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1966-06-09 第51回国会 衆議院 法務委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十一年六月九日(木曜日)    午前十時四十二分開議  出席委員    委員長 大久保武雄君    理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君    理事 小島 徹三君 理事 田村 良平君    理事 濱田 幸雄君 理事 井伊 誠一君    理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君       賀屋 興宣君    鍛冶 良作君       唐澤 俊樹君    佐伯 宗義君       四宮 久吉君    田中伊三次君       千葉 三郎君    中垣 國男君       馬場 元治君    濱野 清吾君       早川  崇君    毛利 松平君       神近 市子君    山田 長司君       横山 利秋君    玉置 一徳君       志賀 義雄君    田中織之進君  出席国務大臣         法 務 大 臣 石井光次郎君  出席政府委員         検     事         (大臣官房司法         法制調査部長) 鹽野 宜慶君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      伊藤 榮樹君         検     事         (矯正局保安課         長)      須田 寿雄君         最高裁判所事務         総長      岸  盛一君         判     事         (最高裁判所事         務総局民事局         長)      菅野 啓蔵君         判    事         (最高裁判所事         務総局家庭局         長)      細江 秀雄君         専  門  員 高橋 勝好君     ————————————— 六月八日  委員森下元晴君辞任につき、その補欠として池  田正之輔君議長指名委員に選任された。 同日  委員池田正之輔君辞任につき、その補欠として  森下元晴君が議長指名委員に選任された。 同月九日  委員佐伯宗義君、濱野清吾君、森下元晴君及び  西村榮一辞任につき、その補欠として鍛冶良  作君、賀屋興宣君、毛利松平君及び玉置一徳君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員賀屋興宣君、鍛冶良作君、毛利松平君及び  玉置一徳辞任につき、その補欠として濱野清  吾君、佐伯宗義君、森下元晴君及び西村榮一君  が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  執行官法案内閣提出第一四九号)  裁判所司法行政に関する件  法務行政及び検察行政に関する件  人権擁護に関する件      ————◇—————
  2. 大久保武雄

    大久保委員長 これより会議を開きます。  執行官法案を議題といたします。  質疑申し出がありますのでこれを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 いろいろと質疑を重ねてまいりましたが、きょうこの法案が上がる予定でございますので、最終的に二、三の問題をただしておきます。  第一に、執行吏代理執行官への登用については、各委員からいろいろと質疑がありまして、可能な限り採用をしろという意見について、善処するべき旨答弁がありました。人によって答弁のニュアンスが多少最初から変わってきたように思いますが、一体二百四十五名の執行吏代理のうち、どのくらいというのもなんですけれども、大体この審議の中を通じてどういうお考えであるか、最終的に承りたい。
  4. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 執行吏代理、あるいはまた事務官を含めて、これらの人たちの将来の地位が不安定じゃないかという御懸念ごもっともでございますが、これまでお答えしてまいりましたとおり、執行官採用資格というものをなるべく緩和しまして、できる限り代理執行官採用される機会をつくりたいと思います。なお、代理や、それから事務員等がこのために職を失うというようなことのないように、裁判所はきつく行政指導をやっていきたい、かように考えております。
  5. 横山利秋

    横山委員 次に、この執行官に関する基本的な将来の改善方向については、われわれの質疑に対していろいろ御答弁がありましたが、われわれはこういうふうに承っておりますが御異議ございませんか。それは、この執行業務は逐次国の機構に組み入れていく、そして手数料制度施設その他につきましても、国の直接の運営方向にこれを検討していく、こういうふうに承りましたが、これも御異議ございませんか。
  6. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 その点、そのとおりでございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 法務大臣にお伺いをいたしますが、本委員会は過ぐる昨年の委員会で、執行吏制度についてきわめて手きびしい決議をいたしました。ここに提案をされました法案は不十分なものであるとわれわれ各委員すべて指摘したところでありますが、特にこの教育だとか、あるいは大蔵省との折衝過程における恩給その他の経緯だとか、いろいろな予算面においてきわめて不十分な点があると指摘をしたところであります。それがあるがために、かねがね私ども指摘いたしておりますが、債権者等との間に公正な関係が保持できない、ある場合におきましては汚職の温床とすらなり得たと思っております。したがいまして、この社会の期待にこたえて公正な執行官業務が行なわれますためには、予算につきまして格段の努力をいたすことが必要であると考えられたのでありますが、審議の経過にかんがみて法務大臣の御意見を伺いたいと思います。
  8. 石井光次郎

