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1966-05-17 第51回国会 衆議院 本会議 第53号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年五月十七日(火曜日)     —————————————   昭和四十一年五月十七日    午後二時 本会議     ————————————— ○本日の会議に付した案件  会期延長の件    午後十一時二十三分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  会期延長の件
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 会期延長の件につきおはかりいたします。、本国会会期を六月二十七日まで四十日間延長いたしたいと存じ、これを発議いたします。  本件につき討論の通告があります。これを許します。安宅常彦君。   〔安宅常彦君登壇〕
  4. 安宅常彦

    安宅常彦君 私は、日本社会党を代表いたしまして、だだいま議題となりました会期延長の件につき、強く反対の意を表明するものであります。(拍手)  本院は、自民党内閣のもとで、会期末には必ずといってもよいほど、例外なく会期延長問題が持ち出されて、国会がしばしば混乱におちいった歴史を持っております。しかも、この歴史は、すべて議会制民主主義をじゅうりんし、国会権威を失墜する歴史となっているのであります。  まず、自民党及び佐藤内閣が言う会期延長理由は、重要法案が多く残っているからというのでありますが、これは、議会制度基本原理を全く理解しない思想があらわれており、政府が提出した案件は必ずその国会で通さなければならないというファッショ的態度のあらわれであります。(拍手)  その第一の理由は、自民党佐藤内閣重要法案と称してその成立をねらっている法案は、非科学的でありかつ軍国主義の復活をねらう国民祝日法改正案であり、アメリカの要請にこたえた自衛隊の増強案であり、中央集権化をねらい地方自治を破壊する府県合併法案であり、言論を統制する電波法放送法改正であり、国民生活を窮乏化する各種保険料郵便料金値上げなど諸物価引き上げのまことにけしからぬものばかりであります。つまり、自民党佐藤内閣にとっては重要法案であるかもしれませんが、善良な国民にとっては、全く迷惑しごく、危険千万な法案なのであります。(拍手)そもそも国会任務国民に対して奉仕する代議政治の機関なのでありますから、国民が迷惑がっている法案を通すために会期延長するという行為は、明らかに反国民的な行為であり、国会という制度そのものを否定する行為に通ずるものであるといわなければなりません。(拍手)  会期延長がファッショ的であり党利党略であるという理由の第二は、議会制民主主義の原則を少しも理解せず、これを破壊する行動であるという点であります。つまり、民主主義なりその一つの典型でありますところの議会制度の真髄は何かと申し上げるならば、端的な表現をすれば、近代国家としての手続の問題だと思うのであります。確立された民主的手続を無視して議会政治は絶対に成り立ちません。民主主義とは本来いわゆるせっかちな能率主義ではないのであって、政府自民党のようなやり方、つまりせっかちな態度は、角をためて牛を殺す結果となることを知らなければなりません。(拍手)したがって、議員提案法律などはすっぽかしておいて、政府提案法案は全部必ず成立させなければならないという国会運営のあり方は、議会制民主主義の何たるかを知らざるものの危険な態度といわなければなりません。(拍手)  この問題については幾多の注目すべき歴史的な教えがあるのであります。自民党及び政府が特に模範としておられるアメリカ議会において、かのケネディ大統領が提案した公民権法案が、国会及び国民の大多数の賛成を得ていながらも、慎重審議、一カ年有余を経て、ジョンソン大統領の時代に至ってようやく成立しましたし、また、議会民主制発祥の国といわれるイギリスの議会では、最近死刑廃止法律が成立しましたが、これは国会に提案されてから実に十年の長い年月を費やしているのであります。こうした事実は、自民党諸君が冷静になってよく見習うべきことであると思うのであります。  第三は、国会における民主手続は、言うなれば、一定の基準を設定した土俵であります。この土俵を多数党である自民党がその力を背景にかってに延ばすとするならば、それはもはやルールではないのでありまして、相撲の横綱土俵ぎわに詰まってしまって、俵の線をかってにうしろに広げたら、その横綱はだれも相手にする者がなくなるでありましょう。まして、これは国民生活と権利を守るためにある国会運営の問題であります。事は重大であります。この意味で、会期延長をごり押ししている自民党態度は、民主主義に対する重大な挑戦であり、敗戦後ようやく伸びかかってきた民主主義の芽を二葉のうちからつみ取る悪質な行為であるといわなければなりません。