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1966-03-02 第51回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月二日(水曜日)    午前十時八分開議  出席分科員    主査 荒木萬壽夫君       松浦周太郎君    三原 朝雄君       大原  亨君    楯 兼次郎君       永井勝次郎君    矢尾喜三郎君       内海  清君    竹本 孫一君    兼務 島上善五郎君 兼務 田口 誠治君    兼務 只松 祐治君 兼務 辻原 弘市君    兼務 泊谷 裕夫君 兼務 野原  覺君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君  出席政府委員         防衛施設庁長官 小幡 久男君         検     事         (訟務局長)  青木 義人君         運輸政務次官  福井  勇君         運輸事務官         (大臣官房長) 深草 克巳君         運輸事務官         (海運局長)  亀山 信郎君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         運輸事務官         (自動車局長) 坪井 為次君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君         気象庁長官   柴田 淑次君         郵政事務官         (貯金局長)  稲増 久義君         郵政事務官         (簡易保険局         長)      武田  功君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   荒巻与四郎君         運 輸 技 官         (自動車局整備         部長)     宮田 康久君         日本国有鉄道総         裁       石田 禮助君         日本国有鉄道常         務理事     今村 義夫君         日本国有鉄道常         務理事     仁杉  巌君         日本電信電話公         社総裁     米沢  滋君         日本電信電話公         社職員局長   遠藤 正介君     ————————————— 三月二日  分科員竹本孫一委員辞任につき、その補欠と  して内海清君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員永井勝次郎君及び内海清委員辞任につ  き、その補欠として矢尾喜三郎君及び玉置一徳  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員矢尾喜三郎委員辞任につき、その補欠  として永井勝次郎君が委員長指名分科員に  選任された。 同日  分科員玉置一徳委員辞任につき、その補欠と  して山下榮二君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員山下榮二委員辞任につき、その補欠と  して竹本孫一君が委員長指名分科員選任  された。 同日  第二分科員島上善五郎君、第三分科員田口誠治  君、第二分科員松祐治君、辻原弘市君、泊谷  裕夫君及び第一分科員野原覺君が本分科兼務と  なった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十一年度特別会計予算運輸省郵政省  及び建設省所管  昭和四十一年度政府関係機関予算運輸省及び  郵政省所管      ————◇—————
  2. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十一年度一般会計予算及び昭和四十一年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十一年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。内海清君。
  3. 内海清

    内海(清)分科員 主として海運の問題について御質問申し上げたいと思いますが、御承知のように海運争議がございまして、したがって船員費その他がいろいろ高騰いたしておりますことは御承知のとおりであります。そこで、一昨年来今日まで運輸省海運界に対しまして、再建整備計画によりまして海運会社の集約をやって、経営基盤強化に力を尽くしてこられたわけであります。そういう船員費の上昇その他によって再建整備計画に多少の検討をする問題が出てきておるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。そこで、運輸省といたしましても、この再建整備計画の再提出を求められておるというふうに承っておるのでありますが、今回その再建整備計画の再提出を求められて、そうしてこれを基礎にして海運整備計画手直しをする、そういうふうなお考えであるだろうかと考えるのでありますが、その点につきましてはいかがでありますか。
  4. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今回の船員ストによりまして、各海運会社はかなりの打撃を受けておると考えられるのでございまして、また、あのスト解決のあと、船員費増高がかなり高額にのぼるということも考えられますので、再建整備計画に及ぼす影響等考えられますので、目下は各会社スト損害を織り込んだ長期計画の再提出を求めておる段階でございまして、その結果を見るまでは正確な数字はわからないのでございますが、しかし現在の推定では相当数会社において償却不足を解消する目標決算期がおおむね一期、約半年程度おくれることとなる模様でございます。また、再建整備期間中に償却不足を解消することが困難となるような会社があれば、当会社の徹底的な合理化をはからせると同時に、中核体の御協力によりまして再建整備期間中に目標を達成できるように力強く指導してまいる所存でございます。
  5. 内海清

    内海(清)分科員 これは当然のことだと思うのであります。しかし、この再建整備手直しにあたりまして、従来も進めてまいられました再建整備状況から考えましても、きわめて重要なことは私はオーナーの問題と思うのであります。中核体は御承知のように、だんだん経営基盤強化ということがその緒につきつつあることは御承知のとおりであります。しかし、中核体におきましても、この計画の遂行にあたりまして、今日見まするというと、やはりそこに企業格差ができつつあるということも十分御承知のとおりと思うのでありますが、しかし、やはり一番問題になるのはオーナーの問題ではないか、こういうふうに実は考えておるのであります。今回の争議の経過を見ましても、オーナー経営状態というものは決してよいものではない、その原因がどこにあるか、こういうことが一番問題であると思うのであります。これにつきましては、私どもの見ておるところでは、オーナーとそれから中核体と申しますか、これらの間におきまする用船料の問題、これが一番問題ではないかということに考えておるのであります。すなわち、端的に申し上げますならば、この際用船料を引き上げて、そうしてオーナー経営改善をはかっていかなければならぬのではないか。これはまあ分科会でありまして、時間が少ないですから詳しいことを申し上げる時間がございません。したがって、運輸の本委員会などでこれは十分掘り下げたいと思いますけれども、この際このオーナーに対し、ことに用船料に対しまして運輸省は具体的にどういうふうな手段を講じようとしておられるか、この点をお伺い申し上げたいと思います。
  6. 亀山信郎

    亀山政府委員 オーナー用船料の問題は、先生も御承知のように、本質的にはやはりオーナー用船先オペレーター商業ベースで決定すべきものでございまして、法律上も、政府がこの商取引に介入すべき性質のものでもございませんし、またしてもおりません。しかし先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、オーナーのうちで五年以内に償却不足の解消ということが困難となるようなものについては、中核体においてあらゆる角度からの指導援助を行なうということでございますので、そういう一般的な指導援助の中に、オーナー自体合理化とともに、用船料の問題も含まれて解決されていくべき問題である、かように考えております。
  7. 内海清

    内海(清)分科員 これは全くお説のとおりだと思うのであります。これは商業ベースによりまする一つの契約であります。しかし結局これはやはり力関係に相なるのであります。このオペレーター関係オーナーの力というものにつきましては、御承知のとおりの状況であります。そういう点から考えますならば、やはりそこに運輸省としての一つ指導性を持って、オーナーの育成ということにつきましては十分お考えいただかなければならぬのじゃないかというふうに考えるのであります。ことに争議の過程における状況を見ましても、オーナーとしては、用船料というものがすべてを決定していくということで、もちろんオーナー自身十分合理化をはかって、そうして経営基盤強化をはかることは、これは申し上げるまでもございませんけれども、他のそういう力関係によるものが非常に大きいウエートを持つのではないかというふうにも考えるのであります。そういう点につきまして、今後十分なるひとつ御指導をいただきたいと思いますが、その点について何か具体的なお考えがあれば承りたいと思います。
  8. 亀山信郎

    亀山政府委員 オーナー自体再建につきましては、これは当然十分考えていかなければならない問題だと考えております。オーナー再建は、今日までの状況で、船員費の圧迫による困難性が増したということは御指摘のとおりでございます。従来オーナー経営内容を改善させるために、中核体においていろいろな面での合理化なりあるいは用船料等について、場合によれば政策用船料というふうなことでめんどうを見るあるいはオーナー同士業務提携、合併あるいは債務肩がわりというふうなことまで中核体はいたしておるわけでございますが、私どもとしてはそういう中核体による指導と同時に、計画造船においてやはり採算性の高い船を持っていくという、前向きの施策オーナー再建には特に重要ではないかというふうに考えますので、オーナー合理化と効果を見きわめて、それによって再建ができるというものに対しては、中核体との共有あるいは債務保証等方法によって計画造船に参加させるというような指導をいたしております。昭和三十九年から昭和四十年、計画造船で申しますと二十次、二十一次というところでは合計十二はいの船をオーナー単独所有または中核体との共有ということで計画造船に参加させております。これらはおおよそ長期計画によって採算性の高いものでございます。オーナー再建に非常に役立つことが明らかでございます。来年度におきましても、この方針を一そう拡充したい、かように考えております。
  9. 内海清

    内海(清)分科員 オーナー再建につきまして、計画造船に参加するということは、きわめて重要な問題だと思うのであります。すでに二十一次におきましても、若干これが出ておることはけっこうだと思うのでありますけれども、先ほど申しましたように、結局この中核体オーナー関係によって、中核体状況が非常にいいものについては、いま申されたような状況も出てきておるのであります。しかし中核体がなお十分経営基盤強化ができていない、再建整備の道に十分乗ってないものにつきましては、オーナーもまた今日までと同様な状況を続けてきておることは御承知のとおりであります。したがって、このオーナー再建一つの重要な要素としては、どうしてもこのオーナー計画造船ワクに入れていくということであります。しかし、今日までの状況を見ますと、これはほとんど中核体との共有あるいは債務保証というふうな形のみによるのである。したがってこれは、中核体経営状況いかんによって左右される点が多いのであります。それではやはり今後ますますそういう企業格差というものが出てくるのだと思うのですが、それらについてはどういうふうにお考えになりますか。
  10. 亀山信郎

    亀山政府委員 中核体の、現在時点におきまして、再建の進みぐあいと申しますか、経営内容の間に若干の格差があることは仰せのとおりでございます。私どもといたしましては、再建整備計画というものは、日本海運の総合的な再建整備である、特定会社だけがどんどん伸びて、ほかのものは全く経営が悪化するということであってはならぬ。その間に格差のあることは認めるとしても、最低限やはり五年以内に、オーナーを含めまして、日本外航海運会社が、償却不足を解消して、自力体制に持っていくのが海運二法の目的であり、そのような考え方でその法律の執行に当たっておるわけでございます。中核体において若干弱いものにつきましても、それに付属するオーナーにつきましても、やはり先ほどの計画造船への参加という点につきましても、開発銀行とも相談して十分な配慮をしていく。いままでもしてまいりましたが、今後とも一そうそういう配慮をしていきたい、かように考えております。
  11. 内海清

    内海(清)分科員 いずれまた運輸委員会で掘り下げて論議したいと思いますけれども、この問題は非常に重要な問題だと思うのです。ことに最近海造審等でも問題になっておると思いますけれどもオーナーの中でも特に近海中小オーナーというふうなものが一そうこの点が問題が多いと思うのであります。今後オーナーがいわゆる計画造船に参加し得る、でき得るならばオーナーに一定の計画造船ワクを付与することによって、そうしてオーナー再建をはかる、このことがひいて日本海運再建整備に役立つのだ、こういうふうに思うのであります。この点をひとつ強く要望しておきたいと思います。  時間がございませんから、簡単にいたしまして、次は内航の問題に移りたいと思うのであります。  この内航につきましても、御承知のように、海上運送国内輸送に占めますところの割合は、四二%程度も占めておるのであります。非常に重要な地位にあると思うのであります。ところが、今日まで、内航海運は、過当競争、結局船腹過剰でございますけれども、その過当競争によりまして、非常に運賃市況もよくない。したがって輸送コストを割って経営状態がきわめて悪化しておる、このような状態になっておることは御承知のとおりであります。こういうような状態が続いてまいりますと、この輸送面におきます陸路というものが、今後のわが国国民経済発展と安定に大きな悪影響を及ぼすということが考えられるわけであります。  そこで私は、この際特にお伺いいたしたいと思いますのは、いま過剰船腹はどの程度にあって、しかもこれに対しては、どういうふうにこれを解消し、内航海運経営基盤強化に資するために、これからいかなる施策をもって臨もうとしておられるか、その点をひとつお伺いいたしたい。
  12. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 内海委員が申されましたように、わが国の内航海運の包蔵しております問題は、きわめて重要な、しかも複雑な事情にあることは御承知のとおりでございます。政府といたしましても、海運全体の中で、外航海運につきましてはある程度政策を推進し、一応軌道に乗りつつあると考えられておりますけれども、この内航政策の点におきまして、どうも率直に申し上げまして手薄だったというようなことがあるやにも考えられますし、さらに内航海運企業のあり方、あるいは船舶過剰状況等、あるいはその他運賃制度問題等をも含めまして、新しい一つの内航海運政策を樹立して、これを推進する必要があるというような見解に立ちまして、海運造船合理化審議会に対して、内航海運対策についての諮問をいたしておるわけでございます。その答申を急いで出してもらいまして、その線に沿ってあらゆる施策を施しまして、内航海運の健全な企業の確立に積極的に取り組んでまいりたい、かように考えておる次第でございます。具体的にはひとつ海運局長からお答え申し上げます。
  13. 亀山信郎

    亀山政府委員 ただいま御質問の過剰の状態はどういう状況かということでございますが、内航海運業法によりまして、毎年運輸大臣海運造船合理化審議会諮問をして、五カ年間の適正船腹量を設定しろ、こういうことになっております。その適正船腹量と現在船腹量との差が一応過剰船腹考えられるわけでございます。四十年度につきましては、約七十万トン数字の上では過剰になる、かように相なっております。特にこの過剰の部分は、セメント専用船、タンカーという部門を除く一般貨物船の部面において特に過剰があらわれておるわけであります。四十一年度は、若干の輸送の伸びを見込みますと同時に、自然に老朽廃船になる、及び船舶公団によりますスクラップ・アンド・ビルドという政策によって、若干の船腹が減少することを見込みますので、四十一年度においては、過剰船腹貨物船におきまして五十万総トンである、かように考えております。また、この処理の方法につきましては、大臣から御答弁申し上げましたように、目下、海運造船合理化審議会諮問をいたしておりまして、係船解撤輸出等方法につきまして、現在研究中でございます。
  14. 内海清

    内海(清)分科員 いまお話しのように、内航につきましては、今日非常に経営状態が悪い。これは御承知のように、内航二法が設定されましてから、だんだんと緒につきつつあるということは認めるわけでありますけれども、今日なお過剰船腹が五十万総トン、私どもは五十五万総トン程度に見ておるわけでありますけれども、こういうものがある。これをひとつ解消して、そして同時に内航の船舶近代化と申しますか、経済的な船を走らすということによって、これは基盤強化ができてくるものであろうというふうに考えるのであります。  そこで、いまこれは海造審にかかっておりまして、海造審でいろいろ審議されておるのだと思いますが、いずれにいたしましても、その答申が出てまいりませねば、運輸省当局としてのはっきりとした方向はきまらないと考えますけれども、この過剰船腹というのは、特にいわゆる弱小船主に多いのであります。しかも老朽船であるという関係がございまして、私ども考えでは、どうしてもこれはその程度過剰船腹係船によって一応処置するということにならねば、なかなか容易にこの処置はできぬ。しかもそれも順次これをやっていくというのでなしに、少なくとも三年程度以内に係船をいたしまして、これを処理していくというふうに考えなければ、なかなか内航海運基盤強化ということはむずかしい問題ではないかというふうに考えておるのであります。この係船をやるということになると、これはもちろんいわゆる内航海運組合によります問題が出てくるわけでありますけれども、こういう特に弱小船主でありますから、係船をいたしましたら、たちまちそのあくる日から困るわけであります。したがって係船するということになりますと、少なくとも最小限その半額程度というものは政府が補助の形でもってこれを救済していかなければならぬのじゃないかというふうに考えておるのであります。それらの点につきましてのひとつ御意見がありましたら、お伺いいたしたい。
  15. 亀山信郎

    亀山政府委員 いま船腹の過剰を解消する緊急措置としての組合による係船というお話でございました。たいへん貴重な御意見で傾聴いたしました。現在、先ほど申し上げましたように合理化審議会におきまして検討中でございますし、また業界自体といたしましてもそういう問題を研究いたしております。これは業界自体がそういうことに進むという決心をしていただき、同時に政府においてもこれを援助しなければならぬじゃないかという御説も、まことにそのとおりであると私ども考えております。ただいまの御意見を十分体しまして、今後政府としての対策を立てていく上には、そういうお考え方も生かしていきたい、かように考えております。
  16. 内海清

    内海(清)分科員 ただいまの御答弁に対しまして、ぜひこれを早急に実現していただきたい。ことに五十五万総トン程度係船いたしますとなれば、まず三年間といたしましても、初年度は少なくとも三十万程度係船をしていかなければ、この問題は容易に解消せぬ問題じゃないか、こういうふうに考えるのであります。海造審にいたしましても、業者の間におきましても、そういう機運も次第に醸成されつつあるようでありますので、この際運輸当局においても最も前向きの姿勢でこれに取り組んでいただいて、これが必ず実現するように御努力いただきたいと思うのであります。  それから、これと同時に、内航海運は御承知のように業者が非常に多い、二万程度もあるだろうといわれておるわけでありますが、こういう弱少の業者が非常に多いということ、しかも船腹過剰であるというところに非常に過当競争が行なわれて、運賃輸送コストを割っておるという状態でありますので、やはり内航海運業者適正化と申しますか、そういう点も同時に考えていかなければならぬのじゃないか、こう考えるわけです。それで私は、この際内航海運業免許制に切りかえたらどうかという考えを持っておるのでありますが、これにつきましての御意見がありましたらお伺いいたしたい。
  17. 亀山信郎

    亀山政府委員 内航海運が今日の現状に立ち至りました、過剰船腹という現象を生じております基本的な原因は、仰せのとおり内航海運企業体制の問題があるということだと考えております。一昨年内航海運業法を改正いたしました際に、登録制強化するということで、ほぼ免許制に近い登録制をとりまして、事業の運営が確実であるものというふうなことを一つ登録条件にいたしております。しかし内航海運の将来にわたる健全性を確保するためには、やはり適正規模経営、御指摘のように業者の数にいたしまして一万三千余り、そのうちの九十数%がいわゆる一ぱい船主である、零細企業がほとんど全部であるという状況でございますので、これらにつきましてはその企業規模の拡大ということも必要かと考えております。しかしながら、これを一挙に免許制によっていかなければならないかどうかという点につきましては、仰せのように免許制という問題は十分検討に値する問題であると私ども考えておりますが、現在法律的あるいは実際的な面から登録制免許制に切りかえるということの可否について検討をいたしておるところでございます。いまここでその結論を申し上げるわけにはまいりませんけれども、基本的に内航海運業体制強化するために何らかの方法が必要であるという点については、先生の御意見のとおりだと考えております。
  18. 内海清

    内海(清)分科員 ただいま御意見もございましたが、これにつきましては、この前の内航二法の設定によりまして登録制強化されたことは事実でありますけれども、これはあくまでも登録制であります。したがって今後の長期的な内航海運発展ということを考えますならば、そこに一つの何かの規制が必要になってくるのじゃなかろうか。これにはもちろんいろいろ問題があることも承知いたしておりますけれども、やはりこれは免許制に切りかえる以外に適当な方法はないのじゃなかろうかというふうにも考えておるわけで、この点につきましても今後十分検討願いまして、内航海運が健全に発達していく、ことにこれはわが国の産業の発展、安定ということにきわめて重大な影響があるわけでありますから、この点を十分お考えいただきたいと思うのであります。これをひとつ強く要望しておきたいと思います。  それから、これは海運局なり船舶局なりの関係になると思うのですが、本年度の内航対策を見ますと、代替建造等によります新船建造というものが非常に少ないのであります。御承知のように、特定船舶整備公団の中にあります代替建造ワクが七万六千八百グロストン、それから離島関係あるいは旅客船関係を含めましても八万二千グロストン強であります。こういうことから考えますと、ここにいろいろ問題があると思うのであります。従来、私どもが見てまいりました例年のこれに比べますと、むしろこれは減少してきた。これは内航海運のいまの問題点を反映しておると思う。しかし過剰船舶の大部分というのは老朽船が多いと思う。老朽船が大体過剰船腹の量ぐらいに匹敵しておると思う。したがって、先ほど局長からもお話しありましたように、今後の内航海運基盤強化ということは、やはり船舶近代化と申しますか、これが経済船になっていかなければならぬということで、これが一つの要素である。そういう点から考えると、この代替建造はきわめて重要なことだと思うのであります。その点に対しますお考えをひとつ承りたい。
  19. 亀山信郎

    亀山政府委員 四十一年度の船舶整備公団によります代替建造は、貨物船七万七千総トン、旅客船五千六百総トンを予定いたしております。現在、内航の貨物船は、先ほど来お話しのように、非常に過剰でございますので、船腹の拡充ということは避けなければならない。一面におきまして、近代化合理化ということも必要でございます。私どもとしては、四十一年度は、いま申し上げました数字で、過剰船腹の解消と老朽船近代化するということを船舶整備公団の方式で進めたい、ことに四十一年度におきましては、主として内航の老朽船をつぶして、近回りの外航船を建造するというので、予算が財政投融資の中に入っております。今後はこういう面をも大いに拡充して、内航船腹の過剰の解消と同時に、船舶近代化ということを積極的に進めたい、かように考えております。
  20. 内海清

    内海(清)分科員 外航としては代替船も十分ではないが、同時に近回り外航、これも内航と関連して考えておるということでありますが、その、いわば中小オーナーによります近回り外航、近回りがどの程度考えられておりますか。
  21. 亀山信郎

    亀山政府委員 今年度の財投計画では、船舶整備公団に対する近回り外航船分といたしまして、四億の貸し付けを予定しております。これによりまして約一万五千トン程度の、三千トン以上の近海船の建造が見込まれますが、この量はまだ少ないわけでございます。今後これを増加させたい、かように考えております。
  22. 内海清

    内海(清)分科員 外航近回りが一万数千トンであるということであります。これを加えましても十万総トン程度だと思うのであります。そこでこれはひとつ船舶局関係でお尋ねいたしたいのでありますが、こういう内航関係、さらにまた外航近回りというふうなものにつきましては、これはいわゆる造船所関係で申しますと、中小造船に影響のあるものであります。中小造船といたしましては、御承知のように内航の問題に関連いたしまして、今日までだんだんと仕事量が減ってきておるのは御承知のとおりであります。そこで、少なくとも中小造船の状況を見ますというと、そういう内航関係あるいは外航近回り等で、大体十七、八万トンから二十万トン程度のものが必要だと思うのであります。そういう点から考えまして、この程度の量では少ないのではなかろうか。したがってここに今度は中小造船の対策の問題が生まれてくるわけであります。この中小造船の対策について、こういう建造量であるといたしまして、これにどう対処されるかお伺いしたい。
  23. 深草克巳

    ○深草政府委員 ただいま船舶局長、国際会議で外遊中でございますので、私が代理をいたしておりますので、お答えいたします。  ただいま中小造船所の仕事量として、二十万トンはぜひ必要でないかということでございます。先ほど海運局長から申しましたように、政府の関与いたしております、つまり財政投融資その他でめんどうを見ておるものは、約十万トン足らずでございまして、その他若干輸出船並びに民間の、つまり政府の投融資を通さない民間の契約もあろうかと思いますが、先生のおっしゃるように二十万トンまでは至っておらないと思います。したがいまして、中小造船所の問題といたしましては、一つは仕事量を確保するという問題でございまするが、これは先ほどるる御意見がございました内航の船腹量の過剰ぎみという問題との矛盾がありまして、これが解決といたしましては、老朽船をなるべくすみやかに代替をして、仕事量をつくるという問題が一つございます。しかしながら、それではあまり多くを期待できませんので、近海船の建造量をさらにふやすとか、あるいは輸出に進出をさらにしていくということで、内航とあまり競合しない面の需要開拓をしていくということが一つの問題点であろうと思います。ただ輸出その他につきましては、やはり何といいましても、造船所の技術を向上させなければいかぬということで、いま造船所の数は四百数十カ所ございますが、非常に技術が未熟な点もございます。それが輸出の支障になっておる点も多々あろうかと思います。したがいまして当面私ども考えておりますのは、これ以上今度は供給側の造船所の数をふやさないということが一つと、それから技術を向上させますこと、あるいは企業の集約体制をとること、こういったことを考えておりまして、特に中小造船所の登録制の問題を中心といたしました立法措置、これは内航二法の国会通過の際の附帯決議にもございましたが、登録制を中心とした法律改正を現在準備中でございます。
  24. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 内海君に申し上げます。申し合せの時間をすでに経過しております。他に質疑通告が多数ありますので、お急ぎを願います。
  25. 内海清

    内海(清)分科員 もうあとしばらくです。  大体いまのお考えよくわかりましたが、これは造船と海運のほうの矛盾があるようでありますが、さっき局長も言われました。私も申し上げましたように、今日内航の経営基盤強化する面におきましても特に重要な要素は、やはり老朽船、不経済船を解消することであります。ところがこの過剰船腹に相当するだけの老朽船が現在ある。だからこれもどんどん代替していくことが一面内航海運業者基盤強化になるのであるが、それがきわめて少ないということをたいへん私は遺憾に思っておる。でありますから、この点につきましては代替建造というものは船腹をふやすというのじゃございません。そういう意味合いからいたしまして、この点に十分ひとつ今後意を用いていただきたい。こういう状態でいきますと、内航海運近代化合理化ということはきわめて困難である、長期的に見まして、非常に困難である、というふうに私は考えるわけです。この施策をあわせて考えていただかなければならぬと思います。同時に、造船のほうにおきましても、そういう矛盾があるということでありますが、少なくとも運輸省とされましては、これはどちらも管轄の問題である。この点こそ運輸省で十分調整して、両者がともどもに繁栄していくという、この施策が行なわれなければならぬのであります。造船業法につきましても、いま検討中ということでございますので、この点は、そういうふうなものが出ましてから、なお十分論議したいと思いますけれども、いずれにいたしましても、いま造船業界も、さっき申し上げましたような仕事量、工事量の減少ということがあるのであります。これは今後徐々にやっていくというのでは問題を残すだけでございます。したがって、急場といたしましては、どうしてもここに工事量の確保ということ、これがきわめて緊要な問題だと思うのであります。輸出船の問題もございましょう。ことに日韓の国交も回復されましたし、韓国の漁業の問題も今後発展していくと思いますので、そういう点の輸出船も出てくると思いますけれども、これらにつきましては、ひとつ積極的に考えて手を打って、そうしてこの中小造船所の工事量の確保ということも、運輸省が責任を持って御処理願わなければならぬと思う。いま官房長からも矛盾があるということでございましたが、これらの調整につきまして、大臣はどういうふうにお考えになっておるか、その点をひとつお伺いしておきます。
  26. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 造船所と船舶の量とのかね合いというものは非常に複雑微妙でございまして、そういう現在の日本の置かれております造船業の状態、それから内航海運の実情等を勘案いたしまして、調整を保ちながら、内航海運の立場も、企業としての健全性を保ち得るように、さらに造船所としても機能を発揮しながら、造船の企業もまた健全性を保つことができるように、できるだけ調和といいますか、調整をはかりながら、最善の政策を進めてまいりたい。内海委員仰せられるような方向で、積極的に善処してまいりたい、かように考えます。
  27. 内海清

    内海(清)分科員 いま大臣の御答弁でございますけれども、きわめて抽象的で、これはいま造船法の改正なりあるいは内航にいたしましても、海造審諮問中でございますので、今後これらの具体的な成案が得られると思います。いずれ委員会等におきまして、この点は十分掘り下げたいと思いますので、具体的な案をひとつ立てていただいて、わが国の内航、中小造船所、こういうものが両々相まちまして、わが国の経済に寄与いたしますように、御善処願いたいと思います。強く要望しておきます。  それでは、次にちょっと航空のことにつきまして、国際航空事業でございますが、これにつきましては、御承知のように、諸外国におきましても非常に国家が力を入れて、いわゆる国策会社的なものが多いのであります。
  28. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 なるべく簡単に願います。
  29. 内海清

    内海(清)分科員 たとえて申しますと、イギリスのBOACは全額政府出資であります。それからイタリアのアリタリアにつきましても、資金の九六%を事業復興金融公社で負担しておる。それから西独のルフトハンザにつきましても、資金の八〇%を連邦政府が出資をしておる。こういうふうに政府が全面的に協力をいたしますと同時に、融資におきましても大幅なものを与えておるのであります。ところが日航におきましては、出資が四十年度までで百億でございますか、四十一年度で百十億になっておると思いますが、その程度です。そのほかは一切ないのであります。特に、御承知のように、日米航空協定が締結されまして、日航のいわゆるニューヨーク・ビヨンド、これが確保されて、日本国民としてはまことに喜ばしいことで、希望の持てるものでありますが、こういう点から考えて、このニューヨーク・ビヨンド、いわゆる世界一周航路ができてまいりますと、当初、航路の開発には、会社としてはどうしても赤字が出てくるだろうということが予想されるのであります。したがって、これに対しては当然政府から助成措置が講ぜられるべきであると思うのであります。ところか日航に対しましては一いま申し上げましたように、外国の航空会社状況を見ますと、ほとんど国策会社的な性格を持って、強い力でもって今日これを経営してきておる。これではたして日航が十分太刀打ちができるかどうか、こういう問題であります。これにつきまして、日航に対する特別な助成のお考えがあるかどうか、この際お伺いしておきたいと思います。
  30. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 日本航空に対する政府援助施策の点についての御質問でありますが、御承知のように、いままでは日本航空の企業努力によって一応健全な運営をやってきたと思いますが、質問の中にもありましたように、ことしの十月からはニューヨーク以遠の世界一周路線を開設するというような段階に入りますと、きびしい国際航空競争の中では相当期間必ず赤字が出るということを覚悟しなければならない。しかし私はやはり日本の航空企業が世界の航空企業界で活躍してまいりますたてまえから考えても、あるいは外貨を獲得するという意味から考えましても、この仕事はきわめて重要でござますので、政府といたしましては、日本航空が新しい国際路線に活躍することによって生じてくる一つの赤字というようなものに対しましては、できるだけめんどうを見る。これは今年の四十一年度の予算の最終段階の決定の際の閣議で閣議了解事項として、日航が世界一周路線を運営することによって出てくる赤字については、政府が責任を持ってこれの援助措置をする、という閣議了解を取りつけておるような事情でございます。その点は政府といたしましても、できるだけのことをなす所存でございます。
  31. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 簡単に願います。
  32. 内海清