    石井国務大臣 ただいま御指摘のような問題が私どもも心配してきた問題でございまして、そういうことを除いていかなければならないというのが、この執行官法の立案にあたって特に論議され、また考究された問題でございます。まだ十分でないという点もあるかと思うのでございますが、これらの問題につきましては、大蔵省その他と私ども十分検討いたしまして、問題の点を少しでも前進させまして、緩和し、そして問題を起こさぬように努力いたすつもりでございます。
  9. 横山利秋

    横山委員 執行官について強く関係者から希望が出ておりますのは、退職金並びに共済組合制度であります。この点について、どういうふうに今後なさるおつもりであるか、伺います。
  10. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 暫定的には現行法のままになっておりますが、早急に年金、退職金制度について合理的な施策を講ずるように極力努力いたします。
  11. 横山利秋

    横山委員 合理的な制度といいますのは、どういう意味をおっしゃっていられるのでありますか。
  12. 岸盛一

  13. 横山利秋

    横山委員 もしそうであるならば、この執行官という新しい名称、新しい任務が成立をいたしました時点がこの一つの区切りになると思うのでありますが、将来設定をされますときには、この施行の時期が実効開始の時期と、こう考えられますかどうですか。
  14. 岸盛一

    岸最高裁判所長官代理者 この問題はいろいろな問題点を含んでおりますので十分検討いたさなければなりませんので、ただいまお尋ねのようなことをこの際はっきり申し上げることはできませんが、できる限り早急に実現するように努力いたします。
  15. 横山利秋

    横山委員 私の質問は終わります。
  16. 大久保武雄

    大久保委員長 この際おはかりいたします。  本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  18. 大久保武雄

    大久保委員長 これより討論に入る順序でありますが、討論申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  採決いたします。  執行官法案賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  19. 大久保武雄

    大久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。     —————————————
  20. 大久保武雄

    大久保委員長 この際、本案に対し、横山利秋君より、自由民主党、日本社会党、及び民主社会党共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際、本動議について提出者からその趣旨説明を求めます。横山利秋君。
  21. 横山利秋

    横山委員 附帯決議を朗読して提案説明にかえたいと思います。    執行官法案に対する附帯決議(案)   我が国の執行吏制度については、今回の改正をもってしては不充分である。よって、政府並びに最高裁判所は、引続き執行事務を直接固定俸給制裁判所職員たる執行官において行う方向について検討を加え、早急にその実現方について鋭意努力すると同時に次の諸点について配慮すべきである。  一、各地方裁判所内に、執行官執務場所を確保することはもとよりその環境施設を明朗ならしめることに努力すること。  二、執行吏代理をはじめ執行事務に従事する職員処遇並びにその地位の安定と雇用条件について格別の配慮を行うこと、なお執行吏代理執行官への登用については、その経験等を参酌してできる限り有利な取扱いを行うこと。  三、手数料制度その他執行事務をめぐる各種の問題について改善を加え執務の公正の確保方について十分な努力をすること。  四、執行官以下執行事務の処理に当る職員教育並びに研修について、予算上の手当その他必要な措置を講じること。   右決議する。 以上であります。
  22. 大久保武雄

    大久保委員長 これにて趣旨説明は終わりました。  本動議について採決いたします。  本動議賛成諸君起立を求めます。   〔賛成者起立
  23. 大久保武雄

    大久保委員長 起立多数。よって、本動議は可決されました。  この際、本附帯決議に対し、政府の所信を求めます。石井法務大臣
  24. 石井光次郎

    石井国務大臣 政府といたしましては、附帯決議の御趣旨を十分尊重いたしまして、この制度運営の衝に当たります裁判所当局意見を聞きまして、格段の努力をいたすつもりであります。     —————————————
  25. 大久保武雄

    大久保委員長 次に、おはかりいたします。  ただいま可決せられました法律案に対する委員会報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  26. 大久保武雄

    大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。   〔報告書は附録に掲載〕
  27. 大久保武雄

