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1966-04-26 第51回国会 衆議院 本会議 第45号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十六日(火曜日)     —————————————  議事日程 第三十号   昭和四十一年四月二十六日    午後二時開議  第一 首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等の整   備のための国の財政上の特別措置に関する法   律案内閣提出)  第二 関税率表における物品分類のための品   目表に関する条約及び千九百五十年十二月十   五日にブラッセルで署名された関税率表にお   ける物品分類のための品目表に関する条約   の改正に関する議定書締結について承認を   求めるの件  第三 商法の一部を改正する法律案内閣提   出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  板川正吾君の故議員青木正君に対する追悼演説  日程第一 首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等   の整備のための国の財政上の特別措置に関す   る法律案内閣提出)  日程第二 関税率表における物品分類のため   の品目表に関する条約及び千九百五十年十二   月十五日にブラッセルで署名された関税率表   における物品分類のための品目表に関する   条約改正に関する議定書締結について承   認を求めるの件  日程第三 商法の一部を改正する法律案内閣   提出)  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣   提出)並びに地方公営企業法の一部を改正す   る法律案安井吉典君外九名提出)、地方公   営企業財政再建促進特別措置法案安井吉典   君外九名提出)及び公営企業金融公庫法の一   部を改正する法律案安井吉典君外九名提   出)の趣旨説明及び質疑     午後二時四十一分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御報告いたすことがあります。  議員青木正君は、去る十二日逝去せられました。まことに哀悼痛惜の至りにたえません。  同君に対する弔詞は、議長において、去る十六日贈呈いたしました。これを朗読いたします。   〔総員起立衆議院は多年憲政のために尽力しさき予算委員長公職選挙法改正に関する調査特別委員長要職につきまた国務大臣の重任にあたられた議員正三位勲一等青木正君の長逝を哀悼しつつしんで弔詞をささげます      ————◇—————  板川正吾君の故議員青木正君に対する追悼演説
  4. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) この際、弔意を表するため、板川正吾君から発言を求められております。これを許します。板川正吾君。   〔板川正吾登壇
  5. 板川正吾

    板川正吾君 ただいま議長から御報告のありましたとおり、本院議員青木正先生は、去る四月十二日、病のため、埼玉県鴻巣市の山崎病院において逝去されました。先生は、人一倍すぐれて健康な方でありましたので、御病気と伺っても必ずや御回復を見るものと信じておりました私どもは、思いがけない計報に接し、大きな衝撃を受けたのであります。まことに痛惜の念にたえません。  私は、ここに、各位の御同意を得て、議員一同を代表し、つつしんで哀悼ことばを申し述べたいと存じます。(拍手)  青木先生は、明治三十一年十二月、埼玉県北埼玉郡川里村の旧家にお生まれになりました。不動岡中学から東京農業大学に学び、大正九年に卒業の後、生家に帰り、農村の青少年の指導育成に当たられました。  先生は、そのころ各地に起こった小作争議に非常な関心を寄せ、農民生活の悲惨な状態のよってくるゆえんが政治にあることを察知し、将来みずから農民のための政治家たらんと志し、職をまず政治記者に求められたのであります。大正十二年、中外商業新報社に入社し、その緻密な仕事ぶりは、つとに先輩、同僚の注目するところとなりました。やがては論説委員また整理部長として縦横の活躍をされました。  先生は、父君がなくなられたのを契機に、十六年間にわたる記者生活をやめ、昭和十二年家業を継ぐべく郷里に帰られたのであります。  かくして終戦を迎えたのでありますが、戦後のわが国の食糧事情は、御承知のように、極度に窮迫し、国民生活の安定をはかるためには食糧を確保することが急務とされ、そのためには、農民生活を向上させ、農民生産意欲を高めることが最大の課題であったのであります。先生もまた、このような見地から、旧共和村の農地委員長として、はたまた母校東京農大出版部長として、農村振興のために日夜を分かたず奮闘されたのであります。  ここにおいて、農民の代表として農民の声を国政に具現させることこそ、みずからの使命であるとの信念をいよいよ固め、昭和二十二年の第二十三回衆議院議員選挙埼玉県第四区から出馬して惜敗されましたが、翌、昭和二十四年の第二十四回総選挙には、みごと本院議員に当選して、ついに年来の宿願を達成されたのであります。(拍手)  本院に議席を狩るや、農林委員会委員、また災害対策特別委員会理事として、たゆみない活動を続けられました。深い体験に基づいた卓越した先生意見は、常に政府同僚議員に有益な示唆を与えたのであります。  特に、湿田地帯悩みをみずからの悩みとしていた先生は、土地改良事業を推進して、その経済基盤強化をはかるべく、早くから同憂の諸君とともに苦心しておられました。昭和二十七年、その努力は実り、第十五回国会にみずから湿田単作地域農業改良促進法案提案者となり、これを成立させたのであります。その後も、湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員あるいは会長として、終始一貫農村振興のために精魂を傾け、多大の貢献をされました。  先生はまた、内閣予算地方行政等の各委員会委員として、各般にわたる国政審議にすぐれた識見を示し、昭和三十一年六月には公職選挙法改正に関する調査特別委員長昭和四十年一月には予算委員長要職につかれました。先生は、終始公正を旨とし、温厚な性格の中にもき然たる態度を堅持して委員会運営に当たり、与野党委員信頼一身に集め、よくその重責を果たされたのであります。  また、これよりさき昭和二十八年には第五次吉田内閣自治政務次官につき、昭和三十三年六月には、嘱望されて第二次岸内閣国務大臣に就任し、自治庁長官国家公安委員会委員長となられたのであります。この間に処して、先生は、地方自治体の強化こそ民主政治の要諦であるとの信念に立って、惜しみない努力を払い、また、報いられることの少ない警察官にあたたかい思いやりを示し、駐在所に勤務する警察官の夫人に特別の手当を支給する道を開く等、人間味あふれる施策を行なわれたのであります。(拍手)  自由民主党にあっては、国会対策委員長、副幹事長総務等を歴任し、その力量を遺憾なく発揮されました。  また、先生の事績をしのぶとき、逸することのできないのは、選挙制度についてであります。先生は、すでに新聞記者時代からこの研究に着手して今日に及び、その間に集められた選挙制度に関する貴重な文献は現在膨大な量にのぼり、長年にわたる研究のあとをしのばせていると伺っております。さらに、前後三たびにわたって欧州、南米各国選挙制度をつぶさに調査、視察して識見を深められ、自由民主党選挙調査会長、また内閣選挙制度審議会特別委員をつとめるなど、まさに自他ともに許す選挙制度一大権威者でありました。(拍手)  先生が小選挙区制の実現に注がれた熱意は、あまねく人の知るところであります。これは、先生民主政治の健全な発展を祈る悲願と、政党政治近代化を実現しようとする決意から出たものでありまして、このひたむきな努力に対しては、見解を異にするわれわれもひとしく敬服してやまなかったのであります。(拍手)  さらに、多年にわたって、日本消防協会役員をつとめ、さきにはその会長となり、その間、災害の防止と消防力強化に貢献されたのであります。  かくて、青木先生は、本院議員に連続して当選すること七回、在職十七年三カ月に及び、その間、国政に残された功績はまことに偉大なものがあります。  思うに、青木先生は、公正無私、冷静な判断力をもって、みずからの信ずる道を粘り強く進むという信念の人でありました。  かつて、自治庁長官に在任中、埼玉県元狭山村の東京都への越境合併問題が生じた際、郷土愛的な気持ちから非常に苦慮されたのでありますが、結局、大局的な見地から、あえて出身県にとって不利な判断を下されたのであります。その際示された国政に対する私心なき態度こそ、われわれ国会議員がもって範となすべきものと信ずるのであります。(拍手)  先生はまた、外柔内剛、みずからを律するにきびしく、しかも人に対しては謙虚寛容で、愛情にあふれた、包容力の豊かな人柄でありました。接する者だれしもが、心から信頼を寄せ、敬慕してやまなかったのであります。郷土の農民先生農民の父として仰いでいるのも、常に農民に限りない愛情を注がれたからにほかなりません。  先生は、日ごろみずからの健康を誇り、その活動もまた壮者をしのぐものがありました。それゆえに、私どもは、先生が入院されたと伺ったときも、やがては病を克服して再び元気なお姿を見せてくださることをかたく信じて疑わなかったのでありますが、いまやその期待もむなしく、にわかに不帰の客となられました。よわい六十七歳、まさに政治家として円熟の域に達しておられたのでありまして、惜しみても余りあるものがあります。(拍手)  思えば、先生が一年余にわたる予算委員長の激職を退かれたのは三月ほど前のことでありますが、病魔はすでにその以前から先生の肉体をおかしており、二月上旬病床に伏されたときには、もはや回復の望みは全く断たれていたのでありました。職責を重んずるのあまり、一身を顧みず、最後まで国政審議に尽くされた先生を思うとき、まことに悲痛きわまりないものがあります。(拍手)  先生は、病床にあっても、なお選挙制度の改革について数々のメモをつづっておられたとのことであります。また、最期に「あすの日本をよろしく」とのことばを残してゆかれました。このことは、先生政治家としての責任感の強さをまざまざと物語るものであり、粛然たる思いを禁じ得ないのであります。(拍手)  内外ともに解決すべき問題が多く、とりわけ、国会正常化について国民の要望が高まっているとき、協調の精神に富み、しかも大局を見詰めることを忘れなかった練達の議会人青木正先生をにわかに失いましたことは、返す返すも残念なことであり、本院にとっても、国家にとっても、まことに大きな損失であると申さなければなりません。(拍手)  ここに、青木先生の生前の御功績をたたえ、その人となりをしのび、心から御冥福をお祈りして、追悼ことばといたします。(拍手)      ————◇—————  日程第一 首都圏及び近畿圏近郊整備地帯   等の整備のための国の財政上の特別措置に   関する法律案内閣提出
  6. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第一、首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案議題といたします。     —————————————
  7. 山口喜久一郎