    内海(清)分科員 閣議で、きわめて少額であるけれども、今後これによって出る赤字は政府が何らかの形によってこれを埋めていこうという決定があるようでありますけれども、この問題は、今後わが国の国際航空事業の上からいってもきわめて重要な問題だと思います。でありますから、四十一年度の予算面において当然政府がもっと助成すべきである、こういうことを私は思うのであります。しかしいま閣議決定で、そういうことがあるということでございますので、今後この世界一周航路の開設されますにあたって出てまいります赤字等については、政府が今後十分責任を持って善処をして、これが健全な発達をいたしますように、万全の御処置を願いたいということを強く要望して、質問を終わります。
  33. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 野原覺君。
  34. 野原覺

    野原(覺)分科員 私は室戸丸のことでお尋ねしたいと思いますが、運輸大臣は室戸丸事件、室戸丸が沈没した経過なり内容なり、御承知でございますか。もし御承知でなければ、私から詳しく申し上げないと、私の質問にお答えすることは不可能だと思う。御承知かどうか、どの程度知っていらっしゃるか、お答え願いたい。
  35. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は室戸丸が出航して、触雷によって沈没して、その遭難者に対する処置をした概要は、承知いたしております。法律的な関係をすみからすみまで詳細にと言われますと、承知いたしておりません。いま言いましたような一つの荒筋は、承知しております。
  36. 野原覺

    野原(覺)分科員 荒筋を御承知であれば、申し上げる必要はなかろうかと思いますが、実は私はきょうは重大な質問をいたすわけであります。そこで、私の重大な質問、事と場合によっては、総理大臣に、予算の本委員会で私はお尋ねをしなければならぬかと思う。したがって、事件の内容だけはここで、簡単でございますから、明らかにいたしておきます。  昭和二十年の十月七日、阪神西宮沖でこの室戸丸が沈没をしておるのであります。二十年の十月七日といえば、敗戦直後であります。乗っておった乗客は四百十七名でございまして、生存者は百九十八名、乗り組み員は六十一名のうち生存した者が四十四名。なくなった者及び行くえ不明者を合わせて二百三十六名ということになっております。  そこで問題は、この室戸丸の沈没した責任は一体だれにあるのかということです。私調べてみますと、このときの航海の責任は船舶運営会であって、当時の運輸通信大臣でございますか、つまりただいまの運輸大臣、あなたです。船舶運営会というのは、いまの運輸省に属さなければならぬもの。航海の責任が船舶運営会にあったけれども、この船舶運営会は実に冷淡でございまして、何らの処置もとっていない。きわめておざなりな見舞い金百円を贈ったにすぎない。そこで、この室戸丸という船は関西汽船の所有でございますから、遭難者の方々は、遺族の方も含めて、関西汽船に押しかけていった。何とかしてくれ。そうしたら関西汽船では、いや私の責任ではない、あげてこれは船舶運営会の責任でございます、こういうことを言う。そうなると、この船舶運営会は運輸省の所管でございますから、運輸大臣の責任だ。全日空が遭難をされて、あの気の毒な方々に国が責任を持って補償をしようという方針をとられた。当然のこととはいいながら、私はこれはけっこうなことだと思います。ところが、二十年前の戦争のために、つまりこれはアメリカの感応機雷にぶつかって沈没した、戦争という国の責任によって沈没したこの室戸丸の気の毒な人々が、二十年たった今日までもなお何らの処置も実は受けていないということは、私はこれは許しがたいものだと思う。この点について、運輸大臣はどうお考えになりますか。
  37. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この室戸丸の遭難者に対しましては、野原委員がいま百円とおっしゃいましたが、私の承知いたしておるところでは、遭難者の——当時船舶運営会から、関西汽船社長名をもって、死亡者おとな一人に対して千五百円、小人一人に対して七百五十円の弔慰金、負傷者に対しては一人当たり百円の見舞い金、を支給する等の救済措置が講ぜられておる。船員につきましては、戦傷病者戦没者遺族等援護法、または船員保険法のいずれかを適用して、遺族年金及び葬祭費用を支給しておる、こういうふうに処置しておるはずでございます。
  38. 野原覺

    野原(覺)分科員 負傷者百円だということですが、これは私はお話にならない金額だと思う。もちろんその当時の百円が今日の百円ではないにしても、あまりにこれは酷な見舞い金ではないかと考えます。  そこで、二月二十八日、といえばおとといでございますが、室戸丸の生存者が自殺をしたわけです。ここに私は読売新聞の切り抜きを——この紙一ぱいに張るくらいの大きなスペースで読売が報道しておる。つまり読売の報道によりますと、「補償〃ゼロ回答〃で生きる希望失う「ひどい政府……」と未亡人」という見出しです。「「室戸丸遭難犠牲者に国の補償を」と病床の中から訴えつづけた生存負傷者の岸和田市春木宮本町三の二五、無職尾崎安吉(六一)さんは防衛施設庁が「補償はむずかしい」との見解をとったため」——これは最近のことです。遭難の代表の方が陳情に来た。そこで「生きる望みを失い、自殺した。」これは唐突の記事のように思いますが、尾崎さんは室戸丸で重傷にあって、背中の骨三本を折った。それからすっかり寝たっきり、奥さんのアヤ子さんという方が働きに行って、月一万円の収入で、むすこさんが家出をしておりまして、孫と三人一万円で生活をしておった、そういうことです。私は昨年の十月に突然尾崎アヤ子さんから手紙をいただいておったのです。私はこの新聞を見て、この人の名前は記憶にあるなと思って机をさがして、私の陳情書の書類とじをさがしてみました。私は陳情をいただいておる。実は私も責任があるわけです。私は十月の何日かに手紙をいただいたものですから、さっそく防衛施設庁の施設課長に談じ込んで、これは一体どうなっているんだ——そこで、防衛庁長官きょうは見えておりませんが、防衛庁長官の松野さんまで実はこのことが伝わりまして、そして松野防衛庁長官も、これはずいぶんうっかりしておった、考えなければいかぬなと言っておったやさきに、この読売新聞の記事が出たわけであります。私に来たこの手紙は、切々として今日の生活の苦衷を訴えて、自分は国を恨むのではない、恨むのではないが、あの全日空の遭難死傷の方にはあたたかい措置がとられておるが、この戦争というのは国がしたのじゃありませんか、室戸丸はいわばその戦争の犠牲者です、それをわずか百円の見舞い金で、何らの処置もとってくれない、それ以来私の主人は寝たっきりです、動けなくなった、そして私は働きに行かなければ食えない、小さな孫を置いてむすこは家出をしてしまいました、こういう切々たる手紙をいただいて、何とかしなければならぬというやさきに、尾崎さんが自殺をされたわけであって、そういうことで、きょうは特にこの問題については、一体占領軍に責任があるのか、それから政府に責任があるのか。昭和二十年といえば占領行政下にあった。占領軍に責任があるとすれば、特別給付金の法律が国会ではできておるわけです。その特別給付金によって、これは私は補償してもらわなければならぬと思うのです。そうしてすでに支払った見舞い金というものは、今日の貨幣相場に直して引いたらよろしい。そうするならば、遺族の方も納得いたします。遭難の方も納得いたします。実は両親を失ったみなしごが私のうちの近所におる。運輸大臣は福岡でございますが、福岡の方が非常に多いのです。大阪の天保山から船で四百何十名の人が——ほとんど九州の人なんです。戦争に敗れて、大阪ではとても食っていけないというので、山陽線に乗ろうとしても汽車は超満員でどうにもこうにもならぬ。ぼろ汽車で、しかも乗ろうとしてもなかなか乗れない。そういうことでやむなく、じゃ、船を天保山から出そうじゃないかということになったのです。船を出すについては、大阪湾は機雷であぶないじゃないか、こういうことでございましたが、船舶運営会があぶなくないと言ったのです。これは非常に問題がある。そこで、実は私もこの尾崎さんから陳情書をいただきましたから、相当突っ込んで調べております。私が調べたところによれば、あぶなくないと言われて、一等航海士——名前もわかっておりますが、この人は、私は乗らないと言った。ちょうど十月七日室戸丸の遭難した二日前、十月五日に、コウジョー丸とかなんとかいう船がやはり沈没しておるわけです。だからこれはだめじゃないか、とてもここは船は通れないじゃないか、これはだめだと言って、その一等航海士が反対をしたら、船舶運営会から呼びつけられてしかりつけられた。何言っているんだ、みんな九州に帰さにゃならぬのに、どうにもならぬから行け、こういうことで、この船は船出をしておる。当時の法令によれば、占領下でございますから、一切は占領軍の指揮で機雷の捜索もやっておった方があるから、これは占領軍の責任かと思いますけれども、船を出さしたのは船舶運営会なんです。船舶運営会は今日の運輸省なんです。運輸大臣、あなたなんです。だから、この点は、私は相当運輸大臣としては責任のある処置をとっていただかなければならぬかと思うのですが、いかがですか。
  39. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 この問題は、野原委員も仰せられますように、終戦直後の問題でありまして、私は、いま野原委員が仰せられるような、いろいろ責任の所在とかあるいはそのときの処置については、これはやはり一応は法の命ずるところによってやっておることであるとは私は思いますが、やはり終戦直後でございますから、いろいろいま考えられるようなわけにはいかない点等もやはりあろうと思います。しかし私はいまあなたからお話を聞いて感じますのは、やはり三百数十名の人が死傷をして、そうしてその処置によって今日も困っておる人があるというような事実等も勘案いたしますときに、法律によって処置をしたのだからということで、ただこれを突き放していくという態度は、これは私は、やはり政治としてはとるべきではない。そこで、しかしながら何か法によって処置をしておると思いますので、そうここで野原委員に私が、それじゃ何とかしましょうというような約束は、これはようできぬと思います。しかしながら、当時の犠牲者の心情を考え、当時の処置等をよく検討いたしまして——これは運輸省だけでなく、関係各省があると思いますので、先ほども、防衛庁にも話をしたとかいう話でございますので、関係各省と緊密な連絡をとりまして、あたたかい処置をしてみようという考え方の上に立って、ひとつ検討さしてもらいたい。ただ通り一ぺんに、検討いたしますということじゃなく、あたたかい何か処置ができないか。法でも、これは解釈のしようによっては、全く、また多少の処置のしかたも差は生ずると思いますので、そういう気持ちでひとつ真剣に検討いたしまして、できるだけのくふうをしてみる、そういう意味で、今後の問題としてこれは検討することで、御了承願いたいと思います。
  40. 野原覺

    野原(覺)分科員 防衛施設庁長官にお尋ねしたいと思います。  これは占領軍の行為等による特別給付金の担当庁の長官でもありますから、なおこの事件の内容を調べてみますと、やはり占領軍の責任ということも私は見のがすことのできないものがあるわけです。占領軍命令によって機雷の掃海がなされておる。いろいろ私調べていく中で、実は驚いたのは、大阪警備部が大阪湾の掃海をやっておって、そのときの中杉という海軍参謀です。これは終戦直後で、まだ海軍に籍を置いておった現役の海軍の軍人が、一万人ばかり日本全国で掃海に当たったわけですが、中杉参謀はひどいことを言っております。アメリカは、アメリカ人が一人でも乗るときは絶対に船を出させなかったのです。ところがアメリカ人が船に乗らないときには、やってよろしい、こう言ったのです。だから船舶運営会はアメリカの指揮を仰いだに違いない。敗戦直後は、日本近海の掃海の責任を占領軍が持っておったわけですから、みな占領軍にお伺いを立てたのです。ところが、その中杉参謀はそう言っております。ひどいやつだ。アメリカ人が乗らないときは出せ、出せ、こう言った。そこで船舶運営会は出しなさい。一等航海士がしり込みするにもかかわらず、出しなさい。十月七日に室戸丸が沈没した。十月五日には同じ場所で船が沈没した。またそれから今度は数日たったあとには、サソリ丸というのがそこで沈没をしておる。その航路はだれが考えたってあぶない。それを出さして、それで大ぜい乗っておるお客さんは、汽車がないから乗ったといえばそれまでですけれども、船を出してくれるから、安心して乗ったわけです。そこら辺は十分ひとつ考えてもらわなければならぬので、防衛施設庁長官のこの問題に対する所見を承っておきたいと思うわけです。
  41. 小幡久男

    ○小幡政府委員 この問題につきましては、当初、防衛施設庁で所管しております占領軍の違法行為に対する給付金の法律がございますので、その法律に該当しないかという意味の御照会がございまして、いろいろ検討したのでございますが、法律論で、非常に冷たい理屈になって恐縮でございますが、占領軍が本問題に関係していると思われる点は二点あると思うわけでございます。  一つは、船舶の航行に関する問題が一つ。もう一つは、いまお話がありました掃海に関係している点がございます。船舶の航行に関しましては、占領軍は占領目的に違反しない程度において、日本側にまかしておるという意味でございまして、積極的にああしろ、こうしろというところまでは指示はしておりません。したがいまして、給付金法に言いますところの違法行為、有責性のある行為というところまでは、法律上は議論が立ちにくい問題でございます。掃海につきましては、先ほど先生からもお話がありましたように、一般的には、占領軍は九月二日、それから九月三日の指令によりまして、日本政府に対しまして、米軍の指揮監督によって掃海をやるようにという、一般的な指示を出しております。実際の掃海の状況を見ますと、日本側だけでやった掃海、それから米軍側だけでやった掃海、つまり米軍側だけでやる掃海は、たとえば佐世保とかあるいは横須賀という、いわゆる軍港地区でございますが、これは米軍だけでやっております。それからその中間に、米軍の指示監督によってやった掃海もございます。この中には二色ございまして、非常に重要な地点は米軍が直接具体的に指示しておるし、そうでないところは一般的な指示監督で日本側が掃海を行なっております。この阪神水路は一般的な指示監督のもとに日本側がやったのでありまして、日本側の掃海の結果は、水路告示で一般に公示することになっておりますが、この事件の起こりました十月七日の状況では、まだ一般的に水路告示で安全だという告示はいたしておりません。したがいまして、この辺のところは、掃海といたしましては、その後に出しました十一月二日の水路告示十七号で、和泉灘方面は五百トン以上の船の航海安全率は七五%、五百トン未満の船が通る場合には九五%の安全率であるということを一般に知らしております。五百トン以上につきましては二五%の危険率、五百トン未満につきましては五%の危険率があるということを一般に告示しておりまして、掃海上はそういう手続をやっております。一応法律論としましては、給付金法に言う米軍の行為という積極的な結論がしにくいということでございます。しかしながら、先ほど運輸大臣からお答えもありましたように、私のほうも松野大臣に、野原先生からお話がございまして、事情を説明しておりますので、大臣としては、やはりいろいろお考えもあるやに聞いておりますので、私一存では申し上げにくい実情でありますが、法律論ではそういうことでございますので御了解願いたいと思います。
  42. 野原覺

    野原(覺)分科員 あまり法律論をたてにするなら、私も、施設庁長官、はなはだ申しわけないが、調べてきているわけです。私はそう分科会で時間を取ることは、たくさんの質問者に御迷惑がかかりますから、適当な機会に残りはやりたいと思っています。だからなにですけれども、まず第一に、あなたの答弁で確認しておきたいことは、占領軍の掃海責任のある個所であったということが一つ。この阪神沖は占領軍の掃海責任のある個所であった。これはいかがです。
  43. 小幡久男

    ○小幡政府委員 先ほど申しましたように、掃海場所は、占領軍が自分でやる場所、それから日本側がやる場所、もう一つは占領軍の指示監督でやる場所と三つある。そのうちで、占領軍がみずからやる場所は佐世保と横須賀でございます。したがいまして、占領軍がみずからやる場所ではございません。また占領軍の了解なしにやる場所でもございませんし、占領軍の指示監督のもとにやる場所でもありません。しかし指示監督のもとにやった場所にも二色ございまして、直接具体的に指示した場所と、一般的な指示監督のもとにやった場所とございまして、くだんの場所は、一般的な指示監督のもとに、日本側が責任を持ってやった場所でございます。
  44. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうなりますと、これは日本側が掃海責任を持っておった、こういうことだと思うのですが、日本側としては、掃海をしておったのか、していなかったのか。
  45. 小幡久男

    ○小幡政府委員 事実上は、もう戦争中からずっと掃海は続けておるのでございます。しかしながら、御承知のように、何万という日本側の海軍の敷設した係機雷のほかに、またたくさんの米軍の感応機雷がございまして、掃海はずっと継続しておりました。しかしながら、この時点において完了しておったかどうかという御質問に対しましては、先ほど申し上げましたように、十一月二日の水路告示で、くだんの航路につきましては、五百トン以上の船については七五%安全を保証します、五百トン未満につきましては九五%安全を保証します、こういう意味の告示が出ておるというのが実情でございます。
  46. 野原覺

    野原(覺)分科員 私の調査によれば、こうあるのです。終戦時日本近海には、日本海軍が敷設した係機雷——これはくくっておる機雷だと思いますが、五万五千三百四十七個と、米国海軍がB29及び潜水艦によって敷設した感応機雷六千五百四十六個、五万五千と六千五百四十六、この膨大な機雷が日本近海には漂流しておったわけですね。そこで、この漂流しておった機雷を掃海しなければならぬというので、占領軍が直接やる掃海と、それから占領軍の命令によって日本側によって行なわれた掃海とがあったわけでございますけれども、しかしやはり掃海というものは、日本がかってにできなかったんですから、占領軍が直接やらなかったにしても、私は、占領軍の命令がなければ日本側も手をつけるわけにはいかぬのですから、そういう意味では、占領軍に責任があるとも受け取れる、いかがですか、これは。
  47. 小幡久男

    ○小幡政府委員 占領軍は、その場合には一般的な指示監督でございまして、安全かどうか、実施の責任は日本側が負っている、こういう意味でございます。
  48. 野原覺

    野原(覺)分科員 そこで、航海の許可を与えたのは、防衛施設庁の調査では、これはどこだと判断していますか。当時航海することの許可権を持っておったのは占領軍ですか、それとも日本政府ですか。
  49. 小幡久男

    ○小幡政府委員 私の了解しています範囲では、占領軍は、占領目的に違反しない限りは、許可を与えておった、かように考えています。どこそこへ行けという命令は決して出していない。占領目的に違反しないもので、日本政府から要望のあったものについては、許可をしておったというのが実情であろうと思います。
  50. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、この船舶運営会というのはすでに航図を持っておったようですが、そういった、どこのコースを通りなさいというような許可権は、これは日本政府にはないんでしょう、瀬戸内海といえども、当時は。天保山を出て、どのコースを、何度の位置で、どこで面かじをとってというようなことは、その航図というのは、占領軍が持っておったんじゃないですか、いかがですか。
  51. 小幡久男

    ○小幡政府委員 当時の資料は、二十年前でありますので、はっきりいたしませんが、水路告示等から判断いたしますと、未掃海地域等を航海する場合には、所在の掃海部等とよく相談をしてやるようにという記事が出ておりますので、おそらく航海の実務者が掃海の係と相談をしながら、ぜひ船を出させたいというような気持ちで、そういう相談をしたんじゃないかと思っております。
  52. 野原覺

    野原(覺)分科員 そうすると、この機雷のために遭難をした船の隻数はどのくらいですか。
  53. 亀山信郎

    亀山政府委員 終戦後の触雷による沈没は、昭和二十年八月十六日からその年一ぱいで、触雷によるもの二十九隻、五万五千八百九十二総トンでございます。二十一年は四隻、一万七百六十トン、二十二年が七隻、五千六百十四トン、二十三年が二隻で六百一トン、こういうふうになっております。
  54. 野原覺

    野原(覺)分科員 その中で、連合国占領軍等の行為による特別給付金の適用を与えた船は何隻、そしてその該当人員は何名、これは施設庁にお尋ねします。
  55. 小幡久男

    ○小幡政府委員 給付金法に該当いたしましたのは、五トン未満の漁船二隻でございます。
  56. 野原覺

    野原(覺)分科員 その該当したという事実の中に、事件の中に、愛媛県に所属する大東丸というのがたしか該当しておるようだが、その大東丸でもけっこうですが、どういうようなケースで該当させたのか、お答えいただきたいと思います。
  57. 小幡久男

    ○小幡政府委員 ただいまおっしゃいましたように、船名は第二大東丸、第七大東丸の二隻でございます。この事故は、昭和二十一年十月十五日に発生いたしました。事故の発生した日向灘海域は、戦時中、日本海軍により係機雷が敷設されております一方、昭和二十年十月、占領軍の指示命令によりまして、旧日本陸軍の特設部隊が、弾薬等を同海域の細島港沖合いの約八海里の海域に投棄したものと認められました。これらの弾薬等が機雷と一緒になりまして、潮流の影響を受けて非常に散逸しておるという特殊な状況になっております。したがいまして、これにつきましては、米軍が特に直接乗り出しまして、ことこまかな、積極的な指示をいたしました。しかも、その掃海した結果から見ます場合に、それをしたにもかかわらず、五十六個くらいが未処理のままで残っておった。しかも、その地区は、単に船舶が通航するだけでなく、御承知のように、底引き漁船がその辺で底を引くというような——徹底的に、掃海する場所につきまして、通常、船舶が航行する程度の範囲の明確な指示しかせずに掃海して、そういう遭難を起こした、こういう意味で、特に占領軍の行為に瑕疵があったという判定を下しまして、給付金で補償したわけでございます。
  58. 野原覺

    野原(覺)分科員 大東丸と室戸丸はどこが違うのですか、別なのですか。
  59. 小幡久男

    ○小幡政府委員 第一、占領軍の掃海に対する指揮監督の態様が違っております。それから室戸丸の場合は、先ほども申しておりますように、五百トン以上でございまして、これにつきましては、水路告示で七五%の安全を保証するという意味の告示が出ておりまして、一〇〇%の保証はなかったわけです。日本政府も……。先ほど来、議論がありますように、終戦直後、交通が途絶しておりまして、船も出させたい、行きたいという状況の中で、ある程度自己の危険負担を感じながら航行しなければいかぬというような状況でなかったかというふうに考えておる次第でございます。政府といたしましては、七五%まで保証するという意味の告示を十一月二日に出しておる状況でございますから、それの前、十月七日には、やはりそのような状況でなかったのかというふうに考えております。
  60. 野原覺

    野原(覺)分科員 それは十一月で、十月七日のあとですよ。告示が出ておるのは。だから、そんな告示というものは早急にできるものじゃない。施設庁長官、いろいろあなたも専門家の角度で御答弁になったのだが、私はこれは同じケースだと思うのです。同じケースじゃないかという、私はそういう気がしてしようがない。占領軍が直接の掃海云々という御答弁もありましたけれども、大阪湾の大阪警備府の管轄のところは、たしか呉、横須賀、佐世保に準じて、占領軍が直接にやったのじゃありませんか。これは間違っておったらたいへんですよ。あなたの答弁が間違っておったら……o
  61. 小幡久男

    ○小幡政府委員 阪神のほうは、米軍が直接いたしておりません。
  62. 野原覺

    野原(覺)分科員 時間もなんでございますから。そういたしますと、これは防衛施設庁では、占領軍の行為等による特別給付金で処置することは困難があるのではないか——困難であるという、断定するのではなしに、あるのではなかろうか、しかしなお検討してみなければならぬ、こういうことですかね。
  63. 小幡久男

    ○小幡政府委員 一応法律論としましては、適用困難だと思いますが、なお松野大臣にも事件の詳細を申し上げておりますので、政治的な御配慮は、また別の問題があるのではないかと考えております。
  64. 野原覺

    野原(覺)分科員 運輸大臣にお尋ねいたしますが、あなたのほうが政治的にも法律的にも責任がある、そうはお考えになっていないですか。
  65. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、政治的のほうはどうか——そのときの事情をまだ存じておりませんが、法律的には、一応検討して措置しておると思いますけれども、先ほど言いますように、やはり終戦直後でございますから、昭和二十年十月といいますと、終戦後一カ月半かそこらしかたっておりませんときでございますから、いろいろ混乱の時期でもあるし、そういう特殊情勢の中で起こった事故でもございますし、いまから考えますと、いろいろ気の毒な立場に立っておる人もあると思いますので、先ほど私が申し上げますように、何らかのあたたかい措置をとることはできないだろうかという一つ考え方のもとに立って、もう一ぺん関係各省とも相談をして、善処してまいりたい、かように考えておるわけであります。
  66. 野原覺

    野原(覺)分科員 あとのあなたの御熱意は、私も大いに受け取りたいことは言うまでもありませんが、その前のほう、終戦直後のことだから云々ということはいかがかと思う。終戦直後であろうとなかろうと、責任は責任です。終戦直後のこういう事態であればあるほど、私は国の責任があると思う。単なる民間の船に乗って遭難すれば、今日は民間会社がみんな弁償するわけです。しかしこのときは船舶運営会が指示したのです。船会社じゃないのです。運輸大臣の所管に属しておった船舶運営会が、責任を持って指示をした。しかも機雷というものは戦争の産物ですよ。戦争というものは国がやったんです。だからどう考えても、これは国の責任ですよ。その国の責任を、法的には占領軍の行為等による特別給付金でやるか、それともそれができるかできないかの法律解釈は別です。それは政府に私はやってもらわなければならぬと思いますけれども、国の責任は認めなさいよ。国の責任をあなたが認めないということであれば、私は何時間でもやりますよ。国の責任でないというのですか、運輸大臣は。
  67. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私は、国の責任でないと言っておるのではないのです。誤解があるようでございます。事件の起こったいろいろないきさつが、終戦直後であるから、先ほど施設庁長官が説明しておりましたように、安全であろうと思っておったところが安全でなかったとか、いろいろそういうことがあったという事情を、私は申し上げておるのであります。責任がないとかいうことを申し上げておるのではございませんので、その点は誤解のないように……。
  68. 野原覺

    野原(覺)分科員 そういたしますと、どこかでそれらの事情についても重ねて検討していただいて、そして政府としても前向きにこの問題には取り組んで何とかしたい、こういう運輸大臣並びに松野防衛庁長官の意をくんで、施設庁長官も述べられたわけでございますから、これはひとつすみやかに結論を出していただきたい。これがまた長引くということのないように、二十一年前のできごとですから、これはすみやかに出していただきたい。その点についての運輸大臣の重ねての御決意を承りまして、私は質問を終わります。
  69. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 防衛庁ともよく相談をしまして、できるだけ早い機会に結論の出るように努力したいと思います。
  70. 野原覺

    野原(覺)分科員 終わります。
  71. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 次に矢尾喜三郎君。
  72. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 この際、国鉄総裁並びに運輸大臣に、二つの問題についてお伺いしたいと思います。この問題は、かねて運輸委員会におきまして、運賃問題で、私が最後に質問することになっておったのでございますが、途中で打ち切られましたので、幾多問題がありましたけれども、特に私が聞いておきたいと思います問題が二つございますので、お伺いいたしたいと思います。  まず第一にお伺いいたしたいのは、今度の運賃値上げに伴う三次計画の中に、大阪−岡山間の新幹線の建設が千七百億ほど予算において計上されておるわけでございます。この問題につきまして、かねての運輸委員会におきまして、私は泊谷君の質問に対する関連質問として運輸大臣に聞きましたところ、この線路は新線ではない、いまの東京−大阪間の延長である、ということを言われたのでございます。私はこの際、まず運輸大臣にお伺いいたしたいと思いますことは、国鉄におきまして、また運輸省におきまして、新線と称する定義は、どういうところに重点を置いて言われておるのであるかということを、まず承っておきたいと思います。
  73. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 政府委員から答えさせます。
  74. 堀武夫

    ○堀政府委員 前回運輸委員会においてお答えいたしましたように、新線というのは、新しい輸送需要に応ずるためのものでございまして、経過地も、したがって従来の既設線とは違った経過地を通る、そういう線を新線というふうに言っております。したがって、たとえば東海道新幹線のように、東海道を往来するお客という旅客需要というのは、従来の東海道線と同じ旅客需要に応ずるためのものであるということで、これは線増という考え方で、東海道新幹線が建設されておるということでございます。
  75. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 いま鉄監局長、うまいことを申されましたが、新増ということばと、新線ということばとをどこで区別するかということになれば、新幹線ということばは新しい線である、幹を除けば新線じゃないか、そういうことを考えていきますと、この鉄道敷設法におきまして、第四条、第五条においては「運輸大臣ハ新線建設ノ許可ニ関シ必要ナル措置ヲ為ス場合ニ於テハ予メ審議会ニ諮問スヘシ」「運輸大臣ハ公共ノ福祉ヲ増進スル為特ニ必要アリト認メテ日本国有鉄道又ハ日本鉄道建設公団ニ対シ新線建設ニ関シ必要ナル命令ヲ為ス場合ニ於テハ予メ審議会ニ諮問スヘシ「審議会ハ内閣総理大臣関係大臣ニ対シ新線建設ニ関シ建議スルコトヲ得」「審議会ハ本邦経済ノ発達及文化ノ向上ニ資スルコトヲ目標トシ公正且合理的ニ審議決定スヘシ」こういうことが明記されておるのであります。しかし、前の東京−大阪間の新幹線が計画されましたときにおきましては、予算は国会に出されて審議されましたが、鉄道建設審議会には一回の諮問もされておらないのでございます。御承知のとおり、鉄道敷設法によりますと、大体いまもっと出ておりますが、これだけでも百五十の路線が計画されております。これはたとえば能登半島をずっと行って、一キロ、二キロ延ばしたときでも、審議会にかけて、そうして議を経て決定されておるのです。それを、この中に含まれておるところの線路というものも、相当これは政治的に、いわゆる運輸省でいわれております狐狸妖怪線に属する線もたくさんあるかもしれません。しかしながら、少なくとも東京−大阪間、あるいは東京−岡山、またさらに延びて、これが九州まで行こうという線において、これが新線でないというようなことは、私は言いわけに過ぎぬと思う。だから、この問題については、審議会にかけて十分審議した上においてやるということが当然であると考えておるのでございます。そういうような意味におきまして、この線に対して審議会にかけられないということが——もうこの線がここまできて、これだけちょっとつなげばいいというときには、やはり審議会にかけておるにかかわらず、この世界に誇る鉄道を敷くのについて、審議会の議にかけておらないということはもってのほかだと思うのですが、その点についての見解を聞きたい。
  76. 堀武夫

