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1966-02-24 第51回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十一年二月十九日(土曜日)委 員会において、設置することに決した。 二月二十三日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され た。       荒木萬壽夫君    江崎 真澄君       灘尾 弘吉君    松浦周太郎君       松澤 雄藏君    三原 朝雄君       大原  亨君    楯 兼次郎君       永井勝次郎君    竹本 孫一君 二月二十三日  荒木萬壽夫君が委員長指名で、主査選任さ れた。     ————————————— 昭和四十一年二月二十四日(木曜日)    午前十時十二分開議  出席分科員    主査 荒木萬壽夫君       灘尾 弘吉君    松澤 雄藏君       三原 朝雄君   茜ケ久保重光君       石田 宥全君    大原  亨君       田口 誠治君    楯 兼次郎君       永井勝次郎君    帆足  計君       山口丈太郎君    竹本 孫一君       玉置 一徳君    兼務 田原 春次君  出席国務大臣         建 設 大 臣 瀬戸山三男君  出席政府委員         厚生事務官         (国立公園局         長)      大崎  康君         建設政務次官  谷垣 專一君         建設事務官         (大臣官房長) 鶴海良一郎君         建設事務官         (計画局長)  志村 清一君         建設事務官         (都市局長)  竹内 藤男君         建 設 技 官         (河川局長)  古賀雷四郎君         建 設 技 官         (道路局長) 尾之内由紀夫君         建 設 技 官         (住宅局長)  尚   明君  分科員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   長岡  実君         農林技官         (農地局参事         官)      佐々木四郎君         通商産業技官         (公益事業局技         術長)     藤波 恒雄君         自治事務官         (財政局交付税         課長)     横手  正君         自治事務官         (税務局府県税         課長)     石川 一郎君     ————————————— 二月二十四日  分科員永井勝次郎君及び竹本孫一委員辞任に  つき、その補欠として田口誠治君及び玉置一徳  君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員田口誠治委員辞任につき、その補欠と  して山口丈太郎君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員山口丈太郎君及び大原亨委員辞任につ  き、その補欠として永井勝次郎君及び茜ケ久保  重光君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員茜ケ久保重光君及び玉置一徳委員辞任  につき、その補欠として石田宥全君及び竹本孫  一君が委員長指名分科員選任された。 同日  分科員石田宥全君委員辞任につき、その補欠と  して帆足計君が委員長指名分科員選任さ  れた。 同日  分科員帆足計委員辞任につき、その補欠とし  て大原亨君が委員長指名分科員選任され  た。 同日  第三分科員田原春次君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算建設省所管  昭和四十一年度特別会計予算建設省所管      ————◇—————
  2. 荒木萬壽夫

    荒木主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  この際一言ごあいさつを申し上げます。私が本分科会主査の職務を行なうことになりました。何ぶんふなれでございますので、分科員各位の御協力によりまして、円満なる分科会の運営をはかってまいりたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げます。  本分科会は、昭和四十一年度一般会計予算運輸省郵政省及び建設省所管昭和四十一年度特別会計予算運輸省郵政省及び建設省所管、並びに昭和四十一年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係及び日本電信電話公社関係につきまして、審査を行なうことになっております。審査の順序は、原則としてお手元に配付いたしました日程により進めてまいりたいと存じますが、都合によりましては変更することもあり得ると思われますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。  なお、各省所管事項説明は、各省審査の第一日の冒頭に聴取いたします。  それでは、昭和四十一年度一般会計予算中及び昭和四十一年度特別会計予算建設省所管を議題として説明を求めます。瀬戸山建設大臣
  3. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 建設省関係昭和四十一年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は三十一億二千八百余万円、歳出は五千四百七十四億三千九百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省所管予算として計上されておりますが、実質建設省所管事業として実施される予定経費等がありますので、これらを合わせますと、昭和四十一年度の建設省関係予算は六千二百七十七億九千九百余万円となり、前年度の当初予算に比べ一千二十三億二千七百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ一千九億八千五百余万円の増加となっております。なお、このほかに国庫債務負担行為として、官庁営繕に五十七億六千九百万円、河川等災害復旧事業費補助に百四億五千万円を予定いたしております。  次に、特別会計予算概略を申し上げます。  道路整備特別会計昭和四十一年度の予算総額歳入歳出とも三千九百七十億三千三百余万円で、前年度の当初予算に比べ四百八十六億五千三百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ六百一億八千五百余万円の増でありまして、うちおもなる財源としましては、一般会計より受け入れとして三千五百七十六億九千五百万円、地方公共団体工事費負担金収入として三百三億四千二百万円、前年度剰余金受け入れとして八億円を予定いたしております。  なお、このほかに国庫債務負担行為として、直轄道路改築事業に百八十億円、街路事業費補助に二十五億円、首都圏街路事業費補助に二十五億円を予定いたしております。  次に、治水特別会計でありますが、本特別会計昭和四十一年度の予算総額歳入歳出とも一千三百五十一億五千八百余万円で、前年度の当初予算に比べ二百三億八千九百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ百九十五億九千五百余万円の増となっております。  これを勘定別に分けますと、治水勘定につきましては総額一千百五十五億百余万円で、前年度の当初予算に比べ百七十億七千五百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ百六十三億二千六百余万円の増でありまして、うちおもなる財源といたしましては、一般会計より受け入れとして九百六十六億七千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として百二十六億一千九百余万円、前年度剰余金受け入れとして一億六千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては総額百九十六億五千七百余万円で、前年度の当初予算に比べ三十三億一千四百余万円、また前年度の補正後の予算に比べ三十二億六千八百余万円の増でありまして、うちおもなる財源といたしましては、一般会計より受け入れとして百二十六億九千四百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として二十二億九千五百余万円、電気事業者等工事費負担金収入として三十億七千三百余万円、前年度剰余金受け入れとして五千百余万円を予定いたしております。  なお、このほかに国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に四十一億四千六百万円、首都圏河川改修費補助に六億円、直轄砂防事業に五億円、多目的ダム建設事業に九十五億円を予定いたしております。  次に、昭和四十一年度より新たに設置される都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計昭和四十一年度の予算総額歳入歳出とも十五億三千六百万円でありまして、うちおもなる財源といたしましては、一般会計より受け入れとして五億円、借入金として十億円を予定いたしております。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付してあります昭和四十一年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議の程をお願いいたします。  なお、お手元に配付してあります予算説明につきましては、主査におかれまして会議録に掲載していただくよう御配慮方をお願いいたします。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木主査 お手元に配付してあります昭和四十一年度建設省関係予算説明は便宜これを会議録に掲載することといたしますので、御了承をお願いいたします。     —————————————   昭和四十一年度建設省関係予算概要説明  建設省関係昭和四十一年度歳入歳出予算につきまして、その概要を御説明いたします。  まず、総額について申しますと、建設省所管一般会計歳入歳出予算といたしましては、歳入は三十一億二千八百余万円、歳出は五千四百七十四億三千九百余万円であります。歳出におきましては、このほかに、総理府及び労働省所管予算として計上されておりますが、実質建設省所管事業として実施される予定経費等がありますので、これらをあわせますと、昭和四十一年度の建設省関係予算は六千二百七十七億九千九百余万円となり、前年度の当初予算にくらべ一千二十三億二千七百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ一千九億八千五百余万円の増加となっております。なお、このほかに国庫債務負担行為として官庁営繕に五十七億六千九百万円、河川等災害復旧事業費補助に百四億五千万円を予定いたしております。  次に特別会計予算概略を申し上げます。  道路整備特別会計昭和四十一年度の予算総額歳入歳出とも三千九百七十億三千三百余万円で、前年度の当初予算にくらべ四百八十六億五千三百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ六百一億八千五百余万円の増でありまして、うち主なる財源としましては、一般会計より受入として三千五百七十六億九千五百万円、地方公共団体工事費負担金収入として三百三億四千二百万円、前年度剰余金受入として八億円を予定いたしております。  なお、このほかに国庫債務負担行為として、直轄道路改築事業に百八十億円、街路事業費補助に二十五億円、首都圏街路事業費補助に二十五億円を予定いたしております。  次に治水特別会計でありますが、本特別会計昭和四十一年度の予算総額歳入歳出とも一千三百五十一億五千八百余万円で、前年度の当初予算にくらべ二百三億八千九百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ百九十五億九千五百余万円の増となっております。  これを勘定別にわけますと、治水勘定につきましては、総額一千百五十五億百余万円で、前年度の当初予算にくらべ百七十億七千五百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ百六十三億二千六百余万円の増でありまして、うち主なる財源といたしましては、一般会計より受入として九百六十六億七千六百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として百二十六億一千九百余万円、前年度剰余金受入として一億六千万円を予定いたしております。  また、特定多目的ダム建設工事勘定につきましては、総額百九十六億五千七百余万円で、前年度の当初予算にくらべ三十三億一千四百余万円、また、前年度の補正後の予算にくらべ三十二億六千八百余万円の増でありまして、うち主なる財源といたしましては、一般会計より受入として百二十六億九千四百余万円、地方公共団体工事費負担金収入として二十二億九千五百余万円、電気事業者等工事費負担金収入として三十億七千三百余万円、前年度剰余金受入として五千百余万円を予定いたしております。  なお、このほかに国庫債務負担行為として、直轄河川改修事業に四十一億四千六百万円、首都圏河川改修費補助に六億円、直轄砂防事業に五億円、多目的ダム建設事業に九十五億円を予定いたしております。  次に昭和四十一年度より新たに設置される都市開発資金融通特別会計でありますが、本特別会計昭和四十一年度の予算総額歳入歳出とも十五億三千六百万円でありまして、うち主なる財源といたしましては、一般会計より受入として五億円、借入金として十億円を予定いたしております。  次に個々の事業予算重点について御説明いたします。  第一に、住宅対策について申し上げます。  政府といたしましては、国民生活安定向上社会福祉の充実を図るため、現下の住宅事情を改善して、昭和四十五年度までにすべての世帯が安定した住生活を営むことができる「一世帯住宅」を実現することを目標として、住宅対策を強力に推進してまいる所存であります。このため昭和四十一年度を初年度とし、昭和四十五年度までの五箇年について、総住宅供給戸数六百七十万戸のうち、政府施策による住宅二百七十万戸を供給する新住宅建設五箇年計画を策定することとしている次第であります。  これに基づきまして、昭和四十一年度においては、政府施策住宅約四十万戸の建設計画しております。これは戸数において、前年度より約六万戸の増加でありますが、このほか、特に四十一年度におきましては、建設単価の是正を図り、住宅の質の向上をはかるため必要な規模引上げ等を行なうことといたしております。  政府施策住宅に対する予算措置としては、公営住宅に対しましては、一般会計予算において四百七億八千二百余万円を予定し、第一種住宅二万八千八百戸、第二種住宅四万三千二百戸、計七万二千戸と過年災害によるもの三百三十戸の建設に対し補助することとしております。  住宅地区改良事業に対しましては、一般会計予算において三十八億八千三百余万円を予定し、不良住宅除却、一時収容施設設置等地区整備及び改良住宅四千五百戸の建設並びに住宅改修費に対し補助することとしております。  次に住宅金融公庫につきましては、資金運用部資金等借入金一千百八十一億円のほか、回収金等をあわせて一千三百九十二億八千万円の資金及び一般会計からの二十二億八千四百万円の補給金により、十七万四千戸の住宅建設、六百万坪の宅地取得、四百二十万坪の宅地造成等に要する賞金の貸付を行なうこととしております。  また、中高層の公共住宅用店舗等融資率を引き上げ、あらたに産業労働者分譲住宅五千戸及び関連公共施設公益的施設に対する貸付を行なうことといたしております。  次に日本住宅公団につきましては、資金運用部資金等借入金一千四百九十三億円のほか、自己資金等をあわせて一千七百二十六億八千八百万円の資金及び一般会計からの十六億一千六百万円の補給金により、賃貸住宅三万二千戸、分譲住宅二万一千戸、計五万三千戸及び住宅併存施設等建設を行なうとともに、宅地については、二千七百二十五万坪の住宅用地及び六百四十万坪の工業用地開発事業を行ならほか、研究学園都市建設を行なうことといたしております。  第二に宅地対策について申し上げます。  最近における宅地入手難及び地価の高騰に対処するため、宅地供給の大幅な増加を図ることとし、このため日本住宅公団における宅地開発事業及び住宅金融公庫における宅地取得造成に対する融資について資金量増大を図るとともに、機構の拡充整備を行ない事業促進に努めることとしております。また、地方公共団体及び土地区画整理組合が実施する土地区画整理事業方式による宅地造成につきましても資金融通を図り、これを推進してまいる考えであります。  日本住宅公団につきましては、住宅用地として継続二千百七十五万坪、新規五百五十万坪及び工業用地として継続五百九十万坪、新規五十万坪の開発事業を行なうほか、研究学園都市建設用地取得等のため新たに二十七億円の債務負担枠増加し、従来の債務負担枠と合わせて八十五億円を限度として債務負担を行ない得ることとしております。また本年度から大規模宅地開発にあたり関連して必要となる公共施設につきましても整備を行なうこととしております。これらに要する資金については、さき説明しました日本住宅公団借入金等に一括計上されております。  なお、日本住宅公団宅地債券については、昭和四十一年度におきましては四十二億円を発行することとしております。  次に住宅金融公庫につきましては、六百万坪の宅地取得、四百二十万坪の宅地造成に要する資金の貸し付けを行なうこととしております。また、大規模宅地開発に伴う関連公共施設等建設整備に要する資金貸付けを新たに行なうこととし、融資保険基金一億円を増額し宅地造成に関する融資保険拡充を図ることとしております。これらに要する資金については、さき説明しました住宅金融公庫借入金等に一括計上されております。  なお、住宅金融公庫宅地債券については、昭和四十一年度におきましては二十五億円を発行することとしております。  以上のほか、過大都市対策として既成市街地内に立地する必要のない工場等の移転を促進し、再開発用地としてその跡地を買取り、又は大都市地域における重要な公共施設用地を買取る地方公共団体に対して必要な資金融資するため、都市開発資金融通特別会計を新設し、十五億円を計上いたしております。  また、民間自力による宅地開発促進を図るため、土地区画整理組合に、宅地開発土地区画整理事業に必要な資金の無利子貸付を行なう地方公共団体に対し、その所要資金の一部を無利子で貸し付ける資金として、一般会計予算において五億五千万円、ならびに、都市における火災その他の災害を防止し、あわせて土地合理的利用促進及び環境の整備を図るため、防災街造成に対する補助金として、一般会計予算において三億一千万円を予定いたしております。  第三に、道路整備事業について申し上げます。  道路整備事業につきましては、最近における道路交通需要増大に対処し、国土の総合的な開発と均衡ある発展を図るため、全国の重要都市及び開発拠点都市を結ぶ高速自動車国道網を策定し、その計画的な建設を図るとともに、地方道特に市町村道整備を飛躍的に推進し、あわせて、交通事故激増のすう勢に対処するため、交通安全施設整備を三箇年計画を樹立して緊急に実施することといたしております。  昭和四十一年度における一般道路事業予算の大要は、一般国道に二千十九億六百余万円、主要地方道に七百六億四千余万円、一般地方道に五百四億六百余万円、市町村道に三百十八億八千八百余万円を予定し、これにより約三千二百キロメートルの改良工事と約六千五百キロメートルの舗装工事を実施することといたしております。  次に昭和四十一年度予算重点項目について申し上げます。  一般国道につきましては、交通上のあい路となっている緊急を要する区間の二次改築重点的に進めるとともに、特に元二級国道の内地十八路線につき新たに追加して国の直轄改築工事を行うこととし、このため五十八億二千万円を計上いたしております。  次に地方道につきましては、重要な地方的幹線地方開発を進めるための重要な路線重点をおいて整備促進をすることとしておりますが、特に山村振興法に基づく市町村道整備を含め、国民生活基盤と密接な関係のある市町村道重点的に整備することとし、このため市町村道整備費として六十九億六千百万円を計上いたしております。  さらに、最近における交通事故激増の状況に鑑み、昭和四十一年度から新たに「交通安全施設等整備事業に関する緊急措置法」(仮称)を制定し、三箇年計画によって、横断歩道橋、歩道、分離帯、ガードレール、道路照明等交通安全施設を緊急に整備することとし、六十八億四千五百万円を計上いたしております。  また、街路事業予算につきましては、さき説明しました道路関係予算に八百五億七千九百万円が含まれておりますが、これにより道路改良橋梁整備及び舗装新設街路事業を実施して、都市内交通円滑化を図るほか、人家の密集した地区幹線街路整備と、市街地合理的利用を必要とする地区において、都市改造土地区画整理事業と、市街地改造事業を実施することといたしております。  なお、万国博覧会関連街路整備につきましても重点的に実施する予定にいたしております。  次に有料道路について申し上げます。  まず、日本道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資企百五十四億円のほか借入金等をあわせて一千六百三十五億八百万円の資金により事業を行なうことといたしており、高速自動車国道については東名高速道路及び中央高速道路東京富士吉田間の建設促進を図るとともに、国土開発縦貫自動車道については路線が決定している東北、中国、九州、北陸及び中央自動車道富士吉田・小牧間の五路線のうち、緊急を要する区間建設に着手する予定であります。また、一般有料道路については天草連絡道路等路線を完成するとともに、大阪天理道路北九州道路等工事を進め、東名阪道路等新規事業にも着手する予定であります。  次に首都高速道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金九億円、地方公共団体からの出資金九億円のほか、借入金等をあわせて四百七十四億三千八百万円の資金により事業を行な、ことといたしており、すでに実施している七路線建設を更に促進し、このうち、一号線羽田〜環状八号線聞及び五号線竹平町〜西神田間を完成するほか、新規に、江東江戸川線に着手する予定であります。  次に阪神高速道路公団につきましては、道路整備特別会計からの出資金十六億円、地方公共団体からの出資金十六億円のほか、借入金等をあわせて三百八億七千七百万円の資金により事業を行なうことといたしており、すでに実施している六路線建設を更に促進し、このうち、大阪一号線道頓堀〜なんば間及び梅田〜加島町間と神戸一号線京橋〜柳原間を完成するほか、新規に、堺市道一号線に着手する予定であります。  第四に、治水事業について申し上げます。  政府におきましては、国土の保全と民生の安定を期する見地から、昭和四十年度を初年度とする総投資規模一兆一千億円の治水事業五箇年計画を策定し、鋭意治水事業促進を図ることといたしております。  昭和四十一年度におきましては、治水事業五箇年計画の第二年度として、河川多目的ダム砂防及び水資源開発の各事業について緊急施行を要する事業促進を図ることといたしております。  また、一級河川水系としては、すでに指定ずみの十五水系に加えて新たに四十水系を指定する予定であります。  昭和四十一年度の治水事業関係予算の主なものとしては、治水特別会計において、河川事業に七百二十四億一千九百万円、多目的ダム建設事業に二百三十九億二千百余万円、砂防事業に二百四十三億八千七百万円、水資源開発公団交付金に六十二億六千九百万円、一般会計において、海岸事業に四十三億六千五百余万円、チリ地震津波災害地域津波対策事業に二億九千百万円を予定いたしております。  まず、河川事業につきましては、経済効果の大きい重要な河川放水路工事災害の頻発する河川改修工事東京湾大阪湾等重要地域における高潮対策、大規模引堤工事捷水路工事及び低地地域における内水排除施設整備等重点をおいて事業促進を図る方針であります。  すなわち、直轄事業については、一級河川六十七河川、二級河川三十四河川及び北海道特殊河川として十六河川改修事業継続して施行し、さらに新規北海道特殊河川河川改修に着手する予定であります。  補助事業については、中小河川改修事業として継続施行中の四百四十四河川のほか、緊急に改修を要する三十二河川新規に採択するとともに、小規模河川改修事業として継続施行中の四百二十八河川のほか、新規に、七十三河川の着工を予定いたしております。  高潮対策事業については、東京地区及び大阪地区(含兵庫地区)について、前年度に引き続き事業を実施する予定であります。  次に多目的ダム建設事業につきましては、治水効果及び諸用水需要の増大を考慮して事業促進を図ることといたしております。  すなわち、直轄事業では、建設工事として十一ダムを継続して施行するほか、新規に名取川釜房ダム及び緑川緑川ダムの二ダムを施行することとし、また、実施計画調査として二ダムを継続して調査するほか、新規に江の川下土師ダム等、三ダムの調査に着手することといたしております。  補助事業としては、建設工事として十五ダムを継続して施行するほか、新規に馬見ケ崎川蔵王ダム等五ダムを施行することとし、また、実施計画調査として五ダムを継続して調査するほか、新規に粕毛川素波里ダム等入ダムの調査に着手することといたしております。  また、水資源開発公団において行なう利根川、淀川及び木曾川の水資源開発事業については、継続施行中の利根川矢木沢ダム等七ダムのほか、新規に長良川河口堰に着手することとし、これらのダムの建設費の治水負担分として交付金を交付し、その促進を図ることといたしております。  なお、昭和四十一年度より、新規に河水の広域的な高度利用計画に関する直轄調査を実施する予定であります。  次に砂防事業につきましては、直轄事業として継続施行中の二十六河川及び直轄地すべり対策事業として継続施行中の四河川について事業を実施することとし、補助事業として、特に重要な河川及び災害発生の著しい河川重点をおいて施行するとともに、都市周辺及び重要地域における予防砂防を実施することといたしております。  次に海岸事業につきましては、近年頻発する海岸災害の被害状況にかんがみ、重要な地域における海岸保全施設の整備重点をおくとともに、特に重要な海岸については、国の負担率を引き上げることといたしております。  直轄事業については継続施行中の九海岸の事業促進を図り、補助事業についても同様の方針のもとに高潮対策事業、侵蝕対策事業として継続施行中の百十六海岸のほか、新規に四十五海岸を予定いたしております。  第五に、災害復旧対策関係予算について申し上げます。  災害復旧対策関係予算総額は六百四十一億六千八百余万円でありまして、その内訳は、災害復旧事業費五百七十四億七千三百余万円、災害関連事業費六十三億二千余万円、鉱害復旧事業費三億七千三百余万円であります。  その主な内容を申し上げますと、まず、災害復旧事業費につきましては、直轄災害は内地二箇年、北海道三箇年復旧の方針に基づき、三十九年災は完了し、四十年災は内地分は完了し、北海道分は八十パーセントの進捗を図ることといたしております。  補助災害については、緊要事業は三箇年、全体として四箇年で復旧する方針のもとに事業の進捗を図ることといたしております。  また、災害関連事業につきましては、災害復旧事業とあわせて適切な実施を図り、再度の災害を防止するため効果をあげることといたしております。  第六に、都市計画事業について申し上げます。  昭和四十一年度における都市計画事業関係予算は一千九億三千八百万円であります。  このうち、街路関係事業予算額は、首都高速道路公団及び阪神高速道路公団に対する出資金二十五億円を含め、八百三十億七千九百万円でありまして、これにつきましては、さき説明しました道路整備特別会計に計上されております。  次に一般会計に計上されております都市計画事業予算額は百七十八億五千九百万円でありまして、これにより公園及び下水道の整備促進を図り、新たに、古都保存事業費及び首都圏広域緑地保全事業費を計上するとともに、過密都市対策の一環として市街地の再開発等を強力に推進するため、都市開発資金融通特別会計を設置することといたしております。  公園関係予算額は十億円でありまして、これにより国営公園、都市公園及び墓園の整備を図るとともに、新たに河川敷を公園緑地として整備することといたしております。  古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法の成立に伴う古都保存事業費としての予算額は二億円でありまして、これにより古都の保存に対し適切なる措置をとることといたしております。  また、首都圏の近郊整備地帯内における計画整備を図るため、広域緑地を確保いたすこととし、その予算として二億円を計上いたしております。  ざらに、下水道関係予算額は百五十九億五千九百万円でありまして、これにより事業の緊要性にかんがみ、汚濁対策事業促進、流域下水道の推進に重点をおき、下水道の整備を図ることといたしております。  次に都市開発資金融通特別会計につきましては、一般会計からの繰入金五億円のほか、資金運用部からの借入金十億円とをあわせて、十五億円の資金貸付けを行なうこととし、昭和四十一年度は、工場等の移転跡地の買取りに重点をおくことといたしております。  第七に、官庁営繕について申し上げます。  建設省で実施いたします営繕のうち、建設省所管予算として計上されております額は百二十二億二千百余万円でありまして、これにより中央官庁、地方及び港湾合同庁舎の建設、その他一般官署の建替等を実施することといたしております。  以上をもちまして、昭和四十一年度の建設省関係一般会計予算及び特別会計予算説明を終ります。  よろしく御審議の程をお願いいたします。     —————————————
  5. 荒木萬壽夫

    荒木主査 以上をもちまして、建設省所管につきましての説明は終了いたしました。     —————————————
  6. 荒木萬壽夫

    荒木主査 質疑に先立ち、念のため申し上げたいと存じますが、質疑者が多数おられますので、持ち時間を慣例によりまして一応本務員は一時間程度、兼務員もしくは交代で分科員となられた方方は三十分程度にしていただきたいと存じますので、御協力をお願い申し上げます。  これより質疑に入ります。  質疑の通告がありますので、これを許します。楯兼次郎君。
  7. 楯兼次郎

    ○楯分科員 本委員会のときに交通についてやれというので、党から命令をされたんですが、道路の問題が時間切れとなりましたので、以下簡単にお伺いをいたしたいと思います。  当日私は、政府には総合的な交通政策がない、こういうことが長年いわれてきたわけでありますが、三十九年に総合的な交通問題の基本政策ができた。私は社会党でありますが、あの総理府が主管をいたしましてつくりました基本方針というのは、反対党ではありますが、きわめてよくできておる。というのは、いまの自民党政府交通問題の施策と比較をした場合に、従来の考え方からすると、一歩前進をしておる。だから、反対党であるわれわれ社会党も、いまの段階では、あの程度の施策が、各官庁で真剣に取り組んで行なわれたならば、ある程度の交通というものは完備をされてくる、こう思って質問をしたわけです。その中にも道路のことが盛んに書いてあります。建設資金関係がありまするから、一挙にはできぬと思いますが、今後十年なり十五年なり毎年毎年ひん曲げたり訂正をしたりすることのないように、まず全体的な日本全土の青写真をつくって、そうして資金量に合わせながら、これの建設を積み上げていく、こういうことが一番いいだろうと私は思います。いまもう昔の一級国道が自動車道だと、われわれはこういう観念でおるわけでありまして、まず自動車道を中心として、それに支線をつけ、あるいは地方主要道をくっつけ、市町村道を連絡させる、こういう考え方が一番いいと思うわけであります。  そこで、その肋骨となる自動車道のことをお伺いするわけですが、私も十年ばかり自動車道の審議会委員をやっておりましたが、審議会のつど一口ずつ政府に忠告を申し上げておったわけであります。と申しますのは、議員立法あるいは政府提案というので、過去十年間にわたって個々に法案が出てきておるので、現状ではやむを得ないと思うわけですが、こういうものを統合をして、自動車道は自動車道一本として、そうして一番ふしぎに思うのは、たとえば同じ自動車道のことを審議するにも、片方は縦貫自動車道審議会あり、片方は自動車国道法に基づく審議会が、これは道路審議会でやっておる。しかも対象は全く規格の同じものをやっているわけです。こんなばかなことはないじゃないか、こういう議論をしてきたわけでありますが、この各議員から提案された、あるいは政府から提案された個々まちまちの法案の統一、これを審議する審議会も、当然これは一本にすべきである、こういうふうに考えるのですが、ひとつ大臣の御所見を承っておきたいと思います。
  8. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 最初に、道路政策の問題で、社会党であるとかあるいは自民党であるとかいうことではないというお話であります。全く私はそうであると思います。国民の経済その他の活動の基盤でありますから、これは最も国民に都合のいいように、しかも経済、文化の発展に寄与するような案を立て、それを実施するということが目標でありますから、党の立場とかなんとかいうことは全然私はないもの、かような考えでやるべき性質のものであると思いますので、ひとつそういうことで御協力をお願いいたします。  それから、高速道路、いわゆる高速自動車道の問題でありますが、簡単に申し上げますけれども、いまお話しのように、従来いわゆる一般国道その他の道路整備を進めていく間に、交通が近代化され、産業が非常に発展をする、こういう段階に入りまして、いわゆる専用の高速自動車道というものが必要だ、こういうことで、数年前から、特に国会の良識をもって、いわゆる縦貫自動車道その他の路線が法律によってきめられました。これはそれなりに私は非常に将来を見越した有意義な制度の確立であったと思いますけれども、従前のいわゆる一級、二級国道、その他の地方道整備が進みますにつれて、産業、経済、文化等の伸展、また日本の国土の状況等から考えまして、一級国道以下の既存の道路の整備ももちろん必要ではありますけれども、今日の段階では欧米諸国はもうすでに先に進んでおりますけれども、高速自動車道時代に入るべき段階に来ておる。それが国全体の国土の活用にもなるし、経済の発展、文化の発展の基本的道路網になるべきだ、こういうふうな段階に来ておるという判断をいたしております。したがって、いま楯分科員からお話しのように、個々にありました従来の縦貫自動車道その他の道路網を統一いたしまして、なおこれは総合的な判断でつくられておりませんので、国土全体の総合的な高速自動車道網を策定すべきである。それは既存の重要な地点もさることながら、将来を見越した、やはり国全体を有機的に活用のできる、産業、経済、文化の有機的発展をはかるべき観点に立った高速道路網をつくるべきである。これが一挙に建設ができるとは思いませんけれども、将来の国の姿、あり方というものを、道路網を中心にして、今日の段階で策定し、それをできるだけ強力に、できるだけすみやかに進むべきである、かような判断をもちまして、現在準備をいたしております。まだここで詳細に路線等御説明する段階になっておりませんけれども、おそくとも三月、できるだけ早く国会に提案いたしまして御審議を願って、すみやかに国会でそういう方針を御可決願いたい、こういうことでいま準備を進めておる次第であります。  それから、審議会の問題がありましたが、仰せのとおり道路審議会もありますし、あるいは高速道路審議会と縦貫自動車道審議会がありますが、この点についても検討を加えたい。検討を加えますけれども、やや事の性質が違います。従来国土縦貫自動車道の審議会というものは、これは単にいわゆる従来の観念の道路でございませんで、国全体の構造をどうするか、非常に高度の路線決定でありますから、やはり従来の一般の道路審議会とは別にあってしかるべきものである、かような考え方で、いま案を進めておるところであります。
  9. 楯兼次郎