  8. 岡崎英城

    岡崎英城君 ただいま議題となりました首都圏及び近畿圏近郊整備地帯等整備のための国の財政上の特別措置に関する法律案につきまして、地方行政委員会における審査経過及び結果を御報告申し上げます。  本案は、首都圏及び近畿圏における近郊整備地帯等整備または建設のため、国または地方公共団体が行なう事業で、地方公共団体経費の一部を負担するものについて、国の財政上の特別措置を定めようとするものであります。  まず、関係都府県に対する措置としては、住宅道路、港湾等基幹的な施設整備のための事業経費のうち、通常負担額をこえる支出の財源として発行する地方債にかかる利子支払い額の一部、すなわち、年利三分五厘をこえる部分について、年利八分までを限度として補給することであります。  次に、市町村に対しては、住宅道路、下水道、教育及び厚生施設等基幹的な施設整備にかかる事業について、通常負担額をこえる負担に対し、当該市町村財政力を考慮しつつ、超過負担割合に応じて、国の負担割合を、その二割五分を限度として引き上げ、その差額は翌年度に精算交付することとしております。  本案は、三月三十日に付託され、四月五日自治大臣から提案理由説明を聴取し、自来、慎重な審査を行なったのであります。  四月二十二日、本案に対する質疑を終了し、討論を省略して採決の結果、全会一致原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、本案に対し、三党共同提案により、全国的整備開発計画との関連の考慮及び人口激増に即応する計画構想早期確立財政援助措置の検討、拡充並びに上水道への援助措置の適用について附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  10. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 関税率表における物品分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品分類のための品目表に関する条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第二、関税率表における物品分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品分類のための品目表に関する条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件を議題といたします。     —————————————  関税率表における物品分類のための品目表に関する条約及び千九百五十年十二月十五日にブラッセルで署名された関税率表における物品分類のための品目表に関する条約改正に関する議定書締結について承認を求めるの件   〔本号(二)に掲載〕     —————————————
  12. 山口喜久一郎

  13. 高瀬傳

    高瀬傳君 ただいま議題となりました案件につきまして、外務委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  この条約及び改正議定書は、関税率表における物品分類に共通の基準を採用することにより、関税交渉貿易統計の比較を容易にすることを目的として作成されたもので、いずれも一九五九年九月十一日に同時に発効いたしております。  この条約は、締約政府附属書品目表に適合させて自国の関税率表を作成する義務を負うこと、及び関税協力理事会権限並びに品目表委員会の構成及び任務等を規定しております。  改正議定書は、条約附属書品目表を新しい附属書品目表に置きかえることを規定しております。  本件は、三月二十九日外務委員会に付託されましたので、政府から提案理由説明を聞き、質疑を行ないましたが、詳細は会議録により御了承を願います。  かくて、四月二十二日、質疑を終了し、討論を省略して採決を行ないましたところ、全会一致をもってこれを承認すべきものと議決いたしました。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  14. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本件委員長報告のとおり承認するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  15. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本件委員長報告のとおり承認するに決しました。      ————◇—————  日程第三 商法の一部を改正する法律案(内   閣提出
  16. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第三、商法の一部を改正する法律案議題といたします。
  17. 山口喜久一郎

  18. 大竹太郎

    大竹太郎君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審議経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近の経済情勢にかんがみ、株式会社運営の安定をはかり、株式譲渡の手続を合理化し、さらに株式会社資金調達方法を容易かつ適正にする等のため、早急に改正を要する事項について、商法の一部を改正しようとするものでありまして、そのおもなる内容は次のとおりであります。  すなわち、第一は、株式譲渡につき、取締役会承認を要する旨を定款で定めることができることとし、取締役会承認しない場合には、その指定する者が株式を買い受けるものとすることであり、第二は、額面株式と無額面株式との間の変更を認めることであり、第三は、株式譲渡するには株券を交付することを要し、かつ、これをもって足りるものとするとともに、株券発行停止または寄託の制度を設けたことであり、第四は、株式の信託の受託者その他他人のために株式を有する株主は、議決権を統一しないで行使することができることとするとともに、会社はその他の株主による議決権の不統一行使の申し出を拒むことができるものとしたことであり、第五は、株主以外の者に対し、特に有利な発行価額を定めで新株を発行する場合には、株主総会特別決議を要するものとするとともに、会社新株を発行する場合には、株主新株引き受け権を与える場合等を除き、あらかじめその旨を公告するものとしたことであり、第六は、株主新株引き受け権譲渡の道を開くことであり、第七は、転換社債転換の請求は、株主名簿閉鎖期間内でもこれをなし得るものとすること等であります。  さて、本案は、三月二十七日当委員会に付託せられ、自来慎重審議を行ない、さらに学識経験者等参考人意見を聞き、また、大蔵委員会との連合審査会を開き、審議の完ぺきを期したのであります。  かくて、四月二十二日、質疑を終了し、討論に入りましたところ、自由民主党を代表して私より賛成日本社会党を代表して坂本泰良君より反対民主社会党を代表して吉田賢一君より賛成の各討論がなされました。次いで、採決の結果、本案は多数をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  19. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。横山利秋君。   〔横山利秋登壇
  20. 横山利秋

