことについての答弁ということにいたしませんと椎名外務大臣は、御承知のように非常に幅の広い答弁もされますし、なかなか文学的な答弁もされますので、その意味で、ひとつ高田君の質問に対して答えたということにしていただきませんと、これはいろいろ誤解を招くといけません。ただいま高田委員が御質問になったことについてお答えいたします。  第一は、監視団といま言われましたけれども、あれは監視委員ですか、委員会ですか、その監視団なのか監視委員会なのか、その機構性格はどうであるかということが一つ問題点じゃないかと思います。それは、要するに国連というものの中における問題、日本憲法国連の問題、それから日本憲法自衛隊関連の問題、こういう関連性の中において議論をすべきであると私は思います。したがって、今日ただ申し上げられるのは、自衛隊法改正は今日検討準備もしておりません。自衛隊法改正準備検討は庁内ではしておりません。しかし、常々国際的な議論のわくところでありますので、国連の問題、監視団の問題、平和機構の問題については、これは政府として当然研究すべき問題であります。したがって、明確に言えることは、自衛隊法改正は今日考えておりません。  第一の監視団監視員についての御質問ですが、これには、まだ監視団監視員がどういうものであるかということが明確じゃないと、これはまだ私には答弁するだけの資料がございません。この二つが、ただいまの御質問答えられる一番明確な答えじゃないかと思います。
  5. 高田富之

    高田分科員 ただいまの御答弁で、自衛隊法そのものにつきましては全然手をつけておらない、準備もしていないということでございますが、その前提となります国連憲法関係、あるいは監視委員会監視団性格機能、そういうふうなものについては検討されておる、いまそういうふうな御返事をいただきたいわけですが、そうしますと、その問題は、やはり自衛隊法改正するしないという問題の基礎になる検討だと思いますので、当然にその研究は法制局あたりとも連絡をとられまして、あなたのほうで相当程度進めておられるのじゃないかと思いますが、現段階では法制局あたりとの関連憲法上の問題などについて、どういう一応の結論に到達されておりますか。
  6. 松野頼三

    松野国務大臣 法制局では当然これについて検討していると思います。ただいま申しましたのは、政府部内として各部検討をしていると私は思います。法制局法制局外務省外務省、またもし自衛隊関係があるならば、防衛庁もそういう意味庁部内では検討しておりますというので、どこまでどうやってという、まだ総合的な調整的なところまでは内容はいっていないのです。したがって法制局法制局外務省外務省、また先般の発言以来、防衛庁には関連があるのかないのかということは、これは概括的に研究させる必要はあると思います。したがって、まだどの程度までいっているかということは、よその役所まで総合して打ち合わせをしておりませんので、やっておるということはわかりますけれども、それがどの程度になっているか、私のほうもまだ実は、わが防衛庁でも必要であるから一応国連機構について研究しろと命じただけで、庁内問題として、まだ回答は来ておりません。また、法制局はおそらくしばしば検討をしていると思いますが、これもまだ私のほうには報告がありません。そういう意味で、まだそこまで問題がいっていない。したがって、議論するほど的確なところまでまだいっていないということです。ただ自衛隊法改正考えていない、まだいまはこういうことであります。
  7. 高田富之

    高田分科員 昨年、椎名外相国連総会においでになったときにも、これに似通ったようなことをすでに発言しておりました。当時新聞にも発表されておったわけですが、そういうようなことをいろいろ総合勘案して考えますと、われわれ想像しますには、やはり政府としては何らかそういう方向で、ただいまは各省の具体的な打ち合わせとか、そういう段階ではないとおっしゃるのですが、としましても、政府全体としても何かそういう方向検討しようというようなことで、閣議ではそういうような申し合わせかなんかがあって、各部で現在独自にそれぞれ御検討中というような段階でございますか。
  8. 松野頼三

    松野国務大臣 閣議議論が出たことはございません。しかし、国連問題になりますと、日本憲法日本国柄国連協力というのが一つ方向でありますので、国連協力ということについては、それは日本方向である、また日本憲法もその精神である、また今日すべてのものが国連協力ということは、一つ日本方向であることは間違いないと思います。しかし、その協力といっても、憲法の問題、自衛隊法の問題に抵触することは、これはできない、その意味基本であると私は思います。国連協力については、それはあらゆる面において国連協力する、ただし憲法自衛隊法を犯してまで協力はできない。それが私たちの基本的な態度であります。閣議議論したことはございません。各部でその気持ちで、今日おのおの国連協力の問題が出れば、各省別関係のあるものは研究するという姿であると思います。
  9. 高田富之

    高田分科員 そういたしますと、防衛庁長官としてのお考えとしては、日本のいま置かれている国際的な立場、特に国連において最近は安保理事会の議長までも順番でやっておるという、そういう地位にありますので、従前と比べればはるかにそういう点では国連の要請にこたえなければならぬ、協力しなければならぬという点では責任も重くなっている。これは当然考えられることなんですが、そこで前にレバノン問題のときにありましたように、ああいう事態が起こるかもしれない。起こった場合にはどうしようというようなことは、これは常識的に防衛庁長官としても、やはりある程度これに対してイエスとかノーとかおっしゃれる、またおっしゃらねばならない立場にあるのではないか、こう思いますが、現在のあなたのお考えとすれば、もしそういうことがあった場合、やはり憲法上の問題、自衛隊法上の問題から、そういうことはできない。現在の段階では、こういうお答えをなさる立場でございますか。
  10. 松野頼三

    松野国務大臣 レバノン日本が直ちに参加しろ、こういう提案があったとするならば、私はおそらく、それはできないということをお答えすると思います。
  11. 高田富之

    高田分科員 そうしますと、たいへんはっきりしてまいりました。そこで、あなたの一番お考えになっております点は憲法ですね。要するに現在、憲法というものがそれを禁じているのではないかという考え方がかなり強い。もちろん、いろいろ異説はあると思いますけれども、少なくとも自衛隊法を生み出した憲法としては、そういうような精神解釈さるべきものではないかというようなお考えから、そういう言明をなすっているものと、いま私は想像したのでありますが、憲法解釈という点で、いまの憲法解釈上は、それは禁じていると解すべきものである、こうあなたはお考えでございますね。
  12. 松野頼三

    松野国務大臣 憲法解釈法制局ですが、私は、あるいは間違っていればこれは将来訂正するかもしれない。それを前提の上でお聞き願いたい。  いまの私の考えでは、憲法は、そういうふうな規定がないのじゃないかと思います。ことに、私の関係の第九条及び憲法総文は、そういう具体的なものを規定していない、精神方向をきめておる。その意味からいうならば、その規定がいいとか悪いとかいう条文は、私は出てこないのじゃないかというふうに思います。憲法精神憲法規定というものは、そういう派遣してはいかぬとかどうだとかいう規定は、私はないと思います。いうならば、憲法九条という問題が出てくる。そのことだけに限定すべきじゃないか、これは私の考えであります。したがって、それはしていいとか悪いとかいうことは、憲法条分からはこない。憲法精神と、それを受けとる国会政府が、それを憲法精神に従って具体的なものをきめる。そのきめる中で、法律というものがある。自衛隊には自衛隊法がある。その規定の中で自衛隊が私はできたのじゃないかと思う。したがって、その問題は、私はレバノンと明確に言いましたが、御承知のように、国連のすべてのいままでの平和委員会国連軍監視団というのは、一つ一つ違うので、同じものが二つあるかというと、二つあった例がない、一つ一つ違っておると私は思う。それは世界情勢によって違っている。ただ、高田さんはレバノンと言われたから、レバノンは、もうすでに日本政府回答態度は出ておりますから、それをくつがえす気はまずございません。レバノン方式といっても、レバノン方式がもう一ぺん出るかというと、私は出る可能性はないと思うのです。一つ一つ違っておる。レバノンレバノン一つ一つの問題で、いままで国連はきまっておるのじゃないかと私は思う。レバノンに参加した国が、レバノンのようなときに必ず参加するということは絶対にないと思う。国柄が違う、参加する状況が違う。そこに国連というが、世界情勢が変わるのですから、憲法精神も、私は精神規定してあるので、一々の規定を私は憲法はすべきでもなければ、日本憲法はしてない、世界じゅうこれはないと私は思う。国の基本の問題である。あと法律できめる。その意味で、レバノンを明確にお答え申し上げた。私は、レバノンには日本回答が出ておりますので、いまから参加するようなことはありません。またその気もございませんと、明確に申し上げたのであります。
  13. 高田富之

    高田分科員 いま私は、レバノンと同じようなことがもしあったら、こういう質問をしたわけですが、これはどうでしょうか。国連監視委員会とか、そういうふうな直接武力行使とは関係がないように、間接にはありましょうが、ないように考えられるものと、はっきりと国連軍あるいは国連待機軍、軍という名前で、実際に武装部隊として国連で編成して、国際紛争処理に当たっていく、平和を維持するために実力を行使するものとでは、だいぶ性質は違うと思うのですが、関連性はむろんあると思うのです。  そこで、はっきりしているのは、国連軍とか国連待機軍とか、この場合も、軍隊でありますから、性格はきわめてはっきりしていると思います。そういう場合については、憲法上もきわめて明瞭であるし、疑義を差しはさむ余地のないほど明瞭で、単独武力行使しようが、単独でなく武力行使しようが、国際紛争処理わが国武力を提供してその処理に当たるということは、憲法精神からいってもあり得べからざることだと、われわれは常識的にその点は非常にはっきり割り切れる、こう考えておるわけでございます。監視団とかなんとかということになりますと、これはシビリアンとしてなら参加してもいいじゃないかという議論が出てくるくらいで、ちょっとあいまいでございますが、軍隊的なものであれば、絶対に憲法は許していない。これは常識だと思いますが、その点はいかがでしょう。
  14. 松野頼三

    松野国務大臣 海外派兵ということばの私の解釈をまず御参考に申し上げ、議論を進めますが、私は、海外派兵ということは、部隊武装をして、武力行使を目的として、命令によって国外に出た場合が海外派兵じゃないか。こういう海外派兵ということになると、海外派兵は、いまの法律条文では、ないと私は言いたい。ただ、自衛隊が外国に行けば海外派兵だ、そういう解釈では私はないと思うのです。この自衛隊法解釈とその内容のすべてが。海外派兵については自衛隊法には規定がない。したがって、やることはできない。憲法問題は、私も皆さん方と同じように、専門家でありませんので、別の議論にしていただいて、自衛隊責任者として言うならば、海外派兵は、今日、自衛隊法では規定がないから、やる恩恵はありません、こういうことであります。
  15. 高田富之

    高田分科員 いまのあなたの解釈でいきますと、国連軍という形で、それに日本が参加するために出ていき、海外で活動する。日本が独自で行動するわけではありませんよ、国連軍としてわが国自衛隊がその中にあって活動するというのは、いかがでしょう。
  16. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまの規定による海外派兵ということは、自衛隊法としては今日は私はできないと思います。いまの規定による、私の解釈による海外派兵というものは、いまの自衛隊法では、ないと私は思います。
  17. 高田富之

    高田分科員 あなたの解釈していることは、国連軍に、あるいは国連待機軍に——最近ありますが、そういうふうな考え、こういうふうなところへ日本自衛隊を参加させて、日本軍独自として行動するわけではないが、国連軍一員として日本自衛隊海外で活動する、これはあなたの言う海外派兵に入りますね。同じことですね。
  18. 松野頼三

    松野国務大臣 海外派兵規定に入ると私は思います。
  19. 高田富之

    高田分科員 ですから、国連軍というような形、あるいは国連待機軍というような形で、明確に軍隊として行動するわけですが、これは国際紛争武力で解決してはならぬというわが国憲法規定からいって、当然それに参加することはできない。それは、あなたのおっしゃるとおり、きわめて常識的な解釈だと思うのです。  ただ、私、いま長官考えはきわめて常識的なところではっきりわかったんですけれども、ここで非常に心配しておりますことは、実はきょうは法制局長官は見えておりませんけれども、この間本委員会の私の質問答えられまして、だんだん解釈があいまいになっていくのが非常に心配なんです。初めのころは、こんな解釈はしていなかったのですけれども、この間は時間がなくて、再々質問くらいのところにいけなかったのですが、かなりはっきりと言ったのでありまして、こういうことを言っているんです。高辻政府委員憲法の九条は、一つには、日本国意思による、日本国民意思による武力行使について規定してあることは、御説明を必要としないと思います。ところで、日本国意思によらない、つまり他の国の意思によるという場合に、兵力を出すということは、通常にはこれは許されないことだと思います。なぜ許されないかというと、憲法九条というものばかりでなしに、憲法の全体の精神からいって、まさに平和に徹するという憲法でありますから、いいかげんなことはできない。しかし、ただいまちょうど御引用になりましたように、」云々と、こうありまして、要するに「世界国際社会がある程度組織化されて、その社会における治安維持をするために、その社会の組織化された団体の兵力を使って、ちょうど国内における警察行動のように、治安を守るというようなものができれば、それは話がまた別である」こういうふうに言っておるわけなんですね。ですから、国連軍国連軍と言っても、その前に何べんもそういうようなことを言っているのですが、国連軍と言っても、そのときの国際社会の状態なり国連の状態なり、そういうものの内容によっては、いまの国際社会警察行動だというようなことで、日本意思によって動く軍事行動じゃなくなるからいいんだ、非常にややこしいんですけれども、何かむずかしい言い回しをしているうちに、場合によっては国連軍にも行っていい場合があるんだなというような印象を与えるような説明なんですね。この点は私は非常に心配ですから、またいずれはっきりさせようとして、これは途中で時間が来ておしまいになっておりますけれども、私はいまここであまりこのことばかり問答しておれませんが、ただいまの長官お答えは非常に常識的だと思います。ですからもう一ぺん念を押しますが、いまの自衛隊法というものが、普通の軍隊法律ならあり得べからざることだと思うのです。出動の規定なんかでも純然たる国内における治安行動とか、あるいは外的侵入に対する防衛行動とかという意味であって、ほんとうにこの国土の中での、領域内における軍事行動規定しているのですね。これはどこからそういう特殊な規定が出てきているかといえば、やはりいわゆる軍隊じゃないのだということをこの中で貫徹しているのだと思うのです。ですから、憲法の九条というものを受けたものであるからこそああいうものなのであって、だから自衛隊法さえ改正すればどこへでも飛んでいけるというのはとてつもない本末転倒だ。私はこれは常識的だと思うのです。むしろ、いまの憲法からああいう特殊な自衛隊法というものができざるを得ないことになっておるわけですから、自衛隊法改正すれば憲法はそのままでいいのだ、これは暴論もはなはだしいと私は思うのですけれども、あなたはやはりそういうふうなお考えでございますね。
  20. 松野頼三

    松野国務大臣 大体趣旨においては同じです。全部が同じじゃありません。自衛隊法解釈にしても、一番はっきりしているのは、日本の平和と独立を守るということが自衛隊法及び憲法精神である。それさえはっきりしておれば、多少の意見の違いは出てくることは、それから法制局長官のあいまいな答弁も私は一理あると思います。法制局考えは、それはあいまいではなくて、一理ある答弁だと思います。私もそばにおりました。そういう答弁法制局長官はすべきである、またそうあっていいのだと私は思います。したがって、あと法律及び議会、政府がきめるべき余地というものが憲法に残っておるのはあたりまえのことなんです。したがって、憲法上の解釈と言われればあいまいな答弁をするであろうし、憲法はそういうものだと思います。あとは次に段階を受けて、政府国会法律、政令できめるということで、憲法精神は、法制局長官解釈、私もそばで聞いておって正しいと思いました。あとは次のものできめるべきものだ。だから憲法ばかりの議論と同時に、憲法精神と私が最初に言ったのは、憲法精神と法の基本から防衛庁自衛隊法というものができておるのであって、これに私はそう矛盾は感じておりません。同じように日本の平和と独立を守るということはお互いわかっていても、じゃ具体的にどうだ、具体的事例が出たときには、そのときになって議論が出てくるんじゃないか、それはあるべきことだと私は思います。基本考えは、私は海外派兵というものはいま自衛隊法で認めているとは思いません。認めていないと私は思います。したがって、その基本の問題は、まあ初めと終わりのところは一致しております。中間はお互い考えがあるのですよ。それは別に悪意じゃありません。それは今後また議論すべき問題が出てくると思います。また、憲法自衛隊法規定にないものが国際状況で出てくるかもしれません。そのときはそのときで、みんなで議論しなければいけない。法律以外に——法律改正が一国会に二百件も出るのですから、国内でもいろいろそういうような情勢が出てきているのですから、まして国際問題には何百件と出てくる。これはどんなこまかい規定を書いても、規定以外のものは出てくるんじゃないか。悪意じゃありません、善意の意味でいろいろな問題が出てくるときは、そのときに御相談をしてきめるべきだ。いまどうだこうだと確定的状況を言うことはむずかしいんじゃないか。だから、これを私はごまかすわけで言っておるのじゃありません。現実問題ははっきりお答えしております。そういう意味で、自衛隊法基本は国の安全と平和を守る、したがって海外派兵問題がこの規定に許されておるという解釈は、私はいま持っておりません。しかし日本の国の安全と平和を守る、このためには万全を尽くすことはできるのじゃなかろうか、こういう感じで私はおります。
  21. 高田富之

    高田分科員 はっきりした点もございますから、こればかりあれしているわけにもいきませんので、なお憲法解釈の問題については別の機会に、法制局長官のおりますところでさらに深める必要がある、こう思っております。  そこで、時間も急ぎますので、もう一問だけで終わりたいと思いますが、自衛隊のやっております演習の中で、治安出動のための演習というようなものは、最近、去年なら去年で、一年にどのくらいやったか、あるいはことしあたりどういうふうにやる計画であるか、その規模とか、どういうような想定でおやりになるのか、治安出動のための演習ということについて御説明願いたいと思います。
  22. 松野頼三

    松野国務大臣 自衛隊法規定がありますので、治安出動についての訓練、演習というのは当然やっております。昨年どの程度やったかという点、明確にはいずれ政府委員からお答えいたしますが、実は治安出動の訓練時間というのが、私の見たところでは比較的少ないんです。それで常時、内容についてはどういうことをやるか、やはりその当時の治安状況で想定されるあらゆる場面の訓練を命じております。ただ残念ながら、昨年の訓練時間は私の思っておるよりも非常に少なかった。全時間といいますか、パーセンテージで申し上げるほうがいいかもしれませんが、正確には教育局長から申し上げます。
  23. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 治安出動の訓練は、いわゆる演習的にやっておるわけではございませんで、大体中隊単位で普通の射撃訓練とか、空挺訓練とかいったような訓練科目のうちの一つとして、適宜部隊の長が計画してやっておるのが実情でございます。具体的に申し上げますと、これを時間で申し上げますと、陸幕長が年間の訓練時間をきめまして、そうして部隊に示達してやっておるわけでございますが、普通科中隊を例にとりますと、年間に約四十時間程度を中隊単位でやっており、そのほかに全体訓練も適宜実施している、こういうふうな状況でございます。
  24. 高田富之

    高田分科員 治安出動の四十時間ということですが、これは大体大きな規模でやる場合はどんな規模でやりますか。たとえば武器はどういうものを使って、どのくらいの部隊を動かしてやるのですか。
  25. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 原則的には百十数人の中隊で訓練をやるのが一番原則でございます。これが年間に四十時間程度を各中隊でやっておる、こういうことでございます。ただ中隊だけではございませんで、年に数回は連隊長が指揮して、連隊単位の訓練もある程度はやっておる、こういう状況でございます。  それから用います機材でございますが、これはいわゆる中隊で装備しておりますライフル銃とかその他の小火器がおもでございますが、場合によりましてはヘリコプターとか発煙筒とか装甲車とか、そういった機材を用いる場合もございます。
  26. 高田富之

    高田分科員 治安維持のための機構としては、警察があり、東京あたりではさらに警視庁の予備隊もあるというようなんで、その上にさらにこういうふうな、いまお話しのありましたように、ヘリコプターを使う、あるいは装甲車を使うとか、そういうふうなことを日常訓練して、しかも何を想定して、どういう事態というようなものを想定してそういう訓練をおやりになるか、われわれふに落ちないのですが、想定する状況というのはどういうことですか。
  27. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 御承知のように、自衛隊法には直接侵略と間接侵略に対応すると同時に、治安出動、つまり一種の警察行動の任務も与えられております。間接侵略その他の治安が乱れた場合に、警察部隊だけでは処理できないというふうな事態がかりにありました場合には、自衛隊も警察のうしろだてとしてその任務に当たる、治安の任務に当たるという任務が規定してございます。この任務を遂行するためには、当然平素からの訓練が必要だということで、先ほど申し上げましたような訓練を中隊なり連隊なりでやっている、こういうことでございます。
  28. 高田富之

    高田分科員 これは例の三矢のときにも問題になりましたし、この間楢崎委員が出しました竜情報でも問題になったのですが、例の対象勢力という考え方ですね。これは文字にもあるわけですが、対象国あるいは対象勢力——仮想敵国、仮想敵勢力というふうなことばを、別のことばで対象国、対象勢力と言っておるのだと思いますが、これがいわゆる侵略と間接侵略というものに対応することばだと思うのです。いずれもあまり日本人にはなじまない、これは戦後初めて出てきたことばだと思うのです。私はこの前もこれを問題にしたのですけれども、間接侵略というものを一体——国内の普通の治安の乱れを押えるということ、たとえば警察や何かの任務としておるそういうものと、いわゆる間接侵略というものとは別個のものなんですか、全く同じものなんですか。
  29. 松野頼三

    松野国務大臣 一応規定の上では別個のものであります。しかし、現状においては非常に類似しておる。まあ間接侵略というものをもっと規定的に言うならば、組織的に外国が指示して、そうして武器をもって日本独立と平和を侵す行為をする場合、これがおそらく間接侵略の規定一つの問題だろう。治安の問題は、それ以外に警察力というものが無力化する、善良な市民の生活が脅かされる、秩序が乱される、警察力が皆無になる、その場合に国民の良識ある者及び平和なものを守る、これがおそらく治安問題になると私は思うのです。したがって、その規定というのは必ずしも同じものではありません。
  30. 高田富之

    高田分科員 これは、いまの自衛隊の任務とか目的の根本に関する大問題だと思うのです。侵略と間接侵略と対応するということですが、侵略と間接侵略、これはほぼ並行しておりますね。あるいは教育方針を見ても、自衛隊というのはたいてい侵略と間接侵略と、こうくるのですが、その間接侵略に対する演習だというので、ヘリコプターまで使ったり装甲車まで使ったりするのだと思うのですけれども、私はこれ以上申しませんけれども、根本的に考え直してもらわなければならないと思うのですよ。これはとんでもないことだと思うのです。妄想だと思うのです。ゲリラ戦や何かでひっくり返るような、大陸続きで、しかも非常に後進国で、独裁政治も行なわれているとかなんとかいうところであれば、それは結びつくことかもしれない、それは内部に問題があるから起こるわけですが、ましていわんや日本のようなところでそういう間接侵略という概念に適合するような、外国から使嗾されて、外国の手先になって国内の民族に刃向かう者が出てくる、これを対象勢力にしてふだんから大いに練習しておいて、やっつけなければならぬ、そんなばかげたことは、私はおそらくお話にならないと思うのです。日本人の考え方じゃないです。アメリカの考え方だ。だからいつまでもアメリカのこしらえた自衛隊というものが、こういうところに性格的にきちっと残っておると思うのです。だからこの点は、ひとつ根本的に考えていただきたいということを、この前三矢問題のときに、私は小泉長官にも申し上げたのですが、これは真剣に考える必要がある。これだから国民から支持されないのです。そういう目的を持って、そういうことを考えているものが、また堂々と国民の前に出て歩くこともで来ませんよ。肩身が狭いですよ。国民だって変な目で見ますよ。だから悪いことをするようにもなるのです。大体根本がいけないのです。自衛隊法の目的も任務も悪いのですよ。だからそういう点まで、私はきょうはそう深いことを申し上げる時間はないけれども、ちょっと問題として申し上げておく。こんなばかげた演習を、国民の一部分を対象勢力に見立てて、その背後に外国がつついているようなことを考えた演習をするなんて、ばかげたことはやめたほうがよろしい。これははっきり申し上げておきます。  もう時間がありませんから、演習のことが出ましたので、ついでにけさの新聞に出ておりますが、一つだけお聞きしたいのは、いまアメリカの原子力潜水艦と自衛艦との共同の演習をやろうという話があるやに新聞に出ておりますが、何か向こうからそういう話があるのですか。あればそれを受けて、これをおやりになる考えですか。
  31. 松野頼三

