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1966-04-21 第51回国会 衆議院 本会議 第43号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年四月二十一日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十九号   昭和四十一年四月二十一日    午後二時開議  第一 交付税及び譲与税配付金特別会計法の一   部を改正する法律案内閣提出)  第二 郵便法の一部を改正する法律案内閣提   出)  第三 特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時   措置法の一部を改正する法律案建設委員長   提出)  第四 国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改   正する法律案内閣提出)  第五 機械工業振興臨時措置法の一部を改正す   る法律案内閣提出)  第六 農業協同組合合併助成法の一部を改正す   る法律案農林水産委員長提出)  第七 農林漁業金融公庫法の一部を改正する法   律案農林水産委員長提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  離島振興対策審議会委員選挙  湿田単作地域農業改良促進対策審議会委員の選   挙  日程第一 交付税及び譲与税配付金特別会計法   の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第二 郵便法の一部を改正する法律案(内   閣提出)  日程第三 特殊土じよう地帯災害防除及び振興   臨時措置法の一部を改正する法律案建設委   員長提出)  日程第四 国土開発縦貫自動車道建設法の一部   を改正する法律案内閣提出)  日程第五 機械工業振興臨時措置法の一部を改   正する法律案内閣提出)  日程第六 農業協同組合合併助成法の一部を改   正する法律案農林水産委員長提出)  日程第七 農林漁業金融公庫法の一部を改正す   る法律案農林水産委員長提出)  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法   律案内閣提出第三七号)の趣旨説明及び質疑    午後八時三十六分開議
  2. 山口喜久一郎

  3. 山口喜久一郎

  4. 海部俊樹

    海部俊樹君 離島振興対策審議会委員外委員選挙は、その手続を省略して、議長において指名されんことを望みます。
  5. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 海部俊樹君の動議に御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 山口喜久一郎

  7. 山口喜久一郎

  8. 山口喜久一郎

  9. 三池信

    三池信君 ただいま議題となりました交付税及び譲与税配付金特別会計法の一部を改正する法律案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、地方交付税法の一部改正に伴いまして、毎会計年度一般会計から交付税及び譲与税配付金特別会計に繰り入れる金額のうち、当該年度における所得税法人税及び酒税の収入見込み額基礎として算定するものにつきまして、その算定率現行の百分の二十九・五から百分の三十二に引き上げることといたしております。  また、昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律に基づきまして、地方団体交付する臨時地方特例交付金交付に関する政府の経理を交付税及び譲与税配付金特別会計において行なうことといたしますとともに、同交付金相当する金額は、予算で定めるところにより、一般会計から同特別会計に繰り入れるものといたしております。  この法律案につきましては、去る十九日、質疑を終了し、討論を行ないましたところ、武藤山治委員は、日本社会党を代表して、今回政府がとった地方財源措置交付税体系を混乱させるものであり、むしろ交付税率を百分の三十七に引き上げて前向きに処置すべきであるとの意見を述べて、反対の旨討論されました。また、永末英委員は、民社党を代表して、今回のようなその場限りの解決ということでなく、交付税率引き上げ地方団体に十分な恒常的財源を与えるべきであるとの意見を述べて、反対の旨討論されました。  次いで、採決を行ないましたところ、多数をもって原案のとおり可決となりました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  11. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第二 郵便法の一部を改正する法律案   (内閣提出
  12. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第二、郵便法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————     —————————————
  13. 山口喜久一郎

  14. 砂原格

    砂原格君 ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に関し、逓信委員会における審査経過と結果を御報告申し上げます。  まず、法律案内容を御説明いたしますと、  その改正の第一の要点は、郵便事業経営財源を確保するため、郵便料金の全面的な改正を行なおうとするものであります。  まず、第一種郵便物につきましては、その基本料金は従来二十グラムまでごとに十円であるのを、新たに設定される第一種の定形郵便物については二十五グラムまで十五円、非定形郵便物については五十グラムまで二十五円とし、なお、従来十二円であった簡易手紙制度を改め、新たに郵便書簡としてその料金を十五円といたしております。  また、はがきにつきましては、五円を七円に改め、年賀はがきの低料扱いは廃止することとしております。  第三種郵便物につきましては、低料扱いは従来の百グラムまでごとに二円を百グラムまで三円とし、百グラムをこえるものは五十グラムまでごとに一円を加えることに改め、第四種郵便物につきましては、農産種前等は従来の二円を六円にし、また、新たに学術雑誌を加え、百グラムまでごとに十円といたしております。  なお、特殊取り扱い料金についても全面的な調整を行ない、特に速達料につきましては、従来の均一制であったものを重量別に四段階に分け、それぞれの料金を設定いたしております。  なお、料金改定による増収率は二八・八%と計算されております。  次に、改正の第二の要点は、通常郵便物種類体系等改定であります。  すなわち、現行の第五種郵便物を第一種郵便物に統合し、郵便物種類を第一種から第四種までとし、第一種は、書状内容とする郵便物郵便書簡その他第二種から第四種までに該当しない郵便物とし、さらに、これに定形、非定形の区分を設け、また、第四種郵便物については、学術に関する刊行物内容とするものを新たに加えることにしております。なお、郵便物容積及び重量制限についても、その最大限は引き下げ、最小限は引き上げるようにいたしております。  このほか、書き損じ郵便はがき一定の手数料で交換する制度を新設するのをはじめとし、簡易書留制度及び割引料金制度の創設、被災地あて小包郵便物料金免除等改正をいたそうとしております。  なお、この法律案施行期日は、一部を除き、本年七月一日となっております。  本案は、去る二月二日内閣から国会に提出、三月十七日、本会議において提案趣旨説明及び質疑が行なわれた後、逓信委員会に付託されたのでありますが、自乗、委員会においては、十数回の会議を通じて、政府当局に対し詳細な質疑を重ねたほか、物価問題等に関する特別委員会との連合審査会を開き、また、参考人を招致して意見を聴取し、さらに、委員を大阪に派遣して、同地方在住有識者等意見をも徴するなどの審査を行なった後、四月十九日、質疑を終了、直ちに討論に入りましたところ、日本社会党を代表して栗原俊夫君より反対意見を、自由民主党を代表して服部安司君より賛成意見を、また、民主社会党を代表して佐々木良作君より反対意見を述べられ、引き続き採決を行ないました結果、賛成多数をもって原案のとおり可決いたしました。  なお、日本社会党森本靖君より、少数意見報告したい旨の発言がありました。  以上をもって御報告にかえます。(拍手)     —————————————
  15. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 本案に対しては、森本靖君より、成規賛成を得て、少数意見報告書提出されております。     —————————————   〔少数意見報告書本号末尾掲載〕     —————————————
  16. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) この際、少数意見報告を求めます。森本靖君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔森本靖登壇
  17. 森本靖