    ○堀政府委員 東海道新幹線をつくるときにも、この問題が鉄道建設審議会で非常に議論をされたということを私は知っております。当時の鉄道建設審議会の委員であられた浅沼稲次郎委員からこの問題が出まして、審議会でずいぶん議論もされたという記録を私は見ております。それでいろいろ議論があった末、この線は線増ということでやるにしても、この工事の進め方、計画とかそういう内容については、鉄道建設審議会のほうに報告なり連絡なりを十分とってやるようにということで、一応決着がついたように承知をいたしております。したがいまして、今後山陽新幹線をやる場合につきましても、これと同じ考え方で密接な連絡を建設審議会ととる、または必要なときは報告もし、あるいは御相談をお願い申し上げることもある、このような方法で円滑に進めていきたい、かように存じております。
  77. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 いまの鉄監局長の御答弁によりますと、大阪−岡山間の新線に対しましては、審議会にはかられるということでございますか。
  78. 堀武夫

    ○堀政府委員 法律上、これを敷設法に言う新線というふうに観念をいたしますと、これは正式に諮問をいたさなければならぬことになりますが、そういたしますと、同じような線の東海道新幹線の取り扱いと違ってきますし、建設主体も違ってきます。実際問題といたしまして、東海道新幹線は国鉄の技術陣によってやったのでありますし、その経験者がたくさんおりますので、その経験を生かしてやろうとすれば、山陽新幹線も建設主体はやはり国鉄でやったほうがベターではなかろうか、そういう実際上の問題もございますので、いわゆる敷設法上に言う新線と観念をいたさないで、したがって正式に諮問をするという形ではなしに、実質的によく御相談を申し上げる、こういう方法でまいりたい、かように存じます。
  79. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 新幹線に対する見解が違いますから、審議会にはかる必要はないというようなお考えでございますが、そういう法律的な、あるいは見解の問題についてやっておりますと、与えられた時間が三十分でございますので、十分に論議することはできませんが、この問題につきましては、鉄道建設審議会におきまして、私も委員でございますから、ひとつ十分に時間をかけて論議を重ねていきたい、こう思っております。つきまして、この問題について、国鉄自体において工事を担当してもらうということを言われたのですが、一昨年の三月に鉄道建設公団というものが出発いたしました。そうして今日までに国鉄が持っておりました建設部門というものをこの公団において行なわせるということになっておるのでございますが、この新線ということについては、いま申されたように、新線ということになると、いわゆる公団にやらすということが筋道である、だから、国鉄自体でやるというふうにやられておるのでございますが、また公団のできました趣旨においても、公団は運輸省内部において——この間の物価問題の新聞を見てみますると、建設公団は今年度において五百億の予算を取った、この予算がふえるということは、いわゆる狐狸妖怪線をふやすところの政治的路線がふえるのみである、いわゆる日本の全体的な立場から収益というものはあがらないのだというようにいわれております。そうすると、今度の東京−大阪間の新線というものは、これは国鉄の経理の上からは、現在借金がありますから、その金利を払い、なにしておりまするから、利益になっておりませんけれども、実際問題としては、私はこの新線においては膨大な利益があがっておる、こう考えておるのです。そういうような意味から、今日も国鉄そのものが企業性というものと公共性というものとが同居しておって、そうして独立採算制になっておるところの矛盾というものがここに出てきておるのである。私はこう考えるのです。公共性の立場からいえば、狐狸妖怪線と現在はいわれようと、やはり十年、二十年の先には、そこに鉄道が敷かれ、開発されて、そうして日本全体の利益になるというために、私は現在狐狸妖怪線といわれても、敷く必要があると思うのです。公共性の立場からいえば。また一方企業性の立場からいえば、そんな赤字線を国鉄が押しつけられて経営するということはまことに困る、こういうような立場に立っておられる。だからもうかる線は国鉄自体がやる、収益第一主義の立場からやれば東京——大阪、大阪——岡山、さらに九州、こういうように、収益第一主義で、いわゆる企業性の立場からいえば、そうしてやって大きな利益をあげていくということは、これは私は当然であると考えるのでございまするけれども、一面においてこういうような公共性の立場から新線を敷かれるということについて、運輸大臣にお伺いいたしますが、こういうような問題については、国鉄は、企業の立場からいえば、そういう赤字線というものは全然困る。しかしながら日本全体の立場からいえば、赤字線といえども日本の将来の開発を考えるという上においては、私は必要欠くべからざる線が——内容的にはもっと検討しなければならない必要がありますけれども、そういうようなこともあると思うのです。だから、私はそういうような新線の建設等につきましては、政府がこの問題について、経済的に相当考慮されるのが当然であると考えておるのでございますが、その点につきまして、運輸大臣はどういうお考えを持っておられますか、お伺いしたいと思います。
  80. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 いま矢尾委員が仰せられましたような見解のもとに、政府は鉄道建設公団をつくりまして、これに新線の建設工事をやらせる、そうしてでき上がった線を国鉄に貸与していく、というような方針をとっておるものと考えております。
  81. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 その点につきましては、いつの大臣もそういう御答弁をされておるのでございますが、この鉄道建設公団に対するところの予算というものも、御承知のとおり、先々月の二十一日の閣議で、福田行政管理庁長官が、地方開発の新線のために政府が大体において出資するということになっておるが、金の出し方が少ない、ということを強く要望されておるのでございまするから、こういうような問題につきましても、やはり収益第一主義ということ、公共性ということ、両方を十分に考えられまして、建設公団に対しましても、予算的な立場においても援助していく、出資していく、という方向に持っていかれるのが私は当然であると考えております。公団ができましたときも、いままでは建設というものは全部国鉄がやっておった、その国鉄が一年間に七十五億から八十億の予算でやっておった。そうすると、現在建設線になっておる、着工線になっておるやつをやるにしても、五千億、六千億の金が要る。そうすると、年に百億使っている国鉄がやっておっては、五十年も六十年もかからなければ、着工線になったやつだけでも完成することができないというような情勢の中で、建設公団というものができたのです。それを、いまなお国鉄に七十五億の金を出させて、政府の出資は最初五億か十億しか出してない。ことしは三百五十億という予算になりましたけれども、私は、そういうようなことを考えますると、少なくとも政府が相当決意をして、これに対して出資をし、そして日本のあらゆる面におけるところの開発、交通網の完成ということについて、十分考えていただきたいと思うのでございます。  時間がありませんから、もう一つの問題を、これは国鉄の総裁にお聞きいたしますが、この問題は、現在国鉄が企業の立場からあらゆる物資を購入されておるのでございます。その物資の購入につきまして、国鉄法の四十九条によりますると、公入札において物資あるいはその他を調達するということがたてまえになっておるのでございまするが、しかし最近におけるところの統計を見てみますと、国鉄の資材の契約をするのについて八五・六%、いわゆる八五%は随意契約でやっておられるのでございます。その中に、見てみますると、石炭が全日本の産出の九・二%、車両が五一・六%、自動車は少なくて四%、普通鋼材が二十一万トン、レールが十六万トンで全生産の三八・九%、タイヤが二三・二%、まくら木は七五・五%、まあいろいろたくさんありますけれども、大まかなものを申してみますと、そういうようなことになっております。しかしながら国鉄法の四十九条によりますると、こういう物資を買うことについては、公入札、前もって掲示をして、そうして公入札をするということがたてまえになっておるのでございます。鉄鋼のごときは、一年間に大体四十万トン以上購入されておるのでございます。こういうようなところにおいて、国鉄が随契を行なっておられるということについての総裁の御意見をお聞きしたいと思うのです。
  82. 石田禮助

    ○石田説明員 公入札ということは、国鉄購買の原則になっておるのでありますが、矢尾さんも財界の実情を御存じだと思いますが、公入札必ずしもいい品物を安く買う方法ではないと私は思う。やはり品物によりましては、検査はいたしますけれども、なかなかむずかしい、使ってみないとわからぬということで、品質の問題について懸念のないものに対しては公入札でやっておりますが、品質についてよほど慎重に検査しなくてはならぬものについては、ある限定した製造家を指定いたしまして、それによって入札させる。入札させたところで、その結果一番安いものをとるというのではなくて、さらに、物によっては、その一番安いものと交渉して、さらに値段をたたく。これは私が矢尾さんにこういうことを申すのは、釈迦に説法かもしれませんが、民間ではいわゆる談合ということをやるのですね。どうも談合によって、公入札の精神というものがどこかへすっ飛んじゃう、こういうことがありますので、品物の性質によりましては、公入札によらないで、ある指定した業者に見積もらせて、見積もり合わせをし、そしてそのうちから安いものを買う、あるいはさらにそのうちの安いものと特段の交渉をいたしまして、値段をたたいて買う、こういうことになっておるのであります。
  83. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 理屈としての趣旨はわかりましたが、しかし公入札ということになりますと、おのおの各社が勉強し、また内容的にも改善をして、そして競争的な立場から納入すると私は思うのです。特にいろいろの品物を国鉄に納入されるということになれば、地方の小さな私鉄に納入するのではなくして、もう現在の企業の立場からいけば、軍部なきあとは、国鉄が日本の総財産の十分の一を持っておる、そして三兆一千億という資産も持っておる、こういう大きな企業というものは、これはもう日本一です。日本一の企業が物を買うのでございますから——中小メーカーを対象として物を買われておりまするならば、いわゆる過当な競争をして品質を悪化せしめたりするようなおそれはありますけれども、国鉄が現在購入されておりまするところの業者その他を調査してみますと、決してそういう中小メーカーから買うておられない。大部分は大企業、いわゆる独占企業からたくさん購入されておるということが私は考えられます。しかし、いろいろの問題について申し上げますけれども一つだけ申し上げます。  私が非常に矛盾を感じておりますことは、これは民有車両ということです。民有車両というものが国鉄の線路の上に走っておるのは、社線から入ってくる貨車とかそういうものは別といたしまして、国鉄のレールの上に、民間の人が持っておる客車が走っておる、貨車が走っておる、こういうことは、私は想像もせなかったのでございます。そうしたら、今度運賃問題でいろいろの問題について検討をしておりますと、民有車両制度というものがある。この民有車両制度というものはどういうようなたてまえになっておるかというと、これも一つの随契です。一つの車両会社を選んで、貨車なり客車なりを注文する。そのときには、国鉄が保証人になって、そうして銀行から金を借りてやる。国鉄の保証ですから、日本一の企業の保証ですから、銀行はやすやすと金を貸します。そしてその会社は、今度はそれで貨車なり車をつくって、国鉄に貸すのです。国鉄がその車を借り入れて、それに対する銀行の利子、資産の償却その他あらゆる面について、国鉄がこれを持っておられる。償却は国鉄がしていくわ、銀行の利子は国鉄が払うわ、そうして月賦でその車を五カ年かかって国鉄が買うてやっておるというような、この現実です。こんなぼろい商売の会社がどこにありますか。一つ会社に注文をして、金は、おまえのところの金がなかったら銀行で借りてやる、それはおれのところが保証してやる、利子は払ってやる、減価償却に対する分は払ってやる、そうして、その金は五カ年間に月賦で払ってやる。そうして車両会社は一文の金も使わず、施設だけで甘い汁を吸うておるというようなことで、三十八年の統計を見ますと、民有車両というものが三百八十九億円、こういう数が出ております。昨年度においては何ぼ出たか、それは私は不幸にして統計を持っておりませんのでわかりませんが、参議院におきましても、運賃の値上げの問題について、実施がおくれたために六十億の金を捻出するとか、五十億の金を捻出するというようなことに対して苦慮されておる、そういうときに、こういうような制度が残っておるということは、はなはだ遺憾に思うのであります。  そうしてまた、この統計その他を見ますと、日本における優秀な車両会社の社長、会長は、全部国鉄出身者じゃありませんか。そこに因縁情実というものができないということはだれが保証できますか。私はそういうような意味において、もしあれだったらずっとこれを読み上げますけれども、全部と言うてよいほど、会長、社長は国鉄の出身者が占めておられるという、この現実、そうして、その車両は随契である、今度はおまえのところへやる、今度はおまえのところだ、こういうようなやり方というものが、はたして私は国鉄の経営の上から見て——私は別に石田総裁を責めておるのでも何でもありません。まだこういう国鉄としても十分考えてもらわなければならぬ点が多々あるのではないか、こういう意味においてお伺いしておるのでございますが、総裁はこういう制度について十分御承知になっておるのでございますか。御承知になっておるとしますならば、こういう制度がいいか悪いかというようなことについて、ひとつお考えを述べていただきたいと思います。
  84. 石田禮助

    ○石田説明員 お答えいたします。  この民有車両というものは、前総裁のときから始まったことでありますが、結局その動機というものは、国鉄に金がないので、ひとつ民間の車両会社につくらして、そうしてそれを使用する。しかしその代金につきましては、これは矢尾さんに多少誤解がおありのようでございますが、別にわれわれが銀行に保証しているわけじゃない。つまり、民間の車両会社は、銀行に持っていって、こういうふうに鉄道と契約した、これに対しては、一定の期間内に年賦で国鉄から払ってくれるのだから、ぜひひとつ金を貸してくれろよ、こういうことで、国鉄との契約を銀行に見せて、銀行は、それならだいじょうぶだ、国鉄は小便することは絶対にないのだから、ひとつ金を貸してやろう、こういうことでやっておるので、われわれは別に民間会社に保証しておるわけじゃないのであります。そうして、これはまた、国鉄が金がないために、民間の金融力を利用して車両を早く手に入れる、こういうことで、民間会社も、それによってコンスタントに、つまりある一定の量を年じゅう仕事をしていくことができ、国鉄もまた早く手に入れて輸送の増強に資することができる、どっちもいい、こういうことでやっておるのであります。さらにまた、この契約の方法につきましても、決して甘い契約をしているわけではない。これは民間の会社からも、利息が少し安過ぎるからもう少し高くしてくれろとかどうだとかいうことで、しょっちゅうきつい交渉を受けておる、それだけ、国鉄としては決して甘い手をやっておるわけじゃないのであります。  それからまた、民間の車両会社に国鉄の人間が入っておるというのでありますが、車両の研究その他については、国鉄が一番よく研究しておると思う。国鉄は、ある一定の年になりますと定年退職するというようなことがありますので、そういう人が民間の会社へ採用せられる、民間の会社も、そういう経験のある人間を手に入れて自分の事業に資するところがあるというようなことでありまして、決してこれは民間の車両会社即国鉄の子会社だとか、あるいは外郭団体だとかいうような意味は全然ないのでありまして、値段をきめるにいたしましても、すべて車両会社から見積もりをとりまして、決してそのまま買うわけじゃない。できるだけわれわれのほうで計算いたしまして、これなら至当の値段だというところにまで奮発させて買う、こういうようなことで、国鉄としては決してそんな甘いことをやっておるわけじゃありませんので、この点はひとつ御了解の上、誤解のないように願いたいと思います。
  85. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 いまの説明によりますと、そういう説明のしかたもございます。しかし銀行融資は、国鉄が銀行へ持っていって払うというよりも、車両の代金の中に含まれておれば国鉄が払っておるのと同じことなんです。そして減価償却分に対してもそういうものも含まれておる。これが競争入札ということになればそういうようなことも考えられますけれども、しかしながら、個別的にこういうような随契ということになっておりますと、そういういま総裁が説明されたようなことではなくして、そういうようなものも含んだところの価格というものが出てきておる。だから、実際には払っておるのと同じことであるということです。私はそういうふうに解釈しておるのでございますが、私の聞くところによりますと、減価償却分と利息は国鉄が払っておる。そうして五カ年間の年賦で買い取っておる、こういうように承っておるのでございますが、いま総裁の説明によりますと、減価償却分や利息を払うのではないということでありますけれども、その中に含まれておれば同じ結果が出てくる、こう考えるのでございます。
  86. 石田禮助

    ○石田説明員 この減価償却ということは、要するに年賦金です。そうしてどうせ向こうは先につくって国鉄に渡して、それを五カ年なり六カ年の間に代金を払うのでありますから、それに対する利息というのはやはりとらなければならぬ。実は、私が総裁になりましてから、どうも利息が少し安過ぎる、もう少し利息を上げてやったらいいだろう。ということは、事実どういうことかというと、実際銀行が車両会社からとっておる利息よりも安い利息でやらしておる、こんな不合理なことがあるか。結局そんなことをすれば、利息のほうでは安くしたって、値段のほうで上げるのだから同じことじゃないか。やはり車両会社が銀行へ払う利息というものは払ったらいいだろう、そうして値段においてたたけばいいじゃないか、こういうようなことでやったのであります。さらに、車両会社に対して、別に見積もり合わせもしないで、車両会社の言うなりに買うというような、決して国鉄はそういう甘い契約はしておらぬ。ある指定をした車両会社に見積もりを出させまして、見積もり合わせをして、そのうちで一番安いものを土台にして、できるだけたたいてこれを買うてやる、こういうようなことにしておるのでありまして、私はいまの車両の問題につきましては、国鉄としては大体においてやっておることは至当じゃないか、こういうことに考えております。
  87. 矢尾喜三郎

    ○矢尾分科員 時間がありませんから最後に一つ申し上げておきたいと思いますことは、現在の車両の五一・六%は大きい車両会社からやっています。そうすると、この車両会社というものは、現在においては一番ぼろい仕事です、設備さえあれば。金は銀行から貸してくれる。そして償却分は取りこぼすということはない。こういうことで、車両会社がもうけておる。配当も何もどこから出てきておるかということになると、これはやはり運賃から出てきておるということになっておる。だから運賃の値上げの問題につきまして、こういうような抜け穴がある。いま車両の問題を取り上げましたが、セメントにしてもそうです。セメントにしても見積もり合わせというわけにいかぬでしょう。セメントにおいても相当膨大に買うておられます。その他鋼材においても、国鉄が使う材料にそういうものをたくさん買うておられる。そういうようなときに、順々に買うていかれるというようなことについても、いろいろその間において問題があるのではないか、私はこう考えます。新幹線の工事を見ておりますと、あの請負業者にしても、うまいこと区域をちゃんと割ったようにいっております。どういうぐあいに割ったのかと思うと、二つの組がうまいことこう割ったところを——二つ同じ組がやっているところがないのです。私、旧東海道に乗ってみますと、くいとか看板が立っております。そういうぐあいにしてうまいことをやっているところを見ますと、そういうような面におきましても、今後国鉄の運営の面においても私は十分考えていただかなければならぬ面が多々あると思うのです。  攻撃的に私は申し上げるのじゃなくて、現在運賃を上げなければならぬというような情勢の中において、これはいろいろ考えなければならぬ。東海道新幹線のように、これは相当収益をあげておるけれども、その半分以上のものは利息を払っていかなければならぬというような状態にもなってきておる。こういうようなことを考えますと、国鉄はもうこれしかいけないのだ、こういう方法しかいけないのだという基本的な考えを確立してもらって、そして石田総裁のその馬力で政府に突き当たってもらって、国鉄が健全なる運営ができ、そして料金を上げなくてもいけるような経営体に石田総裁の時代において一こういうような部分的ないろいろな問題がございますけれども、それは過日運輸委員会において私は申し述べたいと思ったのですけれども、機会がなかったものですから申し述べることができなかったのでございますが、そういうようなことも十分今後検討していただきまして、われわれも、運賃を値上げせずして国鉄が完全になっていく方法というものは幾つもある、十分あると思います。そういう点につきましても今後十分考慮されますよう申し上げまして、時間もございませんので、私はこれで打ち切りたいと思う次第でございます。
  88. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄の現在の経営というものに対しては、私はまだ合理化の余地というものが相当あると思う。決して現在のやり方をもって満足しておるわけではないのであります。ことに購買なんかのことにつきましても、やはり情勢の変化に即応した購買方法というものにいかなければならぬ。ややもすると古い型にこだわるというようなこともありますので、これは矢尾さんの御注意もありますから、全力を尽くしまして国鉄の合理化を達成し、皆さんの御期待にそむかないようにいたしたいと存じております。
  89. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 只松祐治君。
  90. 只松祐治

    ○只松分科員 具体的な二、三の問題をお尋ねしたいと思います。  まず、東京都近郊で約二千万の人口をいま擁しておる。近い将来三千万の人口を擁するといわれておるわけです。この東京近郊の交通、いろいろありますけれども、特にお尋ねするのは、鉄道やあるいはこういう関係でございまするが、この促進の状況あるいは整備状況というものはどのようになっておるか、お尋ねしたい。
  91. 堀武夫

    ○堀政府委員 都市の人口の集中が急激でありますので、これに対応するために、私鉄におきましては、都心乗り入れ、それから地下鉄への直通運転、そういうことに重点を置きまして計画し、工事を進めております。たとえば三十六年から三十八年まで、第一次計画、設備投資計画でありますが、これによりまして、都心乗り入れ及びそれの輸送力増強工事といたしまして私鉄十四社が投資いたしました金額は約一千億でございまして、さらに引き続きまして三十九年から第二次の計画を立てております。これによりますと、全体で同じく約二千億にものぼる計画を立てておりますが、その中で、やはり都心乗り入れ及び輸送力増強工事といたしまして二千億に近い金額を予定して増強につとめておる次第でございます。
  92. 只松祐治

    ○只松分科員 話を聞きますと、こういうふうにしておるという話で、してないという話はないわけですけれども、にもかかわらず、通勤されると——まあ石田さんもたまにどこかに行って見学されていることもあると思うのですけれども、混雑が増すばかり、特に私の埼玉なんかに例をとりますと、前回の国勢調査から今回の国勢調査で、人口が約倍になったというのが二カ所くらいあります。その草加、朝霞なんというのは、文字どおり、今回の調査では前回の調査の倍になっておる。全国三カ所のうち二カ所ある。それくらい埼玉、千葉、神奈川などの近郊都市というのは非常に急増いたしておりますけれども、これはあとで聞きますが、鉄道のほうでもあるいは道路網のほうでも、そのわりには整備されておらないのです。だからもう少し熱意を持ってといいますか、ピッチを上げてといいますか、やっていただきたいということを、まず冒頭にお願いをしておきたい。  それから、そういうものの一環として武蔵野東線、西線の建設がいま進められておるわけでありますが、その促進状況はどういうふうになっておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  93. 堀武夫

    ○堀政府委員 武蔵野東線は常磐線の北小金付近から東北本線の南浦和付近に至りますところの延長約三十四キロの複線電化の申請でございますが、途中七カ所の旅客駅を設置いたしますほか、二カ所ほどの貨物駅と一カ所の操車場を設置する計画でいま進めておるわけであります。工事費は、操車場を除きますと約三百七十億でございます。工事の状況といたしましては、昨年十月工事の実施計画を認可いたしまして、同十一月に工事に着手いたしました。目下約八カ所で延長約十キロの区間につきまして路盤工事を実施をいたしております。四十六年度までに完成させることを目途といたしております。用地につきましては、現在約六〇%が買収済みでございます。残る区間につきましても、鋭意関係地元と協議をいたしておるという現状でございます。
  94. 只松祐治

    ○只松分科員 まあたいへん進んでおるようなお話でございますが、いまも私が申しましたように、たいへん人口が急増しておるということは、あらゆる面において工事の促進が困難になる、時間がたてばたつほど困難になるということを逆に意味するわけなんです。そういう面からは、ひとつできるだけ急いでいただきたい。急がなければいよいよ土地の入手にしたって容易ではなくなる。  それと今度うらはらになるわけですが、土地は入手するとしても、その入手方法というのはあくまで民主的でなければならないと思います。国鉄が土地を入手される場合に、どういうふうになされておるのか。お話し合いで納得が中心だろうと思うのですが、あるいはそれを聞かなければ接収をする。あるいは強制収用をかけるとか、いろいろなさると思います。いまのところそのあと四〇%に対してはどういう話し合いなり、あるいは基本的にはどういう態度で臨んでいるかということを承りたい。
  95. 堀武夫

    ○堀政府委員 この工事は東京の外環状線の一部になるわけでありまして、この建設に当たっておるのは鉄道建設公団のほうでやっておるわけでございます。国鉄ではなしに、鉄道建設公団がこの施工に当たっておるわけであります。それで、この六〇%の買収をもうすでに行なったわけでありますが、これにつきましても、できるだけ地元と十分よく話し合って、そうしてうまく話がついたところでやっていくというような方法で進めておりまして、決していま先生のおっしゃいましたような非民主的のようなやり方ではやっていないつもりでおります。今後もできるだけいままでと同じような方向で、できるだけ地元とよく話し合って進めていきたい、かように思います。
  96. 只松祐治

    ○只松分科員 原則はそうだろうと思います。そうなければならぬわけですが、しかし実際上はなかなかそうもなってない部面もあるわけであります。たとえば一例を申しますと、昨年末に起工式がございました。そのとき出てこられてあいさつされた方が、そういう問題や何かについては勇気をもって対処する。こういうことばを述べられた。地元代議士が数人出ておりましたけれども激高いたしまして、何事だということで、あとで私たち国会議員代表が、逆にそういうことばは取り消せということで難詰した事件があるわけであります。私はそういうことの一つの問題で中村運輸大臣にも、地元の人を連れて陳情申し上げたことがあるのですが、そういう公の席上に来てそのくらい言うぐらいですから、下に対しては推して知るべしなんです。非常に強い態度で、いままで話し合いをしなかったという経緯がございます。理由としては、相手方が来なかったからだということを述べておりますけれども、しかしこれは物の売買じゃございませんけれども、買うほうは受け身の立場と申しますか、そういう立場でございますから、それを昔なりの依然としての官の立場に立って、売りたければ来い、おめえのほうが困るならおれのところに言ってこい、言ってこなければおれは知らない、あるいはちょっとごたつくならばおれたちのほうは勇気をもってやるぞ、こういう態度というものはふらちきわまりないと思う。しかしいま若干態度は改まりましたけれども、その前にそういう態度をとっておられたということは、、私も、その関係の衝に当たってわかっておる。しかもそういうことの理由として、いや、それは相手方に共産党がおるからとかなんとか言う。共産党が何人おるか知らぬが、共産党の何人かに何百人という人が動かせる道理はない。そういうことを理由にそういうことを言って、公の席上で地元代表、衆参両院議員、知事以下出ておるところでそういうあいさつをするというようなことは、思い上がりもはなはだしいということなんです。  そういうことの端的な、具体的な一例をお話ししましょう。浦和の南側に関地区というのがございます。これは西線と東線が入りまして、ちょうど三角地区になるわけであります。その中に約三、四十以上の家が入っておるわけです。ということは、相当三角地帯というのは大きかったわけですけれども、現路線が非常に小さくなりました。それが六メートルの高架で三方を囲むわけですから、これはその中に入る御家庭の人、住民というのはたいへんな目にあうわけで、これはとうてい常識で考えて、居住することは、しばらくはいいでしょうけれども、子供が生まれた、病気になった、とにかく居住に耐える地区ではない。そういう設計をし、そういうふうに変更をしたならば、当然にその地区に対しては、立ちのきを要求といっては悪いですけれども、こういうことになったからひとつ何とかかえ地を見つけますとか、あるいは、あなたたちがよくやっておるように、今度の新幹線の下にできるだけ商店ができるようにしますから、そこで商売でもしてくれませんかということと同じような、いろいろな話をやるのが常識だろうと思うのです。ところが、そういうことに対しては、いや話し合いに応じないからおれのほうはしないのだ、こういう態度で、来たならば相手にしよう、ぐずぐずしておれば、今度は収用法だって変わるから、国会が終わったらいつでもばさりと収用法で指定しますよ、こういう態度なんですね。こういうことでは地元出身の、政治をつかさどっておるわれわれとしては、共産党であろうと自民党であろうと、だれであろうと、私たちは黙っているわけにいかない。当然その地元の人々の言うことを聞かなければならない、こういうことになると思う。私たちは、いま冒頭にできるだけ促進をしていただきたい、こう申し上げましたように、促進をお願いするし、協力もしようと思っておりますけれども、具体的にそういう問題にぶつかりますと、それじゃ、もう大局的には促進しなければならないけれども、全部、妨害とはいいませんけれども、ひとつわからしてやろうか、こういうことも考えるまで、いたしませんけれども考えようかなということは思わぬでもありません。だから、もう少しそういう点については、長年やっておった農家の人々が立ちのかれるということはたいへんなことなんですから、ひとつ親切にやっていただきたい。お聞きだと思いますが、もしここを知らぬということならばあとでけっこうでございますが、もしお知りならば、この東線、西線の交差する三角地点、大臣にも陳情書を持って一ぺんお会いしたことがあるのですけれども、どういうふうな対策があるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  97. 堀武夫

    ○堀政府委員 この関地区のいわゆる三角地帯に約二十七戸が中に入る。あたかも目隠しのようなかっこうになって生活環境としては非常に悪いかっこうになるわけでございまして、これは何とかしなければいかぬということは、十分公団におきましても考えておるわけであります。現在何も話をせずにやろうとしておるというようなお話も……
  98. 只松祐治

    ○只松分科員 いや、いまは改まりましたよ。
  99. 堀武夫

    ○堀政府委員 私の聞いておる範囲内では、いま一生懸命に地元方との話し合いをしておるというふうに伺っております。それで、公団には、できるだけ地元の方々の御納得のいくように、移転のための代替地を準備するとか、あるいは適正な価格、適正な補償条件というものをよく御相談をいたしまして、そして円滑に話し合いが進むようにということで、建設公団を指導もいたしておる次第でございます。
  100. 只松祐治