    松野国務大臣 そういう申し出は今日までございません。
  32. 高田富之

    高田分科員 きょうの新聞では、何かあったように出ております。これは西村幕僚長のお話で、海上自衛隊は、毎年日米合同の潜水艦攻撃訓練をやっている、それで、昨年末にアメリカの原潜を含む米艦隊から合同演習の申し出があった、そのときにはこっちの都合で断わったようだ、機会があれば、アメリカの原子力潜水艦との合同対潜訓練はあり得る、こう出ておりますが、こういうふうなことが去年あったのですか。
  33. 松野頼三

    松野国務大臣 いま教育局長に確かめましたけれども、昨年もそういう原潜との合同訓練という申し出はなかったようであります。
  34. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 ちょっといまの問題を補足してお答え申し上げますが、去年の暮れごろ海上幕僚監部の幕僚のほうに、米軍のほうで特別訓練をしないかという電話の申し出がありました。これは毎年特別訓練をやっておりますので、その幕僚間の打ち合わせでございます。ただそのときには時間も迫っておりまして、こちらの訓練や何かの計画もすでにつくっておりましたので、都合がつかないということで断わった。そういう事実はございますけれども、原潜を使用するかどうかという計画を具体的に持ってきたわけではございません。ただ電話で特別訓練をしないかという通知がありまして、それをこちらの都合で簡単に断わった、こういうのが実情でございます。
  35. 高田富之

    高田分科員 もし今後——仮定の問題になってしまうわけですが、今後でもあり得ることだろうと思うが、そういう場合に、原潜を含む、アメリカ艦隊との合同演習というようなものがあり得ますか。
  36. 松野頼三

    松野国務大臣 今後あるとかないとか、実は明確に言えないと私は思います。ということは、やはり世界じゅうの装備、兵器というものは、高田さん御承知のように、日進月歩しておりますので、非常に変わってくるのですから、遠い将来のことまでは、その内容についてはわからないと私は思っております。ただ、今日の状況で特に必要がないものはいたしません、こういうことでありまして、その兵器、装備というのは、世界じゅう変わってまいりますので、あるいはこれは釈迦に説法ですが、世界じゅうの潜水艦が原子力潜水艦になって、ほかのものがなくなるという時代も予想しがたいことではないと思います。世界じゅう大体潜水艦は原子力にどんどん変わってくる。したがって、潜水艦というものは世界じゅう原子力潜水艦だ、こう世界じゅうがなったときに、潜水艦は、演習ができなくなるのじゃないか、そういうように、極端な話ですけれども、進んでくると思います。いまは必要のないことは私のほうはいたしません、というのがいまの考えでございます。
  37. 高田富之

    高田分科員 必要がなければやらないということで、はっきり断われればいいのですけれども、私がお聞きしておることは、このきょうの新聞にありますように、西村幕僚長はそういうことはあり得ようとちゃんと言っているのですから、あり得るとちゃんと言っているのですから、ですから、断わるということはなかなか実際問題としてできないのじゃないかという気がするから私はお聞きするのですけれども、原潜が日本の港へ入ってくるということになりますと、そういう入ってくるときには原爆は、核兵器はおろして入ってきているのだ、そういうふうに信頼しているのだ、同盟国だから信頼しているのだ、こういう御説明がなされるわけですけれども、向こうの原潜を含む艦隊というものは原子力艦隊なんですから、原子力を持って行動しておるわけなんです。その艦隊と合同で日本の自衛艦が演習をするときに、おまえたちみんなきょうはあれをおろしておいて、原爆と関係のない通常の艦隊としての演習ならやるけれどもというようなわけにはいかないと思うのですよ。だから原潜を含む米艦隊と合同演習をするということになれば、当然原子力を装備した、たとえばいまのアメリカの第七艦隊というものの一部として日本の自衛艦が行動するという演習じゃないですか。はっきりそうなると私は思う。だからそれが断われるか断われないかというのです。
  38. 松野頼三

    松野国務大臣 演習にもいろいろな場合がある。基本的には演習というのは、味方味方の演習なのか、敵味方の演習なのか、いろいろな場合が演習にあると私は思います。したがって、高田さんの言われるのは、味方と味方の演習というふうな考えでお話しになっているのじゃないかと思います。いまはそういう方向で、私は必要はないと思います。
  39. 高田富之

    高田分科員 あまりはっきりしませんけれども、いまは必要がないということでありますので、なおあとで別の機会にもう少し具体的なお話を承る機会を得たいと思います。  きょうは同僚がたくさん通告がありますので、これで終わります。
  40. 愛知揆一

    愛知主査 次に、坂村吉正君。
  41. 坂村吉正

    坂村分科員 時間がありませんので、私も簡単にひとつお聞きをいたしたいと思いますが、その前に、松野防衛庁長官には、お嬢さんをおなくしになって非常に御傷心のことと思うのでございます。心からお悔やみを申し上げたいと思います。  先ほど高田委員のお話で、演習の話が出ておりましたが、私も演習場の問題で、高田委員の話とは別な意味で、日本の国民経済的に見て極端にいえば非常にばからしい、そういうことをやっておる。それから、地元から考えましても、非常に困ったものだ、こういうようなものが実はなかなか解決されないである問題があるのでございまして、この点につきまして、今後の基地問題あるいは演習地問題、そういう問題とも非常に関連する問題であろうと思いますので、大体いままでの経過その他をお伺いいたしまして、最後に防衛庁長官の今後の考え方とか、それから御決意のほどをお伺いしたいというふうに考えておるのでございます。  その内容は、群馬県の太田・大泉というところ、御承知のように、これは戦時中中島飛行機がありまして、あそこで海軍機、陸軍機をつくっておったところでございますが、あそこに五十万坪の飛行場がございます。その五十万坪の飛行場がいままで全然利用されないであいている。しかも、町のまん中に五十万坪という大きな飛行場があって、あいておるというのが実情でございます。昭和三十五年に太田・大泉地区が首都圏整備法に基づきまして、市街地開発区域として指定をされました。そのときにこの太田・大泉飛行場の五十万坪は工業専用地として指定をされておるわけでございます。その後、せっかく工業専用地として指定をされ、そしていろいろ工業の発展、工場誘致、市街地の整備、そういうようなものを計画を進めておりますにもかかわらず、現状はそれが米軍の演習地として使われておる関係上、どうしても利用ができない。地元では、せっかくそういうことで計画を進めておるのに、全然計画がにっちもさっちも動かない、こういう実情になっておるのであります。何回となく地元としては、非常に熱心に、知事をはじめとして折衝、陳情をいたしております。あるいはアメリカの大使館にも、それから米軍にも直接折衝をし、それを政府のほうにもいろいろお話はしてあるのでございまするが、これがなかなか片づかない。しかし、全然返還ができない、こういうことであれば、当初からこれはあきらめて別のことを考えねばいかぬだろう、こういうぐあいに思うのでございまするが、いままでは、とにかく何とか折衝してまず返還さすようにしよう、こういうことで進んでおりますものですから、もう首都圏計画、都市計画そのものが挫折をしておるというのが実情でございます。そういう事情でございますので、非常に珍しい例じゃないかと思います。しかし、今後もあるいは全国の各地にいろいろこういう問題が起こる可能性もあるかと思うので、その点、ひとつ具体的にいろいろ伺っておきたいと思う次第でございます。  まず最初に、三十五年に首都圏整備委員会で市街地開発区域として指定をいたしました場合に、この飛行場のあとの五十万坪を工業専用地として指定したわけでございまするが、その指定の際の経過、考え方、それからその後首都圏整備委員会としては、このまま放置されて返還されないでおるのだけれども、それに対してどういうぐあいに考えておるのか、その点を首都圏整備委員会のほうからひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  42. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 ただいまお尋ねの件につきましてお答えを申し上げます。  御承知のように、首都圏整備委員会では、既成市街地に集まります人口、産業の集中を緩和いたしまして、また首都圏内におきまして人口、産業の適正配置をはかりますために、市街地開発区域を整備いたすことにいたしておるのでございまするが、先ほどお尋ねのございました大田・大泉地区につきましても、その計画の一環といたしまして、市街地開発区域の整備が行なわれておるわけでございます。  今日までの経過を申しますと、市街地開発区域の指定がございましたのは三十五年の四月でございます。その後、区域指定に伴いまして整備計画を定めることになっておるわけでございますが、道路や宅地の整備計画につきましては三十六年の八月、また住宅、学校、上下水道その他の都市施設の整備の件につきましては三十八年の八月に整備計画を決定いたしまして、当該地区の整備を進めておるわけでございます。  なお、当該地区の工業団地につきましては、計画といたしましては九十二万坪の団地を予定いたしておるわけでございますが、このうちに太田キャンプあとが十六万坪、大泉キャンプあとが二十八万坪ありまして、なおそのほかに、ただいま御指摘がございました飛行場あとが約四十八万坪ございますが、合計九十二万坪の工業団地の造成を計画し、また仕事を進めているわけでございます。ただいま申し上げました団地の太田キャンプあと、大泉キャンプあとには、すでに工場等が入って操業を始めているわけでございます。飛行場あと地につきましては、当初返還の見通しが明るいということであったわけでありますが、その後接収地になっておりまして、地元からもいろいろ陳情等が関係方面に対して行われておるわけでございますが、この地域自体の返還については、いろいろな諸条件等もあるやに伺っておるわけでございまして、まだ返還にはなっていないのが現状でございます。しかし、もし返還されましたならば、早急に工業団地の整備を進めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  43. 坂村吉正

    坂村分科員 いろいろ諸事情がありましてと、こういうお話でございますが、この指定の当時には返還が明るい見通しだ、こういうことで工業専用地といたしまして指定をしたのでございましょうが、それがその後の折衝でどうもなかなか返らない。いろいろの御事情がありましてというのは、首都圏整備委員会としてはどういうぐあいにお考えになっているのかという事情と、同時に首都圏整備委員会として、政府が工業専用地として飛行場を返還してもらうんだ、こういう考え方のもとに指定をした、それが五年も六年もほったらかしにされておる、そういう事態をどのように考えるか。問題は、道路の整備だとか、あるいは下水道の整備だとか、こういうことを言いましても、五十万坪の土地が町のまん中にあいておりますれば、たとえば恒久的な道路整備、あるいは下水道をどうするかということだって、実際問題としてはできないわけです。ほんとうに間に合わせに、どうしてもしようがなければ、別のところを通って下水道を引っぱる。道路もほんとうはどまん中に十字の大きな道路をつくる計画があるようでございますが、これも全然できないということで、整理の一環としての計画が進んでいかないのじゃないか、こういう感じがするわけですが、どういうぐあいにその事態をお考えになっておるか、お伺いいたしたいと思います。
  44. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 指定されましたのは、先ほど申し上げましたように三十五年でございまして、状況をつまびらかにいたしませんが、おそらくその当時は、解除されるという見通しのもとに指定がされたというふうに考えております。しかしながら、この接収地はそれぞれ防衛庁と米軍との関係のいろいろなお取りきめとか、あるいはまたこの返還にあたっては代替地の問題その他諸条件がそろいませんと返還にならないのではないかというふうに考えるわけでございまして、これは、首都、圏整備委員会だけではいかんともしがたい点でございます。私どもいたしましては、できるだけそういう計画に沿ってこの整理が行なわれるようにということで、前々から関係方面とは御相談いたしておりますが、まだ返還の時期に至っていないというのが実情でございます。
  45. 坂村吉正

    坂村分科員 もちろん首都圏整備委員会だけで片づく問題ではございませんでしょう。そういう関係があるから、せっかく指定をした首都圏整備委員会としては、その責任を感じて関係方面と積極的に真剣な折衝をやって——これは地元が陳情するような問題じゃないと思うのです。政府がきめた以上は、政府の部内でなるべく早く片づける。どうしても片づかないならば別の方法を考えなければいけませんから、そういうことで見通しをはっきりつけるならつけてやって、ヘビのなま殺しみたいにしておくような状態に五年も六年もほっておくことはよくないと思うのです。そういう点について、いままでどういう努力をされておるか、その点を御答弁いただきたいと思います。
  46. 鮎川幸雄

    ○鮎川政府委員 前々からこの接収解除方については、防衛庁御当局と相談をいたしてきておるわけでございますが、先ほど申し上げましたような事情で、まだ返還に至っていないという状況でございますので、今後とも私どもは防衛庁御当局とも相談いたしまして、整理計画が進むように努力をいたしたいと考えておるわけであります。
  47. 坂村吉正

    坂村分科員 防衛庁長官、いま首都圏整備委員会とのやりとりでお聞きになっているように、そういう事情になっておるのでございます。  そこで防衛庁に対しましては、首都圏整備委員会からいろいろお話もありましょうし、それから地元としても、知事はじめ市町村長一丸となって、何とか早く促進しよう、こういうことで何回となく陳情をし、折衝をしてまいってきてございますが、これがなかなか片づかない。米軍のほうに話を持ってまいりますと、これは日本政府の問題だ、これはもう当然でございます。日本政府がそういう計画を立てて、そうしてこれを返してもらうという場合には、日本政府がもっと内部で考えるべき問題だ。米軍がどうしても演習地が要るというのであれば、それを提供するためには、日本政府部内で考えて、米軍の便宜を計らってやる、こういうことをやらなければ、米軍としてもなかなか承知しない、こういう面が一面にはあろうと思います。  同時にもう一つは、町のどまん中に五十万坪のあき地をかかえておるのです。しかも、これは政府が工業専用地にしよう、こうやってきめておるにかかわらず、いつまでもこれが片づかない。それではほんとうに演習をしているか、そういうことで見てみますと、大体いままでの統計をとってみて、平均三日か四日に一度ぐらい。これは、どこかの基地の飛行機が飛んでまいりまして、人員の投下と物資の投下演習をやっているわけであります。単に投下演習をするだけであるならば、何も町のどまん中に来て人間や器材をおろさなくともいいじゃないか、こういうのが大体世間の常識ではないかと思うのです。いろいろ米軍のほうにも事情があるかもしれませんが、町のどまん中にわざわざ飛行機を飛ばしてきて、そこに物をおろすということ自体が、国民感情からいってもどうもおかしいのじゃないか、こういう議論がございますし、それから、そこまでせっかく工業団地としていろいろ発展しようというやさきに、そういう発展をそこで阻害される、こういう感情的なものがずいぶん影響が大きいと思うのでございます。そういう点について、防衛庁長官もいままで首都圏整備委員会と私とのやりとりを聞いておられて、どういうお考えをお持ちになるか、御答弁をいただきたいと思います。
  48. 松野頼三

    松野国務大臣 首都圏整備委員会でそういうふうにおきめになった事情はいろいろあると思います。私のほうでは、演習に差しつかえがないかえ地を提供するならば、米軍はもちろん了解してくれると私は思います。もしこれを推進するならば、首都圏整備委員会でかえ地をあっせんしてもらえるならば、この問題は私は非常に早く解決する、こう実は思います。首都圏整備委員会だけで探すことができないなら、それは防衛庁の私のほうでもやりますが、基本は、簡単に言えばそんなことじゃないかと思う。首都圏整備委員会できめたのだから、首都圏整備委員会だけで代替地を出せ、これなら、私は解決がイエスかノーか、一足す一は二で、非常に割り切れるのじゃないかと思うのです。その問題ですから、どこを責めるというよりも、基本の解決を急ぐなら、私は首都圏整備委員会で代替地を見つけてもらえるならば、それでもって米軍の了解はとれるだろうと思います。そういう実は感じを持つのです。だから、きめるならきめる前に、その内容といきさつは御存じでしょうから、それに合う解決をしてもらわなければ困る。工業団地の指定だけきめた、あとは知らぬぞでは、ものの解決にはならないのじゃないか。このいきさつは首都圏整備委員会で知っておるわけですから、また国際条約できめてあるものは、国内法よりもよく各省認識があると私は思います。しかし、地元のほうの御希望も何度かございますので、私のほうも何とかその意向に沿いたいと努力している。要するに代替地の問題がある。ただいまおっしゃったような趣旨も私もよくわかりますので、その周囲の方の御迷惑にならないように、できれば代替地をもって米軍に交渉する、これなら解決が早いのではないか。ではその代替地はどこだとなると、そこでまたちょっと行き詰まるのです。それで、首都圏整備委員会できめたのだから、そこであっせんしてくれなければ解決は進まないのではないか、こう思います。
  49. 坂村吉正

    坂村分科員 防衛庁長官のお話でございますが、もちろん代替地があればおそらくいいのだろうと思います。米軍当局に行ってもそういうことを言っておりますし、それから防衛庁のほうでも非常に一生懸命努力していただいて、施設庁長官をはじめ、みな一生懸命にいままでやっていただいておるわけであります。ところが、いま、それじゃ代替地をさがせ、代替地を持ってこい、こう言っても、だれが代替地を持っていけるか。これは非常に大きな問題だろうと思うのです。いま全体の空気を見て、あそこに飛行場ができて米軍の飛行機が来るんだ、こういうことを言いますと、いろいろ飛行場の問題、基地問題でやいやい言われているときに、どこでもなかなか、ここでよろしゅうございますというところはないんじゃないかと思うのです。だから、そういう意味では、いままで代替地をさがすというので、防衛庁でも代替地を持ち出されて、米軍のほうといろいろ折衝していただいたんじゃないかと思うのでございます。施設庁長官のほうで、いままでの米軍当局との折衝の経過をもし明らかにできるのでございましたら、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  50. 小幡久男

    ○小幡政府委員 太田・大泉につきましては、おっしゃいましたように数年来の懸案であることは、私もよく承知しております。去年の六月に私は着任いたしまして、直ちに現場に参りまして、太田・大泉の地積も実地検分をしてきたようなわけでございます。その後、数年来のいろいろな懸案であることをよく身に体しまして、帰りましてから、米軍に対してすぐ一案を出しました。その一案を吊しましたにつきまして、米軍でもいろいろ好意的に検討はしてくれましたが、やはり気象とか地盤、そういった点で難色があるというお答えがありました。  それから、さらに、現在なお一、二の案が出ないかということで苦吟はしております。しかし、一番問題点は、これは御承知のように、相模の補給所から飛行機が投下した物を拾いに行くというふうな一つの距離の制約がございます。また日本全土で五十万坪のものをさがそうというんだったら非常にさがしやすいのでございますが、相模の補給所を中心に一つの機動の範囲が限定されておりますので、なかなかその場所を得るのに困難しておるという現状でございます。われわれといたしましては、松野大臣の御説明にもありましたように、基本的には大臣がおっしゃいました線に沿いまして、しかし、部内でも、日米の持っております基地の中で何とかならぬのだろうかという代案を、先ほど申しましたようなかっこうで出しておるという状況でございます。  なお、演習日数等につきましては、やはり先生もおっしゃいましたように、見た目には演習しておらぬようでございますけれども、私どもの調べでは、月平均まあ八日か九日は投下の演習をしているということも事実でございます。
  51. 坂村吉正

    坂村分科員 代替地の問題は、いろいろ提供されまして、その御折衝をいただいておることはありがたいのでございますが、私先ほど申し上げましたように、代替地をといったってなかなかむずかしいと思うのです。ですから、一週間に一回か二回くらい、月にせいぜい三日か四日に一回ですが、そういう演習をやっておる。しかも、その演習も一日中やっているわけじゃありません。たまたま飛行機が飛んできておろしている。この程度の演習でございますから、いままで使っているいろいろの基地や何かでこういうものをぜひ間に合わせてくれ。というのは、あの地帯をせっかく工業の中心地として育てよう、東京都の工場もそちらへ疎開させよう、こういうことでいろいろ日本政府考えたものを、それだけの演習のために犠牲にしておくことは、これは実に日本経済のためにももったいないんじゃないか。こういうことは、私はほんとうに政府当局が腹をきめて真剣に折衝していただけば、米軍当局でもわかってくれるんじゃないかと思うのです。その点をさらにひとつ突っ込んで、今後いろいろ御折衝をいただかなければならないんじゃないか、こういう感じがするわけでございます。当初の計画といたしましては、五十万坪のそこには十五の大きな基幹工場ができまして、そうしますと、それの系列の下請工場としては八十五の系列工場、こういうようなことで、大体そこの生産額にしましても年額一千億、こういう非常に大きな、将来の発展性のある計画を持っておるわけでございます。それがもう完全にとんざしてしまっておる。こういうのが実情でございます。したがいまして、今後ひとつこの問題は早急に何とか目鼻をつけて解決をしていただく。しかし、これをやめろという結論に持っていくことは、私は日本の首都圏のまわりの工業地帯として非常にもったいない話でございます。やめろというのは、飛行場としてそのままいつまでも使うんだから、このところを工業団地として使うのはあきらめろ、そうしてもっと別のところにやったらいいじゃないか。こういうことは、都市計画からいっても、あるいは工業団地をつくるというそういう全体の計画からいっても、日本の国として非常にもったいない話じゃないか、こういうふうに感ずるのでありまして、ぜひあそこで演習をやめる、三日か四日に一回ぐらい物を落とす、それだけをとにかくやめる。風がどうだ、地盤がどうだ、気象がどうだという問題はあるかもしれませんけれども、それは日本と一番友好の関係にある米軍でございますから、その点は日本のことを十分考えて、そうして何とか間に合わしてもらう、こういう線でもっと強く、ある程度時期でも切って御折衝をいただく、こういうお考えはございませんか。防衛庁長官に伺いたい。
  52. 松野頼三

    松野国務大臣 坂村委員の御趣旨のように感じて、実は努力いたしておるのです。代替地の問題も、ある候補地を見つけました。ところが、その代替の候補地が漏れると、直ちに代替候補地から反対が出てくる。またもとへ戻る、また別なところを見つける、それが漏れる、またもとのところに戻る、これが実は三、四年来のいきさつであります。しかし、なおそれに屈せず、またいま別の代替地を見つけながら——代替地といいますか、演習のできる場所を見つけて、いま一、二ございます。またこれが、地元の了解なしにやりますと、反対ののろしがあがりますので、実はいま二カ所ばかり候補地を見つけて、そこの地元の方にも御了解を得つつ円満にいきたいということがいまの状況で、その方向には実は一生懸命努力しておる。どうするんだと言われると、また反対運動が起きて、また結局もとに戻る、しかし、屈せずにやっております。いずれ今度の場所においては、ある意味において地元も御了解いただけるじゃなかろうかという気がしております。私もこの地域については、特に就任当時から理解を持って実は努力いたしておるわけであります。どうぞひとつ私の苦しいところも御了解いただいて、方向は間違いなしに努力して、何とか今回はうまくいくんじゃなかろうか、地元もそんなに反対がなかろうじゃないかという場所を複数で選んでやっております。早ければ非常に早い時期に解決ができると思います。その気持ちでやりますが、どうぞ御鞭撻と御協力をお願いしたいと思います。
  53. 坂村吉正

    坂村分科員 非常に積極的な長官の御答弁で感謝を申し上げますが、松野長官にひとつ実力をもって——実力者でございますから、実力をもってこの問題はぜひともいままでのように延び延びにならないように、ひとつできるだけ早く御解決をいただきたい、こういうことを特に御要望を申し上げます。  実は地元のほうでは、これは普通の基地問題と違うんだ。こういう都市計画に関連した問題でもございますし、知事、市町村長全部一生懸命これを推進しておるのは、共産党やなんかの赤旗を持って動いておる連中ではございません。そういうようなことで、米軍にできるだけ好意を持ち、協力をしながらやっておるわけでございまして、これがこのままいつまでも長引いておりますと、あるいは親米感情にも非常に影響を与えるかもしれません。そういう点を私どもは心配しておるわけでございます。市町村長は、どうしても片づかないなら実力行使をやろうか、飛行場にすわり込みをやろうじゃないか、そういう話さえ出ておるわけであります。すわり込みも、日の丸の旗を立て、日の丸のはち巻きをやってやろうじゃないか、こういう話さえ出ておるような状態でございますので、そういう地元の苦衷をひとつお考えいただいて、今後ともどうぞ積極的にお進めいただきたいと思うのでございまして、その点を特に御要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  54. 愛知揆一