    横山利秋君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました商法の一部改正案反対討論を簡潔にいたしたいと存じます。(拍手)  この法案の最も私どもが問題にいたしました点は、財界圧力に押されて大衆株主基本的権利を無視しているのではないかという点であります。現行商法二百八十条ノ二の第二項には、株主以外の者に対し、新株引き受け権を与えるときは、株主総会においてそれが必要な理由を明らかにすることになっています。今日、株主擁護のこの法律が守られず、取締役会でのみかってに定めていることに対し、有力会社を相手にして訴訟を起こした人があります。横浜、東京の地裁、東京、大阪の高裁、そして最高裁においてその主張がいれられたのであります。けだし、これは当然なことでありました。ろうばいした経団連や商工会議所等財界が、みずからの誤りを合法化するために商法改正しようとしたことが、この法律改正に至った最大の原因なのであります。  戦後、株式大衆化が発展し、数百万の株主が生じました。それに輪をかけて証券会社誇大宣伝政府成長政策によって、サラリーマンや長屋のおばさんまでが株を買い、一たん暴落するや、首つり自殺などの悲劇まで生じたことは同僚諸君がよく御存じのところでありましょう。(拍手)しかしながら、この膨大な株主権利を守ることについては、政府はきわめて消極的であります。株主総会が大体そうでありましょう。株主発言を許すどころか、総会屋やあるいは子分を使って発言をさせないように、一分でも早く株主総会が終わったら、これが自慢になる。監査役は名のみである。株主立場を守るべき証券会社も、利潤追求のために会社側の意を迎えるにきゅうきゅうとしているのであります。  大企業商法を有名無実化している。中小企業商法の何たるかを知らない。かくのごとき状態に輪をかけて大会社証券会社圧力に屈し、いまここにさらに大衆投資家株主権利を低めようとすることは言語道断であり、私は、佐藤内閣の本質が経済基本法である商法にまで手が及んでおることに憤激を禁ぜざるを得ないのであります。(拍手)  本来、商法には今日実に多くの問題があるのであります。資本金数百億、株主数十万人という超大型会社から、うどん屋、八百屋の株主会社がある。専務が女房で、会社の裏でおむつを洗たくしているという例も珍しくない。また、一株五十円という額面金額時代離れをしています。そのために株主株券数も実に天文学的な数字となる。株式名義書きかえをはじめ、あらゆる問題がそのために煩瑣にたえないのであります。  これらの商法の根本にメスを加えないで、財界証券会社の言い分だけ聞いて部分的な改正をいたしますことは、今後の商法改正の大道を見失うおそれがあるのでありまして、石井法務大臣は木を見て森を見なかったのではあるまいか。(拍手)そうでなければ、あれほど大問題になった新潟県知事を不起訴にされたくらいでありますから、財界証券会社の森だけはしっかり見ておられると思われるのであります。  昭和二十五年における商法改正は、資本経営を分離し、株式会社民主化の達成という根本的な立場を打ち出し、いかなる方法をもってしても株式譲渡制限することはできないことにしたのであります。しかるに、今回の改正は、定款で定めれば、いかなる会社においても株式の譲り渡し制限ができることになるのでありまして、まさに商法百八十度の転換といわなければなりません。  なるほど、会社荒らしや会社乗っ取りなどがちまたにないわけではない。しかし、だからといって、一部のそれらの者のために、一般株主までが会社理事者にその権利を左右されてよいものではないのであります。おまえの株は売ってはならぬ、どうしても売るならおれの指名した者に売れ、値段に文句があるなら裁判所にきめてもらう。ただし、それには相当時間がかかるから、文句は言うなよというのが、この改正の一つの趣旨であります。  この会社荒らしや乗っ取りをおそれるとの理由のもとに、取締役会権限を強くして、かえって無能、独善、汚職役員経営者の存在を不当に擁護するおそれあることになるのではありますまいか。むしろ会社運営民主化を行なうことによって、会社荒らしや乗っ取りの温床を断つことこそ先決の問題であり、これらを正さずして、法律改正し、株の譲り渡し制限を行なうことは本末転倒と考えられるのであります。石が流れて木の葉が沈むといいますが、財界圧力に押し流された石井法務大臣によって、木の葉大衆は沈んでしまうことになりそうであります。  われわれ法務委員会は、いま御報告があったように、大蔵委員会との連合審査をはじめ、この商法改正案については、実にまれに見る熱心な討議を行ないました。そして与党諸君も、この法案には数々の問題点があり、また、法案以外の商法にも検討さるべき実に多くの問題があることを指摘されたところであります。与党の皆さんの質問内容は、むしろ反対かあるいは批判に中心が置かれました。したがって、私は、採決にあたっては、おそらく与党の皆さんは無条件賛成ということにはなるまい、おそらく審議未了かあるいはまた継続審議か、まあ反対もあるだろうと思っておったのであります。  御存じのとおり、商法はいまもってかたかなの法律であります。移り変わる経済の歴史の中で、昔ながらの羽織はかまで鎮座ましましている観がある法律であります。いま財界の希望をいれて、羽織はかまの上にネクタイをつけますことは、まことにこっけいなことであり、政府としてなさるべき根本的方針がないことを、私どもは糾弾せざるを得ません。(拍手)  以上、きわめて簡潔でありますが、本法案財界の意向を迎え、証券会社の利益をはかり、大衆投資家の権利をじゅうりんした法案として、反対をいたす次第であります。(拍手
  21. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 上村千一郎君。   〔上村千一郎君登壇
  22. 上村千一郎

