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1966-02-25 第51回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十五日(金曜日)    午前十時十七分開議  出席分科員    主査 井出一太郎君       小川 半次君    丹羽 兵助君       福田  一君    水田三喜男君       八木 徹雄君    栗原 俊夫君       田口 誠治君    松浦 定義君       山中 吾郎君    兼務 川俣 清音君 兼務 華山 親義君    兼務 湯山  勇君 兼務 受田 新吉君  出席国務大臣         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 竹下  登君         総理府総務副長         官       細田 吉藏君         総理府総務副長         官       古屋  亨君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房陸上交通安         全調査室長)  宮崎 清文君         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房臨時農地被         買収者給付金業         務室長)    八塚 陽介君         総理府事務官         (人事局長)  増子 正宏君         総理府事務官         (恩給局長)  矢倉 一郎君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     山野 幸吉君         総理府事務官         (中央青少年問         題協議会事務局         長)      赤石 清悦君         警  視  長         (警察庁長官官         房会計課長)  渋谷  亮君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      今竹 義一君         行政管理政務次         官       中山 榮一君         総理府事務官         (行政管理庁長         官官房会計課         長)      北山 恭治君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         総理府事務官         (北海道開発庁         総務監理官)  小熊  清君         科学技術政務次         官       田川 誠一君         検     事         (刑事局長)  津田  實君  分科員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房参事官)  福田  勉君         警  視  長         (警察庁交通局         運転免許課長) 藤森 俊郎君         郵政事務官         (大臣官房郵政         参事官)    石川 義憲君         郵政事務官         (貯金局次長) 北 雄一郎君     ————————————— 二月二十五日  分科員賀谷真稔委員辞任につき、その補欠  として栗原俊夫君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  分科員栗原俊夫委員辞任につき、その補欠と  して松浦定義君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員松浦定義委員辞任につき、その補欠と  して田口誠治君が委員長指名分科員選任  された。 同日  分科員田口誠治委員辞任につき、その補欠と  して多賀谷真稔君が委員長指名分科員に選  任された。 同日  第四分科員川俣清音君、第三分科員華山親義君、  第二分科員湯山勇君及び第三分科員受田新吉君  が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十一年度一般会計予算内閣及び総理府  (防衛庁及び経済企画庁を除く)所管      ————◇—————
  2. 井出一太郎

    ○井出主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  本日は、昭和四十一年度一般会計予算中、内閣、並びに、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管を議題といたします。  これより質疑に入りますが、本日は質疑者が多数にのぼる見込みでありますので、質疑時間は、本務員一時間、兼務員もしくは交代で分科員になられた方は三十分程度を目標としていただきたいと存じます。  また、質疑をなさる方は、政府委員などの御要求をあらかじめ御通告をお願いいたします。  栗原俊夫君。
  3. 栗原俊夫

    栗原分科員 私は、昨年佐藤総理大臣沖繩へ視察に出かけまして、いろいろと沖繩島民約束されてきた、その中で、逓信関係の問題がどのように具体的に実現化されているかということを中心に数点お尋ねをいたしたい、このように思います。  佐藤総理は、沖繩離れ島宮古八重山方面へ参りまして、ここへもテレビを見せてやるぞというようなことを約束され、島民の皆さんも非常に喜びました。そのあとたちも、特に逓信関係の同僚が数名して沖繩、そしてその離れ島を訪れまして、いろいろと見聞きしてきたわけでありますが、これまた非常な期待と喜びを持っておったのでありますが、その後どういうことになっておるか、この点について御説明を願いたいと思います。
  4. 安井謙

    安井国務大臣 沖繩の先島、いわゆる宮古島あるいは八重山群島に対するテレビにつきましては、お話しのとおり、昨年八月に総理が参りました際、現地で住民の方にもお約束をして帰ってきたわけでございます。自来、私どももその実現をぜひ早急にしたいということで、郵政省その他の機関にも協力を願いまして、数次の調査を行ないまして、さらに実現のための予算を大体計算しまして四十一年度から予算書に盛っていく、しかし、準備はいまからでもできるだけのものを進めていくということでやっておりまして、大体四十二年の六月ころには試験放送にこぎつけ、年末までには大体全般の施設を完了するという予定でいま進めておる次第でございます。
  5. 栗原俊夫

    栗原分科員 約束を実行するという総理の有言実行をそのままあらわすいい例で、非常にけっこうなんでありますが、私たちがあちらを視察してみまして、離島テレビを送る、これをどういう主体で送るかということが非常に問題だと思うのです。民放で送れば非常に設備にも金がかかる。しかし、せっかくエリアを広げても、それほどスポンサーにとっては効果があがらない、こういうことで、スポンサーからの収入と放送主体施設費の増大ということとの関係から、はたしてどういう形になっていくのかということについて、非常に心配の目で見てきたわけです。それらについては、どのようなお考えで、どのような構想で進められるか。
  6. 安井謙

    安井国務大臣 お説のように、人口も比較的少なくてまばらな地区を対象のテレビでございますから、おそらく民間経営としてはあまり成績のあがるものじゃなかろうという見当はつけておるわけでございます。ただ、形はいまのところ日本政府施設をいたしまして、できましたものを琉球政府に譲渡をする。そこで、琉球政府ではいま審議会をつくっておりまして、どういう形でこれを経営させるか。琉球では御承知のとおり、いま民放という形をとっておりますが、特にまた琉球での放送事業は、琉球籍のあるものというたてまえでいままで経営を許す法律になっております。これをどういう形でやりますか、おそらく経営上からはそう黒字は望めるものではございませんが、これは、いま琉球政府自身でいろいろ方法を考究しておるという段階でございます。
  7. 栗原俊夫

    栗原分科員 私たちも行くときに、これだけ離れたところへどうやって電波を送るかということについて、いろいろと話しながら渡ったわけであります。近ごろマイクロも非常に発達したから、これはマイクロで送れば、ちょうど鹿児島から本島へ送るようなぐあいに送れるのではないかというようなことを考え、中には専門家もおりましたものですから、少しく離れ過ぎておって、これはマイクロでは送れぬぞという議論、いろいろ議論をしながら渡ってみますと、小中学校の子供が集まりまして、いろいろ私たちに訴えました。口頭で訴えた人もあるし、また、みな口頭では訴え切れぬからというので、作文をつくって渡してくれました。その作文はどういうのかというと、一日も早く内地のものを同時放送で見たい。同時放送でなければ別扱いをされるので、日本人になったような気がいたしません、こう言うのです。そこで私たちは、どんなくめんをしてでも、それでは同時放送を何とか実現するようにいたしましょう、こういう話をして帰ってきたわけでありますが、帰ってきてみますと、技術的にもマイクロではなかなかたいへんだというようなことも聞きました。しかし、さればといって、全然同時放送をできる技術がないかといえば、これは私のしろうと考えなんですが、ケーブルで送って同時放送ができないこともない。ただそれはべらぼうに金がかかる、こういうことだと思うのです。  そこで、私が特にここでこの問題を取り上げて政府といろいろ議論したいというのは、将来、しかも近い将来に沖繩日本へ帰ってもらう、こういう前提に立てば、当然これは日本として電波行政の中へ入る。そのときに、NHKというものが当然これを担当するのではないか、またさせるべきである。こうなってまいりますと、金がかかるから同時放送ができないんだとこの時点できめて、同時放送をはばむようなあり方でいくことがいいのかどうか、こういうことについて非常に疑問を持っておるわけです。もちろんいまの法制では、日本放送法自体も海外へそういう施設をみずから持つことは許されていません。また沖繩自体も、ただいま長官がおっしゃったとおり、沖繩の人によって放送する、こういう制度になっておる。しかし、これを将来日本へ帰るという展望の上に立って何とかならぬものだろうか、こういうことを強く考えておるのですが、この点、基本的な姿勢と技術的な問題について御説明を願いたい、このように思います。
  8. 安井謙

    安井国務大臣 技術的な問題につきまして郵政省専門の方から御答弁願いたいと思いますが、私どもがいままで承っております関係では、の放送では聞き取れない。特に沖繩本島からの放送でも、あの先島は受けられないというような事情でございまして、したがって宮古島、石垣島放送局を設置する、さらに石垣島等につきましては、地方の中継局まで設置しなければとても行き渡らぬというふうに考えて、いま準備を進めておる次第でございます。
  9. 石川義憲

    石川説明員 お答えいたします。  沖繩本島から先島にまいりますマイクロ中継ができるかという御質問だと心得ますけれども、この点技術的に検討いたしましたところ、御承知のとおり、本島から宮古までの送信点間の距離は約三百キロメートルでございます。したがいまして、マイクロウェーブが建設可能な見通し間の距離は大体五、六十キロメートルでございますから、通常のマイクロウエーブは現在施設できないということになっております。ただ、一つ方式といたしまして、対流圏電波をぶつけまして波を宮古のほうに反射させる、いわゆる対流圏伝搬方式という方式がございますけれども、この問題につきましては、ただいま別に総理府のほうで御調査いただくことになっております。電話の回線につきましては現在そういうことになっておりますが、予定しております電話用のバンドの幅というものは、大体ただいまのところ二十四チャンネルだと聞いております。ただし、テレビジョンの場合にいたしますと、技術的には九百六十チャンネル必要であるということでございますので、どのくらい電力をかけたらその九百六十チャンネル対流圏伝搬方式で利用できるかということもまだわかっておりませんし、かつ、それをいたしますと非常に膨大な経費がかかるということになっておりますので、現在の段階では、技術的には困難ではないかという結論でございます。
  10. 栗原俊夫

    栗原分科員 いろいろと困難のあることはよくわかるのですが、これを少し分離してお尋ねしていきますが、NHKは国内あまねく良質の放送を視聴させる、こういうことになっておりますから、あの宮古なり八重山のようなものが日本内地にあった場合に、これはマイクロでは無理だから、おまえのところは同時放送は聞けないんだよ、こういう形でやっていっていいのかどうか。私たちは、そうではなくて、やはり他の方法ケーブルで送れるんだということを聞いておるのですが、そういう方法は、金がかかるということは別にして、技術的にはどうなんですか。ケーブルテレビを送る、こういうことは不可能なんですか。
  11. 石川義憲

    石川説明員 お答えいたします。  ただいまのお話海底ケーブルのことだと思いますが、ほかの、現在太平洋も横断するようなケーブルができておるような現状でございますので、技術的には不可能ではないと思います。したがって、経費との関係からの問題ではないかと思いますが、私がお答え申し上げましたのは、ただいまの時点における技術的状況をお答え申し上げただけでございます。
  12. 栗原俊夫

    栗原分科員 まあ結論として、技術的にはできるのだけれども、あまりにも経費がかかる、こういうことが一つの難関になろうかと思いますが、問題点を分けていくと、経費のことを考えなければ同時放送も可能である、こういうことが一点ここに問題として浮かび上がります。  いま一つ、私が前々から考えておったのは、本島マイクロをつくったときもなかなかこの使用が開始にならなくて、長官もお骨折りを願って、オリンピック直前開始になったわけですが、当時、われわれは少しく野党の立場から、ひが目ということかもしれませんが、どうも内地のものをなま放送されることをきらっておる向きがあるのではないか、こういうような当時はひが目で見ておったものでありますが、現在開始になってみれば、そういう支障はないのだということが実証されたわけです。そうなれば、本島内地のものをなま放送で見ていいということになれば、先高にそういう障害があるはずはもちろんないわけだと思う。そうなると、将来沖繩日本へ復帰する、そのときに全島にあまねく見せる、こういう前提に立てば、現時点においてもやはり沖繩島民同時放送で見せるというたてまえがとれるのではないか。それには、やはり先ほど言う日本放送法制度改正の問題と沖繩制度改正の問題さらに、沖繩ではそういうことをやっていいかどうかという他の力の問題もここには一つはあろうかと思いますけれども、向こうの軍事目的を阻害しない範囲内ならば、私はいまでもやはり沖繩を、せめて放送関係においては日本並みに取り扱うという立場をとっていいのではないか。しかも、将来そういう展望に立つときに、いまからやはり沖繩にはNHKそのものが進出していって、そしてNHKの仕事として全島同時放送内地のなま放送を見せるという手だてがとられていいのではないか、このように考えておるわけなんですが、これに対するお考えをひとつ……。
  13. 安井謙

    安井国務大臣 将来の方向としては、確かにこれは検討に値する問題じゃなかろうかと思っております。ただ現在の琉球政府法律によりましても、沖繩籍法人でなければいかぬというたてまえになっております。それからもう一つ大事なことは、一日でも早く見たいという熱望が非常に強いので、とにかく拙速主義で、一日でも早く見れるようにしたいというようなことを考えますと、いますぐケーブルという点も、これはなかなか経費の問題もさることながら、時間的にも非常に困難じゃないかと思っておりますが、いまのお話のようなことは、今後将来の問題としてはいろいろ検討いたしてまいりたいと思っております。
  14. 栗原俊夫

    栗原分科員 大体現時点において拙速をまず第一義とする、これも、非常に視聴したいという人たちに対する思いやりの中から出てくる当然な具体的な姿だと思います。一番問題は、やはり将来日本帰還するというたてまえに立って運営問題等考え帰還一つの足がかりといいますか、一歩前進といいますか、そういう中で、放送内容についても、すでになまで沖繩本島には見せるということを、マイクロを通じて具体的に行なわれておるわけですから、アメリカの施政方面ともそう問題もないと思うので、せめてこうしたものを運営する上においても、NHKが出ていけるというような方向へ一歩一歩交渉を進めるというか、道を開き始める時点へきているのではないか、こう思うわけです。ただいま長官からの話によれば、日本設備をして琉球政府に渡す、琉球政府はこれをいずれかの実行主体に渡すということになりましょう。設備はそれでいいかもしれませんが、やはり運営というものも必要でございましょうし、いろいろしますので、やはりNHK方式、こういうものがぜひ必要だと思うのです。ただ、私たちはそういうことをやっても、全然ラジオ、テレビには金を払わないということで育った島民が、NHK方式を持ち込んだときに、さて金が払えるかどうか、払う気持ちになるかどうかということについては、一抹の危惧の念がないわけでもございませんけれども内地で現にやっておるわけですし、内地NHKが出ていけば、そういう姿に当然ならなければならぬので、こういうことを考えながら、内地放送法改正、そうして琉球政府制度改正、そういうものと両々相まって、まず電波だけはひとつ内地並みに持っていく、こういう方向交渉開始というか、そういうかまえをもって出発する。もちろん、当面拙速主義にのっとって、総理約束してきたものを一日も早く見せるという具体的な事実は当然でありましょうけれども制度的にひとつ本格的に、沖繩日本帰還しない間でも、電波だけはNHKが出ていける、内地並みに扱うのだ、こういう一歩を踏み出せないかどうか、その点いかがでございましょう。
  15. 安井謙

    安井国務大臣 いま申し上げますように、現時点におきましては、琉球政府自体法律沖繩籍法人ということになっておりますし、いろいろな関係から、現時点ですぐこれを踏み切るということは非常に困難というか、むずかしいと思います。しかし、現在もうNHKなり、あるいは民間放送フィルムも入るかもしれませんが、あそことの往復は、もう毎日飛行機で二往復ぐらいございますし、どんどん日本のものを入れることは間違いございません。そういう意味では日本放送を、ちょっと時間的な差ができますが、じかに聞いてもらうという形に相なると思います。将来の問題では、またいまいろいろとお話しのような点は、今後の課題として検討していきたいと思っております。
  16. 栗原俊夫

    栗原分科員 ちょっとこうすれ違っておるので、そのことはようくわかっておるのです。わかっておりますが、沖繩帰還ということを電波を通じてまず一歩出発する、どうもいろいろなことで支障もないらしいということから。もちろん、いまの制度でできるはずはないのですから、日本放送法もこう変える、琉球制度もこう変えて、電波だけはNHKが入っていけるという制度改正方向へ一歩踏み出してもらいたい。これが、おそらく地元民熱望でもあり、また、地元民の熱意をそのまま目耳で見聞きしてきた私たちの願望でもあるわけです。ひとつ将来将来ということでなくて、ぜひ、いまの制度はそうなんだが、そういう方向へひとつ進んでみたいというような決意を聞きたいのですよ。ひとつそういういい答弁をしていただきたいと思います。
  17. 安井謙

    安井国務大臣 どうもごくわずかのところで、答弁が多少お気に召さぬで恐縮なんでございますが、現実の問題として、いまのケーブルを敷くということでは非常に時間もかかりますので、とても現時点で間に合わない。それを、いまお話しNHKテレビをじかに見るという意味では、日本フィルムを送るわけでございますから。ただ、同時に聞けないという難点は、いまどうしても残るわけでございます。それから形式の問題につきましては、これは琉球政府自身法律をつくっておる関係もございまして、これを、いま日本が一方的に乗り出していくからやれというふうなわけにもまいりませんので、そこらの点は、せっかくのお話でございますので、将来の問題として十分御意見を体して検討させていただきたいと思う次第でございます。
  18. 栗原俊夫

    栗原分科員 テレビの問題、そしてテレビを通じて将来沖繩日本帰還する、そのときにNHKが当然これをやるであろうということを前提として、NHKを通じて日本帰還を一歩でも進める、こういう希望を強く申し上げたところ、まあ大体そういう方向で積極的に御研究くださる、こういうことで、一応満足をいたします。  次に、やはりそのときにいろいろと沖繩の方々から聞いてきたのですが、沖繩日本と分離したときに、郵政関係支払いがとまった郵便貯金がそのままになっておる、こういうことでいろいろと要望を聞いてまいりました。支払いが停止された時点における沖繩島民貯金残額といいますか、こういうものはどのくらいあったでしょうか。
  19. 安井謙

    安井国務大臣 関係の者から……。
  20. 北雄一郎

    北説明員 お答え申し上げます。  支払いが停止されましたのは、申すまでもなく終戦時でございますが、その後の利息がそれぞれございますので、四十年三月末におきましては、郵便貯金の口数が十七万四千余口ございまして、その金額が七千九百九十万余ございます。
  21. 栗原俊夫

    栗原分科員 これは終戦時にとまって、十七万口ばかりあったものを、その後郵便貯金のきまった利息を加算して、四十年の時点において七千九百万余になっておる、こういうことでございますか。
  22. 北雄一郎

    北説明員 仰せのとおりでございます。
  23. 栗原俊夫

    栗原分科員 現地に参りますと、この貯金の問題をとらえて、物価も四百倍にも上がっておることなので、一円を三百六十倍、一ドルにかえてもらいたい、こういうことを強く要望し、そのことが本島はむろんのこと、離島宮古八重山へ行っても強く要望されたのです。こういうことに対して、そういう要望をそのまま郵政会計でおいそれとはとても応じられないだろうということはわかるのですが、今日までこういう要望が、むろん郵政当局にもきていると思いますが、これに対する、具体的な答えとして、どの程度のところまでいっておるのですか。
  24. 北雄一郎

    北説明員 お答え申し上げます。  郵政省へも、また総理府のほうへも、いろいろ要望がまいっております。これに対しまして、私どもは、昭和三十六年当時から一つの対案を持っておりまして、これを沖繩在住預金者に対しまして示しておるわけでございます。その内容は、昭和二十八年の十二月に奄美群島施政権日本に復帰いたしました。そのときからあとの分につきまして、民法上の遅延利息は年五分でございますが、この年五分と、それから郵便貯金の利率との差額を、かりに見舞金という形で預金者に対しましてプラスして支給をしたい、こういうことで案を示してまいっております。それにつきまして、預金者に対しまして、いろいろそれを中心にいたしまして説得を重ねたりしてまいっておる次第でございます。
  25. 栗原俊夫

    栗原分科員 奄美の復帰のとき、二十八年からあと民法遅延利息五分と郵便貯金差額、こう言われると、これでもって一番よくわかる数字なのでしょうけれども、具体的にはわれわれにはわかりません。たとえば、それは一円がどのくらいになるのですか。一円では小さ過ぎれば、百円がどのくらいの計算になるのですか。
  26. 北雄一郎

    北説明員 お答え申し上げます。  実は、年ごと複利計算になりますので、ちょっと数字がやっかいでございますが、大ざっぱに申し上げますと、要するに、郵便貯金の利子が大体三分六厘程度でございます。それと五分との差額一分何厘かのものが、二十八年から四十年までにつくというわけでございますので、とても一対二とか、そういう整数の比率にはなりかねるわけでございます。
  27. 栗原俊夫

    栗原分科員 金額にすれば約八千万円の元利なんですが、これを沖繩島民は三百六十倍にして返してもらいたい、まあこういうことなんですが、これは長官としてもなかなか悩んでこられたところだろうと思うのですが、どんなお考えを持っておるのですか。
  28. 安井謙

    安井国務大臣 この問題は、やはり沖繩の住民の方にとっても非常にお気の毒なことだと思っております。ただいままでの、私、専門的な知識は別にいたしまして、郵便貯金法というのでございますか、これの支払いの規定というものによりましても、いろいろな事故やその他によって支払いが遅延したからといって、これに対する賠償的な責務は負わないということが法律上も規定されているようでございます。しかし、その実情は、郵政当局としましてもできるだけ勉強してめんどうをみたいということで、昭和三十五、六年以来折衝を続けているようでございます。ただ、あまりにも開きが大きいので、まだ煮詰まりませんが、いまでも鋭意折衝を続けておりますので、その結果を見て、またそれをできるだけ促進して、早く話が煮詰まるようにということで、側面から私たちもやっている次第でございます。
  29. 栗原俊夫

    栗原分科員 先ほど郵政当局のほうの話によれば、民法上の遅延利息との差額をお見舞金というような形でどうだろうか、こういう対案が出たようでありますが、おそらく郵政の会計からすれば、これがぎりぎり、こういうことであり、一方沖繩人たちにとってみれば、何だそれっぽっち、こういうことになろうかと思うのです。そこで、私たち沖繩人たちといろいろ話し合ったのですが、韓国の問題でも、初め平和条約第四条による求償権の金額は七千万ドルだと言うておったのが、だんだんふえてきて、無償三億、有償二億、さらに民間協力三億、こういうぐあいにふえていった経緯もある。それとこれとは別ですよ。別ですけれども、やはりこのことは郵便貯金のワクだけで片づけようとするところに、少しく無理があるのではないかと実は思うんですよ。そういう意味で、本来なら、このことだけやるのならば、分科会郵政省のセクションでごちゃごちゃやるところなんですが、そうではなくて、やはりもっと次元の高い、総括的に沖繩をかかえている総理府で、郵政省の会計で出し切れるものはそこまでだ、しかし、それではいかぬから別ワクでという政治的配慮の中で解決するという方向を——それが三百六十円になるかどうかは別ですよ。しかし、郵政会計のワクとは別ワクで、やはり島民のいろいろな希望とすり合わせて政治的に解決する、こういう方向に一歩踏み出してもらわないと、これはなかなか容易ならぬ問題ではないか、このように思っておるのです。金額については、だから三百六十円払わなければならぬものだとは言いません。言いませんけれども、しかし、現実には物価も四百倍を突破するという中ですから、三百六十円、一円を一ドルにかえてくれという要求も、まんざら無理な要求だとは思いませんので、こういう問題について新しくひとつ——特に佐藤さんも行って、沖繩を大きくかかえるという形、しかも、島民がほんとうに大船に乗ったという気持ちで期待をしておるのですから、長官は、新しい、いい方向をここでひとつ打ち出してもらいたい、こう思いますが……。
  30. 安井謙

    安井国務大臣 お話の気持ちは、われわれ非常によくわかるわけでございます。ただ、郵便貯金支払い関係につきましては、いままで他の場合に払っております実例もございますので、これとあまり均衡を失するということは、またいろいろなほかの影響も考えていかがかという点もありますが、郵政省と、この郵便貯金の部分については、ここまででいこうという話が煮詰まってきました場合、それじゃほかにさらにどういう方法かで何か考えることがあるかどうか、これは他の影響も勘案しながら、しかし、お話しの気持はよくわかりますので、ひとつその時点において考えさせていただきたいと思っておる次第であります。
  31. 栗原俊夫

    栗原分科員 ひとつ、一日も早く本土へ帰りたいという島民にあたたかい手を差し伸べてやるという気持ちで、積極的な御配慮を願いたいと思います。  以上で終わります。
  32. 井出一太郎

    ○井出主査 次に松浦定義君。
  33. 松浦定義

    松浦(定)分科員 実は、官房長官の御出席もお願いしたのですけれども、都合でちょっとおくれるようですから、総務長官にそれまでお尋ねをいたしたいと思います。  すでに御承知のとおりに、昨年の十月五日に起こりました釧路市の新富士の海岸で、釧路市の共栄小学校の児童が、毎年例会のごとく行なっている六年生を中心とした三百名くらいの学童が、この海岸で炊事遠足をやる、こういうことでありまして、実は、昨年も同様続けたわけであります。そのときに不幸にして起こりました爆発問題は、これはおそらく政府としても、すでにいままでいろいろ陳情等がございましたからおわかりと思いますが、ここでまず第一に私がお伺いいたしたいのは、少なくとも戦後満二十年であります。戦後二十年と申しますと、いろいろ山積しております問題を、一応解決しなければならぬ責任が国にもあるのじゃないか。着々進められておる諸問題もございますけれども、この種の問題につきましては、調査が不十分だとかいろいろの経緯がございまして、今日依然としてそれらの事故が頻発しておる。こういうことでありますから、まず第一に私がお尋ねいたしたいのは、この爆発問題の御調査については、おそらく陳情程度で、現地調査はあまりなされておらないのではないか。したがって、いま申し上げましたように、二十年を過ぎました今日においても、そういうことが日本の国内のいずれかのところにあるということについてのこの責任は、政府としては免れないと思いますが、それらの前後における政府のとってまいりました措置について、まずお伺いをしておきたいと思います。
  34. 安井謙

    安井国務大臣 あの釧路の学童の爆発による死傷事件は、ほんとうに痛ましいものだと思っておりまして、政府としてもできるだけのことをやったわけでございます。事件が起きまして、さっそく総理府の細田副長官現地へ派遣いたしまして、つぶさに現地の事情も調べて帰り、そして、御承知のような措置もとってまいったわけであります。  全体としてどういう措置をとっておるかといいますと、これは昭和三十六年でございますか、占領軍の関係の事故による補償に関する法律というものが出ておりましたが、これは三十九年で期限切れということになっておりまして、そういった関係のものに対する直接の措置をするべき法律というものは、現在のところ政府にはないというような次第でございます。
  35. 松浦定義