    森本靖君 ただいま逓信委員長報告いたしました郵便法の一部を改正する法律案につきまして、逓信委員会において留保いたしました少数意見報告を簡単にいたしたいと存じます。  去る十九日、同委員会におきまして郵便法の一部を改正する法律案原案のとおり可決されました。私どもが本改正案反対する最大の理由は、郵便料金引き上げにあるのでございます。本年初頭の消費者米価値上げをはじめとする一連公共料金の相次いでの引き上げによって、物価はいよいよ高騰の気配を示すおりから、さらにその上昇をあおり、ひいては便乗値上げムードを誘発する一因となる郵便料金引き上げを敢行することは、ますます国民大衆の生計を窮乏におとしいれることとなるのでございます。わが党は、郵便料金引き上げ物価に及ぼす影響や、郵便事業赤字源の性質にかんがみ、郵便料金引き上げはこれを撤回し、これにかわる方策として、郵便事業財政赤字一般会計より繰り入れるか、あるいはまた郵便貯金特別会計剰余金あるいはまた郵便貯金の資金を効率的に運用して得た増収分をもって補てんすべきではないか等の手段をもって、数次にわたり政府に対し料金引き上げ案の撤回を迫ったのでございまするが、政府は、あくまでも独立採算制受益者負担とを固執して、ついにわが党の要求に応じなかったのでございます。私どもは、このような基盤に立つ料金改正案には絶対に反対の態度を表明するものでございます。(拍手)  今回の料金改正案について、その内容を検討いたしますると、原価計算上では、第一種郵便物または特殊取り扱い料金などは、いずれも黒字であるのにかかわらず、これを引き上げ、第三種郵便物料金ごときは、大幅な赤字であるのにもかかわらず、引き上げをせず、現行どおり料金としているものすらあるのでございまして、これはまさに一部の大量利用者が負担すべき料金大衆利用者に転嫁するという不合理さを暴露しておるのでございます。(拍手)さらに、第三種郵便物料金については、政府がみずから諮問いたしました郵政審議会答申を無視した料金を設定し、また、全面的に引き上げを行なった特殊取り扱い料金については、その引き上げ根拠として、一定引き上げ率を設けているようでございまするけれども、その引き上げ率そのものに確たる積算の根拠がないことは、逓信委員会質疑応答で明らかでございます。いわば、目分量的に引き上げたというべき状態でございます。国民に対してはなるべく安い料金サービスを提供しようとする郵便法の精神を忘れた面が明らかにあらわれているのでございます。  次に、今回改正制度面についても多くの欠点が認められるのでございます。  政府は、改正法律案趣旨として、郵便物種類体系等を整備して業務能率化を進め、あわせて利用者に対するサービスを改善するなどと称しているのでございまするけれども、詳細にその内容を検討いたしますると、郵政当局が自己の業務の運行に支障を来たさないことを重点とした改正にとどまり、国民大衆への真のサービスを顧みない改正が見受けられるのでございます。たとえば、今回、第一種郵便物、いわゆる書状に統合された従来の第五種郵便物、すなわち、開封郵便物の中で非定形郵便物となるものは、同じ第一種郵便物である定形郵便物に比し、その送達が著しく遅延するのみならず、従来に比し料金相当割り高になっておるのでございます。このほか、郵便物容積及び重量制限の強化によって利用条件が低下すること、郵便料金決定基準的事項が明確でないこと等が認められるのでございます。  以上のような理由により、委員会において本改正案に対し強く反対の意を表明したのでございまするが、少数のゆえをもって廃棄されましたことは、まことに残念しごくに存ずる次第でございます。(拍手)  本改正案は、以上申し上げました理由により、あくまでも否決さるべきものであるとの意見が、少数意見の大要でございます。  以上をもって、少数意見報告を終わります。(拍手)     —————————————
  18. 園田直

    ○副議長園田直君) ただいまの少数意見報告に対して質疑の通告があります。これを許します。卜部政巳君。   〔卜部政巳登壇
  19. 卜部政巳

    卜部政巳君 私は、ただいま議題となりました郵便法の一部改正法案に対しまして、日本社会党を代表し、関係閣僚に対しまして若干の質問を試みたいと思います。なお、少数意見者であります森本靖君に対しましても、若干の質問を行なわんとするものであります。  まず、総理にお伺いしたいところでございまするが、急に発病されたとかいうことでございます。まことに残念なことではありまするが、事病気でありますだけに、この点は経済問題に直面しておりますだけに、関係経済企画庁長官にまずお尋ねをいたしたいと思います。  本年当初の消費者米価引き上げ、こういう形の中で一連公共料金引き上げは、近くは健康保険料、さらにこれを追う郵便料金引き上げとなりまして、必ずや値上げムードを誘発し、物価便乗値上げをもたらして、国民の生活を圧迫することは必至であります。物価安定を本年度の政策目標重要項目とされるところの総理でありまして、少なくとも、これは総理だけの考え方ではなく、自民党政府重点施策であると私は思うのであります。しかるがゆえに、物価安定の対策の一つといたしまして、郵便料金引き上げを撤回するか、または引き上げの時期を延期する、こういうことを私は当然考えなければならないと思うのであります。この点に対し、経済企画庁長官は、特にそういう関係閣僚として、総理に対してそれを進言し、同時に自民党政府の姿勢を正すべきであると思うが、どうか。この点が第一点であります。  次に、また、総理は、去る十九日の逓信委員会におきまして、わが党の森本委員の、郵便事業赤字は、その公共性にかんがみて、一般会計から繰り入れるべきではないか、こういう質疑に対しまして、一般会計より繰り入れることは賛成できない、こういうふうに述べられておるのでありますが、やはり採算を度外視して提供した公共的サービスによって生じた赤字なのでありますから、これを郵便一般利用者だけに転嫁するのではなくて、広く国民の協力を求める意味におきまして、一般会計から繰り入れるべきである、この際そういう面に対して勇断をもって改正をする意図はないか、同時にまた、私は改正をされるべきだと思うのでありまするが、これまた、経済企画庁長官といたしまして、少なくともそういう分野から強く進言すべきであると思うが、この点についてはどうなのか。この点であります。  次に、郵政大臣にお尋ねいたします。  昭和四十年度の郵政事業特別会計予算では、当初すでに五十七億の赤字を生じております。その後相当赤字が累積する旨を一部の新聞報道が伝えているのでありまするが、昨年度末における決算状態はどうなっているか、このことを知りたいのであります。また、累積された赤字が解消された、こういうことになっているのであるならば、その解消するに至ったいきさつを具体的に御答弁を願いたいと思うのであります。  さらに、今回の郵便料金改定に対する郵政審議会答申によりますと、審議会は、少なくとも今後五カ年間収支見通し基礎として、これに適合する郵便料金改定を行なうことが本筋であると認めたのであります。しかし、答申は、その中で、長期的展望において予見することが困難な要素が多いなどの見地から、さしむきは見通しの期間をおおむね三年間として改正案作成し、五年間見通し基礎とする場合には、平均三六・八%の増収が、また、三年間の場合におきましては、二九・五%の増収が期待されるとしているのであります。  ひるがえって、政府の今回の料金改定案作成過程を顧みますと、当初は、郵政審議会の三年見通し改正案を尊重し、四十一年度以降三年間収支見通しに立った増収率二八・八%の料金改定案作成したのでありまするが、その後わずかに数カ月を経た時点におきまして、四十一年度以降五カ年間収支見通しに立った増収率二八・八%の料金改定案作成するに至ったのであります。しかも、審議会答申による五カ年間見通しの場合は、増収率三六・八%が期待されているにかかわらず、郵政当局作成による五年間見通しの場合におきましては、増収率二八・八%となり、その間大きな開きが認められているのであります。はたしていずれの作成にかかるものが正確なのか、はなはだ疑問といわざるを得ないのであります。政府はいかなる理由でかかる短期間に当初の三カ年計画を五カ年計画に改められたのか、郵政大臣答弁を願いたいと思います。  次に、郵便料金収入算定基礎となり、ひいては料金改定基本的要素となる取り扱い物数算定をいかにされたか、この点について、もしこの物数算定合理性を欠くならば、本改正案はその存立の基礎を失い、自滅すべきものであるのであります。三カ年計画の場合における取り扱い物数と、五カ年計画の場合における取り扱い物数とは、いかなる方式で算出されたのか、郵政大臣から具体的に答弁をしていただきたいと思うのであります。  次に、少数意見に対する質問といたしまして、森本靖君にお尋ねいたします。  まず、今回の郵便法の一部を改正する法律案趣旨説明によれば、郵政大臣は、「この法律案提案にあたりましては、郵政審議会答申を尊重いたしました」と述べておりまするが、提案された法律案内容について、審議会答申を無視したあとがあったかどうかについて審査をされたのか、この点をまず第一にお伺いいたしたいのであります。  第二点といたしましては、郵便料金値上げ物価対策との関係についてどのように政府にただしたのか、これが第二点であります。  第三点は、郵政事業から生じた赤字は、利用者負担のたてまえで補てんし、一般会計より繰り入れられるべきものではない。こういうことでは私は間違いだと思うのであります。この政府の見解に対しまして、どのように反駁をされたのか、ぜひ聞かせていただきたいところであります。  第四に、今回の改正で第五種郵便物は第一種郵便物に統合されますので、従来の第五種のダイレクトメール等は、今後経済界の興隆に伴い、第一種の定形郵便物といたしまして、多数の差し出しが予想されます。このために、本来の高等信である書状はがき、これらの送達が阻害されるおそれがあると私は思うのでありまするが、この点についてはどのように追及をされたかという点。  以上四点の問題をあわせ御質問を申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。(拍手)   〔森本靖登壇
  20. 森本靖