    ○楯分科員 審議会については、多少建設大臣というか、建設省のほらで私と意見が違うようでありますが、まあこれはこの次にしておきましょう。  これはうわさかどうか知りませんが、新聞等でちょいちょい見るわけですが、昨年の八月に縦貫自動車道の基本計画ですか、青森から鹿児島、それから新潟から大津に入る二千三百キロの基本計画を十カ年計画建設をするのだ、こういう、省議決定かどうか知りませんが、うわさを聞いております。これは私たちもよく外国へ行くのですが、いまや世界は高速自動車道の競争時代です。われわれが発着の飛行場に行く場合に、各国の大公使館の連中は道路を迂回をして、この国の高速自動車をひとつ見ていってもらいたい。それからその当事国の方たちも、盛んにおれの国の自動車道は見たか、こういうふうに自慢をしておるというような状態で、まさに高速自動車道の競争時代に入った、こういう感じを深くするわけです。そこで、日本で道路以外の問題でも大きな問題がありますが、この縦貫自動車道一つとっても二千三百キロですね。これは大事業だと思うのです。アメリカの例を引くのはおかしいですが、アメリカあたりは、これだけの大事業をやろうとすると、大統領が教書で数年前からこれを強調宣伝をして、国民の協力を得る。あるいはヨーロッパ諸国でもそういう例が非常に多いわけです。したがって、これは瀬戸山建設大臣の政治的手腕力量を疑うわけではないのですが、自動車道の根幹となる縦貫自動車道を佐藤内閣は今後やるんだ。十年も続くかどうかわかりませんけれども、とにかく自由民主党がこの世紀の大事業をやるのだという何らかの——欧米にまねるわけではありませんけれども、国民に不退転の決意を表明をして、国民に協力を得る、こういうことが必要じゃないかという気が最近するわけです。なぜ私がそういうことを言うかといいますと、これは陳情はけっこうですか、せっかくの大幹線になる、バックボーンになる道路でも、大臣みずから経験されているように、初めはまっすぐだ、そのうちにこの建設費がたくさん要るので、日にちがかかる。だんだん年数がたつうちに、こっちへ曲がりあっちへ曲がり、しまいにはヘビをひねくったみたいになってしまって、当初の目的と——これは中央道の場合でも、工事の困難さという点はありまするけれども、やはり曲げてしまった。これは原因と事情はあるでしょうけれども、そういう形になっていったのでは、計画をした当時と、これが完成されるときとは、おのずから性格が違っていく。最初の目的を達せぬじゃないか、こういう気がするので、総理の教書というようなことはどうかと思うのですが、何か国民に協力を得るような総理大臣発言、こういうようなものが必要であるような気がするのですが、何かいい手はないのですか。
  10. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおり、縦貫自動車道を中軸とした今後の高速道路網の建設というのは、全くこれはわが国においては世紀の大事業になると思います。夢みたいな話でありますが、これが完成いたしましたときには、国の姿というものが想像を絶するように違ってくる性質のものである、かように私は考えておりますが、青森から鹿児島まで十年計画でやるべきである。これは少し冗長になりますけれども、さような想定を立てましたのは、これは単に希望的な観測ではなくて、楯さん十分御承知のとおりに、現在の一級国道、これは四十一年度で一級国道という名前は廃止いたしましたけれども、元一級国道一万二千キロぐらいは今年度で整備舗装が完了いたします。もちろんバイパス等の第二次計画はありますけれども、とにかく一応完了する。いわゆる旧二級国道も、おおむね昭和四十七、八年のころまでには改良舗装が完了する目標で、これが現在の段階です。そのほか主要府県道、一般県道、あるいは今年度からできるだけ市町村道にも入りますが、少なくとも昭和五十年、一九七〇年ごろには、現在の道路網というものの大半は相当進んだ整備ができるわけであります。ところが、今後の経済の発展というものは、これはここで端的に申し上げるわけにまいりませんけれども、これは想像しても相当な進展を来たすべきものである。その時点になりまして、さっき楯さんもおっしゃったように、今日の段階の道路網というものはもう本格的な道路でないということでありますので、それを総合的に運営させる。これにほんとうの総合性を持たせるためには、やはりこれを統一する幹線が必要であります。ちょうどその時点にマッチするためには、少なくとも十年以内に二千三百キロですか、これを完成する。こればかりではもちろん足りないわけでありますから、今後の道路五カ年計画を改定する予定をしておりますけれども、それとにらみ合わせなくちゃなりませんが、長くつなぐ高速道路網もある程度やはり必要に応じてやるべきところがあると思います。そういう観点で、少なくともいわゆる縦貫自動車道は青森から鹿児島まで十年以内にやるべきである、こういう計画を進めようということであります。  そこで、あえていわゆる大統領声明みたいなものは出しておりませんが、今後そういう事態があり得ると私は思います。これは全く国民の国づくりといいますか、将来を目する大計画、大事業でありますから、国民的な御協力を得なければ、これはなかなかそう簡単なものじゃありません。金額はたいしたものじゃありませんけれども、そう簡単なものじゃないということをよく承知いたしております。現在やっておりますのは、御承知のとおりに全国の各関係知事さん方の協力態勢をいまつくっておるわけでありますが、適当な時点においてはやはり総理の強力な発言を求めるという場合もあり得ると思いますが、私どもはさような考えで進めておるということを御了承願いたいと思います。
  11. 楯兼次郎

    ○楯分科員 この席で五カ年計画の改定はいつごろになるかということを聞くのは無理かと思いますが、大体想定するならば、現行五カ年計画の改定はいつごろやらざるを得ないということを、ひとつお聞かせ願いたいということと、それから現行の五カ年計画の中で、高速道路の事業費は概算七百億円くらいしか新規の分としては残っておらない、こういうふうに私考えておるので、いま十カ年で二千三百キロくらいやりたいという方針に対して、だいぶこれは不足するわけです。この面からも五カ年計画の改定ということは当然だと思うのですが、その七百億円残っておる新規事業着工分では問題にならないという点と、では一体いつごろに現行五カ年計画を改定するのが適当であるかという二点を、ひとつお聞かせ願いたい。
  12. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおり、現在の五カ年計画の中では、七百億ちょっと一応予定されております。これはもう問題にならないわけであります。二千三百キロ、四車線にいたしましても四兆円余りかかるのじゃないかと思われますが、まずそれから申し上げますと、私どもがいまいわゆる青森−鹿児島間を考えておりますのは、全部これを四車線つくるといろことは必ずしも適当でない。とにかく早く貫通きせることが有効である。したがって、これはまだ今後の検討に待っておるわけでありますけれども、自動車交通がそれほど急速に増加見込みのないところは二車線でまず開通させる。必要なところはもちろん四車線区域がありますが、一部二車線のところを想定して大体一兆四、五千億、こういうふうな想定をいたしております。そういたしますと、もちろん規模は四車線を想定しておりますから、計画は四車線にいたしまして、用地は全線確保いたしますけれども、建設は部分的に二車線のところを想定しておるということで、これは正確には積算しなければわかりませんが、大体一兆五千億ないし六千億で貫通ができる。そういたしますと、財政的にはたいしたものじゃないと言うと、ちょっと語弊があるかもしれませんけれども、こういう大計画を考えます場合にはたいしたことではない。そこで、七百億云々ということではこれは問題になりません。一般道路の状況も先ほど概要は申し上げましたが、まだまだこんなものでは足りませんから、ちょうど四十一年度で御承知のとおり三年目でありますが、第四年目になる四十二年度からは、新たな道路五カ年計画を策定すべきである。これはおおむね三十九年の四兆一千億の計画をやりましたときに、当初からそういうことを想定されておりますから、四十二年度、三年くらいしたら改定しなければならぬということは、おおむね予想をして計画を立てております。これは今後の相当な課題になりますけれども、政府としては、四十二年度から改定をしようじゃないか。これは公式にはまだ決定しておりませんが、そういう心組みで私どもいま準備を進めております。そこで、四十二年度から改定するということになりますと、四十二年度の予算からこれが始まるわけでありますから、少なくとも今年八、九月ごろまでには、その改定規模をおおむねきめなくちゃならない、こういうことでいま進めておるといち状況でございます。
  13. 楯兼次郎

    ○楯分科員 われわれしろうとがざっと考えても、基幹線、縦貫自動車道の二千三百キロ、これは平均どのくらいになるか知りませんが、建設大臣は一兆四、五千億とおっしゃる。これはここでそれが多いとか少ないとかいう議論じゃないのですが、大体五カ年計画における高速道路の倍以上は見積もらなければならぬ、少なくとも倍以上は見積もっておかなくちゃいかぬ、こう思います。  それから、これは十年前からいろいろ議論をしてきたのですが、高いので、やれ雪だ氷だというので議論してきたモンブランの——イタリアのアントレーブからモンブランに抜ける隧道が一番かかると思うわけです。あそこの隧道が一昨年ですか昨年ですか抜けたわけですが、あの一キロ当たりの建設費はどのくらいか、わかったらついでにお聞かせいただきたいと思います。  それから、これはだれしもが考えることですが、日本では——これは部分的の建設であるからという原因もあるわけですが、有料道路としては無理だと思うのです。また有料道路として自動車道の建設をするということになると、どうしてもベルト——東京でいえば太平洋ベルト地帯あるいは大都市の密集した地域でなければ、これはペイしないので、これは建設費のまかない方といいますか、それを根本的に変えなければいけないと私は思うのです。この間名神自動車道の料金を半分に下げたら、また車が倍になるだろうということを私は言ったのですが、いま二十五年くらいの償還で建設をしたのでは、日本の実情から、全部が開通をしておらないという原因もありますが、これはもう採算に合わないので、だめだと思います。それからその利用者のほうも、こんな道路をつくっても何もならぬじゃないか、それより一級国道をいろいろやったほうがいい、こういうさか立ちの議論が起きてくると思うので、四十二年度からもし五カ年計画の改定をやられるというならば、自動車道については建設費のまかない方を根本的に変えなければならぬと私は思います。特に国土の普遍的開発というような面からいけば、やはり先行的な投資ということも十分考えていかないと、目的を達することができぬと思いますので、どのくらい入るかわかりませんが、独立採算制じゃなくて、国費の大幅な投入というものが必要であるし、絶対条件であるというふうに私は考えるわけですが、こういう点、建設省はどうお考えになっておるか。
  14. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 モンブランの隧道の工費などについては、どの程度知っておるか知りませんが、技術的な問題がありますから、あとで道路局長からお答えすることにいたします。  有料制をどうするか、これは全くそのとおりでありまして、いままでいわゆる有料道路政府がつくりましたのは、楯さん御承知のとおり、非常に道路交通がふくそうするところ、一種のバイパス的な考え方で、かといって、一般会計ではなかなかそういう道路を急速に建設することができない。そういう意味で有料制を加味して、そして料金を負担してもらいながら利用者もこの建設に協力してもらう、こういう考え方の、いわゆる有料道路制であります。したがって、区間区間、いわゆる短距離のものが主であったわけであります。その一つの名神は、これは将来を想定して一番ふくそうしそうなところ、直ちに利用のできそうなところということで、あれはやったわけでございますが、今日の状態は御承知のとおりであります。これはきょうは申し上げませんけれども、四月からもう少し料金を改定して、何とか利用する体制をつくりたいといま準備を進めておりますが、いまおっしゃったとおり、将来を目する日本全国の高速自動車道が、ああいう考え方、今日の有料道路制でできるとは思っておりません。また適当でない。これはまた資金構成について重大な問題がありますけれども、いずれにしても、これはいま考え、いま行なわれております有料制の高速道路というものは根本的に再検討する、これは今後の検討事項になっておりますから、いまどういうふうにいたしますということは申し上げかねますけれども、もろちん、有料制にするならばどの程度に有料制にするか。これは利用しなければ話になりません。産業、経済の運行がこれによって有利にいくという体制をつくらなければ意味がないわけでありますから、根本的に従来の、現行の有料制とは違った形をつくるべきである、かような基礎的な考えをもって、いま検討いたしておるところであります。
  15. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 モンブラントンネルでございますが、手元にある資料によりますと、延長十一キロ六百で、工事費は、換算いたまして百十三億一千九百万円、キロ当たり大体十億くらいになっております。もちろんこれは二車線でございます。  そこで、これは私どもの感じでは、日本で考えておりますよりはやや安い。それは換気のやり方が向こうは少し違いまして、ある程度交通量がふえますと、中に入っております自動車をむしろ規制する、こういう形のようで、換気については、われわれが考えておりますより非常に簡単な方法でやっておるという点に、一つの原因があろうかと思います。
  16. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 二千三百キロのあれの考え方を、簡単に道路局長から……。
  17. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 二千三百キロの、青森から鹿児島まで参ります道路につきましては、大体二千三百キロで、事業費が、先ほど大臣からお話しございましたように、一兆五千億ないし六千億と考えておりますが、これは交通量の多い区間はもちろん四車線でやりますが、当分交通量が少ない区間、これはかりに四、五千台以下の区間につきましては、用地関係は全部四車線の用地を確保しまして、ステージ・コンストラクションと申しますか、私どもそういう考えで、とりあえず二車線を築造して、交通量がふえるに従いまして四車線の道路にする、こういう方法で検討いたしますと、ただいま申しましたように、大体一兆五千億くらいかかるわけであります。これはどうしてそういうふうになるかといいますと、とりあえず二車線でやります区間といいますのは、どちらかといいますと交通量の少ない区間、四車線でやります区間交通量の多い区間でありまして、御承知のように、都会地あるいは都市周辺の区間が多うございます。そういうところにつきまして、構造がどうしても高盛り土式あるいは高架構造というものが多くなるということで、勢いわが国におきます事情におきましては、そういう構造的に工費が非常に高くなるという事情がございます。したがいまして、外国に比べますと、確かに御指摘のとおり、築造費が高うございます。私どももできるだけその構造的な問題を解決いたしまして、そのためには、周辺の農地等、土地区画整理事業との併用等を考えまして、少しでも安くするということを検討してまいりたいと思っております。そういう点で、各地方地元と十分その御協力を得た上でやっていきたいというふうに考えております。
  18. 楯兼次郎

    ○楯分科員 この自動車道建設について、国費の何割かの投入、料金を根本的に変えてもらいたいということは、私は、去年一年災害対策特別委員長をやりまして、北海道を除く日本全国を歩いたわけであります。ところが県知事さん、市長さん、地方の有力者が集まって、自動車道無用論をやるわけだ。無用論というのは、一級国道がみんなじゅずつなぎです。ところが料金が高いから入れない。だから無用だ。非常に危険だと思ったのは、列席をされておる建設省の出先機関も、これに同調しているということだ。これでは、もう五年、十年先にいったら、また日本の道路があふれておる、もの笑いになる。料金が高いから、ふくそうをしながら車が入れない。その現象を見て、建設省の出先まで同調しておったのでは、これはえらいことになる、こういうことを痛感したものだから、この間の本委員会でも、あなたにそういうことを言ったのです。だから、これは改定のときには、将来自動車道を議論する場合には、真剣に根本的に議論をしてもらわぬと、親の心子知らずといいますか、議論がさか立ちしてしまう、こういうふうに思いますので、この点を十分勘案して、やってもらいたいと思います。  それから、料金を払う利用者も、道路をよくするのだというのでガソリン税を取られて、自動車道に入ったらまたべらぼうな料金を取られる、これは二重課税です。諸外国の自動車道なんかの例を、詳しくはないのだが、ちょっと聞いてみますと、やはり三割か四割は国費の投入をやっているように聞いております。だから、そういう点を十分考えてやっていただきたいと思います。  終わります。
  19. 荒木萬壽夫

  20. 大原亨

    大原分科員 私も、いま楯分科員からお話しになりましたことについて、平生から考えておる点をひとつここで議論をしたいと思います。  大臣もお話しになりましたように、国土開発のために、高速自動車道の時代に入っておるのである、こういうことであります。これは各国の例を引かれて、お話が質疑応答の中で繰り返されたわけですが、私どもはそういうふうに思います。したがって、何といっても、第二次大戦までは富国強兵政策で、国土開発住宅その他、公共投資に対する投資がおくれておるわけでありますから、そのしわ寄せが、今日過密都市あるいは交通戦争というような問題にもなっており、あるいは都市と農村との格差の問題になっておるし、いろいろな物価問題等にも反映をしておる、こう思います。したがって、この問題については総合的一元的に計画を立てて、そして計画的に開発を進めていくことが大切だと思うのです。特に私が最初に強調したい点は、道路は非常に切実な問題ですから、何といっても市町村や県知事、県会議員その他みんなの運動の対象です。したがって、これはやはり陳情政治という大きな弊害をもたらしておって、この陳情政治というのは、事務の渋滞、非能率等に悪循環をすると私は思うのです。陳情政治はいろいろな形で——選挙等ではいろいろ宣伝の材料になるわけですが、しかしこれを払拭しないと、やはり政治に対する信頼も出てこない、こういうことであります。したがって、そういう総合的な国土開発計画を立てる際には、客観的に技術的に全体の構想を示しながら、やはり住民が納得できるような形で順序よく仕事を進めることが、私は必要だと思うのです。そういう全体の構想を示すということは、中央の政治の一つの大きなバックボーンとして進めること、これがむだなく国費を使い、かつ住民が納得し、あるいは将来に対して、農村は農村なりに一つの展望やイメージを持つととができる、こういう面において、私は必要だと思うわけであります。したがって、道路に対する総合計画を立てるということを早急にやってもらいたい。これを何年計画かで進める、これを繰り返していくということは一つの方法であるし、進歩した形でありますけれども、やはり相当長期の展望を持った全体の国土開発計画を立てることが必要ではないだろうか。これが第一点であります。陳情政治の繰り返しをひとつ克服していかなければならぬ、こういうことが一つです。  それからもう一つ御意見を聞きたいのは財源についてです。財源は、部分的な観光道路などで——二重課税の話がいまありましたが、観光道路などで有料にするというのはいいのですが、こういう国土全体の開発をする際に、有料の前提となるような財源措置については、私はやはり再検討しなければならぬのじゃないかと思うのです。一兆五千億円の財源は大体どこから導入をされるのか、これら二つの点について、大臣の見解をお聞きしたい。
  21. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いわゆる陳情政治の弊害は、おっしゃるとおり、実は私ども率直に言って、あまり陳情してもらいたくないのです。それは、陳情で実情を承って、なるほどということもなきにしもあらずだけれども、多くはもう国内の事情はよくわかっておりますので、ほんとうは、それほどわんさと陳情に来てもらわぬほうがいい。ほんとうは、陳情に来られないから、やらないということじゃないのです。たまたまそういうところもあるかということに気がつくことなきにしもあらずでありますが、原則として、陳情は無用のことだと思います。ただ、これはざっくばらんに申し上げて、いろいろ選挙その他の関係があるものですから、われわれ当事者も、それはできることがわかっておっても、陳情してこうなったのだということを示すためにやられる場合が、私はたくさんあるのじゃないかと思います。わかり切っていることでも、こういうふうにしたからできたのだよという、何といいますか、そういう面における実績をつくりたいという感じがどらもあるのじゃないかと思います。これはざっくばらんな話です。  これはこれといたしまして、将来の展望を与える——私どもはさっき皆さんから御同意、御鞭撻を得て非常にありがたいのですが、たとえばいま申しておりますように、高速自動車道も、この際国家的にきめてもらいたい。これは現在の各種法律であります縦貫道をはじめ約五千キロあります。これはしかし部分的にできておりますから、総合性のある将来の国のほんとうの大動脈がこういうふうになって、したがって将来はこういうふうな国土の使い方ができますということを示したいためには、七千キロあるいはややそれをオーバーするかもしれませんが、そういう想定で、私どもはいま網の検討をいたしております。しからば率直に言って、従来のような考え方でいきますと、そんな金のかかる道路をいま七千キロもきめて何の意味があるんだ、という論もなきにしもあらずだと思いますが、すぐできるわけではございませんで、少なくとも三十年くらいは一応予定していかなければならぬと思います。しかし将来はやはりこういうふうになるんだということを、またこういうふうにすべきだということを、国民全体で理解しておるということは、私は非常に必要だと思う。したがって、農業政策も、その他の都市建設、産業政策も、そういうものを頭に入れて、将来全体のバランスのとれた国をつくるんだという、いわゆる国民の気魂というものが必要だ。そういう意味においては、この際この新時代に入る場合に、やはり国会でそういう方向を示されて、また政府もそれを示すということが必要だという意味で、私どもはそういうおっしゃるような構想をどうしてもことし立てて、それを御確定願いたい、こういう気持ちであります。  たとえ話をして恐縮でありますが、明治初年から、御承知のとおり新時代に入って、明治時代だけで七千キロの鉄道網をつくっておるのです。そのくらい、あの時代に七千キロの——その後相当伸びておりますから、いまのキロ数は私よく承知しておりませんが、楯さんあたりは御承知かもしれませんけれども、しかし少なくとも明治の、貧弱というとおかしいですけれども、躍進の時代には、あの鉄道網を七千キロつくっておる。ですから、今日七千キロ前後の道路網をつくるということは、これは格段に違った時代でありますから、もう今日の段階では、これを驚くべき計画だということは、私どもはないと思っております。しかも、やはりいわゆる民主主義の国でありますから、将来国民全体がそういう国をつくりたいという気魂を持つために、この際こういう構想を立てたい。これはいろいろと学識経験者の意見もいま内々聞いておりますが、私どもの構想ができましたら、もちろん国会においても、またその他の学識経験者にも、公にこれを検討してもらうわけでありますが、そういうことが必要であろうと思う。ただそれを建設するについて、先ほど有料制云々ということについては申し上げましたが、これを全部無料でつくるということは、実際上なかなか困難であろうと思います。しかし、従来のような考え方の有料制はこれは活用されない、また意味をなさない、かような基本的な考えを持っておりますから、それではそれを実現するためにはどういう資金構成をとるか、これも相当にむずかしい問題でありますが、そういう基本的な考え方に基づいて資金構成をいたしたい。さっき申し上げましたように、いまそれじゃどういう資金でどうするんだということは、まだ検討を要しますから、ここで申し上げられませんが、これは衆知を集めて、皆さんの御意見等も聞きながら、策定すべき問題だと思っております。もろちんそれについては原則的に申し上げて、いわゆる一般国費をここに導入する、借金だけではないのだ——公債は借金だということになると、借金になるかもしれませんけれども、やはりそういうやり方をしなければ、賃取り道路だけでは、将来の国をつくる道路というものには適当でない、かように考えておるわけであります。
  22. 大原亨

    大原分科員 私は、その点は突き詰めては議論していないのですが、財投から資金を導入していく、こういうことだと思うのです。そうしてそれに国費を加えていくという考え方に、大臣は御同意になったと思うのですが、たとえば、これは党の方針というようなことじゃないのだが、公債にいたしましても国債にいたしましても、こういう道路のような長期計画を立てたものを、いまの世代の者がどれだけ分担するかということで、やはり国債の方式を導入して、現在の段階で八千億円ほど公共事業があるから、七千三百億円は、公債でやれば建設公債だということではなく、ちゃんと、道路なら道路の総合計画にくっつけて公債を発行して、そしていまの世代では、特に本年はどれだけ分担するんだということをやれば、償還計画も立つわけです。財政規模との関係で、償還計画が立つ。そうすると、財政法の四条にぴったり適合するんじゃないか。そういう方式を、私はやはり国債を発行する際に議論すべきではなかったか。この間公聴人の意見を聞きましたら、去年より公共事業が千四百億円しかふえていない。それに七千三百億円の国債を発行するということは、これは赤字公債だ、こういうことをはっきり言った学者がおるわけです。これは民社党推薦の大阪大学の人だと思うのですが、ぼくはそういう議論は、市中消化云々ということを含めて、絶え間ないと思うのです。いまの時点で、このことが長期にわたって日本の発展のために必要だということで、国債を縦に展望しながら見ていって、その目的を持った国債を発行していくんだったら、年々それを返していけばいいんだから、償還計画も対象物に従ってきまるわけですから、私はそのほうが議論としては筋が通るのではないか、こういう議論で将来議論をしていただきたいと私は思うのです。いろいろ国債の議論をしておりまして、私の意見として申し上げておきます。  それから、縦貫道、横断道の問題が議論になって、総合的な立法をやるのだということでありますが、いままで、たとえば九州横断道とか中国横断道等で、非常な地元の熱心な要望でできたのですが、これにもいろんな弊害が伴ったのでしょうが、それらの総合計画を立法化する、こういうのは大体いつごろ法律が出るのですか。  それからもう一つ、いま楯委員の質問に答えられましたが、つまり十カ年計画の基本計画ですか、十カ年の一兆五千億、その展望を示すめどを、一応大臣からお話しになったのですけれども、それについても、もうちょっと具体的にひとつ御答弁願います。
  23. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 高速道路網の統一的な法律をいつ出すかというお話でありますが、さっき申し上げましたように、目下その準備をいたしております。私どもの考えでは、三月中旬までには国会に、あるいはそれは時間が多少前後するかもしれませんが、三月中旬ごろまでには提案をいたす、こういう心組みで、目下準備を進めておるわけであります。  それから、いわゆる青森——鹿児島間を十カ年でやるべきだ、そういう想定で進めたい。これは大原さんの御趣旨がどういう点かわかりませんけれども、これは次の改定五カ年計画でどのくらいやるか、その次どのくらいやるか、これを検討いたしませんと、いま直ちにこういうふうにということは申し上げかねるわけでありますが、次の五カ年計画で相当部分進めなければ、その目標は達成できませんので、基本計画等については道路局長からお答えいたしますが、全体計画としては、今度改定しようとしております五カ年計画でどのくらい消化するか、その次にどのくらいと大筋をきめて、今度の五カ年計画を策定したい、こういうふうに考えております。基本計画等については道路局長から答えさせます。
  24. 大原亨