    松浦(定)分科員 これは人命に関する問題でありますから、平素私が主張いたしております気持ちとは少し変わるかと思いますから、その点はお許しを願いたいと思います。  いま長官お話を聞いておりますと、そのことについては、副長官現地に派遣してある程度の見舞いその他で処置をした。しかし、連合国の占領下における当時と違って、その法律についての効果といいますか、それを適用するような方法もない、こういうようにおっしゃいますけれども、そういう事件が起こらないとはっきりした場合においては、それは連合国がどうあろうともこうあろうとも、そういう法律があるなしにかかわらず、現実の問題として起こる問題については、これはもう政府の責任だということは、実はこれはおいでになったときでもお話をされておるわけであります。私は、法律がなければ、たとえば人命の問題についてもどうもしようがないといって政府が逃げなければならないようなことでは、どうかと思うわけであります。最近問題になっておりまする全日空の問題については、なるほど東京のすぐ周辺であるだけに、日本国内ばかりではなく、世界的に実は有名になったと思うのです。政府としても、いまお話になったような内容とは別に、やはりおやりになっておると思うのです。それを国民はひとつもふしぎには思っていないのです。当然だと思っているのです。責任を問えば全日空にあるとしても、政府がとっておる処置は、まだもの足りないという意味がずいぶんあるわけです。ところが、いまのようなお話になりますと、一応あれは二十万出したからそれでいいのだとか、あるいはまた法律がないからしかたがないのだということで、一片のここでの答弁で終わるということにはならないと私は思うのです。少なくも佐藤内閣は人間尊重ということを言う。これをどういうところに適用して、はたして国民がそれを納得するかということについては、それは、一人の事故たりとも軽々しくしないというところにあると私は思うのです。それが、いま四名即死をして十二名重傷、二十名軽傷、そうして、いろいろあとから申し上げますけれども、どうにもならない状態になっておるということが現実にありながら、死傷者に対して二十万だけ。これは、占領軍の法律が適用された場合に、一日二百円で千日間に対する処置であって最高のものだ、こういうようなお話をされますと、知らぬ人はしかたがないと思います。しかし、その親なりきょうだいなりというものは、そうはいかないと思うのです。私は率直に申し上げますけれども、たとえば総理大臣にしましても、閣僚の皆さんにしましても、自分の子供に小学校五年生、六年生の子供が、あるいはある人もあるしない人もあると思うが、おそらくお孫さんが、そういう該当のある人は多数あると私は思うのです。自分の子供や孫がそういうふうになったら、法律のあるなしにかかわらず、私は問題になると思うのです。ところが、北海道の釧路で起こったことだから、わりあいこれが等閑視される、あるいは東京湾のまん中で起きたからそれは重要視される、私は、これは政治ではないと思うのです。たとえば、北海道のあの台風の洞爺丸でなくなったときには、一千数百名なくなったのです。その処置と今度の百三十三名の処置とは、国民の受ける感じは非常に違うと思うのです。私は、その当時のことを足らないと申し上げるのではないのです。今日の百三十三名に対する処置が行き過ぎておるとは言っていないのです。最近、御承知のように漁船においていろいろ転覆事故がありまして、きのうの新聞にも出ておりましたが、もう海のまん中ではどうにもならぬというので、わずか一日くらいで打ち切ってしまった、そして六十何名が行くえ不明になったという記事が出ております。ところが全日空の場合、東京湾の中では、おそらく一日や二日で打ち切ったということにはならないでしょう。現実の問題として、残された遺体の一人でも揚げるように努力しなければならぬ。それでもって国民はだれも行き過ぎだと言わないのですよ。法律があってもなくても——法律はないけれどもおやりになっているでしょう。責任が何も政府にないこの問題についてさえおやりになっておる。いま私が言っておるのは、これは責任が政府にあることは明らかなんです。こういう点についてのお感じは、いまのような御答弁でこれから私の質問に対してお答えになるつもりかどうか。それならば、これから長い貴重な時間をやらなくても——これは当然いま問題になっております。これはやはり法律がなければ法律をつくる。前例がないからということを私はよく聞きますけれども、前例があって法律をつくるのでは、すでに一歩おくれているわけです。法律というものは、その該当者があるなしにかかわらず、国家として必要な場合においてはやはりつくっておかなければならぬ。日本のように、法律ばかりつくっておる国は、おそらく世界にあまりないと私は思うのです。だとしたら、法律ができないからできないということでなしに、やはりあるかもしれない、ないのを願うけれども、あった場合には、いまお話しのように、法律がないからといって逃げるような、そういう政府ではないという立場に立って、立法をやはりやっていただきたいと思うのです。そういう点のお考えをまずお聞きしておきたいと思います。
  36. 安井謙

    安井国務大臣 私は、占領軍関係のそういう被害による賠償の法律は、昭和三十九年で期限切れになって、いまなくなっておるという実情を申し上げたのでありまして、法律がないから政府が何もやらぬのだという意味のことを申し上げたつもりは毛頭ございません。当時の賠償の法律によりましても、一人当たり二十万円というような規定になっております。ですから、法律はなくてもその精神を生かしまして、これは、見る方によりましてそういうワクは非常に少ないというお見方もあるかもしれませんが、国が賠償するというような法律によった措置ではなくて、いかにもあの事件はほんとうに学童に対してお気の毒だということで、即刻副長官現地へ派遣いたしまして、実情も調査し、その後のいろいろな警戒や整備もいたし、同時にまた、これはそういう法律によらない特別の弔意を表するという意味でお見舞い金を差し上げる、そういうような措置を実はとってまいったわけでございます。
  37. 松浦定義

    松浦(定)分科員 法律がないから何もしないのじゃない、できるだけのことをやったとおっしゃいますけれども、お見舞い金でしょう。占領軍がやるようなことは適切でないと私は思うんですよ。相手の国に対して、そんな自国の政府がやるようなことを占領軍の場合はやらぬのです。最小、最低のものなんです。それを最大なものとしてやはりおやりになった。しかしそれは、たとえばそれを是とするといたしましても、お見舞いでしょう。あなたのお話では、内閣総理大臣としてお見舞いするということですが、私は、極端なことを言えば、佐藤榮作さん個人だと言ってもいいくらいの金額だと思うのですよ。それではやはりその人の将来に対する賠償にはならぬと私は思うのです。お見舞いです。お見舞いなんというものは、他人だって持ってくるわけなんです。ですから、国として責任があるのですから、責任のある国としては、お見舞いだけで済まされるものではない。そう言いますと、法律がないからとおっしゃるのです。だから、お見舞いだけでもう打ち切られるつもりかどうか、その点を明らかにしていただきたいと思うのです。
  38. 安井謙

    安井国務大臣 賠償という形のものになるとは、実は考えておらぬわけでございます。原因は、御承知のとおりに深い海の底へ沈めたものが、つい知らぬうちに上がってきておった。これは、いわば善意の過失と申しますか、火遊びをしてああいうことが起こった。これはまことに遺憾なことでございまして、またそういうものに対する十分な目が届かなかったというような点については、今後も十分に警戒をして、そういったことのないようにつとめなければならぬのですが、賠償という形になりますと、これは国家賠償法というものによらなければできないものでございます。その国家賠償法によりますと、これは、そういうような場合にどうしても当てはまらない。そこで、金額につきましてはいろいろ御批判もあろうと思いますが、いままで、ああいう事故に対する前例はございませんが、特に総理大臣の名においてお見舞いを差し上げ、また、そういう遺憾なことは今後起こらないように、十分な警戒を政府としてもやっていくというような事情でございまして、航空事故で、三百万円とかいろいろ言われますが、これは御承知のとおり損害保険でございまして、保険の金額とお見舞いで差し上げるものとは、おのずから非常な差が出てこなければなるまいということでございます。私ども決して多いとは存じませんが、いままでに例のない、そういった措置を政府としてもとっておるという気持ちだけは、ひとつおくみ取りをいただきたいと思うわけであります。
  39. 松浦定義

    松浦(定)分科員 いま長官は、重大な発言をされておると思うのです。たとえば戦争に負けた日本が、そういうような当時所有しておった爆弾を海へ投げた。これはやはり連合国の命令によって投げておるのです。そして日本は、これを受諾して作業に当たったわけですね。日本人がやはり投げておるのです。そしてその結果が、海の深いところに持っていって投げたのが間違って出てきた。これは過失とはいいながらしかたがないのだ、こうおっしゃる。大体、いままで前例があるとかないとか言いますけれども、この釧路の港だけでも非常に驚くべき数字が出ておるのです。それでいまお話しになりましたように、大体釧路の沖に投げたのが、終戦直後は約八千トンです。そして当時おった軍隊はばらばらになったので、しかたがないから、町の人とかいろいろな人を使って投げさせたわけです。最低水深は四百メートル以上深いところへ投げるとか、あるいは沖合いは十五海里から二十海里向こうへ行って投げるということになっておったのが、おそらくあの当時の監督の不行き届きといいますか、わずか千メートルぐらい向こうへ投げてみたり、水深十五メートルくらいのところへ投げたのがたくさんある。そういうものが何となしにまた上がってきた。いま、その後においても処置したとおっしゃいますけれども、十月五日にその事故が起こった次の日に、十月六日にまた同じようなものが上がってきておるのです。それで、実際釧路なり、あるいは道なり、国なりがおわかりになったのは、もう十日も十五日も過ぎてからしかそれがわかっていないのです。  そういうことで、時間の関係がありますけれども、いまお話しのように、二十万円だけにこだわって、あと賠償というものは、保険でないからできないとか、これでどうかとおっしゃいますけれども、それでは私は納得できないと思うのですよ。だからそれはどういうふうにしようとお考えになるのか。いま、現行法がそれでは適用されないし、国家賠償法によりましてもできないと言われるが、私は、国家賠償法だって、第二条のあの内容について拡大解釈をすればできると思うのです。たとえば、国家賠償法の場合には、おそらく道路、河川その他公の場所ということになっておるわけでしょう。道路、河川——港は入っていないというけれども、「その他」にはどこが入るのか。こういうことを拡大していけば——富士山の絶頂を入れるということではないのです。河川の入り口には海があることは明らかであります。道路河川、海岸ということはあたりまえだと思うのです。そういう一番大事なところを——そういう場合においても、その所管が違うかどうか知りませんけれども、あいまいにしておくという法律については、むしろこの際直しておくべきだ。これは「その他」に入っておる。「その他」ですから、道路、河川、その他における公共用施設に関して起きた問題については、求償権に応ずるということをはっきりしておけば、こういう問題は、いま二十万円で足りるというようなことを、長官は心の中では実際気の毒だと思いながら、御答弁をされる必要は全然ないと思うのです。あるいは一部に起きておりますようなことは、連合軍の問題等についての現行法は、そういうものに適用されていないけれども、これはまた内容改正によっては、私はどうでもなると思うのです。だからこういう問題は、やはりやる気があれば、私は何でもできると思うのです。やる気がないからできないのだ。だから、そういうふうに国家賠償法の「その他」を拡大するか、あるいはまた連合国占領軍等の問題について云々の法律の中にそういうものを適用させておく。私は絶対今後ないということは断言できないと思うのです。  それでいまお話しの、二十万だけの説明をしていただく必要はないと思うのです。三十万だけをここでもって何とかひとつ基礎づけようというような御答弁なら、私は何も必要がないと思う。少なくとも国会は、やはり立法権の府でありますから、議員立法で何でもできるわけなんです。いままでだって、私どもはこんなものは議員立法でやらなくていいものでも、やはり占領後における処置としてやっておるのですもの。人命には一つも問題にならぬ、財産とかなんとかいうことだけで。旧地主の問題だってそうでしょう。そういうことをやる前にこういう問題を解決しておけば、これから起こらないように努力をしましょうし、起こった人に対しては、私は国としての責任はのがれると思うのですよ。ただここで、二十万円やったから、二十万円やったからとあまり強く言われますと、私は、これはかえって問題になると思う。こういう点、ひとつもう一回明らかにしていただきたいと思います。法的措置を講ずる用意があるのかないのか、こういう点までひとつ。
  40. 安井謙

    安井国務大臣 私でも、二十万円で決して大いばりしておるつもりは毛頭ございませんので、お話のようにほんとうにお気の毒だし、また、そういう事件が今後も起こらないようにということには、十二分に今後も気をつかってやっていきたいと思っております。  国家賠償法の法律解釈につきましては、「公の営造物」といったような規定もございますし、いろいろ解釈はむずかしかろうと思いますが、御趣旨によりまして今後もいろいろと検討していきたいと思います。  なお、蛇足かもしれませんが、現地へ行かれました細田副長官からも、一ぺんその当時の事情についてお聞き取りいただければ、たいへんありがたいかと思います。
  41. 細田吉藏

    ○細田政府委員 長官のただいまの御答弁に補足して申し上げたいと思います。  先ほども松浦先生の質疑の中にもございましたように、私は十月下旬、事故が起こりした直後、お見舞い金を持って釧路に参上いたしました。現地の実情もある程度見せていただいたわけでございます。先生のおっしゃいますような、これに対してもっと手厚い手当てがあるべきじゃないかという点につきましては、私どもも気持ちの上におきましては全く同感をいたすものでございます。ただ、先ほど来長官が申しておるわけでございますが、私どもとしましては、国家賠償法の適用があるかどうか、あればこれは非常にこれによってはっきりいたすということでございまして、いろんな点から研究をいたしてもらったわけでございますが、法制局並びに法務省の解釈では、どうもこの場合当てはまらない、こういうことでございます。さりとて、それでは何かほかの方法はないかということでいろいろ苦慮をいたしたわけでございまして、もちろんできるだけ手厚い方法考えなければいかぬじゃないかという気持ちでいろいろやったわけでございますけれども、なかなか方法がないということで、御承知のような措置に出たわけでございます。ただ、その後も私ども、何かこういう問題が今後も起こる可能性がないわけではない、こういう点につきましては、いろいろ関係の各方面と検討を続けておるような次第でございます。  なお、先ほど、あといろいろ上がってきておるというような点についてお話がございました。こういう点につきましては、実はもう釧路だけではございません。関係の海上保安庁、防衛庁、あるいは爆発物の関係の通産省、あるいはもちろん警察、こういう方面で、地元の方の不安感、これは当然でございますが、人身事故を起こすということは、こういうものが上がってまいりました場合に、実際は、発見は別としまして、これの処理は自衛隊がいたすことになっておりますが、こういう点につきましては、パトロールをいたしますとか、あるいは一般の民間の方にも御協力をいただいて、早期に発見をして処理をする、こういたしますれば、これが面接にすぐ人命に損害を及ぼす、あるいは傷害事故を起こすということでございませんので、そういう点については努力を続けてまいっておるような次第でございます。
  42. 松浦定義

    松浦(定)分科員 私は、努力されたことは全然認めないと申し上げておるわけじゃないのです。しかし、法制局がいろいろ検討したりしたけれどもどうにもしかたがないというのは、現在の法律に適用されないからそうだとおっしゃると思うのですよ。ですから、私が言っているのは、これで将来こういうことは絶対ないというわけではないから——ないと保証されるならいいですよ。そうでないから、あとのためにも、私はこの際法律改正が必要でなかろうか、こう言うのです。それをもう少し、まあどこか二、三カ所も起こってみたら、あるいはおとなでもそういうことになったら考えるというなら、これは何をが言わんやでありますけれども、私は、むしろおとなよりもやはり子供に対する将来の希望というものが非常に大きいと思うのであります。ですから、子供でもこれだけのことをするのだという政府のあたたかい政策があってもいいということを申し上げておる。そうしますと、端的に申し上げますと、見舞いだけでは気の毒だから何とかしなければならぬけれども、目下検討中だけれどもと、こういうお話でありますが、法律改正してでも、これに対して何とか賠償にひとしいようなことをやる決意があると、こういうふうに理解してもいいのですか。それは困るというのですか。この点を明らかにしておいていただきたいと思います。
  43. 安井謙

    安井国務大臣 いま御指摘になりました国家賠償法というようなものが、まだその範囲その他等について問題があるというようなことに相なりますれば、これは私のほうの所管じゃございませんが、そういった所管とも相談をいたしまして、いろいろ今後は検討を続けるということはいたしていきたいと思っております。なお、くれぐれも、ほんとうに学童の方でお気の毒であったということにつきましては、われわれとしてもできるだけ今後そういう事故の起こらないように気をつけてまいりたいと思っております。
  44. 松浦定義

    松浦(定)分科員 先ほど事故の問題の前例があるから云々ということについて申し上げたのですが、大体、釧路の港を中心としただけでも、三十五年に二件、三十七年一件、三十八年が三件、三十九年が四件、四十年は驚くなかれ十六回ある。四十  一年にも三回。これは大小もありますよ。大小もありますけれども、とにかく危険物として、防衛庁なりいろいろの面から通達があって、これを処理すべきだという問題がそれだけあるわけですから、とにかくいかに釧路港の沿岸において危険度が高いかということは、実際問題としておわかりになると思うのです。御承知のとおりに、北海道は幸いにして終戦のときのああいう被害にはあっていないわけなんです。もう一カ月もしたらたいへんだったと思いますが、それだけに非常な多くの武器、弾薬が輸送されておったわけです。それを一挙に投げるのですからね。現在でも爆弾の埋まっておる上に家を建てておる。これは八百屋さんですけれども、家を建てておる。明らかに下にあることがわかっておるけれども、これはどうにもならぬということであります。それらを取り除くためには、どうしても百万円かかるというのです。そういう危険の上におるというのがやはりこの釧路市の実態なんです。そういうものだって、それじゃひとつ国のほうで何とかしてあげようということの御調査は、何にもおやりになっていないわけです。もし間違ったらだれの責任だということになれば、いまのお話のようなことで二十万円で片づいてしまう。これでは私は不安でならないと思うのです。繰り返すようでありますけれども、二十年というものをめどにして、もうそういうことについては一切心配ない、そう言うけれども信用できないと言ったら、この法律があります、ということをなぜ明らかにできないかと思うのです。検討とかなんとかいうことも必要でありますけれども、このくらい明確な事実があるわけですから、ひとつ責任を持って努力いたしましょう、しかし、政府としてやれぬ場合には、国会の議員提案でもひとつおやりになってくださいとか、もしそういう場合には私どもで協力いたしますとか、何かそういう点を明らかにしていただかないと、検討、検討でいくことは私はあまりにも納得できませんし、それから事件が事件として——それは、最近起こっております大きな事件から見れば、これはもうこういうところで私が主張するだけでもどうかと思うわけなんです。しかし、私は、将来のためですから皆さんの御決意を促しておるわけなんです。そういう点について、こういうふうにひんぱんとして起こる、三十五年からでも三十件近くになっておる、いまなおそういうような危険の上に生活しておる人もあるので、そういうものに対する御処置はおやりになるでしょう。それは私は、やり方がぬるいとかなんとかいうことは言いませんけれども、現に起きた四名の死傷者、死んだ人についてはもうだんだんと忘れていくと思うのです。ところが、目を摘出し、あるいは腕の中にまだ破片があって、いつどうなるかわからぬという後遺症を持っている者すらやはり七、八名あるわけです。そういう人に対する処置というものはやはり何らかの形でやらなければいかぬと私は思うのです。こういう点についていま一回ひとつあらためて御決意のほどをお伺いしたいと思います。
  45. 細田吉藏

    ○細田政府委員 長官がお答えになります前に私からちょっと申し上げたいと思います。  御承知の占領軍の行為等による被害に対する法律が現存いたしておりますけれども、実質上は死んでおる、それから、かなり前にできたものでございますから、ただいまの状況から考えてこれがどうか、こういうふうな問題があろうかと思います。これにつきまして、実はこの問題をあわせて私ども検討いたしておったのでございますが、政府としてそういうふうに申し上げることはどうかとは思いまするが、内閣委員会の与野党の間で実はこの問題を再検討しょうという議が起こっておるということを私ども承知いたしておるのでございまして、私ども政府が逃げるとかなんとかいうことではございませんが、先般もそうした議論がいま起こって具体的に進められておる、こういう他のいろいろな点もあわせて考えたいというような実情があるというお話でございますので、私どものほうから与党並びに野党の内閣委員の諸先生方に、こうした際にはぜひ自衛隊の場合もあわせて考えていただくように、実はお願いもいたしておるわけでございます。これはその後どういうふうになりますか、与野党の話し合いをなすっておるようでございますので、私どもも、この機会に、やはり今後も起こるかもしれませんので、そういうふうにお考えをいただくように、実情についても最近の情勢に合わせて考えるということであるようでございますので、お願いしておるような次第でございます。
  46. 安井謙

    安井国務大臣 いま細田副長官からも話しましたように、いまの御趣旨を体しまして、今後もひとつできるだけ私どももこの善処をするように考えていきたいと思っております。
  47. 松浦定義

    松浦(定)分科員 そうしますと、いまお話しの焦点は、現行法ではなかなか不十分だ、だから、いま内閣委員会で与野党が、一応、この問題ということではおそらくないと思いますが、やはり国家的な立場に立って法の修正なりあるいは立法なりを考えておるようだから、その場合には政府としてもできるだけ促進するように協力をしたい、こういうふうに理解してよろしゅうございますね。
  48. 安井謙

    安井国務大臣 そのとおりにいたしたいと思っております。
  49. 松浦定義

    松浦(定)分科員 それでは、そういう点でひとり善処をしていただきたいと思います。いま現に病院におる、あるいは学校へびっこを引きながら行っておる、不自由な目をしながら生活をしておる、こういう人があるわけなんです。法律ができれば明らかになると思いますけれども、なかなかそこまではこまかい手が回りかねると私は思うのです。  それで、この子供がたとえば中学を卒業し、あるいは高校に行き、大学へ行くという場合においても、多少でない影響が私はあると思うのです。とりあえず日常生活の中でこうした被害者の人が困っておられる。これは必ずしも余裕のある人ばかりではないわけなんです。非常に苦しい町場の子弟もおるわけです。ですから、先ほどお話のように、政府から二十万はいただいたけれども、それではどうにもならないということで、多くの人から義援金的なもの、お見舞い金が集まっておるわけですが、それはやはり当座の出費にしかならない。これは精神的なものにはあまりならないわけですね。  そこで、一番問題になりますのは、たとえば、いま釧路におって、その人が釧路で生活しておる場合には、釧路市としても、自分のところで起きた問題ですから、それは医療その他一切市の負担でおやりになっております。ところが、これが札幌に行き、あるいは東京に来た場合には、いまはどうにもならないわけなんですね。こういう後遺症の残った人が札幌なり東京なりに何らかの都合で転出する場合もあると思いますし、あるいは上級学校に行かなければならぬということで出てくる人もあると思いますが、そういう場合には、全国一律にどこの病院に行ってもそのために治療をすることに手おくれのないような処置か現在の立場でできる方法があるのかないのか、あるいは、将来そういうことも必要だとすれば、こういうふうにしたいという点について、お考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。
  50. 安井謙

    安井国務大臣 後遺症の方についてはほんとうにお氣の毒だと存じますし、また、厚生省その他とも打ち合わせまして、できるだけそういったあとの始末もいたしたいと思っております。また、治療等につきましては、幸いにして保険制度もあることでありますから、できるだけ有効にこれが行使できるように、また、そういった便宜もできるだけお計らいもするようにつとめたいと思っております。
  51. 松浦定義

    松浦(定)分科員 そうしますと、いまの現行法でもそうした後遺症の者については全国どこでも治療ができるというのがあるわけですね。
  52. 安井謙

    安井国務大臣 これは保険制度によってやることになろうかと思いますが、いま詳しく具体的にどういうふうな道順だということであれば、また後ほどにでも調べて御返事もしたいと思います。
  53. 松浦定義

    松浦(定)分科員 以上で私の質問を終わることにいたしますが、いまの問題は、これからの問題については立法を考える、それから、現在困っておる者についてはやはりその治療の点については最大限の方法考えるということで御理解いただいたものとして、私の質問を終わりたいと思いますが、こういう問題については、これで解決がついたわけではありませんから、自今それぞれ所管の委員会等で、もしそういう問題について触れられる場合には、努力中、検討中でなしに、少しでも、一日も早く前進をされるように特にお願いをいたしておきます。
  54. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、田口誠治君。
  55. 田口誠治

    田口(誠)分科員 最初に青少年対策についてお伺いをいたしたいと思います。  御承知のとおり、前国会から佐藤総理は施政演説の中で青少年対策は重要な施策の一環として取り上げておりまするし、特にそうでなくても青少年の非行化防止については取り上げなくてはなりませんし、これは大きな社会問題、政治問題になっておりますので、そういう点から以下質問を申し上げたいと思います。  そこで、まず第一にお聞きをいたしたいと思いますることは、青少年問題の特別地区協議会の費用ですが、これは今年はついておるのかおらないのか、ちょっとその点を伺いたい。
  56. 安井謙

    安井国務大臣 中青協の局長からお答えさせます。
  57. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 お答えいたします。  先生の御質問は、地方青少協に対する補助金でございましょうか。まぎらわしい特別地区補助金と二つでございますが、都道府県青少協の補助金だと思いますが、それは約二千万円ほどついております。
  58. 田口誠治

    田口(誠)分科員 どこについておるのですか。
  59. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 地方青少協補助という項目であります。
  60. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そうしますと、青少年問題研究調査委託費というのは昨年より相当予算が減らされておるわけですが、これはどういう理由であるか。
  61. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 これは予算編成方針でございまして、通常の項目は前年度若干の節約をいたしておりますので、それと大体見合ったような数字を計上するたてまえになっておりますので、結果として若干減っております。しかし、事業量においては前年度と同様である、こういうふうに考えております。
  62. 田口誠治

    田口(誠)分科員 今年は、物価が上昇しておりまするし、人を雇ってもベース・アップしております。したがって、昨年の場合は九百七十九万五千円予算要求をして五百七十五万三千円というものが認められておったのですが、今年は五百四十七万七千円ということで、減になっておるのです。それで、あとから申し上げまするが、下のほうの、いままであまりついておらなかった分についての増額はありまするけれども、この分について減になっておる理由をひとつお伺いをいたしたいと思います。数字が違っておれば訂正していただいてけっこうです。——明細が、予算書とこちらのほうの分析したのと若干相違がございまするので、ここでこの問題をやりとりしておっても時間を食いますので、それでは、ただいまの質問は取り下げます。  したがって、私の申し上げたいことは、青少年問題研究調査委託費というものが昨年より減になっておるということ。これは、佐藤総理が力を入れなければならない重要な社会問題、政治問題として取り上げておるにもかかわらず、減になっておるという点がおかしいというので指摘を申し上げたわけでございます。したがって、いま数字の照らし合わせをしてみましたけれども、それぞれの明細な出し方に相違がございまするので、答弁ができないと思いますので、その点は私のほうからもあえて要求はいたしません。  そこで、今年新しくつきましたのは、青少年の育成国民運動推進事業費として予算が新しくついております。これは何をするのですか。
  63. 安井謙