    ○只松分科員 基本方針として、こういうように目隠しになって、六メートル高架線で日に何千両と通れば、とうてい住めないわけですから、ひとつ立ちのいてもらいたいなら立ちのいてもらいたいという基本方針を立てる。それで、どうしてもそこは長年住みなれた土地だからのかないという話が出れば、それは高いへいでも建ててできるだけ音がしないように、ちょうど基地があると防音装置をするような形でするとか、もう基本方針をきめなければならない。ところが、いま親切に話し合いをしているとおっしゃる。態度は変わりました。変わりましたが、話し合いに応ずるかといえばそうではなくて、いや、片一方が話し合いに応じないから私のほうはしません、おいでいただけばいつでもします、こういう態度なんです。そうではなくて、立ちのいてもらって工事を進めるわけなんですから、こちらから積極的に行かなければならない。それを、こういう条件でどうだろうかといってくれば、おれのほうは考えよう。そうではなくて、こうこういう条件でどうでしょう、それでだめならこう、それでもだめなら勇気を持ってそれに当たる。それを初めから公の席に乗り込んでいって、勇気を持ってやると言ったり、あるいはいまに至っても、態度は変えているけれども、立ちのかない相手の出方だ、こういうことでやっておる。それは公団が基本方針がないわけですよ。だから、そういうものをきめて、それでもどうしてものかないというなら——これはあなたたちの考え方で、あすこに常識で住める地区になるかどうか、それは考えたらわかりますよ。だから、そういうものはやはり住民の側に立って国鉄当局としてものを考うべきです。それを依然として官の立場に立つような、相談があったらいらっしゃい、こういう態度はけしからぬじゃないかというのです、態度はやわらかくなったけれども。基本方針がないというのは、精神は依然として勇気を持ってやるといったことに私は変わりはないと思う。基本的態度はどうなんです、ことばつきじゃなくて。
  101. 堀武夫

    ○堀政府委員 この三角地帯に住んでおられる二十七戸の方々の中には、ほかへ引っ越したいという方と、いや、ここにこのままおりたいという方と、二通りあるというふうに聞いております。したがいまして、どこかへ引っ越したいという方には代替地をお世話する方針でいくことにしております。それから、ここにこのまま住みたいという方には、いわゆる騒音の対策とかそういうことについてどのような設備なり措置をすればいいかということをこの方々とよく相談をしてきめたい、こういう考え方でいきたいと思っております。
  102. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 只松委員からこの点について私も陳情を受けておったのでございますが、私は、基本的な考え方として、鉄道というような公衆、大衆の便宜をはかる施設をするために特定の人が犠牲になるというようなことがあってはならない、基本的にはこういうことをたてまえとしておりますので、いま仰せられる地点の人も、この施設ができるために非常にその人に御迷惑をかけ、あるいは損害を与えるというようなことがないように、どこまでも本人の納得の上に立って進めていきたいという基本的な態度は、これはよく指導方針としても伝えておるのでございます。ただ、いまこの場所では非常にいろいろ地元の人といたしましても、これは人情の常として、いままで長く住んできたところは離れたくないという気も強いだろうと思いますし、そういう気持ちと新しく移っていく場所との関連等もあると思いますし、それから、利害の問題も関連しておりますので、なかなかうまくいっておらぬのかと思いますが、今後は十分そういう点は気をつけまして、できるだけ早い機会に双方の満足のいくような線で話し合いを進めて、工事の進捗をはかりたい、かように考えておりますので、只松委員等におかせられましても、地元の人としてひとつ協力の態勢で進めていただきたい、かように考えるものでございます。
  103. 只松祐治

    ○只松分科員 私も、精神においてはそのとおりでございます。公の道路とかそういうものを妨害しょうとかなんとか、これは社会党としても、別に軍事基地じゃございませんから、それは反対しょうというような意思は毛頭ないわけです。ただ、そういうことが、これは一番極端な例をお話ししたのですが、ほかにもいろいろあって、御相談を私たちはいただいておるわけでありますが、いわばこじれているわけです。こじれているのも、もともとそういうところに発端があったので、公団側に言わせるならば、どうせ売らないと言っているからこうだとおっしゃるかもしれないが、これは買おうとすれば、七重のひざを八重に折っても——さっき言いましたように急速に発展している東線ができないと、西線なんか三年も五年も、収用法が改正になりますと、収用法で多少早くできるかもわかりませんが、それまで長く時間がかかりますよ。西線の着工なんということは、東線ができなければなかなかできなくなると思うのです。だから原則として、東線が早急に完工するように、私たちも地元議員として協力をいたします。皆さんのほうでもいままでのような態度でなくて、農民の方々やそういう人とほんとうに話し合って考えてごらんなさい。六メートルの高架がその近くに三方走っていくというようなことでは中に住めるものではないですよ。こういうことだから、音があんまりしないとかなんとか、うそ八百を言わないで、とにかく住めませんから何とか御協力いただきたいというならば——そういう立場をとっても、それでもなおかつ住んだほうがいいのだと言われる方には、防音装置なり何なりいろんなことをしてやるとか、こういうことにならざるを得ないと思います。あるいはそういうことで多少なりとも路線が変更できるということならば、地元の言うことを聞いて路線を変更するならば、地元が納得すると思います。たとえば最初の案というのがあるわけです。あれならばいいということを、立ちのいてもいいということを地元の人たちは言っておる。ところが最初の案に戻ると、ほかの反対が出てまいります。鉄道、道路というのは必ずそういう現象が起きるわけであります。いずれにいたしましても地元の人とぜひお話し合いをいただいて、あなたのほうから積極的に出向いていって、そういうことにするようにお願いをいたしておきたい。鉄道のほうはそれで終わります。  次に、同じような状況で、自動車がたいへんに増加をいたしておりますが、これは東海道の場合には、近郊に入る新たな道路ができて、多少なりとも緩和されておりますが、東北、北陸方面に行く道路というのは、昭和四十二年度以降にはバイパスその他若干の計画がありますが、ここは戦後からずっと現在に至るまで道は一本しかふえておらないわけでございますが、自動車だけは何十倍にふえておりましてたいへんな混雑ぶりです。自動車が混雑するということは国道の混雑だけではなくて、県道、市道その他も混雑しています。当然にそれから生ずる自動車の交通戦争といわれております被害、道路の近くで家に飛び込まれてこわれる、こういうことをはじめ、自動車事故というのはたくさんある。埼玉県で昨年度自動車事故が二万五百一件起こっている。埼玉県内で負傷者が一万四千人、死者が六百二十五人出ておる。これでもたいへんなことなんですが、その内容に至りますと、埼玉としてはさらにたいへんなことになるわけです。たとえば四号線に例をとりますと、死者が十一人出ております。そうして埼玉県内の車で死んだのは二五・六%、東京の車で死んだのは四一・九%。一〇〇%の中で埼玉県内の自動車による被害というのは二五%しかない。あとは県外の車。埼玉県がいわゆる通過県となる。北陸、東北に行く、埼玉県はいわば一方的に被害を受けておる。神奈川とか静岡も東海道線で国道の通行距離が長いわけでありますが、こういう通過県対策というものを何らかの形でやるべきではないかということを私は前からたびたび言っておるわけであります。そういうところに対して平衡交付金をおろすとかなんとかいろいろあるわけでありますが、去年の議事録をお読みいただいてもわかるように、政府当局はいろいろなことで私に対しても多少お約束をしておいでになるわけでありますが、こういうことに対する何らかの対策というものを運輸省、建設省等で具体的にお進めになっておればひとつお知らせをいただきたい。
  104. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 建設省といたしましては、通過県に対する道路対策といたしまして、いまお話しのように、四号国道あるいは十七号国道等に対する新しいバイパス対策をやっておりまして、四号につきましては草加のバイパス、十七号については大宮のバイパス、そういう方向で通過交通をなるべく東京都内に円滑に入れるような対策を講じております。それから、これは今後の問題になりますが、さらに近代的な道路をつくるために、東北地方に対しては東北縦貫自動車道路の建設、あるいは前橋、高崎方面に対しては関越自動車道路の建設、その一部のようなものといたしまして東京——川越間の有料道路の建設に着手しております。そういうようなことで従来の国道、主要な県道のバイパス的のものを極力進める、こういうことでいきたいと考えております。  しかし、それができ上がるまでにはやはり若干の時日を要しますので、ただいまお話しのようないろいろ頻発いたしております交通事故に対する安全対策といたしまして、新年度から新しい交通安全のための施設を整備する臨時の措置を講じまして、ただいま法律を提案いたしております。大体三カ年間に六百億の規模の交通安全対策をやろうということで、新年度は約百億円の事業費の新たな要求をいたしております。そういうことをもちまして、とりあえず交通事故の多発いたしております路線につきましていろいろ施策を講じていきたい、こういうふうに考えております。
  105. 只松祐治

    ○只松分科員 いまのは、前回お答えいただいた道路整備五カ年計画等を中心とした近郊都市その他の緩和対策だと思います。そのほかに当面のものとして、ガードレールあるいは照明灯をつけるとか、跨線橋をつくる問題がある。ガードレールはだいぶ進みましたが、跨線橋などは多少金もかかることであるので、なかなかそんなにできておらないわけであります。陳情してもなかなか通らないということで、陳情に行くのにもおっくうがっておりますが、大宮から鴻巣に至るバイパスなんかも年じゅう事故が起こっております。ここに統計もありますが、少なくとも学童のいるようなところは、もう二、三カ所早急につけたら何とかなるでしょうし、こういうところの死傷者も減るわけでありますので御検討をいただきたい。  そういう具体的な問題とともに、私の言う平衡交付金みたいな形で、基準財政の算定を改めて、そうしてそういうことに何らかの形の道路整備をするための資金をふやしていきたいというお答えがあったのでありますが、そういう関係の費用の増額その他がなされたかどうかお答えいただきたいと思います。
  106. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいまお話しの前段の分につきましては、交通安全施設整備の臨時措置法はまさにそういうための措置でありまして、ガードレール以外に、照明とか横断歩道橋というものをできるだけつけようということで進んでおります。  それから県の財政の問題でありますが、埼玉県はかなり財政的に苦しい事情でありますが、道路整備につきましては今回も地方財政につきましては十分見るということで、自治省のほうでも特別の起債を考えております。道路についても全体で二百億ぐらいのものを見て、そして県財政について足りない分は十分に見ようということで具体的にやっておられるようであります。私ども計画については、県財政の分については支障がない、かようにうかがっておるわけであります。
  107. 只松祐治

    ○只松分科員 大臣おいでになるそうですから、その話はもう少し聞きたかったのでありますが、ちょっとおきまして、ここで大臣一つだけお聞きしておきたいのは、自動車がたいへんに多くなりまして、いわゆる公害問題と申しますか、排気ガスの量が非常に多くなって、空気の汚染がひどい。交通巡査がマスクをつけなければならないとか、国道の道路ばたでは学童が小児ぜんそくにかかっておるのが非常に多い。いろいろそういう具体的なものもあらわれてきております。何かこういうものに対して規制する方法というものはないだろうか。これは政府を追及するだけではなく、お互いに考えなければならぬ段階だと思います。たとえば、一例をあげますと、プロパンガスというのは、厚生省もおいでいただければよかったのですが、それは完全燃焼しまして非常に汚染が少ないわけですね。ただ危険度があるというような面もありますが、いまは危険度というのはほとんどなくなりつつあるわけでございます。そういう面でシカゴ市等ではバスとかあるいはトラック、そういうようなものまでプロパンガスを使って空気汚染を防いでいる、こういうことをやっておる地区もあるようでございます。プロパンガスというのは一例でございますけれども、何かそういうふうなこともしないとたいへんなことになってしまうのではないか、こういうことでございますが、運輸省のほうは、あるいは厚生省にも関連をいたしますけれども、具体策あるいは研究等、こういうことをしておる、こういうことがありましたらひとつお答えいただきたい。
  108. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 都会における交通網がきわめて複雑になってまいりますにつれて、自動車から出る排気ガス、いわゆる大気汚染の問題、これは東京だけに限らず、世界的な文化都市の大きなガンになっておるのでございまして、政府といたしましても、できるだけこの問題を解決しなければならぬということで努力はいたしておるのでございますが、率直に申し上げましてなかなかきめ手がない。そこで、いろいろ政府も研究をいたしますし、民間企業におきましてもこの問題を研究させるような処置を指導しながらやっておるわけでございますが、まだこれをやれば完ぺきだという案が出ないのでございます。政府といたしましても総理府に公害対策推進連絡会議を設置いたしますし、さらに科学技術庁でも大気汚染防止研究合同推進連絡会議というのを持ちましてこの問題と取り組んでおるのでございますが、あらゆる機関を動員いたしまして、一刻も早くこの問題を解決の方向に進めてまいらなければ、これはいま直接排気ガス等の弊害によって人間が死ぬというようなことまでにはすぐつながっておりませんから、わりあいに人間はのんきにしておりますけれども、やはりこれだけの排気ガスというもので汚染された空気を吸っておれば、人間の寿命は延びない、相当目に見えない大きな被害がある、かように私は考えますので、できるだけ早期に解決したいという熱意を持ちまして、関係各省とも連絡をとりながら、全力をあげてこの問題の解決に取り組んでおるような次第でございますが、残念ながらいまの段階できちっとしたきめ手を出し得ないということはまことに残念でございます。そういう情勢であるということを御了承願いたいと思います。  なお、詳細なことにつきましては局長からお答えいたさせます。
  109. 宮田康久

    ○宮田説明員 ただいまお話ございましたシカゴにおきましては、プロパンガスのパイプラインが石油の産地の、テキサスだったと思いますが、パイプラインが引かれておりまして、非常に安価にプロパンガスの供給ができております。私も五年ほど前に見てまいりましたが、あすこにおきますバスはすでに相当多数プロパンガスにかえておりましたし、さらにほとんど全部の市内で動いておりますものにつきましては、プロパンガスにかえる方向だということを交通機関の責任者は申しております。日本におきましても、御承知のとおり、タクシーにおきましては、現在六万五千台ほどプロパンガスで走っておりますけれども、大気汚染上では、いまお話にございましたように、ガソリンに比べて非常にきれいな排気でございます。安全に注意しながらその使用について指導しておる段階でございます。
  110. 只松祐治

    ○只松分科員 いまお話がありましたが、タクシーは六万五千台で、ほとんど事故がなくて、世の中には例外というのがあるわけですが、特殊の例外を除いては事故が起きないようになってきておる。そういたしますと、東京都内の都営、私営のバスが全部プロパンになるとすれば——排気というのは、バスのあとについていきますとよくわかりますけれども、たいへんなものなんですが、これだけでも空気を汚染するということが相当なくなってくると思う。だからそういういいところがあれば、すぐバスをテストして積極的に進めるというのが行政官庁の任務だと思う。さっき言われたように、人命に影響するような空気、そういうものも、運輸省にも関係があると思いますけれども、総合的に立案されて、そういうものもいいところがあるわけですから、あるのはこちらもすぐ例を引いて研究してやってくれればすぐできるわけです。ただ研究しております、研究しておりますと言うよりも、バス一台か二台にエンジンをつければ何ということはないのですから、政府のほうも早急にそういうものの御研究を具体的にやっていただきたいということをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  111. 坪井為次

    ○坪井政府委員 排気有毒ガスの問題につきましてはいろいろ原因がありまして、これらの対策につきましてはエンジンの整備の問題あるいは円滑な走行の問題、あるいは使用燃料の改善、あるいはエンジン設計の改善また補助装置、こういったようなものが総合されて改善されていくと思いますが、ただいま御指摘のプロパンガスにつきましては、使用燃料の改善ということになるわけであります。ただプロパンガスにつきましては、需給の問題あるいは供給施設の問題等もありますので、急速にはなかなかできないと思います。有毒ガス対策としては使用燃料の改善ということで取り上げていきたい、かように思います。
  112. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 永井勝次郎君。
  113. 永井勝次郎

    ○永井分科員 最初に空港整備の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  全日空の事件があってから、空の旅について身辺を見回すようになり、見回すと非常にいろいろな不安が起こっておるわけであります。北海道の、私のほうの郷里ですが、女満別に空港があります。これは現在のところどのくらいの安全度を持った、そして確信の持てるような整備のついた空港であるのか、この点をひとつ伺いたい。
  114. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御指摘の女満別は、地元の非常な御熱意で早くから整備に着手した空港でありまして、現在滑走路も千二百メートルの空港でございます。ただ御承知のように、丘珠から一日一便という定期の運航をしておる状態でありまして、その安全性については航務課で十分調査をいたしまして、安全な状態を確認して現在運航を認めておるところでございます。
  115. 永井勝次郎

    ○永井分科員 完全だということでございますが、最初のころは何か無線の設備もなくて、丘珠を立つと途中までは帯広かどこかのNHKの電波をたよって飛んでおる。途中から網走のNHKの電波に切りかえて、それをたよる。空港の直接の無線設備も電波の設備もない。こういうような飛び方をしているというのですが、いまはどんな状態なんですか。
  116. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 現在は御承知のようにビーコン、対空通信施設、テレタイプ等を設備いたしてございます。
  117. 永井勝次郎

    ○永井分科員 われわれも非常にまれに、できるだけ使わないようにしておりまして、使いましても、滑走路も短いし、事故を起こす不安が非常にあるのじゃないか。いつでもそういうふうにしてはいけないと思います。計器飛行ができるような、そういう設備が必要ではないかと思うのですが、その必要はないという当局のお考えなのですか。
  118. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御指摘のように、安全性を強化するために、航空保安施設はわれわれも逐次整備すべきものというふうに考えておる次第でございます。ただ何と申しましても、北海道における気象状態その他の特性もございますので、これらの点についてもわれわれはなお将来十分に検討して、この気象条件にマッチしたものを整備するという考え方で、現在検討を進めておるところでございます。
  119. 永井勝次郎

    ○永井分科員 生命のかかっている問題ですから、単に紙上の検討だけではいけないので、計器飛行に必要な管制塔の設置及び夜間照明設備の整備、こういうようなことについてはどういう日程であるか。それから滑走路が非常にまだ短いと思うのです。これの延長が必要だと思うのですが、どの程度の延長をすれば——まあ飛行機にもよりますけれども、ローカル線ですからそう大型を飛ばさなくてもよろしい。そういうような点で安全性確保のたてまえから滑走路をどのくらいにしたらいいか。それから冬季間、いま冬季間は欠航しているわけですが、除雪をする必要がある。年間定期就航の必要があると思うのですが、これらの点についてどういう考えを持っておられるか、日程を持っておられるか、ひとつお伺いしたい。
  120. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 まことに御指摘のような点が北海道にはあるわけでございまして、ただいま御審議をいただいております四十一年度の空港整備の予算の中に、北海道における寒冷地空港規格調査ということで百五十万円を計上いたしまして、御審議をいただいておる状態でございます。これらの調査の完了を待って逐次整備の促進をいたしたい。滑走路延長についての具体的のお尋ねがございましたが、先ほど申し上げましたように、現在千二百メートルでございまして、千二百メートルで十分安全な航空機を飛ばしておるわけでございますが、将来はこの滑走路延長も含めて、これらの問題の検討を急速に進めてまいりたい、こう考えておる次第でございます
  121. 永井勝次郎

    ○永井分科員 いま女満別空港は第三種でございますが、第三種では整備が十分にいかないと思うのです。また道東地区において一番利用度の高い地点にあるのじゃないか、こう思われます。また国際観光その他の展望から見ましても、阿寒国立公園地帯あるいは国定公園地帯あるいは知床半島その他道東地区観光の中心点に空港を持っておるわけでありますから、そういうようなこともにらみ合わせて、第二種昇格が必要ではないかと思うのですが、この点についてどのような考え方を持っておるか。整備において別にそう二種、三種の規格はないそうですが、どの程度のことをやれば第二種指定が得られるのか、大体の基準を示していただきたい。
  122. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御承知のように当空港は非常に早期に女満別庁が着手されて、女満別庁の熱意が実ったといういきさつがあるわけでございます。ただ御承知のように、空港につきましては、整備の段階におきまして、国内の主要ローカル空港については第二種空港にする、それ以外の空港については従来第三種空港として整備をしていたということで、現在第三種空港としてありますものは二十九港あるわけでございます。われわれとしては、御指摘のように将来これのあり方については検討を進めなければいけないわけでございますが、現在のところ直ちに三種を二種にかえるというようなことまでは、結論を出しておらない状態でございます。
  123. 永井勝次郎

    ○永井分科員 事故を起こしてから、ああもしたらよかった、こうもしたらよかったと、死んだ子の年を数えるようではいけないので、またあちらに事故、こちらに事故があるということは、現在の設備に対して一つの警告が出ているわけでありますから、すなおにそういう問題を検討して、旅行者が全くからだを預け命を預けて安心して飛べるというような整とんをすることが当局の責任だと思います。この点十分今後努力していただきたいと思います。こういうふうに言ってやったんだがということで、口の先だけで責任のがれをしないように、具体的な事例でこたえていくように希望しておきます。  その次に、やはりこれはローカルの問題ですが、北海道の石北本線、それから釧網線、池北線、地区で言いますと北見の地区から外へ出る三本の線があるのですが、どっちへ回っても高い山嶺を越えないと行けない。山嶺を越えるために輸送力が非常に減退をするということで、輸送上の問題があるわけですが、この地区においては客車と貨物車、こういう輸送の分離をすべきである。その分離をすることによって、輸送力の強化もできるし、スピードアップもできるし、あるいはそれらの地区におけるいろいろな問題が、複線によらないでも能率をあげる条件を開拓できるわけであります。それらの点について、この地区の運営の合理化、たくさんの金を使わないで現有設備の中で能率をあげる、合理化をするという点で、ひとつ。——総裁でなくてもよろしい、ローカルの問題ですから。
  124. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 いま御指摘のように、先生の地元のローカルのあたりでは、混合列車のようなかっこうがついておりますが、これはだんだんと解消するということで、先生方も御承知のとおり、支線につきましてもかなり進めてまいっておりますが、まだ御指摘の線あたりはそういうかっこうが残っております。これも第三次計画の中でだんだんと解消をしていきたいと思います。まだ具体的な計画を申し上げる段階にはまいっておりませんが、十分研究いたしまして、御趣旨に沿うように努力していきたいと思っております。
  125. 永井勝次郎

    ○永井分科員 まだそこまでいってないとしましても、大体運営の合理化の上から、めどとしてはどのくらいのことを考えておるか。まあ大体の見当でもよろしいのですが、示していただきたい。
  126. 仁杉巌

    ○仁杉説明員 ただいま専門の担当常務がおりませんので、申しわけありませんが、後ほど調べまして御返事をいたします。
  127. 永井勝次郎

    ○永井分科員 次に、この興浜線、根北線、新線の着工の問題です。これは調査費がついていろいろやっておりますが、建設完成のめどはどういうふうになっておるのか、日程がどういうふうになっておるのか、ひとつ示していただきたい。
  128. 堀武夫

    ○堀政府委員 興浜線は雄武−枝幸間五十一キロメートルでありますが、四十年度までに雄武−乙標津間約二十キロメートルの用地買収を行なってきました。四十一年度は、この区間の路盤工事に着手をする予定であります。それで完成の予定時期でございますが、いろいろ予算のつきぐあいがございますので、将来のそれの見通しははっきりしませんので、何年までということを具体的にいま申し上げるわけにいかないのは非常に残念でございますが、運輸省としての考え方を申しますと、いま工事線に六十二線ございます。それと調査線が三線でございますが、これを今後十年間でやりたい、そういう気持ちで進めておりますので、その中の一つとしての興浜線というふうにお考えをいただきたいと思います。  それから、根北線につきましては、根室標津から越川間四十四キロメートルでございますが、四十年度までに標津−糸櫛別の間約十八キロの測量設計を行なってまいりました。来年度は残り糸櫛別から越川間約二十六キロ、これの測量設計にかかる予定でございます。完成の見込みにつきましては、興浜線について申し上げたと同じ状況でございます。
  129. 永井勝次郎

    ○永井分科員 興浜線との関係、いまを起点にして考えれば、十年間ということになりますけれども、興浜線が着工してからというと、これは戦時中着工して、一時は掘り起こして——だから計画を立ててから半世紀ぐらいたたなければ、ものが運ばない。こういう着工してからいままでの工程を考えると、そのぐらいの年月がかかっている。そうしてむだな金をそこへやって、それが生かされない。輸送力として生かされないで、ただ土を掘った、砂利を取った、枕木を並べたと、こういうことで、ちびりちびり、そのうちに枕木が腐って、また新しくしなければならぬ。こういうむだなことをずいぶん繰り返している。これは地方から見ていますと、国の行政なら、合理化合理化というのは、ことばだけでなくて、もう少しそういうところに集中しなければ、そして、かけたらすぐ早い期間に完成して、鉄道輸送力としてそれを活用することが最も能率的と、だれが考えたって考えられる。予算のつきぐあいと言いますが、そういうことでむだをしていってはいけないと思います。これの促進を特にお願いしておく次第です。  そのほか石勝線、北十勝、足寄−白糠間、日勝海岸線、あるいはあまりローカルで何ですが、留辺蘂−イトムカ、これは予定線にずっと出ているわけですが、こういうものはどのくらいの順位で、どのくらいの価値評価で、実際の仕事の上に乗せていくのか、単に活字にして並べておくだけだと、そのうちに活字が消えてなくなるだろうという程度のものなのか、もう少しこれは具体的な案として日程にのぼせていく、こういうのか、この点についてお尋ねしたい。
  130. 堀武夫

    ○堀政府委員 いま予定線と工事線はだいぶ数がたくさんありますが、その中で石勝線でございますが、これは北海道の東西を貫く重要な線になるわけでございますので、これはできるだけ重点的に四十六年ぐらいまでにやり遂げたい、こういうつもりでいま考えております。  その他たくさんいま先生おっしゃいましたが、その中には、予定線ではあるけれども、調査線にも工事線にもなっていないものがございます。これらにつきましては、鉄道審議会の議を経まして、そうして漸次調査線なり工事線になったときに進める、こういうことになるかと思います。
  131. 永井勝次郎

    ○永井分科員 赤字線であるとかなんとか、いろいろなにがありますけれども、地方産業の開発には非常な重要な役割を持っているわけでありますから、一そうの促進を希望しておく次第であります。  次に、農業気象の問題であります。  松浦運輸大臣時代、北海道の凶作対策として、農業気象の観測、その整備が必要だということで、予算がつけられてきたのでありますが、こういう問題は、一大臣の思いつきで終わるべきものでなくて——確かに松浦運輸大臣は北海道の出身であり、農業については身をもって体験されてきておりますから、その欠陥なり、充実、補完しなければならない問題点がどこにあるかということは、だれよりも強く経験し、主張を持っておられた。その大臣がつけられた予算です。その本年度の予算を見ますと、農業気象の関係は八千四百三十八万、わずかにこれだけの予算で、前年に比べますと一千万近くの増でありますけれども、農業経営の羅針盤ともいうべき気象観測の問題がこんな遅々たる足取りでは、私はいけないのではないかと思うのですが、この農業気象の観測についての考え方、評価、そうして今後に取り組む態度、これらについてお考えを承っておきたい。
  132. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 農村とか水産業は気象に影響される度合いが非常に大きい産業でございまして、近年これらの産業、特に農業につきましては、生産性の向上だとか、経営合理化あるいは災害の防止、軽減等に関しまして、気象情報を非常に高度に利用するような機運になってきておりますので、これらの要望に適合するよう、気象庁の気象業務におきましても、早急にこれらを整備したいというように考えております。したがいまして、気象庁といたしましては、農業気象業務は重点業務のうちの一つであるというように現在考えているのであります。それで、将来どういうような考え方によってこの農業気象業務を推進していくかというようなことでございますが、それにつきましては、実は昭和三十四年からこの業務を始めているのでございまして、このころ気象審議会においての答申もございます。そしてまた、現在われわれの考えといたしましては、大体次の三つの点を考えているのでございまして、その一つは、全国で災害の発生しやすい地帯というのを一つ考える要素にしております。その次には、この農業気象業務によりまして農業の生産性の向上をはかりたいというような考え方で、農業生産性の低い地帯、その次には、農業依存度の高い地帯、この三つを考えまして、この三つを総合的に勘案いたしまして、早急に将来整備していきたいというように考えているのでございます。  なお、本年の予算の八千四百万何がしというこの予算は、まあ多いに越したことはございませんけれども、これによりまして相当な地域の農業気象業務が整備できるのでございまして、御承知と思いますけれども、鹿児島の全部——鹿児島は実は昨年度に半分入りましたので、本年はその残りでございますが……。それから北海道につきましては、胆振、根室というところまで全部これでできます。なお、北海道につきましては、日高、釧路というものの一部がこれによって整備できますし、なお全国的に見ますと、島根、熊本という県の一部がこれによって整備できるというような状態でございます。金額の総体は小そうございますけれども、何ぶん農業気象業務というものはそうたいして金のかかるものでございませんので、先ほど申しましたように、相当の地域がこれによって整備し得るということになっております。
  133. 永井勝次郎

    ○永井分科員 農業気象観測の重点を三つあげられて、それによってやるのだ、こういうのでございます。しかし、気象観測にはそう金はかからないというが、金をかけないでやろうといったら、効果はあまりないのです。そんなものだったら、しなくても、何でもないのです。寒暖計をうちへ置いたって、それは済むのです。気象観測をするのは、個人でできないことを国がやって、そして充実していく。北海道の場合、ちょっと五十キロか六十キロ離れたところでも、同じ日の海岸における気温と内陸における気温とは八度から違う。零下八度も違えば非常な違いです。そのように、非常に気象の激変と格差があり、現地の状況に合わせていろいろ施策を——農業経営というものは勘でやるのでなくて、もっと近代科学を取り入れ、科学的な基礎に立って経営をするとするならば、私はもっと科学的な経営の指針となるような資料の整備というもの、条件整備というものを国がやるべきだ、こう思う。私は、気象観測はもっと金をかけて整とんしなければ、そんな個人の勘のような、それから漁師が雲の色を見たり風の方向を見てものをするような、そんなことではいけないと思っているのですが、気象庁みずからが金はかからないでできるのだ、こう言うなら、私はそれを根本からひとつ直してもらいたい。  ことしは幾らの要求をして、大蔵省の査定で幾ら削られたか。大体気象当局は金をかけないでやろうということを頭から考えているから、要求も少ないのでしょう。幾らの要求をしたのですか。
  134. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 二億幾らでございます。
  135. 永井勝次郎