    ○上村千一郎君 私は、自由民主党を代表いたしまして、本案賛成意見を申し述べたいと存じます。  御承知のように、現行商法は、昭和二十五年に大改正が加えられてからすでに十五年を経過いたしました。その間、新株引き受け権会社計算に関する規定などについて若干の改正が行なわれたにすぎないのでありまするが、経済事情、社会情勢の変動には驚くべきものがあり、特に株式とこれをめぐる取引事情には驚嘆すべきものがあり、いまや商法は、多くの点において必ずしも企業経済の実体に即しているとはいえないものがあるのでございます。しかし、商法は、企業の組織と経済運営に関する基本的な法律でありまするから、企業の成長と経済の発展のためには、商法経済界の実情に応じ、その合理的な需要を満たす必要のあることは言うをまちません。  経済界においては、このような事情から、緊急に改正を要する事項について商法改正の要望が高まり、昭和三十七年秋以降、法制審議会において慎重に検討の結果、商法中緊急に改正すべき事項を内容とする商法の一部を改正する法律案要綱を決定いたした次第であります。  今回の商法の一部を改正する法律案は、この法制審議会の決定を参考として、今国会に提案されたものでありまして、この改正案には、株式譲渡制限株式譲渡方法等、七項目にわたる改正点が含まれていますが、その内容は、いずれも経済界の各方面からの強い要望があるものであり、経済界の実情に徴して緊急に改正を要するものであります。  次に、この改正案の要点について見まするに、まず、株式譲渡制限につきましては、取締役会承認を要する旨を定款で定めることにより株式譲渡制限を行ない得ることとするとともに、他方、株主は、株式譲渡について取締役会承認を得ることができないときは、株式の公正な代価を受けることによって、投下資本の回収ができるような規定を設けております。同族会社その他閉鎖的な株式会社の非常に多いわが国の現状におきまして、このように株式譲渡制限の定めを設け得ることとすることは、会社荒らし、会社の乗っ取り等を防止し、株式会社運営の安定に資すること大なるものがあると信じまするとともに、株主の投下資本の回収に関する手続を定めたことは、株式譲渡制限の定めを定款に設けるための定款変更の要件を厳格にし、かつ、これに反対する株主株式買い取り請求権を認めたことと相まちまして、株主の利益の保護のために適切な役割りを果たすものと信ずる次第であります。  次に、株式譲渡方法につきましては、株券の交付だけで譲渡を行なうこととして、株券の裏書き制度を廃止するとともに、新たに株券発行停止、または株券の寄託制度を設け、会社は、株券の所持を欲しない株主の申し出により、株券発行停止、または銀行、信託会社への株券の寄託を行なわなければならないことといたしております。株式大衆化に伴い、証券市場に流通する株券は大量にのぼっておりまするが、その迅速な流通は、株式を売買しようとする投資家にとって重大な関心事であることは言うまでもございません。株式譲渡は、多くは株券にあり合わせ印を押捺することによってのみ行なわれているのが現状でございます。現行商法において、株券の裏書きに用いる印は、株主会社に届け出た印鑑であることを必要としません。あり合わせ印で差しつかえないこととされております。また、株主株券を紛失した場合、偽造印による裏書きがなされたときも、善意取得者が株式を取得して株主はその地位を失うことに徴して、株券の裏書きは、株主の静的安全を保護する意味に乏しく、裏書きを必要とする合理的な理由に乏しいと考えられまするから、株式株券の交付によって譲渡できることとすることは、株式の流通の円滑のために、必要かつ適切な処置であって、しかも株券発行停止または寄託の制度の新設により、株券の紛失盗難その他の事故に基づく株主の危険防止の手段が与えられ、現在より株主の静的安全が保護されておるのでございます。  さらに、新株発行の手続につきましては、株主以外の者に対し特に有利な発行価額新株の発行を行なう場合には、株主総会特別決議を要することとして、新株の発行の円滑を確保し、かつ、株主以外の者に対し新株を発行する場合には、これに関する事項をあらかじめ公告することによって、新株の発行が公正に行なわれることを担保しております。  この改正によって、新株の割り当てが取締役の恣意によって行なわれるおそれがあるという意見がありまするが、現行商法においても、新株の割り当ては取締役の権限に属し、新株引き受け権を有しない者に新株を割り当てることは取締役の自由であって、著しく不公正な方法による新株の発行が行なわれたというときは、新株発行差しとめの請求ができることは、現行商法においても改正法案においても同様でありまするから、このような非難は当たりません。むしろ、改正法案においては、新株発行前にその公告を要求して、株主新株発行差しとめの機会を与え、不当な割り当てが行なわれないよう株主の保護を強化しているのでございます。  その他、株主議決権を統一しないで行使できること、額面株式と無額面株式との間の変更を認めること、新株引き受け権譲渡する道を開いたこと、転換社債転換請求は、株主名簿閉鎖期間内でもこれをなし得ることとする等の規定を設け、株主転換社債権者、株式により実質的な利益を受ける者の利益の保護をはかっております。  このように、本改正案は七項目について必要な規定を設けておりまするが、これは当面の経済、社会情勢に照らし緊急やむを得ないものについて必要な措置を規定したわけでございます。  本法案が、経済界からの要望を内容としているところから、一部には、本法案経営者の利益のみを重視して、株主の保護を無視しているという非難がございまするが、すでに述べたところから明らかでございまするように、本法案においては、株主の保護のために実に多くの考慮を払っているのでありまして、右のような非難は誤解によるもの以外の何ものでもございません。法務委員会におきましても、関係各方面それぞれの参考人から意見を聴取しましたが、おおむね本改正案には賛成意見が述べられたばかりでなく、早急な改正を希望する意見も強かったのでございます。  要するに、本法案は、当面さしあたって緊急やむを得ないものについて所要の手当てを定めたものでありまして、すべて妥当なものと信じます。本改正案賛成の意を表する次第でございます。(拍手
  23. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  24. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣提出)並びに地方公営企業法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出)、地方公営企業財政再建促進特別措置法案安井吉典君外九名提出)及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出)の趣旨説明
  25. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 内閣提出地方公営企業法の一部を改正する法律案、並びに安井吉典君外九名提出地方公営企業法の一部を改正する法律案地方公営企業財政再建促進特別措置法案及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案について、趣旨説明を順次求めます。自治大臣永山忠則君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔国務大臣永山忠則君登壇
  26. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 地方公営企業法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。  近年、地方公企業は、事業量、事業数ともに急速なる拡大発展を続けておりますが、一方、その経営状況は悪化の一途をたどっておりまして、昭和三十九年度における累積赤字は六百六十億円の巨額に達するに至っておるのでございます。  地方公企業経営がこのように悪化した原因は、基本的には、企業の管理体制等、現行の地方公企業制度に問題があると考えられるのであります。したがいまして、今後地方公企業が健全な発展を続けていくためには、地方公企業制度に所要の改善を加えるとともに、赤字を計画的に解消するための措置を講ずる必要があるのであります。  このため、さきになされました地方公企業制度調査会の答申の趣旨に基づきまして、地方公営企業法に所要の改正を加えることといたしたのであります。  次に、この法律案改正の要旨について御説明申し上げます。  第一は、地方公企業制度改正についてであります。  その一は、この法律の適用範囲の拡大であります。地方公共団体経営する水道、工業用水道、交通、電気及びガス事業には、すべてこの法律を適用することとし、病院事業につきましては、この法律の財務に関する規定のみを適用することといたしました。  その二は、管理者の地位の強化であります。地方公企業には、政令で定める規準以下の企業を除き、管理者を必置制といたしまして、予算原案を作成する等、その権限強化いたしたのであります。  その三は、企業会計と一般会計等との経費負担区分の明確化であります。地方公企業経費負担の原則を確立するため、地方公企業に要する経費のうち、一般会計等において負担すべきものを明らかにいたしたのであります。  その四は、職員の給与制度の合理化であります。職員の給与につきましては、職員の発揮した能率が十分反映されるようにし、その決定にあたっては、同種の国及び地方公共団体の職員並びに民間企業の従事者の給与及び経営成績を考慮しなければならないものといたしたのであります。  以上のほか、財務制度の改善、企業制度の確立、その他所要の改正を行なうことといたしております。  第二は、地方公企業財政再建についてであります。  まず、再建対象事業は、昭和三十九年度において赤字を有する水道、国庫補助を受けていない工業用水道、交通、電気、ガス及び病院の事業といたしました。これらの企業経営する地方公共団体は、議会の議決を経て財政再建計画を定め、自治大臣承認を受けて財政再建を行なうことができることといたしました。  次に、再建企業に対しましては、財政再建債の発行を認めるとともに、その利子に対し利子補給を行なうこととするほか、企業債の償還の繰り延べ等の措置について配慮することといたしております。  なお、企業の健全経営を担保するため、政令で定めるところにより、赤字の企業財政再建を行なう場合でなければ企業債を起こすことができないことといたしております。  以上が地方公営企業法の一部を改正する法律案趣旨でございます。(拍手)     —————————————
  27. 園田直