    安井国務大臣 青少年の国民運動という点に予算をつけたわけでございますが、これにつきましては、青少年問題だけの問題として片づかない、やはり国民全体がこれに対してあたたかい理解を持っていただくこと、また青少年を育成していくという運動が必要だということで、将来国民会議といったものを予定しておりまして、その関係予算でございます。
  64. 田口誠治

    田口(誠)分科員 国民会議の委員に対する報酬の費用も予算化されておりますか。これはどういう構想でおいでになりますか。
  65. 安井謙

    安井国務大臣 この国民会議は、民間から発議してでき上がって、政府としてはそれに対するできるだけのごめんどうを見ていこうというたてまえにしておりますので、国民会議の発起人あるいは会議の委員という方に対する報酬は見込んでおりません。報酬を見込んでおるとすれば、これは例の中青協の審議会の、正式に法律できまった委員に対する報酬でございます。
  66. 田口誠治

    田口(誠)分科員 審議会は別項で予算が出ておる。
  67. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 お答えいたします。  中背協の運営に要する経費は別項目でございまして、一千二百万円用意されております。
  68. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私のいまお聞きしているのは、青少年育成の国民運動推進委託費というのが予算化されておるわけなんです。だから、これはどういうことをしようとするのかということなんです。
  69. 安井謙

    安井国務大臣 実は、この国民会議の構想は、私どものほうも、でき上がればたいへんけっこうだということで、いまそれが緒についておるわけでございまして、これは、青少年問題に関していろいろ関心をお持ちのおとなの方、そういった有識者が相寄りまして一つの国民会議を結成しようという動きでございます。現在一応発起人代表に元東大名誉教授の茅誠司先生が推されておるようでございます。そういうような国民会議によりまして、いろいろな会合を持ち、あるいは青少年の補導と言ったら語弊がございますが、育成していく上のいろいろな行事をやっていくというようなことをこれからいろいろおきめ願う。それに対する政府としての委託事業の補助をいたしたいと考えておるわけでございます。
  70. 田口誠治

    田口(誠)分科員 それを私があえてお聞きするのは、補助金にしては非常に多いから、これは何をするのかということなんです。七千万円という費用なんだから、七千万円を予算化して、この運動をどう効果的に推進していこうとするのか、これをお聞きしたいのです。予算化だけして、効果のないようなものだったら、何も予算化する必要はない。
  71. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 この予算をどのように使うかにつきましては、まだ詳細決定いたしておりませんが、大体の見通しといたしましては、以下のように考えております。  いま、先生、七千万円とおっしゃいましたが、予算上は一応八千万円になっております。それで、先ほど私もう一ぺんお答え申し上げようと思いましたが、調査費が少し減っているというのを、さっきちょっと失念しておりました。そこに従来入っておりました特別地区の一千万円ほどの予算が実は七千万円にプラスされまして、八千万円になっておるのでございます。予算のたてまえといたしましては八千万円で、従来調査費に入っておった特別地区の予算がこちらに振りかわっておりますので、その分が調査費のところが減、こういうかっこうになっております。事実上は減でございませんで、国民運動のほうに一千万円入っておるわけでございます。  それから、八千万円のおおよその中身は、いま申しましたように、詳細はこれから国民運動の国民会議の御意向を待ってきまると思いまするけれども、大体の見通しといたしましては、一千万円ほどは国民会議の運営に要する事務費と考えております。残り七千万円のうち一千万円は、従来の特別地区に見合う予算でございます。残り六千万円は、青少年育成運動に関係いたします数々の団体に対しまして委託費として、その事業を推進するに必要な、一種のてこ入れ、誘い水的な役割りを果たさせる予算として考えております。しかも、その予算は、中央・地方同時に国民運動を推進いたさなければなりませんので、中央の団体、それから地方にも数々の団体がございます。そういう団体に委託費として差し上げる、こういうことになっております。  この国民会議の構想でございますが、現在二百五十名もしくは三百名程度関係の団体の長もしくはこの方面に明るい方々に入っていただきまして、その中に、宵少年問題は多方面にわたりますので、各部門、各部会をつくりまして、それぞれ活発な運動を自主的に展開いただく、こういうふうに予定いたしております。
  72. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いまお答えになった数字は、これは青少年問題協議会の、国民運動推進事業費というのです。事業費は八千万円なんだ。ところが、国民運動推進事業委託費というのが七千万あるから、七千万も使ってこの人たちに何をやってもらうのかということなんです。それで、いまの答弁ではちょっと大ざっぱ過ぎるわけなんで、予算の積算基礎について、どういうところからこれだけの予算が出されておるかということなのです。それで、ぼくらは、この重要な青少年問題の対策費が今年度は昨年に比べてものすごく増になっておるという点は、これは了解もできまするし、効果もあげてもらわなくてはなりませんが、そのおもなる予算というのは、国民運動推進事業費と、それから国民運動事業委託費、これになっておりまするので、その点をひとつ明確にしていただきたいと思う。予算だけ取ってもらっても、効果がなかったら何にもなりませんから、この点を特にお聞きをしておるわけなんです。
  73. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 お答えいたします。  先ほどの予算数字を若干補足いたしますが、七千万円と先生のお手元にございます数字は、それは委託費の総額でございます。残り一千万円は別項目で、予算の費目が違っておりますので、別項目に計上されておるはずでございます。  それで、七千万円の委託費はどういうふうに使うのか、こういう御質問だと思いますが、そのうちの一千万円は、先ほど申し上げましたように、従来ございました特別地区を国民運動的に展開するために使わしていただく。残りの六千万円につきましては、まあいろいろ考え方がございますが、現在準備会、発起人会で論議されておりますのを御紹介申し上げますと、たとえば、一は、親の自覚を促し、家庭を健全にするための諸活動、第二は、社会環境の浄化をはかるための各種の活動、第三は、青少年がその誇りと責任についての自覚を高めるための諸活動、第四は、すべての青少年が健全な青少年団体やグループに参加することを奨励する諸活動、第五は、勤労青少年の教育、福祉対策を進め、その生活条件を改善するための諸活動、第六は、青少年の非行化防止のための諸活動、第七は、青少年の健全育成のために特に学校教育に要望する諸活動、第八は、体育やレクリエーションを奨励するための諸活動、最後に、九として、青少年対策に関する理念の確立と浸透及び指導者養成に関する諸活動、こういう大きな項目に活動事項例といたしましていろいろといま取り上げられてございます。ただ、あまりにもその事項例が多うございますし、いまたいへん予算がふえたように御指摘ございましたが、各般の青少年問題を各種の団体が大いにやろうとするためには、必ずしもこの予算が多いというふうには考えられておりませんで、この分配、これをどのように有効に使うかについては、今後準備会、国民会議等で慎重に検討して使う。しかも、それができるだけ民間の意向を尊重し、いい仕事ができるようにしたい、こういうふうに考えておるところでございます。
  74. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私も予算が多過ぎるという点を指摘しておるのではありません。先ほど国民的な運動にしなければならないという大臣の御答弁であったのですが、ただ、昨年の予算と比較いたしまして、昨年は七千万円ですが、ことしは二億二千九百三十六万七千円というように、ものすごく予算がふえておるわけなんです。したがって、この予算のふえておるその明細を見ますると、今度、申し上げまするように、国民運動推進事業費と、国民運動事業の委託費と、これに一億五千万円ほど予算がいっておるわけなんです。これは八千万円と七千万円だから。そうでしょう。ちょっと、あなた来て比べてみませんか。——わかりました。いずれにしても、八千万円予算を組んでおるわけなんです。したがって、そういうことから、ただいま項目的にあげられたわけなんですが、その項目的にあげられた仕事をこれからどうしていくかということについては、この予算がそれぞれ分担、消化されていく、こういうことになるのです。  したがって、そういうことになるとするなれば、私のほうからお伺いをいたしたいと思いますることは、後期中等教育、すなわち中学校を卒業して高校へ入学したいけれども入学のできなかった、すなわち高校の年齢層に該当する人たちを対象に私は言っておるわけですが、私のほうの調査では、百六十万人ほどということになっております。こういう人たちの教育、これは社会教育としておそらくやられなければならないと思うのだが、具体的にどうなされようとするのか、これをひとつ承りたいと思うのです。特にこの点をお聞きいたしたいと思いますることは、中学校を卒業して高校へ入りたいけれども高校へ入学することができないで、それぞれ職場についたりあるいは家庭にいたりした人たちの非行青少年が非常に多いわけなんですから、私は、この後期中等教育を社会においてどういうようになされるか、この点をひとつ承りたいと思うのです。
  75. 安井謙

    安井国務大臣 御承知のように、青少年問題につきましては、たとえば教育問題は直接は文部省、身体障害者その他に関係いたしましては厚生省、あるいは勤労青少年全体の補導育成という意味では労働省、それぞれの所管予算を計上しておりまして、私のほうは、そういったものを総合調整いたしまして、それぞれが有効にこの働きをしてもらうという調整役を買っておるわけでございまして、いま御指摘のようなものは、これはあるいは文部省からもっと的確な御説明が出るかもしれませんが、定時同校の勤労青少年教育、あるいは青年学校、青少年教育の樹立、そういったものにそれぞれの予算を計上してやっていただいておるわけでございます。私どもは、それを総合調整して、より有効に働いていただくような運動を国民会議、国民運動の形で推進をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
  76. 田口誠治

    田口(誠)分科員 いまの御答弁のように、青少年対策に対する予算は、厚生省は厚生省、労働省は労働省、文部省は文部省として、それぞれ予算をあげております。したがって、その予算をあげておる各省はそれぞれの対策を行なわれるわけですけれども、いま問題になっておりますことは、定時高校へも行かない、新制中学を出て、そうして高校へ進学したいけれども進学ができない、すなわち中期中等教育を受けさせねばならない人が社会に追い出されておる。この追い出されておる人は、これは別に総理府としてこういう人たちの社会教育をどうするかということを総理府の責任でやってもらわなくてはならないのじゃないか、こう思うのです。
  77. 安井謙

    安井国務大臣 御説のとおり、定時高校制度からもはみ出したような方々に対する今後の施設、そういうものにつきましても、それぞれの点を考えております。まだこれはあるいは不十分かもしれませんが、実施をしてみまして、不十分な点については、それぞれ各省との連絡もはかり、また、どこにも属さない場合にはわれわれ自身の手でもやっておりますが、その内容につきましては局長から御答弁させていただきたいと思います。
  78. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 お答えいたします。  全日制の高校に行きません、いわゆる勤労青少年の教育のために、従来とも各省が、文部省、労働省、それぞれ努力してまいったわけでございます。たとえば、定時制高校、社会教育の面で青年学級、勤労青年学校、社会通信教育、また、学校教育の範疇に入っております各種学校、その他労働省で職業訓練、このような各種の教育訓練の場がかなり設けられておったのでございますが、先生の御指摘のように、それにもかかわらず、こうした教育の場を利用できない、中小企業等に働く勤労青少年のおることは、御指摘のとおりでございます。これらの青少年にどのような教育の機会を提供するか、これが現在後期中等教育の問題として検討されておりまして、文部省がいろいろと検討しておるわけでございます。しかし、何ぶんにも、戦前の青年学校のように非常にそれを組織化し得る簡単な体制にないのでございまして、現在、文部省としても、どのような案にいくべきか、いろいろと議論の最中と伺っておるわけでございます。しかし、いずれにせよ、こうした少数とは言えない恵まれない勤労青少年にとって、生活を最も生きがいあるものにするためには、教育が重要であることは御指摘のとおりでございますので、何らかの意味で前進させなければならない。この点は従来とも中央青少年問題協議会におきましても勤労青少年教育の問題としてしばしば取り上げられてきた点でございます。
  79. 田口誠治

    田口(誠)分科員 予算分科会だから、大まかなことでなしに、私はこまかいことを聞いておるのです。だから、いまお話のあったような考え方で後期中等教育をするということになりますれば、たとえば、教育施設はどういうようなものを使用するのだ、そうして組織的にはどういうようにやるのだ、いろいろあると思うのですが、こういうことが基本が出されておらないということになりますと、これは国民運動的な青少年問題の対策をやられても効果がないのではないか、私はこう思うので、いま局長のほうからお話しになった、また心配をしておられることを、どこの教育施設で教育をさせるのか、どういうような教育のしかたを組織的に行なうのか、これはいろいろあると思いますので、御所見を承りたいと思います。
  80. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 こまかい点になりますと、これは文部省の所管でございますので、私からお答えするのはいかがかと思いますが、若干の私見を加えさせていただくならば、申し上げたいと存じます。これらの勤労青少年を単一な学校制度によって収容、教育するかどうか、一つ制度として単一化しつつも、既存の各種の教育訓練機関をあわせて利用し、それを一貫した教育体系の中に入れるか、いろいろと考えがあろうかと思います。一案としましては、現在、各種学校、もしくは職業訓練、もしくは勤労青年学校、これらのものはそれぞれいろいろの教育を行なっております。将来こうした義務教育を出ました勤労青少年の教育の一定限度までの教育を国が責任を持って行なうということになりますと、年間の教育時間を何百時間、それを何年間くらい継続して、雇用主にもある程度協力もしくは義務づけて就学の機会を提供するといったようなことを考え、かつ、これらの学校に在学しておる者が、将来生まれるであろうそうした教育機関の中に入ったと同様の効果を持つようにする、こういった近代的な、それぞれの教育機関を生かすような教育機構が望ましいのではないだろうかという考え方があろうかと思います。しかしながら、それらの制度を打ち立てるためには、いろいろと関連する問題、免状の問題とか、どのようなものを教育内容とするか、これはいろいろとむずかしい問題がありまして、現在文部省としても鋭意検討中だと思いますし、また、何らかの意味で、既存のそういう教育訓練機関をも新しい教育制度の中に生かし得るように持っていくべきではないか、こういうふうに、はなはだ僣越でございますが、私としては考えておる次第でございます。
  81. 田口誠治

    田口(誠)分科員 労働省は職業訓練の関係予算も取っておりますので、この点にもそれは関係はありましょう、それから、文部省もやはり予算を取っておりますので、文部省でも、各種学校その他の問題について、こうした人たちを教育する場も具体的に考えております。そこで、私がいま聞こうとすることは、総理府にお聞きしておるのだから、これは、どういうような教育施設を使用するか、組織的にはどうするかということになりますと、こういうものは中央青少年問題協議会にいろいろ検討してもらって、その中央に合わせるような対策を立ててもらうとか、あるいはそれはただ地方自治体に考えてもらうのだとか、また、これは文部省関係の学校でやってもらうのだとか、いろいろ組織的なものがあると思うのです。したがって、いまお聞きをいたしますと、労働省とか文部省、こういう方面でいろいろと予算化をして対策を立ててもらうことに期待をされておりますが、この国民運動的な、すなわち予算からいけば八千万の予算を取って、そうして国民運動として青少年の不良化防止、育成強化、教育の向上、こういうことをはかろうとするには、ただいまの答弁では私の聞いておることとちょっと違いがあるわけなんで、せっかくここに八千万円の予算を今年計上されておるのだから、この八千万の予算が効果のあるように青少年を教育し、また善良な青年として指導をしてもらわなくてはならないと思いますので、これの具体化をどう考えておられるか、それには教育のしかたはどういう施設を使っておられるのか、また、組織的にはどういうような考え方を持っておられるのか、これをお聞きしておるのですよ。これは大切な問題だから、予算を取っておるだけでは何にもならぬのだ。だから、私はこの点をくどくどお聞きしておる。もう少しわかるように説明をしていただかなくてはなりません。
  82. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 どうも私の説明が先生のお尋ねの点と少しすれ違っておるのかもしれませんが、国民運動がこうしたいわゆる後期中等教育との関連においてどういうふうに使われるかというところまでまだ議論が発展しておりませんのですが、こうした勤労青少年の教育、福祉等において恵まれていないという現状においては、この国民運動を起こされる方々は十分認識しておられます。したがって、関係者、たとえば雇用主とか、あるいは公共団体とか、あるいは先生の御指摘のございますいろいろな施設、たとえば公民館、青年の家、勤労青少年ホーム、このごろできてまいります青年館、いろいろ青少年の施設がございます。そういった関係者が、こうした恵まれない勤労青少年のために何とか有効にこれを大いに活用しようじゃないか、お互いに手をとり合って大いに利用してもらおうじゃないかといったようなことは、りっぱに国民運動の対象にはなろうかと考えられます。
  83. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間もありませんので急ぎます。  そこで、ただいまの答弁を聞いておりますると、八千万円の予算を取って国民運動的な青少年対策をやるのだけれども、まだまだ具体的には、これとこれをこういうような組織をもって行なうんだということが明確でないようです。ただ、そうなりますると、大臣に伺いたいと思いますることは、ことしは、建設公債とは言っておるけれども、これは分析してみれば赤字公債なんです。赤字公債を出してまで予算編成をした年に、予算要求をするときに積算基礎の明確でないような予算要求はおかしいと思うし、そうしてまた、予算を取っておられればもう少し明確に答弁のできるような準備がなされておらなければならないと思うのですが、ただいままでの答弁としては非常に遺憾に思うが、準備されておらないものをここでとやかく言ってみてもしかたがないが、遺憾な点は遺憾ですよ。こういうからみ合わせを大臣はどういうようにお考えになっておるか。
  84. 安井謙

    安井国務大臣 一千万円は従来の補助金でございまして、新しい項目としては七千万円を計上しておるわけでございますが、いま御指摘のような各訓練をどこの場所でどういうふうにやるか、あるいは青少年の教育をどこの場所でどういう方法でどういう機関でやるか、この問題につきましては、それぞれの所管庁で事業は実施をしてもらう、そういうたてまえ上、そういう予算じゃとても七千万円や三億や三億で足りるものではございません。各省でそれぞれの予算を計上しながら実はやっておるわけでございます。したがいまして、私どものほうでやりますのは、そういう問題に対する潤滑油となって、青少年問題のそういう訓練の場がどういうふうに行なわれているか、あるいはそれがどういうふうになっているかということを、国民全体の立場で、この国民会議というようなものをひとつ結成してもらいまして、それぞれグループあるいは団体の代表でそういう問題についての検討を進めてもらう。そして全体のムードをつくっていく。たとえば、一例を申し上げますと、青少年中央大会といったようなものを今後来年度は各地で開いていきたいと思っております。先ほども、十九日でございましたか、青少年中央大会のつどいというのをやりまして、一万数千人の青少年の集まりを盛り上げまして、そうして、なまの声をいろいろ検討する、こういうことをやりましたが、こういった会を一回開きましても、五百万ぐらいのものはすぐかかってしまうわけでございます。一つ一つの具体的な訓練の施設や機関を持っていこうとしますと、とても七千万円や一億ではやれるものではないのでございまして、そういう国民運動ムードつくりというものを今度は来年度からは各地に展開をいたしまして、そういった世間の関心を大いに高めていくという推進運動を中心にこの七千万円は考えておるわけでございまして、決して、多い数とか、あるいは当てもなしに組んでいるというものじゃないのでございます。私どもはもう少しほしかったのでございますが、いま言われますような財政の関係もございまして、ことに初年度というようなこともありまして、この程度で計画を進めようと思っておるわけでございます。
  85. 田口誠治

    田口(誠)分科員 だから、私が先ほどから聞いておるように、地方でそういう大会を持つなら、総理府から行って大会を持たせるわけにいかぬでしょう。そういうときには、地方自治体に頼むとか、あるいは地方青少年問題協議会に頼むとか、いろいろな組織的なやり方があるでしょう。だから、組織的にはどうやるんだということを私は先ほど聞いておったし、そうして教育施設は何を使ってどうするのだということを聞いておったけれども、時間がたつだけで、私の聞いておることに答えておらない。いま少しその全貌かわかりかけたということなんです。
  86. 安井謙

    安井国務大臣 どうも答弁がへたで、まことに申しわけないのでございますが、いま考えておりますのは、そういうようなことで、国民組織で国民大会をやります場合には、いまの国民会議というものが主体になってやります。しかし、それには県を中心にしました地方の自治体のそういった青少年問題の機関とも十分連絡をいたしまして、おそらく大会のときには県とそういう団体との共同主催という形をとってやるように相なると思います。先般やりました際も、中青協と、それからそういった実行委員会が主催になりまして、政府の各省が後援という形で、武道館で一万数千人の集まりの会をやったようなわけでございまして、そういう会を今後各地区に起こしていきたいというのが運動の一つ方向でございます。  それから、なお、訓練やいまの技能養成を直接どこでどういうふうにやるかという点になりますと、この具体的な措置は、それぞれ労働省なり文部省自身が直接に事業としてはやれることに相なろうと思っております。
  87. 田口誠治

    田口(誠)分科員 まあ不十分ですけれども、その程度答弁でやむを得ません。これは労働省のほうを呼んでおりますけれども、向こうのほうでなかなか放しませんので、ちょっとここでお聞きするわけにいきませんし、婦人少年局長のほうもちょっとぐあいが悪いようですし、ここで聞くわけにはまいりません。  そこで、私は具体的にもう一つお聞きをいたしたいと思いまするが、それでは、欠格家庭、すなわち両親のない家、またお父さんなりお母さんなり一方がない家庭、こういう家庭は非行青少年ができやすい、またできる分が相当多いので、これをどこで対策をさせるのかということ。厚生省の社会保障という面でもそれはできましょうし、それから学校教育という面でもできましょうけれども、私は、特に、学校で直接教育を受けておる者でない、先ほどから申しておりますように、後期中等教育というような考え方の上に立っての、すなわち高等学校の生徒の年齢層に該当する人、また、それを少しぐらいはみ出てもよろしいですけれども、そうした人たちがこの欠格家庭では非常に非行少年が出やすいし、また、いろいろと手を尽くしてやる必要があるので、これはどこの場でやられるのか、具体的にひとつお示しをいただきたいと思います。
  88. 安井謙

    安井国務大臣 いま御指摘のような、たとえば親のない子供、あるいは平素親がかせぎに行って留守になっておる、いわゆるかぎっ子といったようなものにつきましての具体的な対策は、やはり文部省ということに相なっております。  それから、なお、非行青少年等につきましての対策は、御承知のとおり、最高裁の組織下にあります家庭裁判所、同時にまた、法務省関係あるいは警察といったようなものでも対策を立てておるわけでございます。ただ、そういう問題がどういう環境から起こり、あるいはどういうような方法でそれぞれの役所で働いてもらうか、こういう問題についての実際のいろいろな各方面からの検討を、いまわれわれのところで集まってもらいます中背協の審議会あるいはその他の有識者の団体でいろいろ御検討を願って、そういう全体の方針をよく検討していくというのがわれわれの仕事でありまして、個々の問題につきましては、いまのようにそれぞれの省でやっていく。今度青少年局をつくります際にも、これは各省とのいろいろな打ち合わせもありまして、従来それぞれの各省が持っておる青少年の固有の事業についてはそれを青少年局へ寄せ集めてくるということじゃなくて、それぞれの部署の仕事がより有効にできるように、そうしてそれがより社会的に関心を持ってやってもらえるようなムードや国民運動の風潮をつくっていくということが私どもの仕事である、こういうふうになっておると心得ております。
  89. 田口誠治

    田口(誠)分科員 一口に国民運動と答弁されますけれども予算が取ってあるからその答弁を強調されると思うのです。  そこで、総合調整を総理府がやっておるのだから、法務省、厚生省、それから労働省、文部省、こういうところの平素の調整をどういうようにおやりになっておるかということと、それから、ぼくは現在の場合そういう調整が不十分だと考えておるのだが、不十分だとすればこれからどうしていくのか、それをまずお尋ねをしたいと思います。
  90. 安井謙

    安井国務大臣 従来、そういった総合調整は、御承知のとおり、中央青少年問題協議会というものが扱ってやっておりました。これは総理府の付属機関で、半分審議会を兼ねた世話役の会といったような形であったわけでございます。これを、行政部門を内局に吸収をいたしまして、今後はそれが直接の機関として各省との連絡折衝に当たり、中央青少年問題協議会はこれを審議機関として、さらに高度の立場から御批判願う有識者の機関として残していくという考え方でやっておるわけでございます。したがいまして、今度は、各省のそれぞれの担当責任者との御連絡を青少年局でとりまして、強力に進めていくというようにやりたいと思っております。
  91. 田口誠治

    田口(誠)分科員 そこで、大事なことは、各省との調整を直接行なうということは一歩前進したことであって非常にいいと思うが、これは、単なる連絡をして意見を聞くということでなしに、関係者が寄って十分に対策を練らなければならないと思うのです。その点は御如才ございませんか。
  92. 安井謙

    安井国務大臣 この点は如才ないつもりでおります。と申しますのは、いまの中背協でいろいろ非常に青少年問題に経験を持っていままでも建策をしていただいた方々を中心に、審議会で常時全般的なものは御審議を願いながら、そして今度はその幹事会として各省のそれぞれの担当の責任者の方にお集まりをいただいて常時検討を強力に推進をしていく、さらに、その事務的な機構で問題が起き上がりますれば、われわれは、全体の青少年問題の調整の責任者として、閣僚として閣議にもこれを持ち出して全体として推進をはかっていく、こういうふうな仕組みでやっていきたいと思っております。
  93. 田口誠治

    田口(誠)分科員 大臣でなくてもよろしいですが、それでは、各省からお寄りを願って、そうして真剣にこの問題を検討するということになれば、各省ではどういうような人たちに寄っていただくのか。
  94. 安井謙

    安井国務大臣 これは、御承知のとおり、青少年問題に関係する文部省、厚生省、労働省、それから法務省、そういった関係の閣僚会議を最高に置きまして、その下にそういった関係の事務責任者の幹事会を持って、これがいわゆる審議会と並行して仕事を進めていく、こういうふうにやっております。
  95. 田口誠治

    田口(誠)分科員 閣僚会議の関係はそれでわかります。わかりますが、その下にある幹事会というんですか、まあいわゆる閣僚よりよけい専門な人だ。専門の人が審議をする場は、たとえば厚生省ならだれが出るとか、文部省はだれが出るとか、それは局長はわかるでしょう。それを明確にしておいてもらって、それがやったかやっておらぬかということを、その決算的なものを見て私はまた来年質問しなきゃなりませんので、いいかげんなことでなしに、はっきりとひとつここでお示しをいただきたい。
  96. 赤石清悦