    大原分科員 いまの点、こういうことを質問したのです。楯委員の質問に対して、縦貫道は十カ年で新潟、米原、大津、それからもう一つは鹿児島から青森まで、そういう完成目標をつくるんだ、縦貫道についてはこういうお話があったのです。その費用として一兆四、五千億円、こういうお話もあったのですが、この基本計画はどういうふうにきまっていくのか、その目標として設定していることについて間違いないのですか。
  25. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 国道の全体の二千三百キロの基本計画でありますが、昨年十二月に千五百四十キロ決定いたしました。その残りについての基本計画の準備でございますが、現在調査をいたしておりますし、若干やはり四十一年度に継続いたしまして調査しなければならぬかと思っております。私どもの考えでは、いずれにしても十カ年で完成するわけでありますから、手続として、基本計画を出し、整備計画を出す、こういう順序になりますので、調査が済み次第、できればまとめて基本計画を出したい、こういうことで調査を継続いたしております。
  26. 大原亨

    大原分科員 質疑応答の中で、とにかく一兆四、五千億円の予算を使って、いまの二千三百キロメートルの縦貫道については、具体的に十年の間には展望をきちっとつけたい、こういうことで、楯委員の質問に対する大臣の御答弁の中に、四車線、二車線という問題等も含めて、とにかくやるんだ、こういうことを言われたわけであります。五カ年計画の中にはこれは七百億円くらいしか入ってないわけですから、改定しなければどうもできないわけですが、それらは、やるといっても具体的にどうしてやるんだ、どういう準備でやるんだということがあるわけですが、それはともかくとして、いまの四十一年度中にはその展望をきちっとつけたい、こういうお話であります。そこで、高速道路法ですか、この法律で、とにかく基本計画整備計画があるわけですね。この整備計画というのはいつごろおつくりになるのですか。
  27. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 整備計画は、高速自動車国道法による手続でありますが、これについては、基本計画がきまりました区間について整備計画を出す、これの調査を現在並行してやっておるわけであります。そしてこの調査が済みまして、整備計画を出せる準備が整いましたものから整備計画をきめていきたい。この整備計画がきまりませんと、施行団体であります日本道路公団に対して施行命令を出すことができません。施行命令が出ませんと、せっかく建設事業費を見ましても、その事業に着手するわけにまいりませんので、具体的に区間をきめまして整備計画を出していきたい、こういうことで、ただいま鋭意準備中でございます。
  28. 大原亨

    大原分科員 これは本年中にはできるのですか。
  29. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 本年中に一部出したいということで準備いたしております。ただ、どの程度の区間がまとまるかということが、本年度もあと一カ月余しかございませんが、なお若干時日を要しますので、本年中に出せるものはどのくらいあるかということを、なるべく早く事務的にまとめまして、大臣とも御相談の上、処置を考えたいと思っております。
  30. 大原亨

    大原分科員 整備計画によりまして、建設費はどのくらいかかるか、開通の時期はいつか、こういうことが具体的にきまるわけでしょう。場所的にもきまるわけですね。そういうことは、なかなか本年だけの予算の時点ではきめにくい点もあるのですが、総合的にすみやかにきめてもらいたい。それから昨年もいろいろ議論したのですが、私は最初に言ったのですが、陳情政治ということで、あの線だ、この線だということで政治問題化することはできるだけ避けて、合理的に科学的に客観的にやってもらいたい。これは縦貫道、横断道を含めてやってもらいたい。そうでないと、これがどこを通るかということの利害問題でもめることがあると、非常に困るわけですね。それで、昨年議論した中でその後の経過をたどってみますと、たとえば国土縦貫道、鹿児島から青森まで、その中の中国縦貫道の基本計画の中で、基本計画は市ぐらいの単位できまるそうですけれども、最終点で千代田をやっておるわけです。千代田から山口県の鹿野へ飛んでいるわけです。そこら辺は北線ということで、国土開発の観点からやるのだということにおきめになったわけですけれども、そういうブランクのところについても、合理的に早く方針をきめてもらいたい。これについて、そういう合理的な議論の中できめていったほうがいい。それから、やはり技術的に可能、不可能を含めまして、そういう点はきちっと早めにきめないと、長く引っぱっておくと、どうしても陳情、陳情ということになって、やはり困る。そういう点では具体的に十年計画の中でどうお考えになっているのですか。
  31. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、千五百四十キロ残余の区間の中に、千代田−鹿野問約百キロ含まれているわけでございます。これにつきまして、先ほど申しましたように、ただいま調査をやっておりますし、四十一年度に若干調査を継続いたしまして、いまお話しのように、私どもといたしましては、できるだけ技術的に千代田線の問題について決定したいという考えを持っております。
  32. 大原亨

    大原分科員 いままで示された方針に基づいて、これが促進をされるというふうに、私は一応理解しておきます。  問題は、もう一つ前の財源問題にまた返るのですが、たとえば名神道路でも、値段を下げたら利用者が多くなってバランスがとれる。いまのように、名神道路みたいなところでも、とにかくあんな交通の激しい、観光者も多いだろうと予想されるところでも、赤字だというふうに言われる。一体どのくらいの見当違いか。採算ベースで言えばどのくらいのギャップがあるのですか。それから、そのことをやってみますと、たとえばトンネルのことも、モンブランの話が出たので議論したいと思うのですが、たとえばトンネルを無統制にたったたったずっと入らせるということになれば、それは換気装置も要るでしょうが、いま道路局長のモンブランの話を聞いたら、入るのを規制して、まんべんなく入っていくように、ずっとしていけば換気装置も要らぬということになれば、原価が違うということで、半分以下、三分の一ぐらいの値段でやっておるということが言われております。だから、そういうこと等もあると思うのですが、それはともかくとして、やはり山の中を通るところはべらぼうに一キロ三十円というふうな原価計算があるわけですね。そういたしましたら、五百キロで、たとえば下関から大阪まで一万五千円料金を払わなければならぬということになる。これは全国をプール計算して、しかもこれはいま大臣が言われたように、やはり方向としては国費をできるだけ投入する、あるいは無料に近づけていくような方針でやられるのでしょうが、有料だということになると、道路だけできた、何のためにも使われない、こういう結果になってはいけないので、その点について十分議論をされて、そして納得できる方針を立てる時期に来ておるのではないか。名神道路のそういう、見当違いとは言わぬけれども、収入の見込み違いの問題、それから全国一律で料金をきめるのかどうか。その際には名神道路以下の料金ということが、私は十分あり得ると思うのです。それで全国的にきめて、国費の計画的導入あるいは財源措置について総合的な検討をしながら、開発のために役立つような道路をつくっていくべきではないか、こういう二、三点について、ひとつお答えいただきたい。
  33. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 名神高速道路の利用状況でございますが、最近三カ年間の実績を申し上げますと、一日平均の全線交通量が約七千七百台でございまして、当初計画いたしておりましたものに対して七三%にあたっております。これを収入の金額について申し上げますと、一日平均の料金収入が約千四百万円でございまして、これは計画に対して約六四%、こういうようなことで、御指摘のように、かなり当初の計画より下回っております。その一番大きな面は、車種的に言いますと、トラックの利用が少ない。これが当初の四割ぐらいであるということが顕著でございます。ただ最近の状況でございますと、前年に比べまして、トラックの伸びもかなり上昇しておるようでございます。しかしいずれにいたしましても、当初の見込みとそのような違いがございますので、ただいま検討いたしまして、何らかの策を考えなければならぬ、かように考えております。  それから料金についてでございますが、名神の料金は、他の一般有料道路と比較いたしますと、かりに一キロ当たりの料金で申しますと、平均的に安くなっております。たとえば小型の自動車で申しますと、乗用車で一般有料道路では八円ぐらいでございますが、小型では七円、名神は七円五十銭でございます。普通の乗用車でございますと、一般有料道路がキロ当たり十三円四十銭、名神が九円五十銭になっております。トラックは、普通の貨物自動車が、一般有料道路ではキロ当たり十五円二十銭でございますが、名神高速道路では十一円五十銭、かようになっております。いまお話しございましたように、こういう長距離の高速道路でございますと、トンネルだけの料金という考えではございませんで、もちろんならした料金でございますので、キロ当たり、トンネルのコストを掛けまして三十円取るというふうなことは、料金制度としては、私ども考えておりません。ただ今後全体の高速縦貫道でやる場合に、どのような料金の体系でいったらいいかということは、先刻来お話しのように、非常に基本的な問題がございますので、そういうことを含めまして、名神はその一つのケースといたしまして、私どもも今後のことを十分検討していきたい、こういうつもりで勉強いたしております。
  34. 大原亨

    大原分科員 トンネルは、たとえば関越とか中国とかあるいは東北とかいうのが多いでしょう。ずっと中央線でも多いでしょうが、トンネルと橋ばかり続くところがあるでしょう。そういうところは、トンネルなんか、日本ではどのくらいコストがかかるのですか。
  35. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 トンネルのコストは、大きく支配しますのはトンネルの延長、それも五百メートルのトンネルであるか、二キロであるか、八キロであるか、それによって全然コストが変わってまいります。それからもう一つは山でございます。地質でございます。先ほどモンブランのお話を申し上げましたが、モンブランは十一キロ六百でございますが、山が非常によかった。それで全断面掘さくはよくできた。山がいいということは、トンネルのコストに非常に大きく影響するものでございます。それから十一キロ六百で、たとえばわが国の山でやりますと、キロ当たり二十億ぐらいかかるというものが、先ほど申しましたように十億ぐらいでできておるという差異は、一つは山の問題があるかと思います。もう一つは換気の設備でございます。換気の設備は、いまお話のございましたように、また先刻私も申し上げましたように、換気の程度を、何といいますか、非常に簡便に考える。たとえば交通を規制して、それ以上車を入れないような規制をするか、あるいは車線の持っております許容交通量に対して安全な空気を送るか、ということによって、非常に変わってくるわけでございます。簡単に申しますと、トンネルを一本掘りますと、おそらく道路断面と同じくらいの換気断面が要る。大体八キロ、十キロ級の道路になりますと、二車線に必要な断面と同じくらいの断面の換気装置が要る。モンブランの場合はそこを考えまして、相当高価な仕事でございますので、その辺の換気について非常に節約といいますか、交通量のほうで制限するというような考えをとったようでございます。その辺に、日本でやる場合と——日本はこれからやるわけでございますが、いままで考えておりました場合との差があろうかと思います。それらにつきましても、当初は換気を、交通量が非常に少のうございますから、二車線でトンネルをつくり、換気についても設備を簡素にするということで、当初コストを安くする方法はございますが、いずれやはり全線かなりの交通量が通る時期になりますれば、おそらくモンブランでもそういう時期が来るかと思いますが、換気についてはやはりそういう設備が要るであろうということは、技術的に予想されるところでございます。
  36. 大原亨

    大原分科員 日本の場合は十キロぐらいでどのくらいですか。
  37. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先ほど申しましたように、大体八キロ以上になりますと、キロ当たり二十億ぐらい、もちろん完全な換気も含めて、そのくらいはかかるであろう、大ざっぱな計算でございますが、そういうふうに考えております。
  38. 大原亨

    大原分科員 それで非常にトンネルとか橋が多くて、ばく大な経費を要するということで、これが有料ではたいへんだということも、一部心配をされておるわけです。しかしその点は今後議論をしながら総合的に、全体的に解決をする、建設大臣もこういうお気持ちがあるようでありますから、その点はひとつ十分、国土開発という観点で納得できるようにしてもらいたいと思います。  一つだけ道路局長にもお尋ねするのですが、山口県の鹿野から千代田まで、トンネルや橋が多くて、コストがたいへんだというので、これはできないかもしれないという話がある。技術的に不可能なことがあるのですか。それから、それは縦貫道だからできぬことはない、あそこがなかったら、途中だけヘリコプターで飛んでいくわけにいかないから、できぬことはないだろうが、技術的な問題について議論が相当あるようですが、あなたのほうの考えはどうですか。
  39. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 技術的にできないというところじゃないと思っております。問題は、やはり建設費に非常に差異があるかどうかということ、あるいは気象的にどうであるかというようなことであろうと思います。ただそれだけでは判断できませんので、そういうことも含めまして、ただいま総合的に検討しております。
  40. 大原亨

    大原分科員 次の問題ですが、広島平和記念都市建設法、長崎国際文化都市建設法というのが、御承知のとおりできております。前のほうは、調べてみますと、昭和二十四年八月六日、長崎のほうは昭和二十四年八月九日にできている。一部伝えられるところによると、これはやめてしまえ、こういう話があるやに聞くのですが、これは事実はどうなのですか。
  41. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 そういう話が公式にいろいろ論議されておるということは、私はよく承っておりません。ただ問題は、ああいう種類のものは二十数種あるのではないかと思います。あの当時、各地にそういうものができました。もろちんそれほど効果のあがっておらない立法もあったと思います。たとえば観光都市とか、住宅都市とか、いろいろあるわけであります。ただしかし広島、長崎はああいう事態でありましたから、また呉の旧軍港都市の再建に関する特別措置法、そういう法律は、私は非常に効果があったと思っております。ただ問題は、二十数種類ある独立の立法のために、多くの報告書というものが国会に出されることになっておりますから、これは非常に煩瑣というと語弊があるかもしれませんけれども、事務的にも煩瑣な仕事を要求されておりまして、そういう報告書を国会に出したからといって、これを詳細に検討されるかというと、私は、ざっくばらんに申して、そういうことはない場合が多いのではないかと思います。そういう点もありますから、ある程度整理をしてみたらどうか。たとえば芦屋国際文化住宅都市建設法とか、あるいは軽井沢国際親善文化観光都市建設法とか、いろいろたくさんのものがありますが、今日の段階では、もうあの当時と時代が違っておりますから、相当進みもいたしましたし、新たな構想で近代的なやり方もしなければならない、こういう事態でありますので、そういう煩瑣な手続等がありますから、ここで一ぺん再検討してみたらどうか、こういう意見は私も出しております。しかしまた、残しておかなければならないところもあるだろう。現在まだ整理統合を積極的に検討しておるという段階ではありませんが、そういう煩瑣な手続などをもう少し簡素化する必要があるのではないか、こういうことは検討してみたいと考えておるわけであります。
  42. 大原亨

    大原分科員 私も大臣の御意見に一部賛成なのですが、たとえば、だらだらやっておってもこれはしようがないのじゃないか、あってもなくても同じじゃないかという議論は成立すると思うのです。そこで、広島と長崎の特別建設法は、たとえば広島の建設法も長崎も同じようなんですが、「恒久の平和を誠実に実現しようとする理想の象徴として、広島市を平和記念都市として建設することを目的とする。」、長崎のほうは「国際文化都市として建設することを目的とする。」、こういうふうになっております。それから、どういう中身があるかというのを調べてみますと、特別助成で、国有財産のうち普通財産を平和都市建設のために譲渡するとか、あるいは事業の援助について、国及び地方公共団体は、事業促進と完成のためにできるだけの援助を与えなければならぬ、こういうふうな倫理規定みたいなものがある。  私がこのことを特に取り上げたのは、前の予算委員会の総会で、原爆の問題は日本国民の問題だ、スラム街対策についてもひとつ考えてもらいたい。これは特殊な吹きだまりの問題じゃないか。この平和都市建設法や都市計画によって、ばく大な道路やその他あき地をつくるような計画で、地元の大きな負担においてやったわけであります。これは大きな広島、長崎の都市計画を相当無理してやっておる。その吹きだまりが、たとえば広島で言えば、五、六千世帯も不法建築のような形で、もとの軍用地とか、そういうところへ集まっておるということであります。一方では相当ばく大な経費を政府が支出されまして、二十年目ですけれども、去年から原爆被爆の実態調査を、ことし集約するということで、やっている。これは厚生大臣からも答弁があったのであります。それに基づいてすみやかに総合対策を立てて、戦後二十年であるけれども、唯一の被爆国としてやはりこの際けじめをつけようじゃないか、こういう政府の御方針であります。私はそれこれあわせ考えながらこの法律を読み返してみまして、特別法といっても、そういうことで、これらの一つの法律に基づく対策として、この問題を一つのけじめをつける意味においても、この問題等を考えてやるべきではないだろうか、こういうことを私は想像して、こうすべきじゃないだろうかというふうに考えたわけであります。  そういう広島市の平和都市建設の中で、残るところは、原爆スラム街の問題とか、あるいは比治山の西部のほうの段原地区で、火事になったらたいへんだというところがあって、都市計画では三十六メートルの道路をつくるというけれども、五、六メートルの道路しかない、いまだににっちもさっちもいかないというところもあるわけであります。それらを含めて、この際やはり総合計画を立てて、国もその点については、平和都市の仕上げとして、国有財産あるいは河川その他を含めて、努力をしてもらうことが必要じゃないだろうか、こういうふうに思ったわけです。ひとつそういう意味において、広島、長崎の特別都市法というものを生かしていただく、こういうことについて、私の意見を申し上げて、大臣の見解を聞きたいと思います。
  43. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 先ほども申し上げましたように、そういう各種の特別立法の中で、一番効果のあがったのは、私は広島、長崎であったと思います。私も先般久しぶりに広島へ参りましたが、町全体としては非常な改革発展がなされておって、実は喜んだわけでありますが、まだまだこれが完了しているとは思っておりません。ですから、かりにこういう法律全部を検討するとしても、これを全部廃止するなどとは全然考えておりません。先ほど申し上げましたように非常に不要なもの、そのために事務が非常に煩瑣になっておる、不必要と思われるような仕事を役所がやっておるというような部面もありますから、そういう点は一ぺん整理するという意味で、検討してみる必要がありはせぬか、こういう考えを持っておりますけれども、そういう有効な法律を全部廃止しようなどとは全然考えておりません。いまお話しのとおり、広島あたりでは——あの市をちょっと見ますと非常にりっぱでありますけれども、まだまだいまお話しのようなスラム街があちこちに残っておる。これは大原さん御承知のとおり、それぞれ進めておりますけれども、まだ相当残っておる。これは区画整理あるいは住宅の改良等を進めて、できるだけ早くこういうその当時のきずを整理をしたい、かように考えております。  この間もお話し申し上げたわけでありますけれども、特に太田川流域に数千戸のいわゆるスラム化された場所が残っておる。その他にもありますけれども、あの地帯は、その当時残されておりましたいわゆる国有地と申しますか、河川敷あるいは公園地等に、ああいう事態でありましたから、居ついておる。非常に厳密な意味で申し上げると、不法占拠したような形になっておる。しかし、長い間居住をかまえておりましたから、不法占拠という単なる理屈だけでは解決できない、いまこういう事態であるわけであります。したがって、私どもはその理屈だけでなしに、何とかそういう住民の人の都合も考え、そしてここを改良したいということで、いま検討さしております。それから、特に太田川、あの部分の河川改修が残っておりますから、河川改修というものとかみ合わせて、財政的といいますか、住民の人たちの立ちのきができるような方法を考えようじゃないか。そしてあの地域の改良をはかる。もちろんこれは地元の人の積極的な御理解と、それからそれに対する御協力を得なければなりません。県、市はもとよりでありますけれども、住民の皆さまの理解と協力を求めて、国もできるだけの知恵を出して、これを早く解消したい、こういうふうに考えておるわけであります。その点について、事務当局にも、そういう意向で、私は、積極的に検討をするように伝えておるわけであります。
  44. 大原亨

    大原分科員 大臣の御答弁、御趣旨よくわかりました。つまり生活力のある者はよそへ行ってきちっとやる、そして表面に出ておる。それから生活力のない者は、バラックの中へ住みついて、そのままになっておる。しかし、その中には地域によってピンからキリまであって、いろいろな事情があって、市民感情からいっても、これは放任するのはけしからぬという感情もある。しかし、被爆者その他生活力のないような人が、細々とそういう吹きだまりに集まっておるということも事実である。あるいは全体の都市計画の中で、段原地区のように、にっちもさっちもいかなくなったというようなところもある。ここらでやはり相当各方面が協力して、英断をもってやらなければならぬという事態があるのではないか。これがやはり一つの政府の政策としての仕上げではないだろうか。だから、追っ払って仮設住宅をつくっても問題解決にならぬ。金を使ったわりに効果はあがらないということもあるわけです。これは低家賃の公営住宅をつくったほうがいいのではないかという議論が出てきます。  それから、スラム街の解消の問題で、未解放部落等も広島等にあるので、県知事等も努力されて、市長も努力されて、相当進んでいる面があるのですが、たとえばこういう原爆スラム街を解消する際には、土地改良法の現地主義で、現地で建てなければこれは適用にならぬというようなことははずさないと、全体の中ではできないのじゃないか、こういう議論等があるわけです。これは政府委員のほうでお答えいただきたいのですが、そういう点も法律の運用上考えてもらったほうが進むのだ、こういういろいろな議論が出ておりますが、そういう問題につきまして、政府委員のほうの見解を承りたい。
  45. 尚明

    ○尚政府委員 広島にスラムの数が相当多いことはお話しのとおりでございまして、いま私どもとしては、住宅地区改良法に基づく改良住宅及び公営住宅も動員いたしまして、すでに相当量の改善をはかっておるわけですが、まだまだその速度が追いつかないわけでございます。いまお話しのございました改良住宅の現地主義の問題につきましては、法律におきましても、原則としては現地主義にいたすことになっておりますが、事情によって非現地において建てることもできるようになっておりますので、それぞれ実情に応じまして、これを運用して、スラムの解消の速度が早まるように処置いたしたいというふうに考えております。
  46. 大原亨

    大原分科員 広島の都市計画は、名古屋の都市計画と並んで非常にいい、こういうのが評判だと思います。私どももそういうふうに認めるのですが、たとえば百メーター道路なんというのは、当初はいろいろ批判をしたものです。市長選挙のたびごとに批判をしておったが、いまではやはりあれはよかったということになっております。だから、だんだんと市民は、都市計画については、やはりやるべきだというふうに理解しておる。ただ、六つの川があるわけですが、緑地が他に比べて非常に多いわけです。川がある上に緑地が多い。それらの現状を考えてみて、放水路その他も相当完備して、デルタも整備されたわけですから、なお、河川の方面とか、いろいろな方面を総合的に考えて、平和都市としての建設を、基本線をくずさない範囲においてやることが必要じゃないだろうかということが一つ。  それからもう一つ、やはり議論になるのは地元の負担の問題です。超過負担を含めまして、地元負担は困るわけですけれども、財源については、たとえば特別交付税とか、起債とか、新産都市方式とか、いろいろあるわけでしょう。それらについてもいろいろ議論をしていただきまして、方針を出していただきたい。各関係政府委員から、ひとつそれらについてお答え願いたい。
  47. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 ただいまの河川に面しております河岸緑地の問題でございますけれども、区画整理のほうできまっている総体の面積は、なかなか動かすことはむずかしいと思いますが、場所の変更等につきましては、地元のほうと打ち合わせて検討してまいりたい、こういうふうに考えております。  それから財源の問題は、総合的な観点から、自治省等とも協力いたしまして、できる限りそういうことができるように検討してまいりたい、こう考えております。
  48. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 広島市の市内河川並びに放水路に相当不法建築物がございまして、現在放水路を通水するようにしておりますが、それでもなお五十数名の不法建築物がありまして、その地点だけ堤防ができないというような状況でございます。したがいまして、われわれとしましては、とりあえず放水路の通水に安全なように、この五十七名の移転を促進しておるわけでありますが、土地のあっせんも必要でございますし、あるいは特に養豚業者もありますので、その養豚業者の処置、そういった問題もありまして、現在のところ、土地のあっせんの要求程度——大体あっせんするようにしておりますが、金額の点ではまとまっていない。それから養豚についての営業補償的な要求がございまして、それも解決してないという問題もあります。いままで県、市、地建、三者一体になりまして、円満解決にできるだけ努力しておるつもりでございますが、なお今後も努力を続けていきたいと思っております。  なお、市内の各派川につきましては、逐次工事を行ないまして、市街地河川としての美観を十分保ち得るように努力してまいりたい、というふうに考えております。
  49. 横手正

    ○横手説明員 全般的に、地方交付税上におきましては、都市改造といいますか、その中の都市計画関係、主として街路事業等でございますが、あるいは公園、緑地等も入っておりますが、そうした経費、あるいは区画整理事業等につきまして、相当の算入率をもちまして地方団体の財源を見込んでおりますので、かなりの面、財源措置がされておると存じます。また、地方交付税以外におきましても、地方債等の面におきましても配慮を加えられておりますので、そうした面は相当地方団体の実態に合ったような形になっておる、こう考えております。
  50. 大原亨

    大原分科員 最後ですが、大体わかるのですが、大体、関係住民が絶対反対ということじゃ、こういう都市計画はできぬわけです。だから、やる気にならなければだめだということですね。これが私はやはり前提だと思うのです。しかしそのためにも、私どもがとやかく言うわけじゃないのですが、やはり行政庁も総合対策を立てなければいかぬ、地方自治体も国も。そういうふうにしないと、効率的な予算の運用も効率的な事業の成功も期することはできない。こういう面において、私は、自治省のほうにおいても、十分それらの問題で、特殊事情を勘案され、平和都市建設法の精神も十分参酌されて、ひとつ努力をしてもらいたい、こういう点で、大臣もこの点については十分関心を持ってやっていただきたいと思いますので、ひとつ総括的に、大臣の見解をお聞きしたい。
  51. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 仰せのとおりで、やはり地元がその気になってもらいませんと、なかなか計画だけでは進まない。かといって、こちらもやはり積極的に可能性のあるような案を立てて、財政的裏づけもしなければならない、そういうふうに考えて進めたいと思います。
  52. 荒木萬壽夫

  53. 田口誠治

    田口(誠)分科員 最初に、前に楯委員のほうからも、高速道路の問題についていろいろ質問があったと思いますし、一つの結論が出たと思います。ただ私、ちょっと数字的にお聞きして質問を進めたいと思いますることは、あのりっぱな名神高速道路ができておりまするけれども、非常に料金等が高いために利用度が少ない。こういうことから、計画どおりの採算になっておらないと思うのです。それで、計画と実態とどの程度違うものか、ということをまずお示しをいただきたい。
  54. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 名神高速道路の最近の三カ月間の利用の実績を申し上げますと、全線の一日平均の交通量は約七千七百台でございまして、計画に対して七三%に当たっております。それから採算につきましては、一日の平均料金収入が約千四百万円でございまして、これが計画に対しまして約六四%、こういう数字でございます。
  55. 田口誠治

    田口(誠)分科員 利用度の少ないという分析を——一つは料金の高いというところにもあったと思いまするが、そのほかに何か、どうして利用度が少ないんだという分析をされておりますか。
  56. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 ただいま申しました実績は、全線の数字を申し上げたのですが、御承知のように、全線開通しましたのは、まだ一年たっておりません。そこで一般的に考えられますことは、その全線の中でも特におくれて開通いたしました栗東と一宮−小牧、この間の交通量が、計画交通量に対して特に低いということが指摘されるかと思います。それから車種的に申しますと、特にトラックの利用状況が非常に悪い。これが予想に対して四割程度でございます。しかし、これも最近、全線から見ますと、統計的にはかなり伸びておる状況でございますが、私どものいろいろな調べによりますと、アメリカでも、当初、こういった有料道路に乗ります自動車の予想は、やはりトラックが乗用車に対して二年くらいおくれるということがいわれております。そういう事実のようでございます。わが国においても、トラックがこういう有料道路にやや乗りにくい性格のものであるということが言えるのではないか。もう数年たちますと、トラックもかなり利用してくれると思いますが、しかし、少なくともいま申しましたような事実が現実にございます。それから利用します車の一台当たりの平均利用距離といいますか、走行距離——インターチェンジから入りましてインターチェンジに出る、ある特定の車が走行いたします利用距離が、これも計画に比べて半分に足りない。台数は多いのでございますが、歩く距離が短いということも、統計的にいわれるわけでございます。これも、どういう理由でそうなっているか、まだはっきり原因がつかめませんけれども、利用状況が悪い一つの現象として、はっきり言えることでございます。
  57. 田口誠治