    ○永井分科員 二億幾ら要求したのだとすれば、コンマ以下の予算よりは気持ちはわかりますね。二億の要求をしたという。リンゴの気持ちのように大体気象庁の気持ちはわかりますけれども、それにしたって、二億ばかりで、これでは私は、せっかくこの北海道の大きな災害という自然のむちをもらって、そしてその中から体験をして、この災害を再び繰り返さないためには農業気象観測が重要な筋なんだということで、松浦運輸大臣一つの種をまいた。その一粒の種がいつまでも一粒の種ではいけない。それをたくさんの麦に実らせなければいけない。いいところはどんどん育てなければならない、こういうことで、農業気象の問題はこんなことではだめだと思います。もっと近代経営の指針となる資料を気象庁が提供しなければいけない、整備しなければいかぬ、こう思うのですが、その点いかがでしょう。来年度の要求その他に対して、もしいけなければ——統計の問題とかあるいは気象の観測とか科学的な基礎資料を整備するということは、私は、幾ら金を使ったってむだではない、こう思う。来年は、もし何であれば超党派的にこれらの問題と取っ組んでいかなければならないと思うので、将来のわれわれの活動の参考にもなるから、どういう理由でぶった切られたのか、そうして実際の予算があればどのくらいのことがしたいのか、これらを明確にしてもらいたい。
  136. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 先ほど申し上げました金額の設置費だけでございまして、このほかにその運営費というのが約一億足らずついております。そうして、従来の経験から申しますと、この農業気象業務は非常に有効な業務であるということは明白でございますので、それにつきましては、従来も、三十四年からやっておりますので、ただ勘ということではなくて、この業務を展開いたします際には、先ほど申しました三条件以外に、どういうような観測所をどういうようなところに置くかということにつきましても、従来の統計の結果を用いまして、最も有効に観測所の設置及びその運営について進めていっておるつもりでございます。将来もなお一そう、この業務については精を出していきたいというように考えている次第でございます。
  137. 永井勝次郎

    ○永井分科員 先ほど私がお尋ねをいたしました、石北本線、釧網線、池北線、これに関する客貨車分離の問題について、専門の常務がいらっしゃらないということでありましたが、いまお見えになったということでありますので、その点について、ひとつダイヤの問題について御答弁をいただきたい。
  138. 今村義夫

    ○今村説明員 今度の第三次計画におきましては、全国の線区におきまして、電車化なりディーゼル化なりして無煙化をしたいということでございまして、それには当然いま先生がおっしゃいましたような線区においての客貨分離は含まれるわけであります。この率が、ディーゼル化で現在約四〇%程度しておりますが、これを四十五年度末までに七〇%程度に上げたいということで、この第三次の計画は組まれておるわけでございます。したがいまして、こういう線で、各線区とも私どもとしてはできるだけディーゼル動車を入れていきたいということに計画しておるわけでございます。七〇%と申しますのは、結局通勤輸送なんかで非常に地方線区で大量輸送があるところは、ある程度は客車輸送もやらなければならぬということで、七〇%になっておるわけでございます。したがいまして、第三次の長期計画の中でいまお話しのありました石北線その他の線の問題も考えてまいりたいと思いますが、ただ、これはまだ年次計画ができておりませんので、めどがどれまでだとおっしゃいましても、いまここでちょっと申し上げるわけにはいきませんけれども、お話の点よく承りまして、十分検討してまいりたいと思っております。
  139. 大原亨

    ○大原分科員 関連して質問します。  気象庁、これは農業災害ではないのですが、例の全日空の事故のときに——ボーイング727は上がるときはぴゅっと上がるわけです。下がるときも、他の飛行機に比べて降下率が非常に高い、こういうふうにいわれております。その上に、同時に羽田に降下すると機長が判断をして行動したときに、空に雲があった、あるいは雨が降っていたというのですが、そういう気象関係について影響を及ぼすような問題があるわけです。気象庁は、そういう航空安全ということと結びついた的確な気象観測やあるいはその結果の連絡通報、こういう仕事についてはどのような立場にあるのですか。
  140. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 羽田の場合につきまして申し上げますと、御承知とは思いますけれども、羽田の国際空港には、気象庁のほうでは東京管区気象台の管下にあります東京航空気象台というものが、羽田のターミナルビルの中にあるのでございます。そこで毎時間、あるいは必要なときには三十分ごとですか、観測しておりまして、その観測はもう一般の普通の観測以上の観測でございまして、その観測を管制塔及び飛行に関係されておる関係官のほうにすぐに通達しているというような現状でございます。あの場合にでも、やはりそういうようにきまった時間、及び必要なときは臨時観測をいたしまして、管制塔その他に通達しておったのでございます。そういうような関係をわれわれは持っております。
  141. 大原亨

    ○大原分科員 つまりジェット機は一時間に九百キロとか一千キロくらい飛ぶわけですね。しかし降下する際には急降下でいくわけです。その際にはよくわかりませんが、エンジンの切りかえなんかやるのでしょうけれども、そういうときに気圧とか雲とか、気象というものが非常に大きな関係にあるわけです。コントロールタワーから、そういうあなたのほうの観測というものが具体的にあの際に伝わっておったというふうに、あなたのほうは確認されているのですか。それとも、当時の気象というものが事故とは何ら関係ない、こういうふうに判断をされておりますか。この二つの点について伺いたい。
  142. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 あの事故が当時の気象と関係があったかどうかということにつきましては、御承知のようにあの事故の対策の調査団のほうで原因を究明されておりますので、気象庁といたしましては、その調査団のほうに、われわれがその当時持っていた資料を全部提出してございます。目下調査団のほうでその原因検討されておると思います。  それからもう一つは……。
  143. 大原亨

    ○大原分科員 もう一つは、あの当時の気象は飛行について影響を及ぼすような気象であったかどうかということです。
  144. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 その点につきましては、いまお答えしましたように、気象庁としましてはボーイングのいわゆる操縦と気象との関係というものをはっきり把握できませんので、当時の気象があの事故に関係があったかどうかということを判断するのは、気象庁としては無理でございますので、その判断をされている、さっき申しました調査団のほうにわれわれのほうの諸資料を全部提供してございます。それで調査団のほうで判断していただいておるということであります。
  145. 大原亨

    ○大原分科員 いまのように、ジェット機がそういう急降下の際に、気象の影響によって機体の動揺やその他影響を受け、左右されるということですね。そういうことについて、あなたのほうはそういうことが左右されるのだということがないといかぬ。気象庁はばく然と事務的に報告しても何もなりゃせぬのです。ああそうかということになっちゃう。これは運輸省の航空局の側もそうだけれども、気象庁のほうも、そういう航空機と気象との関係についての認識をきちっとしておいて気象観測しないと、何のことにもならぬ。それは客観的に御報告して調査団がやっておりますというのじゃ、これは私は事故をなくすことができぬと思うのです。その点についての因果関係について、ある程度客観的な認識があってはじめて——気象庁の気象観測をコントロールタワーに通報し、コントロールタワーから時々刻々と機長に対しまして注意を与える通報をする、それに基づいて飛行機の着陸の方法について判断をする、受け入れ態勢も考えるということがないと、これはちょっと事務的に報告しただけでは何もならぬ、こういうことになる。
  146. 深草克巳

    ○深草政府委員 ただいまのお説ごもっともでございまして、気象と飛行機の因果関係は非常に重要でございまして、飛行機のほうの研究も、たとえば風洞実験とかいろいろな方法でとられておりますし、また気象庁のほうも、先ほど長官が申しましたように、的確な通報というようなことをやっております。  その事故の調査並びに今後の対策でございますが、事故防止の調査団のメンバーの中に予報部長も入れまして、いま相互にそういった問題を検討する仕組みにしておる次第でございます。
  147. 大原亨

    ○大原分科員 私は気象庁にもう一回質問しますよ。ジェット機が降下をする際に、気圧やあるいは雲の関係、雲と気圧と密接な関係があるでしょう。雨雲に急に入っていったら機体が非常に動揺しますからね。急降下で着陸の姿勢のときにそういう動揺が起きると、どっと突っ込むのは当然でしょう。そういう点についての客観的な認識がなければいかぬ。あそこのときにはどういう雲の状況、気圧の状況であって、どういう措置をとったということが発表されなければいかぬ。これは科学の問題、認識の問題でしょうが、そういうことができがたいようないまの段階なのか。不可抗力なのか。あるいはそういうことについてはやる人員や予算がそういう配置体制にない。羽田の気象庁の体制というものは、そういう体制ではなしに、ばく然と気象についての報告を受けたやつを機械的に伝達するだけだ、こういうことなのか。そうなれば、あそこの飛行場中心の気象の体制を確立するということが大切です。これが判断できるような体制に持っていくということが大切じゃないか。その点は気象庁としてもあまり一これは私のしろうと的な考えかもしれないが、世上一般的にいわれておることから考えたら、気象庁の体制に欠陥があるのじゃないか、こういうふうに私は思う。予算が足りないとか、人が足りないとか、そういう観測その他は不可能であるとか、こういうことが究明されてしかるべきではないか。ただ向こう側の調査団が来て、そういうことじゃあるまいということではなくて……。
  148. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 東京湾のことにつきましては、先ほどもちょっと触れましたように、羽田の航空気象台におきましては三十分ごとの観測をやっております。その三十分ごとの観測というのは、観測規則に従って観測をやっているので、気象の状態だとか雲の状態だとか、あるいは視程だとかいうのを観測しているわけでございます。先日の場合などは、東京湾の海岸までよく視界がきいていだのでございまして、観測者はその辺の状態は十分に観測できたろうと思います。それで、そういうような観測の面においては、大体いまのところでは人員もまずまずというところで、どうにかやっているところでございます。そういった観測をやる際に、飛行機の性能と申しますか、飛行機によって気象状況に左右される影響度が違うものだと思いますので、その飛行機の性能まで気象庁のほうで考えまして、一つ一つの飛行機に対しまして必要な情報を流すというようなところまでは現在まだいっておりませんし、われわれのほうで一つ一つの飛行機の性能を全部観測者が把握するということも、まだそこまではいっておりません。お話のように、そういうようにすることは望ましいことであるということは考えております。
  149. 大原亨

    ○大原分科員 その直後にも、目撃した人の記事を見ましても、やはり雲があった、気圧の変化があった、こういうことをいろいろな角度から報告しておるのです。その気象とジェット機との因果関係というものは、航空局も科学的に研究をしておらなければならぬと思うのです、いろいろな試験飛行をやってやっているのですから、許可しているのですから。しかし気象庁もその自覚がなければ一もうこれは当時心配はなかったのだ、こういうことならば別だけれども、その関係やそういう判断力が非常に大切なときに、寸分——寸分でなしに一秒を争うときに、そういう通報やそれに対する判断のデータがなければあぶなくてしようがない、こういうことになるわけです。私はここに一つ問題があるように思います。いかがですか。
  150. 深草克巳

    ○深草政府委員 あらゆる輸送機関が気象と非常に関係がございます。そういう関連もございまして、気象庁が運輸省の中にあるわけでございます。たとえば船員の教育にも海洋気象の教育を十分に行なっております。また航空大学その他の航空の乗務員の養成につきましても、航空気象につきましては十分教育をやっているとは思いますが、先生の御指摘のように、特に各機種ごとに気象との関係でどういう特性があるかというようなことにつきましても、さらに気象庁と連絡をとりまして、航空機の乗員養成の教育内容の充実、特に気象関係の充実というようなことに今後とも努力を続けてまいりたいと思っております。
  151. 大原亨

    ○大原分科員 どうなんですか。ジェット機が非常に多くなって、着陸の機数やその他もふくそうしてくるわけですね。そして季節によりますと、気象条件はどんどん変わっていくわけでしょう。ジェット機が、普通の状況において、あるいは着陸の状況において、どういうことがあるかというのは私は知りません。知りませんが、一般的にはそのことをみんな指摘しておるわけです。しかもこの問題は、いまの質疑応答の程度で、航空局長はいないけれども、気象庁の理解も、運輸省の管制塔の側のほうの方も、そういう程度の認識では困る。これは少なくとも問題である。この問題については事故に対する影響、因果関係があるかということを究明するのだ、こういうことについて問題意識だけは明確でなければ、漫然と寄り集まったところで、そのときどきの気象について的確に把握しておるような資料もない。目撃しただけであって、どうもおかしいというだけが残るのじゃないか。その点は気象庁側も——私は気象全体の問題も質問いたしたいのですが、その点一つとってみても、もう少し飛行機関係の航空事故を防止するような、それにふさわしい密着したようなそういう気象観測なり、それに対する通報自体の処理について、もう少し全体として配慮することが必要ではないだろうか、私はこう思うわけですが、いかがですか。
  152. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 現在東京航空地方気象台のみならず、全国にあります飛行場には気象の出先がございまして、そこで気象観測その他通報の仕事をやっておるわけですが、羽田におきましては、これは国際空港でありますので、国際空港ではこういうような観測をし、こういうように通報するのだという航空気象観測の取りきめが、世界気象機関及びICAOのほうで取りきめられておりまして、世界のどこの国際空港でもこういうようにやるのだという仕事の内容は大体きまっているのでございます。その仕事の内容に即しまして、羽田におきましてはその取りきめを全部現在遂行しておる現状でございます。
  153. 大原亨

    ○大原分科員 いま議論いたしました点は、航空局側においても、それから気象庁のほうにおきましても、十分国民が納得できるように問題点を明らかにしてもらいたい。次官、いかがですか。
  154. 福井勇

    ○福井政府委員 先ほど来の大原さんのお尋ね、また御注意はごもっともな点ばかりでございまして、私の拝聴いたしておりますところでは、ことばは違いますが、気象庁もまた各コンートロールタワーも、間髪を入れず十分な注意と配慮のもとに完ぺきを期さなければいかぬというふうな御指摘、御注意と私は受け取っております。今後もそういうことが一つもないようにするためには、御注意の点をよく検討し、また事故絶無を期さなければならぬ、私はかように考えております。
  155. 大原亨

    ○大原分科員 もうちょっと気象庁関係に関連して申し上げますが、梅雨前線、集中豪雨ですね。農業災害で話があったと思いますが、集中豪雨、それらについてもう少し的確な予報というものはできないのですか。これは非常に災害が多いわけですよ。あらかじめそれに対して相当広範囲な——当てずっぽうでは困るけれども日本全体が注意ぜいというのじゃ困るが、大体当たらずといえども遠からざる範囲において、注意を要する範囲にそういう集中豪雨その他——ここに元災害委員長の楯さんがおられるが、そういうことについて的確な通報ができるようなことはできないのか、これは不可能なのか、もう少し機械なり体制を整備したらできるのか、こういう問題について一括して答弁してください。
  156. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 集中豪雨、集中豪雪も含めまして、局地的に降水が非常に多いという現象につきましては、いろんな気象対策考えられるわけでございますが、最も大きな重要な対策は、御承知かと思いますが、レーダーの観測でございます。気象レーダーによりまして観測しますと、どの付近に現在どんな雲があるかということがわかるのでございまして、そのレーダーの活用ということが非常に効果的な観測手段でございます。これにつきましては、集中豪雨雪及び台風もこれに関係いたしますので、従来から気象庁といたしまして、レーダーにつきましては年々整備しておりまして、現在は十数ヵ所全国にレーダーがあります。それによりまして集中豪雨雪の予報の精度が格段に向上したとわれわれは考えておるのでございますが、レーダー網の整備と申しましても、まだレーダー網には全国的に見ると欠陥がございまして、レーダー網の穴がございまして、その穴につきましては、今後できるだけ早くその穴を埋めるためのレーダーを備えつけたいというふうに考えております。それからまたこの集中豪雨というものは、ただ観測しただけでは、百発百中というのは非常に技術的にむずかしいのでございます。特に非常に局地的に生ずる現象ですので、それを事前に予報するということは、現在の予報技術におきましては非常にむずかしいのでございます。しかし、そのためには、現在われわれのほうでは集中豪雨雪の研究を数年来進めておるのでございまして、これも御承知と思いますけれども、気象庁には気象研究所がございまして、その気象研究所の一つの研究課題といたしまして、こうした問題を取り上げております。また先日新聞にも報道されましたように、日本海側の豪雪の対策を立てるために、日本海側にどういうわけでどういうときに豪雪が起きるかということを調査するために、せんだっても、日本海に観測船を出したり、あるいは航空機によって上から日本海のほうの雲の姿をながめたりして一ことしでたしか五年目でございます。そういうように研究方面も推進しつつございます。
  157. 大原亨

    ○大原分科員 国鉄総裁、どうですか。新幹線なんかで、あんなスピードで走っておるのだから、集中豪雨なんかあった場合、あぶないことはないですか。
  158. 石田禮助

    ○石田説明員 非常にあぶないです。御承知のとおり土手くずれなんというものは集中豪雨というものと非常に関係がありますので、私は国鉄総裁といたしまして、新幹線にもし事故でもあった日には、これはたいへんなことになる。したがいまして、そういう場合には、お客さんが何と言ってもかまわぬから、とにかく極力スピードを落とすなりあるいは途中でとまるなり、決してちゅうちょなくやれ、こういうことで命令してあるのでありまして、それがためにいわゆるお客さんに迷惑はかけておりますが、まあ今日まで事故がなくて済んだ、こういうような次第であります。
  159. 大原亨

    ○大原分科員 気象庁長官、レーダー網で欠けたところがある、レーダー網の穴ということが一つ、それからもう一つは、集中豪雨についての学説やいろんな実験研究等をやっているということですが、どのくらいな予算ですか。この二つについて……。
  160. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 レーダー網で欠けたところがあると申しますのは、一つは瀬戸内でございます。現在室戸、大阪、福岡、松江にレーダーがございます。そうしますと、ちょうど四国山脈の南、それから中国山脈の北というところはわかるのでございますけれども、ちょうど瀬戸内のところがその四カ所のレーダーでは十分に見えないということで、今後はぜひ早急に瀬戸内が見えるようにレーダーを新設したいというように考えております。そのほか全国的にまだ二つあるいは三つくらいは考えられます。その程度でございます。  それから、その研究の予算でございますが、総額を申しますと、大体一千八百万円くらいでございます。
  161. 大原亨

    ○大原分科員 それはどこで研究しておるのですか。
  162. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 気象研究所で研究しておりまして、気象研究所にはこういうものを研究する部がございます。そこでもっぱら研究しております。
  163. 大原亨

    ○大原分科員 もう一つ、瀬戸内海はどこにつくったらよろしいのですか。瀬戸内海だけが大きな穴があいている。私どもが住んでいるところに穴があいているのだったら一あんな大切なところに、しかも山口や広島に集中豪雨がしばしばあって——岡山はわりにないのだ。四国の関係でない。だから要らぬところにあるというわけではないが、あそこはつまり盆地みたいなもんでしょう、周辺が山ですし。だから山陰、山陽地方を含めて、どういうところへレーダー探知の拠点をつくればいいか。去年は何か地震探知機、あんなよけいなものをつくったと私は質問しましたが、広島県高田郡に長野県の松代と同じようなやつを、東大の付属の何かでつくった。それは原爆の地下実験や何かを探知するなんという話もあったけれども、それはともかくとして、そういう拠点をどこへつくればよろしいのか。あるいはどういう予定なのか。
  164. 柴田淑次

    ○柴田(淑)政府委員 現在の考え方では、瀬戸内で最もいいところは広島県である。したがいまして、来年度広島にぜひレーダーを設置したい。広島というところは、これは感覚的にではございませんで、なぜ広島がよろしいかということを気象的にあるいは科学的にと申しますか調べて、広島がいいということをわれわれが結論したのでございます。  それから、先ほどの地震のほうは気象庁とは関係ございませんで、あれは東大のものでございます。
  165. 大原亨

    ○大原分科員 運輸大臣、航空機の事故の問題と、羽田空港の事故の問題と、気象庁の問題について質問したのです、航空局はいなかったけれども。それから集中豪雨の農業災害、一般災害と気象観測、予報観測についての質問をしたわけです。いまも瀬戸内海がレーダー網の大穴だという話、しかし広島が一番適格だ、一番いいところだ、こう言われるのですが、運輸大臣、ひとつ頭に刻み込んでおいて、そのことを含めて、私は、気象というものはすぐ目の前にあらわれてこぬが、しかしながら非常に大きな影響があるのじゃないかと思うのです。圧力団体はないし、金がかかる。ただし、気象大学校は非常に入学率が高いということがこの間週刊誌に出ていたけれども……。ですから、ぼくは、気象の問題について、広島云云の問題がありましたが、レーダーの穴があるということになれば、これは集中豪雨その他一般的な気象観測についても予報措置についても重要だと思うので、その点を十分配慮をしてもらいたい。それを最後に御答弁願いたい。
  166. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 気象の問題は、大原委員も言われますように、今日の文化的な国民生活とは非常に密接な関係があるし、同時にまた、自然現象等との関係が国民の生活にも非常に重要な影響があることは、御承知のとおりでございます。そういう点から考えましても、特に最近の交通機関等も気象を度外視しては安全を保ち得ないというくらいのところまでまいっておりますので、御指摘になっておりますような瀬戸内海の穴ということにならぬように、こういうのは完全に全国に目をつけまして、周到な配慮のもとに完ぺきな布陣を期したい。特に私は、気象施設というものは、今日では、いま大原委員の言われるように、わりあいにじみで目につきませんので、やはり政治の面でも何となしに力を注ぐことが弱かったと考えます。しかし、この気象ほど私は重大なものは現在の時点においてはないと言ってもいいくらいのものです。そういうことから、農業にしましても、農業気象を離れて農業の生産の増強というものはあり得ませんので、そういう点も考えまして、農業気象も全国的に整備したいし、いま言われますような航空機あるいは交通機関等を対象とした、あるいは海運等の関係がありますが、そういう意味での気象施設というものに今後は十二分の力を注ぐような方向にいきたい。ことしは、農業気象等、その他いわゆる気象設備につきましても、相当に予算の面でも成長しておると思いますが、さらに来年度は御指摘のありましたような点を整備していきます方向で、予算処置にも全力をあげてまいりたい、かように考えておるものであります。
  167. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 島上善五郎君。
  168. 島上善五郎

    ○島上分科員 近年東京をはじめ大都市における交通状態は、交通地獄ということばを生んでおるほどにひどい状態になっております。これは人口が異常に都市集中をしたということも一因でありましょうけれども、言うならば、交通道路に関する行政が非常に貧困であったというところに最大の原因があるのではないかと思う。私は、時間があればそういう一般的な問題も伺いたいのですが、あまり間口を広げますとそれほど時間がありませんので、問題をしぼって、大都市における交通の有力な機関の一つでありまするタクシーの問題について、しぼって伺いたいと思います。  今日、東京だけでも会社のタクシーが二万七千百十三台、個人タクシーが五千八台免許されて十分に走り回っておりますが、私ども利用者の立場から見ますると、ずいぶんとこれでも不足を感じ不便を感ずる場合が多いのです。日曜などはとうていタクシーをつかまえることができない。急に雨が降ったり何かすると、特にそういう不便を感じますが、今後大都市におけるタクシーの増車についてどういう方針を持っておられるか。たとえば既存の業者はなるべくふやしたくないというでしょう。しかしこれは自分の利潤を守るためになるべくふやしたくないということではないかと思うのですが、そういう場合には、私どもは、利用者の一般市民、都民の立場に立って、こういう交通機関というものは非常に公共性の強いものですから、そういう公共的な立場に立って方針をきめるべきである、こう考えますが、大臣はどのようにお考えか、まず伺いたいと思います。
  169. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 大都市における交通機関の中で、タクシーの受け持ちます分野というものが、非常に最近の交通事情の逼迫化に伴いまして重大性を増してきておるということは、御指摘のとおりであります。私は、ハイヤー、タクシーというものの基本は、やはり利用者の需要に奉仕するということが第一義でなければならぬ。その必要に応ずる体制に応じて、個人タクシーあるいは法人タクシー等の企業の構成といいますか、規模、それから企業の運営等のすべての点もこれを基準に考慮していくべきものである、かような見解に立って自動車行政はやっていきたい、かように考えております。
  170. 島上善五郎

    ○島上分科員 それでは、いままで実際そういう考えのもとに増車をやってきたのであるかどうかということが一点、今後もそういう考えで増車をしていく——いま御答弁になったから今後はそうだろうと思いますが、私は、いままで必ずしもそうではなかったような気がします。自動車運送協議会というのがありまして、そこの答申に基づいてと申しますか、答申を重要な基準にしてやっておるようでございます。その答申の中に、いろいろむずかしい表現を使っておりますが、要約して申しますと、日車当たり、一日当たりのタクシーの収入実績が、いわゆる損益分岐点といわれる九千八百五十円を下回らないこと、かつ実車率が五五%を下回らないことというようなことや、収入実績が会社の配当を可能にする収入を上回った場合というようなことを基準にして考えているようですが、私は、この考え方自体が、営利事業である会社を擁護するというか、そっちのほうへ傾斜し過ぎているではないか。いま大臣が答弁されたような利用者である都民、市民の便利ということを中心に考えているんじゃなくて、それももちろん全然考えていないとは申しませんけれども、営利事業である会社の営利を確保する、あるいは保護するということに考えが傾斜し過ぎているのではないかというような気がするのですが、いかがでしょうか。
  171. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 原則として私が先ほど申しましたたてまえが基本でございまして、この基本の線に沿って、法人、会社等も認めて認可をしておりますし、個人タクシーともに認めておるわけでございますが、やはり大衆の足の役割りを受け持っておりますハイヤー、タクシーといたしましても、一番大切なことはやはり安全を確保していくということです。安全性を確立しながらいくということでございますので、会社経営がやはり一定の堅実性を持っていないと、事故等を起こすような過重労働をしいたり、いろいろそういう変な関係が生まれてまいりまして、安全性をこわすような方向につながっていかないとも限りませんので、そういう点を配慮いたしまして、一応認可いたしました法人、会社というものも、ある程度経理が成り立っていく、安全性を確保していく企業としての採算を考えてやらなければならぬということも、これは御理解していただけると思うのであります。そういうことで今日はやっておるのでありますが、これはやはり今日のように急激に需要が増加しております東京都等におきましては、自動車行政というものが整然と行なわれておるとは私は申し得ないと思いますから、そういう点で御指摘のある点等もあると思いますが、そういうことはやはり常時気をつけながら、健全な自動車行政をやっていきたい、かように考えておるわけでございます。
  172. 島上善五郎

    ○島上分科員 私ももちろん、免許した会社なり個人営業タクシーなりが営業が成り立とうが成り立つまいが、そんなことはかまわぬというような極論を申しているのではない。営業は成り立たなければならない。これは当然です。当然ですが、とかくそういう会社を擁護するというふうに考えが傾斜し過ぎているような気がしてならない。いま大臣がお答えになった安全性ということですが、そういう点からしまするならば、これは事故の面から見ただけで、一般的、総合的にも見なければなりませんが、個人タクシーは非常に事故が少ない。それから利用者の評判もよろしい。営業のほうも、私は会社で使われているよりははるかに安定しているんだと思いますが、私の手元にあるのは東京だけの数字ですから、全国の数字がもし事務当局にあったら御発表願いたいわけです。東京だけについて見ますれば、昭和三十九年個人タクシーは——二十三区だけですが、個人タクシーは四千五百七十七台、法人は、東京都全部ですが、二万六千九百四十七台が、それで事故の件数は、個人タクシーは二百四十三件、法人は八千二百二十九件、これは自動車だけではない、トラック等も含めての全体の事故の数だと思いますが、個人の場合は五・三%、法人の場合は三〇・五%、こういう数字が出ております。なかんずく死者については個人の場合はゼロです。法人の場合は六十四名。昭和四十年になりますと、多少車の台数もふえておりますが、個人は五千八台、法人が二万七千百十三台となっておりますが、これまた法人の場合は三二・一%に若干ふえておりますが、個人の場合は五・二%と減っております。こういうふうに非常に事故が少ない。そうして親切で評判がよろしい。運転する人たちも、人に使われているよりは気持ちの上でも楽ですし、物質的にも生活の面でも安定しておる、こういうことでありますから、安全という面から見ますれば、個人タクシーの免許についてはもっと重要視していいのじゃないか、ふやしていっていいのじゃないかと思われますし、それからいま運転をしておる人たちはそういう夢を持っておる。五十になっても五十五になっても、目を三角にしてタクシーで水揚げを気にしながら走り回らなければならぬということではどうにもしようがないので、一定の年齢になったら個人タクシーでも免許してもらって、楽な気持ちで仕事をしたい、そういう夢を持っておる。しかるに、免許しておりまする数字を見ると、これまた著しく会社タクシーに傾斜しておる、そういう現状なんですが、こういうことに対して大臣はどのようにお考えですか。
  173. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私も、島上委員の言われますように、個人タクシーのいい面の特徴というものははっきり認めております。最近の自動車の状態から考えまして、自動車は最近は非常に買いやすくなっておる。ほとんど頭金もないような形で月賦で買えるというような常道が生まれてまいりました。こういう時期には、タクシー会社に長い間つとめて成績もいい、運転技術も優秀である、年齢もある程度に達して、子供なんかが三人も四人もあるというふうになると、やはりそういう人たちに対しまして個人タクシーを許して、自分の力で自分の生活の基盤をつちかっていくというような行き方を考えますときに、この個人タクシー制度というものは私は非常に好ましい制度であると考えておるものであります。そういうことで個人タクシー制度というものが生まれたと思いますけれども、ただハイヤーあるいはタクシーをずっと認めてまいりました今日までの段階において、個人タクシー制度というものは非常に新しいために、数からいいましても非常に少ないと思います。そういうことでやはり法人タクシーというものが基本になって自動車運送の計画が立てられておりますので、その間にあまりまた個人タクシーをむやみにふやしますと、いまのハイヤー、タクシーとの分野というものに混乱が起こって、過当競争が起こるようになってもなりませんので、そういう配慮一つはあると思いますが、さらに個人タクシーの場合は深夜業はしない、操業時間も少ないというようなことで、これは個人タクシーの持っておる一つの欠点でございます。しかしその欠点がまた労働者としての個人タクシー業者にとってはそれはいい面でもありますから、そこらのかね合いもございますが、そういう一つの既成の法人タクシーの分野と個人タクシーの分野との調整を考えるということは、ある程度必要だと思うのであります。先ほど申しますように、会社等に長くつとめまして、家庭の事情から個人タクシーをやったがいいというような人で、技術もうまいし事故もいままでないという優秀な運転業者には、やはり個人タクシーの希望の人たちには、そういうものを認可していって希望を達成させていく、自分で生活の基盤を築いていくというような運転業者の夢を実現させていくという方向に、運輸行政としてはある程度力をつぎ込んでいくべきだ、かように考えております。ただ、いまの段階では、最近タクシーを含めまして自動車の数が、飽和というところまではいかぬかもしれませんが、ある程度数が一定限までふえましたので、最近景気等の低調性等も影響いたしまして、タクシー業が採算が合わぬ、合わぬというような声をしきりに聞くのでございます。実態を詳細に調べたわけではございませんが、やはり既成のタクシー業の企業としての経済的な健全性というものもやはり考えなければなりませんから、無制限にこれをふやしていくということは、いまの段階ではむずかしいかと思いますが、ある程度の秩序を保ちながら、個人タクシーはやはり認めていくべきものである、こういう考え方を持っております。
  174. 島上善五郎