    森本靖君 ただいまの卜部議員の御質問にお答えいたします。  まず、第一番目の質問は、郵政大臣審議会答申についていかように無視をしたかというような点でございましたが、今回の答申については、都合のいいところだけとっておりまして、都合の悪いところはのけておりますのが、郵政大臣が今回提案いたしております郵便法改正案でございます。  それはなぜかと申しますならば、総理並びに郵政大臣は、盛んに独立採算独立採算ということを言っておりますけれども、本来、独立採算を強調するならば、これははっきりと申し上げまして、手紙手紙はがきはがき、第三種は第三種というふうに、それぞれの原価主義によってやるならば、これはある程度原価計算主義になるのでございます。ところが、皆さんも御承知のとおり、第三種郵便物については、今回の改正案においてすら、これは約七十二億円の赤字でございます。郵政審議会答申は、現在の第三種郵便物については、これは安いから五円にしろという案になっておるのであります。それを今回は三円にしか値上げしておらぬのであります。そういたしますと、実際には黒字でありますところの第一種、いわゆる皆さんが出しております書状については黒字でございますにもかかわりませず、十円を十五円に上げておるのでございます。こういう点が今回の郵政審議会答申を無視しておるという点でありまして、まことにけしからぬ点でございます。(拍手)  さらに次には、郵便料金値上げ物価対策の問題でございますけれども、これについても政府はかなり欺瞞的なことを言っておるのでございます。たとえば、今回の答弁におきまして、二八・八%の増収率値上げであるということを言っておりますけれども、第一種郵便物は五〇%の値上げでございます。さらに、非定形におきましては一五〇%でございます。さらに、第二種の郵便物におきましては四〇%の値上げでございます。第三種郵便物におきましては五〇%、第四種におきましては二〇〇%でございますから、どこから数字をとりましても、二八・八%という数字は出てまいりません。今回の値上げ率は、明確に申しますならば、九〇%の値上げ率になっておるのでございます。にもかかわりませず、これを二八・八%という数字のからくりによって国民をごまかそうとしておるのでございます。  さらに、今回、経済企画庁長官は、家計に占める割合が〇・一四%ということを言っておりますけれども、この〇・一四%というのは、年間七百七十二円しか国民一人当たりが通信費を使っておらないという数字になっておるのであります。ところが、その中には、ダイレクトメールその他の郵便物は入っておりません。この七百七十二円については、各家庭が差し出す郵便はがきと封書だけしか入っておらぬのであります。ところが、ダイレクトメールその他の郵便料については、結局は物価にはね返って皆さんのふところに返ってくるのであります。そういたしますと、この家計に占める割合計算いたします場合におきましては、総郵便収入を総戸数によって割るのが、ほんとう家計に占める割合になるのであります。そういう計算でいきますと、実際は、年間、郵政省が言っております七百七十二円より、四千七百二十七円という膨大な数字になるのであります。そういたしまして、〇・一四%どころか〇・八%になるわけでありまして、まさに物価上昇に火の手を上げるという今回の料金値上げになるのでございます。  次に、独立採算の問題についてでありますが、先ほどちょっと私が申し上げましたように、ほんとう独立採算を言うならば、各種類ごと独立採算をやれば、本来ならば郵便料金はあまり上げる必要がないという結論になるのであります。ところが、郵便全体を独立採算独立採算と言っておりますけれども、佐藤総理以下よく模範といたしておりますアメリカにおいてすら、年間一千数百億円という金を一般会計から郵便特別会計に入れておるという状況であります。今日、それがためにアメリカの郵便料金は世界でも一番安い。皆さんが外国に旅行せられましても、はがきを出す場合は、アメリカで出したら一番安いというのが、今日の現状でございます。そういう点からいきましても、今回の郵便料金値上げについては、一般会計から繰り入れるのが当然であるというのがわれわれの意見でございます。ヨーロッパ各国においても、そういうふうな国が相当たくさんあるのでございます。  最後に、今回の第五種郵便物の統合の問題でありますが、これは皆さんにとりましてもきわめて重要な問題であります。いままでは、御承知のとおり、開封郵便物というのがございました。ちょっと封を切って出したら、それは郵便料金が安かったのであります。ところが、今回の改正によりまして、そういう開封郵便物というものは一切なくなったのでございます。全部第一種郵便物でございます。そうなってまいりますと、今日のダイレクトメールも全部第一種郵便物となりまして、いままでの書状と同じような取り扱いになるわけであります。元来、郵便というものは、前島密先生以来、書いた手紙を先方に正確に、確実に渡すというのが郵便の使命でございます。ところが、今回はそういう書状ダイレクトメールが一緒になりますから、肝心の書状よりもダイレクトメールのほうが早く着くということにもなりかねぬのでございまして、一番の目的でありまする書状が早く肴かないという結果にもなりかねない、こういう点がまさに改悪であるということを申し上げたいのでございます。  以上、簡単でございまするが、御答弁にかえる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  21. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) お答え申し上げます。  第一の質問は、物価に及ぼす影響から、これをやめるわけにはいかないかという御質問でございます。私どもは、今回の郵便料金値上げをはじめといたしまして、一連の国鉄、私鉄等の問題につきましては、物価問題等も考慮いたしまして、十分内容審査いたしますし、また、その物価に対する影響も勘案いたしまして、今日、案をつくりまして、そうして時期等につきましてもできるだけの考慮を払いまして、影響を最大限に回避し、しかも、その上に立って来年度の物価上昇を押えていくという考えのもとに計画を立てておりますので、今日、私といたしましては、総理に対して、値上げを取りやめ、または延期するという進言をする意思はございません。  なお、赤字等の補てんについて、郵便貯金の利益もしくは一般財源から補給したらどうだという御説でございますけれども、私どもは、郵便貯金の問題につきましては、たとえば、かりに資本費等について問題を考えます場合は、将来あり得るといたしましても、日常の業務によります赤字を財政から補てんするということは、私は適当だとは考えておりません。特に、人件費が八〇%にも及びますような業務費の赤字は、当然利用者が負担してしかるべきものだと考えておりますので、これまた、お説ではございますけれども総理に対して進言する意思はございません。(拍手)   〔国務大臣郡祐一君登壇
  22. 郡祐一

    ○国務大臣(郡祐一君) お答えいたします。  郵政事業特別会計の四十年度予算は、お話のように、五十六億円の持ち越し現金を充当編成いたしました。このようなぐあいにして編成した四十年度予算でありまするから、特に節約につとめて経理をいたしましたが、その間、給与引き上げの仲裁裁定の実施等、予定外の経費の増加がありましたので、持ち越し分を補てんする状態には相なっておりません。決算は、現在取りまとめ中でありまするが、予定に比しまして、収入に若干の増と物件費の使用残を見込みますとしましても、四十年度収支は数億円の黒の程度だと思います。  次にお尋ねの、今後の収支と、特に郵便物数の点であります。郵政審議会もつとに総括原価主義をとっておりまするから、したがって、郵政審議会答申が、手紙手紙はがきはがきだけで原価をとれというようなことは決して申しておりませんし、また、一種、二種で値上げをいたしましても、低料以外の三種の据え置きとか、学術雑誌はかえって半額ぐらいに安くなっておるとか、そのような郵政審議会答申を尊重いたしまして、ただ、お尋ねの物数の点におきましては、郵政審議会は、支出においては、人件費、物件費の増及び近代化の経費を見込んでおりまするけれども、収入の面におきましては、物数の伸びを昭和四十三年度以降三・五%の横ばいに見ております。これは低きに失するのでありまするから、政府は、ここ数年間におけるような七%とか六%と見ることは避けましたが、かつ、料金改定直後は若干郵便物数が減ることはあろうかと思いまするが、現在五%以上の伸びを示しております。したがいまして、昭和四十三年度以降も平均五%の伸びは十分期待ができる、こういう見込みを立てたのであります。したがいまして、二八・八%の料金改定によりまして、今後五カ年間収支の見込みは、きわめて堅実に維持することができるのであります。さよう御承知を願います。(拍手
  23. 園田直