    ○副議長(園田直君) 提出安井吉典君。   〔安井吉典登壇
  28. 安井吉典

    安井吉典君 私は、提案者を代表し、日本社会党提案の地方公営企業法の一部を改正する法律案外二法案に関し、提案の理由を御説明申し上げます。(拍手)  先ほど永山自治大臣から政府提出法案の御説明がありましたが、率直に申しまして、私は、今日の地方公企業の危機の実態についての政府の認識や理解に関し、きわめて不満を覚えるものであります。自治大臣は、地方公企業財政悪化について、人件費や資本費が値上がりしたのに料金値上げがおくれたこと、経営合理化の不徹底等、もっぱら企業の内部に原因を求め、だから公営企業制度を改めなければならないとしておられるのでありますが、はたして問題は公営企業自体の中だけにあり、公営企業だけが責任を負わねばならないものでありましょうか。  以前は地方公企業にはさして問題はなく、法適用企業昭和三十五年度の赤字は六十億円であったものが、自民党池田内閣の所得倍増計画とともに赤字が増大し、三十六年度には百三十億円、翌年二百五十億円、その翌年三百七十六億円、佐藤内閣が引き継いだ三十九年度は六百六十億円、四十年度は九百億円ないし一千億円の累積赤字をこえることが予想されるのであります。倍増どころか、五年間で赤字が十五倍増であります。  高度経済成長政策の結果として、都市へ産業と人口が集中し、水道事業の拡張工事費は、三十年度ごろ年間百五十九億円であったものが、三十五年度には五百十八億円、三十九年度千二百二十一億円と八倍にはね上がり、この急増する資金需要に対し、政府の資金割り当てでは、低利の政府債はわずかで、あとは高い金利の資金であり、それさえも割り当て不足で短期資金の借りかえで間に合わせるという始末で、いわゆる不良債務が増大し、赤字が赤字を生んできたものであります。交通事業も、路面交通は渋滞し、収入は減退する上に、やむを得ない地下鉄への移行、そのためにおそろしいほどの設備投資の増大を来たしているのであります。  これでもなお政府は、公営企業の内部にだけ財政悪化の問題があると主張するのでしょうか。私は、地方公企業の危機をつくった最大の原因は政府自身にあり、みずからの責任について全く反省のない政府態度は許さるべきものでないと思うのであります。(拍手)  このような現状に対する無理解から発した政府法案は、再建債にわずかばかりの利子補給を行なうだけで、企業自身には制度的にも運営上にも数々のきびしい要求をしており、これでは危機打開は全く不可能であり、かつ、料金値上げと合理化を積極化することで、広く住民と企業で働く職員とに要らざる不安を与え、それどころか、地方自治の精神そのものをも踏みにじる危険な内容を持っていることを、私はここで強く指摘しなければなりません。  わが党は、政府みずからがまず責任を明らかにすることを要求し、公営企業に対するきめこまかな財政的配慮を中心にして、この危機打開をはかるべきであるとの考えから、わが党法案をここに提出するわけであります。  以下、わが党三法案内容につき、政府案と対比しながら、その要点を申し上げます。  第一は、法適用の範囲と企業会計の原則、特に独立採算制の問題であります。政府案では、病院等を除き公営企業はすべて独立採算制によるものといたしておりますが、わが党案では、公営企業をその性質上二つに分けているのであります。  まず、水道、交通及びガスの各事業は、公共性が高く住民生活に直接つながる事業でありますから、独立採算制によらないものとし、その特別会計の経理は、その経営収入のほか、一定の要件の場合、一般会計からの繰り入れを認めることにいたしました。工業用水道と電気事業は、直接には営利会社への供給なのでありますから、これらの事業は独立採算制によるものとし、その経営収入のみでまかなうべであるといたしたのであります。なお、病院、簡易水道等は、条例の定めに従い法律の一部または全部を適用することといたしております。  この独立採算制がいつも料金値上げの口実に使われ、また、現実には、上水道には一般会計の繰り入れを禁じながら、工業用水道には財界圧力で一般会計からの繰り入れを強要している政府の矛盾きわまりないやり方を、この際きっぱりと正さなくてはならないと思うのであります。(拍手)  第二に、企業管理者について、政府案では、これを任期四年の特別職とし、業務執行が不適当で経営が悪化したとき等は、これをやめさせることができるといたしております。その一方、契約の締結、資産の取得や処分等における権限を強めておりますが、われわれは、その反面首長や議会の地方公企業に対する権能を縮小している点は誤りであると思うのであります。  わが党案では、管理者は必置制とし、その運営において地位の強化をはかるべきであるといたしており、首長や議会の権限は弱めることなく、地方公企業もひとしく自治行政の重要なる一環であります以上、むしろ首長や議会が、住民から直接選ばれた立場で、企業の危機打開に全責任をもって尽くすことができるようにすべきであると思うのであります。管理者の権限を強め、その責任を幾らきびしく追及いたしましても、水道局長や交通局長が赤字を出したからといってそれを幾ら責任を追及いたしましても、現在の財政措置の中では、問題は何ら解決せず、管理者の首を次から次へ飛ばすだけで終わるでありましょうことを、私は明言しておきたいと思うのであります。  第三に、公営企業の料金については、政府案は、能率的な経営における適正な原価を基礎とするといたしております。わが党案では、工業用水道等の料金については、相手が負担能力のある企業でございますから、それでよいとしても、水道、交通等の料金については、その基礎はもとより原価に置くといたしましても、住民の負担能力その他経済事情を勘案し、公共の福祉の増進についても適切に考慮した妥当なものとすることにいたしております。  従来池田内閣時代は公共料金を抑制するかまえでありましたものが、佐藤内閣になりましてから、最近は、国鉄料金、郵便料金など、政府御自身がまず模範を示して値上げを行なっており、政府案のように、財政援助なしに公営企業にかかった経費だけ料金を取るということでは、料金値上げの前に青信号を掲げたことになり、企業財政難がことごとく住民負担に転嫁されることを私はおそれるのであります。  第四は、職員の身分及び給与制度についてであります。政府案では、企業職員の身分取り扱いは、地公労法及び地公法により労働基本権を剥奪したままといたしておきながら、給与制度は、民間並みの能率や経営業績を反映したものに改めようとしているのでありますが、わが党案は、当面、現行どおりで、改正を行なわないことといたしたのであります。  なぜなら、政府案のような給与制度の根本的変革を行なうのならば、職員の労働基本権も民間産業並みに憲法の規定どおり付与すべきであり、権利関係はそのままにし、給与制度だけを改悪することは明らかに誤りであり、とりわけ、現在公務員制度審議会が地方公務員の労働問題をも含め検討を重ねている際でもあり、いま改正は行なわるべきではないと考えるのであります。  最後に、わが党案の最重点といたしております国の財政援助についてでありますが、政府案では、ごく内容の貧弱な赤字企業に対する財政再建債と利子補給を行なうだけで、その反面、自治大臣の公営企業に対する統制権を大幅に拡大し、自治大臣は、赤字事業に再建計画の樹立を強要できることとし、計画の樹立を渋る団体には一切企業債を許可してはならない、再建計画に適合しない予算執行は停止させる等、地方にきびしい要求を行ない、それに応じなければ利子補給を停止するなど、地方自治の本質にも触れるような規定を多く置いておるのであります。四十一年度の補給金はたかだか一億五千万円で、赤字再建団体がこの補給金の分け前をもらってもスズメの涙ほどにもすぎず、これと引きかえに、地方公企業が中央政府の統制のもとに準禁治産者扱いとされることは、断じて容認できないところであります。(拍手)  わが党案の国の財政援助措置の第一は、まず累積赤字たな上げでありますが、これは特例措置なので、政府案は企業法と一緒にしておりますけれども、わが党案は、企業法とは別立ての単独法案といたしております。対象赤字額を、政府案は三十九年度現在で押え、六百六十億円としておりますが、わが党案は、いまはすでに四十年度末の決算がわかる段階でございますので、四十年度末現在の九百億円余を対象とし、利子補給も、政府案六分五厘を、党案は三分五厘以上に対し行ない、償還期間も、政府案五年を、党案は十五年とたっぷり置き、また、再建計画にからむ中央統制は極力排除し、現行の自治法や公営企業法にある通常自治大臣の指導権限の範囲内にとどめ、あくまでも地方の自主性に立った再建を進めるべきだといたしておるのであります。  次に、わが党案では、水道法では簡易水道の新設だけを補助対象としておりますのを、上水道のすべてに対しその新設、増設、改造に対し国庫補助の道を開くことの改正を行ない、また、わが党がさきに本院に提出し、現在運輸委員会に付託となっております都市鉄道整備促進法案により、地下鉄のトンネル等には全額国庫補助を行なうことといたしております。これには諸外国の立法例もあり、都市の生活を守るため、ぜひとも水道及び地下鉄に対する国庫補助の道を開くべきであると考えるのであります。  企業資金については、住民直結の水道、交通及びガスの事業については、本質的に公共事業と何ら異ならないわけでありますから、一般会計の事業並みに、企業債の利子は六分五厘以下、償還期間は少なくとも耐用年数を下らないものとし、高利の既往債約三千億円に対しても、六分五厘の借りかえ債を発行することといたしているのであります。  この企業債の改善のために、公営企業金融公庫の地方公企業の長期及び短期の中心的金融機関としての役割りを高めることが重要であると考え、公庫法にも所要の改正を行なっているのであります。  政府案では企業債に対する対策は全くゼロであり、これでは、たとえこれまでの累積赤字がたな上げされましても、その翌日からまた新しい赤字が出始めること必至であります。要するに、わが党改正案は、地方公企業の公共性を尊重した正しい制度を確立するとともに、わが党の従来からの主張のうち、当面自民党政府であってもこれくらいは実行できるであろうと思われる国の財政援助措置を、ごく遠慮がちに提案いたしているのであります。(拍手)  何とぞ、慎重御審議の上、政府案にかわり、わが日本社会党案を御可決あらんことを切に願い、説明を終わります。(拍手)      ————◇—————  地方公営企業法の一部を改正する法律案内閣提出)並びに地方公営企業法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出)、地方公営企業財政再建促進特別措置法案安井吉典君外九名提出)及び公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案安井吉典君外九名提出)の趣旨説明に対する質疑
  29. 園田直