    大久保委員長 この際、暫時休憩いたします。  直ちに理事会を開会いたします。    午前十時五十八分休憩      ————◇—————    午前十一時十九分開議
  28. 大久保武雄

    大久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  裁判所司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件、並びに人権擁護に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。志賀義雄君。
  29. 志賀義雄

    志賀(義)委員 他の政府委員または説明員が来ておられませんのでまず伺いますが、実は補導施設を脱走した少年が五月二十五日、知り合いの女と共謀してタクシー運転手を襲い、強盗傷人で送検されておりますが、この少年が入っていたのは千葉県の我孫子にある補導施設鳩学院で、ここを二日前に脱走したのであります。これは秋田豪諦という人が会長で、その一族が、三鳩学院ルンビニホーム興心塾、この三つを経営しているのであります。過去一年間の実績では、この三施設委託された少年の数は、東京周辺にある二十数カ所に委託された全少年数の四分の一ないし五分の一を占めております。この秋田豪諦という人の末っ子である秋田三演という人が興心塾塾長になっておりますが、警察暴力団資料G資料——これは関東一帯暴力団体関係資料のはずですが、その第二部に、この秋田三演という人の名前がありますかどうか。
  30. 伊藤榮樹

    伊藤説明員 お尋ねになりました中で出てまいりましたG資料というものが、警察庁でつくられておるということを私どもも承知いたしております。ただそれが関東一帯暴力団関係リストであるのか、あるいは全国のリストであるのか、そのあたりは私もしかと承知いたしておりません。その中に秋田三演という名前が載っておるかどうかということをただいま私記憶しておりませんが、かりに載っておるということを私が知っておりましても、個人の名誉に関することでもありますし、私がここで申し述べられるかどうか、確かな御返事はできかねると存じます。
  31. 志賀義雄

    志賀(義)委員 これは、昭和三十八年当時のG資料の第二部に、安田組のところに秋田三演という人の名前が出ているはずであります。これがいま言った秋田一族でやっている三つの中の興心塾塾長になっているのでありますが、この秋田三演という人が施設の中で少年たちの前で、自分安田組だったということを公言して、「チンピラにはなるな、どうせやるならおれみたいになれ、おれは安田組幹部だったのだ、」こういうことを言っておりますが、警察観点から見てどうですか。あなたはいま、個人の名誉に関することだからと言われましたが、ここは法務委員会ですから、こういう人が補導に適切な人かどうか、警察庁としてはどうお考えですか。
  32. 伊藤榮樹

    伊藤説明員 先生の御質問につきまして、ちょっと誤解がございますようですから釈明申し上げますが、私、法務省刑事課長でございます。警察ではございませんので、お断わりしておきます。したがいまして、先ほど申しあげましたように、警察庁において作成しております資料につきまして私から申し上げることは適当でない、かように考えておるわけでございます。ただ、私も一人の市民としては、先生の御指摘のようなことがあれば好ましくないことだと思います。
  33. 志賀義雄

    志賀(義)委員 法務省とすれば、なおさら——G資料にそういうものがありますが、これが補導施設人物として適当かどうか、これについて、あらためてお考えを伺いたいのです。というのは、「適当な施設団体又は個人」ということに補導施設はなっております。これが一体そういうことに当たり得るかどうか。その秋田豪諦という父親もこの三つ施設をやっているのでありますが、興心塾塾長安田組常磐支部長をやっているので、少年に対して押えがきくからいいというようなことを言っておりますが、法務省としては、こういうことはいいとお考えですか、どうですか。
  34. 伊藤榮樹

    伊藤説明員 法務省としてどう考えるかというお尋ねでございますが、この補導施設は、おそらく文部省所管施設ではないかというふうに、私、存ずるわけでございますが、そういう観点からしまして、法務省としてどう考えるかということは、ちょっとお答えしにくいように思うのでございます。また私自身刑事局に属しております一介の課長でありまして、かりにこれが保護矯正関係施設であるといたしましても、法務省としての意見を申し述べるということはきわめて僭越なことになる。したがいまして、先ほどお答えいたしましたように、一人の市民として、先生お尋ねの中の前提となっておるような事実関係でございますれば、好ましくないことだ、かようにお答えしたわけでございます。
  35. 志賀義雄