(拍手)  第四に指摘したいことは、法案の渋滞した責任は多数党である自民党佐藤内閣にあるということであります。最近の自民党は、かつてのよき慣行であった国会役員を各党で分担するという慣例を破り、多数党であるということを唯一最大理由として、議長、副議長をはじめ常任委員長を独占してまいりました。そして、国会運営自民党責任を負うなどと、放言豪語いたしております。そのことばあるいは行為に対する責任も自覚せず、まして、その責任をも果たさずして、自分かってな党略的な立場からルールを破壊する行為は、われわれの断じて許すことのできないところであります。(拍手)  さらに、法案渋滞の原因を考えてみますと、自民党が言う重要法案予算関係法案は、国会の開会初頭から出されたものはきわめて少なく、そのほとんどが、会期延長のたくらみに歩調を合わせたかのように、会期末近くになってから急遽提案されたものが多いのでありまして、普通の精神の持ち主ならば、法案がたまっているなどとは義理にも言えることではないのであります。(拍手)まさに盗人たけだけしいとはこのことであるといっても決して過言ではないのであります。(拍手)  私は、討論を終わるにあたって、自民党佐藤内閣に重大な警告を行ないたいと思います。昔から、ことわざに、力をもって立つ者は力によって滅び、剣によって立つ者は剣に滅ぶといわれておりますが、民主政治破壊者についても同様のことが言えるのであり、歴史がこのことを差し示しているのであります。古代のアテネ、ナポレオンのフランス、ナチスのドイツ、かつて軍部に支配された日本、すべてそうであります。今日、国際的にはベトナムを中心としたアメリカ帝国主義行為、これに迎合した国内における自民党政府の反国民的政治国会運営、まことに驚くほどぴったりと当てはまっていることを知らなければなりません。(拍手)そのつど多数を背景に力の国会運営を行なって会期延長を続け、その瞬間諸君は一時的な勝利感を味わったとしても、それは真の勝利ではなく、天につばするにひとしく、みずから墓穴に向かって歩いているということを、静かに胸に手を当てて考えるべきであります。(拍手)  さらに、衆議院議長態度でありますが、会期延長議長発議権を持つものであり、言うならば、与党の横暴を押え、みずからの権威を高め、国民から信頼される国会になれるかいなかのかぎを握っておりながら、正しくその任務を行なうことをせず、行政府に屈し、かつ、みずからの所属する政党にだけ忠誠を誓う行為をとられたことは、その任いまだ浅く、心ははるかふるさとに飛んでいるといわれているお方とはいえ、数十年の議会生活を経験した人のとらざるところ、深く反省し、その責任をとるべきであることをつけ加え、私の絶対反対討論を終わります。(拍手
  5. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  この採決は記名投票をもって行ないます。会期を六月二十七日まで四十日間延長するに賛成諸君白票反対諸君青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。   〔議場閉鎖
  6. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 氏名点呼を命じます。   〔参事氏名点呼〕   〔各員投票
  7. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖開匣——開鎖。   〔議場開鎖
  8. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 投票を計算いたさせます。   〔参事投票を計算〕
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。   〔事務総長報告〕  投票総数 三百八十八   可とする者(白票)      二百四十二   〔拍手〕   否とする者(青票)       百四十六   〔拍手
  10. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 右の結果、会期は四十日間延長するに決しました。(拍手)     —————————————  本国会会期を六月二十七日まで四十日間延長するを可とする議員氏名       相川 勝六君    逢澤  寛君       赤澤 正道君    秋田 大助君       天野 公義君    天野 光晴君       綾部健太郎君    荒木萬壽夫君       荒舩清十郎君    有田 喜一君       安藤  覺君    井出一太郎君       井原 岸高君    井村 重雄君       伊東 正義君    伊東 隆治君       伊能繁次郎君    池田 清志君       池田正之輔君    石井光次郎君       稻葉  修君    稻村佐近四郎君       今松 治郎君    宇都宮徳馬君       宇野 