    田口(誠)分科員 従来の国鉄の軌道輸送が道路輸送に移行されてきておる今日、非常に便利になった高速道路の利用度が、特にトラックが少ないということは、これはもちろん料金の面にもあろうと思いまするが、現在あるところの、乗り入れをするインターチェンジが、現在ある程度で満足であるのかどうか、こういう点を考えてみなければ——高速道路へ乗り入れようとしても、相当の距離を走ろうとすれば、まあどうせこれだけ走ったんだから国道を走れということになりまするから、私は、トラックの利用度というものは少ないと思うのですが、その辺の分析をどういうふうにお考えですか。
  58. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 名神の例で申しますと、全体で百九十キロでございますが、インターチェンジを設けましたのは十四カ所でございます。したがいまして、インターチェンジ間の平均距離は十三キロくらいになっておるかと思います。この距離というものは、高速道路の利用効率からいきますと、どちらかというと、短いのではないかという感じがいたしております。しかし、もちろんインターチェンジというものは、数があればあるほどよろしいわけでございますが、この建設に要する金というものも、一カ所当たり、少なくとも名神級でございますと、数億を要しますし、そういう全体の採算の面からいきましても、必ずしも、たくさんつけることによって利用効率があがるとは考えられません。インターチェンジを設けます場合には、そういう貨物なり乗用車の利用の目的地別の調査をいたしまして、少なくともインターチェンジに最小限何台以上乗るという統計調査のもとにやったものでございましても、数多くつくりましても、そこに、料金徴収のための施設あるいは人員、それに伴う管理費というものを伴いますので、多くつくればそれだけ採算が楽になるとは言えない。一応現在の十四カ所というものは、平均的に見ますとかなり入っておるというふうに考えておる次第でございます。
  59. 田口誠治

    田口(誠)分科員 インターチェンジを設ける場合には、周囲の経済圏を考えなくてはならない。それで、現在できておる地点を、それぞれ経済圏を結びつけてみますると、三十五万の人口を持っておる岐阜市、この経済圏を結ぼうとした場合に、一宮あるいは大垣とか関ケ原、こういうところへ行かなければ乗り込みができないという、そういうことからいきますると、あの新幹線のできる当時は、たんぼの中の駅といって週刊雑誌にも騒がれた羽島市、この地点にインターチェンジを設置することが、岐阜市周辺の経済圏の乗り入れを便利化することになるわけでございまするので、私は、これをどう考えておられるかということをお聞きいたしたいのと、それからもう一つは、約束があるわけなんです。その約束というのは、名神高速道路をつくるときに、インターチェンジをどことどこに置くかというときに、やはり羽島市に一カ所という、こういう強い要望があったときに、まあ現在のところは無理であるが、これが完成した暁には羽島市にもインターチェンジを設けて、そして周囲の経済圏を便利化していくのだ、こういうことになっておるそうです。したがって、そういうことからいきますと、名神高速道路も完成をいたしましたし、そして利用する数というものも不十分であるし、何とかこの道路を有効化していかなくてはならない。こうなりますると、自然的にお約束どおりの羽島市にインターチェンジを設置する、こういうことになるわけなんですが、この点について、将来を含めてどういうようにお考えになっておるか。
  60. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 岐阜市に対する名神高速道路の到達の考え方は、岐阜より南方、すなわち名古屋以東からまいります交通は、一宮のインターチェンジから名岐国道によりまして——このいまの名岐国道も、御承知のように、一宮のインターから岐阜まで現在新しい道路を築造いたしております。これが高速道路並みの規格のものでございます。これを利用することによって、岐阜より南の交通は名神高速道路を利用するよりも早く到達できる、こういう考え方でおるわけでございます。  それから、西のほうでありますが、西は大垣にインターチェンジができておりますが、大垣のインターチェンジから大垣市内までは、これは大垣−桑名線の二級国道がございまして、これの改良計画があるわけでございます。これは都市計画事業も含めてやっておりますが、これで大垣市内に入りまして、大垣と岐阜の間に岐阜−大垣線の国道のバイパスを一本ただいま築造いたしております。これも新しい現在の国道にかわりますバイパスとして、相当有効な道路であるということで、大垣以西の交通は主としてこのルートによって岐阜に入ることによって最も早く接近できる、こういう考え方によったわけでございます。  大垣と一宮の間のいまの羽島の近くのインターチェンジにつきましては、羽島市と岐阜市を結びます幹線的な道路はまだ十分でございません。それと、いま申しましたルートを利用することによって、時間的にもそのほうでかなり早く行ける、こういうような想定のもとに、羽島につきましては、議論はございましたけれども、インターチェンジを設けないということで、道路公団に施行命令を出したわけであります。  いま御指摘のように、何かこれをつくるという約束があったようなお話でございますが、建設省といたしましては、そういうお約束を申し上げた記憶はございませんし、今後の問題といたしまして、なお、名神の交通量がふえる——そういうところにインターチェンジをつくる必要は全然ないということは申し上げられませんので、そういう必要性が生じた場合には、新しい問題として検討すべきである、かように私どもは考えておるわけでございます。
  61. 田口誠治

    田口(誠)分科員 利用度を高めるということは、いろいろな方策をとらなくてはならないと思うのですが、その一環として私は申し上げたのです。したがって、現在、先ほど数字をお示しになりましたように、利用度が少ないわけですから、これを有効に利用してもらう方法を考えていかなければ、公共事業としての本領を発揮することはできないわけなんで、見通しのないようなものなら何もつくる必要はないのです。だから、利用度が少ないということなら、どうして利用度を高めるか、こういうことなんです。それは料金を下げるだけで利用度が高まっていくという、こういう分析ですか。
  62. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 名神の交通の実態から申しますと、少なくともただいま、比較ですが、栗東から東と西とでは非常に利用の状況が違います。したがいまして、東のほうはインターチェンジが少ないから利用度が少ないという問題じゃなくて、総体量自身が少ない、こういうことにあろうかと思います。西のほうは、利用度がかなり高うございますし、これはインターチェンジからの出入りもそれぞれかなりの利用がございます。そこで、そういうインターチェンジを設けるかどうかという問題に関しましては別の問題として、これは現在は利用度が、特にトラックについても利用度が少ないということに問題点を持ちまして、その点についての利用度をさらに上げる方策ということを中心にして、検討いたしておるわけでございます。
  63. 田口誠治

    田口(誠)分科員 名古屋を中心として東京あるいは大阪、神戸へのトラックの区間便が日々増していっているわけなんです。こういうことを考えますると、相当トラックの利用がなければならない。それで、トラックの利用がただいまお示しになったような数字であるとするなれば、この隘路はどこにあるかということを検討してみなくちゃならないと思うのです。それが、ただいままでの答弁の中からは、ここが隘路であって、これをこうすればいいんだというようにつかむことができなかったのですが、もう少し詳細にその点をお示しをいただきたい。
  64. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 実は、これは道路公団で非常にこまかい検討をいたしておりまして、まだ私どもにその報告がまいっておりませんけれども、トラックの業界その他にもいろいろ聞き合わせまして、どういう点にその利用度の問題があるかということについて、現地並びに本社で検討いたしております。そのために専門の委員会のようなものをつくりましてやっておりますので、まだこの段階で私から詳細に申し上げる資料がちょっと手元にございませんが、いずれあと一カ月内には、そういうデータのもとにどういう対策を立てたらいいかということが、一応事務的な御報告ができるかと思いますが、そういうような事情でございますので、いましばらく御猶予をいただきたいと思います。
  65. 田口誠治

    田口(誠)分科員 ちょっと聞き漏らしましたが、その委員会というのは、どういう名称でどういう委員の方が入って審議されておるわけですか。
  66. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路公団が、正式と申しますか、この問題のために特に学識経験者を何人か委嘱いたしましてつくったものでございまして、正式の名称をちょっとつまびらかにいたしておりませんが、調べまして御報告申し上げます。
  67. 田口誠治

    田口(誠)分科員 構成員もわからない……。
  68. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 構成員も調べまして御報告申し上げます。
  69. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まあわからぬ点は質問しても何ともなりませんが、ただ、きのう委員部のほうからおいでになったときに、こういう問題にも質問の過程で当然突き当たると思いまして、道路公団のほうの要請も一応いたしましたけれども、その点については建設省の局長のほうで責任を持って答えられる、こういうお話でしたので、それなら別に公団のほうから来てもらう必要はない、こう言っておいたのですが、ただいまの答弁の内容では、そうあまり自信がないところを自信のあるようなことを言ってもらって、審議に支障を来たすようなことをしてもらっては困るので、この点については非常に不満です。長い時間をかりて質問ができるとすれば、これはこれからでも要請をして来てもらうわけですけれども、そのことが時間的に規制もございますからできませんので、また何かの機会にこういう点も明確にしていきたいと思います。したがって、私は、少なくとも相当の投資を行なって、そして公共福祉に供するという考え方を持ってつくられた高速道路が十分に利用度がないということは非常に遺憾ですから、十分に建設省のほうとしても、これは単なる公団の営利的な考え方に立った委員会の結論でなしに、建設省として、やはり公共事業としての考え方の上に立って助言をしていただく必要があろうと思いますので、この点は強く要望を申し上げておきます。  それから、なお私のほうで先ほど提示いたしました羽島のインターチェンジの関係については、公式的には建設省が、文書とか、またこういう委員会での発言で約束はないのですから、ないと言われればないということにもなりますけれども、しかしその過程における運動のときに、これは建設省の上層部の方がそういうようなことを言っておられたので、地元のほうではそれを全く正直に受けておりますから、速記録に載っておらぬから、文章化されておらぬからといって逃げてしまうことは私は妥当でないと思いますので、これは一つの課題として、そうした羽島市周辺の住民の強い要望、特に岐阜市の経済圏が利用したいという考え方も持っておりますので、この点についてもひとつまじめに御検討をいただきたい。この点を強く要望申し上げておきます。よろしいですか。
  70. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 道路公団の検討委員会の内容について十分お答えができませんことを、たいへん恐縮に存じます。先ほど申しましたように、まだ正式の報告を受けておりませんので、できるだけ早くそれを受けるようにいたしまして、あらためてまた御報告申し上げます。  それから羽島のインターチェンジの問題につきましては、地元の御要望も非常に強いというふうに伺っております。今後の問題としてひとつ検討さしていただきたいと思います。
  71. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 名神道路の利用の問題について、先ほど私からも触れておきましたけれども、これはせっかくあれほどの、約二千億近くの投資をして、当初の予定どおりの想定をされた利用が行なわれておらない。さっき数字を申し上げましたが、一般乗用車は想定の二倍以上の利用がありますけれども、肝心の貨物、トラック等の利用度は少ない。どこに原因があるか。せっかくできておるのに、他の道路はふくそうしておる。並行線みたいな他の一級国道はふくそうしておる。これを乗せることが必要ではないか、前々からそういう考えを持っておりまして、道路公団に、その原因と、料金等についても従来の考え方を変えて、とにかくこれを使う方法を——全然無計算ではできませんけれども、方法を考えろということを指示しておりまして、これは委員会のメンバー等は私も承知しておりませんが、真剣にやっている。いずれにしても、四月から新料金でやってみよう、それが成功するかしないか、これはやってみなければわかりませんけれども、そのためにどういう原因であるかということを、業界その他についてもいろいろ意見を聞いて検討しているという段階でありますから、決して道路公団にまかせっきり云々ということでないことは、ぜひ御了解を願いたいと思います。
  72. 田口誠治

    田口(誠)分科員 次は河川局長のほうにお伺いいたしたいと思いまするが、従来は河川管理、特に一級河川でも県のほうが管理に当たっておったわけなんですが、昭和四十年の四月から、河川法の改正によって建設省が管理することになっております。そこで、お聞きをしたいし、要望申し上げたいと思いますることは、河川の管理というのは、災害との直接なつながりもあって、非常に重要でありますが、砂利採取の深掘り等で、河川の管理上非常に危険な状態に持ち込んでおるところが各所にあるようでございます。そこで建設省のほうは、そうしたところに対しては砂利採取についての一つの禁止区域を設けて、そういう深掘りをしないように管理されておるわけなんですけれども、ちょいちょい顔役の業者が入り込んで、禁止区域でも堂々と砂利採取を継続しておるという事実があるわけなんです。岐阜県におきましても、藪川の砂利採取の問題については、私は昭和三十七年の災害対策の当時から申し上げておるわけですが、非常に深掘りし過ぎて、約三百町歩を補っておるところの政田井水というのがありますけれども、深掘りし過ぎたために、砂利どめがこわれたりして、そして取り入れ口から入る何分の一しか出口のほうには水がいかないというような現状で、これをこの際完全に改修するか、それとも井戸によって補うか、こういう問題がいままでいろいろと論議されてきておるわけなんです。したがって、まず第一にお伺いしたいことは、一級河川建設省の直轄管理になったのだから、どんな顔役の業者がだれと結びついておろうが、禁止区域は禁止区域としてはっきりとそうした業者を追い出してやるという決意があるかどうか。そうしていま把握されておるところでは、そういう業者があることを知っておられるのかどうか。これをまずお聞きしたい。
  73. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 禁止区域について地元の砂利業者に採取させるようなことは今後一切やりません。御承知の藪川の点は制限区域でございまして、したがって採取を若干規制してさせるという地域に属しておると思います。現宿までの採取の状況を見ておりますが、三十七年ごろ約十六万程一度掘っておりましたけれども、その後逐次採取を制限しまして、現在におきましては六万六千立米程度の採取に規制いたしております。したがいまして採取の台数も、三十七年の七台か八台くらいあったのが現在三台になっておると承知いたしております。
  74. 田口誠治

    田口(誠)分科員 完全に禁止区域は禁止させるという考え方を明確にされましたので、その点は了解をいたしまするが、藪川の場合には制限禁止ですか。それはどういうことなんですか。
  75. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 砂利採取を許可するにあたりまして、採取を全然禁止しなければいかぬ区域、たとえば堤防のそばを掘るというようなことは、河川付属物に非常に重大な支障を来たします。したがいまして、そういうところから若干の距離をはずして、堤防に損傷を与えないようなことにしなくちゃならぬ。そういったようなこと、あるいは用水の前後にわたりまして、あるいは重要な橋梁の前後にわたりまして、それを掘ることによりまして公共施設が非常な支障を受けるという地点におきましては、禁止をいたしております。掘らせないということにいたしております。  採取制限と申しますのは、それ以外の地域におきまして、河床が低下いたしておりますけれども、なお河床計画上若干掘らしてもいい、しかし大規模に掘ることは許されないので、逐次年次的に制限を加えながら採取を制限していくという、制限区域というものを設けております。そういう制限区域におきましては、逐次採取を制限しつつ、河床の状況を見ながら砂利採取を行なわしているという実情でございます。
  76. 田口誠治

    田口(誠)分科員 その制限区域の指定される考え方というものはわかります。わかりますが、藪川がそれに該当するということについては疑義があるし、私は反対なんです。これは当然禁止すべきである。なぜかといえば、政田井水の砂利止めが増水のときに決壊しまして、そしてこれを補修していただいた実績もございますし、現在砂利止めがそのままになっていましても、あまり深掘りをし過ぎておるために、水が漏れて、結局取水口から出口へいくまでには、何分の一というほどしか水は出口へ出ないというのが実情であるわけなんです。したがって、こういうような実態からいきますれば、当然これは禁止しなければならないんではないか。それで、もとは業者が三、四入っておりましたが、そうしたやかましいことが国会で問題になりましたら、おそらくそれが制限区域ということなんでしょうけれども、だんだんと業者を減らしまして、もう、一つの業者だけにしたわけなんです。ところが、これは制限区域として必要だから一社にしたということだけでなしに、この一社が、これは顔役なり県の行政の首脳とのつながりがあるために、ほかへ移動させることができないというのがいまの実態なんです。こういうような点は、いままで正式の場、また非公式の場で申し上げておるわけなんですが、こういうところはまず禁止をしてもらう必要があるんではないか。したがって、この点については木曾川の事務所を通じて調査をしていただいて、そうして必要なれば禁止区域にしていただかなくてはならないんではないか、かように考えておりますので、その点は要望申し上げておきますし、いまの制限区域の内容はただいまお聞きをして了解いたしましたが、それとは一致をしないということをまず申し上げておきたいと思います。  それから、その後いろいろと運動されておるんですが、この政田井水は、ただいま申しましたように、全く用をなさないというような状態まで実際上なっておるわけなんです。しかもその水によって三百四十九町歩というのが生きておるわけなんで、これは重要な井水でありまするから、この井水を、現在のような水の取り入れ方法でなしに、ヒューム管等に変更をして、そうしてこれを単なる改修ということだけでなしに、ほんとうに根本からこの井水を修理していただかなくてはならないと思うのです。その点はいままでやかましく申し上げているのだから、場合によっては今年度の予算に見ていただいているかわかりませんが、まだその点を聞いておりませんので、念のためその点も含めてひとつお答えをいただきたいと思います。
  77. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 第一点の、業者が顔役であるといったようなことは私は承知いたしておりませんので、お答えできませんが、禁止すべき区域であるところに顔役であるために残したということは、私はないと信じております。したがいまして、この点はよく事情を調査してみたいとも思いますが、現在の段階ではさような次第でございます。  政田用水は大正五年に設けられた施設でございまして、相当年期も経過しているというサイフォンでございます。構造的にも若干問題があるサイフォンだと私は考えます。それで昭和十一年に河床維持とサイフォンの防護等も兼ねまして、直下に床止め工事を行なって現在に至っております。その後災害等がございまして、直轄災害復旧で床止め工事をやつでおります。さらに、最近河床の低下が見られておりますが、これにつきましては、六万六千立米程度の掘さくが原因なのか、あるいは上流にダム等もございますので、砂利の流出が非常に少ない点もございます。そういう点も原因的に検討してみる必要があります。しかしながら、そういう原因の調査も必要でございますが、河床低下のために治水利水上重大な支障がきている、あるいは河川の良好な機能を維持できないという状況にあって、これは河川管理上どうしてもやらなくちゃいけないというような状況でありますれば、必要な対策を関係者と打ち合わせまして考えてまいりたいというふうに考えております。  藪川につきましても、したがいまして河床低下の因果関係等も十分調査しまして、早急にその対策を協議してまいりたいというふうに考えております。
  78. 田口誠治

    田口(誠)分科員 局長さんのところまで行っておるのかどうかということは疑問なんですが、大体ヒューム管で改修していただくと、約五百万円程度補助をいただけばできるようでございますが、これは少しは具体化されておりませんですか。
  79. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 まださような計画は私の手元まであがっていませんので、承知いたしておりません。しかし、政田用水の改築の問題につきましては、いろいろな問題があがっていることは確かでございます。が、具体的計画につきましては私は聞いておりません。
  80. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますれば、ただいま申しましたように、三百四十九町歩という田がこれによって結局生きているわけなんですが、非常に最近支障を来たしておりますから、その点を今後十分に実際を見ていただきまして、そうして地元の政田用水組合の要望しているヒューム管等にかえてもらう補修をこの際要望をしておきたいのでございます。  それで、最後に移りたいと思います。新岐阜市でございますけれども、徐々に都市計画がなされてきておりますが、そこに都市計画をする場合と、それから河川改修をする場合を別々にやるということは、絶対にやられぬものかどうかということを、まずお聞きしたいのです。当然都市計画をしなければならぬ地点に一級河川の支川があって、それが増水のたびごとにはんらんをする。それで一日も早く補修をしてもらわなくてはならない。こういう実態であるけれども、しかしこれはここ一、二年のうちに都市計画が出されて、都市計画をなされるのですから、それでそのときでないとこの改修はだめなのか、それともそういう増水のたびごとにはんらんをするということになれば改修をするのか、この点の取り扱いはどうなりますか。
  81. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 お話の地点は、たぶん岐阜の本市の対岸の伊自良川の下流のほうに当たる付近だと存じますが、さようでございますか。——あの地点は非常に本川からの漏水も多いところでございます。三十六年の災害におきましては、あの本堤が相当漏水いたしました。裏のりが相当くずれたという事実もございまして、その漏水対策につきましては、われわれも全力をあげて継続してやっております。調査もやっております。これは本堤が切れると大事な問題でございまして、早急に着工いたしたいというように考えております。ただ、伊自良川の支川の問題につきましては、その周辺が都市計画があれば、都市計画に合わして河川計画を一緒にやっていただければ、非常にけっこうだと考えております。この支川につきましては、知事の委任区間になっております。知事がみずから計画を立てまして、大臣の許可を得るというようなことになっておりますので、その点につきましては、岐阜県のほうと私のほうとも連絡していきたいと思っております。
  82. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まあそれは市と県と中央ということになろうかと思います。  そこで、ただいま私の申し上げておるのは、いま答弁の中にもありました一級河川の支流の両満川という川ですけれども、この内水排除の調査をする調査費というようなものは、やはりそういう都市計画が出てからでないとつけられないものか。その調査費ぐらいは国のほうでその前に出してもらえるものか。これは出してもらう、もらわぬは別問題として、出せるか出せぬかということですね。
  83. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 内水対策調査費は、都市計画関係なく出しております。
  84. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますると、いま申し上げておる地点は、順次東のほうから都市計画が進んできておって、まさに都市計画計画がなされておるわけです。したがって、今年、内水排除の調査は完了をしたいという市当局の考えであるから、この点に調査費をつけてもらいたいという要望があるわけなんですが、取り上げていただけますか。
  85. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 現在木曾川につきましては、相当内水対策の調査をやっております。従来から水門川あるいは荒田川、論田川等につきまして、調査の結果に基づきまして排水機を設置しております。したがいまして、内水の対策の必要性があれば、さような調査費をつけることはさしつかえないと思いますが、現在両満川につきましては、被害の実態等につきまして詳細なことをまだ聞いておりませんし、また漏水との関連性の問題あるいは伊自良川本川の問題、そういった問題との関連もありますし、それから都市計画上どういうぐあいに両満川を処理したほうがいいかといった問題もきまっていません。そういうきまり方によって内水の状況が変わってきますので、その辺も十分検討した上で、必要があれば検討してみたい、調査費も検討してみたいというふうに考えます。
  86. 田口誠治

    田口(誠)分科員 了解しました。  それではこれで終わります。  そこで、ただいまの問題について要望申し上げておきますが、そうした具体的な案は、市の土木部のほうでいま検討をしておりますので、そういう青写真ができたときには、建設省のほうへお願いに上がろうと思いますが、そのときは思い出していただいて、そうして取り上げていただくことを強く要望しておきたいと思います。それでよろしいですね。
  87. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 よく順序を検討いたしまして処理していきたい、このように考えます。
  88. 荒木萬壽夫

  89. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 簡単に二、三質問をいたします。  まず第一に、先ほどから名神道路等を中心にした有料道路の問題についてありましたが、一つだけお伺いしておきたいと思うのです。  せっかくつくった名神道路も非常に利用率が低い。特に当初に予定をした利用率のうちで、トラックの利用率が低い、こういうことであります。現状を見ておりますと、たとえばこれを西宮−京都間いわゆる旧西国街道でありますが、この旧西国街道のトラック等のふくそうをしておる状況と、それから名神国道を利用しておる状況とを比較いたしますと問題にならない。とにかく西国道路というのは、国際博等が予定されておりますが、そうなりますと、特に京阪神間のこの主要道路、これはますます麻痺する状況にある。一方名神高速道路はがらすきである。これは何を物語っているかというと、一つには、有料道路の料金その他のあり方について、根本的な検討を加える必要があるのではないか。たとえば通行料金と輸送コストというものを考えますと、それがまた原料でありますならば、生産コストに非常に大きな影響を持つ、製品でありますならば、これは物価に対して非常に大きなウエートを持つ、こういうことになります。したがいましてトラックの利用率というものは非常に低くなる。一力乗用車のほうは、そういうようないわゆる他への影響がありません。少なくとも一つは家族連れのドライブでも楽しもうというようなスポーツ的なあるいは娯楽的な意味を持って利用するものが非常に多い、こういう私は、状況になっておるのではないかと思うのであります。したがいまして将来の、これは名神のみならず、だんだんと整備されてまいります有料道路の通行料金のあり方について、根本的に私は再検討を加える必要があるのではないかと思いますが、まず建設大臣の所見を承っておきたい。
  90. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 その問題については、先ほども申し上げたわけでありますが、再検討をしなければならない。先ほど申し上げました、全国網をつくる段階に入りましたので、これはいままで考えておるような有料道路方式では不適当である、かように考えて、再検討すべきである、かような立場であります。  名神道路の問題については、先ほど来申し上げておりますが、仰せのとおり、いわゆる乗用車は予想以上に交通台数が上回っております。これもけっこうでありますけれども、私どもはできるだけ貨物輸送等の産業経済に効率をあげるものの輸送に多く使われることを期待しておるわけでありますが、それがさっき道路局長も申し上げたように、二分の一以下あるいは三分の一をやや上回るという程度であります。通行料金は、一般乗用車が一キロ九円五十銭で、トラックが十二円幾らじゃないかと思いますが、それのみによるものであるかどうであるか、こういうことをいろいろ検討いたしております。大局的に見ますと、ああいう長距離、といっても百九十キロちょっとでありますが、トラック輸送というようなものが、これはもちろん生産コストに大きな影響がありますから、あるいは消費コストに大きな影響がありますので、やはりまだまだ日本の場合はできたばかりでありますので、まだなじまない点があるのではないかということと、それから長距離輸送のトラックの整備というものが、まだアメリカその他の先進国ほど、そういう輸送体系のトラックというものが、私専門家でありませんからわかりませんけれども、必ずしもまだ整備されておらない段階である。だんだん長距離輸送の特殊トラックができつつありますけれども、山口さんはその専門家でありますが、そういうのも影響しておると思います。これが東京までつながると、また違った要素も出てくると思いますが、いずれにしても現にある道路、そばにはたくさん通っておるけれども、それを使わないということは、率直に言ってもったいない話ですから、私は将来の構想は別として、この際あれを使う方法を考えようではないか、国家経済的に、使って損はないのですから、それをいま検討さして、暫定的にでもよろしいから、将来の長期構想は別に考えるとして、あれをできるだけそういう面に使う方法を検討してくれということで、目下検討しております。料金だけの影響ではないといいますけれども、料金がただなら通るのでしょうが、ただというわけにもまいりませんので、、どの程度に下げられるか、どの程度ならまず利用に供されるかという観点から、いま検討させておりますから、四月から実施をしたい、こういうことを申し上げておるわけであります。
  91. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 ただいまの御答弁まことに適切だと思うのですが、私は日本の産業構造、社会構造から考えて、乗用車の利用は、当初の目標を上回るような状態であり、また今後も乗用車の利用率というものはぐっと上がってくると思いますけれども、貸物の輸送については、当初の高速道路ができる目的は、地方産業の開発、未開発地域の開発等による産業全体の伸展に寄与するという大きな目的が掲げられていたのでありますし、私は道路というものが完備されれば、当然そういう方向に向かっていくのであり、したがって今日問題になっておる都市における人口の過密等の解消にも大きく役立つという期待を持たれるのは当然だと思うのですけれども、残念ながら今日までの使用状況を見ますと、日本の産業構造上、社会構造上から見まして、必ずしもこの有料道路政策というものが、いまの社会の要求にマッチしていない。したがって、御承知のとおり、今度国鉄の運賃も改定されるわけであります、けれども、その改定される中におきましても、旅客運賃の値上げ率に対しまして貨物運賃はきわめて低位に置かれておるわけであります。これらも何がゆえにそういうようになっておるかといえば、私は、やはり日本の産業構造あるいは流通構造というものがそれに対応しないことをはっきり物語っており、それを認めておるがゆえに、旅客運賃に対してその値上げ率というものも低位に置かれているのだ、かように考えるのであります。  そういたしますると、やはり有料道路におきまする貨物の輸送コストというものも、これは当然根本的に考え直さなければ、せっかくつくったものが、当初の目的である産業構造改善あるいはその地域開発のためにも、およそ縁遠いものになりはしないか、こういう点でぜひとも再検討をお願いしたい、このように考えるわけであります。  次に、道路におきましては、いま問題になっております中国幹線道路の問題があります。またその他日本の幹線道路の問題があって、国においてはだんだんと着手をされつつあるようでありますが、そのうち中国道路の通過地点等は、もうすでに調査済みで、決定済みでありますか。どういう状況になっているか、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  92. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 先般基本計画を決定いたしました区間につきましては、ただいま建設省と道路公団の両方で調査いたしております。区間によってその調査の進みぐあいも違うかと思いますが、詳細な調査を実施しておるという段階でございます。
  93. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 その調査の結果はいつごろになると公示できる段階になりますか。
  94. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この次にやります手続は、高速自動車国道法によります整備計画をきめるということでございまして、その整備計画の中に詳細な経過地点並びに建設に必要な資金の額、そういうものが出てまいりますので、その段階である程度経過地の詳細なことはきまってまいります。それからインターチェンジの場所等も、その段階でかなり具体的に地点がきまってくる、こういうことになろうと思います。  その時期はいつかということでございますが、千五百四十キロの基本計画できめました区間についてただいま調査いたしておりますが、全部調査を終わりますまでには若干時日を要しますけれども、とりあえず調査ができたところから、そしてまた整備計画を出す必要があると思われる区間を、私どもただいまいろいろ検討いたしておりますので、それが早ければ年度内に、おそくともそれより二、三カ月おくれまして出せる程度にはまとめたい、かようなことでただいま鋭意準備をいたしております。
  95. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 この計画につきましては、特に市街地の通過地域等につきましては、よほど早く調査を完了して、その経過地域を発表しないと、御承知のとおり、なかなかむずかしい問題をはらんでまいります。突然ということは語弊がありますけれども、通過地域の住民の事前の了解ということがなければ、不要の摩擦を生じることもあります。したがいまして、なるだけ早期に発表し、着工を慎重に進めていただくというように、ひとつ御配慮を願っておきたいと思います。  次に、大阪におきましては、御承知のとおり、国際博が開催をされることになりまして、これはけっこうなことでありますが、いまの道路の現況から見まするというと、これはそれに便乗をして道路の整備促進するというのでは決してありませんけれども、あれだけ大きな規模の国際博を実行するということになりますると、今日のような京阪神間の道路状況におきましては、まことにお恥ずかしいといいますか、心もとない気がいたすわけであります。けれども、これは早急にやらなければ、時日の制限もあることであります。したがいまして、よほどの精力的な処置をしなければならぬと私は思うのでありますけれども、これについての計画は一体どういうことになっておりますか、お聞かせを願いたいと思います。
  96. 竹内藤男

