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1966-03-11 第51回国会 衆議院 本会議 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年三月十一日(金曜日)     —————————————  議事日程 第十三号   昭和四十一年三月十一日    午後二時開議  第一 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第二 郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき   所に関する法律の一部を改正する法律案(内   閣提出)  第三 漁船損害補償法の一部を改正する法律案   (内閣提出)  第四 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時   措置法の一部を改正する法律案内閣提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 郵便振替貯金法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第二 郵便切手類売さばき所及び印紙売さ   ばき所に関する法律の一部を改正する法律案   (内閣提出)  日程第三 漁船損害補償法の一部を改正する法   律案内閣提出)  日程第四 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通   臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提   出)  永山自治大臣昭和四十一年度地方財政計画に   ついての発言及び地方交付税法の一部を改正   する法律案内閣提出)及び昭和四十一年度に   おける地方財政特別措置に関する法律案   (内閣提出)の趣旨説明並びに質疑  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律   案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑    午後二時七分開議
  2. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 郵便振替貯金法の一部を改正する   法律案内閣提出)  日程第二 郵便切手類売さばき所及び印紙売   さばき所に関する法律の一部を改正する法   律案内閣提出
  3. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第一、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案日程第二、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————     …………………………………      理 由  郵便振替貯金利用増大に資するため、郵便振替貯金料金の一部を引き下げるとともに、郵便振替貯金利子の廃止、その名称変更等を行なう必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。     …………………………………      理 由  郵便切手類及び印紙売さばき人並びに印紙売さばき人に支払う売さばき委任手数料の額を改定する必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。     —————————————
  4. 山口喜久一郎

  5. 砂原格

    砂原格君 ただいま議題となりました二つの法案につきまして、逓信委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  まず、郵便振替貯金法の一部を改正する法律案は、内閣提出にかかるものでありまして、  その改正の第一点は、口座振替料金並びに小額の払い込み及び払い出しの料金引き下げるとともに、払い込み書用紙等売り渡し代金を廃止し、郵便振替貯金利用を増進しようとするものであります。  第二点は、郵便振替貯金は、もっぱら送金及び債権債務の決済の手段として利用され、貯蓄的要素に乏しいのが実情でありますので、この際、郵便振替貯金利子を廃止しようとするものであります。なお、これに伴い郵便振替貯金名称を「郵便振替」に改めようとするものであります。  逓信委員会においては、去る二月十五日本案付託を受け、三月十日、質疑を終了、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決いたしましたが、採決の後、委員会は、政府に対し、郵便振替の今後の料金引き下げに資するため、預かり金の運用利子収入増大をはかる等の措置を検討するとともに、事務処理迅速化をはじめ、サービスの向上につとめるよう要望する旨の附帯決議を付することを、これまた全会一致で可決した次第であります。  次に、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案は、内閣提出にかかるものでありまして、その改正点は、売りさばき人に支払う手数料引き上げるため、売りさばき人が売りさばきのため買い受けた郵便切手類等月額が一万円以下の場合の手数料率を、現行の百分の八から百分の九に改め、また、一万円をこえ十万円以下の場合の料率を、百分の四から百分の五に改めるとともに、手数料算出について、買い受け月額が三千円未満の場合は三千円とみなしているのを、五千円未満の場合は五千円とみなすととに改めようとするものであります。  逓信委員会においては、去る二月十六日本案付託を受け、三月十日、質疑を終え、討論を省略して直ちに採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決いたしましたが、採決の後、委員会は、政府に対し、今後においても売りさばき手数料改善について考慮すべき旨の附帯決議を付することを全会一致で可決した次第であります。  以上をもって御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  6. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) これより採決に入ります。  まず、日程第一につき採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  7. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。  次に、日程第二につき採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  日程第三 漁船損害補償法の一部を改正する法律案内閣提出)  日程第四 北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案内閣提出
  9. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 日程第三、漁船損害補償法の一部を改正する法律案日程第四、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。     —————————————     …………………………………      理 由  漁船保険の健全な発達を促進するため、満期保険保険料率算出方法改善する等の措置を講ずることにより満期保険制度充実を図るほか、漁船保険中央会の行なう事業範囲を拡大するとともに、漁船保険特別会計に生じた剰余金の一部を漁船保険中央会交付する等の必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。     —————————————      理 由  北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法による営農改善資金貸付資格認定状況にかんがみ、当該認定申請期限所要の期間延長する等の措置を講じて農業者経営の安定を図る必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。     —————————————
  10. 山口喜久一郎