    ○赤石政府委員 お答えいたします。  政令で幹事というものをはっきり規定させていただきたい、こう思っております。その幹事として予定いたしますのは、従来は各省庁一名という考え方でございましたが、幹事は局長クラスをもって充てる、こういう考え方でございますから、従来十一省庁が関係ございましたけれども、局の段階で申せば、いま正確にはちょっと申し上げられませんでたいへん恐縮でございますが、二十くらいになろうかと思います。たとえば、文部省について申せば、初等中等教育局、社会教育局、体育局、このように各省庁でもやはり二つないし三つございますので、二十をこすのではなかろうか、こういうふうに考えております。ただ、具体的に、幹事になる場合それらの全員の局長さんたちにお入りいただくか、代表の方お一人もしくはお二人に入っていただくか、その辺はまだ検討中でございます。
  97. 田口誠治

    田口(誠)分科員 これは、大臣、ここが大切なんですよ。それで、この運営をほんとに効果的にやっていただければ、来年度の予算にはどの省にはどこへどういう予算を組んで青少年対策をやらなきゃならぬということが出てくると私は思うのです。ことし国民運動として思いつかれて推進する第一歩を踏み出されたということはたいへんけっこうですが、この機会にこれを効果のあるようにやっていただかなくては、毎年大きな声でほえておるだけではいけませんし、また、佐藤総理が、重要な社会問題、政治問題として力を入れるのだ、重要な政治の柱にするのだ、こう言っておられるのだから、私は大いにその点を期待をいたしたいと思いますので、ただいまの幹事会の成果に期待をしておきますから、大臣のほうでもその点を十分に指導、管理していただいて、効果のあるようにしていただきたい。この点を強く要望を申し上げておきます。   〔主査退席、山中(吾)主査代理着席〕  そこで、大臣にちょっとお聞きしたいと思いますることは、最近農村をあとにする青少年が非常に多いんですが、これは、人によっては、農村は所得が少ないから、だから都会へ出てくるのだ、こう言うけれども、そうでない。所得の多い、また相当の中流階級以上の青少年も農村に不満を持ってこの都会をあこがれて来るわけなんですが、この青少年の持つ不満は何だというように分析をされておるのか、そうしてこの不満を今後どうして解消していこうとされるのか、この点をひとつ大臣からお聞きをいたしたいと思います。
  98. 安井謙

    安井国務大臣 やはり経済問題もございますし、同時に、文化施設と申しますか、青年自身が希望しておるようないろんなレクリエーションの施設が非常に乏しい、いわゆる生活が単純であるということに相当な原因があろうかと思っておりまして、そういう問題をできる限り充実をさせていきたいという方向でこれからもやっていきたいと思っております。
  99. 田口誠治

    田口(誠)分科員 時間がありませんので、突っ込みたいけれども、この辺で次に移りますが、最近青少年の犯罪の年齢が低下をしております。そこで、直接こういう問題を取り扱われた当局の御意見をお聞きしたいのだが、その内容はこういう内容であるから、将来こうしていかなければならないという抱負をおそらくお持ちであろうと思いますので、これもここで明確にしていただいて、総理府でもやはりこれを参考にしてもらいたいと思うわけです。
  100. 津田實

    ○津田政府委員 少年非行、主として犯罪の趨勢でありますが、これは先ごろ最高裁判所において、非公式でありますが、見解が発表されたわけであります。それはすでに新聞等に載っておりますが、現在私どもの分析した結果を申し上げますと、一般少年犯罪、すなわち十四歳から十九歳までの犯罪につきましては、これは一般刑法犯はふえてきておるということが言われるわけでございます。一般刑法犯と申しますのは、道路交通事件その他特別の法犯を除いた刑法プロパーの犯罪でありますが、それを昭和三十一年を一〇〇といたしますると、昭和三十九年は一八九という数字になっておるわけであります。そこで、少年人口も増加いたしておりますので、それに対比してみました場合におきましても、人口千人当たりの刑法犯少年というものは、昭和三十一年は九・三人であった。それが昭和三十九年は十五・一人になっておる。こういうことでありまして、事件そのものはやはりふえておるといわざるを得ません。  それから、さらにこの質の問題を考えました場合にどういうことになるかというところでございますが、これは、いわゆる凶悪犯というものについては昭和三十一年からはかなりふえております。その比率を申しますと、昭和三十年を一応基準にしておりますが、昭和三十年を一〇〇といたしますると、三十九年は一四四ということになっております。ただ、中間の昭和三十四、五年ころは一六〇以上になっておりますので、その辺は中間の三十四、五年ごろから見れば若干減っておるということが言えると思うのであります。凶悪犯と申しますのは、御承知のとおり、殺人、強盗、強姦、放火でございます。  それから次に粗暴犯、すなわち、恐喝、脅迫、傷害、暴行、これは明らかにふえておりまして、昭和三十年を一〇〇といたしますと、昭和三十九年は二四八という、かなりなふえ方になっております。   〔山中(吾)主査代理退席、主査着席〕  こういう趨勢にあるのでありますが、そこで、一体凶悪犯につきましておとなとの比率はどうかと申しますると、刑法犯のうちで、先ほど申しました、殺人、強盗、強姦、放火というような凶悪犯の比率は、おとなにおきましては全体の刑法犯の一・九%がさような凶悪犯ということになっておりますが、少年の場合はさような凶悪犯は三・五という数字で、おとなのほぼ倍になるわけです。これは昭和三十九年の数字をいま申し上げたのでありますが、昭和三十七年、昭和三十八年から見ればややその比率は下がっておりまするけれども、依然としておとなの倍近くになっておるということが見られるわけです。そういうような点を見てまいりますと、やはり現在の少年犯罪というものは相当問題にしなければならぬ点があるということであります。  それから少年犯罪の現在の傾向といたしましては、低年齢層化、それから学生、生徒が多い、中流家庭が多い、こういう傾向が出てまいっております。低年齢層化と申しますのは、十四、五というような年齢層のが多くなって、比較的に申しますと十八、九というのは減る傾向にあるというようなことは、ただいま御指摘ありましたとおりの状況になっております。  そういうことが現在の少年犯罪あるいは少年非行の趨勢でございます。  そこで、先般最高裁判所が、発表したと申してはいけないのですが、公にした資料と、いま申し上げたことは若干違うではないかということになろうと思いますが、この点は、やはり先ほど申しました点で、これを先般の公にされたところと比較されますと若干違っております。その違っておる理由はどういうことかということを考えてみますと、これはやはり統計の見方といいますか、基礎の問題でありまして、法務省あるいは中央青少年問題協議会のほうの昨年の調査によりましても、これはやはり警察の犯罪統計書によっておるわけです。ところが、最高裁判所のほうは家庭裁判所における処理の統計によっておるという違いが出ております。御承知のように、家庭裁判所の処理と申しますのは年数がおくれるわけであります。何カ月何カ月というふうにだんだんおくれてまいりますので、その辺で人口比と変わっておるというような点で明らかにこの違いが出てくる一つの根拠でありますが、そのほか、見解も、私どもの表の見方、統計数字の見方についてもやはり多少の違いがあると思いますので、そういうことから、先般公になりましたものと、ただいま申し上げることと少し違うということになろうかと思うのでございます。
  101. 田口誠治

    田口(誠)分科員 私は、時間が過ぎましたし、あとおいでになっておりますので、これでやめたいと思います。私は私なりに白書を発表してそして政府の参考にしてもらって、いろいろと国民運動的な対策を展開してもらいたい、こう思っておりますが、時間がないのでそれができぬことは非常に残念ですが、ただいま説明のありましたように、非常に犯罪が多くなっております。幸いにことし国民運動的な対策が展開されるのであるから、どうか今後この青少年の非行化またその他の対策についても万全を期するような各省の総合調整をしていただいて、効果のあるように努力をしていただきたい。この点をお願い申し上げたいし、先ほど申しましたように、せっかく予算は組んでおっても、具体的なものがあまりここで答弁ができずに、どんぶり勘定のような——と言ってはちょっと口が悪いかもわかりませんけれども、そうした感じを受けるような程度のものではやはり困りますので、その点もひとつ御注意を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
  102. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、湯山勇者。
  103. 湯山勇

    湯山分科員 私は特に総務長官に、同和対策審議会の答申が出まして、これが先般予算委員会でも議題になりますし、非常に関心を集めておりますので、若干お尋ねをいたしたいと思います。  今日まで数百年に及ぶ差別問題を解決する機会、これは明治四年の太政官布告が一つの機会であったと思いますけれども、この機会にもついに解決しないで、百年間そのままで推移いたしております。いまこの答申が出たという機会は、文字どおり千載一遇の機会であって、この機会を逸したならば、今後また何百年か同じような問題を日本の国民はかかえていかなくちゃならない、私はそういう認識に立っておるのでございますが、総務長官はどのようにお考えなんでございましょうか。
  104. 安井謙

    安井国務大臣 湯山委員のお考えと私ども全く同じように考えておりまして、あの審議会の答申が出ました際も、これをただ文書で総理に伝達するということじゃなくて、総理のもとまで参りまして、会長方はじめ相当懇切な報告書の説明もいただいたような形をとっておりまして、この問題につきましては政府としましてまっこうから取っ組んでやっていきたいと思っております。
  105. 湯山勇

    湯山分科員 総務長官の御所見、非常に力強く感じました。つきましては、その答申を実施していくかまえとして、同和教育の行政は、政府は施策を強化して、新しい姿勢をもって推進する必要がある。そのためには新しい行政組織を考慮する必要がある。当然そういうことは考えられなければならないことだと思いますが、各省では、この通常国会の当初に、それぞれ所管大臣から、所信表明の形で、来年度実施する施策についての御表明があっております。当然、総務長官にもこれをお進めになる構想がおありになると思いますが、総務長官としては、この答申を実施するためにどういう構想をお持ちになっておられるか、あるいはまた、それについてどういうスケジュールをお持ちになっておられるか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  106. 安井謙

    安井国務大臣 同和問題につきましては、これはちょうど青少年問題と同じように、御承知のとおり各省の施策にまたがっておりまして、これはもう十省以上の関連事項になりますわけでございまして、私のほうでただ具体的ないろんな施策そのものを力んでやろうといたしましても、これはなかなかうまくいきません。政府全体といたしましては、本年度は、前年度に比べまして約五割の増の同和関係予算を計上されておるわけでございまして、それをそれぞれ十分な連携のもとに対策を進めていきたいと思っておりますが、具体的に申し上げますならば、この答申案の内容によりまして、まず第一に必要としてあげられておりました同和対策協議会、これをまず設置いたしたいということで、これはいまのところ、総理府設置法の中に仕組みまして、すでにこの国会へ提案をいたしておるような次第でございます。さらに、同和対策審議会の答申の中では、これに対する特別法的なものをひとつ考えろ、こういう御趣旨もございまして、これも先般来いろんな準備を進めておるわけでございます。しかし、これはまた各省に問題がわたっておりますだけに、これを簡単な形で取りまとめるということは、技術的にも非常に困難なものがございまして、いまこれはせっかく検討中でございますが、私ども考えといたしましては、まず基本法的なものを考えまして、全体を総合して基本法であるべき姿というものを出しまして、さらに、それの具体的な肉づけにつきましては、協議会を通じてさらにそれを拡充していく、肉づけをしていくという方向でやってまいりたいと思っておる次第でございます。
  107. 湯山勇

    湯山分科員 大体協議会の発足の時期はいつごろでございましょうか。
  108. 安井謙

    安井国務大臣 提案いたしております総理府設置法が可決されますれば、すぐにでも着手をいたしたいと思っております。
  109. 湯山勇

    湯山分科員 協議会の発足は四月一日からでございますね。  それから、特別措置法について特にお伺いいたしたい点は、実は、いま長官もおっしゃいましたように、各省にまたがっておる。それから従来も各省でそれぞれの施策をやってきておられたということでございますが、各省のそういうことを実施するための特別な法律か何かございますでしょうか。
  110. 安井謙

    安井国務大臣 特に同和を対象にいたしました独立した法律というものはないように考えております。
  111. 湯山勇

    湯山分科員 そういう法律がないということは、私は問題の解決に非常に障害になっておると思います。いま大臣のお話で、基本法的なものをまずつくって、その肉づけをあとでやっていこうという、その肉づけの内容でございますけれども、今日まで各省のそれぞれ関係法の中で運用によってこれをやってこられた。ところが、同和対策というものは、そういう運用によってやっておるために、かえって差別を再生産するという事例が決して少なくないわけでございますが、総務長官はそういう事実を御存じでしょうか。
  112. 安井謙

    安井国務大臣 この問題は、私どもも非常にむずかしい問題だと思っております。これはありていに申しまして、同和対策ということだけを狭い範囲で対象にして取り上げていくことが、はたして完全ないい意味の同和対策になるであろうかどうであろうか、こういう議論もそれぞれの部門にあることも事実でございます。ただ、今回の答申案の中には、それを克服して、むしろ同和対策というものを全面的に打ち出すべしという趣旨のもとに答申がなされておるようでございます。したがいまして、私ども、同和問題をいま湯山さんの言われますように再生産されるような形になっては、これはかえって本来の趣旨を滅却することになる危険もある、そこのところの調和をどういうふうにはかっていって、しかも効果をどうしてあらわすか。これにつきまして、私は率直に申し上げまして、政府だけの単独の考えでもいかぬのでございます。これはそれぞれ超党派で、各党でもそれぞれの対策を御披瀝願って、そういったお考えのもとに立ってさらに私どもこの基本法的なものは考えていきたいというふうに考えております。
  113. 湯山勇

    湯山分科員 私は具体的に御参考までに申し上げて、御所見を承りたいと思います。  実際には、農業にしてもあるいは教育にしても、たとえば教育基本法とか、そういった、現在ある法律の運用でこれをやってきておられる。ところが、そういうやり方をしておるために、たとえば、それを専門に担当してないところの人にいろいろ陳情等で参りますと、自分はそういう問題はよくわからないというようなことを前提にしてお話が出ることが多いわけで、こういうのはわからないけれども、そのことについてはもうこうだ、めくらで事を処理するというようなことは、やはり差別の再生産につながるんじゃないか。それから、いろいろ教育あるいは啓蒙等をなさいますけれども、いまこういう問題がある、その問題は、こうこういう歴史的な経緯で、不当なんだけれどもこういう差別ができているんだというところでとどまりがちだと思います。そういうことだと、結局、不当な差別が存在するということを認識しただけであって、そのことの理解ができたことが、むしろ逆に差別を認める、そうしてそれに対する施策が講じられない、こういうことがしばしばございます。ことに同和教育などにおきましては、ただ職務がそういう立場にあるために、たとえば各県の教育委員会の指導主事、こういう人たちは、同和教育あるいは部落解放というものに対する熱意を持っておるわけでもありませんし、経験を持っておるわけでもない。ただ職務がそういう職務にあるために、たまたまそういう会議に集められて、いまのような説明を聞く。聞いたからといって、それによって対策は何にもできない。むしろそういう現実からは逃避する、あるいは、そういう教育を受けたために、そういう差別は間違いだということから、たとえばこういう同和事業をやってもらいたいということに対して、自分はそういうことを認めてないんだ、そういうことは存在しない、自分は認めてない、したがって、そういうものがあるはずがないじゃないか。個人はそれでよくわかったつもりでしょうけれども、そういう間違った指導なりあるいは措置が現実にある差別を無視するというような例もずいぶん報告されております。これらはもっとたくさん例はあるのですけれども、結局、いま長官の言われたように、基本的にどう取り組むかという基本法と、それからそれを具体的にどうするということについてもまた法律の裏づけがないためにいまのようなことが出てくると思います。そこで、いまいろいろ各省にまたがるからむずかしいんだという長官の御意見は、それはそのまま各省にわたってむずかしい問題であるがゆえに、特別措置法ではできるだけ各省の施策もそれによって拘束する、方向づける、こういう御態度があってほしいと思いますし、長官の言われたのもそういう方向だと思いますが、いかがでしょうか。
  114. 安井謙

    安井国務大臣 そのとおりに考えておりまして、私どもこの扱いをただ観念的にもてあそぶというようなことにならないように、あるいはまた、その施策のやり方によって、かえってその問題が浮き上がるだけで終わらないように、その点十分効果のあるようにと思って、それぞれの方面との十分な御相談も今後いたしながら法案を考えたいと思っております。
  115. 湯山勇

    湯山分科員 そこで、少し小さいことになりますけれども、そういう大きな構想のもとにこの大事業と取り組まれる総理府の——総理府だけです。さっき長官は、各省別のを合わせれば予算は昨年の倍以上になっているというお話でございましたが、総理府としてはこのためにどれだけの予算をお持ちになっているか、項目別に……。これは長官からでもよろしゅうございますし、参事官からでもけっこうでございます。
  116. 福田勉

    福田説明員 お答え申し上げます。  各省別予算は、総理府といたしまして、同和対策協議会経費が百五十万でございます。それから文部省の教育関係の費用でございますが、合わせまして七千七百二十万。厚生省の隣保館等の地方改善事業費でございますが、六億八千七百万でございます。それから農林省の農山漁村同和対策事業費その他でございますが、一億六千二百万。それから建設省の住宅改良及び土地区画整理並びに下水道等の事業を含めまして二十億二百四十万。労働省は職業訓練所の設置その他で千五百六十万。通産省は小規模事業対策費その他といたしまして千二百万。これらを合計しまして二十九億八千百万円。もっとも、この中には建設省の実施予算として今後きまる部分も含まれております。おおむねの予算が二十九億八千百万円、かようになっております。
  117. 湯山勇

    湯山分科員 私が特にお尋ねいたしたい点は、いま御説明いただいた二十九億八千万の全体予算の中には、先ほど申しましたように、あるいは国民経済的にこれが実施されるとか、あるいは誤って実施されるために、差別の再生産につながる運用がなされるものもないとは言えないと思うのです。だから、それはまあ一応それだけといたしまして、その各省のは今度の場合いたし方ないとして、特に総理府自体がこのためにお持ちになっている予算は、いまお話しになった百五十万、それだけでしょうか。
  118. 安井謙

    安井国務大臣 先ほども申し上げましたように、施策そのものは各省が実行に移す、その連絡調整に当たるのが私どもの仕事でありまして、協議会を持ちますための費用として百五十万を計上しておるわけでありまして、あとはいまの審議室の職員をもって実際の連絡調整に当たる考えであります。
  119. 湯山勇

    湯山分科員 いまの各省の調整、それからいろいろ実際に取り組まなければならないお仕事は、今度の場合、長官がおっしゃったように千載一遇の好機ですから、強力な取り組みが必要だと思います。百五十万というのは、いかにもそれだけの大きなお仕事と取り組むかまえとしては私は軽少だと思います。ことに協議会だけの費用をこれだけお組みになって、一体それだけで何ができるだろうかというような感じがいたしますが、なおそれについてお尋ねいたしたいのは、それじゃその問題を中核になって進める総理府の中の機構です。これと取り組む機構は、どういう機構を現在お持ちになっておられるか、来年度はどういう機構をお持ちになろうとしておられるか、これもお伺いいたしたいと思います。
  120. 安井謙

    安井国務大臣 同和対策そのものを対象にしました機構というものを総理府独自に持っておるわけじゃございませんが、これは御承知のように、審議室参事官及びその他の職員がこれに当たるということでやっております。
  121. 湯山勇

    湯山分科員 現在の審議室の皆さん、非常に御熱心に、ほんとうに敬意を表するに値する活動を続けておられます。しかしながら、この答申が出まして、さてこれを実施するということになれば、そのための機構というものは、これだけの大事業でございますから、私は、従来の機構だけでやっていこうとなさいましても、いまのように、たとえば特別措置法にしても、各省で持っているものをどう取り入れていくかというようなことについては、相当綿密な調査も要るし、検討も必要だと思います。それなりのスタッフも、そういう観点から見ていくスタッフは相当充実しなければできないだろうと思います。そういたしますと、現在の機構のままでただ協議会だけの費用で事をやっていこうというのには、あまりにもその御決意とこの予算、機構との間に開きがあり過ぎるのではないだろうか、はたしてこれでやっていけるかどうかということについて、非常に疑問を持っております。もっと何か勇敢な構想があっていいのじゃないかと思うのですが、総務長官いかがでしょうか。
  122. 安井謙

    安井国務大臣 御指摘のように、もう少し強力な機構を持つべきじゃないかというお話、確かにそういう面を考えなければならぬと思っております。今回の場合は、いろんな機構問題につきましては、御承知のように非常に厳重なワクもあったせいもございまして、機構にたよらず、人間を中心にひとつ能率を上げていきたい。しかし、そのためには、先ほど青少年局でも出ましたように、各省のそれぞれの担当の機関のお集まりを常に願いまして、そうして総合調整の実をあげたいと思っておりますが、いまお話しのように、将来の問題としては、やはり機構の問題も考えなければなるまいと思っております。
  123. 湯山勇

    湯山分科員 将来の問題ですけれども、私は、やはりここで発足するという機会に、そういう中心になって推進する機関がしっかりしていないと、各省集まって協議するという形の中では、やはり各省の政策の中に埋没する。せっかくの同和対策が埋没して、また同じようなことを繰り返すんじゃないだろうか。せっかく、いまでいえば二十数億ですけれども、将来これは何百億というようにふくれなければ目的が達せられない。それらの予算というものがほんとうに生きて使われていく体制をここでつくらなければ、また同じことを繰り返すというおそれがあると思います。  そこで、非常にこまかいことですが、もしこの百五十万で足りなかったら、あとでこれを補充する、増額する、そういう方法はございますか。
  124. 安井謙

    安井国務大臣 これは、いまお話し申し上げましたように、協議会を運営するための費用でございますが、いまのようなことを行なうためにさらに特別の費用が要るということになりますれば、それは十分考えていきたいと思います。
  125. 湯山勇

    湯山分科員 ぜひ、そういう長官の御配慮できる範囲で機構をひとつ強力につくっていただきたいと思います。これは各省に関連のあるところでそれを統轄してやっていく機構というものは、たとえば北海道なんかの場合でも、ああいうふうにちゃんと自治行政の体制も整えていながら、国務大臣として北海道の何とか長官がございますね。そういうことも一つの参考になることだと思いますし、東京都についてもやはりちゃんとやっていっておる。しかし、目標を明確にして焦点をぼやかさないために、そのための担当の大臣がおられて、これで強力な政策を進めておる。そこで、長官が直接御担当になれば、そのもとにそういう強力な行政機構をお持ちになって、そしてたとえば部局を整備してその中で取り組んでいく必要が私はあると思うわけで、その場合に、それらの人の教育も要ると思うのです。ただぽこっと各省のそれぞれの人を集めてきたのでは、同和対策というものはうまくいかない。そこで、審議会の方々が中心にしてしっかり啓蒙して、その上でしっかりしたスタッフがこれと取り組む、これが私は総理府としては必要だと思います。ただ、長官がおっしゃったように、本年は特に機構については政府の方針もあってということでございますが、行管のほうでは、そういう人権に関すること、それから、具体的には書いてございませんけれども、こういう今回の同和審の趣旨を実施するような場合については、機構の新設あるいはこれの拡大ということも認められておると思います。これは文書で拝見しますと、そうなっております。したがって、私から言わしていただければ、現在の予算あるいは現在の法律の中では、あるいは思うとおりいかなくても、許される最大限の機構の整備充実をぜひひとつはかっていただきたいと思いますが、抽象的じゃなくて、どういうことを考えて、どういうことをやっていくということを、できれば具体的にひとつお示しいただきたい。
  126. 安井謙

    安井国務大臣 これは総理府の中でできるだけ有無相通じまして、これに対する担当者の数もできるだけふやして、そうして効果あるような運営をはかっていきたいと思っております。いずれ将来につきましては、いま御指摘のような機構問題等についても十分配慮していきたいと思います。
  127. 湯山勇

    湯山分科員 私は、非常に御理解のある総務長官ですけれども、やや不満を申し上げさせていただくならば、実はこの答申が八月に出たということは、これは偶然ではありますけれども、非常によかったと思うのです。というのは、なぜかと申しますと、ちょうど予算の要求の時期でございますから、もしそのときにいま長官がおっしゃったようなことをある程度具体的化しようと思えば、あるいは四十一年度からできたのじゃないだろうか。安井長官ならその程度のことはぜひやっていただけるだろうという期待を持っておったのですけれども、これがおくれたことは、私は非常に遺憾だと思います。けれども、それを埋めてなお余りがあるようにぜひひとつ来年度からの取り組みをしていただいて、その取り組みの中から、どうしてもこれだけのものが必要だということを事実をもってお示しをいただいて、ひとつりっぱな機構をおつくりいただくようにこの際特にお願い申し上げたいと思います。  それから、次にお尋ねいたしたいのは、地方公共団体がこれに対して全面的な取り組みをしなければ、これまた非常に成果はあがらない問題だと思います。長官は幸い自治大臣もしておられまして、その点はよくおわかりと思いますが、それについてどういうお考えをお持ちになっておられるか。先般八木委員からもこの点はお尋ねしたと思いますが、なおあらためてお伺いしたいと思います。
  128. 安井謙

    安井国務大臣 お説のとおりに、これはやはり地方自治体が相当関心を持って積極的に働きかけてもらうということはぜひ必要だと思います。私ども今後この施策を推進してまいります際、そういった方面と十分な連絡をとっていきたいと思っております。
  129. 湯山勇

    湯山分科員 いま長官のおっしゃったようなふうに進めるためには、私は、法的なよりどころがなければならないのではないかというように考えますが、法的にそういうことのできるような措置をおとりになるというふうにいまの御答弁を解してよろしゅうございますか。
  130. 安井謙

    安井国務大臣 いまの法律案をいろんな方面から練っておる最中でございまして、この法律の精神の中には、いま御指摘のようなものも当然含まっていくものだと思っております。
  131. 湯山勇

    湯山分科員 それでは、これは参事官のほうからお答えいただいてけっこうですが、来年度地方財政計画の中で同和対策の費用はどれくらい見込まれておりますか。これも項目別にお示しいただきたいと思います。
  132. 福田勉

    福田説明員 これは自治省の関係でございますので、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  133. 湯山勇