    ○竹内政府委員 万国博が大阪市の中心部から近いところの千里で開かれるということが決定されておりますので、それに対します交通路等も問題になるわけでございますが、そういうような万国博の関連公共事業整備の問題につきましては、ただいま総理府の審議室が中心になりまして、担当者会議を持っております。それに呼応いたしまして、建設省の中におきましても、道路局が窓口になりまして、関係局と協議会をつくって、いま、どういうものを、どういう考え方で取り上げるかということを、鋭意検討中でございます。
  97. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これはさきにも申しましたように、たとえばこれを阪神間にとりましても、やはり神戸に相当量の外人の上陸ということが考えられます。ところが、この千里ニュータウンに行きますには、西国街道というのが神戸からの主要な交通路になるわけであります。ところが、この西国街道というのは、今日でも非常に交通量はふえまして、少々の改良工事をいたしましても、それではとうてい追いつかぬのであります。したがって、よほどこれは思い切った道路整備をやらなければ、万国博には間に合わないと私は思うのですけれども、そういう点はいかがですか。どういう計画になっておるのですか。もうちゃんと計画が立っていなければ、これは私は間に合わぬのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  98. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 西国街道については、現在の国道が非常に幅員が狭うございますから、特に狭い区間大阪府内でございますが、この区間につきましては、拡幅工事を積極的にやるということで予算措置を考えたいと思っております。それから西の方の区間につきましては、もちろん狭いところもございますが、鉄道との平面交差等が残っておりますので、これらにつきまして、早くこの平面交差を除却いたしまして、立体化して、円滑な流れをさせるということで、これについてはそういう局部的な改良を考えております。なお、それだけではございません。路線的に屈曲が多いところもございますから、そういうところについての二次的な改良工事をやろうということで、かなりの資金をつぎ込むようにただいま検討いたしております。
  99. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは具体的にいいますと、武庫川大橋などは改良していただいて、上下二つに適切に分けてもらっておりますから、こういう部分的な改良につきましては非常に進んでおるわけでありますけれども、たとえば西宮−伊丹間、これはたいへんな混みようであります。まかり違いますと一信号区間を通過いたしまするのに三十分ないし一時間を要するようなことが生じるのであります。それは武庫川−昆陽間であります。自動車の列が少し間違いますと一キロないし二キロに及びます。こういうようなありさまでは万国博も、神戸−千里丘間の最重要道路はこれ一本しかありません。この道路がこういうありさまでは、私はほんとうにお恥ずかしい次第だと思うのです。なかなか部分的な改良等によりましてはこれは解決できない問題じゃないかと思うのです。ひとつ根本的にこれは考え直していただく必要があると思うのですけれども、いかがですか。
  100. 尾之内由紀夫

    ○尾之内政府委員 この路線は非常に交通量の多い有名な路線でございまして、私どもも、これは旧二級国道でございますが、国の直轄事業にいたしまして、いまお話のような積極的にやろうという心がまえでおりますので、ひとつ御期待をいただきたいと思います。
  101. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 実は、あまり深く追及はいたしませんが、それを心にとめてやっていただかぬと、これは日本の恥ですよ。たいへんな恥をかきますよ。ですからひとつそういう小細工的なものじゃなくて、国際博というだけではなくて、私はこれはもう飽和点に達しておると思うのです。少なくとも西宮−池田間、石橋の待兼山のすそまでの交通というものは、これはたいへんなものです。でありますから、根本的にひとつ直していただいて恥をかかぬようにやっていただきたいと思います。  次に、道路について根本的な問題でありますが、私も昨年列国議会同盟で外国へ初めてやらしていただいたのですけれども、日本の道路行政というものは非常におくれていると思うのです。外国に行きましたら同じ六十という制限の表示がしてありましても、最低速度が六十マイルであって、日本で六十と書いてあれば最高六十キロなんです。もう比べものになりませんね。そこで政府においては山間、農村のいわゆる農業構造改善事業でありますとか、いろいろけっこうな計画が立てられてはおりますけれども、悲しいかな道路行政が非常におくれておるために、実質的には机上プランに終わっていることが非常に多いのです。これは日本の過密都市、過密人口をなくしていく、解消していく、こういうためにも道路を積極的に開発していくということが、自然に、いま問題になっておる都市の再開発あるいは農村の構造改善あるいは専業農家の創設、あらゆる面にわたりまして解決する一つのキーポイントになっておる。それが一向に地方道なんかには進みません。ひとつ大臣、いかがですか、事務的にはこれは事務当局が非常に努力をされておると思うのですけれども、これは政治問題だと私は思うのです。道路行政についてどういう根本的なお考えを持っておられるか、ひとつ聞かしてもらいたい。
  102. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 いま山口さんのお話のとおり、まったく私も同感であります。日本の道路行政は、御承知のとおり第四次五カ年計画、四兆一千億でありますが、ようやくここ十年前後の問題であります。道路の非常な重要性というものを考えて、近代的な道路のつくり方を始めたのは十年前後です。さっき私が申し上げましたが、明治時代は非常に鉄道に力を入れました。ところが率直に言って今日まで、ここ十年前後以前には道路政策というのはそうなかったと言っていいと私は思うのです。しかし、時勢が違ってきましたし、鉄道もけっこうでありますが、先ほど欧米先進国のお話をなさいましたけれども、少なくとも二、三十年おくれておると思っております。そういう意味で、今日まで道路に力を入れましたのは、まず既存の道路がとにかく焦眉の急でありますから、これに努力をいたしてまいりました。まだまだ国道といっても一級国道がようやく緒についた。これから二級国道に力を入れていこう。あるいは地方の県道、市町村道に至っては、これはもう全く手をつけておらなかったと言っても過言でない。そういう段階でありますから、既存の道路ももちろん整備しなければなりませんけれども、先ほど申し上げましたように、国全体の社会、経済、産業全般をどうするのだ、いまのように現象だけとらえてこれにびほう策を講じておっても根本解決にはなりません。過密都市の問題も、いわゆる問題の農村の構造改革の問題も、この前提が整わなければ、局部的な改良をしても全体的な機能を発揮しない。そういう考え方を基本的に持っております。そういう意味で、将来の高速自動車道網を中心とした道路計画を全国的にここにあらわすべきである、今後十年たちますと、既存の道路の整備は、重要なものはおおむね完了する、こういう考え方を持っております。特に農村のお話をなさいましたが、いま農村は御承知のように非常な大問題であります。しかもこれに相当力を入れておりますけれども、効果があがらない。全然あがらないというと言い過ぎでありますけれども、いわれておるような効果はあがらないことは明らかであります。なぜかというと、結同それを流動的に動かす道路網の整備がきわめておくれておるというところに原因があると思うのです。そういう意味で、農業ばかりでなくて、都市問題あるいは産業の配置の問題、こういう問題の大前提は道路の整備にある、こういう観点から今後の道路政策を進めるべきだ、こういう基本的な考え方をもって道路網の整備をいたそう。そういう意味で、地方道が非常におくれておりますし、しかもそれは非常に延長が長い。御承知のように、いわゆる都道府県道、これは十二万余キロですか、町村道に至っては八十一万余キロあります。これはたいへんなことでありますけれども、四十一年度からは市町村道にも入る段階だ。全体からいいますと微微たる予算でありますけれども、従来からいいますと相当の予算をこれにさく、こういうことをいたしておるわけでありまして、考え方としては私は全く同じであります。
  103. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 予定の時間もきましたから、いろいろお尋ねをしたい点はたくさんありますけれども、省略をいたしますが、大臣、いま御答弁になりましたが、私も全く同感で、いま日本の道路は御指摘のとおり非常に開発がおくれておる。そしていま近代的な道路というものは数少ないものでありますから、ややもすれば、当初の路線が政治的に曲がったりまっすぐになったり、大臣としてはいろいろ非常に苦心をされているようであります。けれども、非常に強い決心をもって当初の目的を達成するために臨んでおられることについては私非常に心強く思っておるわけです。したがって、いま御答弁になりましたように、おくれておる道路行政をひとつ取り戻して前進していただきますようにお願いしておきたいと思います。  もう一つ、私の選挙区で困るのは、本土−四国の連絡道路の問題でありますけれども、これは着工のめどはついておるのでしょうか。これをひとつ伺っておきたい。
  104. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 着工のめどがついておるのかと言われると、まだ着工のめどはついておらないのであります。御承知のとおり、これは十数億の金をかけて数年間技術的な調査をいたしております。四国と本土をつなぐ路線、三カ地点があるわけでありますが、並行して技術調査をいたしております。これも、大げさでありますけれども、技術的にもあるいは計画としても世紀の大事業でありますから、周密な技術調査をして、そしてその結論をまってこれをいかにすべきかということを検討しなければなりません。その根本の基本的な技術調査は大体近く報告があると思いますが、さらにまたそれをまとめて検討するのに四十一年度、予算を四億か五億とっておりますが、それからこれををいかにすべきかという検討をしなければならない段階でありますので、着手するめどはついたかと言われるとついておりません、こういう段階であります。
  105. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これは私実は苦々しく思っております。さきに申し述べたように、お互い政界で活躍する。しかし、私は手段にこういうものを用いてはいかぬと思うのです。いま広島のほうとかあっちこっちから四国に橋が五本も六本もできるようなことを言っておりますけれども、しかし何といっても、青函トンネルと明石海峡の架橋問題は並行してクローズアップされた問題で、これだけ費用をかけた問題が、政治的な問題でまだきまらぬというようなことになると、非難を買うばかりですよ。ですから、早急に断を下してもらわぬと困ります。そして要らぬことを言うて自己宣伝にばかり利用しておる者がある。不届き千万な話だ。私はこんなことをここで質問しますけれども、ここから一歩出たら何も言いませんよ。これは当然のことです。国家の繁栄のためにやることならば、当然政治家としてやるべき義務があるのです。それを自己の宣伝に利用しておる者がある。困ります。だから、断を早く下してもらいたい。いまの建設大臣の強固な意思をもってすれば、これに対して適切な断を下されるのに決してちゅうちょなさる大臣とは私は思ってないのです。そこまで私は信頼している。どうかひとつそういう意味で、早急にこれについては断を下していただくようにお願いしておきます。  それからもう一つは地すべりその他についてでありますが、今度兵庫県から来られた倉上さんは、地すべり等に対しましては私のほうではほんとうに信頼を申し上げておる。というとなんですけれども、倉上さんは権威者として御活躍を願って非常に信望を集めておられたのです。今度本庁のほうに参られましたから、一そう地方住民といたしましては、中央の処置について御信頼を申し上げていくと思うのですが、これらの問題について本年はどういうようになっておりますか。ひとつ地すべり対策等についてわかりましたら、お答え願いたいと思います。
  106. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 お答え申します。  最近非常に地すべりの発生が多いわけでございます。松之山をはじめとしまして、それから永見あるいは神戸周辺あるいは大和川、亀之瀬、こういうところに地すべりが非常に多い。大規模のところにつきましては直轄事業として採択いたしております。小規模なところにつきましては補助事業として採用いたしております。何ぶんにも地すべりという問題は、原因的に非常にむずかしいいろいろな地質上の要素が多いわけです。したがいまして、地すべり対策をきめるには調査をやらなければならぬということになるわけですが、現在亀之瀬あたりでは地すべりした土を全部取ってしまうというような方法でやっているところもございます。あるいは基盤の岩盤との間に水の流れるのを防ぐために水抜きをやって地すべりをとめるという方法を採用しているところもございます。ところどころによって違うわけでございますが、いずれにしましても地すべり対策は非常に緊急性もあるし、地元の不安も非常に多うございますし、さらに拡大するという問題もございまして、われわれとしましてもこれはできるだけ災害としての対策ができるようにもしたいし、さらに加えまして地すべり対策事業としても実施していきたいというふうに考えております。
  107. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 もう一問で終わりますが、ダムの問題ですけれども、御承知のとおりダムということになりますと、反対という意見も非常に強いわけでございます。しかし大筋として水資源の利用ということについてはその重要性を説きまして、なるたけ円満にダム工事の遂行できるように努力をし、議会方面その他につきましても了承を得つつあるわけであります。しかし当初の計画を変更する、そういうような場合におきましても、あらかじめ基本的な調査は進められておると思うのでありますけれども、もしそういうような一定の地域が変更になった調査の結果が出るということになりました場合にも、原則的にはそのダムを建設するという基本には変更はないだろうと私は思うのですけれども、その原則だけひとつここではっきりしておいていただきますと、将来それらの地域に対する住民との話に移りましても、また私どもとしましても協力するのに非常に便利かと思いますので、ひとつそれらの点について明らかにしておいていただきたいと思います。
  108. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 ダムの調査を行ないますのは、その河川につきまして治水上、利水しそのダムが必要性があるわけでございまして、そのために個所の問題は別としまして、基本的にはダムをつくることについては、計画の変更をするつもりはございません。ただいろいろな事情によりまして、ダムがあるいは安くできたとかいろいろな問題があるかと思います。そういう点は十分予備調査の段階で検討してまいりまして、実施に移す際の問題をスムーズに運びたいと存じております。日ごろ山口先化にはダムの問題について御心労をいただいております。この席で厚く御礼を申し上げます。
  109. 山口丈太郎

    ○山口(丈)分科員 これで終わります。
  110. 荒木萬壽夫

    荒木主査 午後は二時十分より再開いたしまして、引き続き建設省所管の質疑を行ないます。  暫時休憩いたします。    午後一時十六分休憩      ————◇—————    午後二時十九介開議
  111. 荒木萬壽夫

    荒木主査 休憩前に引き続き会議を開きます、  建設省所管について質疑を続行いたします。玉置一徳君。
  112. 玉置一徳

    玉置分科員 まず、河床低下による農業用水の取水問題につきましてお伺いをいたしたいと思います。実はこの問題はここ二、三年ずっと質疑を続け、主張し続けてきたのでありますが、毎回、農林大臣並びに建設大臣からは、善処方のかたいお約束をいただきながら、今日に至っておる問題でございます。一つの例をとって申し上げますと、京都に木津川というのがございます。この木津川は、昭和二十八年の大災害並びに三十年の大出水によりまして、上流部からずいぶん土砂を流してきたのであります。河床が上がっておったのでありますが、それから今日、ことにここ三、四年は、おかげさまで水害をこうむることがございませんでした。御承知のとおり、昭和三十五年から産業が異常に成長いたしましたために、私たちの近くの大阪周辺の建設、公共投資というものが非常に盛んになりましたために、砂利の需要を非常に必要といたしております。これを主として木津川並びに吉野のほうから送っておるわけであります。供給いたしておるわけでありますが、ただいま申しましたとおり、ここ三、四年方出水もございませんので、河床が非常に低下いたしてまいっております。はなはだしいところでは二メートル、一メートル五十ないし二メートルというように河床が低下いたしておりまして、在来この木津川の流水によりましてたんぼを養ってまいりました流域のたんぼの取水が非常に困難になりまして、樋管、樋門はいずれも口をあけまして水入れができないわけであります。私はいつも申し上げておるんですが、お上百姓が一メートルないし一メートル五十、自分の土地が湿田のために土持ちをいたしたのであれば、これはその農家の責任でございますけれども、そうじゃないわけであります。原因者負担という思想がございますとおり、大事故を起こしましたときに、自動車が電信柱にぶつかって、自分が事故を起こし、死んでおりましても、配電会社、郵政省その他に賠償を払わなければならないわけです。その上になお警察でいろいろな処罰を受けるわけであります。原因者が必ず負担をするのは当然でございますが、不特定多数の場合は、これは管理者がしかるべき措置をするのが当然だと、こう思うのでございまして、前の国会にも、その前の国会にも、予算分科会で、建設大臣並びに農林大臣にはこのことを申し上げておったわけであります。  そこで、先般河川局長も現地を視察されまして、ごらんいただいたと存じますが、局長のお話も、あるいは私のほうの現地の地建の局長並びに枚方工事事務所の所長の考え方も同じでして、河川の断面と申しますか、われわれが申しますと、水の容積と申しますが、それがだんだんと深くなるわけでありますので、大きくなるわけでありますので、治水上はかえって堤防にかさ上げをするのと同じ効果をあげておるわけでありますので、望ましいことだと言われもし、そういう考え方があるのもあるいは当然だと思うのです。だから私は、それはそれなりに治水上はけっこうでありますので、それはそうしてもらいながら、なおかつ、その上にかさ持たせ、かさ上げをする費用のほんの一部分にしかすぎない取水困難なものに対する手当てを、建設省でかわり工事としてなすべきではないだろうか、こういうことを常に主張し続けてきたのであります。いまのお話のように、取り水が下がって、治水上は非常にけっこうだというような方針を立てるのならば、それだけに、いままでの用水、これは御承知のとおり、水の利用の権利を持っているとも言える周辺の農家のために、建設省でしにくいことでございまして、いままで何回も頼んで、そうだと言いながらできないのは、結局建設省ですることができずに、農林省に従来とも六割、今度は六割五分となりますが、という補助率があるわけでありますが、それにかさ持たせをするというようなことをせなければならないために、建設省でしてもらえずに、農林省に被害の手当てをしてもらわなければならない、お互いに了解しながら先行き伸展しない、という問題があったわけでありますが、これにつきまして、大臣並びに局長のほうで、いままでどういうように御検討されて、いつごろまでに、どういう考え方でこの問題を解決していく御用意があるかを、ひとつ局長と大臣からお答えをいただきたい。まず局長からお話をされまして、そうして大臣から御決意をお聞かせいただければしあわせだと思います。
  113. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 一般論といたしまして、私が申し上げておきたいと思います。あとで現場を見ておる河川局長から、具体的なことは解説明いたします。  一般論といたしまして、私どもが河川を管理する手当てをいたします場合に、まず第一に治水、これは申し上げるまでもない。それから、水は有効な資源でありますから、その水を有効に利用する方法をできるだけ講ずる、こういうことであります。いまのように砂利の問題との関係、そこで河床が低下して、流水が自然に災害なくして流れる、これは非常に望ましいことだ、治水の面からいいますと、それは非常にいいことだと思っております。ただ、その河床の低下の場合に、上流にダムをつくる、砂防をする、あるいはその他の自然現象等によって河床が低下する場合もあります。そういう場合は、河床が低下したために、あるいは農耕地用の用水せき、あるいは取水口が水面上に上がるということがあるわけでございます。そういうものをどうするかということは、率直に言って、河川管理上はきわめて困難である。自然に河床が低下したという場合に、これは河川維持上はけっこうなことでありますが、それをまた一々、農業用水せき等を建設省でやるということは、ちょっと筋が通らないと思っております。そういう場合には、農林行政上適当な措置を講ずべきだ、かように考えている。ただ、砂利を採取したがゆえに云々ということがしばしばあります。具体的な問題は、木津川については局長から申し上げますが、そういう場合には、やはり従来の利水を維持しなければならない。しかも、河川の治水もしなければならない。これは河川管理責任者の当然の責務でありますから、場合によっては砂利採取を禁止する。砂利も必要な資源でありますから、それは河川維持上取ってもかまわない。しかし他の用水に非常な支障をそのために来たすというときには、それを禁止するかその他の方法を講じて、砂利も取ってなおかつ利水ができる手段を河川管理者が当然すべきである、私はそういう考えが正しいと思います。ですから、具体的な場合は、どういうような事情かは、河川局長から御説明申し上げて、さらに必要であれば、私の考えを申し上げたいと思います。
  114. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 御指摘の木津川の河床低下は非常に著しいものがありまして、農業用水は非常に困っておりますことがございます。これが砂利採取によるものであるか、自然の河床低下によるものか、いま御指摘の点は、砂利採取によるものだというぐあいに言われたわけでございますが、現在の段階では、内部的には、それぞれの揚水ポンプ管理者が砂利業者と打ち合わせられまして、それぞれの費用のもとにおいてポンプアップされているという実情だと思います。こういう問題は非常に各地で起こっておりまして、被害が発生しているわけでございますが、低下の原因及び実情はよく調査してみないと、何が原因であるということがはっきりしないという点がございます。したがいまして、そういう原因が明確につかめる、あるいは砂利採取があからさまに原因であるという場合には、当然原因者負担でやるべきだ、対策を講ずべきだと考えております。たとえば、すぐ護岸のそばを掘りまして、そして護岸がこわれてきたというようなものは、直接砂利採取そのものが原因でこわれる事例があるわけです。もちろんそういった個所につきましては、禁止区域にして掘らせないわけでございますが、そういった直接の原因によるものが判定できれば、当然原因者負担でやるべきだと思いますが、現在の段階で、砂利で若干下がったという傾向は見られましても、これが砂利採取だけが原因だということは、なかなか言えない場合も多いわけでございます。上流にダムもできておりますし、砂防堰堤も最近促進されておりますので、必ずしも砂利採取だけが全部の原因ではないような点も多いわけです。したがいまして、そういった低下の原因とか実情を十分調査しまして、河川の総合管理上あるいは河川の機能の維持上、これは治水もありますし、利水上の問題もあります。そういった河川の機能の維持上必要なものについては、河川改修事業の一環として、河床低下に対する事業を起こしていくという考え方もあります。したがいまして、こういう河川床低下の河川につきましては、現在四十年度から一千万の予算をつけまして調査をいたしております。そういう調査はどういう調査かと申しますと、現在の河床が河床計画でいいのかどうかという問題でございます。あらためて河床計画を練り直して、そして検討すべきじゃないか。全面的に河川を一本として考え方を練り直すべきじゃないかということで、河道計画調査費というのを、ことし全国で八カ所に準備しております。そういった河床低下のある河川につきまして、そういう事業を行ないまして、河川改修計画を検討しております。従来の河床計画によりますと、堤防のかさ上げという計画があったわけでございますが、一方そういう河床が低下してきますと、そういうのを具体的に取り入れまして、堤防をかさ上げせずして改修計画の目的を達するような方法も考えられます。しかしながら、河床を低下することによりまして、著しく、たとえば護岸、水制、あるいは床どめ、そういったものの補強が相当要る場合がございます。したがいまして、そういった点を十分検討しまして、河床を下げるべきであるか下げるべきじゃないかということにつきまして、調査をいたしております。したがいまして、そういう調査が進むに連れまして、その改修計画が、非常に河床を下げることが合理的であれば、今後そういった方向につきまして、十分採択を検討してまいりたいというふうに考えております。  木津川の場合につきましては、現在農林省による用水の合口計画が進んでおりまして、それらの問題につきましては、農林省とも十分協議いたしておりまして、さらに今後十分密に協議して、対策の確立につとめたいと思います。  一方におきまして、なお先ほど大臣からお話がありましたように、砂利採取するために河床低下を来たすという河川につきましては、あるいは河川管理施設の被害を来たす、あるいは公共施設の公共工作物の被害を来たすというものにつきましては、河川の保全を十分はかるために、砂利採取の基本計画というものを立てたいと思っております。基本計画と申しますのは、現在の段階でそういう管理施設が十分安全に確保できる、さらに用水の取水にもできるだけ困難を来たさないというような程度で、計画的な砂利採取を行ないたいということで、砂利採取基本計画を立てまして、それによって砂利採取を行なっていくようにしたいと思っております。さらに制限をするとかあるいは禁止区域を設定するとか、いろいろな点で調節をはかっていきたい、というふうに考えております。
  115. 玉置一徳