  11. 倉成正

    倉成正君 ただいま議題になりました両案について、農林水産委員会における審査経過並びに結果について御報告申し上げます。まず、漁船損害補償法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、漁船保険事業の健全な発達を促進するため、満期保険に関して損害保険料率を割り引き、あるいは積み立て保険料の一部を払い戻すことができるよう制度改善をはかるほか、漁船保険中央会の行なう事業範囲を拡大するとともに、四十一年度において漁船保険特別会計から十二億円を限り同中央会交付することとし、また、この点に関して漁船保険特別会計法を改める等の措置を講じようとするものであります。  本案は、去る二月五日内閣から提出され、同日付託されたものであります。農林水産委員会におきましては、三月一日提案理由説明を聴取して以来数回にわたって改正点等に関して質疑を行ない、三月十日、質疑を終了し、採決に付しましたところ、全会一致をもって可決すべきものと議決いたした次第であります。  なお、本案に対しましては、自民社会民社党共同提案により、漁業者負担軽減のための措置を講ずべきである等、四項目にわたる附帯決議が付されましたことを申し添えます。  次に、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。  本案は、北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法による営農改善資金貸し付け資格認定状況にかんがみ、当該認定申請期限を二カ年間延長するとともに、営農改善資金貸し付け条件改善する等の措置を講じて、農業者経営の安定をはかろうとするものであります。  本案は、去る二月二十一日内閣から提出され、同日付託されたものであります。農林水産委員会におきましては、三月一日政府から提案理由説明を聴取し、三月三日以降数回にわたり質疑を行ない、三月十日、質疑を終了し、採決いたしましたところ、全会一致をもって可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対しては、自民社会民社党共同提案により、営農改善資金貸し付け金利軽減につとめること等の三項目にわたる附帯決議が付されましたことを申し添えます。  以上、御報告を終わります。(拍手)     —————————————
  12. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 両案を一括して採決いたします。  両案は委員長報告のとおり決するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、両案は委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  永山自治大臣昭和四十一年度地方財政計画についての発言並びに地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案内閣提出)の趣旨説明議長山口喜久一郎君)この際、昭和四十一年度地方財政計画についての自治大臣発言を許し、あわせて、内閣提出地方交付税法の一部を改正する法律案、及び昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案について、議院運営委員会の決定により、趣旨説明を求めます。自治大臣永山忠則君。
  14. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 昭和四十一年度地方財政計画並びに地方交付税法の一部を改正する法律案、及び昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案について、その趣旨内容の概略を御説明申し上げます。  昭和四十一年度は、経済の不況に伴う地方税等一般財源伸びの鈍化に加え、国、地方を通じ平年度三千数百億円に達する大幅減税を断行することとなりましたので、歳入においては、例年のような増加が期待できない反面、給与関係経費社会保障費等義務的経費増高は著しく、加えて景気刺激のため公共事業費等投資的経費を大幅に増額する必要がありますので、現状のままでは、地方団体がその財政健全性を保持しつつ住民福祉の増進をはかっていくことはきわめて困難であると考えられるのであります。  このような客観情勢にかんがみ、明年度地方財政につきましては、国、地方を通ずる財源の中において極力地方財源を確保することにより、地方団体財政健全性を保持しつつ、公共投資増大社会保障充実等当面必要とする施策を行なうことができるよう所要措置を講ずることといたしたのであります。  次に、以下順を追って、その概要について御説明申し上げます。  まず第一は、地方財政計画についてであります。すなわち、計画策定具体的方針といたしましては、  第一に、地方税負担軽減合理化を推進しつつ、行政水準引き上げをはかるため、一、住民税所得割り中心として負担軽減をはかり、二、国税及び地方税減税に伴う減収補てんし、地方財源充実するため、地方交付税率を二・五%引き上げて三二%とするとともに、昭和四十一年度限り臨時地方特例交付金四百十四億円を交付することと、三、法人税率引き下げ等による減収を回避するため、住民税法人税割り税率等について所要調整を行なうとともに、四、土地に対する固定資産税及び都市計画税について税負担均衡化を漸進的に確保しつつ、都市開発の促進に資するため、税負担調整措置を講ずることといたしました。  第二に、経済の安定した成長と均衡ある発展を達成するため、公共投資増大をはかるものとし、公共事業等の円滑な消化をはかるため、地方債を大幅に増額いたしました。  第三に、社会開発を推進し、地域格差の縮小をはかるため、辺地事業債増額するとともに、引き続き地方交付税財政力の弱い地方団体に傾斜的に配分することといたしました。  第四に、行政広域的処理を推進し、行政能率化を徹底することにより、経費効率的使用を促進いたしたいと考えております。  また、国庫補助負担金制度合理化をはかり、地方団体超過負担を解消することについて特に努力いたしたのであります。  なお、国民健康保険事業会計地方公営企業会計の悪化は、これらの事業運営を困難ならしめているほか、普通会計健全運営にも支障を与えておりますので、これらの事業会計健全化するため必要なる措置を講ずることにより、普通会計健全化に資することといたしたのであります。  以上の方針のもとに、昭和四十一年度地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出規模は四兆一千三百四十八億円となり、その前年度に対する増加は五千二百二十七億円、一四・五%となるのであります。  次に、歳入及び歳出のおもなる内容について御説明申し上げます。  第一に、歳入についてであります。  その一は、地方税収入であります。ただいま申し上げましたとおり、明年度経済現況から自然増収について多くを期待できないのでありますが、現下の情勢にかんがみ、地方税についても負担軽減合理化をはかることといたしました結果、前年度に対する増加額は七百九十三億円、増加律は五・三%にとどまっております。この結果、明年度地方税総額は、一兆五千七百四十一億円となっております。  その二は、臨時地方特例交付金及び地方交付税であります。明年度地方財政事情にかんがみ、地方交付税率を二・五%引き上げ三二%といたしましたが、なお、不足する財源に対し、昭和四十一年度限りの措置として四百十四億円の臨時地方特例交付金交付することといたしたのであります。  その三は、地方債であります。明年度は、景気対策の見地から、公共事業費等が大幅に増額されることとなりましたが、すでに申し上げましたように、一般財源については多くの増加を期待できない現況にありますので、昭和四十一年度限りの措置として特別事業債千二百億円の発行を認めることといたしました。この結果、昭和四十一年度地方債発行予定額は六千七百七億円となり、前年度に比較して千八百五十八億円の増加となります。このうち、地方財政計画に算入いたしますのは、一般会計債千四百四十五億円、特別地方債のうち一般会計分二百五十億円及び特別事業債千二百億円の合計二千八百九十五億円であり、前年度に比較して千二百六十五億円の増加となっているのであります。  第二は、歳出であります。  その一は、給与関係経費であります。給与費につきましては、一、給与改定の平年度化及び昇給に伴う経費、二、警察官、高等学校の教職員及び消防職員等職員増加に要する経費等を見込み、前年度に比して千六百七億円増の一兆四千六百七十九億円を計上いたしたのであります。  その二は、一般行政経費であります。この一般行政経費のうち、国庫補助負担金を伴う経費は、総額四千七百七十一億円と見込まれ、前年度に比し六百六十四億円増加いたしました。また、国庫補助負担金を伴わない経費については、一般行政事務増加等事情を勘案して必要額増額し、これに事務処理能率化等による経費節減合理化を見込んで、前年度比二百十八億円増の三千五百四億円を計上いたしたのであります。  その三は、投資的経費であります。すでに申し上げましたとおり、政府は、経済現状を考慮して、明年度国庫予算におきましては、公共事業費大幅増額を行なうことといたしたのでありますが、公共事業費の大部分は、地方団体の手を通じて実施されます関係で、地方財政計画におきましても、投資的経費を大幅に増額いたした次第であります。  すなわち、国の直轄事業に対する地方団体負担金は、前年度に比し七十一億円増加し、六百十億円、国庫補助負担金を伴うものにつきましては、道路整備事業住宅対策費及び災害復旧事業費等増加により、前年度に比し千七百四十六億円の増加となり、総額は九千二百六十八億円と見込まれます。  また、国庫補助負担金を伴わない地方単独事業費につきましても、道路その他の産業基盤施設住宅等生活環境施設整備に要する経費中心として増額をはかりました結果、前年度に比し七百七十億円の増加となり、その規模は五千七百五十億円となったのであります。  以上が昭和四十一年度地方財政計画概要であります。  次に、地方交付税法の一部を改正する法律案、及び昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案趣旨について御説明申し上げます。  まず、地方交付税法の一部を改正する法律案要旨でありますが、  その一は、地方交付税の率を引き上げることであります。国税三税に対する地方交付税の率は、昭和四十年度において百分の二十九・五と改められたのでありますが、すでに申し上げましたような地方財政事情を考慮して、明年度からこれを二・五%引き上げ、百分の三十二に改めることにいたしたのであります。  その二は、人口急減団体に対する補正の新設であります。明年度地方交付税算定にあたりましては、昭和四十年十月一日に行なわれました国勢調査の結果による人口を用いることとなるのでありますが、地方団体の中には前回の国勢調査に比して著しい人口の減少を来たしているものが相当数あります。これらの地方団体は、急激に地方交付税の額が減少することとなり、行政水準の低下が予想されますので、これを避けるために、明年度から昭和四十四年度までの問に限り、基準財政需要額の激変を緩和するための補正を設けることといたしたいのであります。  次に、昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案要旨でありますが、  その一は、臨時地方特例交付金交付に関することであります。まず、総額四百十四億円の臨時地方特例交付金のうち、二百四十億円を第一種特例交付金とし、百七十四億円を第二種特例交付金といたしております。第一種特例交付金は、住民税減税に伴う減収額補てんに充てるため、都道府県分七十億円、市町村及び特別区分百七十億円に区分して、それぞれ前年度中におけるその区域内の製造たばこ売り渡し本数総額を案分して交付することとし、また、第二種特例交付金は、昭和四十一年度分基準財政需要額基準財政収入額をこえる都道府県に対して、同年度分普通交付税とあわせて交付することとしたのであります。  その二は、昭和四十一年度分基準財政需要額及び基準財政収入額算定方法特例に関する事項であります。明年度における基準財政需要額算定については、一、河川事業費道路事業費等公共事業費地方負担に要する経費財源として地方債が大幅に増額されることに伴い、投資的経費にかかる基準財政需要額の一部を地方債に振りかえるため、関係費目単位費用を改めるとともに、測定単位及び測定単位数値補正方法について必要な特例を設け、二、市町村民税減税補てん債の漸減に伴い、後進市町村財源を確保するため、市町村分「その他の諸費」のうち、人口測定単位とするものの単位費用引き上げ市町村における清掃関係経費充実するため清掃費単位費用引き上げをはかるとともに、三、生活保護基準引き上げ等により増加する社会保障関係経費給与改定の平年化等により増加する給与関係経費、その他制度改正等により増加する経費基準財政需要額に算入するため、関係費目単位費用引き上げることといたしましたことが、そのおもなる点であります。  なお、今後測定単位数値補正方法を定めるに際し、後進地方団体への財源傾斜配分については特に意を用いてまいる所存であります。  また、基準財政収入額につきましては、第一種特例交付金交付に伴い、普通税と同様にこれを昭和四十一年度分基準財政収入額に算入する旨の特例を設けることといたしたのであります。  以上が地方交付税法の一部を改正する法律案及び昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案趣旨であります。(拍手)      ————◇—————  昭和四十一年度地方財政計画についての発言並びに地方交付税法の一部を改正する法律案内閣提出)及び昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  15. 山口喜久一郎