    志賀(義)委員 法務省刑事課長に伺いましたが逃げられますので、今度は最高裁家庭局長質問します。  少年法に基づく少年補導施設は、最高裁のほうでどういう関係を持っておられますか。
  36. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 ただいま志賀委員からお尋ね補導委託施設の問題でございますが、家庭裁判所は、少年法二十五条によりまして試験観察をいたすわけでございます。試験観察と申しますのは、その少年調査いたしまして、審判をするにつきましてはまだ資料が集まらない、もう少し少年の動向を観察した上で適正な処遇をしたいというような場合に、少年法二十五条にのっとりまして試験観察に付するわけでございます。この試験観察は、調査官観察に付する場合と、それから施設、あるいは団体個人等少年身柄委託して、そこで補導あるいは行動観察をする。こういう二つの場合があるわけでございます。  ただいま志賀委員の御質問補導委託施設と申しますのは、いわゆる試験観察の段階において、身柄民間あるいは公共の施設委託しますその委託のことであると存じます。その補導委託施設は、どういうふうなものがあるかと申しますと、これは厚生省所管養護施設、あるいは法務省所管更生保護会、その他民間個人、あるいは施設団体、こういうものがあるわけでございます。養護施設につきましては、厚生省のほうが主務官庁として御監督をなさっておる。それから更生保護会のほうは、法務省主務官庁として補導監督などをなさっておられるというわけでございます。その他の民間団体施設になりますと、これは当該少年を預けましたところの家庭裁判所裁判官が、第一次的な監督をいたしておるということでございます。  なおつけ加えて申し上げますと、そういうふうな補導委託先を開拓するのは、一体だれがするのかと申しますと、これは私どものほうの家庭裁判所首席調査官というものがございまして、その首席調査官少年更生のために、あらゆる社会資源を開発するというその一分野として、補導委託先を開拓するわけでございます。こういうふうな補導委託先があります、あるいはこういうふうな個人があるということを裁判官申し出るわけでございます。裁判官はその個人、あるいは施設が、はたして少年補導に役立つものであるというふうに認定いたしますと、そこに少年を預ける、こういう関係になっております。
  37. 志賀義雄

    志賀(義)委員 ところで、今度少年法について、法務省のほうから改正について意見が出されております。最高裁のほうでは、それに対して同じ統計資料に基づきながら、別の統計資料が出ております。その中に、少年法にいう「適当な施設団体又は個人補導委託すること。」ということと、ただいまお話を伺いますと、裁判所のほうから裁判官責任を持ってこれを委託するということになっておりますが、最高裁から出ました文書を見ますと、この「適当な施設団体又は個人」という、この「適当な」ということの基準は、何かきまっているのでございますか。
  38. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 別に「適当な」という基準はきまっておりません。これは先ほど申しましたように、首席調査官社会資源を開発いたしまして、そして裁判官にこういう補導委託先があるということを報告いたしますと、裁判官がその施設の内容、あるいはその主管者等人物をよく検討いたしました結果、この人に預ければ少年はよくなるというふうに認定いたしますと、そこに預けるということになるわけでございます。  ただ、一般的な基準といたしまして、施設的な規模を持っておりますところの個人の場合には、これは家庭局長刑事局長通達に基づきまして、各家庭裁判所所長が、その収容の施設あるいは設備その他を勘案いたしまして、そこの施設には何人ぐらい子供を預けるのが適当であるかということの認定をするわけです。したがって、その施設規模その他についての基準は、各家庭裁判所長にまかしておるというのが現在のたてまえになっております。
  39. 志賀義雄

    志賀(義)委員 その適当だと着席調査官が判定されたものの一つに、千葉県の我孫子にある興心塾というのがあるのです。その塾長は秋山三演という人です。これは、警察庁昭和三十八年のG資料という関東一円の暴力団体リストがあります。その中にこの秋田三演という人の名前が出ておるのですがね。
  40. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 それは昭和三十何年ごろですか。
  41. 志賀義雄