    愛知主査 次に、村山喜一君。
  55. 村山喜一

    村山(喜)分科員 割り当てられた時間内に消化をいたしますから、ひとつ大臣のほうでも簡潔に要領よく答弁を願いたい。  三十七年の二月二十四日、予算委員会第一分科会における横路質問に対する藤枝長官答弁を速記録によって見てまいりますると、航空自衛隊は「爆撃機を持つ計画はございません。」こういうように答弁をされているわけでございます。その理由としては「爆撃機を持つということが他国に脅威を与えるようなおそれもあります。そういう面もありまして、爆撃機を現在備える計画を持っておりません。」これは、三十六年の七月に第二次防の整備計画が国防会議において決定したあとのことでございますから、今日におきましてもなお第二次防の計画遂行中にあるわけでございますから、このことは私は変わらないものだと思うのでございますが、大臣はどういうふうにお考えでございますか。
  56. 松野頼三

    松野国務大臣 昨年の横路君の再度の質問にもお答えしましたように、爆撃機を持つ計画は今日もございません。
  57. 村山喜一

    村山(喜)分科員 ところが四十年の十一月一日の新聞によりますると、これは中央紙のみではありません、地方紙に至るまで、航空自衛隊に爆撃隊というのが記事として出されているのであります。この内容は、いろいろなニュアンスの違いもありますけれども、第三次防計画の中で四十二年度から正式に発足をする、現在はF86Fを改装をして爆撃飛行隊を、すでに四ヵ所の基地において百機の改装爆撃機が配属されている、そうしてすでに訓練に入っている、こういうような記事が出されているのでございます。そこで、F86Fは、今日ジェット飛行機の性能からいいますると、すでにもう中古品になってきた。このF86Fをもうここら辺で用途変更をやって、そうして演習をやりながら、将来爆撃隊に切りかえていこうという考え方があるのではないかと思われる節があるのでありますが、これはどういうことになっておりますか。
  58. 松野頼三

    松野国務大臣 F86Fの四個隊を爆撃訓練をさせております。しかし、これは村山委員御承知のように、性能から申していわゆる外国に脅威を与えるような爆撃機ではございません。その目的は何かといえば、わが国の領土内、領海内において敵の直接侵略に対応する攻撃の訓練でありまして、他国に脅威を与えるような爆撃目的でもなければ、爆撃機でもありません。要するに日本の領域に直接侵略のあった場合、それを防ぐ意味の爆撃演習、それを防ぐ意味の防御手段としての演習をしております。
  59. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、これは用途変更をやったのではないということでございますか。しかしこの性能からまいりますと、いま他国の領土を爆撃をするような性能は持っていないということでありますが、これに機関砲だけを積み込みまして行った場合の航続距離というものは、公表をされているとおりであります。そして補助タンクをつけまして、そしてまあ高度にもよりますが、高い高度で八千から一万ぐらいのところを飛んでまいりますると、その行動半径から見てまいりまするならば、韓国の京城までは、五分間の戦闘を見込んでなお向こうに参りまして帰ってくるだけの能力があるわけじゃないですか。その計算をして、補助タンクを積み込んで、そして爆弾を二個なり——まあナパーム爆弾なり、あるいはその他通常の爆弾でもよろしゅうございますが、そういうようなものを装備してまいることが可能ではないか。そういうような点から考えてまいりますると、これは用途変更はしないけれども、現実に爆撃の演習をやっているということから考えるならば、この飛行機のいわゆる改装のやり方により、あるいは利用の方法によりましては、日韓条約に基づくような、協定がどういうようになりますかわかりませんが、いわゆる日本の領域外に行動ができるような性能というものを持っているのではないか、こういうことが取りざたされているわけでございますが、それについてはどういうようにお考えですか。
  60. 松野頼三

    松野国務大臣 これは、村山委員、非常に専門的な方に私が申すのもどうかと思いますが、それほどの性能があるわけではない。では、性能の中において、補助タンクをつけるならば、要するに爆撃訓練のほうがおろそかになる爆撃訓練の爆弾を積めば、補助タンクは積めないという程度のものでありまして、したがって、爆撃訓練の爆弾を積んだ場合の航続距離というものは半減いたします。したがって、これが外国に飛び立つような能力はない。もう一つは、爆撃機というものの世界の今日の状況は、御承知のように非常な高々度である。航続距離も二倍以上の余裕がある。しかも爆弾の搭載能力というものは、これは比較になるものではない。したがって、これがかりに爆弾を積んだからといって、他国が脅威を受けるとか、爆撃にこれが有効であるということは、これは御承知のようにございません。しかし、日本の沿岸に直接侵略があったときには、あらゆる場面を想定して、少ない兵器の中であらゆる戦略、戦術は国民のために研究する、その一つの研究がこういうふうになったわけで、貧乏な国、軍事力の少ない国としては、これは与えられた最大のものじゃなかろうかと私は考えております。
  61. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そういたしますと、性能から考えて他国に脅威を与えるようなものではない、だから爆撃隊とは称しないのだ。爆撃隊というのは他国に脅威を与えるようなものであって、もしかりに爆弾を積み、いわゆる上陸地点においてそれを阻止するために爆弾を落とす、そういう任務は付与されても、これは爆撃隊と称することにはならないのだ、こういうようなことでございますか。私は、やはり爆弾を積み込んでその水ぎわでたたく、そして、それを爆撃する、これはやはり爆撃飛行隊であると考えておりますが、もちろん性能の点は問題にしましても、そういうような任務というものが新たに航空自衛隊に課せられたものではないか、世間ではそういうふうに考えるわけですが、そうでないのですか。爆撃飛行隊の性格についてお尋ねします。
  62. 松野頼三

    松野国務大臣 他国に脅威を与えるような爆撃機は持たないという基本方針は御了解いただけると思います。F86Fがそれに該当するかどうか、性能上においてこれはもう御了解いただいたと思う。それでは、今日の訓練目的は何だということは、日本への直接侵略に対する防衛。したがって距離も限定される。言うなれば、離れ島等においては、陸上部隊の移動とか、なかなか防衛の完ぺきを期せません。その場合には、その防衛としてはこの程度のものが今日としては最も有効である、こういう意味でありまして、特に航空自衛隊がインターセプターだけしかやってはいけないという任務ではございませんで、やはり防衛庁の総体的な任務の中で陸海空の連携をとるというのがこの目的、訓練でありますので、私は、この問題は爆撃という意味でなしに、日本の防衛、ことに離島の多い日本においては、兵力の移動がむずかしいという今日からいうならば、非常に効能のある能率的な訓練じゃないかと考えます。
  63. 村山喜一

    村山(喜)分科員 私の質問にはあまり的確にお答えいただいていないのですが、では、角度を変えてお尋ねいたします。  第三次防が現在作業が進められておるようであります。長官としては、その他国に脅威を与えるような爆撃機、これは性能のいい爆撃隊だと思うのですが、そういうようなものは二次防でも計画をしなかった。また自衛隊性格からいって、そういうようなものは設けるべきでないというふうに、いまのような答弁を総合しますと受け取りますが、大臣の解釈としては、航空自衛隊にこの爆撃隊というようなものをつくらないんだ、F86Fは、これは用途変更をするわけではないんだ、改装もしないんだ、こういうふうな意味において最小限の国内的な防御措置だ、−あまり有効でないかもしれぬが、そういう程度のものであって、それ以上のものをつくる意思はないんだ、これは、第三次防の計画の中でもそういうふうに考えているんだ、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  64. 松野頼三

    松野国務大臣 他国に脅威を与えるような爆撃機専用、あるいは爆撃機というものを私は三次防に入れる計画は持っておりません。
  65. 村山喜一

    村山(喜)分科員 その問題は、それで大体打ち切りたいと思いますが、ウイングの四百十四号によりますと、F104というのは、このジェット戦闘機は非常に多様な有効的な機種であって、単に空中戦におけるところの戦闘行為のみならず、地上におけるところの空対地の作戦においても有効である、そして、いわゆる機体外に搭載できる武器というものはきわめて各種多様なものがある。その中身を調べてみますと、一千ポンド、あるいは二千ポンドの爆弾まで携行できるんだということが載せられているのであります。そういうような点から考えてまいりますと、現在F104ジェット飛行機が日本の領空侵犯等に活躍をいたしておる。これはいわゆる防衛的な性格を持つものとしてわれわれ受け取ったのでございますが、いわゆるそういうような性能というものから考えてまいりまするならば、非常に多方面に使用できる飛行機であるということになってまいりますると、用途変更というものを行ない得る可能性というものがある。そういうような問題点というものを提起しているわけでありますが、いまのF104のこの要撃機等につきましては、用途変更とか、そういうような点は考えられないのかどうか。考えているとするならば、これはきわめて重要な問題だと思いますので、この点について説明を願っておきたいのでございます。
  66. 松野頼三

    松野国務大臣 飛行機ですから、もしいろいろなことを想定すれば、能率が悪くても不可能ではない、いろいろな場合があります。民間機でも、無理にちっちゃな爆弾を積んでいって落とせば落とせるではないか、そういうことを言えないことはないと私は思うのです。しかし、そんなものは戦略戦術として脅威でもなければ、だれもそんなものを利用するようなことは考えられない。やはり性能に応じ、能力に応じ、そして、それだけの効果がないことの訓練はいたしません。したがって、ただいまの104のお話は、これは世界じゅう104を採用するとき、いろいろな議論が出ました。性能は御承知のごとく非常に優秀な飛行機です。したがって、ある国においてはこれを爆撃機に使っておる国もないとは私は言いません。やろうと思えばできないことはありません。しかし、飛行機の性能というのはおのずから日進月歩変わってまいりまして、ただ領空侵犯あるいは要撃機だけという飛行機をさがすことは、今日専門の飛行機というものはないんじゃないか。ただ、日本の場合は、これを要撃機として採用し、要撃機として訓練し、要撃機としてこれを使用しておるというので、これは要撃機であるという判定が下せるのじゃないか、無理にこれを爆撃機に使った場合はどうかというと、性能はうんと落ちます。それはとても一般的に世界の水準の爆撃機の中から見るならば、104を爆撃機に使うなんていうことは非常に不経済であるとともに性能が悪い。それは、目方じゃなしに、スピードに重点を置いているからであります。そこに私たちが爆撃機でないと言えるのは、それを使えないとは言いません。無理に使おうと思えば、民間機だって爆弾を積んでいけば爆撃に行けるかもしれませんが、そういう時代ではなくて、総体的な装備力というものは前進しておりますので、104をもし日本で採用したときには、日本の要撃能力というものはゼロになる。また爆撃能力というものは非常に弱い。その意味では、他国に脅威を与えるような装備にはこれはならない、かく私は言うことのほうがいいのじゃないか。あまり専門的に言われますと、私は専門じゃありませんから、もしあれならば、専門的な官房長からでも答えさせまするが、大体方向はそういう方向でございます。もしさらにもっと詳しくとおっしゃるなら政府委員から答弁させます。
  67. 村山喜一

    村山(喜)分科員 詳しいのはまた内閣委員会で聞きますから、きょうはアウトラインだけでよします。時間がありませんので。  私はアメリカ軍との共同訓練というものが最近非常に多くなってきているように思うのですが、この前も四十年度の航空自衛隊の総合演習が十月の十六日から二十日にかけて五日間も行なわれた。この米軍機のT33、B57が協力をしてきわめて激しい訓練が行なわれたというのが出ているのであります。それから、なおそのほか海外におきましても、アルゼンチンの海軍と日本の海上自衛隊が共同演習をやった、あるいはきのうの新聞ですか、西村幕僚長が米原子力潜水艦と自衛艦の合同訓練があり得ることを示唆している旨の発言がなされております。こういうようなものから考えてまいりまするならば、一体その根拠法規というものは、もちろん安保条約三条というような条約上の根拠はあるでありましょうが、国内法における、いわゆる自衛隊がそういうような他国の軍隊と共同演習をやる、訓練をやる、それの根拠規定というのは一体自衛隊法上、あるいは防衛庁設置法上どういう根拠に基づいてなされているか、これについて説明を願っておきたいと思うのです。  それと同時に、アメリカの原子力潜水艦と自衛艦の合同訓練というものがあり得るのではないかといわれるような印象を与える、いわゆるポラリスを積載したところのアメリカの原子力艦隊と自衛艦の、自衛隊のいわゆる演習というものが行なわれるという方向に行くならば、当然これは日本海におけるところのソ連のポラリス型の原子力潜水艦というものを対象にした演習形態というものにならざるを得ない。この前進水をいたしました、いわゆる一番艦のDDKの二千トンであります。あれは名前は何と言いましたか、新造船が進水をしたようでございますが、その速力は大体二十七ノット、こういうふうに聞いているのであります。二万六千五百馬力の馬力をつけまして、そうして二十七ノットで走っている。といたしまするならば、大体原子力潜水艦というものの海中におけるスピードは、普通型の潜水艦は十五ないし十八ノットくらいであろうと思うのでありますけれども、原子力潜水艦は三十ノットであるというふうに聞いているのであります。とするならば、一体こういうような仮想敵国といいますか、その一つを対象としてとらえて、アメリカの原子力潜水艦の艦隊、アメリカの空母も含めまして、すでにアメリカと韓国との間に合同演習も、そういうような作戦が行なわれているやに聞くのであります。一体日本とアメリカとのいわゆる合同演習を通じまして、そこに自衛隊が核戦略体制の中へ参加していくという問題が起こる、そういう原子力潜水艦等と一緒にやるならば、当然みずからアメリカの核戦略体制の中に参加していくという形態にならざるを得ない。この問題についてはどういうふうにわれわれは考えるべきであるか、また防衛庁としてはどういうふうにこれを考えておられるのかということについて承っておきたいと思います。
  68. 松野頼三

    松野国務大臣 日米間の合同訓練は、自衛隊法における訓練規定の中に規定しております。これは、日米という外国との規定をしているわけではありません。訓練という演習訓練の中の一項目であります。外国の場合はそれだけではできませんので、条約によって規定された国においてのみこの問題ができる。その外国とは、日米安保条約の第三条の規定がその根拠規定である。したがって、日本と米国とは自衛隊法、安保条約によって合同訓練を継続してやっておる。アルゼンチンの場合は儀礼的なものでありまして、これは、演習ということばは変ですが、ただ向こうへ参りましたから、向こうの艦隊と一緒に洋上の航海をしたという程度、これは儀仗兵の儀礼みたいなものでありますから、訓練といえば訓練でしょうが、これは問題が問題でありません。そういうわけで、日米間の訓練はその規定でやっております。  もう一つは、どういう形の訓練をやるかということは、原子力の推進を持った発展が世界じゅうに進みますならば、いつまでもエンジンばかりの潜水艦が世界にあるわけでありません。世界じゅう潜水艦というのは原子力にかわりつつある。新たにつくろうとする中進国といいますか、先進国になるような国でも、おそらく潜水艦というのは原子力というものを推進力に採用しつつあるのが世界情勢だと私は思います。その情勢から言うならば、日本国の防衛を考えるときに、いかなる国から侵略を受けるか、いかなる装備があるか、いかなる科学が発達したかというのにあわせて訓練をしなければ、永遠にわれわれは日本の防衛は守れないだろう。その意味では、兵器の進歩に応じて訓練過程が進歩するということは、これは認めていただかなければならないと私思います。  そこで、最近の話で、アメリカの原子力推進の艦隊あるいは潜水艦との合同訓練の話がありますが、日本で必要であると認めるならば、やはり訓練をしなきゃならない。しかし、今日まだ必要であると私は直接考えておりませんので、その問題はまだ実行したことはありません。しかしやらなければ日本の防衛があぶないというならやらなきゃいけない、これで判定をすべきであると私は思います。
  69. 村山喜一

    村山(喜)分科員 やる場合、原子力を推進力に使う、そういうようなものと、それからポラリスを装備した潜水艦、この二つの場合に問題を分けて考えなければならぬ。大臣がおっしゃるのは、いわゆる非核武装のその潜水艦との合同演習は、そういうような時勢の推進に従ってやることもあり得るけれども、いわゆる核武装をしたアメリカのポラリスを持っている潜水艦との間にはやはりやるのですか、そこをはっきりしておいていただきたい。
  70. 松野頼三

    松野国務大臣 先ほど高田分科員の御質問にも答えましたように、日本が核装備をしない、核兵器を使わない、それに必要な訓練というものの限界が私はあると思うのです。したがって、先ほど高田分科員にもお答えしましたように、日本が核の攻撃を受けるという立場からいうならば、守る意味の訓練は必要じゃないか、日本が核を持って攻撃するというふうな訓練には、日本は今日その意思がないから、その訓練は必要がない、こういうふうに私は考えているのです。なおポラリス潜水艦が太平洋において核装備をしていると、私は実は確信を持っておりません。しているという前提で私は話をしているわけではありません。
  71. 村山喜一

    村山(喜)分科員 時間があと五分ですので、あと一つだけお尋ねしておきます。  それは、私の郷里の姶良郡の福山町というところで、海上自衛隊が今回魚雷の発射訓練をやるということで準備が進められているのです。それは、普通型の魚雷の訓練ではなかろうと私たちは思っている。というのは、最近非常にそういうような面においても、アスロックであるとか、あるいは音波の追尾の短魚雷であるとかいうものがどしどし開発されている。いわゆる立地条件の上から見ますならば、その錦江湾の海上で行なわれるいわゆる魚雷の発射訓練というのは、どうやらアスロックか、あるいは今度三菱重工がゼネラル・エレクトリック社から技術導入するといわれております音波追尾の短魚雷ではなかろうか、こういうように考えられるわけでございますが、そういうような新しい兵器を開発をしていかれる計画をすでに立てられておるのかどうか、この点について説明を願っておきたいと思うのであります。それで、今度「やまぐも」、これはアスロックを装備をして、対潜水艦の攻撃用の兵器を装備をしたということが伝えられておるのでありますが、一体このアスロックを装備をした護衛艦「やまぐも」が就航をしたという点から考えてまいりますならば、そういうような、いわゆる対潜用のホーミング魚雷とロケットブースターによります新しい兵器が開発をされて、そういうような訓練まで行なわれるのではないか、あるいはまた、いわゆる同じようなホーミング魚雷であります音波追尾魚雷というものが日本に持ち込まれて、そこで演習が行なわれるのではないかと私たちは想定をしているのでありますが、その事実はどういうふうになっているか、これは、長官からではなくて、防衛局長のほうからお答えを願っておきたいと思う。
  72. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいまの魚雷とアスロック、こういう新しい開発された装備を艦艇なり潜水艦に搭載をする、それについての御説明を申し上げます。  これは、わが防衛庁においても、いろいろなそういう各種の兵器につきましては、諸外国の技術の進歩に即応いたしまして、いろいろ研究し開発をいたしておるわけでございます。魚雷につきましても、音波によりますところのホーミングをする魚雷というものが現在もございます。これもさらに将来改善をしていくということは、当然あり得ることでございます。それからアスロックにつきましても、それは三十八年度かに搭載いたされておりますけれども、この計画といたしましては、将来DDA4、DDK3、それにそれぞれ搭載いたす予定にいたしておるわけでありまして、これは要するに、アスロックにつきましては、御承知のことと思いますけれども、対潜ホーミング魚雷をロケットブースターと一体となって打ち上げまして、空中の所定のところでパラシュートが開きまして、魚雷が海中に落ちまして、それがみずからのホーミングによって、ホーミング魚雷として相手の潜水艦を攻撃をする、こういうことで、新しい兵器ではございますけれども、こういう兵器の開発なり技術の研究というものは当然防衛庁としていたすべきものでございますし、こういう魚雷なりアスロックというものも、そういうものの一つとして考えていただきたいというふうに考えておるわけであります。
  73. 村山喜一

    村山(喜)分科員 鹿児島県のあそこに錦江湾がありますね。あそこの福山の出っ鼻の岬、これは何とか鼻という岬ですが、そこから向こうに燃島という、軍艦島と称せられるところがある。射程は約一万メートルくらいあります。海の深さが大体三百メートルくらいある。そこを候補地として選んで、あなた方がしかもそこに駐とんをして、そして海上自衛隊の諸君がそこで演習をやる、こういうふうに聞いているのでありますが、それは事実か事実でないか、それだけをお答えいただきたい。
  74. 宍戸基男

    ○宍戸政府委員 アスロックの発射訓練を鹿児島湾でやるという計画は全然ございません。
  75. 村山喜一

    村山(喜)分科員 そうしたら、音波追尾魚雷ですか。
  76. 大村筆雄

    ○大村政府委員 予算にも関係がございますので、経理局長から御説明申し上げます。  現在は、通常魚雷の発射試験は大村湾で試験場を借りましてやっておるわけでございます。ちょうど深度が浅うございまして十分な試験ができませんものですから、適当な深度の深いところの試験場を得たいということで、先生御質問の錦江湾の一部を試験場に使えたらということで、地元の側と御相談している最中でございます。
  77. 村山喜一

    村山(喜)分科員 通常魚雷ですか。
  78. 大村筆雄

    ○大村政府委員 通常魚雷の発射試験のための試験場ということでございます。
  79. 村山喜一

    村山(喜)分科員 終わります。
  80. 愛知揆一

    愛知主査 次に田口誠治君。
  81. 田口誠治

    田口(誠)分科員 先ほど高田委員のほうから質問がございまして、質疑応答を聞いておりましたが、重要な点の確認が明確になっておりませんので、再度御答弁をいただきたいと思います。  高田委員の指摘をされましたことは、四十一年二月二十三日の東京新聞で、自衛隊海外派兵させるということから、外務省が法案作成の準備をしておる、こういう発表に基づいてなされたわけです。それについて、防衛庁長官が二十五日の記者発表では、それを否定されておる。そこで、その点でいろいろとことばのやりとりがありましたが、外務大臣のほうは、憲法解釈のほうには問題はないが国内法である自衛隊法改正が問題であるから、まずこれをやらなければならないという思想のもとにああした新聞が出されておるわけなんです。ところが二十五日の防衛庁長官の記者会見の内容を要約しますると、自衛隊法改正憲法の問題が基本である、したがって、これが解明されない限りは改正の手をつける考えはないのだ、こういう内容だと思うのです。そうしますると、両大臣とも国防会議の重要メンバーでもありますので、そうしたメンバーが、こうした国民の大きな関心を持ち、そしてこの発表に対していろいろと問題になっておるようなことをそれぞれ違った感覚で外部へ発表されるというようなことは、私は慎んでいただかなくてはならない問題でないかと思うわけなんです。したがって、ここで明確にしてもらいたいことは、こうした問題についてはまだ国防会議等で検討はされておらないのだが、防衛庁としては、海外派兵を含むその他の問題についての自衛隊法改正はやらないというように明確に受け取っておいてよろしいかどうか、この点を一口で答弁をいただきたいと思います。
  82. 松野頼三

    松野国務大臣 自衛隊法によって、海外派兵を現行法でやることは、私はできないと思います。将来自衛隊法改正検討をしておるか。しておりません。したがって、今日自衛隊海外派兵するという考えはありません。これが先ほどのやりとりの結論だったわけです。  憲法問題について私は発言をいたしましたが、これは、法制局のほうで憲法解釈を明確にしてもらわなければ、憲法議論はいまの時期ではない、実はこういうような発言の趣旨だったわけであります。外務大臣の発言がどうされたか、私もそれはよく聞いておりませんので、外務大臣にお答えするのでなしに、田口委員の質問お答えするといいますか、外務大臣の答弁を私は聞いておりませんので、誤解を招くといけませんので、あくまでこれは田口委員にお答えする、こういうふうに御解釈願わぬと、外務大臣がいろいろ発言されたことに、あとで私が一々それに引っぱり出されても困りますので、それが田口委員にお答えするいまの私の態度であります。
  83. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そういう明確な答弁がありましたが、なお新聞によっての私の質問でございますけれども、外務省はすでに内閣法制局防衛庁、自民党の外交調査会、この三者の調整をとっているということを新聞には書かれておるわけなんです。こうなりますと、ただいま防衛庁長官のほうから御答弁のあったことが根本的にくつがえされることになるわけでございますので、そういうことがあったのかないのか、これも明確にしていただかなければ、あの新聞記事をずっと読んでみますと、全く考え方は固定されておるように、外務省は、内閣法制局防衛庁、自民党の外交調査会、こういう重要な部署との調整をとっての発言というように私どもは受け取っておるわけです。したがって、あの新聞が出て以来、国民は、自衛隊海外派兵があるのだ、将来そういうことになるのではないか、こういうことで、戦々恐々としております。特に日韓問題を審議する過程においても、また外部で私どもが発表する場合にも、日韓条約が調印されればおそらく国連軍という名のもとに日本自衛隊海外派兵する、こういう考え方を持っておるのではないか、なお経済援助の問題も、アメリカのドル防衛の関係から、アメリカの経済援助を日本政府がかわって韓国へ援助するのではないか、こういうようなことを演説をして歩いておりますので、ちょうどいまの時期になってそのことが事実化せんとしておる、こういうように国民は受け取っておるわけです。このことは、国民としては非常に心配をしておるわけなんですから、この点を明確にしていただきたい。防衛庁は三者のそうした相談にあずかっておらないのかどうかということです。
  84. 松野頼三