    ○島上分科員 調和を考えることも必要でしょう。しかし、その調和を考え過ぎて——考え過ぎてかどうか知らぬが、会社タクシーに重きを置いているということは数字が示しているところです。個人タクシーは、最近のことといっても、すでに三十四年から始まっていますから、ことしは八年目ですね。いま話しましたように、事故が非常に少ない、評判もよろしい、経営状態も安泰であるということで、反面多少の欠陥もあるかもしれませんけれども、私は、これは調和を考えながらもっとふやしていっていいのではないかと考えるのです。これはきのう運輸省の自動車局から調べていただいた数字なんですから、まあ間違いはなかろうと思いますが、たとえば全国についてみてもそうですが、東京についてみましても、昭和四十年十二月までの間には、個人タクシーの認可は三百六台、それから法人は八百九十台、新免のほうは百六十三台、こういうふうになっておる。その前年になりますと、個人で千二十四台で、新免が七百二十一台、既存の会社のほうが四千九百七十二台というふうに、非常にこの会社のほうが重い。私の聞き及んでいるところによりますと、ヨーロッパの先進国では、個人タクシーばかりのところもある。会社と個人と両方あっても半々くらいのところが多い。それで非常にうまくいっておるということを聞いておりますので、このような免許のしかたは、少しくというよりは、はなはだしく会社に重く、個人タクシーに冷たい、そういう感じを受けるわけです。特にオリンピックを前にして相当大量に許可するという話、当初は、当時の大臣は六千台ほど東京について許可する——実際には三千台になりましたが、その三千台のうちに、個人タクシーは、私の聞いているところによりますと、この数字とちょっとつじつまが合わぬような気がしますが、個人タクシーは二十一台で、その他は法人タクシー会社だということを聞いておる。特に現在は、オリンピックを前にして大量に免許するというので、たくさんの申請が出ているはずです。たくさんの申請者が出ておるのが、昭和三十九年二月以降の申請者が全くストップの状態にある。これは事務当局から伺いたいと思うが、昭和三十九年以降、ストップと言っていいかどうかわかりませんが、免許されないでいるものの申請者の数、そのうちに聴聞を終わった者が何名あって、公示した者が何名あって、まだ公示をしない者が何名あるかということを、この際数字を明らかにしていただきたいと思います。わかりますか。
  175. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ちょっとお答えする前に、先生から運輸省提出の資料についてお話がございましたが、これは東京都全体の数字が出ておりますので、東京都区内についてはこの数字でございませんので、数字が狂っておると思います。御承知を願います。三多摩地区も入っておりまして……。  それからただいまの個人免許の申請でございますが、現在四千件残っております。聴聞済みが八百件。四千件全部公示しております。
  176. 島上善五郎

    ○島上分科員 きのうもらった一般免許というのは新免のことですね。新しく免許した会社のことですね。
  177. 坪井為次

    ○坪井政府委員 そうでございます。
  178. 島上善五郎

    ○島上分科員 そうしますと、この新免の中には、地方のことはしばらくおくとしまして、東京でもたとえば昭和四十年は六十三社で百六十三台、こうなっていますね。それからその前の年には五百十五社で七百二十一台。そうすると一台か二台の会社で免許したものが相当ありますね。
  179. 坪井為次

    ○坪井政府委員 これは東京陸運局管内を全部まとめましたので、埼玉から茨城、栃木、全部含んでおりますので、そういった零細業者も入っておるわけであります。
  180. 島上善五郎

    ○島上分科員 それはわかっています。これは東京陸運局管内ですから、埼玉、千葉から神奈川、山梨まで含んでいることはわかっていますが、いま申し上げたように六十三社で百六十三台、五百十五社で七百二十一台ということになれば、一台で会社として認可されているものが相当あるわけですね。そういう計算になるわけですね。それで伺いますが、一台か二台で法人として新たに免許されておりまするが、こういう会社は一体会社として成り立っていくものでしょうかどうですか。それを伺いたいのは、こういう会社は間もなく大会社に吸収合併されていくのではありませんか。そういう状況をお調べですか。
  181. 坪井為次

    ○坪井政府委員 そういうことになります。
  182. 島上善五郎

    ○島上分科員 そういうことになりますじゃ困るのですな。どうも初めから大きな会社へ売れる目的を持って新免を申請しておる、そううわさされておるところさえたくさんあるのです。そういうふうにしておいて、半面には、個人タクシーの申請者が四千人もあったのに、そして聴聞が終わったのが八百人もいるのに、これをストップさせている。この四千人の人たちはおそらく月々少なからざる車庫代を払っていると思うのです。そうしてやがて免許されることを期待して夢を持っていると思うのです。いつになったら免許されるものかされないものか不確定の状態にして、放任——ということはことばが過ぎるかもしれませんけれども考えようによっては放任されているような状態です。片方では、会社、法人と名のつくところへ一台か二台、しかもそれが間もなく大会社に吸収合併されていくというようなことでは、私は少しこの行政がどうかしていやしないか。さか立ちしているような気がするのです。どうですか。
  183. 坪井為次

    ○坪井政府委員 ただいま東京陸運局管内全体についての数字でございますので、問題が非常に混乱しまして申しわけありません。  東京について申し上げますと、三十九年の十二月三十一日現在で法人が二万六千九百七十四両、個人が四千五百七十七、これが四十年十二月三十一日現在で申しますと、法人は二万七千百十三、伸び率は〇・五%でございます。これに対しまして個人は五千八、この伸び率が九・四%、こういう数字になっております。
  184. 島上善五郎

    ○島上分科員 それは伸び率と申しますけれども、もともと土台が法人は非常に多いんですから、個人が少ないんですから、伸び率から見ますれば法人より個人が多いことは当然ですよ。——まだ始めたばかりだと思っておったのに、時間だと請求がきたので少し急ぎますが、この申請後、申請後というよりは聴聞が終わってから、免許基準を非常に引き上げたと申しますか、厳格にしたという話を聞いております。たとえば年齢を引き上げるとか、あるいは定着性を問題にするとか——定着性なんということは少しおかしいと思うのですが、定着するには定着するに足るような職場の労働条件なり環境というものが必要なんです。私は、いまの東京都内におけるタクシーの状況というものは、全部が全部とは申しませんけれども、定着性がないのは運転手のせいではなくて、そういう会社のせいにより多くの原因があるんではないかと思うのですが、この定着性などというものを免許の基準に持ち出したり、年齢をかってに上げて、すでに聴聞が済んだ人まで、上げた基準、上げた尺度で事を取り扱うということは、少しひど過ぎるんではないかと思うのです。どうですか。
  185. 坪井為次

    ○坪井政府委員 個人タクシーの免許基準といいますか、これにつきましては、昭和三十四年に個人タクシーの制度が発足して以来、根本的には変わっておりません。ただ東京につきましては、昭和三十八年ころに東京都区内で非常にタクシーが不足しましたので、乗車拒否が非常に激しくなった、こういうことがありまして、大量増車をいたし、また翌三十九年の秋には、オリンピックの開催ということで、相当大幅な増車をやっております。そういったことと不況が重なりまして、最近経営状態が相当悪化しているというようなことから、東京陸運局では、現段階における個人タクシーの扱い方をどうしたらいいかという相談を運送協議会に諮問したわけでございます。運送協議会としましては、現段階においてのあり方として、大量増車をした場合に、ある程度基準をゆるく適用しましたら、その後質の低下というような問題も一部起こっておりますので、個人タクシーのよい面をさらに維持するためには、やはりある程度厳選していくほうがいいということから、それらの項目についていろいろと検討をした結果、そういったような線が出たわけであります。それらの内容につきまして、具体的にこれをどういうふうに扱っていくかということにつきまして、陸運局としては公示もいたしましてやっておるわけですが、そういった意味で、根本的に方針が変わるというよりも、客観情勢に応じて現段階においての個人タクシーの免許方針を内容的に運用の上で考えていく、そういった状況でございます。
  186. 島上善五郎

    ○島上分科員 大体自動車運送協議会なるものが公正な判断のできる協議会かどうか、私は多大の疑いを持たざるを得ないのです。業者代表、タクシーに乗ったこともない人が委員長、労働組合の幹部も一人入っておりますが、これで一体利用者の立場から公正にものことが判断できるかどうか、そこにも私は大きな問題があると思うのです。しかし、時間がないからそんなことをごたごた言いませんけれども、この損益分岐点の九千八百五十円、実車率五五%を下回ってはいかぬというような統計ですが、この統計は会社が出したものをそのままうのみにしているのではないですか。客観的にどっかで厳正に調べて引き出した数字ですか。
  187. 坪井為次

    ○坪井政府委員 大体報告に基づくわけでございますが、そのほかに抽出による監査等もやって修正する、そういうことをやっております。
  188. 島上善五郎

    ○島上分科員 その監査をやっておりますね。監査をやっているなら、私がいまここでどうこう言っても追いつきませんけれども、過去一年間東京都内の会社について監査した資料をあとでいただきたいと思うのです。これは別の機会にゆっくり聞かしてもらいますから、わかりましたね。  私が聞いた——これはほんの抽出で二、三人の運転手ですから、絶対に正しいとは申しませんけれども、私が聞いた運転手、これは特別腕のいい運転手ではなくて普通の運転手ですが、去年比較的景気の悪かった半年間の平均で、水揚げが一万一千百何十円、二十円か三十円の端数がついておりましたが、とにかく一万一千百円、実車率は常に六〇%以上であった、こういうことを言っております。ですから、私は、この損益分岐点の九千八百五十円とか、実車率の五五%とかいう判断の基礎になる数字自体が客観的に公正であるかどうかという点についても、もっと十分検討の要があると思うのです。  それから、行政管理庁から免許制度について勧告が出ておりますね。この勧告については、相当詳細なことを書いてありますので、全般的には私は申しませんが、特定区域における増車ワクの設定は適当でない、廃止すべきである、こういうことを言っております。これは増車数の合理的な算定が非常に困難であるから、特定地域における増車ワクの設定は廃止すべきであるというようなことを言っておりますし、それから輸送量の調整及び利用者に対するサービスの確保は自由競争にゆだねることとし、公共の福祉のため事業者の資格要件を審査する、許可制によるのを検討する要があるといったようなことを言っておりますね。これは昭和三十八年です。それで、この勧告をどのように受け取り、どのように消化しているか、いままでどのように消化したか、今後これに対してどういうお考えであるかを、この際伺っておきたい。
  189. 坪井為次

    ○坪井政府委員 行政管理庁からの勧告に基づきまして、運輸省といたしましては、基本方針を策定いたしまして、それを経済閣僚懇談会の了承を総て陸運局に示達をしております。その内容は……(島上分科員「それがあったら一部ください」と呼ぶ)三十八年十月四日付でハイヤー、タクシーの営業免許についてというので方針をうたっております。これは後ほど資料で差し上げます。
  190. 島上善五郎

    ○島上分科員 その印刷したものがあればいただきますが、この行政管理庁の勧告を受けてこれを消化すると申しますか、具体化するという大精神に立っておるわけですか。
  191. 坪井為次

    ○坪井政府委員 行政管理庁の勧告に対しまして、運輸省としてもいろいろ意見がございまして、それらを閣僚懇談会で調整をはかった、そういうことでございます。
  192. 島上善五郎

    ○島上分科員 それがさっきの四千人、聴聞の終わった者八百人、あと全部は公示したということですか。これに対する今後の免許の方針と申しますか、そういう点はどういうことですか。
  193. 坪井為次

    ○坪井政府委員 運送協議会の答申によりまして、需給の厳格な査定というものはなかなかできませんので、ある程度の損益分岐点とかそういった資料に基づきまして増車を考えるわけでございます。その際に、個人免許を相当優先的に考え、あわせて法人のほうも一部についてバランスを見ながら行なう、そういう方針でやっておりますので、月々のそういった分岐点その他の資料に基づいて、今後増車がはかられ、個人免許も行なわれていく、そういうことになると思います。
  194. 島上善五郎

    ○島上分科員 中途はんぱでしり切れトンボになってしまうようで残念ですが、また別な機会に伺いますが、この際最後に大臣一つ伺っておきたい。運輸行政について姿勢を正す必要がある。個々の問題は一部伺いましたが、あとでまた伺うとしまして、その根本として姿勢を正す必要がある。と申しますのは、運輸省の陸運局が許可したり免許したり監督したりする対象の業者ですね、業者とのくされ縁があるといううわさがもっぱらなんです。これはうわさですから、私はうわさをここでどうこう申しませんけれども、しかし火のないところに煙は立たぬということわざもあるとおり、たとえば役人が会社の相当の地位に天下りに下がっていくというような例も少なからずあるようですし、現にたしか東京陸運局は業者のつくった建物を借りて住んでいる。これは家賃を払っているからと言えばそれまでかもしれませんけれども、役所が自分の認可したり免許したり監督したり指導したりするという業者が建てた建物を借りているというようなことは、おかしいじゃないですか。そういう姿勢を正さなければ公正な行政がとても行なえるものじゃないと思うのです。どうですか。
  195. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私も、自動車行政の全般を見ますときに、やはり島上委員が言われますように、姿勢を正して利用者中心の行政に比重をかけていかなければならぬ点がやはりあるということは、これは私は率直に認めます。そういう点はこれはやはり各地で起きておる声でもございますし、私はそういう声に答えるべく、要は利用者の利便をはかる、そうして交通機関の使命を果たしていくということを第一義で行政をやっていきたい。おそらく島上委員のきょう言っておられることは、先ほどの話の中にもありました、個人タクシーの聴聞会の終わった八百件がいまだに音さたがないというようなことでは、行政が進んでおるということは言えぬじゃないかということを思うのでございます。私もいま聞いて八百件もあるということを承知したわけですけれども、さっそくよく調査をいたしまして、できるだけ早く聴聞会が済んだようなものは許可するなら許可する、できないならできないということをはっきりする。そうすることがまた申請を出した人にも大切なことじゃないかと思いますので、そういう処置を急ぎたい。ただし優秀な運転手、技術を持った人にはできるだけ認可するような方向で検討を進めてまいりたい、かように考えております。
  196. 島上善五郎

    ○島上分科員 建物を借りている話はどうですか。
  197. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私はその建物の中に入っておるということを承知いたしておらなかったので、まことに申しわけございません。そういうことは好ましい方向ではないと思いますので、よく検討いたしまして、これはやはり予算との関係がございまして、おそらくそういうことになっておるのじゃないかと私は想像いたしますので、そういう点は今後予算措置をすることによって、だんだん姿勢の正しい方向に持っていきたい、かように考えております。いま実際の実情をよく私承知いたしておりません。
  198. 島上善五郎

    ○島上分科員 そういう予算ならわれわれ喜んで賛成しますから、業者の建物を借りるなんという、そういうぶかっこうなことはやめてもらいたいと思う。それから資格を十分審査をして、すみやかに許可するものはする、しないものはしないというふうにしてもらいたい。ぜひそうしてほしいと思う。  ただ、これは大臣御存じかどうか知らないけれども、過去にこういう事件が一つあります。却下したのが訴訟になって、却下した理由が不適当である、それで訴訟を起こされて、一審、二審では役所側が負けております。そうして役所がいま最高裁に持ち出している事件があります。これは最高裁でどうなるかまだわかりませんけれども、少なくとも役所が却下したのが、却下した理由が不適当であると裁判所から言われるようなことはすべきじゃないと思うのです。とにかくみんな夢と希望を持っている人々に対して、血の通ったあたたかい行政をやってほしい。私は会社に対しても、会社はどうでもいいというようなことは申しません。申しませんが、過去にこういう例があったので、いま思い出しましたから、よく頭の中に入れておいてやってほしい。
  199. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 午後三時五十分より再開し、運輸省所管及び郵政省所管について質疑を続行することとし、暫時休憩いたします。    午後二時四十七分休憩      ————◇—————    午後三時五十七分開議
  200. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について、質疑を続行いたします。田口誠治君。
  201. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まず、国鉄の総裁がおいでになりますので、一口だけふしぎに思っておることをお聞きしたい。その一つは、ずっと以前には、国鉄の機構が局制になっておった。ところが今日では支社制度になっておるわけです。私はいまちょっとあわててきて、表を持ってこなかったけれども、局制のときの機構と、支社制になったときの機構とを比較してみますると、ものすごく機構がふえて、そうしてしかも機構の中には、いわゆる重役級という人、一人重役というそういう人たちも多くなっておるのですが、いろいろと企業合理化をしておられるのに、この辺のところが、どうも私どもとしては割り切れないと思う。悪口を言う人は、それは人のために機構をつくらなくちゃならぬので、その点はたいへん気を使って見ておるのだと言って、悪口を言っておる人もありまするが、そうばかりも言っておれぬと思いまするが、その辺のところをどうお考えなんですか。現在の支社制度でなければいかぬのか、前の局制度では、どこがどう悪くて支社制度にして、支社制度にしたらどうよくなったのか、そしてどの程度機構が大きくなって、人員が多くなり、そうしていわゆる管理者級の人が多くなったか、こういう点を、総裁は、そのこまかいところまでは答弁は無理かと思いますけれども、大まかな点については答弁できると思うのですが、まずその点をお聞きしたい。
  202. 石田禮助

    ○石田説明員 国鉄はもともと局制度だったのですが、何ゆえに支社制度になったか、こういうことです。しかも支社には重役級というようなものが配されておる。つまり重役がふえたということですね。これはどうもはなはだ問題じゃないか、これは一面私はごもっともな質問だと思う。というのは、国鉄の人件費というものは、これは一番大きな問題です。たとえば四十年においては総収入の五七%を占めている大きな問題ですよ。国鉄の合理化ということになると、まず人件費の合理化ということが一番大きなことです。そこで、この支社制度にしたということについては、これは私は監査委員長の時分にやったのですが、国鉄というものは、昔はいわゆる中央集権であった。それがだんだん業務が拡大してくるということになると、中央集権というのはいかぬ、やはりできるだけ地方に権限の委譲をする、そうして責任を持たせる、責任を持たせることによって事務が能率化する、こういう観点から、やはり局というものをある程度支社というものにして、そうして監督しなければならぬ。やはり権限を与えれば、権限の乱用というものが起こってきますから、これを監督するという意味において、監督機関というものが必要になってくる、こういうようなことが支社制度をつくったゆえんじゃないかと思っておりますが、その時分には、私総裁をしておりませんので、そう思ったのです。現在、実際支社にしてどうかということになりますと、これは差しつかえないんじゃないかと私は思うのです。そう悪くはないと思う。大体においてうまくいっていると思いますが、それよりも、私はあなたのおっしゃることは、やはり人件費の問題から来ていると思うのです。本社のほうをもう少し簡素化しろといっておる。本来、たとえば本社などは二千五百人ほどおりますが、そのうち約一割三分という人間は減らせますよ。支社というものに対してはやかましい、現場に対しては非常にやかましい、そういうやかましいことを言う本社というのは、これは人間が余っておるのですから、現場に対しては済まぬじゃないか、まずまず範を示したらいいだろうということで、本社の二千五百人ばかりおるうちに、一割三分というものを、私が命令するのではなくて、積極的に自発的に人間を減らす、こういうことにきまったのです。  それから、支社を設けたがゆえに人件費がふえた、要らぬ制度ではないか、こういうことは、実際やってみた結果においては、そう結論を下すべきものじゃない。実際においては、私はいまの制度でよくはないかと思っております。
  203. 田口誠治

    田口(誠)分科員 支社制度が中央集権に大改革を加えたんだという、そのことは非常にけっこうなことだと思うが、最後に言われた、支社制度にしたらそのために人件費がふえたんだということは考えないとおっしゃいましたが、それは数字の示すように、部局がよけいできて人間がよけいふえたら、人件費はふえることになる。だから、それだけは違う。それだけは違いますが、しかし支社制度にして、サービスを十分にし、そして日本経済の動脈としての国有鉄道の本分を果たされるということならばけっこうだと思いますけれども、最近非常に機構の合理化をなされておるやさきに、前からのことをずっと考えてみましたら、どうもこういうところはあんまり必要はないんじゃないか、同じところに二人おるのではないか、というようなところがやはり目につきましたので、いまお聞きをしたので、あまりこれをどうこうしようというものではないわけです。やはり人を多くすれば多いように、機構を多くすれば多いように、その本分を十分に果たしていただければ、それで十分だと思います。  そこで、なおそういう疑問が、私だけでなしに、出てきておるということは、御承知のとおりいままでは、貨物を送る場合に、自分の家から一番近い駅に持っていってお願いをして、荷物を送ったわけです。ところが、これも合理化の波にかかって、全国八十八カ所に集約されて、その他の駅は貨物を取り扱わない、送ってくれない、ここまで合理化されたわけなんです。ここまで大衆に不便を押しつけておって、そうしてしかも機構の面については、先ほど申しましたように、これより方法はないかもしれませんが、私ども考えでは、存外むだのようなことも考えられますので、やはり一般国民へのサービスとして、国有鉄道が今日まで名をなし、また日本の経済の発展にも寄与してきておるのだから、貨物駅をなくして全国八十八カ所に集約してまでも合理化をされたということに対して、ただいま申しましたようなことをみなが言っておりますので、私はどんなものかということをお聞きしたわけなんです。私はあまり首切りだとか合理化をやるということは好んでおりませんが、必要な部局、必要な人員はやはり置いて、そして十分にその仕事を全うさせるように指導していただきたいと思います。また場合によっては、英断を下していただく必要があろうかと思うのですが、これは率直な住民の声ということでこの質問は聞いてもらって、もしお答えがあれば答えていただき、なかったらそれでよろしい。
  204. 石田禮助

    ○石田説明員 貨物のことはあとから常務が説明いたしますが、国鉄の運賃を値上げするときにいつも起こる問題は、国鉄の運賃を値上げする前に、まずもって合理化に徹せよ、こういうことなんです。ではどこに合理化の余地があるかというと、一番大きな問題は人件費でございます。人件費は昭和四十年において総収入の五七%に達しておる。そのほかの動力費とか業務費だとか修繕費なんというものは、人件費に比べると半分以下ですね。その人件費をいかにして節約するかということが、消極的の合理化のもとですね。そこにおいて国鉄は、これまで人件費というものに対しては至大の注意を払った。人件費をなすものは何かというとベースと人間。ベースの問題は結局仲裁裁定にいってしまうから、問題は人数をふやさない、その点については、私は、国鉄というものはあらゆる知恵をしぼって今日までやってきたと思いますが、現に昭和二十七年から二、三年間というものは、人間は一人もふえていない。その間において、国鉄の輸送客、輸送貨物というものは非常にふえておる。この点をひとつお考え願いたいと思います。  それから、いまの貨物駅の問題でございますが、これも合理化の最たるものの一つである。この点については常務から説明させます。
  205. 今村義夫

    ○今村説明員 ただいま先生のお話の小口貨物の問題でありますが、これはいまお話しのように、全国を八十八カ所に統合して、その他の駅は取り扱わないということではなくて、全国百六十の基地駅は設けましたが、その他の駅でも扱いはいたしますわけで、ただ貨車への積み込み、取りおろしをいたさないということだけでありまして、基地駅と中間駅との間は、自動車によって輸送しておるわけでございます。これは結局、従前の国鉄輸送のやり方が、時速八十キロというようなのろのろした列車では、とうてい現在の国民経済の要請にマッチしないということで、近代的な輸送体系に改めたわけでございまして、実施の直後には若干混乱も起きましたけれども、現在ではスムーズにいっておりますし、なお今後改善を加え、十分所期の目的を達成するように努力をいたしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  206. 田口誠治

    田口(誠)分科員 常務理事のほうから補足説明がございましたが、そのとおりです。そのとおりですが、時間の関係もあるので、こまかく申し上げなかったんですけれども、その、荷物は受けるけれども、軌条では送らない。そして八十八カ所の集約駅から送るんだ、そのとおりなんです。そのとおりなんですが、やはり荷物というものは一回扱い——二回扱うよりは三回、三回扱うよりは四回、荷物を扱うたびごとに荷物は悪くなるし、行き先の荷札もなくなったりして、いろいろな支障がある。だからそういうことも含めて、大衆個人として考えれば、自分のすぐ近くの駅へ荷物を渡し、そうして送ってもらうほうが一番いいのだから、それを二重、三重の手間をかけてやらなきゃならぬこういう集約をされてまで手をつけられたくらいだから、その他のほうのことについてもどうだということが、一つの機構の問題として出ておるのです。いま常務理事のお話しになったことは、重々承知はしておるのです。したがって、現在は相当よくなってきておりますけれども、なおこれは監督を十分にしていただいて、あの切りかえをしたときに非常に困った点を解消するように、ひとつ行政的な指導で努力をお願いいたしたい、この点をお願いをいたしておきます。  総裁のほうにはこの程度で、運輸大臣のほうへひとつお尋ねをいたしたいと思います。  時間もございませんので、簡単に申し上げます。いまの質問と答弁のように、途中で思い違いができたりしてはいけませんが、申し上げたいと思います。御承知のとおり、世界最大の遭難といわれた全日空の遭難の問題でございますが、それはまだ調査の段階であって、結論的にはおそらく言えないと思いますし、ぼくらもわかりませんけれども、いろいろ新聞等で書いておられることは、有視界飛行、いわゆる割り込み侵入をしたことが、これが一つ原因ではないかということが、どこの新聞にも書いてあるわけです。とするなれば、おそらくパイロットも優秀なパイロットだったそうでございますので、この有視界飛行に切りかえた理由は、どうしてやったかということを判断をいたしますと、計器飛行では、千葉の上空から木更津を経由して侵入してきますと、時間的にも四、五分はおくれるそうでございますし、燃料も五、六万円はよけいかかるそうでございますので、そういうような点でちょっと無理をしたのではないか、こう考えるわけなんですが、こういうことが原因一つの理由になっているとするなれば、これからの有視界飛行は改めて、計器飛行にしなければならないのではないか、こう考えているわけなんですが、その点は、安全性からどういうようにお考えでございますか。
  207. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 先般起こりました全日空の飛行機事故につきまして、その原因につきましては、技術調査団を結成いたしまして、いま慎重に調査、研究の途中でございます。新聞や世間の人の意見としてはいろいろ出ておりますが、これは個人的な見解でございまして、政府といたしましては、この技術調査団の慎重な調査結果を待って、これに対処したいと考えておりまして、有視界飛行に切りかえた理由とか、そういうこと等も含めて、この技術調査団が研究しておりますので、現在の時点において、いろいろそういう具体的な問題について見解を述べることは差し控えさせていただきたい、かように考える次第でございます。
  208. 田口誠治

    田口(誠)分科員 安全性ということになりますと、どちらが安全なんですか。それは別に調査しなくてもわかるでしょう。
  209. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 計器飛行の場合でも、有視界飛行の場合でも、安全性につきましては、どっちも安全であるということになっていると承知いたしております。
  210. 田口誠治

    田口(誠)分科員 どちらも安全であると言われますが、それは二つの飛行の方式があって、それは違うのだから、直行するのと回るのと違うのですから、それで幾らおそく来ても、直行して早く着こうというのと、そうでなく、指令を待ってきちんとおりるのと違うのですから、だれが考えたとて、計器のほうが私は安全だと思うのです。その点どうでしょう。
  211. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 並行線のようなことでございますけれども、有視界飛行も安全であるということには間違いないのでございまして、計器飛行の場合も安全である。それはやはりときどきの事情等によって、計器飛行を有視界飛行に切りかえたりはやっておりますけれども、有視界飛行が安全度が低いということではないのでございます。  詳しいことは、政府委員からお答えさせます。
  212. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 今回の事故につきましては、いま大臣から申し上げましたように、技術調査団であらゆる問題を包括的に検討していただいているわけでございますが、先生の御質問の、一般論として、有視界飛行方式と計器飛行方式の安全性についてどういう違いがあるかということでございます。御承知のように、有視界で飛び得る状態、つまり簡単に申し上げまして、気象状態その他がよくて、目でよく見えるというような状態の場合には、有視界方式を用いて飛ぶ。その場合には、十分安全であるという航空法上のたてまえをとったわけでございます。ただ、問題は、しからば将来の一般的な方向として、日本の上空、たとえば航空路の飛行をどういうふうにするかというようなことを考えてまいります場合には、レーダー等を用いまして、できるだけ計器飛行方式を用いるというようなことは、理論的に考えるわけでございまして、一般論といたしましては、有視界飛行状態のときには、有視界方式飛行も十分安全であるということは申し上げられると思いますが、他面、管制の近代化というような観点からは、将来十分施設等の整備とも相まちまして、そういうような近代的な方式を考えていく必要がある、こういうことであるわけでございます。
  213. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間もございませんので、次へ移りたいと思いますが、現在ある整備規程、それから勤務しておる乗務員の基準は、ちょっと不備があるのではないか。この際改正する必要があるのではないか、こういうように考えられるわけなんです。当面そういうお考え方はないかどうか。あまりことば短で言って、わからぬかもわかりませんが……。
  214. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 今回の事故に関連をいたしまして、査察をわれわれのほうでいたしたわけでございますが、その範囲において、整備状態について特に問題はございません。  なお、整備規程自体も、先生承知のように、相当詳細に、それぞれの整備段階に応じて、こういうことをしろというようなことは、具体的に定められておるわけでございまして、これについて特に現在欠陥があるというふうには、われわれは考えておりません。
  215. 田口誠治

