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1966-02-23 第51回国会 衆議院 予算委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年二月二十三日(水)委員長指名で、 次の通り分科員及び主査選任した。  第一分科会皇室費、国会、裁判所、内閣、総  理府(防衛庁及び経済企画庁を除く)、法務省  及び文部省所管並びに他の分科会所管以外の  事項)    主査 井出一太郎君       小川 半次君    丹羽 兵助君       西村 直己君    福田  一君       水田三喜男君    八木 徹雄君       多賀谷真稔君    野原  覺君       山中 吾郎君  第二分科会(会計検査院、防衛庁、外務省及び  大蔵省所管)    主査 愛知 揆一君       相川 勝六君    赤澤 正道君       上林榮吉君    登坂重次郎君       野田 卯一君    勝間田清一君       高田 富之君    中澤 茂一君       加藤  進君  第三分科会(厚生省、労働省及び自治省所管)    主査 大橋 武夫君       荒舩清十郎君    川崎 秀二君       倉成  正君    竹内 黎一君       古井 喜實君    小松  幹君       八木  昇君    山花 秀雄君       今澄  勇君  第四分科会経済企画庁農林省及び通商産業  省所管)    主査 植木庚子郎君       今松 治郎君    久野 忠治君       坂村 吉正君    田中 龍夫君       橋本龍太郎君    加藤 清二君       角屋堅次郎君    川俣 清音君       小平  忠君  第五分科会運輸省、郵政省及び建設省所管)    主査 荒木萬壽夫君       江崎 真澄君    灘尾 弘吉君       松浦周太郎君    松澤 雄藏君       三原 朝雄君    大原  亨君       楯 兼次郎君    永井勝次郎君       竹本 孫一君 ――――――――――――――――――――― 昭和四十一年二月二十三日(水曜日)    午後一時二十三分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 赤澤 正道君 理事 久野 忠治君    理事 田中 龍夫君 理事 松澤 雄藏君    理事 八木 徹雄君 理事 川俣 清音君    理事 楯 兼次郎君 理事 野原  覺君    理事 小平  忠君       相川 勝六君    愛知 揆一君       荒木萬壽夫君    荒舩清十郎君       井出一太郎君    今松 治郎君       植木庚子郎君    江崎 真澄君       小川 半次君    大橋 武夫君       上林榮吉君    川崎 秀二君       倉成  正君    坂村 吉正君       竹内 黎一君    登坂重次郎君       灘尾 弘吉君    丹羽 兵助君       西村 直己君    野田 卯一君       橋本龍太郎君    古井 喜實君       三原 朝雄君    水田三喜男君       大原  亨君    加藤 清二君       角屋堅次郎君    小松  幹君       兒玉 末男君    多賀谷真稔君       高田 富之君    中澤 茂一君       永井勝次郎君    森本  靖君       八木 一男君    八木  昇君       山中 吾郎君    山花 秀雄君       加藤  進君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 中村 梅吉君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 上原 正吉君         国 務 大 臣 福田 篤泰君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君         国 務 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官 橋本登美三郎君         内閣官房長官 竹下  登君         内閣法制局長官 高辻 正巳君         総理府事務官         (総理府特別地         域連絡局長)  山野 幸吉君         公正取引委員会         委員長     北島 武雄君         総理府事務官         (行政管理庁行         政管理局長)  井原 敏之君         防衛庁参事官         (人事局長)  堀田 政孝君         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    宮沢 鉄蔵君         総理府事務官         (科学技術庁振         興局長)    谷敷  寛君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    橘  恭一君         法務事務官         (人権擁護局         長)      鈴木信次郎君         大蔵事務官         (主計局長)  谷村  裕君         文部事務官         (初等中等教育         局長)     齋藤  正君         文部事務官         (社会教育局         長)      宮地  茂君         厚生事務官         (大臣官房長) 梅本 純正君         厚 生 技 官         (環境衛生局         長)      舘林 宣夫君         厚生事務官         (社会局長)  今村  譲君         厚生事務官         (児童家庭局         長)      竹下 精紀君         厚生事務官         (保険局長)  熊崎 正夫君         厚生事務官         (年金局長)  伊部 英男君         厚生事務官         (援護局長)  実本 博次君         農林事務官         (大臣官房長) 大口 駿一君         農林事務官         (農林経済局         長)      森本  修君         農林事務官         (農政局長)  和田 正明君         農林事務官         (畜産局長)  桧垣徳太郎君         農林事務官         (園芸局長)  小林 誠一君         食糧庁長官   武田 誠三君         林野庁長官   田中 重五君         水産庁長官   丹羽雅次郎君         中小企業庁長官 山本 重信君         運輸事務官         (鉄道監督局         長)      堀  武夫君         運輸事務官         (航空局長)  佐藤 光夫君         郵政事務官         (大臣官房長) 鶴岡  寛君         郵政事務官         (大臣官房電気         通信監理官)  畠山 一郎君         郵政事務官         (郵務局長)  長田 裕二君         郵政事務官         (貯金局長)  稲増 久義君         郵政事務官         (電波監理局         長)      上田 弘之君         郵政事務官         (経理局長)  淺野 賢澄君         労働基準監督官         (労働基準局         長)      村上 茂利君         労働事務官         (職業安定局         長)      有馬 元治君         労働事務官         (職業訓練局         長)      和田 勝美君         建設技官         (住宅局長)  尚   明君  委員外出席者         日本電信電話公         社総裁     米沢  滋君         参  考  人         (日本放送協会         経営委員会委員         長)      靱   勉君         専  門  員 大沢  実君     ――――――――――――― 二月二十三日  委員岩動道行君、木村武千代君、湊徹郎君、兒  玉末男君、森本靖君及び八木一男辞任につき、  その補欠として愛知揆一君江崎真澄君、松浦  周太郎君、勝間田清一君、小松幹君及び永井勝  次郎君が議長の指名委員選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十一年度一般会計予算  昭和四十一年度特別会計予算  昭和四十一年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  昭和四十一年度一般会計予算昭和四十一年度特別会計予算昭和四十一年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題といたします。  この際、分科会の件について御報告いたします。  分科員配置並びに主査選任につきましては委員長に御一任願っておりましたが、各分科会主査を次のとおり指名いたしましたので、御報告いたします。  第一分科会主査 井出一太郎君。  第二分科会主査 愛知 揆一君。  第三分科会主査 大橋 武夫君。  第四分科会主査 植木庚子郎君。  第五分科会主査 荒木萬壽夫君。  以上でございます。  なお、分科員配置につきましては公報をもって御承知願います。  なお、委員の異動に伴う補欠委員分科会所属分科員辞任及びその補欠選任等につきましては、委員長に御一任を願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  4. 福田一

    福田委員長 なお、この機会に、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  本日、日本放送協会経営委員長参考人として出席を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。     ―――――――――――――
  6. 福田一

    福田委員長 これより昭和四十一年度総予算に対する一般質疑を続行いたします。兒玉末男君。
  7. 兒玉末男

    兒玉委員 最初に、経済企画庁長官にお伺いしたいのでありますが、現在の消費者物価の中におきまして、特に生鮮食料品をはじめ、国民生活関係の深いこのような諸物価の中に占める流通、いわゆる生産から流通消費と、この段階におきまして、特に仲買いから小売り段階における比重が非常に高いわけであります。この点は、何と申しましても流通機構改革ということが今日きわめて重大な要素を持つものと私は確信をいたします。  四十年の物価上昇総理府統計局指数表によりましても、特に特殊分類に分けた指数で見る場合に、主食、生鮮食料品指数は一四八・三となり、三十九年平均に比べ一三・四%の上昇でありまして、他の諸物価指数に比較してその上昇率がきわめて高いわけでありますが、昨年発足しました企画庁内にある国民生活局の発足に対して、国民の多数は、この流通機構改革に非常な期待を持っておるのでございますが、長官として、本年度の予算作成にあたり、基本的にどのような政策をとられ、そしてまた、今日の流通機構にあるところの多くの欠陥、問題点があろうかと存じますが、どのような御所信で対策をとられたか、まず第一点としてお伺いをしたいと存じます。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御指摘のように、流通機構の問題は非常に重要でございまして、特に農水畜産物等値上がり消費者物価に対する影響が大きいものでございますから、生産面においても改善をしていただかなければならぬのでございますけれども、流通面整備ということは非常に重大だと思います。  そこで、中央におけるいわゆる中央卸売市場というものがもっと近代化していかなければならぬということでございます。これは、設備の上でも私ども痛切にそう思います。実は築地市場を先般見ましたときに、廃物を掃除するというようなものに年間一億四千万円もかけているというようなことでございまして、これなども、コンベアシステムにしてやっていけば、そういうものが、市場における施設の改善によって経費が節約されるという面が多分にあると思います。  それから、中央市場の今日の状況から見ますると、もっと分場と申しますか、あるいは東京のようなところであれば都市周辺市場を持っていく。中央市場位置を移しますこと自体も、私は必要があるんではないかと思います。東京を例にとりまして申し上げますと、神田市場、あるいは築地に長年の伝統でもってそこに執着していること自体が、交通が必ずしも便利な場所でもございませんし、あるいは物を運び込む場合、あるいはそこで買った人が自分たちのところに持っていく、そういうような面において、両面においてやっぱり非常な欠点があると思います。ですから、そういう市場組織について今後十分考えてまいらなければならぬのでございまして、これは農林省行政の上からも考えていただかなければならぬし、今後、都市計画等を推進してまいります場合にも、やはり市場位置等の問題については十分考えていただかなければならぬと思います。  それから市場内の運営の措置につきましても、いま御承知のとおり三段階と申しますかになっておりますが、これらのものも将来どのように改善していくかというようなことが問題として上がってくるわけでございまして、これらの問題についても十分に考えていかなければならぬ。  そこで、なお肉類等につきましても、流通過程でもって、一体生牛を東京に運んでそれを屠殺するのがいいのか、あるいは地方において屠殺して、ある程度枝肉に分割してそれを運ぶのがいいのかというような問題も流通過程の上ではございます。  それから、魚介類につきましても、現在のような状況改善して、コールドチェーンの方式によって冷凍魚を大いに活用していく。これは沿海漁業ばかりでなく、遠洋漁業に次第に漁業が移っておりますから、そういう面から見て、母船における急速冷凍のものを持ってまいって、漁港において冷凍設備をする。さらに、それを運びまするのに、冷蔵貨車冷凍自動車等整備する。そうして、それを市場におきます販売の上に乗せてまいって、小売り商にもそれらのものを助成して冷凍設備をやるというようなことで、いろいろ問題が数多くあるわけであります。したがって、一時に全部に手をつけていくわけにもなかなかまいりませんけれども、今回の予算措置については、農林省とも話し合いの上で、これらの問題についてできるだけ十分な処置を予算措置の上においてしてもらうということで、大蔵大臣もそれらの点について御同感をいただきまして、今日は過去におけるよりも十分力を入れた予算編成になっておると私ども考えております。
  9. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの長官のお考えは、私もこれを肯定するわけですが、ただ、現実に今度の予算査定にあたりまして、農林省なりあるいは運輸省、それぞれの関係についてはあとで担当大臣にお伺いしますが、特に昭和三十八年七月九日の閣議決定によりまして、住鮮食料品流通改善対策要綱というものが決定をされまして、それで各省部門においても、中でも中央卸売市場主要都市における整備ということについて特に強調をされておるわけであります。ところが、昭和三十六年から中央卸売市場整備のための国の予算というものを見てみますと、昭和三十六年度はわずかに九千万円、三十七年度一億五千万円、三十八年度二億五千万円、三十九年度三億七千百万円、四十年度四億三千万円、四十一年度は、いま長官が非常にりっぱなことを言われましたけれども、このような最も大事な市場整備のための予算というのがわずかに五億五千万円しか組まれてないわけであります。この点について、一体長官としては、先ほど言われました市場整備についてどの程度確信があり、しかも三十八年度を初年度として八カ年計画昭和四十五年度までに一〇〇%市場整備を完成する、こういうことが決定されておりますけれども、現実に今日の地方自治体等財政事情から判断いたしましても、わずか五億程度補助金ではどうにも私はいたし方がないのじゃないか、このように考えるわけですが、長官考え方現実予算措置との関係について御所見を承りたいと存じます。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 市場に関しましては、それぞれ地方行政主体が十分な考慮を払って予算措置をし、政府がそれを助成するというのがそれぞれのたてまえであります。むろん過去において促進されておりませんことと、それから地方財政が非常に困窮しておりますので、この際急速にやりますためには、十分な予算措置が必要でございますけれども、必ずしもそこにいっていないことは、各方面の物価対策の費用をそれぞれ捻出いただいておりますので、これだけに重点をしぼるというわけにもまいらない関係もございまして、やむを得ぬ。ただ、要は地方財政と並行して、これが現実に一番の弱点であるところに集中していくということが、予算効率を上げていくことになろうと思いますので、そういう点について、今後農林省なりあるいは都市行政の方々と話し合いながら、十分改善をしていく、こういう気持ちでおります。
  11. 兒玉末男

    兒玉委員 これは財政上の関係もありますので、大蔵大臣にお伺いしたいのでございますが、ただいま長官からも答弁がありましたが、せっかくのりっぱな構想が、すでに四年目を迎えておるにもかかわらず、わずかに五億五千万円、しかも先般毎日新聞の経済部長大蔵大臣に対する質問の中においても、一応、表現は適切な表現でございますけれども、たとえば農林省考えておりますところのいわゆる生鮮食料関係野菜指定産地あるいは安定基金制度問題、さらにはコールドチェーン等関係、また最近の食肉の不足に伴うためのこのようないわゆる繁殖センター等を含めて、実際国民生活関係の深い流通部門を通しての予算というものは、大体総額でわずか百六十億程度と、これは農林関係予算の説明でもお聞きをしておりますが、一体大蔵大臣としては、今日これだけ庶民階級は非常に消費者物価値上がりに重大な関心と不安を持っておる際、このような要求額はほとんど半分以下に削減されておる事実をごらんになって、大蔵大臣として真剣に物価安定に寄与しようとするお考えがあるのかどうかしこのような予算要求に対する査定過程について、大臣がなぜこのように削減をしなければいけなかったのか。また、物価高騰に対して真剣に考えているのかどうか。この点についての御所見を承りたいと存じます。
  12. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 物価の安定は経済政策で最も大事なことと、さように考えておるわけであります。さようなことから、予算編成にあたりましても、物価対策につきましては、これを数少ない重点事項の一つといたしまして取り組んだ次第でございます。  私の気持ちから言うと、物価対策で有効な手があれば、しかもそれが予算措置によって解決できるというならば、できる限りこれを取り入れていきたい、こういう考え方で立ち臨んだわけでございます。ただ、単に机上計画だけではいけない。またそれに金がついたというだけでは、これまた申しわけないわけでありまして、これが有効に働くかどうかということを、大蔵省としては各省とも相談をして、ただいま御審議をお願いしておるような予算になっておるわけであります。気持ち物価優先、こういうところでやっております。  それからなお、具体的に逐次計画がきまってくる問題もあると思います。そういうことを考えて、予備費を、四十年度では五百億円でありましたが、今度は六百五十億円に増額をいたしておるわけであります。有効な手が具体的にきまれば予備費をもってこれを支弁する、かような方針でおります。
  13. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 なお、財政投融資関係で四十五億の地方起債市場整備のために認められておりますので、それだけつけ加えて申し上げておきます。
  14. 兒玉末男

    兒玉委員 いま大蔵大臣は、予備費の面も考慮されておると言われましたが、現実に今日の流通機構の実態というものを見てまいりますと、政府相当の勇気と英断をもって対処しなければ、この解決は困難だと私は存じます。特に日本流通部面における小売り商というのは、世界的にも比較にならないほど多く、全体の九割以上を占めております。でありますから、流通機構改革の面について、その他の点については農林大臣にお伺いしますが、いずれにいたしましても、せっかく今回経済企画庁と緊密な連携をとりながら農林省考えましたところのいろんな解決策、こういう点につきましても、帰するところ、私は予算裏づけというものがきわめて必要だと思うわけです。大蔵大臣は、単に机上プランと金があっただけではできないということを言われますけれども、私は計画予算裏づけがあって初めて実効を期することができると思うのです。たとえば野菜出荷安定対策費等はきわめて今日重大な課題でありまして、農林省の十一億八千万円の要求に対してわずかに六億三千万円しかこれを認めておらないとか、あるいはまた肉牛等生産増強というのは、昭和三十年以来ここ十年間の間に大体八十万トン以上も減っておる。これが今日の食肉の需要に対して大きな課題となっている。こういうような措置に対しましても、要求額の七割程度しか認められておらない。こういう点に対して、いま少し大蔵大臣としては、そういう財政上の見地から思いやりのある施策を私は特に要望したいわけでありまして、この点は、今年度限りで解消する問題ではございませんが、再度この流通部門改革に対する大臣の御見解を承りたいと存じます。
  15. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 消費者物価問題は非常に根が深い、というのは、つまり低生産性部門生産性の向上、こういう長くかつ困難な問題を克服しなければならぬというところに根本があると思うのです。しかし、それとあわせて、同時に流通部門改善、それから労働流動性の問題ですね、これらの問題を解決していかなければならぬ、こういうふうに考えております。お話の点、まことに私ごもっともだと思うのでありますが、具体的な有効な手があれば予備費をもってこれに立ち向かう、こういう考えであります。いずれにいたしましても、物価問題には、これは最も重大な問題としてこれに取り組んでいく、こういう方針でございます。
  16. 兒玉末男

    兒玉委員 この点、運輸大臣もお見えになっておりますが、昨日衆議院段階においては、国鉄の運賃問題は通過しましたわけでありますけれども、特に今回の運賃改定過程におきましても、国民生活関係の深い農林水産関係各種貨物については、やはり相当等級制定過程、あるいは賃率問題等からかなりの配慮がなされておるわけであります。この点、特に大蔵大臣にお伺いしたいのでありますけれども、国鉄が今日非常にたくさんの赤字をかかえる中において、今回大幅な運賃値上げによって大衆にそのしわ寄せをすることは、私はきわめて遺憾とするわけであります。しかしながら、国の施策上大体年間八百七十億程度の、いわゆる旅客割引あるいは貨物等政策割引によってばく大な犠牲が強要されておるわけであります。この点は、先般の運輸委員会におきましても強く指摘されたところでありますが、今日の国鉄経営というものは、単なる企業努力ということだけでは解決できない課題があり、しかも国鉄の輸送が、流通部門における役割りというものはきわめて大きいわけであります。そういう点から考えますならば、国の政策上における公共負担の約八百七十億、この全額を負担することは不可能にいたしましても、西ドイツなりあるいはフランス等の例にもありますとおり、ほとんど一〇〇%を、公共負担については国が一般財政から支出をしているという例等もあるわけであります。こういう点について大蔵大臣としては、特に国鉄運賃の及ぼす影響というものが非常に重大な時期から考えましても、今後の課題として公共負担ということに対する大臣の御所見を承りたいと存じます。
  17. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 国鉄は公共企業体であり、国の幹線陸上輸送力の中心としての任務、また、したがって国民福祉の向上というような重大な任務を負っておるわけであります。そういうことから、学割でありますとか、そういういわば社会的、国家的要請にこたえる、これは私は国鉄の任務そのものである、こういうふうに考えます。  ただ、国鉄のその公共性を貫く上におきましては財政力がなければいかぬ、これはもう当然のことであります。そういうようなことから、国は国鉄に対していろいろな援助をしておるわけですが、何といっても最大の援助は、これは収益度の最も高い路線の独占を国鉄に与えておる、こういう点であると思います。さらに、それにもかかわらず、政府はその上資金的、財政的には、財政投融資計画の約一割をこれに投入して援助をしておる、非常に高い援助だというふうに考えるわけです。また、普通の法人なら税金を納めなければならぬ。しかし、法人税を納めるというようなこともない。陰に陽に国鉄に対しましては相当の援助をいたしておるわけであります。まあ一部の間には国鉄にもっと金を出したらどうだ、一般会計からもっと税金による金を出すべきであるという議論もありますが、しかし、これは税金、つまり国民全体の負担において国鉄のお客さん、つまりサービスを受ける人を利するという性格のものでありますので、この点になりますと私は非常に慎重に考えなければならぬ、こういうふうに思うわけでありまして、国鉄の運賃を上げるということにつきましては、私どもも非常に逡巡はいたしたわけでございますが、しかし国鉄の置かれておる今日の財政事情、またこれをいかにして補給するかというような点になりますると、なかなか名案もない。これはもうサービスを受ける人が、受益者としての負担をしていただくほかはない、そういうふうに考えまして、好ましいことじゃない、しかしやむを得ざる悪としてこれに踏み切った、こういうことでございます。
  18. 兒玉末男

    兒玉委員 もうすでに運賃の問題は衆議院を通ったことでありますけれども、やはり公共負担、公共割引の性格ということについて、いま少し大蔵大臣は認識を新たにしてもらいたい。と申しますのは、今回の赤字の内容につきましても、過去十年間の統計によりましても、旅客部門は黒字であって、貨物部門が赤字になっておるわけです。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕 しかもその貨物の大半というのは、いわゆる米麦だとか野菜だとか食肉だとか、あるいは木材のいわゆる暫定割引など、この木材の暫定割引でも大体二百億程度の割引をやっておるわけです。そういうふうな一般旅客大衆じゃなくして、国の政策的な割引というのが赤字の大きなウエートを占めておるわけです。そういう点から考えますと、いま少し大臣としては公共割引なり公共負担に対する認識というものを新たにしていただきたい。この点は今後の課題として、ぜひともひとつよく関係大臣とも検討していただきまして、公共負担に対する基本的な、根本的な考え方をひとつしていだきたい、こういうふうに私は特に要望しまして、大蔵大臣に対する質問はこれで終わります。  次に、運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、ただいま大蔵大臣の答弁にもありますように、非常にこの公共負担に対する認識というものが欠けている。この点について、今後の課題として運輸大臣はどういうふうな積極的な御所見をお持ちか、お伺いしたいと思います。
  19. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄経営の中で公共負担が一つの大きな問題になっておることは、兒玉委員の仰せられるとおりでございまして、この間から、先般のいわゆる国鉄基本問題懇談会でもこの問題は取り上げられまして、相当議論があった課題であります。しかし、答申の中にもうたっておりますように、この問題をいますぐ国家財政で一気に片づけるということは、非常に困難性があるだろう、将来の問題としてやはり検討する課題であるということが指摘されておるのでありまして、私もこの公共負担というものは、原則としてはやはり国鉄が社会公共の福祉をはかることを目的としておりますし、公共性を持った企業体でございますから、ある程度の公共負担を負担するということはやむを得ないことと思いますが、やはりこれは国鉄経営とのにらみ合わせによってある限界点がある、かように考えますので、国鉄基本問題懇談会の答申等を尊重いたしまして、将来の問題として検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  20. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの答弁はたいへん不満でありますけれども、時間の制約もございますので、次に、運輸大臣にお伺いしたいのは、特に科学技術等におきまして、現在南九州の生鮮食料品等の輸送のためにコールドチェーンといいますか、低温流通の部門において冷凍冷蔵船等の構想も考えておるわけですが、今回の大幅な運賃の値上げによって、やはり国鉄としては、こういう流通部門においても、特に生鮮食料品等の輸送機構の改善ということはきわめて重要なウエートを占めておるわけですが、特に今回の第三次長期計画、さらには今回の運賃改定を契機としまして、国民が期待する国鉄におけるところの生鮮食料品等の輸送機構についてどのような解決策改善策をお持ちであるか、その点明らかにしていただきたいと思います。
  21. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 国鉄物価の安定に占めております一つの使命といいますか、役割りというもの等を考えますときに、物資の輸送の円滑化をはかるということはきわめて大切なことでございます。兒玉委員も仰せられますように、農産物その他生鮮食料品等の輸送の問題につきましては、いろいろ科学技術庁等も検討しておるようでございますし、農林省とも密接な関係を持ちながら互いに研究を続けまして、遠隔地の生鮮食料品等がきわめてスムーズに中央市場等に運ばれて、しかも生産地の生産価格を保持することに役立つような方向で計画を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  22. 兒玉末男