    ○副議長園田直君) これにて質疑は終了いたしました。     —————————————
  24. 園田直

    ○副議長園田直君) 討論の通告があります。順次これを許します。服部安司君。   〔服部安司登壇
  25. 服部安司

    服部安司君 私は、自由民主党を代表して、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表するものであります。  この郵便法改正法案は、政府提案理由にもありましたとおり、郵便事業の円滑な運営と、これに要する財源を確保するため、郵便物種類体系等を整備し、料金改定するとともに、サービスの改善をはかりつつ、事業近代化の基盤を整備しようとするものであります。  今日、郵便事業の実情を見まするに、近時郵便利用の飛躍的な発展の結果として、いまや郵便事業は創業以来最大の転換期に直面いたしております。と申しますのは、事業財政の上に困難が加わる一方、さらに、制度上においても実情との食い違いが目立つに至っているのであります。郵便事業の近代化は、かかる事情のもとに推進されようとしているのでありまして、政府がこの大きな課題に真剣に取り組もうとしていることは、まさに時宜に適した措置と考えるのであります。  今回の改正案については、その内容郵便料金の全面的な改定が含まれているため、この点に触れてとかくの批判がありますが、経済発展の基礎をなす公共企業の経営を不安定のまま放置することは、とうてい許されないところであります。  御承知のように、郵便事業は、その業務運行の大半を人力に依存せざるを得ない事業でありまして、事業財政の七〇%以上を占むるものは人件費でございます。このような人件費が主体をなす事業財政が不安定のままであることは、郵便業務に携わる従業員の生活にまでその不安定を及ぼすものでありまして、公共事業の経営がそのような状態で放置さるべきでないことは申すまでもないところであります。たとえ国民に若干の負担増を求めることになるとしても、これらの企業の経営を健全にし、安定したサービスを確保することが何よりも必要であり、また、これが恒久的な物価安定を期するゆえんであろうと存じます。  また、今回の料金改定物価へ及ぼす影響について見ましても、最も権威のある総理府の調査によりますれば、郵便料金の生計費に占める割合がわずかに〇・一四%にすぎないことからして、直接の波及効果はごく軽微なものと思われます。各種料金間のバランスも適当であり、郵便料金の大宗をなす第一種及び第二種の料金が十五年間も据え置かれてきた事情等をも勘案すれば、これはおおむね妥当な改定と言えるでありましょう。  この料金改定に関して、一部には、一般会計等から所要経費の繰り入れを行なうことなどによって、値上げ回避をはかるべきであるとの議論もありますが、かかるびほう的な政策は、事業の主体性を失わせるばかりでなく、事業の活力そのものまで枯渇させるおそれがあり、また、これは形こそ違え国民の負担であることに変わりはなく、郵政事業の将来のためにも、国民全体の利益の上からも、とるべき手段ではないと考えるのであります。(拍手)かかる見地から、われわれは、多少の料金引き上げをやむなしと考えると同時に、この料金改定国民に何をもたらすかを重視したいと思うのであります。  郵便業務と一口に申しましても、それは複雑多岐にわたるものであります。だが、端的に申して、ポストにはがき手紙を投函する、それが遅滞なく目的地のあて名人に届く、これが私たち国民の一番身近に感じている郵便の仕事であります。しかるに、私たちが当然二日目なり三日間であて名人に届くであろうと考えて投函するはがき手紙が、予期のとおり先方に届かない、こういう業務内容の低下が起こるなら、迷惑するのは私たち国民でありましょう。そうして、こういう遅配現象が今日すでに起こりつつあり、それが恒常化する危険が感ぜられるのであります。はがき手紙がいつ届くかわからないという不確実な状態、それは私たちの日常生活にはなはだ大きな支障をもたらすものであります。この際二円なり五円なりの増加料金を負担することによって、北海道から鹿児島まで、全国のすみずみまで、迅速かつ確実に郵便物を集配してもらえるということを国民の大多数が期待していると考えられるのであります。  今回の改正案においては、通常郵便物種類体系等改正が、料金改定と並ぶ大きな柱となっております。この種類体系等改正は機械化の導入を前提としたものでありまして、郵政当局は、この機械化計画のほか、事業財政の改善を待って、郵便物の航空機搭載、専用自動車便の増強等による送達の迅速化、局舎の近代化、速達範囲の拡大をはかり、東京、大阪を中心としまして、その日の夕方までに差し出されましたものは、おおむね全国主要都市には翌日配達でき得るように、サービスの改善を行なおうとしております。なお、書き損じはがき交換等、これら一連サービス改善計画は、郵便事業に対する国民の要望にこたえようとするもので、当局の意図は大いに了とすべきであります。また、今回一種と五種を統合することにより、従来の五種郵便物が一種の定形郵便物となるので、郵便本来の使命である信書の円滑なる送達を阻害しないかという懸念もございますが、一時に多量の引き受けとなる現在の五種郵便物ごときものは、当然、今回新設される割引制度の適用を受けることにより、結局一般のものと区分して取り扱われることになりますから、送達上混乱を生じないよう計画されております。  次に、値上げ幅が非常に高く、九〇%増にも達するという議論もありますが、一種非定形が十円から二十五円で一五〇%、四種農産物苗が二円から六円で二〇〇%というように、今回改正のこの値上がりの最も高い部分のみをとらえて算術平均すればそういうことにもなりましょうが、方程式が誤れば必ず誤まった答えが出てくるのが当然ではありませんか。わが党の計算では、一種定形のうち、二十グラムから二十五グラムまでは、現在二十円のものが十五円となり、四十グラムから五十グラムまでは、現在三十円でありますが、今回の改定により二十円にとどまり、現在よりかえって安くなります。また、低料以外の三種定期刊行物及び四種通信教育郵便物は据え置かれ、新たに設けました学術雑誌に対する割引制度により、料金は現在より五〇%安く、小包料金は一八%の低い値上げでありまして、書籍小包という全国均一低料金も新設いたしております。さらに、一種非定形におきましても、重量の重いところでは一五%程度の増加であります。その他、料金割引制度の新設等、それらを総合的に計算いたしますと、値上げによる増収額は二八・八%を上回ることはないものと考えられます。  以上の判断により、わが党は、ただいま報告のありました少数意見には反対でありまして、この政府提案郵便法の一部を改正する法律案に対し、委員長報告どおり賛成いたすものでありますが、最後に、一言政府当局に希望を申し上げておきたいと存じます。  あらためて申し上げるまでもなく、今日、郵便事業に対する国民の最も切実な願いは、郵便送達が正確、迅速に行なわれることであります。当局がこの国民の切望にこたえるべきであることは、法改正のいかんにかかわるものではないのでありますが、今後この法律の施行にあたっては、政府は、その責務を自覚し、郵便物の遅配一掃という国民的要望にこたえ、郵便事業運営の正常化につき総力をあげて努力されるよう希望いたしまして、私の討論を終わります。(拍手
  26. 園田直