    松野国務大臣 外務省法制局防衛庁の三者でこの問題を協議したことは、まだ一ぺんもございません。  なお国連問題につきましては、御存じのごとく、国連協力における日本の条約、また自衛隊法における日米間の米軍に対する協力という規定があるだけで、海外派兵ということは現行自衛隊法としては不可能だと私は考えます。
  85. 田口誠治

    田口(誠)分科員 表現にはいろいろありまするが、三者調整したという会合を持ったことはないということは明確に答弁なされた。それで、個々に了解を求める方法もあるわけなんです。防衛庁は個々の相談にあずかっておるかどうかということです。その点も明確にしてもらいたい。
  86. 松野頼三

    松野国務大臣 防衛庁外務省は相談がなかったことは、両大臣の発言がだいぶ違っておったということで御了解いただけるだろう。これは、打ち合わせてあれば、私もああいう発言はしません。これは明確だと思うのです。防衛庁法制局はどうだ、防衛庁法制局について、この問題じゃありませんが、憲法自衛隊法の問題については常時いろいろな場合に協議しております。しかし、それはいまの海外派兵、外務大臣の発言についてではありません。一般的に憲法問題、ことに第九条の問題と憲法のその他の条項とか自衛隊法の問題というのは、やはり事が防衛というのは対外的に非常に問題が多いことです。したがって常時協議しておりますけれども、この問題で法制局とまだ協議したことはありません。しかし、あれほど皆さんから御質問を受けますと、これは協議しないとかいかぬかなと実は私は考えておるのです。かってな答弁をしてはいかぬな、あるいはこう御質問があると、協議をしなければ、かえって政府の不統一と世間が思うのじゃなかろうかというので、最近質問が出ましてから、協議をすべきじゃなかろうかと、逆に実は考えておる。いままではなかった、しかし、もうこうなると協議しなければいけなくなったのじゃないかと私は思います。
  87. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そういう答弁のしかたもありますが、こういうような事態になったから一応三者で話し合いをするとか、あるいは法制局へ命じて憲法解釈上の問題も検討させるという意向にいま変わっておられるのかどうかということです。そういうような会合を持たれるかどうか、こういう問題で国防会議を開いて、これを具体的にそれぞれの部局で検討すべき段階にきておるのかどうかということをする考えがあるのかどうかということです。
  88. 松野頼三

    松野国務大臣 いろいろ話題が出ますと、協議をしなければならないのじゃなかろうかと私はいま考えます。したがって、今後は法制局と協議をして、憲法問題と自衛隊法の問題はやはりより以上明確に——いままで明確でした。しかし、新たな状況が出ますと、また新たな観点で協議しないと、両者の意見が不一致ということはいいことじゃないから、協議を始めようというのが実はきのう、きょうくらいからの私の心境です。いままではこの問題でやったことはありません。しかし、あまり意見が違っていると政府部内が不統一と言われる。これはよくないから、かえって促進をされて、私も協議をしなければいけないという気持ちにいまはなっております。いままではしたことはありません。  それからもう一つは、この問題はいろいろな新たな状況が出るものですから、その状況憲法、その状況自衛隊法という新たな問題としての場合で、過去の問題は全部明確にもう処理済み、また国会にも報告済みなんです。そういうことから、私もあるいは今後協議をしなければならないか、これは外務省とではありません、法制局です。外務省とは、御承知のごとく、ある意味でお互いにもうしゃべりましたので、そうその問題はないのじゃないか。海外派兵というのは、現行法では私は考えておりません。
  89. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それで、法制局の第一部長さんですか、あなたには憲法解釈をお聞きするのではありません。外務省法制局打ち合わせをして国連軍に参加をする、すなわち海外派兵をすることは違憲でないということを確認をとって、そうしてこういうような態度になっておるのだ、こういう新聞の発表であるから、外務省法制局のほうへそういうことの検討を依頼をしたことがあるかないか、これだけをお聞きしたいのです。
  90. 関道雄

    ○関政府委員 実は私、東京新聞の夕刊を見まして非常に驚いて、さっそく部内でも問い合わせたくらいのことでございまして、そのことについて、具体的に国連協力ということができるだろうかということを外務省から正式に協議を受けましていろいろ検討したということはございません。
  91. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、外務省はでたらめなことを言っておった、こういうことになるわけです。したがって、現憲法にのっとって海外派兵はさせない、こういう態度を堅持をしてもらいたいし、特に思い抱いていただきたいと思いますのは、昭和二十九年の六月に、参議院の本会議で自衛隊海外派兵禁止の決議がなされております。こういうように国会において、本会議でそうした決議もなされておるのだから、こういうような問題を、しかも国民が動揺するような問題を軽率に口外してもらって新聞発表をされるようなことになりますると、私は問題だと思うので、こういう問題についてはやはり自重をしていただきたいし、あくまでもただいま長官のお話しのような、海外派兵はしないのだ、こういう態度をひとつ堅持していただきたいと思うわけでございます。  それでは次に移ります。第一次防衛計画が終わり、第二次防衛計画も昭和四十一年度をもって終了するわけでございまするが、ここで第二次防衛計画の中で、今年を含めて計画どおりやれるものと、やれぬものとあると思うのです。それをひとつ簡単に明確にしていただきたいと思います。
  92. 松野頼三

    松野国務大臣 第二次防衛計画の中で、陸上部隊におきましては兵員の充足が必ずしも十分じゃございません。第二次防衛計画の最終目標に対して、パーセンテージでは八五%ぐらいの比率で、満足じゃありません。そのほか装備の近代化につきましては、ある程度進みまして、本年の予算にも装備の近代化を実は最終年度として計上しております。海上部隊におきましては、護衛艦のトン数がどうやらいっぱいに、とんとんになりつつある。まあ計画どおりに行きつつある。ただ少し時期がずれた。二次防の最終年度の就役数が少し落ちた。しかし、建造計画においてはどうやら取り戻してある。そのほか航空自衛隊におきましては、兵員、装備、第二次防の計画を十分実施できた、こういうわけで、特に言うならば、二次防における障害としては、陸上部隊の装備と兵力が必ずしも満足じゃなかったことと、艦艇の就役がそれだけ順調にいかなかった、航空は大体予定どおり、そういう段階であります。
  93. 田口誠治

    田口(誠)分科員 第二次防衛計画は今年度終了する、計画どおり一〇〇%までいかぬでも、まあまあ一〇〇%に近い目的が貫徹できる、こういう答弁であるわけなんです。  そこでお聞きをいたしたいことは、今年度の予算内容を見ましても、突如として第三次防衛計画に組み込まれるものが昭和四十一年度の中に組まれておるわけなんですが、これは一体どういうお考えなのか、そして、どれだけの予算で何と何をするのか、これをひとつお示しをいただきたい。
  94. 松野頼三

    松野国務大臣 第二次防衛計画になくて第三次防衛計画だけが本年度の予算に入ったというものはございません。したがって、第二次防衛計画の中でおくれておったものが今回四十一年度予算の中に計上された。そのおもなものは、開発的なものであります。二次防でもっと早く準備をすべきものがおくれて最終年度になって、これが開発された。したがって、これが第三次防につながるものだということは言えますけれども、二次防になくて三次防のものがことしの予算に入ったというものは一品目もございません。二次防の中でおくれておったものが本年に入ってきた。したがって、開発ですから、開発は四十一年度だけで済むものでありませんので、将来伸びる。伸びるなら、それが三次防につながるものだ、こういう意味において三次防というものが出てくるわけでございます。二次防にないものがこつ然として出てきたというものは実はございません。
  95. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その点をもうちょっと突っ込んでお聞きしなくてはなりませんが、いまの答弁でいきますると、第二次防で大体一〇〇%に近いものが完了するのであるけれども、なお二次防で万全を期せられなかったものをピック・アップして、この四十一年度に予算を組んだ。こういうことなんで、これは予算の上からいくと、異質になっておると思うのだが、どうですか。   〔主査退席、登坂主査代理着席〕
  96. 大村筆雄

    ○大村政府委員 先生御承知のとおり、二次防計画と申しますのは、従来重要装備品の整備目標と、二次防期間中のおおよその所要額を概定したものでございます。したがいまして、こまかいものまで一つ一つぴしっときまっておるという性格のものでございません。したがいまして、防衛力整備計画と申します以上は、二次防を終わったとたんにまた新しいものが、全然質の変わったものが出てくるということではございませんで、おのずから四十一年が四十二年に移行いたします場合に、それぞれなだらかな推移がなければいかぬわけでございますので、当然そういう意味におきまして、いわゆる従来いわれております三次防というのは、四十二年から五カ年間で始まりますから、それとの関連における経費というものが二次防の最終年度でございます四十一年度に計上されておるということは言えるかと思います。しかし先ほど申しましたように、こまかい品目は一つ一つ二次防というものが積み上げてやっておるのではございませんで、中には研究開発費という大ワクになっておるものもございますし、参考器材購入費一本で大ワクになっておるものもございますし、そういう予定された中でもって、三次防の発展を考慮しながら、二次防の計画なりで予算を計上してまいっておる。そういろ考え方で実は四十一年度の予算が編成されておるわけでございます。
  97. 田口誠治

    田口(誠)分科員 第二次防五カ年計画では何と何をどれだけつくるんだ、こういう計画がなされた。その計画は、昭和四十一年度末までにはほぼ完成する。定員の関係はむずかしいと思いますが、その他はほぼ完成するということだ。そうしますると、そのほかに、一つの例を言えば、CXの関係、こういうようなものは、別に第二次防衛計画の中でやらなければならないものではないはずなんですが、こういうものが、一つ例を引きますると入っておりまするから、第二次防衛計画の最終年度に若干第三次防のはしりが予算化され、そうして作業が進められる、こういうようにぼくらは判断しておるのでございます。その点はどうですか。
  98. 大村筆雄

    ○大村政府委員 ただいまCXはどうかというお話でございましたが、御承知のとおり、CXと申しますのは、ただいま航空自衛隊で使っておりますC46という輸送機がございます。それの後継機ということでございます。C46は、御承知のとおり、できましてから約二十年たっておる老齢機でございますので、二次防を策定いたしました当時から、それの後継機の開発ということは内々内部には考えられておりまして、先ほど申しました二次防の重要整備目標外ではございますけれども、内部的にはCXの開発というものは、二次防を策定したときから予定されていたということでございます。むしろ内部で考えていましたよりは計画が多少ずれて実現したということが言えるかと思います。ちょうど四十一年に初めてCXが起こり、基本設計予算は積まれたのでございますから、当初関係者が考えておりましたよりもずれて実現した、そういうことが言えるかと思います。
  99. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、二次防の最終年度に第三次防のはしりを予算化したり、また具体的な仕事をするということはできない、こういうことなんですが、いまの答弁は、そうでないでしょう。
  100. 大村筆雄

    ○大村政府委員 くどいようでございますが、二次防と申しますのは、二次防で政府できまりましたものは、二次防の重要装備品の整備目標と、二次防の総所要額を一応概定したということで、こまかいことはぴしりときめたわけではございません。二次防、三次防と一応申しますけれども、やはりその間の年度年度のつながりは常に考えながら施策を進めていかなければなりません。したがって、当然四十一年度予算の中身ということになりますと、ことに防衛庁の発注いたしますものは、五年先あるいはそれ以上の先にわたるものが非常に多うございます。したがいまして、四十一年度予算に組まれているものの中には、三次防に関連あるものが相当あるわけでございますけれども、それでは、そういうものは二次防で全然予定していなかったかと申しますと、広い意味では、研究開発費の一部、参考器材購入費の一部でございますから、そういう意味では、二次防にも大体予定しておった。それがまた三次防にもつながる、そういうことでございます。
  101. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは装備局長にお聞きしたほうがいいかもわかりませんし、また長官のほうからお答えになってもいいと思いますが、第二次防で計画されている諸兵器、この諸兵器以外の兵器は、昭和四十一年度には装備することはあるのかないのか。
  102. 松野頼三

    松野国務大臣 第二次防計画で装備品として予想し、あるいはその方向できめたもの以外には一つもございません。
  103. 田口誠治

    田口(誠)分科員 長官が明確にされましたが、私は、第二次防については、具体的にそれぞれの兵器、隊の編成、そういうものの一覧表を持っておりますので、お聞きするんですけれども、これ以外のものは、兵器としては新しく導入したり、また生産したりすることはできない。これでよろしいですね、装備局長のほうも。
  104. 國井眞

    ○國井政府委員 ただいま長官からお答えいたしましたように、予定を全くしておらぬものを装備するということはございません。
  105. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、第二次防衛計画の最終年度であり、いま国会で審議中であるわけなんですが、防衛計画なんというものは、一つの工事が終わって、次にはどこへ道路をつけようとか、どの河川を改修しようとかいうようなことでなしに、関連的なものがあるわけなんですが、関連的なものがあるから、おそらくいろいろと作業が進められておると思う。そうしますと、第三次防の基本構想というものは、もう防衛庁ではお持ちでなければならないと思うのです。ただ形式的には、国防会議へかけておるとかおらぬとかということで、国防会議へかけて正式にはきまるのだけれども、そういう構想というものは防衛庁ではいろいろと持っておられると思うので、第三次防のおおよその基本構想というようなものをひとつここでお示しいただくわけにはいきませんですか。
  106. 松野頼三

    松野国務大臣 せっかくのお話でありますが、現実的に四十一年予算が成立をする、その内容について第三次防というものを基礎にして考えるというのが現実の問題なんです。したがって、それではこの予算が成立したときにどうするかということは、これはその時期において当然御発表申し上げますけれども、成立したそれを基本に三次防が出発するのです。いまちょうどその出発点の御審議を願っておる最中なものでございますから、私ども、三次防というのはまだ実は部内的にも計画ができておるとか、数字ができておるという段階ではございません。基本構想は一次防、二次防に合わせて三次防ですから、そうその基本構想が極端に違う、異質のものではない。なぜかというならば、四十一年予算が異質なものでないだけに、その軌道をより前進させるだけであるというのが基本的に今日申し上げられることだと私は思います。
  107. 田口誠治

    田口(誠)分科員 順序を正していけば、ただいま長官のお話のような答弁になろうと思うのです。ただ私どもがいろいろ聞いておりますことは、いずれにいたしましても、本年度の予算は赤字公債を発行をして予算を編成しております。それから第二次防まではMAPの援助によって日本の防衛力というものがつくられてきた。第三次防になりますと、もうこれは当てになりませんので、第三次防の場合には、完全に国民の税金によってやらなければならぬわけであります。したがって、今日のように諸物価が上昇し、そうして経済の不況の段階にあって、自衛隊というもののあり方については大きな関心を持っており、そのときにたまたま外務省からああいうような意見が出て国民を非常に迷わしておるという実態からいきますると、この国会で第三次防の基本的な構想ぐらいは発表されることが正しいのではないか、もちろん持っておられると思いますので、そういうことからお聞きをしておるのです。だからそれでもできなければ、できないという人に無理に出せというわけにもいきませんので、これ以上はこの分科会ではやりません。また内閣委員会でやりまするが、きょうお示しいただければひとつお示しを一いただきたいと思います。
  108. 松野頼三

    松野国務大臣 せっかくの田口分科員のお話で、私もお示しいたしたいのですが、まだ実はその段階にほんとうにきておりません。したがって、基本的には同じことですが、一次防、二次防、三次防というのは異質なものではない、その基本線にのっとって進む、これだけお答えしておけば、御賢明な内閣委員で御承知のとおりでございますから、そんなに変わったことを私がきめる構想はないということが、お互いに一番わかりのいい話ではないかと思いますので、どうぞひとつ御了承を願いたいと思います。
  109. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それでは、時間の空費になりますので、それ以上突っ込んでお聞きしませんが、あとの楽しみにしておいてください。  そこで、総理大臣も防衛庁長官も、日本には核を持ち込まない、核武装はしないということは、どこでも堂々と公言しておられるわけです。このことは非常にけっこうなことだと思います。そこで、私がちょっと気になりますることは、千歳にあるペントミック部隊ですか、そういう考え方ならこういう部隊は必要でないと、こう考えるわけなんです。放射能防御用の服を着て演習をやっておる隊なんです。そうなりますると、日本を核武装しない、それから持ち込まない、核の保有国も非保有国に対しては核攻撃をしないと、こう言っておるのだから、そういう部隊は全く不必要だと思いまするけれども、そういう部隊が大いに活躍をしておるわけなんです。だから、これは防衛庁長官のほうからお答えがすぐできなければ、防衛局長教育局長か、だれになりますかわかりませんけれども、現在の編成、それからどういう演習を行なっておるのか、目的、これをやはり明確にしてもらわなければ、幾ら核武装をしない、核は持ち込まないと言っても、核武装をしたり核を持ち込んだり、核戦争をする場合の演習をこの部隊でやらしておるわけなんですから、私は不必要な部隊ならなくする必要があろうと思いまするので、この点をひとつ明確にお示しをいただきたい。
  110. 島田豊

    ○島田(豊)政府委員 ただいま御指摘の北海道千歳にあります部隊は第七師団の部隊である、こういうふうに考えます。御承知のとおりに、わが陸上自衛隊における基幹部隊としましては五方面隊、一二個師団ございまして、そのうちに四個師団が九千師団——これは俗称九千師団と申しておりますが、定員が九千八十九名、それから八個師団が七千師団といっておりますが、七千七十九名の定員を持っております。それで、その第七師団が普通科の師団とやや趣を異にいたしておりますのは、機動力を非常にたくさん持っておるわけでございまして、非常に機動性の高い、いわば機械化師団ということでございまして、その関係で非常に装備をたくさん持っております。装甲車をたくさん持っております関係で、人員が若干普通の師団よりも少ない。一応定員は六千七百五十五名ということになっております。この師団の普通科師団に対しますところの特色というのは、無反動砲、迫撃砲、りゅう弾砲、そういう理想化された装備を持っておるということ、それから人員の輸送にあたりまして、徒歩で歩くということでなくて、あるいは普通の装輪車で行くということでなくて、装甲車によりますところの人員輸送をやる、そういう意味で、普通の師団でありますと輸送隊があるところを、第七師団は装甲輸送隊があるというふうなことが、普通科師団とやや趣を異にしておるところでございまして、その目的は、やはり機動力を大いに発揮いたしまして普通科師団と協力し、これを支援していくという一つの大きな打撃力を持っておるわけでございます。  先ほどは、これがペントミック師団ではないかという御指摘がございましたけれども、この師団の編成はそういうものではございませんので、通常の装備の機械化師団であるというものでございます。したがいまして、訓練につきましても、時にそういう対核戦闘員におきますところの訓練をやるというふうな、特殊な訓練は実施しておらないわけでございまして、もし対核防護の訓練をやっておったということがありますとしますれば、それは、他の部隊の師団におきましても、もしそういう核が使われました場合に、放射能がそこに浸透しておるというふうな場合におきまして、これに対してどういうように措置をするか、あるいは偵察をするか、あるいは部隊として行動するかというふうな、そういう基本的な訓練をやっておるということはあり得るかもしれませんが、その師団が対核戦闘をやっておる、そのための演習訓練をやっておるというふうなことは全くございませんので、御了承願いたいと思います。
  111. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いまの問題、これは完全に放射能防御用の訓練である。それは、あなたそういう答弁をしなさるが、大体装備しておる装備が、からだにつけておるものがこれはやはり放射能を防御するという、そういう服装をして、そして訓練をしておるんだから、いろいろ言いのがれをされたとて、これははっきりしておるわけです。だから、この点は、もし私のいま言うておることが違えば違うように、この場でなくてもいいから言うていただけばわかりますが、私どもはそういうふうに人を通じて見てきて、そういう確認をして、不必要だということを考えておるのであるから、だから、実際にいま局長のほうからお話のあったようなことなら、またそれは別ですけれども、その点をまたいつかの機会に十分に証拠をもって確認をいたしたいと思います。  時間が来ましたので、一問だけお許しをいただきたいと思います。これは簡単でございまするが、先ほど来第一次防、第二次防、第三次防と関連的な国の防衛力をつくっていくということでございまするので、そこで、第一次防と第二次防の防衛力の計画の基本的な趣旨というものが若干違っておったわけなんであります。それで、第三次防も第二次防の基本的な趣旨に基づいて行なわれるのか、これが大きく変わるかということは、先ほど来の外務省の発表等が事実化されるかどうかということにもなるわけで、長官にお伺いいたしたいと思いますが、第二次防整備計画の基本的な趣旨というものはわが国内外の諸情勢を見通し、わが国に対し起こり得るべき脅威に対処して有効な防衛力の計画的かつ円滑な整備をはかるために、国防の基本方針にのっとり、三十七年度より四十一年度に至る第二次防衛力整備計画を作成するんだ、こういうことになっておるのです。これは、いままでずっと答弁してこられたことが一貫をしておるのです。そこで、内外の諸情勢の脅威に対処しという、このことばがありまするが、アジアにおける諸情勢世界の諸情勢、こういうような点を考えてこの基本方針で行かれるのか、それとももう一歩進んで防衛力を強化しなければならないという、そういう態度で行かれるのか、この辺のところはやはり御答弁いただけると思うのです。どうですか、これを最後にして質問を終わりたいと思います。   〔登坂主査代理退席、主査着席〕
  112. 松野頼三

    松野国務大臣 第一次防、第二次防の内外の諸情勢は必ずしも平和ということばによっておるというわけにはいかないというのがいままでのいきさつでございます。したがって第三次防は、日本の防衛に対する基本線を堅持して、日本においての国防ということを主にして私は三次防の策定をしたい。情勢は変わりましても、日本の防衛計画の基本考えは私は変えないつもりでございます。また私は、諸情勢が変わるということはありましても、日本の防衛の基本方針は変えないという態度でございます。  なお、先ほどのお話で多少いきさつがありますけれども、第七師団の装備、主としてそれは、お考えはあれですが、そんな重要な核戦略的な装備はいたしておりません。今日の装備品の中にそういうものはございません。言うなれば、ガイガー測定器みたいなものは宇宙においても測定する必要がありますので、その程度のものは、これは常識的に持つべきであるというくらいで、そんな大部隊で全員装備するというような装備品は、今日私は装備品品目の中に見当たりませんので、あるいは小型のガイガー測定器が少し大型化された程度のものは、これは今日の日本国内情勢から見ても、雨でも降れば放射能が出るという経験もありますので、部隊としてはそういうことを想定して、国民を守る意味で、そういう測定器は必要ではないか、そのことを私はおさしになったのではないかと思います。全部隊が装備しているなんということはございません。したがって、主として放射能を消毒する消毒設備というものは、これは必要かもしれません。しかし、まだ二次防の中では残念ながらそれほど大部隊の装備まで手が届いておりません。まあ、斥候でガイガー測定器で放射能をテストするという程度であります。人数にすれば十人か、十五人くらいの程度の小型のものしかないのです。どこをごらんになったかわかりませんが、まだいまの自衛隊にはそれ以上のものは装備がございません。国民を守る意味で、その程度のことは、私は消防、消毒という程度で、人数も大体一個師団か一連隊に十人か十五人分くらいしか私はガイガー測定器はそろっていないのじゃないか。どっちかというと非常に不安に思いながらおるわけです。そんなに御心配になるような方向ではもちろんございません。逆な意味で私のほうは考えております。
  113. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これで質問を終わりますが、せっかく施設庁長官においでをいただいておるけれども、時間がありませんので、まことに御苦労さまですが、あなたのほうに質問を申し上げたいと思いますることは、かつて岐阜の各務原飛行場の滑走路を拡張するときに、地方自治体と約束をされた。約束されたというのは、八千二百坪という宅地造成をした土地を防衛庁がもらって、大体それに三倍する土地を地方自治体にやる、これは単価の関係でですよ、やる、こういうことになっておるけれども、このごろ拡張をして目的は貫徹したけれども、さあ土地を代がえするということになったら、ごたごたやっておるということで、ぺてんにかけられたということになっておるわけなんです。そういうことはあってはならないと思いまするし、そうして、特にいろいろな軍需産業の関係もあって、川崎航空機がちょうどいま敷地を持っておるすぐ東に、一万五千坪ほどやっぱり防衛庁の国有財産である土地がある。それをおれがほしいということも言ってきておるので、それは町がもらって、町が川崎へ売れば、町は金がほしかったのだから目的は達成できると思う。こういう問題については、直接長官のほうと交渉もし、経理局長の了解もいただいたり、そうしてこの内容、経過はあまり防衛庁長官はお知りにならないと思いまするけれども、たいへんな闘争になるものがじょうずに、防衛庁長官が代がえするということで自分の目的を達成してしまったのだから、達成してしまってからあとで約束を守らぬというようなことは、これは道義的にもあってはならないので、これは直接交渉でいろいろと話を進めたいと思います。  時間が来ましたので、残余の質問はまた内閣委員会でゆっくりとさせていただきます。
  114. 愛知揆一