    議長山口喜久一郎君) ただいまの地方財政計画についての発言及び趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。細谷治嘉君。   〔議長退席、副議長着席〕   〔細谷治嘉登壇
  16. 細谷治嘉

    細谷治嘉君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま御説明のありました昭和四十一年度地方財政計画及び地方交付税法の一部を改正する法律案昭和四十一年度における地方財政特別措置に関する法律案について、若干の質疑を試みたいと思います。  昭和四十一年度地方財政計画規模は、歳入歳出とも総額四兆一千三百四十八億円であり、前年度に対する伸び率は一四・五%となっており、国の予算伸び率一七・九%と比較しますと、かなり下回っております。昨年と一昨年はいずれも国の伸び率を上回っていたものが、逆転したところに問題が存在しており、しかも、自主財源である地方税はわずかに五・三%の増加にすぎず、地方交付税もまた四・七%、臨時地方特例交付金四百十四億円を加えても、なお五・七%にすぎないのであります。他方、公共事業補助負担金は二九・五%、地方債は七七・六%と、異常な伸び率を示しており、わずかの自主財源をもって多額公共事業を消化するという赤字構造となっており、自治省当局ですら、一見健全なようだが、一般財源の不足している面と、臨時地方特例交金付で一時しのぎをするなど、財政要素を見ると不健全そのものと嘆いておるのであります。(拍手)  試みに、昭和三十八年度地方財政計画決算額を比較してみますと、歳出面で、後者は六千七百五十二億円、二六%も計画を上回っております。そして、この超過額最大原因国庫補助を伴う投資的経費にあることを、実績が如実に証明しております。なるほど人事院勧告に基づく給与改定によって、給与費超過額も三二%と二位にありますが、決算総額に占める比率は三六%で、計画の三七%よりもかえって下回っており、逆に投資的経費が三四%から三五%と上回っているのと好対照であります。  私は、今日の地方財政において人件費がなみなみならぬ重荷であることを否認いたしませんが、地方財政危機をもたらした最大のガンは、高度経済成長政策のもと、歳入に見合わない公共事業を押しつけ、しかも多額超過負担を強制してまいった政府施策にあると結論せざるを得ないのであります。(拍手)  昭和四十一年度地方財政計画は、地方自治財政危機を鏡のごとく映し出しております。いな、危機というよりも、すでに破綻しておると申したほうが当たっています。政府は、口を開けば、国と地方財政とは車の両輪である、国が赤字だから地方も借金して仕事をすべきだ、国債発行、積極予算で景気が立ち直れば、地方団体も必ずよくなると主張いたしておりますが、この認識こそ、全国知事会議が指摘したごとく、地方財政の実態を理解しない、無責任な態度と申さなければなりません。(拍手)車の両輪であるならば、両輪が一体となって動けるよう措置すべきであります。  以上の諸点について、どう考えておられるのか、総理、大蔵、自治大臣に所信のほどを承りたいのであります。  質問の第二点は、今回の地方財政計画が、バランスを失った、無定見、無方針に近いものだという点であります。  自治省は、昨年十二月六日、昭和四十一年度地方財政対策を大蔵省に申し入れました。その内容は、国債発行七千億円、減税規模年度三千億円、初年度二千四百億円、国の財政規模四兆二千五百億円、公共事業費伸び率二〇%を前提として試算すると、一般財源不足額が三千三百六十億円となるので、これを措置してほしいというものでありました。これに対し、大蔵省は、過大な見積もりである、不足額は約二千億円で、節約五百億円を加えれば千五再億円で十分だと反論しました。大蔵省の予算原案が内示されるや、自治省は、臨時地方特例交付金は全額返上すると強気を見せましたが、全国知事会など地方六団体の交付税率を三七%に上げてほしいとの熱望を踏みにじり、いち早く後退して、交付税率を三五・四%に引き上げと主張を変え、不足財源は二千七百八十億円だと妥協しました。その結果、最終段階では、わずか一千億円の財源措置となり、交付税率も三二%にすぎない結果を招来し、特別地方債千二百億円の新設を認め、あげくの果て、自己努力の名で約百億円の固定資産税都市計画税の増税、百五十億円の節約を押しつけられてしまいました。かくして、四十一年度地方財政計画は借金財政となり、数字を合わせて銭足らずの始末となったのであります。  大蔵大臣は、去る本会議において、わが党横山議員の質問に対して、三千三百六十億円の不足というのは予算獲得のための自治省の作戦にすぎぬと広言し、自治省に対するべつ視と地方財政軽視の態度を表明しました。まことに遺憾であります。反面、これに何ら反論し得なかった自治省のふがいなさ、無責任さは、強く指摘されなければなりません。(拍手)  申すまでもなく、国の予算案は、自治省が試算した当時の前提条件と変わりました。国債は三百億円増加し、減税規模公共事業伸び率等、いずれも大きくなっております。したがって、借金財政のからくりバランスは、くずれ去ったといわなければなりません。今度の地方財政計画について私が試算いたしました結果は、おおよそ二百十億円程度の穴があいておると思われます。現に、昭和四十一年度都道府県予算案は総額二兆八千億円となっておりますが、税収、地方債地方財政計画以上に見積もり、公共事業の大幅増、単独事業の大幅な圧縮によって、かろうじて形だけのバランスをつくり上げています。かくして、昭和四十一年度地方財政計画はスタートからアンバランスであり、どう見ても年度内を通じてカバーできる財政見積もりと認めることはできないのであります。  以上について、大蔵大臣、自治大臣はどう考えるのか、具体的に説明願いたいのであります。  第三にただしたい点は、計画及び二つの法律案に盛られた問題点についてであります。  その一つは、第一種特例交付金の二百四十億円についてであります。これは、市町村民税及び府県民税の所得割りの減税分二百九十四億円の肩がわりとして、たばこの売り上げ本数に応じて案分し、昭和四十二年度からはたばこ消費税として地方に移すことが確認されていますが、つかみ金一千億円のワク内で出されたために、減税額より五十四億円も少なく、額として不十分であります。のみならず、四十二年度においては、税制調査会で強く主張されたごとく、現行の専売益金からの移管によらず、たばこの値上げによってしぼり出す可能性が強く感じられるのであります。この点について、値上げによらないと明言できるかどうか、大蔵、自治、両大臣の明確な答弁を得たいのであります。  その二つは、超過負担の解消についてであります。自治省の調査によりますと、昭和四十年度において千二百億円をこえる超過負担があったと確認されております。地方財政法あるいはその他の法令によって当然国が支出すべきであるにかかわらず、これを地方団体に押しつけてまいったのが、今日の地方財政を破綻に尊いた有力な犯人といえるのであります。いま、地方団体の一致した声は、補助率引き上げなどは無意味である、もはやだまされない、現実に必要な単価と対象に対し、法令に基づいて正確に補助すべきだ、国は法令を守ってほしい、と叫んでいます。このような実情にかんがみ、自治省も昨年これが対策を樹立し、四十一、四十二年度の二カ年計画でこの超過負担を完全解消する計画をしたのでありますが、今回の地方財政計画では、わずかに二百五十億円が対象になったにすぎません。しかも、補助人員の削減等が計入されている点を考えますと、まさに焼け石に水の感があるのであります。この問題は、地方の国に対する不信感をいよいよ増大させるものだけに、積極的かつ早期の解消をぜひやらなければなりません。大蔵、自治両大臣の具体的方策を明確に承りたいのであります。  その三は、一般行政費及び投資的経費中に占める単独事業の極端な圧縮削減であります。地方自治の本旨は、住民自治に基づく住民福祉の増進にあることは申すまでもありません。しかるに、財政計画によりますと、一般行政費中、国庫補助負担を伴うものが一六%と、全体の伸び率を上回っているのに、単独分はわずか六%と三分の一にすぎず、大蔵省折衝で押しつけられた節約額百五十億円をすべてここに求めていることは、全く合点のいかぬことであり、地方自治を無視し、国の地方団体に対する財政面からの支配の姿を示すものであります。さらに、投資的経費においては、単独分は一五%にすぎず、しかも、増加額のうち、地方公営企業への出資が大幅に増大している以外は、物価の値上がりにも及ばない程度となっております。特に、小災害の早期復旧こそ災害を未然に防ぐ最も有効な手段であるにもかかわらず、これにほとんど手を出すことができない状況は、ひとり地方団体のみならず、ひいては大災害の原因ともなり、国全体の損失に直接つながることを銘記してほしいのであります。私は、この点だけをとってみても、今日の地方団体は、あげて国の下請機関化していると結論して差しつかえないと思うのでありますが、政府の御所見を承りたいのであります。(拍手)  質問の第四点は、地方交付税制度改正についてであります。  今回の案は、地方交付税制度始まって以来年々改定強化してまいったものを、大幅に改め、単位費用の改定と補正係数の廃止などにより、およそ六百億円を削り落とし、地方特別債に切りかえようというものであります。単位費用そのものにも幾多の問題点がありますが、河川、海岸堤防の保全など、大災害、人命に関係ある事業地方負担をこれからは借金でやれというごときは、全く言語道断であり、地方交付税法の一部改正どころか、根本的な改悪と印すべきであります。