宗佑君    上村千一郎君       植木庚子郎君    臼井 莊一君       内田 常雄君    内海 安吉君       浦野 幸男君    江崎 真澄君       遠藤 三郎君    小川 半次君       小川 平二君    小沢 辰男君       小沢佐重喜君    小渕 恵三君       大石 八治君    大泉 寛三君       大倉 三郎君    大竹 太郎君       大坪 保雄君    大西 正男君       大野  明君    大橋 武夫君       岡崎 英城君    奥野 誠亮君       押谷 富三君    加藤常太郎君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       海部 俊樹君    金子 一平君       金子 岩三君    金丸  信君       上林山榮吉君    神田  博君       亀岡 高夫君    亀山 孝一君       鴨田 宗一君    仮谷 忠男君       川島正次郎君    川野 芳滿君       菅野和太郎君    木村 剛輔君       木村 武雄君    木村武千代君       木村 俊夫君    菊池 義郎君       久野 忠治君    久保田円次君       草野一郎平君    鯨岡 兵輔君       熊谷 義雄君    倉石 忠雄君       倉成  正君    藏内 修治君       小泉 純也君    小枝 一雄君       小金 義照君    小坂善太郎君       小島 徹三君    小平 久雄君       小宮山重四郎君    小山 長規君       小山 省二君    纐纈 彌三君       佐々木秀世君    佐々木義武君       佐藤 榮作君    佐藤 孝行君       齋藤 邦吉君    坂田 英一君       坂田 道太君    坂村 吉正君       櫻内 義雄君    笹山茂太郎君       四宮 久吉君    始関 伊平君       椎名悦三郎君    重政 誠之君       篠田 弘作君    澁谷 直藏君       島村 一郎君    正示啓次郎君       白浜 仁吉君    進藤 一馬君       周東 英雄君    鈴木 善幸君       砂田 重民君    砂原  格君       瀬戸山三男君    關谷 勝利君       園田  直君    田川 誠一君       田口長治郎君    田澤 吉郎君       田中伊三次君    田中 榮一君       田中 龍夫君    田中 正巳君       田中 六助君    田邉 國男君       田村  元君    田村 良平君       高瀬  傳君    高橋清一郎君       高橋 禎一君    高見 三郎君       竹内 黎一君    竹下  登君       舘林三喜男君    谷垣 專一君       谷川 和穗君    千葉 三郎君       地崎宇三郎君    中馬 辰猪君       塚田  徹君    塚原 俊郎君       辻  寛一君    坪川 信三君       渡海元三郎君    登坂重次郎君       徳安 實藏君    床次 徳二君       内藤  隆君    中垣 國男君       中川 一郎君    中島 茂喜君       中曽根康弘君    中野 四郎君       中村 梅吉君    中村 寅太君       中村庸一郎君    中山 榮一君       永山 忠則君    灘尾 弘吉君       南條 徳男君    二階堂 進君       丹羽喬四郎君    丹羽 兵助君       西岡 武夫君    西村 英一君       西村 直己君    根本龍太郎君       野田 卯一君    野田 武夫君       野原 正勝君    野呂 恭一君       馬場 元治君    橋本登美三郎君       橋本龍太郎君    長谷川四郎君       長谷川 峻君    八田 貞義君       服部 安司君    濱田 幸雄君       濱野 清吾君    早川  崇君       原 健三郎君    原田  憲君       廣瀬 正雄君    福井  勇君       福田 繁芳君    福田 赳夫君       福田 篤泰君    福田  一君       福永 一臣君    福永 健司君       藤井 勝志君    藤枝 泉介君       藤尾 正行君    藤田 義光君       藤本 孝雄君    藤山愛一郎君       船田  中君    古井 喜實君       古川 丈吉君    保科善四郎君       坊  秀男君    細田 吉藏君       堀内 一雄君    堀川 恭平君       本名  武君    前尾繁三郎君       前田 正男君    益谷 秀次君       増田甲子七君    