    志賀(義)委員 昭和三十八年の警察庁関東一円の暴力団体に関するリストG資料、その中に興心塾塾長秋田演——秋田豪諦という人が会長で、この一族はこの三つを経営しているのでありますが、こういう暴力団リストに出ているような人は、首席調査官が見て適当なものでありましょうかどうか、その点をまずお答え願いたい。
  42. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 興心塾塾長秋田豪諦氏が暴力団リストに載っておるという事実については……
  43. 志賀義雄

    志賀(義)委員 秋田豪諦という人が代表になっていますが、塾長秋田三演という人です。これは秋田豪諦という人の末っ子です。
  44. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 私のほうの資料によりますと、興心塾塾長秋田豪諦氏、七十二歳で、職業は僧侶というふうになっておりまして、この人が責任を持ってやっておるというふうに理解しておりまして、そういうふうな暴力団リストに載っておる人が少年補導関係しておるというふうな事実はつかんでおりません。もしかりに、志賀委員の御指摘のようなそういうふうな人物少年補導に関与しておるということになれば、これは問題であろうかというふうに私ども考えております。
  45. 志賀義雄

    志賀(義)委員 それはこういうことです。私のほうがだいぶよく知っているのだ。  この五月に秋田三演からその秋田豪諦という人にかわったのです。そのおやじさんのほうにまたかわったのです。いいですか。そうして、施設に入った少年に対して、この秋田三演という人が、自分安田組幹部であった、同じなるならチンピラにはなるな、おれのようになれといって教育していた。今度塾長になったおやじさんのほうは、自分のむすこが支部長をやっているから、少年に対してにらみがきくというようなことを父兄に言っているのですよ。これはきっとまだあなたのほうでおつかみになっていないと思う。  その結果、どういうことが起こったかというと、去る五月二十五日、興心塾と三鳩学院ルンビニホーム——ルンビニホームというのは女の子のですが、この三鳩学院から二十三日に脱走した少年平野勇、十九歳、これが知り合いの女——名前は省きますが、これを連れてタクシーを襲った。被害者竹内靖という二十六歳の運転手。これはビールびんで後頭部をぶんなぐった、こういうことがあります。こういう施設でもってできるものかどうか。こういう事実があるのですね。そういう施設——首席調査官は一体何を調査されたか。最高裁はどうも私ほどの資料もおつかみにならない。昭和三十八年ごろの警察庁G資料関東一円の暴力団体安田組の中に、この秋田三演という人の名前があると聞いておりますが、そういう点もひとつ警察庁にお聞きになって、よく調べていただきたいのですがね。そういう事実がある。「適当な施設」とは何か。適当な施設個人または団体委託するといいながら、「適当な」というのは何かという基準を伺うと、それはございませんと言う。そこで、首席調査官は一体何をしておられるかと思うので、先日、調査官はどういう出身の人がいるかというようなことで私は資料請求大久保委員長を通じていたしましたが、まだできておりません。こういう点をもう少し調べていただかないといけませんが、ここに私のほうでとった写真があります。こういう施設が一体適当なのかどうか。——これが今度の三鳩学院です。三嶋学院まで行ってちゃんと写してきました。
  46. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘施設につきまして、実は私まだその施設に行っておらないわけでございますが、しかし、補導委託先がいいか悪いかということは、非常に少年更生に影響を及ぼすところでありますので、その委託先施設というものについては、十分私どもとしては調査しなければならないというふうに考えておりまして、実は、私どものほうもただいま東京家庭裁判所に対しまして、——この施設が一番多いのは東京近辺でございますが、東京家庭裁判所におきましても、ここ二、三年来補導委託先調査というものをいたし、また私どもも、局の局付、あるいは課長、私自身も二、三カ所の補導委託先施設に参りまして、補導委託施設改善ということについては意を用いておるわけでございます。本日、実は、この委員会に参ります五分ほど前に、東京家裁首席調査官及び次席調査官が私のところに参りまして、東京家庭裁判所補導委託少年処遇要領案というものを持ってまいりまして、これをひとつ検討していただきたいということで、ざら紙にタイプをいたしました二〇ページばかりの書類を持ってまいったわけでございます。ところが、これを検討しておる最中に、実はこの委員会に出てこいという御命令でございましたので、まだこの補導処遇要領は見ておりません。しかし、私どもは、いま志賀委員が御指摘のとおり、補導委託先については今後十分調査もし、また監督もし、もし御指摘のような状況があるとすれば、これはゆゆしき問題であるというふうに私ども考えておりますので、今後とも十分調査いたし、御趣旨に沿いたいというふうに考えております。
  47. 志賀義雄

