○赤松勇君 私は、
日本社会党を
代表いたしまして、ただいま
提案されました佐藤
内閣不信任案に賛成の
討論をいたすものであります。(
拍手)
第一に、私は、
佐藤内閣の経済
財政政策が、はなはだしく
国民生活を窮迫せしめていることを指摘したいのであります。
池田内閣から
佐藤内閣に交代してすでに一年半の月日がたちました。この一年半の期間、
日本の経済はどういう状況であったかといえば、深刻な恐慌的性格を持った経済
不況が継続いたしました。
中小企業の
倒産は、先ほどわが党の河野さんが申し上げましたように、はなはだしく増加してまいりまして、
東京商工興信所の調査によりましても、その負債額一千万円以上の
倒産は、
昭和三十八年に千七百三十八件でありましたが、三十九年は四千二百十二件、四十年は六千百四十一件に激増いたしました。三十八年に比べて、四十年は実に三倍半の激増であります。これに対して
佐藤内閣は一体何をしたでありましょう。何ら
中小企業救済の手を打たずに、倒れるままに放任しておるのが
佐藤内閣の実体であります。(
拍手)そればかりではありません。むしろ、この際、大
企業の独占体制を強化させるために、
カルテル、集中合併、選別融資体制を進め、それによって、
中小企業の
倒産を一そう拍車をかける
政策をとっておるのであります。
また、
国民生活にとってさらに重大なことは、
不況の中で
物価が
上昇しておるということであります。このたび明らかになったところでは、
昭和四十一年度の
消費者物価指数の
上昇は七・四%に達しております。これは、かつて佐藤榮作氏が「池田内閣の
政策は人間を尊重していない」と批判した、その池田内閣時代の最高の
物価上昇率をも上回るものであります。
不況の中で勤労大衆の
所得は伸び悩み、しかも、このような
物価の大幅
上昇が続いたために、
政府の
総理府統計局の調査でも、昨年の
勤労者の実質家計収入の水準が、ここ十数年来初めて低下したことを
総理府みずからが認めておるではありませんか。(
拍手)これに対して
佐藤内閣は一体何をしたでありましょうか。
佐藤内閣のしたことは、
物価安定に関する抽象的作文を何回か作成したにすぎません。
昭和四十一年度の
予算でも、
物価対策に直接間接につながる諸項目をかき集めて総計してみても、わずかに百五十七億円にしかすぎません。焼け石に水とはまさにこのことを言うのです。
その反面、
佐藤内閣は一体何をしたか。やったのは、
消費者米価、国鉄、
私鉄運賃、
郵便料金、各種健康保険の掛け金、こういう
公共料金を
引き上げただけであります。これら
一連の
公共料金の
引き上げによって、
国民の負担は年に三千億円以上の負担増となって、わずか一千三百億の本年度の
所得税減税を帳消しにするばかりでなく、これがまた一般
消費者物価の
上昇を誘発することは言うまでもありません。(
拍手)さらにまた、
佐藤内閣は、
不況を名とする大
企業の
カルテル、
生産制限を奨励し、独占
管理価格の維持、つり上げを促進したのであります。このため、日銀の調査によりますと、卸売り
物価指数は
昭和四十年度に三%の値上がりとなりました。かつて、池田前首相は、「
消費者物価が上がっても卸売り
物価が横ばい安定しておれば問題はない」こういうことを何度か言いました。いまや
佐藤内閣の
施策のもとにおいては、
消費者物価と卸売り
物価がともにからみ合って
上昇しつつあるのであります。まさに
佐藤内閣の
物価対策は、池田前内閣に比べてさえ落第であるといわなければなりません。(
拍手)
また、この際特に糾弾しなければならないのは、
佐藤内閣の国債
発行であります。
佐藤内閣は、初めは、国債の
発行はしませんと、何度もあなたは公約しながら、四十年度補正
予算で二千五百九十億円の歳入補てんの国債を
発行し、続いて四十一年度の
予算では、七千三百億円の建設国債の
発行を決定しました。この国債は、いずれも歳入と歳出のギャップを埋める
赤字国債であり、具体的な償還計画のない点では、まさに
財政法違反といわなければなりません。しかも、