    湯山分科員 と申しますのは、実は実際には国のほうでこれだけの予算措置をしておる、それを受けて地方でこれだけの事業をするというその実績を見ますと、相当各自治体によって不均衡がございます。あるいはもう全然実施していないところもありますし、それから非常に地方財源の持ち出しまでしてやっているところもある。いろいろございますので、いまのことをお尋ねしたわけですが、そういうことについての御配慮もぜひ今度の場合はお願いいたしたい、こう思います。  それから、答申では、長期展望に立った総合計画を策定するということになっておりますが、実は申し上げたいのは、長期ということが非常に問題なので、確かにここ数年来同和対策の予算は大きくなってまいりました。しかし、大きくなってきたとは言いながら、まだまだ少ないために、どうしても陳情あるいはそれを受けての恩恵的な形をとりやすい。したがって、長期、総合的ということばはいいのですけれども、その長期が非常に長期になるために、年々の施策が、何と申しますか、分量が少なくて、そのために陳情、恩恵ということが繰り返されていけば、これまた逆に差別の再生産にもなりかねないわけです。そうすると、長期というけれども、それには限度があって、私ども考えでは、ともかくも一挙に五カ年くらいでやり上げてしまう、そしてあとの五カ年で、なおこの答申だけでは不十分でございますから、それを補完していく、荒筋は五年くらいでやってしまう、こういう取り組みがなければ、実はせっかくこういう対策をお立ていただいても、実際においては逆に差別の再生産につながるということもあり得ると思います。そこで、長期といいながらも、その長期というのはせいぜい五年程度というように考えていただくのがいいのではないか。なお、もちろん、それで残った分の補完はあと五年程度でやっていただく。これぐらいな御決意で進んでいただく必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
  134. 安井謙

    安井国務大臣 先般当委員会で八木さんからもそういったような御質問がございまして、大体の仕組みを五年ぐらいで考え、残りをまたあとの五年、全体で十年くらい以内にはものを片づけるように考えるべきである。私どもも、大きな方向としてはそういった方向考えていきたいと思います。ただ、具体的な、どういうふうな手順で進めるかということは、せっかく協議会ができますので、できるだけ協議会のお知恵もかりまして、さらに具体的な案を立てたいと思っております。
  135. 湯山勇

    湯山分科員 出されておる法律案は拝見したのですけれども、具体的には協議会でどの程度のことをやっていかれようとしておられるのだろうか。協議会はあくまでも協議機関ですから、それにはまたそれなりの限度があると思います。そこで、いま協議会に御期待になっているところはどの程度のところまでか。
  136. 福田勉

    福田説明員 同和対策協議会におきましては、まず最初に取り上げなければならない問題、いま先生おっしゃいましたように、長期計画と申しますか、むしろ、総合計画、基本計画の策定に関する問題であろうと思います。基本計画の策定を何年にするとか、あるいはそういう計量的なものについてどういうようにやるかという問題がやはり主体として問題になると思います。それから続きまして、その効率的な実施のしかたと申しますか、御承知のように、関係十省に及ぶ関連事業を持っておりますので、非常に幅の広い行政をどういう方向で統一して効率的な実施をするかということがやはり中心になろうかと思います。
  137. 湯山勇

    湯山分科員 大体この協議会というのは、そんなに長期にわたってずるずるいく性格のものじゃないと思うのです。いま福田参事官がおっしゃった程度のことは、もう早急にやらなければならぬことだと思います。もし四月一日に法律どおり発足したとすれば、いつごろ大体その結論を出す御予定でしょうか。
  138. 福田勉

    福田説明員 ただいま先生おっしゃいましたように、非常に早急におおむねのめどはつくらなきゃいけないと思います。そういう意味もございまして、とりあえず協議会は二年間の設置にしてございます。その範囲内でできるだけすみやかに協議いたしたいという考え方でございます。
  139. 湯山勇

    湯山分科員 ちょっと私の聞き方が悪かったわけですが、たとえば、協議会はいまこれで設置されると、特別措置法はそこで協議して提案になるわけですか。それとも、特別措置法はそれとは無関係に出てくるということなのか。もし協議会で特別措置法の中身まで検討するということになれば、最悪の場合、二年先でなければ出てこないというようなことになる。そうすると、いま長官がおっしゃったように、五年間で何とかやり上げようという中の、いまの協議会での長期計画なり、それから法律のいろいろな検討というようなことで二年過ぎると、あと三年しかない、こういうことになるおそれがひょっとありはしないかということを感じますので、その辺ひとつお願いします。
  140. 安井謙

    安井国務大臣 基本法といいますか、特別法といいますか、形はどうなりますか知りませんが、これは協議会ができるのを待ってつくるというのではなくて、それができるまでに準備をいたしまして、でき得ればひとつ協議会の意見も聞くような機会は持てれば持ちますが、時間的な関係があればそれを抜きにしてでも出したいという気がまえでいまのところ進めております。したがいまして、協議会は、これは四月から発足いたすということになりますれば、これも大きな目標を、ことに四十二年度の予算考えなければならぬといったような問題につきましては、それに間に合うような検討を願うという腹づもりでおります。
  141. 湯山勇

    湯山分科員 そうすると、政府全体が本格的に取り組むというのは、いまの協議会の発足、それからそれに伴って検討されて、先ほど申し上げました、そのための強力な機構をおつくりになるということになると、四十二年度からはもう全力をあげて実際に動いていく、そういう形が、私にはいまの御答弁から想定されるわけですが、そういうふうに解していいわけでございますか。
  142. 安井謙

    安井国務大臣 形としてはそれが望ましいと思っております。ただ、御承知のように非常に複雑多岐な問題がございますので、四十二年度で全部の目標がきまってしまうというふうにはっきりきめますかどうか、この点はまだやってみなければわかりませんが、目標としてはそういう方向で進めていきたいと思っております。
  143. 湯山勇

    湯山分科員 多岐にわたるからこそこれは必要なんだし、それから多岐にわたるからこそ私も申し上げておるわけで、ひとつぜひそうやるんだということでお取り組み願いたいと思います。  それから、もう時間もございませんが、事業団、公庫、これについて配慮するようにというこの答申の文書がございます。これも協議会で協議した上でどういうふうに進めていくかというのはおきめになるのか、あるいは、これを受けて来年度予算の中で若干そういう配慮をしておるという面があるのかどうか、その点はいかがでしょうか。
  144. 安井謙

    安井国務大臣 公庫あるいは事業団というものが御答申の中にあることも承知しておりますが、これはやはり協議会で十分御検討願った上で、どういう方法が一番有効適切かを考えた上できめたいと思っております。
  145. 湯山勇

    湯山分科員 公庫、公団につきましては、どういう形をとるかというような問題はいろいろあろうと思います。ただ、今日差別の一つの大きな要素になっている貧困ということ、このことは、特に公庫なり公団なり、そういうもので経済的なてこ入れをしなければ、実際に解放の目的が達せられないという配慮から出たものだと思います。そこで、これは大蔵省のほうへお聞きするのが筋合いと思いますけれども、今度の四十一年度の運用の中で、この分は、そう埋没するといっても、対象が明確になってきてやるのですから、一般施策に同和対策が埋没するようなそういうものとは違いますし、また、そのものから生産が生じてくるという事実もあるわけですから、できれば四十一年度においてできるだけそういう措置をとるように、総務長官のほうからお呼びかけを願い、あるいは閣僚懇談会なり何なりでひとつ御意見を出していただいて、各省とも関係省はその方向で臨むということをぜひやっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  146. 安井謙

    安井国務大臣 通産大臣等も、これは国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫等を十分に活用して効果をあげたいという旨の意思表示もされておりますので、そういう線でやりたいと思っております。
  147. 湯山勇

    湯山分科員 私の質問は以上で終わりますけれども、この答申にかける期待は非常に大きいわけです。これは単に、差別をされておる人が、差別をなくしてほしい、そういうものじゃなくて、お互い同じ同胞、同じ日本人が、極端に言えば兄弟が、一方の弟が差別待遇を受ければ、兄貴がおこるのはあたりまえなんで、そういう意味で、差別を受けてない人もまた同じように憤りをもってこの差別の解消をはかっていかなければならない、こういう問題だと思います。幸い、非常に御理解のある長官ですから、ひとつぜひいま申しましたような点を御配慮になって、特に来年度からの取り組むスタッフの問題、これなどは非常にいまの総理府の定員の中ではお苦しい面もあると思いますけれども、また、取り組んでいただく方々の御苦労が倍加することと思いますけれども、そういう、世紀の課題と申しますか、とにかく歴史的な課題を果たすという御決意でぜひお取り組み願うことをお願い申し上げまして、終わることにいたします。どうもありがとうございました。
  148. 井出一太郎

    ○井出主査 本会議終了後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時十三分休憩      ————◇—————    午後四時四十分開議
  149. 井出一太郎

    ○井出主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。山中吾郎君。
  150. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 総理府長官にお尋ねいたします。  午前中に田口委員から青少年問題で質問をされておったのですが、それに関連をしてまず質問したいと思います。  総理府において青少年問題協議会を設置して、この青少年問題を推進する最初の出発点は、各省の事務に分化しておるので、調整統合するという趣旨であったと思います。そういうこですから、したがって、予算執行権というのか、そういうふうな部面はみな各省でやるという関係で、実際は油断をすると有名無実の行政になるということが性格上出ると思うのです。そういうことを考えながら予算面を見るときに、他の予算面と違って、非常に疑問が出たり、これでうまくいくであろうかという心配が出ることは当然だと思うのです。その場合に一番大事なことは、青少年に対する考え方というのですか、指導理念というものが各省で統一されていない。少年法改正の場合において、最高裁判所の指導理念は教育主義である。法務省の考えは、新聞をにぎわしている刑罰主義である。あるいは労働省については労働省の考え方、厚生省には厚生省の考え方、青少年に対する分析のしかたも違うし、一番の重要な原因は何だということについても、その重みをかけるところが違っていると思うです。したがって、総理府においてこの問題を取り上げる場合には、そういう指導理念というものを確立するということが非常に大事じゃないか、そういう魂が一つ抜けているのではないか。したがって、もしこの問題にこれだけの予算を計上してやるならば、各省いろいろと考え方が違っておる、質的に違っていなくてもニュアンスは違うのですから、少なくとも総理府においてその辺を統一するという識見と自主的な立場をおとりになることが非常に大事だと思いますが、その点はいかがですか。
  151. 安井謙

    安井国務大臣 お説のとおりでございまして、午前中も田口さんからいろいろ御懇切な質疑を兼ねて御意見の開陳も伺ったわけであります。また、ただいま非常に適切な、あり方というものについてのお話がございまして、私どもも、常にそうでなければならぬと思っております。  そこで、いままででも、中青協というものは、学識経験者と、それから各省の次官クラスも集まってもらいまして、青少年問題のあるべき姿というものを種々検討する、同時にそれが調整機能も発揮してもらうという、多少行政的な部門も加わった協議会であったわけでございますが、今回はそれを分離いたしまして、問題を検討して、高い指導理念をつくり、いろいろ検討していただくということを青少年問題審議会というところでおやり願って、そうして青少年局を中心に、今度は行政的な相互連絡、調整というものについて力を入れていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  152. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 その点でぜひ具体化していただきたいと思うのですが、その場合に、総括質問のときにも出ましたが、新憲法に移行して、日本における価値観が混乱をしておる。その中に青少年の夢というものが失われて、いまのような世相になっておるということ、これは分析の結果、私の意見ではなくて確かにあるのです。現在の自民党の政府が、たとえば期待される人間像を文部省が出しても、新聞を見ると、自民党では青年憲章を研究されておるようですが、どこを見ても、憲法と結びつけるという積極的姿勢が一つもない。これは現在の日本の政治の土俵であり、また国家の理想というものを揚げておるので、国会において承認され、国会において認めた憲法と教育基本法というものの中から指導理念を引き出すという姿勢をとらない限りにおいては、青少年が、個人の幸福よりも一歩越えて、国家、社会のために大いに建設をしようとか、そういう熱意が出るはずはないのだ。そこで、与党自身が、憲法改正の何かよりも、それは別なんですから、青少年に向かって、この憲法の平和と人権と民主主義を徹底して守り、その中で雄大な建設、新しい日本を建設するというような目標を与えるということをしなければ、幾らこんな予算で国民運動をしたところで効果がないと私は思うのですが、その辺は明確にされたらいかがですか。
  153. 安井謙

    安井国務大臣 青少年の指導理念と申しますか、目標としては、いまのお話のように、新憲法の精神を十分に盛り込んだ、いわゆる民主主義を基盤にしたものでこれは指導すべきというか、目標を置くべきものだ、これは十分考えておるわけでございます。
  154. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 抽象的に言われれば同じことなんですが、具体的にあの人間像の要素をお出しになる。そうしてそれはむしろ国会に報告をして、これは国民全体の向かう場所ですから、こういう方針でこういうように青少年に対する人間像に向かって国民運動を起こすのだということを明確にして予算の審議を願うというのが正しいと私は思う。それが少しも出ない。これはお出しになるのがほんとうだと思う。しかし、現実には出ていないでしょうから、青少年の運動を起こす場合の具体的な指導方針というものを、臨時国会その他においても、われわれにもし要求された場合、逐次それを明確にお出しになるばかりでなしに、進んでこういう方針だという方針をお出しになることを私は期待するのですが、それはできますか。
  155. 安井謙

    安井国務大臣 今後の青少年問題のあり方につきまして、青少年の現実認識というものをいろいろ言われております。これは非行青少年が非常に多くなっていることも事実でございますが、これは各国ともいろいろそういう例があるようで、共通の悩みでもあろうと思います。しかし、全体の青少年の動きというものは、これは戦後相当民主性を身につけたし、また体育、知能においても相当自主性を持ったりっぱな青少年が多い。また、数からいうならば、そういう者の占める比率のほうが現在は多いのじゃないかという考えを持っているわけであります。ただ、非常に自主性を持った民主的な青少年でありながら、私ども一つ欠けていると思うのは、社会連帯的な責任感が非常に薄いのじゃないか、個人として非常に優秀であり、あるいは非常に能力を持っているにかかわらず、社会人として見た場合に、かなり連帯感が薄いというような点は、今後われわれとして気をつけていかなければならぬのじゃないだろうか。そうして同時に、今日の日本の民族に誇りを持つ、これはやはり大事なことだと思います。ただ社会的に自分は生活していけばいいということではなくて、民族の誇りを持つと同時に、責任を持っていく。そういう青少年の成長を私どもは期待して、そうしていい意味の民主主義の精神の中で育てていきたい、こういうふうに考えております。
  156. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 そのとおりだと思うのですが、こういう世界に比類のない平和憲法というものの中で生きているのですから、この中で日本民族の発展を考えて、品格の高い、誇りの高い民族精神をもっと思い切ってお出しになったらどうですか。そうして、そういうものをお出しになった中で、青少年の運動を出さなければ、予算八千万を出せば、けさのように何に使うんだ。方向も何も、いまおっしゃっただけでは何にもならぬと思うのです。もっと具体的にそれを検討して、そうして国会に堂々と文書をもってお出しになるような気魄がなければならぬと思うので、社会連帯の精神を民族の中にもっと消化をしてお出しになる、これは私は責任を持って出すべきだと思うので要望しておきたいと思います。  それから第二点は、けさほども八千万の金、これは何に使うかという疑問を質問の中に出されておったわけですが、宵少年問題が政治問題化をして今度予算が相当多くなった。しかし、この世間で問題になったのは、青少年の非行化が年齢低下、凶悪化した、集団化した。そういうふうな中で、何とかしなければならぬというところからきておるわけなのです。しかし、この総理府の計上しておる予算の使い方、国民運動というのは、そういう非行化少年に対する対策ではなくて、一般の平均の青少年を対象としておる運動に見える。全国の青年大会を開くとか、そういうことを総理府長官がよく例としてこういうことで金を使うんだということを言われるが、そこには非行化少年が来るのじゃないのです。一般の平均の青少年が来ているから、金の使い方は、善良なる普通一般の青少年を対象にしておる。したがってまた、指導理念を出さなければ、ただ一回二回集会を開いて金を使って、これでムードができたといって自己満足するだけになるだろうと私は言うのです。しかし、この予算が増加する直接の動機になっておるのは、非行化少年をどうするかということからきていると思うのです。それに何かギャップを感じないか。その点、明確に自覚をされてこの運動の趣旨をお考えになっておるかどうか。
  157. 安井謙

    安井国務大臣 前段の目標につきましては、私言い落としておりましたが、これはいずれ青少年憲章といいますか、青年憲章といったようなものを出すつもりでございますが一これはいま御指摘もありましたように、これをつくるにつきましてはいろいろむずかしい問題もあると思います。非常に慎重な態度で、りっぱな民主的なものをつくるような準備をこれから始めておるわけでございます。同時に、いまの非行青少年に対しての配慮を十分やっておるか、そういう意味お話でございましたが、これはむろん、けさも法務省からもお話しありましたように、非行青少年の数が一向に減っていない。あるいはまた刑事犯というようなものはますますふえる傾向が強いといったようなことから、これは十分な配慮をやらなければなるまいと思います。しかし、これを具体的に一人一人の青少年、そういう非行化青少年をどう扱うかという問題になりますと、これは裁判所系統の、家庭裁判所の問題、あるいは相当な弱年層でありましても、これは凶悪的な犯罪であるというようなものになれば、やはり刑罰的な保護監禁といったようなこともどうしても必要な面もできてこよう。そういうものを客観的に私どもは判断して、それぞれの責任個所に要請もしていきたいというようなことでありまして、やはり一番大事なことは、世間のおとなが青少年問題というものに非常に関心を持っていただきまして、できるだけあたたかい目で理解をして、そうしてすくすく伸びられるという環境を、国民が、各層各方面で考えてやっていただくことが全体としては大事ではないか。同時に、いま言われる非行対策につきましても、十二分の配慮をしていかなければなるまい、こう両建てで考えております。
  158. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 私の申し上げるのは、総理府の青少年の国民運動は、非行化青少年に対して何の効果もないし、そういうことをお考えになるのはむしろ間違いなのだ。現在の日本の青少年に希望を持たして、新しい日本を建設する青少年に方向を示しながら、青少年をふるい立たしめる運動ならわかる。総理府で非行化を防止するなどというのはできっこないです。これはできない。するのなら、やはり家庭裁判所、あるいは少年法に基づいて、非行化したものを社会復帰さすところの、いわゆる法務省のああいういき方、それから、文部省の幼児教育から家庭教育、社会教育しかないと思うのです。最初から総理府がやるならば、退廃化しつつある日本の世相の中で個人主義に沈淪するようなものを、もっと社会連帯にふるい起こすという運動であるだろう。両建てをお考えになってずっとお並べになるのは間違いでないかと思う。そこで予算というものがムードづくりの予算に終わったり、連絡会議で青少年非行化だけを論議して終わる。無駄になるのじゃないか。そこで一番大事なことは、最初に青少年に対する確固たる方針を立てないで、予算をただ取るということに終わるのではないかということを心配をするわけです。  それから、少年憲章とかあるいは青年憲章をお立てになるときに、まず自民党でおつくりになっておる。それを日本の国の青少年の憲章としてお出しになることは間違いだと思う。期待される人間像にしても、この運動は、国会の承認を得た人間像を出した憲章でなければならないので、一党の憲章のつもりでやれば、これは政治化するところの問題であるから、そういうものをおつくりになるときは国会の承認を得て出すという考えをお持ちになる必要があると思うが、いかがですか。その辺確認をしておきたいと思います。
  159. 安井謙

    安井国務大臣 憲章を出します際に国会にどういう手続をとりますか、いま御注意もありましたので十分今後考慮していきたいと思います。いま、自民党の青年憲章というものがあるから、それを借りてきて政府の青年憲章にそのまま持っていこうなんという考えは持っておりません。それだけに、いま白紙の上に十分な準備をする過程をまだ進めておるようなわけで、心安くどこかのを持ってきて、これが憲章でござるというようなことを申し上げるつもりは毛頭ございません。  それから、非行青少年の対策につきまして、青少年局関係がばたばたしたって、それは何もできないぞというお話、なるほど専門的ないろいろな施設や直接の仕事はそうでございましょうが、非行青少年が出る環境浄化といったような問題につきましては、やはり青少年関係、われわれのほうはわれわれなりにいろいろ考えておるのでありまして、昨年もマスコミ懇談会というものをやりまして、環境浄化のために、映画、放送、新聞、出版、各部門のそれぞれの責任者と学識経験者のお集まりを願い、それはそれぞれの部門に分かれて何回も会議をやりまして、俗悪な出版物あるいは映画広告といったようなものに対する規制、そういうものにつきましても相当慎重な話を昨年来進めておるような次第であります。そういう点では、私どもかなり効果をあげつつもありますし、これからもますますそういうものはやっていかなければならぬのじゃないか、そういうふうに思っております。
  160. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 そういうマスコミ、不良文化財の追放とかいう方面で、むしろ取り締まりとか、あるいは思想の自由、表現の自由その他について、外からの呼びかけで、自主的に自粛自戒しようという会議である程度のことをやる、限度はそこまでであろうと思うのです。したがって、新聞その他で不良化という問題が政治化して、そのためにこの運動が行なわれるとお考えになればおそらく間違いであろう。そうでなくて、憲法、基本法に基づいて、個人主議を越えて社会のために尽くすような青年をつくっていく国民運動をやるというならわかる。そのためには魂が一つ抜けているのだ。青年に対するイメージとか、そういう人間像が出ていない。だから私は会議費に終わるのではないかということを心配している。それをよくお考え願いたいと思うのです。この青少年育成国民運動推進事業費の八千万、それから地方公共団体青少年問題協議会の補助金とかその他は、大体旅費とか会議費に使われるような費用になりそうに私は思うのです。もしそうならば、まず少なくとも会議費の場合、そのメンバーというものを非常に重視しなければならぬと思うのですが、青少年問題協議会のメンバーというのは、各界の代表者、実業界の代表者であるとか、あるいはどこか大学協会の会長であるとか、六十才以上の功なり名遂げた人で、戦後の青少年というものについて十分感覚のない、看板ばかりの人ばかりをお集めになっておるんじゃないか、私はそういう感じがするのですが、それはひとつお考え直す必要があるんじゃないか。そして学問的に、しかも経験を積んだ人で、看板の協議会でなくて、実質的に青少年そのものを指導していく力と学問と経験のあるような人、そういうものに切りかえないと、これはむだになると思うのです。それが一つ。  それから、その国民運動の加盟団体に、日教組及び総評を入れるか入れないかといって論議をされておるというような新聞を見たことがある。これはお入れになりますか、ならないんですか。
  161. 安井謙

    安井国務大臣 大体、今度の青少年運動の関係予算のふえましたのは七千万円でございます。それで八千万円と申しますが、その一千万円は従来からやっておりましたモデル地区の従来どおりの予算、それを除きますと七千万円、そのうちに運営のいろいろな事務費というものが一千万円、それから国民運動的な活動費、これは何も国民運動でわいわい騒ぐだけのものじゃございません。いろいろのこれからマスコミ等の問題とか、そういったものも込みにしまして、要するに各省が直接やらないような仕事で、われわれの手でやったほうがよろしいと思われるものを、この国民運動、国民会議というものも入れまして、これが六千万円の費用を見ておるものでありまして、私どもは、これはこんな費用じゃ、ほんとうに活動を始めればとても足りないと思っておりますが、できるだけ有効にやっていきたいと思っておるような次第でございます。  なお、国民会議のでき上がりますものにつきましては、実は、これは経過を申しますと、昨年の十二月の閣議で、いままでも青少年問題、いろいろいわれておるが、もうちょっとまとまった活動をするように、各省とも協力関係を密にして進めちゃどうかという話し合いが出まして、そういう決定に基づきまして、直接青少年問題を担当しておられます中青協の委員の先生方に御相談をいたしまして、そこでその先生方が中心になられまして、婦人団体、あるいは青少年の団体、それからマスコミの代表、そういうような文化人、学者、そういうような方約四十名ぐらいと御相談をされまして、いろいろ相談されました結果が、やはりこれは各層、各地域に及ぶ国民的な関心を持つ運動にならなければならぬじゃないかというのが、そういう方々の発意から出て、これがいま国民会議の発起人会ということで百数十名の方の発起人会がいまでき上がったわけであります。その過程につきましては、私どもは非常にけっこうな趣旨であるし、青少年問題を国民の側から取り上げていただくという意味で、でき得る限りの御後援を申し上げるというのでありますが、その内容は、できるだけ民間のそういった方の自主的な動きにお願いをするというふうにしたいと思っております。この発起人代表は、東大の名誉教授の茅誠司先生が互選をされまして、推薦をされましてお引き受けをいただいておるということでございます。  それから労組関係をどういうふうにするんだという点につきましても、そこから先の進め方につきましては、実は政府は、こうしてほしいとか、ああしてほしいという指示がましいことはなるべくやらないで、全体として後援を申し上げるし、できるだけの便宜供与をさせていただくという立場に立っておりますので、今後、これはおそらく慎重に検討されて扱われるであろうと思っておりますが、もし御意見等ございましたら、また私どももよく国会の御意見も反映していただくという意味においてお伝えもしておきたいと思っております。
  162. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 そのオープンな気持ちでおられることはわかりましたが、日教組というのは教員だけの団体なわけです。職員団体にしても、大体五十万前後の日本の小中学校の教員が組織しているんですが、好ききらいは別ですよ。一体そういう団体を、こういう青少年の問題について、しかも教育というものが一番重要な要素をなすのですから、それを排除しては国民運動にならないのではないかと私は思うのです。一番の発起人の中にも入って——現在文部大臣と日教組が話をするところまでいっているのだし、どんなことをいったって、日本の青少年の義務教育について責任を持ってやっている教員のほとんど大部分の参加している組織なんですね。出発点からそれを排除しているのではこれは成り立たない。現実に各市町村にしても、それから県にしても、そういう教員の組織を無視して青少年対策とか、そういうものはどこもやっていないし、現実にはみな参加している。中央でそれを排除しているのは、ある意味においては、動機においては長官はそうでないとおっしゃるが、結果においては軽視で、そして実効のある運動にはならないと思う。これはやはり積極的に意見を述べられて、最初から参加せしめるのが妥当だと私は思うのですが、いかがですか。
  163. 安井謙

