○山口(シ)
委員 大臣に関連してお伺いしたいのですが、私は少年法の質問は後日に回さしてい
ただきまして、ひとつごく簡単に根本的な問題をお伺いしたいと思います。
大臣は売防法が通りました当時をいろいろ振り返ってい
ただけば思い出されることだろうと存じますけれども、たいへん紆余曲折を経ましてようやく通りました
法律で、当時は憲法にうたわれますところの人権尊重の見地からこの問題が取り上げられまして、この
法律が通過いたしましたらば、公娼として森を売っておりました人たちが勢い散娼となって町に散ってまいりまして、その散娼を更生させたい一心で、私たちはこの更生問題に非常に熱心に取り組んでまいりましたけれども、なかなか完全な裏づけができませんものですから、そういう問題も解決を見ないままに、取り締まりはいわゆる売春をさせる宿を眼目にして行なわれてまいりました。それから街娼、町をうろつく娼婦たちの取り締まりというような
状態で終わってきております。この売防法が通りますときに、私たちは、決してこれが完全な
法律でもなければ、これによって売春婦は一掃されるという自信も持っておりませんでした。むしろこれはざる法である。裏をかかれて危険な
状態になってくるのではないかという心配を今日までし続けてまいりましたところが、やはり現状はそういう結果になっております。しかし当時は、売防法というものが世界的に、単独法として設けられている国はなかったように思います。これが刑法によって諸国は取り締まられていたように私はいま覚えております。そして売春禁止
関係の
法律のなかった国は、中南米の一部でありますところのコスタリカという
場所と、欧州のトルコ、この二つだったように私は覚えておるのでございますが、曲がりなりにも文化国家として、背伸びをしてでも形を整えたいというのが私たちの考え方で、国際的な体面もありましたので、急いでこういうような形のものを通過させてい
ただきましたけれども、つくづく私は今日までその経過を顧み、また検討してみますと、
日本の社会情勢では、完全にこの
法律を生かすことがなかなかむずかしい。それから世の中に女と男がある以上は、性の問題は非常にむずかしい問題であって、なかなか解決を見ることができないのではないかというような考え方を私は持ち始めてまいっております。そこで大臣が売春防止法に対してどんな考え方を持っていらっしゃいますか、いわゆる根本的なお考えでございますね。こういうものを、もちろん大臣としてではなく、男性の一人としてお考えをお漏らしい
ただければ、たいへん私、
参考になります。
それから
ただいま横山
委員がお読みになりましたのを、私もちょっとはす読みしたのですが、週刊文春の記事は、売防法の裏をかいたまことによくできている記事でございます。私、これはとても
参考になります。一般の人たちの考え方を代表しているような感じもいたしますし、それからこの記事を書いた記者そのものが非常に裏をかいて、いわゆる男と女の問題をうまくまとめてここにわかりやすくつづったというような感じがいたします。そこで、この文春に出ております
内容は、いま横山
委員から
説明がございましたので、これと、それから私がいま御質問申し上げました根本的なものの考え方と含めて、大臣からお答えがい
ただければたいへんしあわせだと思っております。