    ○副議長園田直君) 畑和君。   〔畑和君登壇
  27. 畑和

    ○畑和君 私は、ただいま議題となりました郵便法の一部を改正する法律案に対し、日本社会党を代表いたしまして、ここに反対の意を表明せんとするものであります。(拍手)  まず、今回の郵便料金値上げ物価安定との関係を中心として、料金改正に関する反対意見を申し述べたいと存じます。  現在一般国民大衆が経済生活面で最も切望しているものは、申すまでもなく、物価安定による経済生活の充実であります。本年当初に値上げされました消費者米価に引き続き、私鉄運賃、国鉄運賃、小包郵便料金値上げがあり、また、近く健康保険料、さらにまた、これを追って今回郵便料金値上げが行なわれようといたしておるのであります。これら一連公共料金引き上げは、連鎖反応的に物価の騰貴を招き、国民大衆の経済生活を圧迫することは必至であります。佐藤内閣は、事あるごとに、物価安定対策に懸命の努力を払う旨を公言しているのでありますが、その空虚な物価対策は、四十年度の実績によりますると、政府目標の消費者物価上昇率四・五%を大きく上回った七・六%という、過去十カ年間の最高の値上がり率を示す結果となっているのであります。このような政府物価対策からいたしましては、とうてい、政府が公言する四十一年度の物価上昇見込み率五・五%は、これを抑え得るどころか、前年の値上がり率七・六%をさらに大きく上回る上昇率を示し、いよいよ国民大衆の生計を圧迫するに至るものと断ぜるを得ません。(拍手)このような趨勢のもとにおいて、国営独占事業である郵便事業料金値上げすることは、断固としてこれを阻止しなければなりません。  政府は、郵便料金値上げ国民生活に及ぼす影響は微々たるものであるなどと、全く国民大衆の実生活に思いをいたさない言辞を弄しているのでありまするが、郵便料金値上げが他の物価を刺激し、便乗価上げを招くことになるのであります。物価上昇の誘因ともなる郵便料金引き上げ案は、とうていこれを容認することはできません。  次に、今回の改正案におきましては、従来最大の赤字源である第三種郵便物料金については、政策料金なりとして依然低料金を設定いたしておるのでありまするが、この料金による取り扱いの結果は、その原価から見て、今後においてさらに年間巨額の赤字が生ずることは明白であります。公共的料金としての低料金政策によって生じたこれらの赤字を一般の郵便利用者が負担することは、きわめて不公平であり、これは当然一般会計から補てんすべきものであります。政府は、郵便事業経営上発生した赤字を補てんする唯一の方法として、郵便料金値上げを考えているのでありまするが、これは郵政事業独立採算制を金科玉条のごとく盲信しているからにほかならないのであります。  わが党は、郵便料金値上げ物価に及ぼす影響や赤字源の性質等から見まして、今回の赤字は、一般会計から繰り入れるか、または郵便貯金特別会計剰余金、あるいはまた郵便貯金の資金を効率的に運用して得た増収分をもって補てんすべきではないか等の手段をあげて、しばしば政府に対しまして独立採算制の検討方を迫ったのでありますが、政府は、がんこに、あくまでも独立採算制を基盤とする料金改正案を固執しているのであります。わが党は、かかる基盤に立つ本改正案の成立をあくまでも拒否するものであります。  次に、今回の料金改正案内容につきましても、数多くの不合理さが認められるのであります。  そもそも、独立採算制のたてまえに徹するならば、収支均衡の原則に基づき、それぞれの料金を原価を基準として設定することが適当であるのであります。しかるに、書状、書留その他特殊取り扱い郵便物の単位収入と単位原価との差は黒字であり、全く料金値上げの必要がないのにかかわらず、これが大幅値上げを行なっているのであります。しかも、それとは逆に、第三種郵便物の単位収入と単位原価との差は相当大幅な赤字であるにかかわらず、そのうち低料扱い料金については、わずかに一円を値上げして、百グラムまで三円とし、その他のものについては、現行どおり料金、すなわち百グラムまで六円としているのであります。この第三種郵便物料金に関する政府の措置は、明らかに郵政審議会答申をも踏みにじっておるのであります。郵政審議会は、第三種の低料金百グラムまで二円を六円に、その他のもの百グラムまで六円を十円に値上げすべきものと答申をいたしておるのであります。  参考までに、その点についての郵政審議会答申をそのまま紹介いたしますと、次のとおりであります。「第三種郵便物については、一般郵便利用者の負担においてこれを特に低料とすることにつき従来から問題があった。本審議会は、定期刊行物の購読者の負担の軽減をはかることに文化政策的意義を十分に認めるのであるが、かかる政策的考慮は、一般会計からの繰入れなどの方法によるのが適当ではないかと検討した。しかし、従来の経緯等も考慮し、結論として、一般利用者に負担をかけないためにも、限界費用に近い額をもってその料金とするのが適当であると判断した。」  以上のごとく、郵政審議会も、第三種郵便物に関する「政策的考慮は、一般会計からの繰入れなどの方法によるのが適当ではないかと検討した。」として、わが社会党の主張の正しさを裏づけておると同時に、従来のいきさつをも考慮し、一般会計からの繰り入れをせず、郵政事業特別会計独立採算制を維持する場合においては、幾ら文化政策上の配慮とは申せ、せめて限界費用までは値上げをし、もって第三種以外の一般利用者に負担のしわ寄せをすべきではないと答申しているのであります。  これを要するに、今回の料金改正は、まさに、一部の大量利用者を負担すべき料金一般利用者が負担するという不合理さを如実に示しているのでありまして、かかる料金改正は、断じて排除しなければならないところであります。(拍手)  次に、今回の改正案に盛られた制度関係についても、遺憾な点が多々あるのであります。  第一に、郵政審議会から答申された郵便料金基準の明確化について、配慮のあとが認められないことであります。  第二に、郵便物容積及び重量制限の強化等は、利用条件を著しく低下させることになることであります。  第三に、今回の改正により、第五種郵便物は第一種郵便物に統合され、従来のいわゆるダイレクトメール等は第一種となり、内容書状であろうがダイレクトメールであろうが、外形上から定形あるいは非定形に区分されるだけでありますから、今後経済界の興隆に伴い、定形郵便物として多数のダイレクトメールの差し出しが予想され、このため、本来の高等信である書状はがき等の迅速な送達が阻害されるおそれがあるにかかわらず、これら高等信の優先送達について何らの配慮がなされていないのであります。  以上述べましたとおり、今回の郵便法改正案は、最も排撃すべき郵便料金引き上げをおもな内容とし、また、その他の事項についても賛意を表しがたいものがあり、わが党は政府原案に対し反対するものであることを表明して、私の討論を終わります。(拍手
  28. 園田直

    ○副議長園田直君) これにて討論は終局いたしました。  採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  29. 園田直

    ○副議長園田直君) 起立多数。よって、本案
  30. 園田直

    ○副議長園田直君) 日程第三は、委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 園田直

    ○副議長園田直君) 御異議なしと認めます。  日程第三、特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案日程第四、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————
  32. 園田直

    ○副議長園田直君) 委員長趣旨弁明及び報告を求めます。建設委員長田村元君。     —————————————   〔報告書本号末尾掲載〕     —————————————   〔田村元君登壇
  33. 田村元

    ○田村元君 ただいま議題となりました特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正する法律案は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党の合意に基づき、成案を得て、国会法第五十条の二の規定により、建設委員会提出にかかる法律案として提出されたものであります。  以下、その提案理由を申し上げます。  本法案の目的といたしますところは、現行特殊土じよう地帯災害防除及び振興臨時措置法の一部を改正して、同法の有効期限をさらに五カ年間延長しようとするものであります。  同法は、去る昭和二十七年議員立法として制定され、さらに、同三十一年及び三十六年、期限延長のための一部改正をいたしまして、特殊土壌地帯の治山、砂防、農地保全、土壌改良等の対策事業が実施されてまいったのでありますが、その進捗状況を見ますと、必ずしも満足すべき状態にあるとは言いがたいので、さらに昭和四十七年三月三十一日までその有効期限を延長して、所期の目的を完全に遂行しようとするものであります。  なお、本法案立案の過程におきまして、建設委員会において、井原委員より本法案提出理由の説明があり、政府意見を求めましたところ、本法案の成立に賛成の意を表しました。  以上、本法案の提案理由を簡単に御説明申し上げましたが、何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、国土開発縦貫自動車道建設法の一部を改正する法律案につきまして、建設委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  現在、わが国の高速自動車道路といたしましては、国土開発縦貫自動車道建設法をはじめとして、六つの法律でその路線が定められているのでありますが、わが国国民経済の今後の発展の基盤となるべき高速自動車道路網としては、これら諸法による路線だけでは、全国的に見て必ずしも十分ではなく、また、これらの路線相互間の有機的な結合という点から見ましても十分とは言いがたいものがあるのであります。  したがいまして、この際、国土開発縦貫自動車道建設法に、東海道幹線自動車国道建設法ほか、これに類する四法を統合し、題名を「国土開発幹線自動車道建設法」に改めるとともに、国土開発縦貫自動車道をはじめとする既定の法定路線約五千キロに、新たに約二千六百キロの路線を追加して、合計約七千六百キロに及ぶ国土開発幹線自動車道の予定路線を別表で定める等の措置を講ずることにより、国土開発の当盤となる高速自動車交通網の整備をはかろうとするものであります。  本案は、去る三月二十九日本委員会に付託、四月一日提案理由の説明を聴取、自来、慎重に審査を進めたのでありますが、その詳細は会議録に譲ることといたします。  かくて、四月二十日、質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決定した次第であります。  なお、本案に対し、井原岸高君外二名より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出され、これまた全会一致をもって可決されたのであります。  附帯決議の内容は、道路整備費の財源、有料道路制度、工事の執行体制等に関するものでありますが、詳細は会議録に譲ることといたします。  右、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  34. 園田直

    ○副議長園田直君) これより採決に入ります。  まず、日程第三につき採決いたします。  本案可決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 園田直

    ○副議長園田直君) 御異議なしと認めます。よって、本案可決いたしました。  次に、日程第四につき採決いたします。  本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  36. 園田直

    ○副議長園田直君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  37. 園田直

    ○副議長園田直君) 日程第五、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  38. 園田直

    ○副議長園田直君) 委員長報告を求めます。商工委員長天野公義君。     —————————————   〔報告書本号末尾掲載〕     —————————————   〔天野公義君登壇
  39. 天野公義