    志賀(義)委員 たしかばくちは刑法上の罪になっておると思いますが、そうですね。——ところが、この興心塾を出た少年たちが、またその父兄たちが、何を言っているか。ときどきいかめしい人たちが数台の車で興心塾に乗りつけ、少年たちの見る目もかまわずに、少年が言うことには、これくらいの札束、ちょうど十五センチくらいの一万円札の束を積んで興心塾の中でばくちをやっているというのです。少年は、施設っていい商売だな、あんなにもうかるのかと言っているのです。こういう話が広がっているが、事実かどうか。そういう点、これまでお調べになったことがありますか。どうも何もお知りにならないから、これも知らぬは何とかばかりですね。
  48. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 そういう事実は初めて伺いました。かりにそういう事実があるとすればゆゆしき問題でございますので、私どもとしても、今後十分調査いたしたいというふうに考えております。
  49. 志賀義雄

    志賀(義)委員 これは少年が話したことだから、私はまさかばくちの現場に踏み込んだわけではないのです、警察官ではないですからね。少年たちがそういうふうに言っている。だからこの事実を調べてください。もしこういう事実があるとすれば、こういうことが起こるのは当然でしょう。この写真を見てください。その中には、「青少年精神修養道場」と書いてある。何の精神修養をやらせるのですか。こういった施設で、警察官もまさかそこではばくちが行なわれているとは思はないでしょう。——ここではなかなかかたいことを言われる小島委員も感心している。そんなことがあったらたいへんだと言っておる。この人はかたいことでは有名なんだよ。だから、私が資料を請求したのに調査官は一体何をやっておられるか。こういう付近の施設の中に、あなたがさっき説明されたような少年が、こういう補導施設に入れられる者の四分の一ないし五分の一の人数がこれまで入れられている。最高裁判所としてもあまり手抜かりじゃないですか。もう少しよく調べていただきたい。全国でどういうことが起こっているか。  そのほか、私はここにたくさん資料を持ってきている。私は事実にないことは言いません。ちゃんとここでも写真まで調べてきて、そのほか幾らでも写真はとってきております。地元のほうも全部調べてきております。収容された少年がどういう処遇を受けたか、テープもとっております。父兄の意見も聞いております。だから、私はただ出まかせを言っているのじゃないのですよ。そういうことを最高裁でお気づきにならないようだから困るのだ。だから、法務省から少年法を、あなた方の意見とは反対のものを出されてあたふたしなければならないのですよ。私は、いま法務省が出している少年法改正の案には反対なんです。むしろ最高裁意見のほうを、統計数字から見て正しいと思っているくらいなんだから、こういうことをしていたら、法務省にしてやられるのじゃないですか。もうちっとしっかりしなければいけません。どうですか。
  50. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 いま志賀委員からだいぶおしかりを受けたわけでございますが、私どもとしても、決して補導委託先についておろそかにしているわけではございません。毎年各家庭裁判所から報告を徴集し、また私どものほうから委託先に視察に参るわけでございますが、しかし、私どもが視察に参るような際には、いま志賀委員が御指摘のような、札束を積んで賭博をするというようなことはいたしませんし、なかなかそれが目に触れにくいというのが事実でございます。しかし、いま御指摘のような点は、いろいろと裏づけの資料があるということでございますので、私どもとしても、今後十分監督を厳重にし、りっぱな施設に立ち直るように指導していきたい。また、そういうふうな施設にはこれから子供を預けないという方向に進んでいきたいというふうに考えております。
  51. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そのほかたくさん少年法のことについてもありますけれども、きょうはここの委員会のいろいろないきさつがありまして、急に来ていただきましたので、請求した資料もきておりませんが、矯正局のほうにちょっとお伺いいたしますが、昨年八月三十日、広島高等裁判所の第二次差し戻し審判決で——最高裁で一応無罪になった八海事件の阿藤被告のことについて伺いたいと思います。  私は、御承知のとおり長い間刑務所にいましたからよく知っておりますが、どうも人権上非常に重要な問題が起こっております。彼は再収容される前に足の上に鉄片を落として、足の甲の骨を痛めております。ところが、拘置所に再び入れられて正座以外は許されないのですね。私ども長い間いたときに、室内でそれほどめちゃくちゃな拘束は受けなかったのですが、最近何か拘置所の内部で、房内においてはそういうけがをした者も絶えず正座をしているように、こういうふうに何か矯正局のほうで指示をされたことがあるのですか。
  52. 須田寿雄