    兒玉委員 問題は、現在の国鉄輸送が一つの隘路になっているのは、そういうふうな生鮮食料品の輸送関係の貨車の改造がおくれているとか、あるいは科学技術庁の構想である冷凍冷蔵船等の場合は、鹿児島-東京間を例にとりましても、非常に輸送時間が短いということ、さらには、運賃が現行の国鉄運賃と比較して三分の一、こういう構想が明らかにされておるわけでありますが、いま運輸大臣が答弁されましたようなそういう改革をなされました場合に、一体、科学技術庁の考えておるような構想に対応してコストのダウンが可能なのかどうか、その辺の点についてお聞かせをいただきたい。
  23. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 科学技術庁で考えておられる案は、まだ完全に輸送機関の段階まではきておらぬのじゃないかと考えますが、農林省でいろいろやっております農産物の問題等につきましては、それぞれの物資に適応いたしまして、貨車の配備等は万遺憾なきを期しながら今日もやっておる次第でございますが、将来も、農林省等の農産物等の増産計画とマッチするように十分の配慮をいたしまして、生産者等の要求に支障を来たさないようにつとめてまいる所存でございます。
  24. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、再度経済企画庁長官にお伺いしたいのでありますが、たしかこの委員会におきまして、わが党の勝間田委員の質問に対して長官は、ことしの物価上昇率は大体五・五%にとどめたい、こういう御意向を表明されたように聞いております。ところが、本年度は、すでに消費者米価、国鉄運賃あるいはすでに上がりました私鉄、さらに郵便料金と、こういうふうに各種の公共料金が値上がりをする。さらに、これからいろいろとただしますが、流通部門における改革も非常におくれている。昨年二月の小売り価格等の流通過程を見ましても、依然として生産者価格の二倍から五倍という高値を示しているわけですが、そういうふうな情勢、それは先ほど数字を申し上げました、昨年の総理府統計局による生鮮食料品等の値上がりの傾向から類推いたしましても、私たちはとても五・五%程度に押えることは困難ではなかろうかと判断をいたします。すでにそれぞれの関係の学者等の意見を総合いたしましても、おそらくことしも八%から一〇%にはね上がることが予想される。一体長官の答弁になっている五・五%に押え得るという理論的な根拠はどこにあるのか、この点、国民各層が非常に関心を持っている課題でございますので、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
  25. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 本年五・五%に押えます一つの根拠は、御承知のとおり、年度末の物価指数と年度を通じての平均指数との差がございます。そこで、年初が高くて、年度末が低くなっている場合と、平均指数は同じでも、若干次の年に移っていく状況が違ってまいります。そういう意味からいって、私ども、それはげたと称しておるのでございますけれども、三十九年から四十年に移りますときのそのげたというのが三・四%でありましたが、本年は年初が非常に高くて、年度末が低くなっております。その関係で、このげたが二・五%くらいじゃないか、こういうことでございます。昨年三・四%が七・七%に、あるいは七・五%になったのは、約四%上がったわけです。ですから二・五%のげたの上に四%とすれば六・五%くらい。したがって、げたの高さによって大体一%くらいは四十一年度は低くなるのではないか。同時に、それをさらに五・五%台にしようということは、これは特に理論的根拠はございません。われわれの努力目標でございまして、あらゆる施策を尽くして努力していく。そこで、これは現実にわれわれが物価を引き下げる行動をいろいろしてまいらなければなりません。もちろん、五・五%と推算して、一%の努力目標を置きました中には、国鉄運賃の〇・三%とか米価の〇・七%とか、あるいは郵便の〇・〇六%とかいうものは一応計算に入れております。しかし、これらのもののいわゆる波及効果というものがどの程度に推算されるか、また波及効果をどの程度に押えていけるかというわれわれの努力によって、その一%程度が下げられるかどうかという問題になってくると思います。  したがって、われわれが今後物価問題を非常に大切な問題として、構造上の問題も解決をして、そうして幾らかでも物価に寄与するように持って行きたい。これは相当時間がかかりますけれども、本年度も影響するように考えてまいらなければなりませんけれども、ときどきのいわゆる波及的な影響によります値上げムードの中で、いろいろ値上げが行なわれるというようなことはできるだけ押えていかなければならぬと思う。ちょうど昨日も物価懇談会をやりました席上で、先般小麦を押えたのでございますけれども、大阪の主婦連の比嘉女史からのお話では、あれが値上がりするというのでもって、うどんが三円ぐらい高くなる、消費者の団体の方々が、小麦は上がらないじゃないか、政府が押えたじゃないか、だから三円上げるのはけしからぬじゃないかと言って組合のほうに申し入れられたところが、それを取りやめたというようなことがございます。したがって、われわれもいろいろの努力を、構造上の問題を解決しながら、それからくる影響をだんだんに少なくしていく、同時に、生鮮食料品等につきましては、たとえば非常に高くなれば緊急輸入をするというような処置もとってまいらなければなりませんし、また、いまのような便乗値上げ等に対しては、われわれが適当に打つべき手を考えて適切にやっていかなければならぬ、そういう努力を積み重ねていかなければならぬので、ただ、私どもがじっとしていて指をくわえているというのではなかなかむずかしいところがあろうと思います。ですから、要は私ども物価の問題を非常に重大に考え国民生活のために努力をしなければならぬという立場に立つ者からいたしますと、そういう努力を積み重ねていきながら、少なくも五・五%には押えていきたいという、一方では努力目標であり、一方では決意を表明しているというところだと御理解をいただきたいと思います。
  26. 兒玉末男

    兒玉委員 あとで少し論議したいと思いますので、その点はあとで御質問します。  次に、科学技術庁にお伺いしたいのでございますけれども、先般、昨年の秋でございましたか、科学技術庁が流通機構改革の一環として、いわゆる冷凍冷蔵船の構想というものを明らかにされたわけですが、一体、科学技術庁長官としては、これの実現までにどの程度の目安を持っているのか。新聞論評等なり、あるいは技術庁の資料によりましても、これが即時実効をあげるにはかなりの期間が要するやに書いてあり、しかも、まあ酷評する人は、絵にかいたもちだ、こういうこともあるわけですが、長官としては、一体、この冷凍冷蔵船の実質的な効果をあげるためにどの程度確信をお持ちか、お聞かせをいただきたい。
  27. 上原正吉

    ○上原国務大臣 お答え申し上げます。  科学技術庁といたしましては、これから実験をやるわけでございます。それぞれ所管の省庁がございますわけで、科学技術庁は、その実験をやろうということで予算をちょうだいしておるわけなんでございまして、来年度から実験に着手するわけでございます。しかし、先ほどのお話にございましたように、北九州の生鮮食料品などは、前から試算をやっておりまして、宮崎県でも、鹿児島県でも、非常に乗り気で、この冷凍船をつくって、それで生鮮食料品東京、大阪に運ぼうということで準備を重ねていただいておりまするから、予算がちょうだいできまして着手いたしましたら、相当早い期間にその実験をやることができる、かように考えておりまするし、また、それにつれまして、前からやってみたいということで予算要求を続けてまいっておりましたものですから、たとえば食肉だとか、野菜だとか、果実だとか、こういうものも、それぞれの場所でどうやってやろうという腹案もございますから、着手しましたら相当短期の間に実験は完了する、こういう見込みで努力する覚悟でございます。
  28. 兒玉末男

    兒玉委員 きわめて夢を見ておるような御答弁を聞いたわけですが、とにかく、もちろん輸送ということで、きわめてこれは画期的な構想であり、私たちはその実現が一刻も早いことを期待するわけでありますが、先ほどの農林省関係の問題と同様、あるいは中央市場整備のための予算が五億五千万円程度では、どんなりっぱな冷凍冷蔵船ができても、問題のポイントは、同時に生産地における出荷体制、そして生産の強化、同時にまた、大都市におけるところの市場整備、このことが並行的に行なわれていかなければその効果をあげることは困難だと考えるわけであります。その関連につきまして、特に農林大臣も御出席でありますので、これから科学技術庁と農林省との関係において、生産と輸送と市場整備、この三者が合致しなければせっかくの効果を期待できないと思うのですが、これらの点について科学技術庁並びに農林大臣の御所見を承りたいと存じます。
  29. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいま兒玉委員のおっしゃるとおりでございます。
  30. 上原正吉

    ○上原国務大臣 おっしゃるように、各省庁にまたがっております仕事でございますから、連絡を密にしていたしませんければ実効をあげることは困難だと思いますので、コールドチェーンの実験を実施するために、ずっといままで各御関係の省庁と連絡会議を持っておりまして、そうして十分といえますかどうかわかりませんが、熱心な準備を進めてまいっております。そして、いよいよ予算がもらえて実験に取りかかるわけでございますから、今度はその連絡会議をもう少し具体的なものにいたしまして、たとえば農林省からなども御在籍のままで係の方に御出向をいただいて、そうしてその実験グループを結成して実験に着手する、こういうかっこうであらまし内諾も得ておるようなわけで、これはせっかく実効があがるように努力を重ねてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  31. 兒玉末男

    兒玉委員 単なる努力ということでなくて、アメリカ等の先進国の例もあるわけですが、大体そういう構想を、さらに実験に着手する予算裏づけがあるとするならば、一応私はやはり実現への計画の見通しということくらいはこの際明らかにすべきではないかと思うのです。ただ、実験をしたその暁に実効を期しますということでは、私も納得できないわけです。一体、いつごろまでにそのような輸送船の実現が可能なのか、それぐらいの構想は、私は明らかにしていただきたいと思います。
  32. 上原正吉

    ○上原国務大臣 あらまし腹案を持ちまして、予算がいただけたらさっそく着手しようということで準備は重ねておるわけでございますが、どこの地域でどういうことをやるかということを早まって発表いたしますと、摩擦を伴ったような競合が起こる、こういう心配もございますので、きょうここで御発表申し上げることはお許しをいただきたいのでございますが、とにかく、たいした予算をもらっているわけではございませんから、そんな大規模な実験がやれるわけでもございません。先ほど申し上げましたように、まず御発表申し上げておりまする南九州の生鮮食料品、それから少し遠隔の地の食料品、それから近県の野菜、果実、こういうようなもので実験をやってみたいということで、あらまし心の準備、それから多少具体的な準備も進んでおるわけなのでございます。どうかそのように……。摩擦を伴うような競合が起こるということだけが心がかりになりますので、いずれ近いうちに御発表申し上げる段取りになりますから、お待ちをいただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。
  33. 兒玉末男

    兒玉委員 まあ、科学技術庁長官がそういうようなへっぴり腰では、せっかくの理想というものが現実にはできないと思うのです。先ほども申し上げましたとおり、もう少し確信を持ってひとつこの推進に当たっていただきたいということを要望申し上げます。  次に、農林大臣にお伺いをしたいのでございますが、これも非常に問題が多いわけでございますけれども、まず第一点は、流通機構改革の面におきまして、第一点は芝浦屠場をはじめ、現在全国の各都市にあるところのいわゆる屠場を中心とする取引というものが、まだまだ非常に非近代的な形において行なわれております。この点は、昭和三十七年の行政管理庁からのいわゆる食肉行政に関する勧告によってもその問題点が明らかに指摘をされております。さらにまた、昨年の二月十七日の農林委員会におきまして、私は当時の赤城農林大臣、さらに桧垣畜産局長にも、問題点を指摘してその改善について強く要望しまして、この議事録の中にも明らかにしてあるとおり、当時の農林大臣、さらに畜産局長としても、これの解決については大体二十億程度の出資をして早急に解決をはかり、少なくとも四十年度の上半期を目途としてこれの解決をはかることが説明をされ、さらに東京都においても四十年度中に予算計上を行なってこれの解決をはかるということが答弁されております。ところが、聞くところによりますと、いまだにほとんどこれがそういうふうな改善の見通しも具体的に立っていないということであります。少なくとも芝浦屠場のこの改革は、単に東京都の一千万都民の台所につながる問題でなくして、非近代的な相対取引というものが、今日全国主要市場の相場をきめるようなきわめて重大なかなめになっておるわけであります。これがいまだにそのまま放置されることはきわめて遺憾でありまして、この点、ひとつ大臣として積極的な取り組みと、これに対する御所見を承りたいと思います。
  34. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 兒玉委員の御質問、御指摘の点でございますが、そのとおりであると思いますが、この芝浦屠場を中央卸売市場にいたしまする件については、御存じのとおりに昭和三十八年の八月の閣議決定以来の問題でございまして、それは御存じであろうと思いますが、その後農林省も側面的に力を注いでまいりましたことも御了承のとおりであります。ところが、それが三十九年の十二月になりまして大体案が固まりまして、東京都が中心でこれを中央卸売市場にする、その場合においての卸売り関係の会社を設立するといったような点についても大体話がまとまったわけでございまするが、その後発起人関係でいろいろ問題が起こりましたのであります。そこで、昨年の七月までにこれが開始する予定でございましたが、そういうことで問題がやはり続きまして、しばらくおくれましたのであります。昨年の十一月に再びそれらがもとへ戻りまして、そして今度は、――大体ことしの五月ごろに開始するという予定をもっていま進んでおるのでございまして、今度は農林省としても、これはひとつ絶対なし遂げたいという決意をもって、私どものほうも側面的ではありますが東京都をひとつ強く援助して、でき上がるようにいたしたい、かように存じております。これは、結局蔬菜のようにたくさんは要らぬと思いますが、少なくとも東京、神戸、西下して北九州、三カ所ぐらいには肉の中央卸売市場を置きたい、こう考えております。そのほか、府県によるところの条例によって、これに準じたものをつくってまいりたいと思いますが、小さい都市は、これは食肉センターといったようなことで、そこまでいかなくともいいんじゃないかというので、そこら辺は蔬菜とはだいぶ違いますが、まず第一に中央の芝浦の問題は、本年は絶対にこれをなし遂げるべく東京都と相協力をいたしまして、その点を覚悟――覚悟というのはおかしいが、十分力強くそれを念願しておるわけでございます。
  35. 兒玉末男

    兒玉委員 せっかく屠場の関係でありますので、これに関連する問題として公取と厚生省関係にお伺いしたいのでありますが、この勧告によりまして、特に屠場関係の取引というのは非常に旧態依然としておりますが、問題は、価格の変動を見ましても、供給の面が相当ふえましても消費者価格というのは依然として下がらない、こういう点については、地域によって小売り価格の申し合わせという点が常に指摘をされるところでありますが、この点、特に公取関係として、どのような指導を行なっているのか。  さらにまた厚生省関係については、特に食肉関係については、この処理過程において、衛生上の問題というのが常に指摘をされるところでございますが、これらの点の指導というものが、その後どの程度改革をなされたのか、これらの点についてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕
  36. 北島武雄

    ○北島政府委員 芝浦屠場の食肉の取引が非常に非近代的で不明朗な方法で行なわれている、それがえてして全国の指導価格になっているきらいがある、こんなお話でございましたが、これにつきましては、不明朗ではございますが、ただちにそれが独禁法上の不公正な取引方法に該当するか、あるいは不当な取引制限になるかについては、疑問があるところでございますが、これに対しては、先ほど農林大臣もできるだけ早く中央卸売市場の設立を促進して、そうしてそういう取引をやめさしたい、こういうお話でございますので、その監督官庁の御指導に期待しているわけでございます。一般の食肉の小売りの価格の問題につきましては、これは私どもも非常に関心を持っております。何分にも食肉の価格は、これは消費者物価に影響するものでございますので、公正取引委員会といたしましても、過去におきましても、また現在におきましても、諸所において行なわれております価格協定につきましては厳重な取り締まりを実施いたしております。
  37. 舘林宣夫

    舘林政府委員 昭和三十七年二月に行政管理庁から屠場の監察結果の報告を受けまして、現在屠場の状況が非常に衛生的にも整備が不完全であるというような指摘があったわけでございます。これに基づきまして、同年直ちに厚生省から各都道府県に指示をいたしたわけでございますが、先ほどお話のございました芝浦その他なお衛生的に不完全なところがございまして、施設によりましては、私のほうから直接係官を派遣して、具体的に不適当な個所を指摘して改善を指示いたしておるわけでございまして、芝浦に対しましては、昨年改善個所を具体的に明示して、その改善方を指示いたしておるわけでございます。そのほか、機会を求めまして、当局から各都道府県の屠場に対する監督を厳重にするようにいたしておりますが、屠場の整備に関しましては、昭和三十二年度から十年計画をもって、全国五百カ所の老朽化しております施設を改善するために、国において融資をいたしましてその改善方をはかっておりまして、今日までに八十五億円を融資いたしております。本年度も十一億円のワクをもちまして屠場の改善をはかるように措置いたしておりまして、今後ともその改善には努力してまいりたい、かように思っております。
  38. 兒玉末男

    兒玉委員 それでは、引き続き農林大臣にお伺いいたしますが、これは特に国民生活関係の深い米の関係でございまして、現在の生産から配給までの過程におきますと、その過程における改革ということが非常におくれておるわけでありますけれども、先般いわゆるアメリカ式にバラの輸送をするという、カントリーエレベーターという表現が使われておりますが、現在北海道なり秋田、新潟等四カ所かでこれが試験的に行なわれまして、いわゆる生産から貯蔵、さらに乾燥、輸送、調製、こういうことで相当の実効をあげまして、いわゆる流通過程における相当のコストダウンが行なわれておりますが、今年度の予算編成でも、こういうりっぱな機構というものが現実に行なわれておるにもかかわらず、わずかに四カ所程度しか予算措置がなされておらない、こういうことがいわれておりますけれども、この米の大量処理によってやはり米のコストダウンができる、この点についていま少し積極的な取り組みによって、国民消費部門におけるウエートを幾らかでも低くすることが可能ではなかろうか。この大量処理に対する大臣の今後の御所見を承りたい。  さらにもう一つは、現在四十一年度から多少は改革されました米の配給ルートの問題でございます。御承知のとおり、もちろんやみ米の流行ということは年々減少の一途であり、本年度も大体全生産量の一〇%程度はやみ米としてこれが市民の間に配給されておるわけでありますが、この配給管理の点については、非常に徳用米等が一般市民からうまくないということを言われておりますが、少なくとも米の配給管理機構ということはきわめて重大な問題でありまして、こういうようなやみ米のいわゆるルートというものをもう少し規制をして、公平なルートから市民にこの米が配給されるような制度を確立する必要があるのではないか。一つの意見としては、そういうことだから一部を自由販売しろ、こういう御意見もありますけれども、これからの米の需給関係というのは、農村の労働力の不足がもたらす結果として、きわめて重大な段階に至る過程でもございますので、この流通部門における大量処理と、米の配給管理機構に対するところのいわゆる管理の適正ということ等について、大臣の御所見を承りたいと存じます。
  39. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまのカントリーエレベーター、モミ貯蔵、これは昨年は三カ所できました。今年は五カ所できることになります。それからなお国の助成でなしに、自力で一つできておりますから、四カ所今度やったわけであります。これによって生産の面及び集荷、それから調製の面において労働力のセーブにもなり、将来の問題として非常にこれは大切な問題だと思いまするので、私どももでき得る限りこれらの施設を伸ばしていくことを念願しておるわけでございます。その点は、いま御指摘のとおり、そういうふうに進みたいと思っております。ただ、現在これがどれだけの流通整備になるかという問題になると、これはいろいろ問題がございまして、全般的にこれをやりまするのには、やはり消費者の面、それから産地の面、輸送の面、それぞれの面においてまだ問題になることが相当多うございますし、それらの問題の研究をこれからやらなければならぬということでございまするし、それからまた、いよいよこれを実行するということになりますというと、受け入れ態勢の設備の問題、それから輸送の設備の問題といったような点について、いろいろまだやるべきことが非常にありますので、将来としてこれはやらなければならぬものではありますけれども、いまこれをすぐ流通系統の中に入れてしまうわけにはいかない。だから、それらの点についてはいま検討中でございます。十分検討していかなければならぬ、こう考えておるわけでございます。いまお話しのように、これらのことをそれぞれ研究しながら進めていきたいということについては、御指摘のとおり、私どもとしてもそれを進めていきたい、こう考えておるわけでございます。  それから、配給の際においてやみ米の問題がございまするが、これは確かにございます。これは非常に大事な問題でありますので、きちっと一つも残らずというふうにはやり得ないので、その点は非常に残念でございますが、しかし、でき得る限りつとめておるつもりでございまして、買い入れ比率というものを見ますと、三十三年には四二・七%、それが三十八年に五三・六%、それから三十九年には五四・七%、それから四十年の産米については五六・七%、今年はさらにその成績が伸びておるように思われます。そういうわけで、でき得る限りのことはやっておりまするし、業界に対しても自粛的にやらすのみならず、また食糧庁及び出張所あるいは食糧事務所等において、業務上の監督によってでき得る限りのことは進めておるようなわけであります。いまのところこういう実態でございます。
  40. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、農林大臣にお伺いしたいのでありますが、やはり住鮮食品の関係で、これは一つの例でありますけれども、現在神田等におきまして、相当量の野菜等の取引がなされておりますけれども、私たちがいろいろ調査したところによりますと、取り扱い数量の大体三〇数%というものが現在東京都二十三区以外に転送をされているということを聞いております。この点はいわゆる中央卸売市場法施行規則の二十条において、同一地区における転送は禁止されておるわけでありますけれども、卸売りから仲買い人の手に渡ってからこれが転送されている。このことは、私は輸送経費その他を含めても非常に不合理なことであり、消費者が商い野菜を買わされている事実もこういうところに基因をする。同時にまた、現在の神田なり築地市場等が非常に旧態依然で狭隘である、設備改善ができないところにもこのような一つの問題があるのじゃないか。同時にまた、出荷関係との調整なり、いわゆる市場生産団体とのそういう連携というもの、また需給関係の調整、こういうところに大きな課題があるのじゃなかろうかと存じますが、禁止されている転送が合法的になされることは、きわめて重大な問題でありまして、この規制なり、生産地と市場との需給の調整、こういう点について大臣としてはどういうような指導をしていかんとするのか、この点をお聞かせいただきたいと存じます。
  41. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまの問題でございますが、確かに東京都、あるいは大阪もそうかもしれませんが、東京都においては、少なくともこの中央売卸市場に寄ってまいりましたもののうち、これは何%かということは私もはっきりわかりませんが、相当の量がやはり近県の地帯にいっておりますることは御指摘のとおりでございます。もっとも、これは多くは仲買い人の手を経て出ていくものでありますから、規則違反とか、あるいはそうことにはならないのでございます。その会社がやるのじゃありませんから、荷受け会社がやるのではないと思いますから、仲買い人のほうがその荷受け会社から手に入れたやつを持っていくわけでございまするので、別に規則違反ということにはならぬかとも思いまするけれども、しかし実際の面からいうと、これはやはりあまり正面から、たてまえの上からいうと御指摘のとおりおもしろくないと私も思います。そこで、現在そのたてまえと実際とがなぜそういうふうな違いが起きて来たかという問題でありますが、結局は東京都の、この大都市の卸売り市場はやはり信用力が大きいし、また大型でもあるし、また産地においてもしたがって出しやすい。また信用して出すということでありまするから、寄ってまいると思うのです。それを買って、仲買い人のほうが不足の地帯へ持っていくということになるのであります。だから、実情としてはある程度はやむを得ぬというようなところもないことはないと思うのですが、たてまえの上からいうと全くこれはおかしい。そこで、このたてまえの点と、実際上の違いというものをどう調整するかということは、これは規則違反とかなんとかいう問題でなしに、現実問題でこれはどうしても解決しておきたいと思うのでございまして、現在開設者、つまり東京都なら東京都と市場の開設者のほうとで検討中でございます。現実にこのたてまえと実際との違いをどう調整をとるべきであるかということについていま検討中でございます。
  42. 兒玉末男