    ○副議長(園田直君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。華山親義君。   〔華山親義君登壇
  30. 華山親義

    ○華山親義君 ただいま趣旨説明のありました地方公営企業法の一部改正について、日本社会党を代表し、総理大臣はじめ関係諸大臣並びに社会党案説明者に質問をいたします。(拍手)  地方公企業は、人間の生命の根源である水を供給する水道、人間の健康を保持するための病院、人間の活動を促進するための交通機関などを経営し、これによって、住民が健康にかつ快適に活動するための基本的要求に応じようとするものであります。  まず、水の問題について申し上げます。  わが国の水の使用量は、都市用水、工業用水において、近年驚くべき高率の増加を示しております。今後も、生活態様の向上と工業の発展につれて、さらに強く永久に増大し続けるでありましょう。加うるに、人口の都市周辺へのなだれ打つ集中、事業場、工場の増設は、水の使用を偏在化し、二重の要因をもって今後の極地的増大を覚悟いたさねばなりません。  昭和三十二年、東京の小河内ダムは計画以来二十五年にしてでき上がり、都知事は、完工式において、東京の水は当分だいじょうぶと式辞を述べたのであります。しかし、その後も都民は慢性的な水不足に悩み、ついに昭和三十九年のあの水飢饉におちいり、東京都の失政もさることながら、政府の利水に関する長きにわたる行政の怠慢によるものといわざるを得ません。(拍手)渇水時においていつまたこの事態が起きるのではなかろうかと、専門家のいまひとしく憂いを持っているところであります。今日着工せられている工事は応急的なものにすぎないのであります。  ロスアンゼルスは、あの乾燥地帯に快適な近代都市として建設されました。その基礎は一に水道にあります。水源地からの導水管の延長は、東京から仙台までよりさらに北に及ぶものであります。この建設の当時、アメリカの富力はそう高いものではなく、これをなし遂げたのは、半永久的な公債による思い切った先行投資によってなされたのであります。(拍手)今日の日本において、これを東京その他の諸都市に求めることはできません。一年ごとの独立採算制をとることで自治体を縛っておいて、どうして大先行投資ができるでありましょうか。初めの十五年は赤字であっても、あとの十五年の黒字でこれを埋め得るならば、これも独立採算制ではないか。ここに公営企業の存在理由があり、民間企業との根本的な相違があるのであります。ロスアンゼルスの水道事業は、ここに発想されたのであります。  今後の水の問題は、日本の国運、日本民生の向上に関する重要な問題であります。公営企業は、第一線において水と取り組む現業業務を担当するものであります。総理はこの認識に立たれて、国としての立場から、公営企業の水の事業に援助、助成を講ぜられる考えはないか、承りたいと存じます。(拍手)  次に、都市交通についてであります。  総理は、この国会で、国鉄料金値上げについて、受益者負担ということばを言われた。私は国鉄と地下鉄とで登院いたしております。あのラッシュアワーの、自分の足がどこにあるかわからないような混雑の中で、私は、同乗している人々に、国会の議席に連なる一員としてまことに申しわけなく思い、私の無力をあわれに思います。せめて、私はこれらの人々にかわり総理に申し上げたい。われわれは受益者などという実感を毛頭持ちません。交通政策の貧困による受難者だと実感いたすのであります。これらの人々は二、三時間の往復に無意味に心身をすり減らしている。これらの人々は、しかし、都心に遊びに参るのではございません。働きに来るのです。そして、この働きの集積が、日本経済を維持発展させているのです。日本人の本来勤勉な労働力を仕事に集中させること、これが生産性向上の基本であり、日本経済の発展の基本だと私は信じます。これが朝の通勤の第一歩においてぶちこわされている。  総理、あなたが受益者負担の観念を今後も持ち続けられることは、国の発展の上からも反省さるべきであります。ロンドンにおいては、都心の交通の中心を地下鉄とバスに置き、乗る人々の疲労を防ぐためにバスの立ち乗りを禁止して、これによる事業の損失を補助している。日本の労働力の有効な発揮が、公営企業の任務と深く連なることを思われ、都市交通に働く者の大衆優先の交通政策を立てられる考えはないか、お答えをいただきたい。  次に、現在窮極に立つ地方財政に対し、最もどん欲なのは通産省であります。工業用水道事業についてだけ申し上げますが、多少の建設国庫補助を行なうにあたって、あるいは起債の承認にあたって、一トン四円ないし六円の低料金を条件とし、その後原価計算上いかなる事情の変更があろうとも、料金の値上げを強力に押えております。このために、多くの県、市において、元金償還のためには、一般会計は無利子、無期限の貸し付けの形で負担し、経営費の欠損には一般会計から補助、繰り入れをしておるところが見受けられるのであります。また、多くの県、市においてこのことが実行されております。  このたびの法改正にあたって、自治省は、地方公企業制度調査会の答申をまともに受けて独立採算制の原則を立てたのに対して、通産省は財界とともにまっこうから強く反対し、この原則の強化を骨抜きにいたしました。自治省の改正案によって、地方財政からの補助が打ち切られ、正当な原価に基づく工業用水の値上がりをおそれたからにほかならないのであります。(拍手)この不当に安い工業用水を使っている大工場の地域の中小企業はどうか。営業に伴う国税、地方税を納め、この税が大企業の用水を安くすることに使われ、自分の営業には何の援助もなく、工業用水の少なくとも四、五倍、ところによっては十倍をこえる高い一般上水道の水を使っております。世にもふしぎな物語ではございませんか。私はイソップ物語を思い出します。  通産大臣、大企業のために地方財政負担をかけ、地方に大企業中小企業との間に不均衡な財政措置をとらせることはほどほどにしていただきたい。もしこのような地方財政に余裕があるならば、地方に対し、これを中小企業に使うように頼んでいただきたい。中小企業は、その地方に芽ばえ、育ち、その土地と密着するものであって、地方行政になじむものであります。地方行財政が大企業よりも中小企業転換することを心から望み、これについての通産大臣の御所見を承りたい。  厚生大臣、このような工業用水についての通産省の傍若無人ともいうべきふるまいとは対照的に、厚生省の上水道に対する施策は全くなきにひとしい。大都市については、水道用水の拡大に備えて大先行投資がなされなければならない。一面、いまだに水道の恩恵に浴さない人々は国民の四〇%近くもおります。人間の生まれた土地、永住する土地によって定まる一生の恵まれない運命、これを運命として放置することは、文化国家として許さるべきことではありません。厚生省は、わが党の長い間の強い要望にもかかわらず、何ら積極的な姿勢を示しません。なぜなのか、今後もそのつもりなのか、厚生大臣の御所見を承りたい。(拍手)  次に、都市の交通に関して、さらに具体的に運輸大臣、建設大臣、国家公安委員長にお尋ねいたします。  今日、国鉄の輸送に期待することにも、路面の拡張にも、限度のあることであって、残された地下を利用する以外にはありません。しかるに、地下鉄の建設費は、一キロ当たり平均三十億円、鉄道新幹線の七倍、一般路線の二十倍の巨額にのぼるのであります。国が、地下隧道を公共事業的な道とみなして、これをみずから建設する用意がなければ、急速な伸長を望むべくもありません。運輸大臣にその構想がおありかどうか、承りたいと存じます。(拍手)  また、建設大臣は、今後いかに自動車がふえようとも、特に都心においてこれをスムーズに運行させるだけの路面拡張の自信がおありになるのであるかどうか。  大臣が何と答えられようとも、加速度的な自動車の増加と都心における限られた路面拡張との競争には、限界があります。そして、現状はこの限界を示すものではないか。これを打開すべき道は、乗用自動車に対して、時間的にあるいは地域的に、その交通を制限する以外にないのではないか。これは、ヨーロッパ諸国においてすでに行なわれ、また行なわれようとしているのであります。公安委員長のお答えを願いたい。  この制限によってバスによる高速運転が可能になり、バス乗客一人当たりの路面に占める面積の小さい利点を生かして、大衆優先、大量輸送の道が開かれます。かくして、公営バス企業は、その本来の任務を拡大し、その目的を達成することができます。運輸大臣、公営企業の民営移行を考えられる前に、関係各省とも協議の上、この方向への公営事業の発展を考えられる意図はございませんか、お伺いいたします。  次に、大蔵大臣、地方公企業の水道、交通等の料金は、その公共的性質からも、他物価への心理的影響の面からも、でき得る限り低く押えらるべきことに御異存はないと思います。しかるに、これらの公営企業の建設投資は、全部借金による仕組みになっております。したがって、資本費は原価に重い要素を持つことになり、料金を低く抑えるためには、資金ができるだけ低利長期のものでなければなりません。このような資金は、政府資金をおいて他にないのであります。政府資金の公営企業債全額に占める割合は、昭和三十三年の八五%から次第に低下して、昭和四十一年度計画では五八%に落ちました。なぜなのか。その中で、国民の生活に密着し、多額の投資を要する水道、交通においては、五〇%を割っております。政府資金の原資となる郵便貯金、簡保掛け金は、国民大衆の生活の中から、ささやかな大衆の家計簿の中から生まれるものであります。これら資金を、まず国民の生活に、家計簿を軽くすることに返してあげることは、当然のことだと私は思います。(拍手)これを国民が知ることによって、この原資の増加と見ることになりましょう。この措置について大蔵大臣の前向きのお答えを期待して、御所見を伺いたいと存じます。  次に、労働大臣、このたびの法改正は、職員の給料を従来の生活給的なものから能率給的なものに変えようとするものであります。現在の諸法において、給料に関し、能率ということばは、五現業、電電等について見ることができます。しかし、これらの場合も、職員の発揮した能率が考慮されるものと規定しておるのであって、決定の裁量に入れる程度の軽いものであります。しかるに、この法の改正においては、職員の能率が十分に反映されるものと規定し、能率が、給料決定に必要な要件とする、数段強い、あるいは質的に異なる方針が打ち出されたものでございます。私は能率給を頭から否定しようとするものではない。しかし、これを許容し得る社会的条件、一生の間、子供を養育し、その能力に応じて教育を受けさせながら、憲法に定むる健康で文化的な生活を営み得ることが前提にならなければなりません。この前提にほど遠い今日、能率給を打ち出すことは、労働者の一生の生活にかかわる重大な不利益をもたらすものでございます。(拍手)  この法の改正に、何ら地公労職員の労働基本権の回復に触れることなく、一方的に不利益を与える立法は、これを見のがすわけにはまいりません。この法の改悪に示されたとおり、公務員、地方公務員に能率給の観念を決定的なものとして導入されるお考えがおありなのかどうか、労働大臣にお尋ねいたします。(拍手)  この法の財政再建に関する規定は、自治大臣は、再建団体の財政運営があらかじめ承認された計画に合致しないと認めた場合は、その団体に、計画を越えた部分の執行の停止を求め、これに応じない場合には再建債の利子補給をとめることができることになっております。財政運営が計画を越えることは、人件費についても起こり得ることであります。このことは、企業管理者の当事者能力が予算によって制限される上に、さらに国家権力をもって制限されるものであります。総理は、公務員制度審議会に対し、そのあいさつの中で、当事者能力は特に重要な問題として検討を求め、過日の本会議における横路議員の質問に対し、強い関心を示してそのことを確言されました。いまこの問題について審議会が検討に入ろうとするやさきに、このような当事者能力の制限強化する法律案提出されることは、意外とするほかはございません。総理、あなたのことばが真実であるならば、本法律案を撤回して誠意を示されるべきであります。(拍手)御意思のほどをお示し願いたい。  自治大臣には、今後委員会において詳しくお聞きいたしますので、この際はただ一点だけ伺います。  昨年十月、調査会の答申を得て、あなたの責任のもとに、自治省は本改正の当初案を作成されました。しかし、その当初案の独立採算に徹するというただ一本の柱は、通産省と財界反対によって打ち倒され、実質を失ったのであります。魂のない手足だけが残ったのであります。(拍手調査会の答申が、このようなむざんな形において立法されることも全く珍しい。大臣、あなたは、今日、この結果を、政治家として、まことに遺憾だと思われているのか、それとも、調査会の答申を採用したことが間違いであったと考えておられるのか、われわれの今後の審議進行上重要なことでございますので、お聞かせを願いたいと思います。  最後に、社会党案を説明されました安井議員に対し、政府案と社会党案との主要な相違点をもっと明確にお示し願いたいと存じます。(拍手)   〔安井吉典登壇
  31. 安井吉典