松澤 雄藏君       松田竹千代君    松田 鐵藏君       松野 頼三君    松山千惠子君       三池  信君    三木 武夫君       三原 朝雄君    水田三喜男君       湊  徹郎君    南好  雄君       村上  勇君    村山 達雄君       毛利 松平君    粟山  秀君       森   清君    森下 國雄君       森下 元晴君    森田重次郎君       森山 欽司君    八木 徹雄君       山崎  巖君    山田 彌一君       山手 滿男君    山中 貞則君       山村新治郎君    山本 勝市君       山本 幸雄君    吉田 重延君       和爾俊二郎君    早稻田柳右エ門君       渡辺 栄一君    渡辺美智雄君  否とする議員氏名       赤路 友藏君    赤松  勇君       茜ケ久保重光君    秋山 徳雄君       有馬 輝武君    淡谷 悠藏君       安宅 常彦君    井伊 誠一君       井岡 大治君    井谷 正吉君       井手 以誠君    伊藤よし子君       石田 宥全君    石野 久男君       石橋 政嗣君    板川 正吾君       稻村 隆一君    小川 三男君       大出  俊君    大柴 滋夫君       大原  亨君    大村 邦夫君       岡  良一君    岡本 隆一君       落合 寛茂君    加賀田 進君       加藤 清二君    片島  港君       勝澤 芳雄君    金丸 徳重君       神近 市子君    川崎 寛治君       川俣 清音君    川村 継義君       河野  正君    久保 三郎君       久保田鶴松君    栗原 俊夫君       栗林 三郎君    小林  進君       兒玉 末男君    五島 虎雄君       河野  密君    佐々木更三君       佐藤觀次郎君    佐野 憲治君       坂本 泰良君    阪上安太郎君       桜井 茂尚君    沢田 政治君       重盛 壽治君    實川 清之君       島上善五郎君    島口重次郎君       下平 正一君    東海林 稔君       鈴木茂三郎君    田口 誠治君       田中 武夫君    田原 春次君       多賀谷真稔君    滝井 義高君       楯 兼次郎君    千葉 七郎君       辻原 弘市君    戸叶 里子君       堂森 芳夫君    泊谷 裕夫君       中井徳次郎君    中澤 茂一君       中嶋 英夫君    中村 重光君       中村 高一君    永井勝次郎君       成田 知巳君    二宮 武夫君       西宮  弘君    西村 関一君       野口 忠夫君    野原  覺君       野間千代三君    芳賀  貢君       長谷川正三君    長谷川 保君       畑   和君    華山 親義君       原   茂君    原   彪君       日野 吉夫君    肥田 次郎君       平岡忠次郎君    平林  剛君       藤田 高敏君    帆足  計君       穗積 七郎君    細迫 兼光君       細谷 治嘉君    堀  昌雄君       松井 政吉君    松浦 定義君       松平 忠久君    三木 喜夫君       武藤 山治君    村山 喜一君       森  義視君    森本  靖君       八木 一男君    八木  昇君       安井 吉典君    柳田 秀一君       山内  広君    山口シヅエ君       山口丈太郎君    山田 長司君       山田 耻目君    山中 吾郎君       山中日露史君    山花 秀雄君       湯山  勇君    米内山義一郎君       横路 節雄君    横山 利秋君       吉村 吉雄君    伊藤卯四郎君       稲富 稜人君    受田 新吉君       内海  清君    栗山 礼行君       小平  忠君    佐々木良作君       鈴木  一君    竹谷源太郎君       玉置 一徳君    中村 時雄君       永末 英一君    西尾 末廣君       西村 榮一君    門司  亮君       本島百合子君    山下 榮二君       加藤  進君    川上 貫一君       谷口善太郎君    林  百郎君       志賀 義雄君    田中織之進君      ————◇—————
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。    午後十一時四十九分散会