過日の全国知事会議においても、この点が大きく取り上げられ、国は元利を負担すべきだと主張されています。長い間の交付制度を通じ、地方団体にとっては現在期待権以上のものとなっておる有力な財源を一方的に剥奪することは、全く容認できないのであります。血も涙もない政府のやり方と地方団体は言っております。  このような配分方式をとらざるを得なかった原因は、かかって、国の予算に応じて伸びてまいる地方負担分を、非合理的な妥協によって交付税率三二%と決定し、地方六団体の血の叫びであった大幅引き上げを無視したところにあります。起債に切りかえた六百億円は、何とかして国が措置し、最小限元利の補給等は保証せねばならぬと思うのでありますが、この点に関し総理、自治、大蔵大臣の明確な考えを承りたいのであります。  最後に、私は、地方自治を土台とする地方財政に今後どう対処するかについてお尋ねいたしたい。  大蔵大臣は、今回の地方財政対策は暫定的なもので、今後は長期的視野に立って見ていかなければならぬと言っていますが、それなら恒久的にどうすべきかに関しては、具体的に全く不明であります。察するに、長期的展望の名のもとに、地方財政政府、大蔵省の管理のもとに置き、再建即国の支配下に編入するとの姿勢だとも考えられるのであります。行政事務の再配分、それに基づく財源の配分という議論は、すでに長い間行なわれ、臨時行政調査会、地方制度調査会などの答申でも明記されてきたのでありますが、一向に実現しません。昨年九月、第十次地方制度調査会は、行政事務の配分についてのみ具体的に答申し、これを裏づける財源問題については次期調査会の検討にゆだねたのでありますが、いまだ検討の気配すらもございません。多数決でしゃにむに押し切った府県合併に関する答申部分は直ちに採用して、法案提出を今国会に予定しながら、全員一致の方向である事務及び財源再配分に対しては、きわめて消極的、いな、否定的な態度を終始とり続けている政府の姿勢はまことに遺憾であります。  国と地方団体間の財政秩序を確立し、地方財政構造を借金から自立財政へと立ち直らせることが現在最も急務だと信ずるのでありますが、この点に関し、総理、自治、大蔵大臣の所信をお伺いいたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  17. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。  ただいまも御指摘になりましたように、国、同時に地方、これは車の両輪だ、かようにたとえられております。ただいま細谷君は、その両輪が動かないような状況になっておる、かような御批判でございます。しかし、私どもは民主政治のあり方から申しまして、地方自治こそ健全に十分の発達を遂げることが望ましいのであります。さような意味におきまして、地方自治財源の確保について在来から特段の留意を払っておるのでございます。しかし、最近は、国自身も、御承知のように、経済不況から税収が思うようにまいっておりません。そこへ持ってきて、さらに大減税を実施しようというのでありますから、それの影響を受ける交付税、これまた財源が縮小されることは当然であります。そういう意味から、今日の状況についていろいろの御心配があるのだと思います。  しかし、今回の予算編成にあたりましては、国、地方を通じて、特に公共事業費に力を入れようといたしておりますので、その財源については十分私どもは考慮を払い、ことしの事業消化については万全を期しておる、かように思っております。  ただ、地方財政状況から申しまして、今日のような借金対策が長く続く、こういうことがありましては、これはたいへんだと思います。ただいま御指摘になりましたように、地方財政も恒久的な基本的対策を検討すべき時期にきておる、かように私は思うのであります。地方制度調査会なり、あるいは財政審議会なり等におきまして、十分それらの点において検討を加えていくべきだと思います。  ただいま地方交付税法交付制度についても改正を加えるべきではないかというお話がございましたが、ただいま恒久的な財源確保について、特別な機関におきましてこれを検討すべきものだ、かように私は思っております。  なお、その他の点につきましては、大蔵、自治等からお答えをいたします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  18. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まず最初に、地方財政に対して国がきわめて冷淡である、血も涙もない国の態度だというようなお話でありますが、事実は全く違うと思います。今回の国の地方財政に対する措置につきましては、国も地方も非常に困窮のときであります。そういうときにしてはよくやってくれたというのが実感である、どういうふうに思います。(拍手)  特に細谷さんは、ただいまそういう観点から、地方財政伸びが少ないじゃないか、こういうようなお話でありまするが、これはなるほど、大体頭をそろえておったのが、ことしは二千億ばかり地方財政のほうが引っ込んでおります。それは、国のほうで賠償費の問題があります、また食管繰り入れの増加、産業投資特別会計への繰り入れ、あるいは防衛費、それらだけをとってみましても、国のほうでは二千三百七十八億円ふえます。これはもう全然地方関係のないものであります。そういう経費増加がある。しかも、過去における国と地方との財政伸び縮みを見てみましても、地方財政がやや安定化した三十三年から今日までの時点おきまして、これは九年間になります。この九年間におきまして、地方財政のほうの伸びが中央財政より多かったのは、たった三回しかありません。あとの六回は国のほうがよけいに伸びる、こういう事実があったということをもってお答えといたします。  次に、自治省が地方財政総体の財源不足額を三千三百億円と言った、それを大蔵省がばかに値切ったのはけしからぬというようなお話でございますが、先ほどもお話がありましたが、予算の要求にあたりましては、各省とも最終的にきめられる額に比べますると、相当大幅なものを要求してまいります。地方自治財政の場合も同様だったと思います。その後、中央、地方両方の財政計画等の突き合わせの結果、二千五百億と見るのが適切である、こういうふうな結論に、大蔵、自治両省の間で到達いたしたわけでありまして、その二千五百億円に対しましては、二千二百億円の特別措置を講ずる、また固定資産税あるいはゴルフ税、都市計画税というようなものの増徴、また百億程度の節約等を行なうということで、地方財政対策としては、まあまあこういう際としては万全の対策をとっておられる、さように考えておるのであります。  さらに第一種特例交付金二百四十億円、これはたばこの木数割りによって配分するわけでありますが、明年度において、これをたばこ消費税改正につながるというふうに考えておるのは御説のとおりであります。しかし、その際に、たばこの定価の改定を行なうということはただいま考えておりません。  なお、超過負担につきまして、いろいろの御意見でございまするが、自治省の、あるいは地方自治団体の調査だというので、千二百億円あるのだというふうにいわれておりまするが、これはまだ精細な調査はしたものではございません。さようにいわれておるという数字でございます。しかし、超過負担問題があるということは事実なのでありまして、これは何とか解消したい。昭和四十一年度におきましては、その第一着手といたしまして、三百四十億円、人件費の改定、物件費単価の改定、この両面において解消を実現することにいたしております。この額は、全国知事会が八項目につきまして特に重視せよという要請をしてまいったものであります。その要請に大体全部おこたえした、こういうことに相なるのであります。  なお、単独事業が少なくなって、地方財政が圧迫を受けている証拠と見られるのではないかというようなお話でございまするが、今回地方財政全体の伸びは一四・五%、単独事業伸びは一五・五%になっており、決して少ない額ではございません。  また、基準財政需要のうち、投資的経費六百億円を特別事業債財源に振りかえた、これは国でその元利の補給等は保証すべきではないかというような御意見でございまするが、この六百億円に限らない、今回の特例債千二百億円あるのです。六百億円はその半分なんであります。この全体につきまして、将来毎年の元利が支障なく払えるように財政上の措置をとりたい、さように考えておるのであります。  また、将来の長期計画いかん、こういうお話でございまするが、地方財政が今日非常に困窮しておる、これはその大部分の原因が経済不況にあると思うのです。税収が落ち込んだ、交付税が減ってきておる、また自己税源が減ってきておる、こういうことかと思うのであります。景気の回復が地方財政再建の最も大きなささえとなる、こういうふうに見ております。しかし、地方財政が年来ずいぶん借金を積み重ねております。また、当分の間借金していかなければならぬ。そういう状態につきましては、ただいま総理からお話がありましたが、これは地方財政健全化という見地から、十分検討していかなければならぬ問題であるし、さしあたりの問題としては、公営企業の問題があると思うのであります。この公営企業の問題は、昭和四十一年度において取り上げ、一つ一つ再建計画を立てて、将来不安のないようにその運営の基礎を固めたい、かように考える次第でございます。  以上、全部にわたってお答えを申し上げたわけであります。(拍手)   〔国務大臣永山忠則登壇
  19. 永山忠則