    兒玉委員 あと農林大臣、二点だけお伺いいたしますが、第一点は、やはりこの生鮮市場に関する問題でありますが、現在東京都内の市場で扱っている全体の墨は、東京都の消費量の大体四割ちょっとこしたくらいじゃないかと思っておりますが、あとの六割は何らかのルートを通じて東京都民に供給されておるわけです。いままで申し上げましたように三五%近くが転送されるというような実情でありますならば、やはり残りの六割程度東京都民に供給されている生鮮食料品についてのいわゆるルートというものがどういう形になっているのか。さらにまた、このような生産供給の関係というものはどのような状況になっているのか。今日高速道路網も整備されたわけでありまするから、いまの神田市場等だけでは十分さばき切れないという現実から判断をいたしましても、新たな市場設置ということ等も前向きの姿勢で考えていくことは、きわめて必要ではなかろうかと考えますが、この点について御所見を承りたいと存じます。
  43. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 ただいまの御指摘の点につきまして、数量的には私自身は検討しておりませんのでありますが、そして私は、実は古い当時のことをよく記憶があるのでございまするが、その古いことを言ってもいかぬから、そうですな、政府委員に説明いたさせます。
  44. 森本修

    森本政府委員 お答え申し上げます。  東京都の生鮮食料品流通の経路の問題でございますが、大体私どもが調査をしておりますところでは、いわゆる中央卸売市場を通じまして配給をされますものといいますか、流通をされますものと、いわゆる類似市場といっておりまして、中央卸売市場ではなしに、他の開設者によりまして開設をされております市場、それを通じておりますもの、二つあるようでございます。後者の、類似市場で取り扱いをされておりますものが、現在約一割程度というふうに想定をいたしております。したがいまして、それ以外のものは大部分中央卸売市場を通じて流通をしているもの、こういうふうに想定をいたしております。
  45. 兒玉末男

    兒玉委員 ただいまの数字では、まだこれは的確とは言えませんが、今後の課題として大臣としても十分御検討をいただいて、非常に狭隘な現在の市場の回復のためにも一そうの御努力をお願いしたい。  最後に、これは流通関係以外のことでございますけれども、これは特に関門等の商品取引所の問題でございまして、これに関連する非常に悪質な業者が介在しまして、これは全国的な問題でありますが、なかなか表面に出ておりません。私の手元にも十数人から投書が参っておりますが、この取引市場を通じてこれに介在する業者の非常に過大な宣伝等によって、投資者が二百万から三百万とばく大な損害を受けておる事実がいま出ております。この点については、特に市場の監督は農林省だと思いますが、このような相当多数の犠牲者に対しまして、一体そのような悪徳業者に対するところの取引行為の制限なりあるいは監督等は当然厳重に行なってしかるべきであるにもかかわらず、今日これが放置されたような形にあることが、多くの出資者から投書が参っております。このような点の具体的な問題は後日にいたしまして、当面緊急を要する問題ではなかろうかと考えますので、特に大臣として厳重な措置なり勧告がなされるように私は要望申し上げますと同時に、この事態に対する農林省としての処置なり、また見解を明らかにしていただきたいと考えます。
  46. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 商品取引所の問題につきましては、ただいま御指摘のとおりに、特にたとえば雑穀のような、アズキの問題とかいうような件について相当問題がありまして、農林省としてもこれに対して厳重な監督を加えておるのでございます。すなわちお話のとおりに、過大な宣伝をしたり、それからあまり資格のない外交員をずっとなにして、たいへんたくさんな人を勧誘して、そしていわゆる受託業務の問題にしても、受託証拠金なんかでも、何か準則の中へ同意をちょっと書き入れるようなことにして、知らぬうちにそれでもってどんどん進めておるというようなことがありまして、御指摘のようにたいへん問題がございます。そこで農林省といたしましても、これに対して厳重な監督を加えて、定款を変えさせるなり、あるいは取引所を通じて厳重な指導あるいは監督をやらしておるという実態でございます。しかし、大体において、将来の問題としては、この制度そのものについても検討を加えなければならぬと思いますのは、初めはどうもくろうとの人らが多く入って取引をやっておったのが多いのに、最近は、そういうぐあいに宣伝もありましょうけれども、非常に大衆的にこれを利用するということになって、知識のない人たちがそれでついこの問題につり込まれていくというようなこともあるわけでございます。法律そのものについても、くろうと同士の取り締まりということでできておったように私は思うのでございまして、そういう点からも将来としては――現在はでき得る限りの範囲で監督指導をやっておりますけれども、なお将来としては、この問題は制度としてもっと検討を加えるべきものじゃないか、こういうふうに思って、いま検討を加えさせておるわけであります。
  47. 兒玉末男

    兒玉委員 この点は時間の関係もありますので、後日また農林委員会等を通じて若干の質問をしたいと思いますので、農林大臣に関する質問はこれで終わります。  次に、あと二点でございますが、運輸大臣にお伺いしたいのであります。  これは、先般の全日空の航空事故に関連する問題でありますけれども、今日ほど国民が航空事故に関しまして重大な関心を持っていることはないと思っておりますが、特に私、昔航空隊におった関係もありまして、航空機の整備ということが今日ほど重要な時期はないと存じます。そういう点から考えますと、現在国内の航空で日本航空、全日空、日本国内航空、東亜航空の四社がございますが、一体現在の航空機の整備機構、こういうものはどういうふうなシステムになっているのか、また航空事業の認可にあたりましては、特にこの点が重要な一項としてその基準の中にうたわれておりますが、現在四つの航空会社は、完全に自分の企業のもとにそのような整備機構を完備されておるのかどうか。この点、非常に重大な問題でございますので、大臣の見解を承りたいと存じます。
  48. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 各航空会社の整備修理の機構についてお答え申し上げますが、航空機の整備及び修理について、それが航空機の耐空性に影響のあるものについては、すべて法定の資格を有する整備士の確認または運輸大臣の検査を要することといたしております。各航空会社の具体的な整備体制は種々異なっておりますが、いずれも前述の要件を満たしています。したがって、整備または整備の一部を外注によってまかなっている場合におきましても、右に適合する処置をとっております。  なお、運輸大臣が検査し、または整備士が確認する方法は、当該修理または整備が、運輸省令で定めている技術上の基準に従って行なっているかどうかを確認することによって行なっております。  それから、整備体制を持たない会社の責任体制の問題でございますが、航空会社の免許にあたりましては、最小限度日常点検についてはみずから行ない得ることを要件としておりますが、それ以外の整備につきましては、外注によることをも認めております。しかし、外注によります場合においても、自家整備によります場合におきましても、法定の資格を有する整備士の確認または運輸大臣の検査を要件としておりますので、責任の度合いにつきましては同様でございます。  それから、航空事業会社の免許にあたりましての整備修理機構についての基準でございますが、免許申請に対しましては、航空法第百一条一項に規定する免許基準に適合するかどうかについて審査しますが、同項第三号には、「事業計画が経営上及び航空保安上適切なものであること。」との基準が設けられております。したがって、申請書記載の事業計画中にある整備の施設の概要、それから航空整備士の資格別の数等整備に必要な事項につきましては、航空保安上適切なものであるかどうかについて厳重に審査をし、適切なものでなければ免許しないことになっているのでございます。  なお、免許を受けたときは、さらに航空法第百四条により整備規定を定め、「運輸大臣の認可を受けなければならない。」ということになっております。  それから、先ほどの四会社の整備の実情につきましては、政府委員から答えさせます。
  49. 佐藤光夫

    ○佐藤(光)政府委員 御質問の四会社の具体的な整備の機構につきましては、日本航空につきましてはすべて自社修理でございますが、それ以外につきましては、日常点検等を除きます修理につきましては、それぞれ外注をしている現状でございます。ただ、それらの各社におきまして、整備本部長あるいは整備管理部長等の整備の責任者がおりまして、その整備の実情を把握していることは御承知のとおりでございます。
  50. 兒玉末男

    兒玉委員 いまの御説明にありましたとおり、直接の工場を持っているのは日本航空だけという御説明でありますが、このような重大事故が発生した場合、特に私は航空機の整備の責任ということはきわめて重大な様相を持つものではないかと思うのです。先ほど大臣の答弁にもありましたが、外注する場合等においてはその外注工場の適正かどうかということがまず基準となるということの説明がありましたが、このような状態ではたして今後の航空事故の絶無ということを積極的に期待できるのかどうか、いま少し私は整備関係等についてはその基準というものを厳格に規制していく必要があるのではなかろうかと考えるわけであります。特に今回の事故にかんがみまして、このような機構上の問題、あるいは免許基準等の点について、特に整備に関する点は、もう少し機構の強化と基準の改革ということが必要じゃないかと考えますが、この点に対する大臣の御所見なり、また、政府委員、担当局長の御見解を承りたいと存じます。
  51. 中村寅太

    中村(寅)国務大臣 今回の全日空の事故を契機といたしまして、将来事故を再び起こすことのないようにということで、先般も航空企業の責任者を全部集めまして、各会社だけの責任でなくて、やはり日本の航空企業全体の一つの力を総合して事故をなくすように、あらゆるくふうをするようにということを慫慂しておるのでございます。いま兒玉委員も言われますように、整備基準というようなものも、これは厳重過ぎるということはないと思いますので、現在も完全に事故のないようにというたてまえではやっておると思いますが、さらにその基準等にも検討を加えてまいりましょうし、さらに整備等の一つの機構につきましても、一会社でできない場合はどういう形でするか、航空企業全体の一つの機構としての問題等も私は考え方によってはあると思いますので、そういうことを含めまして、今後の問題として至急検討してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  52. 兒玉末男

    兒玉委員 最後に、経済企画庁長官に要望申し上げまして私の質問を終わりたいと存じますが、特に消費者物価の安定という点から、流通機構整備ということが非常におくれておるわけであります。なおまた、三十八年の閣議決定による流通機構改善要綱、さらには三十九年の十二月十七日に産業構造審議会の流通部会からも、現在の機構の現状と問題点についてきわめて建設的な意見が提起をされて、この改革が主張されておるわけであります。幸い、企画庁の中にできました国民生活局に対する一般国民各層の期待というものは非常に強いわけでありまして、これの機構の強化とともに、いま少し企画庁が種極的な姿勢をもって、このような今日の消費者物価形成の中における重大な問題である流通機構改革について今後ひとつ積極的な努力をされまして物価安定に対して寄与されるように、一そうの努力を特に要望申し上げまして、私の質問を終わります。
  53. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいま国民生活局を拡充強化して大いにという御趣旨をいただきまして、われわれ非常にありがたい御趣旨だと思います。消費行政、生活行政というものが日本行政に欠けておりまして、これをやってまいりますことが、今日のようにすべての経済需要が発達してまいりましたときには必要でございます。昨年六月発足いたしましたので、まだ必ずしも十分な活動と整備をいたしておりませんけれども、今後御趣旨に沿いまして、できるだけ努力して御期待に沿うようにやってまいりたいと思います。
  54. 福田一

    福田委員長 これにて兒玉君の質疑は終了いたしました。  次に森本靖君の質疑に入ります。  ただいま参考人として、日本放送協会経営委員会委員長靱勉君の御出席をいただいております。  靱参考人には、御多忙中のところ御出席いただき、ありがとう存じます。  靱参考人の御意見は、委員の質疑に対する答弁の形で承ることにいたしますので、御了承願います。  森本君。
  55. 森本靖

    森本委員 まず郵政大臣にお聞きしたいと思いますが、御承知のとおり、日本におけるマスコミのただ一つの立法でありまするところの放送法の改正問題が、すでにもうここ数年来問題になっておるわけでありまして、この臨時放送関係法制調査会の答申が三十九年の九月に出ております。あれからまる一年数カ月たっておりまするが、いまだにこの放送法の改正案というものが国会に上程をされない、こういうふうな状況になっておるわけでありまして、さらに今日放送衛星の問題が提起せられておりまして、放送界におきましては、かなり将来の見通しその他についてある程度の疑義とそれから混乱を生じておる、こういうふうな情勢にあるわけでありまするが、今後この放送法の改正案というものを一体郵政大臣は今国会のいつごろ上程せられるつもりであるか、まずこれを聞いておきたいと思います。
  56. 郡祐一

    ○郡国務大臣 仰せのとおり、昭和二十五年に放送法、電波法が制定されまして以来、非常に激しい変化、ことに最近におきまする変化は著しいものがございます。法制局との間にも非常に取り急いで成案を進めておりまするので、可及的近い時期にぜひ御審議をいただく運びにいたしたいと思っております。
  57. 森本靖

    森本委員 可及的近いということは、これは大体大臣のきまりきった答弁でありまするが、すでに昭和四十一年度の日本放送協会の九百二十五億円にのぼるところの予算案が国会に上程を見ておるわけであります。ところがこの日本放送協会予算案を承認をするかしないかということについて、国会がきめるについては、放送法の改正によってNHKの機構が今後どうなるのかという問題がはっきりしない限りにおいては、この日本放送協会予算を承認するという審議を開始するわけにはまいらぬわけであります。そういう観点から、私はこの放送法の改正案を出すとするならば、可及的すみやかにという大臣の答弁でありますけれども、これははっきりと日を切ってもらわなければ、日本放送協会予算の審議にも影響することになるわけでありまして、その責任は、これは一応全部政府にかかってくる、こういうかっこうになるわけでありますので、重ねて私はお尋ねいたしたいと思いまするが、可及的すみやかにということは大体いつごろをめどにせられるか、これは国会の予算の審議の関係もありますので聞いておきたい、こう思うわけです。
  58. 郡祐一

    ○郡国務大臣 ただいま取り運んでおりまする手順でいきますると、三月上旬というぐあいに御理解をいただきたいと思います。
  59. 森本靖

    森本委員 三月の上旬に放送法の改正案が出される、こういうことでありまするが、今日まで民間放送連盟あるいはまたNHK協会あるいは新聞社、こういう各方面の意見を与野党ともそれぞれこの問題については聞いておるわけでございます。ただしかし、ここで私は特にNHKの経営委員長をお呼びいたしましたことは、いままではNHKの会長なりあるいはまたNHKの理事者諸君というものが、NHKの将来についてはこういうふうにありたいということをNHK当局としては要望しておるわけであります。しかしながら、御承知のとおり、NHKの機構というものは政府も関与してはならぬというかっこうになっておるわけでありまして、要するに国会がNHKの予算を承認するかしないか、決算を承認をするかしないか、この二つの点だけがNHKに関するところのいわゆる監督といいますか、指導といいますか、その点だけになっておるわけであります。これは、要するに公共放送という言論機関の放送の自主性と自由を守ろうという、この放送法の趣旨に基づいておるわけでありまするが、今日までNHKはそういう観点からいろいろ意見を出しております。ただ経営委員会というあり方は、これまたNHKの理事者、執行者とは違った観点からNHKの機構を見なければならぬ仕組みになっておるわけであります。と申しまするのは、NHKの会長以下理事者は、当然NHKのことを考えながらそういう要望を出すと思いまするけれども、NHKの経営委員会のあり方というものは、その経営委員会の承認は国会が承認をいたしまするけれども、元来は国民の代表として、NHKの決議機関としてあるべき姿になっておるわけであります。そういうことからいきますると、NHKの経営委員会のあり方というものは、国民的な視野に立って考えていかなければならぬ、こういうことになるわけでありまするので、場合によってはNHKの理事者もしくは執行者と違った観点から見る場合もなければならぬわけであります。そういう点からいたしまして、今回の放送法の改正にあたって、NHK当局の意見というものはわれわれはよく聞いておりまするが、経営委員会として一体このNHKのあり方について、今回の放送法の改正についてどういう考え方を持っており、どういうことを討論をされたか、こういう点について、御苦労さまですが、ひとつ経営委員長の御意見をお伺いいたしたい、こう思うわけであります。
  60. 靱勉

    ○靱参考人 放送法の改正に関連しましてNHKがどうあるべきかということにつきましは、いま森本先生から、協会の執行部と申しますか、そのほうからは意見を聞いておるが、経営委員会としてはまた別の観点から考えられるべきものもあるだろう、こういう御質問でございますが、お耳に達しておりますところのNHKの意見というものは、経営委員会においての意見も織りまぜて出しておるのでございまして、すでに森本先住のお耳に達しているようなNHKの意見というものは、経営委員会も全く同じ意見であるというふうに御了承願いたいのでございます。今度放送法でそれがどういうふうに織り込まれるかということは、これは政府御当局のお考えによってきまるので、まだその内容を私どもは承っておりません。
  61. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これは郵政大臣に私はお聞きしてみたいと思いますが、放送法の改正案についても、すでに三月の上旬に出されるということになりますと、かなり詳細に郵政省としては検討しておると思うわけであります。そこで、一番大事な点は、マスコミにおける法律というものは、この放送法しかありません。そういう観点からいきますと、この放送のいわゆる自主的な報道の表現の自由ということは、これは私はあくまでも守っていかなければならぬ、こう考えておるわけであります。そういう観点からいきますと、現行の放送法の第一条の一号、二号、三号、特に二号の「放送の不偏不党、真実及び」云々、あるいはまた「放送に携わる者の職責を明らかにすることによって、放送が健全な民主主義」というふうな、この大原則を私は絶対に曲げてはならぬと思いますし、さらにまた第三条におきます「放送番組は、法律に定める権限に基く場合でなければ、何人からも干渉され、又は規律されることがない。」、さらに現行放送法四十四条の三項の問題であります。この四十四条の三項の問題については、「政治的に公平であること。」、「報道は事実をまげないですること。」、「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。」、こういうふうな点については何ら改正をする必要はない、これは現行どおりでよろしいというふうにわれわれは考えておるわけでありまするが、大臣としては、その点についてはどうお考えですか。
  62. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私も、放送というものが、法律を制定いたしました時代よりもさらに重要さを増している、したがいまして、その公正さ、その真実性、民主性、こうしたことは十分維持をいたさなければ相ならぬと思うております。いま、一条、四十四条等をお引きでありますが、さらに四十四条の現在いうておりますこと、そのとおりだと思いまするが、青少年に対してさらに健全な精神の涵養をいたすような配意をいたしますとか、その精神は現在のままで、そうして加えるべきものがあれば加えるというぐあいに考えてまいるべきかと存じております。
  63. 森本靖

    森本委員 加えるべきものがあれば加えるということでありますけれども、その基本的な考え方については私がいま申し上げました点については、これは御異存がない、こう解釈をしてよろしいわけですね。  そこで、もう一点問題になっておりますのは、巷間伝わるところによりますと、いろいろ論議せられておることは、NHKの機構について、これは現行放送法においては、いわゆる予算の承認権、さらに決算の問題についての承認、不承認の問題が国会で論議をせられる。さらにNHKの経営委員だけが国会の承認事項になっておる。これだけが政府あるいは国会が関与するかっこうになっておるわけでありまして、NHKが出す予算にいたしましても、郵政大臣が単にそれに意見書を付して提案をする、こういうかっこうになっておるわけであります。この点について、いろいろ意見があるようでありますけれども、私は、現行の放送法におけるこの日本放送協会に対するところの態度というものも、やはりこういうふうにあってしかるべきではないかというふうに考えておるわけでありますが、その点について大臣としてはどうお考えになっておるか、これも聞いておきたい、こう思うわけです。
  64. 郡祐一

    ○郡国務大臣 NHKは国民という基盤の上に、国民のために奉仕する公共機関と私は考えております。したがいまして、国民に対する強い責任を持った機関だと思います。と同時に、他の公共企業体等と異なりましたその放送の性質から申しましても、自主性をどこまでも尊重いたさなければならない種類のものだと思います。したがいまして、一種特別の公共機関として私はどこまでも扱っていきたい。しかし同時に、国民に対する責任から申しまして、たとえば内部で監査機関が監査をいたす、そうしたことについて国会に報告をいたしますとか、さらに何らかの形で、国民にかわり国会なりまた政府なりに責任を負うという形は必要だと思います。しかし、その根本は、どこまでも一般の公共企業体などとは違った特殊な性質を持つものだという点を念頭に置いて判断をいたしてまいりたいと思っております。
  65. 森本靖

    森本委員 いまの答弁は大体八十点くらいでありまして、二十点程度気にかかる点があります。何か特殊な点について云々というお声がありましたけれども、現行の放送法におきましても、すでにこの会計については会計検査院が厳重に検査をし、国会にその承認を求めるというかっこうになっておるわけであります。これ以上にこの問題について関与するということになりますと、をもって介入せざるを得ないかっこうになるわけでありますが、大臣が先ほど申されましたように、国民のための公共放送という観点からいくとするならば、他の民間放送と同じように、表現と報道の自由を守るという観点からは、これ以上監督を強化し、あるいはこういうものに対して指導強化をしていくということは必要でないではないか。やるのなら、各民間放送におきましても、あるいはまたNHKにおきましても、それぞれ自主的な機関においてこれを行なっていくという考え方に立つべきではないか、こう考えるわけであります。  具体的に申し上げますならば、前回の放送法の改正のときに、番組審議会というものを強化して、それぞれのテレビあるいはラジオにおきます番組の内容の向上については、相当この番組審議会に期待をかけたわけであります。ところが御承知のとおり、この番組審議会というものは、それぞれの会社において持ってもよろしいし、場合によっては数社が合併して持ってもよろしい、こういうことになっておるわけでありまして、実際的にはこの番組審議会というものは、ある程度その理事者側の思う方向に引っぱられる可能性がなきにしもあらず、こういうふうなかっこうがあるわけでありますが、今後こういう点については、一番むずかしいところでありますけれども、番組を自主的に規制をし、自主的にこの倫理要綱というものについても考えていかなければならぬ、こういう点については、大臣一体どういう機構を持ったほうがいいというようにお考えですか。
  66. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私、現在の番組審議会の考え方は、いい考え方で出発しておると思います。しかし、どうもこれが十分期待したような能力を発揮いたしておりません。これは私は、もっとすべての放送事業者が一緒になりました、そうして第三者機関で権威のあるもの、宙主性はどこまでも持つけれども、その権威のあるものが判断をし、ほむべきものはほめ、戒むべきものは戒めるというくらいの権威を持って、そして同時に、国民が納得できるような仕事をするような人的構成を持ちますということ、すべての放送に関与いたします者は一体となって、そういう第三者機関を尊重していく、そうしたものを考えてまいる、こういう仕組みが望ましいものだと思っております。
  67. 森本靖

    森本委員 大臣のいま言ったことについては、私もある程度同感であります。そこで、そのこしらえ方については、かなりこれは慎重を要する問題でありまするけれども、いまの個々の番組審議会でやることよりかは、これを総合的に行なって、しかもその総合的に行なうものが権威あるものであり、しかも自主的なものでなければならぬ、そういう方向において、この番組審議会というものについては、ある程度考え方を変えていかなければならぬ、こういうことになろうと思います。大体そういうふうなかっこうで進めていかなければならぬと思いまするけれども、ここで一つ問題になりまするのは、日本の今日までの電波行政というものはかなり混乱をした点もあるわけでありまするが、その混乱をした理由というものは、そのときどきの大臣が、ずっと継承された郵政省の方針によって行なうということでなしに、それぞれの個々の大臣が、やめしなにぱっと免許をしていくとか、あるいはまた大臣が思いつきによって行なうとかいうことによって、ある程度今日日本の放送界が混乱をしておる原因もあろうかと思いまするが、そういう点については、今回の臨時放送法制調査会が答申をいたしておりますることは、現在の電波監理審議会というものは単なる諮問機関である、これでは何にもならぬ、これを一つの放送行政委員会とし、この免許問題についてはその行政委員会の議決を要さなければ大臣といえどもやれない、こういうのが答申の骨子になっておるわけであります。われわれといたしましては、この答申案の骨子というものは、現状よりもかなり進んだ答申案である、こういうふうに考えておるわけでありまするが、大臣はこれについてどういうようにお考えですか。
  68. 郡祐一

    ○郡国務大臣 答申は、必ずしも行政委員会という形でもないと思いまするけれども、拘束力の非常に強いものを考えております。しかし、私は行政委員会的な運用というのは、日本行政に必ずしもなじんでおりませんし、また御指摘の答申で言っておりますことは、いわゆる行政委員会ではないのだろうと思いまするが、拘束力を非常に強くするということは、行政一体性の上でいかがであろうか。私はむしろ電波監理審議会がかなりな能力を発揮しておりますので、これをもっと強力にするとか、改めるべきものは改めるとかいうような形で――したがいまして、答申が考えておりまする趣旨というのは、私よくわかります。そういうことを言われることは、電波というものは国民全体の非常に大事な宝なのでありますから、それに対しての考え方はよくわかりますが、これを答申の言うとおりの形ですぐとるかどうか、これは私多分に疑問を持っております。
  69. 森本靖