    安井国務大臣 御意見のほど、十分に私どもこの発起人の代表、世話人の方にもよく御連絡をいたしまして、意のあるところはひとつお伝えをして、その上でいろいろはかっていただきたいと思っております。
  164. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 それから、職場の青少年がやはりそのメンバーに入っている意味においては、総評も代表者をオープンに入れられて、音楽組織もあれば、舞踊の組織その他を持ち、大体十代の青年、しかも学業を離れた人々で、中にはいろいろと問題を起こす人があるので、職場の青少年を組織に持っておる団体も入れなければならないのではないか。茅元学長を中心として大体六十をこえたおじいさんでして、六十をこえたおじいさんだけが寄って青少年の対策を立てたって出やしないですよ。少年を指導するのは青年に指導をさすというふうな、やはりどこか感覚が合うようなものをぐっと浮かび出さないと、あまりにも断層があると思う。しかも日本の場合は、旧憲法と新憲法の断層があるのですからね。そこのところは、やはりあまり慎重過ぎないで、前向きでこの構成もお考えになることがぜひ必要だと思いますので、もう一度その辺の御見解を聞いて次へ移りたいと思うのです。
  165. 安井謙

    安井国務大臣 お説のとおりでございまして、お年寄りだけで青年の気持ちをわからないでやっていくのでは、これは決していいものにならぬと思います。したがいまして、将来できます国民会議といったものにつきましては、これは相当量若い方にお入りいただくような方向でいろいろ検討されていると思います。いまの段階は、まずいわゆる学識経験者、代表者の方々が一ぺん世話人になられて、そういう組織をつくろうじゃないかという段階であります。それから、この点は、実は中背協の委員には御承知のとおり社会党からも御参加をいただいておりまして、今度も、せんだっての青年の集いの大会をやりますにつきましては、その中背協が主催者の一人になっておりますので、御出席のもとに、そういったことも御相談申し上げたというふうな形で進めているわけであります。
  166. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 青少年関係はそれだけにいたしたいと思いますが、なお念を入れて申し上げたいと思うのは、現在の入学試験の中から友情をなくして、友人ができなければいいというようなかっこうで、敵のようになって、だんだんと人間性というものはこわれつつあるとか、あるいはテスト主義の中で、〇×式で、ものの結論を出す過程というものは尊重されないで、結論だけ尊重するような中で、ほんとうに考える人間が生まれてこないとか、その中でまた劣等感、優越感をつくって、非行化の少年をつくる。これは毎日のように新聞に書いてある。したがって、この問題については、教育担当者、その組織を持っておる人をフルに参加してもらうということをしない限り、結論はつかないのですから、十分に御検討なさって、この予算がむだづかいにならないように希望いたします。  次に、科学技術長官がおいでになっておられますからお聞きしますが、予算に計上されておるロケット推進の関係ですね、これについて十億ぐらいですか、そんなものでしょう、十五、六億ですか。一方に文部省にはロケット観測経費で二十七億、これは東大の付属研究所の費用としてあるわけです。これは一つの科学問題の応用部面だと私は思うのです。したがって、能力のある限りについては科学技術庁が全責任を持ってこのロケット推進については予算も計上し、推進をし、前進をせしめにゃならぬと思うのですが、文部省の大学のロケット推進費よりは非常に少ないというのは、どうも奇異に感ずるのですが、この点についてはどうお考えになっておるか。
  167. 上原正吉

    ○上原国務大臣 お答えいたします。仰せのように、文部省の宇宙研究に割り当てられました予算は二十七億、それから科学技術庁は約八億でございます。たいへん少ないのでございまするけれども、何ぶんにも文部省は着手以来年月がたいへんだっておりまして、科学技術庁はずっとおくれて着手いたしましたものですから、おのずからそういう差ができたと、こう考えておるわけでございます。それに、科学技術庁が全責任を負うてやるべきではないかというお話なんでございまするけれども、そうは考えまするけれども、やはり設置法の上で、科学技術庁は文部省の管轄、大学の管轄には口出しができないと申し上げては語弊があるかもしれませんけれども、そういう設置法上の制約がございますので、これは科学技術庁が全部かまえて事を企てる、推進するというわけにまいらないのでございます。
  168. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 口出しできないというが、口出しできるようになっているんじゃないですかね。荒木文部大臣のときに、科学技術庁の池田長官が勧告までして、科学技術振興に怠慢だといって勧告を出して、文教委員会でまた池田長官がたんかを切って荒木文部大臣をいじめたこともある。だから国家行政組織法からいえば、科学技術長官は、科学技術の発展については文部大臣に法制的に口出しできるようにできていますよ。勧告する権限はありますよ。長官の言うのは反対だと思う。どうです、これは。
  169. 上原正吉

    ○上原国務大臣 勧告権はないようでございます。というのは、やはり学問の独立ということがその思想の根幹になっているのではないかと思いまするが、宇宙開発に関しましては、総理大臣の諮問機関に宇宙開発審議会というのがございまして、ここが調整をとる役目を果たしていただいておるわけでございます。科学技術庁としては極端にいえば口出しができない、こういうことに相なろうと思うのでございます。
  170. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 学問の自由とか、そういうことにはもちろん口出しできないのだが、科学技術振興に関しては勧告ができる。それくらい科学技術庁というものは科学の振興については責任を持たせられておる。こういう組織になっておることは間違いないのですよ。そこで私の申し上げたいことは、いま大学関係設備その他が不足しておって、基礎科学の研究のためにもつと予算を計上しなければならない。戦前から比べれば、現在の国立大学についてもそういう基礎の研究設備が非常に足らないときに、応用部面のロケット観測費を二十七億も計上せ、ざるを得ないということは、よほど科学技術庁が無能で、そちらへ予算を渡してもやれないから、もっと基礎研究の設備を充実せねばならぬ大学が、二十七億もいわゆる鹿児島の向こうのあのロケット実験設備その他に使う金を計上しているということは、国家予算の計上のしかたでは奇異に感ずると思うのです。大学の教授も、その方面に力を注ぐ前にもっと基礎研究をして、応用部面は科学技術庁でもっと堂々と百億、二百億立ててやるような気魄と能力をつくるべきじゃないですか。こんなことて——この間佐藤総理大臣は、ソ連、アメリカに負けないように、そのうち宇宙衛星をつくってなんて言うてたんかを切っておったようですが、それならばそれでもう少し予算の計上のしかたに、われわれがなるほどと思うような計上のしかたをすべきだ。七、八億の一方の科学技術庁の応用部面の宇宙開発の予算に対して、基礎研究をする大学に二十七億の応用部面の予算計上をされておるということについてはどうも合点がいかない。合点がいくように説明をしてくださいよ。
  171. 上原正吉

    ○上原国務大臣 どうも予算の配分は科学技術庁の自由にもまいりませんし、それからそういうことになりましたことを考えますと、先ほど申し上げましたように、大学のほうがずっと先発いたしておりまして、そうして準備もだんだんと先行いたしておる。こういうことで、予算の配分にあたりまして、後発の科学技術庁の割り当てが少なくなった。無能だとおっしゃいますけれども、同じ年月をかけておれば決して劣ってはいなかったと思うのでございまするが、現在のところは、やはり後発いたしましただけに、準備、基礎研究、それから設備等におきまして、科学技術庁に一ぺんに何十億という金を与えても、フルに活用させて開発を推進するというわけにはいかぬものだろうという御判断から予算が配分された、こう思う次第でございます。
  172. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 長官説明では満足できないのです。当然こういうロケット開発等は科学技術庁が全責任を持ってやるべきである。だから将来に向かっては統一をするという一つの指導方針とか、そういうものは出すべきである。それから、もし現在まだ出発日なお浅く十分それだけの能力がないならば、科学技術庁において二十七億の予算を計上して、それをまだ力がないからやむを得ず東大の研究所に委託するというならわかりますね。大体領域が違うと思うのです。だから日本の国立大学に応用部面を、科学技術庁がエネルギーを使うべきものを、基礎研究をする大学に背負わすことは、国費の使い方に、片側がやるべきものを肩がわりしておって、肝心の基礎研究をおろそかにするようになると思うので、科学技術庁に計上して委託費にするならわかりますが、その辺の識見をこういう機会にもう少しお出しになる必要があるのではないですか。
  173. 上原正吉

    ○上原国務大臣 いかにもそのとおりだと思いまするけれども、ことしの予算はそういうふうになっておりませんことをまことに残念に思います。これから大いに努力をいたしまして、準備も進め、開発も進めて、自然と科学技術庁が中心となる、こうなるようにつとめてまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  174. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 来年の予算編成を楽しみに期待をしながら見せていただきますが、やはりこういう飛躍的な原子力平和利用の時代であり、平和憲法を持っておる日本ですから、こういう面については、世界水準を越えるという気概をお出しになり、それに筋の通った予算が出ることがやはり一日も早いほうがいいではないですか。そういうふうに思うのです。  科学技術庁についてはそれだけです。何かあと御意見があればお聞きしますが、いいですか。——それでは次に、行政管理庁にお聞きいたしたいと思うのですが、きょうは大臣がどうしても出られないというので、特に出席しないことを認めたので、常識的にお考えにならぬようにしていただきたいと思います。  科学技術関係の行政調査会ですか、あそこの中間報告に、教育行政の機構に、文部省を廃止して国家教育委員会制度が妥当だというふうな中間報告を出されたことが記憶にあるのですが、その後どうなっておりますか。
  175. 井原敏之

    ○井原政府委員 お答えを申し上げます。  臨時行政調査会は、一昨年、三十九年の九月でございますが、総論のほか十六項目の大勧告が出たわけであります。いま御指摘の問題は、臨時行政調査会の審議の途中におきまして、御承知のように、臨調は七人の委員が最終意見をまとめたわけでございます。この七人の委員のもとに専門委員を二十一人置いたわけでありますが、いま御指摘の問題は、専門委員の段階で——第一専門部会と申しておりまして、内閣の機能の問題、文部行政の問題等中心に検討した専門部会でございます。この専門部会において、文部行政を行政委員会にすることの可否が論議されました。しかし、論議されましたが、最終的に七人委員会の場におきましては、それは採用にならなかったわけでございます。
  176. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 行政機構の検討の場合に、能率化をはかるとか合理化をはかるということのもとに、基本方針として教育行政の場合には、教育行政の中立性という一つの要請があると思う。時時の政党に支配されるというのでは、国家百年の大計を立てる教育行政組織としては不適当だ、これが一般の常識になって、その中に国家教育委員会というものが中間報告に出たと見て、その行政調査会の一つの見識があらわれておると思って、私はある意味においては期待しておったわけです。途中でなくなった理由は、いまあなたは経過を知っておるなら、もう少し説明してください。
  177. 井原敏之

    ○井原政府委員 私、実は当時事務局の次長をいたしておりましたが、この文部行政の行政機構のあり方を検討いたしました第一専門部会におきましても、最終的に文部行政を行政委員会システムに切りかえるべきだという結論にはならなかったように記憶いたしております。しかし、そういう論議がありましたことは間違いないのでありまして、七人委員会の段階におきましても論議になりました。論議になりましたが、結局、現在のわが国の議院内閣制度のたてまえと申しますか、そういうことから、文部行政を行政委員会にするということは、七人委員会で採用にならなかったわけであります。そのかわりに、現在文部省にございます中央教育審議会と社会教育審議会を改組、統合いたしまして、これを文部大臣の重要決定の諮問機関にいたしまして、その改組された中教審と社教審の意見を文部大臣は尊重しなければならないというような強いものにして、教育の中立性の問題等も含めて文部行政のあり方について、この改組された審議会運営によって、大体教育委員会に期待されるようなものが相当見られるのじゃないかというような論議が、七人委員会の中でありました。最終的には、文部省を行政委員会にすることはやめまして、社教審と中教審の改組によって、強力な諮問、答申によって運営をする、こういうことが最終答申になったわけであります。
  178. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 こうなると、長官がいないとやはりだめなんですがね。社教審と中教審と一緒にしても、これは諮問機関ですからね。諮問機関の委員は文部大臣が任命するのでしょう。そんなものは何にもならぬ。国会の承認ならわかるのですが……。そうして、現在の大臣の諮問機関としてのあれは、責任回避の機関です。あそこにかけたものについては、行政庁の長官にとっては責任が軽くなる。案は官僚がみなつくって、そうして指導をして出てくるだけでしょう。だから私は、行政調査会の基本的な考え方でそれが出てくるならば、何の識見もないと思う、教育の中立性ということを考えるならば。現在、教育の中立性という法律まで出しておる。教育のほうから、教権の確立という一つの要請は、戦争前からあった。教育界の政治の中立性、隔離をするのじゃなくて、憲法、教育基本法をまっすぐ守るという意味の中立性。現行法のそういう中で考えていくならば、やはりどこか他の行政機構と違った機構というものを教育行政の場合に考えるのでなければ、行政調査会の意味がないと思うのです。いまのお話は、中教番と社教審、審議会を一緒にしたって何の意味もないじゃないですか。それで、もうその結論で終わってしまっているわけですか。
  179. 井原敏之

    ○井原政府委員 私は、臨調の意見の御紹介を申し上げたわけでありますが、臨時行政調査会は一昨年九月に——いまの問題は、「中央省庁に関する改革意見」の第二編のところの「審議会等について」というくだりで触れている問題でございます。したがって、くどくなりますけれども、御指摘の行政委員会にする論議というもののその後の経過はどうなったかというお尋ねでありますが、それは、専門部会段階の論議はございましたが、七人委員会の最後の勧告では、いま申し上げましたように、中教審、社教審を改組して、統合強化をして、そうしてこれには多少ふえんがありまして、人選等にも国民全体を代表するような配慮をし、また、その答申については、文部大臣は尊重の義務があるというようなことで、趣旨として十分生かすべきだ、これが最終答申になったわけでございます。臨調の最終答申を一応御説明申し上げたわけであります。
  180. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 どうもやはり長官が来なければだめだとがんばらなければならなかったと思うのですが、終戦直後教育行政は、地方で教育委員会制度ができて、行政委員会制度というものが一応日本で成り立ったことがある。途中で政治がつぶしたけれども、あの時分には、われわれは四権分立思想だとさえ言って啓蒙したものなんです。立法権、司法権、行政権には、一般行政権と教育行政権とは違った機関においてやる、これが憲法に基づいた基本的な行き方になるだろうとさえ言って啓蒙してきたのだが、出てくる委員がある政党に近いとか、こちらは不利だとかいうことでつぶしてしまった。だから、いまのあなたの御意見の教育行政の組織は、行政委員会では不適当だという独断は、これはどうしてもわからない。官じゃないからしようがない、事実報告だけだというから。局長は識見は出せないのか。長官によく言ってもらわなければいかぬ。そんな理念のない行政改革をしたって何になるかと私は思うのです。西ドイツのように、州に文部大臣があって、国は教育行政協議会だけでやっておるところもあるし、教育行政だけか行政委員会は不適当だ——公安委員会がある、文化財保護委員会もあるじゃないですか。むしろ中立性を守るというときには、行政委員会が生まれてきておるはずです。警察権も、時の政権に密着してはいかぬというので、行政委員会が妥当としてできたはずです。そういうことなのに長官が国務大臣になったからこれはおかしくなった。文化財も時の権力に結びつかないようにということで、行政委員会ができたのだから、教育というものの性格を考えたならば、教育だけは行政委員会が適当であるという識見が出るのが妥当だと思うのです。あなたの説明はみんな反対です。それは七人委員会が言ったことばでありますという答弁なら、もういいですよ。それ以上言えないようならば、よく長官に言ってもらいたいと思うのです。そういうものでないはずだ。特殊な機構として検討すべきものがあるということは、やはり最初に、調査する以前に確立した方針として立てなければならぬじゃないかと私は思うのです。  それからいま一つ、文部省に文化局というものができた。その前に、佐藤総理大臣が総裁になる前に、文化省の設置を一応言ったことがあるのです。これはフランスにもあれば、イタリアにも文化省が教育省以外にあるわけですが、現在、文化財保護委員会という独立した行政委員会もある。そうして、文部省の中に芸術課もある。いわゆる、文化を保存する機構と振興する機構というものが一つに結びついて、文化省というふうなものを、総理大臣がいつか発表したことがあるのですが、それはできないので、おそらく文化局という、各部局を置かないという場合にも、あれは総理大臣のお声がかりじゃないかと思うのだが、ああいう方向は、行政管理庁の調査あたりでも思い切って文化省を出したらどうだ。そういう意見は少しも出ないのですか。
  181. 井原敏之

    ○井原政府委員 四十一年度の部局の新設でございますが、御承知のように、私が申し上げるのもなんですけれども、文部省は、文化と芸術と教育、これを三本柱の任務としておる役所でございます。しかるに、文化行政については、いま御指摘のように、保存に関して行政委員会としての文化財保護委員会がございますけれども、その他については、関係の各部局に機能が分散しておるということで、総理大臣の御意見もあったようでありまして、文化局の新設ということになったわけであります。ただ、これは四十一年度の査定方針で、部局の新設を認めないという方針を政府がとったものでございますから、既存の調査局を廃止いたしまして、文化局の設置ということになったわけであります。ただ、いま御指摘のような文化省設置というような論議は、まだ政府部内で日程にのぼっておる段階ではございません。
  182. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 きょうは長官がいないからこれでやめますが、日本の国情その他からいって、それから、軍備を持たない憲法を持っておる文化国家の理念を出しておる日本の場合ですから、厚生省の観光行政と文化保護というふうなものを一つにした、そういう行政庁のイメージで検討されることが望ましいのじゃないか。文化財と観光行政が別々になるから、奈良のように風俗壊乱の設備ができ、文化のほうは観光のために犠牲になる。観光行政と文化行政が一元化しないと、あれはできないのですね。民族文化というものは観光資源としてとうといものだ、しかし、それを営利のためにただつぶすのでは、これは観光と文化保護行政が二元化するのでああいう現象が出ているのですから、行政機構からいっても、文化局を持ってき、一方に文化財保護委員会があるならば、観光行政も一つにしたやはり日本独自の検討をするというふうなことも、ああいう調査会でやるべきじゃないか。私の意見を伝えておいてもらいたい。将来のことですが、そういうふうな方向へ持っていかないと、いま文化財保護委員会も、あれは国務大臣がなっていない。どこにも責任がない。国会で責任を追及しようといってもだれもいない。文部大臣は、私は責任ございません。それから文化財保護委員会の委員長政府委員になっていないから、事務局長が来てただ答弁するだけ。奈良がどうだ、京都がどうだ、いま責任がないのですよ。そしてあそこには、権力が結びつかないところには国務大臣でない者を委員長にしている。公安委員長くらいは国務大臣でない中立性の者がいいはずのものが、政党の国務大臣が兼ねる。文化財保護委員会は文部大臣が兼ねないというような姿の中に、非常に変なものがたくさんある。そういうものを含んで検討されるように、こういう意見もあったということを伝えてください。  その次に、警視庁、それから陸上交通安全調査室長さんはおりますか。それでは交通事故の問題から私は一点だけお聞きしておきたいのですが、運転免状を与えるために自動車学校がある。そして技術は学校で教えて、学科試験と免状を与えるのが地方の公安委員会だ。交通事故の起こる原因はいろいろあっても、やはり運転手の人命尊重の思想というものが根本問題になると思うので、この点について非常な欠点があるのではないかということを私はいつも思うのですが、まず、陸上交通安全調査室長に、現在の交通事故についての、最も簡単でけっこうですから、お調べになったあとの原因ですね、それについてまずお聞きしておきたいと思います。
  183. 宮崎清文

    ○宮崎政府委員 交通事故の趨勢でございますが、自動車の台当たりの交通事故は年々減っておりますが、絶対数は、御指摘のようにおおむね増加の傾向にございます。この原因でございますが、第一に考えられますのは、自動車保有台数そのものが最近非常にふえておるということでございます。大体年間一〇%ないし一五%の割りでふえております。御参考までに申し上げますと、昭和四十年末の自動車台数が約七百八十万台ぐらいになっております。それから、それと同じ原動機つき自転車、いわゆるバイクでございますが、これが昨年の三月末で六百七十万台ぐらいになっております。したがいまして、合計千四百万台以上のいわゆるモーターのついた車が日本国中動いておるということになりますが、これが先ほど申し上げましたように、年々一〇%ないし一五%ぐらいふえておりますので、これが交通事故の増加する一つの原因であろうと思われます。  第二は、このように自動車の台数が非常にふえておりますが、それに比べまして既存の道路の交通安全施設の整備が若干立ちおくれておるということでございます。これにつきましては、今後政府としては強力な対策を講ずる予定になっておりますが、過去におきましては、率直に申しましてそういう点があったということ、これが第二の原因でございます。  それから第三の原因は、ただいま先生も御指摘になりましたように、運転者の交通のルールに対する知識の欠除とか、あるいは交通のマナーと申しますか、道徳が若干希薄である、こういうことに基因いたしまして、これらの要素がかみ合いまして交通事故が起こっている、かように考えております。
  184. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 いまの第一と第二は客観的な条件ですから、きょうは触れません。第三の運転手の主観的な条件の問題ですが、新聞の投書その他の中でも、私の印象に残っておるのは、電車の中で運転手同士のお互いの会話ですね。人をひいた場合については、なま殺しをするとあとあとへめんどうで、損害賠償でしようがないから、ひくときは殺したほうがいいのだ、そういう会話をしておった、まことに驚くべきことだというような投書を読んだこともあるし、日本全体の共通したいわゆる欠点なんですが、やはり人命軽視というふうな点も大きい原因になっていると私は見ている。したがって、まずそういう道路の問題、ばく大な予算の要る道路の問題その他の問題は当然政治の責任だけれども、運転手の免状を与える場合に、ほかのものと違って学校があるのですから、三カ月あるいは六カ月の自動車学校を卒業した者に免状を与えておるので、この学校の教育課程の中で、近代的なヒューマニズム、人間尊重、人命を尊重するという、そういう信念とか生活態度を植えつけるということが、あまり金のかからないことで、しかも大事な問題だと思うので、この点警察庁においては特別の何か配慮をされて指導されておるかどうか。
  185. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 お答えいたします。  御指摘のございました指定自動車教習所におきます運転者に対する教育の問題でございますが、現在、技能のほかに法令関係とそれから構造取り扱い関係と、この二科目につきまして、それぞれ教習をいたすことになっておるわけでございます。従来、御指摘がございましたように、ややともいたしますと、法令関係におきましては、単なる法律の条文を教えるというふうなことに堕すおそれがあり、また構造取り扱いと申しましても、何か技術的なものに偏するというふうなきらいもございまして、さような点にかんがみまして、われわれは法令と申しましても、そこには運転手のやはりモラルがあって、モラルを前提にしての交通のルールであるということでございますし、また、構造破り扱いと申しましても、やはりモラルに裏打ちされました技術的な知識でございませんと、交通安全上意味のないものになってまいります。さような点は、教習所自体におきましても、相当自覚を現在持ちつつあるというふうな状況でございますが、私どもといたしましては、各県の公安委員会、各警察本部と協力いたしまして、さらにそういうふうな点につきまして、御指摘のございましたような方向に指導いたしておるところでございます。今後ともさらにそういう指導を強化してまいりたい、かように考えております。
  186. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 地方では、自動車学校と警察が非常に密着をしておって、警察官の退職した者がそこの事務長になり、そうして何か警察と自動車学校がぐるみたいになっちゃて、ほんとうの運転手を教育するというよりも、利用し合うというような点が非常に多いのじゃないか。現在運転手の免状を持っておる者がかえ玉を使って、大体一割か二割くらいはかえ玉で免状をとっているということも私は聞いておるのですが、いまのように交通事故のひんぱんにあるときに、もっと責任を持って、免状を与える前に——まあ幸いに学校というもの、あれは監督できるんでしょう、警察のほうでは。できるんだから、それをもっと真剣におやりになるという、一つ抜けたものがあるのじゃないか。どうも警察と自動車学校というものはくされ縁みたいになっている点が非常に多いと思うのです。その点はだいじょうぶですか。
  187. 藤森俊郎

    ○藤森説明員 ただいま御指摘のございましたような御懸念を生じさせましたことにつきましては、私どもはなはだ残念に存じますけれども、現在各県の公安委員会は、それぞれの指定自動東教習所に対しまして立ち入り調査の権限も持っておりまして、これに基づきまして、それぞれ適切な指導監督をしておるというふうに承知をいたしております。現に、そこに基準に合わないものが出ました場合は、それぞれ指定を解除するというふうな方策、それからその徴候が見えるというふうな場合には、これに警告をいたすというふうな方法で監督をいたしておるところでございます。
  188. 山中吾郎

    ○山中(吾)分科員 きょうはもう実例は出さないのですが、警察官自身が、そういう実際の教育を受けないで、便宜免状をとるのに利用されたり、それから一番先端の警察官というのは、運転手とか自動車学校経営者と密着をして、取り締まりについて手かげんをしたりいろいろすることができるものだから、その辺で、こういう事故を起こす場合に何かプラスエックスがずいぶんあるように思う。現在政治問題までなっているのですから、厳正に教育コースまで監督できるたった一つのものが警察だと私は思うのですね。その辺は、取り締まりとか法規の教育とか技術だけじゃなしに、やはり人間形式というものを含んで取り組んでいただきたいと思うのです。ある程度の実例は知らぬわけでもないのですけども、いま政治問題化しておるのですから、自動車学校そのものについて技術教授だけでなくて、やはりそういう人命尊重というモラルを教える方向に特別に努力をされんことを希望いたしまして、私、質問を終わります。
  189. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、川俣清音村。
  190. 川俣清音

    川俣分科員 多く時間がございませんので、ごく簡略にお尋ねをいたしたい。  一番最初は、総理府にお尋ねをしたいのですが、あなたの所管の中に、臨時農地被買収者給付金業務室というのがございますね。農地被買収者給付金の業務を扱っておられますが、一体いまお考えになって、こういう農地被買収者の給付金制度が、今後の宅地行政、土地行政に非常な大きな悪影響を与えておるとお考えになりませんかどうか。今後土地行政が非常にやかましく論ぜられていくときに、これに大きなブレーキをかけておるというふうに感じておられますかどうか。この影響が非常に大きいと思いますが、どのようにお考えになっておりますか、お尋ねをしたいと思います。
  191. 安井謙

    安井国務大臣 これは農地改革の結果、ああして非常に安い値段で地主さんが土地を吸収されたものに対する報償のようなものでございまするから、私、それが必ずしもいまおっしゃるような悪影響を及ぼしておるというふうには考えておりません。
  192. 川俣清音