    ○国務大臣(永山忠則君) 国の伸び率を下回っておるという点に対しては、大蔵大臣が申しましたとおりでございまして、生活保護費やあるいは結核、精神衛生等の関係は、国が八割持って地方は二割でございます。したがいまして、そういう点から見ましても、国の伸び率地方伸び率、必ずしも一致はいたさないのでございます。伸び率が低いことは、地方財政を非常に圧迫しているということとは別の考え方でいくべきであると思うのであります。なお、食管会計やあるいは防衛費、そういうような地方関係ない費用が国のほうにあるのでございまして、この対比は必ずしも適正なものではないと考えるのでございますが、しかし、健全な財政伸び率を将来期待することに対しては、努力をいたしたいと考えるのでございます。  給与費関係は、やはり何といっても実際に地方費を多く負担するのでございまして、建設費のほうは国の補助が約六割あるのでございますから、建設費が伸びておっても、実質的には地方費を多く食わないのであります。人件費は八割地方費を食うのでございますから、人件費に対して、できる限りこれが能率化をはかっていくということは、地方財政健全の上に必要であると考えるのでございます。  なお今回、国と地方とは車の両輪のような態勢でいくべきであるという政府方針に従いまして、実際は減税をしてそうして借金するときでございますから、この流動性のときに交付税の引き上げは見送るべきであるという議論がなかなか強かったのでありますが、これが三二%、すなわち二・五%引き上げをいたしたということに対しては、私は英断的措置であると考えるのであります。(拍手)しかし将来におきましては、なお地方財政健全化には一段と努力をいたしたいと考える次第でございます。  バランスを失しておるという問題につきましては、最初自治省の計画案は、経済成長率を非常に低く見ておった。ところが、大蔵省が後ほど経済は年末によくなるということから、経済成長伸び率というものが多くなった。その関係算定基準が違ってきたのでありまして、決してこれは大蔵省に圧迫されて引き下がったということとは違うのでございます。四十一年度財政計画は適正を欠いていないと信じておる次第でございます。  なお、第一種の特例交付金のたばこ消費税に移行する問題は、大蔵大臣がお話し申したとおりでございまして、来年は必ずたばこ消費税の移行によって処置するのでございまして、これは一般恒久財源地方に確保する。この点に対してもなかなか難航でございましたけれども、地方財政確立のためにこの必要性を認めて処置いたした次第でございます。  超過負担に対しては、大蔵大臣が申しましたとおりでありますが、なお不足いたしておりますから、将来これを解消するために一段の努力をいたしたいと考えておる次第でございます。  さらにまた、千二百億円の特別地方債関係は、これは何といっても三十億は、本年度の金利だけは財政全体の中へ組んであるのであります。将来これに対するところの財政的処置は、大蔵大臣の言いましたように、迷惑をかけないようにいたすということになることを絶対に確信をいたしておるのでございます。地方財政を安定せしめることは必ず責任を持ってやる考えでございます。(拍手)  なお、地方財政関係の将来の確立に対しましては、これはお説のように、地方制度調査会の答申等もございますので、要するに補助金というものと地方事業というものとの体制を十分整えまして、そうして地方財源の移譲とあわせて地方事務を移譲いたしまして、自治体の自主性の確立に向かいまして十分努力をいたしたいと考えておる次第でございます。(拍手
  20. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明
  21. 園田直