    森本委員 大臣考え方が一応そこではっきりしたわけでありますが、大臣考え方は、この放送行政機構についてはいわゆる答申案の考え方をとらないというのが大体前提にあるような答弁になっておるわけでありまするが、そうなりますと、次に私がお聞きしたいことは、この免許関係におきまする問題についても、いわゆる答申案については大臣がそのつど、その大臣の思いつきによってやるということよりも、免許における基準、条件というようなものについては、ある程度法制化しておけということが言われておるわけであります。こういう点については、今回の改正案にあたって、大臣としてはどうお考えなのか。  さらに電波の分配計画について、これはいわゆるチャンネルプランといわれておりまするが、こういうものについても、この答申案においては、このチャンネルプランについても、その基本的な性格については一応法律上に明確にしたほうがよろしい、こういうふうに載っておるわけでありまするが、大臣としてはこれについてどうお考えですか。
  70. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私も、免許というものが非常に限られた法律の制約のもとになされるものでなければ、決して正しい免許という姿にない。たまたまそれが一般の行政として扱って正しい結果が出ましても、保障がない。これは電波という貴重なものの扱い方の上で一つの法律上の欠点だと思います。したがいまして、免許についての基準をあとう限り正確に与え、そしていま御指摘のうちにもございましたが、いわゆるチャンネルプランのもととなります――と申しますか、電波の計画的使用、一々割り当て表を書くわけにもまいりますまいが、業務別の電波がかくあるのだということをはっきりと法律の上に基準を与え、それに基づいて免許という行政が行なえるように、この点はこのたびの法律改正の一つの主要な点として取り上げてまいりたいと思います。   〔委員長退席、赤澤委員長代理着席〕
  71. 森本靖

    森本委員 そこで、これは事務当局でもけっこうでありますが、いまUHFのテレビ局、FM放送のラジオ局の全国から申請されておりまする局が、一体何局程度出ておりますか。
  72. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  標準放送におきまして、十月十六日現在の申請数は十六でございます。それから超短波放送におきましては四百五十九、テレビの放送につきましては三百三十二でございます。
  73. 森本靖

    森本委員 FM放送が四百五十九、それからテレビが三百三十二出ておる。一般標準放送が十六出ておる。これが山のごとく郵政省に詰まっておって、さっぱりこれの進展がないということについては、おそらく放送法の改正待ちだろうと思いまするけれども、ここでちょっと聞いておきたいことは、技術的な問題でありまするが、FM放送について、いま国際的に割り当てられておりまする日本の電波においては何チャンネル程度とれるか。さらにUのテレビについては何チャンネル程度技術的にとれるか。これをお答え願いたいと思います。
  74. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 FM放送につきましては七十六メガから九十メガの範囲にわたっておりますので、この間を大体百KCセパレーション、百KC間隔で割ったくらいな数がとれると思います。それからUHFに関しましては、四百七十メガから、ずっと上になりますと九百四十メガまで割り当てられますので、その間を大体六メガで割った程度にとれると考えております。
  75. 森本靖

    森本委員 あなたも技術屋でありますが、このFM放送については七十六メガサイクルから九十メガサイクル、そのうち七十六メガサイクルから八十メガサイクルまでが現在は他に使用されておるわけでありますので、これを大体あなたは百KCと言いましたけれども、二百KCでバンドを置けば、大体FM放送が五十チャンネル程度はとれるのではないか。もし間違っておったら間違っておると言ってください。  それからUについでは六百六十二メガサイクルから大体七百七十メガサイクルまでにして、これを六メガサイクル程度の幅にすれば、ここで十八チャンネル、さらに四百七十メガサイクルから六百六十二メガサイクルまでの間をとるとするならば、これは使用が未定になっておりますけれども、大体三十二チャンネル程度とれるのではないか。そういたしますと、Uのチャンネルが約五十チャンネル程度とれるのではないか、こういうふうに言えると思いますが、これはどうですか。
  76. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 御説のとおりでよろしいと思います。
  77. 森本靖

    森本委員 そこで、昭和三十三年のテレビチャンネル合戦というようなことが言われましたけれども、現実にすでにこういうふうな波がある。しかも申請が四百程度出ておる。そのいわゆる方針というものはさっぱりきまらぬということで、今日この業界に疑心暗鬼の状態が起きておる、こう思うわけであります。  そこで、大臣にお聞きしたいと思いまするが、これは法律問題じゃございませんけれども、現行のいわゆるテレビ局のキーステーション局というものは、これは民放のことでありますが、御承知のとおり四局ございます。これ以外にNHKの総合と教育の二局、それに東京には十二チャンネルがありますが、これは手足がありませんから別途にいたしまして、キーステーションの局は四局あるわけでございますけれども、今後かりにそれぞれの各県にUの親局を置くといたしましても、現実には私はキーステーション局の四局というものは、日本の経済力からいいましてもこれ以上ふやす必要はない、こういうように考えておるわけでありまするが、大臣としてはその点についてどうお考えですか。
  78. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私も、直接法律の扱うことではございませんけれども、国の現状は四局をもって足りておる現状だと考えております。
  79. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、現在問題になりまするのは、各地方におきまして、民放が一局しかないというところがございます。この民放が一局しかないという点は、これがかなり独占的な支配になされておるという点もあるわけでありまして、答申案に基づきましては、そういうところについては最低二局を置いたほうがよろしい、こういうことに答申がなされておるわけでありますが、そうなってまいりますと、将来最低二局のところと三局のところと、こういうものができてくる、こう考えていいわけですか。
  80. 郡祐一

    ○郡国務大臣 実際問題としてはできてまいると思います。私は法律の上で何か国民は――民放についてのことでありますけれども、複数の聴視が可能になり得るのだというようなことを何らかの形であらわして、そして保証するというようなことが現在の段階では制度上必要なんじゃないだろうか、そんなぐあいに考えております。
  81. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、ここでちょっと問題になると思いますのは、ひとつ例をとって見てみたいと思いますが、これは例をとってまことに申しわけないと思いますけれども、事実でありますから申し上げますが、たとえば静岡放送株式会社でありまするが、ここはこの決算書を見てみますと、資本金が九千七百万円になっております。ところが当期剰余金の積み立て金が十億円になっております。さらに、この会社が他の会社に投資をいたしておりまする金額が一億五百五十二万円ですか、それだけ投資をしておる。これは、もうかり過ぎて笑いがとまらぬという会社だろうと思います。しかし静岡県においても、おそらく県民諸君はこの一局だけではなくして、他のものも見たいという考え方を持っておると私は思います。こういう点について、一体放送行政というものを大臣は統一してやっておるのかどうかということが非常に疑問に思われるわけでありまするが、その点どうお考えですか。
  82. 郡祐一

    ○郡国務大臣 御指摘の点は、郵政省としては適用基準に該当し、したがいまして再免許をいたしておるものでありますけれども、先ほど申しましたような、国民が可及的に、どこの地域においても同じ扱いを受けるという点から十分検討に値する問題だと思いまするけれども、事柄が何ぶんにも具体的の問題でありますので、よく考えさしていただきたいと思います。
  83. 森本靖

    森本委員 よく考えても、これは結論を得なかったら何にもならぬわけであって、考えていい結論を出して、県民の諸君が喜ぶという方向に持っていかなければならぬわけであります。  ちょっと聞きたいと思ますが、郵政省は昭和三十四年の九月二十二日に、この「一般放送事業者に対する根本基準第九条の適用の方針等について」というのを出しておるわけであります。その中に、「一の者が放送事業を行なうことによって、ラジオ事業テレビ事業及び新聞事業の三事業を兼営し又は経営支配をすることにならないこと。ただし右の者のほかに当該地域社会に存立の基礎をもつ有力な大衆情報の供給事業が併存する場合、その他、三事業の兼営又は経営支配を行なっても当該地域社会における大衆情報の独占的供給となるおそれのない場合はこの限りでない。」だから、このいわゆる「おそれのない場合はこの限りでない。」というのは、大体東京、大阪等に類するわけであります。しかしながら、先ほど申し上げました静岡県のような例については、これはやっぱりラジオ事業、テレビ事業及び新聞の三事業を兼営する――これは兼営になっておりません。おとうさんが新聞社の社長で、むすこさんが放送会社の社長でありまするから、現実にはこれは違った経営になっておりますけれども、実際問題としては、かなり役職員が兼任しておるわけでありまして、そういう点では、私はこの会社を責めることよりかは、いま一局早急にこれは許可をして、そうしてこの独占的なものを排除していくという方針が郵政省にあってしかるべきではないか。ところが一方その免許については、十幾つ押すな押すなで来ているから、どうやっていいかわからぬ。ああああ言うておるうちに、一つも何もできぬというのが今日の私は郵政省の実態ではなかろうか、こう思うわけでありまするが、郵政省としては一体こういう問題をどう解決をつけていくのか、その点についてひとつ大臣にお聞かせ願いたいと思うのです。
  84. 郡祐一

    ○郡国務大臣 再免許いたしました際には、これは基準に抵触するものでもないし、また将来の計画でもそういうことはないという判断をいたしてしていることと私は存じます。しかしながら、将来としてはやはり国民の適正な期待にはこたえるということが電波行政のもとだと思います。そういう観点でものを考えさしていただきたいと思います。
  85. 森本靖

    森本委員 大臣はなかなかりっぱなことを言っておるけれども、それを早急に実行に移していかなければ何にもならぬわけであります。というのは、やはりこの地方、おそらくいろいろおろうと思いますけれども、あまり要らぬことを言っておったら、新聞からもラジオからもテレビからも、全部シャットアウトされたら何もできぬから、まあまあ言うことを聞いておこうという、長いものに巻かれろという考え方ではなかろうか。そういうふうな独占的なものに支配を許すということは、私は今日の郵政省の考え方からいたしますならば、早急にこういう点については解決をつける方向にいかなければならぬと思う。だから、これ以上私はこの問題を深追いをしようと思いません。しかし、全国的にはこういうふうな例がまだ多々あちらこちらにあるわけであります。そういう点については、私は早急に解決をつけていくという方針をとるべきであると思う。今回の放送法の改正案が事実問題として上程されて審議をされると思いまするが、万が一この放送法の改正案というものがこの国会において通らないということになりましても、いま私が申し上げましたようなことについては、行政措置としてこれはできるんではないか、こう考えておるわけでありまするが、その点大臣はどうお考えですか。
  86. 郡祐一

    ○郡国務大臣 行政措置としていたし得ること、またいたさなければならぬ部分が、現在懸案になっておる問題で相当あると思います。ただ、私は、森本さんが先ほど御指摘になりましたように、電波というものの計画的使用、また免許のあり方、こうしたものをこの機会に法律的な基礎をこしらえて、それによってしたんだということで、行政の一貫性というものをどうしてもこの際持ちたい。提案がおくれておりますことを御指摘いただいて恐縮でございますが、提案いたしたら、ぜひこの国会で成立いたしますようよろしくお願いいたします。
  87. 森本靖

    森本委員 それは頼まれなくとも、審議は十分に審議いたしますので、それはあとの問題でありますが、ただ私が言っておりますことは、万が一にも通らなかった場合におきましても、そういう点については行政措置で現行の放送法においてでき得るということを大臣が明確にしてもらいたい。巷間伝うるところによりますると、この放送法の改正案ができなかったならば、将来UHFの問題についても、FMの問題についても、現内閣においてはできないというふうなうわさも飛んでおるわけであります。ところが、現行の放送法においてもやろうと思えばできるわけであります。やろうと思えばできるけれども、それに対しては慎重の上にも慎重な手続を踏んで放送法の改正をやって、筋を通して、その上においてやろうと考えておるのが今日の郵政省の考え方である、しかし、それがどうしてもできない場合には、郵政省としてはやり得るだけの法的根拠はあり得る、こういうことを私はこの際に明確にしておいてもらいたい、こう考えておるわけであります。
  88. 郡祐一

    ○郡国務大臣 おっしゃるとおり、すべきことはいたさなければいけませんし、これは、現在の法律的根拠でもできることでございます。
  89. 森本靖

    森本委員 そこで次に、この静岡放送のような問題については、相当まだ多々あっちこっちにも例があると思いますので、郵政省としても本日の私のこの発言を契機として――そういう点については、現行放送法においては注意を喚起するということは法律上ございません。ございませんけれども、あまりにも行き過ぎたようなやり方については、私はある程度将来については考えていくということを胸の中に持っておっていいのではないかというふうに考えますので、きょうの私の発言と大臣の答弁は、ひとつ忘れずに置いておいてもらいたい、こう思うわけであります。  さらにもう一点追及して――追及と言うとおかしいですが、やっぱり追及になりますが、東京における、先ほど申しました十二チャンネルの問題であります。この十二チャンネルの問題については、もともとこれは当国会におきまする科学技術振興特別委員会において、与野党が満場一致でこの科学技術振興財団に免許をせよ、こういうことでたしか決議をされたと思います。私は、これはやはり専門家の一員として、こういう問題はもちはもち屋にまかせておいたほうがよろしい、そういう点については少し疑問があると思いましたけれども、これは与野党が満場一致で決議をしてきてまいったものでありますから、結局免許がおりたわけであります。ところが、免許はおりましたけれども、その後におきまする十二チャンネルの経営というものは、全く行き詰まった経営状態になっておる。今日科学技術教育のテレビ局が必要であるということは、だれしも認める。認めるけれども、この経営問題というものは、ほとんどいま行き詰まった状態になっておる。こういうようなかっこうになっておるわけでありまするが、この十二チャンネルの現状についてひとつ御説明を願いたい。これは、大臣からでなくして、事務当局でけっこうでありまするが、現在のいわゆる経営状態というものを一応御説明願いたい、こう思うわけです。
  90. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答え申し上げます。  昨年の六月に再免許がありまして、そのときの東京十二チャンネルの経営状態というものは、収入が十七億、支出三十一億ということでございまして、約十三億幾ら、十四億近くの赤字が出ておりました。この大きな赤字の原因というのは、当てにしておりましたところの協力費というのが、大体一月に一億近く集まるという予定であったわけでございますけれども、これが予定どおりにうまく集まらなかった、こういうようなことでございまして、もしこれがうまくいけば、大体とんとんでいくはずであったと考えられるのでございます。それに加えまして、制作費等の支出が相当大き過ぎたと思われるのでございます。こういうような状態でございましたので、再免許にあたりましては、協力会組織の強化と、それから支出が収入を上回らないようにする、こういうような申請者の再免許条件というようなものを守ってもらうということにいたしまして、再免許した次第でございます。そういたしまして、四半期ごとに指定されました一週間の実施番組と、それから一年間の、すなわちことしの五月末まででありますが、それまでの経営状態を六月末までに報告してもらう、こういうことにしたのでございます。その趣旨は、経営の立て直しには、まあ大体一年くらい見ておかなければいけないだろうという、そういう考慮からでございます。でありますから、現在は二回の実施番組の報告を受けただけでございまして、うまく立て直しがいくようにということを期待をしておる最中でございます。ただいまの御質問がございました点でございますけれども、いま申しましたような状態というものが郵政省の現在の状態でございまして、立ち入りまして現在の経営状態の報告をとるということでございませんで、六月末まで待とうということになっております。
  91. 森本靖

    森本委員 この十二チャンネルの科学技術振興財団というものは、科学技術庁長官の許可による法人ではないんですか、ちょっと科学技術庁長官に聞きますが。
  92. 上原正吉

    ○上原国務大臣 そのとおりであります。
  93. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、これは放送法上については、この経営内容等についてはとれないけれども、いわゆる科学技術庁長官としては、これの収支内容その他については許可した以上はとれる、こう思うわけでありまするが、この内容については、科学技術庁長官としてはどういうふうにつかんでおられますか。
  94. 上原正吉

    ○上原国務大臣 放送に関しましては郵政省と共管でございますので、郵政省に報告のございまするとおり、私のほうにも報告がございました。その内容は、先ほど郵政省から御説明申し上げたとおりでございます。
  95. 森本靖

    森本委員 放送については郵政省との共管でありましても、郵政省としては放送法に基づいてしか権限がございません。いいですか。だから、再免許のとき、その他の条件をつけたとき以外にはとれないわけであります、放送法に基づいては。しかしながら、科学技術庁長官については、これはいわゆる「法人ノ業務ハ主務官庁ノ監督ニ属ス」「主務官庁ハ何時ニチモ職権ヲ以テ法人ノ業務及ヒ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」ということがあるわけであります。そういう観点からいきますると、この十二チャンネルの経営状態その他を調べ得る権限を持つものは、これは郵政大臣ではありません、科学技術庁長官ならこれはできるわけであります。だから、そういう観点からいくとするならば、今日総負債額が四十億円にのぼっておる、あと数カ月もせずして十二チャンネルはつぶれるかもわからぬ、こういうふうにいわれておる段階において、所管官庁である科学技術庁長官は、その内容についてどういうふうにつかんでおられるか、こういうことを聞いておるわけです。
  96. 上原正吉

    ○上原国務大臣 財団法人も郵政省と共管でございまして、そして民法上の定められた権限は同等でございまするし、仕事は放送についてでございまするから、ほとんどその事業の内容が……。ですから、報告は私どものほうにまいりまするのも郵政省にまいりまするのも同じでございまするし、監督の権限も同じであると考えております。
  97. 森本靖

    森本委員 それなら電波監理局長、先ほどの答弁は違うじゃないか。放送法上から君のほうはそういう内容についてはとれぬ、こういう答弁があったから了承した。しかし、この民法上によるところの許可をした共管の大臣であるとするならば、放送法上からではなくして、民法上からこれに対するところの監督その他の権限を行使して、この業務及び財産の状況を検査することができ得る、こういうことになるじゃないか、郵政大臣としては。その点どうかね、局長は。
  98. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 お答えいたします。共管の分野が定めてあります。
  99. 森本靖

    森本委員 共管の分野がどういうように定めてあるのか、だれが監督しているのか、ひとつもわからぬじゃないか。
  100. 上田弘之

    ○上田(弘)政府委員 日本科学技術振興財団のうち、放送事業に関する部分を郵政省としましては分野として共管しております。
  101. 森本靖

    森本委員 そうすると、郵政省としては、放送法に基づかず、民法上の第六十七条の法律の権限において、この「職権ヲ以テ法人ノ業務及ヒ財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」ということに法律上なるのじゃないですか。
  102. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 お答えを申し上げます。  御指摘のように、民法に基づく監督もいたしておりますが、それに先行いたしまして、電波法上の無線局としての監督が優先いたすことになっております。したがいまして、私どもの場合は後者の監督による報告をもらっておるわけでございます。
  103. 森本靖

    森本委員 そんな答弁があるか。この十二チャンネルというものは、これだけ今日新聞でも問題になって、四十億円も借金ができてつぶれかかっておる。これをどうしたらいいかということが問題になっておる。そのときにあたって、そういう内容について、立ち入っては郵政省としては放送法に基づいてはできない、それはやってはいけないわけだから。できないけれども、実際にいわゆる法人の業務の監督という点からいくとするならば、郵政大臣としてはできるということであるとするならば、これは第六十七条の二項の権限を発動して、そうしてこの十二チャンネルのいわゆる業務及び財産の状況を検査する責任があるのじゃないか、あなたのほうは。それを放送法上が優先するなんというのは、一体どこできめたんだ。あなた、そんなばかな答弁がありますか。
  104. 鶴岡寛

    ○鶴岡政府委員 お答え申し上げます。  科学技術庁とのただいま申し上げておりましたような協定によりまして、私どもは放送の分野について監督をいたしております。したがいまして、財団の総体につきましては、科学技術庁において監督をいたしておるわけでございます。
  105. 森本靖

    森本委員 それであるとするならば、放送のほうの分については分担をして民法上の財団として監督をしておるということであるとするならば、これだけ問題になっておりますから、現行の収支状況というものはどうなっておるか、六月まで待たなければわかりません、こういうふうな電波監理局長の答弁でありますから、そんなことはない、現状をつかむことができ得るはずである、こういうことを言っておるわけであります。これはつかみ得るわけであります。放送法上ではそういうことはやってはならぬ。しかし、民法上ではできるわけでありますから、現実に今日十二チャンネルというものの経営状態が一体どうなっておるか、このことを聞いておるわけであります。そうしたら、電波監理局長は、六月にならなければわからぬ、こう言うから、そんな六月にならなければわからぬというような言い方があるか、いま現にわかっておらなければならぬはずである、こういうことなんです。大臣、どうですか。
  106. 郡祐一

    ○郡国務大臣 私どもも、放送関係法制の根拠に基づくほかにも方法がありますならば、事態をはっきりさせる必要がございますから、これは科学技術庁長官とよく相談もいたしながら、できる限り早く事態を調べるようにいたします。
  107. 森本靖

    森本委員 これは、大体こういうふうなことが言われておるわけであります。開局当時は月一億円以上の赤字を出した。しかし、現在は制作費や人件費を切り詰めて、大体七、八千万円の赤字だ。しかし、これに対して設備投資の約二十億円の借り入れを加えますと、その負債総額は大体四十億円を上回る。これらの負債のうち、協力関係の財団の負債が約八億円、開発銀行からの長期融資が五億、こういうふうなことでいろいろやっておるようでありますけれども、そういうことをやっておりましたら、この負債の利子を支払うのに、結局毎月三億円以上の水揚げがなければこの会社は立っていかない。ところが、肝心の水揚げが現在は一億二、三千万円である。だから、十二チャンネルは現在波を出せば出すほど赤字の状態である。だから、これを一体今後どういうふうに持っていくのか、どういうふうにこれを再建するのか。私は、この十二チャンネルができるときに、もちはもち屋にまかせろ、こういうふうに手足のない科学技術教育局を持ったところで意味がないということをいつか言ったことがあります。案の定この十二チャンネルについては行き詰まってしまった。しかし、許可をしたのは、科学技術庁長官と郵政大臣とが相談をして許可をした。許可をした以上はやはり責任がある。しかも郵政大臣に対しては、許可をしたものについて、なぜ許可をしたかという反対訴訟が起こされた。その反対訴訟については郵政省は負けた。そうして、結局十二チャンネルは、いまでもしかたがないから波を出しておる。出しておるけれども、現実には波を出せば出すほど赤字である。これは一体どうするか。何らかの再建方策があるのかどうか。いまごろになってこれを郵政大臣と科学技術庁長官が相談をしてきめるなんということは、私は全くおかしいと思う。私は、科学技術教育局が要らぬということを一ぺんも言っておるわけじゃない。科学技術教育局というようなものはあってよろしい。しかも、そういうふうな教育専門の局が日本にも一つぐらいほしい。しかし、ほしいけれども、ほしいといって許可する以上は、ちゃんと目算が立って経営が立っていくような考え方に立って、ちゃんとした計画を立ててこれは許可をすべきである。にもかかわらず、それを簡単に許可をしたから、いまにっちもさっちもいかぬようになった。みんな逃げ回っておる。財界の諸君も、初めはやれやれ、やれやれと言っておったけれども、どうも都合が悪うなったということで、協力会の金もだんだん出し渋る。何ともならぬというのがいまの十二チャンネル。これは東京の声になっておるわけです。一体これをどう処理するかということを私は聞いておるのであります。
  108. 郡祐一

    ○郡国務大臣 提出いたしました事業計画がそのとおり実行できますならば再建できるということで再免許は出発いたしております。しかしながら、御指摘のような事態は確かにございます。ただ、私どもこれについて非常に慎重に郵政省としていたしておりますのは、とにかく放送の自主性、したがって、それは経営についても自主性を非常に考えなければいけない。しかしながら、ただいまの状態で、科学技術振興財団全体についてものを考えなければいけないという状態でございます。それでございますから、それぞれの根拠に基づいて報告も積極的にとることにいたしましょうし、私自身も、何やらだいぶ関係者が再建について苦慮しておるようでございますから、率直に様子を聞こう、今後聴取いたします報告のほかに、会ってひとつ様子を聞こうと思っておりますが、さらに法人格を与えましたときの根拠に基づいて、措置をいたす等のことは措置いたします。そして何とかこの現在のもやもやした状態を解決いたしたいものだと思います。
  109. 森本靖