    玉置分科員 私はそのお答えは、三年前から同じことを同じように、お答えをいただいておりますのであって、いまからゆっくり調査してもらって、どうしてくれという話と違うのです。農家はもうたまらぬものだから、農林省に行って、これも役人がかってにしたものだとぼくは思うけれども、上のほうに堰堤をこしらえて、そこから道水してくる、四、五十億円以上の金が、わずか五町村くらいのやつに要るわけです。六割補助でことし六割五分に上がるのじゃないかと思っておりますが、三割五分ないし四割は地元負担、そのうち府県が半分持つとしても、十年年賦でいえばまた倍になりますから、自分で利水の権利のあるものを、再三、これはまず三年間にわたって、その間地建の局長のかわること実に四回あるいは五回、大阪地建はかわりがきついですから、工事事務所の所長のかわること五回、何回頼みに行っておっても、どこへ行ってすればいいのか、調査をいたします、技術的なことでありますので、われわれは頼みますと言って、頼んでおきますと、六カ月くらいかかります。次に行ってみれば、また新しい人が来ておって、同じことを言ったら六カ月。そのたびに同じ返事をいただいておるのです。砂利の規制も必要なことは御存じでありますが、あそこをとめますと、また山砂利で荒されまして、去年、おととし大騒ぎをしましたような問題が起こりまして、そう簡単にとめられるものじゃございません。現地は現地で十分考えて規制をいたしておりますから、私は砂利の問題で起こったということを言っているのじゃないのです。利水の問題を、管理者である建設省が、現にもうたまらなくなって農家の方々がそういった大きな工事をやろうと思っておるのに、それに対する援助策というのは何らの対策もない。農林省に頼み、農地局長と河川局長でひとつよく寄り寄り協議をしてください、幾ら頼んでも、先ほど大臣のおっしゃったとおり、建設省が、所管の工事でないからということで、なかなかでき得ないのが事実なんです。むずかしいことはよくわかります。しかしどこかが——農林省でやってもらわなければならぬことは私はよくわかるのです。しかし管理は建設省です。建設省の管理が十分でないためにいかぬという意味じゃないのですよ。管理の不行届きという意味じゃなしに、管理に属しておるものが、河床が二メートルも低下するために、お百姓はたまらなくなって、上に思い切った大工事をして、木津川の水を、二十キロほどか十何キロか、上からとってこざるを得ないというような工事を行なわざるを得ないところに来ておるのに、これからゆっくり調査をいたしまして、というようなことを言われておったのでは、ちょっとたまったものではない、こう思うのですが、大臣、これはどうしたらいいのでしょうか。各大臣、毎年——赤城さんのごときは、私が村長をしておったときにはこういうのでこうやったのだと言って、自分で例まで出して、よしやると言って、いま政調会長をしておいでになるのです。私は、そこまで役所の関係でしにくかったら、これは全国的にたまらなくなっている河川が十五、六あるはずなのですから、こういうことこそ議員立法でもして、ひとつみんなで政府に突きつけなければ、政府がしてくれないのじゃないだろうかということまでつくづくこのごろ思ってきておるのです。大臣の御説明もよくわかります。毎大臣同じことをおっしゃっておるのですから、よくわかるのです。河川局長のおっしゃるのもわかる。わかるのだけれども、ある場合には、護岸がこわれておるようなところはないか、さがしてきてくれ、そうしたら床どめをやろうということまでそっと教えていただいて、一生懸命さがしたけれども、そういうところがないのです。木津川は全部自然河川なのです。だからあらゆる方法を勉強してみたのですが、可能な方法がないのです。いま全国で十五、六河川みなこういう羽目におちいりつつあることは事実でありますので——昭和三十七年に中村建設大臣のときに、一生懸命お願いして、内水排除という一つの構想を出していただいた。ああいうぐあいな形にやらなければ、この問題は従来の企画だけでものをやろうと思うところに無理があるのではないかという感じがするのです。よく相談しておりますくらいで、しまいには国会軽視だといわざるを得ないじゃないか。大臣が何ぼ約束されても、下の局長やなんかに、やろうという意思があるのかないのかということまで言いたいほど、ぼくはこの問題に執念してきょうまできておるのですが、大臣、これは何か方法はございませんか。
  116. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 木津川の問題につきましては、かねがね玉置先生からたいへん御指導を賜わって、ありがたく存じておる次第でございます。われわれも河川の機能維持につきましては、河川管理者的な立場から十分考えていきたいというふうに考えております。したがいまして、先ほど申し上げました、四十年度で河道計画調査をやっております。これは結論が出るのに若干時間がかかります。砂の補給量とかいろいろな問題がございまして、河床をどの程度まで下げていいのか、それから本川との関連もございますので、若干時間がかかります。しかしながら河床低下対策工事として、来年度予算で、計価の立つところは逐次実施していきたいというふうに考えております。ただ予算関係がございまして、治水の関係、それからいま四十年災害で非常に忙しいときであります。したがいまして予算的には十分回らない。ただこの問題につきましては、従来からも農林省農地局といろいろ打ち合わせております。しかしながら、先生のおっしゃるような方向でなかなか打ち合わせがまとまらない。この辺はひとつわれわれも、河川の機能の十分維持できるような措置が農林省で講じられようとしておりますので もちろんその点で、農林省の関係からそういうお話があれば、理屈があれば、十分検討してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  117. 玉置一徳

    玉置分科員 従来の予算の配分のしかたですれば、理屈がないのですよ。だから事実上大被害を受けておる連中をどうするのかということを言っておるのです。建設者流の理屈にはなかなか乗らないのです。きょうまでの河川管理の床どめ堰堤というような理屈には乗らないのです。そこで、どうするかということを毎年言っておるのです。建設省では御無理ごもっともだ、お気の毒だけれども、うちのほうでは手の施しようがないのだ。農林省も農林省で、同じことを言っておる。この苦情は一体どこへ持っていけばいいのか、それを教えていただきたい。せめてそれだけでも、それはここへ言いなさいと言ってもらったら、満足します。
  118. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 いま理屈のつくというお話がございました。従来は木津川は二級河川になっておりまして、知事が管理いたしておりました。四十年度からは一級河川になりまして、治水、利水上の観点から、建設大臣がすべて管理をすることになりました。したがいまして、そういった問題につきましても、具体的な理屈と申しますか、知事が管理していた時代の理屈と、若干ニュアンスが違うべきだというふうに考えております。したがいまして、玉置先生が従来からお話しになっておりました理屈は、二級河川時代の理屈を言っているのじゃないかというふうに考えます。この際、そういった河川につきましては、先ほど申し上げましたように、原因等を十分調査しまして、河床低下のような、いわゆる河川管理上必要なものにつきましては、そういった問題も取り上げていくようにしたい、そのために河道計画調査を四十年度から行なっておるということを申し上げたわけであります。
  119. 玉置一徳

    玉置分科員 私も、その論拠がわからぬことはないのです。  そこで、局長に申し上げます。いま個々の取水が困難だから——取水が何十カ所とあるでしょう。それは全部砂利業者にいろいろな援助を願って、ある意味では糊塗してきたのですけれども、一メートル五十、二メートルと下がってきたら、だんだんみんな収拾つかぬようになってきた。そのために、農林省としては加茂から上のほうまで上がって床どめして、そこから水を引っぱってこよう、これは大工事になってくるわけです。そこで一つは、そういう場合は、農家が新しく水をつけようと思う農地を造成したところでも、農林省は六割なり六割五分補助する。これは農家がやったのではなく、河床の低下によるいわば災害です。これでも同じ六割では、私は割りに合わないというのです。当然全部のポンプの工事建設省で継ぎ足してもらう分を固めて上でやろう、せめて建設省は床どめ堰堤だけ上のほうでいたしましょうというところへ来るか、もしくは農林省が、こういう場合だけは普通の造成されるときの六割じゃなしに、土地造成してかんがいするのじゃなしに、太古からあった木津川の水がとれなくなったのだから、代替工事としてするわけでありますから、そういう場合には建設省がせめて床どめ堰堤でも自分のほうで持ちましょうとか、下のほうの十数カ所のポンプの取水できるようにする分の代替工事として、上に一本堰堤をつくるやつだけは責任を持ちましょうとか、あるいは農林省で、そういうものだけは六割補助の上に二割積み上げましょうとか、どっちかでなければ、これは幾ら考えてもらっても、相談しておこう相談しておこうと言われても、そのどっちかをやらなければ、やりようがないですよ。だから建設省はそのくらいの方向に向かって、積極的に農林省と打ち合わせますということかどうか、ひとつお伺いしたい。
  120. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 この前から玉置先生にお話し申し上げておりますが、農林省がいま合口計画を進めております。さような問題で、農民負担の問題もございますし、検討するようにというお話がございました。それで農林省とは話し合いを進めておるわけでございます。しかしまだ現在の段階では、農林省としましては、別段のお申し込みもないし、われわれも従来の観点というよりも、先ほど申し上げました観点から、必要があれば検討する余地があるということは申し上げてあるわけであります。それは玉置先生のところでも申し上げたと思います。その点につきましては、決してわれわれはやるとかやらぬとかいう話ではないというように認識しております。
  121. 玉置一徳

    玉置分科員 大臣に最後に一つお伺いして、この問題を打ち切りたいと思のですが、結局先ほど申しましたように、農林省の六割補助の上にやる。そうしないと、いまのようなやり方では四割地元負担、そのうち府県が約半分の二割を持つというのが慣行上常識らしいのです。それでも反当たり三万円ほど要るようです。そうすると、一町歩持っておりますと三十万円、十五年年賦で六十万円という費用が一戸当たり要ってくるわけです。これでは何のために——自分のところで何かしたために、あるいはもっと便利にしようと思ってしたことではなしに、水がとれなくなったためにやる工事なんです。それに対して、農林省が二割なら二割補助率を上げる、農林省はそういう考え方しかできないと思うのです。建設省は、手伝いに行ったって、自分のところで何かしてあげようという手伝いでないと、協議したって、向こうでないとできないものですからね。ですから、建設省の費用でもって、六割を八割にした二割だけは、建設省の予算でもって向こうにつけかえて、向こうのものを八割補助にするということにするか、あるいは現物の床どめを、一番上の共同の樋門をつくる——一番上に合同してやるわけですから、床どめだけは建設省が持つとか、どっちかをやらなければ、そういう方向に向かって検討しなければ、協議しておったって、農林省、それはおまえのところで上げろということにしかならぬと思うのです。そういうような意味で、建設省は、自分が管理者の、河川の河床がどんどん低下するために起こる現象なんですから、管理者である建設省も、そういう樋間が全部干上がってくるような場合には、合同してやってください、それについて河床に一本掘り込む床どめだけは建設省がしましょう、そのかわり残る導水する費用は農林省の補助でやりなさいというような形にすると、非常に理屈も合うわけですが、大臣どういうようにお思いになりますか。
  122. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 御承知のとおりに、河川の問題は、先ほど原則を私が申し上げたとおりだと確信しております。いまお話を聞いておりますと、そうなれば、結局治水上あるいは河川維持上、建設省としても、どこかダム的なものあるいは砂どめ的なものをつくる必要がある、それは治水の問題だ、そのほかに揚水のためになお農林省所管でやる必要がある、こういうことを普通に言われれば、構造は多目的ダムになると思うのです。そういうものであるかどうかをいま検討しておるのじゃないかと思います。いずれにいたしましても、理屈を並べておっても、率直に言って、百姓が困るのですから、私も農林大臣と相談して、簡単にここでこうしますと言うわけにいかない。早急に、事務当局と一緒になって、こちらで何かすべきものがあるのかないのか、問題を煮詰めたいと思いますから、しばらくお待ちください。
  123. 玉置一徳

    玉置分科員 瀬戸山大臣の御善処のお約束を信じまして、河川局長にもなお一そう御努力いただきまして、こういう河川が全国に十四、五本ございますから、しかもそういう傾向はますます多くなってくるのじゃないかと思いますので、よろしくお願いいたします。  なお、土地問題その他道路の問題で御質問をしたかったのでありますが、持ち時間も来ておりますので、私の質問をこれで終わりたいと思います。
  124. 荒木萬壽夫

  125. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 実は、先国会のときに、日韓問題で、ほとんどほかの委員会ができないので、文書による質問を申し上げた、通称沼田ダムの建設につきまして、建設大臣にお伺いしたいのでございます。この点、できれば予算本委員会で、佐藤総理からじかじかに所信をお聞きしたいと思ったのでありますが、時間の関係でできなかったので、佐藤総理の非常に信任の厚い建設大臣でありますので、ひとつ佐藤総理にかわるお気持ちで、御答弁をいただきたいと思うのであります。  この問題が起きましたのは、最初昭和二十七年ごろ、建設省がたしか八十五メーター程度のダムをつくられるということが出まして、当時から地元では非常に心配をしておったのでありますが、しかしそれはそのままになりまして、三十四年の八月、松永安左衛門さんを中心とした、いわゆる産業計画会議のメンバーがかなり綿密なダム計画を出したことによって、再び大きな問題となりまして、当時、私記録を調べてみますと、三十四年の十一月、この問題で質問をしておるのでありますが、政府当局としては、産業計画会議は民間の任意団体であるし、政府としては何ら関知しない。したがってこのダム問題は、政府としては関係もしていないし、そういう計画もない、ということをおっしゃっておるようであります。しかしいかに民間団体であっても、あれだけのメンバーが、しかも当時の自民党の相当幹部の方もそのメンバーに名を連ねていらっしゃるという関係で、表面的にはあるいは関係がないと言えても、実際はかなり政府と連係のもとに、こういう計画が進んでいるのじゃないか。したがって、建設省と申しましょうか、政府当局も、これに対してかなりのアドバイスをしておるのじゃないかという点で、いろいろお尋ねしたのでありますが、当時はついに、政府としては関知しないということで終わったのであります。しかし現地といたしますと、昭和二十七年当時の八十五メーターダムということが、これは建設省当局から出たのだと記憶しておりますが、ありましたし、重ねて産業計画会議がああいうふうなかなり具体的な案を出しますと、これは容易でないわけでありまして、一時沼田ダム問題が消えたかに思えた現地では、あの三十年の発表で非常なショックを受けまして、以来今日まで十数年間、沼田市を中心とした利根全体、ないしは群馬県にとっては、一つのタブーと申しましょうか、非常な困惑をしておるのであります。したがいまして、私どもはダムの建設に賛成、反対は別として、少なくともこの利根十何万の県民のこういう不安と困惑に対しては、やはりわれわれ政治家として重大な責任があるので、機を見るたびに政府の所信をお尋ねしたのでありますけれども、いまだはっきりした意思表示がないのであります。そういう中で、昨年七月の参議院選挙の際に、選挙の応援に見えた佐藤総理が、県庁での記者会見で、たまたまこれは新聞記者の質問に答えたという形でありますけれども、こういうことをおっしゃっておる。沼田ダムは、非常に重大な建設であるので、地元の人たちの納得を得なければできないのだということをおっしゃった。地元の人たちが納得しなければできないということは、納得すればやるという、これはうらはらのことばと思いますが、初めて総理大臣が沼田ダムに対して意思表示をされたのは、そういう形でございました。これもかなり地元には刺激を与えたのであります。それから追っかけて、群馬県出身の福田大蔵大臣が、やはり選挙の応援に参りまして、大蔵大臣がさらに積極的なことばで、これは日本全体としてもそうであるけれども、群馬県としても、沼田ダムの建設は非常に重要な意義があって、これはひとつ積極的にやるべきであるという発言をされた。さらにそれを今度は裏づけるような形で、瀬戸山建設大臣は、たしか霞ケ浦、富里の第二空港の現地視察のついでという形であったと思うのでありますが、ヘリコプターで沼田上空に行かれまして、空から沼田ダムの実況を視察になったということがありました。私どもの国会でのいろんな形の質問に対しましては、事務当局も、そういう計画はないということをおっしゃっているけれども、それをいろんな形で打ち消すように、最高首脳部の方々がそういう発言等をされておる。そうなりますと、何と申しましても、地元では不安動揺が増すばかりであります。今日、沼田の市民並びに利根郡民は、先般までまぼろしのダムということばを使っておりましたが、今日ではもうまぼろしではない、現実に政府当局は具体的な計画を進めているのだ。したがって、賛否両論に分かれて、いろいろな問題が派生しております。あるときには土地の買い占めが起こって、一部の土地が暴騰することもありましたし、そうかというと今度は、外部から、いわゆる水没予定地に、補償目当ての建築物が生まれるといったこと、さらに農民の諸君は、自分たちの将来に対してどうなるかといったような、非常な不安が重なっています。したがいまして、実は昨年の暮れ、文書をもって御質問申し上げたのでありますが、残念ながらこれに対しても、私どもが期待するような——決して私は、するとかしないとか、これをどうするのではなくて、もっとはっきりした態度が出るべきであるにかかわらず、出てないということであります。もちろんそれぞれ立場がありますから、これはダムの建設に対して賛成もありましょうし、反対もございましょう。けれども、私は、政府としては、十数年のこういうことをこのまま放置するのではなくて、やはりおやりになるかならぬか、はっきりすることが、むしろ現地の農民に対しては親切なことだと思う。不安と動揺をいつまでも続けさせて、土地の暴騰を起こしたりあるいはいろいろなことをさせるのは、これはやはり政治の責任と私は思うのであります。したがって、この際、冒頭に申しましたように、佐藤総理の信ことのほか厚い瀬戸山建設大臣の場合、おそらく瀬戸山建設大臣は、佐藤総理の旨を受けて、いろいろと御心配もあっていただいているだろうし、いろいろな御所信もあろうと思いますので、この際、ひとつ建設大臣の沼田ダムに対するお考えなり、あるいは現在までの佐藤総理なりそういった方々とのお話し合いの推移等につきましてお聞きしたい、こう思うわけであります。
  126. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 佐藤総理の代役はとてもつとまりませんけれども、率直に申し上げます。従来茜ケ久保さんの正式な、政府に対する御質問と文書による御質問、それに答えておりますのは、これは決して隠しだてをいたしておるのではなくて、そのままお答えいたしておるのであります。そこでいわゆる通称沼田ダム——岩本という部落といいますか、地名でありますから、まあ岩本ダムという呼称も使われております。これは私も十数年前から、ここにダム地点として、ダムサイトとして適当な地点があるということは、専門家からも聞いておるのです。そこで結論を申し上げると、あのいわゆる沼田ダムを設置したい、また設置すべきである、こういう考え方については、私と佐藤総理とは同意見であります。ただ問題は、茜ケ久保さん御承知のとおり、あそこに沼田市もあるし、私が先般ついでにヘリコプターで見ましたのも、実際上の地形を私承知しておりませんから、やるべきである、やりたいということを、十数年前から専門家の話を聞いておりましたが、現場を知らないでは、何ともこれは判断がつかない、こういうふうに考えて、まあ上空からではありましたが、上空から見るのが一番わかりやすいですから、見たという事情でありまして、下の事情はつまびらかにいたしませんが、台地の下に、なるほどダムサイトとしては非常に適切であろうと思われる地形がある。けれども、台地にはいわゆる市街地がある、また低いところに農耕地があり、鉄道があり、駅があります。こういう状態でありますから、やったほうがいいと思っても、そう簡単な問題じゃない。したがって、これは佐藤総理が新聞記者の皆さんにどういうお話をしたか、私は直接知りませんけれども、やはり地元の御理解と積極的な御協力を得なければ、いずれの場合もそうでありますけれども、やれば相当大規模なダムにならざるを得ない、またやるならば大規模なダムをやるほうが、これは効果的であります。そういう意味で、他の中小のダムとは違って、さらにそれ以上の御協力と御理解を得なければなりません。そう簡単に、ここがいいですからやります、というわけにはいかない。こういう考えであるということであります。  そこで、やるべきである、やりたいということは、もう私から申し上げるまでもなく、日本第一の利根川というものの利水、特に治水、一朝災害が起こりますと、これはもうたいへんな、それこそ天下の一大事になるわけであります。これはもう過去にそういうにがい経験もあるわけであります。まだまだ利根川の処理というものはできておらないわけでありますから、御承知のとおり、治水、利水の観点から最大の力を入れておりますのが、日本に川多しといえども利根川で、第一に取り上げて現在もやっておるわけであります。そこで、治水の面からいっても、従来、それこそ徳川時代から、堤防をつくったり、あるいは放水路をつくったり、あるいは河口の変更をしたり、こういうことが関東の従来の農業利水でありましたけれども、今日では御承知のとおり、その他各般の利水問題、しかもこれほど発展し、一朝災害があればたいへんなことでありますから、やはりそれ相応の治水と防災をしなければならぬことは当然であります。そういうことで総合的な計画を立てて、多くのダム群で水の調節をし、一面においては農業利水あるいは工業、上水道等の利水計画を進めておるということも御承知のとおりであります。相当完成したダムもあります、現在進行中のダムもあります。今後新たに建設すべき中小のダムもたくさんあるわけでありますが、これだけではまだ満足ではなかろう。御承知のとおり、利根川は、数字的なことは専門家から申し上げますけれども、大体一万七千立方ですか、この流量でやっておりますけれども、これはずっと前の昭和二十四年くらいの調査の結果であって、その後関東地域の発展というのは、御承知のとおり、人口の集中、工業その他の進展、したがって、用水の量が非常に膨大になっている。現在でもそうです。また将来、人口の集中は相当にあるであろう。また産業の発展もある。これはいまの想像を絶するような事態も考えられる。そういうことは、一朝災害があったときには、これは従来に想像のできない災害をまたお互いに考えなければならない。そういう意味で、この日本第一の坂東太郎に万全の措置を講じなければならないというのは、私は、河川を管理しているもの、建設省のみならず政府としてはこれに重大な責務があるわけでありますから、そういう点を考えることは、これは国民に対して、また小さく言うとこの関東地域に対する当然の責務であろうと思っておるわけであります。大、中、小のダム群をつくりますけれども、最大に残されておるところは、いまのところでは御承知のとおり沼田ダムであります。さっき申し上げましたように、そう簡単なものではない。それが今日まで残されておる原因であろうと思います。そういう意味で、私はやるべきである、やりたい、こういうことは総理も——私もほかの人に一々聞いたわけではありませんが、多くのそういう人がある。一面においては、先ほどお話しになりましたように、産業計画会議のほうでも、これは主として産業資源という関係からであろうと思いますけれども、いろいろな図上調査、関東地域全域の点を専門学者等が集まって検討しておるわけであります。私は直接これに何にも関係はありませんけれども、そういうことは前前から新聞その他で承っております。昨年の夏でありましたか、向こうの計画のあらましを聞きました。私は専門家でないからそれを聞いてもなかなか覚えてもいませんし、また覚えようとも思わないのです。しろうとがそんなことを覚えたってたいしたことない。ですから、そういうものがありますが、従来もお答えいたしておりますように、そういう希望、一つの理念は持っておりますけれども、現在まで実地についても、現地についても、あるいはダムサイトについても詳細なダム計画をするためのデータを集める調査が今日まだなされておりません。それは御承知だと思います。そういう意味で、これは学者あるいは専門家は図上においてもある程度の計画はできるんだろうと思いますが、責任を持っておる建設省としては、こういうところにこういうダムをつくれます、そういたしますとこのくらい水没いたします、どのくらいの水がたまります、これはどういうふうに利用しますということを責任を持って申し上げるデータは持っておらないわけであります。産業計画会議等でどういう調査をされたか知りませんけれども、これもそういう意味の現地調査ということではないようでありますから、そういうものはもちろん事務当局としても検討しておるのだろうと思います。私は聞いてみませんけれども、検討しておると思います。その程度であるわけであります。これを私はやりたい、やるべきだ、そういう意味で、できることなら地元の皆さんの御理解を得てひとつ調査はさしていただきたい、こういうことであります。  そこで私ども考え方をあらまし申し上げておきますけれども、どういうものができるか、調査しなければわかりませんが、あの地帯を関東全域の——これは先ほどほかの委員からもお話があったのでありますけれども、水を全国的にちゃんと調査して縦横に使える体制をつくるのが建設省としては最も必要ではないか。これは午前の御質問でありましたけれども、そういう観点をもって四十一年度予算にも広域的な水調査、利水調査ということで、これは一ぺんにはできませんけれども、予算をつけておる状態であります。そういうことであの地帯をもしやります場合には、群馬県全域あるいはもっと奥地まで入れて大開発をするという構想であの問題を解決しなければならない。やはりそこに住んでおられる住民の方々に、そのダムをつくって防災をする、一面においては利水をする、これは国家的の大利益であろうと思います。同時に、地元といいますか、群馬県といいますか、あるいは直接沼田市といいますか、そういう皆さんがそれによって従来より以上に利益を受ける、開発される、こういう計画でなければならない、かように考えておりますが、それは調査の結果、いろいろ地元の意見も聞いてやらなければならない。これが現在の偽らざる私どもの立場であるということを御理解願いたいと思います。
  127. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 さすがに佐藤総理の腹心だけあって、いままで実は何回お尋ねしてもこれだけの抱負というか政治的な発言をお聞きしなかったのですが、きょう初めて瀬戸山建設大臣から一応御意思のほどを伺ったのでございます。  そこでもう一つお尋ねしたいのは、瀬戸山建設大臣と佐藤総理とがまあ同じ御意見であるということはわかりますが、何か佐藤総理から、いわゆる岩本ダムに対して、調査すべきであるとか、あるいはこれを何か具体化するような方法をとるべきであるといったような御示唆なり御指示なりお話が大臣にありましたかどうか、この点いかがですか。
  128. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 率直に申し上げますが、私が建設大臣の委嘱を受けたその日に、沼田ダムをひとつ検討してもらいたい、こういうお話がありました。しかし、これは、いま申し上げたように、私もいきさつはよく知っておりますけれども、そう簡単なものじゃありませんから、慎重に地元の理解を受けなければ、簡単なものではありません、こう言うております。
  129. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 たいへん明快な御答弁をいただきました。私どももいままで幾たびかこの点につきまして心配もし、またお尋ねもしたのでありますが、いま申しますように、率直な御見解を承ることができなかったのであります。ここではっきり、一応佐藤総理以下現政府首脳部が沼田ダムを——これはもちろん条件はございます。ございますが、やりたい、またやるべきであるという御意思があることがはっきりしたわけであります。  そこで河川局長にお伺いしたいのでございますが、先般来事務当局では、沼田ダムについては何ら具体的な資料もないしということでありましたが、いま大臣の御答弁はお聞きのとおりでございまして、佐藤総理をはじめ、あるいは福田大蔵大臣なども、沼田ダムをやるべきであるという御意思があることははっきりしたわけであります。そこで、三十五年以来建設省は、これは利根川総合開発という立場ではございますけれども、ずうっと毎年調査費をおつけになって調査をされている。表面は水量調節とかいうようなことがありますけれども、しかし、十年近い調査をされまして、これはやはり私は いま大臣もおっしゃったように、ダムの建設に必要な調査が当然あると思うのです。したがいまして、この辺、大臣もああおっしゃったことでありますから、河川局が今日までそういう見地で調査されました経過と結果をひとつ簡潔に御答弁願いたいと思います。
  130. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 岩本ダムの調査につきましては、先ほど大臣がおっしゃられましたので、その必要性につきましては御承知のとおりでございます。したがいまして、こういったダムの上流で、利根川のために大規模なダムをつくらなければいかぬという必要性のもとに、三十五年から水文観測を主とした調査を進めております。三十五年度三百万、三十六年度四百五十万、三十七年度八百万、三十八年度九百万、三十九年度一千万、四十年度一千七百万ということで利根川上流につきまして、主として水文観測あるいは利用現況調査あるいは流出解析——流出解析と申しますのは、洪水がどういうぐあいに出てくるか、あるいは低水がどういうぐあいなかっこうで出てくるか、その合流あるいは流出の状態を調べるものでございます。その他過去の洪水によるはんらん調査、そういったものを行なっております。岩本ダム地点に関する地質調査その他につきましては、現在全然行なわれておりません。
  131. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 現地ではダムサイトの地質調査等もかなり進んでおるように思考しておるのですが、当然、ダムサイト付近のいわゆる岩盤その他、地質調査もかなり進んでおるのではないのですか、いかがです。
  132. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 岩盤調査が進んでおるというお話でございますが、岩盤につきましては表面観察、それからボーリングによる観察、いろいろあります。ダムをつくるとすれば相当内部まで地質調査しないと、あるいは漏水の問題とか、岩盤の地耐力の問題とかいろいろございまして、ダムをどの程度の高さにつくれるか、そういった問題も検討できないわけでございます。したがいまして、表面観察は、それはあるいはハンマーとかいろいろなことにおいて、岩盤のかたさとか、いろいろなものは金もなくしてできると思いますけれども、いわゆるボーリングによって精密な調査をする。したがって、その調査の結果によりましてダムの高さをきめるというような調査はいまのところやっておりません。
  133. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 大臣も御指摘になりましたように、利根川の治水問題は重大な問題でありまして、これはもちろん国家百年の大計が必要でありますが、当面八斗島における一万七千立米の水の調整に対して、三千トンカットということが昭和二十四年ですかの計画でありますが、これは現在進んでおります矢木沢ダム、下久保ダム等が完成しますと、三千立方メートルのカットはあれで一応完了すると思うのですが、いかがですか。
  134. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 八斗島における基本高水流量というのは毎秒一万七千トンでございます。しかしながら、そのうち三千立方メートルを上流ダム瀞で調整するということになっております。現在まで矢木沢、下久保等を入れまして三千立方のうち約二千二百トン程度のカットが可能になると思います。なおその三千トンに達するまでには、八ツ場あるいは岩本等を含めて現在の段階でいけるような状況でございます。
  135. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 河川局長、三千トンカットはたしか矢木沢、下久保まで含めて、もちろんその他にもありますが、しかし三千トンカットは可能だということであの計画はできたのですが、いかがですか。それは私は初耳です。それで下久保、矢木沢が完了して二千二百という数字は、それは間違いじゃありませんか。たしかそれが完了すれば三千トンカットということが前に出ておったと思うのですが、その点いかがですか。
  136. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 これは現在までできたダムで二千二百トン程度でいくと思います。それで残るダムを、たとえば八ッ場あるいは岩本を考えるとか、そういったことによって三千トンを達成できるということで、いま構想が一応練られておる。いま八ッ場は調査中でございます。岩本については調査未着手であります。
  137. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 その件はあとでお伺いしますが、いま八ッ場が出ましたね。八ッ場ダムは、御承知のように上流の酸性が非常に強かったとき、計画があったができなかった。今日、酸性の中和工事ができまして大体水質が復元できたということで、さらに話が進んできておるようでありますが、現在の状態では、いわゆる草津温泉から出る酸性の水は中和できるけれども、吾妻鉱山付近から出る水は酸性がかなりあるのじゃないかということと、それから水量が、上流にダム、発電所ができて、そういうことでカット以来かなり少量になって、八ッ場にダムをつくっても、一方ではまだ酸性が残っておるし、また一方では水量との関係で意味がないのじゃないかといわれているのでありますが、建設省の調査の結果はいかがでありますか。
  138. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 現在八ッ場ダムについては予備調査中でございまして、ペーパープランニングではいろいろな案がつくられておりますが、先生おっしゃられましたように酸性の問題も残っておりますし、また水量の問題も検討しなくてはいかぬ問題がありますし、それから利根川治水全体として八ッ場にどの程度持たせるべきかという問題もあります。したがいまして、そういった点を調査の結果におきまして具体的に出していきたい。まだ具体的な調査、あるいはどの程度の高さのダムをつくるべきかという問題、あるいはそういったつくる高さにおきましても補償との関連の問題もあるわけでございます。そういった問題を具体的に調査して結論を出していきたいと思っております。
  139. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 その結論は大体いつごろ出る予定でございますか。
  140. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 大体四十一年度末までには大かたの結論を出したいと思っております。ただ、まだ温泉街の問題、それから例の湖底になられるところの土地の代替地の問題の調査、そういった問題がまだ進んでおりません。それから草津温泉以外の水の調査、そういったものも具体的に進めていきまして、ダムに対する影響等も十分調査したい、そういった問題を残しておりますので、具体的な調査は四十一年度まで十分かかると思います。
  141. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 これはあるいは直接には水資源公団かと思いますが、最近の下筌ダムあたりを含めて十カ所くらいのダムの建設に対する補償の基準、田畑、山林、宅地、家あるいは墓地、そういった筆別の補償の実際支給した表をお出し願いたいと思いますが、その点よろしゅうございますね。
  142. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 最近実施しました十ダムくらいの補償の資料を御提出いたします。
  143. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 時間もありませんので、最後に大臣に伺いたい。先般来、大臣は沼田ダムに対して非常に御熱意があるし、御抱負もあるようですが、その点について群馬県知事とお会いいただいて何か御懇談されるやに聞いておるのでありますが、そういう御意思があるか。また近くそういうことについて実現せられるおつもりでございますか、お伺いしたいと思います。
  144. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 こういう場合に非常に大切なことは、まず、こちらがかってに計画することも図上ではできますけれども、やはり地元が、将来あの地域をどうするか。広域的な水利もさることながら、将来どうあるべきかという考え方も聞かなければ、かってにこっちで考えるだけではだめだと思っておりますから、そういう意味で、まず県の代表者である知事さんの考え方も聞きたい、こういうことであります。国会が忙しいですから、そういう事態になっておりませんけれども、国会でもややゆるやかになったら、一ぺん御意向を聞き、また直接その責任者等の意見も聞いて、そして地元の考え方、かりに開発する場合に、どういうふうな開発の方法でいったらいいか、具体化するのは専門家その他の検討を待たなければなりませんけれども、まず地元の代表的な方々の意見も先に聴取すべきである、かような考え方を持っておりますので、知事さんにもぜひお目にかかりたいと思っております。
  145. 茜ケ久保重光