    川俣分科員 それは非常な認識不足だと思うのですね。農地買収も、あるいは土地の強制買収も同じですね。国家権力によって公共のために収用する土地収用法と同じ性質のものです。国益と申しますか、公共性のために土地を取り上げなければならないという問題ができてきた。一方においてはあれは誤ったのだ、行き過ぎだという影響を与えておる。いずれも、土地買収につきましても、強制買収になりますると不満の中で解決されている。ほんとうに協議が成り立ったのではなくして、強制的に土地収用法が施行されておる。農地補償があるならば、こういう強制収用については応ずるべきじゃないという空気が出てきております。これで影響がないですか。これで影響がないとどうして言えるのです。同じ性質で、一方は二回、三回にわたって補償をしておる。今後土地収用法でとられましても、もう一ぺん問題を起こすならば、再度補償ができるんではないかという空気を起こしておりますよ。現に、担当官に聞いてごらんなさい。農地補償のために、土地収用法の適用が非常にやりにくくなったということは現地の声じゃないですか。影響がないとはどういうことです。
  193. 安井謙

    安井国務大臣 これは、川俣委員御承知のとおりに、当時のあの行為によって、事実によって、日本の農村というものは、ある意味では非常に民主化をされた結果に今日相なっておるわけでございます。そういう結果になりました今日、旧地主の人に対して、これは補償とかという意味でなくて、一つの気持ちとして報償を出すというようにきまったわけでございますので、私どもそういうことから起こる——特別今後の農地改良等にそう大きな影響があるようには、実は考えておらぬわけでございます。
  194. 川俣清音

    川俣分科員 現に問題をたくさん起こしております。たとえば土地収用法におきましても、ある面積で、非常に広い面積を持っておったところを、一部道路に収用された場合には打撃は少ない。しかしながら、道路というようなものは一定の方向に向かっておりまするから、面積を持っておりましても、その三分の二が道路敷になって、細長く土地を持っておりましても価値はないのです。利用価値はない。土地収用法の場合は、むしろ逆にそういう場合が非常に多い。農地の場合は一定地域で、しかもそれに対して自作農がその見返りになって耕地を利用しておりますから、損害は比較的ないでしょう。国益からいうとないでしょう。むしろ土地収用法のほうが個人の権利を侵害して、しかも残った財産を無価値にしておるというようなことが行なわれておる。それでもなお一反歩幾ら、一坪幾らというような強制収用のしかたをしておるでしょう。しかも、それが大きな交通量を緩和するための道路になり、あるいは橋になり、公共のために非常な利益になっておる。むしろ、農地よりもより以上に国益のために、公共性のために提供した土地に、不満足であるという事態があるではないですか。なぜ一体農地の場合は十分な補償をしなければならないか、二度、三度にわたって、補償しなければならないか、土地収用法の場合は、なぜ一体少なく補償されているかという問題が、現に起きておるじゃないですか。したがって、これはいろいろな大きな障害になっておるじゃないですか。公共性のためには土地は犠牲になることもやむを得ないという観念ではなしな観念を植えつけたのは、重要だと私は思うのです。個人を補償することはけっこうですよ。しかしながら、あれだけ広範に行なわれますると、公益性のために犠牲になることはやむを得ないんだという観念を払拭してしまった責任が非常に大きいと思う。いま反省しなければならないときにきたのじゃないのですか。私はそう思いますが、どうですか。
  195. 安井謙

    安井国務大臣 土地収用法の適用にあたりましてのいろいろな問題、これは、いま私がお答えするのはちょっと適切でなかろうかと思いますが、いまの農地改革の場合におきましては、これは先生御承知のとおりに、いまから見ましても非常な低廉な値段で、いまの土地収用法を適用しますような場合とは、おそらく比較にならない値段であったというふうに私ども心得ております。そういうようなことから土地収用法の実施等につきまして、いろいろ問題があるという点につきましては、これはまたこれなりに私どもよくお伝えもいたしまして、今後も考えたいと思いますが、農地報償の場合には非常に極端な安い値段で、しかも、これはもう有無を言わせず強制的な収用になったような過程でもありました。しかしその結果が、農村としては非常に自作農が発展をしていったという、いい日本が生まれたというようなことに対する、一種のお礼心というようなもので、これは前々国会でございますか、きまったことでございまして、私のほうはいまそのほうの執行を担当しておりますので、ひとつよろしく。
  196. 川俣清音

    川俣分科員 これはきまったことだ、そのとおりですが、きまったあとでもなお反省をして、今後の施策に役立てなければならない。あの場合も個人に補償すべきでなくて、子弟教育のために要する資産を失ったというところから、何か子弟教育のために一括してこれを活用するような方法を講じたらどうであったろうか。しかしながら、一部でこういう被買収者から資金を集めて運動したために、見返りをしなければならないという事態が、個人補償にならざるを得なかったんだと思います。一部には、個人補償などは意味をなさないから、もっと公益的にあの費用を使っていくならば、今後の農地政策においても、あるいは土地政策においても、影響を与えるところは少ないんじゃないかということであったにかかわらず、無理に個人補償をしたということになりますると、現在でも土地価格は年々上がっておりますからね。もうすでに御承知のとおり、玉電の土地の収用あるいは青山の通りの土地収用とかは、収用時代から見ると十倍以上も上がっておるじゃないですか。これだけ道路交通のために役立たしておいて、提供さしておいて、何十倍と地価が上がっているにかかわらず補償額が小さいということで、いままた問題が起こりつつあるじゃないですか。農地補償をやったんだから、われわれにも補償をやってしかるべきじゃないかという運動が起こってきておるじゃないですか。これがどれだけの大きな運動になるかは別といたしまして、起こる余地を与えておることだけは間違いない。何十倍と高くなっておる、そのとおりでしょう。買収価格よりも何十倍と高くなった、そのとおりなんです。しかも、これが公共のために非常に役立っておるということも、これもまたそのとおりなんです。農地補償と何にも関係がないんだなんということは言えないじゃないですか。条件が同じじゃないですか。そのことがあると、今後の土地政策の上に非常に影響を与えるということ、これまた同じじゃないですか。土地買収によって、強制収用によってとられたところにこういう問題が起きておるということになると、いまは提供したくない、何年か後には何十倍、何倍になり得るということがいま計算されるじゃないですか。したがって、ここは反省しなければならないということを私は指摘しておる。法律できまったことを取り消すわけではないので、ただ一部の思いつきと申しますか、運動でやりますと、手のつけられない問題が起こるということを指摘したいだけです。この問題はその程度にします。  警察庁見えておりますか。——警察の中に試験研究の費用がございますね。私は、試験研究のようなものはじみな問題であるけれども、ぜひあらゆる意味において警察等も試験研究をすることが必要だと思います。その必要性を強調するにはやぶさかではないんでありますが、昨年の補正予算のときにこれは削減を受けた。節約できるものとして減額をさせられた。そんなに減額がたやすくできるものであるならば、試験研究の役をなさないのじゃないか。試験研究というのは、継続してやってはじめて試験研究というものの価値が生まれるので、これは節約に値するのだというようなことで一様に減額補正を受けるということになるならば、その試験研究というものはたいして役に立たないものじゃないか。また、四十一年度も予算要求しておられますが、あまり役に立たないようなものであるならば、これもまた削減していいじゃないかという議論になると思うのです。私はすべきじゃないというたてまえですけれども、簡単に昨年減額補正に応ぜられたところを見るというと、不用節約ができる項目だ、こうみなさなければならない。この点についての御見解を承りたい。
  197. 渋谷亮

    ○渋谷政府委員 お答えいたします。  いまおっしゃいました試験研究費というのは、おそらくは、科学警察研究所というのが付属機関としてわれわれのところにございますが、そこには、科学技術庁のほうから、たとえば地区的な交通の面規制——交通の規制には、系列的規制と、それから、ある一定の銀座なら銀座のような土地についての規制のしかたというものがございまして、そういう研究のために科学技術庁のほうから予算を移用を受けているというのだろうというように思いますが、そうでございましょうか。
  198. 川俣清音

    川俣分科員 そうだと思います。そこで、私は試験研究を否定しているのじゃないのですよ。大いに必要だろう。しかし、必要だろうけれども、昨年度の補正で額減をされておる。減額補正をされておる。節約できるということになるというと、その研究というものに意味がないんじゃないか、こういう質問なんです。だから、いま四十一年度四千九百万ばかりの予算要求しておりますね。こういうものも、いつでも節約の対象になるようならば、ほんとうの意味の試験研究じゃないのじゃないか。必要から迫られた試験研究じゃない感じを受けるが、いかがですか。昨年補正で五分だか節約させられたでしょう。こういう試験研究というのは継続してはじめて試験研究の価値が生まれるくるのに、中断されたり途中で節約されるならば試験研究の目的が達成できないんじゃないか、なぜ一体減額補正に応ぜられたのか、これは過去の決定でありますけれども、それをお知らせ願えればこの研究に対して賛否の態度が明らかにできる、こういうことでお尋ねして、むしろ私は激励の意味なんですけれども、簡単に応じられたところを見るというと、あまりに熱心にかかった研究じゃないんじゃないかという印象を受けるので、それでお尋ねしているわけであります。
  199. 渋谷亮

    ○渋谷政府委員 予算の節約の場合に試験研究費も節約の中に入っておるが、それは熱意がないんじゃないかというお話でございますが、御承知のように、昨年度の予算の節約は、大体一般的に大蔵省のほうの方針に従って、節約を留保する、並びに節約をした、こういうことでございますので、われわれとしては、その試験研究費等につきましても大いに努力はいたしましたが、やはり、一般的査定といいますか、統一的査定といいますか、そういうことでやむなく応じた、こういうことでございまして、熱意が全然ないということではございません。そういう意味で、また本年も要求をいたしておる、こういうことでございます。
  200. 川俣清音

    川俣分科員 熱意がないわけじゃない、今年も要求したということでございますが、一体ほんとうにそれだけの熱意を込めて要求しているのか、まずひとつ出してみよう、節約が講じられたらそのときはそのときだというような考え方ではないかという疑念が生まれてまいりまするので、四千九百万という大きい金でございまして、私はこれはこれでも足りないのじゃないかと思います。積算の内容を見ますと足りないのではないかという印象を受けるのですけれども、簡単に節約に応ずるということになりますと、ほんとうの目的の真意が理解されない。国民経済の上からも治安の上からもぜひ必要な研究であろうと思う。私の見るところによればそう思われるわけです。それを簡単に節約に応じろということで無条件に応じるということは、あなた方の熱意がやはり足りないのではないか、出してみて予算がもらえればいいし、なければもともとだというような、こういう安易な要求じゃないかという疑念を生ずるから、あえてこの点を取り上げた、こういうことなんです。私どもは必要があるからもっと増額すべきじゃないかと思いますけれども、それはさておいても、節約は大蔵省の要請だから節約しなければならないということになると、もっと何でもみな節約できるということになるのじゃないか。私は、試験研究のようなじみな問題についてはもっと熱心に大蔵省を説得すべきである、必要性をもっと強調すべきである、こういう点であなたに質問をしたわけなんです。予算は出してみる、削られたらばまたそのときだ、そんな安易なことでは国の経費を使う上に忠実じゃないということを言いたいのであります。要は、もっとしっかりやってもらいたいということなんです。  次に、行政管理庁に、これは総理府でありますだけに特にお尋ねしておきたいのですが、国有資産所在市町村交付金に関する法律に基づいて交付金を支払うことになるわけですが、これは従来の計算予算要求をしておられるようですね。
  201. 北山恭治

    ○北山政府委員 いまの点についてお答え申し上げます。  国有資産所在市町村交付金百二十八万三千円を要求いたしておりますが、その内容は、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律に基づきまして、行管の所管しております公務員宿舎の土地及び家屋に関しまして、その法律に基づきます台帳価格の十分の一掛ける百分の一・四という算出根拠で要求いたしておるものでございます。
  202. 川俣清音

    川俣分科員 そのとおりなんです。それは法律の根拠に基づいてそうやられた。そのとおりでいい。しかし、今度政府がこの固定資産の評価を上げるという法律を出してきているわけでしょう。前は三年据え置きだというのに、今度は四十一年から実行するというのでしょう。それで評価額が変わるということになる。一方においては評価額が変わりますという案を出しておる、一方においては評価額は変わらないのだ、こういうことになっておるので、これは矛盾をしておりませんか、こういうお尋ねなんです。各官庁とも同様なんです。しかし、総理府は少なくとも総理大臣の直轄のもとにあるのであるから、政府の方針というものがほかの省よりも徹底しておるであろうという理解なんですよ。大蔵省の査定に対して、評価を上げるんですか上げないんですか、それによってこの交付金額は変わりますということは、当然予算要求の時期に起こっていなければならぬはずだ。これに対して無関心で予算編成をされたのか、十分検討されたのか。私は、従来どおりで予算を見積もられたことは必ずしも不当だとは思いませんよ。しかし、一方で上げるというからには、これは不当だということにならざるを得ない。これは従来の評価と評価が変わるんですから。この点についてどうお考えですか。検討されたのか、あるいは従来どおりということでやられたのか、評価がえが行なわれるということを御存じなかったのかどうか、政府部内の連絡が悪かったのか、どこに責任があるのか、この点を明らかにしてもらいたい。
  203. 北山恭治

    ○北山政府委員 私ども予算要求いたしましたのは、現在の法律の規定に基づきまして、算出根拠によりまして要求をいたしたものでございます。その当時におきましては、そういう固定資産税の増加が考えられておるということについては私ども承知しておりませんでしたが、現在の法律の規定によりまして算出いたしたつもりでございます。
  204. 川俣清音

    川俣分科員 ほかの官庁であれば、よく察しなかったということがあるが、行管という立場になりますならば、当然この動向というものについては知り得ておったはずだし、また、知り得なければならない立場にあると思うのです。知らなかったということはおかしい。これは、政府の方針できめられたこと、その方針と違った予算要求をしておるということ、この責任はどちらがとるか、大蔵省なのか、行管なのかということをお尋ねしておるのですが、これをこれ以上追及するのは無理だと思いますから、この程度でやめます。  そこで、さらに行管にお尋ねしたい点が一つ残っております。四十一年の要求で、監理委員会の項目の6に諸謝金というのがございます。七万二千円、それがございます。この内容は何をやっておるのでございましょうか。その積算の内容は七万二千円で協力謝金。協力謝金というものはどういうものをさすのでしょう。
  205. 北山恭治

    ○北山政府委員 協力謝金の内容は、行政監理委員会で専門家の方々の意見を聞く必要があるという考え方が、委員さんでも非常に御要望が強うございますので、そのための経費として要求いたしておるものでございます。
  206. 川俣清音

    川俣分科員 いろいろ行政上については別に予算項目があるわけで、庁費の中に予算項目があるわけで、そこにいま説明になったようなものが入っておる。別建てとなっておりますところに理由がわからないので、あえてお尋ねしたのですが、あとでこれはお尋ねしてもけっこうです。一体、こういう予算書を出していながら、十分検討しないで国会には出したがあまりよく見ていないなんということがときどき起こるのですが、これはなぜ出したかということを、もっと簡単に答弁できるようにしておかなければならないと思うのですよ。大臣、そうじゃないんですか。議員から質問があって初めてわかったなんというかっこうはおかしいですよ。これは庁費でたくさん予算項目をつけておるのですよ。ところが、これなどは別建てになっておるから、これは何だと聞いておるのです。あの答弁でわかりますか。別建てがなければ別ですよ。別建ての項目としては約十二、三ある、庁費の中に行政監理委員会の費用とか。こういう建て方についてもっと検討してほしいということなんです。  時間がありませんから省略します。まことにどうも……。
  207. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、華山親義君。
  208. 華山親義

    華山分科員 なるべく時間を節約する意味で私のほうから申し上げますから、簡潔に御回答を願いたいと思います。  農地被買収着に対するこのたびの報償の問題でございますけれども、これについて事務費を計上しておられる。その事務費が市町村分として一億五千二百六十七万三千四百円というふうに、百円の単位まで出しておられる。相当精密な積算をなさったと思うのでございますけれども、どういう積算でこういう数字がお出になりましたか、積算の根拠をお示し願いたい。
  209. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 お答え申し上げます。  ただいまの事務費の内訳でございますが、一市町当たりについて申し上げますとわかりやすいと思いますが、三千四百市町村足らずでございますので、一市町村当たり約四万五千円に相なるわけでございます。そのうち、旅費が一万円、賃金が二万四千二百円、庁費が一万六百円ということで、大体全国で来年度六十七万人程度の請求者があるであろう。そういたしますと大体一市町村二百人足らずでございますが、二百人見当の請求者があるであろう。それに対します事務費を考えたわけでございます。
  210. 華山親義

    華山分科員 それで間に合うという自信がおありでございますか。
  211. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 二百人といたしますと、大体私ども計算では、一人の件数を受理いたしますのはおよそ一時間ないし一時間半あればほぼできるわけでございますが、なおその他に、実際問題としましては、いろいろ応接、あるいは書類の書き方を教えるとか、あるいは県庁等に報告するとか、そういうことがございますから、その以上の時間がやはり必要になるわけでございます。しかし、そういうふうに考えてまいりますと、私ども計算では大体間に合うわけでございます。  四十年度、初年度は、法律内容等につきましても、なかなか法律自体がややこしい上に、多くの方にそのややこしい請求書のことを教えるわけでございますから、相当手間がかかったわけでございます。約十ヵ月余経過いたしましてかなり中身が普及いたしまして、四十一年度につきましてはこれでやれるんではないかというふうに考えております。
  212. 華山親義

    華山分科員 四十年度は一市町村平均六万七千六百六十三円でございますが、この中で人件費には幾ら認めていらっしゃいますか。
  213. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 四十一年度は計算は四十四人になっております。四十年度は九十四名になっております。  なお、四十年度は、いま申し上げましたように初年度でございまして、準備の作業が相当必要になっておったわけでございます。御承知のとおり、買収面積から売り渡し面積を差し引くことになっておりますが、その売り渡し面積を差し引くための準備というのが……
  214. 華山親義

    華山分科員 人件費が幾らになっているかということだけをお聞きしておる。私が幾ら時間を節約しようと思っても、あなたのほうで長ければ……。
  215. 井出一太郎

    ○井出主査 答弁を簡潔に願います。
  216. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 人件費は、四十年度では九十四人分掛ける五百でございますので、約四万五千円程度になっております。そのうちの三割が準備費、初年度の費用ということでございます。
  217. 華山親義

    華山分科員 この実態について、その経費で間に合ったかどうか。各市町村に何か視察でもなさったことがありますか。
  218. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 私どももこの点については非常に心配をいたしまして、事務を円滑にし、かつ地方財政に悪影響を与えないようにということで、特にこの点について総合的な調査はいたしておりませんが、再々県を通じあるいは私どもも出向きまして、いわばサンプル的に調査をいたしたわけでございます。  私ども計算によりますとこれで可能なわけでございますが、ただ、いま申し上げましたように、何分多くの農村のことでございまして、たとえば一人の方が五度も六度も役場の窓口へ来られる。それに対して親切に応待するということになりますと、相当時間を食っておるわけでございます。その点は私ども認識いたしておるのでございますが、ただ、町村によりましては、そういう点について非常にうまく、そういうふうに再々個人個人に教えないで、部落ごとに教えるとか、そういうことで経費をかけないようにしておりますところもございます。この仕事が主として人の力にたよるという仕事でございますから、人の事業のやり方と申しますか、それによりまして各町村非常にアンバランスでございますが、私どもは、そういう点についてはできるだけ、事務をこういうふうにやればうまくいっているところがあるというようなことで指導をいたしてまいった次第でございます。
  219. 華山親義

    華山分科員 私は、国が当然全額を負担すべき、いわゆる委託事務費がきわめて少額であるために、この問題だけじゃございません、町村が非常な負担をしている。この問題なんかまだ額が少ないからいいのですけれども、そういう事例があるわけでございます。  私は、この問題につきまして、十カ村程度の村を回ったときに、ついでに聞いてまいりました。どこの村でも困っている。一例を申しますと、ある村には四万何千円の金が入った。とてもそんな金で——四万何千円の金といいますと、大体女の子の二月分でしょう。そんなことでこの仕事ができますか。そのほかに旅費があるということでございますので、二万円。女の子一人も雇えないじゃありませんか。こんなことでできるはずがない。私は、頭がどうかしているんじゃないかとさえ思うのですよ。そうして、どこでも間に合わない。ある村の村長はこういうことを言っていた。私の村には四万数千円の金がまいりました、とても、そんなことでできるものじゃありません、しかし、委託事務でございますから、村長の良心としましても、国の金よりも多く出すわけにはいかない、それですから、議会において言いわけのつくように、同額程度のものを予算に計上した、しかし、それでも間に合わない、仕事はほうっておけない、ところが、世の中で圧力団体というのでございましょうけれども、圧力団体のほうで金を集めてくれたから、それでようやく間に合った、いわゆる受益者なるものから一人二百円ずつ取った、こういうことなんです。これが実態です。とにかくこの仕事は女の子じゃできないでしょう。臨時とかなんとかいわれますけれども、だれか責任者がついていなければいけない。そんな一月に二万円や一万円くれた女の子が一般の人に応対できない。とにかく責任のある人がついていなければいけない。そういうふうな実態であるのに、こういう予算を計上されている。こういう事例がこの予算のほかの部分でも幾らでもあるのです。一々の省について聞くわけにはいかないから、まことにお気の毒だけれども、ここでお聞きした。こういう面から言っても、この予算ではだめですよ。何でもかんでも地方財政に持っていって、地方でやれ地方でやれと言う。この予算を計上する際に、どこか地方と相談したんですか。
  220. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 この予算を作成いたします前に私ども特に県庁あるいは市町村にこちらから御相談申し上げたということはございませんが、ただ、私ども県庁に参り、あるいは町村に参りまして、自分たちで一応模擬演習と申しますか、やってみたわけでございます。そういたしまして積算の根拠をつくり上げたわけでございます。  なお、人件費の点につきまして、私どものほうで考えておりますのは、一日五百五十円ということで考えておりますが、これは、私どもの見るところでは、全国平均いたしまして決して安い単価ではないのではないか。ただ、御指摘のとおり、女の子だけでこれをやれということはあるいは無理な場合が確かにございます。現に、町村等におきましては、正規の職員あるいは農業委員会の職員が指導いたしております。その点につきましては、私どものほうでは、賃金だけではなく、超過勤務等でそういう職員の業務に対して支払っていいというふうに指導をいたしておる次第でございます。
  221. 華山親義

    華山分科員 超過勤務は幾ら計上してあるんですか。
  222. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 超過勤務ということで、別に計上してあるのではなく、賃金ということになっておりますが、正規の職員が働いた場合に超過勤務に使ってよろしいということでございますので、別建てではございません。
  223. 華山親義

    華山分科員 結論的に聞きますが、そういう予算でできるといまでも思っていらっしゃるんですか。
  224. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 先ほども申し上げましたように、来年度一町村当たり約二百件でございます。そういたしますと、一つの件数を受理するという場合にどの程度時間がかかるかということを考えてみますと、そんなに時間がかかってない。私ども考えました程度の時間数でこなせるのではないか。しかも、それ以外に、県庁に対する連絡であるとか、あるいは確かに、よくわからない方が来られて、いろいろお教えするとか、そういう時間も相当かかるわけでございます。特に農村部では確かにかかるとは思いますけれども、私どものいまの計算ででき得るというふうに考えております。
  225. 華山親義

    華山分科員 総理府ができると考えておるならば、町村のほうが間違いだということですね。それでよろしゅうございますか。
  226. 八塚陽介

    ○八塚政府委員 先ほども申し上げましたように、この仕事は、主として、人のやり方と申しますか、それによってずいぶん差があるものでございます。そういう意味におきまして、私どもは、できないところはできるようにする事務の改善の余地があるというふうに考えまして、もちろん私どものほうで直接町村を指導するわけにはまいりませんが、県庁等を通じまして、そういう点について事務の改善ということを指浮いたしておるわけでございます。
  227. 華山親義

    華山分科員 くどいようでございますが、一万五千円といえば、高等学校を出た女の子の一年くらいたった給料でしょう。それに、持ってきた書類をぱっぱっと受け取っているだけなら、私はそれでもいいと思うのです。しかし、ああいうこまかいものでしょう。それを一々見て、そうして、こうしなさい、ではこれはどこに持っていくんですかと言えば、登記所に持っていきなさい、ここでこういうものをもらってきてください、そういうことをするということになると、たえられません。そんな一万五千円の女の子の二月分でやれる仕事では断じてありません。そういうところに中央官庁が地方財政を圧迫する原因がある。この仕事だけじゃない。この意味からも、この予算というものはそういう面に満ちあふれている。私は、そういう意味からも、地方財政に対する理解というものが全くないということを申し上げておきます。とにかく、ある市では、そのために、これは多過ぎるなと思ったけれども、一人の役場の書記と三人の人を使ってやっている。臨時雇いを五人ぐらい入れて、そして昔の文献をみな出して調べているのです。そういうことをやっている。これはたいへんな仕事ですよ。その仕事が一件としてつづってあるのじゃない。どこにその書類があるかということを大きな書類の中から探し出さなければならない。これを女の子一人で一月くらいでやれるだろうなんという予算を組んだら、これはとんでもないことです。私は少し声が大きくなりましたけれども、私の見たところ、十数県の市町村はどこだってこぼしているのです。そういうことは、大臣としても今後国政全般について気をつけていただきたい。いかがでございますか。
  228. 安井謙

    安井国務大臣 実際を御視察いただいてその目でごらんになりますと、おそらくそういうふうな場所も相当あったんじゃないかということは、私もわかるような気がいたします。ただ、あの全体の計算としましては、御承知のとおり、二百件くらいな平均になる。そうなりますと、これは市町村の規模その他にもよりますが、新しく人を雇うのでなくて、そこにいる人で少しオーバーロードでやっていただくというような思想からこれは組んでおるようでございますが、しかし、いま御指摘のような点が絶無だとは私どもも決して申し上げられぬかと思います。
  229. 華山親義

    華山分科員 大臣、あなた、おかしいよ。絶無じゃないということは、そういうことをやっているのは例外だということですか。そんなことはない。そうでないところがあったならばそれは例外的にあるということで、絶無じゃないなんというのじゃない。私はここで質問を打ち切ろうと思ったけれども、そういうことばを聞いては打ち切れない。私は例外的なところなんか一つも見ていない。何も好んで貧乏な市町村がたくさんの金をかけているわけはないじゃないですか。間に合わせられるなら間に合わせるのがあたりまえです。そういう実態じゃないのですよ。私はいつでも御案内するから、行っていただきたい。大臣のことばは気に入らないな。絶無だなんということはないでしょう。それが原則なんです。
  230. 安井謙

    安井国務大臣 ことばが非常に足りませんで、絶無という意味は、御指摘のようなこともあるんではなかろうかというつもりで申し上げましたが、ことばが足りません点はひとつお許しをいただきます。
  231. 華山親義