    愛知主査 次に山花秀雄君。
  115. 山花秀雄

    山花分科員 この際一言お尋ねしたいと思いますが、防衛庁長官もよく御存じと思いますが、これはあえて大臣から答弁を求めなくてもいいのです。実際事務折衝をしておる方の答弁でけっこうでございますが、例の飛行場の滑走路から飛び上がった一番近い場所で、最近騒音で悩まされて、集団立ちのきを計画されておりますので、本年度はどの程度の立ちのきを完了し、予算措置が行なわれておるか、全体としてはどの程度の予算措置か、本年度それを実行する戸数と予算額はどのくらいかということをお伺いいたします。
  116. 小幡久男

    ○小幡政府委員 お答え申します。昭和四十一年度の集団移転につきましての四十一年度の予算は、駐留軍関係の飛行場は約十二億円、自衛隊関係の飛行場は約二億、合計十四億円を計上しております。駐留軍関係は横田、厚木その他一、二の土地でございます。また自衛隊関係は、千歳、八戸その他数ヵ所出ております。
  117. 山花秀雄

    山花分科員 駐留関係で横田、厚木が大体該当しておる。本年度はその関係で十二億という説明でございましたが、本年一ぱいで完了するのですか。それとも逐年幾らかずつという形になるのですか。
  118. 小幡久男

    ○小幡政府委員 横田飛行場につきましては、昭和四十年度以降移転を要すると考えております家屋が七百戸、これは昭和四十年度から一年度だけではなくて、継続的に移転に努力したいと考えております。  なお厚木飛行場につきましても、同じく百七十戸ございますが、これも昭和四十年度から継続的に実施したいというふうに考えております。
  119. 山花秀雄

    山花分科員 横田が七百戸、厚木が百七十戸で、今年度からこれを実施していきたい。そこで、ことしの予算は一応十二億組んでおられますが、この予算の範囲内で横田で大体何戸ぐらい、厚木で何戸ぐらいになりますか。
  120. 小幡久男

    ○小幡政府委員 横田、厚木のほうは十二億というお話がございましたが、横田、厚木に限定いたしますと、約九億でございますが、戸数から申しますと、昭和四十年度に移転の予定をしております分は、横田につきましては二百二十二戸でございます。それから厚木につきましては六十八戸でございます。
  121. 山花秀雄

    山花分科員 なかなか難航しておるそうですか、見通しはどうですか。
  122. 小幡久男

    ○小幡政府委員 横田の二百二十二戸につきましては、いろいろ各方面の協力を得て、鋭意折衝しておりますが、一番の問題は、移転先の代替地がいま少し検討を要する問題がありまして、これが一番ネックになっております点と、価格等につきまして若干の問題が残っておると思いますので、この点に最後の努力をしておりますが、もし本年度中にむずかしければ、予算を繰り越しまして、継続して努力したいと考えております。
  123. 山花秀雄

    山花分科員 価格の問題で相当難航しておるという御答弁でございましたが、大体いま問題になっておりますところは、おもに旧昭和飛行機の所有土地のものだと思いますが、金額的にどの程度防衛庁としてはそれに支給するようになっておるかということをお聞かせ願いたいと思います。
  124. 財満功

    財満政府委員 ただいま地元で私のほうから申し出をいたしております価格は坪二万円程度でございます。
  125. 山花秀雄

    山花分科員 土地の買収費が大体二万円、こういことですか。
  126. 財満功

    財満政府委員 いま二万円と申しましたのは坪当たり買収価格でございます。予算といたしましては、約九億五千万円程度考えております。これは、しかし先ほど私どもの長官から御説明申し上げましたとおり、安全措置に関するすべての予算でございまして、横田だけに幾らというふうにはただいま考えておりませんので、その区分けはいたしておりません。
  127. 山花秀雄

    山花分科員 もうちょっと詳細に……。大体もうおわかりになっておると思いますが、たとえば土地の購入が坪当たり幾ら、建物の移築費は幾ら、あるいはそれに要する費用、項目的に予算措置ができておるように承っておるのですが、それがいろいろ難航しておるというふうに承っておるのですが、防衛庁で予算措置を組んだのが、地元の住民とのいろいろな関係で難航しておるということを承っておるのですけれども、もう少し詳細な点をお聞かせ願いたい。わかっているはずと思いますから。
  128. 財満功

    財満政府委員 横田に関しましては、大体移転補償等につきまして約六十万円を考えております。それから土地の価格については、先ほど申しましたように、坪当たり約二万円程度ということで、全体といたしまして九億五千万の範囲内においておさめたい。問題は土地の価格が一つ。それから第二番目は移転先という問題ですが、土地の価格の問題につきましては、現在昭和飛行機の社宅に住んでおられます方々が、今回の立ちのきにあたりまして、移転費の一部分の補助と申しましょうか、国から昭和飛行機がそれだけの金をかりにもらうとすれば、その中から幾分なりとも自分のほうに分けてほしい。長年住んでおる借家人の方々でございますけれども、一部分は分けていただきたいという交渉を会社との間にお持ちになっておるやに伺っております。その面でもなお結論が出ておらないというふうに聞いておる次第でございます。
  129. 山花秀雄

    山花分科員 もう一つ承りたいのは、こういう問題は、往々にして国としては、予算の範囲上なるべく少ない金額でやろうというのは、これは当然だろうと思いますが、さて立ちのきを食うほうは二又でもよけい取りたいという、これも人情のしからしめるところだと思いますが、あの辺の正当な土地価格を、防衛庁専門家に委嘱をして出したと思いますが、どのくらいの評価が出ておりますか。
  130. 財満功

    財満政府委員 直接その土地に関しましては、一万八千円程度から二万二、三千円程度の評価が出ておるやに伺っております。これは、昭島市におきまして実施いたしました不動産鑑定評価の結果でございます。
  131. 山花秀雄

    山花分科員 場所によって一万八千円から二万幾らですか。
  132. 財満功

    財満政府委員 二万二、三千円というところでございます。
  133. 山花秀雄

    山花分科員 それを平均大体二万円で買収しよう、こういうことになっておるのですか。
  134. 財満功

    財満政府委員 私どもとしましては、その不動産の評価が出ました後に価格の提示をいたしたものではございません。その先に提示いたしましたので、それに対しまして地元のほうは、それは安過ぎるということで御不満があったようでございます。したがって、その後におきまして、不動産の評価をおやりになって、いま申し上げたような価格をお出しになったというふうに考えております。
  135. 山花秀雄

    山花分科員 大体平均で二万一千五百円程度だというふうに私どもは一応承っておるのですが、それだけは法規上か何かの関係で出せないのですか、どうなんですか、スムースに事業を運ぶために。
  136. 財満功

    財満政府委員 この問題につきましては、やはり全体の土地の買収とのにらみ合わせ、特に横田の関係の堀向地区の全体との関係、そういうふうなものがございまして、なお最終的な結論には達しておりませんけれども、私どもとしましても、なお地元の新たな申し入れを受けまして、検討してみたいというふうには考えておる次第でございます。
  137. 山花秀雄

    山花分科員 せんだって承るところによりますと、当該の昭和飛行機と、立ちのきを迫られている地元住民と、それから中に入る昭島市役所との移転問題対策の関係の三者がいろいろ話し合いをして、また防衛庁のほうに御相談に来るといっておりましたが、そこで出た結論をすんなり受けるかどうかという点でありますが、一応相場も出て、議論も出尽くして、だいぶん煮詰まってきたと思うのですが、変にこじれますと、またなかなか難航するような気配が見えますので、そういうふうな点、防衛庁、特に施設庁の関係の御意向はいかがなものでしょうか。
  138. 財満功

    財満政府委員 新たに地元の市当局、それから関係者の皆さま方の御意向が出てまいりましたときに検討いたし、できるだけ無理のないところで妥結に達したいというふうに考えておる次第でございます。
  139. 山花秀雄

    山花分科員 これは、政府関係でなかなかむずかしい点があると思いますが、たとえば事業会社におけるダムの建設とかなんとかいうようなところは、仕事をスムーズにするためには思い切った措置をとっておるのです。いろいろの名目もあると思いますが、協力費というような名目で、地元住民が一日も早く立ちのきをするような、そういう措置が役所の関係ではできるものかできないものかということです。
  140. 財満功

    財満政府委員 公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱の趣旨に照らしましても、いかなる名目をもちましても、協力費と申しますか、謝金と申しますか、そのようなものは出さないことに相なっておりまして、ただいまのところ、私どものほうでもその考え方に従っております。
  141. 山花秀雄

    山花分科員 この辺が政治になってくると思うのですが、例の問題を起こした砂川基地の立ちのき問題、まだ今日解決しておりませんが、もう十一年たっております。あれも用地取得の限界の金額に、あの当時、あと五百円くらいプラスしておれば、あんなに騒動にならなくて問題がおさまっていたと思うのです。私は地元だからよく知っているのですが、それが今日ああいう騒動が起きて、いまだに解決しないという状態であります。思い切った措置をすればすぐ解決するような問題だと思います。  そこで問題になりますのは、昭和飛行機のほうも一万八千円までだったらいい、あとは差し上げましょう、こういうような意向を明らかにしておると思いますが、二万円ということになりますと、あと二千円の差し上げ金ということになりますが、これがもし土地査定の平均単価まで国が出しますと、昭和飛行機のほうも、国が奮発するのだったらおれのほうもというような意向がないとはいえないような状態なんですが、そういう努力を払ってみたらいかがかと思いますが、ぎりぎり二万円よりどうしても出せない、土地評価がどういうふうに評価しようが、そんなものはかまってはいない、こういう強気一点ばりで押し通していかれる意向ですか、どうですか。
  142. 財満功

    財満政府委員 一万八千円と先生が申されましたのは、おそらく昭和飛行機が国から二万円受け取った際には二千円分けてやろう、したがいまして、昭和飛行機の手取りは一万八千円でけっこうだというふうな意味でおっしゃったのだろうと思います。先ほど申し上げましたように、私どもとしましても、提示価格は二万円ということでございます。ただ関係人数の多いことでもございまして、あとう限り地元の方々の御意向が一本にまとまって、市当局のあっせんもあり、これでもう動きませんというふうなかっこうのものでお出しいただきました際に、その資料によりましてあらためて検討したいというふうに考えておりまして、必ずしも第一回提示価格で、それであと絶対動かすことはできませんというふうには申し上げておらないわけであります。もっとも用地専門の担当者の立場といたしましては、そういうふうな、あと幾らでも上げますということも申し上げかねたと思いますので、出先におきましては、これで最後でございますということを、あるいは言ったかと思いますが、常識的には、第一回の提示で最終ということではないというふうに考えるのが常識かと思います。
  143. 山花秀雄

    山花分科員 防衛庁長官もお聞きのとおりの事情です。そこで問題になりますのは、たとえば昭和飛行機さんのほうにしても、かりに一万八千円もらっても、税金関係ででかくしょっ引かれるということで、こういう公共的な国家事業の用地に関する問題は、ひとつ防衛庁長官も特別免税措置のような立法でも——これは大蔵省の関係になると思いますが、そういう話し合いができないものだろうか。それさえできれば、私はこの問題はすぐ解決するように感ずるのですが、いかがなものでしょうか。
  144. 松野頼三

    松野国務大臣 この問題は、要するに社宅と社宅に入っておった人とのいきさつから実は多年懸案になっております。会社側の主張と、その元の社宅、元の社員であったのじゃないかと思いますが、いまはもちろん移動されておるようであります。そういう問題で、これは山花さんの御専門の借地借家人みたいな、いまでも非常に紛糾の多いものがこの地域に入っているというので、実は値段はきょう初めて私は聞いたのですけれども、そういういきさつでこの問題が早期に解決を急ぎながら、その辺でもめておると聞いておりますので、なるべく促進をいたしまして、会社側にも話をして、税金の話は、法人の場合はどうか知りませんけれども、個人の場合にはいろいろな場面で大蔵省も考えておるのじゃないかと思います。法人の場合になりますと、全額がこれだけまとまりますと、それに特別免税はないのじゃなかろうかと私は思いますが、会社関係は実はいろいろほかにもありますので、防衛庁との接触の深い会社でありますから、何らか話を妥結させたいと思います。
  145. 山花秀雄

    山花分科員 いま横田の基地の飛行機の騒音の一番被害の多いところの問題だけをえぐって論議いたしましたが、これは、その場所だけの問題をやっておるわけじゃございません。全体の強制立ちのき問題という精神で論議をやっておりますので、そのつもりでお聞きとり願いたいと思います。いま大臣が言われましたように、前向きの姿で一日も早く解決できるように御努力を願いたい。私どもも協力できる点は協力してまいりたいと思います。  もう一つお聞きしたいことは、これは第三分科会でもちょっと論議になったということを承っておりますが、例の昭和飛行機の所有の、かつて米軍が使っておりましたゴルフ場の返還に伴ってそのおかわりのような形で、今度は三十万都市の建設をやっておる多摩村、稲城村の元火薬庫のところに新しくゴルフ場を新設するというようなことを承っておりますが、これは安保条約の義務規定としてどうしても聞かなくてはならない問題でありましょうか。
  146. 松野頼三

    松野国務大臣 安保条約の規定において聞かなければならぬものかどうかということは、これはたびたび裁判でも問題になっているのです。しかし、安保条約では厚生施設ということになっておりますので、その使用が何であるかという判断は、その国柄によって違うのじゃなかろうかというので、裁判問題ではいろいろありましたけれども、明確なものは出ておりません。またあそこは、御承知のように犬の訓練所、犬がはたして必要かどうかということ、これも実はございますが、しかしやはり軍用犬というものは世界じゅう使っておるというのがたくさんございます。そういう二つの目的であれがいままで提供基地として指定されておった。住宅もありました。住宅もあの中に入っております。そういうのが今日時勢が変わって変遷してきた。そこで、これは個人のものである。個人というより会社ですけれども、民間のものの提供基地はなるべく減らすということは、基本的にこの十数年やっております。あと残りましたのが、このほかにあと二、三カ所あります。つい先般も、民間のものはなるべく民間に返すという方向一つずつやっておりますが、昭和飛行機のあの問題が一番大きな問題として残りました。そこで、米軍ともいろいろ話をしまして、要するにどこか自分たちも必要なんだ、それでかえ地をよこせということから話が始まりまして、それでは補給地である多摩のところに自分たちの施設をつくらせるなら、それならば移転をしようというふうな話がぽつぽつ進んでおるわけでございます。まだ直ちに実行するということまでいっていない。その話で継続的に進んでおります。
  147. 山花秀雄

    山花分科員 地元の住民の一番心配しておる点は、そういう施設をつくって、それが情勢の変化で、いま問題になっておるミサイル基地にされたらたまらぬというのが一番心配しておる点であります。向こうの軍の思惑、意向によって、いまはゴルフ場であるけれども、これを軍事基地としてのミサイル基地にする、こう言ってきた場合に、断われるものか、それとも向こうの言っておることは、これはもう安保条約の関係上いたし方がないといって服従しなくちゃならぬものかどうかという点です。
  148. 松野頼三

    松野国務大臣 いま実はそういう現実的な問題は出ておりません。あれは弾薬庫や火薬庫として使用しておるのですから、いまは特に米軍がナイキ基地をつくるというふうな申し出も今日ございません。
  149. 山花秀雄

    山花分科員 一時ナイキ基地をつくるということが喧伝されまして、あそこで東京都、またその他の首都圏整備によって三十万の住宅都市をつくるということで、それでかち合うものですからずいぶん反対世論が出て、ナイキ基地をつくるということがいまはさたやみになっておる状態であります。それで、かわって突然出てきたのが、いまのゴルフ場をつくるということが出てまいりました。これも幾ら厚生施設とは言いながら、この領土の狭い日本には迷惑千万な話でありますが、そういう一つの平和的施設であれば、というような気持ちもないことはないのでありますが、それがいつ返還されるかわからない。返還した場合に、いまなくても将来そういうことになった場合に、防衛当局としては断われるものかどうか。それとも、それにはどうしても安保条約の関係で従わなくてはならぬかという一点であります。
  150. 松野頼三

    松野国務大臣 米軍からナイキ基地としてあそこを要求するということは、いまの情勢では万々ないのではなかろうかと私は考えております。この問題は、自衛隊がホークの基地に候補地としてあそこを一度あげたことがあります。その問題はまだ今日継続しておるわけでありましで、もちろん反対もありますので、私のほうももう少し了解を得ながら、説明をしながら進めたいというのがありますが、アメリカのほうからはおそらく万々ないのじゃなかろうか、私はそう思います。
  151. 山花秀雄

    山花分科員 いまの長官の御答弁を承っておりますと、アメリカ側からの要求は万々ない、これからもないと思うが、しかし、自衛隊関係でつくることが一応考えられたことがある、こういうお話であります。場所としてどうですか。いまゴルフ場を建設する場所と、自衛隊がもくろんでおりました基地の場所とは離れておるのですか。それとも同じ場所なんですか。
  152. 財満功

    財満政府委員 多摩の弾薬庫は約六十万坪ございます。ゴルフ場を入れます場合に、やはり面積といたしましてその三分の一を占めることに相なろうかと思います。したがいまして、米軍のほうは火薬庫ということでありますので、保安の関係もありますので、火薬庫を離れた広いゴルフ場を要求しております関係で、いま先生がおっしゃいました意味では重なってくるというふうに感じております。
  153. 山花秀雄

    山花分科員 ちょっと声が小さくて、最後のところは聞こえにくかったのですが、あそこはいま火薬庫としてやはり使用しておるのですか。もう休止状態なんですか。それから先ほどの最後のところを大きい声でお願いします。
  154. 財満功

    財満政府委員 ただいまは休止状態でございます。  それから、いま先生のお尋ねにございましたように、いま話に出ておるホークの基地とゴルフ場の候補地とは離れておるのか、一緒になっておるのか、これは、片一方へ寄せてゴルフ場をつくっておりますので、もしかつくるとすれば重なると思います。
  155. 山花秀雄

    山花分科員 そうすると、どうも住民が考えておるような、ゴルフ場だというようなことでも、すぐ切りかえが行なわれるのではないかという疑心暗鬼はなかなか解けぬと思うのですが、それはそのくらいといたしまして、とにかく三十万都市をつくるということで建設途上にあるところでは、その場合にはなかなか猛烈な反対が起きるということをひとつお考え願いたいと私は思います。  それから先ほどの話でありますが、立ちのきを迫られておる代表と市役所と昭和飛行機とがいろいろ連絡協議、相談会を開いて、成案ができたら防衛庁のほうに相談する、その場合には前向きの姿でひとつ相談に乗る、こういうことでございましたが、大臣、それでよろしゅうございますか。
  156. 松野頼三

    松野国務大臣 昭和飛行機という一社が入っておりますので、防衛庁と居住者と三者でよく話をするという方向で努力いたします。
  157. 山花秀雄

    山花分科員 予定の時間が来ておりますので、私の質問はこれで終わりたいと思いますが、先ほど申し上げましたように、稲城の弾薬庫を設置する場所はいまは休止状態で、もっと平和的な問題、三十万都市に即応するような施設にお考えになったほうがいい。これをもし軍事用基地に利用する場合には、思わざる不測の事態が起きる可能性が十分あるということをひとつ申し上げておきまして、私の質問を終わりたいと思います。
  158. 愛知揆一

  159. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 自衛隊海外派兵をもし行なうとするならば、自衛隊法の中にある自衛隊の任務、服務、編制、出動、派遣等々の条章にわたる総合的な改正が必要であると思いますが、どうでしょう。
  160. 松野頼三

    松野国務大臣 海外派兵をするということになれば、自衛隊法改正が必要だと私は思います。
  161. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 特にいま私が申し上げたような条章の総合的な改正にならざるを得ないと思うのですが、長官はどうお考えですか。
  162. 松野頼三

    松野国務大臣 総合的になるかどうかまだ検討いたしておりませんが、要するに、いまの自衛隊法海外派兵という構想なしに今日つくっております。主として日本独立と平和、あるいは日本の治案と間接侵略ということを焦点にしておりますので、海外派兵ということばを入れるというならば、自衛隊法の中の基本的な一部の改正がなければならないんじゃなかろうか、そういう感じを私いま持っております。
  163. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 外務大臣のかわりの方は来ておられますか。——せんだっての委員会で外務大臣は、自衛隊国連軍の名のもとに海外派兵をする問題と関連をして、自衛隊法改正検討すべき時期にきておるという表明があったわけですね。そのように確認してよろしゅうございますか、外務省見解として。
  164. 安川莊

    ○安川政府委員 大臣の言われましたことばはそのままおとりになってけっこうだと思いますが、外務省といたしまして、これは自衛隊法でございますから、外務省自身がこの自衛隊法改正するというようなことは、ものごとの筋からいってもおかしいことでございますし、そういう作業を現実にしておるという事実もございません。
  165. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 同じくせんだっての私の質問に対して外務大臣は、いうところの国連決議協力法案の検討に入っておるという御見解でございました。今国会に間に合うかどうかはわからないが、検討に入っておる。おそらく次の通常国会あたりに出てくるのではなかろうか。そうすると、国連決議協力法案を考える際に、国連決議の中に国連軍として国連に加盟しておる国々の軍隊の派遣をもし決議した場合には、当然国連決議協力法案との関連において自衛隊法改正の問題は関連が出てくるわけです。私は、外務大臣は率直に正直に、いまの外務省の作業の方針からいくとむしろ正直に私は見解を出されたと思うのです。もし日本自衛隊海外派遣関連するような国連決議がなされたときに、協力法をつくっておるたてまえから関連が出てくるわけですが、そういう点はどのようにお考えですか。
  166. 安川莊

    ○安川政府委員 私は、大臣はあくまで国連協力という一般論として発言されたのだと思っております。したがいまして、国連海外派兵を伴うような決議、それも私は理論的にいろいろな形があると思いますので、どういう形の場合には日本協力するとか、そういう具体的なことを頭に描いて大臣が発言されたものではない、ごく一般論として発言されたものであると了解しております。
  167. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 あなたは私が質問したときおられましたか。具体的に検討しておると言われました、例をあげて。そういう一般論じゃありませんよ。協力法案の検討に入っておるというのはそういう一般論じゃありません。具体的に検討に入られておる。だから、当然自衛隊法関連が出てくるわけです。これに決着をつけなくちゃならない。好むと好まざるとにかかわらず、あるいは自衛隊法改正するしないは別として、自衛隊法との関連が生まてくるということは当然のことです。それを外務大臣は、あのような形で検討段階にきておるとおっしゃったのだと思います。現に、外務省国連決議協力法案の検討に入っておるから。関係は出てこないと思われますか。
  168. 安川莊