    森本委員 これは、そういうふうに再建をする再建をすると言いましても、金の面だけの再建ではできぬと思うのですよ。かりに金の面で再建をしましても、テレビの専門的な見地からするとするならば、手足のない科学技術教育の十二チャンネルというものは、およそナンセンスだと思う。そういたしますと、やはり将来何らかの形においてこの十二チャンネルというものについては機構そのものを考え合わせていかなければ、これは何ぼやったって私は再建にならぬと思う。一体この十二チャンネルというものをどういうふうに再建をしていこうとしておるのか。さらに私のお聞きしたいのは、十二チャンネルについては、東京都民は確かにその科学技術教育の恩恵をこうむっておる。しかしながら、現実に全国の多くの国民は、この十二チャンネルについてはほとんど見ることができない。こういう点については一体どう考えるのか。ただ再建をする再建をすると言っても、どういうぐあいにこれを再建をしていこうとしておるのか、それを聞いておるわけです。
  110. 郡祐一

    ○郡国務大臣 とにかくいまああいう形で特別なチャンネルが出発した。それで、そのものの再建をとにかく経済的に一応成り立たせますことが一つ。そして、それと同時に、その次どういう仕組みにいたすか、こういう形がほんとうに経営上成り立たないものであるならば、成り立たないものを出発させたということはまことに困ったことでございますけれども、成り立たないものとすれば、それをどうしてまいるか、こうしたことは、むしろあらゆる放送事業関係を通しての問題として取り上げてみたいと思っております。
  111. 森本靖

    森本委員 これはいま言いましたように――それじゃちょっと文部大臣に聞いておきたいと思いますが、現在キーステーション局が四局ありまして、NHKが総合と教育が二局あるわけでありますが、その中で純教育テレビというのは、これはNHKの教育テレビであります。それ以外に、こういう十二チャンネルという科学技術教育専門の局ができるということは、文部行政の面から見るとするならば、経営の面は別として、これは私はやはりあることについてはいい、こう考えるわけでありますが、文部大臣あたりは、この点についてはどうお考えですか。
  112. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 お話のとおり、私どもは教育放送、あるいは教養番組の放送、こういうものができるだけ多いことがありがたいわけで、現在もNHKその他にもっと教育関係の放送をふやしていただく措置を懇請というか、要望しておるような次第で、多いこと自体については、私どもはけっこうだと思っております。
  113. 森本靖

    森本委員 文部大臣としてはそれで確かな回答だろうと思いますけれども、この点については、私は確かに、十二チャンネルの経営そのものについて政府が介入するということがあってはならぬと思います。しかし、ほうっておいたらつぶれることは事実なんです。免許したのは、科学技術庁長官と郵政大臣の責任である。さらに、こういうふうなテレビ局があるということについては望ましいということは、文部大臣も言っておる。それから全国の国民についてはこれを見ることはできない。ところが、いまになって言いますが、私がこの十二チャンネルを免許するときに郵政大臣に対して、一体地方に対してはどうするか、こういう質問をしたときに、十二チャンネルのこの免許申請書、私はいま持っておりますが、そのときには、地方の教育委員会あたりにビデオで時間を買ってもらって、そして地方の放送局で放送してもらう、そういう水揚げも相当ある。そんなばかなことができるか、いやそれはできます。案の定、私の言ったとおり一つもできていない。そういうことも、これは将来考えていかなきゃならぬ。あるいは場合によっては、全国に無人中継所というものを置いてやっていくという方法もあろうかと思います。いずれにいたしましても、この問題については、ひとつ郵政大臣、文部大臣、科学技術庁長官、この三名が十分に協議をして、この再建策については考えてもらいたい。われわれとしてもいろいろの意見を持っておりますけれども、これはこういう席上でありますから、これ以上追及はいたしませんけれども、いずれにしてもこのままではいかぬということは、ひとつ大臣もお認めを願いたい、こう思うわけであります。  そこで、文部大臣に聞いたついでに文部大臣に聞いておきたいと思います。放送関係の著作権の問題でありますが、現在著作権法に基づいていろいろなものが保護せられておりますけれども、実はこの放送の問題について保護されておるものは、現在著作権法にはないわけであります。現在保護されておりますのは、放送法の第六条によりまして「放送事業者は、同意を得なければ、他の放送事業者の放送を受信して、その再放送をしてはならない。」ということがあるだけでありまして、現実にこの第六条による罰則はありません。そこで、この著作権法の改正が現在考えられておるようでありますけれども、この放送権におけるいわゆる著作権法の問題については、将来どういうふうにお考えになっておるのか、文部大臣にこの際聞いておきたい、こう思うわけであります。
  114. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 御指摘のとおり、放送関係の著作権は放送法で条文上の規定がありますが、罰則の規定等がありませんで、十分な保護を受けていないわけであります。これにつきましては、隣接権条約がありまして、この条約はまだわが国では批准いたしておりませんが、これに関連をしまして、現在、著作権制度審議会で、今後こうした問題をどうするか、また隣接権条約をわが国としてはどう今後扱うべきか、検討しておる最中でございます。この審議会の結論をまちまして私どもとしても善処いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  115. 森本靖

    森本委員 それでは、これは文部大臣か郵政大臣かどちらでもいいのですが、「放送事業者は、同意を得なければ、他の放送事業者の放送を受信して、その再放送をしてはならない。」こうあるわけでありますが、そういたしますと、放送事業者でない人が、放送事業のものをビデオでとって、これをいわゆる一カ所において多数の人々に見せた場合にはどうなりますか。
  116. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 これがいわゆる隣接権条約にあります隣接権だと思うのです。現在、私どもいろいろな法制を調べて考えてみますと、放送に関する著作というよりは、著作に近い権利ということで、隣接権という用語を使っておるようですが、これの保護は現状ではされていないという状態だと思います。
  117. 森本靖

    森本委員 これは重大なことでありますが、そういたしますと、現在のいわゆる放送されておるものをビデオでとって、それを一カ所において放映をして多数の者に見せた場合、――これは放送じゃありませんよ。映画と同じようにやった場合には、これは処罰する権限も何もないわけですか。これは野放しですか。
  118. 郡祐一

    ○郡国務大臣 放送法制の関係で申し上げますと、放送法は放送事業者を規律しておりますから、したがって、放送関係法制の対象外に出ております事柄でございます。
  119. 森本靖

    森本委員 それじゃ文部大臣だ。
  120. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  いま隣接権制度につきましては審議会のほうで鋭意検討中でございますので、文部省といたしましては、その答申を尊重していずれ著作権法の改正をいたしたい、このように考えておりますので、いま直ちに文部省が決定的な考え方を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、一応増え方といたしましては、御質問のような点も、著作権、隣接権の一部として保護される方向に審議はなされておるようでございます。
  121. 森本靖

    森本委員 現在、隣接権についての条約があるから、その条約については著作権制度審議会において審議をしておるということはわかりますよ。私が言っておりますのは、放送法の六条しかこの点についてはありません。そこで要するに、たとえばキーステーション局から四局それぞれドラマやいろいろ流れておるわけであります。ところが、いなかの方面では二局しか入ってきてない。他の一局をどこかでビデオして、そして、それを映画館なら映画館みたいなところでいわゆる料金を取ってやる。そうした場合に、これは権利の侵害だということは今日いえないのじゃないか。これは法の欠陥じゃないか、これは自由にやれるのじゃないか、このことを聞いておるわけです。やっても罰せられるかどうか、こういうことです。これは郵政大臣じゃないです。文部大臣です。
  122. 宮地茂

    ○宮地政府委員 お答えいたします。  たとえば音楽をある作曲家が作曲しまして、音楽ができる。その音楽がいま先生の御指摘のような方法で流されておるといった場合には、その作曲した方の著作権侵害ということには該当するかと思います。
  123. 森本靖

    森本委員 これは、現行の法律においては隣接権はないわけでありますから、たとえばドラマならドラマをある放送局が放送すると、それをビデオならビデオでとる、そうしてそれを一カ所の映画館なら映画館で多人数に見せる。放送するのじゃないのですよ。そうした場合に、それはおれのところでつくったドラマだからけしからぬ、こういうことが法律上いえるかどうかということを聞いておるわけです。
  124. 宮地茂

    ○宮地政府委員 現在、隣接権の規定がございませんので、御質問のような点は放送事業の侵害になってないと思います。
  125. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、非常にいいドラマについて、たとえば例をどこの県にとってもいいわけでありますが、A県ならA県が、四チャンネると六チャンネルしか入っていない。八チャンネルと十チャンネルは入っていない。その八チャンネルと十チャンネルの一番いいところのドラマをビデオでとっておいて、それを映画館で料金を取って放映をしても何ら罰せられない。これは非常にもうけるわけですが、そういうことをやっていいわけですか。
  126. 宮地茂

    ○宮地政府委員 著作権の侵害にはなろうと思いますけれども、放送事業のほうでは、現在の放送法では該当しないのだと思います。ただ隣接権に――ちょっとややこしいのでございますが、要するに整理いたしますと、隣接権の規定は、現在日本にはない。条約はございますが、その条約を参考にして、いま隣接権を日本でつくろうとしておるわけです。それができました後に、そうした世界的な、国際的な条約にも加盟する。しかし、現在は隣接権はございません。したがって、御質問の中で著作権の侵害になるものはございますが、隣接権のほうは現在規定がございません。それから放送事業のほうは、これは郵政省のほうでお答えいただいたほうがいいと思いますが、先ほど来のあれでは該当しないのだと思います。
  127. 森本靖

    森本委員 長い答弁は要らぬので、私が言うようなやり方をやっても罰することはできぬか、できるかということを聞いておるわけです。できなければできないでけっこうなんです、一つの法律の欠陥なんだから。だから、できないということであるとするならば、そういう映画館をつくったら相当もうかる。くどくどした答弁は要らぬから、そういう点が罰することができるかできないか、規制することができるかできないか、それだけを聞いておるわけです。
  128. 宮地茂

    ○宮地政府委員 現在の状況では、先生のおっしゃいますように、野方図だということになろうと思います。
  129. 森本靖

    森本委員 これはやはり一つの法の欠陥だろうと私は思うのです。こういう点については、かなり早急に郵政大臣あたりと文部大臣が十分協議をしてやっていかなければ、法律がどんどんあとを追っていくようになる。いまの科学技術の進歩というものは、日進月歩でどんどん先へ進んでおるわけでありますから、ぼやぼやした閣僚ばかりですと、これはちっとも追いつくことができない、こういうかっこうになるわけでありますから、ひとつ優秀な大臣諸公でありますから、こういう点については十分に今度法の欠陥のないようにお願いしたい、こう思うわけであります。おそらくいまの問題については、郵政大臣あるいは文部大臣が協議をして将来やると思いますが、どうですか。
  130. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 先ほど社会教育局長がお答え申し上げましたように、現在著作権制度審議会で御指摘のような点は取り上げて検討しておる段階で、文部省の考え方としましては、いまのような状態を、権利の保護をするような方向に改善をしたいという気持ちでございますが、審議会の結論をまたないうちにわれわれが決定的な意見を申し上げることは差し控えたい、こういうのが現状でございます。
  131. 森本靖

    森本委員 それから次に移りたいと思いますが、先ほど答弁がありましたように、FM放送については全国で約四百五十九の申請が出ておる、UHFについては三百三十二の申請が出ておる、こういうことがいわれておるわけでありますが、私は、ラジオ放送、テレビ放送については、先ほど来申し上げておりますように、テレビのキーステーション局については現在の四局でよろしい。大臣もそれでよろしい、こういう答えが出ておりますので、これはいいわけでありますが、そういたしますと、各地方におきましては、現行一局のところについてはできる限りこれを複数局以上にするという点についても、大臣は一応そういう方向でいきます。こういう答弁をせられたので、その点についてはおきます。   〔赤澤委員長代理退席、委員長着席〕  次に、ラジオの点でありますが、いまのテレビの点は、そういうことで大体一つの見通しが立つわけでありますが、ラジオについては、現行の中波ラジオ、短波放送、それに今後加わってまいりますFM放送、こういうものを考えた場合に、一体ラジオのあり方は、郵政大臣としては将来どういうビジョンを描いておられるのか、その点をひとつ明らかにしてもらいたい、こう思うわけであります。
  132. 郡祐一

    ○郡国務大臣 中波は、御指摘のように、また現在混信電波が非常に多くなってきております。こういう状態を考えますと、FMの実施というのを前提にしまして再編成をする必要があろうかと考えております。
  133. 森本靖

    森本委員 FM放送を入れて再編成するということでありますが、その再編成の方向であります。そこで私は、私の持論をひとつ申し上げてみたいと思いますが、現在の中波ラジオ放送の上にさらにFM放送というものをつけ加えるということは、これはあまりにもむだが多過ぎる、こういうふうに私は考えるわけであります。そうかといって、放送業者から中波放送を取り上げるというわけにもまいらぬ。場合によっては、現在の中波ラジオ放送に対してFM放送も同じように許可を与えて、ある一定期間というものはそのFM放送と中波ラジオ放送というものが一緒に放送される場合があり得る。そして将来FM放送の受信機が相当出回ってきた時分において、中波ラジオ放送については、これを広域圏のいわゆる大電力放送にしていったほうがよろしいではないか。要するに、現在の県域ラジオ放送というものについては、将来ほとんどFM放送にかわっていく。そして中波放送全部なくするということでなくして、中波放送については、これを場合によっては報道、ニュース、株式、音楽、こういう点で現在百八チャンネルも日本では出ておりますけれども、これを二十チャンネル、二十五チャンネル程度にして、これをブロックごとに広域圏の荷電力にしたほうが、ずっと効率的に電波の使用ができるのではないか、こういう構想を私は私なりに持っておるわけでありますが、大臣所見を聞いておきたい、こう思うわけであります。
  134. 郡祐一

    ○郡国務大臣 現在のように難聴区域がふえてまいりますと、こうしたようないろいろな事態を考えまして、またFMという波は非常に大事な波ですから、ただいまお述べになりました森木さんの御意見は、非常に貴重な御意見だと拝聴いたしました。私も、FMという波を非常に大事にしながら、これからの中波全体の再編成考えるということだと思っております。
  135. 森本靖

    森本委員 貴重な意見として聞いてもらうだけではだめであって、そういう方向がいいのか悪いのかということを聞いておるわけであって、私は、このFM放送のラジオ局というものは、この前のテレビの許可をしたときのように、われもわれもといってそれにいろいろ許可をしていくということになると、全く日本のラジオ界というものも混乱をする、この際ラジオ界についても再編成をしていく必要がある、それがためには、むだをなくするという意味において、現行の中波放送については混信その他から相当の被害が出ておる、そういう点については、県域放送というものについてはFM放送が将来はとってかわる、しかし中波放送についても、その特異性というものをやはり生かしていかなければならぬ、これも全廃するわけにはいかぬ、しかしながら現在のような県域放送のような中波放送は必要がない、でき得るならば広域圏内のいわゆる電力の商い中波放送に切りかえていく、こういうものが日本の将来のラジオ放送のあり方になってくるのではないか、こういうことを言っておるわけであって、貴重な御意見でおさめられたのでは話にならぬのであって、大体その方向がいいと思うならいいと思う、あるいは少し違うなら少し違う、こういうことを言ってもらわなければ、これは私の質問の答えにならぬわけですよ。
  136. 郡祐一

    ○郡国務大臣 おっしゃるように、もう周波数の入れかえも増力も限度にきておるのでございますから、そうすると、貴重なと申し上げましたのは、かなり共鳴をいたしておる、しかしまだ何ぶんにも法律事項でもございません。これは行政上の一つの方針でございますから、ひとつちょっとひまをいただいて、考えさしていただきたいと思います。
  137. 森本靖

    森本委員 それからまだあと、いろいろ放送関係で問題がありますけれども、時間がないようでありますので、次に私は電信電話公社関係予算問題についてちょっと触れておきたいと思います。  特に電信電話公社の問題について、日本電信電話公社総裁が逓信委員会において発表いたしました――発表というよりも所管事項の説明をいたしました中に、非常に重要な項があるわけであります。それは、「電電公社は、三十九年十月、総裁の諮問機関として部外有識者からなる電信電話調査会を設置し、電信電話拡充長期計画をめぐる諸問題及び電信事業の合理化について調査、審議をお願いしておりましたが、昨年九月二日その結論がまとまり、報告書が提出されました。報告書のおもな内容については、昭和四十七年度までに加入電話の申し込みには直ちに応じ得るようにし、また市外通話についてもそのほとんどを即時通話とするという長期計画の目標は堅持さるべきであり、このためには電信電話拡充長期計画の拡大修正を行なう必要があるとともに、事業収支の改善と、電話拡充計画の所要資金の確保については、設備料を二万円引き上げるほかに事業収入全体で二二%の増収をはかるため、料金改定を行なう以外に方法がないものと考えられる、というものでございます。また電信関係につきましては、電報の利用制度の改正、合理化の推進等によって経営の健全化、近代化をはかるとともに、多額の赤字を出している電報業務の収支を改善するために、電報料金を引き上げる必要があるというものであります。」これが公社の総裁の説明でありまするが、電電公社の総裁の説明を見ておりますると、もうこれは、来年度はどうしても値上げをしなければならぬということを暗に言っておるのではないか、こう思うわけであります。社会党は社会党なりに、電信電話料金については値上げをしなくとも十分に国民の要望にこたえ得る政策を持っておりまするけれども、その政策を私はここで申し上げる時間がありませんが、政府当局としては、四十二年くらいに電信電話料金というものを上げるという考え方があるのかどうか、この点を聞いておきたいと思うのです。
  138. 郡祐一

    ○郡国務大臣 いまお話しのような調査会の答申が出ております。また公社においてせっかくいろいろ案を検討いたしております。森本さんのお話しのように、需要もふえてきておる、積滞もふえてきておる、しかし景気の動向とにらみ合わせて需要がどういうぐあいに伸びていくであろうか、政府で検討しなければならない問題点もたくさんございます。したがいまして、公社の案ができましたら、それを見まして、よく公社の意向を聞いて政府として考えたいと思います。
  139. 森本靖

    森本委員 公社の計画はできております。「電信電話拡充第三次五カ年計画の修正、日本電信電話公社」、ちゃんとできておりまして、七ページに「所要資金の確保、前記修正計画を実施するためには、昭和四十一年度および昭和四十二年度において約九、九五〇億円の建設資金(既定第三次五カ年計画では、五カ年間で約一兆八千億円、この修正計画では約一兆九千億円)を要することとなる。また、既定第三次五カ年計画においては収支差額は四十一年度八六〇億円、四十二年度九九〇億円となっていたが、修正計画では」――いいですか、「四十一年度一八〇億円、四十二年度赤字九〇億円となるので、合計一、七六〇億円の資金不足が生ずる。この修正計画達成のための所要資金の確保については、財政投融資の確保のほか事業収入増加等のための抜本的な対策を講ずるものとする。」この「事業収入増加等のための抜本的な対策を講ずる」ということは、これはもう何おか言わんや、料金改定をやらなければ抜本的な改正はできない、こういうことを、ちゃんと電電公社では案ができておるのですよ。大臣、見たことがありますか。
  140. 郡祐一

    ○郡国務大臣 電電公社はいろいろと苦心をいたしております。しかし、電電公社総裁からの申し出によりましても、電信電話調査会の答申を基礎として、そして、ひとつ十分練ってみたい、あらゆる点から練ってみたいということで、公社もたいへん慎重な態度で案を練っております。その間いろいろとこしらえておりまするけれども、政府にいよいよ相談を持ってまいりますのは、もうしばらく、ほんとうに中身全部を検討したいようでございますから、それを待ってよく相談に乗ることにいたします。
  141. 森本靖

    森本委員 しばらくじゃない、もうすでにちゃんとできておるのですよ。日本電信電話公社の「電信電話拡充第三次五カ年計画の修正」と出てきておって、千七百六十億円の資金不足が生ずる。この資金不足の問題については「事業収入増加等のための抜本的な対策を講ずるものとする。」こうあるわけですよ。ということは、四十二年から料金の改定をしなければ何ともならぬというのがいまの現状ではないか。  じゃ、ちょっと試みに聞いておきますが、いまの公社の固定資産と負債とはどういう程度になっておりますか、総裁。
  142. 米沢滋

    ○米沢説明員 お答えいたします。  負債は昭和四十一年度末一兆七百億円、それから固定資産は四十年三月末の状態でございますが、約一兆五千億でございます。
  143. 森本靖

    森本委員 一兆五千億は四十年末で、一兆七百億は四十一年末ですか。
  144. 米沢滋

    ○米沢説明員 負債のほうは、予算書にございますように四十一年度末でございまして一兆七百億円でございます。それから、固定資産のほうは四十年三月でございまして、約一兆五千億でございます。
  145. 森本靖

    森本委員 この一兆七百億円というものの毎年支払いをしていかなければならぬところの金利は、これから幾らになりますか。
  146. 米沢滋

    ○米沢説明員 お答え申します。四十一年度におきまして払う利子は約六百億円でございます。ただ、今後だんだん加入者債券その他がふえてまいりますと、利払いはそれによりましてどんどんふえてまいります。現在のところ六百億円でございます。
  147. 森本靖

    森本委員 本年の収支差額は幾らですか。
  148. 米沢滋

    ○米沢説明員 収支差額はだんんだ悪くなってまいりまして、四十一年度におきましては二百二十六億でございます。それから四十年度は約四百億でございます。
  149. 森本靖

    森本委員 いいですか、郵政大臣。負債が一兆七百億円ある、それからその金利の支払いが毎年約六百億円かかる、それから実際問題として収支差額の利益金というものは二百二十六億円しかない、電電公社の計画では、逆に四十二年度には赤字が九十億円になる。にもかかわらず、実際問題として、この四十一年度及び四十二年度においては九千九百五十億円の建設資金が必要である。これ以上借金をしておったら、これは設備投資でつぶれますよ。そうでしょうが。二百二十六億円の収支差額が今年度ありまして、来年度は九十億円の赤字だということを言っておる。ところが利子の支払いは、年間六百億円も払っていかなければならぬ。その利子の支払いもだんだんふえてくるということを言っておるわけであります。これは閣議の政策上、あなたがここで、値上げはいたしますということは口が裂けても言えぬだろうけれども、もうこれは上げざるを得ないような予算の組み方に昭和四十一年の電電公社の予算はなっておるじゃないですか。それを本年は郵便料金も上げた、国鉄の運賃も上げた。一緒に電信電話料金も上げたら都合が悪いから、今年だけはちょっとそうっとしておいて、来年さっと上げようというのがこのねらいでしょうが。正直に言いなさい、どうですか。
  150. 郡祐一

    ○郡国務大臣 電信電話というのはお話のようにいろいろな問題を――加入者債券の償還期等もいずれ四十五年ごろにはまいります。しかし、とにかく二百二十六億にしても、ことしは収支差額が出てやっていけた。そうすると、この際にひとつじっくりと公社が案を考えるわけでございますから、それに基づいて親切に政府としては様子をよく聞いて、そうして政府部内においての考え方をどう持っていくかということを、しばらく公社の案の出ぐあいを見ることにいたします。
  151. 森本靖