    ○副議長(園田直君) 内閣提出外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案について、議院運営委員会の決定により、趣旨説明を求めます。大蔵大臣福田赳夫君。   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  22. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案趣旨を御説明申し上げます。  本法律案は、アジア開発銀行への加盟に伴う出資の財源その他一般会計の歳出財源に充てるため、外国為替資金から一般会計に繰り入れることができることとし、あわせて先般発効した財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二議定書に基づく対韓国清算勘定残高の処理に伴う外国為替資金の減額整理に関しまして、所要の規定を設けることとするものであります。  すなわち、第一は、アジア開発銀行への加盟に伴う出資の財源に充てるための外国為替資金の一般会計への繰り入れでございます。昨年十二月四日、マニラにおいて調印されましたアジア開発銀行を設立する協定に基づいてアジア開発銀行が設立されることになりましたが、同銀行の授権資本総額は十億ドル、日本の出資額は一億ドルであり、うち払い込み資本額は一億ドル、その二分の一が現金による出資、残りの二分の一が国債による出資となっております。現金による出資五千万ドル、すなわち、邦貨に換算して百八十億円は、昭和四十一年度から五カ年間に毎年度三十六億円ずつ分割して行なわれることになっております。この出資の財源に充てるため、昭和四十一年度から昭和四十五年度までの五カ年間において、外国為替資金から総額百八十億円を限り一般会計へ繰り入れることができることといたしております。  第二に、昭和四十一年度における一般会計の財源事情を勘案いたしまして、約百七億円を限り、外国為替資金から一般会計に繰り入れることができることといたしております。この金額は、いわゆるインベントリーの残額からアジア開発銀行の出資財源に充てられる分及び次に述べます対韓国清算勘定残高に相当する分を差し引いたものでございます。  最後に、先般発効いたしました財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との問の協定第二議定書において、韓国の要請があるときは、請算勘定残高にかかる債権の賦払い金について韓国からの支払い並びにわが国からの生産物及び役務の供与が同時に行なわれたものとみなすという処理を定めておるのでございますが、これは当該債権について現実の支払いがないにもかかわらず、その支払いがあったものとみなされるわけでございまして、これにより外国為替資金に生ずる損失を同資金の額から減額して整理することといたしております。  以上、外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案趣旨について御説明申し上げた次第でございます。(拍手)      ————◇—————  外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案内閣提出)の趣旨説明に対する質疑
  23. 園田直

    ○副議長(園田直君) ただいまの趣旨説明に対して質疑の通告があります。これを許します。堀昌雄君。   〔堀昌雄君登壇
  24. 堀昌雄

    ○堀昌雄君 私は、日本社会党を代表して、ただいま趣旨説明の行なわれた外国為替資金特別会計法の一部を改正する法律案につき、総理、大蔵、通産、経企、外務の各大臣にお尋ねをいたします。  ただいま大蔵大臣が申しておりましたように、この法律には三つの問題点がございます。一つは、アジア開銀に対する出資の問題であり、一つは、残額をインベントリーから一般会計に繰り入れる問題であり、一つは、韓国のオープンアカウントの整理でございます。私は、本日は、この中で特にアジア開銀に関連をいたしまして、現在の日本の海外経済協力の問題について少し政府の見解をただしておきたいと思います。  実は、昨日、私どもの同僚の武藤議員の質問に対して、外務大臣は、昭和四十一年度においては、OECDの中に設けられておりますDACの要望に基づいて、現在は国民所得の一%を海外の経済協力にすみやかに行なえとこうなっておるのに関して、五億ドルの協力をしたい、こういう発言をしておいでになるわけであります。また、さらに外務省は、三月七日の日本経済新聞に、「経済協力三カ年計画案成る」という見出しのもとに、同様に、昭和四十三年度には八億七千万ドルの経済協力を行なうのだ、こういうことに触れておるわけであります。私は、もしこれらのことが実際に行なわれるのでありますならば、これは日本が現在非常に先進国とみなされておる中ではけっこうなことだと思いますけれども、残念ながら、私は、日本の現在の能力はそこまでいっていないと考えるわけであります。現実には、最近の日本の協力の状態を見てみますならば、毎年だんだんと実は協力の程度は下がってきておるわけでありまして、一九六一年には三億七千百万ドルでありましたものが、当時の国民所得の〇・九八%でありますが、漸減をいたしまして、一九六四年には二億四千五百万ドルに減ってしまい、その比率も〇・四五%と急減をしてまいっておるのであります。現実にはこのようにどんどん下がっておるにもかかわらず、外務大臣なり外務省は、われわれとしては想像もできないような非常に多額な援助が与えられるような幻想をこの国会の壇上において発表したり、あるいは新聞等に発表されるということは、それでなくても低開発諸国からは、日本は言うだけであって、実際の援助を行なわないという批判がきわめて高い現在、この発言なり、やり方は、きわめて遺憾であると考えるわけでございます。(拍手)  そこで、私はこの問題について総理にお伺いいたしたいのは、一体日本は諸外国でいう先進国であるのかどうかという問題でございます。  日本は、現状としては非常に不均衡な発展をいたしておりますから、あるいはものによってはきわめて先進性のあるものもありますけれども、内容によっては後進国と大差のないものも現状としては混在をしておるわけでありまして、その意味においては、具体的な数字も必ずしも先進国をあらわしておるとは私は思いません。  国民所得を一つ見てみましても、一九六三年の一人当たりの国民所得は、アメリカが第一位で二千五百六ドルでありますが、日本は驚くなかれ二十一番目で五百十三ドルでございます。日本の上にあるところの二十番目はベネズエラでございますけれども、これが一人当たり五百七十四ドルで二十番目という、この状態からいたしましても、日本がそのように先進国であるというに値するかどうか非常に疑問がある、こう私は考えております。もっとも、ベネズエラという国は人口が八百万でありますから、一人当たりの統計をとる際に必ずしも適当ではないと思いますけれども、しかし、これらの例から見ましても、十分でないだけではなくて、日本の外貨準備は——私は二月の十八日に大蔵委員会でいろいろと議論をいたしましたけれども、日本の場合だけをとってみましても、昭和三十五年の通関の輸入に比べて現在の通関の輸入は倍になっておるにもかかわらず、外貨準備は三十五年と現在とが同じであります。諸外国の例を調べてみますならば、アメリカは百五十四億四千六百万ドルでありまして、外貨準備の輸入に対する比率は六六・六%でございます。イギリスの比率は一八・六%で、これは御承知のように現在イギリスは非常に不安定な経済情勢にありますから、これは例外といたしますならば、西独が四〇・五%、フランスが五〇%、イタリアが五九・二%、これに対して日本の一九六五年末の外貨準備の輸入に対する比率は二五・八%でありまして、いわゆる先進諸国の半分にしか達していないというのが実情でございます。  これらを考えてみますと、私は、やはり、われわれがもう少し謙虚になって——先進国だからということになればわれわれの能力に応じて協力をしなければならないわけでありますが、その点はもう少し考えてみる必要があるのではないか、このように考えますので、日本の国際的な位置について総理はどのようにお考えになっておるかを、まず第一点としてお尋ねいたします。  第二点は、いろいろとこの問題を調べておりますと、現在これらの問題については、大蔵省の中に国際金融局というものがございます。あるいは関税局がございます。経済企画庁には海外経済協力基金がございます。外務省へ参りますと海外技術協力事業団がございます。通産省には通商局。現在のこれらの経済協力なり貿易に関する問題というものは、各省にまたがっておりますために、これらの政策に一貫性を欠き、長期的なプログラムが現実にはつくられていないというのが実情でございます。これらは、今後、国際収支が日本の成長の一番大きな天井になってくるわけでありますから、その意味で、国際収支を改善していくためには、やはり経常収支の改善、含めて貿易の拡大が必要なのは論をまたないところであります。そのためには、どうしても、私は、この際貿易省を設置することによって、これらのセクトをはずして、日本のこれらの海外経済協力とともに輸出入の促進に当てて、その責任の所在を明らかにするほうが適当ではないかと、このように考えますけれども、総理大臣の御見解を承りたいと思います。  次に、エバーツ委員会が、このDACに対して、昨年の七月でございますか、勧告をいたしました。これは、今後三年以内に、先進国とみなされるものは、援助の八〇%以上を贈与、または返済期間二十五年以上、金利三%以下の長期低利の借款で供与するように努力をすべきである、ただし、先進国の中でも、三年以内にむずかしいものは、できるだけ早くそれにつとめよ、こういうふうになっておるわけでありますけれども、これについて、私は、日本の能力というものが、このように贈与または長期の借款を与えることができるほど力があるのかどうか、この点について大蔵大臣にお伺いをいたしたいと思います。それは、現在の外貨の状態を含めて、今後の見通しについてのお答えをいただきたいと思います。  その次に、現在の海外経済協力基金は、二十年以内、三・五%以上というのが貸し付け条件でございます。しかし、現在の低開発国は、エバーツ委員会も触れておりますように、もっとソフトな条件でなければ、なかなか国内の開発をすることは困難な状況にあるわけでございます。しかるに、日本の場合には、海外経済協力基金がいま申し上げたような形でありまして、DACの会議が申しておりますような返済期間二十五年以上、金利三%以下というものと、かなり差があるわけでございます。経済企画庁としては、この海外経済協力基金の問題を、このエバーツ委員会の勧告に基づくDACの決定に対して、どのように今後取り計らわれるのか、それについての具体的なプログラムがあるかどうか、また、そういうものに対する資金的な裏づけについても大蔵大臣からお伺いをいたしたいと思うのであります。  その次に、通産大臣にお伺いいたしたいのでありますけれども、私がさっき触れましたが、日本のこれまでの海外協力につきましては、主として政府のベースで行なわれておるわけでございます。しかし、やはり民間の投資が行なわれませんことには、すべてが政府にかかっておるというのは適当ではないと、私はこう考えるのでありまして、今後のこういう海外協力に対する民間投資の指導助成についての考え方をひとつ示していただきたいと思います。  さらに、通産省の通商貿易の側面から見た経済協力について、実は、低開発国の側からは、日本の援助はひもつきで、性急な経済利益が結びついておるという声が非常に高いわけであります。これらについては、今後どのようにこのような非難にこたえながら内容を是正していくのか、通産大臣にお伺いいたしたいのであります。  特に、私は、今度のアジア開銀の問題につきましては、非常に問題がございますのは、アジアの国というのは、アフリカやあるいは中南米と著しく状態を異にいたしております。いまアフリカは、 ○AUを中心として、いろいろと見解の相違はありながらも、非常に一つにまとまろうという傾向にございます。中南米では、御承知のように、LAFTAを中心として、やはり一つにまとまろうという傾向にあります。しかし、残念ながら、アジアにおきましては、相互間の国のナショナリズムと、そのいろいろな関係に原因を発しまして、きわめて混乱しておる状態にありますし、その混乱をアメリカが助長しておることも皆さん御承知のとおりであります。私たちは、このようなアメリカのやり方をやはり正しくアジアの一員として批判し、そうして、アジアの国民の側から見て正しいあり方にするという任務をわれわれは持たされておるのではないか。(拍手)そのことなくしては、私は、アジア開銀という問題は、アメリカの先棒をかつぐことにのみ終わるのではないかというおそれを十分に感じておるわけであります。私どもは、この点において、せっかくアジアの諸国民が考え出したアジア開銀というものがほんとうにアジアの民族のためになるためには、日本の外交の姿勢について少し変更を必要とするのではないか、そのことが今後のアジアの開発に非常に大きな影響力を持つものではないかと、こう考えますので、この点についてもあわせて総理の御見解を承っておきたいと思います。  最後に、外務大臣にお伺いいたしたいのは、一体、五億ドルと昨日おっしゃったのは何の根拠に基づいてのことかということでございます。日本政府経済協力関係予算を調べてみますと、一九六二年に一億六千二百万ドル、一九六三年に一億六千四百万ドル、一九六四年に一億五千万ドルと、大体一億五、六千万ドルでありましたものが、一九六六年には二億六千百万ドルとふえてまいっております。しかし、なおかつ、五億ドルにするためには二億四千万ドル余りの民間の投資が必要でありますけれども、DACが出しております資料から見ましても、一九六三年の統計では、日本の民間資金は九千三百万ドルにしかすぎません。現在のような不況の状態の中で、私は、二億ドルをこえるような民間投資が行なわれるとは考えられないわけでございまして、その点については、私は、昨日の五億ドルという発言は、本日ここで訂正をされるほうがしかるべきではないかと、かように考えますが、その点についてはいかがか。(拍手)  さらに、八億七千万ドルの四十三年度計画等についても、各省で十分打ち合わせを行なった後に、確実に実行し得る見通しが立って発表すべきであるにもかかわらず、これらが行なわれていないように感じられるわけでありますが、この点について、八億七千万ドルの問題についても、確実な根拠をもとにして計画をやり直して、そうして実行可能な範囲における協力を明らかにするのでなければ、日本の外務省の発言というものは、ただ言うだけで実行を伴わないという後進諸国からの批判を是正することはできないと考えるのでありまして、その点についての外務大臣のお考えを承っておきたいと思うわけでございます。  要するに、現在の日本がやはりこれからはだんだんと先進国の側に入っていくことになりましょう。先進国になるならば、先進国としての責任を果たすのは当然でありますけれども、そのためには、まず私たちの国内のこの不均衡な発展を均衡ある発展にしない限り、私は、日本にその能力はないと考えるわけでございます。(拍手)この不均衡発展が今日の不況の最大の原因でありますから、その点については、政府は、さらに国民の立場に立って、私どもが常に申しておりますおくれたる部分に対する投資をさらにふやすのでなければ、海外の協力よりまず国内の協力をもっと十分に考えなければならぬ段階があるのではないかということを私は特に申し添えまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇
  25. 佐藤榮作