    ○須田説明員 収容者のそういう動静につきましては、特に最近指示したものはございません。ただ、所内の規律維持上において、点検をとるときとかなどは、特に正座を命じまして番号を言わせたりなどしますけれども、平素は一般的に安座をさしているはずでございます。そう終日長時間にわたって正座を命じておるということは、おそらくないのではないかと思いますが、本件については特に調査いたしませんければわかりませんが、なおそういう特に身体上に欠陥があり故障のある人については、時と場合によっては横臥許可という措置は一般的に講じております。そういう状態でございます。
  53. 志賀義雄

    志賀(義)委員 これは被告人の家族、あるいは弁護人が面会に行きましても、明らかに栄養失調の状態にあって、いま湿しんが出ている。これは栄養失調と不潔と両方から、しばしば刑務所の中では起こりがちの状態です。戦争中に、湿しんがひどくなって、ついにそれが化膿してじん臓を侵されて死んだのが、有名な戸坂潤という哲学者だったのです。戦後二十一年を経た今日、湿しんになっておる。その手当てというのは、赤チンを塗るだけだ、こういう状態です。一体こんなことを許しておかれるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
  54. 須田寿雄

    ○須田説明員 病気の点につきましては、その診断、治療は一切施設の医師にまかしておりますが、おそらく医師も十分診察しておるはずとは思いますけれども、特に阿藤被告につきましては、まだ具体的に私ども報告も受けておりませんので、ここではちょっとお答えできません。
  55. 志賀義雄

    志賀(義)委員 そういう健康状態にあるのですよ。ひとつ至急調べていただきたい。これで阿藤被告は、一度最高裁で却下されて差し戻しになって無罪になったのですが、今度は下飯坂という人が判事のころ、これがまた無罪はいけないというので有罪になった。同じ最高裁一つの事件について、真実はただ一つであるものについてこういうことがなされた。これは疑わしい事件ですからね。それが裁判官の心証いかんあるいは証拠の認定いかんによって、こういうことになる。疑わしきは罰せずが刑法の本来の精神ですよ。こういう不当なことをしている。下飯坂という判事は、大阪の高裁長官をやったころから私は知っている。これが松川事件のときに居眠りをしてよだれをたらしていたのですよ。それを私が指摘したことがある。これでとうとう忌避されたことがあるのです。それで下飯坂判事は当時健康状態がよくなくてというような弁明書を出しておりますが、非常にこれは不当な取り扱いの事件です。私もいろいろ、死刑の判決を受けた人から法務委員会で取り上げてくれと言われるが、確かでないものは私はここでは扱わないことにしている。私が扱った死刑事件というのは結局無罪になり、あるいはまた自殺と言われた国鉄の下山総裁も、検察庁を代表する刑事局長がここで明らかに他殺であるということを時効の直前に言われるところまでやりました。この事件は、私どもから見て、第二回の最高裁の判決には非常に無理がある。そういう人に、こういうめちゃくちゃなことをしておる。いろいろ長い間刑務所に入った人の自伝なんかが出ているが、どこのどんなひどい刑務所でも、昔のツアーリズムの刑務所でも、監房内においては健康を保持するために室内を歩き回ったりあるいは体操をしたりするぐらいのことは許される。すわっていて腕を動かすことすらも、この阿藤被告には禁止されている状態です。これで、もし阿藤被告が拘置所の中で生命にどうこうということがあれば、これは当然また世間の物議をかもします。とにかくいまの刑務所のやり方に私は非常に不満がある。  たとえば静岡刑務所に国会で私の秘書をやっているのがいま入っていますが、これについていろいろおかしいことがあるので、静岡刑務所に長距離の電話をかけました。出てくるのがみんな責任回避。それは庶務課長にお聞きください、それはだれそれにお聞きください、三十何分間電話でたぶらかしを秘書がされたことがあります。非常に無責任です。この静岡の件については矯正局のほうで御返答いただきましたが、この阿藤被告の件についてもそういう点をよくお調べ願いたいと思います。とにかくいまの行刑制度についてまだ改善すべき点が多々ありますけれども、この一つの例を見ても、至急阿藤被告に対するこういう不当な取り扱いをやめて、彼らの健康を保持するために矯正局のほうで留意していただきたいと思います。法務大臣並びに政務次官はきょう検事長会同があるので来られません。私がかように申したということをよくお伝え願いたいと思います。  最後に、もう一度家庭局長にお聞きしますが、この補導施設は、所管厚生省かもしれませんが、委託されるのは確かに少年法に基づいて裁判所のほうで決定をなさるわけですね。関東一円のものを調べましても、たとえば台湾人がやっているのもありますよ。奥さんの名前になっているのだが、事実はその人がやっているものがあります。横浜にその事例があります。王という人です。一体、名義上はともかく、実質上こういう人にやらしておいていいのですか。そういう点も調べていただけますか。
  56. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 ただいまの第三国人が委託施設を経営しているというお話は実は初めて伺ったわけでございまして、私どものほうに各施設規模あるいは施設の主管者、職員等の報告は来ておりますけれども、その中にはそういうふうな第三国人の名前は出ておりません。初めて伺うわけでございまして、十分調査いたしてみたいと思っております。もちろん第三国人であるから補導に不適当であるということは一がいに言えないと思います。ただその人がほんとうに少年を愛し、少年更生さそうという熱意に燃えた方であれば、私は第三国人でも差しつかえないと思いますが、いま承れば、料理屋も経営し、風俗営業にも携わっておられる、そういうことになればある程度問題はあろうかと思いますので、十分調査いたしてみたいというふうに考えております。
  57. 志賀義雄