    ○安川政府委員 理論的には、考えればいろんな場合が想定されると思います。ただ大臣が具体的な問題として引用されたのは、おそらく最近のローデシアに対する経済制裁の問題、これについては具体的な問題がございましたから、そういう点を具体的な問題として言及されたものだと私は考えております。
  169. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ローデシアの問題にしても、各省関係の法令でやれる。具体的にケース・バイ・ケースで対処できる。それを協力法案という一本の法案として検討し、それを出そうとするところに問題がある。そうすると、そういう形で一本にして出そうとする場合には、当然自衛隊法との関連が起こってきはしませんかということを私はお伺いしておるのです。
  170. 安川莊

    ○安川政府委員 理論的には、いろいろな想定をすればいろいろな場合が出てくると思います。少なくとも私が申し上げますことは、そういう法案をいま作成の段階にあって、それをある時期に出すというような前提のもとに作業をしておるというような事実はない。ただ勉強はしておるという限りでございます。
  171. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 外務大臣は、今国会には間に合わないということを言われた。当然国会に出すことを予定して検討されておる。もしそういう御答弁であれば、外務大臣のお考えを聞かなくてはわからないようになるんです。当然自衛隊法との関連が出てくる、国連決議協力法案を検討する際に出てくる、こざるを得ない、そう私は思う。
  172. 安川莊

    ○安川政府委員 自衛隊法の問題は、あくまでこれは自衛隊法でございますから、自衛隊の御意向によってきまるわけでございます。外務省がかってにきめられるものではございません。自衛隊をどうするかという問題は、あくまで自衛隊の御責任でお考えになるべきものだと思っております。
  173. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうしますと、いまお話ししておりますように、外務省国連決議協力法案を検討する際には、私は自衛隊法関連海外派兵の問題として想定されると思うのです。当然私は防衛庁長官にいろいろなお話があろうと思うのです。そういう国連決議協力法案との関連において防衛庁長官としては海外派兵の問題をどのようにお考えになるか。
  174. 松野頼三

    松野国務大臣 先日外務大臣がどういう答弁をしたか、私もおりませんので、外務大臣の答弁に対する答えというわけにはまいりません。ただ、閣議の前に、新聞に出ましたので、新聞記事のような話を委員会でしたとかなんとか言っておりました。しかし、私も新聞を実は正確に読んでないので、見出しだけしか見なかったものですから、二人の話は、まあ外務大臣は文学的な広範な答弁を性質上したのだろうねという話をしただけです。そのときに国連協力法の名前も出なければ何もなかった。ただ多少自衛隊法に触れて発言をされたのだろう、私にそんなあいさつをされるんだからという程度しか私はいまも認識しておりません。また速記録を読み直すこともしておりません。国連協力法というものを私はまだ見たことも聞いたこともないのです。したがってどんな構想になるかそれはわかりません。しかし、いずれにしろ自衛隊法関連のあることは、それはあるだろうと私は思う。楢崎君の言われるように、それはきまっておると私は思う。そこで関連があるかないか、改正するかしないかというのがその場合に私は出てくると思う。まず常識的に関連がある問題が多いと私は思う。しかし、それは現行自衛隊法で許されているのか許されていないのかということがおそらく外務大臣の言う検討だろうと思う。それを改正をするように検討するという趣旨は、おそらく外務大臣も楢崎委員の答えにおっしゃらなかったと私は思うのです。それは、外務大臣の私に対する話のぐあいからそう思うのです。ただ、そのときに触れるか触れないかという検討を自分はしたいのだ。それは、もちろん防衛庁に話してという話でしょう。外務省自衛隊法検討をしたわけでありませんという順序だろうと私は今日善意に解釈しております。もちろん国務大臣ですし、お互いの所管のことを発言したって、これはしかたがないと思います。だから、私はそう考えますと、そう食い違ったことではない。外務大臣が言われたことは私は不穏当だと思いません。しかし、最後の結論は私のほうの所管で、私がきめるのですから、私が海外派兵は現行自衛隊法でやる意思はない。じゃ、改正をするかといえば、だから改正する意思はない。それなら海外派兵はしないのかというと、いまのところ海外派兵は、私の責任においては考えておりません、こういう話が実はきょうの午前中からのいきさつです。だから、どうぞ外務大臣のことばじりをとらえるよりも、いまの防衛庁における態度は、私のみならず防衛庁方向は、その問題で動揺したり行き過ぎたり、あるいは外務省打ち合わせをしたりしたことは一ぺんもありません。これは、国連協力法というのはどんなものか、それをまだ見ないうちに議論は——まあいろいろな予想議論は、これはありますけれども、現実にはまだそこまでは前進しておりません。
  175. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、外務省がいま検討しております国連決議協力法について防衛庁長官に御相談があれば、長官としては、現行自衛隊法の範囲内においての協力関係しか考えられないということになるわけですね、念を押しておきますが。
  176. 松野頼三

    松野国務大臣 自衛隊法改正は、御承知のごとくたびたびやっております。自衛隊法はすでに二法案内閣委員会に出しておりますが、これは定員の問題です。そういうものは改正がたびたび出ると思いますけれども、これは御協力願いたいと思います。海外派兵という問題についての改正は、私はいま考えておりませんし、またそういう希望もありません。自衛隊内にありません。したがって、その問題については、おそらく検討しても海外派兵ということに私たちができるとは私は思っておりません。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは次の問題に移ります。せんだっても一部触れたのですが、今度の三次防の終わりにつまり一九七〇年がやってまいるわけです。そこでいまあなた方が検討されておる三次防の最終年度である昭和四十六年を想定した場合に、長官としては昭和四十五年の安保改定時に際して、安保条約はいまのまま存続するという想定で三次防との関連をお考えでしょうか。安保条約十条によると、昭和四十五年以降は、どちらか一方が通告すれば一年で終了するということになっておる。一方が通告しなければ、ずっと続くことになる。あれは、あなたの三次防のお考えからいくと、あなたは防衛計画というものは非常に長期的なもので、ある程度の展望を持たなくちゃいけないというお考えですか。そうすると、安保条約はいつまで続くかわからぬというような形よりも、たとえば昭和四十五年の改定時には、もう何年効力を存するというような改定をしたほうがいいというふうなお考えなのか、あるいは現行のままで、一年の予告をもって足りるということでずっと行っていいのだというお考えでしょうか、三次防との関連で……。
  178. 松野頼三

    松野国務大臣 今日は安保条約のもとにおける防衛ですから、安保条約を前提として防衛計画を策定いたします。それでは将来において変化があったときにはどうなるか。変化があったときには、防衛計画も当然変化が起こるであろう、私はこう考えております。両方の意味で、今日は安保条約のもとにおける策定をする、情勢の変化があったときには、それは防衛計画も変化があるであろう。それは、いま考えられることにおいては、そのときに変化されるような対応をとっておけばいいのじゃなかろうか。したがって、私は、ある意味においては防衛計画の変化に応じられるような計画というものをきめること、いまの基本は安保条約のもとにおける体制をきめること、この二つの問題で第三次防をきめたいと実は思っております。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私がお伺いしておるのは、三次防の途中で安保改定の時期が来るわけです。したがって、もう少し簡単にお伺いしますと、この安保条約をどうするか検討される場合に、やはり防衛庁長官のお考えとか発言というものは重きをなすと思うのです。国の安全保障の問題ですから。そこで長官のお考えとしては、三次防を策定するにあたって、現安保条約は四十五年には、先ほど申しましたもう一ぺん特定の効力の年限を限るような改定をやったほうがいいとお考えなのか、あるいはそのままずっと——通告すれば一年で終わるということになっておりますから、いまの形のままで改定の必要なくずっとやっていたほうがいいとお考えなのか、その二つについてお考えを聞きたいわけです。
  180. 松野頼三

    松野国務大臣 これは安保条約を取りぬいての御質問で非常にむずかしいのですが、基本的に私が考えますのは、防衛計画もある程度長期見通しがなければいけない。したがって、条約も長期的安定がなければその効果はあげられないと私は思います。たまたま年限が来ると防衛計画には非常に大きな影響がある、反応のある時期だと私は思います。したがって、やはり防衛計画も長期的観点がなければできない、一日急に防衛力が成長するものではないと同じように。それに付随する条約というものは、やはり長期的なものだ。これは自由国であろうが、共産国であろうが、その基本における防衛の問題は同じじゃないかと思います。中共とソ連との条約、ソ連と北鮮の条約をごらんいただけば、年限というものをそんなに確定しておりません。常に長期的な展望において防衛条約というのはきめられておる。その状況を勘案するならば、日本もやはり防衛条約というのは長期的安定がないと防衛計画は立たないのじゃないかと私は思います。しかし、いまはまだ安保条約の中にあるのですから、安保条約を基本として防衛力を成長させるという以外に道がないのじゃないかと私は思います。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 どうも長官、そつがないので困るのですが、いまの長官のお考えからいうと、こういう安保条約みたいなものはある程度長期の安定性を持ったほうがいいというお考からいくと、昭和四十五年の改定時には、さらに何年かの目標を立てた効力年限を設定するような改定のほうが長官としては望ましいというふうに理解してよろしゅうございますか。
  182. 松野頼三

    松野国務大臣 安保条約は、御承知のように防衛問題以外に非常に大きなウエートがございます。もちろん防衛力もその大きなパーセンテージを占めておりますが、国できめるときには、防衛力だけで安保条約の採否が行なわれないだろう。経済問題もある、両国間の問題もある、そういうウエートが半分以上だと私は思う。もちろん防衛関係も相当な力を占める。また防衛力からいうならばやはり安定的なものがほしい。安定的なものがなければ防衛力の両国間、あるいは多国間においても同じであります。多国間においても、安定がなければこういう防衛問題は何ら効果があげ得ない。一年限りの休戦条約じゃないのですから、防衛計画というのは、二国間であっても多国間であっても、安定がないとどこの国でもその成果はあげ得ない。したがって、防衛条約というのは、どこでも無期限というとおかしいですが、期限は非常に長いものである。その間に防衛力というのがいろいろの方向をきめる、これは一般的に言えるのじゃないか。ただ楢崎さんがあまり焦点をしぼって安保条約と言われると、私も非常に答弁しにくいのです。それは総理大臣が答えるべきことが多いのですから。防衛大臣としてはその四分の一くらいのウエートしかないのですから、あの中の条項では。したがってその辺が困る。あとは総理大臣でないと、四分の三のほうは私にはわからない。あの条文内容の四分の一ぐらいは私のほうであります。しかしあと、経済だ外交だ国の歩みなんということになると私自身は……。したがって、安定がほしいということを抽象的ですが申し上げることが、私の一番すなおな答えじゃないかと思います。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 なかなか微妙なおことばですが、安定がほしいということは、やはり改定時に際して、どっちか一方がやめると言ったらやめるというような条約のあり方よりも、たとえばさらに十年効力を有するといった改定のほうが、防衛庁長官としては安定の上からいくと当然望ましいわけです。そのように理解しておきますか……。
  184. 松野頼三

    松野国務大臣 まことにいい理解をしていただくというような感じもしますが、といって安保条約そのものが不安定なものでは私はないと思っております。かりに十年たったあとでも不安定なものでは——いまの安保条約が、十年たったらあと不安定だという前提のもとにやるか、かりにあの条約でもまだ安定はあるんだという解釈、ここにもまた問題が出てくると思いますが、この辺の議論は、いずれその時期にお願いしたいと思います。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これはまた問題を残しておきます。  それでは、次に、長官は昨年の八月六日の内閣委員会で、国防省昇格の問題に触れられた御答弁の中に、次の通常国会にはぜひお願いしたいという考えを表明されましたが、次の国会がきておるわけですが、防衛省の昇格問題についてはどのようなお考えをいま持っておりますか。
  186. 松野頼三

    松野国務大臣 私のその気持ちは変わっておりませんが、今度は国務大臣として政党の、議会の内容を私も代議士として考えますと、法案の進行状況というものを見ながらやらなければ——出したい出したいと、ただ自分の意思だけで国会に御迷惑をかけるわけにはまいりません。したがって、国会に御迷惑のかからない時期にお願いしたい。いまその国会に御迷惑をかけるような法案があるかというと、ぼつぼつ予想されるようなものがあるのです。楢崎さん御承知のように、社会党絶対反対なんて法案がぼつぼつ提案の順序で、私のほうの国防省よりも先にいっているものがあります。そこにまた山を二つも三つもつくるということは、これは国会運営上どうかという議論がいま出ておりますので、私のほうがどっちかというと先に出したかったのですが、ほかのほうが順調に進んで先に出つつあるというものがあるわけですから、与党のほうにも御了解をいただき、野党のほうにも御了解をいただいて、あまり波乱万丈じゃなしに、すなおにやりたいというので、ぼつぼつ下工作を始めますから、どうぞその結果を見ていただいて、ひとつ楢崎さん、高田さんなどその焦点になっておりますから、そうむずかしいことは私は申しませんから、どうぞひとつその意味で、与野党の理事の方のほうで十分お話をしていただいて、その上で私は出したいと思うのです。しかし、国防というものは国民全部の問題ですから、与党だけプラスになるとか、野党がマイナスになるという問題ではないのじゃないかと思いますから、これは与野党によく御相談して、かりに反対されても、その限度でお願いしたいと思います。
  187. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 さっぱりわからないのですが、このように理解してよろしゅうございましょうか。今国会では、国防省昇格問題はあきらめた。時間がないですから、あまり禅問答のような答弁をされても困るのです。
  188. 松野頼三

    松野国務大臣 あきらめておりません。執拗に努力いたします。
  189. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 じゃ、それはあきらめたと思います。  それでは、次に、施設庁にお伺いします。  いうところの基地基本法、これはいつ出されますか。
  190. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現在、鋭意関係各省と最後の詰めに入っておりまして、できますれば今月の上、中旬の境目くらいに結論を得たいと思っております。
  191. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今月の上、中、下旬ですか。
  192. 小幡久男

    ○小幡政府委員 現在、上旬のつもりでおりますが、あるいは中旬との境目になるかもしれないということであります。
  193. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは、もうやがて出すということですね。私ども出された法案を十分検討さしてもらいますけれども、法案の名前は、御承知のとおり基地周辺のいろいろな問題に対する法案になっておりますが、俗称基地基本法といわれているのです。これは基地がある以上当然やるべきことを盛っておられると思うのです。その意味では当然であって、われわれは別になんということはないのですけれども、基地基本法という俗称が示すように、これはやはり基地の固定化、あるいは永久化を頭の中に置いた法案になってくる。そういう点では、われわれは賛成するわけにはいかない。これはいずれ出てまいってからわれわれは論争いたします。  その中で一点お伺いをしておきますけれども、例の自治省が扱っておりました基地交付金の関係はどのようになっておりますか、簡単にひとつ要領よく答えてください。
  194. 小幡久男

    ○小幡政府委員 基地交付金は、当初、今度出します法案の中へ入れて防衛庁で支給するような手続をとりたいと思っておったのでございますが、法案検討の過程でこれは現状どおり自治省に残すことになりました。
  195. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると、従来の基地交付金は自治省の関係で、従来どおりやる、そして、いただいた市町村では従来どおりの使い方をやる。そうすると新しい芽と申しますか、四十一年度の予算を見てみますと、施設周辺整備助成補助金ですが、五億載っております。それはどういう関係になるのですか。
  196. 小幡久男

    ○小幡政府委員 いまおっしゃいました金額が予算についておりますが、これは、当初助成交付金の予定であったが、各省との調整の過程において補助金が妥当であるということになり、周辺整備補助金となりました。いまの法案の段階では、基地周辺整備の助成措置としまして、交付金と並んで、交付金でまかない得ないところにも出すという含みで補助金として進んでおります。
  197. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 そうすると四十一年度考えられるその五億円が配られるかもしれない市町村は、想定として幾つぐらい考えておりますか。
  198. 小幡久男

    ○小幡政府委員 まだ正確な数字はちょっと申し上げる段階に差しかかっておりません。
  199. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 大体のところは出ておるでしょうが。
  200. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ごく大まかというお話でございますと、大体百ぐらいでなかろうかと思います。
  201. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 百ということになると、一つの市町村にどのくらいになりますか、ちょっと計算してみると。
  202. 小幡久男

    ○小幡政府委員 百で割ってどうこうということにはなりませんです。やはり事業の事案等によって金額がきまることになると思いますので、ひとつ御了解願いたいと思います。
  203. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 約百ぐらいを想定されて、算術計算するというのはもちろん間違っておりましょう、しかし、平均して五百万、これでは何ができるかということになるのですね。単なるいままでの交渉の過程での関係各省のなわ張り争いからこういうことになったのだと思いますけれども、十分その成り行きは見守りたい。五億というこういう金額では、単なる名目上の問題でして、ほんとうの施設周辺整備にはならぬ。大蔵省がおられるかどうかわからぬけれども、それだけ指摘をしておきたいと思います。  そこで時間がなくてなんですが、最後に一点だけ聞いておきます。  三次防でアジャックスをハーキュリーズにかえるということになったが、決定されましたか。
  204. 松野頼三

    松野国務大臣 これは、三次防決定のときにきめますので、まだきめておりません。
  205. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 採用するということは大体きまっておるでしょう。わかっておるんじゃないですか。
  206. 松野頼三

    松野国務大臣 ところが、案外まだそうでもないのです。ということは、ナイキアジャックスでは性能が悪い。より以上なもの、それではハーキュリーズが一つの現有兵器としては世界にあるというので、ハーキューリーズということばがしょっちゅう出るのであります。ハーキューリーズにきめるか、もっと日本に適切なものがあるならば、日本式のものにするか、この辺なんです。したがって一応ハーキュリーズという基準、名前は出ておりますけれども、きめる段階になりますと、ハーキュリーズ程度の性能のあるものということであって、ハーキュリーズにきめるかどうか、まだもう少し検討さしていただきたい。ほかにあらゆるものを、日本の防衛に適合するものという意味で私どもはいま苦労しておるわけなんで、大体と言われれば、大体そういう方向かもしれませんけれども、しかし、何もハーキュリーズというものを私が限定する考えはまだ実はないのです。もう少し日本に適合するものを考えていきたいと思います。
  207. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ハーキュリーズは、ご承知のとおり、核と普通の併用ですから、長官は政治家として、苦慮されておることはわかりますけれども、ナイキアジャックスより性能のいいやつを何か入れたい。ハーキュリーズ以外に何かありますか。だから、問題はハーキュリーズに変えるかどうか知りませんよ。しかし、ハーキュリーズであるということは大体もうきまっておるじゃありませんか。  そこで、せんだってから問題になっておりましたアメリカの調査団が参りました。これをたとえばMASでやるのか、あるいはバーターでやるのか、あるいは導入国産化の方式でやるのか、どうなんですか。大体のお考えでけっこうです。きめておられないのですから。
  208. 松野頼三

    松野国務大臣 かりにハーキュリーズにした場合、日本の国情、日本の問題に合うかどうか、これが第一点。それならば合わせるような方向にこれをすればいいじゃないか、これが第二点。それからその購入の方法、製造の方法、こうなってくるわけです。先般の話も購入方法の問題なんです。ハーキュリーズを押しつけたというのじゃなしに、ハーキュリーズを買うならばこういう道があるという一つの話があっただけでございまして、それは財政的な問題、支払いの問題にかかります。基本はハーキュリーズをきめるかどうかということが基本であります。その次に、購入するかあるいは国産するかということで、そこの国産ができるかどうかということは、私はまだ少し自信がありません。同時にハーキュリーズをきめるというほうがきまらないうちに国産の話をしても意味がないことであります。そこで、少しもやもやしているのですから、私の答弁ももやもやしております。そのようにきめることはまだ多少検討余地があるのじゃないか。そこで、先ほどからあいまいな答弁をしているわけです。その答弁のとおりが私の気持ちです。
  209. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 アジャックスは、御承知のとおり、すでにアメリカでは生産を停止しております。ハーキュリーズも停止をしておると思いますが、どうですか。
  210. 松野頼三

    松野国務大臣 生産を停止しているというより、新規生産はあまりしてないのじゃないかと思います。ということは、もちろん補給とか補修とかいうことは、これはまだやっているだろうと思います。新規に増産とか新規に設置するという話は最近あまり聞かないようでございます。
  211. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ハーキュリーズは新規生産を停止しておるのです。それで、私はいまストックがどのくらいアメリカにあるか知りません。ヨーロッパ、NATOへは相当いっておると思います。そこで、問題はMASで入れる、あるいはバーターで入れるよりも、そういう状態を考えるならば、導入国産化の方向可能性としては常識的に考えられますね。そういう生産停止をしておるということと関連してどのようにお考えでしょうか。
  212. 松野頼三

    松野国務大臣 これをもし入れるとなれば、当然日本においてある程度の国産——その全部を国産するのか、補給部門だけ国産するのかということが次に出てくると思います。したがって、このハーキュリーズを入れるとなるとそういう問題が実は出てくるわけです。どうしても日本で国産をしないと、あとの補給が足らないのじゃないか。補給のないものの兵器の装備はできない。その問題が実は出てくる。そこでいまもっといいのがないかとか、いろいろ私が抽象的なことを言いましたのは、そういう問題があるので、ハーキュリーズというものに私がまだきめ切れないところがあるわけです。それを考えますと、じゃ国産するならばどの程度できるか。値段が幾らぐらいになるか。これは容易なもんじゃないかもしれません。そこで、実は先ほどから答弁を濁しておるわけです。世界じゅうにいいのがないかどうか、いま一生懸命日本の国情に合うものを検討しているところですが、しかし、楢崎さんは専門で、ほかにないじゃないかと言われると、ないのです。そこで困っておるのです。ほんとうに困っておるのです。だから、それにするか、するなら補給をどうするか、そこに困っておる。あなたがもう質問されているとおり私も困っておるのです。したがって、ハーキュリーズを明確に言わないのは、そんなことが実は次の問題としてあるもんだから。ハーキュリーズぐらいしかほんとうはないじゃないかと言われると、なるほどないと思うし、アメリカで生産をとめているじゃないか。そのとおりなんです。日本で国産できるのか、まだわからない。そこで実はいま非常に悩んでおります。私の悩みはあなたのお察しのとおり。したがって私は正直に申し上げます。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 これでやめますが、これは長官、もう大体三個大隊おつくりの予定のようでございますから、新しくハーキュリーズを入れられるのは、これはもうわかり切ったことだと思うのですね。そこで問題は、もし導入国産化の方式になれば、三菱重工が請負うかどうか知りませんけれども、当然生産ベースということは出てきます。そうすると、既設の関東の第一高射群と福岡の第二高射群、つまりナイキアジャックスは、御承知のとおりランチャーは併用型ですね。したがって、ハーキュリーズの生産ベースの点から言うと、国産導入化方式になれば、いまの関東と福岡のナイキアジャックスは当然ハーキュリーズに変えられる、そのように常識的に思わざるを得ませんが、どうですか。
  214. 松野頼三

    松野国務大臣 楢崎さんがあまり専門で、先の話を——いまから防衛庁議論する話を先に質問されるもんだから非常に困るのですが、いまは私のほうがかりに想定する三個大隊というのは、現在のところ以外のところを考えるのです。したがって、北九州にまたふやすという考えは実はありません。いままで以外のところで防衛上必要なところというのを考えておるのであって、北九州にもう一個大隊ふやして、あそこだけを二つにする、そんな計画では実はないのです。したがって、そう御心配なことはないのじゃないかと思います。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私は北九州の福岡なら福岡にもう一個大隊ハーキュリーズがつくられるというようなことを質問してはいないのです。もしハーキュリーズを国産導入化方式にするならば、たとえば三菱重工が請負うにしても、生産ベースの点から言うと当然数つくらなければならぬのですね。そうすると、いま置かれておるナイキアジャックスは、ハーキュリーズに変えられるのではありませんかということを聞いておるのです。新しくつくるんじゃなくて、発射機のランチャーは併用型です。アジャックスとハーキュリーズは併用型です。
  216. 松野頼三

    松野国務大臣 まだそこまでは行っていません。まずさしあたりかりに——これはあとでことばじりをとられても困るのですが、変わるといけませんから。かりに三個大隊置いたとしても、その三個大隊が三次防でやっと間に合うのではないか、その次に、置きかえて、それを全部ほかに回すということは、おそらく三次防の期間には間に合わないのではないかと思います。したがって、三次防の中では、置きかえるまではとても私は手が届かない。新設をするだけで手いっぱいじゃないか。置きかえるかどうかは四次防のときの考えになってくると私は思います。そんなに、三個大隊ができて、いますでにあるナイキアジャックスを全部かえるというところまでは、三次防ではとても時間的に間に合わないと思っております。といってハーキューリーズそのものがきまっていない今日、あまり議論が先に出てもおかしいのですが、私はまだそこまでは間に合わないのではないかと思っております。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 それでは最後に一問だけ。三次防は大体五月ないし六月の国防会議で最終的には決定が行なわれる、その御予定にいまのところ支障はないですか。
  218. 松野頼三