    内閣総理大臣(佐藤榮作君) 堀君にお答えいたします。  御承知のように、わが国の国際的地位、これを一体どう認識しているかというお話でありますが、これは、かつて、自由主義陣営の三本の柱の一つだと、かように言われたこともあります。確かに、今日持っておるわが国の力は、後進国というのでは国際的にだれも許してくれない。また、みずからところも指摘されると思います。私は、いいところが、いわゆる中進国、その上ではないか、さらに私どもが努力をしなければならない点があるのだ、かように評価いたしております。しかし、ただいまお話がありましたように、不均衡な発展を遂げておる、これは確かにそのとおりでありまして、ある部門におきましては、これはもう世界一だ、また世界的水準に達しておる、かような状況であります。しかしながら、ある部門におきましては、これがおくれておる。今日の経済の発展はさような状況にある。これが同時に、ただいま御指摘になりましたように、不況を誘発しておる大きな原因にもなっておるということであります。今後は、均衡ある発展を遂げる、これが望ましいのであります。  また、アジアにおける日本の地位、これは、アジア開発銀行に対して二億ドルの出資をする、ただいま御審議をいただこうとしておりますが、アジアにおいては、ただいまこれはもう先進国であることに間違いはないのであります。したがいまして、アジアにおける開発途上にある国々に対して経済協力をしたりあるいは技術援助をする、これがわが民族の使命だ、私はかように考えておりますので、積極的に援助計画を進めてまいるつもりでございます。  さような意味におきまして、わが国の今後の経済のあり方は、貿易立国とでも申しますか、特に貿易に力を入れなければならない。これは、輸出振興も必要でありますが、同時にまた、輸入が国内産業をささえておるという現状に眼を向けて、そうして貿易立国でなければならない。こういう意味から、今日の貿易行政のあり方を見てみますると、ただいま堀君が指摘になりましたように、各省にこれが分かれている。そのために、セクショナリズムにおちいって、そうしてときに貿易の振興をはばむ、こういうような事態ではないか。だからこそ、ただいま言われるように、貿易省を設置したらどうだ、こういう御指摘だと思います。私は、政局を担当して以来、特に各省間の協調をこの点においては強く望み、また、その意味で各省の協力を求めてまいりました。ただいまのような具体的提案に対しましても、今後十分前向きで検討してみる。ただいまのところ、さようにお答えする以外には道がないように思いますので、さようにお答えしておきます。  その他の点につきましては、通産大臣その他からお答えをします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫君登壇
  26. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お答えいたします。  DACの要請しておる一%の問題でありまするが、昭和四十一年度においてはどのくらいのところまでいくであろうか、こういうことであります。これは、昭和四十一年度予算を御審議は願っておるのでございますが、そのうち低開発国に対してどういう振り分けになるか、この予算のうち、海外経済協力というのがあります。それから輸出入銀行というものがある。これが大口なのでありますが、これが実際問題として低開発国に幾ばくがいくのかということを検討いたしませんと、数字が出てこない。でありまするから、当然大蔵委員会あたりでは御説明すべきところでありまするけれども、まだ御説明ができないで今日に至っておるわけであります。早急にこれを煮詰めまして、なるべく早く御報告ができるようにいたしたい、かように考えております。  また、同時に、DACが要請しております条件、これにつきましては、わが日本としては非常に当惑をいたしておるのであります。つまり、DAC所属の先進国におきまして、特にフランスでありますとかイギリスでありますが、これらの国が非常に低利長期の投資をしておる。それは旧植民地に対する政策だ、こういうふうに私は見るべきだと思う。そういう観点から言いますと、広く、アジア諸国、あるいはアフリカだ、あるいは南米だというところに投資をする、そういう立場にあるわが日本と、旧植民地との違った形の政治的結びつきを考えておる英仏等の立場とは、これは根本的に違う。また、わが国の財政上の立場から見ましても、これらの償還期限の問題、また利息の問題、いずれもわが財政上からはきわめて困難な問題であります。でありますから、私は、量的の問題につきましてはどこまでも努力をしていかなければならぬと思いますけれども、条件の問題につきましては、簡単にいい顔はできない、かように考えておる次第でございます。(拍手)   〔国務大臣三木武夫君登壇
  27. 三木武夫