    安井吉典君 華山議員にお答えを申し上げます。  政府案と社会党案との相違点を簡潔に説明せよとのことでありますが、政府案は、先ほども申し上げましたように、今日の危機的実態に対し、独立採算制の強化と、企業責任の強化という面でこれに対処し、わずかばかりの財政再建債を準備した、こういうふうな内容であります。  この企業制度運営強化についての規定によって、私どもが心配するのは、それがとりもなおさず料金値上げにいき、あるいは企業労働者へのしわ寄せの合理化、こういう形にいってしまいはしないかということをおそれるのであります。しかも、それに対して財政措置は、この対策を練るために、自治省は実に三年間の日子を要し、地方公企業制度調査会の審議を得てつくり出したのでありますが、それによって財政支出わずかに一億五千万円であります。一千億円の赤字に対して一億五千万円の財政支出が行なわれたにすぎません。これはだれが考えましてもお粗末きわまるものだと思うのであります。この財政欠陥、財政に対する措置がゼロであるということが、政府案の最大の欠陥だと私は考えます。(拍手)  これに対しまして、わが社会党案は、料金値上げや合理化というふうな悪い結果を生じないように、国の財政措置を強力なものとするわけであります。つまり、手厚い再建債の準備、水道や交通に対する国庫補助の設置、企業債の内容の改善を内容とするものであります。  つまり、政府のものは財政的な措置不在の対策であり、われわれはきめこまやかな対策で地方公企業をあたたかく包み、地方公企業を激励し、その発展を心から期そうと、これがわが党の考え方であります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  32. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  たいへん多岐にわたってのお尋ねでありますが、私に対する質問は、冒頭におきまして、都市の交通並びに水道の問題、水の確保のために長期的な計画を持つべきじゃないか、同時にまた、それが大衆の利便、これを十分果たす、こういうものであるべきだ、かような御意見であり、同時にそのお尋ねであったかと思います。  もちろん、最近の経済活動、また近代文明、その最も著しい特徴は過大都市でございます。その意味におきまして都市の再開発が今日の政治上の課題であります。都市の再開発、そういう場合に問題になりますのは、ただいまの交通の整備、水の確保の問題だ、かように思います。政府におきましても、地方団体におきましても、この観点に立ってこの重大な問題と取り組んでおる、しかもそれは長期にわたる計画のもとに進められておるということを御了承いただきたいと思います。  また、この案を政府は撤回する考えはないかという話でございましたが、これは撤回する考えはもちろんございません。ただいま提案いたしまして御審議を願う、先ほど来のいろいろの御意見もその審議を通じて明らかにしていただきたい、かようにお願いをしておきます。(拍手)   〔国務大臣永山忠則君登壇
  33. 永山忠則