    森本委員 大臣はそういうことを言っておりますが、経済企画庁長官、どうですか、いま私が言ったような内容を見ておって、あなたは財界人でありますが、これも値上げせずにやっていける方法があるでしょうかね。負債が一兆七百億円ある。その金利が毎年六百億円要る。しかも実際問題として収支差額は本年二百二十六億円、来年はその収支差額が赤字になって九十億円、こういう状態においてこれ以上財投をやったところで、財投に対する金利は支払いをしていかなければならぬわけであります。そうすると、これはもう経営の実際から見て、来年度は値上げをしなければ絶対にこの九千九百五十億円という建設資金は取れない。この辺は経済企画庁長官、どうお考えですか。
  152. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 少なくも本年は値上げをする必要がないと思いまして、私どもは本年の値上げには反対をいたしたわけであります。来年以降の問題につきましては、まだ正確な内容について郵政大臣から伺っておりません。しかしながら、電話事業を今日国民のために拡大をしていかなければならぬ。そうして、できるだけ各方面に電話需要があり、すでに申し込みがあっても引けない数が百何十万とか二百万とか相当あるようでありまして、それらを引いていく。引いていった場合に、だんだん先のほうに引いてまいりますと、いままで引いているものについては使用回数が非常に多いと思いますれけども、これから引いていくものについては使用回数がだんだん少なくなってくるということもございます。それですから、過去における資本負担と同じような負担がこれから引いていくものについてできるかどうかについては、私若干疑問を持ちます。ただ、そういう問題について、内容はまだ全面的に私検討しておるわけでございませんから、とかくのことを申し上げかねますけれども、現状においては、少なくも今年は値上げしなくて済むという、またしてはいけないということを私どもは申したわけでございます。
  153. 森本靖

    森本委員 今年は値上げする必要はないけれども、来年はお先まっ暗というふうな答弁でありまして、これ以上追及をしても、選挙対策上、値上げするということはおそらく口が裂けてもよう言わぬだろうと思いますが、これは、理論的には私がいま言いましたように、こういう予算の組み方であるとするならば、これは絶対に来年は値上げをするという前提の予算の今年度の組み方である。社会党はこれと違った別の案を持っておる。しかし、それを言う間がない。私はさらに郵便の料金の値上げについても、私の言うとおりにやれば、郵便料金も一切上げる必要がない、こういう案もありまするけれども、ちょうど時間が来ましたので、私は約束どおり、この辺で質問を終わりたい、こう思います。
  154. 福田一

    福田委員長 これにて森本君の質疑は終了いたしました。  靱参考人には退席になってけっこうでございます。ありがとうございました。  次に、八木一男君。
  155. 八木一男

    八木(一)委員 二月二十七日に内閣総理大臣に対しまして、部落解放の問題、同和問題の解決の問題について御質問を申し上げました。それに引き続きまして各国務大臣、官房長官、法制局長官にこれから御質問を申し上げたいと考えておるわけであります。各国務大臣の皆さま方には、各御担当の行政庁の長官としてのお立場とあわせて、国務大臣としての御見解を伺いたいと思いますので、そのつもりでお聞きをいただきたいと思います。  この前に総理大臣に御質問申し上げたときに、各大臣が御出席をいただきました。また、非常に政治の問題について練達な各大臣でございますから、すでにこの問題については十分な知識、見解をお持ちであろうと存じます。しかしながら、非常に複雑な問題でございまするから、同和対策審議会の答申をぜひ御熟読を願いたいということを秘書官を通じて申し上げておきました。時間がございましたならば、お一人、お一人その答申についての御見解を伺いたいわけでございまするが、制約をされた時間でございまするから、大事な点について私、二、三分朗読をさせていただきます。その後に御答弁を願いたいと思うわけであります。同和対策審議会――その前文にそのおもな精神が明確に書かれてございます。   昭和三十六年十二月七日、内閣総理大臣は本審議会に対して「同和地区に関する社会的及び経済的諸問題を解決するための基本的方策」について諮問された。いうまでもなく、同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。したがって、審議会はこれを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民課題であるとの認識に立って対策の探究に努力した。その間、審議会は問題の重要性にかんがみ存置期限を二度にわたって延長し、同和地区の実情把握のために全国および特定の地区の実態の調査も行なった。その結果は附属報告書のとおり、きわめて憂慮すべき状態にあり、関係地区住民の経済状態、生活環境等がすみやかに改善され平等なる日本国民としての生活が確保されることの重要性をあらためて認識したのである。したがって、審議もきわめて慎重であり、総会を開くこと四十二回、部会百二十一回、小委員会二十一回におよんだ。しかしながら、現在の段階対策のすべてにわたって具体的に答申することは困難である。しかし、問題の解決は焦眉の急を要するものであり、いたずらに日を重ねることは許されない状態にあるので、以下の結論をもってその諮問に答えることとした。 中をちょっと略しまして、   政府においては、本答申の報告を尊重し、有効適切な施策を実施して、問題を抜本的に解決し、恥ずべき社会悪を払拭して、あるべからざる差別の長き歴史の終止符が一日もすみやかに実現されるよう万全の処置をとられることを要望し期待するものである。 というのが前文の要約であります。  ここでいわれておりますることをさらに要約して申し上げますと、これは日本国憲法の問題であるということ、そしてそれを解決することは国の責任であり、全国民的な課題であるということを明確にいたしておるわけであります。それとともに、具体的な答申がこれではまだ不十分だ。しかし非常に緊急を要するからいま答申をした。したがって、これだけをやればこれが解決をするものではない。内閣、各政党、国会が知能をしぼってこれ以上のものをつくり出して、完全解決をしなければならないということを示唆しているわけであります。その次に、何回も出ておりまするが、焦眉の急、この問題の完全解決を一日も早くしなければならない。じんぜん日を延ばすことは許されないという問題を指摘してあるわけでございます。  そういう観点に従いまして、内閣総理大臣にこの前御質問を申し上げました。総理大臣は、非常にこの問題について相当十分な熱意を持って、理解を持っておられました。その部落の完全解放の問題、同和問題の完全解決の問題について熱意を持って、急速に邁進する決意を披瀝をされたわけであります。そしてその決意の方法として、答申の完全な尊重をお約束をなさいました。さらに、私の質問と前後しまして、その完全な尊重ということは、この答申より以上のものを知恵をしぼってつけ加えてそれをやる、答申のそのほんとうの趣旨を尊重する意味であることを明らかにされたわけであります。  その次に、その問題を実施するための基本的な中核として法律が必要である。質問の内容においては、同和対策特別措置法という法律をもって申し上げた。答申もそういうふうに申し上げました。ただし、十日の日刊紙の情報によりましたならば、同和対策基本法という法案を御準備になっておられるというように報道されております。法律の名前はとにかくといたしまして、そのような基本的な、そうしてまた具体的な法律が必要だということが、質問者と総理大臣の間で完全に意見が合致をいたしました。それについてそういうことをやっていく。  それから、先ほどの問題で、急速にやるという問題については、どんなに長くても十年以内に完全に解決をしなければならない。戦前の、この民主主義憲法、基本的人権の憲法がない時代ですら、十年間解決をしようという決意をその当時の内閣はした。このようにおくれて、しかもこのような憲法のもとで、このような準備が整えられて答申がなされた今日において、どんなに長くても十年以内に完全解決をしなければならない。その前半、五年以内に、いま考えられている方法を全部やってみる。それから後に、考えられた方法をその後の五年間に補完をするというような意味で、急速に完全な解決を、スタートではなしに、完全な終止符をそれまでに打たなければならないというような論議をいたしました。大体において総理大臣も同じ考えでございました。また、その問題を遂行するために、政府はもちろん積極的に邁進をしなければならないけれども、与党なり野党なり各政党、国会のほうの熱心な、熱意のある意見を十分に取り入れて、それを具体的に推進をしなければならないということについてお約束がされたわけであります。その観点においてぜひ各国務大臣に御答弁を願いたいことは、三つございます。  一つは、国務大臣とされまして、この問題に総理大臣より以上の熱意を持って当たっていただかなければならないと思うわけであります。釈迦に説法で恐縮でございまするが、憲法九十九条には、国務大臣の憲法に対する非常な責任が明確に書かれております。この問題は明らかに憲法の問題であります。憲法第十一条には、「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。」あと略しますが、そういう基本的な条文がございます。憲法第十四条には、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信條、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。」以下略ですが、そういう点がございます。憲法第二十二条には「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。」この職業選択の自由あるいは居住、移転の自由が実際上阻害されている現状にあるわけであります。第二十四条には「婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、」云々とございます。ところが、この問題はほとんど解決がされておりません。相思相愛の中も完全に引き裂かれるようなことが、この同和地区の人と一般地区の人の間に恋愛が成立した場合の状態でございまして、「両性の合意のみに基いて成立」という憲法の条文が、実際上完全にだめになっているわけであります。その次に憲法第二十五条、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」これは、御承知のとおり、健康を詰めて、だんだんやせて命を縮めるような貧乏な生活を、そして文化的とは絶対言えないような生活環境で住んでいる人たちがあるわけでございまして、この第二十五条、これが完全に実施をされておりません。次に憲法第二十六条でございます。「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」これもあとで統計で申し上げますが、長欠児童がある。義務教育さえ受けられない子供があるという点において、この第二十六条が侵害をされておるわけであります。その次に憲法第二十七条であります。「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とあります。この勤労の権利が保障をされておらないわけであります。これが部落問題の一番中心課題になるわけであります。  このように、憲法の基本的人権に関する非常に多くの条文が、この部落問題の関係においては完全にこれが阻害をされておる。この憲法どおりの状態がつくられてないということを、憲法を一番守られなければならない義務を有しておられる国務大臣の方々が、いままでもお考えでございまするけれども、さらに深く見詰めていただいて、この問題に対処をしていただきたいと思うわけであります。そこで憲法第九十七条には、憲法の基本的人権についてほんとうにしっかりと書かれているわけであります。第九十八条には、この憲法に違反をしたいろいろな法律はいけない、行政行為もいけないということが明らかにあるわけであります。  そこで、申し上げたいことは、これからこの同和問題を解決するために、いままでの法律にはそういうことがあまり書かれていないから、それを解決する法律についてもそういうことを書きにくいということをもし法制局長官が言うとしたならば、長官は直ちにその職を辞する責任を持つということになるわけであります。  その次に、行政措置においても、いままであまりやっていないから、これはなじまないとかというような考え方で律していただきたくはないわけであります。もちろん先輩の皆さま方には、私がこんなことを申し上げなくても、憲法の条章に従ってそうやっていくんだ、質問者よりもっと熱意を持ってやっていくんだというお考えをお持ちになっておられると思いますが、そういう意味で、国務大臣として、この部落の完全解放の問題、同和対策の完全解決の問題について、総理大臣と同様に、あるいはそれ以上の熱意を持って当たっていただく。熱意を持って当たっていただくことについては、そのような憲法の条章を完全に実現するという体制をつくるために、いままでのこの問題を知らなかった時代の法令とか、そういう問題に制約されずに、国務大臣として、閣僚として御努力を願いたいということについて、まず一通り御答弁を願いたいと思います。  時間の関係上、その次に今度は各行政官庁の長として責任を持っておられます、そこの部門で対処すべきものについて、同じような考え方で積極的に旧来のそれを阻害するような条件を乗り越えてやっていただくという御決心、それからまた、それをまとめて総合的にやるために、総理府総務長官が事務的には中心になってやられると思いますが、そういう総理府の長官がまとめて総合的にやられることについて各省が積極的に協力をなさる、たとえば法律制定についても、今後の行政計画をつくるについても、そういうことを積極的に協力をなさる、行政庁の長官としてのそういう御答弁を、お一人、お一人いただきたいと思うわけであります。  その二つでけっこうでございますが、たいへん諸先輩にお一人、お一人御答弁願って恐縮でございますが、まず国務大臣として、そして行政庁の長官として、お一人、お一人その問題について前向きな、憲法を尊重する御答弁を賜わりますことを要請いたす次第でございます。順序は私わかりませんので、委員長のほうからひとつ御指名になっていただきたいと思います。
  156. 橋本登美三郎

    ○橋本政府委員 八木さんから、総理大臣の熱意を官房長官はどういうふうに感じておられるかということを指示しての御質問でありますから、私国務大臣ではありませんが、私からお答え申し上げます。  これは、せんだっての質疑の時間におきましても、八木委員の詳細なお話を私は総理大臣のうしろにおいて詳しく聞いておりました。その熱意のほどには心から敬意を表します。総理があの際にお話し申し上げましたように、同和問題が今日においてなおかつ解決を見なかったことはまことに遺憾である、まことに残念である、自分としては最善の努力をもってこの問題の解決をしたい、特に昨年八月、同和問題に関する答申を受けておるので、これを尊重し、これが実現のためには全力を尽くしてその御期待に沿いたいという答弁をいたしております。官房長官は番頭でありますから、総理の意思を十分に体して、最善の努力をいたしたいと考えておる次第であります。  なお、八木委員も御承知でありましょうが、佐藤内閣は、この同和問題に対して非常な関心を持っておりまして、在来から同和問題閣僚協議会というものを設置いたしまして、そうして鋭意これが解決のために努力をいたす前向きの姿勢をもってやっております。先ほど来いろいろ御指示がありましたが、それらの趣旨につきましても最善を尽くして、誠心誠意、前向きの姿勢をもってこの不幸なる方々に対して最善の措置を講ずる覚悟でありますから、その点御了承願いたいと存じます。
  157. 八木一男

    八木(一)委員 官房長官の積極的な御答弁はけっこうでございますが、委員長からひとつ各国務大臣にお一人お一人……。
  158. 福田一

    福田委員長 法務大臣
  159. 石井光次郎

    ○石井国務大臣 同和問題は、先日八木君からお話のありましたときにも述べられましたように、先年、岸内閣のとき御質問がありまして、私、答弁に立ちまして詳しくお話を申し上げたことを覚えておるわけでございます。同和問題がどんなに大事であるかということは、いまさら申すまでもないことでございます。また、これに政府だけでなく、国民全体が力を合わせてこの解決に当たらなければならないということ、それには特に経済問題、貧乏の追放というような点からスタートをしていかなくちゃいけないということをあなたとお話し合ったことを思い起こしたのであります。いまも全体的には私はそういうふうなことを考えておりますが、それはほかの方からお話もありましょうし、この間、総理大臣も大体の方針について申し上げましたが、きょうは私の法務省の関係だけを申し上げてみたいと思うのであります。  私のほうに関係しますことは、人権擁護という面が一番ひっかかりがある問題だと思うのであります。この面から見ますと、私のほうのこの仕事に当たる連中が同和問題というものを十分理解して、人権擁護の仕事の中の大きな部面だと思って働いておるわけでございますが、さらにこの問題についての研修あるいは講習等に力を入れてやっていくということが内輪の問題でございまして、問題が起こりましたらそれの調査とか救済活動等を積極的にやっていかなくちゃならぬ、こういうふうに思っておるわけでございます。ところが、この問題がどの程度取り上げられておるだろうかと思って、私、表をとってみましたところが、現実に取り上げられた問題というものはわりあいに少ないのでございます。ちょっとめんどうでございますが、三十八年にこの問題を受理いたしました件数は十九件でございました。それから三十九年は十三件、四十年度には十九件というような数でございます。しかし、これは問題として取り上げた数でございますが、それならそれだけしか問題がなかったかというと、そうじゃないと私は思うのであります。たくさんな人、たくさんな場合において、相当いろいろなここに出てこない問題があるだろうと思うのであります。それだけに、もっといろいろなところに力を入れるべき問題があっただろうと思うのであります。そういうところに力を入れるべき問題として考えられておる問題が、み権擁護委員配置が適当なりやいなやということが、この間の同和対策審議会の答申の中にもちょっと疑問点として掲げられておる点じゃないかと私は思うのでございます。  この点でございますが、御承知のように、この人権擁護委員の数は、九千人あまり全国にはおるわけでございますが、適当な人ばかりであるかというと、必ずしもそうじゃないんじゃないかという声もあるようでございます。ただいまのこの選任の方法は、御承知のように、各市町村長に委嘱いたしまして、市町村長が市町村の議会に相談いたしまして、そうして、えり出すというような方法をとっておるわけでございます。それを事前に私どものほうはまた相談をいたしまして、なるべく適当な人をと思ってえっておるわけでございます。必ずしも万全ではないかと思うのでございますが、この点にもっともっと力を入れていくことが一番大事なことじゃないか、まあ、こういうふうなつもりでございまして、そういうことに力を入れまして、この人権擁護の面からします同和対策に対する協力を強めていきたい、こういうふうに思っております。
  160. 八木一男

    八木(一)委員 委員長、すみません、ちょっと発言さしてください。委員長、やっていただければやっていただきたいわけです。  いま、石井法務大臣から非常に積極的な御答弁があって、けっこうでございますが、各省の問題はそれから後に具体的にお伺いしますので、先ほど申し上げました、国務大臣として総理より以上の熱意を持って当たっていただきたいという問題、それについては、いままでの慣例とか、いままでの法令を乗り越えてやっていただかなければならないので、そういう考え方で、国務大臣として、閣議の一員として御対処願いたいという問題と、それから各行政官庁の長として、たとえば、それを総合的な計画あるいは法律をつくるときの協力、あるいはまた、各省庁でその問題を推進されるときに、この問題解決のために、いままでのことがじゃまになればそれを乗り越えてやっていただく、そういう基本的な事項について前向きな御決意をひとつお答えをいただきたい。そういう趣旨で、具体的なところはまた各省にあとで伺いますので、ひとつお願いいたします。
  161. 福田一

  162. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 率直に申し上げまして、私、東京生まれでございまして、実は、同和問題については十分な知識があるとも思いません。ただ、若いころに島崎藤村の小説を読みまして、こういう問題があるかというので、正義感に燃えたこともございます。その後、国会議員の選挙の際その他で奈良県に参りまして、私は、数カ所同和地区を回って選挙の応援等をいたしたことがございます。そのときの実情、土地の方からのお話を聞きまして、この問題は非常に大切な問題だということを痛感いたした次第でございます。先般、八木さんからお話を伺いまして、さらに非常に心を打つものがございました。したがって、今後、いまでもそういう状態があること自体が、私は近代日本をつくっていく上におきまして実にふしぎなことでなければならぬと思うのでございまして、これは、やはり長い間の慣習とか迷信とか、そういうものの払拭がまず第一ではないかと思います。したがって、われわれがそういう気持ちになりまして、会う人ごとと申しますか、あるいはわれわれの友人の範囲なりグループなりに、それぞれに対して個人的にも、そういうことが迷信である、あるいは旧来の悪習を払拭しなければならぬということを申していくことがこの問題の解決のやはり基礎的な問題じゃないか、こう考えまして、そういう意味で努力してまいりますと同時に、政治をあずかっておりますものとして、いまお話しのように、憲法上の問題等につきましてわれわれは当然やらなければならぬ問題でございますから、熱意を持って、この問題がいまでも残存しておって問題になっておること自体を一日もすみやかに解消していかなければならぬ、こういう決意を、お話を伺いましてさらに新たにしたようなことでございます。  なお、企画庁がやっております中に、局の中に国民生活局がございます。国民生活局は、国民生活の万般について、環境の問題から始めまして国民生活が正しい軌道に乗りますように努力をしてまいる仕事を発足したところでございますから、幸いにして、この機関を利用いたしまして、御趣旨のような環境の整備であるとか、生活の改善であるとかいうような問題についてひとつ最善の努力を尽くしまして、御趣旨に沿い、われわれ日本国民の中にそうした差別待遇の人のないように、一日も早く解消するように努力してまいる決意でございます。
  163. 福田一

  164. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 先般、八木さんのお話を承りまして深く敬意を表しております。国務大臣といたしましても、また大蔵大臣といたしましても、関係各省とよく相談をいたしまして積極的に善処いたしたい、かように存じます。
  165. 福田一

    福田委員長 文部大臣
  166. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 閣僚としての熱意はどうかということでございますが、私はかって昭和三十三、四年ごろ、党の政務調査会長をしておりましたころ、同和対策を熱心に取り上げまして、そのときに党内に特別委員会を設けて、秋田君に委員長に御就任願い、月来、自民党としましても、同和対策については熱心に研究、推進をしておられると思います。  特に、文部省としましては、昨年の審議会の答申にも沿う意味におきまして、項目としてはこまかくは十項目ぐらい学校教育、社会教育の面で取り上げておりますが、特に来年度は高等学校の進学奨励の道を新しく開きまして、これは純然たる新しい費目でございます。一般の育英資金の育英はどこも公平にやりますが、そのほかに同和地区につきましては、高等学校進学の奨励をするために奨励の道を開いたような次第で、今後も情熱を傾けて努力をしていきたいという気持ちでございます。
  167. 福田一

    福田委員長 厚生大臣
  168. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 先ほど八木さんがお話しになりましたように、国民は憲法の前にあくまで平等でなければならぬわけでありまして、基本的人権の尊重をはじめ、私どもはこの同和問題が、憲法で保障された諸権利が往々にしてゆがめられておる、十分に尊重されていないというようなところに同和問題の重大性があると、こういうぐあいに認識をいたしておるわけでありまして、この問題の解決にあたりましては、国務大臣として最善の努力を払ってまいる考えでございます。  なお、厚生行政を担当するものといたしましては、環境施設の整備でありますとか、あるいは社会福祉施設、特に生活の最低を保障される権利があるわけでありますから、生活の保障の問題、そういう問題に厚生大臣として真剣に取り組んでまいりたいと考えております。そのためには長期的な年次計画を立てて、計画的にこれが実現にあたるべきである、かように考えて今後努力する所存でございます。
  169. 福田一

  170. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 八木委員の熱心な御主張に対しましては、心から敬意を表するものでございます。  なお、国務大臣としても、また農林省農林大臣としても精一ぱい努力をいたします。
  171. 福田一

    福田委員長 通産大臣
  172. 三木武夫

    ○三木国務大臣 同和問題が依然として政治の課題たり得ることは、これは文明の一つの恥辱だと思っています。この問題が政治の課題として完全に解消するために積極的な努力をいたす覚悟であります。  ことに、通産省としては中小企業の問題があるわけです。同和地区は零細中小企業が多いわけですから、今年度の予算において税務あるいは金融、経営、こういう面において指導員を置いて、そして経済的な面においてできるだけこれが相談相手になっていこう。それから、実態をもっと調査しなければならないので、調査費も計上して、同和地区における産業の実態の調査も行なう、これが通産行政の面における四十一年度の予算にあらわれておる点でございます。
  173. 福田一

    福田委員長 建設大臣
  174. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 私事を申し上げてまことに恐縮でありますが、私は実は中国筋に相当長い期間裁判官としておりました経験があります。したがって、いわゆる同和地区の状態、感情、あるいはいわゆる普通人という人々との間の感情、そういうものを相当承知をいたしておるつもりであります。したがって、先日来八木さんのお話を聞いて、全く感激といいますかしております。今日もこういう問題がなかなかそう簡単に解消しないのは、相当長い間の感情、また部落の構成状態、いろいろの原因があると思いますが、こういう根本問題がやはり解決しなければ、ただ抽象的にものを言うだけではこの問題は解決しない、かように思いますので、先ほど来お話しのように、これは政府全体として具体的にこれを解消していくということが大切だと思っております。
  175. 福田一

  176. 小平久雄

    小平国務大臣 私は、八木先生もあるいは御記憶と思いますが、この同和対策審議会の発足当時の関係者でございます。そういう関係もございまして、今回、昨年でございますが、りっぱな答申があったことを非常に喜んでおる一人でございます。したがいまして、国務大臣といたしましても、憲法の条章に従うことはもちろんでございますが、この審議会の答申を尊重いたしまして、できる限りの努力をいたす覚悟でございます。  この中には、ただいまおあずかりしておる労働行政の面についても、あるいは基本方針、あるいは具体策等々、たくさん答申がございます。その中で明年度の予算等においてもある程度、われわれも及ばずながら努力いたしまして、実現の方向に踏み出したものもございます。それはいまここで申し上げませんが、いずれにしても、今後これらを実現するために最善の努力を重ねたい、かように考えております。
  177. 福田一

    福田委員長 自治大臣
  178. 永山忠則

    ○永山国務大臣 同和対策につきましては、今後とも同和対策審議会の答申の趣旨に沿いまして、さらに一そう熱意を持って努力をいたしたいという考えでございます。  特に私の所管につきましては、地方団体が同和対策事業を円満に実施できますよう、特別交付税及び地方債の配分の面にさらに一段と努力をいたす考えでございます。
  179. 福田一