    ○天野公義君 ただいま議題となりました機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  現行法は、わが国経済発展の推進力たる機械工業の振興をはかるため、昭和三十一年に制定されたものでありまして、当初は五年間の限時法として発足し、昭和三十六年に、貿易自由化に対処してその内容を拡充するとともに、さらに五年間延長され、今日に至っております。  制定以来十年間、本法は機械工業の体質改善に相当の効果をあげてまいりましたが、現在なお機械工業は、設備の近代化と生産体制の整備について解決すべき諸問題を残しております。さらに今後は、機械の輸出振興について特に積極的な努力を傾注すべきことが要請されているのであります。  本改正案は、このような実情にかんがみ、残された問題の解決をはかるために再び五年間の期限延長を行なうとともに、国際競争力の強化のために機械工業の技術水準の向上を積極的にはかる措置を講じようとして提案されたものであります。改正の第一点は、本法の有効期間を昭和四十六年三月三十一日まで延長することであります。第二点は、生産技術の試験研究を特に促進する必要のある機種を指定し、これについて技術開発に関する基本計画及び実施計画を策定することであります。本案は、去る三月十六日当委員会に付託され、剛十八日通商産業大臣より提案理由の説明を聴取した後、四月十五日より質疑に入り、学識者及び関係業界の参考人意見を聞くなど、慎重な審議を行ないましたが、その詳細は会議録を御参照願いたいと存じます。かくて、昨二十日、質疑を終了、引き続き採決を行ないましたところ、本案は多数をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  40. 園田直

    ○副議長園田直君) 採決いたします。本案委員長報告可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  41. 園田直

    ○副議長園田直君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  42. 園田直

    ○副議長園田直君) 日程第六及び第七は、委員長提出の議案でありますから、委員会審査を省略するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 園田直

    ○副議長園田直君) 御異議なしと認めます。  日程第六、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案日程第七、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————     —————————————
  44. 園田直

    ○副議長園田直君) 提出者の趣旨弁明を許します。農林水産委員長中川俊思君。   〔中川俊思君登壇
  45. 中川俊思

    ○中川俊思君 ただいま議題となりました農林水産委員長提出の二法案について、提案趣旨を申し上げます。  まず、農業協同組合合併助成法の一部を改正する法律案について申し上げます。  昭和三十六年に農業協同組合合併助成法が制定され、自来、同法によって農業協同組合の合併に対する援助、助成の措置がとられてまいりましたことは、すでに御承知のとおりであります。  ところで、同法に基づく合併経営計画提出期限は昨年の十二月三十一日までと相なっておりますが、現在までの実績を見ますると、当初計画のほぼ九割に相当する合併が行なわれる見込みとなっておりまして、おおむね所期の目的は達成されたのであります。しかし、諸般の事情によって合併経営計画提出のおくれた農業協同組合で、今後合併によってその体制を強化しようとするものがなお相当数見込まれるのであります。さらに、適正かつ能率的な事業経営を行なうことができる農業協同組合を広範に育成して農民の協同組織の健全な発展に資するため、農業協同組合の合併を促進する必要性はなお存続しているのであります。  このような状況にかんがみ、今後とも農業協同組合の合併を促進するため、農業協同組合合併助成法の規定に準じ、昭和四十四年三月三十一日までに合併経営計画を都道府県知事に提出し、その計画が適当である旨の認定を受けることができることとするとともに、その認定を受けた農業協同組合については、従前の例により法人税及び登録税の特例措置を実施することとして、ここに本案提出した次第であります。  農林水産委員会におきましては、四月二十日本案委員会の成案とすることに決しました。何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。  次に、農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案について申し上げます。  乳業施設資金融通制度昭和三十六年創設されて以来、酪農振興法に基づいて設定されました集約酪農地域、または酪農経営改善計画作成しました市町村の区域内において、牛乳の処理または乳製品の製造に必要な施設について、その改良、造成または取得のための低利かつ長期の農林漁業金融公庫資金が、一般乳業者に対して、昭和四十年までの五カ年間に五十億円余融通され、酪農業の発展をはかる上に大きな役割りを果たしてまいったのであります。  現行制度は、昭和三十六年から五年間を限る時限立法による制度であります。酪農業の現状は発展過程の段階にありまして、昭和四十年酪農振興法の一部改正が行なわれ、乳業施設の整備を含む酪農近代化計画制度が創設されたのであります。しかして、この近代化計画制度を着実に実施することにより、集約酪農地域の再編成を行ない、乳業経営の改善合理化をはかる必要があるのであります。  このような状況のもとに、乳業者側における乳業施設資金、特に公庫の乳業施設資金に対する需要は増加しつつあるのであります。  したがいまして、以上の要請にこたえ、農林漁業金融公庫が行なっておりました乳業者に対する本融資制度を、従来と同様の条件によりさらに五年間延長実施するとともに、貸し付け施設の対象については、酪農近代化計画に即した取り扱いをすることとし、その経過規定をも加えることといたしております。  以上、この法律案趣旨について御説明を申し上げた次第であります。  農林水産委員会におきましては、四月二十日本案委員会の成案とすることに決しました。何とぞ、御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  46. 園田直

    ○副議長園田直君) 両案を一括して採決いたします。  両案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  47. 園田直

    ○副議長園田直君) 起立多数。よって、両案とも可決いたしました。      ————◇—————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する   法律案内閣提出第三七号)の趣旨説明
  48. 園田直

    ○副議長園田直君) 内閣提出第三七号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、議院運営委員会の決定により、趣旨の説明を求めます。国務大臣松野頼三君。   〔国務大臣松野頼三君登壇
  49. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 今回提出いたしました防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。  まず、防衛庁設置法の一部改正について御説明いたします。  これは、第二次防衛力整備計画にのっとり、防衛力を整備するため、昭和四十一年度において防衛庁の定員を改め、防衛庁本庁の職員を六百二十九人増加するための改正であります。この増加分は、自衛官の増員六百三十人と、自衛官以外の職員の減員一名とを相殺した員数であります。自衛官の増加は、海上自衛隊及び航空自衛隊の自衛官の増員でありまして、海上自衛隊における増員は三百八十人で、艦艇の増強に伴い必要とされる人員の配置及び後方支援部門の充実のために充てるものであります。また、航空自衛隊の増員は二百五十人で、自動警戒管制組織の設置及び救難、施設等の部門の拡充のための必要な人員であります。  減員一名は、外務省の定員に振りかえるものであります。  次に、自衛隊法の一部改正でありますが、これは自衛隊の予備勢力確保のため予備自衛官三千人の増員を行ない、予備自衛官の員数を合計三万人とするための改正であります。  以上がこの法律案趣旨でございます。(拍手)      ————◇—————  防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する   法律案内閣提出第三七号)の趣旨説明に対   する質疑
  50. 園田直

    ○副議長園田直君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。楢崎弥之助君。   〔楢崎弥之助君登壇
  51. 楢崎弥之助