    国務大臣(永山忠則君) 地方公企業制度調査会の答申は、その公益性と能率化と受益者負担の三者を総合調整いたしまして、健全なる企業形態に移行いたしまして今日の赤字累積等を再建するという答申でございますので、この答申を尊重いたしまして本法案提出いたしておる次第でございます。お説のように、委員会で十分御意見を拝聴いたしまして、御意思の点をもよくお聞きをいたして御審議を十分願いたいと存ずる次第でございます。(拍手)  なお、公安委員長の関係の問題でございますが、これは路線バスを優先的地位に貫けというおことばでございまして、きわめてごもっともな点と考えておるのでございます。現段階におきましては、トラックの時間制限あるいは一般自動車の右折禁止等がございますが、路線バスはこれを優先さしておるのであります。停留所等においても優先的に認めておるのでございますが、なお十分ひとつ御意思の点は考慮いたしたいと存ずる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  34. 福田赳夫

    国務大臣(福田赳夫君) お答えを申し上げます。  私に対するお尋ねは、公共料金は上ぐべきではないと思うが、どういう意見かということのようでありますが、もちろん、公共料金はそうみだりに上ぐべきものとは思いません。しかしながら、それにはやはり地方団体も国も公営企業運営につきまして協力をしなければならぬ。しかし、前提といたしましては、公営企業自体の自主的体制、これが一番かなめである、かように考えます。そういう自主的な体制が整う、つまり再建整備の形が整うというにおきましては、さらに国におきましてもあるいは地方の一般会計におきましても、これが援助をいたすべきである。私は、そういう自主的体制に対しましては、さらに国の体制を積極化し、この際再建整備を実現していきたい、かように考えておるのでございまして、どうか御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  35. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 華山君の私に対する御質問は、工業用水道事業は国費で全部やればいい、地方の負担にすることは通産省どん欲でないかという御質問でございます。そうではないのでありまして、工業用水道事業は、やはり一方においては道路、港湾などに準ずる公共性を持った事業であることは、これは申すまでもない。けれども、一方においては地方開発という目的も持っておるわけでありますので、そのことが地域社会に対して相当な利便を与えますから、国が負担すると同時に、地方の公共団体も一部負担をするというたてまえが、政治のたてまえとしては妥当であるという見解に基づくものであって、通産省のどん欲に基づくものではないということでございます。  第二の点は、工業用水道はおもに大企業が利用して、中小企業は利用しないではないか、そのために、そんな金があれば中小企業に回せというような御非難でございますが、これは華山さん、事実を御認識になっていない点が私はあると思う。たとえば大阪市における工業用水道の例をとってみましても、企業者数においては、中小企業のほうが七〇%、大企業が三〇%、用水量においては、大企業が六〇%、中小企業が四〇%、この数字の中に、工業用水道の利用というものは、相当に中小企業も利用して、中小企業にも寄与しておるということがあらわれておると思いますので、大企業ばかりのための工業用水道であるという非難は、私は、事実に相違いたしておると思うのでございます。(拍手)   〔国務大臣鈴木善幸君登壇
  36. 鈴木善幸

    国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。  わが国の水道事業は、近年、新設または拡張、改良工事が順調に進んでおりまして、給水人口が相当ふえておりますことは御承知のとおりであります。この水道事業の進展によりまして、国民生活に相当寄与しておるものと存ずるのであります。  ただ、経営の面におきましては、改良、拡張工事がふえて、起債の償還費がふえております。また、人件費あるいは管理費が増大いたしております関係から、経営が相当圧迫されておりますことは、事実であるわけであります。そこで政府といたしましては、これに対しまして、起債の償還年限を昭和四十年度から五カ年間延長いたしております。また、昭和四十一年度におきましては、公営企業金融公庫からの貸し出しの金利を、七分三厘から七分に引き下げるような措置を講じまして、経営の改善に資するように努力をいたしておるのであります。  また、小規模の水道の建設、運営は困難な面が多いので、簡易水道につきましては、従来四分の一の補助を三分の一補助に引き上げるような措置を講じまして、今後も水道事業に対しまして、政府としてできるだけの対策を講じてまいりたいと考えております。(拍手)   〔国務大臣瀬戸山三男君登壇
  37. 瀬戸山三男

    国務大臣(瀬戸山三男君) 自動車の激増と都市交通の問題をお尋ねであります。  これは、根本的には地域開発と都市交通の問題、両面立てで解決すべきものであろうと思います。私どもはおおむね昭和五十五年を目途として、全国計画で進めておるわけでありますが、東京、大阪あるいは名古屋等の大都市については、それとあわせて計画を進めております。  ここで一番問題になるのは、率直に申し上げますが、これは資金の問題でもないし、あるいは計画の問題でもなくて、やはり地域社会をお互いによくするんだという、このお互い国民の協力が大前提になるものであると思います。よろしく御協力を願いたいと思います。(拍手)   〔国務大臣中村寅太君登壇
  38. 中村寅太

    国務大臣(中村寅太君) 私に対する質問は、地下鉄工事に非常に経費がかかるので、国で援助を強化してはどうかということであったと思います。  従来、政府といたしましては、財政投融資によって助成をしてきたのでございますが、昭和三十七年度からは、建設費の一部を補助するという態度をとってきたのでございます。特に四十一年度からは補助率を高める等の助成措置強化策を講じておるのでございます。なお今後、助成の方法内容等につきましては検討を加えてまいりたいと考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣小平久雄君登壇
  39. 小平久雄

    国務大臣(小平久雄君) 私への質問の第一点は、今回の法改正にあたりまして能率給の考えを取り入れたことはどうか、こういうことでございますが、御承知のとおり、賃金は、一般に労働の内容あるいはその量、さらには労働の能率あるいは生計費等々を総合的に考慮してきめらるべき性格のものでありまするし、また、わが国におきましても、一般的にこの能率給の考えが逐次広まっておる際でございますから、今回の法改正にあたって、やはり能率給の考えを取り入れたということは、私は適切なことだ、かように考えております。  また、第二に、能率給を取り入れることによって、特に中高年者等が生活に困るのじゃないかという御趣旨の御質問と思いますが、その点につきましても、いま申しますように、賃金は一般的にいろいろな要素からきめられますが、しかし一方において、わが国には、いわゆる年功序列型の賃金形態がなお根強く存在いたしておりまするし、あるいは業種間、職種に基づく標準賃金、賃金水準というものが逐次形成されつつありますから、これらを労使間の話し合いによって、適切に、能率給とともに調和をしてひとつやっていただきたい、かように私は考えております。  さらに、今回の法改正によって財政再建の計画が立てられると、かなり当事者能力が制限を受けるのじゃないかという御趣旨の第三の御質問があったように思いますが、この点につきましては、この地方公企業の職員の給与が、団体交渉により、あるいは労働協約によりきめられるという公労法上のたてまえは何ら制限をされておりません。したがって、当事者能力が制限をされるということは全然ないものと考えております。(拍手
  40. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  41. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。    午後四時二十九分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         法 務 大 臣 石井光次郎君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         厚 生 大 臣 鈴木 善幸君         通商産業大臣  三木 武夫君         運 輸 大 臣 中村 寅太君         労 働 大 臣 小平 久雄君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         自 治 大 臣 永山 忠則君  出席政府委員         内閣法制局長官 高辻 正巳君         警察庁交通局長 内海  倫君         自治省財政局長 柴田  護君      ————◇—————