  180. 松野頼三

    ○松野国務大臣 私の出身地にも、同和問題につきましては、隣保館を設立いたしまして、それ以来非常に私の関心も深まり、また私の支持者も実は多数おります。  なお、最近防衛庁長官としては、基本的な人権というのみならず、防衛庁としては自衛隊の部隊の統制強化という面からも、この問題は重要なことだと思いまして、部下を督励して、あらゆる面において団結、統制、喜んで安んじて働ける自衛隊の職域にしたい、このような指導をいたしております。
  181. 福田一

  182. 安井謙

    ○安井国務大臣 同和問題の各省間の連絡調整に当たる役目を仰せつかっておる事情もございまして、この問題に対しましては、どなたにも負けないだけの熱意をもってこれに当たるつもりでございます。  そこで、先ほどの御質問に若干触れますが、制度の問題につきましては、この前、総理大臣からもお話がありましたとおり、対策協議会につきましては、すでに総理府設置法に乗っけて国会へ提出してございます。さらに特別法と申しますか、基本法といいますか、これにつきましても、いま前向きの線で検討をいたしております。そうして、これはむろん仰せのとおり憲法の各条章の精神をくんでできるものでなければなるまいと思って、いませっかく準備を急いでおる最中でございます。
  183. 福田一

    福田委員長 行政管理庁長官
  184. 福田篤泰

    福田(篤)国務大臣 国務大臣といたしまして率直に申しますと、同和問題といったような問題が残っておるということ自体が、文明国家、民主国家として恥であると私は考えております。  二年ほど前に防衛庁長官をやっておりましたときに、和歌山県で不詳事件がありまして、この解決に非常に帯心をいたしました。いかにこの問題が深刻であり、かつ重要な問題であるか痛感させられた一人でございます。  なお、行政管理庁長官という立場から申し上げますと、ただいま審議会その他の統合整理をいたしておりますが、この問題はきわめて重要であるという観点から、従来の審議会にかえまして対策協議会を承認いたしました。十分な機能を発揮せられることを心から望んでおる次第でございます。
  185. 八木一男

    八木(一)委員 いま、それなりに前向きな熱意のあるお気持ちを込めて御答弁をいただいて、その点非常にありがたく存じます。ただ、個々の問題については、御一緒にもう少し研究をしていただきたい問題もございますが、総体的な御熱意は非常にありがたく思いますが、私の最初質問申し上げた二つの点、国務大臣として、それから行政庁の長官としての御質問に対して、大体それに答えたつもりでお答えいただいておりますが、きちっとお答えになっておられません。  そこで、同じ意味だと思いますので、私が申し上げましたことをそのままそのとおりの気持ちでおられるというふうに私は確認をいたしたいと思います。そこで、もしそれが違うのだということであれば、違う国務大臣の方はいま御発言をいただけば伺いますが、御発言がなければ、私の質問の趣旨を全部理解し、そのとおりの気持ちをもって当たるというお気持ちであると確認をさしていただきたいと思います。――では、いま申し上げたとおりでほかの御発言がないから、私の質問のとおり各国務大臣は確認されたということを、ひとつ委員長、証人になっていただきたいと思います。  そこで、防衛庁長官は、非常に個人的な重大な御用事がおありになるそうでありますから、どうぞけっこうであります。それから藤山先生も何かあれだそうでございますので、私については御退席くだすってけっこうでございます。  その次に法制局の長官に伺います。先ほども申し上げましたけれども、そういう状態でありますから、基本法なり特別措置法なりをつくるときに、非常に総合的な問題になりますから、法律技術上は困難な問題が起ころうと思います。しかし、困難だということでこれをおくらしたり、りっぱなものをつくらなければ、これは憲法という法律よりもっと上のものに違反をすることになる。法律の番人の法制局長官関係者を督励して、いかなる困難があろうともこれを完全に解決をするような法律的な体系を、これをおくらさないで急速につくる、そういう勢いで、そういう気持ちで、そういう決心でその問題に対処をされなければならないと思う。それについての法制局長官の御答弁を伺いたい。
  186. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 法的な見地からお答えを申し上げます。  ただいまおあげになりました憲法の諸規定に違反している法律が現在あるとは思いませんが、職業安定法であるとか、あるいは生活保護法であるとか、あるいは教育基本法でありますとか、そのほかいろいろございますが、そういうものにはすでに無差別、平等といいますか、そういうものが規定されていることでもありますし、同和対策の基本法ないし特別措置法を法制当局として審議をする際には、御趣旨に沿いますよう最善の努力をいたしたいと思います。
  187. 八木一男

    八木(一)委員 法制局長官、私の質問したことにだけ答えていただければいいんです。よけいなことを答えていただかなくったっていいのです。いまおっしゃったようなことぐらいは、私、法律条文全部知っています。ですから、言ったように、憲法の基本的条文の状態が疎外をされている。それを解決するために特別なことをしなければならない。それが非常に複雑な事態だから、たとえば基本法的な条文を書いたところに具体法的な条文を書かなければならないし、ほかの法律の改正案をそこの中に盛り込んで、そうしてそれから行政措置についての指導方針を書いたり、いろいろな複雑な法体系のものをつくらなければならないと思う。それについて、こういうものはあまりかっこうがよくないとか、そういうことを法制局の人は言うのです。ただ、法制的、芸術的な良心を満足しようと思ってごちゃごちゃ言うくせが法制局にある。そんなようなくせで、基本的人権が確立されようという方向を一日でもおくらしたら、これは法制局の局員全部公務員としての資格がない。あなた方の趣味で、こういう体系のほうがかっこうがいいでしょう、そういうようなことでブレーキを一切かけない。即刻に十二分のものをつくるという努力をお願いしたい。その一点のみ御答弁を願えばいいわけです。
  188. 高辻正巳

    ○高辻政府委員 ともかくも憲法の精神を大いに拡充するといいますか、憲法の精神に即して、それを実現するという趣旨のことでございますから、むろんその本体に異論のあるはずはございませんし、立法上の技術の制約というものはございますけれども、その辺は何よりも第一に趣旨を生かすという方向に重心を置いて十分に努力をいたしたいと思います。
  189. 八木一男

    八木(一)委員 問題をやや具体化してまいりたいと思います。  次に、総理府の長官におもに伺って、それから各省大臣に伺いたいと思います。  同和問題の根本解決をはかるためには、この同対審の答申の「同和行政の方向」、「結語」のところにある、これが一つの柱になろうと思います。ただし、先ほども申し上げましたように、この「結語」も時間的な制約で不十分であります。ですから、これを補完し、補強をしていかなければなりませんが、そこの「同和行政の方向」のところに、総理府の長官は十分読んでおると思いますが、「その具体策を強力かつすみやかに実施に移すことが国の責務である。したがって国の政治的課題としての同和対策政策のなかに明確に位置づけるとともに、」という文言があります。それから少し抜かしますが「国および地方公共団体が実施する同和問題解決のための諸施策に対し制度的保障が与えられなければならない」ということが書いてございます。それから後に特別措置法の問題が出てきます。  そこで、明確な位置づけ、制度的保障ということになりますと、普通基本法というようなものを置いて、前文に、そのものをちゃんと理解するようにうたって、それから国の責任なり地方公共団体の義務づけなり、まず第一にそういうものを何らかの法律で強力に、明確にうたわなければならないと思います。それについて、その部分だけひとつお答えを願いたい。
  190. 安井謙

    ○安井国務大臣 法律をつくります場合の根本的な態度がございますが、御承知のとおり、各省にわたって非常に複雑な体系に相なろうかと思います。そこで、いま言われましたような位置づけというものをまず最初にやりまして、そうしてその次にはいまの協議会をも生かして、大いにその協議会でもってさらに具体的な案を練るといったような方策も続いて必要になるんじゃないか。そういう方針のもとにいまつくろうと思っております。
  191. 八木一男

    八木(一)委員 逐次お伺いします。全部伺いますから、お伺いしたところだけ答えてください、重複しますから。  その基本法的なものが必要だと思う。基本的な考え方、それから基本条文が必要だと思う。それからその次に必要なことを一これから後は私の意見を加えて言います。それに対する行政機構をひとつ確立をしなければならないと思う。それをどの法律でどのようにうたうかは今後の研究問題でありますが、もちろん政府独走ではなしに、われわれの考え方を、総理大臣のお約束のとおり、ひとつ前向きに取り入れて考えていただきたいわけでございますが、中心の行政機構と、それからその次の並列した行政機構とあります。それから後に、基本的な総合的な計画のことをうたうというようなこと。それからできるだけ具体的に、あらゆるもの、たとえばさっき自治省の大臣が言われましたようなことなんか非常に重大でありますが、そういうようなことをはじめとして、あらゆる点を具体的に書かなければならない。法律技術的にはセットにして基本的に書いて、あとくっつけたいというようなことをよく言うのです。よく言うけれども、できる限りその困難を乗り越えて、基本的なものを前文、基本的条文、それから具体的なものを――それは法律改正だろうと行政措置の基準をきわめるようなことであろうと、全部できる限り具体的に一つの法律でぱちんとうたうことが一番いいわけです。ほんとうに技術的にできないときには、これは私どももしかたがないと思いますけれども、そういう方針でやっていただかなければならないと思う。  それで、まず第一の行政機構の問題で、行政管理庁の長官は非常に前向きの御答弁をなさいました。非常にその点、研究もしていられますし、非常によいと思います。ただそこで、さらにこの問題についてお伺いしていきたいのは、いまこういういろいろなものを新設しないというときに、それを努力してなさる。これは一般ベースとしては非常に前向きだと思う。ところが、それ以上のベースでひとつお考えをいただきたいと思う。というのは、行政書型庁に対して臨時行政調査会が答申をした勧告の本文です。この勧告文の二五ページにありますが、ここにこういう文句があります。「人権の擁護、後進地域の総合的開発、辺地の総合的振興、低所得者等の生活の向上、労働災害の防止、公害の防止等その向上・推進をはかることが行政の当然の任務とされるべき分野にかかる行政機構は、その充実をはかること。」積極的にこれに書いてある。ここに残念ながら同和対策とか部落とか書いてありませんが、非常にこれはりっぱな答申で、相当――全部とは言いませんが、大体においてこれは臨時行政調査会のりっぱな答申だと思います。と思いますが、これよりあとで同和対策審議会の答申が出ている。したがって、その委員の方は同対審の答申をお読みになっていない時点においてこれをつくられた。部落問題は、ここのりっぱな政治家もまだ理解が薄い方がおありになったごとく、このようなりっぱな方々でも、この委員の方はりっぱな方ばっかしですけれども、それについて深い理解を持っておられない場合が多々ある。そういう状態においてすら、このような、いま言った文言、「人権の擁護、後進地域の総合的開発、辺地の総合的振興、低所得者等の生活の向上」云々と、すべてがこの問題に関係のある問題で、そういう問題については積極的に行政機構をつくらなければいかぬ、つくるべきだということを答申しておられるわけです。それをぜひ総理府の、長官も、それから行官の長官もお考えをいただきたい。  そこでもう一つ、ここで総体的な中で、要らないものは減らして、必要なものをつくれと、これは総合計画ですから、そういうふうに総体的に言われるけれども、それは時間の前後の関係であって、こういう大事なものではそういうものにとらわれないで、ここに積極的に充実するということで御配慮をいただきたい。ことに問題の経緯は、進駐軍の行政によって、戦前の内閣が幾ぶん取り上げかけておったのを、進駐軍が日本の同和問題についての理解がゼロであって、ただ一律にやれというようなことで、進駐軍の敬遠によって五、六年この問題がストップをした。ここでは、占領時代にやったよけいなものはやめろと書いてある、必要のないものは。ところが、占領時代に進駐軍が日本を無理解なためにやってとめたものについては、これは逆解釈をすれば、どんどんやらなければいけないということにもなるわけです。そういう点で、行管の長官は非常に理解がお深くてけっこうでございますが、そういう意味で、総理府の長官も勇気を出して――これは行管の長官は、また各国務大臣は、さっきおっしゃるようにどのような積極的な案を出されても必ず賛成をなさる、貧弱な案を出したらほかの閣僚からしかられるというような気持ちで、勇敢な案を出さなければならないと思う。  そこで、いま同和対策推進協議会の答申が出ていることを言われました。総理府の設置法の一部に入っております。それはそれなりでけっこうです。けっこうですが、まず第一に総理府の中の内局を固められなければならないと思う。同和対策省あるいは庁というものを置いていただいてもちろんけっこうであります。それがもしかりになかなかすぐできないようであったならば、少なくとも総理府の中に内局を置いて、同和対策局、同和局というような、名前はどちらでもいいですが、それを置いて、各省の、たとえば労働省の職安局、たとえば文部省の初中局、あるいはまた厚生省の社会局、そういうような各省局長と肩を並べた形で総合調整をやらなければ、官庁の人員も少ない、経験もまだ薄いということではなかなかやりにくい。また、そこ自体に事務局を持っていなければできません。そういう意味で、総理府の中にこの問題の内局を置くことが最低限必要であろう。その中心の部局を置くことをひとつぜひやっていただきたいと思う。  それとともに、官房長官は帰っちゃって困ったけれども、官房長官は閣僚懇談会のことを言っておられたけれども、これは、昭和三十三年からできた。何回開かれたか一々伺いたいけれども、そんなにひんぱんに開かれておらないと思う。こまかい質問ならやりますけれども、これはやらないとして、そうなれば、そういうものじゃ困るのです。閣僚懇談会であれば無責任な名前になるわけです。何か懇談しているという名前は。そうでもないでしょうけれども、とにかく責任を持ったそういう会議にしていただきたい。たとえば閣僚会議という名前にする、そして、関係国務大臣は全部そこに行く。その長は内閣総理大臣が一番望ましい。事務局長は総理府の長官にならい、その中心になられる。そのような閣僚会議というものを置いて、そこで同和問題について決定したことは、これはもう完全な決定であるというようなことが必要であろうと思う。  それから、同和対策推進協議会というものをどのように扱われるかわかりませんが、私どものこれがいいと思いまするのは、そういう院外団体といいますか、政府以外の学識経験者の団体のものが一つ持たれてもいいけれども、各省関係の部局の局長を全部集めて、総理府の内局長が中心になって、それでそれは同和対策推進会議。上に閣僚会議、下に推進会議というのがあって、推進会議というものは総合的な計画をたんねんに練ってつくる、それを閣僚会議に上申をする。閣僚会議ではそれを決定して、大乗的に指導推進の任に当たられる。そして、今度はそれを受けて、出して受けたものをその推進会議の各局長クラスがこれを具体的に推進する。完全な責任を持ってそれを推進する任務に当たる、こういう飛行機みたいなかっこうです。上に閣僚会議、下に推進会議、中心に総理府を中心としてきっちりとした軸がある。そういうものが一番いいのではないかと思うわけです。ですから、総理府の設置法にあれを出されたのは、あれはあれでけっこうですけれども、あれは修正もできます。またそれ以外のものをつくることもできますから、ぜひそういう問題についてひとつ積極的にお考えをいただいて、行政管理庁の長官も積極的に御賛成をいただくにきまっておりますから、閣僚の方々もそのくらいのことはしなければいかぬと思う。それじゃ弱いと言われるかもしれませんが、そのくらいの勢いでこの行政機構をつくることについて当たっていただきたい。それについてひとつ御答弁願いたいと思う。
  192. 安井謙

    ○安井国務大臣 同和問題の各省にわたっておるものを総合調整する事務機構が要るであろう、こういう御趣旨は私も十分に拝聴いたしますし、また考えております。ただ、形をどういうふうに持っていくか、どういう形の法律でうたうかはもう少し慎重に検討したいと思います。  それから協議会につきましては、いま御説のように大体二十人くらいを予定しておりまして、関係各省の事務次官クラスを十名くらい全員入っていただきまして、そうしてあと十名くらいを、これは多少数字に入れ違いができるかもしれませんが、学識経験者、こういう構成でいまの御趣旨の線に沿うようなものを考えております。
  193. 八木一男

    八木(一)委員 即座でございますから、はっきりとした、すぐそうやるという御答弁は無理かと思いますが、総理大臣の、あらゆる意見をいれて検討をするという趣旨を守られまして、私のいま提案申し上げたことをまたいつでも御提案に参りますから、それを軸として、――少なくとも内局の問題はあなた方は考えておられなかった。内局は考えてないけれども、同和対策庁をつくるというなら、これは私はまかり下がります。それに賛成をいたしますけれども、そういうことで、それについてすぐ即刻に、あすからでも前向きに実現する検討を始めていただきたいと思う。それについてひとつお約束をいただきたい。
  194. 安井謙

    ○安井国務大臣 申し上げましたように、これは前向きにいま熱意を持って準備中でございます。何ぶん非常に複雑な関係がございますので、なかなか右から左というわけにまいりませんが、これは熱意を持ってなるべく早くして出したいと思っております。  もう一つ、これはよけいなことかもしれませんが、おそらくこの問題については超党派の問題だろう、イデオローギー抜きにした問題だろうと思います。そうなりますと、それぞれ社会党、民社・党、自民党といったような関係でも十分な御協議を願いたいものだと私どもは考えております。
  195. 八木一男

    八木(一)委員 総理府長官、私、あけっぱなしで言っていますので、少し警戒していられるように思うのです。こんなものは警戒されたらいかぬでしょう。警戒して答えられることは憲法違反ですよ。警戒しないで、ほんとうにあけっぱなしに言っているのですから、私どもは私どもの考え抜いたことをすぐあなた方に知らせなければならないから、すぐ言います。しかし、自民党の方とも、民社党の方とも、ほかの政党の方とも御相談をします。自民党の方もすぐ直通もされていいです。早くしなければならない。相談はします。たとえば自民党の権威者の秋田さんがきのうまで帰ってこられなかったから、いままで相談するひまがなかった。帰ってこられたら相談しますから、横にも縦にも急いでやりますから、そういうものをやって、相談をまとめて持ってきてください、まとまるまでは十分に聞けないというようなことじゃなしに、この憲法の問題を解決するのですから、あらゆる点で縦にも行くし横にも行きますから、それを全部入れて即刻に完全なものをつくっていただく、そういうふうにしていただきたいと思います。  それからその次に、同対審の答申のその次の事項であります。「地方公共団体における各種同和対策の水準の統一をはかり、またその積極的推進を確保するためには、国は、地方公共団体に対し同和対策聖業の実施を義務づけるとともに、それに対する国の財政的助成措置を強化すること。この場合、その補助対象を拡大し、補助率を高率にし、補助額の実質的単価を定めることなどについて、他の一般事業補助に比し、実情を配慮した特段の措置を講ずること。」ということがうたわれております。これは具体的に問題を推進するのに非常に大事なことであります。先ほど自治大臣は、この問題について非常に前向きの御答弁をなさいました。ひとつこの問題についてぜひ御推進を願いたいと思いますが、問題は、大蔵大臣がまた御関係が深いと思う。またいろいろな補助をやっておられる厚生大臣、文部大臣、いろいろ御関係が深いと思いますが、時間が制約されて残念でございますから、二、三の方に伺っておきたいと思います。  特に大蔵大臣に申し上げたいわけでございますが、こういう問題については、大蔵大臣がいままで非常な力を持っておられて、それを伸ばすのもとどめておくのも大蔵大臣が半分ぐらい力を持っておられるというような形です。大蔵大臣はりっぱな大蔵大臣だと私は思います。大蔵大臣というのは、予算を減ずることだけが仕事だというように世の中に思われておりますけれども、それはそうじゃないと思う。国民から預かった税金を必要な大事なところに入れる、そのほうがほんとうは重点だ、その総合調整の点をあまりきびしくやられると、予算をぶった切る役所みたいに見えますけれども、本来はそうではない。特にこのような憲法に関する重大な問題である。何百年も人権が侵害されて、それの解決のためにあらゆる政党、あらゆる政府が努力をして、結論がいま出た。いままではなかったから、その点について対処する財政措置相当ふえると思いますけれども、これは百年前から、明治太政官布告時代からずっとやらなければならない問題が集積をしておる。百年間の問題をこの数年間解決しなければならないという問題でございますから、いままでの、福田さんの前の大蔵大臣までの状態とは違って、飛躍的にその問題について、財政支出を積極的に大蔵大臣みずから考えてやっていくというようなことでなければならないと思う。  そこで、いま出た問題でございますが、いろいろな補助対象とか補助率とか、あるいは実質単価という問題が一般の行政、すべての行政でネックになっておることは大蔵大臣十分御承知のとおりであります。その一番ネックになるのはどこかというと、実質単価と予算単価とが違う。そうなればそれだけ市町村負担なり、地元負担なり、個人負担が出てくる。ところが市町村負担、地元負担、個人負担ができないところではそれができないということになるわけです。部落の大衆は、個人負担は絶対にできません。できるような状態ではありません。また村落、部落の財政負担というようなものは、できるような状態ではありません。また部落の集中しておる市町村は、非常に集中しておる度合いが多いわけです。したがって、市町村は税収の面でも少ない。それに対処するための財政支出の必要度が非常に高いということで困るわけです。したがって、この問題をほんとうに解決する場合には、すべての問題で予算単価と実質単価の問題を、実質単価にしなければなりませんけれども、まず第一にしなければならないのは、この部落対策の諸問題について補助が実質単価でなければならないということであろうと思う。その次に対象であります。建設省関係の中では、一部土地に対しての補助が出ておるところがありますけれども、たとえばいろいろなものをつくらなければならない。つくるときに、建物に対する補助だけでは土地の購入費が出てこない、土地の整備費が出てこない、あるいはそこに倉庫でもあったときに移転費が出てこないということであれば、建物の補助があっても、これは実際は動かないわけです。それと同時に、いま補助率がいろいろなもので違いますが、三分の二、二分の一というような、いろいろ各省関係で違いますけれども、補助率が低くてはこれまただめなんです。そういう問題について、大蔵大臣は、ぜひ大蔵省のいままでのこの問題が出るまでの立場を捨てて、先ほど申し上げたことについて大蔵大臣は御承諾をいただいたわけでございますが、その気持ちでこの問題を乗り越えて、実質単価をやる。必要なものについては、建物だけでなしに、土地や移転費や整備費や、そういうものについて全部補助対象にする。そうして補助率を大幅に引き上げる。そういうことについて、ぜひ前向きに考えていただきたいと思うわけです。それをぜひ至急に実施をしていただきたいと思うわけであります。自治大臣とそれから大蔵大臣から、ひとつその点についての御答弁をいただきたいと思います。
  196. 福田赳夫

    福田(赳)国務大臣 この問題は、先ほど申し上げましたような態度で取り組みますが、具体的な企画は各省から出てくるのです。その企画を見た上で、先ほどのような考え方で対処いたします。
  197. 八木一男

    八木(一)委員 大蔵大臣から非常に前向きな御答弁をいただきました。先ほどの答弁の趣旨に従ってやっていく、具体的な施策については各省から出てくるので、これについて、先ほどの考え方に従って対処をするという御答弁でございました。したがって、今度は各省の問題になります。自治大臣から、いま言った問題についてひとつ積極的な御意見を伺いたいと思います。
  198. 永山忠則

    ○永山国務大臣 特別交付税の配分につきましては、三十九年度は、府県が二億九千万円、市町村が五億二千四百万円、合わせて八億一千四百万円でございますが、四十年度はさらにこれを上回るようにいたしたいと考えております。その対象といたしますものは、特にいわゆるモデル地区につきましては、交付税と起債とをかみ合わせております。この起債の関係につきましては、普通一般債では百万円以上のものが認められておりますが、それを下回って八十万円程度のものでありましても、同和関係事業につきましては、いろいろの事業をあわせて一件として取り扱うこととし、その起債の充当は、ほぼ一〇〇%に近い充当をいたしております。これらの起債の充当についても、一段と努力をいたしたいと考えております。  なお、地方債の総額は、これを上回るように今年も努力いたしたいと考えております。
  199. 八木一男