    ○楢崎弥之助君 ただいま趣旨説明のありました防衛関係二法の改正案は、法案自体としましてはきわめて簡単なものでありますが、私は、この際、国の安全保障に関する基本姿勢と、その内容について、日本社会党を代表し、若干の質問をいたしたいと存じます。(拍手)  佐藤内閣の安全保障問題に関する見解は、国会論議でも明らかなように、しばしば混迷し、矛盾し、統一を欠いているのであります。  最近、外務省は、「日米安保条約の問題点」という統一見解を公表いたしました。それに続いて、下田外務次官が弁解の付言をいたしました。さらに昨日は、外務省が同問題に対する追加発表をいたしました。一体これでは、政府としての定見があるのかどうか、まことに目まぐるしいほどの動揺を示しているのであります。  本来、かかる安全保障という国の基本に関するこの種の重要問題は、当然政府の責任において公式発表をすべきであると思うのでありますが、それにもかかわらず、まず出先の外務省に発表させておいて、われわれや国民の反応を見ようなどという魂胆は、まことに、こうかつ、無責任きわまる態度といわねばなりません。(拍手総理は、この外務省の見解をどう思われましょうか。政府の公式見解として責任を持たれるでありましょうか、まず、この点をお伺いいたします。  安保条約改定以来、内外の情勢には、多くの基本的な変動がありました。米ソ関係、中ソ関係の変化、アメリカの極東における核戦略体制の質的な強化、ベトナム戦乱、中国の核実験など一連の激動が続いております。日本を取り巻くこのような諸情勢の激動をどのように評価し、どのように把握するかは、国の安全保障を考える場合の最も基礎的な問題であります。  安全保障は、すぐれて相対的なものであり、このように激動しておる世界とアジアの情勢の中において、日本が平和と安全を求める道は、決して固定的なものであってはなりません。脅威に対する軍事偏重の対決は、相手方にも必ず同様の反応を起こし、脅威の実体は自動的に膨張するという悪循環を繰り返さざるを得ないのであります。みずからが、まず平和的な対話の姿勢をとり、対立緩和の条件をつくり上げる努力をすること、これが安全保障外交の基本ではないかと思うのであります。  しかるに、日本政府は外務省見解にも見られるとおり、激動し、発展する諸情勢に見合って、長期の展望を持ち、平和外交を積極的に展開しようとする意欲は全く見られず、日本の安全保障を単に軍事的視野の中だけで対応しようとし、日米安保体制を不動のものとして固定化し、沖縄の同胞を見放し、日本国民を戦争の危険にさらす対米従属の姿勢を依然として続けようとしておるのであります。  かくして、日本の自衛隊は、一次防から二次防、三次防へと、質量ともに増強され、今日では、往時の帝国陸海軍をはるかにしのぐ戦力となっているのであります。  そこで、国防会議議長として三軍の最高指揮官である総理にお伺いをいたしますが、御承知のとおり、防衛庁では、二次防に引き続いて三次防原案ができ上がっております。ところが、三次防計画実施中に現行日米安保条約の期限である一九七〇年がまいります。したがって、その安保条約がどうなるかは、三次防にとっても重要な影響があるはずであります。外務省見解では、そのまま存続させることが必要であるといい、また、自民党の安全保障調査会は、現行内君のまま十年間の期間延長をきめられたようであります。総理は一体どのようなお考えでありましょうか。新しく期限、条件等を付して特別安保条約の形に再改定し、長期固定化の方向をとられるのか。それとも、全然条約には手を触れずに、一片の日米共同声明などの形で自動延長し、無期限化の方向をとられるのか、この際明確にしていただきたいのであります。(拍手)  政府は、ついに、わが党の追及により、現行の安保体制がアメリカの核戦力の抑止力によって保持されている事実、すなわち、アメリカの核のかさで守られている日本の現実を顕在化し、認知されたわけでありますが、総理は、現行の安保体制がすでに完全に核安保体制であることを率直にお認めになりますか、あわせてお伺いをいたします。  冒頭にも申し上げましたとおり、佐藤内閣の核安保問題に関する見解は全く混乱していると思うのであります。さきの外務省見解は、その混乱、矛盾をまさに代表するものといわなければなりません。結論として、佐藤内閣の安全保障に関する論理構造は次のとおりになるようであります。すなわち、日本の防衛は最終的にはアメリカの武力にたよることが必要かつ現実的である。アメリカの武力は、その巨大な核戦略兵器を根幹としている。したがって、日本の防衛にとって、核兵器は現実に必要であるということに尽きるようであります。この点ではまことに論理明快であります。ところが、その次がごまかしになってまいるのであります。すなわち、アメリカの核のかさに入りながら、核兵器は持ち込まないというのであります。核のかさに進んで入りながら、核兵器の持ち込みを拒否するということは明らかに論理の矛盾であり、現実もまた、その矛盾を明白に証明しているのであります。一方において、安保体制を維持、発展させ、アメリカの核のかさにたよっていく政策と、他方で、核のかさに庇護を求めるのは甘い考えだとして、大国に核軍縮を訴えていこうという政策とは、はたして実際にはどう結びつくのでありましょうか。また、この二つの政策のギャップをどう埋めていくつもりでありましょうか。この点をひとつはっきりしていただきたいと思うのであります。  さらに政府は、たびたび国会において、科学技術の発達により、自衛の目的と限度に沿ったものができるようになれば、理論的には、そのような核兵器保持は憲法違反にはならないという見解をあらかじめ明らかにしておいて、いざ核武装というときの口実と抜け道らしいものをちゃんと用意しているのであります。まことに周到といわねばなりません。一体、自衛の目的と限度に沿った核兵器とはどんなものでありましょうか。このような政府の姿勢からすれば、三次防で採用を予定されておりますナイキハーキュリーズあるいはターターなどは、核弾頭、通常弾頭を併用できるミサイルでありますから、非常に重要な意味を持ってくると思うのであります。  かくして、政府は、日本の防衛に核兵器は必要であるし、核兵器の導入は自衛のためなら違憲ではないことをあらかじめ明白にしながらも、いまのところは核兵器を公然と持ち込み得ないでいるわけであります。憲法九条を平然と踏みにじる政府が、では、なぜ公然と持ち込み得ないでいるのでありましょうか。それは、広島、長崎、ビキニの悲惨な体験を持つ日本国民の、原水爆は絶対にいやだという感情と世論が、その持ち込みを頑強に拒否しているからであります。(拍手)したがって、その国民感情がついえ去ったら、核兵器持ち込みの唯一の歯どめはなくなるわけであります。ここに目をつけた日米両国政府が、いまやっきになって努力しているのが、核に対する日本人の体質的な恐怖感をじわじわと麻痺させていく方法であります。たび重なる原子力潜水艦寄港などが、そうした日本人の核アレルギー体質に対する予防接種の役割りを果たしているのを見れば、その方向はまことにはっきりしているのであります。全く国民をごまかし、愚弄するもはなはだしいといわなければなりません。(拍手)しかし、事は国の命運にかかわる重大な安全保障問題であります。この安保問題で政府独特のなしくずし的処理は絶対に許されません。もし以上の見解が間違っていないとするならば、いま日本は何をなすべきか、また何をなし得るかを真剣に考えるときがきたのではないかと思うのであります。たとえば、一つ、核抑止政策を徹底的に批判し、いかなる核抑止政策にも加担しないこと、また協力しないこと、二つ、核兵器持ち込みを単に政府見解だけでなく、国会で議決すること、三つ、核拡散防止条約をめぐって、最近非同盟八カ国が米ソの妥協案として提案し、すでに可決されました決議案の最後の項目にも取り上げられているところでありますが、アジア・太平洋地域における非核武装地帯設置に努力する旨全世界に宣言すること。以上のような具体的措置は、政府がやる気になれば直ちにできる措置であります。これらの点に関する総理の御見解はいかがでしょうか。  以上が、三次防と一九七〇年に関する質問であります。  第二に、最近公表されたラスク米国務長官の対中国政策十項目に対する総理の評価をお伺いいたします。  第三に、ベトナム戦乱、特に中国の核保有等、アジアの新しい情勢に関連して、三次防では従来の日本防衛に関する基本構想に何か新しい修正なりあるいは特別の措置を考えられておるかどうか、これをお伺いいたします。  第四に、二次防の前文は、その中で「わが国に対し起こりうべき脅威に対処して、有効な防衛力」云々と述べているのであります。対処するからにはその実体がなければなりません。また「起こりうべき」とあるからには、その可能性がなくてはなりません。一体脅威の実体とは何であるのか、また脅威の可能性ははたしてあるのかどうか、これを明確にしていただきたいのであります。この点と関連し、中国の核保有はわが国に対し脅威の実体となるのかどうか、あるいは脅威の可能性となるのかどうか、あわせてお伺いをいたします。  第五は、防衛庁の省昇格問題についての御見解をお伺いいたします。  以上が総理に対する質問であります。  次は、防衛庁長官にお尊ねいたします。  第一は、三次防の新構想と特徴点についてであります。長官は過ぐる国会の答弁で、中国の核保有の可能性に対し、三次防では何か特別の措置を考えなければならないであろうという意味の言明をされているのでありますが、特別の措置の内容はどのようなものでありましょうか、三次防の新構想と関連をして、まずこれをお伺いいたします。  次は、三次防の予算でありますが、二兆七千億と二次防の倍増が予定されているようであります。長官は、三次防最終年度の国民総生産、総所得をどう想定され、防衛費はその何%になるのか、これを明らかにしてほしいと思います。  次は、三次防の特徴点でありますが、特に考えられる新兵器、たとえばナイキハーキュリーズあるいは次期戦闘機FX、次期ジェット練習機TX、次期輸送機CXなどの機種決定についてお伺いをいたします。  第二は、米国防総省ブリック調査団の来日とも関連して、バーターによるベトナム特需構想の結末はどうなったのでありましょうか。  第三に、陸の自衛官の定数を、三次防では、二次防に引き続き十八万にされるようでありますが、二次防では、十八万の定数充足をあきらめ、十七万一千五百名に減らしているのであります。それでも、長官御承知のとおり、その充足率は八割程度であります。はたして、十八万の定数をどのような計画と方法で確保されようとするのか、長官にその自信がおありかどうか、これをお伺いいたします。  次は、通産大臣にお尋ねいたします。  アメリカのMAP打ち切りに伴い、兵器導入国産化の要請が防衛産業界から猛然と起こっております。かつての死の商人のごとく、防衛庁に圧力をかけ、ひしめき、激しい売り込みに狂奔しているのであります。そしてその間、例によっていろいろの黒いうわさが流れているのであります。大臣は、三次防と防衛産業の関連並びにそのコントロールをどのようにお考えになっているのか、これをお伺いいたします。  次に大蔵大臣にお尋ねいたします。  三次防では、総額二兆七千億の予算が見込まれておりますが、公債との関係はどうなりましょうか、これをお伺いいたします。  最後に、実は会計検査院長にお伺いをしたいところでありますが、本会議答弁ができないそうでありますので、大蔵大臣にかわって答弁をしていただきます。過ぐる二月十八日の予算委員会において、私は、航空自衛隊の竜作戦に関連し、自衛隊の不正、不当な予算の流用、乱脈きわまりない予算執行について、会計検査院の再調査を要請したのであります。調査の結果は、はたして私が指摘したとおりであったかどうか、その御報告をお願い申し上げまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇
  52. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) 一九七〇年が安保条約の期限切れであるとか、あるいは安保条約の再改定期であるといわれておりますが、往々にして、この七〇年に安保条約が失効してしまう、あるいは何らかの改定をしないといかぬのじゃないかというようなことがいわれておりますが、これは正解でありません。安保条約の第十条は、十年の期限が切れた後は、いずれか一方の締約国が条約を終了するという意向を相手方に通告すれば、一年後に条約が失効する、こういうことを定めておるのにすぎないのであります。したがって、一九七〇年以後は、日米いずれかが条約終了の意向を表明しない限り、条約は無限に効力を存続するということになるのであります。一九七〇年におきましても、国際情勢に基本的な変化がない限りは、現在の日米安保体制は維持されることが望ましいと考えられておるのであります。そして、日米安保体制を維持する以上、それができる限り安定した基礎に立つことが望ましいことは申すまでもございません。しかし、そのために具体的にいかなる措置をとることが最も適切であるかということにつきましては、まだ、四五年の余裕があるのでありますから、十分に検討いたしましてこれに対処したいと考えております。  次に、安全保障条約を長期的に固定化しようとするのか、それとも自動延長するつもりかというような御意見でございますが、いま申し上げましたとおり、今後十分に時間の余裕があるのでありますから、慎重考慮してこれに対処したいと思います。  安保条約のもとにおいて、米国の核戦力が日本に対する核攻撃を未然に防止するための主たる抑止力をなしておることは、申すまでもありません。しかし、このことと、日本に核兵器を持ち込み、あるいは日本が核戦略に参画するということは、おのずから別個の問題である。核の持ち込みをせぬでも、あるいは核戦略に参画するということがなくとも、日本は、米国の核戦力の、核攻撃を未然に防止する抑止力というものに依存することができるというのでございます。核兵器の日本への持ち込みは、安保条約によって、事前協議の対象とされておりますが、政府はこれを認める意思はないことは、すでに明らかにしております。それから、米国の核抑止力の主体をなす核兵器は、日本を基地とするものではない。また、その必要性も認めておらない。これらの核戦力をいかに配備するか、どう管理するかということについて、日本がこれに参画しようともしておらぬし、また、それらの参画を米国から求められたこともないのであります。でありますから、核抑止力のもとにあるということは、持ち込みの問題とも関連しない、あるいは基地を提供するということとも別個の問題である、あるいは核戦略に参画するということとも別個の問題である。これを、矛盾するのではないかというような御質問でございますが、そういうことは全然別個の問題であって、矛盾も何もいたしません。  それから、ラスク長官の対中国政策の十項目について、日本がどういう政策を考えておるかということでありますが、日本の中共に対する政策は、日本独自の考え方で進められておるのでありまして、ラスク長官がどういう考えを持っておるかということは無関係でございます。(拍手)   〔国務大臣松野頼主君登壇
  53. 松野頼三