    松野国務大臣 いまのところ支障といえば念頭にあるのは、四十一年度予算が成立をする、その成立を基本にして、スタートにして三次防をきめるわけです。したがって、四十一年度予算が成立をしないうちは三次防のスタート線が実はできない。どうせ四十二年度予算が三次防のほんとうの出発点に私はなると思います。しかし四十一年度ではやくきめるということは、その間に準備、開発、方向をきめるために早くきめるだけであって、その期間は準備期間であります。したがって、四十一年度予算は二次防の予算が盛り込まれておる。これが済んだあとで三次防をこのスタートからやる、こういうわけであります。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 終わります。
  220. 愛知揆一

    愛知主査 午前中の質疑はこの程度にとどめ、本会議散会後直ちに再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十分休憩      ————◇—————    午後四時二分開議
  221. 愛知揆一

    愛知主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  防衛庁所管について質疑を続行いたします。加藤清二君。
  222. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私は、防衛問題について質問を試みようと思って、いささか勉強してまいったわけでございまするが、お聞きするところによれば、長官は何かお気の毒なことがあったそうで、あなたのお友だちの議員さんや、そのお嬢さんのお友だちであった議員さんからその話を聞きまして、私はお気の毒だと思って、ほんとうはやめようかとも思ったのです。特にわが子とか幼き者に先立たれて残った者の気持ちは、私にも体験がございまするので、ほんとうにお気の毒だと思います。さりとて、あなた自身がそういう個人の悲しみを隠して、国家のために出ていらっしゃることでございますので、私も武士の端くれ、あなたは武士の日本一の長官ですから、長官にお尋ねすることをやめまして、ほかの部下の方々に主として質問をいたします。ですから、長官は黙って聞いておってもらえばけっこうでございます。  第一番にお尋ねしたいことは、学校の防音装置の問題、原稿を全部抜きにしてお尋ねいたします。学校の防音装置の予算は一体どうなっているか。特に十年来、私はこの問題について来る年も来る年もお尋ねしてまいりました。福島という調達庁の長官時代から始まったことでございますが、徐々にはふえておりますけれども、いつも単年度でございまして、将来の計画とか将来の見通しというものが承れない。その結果は、ある学校はすでに完備したけれども、同じ地区においてある学校は完備しないという不平等が起きてきているわけです。今日の実態としては、親の気持ちになってみれば、このときに勉強させないとあとで取り返しがつかないということでございます。のみならず、そのときに勉強の機会を失しました子供さんが、やがて入学試験を受ける、やがて工場の入社試験を受ける、こういうときには、別にその受けた被害のハンディキャップを計算に入れてもらえないのです。その子供に悲劇が及ぶのみならず、その子が勉強さえできておれば入学ができた、あの防音装置さえうまくいっておれば入社試験に受かったのに、こう思われますと、親の気持ちといい、あるいは子の悲劇というものはずっと子供の一生ついて回ることになる。したがって、この問題は与党、野党の問題ではなくて、与野党の議員が一致結束して一日も早く防音装置が完備できるようにということを、それぞれがそれぞれの筋に話し合いを進めてきている問題でございます。したがって、この本年度予算がどうなるかという問題とその将来の計画、これはいまだかつて発表されたことがございません。そこで、こちらのことを発表なされることが、やがていまだ恩恵に浴さざる、憲法の十四条に言うところの法の不平等性を是正する以前に、せめて将来に楽しみを持たしてやるということが必要だと思いますので、将来計画をも考えてお漏らし願いたいと思うわけでございます。
  223. 小幡久男

    ○小幡政府委員 基地周辺の、ことに学校の防音対策につきましては、私ども全く同感でございます。苦しい予算の中ではありますが、年々努力してまいったこともまた事実でございます。四十一年度におきましては、予算は駐留軍関係が四十一億円、自衛隊関係が約十九億五千万円、計約六十億五千万円を計上しております。  将来計画ということでございましたが、昭和四十二年度以降におきまして、現行基準によるところの鉄筋化を進めていくべき学校数は、現在手元にある資料の検討によりますと、自衛隊、駐留軍の両基地を合わせて約百十校になっております。
  224. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度念を押しておきますが、昭和四十二年度以降に残される学校が百十校ある。それは、基地は幾らになっておりますか。やはりもとどおりの十九基地ですか。
  225. 財満功

    財満政府委員 自衛隊、米軍関係の飛行場を合わせて十九でございます。
  226. 加藤清二

    加藤(清)分科員 もう一度、本年度の予算は幾らで、何基地で、一基地当たりいかほどになっておりますか。
  227. 財満功

    財満政府委員 対象といたします飛行場は十九基地でございますが、ただいま防音工事の進行中でございまして、それぞれの飛行場周辺において幾らであるかということの最終的な締めはまだいたしていないので、ただいまはお答えいたしかねますが、すぐに取り調べてお答えしてもよろしゅうございます。
  228. 加藤清二

    加藤(清)分科員 十九基地まではわかっております。これは変わらない数字ですからね。学校の数と一校あたりの予算額、これは幾らになっていますかと聞いておるのです。あなたは積算しなさったのでしょう。積算して五十五億が出たのでしょう。
  229. 財満功

    財満政府委員 台帳は持ってきておりますが、何学校というのは……。大体学校は継続のもの、新規のもの、それから新しく建てられます学校に防音工事だけをいたしますもの、これは普通並行工事と呼んでおりますけれども、そのような種類がございます。それぞれにその学校に行なわれます補助金は違っておるわけでございまして、いま先生の御質問のありました一校当たり幾らというふうな均一的なものではございませんが、大体一教室五百万円程度というふうな大まかな積算のめどはございますが、いま先生がお尋ねになりました全国のそのような百十数校の現行改築防音工事に対しまして、一校ごとの表をただいま用意しておりませんので、あとで……。
  230. 加藤清二

    加藤(清)分科員 大蔵省に予算を要求なさいまする場合に、あなたのところは積算をして行なわれまするか、どんぶり勘定で行なわれまするか。
  231. 財満功

    財満政府委員 大体その学校の教室の数を拾いまして、その広さに応じて一括して積算して要求しておるというかっこうでございます。
  232. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは積算の基礎がございますね。じゃそれを至急——いまここであなたをとっちめようなどとは思っておりませんから、積算の基礎となった数字、たとえば十九基地のうちで何基地に何校と、こういう予算の基礎を御提出願いたい。  同時に、次に承りたいことは、百十校残っておりますのですね。そうしますると、一校千人ずつかりにいたとしても、なお十一万人の児童生徒が騒音に悩んでいるわけです。この内訳は小学校、中学校、高等学校とあるでございましょうが、その父兄に至れば、これはまた二人ずつ親があるとすれば二十万の余になるわけです。その人が毎日毎日この問題に悩まされているわけです。特に入学試験前のきのうきょうになりますると、親はどうしているか。やむを得ぬからよそへ子供を下宿さしておるのです。新制中学の子供をよそへ下宿さして、そして入学試験がよくいきますように、いや中には、その周辺の学校へ行くことをやめさして越境入学をさしている。あなたのところで御調査いただければおわかりだと存じまするが、同じ周辺地区で防音装置のできた学校、できない学校、それから騒音の激しい学校、激しくない学校、九十ホンから百ホン以上の騒音に悩まされる学校、こういうふうに区別して、入学試験と入社試験の成績をとってみます。そうすると、ここに音に悩まされている学校の生徒の成績が圧倒的に悪いという結果が出ておるわけでございます。これはうそじゃないのです。したがって、この問題は社会党のぼくだからとかどうとかじゃないのです。飛行機が憎らしいわけでも何でもないのです。子供かわいさの発言なのです。私だけじゃありません。これは与党委員の人のほうがもっと一生懸命になっているのです。ですから、百十校の方々にせめて将来の希望を与えるには、あるいはまた来年四月から、うっかりしておったらかなわぬからよその学校へ転校させましょうというような越境入学をとどめる意味におきましても、この将来計画ぐらいは発表すべきだと思うのです。そこで、いま百十校の将来計画がございましたら、ひとつここでお漏らし願いたい。
  233. 財満功

    財満政府委員 ちょっと御質問意味が私理解しかねたところがございますが、いま残りました百十校につきまして何年くらいでやるかという御質問なんですか。大体われわれのほうの実績で見ますと、年間六十校程度はやれるのじゃないかというふうに考えております。これは少し多目に見た場合でございます。六十校程度というふうに御理解いただきたいと思います。
  234. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、もう四十二年度、四十三年度で完成しますか。
  235. 財満功

    財満政府委員 現行基準によりますものは、それで完成いたさせるように努力いたしたいと存じます。
  236. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それはほんとうですか。それじゃもう一度念を押しましょう。それをあなたのうそだとは言いたくない、ぜひ実行に移してもらいたいから聞くんだ。積算数まではあとで出してもらうとして、ことしは何校で、予算は幾らですか。もう一度念のために聞きます。
  237. 財満功

    財満政府委員 本年度は予算が五十五億でございます。大体先生の御質問になりました五十校分程度にはなっていると思います。
  238. 加藤清二

    加藤(清)分科員 そうすると、一校一億程度で、永久建築で防音装置並びにそれにまつわるものが全部できるほど値段は安くできますか。
  239. 財満功

    財満政府委員 大体文部省の単価より少し高いものをもちまして、これを一〇〇%補助いたしておるわけでありまして、そのような単価等で努力してまいりたいと考えております。
  240. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは、その際の坪当たり単価は幾らに見積っていらっしゃいますか。
  241. 財満功

    財満政府委員 私のほうの数字は別にしまして、平米当たり三万二千円程度考えていきたいというふうには思っております。
  242. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それじゃ坪当たり約十万円見当になりますね。それは文部省予算よりはややよろしいというところですね、文部省は八万から七万という線ですから。しかし、この八万から七万のほうは木造でけっこうなのです。また鉄筋コンクリートというても防音にはかかわりない建物なのです。したがってほんとうに防音が完備する、同時に勉強中にその校舎の上に飛行機が落っこちてきても、中の生徒に与える被害をより少なくさせるというには、これは決して余裕ある単価ではないと思われます。そのために地方自治体がついつい補助金、さなきだに赤字財政で困っている地方自治体は、あの学校もこの学校もということで、たいへんな苦労をしなければならないわけです。もちろんそれだけならばよろしいが、病院とか幼稚園とかいろいろございまするので、せめて国家の行なう事業、そのために受ける被害という、こういう物件については、これは防衛庁としてはよほど覚悟をして出されるということが、やがて周辺の人に協力を仰ぐ原因になるだろうと思うのです。それを被害だけ与えておいて、そして協力せい協力せいと言ったって、これは今度千葉で用意されようとしている国際飛行場だって、なかなかそう簡単にいくものじゃないのです。これが喜ばれているなら、工場誘致と一緒で、誘致誘致でみんな競争になるでしょう。きらわれているものだからこういうことになるということを前提条件として、そのきらわれるのを協力に切りかえていくにはどのような予算を組んだらいいかということを常に念頭に置いて試算していただきたいと思うのです。  そこで、百十校を二年間、まあ予算の金額の数字はまた後にするとして、二年間で必ず行なえますか。これはうそを言うてもらうと困りますよ。
  243. 財満功

    財満政府委員 私どもが申し上げましたのは一つの努力目標でございまして、予算の全体との関係で、あるいはそうならない場合もあろうかと思いますが、私どもとしてはそのように努力いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  244. 加藤清二

    加藤(清)分科員 これは新しい発言です。いまだかつて、単年度の発表にはありましたが、将来に向かって何年計画でこれを完成するという話をされたのはきょうが初めてです。十年来初めてです。しかし、もしそれがほんとうに二年で完成したとすれば父兄は喜ぶでしょう。越境入学もなくなるでしょう。子供もしあわせにすることができると思うのです。これは、ぜひきょうのここでの努力目標——ほかじゃございません、座談会じゃないのですからね。予算委員会ですからね。食言というようなことを二年先に注意されないように、もしあなたがかわられる場合は、あのときああいう約束をしてしまったからひとつしんぼうしてやってくれよということは、後任者にきちっと事務引き継ぎをなさいますように。ほんとうはここらあたりで防衛庁長官に聞きたいところですが、先ほどお約束したとおりでございますから、きょうは防衛庁長官お答えは承らずに、ただ顔色だけで、以心伝心で私は進めていきたいと思います。  さて、それで義務教育の小、中学校は二年。ところが幼稚園、高等学校でも被害を受けることは同じでございますからね。これは一体どうなさるおつもりでございましょうか。同時に周辺の病院、これは一体どうなさるおつもりでしょうか。この病院で療養しておる、入院して病気をなおしておるという方々が騒音で悩まされる。そのおかげで病気の全快治癒に及ぼす影響、これなども環境衛生学のほうで医者は調べておるのです。しかし、そのこまかい詳細なデータを私がいまここから取り出してやると時間がかかりますからやりませんが、ただ、それを一日も早く救ってあげるにはどのような計画があるか、これだけをお尋ねいたします。
  245. 財満功

    財満政府委員 学校の中で幼稚園、それから高等学校でございますが、私どもといたしましては、まず義務教育的なものから先にやっていきたいというふうに考えております。それから続いて幼稚園なり高等学校なりということに相なろうかと存じます。  病院につきましては、現在までに実行いたしてきております。まだ残っておりますが、漸次やっておりますので、直ちに全病院について完成するというところまではまいりませんが、順次努力してまいりたいと思っております。
  246. 加藤清二

    加藤(清)分科員 順次は、それは順次にきまっておる。小、中学校は二年で、せっかくあなた国会始まって以来のりっぱな御答弁が出たのですから、幼稚園だって同じ子供ですよ。病人だって同じ被害を受けておるのですよ。そちらのほうの計画は、それじゃ将来計画といおうか、実行計画というものの二年計画、三年計画というものはありますか、ありませんか。
  247. 財満功

    財満政府委員 残念ながら、幼稚園につきまして年次計画をただいまのところつくっておりません。
  248. 加藤清二

    加藤(清)分科員 おりませんということになりますと、ここは捨てられておるということですね。憲法第十四条のもと、法は不平等に扱っておるということですね。同時に幼稚園、保育園といえども、あなた公立を先にするとおっしゃいましたが、保育園などというのは公立のほうが多いのですよ。幼稚園には私立がたくさんありますけれども、特にこの基地周辺というところは、町のまん中ではないのです。私立の幼稚園がはやるような場所ではございません。ほとんどが公立なんです。そこでこの公立のほうはいまだかつて手もつけられていない。無視されておる。かわいそうじゃございませんか。こっちのほうが子供はちっこいのですよ。それでもなおほっておくのですか、あなたのほうは。これは長年、私のみならず多くの議員が唱えてきたところなんですよ。市町村議員や県会議員や県知事さんが、くしの歯を引くように陳情なさったことですよ。それなのに今日になって全然見向きもいたしておりません。計画も何もございません。それで通りますか。
  249. 財満功

    財満政府委員 私、先ほど申しました中で、公立ということでなくて、義務教育を先にやらせていただきたい、こういうふうに申し上げたわけですが、そこで、それが終わりまして後に、急いで先生御要望のありましたような方面に手を伸ばしていきたいということはやまやまでございます。ただ財政負担の関係もございます。一挙にすべての施設に手を伸ばしていくことが現在むずかしゅうございますので、義務教育的なものが終わりました後には、そちらのほうに手を伸ばすように努力してまいりたいというところでございまして……。
  250. 加藤清二

    加藤(清)分科員 あなた、防衛庁予算については、社会党に限らず、野党は全部目のかたきのように削れ削れと言っております。しかし、この予算だけは削れと言ったためしは一度もありませんよ。もっとふやせふやせと言っておる。そうして地元に好かれる自衛隊をつくりなさいと言っておるのです。それが地元のためにもなるからなんです。これは何も私の選挙区じゃない。全国にわたっておる問題なんです。どうして全議員が賛成し、各党が全部賛成しておる予算に手がつけられないのですか。あなた、いいかげんなことを言ってはいけませんよ。財政上の問題なんて、そんなあほうなことを言うなら、私はそっちのほうが得意ですからね、ここに余っておる、ここに余っておると言いますよ。保留分だってありますからね。あなた、要求しておりますか。要求してないものがどうして保留分が出ますか。要求してごらんなさい。日銀法二十五条に穴をあけてでも山一会社に二百八十二億も貸しておるじゃないですか。冗談じゃないですよ。あなた、幼稚園、保育園の幼き命をより多く守ってやるための涙はございませんか。あなた、手をつけないで全然検討しておりません。そんなばかなことで通りますか。一度や二度の話ではありませんよ。それでなお手をつけないで、あなたの責任は全うできますか。まあ、過去のことはやむを得ないとして、それじゃ今日から保留分でもとる、とりたい、あるいはせめて計画くらい立てる、こういう覚悟ができますか、できないですか。できないというなら、私はあなたの言う財政上の理由をここでくつがえして見せます。
  251. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいま財満施設部長のほうからお答えいたしましたのは、率直に事情を申し上げたわけですが、御意見もありますし、われわれも決して幼稚園、保育園というのを見捨てておるわけではございませんので、その計画につきましては検討してみたいと思います。
  252. 加藤清二

    加藤(清)分科員 いつから検討されますか。
  253. 小幡久男

    ○小幡政府委員 早急に検討したいと思います。
  254. 加藤清二

    加藤(清)分科員 早急にということばですが、私はそれだけではほんとは納得できない。いままででも早急ということばはよく聞いたことばなんです。したがってせめて調査費でもとるとか、あるいはでき得べくんばその基地に最も近接した百ホン以上のところの幼稚園、保育園は今度の保留分からでもとります。あるいは昭和四十二年度の予算には絶対頭でも出させてみせますとか、そういう具体的なことを聞かないと、子供の使いでもあるまいし、努力、善処くらいでは、いままで何べんも聞いたことですから納得できないですから……。
  255. 小幡久男

    ○小幡政府委員 私は学校防音の予算を見ておるのでございますが、ちょっと蛇足になりますけれども、三十九年度までに百三十五億使っております。それに対しまして四十年度、四十一年度はそれぞれ五十億をこえております。そういうふうに非常に学校防音につきまして、義務関係のほうは重点的になってまいりますので、そういうようなことが出ると思います。防衛施設庁の予算もたくさんございまして、全体の中で仕事をすることになりますので、いろいろそういうふうな問題もあろうと思いますが、計画をつくった以上、また四十二年度に予算化できるかどうか、そのときはひとつそういう努力はしてみたいというふうに考えます。
  256. 加藤清二

    加藤(清)分科員 それでは必ず努力して、せめて頭など出させる。この問題は幾ら主計局長がだめだ、だめだとかりに言うたとしても、この予算は全党があげて賛成ですからね。いま主計局長にようよう言い聞かしておかぬといかぬ。私ども防衛庁予算に反対、反対、削れ、削れと言いますけれども、この被害者を救済する予算を削れとは一度も言ったことがない。これはふやしなさい、ふやしなさいと言うている。遠慮なくふやしたらどうです。もし一主計局長がそれはいかぬと言って削ったら、その理由を、今度こそは主計局長にほこ先を向けますから、ぜひひとつお考え願いたいと思います。  さて、それではせっかくいらっしゃるから、大蔵省のほうとしては、こういうような希望が出たとしたならば受けて立つ用意がございますか。
  257. 井上幸夫

    ○井上説明員 お答えいたします。  先ほど防衛施設庁のほうから御説明がございましたように、学校防音の予算は最近数年急速にふやしております。今年度は防音対策一切合計いたしまして六十億、当面その中で学校にいくものが大体十五億。先ほど百十校というお話がございましたけれども、ただいまのデータでつかまえております限りにおいてはおおむねその程度、先が見えておるという感じでございますけれども、何せ人口増その他の流動的要素がございますので、そういうものを総合勘案いたしまして明年度以降対処していきたい、かように考えております。
  258. 加藤清二

    加藤(清)分科員 ふえたふえたと言って、私もさっきからしきりに相づちを打っておったけれども、実際はふえていないのですよ。たとえば一昨年は米軍関係のものと合わせると九十億の余あるのですよ。米軍関係のものはだんだん減っていったのですよ。調べてごらんなさい。去年だって五十億の余あったんですよ。五十四億あったはずです。調べてごらんなさい。こっちは暗唱しておるのです。そんなことではごまかされませんよ。ことしはどうか、全体の予算はどうです。何%ふえておりますか。全体の予算のふえた率に従ってもしこれがふえておるならば、とっくの昔に済んでおるのですよ。福島さん、いまジャパンタイムズの社長が調達庁の長官をされていたころに、すでに二億の余もあったのですよ。初めてこれが文部省と防衛庁とで折衝が行なわれてできたのが二億五千万あったのですから、したがって、それも木造建築ということでなんです。今度ふえた、ふえたと言ったって、量をふやしたのではない、単価が上がっているものだから必然的にスライドしていっただけなんです。面積がふえたのではない。だから、政治家みたいな妙な答弁を事務当局がされたら困りますよ。これが選挙演説だったら私は黙って聞きますけれども、あれはいいかげんなはったりをかけやがるなで済むのですけれども、数字を扱う主計官のほうが政治家みたいな発言をされてはいかぬ。スライドから、物価値上がり、予算膨張、それから逆にアメリカ軍関係の周辺に対するいわゆる宣撫費、こういうものの削減からいったならば決してふえておりません。したがってあなたに聞きたいことは、いま幼稚園、保育園等々の問題を来年度は提起するとおっしゃった。しかし、あなたは大臣でないから、受けて立つとは言えぬでしょうが。あなたはこのことを大蔵省主計局長に上申して、そうしてあなたは幼稚園の被害を早く救ってやろうという気があるかないか、そのことだけ聞いておきましょう。
  259. 井上幸夫

    ○井上説明員 お答えいたします。  従来とも学校防音対策措置につきましては、先ほど施設庁のほうから御説明がありましたように、義務教育施設を重点にやってはおりますが、それ以外のものは一切シャットアウトというかまえではございません。現実に、先ほど御説明がありましたように医療機関等もやっておりますし、あるいは私立学校の施設等もやっております。新しい要求が提起されますれば、それは慎重に検討して善処いたします。もちろん私の一存ではまいらないと思います。
  260. 加藤清二

    加藤(清)分科員 私の質問答えてくださいよ。義務教育の子供はそれで二年で終わる、この前提でいきましょう。幼稚園、保育園の幼き子供たちは、終戦後二十年の長きにわたって放置されたままです。その子供に対して気の毒だ、そのような子供を持った親に対して相済まぬ、こういう気はございませんか。あなたの個人的感覚です。政治的責任は問いません、そういう地位ではありませんから。大蔵省の人の感覚を聞くのです。気の毒だとも思わぬのですか、あたりまえだと思うのですか。余分なことを言う必要はない。
  261. 井上幸夫

