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肥田分科員 話を次へ進めたいと思います。
先ほど言われたように、
路面電車の不要になったもの——不要というよりも、これがかえって
交通妨害の要因になるようなものは逐次
地下鉄にということで、いわゆる輸送の
地位というものは取ってかわるのだ、これはあり得ることだと思うのです。ただ、ここでひとつ、指導上も、いま何とかうまくいっているように見えるけれ
ども、必ずしもスムーズじゃないと思うので、一、二私はその点を指摘しておきたいと思うのです。たとえば、
市電というものは、
東京においても
大阪においてもこれからどういう運命になるか。
京都、
神戸というようなところにおいても大きな問題になると思うのです。ここらに働いておる大ぜいの人は、これはかつて都心の
交通の
中心になっておった人たちだ。いわば長年働いて、年が寄ってきた古女房が粗末に、じゃけんにされて、そして新しい輸送
機関が取ってかわる、いわゆる若い女房が取ってかわる、こういうのと同じような感じ方をしておるようです。そして、平均年齢も相当高いですから、そういう人の転換場所というものは、そう簡単には見つからない、こういうことがいま一番大きい問題です。職場に対する愛着心も当然ながら、身の振り方というものが問題になるから、
路面電車をめくるということに大きな問題を起こしてきておる。これは将来もずっと続くと思います。ですから、そういう点は、やはり指導上十分な配慮をしてもらわないと、めくることの
必要性よりも、それによって起こるところの問題のほうが大きくなる場合、こういうものが出てくると思うのです。これはひとつ要望事項として申し上げておきます。
そこで、だいぶ時間が過ぎましたから、簡単に本題に入りたいと思うのですが、いまあなたが言われた、
路面電車が撤去されて、
バスも不必要なら、これも逐次影をひそめて、そして
地下鉄に移行していく、地下輸送に移行していく、これは趨勢だと思うのです。そこで問題になるのは、これらに対するいわゆる
資金的な面を国は一体どうするのかということで、私はその問題を
中心にしてお聞きしたいと思うのです。
御
承知のように、
東京に営団というのがありますね。営団がありますから、これで大
部分のものは分担しておる、それから民間もやろうとしておる。それで、
東京都も——本来
東京都がこれに手を出すということはどうかと私は思いますよ。営団があるのですから、営団に
東京都がもっと力を入れてやらしてもいいのですが、
現実に手をつけている線がありますから、それはともかくとして、これは、大体現在の計画は五十年の完成ですか、それから
名古屋は少しおくれて五十五年のような計画、
大阪は、これも
東京と同じように大体五十年には計画の百十四、五キロぐらいですか、これを完成させよう、こういうことですね。それで、
大阪は、数日前の新聞によりますと、万国博があるから、これを繰り上げて、大体七十キロ前後のものは四十五年の万国博に間に合うように急いで工事を進めたい、こういう計画があるようです。そこで、一体この膨大な
資金を要する
地下鉄事業を
地方自治体の
事業の中でやらしておる。たとえ別会計にしようと何にしようと、やらしておるということに対しては、これはあなたのほうは手放しでおられるとは思わないのですが、いわゆる指導についてどういう根本的な
考え方を持っておられるのか。私のほうでさらに申し上げますと、たとえば、運輸省のほうでこれらのものに対する起債その他のあっせんをしておる額、起債のあっせん
程度のものでも、ようやく去年、ことしぐらいになって額がふえてきたんです。ことしの計画で見ると、
東京都に対しては——これは営団は別ですね、営団は別で、
東京都に対しては七十億、
名古屋が四十億、
大阪が二百七十億、
神戸に対して二十億、大体こういうふうな起債のあっせんをするということになっておる。これは
自治省のほうでは、こういうことについて何も手助けをしてはおられないのですか。
それからもう
一つ、最近の
地下鉄建設というものは、大体もう四十億以上です。そうすると、
一つの例を
大阪にとってみても、
大阪は新線建設という計画の中でおそらく九十キロ、百キロ近いと思いますが、百キロというと、これからなお将来の七、八年分といいますか、繰り上げてみたってそれくらいかかりますが、そのころ、はたして四十億ないし四十五億くらいでキロ当たりの
地下鉄が建設できるかどうかということも、これは疑問になると思う。そうすると、完成した暁には、
地下鉄建設のために、
大阪はおそらく四千億あるいは五千億近いいわゆる負債をかかえて、将来の
地下鉄運営というものをやっていくことになる。ドイツで金を借りてこようが、どこで金のくめんをしてこようが、利息というものはばく大なものになります。年々の利払いは、七分の利息にしたって年間三百五十億ですね。これはどんなに政策
運賃——現在政策
運賃ですが、この
運賃でペイしようと計画しても、これはできないことなんですね。そうすると、
大阪市、あるいはこれから新線の
地下鉄を建設しようとするところは、
交通難解消という大きな国家的目的のために、その地域の市民は永久にこれを負担しなければならぬということになるのか、国はこれらに対してどういうふうな
考え方をもって財政的援助をやろうとしておられるのか、これは容易ならぬ問題だと私は思うのです。この点をひとつお聞かせ願いたいと思います。