佐藤内閣は、これを市中消化するとは称しておりますけれども、民間金融機関の手を経て結局日銀の担保または買いオペの対象となって、通貨増発とインフレを悪性化させることは避けられない
方向にあります。このインフレを通じて、
佐藤内閣が、大
企業の従来の設備投資の借り入れ金の負担を軽減させることをねらっておることは明白でありますが、逆に
国民は、その血と汗の結晶である預貯金の価値を減らされ、老後の命の綱である年金、退職金の価値を減らされることになるのであります。(
拍手)また、国債の財源によって、
佐藤内閣は、大
企業には気前のよい
企業減税を行なっておりますけれども、
国民は、将来の国債元利の償還のために、大幅な増税を負担させられることになるのであります。まさに大衆の
犠牲において大
企業独占資本の利益に奉仕するものは、すなわち
佐藤内閣であるといわなければなりません。(
拍手)
私は、いまの江崎君の御意見に対しまして、一言反論しておきます。江崎君は、
賃金の
上昇が
物価値上げの
原因だと言っている。ところが、労働省の短月勤労
統計の数字によれば、
昭和三十年から三十九年まで、労働者の実質
賃金は、
物価の
上昇に比べてわずかに三・五%より上がっておりません。断じて労働者の賃上げが
物価上昇の
原因でないということは、労働省みずから認めておるじゃありませんか。(
拍手)
私は、この際、
佐藤総理に特に言っておきたいことがある。あなたは、いやな新聞はお読みにならぬそうでありますけれども、しかし、あなたの目に触れたでしょう。ある新聞社が実施いたしました全国世論調査によりますと、現在の
佐藤内閣の
政策で今後の暮らしは楽になると思うか、苦しくなると思うか、こう聞きましたところ、楽になると答えた者はわずかに六%です。これに対して、苦しくなると答えた者は実に四六%であります。(
拍手)いかに
佐藤内閣や自民党の諸君が強弁いたしましょうとも、この世論調査の結果が、ここに
佐藤内閣の経済
財政政策に対する不信任を明白にあらわしておるのであります。(
拍手、
発言する者あり)朝日新聞だ。朝日新聞ぐらい読んでおきなさい。
第二に、私は、
佐藤内閣の
外交政策をこの際問題にしたいのであります。
佐藤内閣の
外交政策は、これを一言にして言えば、
アメリカの
中国封じ込めの極東戦略に対する追随協力であります。その最も特徴的なあらわれが
ベトナム戦争への協力であります。
佐藤内閣は、
アメリカの
ベトナム侵略に積極的に協力し、
沖縄及び
日本本土の基地の使用を認め、そのほか、
アメリカの
ベトナムで使用する
軍需物資の製造、輸送に協力しております。
私は、この際、
佐藤内閣が
ベトナムにおける
アメリカの軍事
行動に協力しておる具体的な事実を一点だけ明らかにしておきましょう。五月九日、入国管理事務所が明らかにしたデータによりますと、本年一月から四月の末日まで、羽田空港から
日本へ入国した
アメリカの軍人軍属は一万七千百十三人で、前年同期の四千十九人に比べると、実に四・二五倍であります。
昭和三十五年にはその数は年間三千人でありましたが、
ベトナム戦争が激化した三十九年には一万六千四百人に急増している。この数字に符節を合わせるように、民間飛行機の姿をした
米軍輸送機関のチャーター機が、昨年一年間に八百四十機だったのが、本年は一月から三月までのわずか三カ月間で三百四十一機にふえ、このままのペースでは本年中には千機以上に達するといわれております。これらの軍人軍属及び
米軍輸送機関のチャーター機は、いずれも
安保条約に基づく日米行政協定第五条及び日米地位協定によって
日本じゅうどこの空港も自由に使える上、空港側に支払う着陸料も免除され、フリーパスで公然と出入りをしておるのであります。言うまでもなく、これらの輸送機は、
沖縄の嘉手納飛行場をはじめ、
ベトナム戦争の要請するすべての基地で
行動しておるのであります。
軍需物資の
生産、輸送への協力、
ベトナムからの一時帰休兵と傷病兵の受け入れなど、いまや
ベトナム戦争は、遠い他国で行なわれているのではなく、