    八木(一)委員 さっき自治大臣のことを申し上げましたとき、政府委員と話をしておられたので、私の質問のポイントとちょっと離れておりましたが、いまの御答弁の問題も大事なんです。それは、この次出そうと思ったのです。さっきの問題について、補助率、補助対象、それから実質単価の問題について、厚生大臣と文部大臣にひとつ御答弁を願いたいと思います。
  200. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 補助率の引き上げ、補助単価の適正化等の問題につきましては、審議会の答申の重要な部分である結語に明記いたしておるところでございますが、厚生省といたしましては、生活環境施設の整備、あるいは各種の社会福祉施設の整備等にあたりまして、この答申の御趣旨を体しまして、十分改善策に努力してまいりたいと考えております。
  201. 八木一男

    八木(一)委員 いま補助単価の適正化と言われた。実質単価ということでひとつお答えをいただきたいのと、それから補助率の引き上げ、これは引き上げといっても、ちょっぴりした引き上げと、中くらいの引き上げと、大幅の引き上げがある。大幅な引き上げについてひとつお答えをいただきたいということ。  それからもう一つは、補助対象の問題でありますが、補助対象の問題の御答弁がない。補助対象の問題は、二つあります。一つは、やるのに建物だけでは、土地がなければできない、さっき言った問題。それから浴場に補助がある、隣保館に補助がある、墓地に補助がある、じんかい処理場に補助がある、いろいろあるけれども、それ以外に必要なものについてのそういう対象をふやすという問題と、対象をふやした問題について、建物だけでなくて土地とか移転費、そういうものが要る。そういう問題についてもっと詳しく御答弁をいただきたい。
  202. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 私は、こまかく個々に申し上げませんでしたが、答申の重要な部分である結語で、政府にその実行を要望いたしておりまする諸点につきまして、それには、八木さんが御指摘になりましたところの補助対象につきましても、たとえば移転の補償費の問題でありますとか、あるいは用地の取得に対する問題でありますとか、そういう問題をも含めまして、十分私答申の御趣旨を尊重し、これを体して改善をしてまいりたいと思います。
  203. 八木一男

    八木(一)委員 答申の趣旨について具体的に申し上げましたので、私の申し上げたことについて、お答えのない部分は全部御賛成だと私は確認をいたしておきますから、これから全部ひとつそういうおつもりで御答弁願いたいと思う。時間が制約されてなくて、委員長のほうで延ばしていただければもっとやるのですが、そういうことですから……。  それからその次に、自治大臣に伺います。先ほども言われたことでございますが、同和対策の特別交付税の問題について、これはそういう名前がついているのか、一般交付税の中でそういう基準ができているのか、明らかにしていただきたいことと、現在そういう基準で出ていることは知っておりますが、それが各市町村なり府県で明らかにされてなくて、ほかのことに流用されている事実がたくさんある。そういうことについて自治省はどうお考えになっているか、ひとつ……。
  204. 永山忠則

    ○永山国務大臣 特別交付税で対処いたしております。一般交付税ではございません。すなわち一般交付税のような一般的なものでございませんので、各地方で部署により、地域により違っておる関係がございますので、そこで特別交付税というので配分をして、めんどうを見るということにいたしております。その特別交付税は、やはり一般基準需要額というものをつくりまして、そして標準的な経費をつくり上げて、それに見合うだけの交付税を出しておるのでございます。各地方団体は、熱意を持って漸次その同和関係対策を推し進めておるように思っておりますが、さらに関係各省にも連絡をよくとりまして、財源的措置には今後不自由をかけないように十分いたしたいと考えております。
  205. 八木一男

    八木(一)委員 自治省、自治大臣に伺いたい。いまの特別交付税は、どうも私の調べたところによると、こっちでそう言っていられても、地方のほうでそのまま使われてないで、ほかのほうに回される形跡があるので、これは予算分科会でもっとこまかい資料をいただいて、それを各府県で、特別交付税として中央からいただいたことを明らかに公表しているかどうか、まぜこぜに使っておるのじゃないかという点があるのですが、予算分科会でさらに御質問したいと思いますから、お調べになっておいていただきたいと思います。  それから一般の交付税も、これは一般行政として部落地区に及ぶものとして使われなければならないし、それにこの何百年の断層を埋めるための特別交付税がなければならない。その金額はふえなければならない。またこの問題は、急速に地方行政団体が実施するために、その起債というものを大幅に認めなければならないし、起債についても、中央官庁がそれに対して、それができるようなスムーズな、できれば利子補給まで考える、そういう方策をとらなければならない。時間が制約されていますので御答弁は要りません。分科会でさらに詳しく御質問をしますから、この点について前向きな御答弁、具体的な御答弁をひとつ御準備になっておいていただきたいと思います。  それからその次に、総理府の長官はじめ関係大臣に伺いたいのですが、この結語の中に4、5の問題があります。5の問題で「同和地区内における各種企業の育成をはかるため、それらに対する特別の融資等の措置について配慮を加えること。」これはおもに三木通産大臣や坂田農林大臣のほうに御関係のある問題だろうと思います。  いま中小企業金融ということがよくいわれておりますけれども、実際上、残念ながら中小企業の中で大きなところに金が回って、小企業のほうには回らない。まして零細企業のほうには回らない。零細中の零細である部落産業にはこの金融がほとんど回っていないわけであります。それについて特別な措置をお考えになる必要があろうと思います。この審議会は非常にまじめにやりましたが、政府の方でどういうことをやるということについては、政府のやり方についての御検討はそう百点満点ではありませんし、また遠慮をされているきみがある。さっきから言ったように、さらにこれを強化しなければならないという立場において、一般的な中小企業のところに当然それが配分が回るようにしなければならないと思いますし、百年の長きにわたって悪条件のもとに置き去られた問題を追いつかせるために――追いついてしまったらいいですが、追いつかせるために、一般の中小企業金融のほかに同和対策の金融公庫というようなものが積極的に考えられなければならないと思うのです。そういう点について通産大臣が非常に積極的にやっていただきたいと思います。またそういう問題を法律に織り込む必要があろうと思いますので、総理府の長官がそういう点について積極的に進めていただきたいと思うわけです。その点について通産大臣の答弁をいただきたい。
  206. 三木武夫

    ○三木国務大臣 国民金融公庫があるわけですから、これを積極的に運用することにして、同和対策面においても遺憾なきを期していくことがいいんではないでしょうか。別に同和対策というものの特別の金融機関を設けるというよりかは、現にある国民金融公庫というものの運用面で改善を加えるということのほうが実際的ではないかということでございます。
  207. 八木一男

    八木(一)委員 三木さんに重ねてお伺いします。  一般的に、零細の問題でそういうことを言うと、すぐそういう御答弁が出るわけです。たとえば官学金融公庫の問題についても、おそらく同じような考え方で閣議にはかられて、ああいうふうな答弁になった。官営金融公庫も、私はある意味で考えていかなければならないと思います。必要だと思いますが、その時点よりはるかに高い時点で問題を考えていただかなければならない。それは一般的にあるからいいというものの、通産大臣にしろ大蔵大臣にしろ、そういう中小企業金融公庫をつくられたけれども、小企業に金が実際に回っていない。零細企業に十分に回っていない。一つも回っていないとは言いませんけれども、その要望どおり回っていないということは、これは通産大臣大蔵大臣もお認めだと思う。それを通産行政、あるいは金融のほうの元締めである大蔵省のほうはお考えになるのがやはり国務大臣としてのりっぱな道だと思う。これからそういうふうにやるといっても、それは十分ではない。それをやられるのはいいです。そこの中で十分に対処をされるのはいいけれども、それにつけ加えてこの四百年の問題、百年の問題を解決するにはそれだけの、――百メートル競走で、ほかの人が八十メートル先に行って、後から追いかけている企業ですから、それはそれだけに十分な対処をしても――それを追っかける企業に対して十分な対処が一つもされていないわけです。十分どころか、不十分な対処もされていない。そういう問題は永久的な問題ではない。その部落産業がほかのものに追いついたならば、そこでその金庫はやめていただいてもいいんです。未来永劫までそんなものを続けていただくようなことでは解放はできていないのです。そういう点で、臨時的に同和金融公庫というものを――ほかの中小企業金融公庫でも一般的にやる、そのほかに同和金融公庫というものを積極的につくられるということが、この間から皆さま方と御論議をしている問題の一つの具体的な前進的な方法ではないか。ぜひこの部落問題には、三木先生は三十三年に自民党の幹事長で、自民党の中でここにおられるその当時副総理であった石井先生と御一緒に一番前向きに取っ組んでいただいた大先輩です。ぜひひとつそのお気持ちで、いまはこの御答弁であっても、たとえば分科会で一両日後に伺うときには、そういう方針をきめた、やるんだというふうにぜひしていただきたいと、そういう御答弁をひとつお願いをいたしたいと思います。
  208. 三木武夫

    ○三木国務大臣 八木さん、熱心ないろいろなお話、研究はしてみますが、国民金融公庫で少しやり方を改善する余地があるのではないか。新しく金庫をつくるということは、なかなか容易なことでないのです。できれば現在ある金庫というものをそういう目的のために使えることが実際的なんです。よくは研究をいたすことにいたします。
  209. 八木一男

    八木(一)委員 その次に四番目の点で、事業団という提案がされております。この点については、私の解釈では、事業団は、たとえば職業あっせんとか職業指導というようなものを行政官庁がやられるのを補完的にやられる、あるいは零細企業の技術指導だとか、市場開拓、それから零細農業の技術指導だとか、もし事業団をつくるとすればそういうものが適当だと思いますが、これは、たとえば農林省、通産省、労働省に関係があると思います。しかし、具体的に非常によいものができれば役に立つと思いますので、ぜひ総理府の総務長官各省関係がありますから、こういう問題についてひとつ具体的に御検討になって、ひとつ先ほど三木さんからお答えになっていただいた同和対策金融公庫と同じように、同和対策の問題を推進する事業団という問題についても、具体的に前向きにひとつ御検討いただきたいということについて、総理府総務長官からお答えをいただきたい。
  210. 安井謙

    ○安井国務大臣 これは、いまの金融機関と同じような問題になると思います。私どもどういう方法が一番有効適切かということにつきまして、今後も慎重に前向きに検討していきたいと思います。
  211. 八木一男

    八木(一)委員 予算分科会で、同僚の各委員が全部この部落問題について各省ごとに御質問をします。各常任委員会で御質問をいたします。数日中に政府がこんなに熱意を持って取っ組んだという結論を政府側から積極的に御答弁のできるように、ひとつ御推進を願いたい、この両方について。  それから、時間がだいぶ迫ってまいりましたので非常に残念でございますが、各省別に大事なことをちょっと伺っておきたいと思います。  まず文部省から伺いたいと思いますが、文部省のほうで資料をいただきまして、長欠児童の数では、率にしたらやはり部落地区の子弟が圧倒的な高い率を占めております。この長欠の原因は何か、いろいろあると思います。これは、たとえば社会保障の問題も関連があります。労働の問題も、通産の問題も、農林の問題も関係ありますが、とにかくそういう貧困なために長欠という原因が始まっておる。具体的なその時点としては、貧困なために弁当が持ってこられないとか、あるいは父兄負担の金を生徒が持ってこられない、だから恥をかく、はずかしい、差別を受ける、そういうような問題が具体的な現象としてはあるわけです。そういう点で、いま時間がございませんで、分科会でまた詳しく申し上げますけれども、父母負担がまだ全般的に相当に残っている。その父母負担というものが部落の親にとって非常に苦しいものである、その子弟にとってそういう差別のもとになる、非常な悩みをつくるもとになる父母負担を解消しなければならないし、また給食というものも全部に完全に行き渡っていない。東北地方の非常に山間部に対して、給食費について完全な対策を今度つくられた、これは非常にいいわけです。それはどんどん進めていただきたい。そこで、おたくのほうの公務員の方に伺ったのですが――この給食が非常にいいことで、どんどんやってほしい。しかし、その理由はどういうことでやっているんだと聞きましたら、貧困か、土地の交通が不便だからというのです。私はそれは間違いだと思う。貧困だから、交通が不便だからということで給食をしているのは、パンとミルクです。遠いから魚が給食できないというのなら、山の中だけにやったというならわかる。貧困なるがために、その給食について、東北の僻地について特別な対策をとられた、これは非常な善政だと思います。これはどんどん伸ばしていただきたいと思いますけれども、それと同時に、貧困ということであれば、部落の子弟がたとえ平たん地に住んでいようと、同様の、それ以上の貧困の状態がある、そうなれば、そういう部落がたくさんある、そこの子供がたくさん行っておる学校について、ほかの地区よりも早く完全に給食の措置をとるということが必要だろうと思う。そういう問題。それから教科書の無償給付の問題についても、これは完全に義務教育全部まで及んでおりません。そういう問題がございます。それから、いま高等学校の進学についての補助金を出されます。これは非常にけっこうであります。しかし、その金額はそれほど多くないと思います。一般的な育英資金という問題が非常に活用されるようにならなければなりません。ところが、育英資金の中では、私日本育英会法の基準を見ましたら、高等学校に入るのは、平均三・五以上の成績をとって、五人家族、一級地で七十五万円以下の生活、これが基準であります。二級地はまた違いますし、四人のときは基準として違いますけれども、そういう一つの基準なんです。特別な例外で、災害を受けたり何かしたら、それ以外でも、ちょっとそれより下回っても、申請すれば育英資金が得られるという例外条項がありますが、基本的に一本の線で引いているわけです。こういうことは大間違いだ。奨学資金ですから、三・五以上の成績をとって、それで何万円以下の世帯、そうなれば、三・五で七十五万円以下の世帯の人しか奨学資金をもらえぬのです。ところが三・四でうちでは三十四万円しかない、学費が出せないというところと比べたら、その時点で二つ比べたら、三十四万円の貧困な家庭で三・四の生徒のほうが、奨学資金を渡すのに総括的に適当であろうということになろうと思う。ですから、こんな一本の基準ではいかぬと思う。大体奨学資金が、いま英才教育で、できる子にあげるということになっておる。もちろん勉強するために学校へ来るのですから、学校に行ってもちっともものを覚えない子にやるというのは意味がありませんけれども、その中の大ぜいが学校に行く中の中の上の子、非常にできる子にやるというほうの要素が強くなっている。貧困な家庭の子に支給するという要素が減ってきている。それではほんとうの奨学資金の意味にならないと思う。そういう日本育英会法の一本基準というものは、三・五以上、七十五万円にしてもいいけれども、貧困な三十万円以下だったら、これは三・〇以上の子供でも自動的に入れる、そういうことをしないと、一般の零細な生徒のそういう奨学にぐあいが悪いし、そしてまた問題が解決にならない、そういうことも御考慮を願いたいと思う。時間がなくてこんなに早口で申し上げて恐縮でございますが、また分科会で十分に伺いたいと思いますが、そういうような父母負担の軽減、それからもう一つは給食、教科書、育英資金、奨学資金、そういう問題についてぜひ前向きの御答弁を総括的に、基本的にお願いをいたしたいと思います。
  212. 中村梅吉

    中村(梅)国務大臣 あとのほうの育英奨学資金につきましては、もう八木さんは私ども以上によく方法等を御存じのようで、現在いま御指摘のような方法でやっておりますが、これを二本、三本にするということについては、いろいろの問題点があろうかと思います。とくと研究をさせていただきたいと思います。  それから就学奨励につきましては、御承知のとおり、私どもは鋭意家庭の困難な児童生徒に対する就学奨励の道は進めておりまする次第で、また給食も御承知のとおり、準要保護世帯までは無償で給食のできるように府県と国とで負担をして進めております次第で、なお改善については検討してまいりたいと思います。
  213. 八木一男

    八木(一)委員 時間が迫りましたから一括して失礼でございますが、質問をしておきたいと思います。建設大臣労働大臣、厚生大臣に申し上げたいと思います。  建設大臣のほうは、住宅改良法の問題が中心でいろいろな問題がございます。住宅改良法のほうのことで、毎年四千五百戸ほどつくっていただいておりますることは、一つの前進になっておりますけれども、非常に状態の悪い部落住宅の数から見ると、この調子では全部の解決には何十年かかるということになります。この戸数をまずことし以上に飛躍的にふやしていただかなければならないし、それから改良住宅という問題について、部落のときには特別な地方産業があるわけです。それは、家の中で作業をし、家の中へいろいろな材料を置く、そういうことがございます。また自転車を置くところが全然ないようなところでは、それは非常に困るわけです。ですから、改良住宅を飛躍的にふやすと同時に、これは土地や何かについても、あるいはそういうことについても補助金を出しておられますが、その補助金は二分の一ぐらいというようなところでございまして、地方団体はやりたいけれども、土地についての補助金が十分ないからできないという問題がございます。先ほど厚生省、自治省関係で申し上げたのと同じような問題でございますが、どうか建設大臣には、大蔵大臣も非常に乗り気の積極的な御意見でございますから、建設大臣としてはそのような補助率なり補助の対象なり、そういうものについて積極的な計画をつくられて、戸数もふやされて、その住宅についても、十分な作業とか、倉庫にするとか、そういうことができるような、そういう問題について御推進を願いたいと思う。建設行政には一ぱい関係がございますが、また分科会で申し上げますので、中心の問題についてお伺いをいたしておきたいと思います。  それから厚生省のほうは、環境改善の問題だけじゃなくて、生活保護の問題や、福祉年金の問題や、あるいは日雇い健康保険の問題や国民健康保険問題、すべて重大に関係があるわけです。その問題は分科会で十分に御質問申し上げますけれども、御質問のときにそれはよく考えておく、よくやったという御答弁をひとつ御準備を願いたいと思います。  それから労働省、一番最後になって恐縮でございます。労働省がほんとうは一番関係が深い。この労働省の雇用の問題がこの部落問題の一番の解決の中心であります。雇用の差別があるという問題について、たとえば資本家のほうで差別を実際にしております。ですから、資本家の教育をして、差別をするようなことに対してさせないような教育をする。それを聞かないような、たとえばいい志願者であっても雇用しないとか、それの賃金や条件を悪くするとか、そういうようなふらちな経営者に対しては、いま若年労働者がたくさん要るから紹介してほしいといいますけれども、そういうところには一切労働者は紹介をしないというような具体的な懲罰を与えて、そのような経営者が就職についての差別をしないというような方法をぜひ推進していただきたいと思いますとともに、職業安定法や緊急失対法で非常に不十分な状態を――失業者というものが失業保険とは関係なしにある。その前に、失業保険の適用を受けていない人たちがすでに失業者であるという観点から、こういう問題に対処していただきたい。それから石炭離職者に対するいろいろの法律がございます。それと同じように、恒久的な潜在失業者であったこの人たちに対して、石炭の離職者に対して特別な措置が行なわれたように、それと同等あるいは同等より以上のそういう対策をやられる必要があろうと思うわけであります。それについても分科会において十分に御質問を申し上げたいと思いますので、ぜひいま基本的な御答弁を願って、さらに分科会で具体的な御答弁をぜひお願いをしたいと思います。  農林大臣については、通産大臣に申し上げたことと同じような内容であります。そういう点についてぜひ大蔵大臣のほうに積極的な意見を提出されてやっていただきたいと思いますのとともに、農林省が一番けしからぬ問題は、モデル地区ということばばかりに固着しておる問題であります。モデル地区というのは、一般の行政の中でその一つを集中的にやって効果をあげたことを見せようという点で使われているということはわかります。しかし、この部落問題、同和問題でモデル地区というものをつくるのは、そのモデルにならなかったところに対して格差をふやすことになり、モデル地区を指定してもらうために、頼んでそれを指定してくださいという運動を起こし、権利として要求し、国民課題政府の責任において解決をしなければならないことを政府のほうは慈善的にやる。その対象者のほうは拝んで頼んでやってもらうということになれば、これまた差別の助長になるわけです。そのようなことで、一般の行政的に考えているモデル地区という考え方を抜いて、モデル地区ではなしに、すべての部落にそういう方策をもって対処をしなければならないという考え方に各大臣は徹底していただきたいと思いますが、農林省はその点は一番おくれているわけであります。その点について、農林大臣関係部局にいま申し上げたことを浸透さしていただいて、モデル地区という考え方ではなしに、部落零細農業、漁業を一般的に向上させるために、先ほど各大臣に御質問申し上げたような線で御努力を願いたいと思います。  たいへん早口で恐縮でございましたが、御質問を申し上げたことについて、いまの各大臣から基本的な前向きな御答弁を願って、その後は分科会に移らしていただきたいと思うわけであります。どうか御答弁をお願いいたします。
  214. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山国務大臣 同和対策は、先ほど来言われておりますが、総合的にやらなければ解決しない。ただ、一番の問題は、私のほうの担当のいわゆる住居環境をよくするということが非常に大切だと考えます。三十六年の調査で約三万戸改良する必要があるということであります。地区は御承知のとおりたくさんありますけれども、そこで今日まで約六千戸改良住宅を建てております。まだまだたくさんありますから、これは私はもっと積極的にやるべきだと思っております。  ただ問題は、八木さんも御承知だと思うのですけれども、環境の区画整理をしなければならない、そういうときに、土地の問題や、その地域のいわゆる親分の問題、あるいはその地域を改良することについて必ずしも地元が積極的でない、御協力が得られないというところもあるのです。やりにくいところもありますが、やはり住宅と環境を改善する、これが一番だと思いますから、積極的にできるだけ早く計画的にやりたい、こういうことであります。
  215. 鈴木善幸

    鈴木国務大臣 生活環境施設の整備や各種の社会福祉の施設、その他生活保障の問題、医療保障の問題、いろいろ厚生省の担当しております問題は多いわけでございますが、たとえば生活環境にいたしましても、逐年力を入れてまいっておりまして、昭和四十一年度におきましても、八木さん御承知のように、前年度比一三〇というようなぐあいに重点は置いてやってまいるわけであります。しかし、私どもは、こういうものは答申、勧告にもありますように、総合的に長期年次計画整備していくべきである、かように考えておりますので、その線に沿うて努力してまいりたいと考えております。
  216. 坂田英一

    ○坂田国務大臣 モデル地区でえらいおしかりを受けておりますが、これは別に予算上の区別も何もありませんし、また三省以上関係のあるものにつきましては、調査をしていきますのでモデル地区と俗称申しておるようであります。農林省といたしましては、三十九年度から一省だけでいくものについて一般地区と俗称言っておりますが、そのほうに相当大きく伸びておりますから、御了承願いたいと思います。  それから金融の面については、三木通産大臣と同じような考え方でございます。
  217. 小平久雄

    小平国務大臣 同和地区の方々、あるいはそこらの出身の方々の雇用促進をするということは、労働省に課せられました非常に重要な仕事と心得ております。そこで、特に御指摘の雇用者側で差別的な取り扱いをするというようなことにつきましては、厳にそういうことのないように雇用主のほうを、あるいは啓蒙し、あるいは指導いたしておりますし、特にそういう差別待遇をするような雇用者に対しましては、雇い入れの申し込みの受理をしないとか、あるいは職業紹介をしないとか、そういうことも許されておるわけでございますから、そういう厳然たる方針で現に臨んでおるわけでありますし、今後もさようにいたしてまいるつもりであります。  その他何点かお話がございましたが、詳しくはまた分科会でお答え申し上げたいと思います。いずれにいたしましても、雇用促進につきましては、最善の努力を払うつもりでございます。
  218. 八木一男

    八木(一)委員 これで質問を終わりたいと思います。各国務大臣はじめ政府委員の方は、この問題に熱意を込めてお考えをいただき、御答弁をいただいたことを非常にありがたく存じます。まだまだ論議が十分になっておりませんので、分科会において同僚と一諸にこの問題を御質問申し上げたいと思いますので、さらに具体的な前向きのことを固めていただきたいと思います。その一番中心になる金の問題について、大蔵大臣の非常に前向きなお考えをいただき、非常に心強く存じます。各省大臣は、大蔵大臣がこれだけ御理解を深めていただいておりますので、ぜひ非常に元気でひとつこの問題を御推進を願いたい。どうもありがとうございました。(拍手)
  219. 福田一

    福田委員長 これにて八木君の質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――
  220. 福田一

    福田委員長 この際、御報告いたします。  明二十四日から昭和四十一年度総予算について分科会の審査に入ることにいたします。  なお、この機会におはかりいたします。  分科会の審査の際、最高裁判所当局から、出席発言の要求がありました場合には、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと思いますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時十二分散会