    ○井上説明員 個人的な見解は遠慮させていただきたいと思います。
  262. 加藤清二

    加藤(清)分科員 わかりました。  次にラジオ、テレビ、電話、これの被害が依然としてそのままに相なっておりますね。ラジオがガーガーして聞こえない、テレビがキラキラが入って見えなくなる、電話はまた話の最中にガーガーと鳴る。特に朝の始動音の激しいころ、上空へ飛ぶだけではない、始動音の非常な激しさは及ぼす影響が甚大でございます。これについてすでに電波監理局、あるいはNHK等においていろいろこれが討議をされておるはずでございます。民間放送の場合は料金を取らないからまだしも、NHKの場合には料金を取っておる。取っておっても聞こえない、見えない。特に近ごろはやりの「大閤記」だとか「義経」のいいところで途中で切れてしまう。非常に残念がっておるのですよ、一家団らんがこの騒音のおかげでめちゃくちゃにされる。これは一体どうするつもりですか、どうなるのですか。
  263. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のございました騒音の問題でございますけれども、この問題につきましては、最近の科学技術の発達ということに関連いたしまして、そのこと自体は非常にけっこうなものではございますけれども、それに伴いますいろいろな害と申しますか、弊害というものがやはりこれに付随して起こっておると思うのであります。したがいまして、いま御指摘のありました騒音の問題、あるいはまた電波雑音というようなものは、これは一種の公害とまでも思われるほど非常に大きな害を流しております。こういうことでございますので、特に電波というものにつきましてはこの騒音の問題、並びに電波雑音の問題、こういう問題が非常に深刻な問題でございます。しかしながら、その原因をよく探求してみました場合に、これは非常に範囲が広いものでございます。そして、その対策でございますけれども、その対策ということが基本的に非常にむずかしい問題を持っておる。同時にまた、非常に金のかかる問題を持っておるということになるかと存ずるのでございます。いま御指摘のありました特に基地周辺の問題でございますけれども、これにつきましては、この騒音がテレビなり、あるいはラジオ、こういうものに与える影響というものは非常に大きいものがあると思います。こういうような意味で、NHKにおきましても受信料の免除、こういうものの基準をつくりまして、できるだけの減免ということは考えてきたのでございます。(加藤(清)委員「考えただけでしょう。実行してないでしょう。」と呼ぶ)いや、これは昭和三十九年からそういうことを実行しております。  こういうようなわけでございまして、御承知のとおり、契約の甲なり乙なりというものにつきまして、乙につきましては全額免除、それから甲につきましては半額免除というようなことを十五の基地につきまして実施してきております。こういうような状況でございますが、いま先生の御指摘になりますことは、おそらくこれをもっと拡大しろという御意見だろうと思います。この拡大の問題をどこまで考えるかということなんでございますが、このことにつきましては、実はいろいろな面から考えてみなければいけないのでございまして、われわれといたしましては、NHKの料金問題、こういう問題が一つございますことと、それからこの料金問題というものの法律上のたてまえでございますが、そういう問題がございます。それからまたNHKの収入というものがだんだんに頭打ちをしてきつつある、こういうようなこともございまして、先ほど申しましたように非常に問題点が基礎的である、しかも、非常に広範囲であるということを考えました場合に、これとどういうぐあいに取り組むかということにつきまして、先ほど申しましたような公害の一つかとも思いますが、そういうものについての根本的な対策というものをやはり考えるべきじゃないかと思うのでございます。そういうようなことで、いまの、どこまで拡大するかというようなことにつきましては、ひとつ十分考えて取り組まないといかぬ、こういうぐあいに考えております。
  264. 加藤清二

    加藤(清)委員 その姿勢と、現状のキャッチのしかたは、私も賛成でございます。あなた方の苦労がよくわかりました。ただし、こういう問題があることをあなたもすでに御調査済みでしょう。たとえば同じ行政区、同じ市町村の中で、料金の免除率が違う。それから同じ町の中で、道路一本向かいとこっち側が違う。向こう側はいいけれども、こっちの側は悪い。そこで、いろいろな地域住民の感情にまでこれが及び、そのことがやがて市会議員、県会議員のあたかも腕のごとく評価され、社会問題が起きていることはよく御存じでしょう。したがって、これは支出増ということになるかもしれませんが、そういう社会問題を勘案して、なるべく恵みは多きに及ぼすのが至当である。不平等の恨みというものは社会問題を引き起こす。乏しきを憂えず、ひとしからざるところに恨みが発生してくる。したがって、そういうことのないように、解消するように、前向きの姿勢で、可及的すみやかに成案を立てて実行に移してもらいたい。  それで、電話のほうは御答弁がございませんでしたが、電話のほうはどうなりますか。
  265. 庄司茂樹

    ○庄司説明員 お答えいたします。  いまのテレビ、ラジオと同じように、電話のほうも、いま先生のお話のような問題がございます。先ほど話もありましたように、なかなか技術的に問題がございますが、われわれのほうといたしましては、一応公衆電話、事務室と違って、駅前とかなんとかの赤い電話でございますが、あれが非常に騒音が多くて聞きにくいという問題がございます。このごろよく駅前か何かで騒音の数字が出ております。八十ホンとか七十五ホンとか出ておりますが、あの程度のところでかけられるようにするということで、電話機の送話器、受話器のほうを検討いたしておりますが、なかなかむずかしい問題がありまして、一応八十ホンぐらいのものを、事務室が大体六十ホンか五十五ホンぐらいの状態でございますから、その辺までに下げるにはどうしたらいいかということで——受話のほうをよくすると送話のほうが悪くなる、両方キャンセルして、あまりよくならない、いろいろ技術的な問題がございます。また電話機というものは、非常にたくさん使われますので、量産されると安くなるのでございますが、部分的ですと非常に問題がありまして、値段も二倍になるとか、二倍半になるとか、いろいろな問題がありますが、方式として二、三の形がありますので、公社の研究所でいろいろと検討しております。できるだけ早く、技術的に駅前ぐらいのところは、事務室ぐらいのところまで解決したい。ただ基地周辺の騒音は瞬間的でございますが、十秒か十五秒だと思いますが、ジェット機の場合なんかで百から百二十というようなホンになりますと、非常にまたむずかしいのでございまして、そのときはどうするかという問題も、われわれは一応公衆電話を基礎にして研究しておりましたので、その点もどうするかということで、経済的な問題も含めて早急に検討したいと思います。
  266. 加藤清二

    加藤(清)分科員 松野防衛庁長官の苦衷を推察いたしまして、私は自分の書いてまいりました原稿をすっかり放てきして、原稿なしのそらで、素朴な感情論で訴えたわけでございますが、私は、この際、松野さんが自分の悲しさをこえて国家のために審議に御努力していらっしゃるその好意、それに敬意を表すると同時に、お嬢さんの冥福を祈りまして私の質問を終わります。
  267. 愛知揆一

    愛知主査 次に、山田長司君。
  268. 山田長司

    山田(長)分科員 防衛庁の予算をはじめ、各省の予算は、毎年増加の一途をたどっておりますことは私が申し上げるまでもないことであります。そこで、この機会に伺っておきたいと思いますことは、防衛庁の支払いの問題であります。三十三年度以降、防衛庁が航空機の購入にあたって業者に支払っている前渡金や概算払いが、七年後の今日に至るも精算されないでおるわけでありますが、これらの点は、ほかの省には見られない事例であります。世の中で、中小企業の場合などではこれは想像もつかない事例の一つになると思われますが、どうして三十三年度以降、防衛庁では前渡金の概算払いをされて、七年後に至っても、第三者が見ても明確を欠くような事態になっておるのですか。最初に、この点を伺っておきます。
  269. 大村筆雄

    ○大村政府委員 お答えいたします。  検査院の決算報告で、未精算額の御報告がございますが、それによりましても、御指摘のように三十三年度以降未精算額が相当あるわけでございます。その理由は、特に三十三年−三十五年までの未精算額は全部そうでございますが、三十六年以降も相当部分ございますが、実は防衛庁におきましては、米軍から有償援助といたしまして、いわゆるMAS調達物品というのが相当ございます。その関係で、米軍当局より購入いたしておる関係で、その精算が実は非常におくれているものがあるわけでございます。そのMAS関係のおくれたものの理由を申し上げますと、物はもうすでに全部納まっているのにかかわらず、実は米軍からの精算書がこないというだけで精算が完結していない。そのために未精算として報告されているというのが、そういうMAS関係で約九〇%ございます。したがいまして、物は全部入っておるわけでございます。ところが米軍からの精算書がなかなか到着しない、そういう関係で、手続上精算が完了しない、そういうものがMAS関係での未精算額の約九割を占めておるわけでございます。そういうMAS関係のものが、実は三十三年から三十五年までの未精算額になっているわけでございます。三十六年以後もそれが相当ございますが、三十六年以降になりますと、これは先住御承知のとおり、F104の第一次生産が、三十六年度から五カ年間の国庫債務負担行為によりまして、長期契約をやっております。そのほか私どもの発注いたします装備品は、発注いたしまして納入するまでに時間がかかるものが相当ございます。国庫債務負担行為では、長いものは、先ほど申し上げましたように、F104で五カ年、あるいは二年、三年というものがざらにございまするし、あるいは艦艇にいたしますると、継続費で五カ年という継続になっております。そういう関係で、契約いたしまして前払い金を払う、あるいは概算払いする。それが物を納入いたしますのが、長いもので五年もかかる。したがって、それの前払い金にしたもの、あるいは概算払いにしたものが、五年たって物が納まらないと精算にならない。そういう関係のものが実は相当ございます。三十六年度以降になりますと、そういうものが相当ございます。それが未精算額として検査院より決算報告によりまして御報告されておる数字でございます。
  270. 山田長司

    山田(長)分科員 約九〇%近い金の精算がなされておらぬといういまの御答弁でございますが、私は、この点、何とはなしに専門家のお話を聞けば、もっともなような印象を持ちますけれども、やはりこの点は特別に、おそらく文書の往復とか、あるいは人をやっての連絡とかはされているとは思いますけれども、もっとすみやかなる方途が講ぜらるべきものではないかと思われます。この点について七年も八年もほっておくというのではなくて、何かもう少しすみやかなる方途があってしかるべきものと思われますけれども、この点はどうお考えですか。
  271. 大村筆雄

    ○大村政府委員 米軍関係の有償援助の手続が非常におくれる理由と申しますのは、御承知のように、米軍のそういう有償援助対象国が世界各国非常に数が多うございます。したがいまして、援助の対象品目がまた膨大な数量に上っております。かつまたそういう多数の対象国、あるいは対象品目を取り扱います関係で、米軍のそういう援助機構というものがまたきわめて膨大でございますので、非常にそういう事務処理が迅速を欠くという点が確かにございます。そこで、私どもといたしましては、一応正式には外務省を通ずる促進方は当然でございますが、そのほか米国に二名そのための駐在員を派遣してございます。そのほか、私どもこの契約を取り扱っておりますのは調達実施本部でございますが、調達実施本部の担当者を三十七年、三十九年、それからことしの一月に、三回にわたりましてその促進のために派遣をいたしまして、それぞれ相当な金額の精算を終わっておるわけでございます。たとえば三十七年には約四十六億円、あるいは三十九年には約二十九億円、先般参りまして精算しました金額は約七十億の見込みというように、相当精算の促進には寄与しておるわけであります。そのほか事務的にも極力、これを促進いたしまして、早く手続を完了するよう今後とも努力いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  272. 山田長司

    山田(長)分科員 数年前、防衛庁の北海道の自衛隊の視察をやったことがございますが、そのときにも幹部の人たちといろいろ懇談をする機会がありまして、航空機操作における困難さを伺ったのでありますが、その後某基地の部隊長のやめた人にも私はじかにお会いする機会がございまして、いろいろ話を伺ったのであります。そのやめた部隊長は、部下の事故の責任を感じてやめたようでありましたが、部品の未納ということがかなりあって、飛行機の飛べないのが当時かなりあった。それで、私はいまここで伺うのでありますが、こうして生産がなされておるけれども、部品の不足がかなりあるという話を伺っておりますけれども、各年度ごとに部品というものがどんな不足を生じておって、飛行機の組み立ての進行状態が思わしくないのであるか、この点の部品の未納状況をおわかりでありましたならばお知らせ願いたいと思います。
  273. 國井眞

    ○國井政府委員 私ども航空機を調達いたします場合に、航空機本体の調達と合わせまして、部品が順調に入るように常に配慮をいたしておるわけでございます。初度の調達に際しましては、初度部品というものの調達、それからその後運用にあたりまして補用部品の調達ということで、逐次支障のない運航ができるようにいたしておるわけでございます。ただいまお話がございました、部品が不足のために飛行機が飛べないということでございますが、これはおそらく、たとえば104等におきまして、全く新しい機種の採用を私どもいたしましたので、これはどこの国においても同様でございますが、初めての飛行機ということで多少操業度が落ちておるというようなことはございましたが、その後逐次整備されまして、現在におきましては大体各国並みの操業に戻っておるわけでございます。ただいま年度別に補用部品の不足状況をというお話でございましたけれども、ただいま手元にそういうものはございませんので、大体私どもは航空機の稼働状況等から見まして順調な状況にきておる、かように考えておるわけでございます。
  274. 山田長司

    山田(長)分科員 ただいま資料をお持ちになっておらぬと言われておりますが、専門家の話を伺って私はここで質問しているわけなんですけれども、かなり部品の不足があって思わざる事故が起こっておるというお話を伺うのでありますけれども、そういうことはないですか。
  275. 國井眞

    ○國井政府委員 たとえばまた例を104にとるわけでございますが、当初、先ほど申しましたように、全く新しい飛行機の採用ということで、その後使ってみました結果、私どもさらにこれを改良するというような必要のある点を発見いたしますれば、逐次、ECPと申しておりますが、修理をいたしまして、支障のないような調整をいたしております。いままでの事故の中で部品等の不足のために航空機の事故が起きた、部品がないために落ちたというのはほとんどないわけでございまして、その点は私ども今後の問題といたしましても、そういうことのないように一そうの努力をいたしたい、かように考えております。
  276. 山田長司

    山田(長)分科員 七、八年以前にロッキード、グラマンの問題を扱って討議をしたことがございますが、最近における航空機、それから船艦等の契約は契約どおりに納入されておりますか。
  277. 國井眞

    ○國井政府委員 航空機につきましては、これも大体順調に納入いたされております。104につきましても、二百機という大量の生産を発注いたしたわけでございますが、予定どおりの年度内に納入いたしております。それから船艦と申しますか、艦船等につきましては、塔載機器のMAPで予定しておりましたものがMASになるというような振りかえの事情等がございまして、そのために部品の納入がおくれるというものは、いままで多少ございます。あとは大体順調に納入されておるという状況でございます。
  278. 山田長司

    山田(長)分科員 いまのお答えによりますと、年度内に入っているという話でありますが、年度内というと一年の期間を意味すると思いますけれども、一体作戦計画から見て、そういうのん気なことで品物が納入されてよいような防衛庁の計画なんですか。何かはたで聞いておりますと、年度内に入ればいいのだということになると、何かそれはずさんな印象に受け取れるし、何かしらん、そんなことでは死の商人を太らすための契約でもあるのじゃないかという印象を持たざるを得ないわけですけれども、その点、いかがでございますか。
  279. 國井眞

    ○國井政府委員 私、説明がことば足らずでございまして、申しわけないのでございますが、先ほど104の例で年度内ということを申し上げたわけでございますが、これは四十年の三月までにというような意味で私申し上げたわけでございます。三十九年の下半期で、第四・四半期に納入という予定になっておるものが第四・四半期に入っておる、こういう意味で年度内にというふうに申し上げたわけでありまして、予定の時期におおむね予定どおりに入っている、こういうことで申し上げたわけでございます。
  280. 山田長司

    山田(長)分科員 私などは、かつて防衛庁の計画を調べてみたときに、必ずしも予定どおりに飛行機の納入がなされていなかった事例があるわけです。ですから、いまの問いを発したわけでありますが、もし期日がきても納入がされなかったというような場合は、損害金をとるようなことは、契約上からされているものですか、されていないものですか。
  281. 國井眞

    ○國井政府委員 たとえば二百機一括契約というようなことで、その全体が三十年の第四・四半期の年度内にという契約になっておりました場合、それがさらにおくれるということになりますれば、当然違約金をとるという形になっております。
  282. 山田長司

    山田(長)分科員 別な問題について伺いたいと思います。  このベトナム戦争が最近非常に熾烈な様相を呈してまいってきておるおりから、ある雑誌に四十万の死体袋がわが商人に注文されたというふうな記事が出ておりましたが、防衛庁はかかる情報をどうお考えになっておりますか。
  283. 松野頼三

    松野国務大臣 私のほうは、そういう事実は実は正確には存じません。また、私どもの所管では実はないわけであります。
  284. 山田長司

    山田(長)分科員 防衛庁の所管でないにしても、やはりそれが大きく電車の広告に出たり、あるいは広告が雑誌に載っていたりしますと、国民は四十万の死体袋は一体だれを入れる袋なんだろうという恐怖心を持つだろうと思うのです。おそらくこれはアメリカの人を入れるための袋だと私は想像するのですけれども、四十万からの死体袋というふうなことになりますと、これは世界戦争を意味するような印象をわれわれは感ずるわけですよ。防衛庁としては、これはかってに雑誌社が書いていることだからそれでいいのだ、われに関することではないのだということで、これは見のがしてしまうものなのか。私は出版の自由が許されておるとはいうものの、やはり国民が不安を持つような内容のものについては、注意をしてもいいのじゃないかという気がしますけれども、この点について大臣はどうお考えになりますか。
  285. 松野頼三

    松野国務大臣 私は、実はその雑誌も、その記事もまだ見たこともないのです。したがって、どういう雑誌であるのか知りませんが、お知らせいただければ、私も拝読して、そしてその内容について検討したいと思います。私はまだ見たことはありません。
  286. 山田長司

    山田(長)分科員 ではあとでその雑誌はお知らせします。  それから私は防衛庁の士気に影響するだろうと思われますので、一応申し上げておきます。「防衛庁の黒い墓標」というので、防衛庁のことについての怪文書が各方面に流布されております。この内容については、私はいまここでとやかく言うことは差し控えますけれども、日本の少なくとも自衛隊に属する若い人たちは、かなり命がけでいろいろ訓練に励んでいるやさきだけに、こういう怪文書が出たり、週刊誌上にかなり大きな記事が載せられておる。防衛庁の役人のことを天皇なんていっているのが出てきておる。一体これは、日本の若い人たちに及ぼす影響力というものは実に私は大きいと思うのです。これについて何らの弁明も防衛庁では講ぜずにおくつもりですか。これは大臣としても、やはり防衛の衝に当たる若い青少年に及ぼす影響というものは実に大きいと思いますけれども、この点についてどうお考えです。
  287. 松野頼三

    松野国務大臣 ただいまのことについては、私も少なくとも部内における影響が多大であると考えまして、先般綱紀粛正の委員会をつくりまして、個々の問題にかかわらずして、防衛庁全般の問題として公な機関をもってその事実、発行の意図、発行者、あるいはその流布されているものについて厳正に調査をして、その上で厳重なる処置をしたいと私は思っております。  週刊誌のことは、私は何か読んだような気がいたします。ただいま御指摘の文書は、私のうちにも配付されましたので、直ちに、これを機会に、個人的なことも書いてありますから、個人が個人的なことにのみ終始してはいけませんので、第三者的な、公平な省内における綱紀粛正委員会をいま設置いたしまして、約十日ぐらい前から、その、文書が私の手元に届きました翌日から、その内容、及びその発行者、及びその意図、その事実というものを厳重にした上で、世間に誤解のないようにその結論によって明らかにいたしたいと私は思っております。
  288. 山田長司

    山田(長)分科員 綱紀粛正委員会のできましたことは、新聞紙上承知をいたしました。特に精神訓育を中心とされる防衛庁機構の中にそういうものができたのでありますから、これは決して悪いものではないと思いますけれども、そういうものをつくらなければならないような事態は、まことにゆゆしい問題だと私は思います。  この綱紀粛正委員のメンバーというものは、どういう人たちがなっているかわかりませんが、この機会にそのメンバーを伺っておきましょう。
  289. 松野頼三

    松野国務大臣 防衛庁自衛隊内においての綱紀粛正ということが第一でありますが、同時にその問題について、おそらく部外的な方も意図されるところが私はその記事の中にはあるように感じます。またその記事自身を拝見してみると、部内の正確なものでも私の承知している範囲ではない。というと、あるいは部外者の方もそれに関係があるのじゃなかろうか。しかしまずわが身を清めよう、わが身の中から防衛庁内におけるそういううわさが流布されたのか、あるいは流布した者がおるのか、そういうことの動揺を防ぐ未然の措置として、私は厳重にこれは処置いたします。まず事務次官を長といたしまして、そうして厳正なものにいたしたいと思い、相当広範囲に——もちろんその中に書かれた方も、迷惑な方もあります。しかし、そういうことは本人ではできないことでありますから、公的なものを設けて省内をまずきれいに洗い出す。そうして省内における、部隊内における疑惑のないよう、同時に世間にも、防衛庁が身ぎれいであることを、身をもって事務次官を長として非常な正確な調査をいたすつもりであります。
  290. 山田長司

    山田(長)分科員 最初に、私が質問いたしました三十三年度以降の前渡金の支払いというふうなことも、何となしに、先ほど説明を伺ってみるともっとものような印象を持ちますが、やはり事が防衛庁であるだけに、七年も八年も前渡金を払ったまま、それでその結論が出ずにいて、会計検査院の指摘を受けるというふうな事態は、これは何となしにいろいろの疑惑を持たれる根拠になる材料だと思うのですよ。このたび綱紀粛正委員会を持たれて、これはおそらく怪文書に限ったことでなく、全体的な綱紀粛正を意図されてこの委員会が活動されると思いますけれども、ほかの省でも特に必要ですがさらに必要なのは防衛庁である。精神面で活躍される若い青少年の人たちが、もし防衛庁の幹部の間に流布されるような事態があったと知ったならば、これは精神的訓育に一大支障を来たすと私は思うのです。この点慎まなければならない、行動の上にも、防衛庁においてはさらに一段とこれが立場をおのずと見きわめて日々の行動がなされなければならないと思うのです。ただいまの大臣のおことばを伺いまして、これが究明されるものと思われますけれども、売らんかな主義の雑誌に対しましても、これが究明された場合には一応の警告を発する必要があると思うのです。幾ら天皇の地位が下がったにしても、やたらに天皇、天皇なんて持ち出されて、それでそのままにしておくべき筋のものでないと思うのです。この点は大臣、どうお考えですか。
  291. 松野頼三

    松野国務大臣 一つ一つ事例が出ましたときに、それを調査し、あまりに明らかなものについては記事の訂正を申し出ております。ただいまの怪文書のようなものにつきましては、明らかに非常な誤りがあります。したがって、その誤りについては訂正をいたしたい。しかし、発行者が今日まだわかりません。しかし、良識ある方は、今度はその記事に第三者的に訂正の文書がすでに発行されております。発行者がわかれば私はその方に注意をする、訂正を申し出るつもりでおります。しかし、まだ発行者が見つかりませんけれども、その文書を見て、正義はだの方と申しますか、もう少し正論のある方は、すでにその記事は間違っておるという第三者的な文書も実は私の手元に送ってきております。したがっておのおの、私どもが見つけさえするならば、事実を究明して一つ一つ誤報を私たちは直していく努力は今日もしております。すでに何件かございます。ある新聞に出た記事——新聞と申しましても、日刊紙という意味じゃありません。ある一部の新聞に出たものについては、編集局長を呼んで、その記事の訂正と事実の話をいたしたこともございます。一つ一つ身をきれいにする。ことに自衛隊の場合は、若い隊員に対する精神教育、これが国防の基本でありますので、その基本をゆるがすような影響のあるものは断じてわれわれ自身が身を慎しみ、同時にそれ自身に対する予防措置も講じなければならない、私はかく決心しております。
  292. 山田長司

    山田(長)分科員 大臣は、いろいろ出ているものを、さっきの「防衛庁の黒い墓標」という怪文書だけしか知らないような印象ですが、週間誌にも、月刊雑誌にも、もう数誌出ております。なかなかこれはせきとめられないほどの、防衛庁に対する中傷であるのか、あるいは事実であるのかよくわかりませんけれども、問題が取り扱われていると思うのです。この点、もう発行者のわかっているもの、それから責任者のわかっているもの等に対しては、大臣は知らないのですか、それとも知っておっていまのような忠告を出しておるのですか。
  293. 松野頼三

    松野国務大臣 わかったものには直ちに警告と訂正を申し出ております。わからないものについては、今日発行者がわかりませんので、発行者がわかり次第同様な措置をしたいと思っております。
  294. 山田長司

    山田(長)分科員 私は質問を終わりますが、希望として申し上げておきます。  特に李下に冠を正すというような事態のないことを私は防衛庁の中の機構全体に要請したいと思うのです。若い青少年が、毎日毎日命を的にした訓練をされておりますようなときに、防衛庁の内部に、怪文書に出ているような事実がもしあったとするならば、これこそ日本の若き青少年は浮かばれないと私は思うのです。この点、やはりこれから特に防衛庁において慎んでいただきたいことを要望して私の質問を終わります。
  295. 愛知揆一

    愛知主査 本日の質疑はこの程度にとどめ、明二日午前十時より開会することとし、午前は会計検査院所管について質疑を行ない、午後は防衛庁所管について質疑を続行いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時二十分散会