    田口(誠)分科員 乗務員あるいは運航管理員、航空整備士、こういう人たちの勤務管理というのは、航空法の百四条と施行規則の二百十六条で義務規制があるわけです。これによって、運輸大臣が許可をすることになっておるのですが、これを他の国、と言っても、私らはあまり勉強しておりませんので、まあ欧米あたりなどの比較よりよう比較しておりませんが、日本の場合は、ダイヤ等に相当無理もあって、そして定時運航のために十分に整備ができないという時間的な計算が出てくるわけです。  それで、これは昨年の七月でしたか、727機を整備しておるときに、酸素ボンベが爆発して、そして事故が起きたわけなんですが、これも完全に整備するということになれば、一カ月くらいは日にちを要する問題であったのに、わずか二週間ぐらいで整備をして飛行を行なった、こういうことを私どもが聞いてみますると、飛行機に乗ることはほんとうにおそろしい感じがし出した。実際に一カ月もかかって整備しなければ完全なものではないと思われるものを、いろいろな関係で、二週間くらいでぽんぽんとやって、そして飛ばすというようなこと、こういう管理のしかたでは、ちょっと私どもは危険な感じを受けるわけです。したがって、私は、現在ある管理規程というようなものは少し内容的にも検討をして、そして改善を加えるところは改正をする必要があるのではないか、こう思って質問をしておるわけなんです。したがって、航空局長は、おそらく諸外国の諸規程も御存じであろうと思いますので、そういう点を照らし合わせてみて、どうお考えになるか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  216. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 初めに申し上げておかなければと思いますが、727の酸素ボンベの充てんに伴う、これは作業上のミスでございますが、これはボーイング社の協力等もございまして、時間は、先生のおっしゃるように比較的短くできた。しかし、当然一カ月かかってやらなければいかぬことを、ちょん切ってやったということではございませんで、期間を短縮して完全な作業をいたしまして、運輸省の修理改造のチェックを受けておるわけでございます。  それから、いまのお話しの整備規程でございますが、これは諸外国の例等も御参照いただきますとおわかりいただきますように、わが国の特殊なものは挿入してあるわけでございますが、一般的な標準と申しましょうか、大体同型機を用いておるものについては、同様な整備の基準が定められておるわけでございます。
  217. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 ちょっと私から一言申し上げておきますが、飛行機の整備というような点について、この間の事故に関連いたしまして、皆さんにいろいろ御心配をかけておるのでございますけれども、大体、整備が不十分であるとか、いろいろ意見もございますが、飛行機の塔乗員——操縦士とか整備員が乗っていく、その人が、飛行機の整備等が完全でないと思えば、これは事故が起こればみずから犠牲にならなければならぬのですから、やはりそう簡単にそういう飛行機に乗るものでございませんし、現在日本の持っております整備技能のすべてを尽くして、いま日本で飛んでおります飛行機の整備体制は、安全な線を確保しておるということであります。しかし、事故をなくするためには、さらに整備体制を将来に向かって強化していくということはもちろん必要でございますので、進んだ技術等を取り入れまして、万全の措置をとっておるつもり、方針ではございますけれども、いまの日本の航空企業の中では、やはり安全性は確保されておる、ということだけは申し上げておきたいと思うのでございます。
  218. 田口誠治

    田口(誠)分科員 安全性が確保されておるということは、完全に整備をして、そうしてパイロットの技術も上々であった場合に言うわけなんです。それで、私の申し上げたいことは、監督官の数も足りない、整備員の数も足りない、ダイヤの関係で整備する時間数も足りない、これで十分であるかどうかということ、それをお聞きしておるのです。安全だと言われたとて、整備をする時間が三十分や四十分しかないということになれば、安全な、各自に自信を持った整備をして飛ばすことはできませんし、また、幾ら整備しようと思っても、整備員の数が少なければ、どんなに労働強化をさしてみたとて、なかなか及ばぬことであるし、これを管理監督するところの監督官の数も少ないということになれば、ただ事務的な処理だけで終わって、実際に飛行機を見てオーケーを与えるということがなくなるのではないか。こういう大切な部署につかれておる人員が非常に少ないといわれておりますし、そうして、まだまだ時間をかけて整備する必要があるといわれておるのだから、私は、それを満たすまではどうも危険性があるのじゃないか、こういうことなんです。私の言う危険性ということは、どうなんですか。
  219. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 私がいま申し上げましたのも、田口委員が仰せられるのも、いわゆる整備の技術あるいは設備の拡充強化をはかれという建設的な御意見と拝聴いたして、それは私もそのとおりに考えておるのでございますが、ただ、現在の日本の航空機が飛んでおります現時点における整備体制も、安全確保の線は確保し得ておるということを申し上げておるのであって、いま田口委員が仰せられる、いわゆる将来に向かってのいろいろの御指摘なさる点については、これは私は十分そういう方向で善処してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  220. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 田口君に申し上げます。申し合わせの時間がすでに経過しております。他になお質疑通告が多数ありますので、御協力を願います。
  221. 田口誠治

    田口(誠)分科員 了解しました。  そういうことで、突っ込んでお聞することはできません。私は数字的に、定員あるいは整備の時間、また管理員のいまやっておられる実態、こういうものも申し上げて、運輸省としてももう少し管理監督を十分にしなければならないのじゃないかという点をいろいろお聞きしようかと思いましたけれども、時間がないのでこれで終わりますが、一つの例を申し上げますれば、消防車は買ってあっても人がないというようなことではおかしい、これはこの前私が追及したはずです。そうしたら今度は予算がちょっとついた。予算はついたけれども、その予算で人間を雇うだけはないという計算になるわけで、こういうことについてはまたいつかの機会に、この安全性についてはとくとお聞かせをいただきたいと思います。  時間がきましたので、これで終わります。
  222. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 泊谷君の関連質問を許します。簡潔に願います。
  223. 泊谷裕夫

    泊谷分科員 関連で恐縮です。  727で、大臣にお尋ねしたいのですけれども、これは大臣もたいへん苦悩されておるところで、運輸委員会で時期を見てやりたいと思っておりますが、当面最も心配なことが一つあります。早急に手配をしていただいたらどうかと思のです。それは、計器誘導がふえてきました。実態として有視界飛行を避けまして、割り込みも避ける計器飛行がふえてきまして、管制官の勤務時間帯としては変わりはないのだろうけれども、負担過重になっておるのは事実のようです。相当神経をとがらかして、たいへん苦悩しております。先日大阪空港で、あわや接触事故を起こそうとした問題がありますけれども、先ほど田口議員からも話がありましたが、従来は滑走路が完全にあかなければ次の飛行機に着陸許容の指示を与えなかった。ところが、いまは次の飛行機が着陸されるだろうと想定をされた場合、前着機が滑走路から離れるという見通しがつけば許容を与えていいことに施行規則を変えたのですよ。それが大阪のように、片や計器誘導機に神経を使い、そういう常時許容される幅でやったものですから、ああいう接触まがいの事故が出そうになった。これ以上もう一回事故をやったら、どうにも国民におわびのしようがないと思うのです。管制官を中心にしまして、この人人は昨年から問題になっておりますけれども、増務給もやれないのですよ。当面何とか管制官の措置を早急にまず航空局長に命じて手当てをしておいていただきたいと思うのですが、大臣、いかがなものでしょう。
  224. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 御指摘になりました点もきわめてそれは緊急であるし、重要なことでございます。その他、私はやはり航空事故をなくするというたてまえから、緊急に考えなければならないいろいろの点がありゃせぬかと思いますので、そういう点まで含めまして、至急運輸省のほうで処置をしてまいりたい、かように考えております。     —————————————
  225. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 この際、昭和四十一年度一般会計予算及び昭和四十一年度特別会計予算郵政省所管、並びに昭和四十一年度政府関係機関予算日本電信電話公関係を議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。辻原弘市君。
  226. 辻原弘市

    辻原分科員 私は郵政当局に、時間が短時間でありますので簡潔に、放送の主として免許に関する事項についてお尋ねをいたしておきたいと思います。  これはあるいは重複するかもしれませんが、最初に、新聞紙上あるいは国会の御答弁等でも郵政大臣から若干のお話があったようでありますが、すでに以前から問題になっておる放送法については、大体成案が得られたようであります。私はきょうは内容の問題には触れませんが、大体いつ国会に御提出になるおつもりでありますか、この点をひとつ……。
  227. 郡祐一

    ○郡国務大臣 ただいま法制局で作業を極力急いでおります。それで来週初めには法制局の作業を完了いたしたい、こういう手順でいま作業をいたしておるところでございます。
  228. 辻原弘市

    辻原分科員 これは事務当局でけっこうでありますが、少し資料的にお尋ねしてみたいのです。全国的に見て、特にテレビの民放の普及が免許の関係でまだ相当アンバランスがあります。大体NHKのほうはかなり進んでおりますから、一応それはおくといたしまして、民放について全国的ないわゆる視聴の普及率というもの、これがどの程度になっておるか。同時に、いわゆる中継所あるいは親がいないために、現在それぞれの機械設備はあっても、いまだ民放が入っていない地域、これらは全体から見てどの程度のパーセンテージになるか、主要な地域は大体どの辺であるか、これを承っておきたい。
  229. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  第一の、テレビの普及率の問題でございますけれども、世帯数にして約九二%でございます。  それから第二番目の御質問でございますけれども、これはおもなところは近畿地方がございます。大体大きなところは近畿地方がまだ未定になっております。
  230. 辻原弘市

    辻原分科員 他にはありませんか。
  231. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 ちょっと調べまして御返答申し上げます。
  232. 辻原弘市

    辻原分科員 それでは、それはあとでけっこうです。  いま御答弁がありましたとおり、近畿地方においてはいまだ民放の普及率が他に比較をして、きわめて重要な地区でありながら徹底しておりません。これにはいろいろな理由が今日まであったであろうと思いますけれども、しかし、地域的に考えましても比較的便利で、同時に視聴率も高いと思われる地域になぜ今日まで民放が入らなかったかということについて、これはだれが考えてもまことにふしぎなことであります。したがって私はこの際、なぜ一体関西地区に今日まで民放が入らなかったかという理由を、具体的にお聞きをしてまいりたいと思います。
  233. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  先ほどの、まだ未定であります地区は近畿だけであります。  それからただいまの御質問でございますけれども、なぜ近畿地区に免許ができなかったかということでございますが、この点につきましては、御承知かと思いますけれども、大阪の四社と申しますか、準キー局に相当するところと、それから新たに地方局との間でどっちに免許すべきかということにつきましていろいろ問題がありまして、なかなかこの点がうまくまとまらなかったのでございます。そういうことのために、現在まで遺憾ながら解決を見ていないというわけでございます。この点は、理由といたしましては、新しい波というものを見つけるためにはUHFのバンドで見つける方法しかない。UというバンドにおけるUというものはまだ一般的に開放していないということがございまして、そのことを解決の方法として用いますためには、今度行ないますような放送法の改正というような機会を待ちましてひとつ筋を通していきたいということを考えておるためでございます。
  234. 辻原弘市

    辻原分科員 いまの御答弁は、私はちょっと納得がしがたい。これは大臣にお聞きをいたしますが、今日、電波法によって、無線局の設置については所管大臣の権限になっておる。何もこれは放送法の改正ができることと直接の関係はないはずです。したがって、波さえあれば当然これは行政措置でもってきめ得られるはずだ。私はこの問題について非常に不満を持って、すでにいろいろな意見を当局に申し述べたのはもう三、四年前だったと思います。その後しばしばこの点についても経過を追って意見を申し述べてきた。その間において、結局私が知り得たことは、いま電波監理局長がおっしゃったけれども、それは一つの理屈である。ほんとうの理由ではない。なぜ私がこういうことを言うかといえば、それは放送法の第一条の目的にも明らかに書いてありますように、一体放送というものの使命は何か、私がここでない時間をさいて申し上げるまでもなく、放送というものは国民に最大限に利用せられ、しかもその効用をもたらすことを保障しなければならぬ、これが法律に書かれておるいわゆる放送についての原則である。その原則に照らして考えてみた場合に、当然波はあるのです。波はありながらそれに免許を与えないために地域住民に対して多大の迷惑をかけておる。もっといえば、同じ国民でありながら、しかも同じ放送という、いわゆる国の基準によって国民が恩恵を受ける、そういう部面の仕事でありながら、政府の怠慢、当局の怠慢によって今日まで三、四年も放置されておる。たいへんなことです。同時に、もう一つの、一体なぜそういう怠慢になったかということは、これは私は郵政当局だけは責めません。しかしあなたがいま言われたように、いわゆるチャンネルがない。Vは満ぱいで、Uしかこれから免許を与えていく上に活用できるものはない。一般的には確かにそうかもしれない。しかし、必ずしもVがゼロだということは当時から言われなかった。免許を与えようとすれば若干のものはあったはずなんです。また同時に、Uでも、行政措置として決断さえすれば当然免許が与えられたはずなんです。ところが結局は、郵政当局がいわゆる既存のそれぞれのテレビの利害関係の渦に巻き込まれてそれをさばき得なかったというのが実際の理由なんです。ある場合においてはテレビとラジオの争いになったり、あるいはテレビ相互間の利害関係の確執の中で問題が持たれたりした。それぞれの企業の理屈は確かにおありになるでしょう。なるけれども、それらの理由はいずれも企業の利害に関する点であったと私は思う。そのそれぞれの企業、一企業の利害のために国民のかなりの部分が大きな被害を受けたということは、これは私は見過ごしができないと思う。しかし、われわれはあくまで従来郵政当局を信頼して、何とかひとつ地域住民の利益という立場に立ってこの問題の結着をつけてもらいたい。どこの会社に、どこのテレビに、どこのラジオに免許を与えよということは私どもは一切申さなかったはずである。ともかくよそで聞けるものならば、よそで見えるものならばわれわれの地域でも同じように見せてもらいたい。同じようにテレビの機械を高いお金を出して買って、一方においては六つも七つも見られる。一方においてはただNHKだけしか見られない。他に理由は何ものもない。結局その争いのためと、その争いに巻き込まれた郵政当局の行政当局としての決断が足りないばかりに、そういうことを二年も三年も四年もほったらかしにされて今日にきたというのが実情です。ただ、いまになって放送法の改正が近く行なわれる、その中で一緒くたにやろう、こういうことになったにすぎない。なぜそれだけの権限としかもその必要がありながらいままでやらなかったのかということを、私はあえてこの席上で大臣に申し上げるのです。私、郡さんにお話を申し上げるのは初めてでありますが、前大臣の当時においては、何回も、そのことについては地域の住民にもある程度の確約をした、短時間にやります、もう決断します、いろいろなお話があったけれども、結局はそれをやらずに今日までこれを持ち越しておるわけです。だから、単に放送法の中で新たにUというものを配分するについてそれと一緒にやりたいという理由は、私には納得できないのだ。あらためて大臣からその点についてのお話を承りたい。
  235. 郡祐一

    ○郡国務大臣 辻原さんがおっしゃいますように、私も、近畿地区のテレビについてこれほど長い経過をとってしまった、これは就任いたしまして、つくづくと地域の住民に非常に御迷惑をかけておることを感じたのであります。むしろテレビの置局でありますから、波は国民全体の共有の宝であるものでありますから、そういたしますと、譲り合って置局を考えていくのだという以外に方法がない種類のものだと思います。それが今日まで遷延をいたしましたこと、これは何といたしましても早急に解決しなければならない問題だと思います。それから波の問題にいたしましても、UHFの波を使うという場合にも、全体のUHFの周波数帯の使い方を考えながら近畿テレビにあてがえば、何も制度の改正を待って、全般の置局の計画ということを待たずとも、あらかじめそれを考慮のうちに入れた行政をいたしますれば私は可能だと思います。むしろいままで日本のやや特殊な行き方だと思うくらいにVの波をこまかくこま切れをいたしまして、ずいぶん無理な使い方をいたしております。それで辻原さんがおっしゃるようにいつの間にかVという波は割り当てが不可能になった。これが現在の状態でありますが、Vそれ自身にももっと計画的な使用方法があったのじゃないだろうか。そういたしますと、議論がたいへん逆になるようでございますけれども、私、今度放送法、電波法の改正をぜひお願いいたしたいと思いますのは、何か電波行政という非常に大事な新しい行政が、電波の計画的使用、それに基づいて周波数の割り当てという——もとがなくて免許をばらばらにいたしておる。これはこの機会にすっきり直さなければいかぬことだと思いますそういう意味合いで近く御審議を願うのでありますが、とにかく近畿テレビにつきましては、これは今日までおくれましたことは、私はまことに電波行政を扱う者として残念なことだと思います。したがいまして、これは早急に——おっしゃるように今日まで、たまたま放送法の改正と関連して同じ時期になりましたが、第一に取り上げまして置局を決定してまいりたいと思います。
  236. 辻原弘市

    辻原分科員 確かに私も前半大臣がおっしゃった意見には同意見なのです。先ほど私も申しましたように、何もこれは放送法とは直接関係がないわけです。おっしゃるとおり、UならUのチャンネルプランというものを想定して、そして始めれば、何も支障のないことなのですから、そういう意味からいって——まあことばは大臣、わかるのですが、そこで大臣の真意というものは、それだからどうなさるというのですか。早急にというおことばはお使いになっていますが、いままで早急に早急にということばをみな使ってきたわけです。その早急がすでに三、四年たっているわけです。いま放送法と直接からんできたわけだが、しかし何もそれは放送法が成立しなければできないという相談のものではない。そんなことをしておったら新たな問題にぶつかって、さらに混迷を来たす心配を持っておる。それはそれで切り離してやれるのですから、ぜひ早急にやってもらいたいというのが地域住民の切なる願望なんです。そういう意味で大体のチャンネルプランというものは、すでにこれは再編成しなければなりませんけれども、おおよそこれはあるわけです。いままでのVにしても十二チャンネルまでやった。その中で問題になるやつは——いままでしばしば私は記録を読みましたけれども、逓信委員会あたりでも指摘されておりますね。そういう問題があるにしても、しかしこれは部分的でしょう。現実問題として全部変えるというわけにはいかぬ。となれば、大体のプランというものは、そういうことを基礎にふまえてUを追加した。その中で私はやり得ると思う。そういう想定ならば、これは早急にやれるはずだと思いますが、早急にやれる構想をすでにお持ちになっておられますか。いま私はここで具体案を伺うことは非常に困難だと思います。そういう酷なことは申しませんが、ともかくやり得るという確信の時期に達したとおっしゃるならば、これも一つの回答だと思います。その点はどうなのでしょう。
  237. 郡祐一

    ○郡国務大臣 この機会にUとVの混在という形でこれからの放送が行なわれていく。そうだとすれば——それにしても、やはり近畿テレビを考えてみますと、どこが悪いということは申しませんけれども、お互いに主張し合うことで、主張が戦わされておって、ちっとも譲らない。私のほうはUとVの混在という形でいく、そうすれば一方では、とにかく譲るものは譲ってもらって、そして話をつける。そのきっかけに先ほどのこの制度の改正もありますし、それは行政として公平にまた努力をいたしまして、そして今度は解決ができる。また解決をつけなければいかぬ、こういうことでひとつ御了解をいただきたい。
  238. 辻原弘市

    辻原分科員 まあ、少しやぼったいようですが、ざっくばらんに言って、そこでいろいろなことをことばとしては大臣申し述べられましたが、私は現実的な解決を望んでいるわけです。そこで放送法が出、そして改正がかりに——成立するかどうかわかりませんが、そこで成立をしたと仮定をする。それを機会に、要するにUの配分というものを一緒に——Uばかりではございませんけれども、全体のチャンネルプランというものは出てくる。そういう中でこれはひとつ総合的にぱちっと、他の地域ともあわせてやるという腹なんですか。それとも、前段に一般的原則としてあなたがおっしゃったように、行政措置でもやれるんだからという抽象的な言い方でぼかしておるのか。またそれが真意なのか。そこらあたりをざっくばらんにおっしゃっていいでしょう。これは適当なことを言ったって、問題はすぐなのですから……。そこで私はこれはやめたんだけれども、少なくとも、一国の大臣がおっしゃったことは、そうしばしば変えるものじゃない。ところが、この問題に関する限り実に適当なことばかりいままで話しておった。無理からぬ点もあります。しかしもう少し力が足りませんよ。私は電波行政のすべてのことは知りませんけれども、ほかの行政でこんなことはあまりありませんね。こんなもたもたすることは……。全く醜態です。そういう意味で今度は、この時点においていかなるあれがあっても解決ができる、そういう一つのプランがある、また決断を持ってやる、その時点はいつだ、このことをもう少し明瞭に……。
  239. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私は、放送法、電波法の改正の御審議の間にもいろいろとチャンネルプランについての考え方のお尋ねもあり、私も申し上げる機会があろうと思いますが、とにかく法律の改正を待って、むしろこれと並行して、片づけるものはこの際一気に片づけてしまいたいというのが私の希望です。近畿テレビも含めて若干解決しなければならぬものもあります。しかし同時に、UHF周波数というものは大事なものだ、これは放送衛星もだんだん発達してまいりましょう。UHFの波というものは大事な波だから、これを何でもかんでもあるからといって配ってしまうことはいたしません。しかしながら解決しなければならない。地域住民の福祉を考えて解決しなければならない問題はこの際解決をいたします。しかしそれ以外のは当分もう置く必要がないと思いますというくらいの踏み切りを——一挙にできるとは思いません。二段階になりますか何段階になるかしれませんが、これでひとつ区切りをつけてしまいまして、私どもは景気の回復を期待いたしておりますけれども、それにいたしましても、ことに民放の場合には水揚げというものもございます。いっぱいにテレビの局をつくりましても決して国民のしあわせでないと思います。そうするとどこかでこれだけのものを——とにかく懸案を解決いたしますが、それ以外にはもうそうやたらにテレビの置局というものは考えられないという判断をはっきりいたしまして、そして行政の面ではものを解決いたしたい、そう考えております。
  240. 辻原弘市

    辻原分科員 大体のお考えは理解はできましたけれども、私が特に心配するのは、いわゆる放送法改正の時期ということになれば、大臣がいみじくもおっしゃったけれども、従来の免許の方針とか、全体のチャンネルプランなりについても、いろいろ再検討しなければならぬ点がございます。そういうものとからんできますと、いままででもやっかいな問題なのに、新たな問題がいろいろそれにくっついていくから、その波によって押し流されるという心配が出てきやしないか。これが一つの危倶なんです。たとえばUについても約三十チャンネルといわれておりますね。そうすると必ずしも近畿地区だけでなくて、従来あまり問題のなかったところでもとれる。UHFの波を割当てろということで、それぞれ免許申請が出るでしょう。あるいはおそらく出ておるかもしれません。そうすればそれらとの行きがかりで、また波の奪い合いということで、せっかく問題が解決しそうになったのに、またそれによって解決が遠のくということがありはしないか。同時にFM放送の問題も出てくる。これも聞くところによれば五十くらいある。それにすでに二百以上内示の問題が出てくる。そういうことで免許をめぐってのいろいろな問題がこれらについてからまってくるということになれば、先ほど申しましたように、これは全国的なスタンダードから非常におくれておる。おくれ得べからざる地域なんです。それがおくれておる。それがさらにまたおくれる。こういうきらいが出てくる。問題はすでにもうわかり切っておることなんだから、あとは全体のチャンネルプランの中で合理的にちゃんときめればいい。もちろんそれぞれの利害関係意見は聞かなくてはならないでしょう。しかしそれだけに左右されるようなことがあってはたいへんなことなんです。だから優先的にこの地域における免許の問題というものは、ある場合においては切り離してでも当然やらなければならぬ、やると言ってきたわけです。そういう方針を私は明確にしておいていただきたいということです。ですからもう一ぺんあらためてひとつお尋ねいたします。
  241. 郡祐一

    ○郡国務大臣 UHFの置局ということは、考えてみますと、かなりの資金的の準備も要る種類のものでございます。もちろん、この際、そう多く認めることは、私は、実際の経営ということから考えましても適当なものではないと思います。したがいまして私は、相当厳選されたものに限るのであり、そうしてまたそういう場合に近畿地区の解決はまず初めにいたすのは、これはだれが見ましても行政として正しいというぐあいに判断されるものと考えて、これから事柄に当たりたいと思います。
  242. 辻原弘市

    辻原分科員 いまの近畿の問題に関連しまして、大臣もいまおっしゃったのですが、今後のチャンネルプランの一つの方向がいみじくも示唆されておるわけです。先ほどはVについても一応の検討は加える。私はこれは当然検討を加えるべき問題をはらんでおると思いますから、大臣意見と同意見であります。それからUについては三十程度あるのについて、これを筒一ぱい、ある場合にはいわゆる波を乱すような形でやるということは避ける、だからかなり厳選をする余裕を残す、こういう話です。それからもう一つは、いまも私が申し上げたFMについては、今日、先ほどおっしゃったように、テレビの普及率がすでに九二%、ラジオについては漸次下がってきておる、そういう際に、しかもラジオの傾向というのはFMの方向に向かいつつある、しかしまた現在の中波についての一般ラジオは、それ自体の効用、それ自体の特徴というものを、またおのずからこれは波長としては持っていると私も聞いております。しかしながら一般的にはFMの方向にあるわけだから、それをいま二百以上あるいは三百近い申請に対して、結果として、全体のいまのラジオ波をそのままにしておいて許可をするということになると、これはたいへんなんです。そういうことについてはおのずから全体として総合的に検討すべきではないかという考え方が私は常識だろうと思うのですが、大臣の先ほどのお話についても、したがって現行のラジオについても、いまの波と、それから新しく許可を与えようとするFMとの関係において、どういうお考えを、一つの構想としてお持ちになっておられるか、これもこの際私は明らかにしておいていただきたいと思います。
  243. 郡祐一

    ○郡国務大臣 辻原さん御承知のように、現在の中波は非常に混信波が多くなってきております。したがいましてこの中波の全面的な再編成ということが私は必要だと思います。しかしいまのままで再編成いたしますためには、どうしても従来のような周波数の入れかえだとか増力だとかで間に合うものじゃございませんから、FMの実施ということを前提といたさなければなりません。そのような意味合いで、先ほどもUHFの波が大事だと申しましたが、あるいはそれ以上にFMの波というのは大事な波でございまするから、FMの実施を前提として中波の再編成をいたしたい、徹底的な再編成しかない、そして現在のような混信波のために絶えず入れかえておるというようなことを避け、また現在の中波のように宿命的に混信、妨害の起こりますようなことで国民にラジオをお聞き願うということのないようにいたしたいと思います。
  244. 辻原弘市

    辻原分科員 いまの関西地区の問題についてはこの質問で終わりたいと思うのですが、従来、ラジオにしても、テレビの免許にしても、とかくそういう企業体の利害関係等がまつわって、なかなか正当なといいますか、タイムリーな時期において公正にこれをきめるということができなかったように私は見ております。それでよくやる手は、大体、まあ選挙が近づいて選挙の前ごろになると、ばたばたとやってきまってしまう、そういう傾向がどうもあったのじゃないかと思います。それだからどうだというわけではありません。ありませんが、たまたまちょうど常識的に大体九月ごろか十月ごろ選挙が行なわれるということがいま予定、想定されておる。そうするとどうも、やはりむずかしいからそれまで待とうじゃないかというので、郡さんは、これは参議院ですから直接それには関係がないので、あまりそれには神経をお使いにならぬと思うけれども、結局選挙の前ごろまで——かりに九月に解散して十月にでも選挙ということになればまだまだいいけれども、さらにそれが引き延ばされるということになれば、おのずからこういう問題も引き延べていく。そうなれば、せっかくおそくともことしの正月は民放もNHKも両方見れるわいと喜んでおった地区の人たちが、またへたをすれば年末か、場合によれば翌年にかからないとも限らない。だからそういうあまりよくない定説を、ひとつ郡大臣の手で私は破っていただきたいと思うのです。そういうことをからまぜないように、くどいようですけれども、これは私の危倶的な一つのものの言い方ですが、ともかく短期間にやりますということを、ひとつ最後にお答えをいただきたいと思います。ただしかし、いままで、やりますということは各大臣ともおっしゃってきたわけだけれども、やるためにはそれだけの腹案がなければいかぬ。だからさっきも申し上げたように、ここでその具体的なことをお述べくださいとは申し上げないから、要するに、そういうあれがあるならあるという御決意のほどを、最後にこの問題について承っておきたいと思います。
  245. 郡祐一

    ○郡国務大臣 法律の改正を機会にということで一貫しておりますので、この機会に問題は、そう事態をむずかしくせずに解決してしまいたいと思います。
  246. 辻原弘市