    ○国務大臣(三木武夫君) 堀君にお答えいたします。  いま堀君の御指摘になった、一九六四年の民間投資は四千万ドルであります。全体の二億四千五百万ドルの中で四千万ドル。しかし、そのほかに五カ年をこえる延べ払いが九千万ドルあるわけでありますから、これも民間に関連を持つので、政府間ベースとそういうものを入れると半々くらいの勘定になるわけであります。しかし、こういう低開発国に対しては、民間の投資もふやしてはいかなければならぬけれども、やはり現地が非常に低開発諸国であるというところに、ある程度の制約があるわけです。だから、政府間ベースと民間ベースと併用していくよりほかにはない。  次にお尋ねになっておりました、日本の経済協力にはいろいろひもがつくのではないかというような御批判で、これに対して私の意見を求められたわけでありますが、ひもはつけないのです。なぜかといえば、いろいろな経済協力に対してのイニシアチブは低開発諸国がとっておるわけです。こういうものを経済協力を受けたいという要請があって、その要請にこたえておるわけでありますから、こちらから初めからひもをつけるというわけではないのであります。できるだけ現地の要望に沿うて協力をしたいというのが日本の立場であります。ただしかし、延べ払いの条件などに対して、金利とかあるいは年限等においてはもう少し弾力的に運用をするというくふうは、日本もしなければならぬと考えております。  以上、お答えといたします。(拍手)   〔国務大臣藤山愛一郎君登壇
  28. 藤山愛一郎

    ○国務大臣(藤山愛一郎君) 海外経済協力の問題は、非常にむずかしい問題でございます。ただいまDACの問題の御質問がございましたが、DACにおいて援助条件の緩和の決議がありまして、これに日本も賛成をいたしましたし、また、日本もたびたび国際会議に出まして、国民所得の一%に達するように努力しようと言っておりますので、われわれも、非常に困難ではございますが、その線に向かって努力をしていかなければ、国際関係の上においては立場が困るのではないかと思います。ただし、DACの決議の中においても、今日著しく厳重な条件をもって貸している国が急にこういうものを達成できないときには、三年間でどの程度のことまでできるのだというような、除外的な規定と申しますか、申し合わせもございます。したがって、今日非常に困難ではございますけれども、日本としては、少なくもその除外に合うような程度の努力は、ある程度目標をきめてしてまいることも、私は必要じゃないかと思います。それは、国際関係の、今日まで出ておりましたわれわれ代表の各所における説から申しても、やはりその程度のことは努力してまいらなければ、信義の問題があろうと思います。したがって、非常に困難でございますけれども、企画庁として、海外経済協力基金を扱っておるものとしては、三年ぐらいな期限の中にどの程度までは条件を、期限の点においても、あるいは利息の点についても緩和できるのか等々につきまして検討をいたしまして、そうしてそういうものを目標にして少なくとも進んでいくということをやりたいと思いまして、外務省、通産省、大蔵省等とこれから相談をいたして、四十一年度に進んでまいりたい、こういうふうに考えております。〔拍手〕   〔国務大臣椎名悦三郎君登壇
  29. 椎名悦三郎

    ○国務大臣(椎名悦三郎君) まず、経済協力の額の問題について御質問にお答えいたします。  OECDの定義によりますと、いわゆる経済協力というのは、賠償支払い、それから技術協力、世銀等の国際機関に対する拠出金が入る、それから、五年以上の延べ払い、民間投資、円借款、こういうものがOECDの定義による経済協力の範疇に入るのであります。これに従って計算したものを調べてみますというと、一九六一年、日本が海外に対して、低開発国に対して経済協力をやった額は三億八千万ドルでございます。それが、三年間引き続いて減少する一方でございまして、三年たった一九六四年は二億五千万ドルとなり、国民所得に対して〇・四四%、こういうことになっております。だんだん減ったのであります。しかるに、昭和四十年の実績は、まだ十分に締めておりませんが、これが上向きを示しまして、三億五千万ドルないし四億ドルまでに達するのではないかという見込みでございます。これが国民所得に対する比率を申し上げますと、大体〇・五%を上回るのではないか、こう考えられております。  それで、明年度の予想は、これはなかなか困難でございます。かりに、ただいま提出しておる予算案が国会において御承認をいただき、これに基づく輸銀あるいは海外経済協力基金の資金が予定どおり使用されたものと仮定いたしまして、その他国民所得に対する推定等も加わりまして、推定の域をもちろん出ませんけれども、経済協力の総額は少なくとも四億五、六千万ドルないし五億ドル程度になるのではないかと推定されておるのであります。そういたしますと、国民所得に対する比率は、ごくかたいところ、〇・六%ないし七%ということになるのでございまして、昨日私が本会議において申し上げたことは、決して根拠のない数字ではない、こういうことでございます。(拍手)  それから、四十三年度総額が八億七千万ドルという数字は、これは、国民所得というものを推定いたしまして、いまのこのカーブでだんだん上がっていくから、三年たったならば国民所得がおそらくこれこれになるだろう、その一%が八億七千万ドルに当たるという、計算上の数字をだれかがしゃべったものだろうと思いますが、これは政府としては確定的に発表した数字ではございませんから、さよう御了承願います。(拍手
  30. 園田直

    ○副議長(園田直君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  31. 園田直

    ○副議長(園田直君) 本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十五分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  佐藤 榮作君         外 務 大 臣 椎名悦三郎君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         農 林 大 臣 坂田 英一君         通商産業大臣  三木 武夫君         郵 政 大 臣 郡  祐一君         自 治 大 臣 永山 忠則君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         内閣法制次長  吉國 一郎君         自治省財政局長 柴田  護君      ————◇—————