    茜ケ久保分科員 これで質問を終わります。
  146. 荒木萬壽夫

  147. 石田宥全

    石田(宥)分科員 ただいま茜ケ久保君から利根川の開発の問題について御質問があったわけでありますが、私は、利根水系の一番上流に位しております尾瀬が原開発の問題に関して御質問を申し上げたいと思うのであります。最初に通産省のほうから御意見を承って、建設大臣は、これは所管でありますから、一番最後に御意見を承りたいと考えるわけであります。  通産省の公益事業局の方に伺いたいのでございますが、最近、尾瀬沼を水源とする東京電力株式会社の、四十三年度着工の予定で、四年半ないし五年をもって完工になる予定の尾瀬第一及び第二発電計画に対して、通産省の公益事業局では御検討になっておられますか、どうですか。御検討になっておられるとすれば、許可に値するものであるというお考えであるかどうか。さらに、許可した場合に、阿賀野川水系に与える影響はきわめて甚大でありまして、これについての所見も伺いたいと思うのであります。阿賀野川は只見川水系の発電施設といたしましては、すでに十五カ所、一千二百八十億という巨額な投資が行なわれておりまして、今度の新しい計画と比較いたしますれば、有効落差に若干の有利性があるようでありますけれども、既設の発電所が減電を余儀なくされたり、ピーク発電等の運用面に大きな支障が出てくると考えられるわけであります。尾瀬分水による電源開発は、もしこれが行なわれるといたしますると二重投資ということになって、国家的にはきわめて重大な損失であると思われるのでありますが、これらの点について率直な見解を述べていただきたいと思います。
  148. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 いまの御質問にお答えいたします。東京電力につきましては、御承知のように利根川をずっと開発してまいっておるわけでございますが、その上流にあります、阿賀野川の最上流の尾瀬が原からの分水計画に関連しての御質問であろうと思いますが、尾瀬が原からの分水によります計画地点につきましては、かねてから将来の有力なる電源開発地点であるということで着目されておりまして、東京電力におきまして大正年代から水利権を持っておったのでありますが、その後、期限切れのたびに二回にわたりまして延長されてまいってきておりますが、いまだに開発実施には至っていないところであります。ところで今年の三月末に再びその期限がくるということでございまして、その延長方の申請が、関係知事に対して出されておるという段階であるわけでございます。  これが許可に値するかどうかという意味の御質問でございますが、これは建設省とも密接に連絡をとりまして、慎重に検討いたしたいと考えておる段階でございます。  阿賀野川への影響いかんという点でございますが、これの分水によりますと、水は大して大きな量ではございませんけれども、確かにそれだけの減電はあるわけであります。それに相当します電気は利根川において発生するわけでございまして、その比較をいたした場合におきましては、電気の面から申しますとほぼ同等、大差ないということが言えるのではなかろうかと思います。しかしながらこの分水計画につきましては、最近も関係の各県等からも要望、陳情等をいただいております。電気以外の総合利水の観点からの検討も必要であろうかと感ぜられますので、先ほど申しましたように、建設省当局とも十分連絡をとりました上で措置いたしたい、こういうぐあいに考えておるのでございます。
  149. 石田宥全

    石田(宥)分科員 ただいまの御答弁の中で、発電に関しては利根川上流に分水するのも阿賀野川に流すのも大した影響がないというように承ったのでありますが、その分については私はあとで相当問題が出てくると思います。御承知のとおり、少なくとも尾瀬が原の水というものは年間二億トン、そのうちいまの東京電力株式会社の計画によれば、一億四千万トンほどを利根川上流寄りに流すということになりますから、なかなか影響が大きいと思う。それから十五カ所でいま申し上げましたように、一千二百八十億もの投資をしておる設備があるのですね。その設備がフルに運転できないようにして、新しい施設をつくるということは二重投資になるのではないかということを私は指摘をしたのでありますが、これについてはあとでひとつ御検討願いたい。  時間の関係もありますから、次に私は農林省の参事官に伺いますが、ただいまお聞きのように、尾瀬の水源二億トンといわれておりますが、そのうち一億四千万トン、いわゆる毎秒四・五トンを利根水系に回すとなれば工業用水、上水道にも問題はありますけれども、当面阿賀水系工事中の国営阿賀用水という工事は約百億を要する大事業でありまして、事業がほぼ三分の一程度本年度ででき上がる計算であります。この阿賀用水は四十九トンの水を必要とするものでありまして、取水地点の馬下地点では、水量が百十トン以下となった場合は下流の水利権保護のために取水を規制されることになっておるのであります。現状におきましても、すでにしばしばこの取水水量を下回っておるわけであります。さらにまた福島県においても、この水系の農業用水は三万ヘクタールに及んでおりまして、開発予定を見ればその需要は大幅に増加することとなります。福島県、新潟県の穀倉地帯の農業開発に深刻な打撃を与え、農地開発計画の変更を余儀なくされると考えられるのであります。  さらにまたもう一つの点は、阿賀野下流における水量の減少によって水位が低下いたしますと、河口においては海水の遡上となって、新潟市周辺、亀田郷土地改良区管内等の水田にこの海水遡上の及ぼす影響は相当大きなものがあると思われるのでありまして、これについてはすでに専門学者の鑑定もいただいておるわけでありますが、農林省の今後の基盤整備事業その他に関する計画の点から見て御意見、御所見を承りたいと思います。
  150. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 お答えいたします。  ただいまの阿賀用水その他只見川、阿賀野川沿岸の農業事情、お話しになりましたとおり私どもも十分承知いたしております。その只見川の上流におきまして、先ほどお話しのような分水が起こった場合に、これらの農業地帯にどういう影響を及ぼすか、さらにはまた今後この流域沿岸の農業開発に対してどういう影響を及ぼすかという大きな問題を控えておるわけでございますが、ただいまの段階では、私ども実は尾瀬第一、第二発電計画の内容を詳細には存じておりませんけれども、物理的に考えますれば、若干の分水があれば必ずそれに対する反響が起こるのは事実でありますけれども、何といっても阿賀野川という大河川でございまして、しかもその一番上流でああいう分水ができるということで、その分水の方法のいかんによっては、その影響を非常に小さくすることも可能ではないか。たとえば、ただいまお話がございました一億四千万トンという大きな水ではございますけれども、川の流れの多い少ない、豊水、渇水の時期というものを考えるとか、また阿賀用水はただいまのお話のようにある一つの取水の規制を受けるような計画ではございますけれども、そういう渇水時点におきましては困らないような水の放流のしかたをするとか、そういうようなことをもし考えることができるとするならば、全体のために、地域の総合開発のために全体として見て必要であるというのならば、私どももこれは絶対困る、絶対反対だとは言い切れないのじゃないかというふうに考えておりますけれども、いまの段階ではいずれともはっきり申し上げられない。はなはだ恐縮でございますが、そういうふうに考えております。  なおまた、河口において水量が減る、そのことが水位の低下によって海水の遡上を起こすという問題がございます。これは御指摘のとおりでございますけれども、これもほかの河川でもございますように、ああいう大きな河川では水位の低下ということ、一体このことによってどの程度影響をするのか、ここいらも非常に大きなむずかしい問題であろうかと思います。そういうこともなお今後の検討問題だろうと思いますけれども、ただいまの段階では、いま申し上げたようなことの程度しか実は考えられないのではないかということでございます。
  151. 石田宥全

    石田(宥)分科員 それは、その流れをどう利用するかということは問題でありましょうけれども、山の分水嶺から関東平野に流すか、福島、新潟の平野に流すかということが決定的な問題なんですから、農林省がその点はっきり言えないということははなはだおかしいと思うのですよ。何かそこでちゃんと、別の方向に流してしまってもなおかつ調整する方法は、どんなことが考えられるのですか。
  152. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 おそらく、これは想像でございますけれども、阿賀野川にいたしましても、必ず大きく水源を今後開発することができる予定地が——つまり水資源をさらに豊富にしていくことができるものもあろうかと思います。そういうものとも関係するわけでございますので、流域変更の問題というものはこの場合だけではなしに、ほかの場合もいろいろございますけれども、だんだん水の需要がふえていきますので、そういう場合に起きてくる流域変更の問題というのは、この水系全体でやはり水資源をより豊富に開発していくという方向であるならば、その対策が可能になるのではないか、こういう意味でございます。
  153. 石田宥全

    石田(宥)分科員 ちょっとあなたの答弁よく納得がいかぬのですが、過去においては昭和三十年から三十八年まで四十二日も、四月から九月のちょうど農耕に必要な時期に馬下地点で百十トン以下の日があるわけです。しかもまだ未開発の地点が相当に多い水系であれば、これはダム操作や逆調整やいろいろあると思うのですけれども、もはや十五カ所も開発されておって、ほとんどその余地がないのです。そういう実態から見て、農林省がもう少しはっきりした態度をとって臨まれないと、いまの阿賀用水はそういう大事な時期に、過去においてすでにこれだけ減っておるのです。毎秒四・五トンの水が全然別のほうへ行ってしまって、こっちへ一滴も来ないというのが明らかになったとすれば、その及ぼす影響は相当大きなものがあるであろう。電気は発電したものはどこへでも持っていけますよ。しかし水は関東平野から新潟平野へは持っていけないですね。どうもあなたの答弁はその点納得がいきません。別の機会にまたよく討議いたしますけれども、重ねてひとつ簡単に述べてください。
  154. 佐々木四郎

    ○佐々木説明員 少し話がこまかくなりまして恐縮でございますが、毎秒四・五トンという数字も非常に問題でございますけれども、阿賀用水に例をとりますと、阿賀用水の取水地点における流量の大小、それとからみ合わせて、流量の非常に多いときには、その頭のほうを使っても、これは影響ないわけでございます。そういう操作が何かもし可能であるとするならば、阿賀用水に影響ないのではないか、こういう意味で申し上げたのであります。
  155. 石田宥全

    石田(宥)分科員 これはまだはっきりしておらないわけですけれども、時間の制限がございますから、別な機会に討議をしたいと思います。  次に、厚生省の国立公園関係の方にお尋ねしたいのですが、御承知のように、尾瀬が原は大規模な高層湿原として世界的なものであります。きわめて特色のある地形と地質と貴重な動植物の生息と、学術上、観光上の重要な資源であり、すでに昭和二十八年特別保護地区となり、昭和三十一年には鉱区禁止地区となり、昭和三十一年には天然記念物の指定があり、昭和三十五年には特別天然記念物に指定をされておるところであります。実に世界的な学術資源と言われております。同時にまた、まれに見る観光資源であります。東京電力の開発計画によれば、一定期間は分水地点の下流にある三条ノ滝、平滑ノ滝などが渇水しないようにするため毎秒一トンの水を観光用に放流するといっておるが、理論上はそういうことは考えられるにしても、はたして土質その他の関係上いかなる変化を生ずるかもはかりがたいのでありまして、尾瀬ガ原そのものに大きな変化を与えるものであることは明らかであると考えられます。したがって、われわれはこの開発には賛成しあたわざるところでございます。これについては通産省からすでに協議を受けておられるかどうか存じませんが、先ほどの公益事業局の説明によると、まだ検討しておらないということでありまするから、あるいは協議を受けておられないのではないかと考えまするけれども、これは厚生省の立場から、本開発計画に対する御所見を率直に承っておきたいと思います。
  156. 大崎康

    ○大崎政府委員 ただいまの問題でございますが、一般論といたしまして、自然公園法の運用上から考えますと、特別保護地区内におきましてダム等の工作物をつくるということは望ましくないということは言うまでもないわけでございます。しかしながら、国土の賢明なる利用という立場から、自然の風景地の保護という公益とそれからたとえば電力というふうな他の公益との調整をはかるということは非常にむずかしい問題でございまして、常にこのような二つのあるいは二つ以上の公益をいかに調整するかという問題に当面いたしておるわけでございます。  本件につきましては、非公式にアウトラインのお話は承知をいたしているわけでございますが、具体的に自然の風景地の保護という観点からどういうふうな判断をくだしていいかというふうなための資料というものを詳細に、また正式に伺ってはいないわけであります。なお、これらの結論を出しますには、自然公園審議会という自然公園法上の機関もございまして、そちらのほうにおはかりをいたさなければならないわけでございます。私どもといたしましては、具体的な計画ができて、いろいろな法律的な措置が進められるならば、慎重に検討して結論を出したい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  157. 石田宥全

    石田(宥)分科員 先ほども申し上げたように、世界にもまれな資源だということでありまするから、あなたのほうもやはり慎重にこの資源保護に当たっていただきたいということを希望を申し上げておきます。  さて、次に、建設省関係でございますが、阿賀野川は四月一日から一級河川に編入されることになっておりますが、河川法によれば、知事及び議会の承認を得なければならないこととなっておりますが、すでに承認を得ておるかどうか。知事及び議会が一級河川指定に反対をした場合には指定の予定を変更することもあり得べきものであると考えておるわけでありますが、いかがでございましょうか。大臣でも局長でもいいです。
  158. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 一級河川の指定につきましては、政令で指定することになっております。ただいま一級河川の政令の指定のことについて、あるいはその区間の問題、大臣管理区間と知事委任区間につきまして、その区間を定めて知事に意見を聞いております。それから、河川審議会に諮問をいたしております。そういう状況でございまして、まだ知事からの意見はまいっておりません。阿賀野川の一級水系の指定の問題でありますが、知事の意見が反対であれば指定を変更することがあるかという御質問と存じます。現在の段階でわれわれとしましては、阿賀野川は国土保全上、国民経済上非常に重要な河川と考えております。したがいまして、そういった問題はできるだけ十分に協議いたしまして、一級水系の指定をいたしていきたいと事務的には考えております。
  159. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そうすると、まだ協議はととのっておらないというふうに理解してよろしいわけですね。
  160. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 一級河川の指定につきましてまだ知事の意見はまいっておりません。したがいまして、これは政令指定については意見を聞くことになっておりまして、その内容的には十分協議を重ねなくちゃいけませんが、最後におきましては建設大臣が指定を行なえることになっております。
  161. 石田宥全

    石田(宥)分科員 まあ、河川法の解釈にちょっと問題がある。私は、法律にあることは政令でゆがめることはできないと考えておるのですが、これは別な機会に譲ります。  次に、河川法改正以前には水利使用の許可権は県知事にありました。今日、東京電力会社に許可された権利は本年三月三十一日をもって消滅するものであり、同社は昨年九月三十日付をもって、期間の更新申請と同時に計画変更を申請しておるが、これは一級河川指定によりすべて白紙に戻るものであって、もし同社が申請する場合は、新たに建設大臣に申請することとなるものと考えておるのでありますが、いかがでしょうか。
  162. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 現在のところ、その水利権申請について建設省までまだ上がってきておりません。いま知事の段階で御審議中だと存じております。ただ、いろいろな水利権の申請の予備的なお話は伺っております。したがいまして、この問題は非常に重要性がありますので、福島、新潟各県から水の問題についていろいろ意見を伺っておるような状況でございます。これは建設省としましては、まだ正式な申請書をいただいておりませんので、計画の内容につきまして、変更内容がどういうぐあいになされておるかよく存じておりません。変更内容と更新の内容との関係、そういった問題につきましては、法律的な問題でもありますので、具体に一般論として審議会の意見を聞いて検討したいというふうに考えております。
  163. 石田宥全

    石田(宥)分科員 その申請の手続上の問題ですけれども、私は一歩譲って、さっきの問題をまず御破算にして、東京電力の水利使用権は三月三十一日で切れるのです。そこで、四月一日から一級河川になれば、水利使用の許可権は建設大臣に移るのだが、三十一日と四月一日というものはそこに断層ができるじゃないか、一たんそこは白紙になるんじゃないか、こういうことを聞いておるのです。このとおりでしょうか、どうですか。
  164. 古賀雷四郎

    ○古賀政府委員 まだ水利権の処分の問題は日にちがありまして、具体的にそこまでいくとかどうとかいう問題も想定できませんので、先ほどのとおりにお答えしたわけでございます。法律的には当然、水利権の処分ができなければ水利権の新規申請になると思います。
  165. 石田宥全

    石田(宥)分科員 最後に大臣に伺いますが、いまお聞きのとおりなんです。これはなかなかデリケートな問題がたくさんございまして、福島、新潟の穀倉地帯に及ぼす影響もなかなか大きい。さらにまた、東北七県についての開発、格差解消のための後進県の開発についても重大な支障を及ぼすおそれありとして、七県の知事あるいは県議会議長等が、あくまでこの尾瀬の分水については反対の態度をとっておるわけであります。これをひとつお含みおき願いたい。  そこで河川法の審議にあたりまして、前の河野建設大臣は、水利権というようなものは、大臣に許可権が移行しても、少なくともかんがい用水等の既得権を侵すようなことは断じてしないということを、これはいろいろな委員会で、あるいは建設、農林の連合審査会でも言明をしておるわけです。この点は、私は単にこの問題だけでなくて、今後全国的に起こる問題、四十数河川一級河川に編入されれば、至るところに起こる問題であって、基本的な問題だと思うのです。建設大臣は、従来の水利権の既得権を一体どうお考えになっているか。河野建設大臣が何回も繰り返し答弁をされたように、尊重すべきものであると考えるのでありますが、大臣の御所見はいかがですか。
  166. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 結論はそのとおりであります。私も現行河川法の立案、審議に携わったものでありますから、よくその事情を承知いたしております。既存の水利権はこれを尊重する立場であります。
  167. 石田宥全

    石田(宥)分科員 そこで、さっき農林省のほうの、大いに水利権を擁護し、確保しなければならない立場の佐々木さんがあいまいな答弁をしておられるけれども、この問題は非常に重要な問題であって、しかも、私はさっき具体的な問題を取り上げたわけでありますが、阿賀野川用水という二万町歩近くのかんがい排水用水の、いま百億にのぼる投資をやって事業を開始した。そこでもし水不足を来たすというようなことがあったならば、及ぼす影響はきわめて甚大なものがあると思うので、私はそういう点について、建設省が今後水利権の使用についての許可を与えるにあたっては、河野建設大臣がしばしば言明されたその趣旨を十分生かして処理をしていただくように、重ねて建設大臣の所信のほどを伺っておきたいと思います。
  168. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 既存の水利権は尊重するというたてまえであの案をつくり、そして国会で御論議をなさって成立されたものであります。ただ、その際問題は、私は技術のことはわかりませんからそれを含んでお聞き取りを願いたいのでありますけれども、水利権があるからそれを尊重して、不要な水までそこへ流すということでなしに、従来の水の量は確保する、これがたてまえで尊重するということになっておるということを御了解願いたいと思います。もちろん、この問題については私はまだ詳細は承っておりませんが、とにかく新潟、福島を中心に北陸の各県の知事さん等の意向は反対であると承っております。またさらに関東一円の知事さんその他は賛成である、こういう意向を承っておるという程度でありまして、いま水の問題が重大な問題でありますことは石田さん御承知のとおりであります。そこで各県の水の利用の計画について、これは農業用水が一番大きいと思いますが、その他にもあると思いますが、いろいろ各県の考え方、構想等をいま事務当局は事務的に伺っております。そうしてできることならば、そのある水をどういうふうに貯留し、どういうふうに各方面にうまく調整できるかということを考えなければならないと思っておるわけであります。現在どうこうするという段階では全然ございません。
  169. 石田宥全

    石田(宥)分科員 まあ慎重にお取り計らいを願いたいと思います。  それで通産省の方は、さっきからずっとお聞きのとおりですが、利根川のほうの水の利用は率直に申し上げて非常に低いのです。水の利用度というものは一四%くらいしか利用していない。あの阿賀野川の水系はもう一〇〇%と言っていいほど開発されておるわけです。そういう事態の中で、私はさっきちょっと指摘いたしましたように、膨大な投資が行なわれておるのに、その施設が十分稼働できないようにおとしいれて新たな施設をつくるということは、国家的な見地から、いわゆる二重投資として避けなければならないのではないかということを申し上げた。それについてあなたから答弁を求めておらなかったわけですが、率直にひとつ見解を承っておきたい。
  170. 藤波恒雄

    ○藤波説明員 ただいまの御質問の中の、川の水の利用度が一方が一〇〇%であり一方は一四%であるという数字は、どういう性質の数字か私よく存じませんが、発電に関しましては、利根川水系におきましても阿賀野川水系におきましても相当高度に開発されておりまして、両方とも数多くの発電所ができておるわけでございます。したがいまして、分水いたした場合に、阿賀野川水系に現存する既設の発電所における電力の減少というものは、利根川水系の現存の発電所における電力の増加としてあらわれてまいる、こういうことになるわけであります。それから最上流部のまだ未開発の部分につきましては、分水した場合にも、あるいは阿賀野川最上流の尾瀬ガ原に近い残された部分の開発をいす場合にいたしましても、いずれにいたしましても、新たな発電設備をつくらなければならない、こういう形になるわけでございまして、これらを総合いたしまして経済比較をいたします場合には、もちろん減電分、増電分の差し引き勘定を計算に入れましてやるわけでございまして、先ほど私大差ないと申し上げたのは、それらを含めてのものでございます。もちろん、これは具体的計画をさらに詰めて詳細の計算を終わってみないと、詳しい数字は申し上げられません。大局的にいってそうであります。さらに、先ほど先生お話しのとおり、電気につきましては現在地域的に広域的な運営をやっております関係上、電気はどちらで開発しても必要なところへ回せる、こういう特質がありますことを私ども一応念頭に置いておるわけであります。お答えになりますかどうか、簡単でございますが……。
  171. 荒木萬壽夫