    志賀(義)委員 最後に、茨城県土浦に荒川沖農園という施設がございますね、これは家庭裁判所のほうで調査なすったら、ここの園長は酒くせが悪いという。その上に少年に暴行を働いて、一時認可を取り消された。夫人名義でいま再開されています。そこに収容されていた少年の証言を、私はテープレコーダーで詳しくとって持っております。まさかここで再演するわけにもいきませんけれども……。こういう施設が方々にあるのです。ちゃんとこういうふうに写真をとってきてあります。ひとつ調査官のほうで、この荒川沖農園の園長だったという人、いま奥さん名義になっているが、少年に暴行を働いたというのでやめさせられたこの人に対する評価はどうか、そういう点も調査官にもう一度よく調査してもらって、その上で御報告願いたいのです。こういう例を関東の東京付近だけでも私はたくさん持っている。全国にいくともっとたくさんあると思います。つまり私の言いたいのは、家庭裁判所がこういう補導施設少年委託するからにはもう少し責任を持ってやっていただきたい。そうでないと、少年法で私どもの反対している法務省のあの意見で押し切られてしまう、油断してはだめですよということです。いかがですか。
  58. 細江秀雄

    細江最高裁判所長官代理者 補導委託先につきましてのただいまの志賀委員の御発言、私も全く同感でございます。補導委託施設がよくなければ少年更生はむずかしいということはこれは当然のことでございます。ただ御指摘の荒川沖農園のことでございますが、私どものほうに対する報告といたしましては、この園長は宮内萬治という四十九歳の年齢の方で、農業をやっておるということになっておりまして、その奥さんの名義でそれをやっておるというふうな報告は出ておりませんが、しかし御指摘のような事実があるとすれば、十分調査官調査いたさせまして善処いたしたいというふうに考えております。
  59. 志賀義雄

    志賀(義)委員 最後に、昭和三十九年ごろの関東一円の暴力団調査したG資料というのがありますが、その中の安田組の項に、先ほど申した秋田三演という興心塾塾長をやっておるといわれておる人ですが、この五月にかわったそうですが、その人の名前も出ておりますから、これはひとつ警察庁にあなたのほうから照会してみてもらいたい。よくその資料を見た上でまたいずれあらためて質問したいと思います。  委員長、きょうはこれでやめておきます。
  60. 大久保武雄

    大久保委員長 次会は明十日に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三分散会