    ○国務大臣(松野頼三君) 初めてアジアの国で核兵器が製造され、開発され、装備されるという国があらわれるならば、わが国の防衛としては重大な問題であることは、これは異論がないことだと私は思います。(拍手)したがって、第一次防、第二次防は数量の増強に重点を置きましたが、第三次防では、数量にあわせて、内容の充実、質の向上に重点を置くところが特徴と言えると私は思います。  その内容につきましては、ナイキアジャックスの御質問がございましたが、ただいまございますアジャックスよりも性能の高い、ハーキュリーズ程度のものをただいま考えておりますが、もちろん、核装備の考えはございません。  先般、それに関連してブリック調査団が参りましたが、これは何ら回答を出すべき会議ではございませんので、わが国からは何ら回答は出しておりません。  将来ともに、自衛隊は、陸上において十八万は、十分第三次防では達成できる自信を私は持っております。その内容としては、今日でも実は八七・八%ございますし、四十一年は八八%を上回るのではないか。すでにこの四月、四十一年度の志願者は、定員より多くてお断わりをしておるのが現状でございます。したがって、おそらくことしの秋ごろは増員の希望が出てくるのではないかとさえ実は考えております。  もう一つの戦闘機の問題は、将来において戦闘機は当然新機種を選定しなければなりません。しかし、三次防では、まだ選定をする程度で、装備するまでには至らないと思います。  練習機におきましては、ぜひ国産によって今日の増強をしたいと思いますが、国産までできるかどうか、今日まだ検討中でございます。できるならば、五、六十機の練習機は、すでに消耗が激しいので、消耗の補充の意味で必要かと思います。  中型の輸送機、これは御承知のごとく二十数年たって老朽化しておりますので、本年の予算から開発予算を計上しましたので、国産開発の予算計上と同時に開発を本年から着手して、ぜひ三次防のうちには完成機ができる予定にしております。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君君登壇
  54. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お答え申し上げます。  第一点は、公債と国防費との関係、こういうことでございますが、昭和四十一年度から公債を発行することになったのでありまするが、予算の規模は、昭和四十一年度にとどまらず、今後といえども、民間経済活動との均衡のとれた形においてきめる。つまり、大きな特色といたしましては、民間経済活動が非常に大きいという際には、国家財政の規模は消極的になるわけであります。また、民間経済活動が停滞しているというときには、公債が増発されまして積極化される、こういうことになるのでありまして、国防費を含めての予算の規模、これは公債そのものとは関係がなく客観的にきめられる、かように御理解願いたいのであります。  なお、予算の措置といたしましても、発行いたします公債は、これは公共事業費、出資、貸し付け金、この三つに限定されるのでありまして、国防費は、これをその対象といたさない、こういうかたい方針をとっておるのであります。  それから、第二の問題は会計検査院からまだ報告を受けておらないのでありまして、まことに遺憾でございまするが、本日ここでお答え申すことができない次第であります。よろしく御了承のほどをお願い申し上げます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  55. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 私に対する御質問は、第三次防と防衛産業の関連についてお尋ねがありましたが、防衛産業に対する基本的な方針は、われわれ防衛力が必要だという前提に立っておるのですから、わが国の防衛産業を維持育成する、しかも技術あるいは経済の許す範囲内において国産化していくというのが基本方針でございます。第三次防については、防衛庁からまだ協議を受けておりませんが、もし協議を受けるならば、こういう基本方針に沿うて協力をいたす所存でございます。(拍手
  56. 園田直

    ○副議長園田直君) 内閣総理大臣の答弁は、次の機会に願うことといたします。      ————◇—————
  57. 園田直

    ○副議長園田直君) 本日は、これにて散会いたします。   午後十時二十四分散会      ————◇—————  出席国務大臣         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         建 設 大 臣 瀬戸山三男君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君         国 務 大 臣 松野 頼三君  出席国務大臣         郵政大臣官房長 鶴岡  寛君         郵政省郵務局長 長田 裕二君         郵政省経理局長 淺野 賢澄君      ————◇—————