日本国内にも波及し、
日本は、明らかに
佐藤内閣の手によって、
ベトナム戦争の後方基地、兵たん基地となって、
戦争に巻き込まれておるのであります。(
拍手)
佐藤内閣は、この事実を
国民の目からそらすために、
椎名外相をソ連に
派遣して、
アメリカのペテン平和
外交の手先をつとめようとしましたが、ソ連から全然相手にされませんでした。そこで、
横山特使を各国に
派遣しましたが、これまた、問題にもされないで、
日本外交の実体と恥を全
世界にさらしたのであります。(
拍手)
自民党の安保調査会は、
憲法改悪、秘密保護法の制定、自衛軍保持の明確化、日米間に軍事的性格の協議機関を設けるとか、
核兵器の
持ち込みなど、多面的な
軍国主義化を急いでおります。また、防衛庁は、七千百億円の兵器の国産化のために動き出しております。いまや軍需
生産を軸として、戦前に見られたような軍国的
政治経済一体化が進められつつあります。これは
佐藤総理の考え方と無
関係のものではありません。
佐藤総理の腹の底に隠された、
日本を戦前の状態に引き戻そうとする
軍国主義思想のあらわれであるといわなければなりません。(
拍手)戦後、保守
反動内閣が続きましたが、
佐藤内閣ほど露骨で
反動的な
政府は、いまだかってなかったというべきでありましょう。(
拍手)
そればかりではありません。佐藤榮作氏は、あなたが
政権につく以前に、少なくとも口先だけでは、対
中国政策に対して前向きの
政策をとると公約しておったにもかかわらず、一たび
政権の座につくや、その
態度をたちまち豹変して、
中国敵視の
態度を露骨にあらわしてまいりました。すなわち、貿易におきましては、
アメリカ、台湾の圧力に屈して、吉田書簡を固執し、ニチボー・プラント、日立造船の船舶その他の多数の対
中国輸出契約を中断に追い込みました。
中国の国連
代表権を妨害するために、
重要事項指定方式の
提案国となりました。
日韓条約の締結によって、
中国、北朝鮮を敵視する事実上の東北
アジア軍事同盟の体制を推進しております。いざというときに、
中国を核攻撃しようとしている
アメリカの
原子力潜水艦の
寄港を受け入れております。また、日中の人事の往来を妨害し、彭真北京市長や、
中国人民外交学会代表団の入国を拒否いたしました。
そもそも、かつての太平洋
戦争において、
日本が最大の被害を与えたのは
中国であります。しかるに、その
中国といまだに
国交を結ばず、
中国の七億の民衆から見放された台湾の蒋
政権をかってに
中国の
代表政府と認めることにより、事実上、二つの
中国の
方向を進め、あまつさえ、
アメリカに協力して、
中国の軍事的、
政治的、経済的封じ込めをはかる、こうした
佐藤内閣の
外交政策こそ、
アジアの緊張と混乱を生み出している最大の
原因であると断ぜざるを得ないのであります。(
拍手)そうして、
アジア人と
アジア人を戦わせようとする
アメリカの指示のもとに、
アジアの反共連盟の結成に奉仕しています。この
佐藤内閣の姿は、全
世界からまさに黄色い
アメリカ人という軽べつを招いておるのであります。
われわれは、いまこそ全
世界に向かって国論を
一つにして、
アメリカの
ベトナム侵略の停止、
ベトナムからの撤退を
要求すべきであります。そして、
日本と
中国がともに
アジアの一員として正式な
国交を回復し、お互いに侵略せず、
戦争しないことを約束し、友好と協力の
関係を結ぶこと、そして日中が力を合わせて朝鮮及び
ベトナムの平和的、自主的統一に協力する、これこそ
アジアの平和と安定の道であり、
日本が真に
世界の諸
国民から信頼され、尊敬されるただ
一つの道であると思うのであります。(
拍手)すべての
国民はこの道を望んでおります。この観点から見るならば、
佐藤内閣の
外交政策は、とうてい
国民の信任を得ることができないものであるといわなければなりません。(
拍手)
第三に、私は、
佐藤内閣のファッショ的
反動性を指摘しなければなりません。
佐藤内閣の