  172. 帆足計

    帆足分科員 昨日外務委員会におきまして、国策の大綱に関する問題には与野党宿命的に対立し、激論せねばならぬような問題もありますけれども、おおむねの規則に関します問題については、もう少しお互いに話し合い、協力し合ってこそ、三権分立の中で立法府たる、また監視者たる国民代表の議会の果たす役割りがありはしないかという発言が与党の鯨岡議員からありまして、私ども大いに感銘いたした次第でございます。  きょうは、私は外務委員会におりますけれども、東京出身の議員でございますから、日ごろ痛切に感じております東京の住宅問題につきまして所見を述べまして、そうして大臣の今後の御努力に協力いたしたいと存じて、質問並びに要望申し上げる次第でございます。  今日の、戦後の国民生活において、いま一番国民の骨身にこたえておりますものは言うまでもなくインフレーションでありまして、インフレのために誠実な者は総体的に給料が安く、実入りが少ない。投機その他偶然の収入を得る者は巨億の収入がころげ込む、それがインフレーションの特色でございますので、諸悪の根源はインフレーションである、そして、結局国民はせつな主義になり、そして機械文明が進み、都会が大きくなるにつれて人の心は忙しく、生活の底は浅く、人情軽薄なること紙のごとし。これも私は根源はインフレーションから来ておるものと思いますが、インフレーションと並んで国民を苦しめておりますものは住宅問題、あとは交通地獄。やがて春が来ますが、四月の入学なり入学金、授業料等の問題で、いま深刻な早稲田の学生諸君のああいう痛ましい姿をまのあたり見ておるような状況でございます。  住宅難の問題につきまして統計を見ますると、東京のアパート居住者はほとんど一間か一間半のところに一家族住んでおる者が半数近くもあるということでございます。思えば、私が東大を出ましたころ、日本の鉄鋼産額は当時二百万トンでした。まさに勃興しつつあるドイツは一千五百万トン、それにおびえて五カ年計画に着手したソ連が五百万トン、「フランス敗れたり」のフランスが七百万トン、七つの海を支配しているといわれた当時の大英帝国ですらわずかに九百万トンの鉄でございました。しかるに、戦い敗れて、そして当時の満州も朝鮮もすべて放棄した日本が、いまでは世界第三位、四千万トンの鉄をつくっておる。驚くべき生産力の飛躍でございます。アメリカの鉄鋼の産額は一億二千万トン、ソ連が八千万トン、日本は第三位の四千万トン。そういう状況であるにかかわらず、一般大衆の住宅はまことに貧弱な状況でありまして、そして東京の中枢には事務所だけは大廈高樓並び立ち、冬は暖房装置、夏は冷房装置。そこに通う従業員は、はたはだしきは一時間半もかかって通う従業員の数知れず。その住宅はと見ると、まるで手数百年前の鶴鶴草葺不合尊が住まいたまうた、こじきのような住宅に住み、そのおトイレはどうかといえば、素戔鳴尊のものしたまうたようなおトイレであります。まことにこの矛盾の深刻なこと驚くべきことでございます。もし疎開が進み、都会の半分、三分の二近くが廃墟となったときに、一人の後藤新平伯のような先見の明のある人が都知事に選ばれ、それを助けるまたいい政治家がおったならば、結局大東亜戦争とは、日本民族に残った封建的脳梅毒をなおし、そうして農業改革を断行する機会を与え、都市改造を断行する機会を与えた戦争であった。二十年にして鉄鋼年産額四千万トンに達して、人の心は自由と民主主義を覚え、そうして日本に対して一大進歩をもたらした試練であった。いまにして思えば、原価はすべて案外安く償却してしまって、過去の犠牲もとうとい犠牲であったということになったであろうものを、一人の後藤新平伯のような人がこの問題の衝に当たらなかったことを、いま振り返って嘆いてもしかたのないことですけれども、残念に思う次第でございます。私は東京都心の杉並、中野、渋谷から出ておるものでありますが、地元の道路を見ますると、道路というよりも水虫の穴の中を歩いておるようなものでありまして、心おごれる者が天国に行くのはラクダの穴を通るよりむずかしいと聖書には書いてありますけれども、まさにそういう細い道を大型のバスが通っておって、人は電信柱の陰に隠れてわずかにスモッグを吸って生きておる。こういう極端な状況でございます。インフレーションに追われましてやむなくベースアップのストライキが年中行事のようになっておりますが、昔はストライキなどというものは十年に一度か五年に一度しかなかったけれども、たまりかねて行なったものでございます。いまはまるで春秋のお祭りのような形で行なわれておりまして、それによって販路が拡大され、物価騰貴と賃金とがうまくバランスがとれまして、いわば総評は販路拡大部長として経営者連盟から表彰状をもらっていいようなふしぎなアベック状況になって、鶏が先か卵が先かというような状況になっております。しかしインフレーションをとにかく安定せしめ、生活を安定せしめる反面には、住宅問題の解決なくしては、二千円、三千円給料が上がりましても、住宅が不安定であれば人の心に安定もない、生活の安定を得ることは困難でございます。文部省が二流、三流の学者を集めまして、人間形成に関する多少の美文の作文をおつくりになりましても、住宅の安定なくして何の人間形成ぞやと私は強く主張したいのでございます。昔、孟母三遷の教えというのがありまして、孟子のおっかさんは、環境が悪い、だから三度もうちをかわって、環境のいいところに移って孟子をりっぱに育てたといいますけれども、今日では、孟子のおっかさんがいい場所の公団の抽せんの当たるのを待ちましても、とても三年くらいでは当たりません。血気盛んな孟子は、うちを変わることができないで、とうとう非行少年になったかもしれない、と言えるような今日の住宅難の状況でございます。したがいまして、これに対しては、もう緊急を要する問題でありまして、最近はさらに平均年齢が延びまして、女子は七十二歳、男子は多少罪深きものでありますから、六十八歳——まことに遺憾でありますけれども、とにかく長い、そして心豊かな老年を迎えねばなりませんけれども、結局むすこに嫁をもらった。新婚旅行に行って、さて帰ってくる場所といえば、三畳の隠居部屋もない。世をはかなんで自殺する老夫妻も多いことを統計で知って、心痛まぬものがあるでしょうか。したがいまして、政府当局は今年度の予算におきましても、住宅建設に相当意を注いでおることは多といたしますけれども、その方針につきまして、大東京の立場から考えまして、御注意を促し、御要望したいことは、住宅問題の最も困難な点は土地の問題でございます。しかし郊外に造成地をつくりましても、やはりガス、水道、電気、道路、交通、もう非常な多くの要素が要るのでございます。東大を赤城山のふもとに移すとか、早稲田大学をどこに移すとかいう議論も聞きましたけれども、そういうことよりも、私は、何よりもまず、部内の適当な立地条件のところを高層化することのほうが、最も経済的な方法である。なぜ政府当局は、げたばきアパートに対してもう少し注意を注ぎ、もっと努力をなさらないのか、私はふしぎにたえないのでございます。私の親戚関係の者も、昨年住宅金融公庫のお世話及び首都圏不燃公社の御協力によりまして、百二、三十坪の中層建てのげたばきアパートをつくりました。私はそれに参加した自分の経験によりまして、たくさんのことを学ぶことができました。そしてどういう点に困難な点が残っておるか、げたばきアパートが、高層化が、不燃化がなぜ進まないかということを痛感いたしました。従来の木造建築でその日その日を糊塗しますことは、きわめて楽なことでございますけれども、耐久力も小さく、火事にも始終見舞われます。不燃化いたしますと、おおむねその二倍なり三倍なり生産コストがかかりますために、どうしてもこれは生活革命の一種でございまして、よほどの決心がなければ不燃化に移ることはできないのでございます。そのためにはやはり長期の資金が必要ですし、税務上の援助も必要でございます。また世にいう、集団的な共同のビルをつくることに対して故意に妨害する、ごね得というような少数のつむじ曲がりの者に対して、良識ある規制を加えることも必要でございます。それらのことがはたして十分にとられておるか。  そこで、問題を集約いたしまして、直ちに今後の政策に取り入れていただきますために、お尋ねしたいのですが、昨年どのくらいの数のげたばきアパートが東京都内にでき、全国にできましたか。ことしはどのくらいの見通しでございますか。まずそれを伺っておきたい。
  173. 尚明

    ○尚政府委員 資料を持ち合わせておりませんので、東京のみの数字はちょっと申し上げかねますが、全国といたしまして、昨年は住宅金融公庫の中高層一万二千戸の計画をいたしております。それから住宅公団といたしまして、年度当初におきまして四千五百戸、それから追加投資といたしましてさらに三千戸の高層アパートの計画をいたしております。
  174. 帆足計

    帆足分科員 ただいまのは不燃建築一般の数字であろうと思いますが、私は、駅から非常に離れて、そして僻陬の地にできましても、それも一つの方法ですけれども、通勤に非常な時間がかかりまするし、そしてだれしも通勤の場所から住宅が一時間以上も離れていることを好みませんので、結局土地の問題ですから、げたばきアパートを、すなわち東京都内の立地条件の適当なところにどんどんおつくりになる。また交通を緩和しまするために立体交差を必要とするならば、その立体交差の付近は空閑地をつくる必要がありますから、そういうところはどんどん優先的にげたばきアパートをおつくりになる、こういうふうにして、郊外にただ四階建て五階建ての公団住宅をおつくりになるのみでなくて、市内に勇敢におつくりになる必要があるのではないか。でありませんと、やはり交通機関がいよいよ混雑してしまう。海外の例を見ますると、比較的裕福でない若い勤労者は、会社工場に近いところに住んでおりまして、遠く離れたところに住んでいる人は自家用車を持っている、むしろ上層幹部級の人が郊外に住んでいる。日本はその逆になっているように見受けられるのであります。そのような政策を是なりとするならば、げたばきアパートに対して、政府のほうでもう少し好意のある、助成するような方法をとらねばならぬ。今日の状況におきましては、げたばきアパートに対して賛意を表する人は、かろうじて公庫から長期の融資を得ることができます。その融資もわずかな金額でございますけれども、とにもかくにも、不動産銀行、勧業銀行等よりも安い金利で長期の融資を得ることができますから、たよりにするのでありますけれども、たよりにした結果はどうなるかと申しますと、特に話がまとまるのに非常な骨が折れるのであります。二十軒、三十軒の小売り商が一つにまとまるということはほとんど不可能でありまして、犬が東を向けばしっぽが西を向くという、犬のしっぽのようなのが必ずおりまして、そしてそれがただ純真に、都合が悪いからと言って反対するのでなくて、集団の世論に反対して何がしかの利得を得ようというねじ曲がった精神で、いわゆるごね得をねらう者が多いのであります。したがいまして、私は、全国一様に法的規制を加えることは時期尚早でありましょうけれども、特定の地域を今後とも指定し、また立体交差の必要のあるような場所や立地条件の適切な場所等を指定いたしまして、その住民のうちの八割なり七割なり、相当数が賛成するときには、他の人もそれに同調せねばならぬというような法的規制をもはやつくらなければ、子供たちに私たちはこういう危険な都市を残さねばならぬ結果になってしまいます。したがいまして、いまとしてはもう外科手術をしなければ、腸捻転になるか腸閉塞になるか、とても内服薬くらいでは済まない東京の状況でございますから、青山等において成功した例を存じておりますけれども、相当広範な場所を指定いたしまして、そういう強制措置が、単に国有道路を広げるというような場合だけでなくて、協同組合をつくりまして、そしてげたばき高層アパートをつくりますときにも、その伝家の宝刀を抜けるような措置を御研究すべきときでないか。これが第一の要望でございます。  第二には、融資の金額が、はたして今日の物価の騰貴から見て適当であるかどうか、これも御研究を願いたいのでございます。  第三には、昨年申し上げましたけれども、些少の権利金というのが、地主または建築主に対して下付されますけれども、しかし通常商業部門に使います部分は三階建てでありまして、三階建てならば坪十五万円くらいでできますものを、上に九階または十階のマンションをいただきますために、コストが二十万円をこえるのでございます。しかも、公団のほうは、上を、社会政策的見地から、十三万五千円か十三万八千円くらいでつくるのでございますから、下部を担当している商業部門は、十五万円で本来ならばできますところが、二十万円をこえるのでございます。その上、建築の途中でいろいろ付帯的な事項が起こりまして、三百万、五百万はそれにさらに加わるようなことになります。しかし、公社の場合には、公の機関でありますから、物価の騰貴その他の事情がありましても、なかなかそれに応じがたいし、また公社の権威をもって応じない場合もありますし、また将来よい仕事をさせるというようなことをもって、公正円満に処理することも可能でありますけれども、民間におきましては、そういう融通もきかないのでございます。だとするならば、坪当たり十五万円でできるはずのものが二十万円をこしてしまう。それに対して、坪あたり八万円とか九万円の権利金を下付されましても、その権利金にはそのまま税金がかかるとするならば、一体何が権利金ぞや。したがいまして、名目は権利金でありましても、その実は下部補強分担金にあたるわけでございます。大蔵省の規則を調べてみますると、名目よりもほんとうに何に使ったかということによって、税金の措置はきめるというのが趣旨であるように承っておりますので、その点は、大蔵省並びに自治省と建設省が御相談くださるならば、そこで良識のある措置もとり得るのではなかろうかと思います。  第四に、最近新聞で拝見いたしましたが、本年度におきますマンション部分につきましては、登記料または固定資産税、または不動産取得税等に対して、特別措置が行なわれるという記事を承りまして、それがいつから実行されますか、大いに期待する次第でありますけれども、それは単に住宅部門だけでなくて、やはり商業部門に対しても、住宅部門よりもう少し重くてもよろしいでありましょうけれども、多少の緩和の措置をとるべきであろうと思うのでございます。と申しますのは、商人の諸君が、二千数年来、木造の建築に安易な生活をしておれば、ずいぶん仕事は楽でございますけれども、不燃化建築に住むことになりますと、すべて諸経費は増大するのでございます。しかも、大局から見まして、固定資産、不燃化住宅になってきますれば、それは国の富となり、ほとんど永久的な富として国に残るわけでございますから、当面の三年なり五年なりには住宅と同様でなくても、住宅に準ずる多少の優遇措置が研究されてしかるべきではあるまいか。これらの点を切に要望する次第であります。結局、土地の問題でありますが、げたばきアパートにいたしますれば、土地はただでございます。空中圏の上に建つのでございますから、土地問題はないのでございます。何ゆえに、これをもう少し強く断行する決意をなさらないのか。私はあえて自分の母校であるから言うわけではありませんが、東京大学を郊外に移すというようなことよりも、それよりも、都内の適当な場所を、それぞれいまのようなげたばき高層建築につくり直すということが、最も捷径で最も経済的な方法である。付帯の諸設備が整っておるのでございますから、コストといえど、それほどかかりません。現在わずか十三万七、八千円でできるのでございまして、これはまだ今後研究の余地がございまして、まず構造を地震に強く、最も合理的構造にし、材質を選び、そして便利を第三とし、さらに色彩感覚、美観等をそれに加え、そして、それに周辺の空閑地の風景、樹木、草花等を考慮いたしますならば、実にみごとな住宅街ができまして、東京にふさわしい町につくり変えることは、それほど困難なことではないのでございます。しかも、それらの材料の大部分は国産品をもって行なうこともできますから、常にインフレ、物価の水準、生産力と見合いながら、毎年の計画をお進めくださるならば、不景気に対する調節の政策となり、一石二鳥、三鳥の効果を発し得るのでございます。郊外に衛星都市をつくるということも悪いことではないでしょうけれども、なぜ思い切ってこのげたばき高層アパートのほうに重点をお移しにならないのか、私は自分の経験から考えましても、まことにふかしぎしごくに思っている次第でございます。  時間が限られておりますから、その各項目につきまして、なるべく肯定的な御答弁をいただきまして、さらに研究を必要とする問題につきましては、大蔵省の方にも来ていただいておりますし、大蔵省の方もまた住宅難で困っていることは同じでありましょうし、御当人が困りていなくても、やがてお子さんが大きくなれば直ちにお困りになることですから、御自身のことをお考えになって、ひとつ前向きの御答弁をお願いしたいと思う次第でございます。
  175. 尚明

    ○尚政府委員 いま先生のお話しいただきましたことは、都市の再開発促進方法でありまして、私としてもできるだけその方向で参りたいというふうに考えておりますが、まず第一の、再開発として商店等が共同して建築をいたしたいときに、その中に二、三の反対者があるときに、なかなかこの話がまとまらないで、その実現がこわれるという事例はしばしばあるわけでございます。それで、この話し合って共同建築をつくりますことについての助成の法律といたしまして、一番これに近いものは、御承知のように、防災建築街区造成事業でございます。これは志を同じゅうする者が組合をつくりまして、その組合として、その地区整備いたしますことにつきましての調査費、設計費等に、地方公共団体と国から補助を出す仕組みでございます。この場合におきましても、ただいまのところは、その組合員の構成が任意でございますので、中で重要なところが一人、二人欠けますと、それが共同建築にならなくなってしまう。したがいまして、断念せざるを得ないということがしばしば起こるわけでございます。私どもといたしましては、ぜひこの法律の強化をはかりまして、たとえば区画整理の組合同様の方式をもちまして、三分の二以上の同意あるいは四分の三以上の同意で、こういう条件の場合は、他の者も強制加入をしなければならない、というようなことができないかというようなことをいま検討いたしております。そのためには、この地区につきましても、たとえば都市計画として指定しなければならないとか、いろいろこれに付随する問題がまたあるわけでございまして、その法の改正につきましても、いま鋭意検討いたしております。しかし、基本の強制加入というところは、まだここですぐ直ちに結論が出るほどなかなかそう簡単な問題でなく、いま実は私ども鋭意研究をいたしているところでございます。  それから、次の住宅金融公庫の融資金額の問題でございますが、先生のお説のとおり、この金額を十分にいたしますことは、また一方で非常な促進策になるわけでございます。これのためには、まず単価の是正ということが一つでございます。それから、融資率の引き上げという問題があるわけでございます。そこで本年、私どもとしては、げたの部分につきましては、在来と違いまして、坪当たり十万四千円というように高い——これでも十分ではございませんけれども、かなり単価の引き上げを行ないました。また公共の賃貸住宅あるいは分譲住宅、あるいは公庫融資を受けて建設いたします賃貸住宅分譲住宅というようなものが乗ります場合には、そのげたの部分につきましては、在来八〇%融資でございましたのを九〇%融資に引き上げることといたしまして、実は住宅金融公庫法の改正の中にその部分も含めまして、これから御審議を願おうというふうにいま考えております。  それから次に、足の部分につきましての税の問題でございますが、この問題は、さきに先生から、昨年の四月ですかに、国会審議の場所においてもお話があったことでございまして、その後、私どもとしてもなるべく合理的にいたしたいと思いまして、大蔵省、国税庁ともいろいろ話し合っているところでございますが、これにもいろいろな問題がございまして、建物そのものがやはりそれだけの建設費がかかります関係上、そのもの自体を価格を下げるということにおきましては、なかなか困難な問題でございます。しかしながら、上に乗ります不燃公社なり何なりが、土地に借地の権利金を払いまして、げたばき住宅にいたします場合には、その下の資産である土地あるいは土地と家屋というようなものが事業用の資産でございますと、そこへ権利金をもらいましても、そのお金で、また次のげたばきの鉄筋コンクリートの商店、事務所をつくります事業用資産の買いかえのような扱いができるわけでございます。そこで、税といたしましてはその際かけないで、この課税を租税特別措置法の事業用資産の買いかえの特例のような適用によりまして、繰り延べることができるというようなことが検討できるのでないかというようなことで、いま大蔵省とも話し合いをしております。まだこれも結論は出ておりませんが、お話し合いをしておるところでございます。  それから、あとは空中権の取得というようなことの強化でございますが、これは先生のおっしゃるように、私どもとしても、できるだけそういうことが円滑にできるような、公共的な取得ということができればいいと考えますけれども、まだ今日の段階では、法律の諸体制が十分整っておりませんで、これは今後の問題として、いずれ都市開発としてはこういう問題が真剣に論ぜられ、またその実現が期せられなければ、理想的な都市開発もできませんので、私どもも鋭意研究中でございます。  なお、この際、いろいろその促進策に御意見がございましたが、私どもとしても、ただじんぜんとして現状のままにいるだけではございませんで、先ほど申し上げましたように、この四十一年度におきましても、住宅金融公庫においての融資の報告を行ないますとともに、さらに日本住宅公団といたしましては、在来は市街地の中の十万円というような土地を購入するというやり方はやっておりませんでしたのですが、昨年の追加投資以後、市街地の中の工場あと地の利用というようなことについては真剣に取り組みまして、この四十一年度予算でも、三千戸分ばかりは市街地の中の都心部を買いまして、そこにげたばき建築をつくりまして、高いものは十五階建てぐらいになりますが、この工事に、すでに昨年の追加投資分は着工いたしておりますし、四十一年度分につきましては、いま鋭意土地を購入いたしております。さようにいたしまして、これは公団みずからやるわけでございますが、その促進をはかっているわけでございます。またこれに関連いたしましては、これからまた御審議願うことになりますが、四十一年度から都市開発資金融資という問題がございまして、これはやはり工場あと地等を公共のために非常に使うために、国が融資をする基金の制度を設けるような措置をいたして、再開発に資したいということは、また今国会で御審議願うということになっている次第でございます。全体といたしまして、御指摘のような再開発のほうに極力早く推進できますように、鋭意研究いたしたいと思います。
  176. 帆足計

    帆足分科員 あと、田原議員もお見えになっておりますから、一言だけ一、二分です。  よほど前進していただいて、感謝にたえません。再開発の問題は至急御研究願います。先ほどの不動産取得税、固定資産税、登録税の問題等も、重ねてほんとうにげたばき高層マンションを推進しようというお考えならば、やはりそこへ推進力を与えなければ、バネを与えずしてものは前進するものではありませんから、ひとつ大臣においても、よほど御記憶を願いたいと思います。  最後に、最近の公団の分譲住宅につきまして、たとえば三百五十万円の分譲のものを二百五十万円だけ払って、残った百万円は五十年年賦になっている。これは非常に親切のようでございますけれども、月給取りというものは心の弱いものでございまして、五十年後に自分のものになっても、これは孫の時代ではあるまいか、こう思います。そしてそのために家賃が一万七、八千円になるのでございます。これは一体何のためにそういうことをするか。これはただ転売を取り締まるためにするのではないかと思うのですが、それならば三年後、五年後、十年後または四十年後、自由選択というようになさらなければ、一生一万七、八千円やはり払わねばならぬとすれば、サラリーマンには心が重い。おやじさんから三百五十万円もらって、二百万円払って、あと百五十万円残っておる。残っておるにもかかわらず、持って行くと、それは受け取らない。そしていつも一万七、八千円毎月家賃を払わなければならぬ。それを信託会社に預けたらいいではないかというと、商人と違いまして、月給取りというものは心の弱いものでありまして、それが毎月の重荷になります。せめて普通の都営住宅並みに、七千円か八千円ならば気は軽いけれども、一万五千円をこすと、自分で金を持っておっても心が重い。なぜ受け取らないようなことをなさるか、これも至急御研究のほどお願いいたします。
  177. 尚明

    ○尚政府委員 ただいま先生の御指摘になりましたことにつきましても、これは在来の例から言いますと、やはり用途の確保とかいろいろなことから、受け取らないような方式をとったと思います。それは実際問題として分譲契約をして、直ちに二、三年でお金を返して他に転売するということはいけないと思います。したがって、一定の公共の目的を果たした後には、御本人が払いたいというならば、適当な時期にはそれを払ってもいいというふうにすべきだと思います。いま実は住宅金融公庫と、そうさせることについて検討さしておるところでございます。
  178. 帆足計

    帆足分科員 小さなことが、案外心理的に重要な問題でありますから、御記憶を願います。
  179. 荒木萬壽夫

  180. 田原春次

    田原分科員 住宅問題に引き続いた質疑であります。  まず大臣にお尋ねいたしますが、きのう予算委員会でも問題になったようでありますし、大臣から答弁があったようでありますが、同和問題というのはどういうふうにお考えになっているか、大臣のお考えをここでひとつお示し願いたいと思います。
  181. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 昨日の、あるいはその前にもありましたけれども、予算委員会でそのお話が出ております。これは申し上げるまでもなく、長い間の歴史的な非常にまずい所産であると、私ども感じております。きのうも申し上げたのですけれども、これは例の同和対策審議会の答申もありますし、政府といたしましては、この答申に基づいて、全力をあげて立法措置等を講じて、その解消に進みたいということで、総理はじめ各責任ある大臣からお答えをいたしておるところであります。実は私も、個人的なことを申し上げて恐縮でありますが、長く中国筋に職業柄勤務いたしておりました時代、そういうものにしばしばぶつかりましたので、ある程度のことは事情は知っております。そういう意味で、これは感情、今日までのしきたり、いろいろな問題がからんでおりますから、そう簡単なことではないと思いますけれども、この問題の解決に、やはり政府としても全力をあげなければならない、これは総理から申し上げております。建設省としては、やはり感情とかいろいろな従来からの問題が忘れられないということは、私はどうしても私どもが担当しておる生活環境と申しますか、住宅事情あるいは集落の改善、そしてやはりそういう昔の姿といいますか、これを解消することが一番効果的ではないか。その他の心理状態というのは、これはなかなか一がいに言えませんけれども、そういうことで、自然にそういうことの昔の悪い夢を忘れる、こういう状態をつくることが一番大切である、かように考えて、今度政府全体で、これに対しての立法措置等を講ずる予定になっております。これを計画的に進めるべきである、かように考えておるわけであります。
  182. 田原春次

    田原分科員 一般論としては、大臣の御答弁のとおりであります。なかなか部落差別というものはなくなりません。それは職業、結婚、住宅とありますから、建設省で、住宅についてお力添えをする以外にないと思うのです。ただ、いろいろお職業柄中国地方で接しられたと言いますけれども、私よくお調べになっておらぬのじゃないかと思うのですが、これは一言に言いますと、封建時代における軍事上の落後者というわけで、封建軍閥と封建軍閥の戦いで、負けたほうについておったさむらいもありますし、下士もあればまた人夫もあったわけであります。それが命からがらどこかに逃げ込んで、そして世をはばかりながら暮らしておる。その間にまたいろいろな事故を起こした者が入ってきたので、普通に朝鮮人の子孫だというが、そうではないのです。朝鮮人の子孫は、日本は合成民族で、約三割五分は朝鮮人、モンゴロイドなんですから、東京でも、一千万いれば三百五十万は朝鮮系なんです。現に私は骨相学や人相学をやっておりますが、いまの大臣の中でも、昔の大臣にも、代議士の中にも、明らかに朝鮮民族の子孫らしいりっぱな方がおります。そういうわけですから、部落民が朝鮮人ということは違います。三%といいますから。朝鮮人は三五%なんです。したがって、お説のとおり、これは施設をまず直すことであります。漸次解消してもらわなければならぬと思うのです。施設のうちで一番問題になるのは、住宅なんであります。数年前から、建設省では不良住宅改善費というものがあって、明らかに名前はあげてはおりませんが、部落の住宅が特に不良でありますので、やっております。ただしなかなか限度もあり、それから規模も小さくて、もっと大きくしてもらうように、もっと早く多数の者があずかるようにしてもらいたい。先ほど同僚の帆足議員も言っておりましたような、げたばき住宅とか、そういうアパート建てということに進んでいきますと、かなり解消するのじゃないかと思うのです。それで、せっかくそういう経験を持っておられる大臣が在職中のことですから、いつまであなたが建設大臣をやっておるか知りませんけれども、今年度の予算で間に合わぬものは、また来年度やるということ、これは施設の問題です。  次は住宅金融公庫の問題なんですけれども、これは一般的には、なかなか公庫もよくやっておりますが、改修とかいろいろな条件とかということになりますと、部落民の住宅がそれに入らないのが多いのですね。ですから、これも中に同和対策部というものをつくるわけにいかぬと思いますけれども、そういう気持ちで、まず不良住宅を解消する、そのためには不良住宅の多い部落にまず重点を置くというふうにして、政府の財政投融資、もしくは政府予算の中で十分にやっていただきたいのですが、このことについてこまかく数字をいろいろ聞けば切りがないけれども、住宅局ではどういうふうにやっておられるか、まず局長からも、いままでの経過を聞いておきたいと思います。
  183. 尚明

    ○尚政府委員 お話しのとおり、まず同和対策といたしましては、住宅の部面につきまして、住宅地区改良法に基づく改良住宅建設をいたしているわけでございます。これは昭和三十五年に住宅地区改良法ができましてから、全体で、同和関係だけで四千八百三戸を、昭和四十年までの六カ年で計画いたしております。なお、この住宅地区改良法に基づく規制に従ってやるのみでは十分でございませんで、任意でやれるものといたしましては、公営住宅建設がございます。これも活用いたしまして、これも昭和三十五年からの合計では、四十年までに三千四百十九戸の事業をやっております。十分ではございませんけれども、鋭意改良住宅及び公営住宅を活用して、地区の改良をいたしたいと思っております。  またいまお話がありました、地区内にあります住宅の建てかえまで要しませんで、改修によって環境を維持するという必要もございまして、これも在来からいろいろ御要求があったところでございますが、この四十一年度から、新たに住宅地区改良事業の対象とならないような場合でも、主として同和地区に限りまして、住宅改修する資金地方公共団体から融資させまして、その融資した額の四分の一を、国が、資金の援助と、それから金利の引き下げと両方の目的を持ちまして補助をするという制度を、本年新たに設けまして、いま予算が成立いたしましたら、この四月からこの種の補助をいたしたいと思います。これのやり方は、おおむね一件四十万円を限度にして貸すことにいたしまして、国はその四分の一に相当する額を地方公共団体に補助するというやり方でやりたいと考えております。
  184. 瀬戸山三男

    瀬戸山国務大臣 ちょっと申し上げておきますが、いま数字をあげましたけれども、率直に申して、私はそういうことではまだ適当でないと思っております。もっと建設戸数等について力を入れなければ、この問題をできるだけ早く解消する一助にならない、かような決意を持っております。  それからもう一つ、先ほど規模を大きくせいとかなんとかお話がありました。ごもっともだと思いますが、この問題は、私から申し上げるまでもなく、よく御承知のとおり、これはやはり総合施策をしなければなりません。職業の問題、これは収入の問題でありますから、家ばかり大きくしても、なかなか家賃等が適当でないということは現実の話であります。したがって、これはやはり各省の総合施策を、答申の趣旨に従ってやっていかないと、家だけ大きくするというわけにもなかなかまいりませんで、やはり総合的に職業その他の問題からも解決していかなければならぬ、かように考えておる次第でございます。
  185. 田原春次

    田原分科員 瀬戸山さんがそこまで考えておることを初めて聞きまして、敬服すべき建設大臣だと思うわけです。ただ、この答弁だけで終わらず、実際にやってもらわなければいかぬと思うのですが、私が申し上げましたように、部落民は人種、民族が違っておるわけではない、境遇が違っておっただけです。境遇の是正は、民主主義ですから、いまの政府でもやれるわけです。ただいま自民党の中にも同和会というものがあり、社会党の中には部落解放同盟というものがありますが、おのおの性格が違いますから、言い方や動き方も多少違いがありますけれども、目標は、今日の社会において直していきたいと思っております。  きょうは、いろいろ質問の材料を持っておりましたが、大体満足すべき答弁になりましたので、これで私の質問を終わります。
  186. 荒木萬壽夫

    荒木主査 次会は、明二十五日午前十時より開会し、郵政省所管について審査を行なうこととし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時散会