    辻原分科員 時間が大体きたようでありますから、一つだけはしょって最後にお尋ねいたしまして、残余はまた放送法改正のときにいろいろ具体的に伺いたいと思います。それは、いろいろ新聞紙上等にも伝えられておりまするが、今度の放送法の改正の中で、一つの重要な問題として取り上げているのが、いわゆる番組編成の問題であります。すでに現行の放送法を見ましても、番組の編成については、NHK、民放ともそれぞれ審議会を設置する、また現にそれはやられております。ところが、これは両面がありまして、非常にむずかしい問題であります。原則的には放送の自由を確保しなければならぬ。同時にまたそれが営業本位に堕して——一般国民に対していわゆる有益な放送になるように、そういう一つ指導もしなくちゃいかぬという両面があるものですから、一がいに言えませんけれども、同時にまた、国がそれを規制するということは、今日の憲法上のたてまえから不可能であることも事実であると思います。しかし一般国民の中には、これらの点についていろいろの意見を、今日の民放、さらにはNHKの番組についても述べております。したがって、大臣の御構想として、この番組の編成について、ほんとうに国民にこれが妥当であり、文化の進展あるいは国民の教育、文化、こういうものの向上に資するために、一体どうしたらいいかという構想が、すでに、私はいま成案を見て法律をやっておるということでありますからなければいかぬと思います。したがって、来番組の編成について、今後のあり方というものをどうお考えなさっておられるか、これについての基本的な構想をひとつこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
  247. 郡祐一

    ○郡国務大臣 根本にはどこまでも放送の自主性、表現の自由というのは確保してまいりたいと思います。したがいまして、現在放送法の一条なり四十四条なりでそれぞれ保障しておりますところはもちろん尊重いたしまするが、さらに青少年に対して正しい指導力と申しますか、悪い影響を与えないような用意というものは、四十四条にさらに加えられてもいいようなものがあるのではないかと思っております。  番組の向上自体につきましては、現在の向上委員会のようなものをもっと権威のあるものにいたしまして——これはNHKといわず民放といわずすべての放送事業者が、それにはきん然として従うような形で権威のある機関をこしらえるということが望ましいように思います。同時にしかしその性格はどこまでも気をつけまして、現在の番組向上委員会のような性格に置きたいと思います。それからNHKなり一般の放送事業者がすべて一緒になりまして世論調査機関みたいなものをつくってもらうようにいたしたいと思います。これをどういう形で法律上に書きますかという点をいま法制局などに相談をいたしておりますが、とにかくそういうものをつくりたい。そうしてそれぞれの放送事業者が自分で編集責任は持っておるわけでございますから、こういう番組を自分のところでは持っておる、こういう意図でこういうことをいたしておるのだということを放送事業者自身が国民の前に公開をし、国民の批判を受けるという形を私は保障したいものだと思っております。  でございますから、表現の自由ということをどこまでも尊重し、また放送事業の自主性ということは尊重いたしますが、しかしながらそれらの経営者自身がなすべきことはすべてさせるように立法的にも考え、ある部分はどうしても、私いま考えておりますが、立法ではいかないが、同時にこの際に行政の方針というものをあわせて考えることによって保障をいたしたいと思っております。
  248. 辻原弘市

    辻原分科員 原則的には同意見であります。あくまで放送の自由、表現の自由というものは確保されなければならない。しかしながら放送業者それ自体がやはり国民全体の利益というものに立った放送の使命に徹していただくことが私は非常に大切だと思います。そういう観点から考えますと、立法上の問題もさることながら、現在のたとえば向上委員会にしても、あるいはそれぞれの放送事業者が持っておる審議機関にしても、くふうをすれば行政指導の面においてもかなり改善をすることができる点があるのではないか。たとえば審議会などのメンバーを見ましても、実際これではたして国民のいわゆる見るほう、聞くほうの側の意見がその中にどれほど反映しているのかということを疑問視せざるを得ないようなものがたくさんありますよ。これなら別に審議機関を設けずとも経営者がやっておるのとちっとも変わりがないではないか。そういう審議会に経営者の側が大ぜい入っていることが私は理解できない。審議会というのは国民の意見を聞くということですから、だから原則的には国がそれを指導するということもいけない。それから国民の御意見を承りますという側が、むしろ自分の意見をその中からはき出させてそれを正当化しているという形態もいけない。むしろ重点はやはり国民の側の意見を聞くという形に行政指導の方向もならなければならない。そういう点には大いに改善をする余地があると思いますし、われわれも一国民としていろいろな意見を実は持っております。しかしこれらはいずれ成案をわれわれも拝見させていただいた上で、私どもとしても憲法のたてまえなり放送事業の公共性というたてまえ、あるいは国民の利益、そういう点からできるだけ具体的な意見をその際に申し述べたいと思います。  きょうは近畿地区における従来の不公正な取り扱い、この点について大臣からある種の確認が得られましたし、また最後の問題について一応の方向を承りましたので、時間もありませんので、私はこれで終わります。
  249. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 大原亨君。
  250. 大原亨

    ○大原分科員 質問に入る前にいまの放送法の問題ですが、私時間の関係でひとつ簡潔にずばり申し上げますが、あの深夜放送ですね。番組の向上ということでいま質疑応答があったわけですが、自主的に、しかも民主的な組織と手段方法をもってやるということの前提ですけれども、深夜放送というのは、私ヨーロッパを回ってみまして、たとえば劇放送は九時以降はやらぬとか、十時以降はやらぬとかいう公共性からの、内容的な問題ではなしに、時間的な規制をしておるのですよ。非常にやかましいのです。特に日本は住宅問題が非常におくれておるのです。東京都なんかだって三割から四割くらいは一部屋で、子供もおやじもみなおって、チャンネルの奪い合いをやっておるのですよ。そこで勉強もできなければ、テレビをやっておる間は十二時ごろまで寝られやしない。そしてあした朝六時に起きる。これは住宅政策が非常におくれておるということ、そういうことに伴うて青少年問題などもあると私は思うのですけれども、これは非常にたいへんな問題だと思うのです。日本の経済規模に比べて日本の放送のあり方は、NHK、民放その他一切のあり方が相当問題だと思うけれども、アメリカ方式を入れたわけです。一たん入れたら当然そういうことになるわけです。しかしながら時間的な目安というものを——いまの深夜放送というものは、ものによったらやってもいいですけれども、二時ごろまでやっているんですね。どこかがそうやっていたら熟睡できやしない。その点は相当方々で聞く意見ですけれども日本の住宅問題、あるいは青少年不良化問題、あるいは交通事故の問題、そういう社会問題、それらから考えてみて、やはり劇なら劇放送というものは時間的に制約すべきではないか。チャンネルの問題でなしに時間的な制約の問題、これはずばりとお答え願いたい。
  251. 郡祐一

    ○郡国務大臣 先ほどもちょっと申し上げたのでありますが、私は現在の放送法一条なり四十四条なり、よくできておると思います。しかしながら四十四条を見ましても、政治的公平だとか、真実性だとか、公安だとか、いかにももっともなことであります。しかしながら青少年に正しい情操を育成すること、暴力を否定すること、そうしたもっと具体的なことが——放送は真実でなければいけない。幾つも対立するものは同じように扱わなければいけない。政治的に公平でなければいけない。こうしただけの表現だけでは私はどうも不十分のように思います。  それから具体的の問題でございますが、深夜放送の点、私もあまり多くは見ておりませんけれども、ときどき目にあまるものを、それぞれの放送事業の責任者に電話で意見を聞いてみたりすることはありますが、そうすると、私は放送の自主性ということを先ほど申しましたが、自主性は尊重いたしますけれども、多くの場合聞いてみますと、自分のところで出しておる番組の中身を御存じないのがほとんど全部であります。自分は知らないから、それをこしらえた人間をやるから説明を聞いてくれというようなことであります。私も自主性を尊重しながら、編集者の責任ということはどこまでもたっとびますけれども、責任を負うところがはっきりした責任を持っていてくれないのではないか。そうすると、先ほど申しました表現の自由とかなんとかいうことを尊重しながら、向上委員会のような形がもっともっと強力に権威のあるものになり、そうして自分のところで出しておる波のことを知らないというようなことでは、経営者の責任が果たせない。進んで国民に公開もし、国民の批判のもっと出てくるような形を制度として仕組んでまいる。そうして今度はそれを土台にした行政で私は直してまいらなければいかぬと思います。むしろ非常に波というものをむだにしており、そのためによけいな経済上の負担もしておる。そのためにまた無益な競争ができて、ひいては番組の質を低下させるというのは、これは私はおっしゃるとおりに感じております。これに一つのこれからの行政の重点を置いていかなければならぬと思います。
  252. 大原亨

    ○大原分科員 番組の質の向上ということも、たとえばエロか芸術かということでずいぶん議論になっておりますね。その議論は私はしませんけれども、私が言っているのは深夜放送、時間的な問題です。日本のような一人でなく、みんな家族が世帯を持って住んでおる。それが多い場合に——外国では家をまず建てて、そして自動車を持って、テレビを持つわけですね。日本は何はともあれテレビというので予想以上に普及しまして、NHKの収入も、この一覧表を見ましても予想以上にふえたわけです。それはともかくとしまして、やはり深夜放送というふうなものは、たとえばティーチインなんか時間の制約なしにやっておるのは、時の問題によりましたら私はいいと思うのです。これはまだもう少し徹底してやったほうがいいということもある。これはむずかしい点ですがね。しかし、劇映画などは、だんだんと夜になるにしたがってよろめいてくるような映画が繁盛するというようなこと、そしてそういうものほどそれにスポンサーをつけるこれは広告料を取れるという形で低俗化する競争というのは、これは私は、よく薬の話を国会で出すわけですが、薬の宣伝で、へそないのか、普通ならいいけれども、薬はいけないという意見なんです。だがらぼくは、そういう点はともかくとして、時間的な点については考えないと、あしたは六時に起きるというときに、十二時とか一時まで毎晩毎晩、これを見る習慣がついてしまったら、勉強にもならぬし、子供が勉強しようと思っても、意思の弱い者は、なかなか興味があるから、あればどうしても見るのですよ。時間的な問題は制限は公平になる。そうしたらあとは、番組を縮めて有効な民放をやればいいと思う。こういう点は、時間的な問題は十分考慮してもらいたい、こういう点を私は申し上げておきますが、その点を検討してください。大臣の答弁を伺いたい。
  253. 郡祐一

    ○郡国務大臣 先般もイギリスの郵政大臣が来ましたときに、談たまたま深夜放送にいきました。イギリス人もフランス人も、夜というのはかなり自分のために大事に使う時間です。日本のテレビの施設をいろいろ見て歩いて感服したが、同時に、日本人がこれほどテレビが好きな国民であることは現地を見ないとわからないという話で、その話をひとつ対談でもどこかへ乗せてもろうたらどうだろうというようなことを言うたのでありますが、私は、方法があり、あるいは進めることができますなら、ほんとうにテレビの時間帯というのは狭めてみたいと思います。むしろ若い者が大事な勉強時間などでああいうことをやっておるのは、私自身はかなり反感を持っておる一人なんであります。それで、どうやってそれの自覚を促していこうか。いま申しましたような外国の大臣が、それは私が出てもいいから対談しようかといって笑ったくらい。だから、大原さんのおっしゃることはよくわかります。そういうぐあいにいきますようにひとつ努力してみたいと思います。
  254. 大原亨

    ○大原分科員 つまり、三DKとか四DKというように、寝室と勉強室が別々だとか、テレビがいろいろあるというなら別ですけれども日本は、そういうことがありましたら一番低きにつくのですよ。だから、その点、時間帯の問題は、やや具体的な御意見を交えてのなにですが、将来十分検討して、それぞれの機関の意見を聞いて、責任ある処置をしていただきたい。それから、第二の質問、これは飛び飛びになりますが、労使関係、当時者能力の問題、これは郵政大臣と電電公社ですね。当事者能力の問題は、前に池田さんのときもいろいろ、議論になって、総評その他の定期会談等でも出てきて、善処しようということで決着をつけ、あと始末をつけたことがあるわけです。これは御承知のとおり。しかし、三公社五現業、公共企業体の当時者能力はどのように確立されて労使関係を正常化したらいいか、こういうことがなかなか実現ができていないわけです。そういたしますると、当然にいろいろな物価その他経済情勢が変わってまいりますと、労働者側の客観的に要求する資料もあるし、いろいろな点があるわけです。私は、ことし、春闘ということをいわれておるわけですが、当事者能力については郵政大臣は、今回はどのように改善していこうと考えられるか。郵政大臣としてどういうふうに思っておられるか。あるいは、電電公社の総裁としてどういうようにお考えになっておるか、こういう点をひとつそれぞれお聞かせ願いたい。
  255. 郡祐一

    ○郡国務大臣 これはいつも同じようなお答えになっているかと思いまするが、現行の給与総額制度との関連もございまして、確かに団体交渉だけで解決するのには困難な事態が多いのでございまするけれども、しかしそういう事態のうちにありましても、持っておる当事者能力ででき得る限り、前年もいたしましたが、有額の回答をいたしてまいるように、そうして話を進めてまいりたいと思いまするが、何と申しましても根本は、現在公務員制度審議会の主要な題目が当事者能力の問題でございまするから、そうした審議会の解決を私どもも期待をいたしておるという状態でございます。
  256. 米沢滋

    ○米沢説明員 ただいま御質問ございました当事者能力の問題でございますが、電電公社といたしまして、臨時行政調査会に対しましても、当事者能力をもう少し拡大したほうがいいし、また、そうしたことが労使双方の信頼感を確立する上にも望ましいという意見を前から表明しておる次第でございます。先ほど大臣も言われましたが、この問題については公務員制度審議会が設けられておりまして、制度の基本的な問題が出されておりますので、その結果に期待し、またその結果を待ちたい、こういうふうに思います。
  257. 大原亨

    ○大原分科員 それぞれ公務員制度審議会というように他力本願らしいのですけれども、それはともかくとして、それは実績の積み上げをやらないと、審議会でやはりいい案はできないのですよ。日本人はどうもそういうふうに法律とかそういうふうなものに依存しがちなんですがね。実績を積み上げるというなにがないわけですね。だから、労使関係がいつまでたっても、片一方は片一方の立場だけということになるわけです。私は、時間がないからずばりですけれども、実際上は、民間賃金を基礎にして調停や仲裁が進むだろう、こういうことを大体期待しておられると思うのです。いままでのことからいいましたら、そういうふうに言われると思うのです。しかしそれぞれ民間の賃金といえども、やはり生活については家族を含めて使用者が責任を持つという立場からいっても、いままでの経験からいいましても、物価というもの、もしできないまでも、物価というものは最低考慮して、そうして新しい賃金について自主交渉その他においてこれをくだらない、こういうふうな立場を示さなければ、合理化、設備投資等の問題があるでしょうが、それは私は、使用者としては無能力だ、無責任だ、最低だ、こういうふうに思いますが、この点大臣いかがですか。
  258. 郡祐一

    ○郡国務大臣 確かに法律でも、公務員の給与は民間賃金その他の事情をと、こういうておりますが、その他の事情という中には、物価等も十分考えておることだとは思います。思いますけれども、やはりいかがでございましょう、大原さんのおことばがございましたが、民間の賃金というもの、これがやはり現業の給与につきましては、その中に物価がおのずからあらわれてきておる、とらえやすい、しんしゃくをする最もいい具体的なものではないだろうか。物価というとらえ方がなかなかむずかしいじゃないだろうか。物価ということが大事な要素であることを是認しながら、やはり民間の賃金にならってまいるということじゃないかと私は思います。
  259. 大原亨

    ○大原分科員 今度は電電公社総裁ですが、民間の賃金ということのほうが処理するのにあっちからこっちからたたかれぬから責任のがれのためにいいという、こういうような——郵政大臣はそこまでは言わなかったけれども郵政大臣の答弁の本質はそういうことらしいです。とにかく、この際無難にいけ、そのほうが、どうせ長いこと大臣をやるわけではないし、押えるだけ押えておいて、あまり文句を言わずについてこい、こういうことで押えていけば点数も上がることだし、あまり理屈をとって正しいということをやられると、どうしてもこっちからもあっちからもたたかれて、そうしてあいつはつまらぬということでけちをつけられる。それだから、無難なことをやるならば、民間賃金を参酌してというような人事院勧告のこともあることであるから、ひとつそういうところでやりたいという、郵政大臣、いまの答弁を翻訳いたしましたらそういうことになる。  そこで電電公社の総裁ですが、物価が上がる、物価が上がったらそれだけ実質賃金は下がるのですから、一割上がれば二万円の人は二千円下がるのですよ。そうしたら、当事者としては——当然最低賃金はどんなことをしてもどんどん上がるというのが普通なんです。長期経済の中では、ヨーロッパの水準とかなんとかいうことが言われているのです。池田さんなんかも、昔はそういうことをはっきり言っておりました。ヨーロッパの水準に持っていくのだ、高度成長だから、とにかく経済がよくなったらということで、先へ先へとニンジン政策でやったから、日本は前ガン症状になっているわけであります。しかしながら、物価というものは——最低賃金はあげてプラスアルファするんだという回答をすべきですよ。プラスアルファについて努力いたします、こういう回答を当事者としてはすべきですよ。当事者能力の問題は、客観的な一つの基準の民間賃金は、生活水準が上がるということを考えながら、利潤の分配の中で労働者にも分配されるのだ、これが生活を向上さして景気をよくするのだ、消費購買力をつけるのだ、こういうことなんです。この基準を公共性の問題の中で議論する、ちょっとおかしいところがあるが、そういう議論が成り立っておった。しかし物価については絶対下がらない。この点については、われわれは全責任を待って回答して処理するのだ、生活については私どもは当事者として責任を持ちますよ、こういうことを言わなければ、私は資格はないと思うのですよ。具体的に言いますと、去年、昭和四十年は七・六%物価は上がっているわけです。それから東京の消費者物価は、最近の新聞の発表によると、二月は一月に比較をして一・二%上がっている。一月は前月に比較をして一%上がっている。七・六に一%、一・二%というふうに加わっておりますよ。消費者米価、鉄道運賃値上げということが心理的に影響を及ぼしているのです。いろんな点で事実上は、これは数字の問題ですが、実感はもっとひどいというふうにみんなは言っているわけです。それじゃ当事者としての責任は果たせないと私は思う。少なくとも物価を下回らない、物価を上回って、民間賃金等も十分考慮しながらできるだけ努力をいたします、こういう答えがあってしかるべきでないか。電電公社は独立採算だからもうかっているというお話だから、それをひとつ答弁していただきたい。
  260. 米沢滋

    ○米沢説明員 電電公社といたしまして、先生も御承知のように昨年は、いろいろ経緯はございましたが、二月八日の時点で五百円の有額回答をいたしました。五百円というと非常に少ないと思われるかもしれません。もちろんそれで十分ではないのでありますけれども、いわゆる定期昇給というものを入れますと約二千円くらいになりまして、民間賃金と比較する場合には、定期昇給を含めて比較されておりますので、昨年はそういうふうにいたしました。それでことしの問題につきましては、昨年の民間の相場が出そろった場合に回答するというふうな回答を実はしておるのでありまして、公社としてはやはり公務員給与なり、特に民間の給与の状況というものをよくつかんで、そして回答についていろいろ案をつくるということが必要じゃないかというように考えております。
  261. 大原亨

    ○大原分科員 全然了解できません。当事者能力なしです。当事者としての責任がないから憲法違反だし、それから処分する能力なんかないですよ。そんなことでは労働者は納得できない。物価というものは雨やあらしとは違うわけです。天然現象ではないのです。政治の結果ですから政府は責任を持たなければいけないですよ。どこだって自然的に上がっておるのではないんですよ。これは人のなせるわざですよ。これこそ政治なり政策一つの決着ですよ。政府全体として責任を持つべきだと思います。上がるような政策をとったから上がっておるのですよ。だからそれに対して、労働者に対して答えないようなことで処分だけするんだったら、私は絶対納得できないですよ。  それでは時間の関係で電通の十三万訴訟に移りますが、これはマンモス訴訟と世間でいわれております。私は質疑応答の時間をはしょるために申しますが、つまりあの休暇問題で昇給延伸の問題がある。そこでみんなが納得できないということで十三万人くらいがそれぞれ訴訟をしておる、こういう経過であることは、いままでのいろいろな記録によって私も判断いたしました。これについては法務委員会で質疑応答がありまして、石井法務大臣もいろいろ触れておられるわけでありますが、法務大臣が答弁いたしましたことは何かと言いますと、裁判所よりいつ何日に出頭してくれと言うてきたときに、訴状を出しておる電電公社の社員であり組合員である人が法廷に休暇をとって出廷するというふうなことについては、これは電電公社は許さないという方針だと聞いております、しかし、これは事裁判にかかわる問題でありまして、いろいろな観点があるし、法務大臣としても、その責任の点については慎重に検討をし十分配慮をして裁判権を守っていく、そういう答弁が議事録に載っておるわけであります。その点について、その後電電公社と法務省はどんな協議をされましたか。電電公社の方針はどういう方針ですか。
  262. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 ただいま先生の御質問中、約十三万という数字がございましたが、現在提訴しておりますのは約一万六千名でございます。それにつきましては、ただいまお話しのように、私どものほうでは、万一全員が年次休暇を請求いたしますと、業務の運営という面で非常に困ります。一方では裁判を十分に受けられるということも必要なことでございますので、御承知のように今度の訴えにつきましては、請求の趣旨あるいは請求の原因が同一でございますので、法務省と打ち合わせをいたしまして、私どものほうから裁判所に、一人ないし数名の分離集団で審理していただくように上申をいたしております。したがいまして、現在までのところ、これはあとで法務省から答弁もあると思いますが、そういう形で審理が行なわれておりますので、ただいままでのところ、具体的に年次休暇を請求してまいりましたのに対してこれを拒否した例はございません。
  263. 青木義人

    ○青木政府委員 いまの職員局長のお話と変わらないと思います。私のほうといたしましては、同一期日に多数の原告が出廷することになりますと、訴訟の面におきましても、法廷の物理的な面のこと、あるいは審理のあり方の問題からいいまして、やはり相当制限を受けざるを得ないと思います。また他面、電電公社の業務上の支障ということも考えざるを得ないものでありますから、従来、裁判所に、適当な数字の人間に分離して審理する、こういう上申をしてきたわけであります。大体全国の裁判所はおおむねそういう方針で現在来ております。別段、いまお話がありましたように、混乱はなしに今日まで来ております。
  264. 大原亨

    ○大原分科員 地裁の管轄はそれぞれ違うわけですね。それをそれぞれ訴状を出した人に対してあなたはがまんしろ、こちらはやりましょう、こういうわけにはいかぬですよ、裁判所が幾ら独裁的にやったところで。ましてやこの問題は、昇給延伸ということは協定違反だ、法律違反だという議論がある。明らかにこれは一回、二回の休暇で昇給延伸をするということは協定違反だ。事実上は団体交渉に基づいての協定は法律なのだから、これは公益です。こういう問題は具体的にある。それぞれ切実な問題はあるわけですから、その問題について訴えられた場合に、それぞれ一人一人の要求の主張も差別をつけるというわけにいかぬでしょう。どうするのですか。
  265. 青木義人

    ○青木政府委員 本件につきましては、御承知のように、争点が全く同じであります。原告約一万数千名の訴状も全く同じでございます。私ども提出いたしております答弁書も全く同じであります。したがって、そのうちの大多数の原告についての審理があと回しになったからといって、結局は画一的に処理される問題でございます。モデル訴訟的に裁判所で審理されるのが普通じゃないかと思っております。
  266. 大原亨

    ○大原分科員 法律上の根拠は何ですか。
  267. 青木義人

    ○青木政府委員 そこの点につきましては、裁判所が訴訟指揮権を持っております。期日の決定あるいは分離併合は、裁判所が訴訟法に基づく訴訟指揮権を持っております。その訴訟指揮権をそういうふうにしていただきたいということを私ども上申いたしたわけでございます。
  268. 大原亨

    ○大原分科員 それは管轄が違ってもできますか。
  269. 青木義人

    ○青木政府委員 各裁判所は、それぞれ自分のところに来ている事件につきまして、いかように期日を入れていくか、またどのように分離なりあるいは併合していくかということについて、各裁判所はそれぞれこういう訴訟指揮権を持っておるわけであります。
  270. 大原亨

    ○大原分科員 それで、訴状を出し原告は、やはりそれぞれ自分の独自の主張をする権利を持っております。それを一律であるというようなことで、そしてあれもこれも一緒にして、画一的に最高裁の裁判みたいなことで統制できますか。
  271. 青木義人

    ○青木政府委員 先ほど申しましたように、事案が全く同一でございますから、その点を裁判所としては十分考慮して今日まで運用してまいっておるものと思います。
  272. 大原亨

    ○大原分科員 その点私は納得できません。その法律的な根拠については私も議論したいけれども、これは後日に譲る、こういうことであります。全く訴状が同じであっても、裁判所は文書だけでやるのではないのです。やはり証人を呼んでやるわけですから、この原告の主張も認めるわけですから、それぞれやはりニュアンスもあるし、あるいはそういう権利の侵害を受けた立場における主張がある。情状論もあろうし、それぞれそういうものもあるはずです。その点について無差別にやるというようなことは、そういう法律がどこにもない。私はそれは後日の問題としておきます。  それから、これは飛び飛びになりますが、郵政省で、簡易保険は、寿命が最近非常に長くなっている。人生五十年が七十年になっておる。寿命とか、あるいは物価ということになるとこれはちょっと問題ですけれども、物価と利息の関係について、養老貯蓄保険の利息を上げるという、そういうこと等を考慮して簡易保険の運営を考えているかどうか、こういうことであります。
  273. 武田功

    ○武田(功)政府委員 お答え申し上げます。  いまの先生のお尋ねは、保険の仕組みなり保険料の立て方の上に、物価なりあるいは最近の寿命の延びというものを考慮しておるか、こういうことかと存じますが、御案内のように、保険の基礎になるものは生命表でありまして、これはただいまのところ簡易保険は第十回生命表を使っております。最近確かに寿命の延びというものが問題になりますけれども、いずれまた第十一回の生命表なり、その次の新しい生命表が出ましたらそれを取り入れまして、そして保険料算定の基礎の上にのせたい、こう考える次第であります。
  274. 大原亨

    ○大原分科員 郵便貯金の割り当てのワクはだれがきめるのか、どういうことを理由にワクをきめるのか、ずばり言ってください。
  275. 稲増久義

    ○稲増政府委員 本省におきまして、現在一つは国民所得の伸び、一つは各郵政局ごとの実績等をおもに勘案いたしまして、資金運用部と相談の結果、目標額を設定いたしております。
  276. 大原亨

    ○大原分科員 資金運用部資金、財政投融資、そういう要請に従ってそういう割りつけをやっておるのか、そういう大蔵省の要求で割りつけをやっておるのか。ノルマをきめておるのか。それから預金の割り当て額と人員について考慮しておるのかどうか、この三点を簡単に……。
  277. 稲増久義

    ○稲増政府委員 第一の点につきましては、先ほど申し上げましたような貯金局自体の条件から一応案をきめておりまして、大蔵省方面との相談は二次的に相なっておるわけであります。次にノルマと申しますか、やはり目標額というものは、全国的な目標額をきめますと、それを郵政局ごとに局舎、職員、実績それからその地方の国民所得関係等を勘案いたしまして目標額を割り当てております。人員等につきましては、現在の人員並びに若干プラス人員もいただきますが、現在の人員で可能なと考える点で目標額をきめております。
  278. 大原亨

    ○大原分科員 これは私は、これからの質疑応答の一つの足がかりということで、一応質問だけで問題をあとに残しておきます。  そこで労使関係の中の一つですが、これは電電公社ですが、これで私の質問は終わるわけですけれども、電電公社の組合は、たしか昭和三十何年でしたか、合理化、機械化については協定を結んでおると思う。これは当時いろいろと議論されたことで、新しいことでありました。つまり配置転換を原則的に承認をしながらやったということは、当時のこととしては画期的なことでありました。  そこで問題は、四十二年までの三次計画の拡大修正が行なわれ、ものすごい速度で自動化が進むわけですね。そうすると、女子の職員が非常に余ってまいりますね。それらについては拡大計画、拡大計画ということだけでなしに、そういう配置転換の計画あるいは再訓練その他の計画、そういうものについても具体的な長期計画を立てながら、当時の約束の趣旨を生かしておるかどうか、当時やはり協約で、労働条件については協力する、こういうことの一つとして、労働時間その他についてもどういう努力をしたかということを聞きたいのです。  その一つとして、私は女子職員の転換について長期的な計画を自動化の長期計画にあわせてどういうふうにつくって、そうして労使関係の議論の対象にしているかどうか、とこういう点を一つだけ私はこの際聞いておきたい。
  279. 遠藤正介

    ○遠藤説明員 電電公社の合理化計画につきましては、ただいまお話のございましたように、昭和二十八年の第一次五カ年計画以来、労働組合の方々と配置転換を基調にいたしまして基本協約を結んでおります。それでこの基本協約は第一次五カ年計画と第二次五カ年計画、第三次五カ年計画、三回にわたる五カ年計画のつど基本協約を結びまして、それに基づきまして毎年設備計画の協議ということを行ないまして、そのつどただいま先生のおっしゃいましような配置転換計画を具体的に示しつつ、組合と話をいたしまして施行いたしております。したがいまして、基本的な点は先生のおっしゃったとおりでございまして、現在第三次の修正につきましても、昭和四十一年の設備計画の協議と並行いたしまして、労働組合と基本的に話を進めておる最中でございます。
  280. 大原亨

    ○大原分科員 終わります。
  281. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 以上をもちまして、本分科会所属の運輸省所管郵政省所管及び建設省所管に対する質疑は全部終了いたしました。     —————————————
  282. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 この際おはかりいたします。  昭和四十一年度一般会計予算及び昭和四十一年度特別会計予算中、運輸省郵政省及び建設省所管並びに昭和四十一年度政府関係機関予算中、日本国有鉄道及び日本電信電話公関係に対する討論採決は、先例によりまして、予算委員会に譲ることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  これにて本分科の議事は全部終了いたしました。      ————◇—————
  284. 荒木萬壽夫

    ○荒木主査 この際一言ごあいさつを申し上げます。  分科員各位には連日長時間にわたり御協力を賜りまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。  これにて第五分科会を散会いたします。    午後五時五十三分散会