    華山分科員 大体農地報償法といって、理屈に合わないことには金を出して、当然負担すべき国のことには金を出さない。徹頭徹尾間違っていますよ、この法律は。そららのほうは思い切りよく金を出して、そして、そんなにたくさんの金もかからないところをちびちびちびって、これはどういうことですか。ほんとうに腹が立つ。こういうふうな予算の立て方は根本的に直してもらわなければいかぬ。また、いまの大臣のことばじりをつかむわけじゃないけれども、そういうところもあるでしょうと、「も」とは一体なんです。「も」じゃないですよ。どこだってそうなんだ。それだったら、大臣行ってその辺聞いてごらんなさい、農村で間に合ったところがあるのかどうか。それで、市町村なんというものは実際そんなむだな金なんか使いやしません。一文でも倹約したいのですよ。とにかく、そういうことで、このことは長くなりますから私はやめます。  もう一つ伺いますが、青少年の問題に非常に取り組んでいらっしゃるそうでございます。けっこうなことだと思うのでございますが、精神作興運動みたいなことを、われわれも大臣も同じ年輩だと思いますが、戦争中経験しましたが、ああいうことだけで問題は解決しないと思う。一つには、社会には悪がある、社会の悪というものから青少年をどういうふうにして遮断していくかということが私は重要な問題だと思うのでございますが、原則論としていかがでございますか。
  232. 安井謙

    安井国務大臣 私どもも、青少年問題を扱います場合に精神作興運動のような形で上から押しつけるというつもりは毛頭ございません。青少年自体が自分から自分の民族に誇りを持つように、あるいは将来に希望を持つように、そういういい環境と、いい指導ができるように仕向けていきたいと思っております。
  233. 華山親義

    華山分科員 前のほうはよろしゅうございます。まあそうでございますが、社会悪から青少年を遮断する、こういう面についてどういうふうにお考えになりますか。
  234. 安井謙

    安井国務大臣 これはもう、いろいろ複雑な今日の社会情勢、各方面から手をつけていかなければなるまいと思います。まず環境の浄化といったようなもの、これはでき得る限り力をいたさなければならぬと思いますし、それから、できる限り、青少年の一種のグループ活動、仲間との交際によって、個人的に非行に走ることを防ぐ、そういったような方向に向うように気をつけていきたいと思っております。
  235. 華山親義

    華山分科員 大臣は東京都の御出身ですか。
  236. 安井謙

    安井国務大臣 出身は違いますが、選挙区は東京都でございます。
  237. 華山親義

    華山分科員 それで、私は山形でございますが、御承知のとおり、出かせぎの多いところでございます。そこでは、一月十五日の成年式というものは農村地帯の市町村はやれないのです。なぜか。そのときに、成年に達するところの若い青年が、あるいはもっと若い青年もそうですか、それが出かせぎに全部出てしまう。全部と言うと少し過ぎるかもしれませんが、そのために、その村には青年がいなくなる。それだから、その青年が帰ってきたあとでなければ成年式がやれないというのが実態なんです。その青年が東京に来て何を覚えていくのか。御存じの、あのたこ部屋でしょう。私は、二年越し、あのたこ部屋、東京たこ部屋をなくせということを言っておるのだが、政府はさっぱりやらない。そういうところにはおおむね暴力団が支配しておる。暴力が支配しておる。そういうところに入れられたところの青年は一体何を覚えてくるか。たばこをのむこと、酒をのむこと、そしてばくち。東北なんかにはばくちなんてありません。農村には花札なんてないのです。花札をやること、妙な服装をして暴力団のまがいをすること、そんなことばかりを覚えてその青年たちは帰ってくる。そういうふうなことでどうして農村の青年の悪化というのが防げますか。私はこのことを心配する。この問題を処置するところの所管庁はどこでございますか。
  238. 安井謙

    安井国務大臣 いま御指摘のは、季節的な労働を求めて農村から臨時に出てこられる人方かと思いますが、その職業補導といったようなものは、これは直接には労働省の管轄になっておるわけでございます。
  239. 華山親義

    華山分科員 いや、私の言うのは、都会に来て働いておる間にそういう社会悪に染まらせないような方法を講ずる、こういう仕事は一体どこの省でやるのかということをお聞きしておるのです。
  240. 安井謙

    安井国務大臣 これは、それぞれの各省で、そういうたとえば労働環境の改善ということになりますれば労働省も十分関係ができてくるわけでございますし、あるいはいろいろな教育方面の指導ということでは文部省もあろうと思いますが、それにも増して、そういった環境をなくして改善していくというのは、やはり私ども総理府のつとめの一つであろうかと思っております。
  241. 華山親義

    華山分科員 私は、それで提案するのです。提案した。それらの農村では、現実にあの状態でございますから、どうしても金を手に入れたい。それで、都会に出ないでよいように各地において冬の間事業を興しなさい、そして、そこの事業場にとにかく粗末でもいいから合宿所をつくって、そこに青年だけを集めて、そして勤労させなさい、休んでいる間は、変な教育をしてもらっては困るけれども、レクリエーションなり何なりをして慰安を与えて、そういうふうにして働かせなさい、こういうことを私はいつでも主張するのでございますけれども、各省は、私のところじゃございませんと、こう言うだけなんです。教育ではございませんから、文部省じゃない。労働の問題ではございませんから、労働省の問題じゃない。建設省の問題でもない。私の提案というものが間違っているかどうかは別問題といたしまして、こういう提案をほんとうにお考えになるならば、どこの省でおやりになりますか。
  242. 安井謙

    安井国務大臣 これは労働省にも関係あると思いますし、また、季節労働という意味では、土建業界へ就職される人も非常に多いんじゃないか、そういう意味でこの土建業者自体をいろいろ監督される建設省でもあろうと思いますが、しかし、そういうものを総合的に見て少しでもよくしていくという対策を立てるのは、われわれの仕事でなければなるまいと思っております。
  243. 華山親義

    華山分科員 私が多年提案している、青年は東京に出さない、山形なら山形に置いて、冬の間、土木事業でも何でもよろしい、仕事をさせて、そして夜間には、青年らしい雰囲気をつくってやったらいいじゃないかということを私は言っているわけだけれども、そういうふうな仕事というものは一体どこの省でおやりになるのかということをお聞きしたい。
  244. 安井謙

    安井国務大臣 なるべく都会へ出てこないで農村に定着するというのには、やはりそれだけのいろんな条件をそこにつくっていくということが必要であろうと思います。私どもは、でき得る限り、いま御提案のそういう趣旨を生かすように、各省とそれぞれの部門で連絡をして、地方で工事が起こった場合、うちから通えるようなほうへできるだけ採用するとか、あるいはそのほかに仕事を求めるとかいったような点については、今後も各省と十分な連絡をとりながら配慮していきたいと思います。
  245. 華山親義

    華山分科員 私はものを言うのがへただと見えて、よくおわかりにならないようですが、私は具体的に言っているのです。とにかく文部省では何か青年の家とかいうふうなものをおつくりになっている。あんなふうに、農村で出かせぎをしなくてはいけないような青年を冬の間だけ収容する施設を地方につくって、そこを根拠にして労働をさせてそして給料をあげたらいいじゃないか、こういうことを言っているのですよ。そういう仕事はどこでおやりになるかということを聞いているのです。
  246. 安井謙

    安井国務大臣 青年の家のようなところで——これはぴったり当たるかどうか知りませんが、収容する施設というのは、これは文部省がいま所管してやっております。ただ、そういうものに対して仕事を与えるというようなことになりますと、これは労働省が雇用関係であっせんをするということになりますので、やはり私どもその間に立ちまして、そういった関係をできるだけうまく調節をしていくということになろうかと思います。
  247. 華山親義

    華山分科員 私の考えに賛成か賛成でないかは別問題として、そういうふうなプランを立てて実行するのはどこなんですか。
  248. 安井謙

    安井国務大臣 将来、いま御提案のようなものを十分私どものところで検討させていただきまして、私はいまの御提案は非常に賛成でございますので、それが実現できるように努力をしたいと思います。ただ、私のところですべてをやるわけにはまいりませんから、そのためには、各省と十分な協力体制のもとにそういう方向のものを今後も考えていきたいと思います。
  249. 華山親義

    華山分科員 私のものの尋ね方がたいへん悪かったかもしれませんけれども、五分間で済むところをたいへん長い時間かかって結論を得たわけでございますが、この問題については、これは社会党とかなんとかいう問題じゃないのです。とにかく農村の青年が、特に山形、秋田、新潟、東北方面の青年がそういう状態において悪化している。池田さんは、青年は国の宝だと言ったが、国の宝をどぶの中に入れているじゃないですか。どぶの中に入れないようにしなさいということなんです。そういうことにつきまして私は各省に委員会等において言ったけれども、私のところではございませんというのが全部なんです。私、決算委員会におりますので、こういうことは決算委員会では言うべきところではないでしょうけれども、先ほど決算委員会でもお話をしたところが、決算委員長が、それは内閣の仕事だ、総理府の仕事だと言うから、私はお尋ねしている。とにかく、大臣、私の考え方に賛成ですか。
  250. 安井謙

    安井国務大臣 私は、いまの御提案はたいへんけっこうなものだと思います。できるだけ努力したいと思います。
  251. 華山親義

    華山分科員 それであったならば、関係各省がおありでしょうから、青少年局ですか、何か審議機関があるならば、審議機関にこの計画をお尋ねになって、きちんとしたプランを立てて、そういうふうな施策を出かせぎ地帯には設けていただきたい、お願いをいたします。
  252. 井出一太郎

    ○井出主査 次に、受田新吉君。
  253. 受田新吉

    ○受田分科員 たいへん時間が進んでおりますので、十分で私の質問を終わります。ポイントは、公務員給与の問題と、公務員制度審議会の今後のあり方、この二つを五分ずつで、十分で終わらせていただきます。  政府は、公務員給与の実施にあたって、従来人事院勧告をもとにこれを法律化して施行しておられるわけでございますが、いつもその実施期にズレがある。人事院が勧告する五月は、政府としては予算編成上その他で非常に都合の悪い時期と判断されておるのかどうか伺いたい。
  254. 安井謙

    安井国務大臣 勧告の時期は、御承知のとおり八月で、五月を時点にとっておりますが、時点にとる五月というのは、一番標準になるにはいいときではないかと思っております。民間給与の比較をする場合の時点としては、五月は非常にいい時期じゃないかと思っております。ただ、予算編成上は、非常に不自由な時期に相なっております。
  255. 受田新吉

    ○受田分科員 予算編成上非常に不自由な時期、実施期を五月にしているのは、調査には非常に便利がいい、そこで、その間の調整をとるために政府も六人委員会等で種々苦労されておるということを一応理解しておるのでございますが、新しい古武構想なるものが新聞などで報道されておる事情を見ますると、政府としても、新しい年度にあたって、この予算編成上非常に条件の悪い実施期を、予算編成の都合のいい時期と組み合わせるのに積極的に何か取り組もうという御意図があると了解してよろしいかどうかであります。
  256. 安井謙

    安井国務大臣 人事院勧告実施の時期が、いつも勧告の時期が年度中途になりますために非常に不便を来たしておることは、御承知のとおりであります。何とかそういった点についていい方法はないかということでいろいろ検討しておりまして、吉武小委員会での試案というものも私どもいま検討さしていただいておるわけでございますが、これにはこれでまたそれ相応の問題がたくさん包含されておりますので、まだ、いつがいいとか、どういうほうがいいという見当がつくまでには至っておりません。
  257. 受田新吉

    ○受田分科員 これはもう私たち理論的にも相当深く内閣委員会などで論議されている問題だから、掘り下げた質問はしません。しかし、端的に言って、政府は、事実問題として、終始勧告の実施期をずらして実施しておる。これは事実であります。完全実施になっていないわけです。それをこの機会に懸案を解決するために、きわめて積極的に、できるだけ早急に問題の解決をはかろうとする意欲を最近持っておるのかどうか伺いたい。
  258. 安井謙

    安井国務大臣 これはもう再三国会あるいは内閣委員会等で御勧告もあり決議もいただいておりまして、何とかひとついい解決の方法はないかということで、いま一生懸命さがしておるわけですが、と申しまして、いろいろな条件を総合しましてこれならいけるという非常にいい案にはまだぶつかっておりません。ただ鋭意いま検討を進めておる最中であります。
  259. 受田新吉

    ○受田分科員 その鋭意検討にじんぜん月日をけみすることは、私たちとしては賛成できないわけです。この一年以内ぐらいにもう結論か出ていいと思うのです。何年かかったって同じことなんです。国会の委員会の意思表示なども十分尊重されて、総務長官、ひとつ一年以内ぐらいにはめどがつくぐらいでないと、二年、三年、四年たったって、これは答えを得るのに積極的に取り組まぬ限りは、できません。一年以内ぐらいには何とかしたいという意欲をお持ちになっておらぬと、とてもこれは真剣に取り組めないわけです。そういう目標をゆうゆうとした将来に置くのでなくて、きわめて接近した時点に目標を置いてやるというような御意図はないのか、もう一度……。
  260. 安井謙

    安井国務大臣 結論がどう出るか、いまのところまだ御返事いたしかねるのでございますが、何とかひとつ年度内に何かの結論を出したいというスケジュールのもとにいま検討を進めております。
  261. 受田新吉

    ○受田分科員 年度内に結論を出す——今年度内ですか。
  262. 安井謙

    安井国務大臣 今年度内に結論を出したいということで、いまスケジュールはそう立ててやっておりますが、その結果ははたしてどういうものが出るかについてはまだ見当はついておりません。
  263. 受田新吉

    ○受田分科員 わかりました。その点、非常に近い目標でございますね。年度内に目標を置いている。その点で私御努力を要求して、その問題はおきます。  もう一つ、現職の公務員と退職の公務員、退職者の中には、恩給法の適用を受ける人と、共済組合法の適用を受ける人と、二つあるわけです。恩給法の適用を受ける人は、いま年齢でいって、軍人の場合などでも、奥さんがまあ四十前後までは進んでおる。それから、現職の公務員をやめて退職者になった人で恩給法の適用を受ける人にしても、大体もう六十歳をこえておるのです。そうすると、恩給法そのものは、もう一番びりっこが恩給法の適用を受ける時期としても、九十まで生きてももう五十年、大体二、三十年で恩給法なるものは本質的には姿を消して、残務整理のようなかっこうになると思うのです。人事院が勧告権を持っておる中に、退職腐金が一つ入っておる。公務員の退職年金、これは勧告権があるわけなんです。年金の増額、あるいはこれを減らす場合も同様でございますが、その人事院の勧告する退職公務員年金については、恩給法の適用を受ける年金もあれば、共済組合法の適用を受ける年金、両方に勧告権があるわけです。そうでございますね。  したがって、ここでひとつ私が提案をしたいことは、恩給法というものはやがて消えていく法律である。これは歴史に残る法律である。また、一方の共済組合法の年金というのは、これはずっと将来続くものであるということになるならば、公務員給与を総理府で担当しておられる、人事局を持っておられるこの機会に、恩給局という、やがて消えていく法律のその孤塁を守る形のものにしなくて、共済組合法の適用を受ける大蔵省の所管を、総理府の恩給を所管する事務と一緒にされて、公務員年金局というような、仮称ですが、そういう名称で、恩給法及びこれから長く続く公務員の共済組合法、公務員に関係した各種の共済組合を一緒に、仮称公務員年金局で統合して処理するというような行政措置をとることが、私は賢明じゃないかと思うのです。総務長官、私の提案はすこぶるりっぱなものだと思うのでありますが、あなたもさようお考えかどうか。
  264. 安井謙

    安井国務大臣 非常に有益な御提案の一つとして私どもも将来は考えてみたいと思っております。恩給制度審議会も今度おこすつもりでいま御審議を願う予定でありますし、そういうところでも総合的に今後考えたいと思います。
  265. 受田新吉

    ○受田分科員 恩給審議会は、共済組合法の適用を受ける共済年金を審査するのでありますか、どうですか。
  266. 安井謙

    安井国務大臣 これはいまのところ恩給制度だけというつもりでございますが、どうしても、関連してきますと、そういう問題に触れてくるようなこともあり得るのじゃないかと思います。
  267. 受田新吉

    ○受田分科員 したがって、この機会に、その恩給法中心の審議でなくて、共済組合法と一緒にして、公務員年金審議会というような形のものに実質的にされたほうが趣旨が通ると私は思う。御同感だと思うのですが……。
  268. 安井謙

    安井国務大臣 受田先生のほうも、御専門ですから、いろいろと年金と恩給とのいきさつ、区別等も十分御承知だと思います。いま言われますように、将来は恩給というものは消えていくものでありますから、そういうもののあり方を中心にして考えていって、さらに、それとつながったいまの年金というようなものは、関連事項として考えていきますので、いまのところ、恩給制度中心審議会運営ということで出発をしたいと思っております。
  269. 受田新吉

    ○受田分科員 これはやはり根本的解決策をはかろうとすれば、公務員年金審議会というような形のものにしておやりにならないと、恩給法の問題だけをやっても、これはやがて消えていく問題でありますから、せっかく審議会がつくられる以上は、公務員年金審議会と、ひとつ幅を広げて、法案を修正されるか、何らかの方法でやっていただく。実際問題としては、これはつながっておる問題でございまして、切り離すわけにいかない問題でございますから、ひとつ御検討を願いたい。  私、時間がきておりますが、もう一つの問題をただしたいのでございます。具体的な問題は全部内容を抜きにして、公務員制度審議会の現状と、これからのお取り扱い方を、すかっと御答弁を願いたいのです。  昨年ILO八十七号条約批准にあたって一応各党の意見調整をするという意味で、船田あっせん案なるものが出た。そのあっせん案なるものは、国民が周知のとおり、この答申があるまで国内関係法などの施行延期をやるというような中身でございますけれども、この審議会は、承ると、毎月二回ずつで、十一月からすでに八回ほど開会されておる。しかし、まだ本論に入っていないという声も聞いておるわけでございますけれども、八十七号条約の実施期というものが六月十四日に迫っておるとするならば、その際に関係国内法の施行も同時にやらなければならないという宿命的な使命があるという立場から見て、六月十四日までにこの公務員制度審議会の答申を得て、すかっとしたもので関係国内法の施行も同時にいたしたいという御意図でございますか。
  270. 安井謙

    安井国務大臣 そういう意図を持ちまして、そういう趣旨を諮問にも盛り込んで審議会の促進をお願いしております。
  271. 受田新吉

    ○受田分科員 ところが、審議会というものは、委員の任期は二年ある。これは公務員の基本に関する事項というものをやるためにそういうことがうたってあるわけでございますが、あのたな上げ部分、施行延期部分の扱い方は、六月十四日を過ぎると困るのかどうかです。いままで八回やったわけでございますが、これから六月十四日までにもし答申を得ることができないような事態が起こった場合には、どういう扱い方になるか、ちょっと承っておきたい。
  272. 安井謙

    安井国務大臣 私どもは、この条約発効と同時に国内法というものはスタートしなければならぬということは、いま御指摘のとおりに考えております。そうでございますから、それにひとつ間に合うようにこの御審議をやっていただきたいということを、発足の当初におきましても強く御要望もいたしましたし、また、諮問案の内容にもその趣旨を盛っておるようなわけでございまして、非常に熱心な御討議を願っておりまして、まだ個々の問題にまでお触れになっていないように伺いますが、これはお触れになれば、また、非常にスピーディなものでもあろうかと思いますので、私どもは早くこの答申が出ることをいま期待しておる次第でございます。
  273. 受田新吉

    ○受田分科員 私懸念をしていることは、六月十四日までに答申が得られなかった場合の扱い方です。
  274. 安井謙

    安井国務大臣 もう少し審議会の状況を見まして、政府はもう少し先の時点考えたいと思っております。ただ、国内法をいいかげんなものにしておいてしまうというわけにはまいらぬと思っておりますが、どういうふうに扱うかは、もう少し先の時点考えたいと思っております。
  275. 受田新吉

    ○受田分科員 これは法律的な扱い方、運用の扱い方、いろいろあると思うのでございまするが、この六月十四日までということ、三木さんが船田あっせんに対する質問をされ、これに対する船田さんの答弁、こういうものについては、一年という期限が了解された形で行なわれておると了解してよろしゅうございますか。
  276. 安井謙

    安井国務大臣 これは公式文書に載っておるものじゃございませんが、そういったような仲裁案が出ますときにお話し合いもあったように私どもは伺っております。
  277. 受田新吉

    ○受田分科員 そうすると、政府は一年という期限にはとらわれていないと了解してよろしゅうございますか。
  278. 安井謙

    安井国務大臣 いや、そうではなくて、一年の期限にとらわれておるというふうなお話し合いが当時も出ておったというふうに伺っております。
  279. 受田新吉

    ○受田分科員 船田さん、三木さんは、これは党人でございますから、また議会人でございますが、政府の見解としてです。
  280. 安井謙

    安井国務大臣 これはやはり条約発効のときには国内法は同時にスタートする、どういう形であるか、どういう手続によるかはまだきめておりませんが、同時スタートするのでなければ政府としては困る、こういうふうに考えております。
  281. 受田新吉

    ○受田分科員 そこで、六月十四日がきた、まだ多数決主義でも満場一致主義でもどっちでも答えが出なかった、もう少し話し合いをしようじゃないかというようになったときに、六月十四日の時点政府はたな上げ部分の施行に対する措置をとるのかどうか。
  282. 安井謙

    安井国務大臣 いま、せっかく審議会で熱心に御審議を願っておりまして、次回から本論にもかかると言っていただいておりますので、いま、これがもし出なかったらどうするのだといったようなことをあまり先走って考えるのはいかがと思っておりまして、まだ政府部内ではそれをどうするというふうにきめておりません。ただ、政府考え方は、発効と同時に国内法も一緒にスタートするのでなければ困るという気持ちだけは、もうこれは動かぬわけでございます。
  283. 受田新吉

    ○受田分科員 そういう場合に、不動の信念といいますか、それに基づいて、六月十四日の時点では、たとえ審議会の状況がどうあろうと、実施しなければならぬのだという目標がはっきりしているわけですね。
  284. 安井謙

    安井国務大臣 条約発効のときには国内法も同じように動き出すのでなければ困ると思っております。
  285. 受田新吉

    ○受田分科員 これは実際に困るのかどうか。  それからもう一つ、これは法律的に御答弁願いたいから、政府委員の方でけっこうだと思いますが、答申がその六月十四日を過ぎて出された、政府関係国内法の施行をやった部分をその答申に基づいて修正をすることが可能なのかどうか。この二つの点について、法律的な立場でお答えを願ったらと思います。
  286. 増子正宏

    ○増子政府委員 まず、御質問の第一点でございますが、六月十四日になりまして条約が発効いたしました場合には、これに対応する国内法はいかにあるかということが当然問題になるわけでございますが、この点につきまして、ただいま大臣から申し上げましたように、関係の国内法が施行にならないということになりますと、当然、従来の、つまり改正前の規定が動くということになるわけでございますが、この規定の中には、条約に抵触する部分が含まれておるわけでございます。しかし、それが具体的にはどの規定であり、どの部分であるかということは、必ずしも一見して判明するというものではございませんので、したがいまして、これらの点が実際どうなるのかという問題をめぐりまして種々混乱が生ずるということは、当然考えられるわけでございます。その意味におきまして、条約が効力を発生いたしましたときには、それに対応する国内法を同時に施行するということが一番望ましいし、またその必要があるというふうに、従来から考えてきておるわけでございます。  それから第二点でございますが、一たん国内法を施行いたしましたあとで、審議会が、これを修正することが適当であるという答申をかりに出した場合のことでございますが、これは、一般に審議会の答申をいただきましたときに、政府がどうするかという問題になるわけでございますが、従来から申し上げておりますように、政府としましては、この答申はできるだけ尊重するという考えでおるわけでございます。  なお、法律的にということでございましたが、一たん改正をしまして施行になりました法律でございましても、その後これを改正する必要があるということになりました場合には、さらに再び改正案を出すということは、これは法律的には十分可能であり、許されることであろうと思っております。
  287. 受田新吉

    ○受田分科員 これでおしまいにしますが、大体疑点を御答弁願っておりますけれども、六月十四日の時点で一応実施された法律、それがそう遠からざる機会に審議会で修正意見を付して答申された、そうすると、あまりにも目まぐるしく法律の施行の面で混乱をするような形になるわけでございますが、これは実際問題として私非常に懸念しておるのでございます。審議会運営のあり方も、審議会令では多数決主義、これは通念でそうなっておると思うのです。まあしかし、申し合わせは、満場一致にしたい、こういうことでございますね。政府としては、法律的には多数決でいっても差しつかえないんだという一応の原則はお持ちであるのじゃないかと思うのですが、そうですね。
  288. 安井謙

    安井国務大臣 審議会の慣習に従いまして、これは多数決ということに政令できめております。しかし、運営については、できるだけ協力一致した線が出るような運営にしていきたいという審議会の御意向のようでございます。そういう運営のしかたにつきましては、私ども審議会におまかせをしておる、こういうようなことでございます。
  289. 増子正宏

    ○増子政府委員 審議会の採決の点に関しましては、大臣からもいま申し上げましたように、政令をもちまして多数決の原則を定めておりますわけでございます。なお、運営につきましては、これは審議会にまかせておるわけでございますけれども、特に満場一致というようなことは現在きめてはおりませんが、運営小委員会の運営等につきましては、できるだけ満場一致を目ざして努力しようというような申し合わせは現在ございます。審議会そのものにつきましては、こういった特別の申し合わせば現在いたしておりませんので、その点をつけ加えて申し上げておきます。
  290. 受田新吉

    ○受田分科員 それでは、これで私は質問を終わります。  大臣、審議会の今後の進行状況ですが、満場一致という形のものにしようとすれば、どうしても時間がかかる。期日までにやろうとすれば、多数決でやれぬことはない。だから、審議会運営のしかたが結局答申の時期を支配すると私は思うのです。いま六月十四日の期日までに答申が出なかった場合の措置についても伺ったわけでございますが、この審議会のあり方について、十分審議を尽くして、そしてできるだけ意見が一致するような方向へ努力をされるという要求をいたしておきまして、私の質問を終わります。
  291. 井出一太郎

    ○井出主査 これにて、内閣、並びに、防衛庁及び経済企画庁を除く総理府所管についての質疑は一応終了いたしました。  明二十六日は、午前十時より開会し、法務省所管について質疑を行なうことにいたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時十一分散会