成立以来の実績を振り返ってみますと、まずやったことは、あのうしろ向き逆コースとして悪評の高い旧地主補償であります。続いてやったことは、
韓国の朴かいらい
政権をてこ入れするための
日韓条約の強行批准であります。これによって
佐藤内閣は、
アメリカの極東戦略に協力するとともに、
日本独占資本みずからが
韓国を支配するという、夢よもう一度の野望を
実現しようとしております。しかも、
佐藤内閣は、
日韓条約の批准にあたっては、当時の船田、田中の正副
議長を捨て石に使って、質疑の打ち切り、
討論採決の成規の手続をすべてじゅうりんして、わずか一、二分の与党議員の万歳で事を済ませるという前例のないファッショ的
国会運営をやってのけたのであります。(
拍手)
そればかりではありません。本年に入ってからは、
佐藤内閣の
軍国主義の性格は、その言動を通じていよいよ露骨に示されてまいりました。たとえば、
佐藤内閣は、
一連の核問題についての
発言を通じて、
日本が
アメリカの核の
かさのもとにあることを公然と認め、今後も核戦略について
アメリカと一体の協力を推進するとの
態度をとっております。
アメリカの
原子力潜水艦や
原子力空母の入港を認めていること、
アメリカ原潜と海上
自衛隊の合同演習を行なうことを公言していること、あるいは第三次
防衛力整備計画で核弾頭を装備できるミサイル兵器の導入を進めようとしていること等々がその事実を示しております。
また、
佐藤内閣は、いろいろの口実を用いて
自衛隊の
海外派兵の道を開こうとしております。国連への協力、あるいはもし
沖縄が攻撃を受けたらという想定は、いずれも
自衛隊海外派兵のための口実にすぎません。
ここで、この際明らかにしておく必要があることは、一体、
沖縄が攻撃を受ける危険がどこから生まれてくるかということであります。それは、
沖縄が現在国連憲章第七十八条に違反して、不法不当にも
アメリカに占領され、
アメリカの原水爆基地にされ、
アメリカ軍はこの
沖縄から
ベトナムへ出撃し、また
中国へ攻撃をかけようとしております。そのことの結果として、
沖縄が一朝有事の際には報復攻撃を受ける危険にさらされるのであります。したがいまして、
沖縄の安全を確保するただ
一つの最善の道は、
沖縄の施
政権を
日本に取り返し、
アメリカの基地を一掃し、
沖縄を平和の島にすること以外にありません。(
拍手)
佐藤内閣が、この
沖縄同胞と
日本本土
国民の一致した
要求に耳をふさぎ、
沖縄を
アメリカの不法占領にゆだねている、その
責任こそまさに
国民の名において糾弾されなければならぬのであります。(
拍手)
さらにまた、
佐藤内閣は、一九七〇年の段階において、再び
安保条約を長期固定化することを公言しております。最近の
アジア情勢の経過を通じて、
わが国民の大部分は、
日米安保条約が
日本の安全のためのものではなく、かえって
日本に
戦争の危険をもたらすものであることを理解しております。このような条約を一九七〇年からさらにまた十年も二十年も長期固定化しようとするがごときは、これこそまさに
日本の国益をいけにえにして、
アメリカ帝国主義の国益に奉仕しようとするものであり、
国民の断じて認めることのできないところであります。(
拍手)
しかも、
佐藤内閣は、以上のような核安保体制、
自衛隊海外派兵、
安保条約長期固定化等の措置を通じて、窮極的には
憲法の改悪をやり遂げようとしております。これこそまさに世間のいわゆる自民党内極右翼
反動派の目ざすコースであり、これをもし許すならば、
日本は再びファシズムと
軍国主義へ逆戻りしてしまうでありましょう。
だが、
佐藤総理にこの際申し上げたいことは、今日の
日本国民は、かつての
満州事変や、日華事変のころの
日本国民とは違うのであります。
国内において民主主義や大衆
生活を守るには、国外に対する侵略的軍事
政策を防止しなければならないことを、今日の
日本国民は十分に承知しております。そうしてその証拠には、昨年以来の選挙の結果を見てみましょう。
佐藤内閣のもとで行なわれた昨年の参議院選挙では、自民党は改選議員議席数を四議席失いました。地方区の得票率は前回の四七%から四四%に後退をしております。ことに
佐藤総理、非常なショックを受けられたあの
東京都における参議院地方区の選挙におきましては、自民党の公認候補は二名ともあわれにもまくらを並べて落選をいたしました。(
拍手)この選挙を通じて見れば、自民党は地方区で一千六百六十四万七千二百五十六票、これに対して
社会党、公明党、民社党、共産党の、各野党の得票数は一千九百十六万七千三十七票で、
佐藤内閣は
国民の半数の支持を得ていないばかりでなく、事実上不信任をされておるのであります。(
拍手)続いて行なわれた
東京都議会選挙でも、自民党は議席で三十一、得票率で一八%を失い、いままでの絶対多数勢力から三分の一勢力に転落をいたしました。自民党はあれほど金による買収供応と権力による利益誘導をやっても、まさにこの始末であります。
第四に、
佐藤総理は、
東京都議会汚職事件の直後、えりを正して
政治を浄化すると言われました。
ところが、吹原
産業事件へ
東京都議会の汚職事件をはじめ、小林章、岡村文四郎両君の未曾有の選挙違反、参議院重政元副
議長秘書の暴力団へのピストル密売事件、新潟、香川両県知事の汚職買収事件、兵庫県議会の選挙違反による大量検挙、松山市議会の汚職など、数え上げれば切りのないほど刑事事件が続発しております。これらの事件
関係者はひとしく自民党の党員であります。あなたは、えりを正すとおっしゃいましたが、あなたのえりは、あしたに正し、夕べには乱れておる状態であります。(
拍手)もはや
国民は、
佐藤内閣のもとでは
政治の浄化は断じて行ない得ない、期待できないのみならず、自民党
政府の続く限り、
佐藤内閣の続く限り、
政治の黒い霧はますます深まることを
国民は真剣に憂慮しておるのであります。(
拍手)
最近の新聞社——これは朝日新聞です。新聞社の全国世論調査では、
佐藤内閣の支持率はわずかに三〇%で、
昭和二十九年の五月、吉田内閣が造船汚職で指揮権発動を行なった当時の支持率は二三%、同じく三十四年二月に岸内閣が警職法を
国会に上程した当時の支持率は二六%、同じく三十五年一月、
安保条約を調印した当時の岸内閣の支持率は二八%、同年五月、
安保条約の強行採決を行っなた当時の支持率はわずかに一二%を除けば、戦後歴代保守党内閣の最低の支持しか受けていないのが現内閣の実体であるのであります。(
拍手)あなたは、
国民の三〇%の支持でどうしてこの難局を切り抜けようとするのですか。ことに注目すべきことは、自民党支持層の中にすら
佐藤内閣を見限っていることを世論調査は明らかにしておるのであります。
佐藤内閣は、池田
政権を受け継いだ総選挙の洗礼を受けていないたらい回しの
政権です。総選挙の洗礼を受けていないたらい回しの
政権だ。池田内閣の借り衣装をつけた
国民の認知しないところの私生児だ。(
拍手)
佐藤総理は、池田内閣から
政権のたらい回しを受けるや、自前の佐藤体制をつくる、こう言いながら、今日まで便々と総選挙を回避してまいりました。その回避の
理由として、
政治の空白を避けるためと言っております。だが、この
態度こそ、
政治ルールを無視した
政権かじりつきの延命策以外の何ものでもないのであります。(
拍手)
これらの事実を総合いたしまして、要するに、
佐藤内閣は
国民の信任を失っておることはいまや明らかであります。
天の命あらたまるときは為政者が交代するというのが古代
中国の思想であります。天の命とは、すなわち
国民に信任であります。
国民の信任を失った
佐藤内閣は、この際いさぎよく退陣すべきであります。そして、引き続いて構成される野党第一党の選挙管理内閣のもとにおいて、衆議院解散、総選挙を断行し、
国民の新しい審判のもとに、
政治、経済「
外交の
政策方向を一新すべきであります。これこそまさに天の声といわなければなりません。(
拍手)
以上の
理由により、私は
佐藤内閣の即時総辞職、退陣を
要求して、
内閣不信任案に対し賛成の
討論を終わります。(
拍手)